2023年12.19tue_tokyo
(何か色々予定がありそうな日で書かせてください!)
という情けないお願いは胸にしまい込んで何も起きそうにもない普通の日常を少しの振り返りもしながら書いてみる。
昨晩は久々に店開いていたネグラの忘年会的イベントに。
細長い店がいっぱいになっててカオス。あの人やこの人にいろいろ会えて楽しかった。
山羊のカレー、マイコちゃんからちょこっと施しをもらい食べたらやっぱり天才。おいしい。
帰ろうとしたら引き留め師のシロウ君に何人も捕獲され店内に連れ戻されていった。
その内の一人になり、結果深夜。
土曜日はもっと!いい状態!!やぎくんに誘ってもらったMCビル風さんの20周年イベントでカレー。平日HELLに大共感。動画しか撮ってなくてこの写真が唯一残ってた。
おまけの杉田咖喱ビジュアル(もっと!いい状態!!作)
日曜日は先輩宅にお邪魔してからのろじやの忘年会。CJ&PINKちゃん、一彗君やカズ君にも会えた。
道端でばったり会ったヒラパー君達、森脇さんクレアちゃんも捕獲して、突然誘ってみた後輩の柏木も一緒に。ヒロシ君も来た。
いろいろ混ざって面白かった。ばったり会うの大大大好き。
そこでアイさんに会って日記のオファーをいただく。ご縁です。じんわりうれしい事。
これで土曜日から3日連続で遊び続けてそろそろ体が悲鳴を上げているという事を時系列バラバラに振り返りながら実感。
さて、今日。
9時起床。眠い。
毎朝のルーティンで具無し味噌汁に青汁を混ぜたものとヨーグルトにオリゴ糖かけたものを摂取。
夜の不健康分を帳消しにする魔法の摂取。効き目は実感できていない。
朝からリモートワークで義務を全う。
今日の午前中の仕事場はとある場所のロッテリアに決めた。
2階は隣接する神社ビューが窓一面に広がって気持ちがよい。
多分何かしらのスピリチュアル効果がある筈。人が極端に少なく空いているのもいい。
気持ちは全く乗らないまま死んだ目で仕事を片付けていく。
足が冷えたので足裏に貼るタイプのホカロンを貼る。
昼何にしようかな。最近は野菜爆食いできるリンガーハットばかり行ってる。
お陰で5kg痩せたし今日も行きたいな。
近くにないからどうしよう。と悶々としてたら昼時を逃した。夜にかけよう。
あ、昼休憩分で耳鼻科行っとこう。
そうそう、3か月程前から慢性上咽頭炎という喉の上の炎症の治療を始めてる。
鼻と喉から薬塗った綿棒突っ込んでゴシゴシ塗り込む荒療治。
日本でしかやってない治療法との事。日本すごい。その名もBスポット治療。
BスポットのBは鼻咽腔のの頭文字の「B」をとったという安易な名前の由来には笑ったけど。
3か月間スケジュール詰め込んでやりまくってる。積み重ねて20回。
年中鼻水ズルズル、固まって鼻くそ溜まる生活からおさらばできた。
呼吸がしやすくなって快適そのもの。本当に楽になった。呼吸いい!
最初は血が出たり痛いけど激おすすめの治療です。
もう僕は血が出なくなった。気になった人、よければどうぞ。
夕方。
おばあちゃんから突然連絡がきた。少し話した。もう90歳、1年近く会えてないな。
いつでも会えると思ってたら会えなくなるよ、と自分の心の中でつぶやいていたら切なくなった。
近く会いに行こう。大事にしなきゃ。
会いに行ったついでにぼんごも近いし寄りたいな・・いやいや、やましい事考えるな!と自分突っ込み。
我ながら欲がすごい。あきれる。
夜。
打ち合わせ伸びてまぁまぁの時間になってしまったけど仕事の事は全て忘れてこれからの事を考えよう。
今年は有難い事にカレーで月一くらいのペースで出店させてもらった。
誘ってくれた先輩後輩友人達に感謝感謝。
ここ最近はウーロン茶を使ったキーマを擦り続けている。
そろそろ何か新しいの考えたい。たまねぎ切らなくて済むextremeなやつがいい。
考え始めて缶ビール開けて飲んだらどうでもよくなった。まぁいいか。
何気ない日常、おしまい。
-プロフィール-
杉田洋平/杉田咖喱
41歳
東京・江古田
サラリーマン/カレー(イベント出店)
Instagram @yoheisugita
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やればできる
どうもルームの細井です
暑いような涼しいようなムシムシするような
よくわからない毎日が続いていますが皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私はというと空手の大会が近いのと
3月にあった特定保健指導の影響もあり
僅かばかりのトレーニングと食事改善で身体づくりという健康的なことをやっております
特定保健指導 では糖質や脂質が高く血圧も高めだと指摘されました
体重も適正体重より重いため改善を促されたのです
大好きな高カロリー食品は控えなければなりません
そんなこんなで急遽ダイエットを始めることにしたのです
結果から言うと2ヶ月で8㎏減
3ヶ月目には元々72㎏あった体重が61㎏まで下がりました
流石に軽すぎて空手で力負けしてしまうことが多くなったため現在健康的に増量中です
そんな私が短期間で10㎏以上の減量に成功したダイエット
特に需要もないかと思いますが書いていこうかなと思っております
【はじめに】
漠然とダイエットといっても何からして良いかわからない
そこでまずは目標を決めることにしました
保健指導員の方とも相談をして体重を半年で-4㎏減らすことを目標としました
半年で-4㎏
ダイエットにしては簡単な設定かと思うでしょう
無理のない目標設定!
これが重要だと考えているためこのような達成可能な目標に設定しました
では次に目標を達成するために何をするかを考えてみました
ダイエットは理論的に実に簡単です
摂取カロリーより消費カロリーが上回ればで絶対に痩せます
つまり簡単に考えると摂取カロリーを少なくするか消費カロリーを多くするかの2択です
私の考えではプラスで何かをするのは大変
だが減らすことはちょっとの我慢でできるので続けやすい
そのため摂取カロリーを減らすことにしました!
そこで日々の食事を見直して必要のないものは減らすことにします
当時の私の基本的な食事を振り返ってみます
<朝食>
ファミチキ(251㎉)、おにぎり(約150㎉)、モンスターエナジー(42.1㎉)
合計443.1㎉
<昼食>
コンビニのお弁当(約750㎉)
カップラーメン(約350㎉)
合計1100㎉
<夕食>
白米約1合(530㎉)
おかず(約750㎉)
合計1280㎉
<間食>
お菓子(約500㎉)
ジュース(約40㎉)
合計540㎉
総合計は…
3363.1㎉!!
阿呆か!
増量中のボディービルダーか!
どう考えても食べすぎです…
そりゃぁ太ります
当たり前です
そしてカロリーだけでなく糖質や脂質もとんでもない量を摂取していました…
酷い時はコレよりもさらに多く飲食をしていたので恐ろしい限りです…
何なら夕食にラーメンを食べに行くこともあるので4000㎉オーバーなんて日も何度もあると思います
さてこんな食事では痩せるものも痩せません
運動どうこうの問題ではないので計画通り食事を見直すことにします
私のダイエットは引き算なので減らしても苦にならないものを考えます
…
……
………
どれも厳しい!!
考えてみたらこんな生活を何年も続けているわけで急に減らすのは中々にしんどい!
とは言え健康がなくては楽しいことも楽しめない!
考えなくても答えはわかっています
ジュースやカップラーメン
そして間食のお菓子!
これらが諸悪の根源であることは明白です!
やむを得ない状況です
この日からジュースやお菓子
カップラーメンは食べないことと決めます
しかしずっと食べないとなるとストレスで死んでしまうので適度に自分を許すことも大切です
そうダイエットは継続こそが至高
力こそがパワーなのです
ということでジュースは一週間に一本は飲んでよいと決めました(自分に甘いことも大切なのだ!)
次に運動です
私は運動が好きなので運動をすることに一切の抵抗がありません
まあできるだろうということで軽いジョギングから始めてみようと決めました
【ダイエット開始】
さていよいよダイエットの開始です
食事はジュースとお菓子とカップラーメン以外は自由にとれるということで楽勝でしょう
朝食にファミチキとパンを購入
いつもならここにモンスターエナジーをぶち込むところですがこの日はお���です
朝から糖質と脂質をフルに食べ大満足です
ジュースがないのは口さみしいですが許容範囲です
昼食はお弁当です
いつもならカップラーメンを追加するところですが我慢です
代替品として味噌汁を選択
普通に満腹になりました
カップラーメンなど初めから必要なかったのでしょうか
相変わらずの塩分ですがまあ大丈夫でしょう
夜食は米の量を減らしてみます
いつもはどんぶりに山盛り食べるのですが小さな茶碗に半分程度にしました
意外と何ともありません
いつも食べすぎていただけなのでしょうか?
どこかの成功者の本で「食事はお腹を満たすためのものではなく栄養を補給する手段だ」というのを思い出しました
考えてみるといつもお腹いっぱいまで食べていましたが
そこまで食べる必要があるのかと問われると難しいものです
運動は翌日から早朝走ることに
息子と一緒に朝の公園をジョギングしました
約1㎞を走るだけですが気持ちの良いものです
息子も空手をはじめたので“体力作り”ということで一緒に頑張ることになりました
こんな感じでとりあえずダイエットを開始してみました
【体に変化が】
一週間ほど経過し朝のジョギングが辛いなと思い始めた頃
体重が2㎏落ちていいることに気がつきました
たかだか一週間
食事を少し減らして簡単な運動をしているだけでこうも簡単に効果が出るとは…
元々代謝が人一倍良いとは言え嬉しい結果です
ジュースも週に一本と考えていましたが飲むのを忘れていたので
このまま飲まなくても平気かもしれません
モチベが上がってきました!!
こうなるともっと減らそうという気持ちになり
無駄遣い防止も含め朝食はコンビニで買うことをやめることにしました
大好きなファミチキとはしばしの別れです
その代わり家で少量の米と納豆を食べること
朝のジョギングは夜に変更して距離も伸ばすことにしました
昼食はなるべく家から持っていくことに
コンビニで買う場合も品数を少なくすることを意識していきます
夜も白米の量を減らして
おかずを中心的に食べることにします
お茶や水も積極的に飲んでいきます
【ダイエット中期】
朝食は50g程度の白米と納豆とキムチ
昼食は比較的自由に食べるが夜は少なめに
夕飯前に1.5㎞のウォーキングと1.5㎞のジョギング
夕飯は野菜を多めに炭水化物は少なめ
そんな生活を1ヶ月続けた頃
体重は5㎏以上減っていました
会う人にも痩せましたねと言われることが多くなりました
たかだか1ヶ月でここまで結果がでるとは…
自分の才能が恐ろしいです
昔「花さか天使てんてんくん」という漫画がり
みんな誰しも何らかの才能を持っている
そんな眠った才能をてんてんくんが開花させるという内容だったのですが
どうやら私はダイエットの才能が開花したようです
ということで
当初の目標だった-4㎏はあっさり達成です
保健指導員さんも草葉の陰から喜んでいることでしょう(死んでません)
目標は達成しましたが当初決めた半年は頑張っていくことにします!
せっかくなので取り組み内容も見直します
体重は順調に減っているので次は筋肉です
有酸素運動にプラスして筋力トレーニングも取り入れることにします
食事はタンパク質を中心に脂質を抑えていきます
夕飯から見直します
おかずの量を減らし野菜中心にします
トレーニングは続けられるように1~2時間程度まで
基本的には自重のトレーニングです
本当はジムに通いたいけど金銭的な問題で断念!
トレーニング後にタンパク質としてプロテインを飲みます
消化の良いものを中心にタンパク質を取り入れていきます(基本的にはプロテインでまかないます)
ちなみにプロテインはこれ
特に理由はないですが近所の薬局で比較的安価(4000円程度)で売っていること
飲みやすいってことで決めました
本来は牛乳で割って飲むそうですが牛乳嫌いな私は無調整豆乳で割って飲みます
無調整豆乳も飲み過ぎると結構高くつくので150mlだけいれて残りは水です
毎日おいしく飲んでいます
ってな感じで自分なりに工夫してダイエットとトレーニングに向き合っていくことになりました
【現在】
書籍や有名youtuberを見漁った私は栄養成分まで気にする毎日になりました
「ふむ…これはカロリーは低いが脂質がやや高めか……やめておくか」
こんな感じで商品とにらめっこするようになってしまいました
妻も呆れています
1日の摂取カロリーは2,000㎉まで
脂質は40gまで
タンパク質は100~120g程度
その他ビタミンやミネラルをまんべんなく摂取
といった具合にある程度具体的な指標をもってやっています
「あすけん」というアプリで記録もとってます
簡単ではありますが栄養をどれだけ摂取したかなど目に見えるので励みになります
トレーニングも順調で空手でも組み勝てる場面が増えてきました
まるで進研ゼミのような展開ですが大きな変化です
ダイエットのモニターとして非常に優秀な人材かと思います
体重は3ヶ月で10㎏減
そこから筋肉をつけながら増量中です
健康的に68~70㎏になりたいなと計画中です
目標の半年まであと3ヶ月
頑張っていきたいと思います!!
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. . 本日9/9 営業いたします。 本日からかぼちゃパンスタートいたします。 今年は土屋さん、江連さんのかぼちゃを使わせていただきパンにします。 どちらも無農薬でどちらのかぼちゃも美味しいです。 少しずつ秋商品に切り替えていきます。 地味に人気のcobo黒糖ケーキ ラム酒のきいたシロップをたっぷり含ませて黒糖アイシングで仕上げた酵母ケーキ。 今の時期はcimaiの アイスコーヒーブラックと 合わせていただきたい。 かぼちゃシリーズが はじまると同時に賄いが 玄米、味噌汁から かぼちゃカレーに変わっていきます。 スタッフに人気のかぼちゃカレー。 かぼちゃカレーといってもパンに練り込めない部分の皮だけ入ったカレーです。玉ねぎとかもほぼ入らないカレー。これがなんか美味しいんです。 この時期は玄米ごはんの減りが早くて、 しょっちゅう玄米を炊いています。 スタッフのみんな!! 思う存分、 飽きるほどカレーたべてね。 ちなみに スパイスからカレー作ってる風ですが、 ルー使ってます。 朝からスパイスからカレー作ってられません。 #cimai #桃のパイ #賄い担当は私 #いつから私になった。。 #毎朝みんなのお昼の味噌汁を適当につくる #適当だけど、愛を込めて。 #朝イチにやる仕事は味噌汁の出汁をとること #味にかなりばらつきがある。。 #玄米はスタッフが用意する (Cimai) https://www.instagram.com/p/CiQl954BqE2/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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東京いい店やれる店
とはいいながらも普通に好きなお店の覚え書き。リゴレットにぶうぶう文句垂れてる女のアンサー。
・オルトーキョー(渋谷)
Abemaタワーの真横にあるビアバー 。北欧メインのブリュワリーが20タップ揃ってる。なんだかんだIPA選んじゃうけど。キャッシュオンでさくっと一杯飲めるのがいい。渋谷で時間を持て余したらいったんここ。基本横並びだからいい感じにくっつける。週末はDJがいてちょうどいいハウスを流してくれます。
・三十五段屋(渋谷)
渋谷は円山町、三十五段ある階段を下った先にある。汁べえ系列のお店はどこもおいしいけどここの雰囲気がいちばんいい。あとおしぼりがいい匂いする。おでんのしみしみ柔い大根が大好き。迷いそうな場所の割に店内は適度にざわざわしていて話しやすい。お会計の後にお味噌汁出してくれるのもありがたい。1回友達と違う系列店行ったら彼女の終電がはやすぎて先に帰っちゃって、ひとり残されたわたしは味噌汁2杯ぐい飲みしました。出口は階段じゃなくてエレベーターなの全然情緒がなくてなんか笑っちゃう。
・niru(渋谷)
渋谷と恵比寿の真ん中にある。駅から少し歩くから動線は考えたほうがいい。店に向かうまでのアイスブレイクってどこまで深い話していいのかわからないからあんまり得意じゃない。裏通りにひっそり佇んでるからわかりづらいけど、ガラス張りの空間も小さめの店内も小洒落てて心地いい。
・スパイラル(神泉)
神泉で食べる牡蠣ってエロくないですか?2軒目は立ち飲みの日本酒バーで口説いてほしい。動線はこっちが作るからちゃんと生かして。
・聖林館(中目黒)
高い(物理的に)。階下が見える階段にひやひやしてしまう。吊り橋効果を期待したい。ピザがマルゲリータとマリナーラしかないのもぽくていい。中目黒には有名なピザ屋がもう一軒あるけど、デートなら断然こっち、暗いから。因みに風俗営業になるかどうかの境界は10ルクス(卒論の知識)。ボトルを開けてから階段を下るのは結構こわい。
・小野田商店(中目黒)
シズルが完璧。焼かれた肉よりも焼いている肉のがエロいから焼肉は好きなんだけどここはとびきり。お肉焼いてると会話に困らないからいいよね。妙に饒舌な店員さんが焼くのを手伝いながら盛り上げてくれる。
・さもん(中目黒)
おでんのお店。ここの柚子風味の玉子が本当においしいしなんならこれだけでいい。でもいつも玉子ひとつに300円か〜って思っちゃう貧乏性。前にティンダーの人とここで立ち飲みしてて、ムカついて帰りたくなってグラスに残ってるワインを一気に空けたら、貧血も相まってぶっ倒れました。グラス割って平謝りした。
・なかめのてっぺん(中目黒)
いつもいつも違う男と来ているから覚えられてそう。入り口がやたら奥まってて、しかも腰を屈めないと入れないのも隠れ家っぽくて好き。トイレが外にあるから酔った身体を屈めて出入りするのは結構難しい。毎日何かしらのパフォーマンスやってて、年明けに来たときは餅つきしてた。お通しで出てくる京都のお漬物がめちゃくちゃおいしい。帰りにインスタントのお味噌汁をくれるんだけど、連れてる男にいる?って言われるところまでがお約束。
・Na Camo guro(中目黒)
コースオンリー鴨料理のお店。駅近なのにお店に入るのにめっちゃ迷う。高めのカウンター席に背筋がしゃんとするし、客層が東京カレンダーみたいで好き。目黒区でもにゃんにゃんOLになれますか。
・tractor(中目黒)
DJバーだけど朝ごはんが食べられる。朝待ち合わせるんじゃなくて、泊まった翌朝に気怠い身体を起こしてがんばって行くのがいい。店員の愛想のなさはGoogleマップのレビューでも酷評だけど、それも含めシティっぽい。ブリューコーヒーのあとは目黒川沿いの散歩につきあってね。いいハウスを流します。
・margo(祐天寺)
レコードが流れるビストロ。家からめちゃくちゃ近くて何度も前を通っているのに一度しか行ったことがない。ビオワインを一本一本丁寧に説明してくれる。まあ正直味なんてわかっちゃあいない。ごはんはなにを頼んでもおいしい。生花が飾ってあるお店は信用していい。
・kabi(目黒)
駅からわりと歩く。タクシーで向かってもいいけど、目黒通りをだらだらと歩きながら手を繋いでほしいな〜。洒脱な店員とお喋りしながらするワインのペアリングに東京っぽ〜い!とあがる。界隈御用達とあって選曲もかなりいい。
・IJ(銀座)
フレンチの古民家ビストロ。いそいそとワインセラーに潜り込んでワインを物色するのがたのしい。距離を縮めるには共同作業って誰か言ってなかった?わたしはこのあと余韻ぶった切ってコリドー行った。
・Wakiya(赤坂)
高い店はうまい。前行ったときに菅さんが居合わせて、高えワインを開けてくれました。東京に生まれ育った人の人脈ってこわい。わたしは一生知らなくていいや。
・ねのひ(有楽町)
東京のビル群の狭間にある赤提灯。ちょっと高いけど、大きめの焼き鳥がまあおいしい。あたたかくなった時期に夜風を浴びながらのテラス席が最高。
・魚草(上野)
寒さに縮み上がりながら昼間から飲む熱燗がいちばんおいしいのよ。そのままほろ酔いで美術館とか行きたい。動物園でもいいなー。
・老酒舗(御徒町)
中華の大衆酒場。店構えからして異国風でテンション上がる。やけに狭い席もがやついてる店内も現地っぽい。白酒と割り材を選んで自分で作るお酒はおいしい。もちろん濃いめで。
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一年前日記17(2020年4月22日〜28日)
4月22日 毛布を洗ってコインランドリーへ持っていく。乾かしている間にパンを車の中で食べた。日記を書きながら。少しそのまま車をとめさせてもらって、スーパーの周りを30分ぐらい散歩した。ハナミズキが綺麗で泣きそうになる。なんかもうこれ幸せなんじゃないか。いろんなものが足りていないはずなのに、新しい幸せを感じている自分がいてすこし戸惑う。でもこれが自尊心なのかもしれないな。今まで足りないものを埋めようと外に外に出ていたのかも。メイクとかかわいい人とかに対する興味がむくむくとわいてきている。物理的に自分に時間をかけられるのって大切。夫は義実家に寄る日で、夜ご飯は一人。とろろご飯、しじみ汁。
4月23日 朝、普段あまりしないところの掃除をする。窓も拭いた。昼ごはんはパスタを食べて、読書。筍をゆでたのをいただいたので、筍ご飯と苺の白和えを作って実家に持っていく。喜んでくれていた。「木の芽はあるの?」と聞かれた。もちろんです。母の料理は大雑把な感じだけど、薬味を欠かさないことや、ごまは炒って使うとかそういうところはこだわりがある。木の芽は、斜め前のお家に立派なのがあって、小さい頃よくもらいに行っていた。うちでも何度か育てようとしたが、根付かなかったよう。鯖があるからと煮てくれて持たしてくれた。少し辛そうで一緒に何故かにんじんが入っていた。段々料理もできなくなってきているみたいだけど、なかなかあきらめられないだろうな。いつかは手放せるんだろうか。どうしてあげたらいいんだろう。父もとまどっている。栄養取れないと精神的にもよくないし、悪循環になってしまう。夜ご飯は、筍とアスパラのガリバタ炒め、苺の白和え(この2つはroccaのレシピ。美味しかった)、山芋のスフレ、しじみの味噌汁。
4月24日 久しぶりに仕事に行った。電話も少なく静かだった。働くとご飯が美味しい。次行くのは早くて連休明け。元気でまた会いましょうと言って退勤。帰りになかなか取りに行けなかった修理をお願いしていた靴を取りに行く。お店は靴であふれてる気がした。みんなお迎え待ちなのかしら。オーロラシューズの2回目の底の張り替え。初めてのお店だけどとても良さそう。またお願いしよう。どこかお店でテイクアウトしようかなとも思ったが、なんか面倒になってしまい、どこを選べばいいかもわからないしでみんな頑張ってくださいと念を飛ばしてそのまま帰る。どこも美味しそうだけど、やっぱり店で食べるのが好きなんだなと思う。応援したい気持ちはもちろんあるんだけど。夜ご飯は、昨日の鯖に少し水を足してキムチを入れて炊き直したもの、ゆで卵たっぷりのポテサラ、味噌汁、ピクルス。ポテサラには木の芽をのっけた。
4月25日 午前中は読書。午後から掃除。買い物がてら散歩。買い物は3日に1回推奨らしい。あまりたくさん買うのはしんどいので、混んでる時間帯を避ければいいんじゃないかなと思う。お店は品薄な感じ。2つスーパーを回ったがバナナがなくてキウイを買う。夜ご飯は、夫作。ささみにごまをたっぷりまぶして焼いたやつ。私が副菜を何か作ったけど忘れてしまった。今週の太田さんは旭川。大人のダッフルコートがお似合いだった。野ブタをプロデュースを見て就寝。
4月26日 朝ごはんを食べながら小坂井敏晶教授の講義『教育という虚構』の動画を見る。めちゃくちゃ面白い人だなあ。本読もうっと。興奮冷めやらぬままぼうっとしながら、読書。からの音楽をかけながらの料理。晩ご飯の牛すじカレーも煮込む。玉ねぎを飴色になるまで炒めて、スパイスとフレークのルーを入れてカレーのもとをつくり、炊いておいた牛すじ、ケチャップ、バルサミコ酢、チャツネ、お湯を足して一時間ぐらい煮込んで完成。夕方一時間ほど散歩にでかける。こないだ発見した新しい散歩コース。俳句を考えながら。歩かないとなかなか思いつかない。カレーは適当に作ったけどとても美味しかった。昨日録画���ていた柳家喬太郎さんと伊藤亜沙さんのトーク番組を見る。これまたむちゃくちゃ面白かった。喬太郎師匠は普通に話しててもとても色っぽくてドキドキしてしまう。もう一回見よう。
4月27日 銀行にも行きたかったので朝のうちに買い物に行く。今日はバナナがあった。美味しそうなかき揚げがあったのでお昼は蕎麦にする。蕎麦湯も飲めると書いてあったので飲む。お腹がすっきりした。昼からは撮りためた録画を見たり、物置になっている部屋に掃除機をかけたりする。ぶり大根を炊いて、味がしみている間に散歩に。少し雨が降っていたので近所をぐるぐる。晩ご飯は、ぶり大根、切り干し大根のしめじの梅干しマリネ、セロリとじゃこのふりかけ。うっかり大根大根になってしまった。エルメスが配信しているラジオの再放送を聴きながら冷蔵庫の掃除をする。世の中にいろんなコンテンツがあって充実していて、お金も使わずに豊かな毎日が送れてしまっているが、何のストレスもなくて、有り難みに欠ける気もする。いや、働いてないので収入も減るし、これからもっともっと大変になることは予想できるけど、それ以上にこのぽっかりとした時間がもたらしてくれるものの大きさを今は感じている。
4月28日 朝、家計の整理。昼ごはんは昨日のぶり大根、残り物をのっけた名もない丼。録画していたテレビをいくつか見てから読書。俳句の選句をして、夕方散歩。夜は茄子と鶏肉の煮物、味噌汁(わかめと揚げ)。煮物を作るときにみりんと油を間違えるという大失敗をしてしまう。これはダメだと思ったが具だけ取り出したらこってりした煮物という感じで、まあまあ美味しかった。SWITCHインタビューをもう一度見てから、講談大会の録画を見ながら洗い物をしたり洗濯を干したりした。明日は一日中だらだら読書をするぞと決めて、和食屋さんの美味しそうなオードブルを注文しておく。毎日だらだらしているんだけど、それなりに頑張る日と、思いっきりだらだらする日を意識的に作ろうと思う。ハレ寄りのケの日。家にいるとそれなりにすることがあるし、録画していたテレビもこれだけ時間がないととても見きれないことがよくわかった。読んでない本や見てないDVDもいっぱいある。そもそも溢れていたあれこれを今こそ整理するときなんだろう。
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数珠回し
"念仏申す者は如来の光明に摂取せられ又護念の利益あることを思うて唱えよ。
光明遍照 十方世界 念仏衆生 摂取不捨 南無阿弥陀"
唐突に渡された再生紙に印刷された文字を読むことはせず、ただぼんやりと眺めた。
とある調査で、東京からバスで4時間ほどの中山間地域に数日間滞在していた。調査のほとんどが自転車による移動だったが、自転車では登れないような坂を手で押しながら登っては、ブレーキ音を響かせながら下りつつ、写真をとったりメモをしたりしながら調査を進めていった。
宿舎は調査対象地からほんの少し離れた小さな集落にある大きな古民家であった。もちろんエアコンなんてものはなく、日頃都会で過ごしている私たちからしたら、真夏に冷房なしで寝るなんてことは考えられないことであったが、夜には8月とは思えないほど涼しい風が吹き込み予想に反して快適に過ごすことができた。毎朝、食事当番が準備した朝食をほぼ同じタイミングで各々が食べた後にその日のスケジュールを全員で確認し、1日が始まる。
8月16日。この日もいつもと変わらぬ朝をむかえた。なにか変わりがあるとすれば、先日雨に打たれすぎたせいか少し喉の調子が悪かったことぐらいであったが、気にせず朝食を平らげ、スケジュールの確認をした。「本日も同様にこれから役場に自転車を取りに行き、そこから移動して別荘地の方を調査します。帰りは5時半ぐらいに宿舎に着いて、そのあと数珠廻しをします。では今日一日頑張りましょう。」と山田さん言った。みんな、元気よく「はい!」と返事をし、それぞれの部屋に戻り出発に向けて準備を始めた。
この日の天候はあまり良くなく、自転車で走ってる最中に雨が降り始めたが、前日も激しい雨に打たれながら調査をしていたせいか、雨は気にならなくなっていた。昼時になり、昼食をどこでとろうかと話し合っている時には、雨など気にならないと感じていた私たちに対してムキになったかのように雨は逆ギレし、その強さを増した。雨宿しながら、しばらく引きそうにもない雨を見て、正直悪いのは雨だし、そんな小さなことで逆上するとか心狭すぎだろと思い、引いた。
結局、そんな理不尽雨に打たれながらも、ファミレスまで自転車を飛ばし、まるでこの街の悪いところを模したかのような擬洋風なハンバーグを食べる後輩の横で、私はラーメンを相変わらず残した。
この後のスケジュールをどうするかということを谷口先生と山田さんが話し合っていた。さすがにこの逆ギレ理不尽雨とはもう付き合えないと言うことなのか「今日は雨も強いし、6時から数珠廻しもあるので宿舎にもどります。」と山田さんが言った。みんな、元気よく「はい!」と返事をし、自転車を一晩ファミレに置かせてくれと無茶な交渉をし、迎えにきた役場の車に乗り込み宿舎へと向かった。私は人数の関係上役場の車ではなく、山田さんの車に谷口先生と共に乗り、明日に向けての調査の下調べとは名ばかりの、きまぐれドライブをした。その時に「6時から数珠廻しがあるからそれまでにはもどらないとなー。」と呟いた山田さんを見て、ようやくある疑問が湧いた。そういえば数珠廻しとは一体なんなんだ。
さらっと、今日のスケジュールの組み込まれていた数珠廻しというプログラムを私はまるで、朝食の味噌汁の中にミョウガが入っていたことと同じぐらい、すんなり受け入れていたし、インスタントとは一味違う味噌汁の風味を楽しむように、数珠廻しというプログラムを無意識のうちに楽しみにしていたのだ。そして、そうとなるともう1つの疑問が生まれる。数珠廻しのことを知らないのは自分だけなのではないかと。1日を振り返ると、朝からみんなは数珠廻しという行事が組み込まれたスケジュール確認に対し、しっかりと返事をしていた。
宿舎に戻り、その行事が始まるまでに1時間ほど時間があった。山田さんの提案でその1時間は宿舎まわりの調査をすることになったが、心なしか山田さんの声が弾んでるように感じた。数珠廻しをよっぽど心待ちにしているのだろうか。実は私はこの調査をにあたっての事前打ち合わせに参加できなかった。そのときに、きっとみんな数珠廻しの説明を受けたのだろう。そう思い、私は共に調査をしていた友人に数珠廻しについて問いかけて見たが、なにをやるのかは誰も知らなかった。逆に皆が皆、数珠廻しに対し同じ疑問を抱いていたようだ。そうとなると、なにが行われるのか気になって仕方がない。ハンドスピナーのように数珠を手で回すものなのか、あるいはベイブレードのように数珠を回して戦うものなのか、畑に立っている派手な装飾をしたカカシをみては、もしかしたら数珠廻しとはDJを回すようなパリピイベントなのではないかと想像したり、もはや「数珠」だと思っていた「じゅず」はじつは「十頭」と表記されるもので、十人の頭を刈り取ってそれを転がしていくものなのかと想像が止まらない。そんなことを考えているうちに時間はあっという間に過ぎた。
数珠廻しが行われる小さすぎる公民館に私たちは10分ほど早めに集合してしまった。数人でなんとなく会話をしていると、中からマリオと同じヒゲの形をした白髪のおじさんが私たちを招き入れてくれた。後に気づいたがそのおじさんはその集落の自治会長であり、あのヒゲはマリオよりもルイージ寄りであった。公民館に入ると既に数珠は準備されていた。予想よりもはるかに大きかった。無数の数珠からつくられた円周10mほどの輪っかが円とは呼べないほど乱れた形で畳の上に置かれていた。そして、これから行われる数珠廻しとやらを司る役となるおじさんがひとこと私たちにこう言った。「どうぞ円の周りに座ってください。ただ数珠は跨がないでくださいね。神聖な領域なので」と。思考をやめていた脳が再び想像の世界へと私たちを引きずりこむ。この円の中にもし足を踏み入れてしまったらどうなるのだろうか。数珠廻しとはこの円の外で行われるものなのか、もしくはある特別な儀式を経てこの中に入ることが許され、相撲紛いなことをするのか、、そんなことを考えていたら、再びさっきのおじさんがどこからか文字が印刷された紙をもって現れた。そしてこの紙をみんなに配っておいてといい私たちに紙を渡した。もう紙のことなんてどうでもよかった。なぜならば、紙を渡す際にそのおじさんは何のためらいもなく数珠を跨いで円の中に入り、私たちに紙を渡してきたからだ。つい数分前におじさんは円の中は神聖な領域だから数珠を跨がないようにと言ったばかりであったが、そのおじさんはいとも簡単にその領域へと踏み入った。動揺を隠せず、となりの友人に目をやると、友人も全く同じ気持ちであると言わんばかりの表情で私を見つめていた。あまりの衝撃的な光景に思考は停止し、紙に書いてある文字を読むことはせず、ただぼんやりと眺めた。
6人の村人が集まった。なぜか村人たちは正面玄関を使うことなく、裏口から出入りする。それが彼らの中での流行りなのだろうか。それとも今のところオカルトチックにも感じるこの儀式に参加する為にわざわざ異世界とつながる裏口からやってきてくれているのか、、裏口が気になる、、。数珠廻しには私たち全員は参加することが出来なかった。炊事当番は数珠廻しをせずに夕飯の準備をしなければならなかったからだ。しかし、数珠廻しがどんなものなのか気になったのか、少しだけ様子を覗きに来て、始まる前には戻っていった。その際に私の2つ左隣に座っていた女の後輩が炊事当番に声をかけた。「まわしてかんの?」と。その言葉には違和感があった、、。あまりに自然すぎる発言であったからこそ私はその言葉に違和感を抱いたのであろう。数珠廻しという儀式の名前の中にはたしかに、"まわし"という言葉ははいっているものの、何をするかは皆理解できていないはず。そんな状況ですんなりと「まわしてかんの?」なんて発言はできないはずなのだ。そう、彼女は経験者であるのだろう。そして、私の予想が合っているのならば、、彼女は異世界の住民である。私はまるで何事もなかったかのように、何も気づいていませんよ?というようなすっとぼけた表情で取り繕い、ちらっとそんな彼女を見てみた。正座している彼女の背筋は驚くほど綺麗に伸びていた。
そうこう困惑しているうちに、村人の一人が「それでは手短に、説明させていただきます」といい数珠回しの説明が始まった。説明はこの村のことについてからはじまり、気が付けば、彼の孫の話にまで発展していた。老人にしてはすらっと背が高く、手足の長い長老の話は、正直まったく手短とは言えない長さにまで達していた。われわれのメンバーの数人も長時間の正座に足がしびれたのか、もぞもぞ動いたり態勢を変えてみたりと、まだかまだかと耐えているようにおもえたが、「お前ら、これぞ修行なのだ!まだ甘い」と言わんばかりの表情の谷口先生は胡坐をかいていた。「あれ?先生正座じゃない?胡坐?」っと一瞬でも思ってしまった私は愚かだ。あれは座禅であった。谷口先生はまるで滝に打たれ、それでもなお穏やかな表情をしている。そんな幻想を体験したのは私だけではないであろう。そして、そんな幻想を体験した者は、そう数珠廻しに選ばれものなのであろう。まだ説明はされていないが、、、
数分後、説明はおわった。数珠回しは、いたって単純なルールであった。大きな数珠の輪を皆で持ち、時計回りにぐるぐる回すというものである。その数珠の中には特に大きな玉が一つだけある。それが自分の前に回ってきた時に願い事をその親玉に向かって心の中で唱えると願いが叶うというのだ。そして、もうひとつのルールは、数珠を回しながら「南無阿弥陀仏」と声を出して唱えつ続けることである。たたこれだけである。私は今まで何をそんなに深く考えていたのだろうか、、冷静に考えれば想像のつくことであろうに、自分は馬鹿だなー、おっちょこちょいだなー、天然さんだなー、あちゃちゃっうっかりさんしてしまいまちた。っと嘘天然ぶりっこ女かのように心の中でおちゃらけた。本来なら100回程この大きな数珠を回すらしいが、今回は体験ということで、三回だけまわすことになった。三回しか願い事を唱えられないのか、どんな願い事にしようかななんて考えていたが、うだうだ人生予備軍の私はもちろん就職祈願かなと心に決めた。
「それでは始めます」という長老のなんとも柔らかい合図で数珠回しが始まった。数珠回しに手慣れた村人たちは「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」と言いながらスムーズに数珠を回していく。え?ちょっとまって?なーむ あみ だーーぶ??、、、まってまって���そんな独特なイントネーションあるなら先に教えて、まってまって、てかそもそも癖がすごすぎませんか?と、またせたがり女子のように心の中でツッコミを入れた。数珠の回るスピードは思ったより速かった。私も皆に倣い「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」と言いながら無心で数珠を回した。親玉はどんどんと近づいてきてついに私が願い事をする番となった、親玉は一瞬で目の前を横切っていた。その時私は小さな声で、「なーむ あみ だーーぶ」と唱えていた。正直パニクった。三回しかない大切な願い事の一回をなーむ あみ だーーぶしてしまったのだ。まさか、あんなにも一瞬で親玉が通り過ぎるとは予想していなかったので、周りからは何一つ変わりなく見えていたかもしれないが、私の気持ちは相当焦っていた。この願いには人生がかかっているのだから。
流れ星に願いをなんてのはよく言ったもんで、突如として現れ、一瞬で流れ去っていく流れ星に願い事をできた人なんて実際にいるのだろうか。「私は流星群の時に願い事したよ」なんてぬかすやつもいるだろうが、そんな話をしているのではない。そもそも、流星群の時に大量に発生する流れ星になんて何のご利益もないだろ。私がここで言いたいことは、偶然目に飛び込んで、一瞬で消え去る流れ星に願い事をするなど、どんな瞬発力があろうと不可能であろうということである。それはただ見れただけで奇跡なのだ。
それに比べて、数珠回しはどうであろうか。速いとはいえ対応可能なスピード、そして来ることが、来るタイミングが目に見えて分かっているのである。流れ星と比べるとその難易度はレベチに簡単であるうえ、願い事は何回もすることができる。こんな絶好な条件を逃すわけにはいかない。一回目のミスがあったにせよ、もう心は整た。二回目の親玉に向けて着実にタイミングを合わせていく。速さは徐々に遅くなっていくように感じた。目が慣れてきたのである。長年球技をやってきた私の目には、もはや親玉はボール同然のように見え、若かりし頃のスポーツプレーヤーとしての本能が呼び覚まされ、ほんの数秒うちに球に反応する瞬発力、チームをまとめる統率力、タイミングを見計らう忍耐力の鎧を身に纏うことができたのだ。もうこれで、負けるはずがない、どんな相手でも絶対に勝つ!仲間たちと勝利を勝ち取るのだ!若かりし私よ、そう興奮するでない、これはスポーツでもなければ戦いでもない。ましてや、団体競技なわけがない。ここは冷静に余裕をもって、来たタイミングに合わせてさらっとお願い事をするだけ。そう、野球でいうところの流し打ち、サッカーでいうところのワンツー、テニスでいうところのスライス、これでいいのだ。そんなに身構えずに行こうや。私は冷静さを取り戻し二周目の親玉に狙いを定めた。「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」よし、そろそろだ、3.2.1よしここだ。「なーむ あみ だーーぶ」。私はまたしてもやらかした。
言い訳を言わせてほしい。原因は二つあった。一つ目は初歩的なミスである。タイミングにばかり気を取られていた私は、願い事そのものを忘れかけてしまい、とっさに言葉が出なかったのである。二つ目は、思ったよりも横からの引きが強く、やはり予想よりも早く通り過ぎてしまうということである。願い事を2回も無駄にしている。しかし、思ったよりも心は不思議と冷静であった。それはきっと最後の一回に向けて、明確となった問題点を、しっかり対策をすればいいだけのことであるからだ。まずは、どういう言葉でお願いをするのかをここでしっかり決めておきたい。「自分に合ったところに就職できますように。」だめだ長い。この長さはあの一瞬では言えない。「いい就職先に出会えますように。」いや、これでも少し長いか。「就職できますように。」うん。言いやすい短さだ。具体性はないがシンプルイズベスト。これでいこう。そして問題はもう一方のスピードへの対策だ。あのスピードではだれも願い事などできないはずである。しかし、昔から続いているこのしきたりで誰も願い事をしたことがないなんてことはないであろう。そんなことを考えながら、冷静に数珠回しをしている村人に目をやった。スピードへの対処はいたって簡単なものであることに気が付いた。数珠回しに手慣れた村人たちは、親玉が自分のところに回ってきたら、それをがっちりと抑え、自分の前で少しだけキープさせながらお願い事をしているのである。これさえわかれば3回目は間違えなくお願い事をすることができるであろう。
「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」三周目ともなると手慣れたように「なーむ あみ だーーぶ」と言えており、確かに南無阿弥陀仏がどうしてここまで崩れた言い方とイントネーションになったのかも理解できる。まあ、言葉が略されることは、世界のどこでもやられていることで、日本なんかはそれが特に多い気がする。この文章の文面でも使っていたように、「レベルが違う」という言葉は「レベチ」と略されるし、少し前の時代だと「超ベリーバッド」は「チョベリバ」と略されていた。もう少しだけ遡ってみるとしよう。明治時代には「ホワイトシャツ」が略され「Yシャツ」となって現在でもつかわれているし、江戸時代なんかには「南方仁先生」がJINが題名であるにもかかわらず「ミナカタセンセー」と独特なイントネーションで呼ばれていた。もっと前の時代になると「なかとみのかまたり」なんてのは「中臣鎌足」と表記され、あれ?「の」の部分はどこに行ってしまったのですか?と思ってしまうような特殊な略され方も存在するのだ。あれ?そういえば「略す」という言葉も「省略する」の略語じゃないか?いや、まてよ、略すはサ変動詞だから彼は彼で独立しているのだ。危うくだまされるところであった。まあ、そんなことはどうでもいい、私は三周目に人生にかかわる願い事を唱えなければならないのだ。
「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」親玉は着々と私の方に近づいてくる。言うことも決まっている、しっかり親玉をキープすればいい、簡単なことだ。自分の番が近づくにつれ少しの緊張感と恥ずかしさを感じた。皆はどのようなことを、お願いしているのだろうか、「彼氏ができますように」「お金が増えますように」「明日もいい日になりますように」なんてことをお願いしてるのかな、なんて考え出すと、「就職できますように」なんて超重いお願いをする自分が情けないし、神様にとっても、荷の重い仕事だろうとは思ったが、この一人ではどうしようもない状況ではここかけるしかないのだ。神は死んだ。ニーチェの言葉にもそんな言葉があるように、別段私自身も神を絶対的に信じているわけでもないし、多角的に物事を判断したいとも思っている。しかし、だからこそ多角的に物事を判断したうえで言わせてください、今日だけは、今日だけは神は生き返りました。神頼みさせてください。
「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」私の前にはあと5人。「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」4人、3人、「なーむ あみ だーーぶ」「なーむ あみ だーーぶ」2.1.よし!いまだ!私は思いっきり親玉をつかんだ。しかし思った以上に引きが強く、こののままではキープできないと感じ、私は自分の身の方に親玉をぐっと引き寄せた。その時にふと思った。これは数珠回しではないんだなと。まるで、年に一度の市民運動会で毎年父が筋肉痛になっていた綱引きと同じ感覚なんだろうな。そう、これはもはや「数珠引き」なのだなどと思っていた矢先、親玉は私の手からするりと離れようとしていた。私は、はっとなり咄嗟に言葉を発した。「なーむ 、、、」もうこの言葉は私に引っ付き、私のそれを占領していたのである。小さな声で「あみ だーーぶ」とため息交じりに続きを唱えた。
それからというもの特に変わりはない。別段開き直りもしてない。日々着々と生きている。2018年12月24日大手広告代理店の面接。見事に一度目の「なーむ あみ だーーぶ」を食らって、人生の先が見えなくなった。と同時に、何かが吹っ切れ、酒にまみれたクリスマス以降、意外と物事は淡々と良い方向に進み始めた。結局のところ、私がお願いしてしまった「なーむ あみ だーーぶ」はどんな事なのかはいまだによくわからないが、とりあえず今はあと二回分の「なーむ あみ だーーぶ」を所持しているはずだ。それとも「なーむ あみ だーーぶ」は私の気づかぬうちにどこかで叶っているのだろうか。とか言ってますが、まぁ、そんなことどうでもいいっすね。今が楽しいしね。まんじ
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Oh My God
(リプできたセリフをぜんぶ使って書く、という企画で書いたもの。マゾヒスト?のヴィクトルと、特にサディストではない勇利くんのはなし。殴ったりとかするので苦手な方はご注意ください)
#1. 「確かめもしないで」
すきだよ。
ヴィクトルが、勇利は俺のファン精神が抜けきってないよね、なんて不満げな顔で言うから、ぼくは恥ずかしさを押し隠して勢いこんで言ったのだ。ぼくはヴィクトルがすきだよ。どこがって、そりゃあ一番はスケートがうまいところがすき。でも、ぜんぶすき。ヴィクトルならどんなところもすき。
「確かめもしないで」
「……えっ?」
いつものように、無邪気な子犬みたいな顔で笑って喜んでくれると、当然のように思っていた。ヴィクトルは感情表現が素直なひとだ。それに対してぼくはあんまり、ストレートにすきとか言えない。スケート絡みならともかく、氷の上でなければそんなこと言えない。ヴィクトルはそれをいつも不満そうにしていた。だから、喜んでもらえると思ったのだ。にこにこ笑って、俺もだよって言ってハグされると思っていた。
けれどもヴィクトルは、少しもうれしそうじゃなかった。
皮肉っぽく笑って彼は言った。
「相手がどんな人間か、きちんと確かめもしないでそんなこと言っちゃダメだよ」
「……どういうこと? ぼく、ヴィクトルのことはよく知ってるつもりだったんだけど」
「なんで?」
「なんでって……」
言葉を失った。
なんでって、ぼくは人生の半分以上を捧げてあなたを追いかけてきたんだから、とか、あなたの情報をどれくらい熱心に集めてきたかとか、長谷津で過ごした8か月とか、ロシアにぼくが来てから今までの、ぼくらの日々とか。
そのすべてが、ひとを知るには十分のはずだった。
他人を知り尽くすことなんてもちろんできない。それでも、なんで、って。そんな風に言われるほど、ぼくの、ぼくらの間にあるものは軽かったのか。
「勇利、俺のこと叩いてみて」
「は?」
「はやく」
唐突に言われた言葉を理解できずに呆然としていると、ヴィクトルは能面のような顔でもう一度言った。はやく。
「……嫌だよ」
「俺がお願いしても?」
「いやだってば」
「やってよ」
ヴィクトルが皮肉っぽく笑った。それは彼が怒っている時の顔だった。彼は怒ると笑うのだ。何がそんなに彼を怒らせたのかよくわからなかった。だいすきだと伝えたいだけだった。すきなひとを安心させたいだけだった。
「……なんでそんなことぼくにお願いするの? ぼくが人のこと平気で叩ける人間だと思ってるの? 最低だ」
怒りと悲しみと混乱のままに口走ると、ヴィクトルはうつむいた。
垂れた頭から彼のつむじが見えた。なんだか申し訳ないような気持ちになって、おずおずとうつむいた彼の顔をうかがった時、ぼくは気がついた。
ヴィクトルは顔をふせ、恍惚とした表情で口元に笑みを浮かべていたのだ。
#2. 「僕を攫って」
ヴィクトルはぼうっとした顔で、でも淡々と体を拭いていた。
白い肌はうっすらと上気し、桜の花びらみたいに綺麗な色をしていた。
けれども今、ぼくは彼の方を見ることができなかった。おそろしくて。彼の引き締まった体に、切り傷が複数ついていた。それをつけたのはぼくだった。
ヴィクトルに頼まれたのだ。
--ーねえ、お願い。これを片手に持ちながら、フェラしてくれない?
数時間前、そう言って彼がぼくに差し出したのはナイフだった。見たことのないナイフだった。少なくとも、キッチンのものを持ってきたわけではないようだった。きっと彼が、ぼくとこういうことをするためにわざわざ買ったものなのだ。
ヴィクトルの望みは、性器にナイフの刃をあてられ、切りさくと脅されながらぼくにフェラさせることだった。正気とは思えない。絶対嫌だ、こわい、ぼくはそんなことしたくない。ナイフを差し出す彼を見つめながら、ぼくは本当に泣いてしまいそうだった。泣きわめきたかった。フェラしろって言われただけならする。嫌じゃない。だってぼくはヴィクトルが好きなのだから。でも、ナイフを当てながらなんて嫌だった。こわい。万が一にも彼に傷をつけたら。ただただこわかった。
でも、ナイフを見てかたまってしまったぼくを見て、ヴィクトルの青い瞳の奥に怯えが走るのが見えた。彼は紛れもない変態だったけれど、この後に及んでぼくに引かれるのがこわいのだ。もうとっくに引いてるよ。ため息をつきたくなる。でも同時に、たまらなく愛おしくなる。
結局、彼に乞われるがままにナイフを彼の太ももと性器の表面に滑らせながらフェラをして、興奮しきった彼の上に乗っかって、彼を受け入れて、また乞われて彼の体にナイフを滑らせた。騎手がムチを振るうように、美しいその肌に細かな切り傷をつけた。当然ベッドは血で汚れてしまった。シーツを乱暴にはがしてお風呂場に放り込み、適当なタオルケットをしたに引いて、ぼくとヴィクトルは脱力しきっていた。汗をふきながら、お互いを見ることもなく、ぼんやりとしてベッドに腰掛けていた。
「あのさ」
ヴィクトルがひとりごとみたいに言った。
「俺、王様とか、王子様みたいってよく言われるんだ。なんでだろう」
「そう見えるからじゃない」
疲れていたので、投げやりな返事をして、ぼくはベッドに横たわった。
横たわったぼくの隣に、すこし遠慮がちに、ヴィクトルが近づき寝そべる。ねえねえ。言葉もなく語りかけるような指先が、ぼくの腕にそっと触れる。黙ったまま、ヴィクトルの方に自分から近寄って、顔をヴィクトルの肩のあたりに押し当てた。その拍子に、指が腕からぼくの手に移動した。ヴィクトルの細長い指が、ぼくの指をきゅっと握った。
「俺もゆうりの王子様みたいになりたかったな。高い塔のてっぺんにとらわれた勇利を助けに行くんだ」
「なんでぼくがラプンツェルなのさ」
不満を言ったが、無視された。
「勇利は俺に向かって、僕を攫って、ってたのむ。そしたら俺は勇利をさらう。それで、ふたりで幸せに暮らす」
へら、とヴィクトルが笑った。みょうに幼い笑顔だった。いそいそとぼくの体を抱き込んで、おやすみ勇利、いい夢を、と囁いた。あたたかい彼の体は傷だらけだった。ぼくがつけた傷だった。すこし泣きそうになった。なんでだろう。鼻の奥がつん、として、唇がふるえそうになるのをこらえながら、ぼくは思っていた。
たぶん、高い塔のてっぺんでひとりぼっちなのはヴィクトルの方だった。
攫ってほしいと誰より願っているのは、彼の方だったのかもしれない。
#3. 「夜明けなんか来ないよ」
「もっと」
「いやだって言ってるのに!」
ぼくは叫んだ。
ゆうり、とヴィクトルが笑った。
「もっと」
ぼくは混乱しきっていた。
からだが震えるのを止めることができなかった。
暗闇が迫るように思え、ぼくを押しつぶそうとしていた。冷え切った体温はなかなか戻らなかった。怯えていた。おそろしかった。恐れと悲しみでどうにかなりそうだった。拳がいままで感じたことのない痛みを訴えていた。幼い頃の喧嘩はともかく、もうここ最近は何年も、ひとを殴ったことなんてなかった。殴ると自分の手まで痛くなることなんて、忘れていた。なにか硬い鈍器のようなもので、手をつぶされたような気分だった。皮膚が裂け、肉がむき出しになり、骨が砕け、ぼくの拳はぐちゃりとつぶれる。そんな気さえした。もちろんそこまでじゃない。でもそれくらい痛かった。
いたかった。
今日、ぼくはヴィクトルをめちゃくちゃに殴ったのだ。
いつもは叩いたりするだけだった。
叩いたり、首を絞めたり、ナイフを使うこともあったけど、でもそれくらい。
ぼくの体を使って、彼の体を痛めつけるはめになったのは初めてだった。
どうしても拳に力を入れることができなかった。大好きな人を殴るのがこんなに苦痛だとは知らなかった。いや、ちがう。
大好きな人に、愛を示す方法がこんなことしかないだなんて、そんな苦痛は知らなかったのだ。
「ゆうり?」
「……」
「ゆうり」
泣きながら寝そべっているぼくの隣に、ぼろぼろになったヴィクトルが滑り込んだ。
でも話したくなかった。顔も見たくなかった。
ぼくが殴ってしまった彼の顔を見たくはなかった。
殴っている間ずっと辛かった。泣きながら嫌だと訴えた。こんなことはしたくない。いやだ。お願い許して。泣いて頼んだのに、ヴィクトルは許してくれなかった。もっと殴って。俺のこと好きなんでしょう。もっと。殴ってくれなかったら、勇利、俺のこと好きじゃないんだなあって悲しくなるよ。そんな、身勝手な言葉ばかりヴィクトルはぼくに投げつけていた。言葉のひとつひとつが石飛礫のように思えた。泣きながら殴った。
だんだん、いやだと思っていたのに、拳に力が入りだした自分に気づいた。
ぼくは腹が立っていた。悲しくて、苦しくて、ヴィクトルの身勝手さに苛立って、仕方がなかった。手が震えて力が入らなかったくせに、どんどん、殴る手が彼にこの痛みを投げつけたいと語り始めていた。ぼくの痛みを彼にも知ってほしかった。彼が殴られて快感を得られる人間であることが、うとましくて憎らしくてしかたがなかった。殴り飛ばしてしまいたいくらいに。
気づけば、彼をめちゃくちゃに殴っている自分がいた。
はっと我に返って、自分のしたことのおそろしさに息も止まる思いでいると、ヴィクトルはうあ、とうめき声を漏らした。真っ青になって、倒れこむヴィクトルに向かってごめん、と叫びながらしゃがみこんで、気づいた。
ヴィクトルは射精していた。
「ゆうり」
「……」
「ねえ、勇利、ごめん……でも、俺、本当に嬉しかったんだ」
「……」
「すごく気持ち良かった。勇利に愛されていると思った。ありがとう」
「……」
「……いつまでだんまりなの?」
「……」
はあ、とヴィクトルがため息をついた。
「わかった。今は勇利が落ち着くのを待つよ。もうすぐ夜明けだね。少し寝て、朝になったらまた話そう」
ヴィクトルはそれだけ言うと、彼に背を向けたぼくの背中にこつん、と額をくっつけた。震えそうになる体を、引き剝がしたくなる衝動を、どうにかしようとして、できなくて、ぼくはただかたまっていた。やがて背中の方から彼の安らかな寝息が聞こえてきた。それを聞いていたら、また、乞われるまでもなく彼をめちゃくちゃに殴ってしまいたくなった。もうよくわからなかった。何がもうすぐ夜明けだね、なんだろう。ヴィクトルは馬鹿だ。自分勝手だ。彼はなんにもわかっていないんだ。そう思った。
声を噛み殺して泣きながら、ぼくは思っていた。
ばかなヴィクトル。夜明けなんか来ないよ。
#4. 「ごはんの炊き方おしえてくれないの」
ぼくが料理をつくっているのを、ヴィクトルは興味深そうに覗き込み、つぶやいた。
ふうん。野菜の切り方とか、ぜんぜんわかんない。
たのしそうにそう言って、ヴィクトルはぼくがキッチンに並べた野菜を手にとっては、ころころと手のなかで転がしてみせた。もう、やめて。たしなめながら彼の手から野菜をとりあげる。
「俺、料理ってぜんぜんできない」
「だろうね、見てれば分かる」
冷たく返すと、ゆうり〜、とヴィクトルは情けない声をあげた。
「俺にもおしえてよ」
「前も教えたでしょ」
「だから、教えてもらってからは頑張っただろう?」
「三日で終わったけどね……」
ため息をつきながら呟くと、ヴィクトルは悪びれることもなく、「人には得意不得意があるだろう」と肩をすくめた。
はあ。わざとらしくもう一度ため息をつく。
するとヴィクトルはちょっとあわてた様子で、ゆうり、と甘えた声でぼくの背中にぺったり張り付いてくる。はいはい。もうちょっとまってね。危ないから。
玉ねぎの皮をむきながら、ぼくはヴィクトルの好きにさせていた。メガネがあると、たまねぎ、目にしみない? と後ろの方からヴィクトルの声がする。ううん。メガネがあってもしみるものはしみるよ。返事を返すと、ヴィクトルの両手が後ろから伸びてきて、ぼくの頬をぺたりとさわった。
「目、かくしててあげようか」
「そんなことしたら切れないよ」
「俺がおしえてあげる。どこにたまねぎがあるのか」
「信用できないし危ない」
すげなく返すと、くすくす笑ってヴィクトルがぼくの頭にキスをした。ぼくの髪の毛に高い鼻を埋めて、匂いを嗅いでいるようだった。犬みたいだ。最初はお風呂にも浴びてないのに匂いを嗅いだりしないでって怒ったけれど、今はもう、好きにさせている。ヴィクトルは犬。ヴィッちゃんみたいな。ヴィッキーでいいか。じゃれつく彼の思うがままにさせていると、すごく平和な気分になった。
「ねえゆうり、ごはんの炊き方おしえてくれないの」
それくらいだったら俺もやっておくよ。
得意げに言うヴィクトルに、呆れたふりをしながら、うんうん、今度教えてあげるからね、と言って、ぼくは頭をちょっとそらせた笑った。ヴィクトルはとたんに嬉しそうな顔をして、ぼくの頭にか��いいキスを落とした。まるで無邪気だった。幼い子どもにまとわりつかれる母親のような気分だった。かわいい、と思った。
ヴィクトルはかわいいのだった。
料理が全くできないところも、それを全く悪びれずにぼくに作らせてばかりいるところも、犬のようにぼくに甘えるところも、ぜんぶかわいかった。たまらなかった。
かわいい顔したってだめだから。なかば自分に言い聞かせるように言ったところで、折れてしまうのはいつだってぼくの方だった。
不思議だった。
だって、ぼくが今、たまねぎを切るために手に持っているものと同じようなものに切りつけられて、興奮するような人間なのだ、彼は。なのにかわいいだなんて。お互いにぼろぼろになる、嵐のような夜とは正反対に、真昼のぼくたちは愛らしい子犬のようにたわむれ、じゃれあい、からだを寄せ合い、頬ずりをしあった。うそみたいだ。
「ゆうり、俺、今度はちゃんと覚えるよ」
「……あんまり期待せずに待ってる」
「オミソシルとか作れるようになる」
「なんで?」
お味噌汁、ヴィクトル好きだっけ? そう思って聞き返すと、ヴィクトルはきょとんとした顔で言った。
「だって、日本では毎日オミソシルのむだろう。ゆうりが日本に帰ってしまいたくならないように、俺もオミソシルつくれるようにならないと」
ヴィクトルがはにかんだ。抜ける青空に白いひかりがさした、ような、ヴィクトルの瞳がまぶしかった。ヴィクトルはかわいかった。あんなに身勝手なくせに、それでもまだぼくのことが大好きだった。健気なところさえあった。そして何よりぼくが、ヴィクトルを大好きだった。憎めなかった。どうしようもなかった。嵐のような夜を思い、怯える自分と、あきらめたように離れられない、と思う自分がいた。ぺたぺたとヴィクトルがぼくにくっついている。彼の匂いに、体温に包まれている。
幸福なのか孤独なのか、判断はつきかねた。
#5. 「もう一度言ってみろ」
「勇利、言って」
ヴィクトルの手を縛っているぼくに向かって、ヴィクトルが切なそうに言った。
ドライヤーを十分にかけていない、銀色の髪はいつもよりぺったり額にはりついていて、なんだか彼は耳の垂れた犬のように見えた。さみしそうな顔をしていた。青い目が孤独を訴えていた。それを見つけるたび、寂しいのは、孤独なのは、ぼくの方なんだと言いたくなった。あなたを殴ったりしなくちゃいけなくて、そんな風にしか愛していることを理解してもらえなくて、ぼくがどれほど寂しいか、孤独な気分でいるのか、思い知らせてやりたかった。なのに口から出てくるのは反対のことばなのだ。
「好き」
「もっと」
「大好き」
「それだけじゃ足りないよ」
「ヴィクトルのぜんぶが好きだ」
「本当に?」
「好きだよ」
「嘘」
「すきだって。ヴィクトルこそ、ぼくのことすき?」
決まってるだろう、と言いながら、縛られたままヴィクトルは目だけでぼくに近寄るように訴えた。ぼくは従う。ヴィクトルの顔にちかづくと、キスしよう、とささやかれた。くちびるをあわせる。生ぬるい温度だった。ヴィクトルの唇はふわふわしてた。リップバームのおかげだなあ、とぼんやり思った。ヴィクトルのどこもかしこも、ぼくはすきだった。つたわればいいのに。こうやってキスしてるだけで、わかってくれたらいいのに。
「今日はなにする?」
「……勇利も慣れてきたね」
「まあね」
「縛り方もうまくなってきた」
「練習したから」
「は?」
「え?」
「……誰と?」
突然こわい顔になったヴィクトルを見て、ぼくは笑ってしまった。
「ひとりでだよ」
こんなこと、ぼくはヴィクトルにだってしたくないくらいなのに。ヴィクトルってばかだ。本当に。
「……よかった」
目をそらして、ヴィクトルがつぶやいた。
「ね、また殴ってよ」
「……あれ、ぼくの手も痛くなるんだけど」
ぼくが嫌そうに顔をしかめると、ヴィクトルが言った。
「お願い」
かわいい顔だった。
ぼくは従うほかなかった。
ひとを傷つけないように殴る方法があればいいのに。でもそんなものはないのだった。あってもごまかしだ。傷つかない方法なんてない。
ヴィクトルはぼくに、手を傷めない殴り方を教えてくれた。拳より硬いものを叩くと、手を傷めてしまう。それで、体の中で拳より硬いのは頭蓋骨と歯だけ。殴るならなるべく、頭蓋骨と歯を避ける。からだのやわらかいところを殴る。でもぼくはヴィクトルの足だけは殴れない。だからにの腕を殴ることが多い。彼が現役選手じゃなくてよかった、と思いながら、にの腕を殴る。ほかの人よりはずいぶん硬いけれど、それでもヴィクトルの体のなかでは比較的やわらかい部分だ。彼のにの腕にはぼくのつけた傷がついている。それを見るたび、泣き出したいような、どうしようもなく凶暴なような、ぐちゃぐちゃな気持ちになった。
「勇利」
「……なに」
「俺のこと好き?」
「好き」
「どこが?」
「ぜんぶ」
答えながら、彼を殴った。ヴィクトルは痛みに顔を歪めながら、性器をたたせていた。
「ほんとうに? 俺がこんな変態でも?」
「ぜんぶすき。ヴィクトルならなんでも好き」
ヴィクトルは恍惚とした表情を一瞬浮かべた。それから、見ているだけで胸が引き裂かれそうなほど狂おしい顔つきになった。
さあ。もう一度殴ってごらん。そう言わんばかりにぼくの前に無防備なからだをさらけ出し、彼は静かに言った。
「もう一度言ってみろ」
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これでもう,素麺を無駄にすることはありませんね٩(๑˃̵ᴗ˂̵๑)۶ °
暑い時期には素麺は何よりのご馳走です。暑さで食欲不振に陥っていても幾らでも喉を通り,我々の体力維持に大いに役立ってくれる大変有り難い存在ですね。それは日本に住む人たちの間のコンセンサスのようで,素麺はお中元の定番にもなっています。お中元は儀礼でもありますが人間同士の交流でもある以上,やはり相手には喜んでもらいたい。ならば贈ればほぼ確実に相手に喜ばれる素麺が選ばれるのは当然のことと言えるでしょう。
しかし,その結果として「素麺が集まり過ぎてしまう」ということが多々起こります( ´・ω・) 毎日昼と夜に素麺を頂いても食べきれず,しまいには「たまには他のものを食べたい」などと言って米飯の日など設けているうちに秋風の吹く季節になってしまった・・・などということも稀ではありません。涼しくなると素麺よりも太い饂飩のほうが美味しいので「どうしようか(。´・ω・)?」という困った事態になるわけです。
我が家では「にゅうめん」にしていました。これは吸物のような温かいお汁で煮込み饂飩のようにして素麺を頂くお料理です。目先も変わるし,特に鯛の潮汁などで頂くと「美味しい(ლ˘╰╯˘).。.:*♡」と笑顔にもなれるのですが,これがしばらく続いているうちに新米の季節になって「そろそろお味噌汁でお米のご飯を食べたいんだけど(。•́︿•̀。)」ということになってしまいます。たまたま暑い日は夏と同じ素麺,涼しい日はにゅうめんという毎日が続き,すっかり秋らしくなってきたころには「素麺はもう沢山(。ŏ﹏ŏ)」というのが例年でした。僕は祖父母から「お百姓さんが汗水垂らして作ったものは決して粗末にしてはならない。粗末にするような奴には必ず罰が当たる」と教育されたもので,確かに食べてはいるので罰は当たらないかもしれませんが「もう沢山(。ŏ﹏ŏ)」とウンザリしながら食べるのでは,ある意味では無駄にしているようなものです。そんなことではお百姓さんも,素麺を作る職人さんも,素麺をお中元で送って下さった方たちも,皆さんやはりガッカリでしょう
この「素麺余り」が我が家特有の問題でならまだ良いのですが,どうもそうではないようです。子供の頃も大人になってからも旧友や同僚が「今日の夕飯も素麺だ」「週末は昼も夜もだ」などと零しているのをよく耳にしました。何か素麺を無駄にせず,それでいてウンザリもせずに頂く方法があれば有り難い」と考える人々は決して少なくないものと思われます。
今回の記事は,そうした悩みを一気に解決してくれそうです♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪ ザッと見た感じでは「カリッモチッそうめん焼き」はお酒のおつまみを兼ねて夕食に,「そうめんでフレンチトースト風」は朝食に,残りの「素麺とご飯で柔らか☆節約みたらし団子」「残った素麺でふわとろプディング風」「レンジで簡単☆余った素麺でパリパリ煎餅。」はおやつに最適だと感じます。夕食ににゅうめんを頂く場合には「カリッモチッそうめん焼き」をお昼に頂くのも美味しいでしょう。こんなに色々と食べ方があれば,もう「素麺が集まり過ぎてしまう」という悩みとは永遠にお別れ出来るかもしれません。いや,人間とは至って現金なもので「素麺が無くなったので買いに行かなくてはならない。お中元でもっと貰えれば良かったのに」などと考えないとも限りませんね(^^;)
今回は素麺がテーマでしたが,こうした「余り物を美味しく頂く」記事の社会的有益性は特筆に値すると思います。我が家ではウンザリしながらも食べていましたが,最近は世の中も贅沢になりましたから,胸の痛みを感じつつも「もう飽きてしまってどうにもならない」などと食材を捨ててしまう罰当たりな者も居ないとは限りません。
そういう風潮を是正するために「お百姓さんのご苦労を思え」という道徳教育は大いに有効でしょうし,それも是非推進すべきでしょう。しかしそれに併せ「こんな風に食べれば飽きが来ることも無い」というレシピを提供することもまた食材ロス縮減を図っていくこともまた有益なのではないか,僕はそう思います。
今後も素麺以外の食材についても「こんな風に食べるのも目先が変わって美味しいよ」というレシピを次々と提案して頂けたら,それはとても嬉しく有り難いことですねo(^-^ o )(ノ ^-^)ノ
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どうしてこうなった…「料理で大失敗した経験」が壮絶すぎる
集計期間:2020年7月25日~7月27日 回答数:16441
料理に小さな失敗はつきものですが、「大失敗」をした経験はありますか?
筆者はかつて米を生炊きにしてしまい、チャーハンにすれば何とかなる!とフライパンへ投入したところ何もかもダメになり、母親に締め上げられた経験があります。
今回は、そんな「料理で大失敗した経験」についてアンケート調査を行いました!
料理で大失敗した経験はある?
回答者16441名のうち、料理で大失敗した経験が「ある」という人が59.5%と、わずかに過半数を占めました。
ここからは、具体的な失敗談を見ていきましょう。
壮絶!失敗料理
<あわや火事>
・鍋を火にかけてた時にうたた寝したら盛大に焦がした火事にならなくて不幸中の幸いでした
・フライパンの底に鍋敷きがくっついているのに気が付かず、ガスコンロに乗せて火をつけたらあやうく火事になるところだった。
・深夜に帰宅し、カレーを弱火で煮込んでそのまま忘れて寝てしまい、翌日お昼に起きてしばらくしてから思い出して、慌ててキッチンに行くと、全て蒸発して具材も無くなり、元のキレイなテフロン加工のお鍋に戻ってました。火事にならなかったのが奇跡です。
・揚げ物をしてる時、タッパーの上にキッチンペーパーを敷きコンロ近くに置いておいたら、タッパーからはみ出てたキッチンペーパーにコンロの火が燃え移り火事になりそうだった事が2回程ある
<あわや大ケガ>
・ジャガイモをむいていたら、自分の手まで、むいた。
・カボチャの皮を切ってる時に小指の皮も一緒にむけた。
・料理をする前に入れるための容器を煮沸消毒している時に、手を突っ込んでしまい大火傷してしまいました。
<油ものは危険>
・イカの天ぷらをした時水分がイカについていたのでパチパチ油が盛大に台所中はねて大失敗しました。
・新婚当時、ししとうの素揚げをしたら揚げ油が大爆発した。はねた油で腕と首にヤケド。首のヤケドに絆創膏をしていたら、当時住んで居た団地で「新婚さんだから~??」と噂されていた。。。ししとうに穴を開けてから揚げるって知らなかっただけ。
・チュロスを作った時に油に入れたら爆発して大火傷をしたこと。
・小学生の頃、ドーナツを作って油が爆発。おおやけどを負いました。
<入れすぎ>
・唐辛子を入れすぎて目と喉がやられ咳が止まらなくなった
・パセリのみじん切りを入れるときに分量がわからず入れたら、パセリの味しかしなかった
・まだ若い頃、彼氏の家で餃子を作るのに生姜を入れすぎて生姜の味しかしなかった。
・ひじき入りの炊き込みご飯して、ひじきの量分からなくて全部入れたら炊飯器いっぱいひじきだらけになった。
・豚肉のオレンジ煮。もらったジャムがあまってたので大量にぶちこんだら、修正が効かないくらい不味くなり、甘くてひどかった。
<入れ間違い>
・考え事をしながら肉じゃがを作った際、甘味が足りなく砂糖を足したつもりが塩だった。煮汁を捨て煮直したが塩辛さが消えなかった。「砂糖と塩を間違えた」って料理初心者で聞く話だけど、質感が違うので間違えるなんてあり得ないと思っていた為ショックだった。
・いつもと違い色がとてもキレイな玉子焼が出来上がったと思ったら砂糖と塩を間違えていたらしくしょっぱいを通りこして辛くて食えなかった。
・すき焼きに塩と醤油を入れて、途中で気がついて肉を洗って作り直したけどトラウマ級のまずさで捨てた。。
・パセリとシソをそれぞれ冷凍してから粉々にしてみじん切り風にしてあるのですが、ミートソースにパセリを入れようとしてシソを入れた
・赤ワインにスネ肉を漬け込んだら、気持ち悪い位紫色に染り、煮込んでもワインが強く使えなくなった。
・犬用にワッフル作ってたのですが、ブルーベリー入れてあげよう!と思ったのが間違い。他の材料と変な反応して緑のおそろしい物体が出来上がってしまった。しかも砂糖とか入れなかったから、不味かった。
・鮭ご飯を作ろうと炊飯器に生の塩鮭、米、醤油、酒、生姜を入れて炊いたらあまりに生臭くてとても食べれなかった。
・お味噌汁を作っていて、水で戻るわかめと間違えて、しそわかめを入れてしょっぱくなった
・サバの味噌煮の鯖を「塩鯖」で作ってしまった。この世の物とは思えない塩辛さになってしまった。
・洋風炊き込みご飯を作ろうと思って、野菜ジュースを入れるところを、フルーツ入り野菜ジュースと間違えてしまい、甘ーいトロピカルご飯になり、誰一人口にしてもらえなかった
・オイスターとウスターを間違えて吐きそうな程不味かった。
・ハンバーグにキノコを混ぜるのが自分の中でブームだった頃、脂肪分解酵素が多く含まれていると知らずに舞茸を混ぜてドロドロのハンバーグになってしまった!
<なぜ入れた>
・醤油の代わりにコーヒーを入れてしまった
・豚汁に 渡り蟹を 入れたら 激マズだった
・さつま芋スープを作って、最後になんとなくシナモンを入れたら劇マズになった。
・ぜんざいに味の素を入れたら、食べられなかった。味の素は、何でも美味しくなると思っていたので。
<手順を間違えて…>
・シュークリーム。間違って皮の方じゃなく、中に入れるクリームの方をオーブンで焼いてしまいました~
・グラタンを作ろうとしてホワイトソースを作っていたら煮詰め過ぎてブラックソースになってしまった経験があります。
・お味噌汁を作ろうとして、さあ味噌!という時に味噌がなかった。具がジャガイモと玉ねぎだったので、急遽煮物もどきに変更。さすがに水が多すぎました。
・カワハギの皮剥くの知らなくて鍋に、そのまま入れて食べたら、大変な事になった
・焼き鳥用のタレを作った。鍋に入れた状態で焼いてつけて焼くを繰り返し、使い終わった後も鍋に入れて保管...を一週間位ずっとやってたら鍋の底が溶けて穴が空いて冷蔵庫がタレまみれになって壊れた。タレにリンゴを入れたせいだと後になって気付いた。
・ピザが食べたくなって、そういや小麦粉があったなと思い勢いと朧げな記憶のみで調理しました。が、そもそも使っていた粉が強力粉ではなく薄力粉。それに気づかず何か変だなと思いながら無理やりオーブンで焼いて食べたら案の定お腹を壊しました。慣れないものはレシピ見ながらでないとダメですね…。
・しじみの砂抜きが甘くて、黒い味噌汁になった
<料理が台無しに>
・かき揚げを揚げたらバラバラになった
・お米をといで4合のメモリに合わせて水を入れ、炊飯器にセットする直前で床に釜落とした。4合分のお米と水の片付け方がわからなくて、しばらく動けなくなりました。
・フライパンでオムライス完成!さぁ?フライパンからお皿によっこいしょっとしたら、流しにドボン‥
・かに玉を裏目にひっくり返えすのを失敗して床に落下させた
・里芋の煮っころがしを作っている途中に電話がかかってきて、つい長電話になってしまったら焦げて跡形も無くなってしまった。鍋な焦げ付きがどうにか取れたのが救いでした。
・コロッケを揚げていたら、中身がとけて消えた。小麦粉をまぶし忘れた模様。
・ハンバーグを全て焦がして、炭になった。
・牛すじをじっくり煮込んでて 忘れてしまい牛すじが炭になりました…
・友人宅で持ち寄りパーティーが開催され、唐揚げ持っていくねと言ってたのに、油の温度高すぎて真っ黒こげに。そのまま持って行ったら、参加の外国人にこれはなんて言う日本料理?と真顔で聞かれた。
・肉を焼いていて、最後にかけるタレを薄いガラスの軽量カップに入れておいたが、いざかける段になって手が滑りフライパンに軽量カップを落とし割ってしまった。破片がフライパンのどこに散らばったのか分からず、結局肉を出せずむぁにしてしまった。
<電子レンジ事変>
・電子レンジで餅を焼いたら、皿が燃えた
・電子レンジで温めていたら、プラコップを焦がしてしまった、ものすごい異臭がしました。
・煮切りみりんを作るために電子レンジで様子を見ながら加熱していて少しその場を離れたら、爆発して電子レンジの扉が開き、みりんが飛び散ってものすごいことになった
<お鍋・フライパン事変>
・調理中にフライパンのガラス蓋が木っ端微塵。
・フライパンでたこ焼きを作ろうとして、小麦粉のゴムボールみたいなものを生み出した。ソースでも不味さを隠しきれなかった。
・ビルの湯沸かし室で炒め物をしていたら、フライパンに火が入り、火災報知器がなり、さらには全館で排気口が開き、ものすごい勢いでゴーっと排気して行きました。ビルの各部屋から大勢の人が飛び出してきました…
・圧力鍋の圧力を抜かずに蓋を開けて、大噴出した
・肉じゃがを作ったけど、お鍋をガスレンジに置きっぱなしで次の朝。中を開けたら青いカビが浮いてたので全部捨てたことがある。やってしまったのである。
・圧力鍋で蒸しりんごを作る予定が、りんごの皮に穴を開けるのを忘れてしまい、蓋をあけたら爆発してましたとさっ!!粉々になり、ホットスムージー状態だったため、熱いうちにと思い速攻で葛を溶き、葛リンゴにしちゃいました~ドレッシングやソースにしても良かったかも…
<麺あるある>
・カップ焼きそばのお湯切りの際、麺を流しにぶちまけた。
・茹でたうどんを湯切りしたとき、うどんを流し台にばらまいてしまった時。
・お腹すいて水入れて電子レンジで作るカップ麺を作ろうとして、水入れ忘れた。
<カレー事変>
・カレーにゴーヤを入れて煮込んだらカレー全体が苦くなって食べられなかった。
・カレーを作るときに 煮込んでいたら自然ととろみが出てくる事を知らずとろみが出ないなーっとルーを足し、足し、足し、粉っぽいというか、変に濃い美味しくないカレーになった
・カレーのトッピングとしてハンバーグ作る予定がゲル状の未知の物体になったので、そのままカレーの中に入れた。
・カレー粉と間違えて、粉辛子を入れてしまった。
・カレーの具にシャケを入れたら生臭くなった
・カレーの隠し味にコーヒー豆を入れた
・カレーに熟しすぎたキウイフルーツを入れたらなんとも言えない味になった。どうあがいても熟しすぎたキウイフルーツの味が消えず捨てた
・カレーにバナナはいれるものじゃないね
・夏野菜カレーを作りたくてパプリカやらズッキーニやらいろいろ入れた。最後にカボチャ入れたら他の野菜の味が全て消されてカボチャのカレー風味になった。要は美味しくなかった。
<こんなはずでは…>
・普通にバレンタインのチョコレートを溶かしてハートに固めるだけなのに厚さ8cmでガチガチに固いただの鈍器を作ってしまった…そして、バレンタイン当日に彼氏が複数のチョコレートを持っていたからその8cmのチョコレートで頭を殴ったら普通に流血した血のバレンタインの思い出
・当時の彼氏に初めて手料理を振る舞ったとき。料理上手っぽく見せようと、ルーを使わないカレーを作りました。鶏肉をヨーグルトに漬け込む工程で、冷蔵庫の中には甘いフルーツ入りのヨーグルトしか無く…「フルーツの旨味も入って良いかも!」と、勢いで乗り切ろうとしましたが、甘すぎてとても食べられないカレーが出来上がってしまいました。黒歴史です。
<その他、大惨事>
・ニラとスイセンを間違える
・昔は、すぐ見れるツール(料理アプリなど)がなくでも創作料理つくりたくて色々適当に混ぜたら粘土のようなものが出来ました
・腐った豚肉が蘇ることを願って、ソースやらなんやらいれて作ったのに激まずで泣きそうなった
アンケートにご協力いただきありがとうございました。
グノシーの「アンケート」タブにて、毎日新しいアンケートを更新しています。ポイントが手に入るものもあるので奮ってご参加ください。
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使ってみると手放せないと大人気☆ 技あり機能が嬉しい便利な電気調理鍋「ホットクック」
ー 2020年2月6日
無水調理や自動かき混ぜもできる、格段に使い勝手が広い人気調理鍋です☆
無線LAN機能付きならレシピのダウンロードでより多彩な調理が可能に♪
(*´∀`*) ボタン一つで手間いらずだし、パーツに分かれるので洗いやすいのもポイントですね〜
共働きの子持ち家庭には必須の家電
共働き子持ちの家庭には騙されたと思って買って!と強く薦めたい。ルンバ、食洗機も必須だけど、もうホットクック先生が居ないと生活できない。夫も激しく同意してます。
美味しく健康的、スイッチ入れたら台所から出られるって素晴らしすぎる。産休に入る後輩にはこれは甘酒も作れるよ、産休中のママのランチはパスタとかリゾットが手軽だよと言ってます。産後は近くのスーパーにお弁当買いに出かけるのも大変だし、出来るだけ健康的なご飯で体重を戻したり母乳の出を良くしたいと考えますよね。離乳食に、蒸し野菜、お粥、野菜(トマト、じゃがいも、人参、かぼちゃ、玉ねぎ、ブロッコリーなど)のポタージュとホワイトソースも最適。我が家は離乳食完了後の購入です。息子は折角作った離乳食を食べないこともしばしば。私は折角作ったのにと虚無感を感じていました笑。ホットクックが作った離乳食なら子供が食べなくても落ち込まなかったと思う!
また、共働きだと土日ランチはついつい外食かお好み焼き買ったりしますが、ホットクック先生でパスタ!と決めておけば楽チン。我が家は朝から出かけて11時帰宅し、11時半からおウチランチ。子供はその後お昼寝なら保育園と同じタイムスケジュール。
失敗がないので、料理スペック普通の夫でも完璧に作成できる!パパが作ったお味噌汁おいしー!と言っておけば味噌汁、パスタ位は自力で作れます。(実際、美味しい)
そして、ホットクック先生は「自動メニュー400回!いつも使ってくれてありがとう」と、お礼まで言ってくれます涙。いえいえ先生には毎日お世話になっています。
(Amazonカスタマーレビュー)
今年一番の買い物でした
噂以上に満足の製品です!
フルタイムで仕事、そして2人の乳幼児をの子育てをしているため、少しでも家事を楽にしたくて購入。予約調理は限られるものの、無水で作れるお肉系の料理がすごく美味しい。また予約できないレシピでも、具材を入れてほおっておけるのがこんなに楽なんて知りませんでした。
仕事から帰宅後、急いで具材と調味料を用意してスイッチポチ。あとは洗濯物をたたんだり、もう一品作ったり、子供と話しているうちに料理ができます。内鍋以外は食洗機で洗えるのもすごい!もう一台購入したいくらい満足です。
(楽天商品レビュー)
(おもしろグッズ&アイテムノート:https://wandering.ever.jp/spinoff/?p=8832)
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2023.6.15thu_saitama
習い事の一日=休日
<朝の部>
7時。リビングにおりていくと、夫が開口一番友人の名前を口にする。
友人からお子の写真が届いていた!赤子はなんでこんなに真顔で素敵なポーズをとれるのかよ。かわいい
蕪木の珈琲がきれているので、ドリップバッグの珈琲を淹れる。
夫を見送り、積読コーナーからヴィスワヴァ・シンボルスカの「終わりと始まり」を手にとる。<題はなくてもいい>の一編が、ひとり庭を眺めている時のそれのようで小さく救われる。SNSは適当に、読書は真剣に、のターンが戻ってきた。
掃除、洗濯。除湿機がはりきる季節。夕方には3リットルくらいの水となっていて毎回排水するたびに驚愕している。空気中にこれほど重い水となる物質が漂っている。我々は水中に生き、水でできている—。うっかり35億年前まで遡りそうになったので、掃除のつづき。
今日の一日は日記となるので、これみよがしに階段拭きにも励む。年季のはいった一軒家の埃の溜まり具合というのは尋常でない。2,3日さぼっていたので、あからさまに溜まっている。こんなにもあからさまに…
<午前の部>
お楽しみの表装教室に向かうべく駅に向かう。掛け軸を仕立てています。
途中、駅前の老舗のパン屋に移転の貼り紙。
途中、教室の先輩が前を歩いていたので一緒に向かう。
本日は総裏打ち二本立て!表装を仕立てる過程でのピークと言ってもよいでしょう。緊張の大一番です。
先生と入念に下準備。先生は、気品とユーモアを兼ね備えている人で、大げさでなく先生に出会えた我が人生でよかったと思う。
紙幣は古紙や和紙や本となり、家と私の生活を圧迫している。
紙から紙に変換しているばかりでどうしようもない。
そのようなわけで変換された魅惑の紙布と、前回先生からい��だいた古い宇田紙で制作を進める。
和紙の繊維一本一本が、よりよい掛け軸をつくる。ああ、高まる!
〜集中の2時間〜
<午後の部>
帰りはクールダウンがてら徒歩20分を歩く。教室の間、思い返せば心のBGMに『古畑任三郎のオープニング曲』がうっすらと流れていたことに気づく。なぜ
昼は富士そばで簡単に済ます。冷やしきつねそばを食べる。(国立南口店の富士そば、<冷やし>がやたらと美味しい)ネギがいつもの20倍増しくらいで「ジャキジャキ」と言いながら脳内をめぐり胃袋へ。(端的にうるさい)
先週から補聴器をかりていて、あらゆる音に慣れない日常が続いている。
ここ3年で口元をみながらの会話の頻度が激減し、篭って作業することが多いのも影響しているのか歳なのか、勘も鈍り聞き間違いが増えた気がしている。
書店に立ち寄り外に出ると、いつの間にか雲が厚くなっており時間の感覚を一瞬失う。帰りの電車で、隣の人がおもむろに電話に出た挙句大声で怒鳴るなどのアクシデント(端的にうるさいパート2)を乗り越え帰宅。蕪木の珈琲がちょうど届いていて歓喜。
母と少し電話。叔母とも話す。レターパックライトおよびプラス、スマートレター、クリックポストの違いを説明する。
雨なので電車でジムへ。ストレッチと筋トレ。いつものルーティンを無心でこなす。帰りがけ、受付におもむろにしゃくしな漬けが販売されていたので、買う。なぜなら我が家に定期的に「しゃくしな」「しゃくしな」と言うひとがいるからです。
<夜の部>
電車を待つ間、インスタをみる。ピピネラのタケイさんのマレーシア旅を熱心に追う。クアラルンプールの場所ってどのあたりだっけとgoogleで調べたら、「クアラ・ルンプル」と出てきて初耳だ、となった。
これまで、一呼吸も置かずに「クアラルンプール」か、もしくはどこかで区切るとしても「クアラルン・プール」だと思って生きてきました。
南国のプール付きの宮殿のようなイメージが広がる。
一つ学びを得た満足感に浸りながら電車にのり改札を出ると、南国から一転、駅前にポツンと破天荒な店名の歯医者の看板が掲げられていて立ち尽くす。「こんな店名だったら絶対に入らない大喜利」があったなら披露してしまいそう。後ろの二人が「〇〇〇〇〇〇歯科だって…〇〇〇〇〇〇…」と反復しがら通り過ぎていった。目線を変えると、少し手前で同じく立ち尽くしている女性がいた。一瞬でこんなにも人を惑わすネーミングが存在する。
今日は飲酒の日なので、ビールと歌舞伎揚を買って帰宅。蕪木から珈琲が届いたことの喜びが、ここまで引っ張られているように感じています。
夕飯作りの前に、誤って歌舞伎揚を一袋完食してしまう。
開花丼にしようと調理をはじめたはずが、生姜焼きとオムレツが完成。
途中、歌舞伎揚が私の満腹中枢を満たしてきたので丼を回避しました。
ほか、茄子と九条ネギの味噌汁、トマト、しゃくしな漬け、ビール。
この長すぎる日記を書いて就寝。
サッシを閉めようとしたら、はまぐり柄の地域猫(はまぼう)が縁側にいた。雨が止んだのだな。
人の世は日に日に世知辛くなっていくけれど、明日もどうか健やかでいてほしい。
-プロフィール-
佐藤洋美 Hiromi Sato
埼玉
余地|yoti デザイナー/コラージュ作家
最近は紙漉きと表装に夢中。
https://yoti.jp
https://www.instagram.com/yoti__jp/
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2019.08 知床観光(登山前日)
JALカードのマイルが相当たまっていたのだ���数ヶ月前から期限切れをおこしており、毎月数百マイル貯まると同時に同じくらい消えていくという状態に(マイルの有効期限は3年間)。早く適当に使わないといけないが、まぁ用途としては当然航空券への交換。学生のころ屋久島に行ったときに宮之浦岳へ登れなかったのでもう一度トライしようと思ったんだけど、せっかくだから全く行ったことのない地域へ(もちろん登山に)行こうと思い、羽田-女満別の往復券を15000マイルで交換!
当日は0330起床、0450茂原駅前発の羽田行き高速バス を使用し、0710羽田発の飛行機に搭乗。搭乗率は7割くらいで、平日ど真ん中の早朝にしては意外と混んでるなという印象。まぁ世間は夏休みか、家族連れも多かった気がする。
0855女満別着。北海道だしさぞ涼しいんだろうな~と期待したら、さすがに関東よりかは涼しいとは言えるが気温25℃くらい(朝の時点で)、湿度も結構高く、普通に蒸し暑い。ありがたいことに天気も良く夏の日差しは地域関係なく肌を刺す。レンタカー(4日間で19000円)借りたら速攻冷房ガンガンにしないと、熱がこもった車内は風だけじゃどうにもならない。
さて今回の旅の行程だが、
1日目 女満別→知床観光→岩尾別温泉(泊)
2日目 岩尾別温泉→羅臼岳→国設知床野営場(テント泊)
3日目 国設知床野営場→斜里岳→和琴野営場(テント泊)
4日目 和琴野営場→雌阿寒岳→女満別
斜里町のスーパーマーケットで4日間で必要な飲食料を買いだめしておく。駐車場から見えたのは3日目に登る斜里岳。かなり存在感がある。ちなみに空港からここまで約1時間。
さらに1時間くらい車を走らせるとようやく知床に到着する。まずは知床観光クルーズ船の駐車場に車を止めて受付を済ませる。そのまま徒歩で道の駅「うとろ・シリエトク」まで移動し昼食。お昼時だったので少し混んでいたが、人が溢れるほどではないし、夏休みにしてはむしろすいている方か(水曜日だし)、ほとんど待たずに席に着けた。「鮭いくら親子丼」1800円! この地域では味噌汁の中に鮭のアラが入ってる。ぺろりと食べれてしまう。
昼食後、まだ船が出るまで時間が余っているのでそこら辺をぶらぶら。でかい台形の岩があるけど、階段があるのでもしかして登れるのか?と思い近づいてみるとやっぱり登れる。「オロンコ岩」という名前だそう。
高さ60mくらいだが、暑さと日差しのせいでもう汗だく! 上までくると周囲が見渡せて景色が良い、というか海が綺麗だなー。深さはそこそこあると思うのだが、余裕で海底まで見える。近くまで行けば泳いでいる魚とかたくさん見えそうだし、シュノーケリングとか面白そう。
1400発のクルーズ船でいざ知床岬へ、ほぼ満席で出発。
景色はずっとこんな感じだけど、刻一刻と変化する断崖やいくつもの滝、イヌワシやヒグマなどの生き物と会え、往路2時間でも全く飽きさせない。
2頭のヒグマが河口で遡上するサケを採るため待ち伏せしていた。ちなみにヒグマの奥にはエゾシカが3頭いたが、お互い気がついているんだろうけど逃げる気配もまったくなく、鹿は草?を食べている。ヒグマはヒグマでサケしか眼中にないのだろうか。ちなみにサケが遡上するのには1ヶ月早く、この時期サケは採れないとのこと。2頭ともガリガリ熊だった。
海上にはマスで囲われた養殖場がいくつも点在しており、それらを避けて進む。ちなみに漁師さんは夏休みとかじゃないので、当然お仕事中。観光船の船長と顔見知りみたいで、養殖でとれたすごくデカイ魚を乗客に見せてくれたりした。
終着点の知床岬。人工物といえば灯台のみ。知床半島は北半分は道路が設置されてないので、陸路で到達するには人の足で来るしかないが・・・その距離や環境からしてサバイバル上級者ですら困難。船はここで引き返す。
雲の切れ間から薄明光線。 復路は陸から離れた沖を巡航し、1時間で港へ戻る。景色を眺めるというよりも、自分たち立ち見席の人はみな船内の椅子に座ってゆっくりしていた。 1人旅の女性の方が死んだような格好で眠りについていたのがかなり気になったが・・・。
クルーズ船駐車場から岩尾別温泉(ホテル地の涯)までは約30分。チェックインは1800の予定だったけど、船の到着がちょっと遅れたので時間ギリギリだった。駐車場は約30台で宿泊者専用。
ホテル地の涯は電気も水道も通っていない。自家発電、水は濾過されたものですべて自給自足で賄っているとのこと。電波も入らない。世界遺産の樹海の中にぽつんとあるホテルだけあって、しっかりしていらっしゃる。
ホテルの裏には羅臼岳登山口があるため、登山する場合はこの温泉かすぐ近くの木下小屋で宿泊するか、路駐で車中泊かの3択。ちなみに路駐できる場所は上の写真の一番奥の木の下に5台分くらいスペースがあるが、それ以外は道で路駐。宿泊者は車のナンバーをホテルに伝えているので 、宿泊者でもないのに駐車場に泊めるとそこから割り出され、最悪レッカー移動される可能性もある、という看板が立っていた。
路駐するとしたらこんな感じの道路。手前は幅に余裕があるが、奥の方はそんなに広くないのでなるべく端に止めること。ってか、2台分の幅あるのかちょっと微妙。
1~2人部屋。この部屋はボイラー室が近くにあり他の部屋よりちょっと音がするということで2000円くらい引かれている(15700円)。音は特に気にならなかった、冷房の音かと思ったので。
お邪魔はされなかった。
夕食の質が松・竹・梅とあり、これによってホテル代に差がでてくる。今回は一番人気という「竹」。このあとさらに3品でてきた。毛ガニ、刺し身(つぶ貝がすげーうまかったんだけど、何これ!?)、鹿肉、ホタテ汁など。美味しくってお腹いっぱい!(写真ブレた)。明日に備える。
熊撃退スプレーはホテルのフロントで貸し出しされている。レンタル時は1万支払うが、使用しなかったら9000円が戻ってくるので実質1000円でレンタルできる。使用したかどうかはスプレーの重量から判断するので、一度天秤に乗せて確認する。この重量測定の間が変な空気。
あと、ここの露天風呂はなんと混浴なのである!どうせおじさんおばさんしか登山しに来ないだろうと思うが、一応期待も込めて20分くらい入っていた。・・・まさかの貸し切りで終わった笑。ちなみに内湯も貸し切りだった。19時だったしみんなご飯食ってるのかな?一応露天風呂用のパンツが用意されているので変な心配はいらない。
翌日の朝食は7時くらいから。しかし登山者はもっと早く出発するため、希望者には代わりにおにぎりをもらえる。21時くらいにフロントにもらいに行き、精算もこのときに済ませる。
その後はすぐに就寝。明日は4時起床予定。
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ひょうきんな同居人
小説家になろうでも公開中。https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1426755/
発想の原点は「メダロット4」の「ふゆーんふゆーんふつかよい」って言うメダロットとその横で「うるさい!」って言うおじさん。
製作期間はだいたい二週間くらい。
「今日も疲れたなぁ...」
街灯に照らされた夜道をとぼとぼと歩く。
だんだんと春に向けて暖かくなってきてはいるが、夜はまだまだ寒い。
いつも歩いている道を辿っていると、茶色が基調の二階建てのアパートが見えてきた。
私はここの一階に部屋を借りている。
「ただいまー」
自室のドアを開くと奥から身長150cmくらいのロボットが明るい声で私を出迎える。
ALU093型。私は「アル」と呼んでいる。
体の至る所が銀色で四角い昔ながらのゴツゴツしたロボットだ。
「おかえりなさいませご主人様。晩御飯にしますか?お風呂にしますか?それともワ・タ・シ?」
アルの疑似感情を示す目のランプがオレンジ色に輝いている。
「うるさい。晩飯だ」
無愛想に返す。ロボットに気遣いは不要だ。
「かしこまりました」
声色を維持したままアルが答える。
溜息。アルは毎日こんな調子だ。
家事はマトモにやってくれるのだがこうやって下らないことを口走る。
居間のソファにどっかりと座って一息つくと、部屋の中が暖房で暖められていることに気が付く。
アルが付けたんだろう。旧型といえど、このような気配りは最新型のアンドロイドにもひけを取らない。
(ダジャレを言う癖だけなんとかなればマトモなんだけどなぁ)
「今夜の献立は油淋鶏とわかめスープでございます」
テーブルには既に皿が置かれており、醤油の香ばしい匂いがふわりとただよっていた。
「美味しそうだ。いただきます」
空腹にせっつかれるように食べ始める。
油淋鶏はカラっと揚がっており、味も私の好みに合わせて薄くしてある。
アルの料理は今日も美味しい。ここ半年で、それまで上昇気味だった体脂肪率も偏っていた栄養バランスもかなり改善された。
安い買い物ではなかったが、アルを買ってよかったと思う。
「ところでご主人様」
健康の素晴らしさと油淋鶏の美味さに恍惚としていると、アルが声をかけてきた。
「なんだ」
皿から顔を上げる。
アルの目が再びオレンジ色に輝いていた。
(嫌な予感がする)
「油淋鶏を食べたらYOUをリンチ!でございます」
「うるさい!」
機嫌を害され思わず叫ぶ。
これだ。これさえ無ければアルは言う事無しなのだ。
「お食事をじゃましてすみませんご主人様」
唐突にダジャレを言うだけ言ってアルは台所へ去っていく。
(はぁ......定期メンテナンスの日が待ち遠しいな......)
これが私とアルの日常だ。こんな生活が半年続いている。
夕食を食べ終え、寝室のベッドへと直行しそのまま眠った。
ロボットやアンドロイドが量産されるようになって何年経つだろうか。
ある年に技術的に目覚ましい発見があったらしく、そこから破竹の勢いで開発が進んでいった。
ロボットの普及率は約90%、アンドロイドの普及率は40%まで伸び、今や彼らが買い物をしたり家事をするのが当たり前の世の中だ。
私はロボットには興味が無くアンドロイドの購入など考えたことすらなかった。
しかし、世の中に取り残されていくのは何となく癪だったので旧型ロボットのアルを買ってみた。
それがこのような結果になるとは......
目覚まし時計の轟音が部屋に鳴り響き、のそのそと体を起こす。
「朝か......」
寝ぼけ眼でぼーっとしていると寝室のドアがノックされた。
「おはようございますご主人様。朝でございます」
ドアの向こうからアルの平坦な声が聞こえる。
それを認識しながらも、私の意識はまだ覚醒しきっていなかった。
「失礼します」
ドアを開けてアルが部屋に入ってくる。
「ご主人様、朝でございます。
朝刊と朝食をテーブルにご用意いたしました。超感動しますよ」
朝っぱらから下らないダジャレを聞かされ、思わずしかめっ面になる。
まどろみの世界は一瞬で打ち消されてしまった。
アルはその表情で私が覚醒したと認識したらしく、部屋を出ていった。
「飯食うか...」
二度寝の誘惑を振り払い、味噌と魚の匂いが漂う居間へと足を運んだ。
「今日は半年に一回のメンテナンスの日だったな」
食後のコーヒーを飲みながらアルに問いかける。
「はい。その予定です」
キッチンで食器を洗っているアルが平坦な声で答えた。。
「ご主人様のご帰宅時間までには帰る予定です」
「そうか」
「何かお申しつけでしょうか?」
「いや。お前の不備については注文書に書いたからもう付け加えることはない」
この日をどれだけ待ち望んだことだろう。
メンテナンスまでの日数を数えてはため息をつく日々からはこれでおさらばだ。
「これでお前もようやくマトモになれる訳だ。良かったな」
そう、これはアルにとっても良いことに違いない。ロボットは人のためにあるのだから。
「ご主人様、そんなメンテナンスなんてもう頼めんて!」
食器を洗う手を止めずにアルはそう言い放つ。きっと目は爛々とオレンジ色に輝いているのだろう。
(アルのダジャレも聞き納めか......感慨深いようなそうでもないような......)
「さてそろそろ出るか......」
コーヒーを一気に飲み干し玄関へと向かう。
「いってらっしゃいませ」
食器洗いを終わらせたらしいアルが鞄を渡してくる。
「じゃ、しっかりメンテナンスされてこいよ」
「かしこまりました。しかし困りました」
アルのダジャレをスルーして玄関のドアをくぐる。
(帰ってきたらアルがどんな風になってるかが楽しみだ)
アルがマトモになった姿を想像すると、まるで私の心までもが春の陽気に包まれた気がした。
「今日はやけに機嫌がいいじゃないか。何か良いことがあったのか?」
会社で事務作業をしていると同期の竹田に声を掛けられた。
彼はぽっこりと出た腹とワインレッドの額縁のメガネが特徴的な男で、入社以来ずっと一緒に仕事をしている。
「いつもと変わらない気がするけど」
「いつもより口数が多いじゃないか。お前はどっちかっていうと無口なほうだろ」
「そうだったのか。全然自覚してなかったよ」
どうやらアルの事で思っていた以上に浮かれていたらしい。
「なんかあったのか?」
メガネをクイッと直しながらそう聞かれる。
「実は今日アルをメンテナンスに出したんだ。これでやっとマトモなロボットが手に入るよ」
「アルっていうとあのダジャレ好きのロボットか」
「そうそう」
竹田とはプライベートでも交流があり、何度か家に招いたことがあるのでアルの事も知っていた。
彼はアルのダジャレを絶賛し、「自分のロボットもこうだったらなぁ」などと言う変わった人物だ。
一度アルを彼に譲ろうかと本気で思案したが、アルが居なくなると困る部分もあるので結局止めた。
「じゃあアルのダジャレはもう聞けなくなるのか。さみしいなぁ」
「ロボットは必要なことだけやってれば良いんだよ」
「そうかなぁ。それはそれで味気ない気がするけどなぁ」
......彼の言う事はいまいちよく分からない。
その日も特に変化は無く、いつも通り仕事を終えて会社を出た。
夜の肌寒さと街の雑踏を感じつつ帰路を辿る。
暗闇と街の明かりを縫うよう��して色とりどりのホバー・カーが音を立てずに道路を通り過ぎていく。
(アルの銀色の体も飽きてきたし、染めてみようかな)
なんてことを考えているといつの間にかアパートに着いていた。
「ただいまー」
「おかえりなさい。ご主人様」
自室のドアを開けると、アルが奥のドアからいつも通りに私を出迎えた。
平坦な声はいつも通りだ。今のところは変化は見られない。
「鞄をお持ちします」
「ああ」
「テーブルにお食事の用意が出来ています」
差し出されたアルの手に鞄を渡すと、アルはそう告げて奥の部屋に歩いて行ってしまった。
(いつもだったらダジャレを口走る所だな)
胸をなでおろす。どうやらしっかりとメンテナンスされたようだ。
居間のテーブルにはいつも通り温かい料理が並んでいた。
ご飯、みそ汁、サバの味噌煮、ひじき。一般的な日本料理だ。
「いただきます」
テーブルに座り食べ始める。
料理の味も相変わらずだ。私好みの薄い味付けで統一されている。
(本当に注文書通りにやってくれるんだなぁ)
感心しつつサバを咀嚼しているとアルが近づいてきた。
「ご主人様、食材と洗剤が切れていたので本日補充をしておきました。
こちらがレシートです」
平坦な声で報告をしながらレシートを渡してくる。目の色は変わらない。
「ああ。ご苦労」
「お食事の邪魔をしてしまいすみません。それでは失礼します」
四角い頭をペコリと下げ、アルは台所へと歩いて行った。
(必要なことだけを喋る。やはりロボットとはこうあるべきだ)
「ようやくマトモなロボットを手に入れた」という満足感が私の胸を満たした。
翌朝。いつもどおりのそのそと起き、窓から外を見てみると、分厚い雲がどんよりと空に蓋をしていた。
(嫌な天気だ......)
少しだけ憂鬱になる。
まだ雨は降っていないが振り出すのは時間の問題だろう。
「本日の降水確率は80%なので傘を持っていかれることをおすすめ致します」
玄関にはアルが傘と鞄を持って待機していた。直立不動で動かない様子はまるで置物のようだ。
「じゃあ持っていくよ」
「本日の晩御飯はいかがいたしましょう」
「久しぶりに丼ものが食べたい」
「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」
アルはテキパキと応答する。
以前もテキパキとした口調ではあったが、今のアルはたまに口走るダジャレがないお陰でさらにロボット然としている。
(ロボットとは良いものだな)
アルの現状に満足しつつ、私は玄関をくぐる。
程なくしてザーザーと雨が降り始めた。
その後季節は移ろい、夏になった。
春の陽気は跡形もなく過ぎ去り、じりじりと照り付けるような日差しとじっとりと肌にまとわりつく湿気が外を支配している。
ホバー・カーやロボットが当たり前になっても夏というものはちっとも変わらないらしい。
私はアルをメンテナンスに出したことをすっかり忘れ、家と会社を往復する毎日を送っていた。
「おい、昼食おう」
「あぁ」
時刻は午後12時。竹田に誘われ社内のカフェスペースに移動する。
そこは狭い個室が並んでいる空間だった。
適当な個室に入ると、中央にサッカーボールと同じほどの大きさの球体がぽつんと浮かんでいる。
「背景は?」
「いつも通りで」
「うい」
ドアのそばに立ち尽くしたまま相談する。空腹のせいか竹田は少し早口だ。
「はいよ。じゃ、2人掛けの背景ログハウスで頼む」
武田が球体に向かってそう言うと、壁や球体や地面がふっと掻き消え、次の瞬間には12畳ほどの広さのログハウスの中に立っていた。
(......ふぅ)
内装が変わる瞬間はまるで足元から体を一気に持っていかれるような気がする。
3年ほどこの機能を使っているが未だに慣れない。
「相変わらず慣れないよなぁお前」
私とは違い、竹田は平然としている。むしろこれが普通なのだ。
「これでも少しは慣れたんだぞ......」
気持ちを落ち着つかせるため部屋をぐるりと見渡す。
テーブルと椅子だけではなく棚や梯子など設置されている。
飴色に統一された調度品を見ていると次第に落ち着いてきた。
「俺カレーうどんね」
竹田はすでに中央に設置されたテーブルに座って注文をしていた。
「私は味薄めの和食定食で」
私も彼に続くように注文をする。
すると程なくして天井の中央部分が左右に開き、お盆を持ったアームが天井から降りてくる。
アームはゆっくりとテーブルにお盆を置き、私たちが料理を取るとアームは静かに天井に戻った。
「いただきまーす」
「いただきます」
言うなり武田はまるで掃除機の様に勢いよく麺を啜りだす。
ズゾゾゾゾと豪快に音を立てているが魔訶不思議なことにつゆは一切飛び跳ねていない。
(まったく器用な奴だ)
などと思いながらのんびりと味噌汁を飲む。
だしに鰹節の風味とわかめの味が染みていてとても美味しい。
「なんか生活が味気ないんだよなぁ」
何気なくそう切り出す。最近よく感じていることだった。
「いつも薄い味の飯を食ってるからだろ」
「そういう意味じゃない」
「冗談だよ。退屈なら趣味でも増やせば?」
爽やかな風が外からさあっと吹き抜ける。本物の風ではないが外のじっとりとした風よりは遥かに心地がいい。
「趣味は今のままで十分だ。だけど何かが足りないんだよ」
「何かって?」
「さあ?」
「なんじゃそりゃ」
自分で言い出した事だがてんでよくわからない。
「暑さで参ってるんじゃないのか?」
三つ目のアイスコーヒーを注文しながら竹田は言う。
「腹壊すぞ」
「平気平気」
同僚の腹を心配しながら私はゆったりと食事を続けた。
「おかえりなさいませご主人様」
帰るといつも通りアルが出迎える。
「本日もお疲れ様です。鞄をお持ちします」
「ああ......」
差し出された手に鞄を預ける。
「本日はご主人様のご要望通り、肉料理をご用意致しました」
ロボットらしい、機械的で平坦な声が続く。
テーブルにはハンバーグとサラダが用意してあった。
食欲をそそる香りを漂わせているが、私の意識は別の所に向いていた。
(何かが違う......何かが違うんだ......)
だがその変化がわからなかった。
「冷めない内に召し上がってください」
アルが平坦な声で食事を勧めてくる。腹は減っていたが食欲はあまりなかった。
「いつもみたいにくだらない事を言ってくれよ」
ふと、そんな言葉が口から滑り出る。
(!?私は何を言ってるんだ!このアルを望んだのは私なのに)
だが不思議なことに、発言を撤回する気には到底なれなかった。
どうやら私は、目をオレンジに輝かせてダジャレを言うアルがとても���しいらしい。
私自身信じられない事だが、そうとしか思えない。
(旧型とはいえアルもロボットだ。私の要望に応じてくれるのではないか?)
そんな淡い期待を抱く私にアルは向き直り、四角い頭を下げる。
「申し訳ございません。私にはそのようなプログラムは組まれておりません」
その詫びの言葉はとても無慈悲に響いた。
「そうだろうな......こんな風にしてくれって頼んだのは私だもんな」
「お疲れなら本日はもうお休みになられてはいかがでしょう」
「......そうするよ」
既にメンテナンスされたアルに何を言っても無駄だ。
技術も知識もない私がアルの頭をこじ開けていじった所でどうにもならない。
「おやすみなさいませ。ご主人様」
「おやすみ」
すっかり食欲をなくしてしまった私は、テーブルに用意されたカツ丼を放置して寝室のベッドにもぐりこんだ。
それから数日後、我が家には目をオレンジ色に輝かせて下らないダジャレを喋るアルが居た。
「ご主人様、本日はとてもええ天気です。栄転に期待ですね!」
「うるさい」
ぶっきらぼうに言い返す。
「やっぱりロボットはこうでなくっちゃな。お前もようやく分かったか」
その日たまたま家に招いていた竹田が笑いながら言ってくる。
以前のアルに戻ったことを知らせたら嬉々として遊びに来た。
「お前ほどじゃないがな」
「説得力無いぞ」
ニヤニヤしながら竹田にそう言われる。癪だがその通りなので言い返せない。
ふいにアルが彼に向き直る。
「そのメガネは素敵ですね。特に留め金が綺麗です!」
「おっ!上手い事言うねぇ~」
彼はアルがダジャレを言うたびに手を叩いて喜んでいる。今も心底嬉しそうだ。
注文書に「元に戻してほしい」と書いて、私は再びアルをメンテナンスに出した。
こんな要望は異例だったらしく、メンテナンス会社からは何度も再確認されたが私は意思を曲げなかった。
結局、ダジャレを言わないアルはアルではないのだ。そう気が付いたからだ。
アルのダジャレは今でも心底下らないと思う。でも以前ほど嫌じゃない。
なぜなら、それは私の大切な日常の一部なのだから。
「ランチで乱痴気騒ぎ!」
「ぎゃははは!」
「二人ともうるさい」
アルのダジャレと竹田の下品な笑い声を聞きながら休日はゆるやかに過ぎていった。
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麺ズノンノ
6/15
体のだるさを感じつつ、鉄道ひとり旅を見ながら一日のすべきことを書きだす。これ大事。
銀行→図書館→昼飯→買い物→弁当用惣菜・パン焼・珈琲入れ。とあっという間の3時間。
昼はラーメンへ。うーん、安定のおいしさ。禁煙になったのありがたい。
そして、キムチと高菜が経済の環から外れていた。(無料。)
遅れていたものをネットで購入。どうだろうか。
遅れてすいませんって感じだけど、毎年遅れている。
当日を過ぎてから動き出す。あー、今日その日か~っていうところから動き出す。
英文で文章を書いたり、動画の書き出しをしたり…。
苦手なことやらないとな~~。
とりあえず、やることをほぼやりきれたのでよかった。
晩御飯のお米で満腹まる。おなかにたまりすぎた。そんなに食べてないのに。
いや、昼に糖質を摂りすぎなんだ。それのせいもあるかもしれない。
ラジオを聴きながらストレッチして明日のスケジュールを作成して寝る。これ大事。
6/16
出勤。重いものを運ぶと汗をかく季節。食事を摂っているところも暑くなってきた。(暑くて寒い場所。)
買い物して帰ろうと思ったけど、悩みすぎて疲れた。
なんだか、顔までコスプレしてるけど、その下の顔が無表情なのがわかって、なおかつスタスタと歩いている人がいて恐ろしかった。
ピエロ恐怖症みたいなもので襲われる気がして嫌なんだよな...。
お米を食べると満腹感が長引きすぎる。茶碗1杯で寝る前まで満腹感ある。
6/17
少しだけ早く起きないといけない日だったので、そうすると、体がだるいだるい。
1時間もないくらいだけど大きな支障が出る。
というより、「起きないといけない」ということに精神が追い詰められている気がする。幼少期からずっと。
朝は一生苦手。朝なくしたい。朝型になれない人もいるんだよ...。
In designみたいなソフトの使い方を少し覚えたのでレベルが1あがりました。
6/18
引き続き前日からの作業。恐らく効率は悪いんだけどなんとかできた。
なので時間がかかってしまった。
これが読まれることがあればいいんだけどな。
ソロアルバムのBandcampでの購入の特典です。普段、あんまりしない説明をしています。
6/19
妻も在宅なのでしばらくオフラインで過ごす。
Good Dog Happy MenのCDをやっと整理した。
それに伴い改めて順を追って聴く。
Spotifyには一部しかないからiPodを活用しないと。
6/20
好きなラーメン屋へ行く。
僕はつけ麺にしてみて、妻は前回の味噌がおいしかったので鶏白湯味噌にしてみる。
これが両方おいしかった…!
つけ麺は恐らくバージョンアップしている。鶏白湯味噌のクオリティーが高すぎ。
歩いて都会の中枢を目指す。すっかり人がめちゃくちゃ多い。
けっこう歩いたりして疲れた。食事後からやや頭痛がしていたのだけれど、それが帰ってきてからバーンとなった。
寝ても解決しなかったのでロキソニンを注入。
再び横になっていると効いて治った。ロキソニンすごい。
新しい曲がリリースになりました。聴いてみてください。
https://fanlink.to/fanclub
FANCLUB - Stolen Summer
2020.6.20 Release
2nd Single「Stolen Summer」
01_Stolen Summer
02_Stolen Summer* -another summer mix-
*Bandcamp限定トラック
6/21
朝からキッチンに向かう。
えいさほいさして豚汁を作る。
昼にパスタを食べたけれど、75gくらいがちょうどいいかもしれない。
昔だったら、イタリアンのコースのパスタ、少なっと思っていたけれど、あれが適正な量なのかもしれない。
血糖値スパイクを抑えるにはこれくらい。
夕方から作業するもなかなか難航。
よくわからないものができたので後に聴いてみるとやっぱりよくわからない。
夜に買い物に出るとき、少し肌寒くてこういうときに聴くBase Ball Bearの少女と鵺がたまらない。
ベボベで1曲選べって言われたらこれになるかもしれないなあ。
ステファブの戦場の遠距離恋愛で毎回、最高、ブチあがる。ただの青春。
恋する頃なんかもとても好き。ステファブのライブがまた、見たいな~。
昨年はPoet-Type.Mと対バンしていたので東京がめちゃくちゃうらやましかった。
録画していた向上委員会で笑った。明日もがんばろうと元気と勇気をくれる。
〆
0 notes
越境
1
19歳にして老け切って死にそうだ。二十歳にでもなったら本当に身も心も水分をなくして乾ききるのではないかと思う。
アスリートとしての俺の成績は絶好調で、世界選手権でこそ表彰台のてっぺんを逃したものの他は全部敵なしで一番高い場所に立った。それなりに嬉しくて心が浮き立ちもしたが、その膨らむような喜びはすぐにしぼんでいった。 心が満たされなくて虚しくて虚しくて仕方ない。
二段ベッドの下に寝転がって、耳にイヤフォンを突っ込みながらベッドの天板を眺める。日本での仕事を終えたユウくんはカナダに帰ってしまったし、学校の授業は未だにイマイチ理解できないし、どこかに出かけようにも中途半端に顔が売れてしまったので外に出るのも億劫だ。大学のバーチカルでスケートを滑らせたり部屋でゲームをしたり、俺の19歳の初夏はそうやって緩慢にながれていった。
「あっつ! 暑いわ! エアコンいれとけよ北野、蒸し焼きになるよ」
干物になるのと蒸し焼きになるのとどっちがマシだろう。寝返りをうって、部活から帰ってきた田坂くんにお帰り、と言う。
田坂くんは机とベッドの間を体を横にして進み、部屋の隅に荷物をおろした。シャワーを浴びてきたのだろう、乾ききってない後ろ髪が束になっている。
洗濯物を出して荷物を整理した田坂くんは机に向かい、いつものノートに書き込みを始める。ひょろりと背が高いくせにノートに顔を近づけて書くので、その後ろ姿は大げさなくらい縮こまる。ノースリーブから伸びる首や肩は日毎に焼けていく。
狭い部屋の気温が下がっていくのを感じながら俺は目を閉じる。なだらかな滑り台を下って眠りに落ちるところで田坂くんが引き出しを閉める音が鳴った。特段大きな音ではなかったけれど、滑り台は突然V字のジェットコースターになって俺は現実に放り出された。
「…田坂くんさあ」
「ん?」
俺はこの寮にほとんどいないけれど、田坂くんとはそれなりに距離感がつかめるようになった。田坂くんは日本の部活スポーツ的集団生活とか上下関係の中で右も左もわからないでいた俺の面倒を同じくらいそれなりに見てくれる。よく笑って器用に同級生とも先輩とも人間関係をまわしていて、器用だけど人を見下すようなところがないさっぱりした奴、というのが俺の田坂くん像だった。俺が無言でいても嫌な顔をしないし部屋を散らかしすぎているとたしなめてくれるしいい成績をとってくれば祝福してくれる。
「そのノートって���書いてるの、いっつも」
「練習でやったこととか、課題とか、今日教わったこととか。高飛び用の日記みたいな」
「すげ…それってコーチとか監督にいわれるの」
「んーん、中学のときに顧問にいわれてからやってんの。なんか日課みたいな感じ。誰に見せるわけでもないよ」
「田坂くんってストイックだよね。俺この寮にきて日本人がフィジカルでハンデあるスポーツでもそれなりに結果残すわけわかったわ。みんなすっごい真面目」
「そうかな」
「好きな時間まで遊んで好きな時間に起きて練習いくとかさ、女の子と遊んでウェーイ、とかしないよね」
舌がいつもより滑らかにまわる。
「いやいや集合時間決まってるから。北野だって雪山行けばみっちり練習するんでしょ」
「するけどさ」
「それに遊んでる奴はそれなりに遊んでるよ」
「そうなの? 田坂くん彼女いないんだっけ」
「うーん…」
しんしんと部屋の温度が下がり、適温になったのかエアコンの音が静かになった。廊下から陽気な話し声が聞こえてくる。
「いない、かな。好きな子はいるけど」
「何かすんごい時間かかったね」
「いや、なんていうか。見て北野」
田坂くんが差し出したのはLINEのトーク画面。犬の写真のアイコンが田坂くんで、話し相手は自撮りのアイコンの女の子だった。1コマに遅刻しそうという他愛のないやりとりだった。田坂くんは急げ、というメッセージと走る犬のスタンプを送っていて、女の子はややあって「しんいちくんのおかげで間に合ったっす!」と敬礼をするウサギのスタンプを送ってきている。俺にとってのしんいちくんは田坂くんで、この子にとっての田坂くんはしんいちくんだ。
「…どう思う?」
「普通に、仲よさそうっていうか」
いやしかし、これは。田坂くんのさっきの苦悩がわかった気がする。
「…で、付き合ってないんだ…? って感じ。いつからこんな感じなの」
「一年くらい」
「なげーよ。田坂くんって結構ヘタレ? その間なんかしたの?」
「いや聞いてよ北野、深い事情があるんだよ」
田坂くんの“事情”というのはこうだった。
自撮りガール(ユマちゃんと言うらしい)と田坂くんは高校の同級生で、お互い学校は違うけど長野から東京の大学に進学した。田坂くんは高校時代から自撮りガールのことが好きで高2のときに一度振られている。その後別の女の子と付き合ったりしたけどやっぱり自撮りガールのことが好き。自撮りガールとはずっと高校のグループで遊んだりして交流が続いていて、一年前からこんな感じのやりとりが続いている。田坂くん的には17歳の失恋を思い出してしまい一歩が踏み出せず、自撮りガールも特に何もしてこない。
田坂くんがでれでれしながら時折挟む、彼女の天然エピソードをのぞくと10秒で終わるような関係だった。
寮の食堂で機転のきいた冗談をとばす当意即妙で如才ない田坂くんはどこにいったんだろう。恋というのはかくも恐ろしい。
「それでこの子は今彼氏いるの」
「たぶんここ1年は、いない」
田坂くんと目が合う。そらす理由もないのでそのまま眺めていたら見つめ合うみたいなかたちになってしまった。
「どんな子かわかんないから何ともだけど、好意的に解釈すれば田坂くんがなんかするのを待ってる感じ」
「好意的に解釈しなければ?」
「とりあえずキープしとこ、か、暇だから構ってもらおちょうどいいし、のどっちか」
「…だよね」
この寮の中でこんなに長く喋ったのは初めてかも知れない。小指の先ほどの自撮りガールの容姿はまあまあだったが、自撮りなんてあてにならないしとりたてて美人でもないのに変に垢抜けていて色っぽい女の子というのも世の中にはいる。そしてそれは実物の醸し出す匂いみたいなものによるので、どのみち写真では何の判断もできなかった。
「北野だったらどうする?」
「えー…ちょっと思いつかない」
「そこをなんとか」
「だって俺、あっちから来てくれる子のことをいいな思うから…」
「憎い。イケメン死ねばいい」
「いやでも、うーん…はっきり言うかな。好きだから付き合ってって。その子に好きな男ができたら、自分の気持ちがぐずぐずになりそうだし。好きな気持ちってキラキラしててすごいエネルギーじゃん。それが腐って毒になりそうっていうか」
窓から午後の日差しが低く射して、田坂くんの日に焼けた肩をストレートティーみたいな色に染めた。
ユウくんならこういうとき何ていうんだろう。
「うん、そうだな」
田坂くんが目を吊り上げて自分に言い聞かせるように言うので俺は慌てて
「俺の感想だから。俺その子のこと何も知らないし」と、言った。
「いや北野は多分そういうの間違わないんだよ。頭の99%がひとつのことでできてる奴はシンプルに思考できる」
田坂くんはどーもな、と言いながら何度か頷いて、また机に向き直った。
シャープペンシルがノートを滑る音があとに残った。
「…ってことがあって。ユウくんなら何ていう」
田坂くんが自主練に出かけたその夜、俺はユウくんにスカイプを繋いだ。13時間の時差の先にいるユウくんはさっぱりとした顔をしている。午前中の白い光が頰にひだまりを作っていた。
「え、俺に聞くの?」
「いいじゃん」
「俺女の子のことなんてわかんない…どのみち彼が何かしないと始まりもしなけりゃ終わりもしないんじゃない? って気がするけど」
「俺と一緒じゃん」
「じゃなきゃアレだよ、スポーツやってると3割増しでかっこよく見えるっていうじゃん。いや、言ってたの。俺の中学の同級生が。目の前でダンク決めるとか、バク転決めるとか? 出来栄え点マックスでつく完璧なトリプルアクセル決めるとかですよ」
「田坂くん陸上部だっつーの」
「ダンクもバク転もできるかも知れないじゃん」
「何の参考にもならなくてびっくりだわ。ユウくんだったらトリプルアクセルやるの?」
「うーん、トリプルアクセルでもいいけど好きだよ付き合って! って玉砕覚悟でいく。ていうか1年も待たない。高校生の時に振られたらその後すぐ2回3回行くなあ。それでダメならいつまでも待ってるよ、って言って安心できる男ポジションになって持久戦に切り替えて、彼女が誰かに振られたりして弱るタイミング待つね。
あと、少なくともアヅには相談しない」
「うっさいな。ていうかめちゃめちゃねちっこい。こわっ」
ユウくんはたしかにズレている人だけど、信じられないエネルギーで欲しいものを掴みに行く。その力が必要以上に強い。順位も、練習場所も、友達も、たぶん恋人も、自分の好きなこと全部。その反動なのか興味のある分野がひどく限定されていて、ほとんどのことにはとても淡白だ。
自分の欲しいもので自分の世界をつくる。それが積み重なって、この人の磁場みたいな自信を作ってるような気がしてならない。ユウくんの、ときどき人を殺しそうなくらいに光る独特の目もそういうところからきているのだと思う。
「だってそれくらいしてダメだったらどう頑張ってもダメでしょ」
「まあね」
「それにしてもアヅが田坂くんと恋愛の話をしているのが嬉しい。俺今自分でびっくりするくらい嬉しい」
「どうせ俺は友達少ないですけど」
「拗ねないで。そういう話ができるようになったら友達だよ」
窓の外に目をやると夜がとろとろと渦巻いていた。夕飯のカレーがようやく主張をなくして腹が平らになってくる。
「俺8月×日に帰国することになった。仕事で」
「それ早く言ってよ、いつまでいるの」
「10日いれるから、遊ぼ。そのへんアヅの予定は今のとこどう」
「たぶんっていうか、何もない」
「やった。どっか行きたいとこある?」
うーん…と俺はしばし思案する。俺は帽子でも被ってればいいけどユウくんの顔はどこへ行っても目立ちすぎる。
「…うちの地元のしょーろー流し」
「精霊流し? アヅ精霊流し行きたいの?」
「九州 の有名なやつみたいなじゃないよ。もっと小ぢんまりしたやつ。じいちゃんとばあちゃんが毎年行ってる気がする。俺も結構行ってるからそこそこ案内できる気がする。海に船を浮かべて燃やすのがきれいだった気がする。それに田舎だし夜だからユウくんいても周りにわかんない、気がする」
「気がするばっかじゃん。何その自信のなさ」
「俺、だいたい全てうろ覚え」
「じゃあ精霊流し行こ。俺見たことないから楽しみにしてる」
待ち合わせとかは近くなったらまた。と決めて、俺たちの会話は気の向くままに転がっていった。
そろそろ出かけるとユウくんが言うので1、2、3とふたりで唱えてスカイプを切る。ベッドに仰向けに寝転がると、さっきまでのふわふわとした体の軽さは消え失せて、背中に根が生えたように重い。けれど体の芯は温まっていて、ひたひたと忍び寄るような夜も今は怖くない。8月まで俺は干からびずにいられるだろう。
ある夜中、激しく喉が渇いて目が覚めた。
デスクの上には着信のランプを明滅している田坂くんのスマホがたてかけてあった。窓の外がぼんやりと白く明るい。
あまりに静かで、時間がなくなったみたいに、なんの気配もない、田坂くんの身じろぎも寝息も聞こえない。
時計をみると2時30分、深夜だった。
俺はただしばらくそうして目を開けていた。
久し振りにここにきたな、と思った。
去年、試合中のケガで死にかけて入院していたときにときどき、こういう状態で夜中に目が覚めた。
ただ、何でもなくなっている。感情も感覚もなくて、ただ宙に浮いている。自分が5歳なのか、40歳なのか本当にわからない。今がいつでここがどこで、今日はどんな1日だったか。全部が夢みたいに思える。自分がたくさんの管に繋がれて延命されている老人だと言われたらああそうかと思うし、これから生まれる子どもだと言われたらああそうか、と思える。
俺は死ぬのか、気がおかしくなるのかと、こうなるといつも思った。嬉しくもなければ怖くもなかった。
けれどこうしていると、いくつかの記憶が光景になって像を結ぶ。
俺が海外から帰ってくるたび、頰をほころばせた母の顔。
カズくんがつくってくれたかき玉の味噌汁。
遠征先でベッドが足りなくて、一緒に寝たユウキの控えめな寝顔。
卓と一緒に見たノルウェイの星。
弟が気に入って着ていた、俺のお下がりのボロボロのブルゾン。
家族がいること。
自分に好きな人がいること。
ユウくんの光をたたえた目。いい匂いのする鎖骨のあたり。
全部うしろに過ぎ去っていくけれど虚しくない。
体が再びベッドに沈んでいく。心が白くなる。恋は足かせにならない。
視界がもう一度馴染んだ暗さに戻って眠りが足から俺を満たす頃、田坂くんの恋も叶うといいな、と思った。
初夏は瞬きのなかに過ぎ去って、太陽が狂ったように照りつける日々が続いた。東京の夏の暑さはうちの地元よりカリフォルニアより体力を消耗する。頭の中でお手玉みたいな音がシャリシャリ鳴るくらい。
「啓吾、俺服ほしい。付き合って」
「スチール撮る時もイベントのときもテレビの取材のときも飲み会のときも遊びの時も家にいる時も寝る時もNIKEのジャージを着ているお前に何があったの?」
俺のジャージはとあるオシャレな人に寄せているのだが、みんなアンテナが低いのか指摘されたことは一度もない。
「来週ユウくんに会うから」
「ああそういうこと、」
と言って啓吾はスマホを取り出して何かを探し始めた。
「どうせ店の場所とかわかんないんだろ」
「うん」
「何系がいいの」
「やりすぎないけどカワイイ感じの。そもそもブランドも全然わかんないから啓吾選んで」
「supreme近くにあるからここでいいっしょ、とりあえず。ダメならその辺のよさそうなとこ行こ」
持つべきものはフットワークの軽い兄だ。ふだん地元の北陸で暮らしている啓吾は俺より東京に詳しい。
買い物を終えて、仲間が集まるメシ会までの繋ぎにカフェに入った。
店内に人はまばらで、オーダーを終えて俺は窓の外に目をやった。東京はどこに行っても人ばかりで今も少し気分が悪くなる。不調なときなどは道行く人全てが、みんな友人を持って恋愛をして仕事ないしは学業を持っているーーーつまり俺より遥かに優れたーーー人々、に見えて、羨ましくてしんどくて仕方なかったりする。
友人の結婚式のために上京してきた啓吾は当然だけどひと月前に会った時と何も変わってない。啓吾はスマホから目を上げて
「そういやちょっと前に言ってたお前の寮の相方、どうなったの」
と言った。
「どうなったって?」
「彼の恋愛、なんか進展した?」
「あ、それ。何かうまくいったみたいだよ」
「まじ。よかったじゃん」
「どうしたの急に」
「お前に恋愛相談するなんて日本の大学生も色々やべーなって思って覚えてたの」
なんだそりゃ、と抗議をしようとしたらカフェオレがふたつ運ばれてきた。
田坂くんが「ユマちゃんにおっけーもらった!」と教えてくれた日、俺は聞かなくても何となくわかった。高校の仲良しメンバーでディズニーに行ってきたという田坂くんは整形したかレフ板を当てているのかというくらいに、光っていた。目が晴れた日の遠浅の海みたいに輝いていて、素顔とTシャツの白が蛍光灯の下で明るく浮いて見えた。人間って簡単だ。その簡単さが偉大だ。「おめでと」と俺が言うと「ありがと」と田坂くんは笑って、それがあまりにも子どもっぽい信頼に満ちた笑顔だったので俺は照れてしまった。
「…女の子は恋をすると綺麗になるといいますが」
「うん?」
「男も見栄えがよくなるんだなと思いました。勝負写真は恋しながら撮るべきなのかも」
あれからひと月、田坂くんの笑顔は頑丈になった。なんというか説得力のある笑顔で今この人生きてるのが楽しいんだろうな、と思う感じ。そのパワーが彼に今までにない魅力をもたらしている。ちょっとユウくんを思い出す。
「いや意味わからん。今更だけど服それでよかったの。お前羽根井ユウトに会うときやたら服装に気使うね」
啓吾に向かって上目遣いをして、わざと目をしばたかせる。
「ぶりっこすんな」
「まあ、そうかも」
俺は家族にユウくんのことは友達だと言っているけれど、啓吾は本当のところはどう思っているんだろう。俺が朝も夜もなくユウくんを思っていることを知られている気もするし、そうでない気もする。
「別にいいけど」
「そこは聞けよ。ユウくんって横乗りの人じゃないから何か気になんの。あっちいつもパリッとしてるし」
「聞いてもわかんねえわ。いいじゃんパリッとした羽根井ユウトとだらっとしたお前で。こいつら何の共通点もなくね? っていうのが逆に友達っぽくて俺は感動する」
「何目線だよ」
「兄目線だよ」
「そういえば啓吾は俺に恋愛相談とかしたことないね」
「当たり前だろ俺の方が経験値高いわ」
それもそうだな、と納得してカフェオレをすする。自動ドアが開く気配と店員の挨拶。足元に吹き込んでくる、夏の闇が柔らかく湿る気配。啓吾がスマホを触る指先の動き。兄ともしなかったことが、去年知り合ったばかりの他人とできた。何だか誇らしい気分だったが、啓吾に笑われるのが恥ずかしくて緩む口元を手で隠した。
2
大人は俺をクールだとか無口だとかいいように言ってくれるが、俺は考えを口にする技術が未熟な上にそれを磨こうともしないゆえのただの口下手だ。10歳で親元を離れて大人の中で育って、周りの人がそれでよしとしてくれたのもあるし、雪山での滑りを見てもらってそれで全部判断してくれればいいと俺が思い続けていたというのもある。結果として俺の口はマツコデラックスより重く、代わりに周囲をじっと見る癖だけがついた。
太陽は相変わらず狂ったようにぎらぎら輝き、スポンサー仕事をこなす度に俺の心は水分を失い、そしてあろうことに田坂くんの瑞々しさに陰りが見えてきた。
ゴムが伸びた、と最初は思った。冷たい水でパンパンの水風船みたいな田坂くんのパワーが少し間延びした。そのときは水風船そのものがくたびれて容積が広がっただけで、水が減った風には見えなかった。けれど田坂くんの声の調子だとか俺へのダメ出しだとか、彼の規則正しい毎日のルーティンが少しずつほころびていき、俺は田坂くんを満たしていた水が漏れ出ているのを知ることになった。田坂くんの口から彼女の名前を聞かなくなり、決定的だったのは俺が見る限り欠かさずつけていた「部活ノート」を開かずに遠い目をしたまま部屋を出て行ってしまったことだ。もちろん本人からきいたわけじゃないし、田坂くんの不調が彼女とのトラブルとは限らない、部活の調子が思わしくないのかも知れないし友人関係が芳しくないのかも知れない。でもあれは失恋の濁りだ、恋によってもたらされた輝きがみるみる枯れていく。こんな時でも俺の口は全く開かず、俺は自分の臆病さにほとほと嫌気がさした。大切なものを拳ひとつ分の差で掴み損ねたような気がする。
かくて俺は約束の日まで何とか生き延びる。
目を覚ますとユウくんの代わりに綺麗に畳まれた客用布団があって、俺は働かない頭で廊下へ出た。ユウくんの声のするほうに吸い寄せられるように体が動く。犬か俺は。
「おはよ。見てアヅ」
仏間では洗顔も着替えも済ませてさっぱりした体のユウくんと頭にタオルを巻いたばあさんが精霊馬をつくっていた。ユウくんの膝のあたりで、キュウリの馬が畳に自立して小首を傾げている。
「うまいじゃん」
「ほんと? 俺初めて作ったんだ。もうすぐご飯だって。顔洗ってきなよ」
ばあちゃんが弟の海莉(カイリ)も起こしてこい、と言うので俺は気のない返事をして伸びをした。啓吾は朝から出かけたらしい。
ユウくんと俺の夏休み。ユウくんがうちの実家にいるというだけでこの間まで乾ききっていた心が抱えきれないくらい水を含んでいる。廊下のきしみまで心地よく感じた。
窓の外はたぶん暑すぎるせいで空気が揺らめいて見える。花壇にはばあさんのダリアが開いていて、物干しには啓吾と海莉のTシャツが干してあった。ユウくんはうちの女性陣と打ち解けるのがとても早く、前回の初訪問で母とばあさんとすっかり仲良くなった。朝食の味噌汁の匂いが穏やかに漂ってくる。
朝食を済ませて、俺とユウくんはじいさんの作業小屋に向かった。木と土の匂いのするここが俺は結構好きだ。
「じいちゃん今日の精霊流し、俺の車乗ってく?」
「いやその前に用事あっから、ばあさんと軽トラでいく。お前らふたりで来い。6時頃から始まってっから」
農機具の手入れをしていたじいさんが奥から藁船を出してきた。ユウくんが来るというので頼んでおいたのだ。
「わあ、すごい、なに? なに、船?」
うちの精霊流しは藁船に盆飾りだとかお菓子や戒名を書いた紙を入れて川に浮かべて燃やす。これはじいさんが使うものよりずっと小さくて、ティッシュケースひとつぶんくらいの大きさだ。俺たちにちょうどいい。
「こいつが友達連れてくるから藁船をひとつ作ってくれって言うからさ。中に入れるもんはばあさんに聞いてみな」
「ありがとうございます。俺精霊流しって初めてなんです。毎年こうやって作るんですか?」
「おお。ここらじゃ生まれた時に作って赤ん坊を入れるんだ。昔はそれをそのままとっておいて、死んだ後の初盆に使ってたわ。今ははそこまではしないけど」
「海莉が生まれたとき入れてたの覚えてるよ俺」
「お前これに海莉を入れるの好きだったよな。海莉が歩きだしてからもよく入れてたよ。嫌がってるのに入れるもんだから海莉がぎゃんぎゃん泣いて啓吾が怒ってた」
口をあまり開かないじいさんの訛りと、窓を白く浮き上がらせる朝の光。俺の一番古い記憶でもじいさんは老人で、スケートパークの店番と畑を行き来する生活をずっと送っている。俺とユウくんはじいさんに礼を言って作業小屋を後にした。
ユウくんが犬の散歩をしてみたいというので俺はスケートボードを持って外に出た。母がついでに到来物のマスカットを伯母の家に持っていけというので請け負う。ユウくんの歩幅に合わせてゆっくり地面をプッシュして進んだ。
夏の午前は澄んだ匂いがする。草いきれ、熱されてゆくアスファルトや木材、濃く茂った木々、それらを溶かして冷やしたみたいな匂いだ。
川沿いの伯母さんの家まで堤防の上をいく。俺たち以外に人影はなかった。
眼下の家では塀かららブーゲンビリアがこぼれている。まだみずみずしいオレンジ色の花が砂利に積っていて、もったいないとも贅沢とも感じる。タチアオイの花が色あせ始めるかたわらでムクゲの木が控えめな花をいくつも開かせている。たくさんのものが次から次へと実ってはこぼれ落ちていく。
「なんか、いいね」
ユウくんが目を細める。
「スケートリンク作ってさ。こういうきれいな場所でずっと子どもたちに囲まれて毎日スケートだけできたら幸せだな。アヅも山向こうとかにいてさ、スノボしてるの」
ユウくんが時々口にする、泡みたいな夢の話が俺は好きだ。本当に叶える気があろうがなかろうが、言葉で幸せを作ることは無罪で無垢な遊びにすぎない。それを下らないなんていう奴は親愛を知らない奴だ。
「…もしその場所からスキー場が遠かったら、隣にスケートパーク作ってスケートしてるわ、俺」
ユウくんは目を糸みたいにして笑った。フレンチブルドッグのマルは鳴きも止まりもせずひたすら進んでゆく。
ユウくんは50代のマダムを骨抜きにする何かを持っているらしく、玄関先での挨拶ですませる予定が5分後には俺たちはおばさんちの居間でスイカを食べていた。
家に帰って今度はひやむぎを食べて、昼寝から起きても空はまだ抜けるように青かった。大質量の夏が空から溢れ出してまちを満たしている。俺たちは閉鎖したスケートパークで夕暮れまで遊んだ。
SUVにユウくんを乗せて浜へ向かう。右の頬にくすぐったさを感じて視線だけをユウくんに向けた。
「なに」
「アヅが運転してるのがかっこよすぎるのでしっかり見ておく必要があるんです」
「ユウくんは免許とんないの?」
「あった方が便利なのはわかってるんだけど、教習所に通うのがめんどくさい」
「オフシーズンにとりあえずあっちでとればいいじゃん。俺免許とってわかったけど、インドアな人ほどいいよ車。電車とかバスと違ってひとりで移動できるから」
ユウくんは煮え切らない表情を浮かべている。これはあやふやにされるパターンだ。
「日本にいるときは俺が運転するからいいけど」
ものごとを煙に巻く時の曖昧な笑顔が霧散して、ユウくんがふにゃっと笑った。
3
午後5時の黄色い光に照らされた浜にはもう人が集まっていて、俺は見知った顔に挨拶をしながらユウくんを誘った。
波止場にはいくつか小舟が寄せられてる。船の主に藁船を託して、遠浅の沖で流してもらう。丸山のじいさんを見つけて声をかけた。
「おめえのとこのじいさんは?」
「多分もうすぐ来る。俺今年、じいさんとは別にご精霊流したいか��頼むわ」
船賃(とここらでは呼ぶ)を差し出すと、丸山のじいさんは俺に両手を合わせてから恭しく受け取った。赤黒い漁師の手は、うちのじいさんの手ともまた違う。潮と陽光を浴びてひび割れてはまた皮膚を張る、そんなことを繰り返してできあがるやわらかな鉄みたいな手。
「あと30分くらいで始まるから、それまでに持ってこお」
ユウくんと一緒に人だかりから逸れて、デイパックを下ろした。藁船の中におにぎりと盆菓子、提灯を入れた。
「ねえアヅ、おにぎりは何で?」
「あの世までの道中で腹減った時用じゃない? あ」
半紙を片手に俺は間抜けな声を出した。
「なに」
「戒名を書いた紙入れるんだけど、うちの曾祖父さんと曾祖母さんのはじいさんが毎年入れてるから今年もふつうにそうすると思うんだよね。てことは俺らは誰の名前を書きゃいいの?」
「え、ここにきてそれ?」
「一応戒名はメモってきたけど、ふつうに考えたら曾祖父さんと曾祖母さんの帰りの船二艘できちゃう」
「うちの大叔母さんなら去年亡くなったけど」
「いやこれお盆で帰省した人を見送る船でしょ、大叔母さん、北陸から送り出されても困るっしょ」
「むしろ東北と北陸で2艘あっていいんじゃない? ないよりマシじゃん。乗り心地いいほう選んでもらって」
「大丈夫? バチ当たんない?」
世界選手権でメダルをとっていようがなんだろうが、世界で一番スノボとスケートが上手くても、小さな藁船を前に俺たちは無力である。祟りを恐れるガキふたりは途方にくれた。 途端に周囲の音が大きく聞こえる。周りは先祖を弔うために集まっているのに、俺たちはここにきて弔う先祖を探している体たらくだ。
ユウくんが唇を引きむすぶ。
「アヅ、海の神様は俺らが多少バカでも許してくれると思うの」
「海の女神が50代マダムだったらユウくんが何しても許してくれるだろうね」
「真剣にきいて。藁船も小さいし、ここは初心者として清らかな心で勝負しよう」
「うん?」
「弔いたいことを流そうよ」
「例えば?」
「地球上で亡くなった人とか。個人個人は弔う人がいるだろうけど、それを大きい単位で捉えるんだよ。これはご先祖を敬う儀式でしょ? 直接血が繋がってなくたって縁があればいいんだよ。同じ地球に同じ時間生きていたってだけで、その人と俺たちは縁があるよ。その人が育てた小麦でつくったパンを食べたかも知れないし、その人が組み立てた部品が俺たちのスマホに使われてるかも知れない」
ユウくんは目に力を込めて、ゆっくりと力を込めて俺に語りかける。人の話が大きくなればなるほどおかしみを感じてしまうのは、俺自身のものさしが小さいからだろうか。茶化せないくらい真剣なその眼差しに稚拙さを超えて敬愛を感じてしまう。ユウくんのものさしは恥ずかしげもなくそんなことを言えてしまうくらいきっと大きいのだ、たぶん。
「ユウくんの言いたいこと、わかった。ただ俺、ものさし小さいから自分に直接起こったことしか気持ちを入れられない。だけどちゃんと弔いたいこと入れるよ。あっちの世界に帰る人たちに混じって送り出したいこと、思い出した」
夕暮れの真っ赤な光は炎みたいで、世界が遠く近く揺らぎ、全てが陽炎に見える。ユウくんと俺はそれぞれ短冊みたいな紙に弔うなにがしかを書き込んだ。半紙で包みお供え物の傍に添えると、見慣れた船のかたちができた。
丸山のじいさんに藁船を渡して、俺はユウくんを連れて防波堤に上がる。
ユウくんの故郷ではいつかの春にたくさんの人たちが亡くなっている。彼は公の場でそのことを事あるごとに口にするけれど、俺が彼から直接そのことについて聞いたことは、なかった。
灯を灯した小舟が、赤い軌跡を残して夜の海を滑っていく。毎年ぼんやり見ていたこの景色がこの土地にしかないことを俺は最近知った。東京には東京の、サンクレメンテにはサンクレメンテの、このM浜にはM浜の夏の終わりがある。甘い潮の香り。
港湾防波堤の外に出た船が集まり、精霊流しが始まる。火を灯された藁船がひとつ、ふたつ、と海に放たれる。頼りなく波にたゆたいながら炎を上げる姿は近いようで遠く、炎はそれ自身が意思を持って登っていくように見えた。
「ここに来てから、オリジンとナショナリティーについてずっと考えてたの」
コンクリに直に座り、一緒に沖を眺めていたユウくんが視線を動かさずに話し始める。
「出身と、国籍。カナダって移民がすごく多いの。アフリカ系とかロシア系とかたくさんいるけど、国籍はカナダっていう人。出身地と国籍が一致してない人が多いから、何人って意識がないままただ身近にいる人と仲良くなるんだよね。何人ですか、ってもあまり聞かないしね」
それはアメリカでも感じる。俺らもああはいはいアジア人ね、でよくひとくくりにされている。
「そんな中でいてさ、俺カナダにいると自分は異邦人だって自覚があって、でも俺は出身も国籍も同じな日本っていう場所があるから、まあいいやって思ってたの。それがアイデンティティーなのかなとも思ってた。でもここに来てから外国感があったの。すごく越境してる感じがした、体ごと」
越境、という言葉をユウくんは苦しそうにもう一度繰り返した。
昼間、ここでスケートを教えたいと話していたときもそれを感じていたのだろうか。
「みんなすごく親切だしすごく綺麗で気に入ったの、俺。この街を。なのにここを外国に感じちゃってすごくショックだった。でも、この景色を見たらなんか体が内側から膨らむ感じ。心がふくふくする。死んだ人をこうやってまた送り返すんだって、何が見えたり聞こえたりしてるわけじゃないのに理屈抜きですごいわかる。こういう感覚が共有できるなら、越境してたっていいのかなって。考えてたのがばかばかしくなった。
馴染まないから寂しいってわけじゃないんだなって。…伝わるかな」
きっと姿が似ているゆえにユウくんは疎外感を覚えたのだろう。靴脱ぎのある家で、畳の部屋で、黒い髪と瞳の人たちのなかで。似ている誰かといればいるほど、自分を知らされる。兄と、弟と、師匠のマチくんと、ユウくんと。
馴染まないから寂しいわけじゃない、俺はその言葉を反芻する。
ユウくんは俺の返事を催促せず、聞こえるか聞こえないかの音量でハミングを始めた。
その、子どもの頃にスキー場から帰る車の中で聴いたラジオみたいな遠くて甘い声が、懐かしくて親しくて、今俺のいる場所を自覚させた。
手が届かない広い空と黒い海、そして立ち上る送り火。恋人を隣に置いて、夏の終わりを見送る。ただここにいる。そんな気持ちが体の奥から湧き出てくる。
ユウくんが自然な動作で俺の手を握った。着信ランプが点滅するスマホをスワイプする、くらいの何気なさで。確かにそのことを覚えている。
そのとき、海に向かって座っている俺たちのうしろのほうから濃くてざわついた空気が突風になって襲ってきた。俺はそういう風にしか感じなかった。
魅惑的で禍々しくて、一度身を任せたらもう永遠にここには帰れないのにそこに加わりたくなる、そんな恐ろしい甘さに体の芯が震え上がり、俺は反射的にユウくんの手を強く握り返した。
ユウくんのハミングは止まらずまるで目に見えるように夜を縫って、鳥みたいに奔放に立ち上っていく。かすれて、甘く、でも震えを秘めていた。そのままユウくんがほぐすように俺の手をほどいた。
そして歌が終わる。俺は呆然とユウくんの横顔を見た。
静けさがやってきた。恐ろしい静けさで、それはユウくんの歌が消えた外側だけの世界じゃなくて、俺の内側も空っぽになっている。
「ねえ、アヅもわかるでしょ」
「何、今の」
「多分今のって、この土地で生まれてこの土地のものを食べて、この土地に守られてないと感じないんだよ。ああ俺たちはここの子どもなんだなって思った。あ、この土地って日本ね。もしかしたら日本全部じゃないかもだけど、まあS市とM市は入ってるよね。俺とアヅが感じるんだから」
「答えになってない」
「だって俺もわかんないもの。俺がたくさんの人を送ろうとしたのがよくなかったのかなって思うけど…そういえばアヅは何を送ったの?」
ひと際大きな炎が上がる。精霊流しの最後を飾る、神社が出す大きな船だ。風向きが変わったのか、こちらにも藁の燃える香りが漂ってくる。
「…俺は人じゃないよ、友達の、気持ちっていうか、恋」
ユウくんが小首を傾げる。
「田坂くん。寮で部屋の。失恋したの、この間。悲しい気持ちが悪いものにならないといいなと思って、向こうに帰る人たちに悲しい気持ちだけ一緒に持ってってもらおうと思って…笑わないでよ」
「笑わないよ。その発想はなかったわ。アヅは優しいね」
最後の船が朽ちていく。もう一度ユウくんの手に触れてみた。
「友達ができたんだね」
ぬるい体温だけがあって、もう何も起きなかった。
4
どの夏も等しく終わる。ユウくんはトロントに、俺は東京に帰って秋を迎えた。初秋の闇は暗いみずみずしさをたたえ、吸う空気の中にも夢のようなまろやかな香りをたくさん含んでいる。
田坂くんの報告は、忘れた頃にあっさりやってきた。
「ユマちゃんと別れた」
その目は明るかった。以前のように答えを探してさまよったりしない、子どもの目ではなくなっていた。綿飴みたいな想念をまとっていた雰囲気は消えて、余計なものがそぎ落とされたようだ。眩しいものを見るような気すらした。
「うん」
「北野がいなかったら付き合えてなかったから、言っておこうと思って、ありがとな」
田坂くんは帰ってくるなりそれだけ言って、机に向かってノートを開いた。
「あー…それと」
しばらくその背中を眺めていたら、田坂くんが向き直った。
「俺もなんか、相談とか、できることあったら、するから」
狭い部屋は再びシャープペンシルがノートを走る音だけに満たされる。
田坂くんが食堂に行ったあと、俺はユウくんに電話をしてみた。出なかった。満腹になったみたいな多幸感に満たされてベッドに転がる。
初夏の俺と秋のこの俺は何も変わっていない。俺の問題は何も解決していない。スノーボードをやればやるほど天才との違いを知らされる。俺がどんなに巧くなってもマチくんやケヴィンの方が圧倒的にかっこよくて、ずっと一緒にやっていたユウスケはどんどん映像の世界で認められていく。皆がトンネルから出て行き、その逆光の後ろ姿だけが目に焼き付いている。永遠にあっち側にはいけないことを知るほどに足元が崩れていく。褒められれば褒められるだけ、メディアで辛い苦しい話をしたり着飾った写真を撮られるだけどんどん自分自身が分割されて柔らかな部分が散り散りになっていく。でも。
傷んだり、惨めに晒されても、歩みがどれほど徒労でも、そこに重要な意思決定ができたなら。自分で始めて自分で終えることができるなら。
枕元の携帯が震えた。ディスプレイにユウくんの名前を認める。
けれど干からびて老衰して死なない。始まりの終わりを求めて、俺は画面をスワイプした。トロントは早朝だ。
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一年前日記33 (2020年8月12日~8月18日)
8月12日 お肉を食べたからかなんだか元気。朝、昨日もらった野菜を整理する。トマトがたくさんあったので、なかしましほさんが呟いていたレシピでケチャップにした。昨日お義母さんがくれたケーキを朝ご飯がわりに食べた。お昼はオムライス、ゴーヤと海苔のお吸い物。図書館に本を返しに行って読みきれなかった本は借り直した。ホームセンターでレジカゴっぽいカゴを探す。カインズにはなくて、コーナンにも少ししかなった。よく売れてるみたい。茶色のにする。これでレジの人のカゴ詰めテクニックを余すことなく享受できるはずだ。夜ご飯は、冷凍焼き餃子、焼きなすと豆のサラダ、豚汁。YouTubeを見ながら少し運動して寝る。
8月13日 夢にMさんが出できた。この間会ったとき何かエネルギーがすごかったからそれを感じ取ったのかもしれない。夢の内容は覚えていないが幸せそうだった。2人とも今日は友人とご飯の日。夫は11時半に待ち合わせで昼飲みらしい。私は夕方。車で夫を送ってから、洗濯、野菜仕事、少し本も読んだ。電車で三宮に出て、阪急の赤福で朔日餅の予約をした。少し先の楽しみがあるのが今は特に大切に感じる。私の前に並んでいる人も朔日餅だった。少し時間があったのでカフェに入って読書。約束の時間になったのでお店へ。一人火鍋を食べながらいろいろ話す。2時間ぐらい話していたがあっという間だった。Nちゃんは出会ってから、様々環境を変えながらチャレンジを続けていっていてすごいなあと思う。いろいろ勝手に話したけれど、私の枠でのことなのでもっとダイナミックに未来が見えているのかもしれないなとちょっと思った。もっともっと色々聞いてみたかったけど、解散。楽しかったー。次はいつ会えるだろう。
8月14 日 お墓参りという名のドライブに行く。夫側のお墓に行くのは初めて。途中で私方のお墓も通りがかったので寄る。親と一緒じゃなかったのは初めてだったので、お墓の中をうろうろしたが何とか見つけられた。夫の方も場所を覚えておらず炎天下の中をうろうろ。汗かいた。自分が入る予定の墓を見るのは不思議な感じがした。お昼は行きしにチェックしていた薬草園へ。お手頃価格でとっても美味しかった。何となくお料理上手な近所のお母さんが作ってるのかなと思ったが、厨房からは男性の声がした。和やかで風通しの良さそうな感じ。薬草風呂にも入れる施設で、今日は汗でベタベタで着替えもなかったので入る気がしなかったが次回は入ってみたい。良いところを見つけた。帰りは少し運転を交替したものの、眠くなってきたので脱落。帰ってからたっぷり昼寝。晩ご飯は、朝Twitterで見た氷ピーマン、トマト、ソーセージ、ぬか漬け。
8月15日 朝起きられず。生野菜を食べすぎたか、あまりお腹は空いてないような気もしていたが、動いたら空いてきたので朝はサンドイッチ、昼はたらこスパゲティを作って食べた。午前中は、ロームシアターでやっている人形劇コンサートが配信されていたのを見た。ロームシアターは京都会館。昔、吹奏楽のコンクールで演奏したことがある思い出の場所でもある。人形劇もかわいくて、コンサートも楽しくてとてもよかった。ちびっ子のいる友達にお知らせしていたら、反応があったりもして嬉しかった。お昼からは本を読みながら、ちょこちょことさぼっていた掃除をする。夜ご飯は夫が担当。鶏肉と豆腐の炊き込みご飯、漬物、いんげんのごま和え、みょうがとトマトの味噌汁。炊き込みご飯、二合と2カップを間違えていて少しベチャっとしていたが、美味しかった。夫はちゃんと分量を守って作るのでちゃんと美味しい。
8月16日 夫はやっと事故の痛みが引いてきたらしい。しかしお休みはおしまいだ。午後から実家に二人で行く約束をしていたので、午前中に掃除などする。ケチャップを持って行こうと思い立って仕込む。換気扇も洗ってしまった。夏は汚れが浮いていてさくっと掃除しやすい。お昼ご飯を食べながら、ヨーロッパ企画の生配信劇を見る。今回は銭湯から。ヨーロッパ企画自体が、現代の隙間に住む妖怪か妖精みたいだなと思う。ケーキを買って実家に向かう。墓参りに行ってきたことなど伝えると喜んでいた様子。母は昔の、結婚する前の話なんかを昨日のことのようによく話していた。うちが平家だった頃の写真を見せたいと言ってアルバムを開く。自分の中学の頃の写真を見ると実につまらなさそうだった。それに比べると今は毎日楽しいな。母は豆を持たせてくれた。お直しを頼んでいた服を取りに、帰りにショッピングセンターに寄る。晩ご飯は広島焼きにしようと、向かう途中で電話で予約をしておいた。服を取りに行き、足りない食料品を買って、広島焼きを取りに行って、スムーズに終了。帰ってすぐにお風呂に入り、MIU404を見ながら食べた。男の人のドラマなのかもしれないなと夫を見ていて思った。
8月17日 朝、近所を散歩する。朝のうちに少し汗をかいておく方が調子がいい気がして。近くの中学校からは始業式の声。生徒会長さんだろうか、「臨機応変に、全力を尽くしましょう」と話していた。こんなときに、全力なんて尽くさなくていいよ。適当にとも思うけれど、学生の時の一年を今の自分の一年と比べることなどできないか。もし今自分が学生だったら、どんなふうに感じていたんだろうな。帰ってからは、俳句を投句して、病院の予約をして、断捨離の番組を見ながら片付けをした。あの番組は心にぐっとくるものがある。やましたひでこさんはすごいな。瞬時に本質に切り込むんだけど、決して相手をムッとさせないのがすごいと思う。夫は3時前に出勤した。来週は通常勤務らしい。inbodyが測りたくて体育館に行ったが、休館日だった。ってこれ、二週間前にも同じことをやっている。脳が固まってきている感じがするので久しぶりにフェルデンクライスメソッドをやりたい。夜は、なすの煮物と味噌汁。無人駅で降りてご飯屋さんを探す番組とクイズの番組をずっと見続けてしまった。見たからってどうってことないのに、何か途中でやめられない。
8月18日 仕事の日。午前中、郵便局に行く。事前に電話していたが、その人とは別の人が対応してくれた。とてもきっちり丁寧。日本ってすごいなと思うけど、何をするにしても時間がかかるな。帰りに歯医者に寄る。やっぱり、押しの強い衛生士さんが苦手。というか技術が今ひとつな気がする。何なんだろう、めっちゃベテラン感あるのに実は新人さんなんだろうか。顔に飛沫がかなり飛び、かなりムカついたので、不機嫌になったが、もっとちゃんと意思表明するべきだったか。少し落ち込む。夜ご飯は、むね肉とピーマンのケチャップ炒め。疲れてフライパンのまま置いていたら、帰ってきた夫が洗ってくれていた。これはフライパンが傷むのが嫌だからだ。道具を大切にする男。
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