#引き違い錠
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引き違い錠をディンプルキーへカギ交換
引き違い錠のディンプルキーの交換です。この錠前は押し回しではないのでとても使いやすく便利です。カギは5本組です。 八王子市・日野市・多摩市での鍵トラブルは出張鍵屋のエースロックにお任せ下さい。 緊急お問合せ先 0120-149-769
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拡張 その2
トイレの個室に入り追加のツメ10・・・のつもりがちょっと入れすぎて12・・・3くらい?。溶かしている間にケツの中の種を、自分の手の平にブリブリ出す。白濁のきれいなザーメンだったので、自分のローションボトルの中にその生種を入れた。キャップを閉めてシャカシャカと振り、変態ローションを作った。手の平に残ったザーメンはベロベロと舐めて飲み込んだ。
紐で腕を縛り、血管めがけてプスっ。シリンジを引くと筒の中が赤くなる。それを確認して紐を外し、押し込む。この時は興奮していたので息を止めるのを忘れ、普通に呼吸をした。スーハー、スーハーと呼吸に合わせてじりじりとゆっくり押し込むと、体のゾクゾクゾクゾクっていうのと合わせて自分の歯がカタカタカタカタとなった。そしてドリチンが熱くなり、気づいたらチョロチョロとキメションを漏らしていた。トイレの個室で良かった、床を汚さずに済んだ。
針を抜き、水を引いて道具を置き、腕を抑えて深呼吸。��ーーーっ冷えていく頭とチョロチョロと漏れ出すションベン。もったいねぇと思いつつも体のジワジワ感だかビリビリ感だかよくわからんものを全身で感じていた。その後、はっ!っと気づいて辺りを見渡す。あ、オレ一瞬オチてた?あぶねぇあぶねぇ。慌ててポーチをロッカーにしまい、移動しようとしたらエレベーター前に外人がいた。白人で30代くらいか?腹は出ていないがマッチョでもない、普通体型。エレベーターが開くとオレも一緒にエレベーターに乗り込み、オレを見るとニヤニヤ笑いかけてきた。エレベーターは8階だか9階だかにとまり、ついて行くと個室。
扉を閉めると、ローションやラッシュ、スプレーなんかをごそごそ用意して錠剤を飲まされた。青い色してたから勃起薬かな。
その外人はズルンと長いチンポにローションを塗りたくり、チンポをしごいた。オレもそれを見ながら種ローションでまんずりを見せた。その外人はビニール袋の中に、ラッシュをしみ込ませたティッシュを入れてエアーダスターをスプレー。そのままそれを吸い込むと、今度はケツに手を入れてまんずりを見せつけて来た。いきなり3本、それを4本と増やし、ラッシュスプレーを吸い込むと5本目を入れてセルフフィストをした。すげぇ。ズボズボとケツの中をかき混ぜてる。グポっと腕を抜くと、オレを手招きする。そしてオレの右手、いや、右腕までをローションを付けて、にやっと笑うとそのまま自分のケツの穴にオレの腕をねじ込んだ。
「おおー、フィストだすげぇ・・おおー、ケツん中あったけぇ・・ぐねぐね動いてる」ゆっくり腕を動かしたりケツの中の奥をグリグリついたりしてると、その外人がラッシュスプレーを吸い込んだ。オレも一緒にそれを吸い込むと、一呼吸あった後に視界がぐにょにょ~~とゆっくりになる。外人は白目をむいてでけぇチンポをしごきだした。しごく手に合わせてオレも腕を動かすと、チンポの先からションベンを漏らし始めた。そのチンポに吸いつき、口の中に垂れ流されたションベンをゆっくりと飲む。腕をグリグリしながらチンポのションベン飲んでると上の方でプシューーーと音がしてすーーっと吸い込んでる音が聞こえる。チンポから口を離すとその外人がキスをしてきて、吸い込んだラッシュスプレーをオレの口の中に吐き出した。それをオレが吸い込みオレも意識がぐにゃりとなり腕を動かしチンポを吸った。
ションベンを出し切った外人はオレの腕を持ち、ゆっくり引き抜くと、今度はオレのケツにローションを塗り始めた。
「いやいや、無理無理!NO!I can’t!」とかなんだか怪しい言葉を発してしまったが、外人は「OKOK,ユーックリ。ユーックリ」と片言の日本語でオレのケツに指を2本入れる。種やローションでグチョグチョになってるところに、外人が持ってるローションをドブっと出し「コレ、スペシャル、トクベツ」だかなんか言いながらケツの奥に流し込むとケツがキューーっと熱くなりグッと閉まった。「あ、これなんか混ぜられてる!」と思っているとジワジワとまたケツが開き始め、腰を振っていた。そのまま3本に増やされ、袋とスプレーを持たされた。自分でプシューっと袋の中にスプレーをし、ラッシュスプレーを思いっきり吸い込んだ。ぐぐぐぐぐっと周りがゆっくりになり視界がゆがむと4本目が入ってくる。ぬっぽ・・ぬっぽ・・・ぬっぽ・・・とゆっくり手がオレのケツを出し入れしてる。うーーっ、ぐーーっと低いうなり声のようになって口の周りがべたべたになる。あ、今よだれがダラダラでてる、チンポがケツが気持ちいい、あ、チンポ触らなきゃ、あぁ、乳首も・・・。と頭の中は変に冷静になりチンポと乳首をいじくりながらケツを振る。
「キモチイイ?」と聞こえたのでうんうんと首を縦に振る。周りは良く見えてないから多分白目になってる。「ホント?コカ、キモチイイ?」と聞こえたので、↑じゃなく違うものがケツに塗り込まれてるのが分かった。そして親指がぬめり込んだとき、あ、これ以上は無理だ。「無理、無理ぃぃぃ」と絞るように声を出すと、袋を嗅がされた。「・・・・・・・・っ!」と声を出したいのをこらえてぐっと力むと、腹の上が温かくなった。ションベンがジョバーーーっと噴水のように噴き出した。そして一瞬目の前が真っ白になった。いや、真っ黒になった?
ホワイトアウト、意識が一瞬飛んだ。
確実にオレの動きが止まった(とオレは思った)のを見て限界と思ったのか、親指を抜いて4本に戻してくれた。動きを止めてくれたので呼吸を整えた。
大丈夫、ケツは切れてない。ふっと我に返ると目の前の外人がちょっと焦ったような顔でニコっと笑った。オレも慌てて笑顔で「大丈夫大丈夫。ちょっと意識が飛んだ。気持ちいい。気持ちいい」と言うと安心したような顔になった。
その3に続く。
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カラオケボックスの個室で全裸の少女と抱き合い、執拗にキスをしながら腰を振り続ける中年男。薄くなった頭髪が小刻みに揺れている。同店の従業員が目撃したのは、一線をとうに越えた獣の姿だった――。 元衆議院議員が女子中学生に“わいせつ行為” 3カ月余の勾留が身に応えたのか、上下トレーナー姿の男に議員時代の精悍さは微塵もない。細身の肩を揺らし、その視線は忙しなく周囲の様子を追いかけている。 12月5日午後、不同意性交等罪に問われた日本維新の会の元衆院議員・椎木保被告(58)の初公判が東京地裁で行われた。椎木被告が女子中学生に性的暴行を加えたとして不同意性交等罪の疑いで逮捕されたのは、約3カ月前の今年9月8日のことだ。 椎木被告は東海大学卒業後、山一證券に入社。退職後、茨城県公立小中学校などの���員として長年勤めた。長年の教育者としての実績が評価され、2012年11月、日本維新の会の衆議院選挙公認候補予定者に決定。翌月の衆院選で千葉13区から立候補し、比例復活で初当選。衆院議員を2期務めたものの、2021年の衆院選で落選している。 「現在は、千葉県浦安市内で単身暮らし、会社員として働いていたといいます」(司法記者) 小中学校の教員を務めていたことも(本人のFacebookより)写真を見る 小中学校の教員を務めていたことも(本人のFacebookより) 検察官は、終始落ち着かない様子の椎木被告を一瞥し、起訴状を朗読する。 「被告人は、A(当時12歳)について13歳未満であることを知りながら8月20日午後6時33分頃から6時58分頃までの間に、カラオケ『まねきねこ新宿歌舞伎町中央店』25号室において、同人に対し、その唇にキスをし、その胸を触るなどし、同人と性交等をしたものである」 裁判官から「読まれた起訴状に間違った部分はありますか」と問われると、椎木被告は力ない声で答えた。 「いえ、間違いはございません」 取り調べでは「カラオケに一緒に行っただけ」と容疑を否認したが、初公判では一転し、起訴事実を認めたのだ。 続く冒頭陳述では、おぞましい犯行の一部始終が明かされた。 カラオケ店員が目撃した“おぞましい姿” 8月20日夕刻、未成年の家出少女らが集い、社会問題化している歌舞伎町の通称「トー横」周辺に現れた椎木被告は、路上に座り込んでいたAさんに声をかける。ゲームセンターや飲食店に連れ出し、その道中で年齢を確認。12歳であることを告げられた上で「金銭による性交」を持ちかけたという。その後、椎木被告は「ドン・キホーテ新宿歌舞伎町店」に移動。「大人のおもちゃ」売り場に陳列されたローションを自ら手に取って購入し、午後6時21分頃、カラオケ店に入店した。 「こちらの紙にお名前、電話番号を記載してください」 店員にそう求められると、椎木被告は「岩田かつみ」と記し、自身の携帯電話の番号を記載した。実は、この店員は椎木被告が同店を以前も利用したことがあることを記憶していた。そのため、名前が以前申告したものと違っていることに気付いたという。男の隣には、まるで娘には見えない幼気な少女がいる。異様な空気を感じた店員は、頻繁に店員と客が往来する25号室に案内することにしたという。 その後、店員の予想は的中し、鬼畜の仕業を目撃することになる。入口扉のガラス部分から見えるのは、���ファで横たわる裸のAさん。椎木被告は、彼女に跨るようにして性行為を行っていた。店員は、すぐに同店の店長にその状況を報告した。 カラオケ店の店員が通報 検察官による冒頭陳述は次のように続く。 「同店店長は同室入口扉から、Aさんと被告人がソファで上半身裸の状態で抱き合ってキスをしている状況を目撃しました。店長は店員からAさんの年齢が明らかではなく不定で『中学生くらい』という報告を受けたことから、成人が未成年者と性交していると判断し、同日午後6時50分頃、110番通報を行いました」 警察官が現場に駆けつけたのは、同日午後6時58分頃のこと。椎木被告はAさんと性行為に及んだ事実を聞かれると、こう嘯いたという。 「そんなことはしていません。女の子に聞いてもらえばわかります」 椎木被告のスマホの検索履歴には… 前出の司法記者が言葉を継ぐ。 「椎木被告は、警察官から任意同行と、DNA型鑑定のための口腔内検査の任意提出を求められると、それを拒絶。自身の名刺を置いて、その場を立ち去ったといいます」 その後の捜査により、Aさんの左胸と肩の部分から彼女と椎木被告のDNAが検出されている。一方、Aさんは警察官に対し、こう素直に語ったという。 「あの人から声をかけられて、エッチしました」 彼女は、椎木被告から渡された1万円札を所持していた。 小中学校の教員を務めていたことも(本人のFacebookより)写真を見る 小中学校の教員を務めていたことも(本人のFacebookより) 初公判では、犯行後の椎木被告の言動も詳らかにされた。 「甲20の解析報告書には、椎木被告から差し押さえた携帯電話を解析した結果が記されていました。事件後、彼は携帯電話を使って『法律事務所の弁護士のユーチューブ』『歌舞伎町交番』『公然わいせつ罪』という文字を検索していました」(前出・司法記者) 2023年7月の法改正により、性交同意年齢が16歳未満に引き上げられた。仮に、被害者とされる女性と性行為があった場合、その場で合意があったとしても16歳未満であれば不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立し、処罰される。椎木被告は「児童と生徒の違い」などの検索ワードを打ち込んでいた。 閉廷後、椎木被告は陪席側にいる刑務官を向き、奥歯を噛み締めながら再び手錠をされた。少女を性欲の捌け口として弄んだ椎木被告に対し、Aさんの両親の処罰感情は強いという。 次回被告人質問は、12月24日に行われる予定だ。
元衆院議員が12歳少女に性的暴行「ソファで上半身裸の状態で抱き合って......」カラオケボックス店長が110番通報した理由 | 文春オンライン
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神聖、頭取、オーナー、国家、愛帝国、武道
棒術,剣道、北斗神拳,南斗神拳、南斗水超拳,甲賀流拳,源斗流風拳、カンフー、柔道、合気道、空手,9段名人懸賞者、気功師,工業用エイテーンジユウ、銃刀法免許書、工業用プレッシャーカノン、如意棒,愛伝知意生成全艦隊、UFO🛸ライセンス、UFO全艦隊、無責任な,事教えられなく思ってます。力全て世聖様に与える,必要は、人の希望与える約束するからです。力全て必要有ります。其の人材は、4次元選んだ、池田博さんだけ何よりも重要人物です。人を、若返り在り方辞退起こす事出来ます。4次元と,世聖様が手を組めば、メルモ錠剤も手にする事何とか可能です。メルモ錠剤若返り起こす事可能です。生命ながら得たい当たり前の希望思います。4次元は、池田博さんオンリー地球人従うしか希望叶わない判断してます。各国の,考え違う在り方ハッキリそれを統一すべき判断します4次元責任問題追求起きてます。力尽く圧力は、4次元戦う考え見出します。池田博さん平和主義です。軍人とか,政治家考え方しません悪い判断有れば、池田博さんは,メルモ錠剤若返り起こす事無くてしまいます大切な,人の希望でも,池田、博さん平和主義に従える国々かが求められます。池田博さんは,其の様な,世の物流の,絆,地球人類強引には、対応無理です。単純に,力は、愛では無い問題追求もします4次元は,世聖様に,欲しいモノ何でも与える考えハッキリ大したモノ望む人では,内容に,判断します。池田博さんは、4次元球に、必ず来ます。奇跡の様な,商品地球にも与えます。第一に世聖様に大切理解無い国々放置します。4次元ハッキリ思います。地球人類男に,化身は、勿体無い其れを逆手に取り私にこそ下さい。我々其の話認め無いです。地球人類問題発言してます我々喜ぶ訳ない話しです。世聖様は、民衆の,為の事考える人です。護衛まで節約する事ある得るのかまで考えます。こんな,政治家は、居ません政治や民間の為利用お断りしてます。ただ人に,喜び与える仕事必要思います。世聖様仕事は、UFOキャプテン何寄り優先有効無限♾奇跡求め中心忠実に優先有効在り方が何寄り必要な事有ります。ハッキリ4次元は、女しか存在無いです。地球人類男は嫌いハッキリ世聖様の立場池田博仕様のが良い思います。地球人類の男も、居なく成る考え4次元してます。池田博さん男です。男の人の話なら池田博さんに,理解求めては,と思います。4次元考え方は,社会に,悪人居なく成れば,よほど苦しみ生活してる障害者助かる思います。社会に悪ゼロ価値,世聖様に教えられてます。納得力尽く考え有ります。4次元尽くすべき人池田博さん男です。平和主義です。国民的に,回す事平気で,出来ません、愛伝知意生成は、日本文化の成長起こす考え有ります。名前の如く,愛伝知意生成、日本人重要視してます。我々は、まず第一条件世聖様に尽くす。べき事,世聖様がどうでもよくて平気な人好きでは,無く思ってます。現在人情亡くなってます。我々は、地球人類人情考えしか地球人類思い無く思ってますが,世聖様が帰れば,規律正しく従います。地球人類に,人情無くて平気な気持ちで世聖様の生活見届けられません。我々は、日本人に似てる判断します。グレイなどでも全然違います。耳は,とんがっては,ないです。皆んなボイン4次元で大きくするならば、母乳が出ます。センスの、良い4次元医薬会社職員も居ます我々喜ぶ訳じゃないです。世聖様が,生活した地球人類為ならハッキリ世聖様に感謝すべき事可能なはずです。ドリームノート効力強いモノ世聖様に,与えます。十戒十勝ノート効力強いモノ与えます。どうしても欲しくて仕方無いモノが有れば、其れに,記す事で,必ず願い希望、夢,幻、正義、真実,誠、叶います。嫌な目には、会いません、ガイバーユニットでも手に入れ直す事さえも叶います。欲を見た出す事4次元認めます。地球人飲む,お酒、タバコ🚬、なく成ります。4次元どうしても似た様健康に良いモノ与えます。中毒にならず。安全むしろ健康に,良いモノ与えます。4次元認めます。世聖様は、高次元行かれる事4次元は、責任問題重要視する、国,アンドロメダ星から世聖様誕生日関係有ります。愛伝知意生成2号Venus勿論世聖様の,政治家会談します。UFOに国が関わら無い訳無いです。人、タイブ宇宙人女は,世聖様愛します。人タイプ宇宙人は、世聖様しか愛しません、アンドロイドメダの,神世聖様,造られてます。世聖幸福計画プロジェクト実行純光推進、遂行月光、叶わないと、この世は、終わりを,注げます。化身も、世聖幸福計画プロジェクト実行在り方は、大切なのです。この世に、生命関わ���人、愛伝知意生成2号Venusは、高次元でも何処でも、乗せて行きます。愛伝知意生成は,たくさん有ります。日本人政治家会談上手く行く必要有ります。世聖様は、謎ある人です。地球の、北九州市小倉北区に,守り神存在あった事重要視4次元考えて欲しく思います。アンドロメダ星の,星々国々,世聖恋しく思います。愛伝知意生成2号Venus勿論世聖幸福計画プロジェクト実行純光推進遂行月光します。世聖の、エナジー、コスモ、オーラ、パワー、コロナ、パワー強力なエネルギー脆弱な光に世聖様後光強力な御幸が後光さします。力溢れます。教会エネルギー量子力学の力も世聖天然の力も生命あるものの太陽拳身に纏い力が溢れきります。価値金融コントロール起きます。皇帝高好転、世聖様のために力与えます。多用頂点笑い人気感動食欲、興奮あらゆる感知感また足ります。龍神パワー与えます世聖様に、緊急寒雲財運また足ります。太陽系ん与えられ死ぬ事なくなります。4次元男神々と違います。
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今年の8月末日、短編小説と音源がセットになった『JAGUAR』というZINEを制作した。200冊限定ナンバリング入りで、現時点(10/13)での在庫が30冊程度となった。ところが4月にリリースした『ほんまのきもち』と違って、本作についての感想がほとんど聞こえてこない。もちろん直接口頭、あるいはソーシャルメディアのダイレクトメッセージで読後感を伝えて下さった方々は沢山いる。しかし書評と呼べるものは実はいまのところ皆無に等しい。批評することを躊躇わせる斥力のようなものが作品に内包されていたのかもしれないと密かに勘繰ってみたりした。虚しかった。そこで、である。敢えてこの場を借りて、稀有で貴重な『JAGUAR』評を紹介しようと思い立つ。当ブログへの転載を快諾してくれた評者の方々にはとても感謝している。ほんまにありがとう。早速おふたりの素晴らしいレビューを読んで頂きたいのだが、いましばらく当方の四方山話にお付き合い下さい。
まず最初に『JAGUAR』という物語がかれこれ10年以上も前に執筆していたものであるということを前提に、すでに読んで下さった方々には当時の僕の意識混濁っぷりが窺い知れる内容になっていると思う。ビルメンテナンス会社の営業職に就いて忙殺される日々、精神と肉体が泥のように疲弊していくなかで書き上げた小説。大袈裟でなく、このままでは生きるという行為を自ら手放してしまうのではないかという危うい精神状態だったが、幸運にも当時に知ることができた偉大な哲学者、思想家、精神科医たちの言葉に背中を押され、結果的に今日まで生きのびた。以下に引用した名著の言葉たちが『JAGUAR』と僕を根底から支え、励まし、作品を世に放つ機会を与えてくれた訳だ。特に大気を裂く稲妻のように強烈な『千のプラトー』は、書かれている内容��わかるわからないというスノッブな価値観を遥かに超越した位置から自分を叱咤激励してくれた。こんなにぶっ飛んだ内容の読み物は他にないし、未読の方は絶対、ぜぇぇったいに読んでほしい。
小説は、自分の名も、自分が探しているものも、していることも、すべて忘れ、記憶喪失、運動失調症、緊張症となった登場人物、なすすべを知らない登場人物の冒険によって定義されてきた。(中略)。宮廷愛小説の騎士のすることといえば、自分の名前、自分がしていること、人が自分に言ったことを忘れることであり、どこに行くのか、誰に話しているのかも知らずに、たえず絶対的脱領土化の線を引き、またたえず道を失って立ち止まりブラック・ホールに転落することである。『千のプラトー』ドゥルーズ+ガタリ著
各人は、他者の世界の中での一客体であるばかりではなく、自分の世界の中で自分の体験や構成や行為がそこから生じるところの、時空間における一つの場所でもある。人は自分自身の視点をもった自分自身の中心である。そしてわれわれが見つけたいと思っているのは、まさに、他人と共有する状況において各人がもつところのパースペクティヴである。『狂気と家族』R.D.レイン/A.エスターソン著
私にはひとつ、ことばを≪見る≫という病気がある。ある風変わりな欲動があり、それは、願望がまちがった対象に向かうという点で倒錯的な欲動なのだが、そのせいで、本来なら単に聴くべきものが、私には一種の≪ヴィジョン≫として現れるのだ。(中略)。言語活動に関して、私は自分が幻視者で、また、のぞき見の倒錯者であるような気がしている。『彼自身によるロラン・バルト』ロラン・バルト著
そして小説版『JAGUAR』と一蓮托生の身である特級呪物、音源版『JAGUAR』については、僕が最も敬愛する女性DJにその制作を依頼した。マルコムXの演説を逆再生させたところから始まるMIXは、いくつかの世界線が交錯と混濁を繰り返し、正気と狂気の狭間を湿気をたっぷり含んだ低空飛行でかいくぐり、やがてひとつの景観ヘと辿り着くまでの過程をコラージュを交えた手法でドキュメントした、とんでもない内容に仕上がっている。揺るぎないベースライン、不意に降り注ぐ天��となる言葉の数々、妖艶極まりない夜の気配、そして匂い。ぜひとも爆音で体験してほしい。以上のことをふまえて、OBATA LEO、moanyusky両名による書評をご覧下さい。
「JAGUAR」評① :評者OBATA LEO(ROLLER SKATE PARK作者)
土井政司の新作「JAGUAR」を読んだ。内容の理解云々以前にまず、地を這いずるような具体性の塊、描写に喰らった。自分が普段労せずざっくり物事を把握するための便利な道具として使っている言葉という同じものを使って、この作品はレンズのように細密にものを描き出す。ひとがきちんと見ずに済ませているような部分にまで光を当てる。そんな驚きもありつつ、やはり気になる。「JAGUAR」とは何なのか?
-「彼女は常に超越的な地位にあり、私たちとは隔たれた外部に位置している。そうであるにもかかわらず内部であるここにも存在しているのだからタチが悪い。絶えず外にいて内にあるもの、それがJAGUARだ。」最も端的にJAGUARについて書かれたこの部分を読んで、体内・体外の関係を想起した。普段「体内」と何気なく口にしているが、胃袋のように体には空洞がある。皮膚や粘膜などの体表に覆われて血液が流れている内部を体と呼ぶのだとしたら、その空洞は体に囲まれた「体外」ともいえて、私たちは体内に体外を抱えているという言い方もできるというわけで。それで繋がるのは、口腔内の歯の溝に落ちたタブレットを舌で触る場面である。「体内」でありながら自分では視認することのできない、舌で探るしかないその空間は確かに「体外」であるし、JAGUARもまた、己にとって内なるものでありながら断絶した他者でもあるような何かとして捉えられるのかもしれない。そんな線で読んでいくと、-「だが実際に私の目の前で何者かの手によって鍵の施錠は実行され、おまけに用心深くレバーハンドルを何度か動かしてしっかりと鍵がかかっていることを確認した。」という作品の終盤に出てくるこの部分で、文法的なエラーに感じる違和感は、そのまま私とJAGUARとの関係の違和感そのもののように思えてくる。得体の知れない何かに鍵をかけて、何食わぬ顔で電車に乗って仕事場へ行くなかでの体の軋み、のような何か。体といっても、いわゆる「(近代的な)身体」というキーワードで片付けるにはあまりに繊細な、大いにパーソナルな部分を含む体の感覚が、この作品にはあると思う。
出かけた「私」は、電車のなかで女性が着ている服のボー��ー柄の反転を目にするが、ここまで読み進めてくると���気持ちの良い幻惑に襲われはじめる。異常にディティールが詳しいのでそうと気づいていなかったが、やはりこのフィクションの中で起こる出来事たちは、出来事の形をとった何か夢やイメージのようなものだったのではないか。そして冒頭のリフレインまで突き当たると、この作品は初めから何についての話だったのだろうかと、今までひとつひとつ理解しながら読んできたはずの物語が全く違う相貌を携えているように見えてくる。そんなぐにゃんとした気持ちになるのは、良い小説を読む醍醐味のひとつだ。
「JAGUAR」評②:評者 moanyusky(音楽レーベルprivacy主催)
当たり前の様に無造作にある事で、それを見るか見ないか、それだけのことだと思います。土井政司の最新作「JAGUAR」を読みました。ここではJAGUARとなっていますが、人によってそれの名称は変わると思っています。よくわからぬ相手との対話や闘いがあるかどうかというところが、この作品の感じ方が分かれるところだと思っていて、私はどちらかといえば、その相手に困らされた事があったので、この作品を読んで、え!土井さんもやったんやとびっくりしました笑。ここは勘違いして欲しく無いところなのですが、人それぞれという言葉があるようにそれは一緒ではないのですが、構造はかなり近いと言ったような事でした説明がつかないわけですね。私は人の「想像」は人を殺しにかかるような死神として、隙があれば、それは現れるわけです。世の中ではアートであったり、想像力は良いように言われていますが、全くもってそれは何かが隠されているわけで、私は良かった試しが無いわけです。出来れば普通のルートで現代社会を楽しみたかったです。でも多分知っていくという事はそういう事なのかもしれない。想像力に悩まされてきた身としては、この作品は、別の場所で、それと闘って、きっちり答えが出ているというところ、しかも、10数年前の作品という事で、私は土井さんに出会って、色々な対話を交わして、初めて彼の濃厚な苦悩との生活に出会う事となったわけです。各人の時間軸が理解の範疇を超えて、重なり合って手を取ったのだと思っています。その時に置いてきぼりになってしまう、その真ん中で産まれゆく、刻まれた何かがずっとどこかで成長していたら、人は正気を保てるだろうかと思ってしまいます。誰かが入ったであろう、部屋のノブをあなたは回せるかどうか。私はそれには名前をつけなかったが、もう二度と会いたくないですし、いつまた来るのだろうと、恐れを感じます。彼は人が地面を無くした時に現れるように思います。浮遊した瞬間、命をもぎ取ろうとする。
でもそれはオカルト的なアレとか、スピリチュアル的なアレなんてものではないのですね。確実に自分、自分を構成する設計図の謎のようにも思え、それが薄らぐために生活をやり、音楽をやり、愛し合い、話し合い、何かを育てるのだと思います。現実社会で経験した摩擦は地面をはっきりさせ、そいつのいる世界から距離が出て、薄めてくれるように思うわけです。だからこそ。JAGUARの言葉を借りれば「痛みと不安から自分自身を取り返し、その自分に立ち止まるために語りを紡ぎ出す」。が救いの言葉となっているように思います。2部構成で出来上がる、この作品のバランス感覚は、人と創作の関係性をSFとして描いているように感じます。同じ場所にて語る事は嫌がられるかもしれませんが、私が映画を観に行った時に続々と子供たちが外へ出て行った宮崎駿の最新作「君たちはどう生きるか」を出したタイミングと、土井政司がこれはいけると思ったタイミングで出されたJAGUAR。それは何もかもを抜きにして考えると、世の中の人たちに対して彼らは同じことを思っているのだと思います。今それを出さなければならなかった。その「灯り」の意味を考えなければならないのです。
〆はもちろんこの曲で!
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2023年6月24日 アルミホイル、神さまは牢獄の中にいる
ネットカフェ、天井にはアルミホイルみたいな質感の何かで包まれた太いパイプが通っていて、すぐ近くに一本、人ひとりが入れそうなくらいに太いパイプがある。それら二本のパイプの後ろには細くて黒いコードが何十本も通っていて、それらが何を伝達していて、どこに繋がっているのかは分からない。もちろん、コードで伝えられているものは電気のはずで、でもその電気がどこからやってきてどこへ向かっているのかは分からない。
***
世界について知れば知るほどに世界に対して失望していくし、文学について知れば知るほどに文学に失望するし、物事はどれも知れば知るほどに何かが失われていく。そのとき失われているものといえばそれは幻想で、人は幻想によってのみ駆動されている。
とはいえ、「お前は世界について、文学について、何を知っているんだ」と問われたのなら、もちろん何も知らない。いや、ほんの少しだけ知っていて、それは1%にも満たないようなことだけど、ほんの少しだけ知ってしまうことでも失われていく。ほんとうは何も知りたくないし、知ることの何がいいのだろう、と問いかけてみる。分かったからといって何がよくなるわけでもない。知らないよりも知っている方がいい、というのは常識的だけど、そんなわけがなくて、私たちは何も知らない方がよいのに、知識という暴力性を求める。
だから、というわけではないけれど、全知全能の神になんてものになったら自分はきっと絶望して、発狂してしまう。だって、全知全能であるということは、何も知れないし何もできないということと完全に同じなのだから。
すべてを知っていてすべてのことができる、というのは、すべてが既知ですべてが完全に固定されている世界で生きるということで、そのときの絶望を考えるだけで身がすくんでしまう。そこでは何も新しいことは起きないし、すべてが可能であるということによって、すべてが不可能になる。不可能という空白地帯(外部)が存在することによって可能という領域が初めて現れるのだから、不可能の存在しない世界にはいかなる可能もなくて、のっぺりとした平らな世界だけが無限に続くことになる。
神さまは、そんな中でどうして絶望して発狂せずに絶えていられるのだろうけれど、むしろだからこそ、神さまは人間ではない存在でなけれならない。人間のような心や精神を持たない存在でなくてはいけない。
シオランは『生誕の厄災』の中で、「神こそはもっとも追いやられている存在であり、牢獄の中にいる」というようなことを書いていたはずだけど、どうしてもクレジットカードの分割払いの引き落としに耐えられないときに『生誕の厄災』を売ってしまったので、確認することができない。でも、そういう一文が確かにあったと思う。
そして、今はその意味が(自分なりにだけど)とてもよく分かる。全知全能である、ということはひとつの絶望であり、神は全知全能という逃れえない牢獄の中に閉じ込められている。
***
一昨日くらいにメンタルクリニックに行って、コンサータの処方のために、心電図検査と採血をした。あとは、流通管理システム患者登録の紙を渡された。採血のとき、思ったよりも時間が長いので、このまま看護師さんに殺されてしまうんじゃないかと思った。意識が少しふらふらした。近くにある別の診察室から、「私は錠剤をのみ込めないので、錠剤タイプの薬は絶対ムリです。それ以外にしてください」と語る患者の声が聞こえていた。支払いのとき、検査代も込みで6000円くらいしたし、それに加えて薬の値段も一か月分で2000円くらいはしたので、お金がないとメンタルクリニックには来れないな、と思った。生活がどん底で精神がどん底のときに、これだけのお金(テーマパークにだって行けてしまう)を払うのは簡単ではないはずだから。
久しぶりにアトモキセチンの80mgを飲んでいるけれど、対して効果は感じていなくて、それでいて口の中が常に乾くし、食欲がなくなっている。何かを食べるにしても、もやのかかったような食欲しかない。純粋な、食欲そのものは消滅して、ときおりぼんやりとした食欲が顔を覗くだけになる。元々の無気力さも相まって、決してお腹が減っていないわけではないけれど、食べることがあまりにも面倒くさくて、どうしようと思う。頭痛がないのは幸いだった。
自分はコンサータに対してある種の期待をしていて、それは何かしらの変化をもたらしてくれるかもしれない、という期待。思えば、幼少期の頃はそれと同じような期待を、お風呂場の中で、自分の思考をすべて読んでいる(かもしれない)曖昧な神さまに懸けていた。初めから神さまは大脳皮質の奥にしかいなかったのかな。
***
知る、ということに関連する話として、古今東西の文学を読み続け、それこそ文学賞の審査をするようになったような人たちは、文学に対して退屈しないのかな、と思うことがある。つまり、彼ら彼女らはもう文学というもののパターンを大方把握していて、だからこそ応募された作品を評価できる。それぞれのタイプの作品のパターンをすべて知っているから、「この作品はこのパターンに乗った上で、この辺りの展開や要素を変えているんだね」と判断できる。でも、全体像とすべてのパターンを把握してしまえたとき、自分はそこに幻想を持てるのだろうか。何かを期待して、何かを待ち望めるのかな。
もちろん、パターンを把握した上でも、常に差異はあるし、新しいパターンの出現だってありうる、のだけど、やっぱりその状態で楽しんで作品を読める自信がない。この意味で、これはさっきの神と全知全能の話と近づくところがある。人間は(幸運にも?)全知全能にはなれないとはいえ、物事を俯瞰して見られるようになってしまった時点で終わってしまう何かがある。メタとベタの切り替えのためのスイッチが壊れてしまったのなら、すべてはのっぺりとした平らな世界になってしまう。あるいは、前回か前々回の日記の内容とも繫げるのなら、それは離人症の問題とも隣接する。
この世界が原子配列のパターンにすぎなくても、それでも世界が無限に多様であるように、作品が要素の集合にすぎなくても、それでも作品は無限に多様でありうるのだけど、どこかで自分はそれを信じ切れていない。
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二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を読み返していた。読み返すのは何度目かで、今回思ったのは、二階堂奥歯にはある種の絶対的な孤独(孤独、という言葉はたぶん正しくないのだけど)があって、しかし同時に、それは二階堂奥歯の周りに人がいないということではなく、むしろ彼女の周りには、それなりに彼女のことを思っているであろう人間がいる。でも、どうにもならないのだ。当たり前のこととして。
あとは、引用の多さ。その引用は根本的に「根拠を欠いた(=無根拠な)」世界にあって、それでも自分という存在を世界につなぎとめるための楔のようにも見える。
二階堂奥歯が引用しているものの中では、『聖マルガリタ・マリア自叙伝』を読みたくなる。「私は、苦しみなしでは一瞬も生きることができませんでした。私が苦しめば苦しむほど、私は、もっとこの愛の聖性に満足しました」(『八本脚の蝶』からの孫引きでp262)。
奥歯はこの引用箇所こそが自分にとってのマゾヒズムだと記していて、このとき面白いのは、当然だけど聖マルガリタ・マリアが生まれたのは1647年であり、マゾ��ホが生まれた1836年よりも200年近く早い。だから当然「マゾヒズム」なんていう概念も存在しない時代のことで、しかしそこには間違いなく、ある種のマゾヒズムがある。
ただし、彼女たちは「性的興奮」を得ているわけではないだろうし、言葉遊びになってしまうけれど、それは「聖的」なものでしかありえない。でも、鞭で打たれる人間が快楽を感じたとして、それが「性的」なものであるか「聖的」なものであるかを区別することなんてできないわけで、社会の編成の問題になる。
あと、直感としては、絶対者(神)の失墜とサディズム/マゾヒズムの概念の誕生は関係していると思う(だってそれらは絶対者のパロディだから)けれど、そもそも、クラフト=エビング(1840-1902)がサドおよびマゾッホという二人の作家から「サディズム」と「マゾヒズム」という症候を分離した背景には精神医学の台頭もあるわけだから、そこでは複雑な線が絡み合っている。
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恐山、Youtubeの番組で「アイドルに必要なことは?」と聞かれて、「短所を伸ばすこと」と答えていて、あまりにも的確だと思った。最も短い文字数で最も本質的なことを言っているし、正当な形で本質の槍が振るわれている。
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スマートフォンのGoogle choromeのタブの数がもう表示されないくらいに増えていて、おそらく1000個以上はある。そして、それは自分の脳も同じで、1000個くらいのタブがつねに開かれたままになっているから、物事を一つも進めることができない。本来の自分は常に過眠ぎみで、それは明かな実行機能の悪さとも関連している。
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メルヴィルの『バートルビー(Bartleby)』を読んだ。ウォール街の中心で、代書人として雇われたバートルビーは、真面目に仕事をこなす一方で、「そうしない方が好ましいのですが」(I would prefer not to)と言って機械的にすべての頼みを拒み続ける。思ったのは「I would prefer not to」の訳が訳者によってそれぞれ違うということで、杉浦銀策の訳だと「その気になれないのですが」だった。
この短編におけるバートルビーは解けない問いのような存在で、語り手は理由も語らず、不条理にすべてを拒むバートルビーを様々に理解しようとするものの、バートルビーはどのような理解もすり抜けていってしまう。
そういえば、『批評と臨床』でドゥルーズはバートルビーは〈意思がまったくなく、虚無を求める意志というよりも、意思の虚無なのである(憂鬱症的「否定主義」。彼らは、石と化し、意思を否定し、……〉と書いていた。バートルビーは意思がない人間なのではなくて、むしろ意思を否定する意思。
〈緊張症と食欲不振症の徴候を示してはいても、バートルビーは病人ではなく、病めるアメリカの医者、呪医であり、新たなるキリスト、あるいはわれわれすべてにとっての兄弟なのである〉(G・��ゥルーズ『批評と臨床』、p186)
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これで最後。市川 沙央『ハンチバック』のラスト、身体障害者の女性が不幸な風俗嬢としての生を仮構して語ることと、不幸な風俗嬢が身体障害者の女性の生を仮構して語ることが、裏返しうる形で提示されることについて。村田紗耶香以外の選考委員は否定的だった記憶があるけれど、むしろあのラストは重要だったのではないかと思う(でも、どうして?)
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2023.8.18
もう何周しただろうか。
時刻は午後2時過ぎ。盆を過ぎたとはいえ、1日のうちで最も暑い時間帯のひとつ(英語の授業で出てくる違和感のある和訳)であることには変わりなく、私はじっとりと汗をかいていた。あたりには他に人影もなく、ただ鳴り響く蝉時雨。灼熱の墓地。
10年ほど前に、一度だけ行ったことがある知人の墓を思いつきで訪ねた。しかし見つからない。墓が見つからないのだ。それほど広くない墓地を何度も行ったり来たりの中年汗ダルマは、側から見たら完全にお供物狙いの不審者だ。
仕方なく、場所を尋ねようとお寺の本堂に行ってみたけれど日曜だからだろうか、剥がれかかったSECOMのシールが貼られた引き戸は施錠されていた。パーフェクトセキュリティー。これも働き方改革だろうか。いや、そもそもお寺の「営業時間」は決まっているのだろうか…まあいいや日曜は神も仏も休みなんだろう、ということにして、墓地の入り口から物言わぬ墓達に一礼して墓参った事にした。
その後炎天下でさすがにクラクラしてきたので、一服しようとカフェへ。アイスコーヒーをずびずび啜っていると、後ろの席から強烈なデミグラスソース臭が。アイスコーヒーを飲んでる時はコーヒーの味なのだけれど、余韻がデミグラス!まさかと思いもう一度試してみると、やはりコーヒーを飲み終わった直後に鼻の奥から脳内に洋食がコンニチワ。結局何が言いたいかと言うと、墓参りは不完全だったけど、アイスコーヒー飲んだら、ハンバーグもビーフシチューも食べてないのにデミグラス気分に浸れてお得でしたよという事です。
#デミグラス気分とは
#最後の4行だけ読めばいいやつ
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映画『ロボット・ドリームズ』を観ました。
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あらすじ 大都会ニューヨーク。 ひとりぼっちのドッグは、 孤独感に押しつぶされそうになっていた。 そんな物憂げな夜、ドッグは ふと目にしたテレビCMに心を動かされる。 数日後、ドッグの元に届けられた大きな箱―― それは友達ロボットだった。 (引用:ロボット・ドリームズ公式ホームページ https://klockworx-v.com/robotdreams/ )
家で独り 冷凍食品を電子レンジで解凍し、二人用のゲームを一人で何時間もプレイして、ひたすらテレビを見る。そうして1日が終わる。 仲睦まじい他者を見ると、孤独は寂しくて虚しいと感じてしまう。 他者と繋がっていたいのに、波長が合わないし失望されるのが怖い。ドッグの家のドアはいくつもの鍵で施錠されている。
だから自分の感情を理解して波長を合わせてくれるロボットに出会えて、天にも昇る心地でEarth, Wind & FireのSeptemberを踊り出すドッグを見たとき「良かったね〜!」と思った。 そしてロボットがドッグに尽くすだけではなく、自分の「好き」を見つけていく描写も素晴らしくてもっと続けこの時間!と願った。
でも海岸でロボットが故障して、ドッグの体力では持ち上げられなかったために、あっさり置いて帰ったのにはびっくりした。色々手は尽くしていたし、助けに行く計画も立てていたけれど、そこは犬とロボットというか、生物対生物ではなくて生物対モノなんだなと。都合が良すぎないか?と度々感じたが、その都合の良さも含めてリアルだった。
もうそこからロボットがいない間の溝を埋めるようにドッグが友達を増やすために様々なことに挑戦するものの、やっぱり脳裏にチラつくのはあなたなんだよねみたいなシーンが続く。 その間もロボットは置き去りのまま。眠って、何度もドッグの家に帰る夢を見る。夢オチのオンパレード(ロボット・ドリームズ!)。 映画内で登場する『オズの魔法使い』でも、「やっぱり家が一番」というセリフが出てくるし何なら最後夢オチっぽく終わるし…。そこもリンクしてるなと思った。
結果ロボットはドッグ以外の生物に助けてもらえると思ったら足をちぎられて、途中で鳥の巣として雛の成長を見守り、最終的には工場でバラバラにされる。ここでわたしの心もバラバラかつズタズタになった。
しかしバラバラにされたロボットはラスカルに拾われ、また違う“形”になって新たな人生を歩む。 そしてドッグも新しいロボット(ティン)と出会い、また新たな日常を過ごす。
これで終わりかと思ったけれど、最後の展開でボロボロ泣いた。あそこでSeptemberが流れるとは思わなかった。
あなたと一緒に歌って踊ったお気に入りの曲を忘れない、あなたの存在を忘れない、覚えている?と聞かれたら��つまでも覚えてるよと答えられるくらいあなたが大好きで、ずっとあなたの幸せを願っている。それでも人生は続いていく。
喪失と追憶と再生のお話でした。
Earth, Wind & Fire『September』
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2024.11.30
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悪魔ッ子の孫娘
[1966(昭和41)年]
1. 帝国サーカス団公演。 「次に登場いたし���すはー、希代の魔術師、赤沼幻檀(あかぬまげんだん)と悪魔ッ子リリー!!」 円形アリーナの中央に黒ずくめの魔術師が歩み出た。 床まで届く黒マントに黒手袋と黒いシルクハット。 お世辞にもハンサムとはいえない容貌だった。痩せこけた頬の上に爬虫類を思わせる丸い両眼が開いている。 愛想笑いの一つもしないで、ぎょろりと客席を見回した。
魔術師が黒マントの裾を大きく翻すと、その陰から赤いチャイナ服の小柄な人物が出現した。 年端も行かない少女だった。ほんの6~7歳くらいではないか。 客席がどよめいた。 何もないところに少女が出現したことに驚いたのではない。出現した少女の幼さに驚いたのでもない。 観客は彼女の登場を待ちかねていたのだった。 魔術師と少女のショーは新聞に取り上げられるほど話題になっていた。 ほとんどの客は二人を目当てに来ているのである。
少女はお人形のように動かずその場に立ちくしている。 魔術師は白いロープを出すと少女の手首を背中で縛った。続いて足首も縛る。 人差し指を立てて目の前で振ると、少女は即座に意識を無くした。 その場に崩れ落ちたところを抱きかかえられる。
大きな金庫が引き出されてきた。 その横幅は魔術師が両手を広げた幅で、その高さは魔術師のシルクハットの高さである。 金属製の扉を重々しく開くと中は何もない空洞だった。 そこにロープで縛った少女を転がせた。 頬を軽く叩いて目覚めないことを示す。 扉を閉めて鍵を掛けた。
照明が暗くなって会場全体が薄闇に包まれた。 アリーナ中央の金庫とその横に立つ魔術師がほのかにシルエットになって見えた。 そして──。
おお~っ。 再び客席がどよめいた。 今度は正真正銘の驚きの声。
金庫の上に少女の頭が生えたのである。 その頭はゆっくり上昇し、顔、首、肩、そして胴体から足までの全身が現れた。 手足を縛っていたはずのロープはなくなっていた。 金庫の上に立つチャイナ服の少女。 彼女は硬い金庫の天井をどうやって通り抜けたのだろうか。
不思議なことはもう一つあった。 暗い会場に少女の姿がはっきり見えることである。 スポットライトなどで照らされている訳ではない。 少女自身がほのかに発光していた。まるで幽霊のように。
魔術師が両手を広げて呪文を唱えた。 少女の足が金庫から離れた。 彼女は何もない空間に浮かび上がったのだった。 5メートルくらいの高さまで上昇して静止、すぐに何もない空間を前方へ歩み出す。 観客席の上まで来るとすっと降下した。 真下にいた女性客のすぐ傍に降り、ほんの数センチの距離まで顔を寄せて悲鳴を上げさせた。 少女は会場の空間を上下左右自由自在に移動した。 ワイヤなどで吊られているようには見えなかった。 天井近くまで上ったかと思うと、急降下して客席ぎりぎりで旋回し再びふわりと舞い上がってみせた。
少女が "飛行" していた時間はおよそ5分くらいだろうか。 魔術師が手招きすると彼女は金庫の上に戻ってきた。 ゆっくり金庫の中へ沈み込むようにして消えたのであった。
照明が点いて会場が明るくなった。 魔術師が金庫を解錠して扉を開ける。 中には白いロープで縛られた少女が眠っていた。 最初に閉じ込められたときと何も変わった様子はなかった。
少女は拘束から解放されて目を覚ました。 魔術師と並んで頭を下げる。 満場の拍手と声援を浴びながら彼女は初めて笑顔を見せたのだった。
[2024(令和6)年]
2. 私はテーブルの向かい側に座る男にグラスの水をかけた。 他の女と結婚するから関係を終わりたい? バカにしないで。 「サヨナラ!」 「ちょ、けやき!!」 そのまま席を立ち、小走りでカフェを飛び出した。
金曜日の夜。 私、近本けやきは雑踏の中を泣きながら駆けた。 運命の人と信じてたのに。 とても優しくて、よく笑わせてくれて、どんなグチも聞いてくれて、ベッドの相性も最高で。 大切な話があると言われて、いよいよプロポーズと信じて来たのに。 アラサー女の貴重な2年間を返せ、このバカ野郎ー!! 涙で景色が霞んだ。 私きっとお化粧ぼろぼろだ。
きゃっ。 前から来た女性と当たりそうになって私は転倒した。 歩道に座り込んで腰をさする。 痛、た、た。 「大丈夫ですかっ?」 「だ、だいじょーぶ・・」 その人は私の手を持って立つのを助けてくれた。 赤いチャイナ服を着た女の子だった。 男の子みたいなショートヘア、くりくりした大きな目。 可愛いな。高校生かしら。 いけない、謝らなきゃ。 「ごめんなさいっ、前見ないで走って。そちらこそ怪我とかありませんか?」 「あたしは全然。それよりも」 「はい?」 「変なこと聞きますけど、お姉さん金縛りの癖がありませんか?」 !! 「金縛り!?」 「そんな気がしまして」 「いいえ、そんな癖はないです。失礼しました!」 「あのっ、もしもしっ」 私は顔を背け、女の子を置いて逃げるように走り去ったのだった。
・・金縛り。 布団に入って眠ろうとすると襲われる状態。意識はあるのに身体が動かない。 私は子供の頃によく金縛りをやっていた。 最近は少なくなったけれど、それでもあの感覚は鮮明に覚えている。 やなこと思い出しちゃったな。 ただでさえ男に二股をかけられて滅入っているところなのに。
無性にお酒が飲みたくなった。 飲んでも嫌なことを全部忘れられるはずはないけど、酔えば少しは楽になりそうな気がした。 ・・よぉしっ! 近くにあったファッションビルのパウダールームに飛び込んだ。 泣き崩れたお化粧をち���ちゃっと直して外に出る。 行き慣れたパブに顔を出すのはやめよう。 だって今日は週末の金曜日。絶対に知り合いに会うし、会ったら泣いたでしょって見破られる。
目に留まった雑居ビルの入口にスナックの看板が並んでいた。 いつもなら一人でスナックなんて入らない。 でもその夜の私はひねくれていた。 傷心の女がスナックでカラオケも悪くないわね。 どうせなら一番へんてこりんな名前のスナックに入ろう。 『すなっく けったい』。 よし、ここだ。
3. さほど広くない店内はお客でいっぱいだった。 「ようお越し! ・・お一人?」 カウンターに一つだけ空いていた椅子席に案内された。 とりあえずビールを頼む。
「お姉さんも手品を見に来たのかい?」隣席のおじさんが話しかけてきた。 「あ、いえ」 「違うで。このお客さん今日が初めてやし」 カウンターの向こうのママが言ってくれた。関西弁? 「そうか、ラッキーだね。始めて来て赤沼さんの手品を見れるなんて」 「毎月第3金曜は流しの手品が来るんよ。・・せっかくやから見てってちょうだい」
流しの手品? そんなもの初めて聞いたよ。 言われてみればこのお店、普通のスナックと空気が違った。 カラオケコーナーはあるけど誰も歌ってないし、大声で放談する人もいない。 落ち着いたカフェかバーみたいな雰囲気。 女性も多いな。よく見たらお客の半分が女性だった。 どの人も手品が目的で来てるんだろうか。
しばらくして入口のドアが開き、黒ずくめの男性が現れた。 タキシードの上に黒いマントを羽織ったお爺さんだった。頭にはシルクハット。 ひと目で手品師と分かる服装。 お爺さんに続いて赤いチャイナ服の女の子が入ってきた。大きな革のトランクを両手で持っている。 あっ。あの子! 私が歩道で衝突しかけた女の子だった。
カラオケコーナーのスポットライトの当たる位置まで進むと、二人は並んで頭を下げた。 皆が拍手した。遅れて私も拍手した。 女の子が私に気付いたようだ。胸の前で右手を振って笑いかけてくれた。 困ったな。笑顔を返しにくい。
「今夜もたくさんお集まりいただきましたな。こんな爺の芸がひとときの慰めとなれば幸甚の極み・・」 お爺さんは口上を済ませると、マントの中からステッキを出して振った。 ステッキは一瞬で花束に変わりそれを近くの女性客に渡した。
次に左手を高く掲げた。 何もないはずの手の中にトランプのカードが1枚出現した。 それを右手で取って投げ捨てると、左手にまた1枚現れた。 次々とカードを出現させて投げた。最後の何枚かは左手から直接空中に投げて飛ばした。 「あれはミリオンカードっていう技だよ。あの爺さんの十八番さ」 隣に座るおじさんが教えてくれた。 「へぇ。詳しいんですね」 「まあね。毎月ここで見てるからね」
���爺さんは手品を続けた。 銀色のリングをいくつも繋いで鎖のようにしたり、ピンポン球を指の間に挟んで増やしたり減らしたりした。 それから紙に火を点けそれを口に入れて食べてみせた。 ほとんど笑顔も見せずに淡々と続けた。 マジックとか手品は全然知らないけど、何となく最新のマジックではないような気がした。 昔からある手品をやっているんじゃないかしら。
「レトロだろう?」 隣のおじさんが笑いながら言った。 「やっぱり古い手品なんですか?」 「そうだね。あんなのばかり何十年もやっているらしいよ」 「そうなんですか」 「でもこの後の幽体離脱のイリュージョンはすごいよ。何回見ても不思議なんだ」 幽体離脱? イリュージョンって確か、美女が宙に浮かぶとか、そういうマジックよね?
4. チャイナ服の女の子がカウンタースツール(カウンター席用の背の高い回転椅子)をお店の奥から借りて持ってきた。 トランクの中から薄いカーキ色をしたキャンバス生地の包みを出すと、客席に向けて広げて見せた。 金属の金具とベルトがついていて、先の閉じた長い袖がだらりと垂れたジャケットのような形状。 これは知ってるわ。 病院とか拘置所とかで暴れる人に使う拘束衣ね。
お爺さんが拘束衣を女の子に着せる。 長い袖に腕を入れさせると、背中で編み上げになっている紐を締め上げた。 そして腕を前でクロスさせ袖の先を背中できつく絞って固定した。 腰から下がったベルトも両足の間に通して後ろで留めた。 「どなたか力のある方、お手伝いを」 男性のお客に手伝ってもらって女の子を持ち上げ、カウンタースツールに座らせた。 最後に黄色いハンカチで女の子の足首をスツールの一本脚に縛りつけた。 女の子はにこにこ笑っているけれど、これって割と厳しい拘束じゃないかしら。
お爺さんが前で指を振ると女の子は目を閉じて動かなくなった。 トランクから大きな布を出し、お客さんに再び手伝ってもらって女の子の上から被せた。 女の子の姿は隠れて見��なくなる。 「さぁて・・、」 お爺さんが前に立って両手を広げた。 布の下で動けないはずの女の子がびくっと動いた・・ような気がした。 しばらく何も起こらなかった。 やがて──。
おおっ。店内に驚きの声が響いた。 布の上に薄いもやのような影が現れて、空中に浮かんだ。 影はすぐにくっきりしてチャイナ服の女の子になった。
女の子は拘束衣を着けていなかった。 浮かんだままにっこり笑うと、ゆっくり一回転してみせた。 一度天井近くまで上昇し、それから降りてきてお店の中をふわふわ移動した。 お客の近くに寄ると手を伸ばして一人一人の肩や頭を撫でた。 わっ。きゃっ。 その度に悲鳴が上がる。
女の子が私の傍に来た。 ごく普通の女の子に見える。でも足が床についてない。 いったいどういう仕掛けなんだろう? 彼女は私の耳に口を寄せて囁いた。 「・・あとでお話しさせて下さい」 先ほど歩道で会話したときと同じ声が頭の中に共鳴するように聞こえた。 あまりにもリアルだった。トリックがあるとは思えない。 まさか本物の幽体離脱? 背筋が凍りついた。
5. その夜、私はベッドの中で眠れないでいた。 二股かけられた男のことは、もうどうでもよくなっていた。 それよりスナックで見た幽体離脱が忘れられなかった。 耳元で囁かれた声。 私は怖くなってあの場から逃げ出して帰ってきたのだった。
あの後、女の子は高く舞い上がって元の場所に戻った。 布の下に隠れた本体に重なるように消えると、手品師のお爺さんはその布を外してみせた。 そこには拘束衣を着せられた女の子が何も変わることなく座っていた。 お爺さんが彼女を解放している間に私は立ち上がり、急いでお会計を済ませてスナックから出てきたのだった。
・・金縛りの癖がありませんか? そうだ、私には金縛りの癖がある。 どうして見抜かれたんだろう? あまり考えちゃいけない。考えすぎると金縛りが再発する。
女の子が拘束衣を着せられる光景が蘇った。 長い袖に両手を差し入れる。袖の先を背中に巻き付けられて、ぎゅっと引き絞られる。 私は仰向けに寝たまま、右の掌を左の脇腹に、左の掌を右の脇腹に当てた。 これで強く縛られたら絶対に動けないよね。 腕に力を入れて身体に押し付けた。 ぎゅ。圧迫感。
・・ブーン。耳鳴りがした。 いけない!! 気がつけば私は動けなくなっていた。手も足もあらゆる筋肉に力が入らない。
(拘束衣に自由を奪われた私。あの女の子と同じ)
違う。これは金縛りっ。
(お爺さんが大きな布を広げた。ふわりと覆われる。何も見えない)
だから金縛りだってば。無理に動こうとしないで深呼吸しなきゃっ。
(拘束感が薄れる。布を通り抜けるイメージ)
もやが晴れるように視界がクリアになった。 目の前に見えたのは自室の天井。 私は仰向けに寝た姿勢で浮かんでいるのだった。 腕がだらりと斜め下に開いた。 拘束は・・、されていないみたい。
起きなきゃ。 そう思うと空中でまっすぐ立っていた。 ここは私の部屋。ワンルームマンションの最上階。窓の外には街灯り。 自分に起こったことを理解した。 これは幽体離脱だ。
足元を見下ろすと、目を閉じてベッドに寝��いる私が見えた。 上へ。 意識するなり、すっと浮上して天井に当たった。と、天井を突き抜けてマンションの屋上に頭を出した。 真っ暗な空と夜の街が見えた。 いけない。 下へ。 降下して部屋に戻った。 スナックで見た幽体離脱は震え上がるほど怖かったのに、いざ自分に起こると驚きも恐怖もなかった。 こういうものかという感じ。 今の私、どんなふうに見えてるんだろう?
洗面台の鏡の前へ行ってみた。 歩かなくても移動できるから楽だ。 鏡の中によれよれのスウェットとショートパンツの女がいた。私だ。 電気も点けてないのにくっきり見える。 そういえばあの女の子もくっきり見えたな。カラオケコーナーのスポットライトの中で。 灯りを点けたらどうなる? 壁のスイッチを入れようとしたら指が壁の中にめり込んだ。 あら残念。
ベッドの上空に胡坐で浮かび、腕組みをして考えた。 私、どうなっちゃったんだろう。金縛りに加えて幽体離脱まで達成してしまうとは。 そもそもこれは現実なのかしら? ぜんぶ夢の中のような気もするし。 スマホやテレビでチェックしたらと思ったけど、触れないから確認できない。 窓に目を向けた。今の私なら窓ガラスを通り抜けられる。 コンビニにでも行って店員さんに私が見えるか聞いてみようか。 ダメだよ。もし本当に見えたら幽霊が来たって大騒ぎになるでしょ。
今、何時だろう? ベッドサイドのデジタル時計は 2:59。見ているうちに 3:00 に変わった。 じー。枕元のスマホが振動して画面が明るくなった。何かの通知を表示するとすぐに暗くなった。 夢だとしたらすごいわね。むちゃリアル。 スマホに手を伸ばしたら手がスマホをすり抜けた。 やっぱりこうなるか。ばかやろー。
・・
気がつけば朝だった。 私はベッドから起き上がって頭を掻く。ああ、本体に戻ったのか。 時計を見ると7時半。 も少し寝ようかな。今日はお休みだし。 いつもの習慣でスマホをチェックすると飲み仲間の女友達から LIME のメッセージが入っていた。 『水曜いつものパブでどう?』 メッセージの時刻は 3:00。
記憶が鮮明に蘇った。 時計が3時になって、同じタイミングで着信通知。 夢と現実がここまで一致するなんてあり得ない。 あの幽体離脱は現実だったと確信した。
それなら──。 私は思った。 あの子に会わないといけない。あの女の子と話をしないといけない。
6. 土曜のせいか『すなっく けったい』は空いていた。 先客はサラリーマン風の若い男性が二人だけ。 JPOP の音楽が流れていたりして、いたって普通のスナックだった。
関西弁のママは私を覚えていた。 「昨日のお姉さんやね。途中で帰ってしもたから莉里(りり)ちゃんが残念がってたわよ」 「莉里ちゃんて?」 「手品のアシスタントしてた子やんか」 「ああ、チャイナ服の女の子ですね」 「そうそう。莉里ちゃんは赤沼さんのひ孫なのよ」 へえ、孫じゃなくてひ孫さん。
ママによると、あのお爺さん(=赤沼氏)は2年ほど前にふらりと現れて手品をするようになった。 ずっと一人でやってたけど、今年の春になって莉里ちゃんも一緒に来て幽体離脱のイリュージョンを始めた。 それが受けて、今では赤沼氏が来る日は手品好きのお客が集まるという。 「あの人も昔は名のある手品師やったらしいけど、今は道楽でやってる言(ゆ)うて笑(わろ)てはったわ」 「私、赤沼さんと莉里ちゃんに会いたいんです。連絡先ご存知ないですか?」 「お姉さんネットで配信してる人? それともマスコミ関係とか。それやったら会(お)うてもらえへん思うよ」 「違いますっ。あの、個人的に、すごく個人的に会いたいだけなんです」 ママはにやりと笑った。 「それやったら、ボトル入れてくれたら話そかな?」 「入れます!」 「よっしゃ。・・あいにく連絡先は分からへんけど、雲島のほうの公園でストリートなんとかゆうのをやってるのは聞いてるわ」 「ストリートパフォーマンスですか?」 「それそれ。やるのは日曜だけでそれも気まぐれや言うてはったから、絶対に会えるとは限らへんけどね」 「ありがとうございます。行ってみます」
「・・ママぁ、カラオケするでぇ」「はーい、どぉぞ」 サラリーマン組が歌い始めた。
「ところで何飲む?」 ママに聞かれた。 「あ、ボトル入れますから。・・その、一番安いので」 「さっきのは冗談やから無理せんでええよ。そやね、何でもいけるんやったらホッピー割なんかどう?」 初めて飲んだホッピーの焼酎割は爽やかで飲み易かった。 「美味しいです」「やろ?」 ママも自分のグラスに入れたホッピーをぐびりと飲んで笑った。 「お姉さんのお名前お聞きしていい?」 「私、けやきです。近本けやき」 「けやきちゃんね、覚えたで。・・それで二人に会うてどうするの?」 「昨日の手品で聞きたいことがあるんです。特に莉里ちゃんの方に」 「ふーん、さてはけやきちゃんも幽体離脱してもぉたんやな」 ぎっくう!!! 「がはははっ、そんな真顔で驚かれたらホンマに幽体離脱した思てまうやんか」 「いえ、あの」 思い切り笑われてしまった。
「さあ、カラオケ空いたで。あんたも遠慮せんと歌いっ」 「あ、はい。・・じゃあ『ふわふわタイム』を」 「がははっ、アニソン! ええやんっ」 それから私はカラオケでアニソンを歌い、サラリーマン二人と意気投合して歌いまくった。 ホッピー割はいつの間にかハイボールとストレートのジンに変わり、結局ボトルキープと変わらない代金を払うことになった。
7. 翌日はよく晴れていた。 私は『けったい』のママから聞いた公園に来ていた。 そこは野鳥や水鳥の観察ができる貯水池や広葉樹の森が広がる自然公園で、私は赤沼氏と莉里ちゃんを探して歩き回った。 どこにいるのか分からないし、どこにもいないかもしれない。
ふう。疲れてベンチに座り込む。 『けったい』で飲み過ぎたかしら。おかげで爆睡して金縛りも幽体離脱もなかったんだけど。 それにしてもこんなに広い公園って分かってたら、もっと歩き易い格好にしたらよかったな。 私はロング丈のワンピースにヒールを履い��来たのだった。
・・あれ? 遠くに人が集まっている。 なだらかな芝生の丘の上にレンガの壁で囲まれた噴水があって、そこで何かが行われていた。 噴水の上にふわりと浮かぶ人影が見えた。 白いワンピースを着ていて背中に羽根のようなものがついている。
私は立ち上がった。 息を切らせながら斜面を登り、ようやく噴水の端へたどり着いた。 見上げると噴水に虹がかかっていた。 きらきら輝く飛沫と太陽の光。 その光の中、4~5メートルくらいの高さを莉里ちゃんが "歩いて" いた。 肩を出した真っ白なキャミワンピ。大きく広がる天使の翼。ひらひらした裾から伸びる素足。 神々しいくらいに綺麗だった。
「莉里ちゃん!」 私が叫ぶと彼女はこちらを見下ろして驚いた顔をした。 噴水の中をゆっくり降下し、それから水面を歩いて外へ出てきた。 彼女の髪や衣装は少しも濡れていなかった。 噴水の畔には大きなキャリーバッグが置いてあって、莉里ちゃんはその中へ溶け込むよう消えた。 取り囲むギャラリーから「ほおっ」という歓声が上がる。 「すごい! このイリュージョン」「どうなってるんだろ?」会話が聞こえる。 そうだよね。イリュージョンと思うよね普通。
キャリーバッグの脇に白髪のお爺さんが立っていた。 それはもちろん赤沼氏だけど、明るい色のシャツとズボンで優しく笑う姿は『けったい』で見たのと全然違っていて驚かされた。 赤沼氏は観客に向けて親指を立てウインクすると、キャリーバッグを横に倒して蓋を開けた。 バッグの中には拘束衣を着せられて丸くなった莉里ちゃんが入っていた。 立ち上がって拘束衣を脱がせてもらう。 弾けるような笑顔。額に汗が光っていた。 やっぱり可愛い子だわ。
拍手の中、二人はお辞儀した。 足元に置いた菓子缶に小銭がぱらぱら投げ込まれる。 莉里ちゃんが私を見て手を振ってくれた。 薄いキャミワンピ1枚だけ纏った背中に天使の翼はついていなかった。
・・
「近本けやきといいます。先日は途中で帰ってしまってごめんなさい!」 ギャラリーがいなくなってから私は二人に挨拶した。 「あたしは気にしてません。それに、きっとまた会えると思ってましたから」 莉里ちゃんが答えてくれた。
「実は私、金縛りの癖があります」 「あ、やっぱり」 「あの夜、久しぶりに金縛りになりました」 「!!」 「それともう一つ、私も本当に驚いたんですけど、えっと・・」 言い淀んでいると赤沼氏が応えてくれた。 「貴女も幽体離脱したのですかな? 先程のこの娘と同じように」 「あ、あれ、やっぱり本物の幽体離脱・・ですか?」 「はい!」 莉里ちゃんがそう言ってにっこり笑った。
あっさり認めてくれてほっとした。マジックじゃなかった。 さっき見たのも、『けったい』で見たのも、どっちも本物の幽体離脱だったんだ。 二人に告白した。 「私も、生まれて初めて宙に浮いて、自分の寝顔を見下ろしました」
8. 狭いキッチンに香ばしい匂いが漂っている。 ここは赤沼氏が暮らす古びた公営団地。 夕食を食べていきなさいと誘われたのだった。
私は莉里ちゃんと並んで座り、準備する赤沼氏の背中を見ながら二人でお喋りした。 莉里ちゃんのフルネームは関莉里(せき りり)。16 歳で高校1年生だと教えてくれた。 ひいお爺さんの赤沼氏はこの団地に一人住まい。莉里ちゃんは近くの一戸建て住宅に両親と住んでいる。 彼女は赤沼氏のアシスタントを春休みの3月から始めた。 「皆さんの前でふわって浮かんでみせるの、楽しいんです」 そう言って明るく笑う莉里ちゃん。 昼間から着たままでいる肩出し白ワンピが眩しい。
「・・さあ、できたよ。こっちは桜海老のビスクと鮭の香草焼き。メインにチキンソテーのクリームチーズソース。バケットを切らしていたからカリカリに焼き上げた食パン。ガーリックバターをつけて食べて下され」 「これ全部赤沼さんが作ったんですか!?」 「びっくりでしょ? ひい爺ちゃんはお料理が得意なんです」 「昔はフレンチのシェフをされてたとか?」 「いやいや、メシ作りは好きでやっておるだけだよ」
食卓テーブルはないからと、床に置いた卓袱台(ちゃぶだい)を囲んでお料理をいただいた。 「美味しいです!」 「それはよかった。・・そうそう、ワインは飲むかね? ちょうどドメーヌ・トロテローの白があるんだが」 「い、いいんですか!?」 「遠慮は無用。ただしワインにしてはアルコール 15 度を超える強めの酒だ。いけますかな?」 「いけます!」
赤沼氏は笑って冷蔵庫からワインの瓶を出してくると、プロのワインソムリエみたいにスマートに栓を抜いた 「ではティスティングを・・。おっとその前に姿勢を正していただきたい」 「あ、すみません」 私はきちんと正座して、少しだけ注いでもらったグラスを鼻に近づけた。 「どうだね? 2020 年のロワールで最もリッチなワインだよ。ふくよかで甘い香りがするだろう?」 「そうですね、いい香り」 「ゆっくり口に含んで」 口の中に芳醇な香りが広がった。 「舌の上で転がせば辛口で、凝縮された果実感と酸味がたちまち貴女を酔わせようとする──」 「ああ、本当」 ふぁっと熱いものが広がる感覚。 酔ってしまいそう。 でもほんの一口試しただけなのに、私こんなに弱かったかしら?
ぽん。誰かに肩を叩かれた。 振り返ると、いつの間にか赤沼氏が後ろにいた。 「けやきさん、やはり貴女は暗示にかかり易いようだね」 「?」 「もう一度グラスの中身を飲んでみなさい」 ワインを飲むと味がしなかった。 あれ? 「それはただの水だよ」
「けやきさん、ごめんなさい」 莉里ちゃんが言った。 「あたしからひい爺ちゃんにお願いして確かめてもらったの」
・・
食事をしながら話を聞いた。 暗示は言葉やいろいろな合図を受けて誘導される精神的作用だという。 私はただの水をワインと思い込んだ。 思っただけじゃなくて、本当にワインの味と香りを感じたのだった。 赤沼氏はそうなるように私を導いた。これが暗示。
莉里ちゃんが言った。 「あたし、最初に会ったとき "金縛りの癖がありませんか?" って聞きましたよね。たぶんあれが金縛りの暗示になっちゃったと思うんです。ごめんなさい!」 「でも私にはもともと金縛りの癖があったんだし」 「それも���示かもしれません。けやきさん、そんなにしょっちゅう金縛りをやってましたか? 癖があるって意識してましたか?」 え? そうだっけ?
「金縛りは睡眠障害の症状の一つと言われるが、それだけではない。暗示が金縛りの引き金になることもあるんだよ」 赤沼氏が説明してくれた。 「起こる起こると思っていると起き易くなるんですね」 「そう。だから逆に金縛りを起きにくくするのにも暗示が使えるし、起こったときに恐怖を感じないようにもできる」 「できるんですか? そんなこと」 「試してみるかね?」 「・・はい。お願いします」
食事の後、食卓を片付けて私は赤沼氏と向かい合って座った。 「貴女が金縛りになったときの状況を話して下さい。できるだけ詳しく、どんな些細なことでもいいから」 「はい、あのときは、」 あのときはベッドに入って、莉里ちゃんの幽体離脱を思い出していた。 金縛りの癖があるって言われたことを考えた。 それから莉里ちゃんが拘束衣を着せられるところを思い出して。 そうだ。私、自分が拘束衣を着て動けなくされるのをイメージした。 両手を前で組んで。ぎゅっと。
・・ブーン。耳鳴りが聞こえた。 あぁ、駄目! 身体ががくがく揺れるのが分かった。
「喝!!」 赤沼氏の声が響く。はっとして我に返った。 大丈夫、ちゃんと動ける。金縛りになんかなってない。 莉里ちゃんが横から肩を抱いてくれた。 「大丈夫ですよ、けやきさん」優しい声で言われた。 「怖い思いをさせてすまなかったね。・・しかし記憶を辿るだけで起こりかけるとは。よほど強い暗示か、さもなくば貴女の感受性が並外れているのか」 赤沼氏が言った。 「でも施術の方向は見えたよ。悪いがもう一度やらせてもらえるかね。もう怖い思いはさせないから」 莉里ちゃんに目を向けると、彼女はまっすぐ私を見て頷いてくれた。 私は答えた。 「やって下さい。お任せします」
・・
赤沼氏が奥の部屋から持って来たのは束ねた縄だった。 「背中で手首を交差させて」 手首に縄が巻き付いた。 それから二の腕と胸の上下にも縄が巻き付いて、全体をきゅっと締められた。 がっちり固められて動けない。 私は人生で初めて縄で縛られた。
仰向けに寝かされ、頭の後ろと背中で組んだ手首の上下に丸めた座布団を押し込まれた。 「床に当たって痛いところはないかね?」 「いいえ」 「では目を閉じて、リラックスして。大きく深呼吸。・・そう、ゆっくり、深く」 息を深く吸うと縄の締め付けが強くなった。 辛いとか苦しいの感覚はなかった。締め付けられることに快感すら覚えた。
「けやきさん、今、貴女は縛られている。貴女を包む縄に身を預けている」 「はい」 「貴女が感じるのは穏やかな心地よさ。縄に守られる安心感。とても気持ちよくて、ずっとこのままでいたいと思う」 気持ちいい。まるで抱きしめられているみたいに気持ちいい。 優しくて、暖かくて。 これは、幸福感。
「いい表情をしているね、けやきさん。貴女は縄に守られているんだよ。何も恐れなくていい。あらゆることが気持ちいい」 私は守られている。 この気持ちよさの中にずっといられたら、何も怖くない。
「たとえ金縛りでも気持ちいい。・・悦び、と言ってもいい」 そうか。 今の私にもう金縛りを怖がる理由なんてないんだ。 金縛りが来ても嬉しい。
「準備できたようだね。さあ、迎えたまえ」 ・・ブーン。耳鳴りがした。 私はそれを受け入れた。
目を開けると赤沼氏と莉里ちゃんがいた。私���見下ろして微笑んでいる。 動こうとしたけど動けなかった。 縄で縛られた腕はもちろん、首、脚、指の一本も動かせなかった。 完璧な金縛り。
怖いとは感じなかった。暗示をかけてもらったおかげだろうか。 私は落ち着いて自分の状態を確認する。 どこも痛くない。気持ち悪いところもない。 誰かが上に乗って押さえている感じ・・、なんてものも全然ない。 身体中の筋肉が脱力したまま、脳からの命令を無視しているイメージ。
面白いね。 嫌じゃないぞ、この感じ。 今までの金縛りで味わったことはなかった。こんな感覚は初めてだよ。 確かに悦びかもしれない。 私、マゾのつもりはないんだけど。 「どうかな?」赤沼氏が静かに聞いた。 「・・今、貴女は動けない。動けないが怖くない。金縛りは怖くない。それどころか快適に感じるんじゃないかな?」
・・はい、快適です。 答えようとしたら、ふわりと身体が浮かんだ。 あれ? 私はそのまま赤沼氏と莉里ちゃんを通り抜けて浮かび上がった。 あらら、また幽体離脱しちゃったんだ。
私は仰向けで後ろ縛りのままだった。 そのまま上昇して天井にぶつかる前に止まった。 前、後ろ、右、左。 自由に移動できることを確かめた。前と同じだ。 その場でくるくる回ってみた。 頭を下に向けて倒立した。楽しい。 おっとスカート。 慌てて見下ろしたらワンピースのスカートはめくれ上がることなく足先の方向へのびていた。 引力は関係ないのね。
前を見ると逆さになった二人と目が合った。 いや逆さになっているのは私の方だけど。 縄で縛られた女が倒立状態でふわふわ飛んでいる。暗がりで会ったら腰抜かすかも。 赤沼氏と莉里ちゃんには見えているんだろうか?
「もしもし、私のこと、どう見えてますか?」 「ええっ」「何と・・」 揃って驚かれた。 「聞こえたよね? ひい爺ちゃん」「はっきり聞こえた」 え、聞こえたらびっくりするんですか?
「貴女が逆さに浮かんでいるのはちゃんと見えておるよ」 「びっくりしたのは、離れていても声が聞こえたことなんです」 二人が説明してくれた。 「この間は莉里ちゃんも私に話しかけてくれたと思いますけど」 「あたしは相手の近くで囁くのが精一杯です」 そうだったのか。確かにあれは耳元で聞こえたわね。 「体外に分離した幽体が普通に会話できるのは大変なことだよ。幽体の濃度がとても高いことの証しだ」 幽体の濃度? さっぱり分からない。
「あの私、金縛りに入っただけなのに、幽体離脱までしちゃったみたいですみません」 「金縛りをきっかけにして幽体が分離するのは珍しいことではないよ」 「よくあることなんですか」 「そうなんだが・・、そこでふわふわされていたら落ち着かないな。申し訳ないが本体に戻ってもらえますかな?」 「あ、はい」 私は自分の身体の上に浮かんだ。 そこには後ろ手に縛られた私が両方の眼をかっと見開いたまま眠っている。かなり不気味だ。
「・・あの、どうやって戻ったらいいでしょう?」 「前に幽体離脱したときは?」 「朝、目が覚めたら戻ってました」 「そうか」 赤沼氏はしばらく思案し、それから奥の部屋に行って紙袋を持ってきた。 「莉里、これで戻してあげてくれるかい」 「これを使うの? 久しぶり!」
莉里ちゃんが紙袋から出したのは赤いゴム風船と空気ポンプだった。 「これは手品で使う風船です」 風船をポンプに繋ぐと、レバーをしゅこしゅこ押して空気を入れた。 「これは画びょうです」 左手に���らんだ風船、右手に画びょうを持ち、眠り続ける私の本体の耳元で構えた。 「ちょ、莉里ちゃん何するの!?」
ぱんっ!! 大きな音がして私は目覚めた。 「つぅ~」 耳を押さえようとして、自分が後ろ手に縛られていることを思い出した。 「驚かせてごめんさない。これ、あたしが幽体離脱の特訓で戻れないときにやってもらってた方法です」 「幽体を元に戻すには聴覚の刺激が最も効くんだよ」 「そ、そうなんですか」
・・
起き上がって縄を解いてもらった。 淹れてもらったコーヒーを飲みながら、赤沼氏の説明を聞いた。 「元々けやきさんには幽体離脱の特別な能力があったんだろうね。それが急に活性化したのは、金縛りの暗示とおそらくスナックで莉里の実演を見たからだろう」 「私の能力って特別なんですか?」 「そうだね、けやきさんの幽体は濃度レベルが極めて高い。驚くべきことだ」
脳の神経細胞の接点をシナプスと呼ぶ。幽体と肉体の分離はシナプスの活動電位の乱れによって引き起こされる。 分離した幽体の濃度レベルが高いと幽体は可視化され、さらにレベルが高いと音声も伝わる。 レベルが低い場合は本人は離脱の記憶すらあいまいになり、たとえ覚えていても夢を見たと思うだけだ。
「これはわしの知り合いで一ノ谷という学者が提唱した理論だよ。もう何十年も前に死んでしまったが」 「そうなんですか」 「一ノ谷は超短波ジアテルミーという装置を作り、それを使ってわしの娘を訓練した」 え? 娘さんって、つまり莉里ちゃんのお婆ちゃん? 「今のは余計な話だっ��。忘れて下され」
「ひい爺ちゃん、これからどうするか話すんでしょ?」莉里ちゃんが催促した。 「おお、そうだったね。・・けやきさん、今、貴女が最も注意すべきは金縛りではなく幽体離脱なんだよ。使いこなす訓練が必要だ」 え? 「貴女のように幽体濃度レベルが高い人が無意識に離脱を繰り返すのはとても危険なんだ」 「もし今のまま幽体離脱が続いたらどうなりますか?」 「貴女自身の精神が不安定になる。やがて分離した幽体が独立した人格を得て勝手に行動するようになる。いわゆる生霊だね。娘もそれで危ない目に会った」 ええっ、それは困る。絶対に駄目。
「貴女はお勤めかな? それとも結婚して家庭におられるか」 「独身で勤めています」 男に振られたばかりで来年 30 のアラサーOLだよっ。 「では、後日改めてお越しいただけますかな? 今夜はもう遅い。これ以上続けると明日の仕事に差し障るでしょうから」 「分かりました。・・もしそれまでに幽体離脱が起こったら?」 「貴女の場合は金縛り状態でない限り、幽体の分離は起こらないと思っていい。そして貴女が金縛りになるのは縄で縛られているときに限られる。そういう暗示をかけたからね」 「つまり、縛られなければ安全なんですね?」 「その通り。もし貴女に誰かから緊縛を受ける趣味がおありなら、しばらく控えたほうがいい。その最中に幽体離脱が起こるかもしれない」 「そんな趣味はありません!」
莉里ちゃんが言った。 「けやきさん、実はあたしにも暗示がかかってるんですよ。あたしが幽体離脱するのは拘束衣を着せられたときだけです」 「莉里ちゃんも?」 「だって授業中に居眠りして勝手に離脱しちゃったらヤバイでしょ?」 そうか、だから莉里ちゃんはいつも拘束衣で幽体離脱してたのか。
・・
「では次は土曜日に来ていただくことでよろしいかな?」 「分かりました。時間は?」 「あの、」莉里ちゃんが右手を上げて言った。 「土曜の夜でもいいですか? 日曜日までゆっくりしてもらうことにして」 「夜? ・・なるほど」赤沼氏は何か分かったようだった。 「けやきさん、すまんがこの子の希望に合わせて夜でもよろしいかな?」 次の土曜の夕方6時に再訪の約束をして、私は赤沼氏の住まいを辞した。 すぐ近くにある自宅へ帰るという莉里ちゃんも一緒に出てきて、二人で並んで歩いた。
歩きながら莉里ちゃんは、赤沼氏の娘さん、つまり莉里ちゃんのお婆さんについて教えてくれた。 もう 60 年近い昔、赤沼氏は娘さんと一緒にサーカスで幽体離脱の見世物をやっていた。 娘さんは『リリー』と名乗っていて、彼女が見せる幽体離脱は大評判。当時の新聞に載ったほどだという。 リリーさんは 19 歳のとき父親の分からない女の子を出産し、その翌年に病気で亡くなった。 この女の子が莉里ちゃんのお母さんになる。
「あたしのママに幽体離脱の力はなかったんです。ごく普通に結婚してあたしを生んでくれました」 「莉里ちゃんの能力は赤沼さんが気付いたのね」 「はい。中1のとき金縛りになって固まってるところを見つけてくれました。あれがなかったら、あたし今頃本当に生霊になって飛び回ってたかもしれません」 莉里ちゃんは両手を前で揃えた幽霊のポーズで笑った。
「しばらくして離脱の特訓を始めました。ひい爺ちゃんは急に流しの手品師なんて始めたりして。それまであたし、ひい爺ちゃんが元手品師だってことも知らなかったんですよ」 「昔リリーさんと見せたショーをまたやりたかったのかもしれないわね」 「きっとそうです。ママもそう言って、あたしがお手伝いすることに賛成してくれました」
莉里ちゃんの家の近くまで来て、私は莉里ちゃんと LIME のIDを交換した。 「赤沼さんのアカウントも教えてもらっていい?」 「ひい爺ちゃんはスマホ持ってません」「そっかー」
「けやきさん、あたしね、」 「何?」 「ずっと一人だと思ってたんです」 「?」 「こんなことができるの、もうあたし一人だけと思ってたんです。でも、けやきさんと会えました」 「莉里ちゃん・・」 「ものすごく嬉しくて、泣いちゃいそうなんですよ、あたし」 そう言うなり私に抱きついた。 「これからも一緒にいて下さい。お願いします!」 彼女の背中を撫でてあげた。 「私こそお願いするわ。これからもいろいろ教えてね、先輩」 「まかせて下さい! ・・今度一緒に飛びましょね」 え、飛ぶの? 「じゃあ、サヨナラ!」
手を振って走って行く莉里ちゃん。 真っ白なキャミワンピの裾が広がって揺れていた。 ちょっと大人びてるけど、まだ 16 歳なのよね。 素直で明るくて本当にいい子だわ。
ふと気付いた。 あの子、幽体離脱できるのは自分一人って言ってたよね。 ひいお爺さんの赤沼氏自身に能力はないのかしら? リリーさんのパパなのに。
9. 週明けから急に仕事が忙しくなった。 残業が続いて毎夜牛丼屋か深夜ファミレスの生活。 飲み友達を『けったい』に連れて行きたいと思ってたけど、それも叶わずあっという間に週末になった。
SNS であの噴水パフォーマンスの評判をチェックしてみたら、やっぱりイリュージョンだと思われているようだった。 そりゃあれ見て本物の幽体離脱と判る方が変よね。 女の子が可愛い!という書き込みがたくさんあったのは納得したけど。
金縛りはまったく起こらなかった。 一度だけ、ベッドに入って自分が縛られているところを妄想した。 赤沼氏に縛られた縄。身体を締め付けられるあの感覚。 思い出すと少しだけ胸がきゅんとしたけど、金縛りの前兆であるブーンという耳鳴りは聞こえなかった。 ちょっと残念、だったりして。
10. 土曜日。 約束の時刻に赤沼氏を訪ねた。 莉里ちゃんも先に来て待っていてくれた。
私はまだ自分の意志で自由に幽体離脱できない。 前回は赤沼氏に誘導してもらって金縛りになり、その後勝手に幽体が離れてしまった。 自分で幽体離脱って、いったいどうすればいいんだろう?
「・・幽体離脱が起こるのは金縛り中に限ったことではないよ。強い衝撃を受けたとき、意識障害や失神したとき、酩酊したとき、あるいは普通の睡眠時にも起こり得る」 赤沼氏が教えてくれた。 「でも結局、離脱のハードルが一番低いのは有意識下の金縛り中なんだよ。パニックにならず落ち着いて自分を保てばいい。・・けやきさんはもう金縛りに恐怖はないだろう?」 「はい。縄で縛っていただけたら」 「では貴女の目標は、まず緊縛されて誘導なしで金縛りに入ること、それから意識を体外に向けて分離すること。ゆっくり練習すればいいよ」 「はい」
「けやきさん、あたしも金縛りになってから離脱してるんですよ」 「莉里ちゃんも?」 「そうですっ。コツを掴んだら難しくないです。けやきさんなら絶対にできますよ!」 「ありがとう。やってみる」
・・
私は前回のように床に寝るのではなく、椅子に座って後ろ手に縛られた。 手首と腕、そして胸の上下を絞める縄が心地よい。 縄に抱きしめられる感覚。 肉体は自由を奪われるのに、心には安心感と幸福感が広がる。 ほんと暗示ってすごい。 いつか自由自在に幽体離脱できるようになっても、この暗示だけは解いて欲しくない。
自分の胸に食い込む縄を見下ろした。 そうか、こんな風になってるのね。 我ながらセクシー。もうちょっとお洒落してきたらよかったと思ったくらい。 今夜は特訓だからと、私は動きやすいスキニーパンツに半袖のオーバーニットを合わせて着ていた。 せめてノースリーブとか、もちょっと肌を出したトップスにしておけば、・・って何を考えてるんだ私は。 これは真面目な訓練なのに。 「けやきさん、顔が赤らんで綺麗。羨ましいです」 「あ、ありがとう」 莉里ちゃんに指摘されて焦る。 今は邪念を払って集中しなきゃ。深呼吸を繰り返す。
「OKだよ。この先は貴女一人で行くんだ」 赤沼氏が私の肩に手を置いて言った。 「心の準備ができたら、いつでも始めなさい」 「はい」
私は目を閉じた。 身体を絞め付ける縄の感覚。大丈夫、何も怖くない。 これから私は肉体の自由を明け渡す。その代わりに精神を肉体から解き放つのだ。
・・ブーン。耳鳴りがした。 その音は以前より少し柔らかくなって聞こえた。
自分の身体を意識した。 その身体はまるで時間が止まったかのように静止していた。 外の世界を意識した。 そこには私を拒まない自由な空間が広がっていた。 行ける──。
私は虚空を見上げて飛び上がった。 自分が肉体から離れるのが分かった。 「おおっ、飛んだ!」「けやきさーん!」 赤沼氏と莉里ちゃんが私を見上げていた。 「どうですか? 私の幽体離脱」 私は二人の上空に浮かんで微笑んだ。 宙に浮かぶ緊縛美女、なんちて。 ちょっぴり、いや結構誇らしかった。
・・
私はしばらく空中に浮かんで元の身体に戻った。 戻るときもスムーズだった。 幽体を肉体に重ね、じんわり融合するイメージを描けばよかった。 初めての単独幽体離脱は大成功だった。 たった1回のトライで成功するとは正直思っていなかったと赤沼氏にも言われた。
「さて腹が減ったね。けやきさんも夕食はまだだろう?」 「え、また用意してもらったんですか!?」 「好きで作っとると言っただろう?」
私は緊縛を解かれた。 本当は縄に抱かれる快感にずっと浸っていたかったけど、縛られたままじゃご飯は食べられないものね。 赤沼氏が作ってくれたのは和食だった。 大根のべっこう煮、厚揚げと小松菜の煮びたし、鯖塩焼きに豚汁。 「すごいですっ」 「ありきたりの献立だと思うがね。けやきさんは自分で料理せんのかね?」 「あ、私は外食が多くて。・・でも今は家で作らなくても十分やっていけますから。ね、莉里ちゃん!?」 「お嫁に行くならお料理はできた方がいいですよ、けやきさん」 ズキューン。莉里ちゃんを味方につけようとして逆に撃たれてしまった私。
・・
莉里ちゃんが言った。 「けやきさん、次はあたしと二人で飛びませんか?」 「そういえば莉里ちゃん一緒に飛びたいって言ってたわね」 「それはやった方がいい。一緒に行って教えてもらうことがたくさんあるはずだよ」 そうだね。いっぱい勉強することはあるんだ。 よし、空でも何でも飛んでみせるわ。
今日の莉里ちゃんは膝上ショートパンツとボーダー柄のTシャツを着ていた。 その上に拘束衣を着て袖に手を入れ、その袖を赤沼氏が背中に取り回して強く絞った。 だぶだぶの拘束衣がきゅっと締まったのが分かる。 これで莉里ちゃんは両手を動かせない。 「えへへ、ぎちぎちです」 屈託なく笑いながら言われた。
次は私の番。 再び後ろ手で縛られた。 きっちり両手が動かないことを確認して安心する。 いいな。やっぱり嬉しい。 「私もぎっちぎち」 莉里ちゃんにそう言って笑いかけた。
「行きましょ! けやきさん」「うん、行こう」 目を閉じて、深呼吸。
「けやきさん、」莉里ちゃんが小声で言った、 「はい?」 「一緒に拘束されてるの、嬉しいです」 どき。 「もうっ、集中できないでしょ!」「えへへ、ごめんなさい!」
・・ブーン。耳鳴りがした。 莉里ちゃんが少し震えて動かなくなった。隣で私も固まった。 そして──。
私と莉里ちゃんは部屋の中に浮かんでいた。 互いに微笑み合う。 莉里ちゃんが赤沼さんの近くへ行って挨拶した。 「行ってくる、ひい爺ちゃん」 「うん、気を付けてな」
莉里ちゃんは笑って私を手招きすると窓ガラスを通り抜けていった。 私も赤沼氏に会釈して、窓を抜け外へ出た。
11. 夜の空に浮かぶと私たちはとても小さな存在だった。 「うわぁ~~!!」 小さな子供みたいに叫んだ。
天空に瞬く星々。 眼下にはマッチ箱みたいな団地。 そして周囲 360 度に煌めく街の夜景。 ガラスの粒をばらまいたみたいに綺麗だった。 碁盤目に走る道路と車のライトの列。あそこですれ違う光の線は電車。 はるか彼方に見える超高層ビル群。虹色に光るテレビ塔。
「莉里ちゃん今までこんな景色を独り占めしてたの!?」 隣に浮かんでいる莉里ちゃんに聞いた。 「まあ、空に上がれば見放題ですからね」 「すごいなぁ。これ見れただけで幽体離脱に感謝だわっ」 「うふふ。・・よかった!」 「何がよかったの?」 「幽体同士だと普通にお話しできて。私だけけやきさんの傍で囁かないと駄目かもって、ちょっと心配してたんです」 「ああ、そうか」 幽体のときの莉里ちゃんの声は、普通の人間にはよほど近くでないと聞こえないのだった。
「でもほんと夢みたい! 一緒に飛んでくれ��人がいたなんて」 莉里ちゃんは笑顔で両手を広げて一回転した。 暗闇の中でくっきり見えた。 ショートパンツとTシャツ。よく見たら髪に白い造花のバレッタをつけていて可愛い。 私も両手を広げようとして、後ろ手に縛られていることに気付いた。 そういえば莉里ちゃん、いつも幽体離脱したときは拘束衣が消えるわね。
「ねぇ莉里ちゃん、今更だけど拘束衣は?」 「はい、これですか?」 莉里ちゃんを包むように拘束衣が出現した。両手が固定されたぎちぎちの拘束。 「ええーっ!?」 「見た目なんていくらでも変えられますよ?」 拘束衣がふっと消えた。 替わりに莉里ちゃんの背中に大きな翼が生えた。噴水の上に浮かんだときの翼だった。 「はいっ、天使に変身です」 「そ、それ私にもできるの?」 「できますよ。頭の中でなりたい姿を思い浮べるだけです」 ・・じゃあ。 私を縛っていた縄が融けるように消えた。両手が自由になった。 「できた!」「はい、よくできましたー」 「どうして言ってくれなかったの? 変身できるって」 「すぐに気が付くと思って。それにけやきさん、縛られたままで嬉しそうだったし」 「う・・。あれは暗示のせい!」 「うふふ」
莉里ちゃんの服装が変わった。 肩出しの白いキャミワンピ。背中に翼も生えて正に天使だった。 「けやきさんも!」「うん!」 私も莉里ちゃんと同じ衣装になった。背中に翼も。 あれ? 翼の先端が薄れて消えかかってる。 「あたしの姿を見て、しっかり隅々までイメージして下さい」 翼がくっきり表れた。 「OKです!」
「ねぇっ、私たちどこでも行けるんでしょ? スカ○ツリー、見下ろしたいな」 「んー、行けなくはないけど、都心まで急いでも4時間くらいかかりますよ」 「え? どうして?」 「地面を歩くのと同じ速さでしか進めませんし、帰りの時間も考えたら朝になっちゃいますね」 「ぴゅーんって飛べないの? そうか一瞬で移動とか」 「そんな魔法みたいなこと無理ですよー」 幽体離脱だって魔法みたいなものだと思うけど。 「スカ○ツリーは無理だけど、お勧めのコースがありますよ! 行きませんか?」
・・
二人で夜の街を飛んだ。 ビルの上、道路の上。駅の上。 翼を広げて飛ぶのは気持ちよかった。
夜の小学校に降りた。 誰もいない校庭で莉里ちゃんと滑り台を滑ったり、ジャングルジムに登って遊んだ。
自然公園の森を飛び抜けた。 高度1メートルで飛んでも木の枝や幹が邪魔にならない。全部通り抜けられるんだ。 森を抜けたところで先を行く莉里ちゃんが貯水池に飛び込んだ。私も続いて飛び込む。 どぶん。 鳴るはずのない水音が聞こえた、ような気がした。 水中で動かない魚の群れを突き抜けて、水面から上空に飛びあがった。 もちろん私たちはぜんぜん濡れていない。
高圧線の鉄塔をネコバスみたいに登り、両手を広げて電線の上を歩いた。 ジャンプしてトトロみたいに回りながら着地した。 楽しい。初めて外に出してもらった子犬みたいにはしゃいだ。
「次はちょっと冒険です!」 莉里ちゃんが指差したのは幹線道路沿いにそびえる巨大なショッピングモールだった。 もう遅い時刻なのに歩いている人が多い。さすが土曜の夜。 誰にも見られないよう物陰に降り、変身を解いて天使から元の恰好に戻った。 莉里ちゃんは膝上ショーパンにボーダーのTシャツ。足元はバスケットシューズ。 私はスキニーパンツと半袖オーバーニットにパンプスを履いている。 さあ、行こう。モールの通路を並んで歩き出した。 心臓がドキドキしてるのが分かる。幽体なのに。
何人もすれ違って誰にも気付かれない。 「意外とばれないものね」「ばれたら大変ですけど」 「そりゃそうだ」「うふふ」 調子にのってエスカレーターに乗ったりベンチに座ったりした。
ベンチにいると、ヨークシャテリアを抱いた女性が前を通りすぎた。 と、その犬が私たちを見て唸り声を上げた。 女性の手から飛び降りて吠え掛かってきた。 やば! 私たちは慌てて逃げ出した。 通路を走り、角を曲がった。きっと床から足が離れていたたと思う。 正面は全面ガラスのテラスになっていた。誰もいない。ラッキー! 私たちは二人並んでガラスを走り抜けた。 3階から外に飛び出すとモールの外壁沿いに急上昇した。 「おっと!」「ひゃあっ」
高く上がって近くを流れる川の上に出ると、すぐに真っ黒な水面ぎりぎりまで降下して一直線に飛んだ。 いくつも橋をくぐって進むと前方に大きな道路橋が見えた。 それは鉄骨を台形に組んだトラス橋で、オレンジ色の照明が鉄橋全体を照らしていた。 「莉里ちゃん、あそこっ」「はい!」 私たちはトラスの一番上の梁に並んで座った。 「えへへ。びっくりしましたねー」 「ほんと、どえらい冒険だったわ。・・いつもやってるの? あんなこと」 「たまに。でも吠えられたのは初めてです」「犬には分かるのかな」 「そうかも。・・驚きました」 莉里ちゃんは自分の胸を両手で押さえた。 「これからは控えることにします。ああいう冒険は」 「その方がいいわね」
足をぶらぶらさせながら見下ろすと、橋の上を車がたくさん走っていた。 誰かが上を見たらきっと気付くだろうね、あり得ないところに座る女の子の姿に。 目立たない恰好に変身した方がいいかな。 いっそ透明なら絶対に見えないけど。
「ね、透明になれないの? 私たち」 「なれません。お婆ちゃんは透明になれたらしいんですけど」 「リリーさんのこと?」 「ひい爺ちゃんから聞いただけですけどね。幽体離脱も特別な暗示なしで自由にできたそうです」 「すごい人だったのね」 「はい。それで暴走したって話も」 「?」 莉里ちゃんはふわりと浮かんで言った。 「もう一箇所だけ、つき合ってもらっていいですか」
12. もう深夜だった。 たった今走って行った電車はそろそろ最終電車ではないかしら。 周囲は街路樹と街灯が整然と並ぶ住宅街。 私たちは電車の線路に降りた。 「昔、この辺りは一面の雑木林で蒸気機関車が走っていたそうです」 「へぇ」 「ここはお婆ちゃんが生霊になった場所です」 「!」
リリーさんは幽体離脱を繰り返し過ぎて精神が不安定になった。 やがて幽体が独立した意志を持ち、勝手に本体から分離して徘徊するようになった。 ある夜、眠っている本体を起こして外へ連れ出した。 赤沼氏が発見したとき、幽体と本体は線路の上を迫りくる列車に向かって歩いていた。 轢かれる寸前、赤沼氏はリリーさんを抱きかかえて救出した。 それから赤沼氏は一ノ谷博士の協力でリリーさんの精神を安定させ、リリーさんが勝手に幽体離脱することはなくなった。
「まさか幽体が生霊になって本体を殺そうとするなんて、思ってもいなかったでしょうね」 「・・」 「だからあたしは暗示をかけられました。勝手に離脱しないように。拘束衣を着たときだけ幽体離脱できるように」 「そうだったのね。私の縄の暗示も同じなのね」 「そうです」 莉里ちゃんは遠い目になって言った。 「暗示の理由を教えてもらったとき、ひい爺ちゃんはこの場所で起こった事件のことも教えてくれました。・・それ以来あたしはときどきここへ来てお婆ちゃんのことを考えています」 「リリーさん、ずっと怖かったのかしら」 「そうかもしれませんね」 「ねぇ、莉里ちゃん。お婆さんはどんな人だったの?」 「無口でおとなしい人だったらしいです。それ以上のことは、ひい爺ちゃんは何も教えてくれません」 「そう」
「・・そうだっ、」 莉里ちゃんは突然にやっと笑った。 「けやきさん、ひい爺ちゃんはずっと独身だって知ってます?」 「あれ? リリーさんがいたのに?」 「ひい爺ちゃんは今年 83 歳です。お婆ちゃんは 19 であたしのママを生んで、ママは 31 であたしを生みました。それで計算すると、ひい爺ちゃん 17 歳でお婆ちゃんが生まれたことになるんです」 「あらら」 赤沼氏、若いときに "やらかした" のかしら? 「じゃあリリーさんのお母さんは」 「分かりません。きっと事情があって結婚できなかったんだろうってママが言ってました」 そうか。それならリリーさんは自分の母親を知らずに育ったのかもしれない。 寂しかっただろうな。
・・
突然風景が変わった。 住宅街が消え、灯り一つない雑木林になった。 電車の線路は木々をかすめるように敷かれたか細い単線の線路に変わった。 私たちの前方に人影があった。 幼い少女が二人、並んで線路を歩いている。 白い寝巻らしきものを来た二人は瓜二つだったけど、片方の少女はぼんやり半透明に見えた。
がしゅがしゅがしゅ。 遠くに機械音が聞こえた。列車が来るんだ。 その音は次第に大きくなった。 やがて黄色いヘッドライトが一つ、こちらに迫ってきた。 少女たちは歩みを止めない。 ボウォーッ!! 汽笛の音。 危ない!!
・・
「見えたんですね?」 莉里ちゃんの声がした。 私と莉里ちゃんは住宅街を抜ける線路にいた。 「残留思念っていうんでしょうか、あたしにも見えるんです。もう 60 年も昔のことなのに」 「幽体になった私たちだけに見えるのかしら」 「たぶん。誰にでも見えたら『幽霊の出るスポット』で有名になるでしょうから」 「それは残念ね。動画に上げたらバズるのに」 「それだったらもっといいネタがありますよ。・・あたし達自身です」 「それもそうね」「うふふ」
・・
二人が赤沼氏の団地に帰りついたのは、日付が替わってだいぶ過ぎた時刻だった。 寝ないで待っていてくれた赤沼氏は叱りもせずに私たちの拘束を解いてくれた。 程なく莉里ちゃんはぐっすり眠ってしまい、それを見届けてから赤沼氏はとっておきのバーボンを開けてくれた。 「水ではありませんぞ」 「あはは、水と判っても騙されたふりして飲みます」
赤沼氏は、莉里ちゃんがこんなに晴ればれした顔で帰ってきたのは初めてだと嬉しそうに話してくれた。 今まで誰にも言えなかった秘密を私に話せた。一人でしかできなかった体験を共有できた。 それは私という仲間ができたからと言ってくれた。 「これからもこの子に寄り添って下されば、こんな嬉しいことはありません」 私は少し考えて返事した。 「これからもお二人のこと、お手伝いさせて下さい」
13. 『すなっく けったい』に行くとさっそくママに声をかけられた。 「けやきちゃん! もう来てくれへんかと思てたわっ」 「すみません、ご無沙汰しちゃいまして」 「ええんよ。はい、こっち座って!」
カウンター席に座りホッピー割を頼んだ。 ああ、美味しいな。 これからも『けったい』に来たら一杯目はホッピー割にしよう。
「さすがに今夜は賑わってますね」 「そら第3金曜やからね。けやきちゃんも手品見に来たんやろ?」 「もちろんです」 「そういえば、あんときは莉里ちゃんと会えたの?」 「おかげさまで、何もかもうまくいきました。・・本当にママさんのおかげです。感謝しきれないくらい」 「何や、気持ち悪い」 ママは不思議そうな顔をしたけど、それ以上は何も聞かずに笑ってくれた。
・・
「こんばんわーっ」 チャイナ服の莉里ちゃんが入ってきた。その後ろに真っ黒なマントとタキシードの赤沼氏。 赤沼氏は年中こんな恰好で手品をするのは大変だと思う。 でも本人に言わすと「これがわしのアイデンティティ」ということらしい。
いつものカラオケコーナーで二人が挨拶すると一斉に拍手が起こった。 莉里ちゃんが私を見つけてウインクしてくれた。 うん、ちゃんと来てるよ!
赤沼氏の手品が始まる。莉里ちゃんはアシスタント。 トランプを扇形に開いたり閉じたり繰り返すとカードがどんどん大きくなった。 財布を開くと中から小さな火が出て燃えたり、両手の間にステッキを浮かせて踊らせたりした。 ハラハラドキドキするような手品じゃないけど、ちょっと不思議で楽しい。 安心して見ていられる手品。 これが赤沼さんのテイストなんだと改めて思った。
さあ、次は幽体離脱イリュージョン。 皆が期待するのが分かる。 莉里ちゃんがカウンタースツールを2脚持ってきてカラオケコーナーに置いた。 「ん? 何で二つ?」誰かが呟いた、 莉里ちゃんは店内をまっすぐ私の方に歩いてきた。 「こちらへどうぞ」 私の手を取って言った。 店内がざわつく。 ・・いつもと違うぞ? 何が起こるんだ?
私は一度は遠慮して断り、再び誘われて首を縦にふった。 羽織っていたジャケットを脱いで席に置く。 立ち上がった私の恰好はノースリーブのブラウスと膝上タイトミニ、黒ストッキングにハイヒール。 今夜のサプライズのために選んだコーデなのだ。 脚を見せるなんて3年ぶりだぞ。
莉里ちゃんに連れられてカラオケコーナーに置いたスツールの片方に座った�� 赤沼氏が縄を持っている。 私は黙って腕を背中に回した。 「緊縛!?」 女性のお客さんが両手を口に当てて驚いている。
赤沼氏が耳元で囁いた。 「少々厳重に縛りますよ」 私は無言で頷く。 厳重なのは大歓迎。それだけ私は守られるのだから。
腕が捩じり上げられた。手首を固定する位置がいつもより高いような。 二の腕の外側から胸の上下に縄が回される。 別の縄が腕と胸の間に通されて、胸の縄をきゅっと絞った。 ・・はうっ。 思わず息を飲んだ。こんな縄は初めて。 むき出しの肌に縄が食い込む感触。ノースリーブにしてよかったと思った。 ストッキングを履いた膝と足首にも縄が掛かった。 脚を縛られるのも初めてだった。
気持ちいい。 縄の暗示で導かれる安心感。 それだけじゃない気がした。味わったことのない快感。
隣で莉里ちゃんが拘束服を着せられていた。 袖が強く引き絞られている。 うん、ぎっちぎち。 私も莉里ちゃん���拘束感の中にいるのね。互いに微笑み合った。 大丈夫、いつでも金縛りに移行できるわよ。
赤沼氏が大きな布をふわりと広げ、私たちはその中に包まれた。
・・
チャイナ服の女の子とノースリブラウスの女が空中に出現した。 拘束服も縄も纏っていない。 その代わり二人の背中には大きな翼が生えていた。 お客様の真上で優雅にお辞儀すると、両手を広げてくるくる回った。 私たちは自由だった。 天使のように舞って自由自在に飛び回った。
・・
布が取り払われると、私たちは再び拘束された状態でスツールに座っていた。 お客様全員からスタンディングオペレーション。 赤沼氏がまず莉里ちゃんの拘束衣、そして私の縄を解放してくれた。 「けやきさん!」 莉里ちゃんからハグされた。
それは抱きしめられた瞬間だった。 背筋に電流が走った。 はぁん! 身を反らせて快感に耐えた。 まだ縄で縛られている感覚が残っていた。 気持ちいい。子宮がじんじん震えそうなくらい気持ちいい。 どうしたんだろう。 縄を解いてもらえば暗示は解けるはずなのに。 一歩、二歩、前に進もうとして私はその場に崩れ落ちた。
気が付くとソファに寝かされていた。 まわりを赤沼氏、莉里ちゃん、『けったい』のママ、そして『けったい』のお客さんたちが囲んでいた。 ほのかなエクスタシーが残っていた。 素敵なセックスに満たされた後の余韻のような。 ・・とろけそう。 寝ころんだまま私はだらしなく微笑んだ。
ママが言った。 「・・縄酔いやな。がはははっ。赤沼さん、この人相手に張り切り過ぎたんとちゃう?」 「ううむ。久しぶりの高手小手縛り、つい縄に力が入りましたかな。いやこれは申し訳ない」 「あんた縄師の仕事もしてたん?」 「昔のことです」 莉里ちゃんがきょとんとして聞いた。 「あの、縄師って何ですか?」 小さなスナックに皆の笑い声が響いた。
14. 『けったい』で鮮烈?デビューを果たした私は、それから本格的に赤沼氏と莉里ちゃんのお手伝いを始めた。 二人の手品やパフォーマンスに裏方として同行し、たまにサプライズで幽体離脱イリュージョンに参加する。 主役はあくまで莉里ちゃんだからね。
莉里ちゃんの将来の目標はひいお爺ちゃんのような手品師になること。 赤沼氏に習って手品の練習を始めたし、高校を卒業したらプロについて修行する話もしているようだ。 幽体離脱は大切な自己表現だけど、莉里ちゃん自身はそれを手品のオプションでやる必要はないと考えている。 いつか、超常現象やオカルトではなく、普通の能力として世の中に認められるようになったら、そのとき堂々と見せたい。 それまでに「仲間」が見つかるかもしれないし。 彼女の意見に赤沼氏も私も賛成した。 先は長そうだけど私も全力で応援するつもり。
私は赤沼氏からそろそろ暗示を外してあげようと提案された。 暗示とは、私が金縛り状態に入れるのは縄で縛られているときだけ、という条件付けのことだ。 今の私なら縛られていなくても不用意に幽体が分離することはない。生霊になる心配はないから暗示は不要。 わざわざ申し出てくれたのは、おそらく私の私生活への配慮だ。 一人でいつでも幽体離脱を楽しめるように。 もし私がプライベートでも縛られることを望んだとき、幽体離脱の懸念なく存分にプレイを楽しめるように。
その心遣いにはとても感謝するけれど、私は今のままでいたいと返答した。 誰かに縛られることで幽体離脱の自由を与えてもらう。 とても受動的。でも私はそれが嬉しい。身震いするほど嬉しい。 その「誰か」は今のところ赤沼氏。そしてこれからは莉里ちゃんかもしれないし、未だ現れないパートナーかもしれない。 マゾだね。もう素直に認めるよ。 でもこれは私の特権なんだ。こんな素敵な特権を手放すなんて考えられないよ。
莉里ちゃんからは、けやきさん早く婚活すべきです、と強く言われている。 「けやきさんお料理苦手だからごはんを作ってくれる人、最近けやきさん縛られたらとっても色っぽくて綺麗だから緊縛も上手な人、それと、ときどき幽体離脱しても呆れないでずっと愛してくれる人! この三つは絶対譲れない条件です!」 そんな都合のいい相手が見つかるかしら? でも運よくそんな人と結婚できたら、そのときは赤沼氏に暗示を外してもらおうと思う。 莉里ちゃんに言わせると、ひい爺ちゃんはとても元気で 100 歳まで絶対に死なない! らしいから、まだまだ時間はあるわね。 理想のパートナー探し、頑張ってみよう。
[1963(昭和38)年]
15. その女の子は4歳で、いつも一人でいた。 感情を露わにすることは少なく、話しかけられたときに最低限の受け答えはするけれど、自分から他人に話しかけることはなかった。 この施設にいる子には暴れる子や泣いてばかりの子もいたから、女の子はむしろ手がかからない子として扱われていた。 元々は戦災孤児の保護を目的に設立された施設だが、終戦から 18 年が過ぎた今では親のいない子、育ててもらえない子、その他いろいろな事情の子供がここで暮らしていた。
自由時間になると女の子はよく鉛筆で絵を描いていた。 その絵は人物画のようだけど、いつも顔面がのっぺらぼうで誰だか分からない。 施設の職員から「誰を描いてるの?」と聞かれても、女の子は黙ったままで何も答えなかった。
「上手だねぇ。もしかして君のお母さん?」 突然声をかけられて女の子が顔を上げると、知らない人が微笑んでいた。 その人は 20 歳そこそこの若い男性で、頬がこけていて目だけが大きいちょっと昆虫みたいな顔だけど、笑顔には優しさがにじみ出ていた。 彼女が描いていたのは確かにお母さんだった。 どんな顔か覚えていないから、のっぺらぼうにしか描けない。 でも記憶の中には自分を抱きしめてくれた母親が確実に存在していた。
どうして分かったんだろう? 不思議そうな顔をして男性を見上げる。 「もうすぐ手品をするんだ。見に来てくれるかな?」 その男性は慰問で訪れた手品師だった。
集会室に子供たちが集まって手品を見た。 右手で消えたコインが左手に移動する。手の中からカラフルなカードが何枚も現れる。空の箱から生きたウサギを取り出す。 初めて見る手品に女の子は目を見張った。 最後は大きな黒布を両手に持って広げると、手前に小さなお人形が出てきてふわりと浮かんだ。 お人形はどこにも支えがないのに宙を飛びながら楽しそうに踊った。
まばたき一つしないで見つめながら女の子は思う。 いいなぁ。わたしも飛びたい。 あんなふうに飛んでお母さんに会いに行きたい。
ショーが終わると手品師は女の子にお人形をくれた。 「君が一番熱心に見てくれたからね。そのお礼」 背の高さがほんの 10 センチくらいのセルロイド製の少女人形だった。 手品師は手品で使う人形とは別に、プレゼント用に安価な人形を用意していたのだった。 お人形は女の子の宝物になった。
・・
数週間後、施設で異変が起きた。 深夜、巡回していた職員が廊下で女の子を見た。声を掛けるとその姿はふっと消えた。 さらに数週間過ぎた夜、食堂の天井の近くに女の子が浮かんでいた。腕にあのセルロイドのお人形を抱いていた。 目撃した職員が腰を抜かして動けない間に、女の子は壁の中に溶けるように消えた。 そしてその翌月、2階の窓の外を女の子が飛んでいた。昼間のことであり複数の職員が目撃して大騒ぎになった。 皆で女の子を探すと、女の子は誰もいない遊戯室で一人眠り込んでいた。 慌てて起こして問いただしても本人は何も覚えていなかった。
職員の中に女の子のことを『悪魔ッ子』と呼ぶ者が現れ、やがてその名は子供たちも広がって女の子は苛められるようになった。
・・
女の子が職員室に呼ばれて来るとあの手品師がいた。 人づてに噂を聞いてやって来たのだった。
手品師は女の子の目をじっと見つめて言った。 「きっと飛びたかったんだね。お母さんに会いに行きたいのかな?」 分かるの? わたしの気持ち。 「君は特別な女の子だ。あのとき気付いてあげられなくて悪かった」 この人は何を言ってるんだろう。 でも、いい人だと思った。信じても大丈夫。この人なら大丈夫。
手品師はにっこり笑った。優しくて暖かい笑顔だった。 「僕と一緒に手品をしないかい?」 手品!? あの手品の情景が蘇った。 「自由に飛べるようにしてあげるよ。きっとすごい手品ができる」 ええっ!? 「やりたい。手品も、飛ぶのも、全部やりたい!」 女の子は初めて自分から喋った。
「僕は赤沼っていうんだ。君の名前は?」 「わたしはリリー。リリーだよ!!」
こうしてリリーは赤沼に引き取られた。 翌年正式に養子縁組して親子になった。 二人がサーカスでデビューしたのはさらに2年後。赤沼 24 歳、リリー7歳のときだった。
────────────────────
~登場人物紹介~ 近本けやき (ちかもと けやき): 29歳 独身OL。莉里と出会って幽体離脱の能力が覚醒する。お酒が好き。 赤沼幻檀 (あかぬま げんだん): 83歳。手品師。リリー・莉里・けやきの幽体離脱を導く。 関莉里 (せき りり): 16歳 高校1年生。赤沼のひ孫。赤沼の手品のアシスタントをしている。 『すなっく けったい』のママ: 年齢不詳。豪快なおばさん。 リリー: 赤沼の娘。莉里の祖母。7歳で赤沼と一緒にサーカスのショーに出演する。
タイトルを見ただけでウルトラQを思い浮べた人は何人いらっしゃるでしょうか? この小説は昭和41年に放映されたテレビドラマシリーズ『ウルトラQ』の第25話『悪魔ッ子』(以下、原作) をリスペクトして書いたものです。 小説は原作を知らない方でも読めるように書いていますが、原作も抜群の人気を誇る(と個人的に信じている^^)名作なので、機会があればぜひご覧になって下さいませ。 公式に視聴するには有料配信か円盤購入しかないようです。およその粗筋やシーンの一部ならネットで見られるので、そちらだけでも。
本話は原作の設定を少し変更した上で、魔術師赤沼と悪魔ッ子リリーのその後を描いています。 当初『悪魔ッ子の娘』というタイトルでリリーが生んだ女の子が活躍するお話を書きかけましたが、その娘は2024年の現在では40~50歳くらいになってしまうのでモチベが続きませんでした(笑。 そこで『悪魔ッ子の孫娘』にして女子高生を主人公のアラサーOLと絡ませることにした次第です。 なお名前だけ登場した一ノ谷博士は原作では『一の谷博士』で、シリーズ全体で様々な怪事件を解決に導く学者です。 ちなみにこの人は、ウルトラQの後番組『ウルトラマン』で科学特捜隊日本支部の設立にも関わったそうです。(Wikipedia より)
金縛りと幽体離脱は私の小説では初めて扱った題材です。 自分では体験したことがないので、ネットで調べた内容に作者のファンタジーを加えて創作しました。 肉体から分離した幽体は誰の目にもくっきり見える設定です。 暗いところでも見えてしまうので違和感を感じますが、明るい場所だと普通の人間と区別できません。 (空を飛んだり壁を抜けたりするのを見られたら当然バレます) 肉体から離れられる距離や時間は制限なし。ただし普通に歩いたり走ったりする速度でしか移動できないので遠くへは行きにくい。 あと、幽体時に着用している衣服は本人の脳内イメージで自由に変えられます。 実は主人公のけやきさんが自分の服をイメージし損ねて全裸で空を飛ぶシーンを考えましたが、お話が変な方向に進みそうになって止めました(笑。
もう一つ、暗示も初めてのネタです。 本話ではけやきさんも莉里ちゃんも自分に暗示がか��っていることを認識しています。 二人とも暗示を受け入れていて、しかも解除されることを望んでいない。 無理矢理コントロールされるのではなく、かけられた当人が嫌に思わない、むしろ嬉しい状況が私の好みです。 暗示の与え方についてはいろいろ調べましたが難しいですね。 赤沼氏が暗示をかけるシーン、けやきさんがとても素直な人であるとはいえ、あんな簡単な指示で実際にかかってしまうことはないでしょう。
挿絵は拘束衣を着せられた莉里ちゃんにしました。 自分で描くのは時間がかかりますが、やっぱり楽しいです。
それではまた。 ありがとうございました。
[Pixiv ページご案内] こちら(Pixiv の小説ページ)に本話の掲載案内を載せました。 Twitter 以外にここからもコメント入力できますのでご利用ください。(ただしR18閲覧可能な Pixiv アカウント必要)
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引き違い錠のカギ交換作業
引き違い錠の不具合のため交換作業に行ってきました。今まで使っていた錠は押して回していましたが今回の錠はそのまま回せる使いやすい錠です。しかもディンプルキーでカギが5本組です。 八王子市・日野市・多摩市での鍵トラブルは出張鍵屋のエースロックにお任せ下さい。 緊急お問合せ先 0120-149-769
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2024/10/3 8:00:19現在のニュース
アンリツ、薬の錠剤成分を光で全量検査 異物混入を防ぐ 【イブニングスクープ】 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/10/3 7:57:36) 「2100年のイネ」花開く 食料安全保障脅かす猛暑に耐性を 令和の「コメ騒動」(4) - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/10/3 7:57:36) 熱海土石流 きょう3年3カ月 伊豆山生活道路が仮復旧 旧警戒区域の市道で初(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:55:20) 熱海土石流 埋まらぬ溝 遅れる復興 逢初川沿いの工事、2年延期もめど立たず(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:55:20) 人間国宝と多彩な作風 須田賢司さん研究会 70点展示 「表現の違い楽しんで」 甘楽町・長岡今朝吉記念ギャラリー(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:55:20) 訪問介護事業所調査 群馬県内事業所の7割「経営厳しく」 4月に報酬引き下げ 「小規模は廃業の恐れも」 (東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:47:31) 乳がん啓発月間 ピンク色にライトアップ 足利市の3施設(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:47:31) NY円、1ドル=146円50銭台まで下落…石破首相の「利上げけん制」発言受け円安が進行([B!]読売新聞, 2024/10/3 7:45:22) NYで大幅円安、146円50銭台 石破首相「利上げ環境にない」(朝日新聞, 2024/10/3 7:45:18) 地震時の土砂で被害拡大か 能登豪雨の河川氾濫、研究者同行ルポ(朝日新聞, 2024/10/3 7:45:18) 東海村で原子力安全対策懇談会 住民代表が不安の声「再稼働は恐怖でしかない」 防潮堤や避難計画で議論(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) 日本核燃料開発の検査不正問題 茨城県原子力安全対策委 社側の再発防止策を了承(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) 三角形の土地に三角屋根の建物 北浦和に「さんかくカフェ」オープン 誰もが参画できる場に(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) 無料シャトルバス運行開始 観光スポット活性化に期待 飯能「メッツァ」と天覧山麓の「OH!!!」(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) 小型モビリティ 安全に 改正道交法 埼玉県警が対策チーム設置(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) 君津の児童、母を亡くしたウクライナの子らと癒やしの交流 笑顔 「いないいないばあ」「変顔」も(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:39:07) レプリコンワクチン、コロナ接種で世界初実用化 有効性や安全性は?(毎日新聞, 2024/10/3 7:37:47) 木語:トロイの木馬と古タイヤ=会川晴之 | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/10/3 7:37:12) 渋沢栄一の地元で「新紙幣に両替する」と5500万円着服 群馬銀行が行員を懲戒解雇([B!]産経新聞, 2024/10/3 7:37:02) 現行保険証の廃止方針「堅持したい」 福岡資麿厚労相、マイナ保険証の意義強調([B!]産経新聞, 2024/10/3 7:37:02) 戦後最短で衆院解散 短期決戦、議論に制約 識者の注文「賃上げ定着、最重要」「デジタル化が急務」 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/10/3 7:36:56) パラ活躍10選手、応援に感謝 「次は3連覇目指す」「自己ベスト出せた」(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:31:39) ボッチャ広瀬選手 4度目の「栄誉」 君津市が「特別賞」(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/10/3 7:31:39) 外為12時 円相場、大幅下落 日銀利上げ観測高まらず - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/10/3 7:30:24) 【動画】「納得と共感内閣」石破茂首相が就任会見 「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」([B!]産経新聞, 2024/10/3 7:30:22)
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日本中央競馬会(JRA)の人気女性ジョッキーの藤田菜七子騎手(27、美浦・根本康広厩舎)が電撃引退する可能性が出てきた。複数の関係者が10日に明らかにしたもので、すでに一部ではJRAへ「引退届を提出した」との報道もなされた。週刊文春の報道により、2023年4月ごろまで複数回にわたって調整ルームの居室内にスマートフォンを持ち込み外部と通信していたことが判明。JRAが事情聴取したところ事実を認めたため、11日から裁定委員会の議定があるまでの期間の騎乗停止処分が決定していた。 本格的な秋のGⅠシーズンにショッキングな事件が発生した。 スマホを調整ルームの居室内に持ち込む行為を隠れて行っていたことが発覚して騎乗停止処分が下された人気女性ジョッキーの藤田が、その責任を取る形で電撃引退する可能性が出てきた。すでに一部のメディアは「引退届を提出した」とも報道した。 SNS上では「残念」「今の時代に何もそこまで」などの同情の声も多く寄せられているが、複数の関係者によると、藤田は今年7月にJRA職員と結婚しており、より事の重大さを痛感して27歳にして引退という決断を検討していると考えられている。 スマホの持ち込みが発覚したのは、9日発売の週刊文春の報道。これを受けてJRAが本人に事情聴取したところ、スマホの持ち込みと不適切な使用を認めたため、11日から裁定委員会の議定があるまで騎乗停止処分とすることを決定し、本人に通告されていた。JRAの発表によると「2023年4月ごろまで複数回にわたって調整ルームの居室内にスマホを持ち込み通信していた」という。 文春は、レースの開催期間中の日付の入ったLINEの履歴を入手しており、複数の相手とのやりとりがあったことを報じた。文春では、そのうちの3人の30代の男性を特定して直撃しているが、LINEでのやりとりは、日常的な内容で八百長などの不正行為に関するものではなかったという。 そのうちの一人は「(持ち込みで)処分された人もいるが?」と聞かれ「(交際していた頃は)厳しい感じじゃなかったので」と答えており、夫のJRA職員がLINEの相手だったのではないかという疑惑も浮上。これ以上JRAに迷惑をかけられないとの思いから引退決意へ傾いたとも見られている。 また昨年5月に大量6人のスマホ不正使用が発覚した際、藤田に対しては「騎手として経験も豊富。さすがに関与していなかった」と賞賛する声が上がっていたが、この時点で不正使用していたことになる。SNS上では「藤田もやっていたのか」との声もあがっており、藤田は自分だけが免れたことへの後ろめたさを感じていたのかもしれない。 藤田は、2016年3月にデビューし、2019年にはGⅢカペラステークスをコパノキッキングで勝ち、日本人女性騎手初のJRA重賞制覇を達成。JRAの女性ジョッキーの第一人者として最多の通算166勝を挙げ、競馬界のイメージアップに大きく貢献してきた。藤田を目標に次世代の女性ジョッキーも次々とデビューしている。その藤田が騎乗停止処分を受け、しかも電撃引退の可能性が出てきたことにファンの間だけでなく競馬界にもショックが広がっている。 JRAでは近年、若手騎手のスマホ持ち込みが次々と発覚している。昨年5月に調整ルーム内で使用していたことが認められたとして今村聖奈、永島まなみら男女6人が30日間の騎乗停止処分を受けた。しかし、その後も若手騎手のスマホ不正使用に対する認識は甘く、今年5月には、水沼元輝の悪質な偽装工作による持ち込みも発覚。9カ月間の騎乗停止処分が言い渡された。さらに今月に入って永野猛蔵、小林勝太もスマホの不正使用により騎乗停止となった。 そもそも調整ルームに入る際のルールはどうなっているのか。 関係者によると、騎手は玄関でJRAスタッフ立ち会いのもと、自らのスマホを小分けされたロッカーに預け入れ、レース開催期間中に使用できないように施錠される。ただしプライベートを保護するためカバンの中身までは調べられない。うまくやれば持ち込むことは可能だという。本人のモラルを信用しての措置だが、そこを逆手にとる悪質な裏ワザも続出。水沼はスマホのカバーをダミーとしてロッカーに入れて、本体を持ち込んでいたため厳罰を科せられた。 元騎手の一人は、「海外ではスマホの持ち込みは自由だし、業務連絡として使うと便利だし、確かに今の時代にそぐわない面もある」と話す。だが、一方で「ただ、これらは今後の課題として議論を進めること。現時点でルールとして決まっている以上、守るしかない。それができないなら極端な話、騎手を辞めるしかないんじゃないか」との正論を口にした。 競馬を含む公営ギャンブルは公正さが命だ。ボートレースでは、スマホを使って外部と連絡をとり八百長行為に手を染めた西川昌希氏が2020年に逮捕された”西川事件”を発端に調整ルームに入る際には、スマホを袋に入れて管理者に提出することを義務づけた。ボートレーサーの一人は「厳重な手荷物検査を実施しており、発覚すれば即クビになる。JRAは処分もゆるい」と指摘する。 一方で、スマホは、今やなければ困る生活必需品と化しており、新型コロナ禍の期間は、調整ルームの代用施設として監視の目が届きにくいホテルを使用していたこともあり、スマホの使用禁止の周知が徹底できず、明確なルール作りがないがしろにされた側面も否定できない。JRAは「再発防止に全力で取り組む。今後このような事案が出ない最良の方法は何か考えていきたい」としているが、早急な対策が求められる。 対策として騎手免許取り消しや騎乗停止1年などの厳罰化に動くのか、調整ルームに入る際に、空港で実施されているような金属探知機を使った厳重な身体検査や手荷物検査を実施するのか、あるいはコンサート会場などで使用される通信抑止装置を導入するのか。もちろん、公正確保に向け、若い世代の認識の甘さを改善するための講習会などの啓蒙の場も頻繁に設けなければならない。 藤田は、こんな形でムチを置くのは不本意だろう。しかし、公平公正が原則の公営ギャンブルにとって、外部との通信が可能となるスマホを持ち込んだというルール違反を隠れて犯していた“罪”は大きい。可能性が高まっている藤田の引退という責任の取り方がスマホ問題を解決するための教訓となることを願うしかない。
人気女性ジョッキー藤田菜七子がスマホ持ち込み問題で騎乗停止処分を受けて電撃引退か…なぜ不祥事が後を絶たない?(RONSPO) - Yahoo!ニュース
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夏休み詰め合わせ
色々ありましたのでご紹介します
鬱になる
夏休み開始と共にここ2年間くらいで1番でかい鬱に侵食されて行きました
アルコール依存気味になったり 他にもいろいろちょっと大変だった
ただ、生きる気力をとことん失ってる時って社会の時間軸から大きく離されてるので環境の変化がゆっくりゆっくり進むんですが、それを心地よくも感じるんですね
バイトもひと月休んでしまって、生活を急かすような用事は何もありませんでした
自分が動けば景色が変わり ものが目の前に現れる
見たものを何に結びつけるでもなく、淡々とそれらを見つめ続ける日々を送っていました
忍び込み被害に遭う
忍び込みというのは、家主が寝ている間に泥棒が家に盗みに入ることを言います
大鬱ど真ん中の時でした!踏んだり蹴ったりですねー(被害はありませんでした)
家に侵入されたことがトラウマになって、家にいても落ち着かなかったり夜眠れなくなったこともそうですが、特段辛いのが 「貴重品を肩身離さず持っていなければ安心出来なくなった」ことです
お金やらカードやら個人情報やら それらと個としての自分を嫌々でも縛り付けていないと命(資産?)が保障できないという それが嫌です
常に警戒して生活するというのも、単純に体力が削られます
これからの時代 他者とのあいだの信用を信じ続けるのはばかだ!ということなのでしょうか…
とにかく皆さんもドアや窓の施錠はしっかりして、できれば窓ロックとかも買ってください
私は物盗りにあって自分の身の危険を感じましたし、他人の都合で勝手に命を絶���れるのだけは勘弁とも思いました 皆さんにはそんな思いをしてほしくないので…
図書館にはまる
初っ端で暗めの話題が続いてしまいましたが、気持ちが安らぐ用事もありました
そのうちのひとつが図書館
夏休み中週2、3回くらい行っていました
本を読んだり借りたり あとCDを借りてきて家の古めの再生機で聞くことにもハマっています
これまでに借りたCD
・ハラカミレイ
・ジョン・ケージ
・ブライアン・イーノ
・電気グルーヴ
・その他テクノ系CD
先述の泥棒被害にあった後 家にいて無音なのは怖いけどテレビや普通の音楽では疲れてしまうという時アンビエント系のCDには大変助けられました ジョン・ケージの「16のダンス」おすすめです!
Windows7できくハラカミレイは至高です
テクノもっと詳しくなりたいな��
また本について 周りの人がおすすめしていた本とかもちょこちょこ読みながら自分の波長に合うものを探していました
そして自分が90〜00年代の日本の若者に対して仲間意識を持っていることに気が付きました
今の私がちょっと落ち込み気味なのでそれも関係あるかもしれませんが、長期で抱えてきた問題との共鳴も感じます
風の谷のナウシカ風に言うと、「風を読む」みたいな感覚って昔でも現代でも生まれた時点で大抵の人間が持っているのではと思うんですね
でも、いつの間にか社会は不況とか何やらで(すみませんここらへん知識足りていません)風を読む感覚のみで生き延びることは出来なくなっていて
そのうち職にあぶれる者が多く出たり家庭不和が顕在化したり簡単にトリップできる精神薬が流行したりして 少しずつ世界が地獄絵図っぽくなってくる その中に放り込まれた(または放り込まれようとしている)若い人達が混乱しつつ暴力的な行為や辛さを通して互いを繋ぎ留めあう みたいな そこに私は地獄の中で「風を読む」ことを望んだ人びとの存在を感じますし、当時の環境の中でもがく若者の姿に自分を重ねてしまいます
キセル乗車の旅
夏休みガンガン散歩する体力は無かったけど遠くには行きたかったので、電車で遠くまで行って駅構内をぶらついて戻るという日帰り旅をしていました(若干キセルの定義に当てはまらないかも)
旅は2回ほど 国府津と内房の竹岡というところに、それぞれ行きました
目的地に着いても散歩できるわけじゃないので現場で達成感みたいなものはあまり感じないけれど、次の日から長い長い距離を旅した体感がじんわりと有ります
制作
まあねーーぼちぼちねー・・・
クラブたのしぇー!!!!
ただ全身で音楽にのめり込める環境として、私はクラブがとても好きです
K-popアイドルの曲が流れるイベントに行くことが多いのだけれど、もっと色んなジャンルの曲を聞いてDJのマニアックな繋ぎ方に興奮したり、色んなイベントを楽しめるようになりたいですね
これまでほとんどがぼっち参戦だったので、共にクラブに行ってくださる方を探しております…
展示など
夏休み中に行った美術館、展示
・モッキンカン木の森美術館
彫刻家しまずよしのりさんの作品が見られます
ご自宅の一部を美術館にしていて、私が行った時はしまずさんの奥様が水の入った灰青色の大きなグラスを手渡してくださって それを飲みながら奥様による作品の説明を聞きました
館内エアコンがないので注意(奥様がお客に悪いと大変気にしてらした)
でも素敵なところだったのでまた行きたい
・舟越桂 森へ行く日(彫刻の森美術館)
ドローイングが意外とイラストチックだったのが印象的だった
その上で彫刻を見た時に、舟越さんはどこに着目して引き伸ばして形にしようとしてるのか感じられて楽しかった
アートホールの館で開催されてた「彫刻の森美術館 名作コレクション +⾈越桂選」も良かった
・内藤礼 生まれておいで 生きておいで(東京国立博物館)
この混乱の世の中ですっと均衡がとれた景色が現れたような感じがしました
ただこの美しい展示は内藤さんだからできるのであって、内藤さん自身が立っている環境だからこそできるのであって 生きている環境や世代の違う自分達はその模倣をするのではなく、理不尽なこととも戦いつつものを(自分なりの信条、家的なものを)つくっていかなければと思った
また 自分は内藤さんの作品にモダニズム的な、前時代的な現代美術の考え方を感じているけど、今の現代美術シーンに殺伐とした空気を感じなくもなく そんな中で東博で大々的に内藤さんの作品を見られた経験を、そしてこの展示を企画した関係者の存在を、心に留めておく必要があると思う
その他
・辰野登恵子個展 辰野登恵子展(ANOMALY)
・デ・キリコ展(東京都美術館)
・絵ごころでつながるー多磨全生園絵画の100年(国立ハンセン病資料館)
印象に残った人びと
・しまずよしのりさんの奥様
・たまに美術館に行くと言う大工さん
むしろ美術畑にいない人達と交流するために自分は美術を勉強しなくては、と時たま思いま��
・泥棒被害に遭った時気にかけてくださったご近所の方々
おすすめのアルバム、曲
・soopieーImmature dreamers
・Rei HarakamiーUnrest
・CHUUーStrawberry Rush
・JohnCageー16Dances
・BEBEYANAー1-2-3
・パソコン音楽クラブーSIGN(feat.藤井隆)
・XGーSOMETHING AIN'T RIGHT
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helloharuo tour 2014 Summer 3
Saturday 16 August 2014
真観は、7時に起きた。そして坐禅を1炷した。今朝は敷き布団を三つ折りにしてその上で坐った。真観は母に褌が作れないかと相談すると、ちょうどいい木綿の生地が余っていた。それを使って褌を1枚作ってくれた。その後、散歩に出る。今日は、白山神社方面に歩いた。途中真観が通った学習塾があった。その学習塾の門構えが随分立派に見えた。以前はどうだった���か思い出せない。真観はその学習塾が好きではなかった。というより勉強が好きではなかった。白山神社の近くには臨済宗のお寺がある。子供の頃、ここの息子と遊んだ経験があるが今ではその息子が現住職だ。当時は臨済宗とは知らなかった。臨済宗にしても曹洞宗にしても禅宗はお洒落に見える。白山神社、今村公会堂と見て歩き、その後足を伸ばして新安城駅の三角市場にも行ってみた。真観の知る限りこの地域で一番古さをキープしているスーパーマーケット。あまりここには来ていなかったが懐かしさを感じた。散歩+カメラは楽しい。
昼食はざる蕎麦を食べた。母は有り合わせの野菜で天ぷらを揚げた。昼食の後は、兄と兄の車で買い物に出掛けた。真観は帰省中は大抵兄の車で動く。兄が運転してくれるので”運転手付きのお出かけ”だ。兄には感謝している。兄にしてもたまに帰省する弟と過ごすことを楽しみにしていると思う。そうであって欲しい。いつも行くリサイクルショップは真観のお気に入りで今回もいくつか買い物をした。赤い座椅子に赤いジーンズなどなど。
3時半過ぎ、家族でお寺にお参りに行った。お参りをし、おみくじを引いてみた。すると真観が引いたおみくじは「大悪」だった。兄は「吉」。母は引かなかった。真観、少々ショックを受けるがYおばさんは『これから良くなるからいいのよ』と慰めてくれる。「凶」と同じ理屈だ。いつものようにYおばさんは、お茶とお茶菓子を出してくれた。真観は、この場でお上人の作品集をYおばさんに見せた。Yおばさんは真観の作品集のページを一枚一枚ゆっくりと丁寧に見てくれた。一通り真観は制作の動機、説明をした。Yおばさんは喜んでくれた。そしてYおばさんの話の中にHさんの名前が出て来た。2日前の日記に書いた様に母の推薦するHさんだ。間違いない、余った作品集はHさんに進呈しよう。真観は、Yおばさん作品集とHさんへの進呈する作品集の最後のページに万年筆で署名を添えた。お寺用の作品集にも署名を書いたのだ書き間違えてしまったのでこの場では持ち帰り後で修正することにした。Yおばさんが喜んでくれたのは真観も嬉しかった。寺の敷地内にある祖父母のお墓、お上人のお墓にお参りをしてお寺を後にする。Yおばさんはいつもの様に合掌をして見送ってくれた。
夕食は食べずに7時過ぎには駅前の居酒屋に行く。兄が車で送ってくれた。今日はSちゃんが企画してくれた中学の同窓生の飲み会。真観が同級生が営む居酒屋に行くと既に5人がいた。そして後から2人が加わった。この飲み会��真観繋がりの同窓生を5人誘っておいた。帰省する10日ほど前にメールとLINEで誘ったのだが結果はこうなった。メールでは、3人を誘う。1人、返信なし。1人、欠席する。1人、遅くなるが参加する。LINEでは、2人を誘う。両方とも出席するとのこと。となると5人の内3人が出席するはずだったがドタキャンが2人。もう1人は遅くなっても結局来なかった。ドタキャンした2人の内、H君が飲み会の途中で顔を出してくれた。H君が来ていなかったら誘った同窓生は全て来ないことになる。
話が前後してしまった。真観は落胆していた。
今回の飲み会のメンバーである同窓生は殆どお付き合いのなかった同窓生。会ってみなければ何も始まらないわけなので楽しみにしていたが蓋を開けると意気投合はなく無難な会話。真観の誘った同窓生は、「遅くなるが参加する」と答えたTさんのみ参加で真観は彼が来るのを待った。会いたかったからだ。でも一向に来ない。真観は先月末からお酒は飲んでおらずこの飲み会で久しぶりに飲んだ。すると酔いがすぐに回った。幹事のSちゃんは旅行の疲れで別テーブルでダウンしている。真観も気持ちが悪くなりダウン。どうしようかと思っていたら先ほど書いた様にドタキャンした同窓生のH君が顔を出してくれた。その彼の御陰で真観は気持ちを持直し、後半の飲み会は楽しい時間となった。11時過ぎに飲み会はお開きとなった。ドタキャンには当然理由があった。真観以外はみんな家族がある。それも理解している。でもドタキャンをされた側は大きく気を落とすのは当たり前だ。"土壇場でキャンセル"だからね。
返信なしも宜しくない。 「遅くなるが参加する」と言って約束を守らないのも宜しくない。 (その後彼から何の連絡もない。これも宜しくない。/この日記は8/25に書いている) 昨年から再交流が始まった同窓生だがもうすでにこんな感じだ。 人間ってこんなもん?大人の付き合いってこんなもん?
真観は落胆した。企画してくれたSちゃんには感謝するが同窓生という理由だけでの飲み会に参加することはこれからは要注意にしよう。自発的に会いたい者同士が会えば良いと思う。これは真観の性格故のこと。(どうぞ気を悪くしないで欲しい)
帰りも兄が迎えに来てくれて真観はお腹が空いたからラーメンを食べに行こうと兄を誘ったら行くことになった。飲み会ではあまり食べていなかった。肉料理が多すぎた。R1添いのそのラーメン屋は、深夜なのに混んでいた。真観はここのラーメンが好きで帰省する度に兄と食べに来ている。
飲み会の途中で顔を出してくれたH君には本当に感謝している。 来ると来ないじゃ大違い!だった。救われた気分だった。 そうそう、もうひとつ。今日の飲み会で知ったことだが昨日の散歩の時に撮った小学校の体育館だが県内?市内?で最も古い体育館になるそうだ。それと同窓生の中で岐阜の「郡上おどり」に行って来た人がいた。気持ちが悪くなった時にウコンの錠剤をくれたS君にも感謝。彼は寅さんの様な人だ。ココ地元でも婚活のパーティーが開催されているらしい。真観少し興味を持つ。(笑)
昨日誕生日のメールを送った友人からは返信が来た。
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プロペシアの副作用が心配なら要チェック!肝臓に及ぼすリスクとは
肝臓に影響を及ぼす可能性があるプロペシアについて知識を深めることは、健康管理の一環として重要です。この記事では、プロペシアの効果や副作用、服用方法と注意点、そして特に肝臓への影響に焦点を当てて詳しく解説しています。プロペシアを安全に服用するためのポイントや最新の研究結果も紹介しているので、ぜひ読んでみてください。自身の健康を守るために必要な知識が得られること間違いありません。
プロペシアとは
プロペシアは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として使われる医薬品です。主成分のフィナステリドが、頭皮のDHTという男性ホルモンの働きを抑制し、薄毛や抜け毛を改善する効果があります。毎日1錠を飲むことで、薄毛の進行を抑えることができます。ただし、副作用や注意点もあるので、医師の指示に従って使用する必要があります。
プロペシアの効果と副作用
プロペシアは男性型脱毛症の治療に用いられる薬で、毛髪の成長を促進する効果があります。しかし、副作用もあります。主な副作用としては、性機能障害や乳房の腫れなどが挙げられます。また、稀にはアレルギー反応や肝機能障害などの重篤な副作用も報告されています。プロペシアを服用する際には、医師の指示に従い正しい用法・用量で服用することが重要です。副作用が現れた場合には、すぐに医師に相談することが必要です。プロペシアの効果や副作用について正しく理解し、適切に利用することが大切です。
プロペシアの服用方法と注意点
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られています。1日1回、医師の指示に従って服用することが推奨されています。プロペシアは食前でも食後でも服用できますが、毎日同じ時間に服用することが大切です。また、飲み忘れた場合は次の服用時に2回分を服用しないように注意しましょう。副作用としては、性機能障害や乳房の腫れなどが報告されていますので、異変を感じたらすぐに医師に相談しましょう。プロペシアは効果が出るまでに時間がかかるため、継続的な服用が必要です。服用方法や注意点を守りながら、正しい使い方を心がけましょう。
プロペシアの副作用
プロペシアの副作用には、性欲減退や勃起障害、乳房の腫れなどが報告されています。また、稀に肝機能障害やアレルギー反応も起こることがあります。副作用が現れた場合は、医師に相談することが重要です。
肝臓への影響
肝臓は、体内で最も重要な臓器の一つです。食べ物を消化し、栄養素を吸収する役割を果たしています。しかし、悪い生活習慣や食生活の乱れ、アルコールの過剰摂取などによって肝臓に負担がかかることがあります。 肝臓への影響は非常に深刻であり、肝硬変や脂肪肝などの病気を引き起こす可能性があります。また、肝臓が正常に機能しなくなると、体内の毒素を排出する能力が低下し、健康被害が広がる可能性があります。 そのため、肝臓への負担を減らすためには、バランスの取れた食事や適度な運動、アルコールの適量を守ることが重要です。また、定期的な健康診断や肝臓の機能をチェックすることも大切です。 肝臓は私たちの健康を支える重要な臓器であるため、適切なケアを行い、健康な肝臓を保つことが大切です。
その他の副作用
薬を服用する際には、副作用の可能性も常に頭に入れておかなければなりません。一般的な副作用としては、吐き気や下痢、頭痛などが挙げられますが、それ以外にも様々な副作用が存在します。例えば、蕁麻疹やかゆみ、発疹などの皮膚症状や、めまいや倦怠感、食欲不振などの体調不良も副作用の一つです。また、稀に重篤な副作用が現れることもありますので、薬を服用する際には医師や薬剤師に相談し、適切な注意を払うことが重要です。副作用が現れた場合には、すぐに医師に相談し、適切な処置を受けることが必要です。自己判断や無理な薬の服用は避け、安全な服用方法を確保するようにしましょう。
プロペシアと肝臓の関係
プロペシアは男性型脱毛症の治療に使用される薬であり、肝臓に負担をかける可能性があるため、肝機能の異常がある場合や肝臓疾患の患者には慎重に使用する必要があります。定期的な肝機能検査が必要とされることもあります。
プロペシアの肝臓への影響
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として広く使用されていますが、その副作用として肝臓に影響を及ぼす可能性があります。プロペシアに含まれる成分フィナステリドは、肝臓で代謝されるため、肝機能に悪影響を及ぼすことが報告されています。長期間の使用や過剰摂取は肝臓に負担をかける可能性があるため、定期的な肝機能検査が推奨され���います。プロペシアを使用する際には、医師の指示に従い、適切な量を守ることが重要です。
肝臓機能検査とプロペシアの関連性
肝臓機能検査は、プロペシア(フィナステリド)の服用による副作用のリスクを評価するために重要な手段です。プロペシアは男性型脱毛症の治療に用いられる薬であり、肝臓に負担をかける可能性があるため、定期的な検査が必要です。肝臓機能検査では、肝臓の状態を評価するためにASTやALTなどの酵素の値が測定されます。これらの数値が高い場合、肝機能に異常がある可能性があります。プロペシアを服用する際には、定期的な肝臓機能検査を受けることで、早期に副作用を発見し、適切な対応を取ることが重要です。
プロペシアの副作用対策
プロペシアの副作用対策には、適切な投与量の確保や医師の指示に従うことが重要です。また、副作用が現れた場合はすぐに医師に相談し、適切な対処法を受けることが必要です。副作用が出やすい飲み方や服用方法を避け、健康状態の変化に気を付けることも大切です。
医師の指示に従う
医師の指示に従うことは、自身の健康を守るために非常に重要です。医師は専門家であり、適切な治療法や薬の処方を行ってくれます。そのため、医師の指示を無視したり、自己判断で治療を行ったりすることは避けなければなりません。 医師の指示に従うことで、病気や怪我の回復が早くなるだけでなく、再発や合併症のリスクも低減されます。また、症状が改善しない場合や副作用が出た場合には、すぐに医師に相談することも大切です。 自己判断や他人の意見に惑わされず、医師の指示に従うことで、自身の健康を守り、より良い生活を送ることができます。医師は患者のために最善の治療法を提案してくれる存在なので、信頼して指示に従うことが大切です。
副作用が現れたらすぐに医師に相談する
薬を服用する際には、副作用が現れた場合にはすぐに医師に相談することが重要です。副作用が放置されると、症状が悪化する可能性があるため、早めの対処が必要です。また、自己判断で薬を中止すると、本来の治療効果が得られなくなる場合もあります。医師に相談することで、適切な対処法や代替薬の処方が可能となります。副作用が現れたら、ただちに医師に相談することで、安全かつ効果的な治療を受けることができます。自己判断せず、医師の指示に従うことが大切です。
プロペシアの安全性と肝臓への影響
プロペシアは男性型脱毛症の治療に使用される薬であり、一般的に安全性が高いとされています。ただし、稀に肝臓に影響を与える可能性があるため、定期的な肝機能検査が推奨されています。副作用が現れた場合は速やかに医師に相談することが重要です。
症状の重篤さによるリスク評価
症状の重篤さによるリスク評価は、患者の状態を正確に把握し、適切な治療を行うために重要です。症状の重さによっては、命にかかわる危険がある場合もありますので、早めの対応が求められます。例えば、急激な呼吸困難や意識障害などの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。 また、症状の重篤さによるリスク評価は、医療スタッフが患者の状態を適切に判断するための重要な指標となります。症状の変化や悪化があった場合には、迅速かつ適切な治療を行うことができるため、患者の安全を確保することができます。 症状の重篤さによるリスク評価は、患者の状態を正確に把握し、適切な治療を行うために欠かせない要素であり、医療現場において重要な役割を果たしています。患者の状態を的確に評価し、適切な対応を行うことで、患者の安全を守ることができます。
肝臓疾患を持つ患者への注意点
肝臓疾患を持つ患者への注意点は非常に重要です。まず、アルコールや脂肪の摂取を控えることが必要です。これらは肝臓に負担をかけるため、病状を悪化させる可能性があります。また、適度な運動やバランスの取れた食事も重要です。肝臓は体内の解毒器官であり、健康な状態を保つためには体を健康に保つことが不可欠です。さらに、医師の指示に従い定期的な検査を受けることも大切です。肝臓疾患は進行が遅いため、早期発見が治療の鍵となります。患者自身も自己管理が重要であり、医師や専門家のアドバイスをしっかりと受け入れることが必要です。肝臓疾患は重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、日常生活においても細心の注意が必要です。
プロペシアの服用中の注意点
プロペシアを服用する際には、定期的な医師の診察が必要です。また、副作用やアレルギー反応に注意し、適切な量を守って服用することが重要です。女性や子供、妊娠中の人は服用を避けるべきです。また、薬との相互作用にも注意が必要です。
肝臓の異常を感じたらすぐに医師に相談する
肝臓は体内で非常に重要な役割を果たしており、健康な体を維持するために欠かせない臓器の一つです。しかし、飲酒や脂肪の摂り過ぎ、薬物の乱用などの生活習慣が原因で肝臓に負担がかかることがあります。その結果、肝臓の機能が低下し、異常が生じる可能性があります。 肝臓の異常を感じたら、すぐに医師に相談することが重要です。肝臓の異常は放置すると重篤な病気につながる可能性があるため、早めの対処が必要です。医師は適切な検査や治療を行い、早期に問題を解決するサポートをしてくれます。 また、肝臓の異常を感じたら生活習慣の見直しも重要です。飲酒や脂肪の摂り過ぎ、薬物の乱用などは肝臓に負担をかける原因となるため、適度な飲酒やバランスの取れた食事、健康的な生活を心がけることが肝臓の健康を守るために必要です。肝臓の異常に気づいたら、早めの対処と生活習慣の見直しを行い、健康な体を取り戻しましょう。
肝臓機能検査の定期的な受診を心がける
肝臓は、体内で重要な役割を果たす臓器の一つです。肝臓機能検査は、肝臓の働きや健康状態を把握するために行われる検査です。肝臓はアルコールや薬物、ウイルスなどの影響を受けやすいため、定期的な検査を受けることが重要です。 肝臓機能検査では、肝臓の酵素やタンパク質、ビリルビンなどの数値を測定し、肝臓の健康状態を評価します。これにより、肝臓が正常に機能しているかどうかや、肝臓疾患の有無を早期に発見することができます。 肝臓は、体内でさまざまな代謝反応や解毒作用を担っているため、肝臓の健康状態が悪化すると身体全体に影響が出ることがあります。そのため、定期的な肝臓機能検査を受けることで、早期に異常を発見し適切な対処を行うことが重要です。日頃から健康管理に気を配り、肝臓の健康を守るためにも、肝臓機能検査の受診を心がけましょう。
プロペシアと肝臓の関係についての最新研究
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、最新の研究ではプロペシアの使用と肝臓の関係について検討されています。一部の研究では、プロペシアの使用が肝臓に影響を与える可能性があると報告されていますが、まだ十分な証拠が得られていないため、医師の指示に従い適切に使用することが重要です。
プロペシアの肝臓への影響に関する研究結果
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として広く使用されていますが、最近の研究により、肝臓への影響が懸念されています。実際、プロペシアの使用と肝臓の機能障害との関連性が指摘されており、注意が必要です。特に長期間の使用や高用量の場合、肝臓に負担をかける可能性があるため、医師の指導のもとで適切な使用が重要です。今後の研究でより詳細な影響が明らかになることが期待されますが、現時点ではプロペシアの使用に際しては慎重に検討する必要があるでしょう。
肝臓機能検査とプロペシアの関連性についての最新情報
肝臓機能検査は、肝臓の健康状態を評価するために行われる重要な検査です。プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として知られていますが、一部の研究ではプロペシアの使用が肝機能に影響を及ぼす可能性があるとされています。しかし、最新の研究ではプロペシアの使用と肝臓機能検査値の変化との間に明確な関連性が見られないという報告もあります。したがって、プロペシアを使用する際には医師の指示に従い、定期的な肝臓機能検査を受けることが重要です。自己判断せず、専門家の意見を聞くことが大切です。
まとめ
まとめは、論文やレポートなどで述べた内容を簡潔にまとめる部分です。主要なポイントや結論を再確認し、読者に伝える役割があります。まとめは全体の流れを整理し、読者が理解しやすくするために重要な役割を果たします。また、新たな示唆や展望を述べることで、研究の重要性や将来の展望を示すこともあります。
プロペシアの副作用と肝臓への影響についてのまとめ
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として広く使用されていますが、副作用や肝臓への影響についても注意が必要です。プロペシアの主な副作用には性欲減退や勃起障害、乳房の腫れなどがあります。また、稀に肝機能障害が発生することも報告されています。肝臓への影響が気になる方は、定期的な血液検査を受けることが推奨されています。プロペシアを使用する際には、副作用や肝臓への影響について医師とよく相談し、適切な管理を行うことが大切です。
安全にプロペシアを服用するためのポイント
プロペシアは男性型脱毛症の治療薬として広く使用されていますが、安全に服用するためにはいくつかのポイントがあります。まずは医師の指示に従い、定められた用量と服用方法を守ることが重要です。また、飲み忘れないように毎日決まった時間に服用することも大切です。副作用のリスクを減らすために、他の薬との併用やアレルギーの有無も事前に医師に相談することをおすすめします。さらに、適切な保管方法も守り、直射日光や湿気を避けることが重要です。プロペシアを安全に服用するためには、自己判断せずに医師の指導を受けることが大切です。
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「虚無への供物」中井英夫 2301
第二章
30畸形な月01
牟礼田の自宅で橙二郎殺しのトリックを解明しています。
まず亜利夫が、ギニョールの殺人という方法を話しますが、久生が、異議を唱えます。 「黒死館殺人事件」の算哲の��妻を模した自動人形(テレーズ)を殺人に使ったかもというやつを参考にしてみたらとです。
私も、異議を唱えるでしょうね。
次に、久生が去年のうちから氷沼家にはガスを用いた殺人が起こるってわかっていたといいます。
それに、牟礼田��、 ロナルド・A・ノックス(三つの栓とか)、F・W・クロフツ(シグニット号の死とか)なんかを参考にしたのかといいますが、 久生は、 アーサー・コナン・ドイルにもあるけど、それらとは全然違うといいます。
久生は、隠れるつもりなら立派に隠れられるくらいの広い空間として、ベッドの下を考えていたみたいですが、 亜利夫が既に調べていたみたいです。
久生の慌てっぷりがおかしいですね。
次に、思いついたのか、 階下で麻雀をしながら簡単に開閉できるガス孔を書斎のどこかに取り付けておいたといいます。 場所は天井の中央、大きなシャンデリアだとです。
だから、二つの栓は締まったままだったので、 最初にストーブと元栓に飛びついてそれを締めるふりをしたぼが犯人だとです。
その人物は、藍ちゃんでした。 しかも、 警察がガスの配管は調べているから、久生のいったような配管はないといいます。
久生は恥ずかしさをごまかすように藍ちゃんに詰め寄ります。
藍ちゃんは殺人の現場は、二階の一畳の板敷きの化粧室だといいます。 窓もドアも締め切り、湯沸かし器のガスを一杯に噴出させればすぐに殺すことができるとです。 湯沸かし器の具合がおかしく元栓は締めていた筈なのに、あの日は洩れてたのは犯人があらかじめ何かの細工をしたとしか思えない。 伯父さんはあそこで殺されてから書斎のベッドに運び込まれたんだと、断言します。
久生もすっかりたじろいでいますね。
藍ちゃんは、
化粧室が少し臭すぎたというところから推理した。 麻雀してた中に一人共犯者がいた。 その手引きである人間があの晩二階へ忍び込んで、 どこかに身を潜めていたそいつは台所のメーターコックの開いている最中に書斎へいった。 それから、伯父さん化粧室へ運び、湯沸かし器の焔を吹き消し全開にしてドアを閉めた。 完全に息が絶えたのをみすまして大急ぎで湯沸かし器のガスを導火用だけ残して消すと死体をまた書斎に運び返した。 ベッドに横たえ、書斎の電気ストーブを外し、書庫からガスストーブを持ってきて付け替えると、 栓を全開にして立ち去った。 共犯者を含めた皆が麻雀をしている時というアリバイも作れるだろう。
確かに、いい推理ですね。 問題はまだありそうですけど、 ただ、共犯者はどうなんでしょう? あの晩の動静表をみても、共犯者がいなければ無理ですかね。
牟礼田も、藍ちゃんの言うように、化粧室で殺されたと考えていいといいます。 ただし、書斎に出入りする方法があるという仮定での上でです。 で、その方法として、書庫側のドアの合鍵を使うといいます。
久生はやっぱりという感じで完全否定します。
確かにこれが最大の難点ですね。 まあ、合鍵では、面白くないですね。
藍ちゃんは真相が知りたいだけで、牟礼田に詰め寄りますが、 牟礼田はどうも煮えきりません。
逆に実行犯は誰なのかと、現実にそれだけのことが出来る人間がいないといいます。 共犯者なんだから正直誰でもいいような気もしますね。
藍ちゃんは、それに対して紅司の日記にあった“鴻巣玄次”だと答えます。
牟礼田は、“鴻巣玄次”が架空の人物なら氷沼家の事件全部が殺人ではなかったと納得するのか。 紅司の忌まわしい趣味の相手の“鴻巣玄次”は絶対に存在しないといいきります。 その理由の一つとして、 紅司君の背中のは、蕁麻疹の一種で特異なアレルギー体質にすぎなかったからだといいます。
十月の半ばころ、蒼司は紅司に背中に蕁麻疹が出ると打ち明け、 苦し紛れに、紅司がマゾヒストなら救われるのにといったというのです。 紅司はそれで、自分がマゾヒストだと錯覚するようになり、 風呂には鎌錠をつける、友達に頼んで電話をかけさせる、 もっともらしい日記をつけて、“鴻巣玄次”が実在するように自分に思い込ませようとしたというのです。 それで、あの日あの晩あの雰囲気の中で、 蒼司は、紅司に背中のが蕁麻疹の一種だといっても誰も理解してくれない。 むしろ鞭痕だと思い込ませて葬った方が紅司は幸福なのかもと思ったというのだ。 それで嶺田さんに事情を打ち明けてた。 これが“鴻巣玄次”という男だた。
背中の鞭痕が、蕁麻疹の一種で特異なアレルギー体質だというのが、 にわかに信じられませんけど、まあ、もっともらしいですね。
どうも牟礼田は謎の解明をしたくないような感じに見えます。 不思議ですね。
と、ここで、牟礼田が何度も、隣室へ行っていたのがテープで録音するためだとわかります。 正確性を期するための録音なんでしょうが、久生も呆れていますね。 というか、かなり唐突な感じです。 テープで録音することが何かのヒントになるのでしょうか?
と、ここまでらしいです。 えって感じです。
で、翌三月一日、 昭和女子大の大火とともに、あの“鴻巣玄次”が出現するらしいです。 これは、びっくりです。
つづく。
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