#歌い手厨と繋がりたい
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皆様ごきげんよう、またまた私です。
はい、そうです祈織です。🖋🌓
今回からメンバーブログというものを始めることになりまして、やはり1番手はお前だろうということでこうして記事を書いている訳であります。
メンバーブログというのはそれぞれメンバーが自分のことや考えたことをテーマに沿って自由に更新していくものとなっております。
更新は不定期となりますが、皆様の暇な時にでも楽しんでいただけたらなと思っております。
テーマはその都度皆と話し合って決めていくのですが、今回は初回ということもありまして
⒈自己紹介・好きな物
⒉主催祈織との馴れ初め(主催はメンバーのことでも語ってろ)
こんなラインナップとなっております。
……いやその2番目のやつ何??と私も思うのですが…
何故か皆がノリノリであるが故に…ご了承くださいませ(?)
では早速自己紹介から始めていきましょう。
名は祈織(きおり)、由来は私がキリスト教系の高等学校へ好奇心で入学したことからはじまります。
まあそのうち語るかもしれないので今回は割愛しましょう。
小さい頃から本が好きで…と言っても読む量はたかが知れていますが…
小学校3~4年生の時に図書館の伝記を読み尽くし(今となっては何も内容を覚えていない)、何か暇だなと思ってファンタジー小説を読み始めてから、脳内ファンタジーや厨二病(?)を患うようになります。
陰キャだし友達居ないし…ってことで、グラウンドに出て健康的に遊べと圧をかけてくる小学校教師に聞き分けのいい子供の演技をしながら教室を出て、そして図書館に入り浸る…そんな人を欺く術を取得しつつある子供時代です。
私が思う子供時代はこんな感じですが、はるたんに聞くとどうやらそうでもないらしく。
彼女が私との馴れ初めを語る回を楽しみにしている自分がいます。
創作を始めるようになったのは中学生の時で、その時からはるたん含め当時のいつめんと言う名の身内の間で創作が大ブーム。
皆で交換小説を書いたりイラストを書いたり(私は描けない)、私は曲を作ってみたりと楽しい日々を過ごしていました。
当時ボーカロイドが流行っていた関係もあり、そうか…!一般人でも曲って作っていいんだ…!(それはそうだろう)といたく感動した私ですが、そうして始めた曲作りは大した機材もないのでピアノでリズムを作って五線譜に書き殴って無料ソフトに暗号化して打ち込んで…みたいな感じです。どこに出す訳でも無く完全に自己満足の世界でしたね。私のクソ雑魚ピアノスキルでは弾けないような曲を演奏させてニコニコするだけの遊びです。
ピアノに関しては幼稚園からやっているというのに一向に成長しません。練習も���きてしまいますし。
自分ってもしかして才能ある…?と気づいたのは小学生高学年から管楽器と出会ってからです。私の担当はアルトサックスでしたが、学校の楽器に『華子』と名付けて可愛がるまでになります。
どんな時間も楽器触りたい!と思っていました。
今振り返ってみても吹奏楽部時代はもう一度やりたいと思えます。それくらい楽しかったです。
百合が好きになったのは高校時代の環境と見ていたアニメ等の影響だったかと思います。
男女間の仲が悪いクラスで、男子との関係で何度も病んでゆく友達を見て絶対同性同士で過ごした方が平和なのに…などと言うある意味若さともとれる穿った考え方で視聴したアニメ作品はどれもキラキラして見えたものです。
今となっては人が人を想う気持ちはどれも尊いでしょうけれど、女の子が複数人いて互いに抱くどんな感情も何にも代えがたい尊さを持つ唯一無二のものであるなぁという気持ちです。
百合万歳。
最近好きなものは各国の神話や美術、科学など所謂マニアックなものばかりで、中々今は商業百合作品を楽しむところまで時間の関係でも行けておりません。
根が考察ヲタクなので考えることができるコンテンツに沼りがちですね。
例えば某夢の国。普通に行っても楽しいのですがやれあの山の柱状節理が気になるだの、あの島の発電システムが気になるだの、歴史的背景を踏まえた備品の数々、そしてその関係性。
それらを見に行くために年パスを買って一人で行くなどしたこともありましたね。
ショーやパレードも素晴らしく、演者の演技力を堪能し、いつしか写真に残しておきたくなった私はここでカメラを始める訳です。
勢いで一眼レフを購入し、誰に教えられる訳でも無く勘とフィーリングとノリで弄り倒す私ですが最初の写真の酷いこと酷いこと。それでもあの時は綺麗に撮れた!なんて喜んでおりました。
音楽やカメラで分かったことですが、努力することを苦だと思った時点で成長は見込めないのだなぁなどと思う訳であります。楽しいと思うことは才能であると、そんな気がしますね。
楽しいから私は本の世界でファンタジー脳や厨二病を拗らせるし、一人で美術館に行くし、神話や神社の御祭神を調べてはニヤニヤするし、一人で某夢の国行って一日中遊んで帰ってくるし、一人でカラオケ行くし、曲だって作るわけです。
こんな感じで人からよくズレてるだの癖が強いだのと言われる主催ですが、次のテーマである主催からみた���ンバーのことにでも触れてみようかと思います。
まずは柘榴。☕️🍎
第一印象は何この美少女。です。
最近気づきましたが私実はメガネフェチだったらしく、彼女と初めて会った時にしていた縁の太いあのメガネが忘れられません(?)。
後から聞いたら花粉症でコンタクト入れられなかったってだけだったそうです。おお神よ…。
あと柘榴は某夢の国での私の考察(奇行)に付き合ってくれた1人でもあります。
好きになるものは大体同じで、カフェ巡りしたりバレエ見に行ったり一緒にロリィタ服買ったりお揃いのアクセ買いまくったりと色んなところに行ったなあ…。運命共同体ですし。
そんな彼女が最近めざましい成長を遂げているのがアクセサリー作り。撮影で使うロザリオとブローチを短期間で全員分自作したのはこいつです。なんつー集中力だ…。
店でもやるんか?って位のクオリティまで持ってきて頂いてただただ感謝。引き続きグッズ制作の程宜しくお願いします。
柘榴が心血を注ぎ作った小物…そのうち特集してもいいかもしれませんね。
次ははるたん。🫧🐑
第一印象?ンなもん忘却の彼方です。
彼女とは幼稚園からの仲ですし最古の記憶を辿っても何も思い出せません。気づいたら隣にいたタイプの人です(?)。
でもはるたんは私よりも過去の記憶があるらしいです。ごめんて。
とりあえず昔から彼女の言葉選びや画力には目を見張るものがありましたし、性格も良いし、可愛いし。
人を絶対攻撃しないタイプです。 その代わりめちゃくちゃ抱え込んで我慢するけど。口堅いし。
あとめちゃくちゃ私を褒めてくれるので好き。
なんで?君の方が凄いよ才能あるよ天才だよ!!…という言い争いが日常的に巻き起こります。これが愛と平和。
心が荒んだ時ははるたんを見ましょう。きっと貴方を癒してくれるはず。全人類のラッキーアイテムははるたんの短歌。はるたんのTwitterにて掲載中。是非待ち受けにしましょう。
次はいーちゃん。🎪🍫
彼女とは柘榴経由で知り合った子です。
まだ知り合って日が浅いというのに大分濃い絡みしてる気がする。当社比。
彼女は思慮深く、頭が良いという印象。あとかわいい。
この前とある企画展に2人で遊びに行ってきたのですが、その対象の歴史を完璧に予習してきていてめちゃくちゃビックリした思い出。
どうやら歴史や民俗学に興味があるらしく、神話の情報極振りの私とは違って非常にバランスが良いです。
考察���捗ります。感謝。
私服もめちゃくちゃ可愛くて…というか私の好みすぎて、大体いーちゃんとの待ち合わせで私の第一声は「かわいいいいい( ´ཫ`)」です。
あとはセルフプロデュース能力が高いです。
今後小説のキャラクターのビジュアルを公開する予定ですが、その全てが天才的。確実に作りこんで、仕上げてくる…しかも創作未経験で。是非そのキャラデザも皆様に見ていただきたい所。お陰様で私とはるたんの推しは彼女の担当キャラクターです。何卒我らが推しを宜しくお願いいたします。
次はみけ。🍓🎀
みけとは最初某夢の国ヲタクと言う点で仲良くし始めた子でしたね。
ハキハキしていてコミュニケーション能力が高め。
知らない人とでも臆せず話せちゃうって才能だよな…とか思います。でも別にグイグイ来るような不快感は一切ない。
きっと他人を思いやる姿勢が初期装備であるんだろうなぁなんて思います。あと顔が良い。
今後いくつ作品を作ろうとも彼女を主人公に当てたくなる…!そんな感じです。
そして私との距離が一気に縮まったのはお互い百合ヲタクだということに気づいた時。
お互いになんでそんな話題になったんだっけ???となってる訳ですがこれはもう導きということで。
鬼スケジュールをこなしてる大人気コスプレイヤーさんなので遊べる機会は今となってはあまり無いですが、一緒に創作しよ!と言ったら快く乗ってくれました。感謝。
顔も可愛くて声も可愛くてイラストも可愛い彼女のTwitterは必見です。全員フォローせよ。無料で幸せになれます。
次はゆーやさん。🥀🦋
出会ったきっかけは確かTwitterのロリィタさんと繋がりたいタグとかその辺だった気がする…。
…え?そうですよね?(急に不安になるやつ)
私がゴス会に憧れを抱いていることを知りわざわざゴス会を開催してくれたという聖人。
いいんですか?そんな、わざわざ主催してくれるなんて…!!と言った私に「いいんですよー、その代わり祈織さんが何か主催してくれた折には私も参加させてもらえれば」と言ってくれたゆーやさんが私が作った百合創作サークルに参加してくださっているのはなんの因果なのか。
…って���うかこれで合ってる?
そうして数年越しに再会したきっかけがこのサークルという私にとってなんとも運命的な方です。あと顔がいい。
センスが良くて気遣いもカメラの腕も一流なので創作でめちゃくちゃ助けられています。感謝。
撮影時のメインカメラはほとんどゆーやさんがされていますのでご覧いただけたらプロの所業が分かっていただけることかと思います。Twitterの投稿写真や今後公開するHPの素材として使っているので是非見てください。一瞬だけでも!お願い!
次はゆう。🌕🦊
ゆうは百合好きという共��点から知り合った子ですね。
百合を表現する、という点であの時はよく2人で撮影したり企画話し合ったりしましたね。
これがやりたい!という要望を沢山出してくれるし、レスポンスも爆速で返してくれるのでめちゃくちゃやりやすかった印象。
そんなゆうですが、本人談では本来重度の人見知りらしく。
初対面で一日中遊んだっていうこともあり私は全然そんなこと感じなかったですね。
そして顔が良い。彼女の撮影時の表情が好きなんですよね、あの時は専ら私がカメラマンでしたから。
特に憂いを帯びた表情が破壊力強めです。今ここに公開してやりたいくらいです。
今後の撮影に乞うご期待です。暫しお待ちを。
最後にゆしあさん。
彼女は唯一会ったことがないメンバーです。
メンバーブログ等SNSの発信は今の所やる予定がありませんが、一応私目線だけは綴っておきましょう。
会ったことはないですが、きっと誰よりも私の性格や本質を把握していることだろうと思います。
なぜなら人生や価値観について彼女と電話で語っていたらいつの間にかオールしてたみたいな事を何回も繰り返しているからです。
こんな深い話人としないでしょうよって事を長時間話しているのです。いや、そりゃぁお互いに把握してしまいます。
しかも楽しくて時間が経ってる、みたいな体感なので余計に私の中で唯一無二の存在ですね。
私は早寝の民なので途中寝落ちて復活してを繰り返していますが…彼女はずっと変わらぬクオリティでお話してくれます。いつか勝ちたい。
性格は明るくて話しやすくて。あとすっごく真面目。
私の身に起きた嫌な思い出に自分の事のように怒ってくれる優しい人でもあります。
そして博識。彼女自身の環境的な側面もあるでしょうが、彼女の体験談や知識は非常に興味深いです。
彼女の知識は創作、シナリオの面でかなり活躍してくれています。感謝。
彼女のおかげで小説の世界観はかなり深みのあるものとなったのではないでしょうか。
小説に乞うご期待、ですね。私も頑張る。(白目)
さてさて、私はここまでで一体何字書いたのか…字書きとしては気になり始めるレベルまできていますね。
ここまで長くするつもりは無く、軽い気持ちで読めるブログを目指すはずだったのですが……はて。
ここまで読んだ人は居るのでしょうか…。
もし居るのならばスクロールしたその手は腱鞘炎にでもなっていることでしょう。
ありがとうございます。お疲れ様です。
今日は湿布でも貼ってゆっくりと休んでください。
最初は 自分のこともメンバー全員分のことも書くんかい!と思いましたが、皆様に主催目線のメンバーのことを知っていただくいい機会になったのではと思います。
如何だったでしょうか?
他にも皆でこんなテーマを話して欲しい等希望がありましたらコメント欄でお聞かせいただければと思います。
次のメンバーブログの担当は柘榴☕️🍎です。
きっとここまでの長文にはならないでしょう。多分ね。
貴方のその手の腱鞘炎が治ったらまた遊びに来てください。
ではまた。
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各地句会報
花鳥誌 令和6年4月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年1月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
ドッグラン鼻と鼻とで交はす賀詞 荘吉 裸木のはるかを白く光る街 要 頰切るは鷹の翔つ風かもしれず 順子 人波をこぼれながらの初詣 光子 焼芋の煙たなびく志んぐうばし 和子 群衆といふ一塊の淑気歩す 順子 寒雀神馬と分かちあふ日差し 光子 寒雀入れ神苑の日のたまり 同 寒の水明治の杜のまま映す 小鳥
岡田順子選 特選句
跼り清正の井を初鏡 昌文 本殿につぶやく寒紅をつけて 光子 楪の浴ぶる日我にゆづらるる 慶月 肺胞に沁み込んでゆく淑気かな 緋路 冬草や喧騒去りて井戸残し 眞理子 馬見えぬ乗馬倶楽部の六日かな 六甲 寒鯉来おのれの色の水を分け 緋路 寒椿落つれば湧くや清正井 眞理子 寒の水明治の杜のまま映す 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
一束もいらぬ楪もて遊ぶ 成子 深井より羅漢に供ふ冬の水 かおり 赤なまこ横目に買ひし青なまこ 久美子 畳みたるセーターの上に置くクルス かおり 再会のドアを開けばちやんちやんこ 朝子 半泣きのやうに崩るる雪兎 成子 火を見つめ男無口に薬喰 かおり 歳晩の一灯母を照らすため 朝子 悴みて蛇となる能の女かな 睦子 その中の手話の佳人やクリスマス 孝子 悪童に悲鳴をはなつ霜柱 睦子 凍空とおんなじ色のビルに棲み かおり かくも典雅に何某の裘 美穂 唐突に雪投げ合ひし下校の子 成子 楪や昔硝子の磨かれて かおり 奥伝の稽古御浚ひする霜夜 愛 出会ひ重ね寿限無寿限無と年惜む 美穂 冬灯一戸に遠き一戸あり 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
流れ来し葉屑も霜を置いてをり 昭子 御慶述ぶ老いも若きも晴れやかに みす枝 初春の光りまとひし石仏 ただし 神なびの雨光り落つ氷柱かな 時江 地震の中産声高き初笑ひ ただし 歌留多とり一瞬小町宙に舞ふ みす枝 まだ誰も踏まぬ雪道新聞来 ただし 奥の間に柿餅吊し賑はへり 時江 さびしさの枯野どこまで七尾線 昭子 万象の音の鎮もり除夜の鐘 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月9日 萩花鳥句会
初句会吾娘よりホ句のファクシミリ 祐子 書き初め震何んぞ訳あり辰に雨 健雄 吹雪突き突進するエネルギー 俊文 日本の平安祈る今朝の春 ゆかり こがらしが枯葉ころがしからからと 恒雄 平穏な土地にて食べる七草粥 吉之 御降や茶筅ふる音釜の音 美惠子
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令和5年1月10日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
被災地にすがりし木の芽盛んなる 世詩明 的中の乾いた響き弓始 誠 初場所の桟敷の席の晴れ着かな 同 初御空耶馬台国は何処にぞ 同 石段を袖振り上がる春著の子 同 細雪番傘粋に下駄姿 幸只
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月11日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
年上の夫に引かるる初詣 喜代子 地震起こり慌てふためく大旦 由季子 曇り拭き笑顔映りし初鏡 さとみ 地震の地にぢりぢり追る雪女 都 冴ゆる夜の天井の節をまじまじと 同 男衆が重き木戸引き蔵開き 同 寒月や剣となりて湾の上 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
海鳴や雪の砂丘は祈りめく 都 初電話卒���は珠のごと笑ひ 同 針始友が未完のキルト刺す 同 授かりし神の詞や竜の玉 悦子 蜑に嫁し海山詠みて老いの春 すみ子 焚上げの火の粉加勢や冬銀河 宇太郎 古傷を思ひ出させて寒四郎 美智子 枯葦の透き間に光る水一途 佐代子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月12日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
寒の雨誦経とよもす陽子墓碑 文英 寒林を上り来よとて母の塔 千種 顔消えし元禄仏へ寒菊を 慶月 道祖神寄り添ふ寒の雨うけて 慶月 就中陽子の墓所の蕗の薹 幸風 裸婦像の背にたばしる寒の雨 同
栗林圭魚選 特選句
信州へ向かふ列車の二日かな 白陶 寒林を上り来よとて母の塔 千種 晴天の初富士を背に山降る 白陶 大寺の太き三椏花ざかり 幸風 空までも続く磴なり梅探る 久 はればれと良き顔ばかり初句会 三無 就中陽子の墓所の蕗の薹 幸風 五姉妹の炬燵の会議家処分 ���彦 走らざる枯野の車両咆哮す 千種 凍蝶のポロリと落つる影哀れ れい 三椏の開花明日かと石の門 文英
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月13日 枡形句会(一月十三日) 栗林圭魚選 特選句
嗽ぐをどる喉越し寒の水 幸風 七福神ちらしの地図で詣でをり 多美女 七福神詣りしあとのおたのしみ 白陶 凍て鶴の青空渡る一文字 幸子 金継ぎの碗に白湯汲む女正月 美枝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月15日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
曇天に寒紅梅や凜と咲く のりこ 寒梅のつぼみの枝の陽の仄か 貴薫 青空に白き寒梅なほ白く 史空 朝の日に紅色極め寒椿 廸子 我が机散らかり初めし二日かな 和魚 倒れ込む走者にやさし二日かな 三無 釦穴に梃摺る指や悴かみて あき子 夢てふ字半紙はみ出す二日かな 美貴 二日早主婦は忙しく厨事 怜 りんご飴手に兄妹日向ぼこ 秋尚 雪遊びかじかむ手の子包む母 ことこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月16日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
幼子の運を担いで福引へ 実加 寒空や命尊きこと思ひ みえこ ことわざを子が覚えをりかるた取り 裕子 元旦の母と他愛もない話 同 元旦や地震の避難を聞くことに みえこ 初詣車椅子の児絵馬見上ぐ 実加
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
古里に温石と言ふ忘れ物 雪 師の墓に愛子の墓に冬の蝶 清女 寒の月見透かされたり胸の内 眞喜栄 鴨浮寝無言の中にある絆 同 降る雪を魔物と今朝を天仰ぐ 英美子 藪入りも姑の一言行けぬまま 同 庭仕事今日冬帝の機嫌よき かづを 玻璃越に霏々と追はるる寒さかな 同 正月が地獄の底に能登地震 みす枝 雪しまき町の点滅信号機 ただし お御籤の白き花咲く初詣 嘉和 若狭より繋がる水脤やお水取 やす香 水仙の香りて細き身の主張 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
寒紅の濃き唇が囁きし 世詩明 お雑煮の丸と四角と三角と 同 正月の馳走其々ある謂れ 千加江 新年の風も言の葉も美しく 和子 磯の香も菰巻きにして野水仙 泰俊 捨て舟を取り巻くやうに初氷 同 左義長や炎崩れて闇深し 同 去年今年形見の時計よく動く 同 ふと今も其の時のマフラーの色 雪 天地に誰憚からぬ寝正月 同 迷惑を承知の猫に御慶かな 同 不器用も父似の一つ初鏡 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月17日 鯖江花鳥句会(一月十七日) 坊城俊樹選 特選句
而して九十三の初鏡 雪 蛇穴に入り人の世は姦しく 同 紅を差し眉ととのへて近松忌 同 懐手おばあちやん子を憚らず 同 鬼つ子と云はれて老いて近松忌 同 着膨れて顔ちさき女どち 一涓 歌かるた子の得て手札取らずおく 昭子 年新たとは若き日の言葉とも やす香 新年を地震に人生うばはれし 同 元旦を震はせる能登竜頭めく 同 裂帛の気合を入れて寒みそぎ みす枝 風の神火の神乱舞どんど焼き ただし 八代亜紀聞きをり外は虎落笛 清女 寒怒濤東尋坊に砕け散り 同 波の腹見せて越前浪の華 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月19日 さきたま花鳥句会
月冴えて城址うろつく武者の翳 月惑 仲見世を出て蝋梅の香に佇てり 八草 枯菊や木乃伊の群の青き影 裕章 寒鴉千木の反り立つ一の宮 紀花 合掌す金波銀波の初日の出 孝江 青空に白き一機や寒紅梅 ふゆ子 初詣令和生まれの児と犬と ふじ穂 白鼻緒水仙の庫裏にそろへあり 康子 激震の恐れ記すや初日記 恵美子 お焚き上げ煙を浴びて厄払ひ 彩香 我が干支の年につくづく初鏡 みのり 家篭りしてをり冬芽萌えてをり 良江
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令和5年12月1月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
師を越ゆる齢授かり初鏡 雪 初笑玉の如くに美しく 同 大晦の右大臣左大臣 同 猫の名は玉と答へて初笑 同 天が下縁深めゆく去年今年 数幸 能登の海揺るがし今日の空冴ゆる 和子 しろがねの波砕かれて冴え返り 笑子 語り継ぐ越前の秘話水仙花 同 雪降れば雪に従ふ越暮し 希子 皺の手にマニキュア今日は初句会 清女 初電話親子の黙を解きくれし 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
蟷螂を見て戻りたるだけのこと 雪 もて余す老に夜長と云ふ一つ 同 蟷螂の緑失せつゝ枯れんとす 同 小春日や袱紗の色は紫に 泰俊 正座して釜音聞くや十三夜 同 海沿ひにギターの調べ文化の日 千加江 枝折戸をぬけて紅さす返り花 笑子 祇王寺の悲恋の竹林小鳥来る 同 大胆な構図を取りし大銀杏 和子 宿の灯も消して無月の湖明り 匠 秋の海消えゆくものにますほ貝 天空 落葉降る賽の河原に降る如く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年12月 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
異ならず枯蟷螂も人老ゆも 雪 世の隅に蟷螂は枯れ人は老い 同 無造作に残菊と言ふ束ね様 同 冬ざれや汽車に乗る人何を見る 泰俊 石膏でかたまりし腕冬ざるる 和子 山眠る小動物も夢を見る 啓子 路地裏の染みたる暖簾おでん酒 笑子 冬ざれや路面電車の軋む音 希子 おでん屋の客の戯れ言聞き流し 同 風を背に連れておでんの客となり かづを にこにこと聞き役おでん屋の女将 同 冬紅葉地に華やぎを移したり 同 街師走見えざるものに背を押され 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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26/11/22
ザベストメニューオブ近所のタイ料理屋がTOM YUM FRIED RICE に決定しました。かなり辛&ちょい酸っぱの水分多めトムヤムソース炒飯で、具材はでっかいミドリイガイ(ムール貝の貝殻に綺麗な緑が混じっているような貝)×2、いか、マッシュルーム。£9.00だから円換算だとちょっとお高めだけど、他メニューよりもはるかにわたし好みの味だから明日も食べちゃうかも。旨辛な味付けによわい。
月曜日に突然英語の流暢さがアップして、先週よりも少し長く喋れるようになった。気がする。ある言語を喋るっていうのは、文法が理解できるとか読めるとか聞こえるとかとは全く別のベクトルの技術であるらしい。(わたしはギター弾けないけど、)コードのことは全然わからないけどギターが弾けるアーティストがいると聞いたことがあり、構造としてはそういう話なのかなと思った。スピーキングっていうのは多分、もちろん基礎練習は大事だけれど、勉強というより���はもっと身体的なこと、運動や楽器を練習するのに近い。ヨーロッパ系のクラスメイトはtenseもままならないくらい文法が不出来なのに、めちゃくちゃぺらぺらと長い文章を喋る。対してわたしは、文法や語彙はかなりできる方だが、雑談とかディスカッションには弱い。イタリア人に、あなたは文法ができないのによく喋る、わたしは文法ができるのに喋りは下手、なんでなんだろうね?と言ったら、同感だがわからないとのこと。
スピーキングは身体運動だからそれにまつわる全てが楽しい。わからないことはそのままにせず発言する欧米文化に倣って、授業進行を中断する形になっても質問を投げかけたり、自分の意見を言ってみたりするのも楽しい。わたしは多分喋ることがもともと好きなんだけど、英語はリズムがあるから喋ってて気持ちいい。リエゾン(単語と単語の音が繋がること)や、シラブル(一単語に含まれる、一度に発音する音の最小単位)がうまく再現できて、口の中で音が響く感じがすごく好き。中学生の時、英語の授業をやってくれた教育実習生がすごく綺麗に教科書を読んでいて、「発音するのが楽しくて英語教師を目指すようになった」と言っていたのを覚えているが、おそらく同じバイブス。
先週末にワールドカップが開幕してからフットボールの話が頻繁に持ち出されるようになり、ついにPubの大スクリーンでブラジル-セルビア戦を観た。ホールのように広い店内で、グラス片手に立ち見をする客に溢れてライブ会場のようだった。色んなタイミングで大きな歓声が上がったり、(店内はブラジルサポーターが多かったので)ブラジルの応援歌が歌われたりと、自由で、エネルギッシュでよかった。歓声と怒号と、厨房で割れるグラスの音が響いていた。グラスが割れたのは厨房内だけではなくて、隣の席の興奮したサポーターがビールグラスを床に叩きつけて割っていた。すぐさま箒と塵取りを持った店員がやってきて、やれやれ、とでも言いたげに、そそくさと掃除をして消えていったので、Pub観戦茶飯事みたい。ブラジルのリシャルリソン選手が決めた回転ゴールがめちゃくちゃかっこよかった。でも実はこの時、ちょうどお手洗いに立っていて、ゴールの歓声を聞いたのはトイレの中で、実は実はゴールの瞬間を見逃したんだけど...(なぜか見栄?張って、一緒に来ていたクラスメイトに「(ゴールの瞬間)観たよ!すごかったねー!」とか言っちゃったんだけど......)。わたしは昔からこういうところがあって、アルバイトしてた居酒屋の店長のお誕生日会に出席した時、お手洗いに立っている間にケーキが運ばれてきていて、席��戻ったらハッピーバースデーは歌い終わって店長の話も終わってた、という思い出がある。聞くにしのびないね。
属しているコミュニティが学校しかないから学校の話ばかりになるんだけど、先日の宿題で、継続的でネガティブなトピックをひとつ選んでプレゼンする、というものがあった。(海洋汚染、大気汚染、原子力発電、ファストフード等。)興味深かったのは、カタールで開催されるワールドカップの裏側についてのプレゼンで、会場建設に携わった多くの人が亡くなっていること、移民労働者がLGBTQだった場合はカタールの法律に則り違法とされ懲役や罰金が下されること、暑いカタールの会場を冷やす空調設備のための莫大な資金と環境汚染、が問題だという。(英語で聞いたからもしかしたら事実と異なる部分があるかもしれない、ご容赦。)このプレゼンを聞いた日にPubでフットボールを観たんだけど、ワールドカップ開催の影とは裏腹に、純粋に試合観戦を楽しむ人たちで溢れていて複雑だった。2021年に開催された東京オリンピックにも様々な批判が集まったけど、莫大な資金が投じられていて、世界規模で、メディアの注目も集まるイベント(プレゼンしてたクラスメイトはスペイン語が母国語で、mediaticと言ってた。mediaticは英語の辞書には無いらしく指摘を受けていたが、スペイン語でmediatico?はメディアに関係していること表す形容詞みたい。)を簡単には中止できないという意味で、構造が似ているなと思った。
このプレゼン関係で交わされたトピックトークで色んな史実が持ち出され、世界で起こった非人道的な事件は人類が共通して持つべき記憶であるという気づき、それらに疎いがゆえに感じるもどかしさ/恥ずかしさから、この歳にしてようやく世界情勢や歴史に興味が湧いてきた。パリの同時多発テロ事件がどのくらいの規模だったのか知らなかったし、テロとは何なのか説明できなかったし(政治的、宗教的なイデオロギー上の目的達成のために行われる暴力や犯罪のこと)、福島の原子力発電所で何が起こったのか詳しく説明できなかったし。地下鉄サリン事件もテロだよね。昨晩はパリ同時多発テロ事件のwikipediaを読んで夜を過ごした。物事に興味を持つ時は、その物事がある程度のリアリティを持って自分と関係することがきっかけになる。
ちなみにわたしは、核融合発電の問題点をプレゼンした。今世界中にある原子力発電にはウランの核分裂が使われていて、うまく管理しないと核分裂の連鎖反応が起き、福島原発のようにメルトダウンを起こして放射性物質が外に漏れ出たりする。対して核融合は連鎖反応が起こることはなく、安全��が高いエネルギー供給法と言われている。ただ、核融合に使われるトリチウムという物質が全く足りてない問題 / トリチウムを作り出すためにはウランを核分裂させる必要があるけどちょっとずつしか作れない問題 / てかクリーンなエネルギーのためにまた核分裂させるのかよ問題 / トリチウムは半減期が短いから作っても取っておくのが難しい問題 などなど、燃料供給に潜在的な問題ありらしい。ひとつの記事しか読んでないから事実とは異なるかもしれないけど、絶対実現むりじゃん。ウケた。ところで、授業の先生が物理学部卒でロケット自作したり、種子島にロケット見に行ったりしてる人で、宇宙ってロマンチックでいいよね、物理ってかっこいいよねの気持ち思い出してる。(That's why 核融合について真面目に喋ってみた。)
仕事したい。Pubで3パイントもビール飲んだから翌日まで酔っ払ってて、どうしてもお米とお味噌汁を体が欲っして、高いお金出してお寿司とお味噌汁をランチにしたんだけど、日本人としては納得いかないクオリティ。おいしい日本食を出すレストランへ気兼ねなく行くためのお金が必要だし、賄い目当てで日本食レストランでバイトするのもいい。タイ料理はおいしいけどタイ料理は日本料理ではない。
オフィスワークもやりたいから現地エージェントに登録したんだけど、「ご角煮おねがいします」とか、メールの誤字がすごすぎて楽しい。角煮持っていって、わたしがエージェント代わろうかな。
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ここからが本題で、日記を読んだ友人がくれた感想を引用させてもらうんだけど。
"あなたという人間から見える世界の在り方自体は何も変わってないのに、舞台がロンドンになった途端、あなたの生活にストーリー性や瑞々しさが生まれているかのように見えてくるの、おもしろい"
わたしが思っていることをとても上手に言語化してもらった気分だった。わたしは世田谷からロンドンに引っ越したみたいな感覚で、自分の生活が、人生が、場所を変えて継続していくだけで、生まれ変わったとか、輝くものを手に入れたような感覚は全くない。渡英前も、わたし本人よりも、渡英するという選択を聞いた周りの人の方がよほど嬉しそうに、感慨深そうにしていて、不思議だった。(安定と変化を天秤にかける人はいても変化を実行に移す人はそうそういない、すごい、とか、海外へ行くと決めたわたしを見て勇気と元気をもらえた、とか。)
自己認識と他者認識の相違をふまえて、
・自分が経験したことのないことに対して抱く感情は幻想、過度な美化だという可能性 ・客観的に自分の立場や能力の特異性、稀有性を捉えることの難しさ
のことを考えている。わたしは羨ましがりで、SNSで人の生活を垣���見ては落ち込み、友人の近況を聞いては焦り、つまり比較ばかりしていた。しかし、羨ましいという気持ちはわたしが頭の中で作り出した幻想や過度な美化によるものではないか?当人には当人なりの地獄、そして天国。人には人の乳酸菌。追及すべきは自分なりの幸福の形であって、羨望や嫉妬に支配されるのは間違っている。ロンドンでの生活に対する印象が自分と他者で大きく異なるという実体験から、他者を羨むことって実はあんまり中身がないんじゃないか?→過度に羨んで落ち込む必要ない、の回路が形成されてちょっと楽になった。とはいうものの、海外へ行くなんて大したことじゃないよ、と平坦に扱うことは違うとも思う。長期で海外へ行くという選択が容易にできる程恵まれた環境、タイミングであったのは事実だと思うし、それに加えて自分の適性もプラスにはたらいているだろう。わたしは新しい環境に対する適応能力が高くて、異なる価値観を"受け止める"力があるらしい(友人談)。たしかにそうかもしれない。人には各々なりの価値観に至るバックグラウンドがあって、好ましいか否か以前にそれらは全て尊重されるべきだというスタンスが根底にあって、それが異文化の人と接する上で潤滑剤になっている気がする。(好ましくなければ否定はするけど。)このような自分の特異性、稀有性に自覚的でいたい。さもないと他者を傷つけかねない。もう傷つけているんだろうか。
自分からみた世界の在り方はあまり変わっていないけど、大きな変化があったとするならば、時間が正しく流れるようになった。以前は、ひどく綺麗な夕日がとっぷり暮れた後にひとりで夜を迎えるみたいな毎日で、そういう日々の中で流れる時間というのは一方向に規則正しく進んではくれず、途方もない。ところが今は、決まった時間に起きて決まった朝ごはんを食べ、学校へ行って授業を受け、帰宅して夕飯を食べ、勉強して、ゆっくりして、眠る、ことが、無理なくできる。正しく時間が過ぎていく。
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ちょっとポエティックになっちゃったけど、いや、なっちゃったとは言いたくない。大学のサークルの先輩がわたしのTwitterを見て、ポエマーだよね(笑)と言ったのをずっと根に持っていて、今思い返しても腹が立つんだが、ポエティックな言葉はうつくしいだろうがよ。
文脈を忘れたけど、クラスメイトが授業中に Live like your last day. と言い放って、お〜ポエティックでいいね〜、てなったのよかったな。
今週はあんまり写真を撮っていないから、お寿司とお味噌汁の写真を載せる。
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20220325
禁煙をしようと思う。理由は色々あるけれど、大きな理由はハゲたくないこと、正社員になって月々の手取りが少し減ることの二つだ。
俺にとって煙草とはどんなものなのかを真剣に考えてみる。初めて吸ったのは18歳の浪人生の頃だった。「何故吸ったのか」はもう思い出せない、いつどこで吸ったのかは今でもありありと思い���せる。
勉強もろくに手もつかず、暗澹とした日々を過ごしていた俺はおかしくなっていた。よく言えば厨二病で、夢野久作や太宰治や丸尾末広や浅野いにおや森博嗣なんかを読みながら自分の中にある暗い感情や倒錯を見つけて喜ぶというしょうもなくもどこか愛おしい生活をしていた。社会的に存在意義がなかった俺には俺が俺であるための何かが必要だった。アサハラという名前が生まれたのもちょうどこの頃だった。
そんな日々の中、いつかの深夜。ふと煙草を吸ってみたいという気持ちが生まれた。そのままコンビニに行き、マイルドセブンの3ミリとライターを買った。俺の実家は西船橋という東京と千葉県の中継地点にあって、その町には高校生から住んでいて、いわゆる「地元」みたいな深い思い入れも特になかったが、好きな場所はちらほら存在していた。
JRと東京メトロ地下鉄東西線が行き来する広い線路、その上にかかった歩道橋。駅から伸びる公園の端にあるため、人通りは少なく街灯の灯りもまばらで薄暗い。高校生の頃はよく帰路にその道を歩き、歩道橋から見える夕陽の色をぼんやりと眺めていた。コンビニで煙草を買った後その場所にいって、俺は人生初めてのタバコを吸った。
どんな味だったのか、どんな感想だったかは覚えていない。ただ、その時の俺は今の俺よりアホだが今の俺より確実に聡くて、「今日から死ぬまでずっと煙草を吸うことになる」ということを思ったことは明確に覚えている。
禁煙は苦しいらしい。それは当時の俺でも知っている話だった。そんな苦しい思いをするくらいなら、最初から吸わないから一生吸い続けるかの二択だ、とその時の俺は感じていた。
それからの俺の人生には常に煙草があった。毎朝コーヒーと共に煙草を吸った。酒を飲めば煙草を吸った。誰かと会い自分にとって大切だと思うなにかを成す時もも煙草を吸った。浪人生の頃には好きな子がう��に泊まりに来た時に煙草の火をその子に押し付けてそれが相手の家族にバレて示談になった。北海道で一人で暮らすようになった時は幸福の閾値を下げるために、俺の人生で一番幸せな瞬間は朝起きてコーヒを淹れて煙草を吸うことだと決めつけて何にも期待せずに過ごした。東京に戻り、ヒモみたいな生活をしていた頃に、その家主の女性が煙草アレルギーだとわかってもその人の家で煙草を吸った。愛を求めて彷徨う獣のようになっていた時に、高校生の頃の元彼女と3年ぶりぐらいに二人で飲んで帰りに一緒にタクシーに乗り込もうとしたら全力で拒否られて歌舞伎町でなすすべなく彷徨っていた時も煙草を吸った。大学生の頃の彼女に無惨に振られその一年後横浜まで行って一緒に飲んでプロポーズめいたことをした後連絡先をブロックされ神奈川の知らん漫喫で1人啜り泣いた夜も煙草を吸った。全てから逃げるように北海道に戻り、以前同棲していた女の子の家に転がり込んで、その1ヶ月後にその子に彼氏ができるからということで一人暮らしをすることになり、札幌市中央区の家賃4万円のアパートを借りた時にも空っぽの部屋で煙草を吸った。今の奥さんと初めて出会い、大通り公園で手を繋いだ夜にも煙草を吸った。そして今も毎日あらゆる瞬間瞬間で煙草を吸い続けている。
記憶が人を作るならば、間違いなく煙草は既に俺の一部なのだ。それを、辞める。
それはつまり俺が今の俺を辞めることに等しく、ニコチン依存症の離脱症状だけではない辛さが伴うことはもう決まったことだった。
奥さんに「煙草を辞めるから協力してほしい」と言った。日々俺の健康を心配する奥さんが喜んでくれると思っていたが、奥さんはそもそも俺が禁煙に成功するなんて思っていないようで、「勝手にやってくれ」というような返事が返ってきた。
信用が全然ないことに哀しさを覚えたけれども、ひとまず「奥さんが禁煙を応援してくれないから」ということを理由に再度煙草を吸うということだけは無いようにしようとなんとなく思った。
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最近全くUPしてなかったので😇 相変わらず闇オーラすごくて草 . . . #せんちょさん #メンヘラ #加工厨 #自撮り男子 #ライブ配信 #配信 #pococha #美容好きな人と繋がりたい #美容男子 #美容整形 #おしゃれさんと繋がりたい #アニメ好きな人と繋がりたい #漫画好きな人と繋がりたい #美男美女と繋がりたい #歌舞伎町ホスト#歌舞伎町 #ホスト #クラブデューク #歌舞伎町キャバ #キャバ #イケメン #水商売 #夜職 #六本木 #銀座 #nomonday #ノーマンデー #腕時計 #時計 #手元倶楽部 (歌舞伎町) https://www.instagram.com/p/CGCRW6gj9lF/?igshid=1uuqnspbpial
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aurora arc 全曲解説
どうも、来ましたね、この日が。
BUMP OF CHICKEN 3年半ぶりのアルバム 「aurora arc」 全14曲
この日をどれだけ待ったことか… アルバムのタイトルにあるオーロラの通り、神秘的な曲が多いなと感じた 新しさ、新鮮さの中に懐かしさや切なさがあるからだろうか。 宇宙や天体のスケールの中に、とても身近に感じるものがあるからだろうか。
アルバム単位でみても、今回のアルバムはかなり神だと思う。笑 すべての曲から藤くんのセンスを感じるし、やっぱ半端ねぇなって ひとつひとつの曲が持つ力が大きすぎて、ベスト盤みたいになってますね
もうこのアルバムを聴いたら、「昔のBUMPは~で良かった」 なんて口が裂けても言えないんじゃないかな それほどに鮮烈に、素晴らしい楽曲に仕上がっている それが解らない人はBUMPの何たるかを理解していない笑
藤くん、もう40歳よ。BUMP、23年目よ。 どうなってるんだ本当に 今回のアルバムの内容的にも少し大人向けな感じはする、 歌詞もどんどん深くなっていっている だけれど、年齢というか老いみたいなものを曲から一切感じられない。 BUMPに関しては曲がどんどん若返っているまである。 時代に合わせて進化するように 時代に合わせて、というのはBUMPに失礼か… 曲の求めるように、サウンドが進化していっている。
とまぁ前置きはさておき 「aurora arc」の全楽曲を��軽く」紹介していこうかなと。
BUMPの曲って本当、曲としっかり向き合って真摯に聴かないと良さがわからないから、こういう機会を作りたくなる。 普段適当に聴くときはうーん、ってなるときもあるけど、しっかり聴くと「やっぱBUMPって神やな」ってなる笑 追記。改めてまとめていると、BUMP OF CHICKENの凄さに打ちひしがれる。 なんで自分は理解できないんだろう。とか、どうやってこんなに素晴らしい曲が生まれるんだろう。と その全てを理解したくて、それができないことが辛い。 ただ素晴らしい曲に呑まれることしかできない。 なのであまり参考にならないかもしれないが、精進します…。 たぶん真面目に読むと1時間くらいかかるので、 ひとつひとつ、曲を聴きながら、あなたと曲の理解を深めながら、 ゆっくり読み進んでもらえばという感じです。 全部で2万3000字近くあります。笑
01・aurora arc
アルバムの一番最初、BUMPは結構用いるインスト曲。 イエローナイフ(カナダ)にオーロラを見に行った帰国後にスタッフに言われて書いた曲らしいです。 歌詞のブックレットにも写真がたくさんあって嬉しかったですね 綺羅びやかなギターのアルペジオが印象的 arurora arkのツアーの始まりはこの曲が来るであろう。 ライブの始まりすら予感させる。期待の高まり 神秘的で透き通っていて、名前の通りauroraっぽさも感じる気がする。笑 オーロラは空気が薄くないとダメといいますが、同じ澄んだ感じがするね
02・月虹
からくりサーカスのタイアップ。OP曲? からくりサーカスは正直見ていなかったので、たぶん曲を聴いたのも初めてだった。 かなり疾走感があってかっこいい系の曲 月虹っていうのはその通り月で見える虹みたいですね 藤くんは造語のつもりでつくったそう。
個人的に気になったのは 「宇宙ごと抱きしめて眠るんだ」というフレーズ。 後ほど紹介する新世界にも似たフレーズが出ている。 正直歌詞解釈は難しくてよくわからなかった、というより曲のテンポに急かされてどんどん進んでいってしまう感覚で情報量を飲み込めなかった BUMPの曲に多いと感じるのが、あなたがいるだけで、や、あなたが~するだけで、生きられる、世界が輝くといった曲が多い気がする。 あなたがいることが私の存在意義であり、それ以外は何も問題にならないような この月虹もそれに近い歌詞なのかな
Stage of the groundの歌詞を踏襲している推測もある。 「あの月も あの星も 全て君のための舞台照明」
この月虹にも「いつだって舞台の上」というフレーズが出てくる。 その月のスポットライトに照らされた自分から見える虹が この月虹という曲なのかもしれない。
実際、歌詞としてもリンクする部分が多々あるように感じる。 Stage of the ground 「迷いながら 間違いながら 歩��ていく その姿が正しいんだ」 月虹 「僕の正しさは 僕だけのもの どんな歩き方だって 会いに行くよ」
Stage of the ground 「すれ違う誰かが落としていった 涙を数えるたびに 躓いた小石を再び集めて歩けたら 君の眼は必ず 再び光るだろう 那由多に広がる宇宙 その中心は小さな君」 月虹 「いつかその痛みが答えと出会えたら 落ちた涙の帰る家を見つけたら 宇宙ごと抱きしめて眠れるんだ 覚えているでしょう ここに導いたメロディーを」
これはちょっと強引すぎるかな。笑 BUMPの曲はどれも共通するものを感じるのでなんとでも言えますね~ 月虹はもっと聴かないとな~。笑 曲としては物凄くかっこよくてテンポも良くて好きですね
03・Aurora
シンプルに「Aurora」というタイトル。 自分の「曲作り」のことを思いながら書いた楽曲だそうです。 ドラマ「グッドワイフ」の主題歌、こちらも見ていないです。笑
「形と音がわかるよ」の部分の藤くんのミックスボイスがヤバすぎて。 本当に歌も上手になったなぁと感じる曲 歌詞はまたしてもちょっと難しいですね 自分の中の忘れている意思とその言葉を気づかせようとしているような曲 それに気づき、声と言葉を見つけた時、オーロラが現れる。
「溜息にもなれなかった 名前さえ持たない思いが 心の一番奥の方 爪を立てて 堪えていたんだ 触れて確かめられたら 形と音が分かるよ 伝えたい言葉はいつだって そうやって見つけてきた」
この部分の歌詞は結構好き 溜息にもならないではなく、なれなかった 思い ため息として吐くほどでもない、些細だけど小さな不安や自分でも認識できないような感情 自分でも認識できないその思いが心の奥で爪を立てていた 自分の中のその思いと向き合って、触れられて確かめられたらその形と音が分かる 「思い」に気づくというよりはそれを形と音、つまりは「言葉(文字と発音)」で認識することはできないということ(?) 伝えたい言葉(思い)はいつだって、そうやって見つけるもの そして、その見つけた言葉を解き放つ。心を動かした時、それは姿を現す。と続く ああ、なぜ、どうして、と繰り返していれば、あなたの言葉があなたが諦めなかったことを誰よりも知っている。あなたを探してくれる。見つけてくれる。
なんとなく言いたいことはわかるし今こうして記事を書いたりしていると思い当たるフシはあるような気がする。 そして、自分の場合、BUMPの曲こそが心の奥に触れて、確かめてくれるものであることも多い。 そして藤くんの曲作りもこういった精神があるのではないだろうか
04・記念撮影
来ました、大本命。 神曲。
この曲は本当に好き。 藤くんのセンスというか才能というか超越しちゃった感がヤバイ
僕のファーストインプレッションだったのはこれ
youtube
日進のカップヌードル HUNGRY DAYS アオハルかよ。 のタイアップ。 このCM、半端ない
イントロの時点で、ただのループのアルペジオとキック音だけなのに、 なんかわからないけどゾクゾクするような盛り上がり方がある。 まぁ、この路��で行くかと思ったら魔女の宅急便のよくわからないパロディのCMが流れたことには触れないでおきましょう。
曲もさることながら、歌詞も本当に良いです。 遠吠えとブレーキが魔女の宅急便のキキとトンボだと推測する人も居ますが、個人的には魔女の宅急便とは無関係だと思ってます。
というか、他の人の歌詞解釈もみたけど人それぞれ違ってあまり参考にならない。笑 なので自分が感じたままに、矛盾は気にしない方針で。以下解釈
目的や理由のざわめきからはみ出した名付けようのない場所 つまりは目的も理由もない、自由や無に近い名前のない空間に紙飛行機みたいに飛び込んで、空の色が変わるのを見ていた 遠くに聞こえた遠吠えとブレーキ。(きっと夜?犬の遠吠えや自転車のブレーキの音が聴こえる) コーラを挟んで座って好きなだけ喋って好きなだけ黙って、曖昧なメロディーを一緒になぞった(回顧) (目的も理由もない空間は、きっと学生時代時のこと、何も考えずにいられる時間。個人的には河原の土手をイメージしてしまった。)
やりたい事がないわけじゃないはずだった (あるはずだった) と思うけど、それを思い出そうとしたら笑顔とため息のことばかり つまりはやりたい事があった気がするけど、それよりも楽しいことや落ち込んでたことしか記憶に残っていなかった (何か目的を持つわけでもなく、ただ楽しい日々を過ごしていたことを思い出す)
きっと迷子のままでも大丈夫 僕���はどこへでもいけると思う 君は知っていた 僕も気づいていた 終わる魔法の中にいた事 (迷子のままでも大丈夫→やりたいことがなかったり将来への不安を元気付けるイメージ。終わる魔法とはこの楽しい日々や、目的や理由のざわめきからはみだした場所、つまり青春時代。君も僕もそれがいつか終わってしまうことに気づいていた。)
昨日と似たような繰り返しの普通の日々に、少しずつ気づかないまま時間を削られた 瞬きをする間に色々幾つも見落としたり、見過ごしたふりをした (学校生活とかのルーティンの中ではあっという間に時間が過ぎていく。気づかないまま年を重ねていく。瞬きをする間に(ここでは恐らく比喩)見落としたり、それをするフリもしてきた。)
あれほど近くて だけど触れなかった 冗談と沈黙の奥の何かには ポケットには鍵とレシートと面倒な本音をつっこんで隠していた (お互い近い距離に居たが、終わる魔法の中にいること、冗談と沈黙の奥に感じた何か、自分の本音(面倒な本音とは本音を言うのが面倒なこと)をお互い話さないこともあった。)人間関係はこういうことは必ずありますよね。
固まって待ったシャッター レンズの前に並んで とても楽しくてずるくて あまりに眩しかった (記念撮影 学生 アオハルかよ! みたいな部分 自分は高校がそんな感じだったかな… わかりみが深い あまりに眩しかった、という表現はその写真をみている今の自分からの視点)
そして今 想像じゃない未来に立って 相変わらず同じ怪我をしたよ 掌の上の動かない景色から 僕らが僕を見ている (想像じゃない未来に立つ 現実に立つ自分。相変わらず同じ怪我をした。怪我が指すものがいまいち分からないが、学生の頃の失敗や間違いを今も同じように繰り返している。掌の上の動かない景色(写真)からあの頃の僕らが今の僕を見ている。)
目的や理由のざわめきに囲まれて 覚えて慣れてベストを尽くして (個人的には仕事っぽいかな。社会人になりたての自分が社会に感じている目的と理由のざわめき、覚えて慣れてっていうところから新人っぽい。) 聞こえた気がした 遠吠えとブレーキ 曖昧なメロディー 一人でなぞった (またあの頃を思い出す 一人でなぞったという描写から、君はもう居ないことが判る その場にいないだけで関係はまだあるのかもしれないが)
言葉に直せない全てを紙飛行機みたいに あの時二人で見つめた レンズの向こうの世界へ 投げたんだ (紙飛行機は時間の感覚を超越する存在らしい。言葉に直せない全てをあの時二人で見つめたレンズの向こうの世界へ投げた 二人で見つめたレンズの向こうの世界 とは?レンズの向こう、つまり今写真を見ている自分自身。 レンズを通してあの頃の僕をみている自分。 言葉に直せない全てを「あの時」の二人が見つめたレンズの向こうの世界(未来の自分)に投げた。 あの時の自分は眩しい今から、レンズの向こうの自分へ向けて、迷子のままで、終わる魔法の中にいる今から未来の自分はどうなっているのか、曖昧な不安や光の消える予感を感じていたことを未来の自分が思い出している 言葉に直せない全て というのはあの時の自分が感じている 迷子のままの不安と君と終わる魔法の中にいることや様々な感情 その全て それを今見ている僕が受け取る。
想像じゃない未来に立って 僕だけの昨日が積み重なっても その昨日の下の 変わらない景色の中から ここまで繋がっている (ここでの想像じゃない未来というのは���先程の現実という意味よりは、あの時の想像した未来 ではない未来。つまり自分の想像したものではない未来。 君が居ない未来。 僕だけの昨日が積み重なっても(君がいない日々が積み重なっても) その昨日の下(それよりもずっと前)の変わらない景色(記念撮影をした、君の居た景色)の中から たとえ想像じゃない未来だとしても、ここまで繋がっている。 君と過ごした青春の日々は消えることはないということ。 ここの表現から僕と君の関係が男女でも読み取れるような気がするし、もしくは友達との交流のない、孤独な日々が続いているとも読み取れる。社会人になったら毎日友達とは遊ばないでしょう。)
迷子のままでも大丈夫 僕らはどこへでも行けると思う 君は笑っていた 僕だってそうだった 終わる魔法の外に向けて 今僕がいる未来に向けて
(僕らはどうなるかわからない、迷子のままでも大丈夫。僕らはどこへでも行けると思う。 君は笑っていて、僕だってそうだった、 終わる魔法の外に向けて、 今僕がいる未来に向けて、
終わる魔法。青春の外に向けて その外に、つまり今僕がいる未来に向けて。 その未来に向けて笑っていた。 あの時の僕は、今の自分へ向けて笑っていた。 終わる魔法の外へも今僕がいる未来へも受け入れて)
という感じでしょうか あくまで個人的な解釈です。 君との僕との関係が親友と取れるのか、恋人のような存在と取れるのかが迷う部分がある。 親友なら写真をみて楽しかった日々を思い出すというだけで終わるのだが、恋人の場合もう別れていて写真を見てその頃を思い出すっていう結構つらい解釈になってくる気がする。笑 まぁ、「終わる魔法」の部分とかも含めてそれぞれの解釈があっていいと思います。 聴いている人にとっての「あまりにも眩しかった」ことを思い出しながら聴いてくれれば
記念撮影の歌詞、本当に共感できる 昔を思い返したり、今自分は大学生だけど、ギリギリまだ終わる魔法の中にいると思うわけで その魔法が終わることにも気づいている、というか半分終わりつつある笑 自分は終わる魔法の外に向けて笑うことができるんだろうか
てか全然軽くないじゃん!!!!これじゃ終わんねーよ!!
05・ジャングルジム
記念撮影で頑張ったのでさくっといきましょうか ジャングルジム。 タイアップなしの純粋な曲 イントロからアコギのやさしいアルペジオの弾き語り曲 あまり最近のBUMPの曲はこういうのが少ないので嬉しい。 ロストマンの仮タイトルだった?らしいです 作曲自体は2017年2月頃 この曲で描きたかったのは”誰にでもある心の聖域のようなもの”だそうです。
個人的に一番良い意味で期待を裏切られたかなという曲 アルバムの中にタイアップ曲が多いということも有り、曲の強さが全体的に強いなと感じるので、曲のリストを見た時にこの曲は休めるような曲なのかなと勝手に予想していた。 ところが、とても重くて強い曲だった。
この曲も記念撮影と似ていて、今の自分と子供の頃の自分との対比がある 昔、子供の頃、公園のジャングルジムで遊んでいた自分。 今の自分は大人になって電車に揺られる日々の中、周りで何か起こってもそれを気に留めもしないようになってしまった。 それでも、自分の隣で涙が流れたなら、つられて泣いてしまいそうになるのは何故だろう これはただのたとえ話だけれど。 自分はどんな時でも笑えるし、やるべき事もこなすけれど。心は未だにあの頃のジャングルジムの中にいる 大人になってそこから出れずに居���。 でもどうすることもできないから、またありふれた一歩目を歩く。
寂しい感じの曲ですね 歌詞のブックレットの背景の写真がすごく合っていてエモかった。 夕暮れって懐かしさや切なさを感じる この曲からはそういう日が落ちたあとのまだ少し明るい時間の切なさを感じられる気がする 個人的に結構聴くのが怖くなるような、重さがあるな…。 気楽には聴けない曲かもしれない。
06・リボン
これはもう言うまでもなく、20周年を締めくくる曲! BUMPの今までの軌跡や、藤くんがメンバーに向けた思いを乗せた曲ですね (一応GalaxyのCMに起用されています。)
ところどころにBUMPの曲を彷彿とさせるフレーズがあり、 BUMPのメンバーはそれを一緒に巡ってきた 赤い星 という表現はBUMPのロゴになっている星の鳥と赤い星のことを指してる。aurora arcのロゴにもしっかりオーロラの下に4つの星がありますね
僕らを結ぶリボンは 解けないわけじゃない 結んできたんだ あぁ ここはどこなんだろうね どこに行くんだろうね 迷子じゃないんだ
二行目のフレーズは記念撮影に通じるような。 嵐の中を進むという表現もあるように、周りが見えずにどこにいるかも、どこに向かっているのかもわからない。だけど4人で側にいることを選んで、いま側にいて笑い合っているから迷子じゃないんだ。 記念撮影でもあった迷子でも大丈夫。という感覚。ロストマンとも共通しているんじゃないかな。自分の選んだ道は、それが正しい道だということ。バンプイズム。
BUMPの仲の良さとかをとても感じられる曲 この曲だけは、もうBUMPのための曲だとして解釈してもいいんじゃなかろうか アルバムの中だとこの曲は本当に前向きで救われる。 個人的にここからがaurora arcの時代のBUMPが始まったのかな、と感じます。 アリアとアンサーに関してはまだButterfliesの感じがある。アルバムは違うけど、曲の雰囲気というか。 まぁ、BUMPの曲は結構昔書いたやつを引っ張ってきたりすることがあるので曲の書かれた順番はあまり当てになりません。笑
幼馴染から、40歳まで4人でずっと一緒にいる人たちなんて世界に何人いるんだよっていう。笑 切れない絆で結ばれていると共に、本当に、難しいことだったと思う。 四人が出会えた奇跡に感謝。 この歌が紡がれた奇跡に感謝。
07・シリウス
重神機パンドーラのOP。見てないです 結構パンドーラの世界観も意識されてるそう。
Hello,world! っぽさがあるよね ギターの音色だろうか。クランチ感が最高
イントロから最後までカッけー! ギターのリフのカッコよさが郡を抜いてますね シリウスは地球上から見える最も明るい恒星だそうです。
まだまだBUMPは現役で厨二ブーストを効かせた曲がかけることを証明した曲 眼差しのシリウス っていう所、語感とかも含めてかっこよすぎる
歌詞は全体的に、シリウス 一番明るい星のようなものをどんなことがあっても離さずに追い求めろ。というような感じ��すね
「受け取った自由に 帰り道奪われて 来るはずのない迎えを しばらく待っていた 」 っていう歌詞が結構グッとくる。 自由を求めることはよくあるけど、いざ自由を受け取った時には、自由という空間に放り出されて全て自分で選択していかなければいけない。 自分の帰る場所も奪われて、向かう場所も解らず、動くこともできずに、来るはずもない迎えを待つことしかできない。 これは君のストーリー。 ここまで生き延びた命で、どこへ向かうべきか答えは判るだろう。 その心で選んで、その声で叫んで、 無様に足掻こうとも、その証を輝かせろ。
曲の終わりの ただいま おかえり という部分があとに紹介するSpicaと繋がっている? 正直、ただいま おかえりの部分浮いてね?って思う笑 Spicaもシリウスもまだちゃんと聴けてないのでごめんなさい。 調べたらこの関係でてくるかなぁ…
クールだけど熱い感じ、好きですよ。
08・アリア
「BFLY」ツアーファイナルで初披露された曲 2016年に作曲された ドラマ「仰げば尊し」の主題歌に起用 aurora arcに入るかーってくらい昔の曲に感じてしまう笑 イントロのパイプオルガンっぽい音が印象的 聖 って感じ笑 だけど曲が始まったら非常に情熱的なアップテンポが続く
「あの日の些細なため息は ざわめきに飲まれ 迷子になったよ」 この1フレーズだけで記念撮影と重なる部分が多すぎる笑 関係はないんかな BUMP、迷子って単語が異様に多い気がする。
「言葉は上手に使ったら 気持ちの側まで近づけるけれど 同じものにはなれない 抱えてるうちに迷子になったよ」
ここのいい回しもいいよね 全体的に熱いなぁと感じる曲 僕と君とは鏡のようなもので、だけど違う生き物。 その葛藤とそこに生じるすれ違いや真っ直ぐに見つめられた瞳を見つめ返すことができない自分が居る。 表面では鏡でも心と表情は同じではない。心を映すように、君が笑うから鏡のように涙が溢れた。その時、一度でも心の奥が繋がった気がした 君の瞳を見つめ返すことも、伝えたいことを言葉にすることもできなかったけど、ただ君といたあの日を忘れたくなくて胸に刻みつけていた…
09・話がしたいよ
映画「億男」主題歌 これは見た! タイアップで見たの唯一じゃね!?
この曲もまたねぇ… 長く書きたいなぁ… この曲はアルバムの中で一番好きかもしれない。 好きというか、一番しっくりくるなぁ
てかね、ここまで解説してきたけど、一つ一つの曲が深すぎて、もう体力が尽きそう。 BUMPのパワーというか、藤くんのパワーというか、なんでアルバムの曲一つひとつがこんなに奇跡のように良い曲なんだよって…
もう長く書きますよ。
この曲は過密スケジュールに体力をなくした藤くんの心模様をバス停に座った視点から見た景色として書かれている 見れば判る��思うけれど、このアルバムの殆どの曲がタイアップ曲として書き上げられている。 曲の解説をするだけでこんなに体力を使うのに、こんな素晴らしい曲���一つ一つ書き上げる藤くんは半端ないってことですね。 そのタイアップ曲を書いている藤くんが、曲作りのスタジオに入っても曲が生み出せず、体力切れだと認知し、「今だからこそ書ける曲」として生まれたのがこの曲だ。 藤くん曰く。「疲れたなぁ…っていうのがそのまんま曲になった(笑)」
藤原基央、曲が書けない状態だからこそ、曲が生まれる。天才。
CDジャケットの写真は無人宇宙探査機ボイジャー1号が最後に送信した写真らしいです。
歌詞みていくかぁ… 全体的には、バス停のベンチに座っていた自分が、バスに乗るまでの少しの時間。その瞬間の自分の気持ちを表した歌。 その瞬間が、深すぎて、尊すぎて、 なんなんだこの曲は…。
良すぎるんで全部歌詞見ていきますね。
「持て余して手を 自分ごとポケットに隠した バスが来るまでの間の おまけみたいな時間」
バス停のベンチに座り、手持ち無沙汰な手をポケットに入れて、バスが来るまでの何でも無い時間に居る自分。持て余した手=自分 何も持っていない今の自分ごとポケットの中に隠した。
「街が立てる生活の音に 一人にされた ガムと二人になろう 君の苦手だった味」
雑多な街の音の中に、自分は一人にされた。その中でガムと二人になることを選んだ。この味のガムを君が嫌いだということを僕は覚えている。 このガムは君との記憶を思い出させるものであり、そのガムと二人になることを望んだんだ。
「だめだよ、といいよ、とを往復する信号機 止まったり動いたり 同じようにしていても他人同士 元気で居るかな」
信号機ってだいたい向かい合って設置されてますよね 青と赤を往復して、向かい合った信号機は同じように動く。だけれどもそれは他人同士。(アリアにもあったような、鏡のようだけど違う存在) 君は元気でいるだろうか。と思いを馳せる
「この瞬間にどんな顔をしていただろう 一体どんな言葉をいくつ見つけただろう ああ 君がここにいたら 君がここにいたら 話がしたいよ」
ガムを噛みながら、君との記憶を噛みしめるように、君のことを想う。 君ともう話ができないことや、君の表情も見ることができないことを、ガムを噛みながら、君を感じることを、その気持を味わうことを望むように。 話がしたいよ。
「ボイジャーは太陽系外に飛び出した今も 秒速10何キロだっけ ずっと旅を続けている」
ボイジャーとは、太陽系外などを探索する無人惑星探査機。 宇宙の中を孤独に一人旅を続けている。そんなことをふと考える
「それの何がどうだというのか わからないけど急に 自分の呼吸の音に 耳澄まして確かめた」
宇宙のスケールを思うと自分の小ささや生きていることの小ささに気づく。 自分が今ここに居ることを確かめる。
「体と心のどっちに ここまで連れてこられたんだろう どっちもくたびれているけど 平気さ お薬もらったし 飲まないし」
今生きている自分は体と心のどちらに生かされて来たんだろうか。 今はそのどちらもくたびれてしまっているけれど それを治す薬も持っているけど、僕はそれを飲もうとしない。
「どうやったって戻れないのは一緒だよ じゃあこういう事を思っているのも一緒がいい 肌をな��た今の風が 底の抜けた空が あの日と似ているのに」
そんな薬を飲んだって、あの頃に戻れないのは一緒。 体と心を治しても、君とまた話をすることはできない。 こうして感傷に浸って、君を想うこともできなくなってしまう。 「こういう事を思っているのも一緒がいい」ことすら叶わなくなってしまう。 君も今、僕を想っていてはくれないだろうか、 君と僕は記憶の中で繋がっているから、どんなに痛くて苦しくても君を想っていたいから。 肌をなでた今の風が、底の抜けた空が、あの日を思い出させる。 君もそれを感じていないだろうか。
「抗いようもなく忘れながら生きているよ ねぇ 一体どんな言葉に僕ら出会っていたんだろう 鼻で愛想笑い 綺麗事 夏の終わる匂い まだ覚えているよ 話がしたいよ」
君との時間を抗いようもなく忘れながら生きているよ 僕らはどんな言葉と出会ってきたんだっけ 鼻で愛想笑いしたこと、綺麗事、夏の終わる匂いまで、まだ覚えているよ 話がしたいよ。
「今までのなんだかんだとか これからがどうとか 心からどうでもいいんだ そんな事は」 「いや どうでもってそりゃ言い過ぎかも いや 言い過ぎたけど そういってやりたいんだ 大丈夫 分かってる」
君と過ごした日々も、君のいないこれからも、今だって、心からどうでもいいって、そういってやりたい。 だけど言えない。 どうでもいいなんて言えないんだ、今までの君とのことも、これからのことも。
「ガムを紙にぺってして バスが止まりドアが開く」
結局、君への想いを抱え込んだまま、 でも、どうでもいいって、そういってやるように、君との記憶を繋いだ「君の苦手だった味のガム」を紙に吐き捨てる。 そうして、君を想う時間に区切りを付けて、バスに乗り、僕はまた今の一歩を踏み出す。
という感じで、どうでしょうか。 切なすぎて、純粋すぎて。 今まで紹介してきた曲に通じる部分も多かったんじゃないかな。 過去の自分と今の自分との対比や、過去に焦がれてしまう今。 もう、このアルバム良い曲多すぎて自分のキャパオーバーしてるんだけど。 あと何曲? あと5曲ありますね ひとつも気の抜ける曲が無いよ…
この曲の僕は、君との過去に区切りを付けられるんだろうか。 「話がしたいよ」 このタイトルがある限り、この想いは消えることはないだろう。 記念撮影に通じる、僕と君の関係を、恋人から親友に置き換えたらなら、君に会うことが叶うのかもしれない。
BUMPの歌詞に正解はないのだから、きっと、バスの向かった僕の未来に君がいることを願う。
10・アンサー
3月のライオンのアニメOP これも、実はタイアップで見ました。 アニメじゃなくて漫画だったけど! 読んだの何年前だろってくらい昔に感じるんだけど… これもこのアルバムに含まれるんですねぇ
3月のライオンは普通におもしろい漫画だった。 羽海野チカさんの漫画は他にハチクロとかも読んだことがあったんだけど、ハチクロはあんまりかなぁって感じだったけど、3月のライオンは楽しく読めた記憶がある。途中だったから読み切ってないけど。 完結したらまた読もうかなぁ 原作を読んだのでわかりますが、 漫画も、この曲もイメージが似てるなぁと個人的に思っている。 温かい陽だまりのようなものがありながら、真っ直ぐと芯のある力強い歌。 辛い過去を持ちながらも、前を向いて進んでいける強さをくれた大切な人達。
3月のライオンには以前にもファイターを書き下ろしていましたね。 てか、タイアップで見たのはファイターの方だったわ。笑 ファイターがリリースされたの2014年。そりゃ昔だわ。笑 でも、アンサーももう結構耳に慣れてしまっている。 聴いていて自然に縦にのれるようなドラムが気持ちいですね 歌詞については、自分はやっぱり3月のライオンのストーリーとリンクするなぁという感じ。読んでみると良いと思います。 簡単にあらすじも紹介しましょうか。 基本的には将棋マンガです。 主人公の桐山零は、幼い頃に交通事故で家族を失い、父の友人である棋士に引き取られ15歳でプロ棋士となった。 引き取られた先の家族たちとは関係が上手く行かず、一人暮らしを始め高校に編入するが、周りに溶け込めずに孤立し、将棋の対局でも不調が続いていた。 ある日、先輩棋士に無理やり付き合わされ酔いつぶれた所を、川本あかりに介抱され、川本家と出会い、3姉妹(23歳,中2,保育園児)と夕食をともにする関係になる。 それから、主人公と川本家のストーリーが続いていく。 この主人公と川本家、2つの関係は本当に温かいもので、主人公の心が満たされていく描写をとても感じる。 そして、川本家に救われた主人公は、その家族を守ることを決意し、彼女らに降りかかる問題にも立ち向かっていく。
あんまり覚えてないんですけど適当にこんな感じです。 重要なのは、主人公が救われて、その場所を大切に思い、かけがえのないものを見つけたということ。
「魔法の言葉 覚えている 虹のはじまったところ あの時 世界の全てに 一瞬で色がついた」 これは主人公が彼女たちに救われた瞬間。 漫画でもアニメでも、3月のライオンの暗いシーンって本当に白と黒のモノクロなんですよ。 それが、団欒としているシーンは明るくて温かくてカラフルに色付いている。 主人公は今までそのモノクロの世界で生きてきて、出会ったことから初めて世界に色が付いた
「転ばないように気をつけて でもどこまでもいかなきゃ 陽射しさえ掴めそうな手が ひどく冷たかったから」 これはたぶん出会う前の心境だと思います。 弟子としてあまり縁もない家庭にいさせてもらい、周りの家族からは敬遠される。 15歳でプロとなった主人公は、周りからも期待されていて、素晴らしい成績を持っているが、どうしてかその手はひどく冷たかった。 転ばないように、周りに気を遣いながら、でも自分には将棋しかないから、もっと上を目指さないといけない。 切羽詰まった感じ。 それ以降の歌詞は、大切なものを手にした「僕」が心の中に生まれた感情や、その決意を歌っているように感じる。 アンサーのMV見るといいかもしれないですね。 歌詞のまんますぎだろ!みたいな描写もあって笑いますが、 押さえるところは押さえてるかなという感じなので。↓ https://youtu.be/bRWQckbQ9tQ
3姉妹。 この曲を理解するには漫画を読むのが手っ取り早いと思います。本当。 良い漫画なので普通におすすめ。 という感じで歌詞解釈を漫画にパスして次へ行ってしまおう。笑
11・望遠のマーチ
はっきり言いましょう。もうしんどいです。 流れ星の正体に向けて力を溜めておきたいんですが、持つかな…。
望遠のマーチは2016年6月以前に作曲されたらしく、作曲順ではaurora arcで一番古い楽曲になります。 「妖怪ウォッチワールド」のCMに起用されています。
CMを見た時は、「さすが、BUMP」と思いましたね。 正直、妖怪ウォッチって… と思ったんですが、曲のおかげでちゃんとしたものになってましたね。 アルバムの中だと、脳みそ使わないで聴ける感じのリズム曲。 藤くんのウォーウォーオオゥが頭から離れません。オーイェーエーアハン。 あと、いこうウぉーウォッォオー↑ みたいなの、今までのBUMPにない歌い方。笑 馬鹿にしているように聴こえるかもしれませんが、この曲普通に好きです。 疾走感があって、爽やかで、曲に引っ張っていかれるような。
リズム曲と言いましたが、歌詞もいいんですよね メロディは明るくて前向きだけど、弱さだったり、痛みをちゃんと理解してくれている曲。
「与えられた居場所が苦しかったら そんなの疑ったってかまわないんだ 体は信じているよ 君の全部を 叫びたい言葉が輝いている」 苦しいから逃げたいという「叫び」は悲鳴とも取れるが、自分を信じて支え続ける体を助ける光でもあるだろう。 だからこそ、叫びたい言葉が「輝く」。 「いこう いこうよ」とリフレインされるフレーズからは、BUMPが、その歌が手を引いてくれるようにも聴こえるが、 「どれだけ待ったって 誰も迎えに来ないじゃない いこう いこうよ」 というフレーズがある通り、この歌はた��のキッカケでしかなく、動く体も、叫ぶ意思も自分のものだということを教えてくれる。 「羽根は折れないぜ もともと付いてもいないぜ」 っていうフレーズは誰しもがbeatutiful gliderを連想するだろう。 「羽根のない生き物が飛べたのは 羽根が無かったから」 現実的に受け取ると進化論かな?ってなるけど。
「嵐の中も その羽根で飛んできたんだ」 僕らの中で、生まれつき羽根の生えた人がいるならば、それはとんでもない才能や能力の持ち主だろう。 でも、そんな人はいないし、そんな羽根はないから、必死で苦しみながら、もがきながら、努力して失敗して生きていくしかないんだ。 そうやって前に進む姿は、羽根がなくても進めること、飛べることを示している。そうしてできた羽根は折れることなどない。自分の生み出した羽根だ。 君にはその羽根がついているから、前に進める、飛べるんだよ、と。
全てを包み込んで前を向かせてくれる曲ですね。 ライブで聴きたくない? 全力で「いこう ウォオー ウォッ↑オォー!」って言いたいわ。 盛り上がるの間違いないっしょ
12・Spica
うん、好き。
「重神機パンドーラ」のED。 2018年2月11日「TOUR PATHFINDER2017-2018」のツアーファイナル公演でサプライズ演奏された。 BUMPの持つ、「宇宙」。 その宇宙空間に連れて行ってくれるのがこの曲。 オーロラを通り越して、真空のような純粋さを感じる。 BUMP OF CHICKENが、星を、宇宙を奏でる時、そこには彼らの宇宙が広がっている。
スピカとは、おとめ座α星、おとめ座で最も明るい恒星。 全天21の1等星の1つ。春の夜に青白く輝く。(Wikiより) 一等星の中では、16番目に明るい星。 日本では「真珠星」とも呼ばれたそう。 スピカは複数の星が連なる「連星」で、主星と4つの伴星からなります。 スピカの主星の大きさは太陽の約8倍、また伴星も太陽の4倍ほどの大きさです。 スピカはこれだけの大きさにも関わらず、地球と太陽との距離の1/8程度しか離れていないそう。 表面温度も、主星が22,000℃と伴星が18,000℃、太陽の表面温度はおよそ5,500℃なので、非常に高温だとわかります。 スピカと地球は気が遠くなるほどの遠い距離がありますが、それでも光って見えるのは、スピカの大きさと表面温度によるものです。 高温であるほど、青白く燃える星となります。これが美しい星とされる所以ですね。 星言葉は「直感とセンス」。 「春の大三角形」を形成する、うしかい座のα星アークトゥルスとスピカがカップルだとみて「春の夫婦座」とも呼ばれていたそうです。スピカは女の子。 宇宙にはロマンが詰まってますね そして、シリウスは、全天21で第1位。 おおいぬ座α星、太陽を除く恒星で一番明るい星。 なぜ、BUMPはこの曲に「Spica」と名付けたのか、「シリウス」との関係は? 「おかえり ただいま」と「いってきます」その関係とは�� 個人的に知りたいことがたくさんのこの曲。 とっっっても個人的なことを言うとスピッツのスピカが頭をよぎる。 調べていた中にそれっぽいインタビューを発見しました。 「複数の星がまとまってひとつの輝きになって見えるのが連星で、スピカはそれだっていうのを知ってて、で、なんかいいなと思って。」 だそうです。 シリウスは自分の中で一番のもの。 Spicaはきっと、人との繋がりや、沢山のものが一つになって輝いていることを伝えたいのでしょう。 さて、僕は宇宙の知識は小学生のプラネタリウムでしか得ていないので科学的な考察はできませんので、曲を聴いて、感じましょう。 といっても、初めに言っておくとこの曲は咀嚼しきれていない。 本当に、宇宙を覗くような深さがある。
この曲を聴いて先ず感じたのは「優しさ」だ。 それは、女神や天使のような愛や包み込まれる「優しさ」ではない。 人が持つ、ちっぽだけど、素直で、真っ直ぐで、人のことを想えるという純粋な「優しさ」だと思う。
曲中に感じた優しさはそうだが、 「汚れても 醜く見えても 卑怯でも 強く抱きしめるよ」 と、最後には全てを肯定してくれる。包み込んでくれる。 宇宙のような空間に、真っ暗な夜空に、孤独に静かに輝くような歌い出しから始まり、 少しずつ音が増えていく。 コーラスが増えていく。 そうして徐々に音は熱を帯び、人の持つ温かさすら感じられる。 Spicaが無数の星々に囲まれて、その中で輝くように。
歌詞も一つ一つみていきたいんですが、ごめんなさい 自分では完全に理解することはまだできません。 断片的になるとは思いますが感じたことを伝えられたらと思います。 この曲を聴いて感じたのは、 BUMP・藤くんと、僕らリスナー。その表裏一体の存在を、その絆と信頼の深さを乗せた曲ではないだろうか。 少なくとも、藤くんはこの歌詞のような気持ちで歌ってくれていると思う。
「名前ひとつ 胸の奥に 鞄とは別に持ってきたよ 声に出せば鳥になって 君へと向かう名前ひとつ」 ここでの「名前」とは、BUMPが伝えようとしていること、その真理。 僕がBUMPの曲に共通して感じることは「生きろ」というイメージです。 きっと彼らのどの曲にも奥底のほうにそれが眠っている気がします。 BUMPが曲を歌うことによって、それは鳥のように音楽として君へと向かう。 BUMPがリスナーに向けて、その曲の持つメッセージを届けるように。
「伝えたい事 言えないまま 消えたらと思うと怖くなって 出来るだけ頑張るけど どうしていつまでも下手なんだろう」
藤くんは自分の伝えたい思いを言葉で表現することはできないけど、音楽でならそれができるといったことをよく言っています。 そして、ライブである「歌詞変え」も、その時に感じた気持ちを、そのまま表現したいという思いが出てしまうそうです。 そんな藤くんが、音楽を届けることに感じていることではないでしょうか。 それを伝えることが「いつまでも下手」というのは、音楽という形でしかそれを表現できないから。そういう不器用さを表しています。
「雨が降っても それが止んでも 君を最初に思い出すよ」
君を想う強い気持ち。 藤くんの作曲活動の中で、リスナーのことを考えている時間なのかもしれないですね。 「手をとった時 その繋ぎ目が 僕の世界の真ん中になった あぁ だから生きてきたのかって 思えるほどの事だった」
手をとった時 とは、君と僕とが繋がる瞬間。 BUMPにとっては、曲が「聴かれた」瞬間であり、ライブでお客さんに聴いてもらい、反応してもらう瞬間。 その瞬間そのものが、彼らにおける「世界の真ん中」であり、このために生きていたのかと思えるほどの事だった。 反対に、僕らリスナーからしても、その曲を「聴いた」瞬間であるのではないだろうか。 僕らとBUMPを繋いでいるものは何か。彼らの音楽、そのものである。 まさに、僕の「世界の真ん中」とも言えるものは、彼らの音楽である。 その音楽を聴くために、生きてきたのかって、冗談抜きに思えるほどのものなんだよ。
「涙には意味があっても 言葉には直せない場合も多くて こぼれたら受け止めるよ そうすれば何故か ちゃんと分かるから」 涙をするほど心が震えることがある。 心が震えるほどのことを言葉にすることは難しいかもしれない。 そして言葉にできないまま消えてしまうような想いも涙も、BUMPは受け止めてくれる。それを解ってくれる。 BUMPは、「泣いてもいいよ」って言ってくれる。自分の弱さも小ささも理解して、受け止めてくれる音楽。 それはきっと藤くんが、その気持ちを理解して曲を届けようとしているからだろう。
「終わりのない闇に飲まれたって 信じてくれるから立っていられる 描いた未来と どれほど違おうと 間違いじゃない 今 君がいる」
これも、BUMPとリスナー視点、両面から捉えられるように感じる。 僕は、本当にBUMPのことを信じているし、BUMPの音楽は自分のことを信じてくれているようにまで思える。 どんな困難があっても、描いた未来と違おうとも、BUMPの音楽があるからこそ、BUMPがいるからこそ、その真実があれば立っていられるような。 彼らからしても、自分たちが歩んできた道が合っているのか、迷うこともあるだろう。 そんな時、曲を聴いてくれるリスナーがいて、自分たちを信じてくれている人たちがいて、その事実が、違うことなき真実となる。自分たちの歩みの証明となる。 そして二人三脚で、「どんなドアも せーので開ける」のだ。 ここから、他のメンバーのコーラスが含まれてくる。 藤くんにとってのメンバーも、きっとこの「君」だろう。 本当に、素晴らしい曲の構成。
「汚れても 醜く見えても 卑怯でも 強く抱きしめるよ 手をとった時 その繋ぎ目が 僕の真ん中になった」
ここで、少し余談をはさもう。 昔の藤くんのコラム「Fujiki」第35回よりこんな質問があった。 (所々省略しますが) Q1.(リスナー)ライブ感動しました。バンプを聴いている人、好きな人に悪い人なんていないと思いませんか?本当に、冗談抜きで良い人しかいませんよね! A1.(藤くん)ライブ来てくれてありがとう、そしてごめんね 悪い人がいないなんて思いません。良い人しかいないなんて思いたくもありません。 あなたが今後もし人を殺すだの騙すだのして、自分で自分を悪い人だと思ってしまっても、ライブに来て欲しいです。CDを聴いてもらいたいです。 「今後」ではなく「現在」既にそういう「悪い人」な、お客さんもいるかもしれない。そんな人に「君は悪くない」なんて、何も知らない僕には言えない。 だけど、ありがとう。アンタの善悪なんてどうでもいい。ライブに来てくれて、CDを聴いてくれてありがとう。 僕に必要なのは「良い人」じゃなくて「聴いてくれる人」です。Fuji
B-PASS 2006年5月号
これを見てから、先程の歌詞を読んでもらいたい。 藤くんにとっては、リスナーが良い人でも悪い人でもどうでもいい。 その音楽を「聴いてくれ」ればいいのだ。 自分が、汚れても、醜く見えても、卑怯だと思っても、彼らの音楽はどんな人であろうと聴く人すべてを強く抱きしめてくれる。 「聴いてくれた人の手は掴んでやる。」そう感じるほどに。 なんて素晴らしい歌詞なんだ…。
「どこからだって 帰ってこられる」 「いってきます」
帰ってくる場所はきっと「繋ぎ目」であり、「僕の世界の真ん中」だろう。 BUMPにとってはきっとライブのステージであろうし、音楽を聴いてもらえる瞬間だろう。 リスナーのことも、メンバーのことも信じられるようになって、はじめてそこが「帰ってこられる」場所になるんだと思います。 本当に、いつだって待ってるよ。いつまでも信じているよ。
同時に僕らにとっての世界の真ん中もそこにある。ライブの中に、音楽の中に。 それがあるからこそ、「いってきます」と勇気を持って、生きていけるんだよ。
こんなこと書いてたら、本当にライブで会いたくなってきちゃうなぁ… 少し、「Spica」の正体も解ったような気がしました。 BUMPと僕ら、それぞれの「繋ぎ目」となる音楽。 そして、BUMPと僕らのお互いを信じる強さの輝き。 きっと、BUMPがステージから見た観客の姿は、光るリストバンドのひとつひとつが、星となって、スピカのような「連星」を成すだろう。 そんな想いの星々が集まって作られたのが、 まさに、温かな春の夜に、美しく、青白く輝く、連星「Spica」という曲なのだ。
13・新世界
頑張り過ぎじゃない?俺。 スピカどうなっとんねん…気合入れすぎでしょう…
こういう記事を書く時、本当に足りない頭を回して、曲を何度も聴いて、ゴミのような語彙力から言葉を持ってきて書いてますからね。 感じたことを言葉にするってほんっとに難しい。 誰か完璧に代弁してくれよって。自分の無力さを思う。 もう頭が痛い。笑
はい。 ロッテ創業70周年記念アニメーション 「ベイビーアイラブユーだぜ」 テーマソング
忘れもしない。 予告編のショートムービーで流れていたこの曲が 「この声、藤くんじゃね?」と話題になったのを。 「ベイビーアイラブユーだぜ」なんて藤くんが言うのか?と。 声を少し聴いただけで、僕は確信した。これは藤原基央だと。 10数年、何百何千曲と、彼の声を聴いてきて間違うわけがなかろう。 あの 「イェーエ」 を。
藤くんは「ベイビーアイラブユーだぜ」は所謂「I love you」とは違うとか、何だとか、ファンはBUMPのラブソンク論争だとかあると思うけど。 これは間違いなく愛おしいという気持ちを歌った「ラブソング」だと思います。ええ。 愛の形は違えど、俺の「アイラブユーだぜ」はこういうものなんだって、そうやって伝えられているような。そんな感覚。
このロッテのアニメは「億男」でもタイアップした川村元気から依頼されて制作されました。 タイアップとしては、ここ数年で見ても、一番良かったと思います。 この曲のために作られたまである。最高だ。 本当にこのムービーとマッチしている感じ。 なんともいえない”近未来感”というか。ボンズの良さまでしっかりと出ている。
曲中のパンッっていう音が紙鉄砲だとか、どうでもいい話はいくらでもあるんだけど、 そんなどうでもいいことは置いておいて
この曲の伝えたいことの全ては
「もう一度眠ったら 起きられないかも 今が輝くのは きっとそういう仕掛け もう一度来たら 君がいないかも 声を聞かせてよ ベイビーアイラブユーだぜ」
という歌詞に全て含まれている。 世界がなんでこんなに美しいのか、それはもう一度眠ったらもう起きられないかもしれないから。 そこが君と出会ってからの新世界。 その幸せの裏側にはそんな残酷な結末が待っているのかもしれない。 そんなことになったとしても。 いつの日か抜け殻になっても。 どんなに遠く離れても。 宇宙ごと抱きしめるよ という愛の深さ。 (月虹で張った伏線を4日後の今、回収しました。)
こんなにBUMPがラブを、愛を歌った曲ってやっぱりないよなぁ。笑
一見、ただただ「ラブラブ」光線を出しているだけにも聴こえるが、 「僕」はその儚さも、今というかけがえのなさも、受け入れて、 どれだけ離れようとも、何があっても、宇宙ごと抱きしめられるほど君を想っている。 どれだけ辛いことだろうと、もうこの世の何もかもをも愛せる世界。それが「新世界」。 このアニメーションの主人公、中学生だけど、もしもそこまで想っているんだとしたら、きっと恋煩いで死んじゃうだろうね。笑
「ベイビーアイラブユーだぜ」という言葉が、この曲に使われる意味。 それが表す意味。 それはただ、この曲が求める、愛を込められる「言葉」の入れ物がそれだっただけのことだと思います。 「僕」が選択した言葉がそれが一番しっくりきただけの話だと思います。
ただ、この曲がもし20年前に書かれていたのだとしたら、 「これはBUMPの曲ではない」となっていただろう。笑 何を隠そう、藤原基央がそれを認めることは絶対になかっただろう。笑
こんな曲が書けるようになったのも、今のBUMPがあってのことですね。 もっと、常識に囚われずに素晴らしい曲を作ってほしいね。 そういう所も含めて、藤くんは本当に天才だと思うね笑 「音楽が求める形」っていうことを徹底してる。
14・流れ星の正体
とうとうここまで来ました。 「流れ星の正体」 この「aurora arc」というアルバムを締める曲は、この曲しかないでしょう。 BUMP OF CHICKENの全てを総括するような、 ここまでの曲の輝きを、一筋の光へと集約させるように。 少しだけ概要を説明しましょう。 「流れ星の正体」は2017年1月27日発売の雑誌「B-PASS」で連載されていた藤原基央のコラム「Fujiki」の最終回で歌詞が初公開されました。 1999年から2017年まで続いたコラムの最終回です。 この最終回のコラムの内容を考えていた中で、頭に浮かんだ言葉を一つ一つ紙に書いていきました。 するといつの間にか、詩のようになり、歌っていたら曲になった。 こうしてできた曲がこの曲です。 自分とコラムを支えてくれたお客さんとの物語という意味でメンバーよりも先に聴いてほしかったそう。 この曲は、ファンとのコミュニケーションの場でもあった「Fujiki」がきっかけて生まれた。
翌日の28日から30日までの間、期間限定で1コーラスの弾き語りと歌詞だけのリリックビデオが公開されました。 僕が初めて聴いたのはこの時ですが、凄い曲になる予感しかしませんでしたね。 そして、2019年4月11日に、弾き語りを公開する。 これが完成形だとばかり思っていたが、違った。 アルバムの最後に聴いた「流れ星の正体」にはサプライズがあったのだ。 それは正真正銘、アルバムを通して、全ての曲を聴き終えた最後に待っていた。これほど熱い熱を��めた曲だとは知らなかった。
この曲は、Spicaと同じように、いや、正確には「藤くん」と「曲を聴く全ての人」の2つの関係。それを歌っている。 この曲が伝えることが、藤くんが音楽に込める想いなのだ。 先に言ってしまうと、「流れ星」とは、Spicaでいう「名前」のようなもの。 藤原基央が伝えたいと願うもの、聴いてほしいと思うもの、その思いをのせた「音楽」。 つまり、BUMP OF CHICKENの曲の全てが、この曲へと集約されているのだ。 その流れ星の正体を教えてくれたのがこの曲になる。
それはもう言葉に表すことができないほど尊いものである。 歌詞を簡単に見ていくが、その「流れ星」に気づくことができる一助となれば幸いだ。
「誰かの胸の夜の空に 伝えたい気持ちが生まれたら 生まれた証の尾を引いて 伝えたい誰かの空へ向かう」
君、ではなく「誰か」それはきっと、BUMPのことを知らない「誰か」も含まれているんだろう。 そんな誰かに「伝えたい気持ち」が生まれたならば、その生まれた証が尾を引いて、伝えたい誰かの胸の夜の空へと向かう。 藤原基央が「伝えたい気持ち」は、音楽となり、その音楽は自分が生まれた証、つまりは意味を持つ。その音楽は、聴かれることでようやく使命を果たすのだ。 「誰かの胸の夜の空」という表現だけでも、もう言葉にできない。 僕の胸の夜の空には、届いているよ。 そうして使命を持った、音楽、流れ星は、使命を果たすために誰かの空へ向かうんだ。
「いつも迷路 終わらないパレード 止まったら溺れる ゴールなんてわからないままで いつまで どこまで」
これは藤くんの心の叫び。 彼のような、眩しすぎるほどの人間でも、心に弱さを持っているんだろう。 そうじゃなければ、こんなに心に沁みる音楽は作れないから。 今までの曲でも少し触れてきたように、BUMP自身も、迷いながら、彷徨いながら歩いているんだ。
「時間と距離を飛び越えて 君のその手からここまで来た 紙に書かれた文字の言葉は 音を立てないで響く声 そうやって呼んでくれただろう 見上げればちゃんと聴こえたよ 僕の上に届いたように 君の空まで届いてほしい」
「紙に書かれた文字の言葉」とあるように、Fujikiなどを通して藤くんの元に届いたリスナーの言葉だろう。 その手紙は、時間も距離も飛び越えて、君の手から藤くんのもとへと届く。 どんな内容かはわからない、しかし、藤くんを呼ぶような、きっと助けを求めるような内容もあったんだろう。 藤くんの胸の空、その上にまで届いたように、藤くんの気持ちが、君の空まで届いて欲しいと願う。
「せめて君に見えるくらいには 輝いてほしい 流れ星の正体を 僕らは知っている」
この音楽が、流れ星が、君に見えるくらいには輝いてほしい。 そして、君の空に届いてほしい、この歌を聴いてほしい。 流れ星の正体を「僕ら」は知っている。 それは、君が届けてくれたものであり、藤くんが伝えたいと願ったものだから。
「足元をよく見て階段一つずつ どれくらいざわついていても ひとり 肩を擦るように避けながら 世界に何億人いようとも ひとり」
踏み出す足の一歩一歩、階段の一つ一つ。 どれくらいざわついても、世界に何億人いようとも、人は一人。 君は君、僕は僕。 そして、どこに居ようともひとりなんだ。 きっと誰しもが孤独と戦っているんだろう。 藤くん自身も、その孤独を抱えているんだろう。 その小ささに、儚さと共に、尊さを感じられるかい。
「今日は何もない一日と言えば それまでの毎日 増え続けて溢れそうな唄の欠片たちが 早く会いたがって騒ぐんだ」
藤原基央は、 「何もない一日と言えば それまでの毎日の中」で 「止まったら溺れてしまい」そうな、 「ゴールのわからない場所」から、 「世界に何億人いようとも、ひとり」と感じる空の下から、 君の空に、僕たちに、 唄の欠片たちを届けようとしているんだ。 その想いが、増え続けて溢れるほどに。 そうしてできた曲たちは、会いたがって騒ぐんだ。 「変わらないで変われなくて ずっと それでも続いている ゴールなんて決められないだけで なんなら 今でも」
その気持ちはずっと変わることなく続いている。 彼は、ゴールがわからないんじゃなくて、その活動のゴールなんて決められないんだ。 そうして歌を歌っている今でも、その気持ちが溢れている。
「君が未来に零す涙が 地球に吸い込まれて消える前に ひとりにせずに掬えるように 旅立った唄 間に合うように 命の数と同じ量の一秒 君はどこにいる 聴こえるかい 君の空まで全ての力で 旅立った唄に気付いてほしい」
もう、言葉にならない。 孤独な彼が、君が零してしまう涙が、どこかへ消えてしまう前に、 君をひとりにせずに掬えるように、旅立った唄が間に合うように。 そう願うのだ。全力で。君がその唄に気づけるように。 藤くんには、伝えたい気持ちに「君」が気付いてくれたかどうかはわからない。 それほどの想いを込めて唄を作ったとしても。 だからこそ、「聴いてくれる」人がいること、���の唄が届いたことが何よりも嬉しいんだと思う。 そうしなきゃ、その唄は使命を果たすこともなく、消えてしまうのだから。
「どんな事もこんな熱も街にまぎれる 流れ星の正体を僕らは知っている」
どんな事があろうと、こんな熱い気持ちだろうと、沢山の人が行き交う街には紛れてしまう。 でも、この唄を通して、僕らは繋がっている。 その熱も、様々な感情も、流れ星を通して僕らは知っているんだ。 届いているよ。藤くん。
弾き語りバージョンはここで終わっています。 ですが、アルバムバージョンではここから更に歌詞が続く。
「太陽が忘れた路地裏に 心を殺した教室の窓に 逃げ込んだ毛布の内側に 全ての力で輝け 流れ星」
太陽が忘れた路地裏も、心を殺した教室の窓へも、逃げ込んだ毛布の内側へも、その流れ星は来てくれる。見つけてくれるんだ。 そして、そんな所にいる君に向けて、全ての力で流れ星は輝く。 そんな暗い場所だからこそ、それは輝きを増すのかもしれない。 君の胸の夜の空に向けて。君を掬うために。
「お互いに あの頃と違っていても 必ず探し出せる 僕らには関係ない事 飛んでいけ 君の空まで 生まれた全ての力で輝け」
お互いにあの頃と違っても、君がもし、変わってしまっていても。 SpicaのFujiki、読んでくれただろうか。読んでないなら戻って読んでほしい。 「あなたが今後、人を殺すだの騙すだのして自分で自分を悪い人だと思ってしまっても、ライブに来てほしい。CDを聴いてほしい」と、彼は言うのだ。 そんなことは、僕らには関係ない事なんだ。 こんなに深い愛があるだろうか。 こんなに心の一番底の方から、掬い上げて、愛してくれる唄があるだろうか。 そうしてその流れ星は、君の空まで飛んでいき その生まれた全ての力で輝くんだ。 この瞬間こそが、BUMP OF CHICKENを聴いた時に感じる全てだ。 その例えようのない気持ちを、BUMP OF CHICKEN自身が、音楽で代弁してくれている気がした。 BUMPからの流れ星は僕の胸に届いたよ。 次は、僕からBUMPへ、届けられないだろうか…。 きっと、僕が「流れ星の正体」を知っていれば、 彼は、「ひとり」から「僕ら」へとなれるのかもしれない。
届いているよと伝えたい。 あなたのライブにいきたい。 これからもBUMP OF CHICKENを愛し続けます。
ここで、アルバム発売から5日間かけて書き連ねた解説を終わりにしようと思います。 もし全部見てくれた人がいるなら、ありがとうございますと伝えたい。笑 うん。 本当に素晴らしいアルバムでしょう? 本当に素晴らしいアーティストでしょう? 自分でも、この記事を通して曲への理解が5%から40%くらいにはなったかな。笑 インタビューみたりとか、歌詞解釈みたりとか、大切だけど、やっぱり自分の中で音楽と向き合って、たくさん咀嚼することが大事かなぁ。 まだまだ言いたいことが溢れてきそうだけど、さすがにここまでにしておこう。 また今後、インタビューとかちゃんと見てから書き直したりとか、ライブレポでもしたときに書こうと思います。わかんないけど。 なんていうか、口下手すぎて、伝えたいこと書ききれてないかな、とかもっと書かなきゃ、みたいになってどんどん長くなるんだよね。笑 ある種、届くことはないけど、僕からBUMPに向けた流れ星がこの記事だったのかもしれない。 それくらいにもどかしいんだ。 ライブに行ったら必ず届けるよ。この思いを。
ありがとう。
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Fantasy on Ice 2019 in MAKUHARI
2019.5.24.Fri-5.26.Sun
今年もFaOIの季節がやってきました。もう夏の風物詩というか、夏の季語というか、FaOIと共におれの夏が始まるみたいなところあるよね。実は今日はもう仙台の初日で、次が始まる前に幕張公演の備忘録をばということで仙台行きのバスの中でこれを書いています。
今年は前日のニュースで、羽生さんのコラボプロはToshIさんの「マスカレイド」という曲で、オペラ座の続編であることがご本人のインタで明かされました。今まで初披露前にプログラムが明かされることなんてなかったので驚いて、オペラ座?!?!しかも続編?!?!?!ということで更にひっくり返る程驚いたよね。しかも流れた練習映像がなかなか激しめな振付で…!!!発覚時のTLのお祭り騒ぎと言ったらもう…まあ勿論例に漏れずおれも大興奮だったんですけど…全く前情報なしで現地でオペラ座続編を浴びたかった気持ちと、いやネタバレなしでいきなりオペラ座続編なんて来たら衝撃が強すぎて記憶も何もかも消し飛ぶに違いないからワンクッション挟んでよかったという気持ちのせめぎ合い。そしてドキドキソワソワしながら迎えた幕張初日。
OPのダッ ダッ ダダン!を聴くとFaOIが始まる…!と条件反射でドキドキワクワクソワソワしちゃうよね。錚々たるメンバーの中で今年も最後に紹介される羽生さん、なんといきなり4T足上げ…!!!羽生さんが今年もFaOIで滑る姿を見ただけでも泣きそうなのに、もう4Tが跳べる状態まで回復してるのか…!と開始5分で既に号泣しそう。3日間ともやや堪え気味ではあるものの4T足上げキメてました…!歓声足りねーぞ!!!とばかりに耳に手を当ててオラオラ煽ってみたと思えば、余裕の笑みを浮かべて手をクイクイしてみたり、もう行く先々で会場中が大絶叫。そしてお衣装、白地に薔薇柄のトップスに黒の編み編みスケスケの羽織という、古き良きV系のような厨二感漂う感じで…† 透けっていいよね…
ここでゲストアーティストのToshlさんが登場。コラボOPはユーミンの「真夏の夜の夢」のカバー。男性が女性目線の曲を歌うのって色っぽいよね…そして羽生さん、ToshIさんの歌に合わせて兎に角クネックネしていらっしゃって…!キャッツアイ���彷彿とさせるクネクネ具合、しかし今回はとても男性的で…!しかも回数重ねるごとにどんどんねっとり妖艶に…!興奮で思考回路がショート寸前…最終日は「さよなら ずっと忘れないわ」で指差しを正面で食らってしまい、脳天をライフルで撃ち抜かれた気分でした…それはもうワッッッルイ顔してたんですよ…「最後はもっと私を見て」で自分の胸をトントンしてるらしいんですが逆側だったので拝めませんでした、仙台で拝めるといいな…!そしてね、女子との絡みもあってね、羽生さん×アンナちゃんというおれ得すぎるコンビでお2人を組ませた方に五体投地したい気分でした…!しかも羽生さんがめちゃくちゃオラオラグイグイで…!多分初日が1番オラオラしてたと思うんですけど、アンナちゃんにちゅーする勢いで迫っていて…!もうおれはアンナちゃんにもなりたいし羽生さんにもなりたくてンア〜〜〜!ってなった結果お2人の下の氷になりたいという結論に落ち着きました。2日目3日目は照れているのかやや控えめになってたのも可愛かった…暗転した後お手手繋いでアンナちゃんにペコペコする羽生さんが羽生さんすぎてとても可愛い…そして最終日はフィニッシュでアンナちゃんを支え切れずグラついてしまい、あああ〜って恥ずかしそうに笑ってアンナちゃんとハグする羽生さんが可愛すぎたね…まだOPなのに既に1500字というヤバさ
そして「マスカレイド」ですが、あれは本当に「無理〜〜〜(号泣)」以外何も言えなくなります。羽生さんのプロの中で、未だかつてここまでゴリゴリに男性的なプロがあっただろうか。照明がついた瞬間阿鼻叫喚。黒×臙脂のアシメ衣装、右手赤・左手白(袖口と小指は黒切替)の左右色の違う手袋、燕尾服のようなお尻尾、左右長さの違う袖、ハイネック…まずお衣装が最高すぎる。オールバックまでは行かないもののカッチリめにセットされた髪も最高。そして兎に角激しい…!!!まるで激情が迸ってオペラ座を燃やし尽くしてしまう業火。ひとつひとつの動きのキレが物凄い、そして今年も生演奏なのに音ハメがエグい。ToshIさんの伸びのある張った高音も気持ちが良い。サビの♩マスカレ〜に合わせたハイドロとイナがキマりすぎててヤバい。そして、そして、手袋ビターンフィニッシュですよ…!!初日の、乱暴に脱いだ手袋を冷酷無慈悲に氷に叩きつける様を見せつけられたおれは、余りの興奮に過呼吸一歩手前で危うく意識が遠退くところでした。終演後語彙と情緒の死を迎えたおれは、フォロワさんと「無理」「ヤバイ」「しんだ」しか言うことが出来ず、その他はただただ呻いておりました。
そして2日目、この日はめちゃくちゃおいしいアリーナショートサイドだったのでマスカレイドさんに焼き尽くされる覚悟で臨んだ訳ですが、暗転している中リンク中央に向かってくる羽生さんのお衣装が、違う…?!アナウンスされたのは「CRYSTAL MEMORIES」ま さ か の 日 替 わ り …!!!しかも照明がついた瞬間目にしたのは、真っ白できらきらひらひらのお衣装に身を包んだ羽生さん…!!!マスカレイドの次の日に、こんな対極にあるようなゴリッゴリの中性プロを持ってくるとは…!!振り幅…!!温度差…!!しかもクリスタルがたっぷり付いてて、煌めき方が尋常ではない…眩しすぎる…手袋まで純白で…でも長めの袖口にかけてほんのり水色グラデになってて…ウエストは少し黒が差して…斜め後ろに春ちゃんみたいなひらひらのお尻尾もあって…これはクリスタルプリンセス…Y字バランスからのスパイラルが美しすぎて恍惚…ひとつひとつの動作がマスカレイドとは別人のような柔らかさ…そして所謂大サビでショートサイドで止まるところがあるんですけど、その時の羽生さんの笑顔が天使みたいできらきら眩しくて…しかも歌ってたの…そして振り返って滑り出す羽生さんの背中を見て、バージンロードを歩いていく花嫁さんかと錯覚したよね…心からお幸せにと願ってしまった…レイバックスピンでフィニッシュなのも最高です…完全に浄化されて召されました…後々羽生さん談では「これは戦いの歌、最後は勝利の剣をマスターであるToshIさんに捧げている」という情報を見て、ファッ?!あの花嫁さんは、戦うお姫様だった…ッ?!と驚嘆したよね…確かに現地で見た時は余りにも清廉な花嫁衣装と賛美歌みのある曲想と天使のような表情にかなり印象が引っ張られてしまったけれど、録画を見たら所作や振付はシャープに研ぎ澄まされている部分も多くて、なるほどこれは気高きクリスタルの騎士…!と納得しました。ToshIさんの澄んだ高音も、クリスタルのような透明感と硬質だけど優しい冷たさを含んでいてとてもよい…
そして3日目は再び「マスカレ��ド」、いやだから温度差…!振り幅…!羽生さんは一体我々をどうしたいのか…!!2回目だったので初日よりも若干(本当に若干)落ち着いてディティールを見ることが出来ました。個人的にグッと来たポイントは、レイバックスピンを解いた後に両掌で顔を覆って撫で上げるところ…覆った掌の間から見えた表情が官能的すぎて…そしてこの日の手袋ビターンは身体ごと振り被って思い切り叩きつけてましたね…因みにおれは初日の直立状態から無慈悲にスパーン!と叩きつけるフィニッシュの方が好みですね…この日も無事焦土と化しました。
そしてフィナーレ、♩な〜ぜ〜に〜という歌い出しを聴いて真っ先に思い浮かんだのはダイナマイトボートレース。渡辺直美さんの顔がチラつく。お衣装は黒ベースで、白レースたっぷりの襟とお袖が付いているのが素晴らしい。イナの時にはためく裾から可愛いおへそとバキバキの腹筋を拝ませてもらいました、ありがとうございました。2日目3日目はその後ズサーも追加、3日目は手を氷に着けず上体を反らせててとても上品なズサーでした。
そして一芸大会で4Lzにトライ…!抜けと転倒がほとんどだったけど、2日目はオーバーターンが入るもきちんと着氷して、もう全おれが泣いた。2017年のN杯以来謂わばタブーのようになっていた4Lz、もうガンガントライ出来る段階まで来たんだなあと号泣。うっうっ…羽生さん、ス��イヘルシーでがんばってね…応援してる…!!因みジャンプ跳びに行く前に、2日目はFaOITシャツのAタイプ、3日目はBタイプにお召し替えしていたのだけど、3日目は幕に捌け切る前にお衣装のファスナーを下ろしていて美しいお背中がチラ見えしていたのをおれは見逃さなかったぞ。今年も羽生さんのお声で「ありがとうございました」が聞けて、羽生さんに「ありがとうございました」が言えて、おれはなんて幸せ者なんだろうなあとしみじみ思う。そして最後は仮面を着けてから幕の中へと消えて行きました。
まだ幕張なのに、羽生さんに関してしか書いていないのに、兎に角記録を残そうと徒然なるままに書いていたら4000字に迫っていてビックリしています。気持ち悪い程長くてすみません。仙台、神戸、富山も行く予定なので出来るだけタイムリーに上げていけたらと思います。多分毎回めちゃくちゃ長いと思うので、暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
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ミコとマチ
リビングで目が醒めた瞬間あわてて手元のスマホで時間を見た。5時31分、やばい、40分には家を出ないとバイトに遅刻する。渾身のスピードで歯を磨いて顔を洗い自室に駆け込みばたばたとスウェットを脱ぎ床に脱ぎっぱなしの縒れたデニムを穿きYシャツを全力で着て一張羅の苔色のカーディガンを羽織ってほとんど空っぽのリュックを背負う。化粧は諦めて大きめの風邪マスクでごまかすことにした。幸い原稿を作成してるうちに座椅子に座ったまま寝落ちしていたので髪は乱れていなかった。平日ならマチが起こしてくれるのに、今日は土曜日だから私の部屋の向かいの彼女の部屋で、マチは一週間分の疲れを取るべく昼までおねんねだ。私は「いってきます」とぼそっと呟いて全力でドアから飛び出しオレンジのチャリに跨がり立ち漕ぎで駆けた。早朝の澄んだ空気を抜ける冷たい風が私の全開のおでこに当たる。三月の霞がかった曖昧な風景を私は右、左、右、とぐっとペダルを踏んで追い越して行く。それにつれ眼がだんだんと冴えて来た。息を切らしぐんぐんと駅までの道を走りながら私は書きかけの原稿の続きのことを考え出していた。どきどきと小さな心臓が高鳴り血が巡り、私の身体に熱が漲ってくるのを感じる。まだ人がまばらな駅前のロータリーを抜け、高架を潜り、なんとか出勤時間ぎりぎりに店に着いた。ドアを開くとコーヒーの温かくて甘い香りがふわっと鼻を突く。これを嗅ぐと私の頭はたちまちだらしがなくてうだつの上がらないワナビー女から「「鯤」のウエイトレスモード」にかちっと切り替わる。「おはようございますっ」私は店に入るなり弾丸のように一直線にバックヤードに突っ込みエプロンを着る。「おー、毎度のことながら作家さんは朝に弱いねえ」店長の蓮さんが茶化す。「朝まだなんだろ?これ食っちまえ」蓮さんは厨房からカウンター越しに私にロールパンを投げ渡した。「いただきます」私は風邪マスクをぐいとずらし、拳大のそれを口に詰め込んだ。それから蓮さんに渡された水をぐっと飲み干す。「鯤」は駅前の喫茶店なので、平日は開店するなりモーニングをしにくるサラリーマンなんかがぞくぞくと来て大童なのだが、今日みたいな休日は最初の30分なんかはかなり暇だ。コーヒーにつけて出すゆで卵もいつもならあらかじめいくつか小皿に分けて置くのだけど、今日はカウンターのバスケットにまだこんもりと盛ってある。その光景はまるで平和の象徴のような安心感を私に与える。しばらく待っても客が1人も来ないので、私はトイレで簡単な化粧を済ませ、カウンターにかけて蓮さんが淹れてくれたアメリカンをゆっくりと飲んだ。「原稿はどんな感じ?」「うん、方向性はだいぶ定まってきたからあとはそれを形にしていくだけかな」「なるほど、ついに俺の息子がミコが手がけたゲームをやる日がくるんだなあ、あっ今のうちサイン貰っとこうかな、店に飾るわ」「蓮さんってば気が早すぎ」蓮さんはことあるごとに茶化すけど、芯のところでは私のことをそのつど気にかけてくれているのが私にはありありとわかった。嬉しいことだ。
そうしていると、程なくして客がちらほらと入り出した。休日の朝は老人ばっかりだ。常連のみんなはお話し好きで、四方山話や身の上話を滔々と聞かせてくださる。いつものように私は給仕や食器洗いをこなしながらそれにふんふんと頷いた。でも頭の中は原稿の続きのことでいっぱいだった。先週、駆け出しライターの私に初めてクライアントからSNSのダイレクトメッセージで、ソシャゲのシナリオの執筆依頼が来たのだ。それは聞いたことないような小さな会社で、その依頼されたゲームも予算的にみてメインストリームに敵うポテンシャルがあるとはとうてい思えなかったが、なにせ執筆の依頼が来ることなんて初めてだったので、私は半端ない緊張ととめどなく沸いてくる意気込みでここ一週間ギンギンだった。原稿のことを考えると下腹のあたりがヒュンとする。これは誰もが知っているRPGのシナリオを手がけるという私の夢への第一歩だし、なにより、就職せずに創作活動に専心することにした私の決意が報われた心持ちだった。それはどう考えてもぜんぜん早計なのだけれど。とにかく、私は今とても浮かれていた。
正午前あたりから客足が徐々に増しなかなか忙しなり、あっという間に15時になった。退勤まであと1時間だ。
「いらっしゃい。おっ荘くん」だしぬけに蓮さんの朗らかな声が厨房から客席に向け広がる。荘くんが来ると、蓮さんは私を茶化す意味でわざと私に呼びかけるような声音で叫ぶのだった。これもいつものことだ。
私はお気に入りの窓際の2人がけのテーブルにギターケースをすとん立てかけて座る荘くんのところへ注文をとりにいった。心臓の音が高鳴るのが荘くんにばれている気がした。
「いらっしゃい、今日はスタジオ?いよいよ来週だね。」
「そうだな、あっ、チケット忘れんうちに今渡しとく」
荘くんにひょいと渡された黄色いチケットにでかでかと、
「jurar 初ワンマン!」と書いてあった。その楠んだチケットのデザインは全体的に少し古くさい気がした。
「ついにだね」
「うん、絶対に成功させるよ、やっとここまでこれたんだ。そろそろ俺たちもプロへの切符を勝ち取りたいな」
「うん、私応援してるから」荘くんの襟足から煙草とシャンプーの混じったえも言われぬ匂いがかすかに漂う。それは、ほんとうのほんとうに良い匂いだ。
「サンキュな、ミコちゃんも頑張ってるもんな、俺も負けてらんないよ。あっ、そうそう、そういえば…明後日柴さんにアクアマターのライブ来ないかって誘われたんだけど、ミコちゃんあのバンド好きだったよね、もし暇だったら一緒に来る?蕗川ビンテージだよ。柴さんももう一人くらいだったらチケット用意できるから連れて来ていいって」
「いいの?行きたい!」
「よっしゃ、じゃあまたラインするわ」
「まじか…」私は心中でひとりごちた。まさかのまさか、こんな地味な女が荘くんにデートに誘われたのだ。注文伝票をレジに持って行き蓮さんのほうをちらと見���みた。すると蓮さんははにかみながらしゅっと素早く腰のところでガッツポーズを出した。私は心中でもう一度、「ま、じ、か…」と丁寧にひとりごちてみた。
荘くんはブレンドを急いで飲み干して会計をし、「じゃあ」と去って行った。そうこうしているうちにやがて退勤時間となり、出勤してきた蓮さんの奥さんに引き継ぎをして、私はタイムカードを切った。「お疲れさまです」挨拶をして表口から店を出ると、スプリングコートのポケットに両手を突っ込んで含み笑いしているマチが立っていた。目が合った私たちはそのまま見つめ合った。一瞬、時間が止まったようだった。ピィ、ピィ、とけたたましい鳥の声が、狭い路地裏にこだました。
「オハヨ」マチは宣誓のように右手をし���っと突き出してそう言った。
マチの手は真っ白で、春のひかりをぼんやりと帯びていた。ぼんやりとその手を見ていると、なんだか眠くなった。
「マチ、何してたの?」
「さんぽ」
「起きたばっかり?」
「寝すぎちった」
私は自転車を押してマチととぼとぼと散歩した。外は朝は肌寒かったけれど、今は歩いていると少し汗ばむほどの気温まで上がっていた。電線と雑居ビルたちに乱雑に切り取られた街の高い空を、鳴き交わしつつひっきりなしに飛び交う春の鳥たち、私たちはゆっくりと歩きながらそんな風景を見るともなく見ていた。
私たちはそれぞれあたたかい缶コーヒーを自販機で買い、駅から少し離れたところにあるたこ(多幸)公園へたどり着いた。私とマチは予定のない天気のいい日にはよくここで何となく過ごす。
「そういえばさ」
「ん?」
「さっき店に荘くんが来てね」
「なになに?」ブランコに座っているマチは両足をばたばたとせわしなく蹴っている。
「「明後日アクアマターのライブに誘われたんだけど一緒にこないか」って」
「デートか!」
「そういうこと」
「やったー!」マチはブランコからたんっと飛び降りて両腕を上にぐんと伸ばして叫んだ。
「いや、誘われたの私だし」
「わがことのようにうれしいっ」
「よーし今日はなべだー」マチは私に背を向けて起き上がった猫のように盛大なのびをした。
「なべ、若干季節外れじゃない?」
「めでたい日は鍋パって相場がきまってるのよっ。ミコの恋愛成就を祝って今日は私のおごりで鍋だー」
「マチってば気が早すぎ」
私たちはスーパーでたくさん鍋の具材と酒とつまみを買って、大きなレジ袋を2人で片側ずつ持って帰った。2人でわいわい作った鍋は多すぎて全然食べきれなかった。飲みまくって酔いつぶれた私たちはリビングでそのまま気を失い、翌朝私は風邪を引いていた。私がなにも纏わず床で寝ていたのに対して、マチが抜け目無く毛布を被ってソファーを独占していたのが恨めしかった。
荘くんは待ち合わせの駅前のマクドナルドへ15分遅刻してきた。10分でも20分でもなく15分遅れるというのがなんだか荘くんらしいなと私は妙に感心した。「蕗川ビンテージ」は私の家の隣町の、駅のロータリーから伸びる商店街の丁度真ん中のあたりにある。私はこの街に来たことがなかったのでライブハウスまで荘くんが先導してくれた。風は強く、空は重く曇っている。商店街や幾本かの路線でごちゃごちゃしたこの街は、私とマチが住んでいるところに比べてなんだか窮屈な感じだった。前を歩くやや猫背の荘くんに付いて駅からしばらく歩くとやがて「蕗川ビンテージ」に辿り着いた。荘くんが「あそこ」と指を指してくれなかったら私はそれがそうだと気付かなかっただろう。「蕗川ビンテージ」はどう見てもただの寂れた雑居ビルだった。よく見ると、ぽっかりと空いたビルの地下へと続く入り口の前に「アクアマター」のワンマンの掲示があった。その入り口の前に、いかにもバンドマンといった出で立ちの5人の男女が談笑していた。若いのか、それとも私たちよりずっと歳上なのか、いまいち判然としない風貌の人たちだった。その5人はやって来た荘くんを認めると手を振り、荘くんはそれに応えて私をほったらかしてポケットに手を突っ込んだまま5人に駆け寄った。荘くんが1人の男の横腹を肘で小突く、するとその男は笑いながら荘くんにヘッドロックを決め、ほかの人たちもげらげらと盛り上がった。どうやら荘くんととても親しい人たちらしい。少し話すと荘くんは突っ立っている私のほうに戻って来た。それから私の手を引いて、地下への階段を降りて行く。荘くんが近い、かつてないほどに近い荘くんのうなじから、シャンプーと煙草が良い塩梅に混じった私の好きな匂いが漂ってくる。匂いはたしかに近いけれど、暗すぎて当の荘くんの姿がよく見えない。なにかがずれている気がした。私たちは、どこか歪な気がした。私たちが、というか私だけが明らかに場違いだった。「マチは今どうしているだろう、そろそろ帰ってる頃かな、晩ご飯は私がいないから今日は外食なんだろうな」好きな男に手を引かれているというのに私の頭に浮かんで来るのはマチのことだった。やれやれ。
2人分のチケットを荘くんが受付の初老の男に手渡す、そして荘くんはまたその男としばらく談笑し始めた。「ちょっとお手洗い行ってくるね」と私はその間に用を足した。戻ってくると受付の前に荘くんを中心に人だかりが出来ていた。荘くんの周りにおそらく10人以上はいたが、その中の誰1人として私の知っている顔はなかったし、荘くんを含め、そこに誰1人として私のことを気にする人はいなかった。私はまるで透明人間にでもなったかのような心持ちだった。あそこで人の輪に囲まれ楽しそうに話しているあの人はいったい誰なんだろう。いつも「鯤」に来て親しく話してくれるあの人。私がいつか「アクアマター」が好きだとこぼしたことを覚えてくれていて、デートに誘ってくれたあの人。でも冷静に考えると当たり前のことだったのだ。界隈で突出した人気を誇る若手バンドのフロントマンの荘くんと、街の隅でこそこそと暮らしている私みたいな誰も知らない地味な女なんて、そもそもステージが違うのだ。私は知らないライブハウスの柔らかくて厚い防音材の壁にもたれながら、誰にも知られず夜空でひっそりと翳りゆく月のように、緩やかに卑屈になっていった。誰かここから連れ出してくれないかな、これがまさしく「壁の花」ってやつね。卑屈の次にやってくる自嘲。思えば幾度も覚えたことのある感覚だ。いままでに縁のあった男はみんな、折々こんな風に私のことをないがしろにした。
ほどなくしてライブが始まった。ライブは、よかった。横にいた荘くんは頻繁に何処かへ消えた。たぶん、知り合いの誰かと話しに行っているのだろう。そう、ここでは私以外のみんなが知り合いなのだ。ライブの終盤、ストロボが瞬くクライマックスの轟音の中荘くんは強く私の手を握ってきた。私はそれを知らんぷりした。スモークの甘ったるい匂いがやけに鼻についた。ライブ自体は、本当によかった。
外に出ると小雨が降っていた。荘くんはライブの終わりからずっと私の手を握ったままで、駅の方へ私を引いて歩いていく。私はなにも考えずにそれに従う。疲れて、頭がぼーっとしていた。商店街の出入り口のアーチの辺りで、荘くんは「じゃあいまからウチで飲もっか」と切り出した。私はまっぴらごめんだと思い「えーと今日はもう帰ろうかな、明日も朝早いし…」と丁重にお断りした。
「別にいいじゃん、ご近所さんなんだしバイトは朝、俺の部屋から出勤すれば」荘くんはしつこかった。
「いやーやっぱ何だか悪いしルームメイトもいるんで今日は家に帰ります。今日はほんとにありがとう」
私は返答に窮して言い訳にならない言い訳を口走っていた。そのとき私ははっと息をのんだ。荘くんは怒っていた。彼の表情こそ変わらないが、私なんかにプライドを傷つけられたこの男が激怒しているのがわかった。
それから突如荘くんは声を荒げ
「んだよ、俺とヤりたいんじゃなかったのか?」
と今まで私が聞いたことのない荒荒しい声音で言い放った。そのとき私は頭が真っ白になった。私はこの人が何を言ってるのかわからなかった。信じられなかった。この人も自分が何を言っているのかきっとわからないに違いない。そうであってほしい、と私は願った。
私はいつの間にか私の肘を強く掴んでいた彼の手をばっと振り切り、夢中で駅まで走った。後ろであの人がこっちに向かってなにか喚いている気がした。私はそれから逃げるために全力で走る。とつぜん視界がぐにゃあと歪んだ。音のない雨は、いつのまにか本降りになっていた。頬を伝って落ちる生温いものが春の雨なのかそれとも涙なのか、わからなかった。
マチは私に何も訊ねなかった。あの夜ずぶ濡れで帰ったきた私の
様子を見て何となく察したのだろう。お風呂から上がってきた私に何も言わずに中華粥を作ってくれた。荘くんはあの日以来鯤に来ることはなくなった。蓮さんは
「まあ今回は縁がなかったってだけさ。月並みな言葉だが男なんて星の数ほどいるんだぜ」と慰めてくれた。
でもそれを言うならば女だってそうだ。それこそ私は荘くんにとって星の数ほどいる「都合のいい女候補A」にすぎなかったんだ。私はまた卑屈になっていた。このことをマチに話すと「処置無しね」の表情をされた。マチの「処置なしね」の表情。白いつるつるの眉間に少し皺が走りいたましげに私の顎辺りに視線を落とすこの仕草が私は密かに好きだ。ソシャゲの依頼はなんとか納期に間に合ったが、私は次の賞に挑む気力が沸かなかった。スランプに陥ってしまったのだ。なんだかどうしても力が入らなくて、私は湯葉のようにふやけてしまっていた。このままなんの意思も目的も持たず、たゆたうクラゲのように何処かへ攫われてしまいたかった。あの失恋で、まるで私とこの世界とを繋いで私を立たせているピンと張った一本の糸が、ぷつりと切れてしまったようだ。私は休みの日のほとんどを寝て過ごすようになった。
私が一ヶ月以上もそんな状態だったので、放任主義のマチもさすがに見かねたらしく、「ミコ、餃子をやろう」と私に切り出した。パジャマの私はソファでクッションを抱いて寝転びながら「うぇえい」と曖昧に返事した、ミコが「マチはかわいいなあ」と言って後ろから抱きつこうとしてきたが私はそれをひょいと躱し、勢い余ったマチはフローリングでおでこを打ち「ぎゃっ」と叫んだ。そのとき私に被さったミコの身体はとてもひんやりとしていた。
餃子の買い出しから仕度まで殆どミコがやってくれた。私はソファに寝転んで夕方のニュースを見ながらミコが手際よく餃子を包んで行くのを背中で感じていた。辛い時は甘えられるだけ相手に甘えるのが私たちの生活の掟なのだ。私とマチは、いまままでずっとそうやってきた。
「いざ!」待ちくたびれて私がうつらうつらし出した時にマチは意気込んで餃子を焼き出した。しゅわあと蒸気が立つ音とともに、むわっとした空気がリビングに立ち込めた。私は薄目でせかせかと餃子を焼くマチの背中を見ていた。「このまま帰りたくないな」そんな素朴な気持ちが不意に、去来する。私たちには他にいるべき場所があって、いつまでもこの生活が続くわけないのはお互い、何処かで理解していた。けれど私たちはそれに気付かないフリをしている。
マチの背中って小さいんだなあ。そんなことを考えると何だか目頭が熱くなってきたので、私は寝返りをうち、狸寝入りを決め込んだ。クッションに顔を埋めてきゅっと眼を瞑っていると、まるで幽霊になって、空中を漂いながらミコのことを見守っているような、ふわふわと暖かくて寂しい気持ちになった。
「ほらほら引きこもりさん、餃子が仕上がって来たわよ。テーブルにお皿とビール出しといて」
「あいさー」
テーブルの皿に綺麗に連なって円になっているマチの餃子はつやつやでぱつぱつだった。マチは餃子の達人だ。マチよりおいしい餃子を作る女を私は知らない。
「じゃあ、餃子にかんぱーい」
「かんぱーい」
最初の一皿を私たちはあっという間に平らげた。
「じゃあ第2波いきまーす」
「いえーい」
マチは餃子をじゃんじゃん焼いた。私がもう食べられないよと喘いでも取り合わず焼きまくった。マチは何かに取り憑かれたようにワインを呷りつつ、一心不乱に餃子を焼き続けた。「餃子の鬼や…」私がそう呟くとマチはこっちを振り向いてにいっ、と歯を出して笑った。
餃子パーティも無事に終わり、私たちはソファで映画を見ながらワインをちびちびと飲んでいた。
「ミコ、この映画つまらないね」
マチがずっと見たいと言っていたから私がバイト終わりに借りてきてあげた映画だった。
「たしかに、脚本は悪くないけど演出が単調だね」
マチは冷蔵庫から新しい缶チューハイを持って来てぐびと勢い良く飲んだ。それから酒の勢いを借りたようにこう言った。
「ミコ、屋上に行こうか」
私は缶ビール、マチは缶チューハイを片手に最上階の廊下のフェンスを跨いだ。マチは私の手を引いて真っ暗で何も見えない中、屋上へと続く鉄骨階段を上がっていく。あれだけ餃子を焼いたにも関わらずマチの手は冷たかった。たん、たん、と微妙にずれたふたつのゆっくり階段を踏む冷たい音が闇の中密やかに響く。酒気を帯びたマチのにおいがする。なんだか懐かしいにおいだ。毎日のように嗅いでいるはずなのに。私はマチをぎゅっと抱きしめたかった。
屋上は無風だった。しんとしていて、まるで世界が止まったみたいだった。私たちの住むマンションは台地のてっぺんに建っているので、屋上からは街が良く見渡せる。酒の缶を持った私たちは並んで囲いの柵に凭れて、街の灯をぼんやりと眺めていた。不意にささやかな音で聞き覚えのあるイントロが流れ出した。最初はか細い月明かりのような調子のその曲は、やがて雲の隙間から抜け出して鮮烈な満月となる。
「Tomorrow never knows」
私はこの曲を聴いた時にいつもこんな印象を受ける。いつかマチはこの曲のことを夜の森の奥で誰にも知られずに燃える焚き火みたいと言っていた。思えば、性格がまるで違う私たちを繋ぐきっかけとなったのはこの曲だった。
あれは私がまだ大学一年生のときの冬だった。私はサークルの先輩に合コンに来てくれと頼まれて不承不承承知した。相手は同じ大学の違うサークルの連中だった。明らかに人数合わせで参加した合コンだ、面白いはずもなく、私はうんざりした。いつ「じゃあ私はこの辺で…」と切り出そうかずっと迷っていたが、二次会のカラオケにも流れで行くことになってしまった。そしてそのカラオケに遅れてやって来たのがマチだった。先輩の説明によると、マチは男側の知り合いだそうだ、それで先輩とも面識があったので呼ぶ運びとなったのらしい。部屋に入って来たマチを見て私は「きれいな女の子だなー」とうっとりとした。マチは空いていた私の横にすとんと座った。思わず頬が緩むようないいにおいがした。スキニーを穿いた華奢な脚のラインが綺麗で、横に座っていると、私の若干むくんだそれと比べずにはいられなかった。マチは終止にこにこしていた。男たちは明らかにみんなこの場で一番綺麗なマチを狙っていた。私は半ばいやいや参加したとはいえ、やはりみじめな気持ちだった。下を向いて鬱々としていると私にマイクが回って来た。あまり歌は得意ではないのだが…と思いつつ私は渡されたマイクを掴み、ええいままよとミスチルの「Tomorrow never knows」を歌った。歌っている時にマチがじっとこっちを見ていたのを不審に感じたが私は気付かないふりをして歌いきった。合コンはつつがなく終わった。解散してターミナル駅のコンコースを歩く私たちの集団は1人ずつ空中分解していき、やがて私とこの初対面で良く知らないマチという女の子だけが残った。私たちは無言で微妙な距離を保ちながら並んでしばらく歩いた。
「私って合コンとか苦手なんだ~」やにはにマチが間延びした調子で呟いた。それからふわあと大きなあくびをした。私はその様子を見てなんて美しいひとなんだろうとうっとりした。合コンのさなか、表面上は取繕っていたが、明らかに退屈そうにしていたのも見て取れたので、私はマチに好感を抱き始めていた。
「なんか私同世代の男の子って苦手だな、何話したら良いかよくわからないし」
「私もああいう場は少し、苦手」
「ねえ、お腹空かない?」
「ちょっぴり」
「ラーメンでも食べにいこっか」
「うん、いいよ。この辺?」
「うん、北口からちょっと歩いたところにおいしいラーメン屋があるんだ。塩ラーメンなんだけど、大丈夫?」
「大丈夫、塩ラーメン好きだから」
「それではお嬢さま、エスコートいたします。」
とマチは腰を落として片足を後ろに引く紳士の挨拶のポーズをした。
「で、では、よろしく」
私もコートの腰のところを両手でつまんで膝を曲げ淑女の挨拶でぎこちなく応じる。
私たちは改札の前で踵を返し、ラーメン屋へと向かった。
「ミスチル、好きなんだね」
「うん、親の影響なんだけど」
「私も好きなんだ。だから、君がさっき歌ってたとき嬉しかった。周りに音楽の趣味が合う人がいなくってさ、ミスチルとか今の若い人もうあんまり聴かないもんね」
「うん、カラオケとか行くとみんな今時の曲ばっかり歌うもんね。特に合コンなんかだと顕著」
「男も女もなんだかんだ言っても最終的に画一性��自分に強いたほうが楽なのだということなのかも知れんね。ところで君、名前は?」
「私はフジサワミコ。あなたは?」
「私も名前二文字なんだ。湊マチ」
「みなとまち」
「マチでいいよ」
「わかった、私のこともミコって呼んでよ」
「そうだ、ハタチになったら一緒に飲みにいこうよ。ライン交換しよ」
それがきっかけで私たちはことあるごとに2人でつるむようになった。私がこっぴどく振られた時も、マチの就活が難航を極めていたときも、いつも酒なんかを飲みながら互いに慰め合った。ルームシェアをしようと言い出したのはマチのほうからだった。それは私が就職を諦め夢を追うことにするとマチに打ち明けた次の日だった。
「私はミコがどんなでもそばにいてあげるよ」
マチはことあるごとにこんなことを言うのだった。
「どんなのでもって、もし私がアメーバみたいな真核生物でも?」
「アメーバでも好きだよ」
「私も、マチがアメーバでも好き」
赤ら顔の私たちは屋上で「Tomorrow never knows」を歌った。
「はーてしなーいやみのむーこうへーおっおー てをのばそー」
呂律の回らない舌で私たちは叫びながら柵の向こうへ両手をぴんと伸ばした。伸ばした指の先に、滲んでぼやけた街の灯りたちが、きらきらと輝いていた。
私はそのプロポーズを受けることにした。相手は麗さんという人で、マチの紹介で知り合った10歳上の高校の生物の教師だった。マチはあの失恋以来落胆している私を励ますために、荘くんとは真逆のタイプの男を紹介してくれたのだった。交際は、以前の私ではとても考えられないくらいにうまくいった。私は素敵な男をあてがってくれたマチに心の底から感謝した。彼はとても良く尽くしてくれたし、私も彼のことがとても好きだった。彼と付き合い出してから、彼の家に泊まって部屋に帰らないこともしばしばあった。そして私と対照的にマチはその頃からだんだんと不安定になっていった。なにかといらいらしてたまに私にあたるようになったのだ。私は何故そうなったかマチに聞くこともなかった、何となく察しがつくだけに余計聞く気がしなかった。喧嘩も私が帰らなくなった日のぶんだけ増えていった。
ある日3日間麗さんの家に泊まってから帰ると、私の部屋のものが全部廊下に放り出されていた。
「なにこれ」私はこっちを振り向きもしないリビングでソファにかけてテレビを見ているマチに問いかけた。
「もう出て行くのかと思って部屋を片付けといてあげたよ」
「ばかじゃないの?ほんとガキだね」
なんてみっともないんだ。私にいつまでもこだわって、ばかばかしい。
ずかずかと歩いてリビングに入ると不意にマチが振り向いてこっちをきっと睨みつけたので私は立ち竦んでしまった。
「ミコ、ミコの夢は、努力は何だったの?なんで…そんなに簡単に諦めるの?」
マチの声は掠れていた
「前にも言ったけど私には才能がないんだしもう筆を折ったんだよ」
「なんでも手に入れることのできるマチには私のことはわからないよ。知ったような口を聞かないで」
私はいつしか心の何処かで自分の夢と、マチから解放されたいと思い始めていた。
「そういえば言ってなかったんだけど私あの人にプロポーズされたんだ」
マチはまたテレビの方を向いて石像のように固まって何も言わなかった。
「おめでとうとか、ないの?」
マチは依然としてだんまりだった。
そのとき、私の頭のなかでぐわん、という音がした。誰かに後頭部を殴られたような衝撃だった。それから涙が、とめどなく溢れてきた。私は泣きながら廊下に放り出された荷物を出来る限りまとめた。それから麗さんに電話をしてワゴンを出してもらい部屋の私の家具や持ち物を全て、3往復して麗さんの家に運んだ。それっきり、あの部屋には二度と戻らなかった。それはあまりにもあっけない幕切れだった。麗さんは「人のつながりなんて、そんなもんさ」とやけに達観した口ぶりで私を慰めてくれた。3ヶ月後に披露宴の招待をマチにラインしてみたが既読すら付かなかった。
「もう、終わりにしよう」
別れを切り出したのは英治のほうからだった。英治はセックスが終わってしばらくして呟くようにそう言った。実のところ私は、英治のほうからそう言ってくれるのをずっと待っていた。いかにも安ラブホテルの調度品といった感じのチープなガラスのテーブルの上の、パフェ皿の底に残って溶けたソフトクリームがピンクの照明を反射しててらてら光るのを、私は裸でシーツも被らずに茫然と眺めている。英治がシャワーを浴びる音が聞こえる。英治が上がったら私もシャワーしなくちゃ。…どうしてこうなっちゃったんだろう…どうして。やにわにテーブルに起きっぱなしのスマホが震え出した。ガラスの上でがちゃがちゃ騒ぎ立てるそれに私はいらっとして。ぱっと手に取った。その画面には「麗さん」と表示があった。
「来月の裕太の体育祭どうする」
メッセージの内容はこれだけだった。私はスマホの画面を暗転させて枕元にぽんと投げ捨てベッドに潜り込んだ。麗さんと英太にはもう一年以上会っていなかった。毎日仕事漬けで夫と子供を捨てて出て行き、愛人と日中に安ラブホにしけこんでいる私のような女が今更どの面下げて元伴侶と息子に会いに行けばいいんだ。いやだ、このままなにもしていたくない。この地の底のような穴ぐらで、誰にも干渉されずにずっと踞っていたい。
「ミコ、ミコ、ミーティングに遅れちゃうよ。起きて」
そうだ、私は次の作品の企画ミーティングに行かなければならない。何せビッグタイトルのナンバリングだ。集中しなければ。
ミーティングはかなり難航したもののなんとかまとまった。私も英治も、いつものようにメンバーに振る舞った。私たちの関係に気付いている人は、どうやら1人もいないようだった。帰りがけに私と英治は小さな居酒屋に寄った。ここは私たちが関係を持ちだしたころ英治が教えてくれた店だ。
「今度のプロジェクト、うまく行くといいな」英治は燗を呷って少し上機嫌になっていた。昼間のラブホテルでの言葉を取繕うためなのかもしれない。
「なんたってミコには実績があるもんな。大丈夫、ミコならこの先一人でもうまくやっていけるさ」
「聞きたくない…」
「え?」
「「聞きたくない、そんな言葉」」
私は思わずそんなことを口走りそうになったが、かろうじてそれを飲み込んだ。
「英治はどうなの」
「どうって?」
「この前も辞めたがってたじゃん。この仕事、自分に向いてると思う?」
そうだ、私が英治の仕事や家庭の愚痴を聞いてあげるようになったのがこの関係の始まりだった。
「うーん…向いていようが向いてまいが、俺にはやるしかないな。やっぱり何度も言ってるけど、自分の夢のために邁進してきたミコと俺はスタンスが違うよね、それに俺…」
「俺?」促しても英治は先を言うのを躊躇うので私はいらいらした。握りしめた水割りを私はぐいっと飲んだ。
「俺…2人目ができたんだ…」
「ふうん、おめでとう、ね」
「そうなんだ、だから、この関係もそろそろ潮時なのかなって。」
私はカウンターに万札を叩き付けて店をあとにした。なにも英治に腹が立った訳ではない。私は全てがいやになってしまったのだ。夢も、仕事も、家族も。
「違う…私は…私は…」
私は無意識にそう呟きながら明後日の方向へ駆け出していた。後ろで英治が私を呼びかけながら付いてきていたが私はその声がしなくなるまで走り続けた。走って走って、私は知らないバーに駆け込んだ。それからジャックダニエルのロックを注文した。なにも考えたくなかった。ぼうとそれをちびちびなめていると、やにはにスマホがポケットのなかで震えた。英治がなにか取繕うためのメッセージを送ってきたのかと思い私はうんざりしながら画面を見た。しかしそこに表示されていた名前は「英治」ではなく「マチ」だった。
私は反射的にスマホをカウンターに伏せて置いた。そしてウイスキーを飲み干しておそるおそる画面をタップして内容を確認すると。
「久しぶり、突然ですみません。今度会えませんか。」とあった。
私は胸がざわざわした、けれどもう何も考えないことにした。すぐにマチに「いいですよ」と返信した。
待ち合わせは2人が分かりやすい場所が良いとのことで「鯤」にした。私は待ち合わせの時間より少し早くに鯤に来た。
「いらっしゃい。おお、ミコ」
蓮さんは最近白髪が増えたものの相変わらず元気だった。私は鯤には昔のなじみで今でもたまに来るのだ。
「ごぶさたじゃないか。仕事忙しいのか。なんか、顔が疲れてるぞ」
「うん、ちょっと最近いろいろあって、でも大丈夫だよ、ありがとう」
蓮さんはいつでもぶれずに蓮さんなので話していると私は安心する。蓮さんって私にとってオアシスのような人だ。
「今日ね、マチと会うんだ。ここで待ち合わせしてるの」
「マジで!すごいな、何年振りだ?」
「10年振り…」
「そうか、あれから10年も経つのか…なんかあっというまだな」
「うん、いろいろあったね」
本当にいろいろあった。でも、私とマチの時間はあの時のまま止まっている。私が部屋を飛び出したあの日のまま…マチはいったいどうしていたのだろう。
私は緊張してテーブルにかけて俯いていた、しばらくしてドアに取り付けたベルがからん、と鳴った。顔を上げると、入り口にスプリングコートを着たマチが立っていた。そのシルエットは背後から射す春の陽射しに象られていた。
「おおお、マチちゃん!久しぶりー!」
「マスター、お久しぶりです。」
「相変わらずべっぴんさんだね。ここに2人がいるとなんだかあの頃に戻ったようだな。ゆっくりしていってな」
「マスターも相変わらずみたいで。ありがとうございます」
マチ��はにかんだように微笑みながら、私の向かいに掛けた。私は気恥ずかしかった。何を話したらいいのか全くわからない。マチもそうなのだろう。ずっとそわそわして後ろを振り向いたりしていた。私はマチが少しだけふくよかになっていることに気が付いた。
しばらくしてマチが話し始めた。
「最近いろいろあって考えたの…私どうしてもあのときのこと謝っておきたくて…寂しくてミコを傷つけることしかできなかった。ミコがいないとだめなのは自分のほうなのに、そして、そう思えば思うほど心細かった。こんな風にミコを呼び出して謝るのも独りよがりだけど。どうしてもそれだけは伝えたくて、ほんとにごめんね、ミコ」
そう言ったマチの眼から涙がひとすじ流れ落ちた。
そうか、みんな寂しかったんだ。私とマチだけじゃない。麗も、英治も、それから荘くんだって。ミコの涙を見て私のなかで何かがはらりと落ちていった。それはたぶん、いつの間にか私の心に巣食っていた「あきらめ」のようなものだった。
「いいんだよ、マチ、もういい」
「あ、あり、ありがとう、ミコ、うわーん」
マチはぐしょぐしょに泣いてバッグから出したハンカチで顔を抑えていた。ほかの客もびっくりして、カウンターに掛けているおばあちゃんも「あれあれ」と茶化してきた。私もつられて泣きそうになったがこらえてマチの手をとって店の外へ出た。
私は泣き止んできたマチの手を引いてしばらく歩いた。
「見てマチ、ここのスーパーでよく買い物したよね」
「あっこの公園覚えてる?よくブランコ漕ぎながら酒飲んだよね」
マチは鼻をすすりながら「うん、うん」と相槌をうつ。
春の気持ちのいい暖かい風が、懐かしい気持ちを呼び起こす。マチの手は、あの頃と同じで冷たい。
私はマチの手を引きながらマチとの部屋を後にしてからのことを吶吶と話した。結婚して間もなく、昔穫ったグランプリの作品を目にしたディレクターに大手ゲーム会社のシナリオライターとして抜擢されたこと…麗さんとの子供が産まれたこと…仕事が多忙なのが原因で離婚したこと…仕事が忙しすぎて疲れていること…同僚の不倫相手との関係が終わったこと…
マチは私のところどころくすりと笑いながらただ聞いてくれていた。
「ぜんぶミコだね」
「え?」
「恋愛でポカするのも、仕事や夢に疲れて参っちゃうのもぜんぶあの頃と同じミコだ。ミコは私が知らない間もミコをやってたんだね」
「たしかに、全部わたしだ。わたしらしい…わたし」
そしてマチもずっとマチだ。あの頃と同じ、強い肯定も否定もせずただ私に寄り添ってくれる。そんなマチを見ていると今日の朝までずっと私を苛んでいた罪の意識や漠然とした憎悪が緩やかに解れていった。
「ねえマチ」
「ん?」
「屋上に行かない?」
私たちの住んでいたマンションはまるでタイムスリップしたかのようにあの頃と同じで、どこも全く変わっていなかった。
いけないことと知りつつ、私はマチの手を引きそうっと忍び足で、屋上への階段を昇る。
私たちは昔のように並んで囲い柵によりかかり街を見渡した。
「どこもかしこもなーんにも変わっていないね」
「そだね、あ、でも私は少し変わったかも」
「どんなところが?」
「私、結婚するんだ。式は挙げないことにしたんだけど。それでね、今お腹に赤ちゃんがいるの」
「え?」
私は不意をつかれて唖然とした。
「何ヶ月?」
「3ヶ月」
「えーっと…夫さんはどんな人?」
「優しい人だよ、今の職場で知り合ったの」
「おめでとう、マチ」
「ありがとう、ミコ」
私たちは手を繋いだまま顔を見合ってくしゃっと笑った。
「これ、覚えてる?」
私はスマホのプレーヤーを開いて再生をタップした。
「うわ、懐かしい、私今でも聴いてるよ」
「私も聴いてる」
あの夜この屋上でマチと一緒に歌った…そしてマチと私を繋ぐきっかけになったこの曲。
「Tomorrow never knows」
私たちはあの頃を思い出しながら小さな声で一緒に歌った。これまでと、これからの全てが、発酵するパン生地みたいに私のなかでふわり広がって行った。
心のまま僕は行くのさ、誰も知ることのない明日へ
そうだ、私とマチは私とマチのままで、あの頃のような万能感はなくともしっかりと歩いて行くんだ。癒えない傷を抱えながら。あらゆる柵に絶えながら。
私たちの目の前には、霞がかってぼやけたなんでもない街が広がっていた。
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【※激しくネタバレしています】ドラマ「ハンニバル」S1~3感想/レクター博士を特徴付ける要素は山ほどあるけれど、ひとつ抜き出すとしたら口で他人を味わう嗜癖があることに尽きる
まず前提として、この文章は映画版とドラマ版を比較する目的で書いたものではありません。 レクター、ダラハイド、クラリスへ連なる一連の映画も観たはずなのですが、十数年前のことで記憶が鮮明ではありません。今回は言及を避けます。別にドラマ制作陣も映画を再現しようとは思っていないだろうしね。
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13話セットが3シーズン続く巨編なので言いたいことは色々あるのだけれど、通しで観て感じたのは冒頭伏せ字のとおりです。レクターは戦時中の事故で妹のミーシャを食べてしまったことが深く傷になり、今もやめられない嗜癖として引きずっている。S3前半で殺人犯はレクターからダラハイドに交代しますが、”噛み付き魔”ダラハイドも口唇口蓋裂という障害を持って生まれて肉親に疎まれ、また歯並びもガタガタのまま成人し、赤き竜に変身したいと思ってしまうほど心身に深い傷が残ります。
口唇期、という語があります。赤ちゃんは唇で世界をとらえリビドーを満たす。薬物やタバコ、アルコールの依存は口唇期に問題があると考える方法です。私は別にフロイトの追従者ではないのでざっくり流すけれど、まぁ、世の中にキスや口淫の描写があふれ、フードポルノがメディアを席巻する今日の状況を見ると、どうも「口に入れる/味わう」ということは世の中の一大関心事なんですね。食と性欲の類似性は昔から頻繁に指摘され、研究対象にもなっている。世の中の人は口を使って快楽を得ることが大好きなのだなあ。
美味しいものはそれなりに好きだけれど、料理がそこまで得意ではなく、ダラダラしたい日は冷凍うどんを袋のまま5分チンして昼食を済ませてしまう自分にレクターのヤル気は全く分からない。彼にはそれだけ切実な欲求があるのだろうけれども。
*
各話のタイトルがとても素敵だった。S1ではフレンチ、S2は懐石、S3前半はイタリアンで提供される皿の名前、S3後半は18世紀の銅版画家ウィリアム・ブレイクの絵画のタイトルでした。
S3後半を経てからシリーズ全体を見返すと少々印象が変わる。レクターのもう一つの特徴は知りあった人を思い通りに動かすこと。ダラハイドもレクターの助言を受ける。レクターの人心操作は派手な殺人に覆われて見えづらいけれど、「巧みな言葉��なわち口を使って」「他人の感情を味わう」という点においては食人と何ら相違ないよね、と私は思う。精神的に去勢し屠殺する。原作のレクター博士は確か、弁が立つというかスラングが多すぎるというか相手を煙に巻く謎の話術の持ち主で、FBI捜査官たちから「意味がわからないから話すだけ無駄」みたいなことを言われている。ドラマ版は優雅な語彙で知人を静かに追い詰め、最終的に人を殺させる。 物理的な食人で肉を味わい、弁を弄して相手の精神の荒廃を味わう。食ってる部位は違うが手段は同じで、レクターはある意味とても素直な異常者なんだろうなあ…と思ったりしました。ハンニバルの関係者がだんだん暴力や殺人に対するハードルを下げていくのが恐怖で、結局一度も手を汚さずに済んだ人ってグレアム捜査官の息子くらいでは?ハンニバルとずーっと一緒に過ごして罪の感覚を麻痺させると、便宜上のレクター夫人であるデュ・モーリア博士のような末路に至るというわけです。彼の思う壺だろうな、最終話最終カット。悪夢かな…。
デュ・モーリア博士についてはレッド・ドラゴン編のキーワードである「無垢すなわち子羊」「経験すなわち虎」の概念がそのままハマりそうです。 ウィリアム・ブレイク。18世紀イギリスの銅版画家、画家、詩人で、強烈で宗教的な「ヴィジョン」を目にしては絵と詩で世界を書き留めた人物とのこと。代表作は「偉大なる赤き竜」シリーズの絵と「無垢と経験の歌」という連作の詩だそうです。青空文庫のデータをサラッと読んでみたところ、彼は無垢なるものと、経験し変化したもののふたつを重要視している。この文脈でいくとデュ・モーリア博士はS1の「無垢」からS3の「経験」へ変貌を遂げたキャラクターの一人だとも読める。 S3後半で、FBI捜査官ウィル・グレアムは彼女に対し「かわいそうな博士。自分を偽って。ハンニバルに飲み込まれて、やつの腹の中で苦しみを味わったってわけだ」と言います。「私の地獄は獣の口に飲まれることから始まった。地獄の門はダンテが考案したもの。地獄の開口部はそれ以前の時代には口だと思われていた」と博士は返答する。なるほど。ここで噛み付き魔ダラハイドのモチーフに繋がってくるわけですね。 ダラハイドは盲目の女性と親しくなり、彼女に眠った虎を触らせる。ダラハイドから見た彼女は太陽をまとう女の姿をしている。
ブレイクのヴィジョンは宗教をもとにしている。ダラハイドはブレイクの絵「The Great Red Dragon and the Woman Clothed in Sun(太陽をまとう女)」を崇め、絵の前で体を鍛え、自らが赤き竜に変身することを夢見ます。ブレイクの詩で扱われる多くの生き物のモチーフはけっして見たままの生態を書き表しているわけではなく、宗教的な象徴や人間の業についての暗喩ですね。例をあげると「毒の木」という詩では嫌な人に遭遇して抱いた感情を、植物を育てるように胸の中に抱える少年の内心が語られていました(ブレイクは全部こんな調子)なので当然、赤き竜の絵は「空想世界の赤い巨竜カッケ〜」みたいな話ではなくヨハネの黙示録で語られる「7つの頭に宝冠を戴き、10本の角を持つ“赤き竜”」の具現化なんですね、おそらく。 S3-11話のタイトル「And the Beast from the Sea」は聖書で語られる「深淵から出でたもの。7つの頭と10本の角を持ち、それぞれの角に宝冠を戴く”海から来た獣”」だと思われる。The_Beast+Revelationで検索すると、中世独特の気の抜けたタッチで、”赤き竜”が”海から来た獣”に権威を与えている絵がいっぱい出てきて面白い。味があって可愛い。でもこれ普通にレクターとダラハイドの関係ですよね…。こわ…。
実は黙示録の獣と呼ばれるものはもう一体いて、「子羊のように2本の角を持ち、竜のように話し、海から来た獣の権威を補強する"地の獣"」という呼び名で知られているようなのですね。姿かたちがあまり説明されておらず、「偽預言者」とも呼ばれているようです。 これは人によって解釈は分かれるのでしょうが、私はS3-13話のタイトル「The Wrath of the Lamb」はブレイクの言う無垢なる子羊と、黙示録で獣の手助けをする子羊のダブルミーニングなんじゃないかと思いますね、もっと言ってしまえばFBIにもレクターにも親しむウィル・グレアムその人の二面性の暗喩なんだろうなと。黙示録の偽預言者の末路は海から来た獣とともに火の湖に生きたまま投げ込まれて永遠に苦しむというものなんですけれども、これはS3最終話で崖から水面へ身を投げるレクターとグレアムの姿に変則的に当てはまるんだよな…。救われねぇな…。S3後半はマジでヨハネの黙示録だった…。
ヨハネの黙示録に正確に倣うと、本当はダラハイド(海の獣)とグレアム捜査官(地の獣=偽預言者)が一緒に身を投げるはずです。でもドラマ版は違う。黙示録の三匹の獣の内ゲバとでも言うべき戦闘の中、ダラハイドはレクターとグレアムの手によって絶命してしまう。 レクター(赤き竜)は黙示録にも描かれているように本来はFBIに取り押さえられて「深淵(牢獄)」に千年繋がれる運命だったはずなのですが、まぁダラハイドを捕まえるために囮として一瞬だけ外界に出たのですね。ドラマ版ハンニバルは黙示録とは別のルートを歩むことになりましたが、黙示録の獣と呼ばれる存在は全て表の世界から姿を消しました。 ☆☆------------ここまでの感想は聖書にまじで縁のない人間の妄言です-----------☆☆ まじで、なにか誤りがあったら教えてほしい。私の聖書の知識は阿刀田高の「知っていますか」シリーズで止まっているので情報の精度が真面目に低い。
頭を使うのも疲れたのでこのブロックはミーハーな感じでいきます!! ジャック無能かよ〜〜〜〜!! アラーナ、次々関係者と寝るのやめろ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!! ウィル・グレアム〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!謎の能力者〜〜〜〜〜〜!!!! グレアム捜査官を見ていると捨て犬を想像してしまうのは何故なんだぜ〜〜〜〜〜〜〜〜!!! 死体!!!ひどいよ!!!!美しいけどご遺体で遊ぶな!!!! 死体でミツバチを飼うな 死体に花を咲かせるな 死体でタワー作るのをやめろ 死体を鹿の角に刺すな そもそも人間を食うな 死体を刺される鹿さんも気の毒だろうが オシャレにダミアン・ハーストみたいな殺し方をするな〜〜〜〜!!! ダミアン・ハースト作品のあの綺麗な断面、もしやレクターみたいに凍らせてから電ノコで切ってる?? っていうか人肉の部位を選り好みするな 内臓だけ抜くな しれっと戦利品として腎臓とか抜くな どうせなら全部食え〜〜!! お料理!!めっちゃ美味しそうだけど、S1-1話を観た日に肉塊を見て良からぬ連想をしてしまいました〜〜〜!!! 各話のサブタイトルがお料理なのが厨二病的にビシビシ刺さります!!カッコいいよ〜〜〜!!! マッツ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!マッツ・ミケルセン〜〜〜〜!!自宅ではいつもジャージのマッツ・ミケルセン〜〜〜〜〜!!!!!!お前は最高だ〜〜〜!!最高だ〜〜〜〜〜〜!!!最高に知的でセクシーでフィレンツェの町並みが似合ってた〜〜〜〜!!!!スーツも、なんか変なペイズリー柄の七面倒臭そうなネクタイも似合ってた〜〜〜〜〜!!!!なんかのインタビューで「ま、僕、老いるから、年をとった僕のことも応援してね」と仰っていたが一生ついていく〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!美の暴力!!!!!北欧の至宝〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!すばら〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
あ、あと犬ね、うん。グレアム捜査官のおうちの犬たちがとても可愛かった。
*
最後に、サブタイトルについてはTwitterに連ツイしていたものを以下に纏めます。
●シーズン1 フランス料理 1話 Aperitif(食前酒) 2話 Amuse-Bouche(おつまみ) 3話 Potage(とろみのあるスープ) 4話 Oeuf(卵) 5話 Coquilles(貝殻型のグラタン) 6話 Entree(主菜) 7話 Sorbet(冷菓) 8話 Fromage(チーズ) 9話 Trou Normand(ノルマンディーの穴)コース料理の後半に備えて空腹を促す軽食。カルヴァドスと、林檎またはレモンのアイス) 10話 Buffet Froid(映画『料理は冷たくして(1979)』のタイトルそのまま。見どころは洗練されたインテリアと人がバンバン死ぬ様子らしい) 11話 Roti(肉、魚、ジビエ等のロースト料理。コース料理のメイン) 12話 Releves(小型の主菜) 13話 Savoureux(風味豊か)
●シーズン2 懐石/会席料理 1話 懐石(茶事の前に来客をもてなすための料理。飯、汁、刺身、煮物、焼物の一汁三菜を基本とする) 2話 先付(お酒とともに出されるつまみ) 3話 八寸(八寸角の木のお盆に山と海の幸を盛る) 4話 炊き合わせ(2種類以上の煮物を同じ器に盛り合わせる) 5話 向付(名称は飯と汁の奥に皿を置くことに由来する。なますや刺身) 6話 蓋物(おそらく会席料理。蓋のついた器に入った副菜) 7話 焼物(火を使う主菜) 8話 酢肴(酢の物) 9話 強肴(一汁三菜がひととおり提供されたあと、亭主の裁量で出される和え物や揚げ物、炊き合わせ) 10話 中猪口(広口の小さな器に入れた酢の物や和え物) 11話 香の物(会席料理の終盤はご飯、止め椀、香の物の三点が一つの盆にセットで出てくる) 12話 止め腕(会席料理の汁物) 13話 水物(果物、かき氷、飲料などコースの〆となるもの)
●シーズン3 イタリア料理 1話 Antipasto(イタリア料理の前菜。地域によって内容に差があるが、キノコや塩漬け肉、海や川の魚、チーズ、オリーブ、アンチョビ、酢漬けの野菜等が主流) 2話 Primavera(直訳すると“春” タケノコやブロッコリーなど野菜を多用する。春らしい色彩に仕上がった料理をプリマヴェーラ風と呼ぶ) 3話 Secondo(前菜+Primo Piatto、前菜+Secondo Piatto、前菜+Primo+Secondoのいずれかの組み合わせを選択して食べる。Primo Piattoはリゾットやパスタ等の炭水化物で、Secondo Piattoは肉や魚を使った主菜) 4話 Aperitivo(イタリアの夕食は21時前後。夕方に引っ掛けるスプリッツと軽食) 5話 Contorno(Secondoと同時に出される付け合わせ。漬ける、焼く、茹でる等シンプルな調理方法をとる) 6話 Dolce(デザート。ティラミスやパンナコッタ等) 7話 Digestivo(消化を促す食後酒。リモンチェッロ、イチジク酒、オレンジのリキュール等) 8話 The Great Red Dragon(偉大なる赤竜 ※サタンの別称) 9、10、11話のタイトルの前に8話の「The Great Red Dragon」を挿入すると18世紀の知識人ウィリアム・ブレイクの絵画の題名が現れる。9話と10話の絵はとてもよく似ているけれど、違うカメラアングルで描かれた異版とのこと。ヨハネの黙示録を描いている 9話 And the Woman Clothed with the Sun...(太陽を纏う女 ※聖母マリアの意) 10話 And the Woman Clothed in Sun(同上) 11話 ...And the Beast from the Sea(海から来たる獣) 12話 The Number of the Beast Is 666...(獣の数字は666)ブレイクの別の絵のタイトル。劇中の読みはsix six sixでした 13話 The Wrath of the Lamb(子羊の怒り)
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賛否は分かれているようですが私には合ってたみたいで楽しめました。映画も見返そうっと。
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「思ってた以上に 取り乱すね」
読者に言ってるそれ?????????
【選択へ】No.095【Hacking to the Gate】
衝撃のラストから1週間、皆様如何お過ごしでしたか。昨晩村を焼いた不燃の円陣君は記憶に新しいですが、超絶怒涛の本誌展開は待ってくれませんでした。向き合いたいなら飲み込まなければならない。苦くてもよく噛め。ここはきっと大事な所だから。それでは……
「なんで風子を…」
「鈍いなぁ」
「君が好きだからに」
「決まってるじゃないか」
何じゃコイツ……………………………………(怯)
アンディが風子に言うまで(しかも伝わってない)100万年かかった言葉を初登場翌週に宣うな……アンディだいすきクラブか?いや…髪型はヴィクトルに寄せてる部分も……使う技も不死のソレを真似てるの不気味すぎる、本当に何者…UNIONアン風過激派三銃士プレゼンツ、怒りのトライアタックも効果無しって……ジュイス様、躊躇無くアンディごと斬首してるのは流石過ぎるんだけれども。好き。
「僕は不滅だ」
「神に愛されなかった否定者じゃあ」
「ボクの夢は」 UN
「滅ぼせない」 RUIN ー不滅ー
いっぺんに全部やんな
いっぺんに全部やんなって!!!!!!!
なんでそう…お前そういう……否定者だったんかいお前!!!!!状態とリンクしたクソデカフォントで“不滅”とかいう過去最高に厨二心を掴む能力なのにも関わらず貴様読者に向かって何だその黒目は。ORDERの殺し屋か。神の寵愛を受けてる系否定者…神がそう思ってるかは別にしても“神側の人間”という勢力、どうして今まで考えて来なかったんだろう……夢を語る出雲風子とシェンを思い出して辛くなる。お前の夢って何だよ短歌にして出直せ。ウッ 春………(自爆)
“またね”とちゃうねんやりたい放題か貴様 アンディが音も無く首繋げるのちょっとじわる
「今すぐ輸血と人工心臓でもねーとおしまいだぞ!!」
Dr.リップがもう取り繕うのを諦めている医者。全身全霊で医者。ラトラが背を向けてるのはバニーを宥めてるからなのか 風子が死にかけているのを自分も見るのが辛いからなのか リップが処置出来ない事に過去を思い出してしまうからなのか 知りたいよ貴女の気持ち……教えてよ全部受け止めるから………!後方にその他UNDERっぽい姿も描かれているので奇襲による画面外退場は回避できた様子だけれど……?
「型は同じだ!!」
この世界に血液型の概念あったんだな…しかしアンディ��血って体外に出て暫くしたら消えるから根本的な解決にはならないのでは?繋げている間送り出し続ける事で応急処置って感じか。ライフイズストレンジ、死亡遊戯はキャンセル入ったね。そりゃそんな都合よくホイホイ復活できたら“最高の死”が掲げられてる作品��して成り立たなくなるもんなぁ。アンディがずっと冷や汗かいてるので今までにない緊迫感が……
「まだ手はある」
「クエスト報酬だ」
ボス足長………じゃなくてついに報酬の話に踏み込むか……!!
「かつてのループで経験したあの理があれば」
「死の条件が変わる」
えぇ!!?!?なん…どういうことだソレ………というか“かつてのループで経験した”ということは、クエスト報酬の順番ってランダムなのか…?以前のループでここまで来た事は無かった筈だよな…?ますます無理ゲーじゃんジュイス様よくそんな中で何回もループしてクリア目指そうと思えたな…胆力が常人のソレではない。
「時間がない 説明は省くが」
出た〜〜〜ッッッッ!!!!!!アンデッドアンラックの十八番!!!!!今は情報収集だなるべく会話を覚えろ!!!!!!!!!!
肉体の機能の停止が生物の死(わかる)
このままだと風子は死ぬ(わかる)
新たな理が追加された世界に(あんだって?)
「私を信じ」
「風子の命をかけてくれ!!」
もう信じるしかないじゃん…こんな状況でボスにTrust meされたら……しかし“UMA霊(ゴースト)”が益々謎めいてきたな。基本は死んでからそこに行き着くもんだと…今の世界は肉体の死を生物の死とするけれどUMA霊が追加された後なら霊体になれば生きている判定?いやそれアウトでは どうなんだ なにもわからない 僕は無力だ 霊に明るい人に任せよう(オカルトはそこそこに好きだけれど深い知識は無い勢)
「何だ!?」
「おい!!ぐるぐる女!!」
お い ぐ る ぐ る 女
いつから貞子はピンクボムになったんだ…さては円陣、適当呼び名常習犯だな???他のUNDERキャラもすげー癖の強い呼び方しててくれ。
ビリー、十傑集走り(ではない)で一着ゴール!!!あんまり動くと服がヒラリして漢のファンタジーが……
「借りは返したぞ!!」
どの借りだ!!タチアナの件か!!?もうわからん!!!!!
「緊急事態だ!!全員通して構わん!!」
ボスビリモード戻ってきた…どっちがホントなんだろうなこの人も……
「風子を抱えて座れ!!」
「絶対に離れるなよ!!」
ジュイス様が乗ったらUNIONマークに戻った!円卓の原理も謎が深まるな…エンブレム登録大事なの円卓的には???
「その間に風子の体は…!!」
ジュイス様、かつてない雄の表情。全銀河が恋に落ちてしまう。
「なら」
「時間を越えるまでだ」
アアアアアア、アーク!!?えっ!!アーク…アー!!?
「ルナ!!」「取引だ!!」
ちょっと!!!!!誰よその女!!!!!!(?!)
「私のポイントを全て彼ら二人に譲渡する!!」
「代わりに彼ら二人を一週間後の」
「課題結果まで飛ばしてくれ!!」
ポイント譲渡できるの!!?!アークって一人乗りじゃないの!!!?!!?そんな小刻みな使い方出来るの!!!!?!?!?いや ループっていうから戻るイメージだったけれど正確には“次のループに進む”わけだからできないことはないのか
「何の話をしてるんだ…」
本当にそれ(アンディの過去イチ唖然顔に一周回って笑ってしまった)
「これで私はもうループできない」
「そちらに利のある取引のハズだ!!」
えっおっまっ ジュイ ジュイス様 もうちょっとだけ説明 何 そちらってどちら月を睨み付けるジュイス様顔がいい〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!(IQ3)
「まさか」
アッ………………………アークがこれっきりならリップの願いはもう…………………………………………
〘いいだろう〙〘いいでしょう〙
ヘェ………………………………………………………………?
「頑張ってね」
「誰だ」
「あなた達に」「月の加護があらん事を」
ジュイス様がループ出来ないのは利がある筈なのに月は応援してくれるの?月と太陽で喧嘩でもしてんの??(ドゥンッ 0% 0% 0%)
「来ましたよ!!」「二人共!!」
[2021年 1月1日 0時1分]
「本当に越えたのか」「時間を…!!」
[間に合った!!]
(思考回路処理が間に合ってない読者)
❴成功(サクセス)❵
❴報酬❵
❴UMA霊(ゴースト)の追加❵
[世界が、書き変わる!!!]
とりあえず、えっと、円卓元に戻ってるしⅢ席空いてるっぽくてUNDERメンツは見当たらなくて、でも課題結果発表始まってるし、アンディたちが飛んだあとアジトだよ全員集合したUNION&UNDERの面々はどういう…どういう決着でこう、あの、
な、何があったか教えてくれェ〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!!(切実)
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2021/05/28〜30 予想以上に性癖との遭遇(であい)
「セレビィ 時を超えた遭遇」を幼少期ぶりに視聴。映画館ぶりだと思っていたのだが、終盤の一部シーンに見覚えがあったので何らかの機会に見た可能性がある。好きなところ、性癖ポイントなどを視聴時のメモから抜粋し感想をつらつらと。
ユキナリのがアンパンマン声で暴れる: ・もう声優という物がわかり尽くしている段階で聞いたらユキナリからアンパンマンの声が聴こえて気絶。自己犠牲が求められるゲスト声優に実装するセンスが最悪で最高。 セレビィ登場と弱体シーン(1回目)、鬼畜ビシャス: ・セレビィの動きがファーストコンタクトからめちゃくちゃ可愛い。妖精さんという感じ。ピョコピョコって音つく。開幕の40年前、ハンターに追われてる段階で攻撃されており、ストライクに押さえつけたり途中からフラフラと漂うセレビィで「あああああああああああ」になるオタク君が出来上がる。刺激が強い。その後ユキナリがセレビィを見つけ護ろうとした結果時渡りをすることになるが、セレビィを抱き抱えるユキナリの図はまた嗜虐心を煽り、満点。 ・そして40年後の現代。衰えたハンターを追い詰め、口を割らない彼のコレクションと家を燃やし、バンギラスをダークボールに収め自らの手持ちに��ロケット団らしい悪逆非道を見せつけてくれる。 ユキナリとサトシが仲良くなるまで: ・時渡りして未来にやってきたユキナリを背中におぶって助けるサトシ(それだけの力がある10歳とは……)だったが、ユキナリの記憶はセレビィを追っていたところだったので目覚めた途端大暴れする。助けてやったつもりのサトシもあまりの理不尽に喧嘩寸前になる図が可愛すぎる。ショタだ……初期サトシが喧嘩っ早い可能性もあるのか。 ・そして、ユキナリの前でピカチュウを「パートナー」と紹介するサトシ。泣きそうになってしまった。カスミとタケシが若い男女の前で気取った自己紹介をする中でいつもの調子の中……そんな……2週目以降の理解している段階で浴びてぐちゃぐちゃになる。 抵抗と自己犠牲、不意打ちの傷痕について: ・弱々しく息をしながら人間に怯えツタで打ち、人間に怯え威嚇するセレビィの図がよすぎる。それでも弱ったセレビィを助けるために近づこうとするショタの図は最高。 ・セレビィを追うハッサムと戦うサトシのベイリーフがハッサムの攻撃により負傷。……が、そのベイリーフに赤い痕が。セレビィすらしわしわになったりボロボロになるだけなのにそんな演出を……? ・泉までの道でずっとよわよわしているセレビィ、泉までやって来てすぐそばでセレビィを水につけるでもなく自ら服のまま泉に入ってセレビィを入れてあげるユキナリの自己犠牲とか献身についてがたまらなくなってしまう。(声もあり余計に……)水に浸かったあと自分で揺蕩って、元気になってからの一連の動作が妖精さんで可憐。また途中で足を痛めたカスミの足を撫でて治癒する描写があるのだが、カスミの足を跳ねさせるような描写に癖を感じた。
元気になったセレビィとショタコン御用達シーンたち: ・人間や仲間たちと自然と戯れるセレビィとサトシ達の可愛さに震える。きのみを食べて美味しさに震えるセレビィと一緒に食べて喜ぶサトシたちの可愛さ。きのみをポケットに入れる描写でもう「これはフラグなんだろうな……」と思った。 ・夜になって眠るセレビィのピカチュウは潰してしまいたい加虐欲をそそるし、二匹を見ながら親元を離れていることの寂しさを素直に言葉にするサトシの年相応さ、サトシ「ママ」とユキナリの「お母さん」で呼称厨として湧いたのち、バタフリーの羽化を見て不安だったユキナリに「時代に戻れるよって」と見ながら声をかけるサトシを拝む……。これほど適切な「尊い」という言葉はないのではないか。きらきらとした朝日を見る2人+ポケモン達のかわいいものでいっぱいの図がショタコン御用達スペシャルロイヤルコースである。恐ろしい。
例の闇落ちシーン一連: ・村に近づいて喜ぶセレビィだったが、映った直後に現れるビシャスのロボット、サトシ達の抵抗むなしくダークボールに捕まってしまう……。捕まえようとする段階で森林破壊が入ってくるところから破壊が始まっていていい。ボールに入ったのを取り出そうとするサトシの手を容赦なくグリグリ踏み潰すシーンに衝撃を受けていたところで何年も焦がれていた闇落ちセレビィが現れる。レイプ目が記憶以上に病んでいて推しにさせたいレイプ目第一位になってしまった。 ・そうして幻覚だったらどうしようと思っていた繭もしっかり登場。視聴後に設定資料ページを見たら「セレビィゴーレム」という名称がついた。2段階にわかれイガイガの木目の繭から羽の生えた木の化け物になる。私の脳に焼き付いていたの化け物の方と思われる。2000年代初頭特有のポリゴンらしさがはっきりとした3Dだが、幼児だった私には相当怖かった。森の神に森を壊させる陵辱に本当にぞくぞくする。 ・当時は印象に残っていなかったが、危機を察して現れサトシ達に協力するスイクンがめちゃくちゃかっこよかった。タイプ相性なんのそののサトシ達と違い(タイプ相性もあるが)バンギラスやセレビィゴーレムにれいとうビームをぶっぱなす姿、流石である。 ・ところで、セレビィゴーレムの中で蔦に絡まれて拘束されるムサシの図、さすがにエッチがすぎる。私はもともと拘束が好きだったのでともかくとしても、あれを見て性の目覚めをしてしまった児童諸氏はいるのではないだろうか。
セレビィを助ける〜終盤: ・ゴーレムに登ってきたサトシたちにセレビィの場所を伝えるムサシ姉貴かっこよすぎる。オタクはこういう敵が共闘する描写が大好き。 ・セレビィを助け出そうと蔦に阻まれながら登っていく2人のシーンはよく覚えていた。これの翌年のアンパンマン(うきぐも城)にも似たようなシーンがあるから印象深いのかもしれない。サトシたちの「信じてる……」「俺たち友達だろ、友達じゃないか」など途中から声をかけられて我に戻ったりビシャすの声で闇に再び落ちたりの描写が癖 ・ゴーレムを抜けサトシたちを連れ抜けだしたが力を使い果たしてしわしわになるセレビィ。スイクンに綺麗にしてもらった泉に浸され、あのときとったきのみを食べさせようとするが食べられない姿に胸が色々な意味でギュッとする。そしてこの食べさせたくても食べない描写だけ記憶があるので、何らかで見たのかもしれない……。みんなが泣くところで最初は我慢していたが、途中から我慢できず泣き出すタケシもまだ成年じゃないところが現れていて素晴らしい。 ・ポケモンたちの鳴き声(イナズマイレブンの円堂による「サッカーやろうぜ」パワーか?)によってたくさんのセレビィがやってくる描写にフランダースの犬の最終回を思い出した。「セレビィには仲間がいるならいくら虐めても大丈夫ですね。(感想文原文ママ)」 ・最後の最後までセレビィへの執念があり湖から飛び出して掴むビシャスがしっかりとした悪役でいい。小さい生き物が大きな手に捕まえられる描写はいつ見ても心が躍る。 ・セレビィを助けるところ〜ユキナリとのお別れシーンまでたくさんサトシが泣いていて可愛かった。ショタの泣き顔が大好きなオタクはセレビィを見よう。 ・エンディング。森を破壊したロボットにも木々が生え共生しているところ、記憶にもあるスケッチブックとオーキドとの繋がり……などなどおいしい演出がたくさん。木の実を見てきっとセレビィを思いだしているシーンで主題歌「明日天気にしておくれ」の“てんてんあかりの灯る窓”の歌詞が入るのもばっちりだなと思った。
だいぶ長くなったがこんなところで。自分の性癖の原初を振り返るのはかなり面白いのでやってほしい。次はアンパンマンにかなり揺すぶられているのでそれについて書きたい(ぼちぼち)。
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ファースト・スプリッツァ
学生最後の夏休みにどうせなら遠いところに行ってみたいと言ったのは范無咎の方だった。例えば?と聞くと彼は、「それは考えてない」とあっけらかんと答え��。何でも言い出すのは彼の方なのに決まって中身を考えてこないから、その後のことを決めるのはいつも謝必��の役目だった。旅行雑誌をいくつか買い込んで眺めているときに、たまたま目についたのがクリムトの絵画だった。美術書ではもう何度も目にしているが実物を見るいい機会かもしれない。ウィーンに行きたいと言うと、彼は考える間もなく、「そうしよう」と言った。この男、きっとウィーンがどこの都市かも分かっていないに違いない。 少しは真面目に考えてくれとこぼすと、男は困ったような顔で笑った。「君と遠くに行けるのなら、本当にどこでもいいんだ」すまないと謝る男の横顔を見た途端、さっきまでの小さな不満は泡のように消えていった。どんなに小さなことでも嘘や誤魔化しを絶対にしない彼のことを、謝必安は心の底から好きだと思っている。
初めて訪れた欧州の旅はとても素敵なものだった。故郷にはない石造りの豪奢な街並みに、聞き慣れない異国の言葉、ふしぎな甘い匂い。隣を歩く男はその全てに大げさなくらい感動していた。顔には出さないが謝必安だって、もちろんそうだった。 お金がない学生の貧乏旅行だったので、分け合えるものはなんでも二人で半分にした。彼は肉が好きだからシュニッツェルは彼が少し多めに、自分は甘いものが好きだからザッハトルテは自分が大きい欠片を。何を言わなくとも、互いの手は自然にそうやって動いた。 夕食は宿の近くの小さなレストランに入った。石畳の上をトランクをごろごろと転がしているときに、綺麗な赤色の看板が自然と目に入ってきたのだ。彼もそうだったのだろう、二人は同時にその看板を見上げて、それから互いに向き合って笑った。 店の中には地元のお客らしき人がちらほらと食事をしていた。出迎えてくれた若い女性の給仕は二人の姿と手にしているトランクを見るなり少し驚いた顔をして、「ヴィルコッメン!」とにこやかに笑いかけてくれた。どうやら観光客が来るのは珍しいことらしい。トランクを置く場所がないからテラスでも良いかと店の外を指されて、二人は同時に頷いた。 八月のウィーンは夕方でも首元からじわりと汗が出るような暑さだったが、とてもからりとしていて気持ちが良いものだった。 「同じ夏でも大違いだな」 地元の茹だるような蒸し暑さと比べていたのだろう。男はそう言って美味しそうに炭酸水をゴクゴクと飲み干した。 「お昼に食べたお肉、ジャガイモに甘いソースがかかってるの驚いたなあ」 「君、変な顔してたもんな。俺も一口目は驚いたけど、嫌いな味ではなかった」 「お前は好き嫌いがないからね。腐ってなければなんでも美味しく食べるだろ」 「そんなことは‥‥‥いや、あるかもしれんが」 「ふふ。お前が美味しそうに食べてる姿を見ていると、僕までお腹いっぱいになってくるよ」 「君はちょっと偏食がすぎる。チョコレートだけでは何の栄養にもならないぞ」 「小言は帰ってからにしてくれよ。夕食くらいは少し贅沢をして色々頼もうか」 「あっ、俺これが気になってた」 ガイドブックの単語帳を片手に、二人はなんだか美味しそうな気がするものをあれこれと頼んだ。あんまり勝手に頼むので、それを聞いた給仕は時々それを遮って違うメニューを指差してこっちの方が良いと助言をしてくれた。多分あまりにも肉料理が被りすぎているとか、そういう理由だったのだろう。運ばれてきた料理は葉物のサラダに始まり肉、魚、スープとバランスよくテーブルの上に並んだ。運ばれてきた料理はどれも美味しかったけれど、その全てに甘酸っぱいソースがかかっているのを見ては、二人で顔を見合わせて密やかに笑い合った。 煮込み肉の最後の一切れにフォークを刺していると、目の前の男がふと店の中を指さした。 「なあ、あれなんだと思う」 彼の指の先には一人で食事している老父の卓に置いてある、ワイングラスがあった。丸みをおびたつるりとしたグラスの中には透明の綺麗な水のような液体が入っていて、涼しげに氷が浮かんでいる。 「炭酸水じゃない」 「でもその横にボトルが置いてある。なあ、あれ氷が入ったワインじゃないか」 「そんな飲み方ある?」 「欧州は面妖なことばかりだ。ワインに氷を入れていてもおかしくない」 皿を片付けにきた給仕に彼は早速その飲み物のことを尋ねた。たどたどしいドイツ語をなんとか聞き取ってくれた彼女は、説明するより飲ませた方が早いと思ったのか足早にその場を去って、厨房からグラスとボトルを持ってきてその場でそれを作ってくれた。 ワイングラスの半分に白ワイン、それから炭酸水と氷とレモン。なんとかというカクテルらしいけれど名前は上手く聞き取れなかった。給仕の、さあ飲んで!という視線に押されて、二人はぐびっとそれを飲んで、それから「グート!」と笑い合った。その姿は若い女性の給仕にどう見えていたのだろうか。「ブルーダー?」という彼女の問いに二人はしばらく顔を見合わせて、それから小さく首を振った。自分たちは良い友人であり良い兄弟であり、間違いなく良い恋人だった。 白ワインのカクテルを二人はあれから何度もおかわりをして、店を出る頃には鼻歌でも歌い出しそうな陽気な気分になっていた。もしかしたら少し歌っていたかもしれない。 「ねえ、手を繋ごうか」 その言葉に隣を歩く男が怪訝な顔をしたのが分かった。 「こんな街中で?」 「街中だからじゃないか。僕たちが住んでる小さな村じゃない。だから咎める人なんていないし、何より僕たちのことなんて誰も気にしてないよ」 夜が深まりつつある街外れの人通りはまばらだった。手を繋ぐ若い男女、酒瓶を片手に談笑する学生たち。大きなトランクを引いて歩く観光客のことなど、彼らの視界にはちっとも入っていないことは明らかだった。 男は少し考えてから、やがてゆっくりとトランクを持つ手を入れ替えて、左手を空けてくれた。謝必安はその手をゆっくりと取って、酔いで熱くなった指をぎゅっと握った。彼の指はしばらく困ったように宙をさまよっていたけれど、やがて同じように謝必安の指を強く握りしめた。 「お前が遠くに行きたいと言ったときに」 「うん」 「辛い思いをさせているかなって、少し泣きそうだった」 謝必安の手を握る指先にぎゅっと力が入った。そうではないのだと、男は小さくぽつりとつぶやいた。 「君と一緒にいれるなら、後のことは何でもいいんだ。本当に」 からりとした異国の夏の空気を吸うたびに、謝必安は地元の蒸し暑いうんざりするような熱気を思い出す。見渡す限りの山と緑、とてつもなく広いはずなのに、二人で生きるのにはあまりにも小さく閉鎖的なあの村。数日後にはまた戻らなくてはいけない。二人で並んで歩く帰路では、もうこうやって手を繋ぐことはないだろう。 「ねえ、ウィーンは気に入った?」 「まあ、それなりに。肉は美味いし、冷たいワインも良かった」 「じゃあお前が卒業したらまた来ようか。なんなら住み着いても良いね」 「慣れない土地では君が飢えて死ぬだろう」 「お前と一緒にいれるなら、甘いソースがかかった肉もちゃんと食べるよ」 信用ならない言い草に男はしばらく眉をしかめて黙々と前を向いて歩いていたが、やがてぴたりと足を止めて謝必安の方にからだを向けた。トランクを地面に置いて小さく深呼吸をすると、おそるおそる謝必安の薄い背中に手を回してぴたりとからだをくっつけた。 謝必安は驚いて彼の腕が背中に回って、自分のからだを抱きしめるのを呆然と見ていることしかできなかった。一呼吸遅れて彼の背中を同じように抱きしめる。頬をなでるように風が吹くすばらしく気持ちが良い夜に、肌を寄せ合うことがこんなにも心地良いのだと謝必安は初めて知った。 「聞いたからな。約束は違えないでくれ」 彼の言葉は異国の空の下でも、変わりなくまっすぐだった。 謝必安はその言葉にしっかりと頷いて、背中を抱く腕に力を込めた。
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刀剣の漫画セリフうち(21話の3)
身長〇〇cm…体重〇〇kg、視力…聴力……「霊力」…(※ちなみに、この審神者くんは、中1の平均身長よりは低めなイメージ。2205年の平均がどんなもんかはわからないが…)
…刀剣男士7振り分の霊力は有しているものとします!
………。主、それを俺にも読ませてくれ
えっ!?
なんだか、上手くいき過ぎな気がする
ちょ、ちょっと山姥切…
……そら見ろ、条件が付いているじゃないか
条件1、貴本丸所属の山伏国広が監督する「修行」について、審神者の霊力に効果が見られるかどうかを観測するため継続すること
おおおっ!?
………言いたくなかったのに
そう言えば、主はなんで修行してたんだったか?
……熱中症になった時に、ひょっとして霊力不足かなと…
熱中症⁉︎俺はそんな話聞いてないぞ
…心配かけるかと思って…
(しゅんとしながら)…今回の結果は、前に測ったのが入学式前だから、普通に体が半年分成長したというだけだろうな
今のところは、修行の効果はなかったんですか?
修行とは、あんな短い期間だけで成果が出る類のものではない!しかし!案ずることはない、主殿!
拙僧は主殿の学業を妨げる気は勿論ない。継続的に、無理なくできるように考えようぞ!
本当かよ…
主殿は、学業に励みつつ、歴史も守る道を選んでくだされた
ならば拙僧も、共に…共に…………(微妙に、なんて言うか迷った顔をした)
……共に、修行を!する所存である!
そうか、はああ…ちょっと今、俺後悔してるよ…
条件2は、審神者の健康を維持するため、そして刀剣男士が自身でエネルギーを補給することを徹底するために…
本丸内の畑、および厨…台所が機能しているか点検。合格した場合は認められる
政府所属の刀剣が一振り、視察に来る予定。これは、貴本丸の北谷菜切による「本丸の運営を担当する」という主張が、理に適ったものであるかも同時に判断するものである
日時は…
政府所属の刀剣って、南海先生かな?
南海先生でしたら嬉しいですね!画面越しでお会いするだけじゃなく、やっぱり直接お話ししてみたいです!
誰だったとしても、これは歓迎しないとねー!
「視察の人が来る前日、畑」
畑に台所か…
そういえばこの城は、一応二の丸、三の丸まであることになっているな。この人数でどうやって管理しているんだと言う感じだが…
メタな話だね…
それでこの間、朝尊殿に話してみたら「ファンタジーでどうにかなってる、でいいよ」との返答だった…(※というか、私はお城の維持・管理について、何の知識もないのですが、どういうのを読めば勉強できるのかな…)
でも、畑と台所はそうもいかないからね!視察の人が来るまで、頑張っていこう!
うむ!
内番の度、俺が使っている鍬よ!お前は、この畑仕事においては相棒といったところ!これからも俺がこの手で握り、ふるってやろうぞ!
僕たちの正体が正体だから、その鍬も聞こえていそうだね。喜んでいると思うよ
がはははは!
さて…収穫したら、僕が料理してあげようか…
光忠の方は、何故野菜を口説いておるのだ!
そ、そんなことしてないよ!
「台所」
包丁ザクザク〜(包丁を使いながら)
この間の南海先生とのおしゃべりで、何だか繰り返す言葉が好きになっちゃったよ
視察に来られる政府の方はどんな方でしょう。どんなお料理を出しましょうね(卵をときながら)
※鍋の前に立ちながら、二人の様子を山姥切がみている
(それにしても、こうしている分には北谷菜切は、特に変わりなく喋っている…)
(「戦いたくない」と言うこと…。ここじゃなくて別の本丸だったら、さらに誹りを受けていたかも知れないのに、こいつは口に出して嫌だと言った)
(それは、臆病じゃない。むしろ、かなり勇気がいることだったんじゃなかろうか)
(そもそもこいつは、勇気がないとか戦えないとか、そういう風に見えない)
(連隊戦は実戦じゃないから手伝ったとか言ってたが、あの時の戦う姿勢は、なかなか堂々としてた…と思う)
(※連隊戦当時のなーちりーが楽しそうに笑ってる)ありゃ、おれが一番?あっははっ、頑張りすぎた?
(じゃあなんだ。戦えるのに戦いたくないって言うのは、誰かの命を奪いたくないということか?)
溶き卵はここに置いてときますねー
ありがとうね
(それとも、自分が「戦えること」が、嫌とかか…?)
(……詮索しないと主が決めたはずなのに、ひっそり顔色伺ってこんなこと考えて…俺の心はやっぱりねじくれてるんだな…)
や、山姥切さん、山姥切さん!お鍋噴いてます!
……あっ!
あっはは!大丈夫かい?
…ああ。すまないな
お気になさらずに!
俺なんて雑事がお似合いなのに、それすら満足にできないとはな…
そんなふうに言うなよー。主さんだって大切なお仕事だって言ってたじゃないか
うん…
大丈夫ですって。山姥切さんは、きっとちょっと箱入り息子だっただけですよー
えっ?
そういうボクも、割と箱入り息子でした!
…ああそういう。物吉は物理的に箱に入れられてたことがあるんだな
そうです。えへへ…こういう冗談を言えば、人を笑顔にできるかなと模索してたんですが…
刀剣男士同士しか通じないシャレじゃないか
物吉さんは、箱にしまってもらっていたのかい?
はい。それに素敵な刀袋もいっぱい用意していただいて…
そのお家で、ずっと大切にされてきたんだね。かわいいねー
北谷菜切もずっと大切にされてきたんだよな
そうだねー
ふうん…
「視察の日」
(口元を隠した黒っぽい服の青年が立っている)
あっ、政府の刀剣男士さんですか?どうぞ
それでは、早速見せていただく
念のため、自己紹介もしておこう。私は、水心子正秀
なんか、どっかで聞いたことがある名前だねー
まずはこちらへどうぞ!
(水心子くんが書院?に通されると左右に刀剣達が座り、上座に主くんが座っていた)
なんだか、時代劇みたいですごく偉そうなんですけど…、こういう風なお出迎えの方が、返っていいだろうと言われて…
なるほど。この本丸の刀剣達の助言なのだな。あなたは審神者であり、私は一振りの刀。勿論、この扱いでいい
この刀さんは水心子正秀さんというお名前だよ
水心子?どこかで聞いたことがあるような…
朝尊殿の話で、一度出てきた刀工の名前だったと思うぞ
あーうん…南海太郎朝尊は…(こほん)、私のことはいい。今回の視察は厳しく行うので、そのつもりで!
そうだね、ゆっくりして行って欲しいな!お料理を作るところも見ていってくださいね。ぜひ食べて帰ってくださいね!
えっ…あ……そ、そうだな!味も見なければいけない!
(…かな?うう、なんで僕がこんな仕事をしているんだろう…)
(※回想にて)僕はどうしても行けなくなってしまったので、お願いしたいんだけどね
な、何故私が!?
まあこれも、我々が守るべき人間を慮る練習と思って。行ってもらう本丸は中学生の男の子が主をしてるわけだしね、いたいけだとは思わないかね?
うううう…
(※回想終わって畑についた)
なるほど、よく育っている。南瓜に無花果…
えー、肥料はどういったものを
あれと…これと…。まあ、土をふかふかにする��めには、馬の糞なども利用するがな。よければ、厩も見ていくか?
お茶なんかも飲みながら名馬を鑑賞っていうのも、武将の素敵なコミュニケーションだったよね
い、いや…さすがに、堆肥の話をした直後にそれをする気には…
それもそうか
「台所」
山菜を採ってきたのである
そっちに置いといてくれる?
実は…イノシシもとってきたのである!(※本丸視察ネタかも。外で生きてるのが縄に繋がれてる)
わっ⁉︎
ありゃ、水心子さん。大丈夫かい?
ま、待ってくれ。あなた達は、イノシシを解体できるのか?
山伏さんがね。でもおれも教わろうかって思う
刀だった時に、西表島なんかはイノシシ���があるって聞いたけど、別の島だからよく知らないしねー
あっでも解体した時に下顎の骨はとっておいて、後で竜宮の神様にお渡しするために海に流すってことを、昔やってたとかなんとか
菜切殿からは、山の神への祈りについても興味深い話が聞けるのである
いやー山伏さんが聞きたがるから、どっかで聞いたなーって話をしてるだけ。猟師さん本人しか分からないこともいっぱいあるからねー
で、でも解体も習うって……あ、あなたは戦いが嫌ということでは…
食べて繋ぐために命をいただくことと…おれが気にしてることって、別の問題で…
はあ…そうか。それにしてもすごいなあ…
えっ?
い、いや!いやいや!なんでもない!料理を続けてくれ!
そうかい?じゃあ、イノシシの肉も食べてもらいたいんだけど…
おれの住んでたところでは、ハレの日によく豚肉の料理を出すんだよ。水心子さんには「いなむどぅち」ってお味噌汁作ろうねー
「猪(いな)もどき」…イノシシもどきって意味だよ。今日は本当にイノシシ肉で作れるねー(※なんか、昔は本当に猪肉使ったっぽい。後向こうのイノシシは、こっちのより小さいリュウキュウイノシシらしい)
は、はああ…
(ああ、そういえば。いつか清麿と、百人一首をやってた時…)
“これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関”
“ねえ、水心子。今、いろんなところでできている本丸に、古今東西さまざまな記憶を持つ刀が、人の体を持って集まっている”
“その光景はきっと、この和歌そのものだろうね”
(僕は今、ものすごい経験をさせてもらってるかもしれない…)
※この後、お料理を食べるシーンがあり、水心子くんがお吸い物を飲んで、「おいしい」とかいうシーンにしようとは思っているのだが…、作者「いなむどぅち」を食べたこともなければ、他のメニューも思いつかないので、ちょっと絵にするまでに調べてきます…
視察の結果を発表しよう…合格とする!
わーありがとうございます!
こちらも、貴重な経験をさせてもらった…
水心子くんは、普段はどこで働いているんですか?
くん!?
あっごめんなさい…
い、いや……私は、もちろん刀剣男士としての誇りを持ち、戦場をかけている
それ以外の時間は…「私」は、政府が運営する博物館で、お手伝いというか…働かせてもらっている
そちらの仕事も誇りを持って取り組むつもりだ
へー
よかったら、見に来るといい。それでは
さようなら
はー!じゃあこれで、なーちりー君のことも認めてもらえたね!
そして、新しい仲間を迎えることにもなっちゃったね!
うん…それは…
次回に続くよ!
(続く)
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スパークに向けて
着手した!とりあえず冒頭はこんな流れで。ここからどうやっていち兄のお野菜木っ端微塵切りに繋げるか…何ページかかるか今から不安で仕方ない。せっかくネタもらったのに辿り着けなかったら笑う…いや、笑ってる場合ではないな。土下座だな。
つくづく、日常の風景の中のいちつるが好きなんだなと毎日実感している。優しくて穏やかで幸せな日常に何らかの形での絶対的な『終わり』の影が潜んでいて、しっかりその存在は意識しつつ、ときに恐れつつも、二振どうしようもなく惹かれ合って、お互い傍に在るのが心地よくて、毎日を大事に生きるいちつるにめちゃくちゃ飢えている。世間様の盛り上がりからだいぶ遅れての沼落ちなので、落ちたとき既にちょっとやそっとじゃ読み切れないほどの素晴らしきいちつるが世に在ったのは幸せだったけど、いざ読み切ってしまうと、もちろんリリース当初に増えていっていたような勢いでは増えないわけで…なんてここで言ってても仕方ないので自給自足する。
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★タイトル未定。「夜陰を待ち雨声に秘す」と「炎について」の間の話になる予定。恋に現をぬかしていると思われたくない鶴丸は個刃的なことをあまり表に出さないようわりと色々気をつけているつもりだし一期にも気をつけるようにお願いしてて一期も頑張ってるんだけど周囲の弟分たちはとっても聡い子ばかりなのでそんなのほぼ意味なくて、実は皆に全力で見守られ格好良くサポートされちゃっているいちつる(にしたい。なぜならばそういうのが好きだから!)★
大阪城地下最深部の調査報告を終えて一期一振が審神者の執務室を出ると、二階の廊下はもうほとんど真っ暗に近い状態であった。すぐに報告に上がったとはいえ帰城したのは黄昏時で、その時点で既に本丸の多くの部屋には明かりが灯���始めていたのだから無理もない。まだ昼間はときに真夏のような暑さになるけれど、日に日に夜は長くなってきており、いよいよ秋が来たと思う。どこからともなく耳に届く虫の音と、身を包む空気の確かな冷たさが、いっそうそれを強く感じさせる。
秋来ぬと 目にはさやかに見えねども―――季節の移ろいを詠んだ秋歌が一首、ふと心に浮かぶ。が、下の句に詠まれているのは虫の音ではなく風の音であったことに気付き、一期一振はひとり、小さく微笑った。どうにもその歌が詠まれた本来の風景をなぞりきれぬ、なんとも惜しいきっかけで思い出されてしまったのは、ちょうど虫の音に耳を傾けていたときに教えてもらった歌だからかもしれない。二百年か、二百五十年か、もう随分と昔の初秋の折、帝の庭で、満月でも三日月でもない月を見上げてその歌を口にした真白の君の、内から淡く光を放つような微笑みを想いつつ、常夜灯を頼りに暗い階段をおりる。これから向かうはその彼のもとだ。
本丸が一周年を迎えて夏が終わり、一期一振の属する第二部隊は、自身が配属された当時とは全く異なる顔ぶれになっていた。古参の刀たちの練度上限到達からだいぶ経って後継の育成も進み、また、修行を終えた者も一部隊を組めるまでに増えたため、四つの部隊すべてについて大幅な再編成が行われたのである。日に日に激しさを増す時間遡行軍との戦いと、次から次へと降ってくる政府主導の特殊訓練や調査等に、より効率良く対応するため、という目的も多分にあった。
長く第二部隊長を務めていた鶴丸は、夏まででその役を降り、主に長時間の遠征任務や新刃育成のための慣らし出陣を中心に担う第四部隊に入れ替わりで入る要員となった。そして一期一振は、鶴丸の後を継ぐかたちで第二部隊長を任され、引き続き最前線に出ることとなった。ともに出陣できる期間が意外にも短く、そして突然に終わってしまったのは確かに残念ではあるが、本丸運営のうえでの合理性を考えるなら今はこのかたちが最良だろうと皆で話し合って決めた結果であるし、練度が上限に達すればもれなく第四部隊要員となるわけだから、異論などあるはずもない。日々精進し、確かな目標に向かって邁進するのみである。
さて、その目標たる鶴丸はというと、本来の予定どおりであれば今日の昼頃から三日間の遠征任務に赴き、一期一振とは完全に入れ違いとなってしまうはずだったのだが、先ほど審神者から聞いたところによれば、なんと体調を崩して臥せっているという。いざ出陣する段になって集合した際、どうも様子がおかしいことに鶯丸が気付き、お前大丈夫かと尋ねてのやりとりを隣で聞いていた大包平が薬研藤四郎のところへ担ぎ込んだ結果、発熱が発覚したのだそうだ。その後は、今日たまたま非番あるいは内番担当だった伊達の刀たちに身柄を引き渡され、自室に寝かされて、手厚く世話をやかれているらしい。人の子がかかるのと同じごく普通の風邪なので、あまり心配はいらないとのことであったが、他ならぬ恋刀のことであるうえ、原因にうっすらと心当たりもあるため、様子を見に行かないという選択肢は無かった。
いったん自室に戻りもせず、戦装束のまま直接鶴丸の部屋の前まで行くと、障子にはかなり控えめな明かりがぼうっと映っていた。光源は鶴丸が枕元用にしている行灯だろう。身を起こしているような影は見えないが、起きているのだろうか。だがそれにしては明るさが頼りないように思われる。おそらくは、太刀が書を読むのにどうにかぎりぎりといったところだ。それに、この棟は本丸の中心部からは少し離れているのと、隣の獅子王が留守であるせいもあってか、通り過ぎてきた大広間や居間の辺りに集まり始めていた温かなざわめきは、虫の音にかき消されそうなくらい微かで、それがまたこの部屋の静けさを際立たせている。
「…鶴丸殿」
やはり彼は眠っているのではと思いつつ、一期一振はかなり遠慮がちに声をかけた。
すると、内の光がふわりと揺らめいた。そしてすぐに障子が細く開き、太鼓鐘貞宗が顔を出した。彼は今日非番と聞いたが、頭にいつもの羽根飾りは無く、後ろの高い位置で髪の毛をひとつに括っている。内番着の白い袖は肘まで捲られているようだ。大倶利伽羅と燭台切光忠が厨当番であるところからすると、彼は厨を手伝っていて、作業の合間で鶴丸の様子を見にきたのかもしれない。
「一期さん、戻ったか。」
「ええ、今しがた。あの、主から…鶴丸殿が臥せっていらっしゃると聞きまして。」
「そうなんだよ…」
太鼓鐘はその凛々しい眉を綺麗なハの字にして頷き、ひとりが通れる程度まで障子を開いた。そのまま肩越しに奥を振り返る。目線の先には、部屋の真ん中辺りに敷かれた布団に仰向けで寝ている鶴丸の姿が在った。光の出処はやはり行灯で、遮るものがなくなってもその光は尚弱く、額にのせられている手拭いのようなものの影になって目もとは見えないが、起きているわけではなさそうだ。穏やかなもので、苦しそうにしているような気配はない。その様子に少しホッとする。
太鼓鐘は縁側に一歩出て、障子を閉めた。一期一振を見上げ、充分に声をひそめて先を続ける。
「風邪引いちまったみたいでさ。よくあるやつだからそんな心配はいらねえらしいけど、昼過ぎから熱出しててな。何か食えそうか、起きてたら聞こうと思って様子見に来たんだけど…」
「眠っていらっしゃるようでしたな。」
「ああ。薬研が言うには、こういうときの人の身には栄養取ってよく寝るのが一番らしいし、熱冷ましがいよいよ切れ始めるまでたぶんまだ少しあっから、それまではこのまま寝かせとこうかなって。」
「なるほど。」
「一期さんはこの後何か予定あるか?手入れとかは?」
「いえ、先ほど今日の出陣の報告は終わりましたし、特には。手入れの必要もありませんが。」
「じゃあさ、出陣帰りのとこ悪いんだけど、ちょっと付いててやってほしいんだ。氷嚢が冷たすぎて嫌だって言うから濡れ手拭い乗っけてんだけど、すぐぬるくなっちまってさ~」
「はは、鶴丸殿らしいですな。承知いたしました。もとよりそのつもりで参りましたので。」
「助かる。まあ薬は効いてるはずだから、ほんとはそんな付きっきりで看続けなくてもいいんだけどな。一期さんの神気が傍にあれば安心して、悪い夢も見ねえだろうから。」
「っ!」
彼との関係について、恋仲になってすぐの頃から彼の弟分たちにそうと知られているのは知っている(鶴丸自ら話したと聞いた、なお絶対にやめてくれと言われてしまったので特に改めて挨拶には上がっていない)が、こんなふうに全力で取り持つ姿勢を示されると無性に気恥ずかしく、一期一振は言葉に詰まった。だがそんなことはおかまいなしに、というかむしろ更に追い込むように、太鼓鐘は
「何よりさ、身体がつらいときに目ェ覚めて一期さん傍に居てくれたら嬉しいだろうしな!」
などと付け加え、歯を見せてニカッと笑う。こういうところがまさしく伊達の刀であると思う。
「じゃあ俺は厨の手伝いに戻るから、よろしくな。あ、夕餉ん時はちゃんと俺らが交代すっから、食いっぱぐれる心配はしなくていいぜ!」
曖昧に微笑む一期一振にそう言って、彼は大広間や厨のある棟の方向へ歩き出した。が、数歩も行かないうちに足を止め振り返る。
「そうだ、ジャージ。」
「え?」
「一期さんの内番ジャージ、鶴さんの部屋に届けてくれって粟田口の誰かに頼んどくよ。誰ならいい?」
「ああ、お気遣いには及びません、……っ」
着替えなら浴衣がありますので、と言いかけ、ハッとなって口を噤む。彼の部屋に後朝の用意をしておくまでの仲であることについて、まさか知られていないとは思っていないが、だからといって、この場で気軽に持ち出すような内容ではないだろう。もし彼がいま隣に立って聞いていたなら、肘鉄でも食わされてしまうところだ。何しろ先日、そういう点によくよく気をつけるよう、本刃から念を押されたばかりで―――
「え、でも鶴さんとこに夜着の替えはあっても内番着のは置いてないだろ?まだ宵の口だし、ジャージのが動きやすくて良いと思うけど。一期さん、基本的に洋装派じゃん?」
「ま、まあ……そうですな。」
―――無用な心配であった。一気に肩の強張りが解ける一方、〝情報源〟は一体どういういきさつで、どんな顔で、太鼓鐘にそれを話したのかが気になり始める。誰に何をどこまで知られていようが、一期一振個刃としては今さら別に構いやしないけれど、ついぽろりと漏らしてしまい真っ赤になって下手な弁明でも始めたのか、からかい半分に問われてはぐらかしきれず頬を染めて白状したのかもしれないと思うと、つまらぬ独占欲と大人げない嫉妬が少しばかり、心の底に滲むのがわかった。
「ああ、あと薬も必要だよな……ってなるとやっぱ薬研だな。薬研なら大丈夫だろ?」
「え…ええ。」
後ろめたい感情が表に出ぬよう細心の注意を払いながら、一期一振は苦笑で頷いた。薬研だけでなく弟たち全員に既に知られていることには、なんとなく触れずにおく。たぶん太鼓鐘もわかっていて、鶴丸がわりと気にする方であるから念のため確認してくれているだけだとは思うけれど。
「しかし…これではまるで、至れり尽くせりですな。かたじけない。」
「そりゃあ、大事な兄貴分の大事な恋刀だからな!」
「なっ、こっ……」
予期せぬ会心の一撃に、障子にかけようとしていた手が半端な位置で止まる。ちらちら舞うだけであった誉��が明らかに増え、言葉はそれ以上出て来ない。
一方、太鼓鐘は満足げな笑みを置いて前に向きなおり、今度こそすたすたと歩き出した。小さな白い後ろ姿は、やがて暗い縁側の角の向こうに見えなくなった。
完全に身内公認であることを思い知らされたくすぐったさと、言い知れぬ喜びとを噛みしめつつ、一期一振は、もうすっかり通い慣れつつある部屋の障子を静かに開いた。この部屋に置いてある本丸内共用の浴衣の替えは、彼と同じ背丈の自分にも当然ぴったりの大きさであるわけで、太鼓鐘は単にそのことを言っただけだったのかもしれないと思い当たったのは、部屋に入って障子を閉めた後だった。
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