#小説浅草案内
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kennak · 6 months ago
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(注意: つらい内容が含まれます) ヨギタ・リマエ、BBCニュース 丘の上、木々の合間に、ミャンマー軍キャンプの廃墟がある。眼下に、特徴的なハートの形で地元で有名な、絵のように美しい湖が見える。足元には、地雷の薬筒や使用済みの弾丸が散乱している。兵舎があった場所では、散らばるトタン屋根の隙間から、黄色い花をつけた野草が顔を出している。キャンプの一角には、急いで掘られた塹壕(ざんごう)がある。 赤、白、青の横じまの中央にサイチョウという鳥が描かれた旗が、曇り空の下で風になびいている。ミャンマーの西部チン州で同国の軍事政権と戦う、民族武装組織「チン民族軍(CNA)」の旗だ。 CNAは7カ月前、地元の武装住民グループとともに、インドとの国境貿易の町リクホーダルにあるこのキャンプと、チン州の他の地域からミャンマー軍を追い出した。チン州の武装勢力は、2021年のクーデターでミャンマーのぜい弱な民主主義を粉砕した軍事独裁政権と戦ってきた。その彼らにとって、前例のない成果だった。 国軍がこの地域で支配権を失ったのは初めてだ。BBCは今回、同国西部で反政権勢力の躍��を目にするという、めったにない機会を得た。 リクホーダルでの勝利は、決して簡単ではなかった。武装勢力は1年以上にわたり、何度も攻勢をかけた。一部の家族は、耐え難い犠牲を払った。 画像説明,武装抵抗運動に加わったラルヌンプイさん ラルヌンプイさんはダンスが大好きな17歳だった。彼女のソーシャルメディアのアカウントは、人気映像のダンスをまねる彼女の動画でいっぱいだった。 「彼女はいつも自信たっぷりに踊っていた。でも、着飾ることには興味がなかった。兵士に憧れ、国のために命を捧げた兵士についての歌を一日中聴いていた。勇敢で強く、怖いもの知らずだった」。ラルヌンプイさんの母ラルサントルアンギさんは、そう話す。 クーデターが起こると、ラルヌンプイさんは両親を説得し、家族が暮らすハイムアル村で武装住民運動に加わった。その理由を、学校で手書きした英作文の中で、次のように説明していた。 「ミャンマーはいま、壊れている。(中略)ビルマ兵は私にとって敵だ。情けがないからだ。(中略)私の将来は国民防衛隊にあって、私はそれが好きだ」 2022年8月、彼女の村の武装住民らは他のグループとともに、リクホーダルの軍キャンプに攻撃を仕掛けた。 「私たちは13日間連続で、相手側にドローン(無人機)の雨を降らせた。爆弾のほとんどは私が作った。私が部隊で一番の溶接工だったので」と、ラルヌンプイさんの父ラルジディンガさんは言う。彼はクーデター前はトラック運転手だったが、ハイムアルで何人かと国民防衛隊を組織するようになった。 この時の攻撃では、軍キャンプを奪うことはできなかった。双方に犠牲者が出た。 ミャンマーの地図 2022年8月14日、ミャンマー軍は報復攻撃としてハイムアル村を急襲した。住民の話では、民家十数軒に火が放たれた。私たち取材班は、そのような家屋の残骸をたくさん目にした。ミャンマー軍は、北部と西部で抵抗勢力を抑え込むため、何万軒もの民家を焼き払ったと非難されている。 この報復攻撃で、17人が軍に人質に取られた。ラルヌンプイさんと、弟のラルルアトマウィアさん(15)も含まれていた。その後、この2人を除いて全員が解放された。2人の父親に軍が仕返しをしたのだと、家族は考えている。 2日後、ハイムアルの外れにある森の浅い墓の中に2人の遺体があるのを、村人たちが発見した。 どちらも残忍な拷問を受け、銃床で殴り殺されていた。ラルヌンプイさんはレイプされていた。弟の胸、腕、性器には熱湯によるやけどの跡があった。BBCは、遺体の詳細な写真と検死報告書を確認している。 BBCはこの件でミャンマー軍に質問を送っているが、まだ回答はない。 ラルヌンプイさんの弟ラルルアトマウィアさんはまだ15歳だった 「子どもたちに何が起こったのか、考える勇気がない」。父ラルジディンガさんはしばらく黙った後、言葉を探すように言った。「子どもたちは殉死者だ。私よりずっと立派だった」。 少しの間を置いて、彼は続けた。子どもたちのことを愛情をこめて語る、誇らしい父親の姿だった。「息子は私より5センチ背が高くなっていた。話し好きで、家の手伝いを何でもいやがらずにやった」、「2人は切っても切れない仲だった。人が集まっているところに娘が行けば、みんな楽しく笑顔になった」。 母ラルサントルアンギさんは、涙を拭いながら末娘のハダシちゃん(4)を抱きしめ、こう話した。 「夫には、子どもたちの死で落ち込まないように言っている。これは私たちだけの問題ではない。将来の世代も自由は必要だ。何の権利もなく、軍の言いなりになるような、そんな状態で暮らすのは正しくない。命をかける価値がある戦いだ。私は自分の子どもたちを誇りに思っている」 私たちはミャンマー滞在中、戦闘服に身を包んだ人たちに会った。半自動小銃などの銃器を携えている人もいた。ただ、職業軍人ではない。野蛮な紛争に直面し、見事なまでに意を決している農民、学生、一般住民たちだ。 国民防衛隊のヴァラ司令官は、ハイムアルの眼下に広がる緑豊かな谷を指さしながら、ミャンマー軍はこの全域から撤退し、最も近い基地でも直線距離で50キロ以上離れていると笑顔で説明した。現地の墓地では、ピンクと白の造花で覆われた新しい墓へと私たちを案内した。 「軍事政権と戦って死んだ人たちのものだ」と、ヴァラ司令官は義理のきょうだいの墓のそばに倒れている花束を戻しながら言った。私たちは、ラルヌンプイさんとラルルアトマウィアさんの墓も見つけた。 私たちが会った住民らのほとんどは、ハイムアルの南にあるチン民族軍のヴィクトリア基地で訓練を受けていた。私たちは、緑深い森と山間部を通る、曲がりくねったでこぼこ道を進み、同基地を訪ねた。 そこでは、制服を着た何百人もの若者が新兵となって、広々とした平原を行進していた。 行進が終わると若者たちは、「私たちの祖国、愛する土地、私たちは血と命をかけてそれを守る」と歌う。 そして、武器の訓練へと続く。銃声が響く。 全員18歳以上だと説明されたが、もっと若く見える人も多い。2011年のミャンマーの民政移管で、大勢が自由���味わった。それだけに、もはや軍事政権は受け入れられないと考える10代の若者たちが、それぞれの夢を捨てて、抵抗運動に加わったのだ。 サン・ダール・リンさん(19)は教師を目指していた。 「クーデター後の最初の1年は、それほど悪くなかった。けれども、やがて軍が私たちの村を砲撃し始めた。私たちの家は壊されて、村に入って来た兵士は家を燃やし、人や動物まで殺した。私たちはジャングルに逃げた。かなりの人数がいたので、ジャングルがそのまま村になった」 「おじは無残に射殺された。私は軍が大嫌い。自分の国と国民を守るため、CNAに加わった」 私たちは行く先々で、ミャンマーの若者たちが革命の波に巻き込まれているのを目にした。 ビルマ国家のために働いていた何千人もの人たちもまた、支持する対象を変えた。 ヴァンラルペクタラさん(22)はかつて警官だった。 母親のモリー・キアンさんは、息子が警察で訓練を受けていたころの古い写真を3枚差し出すと、「彼はそこそこの月給をもらっていた。私たちは幸せで満足していた。そうしたらクーデターで政府が倒され、彼は抵抗運動に参加することを決めた」と説明した。 モリーさん自身は青春時代を軍事政権下で過ごした。「当時は楽しい日なんて1日もなかった。軍がとても怖かった。だから私は息子の決断を支持した」。 息子ヴァンラルペクタラさんは2022年3月に抵抗運動に参加。その6日後に殺害された。 モリーさんは胸と首を指さしながら、「息子はこことここを刺された」と言った。「残忍に襲われた。片足は切り落とされていた」。さらに話を続けようとしたが泣き崩れた。「この話をするのはつらい」。 ヴァンラルペクタラさんが死んだ時、彼の妻は妊娠していた。もうすぐ1歳半になる男の子は現在、遠く離れた難民キャンプで暮らしている。 軍が村から追い出されたときの気持ちを尋ねると、モリーさんは拳を突き上げた。「とてもうれしい。でも完全な勝利が見たい」。 彼女の次男も国民防衛隊の一員となっている。 国軍に比べれば弱い複数の反政権勢力が、この紛争の流れを変え、はるかに強力で装備の整ったミャンマー軍を守勢に立たせた。それができたのは、一般国民の幅広い支持があるからだ。 「最初は軍が勝っているように見えた。しかし、戦争であれ政治であれ、国民の支持がなければ誰も勝てない。軍は武器では優位かもしれないが、民衆を味方につけられていない」。チン州の反政権グループが設立した並行政権の「首相」に指名されている政治家、パ・サンさんはこう話す。彼はアウンサンスーチーさんが率いる国民民主連盟(NLD)のメンバーでもある。 並行政権は、チン州全域の80%近くを掌握していると主張する。しかしミャンマー軍は、州都を含め戦略的に重要な町のほとんどを今も支配している。 それでも、反政権勢力には勢いがある。今週初めにはトンザンという町を奪った。 チン民族軍のフテト・ニー広報官画像提供,AAKRITI THAPAR/BBC 画像説明,チン民族軍のフテト・ニー広報官 「ここは私たちの土地だ。ビルマ軍の土地ではない。私たちは勝利を収めつつある。この土地の隅々までよく知っているからだ」。チン民族軍のフテト・ニー広報官はそう言う。 民族軍側が戦果を挙げている理由は、ほかにもある。国内各地の反政権勢力が協調し、軍が力の入れどころを選ばなくてはならない状況を作っているのだ。チン民族軍によると、自分たちはカチン独立軍やカレン民族解放軍、カレンニー軍と協力関係にあるという。 反政権勢力が直面する最大の課題は、グループ同士の内紛だ。チン州だけでも数多くの派閥が活動しており、その多くは従来から敵対している。 前出の政治家パ・サンさんは、結束を維持するのは可能だと主張。クーデター後に軍によって投獄されたアウンサンスーチーさんが率いる、選挙で選ばれた文民政府を代表する国民統一政府(NUG)の下で活動することに向けて、将来的な計画があると話す。 「私たちは鋭意、法律と憲法を作成している。NUGの一員として、チン州から大臣2人と副大臣1人を出す予定だ。ミャンマー軍が敗北を認めるときに向けて、あらゆる準備をしている」 私たちが会った人たちには、明らかな共通点があった。自分たちは勝てると、全員信じているのだ。 「もう、それほど長くはかからない」とパ・サンさんは言う。「こういう予測をするのは良くないが、私たちがあと2〜3年以上戦うような、そんなことにはならない。そう信じている」。 (追加取材:アアクリティ・サパル、サンジェイ・ガングリー) (英語記事 The devastating cost of fighting Myanmar's military dictatorship)
【ルポ】 ミャンマー軍事独裁政権と戦う人たち その途方もない犠牲 - BBCニュース
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mxargent · 1 year ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐ���を日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指権心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩練押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘��鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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yotchan-blog · 19 days ago
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2024/12/16 8:00:09現在のニュース
韓国「ポスト尹」視界不良 野党代表は裁判抱える/与党も弾劾対応割れ分裂 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/16 7:57:30) 偶然居合わせた縁が命救う 6月・京成船橋駅ホーム 8月・JR東船橋駅前 市内の消防署が感謝状(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:55:17) ヒマラヤ 鮮やか「伝説の花」 通うこと四半世紀、ようやく撮影 嬬恋の佐藤さん、高崎で18日まで作品展(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:55:17) 新酒完成知らせる「酒林」がお目見え 太田の島岡酒造(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:55:17) マイクラで提案、未来の小山 小5の増渕さん景観大賞 再生水を動力源にした都市を表現(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:55:17) 「落ちてからは遅い」オスプレイの飛行中止求める 木更津の市民団体、市長に要請(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:55:17) 北朝鮮兵、ウクライナ軍との戦闘に本格���入か 「遺体」の動画投稿も(朝日新聞, 2024/12/16 7:53:51) シリアのアサド氏亡命容認、プーチン氏に透けるKGB流「仁義」 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/16 7:51:15) 国民民主党、支持率で立憲民主党を上回り2位 共同通信世論調査 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/16 7:51:15) <湊ナオのシンシンツクバ>(38)静かな夜をつくりたい(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:47:26) <かながわ未来人>挑戦続け歴史を守る 湯河原温泉おかみの会 会長・高橋杏奈(たかはし・あんな)さん(32)(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:47:26) 白蛇すむ御神木で開運? 相模原・日々神社、巳年を前に注目(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:47:26) <差別なき社会へ>差別禁止条例制定5年 やまぬヘイト、響く抗議 川崎駅前街宣に反対市民ら200人(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:47:26) やっと再会した母亡くし 3年ぶりに日本からウクライナへ帰国した女性(毎日新聞, 2024/12/16 7:46:36) <ひと ゆめ みらい>魅力伝えて産地も応援 タイルクリエーター・伊東亜由(いとう・あゆ)さん(53)=国立市(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:39:51) 大学教育の質保証 「学生の声」活用広げよ 堀井祐介・大阪大学教授 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/12/16 7:39:44) 市川九団次さんが描いた「隈取り」 あすから浅草寺の羽子板市に初出店(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:32:10) 伝説の「足立姫」が区内をパレード 18、19日フェス 露店やオペラも(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:32:10) JR中央線グリーン車 来年3月15日から本格運用(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:32:10) 「上野の森」1000人が疾走 ハーフの部優勝 男子・熊谷航陽さん、女子・根元香苗さん(東京新聞)|dメニューニュース(東京新聞のニュース一覧|dメニュー(NTTドコモ), 2024/12/16 7:32:10)
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ksgproject2024 · 2 months ago
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第49,50回活動
2024/11/13 2024/11/15
 最近かなり冷え込みますね。コートやジャケットが必要になりそうです。後期も後半なので頑張っていきましょう!  今回は今後の予定決めや実験結果の振り返りを行いました。
2024/11/13
活動内容
(1)やることの確認(2分) (2)本日の雑学(8分) (3)システムの名前について(10分) ・案があれば考えてきてほしい (4)福岡の発表について(10分) (5)各グループの作業(~12:10まで) ・実験の結果のまとめ、共有 ・ポスター制作作業 (6)次回の予定(5分)
(1)やることの確認(2分)
(2)本日の雑学(8分)
大浦さん 仏教と蓮 文学作品に蓮が登場するのは仏教の教えが関係している 蓮華の五徳 蓮の生態にまつわる仏教の教え
(3)システムの名前について(10分)
10/30(水)の議事録 名前の候補(全体) ARTHONA(企画を説明した時のお名前です)(ART + PERTHONA(人格など))読み方は?=>アルソナです。⭕️⚪︎ MPtoAR(Music Prompt to AR)
なんとかシーカー(なんとかの部分が思いつかないです) O-SUGI YABA-SUGI なんちゃらART かのん SOUL SOUND ART PersonARt ⭕️⭕️ ARTHONA SEEKER アートピア ARTunes ⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⭕️ 音見えるん MUSICART(ムジカルト)
⭕️
ARTHONA  ⭕️⚪︎ PersonARt ⭕️ ARTunes  ⭕️⭕️⭕️⚪︎⭕️⭕️
決定 ARTunes
(4)福岡の外部発表について(10分)
スケジュール
~12/18までに概要 ~1/8までに論文の第一稿(草案のようなもの) ~2/12までに予稿集論文(説明する時の原稿?) ~3/19までに最終論文
原則的にオンライン(口頭発表)+対面(ポスターなど使った発表) やむを得ない場合はオンラインのみでも可 論文のフォーマット(2024年):https://www.dropbox.com/scl/fi/0qdszpa6gqwa1ltqd4ivw/format_docx_deim2024_j.docx?rlkey=0v38fa807wr42ay9h46gpy2er&e=1&dl=0
論文の投稿料:1万円
論文例(2024年)
【意見】 ・論文を書く時間が日程的に難しくないか  → ポスター作成や、専修の最終レポートと内容が近いのでできるのでは ・オンラインのみ参加は発表会参加の姿勢としてふさわしくない  → 全員が福岡に行けるのか ・前回の内容を読んでみると、自分たちのプロジェクトの成果が達していない  →出す前から諦めるのはよくない ・金額の問題 学生参加費1000円? プロジェクト費用から出すのか ・旅費は自腹 飛行機4万くらい?
(5)各グループの作業(~12:10まで)
フォームの回答 だれか!!! 集計ファイルのURLください ありがとう
form https://docs.google.com/forms/d/1zB_wagDb9IvexKOmpTymb75Wb-dU-39mzqT0YQJyox8/edit#responses 11/8小杉プロジェクト外部実験アンケート(回答)
(6)次回の予定(5分)
外部発表、ポスター含め 今後の具体的な流れの確認 外部発表について ポスター作成
2024/10/15
活動内容
(1)やることの確認(2分) (2)代表者会議の共有(3分) (3)外部発表について(10分) (4)今後の流れについて(20分) (5)各グループの作業(~12:10まで) (6)次回の予定(5分)
(1)やることの確認(2分)
(2)代表者会議の共有(3分)
会議資料 第6回 11/13
✅今日までの提出物
(3)外部発表について(10分)
3/3~3/4福岡行けない人 ・家の用事 浅野 ・お金の問題 (峯島) (飯沢) (加来) (古賀)
論文発表までの日程上厳しいので無しになりました
(4)今後の流れについて(20分)
最終発表までの予定 ・小杉先生にポスター披露 11/27 ポスター仮完成 ~11/20 ・発表練習 ~11/27 先生に見せれる形まで ・Webサイト ~11/29 ・成果物 ~12/13 音楽生成 ・外部実験結果の修正 ・プログラムの完成 AR ・外部実験結果の修正 ・プログラムの完成 アート ・外部実験結果の修正 ・計算式の再考 ・基準点(朝,���)の調整
最終報告書の予定 ・最終報告書 ~1/22 18:00 取り掛かれるの三週間ちょっと ・映像 ~1/22 18:00 プロジェクトの成果を3分程度の動画 最終発表会の前とかにメンバーで利用しているのを撮影 カメラ借りる(かも)
学会用論文の予定 実験の概要 ~12/14 論文の期限 ~⅛
まとめ ・ポスター仮完成 ~11/20(水) ・小杉先生にポスター披露 ~11/27(水) ・発表練習 ~11/27(水) ・Webサイト ~11/29(金) ・成果物 ~12/13(金) ・最終報告書 ~1/22 18:00(水) ・プロジェクト映像 ~1/22 18:00(水)
(5)各グループの作業(~12:10まで)
印象空間計算表(時間帯) 外部発表フォーム 実験からわかったこと
ARアート ・時間帯が朝しか選ばれない問題 →朝の距離が原点から近いため、小項目に対するプロンプトの座標がおのずと朝の座標と近くなる →割合だけ出せばいける?
Webのタスク ・文章かえるところ(探す+直す) ・プロフィール 開いたら詳細情報が出るようにする ・プロフィール 背景を変える ・全体的なデザインが稚拙 ・アバウトアスの文章を短くしたい ・フォントを検討 ・ロゴ
ポスター及び最終発表準備につき ~11/20 <ポスター作成> ・デザイン:堀内 ・文章:加来、村木、浅野、根本、飯澤、大浦 ・大浦:1枚目(既) ・村木、根本:2枚目(修正があれば) ・加来、大浦:3枚目(修正があれば) ・堀内、峯島、浅野、飯澤、[村木、根本];2枚目終了後、[加来、大浦];3枚目終了後、  :4枚目(できる範囲で) <発表準備> ・堀内、加来、村木、浅野、根本、飯澤、大浦 _発表原稿作成、発表ロールプレイ練習 ・浅野、飯澤:1枚目(発表は短めで大丈夫です) ・村木、根本:2枚目 ・大浦、加来:3枚目 ・堀内、峯島、浅野、飯澤:4枚目(できる範囲で)
11/20 発表ロールプレイ_1 ポスターα版を使用
11/20~ <ポスター作成> ・堀内(必要に応じて峯島さんにお手伝いお願いできますか?) <発表準備> ・加来、村木、浅野、根本、飯澤
11/27 発表ロールプレイ_2 ポスターβ版を使用
11/29 発表ロールプレイ_3 ポスターリリース版を使用
[ポスターのバージョンについて] α版:おおよそ形になっているもの。4枚目以外は文章含めて完成していること。4枚目は書けるところだけ文章含めて完成していること。 β版:完成形に限りなく近い形。基本的にこれ以上修正はしない。 リリース版:β版で修正があれば修正を行う。
(6)次回の予定(5分)
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1izx5a2j-blog · 7 months ago
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【出展】6/23(日)ZINE FEST 浅草(終了)
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【イベントは終了しました。お越しいただきました皆様、ありがとうご��いました!】
6月23日(日)に開催される「ZINE FEST 浅草」に、サ��クル「遥かの都 彼方の国」として出展いたします。
当サークルはスペース【H1】にて皆様をお待ちしております。
【開催情報】
イベント名:ZINE FEST 浅草 日時   :2024年6月23日(日) 11:00-17:00 場所   :東京都立産業貿易センター台東館 4F 入場料  :300円(現金のみ) 内容   :ZINE作品展示即売会 主催   :ZINE FARM TOKYO
会場へのアク��ス、イベントの詳細は公式サイトにてご確認くださいませ。
なお、16:00-16:30の時間帯は入場口のお手伝いに、以降はブース撤収作業に入ります。 恐れ入りますが当サークルは16:00までにお立ち寄りお願いいたします。
【出店ブースのご案内】
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当サークルは入口②入ってスグ!の、スペース【H1】にて皆様をお待ちしております。
【頒布物のご案内】
◆ 刊行物 ◆
【新作】狛童 ウッドスタンド+ZINE
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「狛犬」をモチーフにした「狛童」のウッドフィギュアスタンドとミニブックレットのセットです。
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/751046730525638656/
【新刊】煙の狼(けぶりのをゐぬ)と沼地の主
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これは、とある山の麓に今もひっそりと暮らすまぼろしの部族「緋の民」に伝わる、遠い昔の物語。
こちらは前掲「狛童」のバックストーリー的な位置付けで執筆した物語です。
ぜひご一緒にお楽しみいただければと思います!
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/745453426317656064/
短篇集 挿文綴 散文拾
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「異界の民話」をテーマにした創作短編資料集。
老天の縁起、ある舞姫の鬼、天から堕とされた魚、「みかへり」を求めた島の儀式。四篇の小さな絵と話を収録。
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/733319898484424704/
短篇集 挿文綴 第二集
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長編連作「星めぐり常世草子」各巻の補助的役割を担��ために編纂した「断片的資料集」。
冥界のまじない人形、いつか海へと還るものの詩、名前を奪う鬼の由来、迷いびとを迎える家、四篇の小さな絵と話を収録。
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/725047335588167680/
◆ 長編連作◆
今回持ち込みなし予定としていましたが、巻の一『星降ろしの巻』和綴じ版が残り1冊となったため、せっかくなので持ち込みます。
早い者勝ち1名様のみ!笑
【ラスト1冊!】星めぐり常世草子 巻の一 星降ろしの巻
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和綴じ版残り1冊です。以降は無線綴じ製本に切り替わります。
幻想草子「星めぐり常世草子」シリーズの第一作目。きらびや��な天部たちが語り明かす異界譚、そのはじまりの話。
これは時代も土地もわからない、今は昔の物語。降り止まぬ星降りの禍に頭を悩ませていた文官は、ある夜庭の井戸に落ちてしまう。目覚めた地は現と思えぬ宮殿の前。宮殿の王とふたりの小さな従者たちの暮らす宮殿から、文官の異界と星を巡る物語が始まる…
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/718157386061348864/
星めぐり常世草子 巻の二 まよい星の巻
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仏教の外道の神「天部」を題材にした創作神話。当サークル刊行物の世界観の中心となる長編小説です。全四巻完結予定の連作、第二巻。
星降りを鎮めるために奔走する文官。しかし星を治める天を求めるはずが、自らの記憶の綻びが広がり行くことに不安を覚え始める…
本年秋頃に続刊を刊行予定です。
ぜひ今回のうちに先行巻をお楽しみください!
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/725047321413484544/
◆ 楽曲 ◆
Concept Soundtrack Vol.1 “The Star Hunter”
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当サークルの創作小説「星めぐり常世草子」シリーズのうち���巻の一「星降ろしの巻」から着想して作曲した楽曲CD。
作品詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/718205267226001408/
◆ 雑貨 ◆
【新作】[THE HANDS]新・観音御手フレークシール
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「千手観音の手」をモチーフに、レトロマッチ箱風の箱に収めたフレークシール。
旧版から仕様を変更し、新たに6手を追加した新版です。
詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/750422784753172480/
【創作イベント限定頒布】[THE HANDS]観音御手ウッドチャーム(小文付き)
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雑貨系デザインシリーズ【THE HANDS】のウッドチャームに、各モチーフから着想した短文小説を同封。
創作系イベント限定バージョンです。全6種、ランダム封入(購入時指定はできません)。
次回イベント出展以降は新規絵柄に切り替え予定です。
詳細はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/post/718160429227065344/
その他、仏教美術×和レトロをモチーフにした袋物・紙雑貨など、いくつか厳選して持ち込みます。
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荷物容量の都合により全ての雑貨は持ち込みません。悪しからずご了承ください。
当サークルの制作雑貨一覧はこちら https://hrk385knt92.tumblr.com/tagged/goods
【お支払いについて】
当サークルは現金払いのみのお取り扱いです。釣銭は不足のないよう充分にご用意しておりますが、できる限り小銭での金額ピッタリ払いにご協力ください。
もちろん、お持ちでない場合や1000円を超える会計の場合はこの限りではありません。
なお、大変申し訳ありませんが5000円札、万札のご利用は釣銭のご用意がなくお断りする場合がございます。
【通販のご案内】
当サークルでは一部作品につきましてデータ販売を行なっております。
→ 遥かの都 彼方の国 電脳舗
電脳舗取り扱い以外の各作品に関しては通販・委託販売予定は現時点でございません。
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初めて参加のイベントです。
4月に吉祥寺のZINE FESTに足を運んだ時にこのイベントがあるのを知り、今回参加しました。
ZINE FESTさんは出展者も会場の誘導といったお手伝い時間があります。主催者も参加者も一体となってイベントを作り上げる、そんなちょっと変わったイベントです。 そんなところが気になって(気に入って?)、参加してみることにしました!
実はギリギリまで出展者様の募集をしているイベントなので、今からでもぜひ一緒に参加しましょう!
参加お申し込みは↓ https://note.com/bookcultureclub/n/n4299583044b2
当日ぜひ足をお運びいただけましたら嬉しいです!
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bearbench-tokaido · 10 months ago
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三篇 下 その三
上方者は、 「ハァ、ソンナラお前のお馴染みは何屋じゃいな」 と、意地悪く問うと、 「アイ、大木屋さ」 と、弥次郎兵衛がいう。 「大木屋の誰じやいな」 と、上方者がさらに問うと、 「留之助よ」 弥次郎兵衛が答えた。 上方者が 「ハハハ、そりゃ松輪屋じゃわいな。 大木屋にそんな女郎はありもせぬもの。 コリャお前、とんとやくたいじゃ、やくたいじゃ」  (やくたい…上方言葉で、らちもない、とんでもない、よくない、など広い意味に使う)
弥次郎兵衛は、 「ハテ、あそこにもありやすよ。ナァ北八」  (大木屋は実在の大見世の扇屋のこと。松輪屋はやはり実在の松葉屋のこと。留之助は松葉屋の抱えの名妓の染之助のこと。したがってこのやり取りでは上方男の勝ち) 北八、面倒臭くなってきて、 「ええ、さっきから黙って聞いていりゃ、弥次さんおめえ聞いたふうだぜ。 女郎買いに行ったこともなくて、人の話を聞きかじって出放題ばっかり。 外聞のわるい。国者の面よごしだ」
弥次郎兵衛は、 「べらぼうめ、俺だって行くってんだ。 しかもソレ、お前を神に連れていったじゃァねえか」  (神…取り巻き、太鼓持ち。遊廓付きの本職ではなく、客が連れ込んだ遊びの取り巻き仲間。落語の野太鼓がこれである) 北八、思い出して、 「ああ、あの大家さんの葬式の時か。なんと、神に連れたとは、おおげさな。 なるほど二朱の女郎の揚げ代はおめえにおぶさったかわり、 馬道の酒屋で、浅蜊のむきみのぬたと豆腐のおから汁で飲んだ時の銭は、みんなおいらが払ったじゃねえか」  (葬式くずれで繰り込むなら安い店にきまっている。揚げ代二朱なら宿場の飯盛なみのごく安い女郎。馬道は吉原に通ずる町。そこの酒屋のぬたも汁もごく安い庶民的な食い物である)
弥次郎兵衛は、 「嘘をつくぜ」 北八も、 「嘘なもんか。しかもその時おめえ、さんまの骨をのどへ立てて、飯を五六杯、丸呑みにしたじゃねえか」 「馬鹿言え。お前が田町で、甘酒を食らって、口を火傷したこた言わずに」 「ええ、それよりか、おめえ土手で、いい紙入れが落ちていると、犬の糞をつかんだじゃねえか、恥さらしな」  (土手…吉原に入る途中の山谷堀に添った日本堤の土手八丁、金持ちなら土手八丁を四ツ手駕で飛ばし、貧乏人なら歩く、いずれも弥次郎の自慢が嘘だと、北八が暴露したかたち)
と、遣り合っている二人に、上方者が 「ハハハハハ、いや、お前方は、とんとやくたいな衆じゃわいな」 弥次郎兵衛が、 「ええ、やくたいでも、悪態でも、うっちゃっておきゃァがれ。 よくつべこべとしゃべる野郎だ」 上方者は、関わり合いにならない方がいいかと、 「ハァこりゃご免なさい。ドレお先へまいろう」 と、そうそうに挨拶して、足早に行ってしまう。 その後ろ姿をみながら、弥次郎兵衛は、 「いまいましい。うぬらに一番へこまされた。ハハハハハ」   この話の間に、三ケ野橋を渡り、大久保の坂を越えて、早くも見付の宿(磐田市)にいたる。
北八、 「アァくたびれた。馬にでも乗ろうか」 ちょうどそこへ、馬方が、 「��前っち、馬ァいらしゃいませぬか。 わしどもは助郷役に出た馬だんで、早く帰りたい。 安く行かずい。サァ乗らっしゃりまし」  (助郷…東海道の交通の確保のために、沿線の村々に幕府がかけた役務で、人馬の徴発を含めて重いものだった)
弥次郎兵衛は、 「北八乗らねえか」 と、問い掛けると、 「安くば乗るべい」 と、馬の相談が出来て、北八はここから馬に乗る。 この馬方は助郷に出た百姓なので、商売人の馬子でないから丁寧で慇懃である。
弥次郎兵衛は、 「そうだ、馬子どん。ここに天竜川の渡しへの近道があるんじゃねえかな」 と、思い出して、聞いてみると、 「アイ、そっから北の方へ上がらっしゃると、一里ばかしも近くおざるわ」 と、馬方がいう。 北八が、 「馬は通らぬか」 と、更にとうと、 「インネ、徒歩道でおざるよ」 と、ここから弥次郎は一人近道のほうにまがる。
北八は馬で本道を行くと、早くも加茂川橋を渡り、西坂の墳松の立場に着く。 茶屋女が声をかけてくる。 「お休みなさりやァし、お休みなさりやァし」 茶屋の婆も声をかけてくる。 「名物の饅頭買わしゃりまし」 馬方が、その婆様に声を掛ける。 「婆さん、おかしな日和でおざる」 「お早うございやした。いま新田の兄いが、一緒に行こうかと待っていたに。 コレコレ横須賀の伯母どんに、言いついでおくんなさい。 道楽寺さまに勧説法があるから、遊びながらおいでと言ってよう」  (道楽寺は遊びながらおいでにこじつけた架空の寺の名) 馬方は、 「アイアイ、また近うちに来るように伝えときましょう。ドウドウ」 と、いうと、また歩き出した。
「この馬は静かな馬だ」 北八は、珍しく乗りやすい馬なので、つい、そういうと、 「女馬でおざるわ」 と、馬方が、こたえる。 北八は、にんまりして、 「どうりで乗り心地がよい」 馬方が、問い掛けてきた。 「旦那は、お江戸はどこだなのし」 「江戸は日本橋の本町」 と、北が答える。 「はあ、えいとこだァ。わしらも若い時分、お殿様について行きおったが。 その本町というところは、なんでもえらく大きい商人ばかしいるところだァのし」 と、昔のことを思い出しながら、話してくる。 「オオそれよ。おいらが家も、家内七八十人ばかりの暮らしだ」 と、またまた、くちからでまかせ。 馬方もしんじているにのかいないのか、 「ソリャ御大層な。お神さまが飯を炊くも、たいていのこんではない。 アノお江戸は、米がいくらしおります」 「まあ、一升二合、よい所で一合ぐらいよ」 と、考えながら言うと、 「で、そりゃいくらに」 と、馬方は、よく分からない。 「知れたことよ、百にさ」 と、北八がいうと、 「はあ、本町の旦那が、米を百文づつ買わしゃるそうだ」 馬方は���違いして、そういう。 北八、笑いながら、 「ナニとんだことを。車で買い込むは」 「そんだら両にはいくらします」 と、馬方。 「なに、一両にか。ああ、こうと、二一天作の八だから、二五の十、二八の十六でふみつけられて、四五の廿で帯解かぬと見れば、無間の鐘の三斗八升七合五勺ばかりもしようか」  (割り算の九九の二一天作の八は一二天作の五の間違い、途中から浄瑠璃の文句でごまかしている。米の値段も出でたらめ) と、何やら、難しそうな、計算をはじめる。 「はあ、なんだかお江戸の米屋は難しい。わしにゃァわからない」 馬方は、すっかりけむに負かれて、 「わからぬはずだ。おれにもわからねえ。ハハハハハ」 と、北八も自分でいっててわからなくなった。
この話のうちにほどなく天竜川にいたる。 この川は信州の諏訪の湖水から流れ出て、東の瀬を大天竜、西の瀬を小天竜と言う。 舟渡しの大河である。弥次郎は近道を歩いてここで北八を待ちうけ、ともにこの渡しを越えるとて、一首。
 水上は 雲よりい出て 鱗ほど 浪の逆巻く 天竜の川  (水、雲、鱗、浪、逆巻く、みな竜の縁語の竜づくしが趣向)
舟からあがって立場の町にいたる。 ここは江戸へ六十里、京都へも六十里で、東海道の振り分けになるから中の町(浜松市)というそうだ。
 傾城の 道中ならで 草鞋がけ 茶屋に途絶えぬ 中の町客  (ここを江戸吉原の中の町に見立てて、花魁道中の高足駄の代わりに草鞋、吉原の引き手茶屋と街道筋の茶屋、どちらも客が絶えぬと言う趣向)   それより萱場、薬師新田を過ぎて、鳥居松が近くなったころ、浜松宿の宿引きが出迎えて、 「もし、あなたがたァお泊りなら、お宿をお願い申します」 と、二人の呼びかける。 北八がそれに答えて、 「女のいいのがあるなら泊りやしょう」 客引きここぞとばかりに、 「ずいぶんおざります」 と、いうと、弥次郎兵衛が、 「泊まるから飯も食わせるか」 宿引き 「あげませいで」 北八、 「コレ菜は何を食わせる」 宿引き、 「ハイ当所の名物、自然藷でもあげましょう」 「それがお平の椀か。そればかりじゃあるめえ」 「 それに推茸、慈姑のようなものをあしらいまして」 「汁が豆腐に蒟蒻の白和えか」 と、北八が、客引きとやりあっている。
弥次郎兵衛が、 「まあ、軽くしておくがいい。その代わり百ケ日には、ちと張り込まっせえ」  (ここのやり取りは、宿引きの言うのが、野菜ばかり並べた精進料理なので、死人の法要の料理だと皮肉ったのである。法要では、当初と百ケ日には料理を張り込むのがしきたり) 「これは異な��とをおっしゃる。ハハハハハハ。時にもうまいりました」 「オヤもう浜松か。思いのほか早く来たわえ」 と、弥次郎兵衛、ここで一首読む。
 さっさっと 歩むにつれて 旅ごろも 吹きつけられし 浜松の風  (松風の音の颯、颯と、さっさと歩くとにかけている。風に吹き送られて早く着いた意味も含む)
その横を宿ひきが駆け抜ける。
宿引きは、旅館に駆け込むと、 「サァサァお着きだよ」 と、置くに声をかける。 「お早くございました。ソレおさん、お茶とお湯だァよ」 それに、こたえて、この旅館に亭主が出てくる。 弥次郎兵衛が、 「イャそんなに足はよごれもせぬ」 と、いうと、亭主 「そんなら、すぐにお風呂にお召しなさいまし」 と、奥に案内しようとする。
つづく。
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satoshiimamura · 1 year ago
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第4話「姉(ななばん)妹」
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 地下都市クーニャから地上に出たとしても、学校は変わらないのだな、とゆらぎは思っていた。
 唯一と言ってもいい変化は、ここがイカロスの搭乗者養成校であり、学校の全てを管轄するのが「めろり・ハート」だということだ。
 ホログラムの彼女が教壇に立ち、今後の予定を告げていく。列車で見たときと同じように、派手な学生のような見目。しかし全ての教室で、全ての時間をたった一人、彼女が統括しているのを今日一日見せられてしまえば、並みのAIでないのは理解できた。
 すでに新入生はダイブと呼ばれる基礎的な操作方法のインプットは終わっていたらしい。その後の後遺症や、不備、機体自体の説明が今日のメイン講義だった。
「それじゃあ、明日からは具体的なイカロス操作に関して講義するよん。遅刻厳禁、でも朝ごはんはちゃんと食べること!」
 一日の授業が全部終わり、多くの生徒たちが立ち上がる。すでに入学から数日が過ぎている。数人単位のグループが、教室内にいくつか見えた。
「獅子夜、準備はいいか」
「ゆらっち、はよ行こ」
 ゆらぎの背後から、声が掛かる。振り向けば色白の男子生徒と、赤毛の女子生徒。
「うん、今行く。イナくん、早瀬さん」
 久々の、気の抜けた生活だとゆらぎは思った。
 色白の男子学生、イナ・イタライ。ゆらぎの親友祐介と同じく、飛び級で卒業して、入学した少年。適正診断では、ゆらぎと同じオペレーター。対し、赤毛の女子生徒は早瀬ルナ。昔みたアニメ映画の、関西弁というものに憧れて真似し始めたという少女。適正診断ではパイロット適正が高く、イナと共にパートナー候補として、登録する予定らしい。
 彼ら二人が、ゆらぎの学園での新しい友人だ。
 好奇心の視線に晒されたゆらぎ��、臆せず、列車では隣だったとルナとイナが話しかけてきたのがきっかけだった。今日一日、一緒に授業を受けて、昼休みや教室移動での案内役を二人が担ってくれる中、意外なほど趣味があったのも、気安く会話できた理由かもしれない。
「よーやく、シュミレーター室の予約とれたんよ。ゆらっちも一緒なんやから、イカロス操縦のコツ教えて欲しいわ」
「早瀬、獅子夜はオペレーターだ。必ずしも、パイロット操作が得意とは限らない」
「イナっちには聞いとりません」
「うーん、おれ実は、パイロットちょっと気になるんだよね」
「せやろ、せやろ!? ほらほら、イナっち聞いた?」
「うるさい」
 やいのやいのと騒ぎながら、三人は学園内にあるイカロス搭乗のシュミレーター室へと向かう。時折、ゆらぎを見て鋭い視線を向けたり、ひそひそと何か話すような仕草をする生徒たちもいた。しかし、それらは全てイナとルナの二人から無視するように言われていたので、ゆらぎも気にせずに会話をし続ける。
 シュミレーター室に入った時も、似たような視線が多かったが、やはり三人とも気にせずに、指定された機器へと向かった。
「あははは、ゆらっちパイロットの才能なさすぎでしょ」
「ここまでオペレーター特化型だったとは……」
 けらけらと笑い続けるルナに対し、イナは気にするなとゆらぎを慰めてくる。シュミレーターということで、張り切ってパイロットをしてみたゆらぎは、あまりの操作の難しさと、感覚の違いに愕然としながら即座に撃墜。ここまで向かないのかと落ち込んでいた。
「……右近さんは、あんなにも簡単に操作してたのに」
「まぁ、ナンバーズの一員なのだろう? 僕らとは経験が違う」
「それはそうなんだけどさ……おれの経験の浅いオペレートで、あそこまで動いてたのがすごいなって改めて思えた」
 ゆらぎの説明で、うんうんと頷いたのはルナだ。
「ゆらっちのオペレート、わかりやすいんよ。でも、あんだけ一気に情報渡されると、うちも混乱するわぁ」
 先程、試しに組んでみた際には、ゆらぎのオペレートを処理しきれずに早瀬ルナは撃墜。イナのオペレートでは、オーバーフローは起こさなかったが、今度は見逃した敵が多く出た。
「獅子夜と組んでいるナンバーズの神楽右近は、閲覧できる資料だとオペレーター適正も高いようだな」
「はぁ、すごいお人なんね」
 イナが配布された携帯端末から調べた情報を伝えると、感心したのがルナ。さらに落ち込んだのがゆらぎだ。
「二刀流だなんて、うらやましい」
「これが特殊例……でもないな。六番の神楽左近も似たような適正値だし、四番オペレーターのユエン・リエンツォもかなりのパイロット適正値だ」
「あの双子、そこまで一緒なの!?」
「どうして、双子で組まんかったんやろね」
 ゆらぎからナンバーズの情報も聞いていたルナたちからしてみれば、同じ適正値同士なら組んでもよかった��ではないかと思われた。が、ゆらぎだけは、なんとなく予想がつく。というよりも、あの短時間で両者のスタンスが分かりやす過ぎたのだ。
「たぶん、右近さんも左近さんも……お互いには負けたくないんじゃないかな」
 負けず嫌いの権化のようなあの双子だと、手を組む発想はあまりなさそうだ。ゆらぎはそう思っていた。彼の説明を聞いて、イナもルナもそうなのかとだけ思う。
 その時、ゆらぎを呼ぶアナウンスが流れた。放送は、受付カウンターまで来るように告げられる。
「なんだろう」
「とりあえず、行ってみんと分からんわね」
 ルナの言葉にゆらぎもイナも頷いた。
 そうして三人が、シュミレーター室の受付カウンターにやってくると、随分な人集りができていた。
 その中心にいたのは、二人の女性だ。彼女たちの身につける制服とその腕章から第三学年だというのが分かる。
 その片方が、イナやルナと共にやって来たゆらぎに気づいた。
「あなたが、獅子夜ゆらぎ?」
 ややつり目がちの、黒髪をツインテールにした女性が、ゆらぎに尋ねてくる。その眼力は強く、つい目を反らしながらもゆらぎは肯定した。
「は、はい」
「そう、じゃあ裁定勝負をお願い」
「え、」
「突然で驚いてるかもしれないけど、あたしは君がナンバーズに、しかも五番に相応しいと、ちっとも思わない。神楽右近とスバル・シクソンのペアなら、認めてたわ。でも、パートナーが交代したなら、また一から始めるべきだと思わない?」
 だから、裁定勝負をお願いしたいの、と続く女性の言葉に、ゆらぎは目を白黒させる。
「あ、あの……あなたは」
「あら、ごめんなさい。あたしは兎成あゆは。ナンバーズ七番のパイロットで、こっちはオペレーターの」
「梓・A・兎成だよ。お姉ちゃんはすごいんだからね! あんたなんか、すぐに負けるに決まってる」
 ツインテールの女性の陰から、ひょっこりとまた別の女性が出てくる。あゆはと同じ髪型と服装なのだが、より小柄で金髪のため似ているかと言えばそうでもない。また梓は、あゆはよりかは派手な化粧をしている。だが、互いに同学年でありながら、姉妹と称する言葉にゆらぎは戸惑った。
「姉妹の」
「ナンバーズ」
「七番」
 ゆらぎと同じように、成り行きを見ていたイナとルナが唖然とした表情を浮かべる。それぞれが引き継ぐように、驚きのポイントを述べていった。
「あら、姉妹が珍しいの? クーニャでも、それなりにいたはずよ」
「わたしたち以上に、双子なんてほうが珍しいのに変なの」
 あゆはと梓の互いの言葉に、どこから何を言うべきかとゆらぎは戸惑う。いや、そもそもの成り行きから驚きの連続なのだから、とっくのとうにゆらぎのキャパシティはオーバーしていた。
 だが、さらに事態は大きくなっていく。
「ちょうど良いタイミングだったようですね」
 聞き覚えのある声が、ゆらぎに掛けられた。その際、周囲のざわめきが、極端に大きくなった気がする。よくよく見てみれば人集りも、先程���りも二回り以上も大きくなっている。その原因は、一眼見て分かるほどに簡単だった。
「右近さん」
 やってきたのは、朝別れたきりの男、神楽右近だった。
 ナンバーズ、五番、あの双子とヒソヒソ声が小波となって耳を通り過ぎる。その中にの紛れ込んだ友人の二人は、あの人が、という言葉以外何も零せなかった。
「臆病者が何の用」
 あゆはが辛辣な言葉を吐く。梓もまた、無言で彼を睨みつけていた。それをものともせず、右近は仮面のように白々しい笑みを浮かべて答える。
「何、兎成姉妹にも朗報です。俺と獅子夜くんのペアを認めるために、七番か四番との裁定勝負が決定しました。この機会を逃すほど、あなたたちもナンバーズの矜持は欠けていないでしょう」
「呆れた。あなたにナンバーズの矜持があるかと問われるとはね」
「それで、受けるのですか? それとも、四番のお二人に譲る?」
「受けるに決まってるじゃない」
 どう見ても右近が兎成姉妹を挑発していた。だが、姉妹のどちらも冷静さを欠いていることに気付いていないようだ。
「あの……裁定勝負って、何ですか」
 何かに巻き込まれていることだけは分かっているが、さてそれが何かと言われてもゆらぎにはさっぱりだ。恐る恐る、低く手をあげて右近に尋ねてみれば、彼は実に胡散臭いとしか言いようもないほどにニッコリと笑って「後ほど説明しますね」と述べた。
 どう考えても、ゆらぎがイカロス初搭乗時並みの暴走に思える。思わず、ルナとイナの両名がゆらぎの両腕をがっつり掴んだ。本当に大丈夫なのかと、今日一番の不安な顔を二人共がして���る。大丈夫かどうかはゆらぎも分からない。
「エイト・エイト、聞いていましたか」
「はいよー、バッチリ。それじゃあ、リンクを雪斗のところに持っていけばいいね。観戦の処理は全部あっちがすればいいか」
 三人の不安な表情に気づかない右近は、そのまま腕時計端末からエイト・エイトを呼び出す。小さな彼のホログラムは元気いっぱい、笑顔で敬礼をしていた。
「そうですね。左近とルー経由で他のメンバーには観戦してもらいましょう。兎成姉妹も、それでいいですか?」
「あたしは問題ないわ。梓は?」
「私もないよ。でも審判は誰がやるの? エイト・エイトとテトラ以外のナンバーズAIを呼ぶにしても、瀬谷雪斗は論外だからね」
「ああ、学園ですから適任がいますよ」
 そこで右近は、室内の端に寄せられた机に向かって相手の名前を呼んだ。
「めろり教官」
 彼の呼びかけに応じるように、机のそばに等身大のホログラムが現れる。それは、ぱっと見では学生のようにも思えるめろり・ハートだった。だが、右近だけでなく、あゆはや梓もまた彼女への対応は実に丁寧だ。
「なによ、この問題児」
「学園内の会話は、あなたには筒抜けでしょう。単刀直入に言えば審判をお願いしたい。公平公正な立場でできるのは、あなただけだ」
「この間の件を恨んで、君たちのことを厳しく見るかもしれないよ」
「そん��こと、あなたは決してしない」
 その言葉には、絶大な信頼があった。
 めろりは大袈裟にため息をつくと、「しょうがないなー」と呆れた仕草をする。
「エイト・エイト。めろりの審判での裁定勝負と、学園設備の貸し出しを許可するって向こうに伝えて。瀬谷雪斗とのオープン通信の権限の一時的譲渡もするから」
「エイト・エイト、了解しました」
「あゆは、梓。二人ともテトラにめろりとの同期を許可して。後でエイト・エイトにも同期するよう伝えるけど、学園内で行う裁定勝負なら、学園側にもその戦闘ログを提出してもらうよ。後進の育成機関だもん、ここ」
「兎成あゆは、了解です」
「梓・A・兎成、了解です」
「神楽右近、要請了解しました。エイト・エイトの帰還次第、同期許可を出します」
 ぽんぽんぽん、と軽快な言葉のキャッチボールが進む。めろりの提案にゆらぎたち新入生を除いて、多くの生徒たちは興奮し始めた。
 ざわめきの中身は、ナンバーズの裁定勝負が生で見られること。そもそもナンバーズの戦闘が見られるだけでもかなり珍しいようだ。
「それじゃあ、二組ともめろりが指定した機器に搭乗して」
 右近から「さて、行きましょうか」と招かれて、ゆらぎはゆっくりと歩き出す。それまで両腕を押さえていた友人たちの手は、あっけなく離れていった。
「それから、イナ・イタライと早瀬ルナ。二人は新入生だし、特等席で観戦しよっか」
 こっちだよん、と案内するめろりに連れられてどこかに行った直後のどよめきで余計にゆらぎは心配する。が、いつの間にか戻ってきたエイト・エイトが、右近の端末から「心配しないで」と声を掛けてきた。
「めろりちゃん相手に文句言う生徒はいないし、あの人あれでもこの学園を取り仕切るAIだから。二人が厄介ごとから避けられるように、めろりちゃん気を回してるんだよ。もちろん、今回の件は獅子夜くんに責はなーんにもないから、変に気にすることはないよ」
 右近はその辺り鈍いからね、と揶揄するようAIに対し、右近は実に複雑な表情を浮かべていた。
「……悪かったですね、鈍くて」
 否定する言葉でなかったので、それが真実を物語っていた。
 ゆらぎが搭乗したのは、模擬戦用に使っていた先程までの機器とは違う機器だった。より複雑で、より性能の高い模擬戦用の機器らしい。確かに、先程よりもよりイカロスに乗っている感覚が強い。
「そもそも、裁定勝負はナンバーズ同士の戦闘になるので、より高速で処理できる機器とAIが必要になります。今回は特例として学園で行いますが、普段はファロス機関の中にあるシュミレーターで行われるんですよ」
 右近のこれまでの経緯と、裁定勝負についての説明が行われたところで、ゆらぎは一つ、気になったことがあった。
「どうして、学園内にそのような機器があるんですかね」
「……まぁ、推測でしかないですけど、たぶん必要だとめろり教官たちが、かつて思ったんではないですかね」
 相棒の歯切れの悪い言葉に、ゆらぎは首を傾げる。なにやら含みのある言い回しだが、と思ったところで、聞き覚えのない男性の声が聞こえた。
「やぁやぁ、獅子夜ゆらぎくん。噂は左近から聞いてるよぉ。さてはて、準備はできた���なぁ?」
「……雪斗。裁定勝負前に、俺たちに接触していいんですか?」
 呆れたように右近が相手の名前を呼べば、オペレーター席のすぐそばにエイト・エイトとともに男性AIが現れた。
 銀髪は襟足まで、同系色の目は銀より濃く灰色だ。デニムジャケットとシルバーアクセサリーの組み合わせに、エイト・エイトとは違ったベクトルでの陽気さを感じ取る。
「審判はめろりちゃんだし、僕は観戦実況担当なんだな。と、初めまして獅子夜ゆらぎくん。僕は瀬谷雪斗、左近たちのAIだよ。今回は、僕を通して他のナンバーズたちに裁定勝負を見てもらうことになってるから」
 ほら、と瀬谷雪斗が表示した画面には、円卓とそこに多くの人々が並んでいる。ゆらぎがわかるのは、一段高い位置に座るユタカ司令官と、にこやかに手を振っている左近くらいだ。
「いやー、こんなおもしろい裁定勝負ってなかなかないよねぇ。僕、楽しみで楽しみで、右近たちが負けたら全力で左近たちをけしかけようと思ってるんだぁ」
 にこやかに言うべき話ではないのは百も承知なのだろう。そこで、ようやく真顔になった雪斗は、触れられないのは分かった上でゆらぎの頭を撫でて、右近を睨む。
「僕は観戦しかできないからさ。ちゃんと前を向きなよ、右近」
 じゃあ、もう準備よさそうだねと微笑んだ雪斗が、ホログラムごと消える。残されたのはエイト・エイトで、彼は苦笑していた。
「激励するんだって、左近やルルの言うことも聞かなくてね。特例ではあるけど、雪斗曰く特例尽くしの裁定勝負なんだから、べつに構わないだろうって。獅子夜くんには何のことかさっぱり分からないだろうけど、それだけ五番の裁定勝負って注目されてるんだよ」
 ね、右近。とAIからの同意を求める言葉に、言われた本人はため息を一つ。
「……獅子夜くんの実力、無駄にはさせませんよ」
「そうそう、その調子」
「そろそろカウントダウンが始まります。獅子夜くん、エイト・エイト。準備はいいですか?」
 そう言って右近は前を見た。つられるように、ゆらぎもまた前を向く。
 それまで無機質の壁だったのが徐々に透明になっていき、空中に多くの文字が並んだ。そして中央には大きな数字が刻一刻と形を変えていく。
 三……二……一……カウントゼロの瞬間、オペレーターであるゆらぎの視界が変えられた。
 一面に映るのは、都市ファロスの上空。ゆらぎが感知する全てが、最初に搭乗したときと同じ範囲であり、風も光も暑ささえもシュミレーターでありながら感じ取れる。
 今の天候は、やや風が強めではあるが晴天だ。
 そして、彼らが乗るのは青のイカロス。多量の銃器と、素早い動きでの接近および中距離攻撃に特化した形状そのままに、想像の世界にいた。
「……すごい」
「これがめろり教官が、教官として万人に敬意を抱かれる能力ですよ。彼女一人で、ここまで舞台を再現できるのは……かなりの異端です」
 さて、と右近がゆらぎに告げる。
「この舞台での敵はペティノスではなく、同じイカロスです。兎成姉妹の乗るイカロスは赤。大変目立つ機体なのですが」
 説明の合間に、光弾が三発ほど彼らの機体を襲った。即座にゆらぎはシールドを貼り、光弾の弾道から敵の位置を確認する。だが、彼の感知できる範囲にイカロスはいなかった。
 続けて五発の弾が放たれるが、その軌道が歪んでいくのをゆらぎははっきりと感じ取る。
「着地点の予測を。あの弾の道は初期設定値から変えられません」
 右近のセリフに、ゆらぎは考えられる場所を可能性が高い順に提示。即座に右近はその中から、経験的に最もあり得そうな軌道を選び出し、回避の動きをした。
 五発の内四発の回避に成功する。だが、一発は避けきれずに被弾した。
 機体の揺れと衝撃が本物のように来る。
「さすがに、全ては難しかったようですね」
「すみません……おれがもう少しちゃんとオペレートできてたら」
 演習でルナに言われたのも、実際にパイロットのシュミレーターをしたからこそ実感できる。ゆらぎの実力は、オペレーターとしてもまだまだ未熟だ。それを右近の技量で跳ね上げているだけに過ぎない。
「いいえ、正直君の技量はダイブ直後から飛び抜けています。今はただ単に経験が浅いだけですので、そう落ち込まないでください」
「ですが」
「獅子夜くん、相手は遠距離型のイカロスです」
「……」
「兎成姉妹は、ほとんどの天候でも命中率が高く、また弾道の設定可能な種類の多さでナンバーズに上り詰めました。どれだけペティノスたちから攻撃されていようが、対応するどのような機体の動きの中でもそれが可能なのは、パイロットとオペレーターの技量と経験が卓越しているためです」
 が、とそこで右近は悪戯っ子のように笑う。
「それを先日ダイブしたばかりの新人オペレーターに予測されたどころか、半分以上回避されたんです。彼女たち、ものすごく苛ついてるでしょうね」
 ふふふ、と笑い続ける彼に、ようやくゆらぎは力が抜ける。
 今日一日、あのナンバーズ五番の新オペレーターとして、ありとあらゆる視線に耐え続けたのだ。緊張でとっくに疲れ切っている。他のナンバーズから裁定勝負だと言われても、イカロスに一度しか乗っていないから、それがどれほどの意義を持つものなのかも分からない。
 分からない、分からない、分からないけど、どうにかしなくてはいけない。でもどうすればいいのかさえ分からない。イナやルナたちと過ごして、少しだけ安堵したのだが、それでも彼ら彼女らに頼り切るわけにはいかない。そんな思いでいたにも関わらず、右近は簡単にゆらぎを振り回す。全部、全部、右近が蒔いた種だし、ゆらぎは巻き込まれているだけだ。なのに、原因は楽しそうに相手を下すことしか考えていない。
 エイト・エイトが彼は鈍いと言ったのもよく分かった。
「……もういいです。そうですね、右近さんはそういう人でしたね」
 悩むのが馬鹿らしい、と悟ったゆらぎはついそう言ってしまった。途端に、びくりと右近の肩が揺れる。
「深刻に受け止めたおれが馬鹿でした。おれが未熟だからってくよくよしてたのが、本当にあほらしいのも分かりました」
「あ、あの……獅子夜くん?」
「右近さん!」
 キッとゆらぎは背後を見ずに、前だけを睨みつける。だが、鬼気迫るものを感じ取ったのか「はい!」と普段より大きな声で右近は返事をした。
「おれは未熟なオペレーターなので、あとは全部右近さんに任せました!」
 いきますよ、と声をかけたゆらぎは、あっという間に周囲の状況を数値化し、可能性を全て提示し、そして後の判断を相棒に放り投げる。
 その数値の中には、罠と思われる機雷や爆発のために使用するセンサー系、あるい弾道を瞬時に切り替えるための仕組みなども混ざっていた。
 一瞬だけ呆けた右近は、その次には悪どい笑みを浮かべて、イカロスを動かし始める。
 移動、行動、その結果やってくるのは、敵の攻撃だ。
 再びゆらぎは、ありとあらゆる可能性を、なんの脈絡もなく提示する。先程のように可能性の順位は一切されていない、本当にただのデータだ。だが、それだけでも右近には十分だった。
 今度は五発の光弾が五発とも回避できた。
「これでいいですか!」
「構いません。相手のところまで最短ルートで突っ切るので、揺れます。酔わずにオペレートお願いします」
「右近さんこそ、データ読み間違えしないでください」
「生意気な新人ですね」
「あなたの相棒です」
 その返答でパイロットが笑ったような気配した。が、続く「行きます」の右近の言葉の直後に、本当に派手にイカロスが揺れる。
 ゆらぎの視界がブレるも、根性でオペレートを続ける。対し、右近は口笛を吹きながらも、次から次へと出される数値を頭に叩き込み、乱暴にイカロスを動かす。時に操縦席着弾の直前で、敵の攻撃を撃墜する荒技までしでかしている。
 重力というよりも遠心力や爆風でオペレート席から転がり落ちそうだ。
「ははは、あいつら焦り始めましたね」
 穏やかさのカケラもなく、好戦的なまでの「きますよ」の言葉通りに雨霰のように光の塊が降り注ぐ。いくつかダミーだったり、あるいは囮だったりで不規則な動きをしているのもあるが、既にゆらぎの中では、タネが分かっている。即座に、撃ち落とす光弾と放置していい光弾を分けて、最短ルートを叩き出した。
「無茶を提示しますね」
「最初から無茶しかしてません」
「失望しましたか」
「逆です」
「なら、頑張ります」
 さらにイカロスが加速する。その加速に合わせて、ゆらぎが再計算した結果を出した。それに戸惑う右近ではない。
「嘘でしょう」
 兎成あゆはは、否定の言葉を吐きながらも相手のことを認める。獅子夜ゆらぎのオペレーター能力は本物だ。
 これまで散々、裁定勝負を仕掛けようとして六番の二人にやられていたのだ。今ならどさくさに紛れて五番を引きずり落とす裁定勝負に持ち込めると思ったのに、番狂わせである。
「なにあれ、なにあれ」
 妹の梓は相手の動きを計算して、弾が当たるように数値を変えていく。だが、それ以上に青のイカロスの動きが早すぎるし、どう冷静に見ても無茶苦茶な戦法を即座に実行し続けている。
「なんだって、あんな馬鹿な動きするのよ!」
 すでにこの場��留まるメリットはない。五番は五番らしく、狩人のように彼女たちを追い詰めていく。
「梓、離脱する」
「うん、分かった」
 その言葉の通りに、赤のイカロスは逃げに徹し始める。
 姉妹だって、それなりに息のあった連携をしている。だが、今回の五番のオペレーターとしてやってきた獅子夜ゆらぎの、神楽右近との相性はだいぶ良いようだ。
「スバル・シクソンとだって、あんな無茶してなかったじゃない」
 一年以上前の記憶を頼りにしているとはいえ、それでもここまでじゃなかったと、あゆはは断言できる。彼は、もう少し嫌らしい戦法を好んでいたはずだ。
「お姉ちゃん!」
 妹の梓の呼びかけに、はっとするあゆは。逃亡ルートに、いつの間にか罠が仕掛けられていたようだ。
「これって」
「私たちが仕組んだやつそのまま利用したんだ」
 梓の解析に、あゆはも舌打ちをする。前言撤回、今回のオペレーターもかなり嫌らしい戦法を使うようだ。いや、もしかしたらあのエイト・エイトが教えたのかもしれない。
「梓、今は逃走を優先するから、最小の被害でいけそうなところ教えて」
「分かっ……え?」
 画面上に映る逃げ道がないと出された数値と困惑する妹。
 その梓の疑問の答えを、コンマ数秒であゆはは導き出した。
「やられた! あいつら最初から逃亡ルートまで予測してたんだ」
 最小の被害、または最短のルート。どちらに賭けていたのかは知らないが、それでも最もという制限を用いたら、彼女たちの行動は予測可能だ。
 逃亡ルートに向かおうとした赤のイカロスは、逃げ切るよりも前に、彼女たちが放った以上の弾数によって戦闘不能にされたのだった。もちろん、その攻撃をしたのは青のイカロスだった。
「決まったようだな」
 五番と七番の裁定勝負という、異例尽くしの勝負を見守っていた他のナンバーズたちは、ユタカの言葉につまらなそうな顔をして頷いた。例外なのは、六番の神楽左近とルル・シュイナードのみ。随分と嬉しそうだ。あとは、三番オペレーターのクレイシュ・ピングゥがキャッキャッと楽しそうに笑っている。
「まぁ、なかなかやるようだ」
 二番のアレク・リーベルトの言葉に、パートナーのアンナ・グドリャナもまた肯定のサインを出した。
 その横では、だらしない体勢でこれまでの勝負をみていたユエンが相方のナーフに問いかける。
「ふーん、わいとしてはどうでもいんんだけど、ナーフどう思う?」
「こちらも裁定勝負をするべきだと思う。おれたちの実力差は殆どないない」
「あんなひよっこ相手に? ナーフったら心配性だなぁ」
 まぁ、いいよと続く言葉とともに、四番のユエン・リエンツォは猫のような気まぐれさで目を細めた。
「それじゃあ、こちとら四番らしくお相手してあげようかねぇ」
 ナーフは無表情を少し和らげて、目元だけをユエンのように細める。その視線の先には、映像に映る青のイカロスがあった。
「それでは、とりあえず神楽右近と獅子夜ゆらぎのペアは、五番として認める方向でよろしいですか」
「私に聞かなくてもいいだろう、ユタカ。君がファロス機関の総司令官なのだから」
 ユタカの問いに、三番のパイロットである現見空音はしかめっ面のまま返事をする。
 いよいよ退屈な時間が終わると思い、それぞれが席を立とうとしたところで、現場で起きている違和感に気づいた。
「……何かおかしくないか?」
 左近の言葉で、ナンバーズの動きが止まった。
 違和感の発端は、赤のイカロスで起きていた。
「悔しいけど、あなたたちの実力は認める」
 あゆはが通信越しで、ゆらぎや右近に負けを認めていた。
 既に裁定勝負が終わり、めろり・ハートの宣言により勝敗も公式なものになっている。ちらちらと別回線で見える訓練室の光景は、興奮の渦で満ちていた。
「そもそも左近たちに勝ててないんですから、この結果は当然ですよ」
「右近、あなたその嫌味な口調いい加減やめたら? 左近との差別化とかなんとか言ってたけど、全ッ然似合ってないのよ。左近の方がまだ裏表なくて好感持てるから」
「あなたたちが俺を左近と間違え続ける結果です。悔しかったら、見分けてみなさい」
「だーかーらー」
 さらに口喧嘩が発展しそうなところで、ゆらぎの制止がかかった。
「右近さん、その言い方は流石にないです。そりゃあ確かに勝負の吹っ掛け方が唐突でしたし、おれへの配慮も全くなかった先輩ですが、右近さんだって似たようなものです。右近さんが指摘するのは、どう考えてもブーメランというやつです」
 そのゆらぎの言葉に右近は押し黙る。あゆはは、こめかみを引き攣らせる。
「ちょっと獅子夜ゆらぎ。あなたフォローしたいの? それともあたしを貶してるの?」
「え、フォローしているつもりですが……」
 自分何か間違っていますか、と言わんばかりの表情を浮かべていたゆらぎに、あゆはもまた心に傷を負う。
 戸惑い続けるゆらぎと、黙ってしまったパイロットの二人。そして、これまで一切会話に加わらなかったもう一人のオペレーターは、ずっと泣き続けていた。
「悔しい、悔しい! あんな新人の罠に引っかかるなんて、悔じいいい」
 テトラと呼ばれている、一瞬男性かと見間違う麗人のAIに慰められてた梓は更にゆらぎへの呪詛を吐き出し始めた。そして、唐突に「そうだ」と呟く。
「こうなったら、お願いめろりちゃん!」
 梓は化粧が落ちてぐじゅぐじゅになった顔を隠すことなく、めろりを呼び出す。
「はいはーい、何かな?」
「あのデータを展開して!! あの新人に、上には上がいるって思い知らせてやる」
 その言葉に不穏な何かを察したあゆはが、待ったをかけようとした。
「ちょっと梓? 何を言ってるのよ」
 あゆはが梓を問いただすも、先程のセリフにめろりは意味深に笑う。それは待ちに待ったご馳走を前にした、肉食獣の歓喜に似ていた。
「いいよん、めろりもそろそろ頃合いだと思ってたからね」
「ねぇ、めろりちゃん、待って」
 止めようとするあゆはを無視し、青と赤のイカロスの間にめろりのホログラムが登場する。そして、パチンと指が慣らされた。途端に赤のイカロスは退場し、幻想の都市は消え失せる。そして、いくつもの数字が見えない壁を形成した。
「なんですか、これは」
 通信越しで兎成姉妹の片方が、何かを企んだのは理解している。外部の様子を確認するゆらぎ。対し右近は無言で全面を睨みつける。
 シュミュレーター内の���変は、外で様子を見ていた面々も気づいていた。なんだなんだと、観戦していた生徒たちがモニタに群がる。それとは別に、ファロス機関から見ていたナンバーズたちも、固唾を飲んで見守っていた。
「データ展開、凍結解除、展開スピードを加速。フィールド情報をリセット、年代の固定、天候は晴天、蓄積データにアクセス。アクセス権の譲渡完了、データロック解除、百桁のパスワードを入力、問題なし。フィルタリングを実行、ノイズ除去、容量の圧迫問題なし」
 めろりの朗々とした進行の言葉は、祈りの祝詞のように抑揚はない。
「展開データを実体化、残り三十……二十……十パーセント、カウントゼロ。投影開始します」
 そこでようやく文字が消え失せて、先ほどよりもより高度が高く設定された、都市ファロスの上空に青のイカロスは浮かんでいた。
 強風が延々と流れ続け、けれど雲ひとつない快晴の中、太陽光が容赦無く照りつける。
 そして、それは現た。
 その存在が何か理解した者は、多くいた。
「ゲッ!?」
 現れた存在を目にした瞬間、左近は汚い声をあげる。そして、三秒にも満たない思考の末に、すぐさまモニタリングを止めようとした。が、それを押しとどめる声が響く。
「いいじゃないか、左近君。閲覧禁止のあのデータを、どこで君が知ったのかは知らないが、これもいい経験だ」
 現見は無表情ながらも、周囲のナンバーズや長官たちへと同意を求める。それぞれが、焦り、驚き、興味深く、そして怨敵のような表情を浮かべているが、それでも否はなかった。
 
 現れたのは、巨大な騎槍を持ったイカロスだった。
「銀色の、イカロス?」
 見たことのない機体の色に戸惑うゆらぎ。だが、怒鳴るように右近はシールドを展開するように告げた。
「え? あ、はい全方位シールド展開しまし」
 た。と最後の音を発音するよりも先に衝撃が訪れた。それは、ゆらぎには感知できないものだった。いや、何かノイズが脳裏に走った気がする。
 気がついた時には、展開したはずのシールドが粉々になっていた。
「……え?」
「次が来ます!」
 何が起きたのか分からないままのゆらぎを叱咤激励して、右近は機体を僅かに動かす。そのズレが功を成したのか、彼らが乗るイカロスは右側に展開している銃の全てをもぎ取られるだけで済んだ。
「兎成妹! 馬鹿なデータを展開してくれたものですねッ」
 舌打ちとともに、残った左側で応戦を右近は開始する。だが、先程はっきりと見えた銀のイカロスの姿は、今は全く見えない。
「右近さん!」
「ゆらぎ君、わずかな痕跡も見逃さないでください。あれは、これまでのとはレベルが違う存在です」
「わ、わかりました。でも、あのイカロスはいった」
 問いかける途中で、再度微かなノイズをゆらぎは感じ取る。ほぼほぼ、直感のようにオペレーターを格納する場所を彼は厳重に守った。
 衝撃が訪れる。鋭い騎槍の先端が、先ほど極力厚く���り巡らせたシールドを貫きかけた。
 ゆらぎの視界いっぱいに、銀色の塗装がなされたイカロスが現れる。
 その姿は御伽噺の騎士のようで、ありもしないマントが風で翻った幻想が見えた。ゆらぎの頭の中をノイズが走る。一瞬にして、銀色のイカロスの姿は消える。
「よく防御が追いつけましたね」
 右近はゆらぎを褒めるも、言われた本人は褒められているような気がしない。
「あれは……あれは一体なんなんですか」
 驚愕と恐怖がない混ぜになった感情を隠しもせず、ゆらぎは右近に尋ねる。その質問に、右近は簡単に答えた。
「三十年前の大英雄、未だ誰も到達できない永遠のナンバーズ一番です」
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recochannel · 7 years ago
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. 北海道から浅草に戻ってきた初老の作家が描く、まるでエッセイのような12の人情話。 . 浅草など下町を舞台に男性作家が書く話は何故に色っぽいのでしょうか。 . . #本 #読書 #小説浅草案内 #半村良 #ちくま文庫 #book #bookstagram #recobooks #読了 182018
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nekotubuyaki-blog-blog · 2 years ago
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2022年の読書(2022年12月28日現在)
2022年の読書(2022年12月28日現在)読了206冊
特に印象深かった本(順不同) 《文芸》 『たったひとつの冴えたやりかた』(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著/浅倉久志訳/カバーイラスト:片山若子/ハヤカワ文庫) 『リリアン卿――黒弥撒』(ジャック・ダデルスワル=フェルサン著/大野露井訳/装丁:柳川貴代/国書刊行会) 『骸骨 ジェローム・K・ジェローム幻想奇譚』(ジェローム・K・ジェローム著/中野善夫訳/装丁:岡本洋平/国書刊行会) 『ハイ・ライズ』(J・G・バラード著/村上博基訳/創元SF文庫) 『旱魃世界』(J・G・バラード著/山田和子訳/牧眞司解説/カバーディレクション&デザイン:岩郷重力+R.F/創元SF文庫) 『ウィトゲンシュタインの愛人』(デイヴィッド・マークソン著/木原善彦訳/装幀:アルビレオ/装画:ケッソクヒデキ/国書刊行会) 『スキャナー・ダークリー』(フィリップ・K・ディック著/浅倉久志訳/扉デザイン:土井宏明(ポジトロン)/ハヤカワ文庫/Kindle版) 『耄碌寸前』(森於菟著/池内紀解説/みすず書房) 『時の子供たち 上下巻』(エイドリアン・チャイコフスキー著/内田昌之訳/竹書房文庫/Kindle版) 『クララとお日さま』(カズオ・イシグロ著/土屋政雄訳/早川書房/Kindle版) 『純潔』(嶽本野ばら著/造本:松田行正+日向麻梨子/新潮社) 『シシリエンヌ』(嶽本野ばら著/新潮社/Kindle版) 『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上下巻』(アンディ・ウィアー著/小野田和子訳/早川書房) 『異形の愛』(キャサリン・ダン著/柳下毅一郎訳/装丁:木庭貴信+岩本萌(オクターヴ)/河出書房新社) 『葉書でドナルド・エヴァンズに』(平出隆著/三松幸雄解説著者目録/デザイン:菊地信義+水戸部功/講談社文芸文庫) 『詩歌探偵フラヌール』(高原英里著/装幀:名久井直子/装画:カワグチタクヤ/帯文:梅﨑実奈/河出書房新社) 『日々のきのこ』(高原英理著/帯文:岸本佐知子/名久井直子装丁/ヒグチユウコ装画/河出書房新社) 『幾度目かの最期』(久坂葉子著/青空文庫/Kindle版) 『ボダ子』(赤松利市著/新潮文庫/Kindle版) 『喜べ、幸いなる魂よ』(佐藤亜紀著/綿引明浩装画/國枝達也装丁/角川書店) 『どちらでもいい』(アゴタ・クリストフ著/カバーオブジェ:勝本みつる/カバーデザイン:ハヤカワ・デザイン/ハヤカワepi文庫) 『夜中に犬に起こった奇妙な事件』(マーク・ハッドン著/小尾芙佐訳/装幀:服部一成/ハヤカワepi文庫) 『氷』(アンナ・カヴァン著/山田和子訳/川上弘美解説/カバーデザイン水戸部功/ちくま文庫) 『懐中時計』(小沼丹著/秋山駿解説/作家案内、著書目録:中村明/デザイン:菊地信義/講談社文芸文庫) 『後藤明生・電子書籍コレクション 行方不明』(後藤明生著/アーリーバード・ブックス/Kindle版) 『私は幽霊を見ない』(藤野可織著/朝吹真理子解説/カバー絵:Angela Deane/カバーデザイン:大原由衣/角川文庫/Kindle版) 『百鬼園戦後日記(全三巻合本)』(内田百閒著/巻末エッセイ:谷中安規、高原四郎、平山三郎、中村武志/解説:佐伯泰英/カバー画:山髙登/カバー図版:内田百閒戦後日記(岡山県郷土文化財団所蔵)/カバーデザイン:中央公論新社デザイン室/中公文庫/Kindle版) 『木になった亜沙』(今村夏子著/装画:木原未沙紀/装丁:野中深雪/��藝春秋) 『小島』(小山田浩子著/新潮社/Kindle版) 『死ぬまでに行きたい海』(岸本佐知子著/岸本佐知子写真/装幀:宮古美智代/スイッチ・パブリッシング) 『少年』(谷崎潤一郎著/青空文庫/Kindle版) 『外套』(ニコライ・ゴーゴリ著/平井肇訳/青空文庫/Kindle版) 『鳳仙花』(川崎長太郎著/講談社文芸文庫/Kindle版)
《その他》 『寄生生物の果てしなき進化』(トゥオマス・アイヴェロ著/セルボ貴子訳/倉持利明解説/草思社/Kindle版) 『「ネコひねり問題」を超一流の科学者たちが全力で考えてみた――「ネコの空中立ち直り反射」という驚くべき謎に迫る』(グレゴリー・J・グバー著/水谷淳訳/装丁:寄藤文平+古屋郁美(文平銀座)/Kindle版) 『みんなが手話で話した島』(ノーラ・エレン・グロース著/佐野正信訳/澁谷智子解説/はじめに:ジョン・W・M・ホワイティング/ハヤカワ文庫NF) 『スピルオーバー——ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか』(デビッド・クアメン著/甘糟智子訳/装丁:間村俊一/明石書店) 『新・動物記4 夜のイチジクの木の上で─フルーツ好きの食肉類シベット』(中林雅著/新・動物記シリーズ編集:黒田末壽、西江仁徳/ブックデザイン・装画:森華/京都大学学術出版会) 『共立スマートセレクション5 オーストラリアの荒野によみがえる原始生命』(杉谷健一郎著/コーディネーター:掛川武/共立出版/Kindle版) 『共立スマートセレクション10 美の起源 ─アートの行動生物学』(渡辺茂著/コーディネーター:長谷川寿一/共立出版/Kindle版) 『共立スマートセレクション16 ベクションとは何だ!?』(妹尾武治著/コーディネーター:鈴木宏昭/共立出版/Kindle版) 『世界を変えた建築構造の物語』(ロマ・アグラワル著/牧尾晴喜訳/装幀者:トサカデザイン(戸倉巌、小酒保子)/草思社/Kindle版) 『宇宙創成 上下 合本版』(サイモン・シン/青木薫/新潮文庫/Kindle版) 『岩波科学ライブラリー310 食虫植物─進化の迷宮をゆく』(福島健児著/カバーイラスト・一部図版:安斉俊/岩波書店) 『銀河の死なない子供たちへ 上下巻』(施川ユウキ著/カバー・本文デザイン:セキネシンイチ制作室/電撃コミックス NEXT/KADOKAWA)
この一年間で複数の著作物を読了(著者名/冊数) 後藤明生/25 西村賢太/8 フィリップ・K・ディック/7 川崎長太郎/6 小沼丹/6 嶽本野ばら/6 藤野可織/6 今村夏子/6 橋本治/5 J・G・バラード/4 岸本佐知子/4 内田百閒/4 小山田浩子/3
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skf14 · 4 years ago
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08280005
.........だから、俺がもし大通りで通り魔殺人をするなら、きっと最初に狙うのは腹の大きな女だ。子供が狙い目だと思われがちだが、案外そうでもない。もう生まれてしまった子供は親が必死になって守るから、むしろ普通の人間よりも狙いにくい部類だろう。くだらないが、それを無理矢理狙って殺すのは至難の技だ。両親が揃っているなら尚更。
俺の目の前でベビーカーを押す女が楽しそうに旦那に話しかけて、旦那は嬉しそうに目を細め子供をあやしている。ああ、世界共通の幸せの絵だ。反吐が出る。
幸せ、ってなんだ?他人から見て、己が幸せな姿に映ることか?いや、違う。幸せは、自分の置かれている状況について何も不平不満を抱かず、我慢を強いられることなく、全て俺の意のままに遂行されることだ。そうに違いない。幸せ、幸せ。ああ、俺は幸せになりたい。ずっと子供の頃からの夢だった。幸せになることが。幸せになることこそが。
他人の幸せに対して恐ろしく心が狭くなったのは、きっと今俺の置かれている状況が著しく幸せから遠いから、だろう。社会の中での立ち位置も、持って生まれた時点で腐っていた神様からのギフトとやらも、白痴付近を反復横飛びする出来の悪い頭も、見てくれの悪さも、全てだ。
自ら遠ざかったつもりはない。人の幸せを妬んで、それで、手に入らないことには気付いていて、そして、そして、?
?ん、あぁ、覚める、ダメなやつだ、これ、と、思考が曖昧になって、見えていたものも、匂いも、温度も、何もかもが遠ざかって、そして、何も見えなくなった。
極めて自然に、目蓋が開いた。手探りで掴んだスマホの画面を見れば、時刻は朝の5時を少し回ったところだった。曜日表示は土曜。どちらにせよ早すぎる。
"彼"の中途半端に病んだ思考が俺の頭と同期して、混ざろうとしているのが分かって吐き気を覚えた。やめろ。混ざるな。のそり、重たい身体をベッドから引きずり起こして、ふらふらと冷蔵庫に縋り付き、冷えたミネラルウォーターを喉へ流し込んだ。水の通り道が冷えていって、そして胃の辺りがじんわり冷たくなる。物理的にはあり得ないが、その温度は首の後ろを通って、脳へと伝わり、思考が少し、冷めていく。
何が通り魔だ。情けない。俺の夢を支配して、外に出たがったくせにやりたいことがそんなバカの憂さ晴らしだなんて興醒めもいいところだろう。しかも、やる前のウジウジした感情から見せるなんて。はっ。しょうもない。どうせなら血溜まりの中の回想にでもしてくれていれば、今頃、小話くらいには昇華出来たものを。
奴の目線から見えていた短い指と、くたびれ皺の寄ったスーツとボロボロの革靴、己を嘲笑っているように見える周りの視線と話し声、やけに煩いメトロの到着メロディ、喧騒、咽せるようなアスファルトの油の匂い、脳天に刺さる日差し、それら全てを戦後の教科書の如く黒塗りで潰して、そして、深呼吸ののち頭の中のゴミ箱へと入れた。これで、俺は、俺に戻れる。もう一眠りしよう、と、布団に潜り込み、俺は柔らかい綿人形を抱き締めて、眠るための定位置へと着き直した。
物書きで飯を食える、などという夢を抱く間もなく、敷かれたレールに乗って模範囚の如く社会の、それも下の方の小さな歯車の一つに成り果てた俺。チャップリンのように笑えたらいいんだろうが、生憎笑えない現状の片手間で書いている小説、そんな大層なものではないが、もう200を超えただろうか。詳しく数を数えてはいない。数字を重ねることに、大して意味はない。ただ増えていくソレを見るよりも、彼ら、彼女らの過去、未来に想いを馳せる方がよっぽど大事だ。俺は、彼らの人生を文字に変え、束の間の虚無を忘れている。
俺は、自分の力では、小説を書けない。
一昔前に流行ったゴーストライターではなく、どこかの小説の盗用でもない。人から詳細を聞かれたら、「主人公達が動くのを見て書いてる」と答えて誤魔化しているが、俺は、自分の夢を小説にしていた。いや、自分の夢でしか、小説を書けない。
夢の中で、俺は俺じゃない誰かとなって、違う人生の一部を経験する。なった誰かの感情と共に。そしてその夢は、嫌に鮮明に、必ず完結して終わる。
そのおかげで、俺はまるで自らが体験したように、綿密な話が書ける。不思議と夢を忘れることはなく、内容によっては自ら夢を捨て、今朝のように半ば不快感を持って目覚める。そして、その夢の記憶はじきに消える。
そうして俺は眠り、夢を見て、出てくる彼らの物語を文字に認めて、満たされず空虚な、平々凡々な自分の人生を今日も狂気で彩る。
ある日偶然君の皮膚片を食べた時、世界にはこんなにも美味しいものがあったのかと感嘆し、感動のあまり失禁したことを思い出した。
目が覚めた瞬間、これよりいい書き出しは無い、と思った。思考は溶けた飴のように彼のものと入り混じっていて、はっきりと覚醒はしない。恐らく、俺の思考は殆ど死んでいるんだろう。今こうして無心で手を動かしているのは、確かに生きていた彼だ。口内には口にしたこともない見知らぬ女の皮膚片の味がこびりついて、舌の上がまだぬるぬると滑る感覚、しょっぱい味が残っていた。食べたことのない味。ああ、書かないと、無心で筆を走らせる。書く瞬間、俺は俺でなくなり、彼が俺を使って脳を動かしているような感覚に陥る。戻ってこられなくてもいい、そのまま彼に身体を明け渡しても後悔なぞしない。と、俺は諦め身体の主導権を彼らに手渡している。
ふと気が付いたときには、もう小説は書き上がっていた。軽く誤字を確認して、小説掲載サイトにそれを載せる。人からの反応はない。別に必要はない。
サイトを閉じ、ツイッターを開く。現れたアカウントでただ一人フォローする彼女のアイコンを見て、そしてDMを開いて、青い吹き出しが羅列される様をざっと見て、心が幸せに満たされていくのを感じる。じわり、と湧き出たのは、愛情と、快楽と、寂しさと、色々が入り混じったビー玉みたいな感情だった。
彼女は、ネットの中に存在する、美しく気高く、皆から好かれている人気者。そんなのは
建前だ。彼女は、まさしく、
「おれの、かみさま。」
そう呟いて画面をなぞる。ホワンと輪郭がぼやけたケーキをアイコンにしているあたり、ここ最近どこかへケーキを食べに行ったのかもしれない。俺が彼女について知ってることは、声を聞く限り恐らく女性で、恐らく俺よりも歳が下で、俺のことなど認知すらしていない、ということだ。
別に悲しくなんてない。彼女はただここにいて、俺に愛されていてくれれば、それでいい。拒絶されない限り、俺の幸せは続く。好きだ、好きだ、今日も彼女が好きだ。
彼女のツイートは食べたスイーツのこと、日常のほんの些細ないいこと、天気のこと、そんなささやかな幸せに溢れた温かいものばかり。遡る度、何度見ても心が溶かされていく。
どこで何をしているのか、どんな服を着て誰と笑うのか、そんなのは知らない。どうでもいい。得られないものを欲しがるほど俺は子供じゃない。そばで幸せを共有したいなど、贅沢が過ぎて口にした日には舌でも焼かれそうだ。
『今日も、好きだよ。』
また一つ増えた青い吹き出しをなぞり、俺は不快感に包まれる頭を振り、進めかけていたゲームの電源を入れた。時刻は午後の2時。窓の外では蝉がけたゝましく鳴いており、心の底から交尾を渇望しているらしかった。
触れ合えないことを、惜しいと思わない日はない。彼女の柔肌に触れて、身体を揺さぶって一つになることが、もし出来るのなら、俺は迷わず彼女を抱くだろう。幾度となくそんな妄想で、彼女を汚してきた。俺の狭い部屋のベッドの上で、服を雑に脱ぎ散らかし、クーラーでは追い払い切れない夏の湿気と熱気を纏った彼女が、俺の上で淫らに踊る様を、何度想像したか分からない。その度に俺は右手を汚し、彼女への罪悪感で希死念慮が頭を擡げ、そしてそんな現実から逃げるように夢を伴う惰眠を貪る。
彼女を幸せにしたいのか、彼女と共に幸せになりたいのか、彼女で幸せになりたいのか、まるで分からない。分からない、と、考えることを放棄する俺の脳には、休まる時はない。
俺の中の彼女は最早、彼女本人からはかけ離れているのかもしれない。俺が見る夢の種類は大まかに分けて二つ、目を覆いたくなるような凄惨な感情の入り混じるものと、急に凪になった海をただ眺めているような穏やかなもの。後者に出会った時、俺は必ずと言っていいほど相手の人格を彼女に当てはめる。彼女は右利きで、俺の左に立つのが好きだ。彼女は甘党で、紅茶に詳しくダージリンが特に好み。彼女は子供が好きで、時折自身も無邪気に遊びまわる。彼女は、彼女は、彼女は。どれも、ツイートからじゃ何も読み取れない、俺が付与した彼女のあるべき姿だ。起きて、文章を仕上げて、そして心には虚しい以外の感情が浮かばない。
分かりやすく言うなら、花を育てる感覚に似ている。水を注ぎ、栄養をたっぷり与え、日の光と風を全身に浴びさせて、俺が花から得る物理的なものは何もない。花の子孫繁栄の手助けとしてコマとなり動いたに過ぎない。花側から見ても、ただ育った環境が良かったという認識にしかならないだろう。それでいい。俺はただ目の前で、花が咲くのを見られたらそれで良かった。植物と違って人間は枯れない。根腐れもしない。メリットがあれば、大切に大事に育てれば、半永久的に、花を咲かせ続けてくれる。これほど幸せなことはないだろう。自らの手で育つ様を、永遠に見られるなんて。
ああ、今日も彼女が好きだ。
恋は病気で愛は狂気。言い得て妙だ。病気、狂気、これはまさしく狂気だろう。まごうことなき、彼女への愛なのだから。世間で言う正しい愛じゃないことくらい、まだ正気を保ってる俺の脳は理解してる。が、正しさが必ずしも人を幸せにするわけではない。しかし、正しくない、道が外れている、本当の愛ではない、そう声高に叫ぶ内なる自分がいるのも確かで、結局俺は世間よりも何よりも、俺に足を引っ張られて前に進めないまま、深く深く沈んでいく。ただ一つ言えるのは、どんな形であれ、俺が彼女に向ける愛は狂気であり、すなわちそれが愛ということだ。
純粋な愛からなる狂気ならどれほど良かっただろう、と、目覚めた瞬間トイレに駆け込み僅かばかりの胃液を吐き出しながら考えていた。つい先日の思考を巻き戻して、何処かに齟齬があったかと必死に辿るが吐き気に消されて頭の中が黒に塗り潰される。
違和感を感じたのは夢が始まってすぐのことだった。視界が、進み方が、現実と大差ない。変だ。いつもなら若干の浮遊感から始まる夢が、地に足ついた感覚で、見える手や腕も自身のもので恐らく間違いない。なぜだ。初めてのパターンに内心は動揺しているが、夢の中の俺は平然としている。俺は黙々と愛車を運転し、車は山道を奥へ奥へと進んでいく。ガタゴトと揺れる車に酔いそうになりながらも、ナビを切りただ道なりに進んで、そして暫くしてから、脇道へと入った。脇道といっても草は生え放題、道未満のその木のないエリアを少し走ってから車を止めた俺は、車内のライトをつけ、行儀悪く身を乗り出して後方座席へ移動し、転がっていた黒い巨大なビニール袋を破いた。
キツく縛られまるで芋虫のような姿で袋から出てきたのは、紛れもない、何度夢想したかわからない、愛おしい彼女だった。俺は、彼女の着ている薄いワンピースの感触を楽しむように掌で撫で、身体のラインを触れて覚えていく。凹凸、滑らかな生肌を想像しながら身体を撫で回し、スカートの裾を少しずつたくし上げていく。彼女が噛んでいる猿轡には血が滲んでおり、嫌々、と首を振っては綺麗な涙をぱたぱた散らす。そのリスのような丸い目に映る俺はきっと、この世の誰よりも恐ろしい化け物に見えているだ���う。身体を暴く手は止まらない。胸を、局部を、全てあらわにし、下着���一度抱きしめてから破り捨てる。そして、現れた汚れなき場所へ、手を、口を寄せ、そして、俺は、彼女と、一つになった。頭の中が気持ちいい、暖かい、柔らかい、という白痴のような感想で埋め尽くされる。彼女に埋まった俺の身体の一部が溶けてしまう、気持ち良さで脳が溶けてしまう、身体の境界も全て失ってただ善がる概念になってしまう。ああ、ああ、と、感嘆する声が漏れて、俺は目の前の柔い身体を撫で回し、噛み、舐めしゃぶり、全身で味わった。涎が溢れて止まらない。彼女の柔らかい腹にぼたぼたと泡混じりで落ち溜まっていく。鼓膜に己の荒い呼吸音だけが響いて、車外の虫の声も彼女の呻き声も、何も聞こえない。ただただ車はギシギシと揺れ、彼女の目尻から絶えることなく涙が溢れて、俺の心から絶えることなく多幸感が溢れて、彼女の中に彼女と俺が混ざり合った生き物の種が植え付けられた。
死んだと見間違う目をした彼女へ、俺は口を寄せて一言、囁く。
『今日も、好きだよ。』
そこで目が覚めた。
吐くものが無くなってもまだ喉がひくりひくりと痙攣していた。苦しい。買い溜めしておいた水の段ボールを引き寄せて、無造作に掴んだ一本を雑に開け胃へと流し込む。零れた水が首を伝ってTシャツを濡らした。ぜえぜえと喉が鳴る。頭を振り払って、絞り出した声は驚くほど情けないものだった。
「そんな、はずはない、あんなの、俺じゃ、俺じゃない、っ、ぅ...」
逆流する胃液に応戦するように水を飲む。喋ると逆効果なのは分かっているのに、誰に主張したいのか、言葉は止まらない。今話しているのは俺か、誰か、分からない。
「俺はそんなこと望んでない!!!!っ、くそ、ふざけんな...っ、クソ...」
込み上げた涙は悔しさ故。浅ましい己の脳がどうにも恥ずかしく、憎らしく、それに縋って自尊心を保っていた己が卑しく、そして何よりも己の夢の特性に殺意が湧いた。
一度、目を覆っても嫌になるような凄惨な夢を見た。それは、簡単に言えば理不尽な男がバールで一家をぐちゃぐちゃに叩き潰す話だった。書くべきなのか、と筆が止まり、彼の人格を放置したまま俺は1日過ごして眠り、そして、同じ夢を見た。次の日も、次の日も、むせ返るような血の匂いと足を動かすたびにびちゃりと鳴る足音と、頭部を殴った拍子に転がり落ちた眼球を踏んだ足裏の感触と、その後彼の同居人が作ったハンバーグの味が消えないまま1週間が経ち、俺は書かなければ夢に殺されると自覚して、筆を取った。
夢を使って自分を満たす以上、逃げることは許されない、ということか。忌々しい。まだ治らない吐き気に口元を押さえ、放り投げていたスマートフォンを手に取った。仕事を休んでも夢に囚われ続ける。ならば、書くしかない。時刻は朝の4時半過ぎを指し示していた。
そして、彼女を好き放題貪った話がスマートフォンの中に出来上がった。満員電車で誤字チェックをすると、周りの乗客の視線がこちらに向いている気がした。フラフラするが、仕事からは逃げられない。あの夢も、俺の偽物もこれで消えた。今日は眠れる。
楽観視、だったんだろう。巣食う闇の深さは思った以上だった。俺は翌日も吐き気で目覚めトイレに駆け込み、脳内をぐるぐると駆け回る、四肢に残る彼女の感触と、膣内の締め付けと湿り気、背中に走る絶頂感と共に噛みちぎった喉笛のコリコリとした食感、口に溢れる鉄臭い鮮血の味、そして、恍惚とした表情で俺に抱かれたまま絶命した彼女の顔を、振り解いて捨てようとしては目眩に襲われた。
「分かった、書くから、分かったから...俺じゃない、あれは俺じゃない、俺の皮を被った偽物だ、」
彼女の夢を見始めてから、ツイッターを覗かなくなった。
彼女は、毎日俺の夢に出てくるようになった。最悪の気分で夢に無理矢理起こされ、時折吐いて、震える手でなんとか夢を文字で起こして、溜まっていくそれらはメモを圧迫していく。救えない。先が見えない。
そして夢で彼女を殺し始めてから、今日で3日が経った。もう、うなされる��とも跳ね起きることもない。静かに目を開けて、見慣れた天井を認識して、重い胃を抑えて起きるだけだ。よくもまああんなに楽しんで殺せるもんだ。と、夢の内容を反芻する。
彼女の膨らんでいた乳房も腹も尻も太ももも、鋭利なサバイバルナイフでさっくりと切り取られていた。カケラはそこかしこに散らばって、手の中には乳房があった。俺は生暖かい開かれた彼女の腹に手を探り入れて、挿入していた愚息を膣と、そしてその先に付いた子宮の上から握りしめた。ないはずの脈動を掌で感じるのは、そこが、命を育む大切な部屋だから、だろうか。暖かい、俺の作られた場所。彼女の作られた場所。人間が、人間になる場所。ああ、気持ちいい。無心で腰を動かせばがくがく揺れる彼女の少ない肉が、小さく蠢いているように見えた。動きがてら肋骨あたりを弄れば、つまみ上げた指の間で蛆虫がのたうち回っている。気味が悪い、と挟み殺して、彼女の内臓に蛆虫の体液をなすりつけた。目線を彼女の顔までやって、いや、そういえば頭は初日に落としたんだった、と、ベッド脇の机に鎮座した彼女を見遣る。目線を腹に戻す。食いちぎったであろう子宮の傷口からは血と、白濁の体液が流れ出て腹膜を彩っていた。芸術には疎いが、美しいと感じる色彩。背筋に快楽が走る。何時間でもこうしていられる。ああ、ああ、嗚呼......
こんなはずじゃなかった。彼女と見る夢はもっと暖かくて、綺麗で、色とりどりで、こんな狭い部屋で血肉に塗れた夢じゃなかったはずだ。どこで何を、どう間違えたのか、もはや何も分からない。分からないまま、夢に囚われ、俺は今日も指を動かすんだろう。
スマートフォンを握った瞬間、部屋のチャイムが鳴った。なんだ、休日のこんな朝早くに。宅配か?時計を見て顔を顰め、無視の体勢に入ろうとした俺をチャイムの連打が邪魔してきて更に苛立ちが増す。仕方なく、身体を起こして彼女の眠るベッドから降りた。
床に降り立つ足裏に触れる無数の蠅の死骸の感触が気持ち悪い。窓は閉め切っているのに片付けても片付けても湧いてくるのはなぜなんだろう。追い討ちをかけるように電子音が鳴り響く。休日にも関わらずベッド脇の机に鎮座し勘違いでアラームを鳴らす電波時計にも腹が立つ。薙ぎ払えば一緒に首まで落ちて気分は最悪だ。クソ、クソクソクソ。ただでさえ変な夢を見て気分が悪いのに。鳴り止まないチャイム。煩いな、出るよ、出るっつってんだろ。俺は仕方なく、着の身着のままで玄関のドアを開けた。
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usamierina · 4 years ago
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Sushi-ON: Members only Sushi restaurant somewhere in Tokyo
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I visited Sushi-ON, newly opened in Tokyo where a member-only sushi restaurant. Thanks to the opportunity to work with the people of that company at my previous job, I was able to make a reservation. Lucky me!
会員制のお寿司屋さん、「すしおん」に伺ってきました。前職で一緒にお仕事させていただいたおかげで、予約をとっていただいたのです。役得!笑
カウンター8席と4名テーブルの店内。①17:00〜と②19:30〜の2回転で、エンターテイメント形、というか、劇場形、というか、全員同じペースでお料理が出て、説明を聴きながらいただく、というスタイルです。
お料理のコースが12000円、ペアリングドリンクが3000円。ペアリングドリンクはアルコールかノンアルコールか選べます。
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茶色のレターがメニューです。
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乾杯の1杯目はビールかハイボールか選べます。もちろんビールをチョイス!
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ビールは29ON×YYG Breweryのコラボの「サワーIPA」。以前、新宿のYYG Kitchenでもいただいたのですが、よく冷えのサワーIPAは乾杯に最高ですね!リフレッシュされる感じ。
まず最初は、魚やエビをガッツリ使って、ビスクのように仕立てたスープ。海老の香り香りが広がって、あったかスープで胃を動かして食欲を開かせていく感覚。
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合わせて出てきた前菜「秋刀魚のテリーヌ」と「低温調理のザブトン+うずらたまご」、ペアリングのカクテル「ブラッディサム」。
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秋刀魚のテリーヌは肝のソースのほろ苦さと旨味の集合が最高で、これはお酒がすすむ...!お肉は一口でパクッといくと、脂の乗りとうずらのねっとりが相まって、すき焼きを凝縮させたような満足感。
ペアリングのブラッディサムのカクテルのトマトジュースがハイクオリティで、すっきり飲みやすく、かつトマトジュースの味わいがしっかりで綺麗なガスパチョみたい。オイヒー
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さらに白子をカダイフで包んで揚げたもの。細い生地のパリパリ感と白子とソースのトロトロ。これ何個も食べれるやつや...
お刺身きましたよ。 「温度変化を楽しむお刺身」ということで、「秋鮭のルイベ」と「秋鮭の低温調理」。ルイベはねっとりとした食感、低温調理はもっちり。どちらも旨味が凝縮している感じ〜。オイヒー
ペアリングのお酒はシャルドネの白ワイン。酸味がしっかりしててフルーティ���、すっきり飲めるめちゃめちゃ好みのやつでした。
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お肉がきましたよ。ダダーン!
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これは映えof the 映え。肉×鮪×雲丹×魚卵。メニューに「低温調理サーロイン 海の宝石」とある通り、低温調理の薄いサーロインに魚介を巻いて食べるという、口の中が幸せで満たされるやつです。「一口か二口で食べてください」って言われたんですが、これ一口はもったいなすぎる...
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巻き巻きして食べます。合わせるお酒は国産のマッコリ。たぶん吉久保酒造の「国産マッコリうさぎのダンス」。カットレモンを入れているのもあり、べったりした甘さじゃなくてすっきりしてて、これもとても飲みやすい。オイヒー
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箸休めのお茄子がきました。もうここまでのサーロインの海鮮巻きで口の中は大満足です...ここから怒涛のお寿司タイムになるのです。
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真子鰈→鰤→大間の鮪→鯵→牡丹海老→帆立鯛。 特にブリの脂のノリともっちりした食感、牡丹海老のねっとりした甘みが最高だったなあ...オイヒー...
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大間の鮪、ズームにしておきますね。
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こちらはお寿司とのペアリングの「ウーロンハイ」。ウーロンハイ?
中国で作られる、シングルモルト的な烏龍茶。合わせるお酒はAKAYANEの山椒ジン。もうここまでくると、烏龍茶はジャスミンティーのような香りになってくるのね...山椒の爽やかなマスカットのような香りも合わせて、ものすごく繊細で上品なウーロンハイ。オイヒー
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お寿司終わりには小カブのおつけものがいらっしゃいました。箸休め。
お次は肉寿司3種。
ドン!(手前は自家製のコンビーフ)
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ドン!!(真ん中の肉の部位はトウガラシ。山椒オイルをちょっと)
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ドドン!!!(一番奥はミスジの握り)
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ドン!ドン!ドドン!
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お肉の旨味がしっかりしてて、さすが29ONの肉寿司だなあと。満足感がすごい。
さらにこの肉寿司に合わせたお酒が凄かった!
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サントリーのクラフトジン「六 ROKU」に昆布を漬け込んで旨味を出し、さらに赤紫蘇のジュースで割った、「バイスサワー」のハイパー上位互換。しっかりと漬け込まれた昆布の味わいと、赤紫蘇の風味がマッチして、これはめちゃめちゃ好み。
「札幌の紅櫻蒸溜所でも、昆布をボタニカルに使ってミネラルっぽい旨味が出てるジンがあるけど、漬け込みをするともっとしっかり味わいが滲み出るので個性が強くなってペアリング向けになりますね」、なんて話で盛り上がったり。 
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お次はフレンチの技法を使ったお寿司。お寿司?っていうよりは、シャリとネタの組み合わせのフレンチな一品。
まずは赤座海老とエスプーマでリゾット風。海老の旨味のクリーミーなエスプーマソースとご飯もめちゃめちゃ美味しいけど、海老本体が、本体が軽くグリルされていて旨味ぎゅっと詰まってる...!
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そしてまたまた映えof the 映え。穴子と、フォワグラ+トリュフのロッシーニ風寿司!
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穴子ふわふわ、フォワグラの脂トロトロ、軽い酸味のあるソースがご飯とマッチして、もう最後の米一粒までかき込んじゃう美味しさ...!フォワグラとトリュフに目が行きがちですが、ふわふわ穴子がもうちゃんと存在感示してて、仕事してる。オイヒー
ペアリングのお酒はまさかの「シェリー酒 オロロソ」まさかのシェリー酒! しっかりした酸味と濃厚な香ばしさとコク、フォワグラにも負けないパンチでペアリングされてました。
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さらにトロタクならぬ「ニクタク」。お肉と沢庵の手巻きでお寿司部門は終了。ここまででかなりの満足感...お寿司って「握られた米」だから、結構なボリュームの米を食べてるずっしり感があるんですよね。
いよいよラストの「おにぎり」「お味噌汁」。
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由井の桜海老の海老味噌と、雲丹塩のおにぎり。お米は100%魚沼産、海苔も浅草海苔。合わせる緑茶は奥八女の玉露。
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おこめおいしい...(どんどん語彙力がなくなっていく) 奥八女の玉露の冷茶ですっきりしたところに、しじみのお味噌汁でほっこり。
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最後は締めのアイス。普通のバニラアイスに使う卵は4〜5個くらいだそうですが、今回は卵を20個(!!)も使った、しっかりたまごあじのバニラアイス。 冷え冷えカチカチのバニラアイスを、めちゃめちゃ攪拌力の強い「パコジェット」でトロトロにつぐトロトロに仕上げます。
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最後のペアリングはホットの紅茶。国産の紅茶で、えぐみのない優しい味わいです。
いやーーーーーーーーーーーーーーーーー
大満足のペアリング寿司コース。2時間はあっという間、しかしお腹は想像以上にいっぱい。メニューペーパーに書いてないストーリー盛り沢山の内容で、大満足のディナーでした。
特にすごいと思うのはペアリングのドリンクのセンスで、ウーロンハイやバイスサワーは特に素晴らしく、単に「合うお酒を探してきた」だけでない、クリエイティブな提案が素晴らしい。
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gunosy-news · 5 years ago
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そこにシビれる憧れる!影響を受けた有名人とその理由
集計期間:2020年2月7日~2月9日 回答数:17805
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「あの人みたいになりたい…」
憧れの有名人を見つめながら、そんな風にため息をついた経験はありませんか? 憧れる部分や度合いは人それぞれですが、わかりやすい目標があるとモチベーションの助けにもなりますね。
今回はそんな「影響を受けた有名人」に関するアンケートです。
Q1. あなたの人生で、影響を受けた有名人はいますか?
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回答していただいた17805名のうち、影響を受けた有名人がいる人の割合は
いる:7168 いない:10637
という結果になりました。「影響を受けた有名人はいない」という人の方が上回る結果になりましたが、それでも半数近くの人が誰かしら有名人に影響を受けているようです。
Q2. 具体的なエピソードなど
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ここからは、個別の事例を見ていきましょう。名前だけでなく、具体的なエピソードが記載されていた回答をピックアップしています。
<男性アイドル・歌手・ミュージシャン>
・氷室京介に憧れてバンドを始めた
・Hi-STANDARD。青春を捧げたバンド
・GACKTの影響を受けています。友人の話から興味を持ち、ファンになり、CDや著書を購入。あのストイックさを見習って生活を送っています
・布袋寅泰。バンドを始めて音楽センスに影響受けた
・YOSHIKI。ロックに目覚めて明るい性格がもっと明るくなった
・郷ひろみ。追っかけをして、青春時代を過ごし、東京の地理を知りました
・Mr.Children桜井さん。中学の時にあの笑顔にやられました。私も笑顔でいたいと思いました。
・X JAPANのHIDE、LUNA SEAのSUGIZOに憧れてギターを初めた
・尾崎豊さん。学生の頃によく聞いていてライブも行きました。生き方が素晴らしく人生観が変わりましたね。
・小学生の時にX JAPANが好きになり歌詞の英語の意味をわかるようになりたくて元々習っていた英語を頑張って学んだ。
・藤井フミヤに、似てると言われて意識した。
・綾小路翔。自分と世界を肯定する気持ちを教えてくれた。
・松山千春さんの歌に生きる勇気を与えられました
・音楽好きになれたのは、 クイーンのフレディマーキュリーがいたから。
・浜田省吾に憧れ、サングラスに革ジャン、ジーパン。コピーバンドまで組んだ
・accessとゆう音楽ユニットを好きになり、ライブスタッフをやりたいと思いました。学生時代は、どうしたら良いか分からず諦めましたが、今はアイドルのカメラマンしてます。
・GLAY。はじめて好きになったミュージシャンで、それから聴く音楽に影響を受けた。
・松本隆さんの歌詞に憧れて、作詞という趣味を得ました。
・EXILE。つらい時もATSUSHIの歌声をきいて何度も元気をもらえたから
・メタリカのラーズ。自分でコントロールできないことでくよくよ悩むのはやめた、という彼の名言はずっと心の中にあります。
・ゆず。初ライブでとても感動。ゆずの歌にたすけられたこともたくさん。20年以上のファンです!
・UVERworldのTAKUYA∞さんに影響され毎日10Km走っています
・WANDS、こういう歌手になりたいと決めて、バンド始めました。
・矢沢永吉さんどんな人に対しても謙虚さを持って接している。仕事上で取り入れいてます。
・高校時代に堂本剛さんにどハマりして髪型やファッションを真似しまくり。カラオケでも彼のソロ曲やKinKi Kidsの曲を歌いまくっていました。今ではそれも青春の思い出。
・手越祐也さんのポジティブ精神と明るさが、根暗の自分をすこし前向きにしてくれたら 
・アンティーク西洋骨董品店というドラマのタッキーに憧れて料理人になった
・L'Arc~en~Ciel、HYDE様。29年前に初めて小さなLIVE会場で、まだメジャーデビューしていないL'Arc~en~Cielを見て?綺麗な女の子だなぁ?と思ってたら歌声は男性。しかも美しくて一瞬で恋に落ちました。今も大好きでHYDE様になりたくてメイクや歌を真似てます。 
・SixTONES彼らのエピソードは綺麗な話ばかりじゃないし、ジャニーズでなかなかデビューにくさったり辞めようとしたこともあったけど、何年もかけてとてもいいグループになって一人一人のグループへの思い入れとかメンバーへの思いとかを聞いてると感動する。
・BTS彼らのようになりたい…!考え方や生き方を見て、努力が必要だと改めて感じました。ファッションやメイク等も参考にしています!!!BTSや彼らの音楽のおかげで色々変わりました。
・嵐。彼氏が櫻井翔にそっくりでファンクラブに入った。彼と一緒に応援してたけど分かれてしまい、寂しさを埋めてくれたのも嵐。嵐のお陰で友達も増え、行ったことのない場所にコンサート=旅行に行き、本当に楽しかった。
<男性俳優>
・小栗旬。仕草や喋り方
・ジャッキーチェン。映画での服装を真似していた。 
・高倉健に憧れて無口になる努力をしたもののだめでした。 
・石原裕次郎の生き様!
・映画トラック野郎の菅原文太さんをみて今��職業についた。
・菅田将暉さんが役のために10キロ体重落としたこと
・舘ひろしが好きで、スーツの色味とかは参考にしました 
<男性タレント・芸人・ユーチューバー>
・松本人志。幼い頃に母親を亡くし、ふさぎ込んでいた中、発想ひとつで世の中がこんなに面白くなるという事を笑いをもって教えてくれたから
・占い師のしいたけさんとゲッターズ飯田さん。どん底の時に当たってたので、自然と2人の占いは見てしまいます!…しかもやはり当たっています!
・明石家さんまさんの常に前向き、楽しい人生を送っている姿はすごいと思います。
・IKKOさんをTVで知ってからますます美容が好きになりました。
・父の影響で立川談志の落語を聞き続け、今ではすっかり、口の悪い(?)オトナになりました
・松岡修造さん。最初は動画サイトでMADにされているのを見て笑っていましたが、前向きな言葉の数々に励まされいつのまにか大ファンになっていました。
・アンタッチャブルのザキヤマさんが、どんなに嫌な仕事でも、人でも誰かにそのあとそのことを楽しく話したら、人に楽しんでもらえたら、嫌じゃ無くなる。楽しいことになるという、気持ちの切り替え方に目から鱗だった。
・レペゼン地球のDJ社長の動画に胸を打たれて恐れずに行動しようとおもいました 
・水溜りボンドのカンタYouTuberなんて普段馬鹿にされる職業だけど、企画・準備・出演・編集を毎日こなしてる姿に憧れを持ったしかもイベント出演もあるからどんだけ忙しいんだろって思う私もそうやって頑張れる人になりたいって心の底から思った
<男性アスリート>
・新庄剛志さんに影響をすごく受けました。私は料理人ですが、味だけでなく、会話や接客いろいろ道は違えど学びました。
・イチロー氏です。現役の時にコツコツ1人で努力し続けて、病気、怪我をせずにヒットを打って記録を作って行った事が凄いと思いました。努力し続ければ必ず良い事があると影響されました。
・三浦知良選手。年齢など関係ないと証明してくれているから
・内藤哲也のかっこいい体つきをみて、自分のだらしない体を変えたいと本気で思った 
・初代タイガーマスク当時は小学生でイジメられてた時期にタイガーマスクを見て自分も強くなりたいと思い何とかイジメを克服出来た。
・元プロ野球選手(広島東洋カープ)の前田智徳さん。怪我やチーム事情から来る逆境に負けず高い向上心を持ってプレーしており、自分が今何をすべきかを常に考える大切さを教わった。
・サッカー選手だったアルベルティーニ。中1からずっと好きで海外に憧れを持ち現在の旦那は外国人
・中田英寿。野菜を食べなくても問題ないと気付けた
<男性作家・芸術家>
・村上春樹さん。一流の人はアスリートに限らず心身を保つためにストイックな努力をするものだと感銘を受けた。それまで作家は退廃的なイメージがあったので。
・宮沢賢治さん。文学作品にも反映されてると思いますが、優しく生真面目な人となりが目標とする人物像になっています。
・作家の中島らも。高校生の時にたまたま出会った1冊の本から、進路が決まって色んな出会いや経験があった。今は亡き方だが自分の一部を作ってくれた大事な方。
・作曲家のすぎやまこういち氏。これまでに書いたオーケストラ曲は全て彼の曲に少しでも近付きたいという想いで制作してきました。
・五木寛之の青春の門を読んで主人公がやったボクシング部に実際入ることになった
・みうらじゅんさんの自由な生き方に少し影響を受けました。同郷ということもあるかも知れません。
・中学生の頃、福岡でサルバドール・ダリの展覧会があり、感動したことから、その後美術系の大学に行くことになりました。
・有名人というか、画家。小学生の頃に図書館でピカソの図鑑を読んだ時に、基礎のデッサンがしっかりしているから大きく崩しても1つ1つのパーツや全体的なバランスが良いのだと感じた。また、それに至るプロセスを含めてアートを感じた。(それまでは私の中でピカソといえばヘタウマ系なイメージだった)あの衝撃以来、どんな事でも始めのうちに人一倍しっかりと基礎をやるようになった。基礎で飽きるものも多いけど、応用できたり上達を実感できるようになると自信が持てる。仕事では始めは物覚えが悪いと言われるけど、数年後には応用が効くので頼られたりする事も増えて楽しくなった。全部ピカソのおかげです。
<文化人・起業家(男性)>
・スティーブ・ジョブズ。彼のスピーチは衝撃だった
・美輪明宏さんの言葉に救われた。 
・池上彰さん。子供の時からNHKアナウンサー時代からのファン。著書も沢山持ってるし、人となりが大好き。
・三木谷浩史さん。裸一貫で楽天を作られた。私が一番尊敬し起業家として目標にしている方です。
・ホリエモンの著書は色んなことをスタートしていくにあたりイイ刺激になる 
<政治家・歴史上の人物(男性)>
・毛利元就。天下をのぞまなかったこと
・野口英世。初めて読んだ伝記本が、野口英世の本だった。ハンデを背負っても、世の為に献身した姿は、今でも印象に残っている。
・ウルグアイのムヒカ元大統領です。貧乏とは、少ししかものを持っていないのではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しないと言う豊かさを履き違えた考え方に改めてハッとさせられた
・南アフリカのマンデラ元大統領の生き方に感銘受けて、全てが真似出来るわけではないですが日々実践の中で問題を乗り越え人生が変わり続けています
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<女性アイドル・歌手・ミュージシャン>
・人生に迷ってる時に安室奈美恵さんのライブDVDを観て、自分のやりたい事やろう!って思えた事。
・浜崎あゆみ。小学生のわたしにとって、流行りのものを身につけて、人気のあるギャルは魅力的だった。 
・倖田來未さん。セクシーでカッコいい、いつまでも憧れ。
・平手友梨奈さん。子育てにおわれて、自分のことは全て後回しにしていたけれど、平手友梨奈さんを知ってからは子どもと一緒に趣味を楽しんだり、おしゃれを楽しんだりするようになった。 
・BoAちゃん!14歳で異国の地日本でデビューして通訳も付けず言葉も分からない国で頑張って来たところです。すごく努力家なところを尊敬します。
・元NMB48の渡辺美優紀ちゃん。私のひとつ年上だけど私もこの人みたいに可愛くなりたいと思うようになった当時はこの人が髪を切れば真似したりして、本当に憧れていた 
・マドンナ。当時はあのバイタリティーに感動してパワーを貰いました。現在だとレディ・ガガです。
・小学生の時にモーニング娘。を見て聴いて、歌手になりたいと思いました
・TWICEのツウィ。美しすぎて自分もこうなりたいと思った
・高橋みなみさんに、努力すれば報われる。どんなに努力しても報われることがなかったのにと、思ったけど、前向きにもう一度やり直そうと思えるようになって、病院を克服できた
・松田聖子さん。当時はマジぶりっ子になってました。
・島袋寛子さん。当時小学生でSPEEDをやられていて、アイドルになるのに、歌手になるのに、年齢関係ないんだと実感させられた
・ももいろクローバーZ。この子達にいつもパワーもらってます。
・ドリカム吉田美和さんのように歌がうまくなりたくて、練習していたことがあった
・岡村孝子の歌に励まされている
・ZARDの坂井泉水さんです。同性として彼女に心から憧れ、作詞を始めた10代の頃を思い出します。泉水さまは永遠です!
・須田あかりさん。若いのに、すごくしっかりしていてポジティブで。私はアラフィフのおばさんですが。この須田さんの明るい性格、生き方、全てを見習わせて頂きたい気持ちになりました。
・高田美和さん。離婚時に、結婚していた時マスコミに幸せ一杯と表現していたが全て嘘でこの指輪も買ってもらったのではなく自分で買ったものだと言ったのを聞き、��を羨むことを全くしなくなった。
・歌のお姉さんをされていた茂森あゆみさん。小さい頃からみていて、あんなふうに歌ったり踊ったりしたいと思って、真似をした。高校生になって、マーチングをして、カラーガードに挑戦。踊ったりするのが楽しかったし、小さい頃にこんな思いをしたから、挑戦したのだと思ったから。いまでも踊ったり、歌ったりするのが大好きです。 
<女優>
・バブルの時期、浅野ゆう子のファッションに影響された
・ドクターXの大門未知子役の米倉涼子さん!カッコイイと思った。
・樹木希林さんのものの捉え方を知り、人生は何事も自分の受け止め方次第で変わるのだと感銘を受けました。
・菜々緒の美意識がすごい
・石原さとみの服装を真似している
・夏木マリ。あんな素敵な女性になりたいと、将来の準備を始められたから
・子育てを頑張っている辻さん。全然年下だけど尊敬します。
・エースをねらえのドラマ 上戸彩を見てテニス部に入部した。 
・紗栄子さん。はっきり言うのと自分の芯をしっかりもってぶれないから。 
・20年少し前に藤原紀香の髪型が流行った時、私もマネして紀香カットにしてました笑
・永作博美さんが好きなので甘酒の豆乳わりを飲まれてるのを知ってわたしも飲むようになりました。 
・綾瀬はるかさんみたいなスタイルになりたくて常に姿勢を気にしている
・エマ・ワトソン。ジェンダーについて考えるようになりました!
・井川遥さん。結婚してどんどんきれいになって、そんな風になりたいと思った。
・細川直美さん。ブログを通して同年代で憧れる生活をしているから。
・仲間由紀恵さんです。小さいときからすきで、黒髪きれいで似合うようにしたいと思いすきになりました。綺麗すぎます。
・江角マキコ。朝一番、家族が起きてくる前に雑巾がけをする(掃除機を使わず)と気持ちがいいと答えていた雑誌のインタビュー記事を見て、素敵やなと思い、私も頑張ってみよう!と影響受けました。
・はじめてPopteenという雑誌を勝ったときにみちょぱをみてこんな風になりたいと思って今まで興味のなかったメイクや服を勉強したり努力した。
・中谷美紀の、アイドルから実力派女優らの転身に影響を受けました。人は努力すればイメージまで完全にかわれるのだな。と。 
・武田久美子さんが女性が美しくいることの大切さを話していて、自信になりました。
・野沢雅子さん。声優学校でお会いして、役者は人柄も大事だと痛感。
   <女性タレント・モデル・芸人・アナウンサー>
・黒柳徹子。年齢に関係なく楽しく生きる。
・久本雅美さん。人にどう見られるかより自分がどうあるべきかとの言葉が心にひびきました。
・大久保佳代子さん。結婚したいとか彼氏が欲しいとかじゃなくて遊び相手が欲しい
・叶恭子さんの言葉は自己否定に陥っているとき凄く励まされる 
・ギャル曽根の食べ方が綺麗で、真似しようと思った。 ・当時愛読していたSEVENTEENのモデルさんだった北川景子ちゃん。あまりの可愛さに携帯に画像を大量に保存して、SEVENTEENの特集が組まれるたびに読み込み、北川景子ちゃんのおかげでメイクをやるようになったから。 ・嫌なことをされても「私はしない」と言ったローラのセリフ。相手を攻めそうになったり、陰口を言いそうになっても、口に出さなければ、いずれ透明になっていく。だから言うな!と言った、誰だか忘れたけど芸人さんのお父さんのセリフ。会社で毎日思い出してます!! 
・服飾デザイナーの勉強しています時にファッション雑誌、ファッションショーなどでトップモデル山口小夜子に出会いました。美しい小夜子さんに魅了されまして目にアイラインを入れたり今現在も変わりません。そして何より山口に自分の姓が変わった事が嬉しいです。
・田中みな実さん水を3リットル飲むと言っていたのを聞き、頑張ることに。ただ私は小さい時からジュースや牛乳ばかり飲んでいたので水どころかお茶も嫌いでしたが、意地で水を飲み続けた結果、今では1日1リットルは飲むようになりました!3リットルは厳しいですが2リットル飲めるように毎日奮闘中です!
<女性アスリート>
・マラソンの福士加代子さん!どんなときも笑顔で自分のスタイルをつらぬいて話すことができる!裏表がなさそう!見るからに元気そうで元気をもらえる! ・趣味でランニングを始めましたが、高橋尚子(Qちゃん)がオリンピックでのゴールした時笑顔とインタビューでの内容が印象になりました始めました。
<作家・文化人・歴史上の人物など(女性)>
・瀬戸内寂聴さんは紆余曲折な人生だけど、人間らしくて、言葉に説得力を感じる。自分の気持ちに素直で嘘がないし、嫌味もない。そんな人が言うことは今の感覚とズレてると感じてても説得力がある。
・キュリー夫人の伝記を読んで、理系に進んだ。が、頭が悪いことに気がつくのが遅かった。 
・大平光代さんの「だからあなたも生きぬいて」を数十年前に読ませて頂いた時人間どん底にいても自分の頑張り次第で周りにも恵まれるきっかけを作る事ができると教わりました上を見たら上がいて下を覗いたら下がいてが自身の座右の銘になり自分が変わらなければと奮起してます
・宇宙飛行士の向井千秋さん。色んなことにチャレンジしているし、旦那さんが「君についていこう」という本を出すくらいサポートしていることに驚いた。こうゆう生き方があるんだと励みになった。 ・三浦綾子。本を読んでキリスト教徒に感動した。
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<架空の人物>
・諦めたらそこで試合終了だよ 安西監督!
・金八先生に憧れて、先生を目指した。結局なれなかったけど…
・有名人というか、幼少期に見た「トムとジェリー」。子供のころ、小さくても頭を使ってトムをやっつけるジェリーみたいに生きなければとすりこまれてしまったのかもしれません。大人になると、トムのような生き方をしてる人が案外好かれることに最近気付いて、あの頃はジェリーこそが正義と思い込んでたのはなんだったんだろうと思い返しています。
全体的に歌手やアーティストが多い傾向となりました。また、世間での好感度が低めな人でも、憧れている人はちゃんといるということがわかりましたね。あなたの憧れの有名人は言及されていましたか?
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buriedbornes · 5 years ago
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第33話 『旧き世に禍いあれ(1) - "菌の森"』 Catastrophe in the past chapter 1 - “Fungus forest”
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 森、と呼ぶべきだろうか。
 遠くから見れば、その青さは豊かな植生を想像させ、様々な生命をはぐくむ豊かな森に見えるが、その実、その森は『森』以外の命を拒絶している。
 木々の代わりに、複雑に組み合って伸びた菌糸が、樹木のように空に向かう。梢である部分も、まるで寄せ木細工よろしく噛み合い、その様から想像するよりも酷く凍てついている。
 光の射さない森を、人は畏れ、近づく者はない。
 かつて、近づいたふたり組がモンスターに襲われた。からがら逃げた片割れが言うには、馬ほどの大きさのカマキリに襲われて、仲間は頭から食べられたという。その男自身も背中に大きく斬りかかられた痕があり、傷こそ浅かったがその日のうちに死んでしまった。近づけは呪われる、魅入られる、毒にやられる、様々な噂が立った。
 近隣に住む人々に場所を尋ねても、露骨に嫌がられる。森への案内人は見つかることない。
 菌類は、世界で一番初めに繁殖し、世界を覆い尽くした生命であるとされる。その生命力の強さは人間の想像をはるかに上回る。彼らは何らかに寄生し、共存すること、または乗っ取って成長することで繁殖を遂げた。「菌類が森を形成している」と聞いた時、フィリップは当然のように、実際の木に寄生した菌が、木の表面を覆い尽くしているのだろうとだけ考えていた。
 しかし、実際には、木々などを必要とせず、菌だけが独立し、成長しているという異常な環境だった。
 足元も完全に苔むし、通常の森の数倍の高さまで伸びた梢までを見上げる。
 完全に光を遮った空間には、ところどころに白いふわふわとした胞子が舞っていた。
 胞子を防ぐためにつけた顔を覆むマスクを通した、不気味で低く掠れた呼吸音は、そして規則正しく響く。菌糸が絡まり一本の巨木となる、それが真っ直ぐと空へ伸びる柱の間を、ゆっくりとふたつの影が歩いていく。彷徨っているわけではない。その歩みからは向かうべき先へと向かう意思が見受けられるが、広大な森と道を遮るほどの菌の巨木に翻弄され、緩やかに歩く軌道は大きく蛇行していた。
 この森の来歴は、古い神代にまで遡るとされていた。
「……仮説通り、本当に神が眠っていると考えてよさそうですね」
「ああ、そうだろうな」
 自死を選びこの森に入る者もいるという。それほどに深く、広大だった。
 屍術師のフィリップとグレーテルは、無表情で淡々と歩き続けていた。
 グレーテルが時折、歩みを止めては自身の側頭部に手をやり、目を細めて集中した後、遠くを指差す。精霊の濃い方角を探って向かうべき先を先導し、フィリップがそれに続く。
「何百年、いいや、何千年の時がここの中では流れたんだろう」
 数十メートルもの高さまで伸びた菌で出来た木をグローブ越しに触れてみたが、しっかりと堅い。強く押してもしなることもなく、力強く根付いた感触が返ってくる。
 フィリップは傍らのグレーテルを見た。彼女も顔を覆うゴーグルと、分厚い防護服や手袋、安全靴など、肌を一切露出せず、まるで奇妙な人形のように立っている。ゴーグルの奥にある瞳だけは、以前と何ら変わらず、知的な光を宿してこちらを見つめ返してくる。
 着ぶくれして奇妙な人形のような姿をしているのは、フィリップ自身も同じだ。
 何も身に着けずにここで呼吸をすれば、1分と待たずに肺から蝕まれて死ぬだろう。装備を揃えるために訪れた集落の古道具屋で出会った古老は、皺がれた声でそう告げた。そして、全ての装備を見繕い直す2人を尻目に、白く濁り始めた目で「あの森は捨てておくしかない」とはき捨てるように言って、店を去った。
 どれだけ歩いただろう。古老がいた集落から二日歩いて、菌の森の入り口にたどり着いた。森の入り口には当然、柵も、看板も、遊歩道のようなものさえない。獣道と思しき菌木と菌木の間隙を縫うように進み、ようやく分け入った。
 不意に、菌糸の枝と枝が擦れるような不自然な音が聞こえた。
 フィリップが斜め後ろを振り向くと、グレーテルの背後に、蔓が垂れ落ちている。粘膜で奇妙にてらてらと光る蔓が、ゆっくりと猫の尻尾のように先を揺らす。
 フィリップの背中が一瞬で粟立つ。
「グレーテル!」
 フィリップの叫びに、グレーテルも弾かれたように振り向き、その手を翳した。一瞬の間の後に青い炎が見え、フィリップは舌打ちをした。
「駄目だ!」
 叫びながら、フィリップは手を横に一閃した。
 蔓を焼き尽くさんとグレーテルの手から放たれた炎と、その先でグレーテルを襲おうと先端を食虫花の花弁のように広げた蔓が、澄んだ音を立てて凍り付く。
 ――これが、噂に聞いていた菌の森の怪物か……。
 見上げて注視すれば、そこここに蔓が伸びている。全ての���が同個体なのか、異なる個体同士が無力化された仲間の様を感じ取ったのか、するすると蜘蛛の子を散らし、逃げていくように去って行った。
 あれらは強酸性の粘液を持ち、骨をも溶かすと言われている。
「ここでは炎は使うな。分かるだろう」
 フィリップの声に、グレーテルは少しの間立ち尽くしていたが、ふいと顔を背けると、露骨に不機嫌そうな足取りで、フィリップを置いて歩き始めた。
 その背中を追いながら、フィリップは深い溜め息をついた。
 ここは『森』だ。ましてや梢に当たる部分は組み合わさっている。一旦火が付けば、どこまで延焼するかも分からない。
 この先に待ち受けるものが、その炎に焼かれてしまうようなことがあっては、元も子もない。
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 しばらく進むと、菌糸の種類が増えてきた。相変わらず空を覆う巨木たちは変わらないものの、下から葦のように生えた背の高い草状のものも増え始めた。
 はじめは魔物かと警戒していたが、ただの草に似た形状に進化した菌の一種のようだった。
 フィリップが大人になってすぐ、世界は一日にして全てを失い、崩壊した。屍者が溢れ、瓦礫に満ちた街を必死で逃げ回るしかなかった。グレーテルと再会したのはそのさなかだった。混乱の中、ふたりでどうにか郊外へと落ち延びた。
 覇王の侵攻によって、人々は絶望に追いやられ、細々と終焉に向かって隠れるように生きていた。社会や国など、あってないようなものだ。今までは動いていた陸路や海路も断たれ、物資の運搬もままならなず、世界的であらゆる資源の流通が絶えた。手元にあるもの、そこで作れるものだけが全てとなり、手近に残されたものを奪い合った。人の行き来が絶えた街道で誰かと会うことがあれば、例外なく襲い掛かってきた。
 そうして、社会が荒廃していくさまを、指をくわえて見ていることがふたりには出来なかった。
 屍術に手を染めたのも、仕様のないことだ。生き延びるため、何よりすべてを取り戻すため、戦うにはそれしか術がなかった。
 元々、フィリップとグレーテルは同じような境遇で育っていた。家庭の経済環境も近く、受けた教育もほぼ同じだ。ふたりは幼年から時間を共にし、大学で同期だった。専攻こそ、フィリップは時空間魔術、グレーテルは精霊術と異なったものの、在学中はお互い知己の仲であった。
 それでもただお互いに見知っていたというだけで、卒業後は疎遠だった。たまたま、覇王侵攻を契機に2人は再び引き合わせられた。それ以降、ふたりで屍者を用い、戦い抜いてきた。
 けれども、それももはや限界を迎えようとしていた。
 使役するための屍体が明らかに不足し始めた。これまで騙し騙し活動を続けてきてはいたが、そう長くは保たないだろう。
 フィリップの専攻は時間遡行――過去へ戻る術だった。彼の前の代にはその基礎理論はすでに出来上がっていた。ただ、そのために必要な魔力は想像を絶するものだった。そして、その消費量は遡行する時間が遠ければ遠いほど、つまり過去を目指すほどに指数関数的に増えると知られていた。
 覇王侵攻後、フィリップはずっと考えていた。今まで研究してきた延長線上で過去に干渉して現在の問題が解決する方法があるのではないか、と。数秒程度の過去遡行は実例が既にあった。ただそれも、必要魔力が少ないから出来た最小規模の実験だった。
 グレーテルと落ち合っ���すぐに、彼女はフィリップの専攻を覚えていたため、「過去に戻って世界を変えることは可能だろうか」と真剣な表情で尋ねたことがあった。
 ――どうしてそんなことを?
 ――過去を変えるためです。現状を打破するには、今の努力でカバーできる領域を超えている。
 ――そうか。……現実的には無理だろうな。魔力が圧倒的に足りない。
 フィリップの返答に、グレーテルは怯まず詰める。
 ――魔石を集めたら? 大量の魔石があれば可能ではありませんか?
 ――街作りになるぞ。単に魔石を集めるだけでは意味がない、石から魔力を引き出し、一点に集中する構造にすることを考えたら、ふたりじゃ一生かかりでも無理だ。とても現実味がない。
 グレーテルは少しだけ、考え込む様子を見せた。
 ――神の力を借りるのは? それならば可能では?
 ――そんな量を借りた前例はない、全部寄越せなんて聞き入れられるものか。
 ――なら、死んだ神から奪うのは?
 ――死んだ神の力は死んだその場で霧散する。受肉して顕現した個体なら可能かもしれんが、そんな都合のいいものどこにも残っていないぞ。
 ――でも、仮に受肉して死んだ神の遺骸が現存すれば、できるという事ですか?
 ――まぁ、そうなるが……
 グレーテルと親しい関係であったわけではない。顔見知り程度だ。そんな彼女がはっきりとものを言い、貪欲に食らいついてくる姿は新鮮だったが、同時に恐ろしくもあった。
 ――あなたの言う受肉した神の遺骸は、歴史上、様々な伝承が残っていますよね。
 ――それでも、伝承だろう?
 ――ええ……。ですが、英雄が屠った神を食べ、国を築いた神話もありますし……時間がある時に調べてみます。
 この会話で終わったのだとフィリップは思い込んでいたが、グレーテルはそうではなかった。
 ある日、彼女はいつもは首から下げている眼鏡をかけ、古びて朽ちかけた郊外の図書館で、一冊の本を読んでいた。よもや殺されたのではないかと探し回っていたフィリップは、安心したと同時に隠しようもない苛立ちに襲われた。
 それでも、大きな張り出し窓に腰かけて本を読む姿は、痩せこけた頬さえ見なければ、まるで平和な時代の学生時代のように穏やかだった。
 ――屍者になっていたらと思ったら、読書か。
 ――なんのことですか?
 よっぽど夢中になって読んでいたのか、彼女は驚いたように顔を上げた。
 ――いや、僕が屍者を操っている間に、まさかいなくなっているとは思わなかった。僕の体に戻ってみたら、君がいなかった。どこか行くなら、一言くれないと困る。
 ――ああ、そうですね……すみません。突然思いついて……、あなたの様子も安定していたので、つい抜け出してしまいました。
 ――何を思い出したのかな?
 グレーテルは力強く頷いた。
 ――菌の森を。
 ――菌の森……? って、あの谷間にあるって言う?
 フィリップの問いに、彼女は大きく頷いた。
 ――あの森は古代の神の眠る場所。まさかこんなところに、こんな貴書が紛れていたなんて……結末知れずの闘争記録が数多く残されていました。記されているものも古語です。
 フィリップも書架をあるけば、複数の関連した図書が見つかった。
 ――古語で書かれている歴史書でした。ここにあるものは恐らく本当でしょう。
 ――古き神が眠る……か。
 ――魔力が残されている前提となる、肉の体に宿した後倒された神が幾つか……けれど、あくまで少数でした。
 ――ああ、そうだろうな。古い記録の中でも、特に古いものにしか出てこないヤツだ。
 ――神の顕現には本来肉体は不要で、なにか特別な理由がなければそうされる事もなかった。肉体を持たずに討たれた神は、その内に秘めた魔力ごと消散し何も残らない。仮説ですが、最も古い時代には、神々も顕現する姿を試行錯誤した時期があったのかもしれません。肉体を持って顕現し、そして討たれた後捨て置かれた神など、そのものの記録はなかったのですが……
 これを見て下さい、とグレーテルは古地図を示した。
 ――神を鎮めに旅立った英雄の行方を知る者はいない……、こういう地に、恐らく討たれて倒れた神の遺骸が現存する可能性があります……その場所さえ分かれば……
 ――ん、これは……
 フィリップはすぐさま、いつも持ち歩いている汚れた地図を広げた。古地図を交互に指さす。
 ――ここが、同じく城塞……高地……少し違いがあるが、同じところじゃないか……?
 ――そうです。そして、ここに菌の森。神の遺骸が、ここに……?
 グレーテルの声は興奮して上ずっていた。まだ確定していないものの、どうしても期待が膨らむ。フィリップは大きく頷いた。
 ――行こう。試す価値はある。
 決意は固まった。装備を整えて、ふたりは早速菌の森を目指した。
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 ふたつのガスマスクを通した呼吸音。梢から垂れた菌糸は、まるですだれのように行く手を次々と塞いでいた。それを押しのけた途端、突然視界が開ける。
 フィリップは、はっと息を飲んで足を止めた。
「――……ここだ」
 ふたりで作った地図とほとんど同じ場所に、それはあった。
 死した神の寝床。
 何千年も前に英雄と戦い没したとされる神が横たわっている。
 鯨に似ている。がらんとした空間の中に大きな赤黒い鯨の遺骸が打ち捨てられているように見えた。
 遺骸の周囲にはまるで丁寧に森をえぐったかのように円形の湿った地面が都市の広場ほどの範囲で広がっており、草一本、菌木一本も生えていない。まるでその遺骸が、あらゆるものが近づくことを拒んでいるかのように。
「……うっ……」
 グレーテルは口を抑えてうずくまった。
「大丈夫か?」
「……精霊の気配が……こ、濃すぎる……すみません、少し時間をください……」
 弱々しい声で告げたグレーテルが、額につけていたサークレットを外して、座り込んでしまう。
 やむをえず、フィリップは少し時間を置くことにした。すぐそばに腰かけて、フィリップも死骸を見つめた。生身で、感覚を増強する道具も身につけていないフィリップは、その遺骸から放たれる魔力の迸りを直に感じずに済んだ。
「あれが神の遺骸か? 鯨のように見えるんだが……」
 フィリップは神の遺骸を見ながら首を捻った。
 グレーテルはまだ肩で生きをしていたが、答える余裕は出てきていた。
「あなたは鯨を見たことが?」
「祖父は漁師で、幼い頃に鯨を見たことがある」
 グレーテルは雑談には反応せず、死した神の遺骸に歩み寄っていった。
 肉の大部分が朽ち落ち、元の形は分からない。骨の先から先までの距離から、巨鯨ほどの大きさの存在だったと察することが出来るだけだ。
 フィリップも近づいて見れば、それは明らかに鯨とは異なる特徴を有していた。抱え込まれた両の腕と太ももと思しき4本の節が見て取れる。
「……人か?」
「当然人ではありません。ただ、極めて人に近い形をした、大型の何か……でしょうね。人を象って顕現したのでしょうか」
 グレーテルは微かに首を傾げていた。
 よくよく見ると、手足や頭部の形は残っている。ひとつひとつの大きさが人間と比べ物にならないくらい巨大だ。横向きに膝を抱えるような形で倒れていたため、残った部分がひとかたまりにまとまって丸々とした肉塊に見え、遠目から横たわった鯨に見えたのだ。
 グレーテルは躊躇いなく、その肉片に触れた。
「お、おい! 触れて大丈夫なのか?」
「触れないと確認できないでしょう。いまさら躊躇しても仕方ないじゃないですか。」
「それは、そうだが……」
 彼女は表情を変えることなく、手袋をしたまま肉片をつまみ上げ、背負った鞄から留め金を外して手にとったモノクルを通してまじまじと観察した。流石にフィリップはまねる気にはなれず、顔を背け代わりに周囲の森を見渡していた。
 屍術師として屍体を扱うことには慣れたが、それを当然望んでいるわけもない。ましてや、死した神の肉片なぞ、触れて何が起きるとも知れぬものを、掴む気も起きなかった。
「……やはり。山羊と、おそらくは牛の混合……生贄を触媒に受肉されたものですね」
「数千年も前のものが?それだけ経っててわかるものなのか?」
「受肉した神の記録は数は少ないですが、それを食したものが不滅を得たという伝説は幾つか聞きます。残された肉そのものが不滅だとしても、不思議はないでしょうね」
「まぁ、山羊と牛のミンチなら、味は良さそうだな」
「その冗談は面白くありません」
「はは、誰が食べるものか。触るのもお断りだ」
 フィリップは肩を竦める。
 ガスマスクをしているから、臭いは分からない。
 蠅もたかりもせず、数千年を経ても微生物に分解されている様子もなかった。
「ここで朽ちていっていたということは、この神はひとりで死んだのか?」
「いえ、この辺りの骨が折れています。きっと英雄と戦い、敗れたのでしょう」
 グレーテルが示すあたりをしかめ面しながら片目で見やる。左脛と思しき位置の骨が、粉々に粉砕していた。これほどの打撃を神に与える英雄とは…。想像が出来ない。あるいは、Buriedbornesの術を介するならば、可能だろうか。ふと、古の時代からBuriedbornesの術は扱われていたのではないか、という妄想にも似た想像が浮かんだ。
「英雄や魔物は神から力を奪う……けれど、この肉体だけが残ったということは、この谷間には元々、遺骸を喰らえるような肉食の魔物や獣がいなかったのでしょう。当の英雄は、恐らく相討ちに」
「その英雄はどこだ?」
 グレーテルが指をさす。その先を見れば、遺骸を中心とした空間の縁に、ボロボロに朽ちた剣の柄らしきものだけが落ちていた。刃は完全に失われて、金の装飾部分だけが、堆積物をかぶりながらも劣化せず残っているようだ。
 受肉した神の肉体が持つ不滅性が証明されたと言える。あまりにも長い時間を経て、相対した英雄の遺体がほとんど朽ちて消え去った後も、まだこうして肉体を残していたことになる。
 木々や草花は育たず、陽の当たらない崖の下で、菌糸類だけがその溢れ出す力の恩恵を受けて菌だけの森を成した。もとより人が住めるような場所ではなかったのだから、手を付けられることもなく歳月が過ぎた事に、疑問の余地はない。
「ここに人間が来たのは、どれくらいぶりなのか」
「……はじめてかもしれませんね。このふたりの他では、はじめての訪問者なのでは? 英雄自身も、はたして人間だったかどうか……」
「好都合だな。予定通りいけそうだ」
「ええ、準備は大丈夫ですか?」
「ああ」
「魔力の計測もそろそろ終わりそうです。正式な数値はまだですが、現時点で必要な魔力を越えています」
 グレーテルは研究者らしく、目を輝かせて頷いた。フィリップも頷き返す。
「ここまで近づけば、肌で分かるレベルだな。この魔力量なら、想定通り飛べそうだ」
「ええ、そうですね」
 人生でも目にしたことがないほどの、内包された計り知れないほどの魔力量。これほどの力を使うことができれば、確実に過去へ戻ることが可能だろう。
「あーあ。どうせなら、覇王が生まれた頃まで戻って子供のうちに縊り殺せたら、もっと楽なんじゃないかな?」
「…この遺骸と同じものを数万体ご用意する気力がおありなら、どうぞ。一緒に試算したでしょうに…」
 時間は巻き戻せる。
 有限でも確実でもないが、方法論は確立している。フィリップはそれを扱える。ただ、この世には魔力が絶対的に足りない。
「この遺骸があってこそ、可能になった、それでも、たったの50年か……。だが、その時期であれば屍体も多く集まるだろう。今ではもうお目にかかれないような、名だたる英雄の屍体も手に入るかもしれない。その力で覇王を討ち、人間が人間として生きる時間が取り戻せるはずだ」
「ええ。失敗は許されません」
「もし失敗したら、どうする?」
「……そうですね、残された戦力で、覇王相手にはもう勝ち目はないでしょう。手詰まりです。未来に可能性を残すために、あなたと子でも為しましょうか」
「その冗談は面白いよ」
 フィリップが笑うと、グレーテルは不満そうに眉を寄せた。
「人間らしい生活を、社会を……取り戻さねば。国や都市が機能し、人々は安全に暮らす、学府にも人がいて、積み重ねられたものが未来に残されていくような……そういったものが、この世界には必要です」
「ああ、その通りだ」
「もし私達に覇王を打破できなければ、より可能性の乏しい後世にすべてを託すしかない。可能性は狭まるばかり。それだけは避けなければ」
「そうならないように、今、やれるだけの事はやろう」
 フィリップは杖を荷物から引き抜いた。
「さ、そろそろ行こうか」
 戻る場所はたった50年。それでも十分だ。
 人類の未来のため、有意義に使わなければ。
 フィリップは杖を握る手に力を込めた。思い切り、遺骸に杖の先を突き立てた。肉を貫く感触は、遺骸というのに生々しくぶにぶにと柔らかかった。
 杖を差した部分から、光がふわりと零れたと思えば、光の筋が一気に杖を通過し、瞬く間に杖全体が発光する。両手で握っているのに、杖のもたらす衝撃に体が吹き飛ばされそうになる。
 杖を中心に、魔力の奔流が竜巻のように徐々に渦を巻き、菌の梢も揺れ、森を包んでいたすべての音が遠ざかって行く。凄まじい轟音が響き、杖自身が悲鳴を上げる。悪路の馬車に乗せたように大きく揺れ振動し、弾け飛ぼうとする。必死でフィリップは縋りついた。
 グレーテルは風の中、近くの木にしがみついてフィリップを見守っていた。そ���表情は落ち着いている。彼女ならば、過去から送り込まれた屍体もきちんと回収し管理してくれるだろう。彼女のような人間に背中を任せられる自分は、こんな時代において、幸せ者ではなかろうかと時々思うが、今はその気持ちが特に強い。
「世界を、救わなくては……!」
 遂に杖は、内側からの力に負けるようにたわんだ。咄嗟に手で押さえたが、その瞬間、ガラスのように砕けて、真っ二つに折れた。
 そして、世界が揺らいだ。
「フィリップ、お気をつけて」
 何も見えない光の中で、グレーテルの最後の言葉は、しっかりと聞こえていた。
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~つづく~
原作: ohNussy
著作: 森きいこ
※今回のショートストーリーはohNussyが作成したプロットを元に代筆していただく形を取っております。ご了承ください。
旧き世に禍いあれ(2) - "ブラストフォート城塞" 
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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usickyou · 2 years ago
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イクサ
 おまえはいまにも死のうとしている。  おまえははげしく飢えている。草の実や、地を出た虫はまったく腹を満たさなかった。おまえはひどく疲れている。森を、平野を、荒れた舗装道を昼も夜もなく歩き通していた。おまえは眠ってしまいたい。おまえはもう先へ進めず、吠えることさえできない、それだから、座して死を待つよりほかなかった。  そんなおまえにも、ともがらがいた。  おまえの最後の場所と決めた、小高い登坂道路の頂上には大樹が立っており、日陰に先客がいた。かれはしずかだった。かれは大樹にもたれかかり、休んでいるようだった。最初おまえは警戒したが、かれがいっこう動かないので気を許し、少し離れたところに寝そべった。  かれは、そのひとは灰白色だった。そういうひとを見たことがなかったし、よく親しんだ脂のにおいがしないのをふしぎに思い、おまえは近づいた。鼻を寄せた。前脚でつつくと――体は石みたいに硬かった――かれはたやすく崩れた。跳び退きうなりをあげたが、かれはそれきり黙っていた。灰白色の崩れた指は、風にはらはら散っておまえの身体をくすぐった。  おまえは安堵し、目を閉じた。ずいぶん心の穏やかなのは、ともがらがしずかでいてくれたのと、おまえにふれた偉大なる死の腕が驚くほど優しいからだった。
 1
 おまえは楽園というものを知らなかったが、目覚めておまえはまさにその国の存在するのを感じた。なぜならば、身体を包む毛布は軽くうんと温かく、薄くも清らかな白い花のほころぶ香りがした。毛布を、ベッドを出て踏みしめた無垢材はかたく、一足ごと正しい身体の感覚を与え、毛足の長いラグマットはあおあお伸びた芝生のように足底をくすぐった。室内は温かかったが、その熱源たる炎を認めるとおまえは恐怖した。おまえは炎を知っている。しかし暖炉を知らなかったから、炎のもたらす破壊の記憶におびえ、浅い火の洞穴よりぱきぱき薪のはぜるたび身をふるわせたのだが、それがおまえを傷つけるのでないことがわかると、炉火を離れ毛布をたぐり寄せふたたび寝そべった。  おまえはうとうとしかけるうち、空腹に気づいた。気づくとそれは、けたたましい悲鳴をあげるのだった。部屋を見回すと皿に気づいた。水飲み皿。おまえは知っている。慣れ親しんだものと形状こそ違うが、機能は直感で理解された。おまえは歩き、そこかしこ骨や関節のたてる原始の打楽器じみた音を楽しみながら皿へ寄った。  水飲み皿は火に近い。最初おまえは警戒する。しかし水はおまえを引き寄せ、身体へ入った。おまえは飲んだ。皿はまたたく間、空になった。おまえはふたたび部屋を見て、腹を満たすもののないことを知ると、そこで横になった。おまえの、忠実の本能がそうさせた。また気高さの本能は、近づく足音を聞き逃さなかった。  頭上の銀の、ノブがまわる。  扉が開く。 「わ、起きた」  入ってくるなり女性は言って、おまえの名を呼んだ。 「イクサ」女性は続ける。「イクサ。合ってる? 首輪についてたけど……」  イクサ。  ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのイクサ。  それがおまえの名だ。  イクサは名前にふれられて、いくつかのおぼろげな記憶のかたまりが揺れるのを感じた。かつての主人、ふるえる手で鎖をはずすと、棍棒と炎とで乱暴におまえを追い出した……おまえは幸せだったというのに……。 「イクサ。ごはん食べれるかな、おいで」  それをイクサが思い出すのは、女性の声が、主人に近しく優しく鳴るからなのかも、しれなかった。  食事は豊かだった。米や卵、鶏の肉……。犬のため、特別にあつらえたものではないので味は濃く感じられたが、そのぶんたっぷり水を飲んだ。腹が満たされると、イクサは心地がよくなった。かつて主人にしたように喜びをもってひと吠えすると、女性のほほえむのを見た。 「おなかいっぱい? よかったね」  すると続けて扉が開く。 「おー、起きたのか? なんだ元気そうじゃん」  扉のむこう、おも��の明るい日ざしを背負い、もうひとり女性があらわれる。彼女は土のついた手袋をまるめ、ブーツを脱いで、ずかずかイクサへ近寄った。勢いそのままにあごや腹を大胆なでられると、気高い本能はすぐに身をひそめ、与えられるひとのたなごころの喜びに、イクサは耽溺するのだった。 「よーしよしよし、人なつこいな」 「ずるい、わたしも」  ふたりから、際限なく降る快楽にイクサが疲れはじめて、ようやくそれは終わる。 「こんなかんじだから、わたしもすぐ出るよ」 「助かる。イクサ。あたしはミト。こっちがカーラ」 「よろしくね��イクサ。わたしたちのこと、忘れないでね」 「そうだな、あたしたちを守ってくれよ」  ミト。  カーラ。  イクサは言葉を知らない。けれど彼女たちの名前をすぐに覚えた。優れた知恵と、忠実の本能がそうさせた。ミト。花と土のにおい。カーラ。花と織物のにおい。まるで昼と夜だった。それだから、ふたりがそばにいるとなにもかもが満たされて、感じられるのかもしれなかった。  突然、イクサの耳が跳ねる。  イクサはすぐに吠えない。それは臆病な犬のすることだ。イクサは来客を伝える外を見る。そこは森だ。迫る冬に枯れだした森の、ひらけたところに家は孤独に建っていた。林道を、歩いてくるのは白髪頭の男性だった。年若くはないが、足取りはしっかりしている。急いだらしく、肩で息をするのがうかがえた。 「ザハさん」 「いいはなしじゃ、ないんだろうな」  ふたりは家を出る。扉を出て、階段をおり、イクサはついていく。 「ミト。カーラ……また、町の若い、女が石になった……」  老人、ザハは息を切らし続けた。 「みな、危機を感じている……」  ミトたちは、しずかに受け止めるようだった。 「石になったのは誰ですか?」 「ノル。知っているか?」 「顔が出てこない……カーラは?」 「新しくきた子だよね。話したことはないかな」 「網は? シフトはどうしたんですか?」 「現に石化したのだから誰かが忘れたんだろう。ノルは来て浅かった。確実に記憶している者も少なかったのかもしれない……」  彼は続けた。 「ミト。カーラ。町へ戻らないか。きみたちが穏やかに過ごせるよう、努力する。町のみなにも守らせる。傷つけないと、約束をさせる。また、われわれと暮らさないか」  イクサは彼を見る。彼は疲れ、焦燥して、その声には誠実の響きがある。誰かを傷つけようと後ろ手に棒を持つのでない、真実の声音。 「ごめんなさい」間をおかずカーラがこたえる。「ザハさんは大切だし、感謝してます。でも、町は……」 「欲しいのはあたしの体質だろ」  ミトは言う。 「あたしは戻らない。二度と……」 「ミト」 「事実だろ」 「ミト」 「……ザハさん、教えてくれてありがとうございます。それと、すみません」  ミトは頭を下げ、家へ戻った。 「わたしたちはここを離れません。ほんとうにごめんなさい」 「いや、……いいんだ。きみたちが幸せなら、私はそれでじゅうぶんだ」  そうして彼は、別れ際こう告げた。 「気の立った連中がいる。ことを荒立てないよう努力するが、ほんとうにすまない、いつでも逃げられる準備をしておいてほしい」  カーラはほほえんでこたえた。  彼の背が森に消えるまで見送り、カーラは家へ戻る。階段を昇り、扉を開き、「ミト!」と強く呼ぶ。「なに、さっきの態度。失礼でしょ、もう……」  ミトもそれを予期していて、「ごめん」とすぐに謝る。「だめなんだよあたし、ああいうはなしになると血がのぼって……悪いことしたなあ」  それでカーラが許すこともなく、たっぷり十分をかけてミトは厳しいお説教を受ける。しおらしく、うなずき続けるミトを見ながら、イクサはこの家庭のしくみや、ふたりを幸福たらしめるささやかな力について、理解していく。  お説教が終わるとふたりは、イクサもいっしょになって、農園へ向かった。収穫に手入れに、時間はまたたく間に過ぎた。日が傾きはじめたころ向かった鶏小屋では、一羽の鶏が病気をしている。ふたりは鶏を深く案じ、丁寧に手当てを施した。一羽の鶏が卵を産んでいるのを見つけると、心の底から喜んだ。イクサにその喜びはわからなかったが、ふたりが喜ぶので同じように嬉しかった。
 2
 病んだ鶏の死のかなしい夢を覚めるとひとりだった。鶏は飛んでいた。暗い湖だった……。イクサは起きあがり、全身に元気のみなぎっているのを感じた。それなのにひとりきり、腹を空かしているのは物足りなく感じられ、寝室から階段を降りていった。  カーラは泣いているようだった。  イクサは行動した。だって主人は、前にイクサを大切にしてくれたそのひとはよく泣いた。そういうとき身を寄せると、主人はイクサをそっとかかえ、しばらくすると立ちあがりお礼にと食べ物をくれたり野原で心ゆくまで遊んでくれたり、したものだった。  だからイクサは身を寄せて、抱き寄せる力があまり強いので、きゅんっとうめく。 「どうしよう……」  カーラはそれに、気づかないようだった。 「ミトが、……ミト……」  そうしてカーラはさめざめ泣いて、イクサのやわい毛を涙で濡らす。イクサは空腹をこらえながら、カーラへ身を委ねる。芽吹きはじめていた、新たな主人への愛情がそうさせた。すべて犬の献身がそうであるように、イクサのおこないはカーラに大きな勇気を与えた。 「助けなきゃ」  カーラは言った。すぐに家を出るので、イクサは食事にありつけないのを残念に思ったけれど、愛情が許した。  森を抜ける。  町へ出る。  町はイクサに、もの珍しかった。前の主人と暮らしたのは広い牧場で、そこには家と野原と羊の群れだけがあった。町には家が多くあり、けれど羊があらわれないので、イクサはすべての羊が炎で焼かれてしまったのだと思った。けれどひとは時おり見かけ、カーラを逃げるみたいに姿を消した。カーラは恐怖なのかもしれない。はじめイクサは思ったが、カーラは少しもおそろしくないので、ひとびとは、かれら自身こそが恐怖でありカーラはそれを写す鏡なのだと考えた。するとイクサは、いやな気持ちになった。腹が減っているのだ。イクサは段々、気が乱れていくのを感じた。  カーラは進んでいく。  今度はカーラを逃げないひとびとがいる。かれらは石造りの教会のまわりで、洗い物や農園の世話をしている。カーラに気づくとかれらは呼ぶ。「カーラさん、こんにちは! いい日よりですね!」かれらは続ける。「お久しぶりです、町にご用ですか?」カーラはおじぎだけ返して進む。かれらは気にする様子もなく、ふたたび作業へ戻る。ひとりが礼拝の時間を告げると、揃って教会へ入っていく。イクサは考える。かれらには恐怖がないのだ。  カーラは町の、公会堂へたどり着く。  扉の横には男性がいる。彼はカーラを認めると、きまり悪げに目をそらした。イクサにはわかる。おびえているのだ。カーラはすたすた近づき、溶鉄みたいな声で「ミトはここ?」と問いかけた。彼はおそるおそる顔を上げると、「困るよ」とこたえた。目を合わせない。声は小さい。伸びるのか伸ばすのかあいまいなあごの髭をさわるのは、母の手触りを求める幼子の指に見える。 「アープさん。ごめん、入るね」  カーラは告げ、突っ切ろうとした。彼は慌てて割って入り、「よしてくれ」と言った。カーラが止まらないので距離は縮まり、ついに、彼は肩を掴み強く言った。「カーラ! やめてくれ、おおごとになる……」  カーラは抵抗した。しかし力では、敵わないのだ。引きずられながらカーラは叫んだ。「ミト! ミト!」声はイクサの耳を刺した。悲鳴。頭蓋と脳のすき間を音は乱反射した。全身がふるえた。ふるえるのは怒りだった。空腹が、イクサの獣を揺り起こしていた。主人の危機にイクサは牙をあらわした。吠えも呻りもせずしずかに、ジーンズごと彼の脛部の皮膚を咬み裂いた。  彼は絶叫する。牙はにぶく鋭い。皮膚を裂き、ぎざぎざの歯で肉を無理矢理こじ開けると、脳深奥に野生の歓喜を感じ、イクサは牙を離さなかった。彼が叫びとともに振り回す脚に喰いつき、すばらしいよろこびがみるみる身体に広がっていくのを味わった。 「イクサ! やめろ!」  けれどそれは絶対だ。主人の声はイクサの神の絶対なる命令だった。数人と連れだって建物を出たミトの声にイクサはあっけなく牙を離し、獣が眠ると口のなかの血のあじを気持ち悪く感じた。カーラの用意してくれる、温かい食事をはやく食べたかった。 「アープさん、すみません。……ひどい」  彼の脚を上着でしばり、ミトは続ける。 「誰か、薬……手当てしないと、急いで」  カーラが近づく。 「ミト! ねえ、戻ろうよ」 「カーラ、なんで来たんだ。あたしは大丈夫だから、帰って……」 「ミト! カーラ! くそ犬、なんてことを……!」 「違う! イクサはわたしを守っただけ、アープさんが……」 「薬がないんだ! もう、町には……」 「水は、水道が裏にあったよな……」 「ミト、帰ろう。もう帰ろうよ……」  そう言って、カーラが手を引く。ミトは離れるのではなく、アープの手当てをするつもりでいた。けれどカーラの、意志は強かった。意志の力のまま強く手を引かれると、崩れたバランスを整えるためミトは立ちあがった。二歩、カーラへ寄った。すると町のひとびとには、ふたりが逃げるように見えた。かれらは引き止めた。行く手をはばみ、肩を掴んだ。それがカーラにはおそろしかった。カーラは激しく抵抗した。手を振り解かれると、いきおい足をもつれさせた町人――モドは背後の友人――ハリドのいかつい肩に頭を打ち、痛みに血を昇らせた。モドはふたたび手を伸ばす。その目的は最初と同じではなくなっており、カーラは掴まれた腕の痛みに悲鳴をあげる。ミトはとっさにモドを突き飛ばす。だってミトは、はじめからずっと、カーラを守りたいだけだったのだ。ハリドはモドとの親しさから、かっとなってミトを強く押す。ミトはふらつき、かがんでいたアープに足をぶつける。倒れる。ミトは倒れる。硬い地面へ頭から落ちる。  すべてをイクサは見ている。 「ミト」  ゆっくりと、血が流れはじめる。 「ミト、……ミト!」  カーラは叫び、かがみこむ。「大丈夫、大丈夫……」ミトはこたえて、体を起こす。「ほんとうに、大丈夫だから……」  だれもかれも黙っている。 「二人を帰そう」ザハが言った。「話は落ち着いてからで、いいだろう」  彼はミト��カーラのそばへかがみ、続けた。 「申し訳なかった。帰って怪我を治してほしい。ただ、薬のたぐいは分けられない。すまないが……ゆっくりと、休みなさい」  彼の視線の言うことを、ふたりはたしかに聞いた。  そうしてふたりはそこを去る。ミトはカーラの肩を借りながら、みずから歩いた。  イクサはうしろをついていく。そうしながら、何度も振り返るのは、アープがその脛に開けられた穴のように赤くまっ暗い目でいつまでも追いかけるからだった。
 *
 ミトは横たわった。その姿があまり静かなものだから、カーラはくり返し、くり返し耳もとを近づけた。 「大丈夫だよ」  ミトがささやいた。 「ごめんな、カーラ。はなしがしたかっただけなんだ……」 「大丈夫、謝らないで……いま、支度するから……」 「はなしが、したくて……」 「わかるよ。ミト、休んで。そしたら、遠くに行こうね」 「……いいな、遠く……。旅なんて初めてだ……」 「そうだね。どこに行こっか……」  やがてミトが眠ると、その穏やかな呼吸をたしかめてカーラは寝室を離れた。  イクサはようやくありつけた朝食に飛びついて、たましいをまるごと埋めていたので、カーラを気にかけない。着々と進んでいく――大事なものはほんとうに少ない――支度の様子に気づくのは、皿をすっかり空にして横になろうと思ったそのころだった。 「イクサ、お願い」カーラは言った。「もし、誰かがきたら、大声で吠えるの。いい?」  イクサにはその意味がわかる。それは危機に瀕してカーラの、ひとの内なる獣が目覚めつつあるせいなのかもしれない。扉をくぐり、階段を降りて、イクサは家の前の農園に陣取った。そこで寝そべり、主人の言いつけを守ることにした。  森は静かだ。先のひとびとの争いが耳の奥で反響するくらいに、静かだった。重たい雲が垂れこめた。日は陰って見えなかった。風もないのに森が揺れるのは、豊かに育まれた木々の生命のわざだった。  絶えず、家からは物音が聞こえる。  一階と、二階を行き来するカーラの足音が響く。慌ただしく、まるで小屋の鶏たちのうろつくように途切れなく続く。それが満腹の、身体にやけに心地よくイクサは眠ってしまいそうになる。イクサは果実をかじる。まだあおい果実の酸っぱさが、目を開かせる。退屈してうろうろしだす。そうしているうち、物音が聞こえなくなってしまって、ひしと深い孤独がイクサに寄せた。イクサは待ち続けた。  耳がぴんと跳ねる。  イクサは林道を見た。樹冠の光をさえぎる暗路を、赤い、輪郭のぼやけた影が近づいた。炎。イクサは身をふるわせた。それはランタンの炎だった。ザハの手にした炎に、イクサは強い恐怖を感じた。 「おまえ……」  ザハは言った。 「ミトと、カーラはまだ……」  しかしイクサに、聞こえていた足音はひとつではなかった。それはザハの、たしかな足取りの影の内に潜んだ。影が、実像を得るように足音は突然激しく林道の葉を踏み鳴らし、ザハは振り返った。一度、硬い骨を奥の歯で噛むのに似た音が響き、炎が落ちた。鶏がけたたましく叫んだ。頭蓋を砕かれ、ザハは倒れるともう起きなかった。  アープ。  彼はまたたく間、農園へ踏み込みザハの頭を砕いた金属の棒を振るった。イクサは身をかわし反撃に出ようとするのだが、その腹を厚いブーツが打ち抜いた。イクサは飛ばされ、身を横たえた。起きなかった。目を開き、苦痛に歪む意識のなかで、それからのできごとを眺めた。  アープは怒りだった。憤怒であり憎しみであり、怨嗟に隷属するあわれな人獣だった。イクサが、ミトとカーラがそうさせた。愛を、体を、尊敬を求めて得られないかなしみが、ひとを獣にした。  彼はそれ以上イクサを傷つけなかった。もとより興味はなかったのだ。彼は農園を踏み越え、階段を昇り、扉をくぐった。乱暴な足音が居場所を知らせた。玄関、リビングを抜け、ダイニングをたしかめたのち階段を昇る。寝室は、三つ。ひとつを開く。閉じる。開く。閉じる。開く……。  石のように、彼は静かになった。  イクサは身体を起こそうとする。けれどそれはうまくいかない。脚に力が入らないのだ。身体を横たえたまま回復を待った。やがて家がにわかにざわつきはじめるのは、アープのみだれた足音のせいだった。彼は階段を駆け降りて転んだ。ずいぶんひどい転びようで、どうにか受け身をとったものの全身土にまみれた。しかしそれを気にするでもなく、彼はてのひらを見た。両方の、てのひらをじっと見つめそれを広げたり畳んだりした。そうしてやっと立ちあがり、走り出すと、ふたたび転んだ。今度は顎を地面へ打ち、血が流れ出すのにも構わず脚をひどくもつれさせながら林道を町のほうへ消えていった。  イクサは疲れて目を閉じる。  次に目を開けたとき、森は夜になっている。  イクサは身体をたしかめ、痛みの再燃におびえながら慎重に歩く。さいわい、骨や内臓に異常はないらしかった。イクサは元気を取り戻す。ランタンの、ザハの落とした地の炎はまだかすかに息をしていて、暗くなった彼の目を揺らす。  イクサは家に入った。  そこは静かだった。玄関にか��んが三つ置かれていて、開いたままの口からは陶のイクサの水飲み皿が覗いていた。  イクサは階段を昇った。  そこは静かだった。イクサはひとり過ごす家を知らないので、どこもしんと黙っているのをふしぎに感じた。  イクサは寝室へ入った。  寝室はしずかだった。ミトはしずかだった。カーラはしずかだった。あおむけの胸に、手をあてて眠るミトの、かたわらにカーラが寄り添うのは、いかにも安らいで平穏に見えた。  ミトはもう起きない。  カーラの、灰白色の体はもう動かない。  イクサだけが、そこで息をする。鼓動する。ものを思う。  イクサは気軽くベッドへとび乗り、ミトをつついた。体はつめたかった。首もとをなめると、涙の清いあじがして、前の主人の記憶の甦るとともに、死はイクサに了承された。  イクサはカーラをつつこうとして、鼻先を止めた。その色のひとはふれて砕けるのだ。イクサは知っていた。それだから、机上の空の小瓶の意味を知らずとも、カーラのもう動かないことはイクサに理解された。  その後脚がくすぐり、ほどけたミトの手から紙ぺらが離れる。床に落ちたそれを、イクサは見る。手紙には、こう書いてある。
『ザハさんへ、もしかして他の誰かへ。イクサへ。  ミトが死にました。さっき。眠ったまま、息をしていなくて、だから苦しくなかったらいいなと思います。私もミトのところへいきます。手紙は、届くかわからないけど届けばいいなと思って書きます。ミトは私のぜんぶでした。恋人、家族、私の半分で、愛していました。だからミトといっしょがいい。信じてもらえるかわからないけど、町のみんなに感謝しています。小さくて孤独だった私たちが生きられたのはみんなのおかげだし、悲しい別れになってしまったけど、気持ちが変わることはありません。受け取ってくれるなら金品はかばんにあります。家も好きにしてください。それと、イクサをお願いします。賢くて、生き抜く力を持った犬です。かわいい子です。最後に、お願いがあります。私の体を砕いてください。石になると、ひとのたましいは体にとどまると聞いたことがあります。それだけは、いやだ。私はミトといっしょがいい。遠くへ、ふたりで行きたい。ミト。あいしてるって言いたい。私をよんでほしい。笑って……ミト、また私と……ミト……して、ミト』
 そうして手紙は役割を終えた。床の紙ぺらを見る者はない。それだから、カーラの願いを叶えるのはイクサだ。  イクサ。  おまえはおまえのすべきことを知っている。  おまえの炎の破壊の記憶が、甦る。主人は死んでいた。おまえの主人は、まだ幼い少女だった。少女は羽根のある足で羊を追いかけ、ほんとうの親のしかたでおまえを愛し、病に倒れた。あっという間だった。少女が死に、少女の父母は石の足音を耳に聞きながらおまえを逃がした。松明と、棍棒を悪鬼のように振るい、おまえの命を救った。炎が広がり、羊の群れの断末魔とともに少女たちを抱いた家の焼け落ちるのはまったく純粋な破壊に見えた。しかしかれらはそれを望んだ。イクサ。おまえは考える。賢い犬。忠実と気高さと、二重の本能を有し、そしてひとを知る犬。イクサ。おまえは思う。炎は破壊だ。炎は恐怖だ。炎はすべてを焼き尽くす、炎は――。  イクサ。  炎は、ただ破壊するのでは、ないのかもしれない。  イクサは一度、稲妻みたいに鋭く吠える。寝室をあとに家中を駆け回る。炎を探す。それはたとえば、寝室の消えたランプだ。脚でさわったそれは床に落ちた。油が広がり、いやなにおいがたちのぼった。それはたとえば壁の灯火だ。イクサが背を伸ばし鼻先でつついた火のない灯火は、階段を落ちて油を吐いた。リビングを、ダイニングを、物置部屋をさぐるうち、イクサは燃料缶を倒した。偶然にも、ゆるんでいた蓋が外れた。それをイクサは知らない。それは偶然に起きる。炎を求めて引き起こす数百の小破壊のうちのひとつとして、イクサが起こす。  しかし炎は生まれない。イクサはキッチンをさぐる。暖炉をさぐる。薪に鼻をつっこみ、炎は見つからない。思い出す。ザハのランタン。イクサは駆けだす。わずかに燃え残る炎を、恐怖に身をしびれさせながら懸命に引きずる。それはいまにも消えそうだった。雨滴の、最初のひとつがイクサの耳に落ち、またたく間に激しい雨が降ると、炎は消えた。  イクサはそれを理解する。  立ちのぼる煙が雨のうちに霧散するのをイクサは眺めた。雷鳴が、轟きはじめた。たてつづけ、雷光が空を裂いた。それはイクサの心だった。イクサは望んだ。炎を願った。暗夜を引き裂く雷光を畏怖し、その偉大な力のうちに炎を見た。イクサは哮った。それは野生の祈りだった。イクサは吠えた。雷鳴が応じた。吠え続けた。雷光が、イクサの世界をまっ白くした。  炎。  いかづちは、ミトとカーラの家を貫き、原始の炎をともした。炎はこぼされた油に、やわらかいソファに、温かく光を透かすカーテンやいかなる夜も朝も安寧をもたらしたベッドに、あらゆる災禍からふたりを守った家に広がり、それらすべてを焼いた。延焼は早かった。雨は業火をさまたげなかった。窓が砕け、鶏小屋へ燃え移り、屋根が落ちて次の瞬間に家は崩れた。ミトとカーラを抱いたまま、家は崩れ落ちた。  イクサはじっとそれを見た。  炎は絶対の破壊だった。しかし炎は破壊のみでなかった。炎は空へおくった。ひとと石。永遠に分かたれたふたつのたましいを、はぜて散る光とともに、炎は天へおくっていった。  そして炎は、イクサのこごえる身体を温めると、その命さえ、救うのだった。  あたりは見る間に暗くなる。炎は大いなる破壊と救済を終え、その身を隠す。イクサはやがて家を去る。ミトとカーラを去っていく。林道の途中に冷たい石となったアープを見つける。町へ向かう。
 *
 町は崩壊のただ中だった。  イクサはそのほとんどを知らない。しかし通りの、青い屋根の家の玄関扉に寄りかかり石化した彼を覚えている。ハリド。公会堂の争いの中でミトを突き倒した彼は《人石》――石と化したひと――なりそのたましいを永遠に体内にとどめた。彼の叩いていた、扉の内ではモドが、彼を忘れないため夜警をしていたアーリーンが揃って人石となっていた。  町は《網》を張っていた。網は、仲間を多くうしなったかれらの作った睡眠のシフトであり、起きている誰かが眠っている誰かを必ず覚えている、それを守っていれば忘却による石化を防げる、というものだった。  しかし網は、最初から破れていたのだ。  ほつれを補っていたのはミト、不眠のミトであり、時にカーラだった。ふたりは町を大切に思っていたから、くる日もくる日も、何度も何度も町のひとたちとの写真を見つめ、記憶をあらためて、かれらがみな無事でいるよう願っていたのだ。  イクサは町を歩いた。町中の、いたる所に人石が転がっていた。公会堂の争いにいた、ベリル、マルコ、キヌ、カリィ、カンダ。カーラを見かけ姿を隠した、ナナ、マチノ、チエートやクラノーマ。網のシフトが重なっていて同じ場所にいたエーデ、モリ、オスター、ソーンヒルは、そこかしこから聞こえる石化の嘆きを聞いておもてへ出ると、目の前のできごとの恐怖に我を忘れ、記憶の網の破れた穴よりこぼれ落ち二人が石化した。残された二人は、互いの手を取り合っていたためその場を生き延びたのだが、やがて次々ひとびとの石化していく光景に耐えられなくなり一人が気をうしなうと、もう一人が石化した。最後の一人はその後すぐ、気絶したまま人石になった。四人の記憶がうしなわれると、二十二人が人石になった。二十二人の記憶がうしなわれると……。  そうやって、町は滅びた。  ひとびとは、自分たちがなにに守られていたのか知らなかった。
 *
 夜が明けると、拝石教徒――石造りの教会に集うかれら――は続々姿をあらわし、雨上がりのよく晴れた平穏のうちに町の遺骸を眺めた。かれらは朝、起床後の集団礼拝を終えると予定していた仕事を中止し、人石を集めた。人石は、そのすべてがどこかを砕かれたのち教会へ運び込まれると祭壇へ安置され、かれらの信仰物の一部となった。
 3
 イクサは町はずれの空き家の軒下で夜を明かした。日が昇り、あたりが明るくなるとまた歩き出し、大樹を見つけた。登坂道路の頂上。イクサはもと来たほうへ戻っていた。  イクサは反対へ、進もうとして、足を止める。  大樹の根元にはかつてのともがら、手指をなくした人石がいる。かれは数日前と変わらない。人石はもろい。しかしその場所は大樹に守られており、風雨の及ばないため、かれはいつまでもそのかたちをとどめていられるのだった。  イクサ。  おまえは忘れない。  おまえはかれの、足をつつく。そこはたやすく崩れ、かすかな風が破片を砕きさらっていく。おまえは前脚で、全身をつき崩してゆき、やがて粉々になったかれが散り遠くへ消えていくのをじっと見つめる。  そうしておまえのうち、イクサは眠りについた。  いつかまた、誰かがイクサを目覚めさせるのかもしれない。イクサは眠ったまま、おまえと滅びるのかもしれない。それは知れない。  けれどおまえは行く。  踏み出す。歩き、走り出す。  おまえは生きる。  ミトとカーラと、ともに行く。
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cotochira · 3 years ago
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3/5-6
 上野駅で合流。くすりくんが事前に昼間から酒が飲みたいとか言っていたので早速そういうことになる。落ち着きどころを探してガード下あたりをうろうろしていると疫病の存在とか忘れそうになるくらいの人が流れ、そこらの飲み屋の前に溜まっていて、世界の広さというか自分がふだん見て会っている人間の知らず知らずの偏りを思う。一通り見て回って、さて、となったときちょうど目の前にあった居酒屋の看板を指さしたくすりくんが、ここ結構有名だよ、というのでそこにした。こういうときちゃんとベタに行くのがぼくの長所だと思う、という話をしながら席に着いてくすりくんがメニューの中のホッピーを指さすまで普通にビールを頼もうとしていたのだから不徹底このうえない。こっから先ずっとそうだけど酔っぱらってたから何の話したかぜんぜん覚えてないな。ただすごいのは初めて会うのに本当にぎこちなさゼロで急にいつもの感じで話せたことで、初対面っぽさといえば席についてしばらくお互いの周囲の近況みたいな話になったくらいだ。次々くる小皿のつまみがどれもうまかった。とくに豚とケールのチーマージャン炒め! くすりくんと後になって通話したときも話題に上がるくらいおいしかった、いや単に話題とかの記憶がないからだな。
 いろいろ頼んで酎ハイとかビールとかに流れつつ間にたばこ吸いに出たりした(喫煙スペースが店先にあった)。くすりくんが吸ってるのはアメスピで、きのう会ったひとがアメスピ吸ってるやつ馬鹿にしてたよみたいなこと言ってきのうの話とかになった。隣でたばこを吸っているひとか、通りがかったひとかが、昼間からこんなに飲めるなんて、みたいなことを言っていて、ああここにいる人だってだいたいは毎日こんなことしてるわけじゃなくて、ぼくらとおなじような非日常を過ごしてるんだな、と気づくとなんだか魔法が解ける思いがした。しかし酒もたばこも入ってめちゃくちゃ気分がよく、思い返すきのうもおとといもあまりにも楽しかったのでこんなに楽しいことあるのかという気持ちになる、これは今思い返してもそうだ。
 三杯か四杯くらい飲んだところで出ることにした。でたらめに四千円おいてトイレ行くから払っといてって言って戻ってくると二千円返ってきてる。やっしぃなとその場では思ったが真偽は定かでない。二件目にくすりくんが連れて行ってくれたのは立ち飲み屋で、立ち飲み屋というか、雑居ビルの一回入ると左手に普通の肉屋みたいな感じでコロッケが並んでいてそこで一緒にビールとかも買えてすぐそばにあるテーブルで飲む。うめ〜! まだちょっと寒かったはずだけど酔ってたからかあんまり覚えていない。ここではなんかインターネットの話した記憶ある。たぶん。
 その後大声が出したすぎてカラオケに行ったんだけどぼくがボンヤリしていてコンビニで買った酒��ふつうにレジ袋に入れて持っていたせいでフロントで没収されてしまい、やるせない気持ちになった。ぼくは酒とタバコでいいかげんのどがめちゃくちゃで声がぜんぜん出なかったんだけどくすりくんはなぜか異常にのどが強靱でめちゃくちゃシャウトしていて怖かった。cry babyいれてイントロで爆笑したりcreepy nutsをウケねらいでやる流れがあったりした。ふたりしかいないのにお互いウケから離れられない。
 二時間でワンドリンクのくせにひとり二千円もとられ、……ッソ! ……たばれ! と歯を食いしばりながら店を出る。フロントで二時間常温でほっとかれた缶はしっかりぬるくなっていて、それに口をつけながら移動して、もう真っ暗な上野公園に南側から入っていく。入って右手にある喫煙所でタバコを吸うと、次の缶を開けて階段左の滝みたいなやつをみる。水道水のにおいがしてマイナスイオンだ〜とか、水を照らすライトが青から緑に変わって緑黄色社会じゃんとか、死ぬほどしょうもないことをいっていたらいつのまにかマカロニえんぴつの替え歌大会になっていて、「前戯で射精してしまったはっとりが「やめときゃよかったな」って言う」「せっかく集まったのにみんなずっとゲームしてたら、PSP持ってないはっとりは「モンハンじゃなくて!」って言う」とかずっと死ぬほどくだらなかったのだがそのときは十歩ごとに膝から崩れ落ちるくらい笑った。そんな調子で真っ暗な闇の中をぐるりと一周してもどってきてまた同じ喫煙所でタバコを吸う。少し人が減っている。それから上野公園をもう一周したのだったか、そのまま浅草の方へ歩いて戻ったのだか忘れた。
 夜も更けていい加減寒く、くすりくんがマフラーを出して巻いている横でぼくは生っちろい首をむきだしにしてぶるぶる震えていた。酔っぱらっていて忘れていたが晩飯を買っていなかったので、ウェンディーズでハンバーガーを買って帰りしなに公園で食べようとぼくが提案した。最初に見つけた公園は結構大きくていい感じだったけど、地元のマイルドヤンキーみたいな人がペットボトルを足下に投げつけてきてぼくがきっちりビビったので逃げ、もう少し先の小さな公園のベンチに落ち着いた。向かいにはここ以外に居場所がないのだろうか、やや挙動不審なおじさんが酒の缶片手にふらふらしており、たぶん家でタバコを吸えないもう少し若い男の人がタバコを吸っているのが立ち去った頃には二人ともハンバーガーを食べ終えていて、くすりくんはおもむろにブランコに向かった。腰掛けたまましばらくただじっとしてからゆっっっくり加速し、たいして強く漕がないでだら〜っとやめてしまう様子をぼくは携帯のカメラで撮影した。戻ってきたくすりくんは、エンターテイメントだわ、これが最強のエンタメだ、といっていた。そのあとぼくもブランコに乗り、こっちは最速で最高到達地点に達するよう本気で漕いだ、それもくすりくんが動画に残した、今見ても美しいほどだ、ぼくは結構ブランコに自信がある。
 コンビニで買い足した酒をホテルで続けて飲む。ホテルの壁は思ったより薄かったらしくて、R-1の歯医者復活戦の動画を見てYes!アキトをほめたり(ロング魚焼きグリルがおもしろすぎる)、Awichの新譜を流してかっこいいねえと言ってりしてるとドアのノックで怒られてシュンとした。ホテル内は禁煙なので途中いちど外に出てすぐそこにある灰皿の近くでたばこを吸う、アイコスをもらったがぜんぜん吸った感じがしなかったしくすりくん曰く「濡れた犬の臭い」がたしかにした、いやだなあ。それはわがままだろ、犬だってずっと乾いてるわけじゃないんだからさあ。くすりくんはぼくのキャスターを吸っていたが軽すぎるといって結局じぶんのアメスピを吸った。部屋に戻ってまた飲むうち次第に意識が曖昧になっていつの間にかお互いのベッドの上に横になっている、くすりくんは雀魂を起動してまだぜんぜんルールの分かっていないぼくに説明がてら実況プレイみたいなのをはじめたがそもそもドラとかテンパイとかの意味もちゃんと頭に入ってないからまったく分からなくていつの間にか眠っていた。
 起きると十一時とか。くすりくんはまだ寝ていてぼくはシャワーを浴びる。髪を乾かしている間にくすりくんが起きる。今日はどうしようか? という相談をそこでしたような気もするし、前の晩にしたような気もする、上野動物園に行こうという話になったのは夜にその前を通ったからだから前の晩か、どっちでもいいけど、たらたら歩いてまた上野まで出た。道中富士そばに寄り、そういえば昨日の晩からずっとこういうものが食べたかったような気がしていた。
 当たり前みたいにコンビニで酒を買って上野公園へ。また園内の喫煙所に行く。ここが今いちばんアツいスポットかもしれん。車椅子に納まってたばこを吸っていた老人が、吸い終わってしばらくして現れたヘルパーさんらしい女性に連れられていった。
 動物園まで北上する道のりは昨晩とは違う経路を選んだ。日曜の昼間だからあたりまえだけど昨晩とは全然違ってそれなりに人がいて、大道芸人みたいなのもちらほら、最初にみたのはアコーディオンかなにかを演奏している女性で急に海外の町を歩いているみたいな気分になった、広い場所に出てくると今度はジャグリングかなんかをやっている男が少し息を切らしながら、今からやる技はすごく難しいので、できたら一番の拍手をもらえたら……とかたらたら能書きを垂れていつまで経っても取り組まないのに対して口々に悪態をついた。あんなやつはキングコング西野のクラブハウスでも聞いてろ。そういえば江ノ島でああいう大道芸人みたけど、ずっと準備運動やっててあれを夕方まで続けてたらおもしろいなって話したよ。あいつもずっとああやって喋ってたらすごいね。上野動物園は休園だった。
 悪態を吐きながら苦肉の策で美術館へ行くことにする。近代美術館も上野の森も休園だったが(しかもたぶんどっちもコロナとか関係ない休園なので本当についてない)、東京都美術館でフェルメールがみれるらしいのだ。言ってみると人数制限で、一時に着いてとったチケットが三時半入場とかになる。それまでの二時間はまあきのうと同じで酒飲みながらぷらぷらして潰すことにした。あ、じゃあ動物園の裏にある湖を見に行こう。広場まで戻ると大道芸人はふたりに増えていて増えたほうはけっこう黙々とやっていたけど御託の多いほうより観客は少なかった。
 公園をちょうど出るところの坂道で桜が咲いていて携帯で写真を撮った。今年はじめてみる桜だ。
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 信号をわたると湖だ。水草なのかススキか何かかが一面に茂っていて水面はほとんど見えなかったがそれでも水辺はいい。湖の向こうのでっかいビルが見えた。水辺が好きというか平たい場所で見晴らしがいいのが好きなのかもな。カップルがいて、いいデートだなあとぼくが言った。ビールを開け、ベンチに腰掛けてチーザをつまんだ。チーザのパッケージにはきのうの夕方さんざっぱら馬鹿にしたcreepy nutsの写真がプリントされていて笑った。途中かわいらしい女性とその写真をでっかいカメラで撮るかわいらしくない男性がいて、ああいうのほんとにあるんだなあという話をする。日陰でじっとしていると肌寒く、わりとすぐまた歩き出したら、だんだんアイドルライブの音漏れみたいなのが聞こえてくる。調べたら実際、公園内の野外ステージでマイナーなア���ドルがいっぱい出てくるイベントをやっているらしかった。出演者一覧をながめて今やってんの誰なのかな、とか言っていると野外ステージの入り口にさしかかり、壁の隙間からライブの様子が舞台側から覗けた。舞台上には三人のアイドルがいて客席野埋まりは想像の五倍まばらだった。こういう時期だからなあ、コールも満足にできなくて大変そうだ。
 湖の裏手に回るとススキの生える洲はこっち側にはなくて水面が見え、向こうの方にはアヒルボートの群れも見えた。遠くからだからよりいっそうそう見えたんだけど狭い水域をギチギチに詰まっている。くすりくんは小さい頃遊んだGBAのワンピースのゲームで、海戦のシミュレーションバトルみたいなパートがあったけど絶対現実にはあり得ない密度で船が詰まってて、あれみたいだ、とか言っていた。何の話だよ。近づいていくとアヒルボート(実際にはアヒルでないただカラフルなだけのボートもちらほら)の水域は狭くて浅い中をいくつもの船が動いているので水面に水流が見てとれた。
 途中ショートカットに湖畔の寺の境内を通り、湖を一周してもまだ少し時間が余っていて、そこをどうしたんだったか、駅前のコンビニへ行って酒を買い足してまた公園内をふらふらしていたんだったか、とするとまたあの喫煙所に行ったはずで、その道中にはアコーディオンの女性もまた相変わらず異国情緒なかんじのメロディを奏でていたはずだ、こっちのが百倍いいよなあ。あの御託が多いジャグリング男をくさす流れがしつこく続いていた。
 美術館に戻ってくるころにはいい感じの低空飛行をすぎてただ酔いが軽い体の不調としてしか認識できなくなってしまうくらいでぼくはくすりくんにもらった500mlの午後ティーをのんだ。これいつ貰ったんだっけ? だいたい人にあげる用に鞄の中に複数のペットボトルが入ってるってどういうことなんだ。
 美術展はおもしろかった! フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」の復元の結果、女性の背後に画中画が出てきたというのが目玉なんだけどそれよかそれと一緒にドレスデンから来ているほかの十六世紀オランダの絵画、メツーとかロイスダールとか、がおもしろくて、とくに静物画! 当然古い油絵なので表面の凹凸から筆致というかそこに絵の具を乗せた手の動きを読みとるというような楽しみは難しいんだけど(ぼくの思ってる油彩とは画材が違うのでそういう凹凸が生まれにくいのかな、ぼくはなんもしらない)、そのぶん画面の構成とかに意識がよく向いて、そうなると今までウソすぎるだろと思ってあんまりまじめに見ていなかった静物画の隅々まで計算の行き届いていてそれがこっちにもある程度分かることのおもしろさが強く印象に残った。先に一通り見終えてじっとしていたくすりくんと合流して話すとくすりくんもだいたい同じような感想でうれしかった、わかんない、あっちが合わせてくれたのかもしんないけど。修復したフェルメール普通に修復前の方がよかったよねとくすりくんが言う。どうやら後の世代の人が勝手に判断して画中画を消したということらしく、それ自体は褒められたことではないと思うけどない方がいいと思って消した人がいたわけだから今みる僕たちがそう思うのも無理はないのかもしれない。
 とくに印象に残ったのは「手紙を読む兵士」という絵で、画面左にいる帽子をかぶった兵士が座って手紙を読んでいるのを、画面中央奥に座っているのと画面右で立っているのもなんか内容が気になるらしくて見ている、みたいな絵で、どうして他人の手紙が気になるのか想像の幅があったり、画面奥で見ている人が顔以外ほとんど暗くて見えないことによって空間の奥行きというか、何もない暗闇の存在感みたいなものが強まっていてかなりじっくり見てしまった。あと展示の最後の最後にあったブラーメルの「神殿で祈るソロモン王」というのが、線の荒々しさや黒色の塗りかたからしてほかの絵画とは全然違っていて、本当にほかにいくあてがなくて仕方なく最後にあったという感じがとてもかっこよかった。
 あてもなく上野公園を南下して、日も暮れはじめ昼間の騒がしさも収まったなかをいつの間にか喫煙所へ向かいながら、これからどうする、とまあ解散かな〜と思いながらたずねてまあ解散かな〜といわれてまあ解散だよな〜と思った。いやぜんぜんまだまだ遊びたいんだけどとにかく金がないんだよね。言われてみればぼくも決して金があるわけではないのに何にも気にしないで缶ビールとか買いまくってしまっていたな。最後のたばこを吸い終えて上野駅へ向かう、上野公園でもガード下の飲み屋街でもない都会っぽい都会の上野をそういえばこのときはじめて見た気がして、きのうの午後から丸一日、旅行に行く前の自分が上野と言われて想像できたものからは遠く離れた、ほとんど異界みたいな場所にずうっといたのだと思った。そういえば東京だ。
 上野駅前のスクランブル交差点で、何かひとりで怒っている女性がいてふたりして思わずそっちを見たのだがどうやらハンズフリー通話だ。こえ〜! おれもふだんあんな感じなのかな。話題がワケ分からんからもっと不気味かもな。
 改札までついて行った。くすりくんはかなり名残惜がってくれてた。ぼくは正直そんなに寂しくもないというか、まあ解散してもどうせTwitterとか通話があるしみたいな気分で、それは実際に会って話すのとインターネットを介した会話との間になんのズレもなかったからなんだろうけど、ただこういう楽しい時間がもう終わってしまうんだなということの名残惜しさはあって、じゃあこっちもなんやかんや名残惜しかったのか。とにかくくすりくん自身と別れることの寂しさは不思議となくて、またすぐそのうち会えるだろと手を振って簡単に別れた。
 解散してからドトールで簡単なご飯を食べつつ書きかけの小説をいじくり回して、ホテルに帰ってからコンビニで買った適当なご飯を食べ、テレビでR-1みて寝た。こんなに出場者を全員知っているR-1ははじめてだ! 全員おもしろくて良かった。しかしZAZYは最高だった、結果も含めて。あの完璧な二本目で優勝できたらZAZYはZAZYを続けられないのではないかという寂しさがあったので、どこか安心もした。吉住の二本目も見たかったなあ。
 最終日の予定が何にもなかったので、そういえばsatooさんが旅行中にまた遊びましょうって言ってくれてたなと思って連絡したら夕方から横浜を案内してくれることになった。問題は重点措置でどこもかしこも閉まった後、夜行バスが来るまでの時間をどう潰すかだ。不安をビールで忘れてすぐに寝た。
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