#愛情たっぷりな料理の数々に深謝申し上げます
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guragura000 · 4 years ago
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自殺未遂
何度も死のうとしている。
これからその話をする。
自殺未遂は私の人生の一部である。一本の線の上にボツボツと真っ黒な丸を描くように、その記憶は存在している。
だけど誰にも話せない。タブーだからだ。重たくて悲しくて忌み嫌われる話題だからだ。皆それぞれ苦労しているから、人の悲しみを背負う余裕なんてないのだ。
だから私は嘘をつく。その時代を語る時、何もなかったふりをする。引かれたり、陰口を言われたり、そういう人だとレッテルを貼られたりするのが怖いから。誰かの重荷になるのが怖いから。
一人で抱える秘密は、重たい。自分のしたことが、当時の感情が、ずっしりと肩にのしかかる。
私は楽になるために、自白しようと思う。黙って平気な顔をしているのに、もう疲れてしまった。これからは場を選んで、私は私の人生を正直に語ってゆきたい。
十六歳の時、初めての自殺未遂をした。
五年間の不登校生活を脱し高校に進学したものの、面白いくらい馴染めなかった。天真爛漫に女子高生を満喫する宇宙人のようなクラスメイトと、同じ空気を吸い続けることは不可能だと悟ったのだ。その結果、私は三ヶ月で中退した。
自信を失い家に引きこもる。どんよりと暗い台所でパソコンをいじり続ける。将来が怖くて、自分が情けなくて、見えない何かにぺしゃんこに潰されてしまいそうだった。家庭は荒れ、母は一日中家にいる私に「普通の暮らしがしたい」と呟いた。自分が親を苦しめている。かといって、この先どこに行っても上手くやっていける気がしない。悶々としているうちに十キロ痩せ、生理が止まった。肋が浮いた胸で死のうと決めた。冬だった。
夜。親が寝静まるのを待ちそっと家を出る。雨が降っているのにも関わらず月が照っている。青い光が濁った視界を切り裂き、この世の終わりみたいに美しい。近所の河原まで歩き、濡れた土手を下り、キンキン��冷えた真冬の水に全身を浸す。凍傷になれば数分で死に至ることができると聞いた。このままもう少しだけ耐えればいい。
寒い!私の体は震える。寒い!あっという間に歯の根が合わなくなる。頭のてっぺんから爪先までギリギリと痛みが駆け抜け、三秒と持たずに陸へ這い上がった。寒い、寒いと呟きながら、体を擦り擦り帰路を辿る。ずっしりと水を含んだジャージが未来のように重たい。
風呂場で音を立てぬよう泥を洗い流す。白いタイルが砂利に汚されてゆく。私は死ぬことすらできない。妙な落胆が頭を埋めつくした。入水自殺は無事、失敗。
二度目の自殺未遂は十七歳の時だ。
その頃私は再入学した高校での人間関係と、精神不安定な母との軋轢に悩まされていた。学校に行けば複雑な家庭で育った友人達の、無視合戦や泥沼恋愛に巻き込まれる。あの子が嫌いだから無視をするだのしないだの、彼氏を奪っただの浮気をしているだの、親が殴ってくるだの実はスカトロ好きのゲイだだの、裏のコンビニで喫煙しているだの先生への舌打ちだの⋯⋯。距離感に不器用な子達が多く、いつもどこかしらで誰かが傷つけ合っていた。教室には無気力と混乱が煙幕のように立ち込め、普通に勉強し真面目でいることが難しく感じられた。
家に帰れば母が宗教のマインドコントロールを引きずり「地獄に落ちるかもしれない」などと泣きついてくる。以前意地悪な信者の婆さんに、子どもが不登校になったのは前世の因縁が影響していて、きちんと祈らないと地獄に落ちる、と吹き込まれたのをまだ信じているのだ。そうでない時は「きちんと家事をしなくちゃ」と呪いさながらに繰り返し、髪を振り乱して床を磨いている。毎日手の込んだフランス料理が出てくるし、近所の人が買い物先までつけてくるとうわ言を言っている。どう考えても母は頭がおかしい。なのに父は「お母さんは大丈夫だ」の一点張りで、そのくせ彼女の相手を私に丸投げするのだ。
胸糞の悪い映画さながらの日々であった。現実の歯車がミシミシと音を立てて狂ってゆく。いつの間にやら天井のシミが人の顔をして私を見つめてくる。暗がりにうずくまる家具が腐り果てた死体に見えてくる。階段を昇っていると後ろから得体の知れない化け���が追いかけてくるような気がする。親が私の部屋にカメラを仕掛け、居間で監視しているのではないかと心配になる。ホラー映画を見ている最中のような不気味な感覚が付きまとい、それから逃れたくて酒を買い吐くまで酔い潰れ手首を切り刻む。ついには幻聴が聞こえ始め、もう一人の自分から「お前なんか死んだ方がいい」と四六時中罵られるようになった。
登下校のために電車を待つ。自分が電車に飛び込む幻が見える。車体にすり潰されズタズタになる自分の四肢。飛び込む。粉々になる。飛び込む。足元が真っ赤に染まる。そんな映像が何度も何度も巻き戻される。駅のホームは、どこまでも続く線路は、私にとって黄泉への入口であった。ここから線路に倒れ込むだけで天国に行ける。気の狂った現実から楽になれる。しかし実行しようとすると私の足は震え、手には冷や汗が滲んだ。私は高校を卒業するまでの四年間、映像に重なれぬまま一人電車を待ち続けた。飛び込み自殺も無事、失敗。
三度目の自殺未遂は二十四歳、私は大学四年生だった。
大学に入学してすぐ、執拗な幻聴に耐えかね精神科を受診した。セロクエルを服用し始めた瞬間、意地悪な声は掻き消えた。久しぶりの静寂に手足がふにゃふにゃと溶け出しそうになるくらい、ほっとする。しかし。副作用で猛烈に眠い。人が傍にいると一睡もできないたちの私が、満員の講義室でよだれを垂らして眠りこけてしまう。合う薬を模索する中サインバルタで躁転し、一ヶ月ほど過活動に勤しんだりしつつも、どうにか普通の顔を装いキャンパスにへばりついていた。
三年経っても服薬や通院への嫌悪感は拭えなかった。生き生きと大人に近づいていく友人と、薬なしでは生活できない自分とを見比べ、常に劣等感を感じていた。特に冬に体調が悪くなり、課題が重なると疲れ果てて寝込んでしまう。人混みに出ると頭がザワザワとして不安になるため、酒盛りもアルバイトもサークル活動もできない。鬱屈とした毎日が続き闘病に嫌気がさした私は、四年の秋に通院を中断してしまう。精神薬が抜けた影響で揺り返しが起こったこと、卒業制作に追われていたこと、就職活動に行き詰まっていたこと、それらを誰にも相談できなかったことが積み重なり、私は鬱へと転がり落ちてゆく。
卒業制作の絵本を拵える一方で遺品を整理した。洋服を売り、物を捨て、遺書を書き、ネット通販でヘリウムガスを手に入れた。どう��て卒制に遅れそうな友達の面倒を見ながら遺品整理をしているのか分からない。自分が真っ二つに割れてしまっている。混乱しながらもよたよたと気力で突き進む。なけなしの努力も虚しく、卒業制作の提出を逃してしまった。両親に高額な学費を負担させていた負い目もあり、留年するぐらいなら死のうとこりずに決意した。
クローゼットに眠っていたヘリウムガス缶が起爆した。私は人の頭ほどの大きさのそれを担いで、ありったけの精神薬と一緒に車に積み込んだ。それから山へ向かった。死ぬのなら山がいい。夜なら誰であれ深くまで足を踏み入れないし、展望台であれば車が一台停まっていたところで不審に思われない。車内で死ねば腐っていたとしても車ごと処分できる。
展望台の駐車場に車を突っ込み、無我夢中でガス缶にチューブを繋ぎポリ袋の空気を抜く。本気で死にたいのなら袋の酸素濃度を極限まで減らさなければならない。真空状態に近い状態のポリ袋を被り、そこにガスを流し込めば、酸素不足で苦しまずに死に至ることができるのだ。大量の薬を水なしで飲み下し、袋を被り、うつらうつらしながら缶のコックをひねる。シューッと気体が満ちる音、ツンとした臭い。視界が白く透き通ってゆく。死ぬ時、人の意識は暗転ではなくホワイトアウトするのだ。寒い。手足がキンと冷たい。心臓が耳の奥にある。ハツカネズミと同じ速度でトクトクと脈動している。ふとシャンプーを切らしていたことを思い出し、買わなくちゃと考える。遠のいてゆく意識の中、日用品の心配をしている自分が滑稽で、でも、もういいや。と呟く。肺が詰まる感覚と共に、私は意識を失う。
気がつくと後部座席に転がっている。目覚めてしまった。昏倒した私は暴れ、自分でポリ袋をはぎ取ったらしい。無意識の私は生きたがっている。本当に死ぬつもりなら、こうならぬように手首を後ろできつく縛るべきだったのだ。私は自分が目覚めると、知っていた。嫌な臭いがする。股間が冷たい。どうやら漏らしたようだ。フロントガラスに薄らと雪が積もっている。空っぽの薬のシートがバラバラと散乱している。指先が傷だらけだ。チューブをセットする際、夢中になるあまり切ったことに気がつかなかったようだ。手の感覚がない。鈍く頭痛がする。目の前がぼやけてよく見えない。麻痺が残ったらどうしよう。恐ろしさにぶるぶると震える。さっきまで何もかもどうでも良いと思っていたはずなのに、急に体のことが心配になる。
後始末をする。白い視界で運転をする。缶は大学のゴミ捨て場に捨てる。帰宅し、後部座席を雑巾で拭き、薬のシートをかき集めて処分する。ふらふらのままベッドに倒れ込み、失神する。
その��私は、卒業制作の締切を逃したことで教授と両親から怒られる。翌日、何事も���かったふりをして大学へ行き、卒制の再提出の交渉する。病院に保護してもらえばよかったのだがその発想もなく、ぼろ切れのようなメンタルで卒業制作展の受付に立つ。ガス自殺も無事、失敗。
四度目は二十六歳の時だ。
何とか大学卒業にこぎつけた私は、入社試験がないという安易な理由でホテルに就職し一人暮らしを始めた。手始めに新入社員研修で三日間自衛隊に入隊させられた。それが終わると八時間ほぼぶっ続けで宴会場を走り回る日々が待っていた。典型的な古き良き体育会系の職場であった。
朝十時に出社し夜の十一時に退社する。夜露に湿ったコンクリートの匂いをかぎながら浮腫んだ足をズルズルと引きずり、アパートの玄関にぐしゃりと倒れ込む。ほとんど意識のないままシャワーを浴びレトルト食品を貪り寝床に倒れ泥のように眠る。翌日、朝六時に起床し筋肉痛に膝を軋ませよれよれと出社する。不安定なシフトと不慣れな肉体労働で病状は悪化し、働いて二年目の夏、まずいことに躁転してしまった。私は臨機応変を求められる場面でパニックを起こすようになり、三十分トイレにこもって泣く、エレベーターで支離滅裂な言葉を叫ぶなどの奇行を繰り返す、モンスター社員と化してしまった。人事に持て余され部署をたらい回しにされる。私の世話をしていた先輩が一人、ストレスのあまり退社していった。
躁とは恐ろしいもので人を巻き込む。プライベートもめちゃくちゃになった。男友達が性的逸脱症状の餌食となった。五年続いた彼氏と別れた。よき理解者だった友と言い争うようになり、立ち直れぬほどこっぴどく傷つけ合った。携帯電話をハイヒールで踏みつけバキバキに破壊し、コンビニのゴミ箱に投げ捨てる。出鱈目なエネルギーが毛穴という毛穴からテポドンの如く噴出していた。手足や口がばね仕掛けになり、己の意思を無視して動いているようで気味が悪かった。
寝る前はそれらの所業を思い返し罪悪感で窒息しそうになる。人に迷惑をかけていることは自覚していたが、自分ではどうにもできなかった。どこに頼ればいいのか分からない、生きているだけで迷惑をかけてしまう。思い詰め寝床から出られなくなり、勤務先に泣きながら休養の電話をかけるようになった。
会社を休んだ日は正常な思考が働かなくなる。近所のマンションに侵入し飛び降りようか悩む。落ちたら死ねる高さの建物を、砂漠でオアシスを探すジプシーさながらに彷徨��歩いた。自分がアパートの窓��ら落下してゆく幻を見るようになった。だが、無理だった。できなかった。あんなに人に迷惑をかけておきながら、私の足は恥ずかしくも地べたに根を張り微動だにしないのだった。
アパートの部屋はムッと蒸し暑い。家賃を払えなければ追い出される、ここにいるだけで税金をむしり取られる、息をするのにも金がかかる。明日の食い扶持を稼ぐことができない、それなのに腹は減るし喉も乾く、こんなに汗が滴り落ちる、憎らしいほど生きている。何も考えたくなくて、感じたくなくて、精神薬をウイスキーで流し込み昏倒した。
翌日の朝六時、朦朧と覚醒する。会社に体調不良で休む旨を伝え、再び精神薬とウイスキーで失神する。目覚めて電話して失神、目覚めて電話して失神。夢と現を行き来しながら、手元に転がっていたカッターで身体中を切り刻み、吐瀉し、意識を失う。そんな生活が七日間続いた。
一週間目の早朝に意識を取り戻した私は、このままでは死ぬと悟った。にわかに生存本能のスイッチがオンになる。軽くなった内臓を引っさげ這うように病院へと駆け込み、看護師に声をかける。
「あのう。一週間ほど薬と酒以外何も食べていません」
「そう。それじゃあ辛いでしょう。ベッドに寝ておいで」
優しく誘導され、白いシーツに倒れ込む。消毒液の香る毛布を抱きしめていると、ぞろぞろと数名の看護師と医師がやってきて取り囲まれた。若い男性医師に質問される。
「切ったの?」
「切りました」
「どこを?」
「身体中⋯⋯」
「ごめんね。少し見させて」
服をめくられる。私の腹を確認した彼は、
「ああ。これは入院だな」
と呟いた。私は妙に冷めた頭で聞く。
「今すぐですか」
「うん、すぐ。準備できるかな」
「はい。日用品を持ってきます」
私はびっくりするほどまともに帰宅し、もろもろを鞄に詰め込んで病院にトンボ帰りした。閉鎖病棟に入る。病室のベッドの周りに荷物を並べながら、私よりももっと辛い人間がいるはずなのにこれくらいで入院だなんておかしな話だ、とくるくる考えた。一度狂うと現実を測る尺度までもが狂うようだ。
二週間入院する。名も知らぬ睡眠薬と精神安定剤を処方され、飲む。夜、病室の窓から街を眺め、この先どうなるのかと不安になる。私の主治医は「君はいつかこうなると思ってたよ」と笑った。以前から通院をサポートする人間がいないのを心配していたのだろう。
退院後、人事からパート降格を言い渡され会社を辞めた。後に勤めた職場でも上手くいかず、一人暮らしを断念し実家に戻った。飛び降り自殺、餓死自殺、無事、失敗。
五度目は二十九歳の時だ。
四つめの転職先が幸いにも人と関わらぬ仕事であったため、二年ほど通い続けることができた。落ち込むことはあるものの病状も安定していた。しかしそのタイミングで主治医が代わった。新たな主治医は物腰柔らかな男性だったが、私は病状を相談することができなかった。前の医師は言葉を引き出すのが上手く、その環境に甘えきっていたのだ。
時給千円で四時間働き、月収は六万から八万。いい歳をして脛をかじっているのが忍びなく、実家に家賃を一、二万入れていたので、自由になる金は五万から七万。地元に友人がいないため交際費はかからない、年金は全額免除の申請をした、それでもカツカツだ。大きな買い物は当然できない。小さくとも出費があると貯金残高がチラつき、小一時間は今月のやりくりで頭がいっぱいになる。こんな額しか稼げずに、この先どうなってしまうのだろう。親が死んだらどうすればいいのだろう。同じ年代の人達は順調にキャリアを積んでいるだろう。資格も学歴もないのにズルズルとパート勤務を続けて、まともな企業に転職できるのだろうか。先行きが見えず、暇な時間は一人で悶々と考え込んでしまう。
何度目かの落ち込みがやってきた時、私は愚かにも再び通院を自己中断してしまう。病気を隠し続けること、精神疾患をオープンにすれば低所得をやむなくされることがプレッシャーだった。私も「普通の生活」を手に入れてみたかったのだ。案の定病状は悪化し、練炭を購入するも思い留まり返品。ふらりと立ち寄ったホームセンターで首吊りの紐を買い、クローゼットにしまう。私は鬱になると時限爆弾を買い込む習性があるらしい。覚えておかなければならない。
その職場を退職した後、さらに三度の転職をする。ある職場は椅子に座っているだけで涙が出るようになり退社した。別の職場は人手不足の影響で仕事内容が変わり、人事と揉めた挙句退社した。最後の転職先にも馴染めず八方塞がりになった私は、家族と会社に何も告げずに家を飛び出し、三日間帰らなかった。雪の降る中、車中泊をして、寒すぎると眠れないことを知った。家族は私を探し回り、ラインの通知は「帰っておいで」のメッセージで埋め尽くされた。漫画喫茶のジャンクな食事で口が荒れ、睡眠不足で小間切れにうたた寝をするようになった頃、音を上げてふらふらと帰宅した。勤務先に電話をかけると人事に静かな声で叱られた。情けなかった。私は退社を申し出た。気がつけば一年で四度も職を代わっていた。
無職になった。気分の浮き沈みが激しくコントロールできない。父の「この先どうするんだ」の言葉に「私にも分からないよ!」と怒鳴り返し、部屋のものをめちゃくちゃに壊して暴れた。仕事を辞める度に無力感に襲われ、ハローワークに行くことが恐ろしくてたまらなくなる。履歴書を書けばぐちゃぐちゃの職歴欄に現実を突きつけられる。自分はどこにも適応できない���ではないか、この先まともに生きてゆくことはできないのではないか、誰かに迷惑をかけ続けるのではないか。思い詰め、寝室の柱に時限爆弾をぶら下げた。クローゼットの紐で首を吊ったのだ。
紐がめり込み喉仏がゴキゴキと軋む。舌が押しつぶされグエッと声が出る。三秒ぶら下がっただけなのに目の前に火花が散り、苦しくてたまらなくなる。何度か試したが思い切れず、紐を握り締め泣きじゃくる。学校に行く、仕事をする、たったそれだけのことができない、人間としての義務を果たせない、税金も払えない、親の負担になっている、役立たずなのにここまで生き延びている。生きられない。死ねない。どこにも行けない。私はどうすればいいのだろう。釘がくい込んだ柱が私の重みでひび割れている。
泣きながら襖を開けると、ペットの兎が小さな足を踏ん張り私を見上げていた。黒くて可愛らしい目だった。私は自分勝手な絶望でこの子を捨てようとした。撫でようとすると、彼はきゅっと身を縮めた。可愛い、愛する子。どんな私でいても拒否せず撫でさせてくれる、大切な子。私の身勝手さで彼が粗末にされることだけはあってはならない、絶対に。ごめんね、ごめんね。柔らかな毛並みを撫でながら、何度も謝った。
この出来事をきっかけに通院を再開し、障害者手帳を取得する。医療費控除も障害者年金も申請した。精神疾患を持つ人々が社会復帰を目指すための施設、デイケアにも通い始めた。どん底まで落ちて、自分一人ではどうにもならないと悟ったのだ。今まさに社会復帰支援を通し、誰かに頼り、悩みを相談する方法を勉強している最中だ。
病院通いが本格化してからというもの、私は「まとも」を諦めた。私の指す「まとも」とは、周りが満足する状態まで自分を持ってゆくことであった。人生のイベントが喜びと結びつくものだと実感できぬまま、漠然としたゴールを目指して走り続けた。ただそれをこなすことが人間の義務なのだと思い込んでいた。
自殺未遂を繰り返しながら、それを誰にも打ち明けず、悟らせず、発見されずに生きてきた。約二十年もの間、母の精神不安定、学校生活や社会生活の不自由さ、病気との付き合いに苦しみ、それら全てから解放されたいと願っていた。
今、なぜ私が生きているか。苦痛を克服したからではない。死ねなかったから生きている。死ぬほど苦しく、何度もこの世からいなくなろうとしたが、失敗し続けた。だから私は生きている。何をやっても死ねないのなら、どうにか生き延びる方法を探らなければならない。だから薬を飲み、障害者となり、誰かの世話になり、こうしてしぶとくも息をしている。
高校の同級生は精神障害の果てに自ら命を絶った。彼は先に行ってしまった。自殺を推奨するわけではないが、彼は死ぬことができたから、今ここにいない。一歩タイミングが違えば私も���うなっていたかもしれない。彼は今、天国で穏やかに暮らしていることだろう。望むものを全て手に入れて。そうであってほしい。彼はたくさん苦しんだのだから。
私は強くなんてない。辛くなる度、たくさんの自分を殺した。命を絶つことのできる場所全てに、私の死体が引っかかっていた。ガードレールに。家の軒に。柱に。駅のホームの崖っぷちに。近所の河原に。陸橋に。あのアパートに。一人暮らしの二階の部屋から見下ろした地面に。電線に。道路を走る車の前に⋯⋯。怖かった。震えるほど寂しかった。誰かに苦しんでいる私を見つけてもらいたかった。心配され、慰められ、抱きしめられてみたかった。一度目の自殺未遂の時、誰かに生きていてほしいと声をかけてもらえたら、もしくは誰かに死にたくないと泣きつくことができたら、私はこんなにも自分を痛めつけなくて済んだのかもしれない。けれど時間は戻ってこない。この先はこれらの記憶を受け止め、癒す作業が待っているのだろう。
きっとまた何かの拍子に、生き延びたことを後悔するだろう。あの暗闇がやってきて、私を容赦なく覆い隠すだろう。あの時死んでいればよかったと、脳裏でうずくまり呟くだろう。それが私の病で、これからももう一人の自分と戦い続けるだろう。
思い出話にしてはあまりに重い。医療機関に寄りかかりながら、この世に適応する人間達には打ち明けられぬ人生を、ともすれば誰とも心を分かち合えぬ孤独を、蛇の尾のように引きずる。刹那の光と闇に揉まれ、暗い水底をゆったりと泳ぐ。静かに、誰にも知られず、時には仲間と共に、穏やかに。
海は広く、私は小さい。けれど生きている。まだ生きている。
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2ttf · 13 years ago
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sandicemails · 6 years ago
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砂漠歌人と砂丘歌人
 2019年7月14日ジュンク堂池袋本店内カフェにて、千種創一『砂丘律』第4刷&𠮷田恭大『光と私語』第2刷を記念してトークイベント「砂漠歌人と砂丘歌人」が開催され、55名近くが出席しました。以下その内容です。(敬称略)
1 はじめに
2 自己紹介
3 中東との出会い
4 短歌との出会い
5 旅行詠と滞在詠
6 暮らしにまつわるあれこれ
7 影響を受けた映画作品
8 音楽と短歌
9 増版とSNS
10 それぞれの作歌法
11 『砂丘律』制作秘話
12 『光と私語』制作秘話
13 翻訳について
14 『光と私語』の魅力
15 千種からの発表
16 さいごに
1 はじめに(ジュンク堂書店池袋本店・市川真意文芸書担当)
 二〇一五年末の刊行後、異例の売行で第二刷がされた『砂丘律』。この春、砂漠を詠んだ歌がSNSで大きな話題になり、第三刷、次いで第四刷が決定。一時帰国する著者千種創一を、鳥取砂丘育ちの新鋭歌人𠮷田恭大が迎えます。
 万葉時代から命脈を保ち続け、砂漠も都市も飲み込む器、短歌。その叙情はどこに行くのでしょうか。二人が語ります。みなさま、拍手でお迎えください。(千種・𠮷田が登場)
2 自己紹介
千種:みなさま、本日は雨の中お越し頂きありがとうございます。千種でございます。一九八八年、愛知県生まれです。二〇一五年、青磁社より『砂丘律』を刊行しました。
𠮷田:𠮷田です。一九八九年生まれ、鳥取県出身です。塔短歌会所属、学生時代は早稲田短歌会にもいました。今年の3月に、いぬのせなか座より『光と私語』を刊行しました。
 二〇〇九年に千種さんが外大短歌会を設立して、その初期に私が歌会にお邪魔してからのつきあいなので、かれこれ十年以上になりますね。その間には中東短歌なんていう同人誌もありましたね。
千種:そうですね。「アラブの春」の起きた二〇一二年、僕は中東に縁のある歌人たちと同人誌「中東短歌」を創刊しました。二〇一三年に第二号、二〇一四年に第三号で終刊、そして二〇一五年に砂丘律を刊行という流れです。
𠮷田:今回のトークイベントに先立って、ネットで質問���募集しました。そのうちいくつかへの回答を交えつつ、進めて行ければと思います。
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(撮影:青磁社)
3 中東との出会い
𠮷田:ではまず、千種さんの中東への関心というのは、どのようなきっかけだったのでしょうか。
千種:幼稚園がキリスト教系だった関係で地元の教会に行っていてパレスチナとかに興味があって。で中学一年生のときにNYで九・一一事件、パレスチナで第二次インティファーダ(一斉蜂起)事件が起きて、そこから更に興味が出たんです。
 だって飛行機がビルに突っ込んだり、子供が石を投げてイスラエルの戦車に立ち向かうとか、尋常ではないでしょう。何なんだこの世界は、と思って。
𠮷田:ということは、初めて知った”外国”というのはそのあたりですか。これは質問も寄せられております。
千種:はい、聖書を読んでいたので、イエス・キリストの活動していたパレスチナ、エジプト、ヨルダン、そのあたりです。小さい頃はハリーポッターみたいに架空の国だと思ってはいましたが。
4 短歌との出会い
𠮷田:これも質問が寄せられているんですが、千種さんはどうして短歌をはじめたんですか。
千種:高校まで自転車で通ってたんですけど、道中で自然に歌ができていたんです。最初は忘れるに任せていたんですけど、あるとき勿体ないと思って、高二の春からノートに書きとめ出したんです。
5 旅行詠と滞在詠
𠮷田:砂丘律の冒頭から中東の歌がありますが、詠まれた時は実際に現地に行かれていたんでしたっけ。
千種:いわゆる「アラブの春」が起こる前に、シリアとトルコを旅行しました。でもそれくらいです。大学卒業後にヨルダンに住み始めました。
𠮷田:中東に旅行してみて詠んだ作品と、中東に住み始めてからの作品というのは何か違いがありますか。
千種:砂丘律は時系列に編まれていないので、中東に住み始める前の歌もかなり入っています。そのあたりの歌はかなり想像、というか妄想です。
 妄想と現実が一致しないのはよくある話なので、実際に住み始めてから修正したり、歌集には収録しなかった歌などもあります。中東に住み始めてからは、非日常が日常になっていく感覚はありました。
 ちなみに、砂丘律を編むにあたって、もともとは一四〇〇首とか一五〇〇首とかあったものを四一〇首まで絞って収録しています。
𠮷田:削除した歌はどこかに書き留めていますか?
千種:作った歌は全部大事にしたいので、発表できるレベルに達しなかった歌たちもWordファイルに書き溜めていますね。
 身辺整理の際にはファイルをデリートしようかなと思っています。これ死後に発掘されたら、地獄やな、思ってますので。(一同笑い)
𠮷田:千種さん、整理整頓できるほうですよね。わたし手元に全然歌を纏めていなくて。『光と私語』を出そうと思って色々掘り返したんですけど、1年くらい遅れてしまいました。
千種:あ、みなさんのために補足しますと、歌人って歌をいろんな雑誌や同人誌に書くので実は作品が散逸しやすいんです。
6 暮らしにまつわるあれこれ
千種:普段𠮷田さんとはこういう話はしないので結構緊張しています。先日も台湾に一緒に行ったのですが、どーでもいい話しかせんかったもんね。
𠮷田:そうね。暮らしの話はしないもんね。じゃあ、聞きましょう。「普段何を召し上がっていますか」(一同笑い)
千種:パン食べて生きています。安い。パンにホンムス(豆のペースト)を塗って食べています。だから日本にいるときはラーメンと寿司にどっぷりですね。
𠮷田:確かに台湾でもひたすら麺食べてたもんね。(一同笑い)
𠮷田:「日本に帰国したときに驚くのは何ですか」という質問もありますが。
千種:日本人がみんな子供に見えることですね。あとすれ違う人がみんな知り合いに見えます。
7 影響を受けた映画作品
𠮷田:千種さん、好きな映画は何かありますか。
千種:邦画で言えば、例えば『ジョゼと虎と魚たち』、『海街diary』、最近で言えば『寝ても覚めても』とか、人間のどうしようもなさを描いた映画が好きです。
 影響を受けた映画としては、ふらっと入った渋谷ユーロスペースで観たポーランド映画『エッセンシャル・キリング』(イエジー・スコリモフスキ監督、二〇一〇年)。
 中東風のテロリストが、砂漠と、そして拘束後に輸送された先の雪原をひたすら逃亡する。詳しい設定説明や台詞もなく、多くが謎のまま、ただ映像が綺麗。中身を語らずとも、枠を語ることから滲み出る美しさもあるんだな、と。
 ビジュアルというよりも、コンセプトの面で影響を受けました。
 他には森博嗣���作の『スカイクロラ』(押井守監督、二〇〇八年)。キルドレというずっと子供のまま成長しない戦闘機乗りたちの終わらない、終わらせることのできない、運命や気持ちの揺れ、諦めみたいな世界観は、砂丘律にも影響しています。
千種:𠮷田さんの好きな映画は。
𠮷田:アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の『光りの墓』(二〇一五年)とか。物語も好きなんですが、それより映像と音楽で引きつけていく、みたいな映画が好きです。
8 音楽と短歌
𠮷田:じゃあ、好きな音楽は何でしょう。
千種:中学生まではバロックを中心にクラシックばかり聴いてました。でもHYという沖縄のバンドのAM11:00という曲を偶然ラジオで聴いたことがきっかけでJポップにも興味が湧きました。
𠮷田:くるりの岸田繁さんが砂丘律の推薦文を書かれてますが、くるりとの出会いは。
千種:くるりは、高校生のとき「赤い電車」のMVを観たのが最初の出会いですね。
 高校生の頃はBump of ChickenとかRadwimpsとかの切実な曲を聴きまくってました。
 でも赤い電車を聴いて、こんなゆるい曲があるんだと思って何となく気になっていたところに、進学した先の大学で友達から、聴け、といってくるりのCDを大量に貸しつけられて、聴きこむようになりました。
𠮷田:くるりをまとめて貸してくれる友人っているよね。(一同笑い) 歌人に好きな人多いです、くるり。私は早稲田短歌の先輩から布教されました。
千種:𠮷田さんの好きな音楽は。
𠮷田:あまり聴かないんですよね。舞台に使われた音楽を聴いたり、もっぱら他人から勧められたのを聴いています。最近だと空間現代とか。
9 増版とSNS
千種:今回の重版は、この春にある方のツイートに載せられたこんな歌がバズったのがきっかけでした。
 アラビアに雪降らぬゆえたた一語ثلجと呼ばれる雪も氷も /千種創一
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元URL: https://twitter.com/Ots_mh/status/1106256914915028992
𠮷田:このサルジュの歌がバズったとき、どんな気持ちでしたか。
千種:あら、それバズるんだ、という気持ちでした。
𠮷田:そうだよね、キャッチーな歌とか他にもいっぱいあるのにね。
 実は今日、会場にそのツイート主にお越し頂いております。「なんでこの歌を引いたんですか」とか、ちょっと聞いておきましょう。
(マイクを受け取りつつ)
橋本牧人:はじめまして。この歌を引いた理由ですか。僕自身が大学一年生のときにアラビア語を勉強したことがあって。学問で得た知識を詠み込んだ歌を志向していきたいなと思って、この歌を選びました。
 他にはカロリーメイトの歌とかも好きです。
 煙草いりますか、先輩、まだカロリーメイト食って生きてるんすか /千種創一
千種:ありがとうございます。
 サルジュの歌、実は過去砂漠に降った雪の写真に添えて投稿したこともあるんですが、ぼちぼち伸びたくらいです。
 今回の橋本さんのツイートがあれだけ伸びたのは何でなんでしょうね。
𠮷田:Twitter本文に表示される横書きではなくて、歌集の写真として縦書きだったことが良かったのでは。そして橋本さんがその写真を撮ったという行為がワンクッションあること、あたりも理由として挙げられると思います。
千種:橋本さんの”物語”が差し込まれているというね。
𠮷田:そうそう。しかしこれだけ伸びたのは、作者冥利に尽きるのではないでしょうか。
千���:本当に。改めて橋本さんに感謝申し上げます。
10 それぞれの作歌法
𠮷田:Twitterで拡散されやすい歌、ってあると思うんです。
 千種さんの場合は、「先輩」というような呼びかけとか、会話体を使ったキャッチーな歌が多くて、初読で印象に残りやすい。例えばこんな歌。
 あっ、ビデオになってた、って君の声の短い動画だ、海の /千種創一
 千種さん、会話体使うの得意だよね。
千種:得意というか、そうなっちゃうんだよね。和歌風に文語旧仮名で朗々と詠いあげる、みたいなのは書けと言われても書けない。
𠮷田:破調はどうですか。会話を優先するのか、定型を優先するのか、みたいな。
千種:会話優先ですね。でも歌を作るときには、寝る前とかに百回なり千回なり、ぶつぶつ口に出して繰り返して、その一行のための定型みたいなものを探します。
 𠮷田さんはどんな風に作るんですか。
𠮷田:私はスマホで作りますね。声に出すのは割と最後の段階。視覚的な収まりどころを最初に探します。そこから韻律をいじります。
 この前、地元でNHKの取材を受けたんですが、作歌風景を撮りたいというのでスマホで作っていたら「絵的に弱いから、ノート持ってきたんでこれに書いてください」と言われました。でも結局、字が汚くてボツになったというオチ付きです。(一同笑い)
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(NHK鳥取のページより)
千種:僕は気分転換で紙を使うことはあります。
 僕も記録は基本スマホなのですが、歌のいろんなバリエーションを作って、俯瞰するために紙に書き出したりします。スマホだとせいぜい三行とかしか表示できないので。
千種:𠮷田さんは音楽聴きながら歌書いたりしますか。僕はくるりの「ばらの花」とか「ワンダーフォーゲル」とかえんえんリピートで聴きながらよく書きます。
𠮷田:THE YELLOW MONKEYを聴きながら連作を組んだりした時期もありました。ありましたが、精神が不調になりますね。(一同笑い)
 最近だと落語を聴きながらが多いですね。深夜とか、人の話声が聞こえてると安心するんです。でも歌詞のある曲だと自分の書いているものに干渉してくるんで……ラジオとかポッドキャストとか、聞き流していられるようなものが丁度いいです。
11 『砂丘律』制作秘話
𠮷田:歌集にまとめる際に、改作はどの程度していますか。確か砂丘律が出た直後の批評会(二〇一六年)で、歌人の田口綾子さんが指摘されていましたが。
(批評会記録:http://dunestune.blog.fc2.com/blog-entry-4.html )
千種:はい。当初、文語の歌も少しはあったんです。でも口語の多い砂丘律の中では浮いてしまうので、改作したり、もしくは泣く泣く落とした歌もありました。
𠮷田:ではその辺の歌は、没後出てくる感じで?
千種:出ません。出させません。(一同笑い)
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𠮷田:砂丘律は装幀・デザインもかなり話題になってました。
千種:当初、出版社の青磁社には、洋書のようなシンプルなペーパーバックで、写真はこれ使って、というような何となくのイメージを伝えていました。
 割と装幀は自分で介入するつもりでした。
 でも砂丘律の原稿を読んだ、濱崎実幸という装幀家さんに”ハイジャック”されて。「やりたいこともあるから任してほしい」と言われたので、僕も「任せます!」として任せたんです。
𠮷田:背表紙がむき出しの特殊な装幀でして、なかなか費用も手間もかかっているとか。
 実は本日は砂丘律の出版元、青磁社の永田淳代表にお越し頂いております。砂丘律に関し、どのような苦労がありますでしょうか。
永田淳青磁社代表:版元の青磁社の永田です。
 砂丘律はすべて手製本です。職人さんが一冊一冊、背表紙の寒冷紗を貼って、題簽を貼っています。今は圧倒的に機械製本が多いので普通の書店には手製本はほぼないと思います。
 砂丘律は製本代だけで300円くらいかかっています。ここにさらに印刷代などがかかります。業界の人ならわかると思いますが、定価1400円の中で製本代300円という数字は、すごいコストがかかっています。
12 『光と私語』制作秘話
千種:光と私語もまた、背中がむき出しの装幀が話題となっています。第二刷もされました。
𠮷田:砂丘律と光の私語は双子のようだ、という話も言われてましたね。本日は、光と私語のデザインを担当したユニット「いぬのせなか座」主宰の山本浩貴さんにもお越し頂いておりますので、その辺の話も伺ってみましょう。
山本「いぬのせなか座」主宰:デザインを担当した山本です。光と私語と砂丘律とを二冊並べて写真をSNSに投稿した人たちもいました。
 付き合いの長い𠮷田さんと千種さんのお二人の関係性でそういう投稿が見られたのかもしれませんが。
 実は、千種さんのこと知る前のことですが、かつて本屋の歌集コーナーで一番かっこいいと感じた砂丘律をジャケ買いしていました。
 そうしたこともあって、光と私語をデザインする際には影響を受けないようにしていたのですが、結局似てしまったのが面白かったです。
 ちなみに光と私語はコデックス装という装幀です。
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𠮷田:先般増刷された堂園昌彦さんの『やがて秋茄子へと到る』なんかもそうですが、なるべく長く売っていくためには、なるべく人に手に取ってもらうようなデザインが大事だと思っています。製品としての存在感があったほうがいいのではと。
千種:一時期、電子書籍で歌集を出そうという潮流がありました。紙の本が電子書籍に勝てるところといったら装幀とかと思って、砂丘律を出す際にはこだわりたいと思っていました。
𠮷田:電子書籍のメリットは版切れのないことと、アクセスの良さですよね。
 『光と私語』については近日中にデータ版を無料公開する予定なのですが、そこをきっかけに書籍版を購入してくれる人が少しでもいればいいなと思っています。何せ紙の本にはマテリアルとしての良さがありますので。
千種:軽く言っちゃうと、本のインスタ映えとかね。
𠮷田:そうそう。重要。
13 翻訳について
𠮷田:千種さんは割と、主題制作、つまり連作の中で物語を立ち上げるという試みをされていますが。
千種:はい。砂丘律の中だと、「或る秘書官の忠誠」という連作があって、独裁者の秘書官になりかわって詠んでいます。が、すごく評判が悪い。
 あと、確か歌人の紀野恵さんが、一時期、紀貫之か何かに成り代わった連作を雑誌「短歌研究」に連載していたんですけど、まあ、なかなか難しいですよね。
 それは歌人の力の限界なのか、それとも短歌という詩型の限界というか、向き不向きのような話だと思っています。
𠮷田:単純に物語を立ち上げるだけだったら、散文に分がありますからね。
 物語といえば、千種さんはアラブ文学の翻訳もされていますよね。中東短歌にも、歌と並行していくつか翻訳を発表されてました。
千種:はい。今日のチラシには「歌人・翻訳家」と書いてあるんですが、実はまだ翻訳で本を出せていません。
 とある出版社に翻訳の持ち込みをしたのですが、アラブ文学では商業出版はなかなか難しいと却下されてしまって。
 もちろん図書館に行けば翻訳されたアラブ文学もぼちぼちあるのですが、湾岸戦争、九・一一、アラブの春、など大きな事件が起きて、読者の関心が大きくなったときに翻訳・出版されたものが多いと聞きます。
𠮷田:中東情勢が荒れると、翻訳が出るということですね。となるとあまり出ない方が世界の平和のためには良さそうですが。(一同笑い)
 私は舞台関係のマネジメントを仕事にしているのですが、演劇界隈でも、中東への関心というか、アーティストを日本に招聘したり、作品が日本で試演されたり、ということが増えている印象があります。今後、政治情勢だけではなく文化の面でもフック��増えていくのではないかと思います。
千種:そう願います。みなさまの中にアラブ文学の翻訳出版に興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ千種にお声かけを。宣伝しちゃった。
14 『光と私語』の魅力
千種:僕が自分について喋りすぎているので、光と私語の魅力について話します。話していいですか。話しますね。
 光と私語は、「枠」の歌集だと思っています。
 まず、装幀については、プラスチックのカバーだったり、本文中に四角や長方形のボックスが差し込まれていたり、視覚的にカクカクしているのが、とても都市っぽい、枠っぽいです。
 歌について言えば、例えば一月とか「時間枠」を読んだものが多くあります。
・一月は暦のなかにあればいい 手紙を出したローソンで待つ
 他にも、枠としての建築への関心も示されています。
・恋人の部屋の上にも部屋があり同じところにある台所
 短歌では、部屋でタバコを吸う「私」の恋人とか、一月に「私」が友達と行く初詣とか、枠の中身について話すのが普通です。
 一方で、光と私語では枠ばかりについて話すことで、「私」が希釈されます。
 でもそれこそが都市のリアル、我々が見る都市の人間像でないでしょうか。とてもリアルな。
𠮷田:なるほど。なんだろう、たぶん個人的には、私自身以外のところから私性を取り出したいのですよね。あまり自分の話をしたくないというか、枠の中身はどうでもいいというか。単に自分に自信がないだけかもしれませんが。
15 千種からの発表:活動再開宣言
𠮷田:そろそろ時間だけど、告知とかしましょうか。
千種:何だっけ。
𠮷田:ほら、これからの、歌の。
千種:え、ああ、これまとめに入ってますね。(一同笑い)
(考え込んだあと)ちょっと、実は、その、第二歌集を用意しています。冬か春くらいに出せればな、と。タイトルは「千夜曳獏」。
𠮷田:ここ数年は歌からは離れてましたが。
千種:はい、そうですね。
(しばらく考えて)砂丘律を出したあとに、言葉との距離がわからなくなってしまって。
 他人に不誠実な言葉、例えば嘘、を吐いてしまうこんな自分が、歌で綺麗な言葉を使っていてよいんだろうか、って。
 言葉を単なる道具みたいに扱っているんじゃないか、って怖くて。
 もちろんその葛藤や罪悪感はまだあるんですが、書くのをやめたこの数年、病気みたいになっちゃって。僕にとって書く行為は生体リズムの一部だったというのがこの数年でわかったことです。
 書いて褒められたいとかではなくて、書かざるを得ないんです。書いちゃうんです。ほら、マグロって泳ぎ続けないと死ぬじゃないですか。あれです。
 今後、また書いていきます。良いものが創れればと思ってますので、みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
𠮷田:今日は、その言質を取れたら勝ちだと思って来たので。もう引き返せないですよ。
千種:やられたわー。みなさんこれ、打ち合わせと違う展開です。(一同笑い)
16 さいごに
𠮷田:では最後に一言、どうぞ。
千種:はい。いろんな奇跡が重なって、僕もここにいるし、みなさんもここにいると思っています。
 𠮷田さんがいなければ僕はこんなに短歌にのめり込まなかっただろうし、砂丘律は青磁社や装幀家の濱崎さんがいなければ生まれなかった本だし、橋本さんのツイートやジュンク堂さんからのお声掛けがなければこのイベントもなかったと思います。
 書き手として本当にありがたいと思っています。みなさま、今日はお越し頂き、ありがとうございました。
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hirasen · 3 years ago
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#ひらせん食堂 の #超豪華ディナー ( #笑 )は、 #角田市 の #ネギ彦くん と #柴田町 の #雨乞の極み #ピーマン味噌 を #ご飯の上でドッキング 、 #まさにピリ辛の共演 !? #そして 、 #きゅうりとワカメとカニカマの酢の物 、 #お酢はサイコーだぜ ! #チャーシュー も #ウンメ〜 ♪ #ネギ彦くんピーマン味噌オンザライス を #混ぜまぜマゼMAZE して、 #見た目はアレですが 、 #コレまたゴクジョー !! #おっと忘れった 、 #おでん や #白菜漬け 、 #きゅうり漬け も #ウメガッタね〜 ☆ #家族の皆様 、 #愛情たっぷりな料理の数々に深謝申し上げます ♡ https://www.instagram.com/p/CWdXAz5JQ0u/?utm_medium=tumblr
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ronpe0524 · 4 years ago
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こんな感じで半年終わっちゃうのかぁ、な6月(2021年6月の日記)
■2021/6/1 6月がはじまった火曜日。いやー忙しい。録画しているTVや、聴くべきラジオ(radiko)がたまっている。Diggn'シリーズのお題作品も見れていない。まずい。僕モテの情報コーナーは新しめの情報を入れて完成。夜、娘を寝かしつけながら寝ちゃいそうだなぁ、と思っていたら寝てしまった。しかし深夜2.5時に起きて、Netflix『スーパー・ミー』とBS録画『名探偵ポワロ』E55を見る。明け方、またちょっと寝る。
■2021/6/2 水曜日。早朝から仕事のトレーニング(もちろんオンライン)でしんどい。仕事も次から次へのやってくる。ラジオとか聴きながらやる余裕がない。昼にコンビニへ。帰宅してから買おうとしていたものを思い出しがっかり。Netflix『ゴースト・ラボ:禁断の実験』を見る。
■2021/6/3 木曜日。いやー仕事が忙しい。やることがたくさんある。夜、A代表 VS U24の代表戦を見る。藤元監督の監督ラジオを聴く。聴いていたが途中で寝落ちしてしまった。。
■2021/6/4 金曜日。新人(中途入社)の方へ、自分の業務概要を説明するオンラインミーティングを1時間ほど。これ(聞く方にとっては)本当に良い試みな気がします。自分が新人のときもこういうのがあれば良かったのに。それ以外の仕事も忙しかった。仕事終わって、娘の夕飯準備して、勉強やらせたり、風呂に入れたりして、自分が風呂に入る頃にはくたくたであります。娘が寝るタイミングで案の定、自分も寝てしま��。なんとか深夜2.5時に起きたので、イタリア映画祭2021オンライン『悪の寓話』を見る。U-NEXT『バリー』S2E1を見る。Apple tv+『リーシーの物語』S1E1を見る。
■2021/6/5 土曜日。娘の小学校の運動会。保護者が見ることができるのは徒競走とダンス、トータル1時間ぐらい。徒競走も転ばなかったし、ダンス(サンバ)も元気に踊れていて何よりです。午後は娘も久々に家でのんびりできた感じ。夜、U24の代表戦を見たり、「9時ゆる」を見たり、シネマクティフ東京支部の音声配信外伝の収録にゲスト参加。そしてキンザザのイシガミさんもゲストで参加してくれた。急にお願いだったんですけど出ていただいて感謝。EUフィルムデーズオンライン『オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険』を見る。Amazon Prime Video『地下鉄道~自由への旅路~』E4を見る。U-NEXT『バリー』S2E2を見る。Apple tv+『リーシーの物語』S1E2を見る。
■2021/6/6 日曜日。午前中に1本だけ映画を観れる時間があったのでMOVIX昭島へ。朝一、けっこうお客さんが多くてなんか嬉しい。『るろうに剣心 最終章 The Beginning』鑑賞。夜、ドラマ『ネメシス』放送前後のインスタLIVEを見る。うまく配信できず入江監督がかなり焦っていた。U-NEXT『ある用務員』を見る。U-NEXT『バリー』S2E3を見る。BS録画『名探偵ポワロ』E56を見る。マイケル・ファスベンダーがゲストの回だ。
■2021/6/7 月曜日。なんと娘は運動会の振替で学校休みとのこと。僕は仕事なので家で大人しくしていてもらうのが大変であります。両親がワクチン1回目の日だったので電話してみる。ぜんぜんなんともないとのこと。夜は日本代表の試合を見たり。U-NEXT『バリー』S2E4を見る。Amazon Prime Video『ノクターン』を見る。
■2021/6/8 火曜日。まだ先の予定であり公開はできないけれど、この夏の楽しそうなイベントの連絡がやってきた。なんとか参加できるように今から調整。昼に両親がでかいスイカを持ってきてくれた。母親は昨夜、ワクチンを打った方の腕が痛くなったようだ。発熱はしていないらしい。父親はなんともないとのこと。やはり個人差が大きいようだ。夜にラロッカさんとDiggin' Netflix収録。娘を寝かしつけていたらそのまま寝てしまって、収録開始の10分前に起きた。あぶなかった。今回はめずらしく映画とあまり関係ない話をしてしまった。U-NEXT『バリー』S2E5を見る。凄い回だった。再放送の古畑録画を見ながら寝てしまったようだ。
■2021/6/9 水曜日。朝、娘の学校の準備を手伝いながらTwitter TLを遡っていたら杉田監督の映画話配信が昨夜あったことを知る。うーむ聴きたかったこれ。なんとなくのり弁食べたくなって、お昼はセブンイレブンののり弁を食べる。半年に1回ぐらい食べたくなります。いろいろあって��母がまたきてくれた。本当に申し訳ない。FC東京、天皇杯敗戦。もー。Disney+『ロキ』S1E1を見る。U-NEXT『バリー』S2E6を見る。
■2021/6/10 木曜日。やや仕事が落ち着いている。嬉しい。夜、オンライン試写にて『ドゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』を視聴。U-NEXT『バリー』S2E7を見る。
■2021/6/11 金曜日。今日も仕事が落ち着いていて嬉しい。小3の娘、今日から6時間授業がはじまった。6時間授業だと、帰宅後に向かう英会話にギリギリのタイミングだ。おやつを食べる余裕もなくちょっとかわいそう。6月のボーナスの明細確認。社会人になって20年以上、過去最高額を更新。会社の業績も良いし、個人評価も良かったのです。まぁ僕の手元にくるお金は僅かなのですが。夜は日本代表VSセルビアの試合を見たり。U-NEXT『バリー』S2E8を見る。すごいところで終わる。でも面白かった。Apple tv+『リーシーの物語』S1E3を見る。
■2021/6/12 土曜日。午前中、1本だけ映画を観に行ける時間があったのでTOHOシネマズ立川立飛で『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』鑑賞。同回を観にきていたさっちゃんさんに会えた。去年の僕モテイベント以来だろうか。以前は毎月顔をあわせていたのに。お昼にモスバーガーを買って帰宅。午後はU24の試合を見たり、娘に勉強をやらせたり、図書館に行ったり。スターチャンネルEXが期間限定で99円という破格なので加入。本来であればルカ・グァダニーノのドラマを見とくべきなのでしょうが、すごい気になっていた『インベスティゲーション』E1を見る。以前にClubhouseで話を聞いて見たかったやつ。面白いかも。夜、娘を寝かしつけてから電車で実家へ。翌日に使う車を借りに。スマホで「9時ゆる」を聴きながら移動。春本監督、ベルリン行くんだなぁ。
■2021/6/13 日曜日。午前中から娘と車でMOVIX昭島へ。『驚き!海の生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た!』を観る。『ダーウィン~』の映画はいつもパンフがないんですよね。映画を見終わり娘と実家へ。午後は実家でのんびりすごす。夕飯を食べすぎて苦しい。夜、娘が寝てドラマ『ネメシス』の最終回まではなんとか見たけど、そこで力尽きるように寝てしまった。。
■2021/6/14 月曜日。昨夜もうっかり寝てしまったので睡眠時間はたっぷりである。朝からスターチャンネルEX『インベスティゲーション』E2を見る。面白い。お昼はお蕎麦であります。暑くなってくると蕎麦とかうどんとか豆腐ばかりの昼食になりそう。娘が受けた英検準2級1次の結果が出て、これがなんと合格。今回はあまり勉強期間がなかったので年内になんとか、という状況だったので素晴らしい結果。知らない単語も多い中、文脈で補って正解しているのだと思う。幼稚園から英会話をやっているとベースが違うな、という感じ。夜、今日こそは寝落ちしないぞ、という強い気持ちで娘を泣かしつけるが寝落ちしてしまった。不覚。。
■2021/6/15 火曜日。夜中に何度か起きたような気がするが、だるくてまた寝てしまったようだ。たぶん9時間ぐらい寝ている。寝すぎだと思うのだけど眠くて眠くて���大きな病気をする前は4~5時間の睡眠で大丈夫だったのに。あれは体に無理をさせていたのだろうか。夜は日本代表の試合を見たり。そして今日こそ寝落ちしなかったぞ。10年以上も前のツイートが引用された通知がきて、何かと思ったらZAZENが豊洲のLIVEで「半透明少女関係」を演奏したらしい。マジか―。もうやらないと思っていた。アーカイブで見ようと思ってニコニコの有料チケットを購���したんだけど、ぜんぜんシリアルコードが送られてこない。ひどい。しょうがないから映画とかドラマを見る。BS録画『名探偵ポワロ』E57を見る。スターチャンネルEX『インベスティゲーション』E3を見る。U-NEXT『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を見る。ここまで見てもシリアルコードが送られてこないのでお客様サポートにメールして寝る。
■2021/6/16 水曜日。今日は午前半休をいただき新宿へ。ケイズシネマで【DROP CINEMA FESTIVAL Vol.35】『こわす。』『狭隘な世界での真実』を鑑賞。『狭隘な~』のエンドロール、スペシャルサンクスで入江監督の名前あり。時間がないのですぐに電車に乗って自宅戻り。なんとか13時には在宅仕事開始です。夕方になって昨夜に問い合わせたニコニコ動画からの返事がやっときた。チケット購入時に「メールで送ります」という文面があったのに「メールで送られるものではありません」とのこと。指定のあったリンクで必要なシリアルコードを確認。納得いかないけどこれでアーカイブ見れるだろう。夜、西尾孔志監督らのSpaceを聴く。お題は『映画大好きポンポさん』。ZAZEN BOYS 「MATSURI SESSION」 豊洲PIT公演をアーカイブで見る。本当に半透明少女関係をやっていた。最後にLIVEで半透明を聴いたのは2010年の年末、CDJでだと思う。結婚した年だ。娘もまだ生まれてない。震災より前だ。映像で、アーカイブで見ているのに涙が出てくる。よくZAZENのLIVEにいっしょに行っていた友人に思わず連絡した。彼も今は2児の父親であり、コロナ禍ということもありLIVEなんかぜんぜん行けてないらしい。あの頃はなんて贅沢な時間を過ごしていたのだろうか、と今は思う。Disney+『ロキ』S1E2を見る。
■2021/6/17 木曜日。ニコニコの仕様がよくわからないけど、朝になってもまだZAZENのLIVEが見れたので半透明だけ見てしまう。やはり何度見ても感動だ。お昼は豆腐を食らう。そしてお昼休みにまた半透明を見てしまう。最高だ。泣いちゃう。夜、娘が寝てから藤元監督の監督ラジオ配信を見る。撮影の岸さん参加ということで予想どーりの面白さ。まだまだ発見のある『海辺の彼女たち』、面白いな。ジミソラジオをリアタイで聴き、まだ見れたのでZAZENの半透明をもっかい見てしまう。最高だ。スターチャンネルEX『インベスティゲーション』E4を見る。Netflix『ショーシャンクの空に』を見る。
■2021/6/18 金曜日。朝、ZAZEN豊洲の視聴期限が切れていてもう半透明が見れなかった。かなしい。かなり疲れがたまってきてる感じもあり、イライラしてしまってる感もあってよくない。夜、入江監督と大川編集長の書評対談YouTube���久々に見る。入江監督、おかえりなさい感。スターチャンネルEX『インベスティゲーション』E5を見る。玉田企画『サマー』を配信で見る。演劇も観に行きたいなぁ。
■2021/6/19 土曜日。朝から娘を習い事へ送り、僕は映画2本観れるチャンス到来。シネマシティで『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』と『クルエラ』鑑賞。いやー映画ハシゴできるのは嬉しいです。娘を迎えに行き、スーパーで買い物して帰宅。娘に夕食を準備しつつ、やついフェスの「キングオブコントへの道」を見る。楽しい。FC東京の試合をDAZNで見たり、YouTubeで「9時ゆる」見たり。春本監督のベルリンレポートは面白かった。
■2021/6/20 日曜日。朝一でDisney+『あの夏のルカ』を見る。娘と実家へ。ついでに散髪にも行く。さっぱり。今日もやついフェス、「エレ片劇団」と「キングオブコントへの道」を見る。夕飯までご馳走になり帰宅。娘を風呂に入れつつ鈴木親子のClubhouseで『あの夏のルカ』回を聴く。Netflix『ダンシング・クイーンズ』を見る。Apple tv+『リーシーの物語』S1E4を見る。スターチャンネルEX『インベスティゲーション』E6を見る。これで完走。すごい面白いドラマだった。
■2021/6/21 月曜日。ミーティングが多い。サンクス・シアター『永遠に君を愛す』を見る。STARZPLAY『ブラインドスポッティング』S1E1を見る。
■2021/6/22 火曜日。映画『シュシュシュの娘』についていろいろと情報解禁に。面白そうじゃないか。夜はけんす君、なんすけ君と音声配信収録。途中でうちのネットワークが不安定となり申し訳なかった。BS録画『名探偵ポワロ』E58を見る。
■2021/6/23 水曜日。もう休暇を使わないと映画を観れない。午前半休を使いMOVIX昭島で『モータルコンバット』を観る。こうゆうの劇場で観ないとな、やっぱ。あぁ。ついに僕が愛用しているPSVitaがもうダメっぽい。いつかバッテリーがダメになるとは思っていたけど、その前にキー操作がダメっぽい。販売終了品なのでもう新品は買えないし高い。Vitaを何に使っているかというとゲームなどは一切やってなくて、基本的にトルネで録画したTV番組をVitaに書き出したりして見てるのです。僕は映画や海外ドラマばかり見てるとよく思われているけど、日本のTVドラマやアニメもかなりの数見ている方だと思います。それらをほぼVitaで見てるのでこれが使えなくなるのは本当にいたい。とりあえずトルネからスマホに書き出せるアプリがあるのでそれで代用しようかと思いますが、Vitaの操作性は圧倒的だったんですよね。とても残念です。『ロキ』S1E3を見る。WOWOWオンデマンド『ずっとお城で暮らしている』を見る。
■2021/6/24 木曜日。Netflixではじまった『全裸監督』S2E1を見る。駒木根さん出演。Netflix作品は名優はじめてかな?夜にMCTOS『ダンシング・クイーンズ』回に参加。藤元監督の監督ラジオと、京浜ネバーランドは後から聴く。Amazon Prime Video『ザ・ファブル』を見る。
■2021/6/25 金曜日。朝から八王子の病院へ。診察だけなのですぐに終わる。お金も後払いシステムになったのでとても助かる。11時前には帰宅できたので午前半休をキャンセル。フレックスで在宅勤務開始。夜、なんだか疲れてしまい寝落ち。
■2021/6/26 土曜日。娘を習い事に送ったあと新宿へ。新宿ピカデリーで『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』鑑賞。カフェでランチ。マルイ本館へ。BEERのポップアップストアにて伯周さんとブッチさんに会えた。ブッチさんもなんとなく僕のことを覚えていてくれて「前はもっとげっそりしてましたよね?」と。そう、それは大きな手術の後だったからだな。BEERのサコッシュを購入。娘を迎えに行って帰宅。夜はMCTGM『モータルコンバット』回に参加。主にフェイタリーについて語る。「9時ゆる」は時間差で見る。宇多田ヒカルのインスタLIVEはアーカイブ待ち。『全裸監督』S2E2を見る。Apple tv+『リーシーの物語』S1E5を見る。
■2021/6/27 日曜日。娘と実家へ。お昼はスシロー。娘はスシロー大好き。午後はペップさん主催の上半期ランキング発表会にリモートで参加。もうそんな時期ですね。夕飯までご馳走になり帰宅。夜はFC東京の試合をDAZNで見たり。ひとつ音声配信の収録がキャンセルになったので集中して映画を見る。サンクスシアター『ひかりの歌』を見る。WOWOWオンデマンド『無敵のドラゴン』を見る。U-NEXT『KCIA 南山の部長たち』を見る。Netflix『全裸監督』S2E3を見る。
■2021/6/28 月曜日。月曜はミーティングが多い。両親が2回目のワクチン接種とのこと。大丈夫でしょうか。WOWOWオンデマンド『ボディカメラ』を見る。Netflix『全裸監督』S2E4を見る。
■2021/6/29 火曜日。最近は朝、娘が学校に行ったあと、30分ぐらい映画とかドラマを見てから在宅仕事をはじめるようにしている。なぜなら夜は眠すぎて集中力がなくなるからだ。先週、足をくじいたとか云っていた娘がまだ痛いと云ってるので整骨院とかに行くようかな。捻挫かな。WOWOWオンデマンド『パージ:エクスペリメント』を見る。Netflix『全裸監督』S2E5を見る。
■2021/6/30 水曜日。U-NEXT『おろかもの』を見る。Netflix『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を見る。Netflix『全裸監督』S2E6を見る。Disney+『ロキ』E4を見る。夜には上半期の映画ベスト10もツイート。とりあえず劇場公開作から選んだものを。そのうち配信作品のやつとかの上半期ベストも出すつもりです。映画は去年より観れておりません。なんだかんだと今年の前半も大変だった。でも楽しかったことも多いし、これから楽しみにことも多い。というわけで6月も終わり。2021年も上半期も終わりですね。
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short-span-call · 4 years ago
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#076 ナビゲーター(袋小路でやぶから棒に)
 あの、すみません。まずは、あの、はい。お、お、落ち着いて。あ、すみますみすみすみません。とりあえずは、まずは、なにをおいても、こういう時は、ええ、絶対的、可及的、速やかに、落ち着くことが大前提かつ大事ですから。はい。とにかくまずは、深く、ふかく、ふか……げええっほんえふんげふんごめんなさいんんんっ。はい。深呼吸から……はあ、深呼吸から始めましょう。それから、すべてはそれからです。息をすう〜、はあ。すう〜、はあ、して。……そう、そーうですはいはい。はい。はい。よくできました〜。あっすみませんすみません。怒らないでください。馬鹿にしているわけではないんです。けっして、断じて、誓って、そんな失礼なこと、あなたにするわけないじゃありませんか。そう思いません? 思いますよね? よかったよかった。それでですね、まずはそのー。あっ、挨拶がまだでしたね。えと、おはようございます。あ違うか違いますね。はじめましてですねこういうときは。人と人がはじめて、こう��顔面を合わせると言いますか。初対面。そう、初対面、ですよね? 満員電車の中ですとか、信号待ちの間ですとか、もしかしたらもしかすると、偶然ばったり出会っていたのかもしれませんけど。あ、こういう場合――つまり、まだちゃんとした初対面の挨拶を交わすより以前に、あなたを見かけていた場合――も、ばったり、とか、偶然、って、使うんですかね? そこんところ、ちょっとよくわかんないんですけども。でも、そうですね、とりあえずは、はじめましてにしておきましょうか。しておいてください。どうか。どうか……。  えと、それでですね。あなたの頭には今、たくさんのハテナが浮かんでは消え浮かんでは消え――あ、消えてはいないですか。それは失礼しました――、していると思うんですよ。そりゃ思いますよ。思うことでしょう。誰だってこんな、非常時にはそういう思考回路が働くものです。誰だこいつら、と。なんでこんなに腰が低いんだ、と。そもそもなんで部屋にいるんだ、と。こんな早朝に、と。まだアラームが鳴る二時間も前なのに、と。得体の知れない輩に安眠を妨げられたぞ、と。今日は祝日なのに、と。小鳥のさえずりしか聴こえないくらい早朝じゃないか、と。チュンチュク鳴いてるあの小鳥はスズメだろうか、と。そうですおそらくスズメです。それにしても最近、スズメを見かけなくなりましたよね。なんでも年々スズメ��数が減っているらしいですよ。ええ。ええ。本当ですとも。こんな所で嘘なんかついてなんになるんですか。こんな、高層ビルの裏の、袋小路の、ゴミ臭い、陽の当たらない場所で。……そうですとも、まだ寝ぼけてますね。大丈夫ですか? もう一度深呼吸しますか? コンコンコン、おーるーすーでーすーかー? いえいえ冗談ですってすみませんってばふふふ。ああ失礼。とにかく、今一度、辺りを見回してください。たっぷり、首を左右上下に、三往復くらい、動かしてみてください。首の運動には眠気をふきとばす効果もあります。そうしたら、けっして慌てずに、まずはこの文章に目線を戻しましょう。  これでようやくお分かりになりましたでしょうか。ああ、よかった。ホッとしました。とりあえず、ホッ、とさせてください。この仕事も、いろいろと気苦労が絶えないのです。ほら、その、あなたのように、イレギュラーな状況で浮空期に突入した場合、パニック障害を併発することもめずらしくないのです。ええ、ええ、ここだけの話。そうなんですよ。  まさか俺が。そう思ってますか? ついにきたか。そう思ってますか? なんでまたこんな時期に……。そう思ってますか? まあ、災難ですね、としか言いようがないですね。五年間、学生のころから付き合っている人と別れて、しかもその人には二年前から別の恋人がいて、つまりあなたは二年間浮気をされていて、しかも付き合っている人的にはあなたより浮気相手のほうが本命で要するにあなたは浮気されていたと言うよりあなたが付き合っている人にとっては浮気相手のようなもので、お荷物で、ただのヒモ野郎で、ノータリンで、……みたいなことを昨日の夜付き合っている人と付き合っている人の浮気相手に一方的にまくし立てられて、あなたは驚きすぎてなにも言い返せなくて、むしろ驚きを通り越してなにも感じなくて、なにも感じないのだから当然言うべき言葉も言いたい言葉もなにも浮かばずただあなたは「ふうん」という心持ちで冷蔵庫から缶チューハイ――夏みかん味の五〇〇ml――を取り出してグビグビ飲んで、飲んでいるうちにやっぱりなんだかムシャクシャするなあとぼんやり思い始めて、特に暴れもせず泣きわめきもせずに、無表情のまま付き合っている人の浮気相手の頭頂部に残りの缶チューハイをダバダバと注いで、付き合っている人も付き合っている人の浮気相手もなぜだかまったく動じずに「なにこいつ」といった眼をあなたに向けるだけで、缶チューハイを注ぎきったあなたは「ほいじゃ、俺はこれで」とでも言い出しかねないくらい気さくな身のこなしで玄関の百円ショップで買ったオレンジ色のサンダルを履いて、行きつけの、駅前のおでんの屋台にでも行こうかなと足を動かしはじめたはいいものの、途中でそっか今日日曜日だわおでん屋やってねーわってことに気づいてしばらく迷いながら歩いた結果駅前のカラオケ館に足が進んで、人生初の一人カラオケというものでもしてみようかという気持ちにだんだんなってきて、「一名で」なんて少しぶっきらぼうに、顔を横にぷいっとそむけそうなくらいそれはそれはぶっきらぼうな「一名で」を店員に向かって投げ捨てて、二〇一の札を笑顔の店員に渡されてあなたは仏頂面のまま二〇一号室までペチペチ――サンダル履いてますからね――歩いて、着いて、固いんだか柔らかいんだかはっきりしないソファーに体を沈めたあとに「別に俺、歌いたい曲ねえや」ってことに気づいてその言葉を実際に口に出して、何回か舌打ちしながらメニュー表をめくって少し迷った末にあなたは生ビールを頼んで、パリパリという音と共に今にも剥がれ落ちそうなくらい乾いた笑顔で店員がそれを運んできて、あなたは痙攣のような会釈だけして店員が去るのを待って、一息で飲んで、頼んで、飲んで、頼んで……、午前三時――つまり日付的には今日、ですね――の退出コールギリギリまでそれを繰り返して、千鳥足で、階段で二、三度転けそうになりながら、爪先立ちみたいな体勢で一階のレジまで歩いて、店員に番号札を渡してから「そういや俺財布持ってきてねーじゃん」ってことに気がついて、「やべ」と口から出かけて、千鳥足のまま操り人形みたいなぎこちない動きで右向け右をして、そのままダッシュで逃げて――お客様! おい! お客様! という声を後ろで聞きながら――この路地裏まで逃げて逃げて逃げて、倒れ込んで、眼を閉じて、そして眼を開けたら見知らぬタキシード姿のおっさんがいて、こんなあなたのプライベートな情報をペラペラと喋られているんですからね。ほんと、災難でした。いや、現在進行形で、残念ですね。ご愁傷さまです。あ、死んでないですね。しか��ながらですね、もうちょっとクサい言い方をさせていただきますとあなた、あなたの心はもう死んでいるようなものです。あなたの半分、半身は、ご愁傷さまって感じですね。ほんと。ところでご愁傷さまってあなた、実生活で言われたことあります? 初めて言われたんじゃありませんか?  とりあえず、あなたは今、立ち上がっています。いますよね? まあ、地に足は着いていませんが――いえいえあなたの生き方がというわけではありません、ですからどうか、その握りこぶしを解いてください……そう、そう、ゆっくり、ゆっくりね――、とりえあず、〈立ち〉上がってはいます。ね。そうでしょう?  あなたみたいなケースはわりかしめずらしいのです。ですから、ええ、さきほどから再三、口をこれ以上ないというほどすっぱくして申し上げておりますが、どうか、落ち着いて、冷静に、行動なさることが肝要なのです。浮空期の初期段階に不慮の事故等で死亡してしまうケースはままあります。ですから、あなたのこれまでの人生の、常識の枠は一旦、外していただいて、どうか、説明委員会の言葉に耳を傾けていただきたい。いいですね? はい。いい返事です。そうしましたらまずは、説明委員会の名に恥じぬよう、簡単かつ簡潔に、ご説明のほう、させていただきます。  まずはそう、あなたの足元、ゆっくりと、再度確認してみましょう。はい、そうです。そうですね。浮いています。宙に浮かんでいますね。重力から解き放たれて。歩こうとしても足がスカスカッと空を切って歩けませんね。ええ。そうです。浮空期の間、通常の方法で――つまり、左右の足を交互に、前後に動かして体全体を前に押し進めるという方法のことですね――歩くことができません。ええ、ええ、仰りたいことはわかります。不便ですね。とーっても不便です。エスカレーターに乗ってもあなたの足の下で段差が動くだけです。エレベーターは……、ふふ……、ああ、いえ失敬。すべてを説明してしまっては興も冷めるというもの。わたくしども説明委員会は、過剰な説明は過剰な愛、を社訓――委員会の場合も社訓って言うんでしょうか――に掲げて日々浮空期の方々へのツボを押さえた適切かつ適度な説明――そう、それはほとんど愛――を心がけております。ああっ、そこそこ、その説明。あーちょうどいい、いやあいいわあ。きもちいい……。という声をいただくこともままあります。というわけで、あなたには、肝心要の部分のみ、ご説明させていただきます。あなたもこの宇宙の、この地球の、つまり、宇宙船地球号の乗組員である人間ならば、今、ご自分の体に起こっている現象、そしてその現象の名称、ある程度は理解しているはずです。なにしろ今は朝の七時。人間の脳みそが一番活発に動く時間帯です。もっとも、その三〇分前までに朝ごはんを食べていればの話ですが。あっ、そういえばタキシードの右ポケットに、あなたに会う前にコンビニで購入したおにぎり――焼きたらこ――が入っています。説明と、あなたの練習がてら、このタキシードの右ポケットから、自力で、おにぎりを取ってみてください。安心してください。取って食おうってんじゃないんですから――それに、取って食おうとしているのはあなたですよ――。さあ、指示通りに、体を動かしてみてください。まずはお尻の穴……肛門付近に力を入れてください。なかなか出てこないイケズな大便をひり出すように――もちろん、本当にひり出してはいけませんよ。そういう人、案外多いんです――。そして右人差し指の爪を甘咬みしてください。それが体を動かす方法です。車に例えると、肛門に力を入れることが、エンジンを吹かす行為、右人差し指の甘咬みが、エンジンとハンドルを操作する行為です。甘咬みしたまま手首を左右に動かすと、その動きに連動して……おお、そうそうそうです! その調子です! そのように、体が左右に回転します。そのまま手首を動かして、こちらに体を向けるようにして、はいはいその調子ですよ、そして、その状態で肛門に力を……そーうです! これで前進はわかりましたね。ちなみに後進――バック、ですね――したい場合は、おヘソの辺りに力を込めてください。腹筋を鍛えるような感じで……おおー、いいですね、いいですよ。はい、では、もう一度、前進して、近づいてみましょう。ちなみに力を入れれば入れるほど、スピードは速くなります。はい、これであなたとタキシードの距離は限りなくゼロになりました。ちょっと、その、気まずい距離感ですね。吐息がかかる距離、と、言いますか。恋人でないと許されない距離、と、言いますか。あっ、いえ、別にその気はありませんのでご安心を。では、右ポケットからおにぎりを取ってみてください。はい、よくできました〜! 何度も言うようですがバカにしているわけではありませんよ。なので、どうかその、怒髪天を衝くかのような肩の上下運動を辞めてくれませんか。ちなみにですね、浮空期の間は、自分の体重、身長以下の物なら、一度触れれば宙に浮かせる事ができます。ですから、その、おにぎりを口いっぱいに頬張るのを一旦中断していただいて――ええ、ええ、ほんと、すみません。お願いですからそんな怖い顔しないでください――その練習も、一応、やっておきましょう。万が一、ということがありますからね。その力が誰かの命を救う。なんてことが、無いとも限らないですから。例えばこの、二五階建てのビルが火事になって、逃げ遅れた人が外に面した窓ガラスに追いやられていたら、窓ガラスを割ってもらって、あなたはそこら辺にある――ああ、あそこにちょうどいいベニヤ板がありますね――ベニヤ板を触って、逃げ遅れた人がいる階まで浮かせて、エレベーターの要領でサラリーマンやOLの方々を救い出すことが出来ます。素晴らしいじゃありませんか。浮空期の特権です。もちろん多くの人から感謝されます。ありがとう。ありがとう。君がたまたまこんな路地裏で、酔いつぶれて寝ていたおかげで助かったよ。助かりました。握手。握手。さらに固い握手。そして感謝状の授与。嗅ぎつけたマスコミがあなたをネタに記事を書く。あなたは一躍有名人。街中でサインなんか求められたりして。ああ、はい。そうです。ええっ、サインですか。いやいやそんな。サインするほどの人間じゃあ……、ああ、そうですか……? じゃあ、まあ、はい。えっと、ここに? はい。はい。サラサラサラ、っと。あ、ちょっと、カメラはちょっと。恥ずかしいっていうかなんていうか。いやはは、まいったなこりゃ。そしていそいそと人混みをかき分けて目的の場所へ進むあなた。目的の場所――川沿いに最近オープンした小洒落たヴィーガンレストラン――には、ビル火災の中、果敢にも人々を救ったあなたのことが書かれている記事を読んだ元恋人。再会を喜ぶ二人。微笑みを交わす二人。まずはグラスワインで乾杯をしようではないか。注文をしようと手を上げたあなたを元恋人は優しく止める。ワインはちょっと。だって、私のお腹には、もう……。あなたの耳には聴こえないはずの、命の、微かだけれど確かな鼓動が聴こえてくる。そう、あなたと元恋人の――現、伴侶の――。……なんてことにもなるかもしれないのです。あ痛い。いたた。ごめんなさいごめんなさい。まだ一応、正式には、面と向かって、別れを告げられてはいなかったですね。元恋人ではありませんでしたすみません。すみませんってば。  えと、それで、なんでしたっけ。ああ、説明がまだ途中でしたね。触れた物を浮かせたい場合は、左人差し指の爪を甘咬みします。はい。そうです。甘咬みした瞬間から、物は浮きます。あとは、基本的な動作は先程の、体の操作と同じです。肛門に力を入れると前へ、おヘソに力を入れると後ろへ進みます。上へ上へと浮かせたい場合は、甘咬みしたまま腕を上げてください。上げている間、物は上昇し続けます。落下させたい場合は甘咬みをやめるか、腕を下げてください。その他、細かい動きはすべて、甘咬みしている間、左腕の動きと連動します。簡単でしょう? 最初のうちは微調整が難しいでしょうが、すぐに慣れるはずです。あなた、なかなか筋がいい。いや、本当ですよ。浮かせることすらままならない人も、最近は多いのです。……ああ、そうそう言い忘れていました。浮かせることができる物は、最後に触った物だけです。複数の物を同時に操作することは出来ません。気をつけてください。くれぐれも。  そうそう、これは最初に説明しておくべきでしたが――いやほんと、説明委員会失格ですね――。男性の生理と言われるくらいですから、女性��様、浮空期の前後、浮空期の間で心身に様々な変化が起こります。顕著に現れるのは性欲の減退ですね。浮空期の間、睾丸の機能は著しく低下します。常に射精直後のような状態になる、と言ったら、わかりやすいでしょうか。浮空期の間は女性を――ゲイセクシャルの場合ですと男性を――見るだけで苦痛に感じる人もいるそうです。いやはや、そこまでいくとちょっと理解し難いですね。とにかく、どんなにお盛んな人でも、浮空期の間は射精することが困難になります。ま、大体の人は射精をする気も起こらないので、大丈夫でしょう。  先程、常に射精直後のような状態になる、と説明しましたが、浮空期が近づいてくるにつれて、段々とそういった精神状態になっていきます。落ち着いて、冷静に、物事を判断できるようになる、ということですね。あなたは昨日、元――……失礼――恋人とその浮気相手に散々ひどいことを言われたにも関わらず、ある程度は平静を保てていました。今になって考えてみると、それは浮空期直前特有の症状だったのかもしれませんね。そして、安定した精神状態に移行してから大体三日後、夢精を合図に浮空期が始まります。……ええ。ええ。そうです。あ、気づいていませんでした? あなた、夢精したんですよ。この、高層ビルの裏の、袋小路の、ゴミ臭い、陽の当たらない場所で。あ、ちょっと、ごめんなさい、ごめんなさいってば。  ちなみに浮空期は、月一回ペースでやってきて、およそ一週間で終わります。終わる時は夢精も何も起こりません。目が覚めたとき、体が地面にピッタリくっついていれば、それが終了の合図です。性欲も、精神状態も、通常に戻ります。もう、ビンビンの、グングンです。その、あなたの、スカイツリーに負けじとそそり勃つイチモツを、存分に振り回していただきたい! まあでも、今はとりあえず、精子が乾いてカピカピにならないうちに、ティッシュ――あ、ポケットティッシュ、持ってたんでさしあげます――で綺麗に拭き取ってください。大丈夫です。後ろを向いておきますから。どうかお気になさらずに、あなたのペースで、慌てることなく、精子と、そのぬめり気のあるパンツを処理してください。ここにはあなた以外誰もいない、誰も来ない。袋小路なのですから。栗の花の匂いが染み付いたパンツの一つや二つ、ポイ捨てしてしまっても何ら問題ありません。ええ、ええ。本当ですとも。さあ、一刻も早く――されどあなたのペースは乱さずに――その青いチェック柄の、ゴムが伸びきっていて、歩くと少しづつずり落ちてしまう、三年前に――そう、恋人と付き合い始めたころ、ユニクロで――買ったトランクスを、どうぞ、地面に叩きつけてください。そして、彼がトランクスを力の限り地面に叩きつけたのとほとんど同時に、今までピーチクパーチクしゃべり続けていたタキシード姿の男の隣にただただ突っ立っていただけのもう一人の男――もう一人の男は、ジーパンに半袖シャツというラフな格好だった――が、やぶから棒に、口を開いた。川城さん、も、いっすかね僕しゃべっても。いっすかね。やっぱり〈あなた〉とか言われたってピンと来ないっすよ正直言って。えっと、矢野さんでしたっけ? わかんないっすよね。いやいや、誰だよ。みたいな。そう思いません? ……あ、ちなみに自分、宇城っす。ままま、川城さん、ちょっとここからは、もうちょいわかりやすく、僕が説明しますんで。だ〜いじょぶっすよ川城さ〜ん。これでも自分、説明の成績はトップなんで。川城さんは僕の隣で、ドシンと構えてくれてればいっすから。はい。はい。  矢野は自分の体の感覚を取り戻しつつあった。この袋小路で、怪しげな説明委員会の男二人組に揺り起こされて、ついに自分が浮空期になったということを知らされてから、ずっと、自分の体を見知らぬ誰かに操られているような気分だった。歩く動作をしているのに、前に進まない。体の向きを変えることもできない。これが浮空期か。タキシード姿の男、川城の説明を聞きながら、矢野は昨日の出来事や恋人の浮気相手のこと、サンダルで家を出たのに今は裸足だということ、雨が振りそうな雲行き、何枚も溜まっている公共料金の請求書のこと、などなど、とりあえず現時点でわかる限りの問題や不安、悩みを頭の中でリストアップしようとしてすぐにやめた。そんなこと考えてなんになるというのだろう。自分だって、恋人との生活に限界を感じていたはずだろ。職だってそろそろ本気で探さなくてはいけない。バイトでも内職でも、コンビニでも工事現場でもディーラーでも汚染処理でもなんでもいい、恋人とすっぱり縁を切るからには――やはり、そうするしかないのだろうか――、自分の時間を売ってお金に替える方法を、早いとこ見つけるしかない。それ以外のことを考えるのはやめよう。やめよう。  川城の説明通り、今の矢野には性欲がまったく無かった。まるで最初から存在していないみたいに、きれいさっぱり、消え去っていた。なるほどこれが生理か。矢野は、二八歳という、あまりにも遅咲き過ぎる自分の心身の変化を、戸惑いつつも楽しんでいた。浮空期は女性の生理と違い、始まる時期が人によって大きく異なる。五歳で浮空期が始まった宇城――今、川城の隣でしゃべり続け、言葉を書き連ね続けているジーパン姿の男――のような人もいれば、矢野のように成人してから浮空期が始まる人もいる。死ぬ間際、病院のベッドなどで始まるようなケースも極稀にだが、存在する。その点だけ見ると、生理というよりむしろ水疱瘡やおたふく風邪に近い。矢野は宙に浮かせっぱなしだったおにぎりを口に投げ入れ、というより口の中まで移動させ、ゆっくりと咀嚼した。  携帯を見ると不在通知が何件も届いていた。知らない番号だ。おそらく昨日行ったカラオケ館からだろう。なんでてきとうな番号をでっちあげなかったんだ。名前も、きっちり矢野とバカ正直に書いてしまった。いや、それよりも、なんであのとき逃げてしまったんだ。いやいや、そもそも、なんで恋人の部屋で自分はあんなに落ち着いているかのようにふるまってしまったんだ。なんで外に出たんだ。なんで財布を忘れたんだ。これもすべて浮空期の前兆がもたらした行動なのか。考えてもきりがない。どうせもう身元はわれているのだ。説明委員会の二人ですら知っている情報ばかりだ。自分があれこれ案じても何も変わらないのだ。矢野は携帯で一週間の天気を調べた。次に晴れるのは四日後か。ふん。  矢野は左人差し指を甘咬みし、携帯を宙に浮かせた。左腕を思い切り上げると携帯は物凄いスピードで上へ上へとグングン昇っていく。このまま昇り続けるとどうなるんですかね。甘咬みした状態で矢野が宇城に話しかける。まあ、大気圏は余裕で越えるっす。それでもさらに昇り続けたら、どうなりますかね。だんだん、空気が無くなっていくんじゃないっすか、詳しくは知らないっすけど。空気が無くなっても、さらにさらに、昇り続けたら、どうなりますか。宇宙まで行きますね。宇宙を進み続けたら、どうなりますかね。あーそれ、たしか、どっかで読んだか聞いたかしたんすけど、それで、どんどんどんどん進み続けて、何光年も先の宇宙まで進み続けて、そうやって浮空期の人たちが飛ばした物が星になって、星と星を人が繋げて星座にして、だから僕らがこうして星空を見て、おうし座だとかふたご座だとか言っているものは元々遠い昔の人々が宇宙に飛ばした貝殻とか、お椀とか、槍とか、弓とか、筆記具とか、パンケーキとか、ガラス瓶とか、綿棒とか、お相撲さんのマゲとか、レコードとか、煙草とか、パピルス紙とか、羊の毛とか、豆電球とか、画鋲とか、死んだ人の骨とか、貞操帯とか、トランペットとかで、だから、死んだ人がお星様になるっていうのはあながち間違いじゃないと思うんすよね。あれ、なんか、語っちゃいましたね。つまり、俺が今操作している携帯も、いずれは星になるんですね。あー、多分、そっすね、なると思います。矢野の左人差し指は唾液でふやけはじめていた。身元がわれているということは、きっと今頃、警察にも連絡がいっているだろう。早くも捜索が始まっているかもしれない。恋人の家に連絡が行っているかもしれない。いや、連絡では飽き足らず、実際に警察官が恋人の家に押し入っているのかもしれない。別れの瀬戸際でも迷惑をかけてばかりだ。昨日は恋人と恋人の浮気相手にひどい仕打ちをされたが、付き合い始めてから今までの五年間、ずいぶん恋人にひどい仕打ちをしてきた。喧嘩ではすぐに手をあげてしまうし、お金は勝手におろすし、酔って暴れて食器を割った数なんて数え切れない。もう恋人の部屋には戻れないし、戻りたくないし、警察から逃げ続けなければならない以上、職を見つけることすらままならない。財布も携帯も身分を証明するものもなにもない。あるのはポケットでくしゃくしゃになっている煙草とライターだけ。矢野はポケットから煙草を取り出し、火をつけた。吸って、吐いて、一呼吸置いてから甘咬みをやめてしまったことに気づいたが、遥か彼方まで昇っていった携帯は一向に落ちてこなかった。灰が落ちそうになっていることに気づいた宇城は矢野に素早く携帯灰皿を差し出す。ああ、悪いね。いいんすよ。心中、お察しするっす。煙草はまだ充分吸えるだけの長さで燃え続けていたが、矢野はそれを無理やり携帯灰皿に押し込んで、宇城に返した。宇城は渡された携帯灰皿を、また矢野の手のひらに戻す。いいっすよいいっすよ、その携帯灰皿はあげますんで。その灰皿見るたびに、なんとなくでいいんで、僕のこと、思い出してください。って、気持ち悪いっすね自分。よく言われるんすよ、お前は説明対象に情が移りやす過ぎる、って。ま、僕、携帯灰皿何個も持ってるんで、大丈夫っすから。矢野は口元を緩めて、ありがと、とぼそぼそ声でお礼を言った。携帯は落ちてこなかった。おそらく大気圏を越えて、地球の周回軌道にでも乗ったのだろう。それとも周回軌道すら超えて、いずれどこかの惑星にたどり着くであろう隕石やスペースデブリの一つとして宇宙空間を漂っているのだろうか。矢野にも、もちろん宇城にも川城にも、それは分からなかった。ぽつりぽつりと降り出してきた小雨に、傘をさすか否か、三人はそのことばかり考えていた。傘なんてないのに。  同時刻、矢野の恋人は住処である二階建ての軽量鉄骨アパートの部屋で、浮気相手と二人で、穏やかな寝息をたてていた。いや、眠っていたのは浮気相手だけで、恋人は一時間ほど前に目が覚めてから、どうにも寝付けずに、浮気相手の寝息を自分の前髪に当てたり、脇腹をくすぐったりして、再び眠気がやってくるのを待っていた。マヌケそうに口をぼんやりとあけて眠る浮気相手を見つめる恋人の表情は柔らかく、その表情からは、矢野と接するときの冷たさや無感情さをうかがい知ることは困難である。今夜はなにか好きなものを食べに行こう。朝目覚めた時にベッドの中で今日の夜のことを考えるのは恋人の幼少期からの癖みたいなもので、それが、二四時間のうちでもっとも愛おしい時間なのだと、以前、恋人は矢野に言ったことがあった。眠気は一向にやってこない。二度寝を諦めて、恋人は台所で細かく刻んだベーコンとタマネギを炒めた。昨日、矢野が部屋を出ていってから作り置いてあったなめこのみそ汁を温めている間、恋人は矢野が買い置きしていた煙草一カートンをまるまるゴミ袋に捨てて、灰で底が見えなくなった灰皿を捨てて、毛先が開いた矢野の歯ブラシを捨てて、LOFTで買ったペアのマグカップを捨てて、ここぞというときに食べようと思っていた矢野のエクレアを食べて袋を捨てて、捨てて捨てて捨てて、ゴミ袋を二重固結びできつく結んで、玄関の隅に置いた。ベッドでは、浮気相手がフワフワと宙に浮いていた。ああ、今月もきたか。いっつも症状重いみたいだし、大丈夫かな。みそ汁からは湯気がもうもうとたちこめている。恋人はコンロの火を消してお椀にみそ汁を入れ、ベーコンとタマネギの炒めものを小皿によそい、ラップにくるんで冷凍保存してあったご飯をレンジで解凍して、一人きりの朝ごはんを堪能した。今日の夜はなにを食べに行こう。脂っこいものが食べたいかも。チキン南蛮とかいいかもしれない。かつ吉のトンカツもいいかもしれない。いやいやそれより、脂とかいいから、少し足を伸ばして、川沿いに最近オープンした小洒落たヴィーガンチレストランに二人で行くのもいいかもしれない。考えながら箸を動かしているうちにお椀も小皿もお茶碗もキレイに空になり、満足そうに唇の周りを舌で舐めてから、恋人は洗い物を始めた。  どこかで誰かと誰かが話している声がする。向かいの公園から犬の鳴き声が聞こえる。通り沿いにある中学校から野球部の掛け声と吹奏楽部がホルンやユーフォニウムやサックスやフルートを吹く音が聞こえる。携帯がさっきからずっと震え続けているけど私はそれを無視し続けている。冷蔵庫の稼働音がわからないくらい微かに部屋を揺らしている。数分前についたばかりの脂を洗い流す水の音が規則的に聞こえてくる。油は泡と共に水で洗い流され、食器棚に置かれていたときより綺麗になったお椀と小皿とお茶碗の、キュイキュイっという、清潔さの証明のような音が部屋に響く。私はベッドで浮かぶ木下が起き��らまずなにを話そうか、考えている。ヴィーガンレストランなんて、かっこつけ過ぎだ。今日の夜は、近所のスーパーで豆乳でも買って、豆乳鍋にしようか。私も木下も湯葉が大好きなのだ。脂っこいものが食べたいのかも、という気持ちは不思議と消えていた。台所のまな板置き場のそばに、矢野の携帯灰皿が置いてあるのを見つけて、私はそれをからにしたばかりのゴミ箱にシュートした。  木下の寝息は聞こえてこない。  洗い物を終えた私は濡れた手を拭くのも億劫になって、ポタポタと指から水が滴っている状態のまま、ベッドにもう一度もぐった。手についた水は布団やまくらに吸収されて私の手は潤いを失っていく。叩いても突っついても木下は起きる気配すら見せない。私はすぐにまた起き上がり、ベッドの上で体育座りをして、自分の膝に顔をうずめながら、隣で、空中で、ゆりかごに揺られているように漂いながら眠っている木下の、静かな寝息に耳を傾ける。  五年後、矢野の携帯は地球の周回軌道を外れ、凄まじいスピードで大気圏に突入し、地表にたどり着く前に跡形もなく燃え尽きてしまう。
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mitsuki037 · 4 years ago
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改めまして素敵な作品ありがとうございます!
まずゲーム作り上げるって凄すぎる…。メッセ届いた時一瞬混乱しましたよ。
分岐の数もど偉いじゃないですか…その中にある似たようで違う文章含め私は楽しみましたよ…得られた情報によって台詞や行動の違いがあるの細かくて泣きましたシュゴイ!!!!
楽しむポイント盛り沢山ですね!?
そう!あの!ライブ感あるクトゥルフとは異なる筈なんですけどね!?
妙に緊張感や迫力があって、それがまた凄かったんですよね,,,!!!
凄いな!?!?って深夜に一人でしか興奮できないあの夜を忘れない(?)
***
最初のエンディングで真相は得られなかったのですが
「灯籠」が出てきて脳内のフロアが湧きました、(これもしかして静~!?)と。
全エンディング制覇しました!そして拙宅のお話も混ぜて頂き感激です…
木菟さんの作品よその子のいても綺麗にご自身とお相手の世界観混ぜて違和感無く構築されるから凄いんですよね…。文章が読みやすい+αで混ぜ込みをやってのける技量がかっこいいです…
拙宅に関しては人外静と閻魔と狐をありがとうございます!!
●静は行動や影ない理由など、木菟さんの汲み取り方がいつも細かいのと「成程!?」と理由に納得させられたり、発想力にも感動です。炎の力強さも好き!
●閻魔は何でしょう、それこそガチガチの神話で存在する神なので、語り継がれたままの想像図を鏡のように反転させた恐ろしさあるといいですよね!容赦の無さ分かりすぎて赤べこのように頷いています!
●狐も有難うございます!ごった煮キメラ感覚えて下さってるのキャイキャイしました!そして物語の癒し成分だ…。あとお供の発想は無かったです!!それこそイレギュラー枠もあり人外静の神使に召し上げる形もあるのかと今更気がつきました()凄くありですね…。
●従者さんはあの方と知って愛着湧きまくってます。反応が可愛いおのこじゃ…。良い意味で振り回されているのが可愛いです不便だ…😂皆んなのトラウマを一人で背負って…(?)「青菜の筋が歯に詰まって取れなくなれ」が好きです愛せる愛した。
楼閣山水図屏風も調べましたよ!筆のタッチが好きなのとこれまた目移りする場所が詰まっており東博行った際はしかと目に焼き付けねばと思いました🙌作品と照らし合わせて眺めたい!また思い出の風景を閉じ込めた結納品いいですね…いつでもそこに戻っていける箱庭のようで好き…。皇神でもての余る逸品に…!これ未来で本当に博物館に展示されたらもう夢いっぱいで最高ですね(二次創作)三果浪町には縁のないものなので無理があるかもしれませんが資料館にこう(((( p25に言葉が増えてるのもにっこりです!
以下好きな所抜粋です長くて申し訳ない~😂適当に目を通して頂ければ!
●1p
・最初は情景が美しいのに反して三果浪様の「狂死」「死体は適当に捨ててる」が物騒すぎて好き。何ちゅーもんを…好き…(
・従者さんがいるからこの場が和む。上役の頼みとはいえ不運な従者さん。
●2p:三果浪を呼ぶ
ここはTwitterの画像で拝見致しました!
・三果浪様の出現の仕方に悪意を感じますがご本人は全くその気が無いのが可愛さで許せる。従者さんは怒りで震えましたが私は可愛さに震えました(?)
・あとここにきて静の行方不明に全私が「「「!?」」」」と停止しましたよ。普通に何の疑いなくおめえ何処ほっつき歩いてやがる!?みたいな気持ちになったり一人変顔です。百面相です。こんな気持ちで次の選択肢を選べと?いやちょっと!?と一人で続きワクワクしてました。
●3p・5p:楼閣に行く
成る程ここが桃源郷ね?並の美しい世界で、もうこれが結納品と知った今だから言えますが此処で共に一生を過ごすか、別荘感覚でバカンスしろ…とさえ思いました((((((
初見はナニコノ異界!私が閉じこもりたい!、です。天上絵の曼陀羅の密度体感したすぎる。でも急に襲いかかる孤独の不安、目に見えない恐怖に従者さんを通してワッとSANチェックですね。あのはしゃぎっぷり何処行ったんだろう。狂って死んだ人が何人もいるんですものね。永遠怖い。いや、温度差…。
●4p・p6:三果浪を呼ぶ
手毬さんほど可愛いと狂気が似合う子はいますかね?いません。ファミリの恨みは死んでもまとわりつくのかなぁと呪いみたいなもんを脱線して妄想したりしました(?)従者さんの焼き払う選択肢の容赦の無さもすごく好きで笑います、そりゃ怖いもんね!?人が狂死しても残したいと思うのは神故もあるよなぁと、人じゃそうはいかんだろうなぁというメンタルの強さにはしゃぎます。そういうズレへの愛が止まらないページ
●7p:倉庫で役立つものを探す
マッチを手に取るも恐怖と葛藤する従者さんにこっちまでハラハラしましたやだ・・・頑張って泣かないで(泣いて無い)。ここにきてマッチを一本手に取ったのを見ると8割いや9割は焼いておさらばしたい気持ちが勝っているんだね従者クンッ!(?)私としては焼いて欲しく無いも、又初見で選ばなくとも結末が凄く気になるページです…。
●8p:河に行く
私が楼閣寄ったあと選んだ最初のルートです。河にお魚さんいるかなという幼女の気持ちでランランと向かいました幼女の私が。そしたら船があるじゃ無いですか。
私は賢い幼女なのでここで『あれ彼岸行けちゃう?』と好奇心抱きつつもまだ探索しきってない楼閣付近を思い出し乗らずに戻りましたよ。死を回避です。話が変わりますが月の美しさの表現がページで違うの凄い好きです。月光の照り返しは特に好きで…木菟さんの文章好きだなと改めて思いました!
●9p:壺を開く
私ここまさかの狐で驚き、と同時に癒しに包まれましたよ。そしてキメラ感を覚えてて下さっている…うぉ…。(泣)孤独な従者さんにパーティーが加わって息子を持つ親の気持ちも芽生えましたよ。何より狐の登場に私が一番はしゃぎましたがね(?)
そしてこの従者さん賢い~~~~~~~~~~~~!唯の苦労人じゃないちゃんと頭脳もある!この子YDK!上役もお仕事任せる訳だわ…と引き続き親目線です。
●10p:マッチをとる/報告書:三果浪の異界
興味本位で何ルート目かに選んだ選択肢です。
壺のカタカタ、恐怖に駆られた従者さんの心境がこの一文で語られてるの、私ここ好きです。真相を知っていると急かすカタカタじゃなくて君の救世主が居るんだヨォ~~ってなりますね😂
焼けたものは紙が剥がれたりと屏風の本来の素材に戻っていくのも好きです。火の速度も素材に対して紐付けされてるの作り込みが凄い。真相が分かると尚のこと楽しめるページ。初見ならば従者さんと全く同じ反応してるところですね!残念そうな三果浪様と煤の残骸が何とも切ない…。従者さんが無事に戻れたのは救いですがね…こんなエンドになるのね!の気持ちです!
●11p:乗る
何回目かに選択したルートです。
月が固定されてるの、これも描かれたものだからなんだなぁと思ったりして異界の世界観の作りこみが好きで、こういう文章に仕組まれたものも好きなところの一つです。景色も一気に暗転して暗く重い質量を感じるの読んでいて本当に楽しいです。場面の移り変わりが違和感なく体感できるってやっぱり凄いなぁと好きに浸ります。って思ってたら鬼じゃないですか~~~~~‼︎目指してるところがあるってこれは絶対閻魔じゃないですか~~~!ニューゲームした私は会いに行きましたよ木菟さんの閻魔見たーーーーーーーい!!!!!!!!(((
●12p:乗らない
最初のルート選択です。
帰路は確保した気でいました。(?)いたんですけど他に船が吸い込まれて行ったの読んで下唇噛み締めましたよね行きたいと(((((
でも私は賢い幼女なので(ry
●13p:倉庫で役に立つものを探す
何回めのルートです。
このページの従者さんは落ち着いてらっしゃる。正気度がまだある。良かった。
ここの倉庫の道具が静の倉庫の道具もある?芸が細かいよ木菟さん…!!!(感涙)
従者さんが強気な姿勢なの良いですね😂皇神を一泡吹かせるその心意気、嫌いじゃない!(好き)そしてツボに狐いる!狐の行動可愛いですね…癒し…束の間の安息…。
●14p:彼岸
何回めのルートです。
これは閻魔に会いたくてワクワクしながら進むを押した私です。彼岸だ!地獄だ!剣山だ!!閻魔~~~~~~!!(団扇)場面転換がまたかっこいいですね!?木菟さんの描く地獄だ~~~~~~~~~!!!!(団扇)私このエンドもすごく好きなんですよね…。火炎の中に楼閣があるの、違う空間に移った表現が好きで好きで。い~~~(((
他の人間と違って罪を血で洗うこともなく解けて消えてくの寛大な御心遣いで団扇が止まりません。かっこいいんですが!!!!(涙)おかしいなこの中ではバッドエンドの筈ですよねアレれ…。素敵なエンドをありがとうございます
●15p:倉庫へ行く
これも最初のルートです。
倉庫探索好き!ごちゃごちゃしてるところに人が挟まってるの好きで。
呪具と聞いて静がよぎった私は迷うことなく開けました。失踪の手がかりが欲しくて堪らない私でした(異界探索をしろ)。今思えばこの禁制の文字と術は三果浪様が施したのかな?とにっこり。可愛い。可愛い!(二度言う)
そしてここで初めての従者さん賢いムーブの感動です。祈って帰るやる価値あるな!?と。普通にむっちゃ関心した私です。
●16p:無視する
何回目かのルートです。
これは無視するとどうなるのか気になった私です。従者さん賢いムーブだ。私のおつむじゃ絶対探索して見つけてもポッケに入れてそのまんまです。今回の探索が従者さんで良かった本当に。
●17p:狐の方に行く
行きますよ。n回目の私は迷わずこれを選びますよ。
そしてこのルートを選んでやっと、狐が鍵だー!!!!と気がつきました。それと封の解き方で正規ルートに進める?等思ったり。しかもこれ19pの灯籠のデザインと違う!!!!!!????だと!?細かいよ木菟さん!!!!芸が!!!細かいよ!!!!(2回目)好き!!!!!
狐ナイスキャッチ。ちゃんと宙に釣ってあるから上手に出て来れる(妄言)やった静だ~~~~~~~~~~!!!!!居る!!!!私はてっきり本当にどっかほっつき歩いてんのかと(((((((((
登場の仕方、エフェクトが私には見えましたよ。正規ルートに歓喜。
●18p:渡賃
この異界から此岸に帰ってきた時のあっけらかんとした場面移動凄い好きです!なのにごめんなさい語彙がない。この、これ!木菟さんこういうの本当匠っていう。巧みで匠よ(?)現実に戻ってきたことに思考が追いついてないの!私は視覚を使ってるだけなのに五感を体感させる文章力よ。雑踏と掛け声にやっとリアルに引き戻されるこの瞬間。カメラでいうピントが合う瞬間、凄い好きです。
ここの従者と三果浪様のやりとりも好きです。焼ける異界なのは元の物質が屏風だからですね。好き。焼き捨てることなく終わったのご機嫌なのね三果浪様…可愛い。(
●19p:包みを開く
最初のルートです
灯籠の文字を見て指パッチンして喜んだ私です。しかも紅葉の飾りが施されてるの~~!?私ここに赤線引きましたからね。私は引きましたよ。しずみか小テストに出るやつと勝手に信じました。妄言です。
でも従者さんが悲鳴あげて投げちゃったからその扱いに静おこなの!?上手く灯籠から出て来れなかったの!?焼やすの!?いやそもそも静なの!?誰でもいいがテメェ~!!!燃やすのは許さん~~の気持ちでした(※木菟さんに怒ってないです※)あと炎の中で菩薩が見下ろしているのいいですね…化身と云われる閻魔にも思えて☺️
●20p:逃げる
何回目かのルートです。
逃げるの選択肢に笑ってしまいました。そら怖いよなと。
あとここで三果浪様いらっしゃるの凄く笑顔になりました驚いてるの可愛いなんだこれは。静ご乱心なのもたじろぐ三果浪様にもむちゃ笑いました可愛い。炎が怒りを物語っている。して怒りに任せて焼いてる!!!焼けちゃってる!!最終的に屏風の心配をした私でした。
●21p:事故報告:焼失
最初のルートです、感想も初回に感じたものを置いておきます。
静って言ったぞ静て。私見逃してませんよこれがDVDなら5回は巻き戻して確認してる。居る(確信)。寝起きのサイダーは体に染みわたりますね間違いない。
そしてこれは怒った?驚いた?静が本当に焼いてしまったのか。でも三果浪様のあっさりした言い草は燃やしてない気もして真相は何処だ!?!?しかも解決せずに終わってしまった!!!ならもう一回遊ぶどん!!!!!!!!って全ルートした私です(完)
●22p:話しかける
この従者さんの勇気を称えたい。冷静な態度の従者さんに静も怒りを沈め対話を試みている。
狐の静への懐き度が微笑ましいですね…可愛い。人外静の表情が読み取れぬも動きで言葉を伝えてる様な表現が好きです。どことなく掴めぬ雰囲気が…。これはついて行きたくなる。
●23p:ついていく/異界探索
言葉がなくとも行動がすげぇ静で感動してます。相手の速度を気にしながら歩いてる…。
歩くと火花が散るの可愛いですね…そうしよう(((
影の描写は私がすごくお勉強になったと言うか納得してしまい…!発光してる説…成る程…。
ここで船の上に三果浪様が番台の高さから落ちてくるの可愛くて…従者から見る鬼の圧がいい。
って言うか三果浪様のでもでもが…可愛い、可愛い!!!!!!!(大声)従者さんに対しては皇神の威厳とか強気な姿勢持ち合わせているのにこの!ギャップ!差が!!
従者さんの本文を思い出すのと同時に私もそういえばそうだったね!?の気持ちに((
ぽこぽこ怒っている静と三果浪様のやりとりの可愛さに忘れかけてましたよ((
「連れ合い」の言葉には言わずもがなヤムチャになりました。ありがとうございあmした。
儀式場というのは静も今知ったのかな…え!?って顔して驚きと同時に怒りは鎮火したのでは…。
従者の忠告は少し耳が痛い様な静ですね…。今度は静が知らん顔の様な、言葉に後ろめたい気持ちですね。あっけらかんと笑う三果浪様だけが静にとっては肯定してくれてる様で好きです。良い様にとっているだけかもしれませんがそういう部分に支えられてるな~と思いました。
山中異界~従者さんが帰れるのなんだかこっちまでほっとします!手から三果浪様の温度伝わるのも安心感ある…。
観光地巡る感覚で彼岸の景色案内しようとするの面白くて、閻魔ルート行かずとも要素が散りばめられてるの嬉しく!作りこみにも感激ですね。締めが良すぎました・・・。
●24p:銅貨を握って祈る/鬼の渡賃
冒頭は18pの感想と同じく、異界から帰ってきた時の空気がとても好きです!
でも眉間にシワを寄せているんですね三果浪様…お説教を食らったばかりに…可愛い(
そして従者への労いも手厚い。静が関わったからエンドも変化してるの凄い見比べて楽しい。
そしてこの屏風焼けてない!焼けてないよママー~ー!!!!(((
このエンドも好き。
というわけで拙い読書感想文でした😂
屏風の深刻なエラーで爆誕した異界探索、思念?神が与える影響力。皇神にも扱えきれぬ品物になるのも夢があります!、訳あり屏風の管理と、これからもこの屏風に巻き込まれる人間たち…みんなで此岸に返す日々だ…
すごく楽しかったです!面白いだけじゃなくて多方面で感謝の意が!ありがとうございます!
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fre5hic-blog · 7 years ago
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うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE LIVE 6th STAGE
マイガールもえ様のお陰で、ありがたいことに5月28日のライブに参加しました。 (以下びっくりするほど長いので、途中で眠くなったら寝てください)
西武ドームは過酷な環境であると散々ネットで脅された(言い方が悪くて申し訳ないです)ので、なんでもノートに「うたプリライブ 準備♪」なんて持ち物のリストアップページを作ってその日が来るまでそわそわしていました。
今回はこれまでにない試みとして、5月27日と早い段階でお嬢様モードに切り替えて気持ちを高めてみました。(いつもはライブ終演後に感想を言う時だけお嬢様を降臨させて��ます)やはり、伯爵のお嬢様を名乗る以上は前日や当日に程度の低いツイートはしたくないと思ったのでその点気を付けてみました。
前日の入場がなかなかの混乱を極めていたので自分が行く日もそのようであったらどうしようと不安は大きかったですが、1時間程度でリストバンドを貰えてよかったです。しかし、本当にすごい人数が集まっているんですね。こんなにたくさんの人が来ているのに、尚はずれて来れない人がいるってすごいことです。私も自分で申し込んだのは軒並みはずれたしね。
マイガールもえ様のありがたいチケットは(本当に感謝しているのでしつこくこのスタイルで行きます)、さらにすごいことに2ndライブから毎度参加している私ですら初めて目にしたアリーナのチケットで、奥のステージと中央のステージの間くらいの場所という素晴らしいポジションでした。 正直なところアリーナ席に浮かれに浮かれていたので、始まるまでの私たちは相当テンションが高かったと思います。
さて、早速ライブの感想を書いていきます。
マジLOVEレジェンドスター
真ん中のステージに白くて大きな風船のようなものがもくもくとあらわれ、その中からスタリが登場。あの演出、きっと中で待機している演者もわくわくする演出ですよね。真っ白の中で、イヤモニをしているとは言え客席で期待と興奮でざわついた音だけが聞こえている。それが弾けると辺り一面の彩り豊かな光と、圧倒される熱気……! 今回の曲も合いの手をたくさん入れられる曲だったので、最初からとっても楽しかったです。
QUARTET★NIGHT どうでもいいことですが、カルナイってユニット名には★が入らないの面白いと思いませんか。 ありがたいことに奥のステージ(我々が最も見やすいステージ)への登場だったので、肉眼でじっくり見ることができました。並びは左から黒崎さん、伯爵、嶺二、美風くんだったと思うのですが合ってる? 私はダンスなどの振りを記憶する能力が壊滅的に欠落しているので単なる私の思い違いだったら恥ずかしいことですが、なんとなくまた振付変わったような気が……。 スタリが出てくると場の空気がほわんとしてキラキラする一方、カルナイが出てくるとぴりりと引き締まって視線を吸い寄せられる感じがするので、ユニットの個性というか、雰囲気と言うか、そういう違いが演者のたたずまいからも感じられるようになってきたのがなんとなく嬉しかったです。 個人的に、どこかのタイミングで伯爵と美風くんがハモる時に伯爵が美風くんの肩に手をやってお互い目を合わせずとも通じているような表情になっていたのがお気に入りポイント。基本的に歌カルナイは嶺二・美風、黒崎・伯爵で絡む振付が多い気がするので(擦れ違い様に目くばせとか、そういうものは除きます)、よかったなーと。
テンペスト 伝わりづらいし伝わったとしても同意してもらえなさそうですが、アニメのOP曲をマモが歌いに来る時の「いつもの」感、いいですよね。 レジェンドスターのOPアニメーションは、早乙女学園時代の描写などを組み込んでうまいこと彼らの中で流れた時を感じさせてくれる演出だから結構好きなのですが、改めて大きい会場のスクリーンで見るとこみあげるものがありました。 そして、マモの歌い方がまた……。カルナイに続きマモも奥のステージで歌ってくれたので大変よく見えたからよりそう感じたのかもしれませんが、すごく強い力が溢れていて惹きつけられました。 これまでのライブでは、マモパートは比較的穏やかな気持ちでライトを紫色にして振っていたんです。けれど今回、ちょっといつもと違う感じがして(この事はマイガールもえ様ともちょっと話した。もえちゃん曰く、テンペストはこれまでのタイアップ曲とは異なり、かなり作品を意識して作詞などがなされているとのこと。)私もキンブレを握る力がぎゅっと強くなりました。 さらに雨が降る様な舞台演出もすごくて、まだ始まって3曲目だというのにクライマックスに達したかのような錯覚に陥りました。あの演出本当になんだったんだろう……とても良かったけど、何か大きな意味があったのではないかと深読みしたくなります。
ここでアイドルの紹介。 今回アニメの終わりで予告されたライブがそのまま現実に来たという流れが作られていたので、決選ライブのアナウンサーさんの声の方がアニメの時のようにナレーションを入れてくださっていました。これ、実際聞くとかなりテンションが上がります。
KILLER KISS この曲、一瞬そんなことないと思ったけれどどうあがいても嶺二テイストの曲なので、伯爵……せめてそういった要素が欲しかった……。↑松氏がいかに伯爵に対して思い入れが無いかを痛感させられる一曲である。 ここで初めてトロッコでの登場。これまで何度も遠目に見てきたあのトロッコが、こんなに近くで……!!!(今回のライブでの一番の興奮ポイントはトロッコが座席近くを通ったこと) 私たち側のトロッコには嶺二が乗っていたので、マイガールもえ様はものすごく興奮していました。私はというと反対側のトロッコは一切見えないためそもそもトロッコがどこを動いているのかさえわからず、前回に引き続いてまたしてもうちの執事は私に意地悪なことをするのね……と、心のお嬢様が大変むくれておりました。(伯爵は5thライブでもことごとく私たちの座席からはよく見えないステージで歌った) 折角前野さんがポニーテールにして、メガネをかけてくれていたのに……。髪の結び方は微妙に違うけれど、いつぞやのAGFの伯爵の事を思い出しました。 トロッコから降りて中央のステージでラストのサビを歌っていて、その振付が好戦的と言うか、なんだか殺伐とした感じだったので(良く見えなかったから勘違いかもしれない)、この二人は仕事だから一緒にいるだけで本当にビジネスの関係なんだなあと思いました。そしてCDのブックレットに載っていたあまりにも空々しいインタビューのことを思い出して、やはりある程度互いに関心のある組み合わせの方が心穏やかに見ていられる気がしました。
ハルハナ またトロッコでの登場。しかし、我々とは逆方向に動いているトロッコだったため中央ステージ上部のモニターで観覧。 キラキスとは打って変わったメロウな楽曲で、二人のダンスもしっとりとけれど情熱的でした。二つの曲の系統の差がうまく作用しているなと思いました。 個人的に黒崎さんがあまりダンスが上手でないという設定が好きなので、エロティックな腰つきでカルメンみたいなステップ(カルメンじゃない踊りだったら恥ずかしい)を踏む、こんな魅せ方の難しそうな振りを一生懸命練習していたのかなと妄想したら可愛く感じました。ただ黒崎達央的には、正直赤メッシュわかめヘアーが気になって上手に魅せられるダンスを踊れていたのかどうかあまり覚えていません。
Melting of snow 私がメンタルをズタボロにされる羽目になった、今回最大の問題ステージ。 詳しくは私がお嬢様芸をしていた時のツイッターを引用して振り返りましょう。
「Melting of snowでのカミュは、一見完璧な執事アイドルそのものとしか言いようのないように感じられたわ。私の執事に出来ないことなんてないもの、普段と全く異なる雰囲気のパフォーマンスを何でもないように見せつけてくれて、悔しいけれど格好良かったの。」 「でも、途中ではっとした……。だってあの人、のんびりと新聞を読んだり、美味しい紅茶に舌鼓を打ったり、それはそれは伯爵アイドルだったんですもの……あんなに素敵な笑みで……。分かってはいたことですのよ、でもこの人は執事である前に伯爵。」   「執事として私の元に現れたことは別に彼が望んだことではなくて、偶然だった。大勢の求めるカミュという虚像、彼はそれを敏感に察知しそれに見合った違う顔を柔軟に見せてくれる人だとも分かっていた。だから、もしかするとこの人に執事であることを求める人はもういないと感じたのでは……?」 「どんなものであってもカミュはカミュで、些細な肩書きに拘る私が愚かで見苦しいと言われているような気もいたしましたわ。勿論……どんなカミュだって好きよ、でも、私は敢えて私達に傅く貴方が本当に嬉しくて、それを当たり前のようにしてくれるのだからその度貴方の本質を見たように思っていた。」 「それを感じさせてくれるのは、本当の意味での伯爵の貴方と執事でいる時の貴方だったのよ。私が触れられるのは後者だけだから、どうしても縋りたかったの……。そんなもの縋る必要など無いと言われたとしても……。」 「……どうしてかしら、思うことを正確に言葉には出来ないものね。きちんと伝わっているかしら……?そんな気持ちでいたから、嶺二さんの曲は途中まで上の空になってしまって……本当に己を恥じているわ。」   
……とのことです。改めて読み返しても、言いたい事がよくまとめられているいいツイートだと自画自賛です。 メルティは全然執事要素がないんです。最初は執事が余暇を過ごすさまだと思い込もうとしていたのですが、流石に無理がありすぎました。これまでは伯爵らしさと執事らしさをうまく兼ね備えたような演出、パフォーマンス、振付だったのですが今回そういうことはやめたみたいでした。 メルティを見ている時、正直もう自分がこれからも伯爵を好きでいる自信が全くなくて、公式が売り出したい方向性が変わってしまうことに心が付いていけずとても辛かったです。そしてこんなことを考えているのは自分だけなんだろうなというのも、心細くて悲しかったです。 虚像を見ているという自覚を持って私は執事をしている伯爵が好きなので、ここだけの話あまりにも悲しくて泣きました。
オン・ユア・マーク そんな私の価値観をぶっ壊されたあとの曲をまともに聞けるかと問われたら、そりゃあ無理に決まっています。嶺二は犠牲になったのだ……。 今回結構腰つきがスクリーンで抜かれていたと思うのですが、その度にマイガールもえ様がきゅん♡みたいな可愛い顔をしていたので森久保さんの腰が抜かれる度にこっそりもえちゃんの事をチラ見していました。もえちゃんかわいい!!!
BE PROUD 今回のライブでもっともステージを生かした演出がなされていたのは、間違いなくこの曲でしょう。 どう考えても感動的な演出になることが目に見えていた曲ですが、さらに元OCD信者としてもしっとりした曲の鈴木達央が素晴らしいことは自信を持って言えることなので、嫌な言い方をすると多くのオタクが思わず泣き出すことに関しては出来レースだったと言っても過言ではありません。流石の私も、じんとしてしまいました。しかし、黒崎さんの身に何があったらこんな曲が誕生してしまうのだろうという疑問をぬぐうことはできない……。このラインの曲は何のゲームで使われるんだろうか……。 演出の話に戻ると、これまでは黒崎達央が前のめりだったこともありダンサブルになりがちでしたが、今回はバックダンサーなし振りなしで聞かせることに主軸をおいていました。これまでのステージのイメージも手伝って、よりその切なさ、ロックな熱さとはまた違う秘めた情熱の様なものが際立っていましたね。 まず我々に近い奥のステージで歌い始めて(スタンドマイクだった気がする)、2番が始まるタイミングだったようなそうではなかったようなで花道をゆっくり歩くのですが、その移動がすごくかっこよかった……。あれは私の席の辺りで角度で見るのがベストだった気がします……。他の角度で見ていないのでもっといい角度があったら申し訳ないのですが、いや、あのしっとりさで黒崎達央の横顔を見られるのは最高でしょう?しかもライトが反対側から当たっていたので、本人は陰になって良く見えないところもすごく良かった。最高の花道の使い方です。さらに奥のステージは三面しか客席に触れていない一方、移動後の中央ステージは全方向を客席に囲まれたステージなので、最も盛り上がる曲の終盤で全ての中心に黒崎さんがいるというのがとても胸が熱くなる演出でした。 でもやはり黒崎さんには、バックダンサーを引き連れて●グザイル一味みたいにオラついている(酷い偏見)姿をステージでは見せてほしいですね。 私はステージ裏でダンサーズと肩を組みたがる黒崎達央を応援しております。
シンクロニズム 来ました、私の解釈通りの美風藍楽曲!! 私はAS美風ルートに関しては友情エンドの美風くんしか信じていない害悪思考の持ち主なので、美風くんのターンですすり泣く音が聞こえると「美風の泣かせ演出はあからさますぎるしどう見ても大恋愛エンドの美風だから、泣いているオタクはみんな大恋愛エンド信者に見えてきて殺伐とした気持ちになる」などと心の汚いことを考えてしまいます。そこは素直に受け止めて涙を流しておけよと思うのですが、出ない涙は流せない……。 しかし私は長年マイナー志向でオタクをしてきた関係で相当ポジティブ思考なオタクに成長したため、曲によっては「この歌詞は友情エンドの美風くんにしか書けない!!!!これはあの美風くんが書いた歌詞!!!!しかもライブのパフォーマンスもすっごく友情エンド美風くん!!!!やった!!!!あの美風くん生きてた!!!」と思えるのが私の良い所。シンクロニズムはそういった曲の1つでした。 端的に申し上げると、シンクロニズムは曲開始早々ラブという単語を連呼してくる恐怖楽曲です。冒頭のサビの「目の前のオタク全員僕のファンにする」みたいな歌い方から、Aメロですっとクールな声になる辺りがもうすごく怖い。美風史上最高の小悪魔っぷり。にも拘わらずオリジナルタイプの美風らしさをほのめかせてくるところは100点満点の友情エンド美風藍です。 ここまで熱く語っておきながら、パフォーマンスは真ん中のステージだったのであまり見えなくて深くは語れないのが悔しい……。 見えた限りだと媚び媚びの可愛さいっぱいな美風翔太がステージを駆け回り、ハートを作ったりダンサーさんとツーショットを撮る仕草をしていたり、したたかさを感じさせてくれたので私は手放しでほめたいなと思いました。それから、間奏の振付がとても好きだったのでビューティフルラブや二人のモノグラムに続いてまたしても美風曲の振りで高まってしまった……と悔しくなりました。
ここまでがカルナイパート。 わかっていたけどソロ曲は新曲でしたね……。個人的にこのラインの曲は、今回のライブを経て「たまにはと思って今までと違うことをしてみたんだろうけど、やっぱり従来通りのアイドルイメージで売り続けてほしいよね」という結論を導く材料だったなと思います。なので次回は最近突然過去を振り返らなくなった黒崎さんによる、俺とお前一生一緒最後まで添い遂げてえのはお前だけみたいなことを不器用な歌詞と魂を昂ぶらせる絶妙な振付で楽しませてくれるソロ曲を楽しみにしています。あといい加減執事要素しかないお嬢様向けの曲も出してくれてもいいと思うんだけど、↑松氏にそれは全く期待できないので自分で妄想作詞作曲するしかないかもしれません。わーーんやだやだそんな自給自足みじめすぎて情けなくなるよーー!心安らかにお嬢様でいさせてくれない公式なんか大嫌いだーーー!! 声優的には、カルナイライブを経て、こう、カルナイは完璧なパフォーマンスを観客に見せなければならない……という考え方になったのかなと思わせるような隙のない感じがしました。私は特に彼らに対してそういうものは求めていないので、そんなにがんばらなくてもいいよ……と思うのですが……。なんというかそういう方向に行く事で得られるものは多いと思うけど、そこで失われてしまうものが私は好きだったような……自分でもよく理解しきれていない考えなので上手く言えない……。
ダンサーズのパフォーマンス 今回ダンサーさんの人数多くなかった!?あちこちのステージに散らばっていてびっくりしたよ。 スポットライトが別のステージに変わると曲調がガラッと変わって(変わったような気がしてるけど変わってなかったかもしれない。記憶が曖昧。)楽しかったです。
DAY DREAM 昨年8月のSDFに参加して以降私は盲目的にSDFとその楽曲を崇めているので、当然SDF楽曲を今回のライブでやって欲しいと思っていました。なんせ半野外だからDAYとNIGHTを感じられますからね。まだ明るいうちにDAY DREAMを歌って、日が完全に落ちて暗くなったらNIGHT DREAMをやる。完璧ではありませんか!さらに声優があのお洋服を着ていたら最高すぎる!私はあのシースルーなトップスを着た鈴村健一さんを一目見たい! ……叶わなかったけど。 まず声優はあのお洋服は着ていなかったし(これはさすがに仕方ない)、先に言ってしまうとこの後すぐにNIGHT DREAMが待っています。まだ全然日も暮れていないのにNIGHT DREAMです。個人的にはまだ全然DAY DREAMの時間でしたが、容赦なくNIGHT DREAMが始まるのです。でもステージに釘付けになり脳内で強制的に日が沈んだので、結果的にはNIGHT DREAMの時間になりました。妄想力の強い脳みそは心強い味方です。 DAY DREAMは中央ステージから左右に伸びたステージから登場し、中央ステージに集まっていくという動線でした。(つまりあまり見えなかった) 私たち側のステージから登場したのは多分那月、神宮寺くん、嶺二で、反対側が音也、翔ちゃん、黒崎さんだったと思う……。私の目が悪いのと、今回わかりやすくはあるものの黒が��調のお衣装だったので遠いとあまり個体の区別がつかないんですよ(それでも3rdよりはマシ)……。なので、最初の方は「あそこにいるのは誰と誰……だ……?」という点に意識が行ってしまいました。というかそもそもマイガールもえ様にあそこにいるよって言われるまで、せり出したステージにいることすら気付けなかった私って……ポンコツですね……。 途中でバズーカの様なものを使って何かをぶっ放していたのですが、実は隣にいたオタクが前日も参加したようで、ライブが始まる前に「この辺りならデイドリの時飛んできそうだね、やったー!」と話していたので、「隣が話してたのはこれか…………ねえ、全然こちら側には飛ばしてくれてないじゃん!隣のオタクのうそつき!期待させないでよね!」と思ってしまいあまり驚けなかったのは少し残念でした。 歌詞とかそういった内容の考慮せずにこの曲の一番の聞き所をあげるとすれば黒崎さんの「わか~~る~~よお~~~~~」だと私は思っているので、生わかるよを聞けてとても興奮しました。
NIGHT DREAM くきゆりが選ぶ2016年ベストオタクソングの栄えあるナンバーワン楽曲。 あまりにも好きすぎてCDで聞く時に例えでもなんでもなく息が止まるので、リピート再生できないくらいです。 大変ありがたいことにこの曲は奥のステージでスタンドマイクを前に全員が横一列に並んで(左からセシル、伯爵、聖川、トキヤ、美風だったと思う)歌ってくれたので、とても見やすかったです。見やすさという観点では、しっかり見たいものが見やすい位置にいられることが少ないのですごく嬉しかった! イントロが始まると同時にひとりずつ出てきて、闇の中からすっとアイドルが出てくるような演出が素敵でした。その際、ひとりひとり何か台詞を言って出てきたんですけど、何と言っていたのか全く持って思い出せない……。それぞれ「~you」という”貴女”へのメッセージだったと思うのですが……。 とにかくこの一列に並んで、シンプルな手の振付を全員がやるというのがあまりにも好きすぎて、そんな演出をこのNIGHT DREAMでやってくれたのが最高すぎました。そして純情midnight伝説のきわどいラインを攻めぬく感じの振付は、男がやっても女がやってもいやらしくエロティックでずるい……。 センターの鈴村真斗のクールだけどむずむずした表情が印象的過ぎて、テンションがあがりました。あの人あんまりセクシーには向いてないのかなってところがかわいく思えて、この度初めて鈴村さんのことを聖川おじさんと呼んでしまいました。 間奏のタイミングで真ん中のステージに移動が入り、ラスサビは中央のステージで歌いました。移動する時も、独特の雰囲気が漂っていて声優さんのスキルは素晴らしいなと感動しきりでした。 ……と、「このライブで一番好きだったのは?」と聞かれたら即答しそうな勢いで、語る口調にも熱がこもってしまうNIGHT DREAMですが……その……「セシルおじさん事件」に驚きすぎて……。(鳥海さんが歌詞飛ばした件とは別) うたプリに限らず、ライブでは後方席でもステージの様子がわかるようにバックのスクリーンにカメラの映像がリアルタイムで映し出されるようになっていますよね。基本的に歌っている演者の顔が抜かれることが普通です。ですから、セシルのソロパートでもおじさんがアップでうつります。写るはずだったんですけど……。セシルおじさんとは反対側に設置されたアーム可動式のカメラが彼を綺麗に写せる場所まで動いたのに、何故かスクリーンに映し出されたのは可動式カメラよりも遠くの位置にあるカメラの映像で、したがってセシルおじさんを映そうとせり出していた可動式カメラがスクリーンに大きく映されてしまうという……悲しい事件が……。 私「お、おじさーーーーん!!!!」 あれはとても悲しかったです。蒼井くんやマモがいるとただでさえそちらを映す時間が長くなりがちなのに、折角のタイミングで10秒くらいセシルおじさんではなくカメラが移り続けていたのは本当にやるせない気持ちになりました。もうこんなことは二度と起きてほしくないので、あえて書き残しておきます。
そしてそのままスタリパートへ突入。
Be The Light! ゴンドラで我々サイドの逆側を回っていました。 マモがHAYATOと一緒に!的なかけ声をかけてきたのですが、この曲はそういう感じの曲なの?もしかして次のゲームシナリオのヒント??と、だいぶ胸がざわつきました。トキヤの専門家の方がいらっしゃればご意見お待ちしております。 スタリ春至上主義とはいえ、トキヤに関してはちょっと疎めなのでよくわからないんです……。確かに、今までのトキヤの曲とは一線を画す感じはしているけれど……今更トキヤ的黒歴史たるHAYATOが出てくるってどういうことなんだろう……。けれど春ちゃん的には非常にキーになる存在だから、その辺でなにかしらがあるという風に思っておけばいいのかな……。 ーお分かりの通り、全然パフォーマンスに集中できませんでした。
初恋をまたはじめよう ライブが始まる前にもえちゃんと「やっぱり翔ちゃんはタオル曲ポジションなのかな……」「え、今回は曲調的にないんじゃない?」などと話をしていたのですが、やっぱり回しましたね。 はーブンブンつこブンブンーいを~♪ブンブンブンブン いつも翔ちゃんの曲は良くも悪くも楽しい気持ちをぐわっと湧き上がらせてくれる、うたプリのライブにおける大事な存在だと思っています。けれど今回はタオルを回したとはいえ、これまでとは異なるしっとりめの曲調かつ歌詞の内容です。 そういう中でどのようにいつもの翔ちゃんらしさを演出してくれたのかというと、登場した場所が客席の通路だったところが一番かなと思いました。 これまでの「うおー!一緒に盛り上がろうぜ~っ!」ではないけれどお客さんに一番近い所で歌ってくれることは、色々訳ありでクセのあるメンバーの中では一番普通なバックを持つ翔ちゃんだからこそ暖かい気持ちになれたのではと。春ちゃんとの関係を抜きにしてこんな気持ちになれることは私には滅多にないので、今回の翔ちゃんはとりわけ良かったです。 でもタオル担当とはいえ無理にタオルを振り回さなくたっていいんだよ、と思いました。
Tears in love(アコースティックver.) 谷山紀章とtearsと言われると、どうしても某イニシャルはRではなくLを使っているヴァイオリニストのことが頭に浮かんでしまうのですが、これは私だけなのでしょうか。 そんなくだらない前置きはさておき、今までで一番の四ノ宮那月だったのではなかろうか……。正直これまでもよく「ただの谷山」なんてことはよく言われていたし、砂月の名前を出してきてそうじゃないだろと思う事もよくあった彼ですが、今回は素直に那月だと感じられたので嬉しかった。それに加えてアコースティックな演出によって、観客が歌に全神経を集中させられるようにしたのはとても良かったと思います。あの張りつめそうな空気による息苦しさが心地よくて、谷山さんが時間をかけてキャラクターを消化したことをうかがわせました。 けれどだからこそ悔しかったのは、まだゲームが出ていない為どのような過程でこの曲に辿り着いたのかを私は知らないままでこの曲を生で聞いてしまったことです。基本的にゲームのシナリオを知る前に聞ける方が精神衛生上メリットの多い私ですが、今回に限っては那月と春ちゃんがどのようにそこに辿り着いたのか正解を教えてほしいと強く望んでしまいました。それくらい、本当に良いライブでした。
Give me True Love この期に及んでまだ真実の愛を求めてくるわがままで欲張りな神宮寺くんに、レン春のデレデレでいちゃいちゃすぎる早く結婚しなよと逆切れしたくなるラブラブカップルっぷりを垣間見た気がしていた私ですが、本当に悔しいことに元々神宮寺女だったせいで、どうしてもライブではただのファンになってしまいますね。 電動立ち乗り二輪車で出てきた時はあまりに予想外すぎて笑ってしまいましたが、そうして縦横無尽にステージを移動していく様が本当にかっこよくてキラキラしてて見とれてしまいました……。安心と信頼の神宮寺諏訪部さんである……。 最初は真ん中のステージに登場、ぐるぐる回ったりした後二番になるタイミングで奥のステージに移動してくれました!移動通路では傾斜がある分滑るのか、電動立ち乗り二輪車からは下りていました。 諏訪部さんが神宮寺くんらしいなと思えるところは、歩き方だと思っているのでそれが良く見えて満足です^^
甘美なるアルカディア 突然猫の鳴き声が聞こえて、黒猫を抱えた子供がステージに登場。 ク���クップル!?!?と会場が動揺しつつ、そう言えば前に象だったか猫だったかを実際に登場させたいと鳥海さんが言っていたような気がするしそれか?なんて混乱していたところでアルカディアのイントロが。 セ、セシルーーーー!!!!(興奮ポイント) セシルおじさんは特に大きくすごいことをするわけではないのですが、毎回ちょっとずつ仕掛けをしてくれるので楽しいです。前の時の電球で魔法を表現してくれたのが個人的には一番気に入っています。次は何をしてくれるんだろう、と小さな期待をさせてくれるセシルおじさんのライブへのアプローチとしてとても好きです。
I swear… いつも新曲を聞く度に聖川に過剰な期待を寄せてしまう私ですが、今回の曲は集大成のような歌詞で「いよいよ結婚……結婚するのか……」とドキドキさせられていました。 それでねえ、またしても奥のステージだったので良く見えたんですよ……。神宮寺くん、セシル、聖川と奥のステージを使ってくれたのは、伯爵運がまるでなかった分スタリで恵まれたということなのかな……。 そしてこれは本当にびっくりしたのですが鈴村真斗さん、噴水の中で歌ったんですよ……とても綺麗だったなあ……。噴水の中でステージが上に上がるととても神々しく思えて、どこかで見ているであろう春ちゃんの事を思ってしまいました。 ��の噴水の勢いが聖川の気持ちの具現化にも思えて改めて真春の幸せを願ってしまった……。ら、あの噴水だと思っていたものは決壊したダムの水を表したものだったそうですね。笑 良く考えなくても、この人は学生時代に心のダムがせき止めていた春ちゃんへの想いが決壊した人だった……。それを騎士kissではなくこちらでやったというのは、勿論会場の都合もあるでしょうが、どうしても「原点回帰」という言葉が脳裏をよぎってしまい、今度こそ聖川は何事からも逃げずに春ちゃんの手を取って困難に立ち向かってくれるのではないか……そう思わせてくれました。
Brilliant Days ここ一番で泣いた曲。 CDで聞いた時は木漏れ日ダイヤモンドほどの破壊力は無かったので、音也くんの浄化も完了か……などと思っていたのですが……。 ダンサーさんが……いえ……沢山のキッズダンサーが音也と一緒に手を繋いで出てきて、踊っていたのです……。 文章にすると大したことが無いように見えますが、音也くんが子供と出てくる意味だよ……。子供って未来の象徴みたいなところがあって、音也がそう言ったものと共にステージに出てくるのは本当に、本当に今度こそ前を向いて歩いて行くよと音也に言われているような気がしたというか……。 そして最後に他のスタリメンバーが出てきてさあ……。トキヤがさあ……そこで一番に声をかけてあげるのはトキヤなんですよね。彼らは皆で同じ1年を過ごして積み重ねてきたものがあってこそのスタリで、それこそが彼らの強みだと思っているので、この演出は私が見たかったものの一つの形なのだろうとしみじみ感じました。 アニメを見ているとどうしてもトキヤがメインのように見えてしまうことが多くて、そんな中4期でやっと焦点が当たりメインは音也だと思わせてくれました。それをふまえてこうして子供も含めて皆が音也の元に集まってくる姿は、まさにひまわりと言うか、これが音也というか、うたプリというか……。こういった演出ができる環境にまで大きくなれた事に、感謝しました。 ここに来れてよかったと思いました。
基本的にMCの記憶は全くないので何も書く事が出来ないのですが、確かここでカルナイの人たちも出てきて色々話していたと思います。伯爵の執事モードの時間がこれまでより長かったのが嬉しかったのと、前野さんが野球ネタを入れてきたけれどお客さんがピンと来ていないのが面白かったです。あとは、テンペストでずぶぬれになったマモにキッズダンサーが「びしょびしょだけど大丈夫?」と聞いたとかそんな感じのことを言っていた気がします。それ以外のことを何一つ覚えていないので、私の記憶力も相当衰えたんだなと思うと大変悲しいです。
マジLOVE1000% MCのあと「この二組がそろったということは……?」と振ってくれたので、私も思いっきり叫びました。そう「ゴールデンスt「マジLOVE1000%!!!!!!」 え、なんで!?なんでだよ、なんでGOLDEN STARSじゃないんだよwだっておかしくないですか!?!?!?マジLOVE1000%って、スタリの曲でしょ??確かに一緒にカルナイが歌うことは何度もあったしライブの最後に歌われがちだけど、きちんと二組名義で歌っている曲があるのにわざわざそちらを歌うことなくないですか!? 私、今回のライブでこれはどうしても納得がいかなくて、1000%のタイトルを言われた時に心の中で苦笑したしなんなから顔にもそれが出てしまったと思う……。
スタリのソロ曲は新曲で揃えてきて、しかも推定でびゅ続編で使われるであろう曲でした。続編、いったいもう何年待たされているの?という気持ちとこれが出たらこの人たちの物語がいったん一区切りしてしまうのでは、という寂しさとで複雑な気持ちになるタイトルの為の曲。 そして、アニメから引き継ぐ形で開催されるこれまでにないコンセプトでのライブ。 これまでの歩みをふまえて、それを形にした上でひとつ階段を昇る。これはスタリにしかできない事でした。きっと声優さんたちもそれぞれ思うことがあり、それをその時できる一番の方法で私たちに示してくれたのだろうなと思います。 それぞれ付き合い方魅せ方は違いますが、私はスタリ声優の皆さんが見せてくれるステージが大好きなんだなと思わせてくれるソロ曲パフォーマンスでした。
HE★VENS GATE -Beginning of the Legend- もえちゃんと私がこの日一番湧いた瞬間、それは HE★VENS GATE -Beginning of the Legend-が始まった瞬間だったと言えるでしょう。 何を隠そう我々、 HE★VENS GATEがめちゃくちゃ好きですからね。 カラオケで歌う回数を重ねるごとにより盛り上がっていますからね。 しかも、奥のステージでアニメの時のような演出で歌ってくれたので最高でした。 本当に頭の悪い感想ですが、一番に思ったのは「ヘブンズの本物だ……!」でした……。ヘブンズ声優の皆さんがキャラクターに近づくためにたくさん努力をしてくださったのが目に見えてわかって、その嬉しさも手伝って本当にテンションが上がりました。 ヘブンズは色々言われていたので、他のファンもいるこのライブではプレッシャーも相当だっただろうと思います。その中であれだけのものを見せてくれた彼らのポテンシャルの高さには、舌を巻きます。 曲も楽しくて、声優さんの熱量もびんびん感じられて、最高のヘブンズの幕開けでした!
HE★VENLY PARADE 真ん中のステージへ移動してのパフォーマンス。 この曲は何故かじわじわと笑いを誘われるので(決して面白い曲ではない)、イントロでふふっと笑ってしまった……。
MIGHTY AURA ここからデュエットソング。 いきなりマイティーオーラってすごいですよね、ぶっとばしてる……! マモと立端の差が相当ある雄馬くんが、どれだけ詰めてくるんだろうというのは多くの方が気になっていたことだと思います。決して余裕があるダンスでは無かったと思いますが、力強くて、生き生きしていて、とてもかっこよかった! マモとの練習?でも色々と挑戦して頑張っていたそうで、そんなところがなんとなくトキヤと瑛二らしくも見えたりして…(^-^) 曲が終わると会場の熱気がすごくて、なんだかほっとしてしまいました。
Grown Empathy ゴンドラで回る演出で、谷山さんが近くまで来たのでもえちゃんが嬉しそうでした。 代永さんがふっと笑う感じが、どことなくナギ意識なのかなという不敵さがあって個人的にドキドキしました。私はヘブンズだと天草とナギが好きで、実はナギってすごく難しい子だと思っているからこういう台詞に頼らず声優さんの一挙手一投足でキャラクターを連想できたのが個人的な収穫でした
Lasting Oneness 気付くと嵐のONE LOVEになってしまう事で有名なこの曲。 左右のクレーンに分かれて天高くのぼって、右と左からやりとりをしているような印象のステージでした。 聖川と綺羅くんらしく綺麗な歌詞を交互に歌うので、歌う度二人からオーラの様なものが見えるような気がして、歌うことで互いに会話して高め合っているように見えました。 綺羅くんについてはまだわからない事も多いのでこの曲が綺羅くんにとってはどういう意味を持つのかは憶測の域を出ませんが、聖川だけでなく彼にとっても何か自分のステージを一つあげられる存在であればいいのになと思わせてくれました。 まあ…終始クレーンで上の方にいたので、二人の表情はほとんどわからなかったのですが(´ω`;)
Lovely eyes 何故か全く記憶がないのですが、二人ともゴンドラだったっけ……。 記憶がないと言うのは語弊がありますが、ぼんやりとしか覚えていなくて……。振付などもわかるのに……。
Visible Elf 好きな組み合わせの好きな曲なので、とっても楽しみにしていました! とはいえ、まさか気球の様なもので空へ飛んでいくとは思いませんでしたがね!笑 私たちの席は天草側だったので悲しいことに私は全くセシル側を見ていないのですが、山下くんのテンションを上げずにテンションを上げるお芝居がすごいなあと感心してしまいました。 気球に乗るファンタジー感は凄いなと思いましたが、個人的にはこの二人は直接やりとりをするようなパフォーマンスをして欲しかったような……。
JUSTICE IMPULSE 最早定番になりつつあるワイヤーアクション、ここで来るとは!! 我々の中で大和くんは黒崎さんポジションに収まっているせいもあり、こう、笑ってしまうというかですが、ね、木村さんがワイヤーでくるくる回っているのがなんだか、その、ね……(^-^)(悪い意味ではない) 本当に盛り上がってわいわいできて、アドレナリンが分泌される感じでしたよ! いつもの翔ちゃんらしさ的なものをここで補給できた気がします。これぞライブ!という曲がうたプリでは少ないので、やっぱりこれがないと!笑 早く皆で鑑賞会をして、合いの手を入れて盛り上がりたいな~!!
NEXT DOOR アニメの音也回の話の流れがあまり好きでなくて、どうしても瑛一もこの曲も受け入れがたいものでした。 だからこの曲と瑛一のソロ曲はライブでNEXT DOORを聞いて、アニメの話について自分の中で折り合いがつけられるまでは聞かない事にしていました。 私は寺島くんのキャラクターとの向き合い方に絶大な信頼を置いているので、彼がこの曲をどのように表現するかを見てから色々な点について判断したかったからです。 アニメでは心を閉ざした音也が歌ったもので、CDに収録されているのもその時の歌です。寺島くんはそれを再現するのではなく、曲の中でアニメの話を消化できるようなお芝居をしてくれていました。一番では自分について壁にぶち当たり悩み苦しむ音也くんを、次第に解決の道に辿り着く音也くんを、そして今まで通りのようで何か違う、一皮むけて開放されたような音也くんを……。 それを支える緑川さんの音也を追い詰めていく太い縄の様な歌い方、次第に「次はどう来る?」と試すような純粋故に恐ろしさを感じる瑛一らしい気持ちの高ぶりをうまく歌と振りに落とし込めてくれたので、この曲の嫌なものを全て取り払ってくれた……そんなパフォーマンスでした。 CDに収録されたもののシチュエーションは変わることはないけれど、ライブであのNEXT DOORを聞��たことによって「でも、今のNEXT DOORは違うんだよ」と自分で良い記憶を上書きできるようになれました。正直実際パフォーマンスを見るまではもし嫌な記憶のままになってしまったらどうしようという不安もありましたが、最も良いと思えるNEXT DOORを観られて良かったです。
ダイジェストムービー スタリとヘブンズのユニットソングが全て披露し終えてひと段落したところで、最初のライブからこの前のライブまでがダイジェスト編集された映像が流れました。 私はセカンドライブからは全て参加しているので(ファーストはシネライで補完)、色々思い出があるなあと感慨に浸りつつ、映像としてはうたプリ会で散々一緒に見ているのでその時に言い合った感想のことなども思い出したりして、うたプリオタクとして歩んだ日々に思いを馳せました。 ただ、この映像って一体なんだったんだろうという。私たちに何を伝えたかったんだろうか。 タイミングとしては、前回のライブで流れていてもおかしくないと私は思ったのであえて今回これを流した事の意味……と思うと、なんだか苦しくなりました。前回で流しておけば、今回のライブは始まりになっていたはず。けれど初めてアニメから明確にバトンを受け取ったライブで、そしてそのアニメがそれとなく区切りを思わせるような終わり方だったとしたら、これより先のうたプリは私が好きだと思っていたうたプリとはまた違う道を歩んでいくことになりはしないか。 懐かしさと共に、底知れぬ不安を感じました。
God’s S.T.A.R ライブもフィナーレとなり、各ユニ���トの全員曲。 ここまで各曲について色々と感想を述べてきましたが、正直この曲が今回のライブで一番印象深いものとなりました。 随分長く書いたので最初の方のことはもうお忘れかと思いますが、私がMelting of snowで書いた事を思い出していただきたい。次にその後の伯爵の出番であるNIGHT DREAMで書いたことを改めて確認していただければわかると思いますが、NIGHT DREAMにおける伯爵に対するコメントは一切なかったかと思います。 私の中で私が全盛期の遺物のような存在になってしまったと思ったので、どんなに前野伯爵が素晴らしいパフォーマンスをしていたとしても、かっこよくても、なんだか他人事みたいな悲しさを感じながら曲を見ていたからです。既に書いた通り伯爵は別に執事アイドルでなくたってアイドルの頂点に立つ男であることに変わりはありません。結局私の気持ちの問題に過ぎない些末なことだと、NIGHT DREAMでは思い知らされました。変化する仏様のうちどれに手を合わせるかぐらいの気持ちでいればいいのに(この解釈と例えへの引用が不適切だったら申し訳ないです)、それができない苦しさが改めてこみあげてきてブログの文章とは言え何か書くのはためらわれてしまったのです。 久々にカルナイが登場し、曲のイントロと共に4人が奥のステージに降りてきてくれた時も「この人はもう執事アイドルではない、ごく普通のアイドルなんだ」と強い喪失感と共に、伯爵のお嬢様でいるのもこの辺りが潮時かな……。今日は私が伯爵のお嬢様だった最後のステージだ……今までありがとう、これからは少し遠いファンとして伯爵の活躍を応援していきます……。 などとぐだぐだ思っていました。 しかし、NIGHT DREAMの時と同様降りてくる間にそれぞれがセリフを言ってくれた時、私に向かって一陣の風が吹き……!
「お嬢様へ」
夢でも見ているのかと思いました。 マイガールもえ様がすごく嬉しそうに「今の聞いた!?!?」と言わんばかりの表情で私の方を見てくれて、それで夢じゃないと思ったら実感がわいてきて嬉し泣きが止まりませんでした。 God’s S.T.A.Rはカルナイにとっても非常に大切な曲で、それを捧げる相手として伯爵はお嬢様という存在を選んでくれました。例えアニメの時のセリフを意識して言ったにすぎなかったとしても、これ以上望むことは何もないくらい嬉しかったです。 私はDouble face以降少しずつ積もっていた不安のせいで、Melting of snowという曲を重く見過ぎていたのかもしれません。思えば突然リリースされた何に使われるのか全く分からない曲に、これまでの伯爵のアイドル活動を否定されてたまるものですかって話ですよね。また↑松に踊らされてしまった……。 前野伯爵が「お嬢様へ」と言った時の表情は、「あれは余興、軽いファンサービスですよお嬢様。何を落ち込んでいらっしゃる。」なんて笑われたような気がしました。私、まだ貴方のお嬢様でいいの?以下略の様な恒例のクレイジー妄想が脳内を駆け巡り、そして救われたような思いで、最高に魂の震える God’s S.T.A.Rに歓声を上げることができました。 カルナイライブの時よりもさらに純度の高いパフォーマンスだったので、映像でもなんでもいいからカルナイを好きな人には見てほしいステージでした。
不滅のインフェルノ ヘブンズに思うところがあった人も演者の熱い気持ちと素晴らしいパフォーマンスを見て心動かされ、ライトを振らずにはいられなかったのではないでしょうか。……なんて最もらしいことを書いてみたものの、 God’s S.T.A.Rの衝撃であんまり覚えてないんですよね……。燃えてた気がする……。あともえちゃんがずっとヴァンのことを呼んでいたのはとても良く覚えています。(後にヴァンと目が合ったという報告を受けました)
We are ST☆RISH! アニメに近い振付ですごく感動しました。というか、この流れがアニメままなので本当にあの対決のあとのライブだったんだなと感動しました。 真ん中のステージだったからすべてが良く見えていたわけではないのですが、まあ安心感がすごい。そして合いの手を入れながら楽しい気持ちと感極まる気持ちがぶわっとくる。 でもこの曲を聞くと、なにか終わりの様なものを感じてしまうのでダイジェストムービーの時に思ったようなことがぶり返して来て少し切なくなりました。 いつからスタリの曲はこんなにもまぶしくて切ないものになってしまったんだ……。
これで一旦ライブは幕引き。アンコールです。 アンコールパートは、パフォーマンスが全て終わってしまい、それでもそのパフォーマンスの素晴らしさに観客の心が打ち震えもう一度でいいからそのパフォーマンスを我々に披露してほしい!というどうしようもない心の高鳴りからくるアンコールに相手方が応えてくれたものだと思っています。 だから私は所謂アンコールタイムになった途端に自分の座席に座って、同行者と和やかにご歓談……という観客が大嫌いです。アンコール!と何度も何度も声を張り上げ、ペンライトを振り、演者がまたステージに上がるのを今か今かと待ちわびていない人間に果たしてアンコールパートのパフォーマンスを見る資格があるのでしょうか。 勿論、アンコールがプログラムに組み込まれていることの多い昨今のオタクライブ構成にも問題はあると思います。いや、本当は問題なんてないんですけれども。「私たちが声を上げなくたって、アンコールパートはやるでしょ?笑 ライブでたくさん声出してペンライト振ったから疲れちゃった笑 今のうちに休んでおこうっと」と勘違いしているように見えるオタク共の態度が何もかも問題なんですけれども。(あえて悪意を込めた言い方をしています) アンコールは当たり前じゃない。 私はオタクイベントに参加するようになってかれこれもう7年くらいになる年季が入り始めたオタクですが、この2、3年アンコールになった途端に座って雑談しだすオタクが急激に増えたような気がします。 別の話を引き合いに出して恐縮ですが、国フォであった寺島くんのライブで周りが軒並み座りだした時は遂にこの世の終わりが来てしまったのかと思いました。 「こんなに興奮しているのに座ることなんてできない、早くまたステージに出て来て欲しい」というような体の奥底から湧き上がる感情が近年のオタク達の心にないだなんて私は思えないのですが……。 本当にショックだったのです。私達のまわりは一斉に座りだし、立って声を張る人はごく少数だった。勿論座りながらもアンコールをしている人はいて、私はそう言った人を否定はしません。まあ、できれば立っていて欲しいけれども……。しかしそれでもやはりアンコールすらせずに雑談している人が本当に目につきました。 目の前の座席にいたのが黒いマジックで背中に「愚民」とすこしかすれた文字で書いた薄地の水色の法被を着た人だったのですが(ここまで丁寧に私の地雷を踏み抜いていくオタクがこの世にいたとはと逆に感動した。愚民とプリントしたTシャツを着た人達を危うく許しそうになった。)、その「愚民」さんがまさしく即座に座り同行者とおしゃべりをし出して「貴女って人は……!!!貴女本当にその法被のみたいな人なのね、本当にがっかり!私たちの執事、そしてお仲間の方々、後輩の皆さん、そしてレイジング事務所の皆さんのパフォーマンスを見て、貴女は何も感じなかったとでも仰るおつもりかしら!そんなことありませんわよね?ねえ、そうでしょ?そうとお言いなさいよ!!」と私の心のお嬢様が大変お怒りだったという、蛇足の様な小話もありまして。そんなに私の嫌悪感を煽らなくてもいいのにと思いました。笑 誰が何をしようと自由だからアンコールを強制されたくない、そう言うのならしなくて良いので帰ってください。お金を払ってチケットを買っているのだから見る権利がある、それはそうですね。もっとステージが見たいと思わないのに居座るなんて、帰りが混雑するしいいことは何もないと思いますが。私はそう思います。 私はこれがあるべき理想の姿だと思ってこのように書いていますが、世相としてアンコールに意味を見出さず静かにおとなしくするのが主流になっているなら、私は一人でわめいている時代に取り残された滑稽な女ですね。笑 色々不快にさせるような事を書いてしまいましたが、要するに今うたプリを支えるオタクはこういう人達なんだと思ったら切なくて悲しくなったという話でした。
さて、気を取り直して改めてアンコールパートです。
夢を歌へと…! 全員がトロッコに乗りそこらじゅうに散らばっていたような気がするのですが(時間を見つけて少しずつ書いているせいで、この曲について���筆しているのは2017年9月。いよいよ記憶が薄れ始めているのだ)、ヘブンズはステージにいたような記憶もあり、正解はDVDを見るしかない状態です。 間奏でセリフは言わなかったので、あ、そこはアニメを再現するわけではないんだ……まあ確かにあのセリフは春ちゃんに向けての台詞なので、ここで言うのは違うのかもしれないな……と思いました。 しかしこの曲が良くできているお陰でパートの主導権が移るたびにそのユニットが場を支配し力をふるっているように思わせてくれて、その饗宴を観客として目の当たりにできたのは貴重な経験でした。 そして最後にスタリが全てを浄化する神の如く何よりも心を包み込むように歌い上げるので、私はまたプリ春信者としての信仰をより一層深めることとなりました。スターリッシュと春ちゃんは永遠だよ……。
MC 流石に最後のMCの内容は割と覚えていますよ! 絶対に泣かないてらしま君がやはり涙を見せずにいてくれたことは、私の中でとてもありがたく、私の思い描く理想の「キャラクターとの付き合い方」をしているのは寺島くんだなあとまた信頼度を上げてしまいました。 (ここで最近配信されたうたプリのリズムゲームの話を。実はシナリオ前章のシャイニング事務所ライブのフィナーレで、音也くんが泣いていまして……。嘘でしょ……私や多くのオタクと寺島くんが信じてきた音也とはいったいなんだったんだ……。とショックを隠しきれない大問題が起きています。え、初の単独ライブではなく事務所のオールスターライブで泣くんだ音也って……。誰か納得のいく解説をして……。) 全体的に今回のライブのMCは楽しく和やかな時もしんみり感動的な時も、どことなく苦しさの様なものを感じました。 うたプリという夢の世界の裏側で何か大変なことが起きているような気がして、私はすごく不安感に襲われて、やっぱり5th、6thと時を経て徐々に壁に近づいていて正念場なのかもしれないとさえ……。
マジLOVEレジェンドスター 最初はスタリで、最後は全員で。 これだけ長たらしく文章を書いてしまうくらいには、色々なことを感じたこのライブ。 その最後を飾ったこの一曲は、これまで聞いていたそれとは全く違う曲のように思えました。 永遠なんてないかもしれない、いや永遠なんてものは存在しないと言い切ったうたプリだからこそ、永遠を尊び、愛し、その言葉の意味を噛みしめもがきながら永遠であろうとするのかもしれない。 その永遠の形をこの目で見たいと力強く思わせてくれた、大変思い出深いライブとなりました。 ここから少年ハリウッドの話を絡めてアイドルと永遠について熱く語るのもアリですが、さすがに2017年5月28日のライブの感想を2017年9月4日より先延ばしにするのはどうかと思ったので、今回はこれで終わりにしようと思います。 万が一最後まで読んでくれた方がいましたら、私のつまらない話に最後まで付き合ってくださってありがとうございました。
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pinoconoco · 8 years ago
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空座第七女子寮物語 16
たかが、2泊の外泊だというのに第七寮ではルキアの無断外泊は話題になっていた。 こっそり部屋に入ろうとしたルキアだが、玄関先でまず石田に首根っこを捕らえられた。
「……お帰り、朽木ルキア」 「な、なんだ。離せ」 「離せ?心配したかもしれない寮長に酷い言い方だね?」 「したかもって、してないだろ!貴様」 「まぁね。あのオレンジ頭のとこだとわかってたし」 「!え?」
かぁっとルキアの頬が赤く染まる。 これはこれでいい眺めだな、と石田はニヤリと不敵に笑った。
「ち、違っ」 「だって、君、他に泊まるとこなんかないだろ?」 「~~~!う、うるさい離せ!」 「帰ってきたら言うことあるでしょう?」 「……無断外泊してごめんなさい」 「あとは?」 「……ただいま」
パッと石田の手が離れる。そんな二人の元へ、食堂から桃をはじめ数人が駆け寄って来た。
「ルキア! も~心配したんだからねー」 「桃、す、すまぬ」
男か、男だよな?やるなルキア~いつのまにー?ときゃいきゃいと女達に囲まれルキアはあたふたと慌てる。
「な、なんだ!皆だって、帰らないことしょっちゅうあるではないか!」 「アンタはないじゃん。いつもここにいるのにさ。いきなり2日も帰ってこなけりゃ何があったかと皆気になるんだよ」 「とうとう女にしてもらったかー!よかったな!」 「そんでセックスばっかしてたんでしょ?」
あながち間違いでもない卑猥な野次にルキアはどんどん顔が赤くなる。
「みんな心配してないじゃないかー!」 「当たり前だろ?で、彼氏できたか?いつのまにー?」 「ううううるさーい!!」
あはははと皆の笑い声がボロ家屋にこだまする。顔を赤くして怒ったように反論しているルキアもそれでも楽しそうだと石田は思った。 気のせいかもしれないが いつもの彼女より艶めいて、楽しそうにも見えた。たった2日で彼女の内面に変化を出すなんて 一護という男を余計に憎く感じた。
どうするつもりなんだー 朽木ルキアを、こんなにも女の子として喜ばせておいて 全て隠したまま、あの男は彼女の傍を離れないつもりなのか 許されるのか? いいのだろうか?
わからない、と石田は考え込む。 許すとは、それはー 一護の赦しは、誰に対して乞うものだー?
「石田!織姫は?」
考えていたせいでぼんやりとしていた石田の前に、皆にもみくちゃにされて頭をボサボサにしたルキアがいつのまにかいた。
「ああ、僕の部屋」
え?
一瞬にしてそこにいた全員が声をなくした。
「……は?」
間抜けな声でルキアが聞き返すも
「眠れない、と昨日僕の部屋に来たんだ」
石田はそれがなにか?とでもいうようにさらっと言った。 はぁ~?とかやだー!とか今度は一斉に皆が騒いだ。管理人なにしてんだよ!サイテー!織姫に手だしてないだろーな!いやアノ子前に聖人面してたら男じゃねーよ! と、皆が騒ぐ中、ルキアは心配そうに石田に聞いた。
「織姫、何かあったのか?」 「……それは、君が直接聞くことだ」
皆が騒いでる中、ルキアは石田の部屋へと急いだ。だが部屋にいた織姫はいつもの織姫で、ルキアに気がつくとキャ~!と抱きついてきた。
「ルキアちゃん!お帰り~!」 「織姫、何でこんなとこにいるのだ!」 「ん? だってールキアちゃん帰って来ないからつまんなくて。石田さんとお喋りしてたの」 「えええ~? な、なにもされてないか?」 「してくれないんだよー?」
ぷぅと頬を膨らませた織姫にルキアは固まる。え?今何て言ったのだ?と頭の中で反芻するルキアに笑いながら、織姫は「外で朝ごはん食べよう?」とルキアの手を引いて連れ出した。
「織姫に、話たいことというか、聞いてほしいことが私もあって」 「うふふー聞くよ聞くよ!すごく楽しみ」 「や、あの、楽しいかわからぬが」 「え~?ルキアちゃんの謎の2日間の話でしょ!わくわくしちゃうよ」 「いや、別にその……」
ブンブンと繋いだ手を振りながら二人は歩く。今日は陽が出ているが北風が冷たい。 ハマーカフェに行こうよと言う織姫にルキアは頷く。1度行ってみたかったのだ。でも誰も誘う人も誘ってくれる人もいなかった。 こうやって、他愛ない話をしながら、聞いてほしいことを楽しみと言ってくれる友達と、行きたかったお店に行けるなんて
幸せだなぁ とルキアは泣きたくなる。
一護といるのも、キスしてくれるのも 抱かれるのも幸せで 寮の皆の下品な話も楽しくて お友だちとご飯を食べに行くのが
何でもないかもしれない日常が ルキアにはすごく嬉しかった この日常が続けばいいー
あとは何も望まないーとルキアは思った
◾ ◾ ◾
だが、その日常はご飯を食べる前に崩壊した。
「……うそ」 「残念ながら、嘘じゃないんだなこれが」
織姫は普段通りにニコッと笑った。 ルキアの固まった表情に気がつくと、それでも困ったように笑って、ルキアの頭を撫でた。
「あたし、頭そんなによくないからね……おじいさまが半年は専用の家庭教師つけさせて猛勉強だって」 「半年って……」 「うん、向うの大学は9月から新学期だからね……でもねぇ、まさかこんな急に日本離れなきゃならなくなるとはね……」
織姫がいなくなるー
それはルキアにとって思いがけないショックをもたらした。 アメリカの大学に行くというそれは 織姫がここからいなくなるということだった。
「……あたしね、両親いないんだ」 「え、」 「話したことないでしょ?おじいさまの話しか。だって、覚えてもいないんだもん」 「織姫……」 「あ、気にしないでね?小さいときに死んでるから知らないの。だからかわいそうじゃないから」
あは、と笑いながら織姫は肉を口に放り込んだ。
「……だから、おじいさまの会社は、あたしが継ぐのはもう小さい頃から決まってて。周りからもおじいさまからも言われてて……なに不自由なく暮らしてるけど、あたしには未来の夢はないんだよね」 「織姫……」 「仕事も旦那様も選べない。……つまんないねー」
困った顔で笑う織姫にルキアは苦しくなる。 そんな、そんなのって。 でも織姫はいつだって笑顔だ。 たくさんお喋りするけれど愚痴なんて聞いたことがないくらいなのに。 いつだって楽しそうなのにー
「でもね、おじいさまは大好きで尊敬してるの」
そう言った織姫の顔は、いつもの優しい笑顔だった。
「だから……おじいさまの為なら、犠牲とかそういうんじゃないんだ。……好きな人の為なら、それは我慢じゃないの。その人の役に立ちたいし、その人の願い叶えてあげたいって思うんだ」
うん、それはわかるよとルキアは頷いた。 よかったぁ、ルキアちゃんにわかってもらえたらいいんだぁと織姫は笑った。
色々ね、矛盾してるけど 育ててくれて、私を愛してくれるおじいさまには、私も愛を返してあげたいっていうか 応えてあげたいの
寂しいけどね、日本から離れるのは
でもずっととか死ぬまでじゃないし、遊びにもくるよ!
ルキアはそれでもやはり、泣きたくなった。
前向きな織姫に頑張れ、と思う。 本当に思うのに、会えなくなるのは寂しくて嫌だと思ってしまう。 思えば数ヵ月のつきあいでしかないのに 毎日一緒だった。 寝るのも。ご飯も。学校へもパチンコ屋にもどこに行くのも一緒で。 そして毎日が楽しかった。 長く忘れていた感情や感覚を、自分に与えてくれたのは織姫だった。
「でも、寂しい……織姫と遊べないのとか、会えないのとか寂しいよ」
困らせてしまう、そうわかっていてもルキアは言葉にしてしまった。織姫も首をかしげて「私もだよ」と困ったように笑う。
「でも、もう大丈夫でしょ?」 「え?」 「一護くんが、いるから」 「え、あ!わぁ、な、何を……」
しんみりしていたのに、一護の名前を出しただけで手をばたつかせて慌て出したルキアに織姫は笑った。
「そうそう!それ聞いてないんだけどー?ルキアちゃん2日も一護君と二人でいたのかなー?」 「えっと、あー、……うん」 「一護君に好きだって言われたの?」 「……」 「あら?」
んー?とルキアが変な顔をした。言われたか?私は言ったか?とブツブツ真剣に考えるルキアに織姫はクスッと笑ってしまう。 面白いなぁと織姫は両手で頬杖をしてルキアを眺めた。
私も ルキアちゃんみたく、好きな人に振り回されてみたいな そう思うと浮かぶ、前髪の長い黒髪と眼鏡の奥の優しい瞳
石田さんには、女として見てもらえなかったなぁ
勇気だしてお部屋にまで行ったのに
「一護くんはさ、すぐにルキアちゃん触るよね」 「え!? あー、うん」 「そういうの、いいよねぇ……」 「どうしたのだ?!」 「あたしからアクション起こさなければ触れてもくれないヘタレより、ちょーっと強引なくらいの男の子がいいなと思ったの!」
ぷくりと頬を膨らます織姫に、まさか石田のことか?、とルキアは思うもそれ以上は聞けなかった。
デザートまで食べて二人は店を出た。 どれだけ店にいたのか、気がつけば夕焼け空に変わっていた。
「……いつまで、いられるのだ?」 「あと2週間!」 「そうか……」 「その間ももうずっと第七にいるから、よろしくね!」 「うん、なぁ、皆でどこか行かぬか?」 「わぁ!本当?」 「帰ってから石田や桃達と相談しような!」 「うん!たーくさん思い出つくろーっと」
うむ!、と笑ってからルキアははっと思い出した。 織姫に会ったら一護の家に戻ると約束していたのだ。 でも今は織姫が楽しそうにしている雰囲気を壊したくない。 皆で話して、夜一護の家に行こうとルキアは思った。 今日は仕事に顔を出すと言っていたしな ー ぼんやり思いながら そういえば一護は仕事を辞めると言っていたなと思い出す。 できれば、女の子とべたべたする仕事は辞めて欲しかった。だからそれ自体に異論はなかった。 でもー 一護は会った時からあんな感じだった。 ホストになろうとしたこともあった。 また、夜の仕事を探すんだろうか?それを駄目だと言うつもりはないが、 できれば、昼間に働いてほしいなぁとルキアはぼんやり思った。
◾ ◾ ◾
一護は仕事を既に辞めていた。
週払いでも給料を貰うことができる仕事だったが、一護は月イチの振り込みにしていた。だが今回みたく突然辞めると給料を支払わないでスルーされることがあるからと、赤髪の先輩が一護の辞める話を止めていてくれた。 給料も週払いの申請に変えてくれていたのだ。
「月イチのは普通に振り込まれるから安心しろ。んで、これ先々週のだ」 「助かります、なんか色々すみません」 「いーって謝るな。こんな世界にお前引きずり込んで悪かったと思ってたからよ」
グリグリ、と頭を掴まれる。いや、世話してもらって助かったんすよと一護は素直に礼を言った。 親も親戚もいない1人の自分を、この先輩は世話してくれた。先輩も同じ施設にいたのだ。 4つ上のこの先輩は、一護が口を利けない間も可愛がってくれた。
「おまえは連れてると女が寄ってくるし、喧嘩強いからな。助けてもらってたのは俺なんだわ」 「なんすかそれ」 「大事なシャセイは大事にするってことだ」 「舎弟だろ。本当に馬鹿っすよね」
うるせーなとがはははと笑いながら男は一護の肩をばんばん叩いた。
「あのおちびちゃん、モノにしたのか」 「……言いたくないッスね」 「だから辞めるんだろ?」 「言わねぇっての」 「へーへー。……ちゃんと幸せにしてもらえよ?だからお前もあ��娘にやさしくしてやれ?」
幸せにしてもらえよー
一護は男の言葉に思わず戸惑った。 俺が、幸せになる?
「ん?どした」 「いや…… 俺、幸せにしてもらえるんすかね」
はぁ?と男は不可解な奴だなと言わんばかりに男は眉間に皺を寄せた。
「だっておめー、あの娘の傍でいっつもまとわりついてたじゃねーか。ずっと好きだったんだろ?欲しかったんだろーよ」
そうだ、ずっと好きだった 先輩が思うよりもっと昔から あの林檎を渡されたあの日から
「その女を自分のものにしたんだろ?よかったじゃねえか。一方通行じゃなくておまえも愛してもらえるんだろ?」
自分に手を伸ばすルキア 手を握ってくるルキア ねだれば恥ずかしそうに、でもちゃんとキスしてくれるルキア
ルキアも俺を愛してくれている? いいのか? 俺なんかでルキアはいいのか?
俺が幸せになっていいのか?
自分がルキアを幸せにしてやるんだ、傍にいてやるんだとそれしか考えてなかったのだと一護は今更気がついた。
施設に入れられ、それでもルキアが気になり あの町に戻ってルキアを探した。
ルキアは1人になっていた。
天真爛漫な白雪姫は、施設を抜け出して、見に行く度に1人ぼっちだった。 石を投げられ額から血を出すこともあった。 悪徳警官サイテーと野次を飛ばされるのも見た。 それでもルキアは泣いていなかった。表情一つ変えずに逃げもしないで歩いていた。 悪質な虐めは中学でも続いていたようだった。傷だらけで歩く姿を何度も見た。耐えきれず一護はルキアを傷つけた相手に男であろうと女であろうとぼこぼこに殴ったことも何度かあった。その結果何度も補導された。 それでも止めれなかった。 本当ならー ルキアが連れていかれるのを見ている時点で助けるべきなのに
ルキアの前に姿を出せなかった。 自分の存在を知られたくなかった。
そんな自分が ルキアに幸せにしてもらおうなんて考えたことがなかった。本当になかったのだ。 だから一護は混乱した。
「おいそれから、貴枝なんだけどよ」
先輩の声に一護ははっ、と顔をあげた。
「あれから連絡とかきたか?」 「いや?俺、女達の番号も何もかも全部消したし」 「家には?」 「一応オートロックなんで」 「ならいーけどよ。ありゃやべえわ。やりすぎだあいつ死ぬかも」 「は……?」 「もう薄気味悪いんだって。店にも出せなくて今オーナー���監禁してるとか聞いたけどな、わかんねーけど。一回事務所でオーナーとスゲエ喧嘩してた時にお前の名前言ってたらしくてさ、他の女が言ってたけど。貴枝おまえにマジだったみてーだから」 「……そんなこと言われても、」 「わぁーってるよ!ただ執念深そーだから気を付けろよな?お前もだけど、大事な女やられたらたまんねーだろ?」
ルキアを?
そう思った時、一護の背中は凍りついた。 寒気がした。貴枝がルキアに手を出したら貴枝を本当に殺す、と思う。 嫌だ絶対に嫌だ、そんなことは絶対させない。
父娘揃って、自分の周りの中毒患者に殺されるなんてそんなことは絶対嫌だ!
「一護!!」
先輩に揺さぶられて一護ははっと先輩と目が合う。
「大丈夫かよ、お前今怖かったぞ? 気をつけりゃ大丈夫だから、な?おい!しっかりしろ?」 「あぁ……うん」 「びびらせんなよ、スゲェ殺気で俺が殺されるかと思ったわ」 「悪ぃ…… 」
上手く笑えているだろうかと一護はつまらないことを気にした。両手はまだ震えている。
怖い、と一護は思った。
だって昔もそうだったのだ。
つまらない毎日にある日おかしな神様が現れて。お姫様にまで会わせてくれて
今度は、娘も一緒に3人で山登りでも行こうなんて約束までして
夜眠れないくらいの幸せを感じた直後に 神様は消えたのだ 俺の前からこの世界から
だからー
ルキアに触れるだけでなく、求めてもらえるなんて幸せな今も
また消えるんじゃないだろうか? 一瞬で 前触れもなく
幸せなことなんてほとんどないのに
幸せだと感じたらそれは泡沫の夢で終わる
消えるなら 消えてしまうのであれば 消えてなくなるのは、それは俺にしてくれ
震えの止まらない手を、笑いながら擦り続けた。
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masuodosu · 5 years ago
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夏よこい
七月上旬。梅雨明け後の日本は、例年通り、サウナを再現したような蒸し暑い夏へと移行した。この国は毎年、かなりの数の熱中症患者を出しているというのに、年々気温は下がるどころか上がっていく一方だ。意思を持たぬ太陽に文句の一つや二つ、溢したくもなる。案外、しきりにミンミンと鳴き声をあげる鬱陶しい蝉も、同じように文句で声を張り上げているのかもしれない。そんな風に、虫相手に勝手な親近感を持つほど頭がやられる暑さだった。
天気は雲一つない快晴。外を歩けば、次から次へと流れていく汗がガムのようにベタついて不快になる。そんな天気に姫宮桃李が、車を出さず片道三十分の場所まで外出したのは単純明快。アイスが食べたかったからである。
ESは飲食の種類が豊富に取り揃えられた店が立ち並ぶ。食べたいものは大抵、用意されている。しかし餅は餅屋。専門店のものはやはり、味が格段に違うのだ。口の中でパチパチはじけるアイスだって、そこでしか買えない。
「あーもう、日本の夏って粘着質でやだー…夏なんてきらーい…」
不満の声を、誰に言うわけでもなく力なく呟く。先程、店で購入したアイスの袋から僅かに漂う冷気だけが救いだ。
ドライアイスを入れて貰ったので、あと一時間はアイスの形が持つ。そのままESに向かって、食生活管理の鬼である弓弦がいないうちに食べてしまえばミッションコンプリート。カロリー摂取した分、筋トレするのだから問題ないと建前を用意してるので罪悪感はちっともなかった。なので早足で目的を急ぐが、先に限界を迎えたのは氷菓子ではなく桃李の方だった。
「むりぃ…」
変装と熱射病対策で被った帽子のせいで、汗に濡れた頭皮が蒸れて気持ち悪い。体に塗りたくった日焼け止めクリームを無駄にするように、汗がどんどんクリームを流していく。体内の熱が、血液を沸騰させているように感じる。
進行ルートの近くに、どこかに休憩する場所はないかと記憶を掘り起こす。そして、曲がり角を少し真っ直ぐ進んだ場所にある公園の存在を思い出す。どうせなら冷房の利いた施設で涼みたいところだが、目先の欲を優先する。遠くのコンビニより、近くの公園というやつだ。
閑散とした公園。小さなスコップが放置された砂場。園内の木々に止まる蝉の合唱。何となく、寂しさを覚える光景だ。
大人の事情で砂場とベンチしか設置されてない公園には、子供どころか人すらいなかった。休日の昼間でこれとは由々しき事態かもしれない。しかし、市役所勤めでもない一市民の己には関係のないことだ。
桃李は自販機でサイダーを購入して、木で日陰になっているベンチを探して腰を下ろす。横に買い物袋も置いて、泡が出ないように慎重に蓋をゆっくり回して空気を小出しにする。シュウー、と音を立てていくペットボトルから何も聞こえなくなるのを確認すると、一気に蓋を開けて口の中に突っ込むようにして飲む。
「んん〜! ぷはぁー! やっぱり、暑いときは炭酸に限る!」
なお、ペットボトルの炭酸飲料を溢さず飲むコツは紫之創の監修である。いつもお世話になっています。
冷たく刺激的な飲み物で、喉を潤した桃李は腕時計の時間を確認する。店を出て三十分経過したが、ここからESビルとの距離なら、あと数分ほど休んでも大丈夫で安心する。
目線の先の景色が現像に失敗した写真のように歪む。このジメジメとした暑さは、日本独特らしいがそんなオリジナリティにいつまでも固執せず新たなことに挑戦してほしい。懐古主義というのはどうにも好かない。腐れ縁…幼馴染みの家を思い出してしまうせいかもしれない。うんざりする嫌な顔のあいつよりも、あいつの背負うものが一番嫌だとわかったのはいつからだったか。
まだお互い、コミュニケーション方法に喧嘩も罵りもないような幼い頃。パーティー会場に設けられた、椅子やソファーなどがある休憩所で愛らしく声をかけてきた古い思い出を再生していく。
「お隣、いいですか?」
回想の子供の声とぴったり重なる。聞き慣れた声が、頭上からした。顔を上げれば、そこには回想に出てきた幼馴染み…朱桜司がいた。
桃李が反応するよりも先に、司が真っ先に憎らしい態度になった。
「うわっ、桃李くんだ…」
「げっ司…何でここにいるわけ? ただでさえ暑くてイラついてるのに最悪〜」
噂をすればなんとやら。考えただけで出てこられた場合は、想像したらなんとやらと言えばいいのか。
司は眉を寄せて、嫌いな虫が視界に入ったときのような表情のまま見下ろしている。
「��っちの台詞ですよ。あーやだやだ。桃李くんの顔が帽子で見えなかったから、普通に近所の子供と思い込んだのが間違いでした」
「誰が子供だ! ボクもう二年生だぞ!」
「小学二年生?」
「おい同級生」
司は特に気にした様子もなく、勝手に隣に座ってきた。二人の間にあるアイスクリームの入った袋が、ちょうどいい距離を空けている。しかし、許可なく座られるのはいい気はしない。ベンチも公園も、公共物だが。
「ちょっとぉ、司が座ったらベンチ壊れちゃうじゃん」
「なっ! 私、重くありませんから! というか、桃李くん何でここにいるんですか。あなたは向こうで砂遊びでもしてるのがお似合いですよ。泥団子でも作って食べて自給自足してなさい」
「ボクは遊びに来たんじゃなくて休憩しに来たんだよ! あとボクはお前と違って食い意地張ってないから泥団子なんて食べないよ!」
「誰の食い意地が張ってるんですか!」
「お前だよ!」
一触即発。両者、顔を見合わして睨み合う。どれくらいそうしていたか、額から次々と汗の雫がポロポロ落ちていくにつれて二人とも、やる気を削がれていく。
怒りもそうだが、感情を表に出すという行為は体力を削る。そして、体力を消費すると疲れて余計に体が熱くなる。悪循環だ。
「…やめよう。余計暑くなる」
「…そうですね。無駄にenergy消費することありません。一時休戦といきましょう」
「賛成…」
桃李と司はお互い納得し合うと、それから一言も発することなく視線を正面に戻して静かになった。
時たま聞こえる車の通る音と、蝉の鳴き声。思い出したように風が吹いた時に揺れる木の枝と葉の音しか耳に入ってこない。
やることがなく手持ち無沙汰だが、それに焦る気持ちがちっとも沸いてこない。なんとなしに、視界の直線上にある木の観察なんてしてみる。それにもすぐ飽きて、ちらりと隣の司を横目に見る。
司は視線に気づくことなくボーッとしながら目の前を眺めている。無意識に紺色のハンカチで首元を拭いながら、片手でミネラルウォーターを持って座っている姿は俗世的なのに品がある。
「…あ」
無意識に声が出る。よく見れば、この幼馴染みの左肩辺りから日差しが入り込んでいる。これでは変に肌が焼けるし、何より暑いだろう。
司は耳聡く、桃李の声に反応して振り返った。
「どうしました?」
敵意も嫌悪もない、素の表情を向ける司に、桃李は素直に綺麗な顔立ちをしていると思った。でもまだ幼さが残るせいか、どこか儚い印象も残る。そんな思考に持っていかれる自分が嫌で、慌てて買い物袋を自分の膝の上に乗せ、顔を反らす。
「そっち、微妙に日が当たってるじゃん。こっち寄れば?」
「…別に、平気です」
変なところで頑固だ。それは相手が自分だからか分からないが、せっかくの善意を無駄にされて喜ぶ癖を、桃李は持ち合わせていない。
「あー、はいはい。いいから来な…よ?」
どうせ無駄だと思って腕を取って引き寄せると、あっさりとこちらにきた司に驚く。まさかわざと力を抜いたのかと思った。しかしその考えはすぐ違うとわかる。なんせ向こうも、予想外だったように驚いている。
単純に、桃李の筋力が司よりも上回り、されるがままになったようだ。目を見開いた司が、捕まれた腕に視線を注いで呟く。
「…Doping?」
「ドーピングとかしてないからな!?」
合法的手段で手に入れた努力の結晶だ。
「毎日、自主トレで鍛えてるんだから筋肉くらいつくよ!」
「えー、本当ですか?」
お前は鍛えてると公言しているわりには細いよね、と言い返してやろうかとする。だが、ちゃっかり距離を詰めて、体を日陰に収めている姿を確認して考え直す。こちらの目的は達成したからいい。それに、春に比べて痩せた…というより、やつれたように見える外見を指摘するのは恐ろしくもあった。
だからどうせなら、目の前で訝しげにしている幼馴染みに、己の肉体美と努力を思う存分、自慢して語ってやるほうがいい。
「ボクはちゃんと毎日、走り込み50周腕立て伏せ100回懸垂5回やってるからね」
「何で懸垂だけ他と比べて極端に少ないんですか」
「だって、懸垂したらいつの間にか体がぐるっと回転してるんだもん」
「え、逆上がり?」
いつの間にか、掴んだ手は振り払われている。先ほどまで、直で司の温度を感じた手から、熱が失われたことに物足りなさを感じた。鬱陶しいよりも、寂しさが上回る。馬鹿らしい。宿敵相手に、何故そんなことを考える。
「とにかく、ボクの方が司より筋肉があって、逞しい体してるの。ほれほれ、姫宮桃李さまの男らしさに見惚れるがいい」
片手で力こぶを作って見せつける。すると、司は躊躇なく桃李の二の腕に触れてきた。一瞬だけ力が抜け、わひゃあ、などと間抜けな声が口から出てしまった。
「ひゃあ、ちょ、ちょっ…ふふっ…!」
「これは…そんな……まさか…!」
「ちょ、だから、くすぐった…! くくっ、ふ…っ…やめっ…!」
司はくずくったくて身を捩る桃李を気に留めず、興味津々に力こぶをむにむに触ってほぅと溜め息を溢す。
さっきからの言い争いで疲弊したせいが息は乱れている。暑さのせいか顔も赤くなり、気だるげな様子だ。はっきり言おう、特段、こいつに対し下心がなくとも色気を感じる。
「本当だ…桃李くんのここ、凄く固くなってる…大きい…」
「誤解を招く言い方やめろ!」
こいつ、確信犯か。どちらにせよ全年齢で意味深なことはやめていただきたい。
「桃李くんの癖に…私より筋肉がある! 私よりチビなのに!150cm台の壁越えれないのに!」
「お前、ボクが武力行使に訴えないと思ってるだろ?」
「成金貴族はやっぱり野蛮ですね。顔だけは殴らないでくださいよ?」
まるで顔意外ならいたぶられても困らないという傲慢。腕を組んで、こちらを小馬鹿にするように目を細め口角を上げて笑う司の整った顔を、今すぐ崩したくなる。ここまでくると逆に、どうぞ私の顔面に拳を叩き込めと煽ってるようだ。
「…ばぁーか」
「あうちっ!」
無性に腹が立ったのでデコピンしてやると、奇声を挙げて額を押さえた。対して痛くないだろうに、司は重傷に追い込められた被害者のような眼で睨んでくる。相変わらず被害妄想が強いところは変わらないようだ。
「顔は駄目って言ったのに!」
「あ、そこ顔だったの? 気付かなかった〜」
「くあぁっ! わかってるでしょ! Top idolの顔を傷つけた損害賠償、慰謝料を請求します!」
「司のぶちゃいくな顔を、ボクのゴッドフィンガーで整えてあげたんだよ。そっちこそボクに成功報酬よこしな」
「…桃李くんのバーカ!」
「いっ!?」
苦虫を噛み潰したような表情に変化し、立ち上がった司は、桃李の頭に勢いよくチョップを仕掛けて素早く公園の出入口まで走り去って行った。ご丁寧なことに、去り際にあっかんべーと舌を出すのだから、憎たらしいことこの上ない。本当にクソガキ。
思ったよりも頭が結構、痛む。おそらく向こうも相当手を痛めてるに違いない。それでも、一言物申したい。
「デコピンとチョップじゃ、釣り合わないだろー!?」
姿の見えなくなった司に向かい大声を張り上げると、返事するようにピロリン、とスマートフォンから音が鳴った。
わざとか偶然か、司からのメッセージが届いており、内容は怒りで頭に血が昇っていた桃李の、背筋の方から一気に冷やした。
『そういえば。桃李くんの持ってたアイスクリーム、溶けてませんか?』
慌てて膝の上に乗せてた袋の中を確認する。ドライアイスは無くなっており、アイスが詰まっていた筈のボックスの周りは汗を彷彿とさせるように水滴がたくさんついている。手に取れば中からぽちゃんと、液体の揺れる音がした。
アイスクリームが、サイダーとはまた違う甘ったるい液体に変化したことを現実を受け入れながら、桃李は八つ当たりで叫ぶ。
「夏なんて、大ッ嫌いだ!」
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otoha-moka · 5 years ago
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山姥切探偵事務所
※いつものノリ※ちょぎくに※現パロです※いつも通り人を選ぶかもしれない 探偵事務所、と書かれている看板がある雑居ビルの目の前に安定は立っていた。うろうろと、しばらくの間、どうしようかと悩んでいる。やっぱり引き返そうと思ったところで、脳裏に親友が「安定は優柔不断だなあ」と悪気なく
(なのにどこか意地悪そうに)笑うの姿が過ぎる。想像上の親友の姿なのに、なんだか少しむっとして、負けず嫌いが働き、意を決して雑居ビルの脇にある階段で2階まで上がった。 というわけで、山姥切探偵事務所の門戸を叩いた安定は、中に入ってすぐに気がついた金髪の青年の姿を見て驚く。
まだ学生服を身にまとっていて、これがコスプレでなければ彼は学生だからだった。金髪の青年、まあまんばなんだけど、まんばは「…依頼人ですか」と存外低い声で、愛想なく訊ねる。「え…あ、はい…えっと…君が探偵さん…?」「いえ…俺は…座ってください、飲み物出すんで」
混乱しながらも、安定はまんばに促されるままにソファに座る。土曜昼すぎのテレビが、人気タレントのトーク番組を流していて、特に意味もなく眺めていたら、「どうぞ」とさっき聞いた声がして、ソファの高さに合わせた高さのテーブル、安定の目の前にカタン、と小さな音を立てて、
氷が入ったコーヒーが出された。ぱちぱちとそのグラスを見つめていると「…コーヒー苦手でしたか」とお盆を持つ青年が目を泳がせている。何年下(多分)に気を遣わせてるんだ僕…!と安定は慌てて両手を振って、違うとポーズをとって「ち、違…!…えっと、ミルクとお砂糖ってあります…か?」と続けた。
人が来たからか青年はテレビの電源を切って、それから、ミルクをたっぷりいれたコーヒーに口をつける安定に「うちの…所長は、今不在で…もうすぐ帰ると思うんですが…」と申し訳なさそうにする。安定としては、やっぱりこの子が探偵さんではないのか、と少しほっとした。
「じゃあ、君が探偵というわけではないんだ」「それは…俺、高校生ですよ」これで分かるかと思ったんですが、と学生服のブレザーを自分で指さす。よく見れば、そこにある校章はそれなりに有名な私立校。だから敬語とかも大丈夫です、とたどたどしく話すまんばに、安定もすっかり緊張がとけていく。
「じゃあここのお手伝いさんなんだね、アルバイト?」「手伝い…そんなところ、です…バイト、ではないですが」「じゃあ実家のお手伝いかな、ふふ、偉いなあ…」「そんなんじゃ…」そんなふうに話をしていると、探偵事務所の出入口から音がする。
かと思えば、次には、「国広!だから、制服のままで来客対応をするなと言っただろう!」と怒っているような困っているような声が響いた。 「あんたが昼に出るからしばらく頼むとLINEを寄越したんだろう、今日は土曜、学校が終わるのが12時20分、間に合わせるのがどれだけ…」」
「だからと言って…未成年の学生働かせてるとかバレたらどうなるか…ハンバンガーチェーン店じゃないんだよ、ここは」「借金カタにその未成年を好きに使ってる立場のくせに…」「助けてやったんだろうが人聞きの悪い…あー、もういい…ほら、上で着替えてきなよ、俺の服でいいから」
「…とか言って、また変なのじゃないよな」「人前で人を変態趣味みたいに言うんじゃない!」安定が2人のやり取りに呆然としていると、先程まで話をしていたまんばが奥の階段の方へと消えていく。代わりに、現れた男性が安定に向き直り、にこりと微笑んだ。
「うちの助手がすまなかった。…さて、用件は依頼、かな」その所作があまりにも完成されていたものだから、安定はすっかり、今しがた交わされていたあまり穏やかではない単語も飛び交う応酬のことなど忘れて、「はい」と返事をしてしまったのだった。
「…脅迫を受けているんです」安定が話始める頃には、少し大きめのパーカーに着替えたまんばが降りてくる。そのまま何も言わず、座って話を聞く姿勢の長義くんの後ろに立った。それに気づいた安定は気まずそうに話を止めてまんばの方を見る。「あ、君…えっとこれは依頼で…」
「わかってます、俺は居ないものと思って貰って問題ないです、続けてください」「そうは言っても…」さっきの話だと未成年というじゃないか、子供に依頼内容を聞かせてしまっていいものか、そう思って安定が逡巡していると、すかさず長義くんがフォローに入る。
「俺が許可してるんですよ、助手、とは言ってもこいつが主に動くこともあるんで、こいつも同席させてください」「…そう?それじゃあ…ああそうだ、立って聞いてるの疲れちゃうでしょ、せめて座って…って、僕が言うのはおかしいか…あの、いいですよね?」安定がそうたずねると、
まんばは目で長義くんに合図を送る。長義くんが顎で自分の隣を指すので、まんばは周囲を伺うように少し目を左右に動かしたあと、なぜか安定の座るソファの後ろを回って、ちょこんと長義くんの隣に控えめに腰掛けた。「…さて、話を続けてください」「え、はい…それで、届いた脅迫状がこれです」
「…失礼、手に取って見ても?」「はい…」そう言って長義くんは、安定が鞄から取り出した、届いたという脅迫状をじっと見る。印刷された無機質な文字は誰のものか判別が出来ない。「…ファッションショーを中止にしろ、ねえ」よくある文面に、長義くんは顎に手を当てて紙の裏表を確かめたりしていた。
それをちらりと横目で見たまんばは、深刻そうな表情の安定に声をかけた。「あの、大和守さんはデザイナーか何かで?」「…うん?いいや、違うよ。デザイナーなのは僕の親友兼幼馴染…だから、正確にはその脅迫状も、僕じゃなくてそいつに届いたもので…」「その親友は何か言ってるんですか」
「こういうやっかみは人気が出るとよくあるから気にするな、と…でも僕心配で…」まんばが何か返そうとしたところで、さっきまで脅迫状を見ていた長義くんがそっと制する。安定は気付いてないようで、思いが溢れ出すように次々と言葉をつむぎ始めた。
「僕、これが悪い冗談だと思えないんです…清光、この前事故にあいかけて…あの車、赤なのにスピード落とすこともなかったし…それに、こういうの何度も来てるみたいだし、郵便受けに直接投函されてたこともあるみたいなんです…なのに、通報しようって言っても、
沖田くん…えっと、僕と彼の師匠みたいな人なんですけど、その人、ずっと入院してて、もう長くなくて、だから、最後になるかもしれないから、このショーは絶対成功させたいって、沖田くんに見せたいから、中止には出来ない、だから警察にも言わないでって…その気持ち、僕にもすごくよくわかるから、
どうしたらいいのかわからなくなって…」「…それで、秘密裏に探偵事務所に来た、と」「…はい」「事情はわかりました、それで、大和守さんとしてはどうされたいんでしょう」長義くんがそう返すと、安定は話を信じて、依頼を受けてくれそうな雰囲気に、ほっと肩をなでおろす。
そして、息を吸い込んで、何か思い切るような調子で続けた。「ショーを無事に終わらせたい、僕だってショーを中止にしたくなんてない、沖田くんには笑ってほしいし、清光にも…でも、大切な人だから、危険な目にだって遭ってほしくないんです…警備はもちろん厳重にすると思いますが…
それでも心配なんです…」そこまでいうと、「お願いします」と深く頭を下げた。「…つまり、秘密裏に犯人を特定、出頭させてしまうのが早いかな。よし、わかりました、依頼を受けましょう…さしあたっては…」
「お前、何勝手に探偵なんて雇ってんの…」とりあえず、そのデザイナーには話をしよう、ということで、2人が安定に連れ���れて来た場所は加州くんのもと。いきなり現れた2人組を見て不思議そうにしていた加州くんに、長義くんはことのあらましを説明する。
最初こそ、きょとんとした表情で聞いていたものの、加州くんはどんどん眉を顰めていき、話を聞き終えると、責めるような視線を安定に向けた。「だって心配なんだ…お前の制止を無視したのは悪いと思うよ、けど、僕はお前がもし…」「はあ…別に、過ぎた事だしもういいよ。
だからじめじめしない!きのこ生やさない!お前のその心配性は昔からだし、俺も知ってることだし。…それで、探偵さんは俺に何を聞きたいわけ?」「話が早くて助かるよ。手っ取り早くいこう、心当たりはある?」「あったらもっと手を打ってるよ。
まあ、仕事柄目立つし、多少は有名税だと思ってはいるけど…けど、個人的にはさっぱり…あ、」思い当たる節がない、と言おうとしていた加州くんは、急に何かを思い出したかのように声を上げた。「心当たりがあるのか?」「そういえば、以前うちのをパクったってうるさかったやつがいたなあって。
紛うことなき俺のデザインだったし、確認してみたけど全然似てもいなくて、酷い言いがかりだと思ったんだけどね、あの時は家に押しかけられたりもして、大変だったよ」「…そいつは?」「さあ?急に何も言ってこなくなったから、懲りたのかと思ってたけど…ああ、でも…もしかしたら…」
「何かあったの?」「…いや、この業界から干されたのかなあってだけ、なんでもないよ」加州くんの口調は、あくまでなんでもない風を装っている。本当に、こういった業界ではその手のことは日常茶飯事なのかもしれない。一番険しい顔をしていたのは、まだ高校生のまんばだった。
長義くんは少し考えてから、そうだな、と独り言のように呟く。「…名前と、顔もわかればそれも。そいつのことを調べてみよう」その言葉を受け、加州くんはさらさらとメモ用紙に何か書き綴り、紙を2枚重ねにして手渡した。
そんなこんなで、まんばは安定と一緒にパーティー会場にいくことになっていた。お互いそれなりの正装で、どこから用意したのやら、長義くんが用意した2人分の招待券片手に潜り込んでいる。「あいつ、本当にここに来るのかな…」「わからない。でも、来なくてもハズレという情報が落ちるんだ、
無駄じゃない…です」「ふふ、探偵さんの助手さんも探偵さんみたい」御堂隆義という男性の名前と、いかにも、といったやや強面な男性の写真を加州くんに提供された長義くんは、それをもとにひとつの手がかりにたどり着いた。しかし、何か自分で動くというわけではなかったらしく、
「というわけだから、御堂家の人間も出ているパーティだ、衣類は一式用意するから、お前が行ってこい」とまんばを放り出した。「…お前は?」とまんばが問えば「俺は他にやることがある」と返される。協力出来ることならなんでもする、と言った安定は、
「方針はわかったけど、でも子供をひとり危険に晒すわけにはいかないよ」の一心で同行することになった。
「それにしても、不思議だね、あの探偵さんとの関係」「まあ…普通はそう考えると思います」「バイトじゃないんだっけ…そうだよね、こうやって調査を本格的にしてるもんなあ」「…えっと、それは…」「あ!踏み入ったこと聞いちゃってごめん、でも気になって…」「…いいです、変なのは事実ですから」
パーティー入りしたのはいいが、どう動けばいいかわからなかった2人は、なるべく目立たない隅、壁の花になりつつ、該当人物の姿を探しながら何となく会話を始めた。話は探偵事務所のことに移る。プライベートに踏み込み過ぎたかと思って、安定が謝った。まんばは別段気にする様子はない。
「…俺は、あいつに会わなければ今頃生きてはいないと思うんです」「え?」「聞いていたでしょう、バイトではないですが、金銭的な問題で…まあ、そういうこと、です」金銭的な?そういえば、借金がどうとか言っていた。多額の借金で生きるか死ぬか、と言ったところを助けられたとでも言うようだ。
こんな子供が?なぜ?そう思うことはあれど、安定はさすがにこれ以上は不躾がすぎる、と聞くに聞けない。「…そっか。色々あったんだね」「大和守さん?…あ、」安定がひとり納得したように呟くのを、なにか聞かれたのかと思ったまんばは不思議そうに見る。
その時、まんばの耳は雑談の波の中ひとつ、目的の人物かもしれない話題を拾い上げた。 「隆義さん、もしもお亡くなりになっていなかったら、今日は記念すべき日になっていたのに」 先程までしていなかったのに、急に息を潜めるようにして会話は続けられる。思わず、まんばも息を殺そうとしてしまった。
「…?どうしたの?何か…」「向こうで会話が聞こえる」まんばの様子に安定が疑問に思ってたずねると、短くそう返された。その言葉を聞いて、安定も納得したようにそちらに注意を向ける。会話はまだ続いていた。
「あら、それはどうかしら?」「どういうことだい?」「隆義さん、事業に失敗したらしいじゃない。借金もあったって。でも、その後急に返済したらしくて、何か危ない仕事をしているんじゃないかって専ら噂よ」「へえ、聞かなかったな」「御堂家の恥だもの、あまり大声では言わないわ」
「…御堂家…御堂…まさか」「国広くん?顔色が…」その会話を聞きながら、だんだん青ざめていくまんばに気付いた安定は何度か声をかける。「…すまな、風、あたってくる」口元を抑え、耐えるような声でそれだけ言うと、まんばは急ぎ足で会場の外へと走り出す。安定もまんばを追いかけ外へと向かった。
唐突な過去編。 遠い記憶のこと。 いつかはこうなるだろうと思ってはいた。学校から帰ると家がなかった。アパートの一室にあるものは何もかも差し押さえられていた。両親はおらず、よく分からない大男が何人も家にいて、玄関で呆然としていると、
そのうちの一人が自分に気がついたようで振り返り近付いてきた。「おう、おかえり」そう言って頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。それだけなら悪い人だとは思えないはずなのに、なぜかぞっとして、縫い付けられたようにそこから動けなくなってしまった。「お前の母さんと父さんは酷ェやつだな」「え…」
「可愛い息子捨ててトンズラなんざ、少なくとも善人がやることじゃあねェ」豪快に笑う大男に、僅かに身動ぐ。手にあるのは小型のナイフだろうか。逆らえば最後、殺される、と思った。それから少しの間、真っ白になった頭の中で、なのにぐるぐると渦巻くような感覚の中で、
どっどっと煩い心臓が余計に焦燥を煽る中で、そこにいた。ふと思い出したように大男が自分に向き直る。「…知ってるか?」「…っ、は、何…が、」「お前さんの値段さ」例えばここ。そう言って先程のナイフがピンッと制服のシャツのボタンを飛ばす。丁度胸元の位置だ。
「心臓、とか…ははっこれも親孝行かもなあ?」その言葉で、ぱちん、と張り詰めた糸が切れた音がした。やばい、これはやばい。その一心で、先程まで自由のきかなかった体を動かしてその場を飛び出す。偶然にも不意をつく事が出来たのか、なんとか男に追いつかれることはなかった。
けれど、行くあても当然なかった。とにかく走って、走って、少しでも止まるともう動くことが出来なさそうで、どこまで来たのか、足が縺れて転んで、顔を上げた眼前に、どこかの公園を見つけた。大切にしていたもの全て、写真の1枚すら持っていくことは出来なかった。
辛うじて引っ掴んできた鞄の中身は教科書とノート、体育のジャージ、学生証、定期券程度のもの。学校は携帯電話の持ち込みが出来なかったから連絡手段はない。財布も家の中で落としたままなのか、持ってきていなかった。水道で怪我をした肘を洗い流して、ベンチに座って日の落ちた空を見た。
どうしよう、どうしよう、と頭の中に浮かぶ言葉はそればかりで、なのに公園のベンチなんかじゃあ、なんの打開策も見当たらない。そうしてどのくらいたったか、突然目の前に現れたのは若い男性だった。中学生の自分よりは年上、けれど、はっきりした年齢はわからない。あえて言うなら20代に見えた。
身に纏う衣服はどれも高級そうで、住む世界が違うのだろうと思い知らされる。「…お前、何してるの」そんな異世界の住人は、こともあろう事か根無し草になってしまった自分に声をかけてきた。「…何も」「今日は冷えるよ、上着は?」「…」「えっと…甘いものは好き?コーヒーと紅茶ならどっち?」
「…」「あーもう!なにか言えよ、その口は飾り?」「…っ、ごめ、なさ」「…はあ、適当に買ってくるから、ここで少し待っていろ」そう言ってしばらく経つと、本当にその人は戻ってきた。手には缶コーヒーとホットココア。そのうち、ココアの方を渡してくる。
「甘いのが苦手、とか言われてももう知らないからな」「あ…え、俺…?」「ほら、早く飲んだら?冷めるよ」手渡されたココアはひどく暖かい。悴んだ手には熱いと感じるほどで、制服の袖を伸ばして持ち直した。ひとくち口に含むと、その名の通り甘くて温かい。無機質な大量生産の缶が、
なんだかやたらと優しく感じて、またじわじわと涙が込み上げてくる。「な、何、なんで泣くんだよ…まさか泣くほど美味しい?」「…っ、おれ、俺…」そこからは嗚咽ばかりがもれて、何も言葉にならない。どうしたらいいか分からなくなったのかその人は、ポケットからハンカチを取り出して、
あまり慣れていないような仕草で拭ってきた。「とりあえず、なんか俺が泣かしたみたいで気分悪いから泣き止んでくれないかな」と、困ったような声でそんなことを言いながら��
帰る家がない、と言えば、その人は深くため息をついた。面倒事にでも捕まった、と言いたげだ。けれど、そのくせ「じゃあ、今日はうちに来なよ。外で寝ると風邪ひくよ」と、未だ泣き続ける自分の手を引いて、家(だと思われるところ)まで連れ帰ってきた。コートも何も着ていない、制服姿だったけれど、
上着を脱いでも部屋の中は暖かい。「第二ボタンも、取れてるね。まさかこんな冬に卒業式だったわけでもあるまいし…」「これは…」「うーん、俺、料理と裁縫だけはめっきりダメなんだよね、悪いけど直せないから、新しいのを用意させよう。それでもいい?」「あ、え…いいん、ですか」
「ボロボロの格好で家にあげたくないだけだよ。俺の敷地内にいるんだから、ちゃんとしててくれないとね」そういえば、ボタンを取られたんだった、と上着を脱いでから思い出した。すかさず気がついたその人は、冗談めかしてそういうと、服のサイズを聞いてくる。次にはどこかに連絡したのだろうか、
「届けさせるからもう少し待ってて」と言ってスマホをテーブルに置いた。もう少し、と言うのは言葉の通りで、本当に30分くらいで宅配が来て、ラフなスウェットと替えのシャツを当然のように渡されることになるのだった。
大男の正体は、税金滞納だか破産だかなどで訪れるような、よく仕組みは理解していないけど、とにかくそういう国の、正式な人などでは勿論なくて(そりゃそうか、とは思うけど)、もっと裏社会の、闇金業者の人だと知らされた。どこからどう調べたのか、その人はそういうと、
「全く、やることが下衆で味がない」と冷ややかに呟く。たしかに怖いはずなのに、家にいた大男よりも安全なように感じる。武器を持っていないからだろうか?わからなかった。「危ないから、しばらくは学校は休みにしてもらうよ。ここは安全だから安心して?
あー…勉強が不安なら…そうだな、代わりに俺が見てあげる…疑っているようなら最初に言っておくけど、俺はイギリスにある…」「う、疑ってない…です。でも、学校行かないと…出席日数とか」「真面目だなあ…心配には及ばない。義務教育はね、ちゃんと卒業出来るようにできているんだよ。
君、保健室登校してるのに聞かされなかったのか?」「なんでそれを知って…」「…学生証。個人情報には気を付けようね、こういうことする大人がいるんだから」俺みたいな、ね…と言いながら取り出してきたのは、なんとか持ってきた鞄に入れていた学生証だった。
いつの間にとられていたんだろか、決まってる、寝ているときだ。「あ、ちょ、返し…」「もういいよ、貸してくれてどうも」「貸してないです!」奪い取るように学生証を掴む。手はあっさり離れて、そもそも最初から返すつもりだったようだった。逆に言えば、もうこれで調べることは無いということか。
あまりにも怪しすぎる。安全な場所、衣類、それからデリバリーで運ばれてくるご飯。それを疑うことなく受け入れるには、自分は成長しすぎていて、けれど、跳ね除けて立っていけるほど自分は大人でもなくて。命の恩人なのに、目の前のその人を探るような眼差しをやめることは出来そうにはなかった。
唐突に時間軸が戻るよ! まんばと安定がパーティーに行くあいだ、長義くんは勿論サボってなどいなくて、ひとり埠頭にまで足を運んでいた。加州くんが渡してきた紙の2枚目、隠すように渡してきたそれが示す場所がここだった。字は手書き。加州くんの字ではない。脅迫状が手書きではないため、
犯人はそういったことには慎重なはず。ゆえに、これは届いた脅迫のひとつではない。加州くんの、本当の心当たりだ、と長義くんは考え、ここまで来たのだった。自らの出自の関係で、こういった悪い取引の行われている場所には異様に詳しくなってしまったような気がする。
「…潰そうとしているものを利用している、というのも皮肉なものかもね」ぽつりと呟く声に反応するものは当然ない。あまりにも捜索範囲が広い。見つからないかもしれないな、と1人考える。とはいえ国広を連れていくわけには行かないと、なんやかんやでよく働く助手のことを考えた。
安定は子供を一人で危険なところに行かせるわけにはいかない、と言っていたが、国広はその「危険なところ」の当事者だったことがある。それを拾った自分もまた、似たような存在だったりする。「…知らぬが仏か」向こうは大丈夫だろうか、うちの助手は間違いなく働き者だけれど、特別強いわけではない。
ずっと過酷な環境にいたから、年齢にそぐわない程度には多少場馴れしてはいるけど、あれで年相応に柔いところも沢山あることを数年の暮らしでよく知っている。だから、ハズレっぽい所にあえて行かせたのだ。ただ、もしも向こうがあたりだったとしたら…とそこまで考えて、すぐに考え直した。
「大和守さんもしっかりしてるから、大丈夫か」自分がついていてやれないことに、少しの悔しさを覚えつつも、長義くんは捜索活動を再開した。 しばらく見て回っていると、何か声が聞こえてくる。「…当たり、かな」もう少し近付いて物証を手に入れたい。レコーダーをオンにしてそっと物陰から近付く。
易々と会話を手に入れられそうだった。 「御堂の奴、よかったのか?」「何、あのデザイナーに証拠握られてるんだ、捨て置くのが一番だよ、あれくらいなら高く売れるし…それより…」 中身は取引だった。薬物ではなく、武器でもない、人身売買の類だ。
やっぱり国広を連れてこなかったのは正解だった、と長義くんは息をつきそうになる。まだこちらとしても油断はできない。…見つかったら、こいつらを消さなければならなくなってしまう。とりあえず持ち合わせた護身用のナイフをそっと確認して、再び息を潜めた。
続き! 長義くんが埠頭を出てすぐ、スマホに連絡が入った。見ればこれで3回目の電話、名前を確認すると安定からで、何かあったのかと少し慌てて通話ボタンをタップする。「もしもし、何かあった?」「すみません、その、国広くんがすごく具合悪そうで…会場からは出たんですけど…」「国広は?」
「もう問題ないから…と。でも顔色悪いし、とりあえず近くで休ませています、場所伝えますね」「そのままその馬鹿押さえておいて。そいつ動いてた方が忘れられるとか言ってオーバーワークしがちなんだ、すぐ行く」「忘れ…?わかりました、待ってます」
長義くんは会場となっているホテルからほど近い施設の敷地内にある広場へと向かう。公園よりひっそりとしている私有地は、当然必要もないのに立ち入ることは本来許可されていないところだ。あえてそこを選んだのは恐らく安定ではなく国広の方だろう、と長義くんは考えながら、
埠頭の離の方に隠すように止めておいた車に乗り込む。公園よりも騒ぎを起こせば目立つことが出来る場所でもある。逃げるならこう行け、と教えこんだのが役に立っているようで何よりだった。 埠頭からホテルまでは大した距離はない。ふたりのいる場所も同様だ。10分ほど車を走らせて、目的地に着く。
適当に(とはいえナンバーを覚えられたらやっかいなので、やはり死角を選び)駐車して車から降りた。少し敷地に入ると、人影がふたつ、ベンチに座っている。「よかった、すぐに見つかった」そう言って近付くと、人影のひとり、安定はぱっと顔を上げて、心底ほっとしたと言ったように表情をやわらげる。
まんばはそんな安定に背中をさすられていた。「ありがとうございます、国広くん、立てる?」「…大丈夫、です」「何があった?…人酔い?」「ちが、う…長義、俺は大丈夫…だから、」「そうは見えないんだよ…それとも、何か思い出した?」そう問えば、まんばは図星だったのか、ギクリと肩を震わせて、
観念したように小さく頷く。何か聞いてしまったのだろうか。そう思えば、まんばは小さく「御堂、聞いた名だと…」と呟く。当たりを引かせてしまったかもしれない。失敗した。「…帰ろうか、裏に車を止めてある」
3人で事務所まで帰って、まんばには上の階(実は今の住まい)に行くように伝えた。まんば自身も自分のことはわかっているのだろう、存外素直に頷いて、思ったよりもしっかりとした足取りで階段を上っていく。とりあえず今日はもう休ませた方がいいだろう、話を聞くのは明日だ。
まんばの階段を上る足音が止むのを待って、長義くんは安定に向き直り、少しだけいいかな、と言って安定にソファに座るよう促した。「さて、夜分遅くまで申し訳なかったね」「いえ、依頼したのは僕ですから…それより、国広くんは」「しばらく休めば大丈夫…それに、前にもあったことだから」
あまり深入りしない方がいい話題だろう、そう感じた安定は出されたミルクティーを一口飲んで、話題を変えようと口を開いた(コーヒーに大量にミルクと砂糖を入れていたのを見られていたようだ)。「…えっと、それで、何かわかったのでしょうか」「そうだね、とりあえず単刀直入に言おう。
心当たりの御堂隆義だけど、彼はすでに亡くなっている…それも恐らく殺されて、ね」「殺…なんで、そんな…清光、まさかそれで何かを知って、狙われてるとか…」長義くんの言葉に、安定の表情はさあっと青ざめた。あくまで表情を変えていない長義くんは、それを一瞥しつつも安定に訊ねる。
「あいつ…国広は、パーティー会場で何を聞いていたかわかる?」「あ、はい…僕も途中から聞いてたから…御堂隆義の事業が失敗して、危ない仕事に手を出したって感じのことを…」「そう…単刀直入に言うけど、御堂家は旧財閥系から分かれた家系でね。…いや、旧財閥系から追い出された、
と言った方が正しいかな、裏で指定暴力団と関係を持っていて、そちらでも稼いでるんだ。恐らく薬物か武器か、と思っていたんだけど…商品は人間だったみたい」「人?…それって、まさか…」「そう、人身売買。それで、加州さんだっけ、彼もなかなか強かだね、事情はわからないけど、
その証拠を偶然にも持ってるんだと思う、そして、御堂家の証拠を例のファッションショーでばら撒く算段なんだろう」「そんな…なんでそんな危険なことを…」「わからない。けど、やっぱり大和守さんには話していなかったんだね」そういうと、長義くんは加州くんに渡されたメモを安定の前に差し出す。
「メモ…?」「彼は俺にこのメモを渡してきた…今日埠頭で取引があったんだけど、そのメモだ。加州さんがどこからかこれを手に入れたのは確実だと思う…そして、それを大和守さん、君には本当は知られたくない。だから、こっそり俺に渡してきた…きっと、危険な目にあわせたくないから、
止めて欲しくないから、そんなところだろう」「それって、僕が清光を止めて、警察に通報することでもっと悪いことが起きる…みたい、な…そうだ、沖田くん! 沖田くんの病院が何か関わってたりしませんか」「ああ、共通の知人は関係あるかもしれない、明日案内願おうか」
唐突な過去編再び。 生まれたその時には将来が約束されている人、と���うのはいくらでも存在する。恵まれた立場ともいうし、ある意味では自由がないとも言うし…その辺は認識の問題だけれど、とにかく、自分の生まれはそういったものに近かった。ただし、華々しい表の道
――たとえば、絵本の中の王子様であるとか、漫画みたいにどこかの財閥の跡取り息子であるとか――ではなかった。山姥切という名は、その手の界隈では広く知られている。物心着いた時には舎弟みたいな奴らが何人もあてがわれていて、自分よりもうんと年上のそいつらを”使う”方法を身につけさせられた。
とはいえ、厳しい環境だったかといえばそうではない。末っ子の自分は、もう両親も歳をとってから産んだ子供だったことやら、年の離れた兄が3人ほどいたことやらが相まって、ほとんど孫を可愛がるような状態、逆に言えば、自分の裁量というのは全くなく”なんでもやってあげる”という状態で
幼少期を過ごした。その時の自分の認識といえば、不自由はないが自由とは言えない。端的に言えば不満だった。自分は兄よりも優れた仕事が出来るはずだ、なのになんで自分だけ何もせずそこにいるだけ、なんて立場に甘んじていなければならない?…とかなんとか、そんな不満を抱えて生きてきたから、
対象の汚点はいやでも目に付くようになる。小学生の頃は、それでも仲良くなったクラスの友達が、ある日急に遠巻きにしてくる、みたいな目にはあったものの、それだけだった。けれど、中学生、高校生くらいにまでなると、さすがに自分の家がヤバいからだ、ということに気がつく。
ヤバい、というのは、家庭環境が劣悪、たとえば暴力を振るう親がいるだとか親がアル中だとか、そういう類のものではない。そう、我が家は、一家がまるまる暴力団(それも国内でも有数の)の取りまとめを行っている、そんな、簡単に言えばヤクザの家だった。幸いにして、可愛がられていたことで
汚れ仕事からは遠ざけられ続けてきた自分にとって、調べれば調べるほど出てくる家族の犯罪履歴は、軽蔑するにあまりあるものだった。だから、高校二年生の時についに家を飛び出した。自分も大いにその恩恵に預かっていたというのに、軽蔑する家族の存在に、自分がその家にいるということに、
何よりそいつらが血の繋がった家族だということに、同じ空気を吸っていることに、何もかもに、耐えきれなかった。転がり込んだのは、事情を知りつつも親身に接してくれた担任教師(長船光忠という名前の、まだ若い担任だ)だった。その時の自分といえば、どうみても家出をした非行少年だ。
けれど、その先生は何も言わず家で匿ってくれた。もちろん、捜索願いなど出されるはずもない。家は裏稼業だから、あまり公で騒ぎを起こしたくないのだというのはわかっていた。けれど、家もそんなに甘くはない。子供の考える家出先など、3日もあれば簡単にバレてしまった。
自分にずっとついていた部下が、先生の自宅まで堂々と迎えに来たのは、3日どころか、わずか2日後だったのを覚えている。絶対に帰らない、と言えば、一時的な子供の我儘、駄々をこねているのだと見なされたのか(事実そうなのだが)、わかりました、とあっさり引き下がった。
「しかし、先生のお宅にお世話になるなら、お金はどうするのですか」とも、その時訊ねられた。先生は「いいんですよ、落ち着くまでここにいてもらって。僕は大丈夫なので」と優しく笑ってくれた。この問答は、そこは一応、犯罪一家である以前に子供を預ける立場だったのだと今になって思うが、
頭を下げたのは俺ではなく部下、つまり家だった。「せめて金銭の方はこちらでなんとかするから」と家の方が押し切って、結局、家出したというのに、家から金銭援助を最大限に受けつつ、高校卒業まで都合よく担任教師の家に世話になったのだった。
大学進学は最初考えていなかったけれど、家族と聞く度に威嚇するような状態だった自分は、先生に「一度、もっと広い世界をみてみたらどうかな」とアドバイスされ、どうせなら、と海外を選ぶことにした。完全に子供の甘えで、実際はおんぶにだっこだったわけだが(先生はあくまで親子の問題として、
親に自分の様子を報告していたらしいことを、後々になってから聞かされた)、その時は距離的に家から離れることで、自立した気分に浸っていたというわけだ。イギリスにある某名門校、もちろん自分の実力を疑うわけではないけど、留学にあたって必要な費用についても出所は家だった。
…恐らく、その金も違法薬物やら武器の売買、どこかからせしめたもの、脅迫、といった諸々から得た金なわけだが。早い話が、自分でなんでも決めたつもりでいて、その実、そんなことは全然なかったわけだ。 それに気付いたのは大学在学中のこと。もちろん怒りが沸いた。家族にも、自分にも。
そして、そっちがその気なら、と方向転換した。甘やかされている自分の立場を大いに利用することにした。今の自分は、言ってみれば金持ちの家の放蕩息子と言ったところだろう、それならそれで思う存分甘んじてやろうじゃないか、と思ったのだった。まず始めたのは、家と繋がりのある組の把握だった。
部下だったやつに伝えれば、長い反抗期が終わったと喜んでくれた。人生でおそらく最初で最後の親孝行ってやつなのだが。これは裏切りだ。やろうとしたことは、家の為に動くことじゃない。自分の潔癖な性分は、やっぱりこの家を許すことは出来なかった。末端組織から潰してやろう、そんな算段だった。
日本から帰ってきて、今後どうやって家を潰すか、ということばかり考えていた。そんな夜のことだ。公園のベンチで、それは寒そうな格好で、しかもその服も汚れていてボロボロな、そんな子供が泣いているのを見つけた。これは上手く乗せれば売れるな、などと頭の片隅で少し考えてしまったのを振り払う。
そんなことを考えたことを否定したかったのか、自分は家のものとは違うのだ、と誰が見ている訳でも無いのに、誇示したくなった。まず、部下に連絡をとった。子供の特徴と制服を伝え、身元をわれないか伝える。それから、今見かけました、100%善意です、といった笑みを貼り付けて声をかけた。
子供は話しかけても黙りこくっていて、すぐに苛立ちが勝った。同時に、自分にこんなことはあっただろうか、と考えずにはいられない。結局どうすればその子供の恐慌状態を取り除けるかわからなくて、物で釣ることにした。あまりにも安易だった。中学生くらいの子供が飲むものなんて分からなくて、
自販機の前でしばらく悩んだ。結局適当にホットココアを押して、押し付けるように渡したら、ようやく自分に応えた。安易な選択だったのに、打算だったのに、それが少し嬉しいと思って、少しだけ、ちくりと罪悪感が肺の辺りを刺して、どうすればいいのかわからなくなった。
気の迷いだった。子供を連れ帰って、ボロボロな服の替えを調達し、夕飯のデリバリーも頼んで、そのまま自分のベッドに寝かせて、すぐに連絡が来た。子供の身元はあっさり割れた。国広、という名前であること。近くの公立中学に通っていること。ボロアパートの2階に住んでいること。
両親は共に子供を育てるような能力のないやつだということ。学校ではいじめにあっていて、今は保健室登校していること。好きな科目は理科、嫌いな科目は英語、だなんてことまであっさりわかってしまった。それから、今、彼には2億5千万相当の額がついている、ということも。
同時に、思いついてしまった。 彼には今、自分しかいないのではないか?もしも、彼を上手く扱うことができたなら、自分の目的達成に使えるのではないか?と。上手い言い訳を考えているうちに夜はあけた。そうして、暫定的な対応として、国広にここで過ごすことを、半ば強制的に提案したのだった。
続き。また時間軸は現在に戻ります。 まんばは布団に横になると、頭まですっぽりと布団を被った。長義に気を遣わせてしまった、それに大和守さんにも、と考える。今頃2人は今日のことを話しているのだろう。カーテンを閉めて電気を切った部屋は暗くて静かだ。
いつもは遅くまで、何をやっているのか(仕事か、そうでなければ碌でもないことだとは思うが…)、夜型の長義は起きていて、ライトが漏れる中で眠りについているので、こんな暗い中で眠るのは随分と久しぶりな気がする。久しぶりすぎて、少し対処に困ってしまう。
御堂、聞いたことのある名だ。あの日、アパートの2階にいた男だ。長義が捕え損ねたと言っていた、あの。そこまで考えて、またざわざわとした悪寒の様なものが背中の方にはりついた。この感覚をよく知っている。恐怖だ。まんばは逃げるようにぎゅっと目を瞑って、やり過ごすうちに眠ってしまっていた。
「ほら、朝だよ」「んん、…朝…?」「���あ、おはよう国広…なんて言うと思ったか、寝坊だよ寝坊」目を擦りながら体を起こすと、目の前にいたのは既に出掛ける準備を整えた長義だった。「寝坊…?まだ7時…え、7時?」まんばは時間を確認して、ようやく覚醒した。長義くんは夜型。
だから、朝の7時にしっかりと起きていることは珍しい。「まさかもう夜…」「そんなわけあるか」そんな、まるまる1日寝て過ごすなんて、そんなことを、とまんばが青ざめていると、音を立ててカーテンが開く。眩しさに朝だと言うことがわかった。
「長義、この時間に起きてられるんだな」「人を寝起き最悪みたいな言い方しないでくれるかな」「だが事実いつも…」「いいから、早く支度する!それと、朝食は外でとるよ。いつものところでいいね?」「構わないが…どこへ行くんだ…?」「病院。大和守さんが来る前に調べておきたいことがある」
今日は日曜日だからたいてい休診日じゃないか、というまんばの意見は聞き流され、急かされるままに身支度を整えて、2人は揃って事務所の上にある住まいを出た。 近所にあるカフェチェーン店に入って、お好きな席に、と言われるまま、2人は出来るだけ隅の方を選んだ。
長義くんはメニューを見ることなく、まんばに確認することもなく、モーニングセットを2つ頼む。「…それで、昨日はあの後どうなったんだ」「どうって?」「急に病院に行く、と言い出したから。何か思う所でも出来たのかと思ってな」「…そうだな、あまり美味しい話にはならないけど」
「分かってる…だって、御堂隆義は、」まんばはそこで言い淀んでしまい、誤魔化すように水を飲む。長義くんの方も気まずそうに目を伏せた。「…昨日はその、悪かった」「お前が謝るなんて珍しい、傘がいるか…今日は一日晴れの予報だったんだがな」「たまに殊勝な態度を取ればこれだ、可愛くない」
「たまにしかとらない自覚はあるんじゃないか。…それで?どうなったのか知りたい」「御堂隆義は死んでる、そうだね、消された、と言った方が適当だ…ここまでは、お前も想像ついてるだろうけど。…それから、あのデザイナーは、何か持ってる、隠してるというか…
警察に言わないのは何もショーを中止にされたくないからじゃないだろうね」「…それで、なんで病院なんだ?」「彼と依頼人の共通の知人が入院している。…俺は、こいつが鍵だと考えた」そこまで言ったところで、店員がモーニングセットを2つ分運んでくる。「さっさと食べて行くぞ」「…ああ」
長義くんは、あまり依頼人に言えないような方法で情報を獲得することがあった。それをまんばは知っている。だから、今回も安定に知られたくない方法を病院で使おうとしているのだろうと言うことは、何となく思っていた。まんばとしてはどうかと思っているが、
自分もそれに助けられた身なのであまりどうこう言えず、結局やりたい放題にやらせてしまっているのだった。 ついた病院は街の中心部にある総合病院だった。総合病院、とはいえ日曜日は初診は行っておらず、科によっては休診日になっていた。朝も早い時間こともあって、中は比較的閑散としている。
「沖田さん、と言ったか…病室を探すのか?」「いや、それは後でいい。どうせその人自身は何も知らないだろうし。それより、彼のカルテを覗き見たい…そうだな、俺が上手く引き付けておくから、俺が言う情報を見てこい。ついでにこれ、許可証だから無くすなよ」「…またそう無茶苦茶なことを」
長義くんが何をしているのかはよくわからないが、ただの高校生のはずのまんばが、恐らく偽造したのか借り物か、それは分からないが許可証、とか言うのを持ちながらとはいえ、あっさり立ち入り禁止区域に入れる程度には口八丁なようだった。まんばは当たりをつけてカルテを探す。
こういったことは助手として働いて、やたらと上手くなってしまった。「…いいんだろうか���いや、よくはないんだが」ぽつりと呟いて、そうだろうと思われるカルテを見つけた。同姓同名の人がいなければいいのだが、と思いながら内容を確認する。「えっと…心疾患か、担当医は佐々木浩二、経過は…」
約束の時間は10時だったらしい。まんばが戻ると、続きは今度だ、と言って病院を出た。それから、ぐるりと裏を一周して、表側の入口付近で待っている安定に長義くんは声をかける。「待たせたかな、すまないね」「いえ、大丈夫です。…国広くん、もう平気?」「俺は大丈夫です、ちゃんと休んだんで」
安定はぺこりと小さく頭を下げて挨拶をした後、長義くんの少し後ろにいるまんばにも声をかける。まんばがしっかりとした受け答えをしているのを確認し、「よかった」と心底安心したような声を漏らすと、「それじゃあ、病室に案内しますね」と言って病院内に入っていった。
「沖田くん、入るよ…えっと、今日はと、友達…?を2人連れてきたんだけど…」安定はそう言って病室に入る。2人も「失礼します」と挨拶をして後に続いた。沖田くん、という人物は入院着を着ていて、点滴を受けていて、
病室のベッドから体を起こしてなにやら雑誌を見ていた。安定の声に気がつくと病室の入口に顔を向けて、「いらっしゃい」とにっこり微笑む。「…雑誌?」「ああ、君たち、加州とは知り合い?デザイナーをやっててね、絶対大成してみせるから見ててねって」「そう、ですか」
「それに、今度は何かショーがあるみたいで。…とはいっても、僕はあまり詳しくないんだけどね、ふふ、楽しみだなあ」ずっと入院していて先も長くない、と聞いていた2人は、穏やかで、朗らかに、無邪気さすら含んだ笑みを浮かべる沖田くんなる人物に少々面食らう。
同時に、なるほど2人が慕うような人物なのだろうとも考えた。「…あの、加州さんは、どういう方なんですか」「…うーん、ずっと一緒だったからなあ…可愛い後輩だよ、僕ら皆剣道をやっていてね、僕が先輩で、2人は同じくらいの時期に道場に来た後輩。あいつお洒落が好きなのに、
小さい頃は自分にはお洒落なんてする資格がないって泣いてたんだ…気負いすることなく好きなことを出来るようになったみたいで、僕もあいつの先輩として嬉しいよ、それから…」「沖田くん沖田くん、2人が驚いてる」「え、あ…ごめんね、僕お喋りが好きで…病室一人のことも多いし、
話し相手がいるとね、ついつい…」沖田くんは楽しく話を続けていて、2人は話に入るタイミングを見失う。特にまんばは、何度か「あの…」だとか「えっと」だとかもらして、途中で諦めた。つらつらと話し続ける沖田くんを安定がやんわりと止めると、沖田くんはハッとして二人を見やり、
困ったように笑いながら謝る。「いえ…構わないです、俺なんかで良ければ…」「それに、俺達は貴方の話を聞きにきたんですよ」「…僕の?ということは、病院のことかい?何か面白い話題でもあったかなあ…」「佐々木浩二という人間について、知ってることを教えてほしいんです、
些細なことで構いません…俺達は、こういう者でして」そう言うと、長義くんは沖田くんに名刺を手渡す。「え、探偵?すごいね、漫画みたい…でも、佐々木先生のこと、と言われてもなあ…僕の担当医ってことくらいしか分からないや。あ、担当医だから、専門はここだよ…って、探偵ならもう調べてるよね」
ここ、と言いながら、沖田くんは自分の胸の当たりを自分で指差す。安定の表情が僅かに曇った。それを横目に長義くんは質問を続ける。「悪い噂などは聞きませんでしたか?」「あはは、自分の担当医の悪い噂って嫌だなあ…さすがに不安になっちゃうよ」「…じゃあ、良い噂は?」
「良い噂かあ…良い…どんな病気でも治してくれる名医…なんてね、そんな人いないよな。どこかから呼ばれた先生らしいくらいで、本当に何も無いと思う。お役に立てなくてごめんね」「あ…えっと、」「いえ、参考になりました、聞かれたくないことだったかと思いますが協力ありがとうございます」
長義くんはそう言うと、まんばに病室を出るように合図する。まんばもそれに続いて「今日はありがとうございました」と一礼した。「そう?それならよかった、よく分からないけど、お仕事頑張って。それから、安定と…よければ清…加州のことをよろしくね」
病室を出て、示し合わせるように目を合わせ頷き合う。「”どこかから呼ばれた”」「…ああ」「やっぱり恐らく、横流ししてる…下劣だな」「…沖田さん、転院できないんだろうか。こんな所じゃ危ない…し」「何も知らない沖田さんには、当然転院の意思はないだろう?…手遅れ、というのもあるけれど」
先程カルテを盗み見た時に書かれていた内容から、沖田くんなる人物は本当にもう長くないことがわかっていた。「…そうか」「とにかく、そう沈んでいても始まらない、どうにか止めないと」「ああ…命を狙われているのは本当だが、あの脅迫状は捏造…いや、ああやって大事にするように脅されている、
脅迫状が届いたけれどもショーを行う、ということに意味がある」「お前もだいぶ板についてきたじゃないか…そう、そしてその脅迫を行った人物、それこそがこの病院の佐々木浩二、その人だ…以前、加州が御堂隆義と揉めた時にでも偶然そのつながりを聞いてしまったんだろうね…
それで、御堂はこの病院と取引していたわけだ」「でも、どうするんだ、俺達が手に入れた佐々木が黒って証拠も、合法的に手に入れたものでは無いだろう」「そうだな…まあ、任せておけ。なんとかしてみせよう」長義くんはそう言うと、得意そうに口角をあげて見せた。
過去編再び。 怪しい。怪しすぎる。そう思ってからは早かった。1週間くらいたっただろうか。慣れない不自由のない生活ではあるけれど、あまりにもおかしすぎる。疑心暗鬼はひとつの道筋をうんでいた。ひょっとして、アパートにいたアイツらと長義は仲間で、自分を匿うのは嘘で、
本当は、油断したところで自分のことをあいつらに売るつもりなんじゃないか、なんてちょっとした陰謀論だった。陰謀論、とはいえ何も突拍子もない話なんかじゃない。現に、生徒手帳を勝手に見られて調べられた。あれだって、俺が”売り物”を知りたかったんじゃないか?と思う。そうした疑心で、
長義のパソコンを勝手に盗み見た。パスワードは使う時にお茶を出すフリをし��がらこっそりと見て覚えて、長義が出かけている隙を見計らって起動する。メール辺りを探してみるのがいいだろう、誰かとのやり取りに、怪しいものがあれば黒だ。そうやって、知ってしまった。長義が、
いわゆるヤクザと呼ばれるような家系の人間であること、その家との縁は切れておらず、自分に関わるやりとりをしていることを。 高層マンションだから飛び降りて逃げ出すなんてわけにはいかなかった。エントランスホールを上手く抜けるために、人が来るのを待って、影に隠れるようにして逃げた。
今度は身一つで、学生証はどうしようかとぼんやり考える。当時の自分はまだ中学生で、子供で、だから詰めも甘くて、これでとりあえず逃げきれた、と思っていた。まだアパートにいたやつらは自分を探している、という長義の忠告だって忘れていた。声をかけられた。
振り返ろうとして、その声が聞き覚えのあるものだと気がつく。やばい、と思った時には、頭の後ろ、首の辺りにビリッとした激痛が走り、意識を失っていた。 目を覚ますと、薄暗いところに寝かされていた。辺りを見回しても、身に覚えのない倉庫のような場所で、僅かに潮の匂いがした。
背の高い建物がいくつも積んであって、体を起こそうと試みたところで、自分の手足が自由に動かせないことに気がつく。縛られていた。藻掻くと縄のような感触が擦れて痛む。相当きつく縛ってあり、簡単には抜け出すことが難しそうだった。小さく舌打ちして、他の手立てを考える。
とりあえず、もう暫く寝たふりをしておいた方がいいだろうか、そう思った時だった。声が聞こえた。「こいつなかなか目を覚まさないな」「ガキなんだからしょうがないでしょ」ガキ、子供、自分のことだろう。どうやら結構な時間が経ってしまっているらしい。
そういえば自分は何をされた?そう思ってみると首の違和感にも気付く。火傷をしてしまったような気がする。何か、危害を加えられて気絶してしまったらしかった。「まあ下手に暴れられる方が困る。移動は明朝予定、一晩はここに置いとくしか…」
「そういやコイツ、山姥切んとこの息子といるとこ見たって奴がいるらしいけど、問題ないんスかね」「は?そんなの聞いてねぇぞ…」どうやら、こいつらは長義を知っているが、手を組んでいると言うわけではないらしいことに、内心ほっとした。同時に、疑ったことを申し訳なくも思った。
今の自分にとって、本当に外は危険で、本当に長義は自分のことを匿うつもりだったのだ、と思うと、こんな勝手をしたことに罪悪感すら覚えた。長義も危ない団体の一員であることは本当だし、軟禁状態だったことは確かだし、勝手に個人情報を漁られたのも確かだったのだけれど、
異常な状況に置かれすぎて、少し頭が混乱していたこともあったとは思う(こういうの、なんとか症候群と言うんだったか)。 今下手に目を覚ましてしまえば、”大人しく”させるために手段を選ばないだろう、そう思って、未だ何やら話している2人の会話にはもう蓋をした。疲れていた。
もう諦めよう、せめてあまり痛い思いはしたくはない、そう思って寝たふりを続けようとした矢先、腹部に重い衝撃が走った。声にならない声が漏れて、びっくりしてそのまま目を開ける。ズズっと体が地面に擦れて、蹴られたのだとわかった。「いい加減目ェ覚ませ。移動だ」「…ッう、…い、移動…?」
襟首をつかんで締め上げるように立たせたそいつは、力強く背中を叩きつけて、よろめいた俺はそのままもう1人の元まで動いてしまう。「…ぁ、」さあっと青くなった。そいつはアパートで自分に話しかけてきたやつで、そう、自分のことを”高く値がつく”と言っていたような気がする。
その時のことを鮮明に思い出してしまうと、いよいよ前後もわからないくらい怖くて、この場から離れないと、と思うのに、ガタガタと震えて身動きがとれなくなってしまった。ぐい、と男に引っ張られて、また1歩と足を踏み出してしまう。
「や、…やだ…嫌、」その場から動かまいと力を込めても、大人の男の力に子供である自分が敵うはずがない。嫌だ、と何度も言ったって聞いてくれるはずもない。男はそんな自分の微かな抵抗など構うことなく、引っ張るように連れ出されて、不格好に、いちいち転ぶみたいについて行くことになってしまう。
制服を着てでたけど、シャツは捨ててしまっていたから貰い物だった。悪い事をしたな、とやっぱり思ってしまって、怖いのと不安と罪悪感で、頭の中どころか、もう身体中がいっぱいだった。「逃げ回ったツケは払ってもらうぞ」そう言われて、押し込むように車に乗せられそうになる。
これに乗ったら最後だと、本気でそう思って、ふと顔をあげた先、涙目が一瞬とらえた景色に声が出なかった。突然押されていた力が抜けた。何者かが何かで男を殴ったのだ。けれど、殴ったという事実より、誰が、という部分の方が衝撃的だった。
「…ちょう、ぎ?」「…ったく、匿ってやったというのに世話のやける」そう言って、コンテナ近くにある材木片手に息を切らしていたのは、逃げ出したはずのあの家の主、長義その人だったからだ。
「長義、どうしてここに…っ」「話は後だ、逃げるぞ!余計な証拠を残したくない!」「証拠って、あの人は…」「生きてるに決まってるだろう!俺はあんなのとは違う!」そう言うと、長義は手早く縄をナイフで切って、そのまま腕をつかんで走り出す。
そこでようやくわかったのが、ここが湾岸部の、あまり治安が良くないとよく言われている場所ということ。通りへ出ると一台車が止まっていて、「乗って!はやく!」と急かされるままに車に乗り込む。自分が乗ったのを確認すると、長義も素早く運転席へ乗り込んで車を発進させた。
不思議と、あの時感じた危機感は、再び感じることはなかった。 暫く走って、車の通りの多い道路に出た。明るい街灯、右も左も車が行き交う。横断歩道を歩く人々はいかにもサラリーマンといった風体の人々ばかりで、会社帰りなのだろうか、と考える。日常風景と言われるような光景は丁度こんな感じで、
けれど今の自分にとっては少し眩しい光景だった。信号が赤に変わり、車が止まる。バックミラー越しに長義が見えた。「…だから、外は危険だと言っただろう」「あんたも、同じくらい危険に見えた」「…まあ、そうかもね」「…助けたことにも、意図があるんだろ」
「無鉄砲なガキのくせになかなか冴えてるじゃないか、褒めてやろう」「…隠さないんだな」「必要ないだろう?…さて、詳しい話は夕飯を食べてからだな」しばしの沈黙。再び車が止まって、その頃にはもう、少し前に長義に連れてこられて、出ていったはずのあの建物が目の前にあった。
長義はデリを頼んで、そのあいだ俺は着替えさせられた。「全くボロボロにしてくれて…」「う…すまない…」「まあ子供の服なんてそんなものか。とりあえず夕飯がつくまで着替えておいで」「え、俺が作らなくてもいいのか」「怪我人にあれこれさせるほど鬼じゃないよ」「…そう、か」
なんて会話をして、しっかり用意されていたスウェットに着替える。着替えてリビングに戻れば、長義がちょいちょいと手招きをした。素直にそちらへ向かえば、手にあるのは救急箱だ。「夜も遅いし、今日はもう外には出ない方がいいし、もしも大きい怪我があったとしても病院とかは明日になるけど…」
「大したことな…っ痛、いきなり何するんだ!」「消毒だよ消毒、手足以外は?」長義はなんの予告もなしに腕をつかんで引き寄せると、縄で擦り切れ痕が残った手首を消毒だと言って、丸めた消毒綿を押し付けにかかる。予期していなかった痛みに呻くと、今度はまじまじと俺を見てそう言ってきた。
視線が痛い。「特には…」「そう?とりあえず、足も見せろ」「え…、痛…ッ、だから触るなら言ってから… っ」「って、お前、手足だけかと思ったらほかも結構派手にいってるな…痛くないの?」「痛いに決まってるだろう!現に今そう言って…」「いや、そうじゃなくて、
車でもそういうふうに見えなかったから、」「…それは、非常時だったから」「ふぅん、まあいいけど」何度かそんなやり取りをして、少し緩く包帯を巻かれたり、微妙な形に切り取られたガーゼを当てられたりして、満足気に長義が「終わり終わり。夕飯にしようか」とやっと離れる頃には夕飯が届いていた。
「さて、どうしてここから逃げようと思ったのかな」「…見たから」そう言ってパソコンのある方に視線を向けると、了解したのか長義は「…ああ」と納得したような声を上げる。「まあ、そうだろうと思った。お前、抜け目ないね、この前茶を出した時に指の動きで覚えたんだろう?」「…ああ」「怖い?」
「今は、そうでもない。あいつらとは、違うんだろ…そう言っていた」あんたが、と続けて真っ直ぐに長義を見る。海の底のような瞳は、見つめたところで何も分からなかった。「ああそうだ、あんなのと俺は違う。…お前の処遇についても話そうか」「…売るわけじゃないんだな」
言えば、長義は箸を止めて自分の方を見る。意外なものを見る目だった。「そうか、話していなかったね…俺が買うんだよ」「…誰を」「お前」その言葉に呆気に取られた。何を言っているのかさっぱり分からなかった。 帰ってみれば国広の姿がなかった。
念の為GPSを忍ばせておいた制服の上着を着ていってくれたのは幸いだった。怪しまれることはしたし、まあ妥当な判断だとは思う。けれど、今は本当にあいつにとって外は危険だった。「…明日までに見つけないと」1人そう呟いて、GPSで居場所の探知を始める。キーボードの位置が少しずれている。
どんな方法を使ったのかはともかく、これを見たのだろう、というのはわかった。国広の居場所はこの街を離れ、海、もっと言えば湾岸部へと向かっているようだった。恐らくまだ移動中だろう。思ったよりも早く見つかった。部下に連絡して、うちとの取引に…と考えて、やめることにした。
そんなことしたら家に借りを作ってしまうし、何より国広を好きに出来なくなる。それはまずい、といつもの部下にだけ連絡事項を伝えて家を出た。国広に掛けられていた金額を用意すること、もちろん全て俺のところから出してくれて構わない、責任は俺が持つ。そう言うと、部下は驚いて「いいんですか?」
と確認をとってくる。それもそうだろう、いくら金があれど、あいつにふっかけられた金額を支払うのはかなり痛い。だが、今はそんなことは関係なかった。この辺りで気付くべきだったと思うが、ほんの短い期間にも関わらず、俺は損益を考えることを放棄する程度には国広へと入れ込んでいた。
利用価値を考えるなら、国広を上手く売ってしまった方がいいはずなのだけれど、国広を使って家を、という計画を頓挫させたくなかった。 色々と準備を整えているあいだに日は落ち始めていた。まだ寒い冬だから、日も長くない。倉庫方面につく頃にはもう夜で、1人夜に倉庫に、堂々と正面から入った。
「…国広は?」そう問えば、俺を知る者は情けなく逃げ出したり、知らない者は威嚇したり、とにかくざわついて、その雑音の中、代表の1人が目の前に立つ。「山姥切が何の用だ?」「訂正させてもらうと、俺個人の用だよ。さて、取引といこうか」
取引の中身は単純だ。国広に掛けられた金全てをもって、俺が国広を買取るというもの。あれには利用価値がある、それくらい払うだけの。とにかくそう思っていたから、自分自身では道理だと思ったけれど、相手にはそうは見えなかったらしい。
「は?何言ってるんだ、山姥切んとこがアレを買い取って何の得がある?」「だから、俺個人の取引だと言っているだろう。どうする?今あいつを引き渡せば、確実に今2億は入るけれど?…言っておくけど、あいつ案外小賢しいぞ、油断をすれば逃げられるかもしれない。
それなら俺との取引に応じた方が賢明だと思わないか?」ペラペラとそれらしく捲し立てている間に、向こう側は応じる気はないのか仲間に連絡をとっていたらしい。「あのガキ連れ出しました」と小さく耳打ちしているのがうっかり聞こえてしまった。「ふぅん、あいつは12番倉庫か」「はっ、どうだかな」
「…そ、交渉決裂、かな。ならば無理にでも取り返すだけだ」このあたりの位置把握ならば、家の都合上完璧だと自負していた。迷わず12番倉庫方面に向かうと、丁度国広が何者かに引きずられている所。これはまずい、と思って、次にはもう、武器になりそうな物を適当に掴んで男のに向かって叩きつけた。
こんなことがあったからか、国広は始終大人しく、もう暫くは言うことを聞くモードのようだった。その夜には、部下から、国広を売ると伝達があった旨を伝えられる。どうやら名の大きさに今更恐れをなしたらしい。こちらとしてははじめから穏便に済ませたかったのだが残念だ。さて、これからどうするか。
国広には、家を潰すために動き回ってもらわなければならない。そう育てる必要がある。俺も情報がまだまだほしい。疲れが限界になったのか、眠ってしまった国広をベッドまで運びながらも今後について考えた。考えて、そうだとひとつ考えついた。
「まず、俺はお前を買取った。値段は2億7538万9623円…ちなみにまだ桜中生徒で世間知らずなお前に言ってあげるけど、一般的なサラリーマンが一生で稼ぐ金額は2億弱と言われている…どういうことかわかるね?」朝食もどこかで頼んだものが運ばれてきた。そんな食事をとりながら、
長義はなんでもないように昨日の話の続きを始める。「…俺は、何をすればいい」言わんとしていることはわかった。俺は、長義に対して一生かかっても返せないくらい借金があるのだ。その返済を、長義は求めている。しかし、俺は中学生だし、親は消えたし、家もないし、当然金もなかった。
身売りでもしろというのだろうか、と長義の方をうかがえば、長義はやたらと機嫌が良さそうだった。「話が早くて助かるよ。…俺は探偵事務所を開く。お前はそこで働いてもらう…危険は伴うが、代わりにお前の生活は全て保証してやろう、福利厚生ってやつだね。
それで、依頼のうち、お前が手伝ったものに関しては報酬の3割を俺への借金の返済としてやろう…帰る家もないお前にしてみれば、悪くない条件だろう?」「探偵…」「お前がみたとおり、俺の出身はああいうところでね。けれど、俺はあんなのとは違うんだ、その証明する…
そのための探偵だ、いかにも対立軸にありそうだろう」どうする?と再び聞かれたが、拒否権なんてあるはずがなかった。もう、俺にはこの場所で藻掻くしかないのだから。長義の手を取って「よろしく頼む」と言えば、長義はますます機嫌が良さそうに手を握り返して、「こちらこそ」と少し笑った。
終わらせてなかったので残り!長いよ! 舞台は現在に戻ります。 「要は、あのグループを仕留めて、言質をとってしまえばいいんだ。そうすれば、加州も全てを話してくれる」「仕留めるって…いいのか」「俺たちは警察じゃないからね、正攻法である必要もない」
それに、すでに正攻法ではないだろう?なんでもないようにそう言う長義くんに、まんばはまた始まったとばかりに苦い顔をする。自分がこっそり見に行ったカルテのことだ。けれどいちいち止めることもしない。まんば自身長義くんのそれに助けられた身だし、
長義くんの最終目的も知ってたし、それらをとうにわかった上で今まで付き合ってきてるのだし、それにまんばには長義くんに対して借金があるので、依頼解決の方が優先で、つまり今更のことだった。
長義くんの考えは単純だった。先日の埠頭で取った音声では、次の取引についても話がされていた。同じ場所でもう一度、といった内容のものは、ショーの前日だのものだ。そこで、長義くんは自身の名を使って黙らせる。家には御堂とその関係者についての不利切り捨てを促させておけば、
あとは勝手に消し合うだろう。問題は佐々木の方だった。こちらもその実御堂の筋の人間なのだろう。しかし、こいつを叩かず御堂を叩けば、逆上し依頼人や依頼人の周りの人に危害が及ぶ可能性がある。だから、佐々木は先に見つけ出して自ら黙らせる必要があった。場所の見当はいくつかついている。
「というわけで、もうお前は戻っていろ、あとはこっちで…」「嫌だ」「お前…」我儘を言うな、とため息をつく長義くんをまんばはじっと見る。折れるまで動かない、とでも言いたげな頑なさは長義くんもよく知るところだった。「お前わかっているだろう、お前の知るあの御堂の人間が関わっているんだよ。
現にパーティーでも…」「あ、の時は…だが、二度はないと誓う!これは俺の問題でもあるんだ。俺の問題を、勝手に他人に明け渡したりするものか!たとえお前でも、だ!」そう言い放つと、長義くんは呆れたというようにため息をついた。「…そういうところが子供だって言ってるんだ。
まあいい、精々人質に取られないように、隠れ方は教えたね?」「ああ、わかってる」「それじゃあ行こうか」そうしてまず向かった先は、加州のいる事務所だった。
扉の前で聞き耳を立てると、加州と男の声が聞こえる。早速当たりをひいたようだった。長義くんとまんばは気配を殺して会話の方に集中した。「…かに、お…くんは、…だよ。でも、」扉越しに聞こえる音はやや小さい。もっと、とまんばは寄ってみる。
「治らないのはわかってるよ、何度も聞いたし、何度も諦めさせられたんだ、わかってるよ。もう一度言う、俺はお前の移植手術の話には応じない!ちゃんと脅迫状は安定に見せてる、あいつは動いた。もう満足でしょ?」「ああ、非常に残念だよ。患者の命を救えたかもしれないのに…」「…っお前!」
「証拠は十分…かな。さて、そこまでだ」その言葉を聞いて、長義くんは遠慮なくドアノブを捻った。鍵はかかっておらず、あっさりと侵入を許す。突然の乱入者に、2人はハッとしてそちらを見る。長義くんは2人の注目などものともせずにレコーダーをチラつかせながら話を続けた。
「沖田さんは心臓を患っているそうだね。…確かに移植手術自体は近年増加傾向にあるけど…彼は認可を受けている施設に動く予定もなさそうだし、本当に患者を治す気があるのかな…それとも、奇病の患者の心臓が惜しい?少なくとも俺は聞いたことの無い病名だったし…」「な、何を…」
「お前が御堂の…そう、人身売買を扱う外道共と手を組んでいるのは知ってるんだよ。証拠はここにある…それに、」そう言って、長義くんは少し後ろに視線をやる。まんばは隠れていて、2人からはなんの行動かはさっぱり読めない。佐々木はその一瞬の隙をついて、長義くんに突っかかってくる。
狙いは証拠となるレコーダーだった。軽々と腕を掴まれて、その衝撃でレコーダーは地に落ちる。「っ痛…手荒だな、お前のその行動、それが全部記録してるよ」「壊せば問題は何も無くなるなァ?」「ちょ、探偵さん!」加州くんがやばい!と動く前に、押さえつけられたままの長義くんの目の前で、
レコーダーはあっさりと壊される。長義くんは特にそちらは気にせず、佐々木の方を見る。「持たぬお前に教えてあげようか。まず、お前は医者でありながら、患者の手術に度々、わざと失敗している。…意図的だ。人身売買を行っている御堂と繋がりがあるからね、それはそうだろうな。
けれど、そんな藪医者掛かりたいやつなんていないからね、勤め先の病院については頻繁にうつっていたようだ。もちろん、名前で検索をかけてしまえば悪評はわかってしまう。だから、御堂の人間に火消しを頼んだんだ。こうしてお前は人畜無害な医者を装っては患者に近づいては、
非健康的な臓器を売っていた…何に売れるのかは、知りたくはないけどね。健康体なら、あの手の輩は別の方法でとれるものだ…だから、売れたんだろう」「はっ、それがどうした?」「でも、御堂の家の息子がしくった。御堂は表では旧財閥系の分家のようなもの。
そこから人身売買なんて漏れたらたまったものじゃない。なぜしくったのか。加州が偶然、お前と御堂隆義の会話を聞いていたとか、そんなところだろう。沖田を次に売ることを知った加州はもちろん、そんなことを許せない。だから交渉したんだ。彼の大きなファッションショーは埠頭に近い。
ここに大量の警察をつぎ込めば向こうは手薄になるね?つまりこう、『次のショーで脅迫されたことにするから、沖田には手を出すな』と言ったところだろう…違う?」「…」「無言は肯定と受け取ろうか。けれど、加州とて犯罪の片棒を担ぐのはごめんだ。だから渋った。…けれど、その用意した脅迫状を、
大和守に見られてしまい…そして、彼から俺に依頼が来たんだ。次のショーで大事にすればお前達の取引をしやすくしてしまう…加州は大和守に被害届を出すとは言えないよね…どうかな?」加州は黙ったまま。佐々木はイライラとして、ぎり、と長義くんを押さえつける力を強める。
「お前…言わせておけばあることないことをベラベラと…!」「へえ、それじゃあ、どこまでが本当でどこからが虚構なのか聞かせてもらおうか」ものともせず、長義くんは変わらず佐々木を睨む。佐々木が殴りかからんとしたところで、ついに加州が声を上げた。
「…っ、ほ、本当だよ!そいつがどういう取引をしてるとか、そういうのは知らない!けど、俺のことについては、全部本当だ!」「お前…っ!」佐々木が長義くんを弾いて加州の方を向いたその時。「…国広!」「ああ!」長義くんのその言葉でまんばが長義くんに何かを投げ渡しつつ、
そのまま佐々木に特攻した。手荷物のはスタンガンで、全くの遠慮はなくそれを佐々木の首の後ろに押し当てる。突然の電流に叫ぶ佐々木に、呆然とする加州。その手を引いたのはまんばで、「立てるか?これは護身用のよくあるやつだから、そんなに持たない。早くここからでるぞ」と半ば無理やり立たせて
部屋の出口に向かう。逃がした獲物になんとか注意を向けたが最後、残っていた長義くんはあっさり背後をとった。「最後に教えてやるけれど、お前が壊したのはダミー、本物は今受け取ったんだけどよく取れてるよ」って聞こえてないか、と長義くんはのびた佐々木を見ながらそう呟き、悠々と電話をかけた。
「ちょっと、お前…!」「なんだ?」「いや、何じゃないでしょ、どういうこと?!あの探偵置いてきていいわけ?!」「構わない。事務所で落ち合う予定になっている…それに、あいつなら上手くごまかせる…あ、です」「ごま、…何が?」「…、ファッションショー、頑張ってください」
「言われなくても頑張るよ!ってそうじゃなくて!」走って向かった先、電車まで勢いで乗ってしまった加州は、息を整えながらまんばに抗議の声をあげる。「大和守さんに連絡取ります。もう大丈夫なので」「大丈夫って何が!」「…沖田さん」「…え、」「もう、全部大丈夫…なので」
「…はあ?あーもう!後で全部聞くからね!」そう言いながらも電車はあっという間に数駅を過ぎ、まんばが「降ります」と言えば加州くんも渋々着いていく。事務所の最寄り駅だった。行く道すがら見たところ、駐車場には車がもうあるようだった。帰ったのだろう、早いなと思いつつあがる。
「…ただいま。事情聴取は?」「面倒だから任せてきた」「…そうか」「…それ任せられるものなの?」訝しげに眉を寄せながら加州くんが部屋に入る。その先にはソファにちょこんと座る安定がいた。
こっからエピローグ。ほんと長くてすみません。 翌々日のこと。「…ということで、もう不安の種は取り除かれているかと。犯人は警察に通報されていますし、主治医ですが、変更になるそうです」「そうですか…ありがとうございました」「こちらは証拠品の類ですね。警察のガサ入れはあると思いますが
…そちらに来た折には提出してください」長義くんはそう言って事務的に調査資料を渡していく。「…はい。あの…国広くんは?」「あいつは…あいつなら熱を出したみたいで、部屋で休ませてます。最後ですし…挨拶させましょうか?」「あ、いえ…無理させちゃ悪いですから」安定がそう言って断り、
事務所の外へと見送られ、出入口へと来たところで、上の階から人が降りてくる。確認するまでもない。この数日一緒にいた高校生、国広だった。やや高級そうな素材のパジャマ姿のまま降りてきて、「長義」と呼ぶ声は、何度か話をした時よりも少し幼い。長義くんは断りを入れると振り返って
「お前、そのままで降りてくるなって言っただろう。大体、依頼人に風邪がうつったらどうするんだ」などと諌めるようにしながらまんばの元へ寄る。「…長義の声が下からしたから」「これ終わったら上に戻るから」「仕事あるだろう…俺が下にいればいい」「病人は布団被って大人しくしてろ馬鹿」
その様子をみながら、安定はそうだ、と今しがた寄り道をしたスーパーの袋に入っていたゼリーをもうひとつのビニール袋に入れて、開けようとしていたドアから離れ、長義くんの元へと駆け寄り、ビニール袋を渡した。「あの、これ」「え、いいんですか?」「お見舞い用といえばお見舞い用なので。
それに、彼にもたくさん頑張ってもらいましたから…お礼です」「俺、は…そんな、」言いながら咳き込んでしまうまんばの姿に安定は入院前の沖田くんを重ねてしまって、違うと首を振る。「そ、それじゃあ、本当にありがとうございました!」
そう言って、安定はビニール袋を押し付けると、足早に去っていった。残された長義くんは、ビニール袋を確認する。「…グレープ、みかん、もも、りんご」どれがいい?と訊ねて、まんばにも見えるようにビニール袋を大きく開いた。まんばはぼーっとしながらもビニール袋の中をしばらく眺めて、
小さく「もも…」と呟く。「わかった。食べたら寝るんだよ…俺も今日はもう上に行くから」長義くんのその言葉には声はなく、こくりと小さく頷いてみせた。 あの日、全ての事情を説明した翌日、起き出した時にはまんばには酷い倦怠感と頭痛が襲っていた。ふらふらと起き上がって、
ふらふらと朝食の準備をしていたところを、少し遅く目を覚ました長義くんが発見し、そのまま慌てた様子の長義くんによって、まんばはベッドに強制送還された。その流れで投げ捨てるように渡された体温計で熱を測ると、しっかりと38度を少し超える熱が出ている。
「パーティか病院で貰ってきたか…あるいはストレス性だろうな。今日はもう休め」「でも学校…」「お前は馬鹿なのかな。他人にうつすなって言っているんだよ」「う、すまない…」「医者は…連れていくのもな…呼ぶか。食事も用意させるから…あとは…」長義くんが呟きながら思案していると、
くいと服の裾を引っ張られる。犯人は言うまでもない。「長義、」「…どうしたかな?」「…俺、頑張れただろ」「…うん」それ以上のことはまんばはなにも言わなかった。気まずそうに目を逸らして、なんでもないと言葉を紡ぐことをやめてしまう。長義くんはベッドサイドの端に座って、
目元にかかったまんばの前髪を軽く払ってやった。結構熱くて、少し戸惑う。「…もっと、俺…頑張る、から」「…うん」「だから、今だけ、」それきり、まんばは眠ってしまう。彼に頑張らせるように強いたのは他ならぬ自分だというのに、長義くんは若干の罪悪感にまんばを撫でた手を止める。
彼には確かに退路はなかった、けれど、公的機関に助けを求めさせることをせず、依存させたのは自分だというのに、ふと、同情しそうになってしまった。「…ごめん」眠っていて、視線が合わないことはわかっているのに、何故か顔を見れない。届かない謝罪が、ぽつりと部屋の中に響いた。 おしまい!
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y24klogs · 5 years ago
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灰霧の街グレイスミスト
リュア君と一緒
アルマ:おかえりなさい。  今日はどうするの? クエストを開始します。     ------!!!!WARNING!!!!------  当クエストでは以下の行為を禁止しております 「同意無しRPによる殺傷・戦闘・不快行為/QN規約違反行為」 ※PL会話・Tell機能を活用してコミュニケーションをとりましょう※ [最新アップデート] ・クエスト内規約(簡易)をタイトル画面に追加 ・緊急離脱用アイテム   「訣別の加護」を配布・薬屋NPCにて販売 →同意の無いRP・戦闘時から離脱したい場合ご使用ください
[衛兵] 現在「居住区画」は立入禁止 南東繁華街は店舗全てが休業となっている 不便ではあるがご理解のほどをよろしくお願いする。 [霧隠れ][霧から出る][影法師]→隠密用スキル・昏睡防止 [システムストーン]→霧都内のシステム・カルマ値全般アイテム [訣別の加護]→緊急離脱用アイテム を入手・取得します.............. [霧隠れ]を覚えました。 [霧から出る]を覚えました。 [影法師]を覚えました。 [訣別の加護] を手に入れた。 [システムストーン] を手に入れた。 ―入る前に貴方の種族属性を決めてください― ※街の中での対応・反応・入れる場所に変化があります※ ―貴方の種族属性が「人外」になりました
ー貴方のキャラクターはスリを実行しますか?    (スリON・OFFスキルを入手) [スリ ON・OFF]を覚えました。 アルシエル : おや リュア : どうもー アルシエル : こんばんは。 リュア : そこは...たしかワードウルフ...だっけなんかそんなとこの会場でしたっけ? アルシエル : ん?ああ。確かにそう アルシエル : たまたま目の前に居ただけだけど リュア : そうでしたか.... アルシエル : 興味あったのか? リュア : ちょっとだけ... リュア : 機会があるならやってみようかな程度ですけどね... アルシエル : 実は私もやったことが無いので少し気になっている。何するのかもよく知らんが リュア : なるほど... アルシエル : 凄い顔だな。 アルシエル : どうなっている?(近寄ってじろじろ見ている) リュア : 電光掲示板とか言われてますからねぇ アルシエル : 電光……うーむ魔法の類か。 リュア : 特に変な物じゃないですよー唐揚げ食べます? アルシエル : 遠慮なく食べる。もらえる物は貰う主義故。 リュア : どうぞー何故かカロリー低いので深夜でも安心して食べられますよー アルシエル : では頂く リュア : どうですー? アルシエル : (一思いに食べた。少しくらい遠慮しろ) アルシエル : まあ美味いんじゃないか。 リュア : ならよかったです! リュア : (ダイス神の気まぐれで地味に料理82ある アルシエル : 悪いが今何か渡したりできる物はないな……一つ借りにしておいてやろう…… リュア : 大丈夫ですよー唐揚げを布教したいだけなのでー リュア : あとウォーロック アルシエル : いかにもウォーロックだが。 リュア : なので今回は唐揚げを布教しましたァ! アルシエル : お前、少し見ないうちに雰囲気変わったか?ちょっと面白い感じになったな。道化的というか リュア : 魔道具研究してたら面白い力の応用方目覚めてちょっと今試してる感じですね リュア : なのでちょっと今までの俺とは雰囲気違うかもですねぇ アルシエル : ふぅん……常に考えて色々やるのは偉いんじゃない。 リュア : まぁ考えなきゃ魔物にすぐ倒されちゃいますからねぇ アルシエル : まあそれもそうだな。 リュア : この街では魔物以外にも注意しなきゃ...ですけどねぇ? アルシエル : 私は別に背後から刺されてもいいって思ってるけど。 リュア : ふむ? アルシエル : それくらいの事がある方が面白いって事だ。 リュア : まぁ変化のない日常は確かに退屈かもですねぇ アルシエル : それに隠れると出るタイミングをいつも逃すのだ…… リュア : あぁ... リュア : たしかに声かけられてから隠れるのはちょっと勇気とかも要りますねぇ アルシエル : 声を掛けられてすぐ隠れたら相手を少し寂しく出来そうだな? リュア : されたらだいぶ悲しいですね アルシエル : 今やってやらんでもないぞ? リベルテ : 霧隠れ! リベルテは街並みへと溶け込む… リベルテのクリティカル!    リベルテは[ステルス]になった アルシエル : 今、物凄い霧隠れ名人が居たな リュア : ちょうど今そんな感じの事が起きましたね.... リュア : 名人? アルシエル : クリティカル リュア : あぁ.... アルシエル : まあ、ゆっくりしたい奴は好きにすれば良いし、そこは自由だから。 リュア : ですねぇ アルシエル : お前も好きにすると良いよ。 リュア : 俺は他人と話すのが好きなので話しかけ続けますねー リュア : 逃げたら追いかけはしないけど アルシエル : ふむ。そういうものか リュア : 人と話すのはだいぶ楽しいですからねぇ アルシエル : 暇潰し程度にはなるしな。 リュア : むしろ人と話すために暇を作りたい アルシエル : そういえば、何かしに来たんじゃなかったのか?足止めしたかもしれん リュア : 人と話に来ました アルシエル : じゃ私が目的になったという訳か。これは一つやられたな リュア : なので既にみっしょんこんぷりーとって感じっす アルシエル : 良かったな リュア : はい! リュア : 貴方はここで何を? アルシエル : 何か新しい物が追加されたそうだからちょっと見ようかなと思った リュア : もう見れました?見れてなかったら足止めてしまいましたかね? リュア : だとしたら申し訳ない アルシエル : 実はさっき来たところなのだ。ので実は足止めになっているが アルシエル : 面白いので許そう リュア : ゆるされた アルシエル : 今日は寛大な気分だからな リュア : 寛大なる気分に感謝ー リュア : それでこれから向かう感じっすか? アルシエル : まあそんなところだろう。 リュア : 俺はどうしようかな... アルシエル : お前も来るか? リュア : いいんですか? アルシエル : 別に構わんが。 リュア : やったぜ! アルシエル : お前……本当に表情が良く変わるな リュア : ならすぐに行ってみましょう!競争でもします? アルシエル : ん。じゃあ行くか リュア : はいー [微睡みの霧道] 別のイベントが呼び出されため、実行中のイベントが中断されました。 [微睡みの霧道] 自動スクロールを有効にしました。 リュア : こっちだったんだ...
↑この先[#####教会]↑
    ー掠れてしまっていて名前はもうわからない…… アルシエル : 見覚えの無いところがあったから アルシエル : そうかなと アルシエル : 実は適当だ [ゴミ拾いの男] おや……異種族の方ですか…… この先の教会は既に放棄されています… 立ち去ったほうがよろしいかと… リュア : 俺も見覚えないですねぇ [ゴミ拾いの男] この街は異種族と人間のバリエーション…というべきでしょうか… それが多すぎて一つ一つの宗教の派閥がとても小さいのです…… だから大勢で祈るための教会が必要なくなってしまったのでしょう…
―今なら行ける気がする      財布を抜けそうだ……(勝利数値:14↑) リュア : 不審な人だ.... アルシエル : 教会か……うーん アルシエル : 後にしよう リュア : わかりましたー
ーこの先、道路崩落のため通行止めとなっておりますー
         グレイスミスト商会 アルシエル : 道が崩れてるな リュア : 商会なんてあったんだ... アルシエル : 商店街がある以上商会もあるだろうな リュア : なるほど リュア : 新月の方も崩れてるとこあったし珍しくないんですかねぇ アルシエル : そう思うぞ。 ─── (悪そう) アルシエル : おやこっちに繋がるのか リュア : ここどこだ...って思ったら新月か.... リュア : 戻ります? アルシエル : 戻るか。教会は見てないし アルシエル : さて教会か…… リュア : かすれて読めねぇ... アルシエル : (まあ壊れてるし……平気か) ー廃墟と化した教会………  崩れた天井から僅かに明かりが溢れ、頬を照らす… リュア : 暗いな... アルシエル : 大変暗い リュア : ステンドグラスを照らす陽光も霧で無いんだろうか... アルシエル : 多分な ー古びた聖書がそのまま放置され、開かれている   風化はかなり酷い…… アルシエル : 聖書があるzp アルシエル : ぞ アルシエル : 噛んでしまった **は寛容なもの、 慈悲深いものは** 愛は、妬まず、高ぶらず、誇らない。 見苦しい振る舞いをせず、 自分の利益を求めず、怒らず、 人の悪事を数え立てない。
不正を喜ばないが、 人とともに真理を喜ぶ。 すべてをこらえ、すべてを信じ、 すべてを望み、すべてを耐え忍ぶ。 **は、決して滅び去ることはないだろう。 リュア : ふふっ
ー…読んだページの端がぱらりと崩れ落ちた。 古い毛布が石の床へと敷かれている… ここなら雨風は凌げそうだ… ー顔の崩れた女神像が放置されている…  どんな表情を浮かべているかはもうわからない…… アルシエル : 女神像、顔が無いな リュア : マジっすか...!?怖... リュア : それで聖書か... アルシエル : 登ってそこから顔を出したら顔出し看板みたいになるかもな リュア : 名物になるかなぁ アルシエル : 流石に���趣味か ー壊れ朽ちているピアノが放置されている……   一部だけならまだ弾けそうだ… アルシエルは[ピアノ演奏者]になった リュア : うーん...この聖書は... リュア : ウェ!?ピアノ!? アルシエルは[ピアノ演奏者]でなくなった リュア : ひとりでに弾かれたのかと思ってびびった.... アルシエル : 驚かせてしまったな リュア : いえ大丈夫です....ピアノ...弾けるんですか? アルシエル : いや。適当だったが ヒイラギ : 霧隠れ! ヒイラギは街並みへと溶け込む…    ヒイラギは[ステルス]になった リュア : そうでしたか.... リュア : ん?今誰か... アルシエル : ん?(誰か入って来た気がして入口の方を見た) リュア : ...気のせいかな...? リュア : まさか幽霊かな... アルシエル : 実は私の生き別れの双子の幽霊が アルシエル : お前のすぐ後ろに リュア : ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ"!! アルシエル : 嘘だぞ リュア : 鬼ィ!嘘つきィ! アルシエル : そもそも私は一人子だから双子も居ない リュア : そうでしたか... アルシエル : うむ。今明かされる衝撃の事実というやつだ アルシエル : お前もピアノ、弾いてみたらどうだ? リュア : いいんですか? アルシエル : 構わんぞ アルシエル : (椅子に偉そうな姿勢で座った) リュア : ふむ... リュアは[ピアノ演奏者]になった リュア : (ダイス振った方がいいのかしら アルシエル : (どっちでもいいきがする リュアのダイスロール : (1d100-40) -> ([44]-40)=4   リュア : (へったくそなえんそう リュア (やたらめったらに鍵盤を押しまくる) アルシエル : おい? リュア : はい?(若干楽しくなる) アルシエル : まあそういうのも有りか。 リュアは[ピアノ演奏者]になった リュア : (どうやってやめるんだろう.... アルシエル : (演奏をやめるを押すんだ リュア : (死ぬまで演奏者になるとかいう赤い靴並みの呪いかな アルシエル : (流石にwww リュア : (出てこない! アルシエル : (アア~~~ ヒイラギは[ピアノ演奏者]になった リュア : (死ぬまで引くのかァ! ー壊れ朽ちているピアノが放置されている……   一部だけならまだ弾けそうだ… アルシエルは[ピアノ演奏者]になった ヒイラギは[ピアノ演奏者]でなくなった アルシエルは[ピアノ演奏者]でなくなった リュア : ...今一瞬鍵盤がひとりでに動いた様な.... アルシエル : リュア。そんなにピアノが気に入ったのか? アルシエル : そんな腕が4本あるような鳴らし方をして…… リュア : なんか指が吸い込まれるような感じがして.... リュア : あれこれどう止めればいいんでしょうかね? アルシエル : 演奏終了を押す リュア : 出ない(迫真) アルシエル : 何だと ヒイラギ : (なぜだ…リログしたほうがいいかも リュア : 演奏するしかでねぇ!!!!死ぬまで引くのか!!! アルシエル : ではお前は一生そのピアノと共にこの教会で暮らすのか……? リュア : いやだあぁア"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ"!! アルシエル : さようならリュア……お前とはここでお別れだ…… アルシエル : 短い間だったが…… リュア : 首なし女神と同居とか勘弁してえええええ アルシエル : きっと首無しの女神もお前を優しくいつも見守ってくれる リュア : 目がないやん!!!!!! アルシエル : 無いな。確かに(女神像を見て考え直した) リュア : 冷静に考え直さないでぇえええ!? リュア : (リログしてくるゥ!!!! アルシエル : いや、しかし寝床もあるし案外広いし存外に悪くない暮らしかもだぞ? アルシエル : 私は御免被るが リュア : 演奏を止められないんだけど リュア : 泣いていい? リュアは[ピアノ演奏者]になった リュアは[ピアノ演奏者]になった アルシエル : (一度リログしてみては リュア : (したけど無理だった★ アルシエル : (ああ~~~ リュア : (まぁ動けるし害はないかぁ ヒイラギ : (スマホですか? リュア : (そだよぉ アルシエル : (単にピアノを物凄く演奏したがってる人に見える感じかもしれない リュア : (動きながらピアノを演奏するという曲芸に... ヒイラギ : (でも私もスマホだけど出るなぁ ヒイラギ : (Android? リュア : (やはりウォーロックからクラウンに浮気したから呪われた可能性... リュア : (アンドロイドだね リュア : (あれあいふぉんだっけ リュア : (りんご社製なのは覚えてる... ヒイラギ : (環境差かもしれない、スマホの ヒイラギ : (寝れば消える アルシエル : (あとは通信環境とか アルシエル : (なるほど。そこの白い床で寝れるから消そう ヒイラギ : (そこの床で寝るんだ リュア : (ここかな? アルシエル : (そうそう リュア : ちょっと睡魔に襲われたので眠りますねー アルシエル : おやすみ? リュア は全回復しました。 リュア : おはよう! アルシエル : 早かったな リュア : 高速睡眠術ー リュア (治ったァ!ありがとうございますゥ!) アルシエル : (良かった!! リュア (まさかスマホを呪い殺すピアノだとは思わなんだ) アルシエル : (スマホだと重い処理だとたまにヤバいから アルシエル : (引っかかったのかもね ヒイラギ : (PC向けと明記しておこう… ヒイラギ : (あとで… リュア : (ありがとうございます... アルシエル : (ありがとうございます……! リュア : さてこれからどうしましょうかね? リュア : なんかもう1つ気配がしてだいぶ怖いのですが アルシエル : ん~ アルシエル : 教会を出ても良い。それほど教会好きなわけでも無し アルシエル : (ゆっくり立ち上がった) リュア : ふむふむどこか行くあてあるんですかね? アルシエル : いや。特には無い リュア : そうでしたか... アルシエル : ので無目的に出歩こうという訳だ 自動スクロールを有効にしました。 自動スクロールを解除しました。 アルシエル : 眩し…… リュア : 面白そうだしついっててもいいですかねー? アルシエル : 構わんぞ。 リュア : わーい アルシエル : 私に付いてこられるならな…… リュア : ん...? 自動スクロールを有効にしました。 [検問] こちらは検問になります。 どちらへ向かわれますか?
[検問] かしこまりました、誘導に従ってお進みください。 自動スクロールを解除しました。 アルシエル : 流石にわからなかったか。 アルシエル : ま、いいや暇潰しにはなったし…… 自動スクロールを有効にしました。 [検問] こちらは検問になります。 どちらへ向かわれますか?
[検問] かしこまりました、誘導に従ってお進みください。 自動スクロールを解除しました。 リュア : あっいた アルシエル : 探したか? リュア : 探しましたねェ! アルシエル : クク……どちらかわからなかった様だな。私は墓地に居たのだ。 リュア : 時計塔に居るという名推理が外れるとは思わなかったぜ リュア : 墓場だったとは... アルシエル : 少しお前をからかってやりたかったというわけだ。 リュア : 見事にからかわれたか...次は負けん... アルシエル : これで借りは返したぞ。私の勝ち。 リュア : ムーン負けか アルシエル : いかにも。 アルシエル : ま、やる事ももう無いし。お前を玩具にして楽しめたから リュア : 玩具!? アルシエル : 私はそろそろ帰ろうかと思うよ。 リュア : あぁ...わかりました!お疲れ様でしたー! リュア : あっそうだ最後に アルシエル : ん? リュア : (フレンド申請いいですかね? アルシエル : ああ、名刺?どこに仕舞ったっけな…… アルシエル : (鞄をあちこちひっくり返して微妙に曲が���た名刺を出した) リュアとフレンドになりました。 リュア : ありがとうございますー! アルシエル : 最近出してなかったからどこ行ったかわかんなくなってた リュア : わりとそういうのありますねー アルシエル : ま、次に会えたらその時はもう少し面白がってやる リュア : 俺も数ヶ月前に作った唐揚げが出てきたりとかたまにありますー リュア : その時は負けませんよー アルシエル : それまで生きてたら。よろしく。 アルシエルは、システムストーンを使った。 [システムストーン] 貴方のカルマ値は  106  です ※高いほど犯罪指数が高く、低ければ善行を積んでいます。 リュア : そっちこそお元気でー! アルシエル : じゃあね クエストをキャンセルしました。 リュア : またねー! 自動スクロールを有効にしました。
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kkagtate2 · 6 years ago
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偽善者の涙[四]
[四]
自宅となつてゐるアパートを出た頃と云ふのが、昼もとうに過ぎ去つた頃合ひであつたからであらうか、駅に降り立つた里也はまばらな人通りの中、重たく肥えた足を前へ〳〵と動かしてゐた。先々週あたりに佳奈枝とコンサートに行つてからずつと足取りは重いのだけれども、今日は特にさうである。毎晩〳〵、沙霧を連れ出さうと躍起になつてゐる彼女の相手をして、一応の折り合ひがついて、この週末こそゆつくり羽を伸ばせるかと思つたら、時は金なりと云はんばかりに彼自身が連れ出されてしまつた。これほどまでに気を重くして里帰りする��は久しぶりである。心なしか空模様もまたどんよりと重苦しい。今日は雨は降らないのには違ひないのであるが、さつきまで見えてゐた太陽がすつかり姿を消してしまつたので、はるさめ程度は降るんぢやなからうか。里也は空を見上げてゐた顔を、隣でふわ〳〵と舞ふ髪の毛に向けて、ふう、……と静かに息をつくともう一度空を見上げた。
「やつぱり雨降りさうやな」
「大丈夫でせう。もし振つたとしても帰る時には止んでるわよ」
「さう云ふものかね」
「さう云ふものよ」
と云ふ佳奈枝の声音はどこか和やかなのであるが、今日に限つてどこもかしこも和やかである。桜の開花にはまだ早い時分ではあるけれども、今しがたひよつこりと姿を現した桜の、赤々とした色味を帯びたつぼみは、のんびりと春の穏やかな風を待つてゐるやうに見える。それに今日は一段と暖かい。来週になるとまた冬のやうに冷え込むらしいけれど、またすぐに暖かい日が続くと云ふ。里也は例の恨めしい気持ちに気分を悪くしながら、今年はいつ頃京都に向かはうかと考えてゐた。付き合ひたての時から、この夫婦は毎年春になると京都に行つて花見をするのであるが、元々は家族で行つてゐたものが、沙霧が引きこもつて以来里也一人で行くやうになり、それなら一緒にどうと誘つたのが始まりではある。が、最近は人混みを避けたいと云ふ理由から、佳奈枝が行きたいと云はなければ、沙霧が写真を見たいと云はなければ、もう彼は行かうとも思はない。外国人観光客が増えるのは確かに結構なことではあるけれども、小さい神社でなければまともに参拝どころではないし、殊に渡月橋は歩くことすらまゝならないと云ふ風で、それだけの労力を要してまで行かなくても日本には到るところに美しく桜が咲いてゐる。佳奈枝は兎も角、沙霧ならたつた一本ほかの樹木に紛れて咲いてゐるだけで情趣を汲み取れるのだから、わざ〳〵人混みに紛れなくても良いのではないだらうか。確かに平安神宮に咲く桜の花は大阪城のそれとは違ふ趣があつて、見てみたい気もするが、桜の前でしたり顔をする佳奈枝も同時に目に映ることになるから、いつそのこと彼女を一人残して沙霧と一緒に行かうかしらん? 里也はそんなことを思つたけれど、昨夜の話では残ることになるのは自分だと云ふことを思ひ出すと、またもや静かに息をついてしまつた。
「それにしても、――」
佳奈枝は信号待ちで立ち止まつた際に伸びをして、
「――すつかり春になつたわね」
と、里也の恨めしい気持ちなど素知らぬのんきな口調で云ふ。
「だなあ。そろ〳〵蕗のたうが出てくる頃合ひだらうから、よろしく頼むよ」
「天ぷらでよろしくて?」
「天ぷらでお願ひします」
「はい〳〵。でも里也さんはその前にたけのこ掘りに行かなくちやね。蕗のたうもその時にくれると思ふから」
「あゝ! たけのこのことを忘れてた。掘るのは楽しいからいゝんだけど、さすがに毎日は飽きるわ」
何でも佳奈枝の祖父が山で仙人のやうな生活をしてゐて、これからの時期はそこら中に筍が生えてしまふから、処理(点々)するのを手伝つて欲しい、取つた筍はそのまゝ持つて帰つてもいゝし、捨てゝもいゝから兎に角この辺にある、かういつた出つ張りから彼処にある大きいのまで全て残らずこいつで根本から掘つてくれ。この歳になると斜面に登るのも、ほれ、そこに居る孫に怒られるから、頼んだぞ。根こそぎとは言つたけど、里也くんも危ないと思つたら、そいつはもう放つておいていゝからな。――と、云はれて毎年新年度をまたぐ間二週間程度は、週末に泊まり込んでまで筍を掘りに行つてゐるのであつた。
「あはゝ、あれでもけつこうおすそ分けしてるんだけどね。里也さんが掘りすぎなのと、あと持つて帰りすぎなのよ。お父さんだつて、あんなに張り切らないのに、……」
「だつて、もつたいないぢやん? それに、飽きると云ふても、あの山のたけのこは妙に美味しいんだよなあ。なんでやろ」
「料理する人の腕がいゝからぢやない?」
佳奈枝はわざとらしく腕を曲げて、ポンポンと浮き出もしない力こぶを叩く。
「あん? ほら、青だぞ」
「つれないなあ、……」
と、先に歩き出した里也を追ひかけるやうにして、佳奈枝も歩き初めた。あゝ云ふ冗談にはいつも笑つて相手をするのであるが、今日は虫の居所が悪いせいか相手をしてゐられない。それは一つにはのどかな風景に恨めしさを感じること、もう一つには毎夜妻の相手をして疲れたこと、また、若干花粉症気味で頭がぼうつとすることもありはするけれども、全く、自分でも中々の心配性と云ふか、結局は沙霧と同じ血が流れてゐると云ふか、たまにかう云ふ風に不安で調子が出ないことがある。昔も受験だつたり、就職活動だつたり、普通ならば逆に不安をバネとして活用できる場面で、考へ込みすぎて勝手に意気消沈してきたのである。で、今は、佳奈枝が沙霧を思慮無く連れ回さないか、いや、そも〳〵その前に話を切り出した時に何か不安を煽るやうなことはしないかゞ、ひどく気になつて仕方がないのである。何と云つても佳奈枝のことであるから、沙霧が首を縦に振らうが、横に振らうが関係なく自分の意見を押し通してしまふのは目に見えてゐた。実際に里也自身もこの数日間で押し切られてしまつた。今日彼がついてきたのは、他でもなく二人の様子を見守るためであり、もつと正確には無理を云はれた沙霧の愚痴でも聞いてやらうと思つたからである。ほんたうならば電話の一本でゞもいゝので沙霧には自分から伝へて、考へる時間を与えればよかつたのであるが、生憎のこと電話は持つてゐないから直接云ひに行かねばならない。親を間に隔てゝ伝へてもらはうとしても、沙霧に届くか分からないし、届いたところで返事を面倒臭がられて有耶無耶にされてしまふ。別に電話機の一つや二つくらゐ訳ない家計ではあるから、与へてもよいのではあるが、極端に電話が嫌いな彼女のことだから単なる文鎮と化すであらう。いや、文鎮ならまだマシかもしれない。沙霧と自由に連絡が取れることに嬉しくなつた里也や佳奈枝が、日に何通も何件もメッセージやら通話やらをするだらうから、終ひにはベッドと壁の隙間の埃になる可能性の方が高い。要は、沙霧に何かを伝へる要件がある場合は直接赴かなくてはならないのである。佳奈枝からすると、電話一本で何をそんなに怯えてゐるのか全くもつて理解出来ないから迷惑千万ではあるけれども、里也からすると、何となく気持ちは分かる気がするのであつた。と云ふのも彼は昔は少々悪さをすることがあつて、たまに先生からかゝつてくる電話にビクビクとしたものであつたが、沙霧はそのビクビクとした感情がまだ残つてゐるのではないだらうか。ちやうど彼女が不登校になつた頃、毎日のやうに学校から電話がかゝつてきて、だいたいは受話器を受け取つてくれたけれども、三割くらゐはもう嫌だ〳〵と泣き喚いて布団の中へ潜り込んでしまつたから、もう時が止まつてしまつた彼女にとつて、電話とは一つの恐怖に数へられるのであらう。かと云つて直接会ふのも相当に慣れ親しんでゐないといけないから、――それに今日は沙霧の心を乱してしまふ話題を持ちかけるのだから、ほんたうは夫婦仲の方を乱してゞも佳奈枝を家に置いておくべきだつたかもしれない。里也は年々減少しつゝある沙霧への思ひに自分のことながら辟易すると、眼の前に落ちてゐた石ころさへも恨めしくなつて、気がつけば足で蹴つてゐた。
「いや、だからダメだつて。呼び鈴はあいつが驚くから、……」
「でも、里也さんがしなかつたところで、誰か押すでしよ?」
夫婦は玄関の前に立ちながら、軽い小競り合ひをしてゐたのであるが、その内容とは呼び鈴を押すか押さないかと云ふ、一見するとゞうでもよいものであつた。
「それはさうなんだけど、出来るだけ怖がらせる回数を減らしたいんだよ」
「またすぐさうやつて甘やかす。さう云ふのがいけないのは分かつてらつしやる?」
と、佳奈枝が手を伸ばしたところで、里也がその手をはたき落とす。その光景はこれまでにも数回繰り返されてをり、傍から見れば夫婦で漫才をしてゐるやうにも見える。――が、夫の目は少々真剣すぎるかもしれない。
「と言つても、最初から怯えさせなくてもええやないか。沙霧は、知つてる人が呼び鈴を不必要に鳴らすと滅茶苦茶機嫌が悪くなるんだからさ」
「まあ〳〵、今日はさう云ふのも含めて覚悟してきたんだから、――えい」
結局、二人の芝居は、取手に手をかけようとした里也の不意をついて、呼び鈴を押した佳奈枝に軍配が上がつた。先行きは不安である。この調子で人の心に土足で上がり込み続ければ、沙霧はきつと心を閉ざしてしまふ。たゞでさへ酒の一杯や二杯は飲ませて饒舌にしないと、自分から自分の意思を上手く伝へられないと云ふのに、これでは本末転倒になるのではないか。里也は佳奈枝の頭を軽く小突くと、まずはのんびりとしてゐるであらう両親に挨拶をするべくリビングへと向かつた。
彼らは案の定、二人仲良くテレビの前に座つて、雑誌か何かを懸命に見ながら早口で云ひ争つてゐたのであるが、挨拶も程々に話を聞くと、里也たちが金沢へ旅行に行つたのが羨ましくなつたから、自分たちもどこか��出して遊びに行きたいと云ふ。元々この一家は毎年夏と冬の二回、家族旅行と称して東へ西へほとんど計画も無しに家を飛び出す事があつたのだが、沙霧が引きこもつて以来、さう云ふことはおざなりになつてゐた。
「で、どつかえゝところあらへんか」
「どつか云うても、あんたら昔は計画も無しに行つてたやないか」
「まあ、さう云ふなや。もうそないに歩き回れるほど体力無いから、行くとこ決めなあかんねん」
と、里也の父親は「広島」と大きく印刷された雑誌をパタパタと振りながら云つた。
「さう云はれてもなあ。……」
こんな一家なものだから、里也もそんなにたくさん旅先を知つてゐる訳ではない。今でこそ金銭的に余裕があるから、佳奈枝とたまに遠出はするものゝ、昔は家族で旅行するのは控えてゐたし、時間のあつた大学生時代は色々と出費が多くて、学会やら研究会やらのついでにたつた半日間だけその近くを回つたくらゐで、ついぞ旅行らしい旅行をしたことがなかつた。彼が金沢に突然行かうと沙霧に持ちかけたのは、別段特別な思ひ入れがある訳ではなく、たゞ単に金沢はいゝ雰囲気だと、どこかで聞きかじつて来たからに過ぎない。とは云へ、思ひの外金沢旅行が楽しかつたのは事実であるから、暇を見つけては此処に行かうかしらん、彼処に行かうかしらんと、密かに計画を練つてはゐる。が、どこも穏やかで落ち着ける場所だからこの両親が楽しめるかどうか、むしろ自分に聞くよりは佳奈枝に聞いた方が有意義な答えが返つて来るかも知れない。
「あゝ、ならあそこはどう?」
と、それまでクスクスと笑つてゐた佳奈枝が、ちやうど良いタイミングで口を開いた。
「あそこ?」
「あそこ。……あー、名前が出てこない。前行かうとして、結局時間がなくて行かなかつたとこ」
「……ふむ。さつぱりわからん」
「こゝまでは出てきてるのよ。こゝまでは、――」
佳奈枝は喉のあたりを擦つてみせた。
「――けど、……あゝ! ――で、どこだつけ?」
「どこやねん! ……まあ、えゝわ。で、旅行に行くのは別に構はんけど、そのあひだ沙霧はどないするつもりや」
「あの子は、……ま、なんとかなるからえゝやろ。二三日放つておいたところで、むしろ一人で過ごせて嬉しい云うで、知らんけど」
と、夫婦が持つて来た土産物を一通り漁り終へた母親が云つた。
「そんな適当ぢやあかん。うちに預けてもえゝからちやんと考へな。でないとなんもアドヴァイスせえへんで」
とは言ひつゝも、里也は母親の云ふことを完全には否定できなかつた。確かに沙霧なら、両親が数日間家を空けるとなれば喜んで孤独を楽しむはずである。が、いち監督者としてそれで良いのかと問はれゝば、決して良いものではない。もし留守中に彼女が精神的なバランスを崩して、――当然さう云ふ時はこれまであつたから、沙霧を一人家に残すことを断念し続けて来たのであるが、また三階の窓に足をかけてしまつた時に一体誰が止められると云ふのであらう。普段は彼女のことを鬱陶しがつてゐる母親もまた、心のどこかでは心配してゐるからこそ、あゝやつて毒を吐きながらも一応は毎日声をかけてゐるのである。こゝ数年間は里也が駆けつけるやうなことは起きてないにせよ、油断してゐるうちに取り返しのつかない事態になる可能性がある以上、今この場に居る誰かゞ目を光らせる必要は当然ある。変はらず曖昧な返事をし続ける両親に、里也は声を荒げそうになつたが、嫌な話題はさつさと切り上げるに限るので、隣で彼の意見にうん〳〵頷いてゐる佳奈枝に目を配らせた。
「まあ、えゝわ。今日は俺たちは沙霧に用があつて来たから、また後でな」
と言ふと佳奈枝もまた、失礼します、と丁寧に一礼しながら言つてついて来る。何を言つてもうんともすんとも云はない沙霧と違つて、かう云ふ取り繕つたやうな良妻らしさが両親には受けるのか、佳奈枝はかなりこの家に受け入れられてゐた。ともすれば実の娘以上に娘として可愛がられてゐると云ふ風で、母親は里也についてリビングを後にしようとする佳奈枝に、佳奈枝ちやんまた後でゐらつしやい、前来た時にほしいつて云つてた例の物を渡したいから、里也には知られないように、とわざと大きな声で云ひ、それに対して佳奈枝も、まあ、ありがたうお義母さん、でもたつた今知られちやいましたわよ、とこちらも負けじとわざとらしく云ふのである。里也はもうその頃には階段に足をかけてゐたのであるが、それでも二人の会話が嫌にはつきりと聞こえてきて、逃げるやうに足取りを早めて登つて行つた。
「起きてるやろか」
「さすがに起きてるでしよ。もう夕方よ? いくら夜型でもこんな時間まで寝てはゐないわよ」
さつさと二階へ消えてしまつた里也を追ひかけてきた佳奈枝は、沙霧の部屋の前で佇んでゐる里也のつぶやきに答へつゝ、彼の向かふ側にある窓の、さらに向かふ側を見つめた。
「ま、それもさうか」
「それで、今日もやるの? あれ」
と窓に向けてゐた顔を一転させて、ニヤニヤと里也を覗き込む。
「うるさい。あれでも沙霧は真剣にやつてんだよ。絶対に無下にはできん」
「ふうん、そ。ぢやあ、早く入りましよ。きつと夫の帰宅を待つてるんでせうから」
当然のことながら里也が一番困るのは、かうして沙霧と佳奈枝を同時に相手しなければいけない時である。彼は毎度どつちつかずな態度を取つてはゐるけども、佳奈枝からすると目の前で浮気現場を見せつけられてゐるやうなものだし、沙霧にしてみれば初恋の相手を奪つて来た女と面しろと云はれてゐるやうなものだし、ある意味では両手に華と云へば華ではあるが、自分の一言で修羅場と化してしまふと思ふと、いつも冷や汗をかゝずにはゐられなかつた。しかもどう云ふ訳か、佳奈枝を連れて行くと必ず、沙霧の言動が一段とそれ(点々)つぽくなるのである。それを一々真剣な態度で相手するのは正妻である佳奈枝には面白かろうはずはないから、彼はいつも帰りがけに付き合つてやつてゐると云ふ口調で誤魔化すものゝ、やはり沙霧の事情を考へれば、そして自分の事情を考えれば、彼女の要求を真摯に受け止めざるを得ない。心が離れつゝある今ではもはや形骸化してゐる感はあるも、やはりそこには自分たちの繋がりが残つてゐる。
里也は毎度の事ながら、それでも機嫌を悪くするだけで傍に居てくれる佳奈枝に感謝するのであつたが、さうやつて感謝すればするほど、沙霧に冷たくなれない己の非情さを痛感してしまふのであつた。今自分が「夫婦ごつこ」を続けてゐる理由は何のか、己はもう小さな欲望を満たして喜ぶやうな下衆な存在ではなくなつてしまつた、なら沙霧もいゝ加減「夫婦ごつこ」の繋縛(けいばく)から開放されて、過去を断ち切つて、一人の淑女として生きるべきではないか。あの程度のことを止めたところで自分たちの繋がりが切れる訳ではあるまい、住んでゐる場所もさう遠くは離れてゐないのだから、別れたとてはなれ〴〵になる訳でもない。怖気づいてゐても何も変はらないのだから、佳奈枝の云ふ通り、もう荒療治でもいゝから無理やりにでも外へ連れ出すべきではないのだらうか。昨夜、佳奈枝に小言を云はれながら彼は、そんなことを思つてゐた。そして、もう妻に全部任せて後は成り行きに身を投げても良いのではないかと思ひもした。頭の中には妻に連れ回されて、無事笑顔で彼のもとに戻つて来る沙霧の姿が浮かんだ。現実には疲れ果てゝ項垂れるだらうけれど、口上手な佳奈枝の話にはさう思わせる何かゞあつた。驚いたのはそこで最悪の場合を考へなかつたことである。いつもの彼なら、いや〳〵でもそれでも、さう云ふ風に沙霧が戻つて来るのは考へにくいから、どれだけ慎重を期しても慎重すぎることはないと云つて、己の不安が払拭するまで話し合ふし、現に一昨日まではさうしてゐたのであるが、一度佳奈枝の口から「夫婦ごつこ」と云ふ単語が出てくると、もう目の前で涙を蓄えてゐる瞳に辛抱ならなかつた。昨晩の話し合ひはそれきりにして床についた里也は、居残つた不安に襲はれつゝも、隣で寝息を立てる憐れな女に改めて思ひを寄せた。深夜の感傷的な気分だつたせいか、朝には不安が胸に渦巻いてしまつてゐたけれども、少しくらゐ妻を信用しても良いではないか、いくら自分が沙霧を大切に思つてゐるとしても、それは妻も同じである。彼女だつて、沙霧を大切に思つてゐるからこそ、今の今まで黙つてついて来てくれたのではないか。三年前、自分はほとんど無条件に彼女を信用してゐたからこそ、沙霧と引き合はせたのではないか。――里也は昨夜意識が落ちる寸前に思つたことを頭の片隅に、扉に手をかけた。ふと隣を見ると、佳奈枝がさつきとは打つて変はつて真剣な眼差しで見つめてきてゐる。
「なんかドキドキするな」
と、思はず里也も真剣な眼差しになつて云ふと、佳奈枝は、
「ふ、ふ、……やつぱりいつも通りでいきましよ? 真顔だとそれこそ沙霧ちやん怯えちやうわ」
と笑ひながら云つて、彼の脇腹を突いた。
「こら、やめんかい。――でも、さうだな。沙霧、入るぞ。――」
そつと扉を開けて部屋に入ると、沙霧は佳奈枝と一緒に行くことを母親から聞いてはゐたやうであつたのか、意外にも小奇麗な格好をして、机の前でパソコンに食らいついてゐた。それでも古臭くなつた衣服ではあるが、彼女は佳奈枝の前では着飾りたいらしく、髪の毛も櫛を通したのかさらりとしてゐる。彼女は部屋が明るくなつたのに気がつくと、イヤホンを外してびつくりしたやうな顔をこちらに向けて、口をぽかんと開けた。何かを言はうとしてゐるのか、それとも単に口が開いてしまつたのか、里也には分かりかねたが、
「やつほ、沙霧ちやん。久しぶり、元気にしてた?」
と、まず最初に佳奈枝が声をかけたので、彼も乗ることにした。
「俺は久しぶりでもないな。けど、ま、久しぶり、……か?」
「一ヶ月くらゐ���つてないんでしよ? それは久しぶりつて云ふのよ、里也さん知らなかつた?」
冗談を云ふ佳奈枝を他所に、沙霧は言葉が上手く出てこないのか、
「兄さん。……」
と云つたきり、しばらく口をもご〳〵させてゐた。が、じきに、
「兄さんに、お姉さん、お久しぶりです。特にお姉さんは、あ、……えつと、お正月にお会ひした時以来で、――」
「さう〳〵、もう二ヶ月とちやつとぶりね。年賀状はちやんと届いてた? 今年のはこの人が後回しにしてたから遅れちやつて、ごめんね」
と佳奈枝は沙霧の声が詰まつた瞬間に自分の言葉を重ねて云つたが、これが良くないと云ふことに里也は何となく感づいた。恐らく彼女は予め言葉を決めてゐたのであらう。目はずいぶん上で泳いでゐるし、言葉を紡ぐと云ふよりは思ひだしてゐると云ふ口調だし、何より佳奈枝の言葉に反応できてゐない。昔彼女が語つたことによれば、自分は、――特に目上の人に対してはさうなのであるが、よく知らない人に面すると、頭の中が真つ白になつてしまふ。どれだけ心を落ち着かせやうとも、どれだけ云ひたいことを反復しやうとも、いざその瞬間になるとどうしても頭の中から言葉やら考へやらが消えてしまふ。感覚としては、緊張すると云ふよりは頭がぼうつとするのに似てゐるだらうか、兎に角、人が眼の前にゐると途端に頭が働かなくなるのである。だから自分は人と上手く喋れないのであるが、どうしてお姉さんにもかうなるのかは自分でも良くわからない。別にお姉さんのことを嫌つてゐる訳でもないし、知らないと云ふ訳でもないし、それに今は義理の姉だけども昔は同級生だつたから、特に目上の人と云ふわけでもない。でも何故かあの人を前にすると言葉が出てこなくなつてしまふ。それで兄さんには申し訳ないですが、お姉さんと話す時には一緒に居て、手助けをしてくださると大変嬉しいのですが、……と、さう云ふことらしいので、一旦沙霧の言葉を区切つてリズムを崩してしまへば、余計に言葉が出てこなくなるのは明らかである。
「届いてるよ。前来た時には母さんが持つてたから、まだ下にあると思ふ」
困つたやうに目線を送つて来る沙霧に代はつて、佳奈枝の問ひかけにはさう里也が答へた。彼の目には、申し訳なさそうに小さく頷く沙霧の姿が映つてゐた。
「なら良かつた。――あゝ、良かつたと云へば、元気さうで何より。お正月の時はぐつたりしてたからお姉さん心配してたけど、今日は顔色も良さゝうだし、安心したわ」
「ふむ、……確かに、今日はどうしたんだ。いつもはあんなにボサボサな髪なのに、お前ほんたうに沙霧か?」
と近寄つて屈んで、ヘアピンでまとめ上げきれてゐない前髪をはらりと掻き分けると、相変はらず真白ではあるが、暗がりに紛れて艷やかな光沢のある頬が見て取れる。心なしか色の薄い唇すらへんに扇情的で、情欲と云ふものをくすぐられる。
「こ、この一週間くらゐは早く寝てたから、……」
「ね、佳奈枝さん、だつてさ。早く寝るだけでこんなゝんの?」
「なんない、なんない。ほら、里也さん、少し退いていたゞける?」
「はい〳〵」
と佳奈枝も近寄つて来て、慣れた手付きで前髪を整えてやる。もとがもとであるし、今は褒められてはにかんでゐるものだから、たつたそれだけで余計に可愛らしくなつて行く。……里也は歳の離れた姉が、中学生くらゐの妹の面倒を見てゐる、そんな光景を見てゐるやうな心地で、ベッドに腰掛けてゐた。それにしても今日のやうに夫婦でこの家に来ると、時たまこんな微笑ましい光景に出くわす事があるのであるが、一体この二人が同い年だと誰が気がつくであらうか。沙霧は若く見えすぎてゐるにしても、佳奈枝もまた方々からまだ学生に見えるだのと云はれるほど若々しく、里也もうち〳〵ではその事を自慢にしてゐるのであるが、いざ並ばせてみると、やはり佳奈枝の方がお姉さんのやうに見える。しかも年々歳の差が開いてゐるやうに見えるのは、気のせいではあるまい。と云ふのも、佳奈枝は最近は母にならうとする傾向があるのか、食事をする時や夜の営みを終へたあとによく〳〵見てみると、肉付き(ししつき)のよくなつた二の腕などが目についてしまふのである。別にその程度で愛が変はることはないのだけれど、そんな老けて(別の色っぽい言葉に置き換える)行く妻の体つきを見てゐると、方や普通の人生を送つて来た女、方やいぢめを理由に塞ぎ込んできた女の、違ひと云ふものに慄然とするのである。先に微笑ましいと形容したけれども、里也にとつて義理の姉妹の戯れ合ふ光景は、一種のホラー映画でしかなかつた。
「髪の毛、やつぱり切つた方がいゝわね。綺麗には伸びてるんだけど、長さがまち〳〵で私ぢや上手くまとまんないわ。何なら私が切つてあげてもいゝんだけど、それだと里也さんの髪が大変なことになつてしまふし、……」
と、しばらく沙霧で遊んでゐた佳奈枝は、後髪を一束持ち上げながら云つた。
「なんで俺?」
「練習台」
「あ、さう。……」
まだ続く夫婦漫才に、くすりと笑つた沙霧の顔は、しかしすぐに顔をしかめたかと思ひきや、
「くしゆつ!」
と、見た目相応に可愛らしく嚔をする。
「今日は曇りだからそんなに飛んでなさゝうなんだが、やつぱりさうでもない?」
「……いえ、天気はあまり関係ありません。むしろ雨が降つてゐる時の方が、……あ、ふ、――」
と、またくしゆん! と嚔をする。彼女は毎年この時期になると、花粉症に喘ぐことになつてゐるのである。そして花粉に続いて、いや、かう云ふのは鶏が先か卵が先かと云ふ話でしかないけれども、何にも増して里也が気の毒に思ふのは、他にも林檎だとか枇杷と云つた果物もアレルギーで食べられないことで、昔はパク〳〵とたくさん食べてゐたゞけに、ひとしほ憐れに感じるのであつた。
「あゝ、ほら、ティッシュで鼻をかみなさい」
と、すん〳〵と鼻をすゝる沙霧に、佳奈枝がバッグの中から取り出したティッシュを渡した。
「すみません、ありがたうございます」
「このくらい別に感謝しなくていゝわよ」
「いえ、でも、――」
「いゝから、いゝから」
再び沙霧の言葉を遮つたことに里也は顔をしかめたが、素直に鼻をかみ始めた様子を見るに、沙霧にとつて佳奈枝はやはりそれなりに安心出来る相手であるらしかつた。
「あの、それで、……お二人は今日はどのやうな事情でお見えになられたのですか? 母から話がある、とは聞きましたが、……」
鼻をかみ終はつて、一同が卓袱台の周りに会した時に沙霧はさう聞いた。並びとしては右回りに沙霧、里也、佳奈枝と云つた風ではあるが、円形ではなく少しだけ楕円を帯びた机なので、里也の真左には沙霧が、正面には佳奈枝が、――と云ふ風に座つてゐた。が、しかし、佳奈枝は何か不服なのか、一度唸ると、
「それなんだけど、――」
と、立ち上がつて、壁際にまで近寄つて、
「でもその前に、やつぱり電気つけない? 切れてる訳ぢや無いでしよ?」
と、言ひつゝスイッチに手を伸ばした。やはり彼らを照らしてゐたのは小さな電球一つのみであつたのだが、パチリと云ふ音一つで眩しいまでに部屋が明るくなる。……
「待つて、待つて、佳奈枝さん。せめてカーテンを開けるだけにしてくれ」
「どうして?」
「沙霧がダメなんだつて。ほら、こんな感じに」
里也の言葉通り、沙霧は彼の体にその小さな身を埋めて、蛍光灯の白い光から逃げてゐた。しかし、それでも佳奈枝は問答無用と云つた風采(とりなり)である。
「里也さん、――いや、沙霧ちやん、今日の話つてかう云ふことなの。私たちはね、あなたにこの光に慣れてほしくてこゝまで来たの」
「それでも電気は消しといてくれ。慣らすなら陽の光からだろ。今日は曇りだし、そつちの方がショックは少ない、――」
「里也さんも、今日は一応の覚悟を決めて来たんぢやなかつたの?」
「それはさうだけど、とにかくカーテンを開けるだけにしてくれ」
「ふん、ほんつとに甘々なんだから」
と、佳奈枝は文句を言ひながらも電気を消して、少々荒つぽくカーテンを開けて、今度は沙霧の正面に背筋を伸ばして座つた。その沙霧と云へば、部屋に漂ふ雰囲気だけで何もかもを悟つたらしく、顔色を変へてキユツと小さく縮こまつてゐた。
「それで話つて云ふのはね、――」
里也から出来るだけ穏便にと云はれた佳奈枝は、しかし単刀直入にはつきりとした物言ひで喋りだした。先月から沙霧を連れ出したいと夫と議論してゐること、それは一日、もしくは半日だけで絶対に無理はさせないこと、行き場所については別にあなたの行きたいところでいゝ、それに行きたくなければ首を横に振つてもいゝこと、そして最後に、自分がどれだけ沙霧を思つてゐるかと云ふこと、連れ出した結果が何であれ、決して見放したりはしないこと。――中には里也も初めて聞いた内容が紛れてゐたものゝ、大体は昨夜も聞いた事柄ばかりであつた。下を向いて黙りこくつたまゝの沙霧に彼女の演説がどう聞こえたかは分からない。が、時たま鼻をすゝるのは何も花粉症のせいばかりではなからう、私は里也さんと同じくあなたがどうならうとも絶対に見放さない、彼の夫として、あなたの姉として、最後の最後まで見守つてあげるわ、あなたには私たちがついてる、と佳奈枝が云つた時、さつと目元を拭つたのを彼はこつそりと見てしまつてゐた。里也は未だ俯いてゐる沙霧の様子にある意味安心して、佳奈枝からティッシュを貰ひ受けると、膝の上で力なくもみ合つてゐる手にそつと乗せてやる。
「里也さんから何か云ふことは?」
「ふむ、さうだな、……」
と、里也は一つ二つ沙霧の不安を取り除く言葉を言はうと口を開いた。
佳奈枝は夫のこの上なく優しい声を聞きながらほつと一息ついてゐた。それは云ひたいことを言つた開放感もあるが、少々強めに言葉を云へた快感があるのも事実である。今日は優しく、兎に角優しく、里也が文句のつけやうも無いほど優しく、このしをらしく夫に凭れかゝつた女を遊びに誘はうとしてゐたのであるが、久しぶりに聞いた妙な敬語を聞くうちに、――いや、その前に、彼女がかはいく嚔をした瞬間にふつと、弱い者に向けるいたはりの心と云ふものが消えるのを感じた。代はり��やつてきたのは、イライラした気持ちであらうか、一度彼女の事が疎ましく感じると、鼻をすゝる音さへ煩く感じられる。――全く、この義理の妹を見てゐると、自分までもが昔に戻つたやうな心地がして良くない。佳奈枝は目を閉じて鼻をかむ沙霧と、それをいたく献身的な態度で労る里也を、時折下唇を噛み締めつゝ互ひ違ひに見てゐた。
カーテンのかゝつてゐない窓からは春らしくもない弱々しい光が差し込んでゐるのであるが、それでもいつも以上に部屋は明るい。さう云へば、さつきカーテンを開ける際に一瞬間外を眺めたところ、六甲の頂きと摩耶の頂きの、なだらかに連なつてゐる様子がちやうど見えたから、景観はかなり良い部屋のやうに思へる。部屋を与へられる際に里也が、いや俺はこつちの方が良いよと云つて、沙霧にはこの部屋が与へられたのを佳奈枝は昔聞いた事があるのだが、せつかくの眺めを殺してしまふのは非常にもつたいない。以前この部屋に来たのは去年の秋頃のことであつたから、その時も今のやうにカーテンを開けると、ぽつ〳〵と紅色に染まつた大地の肌(はだへ)が見られたのであらうか。二人が未だに互ひを慰め合つてゐるので、呆れた佳奈枝は目を離すと、前回は暗くてよく見えなかつた、横にだゞつ広い本棚を見つめた。と云つても、暇を潰さうにもこの部屋には本棚くらゐしか机の他に置いてゐないのである。中には意外と洒落た本たちが、きつちり背の高い順に整頓されてゐるのであるが、それ以上に気になつたのは大量のCD ケースで、三段ある本棚のうちの、下一段をまるごと埋めてゐるから数にして百枚近いはずである。聞くところによると里也がこの家を離れる際に、持つて行くのも面倒だからと全て明け渡したと云ふ。本棚の上は小物置きにしてゐるのか、猫の置物やら、丸い時計やら、丸太の形をしたトヽロの小物入れやらが置いてある。そして、さう云つた小物に隠れるやうに、隅の方に、静かに、誰にもその存在を悟られないように、一つの小さな写真立てがあつた。薄暗くてあまりはつきりとは見えないけれども、目を凝らしてじいつと見つめてみると、ちやうど今のやうな季節の節目だつたのか、立派な桜の木を背景にやんちやさうな男の子と、大人しさうな女の子とが方を寄せ合つてゐる。尤も、肩を寄せ合つてゐると云つても、女の子の方は男の子の胸のあたりにしか辿り着けぬ程小さいから、実際には手を繋いでゐるくらゐなのだが、二人とも同じやうな顔を同じやうに崩して、幸せさうな笑みを浮かべてゐる。それはかつて里也と沙霧が、両親に連れられて京都へ花見に行つた時の写真であらう。両者ともまだ色濃くその面影が残つてゐる。――なるほど彼女はこんなに自然に笑へてゐたのだな、佳奈枝は素直にさう思つた。そして、沙霧が時折自分に見せる笑顔を思ひ浮かべた。今まで見たことのある彼女の笑顔なぞこれに比べればずつとぎこちなく、時として里也が、今日は機嫌良かつたからつい撮つちやつたよと、子供のやうにはしやながら見せてくれる笑顔だつて、この写真の中の彼女には全く敵はなかつた。沙霧が笑顔を取り戻し、誰かに何を云はれやうとも動じること無く、社会に出て自然に振る舞へるやうにする。それが自分の務めであつた。それこそがこの憐れな少女に向けるべき愛であつ���。佳奈枝は写真に写る陽気な二人を目に焼き付けると、努めて明るい調子で声をかけた。
以降の話し合ひは、急にいつもの調子を取り戻し初めた佳奈枝のおかげで、ずいぶん穏やかに進んだやうに里也は感じた。議題としては沙霧がどこへ行きたいか、と云ふものであつたが、本人が一向に自分から此処行きたい彼処行きたいと云はないから苦労はしたものゝ、
「ふむ、……ならもう日帰り旅行みたいな感じにしてしまへばえゝんやないの。俺だつたら、さうだな、……今なら天の橋立に行きたいのと、あとこれは去年行きかねたゞけなんだが、紅葉を見に行きたい」
と、里也が言つてからは、それなら昔から行つてみたかつた場所が、……と云ふ。たいそう恥ずかしさうにしてゐるので、さう急かさずに話を聞くと箕面の大滝を見に行きたいと云ふ。何でも昔、里也が大学の講義の一環で滝の高さを測つたことがあつて、その時の彼の話をまだ憶えてゐたらしく、一度は見てみたいと云ふのである。で、一度自分の事を喋つてしまふと枷が外れたのか、意外と色々な場所を挙げて行くので、里也はそれを、なるほど〳〵と云ひつゝ特に何も考へないまゝ、一つ〳〵メモに取る。一息ついた頃合ひに佳奈枝に意見を伺ふと、彼女は彼女で自分の行きたい場所を云ふ。それを聞いて、沙霧はさらに範囲を広げて自分の思ひついた場所を云ふ。そんな風に結局何も纏まらなかつたが、さうかうしてゐるうちに佳奈枝が母親に呼ばれて部屋から出て行つてしまつたので、残された二人は唐突に訪れた静寂に身を委ねてゐた。
「……沙霧」
と、しばらくして沈黙を破つたのは里也であつた。
「はい」
「お前、意外と行きたいとこあつたんやな」
「はい、………」
沙霧は久しぶりにたくさん話して疲れたのかぐつたりとしてをり、何をするわけでもなく、たゞ、机の上にあつた里也の指を摘んで、いじ〳〵と弄んでゐた。
「金沢行く前に、もつと軽い場所で慣らしておけば良かつたねんな」
「いえ、あそこはとても楽しかつたですから、……」
「なら良かつた。――ま、それはまあ、えゝとして、たぶん佳奈枝のことだから、俺みたいに甘くはあらへんぞ。知らん店にもズカズカと入るやろし、疲れたなら疲れたつて言はんと、立ち止まつてもくれへんし、……」
「……えゝ、一応は分かつてる、つもりです」
「さよか」
「………」
指をいじる手を止めた沙霧は目を閉じて、ゆつくりと深呼吸をした。
「沙霧はどうしたい? 行きたいんか、行きたくないんか。佳奈枝には言はへんから、正直に云うてみ?」
里也はさう問うたが、沙霧は依然として静かである。と云ふことは、何か遠慮があつて声を出しづらいと云ふことなのであるが、遠慮があると云ふことは、少なくとも肯定的な答へを持つてゐる訳ではなからう。先程の熱弁を聞いた手前、その弁を奮つた者がをらずとも、自分の意見を云ひたくない、況してそれが否定的ならば頭にさへ浮かべたくない、蓋し沙霧はさう云ふ心持ちなのである。
「やつぱりさうか、……」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
と、俯いて震へる。
「あゝ、いや〳〵、えゝんやで、沙霧はそれでえゝ。行きたくても、行きたくあらへんでも、別にどつちでも間違うてはゐないんやから」
と、里也は丸まつた背中をすり〳〵と擦つてやる。自分でも移り気であるとは理解してゐるけれども、かうも簡単に、やじろべゑのやうに佳奈枝の味方についたり、沙霧の味方についたりするのは大変よろしくない。かと云つて、どちらか一方に一方的に着くことも、やはり出来はしない。強いて自分が出来ることゝ云へば、出来るだけ穏便に事が収束するよう佳奈枝を説得しつゝ、少しでも沙霧を外の世界に慣れさせることなのであるが、やる気になつた妻は何を云つても頑なに意見を曲げぬし、やるならとことんやらなければ気がすまぬのである。恐らくこの外出は彼女にとつて最も辛い外出となるであらう。彼女の内気な性格も、人見知りな気質も、内向型の性質も理解出来ない佳奈枝は昨晩、矢面に立たせるやうな真似をさせるとも云つてゐた。問題なのは「させる」と云ふことなのを妻は分かつてくれない。沙霧のやうに、自分の意見すら上手く云へない人には、――それが例へ間違つてゐたとしても、まず自分の意思で行つたことを称賛してあげなければいけないと云ふのに、受け身な態度を取らせ続けては根本的な解決にはならないはずである。だから里也は、この一二週間は、何処其処に行かうかしらんと楽しげに云ふ佳奈枝を止めて、沙霧の行きたいところ、いや、場所はどこであれ、まずは彼女のやりたいことを優先させよと、何度も〳〵云つてゐたのであつた。さう云ふ点で云へば、先程の話し合ひは上手く行つたやうな気がするのである。実のところ沙霧が挙げた場所は、ちやつとばかし遠かつたり、ほとんど登山しなければいけなかつたり、訪ふのに手続きが必要だつたりと、種々の理由で面倒くさい場所が主であつたけれども、佳奈枝も里也も一々突つ込まず、むしろ彼らも一緒になつて色々な場所を挙げてゐた。が、それは里也が前日に口酸つぱく忠告したおかげであつて、さう長くは続かないであらう。沙霧には彼是(あれこれ)させたい、可愛い子には旅をさせよとはよく云ふではないか、彼女にはそも〳〵の経験が足りないのよ、と云ふ佳奈枝を思ひ出すと、里也はやはり妻を完全に信用することは出来ないやうな気がした。いつたい、自分が味方についてやらなければ、沙霧の傍には誰が居てやれると云ふのか。佳奈枝には知り合ひも大勢居るし、家族関係だつて良好であるし、もつと云ふと里也の両親にすら好かれてゐる。が、沙霧の味方とは、自分を除けば一体誰が居るのであらう。今、佳奈枝は彼女のことを思つて色々と尽くしてくれてはゐるけれども、それが少しズレてゐるせいで、このまゝ事が進めば妻もまた加害者になつてしまひかねない。さうなると、もちろん沙霧にとつては不幸であるし、佳奈枝にとつても気持ちの良いものではなからう。滅多に泣かない佳奈枝が、あれほど簡単に涙を見せるのだから、相当に沙霧を思つてゐるのは確かである。連れ出すのを止めるのは難しいにしても、妻が加害者になるのだけは何としてゞも止めなければならない。
「ま、でも、まだすぐにとは決まつてないから、しばらくのんびりしてな。そのあひだに佳奈枝もずいぶん穏やかになるだらうし、沙霧は沙霧で心の準備が要るだらう」
里也は依然として小さく丸まつたまゝの背中を摩りながら云つた。佳奈枝が穏やかになるかどうかは分からないが、時間があると云ふことは、これからゴネるであらう自分を思ふと、確かであつた。いや、むしろ、外に出るのに詳しい日時と充分な準備期間が無くてはならない沙霧のために、これから彼は子供じみてゞもゴネなければならないのである。彼ら夫婦からすると数週間前から持ち上がつてゐる話ではあるが、沙霧からすると今日が初めてなのだから、せめてゴールデンウィークまでは引き伸ばした��。里也は手のひらに感じるぼんやりとしたぬくもりを大事に仕舞ひつゝ、すつと立ち上がると、もうすつかり暗くなりかけてゐる外を眺めてからカーテンを閉じた。とある文豪の小説によると、かつてはこの辺りから、頂上のホテルに灯の燈つてゐるのが見えたさうなのであるが、今ではすつかりボロボロの廃墟になつてしまつてゐるし、今日はたうとう一度たりとも星と云ふ星を眺めずに終はつてしまつた。カチツと云ふ音がしたので振り返ると、沙霧が机の上の小さな灯りを灯したらしく、赤々と照らされた真白な顔が見える。
「それにしても、今日はようあんなに喋つたわ。遠くて行けへん場所もあつたけど、いつかは行かうな。――佳奈枝には内緒で」
返事は返つてこなかつたが、頬が赤く染まつてゐるのは何も白熱灯の色味だけでは無いやうであつた。
「里也さん、これ食べてみてよ、これ、これ、これ! 美味しいから!」
「はい〳〵」
と、佳奈枝が取り皿をぱつと差し出すので、里也はそれを受け取る。彼は今しがたまで沙霧といちやついて(点々)ゐたのであるが、いつものやうに佳奈枝にご飯よと呼ばれて、先程のしんみりとした雰囲気が嘘のやうに騒がしい食卓に座つてゐた。彼女はその時に二人のごつご遊びを見てしまつたので、少しだけ機嫌が悪いのである。皿の中には舞茸を豚肉で巻いて、それからたぶん蒸したものが一本だけ転がつてゐた。地味な色合ひではあるけれど、胡麻の風味が嫌に漂つて来て、なか〳〵美味さうである。が、里也は苦い表情を露骨に見せて、
「俺、そんなにきのこ好きぢやないんだけど、……」
と、くす〳〵と意地悪く笑ふ佳奈枝に向かつて文句を云つた。
「うん、知つてるわ」
と、彼女は変はらず笑つた。彼は好き嫌いは昔から無いやうなものゝ、きのこ類だけは出来ることなら口に入れるのを憚つてゐるのである。何と云つても、あの食べ物らしからぬ色と、形と、それに口に入れた際のぷよ〳〵とした食感が苦手で、同じくきのこ類が嫌いな沙霧と共に、昔はよく母親に文句を云つたものであつた。里也の憶えでは、彼女は小学生の時にはよく食べてゐたやうな気もするのであるが、いつ頃のことであつたか、彼が椎茸の煮物を前に顔をしかめてゐると、実は私もそんなに好きぢやなくて、……としごく恥ずかしさうに云ふので、それからはきのこ嫌い同士でゐるのである。が、そんな沙霧はと云へば、
「まあ兄さん、好き嫌いは良くありませんよ。あーんしてあげませう」(テンションが高すぎる。要修正)
と云ひながら、彼がテーブルに置いた取り皿を横からくすねる。彼女は両親から逃げるやうにして里也の隣に座つてゐるのであるが、先程彼といちやついたおかげで大方復活したのか、よく喋るやうになつてゐる。実際には、佳奈枝に呼ばれた手前、そして、遠慮したけれども一緒に食べようと連れ出してくれた手前、場をしらけさせないよう少々無理をしてゐる感じではあるけれども、本人はそれなりに楽しんでゐるやうであつた。
「こら、やめなさい。……やめろつて! ――あゝ、もう! あー、……」
と里也の開いた口に、件の巻物が放り込まれる。
「美味しいですか?」
と里也が口の中の料理を飲み込んだ段階で沙霧が聞いた。
「……食べてみれば分かるよ」
と、彼は小高く積まれてピラミッドのやうになつてゐるところから、ポロツと一個取つて来て、
「ほら、沙霧も口開けて。分かてゝ俺にきのこを食べさせたんだらう?」
「うゝ、……兄さんのいぢわる。……」
「いぢわるなのはどつちぢやい」
沙霧は文句を云ふのを止めて、目を閉じて、小さく口を開けて、その時を待つた。が、待てども〳〵、一向にその時が来ない。……
「ふつ〳〵、そんな縮まらなくてもえゝやん」
そんな笑ひ声が聞こえて来たので、恐る〳〵目を開けた沙霧は、もぐ〳〵と口を動かす彼を見るや、
「もう、兄さんつたら、……ほんたうにいぢわるなんですから」
と云つて、ふゝゝゝと笑つた。
当然、佳奈枝からするとこんな光景を見せられるのは面白くない。あなたきのこ類はダメだつたんぢやありませんでしたつけ? と一言くらゐ云ひたくもなつてくるのであるが、それ以上に気になつたのは、沙霧の態度であつた。里也の話では、彼女は食事の際にあまり話をしないたちであるらしいのだが、自分が見る限りでは、いつだつて彼と楽しげに話してゐるのである。それも、自分はあまり食べずに、ポイポイと里也の口の中へ料理を放り込んで行く。佳奈枝はこの家に来た時には、久しぶりに会ふことになる義両親の相手をしなければならず、毎回心をざわめかせながらも、二人のいちやつくのを見てゐるのみであつた。だが今日は、さつきまで料理を手伝ひつゝ話してゐたから、いくらか手持ち無沙汰である。
「里也さん、里也さん、再来週のラフマニノフの話してくれた?」
と、ちやつとしてから彼女は二人の仲に割つて入つてやつた。
「おつと、忘れてたわ。沙霧、再来週にな、――」
「私が説明するわ」
「なら、よろしく」
さう云ひながら里也が日本酒の杯を片手に、すつかり背もたれに凭れかゝつてしまつたので、佳奈枝は好機とばかりにぐいと身を乗り出して、未だ彼の顔を見つめてゐる沙霧に向かつて喋り初めた。――
「沙霧どう? 行きたい? ラフマニノフの一番なんて、あんまりないから良いと思つたんだが、……」
パンフレットを見せながら一通り説明し終はつた頃合ひに、それまで静かにしてゐた里也が入つて来た。
「あつ、えつと、……」
「沙霧ちやん?」
沙霧は里也の顔と佳奈枝の顔とを交互にチラリ〳〵見てゐた。
「どうしたの?」
「いえ、その、……兄さん」
と、今度は里也に助けを求める。
「あ、ついて行くのは俺だけな」
と里也が云つた。そして、ほら、行かう、行かう、沙霧はラフマニノフ信者やろ、行きたくないとは言はせんぞと、彼にしては少々無理やり誘つてゐるのであるが、顔は赤いし、口調はやたら砕けてゐるし、顔はニヤけきつてゐるし、どうもすでに酔つてゐるやうであつた。一体、酒に関しては彼はめつぽう弱く、ともすれば沙霧の方が強いと云ふ風で、彼女は彼女で里也に注がれるまゝ飲んでゐるのだけれども、一向に酔う素振りを見せないのである(緊張してるから酔わないだけ)。
「な、沙霧、行かうぜ。お兄ちやん久しぶりに沙霧とコンサートに行きたいなあ」
「はい〳〵、里也さんはもう喋らなくてよろしい。で、沙霧ちやんはどうしたい?」
と佳奈枝は里也を再び椅子に凭れかけさせて、沙霧にさう問うたのであるが、彼女は、
「あ、それは、ラフマニノフは好きで私もよく聞いてゐて、このあひだはピアノ協奏曲を、――」
と脈絡のない事を云ひ始める。
「うん?」
「えゝと、ですから私はラフマニノフの曲が好きで、ピアノ協奏曲もさうで、ひいては、……」
「沙霧ちやん?」
「あえ、えと、せつかくのコンサートですから、お姉さんは、……」
「いや、私のことはいゝから、沙霧ちやんがどうしたいか云つてくれるだけでいゝんだけど、……」
沙霧が未だに良くわからない事を云つて返事を返してくれないので、佳奈枝はさう云つてみたのであるが、
「あ、さうぢやなくつて、……えつと、ごめんなさい」
と、無理やり打ち切られてしまつた。一対一だとたまにかうである。里也に対しては、こんな賑やかな食事の場であつても中々流暢に話すのであるが、佳奈枝を前にすると言葉が詰まつたり、変な声を出したり、このやうに脈絡も無いことを云ふ。夫はまだ慣れきつてゐないんだよと云ふけれども、もう三年目の仲なのだから、まさかそんなことは無いだらう。人間、数ヶ月に一回程度とは云へ、三年も会つてゐれば慣れも緊張も何もない、自然に話せるはずである。いや、そも〳〵最初に会つた時には今以上に話が弾んでゐたのだから、彼女はそんなに会話が苦手ではあるまい。佳奈枝は期待も込めて、頭を垂れる沙霧をじつと見つめてみたのであるが、彼女は振り向きもしない。さう云へば、まだ目も全然合はせてくれないのである。そのくせ、例の「夫婦ごつこ」の際には、これ見よがしにこちらを見てくるのであるが、それはどうしてかしらん? 状況が状況だけに、里也を奪つたことを恨んでゐるのかしらん? それとも彼女にも悪いことをしてゐる自覚はあつて、申し訳なさゝうにしてゐるだけかしらん? どちらにせよ、目くらゐ、さう恥ずかしがらずに合はせてくれたらいゝのに。でも、さう云ふ臆病とも云へるほど奥ゆかしいところが、夫の好みなのであらうと思ふと、佳奈枝は少しばかり沙霧が羨ましくも妬ましくも感じるのであつた。
「そんな、何も難しいこと考へずに、感じたことをそのまゝ云へばいゝのよ。ふゝ、沙霧ちやんはほんたうに恥ずかしがり屋ね」
「……すみません」
「俺が思ふに、沙霧はたぶん行きたいんだよ。――」
酔ふのも早ければ冷めるのも早い里也は、杯を持つたまゝ座り直して言葉を続けた。
「かう云ふ場だから、考へが上滑りして上手く言葉にできないだけで、頭の中ではちやんと分かつてるんだから、まあ、さう急かすなや」
「さうなの? いや、里也さんに云つたんぢやなくて、行きたいつて云ふのはほんたうなの? 沙霧ちやん」
「は、はい。……」
「ほんたうに?」
「出来れば、……」
そこでくつ〳〵と里也が笑つた。
「さう云ふことだから、沙霧、再来週の十一時頃に迎へに来るからそのつもりで。それよりも今は食べよう。佳奈枝が微妙なところで話を切り出すから、鯛めし冷めてしまうたやん。……」
と、里也は茶碗に目一杯盛られた、醤油色にぬら〳〵輝く鯛めしを口へ放り込むと、それにしてもめつちや美味いなこれ、と嬉しさうに感想を述べた。
この家に来ると夫婦は中々帰らせてくれないのであるが、今日もそんな調子であるらしく、父親に捕まつた二人は中途半端になつてゐた旅行の話をさせられてゐた。で、それが終はると、老夫婦を放つておいて、今度は沙霧と一緒に、これまた中途半端になつてゐた日帰り旅行の話をしようと、一人もそ〳〵と煮物をおかずに鯛めしを食べる沙霧に話しかけた。彼女は里也が食事を終へる頃になつてやうやく自分の料理に手をつけ始めたのであるが(もちろん夫婦ごっこ)、いつにも増して味はひながら食べてゐるらしく、米粒を一粒〳〵口に入れるが如き食べやうなのである。そんな折に話を振つたら余計に食事が進まないので、里也は時折首を振る程度の質問は投げかけながら、極力佳奈枝と話してゐるのであつた。沙霧ちやんは静かなところがいゝんだよね、せやけど意外と騒がしくても慣れてる場所ならついて来るで、慣れてる場所つてどこよ、神社とかたぶん上賀茂下賀茂伏見稲荷あたりは来るんぢやね、なるほどさう云ふ場所ね、あと昔行つた場所とかもいゝかもしれんな、いゝわねそれけど云うて私君らがどこに行つたことあるか全然知らないけどね、追々云ひますわ沙霧はそんな感じでもいゝ?――と、例を出してみれば夫婦はこんな会話をしてゐるのであるが、当の本人はもう話し疲れてしまつたのか、うん〳〵と頷くばかりで要領を得ない。さう云へば、そろ〳〵夜の九時であるから、いつもだつたらもう里也に促されて自室に籠つてゐる時間である。彼女にしてみればもう限界と云つたところであらうか。別にその気持は分かりはしないけれども、行き先も決めずに逃げられるとこゝまで来た意味が無いので、佳奈枝は小用から帰つて来た折に、ちやうど空いてゐた沙霧の隣の席へ腰掛けた。里也が邪魔でよく見えてゐなかつたのであるが、見たところ、彼女は粗方自分の分を食べ終へてゐるやうである。
「ねえ、さつちやん、お姉さんと一緒に京都へ新緑でも見に行かない?」
佳奈枝は沙霧のことを「さつちやん」と呼ぶことがあつた。
「新緑、……ですか?」
「そ、新緑。紅葉の逆ヴァージョンみたいな? さうでしよ? 里也さん」
「さう〳〵、下賀茂の糺の森とか、ちやつと遠いけど今宮神社とか、紅葉が綺麗なところはだいたい綺麗なんぢやなからうか。それに春とか秋とは違つて、初夏だと人が少ないから、沙霧にも行きやすいと思つたんだが、……」
自分では行つたことは無いがと云ふ口調であるが、実際彼は京都と云へば春の花見くらゐしか行つてゐないのである。が、だいたいの光景は目に浮かんでゐるから、賑やかさを求める佳奈枝のたちと、静かさを求める沙霧のたちを考慮すると、新緑の季節の京都と云ふのはちやうど両者の中間を縫つてゐるやうで、中々良いのではないだらうか。――と、彼は思つてゐるのである。
「わ、わたしは、――」
「さうだ! 里也さん〳〵、アレ持つて来てるでしよ、アレ。貸して〳〵」
アレと云ふのは里也がいつも肌身離さず持ち歩いてゐるタブレット端末なのであらう。里也はふらりと立ち上がつて、それを持つて、またふらりと元に戻つて来くると、沙霧の眼の前に置いて、けれども慣れた手付きで扱ふ。
「さつき云つてたのつて、どこだつけ」
「貴船と祇王寺と瑠璃光院」
「待つて、待つて、ひとつずつお願ひします佳奈枝さん。あと貴船神社は遠いから却下」
「えー、……里也さんが行くわけぢやないのに。……でも〳〵、瑠璃光院は行きたい。定番でしよ」
「瑠璃光院は〝映える〟から、時期が外れてるつて云つても、人多いだらうなあ。……もう一つはなんて名前だつたか」
「祇王寺。里也さんも行つたことあるわよ。もしかして憶えてらつしやらない?」
「あゝ、なるほど、こゝのことね。佳奈枝が石に躓いて転びさうになつたから、よく憶えてるよ」
と、写真を眺めつゝ里也が云つた。
「もう、忘れてよ。せつかく忘れてたのに」
「ふつ〳〵〳〵、いやあでも、派手に転けなくてよかつた」
と、里也は笑ふのも程々にして、「京都 新緑」と検索窓に打ち込む。時節柄、新緑と云ふよりは桜の開花に話題が集まるやうな気がしたが、もう今年向けのペーヂはあるらしい。可愛らしい春の雰囲気から一転した、青く美しい様子が映し出される。写真だから、実際にはいくらか感じ方は違ふだらうけれども、青々と生ひ茂るもみぢの木と苔は、秋には見られない美しさを醸し出してをり、何より目に優しいのは真夏ほど日差しが強くないからだらうか、それでも至極鮮やかに、葉と云ふ葉が照らされてゐる。殊に神社の朱色とのコントラストが素晴らしい。なるほど、これはもしかしたら、物凄くいゝ提案をしてしまつたのかもしれない。――里也は内心得意になりながら、佳奈枝と共にペーヂを手繰つてゐたのであるが、ふとその時、
「兄さん」
と、自分を呼ぶ声がすぐ傍から聞こえてきた。
「ん? どうした」
「あの、えと、……ら、ら、……」
「うん?」
「えつと、……あ、やつぱりなんでもないです。……」
「おう、さうか。――それより沙霧、俺のカメラ貸すから写真撮つてきてくれないか? 俺も行きたいのは山々なんだが、たぶん止められるんでな。……」
「それどう云ふことよ」
と佳奈枝が云つた。
「お前らについて行つていゝ?」
「ダメ」
「ほらな。だから沙霧頼んだわ」
「沙霧ちやんにお願ひしなくても、違ふ日に里也さんも行けばいゝぢやない。今年のゴールデンウィークは長いんでしよ?」
「まあ、せやけど、どうも京都は気軽に行けすぎていかんねん」
「ふ、ふ、なにそれ」
「京都より奈良の方が行きたくならない?」
「なんないわよ、遠いから。ところでこの常寂光寺つてとこもいゝわね」
「ふむ、たしかに。さつきの祇王寺とも近いし。――あゝ、と云ふことは嵐山の辺りなのか。もうそれなら二人とも、嵐山周辺でも散策すればいゝんぢやないの」
――と云ふ里也の提案に佳奈枝がそつくり乗つたので、二人の姉妹の日帰り旅行は嵐山周辺の散策になつたのであつたが、彼女としてはもう少し練り歩きたいらしく、話し合ひはそれからもしばらく続いた。
「沙霧、俺らそろ〳〵帰るからな。――」
と、里也は、夫婦に挟まれていつの間にか眠つてゐた沙霧を部屋に送り届けた後、ベッドに寝かしつけながら云つた。
「……はい。兄さんお元気で」
「再来週の日曜、――たしか七日か、十一時すぎくらゐ、……遅くても十二時までには迎へに行くから、……あー、そんで、その後は佳奈枝に色々してもろて、ご飯食べて、俺と一緒にシンフォニーまで行つて、ラフマニノフ聞いて帰つてくるだけやから、ま、そのつもりで居てな」
「……分かりました」
「よし。ぢやあ今日はこんなもんで。今日はよく喋つたし、よく食べたし、よくこの時間まで下に居たよ、えらい〳〵、――」
と、沙霧の頭を撫でてやる。
「今日はもう寝るねんで。分かつたな? それぢや、ばい〳〵沙霧。――」
と、沙霧がなよ〳〵と手を振り返してくれたのを見てから、里也は階下に下りて行つたのであるが、今一度両親に佳奈枝が捕まつてゐたので、まだ帰らせてくれないやうな気がした。
「それにしても今日は、――」
と、帰りがけ、阪急の駅に向かつて歩いてゐる時に佳奈枝が口を開いた。
「私も沙霧ちやんと話ができてよかつたわ。いつ��里也さんに取られつぱなしだもの」
「本人は死ぬほど疲れてると思ふけどな」
「ふゝ、でも楽しかつたわ。この調子で京都も無事に済むといゝわね」
「お手柔らかに頼むよ。ほんまに、――」
彼ら一家が夕食を食べてゐるあひだに雨が降つたのか、街頭の明かり、車の明かり、信号機の明かりで道がてら〳〵と光を帯びてゐた。里也は冷やゝかな夜風を頬に感じながら、酔いどれた足で角を曲がり〳〵して開けた場所に出ると、空を仰いで見えるはずの無い真白なお月さまを見ようと目を欹(そばた)てた。
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watari-gitsune-bookshelf · 6 years ago
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 やっと見つけた。
 少年は緊張と興奮で弾んだ息を整えながら歩調を緩めた。街の中央、噴水広場の一角にある豪奢な石造りの邸宅。あの男は口からでまかせなどではなく本当に有力で財力のある人物なのだろう。今からお前が馬鹿にしたこの魔具(マグ)で自慢の家が木端微塵になるのを見て自分の愚かさを思い知るがいい。土下座させて店から巻き上げた金を返させてさらに迷惑料ももらおうか。
 手の震えをおさえつつ布袋から金属のコップを取り出す。一見すると装飾の一切無いシンプルな日用品だがこれは正真正銘父の工房でつくられた19+の魔具だ。向きをあわせて後は力をこめるだけ……。
「はいストーップ」
 突然スーツの男が出現しさっと魔具を取り上げた。そしてもう一人、メガネの男がバインダーにはさまれた紙をめくって読み上げる。
「魔具NO.2253『缶砲台』の使用には兵士資格が必要です。無資格使用は魔具法80条に則り……」
「おい返せよそれ!」
「無資格のまま所持している魔具については発見次第こちら、魔具管理所にて一時預かりとの規定が……」
「なーなーおーいアンペル」
 魔具をとった方の男が困惑といった感じで少年を下から見下ろしながら口を挟んだ。
「これ資格以前の話っ」
「ああ、そういえばこの魔具は19+だな。キミまだ12ぐらいだろう」
「15だ。返せ」
「年齢違反には違いない。魔力(マーリー)不足が観測されていないことには疑問が残るが……。まあいい、大人しく署まで……」
 そこでやっと黒いバインダーから顔を上げて少年と目が合う。点になった目で少年を眺め回してから気まずそうな表情の相棒と顔を見合わせる。スキあり、とばかりに缶砲台に手をのばすと意外にも身軽なシルクハットの足さばきでひょいと避けられ足払いをかけるとタイミングよくジャンプされ失敗に終わった。
「金髪黒目に浅黒い肌……。キミ、流者(ルシャ)だよな?」
「なーなーおいアンペル!流者(ルシャ)って魔具をつくれるけど使えないんじゃなかったっけっ」
 上からと下からとそれぞれ眺めまわされて不愉快に思いつつ少年は自分も相手の片方――魔具を取り上げた男を眺めまわしていた。ぴしっと体にフィットしたスーツを着ているのも、高級そうな革靴を履いているのも、かっちりしたシルクハットも、いかにも街(バージス)の貴族といった感じで魔具管理署という職業にふさわしいと思うのだが問題はそれが逆さまだということだ。つまり、シルクハットから黒く細い脚らしきものが生えて体を支えていて、本来の足はというと天に向かってV字開脚。なんだこいつ。
 一方アンペルと呼ばれたメガネの男も書類と目の前の実物に困惑していた。本来魔力(マーリー)を持たないはずの部族の子供が魔具についてよく知らないまま並みの術師以上の大魔力を使う……なんだこいつ。
  「氏名、アス・フェン。歳は15。流者(ルシャ)。無資格使用未遂の魔具は『缶砲台』。間違いないか」
 口をとがらせてうなずき、アスは差し出されたカップを手にとった。同時に空の陶器の表面にオレンジの光紋が広がり底から湯気をたてるコーヒーが湧き出る。
「お? 驚かないのかーい?」
「父さんが魔具師だから。こういうのは見慣れてる」
 父、魔具師と書類に書き込むアンペル。一応魔具使用違反の取り調べだ。うっかり答えたアスは上目づかいにアンペルをにらんでカップを置いた。
「魔具法って、何だよ。街(バージス)にはそんな法律があるのか」
「お前、魔具師の子なのに知らねえのかっ。なーなーアンペル説明してやって」
 テーブルにシルクハットで立ち至近距離で唾をとばす逆さま男(さっきヴォルターと名乗った)をうっとうしげに追い払いアンペルは例えば、とポケットから水道の蛇口を取り出した。ハンドルをひねるとアンペルのコップにとぷとぷと水が注がれた。
「これは5歳から使えて資格も要らない魔具だ。誰が使っても問題ない。だがキミが使おうとした缶砲台は19歳以上、さらに兵士資格が必要だ。これは内戦を防ぐため。わかるな?」
「19+って魔具の強さの目安じゃないのか」
「年齢制限表示だ。どんな魔具でも一定以上の魔力(マーリー)を必要とする。個人差はあるが魔力(マーリー)は年を取るとともに強くなるものだから、年齢で規制されている」
 アンペルが自分のメガネを指さすとふちが端から一気に青く光り、レンズがキラリと不透明になった。そのままあちこちを見回してまたスッと透明に戻す。
「これは23+の千里眼鏡(テレスコープ)。キミの家の夕食は羊肉の包み焼きだな。豪華な夕食じゃないか」
 千里眼鏡(テレスコープ)で何を見てきたのかまた書類に何か書き込むアンペル。覗き込もうとするとバインダーの端が突然伸びて危うく額に刺さりかけた。これも魔具か。
「魔力(マーリー)が十分ねーのに魔具を使おうとするとな、こーなる!」
 書棚で何か探していたヴォルターがシルクハットでぴょんと器用に脚立から飛び降りてくるっと回る。顔面すれすれを通過する靴を避けつつヴォルターのシルクハットが魔具なのだと理解する。
「いやーガキの頃両親が空間転移魔具(テレポーター)でほいほいあちこち出かけるのがうらやましくってさっ。オレも行くーってろくに知識もないまま力をそそいでボーン、だ」
 ぎょろっとした目でシルクハットを見上げて(見下げて?)にやりと歯を見せる。頭は完全にそれと融合してしまい、さらに足が生えて代わりに自前の足は動かなくなったらしい。暗い話を陽気にしつつ、でも便利だぞこれーっとぴょんぴょん跳びはねまくってみせる。その手にはカラフルな袋。
「あっ! ……ヴォルター、それは私の大事なスイーツだ! 返せ」
「職場に自分用スイーツとは感心しないなあアンペルさんっ」
「頭を使う職業柄スイーツは必要不可欠!」
「ほらほらまだ取り調べ中だろっ! これは食っといてやるからさっさと済ませて取りに来-い」
「おまこらまて」
 ぴょんぴょんとおちょくるようにテーブルの周囲をぐるっと回って腰から先を振りながら出て行った。アンペルは肩をいからせてそれを見送り、突然スイッチでも切り替えたように真顔で椅子に戻った。
「で、ろくに知識もないままキミが噴水広場でこの魔具を使おうとした目的は何だ」
「……」
「手短に話してほしい。早くあれを奪還しなければ私のアフタヌーンティーが糖質ゼロになってしまう」
 前言撤回全然切り替わってなかった。
「……あの野郎が、うちの魔具はどれも何の役にも立たないガラクタだ、って馬鹿にしやがったんだ。とっとと店閉めちまえって」
「ただの悪口だろう。相手にせず放っておくのが一番だ」
「それだけじゃねえんだよ。あの野郎裏で手ぇ回してて、あいつが来た翌日から銀行屋は金おろさせてくれねえし身に覚えの無い借金をとりたてに金貸しが来るし、その金貸しの連中は店の品物に手ぇ出すし。街中じゃあうちの悪評をばらまきにばらまいて、おかげで昨日もまともに商売できやしねえ」
 アンペルはわずかにまゆをひそめた。
 流者(ルシャ)は魔具をつかえないことを理由にたびたび街者(バジャ)から差別を受けている。しかし街者(バジャ)は街者(バジャ)で自分たちが使う魔具を自分ではつくれないため流者(ルシャ)は大事にされる傾向にあり、流者(ルシャ)が実際に迫害をうけたという報告は今までにも無いはずだ。銀行屋が絡むとなれば相手は財力がある。財力のあるものが流者(ルシャ)差別に動いたのか。人は金に弱い。その財力に操られて流者(ルシャ)差別が進めば最悪……
「おいアンペルさん。取り調べしてるのに上の空かよ」
「ああ、すまない。……“あの野郎”の名はわかるか?」
「セレスト・クロンだよ。高名な魔導師なんだってな。そいつがうちに来て、今まで色々な魔具を使ってきたがこんなにひどい魔具は初めて見たとかぬかしやがったんだ」
  「帰ったよ」
 アスが自分のテントに戻った頃にはもう夕暮れ時になっていた。お帰り、と玄関布の向こうから声だけ聞こえてふわっと暖かい��りがする。いつものスープのにおいだ。
「夕食、もうすぐできるから店の人呼んできてもらえるかしら」
 店のテントはもう少し街(バージス)に近い通りにある。夕食の買い込みでにぎわう露店の通りを抜けて、営業を終えテントが仮畳みされた道具街(バージス)へ出た。
 “流者(ルシャ)”というのはその呼び名通り流れ者で、それぞれ決まった季節に街(バージス)に立ち寄り露店を開いて生活している。例えば干物商なら冬直前期に保存食の買い込みを狙ってやって来るし、織物商もこの時期は毛皮商人がほとんどを占める。アスたちの一族は夏に北の山で魔具の材料となる石や金属などを採り、山が雪で閉ざされる冬にこの街にやってきて魔具を制作しながら売る。今年は良質の石がとれたから良い魔具ができて繁盛しているはず……なのだが。
 急ぎの注文でも請けたのだろうか、テントを畳まずたいまつの下で剣を鍛えなおしている鍛冶屋の向かいに、肩をおとして品物を片付ける集団を見つけた。
「おーい、お疲れ」
「ああ、アスか。何してたんだ今まで。もう閉店だぞ」
「悪い悪い。ちょいと野暮用が。夕食、できたってさ」
 おお、と男たちの疲れた顔が少し緩んだ。その中に唇をかんで箱に魔具をしまう父の姿を見つけた。今日も奴らは来たのだろうか。店の男たちの表情からするに、噂のせいでろくに売れなかったのだろう。父の頬に今朝は見なかったうすい傷があるのが見える。刃物で脅されたのだろうか。話しかけようと近くへ行ったが言葉が見つからず黙々と片付け作業を手伝う。許せない。あの野郎。今度会ったらぶっとばしてやる。
「あー……。まだいいか。もう閉店時間か」
 振り返ればスイーツメガネ男。
「げ」
ごつっ
 条件反射で出した声の直後に頭上から拳襲来、その場で悶絶。
「痛ってえな兄貴!何すんだ」
「『げ』は無えだろ。失礼だ」
 失礼もくそもあるか散々個人情報引き出した後三時間もの焼き菓子トークにつき合せやがって。また会ったな、とひらひら振る手にこの魔具の先っぽ刺してやりたい。
「何しに来たんだよ……」
「何って、魔具を返しにだ。そちらが店主か。私は魔具管理署調査官のジム・アンペルと申します。本日昼過ぎ、噴水広場にてアス・フェンさんがこちらの魔具を使用しようとされました。資格違反、年齢違反ということで魔具法に則り署で一時預かりとさせていただきました」
 黒いバインダーにはさんだプリントを淡々と読み上げて缶砲台を手渡す。早口でまくしたてられた文言に父は目を白黒させてそれから軽くアスをにらんだ。他の男たちの目も集まって気まずくなり肩をすくめてそっぽを向く。
「ところで、つかぬ事をきくが……。お子様の親戚に街者はいるか?」
「? いや、ワシの知る限り一族はみな流者(ルシャ)だ。……何か?」
「彼、魔力(マーリー)があるようだが」
「……」
「……」
 しばらくの沈黙の後父とその他大半の目が不審者を見る目に変わった。気圧されたアンペルが慌てて持っていた小箱をアスに投げてよこす。使って見せろ、と言われたがどう見ても拳大のただの箱で開かないし使い方もわからない。見たことの無い魔具だ。
「うちは武器系専門の魔具屋だから武器以外の魔具はよく知らない」
「それはランプだ。貸せ。ほら、ここを開いてここに魔力(マーリー)を」
 立方体の箱の金具をいくつかいじると箱の角の一つが欠けるように開き、アンペルが魔力(マーリー)をこめるとその中央部分があわく光った。渡されたそれを眺めまわしてからアスもそれを適当に手の中で転がし、トントン、と箱の中央部を指でつついてみる。
 パン
 乾いた金属音とともに指さした部分がはじけとんだ。金属片が首筋をかすめてアンペルも冷や汗をたらす。半信半疑どころか全疑に近かった父と店員たちは目を丸くして破裂した箱を凝視した。
「……アス君、力こめすぎだ」
「使い方知らねえって言っただろ。見よう見まねでやったらこうなっただけだ」
 父がアスの手から今や残骸となったランプをひったくるように奪い取り、しげしげと眺めまわす。信管や火薬の類が入るようなスペースはもちろんそこには無い。
「ええと、アピールさん、じゃったかな?これはどういう……」
「アンペル。ご覧のとおり、息子さんには魔力(マーリー)がある。それも同い年の街者(バジャ)ならわずかに明るくするのがやっとのレベルの魔具を、破壊してしまうほどの」
「……」
「これほどの魔力(マーリー)だ。コントロールする術を学ばないとうっかり魔具を暴走させかねんし、魔導師資格の方に師事されることをおすすめする」
 残骸を受け取り、ポケットにしまいながらメガネを直して笑う。
「すぐにとは言わない。ゆっくり考えて、心が決まったら魔具管理署まで来てほしい」
 言い終わると同時にカチッと音がしてアンペルの姿が掻き消えた。呆然と虚空をながめて立ち尽くす父の前でアスは握った手に目を落とす。
――バージス、クリオロ通り北361番地リント国魔法省魔具管理署調査官、ジム・アンペル
 渡された紙切れにはそう書かれていた。
   夕食後(腹立たしいことに羊肉の包み焼きだった)、父に呼ばれてテントを抜け出し露店街へ向かった。もうすぐ深夜という時間だが酒場の多い通りはまだまだにぎわっていた。
「アス。こっちだ」
 飲屋(クワス)から父が手招きするのに気がついて中に入る。カラカラン、と入店を知らせるベルが店内の話し声にすいこまれていった。仕事を終えた魔具師や露天商が思い思いのベンチやソファに腰かけて近くに座った他の客と語り合う、そんな感じの店だった。見れば街者(バジャ)も数人話の輪に混じっている。広間の奥のステージで見世物が始まったらしく客がそちらへ集まっていく。店員と二言三言軽口を交わして父は果実酒を手に戻ってきた。
 多くの客とは反対側、ステージから離れるように丸太に腰かけて渡されたコップをすする。ほわりと甘い香りがのどから体にひろがる。まだ冬は序の口とはいえ最近かなり冷えてきている。温かい飲み物は指先をあたためるのにうってつけだった。
「あのクロンとかいう野郎、まだ店に来てんのか」
 グラスを手に飲みもせずうつむいたままの父に耐えかねて話を振る。父はああ、と一言うなずいてやっと一口酒を口にふくんで背筋をのばした。
「今日は借金の利子だと言って自在剣をとって行きおった」
 あの店の隅に置いてあったシンプルな短剣のことだな、と脳裏に店内図を描く。装飾は少ないものの剣先の湾曲が美しく、気に入っていたのでそんな奴の手に落ちたのが非常に腑に落ちない。それを使おうとして魔力(マーリー)不足でリバウンドでも起こせばいいのに。腕が剣と融合してうまく食器を持てない“あの野郎”を想像してみたが剣がもったいないのでやめた。家を爆破してさっさと取り戻してしまいたい。
「アス、お前を今晩ここに呼んだのはその話ではない。魔力(マーリー)の話だ」
「わかってる。魔力(マーリー)が、どうしたんだよ」
「魔力(マーリー)を持つ者は魔具をつくれない。これは知っておるな」
「いや知らない」
 言葉を続けようとしていた父、絶句。親戚に魔力(マーリー)を持つ者は居ないし一族と街者(バジャ)の交流もそんなに深くはないがしかしどこかで耳にする話のはず、というか数年前に説明したぞ息子よ。
 父に軽くにらまれてアスは目をそらす。いちいち覚えてねえよそんなこと。
「……理由はわかっておらんが、魔力(マーリー)持ちは魔具をつくれない。つまりお前は魔具師にはなれぬということだ」
「その台詞前にもきいた。父さんが教えてくれた通りに作っても魔具にならなくて」
「そ・れ・が・お前が魔力(マーリー)を持っとるせいだと言っとるんだ!」
 つい声が大きくなり、ステージの方には届かなかったがカウンターの店員の白い目が刺さる。父は肩をすくめて平謝りし、腹いせとばかりにアスの頭をこづく。
「……アス、お前は店を継げない。今までいつかお前も魔具をつくれるようになると信じて魔具づくりを教えてきたが、お前にはその素質がない」
「いーよ、別に。店を継ぐとか魔具師になるとか、そんな深く考えてなかったし」
 物覚えが妙に悪いと思っていたら案の定だった。��のバカ息子、父は心中で罵倒しておく。
「オレは魔術師になればいいんだろ? 明日アンペルさんの所に行って魔導師資格の人紹介してもらう」
 父は降らすの酒をぐいっと一気飲みしてから勢いよくアスの頭にチョップをくらわせた。頭悪くなるじゃねえか、と頭をおさえて文句を言うアスの頬を今度は軽くはたく。
「自分の将来を甘く見るな。お前が思っているよりずっと大きなことなんだぞこれは。真面目に考えておるのかお前は!」
「な……んだよ考えてるに決まってんだろ。魔具師にはなれないけど魔術師にはなれるってきいて今ちょっとほっとしてんだよ」
 いつのまにか双方立ち上がってにらみ合う形になり、いつ手放したのか二人のグラスは中身を床にぶちまけて転がっていた。まだかなりの身長差のある父を見上げる。いつもはどこか穏やかな光のあるその目がいつになく鋭く厳しいものになっているのに気が付いて若干ひるんだ。
「アス。魔術を選ぶなら一族を抜けなさい」
 表情��はかけ離れた穏やかな言葉が父の口から紡がれる。しかし内容は鋭く耳に突き刺さった。
「魔術の先生のところへ行ったら、もう二度と一族の元へ戻ってはならん」
 語尾がふるえ、続けかけた言葉を一旦飲み込む。どういうことだよ、と開きかけたアスの口を片手でふさいで後は畳み掛けるように早口になる。
「魔術を使うお前はもう家族ではない。ワシはもうお前の父親ではないし、お前はもうワシの子を名乗ることはできん。よいな」
「……、何言ってんだよ……どういう意味だよ、父さん」
「……」
 父は何も言わずに立ち上がり、グラスを拾い上げてしかめ面の店員に返しにいく。アスが追いすがるとうっとうしげに振り払い、たたらを踏んで尻もちをついたアスを蹴飛ばして床に転がした。グラス返却のついでに酒代とチップの支払いを終えて足早に出口に向かう。
「待って、父さん」
「もう二度と父と呼ぶな」
 早口が最後一言返ってきて直後に父の姿が消え、アスはあわてて出口周辺に群がる客を押しのけて店を飛び出した。
 ほとんどの店が明かりを落とし、街路灯も一部消えた酒場街。どこを曲がって行ったのか、人通りの少ない道に父の姿はもう見当たらなかった。
   翌朝、目を覚ましたアスは自分の寝具を直してからあくびをかみころしつつ食堂を兼ねているテントへ向かった。寝違えたらしく首が痛くて左を向けない。ふああ、と今度はかみ殺し損ねてあくびがもれる。もう他の店員たちや女たちは食事を終えて出かけて行ったのかテントには誰も居らず、部屋の真ん中に空の鍋だけが残されていた。食器を手にあれオレの分、と頭をかいて舌打ち。誰だ朝っぱらから食い意地張ってる奴。他人の分まで食ってんじゃねえ。
「アス」
 テントの玄関布をわずかにめくって母が覗き込んでいた。その手にはスープの入った食器。
「はやく食べちゃって。お父さんやお店の人に見つかったら、お母さんが怒られるから。ほら早く」
「どういうことだよ」
「……私からは言えない。はやくして。人が来る」
 渡されたスープを行儀悪くかきこんで飲み込む。とっくに冷めて冷たく、あまりおいしくなかった。母はアスが平らげるのを見届けるなりテントを出ろと急かし、外を気にするそぶりを見せる。何を急いでいるのかわからないままに玄関布に手をかけると母がその手を握りしめ入れ替わるように中に入った。
「行きなさい。戻らないで。でも忘れないで。父さんも、母さんも、本当はあなたを愛している」
 すれ違いざまに耳元でささやき声がきこえドンッと背中を突き飛ばされつんのめるようにテントを追い出される。ちょうどテントの前を通りがかった通行人にぶつかってしまい、慌ててあとずさって平謝りした。いつもなら見ず知らずの人間でも気をつけろよ、ぐらいで済むのだが今日は違った。ぶつかった相手は父の店で昔から働く者で、顔見知りだったのでほっとした直後その男は予想だにしない言葉を吐いた。
「触んじゃねえ穢らわしい!」
 さらにその場で印を結び、とっとと出て行けの一言を置き土産に去って行く。何だっけあの印。山で採掘初めの儀式で見たような。……悪霊払いの印だ。
「ちょっとおい、待てよ」
 追いかけようとすると道ゆく人々が顔をしかめて過剰に広く道をあけた。なんだよ、と顔を向けると目を伏せて決して合わせないようにする。一歩近づくと二歩下がる。露店の通りにさしかかった所では生卵や腐った野菜が飛んできて上着や髪を汚した。
「何するんだ! いたずらじゃすまねえぞおい!」
 声を張り上げると近くにいる人がみな耳を塞ぎ悪霊払いのまじないが合唱される。一歩進めば商いの場を穢すなと罵声がとぶ。
 ようやく道具街に入り、父の店に着いた。露店街の連中が追って来ていないのを確認してほっと胸をなでおろす。
 今朝はずいぶんと冷えている。手がかじかんだのか袋から魔具を取り出す兄の手つきが緩慢で頼りなく、小型魔銃を取り落としそうになった。アスは横からさっと手をだして受け止め、手伝う、と他の袋を手に取った。
「触るな泥棒!」
 ドッ
 一瞬聞こえた衝撃音がどこで聞こえたのかわからなかった。とにかくえぐられるような痛みが腹部にじりじりと走り始め地面に転がったまま背を丸める。もう一発同じ場所に一撃。ようやくそれが自分に突き込む音だと理解した。身をよじって次の一撃を避けようとすると今度は背中に痛みが走った。
「やめろ、オレだ、アスだ!」
「誰だそれは! 街者(バジャ)が勝手に商品を触るんじゃねえ!」
「オレは流者(ルシャ)だ! 髪と肌見りゃわかるだろ!」
「流者(ルシャ)になりすますあくどい街者(バジャ)め……! その口にどとしゃべれねえようにしてやる!」
「みんな来てくれ!この穢らわしい餓鬼がうちの商品に手を出しおった!」
 父の声に反射的に顔を上げる。そこを蹴り飛ばされ、吹っ飛んで別のテントに衝突する。陳列棚を崩された鍛冶屋の店主は怒りの声をあげて手に持っていた何かをアスの腕に押し当てた。
「−−−−っ!!!」
 熱い。痛い。熱い。熱い熱い痛い痛いいたいいたいいたいあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
   戸口で音がした気がしてアンペルは読みふけっていた資料から顔をあげた。ヴォルターが調査を済ませて戻ってきたのだろうか、と考えてからすぐに打ち消す。彼ならノック以前に部屋の中に直接ドロンするに決まっている。
 コンコンコン
 今度ははっきり聞こえた。呼び鈴ではなく戸をたたいているということは訪問者は流者(ルシャ)か。今日流者(ルシャ)と会う約束はあっただろうか。
 ばんばんばんばんばん
 いい加減うるさくなってきたのでとりあえず思考停止で玄関に向かう。ドアを開けると体当たりしようとしていた少年が勢い余って転がり込んできた。
「アス君?」
「アン……ペル……さん……」
 見上げてきた目に一瞬息をのむ。つい昨日見たやんちゃそうな強い光はその瞳には無く、見開いた目は焦点が定まらないまま右往左往していた。見れば服はズタズタ、体のあちこちにあざが浮き浅い切り傷が走っている。さらに左腕はひどい水ぶくれで腫れ上がっていた。
「入れ。すぐに手当てする」
 半ばひきずりこむようにアスを招き入れて棚から治療道具を出す。あざには湿布、切り傷には絆創膏で半日もすれば元通りになるが火傷についてはそうもいかない。スプレー式の消炎魔具はヴォルターがやかんをひっくりかえした時に使い切ってしまって手持ちがなかった。とりあえず状態を見ようと腕をつかむとぐにゃりと嫌な感触。折れている。
 さっきからやたらと背をまるめて腹部をおさえる仕草も気になる。少し迷ってから内視眼鏡(エンドスコープ)にかけかえて確認し、薬をのませて処置した。かなりの大魔力なので魔力監視に引っかからなければいいが。
「……何があった?」
 服を着替えさせて落ち着いたのを見計らって声をかける。アスはそれに答えず目をふせてしまう。食べ物で釣ってみようとラスクと紅茶を出すと飛びつくようにかぶりついた。
「うまいか」
「うん。……このラスクが特に」
「わかるか?それはこの前教えた店のラスクでな。全粒粉の白パンをよく焼いて……」
「あーはいはい」
 バターのこだわりから砂糖の産地までまだまだいくらでも伝えるべき魅力が詰まっているのだが昨日も最後まで聞いてもらえなかったので断念する。次はチョコレートの話にでも変えてみるべきかもしれない。
「……流者(ルシャ)の街から追い出された」
 菓子袋をあさる手が止まった。
「流者(ルシャ)のふりした街者(バジャ)だって、父さんが周りの人をあおって、みんな穢らわしいとか言って悪霊扱いして」
 アスはうつむいてソファの上で膝をかかえた。アンペルはそれを見つめて唇をかんだ。事態は予想以上に早く進行しているようだ。こちらも早く手を打たなければ。
 ポケットから円盤(ハンドル)を取り出す。それと菓子袋をお供にアスが座るソファに座った。振動に驚いたアスが顔を上げると同時にソファが床から浮き上がる。
「わっわっわっ……」
「動くな。これはバランスをくずしやすい」
 円盤表面のボタンをいくつか押すとソファは器用に部屋の調度品をよけて階段へ移動して二階へ上がり、開いた窓から横向きに外に出た。それから自動操縦に切り替えるとゆっくりと前へ加速していく。
「これも魔具かよ!」
「東部の民間伝承を魔具に応用してみたそうだ。もっともあれは絨毯だが」
 空中は地上よりも寒く、しばらくすると手がかじかんできた。あいにく手袋を忘れてきたので息をふきかけ、さすってほぐす。
「やっほアンペルっ!」
 キッ
 いきなり眼前にヴォルターが現れて思わず緊急停止ボタンを強打してしまった。運転手であるアンペルはソファとリンクしている操縦盤のおかげで落下をまぬがれたが、アスは慣性の法則に従いそのまますごい声をあげながらふっ飛んでいく。
「……何だ、ヴォルター。調査は終わったのか」
「……先に同乗者回収っ!」
 ソファを急発進させ落ちていくアスを追う。最終的には屋根の上に墜落する直前にヴォルターが持っていた容疑者捕獲網でなんとか回収。
「てめおま何いきなり死ぬかと思ったぞおい!」
 さっきの落ち込みはどこへ行ったやら眉をつりあげてぎゃんぎゃんわめくアスの相手をお前のせいだと押し付けておいてヴォルターが持ってきた資料に目を通す。
「��ス君。セレスト・クロンという男が最初に来た時の店主とのやりとりを知っているか?」
「あ? ああ。あの野郎、何かごっつい魔具を買おうとしてて、父さんは証明証が無いと駄目だと言ったんだ。そこからもめて」
 やはりそうか。
 眼下に広がっていた街がとぎれ、代わりに水が広がる。アスがこれが海か!と興奮して叫んでいるが残念、湖だ。湖のほぼ中央に城がにょっきり生えており、アンペルはそれめがけてハンドルを切った。
「アス君。キミが会ったセレスト・クロンは偽物だ」
「は?」
「本名ロード・スレイバー。首都(キャピタル)で有名な富豪だ。魔導師資格を持っていないから欲しい魔具が買えず業を煮やしたんだろう」
「魔導師資格?」
「魔力(マーリー)の大きさには個人差があるっ!魔力(マーリー)の特別強い奴だけがゲットできる資格っ!魔導師資格があれば自分の歳より上の魔具を買ったり使ったりできるのさっ!」
 城の中庭にゆっくりと着地し、円盤にロックをかける。長方形の建物にカラフルなキノコがにょきにょき生えたような奇妙なこの建物は魔具管理署の入る魔法省本庁舎��。
「魔具管理署調査員ジム・アンペル、ただいま戻りました」
 呼び鈴に話しかけて緑の木戸を開ける。アスとヴォルターを招き入れ、会議室へ向かう。
「ああ、アンペルか。ちょうどいいところに」
 会議室はちょうど会議中で並べてくっつけられたテーブルの中央に資料を山と積んでスーツの署員たちが何やら議論していた。資料の上には画面が浮かんでいて資料の一つと見られる魔具を映し出してゆっくり回転していた。
「うちの魔具だ!」
 思わず出した声に署員の目がいっせいにアスに集まる。ヴォルターにアスを捕まえさせておいて席につき、配布資料にざっと目を通す。
 今回の事件の発端は隣国で使用者未登録の資格必須魔具が押収されたことだ。南にあるその国と北方を行き来する魔具師系流者(ルシャ)との交易は乏しいのでこの国の人間が魔具を横流ししている可能性が高い。資格の無い者が魔具を購入・使用することはもちろん違法だ。それでここ数週間にわたり調査を続けてきたがようやく首謀者とその協力者を絞り込めたようだった。
「犯人らの目星はつきましたが、どうしますか。泳がせておいて購入現場で現行犯逮捕しますか」
「いえ、違法入手のために流者(ルシャ)差別を行って流者(ルシャ)を奴隷化しようとする動きがあります。すぐにでも手を打つべきだと思います」
 会議は犯人逮捕の計画へと進み、アスとヴォルターは退出となった。
   食堂でパンとスープの簡単な夕食をもらってからアスは庁舎の仮眠室に通された。固いベッドに毛布と簡素な寝床だ。自分は流者(ルシャ)のテントを追い出された身、寝床が確保できたのは幸運だった。贅沢を言えば枕が欲しいところだ。
 ため息をついてアンペルからもらったミニ扇風機を手の中で転がす。暇なら魔力(マーリー)のコントロールの練習でもしておけと渡されたもので、網の中に回転羽が入った赤子用玩具のガラガラのような形をしている。最初は案の定大魔力(マーリー)をぶち込んで室内で竜巻を起こしてしまいひっくり返った簡易ベッドやテーブルをすべて直すはめになったが大分慣れてきた今ではテーブルの上に畳んで置いた服が吹っ飛ぶ程度でおさえられている。この数時間の成果としては上出来なんじゃないだろうか。
 つまるところ眠れないのだった。窓の外は真っ暗で何も見えず壁時計はとっくに深夜をまわりもうすぐ早朝という時刻だ。
 部屋の外が急に騒がしくなったのはそれから数分後だった。ばたばたと慌ただしい開閉音に、ようやくうとうとしかけていたアスは寝ぼけ眼をこすりながら起きあがり、仮眠室の外に顔を出した。
「おや、アス君。すまない、起こしてしまったかな」
「起きてた。魔具持ってみんなどうしたんだ?」
「容疑者ロード・スレイバーを発見した。今から逮捕に向かう」
 署員たちがそれぞれ思い思いの装備を身につける中アンペルも魔銃や捕獲網など必要になりそうな魔具を身につける。もちろん空間転移(テレポーター)であるシルクハットも忘れずに。
「オレも行く」
「アス君はヴォルターと一緒に留守番しててくれ」
 言うと思った。軽くにらむとヴォルターがひょーいと肩に乗ってきて意味ありげに超至近距離でウインクしまくってきた。うぜえ。あと重い。
「……あー……。わかったよ。大人しくしてる」
 白々しく目をそらしながら言うとアンペルも
「じゃあ留守の間頼む。くれぐれもヴォルターの目を盗んで勝手に外にでることのないように」
 物わかりの良い少年ですな、と他の署員が感心したようにつぶやき、シルクハットをかぶって消える。他の署員に続いてアンペルも空間転移(テレポート)した。全員が出発してしまうと日の出前の中庭は急に静かになる。
「……」
「……」
「さてアス君っ。準備準備っ」
 ぴっと投げられた物を受け取ると見覚えのあるラスクだった。ヴォルターの手にはカラフルな袋。またスったのか。ありがたく頂いてから部屋着の上に支給されたコートを羽織る。
 アンペルに言われたのはヴォルターの目を盗んで勝手に出るな、これだけだ。一緒に出てしまうことには全く問題ない。
 空飛ぶソファはヴォルターにとっては魔力(マーリー)不足で使えなかったのでボートで湖を越えて馬車で出立した。ヴォルターはその形態上、馬を御せないので手綱はアスが握っている。
「お前の魔力(マーリー)は何のためにあるんだよ……」
「えーと、空間転移(テレポート)っ?」
 ヴォルターの道案内を頼りに右へ左へ暗い森を縫うように走って行く。暗すぎてアスには何も見えないがヴォルターは双眼鏡を目にあてて的確に指示を出す。それも魔具か。森を抜けて田舎道に出た頃にはもう空が白み始めていた。もうすぐ日の出だ。
「ロード・スレイバーだっけ、あの野郎どこに居るんだって?」
「街(バージス)の北部、鐘楼付近」
 そっちがあの野郎の家か。噴水広場の邸宅は他人の家だったわけだ。無関係どころか名前を騙られたという点で被害者に当たる人間の家を危うく木っ端みじんにするところだったのだと思うとアンペルたちに感謝の気持ちがちょっとわかないでもなかった。
「あ、移動したっ。そこ左に曲がって、あ、右行って」
「どっちだ!直進するぞ!」
「容疑者が空間転移(テレポート)したっ。……俺だけなら空間転移(テレポート)でついていけるのになーっ」
「……」
 街に入り、噴水広場に着く。ロード・スレイバーが街じゅうを空間転移(テレポート)しまくっていて方角が定まらずそこで停車。
「……っていうか空間転移(テレポート)するんじゃ捕まえても逃げられちまうだろ」
「錨(アンカー)っていう魔具があるのさっ。さっきの網もそれっ」
 言いながら積んできた荷物から弓を取り出して矢をつがえる。噴水の真上に狙いを定めて弦を引く。
 ズドン
 突然突き上げるような衝撃があって馬車から放り出された。驚いて逃げ出した馬に気をとられてから噴水の方をふりかえるとさっきまでちょうどヴォルターが狙っていたあたりに黒服の男が出現していた。ロード・スレイバーだ。すぐさま体勢を立て直してヴォルターは弓を引こうとする。
「危ねえっ!」
 馬車が爆発して炎に包まれ、爆風で数メートル飛ばされる。
「おいヴォルター!貴様何をやっているんだ!」
 どうやら最初からここに誘い込んでヴォルターが錨を撃ち込む作戦だったらしく、複数の署員がロード・スレイバーを取り囲むように現れる。しかしそれは相手にはお見通しだったようで彼ら目がけて噴水広場のあちこちから迎撃の矢が火を吹いた。矢にあたり墜落しつつ署員の一人が放った魔銃がロード・スレイバーの手をかすった。それに気をとられたところを別の署員がシルクハットに狙撃してふきとばす。
「ヴォルター、やれ!」
 言われるより先にヴォルターは矢を放っていて、それは火矢ひょいひょい避けながらありえない距離を飛んでシルクハットを貫いた。その間に署員たちは次々に火矢に射落とされて着地する。どうやら火矢は浮遊魔法を無効化するものらしい。地上に何人協力者が居るのか噴水広場周辺の建物の影から水や風の塊もさっきからひゅんひゅん飛んできている。
「なーなーアンペルはっ」
 飛んできた水の塊が直撃してずぶぬれになりながら近くの署員にきくと他の署員が放った錨にあたって陸路で向かっているとの返答があった。相変わらずのドジっ子め。ドジっ子は向こうも同じだったようでロード・スレイバーも協力者が放った火矢にあたって墜落しているが。
「容疑者確保っ!」
 署員が声をあげて一斉に飛びかかり網を放つ。
 ズッ ゴオォォォオン
 大きな音をたてて噴水が爆発した。飛びかかった署員たちがふきとばされて水をかぶる。
「ははっ。ははははははははっ」
 爆発の中央、噴水のあった所に男が立っていた。さりとて特徴のない、強いて言うなら高級そうな服を着ている事が特徴の男は間違いなく父の店の品物にケチをつけ強奪していったあの野郎だった。
「見ろ。やはりあの店主の言葉は嘘だったのだ。資格がなんだ、数値がなんだ。使えるじゃないか、僕にも」
 男が持っているのは陶器製のつぼ。もちろんただのつぼではなく魔具の一種で、アスが使おうとした缶砲台の上位互換、40+の『壷砲台』だ。男の年齢は外見からして30代前半といったところだから男の魔力(マーリー)は平均より少しは上といったところなのだろう。男はさらに広場の一角にある露店の並びを次の標的に定めて魔力(マーリー)を込める。
「馬鹿やめろ!」
 止めようと飛び込もうとしたヴォルターをスーツのすそをひっぱって引き戻し、一拍遅れて発射された��気の塊がうなりをあげて飛来し着弾する。避難した露店商の代わりに露店に潜んでいた署員らが崩落する店からあたふたと逃げ出すところに水砲が襲いかかる。
「何っ!止めんなよっ」
「あの魔具は着弾点で大爆発をおこすタイプなんだよ!直撃したら怪我じゃ済まねえぞ!」
「何売ってんだお前の店っ!危なすぎっ!」
「元々は穴堀り工事の魔具なんだよ!工程について文句はあるけどとりあえず何とかしろあれ」
 ピキッ
 固い音がしてヴォルターが不自然につんのめり、その場に鋭い氷を残して空間転移(テレポート)した。周りを見ればさっき水をかぶっていた署員たちが氷でその場に縫い付けられて身動きできなくなっている。
「一人逃したか……。彼は火矢にあたっていなかったんだな。まあいい、これで邪魔はなくなった。さあみんな、僕らに魔具を売らない流者(ルシャ)たちを潰しに行こう。次はテント街だ。魔具師を採りに行くぞ!」
 おおおおお、と広場に面した建物の窓という窓から鬨の声があがる。
「彼らに罰を!我らには魔具の自由を!」
 それぞれ低級の砲撃魔具を手にした服装もバラバラな一般街者(バジャ)たちの歓声に包まれて、タイミングを見計らったように魔動車が広場に滑り込んでくる。待っていたとばかりに男はつぼを肩に担ぎあげ、
 ゴン
 にぶい音がして飛んできた鉄塊でつぼが粉々に砕けた。自分の肩口を見つめて呆然とする男目がけて車は突進する。
「アンペルっ!遅いっ」
 魔動車に乗っているのはアンペルだった。運転士を魔銃で脅しつつもう一方の銃でロード・スレイバーに狙いを定める。
「アンペル危ねえ!」
 直後車がスレイバーの協力者の集中砲撃に遭い、あっという間に煙に包まれた。駆け寄った所に空気砲をつっこまれ逸れたそれが建物にあたってバラバラと壁材が降ってくる。なんとか近づいてひしゃげた魔動車のドアに手をのばす。これは開かないかもしれないと思っているとすぐ真横にヴォルターが現れて車の一部を切り崩した。気絶している運転士をひきずりだしてさらに中をのぞくがアンペルの姿が見当たらない。
「おい、アンペル!返事しろ!」
 呼びかけたが答えは無く、声に反応して飛んできた水砲が背後で破裂してずぶぬれになる。
「……相変わらず無茶苦茶っアンペルっ……!」
 砂けむりの向こうに目をこらしたヴォルターがあきれたようにため息をついた。あの砲撃をどう避けたのかロード・スレイバーに肉迫し喉元に魔銃を突きつけていた。アンペルがにやりと口角を引き上げ、スレイバーはバッと飛び退る。
「お、お前なんかに……」
 往生際悪くベルトに挿していた金属を構える。『自在剣』だ。剣先に灯った火で剣が鈍く光る。それをふりかざし、
「よせっ!」
 叫んだのはヴォルターだった。地面に氷で繋がれたシルクハットを外そうとじたばたするがびくともしない。スレイバーは全く気に留めずそのままアンペルに飛びかかる。
 ゴォッ
 スレイバーが一気に火に包まれた。盛大に炎を吹��出し燃え上がる剣がぬめぬめと形態を変え使用者であるスレイバーに襲いかかる。スレイバーは慌てて剣を捨てようとするが引っ付くどころか触れている所からじわじわと浸食していく。リバウンドだ。
 さっきまで署員たちを狙っていた水砲がスレイバーに集中し署員たちも噴水があった所から湧き出る水で消火にあたる。しかし自在剣の炎は使用者を包むだけでは飽き足らず水砲の魔力(マーリー)をたどって広場に面した家々へ燃え移っていく。スレイバーの協力者たちが次々に逃げ出して消火作業が止まり、火は一気に勢いを増した。熱で氷が溶けて動けるようになった署員も火や煙に巻かれて立ち往生する。
「アスっ!ぼさっとすんなっ!消火っ!」
 ヴォルターがバケツに汲んだ水を手近な火にばしゃばしゃかけ始めて、はっと我に返る。だからお前の魔力(マーリー)はなんのためにあるんだ。まあ自分も他人のこと言えないけど。手の中にある魔具に目を落としてちょっとため息をつく。
「……」
 ひらめいた。
「ヴォルター、ちょっとそれ貸せ」
   昼前に街(バージス)の噴水広場で大規模な爆発と竜巻があり広場周辺の建物が浸水&半壊したというニュースをラジオで聞きながらアスはホットケーキを口に運んだ。噴水に爆発物でも仕掛けられたのかしら、怖いわねえとの店員の世間話を聞き流してシロップに手を伸ばす。
「美味いか?」
「美味いっていうか物珍しい。初めて食べる味だ」
 アンペルの行きつけだという菓子屋、ハーミルンではホットケーキ等軽食も出していて、アスたちは昼食代わりにホットケーキを食べながら休息をとっていた。浸水被害は極局地的なもので、噴水広場に面した建物だけで済んでいたので広場からちょっと離れたこの店には全く影響はみられない。店員も客もどこか遠くで起こった超常現象のように聞き流し次に入った、街(バージス)の大富豪が逮捕されたというニュースに耳を傾ける。
「時にアス君。魔導師資格者に師事する心構えはできたか」
「……独学でも結構コントロールできるようになったし何も師事しなくても」
「どこがコントロールできてるんだっ!」
 すかさずヴォルターの魔具が降ってきてゴーン、と衝撃が頭に響く。床に落ちたそれを拾ってみると木製の腕だった。何に必要と思ってこんな魔具持ち歩いてるんだ……。ご丁寧にも指を揃えてチョップの形に仕上げてある。
「……アス君。わかっているとは思うがこれはその……竜巻を起こすような魔具じゃない」
 テーブルの上に置いたミニ扇風機をつつきながらアンペルが額をおさえてため息をつく。正しくは竜巻を起こせるような魔具じゃない。扇風機というからには風があたって涼しい程度に中の羽が回転するものだ。
 さっきからラジオで流れている噴水広場浸水事件は実はアスが主な原因だった。広がる火事を一瞬で終わらせようと水の入ったバケツにミニ扇風機を突っ込んで思いっきり魔力(マーリー)をぶち込み洗濯器よろしく広場に巨大な水竜巻を発生させ豪快に水浸しにしたのだ。スレイバーの一味と魔具管理署署員の魔具戦を見た周辺住民が避難済みだったから良かったものの、今後何かあるたびに今回のような大掛かりなことをされてはたまらない。魔具管理署会議室では今まさに噴水広場周辺住民への手当金や建物の修復代金の予算組みが行われている最中なのだ。
「あれはさすがにやり過ぎたと思ってる。本当はこれくらい抑えられる」
 と言うがそっと魔力(マーリー)を注がれたミニ扇風機は羽を高速回転させて近くにあった焼き菓子の箱をあっさり吹き飛ばした。アンペルが即座に腕を伸ばして捕まえたので店員からにらまれることは無かったが。代わりにアンペルがアスをにらみつけると不満そうに口を尖らせて目をそらせた。
「……その、魔導師資格の奴って、誰だよ」
「……私だ」
 細い目でアンペルを見上げる。そういえばアンペルの家は魔具だらけだったしそのほとんどがヴォルターには扱えないほど大きな魔力(マーリー)を必要とする物だった気がするが。
「セレスト・クロンは知っているな?」
「知ってるさ。ロード・スレイバーが名前を騙った、国有数の魔導師だろ。あの野郎のことを指してるのかもしんねえけど最近は首都じゃなく街(バージス)に来てるって……」
 言いながらアンペルを二度見する。まさかそんなはずは。資料はやる気無さげに棒読みしてだいたい偉そうでスイーツ好きの男が大魔導師って、……嘘だろ。だいたい魔力(マーリー)が年齢とともに強くなるものなら目の前に居るこの男は見た目まだ30にもなってないじゃないか。
「呼び方は変わらずアンペルでいい。その名前は有名すぎるのでな」
「……アンペルっ。もう隠しても無駄っ。多分」
 カラン、と客の来店を知らせるベルが響き白いスーツ姿の男たちが入ってくる。店員のいらっしゃいませの言葉を無視してリーダー格らしいずんぐりとした背の低い男を先頭にまっすぐアスたちのテーブルにやって来る。
「セレスト・クロン氏。お迎えにあがりました。至急首都(キャピタル)にお戻りくださいませ」
 アンペルはさっきより盛大にため息をついて頭をかいた。やっぱり内視眼鏡(エンドスコープ)なんて大魔力を使うんじゃなかった。あれを感知されたに違いない。
「首都(キャピタル)に戻られましたらひきつづき現在進行中の事業へ御尽力頂きますが、その前に魔法省からも呼び出しがございます。今回の公共建造物破壊の件、納得のいく説明を期待しておりますとのことです」
「……」
「……」
 一同沈黙の後アスに視線が集まった。
 何でオレなんだよと騒いで抵抗するアスをひきずってアンペルが退出し、店内に静けさが戻る。
「……また来るかねえ、アンペルさん」
「来るさっ。もう一人魔導師をつれてねっ!」
   そして数年後。
 大魔導師セレスト・クロンに並んでアス・フェンの名がリント国に知れ渡ることになるが、これはまた別の話。
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hinagikutsushin · 7 years ago
Text
宝石のようにきらきらと。
 森の國奥深くに存在するあちらとこちらの境に、彼女はいる。
 曰く、彼女は人を食らう化物であると。
 曰く、彼女は醜い顔をした婆であると。
 曰く、彼女は狂人であると。
 彼女の姿を見たものがひと握りしかいないせいか、噂ばかりが募って独り歩きする始末である――……。
   かさり、かさりと落ち葉を踏む音。
  黒い編み込みブーツ、真紅のワンピースに植物の絵柄が刺繍されている黒いマント。
 胸元ではマントの留め具である金の飾りが揺れ、その上ではエメナルドのネックレスが光に反射してきらきらと輝いた。
 薄いピンクの唇、高い鼻には瘢が散りばめられ、長い睫毛で伏せられた切れ長なタレ目の中心には、ペリドットを埋めたような柔らかな若葉色の瞳が揺れ、夕焼け色をした艶のある髪の毛は襟足辺りで切りそろえられている。
 そしてもっている籠の中には沢山の薬草と、怪しげな何か。
  かさり、かさり、と彼女は赤い化粧を施した木々の間を縫うように歩き、時折何かを見つけては籠の中に入れ、また足を進める。
 随分と歩き、そして何かを見つけたのか彼女はピタリと足を止めた。
 「あら、人の子」
  彼女の視線の先には薄汚れた、今にも消えそうな白い白い幼子。着物はあちこちが擦り切れ、最早服の意味を成していない。
 彼女は籠を地面に置くと、徐にその幼子を抱き上げた。
「しかもアルビノなんて……珍しい。小汚いし枯れ木みたいだけど十分使えるわ。今日はついてるわね、私」
 そう言ってクスリと笑うと、彼女の声で目が覚めたのか、幼子の目がゆっくりと開かれた。
 そして彼女が彼の瞳を見た瞬間、ほう、と感嘆の溜息が溢れ出た。
「綺麗な薄紅色……」
 白い睫毛に飾られたその瞳は、まるでパパラチアのような優しげな桃色。
「これを研究材料として使うのは勿体ないわねぇ」
 彼の瞳をうっとりと見つめながらそう呟いた彼女に抱かれている彼は、状況ができないのか、それとも言葉を理解できないのか、首を傾げ、ぼやっと彼女を見つめ返すことしか出来なかった。
   アルビノの幼子は、やはり状況が理解できなかったのか、赤髪の女性の腕の中でぽけっと口を開けまま運ばれている。
 そんな彼を家まで連れ帰った彼女は、最早ただの布キレと言ってもいい着物を脱がし、魔法で綺麗に洗い、自身のシャツを着せ――無論彼には大きかったのは言うまでもない――、ソファに座らせてひと仕事を終えたような顔をしていた。
 綺麗に洗われ、ゆったりとした服に包まれている彼の姿はまるで神の使いの様に神秘的で、淡い雪のような体の中で唯一色を持っている薄紅の宝玉が、いい意味で目立っていた。そして元々可愛らしい顔立ちをしているのであろう、今は痩せこけてはいるが、食事を取ればいつしかその頬も子供特有のふっくらとしたものになる。
 当の本人は、少し落ち着かないのか着せられた服を触ったり、匂いを嗅いでみたりと忙しい。
 彼女は彼に視線を合わせるようにしゃがみ、サラリと絹のように流れる髪を撫で、額、瞼、頬へと指でなぞった。そして頬を包むかのように掌で覆うと、突然撫でられ驚き目をぱちくりとさせる幼子を覗き込み、にんまりと笑った。
「ふふ、やっぱり綺麗な瞳……アルビノは他のエルフに研究材料として持ってかれることが多いから本当に得したわ。それにしても貴方はどこから来たのかしら?番号が彫られてないのを見ると造られた訳ではなさそうだし、ならどこから逃げてきたとか?いやでもココから人の住まう國まで幼子が歩いてくるにはとてつもなく距離が空いてるしなぁ……」
 ぽけっとした表情の彼の頬をやわやわと触りながらマシンガンのように言葉を零す彼女は、ふとなにかに気づいたのか口を閉じ、彼の目をのぞき込んだ。
「……焦点が、合わない……?」
 彼の目は彼女を見ているようで見ていない。どこか遠くを見ているような、そんな感じがした。時折ぐっと目に力を入れ焦点を合わせようとする様子を見ると、彼は目が良くないのだろう。
「……ねぇ、貴方。私の顔、見れる?」
 ぴくりと反応した彼は、ふるふると首を振った。
 試しに、遠くにあるものを見えるかと、壁にかけてある時計を指さすが首を振られ、至近距離で自身が先程身につけていたサファイアのネックレスを見せるも首を振られ。
 これは近視でも遠視でもない、彼は恐らく弱視。
 しかも眼球振盪も起こしているのか、少し観察してみれば瞳が左右に細く揺れているのが見えた。
 彼女は心配になったのか、続けて色覚異常があるかどうかの試験をしてみる――結果は色盲、しかも1色覚と来た。つまり、彼は白黒のぼんやりとした世界を生きている。
 この結果に彼女は大きなため息をついた。
「(これはハズレね。いくら見目麗しい幼子だとしても、これじゃあコマ使いにもならないわ……)」
 「拾うんじゃなかった……」
「!!」
  彼女の言葉に反応した彼は、突然彼女にすがりつくように抱きついた。
「すてないで……! なんでも、するから、へんなものも、みないようにするからっ、だから、だからすてないで、おいていかないで、ころさないで、おねがい……!」
 今度は彼女が驚く番だった。初めて聞いた彼の声は小鳥が鳴くような小さく可愛らしいものだが、その口から出てくる言葉は必死の命乞い。
 その中で1つ引っかかった言葉があり、彼女は彼を落ち着かせるように背中を叩くと、そっと尋ねた。
「変なものが見えるって言ったわよね? どういうものが見えるのかしら」
 幼子は少し喉の奥をひくつかせたが、覚悟を決めたかのように喉を鳴らすと、こう言った。
「ひかりのたまだったり、いぎょうのせいぶつだったり……ここはとくに、ぼくがいたところよりも、そういうのがいっぱいいる……あそこにも、ちいさいはねのはえた、にんげんみたいなのがいる」
 それを聞くと、先ほどとは打って変わって彼女はにんまりと口元をあげた。
「ビンゴ」
「へ」
「パピヨン、いらっしゃいよ。この子人間にしては珍しくあなたが見えるらしいわ」
『さっきからその子の話は聞いてるからわかってるわぁ! それと、お生憎様、私達は小さな人間じゃあなくて、妖精よぉ!』
 きらきらと鱗粉を散らしながら赤髪の女性の肩に乗り楽しそうに笑うお隣さん。まさか話しかけられるとは思わず、ぽかんと口を開ける彼を、彼女は楽しそうに見て笑った。
「あなたの目が見えないのはしょうがないわ。コマ使いとして使えないのは残念だけれど、もうひとつ、貴方だからこそ進める道がある」
「あなた、魔法使いに興味はあって?」
  これが森の賢者と呼ばれる大魔女サージュと、彼女から1番寵愛を受けた、唯一の人間の弟子であるローゼとの出会いである。
   ローゼ――薄紅色の君――という安直な名前をつけられた少年が来てから、研究尽くしだったサージュの生活は慌ただしく過ぎていった。
 最近では存在すら珍しい、しかもローゼの口振りからすれば恐らく表の世界から迷い込んできた魔力持ちの少年。彼に教えることは彼女が想像してたよりも山ほどある。
 最も苦労したのは生活の仕方を覚えさせることだろう。
 恐らく彼は生まれ故郷でろくな待遇をされなかったのか、寝床は部屋の隅の隅、食事を出されれば手掴み、シャワーは浴びさせれば突然出てくる生温い水に驚いて逃げ出す始末。出会った頃やけに静かで大人しかったのは矢張り状況を理解できなかったからなのかもしれない。
 それに魔法は何でもできるとは言っても、限度がある。彼は人間にしては珍しく魔法使いの素質を持っているが、魔力の保有量の上限はエルフのそれよりも一段と低いもの。彼女と同じように魔法を使用しては、魔力の枯渇により倒れたり、最悪の場合死に至ることだってある。故にこうして生活の基盤は知っておかねばならない重要な事柄の1つなのだ。
  何ヶ月も経てば、それなりに慣れてきたのか自分で出来ることは自分でするようになった。言葉もたどたどしいそれからはっきりとした物言いになり始め、元来の明るい性格が垣間見得るようになった。
またそれから1年経てば、彼はすっかり怯えをなくし、異形のものも近付いて良いもの、悪いものを覚え、隣人とも良い関係を築き始めた。
 この機会に元々計画していた魔法の基礎をと、サージュは意気揚々とローゼに教えようとしたのだが、彼の障害は様々なところで壁を作った。
  まず本が読めない。目事態に問題がある為かメガネを使用しても視力は上がらず、隣人に本を読んでもらっている。幼いおかげで記憶力はいいのか、スポンジのように知識を吸い込んでいくのは良い点だ。
 そして明るい場所に出れない。目が眩むのか、外に出るのを嫌がる節がある。そしてアルビノということもあり、肌にも気をつけなければすぐに火傷をしたかのように赤くなってしまうのも難点だ。故に外での材料収集は夜以外は危ない。
 何より、色がわからないのは本当に困ったことだった。魔法薬を作るには過程における色の変化が非常に重要なのだが、その色を見れないとなると、魔法薬自体を作れない。嗅覚がいいおかげで、色と共に臭いが変化する魔法薬であればギリギリ作れるが、他はてんでダメ。
 幸い勉学に対して非常に貪欲で、知りたいことやりたい事はしつくさないと気が済まない好奇心で研究体質な一面は、サージュにとって素晴らしい物であると感じさせたようだが、様々な問題も同時に彼女に叩きつけられ、中々前に進めない現状にため息が出るばかり。
 「(本人は楽しんでやってるし、私も一緒にいて楽しいからいいものの、損したか得したかは非常に微妙な所だわ……)」
  サージュは椅子に座り、腕を組んで幻獣や隣人たちと戯れるローゼを横目で見た。
 彼は突然内緒話をするように、使い魔とこしょこしょと囁きあうと、こちらをパッと向いて手を振った。
 「ししょう!!見ててくださいね!!」
  彼はそう言うと、使い魔と躍るように跳ねながら呪文を唱え、持っていた杖で空中を描いた。
 すると現れる無数の水の泡。
 サージュは目を見開いた。彼には確かに魔法の基礎を教えているが、実践はまだだったはず。
 無理な魔法使用は体に障る可能性がある。一言言いたげに口を開いたが、ローゼが満面の笑みで彼女に言った言葉に、より驚く事になる。
「ぼく、ししょうに見てもらいたくてがんばったんですよ!まだこれくらいしかできないけど、ぼく、いつかはししょうみたいなまほう使いになりたいんです!」
「天使か」
「ししょう?」
 ハッとしてサージュは自身の口を手で塞いだ。頭の中で思ってただけな筈なのに口から漏れていたと気付いた時には既に遅し。傍で彼女の使い魔のパピヨンがぷくくっと吹き出し、彼女の肩に寝そべった。
『あの森の賢者と言われるサージュ様がぁ? たった一人の人間の小童に絆されるなんてぇ? めっずらしいじゃないのぉ?」
「お黙んなさいよパピヨン……私だってこんな拾い物が私を変えるだなんて思ってなかった」
 彼女達がなんの話をしているのか気になったらしい幼子は、パタパタとかけてくると美しいパパラチアの瞳でサージュを見上げた。
 彼女は少し慣れない手つきで頭を撫でると、もっと撫でて欲しいと言わんばかりに頭を押し付けてくるローゼ。その様子を見てだらし無く笑うサージュ。
「きっと愛おしいって、こういうことなのかしら」
「なにか言いましたか?」
「いいえ、何でもない���」
  そう言って彼女はローゼを抱き上げ、瞼に軽く口付けを落とし、膝の上に乗せた。
 ぽんぽんと規則正しく幼子の背を優しく叩けば、安心したのか眠たそうにうとうとし始める彼。まだ体力が少ないからか、魔力の行使には酷い疲れが伴う。先程出した水の泡も、習いたてにしてはよくやった方だ。
「(もしローゼの目が良くなれば、もっと色々なことができるようになる。魔法も、きっと世界だって広がる)」
「(彼の目、どうにかしてあげたいわね)」
 眠りについた、まだミルクの匂いが残る幼子をサージュはぎゅっと抱きしめた。ローゼを育てていく覚悟ができたらしい彼女の目は、爛々と輝いていた。
   幾年、時が過ぎた。ある秋の夜、少年へと育った彼に、サージュは黒いマントを着せた。しっかりと手を繋ぎ移動魔法を唱え着いた先は大きな大木の前。
 久しぶりの外出が楽しみなのか、少し落ち着きのないローゼとはぐれない様に繋いだ手を引っ張るサージュ。ローゼはハッとすると彼女の意図に気づいたのかピタリと横にくっつき歩いた。しかし目は正直なもので、きょろきょろと辺りを見回している。
 妖精の通り道なのか、夜にもかかわらずきらきらと淡く輝く大きな大木の洞穴の先に、木製の小さな扉があった。サージュがコンコンとその戸を叩くと、中から嗄れた老人の声がした。
「こんな夜更けに、どなたかな」
「夜分遅くに失礼するわイレーナ。サージュなのだけれど、この扉を開けてはくれないかしら」
「さ、サージュ様?!」
 酷く驚愕したのか、若干引き攣ったように声を上げた老人と、なにかか倒れガシャーンっと割れる音。たたたたっと足音が近づいてきて、バーンッと勢いよく開けられた扉の先には、
「サージュ様! いらっしゃる時は連絡をくださいとあれほど申し上げましたのに!」
 ローゼ程の背丈の、重たげな三つ編みを右肩に垂らした少女がいた。
「ごめんなさいね、イレーナ。しかし貴方も大概ね、未だに玄関前での応答では老婆の声を使うだなんて」
「これとそれとは話が別ですよ! 全くもう!」
 どうやら老婆の声の正体はイレーナと呼ばれた彼女だったらしい。フリルのついたブラウス、胸元には爽やかな青いサファイアの飾り留めがついた夜色のリボンタイ、深い海色のミニスカート、黒いブーツは作業用なのかちょっと汚い。そして彼女の全身を覆う小豆色をしたマントは、着ているよりかは着させられているようにも見える。藍色の大きくくりっとした目は愛らしく、頬を膨らませたり、ブンブンと腕を振るといった態度は、彼女をより子供っぽく見せていた。
 ローゼもまさかあの声の正体が自分と同じくらいの少女だとは思わなかったのか、唖然としていたが、リスのようなつぶらな瞳を向けられ、驚きのあまりサージュの背に隠れた。
「その子は一体?」
「私の弟子。だから貴女の弟弟子ね」
「弟子?!」
「しかも人間でアルビノよ」
「嘘ォ?! レア物じゃないですか!!」
 突然の報告に口をあんぐりと開けたイレーナは、ブンブンと頭を振って、半分顔を出しているローゼを穴が空くほど見つめた。居心地が悪いのか、ローゼはサージュのマントをぎゅっと握って再び背に隠れてしまう。
「こらローゼ、初対面の人に会ったらどうするんだったかしら」
「……挨拶と、自己紹介」
「そうね。大丈夫よ、イレーナは変人だけど貴方に危害を与えるような子ではないわ。ほら、出て来なさい」
 そう言われ、おどおどと背から出てきたローゼ。そして前を向くと、パァっと目を輝かせたイレーナと目が合った。吃驚するも、一回深呼吸をし、口を開く。
「師匠の弟子の、ローゼです」
「! あっ、えっと私はイレーナ=ヴァン=レイって言うの! 森の國で唯一人間を研究している第1級魔法使いだよ! 宜しくね!」
 パーッと顔を明るくすると、興奮しているのか早口気味に自己紹介をしたイレーナは、ローゼの手を取ってブンブンと振った。握手のつもりなのだろう、しかしその細腕は思ったよりも力強く、振られる度ローゼの体も揺れた。
  自己紹介も程々に、研究所の中へ招き入れたイレーナ。綺麗好きなサージュは、実験後必ず後片付けをする為散らかってもないし、一見するとおばあちゃんの家のような雰囲気なのだが、それと比べるとイレーナの家は正反対とも言える。ローゼは長い廊下の途中で見えた実験室を見て唖然とした。蝋燭で照らされた部屋は、あちらこちらで書物山、実験して失敗したものもそのまま、材料やその残骸は机の上に散乱していた。魔女の家そのものである。
 そんな実験室を抜け、客室に入った。こちらは比較的綺麗に整えてあるらしい。端で分厚い本が積みかさなっているのに目を瞑れば。
 サージュとローゼは部屋の中心にあるソファに座った。続いてイレーナも手前にある一人用の小さなソファに座る。
「それで今回はどんなご用で? もしかしてその人間についてでしょうか?」
「流石ね、そうよ。是非あなたの力を借りたいの」
 そう微笑みながらサージュがイレーナに告げると、嬉しそうに身をくねらせて「森の賢者とも言われるサージュ様に頼られる��なんて感激ですぅ」と言葉を零している。そしてローゼはまさか自分の為にここに来たとは露知らず、サージュを二度見した。
「し、師匠どういうことですか」
 サージュはそう尋ねたローゼの肩を掴み、自分の元へと引き寄せ真剣な表情でイレーナを見つめた。彼女もこれは只事ではないと、だらしのない顔を引き締めて見つめ返す。
「ローゼの目を治したいの。この子は見ての通りアルビノ、目が弱いという事は書物からの情報で知っていたけれど……この子の場合は弱視と一色覚でね」
「弱視に一色覚ですか、これまた厄介な……」
「魔法に関しては本当に目がいいの。魔力の質も洗練されてて良質なものだわ。弱視は眼鏡をかけさせてあげればどうにかなる、でも一色覚、そしてそれによる弱視は……どうにもならない」
「だから私を訪ねたんですか? その子に鮮明な景色と色を見せるために」
「えぇ、そうよ」
 イレーナは額に人差し指を添え、暫く何かを考えている様子。5分経ってもその状態は変わらず。静かな客間に、当人は罪悪感を感じ始めたのか、彼は悩み続ける彼女におずおずと口を開いた。
「あの、イレーナ様……そして師匠も。……僕は別に色なんて見えなくても大丈夫です。目が弱いのも、大丈夫です。今までも大変なことはあったけれど何とかなりましたし、これからも気をつけて行けば、きっと。こんな僕の目のせいで、貴女方を悩ませたくない」
 俯いてそう呟くように告げたローゼを、サージュは容赦なく叩いた。「ぐぇっ」とカエルが潰れるような声がした。サージュは頭を抑えて悶えるローゼの頬を手で包み、無理やり顔を上げさせた。
「ローゼ、自分のことを『こんな』だとか言わないことよ。貴方はこの私が認める最高の弟子、最高の弟子に何かを与えたい、困っていたら助けてあげたいと思うのは師匠として当たり前のことだわ。もう一度『こんな僕』だなんて言って見なさい、実験の材料にしてやる」
 ペリドットの瞳の奥に見え隠れした怒りの炎に体を強ばらせたローゼは、しゅんとして「申し訳ございません」と小さな声で謝ると、手前にいたイレーナが困ったように笑った。
「サージュ様は相変わらずですね」
「私の弟子なのだから、自信を持つべきよ」
「そうですね、何しろこの國で王の次に強いとされていますし、ローゼ君は素晴らしい師匠の元で魔法を学べることを、そして自分を誇るべきですよ。そしてローゼ君」
「はい」
 「魔法使いの世界に限らず、この世界には色が溢れているの。例えば――春には色とりどりの花が咲き、夏には青々と茂る草木が風で揺れ、秋には黄色く赤く化粧をした葉が山を染め、冬は一面銀色の雪景色。空だってそう。朝は優しい薄紅から始まって、昼は爽やかな群青色で元気が溢れ、夕方になれば真っ赤な夕焼けと黄昏て、夜は深い深い紺色で包まれる。そんな素敵な世界を白と黒、しかもぼんやりとしか見えないだなんて、本当に損をしているよ。色は魔法薬を作るにあたってもとっても大事だけれど、私たちの人生にも彩りを与え、そして豊かにしてくれるもだもの。
  私も、サージュも、貴方に是非この世界の美しさを見てもらいたいんだよ」
   暫く話し合い、イレーナは本棚から何冊か分厚い本を取り出すとサージュに渡した。サージュは有り難そうにそれを受け取ると、ローゼも小さな声ではあるが感謝の念を伝え、移動魔法でその場を去った。
 イレーナは誰もいなくなった客間のソファに横たわり、ふーっと溜息をつく。緊張の糸が切れたかのようにダラダラとしていると、奥の扉から背の高い青年が現れた。同じ髪色、同じ目の色、髪型も同じだが、彼女よりも少しツリ目気味な目は涼し気で、エルフにしては高すぎる身長に比べて細い体は少し頼りなさそうにも見える。防水加工がなされているのか、つるつるとした黒いツナギを纏った青年は、ブランケットをイレーナに掛けた。
「イレーナ、おつかれさん」
「ん、ありがとうナハティス」
 にぃっと笑った彼女を指で弾くと、ナハティス――イレーナの双子の弟も悪戯っ子のように笑った。
「しっかしま、今回はよく我慢できたね。人間のアルビノは個体数が少ないが故に実験とか観察といった類の研究結果が少ないんだろう?買おうとは思わなかったのか?」
「私も最初はそうしようと思ったよ。でもサージュ様のあの溺愛っぷり見たでしょう?研究以外に殆ど何も関心を示さなかったあの方が、あんなに自分の弟子を愛して育ててるんだよ? あんなの引き離せるわけないじゃんか……」
「人間狂いとも呼ばれてんのに珍しいこって」
「私だって我慢くらいできるわ失礼な! 」
「ほーへーそー」
「あぁぁーーーーもうナハティスこの野郎からかいやがってーーーー!!」
 ソファから起きあがって、涼しい顔で逃げるナハティスを鬼の形相で追いかけるイレーナ。時折水風船が割れたような音もする。彼らの夜はまだまだ始まったばかりだ。
   サージュはイレーナから渡された書物を元に、研究漬けの毎日を送っていた。色覚異常の症状、メカニズムを調べ、足りない部分用に魔法を作り、弱視用の眼鏡にかける。
 初めはそれで成功すると彼女は確信していたが、結果は否。そもそも一色覚による弱視は網膜に問題があるため、眼鏡をかけても視力は治らない。その上全色盲は全てを補わなければいけない。タダでさえ新しい魔法を作るだけでも月日がかかるというのに、ここまで手間のかかるものであると、その苦労は計り知れないモノだ。
 徹夜で魔力を練る毎日。幾ら魔力量が他の人より多いからと言って、休み無しの実験は体力を奪う。
 ギリギリまで実験を繰り返し、倒れる寸前で眠りにつく。ローゼはサージュの邪魔をしない程度に世話を焼き、家事全般を行った。
 数年経てば、彼の魔法の腕はかなりのものとなった。元々限りなくこちら側であったローゼは、慣れさえすれば息をするように魔法を使いこなせるようになる天才型だ。
 いつものように朝食を作り、サージュの元へ届けると、実験室も机でうつぶせになって眠る彼女を見つけた。
 目の下にクマをつくった彼女は、いつもの様な飄々とした表情ではなく、小さな幼子のように口を開けてよだれを垂らして久しぶりの睡眠を取っているようだった。
「(今日でたしか徹夜7日目だったかな……)」
 彼は、彼女の頬にかかった髪を指でそっと退けた。すると、擽ったそうに彼女は身を捩り、ふにゃりと赤ん坊のように笑った。
 師匠の見たこともない表情に、頬に触れていた指先をピクリとさせると、徐々に顔を赤らめるローゼ。胸に手を当て、ドクドクと勢いよく流れる自身の心臓を感じると、彼は困ったように口元を歪めた。
「(駄目だ、これは駄目なやつだ)」
 それは開けてはならないパンドラの箱。そもそも人間とエルフである彼女の流れる時間は違いすぎる。ふーっと自身を落ち着かせるために深呼吸をし、朝食を空いてるスペースに置いて彼女を抱き上げた。よほど疲れているのか起きる気配はない。
 実験室の奥の彼女の私室を開け、ベットに彼女を下ろすとそっと布団をかけた。
「おやすみなさい、師匠」
 ローゼは額に軽く口付けを落とすと、静かにその部屋から立ち去った。
 「……まったく、こまったこなんだから」
  1人、ベッドの上でぽつりと呟いたサージュは、布団を頭の上まで被り、再び眠りに落ちた。
 カーテン越しの朝日が、ほんのりと部屋を照らした。
  「さぁローゼ、ここに座って頂戴な」
 サージュはローゼの手を取って、木の椅子に座らせた。そして目を閉じるように言い、彼の目蓋が下りたのを確認すると、そっと顔の形を確かめるように皮膚を撫でた。
 サージュよりも小さかった彼も、既に齢50。いつしかサージュの身長を優に超え、シワも増え、初老の男性へと変貌した。
 だけど彼女の愛は依然として変わらない。白銀色のさらさらとした髪、伏せられた長い睫毛、その中で輝くパパラチアの瞳、少しカサつく白い肌、小心者な性格に似合わず大きな体――その全てが愛おしい。
 そしてそっと目蓋に口付けを落とすと、手を離した。
「(貴方の愛に答えられなくてごめんなさいね)」
 サージュはそう心の中で謝罪をすると、懐から銀色の縁をした丸い眼鏡を取り出すと、メガネチェーンを彼の首にかけ、今度はそっと眼鏡を耳にかけた。
「師匠」
「まだよ、焦らないでね」
 そわそわとしだした彼を牽制すると、彼女は少し離れて眼鏡がズレてないかを確認し、うんうんと頷いた。
「よし、いいわ。ゆっくり目を開けて――……」
 ふるふるっと彼の目蓋が震えると、ゆっくりとその目は開かれた。そして、かつて無いほどその目を大きく見開くと、ポタリと雫が目から零れた。
  初めて目にするその景色を、彼は一生忘れないだろう。
  暖かい木の色で作られた部屋、白いレースのカーテンと、窓から入る緑色の木漏れ日、鉢に植え付けた植物には色とりどりの花が咲き、花の蜜を狙って、小鳥たちが遊びに来る。妖精の通り道はキラキラと虹色に光り、ローゼの様子を見に来た隣人たちは、ニコニコと笑って彼の周りを飛んでいる。
 そして、彼の前で慈母のように笑うサージュ。
 「(彼女が見える。優莉のように赤い髪も、森のように深い翠の瞳も、肌にちりばめられた小さな瘢や、薄く紅で色づいている唇も、全部、全部。ぼやけてなんかない、鮮明に、見える)」
  彼は歓喜で震える両手でサージュを抱き締めた。
 そんな彼を優しく抱き締め返し、泣き止まない幼子をあやすかのように背中を撫でる彼女。
    世界は宝石のようにキラキラと輝き、彼を祝福した。
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kuroda-kanbee · 7 years ago
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数年分のコピペ004
2月 11, 2016 放送法に基づく放送をしてください、というのは何がいけないの? 放送法 第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。 一  公安及び善良な風俗を害しないこと。 二  政治的に公平であること。 三  報道は事実をまげないですること。 四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
(中略)
第九十三条  基幹放送の業務を行おうとする者(電波法 の規定により当該基幹放送の業務に用いられる特定地上基幹放送局の免許を受けようとする者又は受けた者を除く。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当することについて、総務大臣の認定を受けなければならない。 一  当該業務に用いられる基幹放送局設備を確保することが可能であること。 二  当該業務を維持するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。 三  当該業務に用いられる電気通信設備(基幹放送局設備を除く。以下「基幹放送設備」という。)が第百十一条第一項の総務省令で定める技術基準に適合すること。 四  当該業務を行おうとする者が次のいずれにも該当しないこと。ただし、当該業務に係る放送の種類、放送対象地域その他の事項に照らして基幹放送による表現の自由ができるだけ多くの者によつて享有されることが妨げられないと認められる場合として総務省令で定める場合は、この限りでない。 イ 基幹放送事業者 ロ イに掲げる者に対して支配関係を有する者 ハ イ又はロに掲げる者がある者に対して支配関係を有する場合におけるその者 五  その認定をすることが基幹放送普及計画に適合することその他放送の普及及び健全な発達のために適切であること。 六  当該業務を行おうとする者が次のイからルまで(衛星基幹放送又は移動受信用地上基幹放送の業務を行おうとする場合にあつては、ホを除く。)のいずれにも該当しないこと。 イ 日本の国籍を有しない人 ロ 外国政府又はその代表者 ハ 外国の法人又は団体 ニ 法人又は団体であつて、イからハまでに掲げる者が特定役員であるもの又はこれらの者がその議決権の五分の一以上を占めるもの ホ 法人又は団体であつて、(1)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者により(2)に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省令で定める割合とを合計した割合がその議決権の五分の一以上を占めるもの(ニに該当する場合を除く。) (1) イからハまでに掲げる者 (2) (1)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体 ヘ この法律又は電波法 に規定する罪を犯して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者 ト 第百三条第一項又は第百四条(第五号を除く。)の規定により認定の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者 チ 第百三十一条の規定により登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者 リ 電波法第七十五条第一項 又は第七十六条第四項 (第四号を除く。)の規定により基幹放送局の免許の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者 ヌ 電波法第二十七条の十五第一項 又は第二項 (第三号を除く。)の規定により移動受信用地上基幹放送をする無線局に係る同法第二十七条の十三第一項 の開設計画の認定の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者 ル 法人又は団体であつて、その役員がヘからヌまでのいずれかに該当する者であるもの http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO132.html (via shinjihi) (mononofuから)
2月 12, 2016 当時16万9千人もいたアヘン中毒患者の問題を日本がどう処理するか、世界各国も注目していた。 『わが国に伝播したらなんとする。吸引するものは厳罰に処すべし。輸入や販売を行なう者についても同様だ。従わないものは台湾から追い出せ。中国大陸に強制送還せよ。』 このような『厳禁説』がさかんに唱えられたが、後藤新平は、『これでは各地に反乱が起き、何千人の兵士や警官が犠牲になるかわからない』と反対して、『漸禁説』をとった。 『まず中毒にかかっているものだけに免許を与え、特許店舗でのみ吸引を認める。新たな吸引者は絶対に認めない。アヘンは政府の専売とし、その収入を台湾における各種衛生事業施設の資金に充当する。』 アヘンを政府の専売とするという破天荒なアイデアであったが、後藤新平の読み通り、大きな混乱もなしに、アヘン中毒患者は次第に漸減して、日本敗戦時には皆無となっていた。」
後藤新平
明治・大正時代の政治家。 台湾総督府民政長官。初代満鉄総裁。 「アヘン戦争」の舞台裏 ~アヘン王サッスーンの暗躍~ (via nyama) (zaq1234から)
2月 12, 2016 【サヨク、マスコミが乱用する志位的解釈(^_^;)】 日韓併合 → 残酷な植民地支配 徴用 → 強制連行 戦時売春婦 → 性奴隷 安保法案 → 戦争法案 靖国神社 → 戦争神社 売・買春 → 援助交際 在日に都合の悪い事実の指摘 → ヘイトスピーチ 放送法 → 努力目標 ←NEW 遠子先輩さんはTwitterを使っています: “ (via jackrose)
2月 12, 2016 日本が空襲された際に、1200万人が被災したわけなんだけど、今でも信じられないぐらい酷いよね。 ririn blackstarさんはTwitterを使っています (via windsock)
2月 13, 2016 エッチなアニメみたら性犯罪に、銃を撃ちまくるゲームしてたら兇悪犯罪に走るって言ってる「ゲーム脳」な方々は、なぜ「スポーツをやってると薬物犯罪に走る」とか「衆議院議員は不倫に走る」とか言わないんですかね。確率的には似たようなモンだと思うんですが。 安達裕章さんはTwitterを使っています(via sukoyaka)(papawanから)
2月 11, 2016 酒・タバコ・風俗・エロ漫画・暴力映画を禁止すると世の中の問題は片付くと思い込むのは、肛門にコルク栓を詰めることを義務化すればこの世からうんこが消滅すると思い込むことに似て非常に愉快である Twitter / tktakakato (via norick)
2月 13, 2016 好感度をあげるコツが、よーく判りましたよ。 自分の能力不足に臆することなく、リラックスして、威張らず背伸びをせず等身大で、そして堂々としていることなんですね。 日本一の自然体っぷり���目の当たりにする:小鳥ピヨピヨ (via kotoripiyopiyo)
2月 13, 2016 切腹が徳川幕府の刑罰とし行われたのは250年間にわずか20件しかありません。 昔の人は…。切腹する時は短刀の柄ではなく、刃の部分を懐紙(のようなもの?)で包み… - Yahoo!知恵袋 (via outxxart)
2月 13, 2016 人間はみな、差別心を持つものだ。しかし差別とはあくまでも行為なのである。差別心がある、ということと差別するということはまったく違うことだ。(岡野憲一郎) balance-meter:
2月 13, 2016 「仕事の報酬は、成長である」 その世界を見失わないことが大切です。 なぜならば、「人間としての成長」とは、 決して失われることのない報酬だからです。 たとえば、仕事の報酬としての「給料」や「地位」は、 給料を使い、地位から退けば、その報酬は失われてしまいます。 また、身につけた職業人としての「能力」も、 時とともに腕が落ちることもあるでしょう。 新しい技術の出現によって陳腐化してしまうこともあるでしょう。 仕事の思想 / 田坂 広志 (via qsfrombooks)
2月 13, 2016 パプリカといえば韓国産が安く買いやすいですが、韓国のパプリカは日本に輸出する為に作られています。今までエトプロホスという農薬で検査に引っ掛かっていましたが、民主党が検査���止めました。その為、今販売されている韓国産は検査されていない危険なモノなので絶対買わないで下さい。 Twitter / inazumahqjaru (via cardboard-box)
ですよねー
(via majidex)
2月 13, 2016 NHKで榊原英資氏「米国の交渉圧力はすごい。とりわけ世論誘導力がすごい。NHKなども簡単に操作されてしまう」とよく言ってくれた。彼は以前「米国と交渉するときは、必ず日本の中で後ろから玉が飛んでくる。それは、日本のマスコミである。米国は日本のマスコミ対策をしている」と言っていた。 Twitter / @tokunagamichio (via toronei)
2月 13, 2016 あなたは人を信頼している。その水道から水が出てくる事を疑いも無く信じてる。横断歩道を渡る時、車が止まると思って歩いてる。コンビニのレシートを全部チェックしない。日本はそれが当たり前になっているから自分が人を信じている事も気付かない。あなたは人を信頼している。 (via shinjihi)
2月 13, 2016 全国高等学校漫画選手権大会に参加する選手諸君。 外務大臣麻生太郎が、まんが甲子園の諸君にこうしてあいさつを言える。 数十年漫画を読み込んで来た者として、こんなにうれしいことはありません。 勝ち上がってきた諸君、暑い夏は、君たちのために準備されていたようなものだ。 白球を追うばかりが甲子園ではありません。 指先が痛くなるまでペンを握りしめ、 白々と夜が明けるまで机にかじりつくのだって、 君たちの青春、勝負だろうと思います。 日本人くらい、マンガの文法を自然に身につけている国民はおりません。 このコマは、どうしてこの大きさなのか。 なぜここは、背景が真っ黒でないといけなのか。 君たちには、その理論が知らないうち身についている。 なぜ身についたか。 君たちの前に、偉大な先人の独創があった。 その前には紙芝居という、これも日本の発明がありました。 伝統はえんえんとさかのぼり、かの「鳥獣戯画」までいくのであります。 その伝統の最先端に、君たちがいま、栄冠かけて競い合おうとしている。 マンガは友情を描きます。 人生をたった一コマに詰め込み、人の世の、喜び苦しみを描く。 CGには絶対つくれない夢の世界を、二次元世界に定着できる。 それをすべて、君たちのペンが成し遂げられるのです。 このことに、世界はやっと気がつきました。 世界中でいま、猛烈な学習を始めています。 外務大臣としてこのあいだ、国際漫画賞というのを出しました。 香港の漫画家が第一回の受賞者になって、 マレーシア、香港、オーストラリアの作家には奨励賞を出しました。 彼らの作品を見ると、日本の漫画家の誰から影響を受けたかすぐわかります。 ドイツからブラジルまで、応募作品どれ一つを見ても、日本の影響が色濃く出ていた。 漫画はいま、世界の人々が夢を紡ぎ、愛を語り、怒りをぶつけるメディアになったのです。 そしてその誕生の地、日本の、最も熾烈な戦いの場に今君たちは出動しようとしている。 君たちのような存在が、世界中の若者からどれほど羨望のまなざしで見られているか。 ぜひそれを知っていてほしい。 最高峰のフィールドに、君たちは立っている。 まんが甲子園の選手諸君。 ストーリーをとことん練れ。 線に目一杯命を賭けろ。 君たちの作品を、雑誌で読める日を待っています。 外務大臣 麻生太郎 外務省: 第16回 まんが甲子園 麻生大臣挨拶 (via zokuzoku)
これは素晴らしい。
(via 4kshike) (via konishiroku) (via ultramarine, plasticdreams) (via gkojax-text) (via kokirikoo) (via tomine) (via jaguarmen99)
実際いまの米国アニメって日本アニメの影響をものすごく受けていると思う(大きい目とか等身とかカワイイ系の造形とか)。ただそれを踏まえた上で既に独自路線へと進んでいるのも確か。
(via yoosee)
2月 13, 2016 まず、めらめらと怒りが湧いてきて頭に血が上ってきたら
①手がグーになってたらパーに開く ②手が前にあったら後ろで組むかポケットに入れる ③物を持っていたら置く ④深呼吸をする ⑤子供と10分程はなれて、好きな場所でお茶や小物などを置き怒らなかった自分を褒める ⑥どうしてもやばいときはその場に座る アンガーコントロール | mamma-man! (via shinoddddd)
2月 13, 2016 科学が証明したすぐ幸せになれる16の方法 すぐ幸せになれる、ちょっとしたこと5つ ・ほほえむ ・背筋を伸ばして大股で歩く ・声をあげて笑う ・お茶の時間など、小さな瞬間を楽しむ ・ほかの人に親切にする 毎日の習慣になると幸福になる6つのこと ・祈る ・動物と遊ぶ ・感謝の日記をつける ・楽しい音楽を聴きながら協力しあう ・睡眠を十分にとる ・公園に散歩に出かける 少しがんばると幸せにつながる5つのこと ・運動する ・瞑想する ・ボランティア活動に参加する ・旅行に行く ・セクロスする 科学が証明した「すぐ幸せになれる16の方法」 | ライフハックちゃんねる弐式 (via eldstorm)
2月 13, 2016 ほんとうに人を愛するということは、その人が一人でいても、生きていけるようにしてあげることだと思った。  『道ありき―青春編』     (via mmgen)
2月 13, 2016 使わないものは捨てるとかそういうことじゃない それはおかしい フォトアルバムまで捨てるとか頭がイカれてる 1年に1回も開かなかったから捨てるとか 何のためのフォトアルバム 断捨離とか言うクソ掃除術wwwwwwwwwwwwwww - カオスちゃんねる (via darylfranz)
2月 13, 2016 白人様はどうやら見た目の愛らしさで「殺して良い動物」と「殺して良くない動物」を区別しているようだが何を用いるのであれ恣意的な基準で動物を仕分けるロジックを平気で使えるから人種差別もお手の物なんですよ。 Twitter / Kelangdbn: 白人様はどうやら見た目の愛らしさで「殺して良い動物」と「殺し … (via windsock)
2月 13, 2016 「あいつは・私に・ひどいことをした」 この一言をお守りにして生きている人は多い。何かと言えば、水戸黄門の印籠のようにこれを示す。「私は傷ついている印籠」を示す。寛容な目で見ればかわいそうな人であり、客観的に見れば脅迫者だ。 結城浩さんはTwitterを使っています (via hutaba)
2月 13, 2016 いいですか。「誰かを恨む」というのは、「誰かを心の底から恨み恨み恨み続けて生きる」というのは、その相手を、自分の「生涯の伴侶」にするような行為なのです。 結城浩さんはTwitterを使っています (via hutaba)
2月 13, 2016 百田氏 「もし戦争が始まったら9条信者を最前線に送り込んで9条を唱えてもらおう世界は奇跡を見ることになるだろう」 この発言に赤旗は「百田は9条支持者を最前線に送り込んで殺そうとしている」と反発 なんだ赤旗も9条を唱えていても殺されるって わかってじゃんw toshichan25さんはTwitterを使っています
2月 13, 2016 日本人は才能に人間性まで求めすぎなんだよ 音楽の教科書の載ってるやつの9割は人間のクズだぞ あばばさんはTwitterを使っています (via c610) (toutiku-m44から)
2月 13, 2016 壊死によって指の切断を余儀なくされた少女は、英国の化粧品店で、3.2米国ドル(約330円)のマニキュアを買った。使用してしばらくすると、爪がどす黒く変色し、同時に化膿していった。病院へ駆け込み、処方された抗生物質を服用したが、症状は改善されない。最後は、壊死した右手人差し指の先端を、手術で切断しなければならなくなった。  中国のファンシーショップで販売されるマニキュアは、いずれ���「三無産品(メーカー、製造工場、商標番号の記載がない商品)」で、成分、製造年月日、品質保証期限などの表示がない。これは、ファンシーショップばかりではなく、ネイルアート専門店であっても同じことがいえる。専門家は「マニキュアの成分は、可塑剤、有機溶剤、色素からなる。そのうち有機溶剤は、特に人体へ害を及ぼす危険性がある。ある種の有機溶剤は、石油系樹脂に反応して溶解することがあるからだ。有機溶剤の含有量がわずかでも、溶解して身体に吸収され、内分泌系や生殖系の器官に悪影響を及ぼす可能性がある。特に妊婦は使用すべきではない」と指摘する。さらに「マニキュアを塗った手で食べ物に触れない方がいい。マニキュアに含まれる脂溶性化合物が溶解して、油の中へ溶け出すからだ。特に油分を多く含んだ油条(中国の揚げパン)やケーキ類は要注意。マニキュアも除光液も、長時間爪に塗布していると、肝臓や腎臓に有害物質が蓄積され、慢性中毒につながる可能性がある。それ以外にも、爪の抵抗力が弱まり『爪ひょうそ』になる確率が高くなる」と注意を喚起している。 U-1速報 : 中国製粗悪品を使用した英国人が指先壊死。抗生物質を投与するも全く効果が見られず (via 774rider)
怖ぇーーーー!怖過ぎる!シナ製のマニキュアで指が壊死!!!! ;°#°)(°#°;(°#°;
(via shinjihi)
2月 14, 2016 @zhtsss: どんな人も馬鹿にしない。この行為こそ、どれほど難しいか。そして、この行為こそ、どれほど多くの学問への道を開くのか。学問とは問うという学びである。人の言葉に耳をすまし、自分の問いへの礎にする。敬意こそ学問の神なり。人を愛すという行為は感情であり学問である。つまり学問とは感情でもある
すばらしい。
(via stilllll)
2月 14, 2016 魏呉蜀のそれぞれの終わり方を見ていると、大企業は実績が出せなくなったときにより強いところに買収されて終わり、オーナー企業はトップが晩年狂うか跡継ぎがダメかで終わり、ベンチャーは志が途切れたところで終わるのがよくわかる Twitter / kazztaka (via sieben002)
2月 14, 2016 イオンのTOPVALUが殆どの商品に原産国、生産者(国)を表示していないことは事実だ。事実を指摘され、逆切れして抗議するイオンは、おかしい。セブンイレブン・ジャパンも、イオンから抗議されても謝罪する必要はなかった。セブンイレブンがイオンに謝罪するのではなく、イオンが消費者に謝罪しろ。 正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現 イ○ンのT○PVALUは生産国がラベルに表示してありません・イオンが7-11の表示に逆切れ抗議 (via nakawankuma)
2月 10, 2016 急かして早く決断させようという態度が見えた時は、交渉のテーブルから降りよう。  恐怖という霧で、あなたを惑わせようとする人間に、いい人はいません。 後悔しない、迷わない!「人生の決断」5つのチェックポイント : earth in us. (via mcafee-x6) 保険屋のねーちゃんも賃貸扱ってる駅前の不動産屋もだいたいこのたぐい。 (via highlandvalley) (元記事: 46187 (andi-bから))
2月 10, 2016 ・ 朝、起き抜けに甘いものを少し口にすると脳が目覚める ・ 免許更新の際の交通安全協会は加入しなくても良い ・ 切手や葉書は手数料を支払えば別の種類の切手・葉書に交換できること。 ・ 切手でゆうパックが送れる。 ・ 保険料の免除申請 ・ ハードコンタクト付けるときの異物感はコンタクト専用目薬を一滴垂らすと良い ・ 書けなくなったマッキーは除光液で書けるようになる ・ 油性ペンをビニール袋に入れ空気抜いて軽くしばって保存すると長く使える ・ 100均に売ってる靴の防寒用中敷きはかなり暖かい ・ クルマの駐車場は屋根があるとないでは、長年経つとその差が歴然。 ・ 布団干す時に黒いビニール袋を覆うようにかけるとダニが完全に死滅する。 ・ 白い靴を真っ白にしたいときは、ボディーソープを使うと真っ白になる。 ・ 換気扇をつけて、そこから一番遠い窓だけを少し開けると風がドンドン入ってくる。 ・ ジーンズは穿く度に洗った方が長持ちする ・ 冷蔵庫の蒸発トレー(受け皿)に水が溜まって汚いから掃除した方が良い ・ 卵のパックは熱湯をかければ、ぺちゃんこになる ・ 形状記憶ワイシャツは、ビショビショのまま干した方が、よりシワになりにくい。 ・ 空港の展望デッキは無料でのんびり飛行機を眺められて、楽しい 必見!「知らない人は損してるなあと思うこと」まとめ | AUTHORITY SITE (via shiche) (yoshitsuchiから)
2月 10, 2016 なぜフェンスが建てられたのかわかるまで、決してフェンスをとりはずしてはならない(チェスタートン/ジャーナリスト・作家)
2月 7, 2016 詰め替え式のシャンプーで中身を詰め替えて、 容器を乾燥させないで使い続けると 緑膿菌というバイ菌でシャンプーしてんのと同じ。
2月 7, 2016 人の大切なものを大切にしたら自分が大切にされた! 坂本 達 (via handa, anepan)
2月 8, 2016 冗談ではなく日本では警察が被害届を受理しないと犯罪として認知されないから、被害届受理の運用が変わるたびに特定の犯罪が急増したり、急減したりするんですよね。 これを利用すれば特定の犯罪が増えているようにも見せかけることができる。ちょっと前の例だとストーカー犯罪で、桶川事件の失敗から積極的に受理されるようになり認知件数は増加。これをマスコミは近年ストーカーが増えているとミスリードした構図。昔からそんなのあるって。 近い将来、ネットと児童「ポルノ」の関係ががこの構図に乗るんでしょうね。 埼京線の全編成���痴漢防止目的の車内防犯カメラを設置へ - スラッシュドット・ジャパン
2月 8, 2016 「ひとりの人物の苦労話に光をあてたドキュメンタリー番組を観て感動してたら、開始30分でだんだんとその人物の健康の話になり、40分後には青汁を飲み始める」という罠に5回くらい引っかかってる。 中塚武さんはTwitterを使っています (via quotation2)
2月 8, 2016 古武術系の人は呼吸法について、「カラダの本能的な動きのうち、唯一じぶんでコントロールできるのが呼吸なのです」という。だから、呼吸法に意味があるのだという。その言葉を聞いた当初は、よくわからなかった。 なにがコントロールできるのか、なにがコントロールできないのか。そういう観点で世の中を眺めた経験はそうない。そういう観点でみると、なにがわかるんだろうか。 社 長の成功談で聞く類型のひとつとして、目標はコントロールできる形にしておかなければならない、というものがある。営業職の人に、○○円を売り上げろ、と いう目標は筋が良くない。売上金額というのは、営業職ひとりでコントロールできるものではないからだ。彼がコントロールできることは、何日間で何人と会 う、とかそういうことだ。 テニスコーチのガルウェイはこう言う。「あなたの打ったボールはどのくらいの距離でアウトしている?」彼は、 「ボールを枠内に入れろ」とは言わない。生徒がコントロールということを理解するための、重要なヒントを提供している。なにが今、コントロールできること なのか。コントロールするためには、何をわかっていないといけないのか。 コントロールに関する勘違いをなくすことで、生活はだいぶスムーズになるんじゃないかと思う。コントロールできないことについて直接考えない。コントロールの範疇にないものについて、コントロールの影を読み取らない。 わ れわれが何か悩んでいるとき、そこには自分がコントロールできないものが絡んでいることが多い。初心者が、ボールを枠内に入れようと悩んでも、その点につ いてのコントロールスキルはないのだから仕方がない。まずは、自分の行った行為が、どういうふうにズレを起こすのか。そこを知るところからだろう。 怒っ ている人がたくさんいる。他人に、悪意のある振る舞いをされて腹を立てている。たとえば、政治に腹を立てている。ほんとうに、それは悪意なのだろうか?相 手は、そんなに状況をコントロールできるような力があるのだろうか?それは単に無知や無能なのではないだろうか?だとすれば、こちらはどのようにそれに対 して、自分のコントロールの範囲で手を打つべきか? どうも自然と、自分のこと、世の中のことに対して、人はコントロールを見いだしすぎる ようだ。そんなにコントロールできることはないし、みんなもそんなにコントロールしていない。コントロールのできる範囲について、冷静に、独自のラインを 見極められる人は、なんか”クール”だ。 コントロール幻想 - β2 (via flatmountain)
2月 8, 2016 九州の人が「うわ地震だ怖い」しか言わないのに対して、関東の人は「強いね」「震度4くらいでしょ」「縦揺れ、短かったし震源は浅め」「底から突き上げるような衝撃のあと、激しい横揺れ」「揺れがやたらと長い….震源が深いな」みたいなコメントを残すから、地震ソムリエかよってなります Twitter / kurikuri39Ri (via tkr)
2月 8, 2016 北朝鮮のミサイル発射でわかる売国奴 ・SEALDs「ミサイルじゃないよ、人工衛星だよ」 ・共産党「北朝鮮にリアルの危険があるのではない」 ・社民党「いたずらに北朝鮮の脅威をあおるな」 ・翁長雄志「PAC3に一体全体どんな精度があるのか」 500円さんはTwitterを使っています (via windsock) (kennakから)
2月 8, 2016 以前、日本で指折りの画力があるで有名な絵描きの人と飲む機会があったんだ。 で、絵の上達法の話になったんだけど 「質×量=総合的な腕前」これを明確に否定はしなかったけど、その上で 「絵 は 量 が す べ て!!!」と断言していたよ。
酒の席だったし立場上俺が上だったから、色々と突っ込んでみたんだけど俺の 「じゃあ、へのへのもへじでも大量に描いたら絵が上手くなるって言うんですか!!!」 という発言に声を荒げて「確実になる!!確信している!!!」と断言した。
確かにその作家のスケブには訳わからん幾何学模様やホネホネ人間、 狂ったように塗りつぶしたページがたくさんあった。 その人が言うには人間の脳には絵描き回路みたいなものがあって、 例え絵になっていなかったとしても手を動かすとそこに電気が流れて 回路がクロックアップするらしい。
>質をおろそかにして何万枚描いても無駄だし これは完全に否定していた、まったく同じ事を俺も聞いたから。 「質は量に付随する、量は質に転化するけど逆は絶対に無い」だってさ。
もうかなり前の話で「やっぱ天才は頭おかしいんだろうな」ぐらいにしか思わなかったけど、 ここ最近かな、彼の言った事がちょっぴり判ったかもしれない気になった。 ちなみにこの人の名前は絶対に言えないけどテラカツではありません(^^; 本人が見たら一発で俺バレるな(汗 絵の上達法・練習法に関する有意義発言を拾ってきてまとめるスレ | お絵かき速報!萌え絵上達法 (via ns2t9v99ae) (yasaiitameから)
2月 8, 2016 1. Do not let others do your thinking for you 自分で考えるべきことを他の人に考えてもらってはいけない 2. Focus on what you like 自分が好きなことにフォーカスしよう 3. Good habits for life & investing 生活と投資のためになる良い習慣を確立しよう 4. Common sense? not so common 常識を疑おう 5. Attention to details is what separates success from failure 細部への注意が成功と失敗を分ける 6. Let the world be a part of your perspective 世界を自分の視野の一部に含めよう 7. Learn philosophy & learn to think 哲学を学び、考えることを学ぼう 8. Learn history 歴史を学ぼう 9. Learn languages (make sure Mandarin is one of them) いくつかの外国語を学ぼう(そこには中国語を含めよう) 10. Understand your weaknesses & acknowledge your mistakes 自分の弱みを知り、間違いを認めよう 11. Recognize change & embrace it 変化を捉えて、それを取り込もう 12. Look to the future 未来を見よう 13. “Lady Luck smiles on those who continue their efforts” 「幸運の女神は努力しつづける者に微笑む」 14. Remember that nothing is really new 真に新しいものなどないことを思い出そう 15. Know when not to do anything 何もすべきでない時があることを知ろう 16. Pay attention to what everybody else neglects 誰もが無視していることに注目しよう 17. If anybody laughs at your idea view it as a sign of potential success もし君の考えを皆が笑うならば、それは成功する可能性のきざしだと考えよう 投資家ジム・ロジャーズによる「Keys To Success」17か条 - Zopeジャンキー日記
2月 8, 2016 ただし「ありがとうアメリカ」「太っ腹」と言えるほど単純な話でもなく、アメリカはGPSの無料開放はしていても、利用の保証はしていません。 もしもアメリカが他国のGPS利用に制限をかけたら、交通網をはじめ社会機能そのものが麻痺しかねない状況であるため、強力な外交カードになっている側面もあるとのことです。 なぜGPSが無料で一般利用できるようになったのか…きっかけとなった事件:らばQ (via twinleaves)
2月 8, 2016 赤ちゃんを連れて、スタッフは出勤してきます。普通です。現在は、運営しているメンバーも含めると、半分くらいが赤ちゃんを連れて仕事にきます。 基本的には、0歳から3歳までを赤ちゃんって呼んでます。4歳からは幼稚園に通う感じですね。 別に、託児所併設とかではなく、一緒にいます。 なので、利用者であるおじいちゃんやおばあちゃんも、スタッフの赤ちゃんのことを見守ったりあやしたり、一緒におやつをつくったりします。近くの公園にも一緒に散歩に出かけます。 祝日や夏休み、冬休みは、大きな子たちも来ます。なので、パートさんの祝日出勤率は高いです。 なので、シフトの組み方も柔軟にできます。 誰も書いてくれる人がいないので、「赤ちゃんのいる老人介護デイサービスのすごいところ」を書いてみます。|ワタナベ・J・フォックス|note (via abe-street)
2月 8, 2016 「女の子に好きになってもらいたかったら、女の子が喜ぶことをしてあげればいいんだよ。」というアドバイス「志望大学に合格したからったらテストで正解を書けばいいんだよ。」ぐらい有益ですごく役に立つ!!ありがとう! 人生は素晴らしい!!! 砂鉄 on Twitter (via quotation2)
2月 8, 2016 うちの母は子供の教育には無頓着、と言うか全般的に適当な人だったんだけど、そんな母の口癖が「あぁ、あの人は怒ってる人じゃなくて怒る理由積極的に探してる人やわ。絶対近づいたらアカン」ってやつ。この言葉の持つ意味、この年になってなんとなく意味わかるわ。 Twitter / court_season (via netinago99)
2月 8, 2016 ・どうせ一年後には忘れてることだから ・命まで取られるわけじゃない ・この広い宇宙に比べたら・・・ この3つで何でも乗り越えられる 未設定 (via c-c-e) (kowalski38から)
2月 8, 2016 * 確信犯 ×悪いと知りながらやっている ×わざとやったのにシラを切っている ○本人が完全に正義と確信してやっている * 課金 ×客が運営会社に金を払う ○運営会社が客から料金を取る * ネガティブキャンペーン ×自分の不遇さをアピールして自分を有利にする ○敵対している相手を批判して自分を有利にする * 役不足 ×当該人物の能力では無理 ○当該人物の能力では簡単すぎる * 逆ギレ ×静かだったのに急に怒り出す ×激しく怒り出す ○加害者側が怒り出す 特に目立つ日本語の誤用 - うさだBlog
2月 8, 2016 ヒトが運転しなくてもいい自動車には、こんなに素晴しい使い道があります… プログラムを改造し、歩行者天国に突っこませる。 人間のかわりに爆弾を載せる。 自動運転カーの将来 2015-10-07 [Wed] 12:44 (via cokeraita) (kowalski38から)
2月 9, 2016 EXILEの収益内訳はジャージなどのアパレル部門が圧倒的で、収益的に「本業」を定義すると「歌って踊れるジャージ屋さん」 ソフトバンクは「本業が不明」だから強い? (via lastscenecom) (chkk525から)
2月 9, 2016 「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己れを尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」(西郷隆盛)
2月 9, 2016 「みんながよくなるように、みんなが喜んでくださるようにと絶えず配慮している女性は、なんともいえない美しさをそのまわりにかもし出してくる。」(紀野一義)
2月 9, 2016 「タウリン1000ミリグラム配合!」 …カキフライ一個分である 無駄な知識などない - タウリン1000ミリグラム配合!
2月 9, 2016 友達でも恋人でも良いけど、自分が親しく付き合ってる人が、無条件に自分のことを全部好きでいてくれるわけなくて、どこかで我慢してくれてたり許されたりしてる部分はあると思うよ。好きだから受け入れてくれてる、っていう簡単な事実をなおざりにすると、失うものは大きい。 Twitter / erk391kt (via c610) (yokokickから)
2月 9, 2016 本当にやりたいことがあるのなら、「みんなに相談」してはいけません。 逆に「まずみんなに相談しないと…」と思っているのなら、それは「やりたく ない」ということ。「止めて欲しい」ということなのです。 そのことに気がつかないと、永遠に、 「本当はやりたいのに、みんなが止めるから、できなくなっちゃったー」 「あの人がああいうから、やれないんだよな…」 なんていうムダな思考にハマったまま、一生を終えることになります。 したいのなら、黙ってすること。 もし、「本当にしたくて、ただアドバイスが欲しい」 と思うのなら、心から尊敬する人に、 「○○したいんだけど、どう思う?」ではなく、 「どうやって○○するのがいいと思う?」と聞くこと。 キスしていいか、聞かないで。 決断の心理学 | 〓 心理学ステーション 〓 世界一セクシーに心理学を学べるサイト
2月 9, 2016 かつて私は、ある刑務所で「薬物依存離脱教育プログラム」に携わっていました。プログラムは覚せい剤取締法の累犯者を対象とした、1クール12セッションのグループ療法であり、毎回、初回のセッションを私は担当していました。 私は、セッションの冒頭で必ず次のような質問をすることにしていました。 「このなかで、これまで覚せい剤のことで、親、兄弟、友人、恋人、親分、兄貴といった人たちから、『ヤキ』を入れられたことのある人、手を挙げてください」 (略) さらに私は受刑者たちに対して質問をたたみかけました。 「それでは、ヤキを入れられたとき、どんな気分になりましたか?」 すると今度は、さすがの受刑者たちも、うつむいたまま隣の受刑者を横目で見ながら沈黙しているのが常でした。あるいは、怖い顔をして同席している刑務官の存在を気にしていたのかもしれません。 しかしあるとき、一人の受刑者が私の質問に答えてくれたのです。 「余計にクスリをやりたくなりました」 そして、この勇気ある発言に触発されて、他の受刑者たちも続々と、「自分もそうでした」という告白をはじめたのです。 私の質問は、完全に確信犯的なものでした。自らの臨床経験から、再使用によって最も失望しているのは、誰よりも薬物依存症者自身であることを知っていたからです。問題は、ひとたび依存症に罹患した脳は、「また使ってしまった」という自己嫌悪と屈辱感を自覚した瞬間に、「とてもシラフじゃいられない」と感じ、脳にインプットされた覚せい剤渇望のスイッチをONにしてしまうのです。 なかには、「こんな自分は消えた方が世の中のためだ」などと考え、死のうとしていつもの何倍もの覚せい剤を注射する者もいます。「余計にクスリをやりたくなった」とは、要するにそういう意味なのです。それで、結局また覚せい剤を使ってしまうわけです。 いかなる理由からであれ、薬物を使えば使った分だけ進行するのが依存症です。そういう意味では、「ヤキを入れた」周囲の思惑とは裏腹に、周囲はその人が覚せい剤を使うのを促し、依存症をさらに重症化させるのに一役買ったことになります。 薬物依存症は罰では治らない / 松本俊彦 / 精神科医 | SYNODOS -シノドス (via ataru-mix) (genngakkiから)
やってはいけない筋トレ (青春新書インテリジェンス)(坂詰 真二)のまとめ 2月 9, 2016 ■毎日筋トレをしてはいけない  ・筋トレは回復させる時間、休息が必要  ・回復に必要な時間は48~72時間、効果的な筋トレは週に2~3回が適当 ■筋トレは回数多くやってはいけない  ・筋肥大をさせるには、筋肉が出せる力の70~80%の負荷が必要  ・10回前後しか反復できない程度の負荷が最適  ・回数よりも負荷が大事で、15回、20回と繰り返せても筋肥大は望めない ■腹筋運動だけをしてもお腹は割れない  ・6パック(お腹が6つに割れた状態)は腹筋運動だけではできない  ・体脂肪10%以下にならないと、6パックはハッキリと見えない ■筋肉痛のある筋トレはやってはいけない  ・筋肉痛はやった感があるだけで、効果とは無関係 ■3食きちんと摂ればプロテインはいらない  ・筋肉が増えるのは同化が異化を上回ることが大事  ・同化:周囲からアミノ酸を摂り込んでタンパク質に合成し、筋肉を作る  ・異化:タンパク質をアミノ酸に分解する作業  ・筋トレ前の2~3時間前に食事でタンパク質を摂れば、同化が起きる  ・筋トレ前の2~3時間前に食事で炭水化物を摂れば、異化は防げる ■筋トレは1セットだけやっても意味がない  ・1セットだけでは筋肉の本来持っている力の30~40%しか発揮されない  ・3セット行なって始めて、ほぼ100%の筋繊維が鍛えられる ■体幹だけを鍛えない  ・理想の体型を作りたいなら、体幹よりも下半身を鍛える  ・下半身は、筋肉量の半分以上を占める  ・体脂肪を減らすためには、下半身を鍛えるほうが効果が高い ■重りはスピーディーに動かしてはいけない  ・抵抗を受けながら、ある程度ゆっくり動かさないと筋肉には効かない  ・適切なスピードは、重りを1~2秒かけて上げて、2~4秒にかけて下ろす ■筋トレ前に長時間ストレッチをしてはいけない  ・静的ストレッチ:ヨガのような1つ1つの筋肉を伸ばして静止する  ・筋トレ前に静的なストレッチをすると、リラックスし筋肉が発揮できる力が低下する  ・静的なストレッチは筋トレ後のクールダウンで行なうのがベスト ■筋トレ前にジョギングをしてはいけない  ・筋トレの主なエネルギーは、糖分  ・ジョギングの主なエネルギーは、糖分と脂肪の両方  ・筋トレ前にジョギングすると、糖分を使い果たし、筋肉がガス欠してしまう  ・双方の効果を最大に引き出したいなら、筋トレ⇒有酸素運動の順番で
2月 9, 2016 「おすもうさんは、寒くない」と、 ついつい、人は、思ってしまうものです。 だけど、どの「おすもうさん」も寒いんですよね。 同じ人間ですからね。   お笑いの仕事をしている芸人さんたち、 特に弱さを前に出している芸風の人たちは、 街で悪ガキにからかわれやすいと聞きます。 「お笑いの人は、いつも陽気」と思われてるんでしょう。 だけど、笑いの仕事をしている人のほうが、 かえって恥ずかしがりだったりするんですよ。 格闘技の選手たちは、鍛えているから 殴られても「あんまり痛くない」と思われていたりね。 痛いんですって、ちゃんと人並みに。 試合中は別の緊張感があって、 痛みを感じにくいだけで、痛いのは痛いそうです。 当たり前なのに、理解されにくいんですよね。   いや、たまに、そういうことをね、 かわりに言っておいてやろうかな、と、 おせっかいなことを思ったんです。 雪の日には、寒がってる犬も多いんだぞ、とね。  ほぼ日刊イトイ新聞 - 目次 (via tokyotaida) (genngakkiから)
2月 9, 2016 牛の衛星写真から数千年も見過ごされていた事実が判明した。牛は食事のときと休憩のときは必ず地球の磁極、すなわち北か南を向くのだ。 ワクワクすっぞ!科学では解明できない10の生命ミステリー : カラパイア (via futureisfailed)
2月 9, 2016 これって自分以外の人にも超使える。「あれ、最近痩せた?」とか「なんか最近顔色良いねー」とか「最近冴えてるねー」とかっていう「言われてみればそうかもしんない」ってレベルの言葉ってマジでじわじわ効く。どんどんその人元気になる。ちなみに現代版の呪いと言われる技術は、この真逆をやる
2月 9, 2016 僕にとって賢い人とは、「自分が何を成したいかわかっており、その為に何を日々やるべきかわかって行動を積み重ねており、しかし結局圧倒的な偶然性には勝てないことを理解している人物」です。
2月 9, 2016 届いたダイレクトメールは開封せずに赤いペンで受取拒否と書き認印を押してポストに投函すると発送元に返送代が請求されるので大抵リストから外れる。 #有益なことをつぶやこう ふぁぼったー / ys_salt (via squarejewel) これ、実際やってみたらホントにDMが来なくなった。おすすめ。
2月 9, 2016 戦時中の新聞や書物には、「人口戦」という言葉がしばしば登場する。  相手国民を減らし、弱体化させるための作戦を展開するのだが、虐殺ではなく、経済封鎖などによって出産期の女性や小さな子供の健康に影響を与え、あるいは結婚や出産をためらわせる思想を普及させる間接的な形で実行される。  連合国軍総司令部(GHQ)も例外ではなかった。目に留まったのは、戦前、産児制限の普及運動に取り組んでいた加藤シヅエ氏(1897~2001年)たちだった。  産児制限を合法化し日本に定着させる推進役となることを期待し、女性の立候補が認められた昭和21(1946)年の戦後初の総選挙で、加藤氏らを後押ししたのである。 【人口戦】日本の少子化は「人災」だった(上)戦後ベビーブーム突如終焉(1/6ページ) - 産経ニュース (via irregular-expression) (gpx250r-ninjaから)
2月 9, 2016 GHQがこだわったのが、産児制限を認める法案を議員提出とすることだった。「日本人自身の意思で法制化した」とする必要に迫られていたのである。  当然のことながら、占領下とはいえ日本政府は産児制限の受け入れを拒絶した。芦田均厚相は、20年12月15日の貴族院本会議で「一度出生率が減少傾向になった場合には、人口増加の傾向に回復することは困難である。人口が過剰であるからといって、すぐに政府が公然と産児制限を認めることは、慎重に考慮を要することだ」と答弁している。 page: 5  人口の多寡が「国力」を意味した戦前・戦中において、産児制限は「民族の自殺」であり、将来的な国家の滅亡につながると考えられていた。第二次大戦が終わってなお、日米間で国家の存亡をかけた「静かなる戦争」が続いていたのだ。 【人口戦】日本の少子化は「人災」だった(上)戦後ベビーブーム突如終焉(1/6ページ) - 産経ニュース (via irregular-expression) (gpx250r-ninjaから)
2月 9, 2016 リーダーの笑顔は、「義務」です。 小飼弾の 「仕組み」進化論 / 小飼弾 (via qsfrombooks) (yayoilibから)
2月 9, 2016 スヌーピーのある漫画に以下のような言葉があります。 ルーシーという女の子がスヌーピーにたいして以下のような問いをします。 「SOMETIMES I WONDER HOW YOU CAN STAND BEING JUST A DOG..」(時々,あなたはどうして犬なんかでいられるのかと思うわ…) それに対してスヌーピーは以下のように考えます。 「YOU PLAY WITH THE CARDS YOU’RE DEALT」 (配られたカードで勝負するっきゃないのさ) 「WHATEVER THAT MEANS」(それがどういう意味であれ) 個人的にこの考え方を座右の銘にして生きています。 完璧主義の人は、配られたカードで戦うことを意識しよう | nanapi[ナナピ] (via flatmountain)
2月 9, 2016 日本共産党は党内の最高職として 日本共産党中央委員会議長というものがあります。 野坂参三、宮本顕治、不破哲三といつものとおり「党内での選挙とかは経ず」に就任してきました。 不破哲三が隠居するに当たって志位和夫をこの職には就けませんでした。 そのため日本共産党中央委員会議長は2006年以降ずっと空位となっています。 その不破哲三は共産党の金で全国に約10箇所ほど作っていた別荘のうち、 現在は神奈川の別荘に専門の警備員、料理人などを雇って貴族生活を続けています。 この貴族生活の原資は全て共産党のお金です。 http://ttensan.exblog.jp/22543668/
2月 9, 2016 人の話の聴き方が上手い人には共通する特徴があって、それは列記するとこのようなことだと思う。  1.人の話をおもしろがって聞く。  2.なにか広がりそうなところがあると、そこを聞いてみる。  3.相手がなにを話しても、攻撃的にならず、たしなめ方が上手い。  4.自分の話もするのだけど、それはあくまで対比としてする。  5.自分の話をするときは、たいてい、一歩下がった位置でおもしろおかしい失敗譚が多い。  6.相手が話したがりそうなところを見つけるのが上手い。  7.話し手を全肯定する。  8.ちょっとぐらい矛盾があってもつっこまない。  9.相手の話を否定しない。  etc……  これってなんなのだろうと考えると、ホスト・ホステスの話の聴き方に近い。  ひとことで言えば、話し手を主役にするのが上手い人なのだと気付いた。
2月 9, 2016 なんと高尾山は、標高600mという小さな山にもかかわらず、 植物が1300種も生息する、自然の宝庫のような山なのだそうです。 ちなみに、イギリスでは全土で1600種。
2月 9, 2016 イルミネーションまみれの家を発見。「よくやりますよね…」と控えめに否定的なコメントをする私に「小さい子をなくしてて、空からでもわかるように明るくしてるんやって…」この世にバカにしていいものなど何ひとつない…
ベストアンサーに選ばれた回答 プロフィール画像 krphh910さん 2011/3/2211:08:37 太陽系から外されたのではなく、太陽系の惑星としての扱いは無くなった、ということです。 冥王星自体はれっきとした太陽系天体です。
2006年8月のAIU総会以前からある太陽系の定義では、 1.太陽を公転している。 2.自重により(ほぼ)球体を維持している。 という内容でしたが、新たに 3.その軌道周辺を一掃している。 というものが付け加えられました。
冥王星の軌道は海王星との共鳴を余儀なくされています(要するに海王星の重力支配下にある)し、その軌道周辺には冥王星の重力束縛を持たない小天体が多数あることが想定(実際にいくつも見つかっている)されることから、惑星とは呼べず、新設の準惑星というカテゴリとなりました。 事の発端は、2003年に発見された散乱円盤天体(2003 UB313)が2005年になり、冥王星よりも大きな天体である可能性が高くなったことです。 これにより、2005年当時の9惑星+ケレス(メインベルト帯で最大の天体)、カロン(冥王星の第1衛星だが、冥王星との共通重心は宇宙空間に存在している大型の天体)、2003 UB313(当時のコードネームはゼナ(Xena))の3天体を加え、計12惑星としようとする案が浮上しました。 しかし、近年の観測技術の向上により、その後も海王星以遠に於いて、冥王星を上回るような天体が多数発見される可能性があり、IAUとしては惑星の無限増殖を抑える格好で(つまり、これ以上増えると今のように「すいきんちかもくどってんかい」とかで終わらず延々と続く可能性があり、ことに小学生などにはいつまでもなじめない存在となる)、苦肉の策で新たな定義を制定して冥王星を惑星から外しました。 尚、2003 UB313は準惑星制定時に「エリス」と名づけられ、冥王星同様準惑星に、ケレスも準惑星という扱いになりました。 カロンの扱いは一旦預かりとなり、このときは何の沙汰も無く相変わらず冥王星の衛星扱いですが、若しかしたら今後準惑星の扱い(つまり、冥王星との二重”準惑星”)とされるかもしれません。 準惑星は上記3天体(つまり、ケレス、冥王星、エリス)以外に、マケマケ(2005 FY9)、ハウメア(2003 EL61)の2つのカイパーベルト天体があり、現在では計5つです。 今後、考えられる準惑星候補として既知の天体としては、メインベルト天体では、パラス、ベスタ、ヒギエアあたり、カイパーベルト天体ではオルクス、クアオアーや前述のカロンあたり、更に更に外側の散乱円盤から内���ールトの雲と呼ばれる領域に位置するセドナ(2003 VB12)が有力です。 惑星の場合、仮にかなり大型の天体が存在していたとしても、一定以上公転半径が大きくなると3の定義が満たしづらくなる為、現状では候補はありません。 ここ数年は太陽系外縁にはめぼしい天体は発見されていません(この採択によりこの方面に於いて天文家の観測意欲を若干殺いでしまったようであれば残念なことです)。
2月 6, 2016 ──山野さんも『マンガ嫌韓流』で韓国に批判的なことを書くためにかなりの調査をしているわけですよね。 山野 『マンガ嫌韓流』では、根拠が証明できない批判は書いていません。すべて立証できることを書いています。実は『マンガ嫌韓流』の記載内容について訴訟を起こされたこともあるのですが、結果的に高裁判決で完全勝利したのもそういうことからなんです。
2月 6, 2016 魔王「グフッ……この私を倒したといえどいい気になるなよ……この世に闇がある限り、いずれ第二第三の私が現れるだろう……!」 勇者「それどういう理屈だよ」 魔王「ラーメン屋の跡地にまたラーメン屋が出来るのと同じだ」 勇者「なるほど」 Twitter / km170 (via rpm99)
2月 6, 2016 人間ね、ある歳を境に「そんな事したらアカンよ」って言う人が周りに居なくなるんだ。恐ろしい事に、ひとりも居なくなる。それは何か完成したとかそんなめでたい話じゃなくって、ただ呆れて離れていってるだけなんだけど、その「人が居なくなる」感覚を察知できないまま更に歳を重ねると本当に終わる。 大枝瑛一(布団帝國廢兵院)さんはTwitterを使っています
2月 4, 2016 覚せい剤がやめれない件でマジレスすると 脳内麻薬の原産がドパミンなんやけど、これを黒質ってとこで生産するんやね
このドパミンがアドレナリンとか興奮とか快楽を司るホルモンに変化していくんやけど 覚せい剤はドパミンに似せた構成になっとるのよ、んでめっちゃ気持ちよくなったりするんやね
そうするとな、黒質が「お?俺必要ないんじゃね?」っていってドパミンを出さなくなるのね 変性、簡単にいうと壊死、死んでしまうわけな、脳みそって一度死ぬと再生しないのね
そうなってしまうともうクスリなしじゃ生きられない、クスリ打ってないとなにしても気持ちよくない クスリを打つと更にドパミンが出なくなる、クスリを止めようとしてもドパミンでないとなにも楽しくないからクスリを使う の無限ループ
最終的にドパミンが出なくなる、ドパミンはアセチルコリンっていう体を動かす神経伝達物質にもなるから体も動かなくなる 涎だらだらの廃人の出来上がり、クスリやったら終わりってのはこういうこと
一度だけでも手出したら終わり、ダメ、絶対。 なんJに降臨した「覚せい剤の危険性を説く人物」の説明がマジで分かりやすい : 無題のドキュメント (via toronei) (a-taroから)
2月 4, 2016 国連の場で慰安婦の証言を読み上げてやりゃあいいんだよ 最初は友達の母親についていったら男がいて 包みを渡す代わりに服と靴をもらって それが嬉しくてそのままついていったと言ってたのが バラクラバ帽をかぶった軍人に拉致されて窓のない汽車に乗せられた って証言に変わったりジープだのヘリだの有り得ないものが登場したり 日本兵は私の前でジッパーを下ろすだけだったと言ってみたら 当時の軍服にはジッパーなんかついてなかったり こういう滅茶苦茶な主張を日本政府は世界の前で明らかにしろ! http://yomogi.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1454357209/ 【慰安婦問題】国連、日本政府に公式質問状「強制連行あった?」⇒日本政府「証拠ない」 きっかけを作ったのは日本のこころ・杉田水脈氏c2ch.net (via worldwalker2) (the-man-of-justiceから)
2月 4, 2016 「お客様は神様です」 この言葉は本来舞台人が『観客』を指して言ったもの。 「神に等しい立場から芸を見ていただく」という舞台人の矜持であり、 商売人の心構えでもなければ客の免罪符でもない。 ギャルゲーブログ バイトで遭遇したウザい客を書いてけ (via lliorzill) (via gkojax) 2009-04-21 (via gkojay) (via wideangle) (via dannnao, shahrih) (via quote-over100notes-jp) (via yutaka1620) (via oceanberry) (via flyingson)
2月 3, 2016 わかりやすく整理しますと。 ・オバマがイランへの経済制裁を実施  ↓ ・イラン、ドルが使えないので他国にそれぞれの通貨で口座を作って凌ごうとする  ↓ ・韓国、これで足下を見てイランにウォン建てで多額の預金をさせる。  ↓ ・韓国ウリィ銀行、イランの足下を見て3%の利率が付いていた時期にイランに対して当座預金しか認めない事で利子をほぼ0固定。  ↓ ・イランがこれに対して抗議、イラン中央銀行副総裁まで韓国に派遣してこれを何とか変えさせようとした。  ↓ ・韓国政府とウリィ銀行、イランの5兆ウォンの預金を他の銀行へ移すことを認めず。  ↓ ・イランが猛抗議  ↓ ・韓国ウリィ銀行、渋々預金金利を年1.6%に引き上げるもこれも相場より低い数字  ↓ ・オバマ、イランとの和解発表。  ↓ ・近々経済制裁解除予定となり韓国へ預金している必要性がなくなる  ↓ ・イランが預金していた金を返せと言い出すも韓国政府と韓国銀行側は 「引き出さないでくれ」と要求して金を下ろさせないで粘っている。 ←今ココ!
これを韓国人は「仕返し」と言うわけです。 イランから見ればドルで取引できるようになるので ウォン建てで多額のお金を置いておく必要性ゼロです。 さらにはイランに対して一方的に理不尽な事をやってきた韓国を友好国とか信頼してとか そんなものはありえない話でしょう。 仕返しってイランの行動は当然の結果 : パチンコ屋の倒産を応援するブログ (via kramerunamazu) (r-y-oから)
2月 2, 2016 もはや説明も不要なくらい、杉良太郎さんは慈善活動に力を入れています。その活動費は全て私財から賄われており、金額にすると数十億にも上るそうです。しかし、そんな杉さんの活動を売名行為と揶揄する方もいました…。 「ああ、偽善で売名ですよ。偽善のために今まで数十億を自腹で使ってきたんです。私のことをそういうふうにおっしゃる方々もぜひ自腹で数十億出して名前を売ったらいいですよ。」 出典 http://blogs.yahoo.co.jp この切り返し…カッコ良すぎます。自分のことを揶揄するよりも、困っている方へ手を差し伸べて欲しいという気持ちが伝わります。そして、震災から4年経った今でもその想いは変わっていませんでした。 「売名行為ですか? と、これまで嫌というほど聞かされてきました。もう反論する気もないけど、やったほうがいいんです。1億3千万人が売名でいいから、被災者に心を寄せてください」 出典 http://www.cyzowoman.com 売名と言われようが、やるべきことは一つ。被災者を第一に考えている杉さんだからこそ、この言葉が許されるのではないでしょうか。 実子3人養子81人を育て上げている杉良太郎の名言がもはや人類の父
この切り返しは何度読んでもカッコいい。
原点とは? 孤児院で生活している孤児を養子として81人も迎えていることには、驚きを隠せません。一体なぜ養子として迎えているのでしょうか?きっかけとなったエピソードがありました…
チョコレートを上げたら、子供たちはそれを持って食べないでいるので、「おいしいから食べたらいいのに」というと、「(お菓子ではなく)お父さんやお母さんがほしい」といった。杉良太郎は耐えられなくて、外へ出て泣いた。しばらく泣いてから、「ボクが君たちの父親になる」と即座に4人を養子にしたという 杉良太郎 ボランティァは感謝を求めるな: nozawa22 偽善で4人を即座に養子に迎えることなんて、出来ませんよね。現在では81人が養子として迎えられています。 慈善活動に私財を投げ打つことは、誰にでもできることではありません。寄付をしたくてもできない、そんな人に対する杉さんからのメッセージもありました
芸能界に入って悩んだことはないけれど、ボランティアでは2回も3回も死にたくなったことがある。福祉の現場では、自分の無力さを突きつけられる。もっと力があったら助けられるのに、って自分を責めたりね。でも今は、過去を忘れていけるようになりました。
杉良太郎を「偽善者」に仕立て上げたのは外務省の高官だった - バンクーバー風車小屋便り・全カナダ「ちびまる子ちゃん」研究会
福祉をやるには確かに時間とお金がかかる。 特にお金がないと見栄えのいい福祉はできません。 でも、お金がない人は時間を寄付すればいい。 お金も時間もない人は、福祉に対する理解を示し、 実際に活動をしている人に拍手を送るだけで十分。 それでもう立派な福祉家なんです。 福祉ってそういうもんです。
杉良太郎の名言 日本人の多くが 「いつまでも死なないし、平和は続く」と思い込んでいるからなんじゃないかな。 でもそんなことはありえない。震災だって、津波だって、原発の事故だって 突如として起きうるわけで、病気も含めて必ず人は死ぬんです。 なのに「いつまでも死なないような気がする」 と思っているから、くだらないことにも平気で時間をかけられる。 それは本当に人生の無駄遣い、もったいないことですよ。
1月 30, 2016 ガンは熱に弱い。熱い血液で満ち満ちている心臓にガンは発生しない。だったら、体を温めれば、ガンなんて退治できるんじゃないの?NHKの番組で見たけれど、余命三ヶ月と宣告されたがん患者が、余生を好きな温泉で過ごそうと熱海の温泉に入り浸っていたら、ガン細胞が消えてしまったってさ。それと、内臓は温度上昇すると機能が活性化する。温泉で肝臓と腎臓が暖められると血液浄化が進む。血液がきれいになったら、ガンなんて勝手に消えちゃうんじゃないの?そういえば、肝臓の上に24時間ホカロン貼っているのんべのおやじがいたなぁ。 ガンは風呂に入って治す。 richardkoshimizu’s blog/ウェブリブログ (via yasunao) 2009-09-18 (via gkojax) (via quote-over100notes-jp) (via gkojax-text) 正に。
(via kazack4)
1月 30, 2016  よく「ストレスがたまる」という表現を私たちは使いますが、実はその逆もしかりなのです。つまり「リラックスもたまる」のです。  普段からリラックスをためているような人は、たとえストレスとなる出来事があったとしても、うまく対処することができます リラックスも「ためられる」 : 予防医学研究者・石川善樹の『続け��くなる健康法』 : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞) (sananoteから)
1月 31, 2016 東京大空襲は民間人も含めた無差別攻撃であって、国際法的にも真っ黒であることは日本国民は知っておいたほうがいい。 戦争となれば無差別空襲で民間人を焼き殺しても良いのだ / 焼き殺されても仕方ないのだ、という風に戦争のルールを理解してはいけない。 https://twitter.com/nagise/statuses/568765465800998912 (via valvallow) (cafedokuoから)
1月 31, 2016 三島由紀夫の11歳のときの作文凄すぎワロタwwww 「我が国旗」 徳川時代の末、波静かなる瀬戸内海、 或は江戸の隅田川など、あらゆる船の帆には白地に朱の円がゑがかれて居た。 朝日を背にすれば、いよよ美しく、夕日に照りはえ尊く見えた。それは鹿児島の大大名、天下に聞えた 島津斉彬が外国の国旗と間違へぬ様にと案出したもので、是が我が国旗、日の丸の始まりである。 模様は至極簡単であるが、非常な威厳と尊さがひらめいて居る。之ぞ日出づる国の国旗にふさはしいではないか。 それから時代は変り、将軍は大政奉くわんして、明治の御代となつた。 明治三年、天皇は、この旗を国旗とお定めになつた。そして人々は、これを日の丸と呼んで居る。 からりと晴れた大空に、高くのぼつた太陽。それが日の丸である。 平岡公威(三島由紀夫)11歳の作文 2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/12/11(日) 02:25:44.59 ID:IfY0Fj5M0 すげええええええええうぇええええええええええ http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/3196861.html (via shinjihi) (tora-fridayから)
1月 31, 2016 弊社にはルワンダ出身の技術者がいる。彼は今朝の所感で「日本人が戦争を放棄しても、戦争は日本人を放棄してくれない。それが現実」って言ってて、職場が凍りついた事がある。 Twitter / kuwagataoyaji (via netinago99) (non117から)
1月 27, 2016 なお、専門家によれば、怒りの中には良いものもあり、社会機能や公平さを維持する役割を果たしているそうだ。それは”道徳的な怒り”と呼ばれるもので、利己的なものではなく、他人を守ったり、良いことを行いたいという欲求に基づいている点で、他の怒りとは異なる。例えば、内部告発を行う人の怒りがこれにあたるという。 すぐにカッとくる、怒ってばかりいる人は性格ではなく脳に問題。感情を制御する”感情脳”が小さい可能性(米研究) : カラパイア (via kogumarecord) (genngakkiから)
1月 28, 2016 若い頃から嫌なものに向かい合ってると将来ロクな人生にならん。大自然に生きる動物達を見習え、嫌な匂いがする所からは離れ、地震の予兆が来たら真っ先に逃げ出す。そういう感覚をしっかり磨き、嫌な場所、嫌な事、嫌な人間からは逃げるようになろう。でないと大人になってブラック企業に捕まって死ぬ 砂鉄さんはTwitterを使っています:(via sukoyaka) (sigma-lambdaから)
1月 28, 2016 子どもがまず「礼儀正しく」ということを教え込まれるのは、子どもからすると、世の中のほとんどの人間が「権力を持ってる人間」だからです。「子どもである」というのは、まわりのほとんどすべての人間によって傷つけられる可能性があるということです。それくらいに「子どもである」というのはリスキーな状況なのです。だからこそ、子どもに向かって「礼儀正しくしなさい」と教えるのです。「君はすごく無力なんだから、まずきっちりディフェンスを固めておきなさいよ」と。 疲れすぎて眠れぬ夜のために 角川文庫 / 内田 樹 (via qsfrombooks) (awordlikealeafから)
1月 24, 2016 愛は相手がただそこに存在してくれていること自体に価値を感じ、深い感謝の念を抱くこと。
1月 24, 2016 「恋愛中における激しい胸のときめき、苦しさ、悩ましさは愛ではなく、情熱に過ぎないのです。情熱は誰でもがもてる感情であり、愛とはそんな易しいものではなくて、まず意思であり、忍耐であり、努力です。」(石崎正浩)
1月 24, 2016 やるだけのことはやって、後のことは心の中でそっと心配しておれば良いではないか。どうせなるようにしかならないよ。(勝海舟)
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