#急須は���柄を現す
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東京ビックサイトで開催中のLIFEDESIGN展とグルメダイニングショーに行ってきました❗️ 今回は常滑焼に勢いを感じました❗️先日常滑焼の作家 #加藤真美 #山口照代 さんの器を入手したばかり。 常滑焼ブースでは、数々の名言が飛び交ってました❗️熱いぜ常滑焼❗️#急須は人柄を現す #お茶は急須で #味は土の種類で好みが分かれる #藤田徳太 #常滑焼急須 金沢ブースの女性作家 #john さんの器が素晴らしかったです。 一目惚れしたのは、#会津本郷焼#酔月窯#西田理人 さんのプレートを購入❗️創業明治3年だそうです。 #livingdesign #LIFE&DESIGN#グルメ&ダイニングスタイルショー#ライフデザイン#ギフトショー#life&design#ビックサイト (東京ビッグサイト) https://www.instagram.com/p/CoweKh6y1DX/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#加藤真美#山口照代#急須は人柄を現す#お茶は急須で#味は土の種類で好みが分かれる#藤田徳太#常滑焼急須#john#会津本郷焼#酔月窯#西田理人#livingdesign#life#グルメ#ライフデザイン#ギフトショー#ビックサイト
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2024 A/W Lot 4063 FOOTBALL TEE
こんにちは 名古屋店 コジャです。
2024 A/W Lot 4063 Football Teeの新作プリントが入荷しております。
WAREHOUSE & CO. Lot 4063 7分袖フットボールT BYRAM HILLS \9.680-(with tax)
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WAREHOUSE & CO. Lot 4063 7分袖フットボールT BERKLEY HIGH \10.120-(with tax)
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WAREHOUSE & CO. Lot 4063 7分袖フットボールT SMA \9.680-(with tax)
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WAREHOUSE & CO. Lot 4063 7分袖フットボールT WEST POINT \9.350-(with tax)
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[Original Archive]
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今季のFOOTBALL TEEは4柄展開。 そのうち[SMA]・[WEST POINT]は写真掲載通りの3色展開となっております。
是非店頭でも御覧になって下さいね。 では失礼致します。
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☞ [営業時間のお知らせ]
平素よりウエアハウス直営店をご利用頂き有難う御座います。 ウエアハウス直営店では営業を下記の通り変更しております。
《2024.10.27.現在の営業時間》
◎東京店 【営業時間:平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】無休 ◎阪急メンズ東京店 【営業時間:平日 12時~20時 土日祝 11時~20時】無休 ◎名古屋店【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】水曜定休 ◎大阪店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎福岡店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎札幌店 【営業時間: 11時~20時】 木曜定休
今後の営業時間等の変更につきましては改めて当ブログにてお知らせ致します。 お客様におかれましてはご不便をお掛けいたしますが御ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
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☞ 『WAREHOUSE直営店の LINE公式アカウント開設』
WAREHOUSE&CO.直営店からのお得な情報や、エリア限定のクーポンなどを配布しています。
LINE公式アカウント開設にあたり、 2019年3月26日(火)以降、提供しておりましたスマートフォンアプリはご利用できなくなっております。 お手数をおかけしますが、今後はLINEアカウントのご利用をお願いします。
ご利用されるエリアのアカウントを「友だち登録」して下さい。 ※WAREHOUSE名古屋店をご利用頂いているお客様は【WAREHOUSE EAST】をご登録下さい。
※直営店のご利用がなければ【WESTエリア】をご登録下さい。
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☞[リペアに関して]
弊社直営店で行っておりますジーンズ等のリペアの受付を休止させて頂いております。 ※ご郵送に関しても同様に休止させて頂いております。再開の日程は未定です。
ご迷惑お掛け致しますが、ご理解下さいます様お願い致します。 ※弊社製品であればボトムスの裾上げは無料にてお受けしております。お預かり期間は各店舗により異なりますのでお問合せ下さい。
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☞WAREHOUSE公式インスタグラム
☞WAREHOUSE経年変化研究室
☞“Warehousestaff”でTwitterもしております。
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WAREHOUSE名古屋店
〒460-0011 愛知県名古屋市中区大須3-13-18
TEL:052-261-7889
《2024.10.27.現在の営業時間》
【営業時間:平日 12時~19時、土日祝 12時~19時】水曜定休日
#warehouse#ウエアハウス#warehouseco#ウエアハウス名古屋店#アメカジ#warehousecompany#warehouse名古屋店#warehousenagoya#fashion#amekaji#ametora#american traditional#americantrad#アメトラ#4063#football tee#tshirts#フットボールt#mens fashion#mens wear#mens clothing#mens snap#mens style
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久しぶり!もう4月が終わりなんて…早いね。明日から5月だ。 みんなお元気ですか。私はリサイクルショップでそれなりに楽しく働けています。 3月半ばから4月かけては友達とピクニックやお花見をしたり、春をとっても満喫できた。近所の川沿いは桜並木がきれいで、鴨やヌートリアや亀やカワセミ…いろんな生き物に出会えた春だった。
うさぎとお別れしてすぐに粘土をこねてつくった天使のうさぎ、やっと着色をして棚に飾った。 知らぬ間にデスクトップに置いてあったうさぎの写真を拡大、原寸大にして画面を撫でたらちょっと泣いた。 うさぎの毛は今も私の部屋や服にくっついていて、それを見つけると「そばにいてくれてるね」って安心する。
3月中旬まで博物館で開催されていた鉱物展に行き、お土産コーナーで購入したオパールとアパタイト。 宝石の国、終わっちゃったね。
数年前に買ったものの、使わずに飾っていたTONY MOLYのジェリーリップ。蓋を開けるとマスカットのいい香り。少しずつ使いたいぞ~。
一年ぶりに名古屋アンティークマーケットに行った。写真はその時の服装。大須の古着屋さんで一目惚れしたペンダント(ほんのり青く透けるヴィンテージガラスビーズがきれい!)と、LANDSCAPE CANDYさんのビーズネックレス(Morning Glow)。蝶のブローチは友達が贈ってくれたもの。 初めて出会った雑貨屋Sutekkiさんのディスプレイや商品がとてもかわいかった思い出。 あとキッチンカーのご飯を初めて食べたんだけど、タコライスと一緒に頼んだピーチソーダが冷たくて甘くておいしかった~。ピンク色でかわいかった。 11月に開催されるのにも行けたらいいな。
購入したけど使ってなかったピンクの蝶柄布団カバーをやっと開封して、最近近所のリサイクルショップで購入したブルーのチューリップ柄敷布団カバーと一緒に使いはじめた! ピンクとブルーの組み合わせ、永遠にかわいいよね~。 お布団LOVEだから、お布団もかわいくしたいね。 かわいいものに出会いつづけたい人生だ…。
。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。 5月も健康に気をつけて過ごそう。みんなも!(^▽^)/ 急に暑くなったりして体力奪われがちだからね。 私は基礎代謝量を増やすのに運動をがんばりたい。 川沿いを…走る…! 普段はツイッターにいるけど、ホームページ(ブログ)更新は久しぶりだから変な感じ。 創作サイトもまた更新したいな…作品づくりが進めばね。あまりにも更新してない作品は一旦下げたんだ。 昔見た夢と平成のファッション雑誌からインスピレーションを受けた作品を作りこんでいきたい~。雑誌はたくさん集めたのにまだ活かせてない。ページをめくると全てがかわいくて、読んでるだけで満足してしまう問題もある。 あと、働いているとそちらに意識が向いちゃって、なかなか内側の世界に向き合えないのがもどかしいや。そういうもどかしさが知らず知らずストレスになって現実に悪影響を及ぼすのかもしれない。 予定のない休日、運動も大事だけど、パソコンに向き合って創作ファイルを開いたり作品づくりのお絵描きしたりしたいんだ~。けど疲れがたまってるとなかなかね…。寝たきりでツイッターをやるだけの休日に…。 創作することはライフワークなので、生きてる限りは少しずつでも進めていこう。義務にならない程度に。という決意表明の日記でした。
続きはアンティークマーケットの購入品など。
。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。⌒。
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魔法のリップみたい!変身できそう! 韓国のスキンケアブランドTOCOBO。通販サイトをうろうろしてたら見つけたんだ。パッケージ超かわいいよね。宣材写真もすっごいかわいかったの。やっと今使ってる化粧水と乳液がそろそろ終わるので、ついに使い始める…。肌に合うといいな。使い終わったら棚に飾るぞ~。
GWのりきるぞ~なみのりピカチュウ
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予想外と予想的中 懇親会
Sunday 26 January 2014
ハルオは、5時半に起床し東名御殿場バス停6時50分発のバスに乗った。早起きは、昨年からの禅寺通いで苦ではなくなっていた。順調にバスは東京に向かい8時半頃バスは新宿に着いた。今日は、学校で卒業制作の選抜講評会が開かれる日。ハルオは、学校に10時少し前に出講し講評会の開かれる教室へ入る。そして一番前の中央の席に座った。どうせ、どうせという言葉は好きではないがどうせならしっかりとこの講評会に参加したい。それとハルオにはもうひとつその理由があった。それは自分の教え子3人がこの講評会で自身の作品をプレゼンするのだ��その時の模様を動画にして残したかった。ハルオは、躊躇なく三脚を自分の席の前に立てて準備をした。講評会では35作品がプレゼンされた。ハルオの前には、審査員の方々が4人座って各作品について批評をした。ハルオは、講評会の進行(生徒の名前、作品タイトル、プレゼンでの本人&審査員が述べた気になる言葉)を画家の叔母からもらったスケッチブックにメモをした。そのメモは、10ページに及んだ。手書きのメモは、最近手に入れた時が消せるボールペンの御陰で捗った。手書きを癖にすることはハルオの必須科目になっている。ハルオは、メモの内容を後で整理して次回の授業に役立てたいと思ってそうしていた。自分の教え子のプレゼンは、講評会の後半にやって来た。この時は、メモを取らずに動画のみを撮影し記録した。自分の教え子ではないが2人の生徒がこの講評会に参加出来なくて作品だけ紹介されたのだがハルオは咄嗟に閃きこの2人の生徒の作品についての審査員の批評も動画に残した。後でその動画を本人たちに渡そうと思ったからだ。ハルオは思う、自分がされて嬉しいことで自分が出来ることなら実行する。これは、時にはただのおせっかいになる時もあるが閃いた以上自分に対し知らんぷりをすることが出来ない。この講評会での予想外の展開があった。自分の教え子がグランプリを取れなかったことだった。僕の落胆はさておき本人はどうその結果を受け止めて行くか?その方が気になった。誰が取ろうと自分の学校の生徒なのだから素直に喜びたいとハルオは思った。予想的中は、ここでは避けておこう。講評会が終了し、グランプリを取れなかったその教え子の元へ行きハルオは前々から用意して静岡から持参したフレーム入りの写真を彼に渡した。その写真は昨年彼と仲間の生徒たちが学校のギャラリーで写真展を開催した時、ローライフレックスで撮った彼のポートレイトだった。グランプリを取ったらその場でメッセージも添えようよポストカードを2枚一緒に用意したが何も書かずに写真を入れた封筒に忍ばせておくことにした。すでにメッセージはポストカードを見れば伝わるかもしれないと。
学校を出てすぐに市ヶ谷駅に向かう。駅でUさんに今回の講評会の結果を電話で伝える。Uさんには、昨年末今回の���評会でプレゼンした3人の内2人の生徒とUさんに引き合わせ作品のアドバイスをしてもらいお世話になっていたからだ。今後一段落してこの2人の生徒は直接Uさんに結果報告お礼をするかは本人たちに任せようと思う。自発的にそれが出来たなら素晴らしいことだと思う。ハルオは、急いで新宿から4時発のバスに乗った。ハルオにはまだ摂心会が残っているからだ。バスは、満席で補助席に座るしかなかった。しか��補助席についてあまり不満はない。乗車して少しでも早く静岡に帰れるだけで十分だからだ。夕焼けで赤く染まった富士山をフロントガラスの先に見た。
バスは渋滞もなく順調に静岡に向かった。東名御殿場のバス停でバスを降り車に乗り換えて裾野に戻る。すぐにも禅寺に戻りたかったがその前にもう一つしなければならないことがあった。それは、市長、市議会議員選挙の投票だった。摂心会の間禅寺の外で選挙カーが大声を張り上げて指示を訴えていた。坐禅には不必要だがこれも仕方ないと言える。誰に入れるかはすでに決めてあった。投票後、いつもの「Today's Fashion」を投票所の入り口近くで撮影。 今日は、帽子も冠っていたがその帽子は車の中に置いて来た。撮影のために取りに行くのも問答だったので帽子なしで撮影。そしてすぐに茶畑庵に戻りシャワーをして禅寺へと車で向かった。
摂心会4日の夜は、懇親会が開かれた。摂心会は、明日の昼で終えるからだ。7時半少し前に禅寺に着くと懇親会は始まっていた。懇親会の料理も典座(てんぞ)さんが拵えた様でハルオにもその料理を残しておいてくれた。どの料理にどんな名前があるのか特に聞いた訳でもなかったので説明が難しいが湯葉が絶品だった。今回の摂心会には禅寺と縁のある別のお寺から来られた3人の方丈さんと典座さんがいた。ある方丈さんは本格的にクラシックを勉強された方で声楽を得意としていた。そして参禅者のリクエストにすんなり応じてくれその素晴らしい歌声を披露してくれた。この方丈さんの読経も素晴らしいと今回の摂心会中参禅者の1人が言っていたことは頷ける気がした。人柄も奔放でどこか作家でお坊さんだった今東光を思い出させた。続けて余興というかもう一人参禅者の方で尺八の演奏を披露してくれた。その尺八は、3尺ある少し長い尺八で煤竹製だと聞く。お2人のキャラクターは正に洋と和の対照的で自己表現の違いを見せてくれた。ハルオは、両方の名演を動画に録った。カメラは、常に手元に、やはりそうだといハルオは納得した。そしてもう一つ。今回の参禅者の内2人女性が参加していたがその女性の一人が「結婚相手は尊敬出来る人」とハルオの座っていた席の前で言ったのでハルオはその言葉に食いついてしまった。その女性の横に例の奔放な方丈さんが座っておられ軽く話題が下ネタになったので食いつきは下ネタを例にしてしまった。寺で話すのは不謹慎かとも思ったが話す前に皆に断わって意見を言った。「尊敬出来る人と言われても大抵の男は実に困る。例えば出会った当��は尊敬出来る下半身を持ち合わせるとする。だが歳と共にその元気さ/強さは残念ながら衰えて行く。男という生きものはプライドの生きものでその弱くなった下半身が尊敬から外れることを恐れる」こんな内容を言った。実にくだらないが大抵の男はそうだと思う。ハルオの意見をある人は達観しているといい、ある人はそれは違うと言った。当の言われた女性はちんぷんかんぷんなことを言ってるなこの人は、と思っていただろう。ハルオは、その場では言わなかったが逆に「あなたはダメダメな人だけど好き」と言われた方が男性としては楽で嬉しいと思う。「結婚相手は尊敬出来る人」=男性の立場から言えば「結婚相手は美しさを維持出来る人」と似ている。その場はそれで終ってしまい特に意見のぶつかり合いはなかった。ハルオは、後になって失敗したと反省した。一言多いぞ、と。「あ〜そうですか、いい人が見付かればいいですね〜」と言えば良かった。でももう取り返しが出来ない。その女性を傷つけたとは思わないが余計な一言だった。懇親会の後も休憩所でその女性と話す機会があったがその時は他の話題だったがやっぱり会話がスムースに行かなかった。ハルオは、懇親会でビールと日本酒を2合強飲んでいた。この冬になってから熱燗を好んで飲む様になった。最終日の今夜、残った参禅者は、ハルオを入れて7人に減っていた。
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暮らしの彩り~その135
昨日の『暮らしの彩り~その134』で、お気に入りの器と同じ蔵元の器を引き寄せた友人のお便りを紹介しました。
その後、さらに美しい写真を送ってくれました。
『器ですが今朝になってから、もっと美しい角度かあったと気づきました。中にも模様があるのです。急須は30年前に母へのプレゼントとして買ったものでした、今は娘が毎日お仏壇にお茶を供える時に使っています。綺麗でしょう』
30年前に購入した急須と、今回購入したという片口の器、こんなにも長い間この柄が受け継がれてきたということは、蔵元でも大事にしている柄なのでしょう。
お母さんへのプレゼントだったものを、今や娘さんがお仏壇に供えるお茶をいれるのに使っているということも、本当に素晴らしいエピソード。急須は壊れやすい器ですが長い間大切に使われているとこうして今でも現役で、新品の器と変わらない美しさを保てるものなのですね。
たくさんのことを語り掛けてくれる一枚だと思います。
エピソードとともに、娘さんへ受け継いでいってくださいね。物語と共に家宝となっていくと思います。
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2023.6 ポーチの中身
昔から雑誌のポーチの中身紹介企画が好きだ。
リップやパウダー、ネイルオイルなど、誰かが愛用しているものを見たり聞いたりするのが好きだ。
最近は韓国のコスメオタク(코덕)の人たちのポーチを見るのが好きで、しょっちゅうYouTubeで見ている。同じような肌タイプやPCの人が使っているコスメは自分にも合いやすいことが多いから参考になる。
韓国というと韓国コスメを思い浮かべるだろうけどそれだけじゃなくて、日本と同じく社会人の方は結構デパコスを使う人が多いし、韓国では売れていても日本ではあまり使っている人を見ない日本のコスメもあったりする。
そんなわけで、ひとりでも多くの人のポーチの中身を見るべくまずは自分からやってみることにした。
シチュエーションにもよるけど、今毎日仕事に持っていっているポーチはこれ。フォロワーさんがプレゼントしてくれたもの。
わたしの好きな猫柄で大きさもちょうど良くてとても気に入ってる!
バッグが小さいときはこの中からより必要なものだけを選んで巾着に入れたりしている。
中身はこんな感じ。
光の関係で黒のコスメが指紋ぽくなっててごめん。ひとつずつ紹介する。
1. GIVENCHY プリズム・リーブルプレストパウダー 1 パステルシフォン
ジバのパウダーはお直し用。崩れが気になったときやくすみがちな夕方に塗ると顔が明るくなる。肉厚ブラシが内蔵されているところも好き。香りは強め。
2. LAKA ボンディンググロウリップスティック 207 デプス
メガ割で買ったLAKAのリップ。最近流行りのもちは良くないけどつやっつやになる系リップバーム。買ったばかりだからとりあえず入れてみた。色はブルベ向きのピンクレッド。
3. CHANEL ルージュココボーム 930 スウィートトリート
↑のLAKAのリップもそうだけど、大体ポーチの中にはバーム系のリップとリキッドルージュを入れていることが多い。ささっと直すにはこういう薄づきのバームがいいよね。スウィートトリートはお洒落なローズブラウン。
4. CHANEL ルージュアリュールラック 84 ローズアンビギュ
アリュールラックが大好きで4本持っているんだけど、最近は84をよく使う。赤みの強いローズカラーで顔に合うんだよね。ゴールドラメ入りでかわいい。
5. CEZANNE 超細芯アイブロウ 02 オリーブブラウン
たぶん20本近く使ってるアイブロウ。これじゃなくても眉描けるけどこれを使うとより上手く描ける。おでこの皮脂でよく眉尻なくなるからアイブロウは持ち歩く。
6. OSAJI コンフォータブルフィンガーティップスセラム
場所とるからできるだけハンドクリームを持ち歩きたくないわたしのような人向けのネイル美容液。塗ると指先しっとり。爽やかな香りも好き。これに加えてネイルオイルを持ち歩くときもある。
7. LOUIS VUITTON ルジュール・スレーヴ
普段使ってる香水のトライアルサイズ。買ったときについてきた。自分=この香りでいたいくらい好きな香水だからショゲ…となったときのために持ち歩いてる。気持ちがスイッチオンになる白い花と柑橘の香り。
8. Diptyque リフィラブルソリッドパフューム オルフェオン
もうひとつの持ち歩き香水。家でボトルつけて外でソリッドつけてる。オルフェオンはパウダリーさのあるフローラルウッディでちょっとけむったい。気持ちを落ち着けたいときはこっち。
9. Abib クイックサンスティックバー
塗り直し用の日焼け止め。スティックはやっぱり便利。見た目がシンプルで良いという理由だけでAbibを使い続けてる。
10. CHANEL リップ&チークボーム N°1 ドゥ シャネル 5 ライヴリーローズウッド
持ち運び用チークはブラシを持ち運ばなくていいリキッドやバーム系のものを使うことが多い。これはリップにもチークにも使えるタイプ。ブルベの血色そのものでいい色。
11. ヒアルロン酸Na点眼液0.1%「センジュ」
ドライアイで目薬がないと不安になるので絶対に持ち歩く。眼科で処方されているもの。
12. ワンデーアキビューモイスト乱視用
目薬と同じ理由で目の乾燥でコンタクトが外れちゃうことがあるので必ず入れてる。あと震災のときの経験でコンタクトの予備がないと非常時にとても大変なことを知ったので、そういう理由でも持ち歩いてる。
13. ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」
頭痛持ちなので必須。痛くなる前の痛くなりそうな段階で飲むとよく効く。
14. ジエノゲスト錠1mg「モチダ」
持病の薬。朝夕飲むので急に出かけることになったときのために持ち歩いてる。
メイクポーチの中身は以上。また現場の日とか、秋冬バージョンでもやりたい。
そしてこのブログを見た方、ぜひあなたのポーチの中身も見せてほしいです!おねがいします!
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長野電鉄を撮影する
2023年1月3日、長野電鉄の各撮影地で8500系謹賀新年ヘッドマークや3500系などを撮影してきた。
※写真は全て管理人が撮影・編集したもので、著作権があります。複製や加工などの二次利用を厳しく禁止しています。ルールが守れない方は必要な措置を講じる場合がありますので、ご注意ください。
長野電鉄長野線の都住~桜沢で撮影。8500系T2編成には、謹賀新年ヘッドマークが1月15日までの期間限定で掲出されていた。湯田中側のヘッドマークは等身絵柄デザインとなっている。
桜沢駅で上下列車がすれ違い、間もなくやって来たのは3500系N8編成。長野電鉄3500系最後の現役車両で、1月19日に引退した。2日にも夜間瀬橋梁で撮影したが、前照灯が点灯していないアクシデントに遭遇。そのアクシデントも個人的には貴重なものであると感じ���。
場所を移動して、同じく桜沢~都住の沿線から撮影。8500系T2編成は鉄道むすめ「朝陽さくら」のラッピングが施されている。痛車ならぬ痛電だ。長野側の謹賀新年ヘッドマークはSD絵柄のデザインとなっている。
村山橋を渡り、長野市から須坂市に入る長野電鉄3500系N8編成。白い雪を被った戸隠連峰を背景に、元営団地下鉄(東京メトロ)3000系が長野の地で元気に活躍する。
たっぷりの日差しを浴びて信州中野駅へ向かう3500系N8編成。車体のデザインからマッコウクジラの愛称がある。
続いてやってきたのは8500系T2編成。道路と共用の橋を渡り、終点の須坂駅へ走り去る。幹線道路を車が一台も走っていないのが面白い。
元東急電鉄8500系の長野電鉄8500系。東急電鉄の8500系は引退したが、長野電鉄ではあと数年活躍する。引退する前に記録しておくべきだ。
長野電鉄の各撮影地には県外から多くの撮影者が集結。様々な中古車両が走る長野電鉄、各々良い写真が撮れたかな?
※写真は全て管理人が撮影・編集したもので、著作権があります。複製や加工などの二次利用を厳しく禁止しています。ルールが守れない方は必要な措置を講じる場合がありますので、ご注意ください。
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン3 第二話「現れたイヤなヤツ」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
→→→☆書籍版発売までは既刊二巻を要チェック!☆←←←
(シーズン3あらすじ) 謎の悪霊に襲われて身体を乗っ取られた私は、 観世音菩薩様の試練を受けて記憶を取り戻した。 私はファッションモデルの紅一美、 そして数々の悪霊と戦ってきた憤怒の戦士ワヤン不動だ! ついに宿敵、金剛有明団の本拠地を見つけた私達。 だけどそこで見たものは、悲しくて無情な物語…… 全ての笑顔を守るため、いま憤怒の炎が天を衝く!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
娑婆に戻ると、一面に緑の木々があった。日本の山林には自生していない植物が多く、人工的な庭園か、あるいは日本国外なのかもしれない。 まずは人がいないか探してみよう。少し歩いていると、開けた場所に誰かが立っていた。魔女みたいにつばの広い帽子を被っているから顔は見えなくて、等身の低さから辛うじて子供だとわかる。その子の前には何故か、屋外じゃなくて家の中で使うようなアンティーク鏡が立っている。 「鏡よ鏡、鏡さん。四一四〇の過去三年の売上高変化率を出してみて」 「はい。四一四〇、養医所製薬の売上高変化率は、三年前年度比マイナス六.二%です」 「十の十一致……っと。アシ��タント機能のバグ修正は上手くいったみたいね」 その子……声は低い。声変わり直後の男の子だろうか……は、喋る鏡と会話をしている。童話みたいなシチュエーションで、随分ビジネスライクな話題だこと。邪魔をしては悪いけど、声をかけてここがどこだか尋ねてみよう。私は物々しいワヤン不動から紅一美に姿を変え、霊感がない人にも自分が見えるよう影を濃く取った。そして༼ あの ༽と声をかけようとしたその途端、それを遮るように男の子がまた口を開いた。 「ねえ、鏡よ鏡。どっかの誰かさんがふざけた引退宣言��んてやらかしてくれたけれど、ここの情報はどこにも漏洩してないでしょうね?」 え? 「はい、CEO。リアル株式運用NFTゲーム『白豚姫と七十二の法則』はまだリークしていません」 鏡がよくわからない答えを返しているうち、CEOと呼ばれたその子が振り返った。未就学の子供のように小柄なのに、顔は陶磁器でできた人形のように美麗な大人の顔で……一目で作り物だと理解できた。 ༼ ひょっとしてここ、ゲームの中ですか? ༽ 人工庭園どころか、ここはバーチャル空間だったようだ。3DCGにしては随分とよく出来ている、なんなら和尚様の須弥山よりリアリティが高い。CEOさんは白雪姫の魔女を模したアバター姿だけど恐らく男性だ。 「そう。ブロックチェーン技術で仮想通貨や実際の小額投資が運用できる、次世代のゲームを作っているの。最初はお手軽なモバイルアプリとして発表するつもりだけど、世界観を大切にしたいから、開発チームには全員メタバース内に潜ってリアルタイムプログラミングさせているのよ……あ、これ社外秘ね」 CEOはなんだか凄そうな極秘事項を、初対面の私にペラペラと喋る。大丈夫なのか? と思っていると、私の中でドマルが閃いた。この魔女、もしや…… ༼ 失礼、少しよろしいか? あなたは一美のお知り合いと見受けられるが、拙っ……私は本体である紅一美の肉体を悪霊に盗まれて、『ワヤン不動』の記憶以外殆ど思い出せないのです。できれば今一度、あなたや一美の話をご説明頂けないかな ༽ 「えぇ? またまた。……って、マジで私の事、忘れちゃったの!?」 魔女アバターが驚きの表情を作った。よく出来ている。 ༼ マジです ༽ 「勘弁してよ一美ちゃん! 私よ私、平良鴨悟(へらがも さとる)! 平良鴨証券グループ会長、金融アルマゲドンを制し世界長者番付第一位を獲得した億り人の!」 ༼ なるほど、つまり芸能界のタレント仲間 ༽ 「ちっがーう! そりゃ一美ちゃんと初めて会ったのはショービズの世界でだけど、今はもうNIC関係者同士の友達。うちの本社にデグーの霊が出た時だって助けに来てくれたじゃない!」 そんな可愛いイベントあったっけ、ぜんぜん思い出せない。でも、こうして話しているとどこか懐かしさは覚える。……あれ? そういえばこの人、対アンダスキン戦で共闘したNIC出身の超脳力者さんと似ているような…… ༼ ひょっとして、譲司(じょうじ)さんのご家族ですか? ༽ 「なんで兄ちゃんの事は覚えてるのよ!!」 なるほど、彼の弟さんだったみたいだ。 悟さんから情報を聞き、改めてこれまでの経緯を整理してみる。まず私は二〇一三年の夏に如来に肉体を奪われた。以降も一美は表向き、これまで通り芸能界で活躍している。しかし彼女と親しかったNIC関係者が異変に気付き調査したところ、下水道からワヤン不動の魂が宿った金属ペンダントの一部破片を発見。過去金剛の霊障事件の証拠品として保管していたムナル和尚様の遺骨を使い、ワヤン不動の復元に成功した。そうして蘇った私の魂は、NIC本部よりも狙われにくいスポンサー企業、平良鴨証券グループに移送され、まだ世間には未公開の亜空間(メタバース)内に安置されていたという。ちなみに今は二〇一四年十二月末だそうだ。 「うちのローカルサーバーは対霊性も高い特別なセキュリティルームにあるの。機密情報がお化けとか透視脳力者経由でリークしないとも限らないからね。それなのにあんたったら、何千人も生霊を引き込むんだもの。全くとんだ邪尊様よ!」 ༼ す、すいません。まさかそんな事になってるとは知らなくて ༽ 「まあいいわ。ともかくNICも金剛有明団を潰す方針は一緒だから。あなたが目覚めたからには明日から忙しくなるわよ」
གཉིས་པ་
NICは正式名称を『国際超脳力研究機関(National Institute of Cerechology)』という。人の脳が百パーセント活性化する全知全脳(ぜんちぜんのう)という現象に着目し、エスパーや霊能力などの超人的な力を研究する医師団だ。ワヤン不動復活と邪尊の引退宣言も当然関係者の耳に入っていて、NIC全支部合同で金剛有明団への対策を話し合う緊急カンファレンスが開かれる事になった。 私達は悟さんの自社用セスナで、カンファレンス会場であるNICアジア支部本部、インドネシアのバリ島へ向かう。アイドリング中の機内で待っていると、悟さんを含めて三人が搭乗した。一息つく間もなく離陸が始まり、セスナは轟音に包まれる。お互いの挨拶が始まるのは雲の上に上がってからになりそうだ。 外は夜だった。見覚えがあるような、ないような、しかしなんとなく日本っぽい夜景が広がっていく。記憶を完全に取り戻したら、ここがどの都市だかわかるのかな。 夜景はやがて灰色の雲に覆われ、機体が地面と平行になる。ジェット音が落ち着くと、悟さんがシートベルトを外して、私のいる後部座席側に向き直った。 「金沢の夜景も綺麗だったでしょ? 東京より上品で。鼓門は見えた?」 ༼ カナザワ? ༽ 「これは重症だわ」 なんとなく日本の地名らしきニュアンスしかわからない単語をオウム返しすると、悟さんはまるで原始人を見るような目をする。 「本当に殆ど戦いの記憶しかないようね。いいわ、みんな改めて挨拶会しましょう。『蟻』は初対面だしね」 セスナの乗員は私と悟さんのほか、小柄な運転手の壮年男性と、ダウンコートのフードを目深に被った身長二メートル越の寡黙な偉丈夫。蟻と呼ばれたのは……運転手さんだろうな。 「まず私。さっきも名乗ったけど、平良鴨悟。NICのコードネームはエイミィ。ヒエロニスト(熱念力使い)で、霊感はチョットだけ。移動費はこっち持ちだから気にしなくていいわよ」 自己紹介しながら、悟さんは細い煙草を取り出す。眉間から一瞬小さなスパークが走ると、煙草が火花を上げて発煙した。彼は自分の脳力を実演し終えると、そのまま煙草を咥えた(自社用機だから喫煙は自由なんだろう)。そしてコードネームというのは恐らく、秘密組織であるNIC内で使われる名前か何かだと推測できる。 次に運転手さんが振り向いた。 「初めまして、ワヤン不動様。私は平良鴨証券CEO秘書、有働義人(うどうよしひと)と申します」 有働さんは年齢の割に背筋がぴんと張った男性だ。眼鏡の右目部に装着されたウェアラブルディスプレイが引っ切り無しに明滅し、時折右目だけギョロギョロと何かを読み取っている。 「私専用の『SSR秘書』よ! マルチタスカーで、重度のソーシャルゲーム廃人。ゲームさえ自由にさせてあげれば、どんな仕事だってこなしてくれる最高の働き蟻なの!」 悟さんに誇らしげに紹介されると、有働さんは奥ゆかしい笑顔で会��して再び飛行機操縦に戻った。彼はスマートグラスで常に様々なゲームを並行周回しながら業務に従事しているようだ……NICの脳力者並にすごくない? SSR秘書。 「あんたも何か喋りなさいよ、旦那クン。それとも、奥さんに忘れられてるかもしれないのが怖いのかしら?」 有働さんの紹介が終わった後、最後に悟さんに声をかけられたのは偉丈夫だ。彼がのそのそとフードを取ると、中の顔も重たい前髪で殆ど隠れていた。でも、その淡く発光しているような青白い髪にはとても見覚えがある。 ༼ 御戌神(おいぬのかみ) ༽ 「!」 名前を呼ばれたその偉丈夫、御戌神は、僅かに口元を引きつらせた。彼は御戌神。江戸時代に金剛によって生み出された祟り神の生まれ変わりだ。人間としての名前は……何故だろう? ワヤン化している最中も何度も呼んでいたはずなのに。まるで心に鍵がかかっているように思い出せない。 「なに、あんた達夫婦喧嘩でもしてるの?」 私が御戌神と呼んだからだろう。悟さんが茶化す。夫婦と言ったが……よく見ると、御戌神が隠すように握っている左手の薬指には、シンプルな銀の指輪があった。 ༼ もしかして……私の、夫? ༽ 一美は結婚していた? そんな記憶は毛ほどもない。しかし会話の流れからすると、私は実の夫の名前すら忘れているのか!? 「……一美ちゃんとは、結婚してない」 御戌神が初めて口を開いた。 「僕が入籍した彼女は、如来に乗っ取られた後ので。嫌で嫌で仕方なかったけど……金剛の変な男に一美ちゃんを取られたら、本当にコトだから」 少し訛った言葉を絞り出しながら、御戌神は左手の薬指を苛立たしそうに掻きむしった。その指先は蕁麻疹のようにぼつぼつと荒れていた。彼は相手が如来だと気付いていながら、私を金剛から少しでも遠ざけるためにプロポーズしたのか。なんて事をさせてしまったんだ……。 ༼ 光(ひかる)君 ༽ 自責の念で心臓がきゅうと絞られるような感覚になり、その拍子に私は自然と彼の名前を口にした。すると光君は諦めきったような微笑みを浮かべ、 「今は御戌神で。名前は一美ちゃんが完全に戻ったらだ」 私を遮った。 「僕は御戌神。影法師と対になる、光で戦う犬神。ワヤン不動にゃ及ばないかもけど、ちゃんと戦力に」 皮肉にも、彼の戦闘状態は鮮明に覚えている。青白く輝く巨大な狛犬になった彼と、影の私は連携して大散減を倒したんだった。 しかし彼は初対面時と比べ、とても垢抜けた。柔らかそうなファー付きロングダウンコートが胴をすっきりと見せ、下半身は座っても丈がしっかり足首まである、ストレッチ性が高そうなサイドラインのジャージパンツ。だけど都会的になった彼を見ると、どこか悔しさを覚える自分がいる……。その気持ちの理由を知���ためにも、絶対に自分の体と記憶を取り戻さなきゃ!
གསུམ་པ་
バリ島に到着すると、まず通常の旅客機と同様ングラ・ライ国際空港に着陸する。そこから先は一般客と異なる動線へ誘導され、いかにもVIP待遇といわんばかりのトントン拍子で入国審査が完了。あっという間にインドネシア入りしてしまった。 入国後は有働さんがチャーターしたロールなんとかという車で、アジア支部本部がある港町パダンバイへ向かう。時刻は既に深夜一時過ぎ、酔った外国人観光客を乗せたタクシーの大群で道路は埋め尽くされている。でも信号がほとんど無いから、意外と早く目的地に到着した。 世界規模の秘密組織の支部と聞いた時、私は二種類の外観を想像していた。政府関係者しか入れないような厳重な門がある施設か、あるいは地下室など一般人に気付かれないようカモフラージュされた見た目だ。その答えは実際どちらでもなく、よくありがちな総合病院の別棟に構えられた関係者向けフロアだった。御戌神も私と似たような思索を巡らせていたようで、「意外と普通だ」とつぶやいていた。 入口で名前と指紋を登録して本部に入館する。心霊扱いの入館手続を行う私だけ、指紋代わりに魂からエクトプラズムの一部を採取されるようだ。 「わぁ、シャドーパーソンの方なんですか! 私、この採取で幽霊さん以外のお手続き初めてなんですけど、痛かったら言って下さいね~」 心霊担当の事務員さんが親切に声をかけながら、注射器に似た機器で私の魂を採取した。特に痛みはない。私は彼女に快く会釈して入館した。 エントランスは二フロア吹き抜けのホールになっており、端に来客用のソファがある。そこに座っていた恰幅のある黒人男性が私達を見ると、立ち上がって出迎えてくれた。 「ワヤン不動様ご一行、ようこそいらっしゃいました。NIC総本部長のヴァーヴィアポワです、よろしく」 ヴァーヴィアポワ氏と挨拶の握手を交わす。その手はじっとりと汗ばみ、少し震えているように感じた。私に続いて悟さんも彼の手を握る。 「やだぁ、固くなっちゃって。そりゃ彼女はワヤン不動だけど、私の友達だから緊張しなくていいのよ、『オニイサマ』」 「えっ!?」 ヴァーヴィアポワ氏がギクリと硬直した。お兄様? 「い……いやぁ~! だって、その。仏様を前に緊張しない人はいないぜ、エイミィ! あ、あはははは……」 「?」 どういう関係かは解らないけど、二人は旧知の仲のようだ。秘密組織トップと大スポンサーのCEOだから、当然といえば当然かな。悟さんは私に内緒話をするように身を寄せるも、���ァーヴィアポワ氏が振り向いたらそのまま離れていった。 私はカンファレンスルームに、他のみんなはラウンジに通された。カンファレンスルームは非常灯や天窓がくっきり見えるほど薄暗く、広さや内観がわかりにくい。ただ奥の壁にある窪んだ飾りスペースに、やけに気味悪い黄色い顔の人形が飾られているのだけ見えた。なんだかやけに陰鬱な雰囲気だ。 長い一本の机に等間隔に並ばった椅子には、既に数名の男女がズラリと座っている。彼らが世界各地域の支部長だろう。その最奥、上座というかいわゆるお誕生日席にヴァーヴィアポワ氏が着席。私の席も彼の横に用意されていた。背後から不気味な黄色人形の視線を感じる。 「改めて皆さん、お集まり頂きありがとうございます。こちらがこの度ご復活なさったドマル・イダムの憤怒尊、ワヤン不動様です」 まばらに拍手が起こる。 「本題に入る前に、皆さん簡単な自己紹介をお願いします。まずは僕、総本部長のヴァーヴィアポワだ。専門は脳神経外科、脳力はチャネリング(精神交信)。よろしく」 薄暗くて読みづらい���ど、机にはそれぞれ名札が立てかけてある。ヴァーヴィアポワ氏のは「Vurviapois(ヴァーヴィアポワ)(Ralf Haenel(ラルフ・ヘイネル))」、上がコードネームで下が本名か。私のは「Wayang Acala(ワヤン不動)(Hitomi Kurenai(紅一美))」となっている。 「EU支部長、耳鼻科医のトミスです……体内に、特別な放線菌(バクテリア)を飼ってます。感染症でお困りの時、力になれますです」 「やあワヤン不動! 僕ぁ欧米一のカリスマ美容外科医、ストイコル。脳力はもちろん、プリシジョン(超緻密動作)さ!」 「アタクシはセントプリーア。幽霊だけど、歴とした南米支部長の産婦人科医よ。これから生まれる胎児ちゃんとお話したり、カワイソウな子に才能を与えてあげる仕事をしてるの」 そういえばNICは医師団。ここにいる支部長さん達も、みんな様々な分野で活躍するお医者さんのようだ。EU支部長は控え目な若いヨーロッパ系の女性で、欧米支部長は絵に描いたようなガタイのいい白人アメリカ人男性。南米支部長は痩せ細ったヒスパニック系の幽霊女性だ。引き続き、時計回りに机の向かい側の方々も挨拶する。 「アフリカ支部長のナサモー、職業は軍医です。脳力はありませんが、一族伝統の整体術を心得ています。その効力を現代医学で解明するのが我が使命です」 「やーあ支部長諸君、そしてワヤン不動君! 私は中東支部長のコネンティンだ! 私の予知脳力は、小児科病棟のちびっ子諸君に大人気なんだぞ!」 「Hey Yo! 俺はベェフェ、アジアの妖神(アヤカシ) 牛の身体に一本足 音楽療法士! カウンセリング 患者の話はシカッティング 着ぐるみ疑惑? それすら俺のブランディング!」 ……こっち側の人達、みんなキャラが濃い。アフリカ支部長はアフリカっぽいフェイスペイントをした男性で、何故か会議の日にも関わらず迷彩服を着ている。ユダヤ教徒ルックな中東支部長はこの中で最年長のおじいさんなのに、一番声が大きくてハツラツとしている。アジア支部長はなんというか……牛だ。角があって可愛い女の子声の、性別不明の牛。ドマルの記憶知識によると、古来から音楽を通じて人間と関わってきた中国の神様らしい。 それにしてもさっきから、ずっと薄暗い部屋にいるせいかどうも具合が悪い。以前は動きが鈍くなりこそすれ、こんな風にはならなかった。復活したてで本調子じゃないのかな。 「全員挨拶したね。そうしたら金剛有明団対策会議を始めるけど……実はワヤン様、僕達はあなた方が来る前に既に結論を出しているんだ」 ༼ 結論? ༽ 「ああ。僕達は……」 彼が答えようとしたその時、突然私の魂に直接テレパシーが届いた。 『逃げて、ワヤン不動! 僕達は操られてる!!』 ༼ へ? ༽ 「……僕達は金剛側につく。そしてここで君を始末する事に決めたのさぁ!」 ガタガタッ! NIC支部長達が一斉に立ち上がり、薄暗かった部屋の電気が完全に消えた。しまった、これは罠だ!
བཞི་པ་
突然の不意打ちから始まった戦闘、相手は世界を代表する七人の超脳力医師! 漆黒に包まれた最悪のコンディションで、私は迷わず非常口のライトに影体を滑らせる。ところが危ない、何か鋭利な刃物を持った欧米支部長が突撃! ༼ おっと! ༽ 間一髪で回避! しかし取り囲まれてしまった。私が光源の近くでしかまともに戦えないのを全員知っていたようだ。 「君の弱点はお見通しさ、ワヤン不動!」 夜目を凝らしてよく見ると、得物は硬化した彼の爪だ。全身を細胞レベルで自在に動かせる彼の脳力、プリシジョンによる技だろう。爪ならティグクで折れそうだ、こちらも武器を捻出して……うっ!? 「多勢に無勢だと忘れてませんか?」 「うふふ、カワイソウ……そそるわ、その苦しそうな表情……!」 その声は、放線菌を飼っているEU支部長と幽霊の南米支部長! 体が重い。私は菌と霊障に感染してしまったようだ。動きの鈍ったところでアフリカ支部長に関節技をかけられて拘束される。普通の敵ならここで影炎で一掃が可能、けどさっき『彼らは操られている』って声が聞こえたから火傷をさせるのはマズい! ༼ それならこうだ! ༽ 非常灯の僅かな光源を編み、メロンバリアを張る! 押し出されたアフリカ支部長を影踏みで拘束し、壁伝いに天井へ這い上がる。非常灯より暗いなりにも外光がさしているし、天井付近は飛べない人は近寄れないはず! 「はっはっは、天窓に向かうのも想定内だ!」 予知脳力者の中東支部長が高笑い、天窓には既にラッパー妖怪アジア支部長が待ち構えていた! この最悪コンディションで牛一頭と闘えっての!? 『落ち着いて。ベェフェ君は僕より運動音痴だから!』 再びテレパシー! いや、いくら運動音痴とはいえ牛! 「怖気づいてるぜ明王!」 牛突撃! ……いや、めっちゃ遅い! 普通に避けて、そのまま影踏みで足止めを……ん? 動けない!? 「俺はツイてるぜ衝動!!」 牛激突! 体感した事のない鈍い衝撃が全身を貫き、私はカンファレンスルームの最も暗い角に叩きつけられた! 影体がバリバリと電気分解し、気の遠くなるような感覚に襲われる。何だ、さっきの……体を硬直させる脳力者はいなかったはずじゃ!? 『あわわわ、どうしよう、ワヤ……「いや、さっきからうるさいんだけど! 邪魔しないでくれる!?」 ヴァーヴィアポワ氏が自分の頬をバシンと叩くと、唯一私に味方してくれていたテレパシーが遮断された。そうか、彼はチャネリングの脳力者、操られながらも僅かに残った意識で警告してくれていたんだ。でも、私は既に支部長達に取り囲まれて万事休す。金剛を倒すため蘇ったワヤン不動も、もはやここまで……この場の誰もがそう確信したその時! 「ガルァァァ!!!」 カンファレンスルームを突如切り裂く青白い閃光! それは一直線に私の影体を攫うと、その広い背中にヒョイと乗せて威嚇体制を取った! ༼ 御戌神! ༽ 「話は全て聞かせてもらったわ。どこの豚だか知らないけど、NICと私達に喧嘩を売るとは見上げた根性ね」 目や指先を鉄のように赤く熱した悟さんも入室! 実はさっき、悟さんに背中に何か付けられた感触があった。取ってみると、それは霊声やテレパシーも拾える小型の高性能盗聴器だった。 「い、いや、違うんだエイミィ! これは……」 「NICコードネームは脳力者職員同士が敬意をもって呼び合う。しかし家族やプライベートな間柄は本名で呼ぶ事が殆ど……あらぁ? 妹の夫である私の事は下の名前で呼んでいらっしゃってましたよねぇ、『ラルフ』義兄(ニイ)さま?」 「ぐッ……いやいや、最初から見抜かれてたとはね……。いや! でも形成は変わらないよ。君らに支部長共は攻撃できないからねぇ!」 攻撃特化の二人、欧米アンドアフリカ支部長が出る! 欧米支部長は爪を通り越して肘下全体を硬化し御戌神へ、アフリカ支部長は見たことのない一族伝統格闘技の構えで悟さんへ! 「黙れ焼豚!」 ブァホオオォォオ!! 悟さんのヒエロニズムでアフリカ支部長炎上! 私も光君の輝きを借りて回復そして武器発現、欧米支部長の両腕を炎のティグクで容��なく切断! 「ギャアアアアア!!」 「いや、なッ、お前ら人の心ないの!?」 操ってる奴ドン引き! すると相変わらず片目でゲームをしながら有働さんも入室。 「ここは病院ですから、介抱なら後でいくらでも可能です。そしてワヤン不動さんは本来癒しの仏。彼女がお力を取り戻せば、皆さんの感じる痛みも和らげてくれるでしょう。それから……」 有働さんが斜めに半歩下がると、彼の後ろから一人の女の子が現れた。少女が支部長達に両手をかざすと、 「スリスリマスリ!」 シュパアアァァァ! 突然辺り一帯にパステルカラーの雲霧が立ち込め、次の瞬間支部長達は全員気絶! この力……そして、この子は! 「お久しぶりです、ヒトミちゃん。オモナ! かわいいワンちゃんね!」 ༼ イナちゃん!? ༽ 彼女はパク・イナちゃん。私と同じく愛輪珠如来に因縁のある、巫俗(巫女)の女子高生だ。どういう経緯かは思い出せないけど、アンダスキンを退治した時一緒に戦った仲間だ! 「譲司兄ちゃんの弟さんに呼ばれてびっくり、パジャマのまま来ちゃたヨ。ここのみんな、気が乱れてた。でも私治したからもう大丈夫! ねえワンちゃん触っていい?」 イナちゃんの霊能力は理気置換術(りきちかんじゅつ)、人や霊魂の乱れた気を正す、儒教に伝わる気功療法だ。支部長さん達はとりあえず憑き物が取れ、全員動かなくなっているが命に別状はなさそうだ。心なしか部屋全体も明るくなった。しかしイナちゃんは御戌神を撫でながら首をかしげる。 「オモ? ヘンね。この人達操ってたお化けいないヨ? 理気置換術当たったら、いい子ちゃんになてるのに」 「逃がしたかしら? そんな気配はなかったけど」 悟さんと有働さんも周囲を見渡すが、それらしき気配はない。ところで、私にはなんとなく敵の正体がわかる気がする。敵は大人数を操っていたにも関わらず、一人か二人ずつでしか攻撃してこなかった。本人の気配も少ないし、術を使っていたのは一人である可能性が高い。特徴としては、暗い場所に関わらず正確に行動でき、乗っ取りを解除されたら室内が明るくなった。そして何より、最初から影法師が暗闇に弱いと知っていて、幽霊や脳力者の金縛りは通常効かない影体の動きを止められた。それに当てはまる人物は…… ༼ ひょっとして、相手も影法師か? ༽ そう。同業者である可能性が高い。すると有働さんが何か閃いたようにタブレットPCを取り出した。 「インドネシアで影神(ワヤン)と申しますと……私が愛好しているソーシャルゲームに、このようなキャラクターがいます」 一同でモニターを覗くと、そこには黄色い肌のアニメ調美少女キャラクターがいた。格闘家の道着に似た格好で、足元から伸びた黒い触手が体の周りを漂い、額には黒い大穴が空いていて、そこからさらに小さな顔が覗いているデザインだ。右下には銀色の文字でNと書かれている。 「これはバドゥクン・サンテット、インドネシアに古来から伝わる暗殺呪術師です。未確認生物シャドーピープルを生み出した開祖とも言い伝えが……」 すると有働さんが説明している最中、どこからか声が聞こえた。 「……いやレア度ノーマルかよ!」 「ん?」 全員が周囲を見渡す。やっぱり誰もいない。 「気のせいですかね。ともかく、そういう神様がいるんです。非常に狡猾で好色、風見鶏のような事大主義者と言われています」 「いやいや悪意ありすぎ! 人間は賢いボクたまに嫉妬してるだけっしょ!」 今度ははっきりと聞こえた。声の方角にいたのは……あの不気味な黄色い人形だ。私は悟さんに目で合図し、ヒエロニズムの遠隔発火攻撃を頼んだ。 「イヤあっちゃちゃちゃちゃ!!?」 人形が炎に包まれると同時に、黒々とした大量の帯電エネルギーが溢れ出す。それはたちまち部屋中の影を吸収しながら人形の炎を鎮火し、その体を人型サイズにまで肥大化させた。 「いやいやいや~。キミたち如きカスどもが、このボクたまを見つけるとはイヤ恐れ入ったよ! いやそれにしても、そのキャラクターちょっとは可愛く描けてるね。いや、本物のボクたまには到底及ばないけど!」 妙に否定から入る口癖のソレは、どうやら有働さんの読み通り。これが全ての影法師(シャドーピープル)の開祖とは眩暈がするが…… 「いやあ、ボクたま優しいからちゃんと名乗ってあげる。大神影(ワヤン)、バドゥクン・サンテット。可愛ぃ子ちゃんには弱いけど……ボクたまが一番カワイコチャーン!!」 ལྔ་པ་ バドゥクンも影法師なら闇には弱いはずだ。となるとさっきの暗い部屋は、恐ろしい事に全て彼の術下だったのだろう。だからさっきやけに具合が悪かったんだ。 ༼ 待て、バドゥクンとやら。お前も金剛の手先か? ༽ 「いや、あいつらとは関係ないね。けどあいつらすっごく強ぇから、ボクたまうーんとゴマ擦ってあやかってやるのさ!」 ༼ なるほど、伝承通りのゲス野郎。なら容赦する必要なし! カハァーーーッハハハハァーーー!!! ༽ ティグク発炎! 私は嬌声を上げながら御戌神の背中を跳躍しバドゥクンに迫る! 最近ずっと恩師とか味方の人とばっかりで本気で戦えなかった鬱憤を晴らしてくれるわ!!! 「イヤアァあっちぃ! いやんもぉ、ボクたまの超キュートなお顔が燃えちゃうだろ!?」 「ぜんぜんかわいくないヨ! お顔キモいヨ!」 オルチャンガールの辛辣なツッコミ! バドゥクンは外殻である人形の体を盾にしながらちょこまかと動き回り、影法師術の数々で私の体力を削ろうと試みる。影踏み、影移し、影鏡、メロンバリアー……だがそれらは全て私も使える技だ! 応酬! 「いやね? 金剛有明団はアガルダっていう楽園を作るのにお前が邪魔らしいけど、それはボクたまにとってどーだっていい。でもワヤン不動、ボクたまはお前の事が個人的に気に入らないんだ!」 するとバドゥクンが見た事のない構えを取る! 「せっかくボンキュッボンのクセにぜーんぜん色気のない戦闘狂いって感じでさぁ、しかも前世が邪尊で引退宣言!? いやいやふざけんな! 世界的に神影(ワヤン)のイメージが悪くなっただろ���が!」 チュタタタタ! 突如バドゥクンの手元から光と影を練った小弾が射出される! 私は一歩下がってそれを回避。するとその瞬間既に間合いを詰めていたバドゥクンが私を掴み、 「死ね、『影縫い』ッ!!」 ブレーンバスター! 吹っ飛ばされる! しかし間一髪、壁に叩きつけられる直前に柔らかい光のクッションが私を守った! 「援護は僕が。反撃を!」 背中に私を受け止め、御戌神は跳躍状態のまま空中で翻り激しく発光! バドゥクンへと続く光のトンネルを作りそこへ私を振り落とす。 ༼ こちらにも奥の手はあるぞ! ༽ 空中無敵ゾーンで体制を整えた私はそのまま突進すると見せかけ直前で停止。相手の反撃ビームを一度かわしたのち、光の壁に隠して這わせた灼熱神経線維でバドゥクンの全身を爆破! 「いやああぁぁ!?」 ヴァダダガガァン!!! 須弥山をも砕く衆生の怨恨で外殻人形は瞬く間に灰塵と帰す! 現れた中の本体は……人形と寸分たがわぬ同じ顔! どれだけナルシストなんだこいつは!! ༼ 念彼観音力ィィーーーッ!!! ༽ 本体一刀両断! スタングレネードの如く光と影が爆ぜる!! 「チクショオォォーーー!! ……いや、まだだぁ!」 明暗錯綜するカンファレンスルームの中で未だ闘志衰えぬバドゥクンは必死に影体を練り上げ、天井に黒々とタールのような不定形塊を捻出した! まさに影法師開祖の意地! 「喰らいやがれ究極奥義、影影無窮(えいえいむきゅう)……」 「お黙り焼豚!」「ガルルァァ!」「スリスリマスリ!」 「イヤアアアァァーーー!!?」 必殺キャンセル!! まさかの仲間三人同時攻撃でバドゥクン再破裂! さしもの開祖様もあえなく墜落。丁度落ちていた人形の灰の山にスルリと入魂すると、もはや再び動き出す体力は残っていなかった。 དྲུག་པ་ 最古の神影(ワヤン)はしぶとく、バドゥクンは消滅は免れたようだ。水をかけて冷ました灰にイナちゃんのお札を貼って封印し、みんなで荒れたカンファレンスルームの机や椅子を片付けていると、NIC支部長さん達が目を覚ました。 「うう……酷い目に遭いましたです……」 「やれやれ! 天下のNIC支部長軍団が全員乗っ取られるなんてな」 EU支部長は菌達の無事を確認するように全身を見回し、欧米支部長は崩れた髪型を直す。一方アフリカとアジアの支部長達は自分の身なりには目もくれず、弱体化したバドゥクンの灰山をペンなどで刺して仕返しに興じている。中東支部長は、引っくり返って一人で起き上がれなくなったヴァーヴィアポワ氏……もとい、ラルフさんを手伝っている。 「ふぅ、ごめんねワヤン不動。NIC職員は自分の脳力を過信しすぎちゃう悪い癖があるけど、ここのセキュリティはもうちょっとしっかりしないとね」 ༼ いえ。ラルフさん���送って頂いたテレパシーのおかげで、悟さんに一早く異変を伝えられました ༽ 「ああ、サトくん! 久しぶり! 金融アルマゲドン、お疲れ様。カスプリアもサトくんが一位で喜んでたよぉ」 「まあラルフお義兄様、お体は大丈夫? ヘルニアやってるんだから、少しは痩せなきゃだめよ!」 正気に戻った総長と悟さんが内輪の話を始めたので、私と御戌神、イナちゃんはバドゥクンに尋問を行う事にした。 ༼ さっきお前が言っていた究極奥義とやらは、どんな技だったんだ? ༽ 「イヤ……誰がお前なんかに……」 圧。 「ヒェッ! い、いやだなー、御冗談ですって不動の姐御! いやね、影影無窮というのは、つまりあのメロンみたいな結界をもっと強固に張って、中の暗黒空間で影武者や影写しした傀儡を好きに操るっていうか」 「よくわかんないヨ!」 「イヤぁん!」 イナちゃんに小突かれて涙目になるバドゥクン。まあ、専門用語が多かったがメソッドは理解できた。NIC支部長さん達を操り、あの部屋全体を自分の術下に置いていた技が影影無窮か。かなりエネルギーを消費しそうだけど、御戌神と一緒なら私もできそうだから練習しておこう。 ༼ もう一つ。さっきお前が言いかけた金剛の楽園アガルダとやらは、どこにあるんだ? ༽ 「へへぇ、それはですね……」 バドゥクンが言いかけたその瞬間、目の前に急に柱のようなものが立った。……いや、違う。これは……これは、散減!? 「いっ……ゃ……ァ……!?」 パシュン! 散減に食われたバドゥクンは溶解と破裂の中間のような音を立てて分解霧散、完全に逝去してしまった。金剛に因縁深い御戌神とイナちゃんも戦慄する。 「ああ、カワイソウ、カワイソウ。弱くて惨めなお人形さん……壊れちゃった」 その時、散減が発する白濁乳と同じ悪臭を纏っていたのは…… 「南米支部長、セントプリーア?」 ラルフさんが驚愕する。まさか、NICの中に金剛の人間がいるなんて。 「それに比べて、ワヤン不動。囚われの仏じゃなくなったあなたってぜぇんぜんカワイソウじゃない!」 私は考えるより先に動いていた。南米支部長の幽体にティグクを振りかぶる。ズンと物を斬る感触! が、それは南米支部長を庇って飛び出た散減! 「きゃあああぁぁーーーーーーーっ!!!!!」 つんざくような悲鳴! 散減の断末魔か……違う! 南米支部長だ! 「ついにッ! ついにワタクシに手を出した……暴力を振るったわね! 繊細でか弱いこのワタクシを! 卑劣な加害者め、あなたを絶対に許さない!」 南米支部長は私を軽蔑に満ちた目で睨む。な、なんなんだこの、被害者意識の塊みたいな女は!? 「フゥ、フゥゥ……ワタクシはこれから代理母のお腹から生まれ変わるわ。そうしたら仏のあなたはもうワタクシを傷つけられない! 衆生になるんですものね。それともワタクシを殺して殺人鬼になる方が、邪尊さんにはお似合いかしら? ウフフフフ、それじゃあね」 ༼ ま、待て! ༽ 裏切り者の南米支部長はそのまま消えてしまった。バドゥクンは消え、敵の本拠地ももうわからない。何もかもが振り出しに戻り、カンファレンスルームは再び陰鬱な沈黙に包まれた……。
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【声明第7弾】オリンピック開幕直前に度重なる出頭要請!監視つきまとい目的の捜査継続は人権侵害だ!世田谷署・公安警察は反五輪弾圧ヤメロ!
世田谷署がまたしても、7月13日朝10時に署への出頭を求める書面をAさんの元に送りつけてきました。しつこい、しつこすぎる!オリンピック開幕が直前に迫り、世界規模のコロナ禍において強行される東京オリンピック・パラリンピックへの批判の声が噴出する中、「オリンピック中止」の火消しにおおいに焦る警察・公安は、一貫して私たちとともにオリンピック反対の声を挙げてきたAさんにターゲットを絞り、またぞろ捜査名目の監視つきまといという許しがたい人権侵害を繰り返そうとしています。
Aさんに対する不当な家宅捜索(ガサ)が強行されたのは2020年2月18日、1年半も前のことです。警視庁公安2課・大林馨を筆頭に、世田谷署の私服刑事と公安警察約30人が、早朝にAさんのテントに押しかけ3時間半も取り囲み、居所を漁りまくってパソコンや手帳や身分証などありとあらゆる私物を持ち去りました。そのさい警察はまっさきにAさんの髪の毛3本を押収、さらに口腔内のDNA採取を要求しています。生体情報収集が最大の目的という気色の悪いこの不当ガサは、髪の毛以外の押収物は数週間後にすべて返却、身柄拘束も起訴もないまま1年半が経過しても、いまなおむりやり捜査は続行されています。「免状不実記載」などという、警察が活動家弾圧に都合よく持ち出すテッパンの容疑を振りかざして、大げさな不当家宅捜査にあきたらず「取り調べのため」と称して出頭をしつこく求める、郵送だけではなく警官複数がAさんの居所に書面を持参し任意同行を求め圧力を加えるということが、Aさん個人に対して執念深く繰り返されてきました。出頭要請は任意であり応じる必要はまったくありません。警察が証拠捜査主義を逸脱して長期間にわたり出頭を求め続ける、それ自体がAさんを精神的に追い詰め平穏な生活を脅かしていること、それが東京オリンピック・パラリンピック強行のために行われていることに、私たちはこれまで以上に強い憤りを覚えています。コロナパンデミックで世界は一変し、「オリンピック中止」はいまや世界の多数の民意であることが明らかです。事実、公道でのトーチリレーや祝賀イベント、学校連携観戦をとりやめる地方自治体が続出、観客を入れての開催もほとんどの会場で断念、IOC、JOC、オリパラ組織委員会の次々と露呈する不祥事・傲慢体質に、民衆の怒りが収まることは未来永劫ありません。東京で感染が急拡大し、来日するアスリートやオリンピック関係者からも感染が次々判明する状況において、東京オリンピック開催強行は、もはや多くの人々の命と健康を危険にさらす犯罪行為に他なりません。
Aさんに対する1年半も続く警察の不当行為は、そうしたオリンピック・パラリンピックの負の側面を隠蔽し、反五輪運動を不当に貶め、「中止」を求める声を萎縮させるために仕組まれた見せしめ弾圧です。オリンピック・パラリンピックを何が何でも強行するため、異論を力づくで封殺しようと躍起になる警察の姿は、「平和の祭典」オリンピックが一皮抜けば暴力の塊に他ならず、民主主義を破壊して回る疫病神でしかないことを、日本中の、世界中の人々にあらためて確信させています。テロ対策を名目に自らの権力強化に余念のない警察の自画自賛デモンストレーションに反五輪運動を利用するな!Aさんへの陰湿で執念深いストーカー行為をやめろ!
この弾圧に正当性など一片たりとも存在しません。圧倒的権力と暴力を行使して「オリンピックより命を守れ」という悲痛な叫びを実力で抑え込もうとする警察の横暴は、反対派を萎縮させるどころかオリンピック廃止に向けたより強力な反五輪運動への起爆剤になることでしょう。世田谷署・公安警察はAさんへの監視つきまといをいますぐやめろ!オリンピック・パラリンピックをかさにきた警察権力の横暴を絶対に許さないぞ!オリンピック・パラリンピックで跳梁跋扈する警察・公安組織こそ民衆の敵だ!オリンピック・パラリンピックもろとも廃絶しろ!
2021年7月15日
反五輪の会NO OLYMPICS 2020
2020「オリンピック災害」おことわり連絡会
度重なる執拗な出頭要請をやめるよう、弁護士による申し入れも行われました。
被疑事件 免状不実記載 被疑者 ■■■
申入書
2021 年 7月15日
警視庁世田谷警察署 御中 (同警察署派遣 警視庁公安部公安第二課 大林馨警部 担当)
第1 申入れの趣旨
頭書事件についての捜査を直ちに終結し、以後被疑者に対する任意出頭の要 請をすることの無きよう申し入れる。
第2 申入れの理由
1、 頭書事件について、被疑者の居所は2020年2月18日に捜索差押を受け、別紙のとおりの動産を押収され、同時に執拗にDNAの提供を求められた。 以後、被疑者に対して断続的に文書による任意出頭の要請が行われ, これは 2020年9月 2021年4月、7月と繰り返されている。 また、 捜索差押 が行われた際や、2021年1月にも、口頭で任意出頭の要請が重ねられた。
2、しかし、そもそも、 既に捜索差押から1年半近い期間が経過している。 その間、警察のしたことといえば、数か月に1回のペースで漫然と任意出頭の要請 を繰り返しているだけなのだから、これ以上の捜査の必要性など一片たりとも 存在しないことは明白である。
そして2021年7月に至って延期されたオリンピックの開催が間近となる やまたしても任意出頭の要請がされるに至っている。 これほどわかりやすい話はない。
上記任意出頭の要請が免状不実記載の捜査に藉口し、 東京オリンピックの開 催に反対してきた被疑者の個人情報、交友関係をはじめオリンピック反対運動 等についての警備情報の収集を目的としたものであることは、前記捜索押収の 押収品中に毛髪、 歯ブラシ、被疑事実との関連性のないパーソナルコンピュー ター及び付属の記憶媒体一切、 スマートフォンが含まれていることから疑う余地はない。
3 被疑者はこのような任意出頭の要請に応じる意思はない。 またこのような嫌がらせの任意出頭を被疑者が拒否したところで、 既に捜査 差押の執行が遥か1年半近く前に終了し、(髪の毛を除く全ての) 押収物の還 付すら1年3か月前に終了している本件において罪証隠滅のおそれなど一切存 在しない。 そして度重なる任意出頭要請を拒否しつつも、 警察官が訪れまた警 察署からの郵便物も到達するその居所において現在も起臥寝食をしている被疑 者に逃亡の恐れも一切存在しない。
したがって逮捕の必要性 (刑事訴訟規規則第143条の3) もまた一切存在 しない。
4 以上のとおりであり、 頭書事件についてこれ以上 「捜査の必要」 なるものは どこにも存在せず、直ちに頭書事件についての捜査は終結されるべきである。
被疑者に対する任意出頭の要請の必要がないことは当然である。
万一、爾後被疑者に対する身体拘束等の強制処分がなされるのであれば、そ れらは須らく違法である。そのような事態が生じた場合には国家賠償請求含め あらゆる法的手段をもって対処することを付言する。
以上
添付書類
弁護人選任届 2通
押収品目録交付書 1通
<これまでの声明>
1、反五輪運動の仲間への不当な家宅捜索に抗議する! 2、反五輪運動の仲間への不当な家宅捜索に抗議する! <第二弾 世田谷署への抗議とAさんへの激励メッセージを!> 3、 【声明第3弾】 東京地裁は準抗告棄却! しかし、毛髪3本以外の押収物すべて取り戻す!けれども、不当な捜査は継続中、引き続き支援と注目を! 4、【声明第4弾】世田谷警察署は出頭要請・取り調べを断念しろ!コロナ禍の東京五輪強行のための不当弾圧やめろ! 5、【声明第5弾】世田谷警察署、Aさんのテントで直接の出頭要請。たび重なるいやがらせ弾圧はやめろ! 6、【声明第ab6弾】世田谷警察署はしつこい出頭要請をやめろ!
<五輪反対運動の弾圧に抗議する言論人の会による声明>
オリンピックに反対する市民の生活破壊を目論む警察・公安の暴力的捜査に抗議する Statement against the police raid on private lives of those who resist the ‘Olympics’
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こんにちは 名古屋店 コジャです。
2024AW Lot4800 7分袖 BASEBSALL TEEの新作が入荷しています。
WAREHOUSE & CO. Lot 4800 7分袖ベースボールT TEXAS \8.910-(with tax)
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季節柄、THE「今」な七分袖。
是非御検討下さい。
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☞ [営業時間のお知らせ]
平素よりウエアハウス直営店をご利用頂き有難う御座います。 ウエアハウス直営店では営業を下記の通り変更しております。
《2024.10.15.現在の営業時間》
◎東京店 【営業時間:平日 12時~19時 土���祝 12時~19時】無休 ◎阪急メンズ東京店 【営業時間:平日 12時~20時 土日祝 11時~20時】無休 ◎名古屋店【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】水曜定休 ◎大阪店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎福岡店 【営業時間: 平日 12時~19時 土日祝 12時~19時】 無休 ◎札幌店 【営業時間: 11時~20時】 木曜定休
今後の営業時間等の変更につきましては改めて当ブログにてお知らせ致します。 お客様におかれましてはご不便をお掛けいたしますが御ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
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裕くんが三日月亭でバイトする話(タイトル)
定晴ルート入った辺りのお話。
委員会イベやら本編の描写やらとあるルートネタバレやら有。
「なぁ裕。お前、数日ここでバイトしねえか?」 「は?バイト?」
いつものように三日月亭に買い物に来ていた俺は、店長から唐突な申し出を受けた。
「お前ドニーズでバイトしてたって言ってたよな?調理スタッフとしてもやれるだろ?」 「はあ。まぁ、確かにキッチンもやってたのでやれなくはないですが。どうしたんです?随分と突然ですね」
三日月亭は店長が一人で回している。 繁盛している時間は確かに忙しそうではあるが、注文、調理、配膳と見事に捌いている。 港の食堂を稼働させていた時の俺のような状態ではとてもない。 これが経験の差というものか。 いや、それは兎も角人員を雇う必要性をあまり感じないのだがどうしたというのだろうか。
「いや、その・・・ちょっと腰が・・・な」 「腰?店長腰悪くしたんですか?ちょ、大丈夫ですか!?海堂さん呼んできましょうか?あの人ああ見えてマッサージ得意なので」 「あー・・・そういうワケじゃ、いや、元はと言えばお前らがブランコなんか・・・」
なんだかよくわからないが随分と歯切れが悪い。 腰悪くしたことがそんなに言いにくい事なのか? 言葉尻が小さくて上手く聞き取れない。
「・・・あー、海堂の旦那の事は頼む。屈んだりすると結構痛むもんでな。基本はホール、こっちが手一杯になったらキッチンもやってもらうつもりだ。で、どうだ?まかない付きで給料もしっかり出すぜ。時給は・・・こんくらいでどうだ?」 「おお・・・意外と結構な金額出しますね」 「臨時とは言えこっちから頼んでるわけだしな。その分コキ使ってやるが」
海堂さんの事を頼まれつつ、仕事内容も確認する。 まぁ、ドニーズの頃と左程変わらないだろう。お酒の提供が主、くらいの違いか。 時給もこんな離���の居酒屋とは思えない程には良い。田舎の離島で時給四桁は驚きだ。 内容的にも特に問題ない。直ぐにでも始められるだろう。 とはいえ、屋敷に世話になっている身。勝手に決められるものでもない。
「非常に魅力的ではあるんですが、即断即決とは・・・。申し訳ないですが、一度持ち帰らせてください」 「おう。言っとくが夜の居酒屋の方だからな」 「キッチンの話出しといて昼間だったらそれはそれでビックリですよ。わかりました、また明日にでも返事に来ますよ」
話を終え、買い物を済ませて三日月亭を後にする。 バイト、かぁ・・・。
夕食後。皆で食後のお茶をいただいている時に俺は話を切り出した。 夜間の外出になるのでまずは照道さんに相談するべきだし、海堂さんにもマッサージの話をしなければならない。
「成程。裕さんがやりたいと思うなら、私は反対はしませんよ。店長には日ごろからお世話になっていますし」 「ほー。ま、いいんじゃねぇの?懐があったかくなることは悪いことじゃあねえじゃねえか。マッサージの方も受けといてやるよ。店長に借り作っとくのも悪くないしな」
難しい顔をされるかと思ったが、話はあっさりと通った。 海堂さんに至っては難色を示すかと思っていたが、損得を計算したのかこちらもすんなりと了承を得た。 ちょっと拍子抜けしつつ、改めて照道さんに確認する。
「えっと、本当にいいんですか?」 「ええ。ただ、裕さんの事を考えると帰りだけは誰かしらに迎えに行ってもらった方がいいかもしれませんね」
確かに。禍月の時ではなくても、この島は気性が荒い人は少なくない。 まして居酒屋で働くのだ。店長がいるとはいえ何かしらトラブルに巻き込まれる可能性もある。
「じゃあ、俺が迎えに行くぜ。なんなら向こうで普通に飲んでてもいいしな」
お茶を啜っていた勇魚さんがニカッと笑う。 あ、湯呑が空になってる。 急須を取り、勇魚さんの湯呑にお茶を注ぎながら問い返す。
「俺は助かりますけどいいんですか?はい、お茶のおかわり」 「お、さんきゅ。いいんだよ、俺がやりてえんだから。俺なら酔いつぶれることもねえしな。それに、そういうのは旦那の仕事だろ?」
自然な流れで旦那発言が出てきて驚きつつ、その事実に一気に顔が火照る。 うん、そうなんだけど。嬉しいんだけど。そうストレートに言われると恥ずかしいというかなんというか。
「え、と・・・ありがとうございます」 「けっ、惚気は余所でやれってんだ」 「ふふ・・・」
海堂さんのヤジも、照道さんの温かな眼差しもどこか遠くに感じる。 ヤバい。凄い嬉しい。でもやっぱ恥ずかしい。 そんな思いに悶々としていると、冴さんがコトリと湯呑を置いた。
「で、バイトはいいんだけど、その間誰が私達のおつまみを用意してくれるの?」 「はっ、そういやそうだ!オイ裕!お前自分の仕事はどうする気なんだ」
冴さんの一言に、海堂さんが即座に反応する。 ええ・・・酒飲みたちへのおつまみの提供、俺の仕事になってたの・・・?
「それこそ三日月亭に飲みに来ればいいのでは・・・?」 「それも悪くはないけれど、静かに飲みたい時には向かないのよ、あそこ。それに、この髭親父を担いで帰るなんて事、か弱い乙女の私にさせるの?」
確かに三日月亭は漁師の人達がいつもいるから賑やか、というかうるさい。 ゆったり飲むには確かに向かないかもしれない。ましてや冴さんは女性だから漁師たちの視線を集めまくることだろう。 さり気なく、海堂さんを担ぐのを無理ともできないとも言わない辺りが冴さんらしい。
「ふむ。俺が裕につまみのレシピを教えてもらっておけばいいだろう。新しいものは無理だが既存のレシピであれば再現して提供できる」 「それが無難ですかね。すみません、洋一さん。今日の分、一緒に作りましょう。他にもいくつか教えておきますので」 「ああ、問題ない」
結局、洋一さんが俺の代わりにおつまみ提供をしてくれる事になり、事なきを得た。
翌日、午前中に店長へと返事をした後、島を探索。 少々の収穫もありつつ、昼過ぎには切り上げ、陽が落ち始める前には三日月亭へと足を運んでいた。
「説明は大体こんなもんか。不明な点が出てきたら逐一聞いてくれ」 「はい。多分大丈夫だと思います」
注文の仕方、調理場の決まり、会計の方法。 業務の大半はドニーズでの経験がそのまま役立ちそうだ。 むしろ、クーポンだのポイントだのない分こちらの方がシンプルで楽かもしれない。 渡されたエプロンを付けて腰紐を後ろで縛る。うん、準備は万全だ。
「さ、頼むぞルーキー」 「店長が楽できるよう努めさせてもらいますよ」
そんな軽口をたたき合いながら店を開ける。 数分も経たないうちに、入り口がガラリと音を立てた。
「いらっしゃい」 「いらっしゃいませー!」
現れたのは見慣れた凸凹コンビ。 吾郎さんと潮さんだ。
「あれ?裕?お前こんなとこで何してんだ?」 「バイト・・・えっと、店長が腰悪くしたみたいで臨時の手伝いです」 「なに、店長が。平気なのか?」 「動けないって程じゃないらしいので良くなってくと思いますよ。マッサージも頼んでありますし。それまでは短期の手伝いです」 「成程なぁ・・・」
ここで��くようになった経緯を話しつつ、カウンター近くの席へご案内。 おしぼりを渡しつつ、注文用のクリップボードを取り出す。
「ご注文は?まずは生ビールです?生でいいですよね?」 「随分ビールを推すなお前・・・まぁ、それでいいか。潮もいいか?」 「ああ、ビールでいいぞ。後は―」
少々のおつまみの注文を受けつつ、それを店長へと投げる。
「はい、店長。チキン南蛮1、鶏もも塩4、ネギま塩4、ツナサラダ1」 「おう。ほい、お通しだ」
冷蔵庫から出された本日のお通し、マグロの漬けをお盆にのせつつ、冷えたビールジョッキを用意する。 ジョッキを斜めに傾けながらビールサーバーの取っ手を手前へ。 黄金の液体を静かに注ぎながら垂直に傾けていく。 ビールがジョッキ取っ手の高さまで注がれたら奥側に向けてサーバーの取っ手を倒す。 きめ細かな白い泡が注がれ、見事な7:3のビールの完成。 うん、我ながら完璧だ。 前いたドニーズのサーバーは全自動だったから一回やってみたかったんだよなぁ、これ。
「はい、生二丁お待たせしました。こっちはお通しのマグロの漬けです」 「おう。んじゃ、乾杯ー!」 「ああ、乾杯」
吾郎さん達がビールを流し込むと同時に、入り口の引き戸が開く音がした。 そちらを向きつつ、俺は息を吸い込む。
「いらっしゃいませー!」
そんなスタートを切って、およそ2時間後。 既に席の半分は埋まり、三日月亭は盛況だ。 そんな中、またも入り口の引き戸が開き、見知った顔が入って来た。
「いらっしゃいませー!」 「おう、裕!頑張ってるみたいだな!」 「やあ、裕。店を手伝っているそうだな」 「勇魚さん。あれ、勇海さんも。お二人で飲みに来られたんですか?」
現れたのは勇魚さんと勇海さんの二人組。 俺にとっても良く見知ったコンビだ。
「勇魚から裕がここで働き始めたと聞いてな。様子見ついでに飲まないかと誘われてな」 「成程。こっちの席へどうぞ。・・・はい、おしぼりです。勇魚さんは益荒男ですよね。勇海さんも益荒男で大丈夫ですか?」 「ああ、頼むよ」 「はは、裕。様になってるぞ!」 「ありがとうございます。あまりお構いできませんがゆっくりしていってくださいね」
勇魚さんは俺の様子見と俺の迎えを兼ねて、今日はこのままここで飲むつもりなのだろう。 それで、勇海さんを誘ったと。 もう少しここにいたいが注文で呼ばれてしまっては仕方ない。 別の席で注文を取りつつ、すぐさまお酒の用意を準備をしなければ。
「いらっしゃいませー!」 「おッ、マジでいた!よう裕!遊びに来てやったぜ!」 「あれ、嵐の兄さん、照雄さんまで。何でここに?」
勇魚さん達が来てからしばらく経ったころ、店に見知った大柄な人物がやってくる。 道場の昭雄さんと嵐の兄さんだ。
「漁師連中の噂で三日月亭に新しい店員がいるって話を聞いてな」 「話を聞いて裕っぽいと思ったんだが大当たりだな!」 「確認するためだけにわざわざ・・・。ともかく、こっちの席にどうぞ。はい、おしぼりです」
働き始めたの、今日なんだけどな・・・。 田舎の噂の拡散力は恐ろしいな。 そんな事を思いつつ、2人を席に誘導する。 椅子に座って一息ついたのを確認し、おしぼりを渡しクリップボードの準備をする。
「おお。結構様になってるな。手際もいい」 「そりゃ照雄さんと違って裕は飲み込みいいからな」 「・・・おい」
照雄さんが俺を見て感心したように褒めてくれる。 何故か嵐の兄さんが誇らしげに褒めてくれるが、いつものように昭雄さん弄りも混じる。 そんな嵐の兄さんを、照雄さんが何か言いたげに半目で睨む。ああ、いつもの道場の光景だ。
「はは・・・似たようなことの経験があるので。お二人ともビールでいいですか?」 「おう!ついでに、裕が何か適当につまみ作ってくれよ」 「え!?やっていいのかな・・・店長に確認してみますね」
嵐の兄さんの提案により、店長によって「限定:臨時店員のおすすめ一品」が即座にメニューに追加されることとなった。 このおかげで俺の仕事は当社比2��になったことを追記しておく。 後で申し訳なさそうに謝る嵐の兄さんが印象的でした。 あの銭ゲバ絶対許さねえ。
「おーい、兄ちゃん!注文ー!」 「はーい、只今ー!」
キッチン仕事の比重も上がった状態でホールもしなければならず、一気にてんてこ舞いに。
「おお、あんちゃん中々可愛い面してるなぁ!」 「はは・・・ありがとうございます」
時折本気なのか冗談なのかよくわからないお言葉を頂きつつ、適当に濁しながら仕事を進める。 勇魚さんもこっちを心配してくれているのか、心配そうな目と時折視線があう。 『大丈夫』という気持ちを込めて頷いてみせると『頑張れよ』と勇魚さんの口元が動いた。 なんかいいなァ、こういうの。 こっからも、まだまだ頑張れそうだ。
「そういえば、裕は道場で武術を学んでいるのだったか」 「おう。時たまかなり扱かれて帰って来るぜ。飲み込みが早いのかかなりの速度で上達してる。頑張り屋だよなぁ、ホント」 「ふふ、道場の者とも仲良くやっているようだな。嵐の奴、相当裕が気に入ったのだな」 「・・・おう、そうだな。・・・いい事じゃねえか」 「まるで兄弟みたいじゃないか。・・・どうした勇魚。複雑そうだな」 「勇海、お前さんわかって言ってるだろ」 「はは、どうだろうな。・・・ほら、また裕が口説かれているぞ」 「何っ!?ってオイ!勇海!」 「はははははっ!悪い。お前が何度もちらちらと裕の方を見ているのでな。あれだけ島の者を惹きつけているのだ、心配も当然だろう」 「裕を疑うわけじゃねえ。が、アイツ変なところで無防備だからよ。目を離した隙に手を出されちまうんじゃないかと気が気じゃねえんだよ」
何を話しているのかはここからじゃ聞こえないが、気安い親父たちの会話が交わされているらしい。 勇魚さんも勇海さんもなんだか楽しそうだ。
「成程な、当然だ。ふうむ・・・ならば勇魚よ、『網絡め』をしてみるか?立会人は俺がしてやろう」 「『網絡め』?なんだそりゃ」 「『網絡め』というのはだな―」
あまりにも楽しそうに会話しているので、まさかここであんな話をしているとは夢にも思わなかった。 盛大なイベントのフラグが既にここで立っていたのだが、この時点の俺にはあずかり知らぬ出来事であった。
そんなこんなで時間は過ぎ、あっという間に閉店時刻に。 店内の掃除を終え、食器を洗い、軽く明日の準備をしておく。 店長は本日の売り上げを清算しているが、傍から見ても上機嫌なのがわかる。 俺の目から見ても今日はかなり繁盛していた。 売り上げも中々良いはずだろう。
「いやぁ、やっぱお前を雇って正解だったな!調理に集中しやすいし、お前のおかげで客も増えるし財布も緩くなる!」 「おかげでこっちはクタクタですけどね・・・」 「真面目な話、本当に助かった。手際も良いしフードもいける。島にいる間定期的に雇ってもいいくらいだ。もっと早くお前の有用性に気づくべきだったな」
仕事ぶりを評価してくれているのか、便利な人材として認識されたのか。 両方か。
「俺も俺でやることがあるので定期は流石に・・・」 「ま、ひと夏の短期バイトが関の山か。ともかく、明日もよろしく頼むぜ」 「はい。店長もお大事に。また明日」
金銭管理は店長の管轄だし、もうやれることはない。 店長に挨拶をし、帰路につくことにする。 店を出ると、勇魚さんが出迎えてくれた。
「さ、帰ろうぜ、裕」 「お待たせしました。ありがとうございます、勇魚さん」 「いいって事よ」
三日月亭を離れ、屋敷までの道を二人で歩いていく。 店に居た時はあんなに騒がしかったのに、今はとても静かだ。 そんな静かな道を二人っきりで歩くのって・・・何か、いいな。
「・・・にしてもお前、よく頑張ってたな」 「いや、途中からてんてこ舞いでしたけどね。飲食業はやっぱ大変だなぁ」 「そうか?そう言う割にはよく働いてたと思うぜ?ミスもねえし仕事遅くもなかったし」 「寧ろあれを日がな一人で捌いてる店長が凄いですよ」 「はは!そりゃあ本業だしな。じゃなきゃやってけねえだろうさ」
勇魚さんに褒められるのは単純に嬉しいのだが、内心は複雑だ。 一日目にしてはそれなりにやれたという自覚もあるが、まだまだ仕事効率的にも改善点は多い。 そういう部分も無駄なくこなしている店長は、何だかんだで凄いのだ。
「にしても、この島の人達はやっぱり気さくというか・・・気安い方が多いですね」 「そう、だな・・・」
酒も入るからか、陽気になるのは兎も角、やたらとスキンシップが多かった。 肩を組んでくるとかならまだいいが、引き寄せるように腰を掴んできたり、ちょっとしたセクハラ発言が飛んできたり。 幸か不幸か海堂さんのおかげで耐性がついてしまったため、適当に流すことは出来るのだが。
「裕、お前気を付けろよ」 「はい?何がですか?」 「この島の連中、何だかんだでお前の事気に入ってる奴多いからな。こっちは心配でよ」 「勇魚さんも俺の事言えないと思いますけど・・・。大丈夫ですよ、俺は勇魚さん一筋ですから」 「お、おう・・・」
勇魚さんは俺の事が心配なのか、どこか不安そうな顔で俺を見る。 モテ具合で言ったら寧ろ勇魚さんの方が凄まじい気がするので俺としてはそっちの方が心配だ。 でも、その気遣いが、寄せられる想いが嬉しい。 その温かな気持ちのまま、勇魚さんの手を握る。 一瞬驚いた顔をした勇魚さんだが、すぐさま力強く握り返される。
「へへっ・・・」 「あははっ」
握った手から、勇魚さんの熱が伝わってくる。 あったかい。手も。胸も。 温かな何かが、胸の奥から止まることなく滾々と湧き出てくるようだ。 なんだろう。今、すごく幸せだ。
「なぁ、裕。帰ったら風呂入って、その後晩酌しようぜ」 「閉店直前まで勇海さんと結構飲んでましたよね?大丈夫なんですか?」 「あんくらいじゃ潰れもしねえさ。な、いいだろ。ちょっとだけ付き合ってくれよ」 「全くもう・・・。わかりましたよ。つまむもの何かあったかなぁ」
という訳でお風呂で汗を流した後、縁側で勇魚さんとちょっとだけ晩酌を。 もう夜も遅いので、おつまみは火を使わない冷奴とぬか漬けと大根おろしを。
「お待たせしました」 「おっ、やっこにぬか漬けに大根おろしか。たまにはこういうのもいいなあ」 「もう夜遅いですからね。火をつかうものは避けました」
火を使っても問題は無いのだが、しっかりと料理を始めたら何処からかその匂いにつられた輩が来る可能性もある。 晩酌のお誘いを受けたのだ。 どうせなら二人きりで楽しみたい。
「お、このぬか漬け。よく漬かってんな。屋敷で出してくれるのとちと違う気がするが・・・」 「千波のお母さんからぬか床を貰いまして。照道さんには、俺個人で消費して欲しいと言われてますので・・・」 「ああ、ぬか床戦争って奴だな!この島にもあんのか」
ぬか漬け、美味しいんだけどその度に沙夜さんと照道さんのあの時の圧を思い出して何とも言えない気分になるんだよなぁ。 こうして勇魚さんにぬか漬けを提供できる点に関しては沙夜さんに感謝なんだけど。 というかぬか床戦争なんて単語、勇魚さんの口から出ることに驚きを感じますよ・・・。 他の地域にもあるのか?・・・いや、深く考えないようにしよう。
「そういえば前にからみ餅食べましたけど、普通の大根おろしも俺は好きですねえ」 「絡み・・・」
大根おろしを食べていると白耀節の時を思い出す。 そういえば勇魚さんと海堂さんでバター醤油か砂糖醬油かで争ってたこともあったなぁ。 と、先ほどまで饒舌に喋っていた勇魚さんが静かになったような気がする。 何があったかと思い勇魚さんを見ると、心なしか顔が赤くなっているような気がする。
「勇魚さん?どうしました?やっぱりお酒回ってきました?」 「いや・・・うん。なんでもねえ、気にすんな!」 「・・・???まぁ、勇魚さんがそう言うなら」
ちょっと腑に落ちない感じではあったが、気にしてもしょうがないだろう。 そこから小一時間程、俺は勇魚さんとの晩酌を楽しんだのであった。
翌日、夕方。 三日月亭にて―
「兄ちゃん!注文いいかー?この臨時店員のおすすめ一品っての2つ!」 「こっちにも3つ頼むぜー」 「はーい、今用意しまーす!ちょ��店長!なんか今日やたら客多くないですか!?」 「おう、ビビるぐらい客が来るな。やっぱりお前の効果か・・・?」
もうすぐ陽が沈む頃だと言うのに既に三日月亭は大盛況である。 昨日の同時刻より明らかに客数が多い。 ちょ、これはキツい・・・。
「ちわーっとぉ、盛況だなオイ」 「裕ー!面白そうだから様子見に来たわよー」 「・・・大変そうだな、裕」
そんな中、海堂さんと冴さん、洋一さんがご来店。 前二人は最早冷やかしじゃないのか。
「面白そうって・・・割と混んでるのであんまり構えませんよ。はい、お通しとビール」 「いいわよォ、勝手にやってるから。私、唐揚げとポテトサラダね」 「エイヒレ頼むわ。後ホッケ」 「はいはい・・・」
本日のお通しである卯の花を出しながらビールジョッキを3つテーブルに置く。 この二人、頼み方が屋敷の時のソレである。 ぶれなさすぎな態度に実家のような安心感すら感じr・・・いや感じないな。 何だ今の感想。我が事ながら意味がわからない。
「裕。この『限定:臨時店員のおすすめ一品』というのは何だ?」 「俺が日替わりでご用意する一品目ですね。まぁ、色々あってメニューに追加になりまして」 「ふむ。では、俺はこの『限定:臨時店員のおすすめ一品』で頼む」 「お出しする前にメニューが何かもお伝え出来ますよ?」 「いや、ここは何が来るかを���待しながら待つとしよう」 「ハードル上げるなァ。唐揚げ1ポテサラ1エイヒレ1ホッケ1おすすめ1ですね。店長、3番オーダー入りまーす」
他の料理は店長に投げ、俺もキッチンに立つ。 本日のおすすめは鯵のなめろう。 処理した鯵を包丁でたたいて細かく刻み、そこにネギと大葉を加えてさらに叩いて刻む。 すりおろしたにんにくとショウガ、醤油、味噌、を加え更に細かく叩く。 馴染んだら下に大葉を敷いて盛り付けて完成。 手は疲れるが、結構簡単に作れるものなのだ。 そうして用意したなめろうを、それぞれのテーブルへと運んでいく。 まだまだピークはこれからだ。気合い入れて頑張ろう。
そう気合を入れ直した直後にまたも入り口の引き戸が音を立てたのであった。 わぁい、きょうはせんきゃくばんらいだー。
「おーい裕の兄ちゃん!今日も来たぜ!」 「いらっしゃいませー!連日飲んでて大丈夫なんですか?明日も朝早いんでしょう?」 「はっは、そんくらいで漁に行けない軟弱な野郎なんざこの打波にはいねえさ」 「むしろ、お前さんの顔見て元気になるってもんだ」 「はァ、そういうもんですか?とは言え、飲み過ぎないように気を付けてくださいね」
「なぁあんちゃん。酌してくれよ」 「はいはい、只今。・・・はい、どうぞ」 「っかー!いいねぇ!酒が美味ぇ!」 「手酌よりかはマシとは言え、野郎の酌で変わるもんです?」 「おうよ!あんちゃんみたいな可愛い奴に酌されると気分もいいしな!あんちゃんなら尺でもいいぜ?」 「お酌なら今しているのでは・・・?」 「・・・がはは、そうだな!」
「おい、兄ちゃんも一杯どうだ?飲めない訳じゃねえんだろ?」 「飲める歳ではありますけど仕事中ですので。皆さんだってお酒飲みながら漁には出ないでしょう?」 「そらそうだ!悪かったな。・・・今度、漁が終わったら一緒に飲もうぜ!」 「はは、考えておきますね」
ただのバイトに来ている筈なのに、何だか何処ぞのスナックのママみたいな気分になってくる。 それも、この島の人達の雰囲気のせいなのだろうか。
「あいつすげぇな。看板娘みてぇな扱いになってんぞ」 「流石裕ね。二日目にして店の常連共を掌握するとは。崇といい、これも旺海の血なのかしら?」 「もぐもぐ」 「さぁな。にしても、嫁があんなモテモテだと勇魚の野郎も大変だねぇ」 「裕の相手があの勇魚だって知った上で尚挑めるのかが見ものね」 「もぐもぐ」 「洋一、もしかしてなめろう気に入ったのか?」 「・・・うまい。巌もどうだ?」 「お、おう」
料理を運んでいる途中、洋一さんがひたすらなめろうを口に運んでいるのが目に入る。 もしかして、気に入ったのかな? そんな風にちょっとほっこりした気持ちになった頃、嵐は唐突に現れた。 嵐の兄さんじゃないよ。嵐の到来って奴。
「おーう裕。頑張っとるようじゃのう」 「あれ、疾海さん?珍しいですね、ここに来るなんて」 「げ、疾海のジジィだと!?帰れ帰れ!ここにはアンタに出すもんなんてねぇ!裕、塩持って来い塩!」
勇海さんのお父さんである疾海さんが来店。 この人がここにやってくる姿はほとんど見たことがないけれど、どうしたんだろう。 というか店長知り合いだったのか。
「なんじゃ店主、つれないのう。こないだはあんなに儂に縋り付いておったというのに」 「バッ・・・うるせェ!人の体好き放題しやがって!おかげで俺は・・・!」 「何言っとる。儂はちょいとお前さんの体を開いただけじゃろが。その後に若い衆に好き放題されて悦んどったのはお前さんの方じゃろ」
あー・・・そういう事ね。店長の腰をやった原因の一端は疾海さんか。 うん、これは聞かなかったことにしておこう。 というか、あけっぴろげに性事情を暴露されるとか店長が不憫でならない。
「のう、裕よ。お主も興味あるじゃろ?店主がどんな風に儂に縋り付いてきたか、その後どんな風に悦んでおったか」 「ちょ、ジジィてめぇ・・・」 「疾海さん、もうその辺で勘弁してあげてくださいよ。店長の腰がやられてるのは事実ですし、そのせいで俺が臨時で雇われてるんですから。益荒男でいいですか?どうぞ、そこの席にかけてください」 「おい、裕!」 「店長も落ち着いて。俺は何も見てませんし聞いてません。閉店までまだまだ遠いんですから今体力使ってもしょうがないでしょう。俺が疾海さんの相手しますから」 「―ッ、スマン。頼んだぞ、裕」
店長は顔を真っ赤にして逃げるようにキッチンへと戻っていった。 うん、あの、何て言うか・・・ご愁傷様です。 憐れみの視線を店長に送りつつお通しと益荒男を準備し、疾海さんの席へと提供する。
「よう店主の手綱を握ったのう、裕。やるもんじゃな」 「もとはと言えば疾海さんが店長をおちょくるからでしょう。あんまりからかわないでくださいよ」
にやにやと笑う疾海さんにため息が出てくる。 全く・・・このエロ爺は本当、悪戯っ子みたいな人だ。 その悪戯が天元突破したセクハラばかりというのもまた酷い。 しかも相手を即落ち、沈溺させるレベルのエロ技術を習得しているからなおさら性質が悪い。
「にしても、裕。お前さんもいい尻をしておるのう。勇魚の竿はもう受けたか?しっかりと耕さんとアレは辛いじゃろうて」
おもむろに尻を揉まれる。いや、揉みしだかれる。 しかも、その指が尻の割れ目に・・・ってオイ!
「―ッ!」
脳が危険信号を最大限に発し、半ば反射的に体が動く。 右手で尻を揉みしだく手を払いのけ、その勢いのまま相手の顔面に左の裏拳を叩き込む! が、振り抜いた拳に手ごたえは無く、空を切ったのを感じる。 俺は即座に一歩下がり、構えを解かずに臨戦態勢を維持。 チッ、屈んで避けたか・・・。
「っとぉ、危ないのう、裕。儂の男前な顔を台無しにするつもりか?」 「うるせえジジイおもてでろ」 「ほう、その構え・・・。成程、お前さん辰巳の孫のとこに師事したんか。道理で覚えのある動きじゃ。じゃが、キレがまだまだ甘いのう」
かなりのスピードで打ち込んだ筈なのに易々と回避されてしまった。 やはりこのジジイ只者ではない。 俺に攻撃をされたにも関わらず、にやにやとした笑いを崩さず、のんびりと酒を呷っている。 クソッ、俺にもっと力があれば・・・!
「おい裕、どうした。何か擦れた音が、ってオイ。マジでどうした!空気が尋常じゃねぇぞ!?」
店内に突如響いた地面を擦る音に、店長が様子を見に来たようだ。 俺の状態に即座に気づいたようで、後ろから店長に羽交い締めにされる。
「店長どいてそいつころせない」 「落ち着け!何があったか想像はつくが店ん中で暴れんな!」 「かかかっ!可愛い奴よな、裕。さて、儂はまだ行くところがあるでの。金はここに置いとくぞ」
俺が店長に止められている間に、エロ爺は笑いながら店を後にした。 飲み食い代よりもかなり多めの金額が置かれているのにも腹が立つ。
「店長!塩!」 「お、おう・・・」
さっきとはまるきり立場が逆である。 店の引き戸を力任せにこじ開け、保存容器から塩を鷲掴む。
「祓い給え、清め給え!!消毒!殺菌!滅菌ッ!!!」
適当な言葉と共に店の前に塩をぶちまける。 お店の前に、白い塩粒が散弾のように飛び散った。
「ふー、ふー、ふーッ!・・・ふぅ」 「・・・落ち着いたか?」 「・・・ええ、何とか」
ひとしきり塩をぶちまけるとようやく気持ちが落ち着いてきた。 店長の気遣うような声色に、何ともやるせない気持ちになりながら返答する。 疲労と倦怠感に包まれながら店の中に戻ると、盛大な歓声で出迎えられる。
「兄さん、アンタやるじゃねぇか!」 「うおッ!?」 「疾海のじいさんにちょっかいかけられたら大体はそのまま食われちまうのに」 「ひょろっちい奴だと思ってたがすげえ身のこなしだったな!惚れ惚れするぜ!」 「あ、ありがとうございます・・・はは・・・」
疾海さんは俺と勇魚さんの事を知っているから、単にからかってきただけだろうとは思っている。 エロいし奔放だし子供みたいだが、意外と筋は通すし。 あくまで「比較的」通す方であって手を出さない訳ではないというのが困りものではあるが。 そんな裏事情をお客の人達が知っている訳もなく、武術で疾海さんを退けたという扱いになっているらしい。 けど、あのジジイが本気になったら俺の付け焼刃な武術じゃ相手にならない気がする。 さっきの物言いを考えると辰馬のおじいさんとやりあってたって事になる。 ・・・うん、無理そう。
「おっし!そんなあんちゃんに俺が一杯奢ってやろう!祝杯だ!」 「いいねえ!俺も奢るぜ兄ちゃん!」 「抜け駆けすんな俺も奢るぞ!」 「ええっ!?いや、困りますって・・・俺、仕事中ですし・・・」 「裕、折角なんだし受けておきなさいな」
どうしようかと途方に暮れていると、いつの間にか冴さんが隣に来ていた。 と、それとなく手の中に器のようなものを握らされた。
「冴さん。あれ、これって・・・」
横目でちらりと見ると『咲』の字が入った器。 これ、咲夜の盃・・・だよな?
「腕も立って酒にも強いと知っとけば、あの連中も少しは大人しくなるでしょ。自衛は大事よ」 「はぁ・・・自衛、ですか」 「後でちゃんと返してね」
これって確か、持ってるだけで酒が強くなるって盃だったっけ。 その効果は一度使って知っているので、有難く使わせてもら��としよう。 店長もこっちのやりとりを見ていたのか何も言うこと無く調理をしていた。
「おっ、姐さんも一緒に飲むかい!?」 「ええ。折角だから裕にあやからせてもらうわ。さぁ、飛ばしていくわよ野郎共ー!」 「「「「おおーっ!!」」」」 「お、おー・・・」
その後、ガンガン注がれるお酒を消費しつつ、盃を返す、を何度か繰り返すことになった。 途中からは冴さんの独壇場となり、並み居る野郎共を悉く轟沈させて回っていた。 流石っス、姐さん。 ちなみに俺は盃のご利益もあり、その横で飲んでいるだけで終わる事になった。
そんな一波乱がありつつも、夜は更けていったのだった。
そんなこんなで本日の営業終了時刻が近づいてくる。 店内には冴さん、海堂さん、洋一さんの3人。 冴さんはいまだ飲んでおり、その底を見せない。ワクなのかこの人。 海堂さんはテーブルに突っ伏してイビキをかいており、完全に寝てしまっている。 洋一さんはそんな海堂さんを気にしつつ、お茶を啜っている。 あんなにいた野郎共も冴さんに轟沈させられた後、呻きながら帰って行った。 明日の仕事、大丈夫なんだろうか・・・。
後片付けや掃除もほぼ終わり、後は冴さん達の使っているテーブルだけとなった時、入り口が壊れそうな勢いで乱暴に開いた。
「裕ッ!」 「うわっ、びっくりした。・・・勇魚さん、お疲れ様です」
入り口を開けて飛び込んできたのは勇魚さんだった。 いきなりの大声にかなり驚いたが、相手が勇魚さんとわかれば安心に変わる。 だが、勇魚さんはドスドスと近づいてくると俺の両肩をガシリと掴ん���。
「オイ裕!大丈夫だったか!?変な事されてねえだろうな!」
勇魚さんにしては珍しく、かなり切羽詰まった様子だ。 こんなに心配される事、あったっけ・・・? 疑問符が浮かぶがちらりと見えた勇海さんの姿にああ、と納得する。 というか苦しい。掴まれた肩もミシミシ言ってる気がする。
「うわっ!?大丈夫、大丈夫ですって。ちょ、勇魚さん苦しいです」 「お、おう。すまねえ・・・」
宥めると少し落ち着いたのか、手を放してくれる。 勇魚さんに続いて入って来た勇海さんが、申し訳なさそうに口を開いた。
「裕、すまないな。親父殿が無礼を働いたそうだな」 「勇海さんが気にすることではないですよ。反撃もしましたし。まぁ、逃げられたんですけど」 「裕は勇魚のつがいだと言うのに、全く仕方のないことだ。親父殿には私から言い聞かせておく。勘弁してやって欲しい」 「疾海さんには『次やったらその玉潰す』、とお伝えください」 「ははは、必ず伝えておくよ」
俺の返答に納得したのか、勇海さんは愉快そうに笑う。 本当にその時が来た時の為に、俺も更なる修練を積まなければ。 ・・・気は進まないけど、辰馬のおじいさんに鍛えてもらう事も視野に入れなければならないかもしれない。
「裕、今日はもう上がっていいぞ。そいつら連れて帰れ」 「え、いいんですか?」 「掃除も殆ど終わってるしな。色々あったんだ、帰って休んどけ」
俺に気を遣ってくれたのか、はたまたさっさと全員を返したかったのか、店長から退勤の許可が出た。 ここは有難く上がらせてもらおう。色々あって疲れたのは事実だ。
「じゃあ、折角ですので上がらせてもらいます。お疲れ様でした」 「おう。明日も頼むぞ」
店長に挨拶をし、皆で店を出る。 勇海さんはここでお別れとなり、俺、勇魚さん、冴さん、海堂さん、洋一さんの5人で帰る。 寝こけている海堂さんは洋一さんが背負っている。
「裕、ホントに他に何も無かったんだろうな!?」 「ですから、疾海さんにセクハラ受けただけですって。その後は特に何も無かったですし・・・」
で、帰り道。勇魚さんに詰問されております。 心配してくれるのはとても嬉しい。 嬉しいんだけど、過剰な心配のような気もしてちょっと気おくれしてしまう。
「俺に気を遣って嘘ついたりすんじゃねえぞ」 「冴さん達も一緒にいたのに嘘も何もないんですが・・・」 「裕の言ってる事に嘘はないわよ。疾海の爺さんに尻揉まれてたのも事実だけど」 「・・・思い出したら何か腹立ってきました。あのジジイ、次に会ったら確実に潰さなきゃ」
被害者を減らすにはその大本である性欲を無くすしかないかな? やっぱり金的か。ゴールデンクラッシュするしかないか。 あの驚異的な回避力に追いつくためにはどうすればいいか・・・。 搦め手でも奇襲なんでもいい、当てさえすればこちらのものだろう。 そう思いながら突きを繰り出し胡桃的な何かを握り潰す動作を数回。 駄目だな、やっぱりスピードが足りない。
「成程、金的か」 「裕、その、ソイツは・・・」
洋一さんは俺の所作から何をしようとしているかを読み取ったようだ。 その言葉にさっきまで心配一色だった勇魚さんの顔色変わる。 どうしました?なんで微妙に股間を押さえて青ざめてるんです?
「冴さん。こう、男を不能寸前まで追い込むような護身術とかないですかね?」 「あるにはあるけど、そういうの覚えるよりもっと確実な方法があるわよ」 「え?」 「勇魚。アンタもっと裕と一緒にいなさい。で、裕は俺の嫁アピールしときなさい」
嫁。勇魚さんのお嫁さん。 うん、事実そうなんだけどそれを改めて言われるとなんというか。 嬉しいんだけど、ねぇ?この照れくさいような微妙な男心。
「裕。頬がだいぶ紅潮しているようだが大丈夫か?」 「だ、大丈夫です。何というか、改めて人に言われると急に、その・・・」 「ふむ?お前が勇魚のパートナーである事は事実だろう。港の方でも知れ渡っていると聞いている。恥ずべきことではないと思うが?」 「恥ずかしいんじゃなくて嬉しくも照れくさいというか・・・」 「・・・そういうものか。難しいものだな」
洋一さんに指摘され、更に顔が赤くなる。 恥ずかしいわけじゃない。むしろ嬉しい。 でも、同じくらい照れくささが湧き上がってくる。 イカン、今凄い顔が緩みまくってる自覚がある。
「流石にアンタ相手に真正面から裕に手を出す輩はいないでしょう。事実が知れ渡れば虫よけにもなって一石二鳥よ」 「お、おお!そうだな!そっちの方が俺も安心だ!うん、そうしろ裕!」
冴さんの案に我が意を得たりといった顔の勇魚さん。 妙に食いつきがいいなァ。 でも、それって四六時中勇魚さんと一緒にいろって事では?
「勇魚さんはそれでいいんですか?対セクハラ魔の為だけに勇魚さんの時間を割いてもらうのは流石にどうかと思うんですが」 「んなこたあねえよ。俺だってお前の事が心配なんだ。これくらいさせてくれよ」 「そう言われると断れない・・・」
申し訳ない旨を伝えると、純粋な好意と気遣いを返される。 実際勇魚さんと一緒に居られるのは嬉しいし、安心感があるのも事実だ。
「裕、あんたはあんたで危機感を持った方がいいわよ」 「危機感、といいますとやっぱりセクハラ親父やセクハラ爺の対処の話ですか?」
冴さんの言葉に、2人の男の顔が思い浮かぶ。 悪戯、セクハラ、煽りにからかい。あの人たちそういうの大好きだからなぁ。 でも、だいぶ耐性はついたし流せるようになってきたと思ってるんだけど。
「違うわよ。いやある意味同じようなモンか」 「客だ、裕」 「客?お店に来るお客さんって事ですか?」
え、海堂さんとか疾海さんじゃないのか。 そう思っていると意外な答えが洋一さんの方から返って来た。 客の人達に何かされたりは・・・ない筈だったけど。
「店にいた男たちはかなりの人数が裕を泥酔させようと画策していたな。冴が悉くを潰し返していたが」 「何っ!?」 「え!?洋一さん、それどういう・・・」
何その事実今初めて知った。どういうことなの。
「今日店に居た男たちは皆一様にお前をターゲットとしていたようだ。やたらお前に酒を勧めていただろう。お前自身は仕事中だと断っていたし、店長もお前に酒がいかないようそれとなくガードしていた。だがお前が疾海を撃退したとなった後、躍起になるようにお前に飲ませようとしていただろう。だから冴が向かったという訳だ」 「疾海の爺さん、なんだかんだでこの島でもかなりの手練れみたいだしね。物理でだめならお酒でって寸法だったみたいね」 「えっと・・・」 「食堂に来てた立波さん、だったかしら。ここまで言えばわかるでしょ?店長も何だかんだでそういう事にならないよう気を配ってたわよ」
あァ、成程そういう事か。ようやく俺も理解した。 どうやら俺は三日月亭でそういう意味での好意を集めてしまったという事らしい。 で、以前店長が言っていた「紳士的でない方法」をしようとしていたが、疾海さんとのやりとりと冴さんのおかげで事なきを得たと、そういう事か。
「えー・・・」 「裕・・・」
勇魚さんが俺を見る。ええ、心配って顔に書いてますね。 そうですね、俺も逆の立場だったら心配しますよ。
「なあ裕。明日の手伝いは休んどけ。店には俺が行くからよ」 「いや、そういうワケにもいかないでしょう。勇魚さん、魚は捌けるでしょうけど料理できましたっけ?」 「何、料理ができない訳じゃねえ・・・なんとかなるだろ」
あっけらかんと笑う勇魚さんだが、俺には不安要素しかない。 確かに料理ができない訳じゃないけど如何せん漢の料理だ。店長の補助とかができるかと言うと怪しい。 この島に来てからの勇魚さんの功績をふと思い返す。 餅つき・・・臼・・・ウッアタマガ。 ・・・ダメだ、食材ごとまな板真っ二つにしそうだし、食器を雑に扱って破壊しそうな予感しかしない。 勇魚さんの事だからセクハラされたりもしそうだ。 ダメダメ、そんなの俺が許容しません。
「様々な観点から見て却下します」 「裕ぅ~・・・」
そんなおねだりみたいな声したって駄目です。 却下です却下。
「裕、ならば俺が行くか?」 「お願いしたいのは山々なんですが洋一さんは明日北の集落に行く予定でしたよね。時間かかるって仰ってたでしょう?」 「ふむ。ならば巌に―」 「��え、海堂さんには店長のマッサージもお願いしてますしこれ以上は・・・」
洋一さんが申し出てくれるが、洋一さんは洋一さんで抱えてる事がある。 流石にそれを曲げてもらうわけにはいかない。 海堂さんなら色んな意味で文句なしの人材ではあるのだが、既にマッサージもお願いしている。 それに、迂闊に海堂さんに借りを作りたくない。後が怖い。
「洋一も無理、巌も無理とするならどうするつもりなんだ?高瀬か?」 「勇魚さん、三日月亭の厨房を地獄の窯にするつもりですか?」 「失礼ねェ。頼まれてもやらないわよ」
勇魚さんからまさかの選択が投げられるがそれは無理。 冴さんとか藤馬さんに立たせたら三日月亭から死人が出る。三日月亭が営業停止する未来すらありえる。 頼まれてもやらないと冴さんは仰るが、「やれないからやらない」のか「やりたくないからやらない」のかどっちなんだ。
「明日も普通に俺が行きますよ。ついでに今後についても店長に相談します」 「それが一番ね。店長も裕の状況に気づいてるでしょうし」 「巌の話だとマッサージのおかげかだいぶ良くなってきているらしい。そう長引きはしないだろう」 「後は勇魚がガードすればいいのよ」 「おう、そうか。そうだな」
そんなこんなで話も固まり、俺達は屋敷に到着した。 明日は何事もなく終わってくれればいいんだけど・・・。 そんな不安も抱えつつ、夜は過ぎていった。
そしてバイト三日目。 俺は少し早めに三日月亭へと来ていた。
「ああ、だよなぁ。すまんな、そっちの可能性も考えてなかったワケじゃ無いんだが・・・そうなっちまうよなあ」
俺の状況と今後の事を掻い摘んで説明すると、店長は疲れたように天井を仰ぐ。
「何というか・・・すみません。腰の具合はどうです?」
別に俺が何かをしたわけではないけれど、状況の中心にいるのは確かなので申し訳ないとは思う。
「海堂の旦那のおかげでだいぶ良くなった。もう一人でも回せそうだ。何なら今日から手伝わなくてもいいんだぞ?」
店長はそう言うが、完治しているわけでもない。 悪化するわけではないだろうが気になるのも事実。 なので、昨日のうちに勇魚さんと決めていた提案を出すことにする。
「でも全快というわけでもないんでしょう?引き受けたのは自分です。勇魚さんもいますし、せめて今日までは手伝わせてくださいよ」 「心意気はありがてえが・・・。わかった、面倒ごとになりそうだったらすぐさま離れろよ?勇魚の旦那も頼むぜ」 「おう!」 「はい!さ、今日も頑張りましょう!」
昨日話した通り今日は開店から勇魚さんも店に居てくれる。 万が一な状態になれば即座に飛んできてくれるだろう。 それだけで心の余裕も段違いだ。
「裕、無理すんなよ」 「わかってますよ。勇魚さんも、頼みますね」 「おう、任せときな!」
勇魚さんには店内を見渡せる席に座ってもらい、適当に時間を潰してもらう。 俺は店長と一緒に仕込みを始めながら新メニューの話も始める。 途中、勇魚さんにビールとお通しを出すのも忘れずに。
「新しいメニュー、どうすっかねぇ」 「今日の一品、新レシピも兼ねてゴーヤーチャンプルーでいこうかと思うんですよ」 「ほー。確かに苦瓜なら栽培してるとこはそこそこあるしな。行けるだろう」 「スパム缶は無くても豚肉や鶏肉でいけますからね。肉が合わないなら練り物やツナでも大丈夫です。材料さえあれば炒めるだけってのも高ポイント」 「肉に卵にと寅吉んとこには世話になりっぱなしだな。だが、いいねえ。俺も久しぶりにチャンプルーとビールが恋しくなってきやがった」 「後で少し味見してくださいよ。島の人達の好み一番把握してるの店長なんだから。・・・でも、やっぱり新メニュー考えるのは楽しいな」 「・・・ったく、面倒ごとさえ無けりゃあこのまま働いてもらえるってのに。無自覚に野郎共の純情を弄びやがって」 「それ俺のせいじゃないですよね���・・」
調理実習をする学生みたいにわいわい喋りながら厨房に立つ俺達を、勇魚さんはニコニコしながら見ている。 あ、ビールもう空きそう。おかわりいるかな? そんな風に営業準備をしていると時間はあっという間に過ぎ去り、開店時間になる。 開店して数分も経たないうちに、店の引き戸がガラリと開いた。
「いらっしゃいませー!」
「裕、お前まだここで働いてたのか」 「潮さん、こんばんは。今日までですけどね。あくまで臨時なので」 「ふむ、そうか。勇魚の旦那もいるのか」 「おう、潮。裕の付き添いでな」 「・・・ああ、成程な。それは確かに必要だ」
「おっ、今日も兄ちゃんいるのか!」 「いらっしゃいませ!ははは、今日で終わりなんですけどね」 「そうなのか!?寂しくなるなぁ・・・。なら、今日こそ一杯奢らせてくれよ」 「一杯だけならお受けしますよ。それ以上は無しですからね」
「裕の兄ちゃん!今日でいなくなっちまうって本当か!?」 「臨時ですので。店長の具合もよくなりましたし」 「兄ちゃんのおすすめ一品、好きだったんだけどよ・・・」 「はは、ありがとうございます。今日も用意してますから良かったら出しますよ」 「おう、頼むぜ!」
続々とやってくる常連客を捌きつつ、厨房にも立つ。 店長の動きを見てもほぼ問題ない。治ってきてるのも事実のようだ。 時折お客さんからの奢りも一杯限定で頂く。 今日は以前もらった方の咲夜の盃を持ってきているので酔う心配もない。
「おう、裕のあんちゃん!今日も来たぜ!」 「い、いらっしゃいませ・・・」
再びガラリと入り口が空き、大柄な人物がドスドスと入ってくる。 俺を見つけるとがっしと肩を組まれる。 日に焼けた肌が特徴の熊のような人だ。名前は・・・確か井灘さん、だったかな? 初日に俺に可愛いと言い、昨日は酌を頼まれ、冴さんに潰されてた人だ。 スキンシップも多く、昨日の一件を考えると警戒せざるを得ない。 取り合えず席に案内し、おしぼりを渡す。
「ガハハ、今日もあんちゃんの可愛い顔が見れるたぁツイてるな!」 「あ、ありがとうございます。注文はどうしますか?」 「まずはビール。食いモンは・・・そうさな、あんちゃんが適当に見繕ってくれよ」 「俺が、ですか。井灘さんの好みとかわかりませんけど・・・」 「大丈夫だ。俺、食えねえもんはねえからよ。頼むぜ!」 「はあ・・・分かりました」
何か丸投げされた感が凄いが適当に三品程見繕って出せばいいか。 ついでだからゴーヤーチャンプルーも試してもらおうかな。 そんな事を考えながら、俺は井灘さんにビールとお通しを出す。
「む・・・」 「どうした旦那。ん?アイツ、井灘か?」 「知ってるのか、潮」 「ああ。俺達とは違う港の漁師でな。悪い奴では無いんだが、気に入った奴にすぐ手を出すのが玉に瑕でな」 「そうか・・・」 「旦那、気を付けた方がいいぞ。井灘の奴、あの様子じゃ確実に裕に手を出すぞ」 「・・・おう」
こんな会話が勇魚さんと潮さんの間でなされていたとはつゆ知らず。 俺は店長と一緒に厨房で鍋を振っていた。
「はい、井灘さん。お待たせしました」 「おう、来た来た」 「つくね、ネギま、ぼんじりの塩の串盛り。マグロの山かけ。そして今日のおすすめ一品のゴーヤーチャンプルーです」 「いいねえ、流石あんちゃん。で、なんだそのごーやーちゃんぷうるってのは?」 「内地の料理ですよ。苦瓜と肉と豆腐と卵の炒め物、ってとこでしょうか。(厳密には内地の料理とはちょっと違うけど)」 「ほー苦瓜。滅多に食わねえが・・・あむ。うん、美味え!美味えぞあんちゃん!」 「それは良かった」 「お、美味そうだな。兄ちゃん、俺にもそのごーやーちゃんぷうるってのくれよ」 「俺も!」 「はいはい、ただいま」
井灘さんが美味しいと言ってくれたおかげで他の人もゴーヤーチャンプルーを頼み始める。 よしよし、ゴーヤーチャンプルーは当たりメニューになるかもしれない。 そう思いながら厨房に引っ込んでゴーヤーを取り出し始めた。
それからしばらくして井灘さんから再びゴーヤーチャンプルーの注文が入る。 気に入ったのだろうか。
「はい、井灘さん。ゴーヤーチャンプルー、お待たせ」 「おう!いやー美味えな、コレ!気に入ったぜ、ごーやーちゃんぷうる!」 「あはは、ありがとうございます」
自分の料理を美味い美味いと言ってもりもり食べてくれる様はやっぱり嬉しいものだ。 作る側冥利に尽きる。 が、作ってる最中に店長にも「アイツは気を付けとけ」釘を刺されたので手放しに喜ぶわけにもいかない。
「毎日こんな美味いモン食わせてくれるなんざあんちゃんと一緒になる奴は幸せだなあ!」 「はは・・・ありがとう、ございます?」 「あんちゃんは本当に可愛い奴だなあ」
屈託ない笑顔を向けてくれるのは嬉しいんだけど、何だか話の方向が急に怪しくなってきたぞ。
「おい、裕!早く戻ってきてこっち手伝え!」 「ッ、はーい!じゃあ井灘さん、俺仕事に戻るので・・・」
こっちの状況を察知したのか、店長が助けを出してくれる。 俺も即座に反応し、戻ろうと足を動かす。 が、その前に井灘さんの腕が俺の腕を掴む。 あ、これは・・・。
「ちょ、井灘さん?」 「なあ、裕のあんちゃん。良けりゃ、俺と・・・」
急に井灘さんの顔が真面目な顔になり、真っ直ぐに俺を見据えてくる。 なんというか、そう、男の顔だ。 あ、俺こういう顔に見覚えある。 そう、勇魚さんの時とか、立浪さんの時とか・・・。 逃げようと思うも腕をガッチリとホールドされ、逃げられない。 ・・・ヤバイ。そう思った時だった。 俺と井灘さんの間に、ズイと体を割り込ませてきた見覚えのあるシャツ姿。
「なあ、兄さん。悪いがこの手、離してくんねえか?」 「勇魚さん・・・」
低く、優しく、耳をくすぐる声。 この声だけで安堵感に包まれる。 言葉は穏やかだが、どこか有無を言わせない雰囲気に井灘さんの眉間に皺が寄る。
「アンタ・・・確か、内地の客だったか。悪いが俺の邪魔・・・」 「裕も困ってる。頼むぜ」 「おい、アンタ・・・う、腕が動かねえ!?」
井灘さんも結構な巨漢で相当な力を込めているのがわかるが、勇魚さんの手はびくともしない。 勇魚さんの怪力はよく知ってはいるけど、こんなにも圧倒的なんだなあ。
「こいつ、俺の大事な嫁さんなんだ。もし、手出しするってんなら俺が相手になるぜ」
そう言って、勇魚さんは俺の方をグッと抱き寄せる。 抱き寄せられた肩口から、勇魚さんの匂いがする。 ・・・ヤバイ。勇魚さん、カッコいい。 知ってたけど。 知ってるのに、���いドキドキする。
「っ・・・ガハハ、成程!そいつは悪かったな、旦那!」 「おう、分かってくれて何よりだぜ。さ、裕。店長が呼んでるぜ」 「あ、ありがとうございます勇魚さん。井灘さん、すみませんけどそういう事なので・・・」
勇魚さんの言葉に怒るでもなく、井灘さんは納得したようにあっさりと手を放してくれた。 井灘さんに謝罪しつつ、促されるまま厨房へと戻る。
「おお!あんちゃんも悪かったな!旦那、詫びに一杯奢らせてくれや!」 「おう。ついでに裕のどこが気に入ったのか聞かせてくれよ」
漁師の気質なのかはたまた勇魚さんの人徳なのか。 さっきの空気はどこへやら、そのまま親し気に話始める2人。
「ちょ、勇魚さん!」 「いいぜ!旦那とあんちゃんの話も聞かせてくれよ!」 「井灘さんまで!」 「おい裕!いつまで油売ってんだ、こっち手伝え!」
店長の怒鳴り声で戻らざるを得なかった俺には二人を止める術などなく。 酒の入った声のデカい野郎共が二人、店内に響かない筈がなく・・・。
「でよ、そん時の顔がまたいじらしくってよ。可愛いんだこれが」 「かーっ!羨ましいこったぜ。旦那は果報モンだな!」 「だろ?なんたって俺の嫁さんなんだからな!」
勇魚さんも井灘さんも良い感じに酒が入ってるせいか陽気に喋っている。 可愛いと言ってくれるのは嬉しくない訳ではないけれど、連呼されると流石に男としてちょっと悲しい気分になる。 更に嫁さん嫁さん連呼されまくって複雑な心境の筈なのにどれだけ愛されているかをガンガン聞かされてオーバーヒートしそうだ。
「何故バイト中に羞恥プレイに耐えなければならないのか・・・」 「おい裕、いつまで赤くなってんだ。とっとと料理運んで来い」 「はい・・・いってきます・・・」
人が耐えながらも調理しているというのにこの銭ゲバ親父は無情にもホール仕事を投げて来る。 こんな状況で席に料理を運びに行けば当然。
「いやー、お熱いこったなあ兄ちゃん!」 「もう・・・ご勘弁を・・・」 「っははははは!」
茶化されるのは自然な流れだった。 勇魚さんと井灘さんのやりとりのお陰でスキンシップやらは無くなったが、祝言だの祝い酒だの言われて飲まされまくった。 咲夜の盃が無ければ途中で潰れてたかもしれない。
そんな揶揄いと酒漬けの時間を、俺は閉店間際まで味わうことになったのだった。
そして、もうすぐ閉店となる時間。 勇魚さんと一緒にずっと飲んでいた井灘さんも、ようやく腰を上げた。 会計を済ませ、店の前まで見送りに出る。
「じゃあな、あんちゃん。俺、マジであんちゃんに惚れてたんだぜ」 「はは・・・」 「だが、相手が勇魚の旦那じゃあ流石に分が悪い。幸せにしてもらえよ!」 「ありがとうございます・・・」 「また飲みに来るからよ。また今度、ごーやーちゃんぷうる作ってくれよな!」 「その時に居るかは約束できませんが、機会があれば」
からりとした気持ちの良い気質。 これもある種のプレイボーイなのだろうか。
「じゃあな!裕!勇魚の旦那!」 「おう!またな、井灘!」 「おやすみなさい、井灘さん」
そう言って手を振ってお見送り。 今日の三日月亭の営業も、これにて閉店。 店先の暖簾を下ろし、店内へと戻る。
「裕。そっちはどうだった?」 「こっちも終わりました。後は床掃除したら終わりですよ」 「ホント、この3日間マジ助かった。ありがとうな」 「いえいえ、久しぶりの接客も楽しかったですよ」
最後の客だった井灘さんも先程帰ったばかりだ。 店内の掃除もほぼ終わり、閉店準備もほぼ完了。 三日月亭のバイトももう終わりだ。 店長が近づいてくると、封筒を差し出してきた。
「ほい、バイト代だ。色々世話もかけたからな。イロ付けといたぜ」 「おお・・・」
ちょろっと中身を確認すると、想定していたよりかなり多めの額が入っていた。 店長なりの労いの証なのだろう。
「なあ裕。マジで今後もちょくちょく手伝いに来ねえか?お前がいると客足増えるし酒も料理も注文増えるしな。バイト料もはずむぜ」 「うーん・・・」
店長の申し出は有難いが、俺は俺でまだやらなければならない事がある。 悪くはない、んだけど余り時間を使うわけにもなぁ。 そんな風に悩んでいると、勇魚さんが俺の頭にぽん、と掌をのせる。
「店長、悪いがこれ以上裕をここにはやれねえよ」 「はは、旦那がそう言うんなら無理は言えねえな。裕の人気凄まじかったからな」 「ああ。何かあったらって、心配になっちまうからな」
今回は勇魚さんのお陰で事なきを得たけど、また同じような状況になるのは俺も御免被りたい。 相手に申し訳ないのもあるけど、どうすればいいか分からなくて困ったのも事実だ。
「お店の手伝いはできないですけど、またレシピの考案はしてきますので」 「おう。売れそうなのを頼むぜ。んじゃ、気を付けて帰れよ」 「はい、店長もお大事に。お疲れ様です」 「旦那もありがとうな」 「おう、おやすみ」
ガラガラ、という音と共に三日月亭の扉が閉まる。 店の前に残ったのは、俺と勇魚さんの二人だけ。
「じゃ、帰るか。裕」 「ええ、帰りましょうか。旦那様」 「おっ・・・。へへ、そう言われるのも悪くねえな」 「嫌味のつもりだったんだけどなァ」
そう言って俺と勇魚さんは笑いながら屋敷への帰路につくのであった。
後日―
三日月亭に買い物に来た俺を見るなり、店長が頭を下げてきた。
「裕、頼む・・・助けてくれ・・・」 「ど、どうしたんです店長。随分疲れきってますけど・・・」 「いや、それがな・・・」
あの3日間の後、事あるごとに常連客から俺は居ないのかと聞かれるようになったそうな。 俺がまだ島にいるのも事実なので連れて来るのは不可能だとも言えず。 更に井灘さんがちょくちょく仲間漁師を連れて来るらしく、『姿が見えない料理上手な可愛い店員』の話だけが独り歩きしてるらしい。 最近では聞かれ過ぎて返す言葉すら億劫になってきているそうな。 ぐったりした様子から、相当疲弊しているのがわかる。
「な、裕。頼む後生だ。俺を助けると思って・・・」 「ええ・・・」
それから。 たまーに勇魚さん同伴で三日月亭にバイトに行く日ができました。
更に後日。
勇魚さんと一緒に『網絡め』という儀式をすることになり、勇海さんに見られながら致すというしこたま恥ずかしいプレイで羞恥死しそうな思いをしたことをここに記録しておきます。
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櫻井よしこさんの論考をシェアさせていただきます。
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日本が知るべき米国の対中強硬姿勢
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新首相の最大の課題は対中政策において誤りなきを期することだ。合わせ鏡の論として、これまで以上に対米関係の実質的強化に努めることでもある。
中国とは人間の常識に基づいて向き合うのが最善である。許容範囲を遥かに超えたウイグル人への弾圧や香港に関する英中合意の破棄。
その結果として香港から自由、民主主義、人権等を奪い尽くす意図は、穏やかな文明を育み、人間一人一人を大事にしてきた日本の国柄に鑑みて、到底受け容れられない。
そのような隣国のあり方に強く抗議するというメッセージを、日本国として発することが大事だ。
9月8日の『産経新聞』が一面トップで伝えたスクープの意味を噛みしめたい。
民主党政権当時、尖閣諸島沖の領海内で中国漁船が海上保安庁の巡視船に体当たりした。わが国は船長を逮捕したが、菅直人首相(当時)が「釈放」を命じたと、前原誠司元外相が語っている。
なぜ釈放させたのか。予定されていた横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)に、胡錦濤国家主席(当時)が来なくなると困るという理由だったという。未だに習近平国家主席の国賓訪問を切望する人々がいるが、次期政権は民主党政権の愚を繰り返さないことが肝要であろう。
田久保忠衛氏は「国際社会で最も恐れるべきは孤立である」という中曽根康弘元首相の言葉を政府首脳は心に刻むべきだと語る。国際社会における日本の位置を確保する際、日本本来の価値観を忘れてはならない。
私たちが望む自由な世界、人権が尊重され法秩序が保たれる世界は米国一国だけの力では守り通せなくなっている。国際社会が連帯して異形の大国中国に抑止をかけなければならない。価値観を共有する国々との連携が必須で、連携の要になることが日本の最大の国益だ。
全米の孔子学院を全廃
日本には中国の侵略から守らなければならないものが多くある。目に見えるその第一が尖閣諸島である。尖閣諸島の防衛は南シナ海の岩礁を守ることと基本は同じだ。
中国は南シナ海のサンゴ礁を中国領として、人工島と軍事基地を造り領有権を主張する。中国の国際法無視は許さないという国際世論を米欧諸国と共に作るのだ。
世界の秩序を異質、異形の勢力、中国共産党の下に差し出して勝手にさせてはならない。だからこそ、日本はもっと強く、南シナ海の中国支配に異を唱えるのがよい。
中国との闘いの先頭に立つ米国の、日々厳しさを増す一連の政策・行動には瞠目する。戦略を打ち立てたが最後、総力を挙げて突進する。大東亜戦争に至る過程で米国が如何に周到な対日攻略策を構築し、実行したかを思えば、現在の米国の対中政策に米国の本質が見てとれる。米国の中国に対する怒りの深さを、新首相は肝に銘じておくべきだろう。
9月1日、ポンペオ国務長官はFOXビジネス・ネットワークの「今夜のロウ・ダブ」という番組に出演し、現時点で少なくとも75の大学等に設置されている孔子学院について問われ、今年末には、「ゼロになっていることを希望する」と述べた。
あと3か月余りで全米の孔子学院を全廃させるというのだ。表向き中国語や中国文化の普及を目的として、中国政府の資金で海外に設置している孔子学院を、米政府が外交使節団に認定したのは8月13日だった。
孔子学院を中国共産党の戦略指導の下で活動する機関に位置づけたのだ。事実、孔子学院は世界において中国共産党の影響力を高めるために設置され、資金は中国共産党中央宣伝部から出ている(クライブ・ハミルトン『目に見えぬ侵略』飛鳥新社)。
トランプ政権は各大学の各教授の各研究プロジェクトにどれだけ中国資金が入っているか、全て報告させた。情報公開という民主主義社会を支える力を活用することで米国の知的空間に対する中国マネーの侵略工作に終止符を打ったのだ。
日本では早稲田大学をはじめ孔子学院を擁する大学が存在するが、このことに無関心であってはならない。中国マネーに関する情報公開をわが国も早急に義務づけるべきであろう。
米国の対中対抗策は日々刻々、強化されている。息つく暇もない程の実態を十二分に意識しなければ新政権は選択を誤りかねない。
その一部を見てみると、5月、中国が全国人民代表大会で香港への国家安全維持法の導入を決定すると、翌29日、トランプ大統領は米国市場に上場している中国企業の財務を精査し、上場廃止を可能にすることや香港への特別措置の撤廃を含む対抗措置を発表した。7月14日には対香港優遇措置廃止の大統領令に署名し、同法を施行した。
打つ手がない
香港金融市場が中国経済に持つ意味が限りなく大きいのは周知のとおりだ。2019年1~8月の統計では外資による対中投資の70%が香港経由で行われた。
18年には中国企業は香港金融市場で1000億ドル(10兆8000億円)の資金を調達した。香港金融市場の締め上げは米企業にとっても痛手だが、米政府は敢えてそこに踏み込んだ。対中取引から得る現在の利益よりも、中・長期的視点に立った国益を重視した。
この米政府の政策を日本も十分、勘案しなければ米国市場で日本企業は生きていけなく��りかねない。
7月8日、ポンペオ氏は尖閣諸島に具体的に言及して「世界は中国の弱い者苛めを受け入れない」と断言した。
世界中で進行中の領土紛争に関して、アメリカが初めて中国の主張を否定し、非難した。中国の領有権の主張は国際法の根拠を欠き、事実関係においても間違っているとして、日本を含めて中国の侵略を受けている国々の側に立った。
7月24日には米ヒューストンの総領事館が閉鎖され、8月6日にはトランプ大統領が中国系動画アプ「TikTok」を運営するバイトダンスとの取引を45日後から禁止すると発表した。13日にはファーウェイなど中国のハイテク企業5社の製品を扱う企業を、米政府調達から外すと発表した。
これら中国のハイテク企業は19年に米政府調達から外されていたが、今回は民間企業にも中国製品の排除を迫り、米国政府か中国企業かと選択を迫った。
8月9日には厚生長官のアザー氏が台湾を訪れ、蔡英文氏を大統領と呼び、台湾を独立国として扱った。米国はどこまでもやる気である。対して中国は反撃らしい反撃をしていない。
中国政府から発信される対米メッセージはひたすら対話の呼びかけである。彼らには当面打つ手がないのである。
日本は米国と共に、自由世界の中心軸を目指し、中国が私たちの価値観を受け入れざるを得ないところまで頑張るのだ。
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こ��はサプライズなので。(2)
続き!
B脚本:明日の世界の過ごし方
・橋本悠樹
前回と今回の公演を見て、これを書いている奴は彼の演技が好きだと思った。モノローグ等「何かを訴えるときの演技」がとても好きだと感じる。最初は静かに少しずつ盛り上がっていく訴え方、その時の表情。今まで彼がモノローグ多めの役を割り当てられてきたのはその機微が絶妙だからなんだろうなと思う。またツッコミも上手い。前回の役は見ていてとても楽しかった。そんな彼がネタキャラをやったらどうなるのか、とても気になるのでいつか見てみたい。
「ごめんなさい」とノイローゼ気味に何回も謝りながら周囲の人を屠る二重人格系サイコパスとかやってほしさがある。…え、怖い?ごめん。
・渡部快平
今回彼の演じた役が兎に角かっこいい!見る度に泣きそうになっていました。彼の好きなところはその心の熱さ。普段はぶっきらぼうに見えて、その実空き時間とかに台詞の言い方を熱心に練習していらっしゃる。その熱心さなところがとても好き。声ももちろん好き。更に意外と自分からボケるお茶目な一面もあると耳にした。なんでこんな言い方なのかって?全然喋りに行けないからだよ…ものすごく話してみたい…話しかけていいですか…。
正直去年の夏や秋みたいな「ちょっとイヤミないじめっ子」みたいな役がよく似合うなと。でもあくまでそれだけで、悪役そのものはあんまり似合わない気がする。
・堀文乃
彼女は兎に角演技が上手い。勿論これまで積み重ねてきた賜物なんだろうなとは思う。特に「二面性」や「マイムの細かさ」が彼女の好きなポイント。今回の役のような、裏がある演技がとてもうまいなと毎回思う。また、マイムもきちんと細かくて、「今どこに登場人物がいるのか」「どうやってここへ来たか」等がとてもよくわかる。何か書いて読んで貰うことがあるのだが、それについて「こうしたらいいかも」とアドバイスも的確で正直尊敬しかしていない。最近おしゃれに磨きがかかり更に可愛さが増している。好き。
先ほど書いたように二面性のある役をやってほしさがある。悪徳社長の秘書で、最後の最後に上司さえ裏切りラスボスになる…みたいな。
・西田幸輝
彼の好きなところは普段のゆるっとした感じとは打って変わり舞台上での「かっこよさ」である。舞台上では役柄のせいとかもあるかもしれないがとても勇気が出るような言葉を叫ぶ演技、というものがとても似合うなって感じる。言うなれば今流行りの鬼滅の主人公のような感じ。声はそんな叫ぶイメージがないのにこの男が「人は心が原動力だ!」とか言ったらなぜか迫真力を感じるのである。普段何気に毒を吐くのもまたご愛敬。
可愛い顔してやばいことしてそうなサイコパス系とか見てみたい。お金とかだけ取ってちゃっかり相手を罠にはめたりとか。
・島﨑愛乃
この子の好きな点も可愛さだなぁ。声が兎に角可愛らしいんですよ。小鳥のさえずりのような。それでも舞台では圧倒的存在感を放ってる。経験に裏付けられたその演技力は勿論、キャスパの踊りも凛としていて可愛い。一方スタッフワークでもあちこち奔走している。とても面倒見のいいしっかりした所も彼女の魅力ポイント。彼女がいないとちゃうかは成り立たない。いつもお世話になってます。
に、似合いそうな悪役が思いつかない…です。はい。
・山内一輝
彼の好きなところは特に「意外性」。普段ホントに何気ない顔していきなりネタをぶち込んでくるイメージ。特に本番で意外なアドリブをぶち込んでいきお客さんの目を奪う。その手口の鮮やかさが素晴らしすぎる。「あ、そこ変えてくる!?」とか「そこそう動く!?」みたいな、発想も新しくて好き。しかも台詞がない時とか他の役者に迷惑をあまりかけないようなタイミングでばっちり入れてくる。何気に彼の動向はそんな感じでつい見てしまう。
今回みたいな小物感ある悪役がよく似合いそうだな~…と思っている。
・中津川つくも
今回衣装もメイクもドンピシャ!ってなった子。ものすごく綺麗でした。彼女の推しポイントはその声と台詞の言い方。元放送部なだけあり兎に角言い方が綺麗なんだよな。元々声も耳にスッと入ってくる感じの声だから余計に彼女の放つ言葉をいつまでも聞いていられる。そしてその立ち振る舞いの美しさも推しポイント。いつもすごく背筋が伸びて凛とした佇まい。とても素敵。
今回みたいな和風ファンタジーの悪役、またやってほしい…!
・lulu
お美しいちゃうかの副座長様。彼女の好きなところは兎に角「美しさ」だと思う。声もとても透明感があって綺麗。耳によく入ってくる。またダンスをされているということで、その動き一つとっても無駄がなく、またすらっと美しい。キャスパの踊りもキレがあり本当に見惚れる。よく看板女優、と評される方だけどまさにその通りだなと思わせてくださる方。それでいて普段はお茶目な一面もある頼れるお姉さん。推しにならないわけがない。
この方も裏社会のボスとか、秘密結社のボスみたいな役がみてみたい…。
・なしもとはな
なんでもさらっとこなせてしまうのが彼女のすごいところだと思う。好きなものには全力な一方、スタッフの仕事を手早くこなしている。大道具作業から看板作りまで、すぐパパっと終わらせている様子を見ていると、とても器用なんだなと思うし、尊敬している。台詞も普段言わなさそうなものでもいざ言ってみるとさらっと本人が言っているみたいな錯覚に陥る。自然な演技ができるすごい人。普段の彼女のしっかりしたコメントやツッコミも実は割と好きだったりする。
女スパイとか似合いそう。それか天才ハッカーとかも似合いそう。…そういや前回それに近い役を演じていたような。あれは天才…いや天災?
・西岡克起
各所から地笑いの被害報告が上がっているが、彼は本当に笑わせるセンスがあると思う。まず普段の笑顔が他の人も笑顔にしてくれる。そして真面目な演技になったときにそのギャップに地笑いする。勿論素の笑顔だけでなく演技としてのコメディセンスも充分ある。コメディシーンはやや動きが可愛い気がする。そして言い方ひとつとっても笑わせに来る。去年の秋は最後のステージでどマイナーチェンジアドリブを披露し地笑いを堪えるのに必死になった奴がいたとかいなかったとか。
もう去年のターミネーターくらいのネタ悪役でいいよ…思いつかないよ…
・久保勇貴
前回の演技を見たときに「爽やかイケメン役がよく似合う」と思っていたが今回の執事役もとても似合っていた。彼の演技は「自然さ」を特に注目してほしい。今年から演劇を始めたと聞いているが、それを疑うほどにその演技が自然かつ堂々としている。またその声も優しく、耳に心地良い。正直今回みたいなコスプレみたいな役をまた見てみたい。そしてそのいい声を存分に発揮してほしい…今度はツッコミ役もしてほしいとか。
爽やかなゲス男みたいな役も見てみたいしイケメンな中ボスとかもいいかもしれない。あと悪役関係ないけど魔物の役も見てみたい。
・木下梨実
彼女も美しさが推しポイント。彼女の美しさは可愛さや可憐さも合いまった感じ。今回の役は彼女の魅力が一番よく表れていると思う。立ち振る舞いは勿論、説明中の凛とした声、飛び降りた時の着地も美しかった。そこから「仕方ないでしょう!」とか少しかわいらしさもあってほっこりした。あと某召喚シーンの立ち姿、ものすごく好きなのでまた見たい。そして本人には言えなかったけど今回の衣装本当に似合いすぎていた。いつか彼女がヒロインしている姿を…修羅の淵まだ見てないんだ…
スケバンって言いかけたけど去年考えたらスケバン役あったので、それ以外で言うと彼女も和風ファンタジーな悪役をやってほしさがある。
・トニーー板倉
彼も兎に角「演劇に対する熱意」が一番の推しポイント。脚本もあがったやつすぐ読んでいると噂。またその作品、役にもとてもよく向き合っている印象。経験を活かして前回は実質演出もやっていた。その熱量のまま真面目な台詞とネタ台詞を全力でこなせる、とても心はアツい。照明のチーフも担当しており、照明会議では初めて入る新入生のことを考えた資料作成をしていた。その心配りも彼のいいところ。因みにアフロは育成中…らしい。いつ戻ってくるのか。
ギリギリまで味方だと思わせといて最後の最後で操られたりとかで悪堕ちする役とか見てみたい。…あれ、これ結局悪役じゃなくない?
・岸田月穂
彼女は「雰囲気」が特に好き。普段の笑顔、声、どれをとっても優しいお姉さん、と言う感じの方。しかしひとたび舞台に立てばその雰囲気はちゃんと役の雰囲気になっている。例えば前回の役とか。普段絶対刃物なんて振り回さない雰囲気なのに。すごい。あとさっきも書いたけど「笑顔」も好きなポイント。この人の笑顔は本当にあたたかくて癒される。癒しです。
こんな癒し雰囲気の彼女だがなぜか浮気夫を刺すタイプのヒステリックな女性役をよくやってらっしゃる気がする…もうこれが見たい悪役ということで…
・楽園うさぎ
いつの間にか名前が変わっていた奴。こいつの良さは「器用さ」だと思う。仕事も役もさらっと自分らしくこなしている。スタッフとしては音響とかよく音楽を知っている彼にぴったりだと思うし、役者としても、自分の役をいい意味で彼らしく仕上げてくる。あとはすごく男子のおしゃれについてはとても詳しくて、その知識はどうやって手に入れているのか気になる。
あざとくて腹黒でサイコパスな役とか見たい。スタンガン持って動画で脅すような感じの。そんでもっていろんな人を嘲笑ってるような。あとハッカーとかも似合いそう。
・津島ヨモツ
三回目の演出。今回の脚本本当に好き。彼女の脚本は毎回伏線回収は鮮やかでわかりやすく、それでいてとても皮肉めいていて好き。また最終局面でいつも語られる現実を表す言葉が毎回心に刺さる。キャスパや衣装の拘りについても毎回すごくスタイリッシュかつおしゃれ。何度彼女チョイスの音楽に沼ったことか。そのセンスは本当に見習いたい。そして立て看板一つとっても兎に角いい物にしようと丁寧に何度もアドバイスや要求をくれる、とても信頼して仕事ができる演出である。また役者としても一級の演技力。前回の脚本でまさか電波の悪さによる砂嵐を自分の口で再現したときは本当にびっくりしたしすげぇってなった。
典型的な悪女…?うーん…?何か違うんだよな…やっぱり彼女にも悪役よりは主人公一派やってほしさが勝つ。
さて、ここからはそれを支えたスタッフ達の褒め大会。
名前順、敬称略。
・伊藤星乃介
まさかの今回スタッフのみで一番驚いた人。宣美のチーフとして大分板についてきた。また今回は幕のチーフも担当している。彼はとにかく「努力」をすごくする人。そこがいいところ。普段役をやるときはその動きの不自然と指摘された所を何度も自然になるように練習している。勿論台詞運びも何度も練習している。その姿勢は本当にすごく見習いたい。そして先ほどチーフだと言ったが幕チーフとして誰よりも先に動いていた。責任感もある、スタイリッシュ努力家。
淡々と依頼をこなす裏社会の掃除屋とか。でも普段は気さくだから表向きは別の仕事をしている設定もあり。
・加美千尋
この公演が確定して直後に入ってきてくれた子。後述する一緒に入ってきてくれた子と合わせて彼女の良さは「真面目さ」だと思う。初めてということでスタッフとして参加していたが、当日制作の仕事、照明オペと大変な仕事二つをいきなりこなしていた。当日制作ではドアの担当をしていて、完璧な仕事ぶりだった。正直すごく助かった人もいる。後述する舞弥ちゃんと共に天使。
彼女に悪役なんてさせられるわけないだろ!?
・佐藤舞弥
上に書いた彼女と共に一緒に入ってきてくれた子。もはやニコイチイメージ。彼女もその真面目さを推していきたい。今回映像オペとして参加していたが、朝早くからきて頑張っていた。またメイク班としてもとても頑張っていた。グレーワックスで髪を整え、上記の中津川つくもちゃんのメイクを担当したのは彼女。あれは本当に神か?ってなった。上述した千尋ちゃんと共に天使。
彼女に悪役なんて以下省略!!
・須田颯人
ご存知31期の裏ボス的存在。彼がいないとちゃうかの公演は成り立たない説。彼も「スマートさ」を推させてほしい。映像チーフとして映像作成は勿論、映像の作り方指導、映像のアップロードも行っている。また以前参加した映像会議でも淡々と要点を抑えて進めていた。そういうことがさらっとできる人は本当にすごい。因みに大道具班とかにも入っており舞台とかも設営できるという。ハイスペックが過ぎる。因みに相変わらずちゃっかりとした毒舌とお茶目さは健在。
いやもう映像のドンですからね?やはりここは秘密結社とかハッカー集団とかそういう裏集団のボスやってほしみ。いつか役者してほしい。
・永満柊人
今公演から参加してくれた新入生。すごくすらっとしている。そしてそれはスタッフワークにおいてもそうだった。気が付いたら来ていてちゃっちゃと仕事している。すごいなぁ。またもうちゃうかに馴染んでいる感じもする。初対面でもなんだかんだ話しかけたら普通に返してくれた。嬉しい。そんなスタイリッシュな彼、これから役者も是非やってほしいところ。…ところで関係ないけどすんごく彼から身長欲しい…せめてごせんち…いえなんでもありません。
あまり話していないせいかもしれないけどあまり悪役やってるイメージができなかった。
・備前桃子
舞美のアイドルみこさん。彼女がくるとちゃうか全体で雄叫びが起こる。彼女の良さは「パワフルさ」と「優しさ」。普段本当に可愛い。話し方が可愛いし優しい。普通に「おはよー!」って声かけてくれる。一緒に仕事ができるとなると嬉しさで皆舞い上がる。しかし舞台に立てば急にパワフルに存在感を放っていく。去年のオムニの覆面、印象が違いすぎてあれがこの方だと気が付くのに暫くかかったのは内緒。ドスが効いた声でとてもかっこよかった…。
彼女にも悪役は似合わない…本当にさっき書いた覆面レベルで勘弁してほしい…あれテロリストだから十分ヤバい悪役だとは思うけど…
・藤丸翔
藤丸か…藤丸。藤、丸…丸…藤、丸藤…翔…うっ、頭が。…失礼、取り乱しました。彼の推しポイントはスタッフワークの働きとフレンドリーさ。すんなりちゃうかの空気に溶け込み、いつの間にか仕事をさくっとこなしている。その姿はまさに32期の須田ちゃん(上述)。照明等メインのスタッフとしてとても期待されている彼。話せばいつもニコニコで返してくれる、とても気さくな人である。
悪役…うーん…笑顔で凶器ぶん投げてそう。「そいやぁー!」とか言いながら金属バット振りかぶってそうな役とかどうだろ。某松さんの五男みたいな。
*******
これで全員かな。
悪役ほとんど書けてないじゃんか…まあそれだけちゃうかの人達は悪役より主人公とかヒロインが似合いそうな人ばかりってことでもあるんだけど…うん。
今回参加していなかった方もいるけど、兎に角ちゃうかの人達は本当に「誰かが欠けたらそれだけで寂しい」ってなるくらいすごい人達がいっぱいで憧れます。愛が重いって?それは失礼。…ちょっとやりすぎたな、反省。
でもさっき言ったように見ても心に無理に留める必要はないんだし。忘れてくれたらいいよ。
さ、書きたいことは全て書ききったし、もうお終いにしないと。
そうそう、もし仮にこんなクソ長ったらしい文章を心に留めてしまって、これを書いた奴が誰なのかわかったなんて稀有な人がいたとしたら、その答え合わせを本人にしてみたらいいんじゃないかな。
当てられたらその時は…そうだな。何か一つお願いを聞くよ。
これを書いている奴以外の人が傷つかない願いならなんでもいい。そう、なんでも、ね。
話がそれたね。今度こそ本当に終わらせよう。
それじゃあ、またどこかで。
せーの、かーいさん。
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. 横山ゆきえさんの茶季茶刻 有田焼で修業をし、現在は岡山県で作陶する横山ゆきえさん。 旦那さんは、海外で単身赴任中なので、おひとりで子育てしながらの作陶です。 青磁、白磁に加え、すこし黄色味がかった釉の3種があります。 湯呑は、それぞれの数は少ないものの、サイズ感やカタチだけでなく、横山さんらしい蛍手の透かし柄も様々です。 陽の当たる窓辺で、蛍手と共に、ゆっくり茶刻を過ごしていただきたい。 . 「あたしゃ、急須が苦手でさー」と 今回の展示に向け、宝瓶に挑戦。 そして、ナント、入れ子です。 それぞれ、ふたつの湯呑が収納できる宝瓶。 高さのあるタイプ、幅のあるタイプの2種で、柄はそれぞれ違います。 入れ子なので、少し大きめですが、手に収まるならお薦めです。 お茶ではなく、酒器としても気になるという方にも。 . 茶季茶刻 11/29(金)-12/9(月) 11:00-18:00(最終日16時まで)火・水休み . ● 12/7(土) 14時~ ・狭山茶備前屋トーク&茶香服 2000円 ※ 要予約 . ● 12/8(日)14時~ ・湯呑と出会うワークショップ 2000円 ※ 要予約 . ● 12/5(木) ~12/9(月)11時~18時 ・baisao_u日本茶喫茶あり〼 . 詳細はプロフィールのリンクからブログをご覧ください . #ギャラリー樟楠 さいたま市大宮区北袋町 1-147 048-641-9156 . #横山ゆきえ #磁器 #青磁 #白磁 #湯呑 #ホタル手 #蛍手 #蛍透かし #宝瓶 #茶 #日本茶 #急須 #茶道具 #茶香服 #さいたま市 (ギャラリー樟楠) https://www.instagram.com/p/B5h9m8gF3VO/?igshid=14swkjxjnw781
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最初の特攻を命じたことによって、「特攻の産み親」と呼ばれることになった大西瀧治郎中将は、天皇が玉音放送を通じて国民に戦争終結を告げたのを見届けて、翌16日未明、渋谷南平台の官舎で割腹して果てた。
特攻作戦を採用した責任者といえる将官たち、前線で「おまえたちだけを死なせはしない」と言いながら特攻を命じた指揮官たちの中で、このような責任のとり方をした者は他に一人もいない。
そして、ひとり残された妻・淑恵さんも、戦後、病を得て息を引き取るまで33年間、清廉かつ壮絶な後半生を送っていた。
最初の慰霊法要に駆け込み、土下座した貴婦人
終戦の翌年、昭和21(1946)年3月のある日、全国の有力新聞に、
〈十三期飛行専修予備学生出身者は連絡されたし。連絡先東京都世田谷区・大山日出男〉 との広告が掲載された。
空襲で、東京、大阪、名古屋はもちろん、全国の主要都市は灰燼に帰し、見わたす限りの廃墟が広がっている。
連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は昭和21年1月、「公職追放令」を出し、旧陸海軍の正規将校がいっさいの公職に就くことを禁止した。日本の元軍人が集会を開くことさえ禁じられ、戦犯の詮議も続いている。広告を見て、「戦犯さがし」かと疑う者も少なからずいたが、呼びかけ人の大山のもとへは全国から続々と連絡が寄せられた。
戦争が終わってこの方、掌を返したような世の中の変化で、生き残った航空隊員には「特攻くずれ」などという侮蔑的な言葉が投げかけられ、戦没者を犬死に呼ばわりする風潮さえもはびこっている。そんななか、大勢の戦友を亡くして生き残った者たちは、戦没者に対し、
「生き残ってすまない」
という贖罪の気持ちをみんなが抱いている。それは、はじめから陸海軍を志した、いわばプロの軍人も、戦争後期に学窓から身を投じた予備士官も、なんら変わるところがない率直な感情だった。
「十三期飛行専修予備学生」は、大学、高等学校高等科、専門学校(旧制)を卒業、または卒業見込の者のうち、10万名を超える志願者のなかから選抜された5199名が、昭和18(1943)年10月、土浦、三重の両海軍航空隊に分かれて入隊、特攻戦死者448名をふくむ1616名が戦没している。呼びかけに応じて集まった予備学生十三期出身者たちの意思は、
「多くの戦没者同期生の慰霊こそ、生き残った者の務めである」
ということで一致した。そして、同期生たちが奔走し、GHQ、警察、復員局の了承をとりつけて、ふたたび10月30日の新聞に、
〈十一月九日、第十三期飛行専修予備学生戦没者慰霊法要を東京築地本願寺にて行ふ〉
と広告を出し、さらにNHKに勤務していた同期生の計らいで、ラジオでも案内放送が流れた。
昭和21年11月9日、国電(現JR)有楽町駅から築地まで、焼跡の晴海通りを、くたびれた将校マントや飛行靴姿の青年たち、粗末ななりに身をやつした遺族たちが三々五々、集まってきた。築地本願寺の周囲も焼け野原で、モダンな廟堂の壁も焦げている。寺の周囲には、機関銃を構えたMPを乗せたジープが停まって、監視の目を光らせている。焼跡のなかでその一角だけが、ものものしい雰囲気に包まれていた。
広い本堂は、遺族、同期生で埋め尽くされた。悲しみに打ち沈む遺族の姿に、同期生たちの「申し訳ない」思いがさらにつのる。読経が終わると、一同、溢れる涙にむせびながら、腹の底から絞り出すように声を張り上げ、「同期の桜」を歌った。
歌が終わる頃、一人の小柄な婦人が本堂に駆け込んできた。「特攻の父」とも称される大西瀧治郎中将の妻・淑惠である。
大西中将は昭和19(1944)年10月、第一航空艦隊司令長官として着任したフィリピンで最初の特攻出撃を命じ、昭和20(1945)年5月、軍令部次長に転じたのちは最後まで徹底抗戦を呼号、戦争終結を告げる天皇の玉音放送が流れた翌8月16日未明、渋谷南平台の官舎で割腹して果てた。特攻で死なせた部下たちのことを思い、なるべく長く苦しんで死ぬようにと介錯を断っての最期だった。遺書には、特攻隊を指揮し、戦争継続を主張していた人物とは思えない冷静な筆致で、軽挙を戒め、若い世代に後事を託し、世界平和を願う言葉が書かれていた。
昭和19年10月20日、特攻隊編成の日。マバラカット基地のそば、バンバン川の河原にて、敷島隊、大和隊の別杯。手前の後ろ姿が大西中将。向かって左から、門司副官、二〇一空副長・玉井中佐(いずれも後ろ姿)、関大尉、中野一飛曹、山下一飛曹、谷一飛曹、塩田一飛曹
昭和19年10月25日、マバラカット東飛行場で、敷島隊の最後の発進
淑惠は、司会者に、少し時間をいただきたいと断って、参列者の前に進み出ると、
「主人がご遺族のご子息ならびに皆さんを戦争に導いたのであります。お詫びの言葉もございません。誠に申し訳ありません」
土下座して謝罪した。淑惠の目には涙が溢れ、それが頬をつたってしたたり落ちていた。
突然のことに、一瞬、誰も声を発する者はいなかった。
われに返った十三期生の誰かが、
「大西中将個人の責任ではありません。国を救わんがための特攻隊であったと存じます」
と声を上げた。
「そうだそうだ!」
同調する声があちこちに上がった。十三期生に体を支えられ、淑惠はようやく立ち上がると、ふかぶかと一礼して、本堂をあとにした。これが、大西淑惠の、生涯にわたる慰霊行脚の第一歩だった。
生活のために行商を。路上で行き倒れたことも
同じ年の10月25日。港区芝公園内の安蓮社という寺には、かつて第一航空艦隊(一航艦)、第二航空艦隊(二航艦)司令部に勤務していた者たち10数名が、GHQの目をぬすんでひっそりと集まっていた。
関行男大尉を指揮官とする敷島隊をはじめとする特攻隊が、レイテ沖の敵艦船への突入に最初に成功したのが、2年前の昭和19年10月25日。三回忌のこの日に合わせて、一航艦、二航艦、合計2525名の戦没特攻隊員たちの慰霊法要をやろうと言い出したのは、元一航艦先任参謀・猪口力平大佐だった。安蓮社は、増上寺の歴代大僧正の墓を守る浄土宗の由緒ある寺で、住職が猪口と旧知の間柄であったという。
神風特攻隊敷島隊指揮官・関行男大尉。昭和19年10月25日、突入、戦死。最初に編成された特攻隊4隊(敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊)全体の指揮官でもあった。当時23歳
昭和19年10月25日、特攻機が命中し、爆炎を上げる米護衛空母「セント・ロー」
寺は空襲で焼け、バラックの一般家屋のような仮本堂であったが、住職は猪口の頼みに快く応じ、特攻隊戦没者の供養を末永く続けることを約束した。この慰霊法要は「神風忌」と名づけられ、以後、毎年この日に営まれることになる。
遺された「神風忌参会者名簿」(全六冊)を見ると、大西淑惠はもとより、及川古志郎大将、戸塚道太郎中将、福留繁中将、寺岡謹平中将、山本栄大佐、猪口力平大佐、中島正中佐……といった、特攻を「命じた側」の主要人物の名前が、それぞれの寿命が尽きる直前まで並んでいる。
生き残った者たちの多くは、それぞれに戦没者への心の負い目を感じつつ、慰霊の気持ちを忘れないことが自分たちの責務であると思い、体力や生命の続く限り、こういった集いに参加し続けたのだ(ただし、軍令部で特攻作戦を裁可した事実上の責任者である中澤佑中将、黒島亀人少将は、一度も列席の形跡がない)。
東京・芝の寺で戦後60年間、営まれた、特攻戦没者を供養する「神風忌」慰霊法要の参会者名簿。当時の将官、参謀クラスの関係者が名を連ねるなか、淑惠は、亡くなる前年の昭和51年まで欠かさず列席していた
十三期予備学生の戦没者慰霊法要で土下座をした大西淑惠は、その後も慰霊の旅を続けた。特攻隊員への贖罪に、夫の後を追い、一度は短刀で胸を突いて死のうとしたが、死ねなかった。ずっとのち、淑惠は、かつて特攻作戦渦中の第一航空艦隊で大西中将の副官を勤めた門司親徳(主計少佐。戦後、丸三証券社長)に、
「死ぬのが怖いんじゃないのよ。それなのに腕がふにゃふにゃになっちゃうの。それで、やっぱり死んじゃいけないってことかと思って、死ぬのをやめたの」
と語っている。
大西瀧治郎中将(右)と、副官・門司親徳主計大尉(当時)。昭和20年5月13日、大西の軍令部次長への転出を控えて撮影された1枚
暮らしは楽ではない。夫・大西瀧治郎はおよそ金銭に執着しない人で、入るにしたがって散じた。門司は、フィリピン、台湾での副官時代、大西の預金通帳を預かり、俸給を管理していたから、大西が金に無頓着なのはよく知っている。淑惠もまた、金銭には無頓着なほうで、もとより蓄えなどない。
家も家財も空襲で焼失し、GHQの命令で軍人恩給は停止され、遺族に与えられる扶助料も打ち切られた。
昭和3年2月、華燭の典を挙げた大西瀧治郎(当時少佐)と淑惠夫人
自宅でくつろぐ大西瀧治郎、淑惠夫妻。大西が中将に進級後の昭和18年5月以降の撮影と思われる
焼け残った千葉県市川の実家に戻って、淑惠は生きるために商売を始めた。最初に手がけたのは薬瓶の販売である。伝手を求めて会社を訪ね、それを���屋につなぐ。次に、飴の行商。元海軍中将夫人としては、全く慣れない別世界の生活だった。
昭和22(1947)年8月上旬のある日、薬瓶問屋を訪ねる途中、国電日暮里駅東口前の路上で行き倒れたこともある。このとき、たまたま日暮里駅前派出所で立ち番をしていた荒川警察署の日下部淳巡���は、知らせを受けてただちに淑惠を派出所内に運び、近くの深井戸の冷水で応急手当をした。
「質素な身なりだったが、その態度から、終戦まで相当な身分の人と思った」
と、日下部巡査はのちに語っている。柔道六段の偉丈夫だった日下部は、元海軍整備兵曹で、小笠原諸島にあった父島海軍航空隊から復員してきた。後日、淑惠が署長宛に出した礼状がもとで、日下部は警視総監から表彰を受けた。だが、その婦人が誰であるか知らないまま8年が過ぎた。
昭和30(1955)年、日下部は、元零戦搭乗員・坂井三郎が著した『坂井三郎空戦記録』(日本出版協同)を読んで坂井の勤務先を知り、両国駅前の株式会社香文社という謄写版印刷の会社を訪ねた。日下部は、昭和19(1944)年6月、敵機動部隊が硫黄島に来襲したとき、父島から硫黄島に派遣され、そこで横須賀海軍航空隊の一員として戦っていた坂井と知り合ったのだ。
香文社を訪ねた日下部は、そこに、あの行き倒れの婦人がいるのに驚いた。そして、この婦人が、大西中将夫人であることをはじめて知った。日下部は淑惠に心服し、こののちずっと、淑惠が生涯を閉じるまで、その身辺に気を配ることになる。
淑惠が、坂井三郎の会社にいたのにはわけがある。
淑惠の姉・松見久栄は、海軍の造船大佐・笹井賢二に嫁ぎ、女子2人、男子1人の子をもうけた。その男の子、つまり大西夫妻の甥にあたる笹井醇一が、海軍兵学校に六十七期生として入校し、のちに戦闘機搭乗員となった。
笹井醇一中尉は昭和17(1942)年8月26日、ガダルカナル島上空の空戦で戦死するが、戦死するまでの数ヵ月の活躍にはめざましいものがあった。ラバウルにいたことのある海軍士官で、笹井中尉の名を知らぬ者はまずいない。
その笹井中尉が分隊長を務めた台南海軍航空隊の、下士官兵搭乗員の総元締である先任搭乗員が坂井三郎だった。笹井の部下だった搭乗員はそのほとんどが戦死し、笹井の活躍については、坂井がいわば唯一の語り部となっている。
坂井は、海軍航空の草分けで、育ての親ともいえる大西瀧治郎を信奉していたし、
「敬愛する笹井中尉の叔母ということもあり、淑惠さんを支援することは自分の義務だと思った」
と、筆者に語っている。
坂井は淑惠に、両国で戦後間もなく始めた謄写版印刷店の経営に参加してくれるよう頼み、淑惠は、実家の了解を得て、夫の位牌を持ち、坂井の印刷店のバラックの片隅にある三畳の部屋に移った。日暮里で行き倒れた数年後のことである。
だが、坂井には、別の思惑もある。淑惠が経営に関わることで、有力な支援者を得ることができると考えたのだ。坂井の謄写版印刷の店は、福留繁、寺岡謹平という、大西中将の2人の同期生(ともに海軍中将)ほかが発起人となり、笹川良一(元衆議院議員、国粋大衆党総裁。A級戦犯容疑で収監されたが不起訴。のち日本船舶振興会会長)が発起人代表となって株式会社に発展した。
出資金は全額、坂井が出し、名目上の代表取締役社長を淑惠が務めることになった。会社が軌道に乗るまでは、笹川良一や大西に縁のある旧海軍軍人たちが、積極的に注文を出してくれた。淑惠は、香文社の格好の広告塔になったと言ってよい。
「裏社会のフィクサー」の大西に対する敬意
淑惠には、ささやかな願いがあった。大西の墓を東京近郊に建て、その墓と並べて、特攻隊戦没者を供養する観音像を建立するというものである。
苦しい生活のなかから細々と貯金し、昭和26(1951)年の七回忌に間に合わせようとしたが、それは到底叶わぬことだった。だが、この頃から慰霊祭に集う人たちの間で、淑惠の願いに協力を申し出る者が現れるようになった。
大西中将は、まぎれもなく特攻を命じた指揮官だが、不思議なほど命じられた部下から恨みを買っていない。フィリピンで、大西中将の一航艦に続いて、福留繁中将率いる二航艦からも特攻を出すことになり、大西、福留両中将が一緒に特攻隊員を見送ったことがあった。このときの特攻隊の一員で生還した角田和男(当時少尉)は、
「大西中将と福留中将では、握手のときの手の握り方が全然違った。大西中将はじっと目を見て、頼んだぞ、と。福留中将は、握手しても隊員と目も合わさないんですから」
と述懐する。大西は、自身も死ぬ気で命じていることが部下に伝わってきたし、終戦時、特攻隊員の後を追って自刃したことで、単なる命令者ではなく、ともに死ぬことを決意した戦友、いわば「特攻戦死者代表」のような立場になっている。淑惠についても、かつての特攻隊員たちは、「特攻隊の遺族代表」として遇した。
「大西長官は特攻隊員の一人であり、奥さんは特攻隊員の遺族の一人ですよ」
というのが、彼らの多くに共通した認識だった。
そんな旧部下たちからの協力も得て、昭和27(1952)年9月の彼岸、横浜市鶴見区の曹洞宗大本山總持寺に、小さいながらも大西の墓と「海鷲観音」と名づけられた観音像が完成し、法要と開眼供養が営まれた。
昭和27年9月、鶴見の總持寺に、最初に淑惠が建てた大西瀧治郎の墓。左は特攻戦没者を供養する「海鷲観音」
その後、昭和38(1963)年には寺岡謹平中将の筆になる「大西瀧治郎君の碑」が墓の左側に親友一同の名で建てられ、これを機に墓石を一回り大きく再建、観音像の台座を高いものにつくり直した。
墓石の正面には、〈従三位勲二等功三級 海軍中将大西瀧治郎之墓〉と刻まれ、側面に小さな字で、〈宏徳院殿信鑑義徹大居士〉と、戒名が彫ってある。再建を機に、その隣に、〈淑徳院殿信鑑妙徹大姉〉と、淑惠の戒名も朱字で入れられた。
この再建にあたって、資金を援助したのが、戦時中、海軍嘱託として中国・上海を拠点に、航空機に必要な物資を調達する「児玉機関」を率いた児玉誉士夫である。児玉は、海軍航空本部総務部長、軍需省航空兵器総局総務局長を歴任した大西と親交が深く、私欲を微塵も感じさせない大西の人柄に心服していた。大西が割腹したとき、最初に官舎に駆けつけたのが児玉である。
昭和20年2月、台湾・台南神社で。左から門司副官、児玉誉士夫、大西中将
児玉は、昭和20(1945)年12月、A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに拘置され、「児玉機関」の上海での行状を3年間にわたり詮議されたが、無罪の判定を受けて昭和23(1948)年末、出所していた。
巣鴨を出所したのちも、淑惠に対し必要以上の支援はせず、一歩下がって見守る立場をとっていた。「自分の手で夫の墓を建てる」という、淑惠の願いを尊重したのだ。だから最初に墓を建てたときは、協力者の一人にすぎない立場をとった。
だが、再建の墓は、大西の墓であると同時に淑惠の墓でもある。児玉は、大西夫妻の墓は自分の手で建てたいと、かねがね思っていた。ここで初めて、児玉は表に出て、淑惠に、大西の墓を夫婦の墓として建て直したいが、自分に任せてくれないかと申し出た。
「児玉さんの、大西中将に対する敬意と追慕の念は本物で、見返りを何も求めない、心からの援助でした。これは、『裏社会のフィクサー』と囁かれたり、のちにロッキード事件で政財界を揺るがせた動きとは無縁のものだったと思っています」
と、門司親徳は言う。
鶴見の總持寺、大西瀧治郎墓所の現在。墓石に向かって左側に海鷲観音と墓誌、右側には遺書の碑が建っている
大西瀧治郎の墓石右横に建てられた遺書の碑
墓が再建されて法要が営まれたとき、淑惠が参会者に述べた挨拶を、日下部巡査が録音している。淑惠は謙虚に礼を述べたのち、
「特攻隊のご遺族の気持ちを察し、自分はどう生きるべきかと心を砕いてまいりましたが、結局、散っていった方々の御魂のご冥福を陰ながら祈り続けることしかできませんでした」
と、涙ながらに話した。
「わたし、とくしちゃった」
淑惠は、昭和30年代半ば頃、香文社の経営から身を引き、抽選で当った東中野の公団アパートに住むようになった。3階建ての3階、六畳と四畳半の部屋で、家賃は毎月8000円。当時の淑惠にとっては大きな出費となるので、児玉誉士夫と坂井三郎が共同で部屋を買い取った。ここには長男・多田圭太中尉を特攻隊で失った大西の親友・多田武雄中将夫人のよし子や、ミッドウェー海戦で戦死した山口多聞少将(戦死後中将)夫人のたかなど、海軍兵学校のクラスメートの夫人たちがおしゃべりによく集まった。門司親徳や日下部淳、それに角田和男ら元特攻隊員の誰彼も身の周りの世話によく訪ねてきて、狭いながらも海軍の気軽な社交場の趣が��った。
「特攻隊員の遺族の一人」である淑惠には、多くの戦友会や慰霊祭の案内が届く。淑惠は、それらにも体調が許す限り参加し続けた。どれほど心を込めて慰霊し、供養しても、戦没者が還ることはなく、遺族にとって大切な人の命は取り返しがつかない。この一点だけは忘れてはいけない、というのが、淑惠の思いだった。
大西中将は生前、勲二等に叙せられていたが、昭和49(1974)年になって、政府から勲一等旭日大綬章を追叙された。この勲章を受けたとき、淑惠は、
「この勲章は、大西の功績ではなく、大空に散った英霊たちの功績です」
と言い、それを予科練出身者で組織する財団法人「海原会」に寄贈した。大西の勲一等の勲章は、茨城県阿見町の陸上自衛隊武器学校(旧土浦海軍航空隊跡地)内にある「雄翔館」(予科練記念館)におさめられている。
昭和49年、大西瀧治郎を主人公にした映画「あゝ決戦航空隊」が東映で映画化され、淑惠は京都の撮影所に招かれた。大西中将役の鶴田浩二、淑惠役の中村珠緒とともに撮られた1枚
淑惠は、毎年、この地で開催されている予科練戦没者慰霊祭にも、欠かさず参列した。
「こういう会合の席でも、奥さんはいつも自然体で、ことさら変わったことを言うわけではない。しかし短い挨拶には真情がこもっていて、その飾らない人柄が参会者に好感をもたれました。大西中将は『特攻の父』と言われますが、奥さんはいつしか慰霊祭に欠かせない『特攻の母』のようになっていました」
と、門司親徳は振り返る。
昭和50(1975)年8月、淑惠は最初に特攻隊を出した第二〇一海軍航空隊の慰霊の旅に同行し、はじめてフィリピンへ渡った。
小学生が手製の日の丸の小旗を振り、出迎えの地元女性たちが慰霊団一人一人の首にフィリピンの国花・サンパギータ(ジャスミンの一種)の花輪をかける。特攻基地のあったマバラカットの大学に設けられた歓迎会場では、学長自らが指揮をとり、女子学生が歌と踊りを披露する。警察署長が、慰霊団の世話を焼く。
予想以上に手厚いもてなしに一行が戸惑っていたとき、突然、淑惠が壇上に上った。
「マバラカットの皆さま、戦争中はたいへんご迷惑をおかけしました。日本人の一人として、心からお詫びします。――それなのに、今日は、こんなに温かいもてなしを受けて……」
涙ぐみ、途切れながら謝辞を述べると、会場に大きな拍手が起こった。
淑惠は、翌昭和51(1976)年にも慰霊団に加わったが、昭和52(1977)年6月、肝硬変をわずらって九段坂病院に入院した。この年の4月、二〇一空の元特攻隊員たちが靖国神社の夜桜見物に淑惠を誘い、砂利敷きの地面にござを敷いて夜遅くまで痛飲している。
「こんなお花見、生まれて初めて……」
77歳の淑惠は、花冷えのなかで嬉しそうに目を細め、しみじみつぶやいた。
九段坂病院5階の奥にある淑惠の病室には、門司親徳や、かつての特攻隊員たちも見舞いに駆けつけ、人の絶えることがなかった。児玉誉士夫は、自身も病身のため、息子の博隆夫妻に見舞いに行かせた。香文社時代の同僚、遠縁の娘など身近な人たちが、献身的に淑惠の世話をした。日下部淳は、警察の仕事が非番の日には必ず病院を訪れ、ロビーの長椅子に姿勢よく座って、何か起きたらすぐにでも役に立とうという構えだった。
昭和53(1978)年2月6日、門司親徳が午前中、病室に顔を出すと、淑惠は目をつぶって寝ていた。淑惠が目を開けたとき、門司が、
「苦しくないですか?」
とたずねると、小さく首をふった。そして、しばらくたって、淑惠は上を向いたまま、
「わたし、とくしちゃった……」
と、小さくつぶやいた。子供のようなこの一言が、淑惠の最期の言葉となった。淑惠が息を引き取ったのは、門司���仕事のために病室を辞去して数時間後、午後2時24分のことであった。
「『とくしちゃった』という言葉は、夫があらゆる責任をとって自決した、そのため、自分はみんなから赦され、かえって大事にされた。そして何より、生き残りの隊員たちに母親のようになつかれた。子宝に恵まれなかった奥さんにとって、これは何より嬉しかったんじゃないか。これらすべての人に『ありがとう』という代わりに、神田っ子の奥さんらしい言葉で、『とくしちゃった』と言ったに違いないと思います」
――門司の回想である。
淑惠の葬儀は、2月18日、總持寺で執り行われた。先任参謀だった詫間(猪口)力平が、葬儀委員長を務め、数十名の海軍関係者が集まった。納骨のとき、ボロボロと大粒の涙を流すかつての特攻隊員が何人もいたことが、門司の心に焼きついた。
こうして、大西淑惠は生涯を閉じ、その慰霊行脚も終わった。残された旧部下や特攻隊員たちは、淑惠の遺志を継いで、それぞれの寿命が尽きるまで、特攻戦没者の慰霊を続けた。戦後すぐ、芝の寺で一航艦、二航艦の司令部職員を中心に始まった10月25日の「神風忌」の慰霊法要は、元特攻隊員にまで参会者を広げ、平成17(2005)年まで、60年にわたって続けられた。60回で終わったのは、代のかわった寺の住職が、先代の約束を反故にして、永代供養に難色を示したからである。
大西中将の元副官・門司親徳は、「神風忌」の最後を見届け、自身が携わった戦友会の始末をつけて、平成20(2008)年8月16日、老衰のため90歳で亡くなった。昭和と平成、元号は違えど、大西瀧治郎と同じ「20年8月16日」に息を引き取ったのは、情念が寿命をコントロールしたかのような、不思議な符合だった。
大西夫妻の人物像について、門司は生前、次のように述べている。
「大西中将は、血も涙もある、きわめてふつうの人だったと思う。ふつうの人間として、身を震わせながら部下に特攻を命じ、部下に『死』を命じた司令長官として当り前の責任のとり方をした。ずばぬけた勇将だったとも、神様みたいに偉い人だったとも、私は思わない。だけど、ほかの長官と比べるとちょっと違う。人間、そのちょっとのところがなかなか真似できないんですね。ふつうのことを、当り前にできる人というのは案外少ないと思うんです。軍人として長官として、当り前のことが、戦後、生き残ったほかの長官たちにはできなかったんじゃないでしょうか
奥さんの淑惠さんも、無邪気な少女がそのまま大人になったような率直な人柄で、けっして威厳のあるしっかり者といった感じではなかった。でも、人懐っこく庶民的で、人の心をやわらかく掴む、誠実な女性でした。長官は、そんな淑惠さんを信じて後事を託し、淑惠さんは、つましい生活を送りながら、夫の部下たちやご遺族に寄り添って天寿を全うした。
正反対のタイプでしたが、理想的な夫婦だったんじゃないでしょうか。いまの価値観で見ればどう受け止められるかわかりませんが……」
そう、現代の価値観では計り知れないことであろう。責任ある一人の指揮官と、身を捨てて飛び立った若者たち。そして、自決した夫の遺志に殉ずるかのように、最期まで慰霊に尽くし続けた妻――。
「戦争」や「特攻」を現代の目で否定するのは簡単だ。二度と繰り返してはならないことも自明である。しかし、人は自分が生まれる時や場所を選べない。自らの生きた時代を懸命に生きた人たちがいた、ということは、事実として記憶にとどめておきたい。
旧軍人や遺族の多くが世を去り、生存隊員の全員が90歳を超えたいまもなお、全国で慰霊の集いが持たれ、忘れ得ぬ戦友や家族の面影を胸に、命がけで参列する当事者も少なくない。彼らの思いを封じることは誰にもできないはずだから。
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月兎 01
雨の中華街は、まるで小さな映画館で観る古いキネマのようだ。燻んだ灰に烟る極彩色。濡れた地面に反射する赤、黄、青。中華角灯の連なる汚れた路地裏。公園の東屋。媽祖廟に関帝廟。映画のセットに一人取り残されたような気持ちで左馬刻は夜道を歩いていた。傘はない。霧雨は、肩にかけたスカジャンの下までは染み込んではこない。こんな日は人も静かだ。観光客の少ない街は必然、客引きの声が消える。商売をしても仕方がないと皆知っているから。脇に下げたホルスターの拳銃が、重い。自然丸くなる背をポケットに突っ込んだ手で支える。息をすることすら怠い。
沈んだ景色の中、不意に頭上に明かりを感じた。まるで、雲の隙間から気まぐれに顔を出す日の光のような。顔を上げると、眼鏡の男が居た。正確には、陳列窓の中に。男は、うたた寝をしているように見えた。アンティークのソファにゆったりと体を預けている。優美な曲線を描くマホガニーの肘置きに柔らかく添う指先。鈍い光沢のジャガード生地で作られたロングのチャイナ服。細い体。柔らかな質感の濃茶の髪。完璧な形をした耳には、赤い房飾り。シノワズリ趣味。それは男の装いだけではない。透かし彫の衝立も、天井から下がる黒の角灯とクリスタルのシャンデリアも、大胆なピオニー柄の淡碧の壁紙も。現代日本とは思えぬ、杳々とした空間。その中で眠る男に興味が湧いた。硝子に顔を近づける。繊細な装飾が施された眼鏡の、黒のフレームの奥。レンズ越しの瞼をまじまじと見つめる。放射状に広がる長い睫毛。丸みを帯びたまぶた。瞳の色は何色だろうか。白い頬に落ちる影。
「なぁ、目、開けろよ」
聞こえるはずはない。だが、話しかけずにいられない。明かりの消された店で、唯一明るい陳列窓の中で、眠る男が生身のはずはないのに。それでも、あまりに男が生々しくて。
「なぁ、なぁ」
気狂いのようにぽつ、ぽつと何度も語りかける。
どれ位の時間、そこに居ただろうか。縋るように硝子に手を突いて。ようやく諦めて、立ち去ろうとした。その時に。ふぅ、と男のまつ毛が持ち上がった。最初に見えたのは、明るい緑。晴れた夏の木漏れ日のような。それに見とれていると、ゆっくりとマゼンタが現れる。不思議な瞳の色だった。
「きれぇだな、お前の目」
こちらを見ない男に、話しかける。
「あっ?おい!」
男は無反応のまま、スゥと瞼を下ろした。何事もなかったように、上下のまつ毛が重なる。
「………くそ」
悪態をついた瞬間、店内がパッと明るくなった。
「何か、用か」
デカイ男が、にゅっと建物の脇から顔を出す。どうやら店の人間のようだ。裏口から回ってきたのだろう。
「あ、いや、こいつ」
左馬刻が、陳列窓の中の男を指差す。
「ああ……今店を開けよう。待っていてくれ」
そう言って、大柄の男が戻っていく。日の光を集めたような明るいオレンジ色の髪、晴れた海面のような明るい青の目。白色人種の特徴を持つ、彫りの深い顔立ちに、飾り窓の男と同じようなロングのチャイナ服。シノワズリを体現したかのような男と、店の佇まいが重なった。すぐに透かし彫の施された硝子扉が内側に開く。
「どうぞ」
背の高い男に招かれて、左馬刻は店内に足を踏み入れた。エキゾチックな花の香り。外からは見えなかった場所には、壺や茶器、置物などが並んでいる。
「茶を淹れよう。座っていてくれ」
縁にカーヴィングの施された、エボニーのティーテーブル。揃いの獣脚のアームチェアにドカリと座り、左馬刻は陳列窓の男の茶色い後ろ頭を、ぼんやりと見つめた。
「気になるか?」
オレンジの髪の男が、茶盤に並んだ茶器に湯を注ぐ。流れるような手つきで茶葉を洗い、再度鉄瓶から湯を注ぎ、蓋を閉めた小ぶりな急須に上からも湯をかける。コトリ、と目の前に置かれた透かし模様の白い湯のみに浮かぶ、黄金の輪。ず、と一口すすると、茉莉花の香りが広がった。
「銃兎も連れてこよう。起きるかどうかはわからないが」
そう言って、オレンジの髪の男が陳列窓に近づく。あの男は『銃兎』と言うのか、と左馬刻は思った。オレンジの髪の男に抱き上げられた銃兎が、左馬刻の向かいのアームチェアにゆっくりと降ろされた。
「銃兎、茶はどうだ?貴殿の好きな碧潭飄雪(スノージャスミン)を淹れたのだが」
スゥと、銃兎の瞳が開く。けれどまたすぐに閉じてしまって、オレンジの髪の男が苦笑した。
「どうやら、今日は気が乗らないようだ。部屋に戻せと言っている。すまないが、待っていてくれ」
そう言って、オレンジの髪の男は銃兎を抱き、カーテンに覆われた店の奥へと消えていく。それを、なぜだかひどく腹立たしい気持ちで左馬刻は見つめていた。いや、腹立たしいというのは少し違う。左馬刻は、羨ましかったのだ。オレンジの髪の男が。
「さて、待たせたな。小官は理鶯という。元軍人だ。船に乗るのが好きで、各国で買い付けをしては、こうして商いをしている。貴殿の名は?」
「左馬刻」
左馬刻は簡潔に答えた。
「銃兎、は一体なんだ?人間か?」
左馬刻の率直な問いに、理鶯が微笑む。
「あれは観用少年(プランツドール)だ」
「は?プランツ?嘘だろ?」
『プランツドール(観用少年・観用少女)』とは、その名の通り、観用の少年・少女だ。人工の。左馬刻の属する火貂組の組長・火貂退紅も一体、少女型を所持している。左馬刻は職業柄、派手な集まりに参加することが多いが、今まで目にした観用少女たちはみな、成人男性の胸元にも満たない姿だった。何年、何十年物でも。手入れを怠らなければ、同じ姿のまま二百年の時を越える個体もいると聞いている。
「稀に、育ってしまう物もいる。稀に、だが」
そう言って、理鶯は茉莉花茶に口をつけた。
「左馬刻、銃兎は名人の手による傑作だった。銘は『月兎(げっと)』」
銘がつくほどの観用少年の価値を、左馬刻は知っている。退紅のオヤジのプランツも、銘を持つ逸品だった。その値段は、億を超える。しかし、理鶯は『傑作だった』と過去形を使った。
「育ってしまったプランツの価値は、ほぼ無い。それでも、銘を持つプランツなら、ワンルームマンションを買えるくらいの価値を持つ」
語りながら、理鶯が茶を左馬刻の湯のみに注ぐ。一煎目より柔らかく重い香りが立ち上った。
「へぇ」
左馬刻が相槌を打つ。つまりあのウサギちゃんは、高級品っていうわけだ。
「一千万でどうだ?」
理鶯の言葉に、左馬刻が顔を上げ��。
「は?」
訝しげな左馬刻に、理鶯が微笑みかけた。
「銃兎は、左馬刻を気に入ったようだ。興味がなければ、一瞬でも、瞳を開いたりはしない」
「アイツ、動けんの?」
ずっと、寝っぱなしなのかと勝手に思い込んでいたが、そういえば今まで見てきた観用少年・少女たちはみな、歩き、笑い、主人と何か会話をしていた。
「食べもんも食えんのか?」
理鶯が茶を勧めていた事も思い出した。
「ああ、風呂もトイレも、一人でこなせる。食事は日に3度、人肌に温めたミルク。週に一度金平糖を与えると肌ツヤが良くなるぞ。全体的に疲れが見えてきたら専用の栄養剤もある。銃兎は育っているから、人間と同じ食事も摂れるが、嗜好品だ。ミルクさえ与えていれば、ことは足りる」
左馬刻は頭を抱える。自分の家に銃兎がいる事を想像して、胸がぎゅっと熱くなった。コンクリ打ちっ放しの無機質な部屋だ。家具も最低限しかない。そんな空間に、あの、美しいものが存在する。それはなんと魅力的なことか。
「そいやさ、銃兎って名前は誰がつけたんだよ」
銃なんて物騒な名前が付いている。けれどその名は、あのお綺麗な顔に不思議と良く似合っていた。
「前の主人が、な」
含むように��いた理鶯は、それきり理由を語ろうとはしなかった。
「返事は直ぐでなくていい。銃兎は気難しい。迷ったら顔を見に来るといい。眠っていても、銃兎は気づく」
流石に、高級車が買える値段を即決することはできなかった。
「馳走になった」そう言い残して、左馬刻は店を出た。
*
「いいのか銃兎?左馬刻は帰ってしまった」 天蓋付きの中華風の寝台の上、銃兎は絹のシーツに包まって眠っていた。理鶯の言葉に、パチリと緑の瞳が開く。理鶯が差し伸べた手をとって、銃兎はゆっくりと起き上がった。
「理鶯、余計な事はしないで頂けます?」
手厳しい一言に、理鶯が苦笑する。
「大体、一千万だなんて、安すぎます。私を何だと思っているんです」
ぷぅと頬を膨らませて、銃兎が涙を滲ませる。元は、数億で取引されていた個体だ。自尊心が大いに傷つけられたのだろう。
「だが、銃兎。貴殿の日々のミルク代や服、装飾品など、一体いくらの持ち出しになっていると思う?」
優しい声で理鶯が問う。責めているのではないことは、銃兎にはちゃんと伝わっている。けれど。
「……だから、嫌ですけど、ものすごく嫌ですけど、硝子窓で客引きしているじゃないですか」
「うん、それはとても助かっている」
言いながら、理鶯は銃兎の頭を柔らかく撫でた。現実、銃兎を目当てに店に飛び込んで来る客は多い。しかし、銃兎はそんな客たちには決して目を開かなかった。銃兎を目当てに入って来た客の中には、店の常連になる者も多い。もともと銃兎を欲しがる客というのは、美術品の好事家が多いのだ。
「だが、銃兎、小官は貴殿をこのようなところで飼い殺しにしたくない」
理鶯の言葉に、銃兎が泣きそうな顔をした。
「わたしは、ここに居たいんです。ずっとここに。ねえ、駄目ですか?お願い、理鶯」
理鶯の幅の広いチャイナ服の袖を掴んで、銃兎が懇願する。理鶯は銃兎を大切に扱っているが、それはあくまで商品としてだ。出来る事なら、商品としてではなく、銃兎を愛してくれる人間に届けたかった。
「もう、人間を愛するのは嫌なんです。もう、あんな思い、二度としたくない」
理鶯にすがり付く銃兎の背を撫でて、理鶯は物思いに耽る。通常、観用少年というのは、愛に絶望すると枯れるものだ。しかし、銃兎は、一度枯れかけはしたが、こうして未だ美しく咲いている。それは、銃兎も気が付かない心の奥底で、人の愛を望んでいるからではないのか。
「左馬刻は、きっとまた来る。ゆっくり考えたらいい」
そう言って、理鶯は銃兎を寝台に横たえた。椅子の背に脱ぎ捨てられたチャイナ服を、ハンガーにかける。
「おやすみ、銃兎。また明日」
暗闇の部屋から、明るい四角に足を踏み出す理鶯を、銃兎は寝台の上から静かに見送った。
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