#文鳥水浴び動画
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「お化けの棲家」に登場したお化け。
1、骨女〔ほねおんな〕 鳥山石燕の「今昔画 図続百鬼』に骨だけ の女として描かれ、 【これは御伽ぼうこうに見えたる年ふる女の骸骨、牡丹の灯籠を携へ、人間の交をなせし形にして、もとは剪灯新話のうちに牡丹灯記とてあり】と記されている。石燕が描いた骨女 は、「伽婢子」「牡丹灯籠」に出てくる女つゆの亡霊、弥子(三遊亭円朝の「怪談牡丹灯 籠」ではお露にあたる)のことをいっている。これとは別物だと思うが、「東北怪談の旅」にも骨女という妖怪がある。 安永7年~8年(1778年~1779年)の青森に現れたもので、盆の晩、骸骨女がカタリカタリと音をたてて町中を歩いたという。この骨女は、生前は醜いといわれていたが、 死んでからの骸骨の容姿が優れているので、 人々に見せるために出歩くのだという。魚の骨をしゃぶることを好み、高僧に出会うと崩れ落ちてしまうという。 「鳥山石燕 画図百鬼夜行」高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 「東北怪談の旅」山田 野理夫
2、堀田様のお人形
以下の話が伝わっている。 「佐賀町に堀田様の下屋敷があって、うちの先祖はそこの出入りだったの。それで、先代のおばあさんが堀田様から“金太郎”の人形を拝領になって「赤ちゃん、赤ちゃん」といわれていたんだけど、この人形に魂が入っちゃって。関東大震災のとき、人形と一緒に逃げたら箱の中であちこちぶつけてこぶができたから、修復してもらうのに鼠屋っていう人形師に預けたんだけど少しすると修復されずに返ってきた。聞くと「夜になると人形が夜泣きしてまずいんです」と言われた。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
3、ハサミの付喪神(つくもがみ)
九十九神とも表記される。室町時代に描かれた「付喪神絵巻」には、「陰陽雑記云器物百年を経て化して精霊を得てよく人を訛かす、是を付喪神と号といへり」 という巻頭の文がある。 煤祓いで捨てられた器物が妖怪となり、物を粗末に扱う人間に対して仕返しをするという内容だ が、古来日本では、器物も歳月を経ると、怪しい能力を持つと考えられていた。 民俗資料にも擂り粉木(すりこぎ)や杓文字、枕や蒲団といった器物や道具が化けた話しがある。それらは付喪神とよばれていないが、基本的な考え方は「付喪神絵巻」にあるようなことと同じで あろう。 (吉川観方『絵画に見えたる妖怪』)
4、五徳猫(ごとくねこ) 五徳猫は鳥山石燕「画図百器徒然袋」に尾が2つに分かれた猫又の姿として描かれており、「七徳の舞をふたつわすれて、五徳の官者と言いしためしも あれば、この猫もいかなることをか忘れけんと、夢の中におもひぬ」とある。鳥山石燕「画図百器徒然袋」の解説によれば、その姿は室町期の伝・土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれた五徳猫を頭に 乗せた妖怪をモデルとし、内容は「徒然袋」にある「平家物語」の 作者といわれる信濃前司行長にまつわる話をもとにしているとある。行長は学識ある人物だったが、七徳の舞という、唐の太宗の武の七徳に基づく舞のうち、2つを忘れてしまったために、五徳の冠者のあだ名がつけられた。そのため、世に嫌気がさし、隠れて生活するようになったという。五徳猫はこのエピソードと、囲炉裏にある五徳(薬缶などを載せる台)を引っ掛けて創作された 妖怪なのであろう。ちなみに土佐光信画「百鬼夜行絵巻」に描かれている妖怪は、手には火吹き 竹を持っているが、猫の妖怪ではなさそうである。 ( 高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』)→鳥山石燕『百器徒然袋』より 「五徳猫」
5、のっぺらぼー 設置予定場所:梅の井 柳下 永代の辺りで人魂を見たという古老の話しです。その他にも、背中からおんぶされて、みたら三つ目 小僧だったり、渋沢倉庫��横の河岸の辺りでのっぺらぼーを見たという話しが残っています。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収) のっぺらぼーは、顔になにもない卵のような顔の妖怪。特に小泉八雲『怪談』にある、ムジナの話が良く知られている。ある男が東京赤坂の紀国坂で目鼻口のない女に出会い、驚き逃げて蕎麦 屋台の主人に話すと、その顔も同じだったという話。その顔も同じだったという話。
6、アマビエアマビエ 弘化3年(1846年) 4月中旬と記 された瓦版に書かれているもの。 肥後国(熊本県)の海中に毎夜光るものが あるので、ある役人が行ってみたところ、ア マビエと名乗る化け物が現れて、「当年より はやりやまいはや 6ヵ月は豊作となるが、もし流行病が流行ったら人々に私の写しを見せるように」といって、再び海中に没したという。この瓦版には、髪の毛が長く、くちばしを持った人魚のようなアマビエの姿が描かれ、肥後の役人が写したとある。 湯本豪一の「明治妖怪新聞」によれば、アマピエはアマピコのことではないかという。 アマピコは瓦版や絵入り新聞に見える妖怪で、 あま彦、天彦、天日子などと書かれる。件やクダ部、神社姫といった、病気や豊凶の予言をし、その絵姿を持っていれば難から逃れられるという妖怪とほぼ同じものといえる。 アマビコの記事を別の瓦版に写す際、間違 えてアマビエと記してしまったのだというのが湯本説である。 『明治妖怪新聞」湯本豪一「『妖怪展 現代に 蘇る百鬼夜行』川崎市市民ミュージアム編
7、かさばけ(傘お化け) 設置予定場所:多田屋の入口作品です。 一つ目あるいは、二つ目がついた傘から2本の腕が伸び、一本足でピョンピョン跳ねまわる傘の化け物とされる。よく知られた妖怪のわりには戯画などに見えるくらいで、実際に現れたなどの記録はないようである。(阿部主計『妖怪学入門』)歌川芳員「百種怪談妖物双六」に描 かれている傘の妖怪「一本足」
8、猫股(ねこまた) 猫股は化け猫で、尻尾が二股になるまで、齢を経た猫 で、さまざまな怪しいふるまいをすると恐れられた。人をあざむき、人を食らうともいわれる。飼い猫が年をとり、猫股になるため、猫を長く飼うもので はないとか、齢を経た飼い猫は家を離れて山に入り、猫股 になるなどと、各地に俗信がある。 このような猫の持つ妖力から、歌舞伎ではお騒動と化け猫をからめて「猫騒動もの」のジャンルがあり、
「岡崎の猫」「鍋島の猫」「有馬の猫」が三代化け猫とされる。
9、毛羽毛現(けうけげん) 設置予定場所:相模屋の庭 鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に毛むくじゃらの妖怪として描かれた もので、 「毛羽毛現は惣身に毛生ひたる事毛女のごとくなればかくいふ か。或いは希有希現とかきて、ある事まれに、見る事まれなれば なりとぞ」とある。毛女とは中国の仙女のことで、華陰の山中(中国陝西省陰県の西 獄華山)に住み、自ら語るところによると、もともとは秦が亡んだため 山に逃げ込んだ。そのとき、谷春という道士に出会い、松葉を食すことを教わって、遂に寒さも飢えも感じなくなり、身は空を飛ぶほど軽くなった。すでに170余年経つなどと「列仙伝」にある。この毛羽毛現は家の周辺でじめじめした場所に現れる妖怪とされるが、実際は石燕の創作妖 怪のようである。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕 画図百鬼夜行』→鳥山石燕「今昔百鬼 拾遺」より「毛羽毛現」
10、河童(かっぱ) 設置予定場所:猪牙船 ◇ 河童(『耳袋』) 江戸時代、仙台藩の蔵屋敷に近い仙台堀には河童が出たと言われています。これは、子どもたちが、 なんの前触れもなく掘割におちてしまう事が続き探索したところ、泥の中から河童が出てきたというも のです。その河童は、仙台藩の人により塩漬けにして屋敷に保管したそうです。 ◇ 河童、深川で捕獲される「河童・川太郎図」/国立歴史民俗博物館蔵 深川木場で捕獲された河童。河童は川や沼を住処とする妖怪で、人を水中に引き込む等の悪事を働く 反面、水の恵みをもたらす霊力の持ち主として畏怖されていた ◇ 河童の伝説(『江戸深川情緒の研究』) 安永年間(1772~1781) 深川入船町であった話しです。ある男が水浴びをしていると、河童がその男 を捕えようとしました。しかし、男はとても強力だったので逆に河童を捕えて陸に引き上げ三十三間堂の前で殴り殺そうとしたところ、通りかかった人々が河童を助けました。それ以来、深川では河童が人 間を捕らなくなったといいます。→妖怪画で知られる鳥山石燕による河童
11、白容商〔しろうねり〕
鳥山石燕「画図百器 徒然袋」に描かれ、【白うるりは徒然のならいなるよし。この白うねりはふるき布巾のばけたるものなれども、外にならいもやはべると、夢のうちにおもひぬ】 と解説されている。白うるりとは、吉田兼好の『徒然草」第六十段に登場する、 芋頭(いもがしら)が異常に好きな坊主のあだ名である。 この白うるりという名前に倣って、布雑巾 の化け���ものを白容裔(しろうねり)と名づけたといっているので、つまりは石燕の創作妖怪であろう。古い雑巾などが化けて人を襲う、などの説 明がされることがあるが、これは山田野理夫 の『東北怪談の旅』にある古雑巾の妖怪を白 容裔の話として使ったにすぎない。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編
12、轆轤首〔ろくろくび〕
抜け首、飛頭蛮とも つな いう。身体から首が完全に分離して活動する ものと、細紐のような首で身体と頭が繋がっているものの二形態があるようである。 日本の文献には江戸時代から多くみえはじ め、『古今百物語評判』『太平百物語』『新説 百物語」などの怪談集や、『甲子夜話』『耳 囊」「北窓瑣談」「蕉斎筆記』『閑田耕筆』と いった随筆の他、石燕の『画図百鬼夜行」に 代表される妖怪画にも多く描かれた。 一般的な轆轤首の話としては、夜中に首が 抜け出たところを誰かに目撃されたとする内 容がほとんどで、下働きの女や遊女、女房、 娘などと女性である場合が多い。 男の轆轤首は「蕉斎筆記』にみえる。 ある夜、増上寺の和尚の胸の辺りに人の 首が来たので、そのまま取って投げつけると、 どこかへいってしまった。翌朝、気分が悪いと訴えて寝ていた下総出 身の下働きの男が、昼過ぎに起き出して、和 尚に暇を乞うた。わけ その理由を問えば、「昨夜お部屋に首が参りませんでしたか」と妙なことを訊く。確か に来たと答えると、「私には抜け首の病があります。昨日、手水鉢に水を入れるのが遅い とお叱りを受けましたが、そんなにお叱りに なることもないのにと思っていると、 夜中に首が抜けてしまったのです」 といって、これ以上は奉公に差支えがあるからと里に帰って しまった。 下総国にはこの病が多いそうだと、 「蕉斎筆記』は記している。 轆轤首を飛頭蛮と表記する文献があるが、 これはもともと中国由来のものである。「和漢三才図会』では、『三才図会」「南方異 物誌」「太平広記」「搜神記』といった中国の 書籍を引いて、飛頭蛮が大闍波国(ジャワ) や嶺南(広東、広西、ベトナム)、竜城(熱 洞省朝陽県の西南の地)の西南に出没したことを述べている。昼間は人間と変わらな��が、夜になると首 が分離し、耳を翼にして飛び回る。虫、蟹、 ミミズなどを捕食して、朝になると元通りの 身体になる。この種族は首の周囲に赤い糸のような傷跡がある、などの特徴を記している。中国南部や東南アジアには、古くから首だけの妖怪が伝わっており、マレーシアのポン ティアナやペナンガルなどは、現在でもその 存在が信じられている。 日本の轆轤首は、こうした中国、東南アジ アの妖怪がその原型になっているようである。 また、離魂病とでもいうのだろうか、睡眠中に魂が抜け出てしまう怪異譚がある。例えば「曽呂利物語」に「女の妄念迷い歩 <事」という話がある。ある女の魂が睡眠中に身体から抜け出て、 野外で鶏になったり女の首になったりしているところを旅人に目撃される。旅人は刀を抜いてその首を追いかけていく と、首はある家に入っていく。すると、その家から女房らしき声が聞こえ、 「ああ恐ろしい夢を見た。刀を抜いた男が追 いかけてきて、家まで逃げてきたところで目 が醒めた」などといっていたという話である。これの類話は現代の民俗資料にも見え、抜け出た魂は火の玉や首となって目撃されている。先に紹介した「蕉斎筆記』の男の轆轤首 も、これと同じように遊離する魂ということ で説明ができるだろう。 轆轤首という妖怪は、中国や東南アジア由 来の首の妖怪や、離魂病の怪異譚、見世物に 出た作りものの轆轤首などが影響しあって、 日本独自の妖怪となっていったようである。 【和漢三才図会』寺島良安編・島田勇雄・竹 島淳夫・樋口元巳訳注 『江戸怪談集(中)』 高田衛編/校注『妖異博物館』柴田宵曲 『随筆辞典奇談異聞編」柴田宵曲編 『日本 怪談集 妖怪篇』今野円輔編著 『大語園』巌谷小波編
13、加牟波理入道〔がんばりにゅうどう〕
雁婆梨入道、眼張入道とも書く。便所の妖怪。 鳥山石燕の「画図百鬼夜行」には、便所の台があるよう 脇で口から鳥を吐く入道姿の妖怪として描かれており、【大晦日の夜、厠にゆきて「がんばり入道郭公」と唱ふれば、妖怪を見さるよし、世俗のしる所也。もろこしにては厠 神名を郭登といへり。これ遊天飛騎大殺将軍 とて、人に禍福をあたふと云。郭登郭公同日 は龕のの談なるべし】と解説されている。 松浦静山の『甲子夜話」では雁婆梨入道という字を当て、厠でこの名を唱えると下から入道の頭が現れ、 その頭を取って左の袖に入れてまたとりだすと 頭は小判に変化するなどの記述がある。 「がんばり入道ホトトギス」と唱えると怪異 にあわないというのは、江戸時代にいわれた 俗信だが、この呪文はよい効果を生む(前述 ことわざわざわい ●小判を得る話を含め)場合と、禍をよぶ 場合があるようで、「諺苑」には、大晦日に この話を思い出せば不祥なりと書かれている。 また、石燕は郭公と書いてホトトギスと読ませているが、これは江戸時代では郭公とホト トギスが混同されていたことによる。 ホトトギスと便所と���関係は中国由来のようで、「荊楚歲時記』にその記述が見える。 ホトトギスの初鳴きを一番最初に聞いたもの は別離することになるとか、その声を真似すると吐血するなどといったことが記されており、厠に入ってこの声を聞くと、不祥事が起 こるとある。これを避けるには、犬の声を出 して答えればよいとあるが、なぜかこの部分 だけは日本では広まらなかったようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『江戸文学俗信辞典』 石川一郎編『史実と伝説の間」李家正文
14、三つ目小僧
顔に三つの目を持つ童子姿の妖怪。 長野県東筑摩郡教育委員会による調査資料に名は見られるが、資料中には名前があるのみ で解説は無く、どのような妖怪かは詳細に語られていない。 東京の下谷にあった高厳寺という寺では、タヌキが三つ目小僧に化けて現れたという。このタヌ キは本来、百年以上前の修行熱心な和尚が境内に住まわせて寵愛していたために寺に住みついたものだが、それ以来、寺を汚したり荒らしたりする者に対しては妖怪となって現れるようになり、体の大きさを変えたり提灯を明滅させて人を脅したり、人を溝に放り込んだりしたので、人はこれ を高厳寺小僧と呼んで恐れたという。困った寺は、このタヌキを小僧稲荷として境内に祀った。この寺は現存せず、小僧稲荷は巣鴨町に移転している。 また、本所七不思議の一つ・置行堀の近くに住んでいたタヌキが三つ目小僧に化けて人を脅したという言い伝えもある。日野巌・日野綏彦 著「日本妖怪変化語彙」、村上健司校訂 編『動物妖怪譚』 下、中央公論新社〈中公文庫〉、2006年、301頁。 佐藤隆三『江戸伝説』坂本書店、1926年、79-81頁。 『江戸伝説』、147-148頁。
15、双頭の蛇 設置予定場所:水茶屋 「兎園小説」には、「両頭蛇」として以下の内容が著してある。 「文政7年(1824)11月24日、本所竪川通りの町方掛り浚場所で、卯之助という男性 が両頭の蛇を捕まえた。長さは3尺あったという。」
文政7年(1824)11月24日、一の橋より���十町程東よりの川(竪川、現墨田区)で、三尺程の 「両頭之蛇」がかかったと言う話です。詳細な図解が示されています。 (曲亭馬琴「兎園小説」所収『兎園小説』(屋代弘賢編『弘賢随筆』所収) 滝沢馬琴他編 文政8年(1825) 国立公文書館蔵
16、深川心行寺の泣き茶釜
文福茶釜は「狸」が茶釜に化けて、和尚に恩返しをする昔話でよく知られています。群馬県館林の茂 林寺の話が有名ですが、深川2丁目の心行寺にも文福茶釜が存在したといいます。『新撰東京名所図会』 の心行寺の記述には「什宝には、狩野春湖筆涅槃像一幅 ―及び文福茶釜(泣茶釜と称す)とあり」 とあります。また、小説家の泉鏡花『深川浅景』の中で、この茶釜を紹介しています。残念ながら、関 東大震災(1923年)で泣茶釜は、他の什物とともに焼失してしまい、文福茶釜(泣き茶釜)という狸が 化けたという同名が残るのみです。鳥山石燕「今昔百鬼拾遺」には、館林の茂森寺(もりんじ)に伝わる茶釜の話があります。いくら湯を 汲んでも尽きず、福を分け与える釜といわれています。 【主な参考資料】村上健司 編著/水木しげる 画『日本妖怪大辞典』(角川出版)
17、家鳴(やなり) 設置予定場所:大吉、松次郎の家の下) 家鳴りは鳥山石燕の「画図百鬼夜行」に描かれたものだが、(石燕は鳴屋と表記)、とくに解説はつけられて いない。石燕はかなりの数の妖怪を創作しているが、初期の 「画図百鬼夜行」では、過去の怪談本や民間でいう妖怪などを選んで描いており、家鳴りも巷(ちまた)に知られた妖怪だったようである。 昔は何でもないのに突然家が軋むことがあると、家鳴りのような妖怪のしわざだと考えたようである。小泉八雲は「化け物の歌」の中で、「ヤナリといふ語の・・・それは地震中、家屋の震動 する音を意味するとだけ我々に語って・・・その薄気 味悪い意義を近時の字書は無視して居る。しかし此語 はもと化け物が動かす家の震動の音を意味して居た もので、眼には見えぬ、その震動者も亦(また) ヤナ リと呼んで居たのである。判然たる原因無くして或る 家が夜中震ひ軋り唸ると、超自然な悪心が外から揺り動かすのだと想像してゐたものである」と延べ、「狂歌百物語」に記載された「床の間に活けし立ち木も倒れけりやなりに山の動く掛軸」という歌を紹介している。 (高田衛監修/稲田篤信・田中直日編『鳥山石燕画図百鬼夜行』、『小泉八雲全集』第7巻)
18、しょうけら 設置予定場所:おしづの家の屋根 鳥山石燕「画図百鬼夜行」に、天井の明かり取り窓を覗く妖怪として描かれているもの。石燕による解説はないが、 ショウケラは庚申(こうしん) 信仰に関係したものといわれる。 庚申信仰は道教の三尸(さんし)説がもとにあるといわ れ、60日ごとに巡ってくる庚申の夜に、寝ている人間の身 体から三尸虫(頭と胸、臍の下にいるとされる)が抜け出し、天に昇って天帝にその人の罪科を告げる。この報告により天帝は人の命を奪うと信じられ、対策とし て、庚申の日は眠らずに夜を明かし、三尸虫を体外に出さ ないようにした。また、これによる害を防ぐために「ショウケラはわたとてまたか我宿へねぬぞねたかぞねたかぞ ねぬば」との呪文も伝わっている。 石燕の描いたショウケラは、この庚申の日に現れる鬼、ということがいえるようである。
19、蔵の大足
御手洗主計という旗本の屋敷に現れた、長さ3尺程(約9m)の大足。(「やまと新聞」明治20年4月29日より)
20、お岩ちょうちん
四世鶴屋南北の代表作である「東海道四谷怪談」のお岩 を、葛飾北斎は「百物語シリーズ」の中で破れ提灯にお岩が 宿る斬新な構図で描いている。北斎は同シリーズで、当時の 怪談話のもう一人のヒロインである「番町皿屋敷のお菊」も描 く。「東海道四谷怪談」は、四世南北が暮らし、没した深川を舞台にした生世話物(きぜわもの)の最高傑作。文政8年(1825) 7月中村座初演。深川に住んだ七代目市川團十郎が民谷伊 右衛門を、三代目尾上菊五郎がお岩を演じた。そのストーリーは当時評判だった実話を南北が取材して描 いている。男女が戸板にくくられて神田川に流された話、また 砂村隠亡堀に流れついた心中物の話など。「砂村隠亡堀の場」、「深川三角屋敷の場」など、「四谷怪 談」の中で深川は重要な舞台として登場する。
21、管狐(くだぎつね) 長野県を中心にした中部地方に多く分布し、東海、関東南部、東北の一部でいう憑き物。関東 南部、つまり千葉県や神奈川県以外の土地は、オサキ狐の勢力になるようである。管狐は鼬(いたち)と鼠(ねずみ)の中間くらいの小動物で、名前の通り、竹筒に入ってしまうほどの大きさだという。あるいはマッチ箱に入るほどの大きさで、75匹に増える動物などとも伝わる個人に憑くこともあるが、それよりも家に憑くものとしての伝承が多い。管狐が憑いた家は管屋(くだや)とか管使いとかいわれ、多くの場合は「家に憑いた」ではなく「家で飼っている」という表現をしている。管狐を飼うと金持ちになるといった伝承はほとんどの土地でいわれることで、これは管 狐を使って他家から金や品物を集めているからだなどという。また、一旦は裕福になるが、管狐は 大食���で、しかも75匹にも増えるのでやがては食いつぶされるといわれている。 同じ狐の憑き物���も、オサキなどは、家の主人が意図しなくても、狐が勝手に行動して金品を集 めたり、他人を病気にするといった特徴があるが、管狐の場合は使う者の意図によって行動すると考えられているようである。もともと管狐は山伏が使う動物とされ、修行を終えた山伏が、金峰山 (きんぷさん)や大峰(おおみね)といった、山伏に官位を出す山から授かるものだという。山伏は それを竹筒の中で飼育し、管狐の能力を使うことで不思議な術を行った。 管狐は食事を与えると、人の心の中や考えていることを悟って飼い主に知らせ、また、飼い主の 命令で人に取り憑き、病気にしたりするのである。このような山伏は狐使いと呼ばれ、自在に狐を 使役すると思われていた。しかし、管狐の扱いは難しく、いったん竹筒から抜け出た狐を再び元に 戻すのさえ容易ではないという。狐使いが死んで、飼い主不在となった管狐は、やがて関東の狐の親分のお膝元である王子村(東京都北区)に棲むといわれた。主をなくした管狐は、命令する者がいないので、人に憑くことはないという。 (石塚尊俊『日本の憑きもの』、桜井徳太郎編『民間信仰辞典』、金子準二編著『日本狐憑史資料 集成』)
22、かいなで 設置予定場所: 長屋の厠 京都府でいう妖怪。カイナゼともいう。節分の夜に便所へ行くとカイナデに撫でられるといい、これを避けるには、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文を唱えればよいという。 昭和17年(1942年)頃の大阪市立木川小学校では、女子便所に入ると、どこからともなく「赤い 紙やろか、白い紙やろか」と声が聞こえてくる。返事をしなければ何事もないが、返事をすると、尻を舐められたり撫でられたりするという怪談があった��いう。いわゆる学校の怪談というものだが、 類話は各地に見られる。カイナデのような家庭内でいわれた怪異が、学校という公共の場に持ち込まれたものと思われる。普通は夜の学校の便所を使うことはないだろうから、節分の夜という条件が消失してしまったのだろう。 しかし、この節分の夜ということは、実に重要なキーワードなのである。節分の夜とは、古くは年越しの意味があり、年越しに便所神を祭るという風習は各地に見ることができる。その起源は中国に求められるようで、中国には、紫姑神(しこじん)という便所神の由来を説く次のような伝説がある。 寿陽県の李景という県知事が、何媚(かび) (何麗卿(かれいきょう)とも)という女性を迎えたが、 本妻がそれを妬み、旧暦正月 15 日に便所で何媚を殺害した。やがて便所で怪異が起こるようになり、それをきっかけに本妻の犯行が明るみに出た。後に、何媚を哀れんだ人々は、正月に何媚を便所の神として祭祀するようになったという(この紫姑神は日本の便所神だけではなく、花子さんや紫婆(むらさきばばあ)などの学校の怪談に登場する妖怪にも影響を与えている。) 紫姑神だけを日本の便所神のルーツとするのは安易だが、影響を受けていることは確かであろう。このような便所神祭祀の意味が忘れられ、その記憶の断片化が進むと、カイナデのような妖怪が生まれてくるようである。 新潟県柏崎では、大晦日に便所神の祭りを行うが、便所に上げた灯明がともっている間は決して便所に入ってはいけないといわれる。このケースは便所神に対する信仰がまだ生きているが、便所神の存在が忘れられた例が山田野理夫『怪談の世界』に見える。同書では、便所の中で「神くれ神くれ」と女の声がしたときは、理由は分からなくとも「正月までまだ遠い」と答えればよいという。便所神は正月に祀るものという断片的記憶が、妖怪として伝えられたものといえる。また、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」という呪文も、便所神の祭りの際に行われた行為の名残を伝えて いる。便所神の祭りで紙製の人形を供える土地は多く、茨城県真壁郡では青と赤、あるいは白と赤の 男女の紙人形を便所に供えるという。つまり、カイナデの怪異に遭遇しないために「赤い紙やろう か、白い紙やろうか」と唱えるのは、この供え物を意味していると思われるのである。本来は神様に供えるという行為なのに、「赤とか白の紙をやるから、怪しいふるまいをするなよ」というように変化してしまったのではないだろうか。さらに、学校の怪談で語られる便所の怪異では、妖怪化した便所神のほうから、「赤い紙やろうか、白い紙やろうか」とか「青い紙やろうか、赤い紙やろうか」というようになり、より妖怪化が進ん でいったようである。こうしてみると、近年の小学生は古い信仰の断片を口コミで伝え残しているともいえる。 島根県出雲の佐太神社や出雲大社では、出雲に集まった神々を送り出す神事をカラサデという が、氏子がこの日の夜に便所に入ると、カラサデ婆あるいはカラサデ爺に尻を撫でられるという伝 承がある。このカラサデ婆というものがどのようなものか詳細は不明だが、カイナデと何か関係があるのかもしれない。 (民俗学研究所編『綜合日本民俗語彙』、大塚民俗学会編『日本民俗学事典』、『民間伝承』通巻 173号(川端豊彦「厠神とタカガミと」)ほか)
23、木まくら 展示予定場所:政助の布団の上 江東区富岡にあった三十三間堂の側の家に住んだ医師が病気になり、元凶を探した所 黒く汚れた木枕が出た。その枕を焼くと、死体を焼く匂いがして、人を焼くのと同じ時間がかかったという。 (『古老が語る江東区のよもやま話』所収)
24、油赤子〔あぶらあかご〕鳥山石燕の『今昔 画図続百鬼』に描かれた妖怪。【近江国大津 の八町に、玉のごとくの火飛行する事あり。土人云「むかし志賀の里に油うるものあり。 夜毎に大津辻の地蔵の油をぬすみけるが、その者死て魂魄炎となりて、今に迷いの火となれる」とぞ。しからば油をなむる赤子は此ものの再生せしにや】と記されている。 石燕が引いている【むかし志賀(滋賀) の】の部分は、「諸国里人談』や『本朝故事 因縁集」にある油盗みの火のことである。油盗みの火とは、昔、夜毎に大津辻の地蔵 の油を盗んで売っていた油売りがいたが、死 後は火の玉となり、近江大津(滋賀県大津 市)の八町を縦横に飛行してまわったという もの。石燕はこの怪火をヒントに、油を嘗める赤ん坊を創作したようである。 『鳥山石燕画図百鬼夜行』高田衛監修・稲 田篤信・田中直日編 『一冊で日本怪異文学 100冊を読む」檜谷昭彦監修『日本随筆大成編集部編
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29/07/23
会社の近くペルシャ料理屋があって、そこへいくと必ず幸福な気持ちになれる。店内にある大きなタンドールが放つ熱で店内がほかほか暖められていて(背中向かいの席では熱いくらい)、照明は薄暗くて、食事はおいしくて、なんだか居心地がよくて眠くなっちゃう感じ。ワンプレートメニューが大半だが、基本的な組み合わせとしては、バスマティライス、チキンorラムor両方の炭火串焼き、サラダ、焼きトマト、一欠片のバター、が盛り付けられている。若干酢にくぐらせたような風味のする、炭火で焼かれたチキンがお気に入りで毎回それを頼んでいたが、こないだはものすごくラムを食べたい気持ちになって、ラムはあまり好んで食べないけど美味しく食べられるのか心配半分、ラムが美味しいということになったならばそれはさぞかし美味しいだろうという楽しみ半分で店へ向かい、いつものチキンと、ラム(ミンチにしたラムを小さく成形した、ラム苦手な人にとって一番難易度低そうなやつ)が両方乗っているプレートをお願いして、食べたら、ラムが...とっても美味しかった..!
美容師の友だちに髪の毛を切ってもらうようになってから3ヶ月経つ。今回は彼女のお家にお邪魔して、髪を切ってもらって、ビールとおつまみをいただいた。ヘアカット中のBGMは千と千尋で、おつまみは彼女のシェアメイトが作った夕飯の残り物で、ああいう時間がもっと人生の中にあればいいなと思った。またすぐね。
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金曜日に有給を取って3連休を作り、マルタへ旅行した。イギリスは秋みたいに寒いけど、ヨーロッパには記録的な熱波がやってきており、マルタも例外ではなく、空港を出たら暑すぎて、いっぱい歩くのはやめよう..と危険を感じた。マルタには電車がなくて、移動手���はバスだから、3日間で15回くらいバスに乗った。前回のオスロ旅行で、自分の興味関心に基づいて行きたいところをいくつか選んでおくべきだという教訓を得たため、ワイナリーとかレストランとか色々ピックアップしておいたのに、バスが来なくて閉館時間に間に合わないみたいな理由で立てた予定はほとんど全て崩れ、行きたかったところの9割は行ってない。
立てた予定が全て崩れて向かったバスの終点には、イムディーナという静まり返った美しい城塞都市があった。後から調べてみたらマルタ最古の都市で、かつてはマルタの首都だったらしい。なんか普通のマルタの街に到着したなと思って���らぷら歩いていたら、お堀じゃないけどお堀みたいな高低差のある場所へ出て、中へ入るととっても別世界だった。旅をしている時(文字通りの旅ではなく、その場に意識があってその場に集中してわくわくしながら歩いている時)は自分の足音が聞こえる、とポールオースターの友だちが言ってたが、わたしは匂いもする。暑すぎるのか、痩せた雀が何羽か道端に転がって死んでいた。馬車馬は装飾のついた口輪と目隠しをされ、頭頂部には長い鳥の羽飾りが付けられていた。御者がヒーハー!と言いながら馬を走らせた。とにかく暑かった。
ほとんど熱中症の状態で夕食を求め入ったレストランで、ちょっとだけ..と飲んだ、キンキンに冷えた小瓶のチスク(マルタのローカル大衆ビール)が美味しくて椅子からころげ落ちた。熱中症なりかけで飲む冷たいビール、どんな夏の瞬間のビールよりうまい。
安いホステルにはエアコン設備などもちろんついていない。さらに、風力強の扇風機が2台回っている4人部屋の、私が寝た2段ベッドの上段だけ空気の溜まり場になっていた。明け方に頭からシャワーを浴びてさらさらになって、そのまま二度寝する。隣のベッドのイタリアから来たかわいらしい女の子2人組が夜遊びから帰ってきて、わたしは出がけに、部屋で少し話す。8年前に来たコミノ島はプライベートビーチのようで素晴らしかったけど、昨日行ったらツーリズム化されていて悲しかった。耳の裏に日焼け止めを塗り忘れて痛くなっちゃったから、あなたは忘れないように。わたしたち今ちょっとおかしいのよ、と言いながらドレスも脱がずにそのままベッドの上で眠ってしまった彼女は天使か何かみたいだった。扇風機をつけたまま部屋を出て行く。
地面がつるつると滑る。
砂のような色をした街並みが広がるマルタにもイケてるコーヒー屋は存在する。これも近代化・画一化の一途かと思うと、微妙な気持ちにもなるが、こういう場所へ来ると息が深く吸えるので有り難くもある。
マルタは3つの主要な島から成る。そのうちのゴゾ島へ行く。首都のバレッタから港までバスで1時間強、フェリーで20分。
フェリーほどいい乗り物はない。売店でビールとクリスプスを買って、デッキへ出て、なるべく人がいない場所で海を眺める。乗船案内と音楽が止んで、フェリーが作る波と風の音しかしない中に佇むと、これでいいような気がしてくる。ビールはあってもなくてもいいけど、フェリーのデッキで飲むビールの味というのがあって、それはめちゃくちゃうまい。
ゴゾ島へ降り立つと、足音と匂いがした。適当に道路沿いを歩いていたら、また別世界に続きそうな脇道があって、進んだらやっぱり別世界だった。ディズニーランドのトムソーヤ島で遊んでる時みたいな気持ちで謎の小屋へ入り、人で満杯のhop on hop offバスを眺めやりながら、人懐こすぎる砂色の猫と涼む。港とは反対側の海辺へ行きたかったのでバスを待つものの、一生来ないため、バス停近くのローカルスーパーを覗く。これといった面白いものは置かれていなくて、見たことある商品ばかりが並んでいた。バスは一生来ない。
バスを降り、水と涼しさを求めて入った地中海レストランは目と鼻の先に浜があり、今回の旅は下調べなしの出会いが素敵だなあとしみじみする。カルパッチョと白身魚のライススープ、プロセッコと、プロセッコの10倍あるでっかい水(笑)。カルパッチョは、生ハムのような薄切りの鮪が敷かれた上に生牡蠣、茹で蛸、海老が盛られていた。鮪は日本で食べるのと同じ味がした。カルパッチョは旨く、プロセッコはぬるく、ライススープは想像と違った。パンに添えられたバターは外気温のせいで分離していた。水が一番おいしかった。
おいしいものとお酒が好きで楽しい。
ヨーロッパ人の色気の正体ってなんなんだろう?アジア人が同じ格好をしてもああはならない。胸元がはだけていてもスカートが風で捲れてもはしたないと全く感じない。むしろロメール作品のようにさえ見える。そもそも'はしたない'という概念がアジア(少なくとも日本)にしか存在しないのではないか?色気って品かと思ってたけどそれは日本だけかもしれない。
地元料理が食べられるワインレストランを夕食に予約してみたらコース一択だった。お昼食べ過ぎてあんまりお腹空いてなかったからちょっと小走りで向かってみる。ラ��ニア、ムール貝と魚のスープ、うさぎの煮込みなど。人ん家の料理みたいな美味しさだった。マルタのワインはほとんどが島内で消費されるらしい。ゴゾ島の白ワインの感想:暑い村、お絵描きアプリのペンの一番太い線(色はグレーがかった白で透過度50)。食後のグリーンティーは、TWININGSのティーバッグで、お砂糖をいれる選択肢が与えられて、洋風の装飾がたっぷりついた受け皿付きの薄いカップと共にポットで提供された。カップの底に描かれた静物画のような果物が綺麗でうっとりした。
どこにでもあるような早朝からやってるスタンドでドーナツとオレンジジュースとコーヒー。扇風機に当たり続けていたいが荷物をまとめて宿を出る。行きたい街へ向かうバスが一生来ないため、行きたい街に名前が似てる街が行き先に表示されているバスに適当に乗ったら、行きたい街より30度北へ行くバスだった。でもやっぱり行きたい街へ行きたかったので、30度北の街へほとんど到着してからバスを乗り換え行きたい街へ向かったが、Googleマップの示すバス停へは行かず、行きたい街を通過してしまったため、行きたい街から30度南の街に降り立つこととなった。海辺でチスクを飲みながらメカジキを食べた。暑すぎて肌着1枚だった。店先のガラスに映る自分に目をやると、いわゆるバックパッカーの様相をしていた。
空港行きのバスだけは遅延なくスムーズに来て着く。肌着状態からシャツを身につけ普段の姿(?)に戻ると、途端に具合が悪くなった。日に当たりすぎたみたい。お土産を買ってセキュリティを通過し、充電スポットの近くに座って搭乗を待っていたら、すぐそばにグランドピアノがあることに気がついた。誰か上手な人が演奏しないかしらと思っていたら、青年によるリサイタルが始まった。父親が彼を呼びにやってくるまで、クラシックからビートルズまで5-6曲。思わぬ良い時間だった。
都市に住むと、旅行から帰ってくる時安心する。
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会社の人たち語録 ・やりたいことたくさんあるけど、今はやりたくないです。 ・返事がないのはいい知らせではないので。 ・Are you alright? まあまあ、ぼちぼち。
夕方、商店街へ買い出しに行く時がすごく幸せ。食べたいと思うものしか買わなかった時は特に幸せ。ぱつっと瑞々しい野菜、ちょっといいパスタ、ジャケ買いしたクラフトビール、好きな板チョコ。そんでキッチン飲酒しながらご飯作る。ビールを開けて一口目を飲むまでの間だけは音楽を止めるというのにはまっていて、そういえばフェリーのデッキで乗船案内とBGMが止んだ時の感じに似ていなくもない。フラットメイトが、夜中3時まで友人とリビングで遊んでいたり、土曜の夜にパーティへ出かけたりしているのと比較して、わたしが幸せ感じてるポイントは内向的だ。
やりたいことが浮かぶ。それをやる前に、比較対象の選択肢や判断軸を不必要なほど増やしてしまいがちだが、最適な選択を選び取ることよりも、やりたいと思う気持ちを満たすことの方が幸せなんじゃないか?
色々比べて悩んじゃったら「朝から決めてたことだから」って言うとスッと選び取れる!
食材の買い出しで1週間くらいはもつかなと感じるくらいたくさん買っても実際3日もすれば冷蔵庫空になるやつ、悲しさというかやるせなさを覚えるんだけど、こないだ500gパックの美味しそうなミニトマト買った時に、長く保ち続けること(終わりを迎えないようにする、終わりを想像しないようにすること)よりも、きちんと消費する(終わりを気持ちよく迎えること)を考えるようにしたら明るくなれてよかった。終わりって何事にもやってくるもんね。
食の話ばっかり回。
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2024.11月日記
2024/11/01
2024/11/01
ひどい寝不足なのに残業となり、仕事を済ませるとからだがしんどく、やっとの思いで帰宅。週明けからは異動となる。
興味本位で(個人企画)に提出した作品が最終候補作に残っていておどろいた。文フリいかないと。改めての見直すと内容の矛盾がひどく修正の必要がある。
2024/11/02
祖母と伯母夫婦、従兄弟が来て、家族で寿司屋へ。ZOZOTOWNのポイントを消化し、そのままアプリをアンインストールした。
今月末に石沢麻依のエッセイが出るなら、貝より続く場所はそろそろ読み始めなければならないし、月の三相も読み直したい。
2024/11/03
体調悪いと思っていると生理が来る。生理中より前のほうが体調悪くなりやすい。そもそもわたしは普段の生活が生理前の体調に響くタイプなので日々ちゃんとしていればよいものを、10月はたびたび2時くらいまで起きていた気がする。反省。
2024/11/04
体調が悪いから一周回ってカラオケに行きたくなり行く。ふらふらしながら4時間いて、そのあとはFrancfrancでクリスマスオーナメントをながめた。まんまるのサンタクロースのオーナメントは3色あり、エメラルドグリーンのおじさんが両手に星を3つずつも抱えて真顔で浮かれている様子が良く、けれど銀色のおじさんにひとりものすごく気難しい顔をしたひとがいて、さらには赤色のおじさんも誠実そうな顔をしていたので迷いに迷ってひとつもかわなかった。
2024/11/05
極悪体調。極悪体調の日はカレンダーに書くようにしているが、なんと3ヶ月ぶりだった。
2024/11/06
あまりに吐き気がひどいので欠勤。はじめて体調不良で有給を使ったが、これで今年の有給消化は5日目になり、こんなお休みでもう有給を取らなくて良くなってしまった。
2024/11/07
職場、友人はみんななんとなく風邪を引いている。
2024/11/08
いくつか歌集が届く。いますぐ読まない本ばかりが増えていくがメンタリストの視聴をやめられない。ときおり挟まれるパトリック・ジェーンの感傷的な���情には胸を締め付けられるが、レッド・ジョンに家族を殺された悲哀の滲むリアリストとしての彼が魅力的なのであって、家族を殺されていない(記憶を失っていた)頃の彼はあんまりだった。クリミナル・マインドとかNCISばかり見ていたころが懐かしい。
2024/11/09
恋愛についてはだいたい良い思い出がなく、傷つけられたというよりはだるかったというのが大半で、その手の話になるとぐちばかりでてまだ元彼が自分のことを好きだと思っている元彼女をやってしまう。じっさい(ぜんぜんわたしのことをもう好きではない)元彼氏は今��女の後ろ姿ばかりをインスタに投稿して、クリープハイプを熱心に聴いては男女交際の感傷にずぶ濡れで、村上龍作品の感銘を受けた部分をストーリーに無断転載しているところをみるとやはり別れてよかったと思う。
2024/11/10
メンタリストのほぼまるまる5シーズンを一日で見てぐうたらしていた。あとは会社に持っていく内職用のノートができたのでよい休日だったといえるかも。
2024/11/11
ポッキーの日だがポッキー買い忘れる。気づいたら仕事が終わっていた。我慢できずレッド・ジョンの正体を見るが、正直流し見でマカリスター保安官が出てきたところでこの人!となることができなかった。rijのスケジュールが発表される。たのしみにしていたキンハは大トリ、夢島と大地の汽笛は並んでいてどちらもたのしみ。
2024/11/12-18
2024/11/12
記憶なし
2024/11/13
記憶なし
2024/11/14
記憶なし
2024/11/15
体調が悪い。とにかく9時間寝たら少しは良くなったので仕事に行ったが、帰りはへろへろだった。のど飴と、よくわからない免疫力上昇を謳うタブレット、いつもの2倍の白米をたべる。コロナだったら仕事に行けないし、科博もたのしみにしていたのにとめそめそする。
2024/11/16
必死に寝て体調不良が良くなってくる。ポケモンスリープのポケモンがどんどんあつまる。メンタリストを見終えてサイモン・ベイカーの出演作をWikipediaで調べたりするが、パトリック・ジェーンの飄々とした手品が見たいので意味ない。
2024/11/17
国立科学博物館『鳥展』へゆく。大きい鳥の剥製をたくさん見る。剥製を見るのは好きだからもっとやってほしい。写真ももっとたくさん撮ったらよかった。友人のひとりに恋人ができて、でも上手くいかない気がすると怖気づいていたのでさいごの食事代を多めに払ったら一生懸命突き返され、わたしが「幸せになってほしいから」と押しつけると(恋人のいないわたしに対して)「客観的に見たら俺のほうが幸せだから」とさらに突き返され、やかましく、愛しかった。
2024/11/18
タンブラーを会社に持っていくと座席て温かいお茶が飲めるから良い。ただ毎日ティーパックをひとつ使うのはもったいないので、そのうちインスタントのデカフェにしたりするかも。
2024/11/19
朝から泥酔した人が��に座り込んでいて、駅員が一生懸命話しかけていた。寒くなってきたというのに。寝ていたら寒いことにも気付かないんだろうか。仕事。良い機会があって、リーダーにここぞとばかりにわからなかったところを聞いたら笑って教えてもらえる。笑ってくれるだけで明日も頑張れるからずっと笑っていてほしい。机の上にルルアタックが出ていて、可哀想だった。
2024/11/20
Francfrancで買ったタンブラーを労働に導入して、八時間労働を八時間茶話会にしようとしている。●お仕事一生懸命していますというアピールがなかなか効いて、はじめてリーダーにスタンプを押してもらう。●『サミュエル・ジョンソンが怒っている』を読んでいるが、ほんとうにただ読んでいるだけ。
それらはいわば、彼女という人の「自分観察日記」だ。一人の人間が実人生とぶつかりあって立てる火花をていねいにすくい取り、幾重にもろ過して言葉の形に結晶させたような。
リディア・デイヴィス『サミュエル・ジョンソンが怒っている』訳・岸本佐知子
●骨なしオデュッセイアも読んでいるといえば読んでいる…
目を覚ませ、もう正午だ、幸福は朝の時間に似ている、どちらも絶対的なみずみずしそのうちにあり、それと一瞬交錯する眩暈を生きることはできても、それを固定したり、持続させたりすることはできない、目を覚ませ、もう正午だ、あまねく白けた光の支配を、おまえは死ぬまで受けなければならない
野村喜和夫『骨なしオデュッセイア』 79頁
そういう意味では、私はまさに骨がなかった、気骨がなかった、反骨もなかった、比喩的な意味での骨がなかった、女のところに背骨を置いてきてしまったらしい私のこの無脊椎的夢遊も、つまるところ、骨のない私の生き様への寓意にすぎない?
野村喜和夫『骨なしオデュッセイア』 97-98頁
敵は社会であること、自分を責めないこと、負い目をつくらないこと、こう生きるべきだとは考えないこと、ほめられないようにふるまうこと、アイデンティティを植え付けられないこと、頭を緑にすること、光を浴びること、雲であること、虹の根となるような場所で涙を流すこと、 野村喜和夫『骨なしオデュッセイア』
野村喜和夫『骨なしオデュッセイア』 121頁
●『メンタリスト』の代わりになるサスペンスドラマがない。なにをみてもつまらない。
2024/11/21
フェーズがひと段落し、べつのフェーズのために資料を作ってもらう。気難しいひとが横展開するための資料に、とくにわたしにわかりやすいよう工夫を施してくれたのでうれしかった。資料を確認した後ひととおり確認すべきことを定時内に終え、今日は完ぺきと言ってよい仕事ぶりだった。●昨日はお弁当をわすれてしまい温かいお茶を飲むことができなかった、今日こそタンブラーでお茶をすると意気込んでいたのに、今日はティーパックを忘れてしまって、空のタンブラーを鞄に入れたまま一日じゅう切なかった。今日はティーパックと、粉末スープも���意したので明日は職場でも家のように過ごせるはず。ウルの歩行が、一連の行為全体が精神となって肉体を追い越すように、わたしは職場を追い越してあそこまでを家にしたい。●『塚本邦雄全集』と水原紫苑『光儀』を読む。少女を通ることなく、透明な子どもと女性の中庸をとることがいまの自分のもっとも保ちたいバランスかもしれない。少女性というのにぴんとこず、けれどひとりのひととしてみずからの性を引き受けることに、使命に似たものを感じている。●『サミュエル・ジョンソンが怒っている』ー『変身』人間から木に、木から石になる娘。いまのところはこの話が一番好き、灰色が好きだから。
2024/11/22
よい夫婦の日だというからガトーフェスタハラダのチョコレートを買って帰ろうとはたらきながら考えていた。この間そのチョコレートを母が食べておいしいと言っていて、残っている私の分をみて「食べないの?」「食べたいの?」「そういうわけじゃないよ」と笑ったばかりだったから。けれど今日の帰宅中待ち合わせを提案され、時間を伝えると待てないと言われ、さいごは置いてゆかれたのに落ち込んでいたら買うのを忘れてしまった。●妹が待遇の良い企業に引き抜かれ、年収が上がるらしい。すごいなあ。●あるところにしまっておきたい語彙が少ないと感じているので、できれば個人的にアプリで辞書をつくりたい。あたらしいminiPCにもeclipsをいれ、とりあえずhello world。●資料を渡されたと思い読み続けていたら、その資料を見ながら資料を作ってほしいというタスクを指示されていたらしく、出だしからわたわた。そのあともあまりうまくゆかず。少し残って作業していると、「でもそんなに急ぎの仕事ではないので」「来週まで見積もっているので」と声をかけてもらい、温かかった。●9月に出ていたfabrizio peterliniの新しいアルバム『summer stories』を聞くため、ひさびさにapple musicに登録。重複登録がこわくてすべてのappleIDを一度削除していたから保存していた音楽はすべてきえていた。けれど好きな曲はいくつか覚えている。SOFIANE PAMART『PLANETーplanet』など。ただ人の声を歌でなく楽器として扱い曲を作った、ドイツの作曲家の名前は忘れてしまった。
2024/11/23
大学受験の時に母親に買ってもらった時計を直したく、いつものデパートへ。ソーラー充電なのに動かないのは中の部品を交換する必要があるらしい。修理が終わるとしたら年内で、買った分くらいのお金がかかるということでいったん持ち帰りにした。ネットで色々調べていると、ブラックフライデー(ってあまり良く分かっていないのだけど)でダニエル・ウェリントンの時計が半額になっていた。革の黒いバンドの時計が可愛く、だいたい修理費とおなじくらいなので一層悩んでしまった。●Excelで一行おきにコピーしたいというのを妹に相談すると、ChatGPTに聞いてすぐに教えてくれた。引き抜かれるだけある。ChatGPTのことはそんなに信用していないので、明日試してみよう。●声のよい人と会話。だいたい仕事の話。●本にはさむタイプのブックライトほしい。
2024/11/24
やっぱり時計は直してもらうことにした。7年前なら部品の在庫もあるだろうと言われ、直したくても直せない日がこれからくると思うと、直せるうちは直して使おう。ダニエルウェリントンのブラックフライデーは毎年あるのだろうし。●ノンワイヤーブラをはじめて試着したところすごくよかったので2着購入。ワイヤーの締め付けによっては体調を崩したりしていたので、もっと早く導入すべきだったのかも。●何年ぶりかにトレーナーを購入。こういうカジュアルな服を着るのいつぶりだろう。ギャップのVネックで、袖と裾のところに白いラインが入った紺色のトレーナーを購入した。ジーパンと合わせると普段着らしくてかわいい。
●水原紫苑『光儀』読み終える。
投身の瞬間にしてわが歌を直したき思ひ来べきや否や
水原紫苑『光儀』
すごい歌。
帰宅すなはち解かれたるわがたましひは白きけものの形象を得つ
水原紫苑『光儀』
『光儀』には白い犬がたびたび登場する。ほかの歌集にも登場するのかな。1句目の字余りも雪崩れるように帰宅してからだから「たましひ」が吹き出すのをかんじるし、わたしもそういうふうに帰宅する。
2024/11/25
朝はさむく、心臓に穴があいたみたいに体に力が入らなかった。●『オレンジだけが果実じゃない』読んでいる。イヤなかんじのママが訳っぽい。●目がひまで電子で買ったウルフの『波』を読むとあまりによく、こういう文章をずっと読んでいたい。さいきんは短歌の比喩に触れていたけれど、小説のほうがずっと自由で飛躍したところにゆけるのではないかと思う。
すぐに収まるよ。ほら、ぼくたちからだを寄せあってる。ぼくが息するのが聞こえるだろう。カブトムシが葉っぱをかついでいるのも見えるだろう。あっちへ走りこっちへ走りするから、それを見ていれば、何かを(いまはルイだ)なにがなんでも独占したい、というきみの気持ちも、きっとゆらぐ。ブナの葉のあいだにちらつく日の光みたいにね。そのうちきみの心の奥深くで暗くうごめくことばが、このハンカチにねじこまれた固い塊をほどいてくれるよ」
ヴァージニア・ウルフ 『波』 森山恵訳
それ自体を比喩で説明するとき、比喩に対しては説明的でならなければならない。短歌という定型の中では比喩へ誠実に意味を持たせるほどその比喩に対して比喩をつかえないジレンマがあるが、小説という形態ならそれを簡単に打破できてしまうのではないだろうか。●仕事は反省。わからないのに後々わかるかな、と疑問のままを放置してのろのろ調べていたことが結局わからず、同じことを二回聞きに行き情けなかった。いつものひとはいつものとおりに「うん、うん」と聞いてくれ、それがいっそう申し訳なかった。「うん、うん」と言ってもらっていると、菅原百合絵の短歌に見る「聞きくれぬ」が思い浮かぶ。そのひとの横顔におぼろげなフレーズを見出しながら、ログってどこで見れますか…と半泣きで聞いた。
2024/11/26
職場で温かいお茶を作るようにしたら、毎日つめたいほうの水筒を飲まなくなったから作らなくてもよいかもしれない。そろそろティーパックはなくなるから買い足さなくてはいけないけれど、こう毎日消費するなら大容量のものをみつけたい。1週間に5個ずつ使っていくとして、膨大な数になりそう。●仕事にならず。解決できてないけど明日になったら解決するかな、と放置。だめなら後悔することになる。●
その日を境に、学校では誰もわたしに寄りつかなくなった。でも自分は正しいという確信があったから、悲しくなんかなかった。 (中略) 「選ばれしものは孤独なんだよ 」母は言った。
ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』 岸本佐知子訳
このあとの「自分に理解できないものだからといって、価値がないと決めつけるのは間違いです」は爽快だった。けれど、このお話そこではないだろうからおしまい。●ファミリーマートはいっぱいクーポンくれるから好き。
2024/11/27
仕事は解決せず。同じことを2度聞いたけれど、そもそも資料に誤りがあったのでそれほど反省すべきこともなかった。●大森静佳『カミーユ』読む。
顔の奥になにかともっているひとだ風に破れた駅舎のような 彼らの世に彼らの灰色の顔はどんなにしずかな穴であったか 鈴のように一日ひとひがふるえてる その鈴のなかのきみを撫でおり 見えぬものは見えないままにそのひとの海の暗さを告げられている いないのは誰だったのか夕雲よ怒りのどんづまりに触れてみよ 紫陽花の重さを知っているひとだ 心のほかは何も見せない
大森静佳『カミーユ』
深度の差が特徴的でそれは重さの差であり、沈み、沈まれ、表面に見える/見えないのもの同士のありかたを描きながら
八月のわたしだけには見えていたあなたの奥の動かない水 心底と言うとき急に深くなるこころに沈めたし観覧車 陰影のつけ方などにそのひとの欲望透けて素描はのこる
同上
その中心に据え置かれるものをまなざす歌が多かった。それは個人の抱える内面的なある場所でもあり、
曇天に火照った胸を開きつつ水鳥はゆくあなたの死後へ
同上
生きものの心臓であり、
感情にすべては繋がるべきなのに鉄路にひどくひたむきな雨が
同上
心としての感情で、
弟はすべての季節の奥にいてすべての季節を殴っていたが あ、あれはむかしのわたしの掌じゃないか蛍を潰す余白なき愛 雨沁みて重たいつばさ 感情は尖がもっとも滅びやすくて
同上
いっぽう感情はときに猛々しさや狂気をともなって描かれる。
八月のわたしだけには見えていたあなたの奥の動かない水 夢に逢う、ということもなくわれのみが土偶のごとく息しておりぬ 感情がいま釣り鐘のように重い 錆びながら、もっとかがやきながら
同上
だれもが渦の中にあり、渦を抱えるひととして描かれながら、そのさなかにどこまでも重く沈む一点はけっしてその荒さに巻き込まれない。ほか、ふかくとどめる/木/きみとこの世を横切ってゆくも同様。
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零の会
2023年8月3日
於:東上野区民館
坊城俊樹選 岡田順子選
坊城俊樹出句
坊城俊樹出句
アロハシャツだらけのアロハシャツ問屋 香水の香をアメ横に見失ふ 銅像の西郷どんも浴衣着て 乳母車素肌で押して母若し 群集の白を纏へる暑さかな 羅を纏ふ上野の男ぶり マネキンに恋の予感のビキニ着せ 羅とすれ違ふ時麝香の香 スカジャンが食ふアメ横の氷菓子 日焼跡とは眼裏の中にあり
坊城俊樹選 特選句
坊城俊樹選特選句
青い嘘と黄色い嘘とソーダ水 和子 仏具屋は北向日盛を知らず 季凛 アメ横てふアジア横丁灼ける路地 風頭 西郷どんの足の太さや雲の峰 六甲 唖蟬のすがるかに寄る仏壇屋 毬子 冷し珈琲魔女めく指で渡されて 小鳥 寺町に銭湯を待つあつぱつぱ はるか 昭和より黴はぐくめる喫茶店 光子
坊城俊樹選▲問題句
店員はアヴァンギャルドや夏灯 季凛 右みんみん左つくつく法師かな 荘吉
坊城俊樹選並選句
帝を背負ひて登る上野山 風頭 炎帝や狛犬すつくと仁王立ち 慶月 百日紅また百日紅寺の町 小鳥 蟬時雨抜ければ時の動き出す 和子 シャッターも地球も錆びてゆく晩夏 美紀 吉原のはづれ廃寺のほたる草 順子 打水に誘はれそろり伊豆栄へ 三郎 終戦日近づいてくる上野かな 光子 稲荷町ビル間に炎帝の足跡 小鳥 寺通り男もすなる黒日傘 順子 片蔭の乏しき街をさまよへり 佑天 人生を語る顔してアイス食ふ 和子 万緑に抗ひてゆく上野山 風頭 狛犬も炎暑阿吽と耐へてをる 美紀 アメ横や溽暑の匂ひ漲りて 風頭 日盛や適時打に沸く子規球場 六甲 蟬の穴あまた仏を囲むなり 光子 鐘の音の遠くに聞こゆ夏の寄席 佑天 炎帝が乾きたるくちびる舐むる 和子 蟬しぐれ靴音だけを許しをり 和子 涼風や首美しき狐たち きみよ 炎帝は叫び過ぐなり救急車 光子 北斎の墓に出逢ひし町炎暑 六甲 蟬しぐれ突然胸のラジオ鳴る 順子
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岡田順子出句
岡田順子出句
落し文拾はねばまた韻を巻く 蟬しぐれ突然胸のラジオ鳴る 喪の果てゝ下谷の湯屋へ黒日傘 仏具売る遥けきものに漆掻 吉原のはづれ廃寺のほたる草 寺通り男もすなる黒日傘 掛香の残り香ひとすぢの風に 八月の空や接吻しあふ雲 走馬灯遠き遊女の指触れて 初代山生亭祀るてふ蟬しぐれ
岡田順子選 特選句
岡田順子選特選句
仏具屋は北向日盛を知らず 季凛 スカジャンが食ふアメ横の氷菓子 俊樹 片陰の禿びて上野の仏具店 光子 掛香の名残りの車両上野へと 昌文 日盛や適時打に沸く子規球場 六甲 蟬しぐれ靴音だけを許しをり 和子 改札口帰省子らしき待ち合はせ 六甲
岡田順子選▲問題句
マネキンに恋の予感のビキニ着せ 俊樹
岡田順子選並選句
短夜や家出少女の赤き髪 光子 蟬時雨抜ければ時の動き出す 和子 寄席発祥の社へ男の日傘 毬子 蟬の穴杜に奈落のあるやなし はるか 佛具屋の玻璃戸に浄ら百日白 昌文 露草の何も混らぬあをを知る 久 アロハシャツだらけのアロハシャツ問屋 俊樹 寄席興りし町の軒先風知草 昌文 人とゐてひとりにつのる蟬時雨 美紀 油照画狂人の墓この辺り 荘吉 五雲堂に盆の香灰求めけり 毬子 蓮原に据ゑて一宇の弁天堂 千種 苺飴目を奪はれし買はされし 軽象 唖蟬のすがるかに寄る仏壇屋 毬子 風鈴の一斉に揺れ散る色ぞ 久 息をするやうに嘘つき夾竹桃 和子 甚平のソファを深く純喫茶 はるか 咲き満ちて道真直ぐなり百日紅 佑天 人旅に死すとや躯蟬も亦 軽象 仏壇の扉は盆風に開かれて 季凛 蟬の穴あまた仏を囲むなり 光子 幡なびく蓮の風を三昧に 千種 炎帝が乾きたるくちびる舐むる 和子 仏具屋の涼しき美しき女将かな 慶月 香水の違ふ左右の御徒町 三郎 昭和より黴はぐくめる喫茶店 光子 教会に八月の声八月の空 和子 巻き蓮葉ほどけてあらむ恋の文 きみよ 稲荷町西日避けたる仏壇屋 荘吉 トーストの鋭角夏の午後に潰れ 季凛 青い嘘と黄色い嘘とソーダ水 和子 古硝子歪めし冬の空はあを 久
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大学会館の裏の展示スペースの、その淡い青みがかった透明なガラス張りの壁の、そのむこうに見える環状道路の、おそらくは十メートルはゆうに越えているだろうプラタナスの並木と、その枝から盛んに舞い落ちる小鳥ほどの大きさの枯葉と、その下を通り過ぎていく何台もの銀色の自転車を、今はもうその街を離れて故郷に帰り小さな会社で仕事をしていてその街との関わりなどもはや本当になにひとつもっていないはずなのに、ふと顔をあげた拍子に窓のむこうで上下にゆれている櫟の枝を目にした途端、まるで茶をそそぎ入れた瞬間に陶器の中でやおら開き始めてたちまち匂いやかに咲く水中花のように、わたしは思い出す、枝から盛んに小鳥ほどの大きさの枯れ葉を舞い散らせている巨大な丈高いプラタナスの並木がそびえ立つ環状道路は、その大学会館の裏の展示スペースのあたりで陸橋になっていて、それというのも秋になるたび黄金いろに燃える葉を空にむけて突き上げる公孫樹の並木がえんえんと続く東西に伸びて大学を横断する通りがそのあたりでちょうど環状道路と直角に交差するからなのだが、その陸橋を南に下りてすぐのところにある陸橋の下にぐるりと回り込む小さな道を進むとサークルの先輩が住むアパートがあってそのアパートで夜な夜な飲み会(その頃はまだ二十歳を過ぎたばかりでウイスキーというものがもの珍しかったものだからとにかくいろんな種類のウイスキーを飲んでみたい一心でわけもわからず片っ端から飲んでいった、ジョニーウォーカー、バランタイン、シーバスリーガル、ジャックダニエル、ワイルドターキー、フォアローゼス、カティサーク、ブッシュミルズ…… ウイスキーの固有名詞はわたしをふしぎと陸橋の下にぐるりと回り込む小さな道を進んだところにあるアパートの一室へとひき戻す)をしたものだったけれど、先輩の部屋は大学生向けのよくあるワンルームの八畳ほどの部屋で玄関のドアを開けるとすぐ左手がキッチンで右手が浴室とトイレのドアになっていてその間の細長い狭い空間を抜けると居室で、その居室は南が窓で西と東は天井まで続く大きな本棚になっていてその本棚にはぎっしりと本が収納してあって先輩これ全部読んだんですかとわたしが訊くとそんなわけないじゃない��すかと先輩は言うのだったが、その先輩は普段は同期や後輩に対してはタメ口なのになにか皮肉めいたことを言うときだけ敬語になる癖があったからこの場合のそんなわけないじゃないですかはもちろん全部読んであるということなのだった(その先輩とはもう長いこと連絡を取っていなくてたしか最後に連絡を取ったのは今から五、六年前のことだったはずで、あの頃はあんなにも多くの本をあんなにも情熱的に読んでいたはずの先輩は結婚し公務員になっていて、ざまもなく脂下がった顔でいやあこの齢になると本を読む暇もなくてね、あの頃の本もみんな捨ててしまったよ、今から思えば本なんて読んでもなんの役にも立たなかった、あの時間を使って資格の勉強でもしておけばよかったと心から思うよ云々とのたまってわたしを幻滅させた)、有名な建築家が建てたというコンクリート打ちっぱなしのおよそ飾り気というものがない塔は栓抜きの形によく似ているから栓抜きタワーと呼ばれていて、栓抜きタワーは松見公園というその名の通り松ばかりやたらと植えてある公園の池の中央に建っていたのだが、この公園には街を南北に真っ直ぐ貫いて街の背骨のように長く続くペデストリアンデッキが通っていたこともあって街の人々はいつもいやおうなくこの公園を通り過ぎなくてはならずしたがって自然と栓抜きタワーも毎日見ることになった、その栓抜きタワーのある松見公園と一本道を隔てた反対側はこの街唯一と言ってもいいだろう繁華街になっていてそのあたりは住所としては天久保一丁目で、もちろん繁華街といってもごくつつましやかなものでほんの何軒か風俗店やキャバクラがあるだけであとは居酒屋やバーやスナックやカラオケや中華料理屋があるくらいなのだが、鶏の骨がそのまま溶け込んでいるのではないかと思うほどに濃密などろりとした鶏白湯スープに整然と折り畳まれて盛りつけられた小麦の香りがにおい立つかのような中太麺、淡い桃いろがかった赤身と真っ白い脂身が幾重にも連なり地層を描く豚肉の叉焼の上におそらくは無塩バターとパセリとエシャロットとにんにくを混ぜ合わせて冷やし固めてから四角く切り出したのであろう黄いろがかったクリーム色にパセリのさわやかな緑いろが入り混じったエスカルゴバターが載せてある一風変わった拉麺が食べられる店は天久保一丁目の路地を少し入ったところにあってその拉麺を食べるためだけに幾度となくこのあたりまで足を運んだものだった、その拉麵屋の隣りのとなりはふくろうという美味い焼き鳥を出す居酒屋でその居酒屋も好きでよく訪れていたのだが、ペデストリアンデッキを南にむけてもう少し下ったところにある中央公園の一画は文化会館アルスという図書館と喫茶店とコンサートホールと展示場の複合施設になっていて、そのアルス��開かれていた大学院の卒業制作展で見た作品に感動し連絡を取ったところ意気投合し友達になったMさんとそのふくろうという居酒屋を訪れたら折あしくなにかの祝賀会と重なって店に入れなかったことがあって、そのときは松見公園に面した居酒屋というには小洒落ているがバーというには騒がしいなんだかよくわからない店に仕方なく入ったのだが、その店ではなぜかくり返し何度もディズニーの子どもむけのコメディ映画が流れていて、わたしとMさんはピーナッツをかじったりビールを飲んだりよしなしごとを話したりしながら夜が更けるまでそのコメディ映画をながめ続けていた。
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2024/5/30
今回の担当:🦋
次回の担当:🌛
早起き
うおー!
3時に目が覚める 昨日学校から帰ってすぐに床に就いたのだ めちゃめちゃ寝た めちゃめちゃ寝たのに日が昇っていない なんとか有意義に過ごさないとという思い込み��らとにかく動く
座椅子に座る 授業開始時刻まで何をしよう 計画を立てることが凄まじく苦手なので、何度か同じようなことを頭の中で繰り返し組み立て、ようやく立ち上がる 決断
とりあえず、たまご豆腐とおにぎりを口に放り、フラフラする身体に熱量をいれた まだ血がめぐる感じがないのでチョコ板(半分)を冷蔵庫から持ってくる せんべいでもよかったな……と目の前にある菓子箱を見て思う 思ったことを行動に起こせるくらいには活動的だ ぱりんこ チョコは1、2カケ食べて棚へ戻した
ものを食べたはいいものの、本を読んだり課題をこなしたりするほどの活力はなかったため液タブを立ち上げる 5時間ほど絵を描いた 良さげ〜な色の塗り方を発見 やった〜 最近めちゃめちゃ良いペンを見つけて描くのが楽しい 楽しい でも全てが中途半端なまま次の紙を開くのでひとつも完成してないです
……あまり賢い時間の使い方ではない が、まあ、なんのやる気もなかったし、朝で活力を使い切っては身も蓋もないので楽しいことに逃げちゃっても良い とします よし
洗濯機を回しながらシャワーを浴びる ちょうど洗濯時間と同じくらいかかるのでセットでやりがち なにか同時進行していないとシャワーを浴びようと立つまで時間がかかるし、一石二鳥
学校
「うお〜! わかる〜〜」と「全く身に入りません……なんですか……そうですか……」を反復横とびしていた おもしろかったです
移動
完全に初夏の匂い というよりかは雨がそれとなく近づいている匂いですね 移動時は考えるか呼吸かしかできないので、大抵そのときに匂いに気づく 初夏、焦燥感 自分だけが地に足をつけていないように思い、焦る 浮かんでいる さっさと帰りたくなる 特に何をするわけでもないけど
湿度・カビ防止の諸々を購入
買った品を棚に置き散らかす どんと来い、梅雨前線
めちゃめちゃ動いた めちゃめちゃつかれた とんでもなく寝れそう 素晴らしき及第点 なんか、今までやりたい、やらないとと思っていたことを次々に達成できた 泣いてもいいですか いいよ ウボーイオイ 明日もちゃんとできるといいですね
完
今日見たもの
現実について話す学生、でかい犬、小さい犬、リュックの横ポケットに入れられたポケモンのぬいぐるみ、きれいに整えられた花壇のホウセンカ、元気に跳ねる子供と手を繋ぎ歩く親
↑嬉しい
回答
🌛
ふつう、てきとー、けっこう
一般的に使用されてる意味と、実際に言葉のもつ意味が違っている単語を、一般的な意味で使いたい場合にひらいたり���タカナにしたりして避けています 避けに入るかはビミョーですが
🎈
雨の日の靴、いつものスニーカー
防水・汚れ防止スプレーをしているので、まあ、いいかな……というものぐさ
質問
好きなモチーフや柄を教えてください🎶🎶🎶
マーブルやストライプ等、いくつかの色が何かしらの規則に沿って並んでいると嬉しくなります あと素晴らしいデフォルメ(文字でも動物でもキャラクターでも)
変な姿勢で書いていたのでめっちゃ足が痺れている ぐお〜……
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【セキセイインコと文鳥の多頭飼い】こむぎとまっちゃの 水浴びと羽繕い!手乗り文鳥のこむぎと手乗りインコのまっちゃの動画です。 こむぎは寒い日なので大好きな水浴びですがたじたじ!! セキセイインコのまっちゃは放鳥時に体の羽毛のお手入れで 羽繕いに夢中です。 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽ ※ こちらにもアクセスお待ちしてます! ▲りなチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCKeC_jblWhPj7ehe46zOJLQ ▲YouTubeコミニュティ https://www.youtube.com/user/baikinman401/community
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相変わらず猛暑が続きますね。それにしても、うちのベラン���のバラは途切れることがなく元気に咲き続け、メダカ鉢の水草もどんどん増えて水面を覆い、環境への順応性の高さに驚いてます。
昨日あたりから、ぺルセウス流星群の活動が盛んな時期に入りましたね。21時頃から流れ星が現われ始め、最も多く見られるのは14日の夜明け近く(東京では3時台)とのことです。夏の夜空全体に現れる星々のショーを楽しみたいと思います。私の誘導瞑想でも夏の星空をテーマとしたものがありますので、よかったら一緒に試してみてくださいね。
来週の火曜日、8月15日は78回目の終戦記念日です。夏学期クラスの実習では、生徒さん達にいつもとはちょっと違うインスピレーショナル・ライティングに挑戦していただきました。
まず、以前このブログで紹介した『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』という本の中から一つのエピソードを選んで読みました。そのエピソードは、この本の著者であるポール・ウォーカーさんが担当していたラジオ番組に寄せられたアメリカ人の元軍人ロバートさんからの投稿文で、実際に番組内で紹介された実話です。
・・・・・・
第二次世界大戦が終わり、私(ロバートさん)は占領軍の一員として沖縄に駐留していました。当時基地内でよく盗難事件が起こりましたが、日本人の孤児グループによるものだと思われていました。お菓子等、どうでもいいようなものばかりが盗られていたからです。
ある日、私は愛用していた自分の万年筆がなくなっているのに気づきました。こうなってはもう盗難を見過ごすことはできません。
その数日後、日本人捕虜の一人を作業任務に当たらせようと、捕虜の居住地区から一人の男を呼び寄せました。彼とは今までよく敷地内で一緒に仕事をしていて、有能で誠実な人物だと思っていたのです。
けれど、その捕虜の胸ポケットに盗まれた万年筆がささっていたのを見た私は、その場で彼に万年筆を返すよう厳しい調子で迫りました。立場的にもアメリカ人の上官の命令に背くことのできないその男は、悲しみと失望の表情を浮かべながら、渋々万年筆を差し出しました。
その後、基地内でその日本人の姿を見かけることはなくなりました。理由はわかりません。
3週間後、私の万年筆が自室で見つかりました。あの捕虜から奪ったのは、模様が似ている別の万年筆だったことが判明したのです。
あれから50年、戦後もずっと私は自分の行動を悔い、あの日本人の男に謝罪したいと願っています。
・・・・・・
この投稿を聞いた生徒さんに「このラジオ放送を偶然聞いた、かつて米軍基地で捕虜として働き、万年筆を没収された日本人になったつもりで、この番組宛に返事の手紙を書いてください」というお題を出しました。
どのクラスも素晴らしい手紙ばかりでしたが、最終日のアウェアネス・オールレベルクラスでシェアしてくださる生徒さんを募ったところ、3人の方々が協力してくださったので、ここに紹介いたします。
・・・
あれから50年たち、たまたま聞いたラジオから思い出された万年筆、これは私のことと気が付きました。
なぜか、涙が出て身体が震えました。
あの頃の戦場では誰もが生死をさまよい必死でした。
捕虜の私は、あなたに何も言えませんでした。それでもいいと思いました。
あの万年筆はあなたに差し上げたものです。
私は、あれから生きて帰ることができ、今まで暮らしてきました。
万年筆のことは思いだすことはしませんでした。
今思うと、万年筆は持ち帰らなくて良かったと思っています。
あなたは、50年もの間、苦しんで生きてきたようです。
もう忘れていいのです。
私は、万年筆をあなたに渡したときからあなたを許しています。
あなたのこれからの幸せを祈っております。
・・・
日曜の午後 たまたま聴いていたラジオから流れてきた内容にとても驚き筆をしたためました。
あの万年筆のお話しは私のことです。
とても高価な物で、私の大切な親友から貰った物です。
その友人は、この戦争で亡くなってしまい形見となってしまった物です。
あの日、彼から「渡せ」と言われ
私は大事な品を取られてはならないと必死でした。
しかし、敗戦国である私に何も守ることは出来ません。
私は、失望・絶望を経験し
あの日以降、敷地に入ることは出来ませんでした。
今、50年経ち思うことは
あの万年筆と共に思い出が沢山あったが
あの万年筆は無くとも思い出が沢山あることに気付き
返してもらおうとは思いません。
また、彼の過ちを起こした理由を知り、
私は、許します。
それだけを伝えたく筆を取りました。
彼もまた幸せでありますように・・・。
・・・
ラジオをお聴きのみなさま、初めてお便りいたします。
先日の放送で、かつて万年筆を盗んだと疑われた日本人捕虜とは私のことです。
あの時の貴方へ、私からもメッセージをお送りいたします。
実はあの万年筆は戦時中、草むらで砲弾に倒れていたアメリカ兵の胸ポケットに刺さっていたものでした。
彼は息も絶え絶えで私に何かを伝え、それを私に渡そうとしました。
英語が全く分からなかった私ですが、それでも彼を不憫に思い、まるでわかったような顔で頷き、それを受け取りました。
しかし私には彼の意を汲み取り、託された万年筆をどうすれば良いのか為すすべを知らなかったのです。
それが長い間私の心のしこりとなっていました。
なので私はあの時、正直ほっとしたのです。
私は貴方を傲慢な人だと思い込んでいました。
しかしその傲慢さが私の罪の意識をいくらか拭い取ってくれたような気がして、むしろ感謝の念すらおぼえていたのです…
・・・・・・・・・・・・
夏学期クラスの中で行った誘導瞑想の中からピックアップして、ショップで音声データを販売中です。クラスの瞑想中に寝てしまった人も😅、再び挑戦したい人も😆、新たな質問をスピリットに投げかけたい人も😄、夏休み中の練習として、ぜひご活用ください。
ショップからご購入いただけます。
「ニライカナイ Niraikanai」 33:10
沖縄や奄美地方に伝わる伝承、理想郷とされる神々が住まう美しい島を訪れます。南国の美しい自然のエネルギーに触れ、その恩恵を受けながら癒しの旅を続けます。沖縄のシャーマンに出会い、神域に案内されたあなたは、そこで光の世界に旅立った人と再び出会う機会を与えられます。
「夏の星座 Summer Constellations」 32:21
ローマ神話に登場する全知全能の最高神、ジュピターに誘われ、夏の夜空へと旅立ちます。天空に浮かぶ数多な星に歓迎されながら、光のパビリオンで指導霊と出会ったあなたは、今年の後半へのアドバイスを受けます。美しい夏の星々が、あなたを更なる霊的な学びへと導いてくれるでしょう。
「魂の沐浴 Soul Bathing」 33:00
神聖な鳥に導かれながら、神々が集うバリ島を訪れます。聖なる沐浴を体験して心身を清め、祈り、神聖なエネルギーを受け取ります。ライステラスを見下ろす景色に囲まれながら、更なる祝福を受けるために霊峰を訪れたあなたに、水と火のエレメントが織りなす霊的な出会いが待っています。
「エル・ドラード El Dorado」 33:26
かつてのスペインの征服者達によって広まった黄金伝説、エル・ドラードを探し求め、あなたは黄金色に輝く美しい都市を訪れます。そこで待っていた高潔な生き方や精神的な覚醒を達成し、神聖な存在と見なされている人々は、あなたの霊性��花への道をより明確に示してくれるでしょう。
「ヴィジョン・クエスト Vision Quest」 29:44
どこまでも続く赤い大地と青い空に囲まれながら、あなたは霊的成長への旅を始めます。ガイド役に選ばれた美しい姿をしたスピリット達に見守られながら、宇宙のグレート・スピリットと交信し、その大いなる智慧と恩恵と無条件の愛に触れながら、今世での魂の課題を確認しましょう。
「青い家 La Casa Azul」 33:20
コロニアル様式の古い建物が並ぶ美しいメキシコの街に佇む、画家フリーダ・カーロの家を訪れます。逞しくも美しい画家の個性にふれ、魅力的な住まいと生命力に溢れる作品のエネルギーに囲まれながら、クリエイターとしての自分の使命に新たな刺激がもたらされるのを感じてください。
夏学期クラスで好評だった誘導瞑想もシェアしますので、よかったら試してくださいね。(下のリンクをクリックすると視聴できます)
秋学期クラスへのお申込受付を開始いたしました。実りの秋、1年の霊性開花の締めくくりを共に体験してみませんか?皆さまのご参加をお待ちしています!
お申し込みはこちらからどうぞ。
継続の方は直接ショップからお申し込みください。
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今後のイベント・ワークショップ 詳細はこちらから
ドロップイン・ナイト 各回とも木曜日 19:00〜20:00
・8月31日(木)指導霊のサイキックアート
・9月14日(木)過去世のサイキックアート
・11月9日(木)指導霊のサイキックアート
お申し込みはアイイスまでどうぞ!
下の写真は、過去に開催したドロップイン・ナイトで行った指導霊と過去世のサイキックアートから抜粋したものです。
#mediumship#spiritualism#psychic art#awareness#spirit communication#meditation#unfoldment#guided meditation#youtube
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常用漢字(最終案)
絞り込んで、川越の常用漢字案が完成しました。 画数の多い漢字や、漢字で書く機会が少ない漢字を落とし、漢字で書く機会が多い漢字を中心に300文字を追加しました。
また、教育漢字案も見直し、6年案の「凶・狂・伸」を、小学生で習うには早いと思い、 天気予報でよく出る「乾燥」と「雷」を追加しました。
また、常用漢字を一部直し、「鵜」、流「暢」を追加しました。
また、常用漢字と違い、義務教育で習う必要はないが読みは覚えてもいい「準常用漢字」を設けました。 準常用漢字は、落選となった追加候補の394文字と、常用漢字から外してもいいと思っている「虞」「朕」、 2010年に常用漢字から外れた「勺・錘・銑・脹・匁」の5文字、 追加候補外からは、単語にしないとわかりにくい文字は「灌漑(かんがい)」、「乃」公(だいこう)、 三「叉」路、「傭」兵、不「俱」戴天、「鞍」馬(あんば)、甲「斐」性、「珪」藻土、 長「篇」、反「芻」(はんすう)、帰「趨」(きすう)、馬「蹄」(ばてい)、 激「昂」、隆「昌」、「浩」然、「聡」明、「僭」越(せんえつ)、 「猜」疑(さいぎ)、「恢」然(かいぜん)、下「剋」上、「亢」進(こうしん)、「俯瞰」(ふかん)、 「叛」意、不「埒」、「婉」曲(えんきょく)、「徽」章(きしょう)、 殺「戮」(さつりく)、「殲」滅(せんめつ)、「幇」助、騒「擾��(そうじょう)、 空「挺」、標「榜」、「檄(げき)」を飛ばす、「槓」子、 「沽」券、「沐」浴(もくよく)、揮「毫」(きごう)、「熨」斗袋(のしぶくろ)、 「碌」でなし、「稟」議、「篆」刻(てんこく)、「筐」体(きょうたい)、 「薀」蓄(うんちく)、「衍」字(えんじ)、「艱」難(かんなん)、 感「歎」(かんたん)、奇「譚」(きたん)、生「贄」(いけにえ)、 足「枷」(あしかせ)、「輻輳(ふくそう)」、「跋扈(ばっこ)」、 「邁」進(まいしん)、雑「駁」(ざっぱく)、天「佑」、寛「恕」(かんじょ)、 「忽」然(こつぜん)、「摸」索、「碩」学(せきがく)、 「饗」応(きょうおう)、「慧」眼(けいがん)、波「瀾」、「烽」火、 「矮」小(わいしょう)、罵「詈」(ばり)、敏「捷」(びんしょう)、 「擾」乱(じょうらん)、「涵」養(かんよう)、「斟」酌(しんしゃく)、 錯「綜」、「耽」溺(たんでき)、「逍遥」(しょうよう)、「遁」世(とんせい)、 「邂逅」(かいこう)、研「鑽」(けんさん)、救「恤」(きゅうじゅつ)、 封「緘」(ふうかん)、義「捐」(ぎえん)、「懈」怠(けたい)、欺「瞞」(ぎまん)、 灰「燼」(かいじん)、誤「謬」(ごびゅう)、「稠」密(ちょうみつ)、栄「耀」(えいよう)、 諮「詢」(しじゅん)、悲「愴」、惨「憺」(さんたん)、警「邏」(けいら)、 「驀」進(ばくしん)、憤「懣」(ふんまん)、編「纂」(へんさん)、老「獪」(ろうかい)、「稜」線、 改「悛」(かいしゅん)、辺「鄙」、暗「澹」(あんたん)、困「憊」(こんぱい)、 刺「戟」(しげき)、「註」釈(ちゅうしゃく)、「訥」弁(とつべん)、「冪」乗(べきじょう)、 揺「籃」(ようらん)、「幺」九「牌」(やおちゅうはい、牌は常用漢字案入り) 動詞・形容詞は、「廻し」、「或る」、「捲る」(まくる)、「於いて」、 「淀む」、「窺う」(うかがう)、「纏う」(まとう)、「諫める」(いさめる)、「訊く」(きく) 「而も(しかも)」、「蕩ける」(とろける)、見「做す」(みなす)、「悍ましい」(おぞましい)、 「侘しい」(わびしい)、「唸る・呻る」(うなる)、「囀り(さえずり)」、「按ずる」、 「掬う」(すくう(、「抉る」(えぐる)、「撚り(より)」、「毟る(むしる)」、 「撓み(たわみ)」、「搗く(つく)」、「漲る(みなぎる)」、「滲む(にじむ)」、 「蝕む(むしばむ)」、「褪せる」、「尤も(もっとも)」、「犇めく」(ひしめく)、 「乍ら」(ながら)、「縋る(すがる)」、 1文字でも意味が分かる文字は「俤(おもかげ)」、「此(これ)」、「稀(まれ)」、 「釦(ボタン)」、「漱・嗽(うがい)」、「屡(しばしば)」、「棘(とげ)」、 「栞」、「籾(もみ)」、「稍(やや)」、「袂(たもと)」、「諱(いみな)」、 「焰(ほむら)」、「亦(また)」 生き物から「鸚鵡(おうむ)」、「柴」犬、「啄」木鳥(きつつき)、「蝿」(はえ)、「隼」、 「鱒」(ます)、「鮒」、「鴎(かもめ)」、「仔」牛、「嘴」(くちばし)、「椋」鳥(むくどり)、 猛「禽」類、「獺(かわうそ)」、「獏」、「羆(ひぐま)」、 「蜥蜴(とかげ)」、「蛹(さなぎ)」、「蝙蝠(こうもり)」、「蝮(まむし)」、 「蟷螂(かまきり)」、「蠍(さそり)」、「蛆(うじ)」、「蚯蚓(みみず)」、 「蛭(ひる)」、「鴛鴦(おしどり)」、「鰊(にしん)」、「鯰(なまず)」、「鰈(かれい)」、 「鰆(さわら)」、「鱚(きす)」、「鱧(はも)」、「鯊(はぜ)」、「鰭(ひれ)」、 泥「鰌」(どじょう)、「鼬(いたち)」、儒「艮」(ジュゴン)、「鴇(とき)」 浅「蜊」、「驢」馬(ろば)、「鯱(しゃち)」、木「菟」(みみずく)、 「鶉」(うずら)、「梟」(ふくろう)、「螟」虫(めいちゅう)、 植物は、「菫」、「榎」、「芥」子、「樫」、水「芭蕉」、「枇杷」、「柊」、 「桔」梗、「栴檀」、「楠」、白「樺」、「杏」、「李」、「萩」、「蓬」、 「葵」、「茜」、「蕨」、「柘榴」、「梶」、野「蒜」(のびる)、自然「薯」、 砂糖「黍」、「稗」、「欅」、「梔」子(くちなし)、「栂(つが)」、 「楢(なら)」、「椚(くぬぎ)、「檸檬(レモン)」、「萼(がく)」、 「茉莉」花(まつりか)、「芙蓉」、「薊(あざみ)」、「蓼(たで)」、 雄「蕊」(おしべ)、「芹(せり)」、「蕗(ふき)」、「椰」子(やし)、「籐」、 牛「蒡」(ごぼう)、「莢(さや)」、「豌」豆(えんどう)、「菠薐」草(ほうれんそう)、 「躑躅」(つつじ)、「藺」草(いぐさ)、「芍」薬、「樅(もみ)」 食べ物から善「哉」(ぜんざい)、「柏」餅、「蒲鉾」、金「鍔」(きんつば)、 「粳」米(うるちまい)、「糯」米(もちごめ)、「粽」(ちまき)、「蒟蒻」、 味「醂」(みりん)、「饂飩」(うどん)、「珈琲」、 土地・建物・工業・乗物・工作物から「曳」航、漆「喰」、田「圃」、土「嚢」(どのう)、「厩」舎(きゅうしゃ)、 「竪」穴、寒冷「紗」、「柾」目(まさめ)、「櫓」(やぐら)、「灘」、「畦」道、「鍾」乳洞、 「帷(とばり)」、「艘」、「叢(くさむら)」、「浚渫(しゅんせつ)」、「濠(ほり)」、 「澪」標(みおつくし)、「釉」薬(うわぐすり)、急「峻」、「樵(きこり)」、耕「耘」機、 「鏝」(こて)、「斫り(はつり)」 体・生育・病気・人の呼び方から「吾」輩、「嬰」児(えいじ)、「嗚」咽(おえつ)、 「屍」、「汝(なんじ)」、「儂(わし)」、「姥」、「嫗(おうな)」、「嬶(かかあ)天下」、 「屎」尿、「扁」桃腺、「涎(よだれ)」、血「漿」(けっしょう)、 黄「疸」、壊「疽」(えそ)、動脈「瘤」、水「疱瘡」(ぼうそう)、 「睫」毛(まつげ)、「睾」丸、「臍(へそ)」、「踵(かかと)」、 「踝(くるぶし)」、「膣」、「腋(わきのした)」、「脾」臓、 外反母「趾」、「胡坐」(あぐら)、白「癬」、「妾(めかけ)」、 創「痍」、「蕁」麻「疹」(じんましん)、吐「瀉」(としゃ)、「皺(しわ)」、 「黴」菌(ばいきん)、骨粗「鬆」症 道具・服飾・から茶「托」、「錨・碇」(いかり)、「綾」織、骨「董」品、 「鉤」(かぎ)、「鍬」(くわ)、「鞠」(まり)、 靴「箆」、縮「緬」(ちりめん)、「鋤」(すき)、金「鎚」、「銚」子、銅「鐸」(どうたく)、 「喇叭」(らっぱ)、「お櫃(ひつ)」、「棹」、「炬燵(こたつ)」、「甕(かめ)」、 衣「裳」、金「襴緞」子(きんらんどんす)、「薙」刀、銅「鑼」、「鼈」甲(べっこう)、 「棍」棒、「幔」幕(まんまく)、 金属・物質から「錫」、瓦「斯」(ガス)、「燐」、「鍍」金(めっき)、真「鍮」、 「砒素(ひそ)」、「弗素」、「硼素(ほうそ)」、 伝統・寺院・神事から「韋」駄天、八「幡」、「撞」木、釈「迦」、「祠(ほこら)」、 「祢」宜(ねぎ)、「伽」羅、 歴史から「倭」、水「俣」病、華「僑」、「穢」多(えた)、「孟」子、太「閤」、 「宦」官(かんがん)、宗「廟」(そうびょう)、「敦煌」(とんこう)、天「竺」、 「殷・秦・魏・蜀・晋・宋・隋・遼(中国の旧名) 気象・四季・自然現象から「曙」、「渚」、「朔」日(ついたち)、「翡翠」、花「崗」岩、 「漣(さざなみ)、明「礬」(みょうばん)、「熔」岩、「昴」、干「魃」(かんばつ)、 水「褥」池(すいじょくち)、「塹壕」、 数に関する文字から「肆・伍・玖・阡・萬」、 色に関する文字から「臙」脂(えんじ)、「緋」色(ひいろ)、黄「檗」(きはだ)、 「縹」(はなだ) 四字熟語から一「攫」千金、切「磋琢」磨、有「耶」無「耶」、「紆」余曲折、画竜点「睛」、「魑」魅「魍魎」、 虎視「眈々」、「侃々諤々」(かんかんがくがく)、和気「藹々(あいあい)」 十干から「戊・庚・壬・癸」、旧国名から「磐」城・飛「騨」・伯「耆」・「筑」前・「琉」球を準常用漢字としました。
また、除外した文字に「虞・朕」以外に、一般的に漢字では書かない「且」、 玉璽そのものが一般的ではない「璽」も準常用漢字でいいと思っています。 「附」は2010年に実際に常用漢字から外された「脹」と同じ理由です。
最後に言うが、やはり川越が漢字知りすぎているだけでは… 追加は300文字がちょうどよくて、準常用漢字はどう考えても常用漢字候補からは程遠いかもしれません。 ま、準常用漢字は大体は名詞か交ぜ書きの解消目的なんですけどね…
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蜃気楼の境界 編(五六七)
蜃気楼の境界 編(一二三四)から
「渦とチェリー新聞」寄稿小説
蜃気楼の境界 編(五)
界縫
正嘉元年紅葉舞い、青い炎地割れから立ち昇る。音大きく山崩れ水湧き出し、神社仏閣ことごとく倒壊す。鎌倉は中下馬橋の燃える家屋と黒い煙かき分けて家族の手を引きなんとか生き延びた六角義綱という男、後日殺生も構わぬ暮露と成り果て武士を襲えば刀を得、民を襲えば銭を得て、やがて辿り着いた河川で暮露同士語らうわけでもなく集まり暮らす。或る夜、幾度目のことか絶食にふらつき目を血走らせ六角義綱、血に汚れた刀片手に道行く一人の者を殺めようとするが、嗚咽を漏らし立ち竦みそのまま胸からあの日の紅葉のごとき血を流し膝から崩れ落ちる。道行くその者、男に扮した歩き巫女だが手には妖しげな小刀、その去る様を地べたから見届けんとした六角義綱のすぐ背後、甚目寺南大門に後ろを向けて立つ闇霙(あんえい)と名乗る男あり。みぞれ降りだして、人とも呼び難いなりの六角義綱を一瞥し、闇霙、口開かず問いかける、そなたの��は斯様な俗識さえ飼えぬのか。六角義綱、正嘉地震から甚目寺までの道中で妻を殺され、涙つたい、儂には女は切れん、と息絶える。その一通りを見ていた青年、六角源内、父を殺した女を浅井千代能と突き止めて敵討ちを企てるが、知られていたか検非違使に捕らえられ夷島に流され、以後誰とも交流を持たずに僻地の小屋で巻物を記したという。それから七五九年の時が経ち、二〇一六年、仟燕色馨を内に潜める二重人格の高校生市川忍とその同級生渡邉咲が、慧探偵事務所を相手に朔密教門前また内部にて些細な一悶着あった、その同日晩、奇妙な殺人事件が起こる。場所は百人町四丁目の平素な住宅区域、被害者女性、五藤珊瑚(三〇)の遺言は、残酷な苦を前に千年二千年なんて。戸塚警察署に直ちに捜査本部が設置され、その捜査とは別に警部補の高橋定蔵、市川忍の前に立つ。何故おれなんかに事情徴収を、と忍。事件当日、校門の監視カメラに映っていたきみが何か普段と違うものを見てなかったかと思ってね、若き警部補が爽やかに答え、それで市川忍、脳裏の人格に声を送る、一顛��あった日だ厄介だね。対し仟燕色馨、おそらくこの警部補、謎多き朔密教を疑っている、ならばこの事件あの探偵にも捜査の手が伸びる、ところで気づいているか探偵事務所の探偵に見張られている。
小料理屋点々とある裏通りの角に螺旋階段へ繋がるアーチ状の古い門を持つ築古スナックビルの入り口で刈り上げマッシュショートにゆるめパーマの少年のような青年がただ立っていると突然背後から強面の男がどこに突っ立っとんじゃと怒鳴ってきたので青年は冴え冴えとした眼差しで振り返り、幻を見てたんじゃないですか、俺はずっとこの位置でスマホを見てました、俺の輪郭と色、背後の風景と俺のいる光景をもっと目に焼きつけてください。男は動転し不愉快な目の前にいる青年を忘れないようじっと食い入って見る。だが、その光景はすでに幻で、スマホを見ていた青年はもういない。走り去っていたのだ。朝のホームルーム直前にその青年、六角凍夏(むすみとうか)が現れ席につく。振り返り、後ろの席の渡邉咲に聞く、きみ、部活入ってるの。隣席美術部員中河原津久見が聞き耳を立てている。渡邉咲は初めて話しかけてきた六角凍夏が先々で勧誘しているのを知っていて、文芸部でしょ、と冷えた目を送ると、文化琳三部だよ、と。咲が琳三って何という顔で惑うと、清山琳三ね、俺らの界隈で知らぬ者はいないよ、とくるが、咲はどこの界隈の話なのと内心いよいよ戸惑う。だが、聞き耳を立てていた中河原津久見はピクシブなどで目にする虚無僧キャラねと気づくが話に加わらない。きみ、机の上の本、和楽器好きでしょ、清山琳三は気鋭の尺八奏者。私、渡邉咲、と口にしながら、尺八ね。放課後、六角凍夏は一人、文芸部部室の小さな教室に入って電気をつけるとドアを閉め、密室と成る。中央辺りの机に、鞄から取り出した古びた筒を置く。目を閉じる。刹那、周囲にぼろぼろの布団が幾枚とどさっと落ちてき動きだす。それは天明四年鳥山石燕刊行妖怪画集「百器徒然袋」に見られる暮露暮露団(ぼろぼろとん)だが現実に現れたわけではなく、六角凍夏の想像力は小さな空間で全能となり百器徒然袋の界隈と接続し、今回ならばそこに記された妖怪があたかも姿を見せたかのような気分になったのだ。密室に、江戸の布団の香りが充満する。ときに、異界からの香りが漂ってくることもある。翌、静かな夜、百人町四丁目にて更なる殺人事件が起こる。被害者は志那成斗美(四〇)遺言は、潔く煮ろうか。魔の香りも、又、此処に。
蜃気楼の境界 編(六)
五鬼
出入りする者らの残り香も錯綜の果てに幻影さえ浮かべる夜の街。串揚げ並ぶコの字カウンター中程で束感ショートの若い警部補が驚きのあと声を潜め通話を切ると手話で勘定を頼み、さっぱりとした面立ちの探偵仲本慧に目をやり、五鬼事件だがまだ続いていたと輝きの瞳隠せないながらも声を落とし去っていく。百人町四丁目連続殺人事件の犯人佐々木幻弐が第二被害者志那成斗美の最期の正当防衛で刺され意識不明のまま病院で死亡したという話、監視カメラから犯行も明確、第一被害者五藤珊瑚への犯行とも繋がり既に報道もされた直後の第三事件発覚。カウンターに残された探偵仲本慧、ビールを追加し面白い事件だが依頼がきてないから何もできないね、と奥に座る長髪黒はオールバックの男に突然話しかける。その男、串揚げを齧りながらチラと目線を合わせる。慧、ビールを飲み干し、隣に座っていいかなと距離を詰め、そっと名刺を置き、歓楽街案内人の市川敬済だね仕事柄我々は抜け目ない、聞き耳を立ててたね、という。黙す市川敬済に、優秀な探偵の知り合いは二人と必要ないかなと強い声で独り言のように笑みを送る。店内、音楽なく、静かに食す客、座敷からの賑わい。この辺りで、青島ビールが飲める良いバーを探してる客がいたなそういえば、と市川敬済、懐から名刺を取りだし横に並べる。直後、和柄のマフラーをしたギャル僡逢里が現れた為、仲本慧、名刺を拾い、勘定を済まし去っていく。お知り合いさんなの、と尋ねつつ座る僡逢里に、池袋の二青龍で今は探偵の男だ知ってるか、と尋ね返す。誰よ、テリトリー渋谷だったし、今日はいないの。暗に警部補のことを口にする。僡逢里の耳元で、まだ続いてるらしい千代女のママ心配だな。食事の注文をしながら僡逢里、出勤前に縛られたい、と呟く。夜十一時、一人になった市川敬済の前を男女が横切る。片方の男が枯淡の趣ある着物姿でありながら凍風をただ浴びるがごとく静かであったため変に気にかかるが、気にするのをやめて電話をかける。あら敬済さん、と通話先、青藍に杉の木が描かれた着物の女、さっきまで警部補さんがいらしてたのよ、お店は営業してません、今朝三人目の不幸がありまして五鬼も残すところ二人なの。語るは浅井千代女である。
遥か彼方より朗々と木曽節が諏訪太鼓と絡まり聞こえる、それは五年前の、冬の宵、一人の女、吉祥寺の麻雀ラウンジ千代女の開店準備中、六人の女達を前に、肩に雪積もり震えている。浅井千代女が側に近づき、貴女の血に刻まれし鬼の禍、憎しと思うなら、受け継がれし技術でお金に変えて楽園を造るのよ、弐宮苺(にきゅういちご)の源氏名を授けるわ、そちらの西クロシヤ(五〇)引退で貴女の席があるの。語りかけてきた浅井千代女を取り囲む五人の女達、五鬼を見る。はい、と涙流し、生まれて初めての愉しい月日流れ、今、浅井千代女の周りに残る五鬼はその弐宮苺(三〇)と柵虹那奈(さくにじなな、四〇)だけだ。今朝殺害された紫矢弥衣潞(しややいろ、五〇)の遺言は、一路ゆくは三人迄。殺害現場で弐宮苺は両拳固く握りしめて言う。千代女さまを死なせはいたしません、次はこの私が千代女さまの匂いを身につけ犯人を誘いだし返り討ちにしてやります、これまで通り千代女さまは、五鬼にはできない私達鬼の禍の力を強める祈祷にどうか専念してください。浅井千代女の頬に涙が伝う。紫矢弥衣潞の形見の側に六歳の娘が一人。この災い突如訪れ、犯人の心当たりなく、志那成斗美が相打ちにし病院で死亡したという佐々木幻弐が何者なのかも分からない。不気味であったが浅井千代女は思う、そもそも私達がこの現世において得体知られていない存在なの、それに。相手は私達より強い、と震える。市川敬済に連絡を入れる。丑三つ時に市川敬済が女と帰宅、玄関騒がしく、津軽塗の黒地に白い桜が控えめに描かれた高さ一尺程のテーブルに女が横たわる音がする。自室でスマホを触っていた高校一年生の市川忍、悠里と帰ってきたのかあの女嫌いだな、と不機嫌になる。脳裏から仟燕色馨の声、きみの父だが今着信があり通話している。女といるのに別の女と喋ってるのそりゃあ母も出ていくよ。連続殺人の件だ探偵仲本慧の名前も出ている。いつも大人達は都合で何か企んでいて不快だよ。翌日、暑し。ホームルームの前に近寄ってきた同級生渡邉咲が、低血圧以外の何物でもないローテンションでいつもより元気な声で市川忍に話しかける。事件は解決してなかったのよ、貴方のお知り合いの探偵、仟燕色馨の出番じゃない?
蜃気楼の境界 編(七)
境迷
昼か、はた、ゆめの夜半にか、北原白秋「邪宗門」の一節に紛れ込んでいた六角凍夏は国語教師茨城潔に当てられて、地獄変の屏風の由来を申し上げましたから、芥川龍之介「邪宗門」冒頭付近をちらと見、朗読し始めるが、正義なく勝つ者の、勝利を無意味にする方法は、いまはただ一つ、直ちに教師が、むすみその「邪宗門」は高橋和巳だ、遮ってクラス騒然となる。六角、先生、界をまたぐは文学の真髄ですと逸らす。教室の窓から体育館でのバスケの授業を眺めていた市川忍に、脳裏から仟燕色馨の声、百人町四丁目連続殺人事件、慧探偵事務所の手にかかれば一日で解決する探偵はあの少女が呟く数字で結論を読みとるからだ朔密教での一件はそういう話だっただろう。それじゃあカジョウシキカ勝ち目が。否あの少女がいかなる原理で数字を読むか今わかった。その時、教室の背後から長い竹がぐんと伸び先端に括られた裂け目が口のごとき大きな提灯、生徒らの頭上でゆらゆら揺れる。「百器徒然袋」にある不落不落(ぶらぶら)を空想した六角凍夏の机の中に古びた筒。不落不落を唯一感じとった仟燕色馨、市川忍の瞳を借り生徒らを見回す。何者だ。その脳裏の声へ、何故だろう急に寒気がする。界か少女は先の「邪宗門」のごとく数多の界から特定している市川忍クンきみはこの連続殺人事件どう思う。昨夜の父の通話を聞くに麻雀ラウンジ千代女のスタッフが四度狙われるから張り込めばだけど犯人佐々木幻弐死んでも事件は続いたし組織か警察もそう考えるだろうから現場に近づけるかどうか。吊り下がる口のごとく裂けた提灯に教師も生徒も誰も気づかず授業続く。休み時間スマホで調べた麻雀ラウンジに通話。まだ朝だ、出ないよ、休業中だった筈だし。仟燕色馨は通話先を黙し耳に入れ続ける。浅井千代女らは、魔かそれに接する例えば鬼か、ならば逞しき彼女らが手を焼く犯人も、人ではないと推理できよう恐らく一人の犯行による。驚き市川忍、犯人が死んだというのに犯行は一人だって。きみは我が師仟燕白霞のサロンで幼少時千代女と会っていたことを忘れたか父と古く親しい女性は皆その筋だろう。側に、一人の同級生が近づいていたことに突然気づき、晴れてゆく霞、市川忍は動揺する。渡邉咲が、不思議そうに見ている。
柵虹那奈、と雀牌散らばりし休業続く麻雀ラウンジで浅井千代女が呼びかける。はい千代女さま。志那成斗美あの人の槍槓はいつだって可憐で美しかったわ、五藤珊瑚あの子の国士ができそうな配牌から清一色に染める気概にはいつも胸を打たれていたわ、紫矢弥衣潞あの方の徹底して振り込まない鬼の打ち筋には幾度も助けられたわ、三人とも亡くしてしまった、弐宮苺は私達を守ると意気込んでいるけどあの子を死なせたくないの。ラウンジを出て一人、浅井千代女は市川敬済から聞いた池袋北口の慧探偵事務所へ出向く。雑居ビル、銀行かと見紛うばかりの清潔な窓口が四つあり小柄の女性職員田中真凪にチェックシート渡され番号札を機械から取り座る。呼ばれると先の職員の姉、同じく小柄な三番窓口女性職員田中凪月が青森訛りで対応するがシート見てすぐ内線で通話し真凪を呼び千代女を奥へ案内させる。無人の応接間は中国人趣味濃厚で六堡茶を口にしながら十分程待つと仲本慧現れ、異様な話は耳にしている我が慧探偵事務所に未解決なしさ安心して、笑顔に厭らしさはない、依頼費は高くつくけどね。千代女は私達に似てるわと思う、職員は皆日本人名だが大陸の血を感じる、理由あってここに集い共同体と成っている、市川敬済とは昔SMサロン燕(えん)で業深き運営者は仟燕白霞に紹介された、世俗の裏側で通信し合うルートで辿り着いた此処は信用できる。受け応えを記録する仲本慧に着信が入り中国語で喋りだす。六堡茶を喉へ。探偵職員二名曰く、監視対象の市川忍が早退し校門前で謎の探偵仟燕色馨と通話していたという。仟燕色馨が仲本慧に仕掛けた誤情報だが、千代女を上海汽車メーカーの黒い車に乗せ吉祥寺の麻雀ラウンジへ。市川敬済はその謎の探偵にも件の連続殺人事件を探らせているのかなぜ子の市川忍が連絡を、空は雲一つない、SMサロン燕は五年前の二〇一一年に閉鎖し今は仟燕家のみその調査は容易ではないが必要かすぐ崔凪邸へ行くべきか。麻雀ラウンジのドア、鍵開き、僅かな灯火の雀卓で盲牌していた柵虹那奈、差し込む外光より、冷気識る。現れるは、病室で死に顔さえも確認した、佐々木幻弐である。上海汽車メーカーの黒い車は崔凪邸に着く。少女崔凪は、使用人二人と土笛づくりをして遊んでいる。
by _underline
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「渦とチェリー」チャンネル
【音版 渦とチェリー新聞】第27号 へ続く
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仟燕色馨シリーズ 全人物名リスト
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各地句会報
花鳥誌 令和5年9月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年6月1日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
草取れば天と地しばし離される さとみ 沙羅咲きて山辺の寺の祈りかな 都 神官の白から白へ更衣 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月2日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
読み辛き崩し字祖父の夏見舞 宇太郎 滝飛沫祈りて石を積む人へ 栄子 担当医替る緊張なめくぢり 悦子 青葉木菟声を聞きしは一ト夜のみ 史子 黒を着て山法師てふ花の下 すみ子 砂丘拍動遅滞なく卯浪立つ 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
病院の跡へ南風の吹き抜ける 季凜 梅雨の石積むもののふの墓暗く はるか 十薬とは屍を小さく包む花 和子 もののふの山が鳴るなり青葉風 はるか いとけなき蜘蛛も浄土を知りつくし 順子 菩提寺は城を見上ぐや男梅雨 慶月 ナースらの谺を追うて枇杷熟るる 順子 階段をのぼるつま先街出水 小鳥 青梅雨のしづくすべてが弥陀のもの 光子 罠であり結界であり蜘蛛の糸 同
岡田順子選 特選句
墓守のアパート三棟蕗の雨 風頭 眼をうすく瞑る菩薩の単衣とも 俊樹 アトリエへ傾るる大樹枇杷たわわ 眞理子 真夜中の泰山木の花は鳥 いづみ 青梅雨のしづくすべてが弥陀のもの 光子 昼顔は雨の列車にゆらされて きみよ 行き先を告げよ泰山木咲けば 和子 夏菊や南無遍照と一家臣 慶月 梅雨出水過ぎて正気を歩きをり いづみ 青梅雨の真黒き句碑が街映す 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月3日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
点ほどの人の生涯芝青し 朝子 青芝にまろぶフレンチブルドッグ たかし 海亀の孵化高精細の大画面 勝利 水郷の蛍のなかに嫁ぎゆく 孝子 子供の日クレーンは空へ置き去りに 久美子 特攻の話し聞く夜の蛍かな たかし 日輪は地球の裏に蛍の夜 睦子 青芝を犯す少年のスパイク 同 黴の中遺されしもの錆てゆく 美穂 舞ふものゝ影をも流し梅雨の川 かおり 袋ごと枇杷をもげよと檀太郎 睦子 亡き父のジャズ沁み込みし籐寝椅子 たかし ハーレムの少年 青芝にいのちの次のスニーカー 修二
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月5日 花鳥さざれ会
少年の少女の昔あめんぼう 雪 ふる里の水の匂ひにあめんぼう 同 風みどり故山の空を吹きわたる かづを あめんぼう映れる雲に乗りゐたり 同 水馬水のゑくぼに乗り遊ぶ 泰 俊 名刹に雨を誘ふや水馬 同 売家札とれて漏るる灯蚊喰鳥 清 女 強かに生きて卒寿の髪洗ふ 同 緑陰に栄華の茶室古りしまま 希 落武者の子孫が育て花菖蒲 千代子
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令和5年6月7日 立待俳句会 坊城俊樹選 特選句
紅薔薇や三國廓址の思案橋 世詩明 更衣恋に破れて捨てがたし 同 水芭蕉分水嶺の聖なる地 同 夏帽子振つて道草してゐる子 清女 鳴く顔が見たくて覗く蛙の田 同 読み終へし一書皐月の朝まだき 同 鋏手に赤き手袋バラ真赤 ただし 浦人の少年継げる仏舞 同 欲捨てて今日も元気蜆汁 輝一 紫の色をしまずや花蘇枋 同 一番星遠ち近ち蛙鳴きはじむ 洋子 手折りたる酸葉噛みつつ歌ひつつ 同 自転車を押してつつじの坂上る 誠 飛魚の羽ばたき飛べる船の旅 同 風薫る慶讃法要京の厨子 幸只
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
富士見えて多摩横山に風薫る 白陶 朽ちし色残し泰山木咲ける 秋尚 風薫るポニーテールの娘の声に 幸子 日々育つ杏とエール送り合ふ 恭子 夜も更けてたれが来たかと梅実落つ 幸子 余白には梅雨空映す年尾句碑 三無 記念樹の落ちし実梅も大切に 百合子 観音の指の先より風薫る 幸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
浴衣着て父似母似の姉妹 清女 香水のひそかな滴人悼む 昭子 髪洗ふ心のしこり解くやうに みす枝 白鷺の孤高に凛と夏の川 清女 梅雨じめりしたる座敷に香を焚き 英美子 知らぬ間に仲直りして冷奴 昭子 夏場所や砂つかぶりに令婦人 清女 明易や只管打坐してより朝餉 同 蟇が啼く月夜の山に谺して 三四郎 白足袋の静かな運び仏舞 ただし 梅雨しとど鐘の音色も湿りたる みす枝 答へたくなきこともあり紫蘇をもむ 昭子 本題に触れず香水帰りゆく 同 水面にゑくぼ次次梅雨に入る みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
ためらはずどくだみ束ねバルコニー 和魚 釣堀の揺るる空見てゐるひと日 秋尚 何も手に付かぬひと日や五月雨るる 秋尚 どくだみの清潔な白映す句碑 三無 十薬の匂ひの勝る生家門 聰 どくだみの苞白々と闇に浮く 和魚 五月雨にふくらんでゐる山の湖 怜
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
目を染めて麦の秋へとなりにけり 光子 短夜の夢も短き目覚めかな 文子 子の植うる早苗の列の右曲がり 登美子 バースデーソングと夏至の雨響く 実加 羅の受付嬢はちよと年増 みえこ 色街の女を照らす梅雨の月 登美子 五月雨真青な傘を買ひにけり あけみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月13日 萩花鳥会
車椅子頼りの暮し梅雨籠り 祐子 革ジャンに沁みた青春黴生ふる 健雄 玉ねぎの丸々太る五月晴 俊文 亡き夫の捨てられきれぬ黴ごろも ゆかり 雨蛙降り出す庭で鳴き交はす 恒雄 星々に瞬きかへし舞ふ螢 美惠子
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令和5年6月16日 さきたま花鳥句会
大胆に愚痴を透かして青暖簾 月惑 紫陽花や小走りに行く深帽子 八草 まな板も這ふらし夜のなめくじら 裕章 夕まぐれ菖蒲田の白消し忘れ 紀花 屋敷林青葉闇なる母屋かな 孝江 鐘供養梵鐘の文字踊りけり ふゆ子 漣の葉裏に返る新樹光 とし江 花手水薄暑の息をととのへり 康子 風薫るいまだ目覚めぬ眠り猫 みのり 花菖蒲雨に花びら少し垂れ 彩香 短夜や二日続けて妣の夢 静子 耳かきの小さな鈴の音初夏の夜 良江
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令和5年6月17日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
登山者が供華に挿し行く地蔵尊 やす香 蟬一つ鳴かぬ光秀忌を修す ただし ��色の若き日の夢籐寝椅子 みす枝 村百戸梅雨のしとどに濡れそぼつ 同 空き箱に色褪せし文梅雨湿り やす香 西瓜買ふ水の重さの確かなり 同 薫風や見上ぐるだけの勅使門 真喜栄 そよぐには重たき鞠や濃紫陽花 同 花菖蒲咲かせ半農半漁村 千代子 日の暮れて障子明りに女影 世詩明 香水の女に勝てぬ男かな 同 早苗饗や上座に座る村の長 同 春深し遊び心の雲一つ 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
蜻蛉生る山影ふかきむじな池 芙佐子 むじな池梅雨闇の棲むところかな 要 朝まだき甘き匂ひの蛍川 千種 田の隅の捨苗萎れゆく日差し 芙佐子 大方は夏草となる畑かな 秋尚 過疎村に農大生の田植笠 経彦 行き止る道に誘ふ夏の蝶 久 蚯蚓死すむじな池への岐れ道 千種 捩花の螺旋階段傾ぎをり 斉 道をしへ夜は蛍の思ひのまま 炳子 故郷の水田へ草矢打つやうに 要
栗林圭魚選 特選句
蜻蛉生る山影ふかきむじな池 芙佐子 六月の谷戸のすみずみ水の音 三無 蚯蚓死すむじな池への岐れ道 千種 虎尾草より風生まれをり流れをり 久 どんよりと新樹映して濁り池 要 源五郎さ走る田水光らせて 久子 桑の実や落ちては甘く土を染め 三無 万緑の中の水音澄みてをり ます江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月21日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
故里の百年の家花石榴 啓子 巣作りの青鷺歌ふ高らかに 千加江 母に詫び言はねばならぬ梅雨の入り 昭子 幹太くなりたる樹々の夏の午後 雪子 衣替へして胸に白すがすがし 同 梅雨の灯に猫の遺影と娘の遺影 清女 寝返りを打ちても一人梅雨の月 同 枇杷啜るこつんころりと種二つ 希子 女子高生混じる一人に黒日傘 数幸 観世音御ンみそなはす蛇の衣 雪 観音に六百年の山清水 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
あめんぼうてふ名に滑る他は無し 雪 九十二の更衣とはこんなもの 同 白鷺のいよいよ白き青田かな 同 蛇の衣こんな綺麗に脱がずとも 同 落椿描ける女人曼荼羅図 同 殉国の遺影と父の日を終へり 一涓 青春に戻りて妻と茱萸を捥ぐ 同 門川の闇を動かす蛍舞ふ みす枝 母の日の花は枯れても捨てきれず やすえ 一番星あちこち蛙鳴きはじむ 洋子 草矢打つ程の親しき仲でなし 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年6月25日 花鳥月例会 坊城俊樹選 特選句
紫陽花や伐らねば夜の重くなる 要 打水はインド料理の香をのせて はるか 炎帝の満を持したる神の池 要 炎天へ柏手打てば蹌踉ひし 順子 靖国は蒼くなりけりサングラス 緋路 雨蛙虫呑みてすぐ元の顔 裕章 サングラス胸にひつかけ登場す 光子 魂となる裸電球祭待つ はるか
岡田順子選 特選句
押し寄せる蓮のひとつに蓮の花 俊樹 紫陽花や伐らねば夜の重くなる 要 凡人てふ自由たふとし半夏生草 昌文 蓮原の沖に宮城あるといふ 光子 内堀の夏草刈られ街宣車 要 混ざり合ふ手水と汗の掌 緋路 祭の準備指揮をとる大鳥居 みもざ 水馬ふたつの天のあはひゆく 裕章
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
蛍狩り娘の掌のがれて星となる 世詩明 更衣恋の火種を残しけり 同 少年を仰いでをりぬ青蛙 昭子 うまいとも言つてくれぬが菜飯炊く 同 子よりまづ泳ぎ出したり鯉幟 一涓 夏暖簾廊下に作る風の道 紀代美 喉鳴らし母乳呑む児や若葉風 みす枝 目に見えぬものを脱ぎたり更衣 洋子 青鷺が抜き足差し足田を進む やすえ 一院のかつて尼寺白牡丹 雪 蝸牛角を突いてゐる女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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2022年12月13日
暗闇 見つめている二重らせん 週刊誌の最後のページ 孵化する 孵化させる 目が覚める からっぽのまま 赤ん坊の手を握る 哲学ニュース 強度 占星術師 と打ったら変換される 性占術師 学生時代 最も力を入れたこと 死は幻想である 愛、あ、あ、あ、名前を教えて なりたいもの わたしが 明るい世界 明るい未来 クビになったドラッグストア 礼拝 お好み焼き チューニングの狂った 歌 聴こえなくなるまで 聴こえなくなるまで featuring あなたのこと 声 死について って誰も知らない経験していない から 駆け込み乗車 禁止 お兄ちゃん お兄ちゃん 扉を開けて 機内モードで延命する アジテーション はやくしたい 遅く 結婚 まん防 イデア的には ずっと一緒がいい よね 今だけ無料 アジテーション テナント募集 の 看板 らすとくりすます とぽろじー 言葉で考えるのをやめる あ、あ、あ、 図式化 ズキズキする 監視されていた 白い部屋 女衒 パッチワーク フランケンシュタイン みたいに 愛と幻想と 愛と幻想と 糸 ほどけていく ことを想像する ジャスミンを銃口に 営業系総合職 死んだ瞬間の聴覚について 死んだ瞬間の聴覚について のように のように さようなら 魔法少女 ハートフィールド 歌う メヌエット ピーチ姫の テトラポット アストラル界 あなたの 吸い込まれる ダム 死体画像 すぐ会いたい女子が急増中 アカツクシガモ 京都市植物園 振り回す キャリアチェンジ された アルバイト する このサイトにアクセスできません と 声が して振り向く 昨日 のことを覚えていない 迷宮 のようだと うわさのベーコン クルトン コーラ・パール ゾラ ほら、と 初音ミクの額から垂れる汗 花園神社で 迷い込む 見世物小屋よ 一生バイト ポケットモンスター 正解を引き当てるまで やる気が出ないな 英単語帳 ランボーを読んでしまったなら ロックンロールはそう ホテル暮らし 空調の音 Jアラート 星座を結ぶ ロックマンエグゼ lain rain ruin ビスク・ドール 野良犬 奈良へ向かう列車 アーレント 現実感 人生攻略サイト 灰と は 意図 思考 回路の中を むさぼり食う 吸う 空気 止まった ままの 子宮的な エリア 嘘をついたまま死ぬ のね ルビンの壺 12ポイント stray sheep と 動詞動詞動詞動詞 同時的に 田中角栄 魔人ブウ 犯す 壊す 作る 波打つ わたしは 殺す 生かす 咲く 咲かす ライフハック 死 冷蔵庫 咲かす 飛び立つ やわらかく もやもやと ばたばたと 解毒する 夏休み 向日葵 消滅した 蝉が鳴く なく 無く 咲く さ さ さ 教育する アナイス・ニン 逃げ出す 逃走する 闘争? 領域を広げていく 閉じる 閉じこめる 閉じ込められた 布団の中 宇宙のように 宇宙そのもの 高橋まつり 滅びた 100年後のことを考えて 文章を書く 脳みそから溢れ出した 白い水着 黒いタイツ 道化のように 大天使のように 借りる 回帰する アカツクシガモ 成長すること 天秤のことを考える by this river ラブ&ポップ 脳破壊 快楽 シャドウ・ワーク 子宮口から この世界の果てまで 共同体 忙しい 忙しさ exclusive みんなのレビュー 連帯 証明するために ランキング もっと欲しい あなたらしい 瞬間に 祈る手 summer 上映する ロングヘアー 偏差値 ピアス 18個 生き延びる ラリる 刺さった 反射した 発射した 家畜人 ホワイトノイズ 空間 依存症 白い 微分不可能な やわらかい その曲線 エゴサーチ バーモント・カレー 姦淫する 階段 聖書 夢の中に出てくる 中島らも 他人の日記 読む 話す 歌う ような気がする そんな感覚が 一時間天気予報 ペヨーテ ぐるぐる回る 永久に 永久的に 結びつけた 途端に壊れる ぱりん、と ふらっと 消えちゃいそうな気がする 意識が高い 高低差 風圧 やさしい言葉 インターネットのグロサイト 巡る 再度 巡る 繰り返していた クリスマス サンタさん 産道 乱視のまま 今日も生きている 息をする あらゆる 虹色の 永久に理解されることのない強度 氷点 貯金やダイエット レポ漫画 面白くなる 国語辞典 解剖する やまい、だれ 芽殖孤虫 ひらひらと 眠る ゴミ出し 擬音一覧 シーシュポス 間違った注文 集める 女性が一生で排卵する卵子の数は400個~500個と推定され 細胞膜 ずきずきと 痛む手 うつらうつらと その指で 欺瞞 マッサージ されたまま死ぬ アイライナー いつかは終わる 旅 続いていく 気持ち悪い、 と少女 折りたたみ傘 出会う 解剖学の教科書 ホーリー・マウンテン もやし 食物繊維 的な ひらく 伸びる 匂いがする 恥丘 裏切る 一本の木 待ち続けている 市民会館 明かしえぬ共同体 ムーミンたち ムーミン谷へ 向かっている ヤツメウナギ もし仮にそれが ハッとする 気がつく 失う 海のそばで グランドメニュー 幽霊 ピアスの穴 カッターナイフで切る 舌を 下へと 血が出る 地が出る前に ここからいなくなる 踊る 大雨の中 浴びる 天高く 土砂降り もっと 濡れてしまいたい 溶ける あらゆる種類の動詞 固着した エディプス・コンプレックス 身体を売る 眠りにつく べたべたした くすぐる 太もものうぶ毛 のように 行こうね ずっと一緒に 逆にする 黒板に描かれた 天使と怪物 流れとよどみと 恋と革命 そのままの 君でいてね イデオロギー それとも 触れる 手に 手のひらに その温度を そっと撫でる ように見える 青ざめた 顔 目で 浮き上がる 物流倉庫会社 キスをする どこにも行けない どこにも行けない 憂鬱な夫婦 中絶用の 願いを書く 七夕 永遠に落ち続ける夢 人生ゲーム 青いピン そのように 性行為のやり方 鍵付き完全個室 運動会 発熱 保健室 はつなつ 人生経験 終わりゆく 肉の厚さ 海馬 言語野の 衰退 ダウンロード数 数えていた 新しい生活様式 リズム 物語ること 豊かな 再生回数 氷 覆われる 世界すべて 素数のように 感じる 解体 怒らない? 起こらない、何も 可能性が失われていく 研ぎ澄まされていく 失われていくことで 何者かになった その平らな牧場 忘れてきた お持ち帰り する 立派な 飛び降りて 刻まれた 胎児のように さえぎられる 海岸には小屋があって 喧嘩をする 白鳥 食べられる 汚い 穢れてしまった 純粋なもの 銃を撃つ 一発 チェーホフ、どこへ行ったの? と母親が階段を上がってくる 切符をなくしてしまったままで 生き続けている気がする 少女には 晴れ 絵日記は かすれてしまった とうに 音楽にはならない 寒天培地の上で 有性生殖する していた した方がいい 人生経験 ペットボトル HPVウイルス 頭のない 風邪総合 目をさます 神経系 ポーチの中で 白い粉になった 睡眠薬 遠くの方へ、遠くの方へ 並べられている 全校集会 鳴らされて 走る 望遠鏡を 覗き込む もうすっかり 子宮頸がん 夢中になって 標本にする どうやって? 悟りについて 五億年ボタン 走馬灯 一週間くらい考えてもいい? 愛妻弁当 ぷっちょ の容器でオナニーする カンブリア紀の 海中生物やわらかく モニターの奥 夏の光 ぴったりと 豊かに 遅延しながら 本間ひまわり いま、を指差す指の先 爪の長さ 変わって 一括見積もり ふざけているのではなく 頭痛 左側 ありがとう こんにちは おはようございます それは愛ではなく の ような 夜行バス 棺 出生外傷 の あなたは ロビンソン トリップした 虹色の女 devenir ひだ 開く 一枚一枚 めくっていく 匂いがする 工場の赤ん坊が コンクリート 嘘だった あてのない 意味のない 海 潜り続ける 潜水艦の中で 夢を見ている 象徴的に もっと速く 飛び立つ 自壊したい 鯛 平らな 館内における密を避けるため 破れた 四つん這いになって するだろう 想像 するだろう 未完のままの もはや戦後ではない 未亡人 ぷろ、ぱかんだ 重量と恩寵 根を 肉体が壊れていくのは かもめ 肉塊 台風が来る前の夜 アオカビ もっとたくさんの地獄 天国は通り 過ぎては消えていく スーツの人が通り過ぎていったあとの 匂い 大人の匂い 食器返却口 この席の使用はお控えください アルコール消毒 セーブポイント 豚 のような女 と 猿の ような 男が出会う 死体ごっこ バラバラに 組み合わせる 英単語帳の例文みたいに 死に近い コンクリート 裂け目 洗浄液 メリークリスマスの Yahoo知恵袋 真理があると言われている そこにある 死んだあと魂はどうなるの? と子どもが尋ねる 何グラムの 前世の記憶 当たり前の事 トンネル 潜り抜ける音 夢の中の休憩所 自動販売機 光 光 夜の闇に飲み込まれないように コンビニエンスストアは灯台として 鳴りやまない 崩れていく 昨日 来ない 来ている すでに いま 冬の ま、ふゆ ま 電気ストーブ あたたかく すりつぶす 通勤・通学 するための列車 眠る 折りたたまれたヒダ 予言する 1999年 産まれ た 朝 ねむる ねむる もっとよくなる 地方都市
夢の中では 現実的な 現実的なもの 親ガチャ 100年後の 2000万年後の 想像していてね 空っぽの脳 おばさんが入ってくる大量に 魚 飛び跳ねる 誰も見ていないところで 老人の声はデカい 無が無限に膨らんで 恒星たちは爆発し きっと届かないまま ゲーム実況見ていた 二年間 だった気がする だった気がする この区域で路上喫煙をすると 一千円の過料が科されます と どこかに書いてあった 教科書に落書きをしている間に 終わっていた もっと濡れたい 雨に 幼形成熟 恋と革命のために 太郎 花子 由香 香織 紗耶 話題のツイート 温泉むすめ 逃れてゆけ 逃れてゆけ 自撮りしているふたりを 見つめる 目 目玉 浜辺で 白く 白く 白く 白く 境界線はほどけた もう一度 あまい 糖衣錠 統一的な 像 増殖する お支払い方法 まとめサイト この世界の秘密 ねじれたソーセージ 青い 白い 脆い イオン・モール 迷子になる 歌を歌う 歌っていた 冗談でした あらゆる 情報商材のために すべて ひとつの 自己啓発 は はいいろの ノイズで
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2021.4.21wed_tokyo
起きたらパンツ一丁だった。帰宅して寝巻きに着替える前に倒れて寝てしまったみたい。9時半。窓も開けっ放し。風邪ひかなくてよかったね。最近色々なことがありすぎて、呑むと大体記憶を無くしてしまう。こうやって倒れ込んで寝てしまう日が多くなってしまった。台風くらい荒れている・・・先週1週間滞在した京都では気づいたら道が分からず夜中に寺に迷い込んで、深夜に5人に電話していた。ご迷惑をおかけしております・・・・。
さて、昨日は友達4人で秩父の三嶺神社へ車で向かい、途中寄った川に到着して5分で大きな石から滑り落ちて水にぼちゃんと落ちた。おパンツも携帯もズボンもジャケットもびちょぬれになり、晴天で熱々になった石に洋服を広げて干した。ズボンが全く乾かなかったので、車の窓からズボンを出して走りながら乾かした。ちょうどもうすぐ鯉のぼりの季節だな~とか思いながら、外からみたら鯉のぼりに見えるかな?見えないか?とか考えながら、ひらひらと揺れるズボン。
運転手の山口洋佑、近藤さくらちゃん、こじまりちゃん。みんな気持ちの良い人たち。みんな表現をする人。話していて元気が出るしやる気が出る。1日過ごして、自分の話もたくさんさせてもらって、気持ちよく最後は宴が終わるまで山口家のテーブルの下で眠っていた。みんなありがとうございます。
そして、今日。起きたら数件、嬉しいメールが来ていた。大好きな友達家族が6月に長野から東京に帰ってくるという連絡。会おうね。嬉しいね。ってメールする。近況も報告。もう一つは鳥取の大好きな料理家のしろたふみこちゃんからで、急遽東京にいるので夜ご飯できないかな?って連絡。嬉しくて二つ返事で返す。
よし、やることが超絶溜まっている。ような気がするだけかな。 とりあえず毎日飲んでるいちごのビネガードリンクをコップ一杯飲んでお風呂に入る。シャワーを浴びて、そのまま少しだけ半身浴をする。最近は、ふみちゃんが去年蒸留したクロモジのスプレーを数滴たらしてお湯を溜める。本当にリラックスできる自然の香りで保湿効果もあるような。ふみちゃんと会うの嬉しいな~って考えながら10分くらいで出る。 そのまま洗濯回して、洗い物と部屋の掃除。部屋の植物たちをチョンチョン触る。可愛いな。
���、洗濯の終わった音が全然ならない。最近10回に一回は最後のすすぎで止まってしまう。しょうがないからびちょぬれのまま出して、洗面台で全部絞る。絞りまくる。めっちゃ疲れる。二の腕に効いている気がするから大変だけど頑張る。無事、干せた!
お昼までにやっておきたい仕事を済ませて、お昼はネギたっぷりスープにこないだ作って冷凍しておいた筍のワンタンを投入。たっぷりわかめも。最近あんまりご飯が食べれなかったんだけど、ご飯はパワーと直結するから、ちゃんとしっかり食事も整えなければ。
お昼を食べながら、昨日、絵描きのまぐちさくらこちゃんが送ってくれたメールを見る。定期的にタロットをひいて占ってくれるんだけど、毎回本当に当たりすぎてひいてしまう。今回もすごいことを言っている。「未来に向けて年下の子達の言葉や行動を無条件に信じて、受け入れます。」これ、ずっとやっていきたいことなんだ。さくらこちゃんが大事なときにいつも背中を押してくれる。不思議な存在。先日関西で一緒にピピロッティ見て、ご飯食べて話しながら2人で泣いたことをまた想い出した。ウケるね。
午後、ハルカくんからメール。1年続けてきた日記のバトンも今日で終わり。最後の日記は音楽家のハルカナカムラくんにお願いした。最後の締めくくりとして、本当に素晴らしい文章を書いてくれたのだけど、やっぱり今の日常を書こうかなと連絡が来て、もう一度書いてくれることに。はじめにもらった文章が、私しか読めないのはもったいない気がしたけど、1年間のご褒美として、胸に留めて置くことにする。宝物。
午後からやる仕事をまずは書きだす。GWイベントの各所への連絡、あとはインタビューのリード文と文字起こしを少し、夕方までにはこれくらいできるかな。 そういえば昨日音楽家の友達から、今度「療術院ぽかん」という活動を始めるので、そのロゴを描いてくれないかと連絡が来たのだった。甲府に住むこの夫婦の家の表札をお正月に泊まりに行ったときに描いたのを気に入ってくれたみたい。嬉しい。それもやろう。ということで取り掛かる。 インタビュー1つ目は、京都の画家・ミシシッピくんが初めての画集を出すことになり、それにまつわるお話を聞かせてもらったものだ。これはちゃんと記事になって、公開される。友達のサムライが、こういう書く場所を作ってくれている。聞きたい話や、伝えたい話をこうやって形にして発表することができるなんて嬉しい。ライターやインタビューアの経験はないけれど、何事もやってみようと拙い言葉でまずはやってみている。それの絶大なるサポートをしてくれるサムライにとても感謝してる。 インタビュー2つ目は、大阪の本屋、FOLK old book storeが1年以上続けてきた企画が本になることになり(しかもFOLK初めての出版!)、先日関西に行ったときに、お話を聞かせてもらったものだ。店主・吉村とも長い付き合いになる。文字起こしはしたことがなかったのだけど、これもやってみようと思ってやってみた。意外といけるのでは。しかし、自分の声と相槌の多さ��ひいてしまう・・何回うんうん、言ってんだよ・・・うんうん、うるせえよ、私、おい・・・。 そんなこんなであっという間に18時、ノルマが全く終わってない。
とりあえず、夜の宴の買い物をして帰宅。話題の泡が出るビールを速攻開けるも、ものすごい勢いで吹き出して3分の1が流れたとともに、ふみちゃんが家にきた。ビールくらい色々溢れる。話したいことが止まらない。ナチュールの丹後ワインを開けて、呑みながら他のメンバーが来るまで、話しまくる。途中、宴に誘ってた男子3人から連絡が来る。みんな微妙に来れないみたい。理由とかそっちのけで、くればいいじゃんって強く言ってしまう。昔から、女子にはかなり敬意があるんだけど、仲のいい男友達には割と強くなってしまう・・・・自分のこの感じってなんだろうな。不思議だな。逆に付き合うとすごい尽くすことが最大になってしまうし、なんかもう恋愛とか向いてないのでは・・・って最近のことも考えながら、花衣ちゃんがきた。
みんなで協力してふみちゃん主導に料理をする。花衣ちゃんは山フーズのお手伝いもしていたりと、最強のサポーター。そしてかなちゃんが来る。もうすぐ永福町に「中華可菜飯店」をOPENするかなちゃんには、餃子を包んでもらう。京都の駱駝で働いてたこともあって、駱駝流の水餃子の包み方が衝撃的でみんなで感動する。かなちゃんはまだ20代。自分のお店を東京でOPENするなんて本当すごいよ、嬉しいよ。楽しみだよ。
はあ、みんながキッチンにいる景色がとっても眩しくて嬉しい。京都の家の時はしょっちゅうみんなで料理をして乾杯してたなと思い出す。そんなこんなで美味しい宴が完成した。濁酒のソーダ割りうめえ、茶碗蒸しうめえ、色々嬉しくてよくわかんない気持ちになる。そうこうしているともう夜中が来るのだ。
ふみちゃんの終電がギリギリということに気づき、1人は自転車、1人は走る、をそれぞれ交互に繰り返しながら駅まで向かう。走ってたの疲れたけどいい時間。間に合ったみたい。よかった。帰宅して、宴のままのごちゃごちゃのテーブルの上が愛おしいなと思いながら、バタンとまた顔も洗わずに寝てしまった。
-プロフィール- 鷹取愛 38 東京 山ト波という屋号で展示やイベントの企画をしています
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最後に
一日遅れの日記が1年経ったので、今日で終わることにしました。365人とちょっとの人に書いてもらったのです。書いていただいた人は全員知っている人です。たまに、書いてみたいと連絡が来ることがありましたが、誘う人は、そのときにちょうど連絡を取り合っていたり、突然想い出した人だったりして、現場感を大事にしていたので、初めましての人はお断りしてしまいすみませんでした。もっと書いて欲しい人がいて、ずっと続けたかったけど、いろんな転機とも重なって、終わりにすることにします。
スタートした時ははじめて緊急事態宣言が出たくらいの時で、毎日がどうなるのか不安で、ひたすら家にいた時でした。そんななかでも、友達とのやりとりで、意外とみんなちゃんと健やかに暮らしていることを知り、安心した出来事があって。こうやって誰かの日常を知ることで、誰かの未来が救われることがあるのかも。って、希望を持ってはじめてみたものでした。
毎日大変じゃない?と言われたりもしたけど、全くそんなことはなく、ご飯食べたり歯を磨いたりするくらい日常的なのもので、何より毎日だれかの日記を読むのも気持ちを知るのも楽しくて。久しぶりのみんなとの連絡も、自分のこれまでを想い出す大事な機会となりました。嬉しい時間。
今の時代に何かを残す?とか、そんな大それたものではないのだけど、やはり何か物として形に残ることは大事だなと思っていて。これはやっぱり未来形にはしたいなーと思うので、また本になったりしたら、改めて読んでもらえたら嬉しいです。気長に待っていてくださいませ。
家が40年以上続く看板屋さんで、今でも地元の街を歩くと、もう17年前に亡くなったお父さんが描いた看板をいくつか目にすることがあって。お父さんは今だったら貴重な手書き看板職人で、絵も描けるので、映画看板を描いたりとか、いろんなお店のサインや絵を手で描いていて。最近、もういないその人の手書きの文字が、普通に歩く道に突然立っていることを不思議に思ってしまってて。”それ”があることで、感情が揺さぶられて、すごく巻き戻ったり、未来のことを考えるきかっけになったりして。17年後の私がそのお父さんのその看板の文字をなぞってみて、何かを思ったりすることの面白さというか。形として残ることは大事だなと。日記を書いてくれた人が、この今に生きていた日々を、本棚を眺めてたらふっと思い出して、未来の良いきっかけになるような本を作れればなと漠然と思いました。やっぱりこの時代はとっても不思議だし、コロナ禍の一年はいろんな人の心の変化がたくさんあった時だから、嬉しい、悲しいことも含めて、大事に留めておきたい時代の記録だなと思ってます。本当に個人的にも色々なことがあった1年。全く1年前とは違う人間だな自分。人生とはなんて波乱万丈なんだ。
1年間、何度もサイトにきて読んでくれたみなさま本当にありがとうございました。書いてくれたみんなも本当にありがとうございます。ロゴを作ってくれた尾花大輔くん、イラストを描いてくれた山口洋佑くんも本当にありがとう。
またどこかで会えますように。それではー。バイ!
鷹取愛(山ト波)
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11180143
愛読者が、死んだ。
いや、本当に死んだのかどうかは分からない。が、死んだ、と思うしか、ないのだろう。
そもそも私が小説で脚光を浴びたきっかけは、ある男のルポルタージュを書いたからだった。数多の取材を全て断っていた彼は、なぜか私にだけは心を開いて、全てを話してくれた。だからこそ書けた、そして注目された。
彼は、モラルの欠落した人間だった。善と悪を、その概念から全て捨て去ってしまっていた。人が良いと思うことも、不快に思うことも、彼は理解が出来ず、ただ彼の中のルールを元に生きている、パーソナリティ障害の一種だろうと私は初めて彼に会った時に直感した。
彼は、胸に大きな穴を抱えて、生きていた。無論、それは本当に穴が空いていたわけではないが、彼にとっては本当に穴が空いていて、穴の向こうから人が行き交う景色が見え、空虚、虚無を抱いて生きていた。不思議だ。幻覚、にしては突拍子が無さすぎる。幼い頃にスコンと空いたその穴は成長するごとに広がっていき、穴を埋める為、彼は試行し、画策した。
私が初めて彼に会ったのは、まだ裁判が始まる前のことだった。弁護士すらも遠ざけている、という彼に、私はただ、簡単な挨拶と自己紹介と、そして、「理解しない人間に理解させるため、言葉を紡ぎませんか。」と書き添えて、名刺と共に送付した。
その頃の私は書き殴った小説未満をコンテストに送り付けては、音沙汰のない携帯を握り締め、虚無感溢れる日々をなんとか食い繋いでいた。いわゆる底辺、だ。夢もなく、希望もなく、ただ、人並みの能がこれしかない、と、藁よりも脆い小説に、私は縋っていた。
そんな追い込まれた状況で手を伸ばした先が、極刑は免れないだろう男だったのは、今考えてもなぜなのか、よくわからない。ただ、他の囚人に興味があったわけでもなく、ルポルタージュが書きたかったわけでもなく、ただ、話したい。そう思った。
夏の暑い日のことだった。私の家に届いた茶封筒の中には白無地の紙が一枚入っており、筆圧の無い薄い鉛筆の字で「8月24日に、お待ちしています。」と、ただ一文だけが書き記されていた。
こちらから申し込むのに囚人側から日付を指定してくるなんて、風変わりな男だ。と、私は概要程度しか知らない彼の事件について、一通り知っておこうとパソコンを開いた。
『事件の被疑者、高山一途の家は貧しく、母親は風俗で日銭を稼ぎ、父親は勤めていた会社でトラブルを起こしクビになってからずっと、家で酒を飲んでは暴れる日々だった。怒鳴り声、金切声、過去に高山一家の近所に住んでいた住人は、幾度となく喧嘩の声を聞いていたという。高山は友人のない青春時代を送り、高校を卒業し就職した会社でも活躍することは出来ず、社会から孤立しその精神を捻じ曲げていった。高山は己の不出来を己以外の全てのせいだと責任転嫁し、世間を憎み、全てを恨み、そして凶行に至った。
被害者Aは20xx年8月24日午後11時過ぎ、高山の自宅において後頭部をバールで殴打され殺害。その後、高山により身体をバラバラに解体された後ミンチ状に叩き潰された。発見された段階では、人間だったものとは到底思えず修復不可能なほどだったという。
きっかけは近隣住民からの異臭がするという通報だった。高山は殺害から2週間後、Aさんだった腐肉と室内で戯れている所を発見、逮捕に至る。現場はひどい有り様で、近隣住民の中には体調を崩し救急搬送される者もいた。身体に、腐肉とそこから滲み出る汁を塗りたくっていた高山は抵抗することもなく素直に同行し、Aさん殺害及び死体損壊等の罪を認めた。初公判は※月※日予定。』
いくつも情報を拾っていく中で、私は唐突に、彼の名前の意味について気が付き、二の腕にぞわりと鳥肌が立った。
一途。イット。それ。
あぁ、彼は、ずっと忌み嫌われ、居場所もなくただ産み落とされたという理由で必死に生きてきたんだと、何も知らない私ですら胸が締め付けられる思いがした。私は頭に入れた情報から憶測を全て消し、残った彼の人生のカケラを持って、刑務所へと赴いた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「失礼します。」
「どうぞ。」
手錠と腰縄を付けて出てきた青年は、私と大して歳の変わらない、人畜無害、悪く言えば何の印象にも残らない、黒髪と、黒曜石のような真っ黒な瞳の持ち主だった。奥深い、どこまでも底のない瞳をつい値踏みするように見てしまって、慌てて促されるままパイプ椅子へと腰掛けた。彼は開口一番、私の書いている小説のことを聞いた。
「何か一つ、話してくれませんか。」
「え、あ、はい、どんな話がお好きですか。」
「貴方が一番好きな話を。」
「分かりました。では、...世界から言葉が消えたなら。」
私の一番気に入っている話、それは、10万字話すと死んでしまう奇病にかかった、愛し合う二人の話。彼は朗読などしたこともない、世に出てすらいない私の拙い小説を、目を細めて静かに聞いていた。最後まで一度も口を挟むことなく聞いているから、読み上げる私も自然と力が入ってしまう。読み終え、余韻と共に顔を上げると、彼はほろほろ、と、目から雫を溢していた。人が泣く姿を、こんなにまじまじと見たのは初めてだった。
「だ、大丈夫ですか、」
「えぇ。ありがとうございます。」
「あの、すみません、どうして私と、会っていただけることになったんでしょうか。」
ふるふる、と犬のように首を振った彼はにこり、と機械的にはにかんで、机に手を置き私を見つめた。かしゃり、と決して軽くない鉄の音が、無機質な部屋に響く。
「僕に大してアクションを起こしてくる人達は皆、同情や好奇心、粗探しと金儲けの匂いがしました。送られてくる手紙は全て下手に出ているようで、僕を品定めするように舐め回してくる文章ばかり。」
「...それは、お察しします。」
「でも、貴方の手紙には、「理解しない人間に理解させるため、言葉を紡ぎませんか。」と書かれていた。面白いな、って思いませんか。」
「何故?」
「だって、貴方、「理解させる」って、僕と同じ目線に立って、物を言ってるでしょう。」
「.........意識、していませんでした。私はただ、憶測が嫌いで、貴方のことを理解したいと、そう思っただけです。」
「また、来てくれますか。」
「勿論。貴方のことを、少しずつでいいので、教えてくれますか。」
「一つ、条件があります。」
「何でしょう。」
「もし本にするなら、僕の言葉じゃなく、貴方の言葉で書いて欲しい。」
そして私は、彼の元へ通うことになった。話を聞けば聞くほど、彼の気持ちが痛いほど分かって、いや、分かっていたのかどうかは分からない。共鳴していただけかもしれない、同情心もあったかもしれない、でも私はただただあくる日も、そのあくる日も、私の言葉で彼を表し続けた。私の記した言葉を聞いて、楽しそうに微笑む彼は、私の言葉を最後まで一度も訂正しなかった。
「貴方はどう思う?僕の、したことについて。」
「...私なら、諦めてしまって、きっと得物を手に取って終わってしまうと思います。最後の最後まで、私が満たされるこ���よりも、世間を気にしてしまう。不幸だと己を憐れんで、見えている答えからは目を背けて、後悔し続けて死ぬことは、きっと貴方の目から見れば不思議に映る、と思います。」
「理性的だけど、道徳的な答えではないね。普通はきっと、「己を満たす為に人を殺すのは躊躇う」って、そう答えるんじゃないかな。」
「でも、乾き続ける己のままで生きることは耐え難い苦痛だった時、己を満たす選択をしたことを、誰が責められるんでしょうか。」
「...貴方に、もう少し早く、出逢いたかった。」
ぽつり、零された言葉と、アクリル板越しに翳された掌。温度が重なることはない。触れ合って、痛みを分かち合うこともない。来園者の真似をする猿のように、彼の手に私の手を合わせて、ただ、じっとその目を見つめた。相変わらず何の感情もない目は、いつもより少しだけ暖かいような、そんな気がした。
彼も、私も、孤独だったのだと、その時初めて気が付いた。世間から隔離され、もしくは自ら距離を置き、人間が信じられず、理解不能な数億もの生き物に囲まれて秩序を保ちながら日々歩かされることに抗えず、翻弄され。きっと彼の胸に空いていた穴は、彼が被害者を殺害し、埋めようと必死に肉塊を塗りたくっていた穴は、彼以外の人間が、もしくは彼が、無意識のうちに彼から抉り取っていった、彼そのものだったのだろう。理解した瞬間止まらなくなった涙を、彼は拭えない。そうだった、最初に私の話で涙した彼の頬を撫でることだって、私には出来なかった。私と彼は、分かり合えたはずなのに、分かり合えない。私の言葉で作り上げた彼は、世間が言う狂人でも可哀想な子でもない、ただ一人の、人間だった。
その数日後、彼が獄中で首を吊ったという報道が流れた時、何となく、そうなるような気がしていて、それでも私は、彼が味わったような、胸に穴が開くような喪失感を抱いた。彼はただ、理解されたかっただけだ。理解のない人間の言葉が、行動が、彼の歩く道を少しずつ曲げていった。
私は書き溜めていた彼の全てを、一冊の本にした。本のタイトルは、「今日も、皮肉なほど空は青い。」。逮捕された彼が手錠をかけられた時、部屋のカーテンの隙間から空が見えた、と言っていた。ぴっちり閉じていたはずなのに、その時だけひらりと翻った暗赤色のカーテンの間から顔を覗かせた青は、目に刺さって痛いほど、青かった、と。
出版社は皆、猟奇的殺人犯のノンフィクションを出版したい、と食い付いた。帯に著名人の寒気がする言葉も書かれた。私の名前も大々的に張り出され、重版が決定し、至る所で賛否両論が巻き起こった。被害者の遺族は怒りを露わにし、会見で私と、彼に対しての呪詛をぶちまけた。
インタビュー、取材、関わってくる人間の全てを私は拒否して、来る日も来る日も、読者から届く手紙、メール、SNS上に散乱する、本の感想を読み漁り続けた。
そこに、私の望むものは何もなかった。
『あなたは犯罪者に対して同情を誘いたいんですか?』
私がいつ、どこに、彼を可哀想だと記したのだろう。
『犯罪者を擁護したいのですか?理解出来ません。彼は人を殺したんですよ。』
彼は許されるべきだとも、悪くない、とも私は書いていない。彼は素直に逮捕され、正式な処罰ではないが、命をもって罪へ対応した。これ以上、何をしろ、と言うのだろう。彼が跪き頭を地面に擦り付け、涙ながらに謝罪する所を見たかったのだろうか。
『とても面白かったです。狂人の世界が何となく理解出来ました。』
何をどう理解したら、この感想が浮かぶのだろう。そもそもこの人は、私の本を読んだのだろうか。
『作者はもしかしたら接していくうちに、高山を愛してしまったのではないか?贔屓目の文章は公平ではなく気持ちが悪い。』
『全てを人のせいにして自分が悪くないと喚く子供に殺された方が哀れでならない。』
『結局人殺しの自己正当化本。それに手を貸した筆者も同罪。裁かれろ。』
『ただただ不快。皆寂しかったり、一人になる瞬間はある。自分だけが苦しい、と言わんばかりの態度に腹が立つ。』
『いくら貰えるんだろうなぁ筆者。羨ましいぜ、人殺しのキチガイの本書いて金貰えるなんて。』
私は、とても愚かだったのだと気付かされた。
皆に理解させよう、などと宣って、彼を、私の言葉で形作ったこと。裏を返せば、その行為は、言葉を尽くせば理解される、と、人間に期待をしていたに他ならない。
私は、彼によって得たわずかな幸福よりも、その後に押し寄せてくる大きな悲しみ、不幸がどうしようもなく耐え難く、心底、己が哀れだった。
胸に穴が空いている、と言う幻覚を見続けた彼は、穴が塞がりそうになるたび、そしてまた無機質な空虚に戻るたび、こんな痛みを感じていたのだろうか。
私は毎日、感想を読み続けた。貰った手紙は、読んだものから燃やしていった。他者に理解される、ということが、どれほど難しいのかを、思い知った。言葉を紡ぐことが怖くなり、彼を理解した私ですら、疑わしく、かといって己と論争するほどの気力はなく、ただ、この世に私以外の、彼の理解者は現れず、唯一の彼の理解者はここにいても、もう彼の話に相槌を打つことは叶わず、陰鬱とする思考の暗闇の中を、堂々巡りしていた。
思考を持つ植物になりたい、と、ずっと思っていた。人間は考える葦である、という言葉が皮肉に聞こえるほど、私はただ、一人で、誰の脳にも引っ掛からず、狭間を生きていた。
孤独、などという言葉で表すのは烏滸がましいほど、私、彼が抱えるソレは哀しく、決して治らない不治の病のようなものだった。私は彼であり、彼は私だった。同じ境遇、というわけではない。赤の他人。彼には守るべき己の秩序があり、私にはそんな誇り高いものすらなく、能動的、怠惰に流されて生きていた。
彼は、目の前にいた人間の頭にバールを振り下ろす瞬間も、身体をミンチにする工程も、全て正気だった。ただ心の中に一つだけ、それをしなければ、生きているのが恐ろしい、今しなければずっと後悔し続ける、胸を掻きむしり大声を上げて暴れたくなるような焦燥感、漠然とした不安感、それらをごちゃ混ぜにした感情、抗えない欲求のようなものが湧き上がってきた、と話していた。上手く呼吸が出来なくなる感覚、と言われて、思わず己の胸を抑えた記憶が懐かしい。
出版から3ヶ月、私は感想を読むのをやめた。人間がもっと憎らしく、恐ろしく、嫌いになった。彼が褒めてくれた、利己的な幸せの話を追い求めよう。そう決めた。私の秩序は、小説を書き続けること。嗚呼と叫ぶ声を、流れた血を、光のない部屋を、全てを飲み込む黒を文字に乗せて、上手く呼吸すること。
出版社は、どこも私の名前を見た瞬間、原稿を送り返し、もしくは廃棄した。『君も人殺したんでしょ?なんだか噂で聞いたよ。』『よくうちで本出せると思ったね、君、自分がしたこと忘れたの?』『無理ですね。会社潰したくないので。』『女ならまだ赤裸々なセックスエッセイでも書かせてやれるけど、男じゃ使えないよ、いらない。』数多の断り文句は見事に各社で違うもので、私は感嘆すると共に、人間がまた嫌いになった。彼が乗せてくれたから、私の言葉が輝いていたのだと痛感した。きっとあの本は、ノンフィクション、ルポルタージュじゃなくても、きっと人の心に突き刺さったはずだと、そう思わずにはいられなかった。
以前に働いていた会社は、ルポの出版の直前に辞表を出した。私がいなくても、普段通り世界は回る。著者の実物を狂ったように探し回っていた人間も、見つからないと分かるや否や他の叩く対象を見つけ、そちらで楽しんでいるようだった。私の書いた彼の本は、悪趣味な三流ルポ、と呼ばれた。貯金は底を尽きた。手当たり次第応募して見つけた仕事で、小銭を稼いだ。家賃と、食事に使えばもう残りは硬貨しか残らない、そんな生活になった。元より、彼の本によって得た利益は、全て燃やしてしまっていた。それが、正しい末路だと思ったからだったが、何故と言われれば説明は出来ない。ただ燃えて、真っ赤になった札が灰白色に色褪せ、風に脆く崩れていく姿を見て、幸せそうだと、そう思った。
名前を伏せ、webサイトで小説を投稿し始めた。アクセス数も、いいね!も、どうでも良かった。私はただ秩序を保つために書き、顎を上げて、夜店の金魚のように、浅い水槽の中で居場所なく肩を縮めながら、ただ、遥か遠くにある空を眺めては、届くはずもない鰭を伸ばした。
ある日、web上のダイレクトメールに一件のメッセージが入った。非難か、批評か、スパムか。開いた画面には文字がつらつらと記されていた。
『貴方の本を、販売当時に読みました。明記はされていませんが、某殺人事件のルポを書かれていた方ですか?文体が、似ていたのでもし勘違いであれば、すみません。』
断言するように言い当てられたのは初めてだったが、画面をスクロールする指はもう今更震えない。
『最新作、読みました。とても...哀しい話でした。ゾンビ、なんてコミカルなテーマなのに、貴方はコメをトラにしてしまう才能があるんでしょうね。悲劇。ただ、二人が次の世界で、二人の望む幸せを得られることを祈りたくなる、そんな話でした。過去作も、全て読みました。目を覆いたくなるリアルな描写も、抽象的なのに五感のどこかに優しく触れるような比喩も、とても素敵です。これからも、書いてください。』
コメとトラ。私が太宰の「人間失格」を好きな事は当然知らないだろうに、不思議と親近感が湧いた。単純だ。と少し笑ってから、私はその奇特な人間に一言、返信した。
『私のルポルタージュを読んで、どう思われましたか。』
無名の人間、それも、ファ���タジーやラブコメがランキング上位を占めるwebにおいて、埋もれに埋もれていた私を見つけた人。だからこそ聞きたかった。例えどんな答えが返ってきても構わなかった。もう、罵詈雑言には慣れていた。
数日後、通知音に誘われて開いたDMには、前回よりも短い感想が送られてきていた。
『人を殺めた事実を別にすれば、私は少しだけ、彼の気持ちを理解出来る気がしました。。彼の抱いていた底なしの虚無感が見せた胸の穴も、それを埋めようと無意識のうちに焦がれていたものがやっと現れた時の衝動。共感は微塵も出来ないが、全く理解が出来ない化け物でも狂人でもない、赤色を見て赤色だと思う一人の人間だと思いました。』
何度も読み返していると、もう1通、メッセージが来た。惜しみながらも画面をスクロールする。
『もう一度読み直して、感想を考えました。外野からどうこう言えるほど、彼を軽んじることが出来ませんでした。良い悪いは、彼の起こした行動に対してであれば悪で、それを彼は自死という形で償った。彼の思考について善悪を語れるのは、本人だけ。』
私は、画面の向こうに現れた人間に、頭を下げた。見えるはずもない。自己満足だ。そう知りながらも、下げずにはいられなかった。彼を、私を、理解してくれてありがとう。それが、私が愛読者と出会った瞬間だった。
愛読者は、どうやら私の作風をいたく気に入ったらしかった。あれやこれや、私の言葉で色んな世界を見てみたい、と強請った。その様子はどこか彼にも似ている気がして、私は愛読者の望むまま、数多の世界を創造した。いっそう創作は捗った。愛読者以外の人間は、ろくに寄り付かずたまに冷やかす輩が現れる程度で、私の言葉は、世間には刺さらない。
まるで神にでもなった気分だった。初めて小説を書いた時、私の指先一つで、人が自由に動き、話し、歩き、生きて、死ぬ。理想の愛を作り上げることも、到底現実世界では幸せになれない人を幸せにすることも、なんでも出来た。幸福のシロップが私の脳のタンパク質にじゅわじゅわと染みていって、甘ったるいスポンジになって、溢れ出すのは快楽物質。
そう、私は神になった。上から下界を見下ろし、手に持った無数の糸を引いて切って繋いでダンス。鼻歌まじりに踊るはワルツ。喜悲劇とも呼べるその一人芝居を、私はただ、演じた。
世の偉いベストセラー作家も、私の敬愛する文豪も、ポエムを垂れ流す病んだSNSの住人も、暗闇の中で自慰じみた創作をして死んでいく私も、きっと書く理由なんて、ただ楽しくて気持ちいいから。それに尽きるような気がする。
愛読者は私の思考をよく理解し、ただモラルのない行為にはノーを突きつけ、感想を欠かさずくれた。楽しかった。アクリルの向こうで私の話を聞いていた彼は、感想を口にすることはなかった。核心を突き、時に厳しい指摘をし、それでも全ての登場人物に対して寄り添い、「理解」してくれた。行動の理由を、言動の意味を、目線の行く先を、彼らの見る世界を。
一人で歩いていた暗い世界に、ぽつり、ぽつりと街灯が灯っていく、そんな感覚。じわりじわり暖かくなる肌触りのいい空気が私を包んで、私は初めて、人と共有することの幸せを味わった。不変を自分以外に見出し、脳内を共鳴させることの価値を知った。
幸せは麻薬だ、とかの人が説く。0の状態から1の幸せを得た人間は、気付いた頃にはその1を見失う。10の幸せがないと、幸せを感じなくなる。人間は1の幸せを持っていても、0の時よりも、不幸に感じる。幸福感という魔物に侵され支配されてしまった哀れな脳が見せる、もっと大きな、訪れるはずと信じて疑わない幻影の幸せ。
私はさしずめ、来るはずのプレゼントを玄関先でそわそわと待つ少女のように無垢で、そして、馬鹿だった。無知ゆえの、無垢の信頼ゆえの、馬鹿。救えない。
愛読者は姿を消した。ある日話を更新した私のDMは、いつまで経っても鳴らなかった。震える手で押した愛読者のアカウントは消えていた。私はその時初めて、愛読者の名前も顔も性別も、何もかもを知らないことに気が付いた。遅すぎた、否、知っていたところで何が出来たのだろう。私はただ、愛読者から感想という自己顕示欲を満たせる砂糖を注がれ続けて、その甘さに耽溺していた白痴の蟻だったのに。並ぶ言葉がざらざらと、砂時計の砂の如く崩れて床に散らばっていく幻覚が見えて、私は端末を放り投げ、野良猫を落ち着かせるように布団を被り、何がいけなかったのかをひとしきり考え、そして、やめた。
人間は、皆、勝手だ。何故か。皆、自分が大事だからだ。誰も守ってくれない己を守るため、生きるため、人は必死に崖を這い上がって、その途中で崖にしがみつく他者の手を足場にしていたとしても、気付く術はない。
愛読者は何も悪くない。これは、人間に期待し、信用という目に見えない清らかな物を崇拝し、焦がれ、浅はかにも己の手の中に得られると勘違いし小躍りした、道化師の喜劇だ。
愛読者は今日も、どこかで息をして、空を見上げているのだろうか。彼が亡くなった時と同じ感覚を抱いていた。彼が最後に見た澄んだ空。私が、諦観し絶望しながらも、明日も見るであろう狭い空。人生には不幸も幸せもなく、ただいっさいがすぎていく、そう言った27歳の太宰の言葉が、彼の年に近付いてからやっと分かるようになった。そう、人が生きる、ということに、最初から大して意味はない。今、人間がヒエラルキーの頂点に君臨し、80億弱もひしめき合って睨み合って生きていることにも、意味はない。ただ、そうあったから。
愛読者が消えた意味も、彼が自ら命を絶った理由も、考えるのをやめよう。と思った。呼吸代わりに、ある種の強迫観念に基づいて狂ったように綴っていた世界も、閉じたところで私は死なないし、私は死ぬ。最早私が今こうして生きているのも、植物状態で眠る私の見ている長い長い夢かもしれない。
私は思考を捨て、人でいることをやめた。
途端に、世界が輝きだした。全てが美しく見える。私が今ここにあることが、何よりも楽しく、笑いが止まらない。鉄線入りの窓ガラスが、かの大聖堂のステンドグラスよりも耽美に見える。
太宰先生、貴方はきっと思考を続けたから、あんな話を書いたのよ。私、今、そこかしこに檸檬を置いて回りたいほど愉快。
これがきっと、幸せ。って呼ぶのね。
愛読者は死んだ。もう戻らない。私の世界と共に死んだ、と思っていたが、元から生きても死んでもいなかった。否、生きていて、死んでいた。シュレディンガーの猫だ。
「嗚呼、私、やっぱり、
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詩集「ACID WAVE」
詩集「ACID WAVE」
1.「ACID WAVE」 2.「FAKE MOVE」 3.「BLACK JOKE」 4.「SENTIMENTAL FUTURE」 5.「EMOTIONAL JAIL」 6.「無口な花束」 7.「DEMAGOG RHAPSODY」 8.「NOISY BOY」 9.「FLOWER JAM」 10.「APOSTROPHE」 11.「ROAD MOVIE 〜 ACID WAVE:EPILOGUE」
1.ACID WAVE
謂われもない 正しくない そんな言葉に縋り付く幻想 つまらない 逃げ出したい そんな怒りに縋り付く妄想
Ah 僕らは何のために生きるの? 幻想 妄想 空想 瞑想 惑わされないで
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれた 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE いたみわけ ACID WAVE のれんわけ 激しい風が変えてく この世界を洗いざらい “あたしが変える”
さりげなく とめどなく こんな言葉に立ち止まる若者 痛みもない 信じらんない こんな時代に立ち止まる旅人
Ah 僕らは誰のために迷うの? 群衆 観衆 聴衆 大衆 波に負けないで
ACID WAVE ふれるなよ ACID WAVE さけぶなよ 激しい風に吹かれても 何も言わぬ君がいる
ACID WAVE つらくても ACID WAVE さみしくても 激しい風に乗ってくの こんな世界にも愛がある だから! “あたしが変える”
こんなに叫んでも 誰も動いてはくれない なぜ なんで どうして ゆるせない 感じるパワー みなぎるエネルギー 君も一緒に行こう
ACID WAVE ほんとうを ACID WAVE しんじつを 激しい風が吹いてる あたしがこの世界を変えるの
ACID WAVE こわれもの ACID WAVE はぐれもの 激しい風に吹かれてる 今こそ君を見つめ直せ
ACID WAVE こんどこそ ACID WAVE はしりだせ 激しい風に乗っていけ あたしはもう一人じゃないんだ 激しい風と共にいけ 立ち止まってる暇はないよ だから! “あたしが変える”
2.FAKE MOVE
AとBの関係が AとCの関係になる 私が言いたいのは そんなことばっかじゃない
根も葉もない嘘に 世界は覆われ 君が何かを始めるとき その嘘が障害物(ゲート)に変わる
Fake Movement 嘘と言ってよ 私はそんな奴じゃないの Fake Moment なんとかしてよ 私の暮らしが毀(こわ)れてく 人は誰もが夜明けを求めて それぞれの明日を捜すもの
ある花の咲く時 薔薇が邪魔をする あなたの言いたいこと ぜんぶ代わりに述べてくれる
見聞きした声に 世間も騙され 薄っぺらの#とやらで 拡散される気分はどうよ?
Fake Movement 止まらぬ声に ���が私を殺してく Fake Moment 支配されて 私が私じゃなくなるの 作りかけのpersonality 粉々に砕けてく この夜
アイドルでいるのも 楽なことじゃない 君が君らしくいられるのは その嘘を代わりに繋ぐ誰かがいるから
Fake Movement 戻りたいわ 私がまだ“it”だったあの頃に Fake Moment もう十分よ 私に何も求めないで!
Fake Movement もうやめてよ 私がこんなに頼むのに Fake Moment 拡散されてく ほんとは全部嘘なんだ
Fake Movement 言われるがまま 私に出来ることはなに? Fake Moment 流されるがまま ただ生きてくしかないのね
3.BLACK JOKE
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
顔も声も知らない奴が 今日も有名人を叩いてた どんなに声を遮っても どこからか お前は沸いてくる Uh-Oh 二言目には溜息さ
世界は正解を捜すけれど その世界が意外と狭いように もしも君が 何にも知らない 知らされない 鳥かごの中の生き物だったら?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
努力や失敗も知らずに まるでヒーローを気取ってさ お前は何様なんだ? そもそも正義ってなんだ? Uh-Oh 少なくともお前は正義じゃない
I hate a money… I hate a money… I hate a money… I hate a money…
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
思想が思想とぶつかり合い 声を挙げることを躊躇う者たち そんな彼らを嘲笑う お前らも子羊の一匹だろ?
憎しみの先に何がある 欺瞞と疑惑の世界の中で 僕らは生きていくのだから 一言目に許せる勇気を 黒い嘘 さあ放て Black Joke!!
諦めの先に何がある 人々が現実に絶望して 無言で立ち去った痕には 一言目に愛しさを Oh baby さあ放て Black Joke!!
どいつもこいつも お前も貴様も いい子ぶってんじゃねえよ!!
4.SENTIMENTAL FUTURE
僕の馴染みのサ店が 日曜 店を畳むらしい 太陽の眩しい真夏日 レーコーがあまりに美味しかったんで 思わずマスターに駆け寄り 「ありがとう」と握手を求めると コーヒー豆を持たせてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
僕が愛した御神酒(おみき)屋も 近々 店を畳むらしい 学友とアジった帰り道 日本酒があまりに美味しかったんで 思わずバーテンに駆け寄り 「この酒どこのですか?」と尋ねると 住所をメモに書いてくれたよ
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
君との馴れ初め古書店まで 明日 店を畳むらしい 論文に追われた夏休み 黒髪があまりに美しすぎた 思い出は色褪せぬまま
声を挙げるだけで すべて変わると信じた あの日々が懐かしい
声を挙げるだけで すべて変わると信じてた あの青春の日々が 今はただ懐かしい
5.EMOTIONAL JAIL
ある日 パソコンを開くと 君が一面に映ってた 何故だか 僕はわからず 電話をかけてみると 全部話してくれた
大根がふつふつと煮えるように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある朝 ウトウトと目覚めた 君は隣で笑ってた 何故だか 嫌な予感がして ぎゅっと抱きしめてみると 君は笑ってくれた
茶柱が幸福(しあわせ)を繋ぐように 時がすべてを変えるだろう 君は無邪気に語るけど なにも変わりはしなかった
ある夜 ニュースを観ると 君が白ヘルを被って 波と波 消えた幻が 僕らの終わりだった 全部終わりだった
数年後 僕たちは離れたまま 風の便りで今を知る 見出しに小さなイニシャル それは僕の名前だった
突然何かに追われるように 僕は再び帰京した 君がもういないと知りながら 青リボンをずっと捜し続けた Aの街に少女の声 聞こえた気がしたんだ
6.無口な花束
柱の落書き まばらな観客 毎週水曜 青春捜して さすらう愛を あなたへ囁く
哀しきセレナーデは 醒めた夢への餞別
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 黄昏(ゆうひ)の約束 サヨナラは何も言わずに
時代は変わった ここは変わらない 小さな劇場 無限の未来へ 信じ続けた夢は何も語らず
群青は水性の儚さで あの夏を静かに溶かした
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界 無口な花束 永遠(とわ)への幕開け 倖せの唄をあなたと友に
フィルムに残された 涙と歓び 来週水曜 もうここにはいない 記憶は風と明日へ消えゆく
誰もいないステージで ひとり悟った恋の限界(フィナーレ) 無口な花束 無言の客席 サヨナラは誰にも言えずに
あなたのためにずっと ひとり狂った恋を謳い 夢への舟が来るんだと 私はひたむきに信じてた 無口な花束 「ファン一同より」の文字 サヨナラは夜に隠して
7.DEMAGOG RHAPSODY
幸せになりたくない人なんていない 優しくなりたくない人などいない 淋しいのがいいって人はいない 怒られるのが好きな人もいない
ああ 愚民たちよ なぜ君たちはそんなに愚かなのか? ああ 愚民たちよ どうして君たちはそんなに馬鹿なのか??
悲しいほど静かな街の中で ただ大好きなものを投げ捨て 俺はここまで歩いてきた 素直に夢を追いかけてきた
ラララ ラララララ ラララ ラララララ
文句を言う前に 君のやるべきことをやれよ 誰かをアジる前に 君のやるべきことをやれよ
言いたいことを言えば 風の噂で火は巻き上がり 還ってきた時には姿を爆弾に変え 俺の前で導火線が切れる
あきらめろ もう遅いぜ あきらめろ もう遅いぜ
声を挙げるのが遅すぎたのさ もう止まりはしないのさ
暴走電車にようこそ 華やかな宴にようこそ
怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 怒れ 笑え 笑え 笑え 笑え 笑え ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん ぴえん しくしく しくしく しくしく しくしく しくしく
自分がヒーロー気取りで 正しさの意味さえ知らずに 君は正しさを語るつもりなのか それならケチャップを丸呑みしてまで 苦労の道を歩むことはないだろう?
おかしいことはおかしいと言うのだ 違うものは違うと言うのだ 寂しいときは寂しいと言うのだ せつないときにはせつないと言うのだ
神がこの星を創り 俺たちがここに産み落とされた 宇宙の法則の中 流星群に乗り 飛びたて 夜が嵐に包まれて かつてない狂騒 明日は闇に覆われて かつてない競争 着せ替え人形のように お前も変わり身が得意だな!
壊してばかりじゃ何も始まらない 叩いてばかりじゃ何も産まれない 涙ばかりじゃ何処も渡れない 争いばかりじゃ夢も翔ばない
華やかな週末に 綺麗なドレスで着飾って 鏡の間 集結する若人よ
ひどく暑い夏に あの橋を駆け抜けてゆく 髪を束ねた 少女ランナー
黒雲に青空は見え 彼方には遥かなる山 その滾るような美しさ 忘れかけてたもの 子供たちのあどけない微笑み 淋しかったから 声をかけてみよう
ロックは死んだ ロックは死んだ ロックは死んだ サイレントマジョリティー 広場に人は集まり まだ終わってないと声を挙げる 意味がないと知っていても 変わる可能性がある限り 闘い続ける 走り続ける それが人の慣性
ダイスを振れば 転がる石のように 気まぐれに時代は変わる
誰かの声に揺られて 転がる石のように 気まぐれに世間は変わる
最高の詩があれば 世界も変わるはずさ
もう一度 信じてみたい もう一度 愛してみたい
愛する勇気をみんなで持てば きっと世界は良くなる
パンドラの函を開く前のように カオスのない世界 まだ物語は始まりすらしない 人間なんだもの 毎日 君も生まれ変われる 世界はもっと良くなる
8.NOISY BOY
あの店でウォッカを片手に 世間を語った青年 過ちは恐れずに 明日を見つめていた
最終電車が過ぎても 何にも気にすることはなく 怒りに震えながら 正義を語り続けた
あれから何年かして 少年の姿は見えなくなった 今どこで何をしてるのだろう そんな想いが浮かんだ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
僕らが親父になって あの日の青年を見つけた 白髪になって シワも増えて なんだかやつれていた
最終電車が近づき 時計を何度も気にして まるで達観したかのような表情で 山手線に乗り込んだ
あれから何十年か経って 少年の微笑みも無くなり 諦めかけたその眼に 勇気は消え失せていた
道を激しく 君だけのために走れ あの頃の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる いつまでも君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 肩を叩いて君へ唄う
帰り際に振り返り 「もう終わったのだ」と淋しそうに 髭を生やしてつぶやく老紳士は もはや別人のようだった
悲しいなら悲しいと言っていいよ 許せないなら許せないと言っていいよ
世界を的確に切り取っていた あの日の少年はどこへ?
道を泥臭く 君だけのために走れ 守るべき人がいるなら その人だけのために走れ
道を健やかに 君だけのために走れ 最高の想いがあるなら それをぶつければいい 君ならできる 君ならやれる ここから君へ叫ぶよ 諦めるな 投げ出すなと 真っ白な空へ唄う
まだ僕らは諦めるには早すぎる
虚しいほどの情熱で 君だけのために唄う あの日の Noisy Boyへ
9.FLOWER JAM
君が風に吹かれ 光を浴びていた頃 爽やかな暮らしを 無邪気に語っていたね
コーヒー豆にこだわり うんちくを僕に語る 追い風に乗って 淋しさを憂い 華やかな明日を信じた
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記す夏
君に吹いた風が止み 光が闇に変わる 過去を捨てようとも 過去に縋るしかなく
都会を歩く 若者たちの叫びが 真夜中に駆け出す 切なさみたいに 憂鬱な明日を感じた
少女よ あの場所で唄った ラブソングをもう一度
艶やかな時代の声のように 熱く燃え上がった夏
少女よ あの場所で唄う ラブソングをもう一度
清らかな青春の日差しのように 思い出を書き記した夏 眩しすぎた夏
10.APOSTROPHE
まだ秘めた気持ちを 形に出来ぬまま 私は星になった
いいねの数ばかりが 話題になる世界で 私は星になった
百億分の一 不幸のナイフが傷になる 愛する意味を知らぬ者が 幸せ 殺しに来た
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
いつの間にか過ぎてく 時間は風のように 私も大人になる
右も左もわからず その声 波のように 私も大人になる
七十億分の一 誰かに愛された人たち あなたに誇りがあるなら 画面の向こう側を感じて
ひとりの声 重なり合い いつしか時代になった 正義のフィルター 回り道して 伝わるのは心無い声 ああ 私はもう何も言わなくていいかい? まだ 私はもう何もしない方がいいかい??
喜びも悲しみも 全部抱きしめて あなたに愛があるなら 傷つけ合うのはもう終わりにしよう?
ひとりの声 混じり合い いつしか世代になった 心のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 ああ 私はここにいなくていいかい? まだ 私はここにいるべきじゃなかったかい??
ひとりの声 たしかめあい いつしかナイフになった 最後のフィルター くぐり抜けて 届くのは心無い声 もう 世界は誰のものでもないんだ…… さあ 世界に絶望するのはやめよう……
雲ひとつない青空 幸せのエールを投げた 悲しみも 喜びも すべて 今はどうでもいいよ 愛する人たちへ 愛せなかった人たちへ 何者でもない少女の詩を
11.ROAD MOVIE
愛する意味も 夢見る意味も知らず ただ叫び続けていた ただ泣き続けていた 誰かに操られるがまま 私は何かを変えようとしていた 変わろうとしていた
しかし 何も変わらず 今日も世界は回っている 私たちの声を聞こうともせず 今日も世界は変わっていく 誰のために頑張ってきたのだろう 何のために声を上げてきたのだろう
気付いたとき すべてが空っぽになっていた 気付いたとき 誰も周りにいなかった 気付いたとき 私は独りになっていた
誰にも気付かれないように 早朝家を飛び出した 最寄駅から各停に乗り 始発電車で故郷を後にした 愛を捜すために 夢を探すために 私は旅に出たんだ 旅に出たんだ
流れる景色は見慣れたはずなのに 今日はなんだか美しく見えるね 流れるビル群と住宅街の調べ すっかり季節は変わってしまったけれど この街は何も変わっていない ぎゅっと抱きしめてくれた 不安だった私をそっと見送ってくれた ありがとう ありがとう 涙が止まらなくなる
それでも 私は旅に出なけりゃいけない 世界の意味を知るため 旅に出なけりゃいけない 知らない世界を知るため 今日旅に出なけりゃいけない
世界がさらに速いスピードで流れていく 私の探していたものは何だったのか だんだんわからなくなってきた でも これでいいんだ わからなくてもいいんだ 地図を広げて目的地を確認してみた 知らない土地へ行くのはいつも緊張する 受け入れてもらえないんじゃないかと怖くなる でも これでいいんだ 怖くてもいいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
何時間か電車に揺られると お腹が鳴り始める 次の駅には売店がある ここは牛肉が有名だから 思いっきり腹を満たしておこう
そんなこんなで駅をブラブラしてたら 目当ての電車を乗り過ごした ちょっぴり焦ってしまったけれど でも これでいいんだ 焦らなくていいんだ 時間とは一旦距離を置く そう決めたんだ 私は決めたんだ 紫陽花が咲く頃に こう決めたんだ 私が決めたんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
太陽が沈み 深い夜が顔を出す ただ叫び続けていた 泣き続けていた 少女の頃を思い出して 懐かしさに浸りそうになったけれど もういいんだ 水に流すんだ
かつて 私はわんぱくだった もはやその面影すらなく ただ大人になりかけていた そんな私をある人が変えてくれた 私は声を上げることを覚えた これまで無関心だった世界に興味を覚えた
気付いたとき 私は輪の中心にいた 気付いたとき もう戻れなくなった 気付いたとき 誰も相手にしなくなった
見知らぬ声が怖くなり ついに私は旅に出た いつ帰るかもわからない そういう旅だ 行き先も決めずにぼんやりと 流れる景色を見つめてる 明日の宿とその日の下着 これさえあればどこへでも行ける そういう旅だ 私だけの旅なんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今日の宿は友達の家 ご両親の気づかいが嬉しかった 友達も優しかった カレーライスが美味しかった お風呂は気持ち良かった 当たり前のように見えて当たり前じゃない そんなふつうが嬉しかった 友達と居られるのが幸せだった
翌朝 私は再び電車に乗った 片道切符でどんどんいこうか 青空があまりにも眩しかった もうとっくに夏は終わったというのに なぜこんなに暑いんだろう だけど もういいんだ 気にしなくていいんだ いつか涼しくなるよね だから もういいんだ 気にしなくていいんだ
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
どこまでも行ければそれでいい 雨の日でも傘は差さない 世間の声などどうでもいい 制服なんていらない 友達気取りももういらない
何度か友達の家に流れ着き ありったけの愛を注いでもらった 友達は皆やさしかった 戸惑うこともあったけれど これが旅だと思うと心が軽くなった 好きな人のラジオが耳に届く度 もっと遠くへ行こうという気になった もっともっと旅がしたかった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
行き先を決めなかったつもりだったけど 実は最初から決めていた あと数十キロで あと一回の乗り換えで カウントダウンが始まる
もうすぐ街に着く かつて夢にまで見た街だ もうすぐ旅が終わる いや始まりだ 私にとっての再始動
どうでもいいと言われた 君には期待していないと言われた 死ねとまで言われた そんな人たちを見返すために もう一度やり直す まだ愛とやさしさが残っているうちに この街でもう一度やり直す 私はまだ死んでいないから
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう また数週間が経った やっと目的の人に逢えた 私は二度目の青春を始めた どんな瞬間��りも喜びを感じた 生きるってこんなに楽しいんだね 久々の感覚だった この街で生きられるのが嬉しかった 変わっていくのが楽しみだった
しかし変わらなかった そう簡単には変わってくれなかった まっすぐな笑顔 人間のぬくもり すべてあるのに なんにも変わってくれなかった だけど気付いた もう一度気付いた 私が変わろうとしなかったんだと 変わるために頑張れていなかったんだと
自暴自棄になりそうだったある日 ある人が教えてくれた 「君の自由は当たり前のものじゃないんだよ」 未だ名前はわからない とにかくあったかい人だった 忘れかけていたものを三たび思い出した もっと純粋に夢を追いかけてもいいんだ もっともっと熱く世界を語ってもいいだと
だから もう一度旅に出ることにした あの旅に出た時の感覚を思い出すために もう一度旅に出ることにした
いつかまたやり直せる この街は私をぎゅっと抱きしめた 旅立ちの日は空があまりにも美しかった 今まで感じたことのない安らぎがそこにあった 見つめ合う自然の笑顔がやさしかった 「人は何度でもやり直せる」 そう感じさせてくれる空だった
なんでもない日に旅に出よう ありきたりでいいんだ 無計画でもいいんだ ロードムービーみたいな旅に出よう
今の私ならどこまでも行ける 行き方のわからない目的地がすべての目印 人生はみなロードムービー
Bonus.PROTEST SONG’20
やさしさの行進(ぬくもりの交信) はげしさの更新(かなしさの恒心)
さわやかな日々も ひそやかな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ あいに生きる あいで生きよう あいを生きていこう きみが思うほど きみは愚かじゃない
さみしさの漸進(つよがりの染心) いとしさの全身(たのしさの前進) はなやかな日々も ありきたりな日々も みんな同じだよ しあわせの価値は みんな同じだよ
ゆめに生きる ゆめで生きよう ゆめを生きていこう あなたが思うほど あなたは弱くない
詩集「ACID WAVE」Staff Credit
All Produced by Yuu Sakaoka(坂岡 ユウ) Respect to Pink Floyd, THE ALFEE, BAKUFU-SLUMP and MORE... Special Thanks to My Family, my friends and all my fans!!
2020.5.25 坂岡 ユウ
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