#三篇
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三篇 下 その三
上方者は、 「ハァ、ソンナラお前のお馴染みは何屋じゃいな」 と、意地悪く問うと、 「アイ、大木屋さ」 と、弥次郎兵衛がいう。 「大木屋の誰じやいな」 と、上方者がさらに問うと、 「留之助よ」 弥次郎兵衛が答えた。 上方者が 「ハハハ、そりゃ松輪屋じゃわいな。 大木屋にそんな女郎はありもせぬもの。 コリャお前、とんとやくたいじゃ、やくたいじゃ」 (やくたい…上方言葉で、らちもない、とんでもない、よくない、など広い意味に使う)
弥次郎兵衛は、 「ハテ、あそこにもありやすよ。ナァ北八」 (大木屋は実在の大見世の扇屋のこと。松輪屋はやはり実在の松葉屋のこと。留之助は松葉屋の抱えの名妓の染之助のこと。したがってこのやり取りでは上方男の勝ち) 北八、面倒臭くなってきて、 「ええ、さっきから黙って聞いていりゃ、弥次さんおめえ聞いたふうだぜ。 女郎買いに行ったこともなくて、人の話を聞きかじって出放題ばっかり。 外聞の��るい。国者の面よごしだ」
弥次郎兵衛は、 「べらぼうめ、俺だって行くってんだ。 しかもソレ、お前を神に連れていったじゃァねえか」 (神…取り巻き、太鼓持ち。遊廓付きの本職ではなく、客が連れ込んだ遊びの取り巻き仲間。落語の野太鼓がこれである) 北八、思い出して、 「ああ、あの大家さんの葬式の時か。なんと、神に連れたとは、おおげさな。 なるほど二朱の女郎の揚げ代はおめえにおぶさったかわり、 馬道の酒屋で、浅蜊のむきみのぬたと豆腐のおから汁で飲んだ時の銭は、みんなおいらが払ったじゃねえか」 (葬式くずれで繰り込むなら安い店にきまっている。揚げ代二朱なら宿場の飯盛なみのごく安い女郎。馬道は吉原に通ずる町。そこの酒屋のぬたも汁もごく安い庶民的な食い物である)
弥次郎兵衛は、 「嘘をつくぜ」 北八も、 「嘘なもんか。しかもその時おめえ、さんまの骨をのどへ立てて、飯を五六杯、丸呑みにしたじゃねえか」 「馬鹿言え。お前が田町で、甘酒を食らって、口を火傷したこた言わずに」 「ええ、それよりか、おめえ土手で、いい紙入れが落ちていると、犬の糞をつかんだじゃねえか、恥さらしな」 (土手…吉原に入る途中の山谷堀に添った日本堤の土手八丁、金持ちなら土手八丁を四ツ手駕で飛ばし、貧乏人なら歩く、いずれも弥次郎の自慢が嘘だと、北八が暴露したかたち)
と、遣り合っている二人に、上方者が 「ハハハハハ、いや、お前方は、とんとやくたいな衆じゃわいな」 弥次郎兵衛が、 「ええ、やくたいでも、悪態でも、うっちゃっておきゃァがれ。 よくつべこべとしゃべる野郎だ」 上方者は、関わり合いにならない方がいいかと、 「ハァこりゃご免なさい。ドレお先へまいろう」 と、そうそうに挨拶して、足早に行ってしまう。 その後ろ姿をみながら、弥次郎兵衛は、 「いまいましい。うぬらに一番へこまされた。ハハハハハ」 この話の間に、三ケ野橋を渡り、大久保の坂を越えて、早くも見付の宿(磐田市)にいたる。
北八、 「アァくたびれた。馬にでも乗ろうか」 ちょうどそこへ、馬方が、 「お前っち、馬ァいらしゃいませぬか。 わしどもは助郷役に出た馬だんで、早く帰りたい。 安く行かずい。サァ乗らっしゃりまし」 (助郷…東海道の交通の確保のために、沿線の村々に幕府がかけた役務で、人馬の徴発を含めて重いものだった)
弥次郎兵衛は、 「北八乗らねえか」 と、問い掛けると、 「安くば乗るべい」 と、馬の相談が出来て、北八はここから馬に乗る。 この馬方は助郷に出た百姓なので、商売人の馬子でないから丁寧で慇懃である。
弥次郎兵衛は、 「そうだ、馬子どん。ここに天竜川の渡しへの近道があるんじゃねえかな」 と、思い出して、聞いてみると、 「アイ、そっから北の方へ上がらっしゃると、一里ばかしも近くおざるわ」 と、馬方がいう。 北八が、 「馬は通らぬか」 と、更にとうと、 「インネ、徒歩道でおざるよ」 と、ここから弥次郎は一人近道のほうにまがる。
北八は馬で本道を行くと、早くも加茂川橋を渡り、西坂の墳松の立場に着く。 茶屋女が声をかけてくる。 「お休みなさりやァし、お休みなさりやァし」 茶屋の婆も声をかけてくる。 「名物の饅頭買わしゃりまし」 馬方が、その婆様に声を掛ける。 「婆さん、おかしな日和でおざる」 「お早うございやした。いま新田の兄いが、一緒に行こうかと待っていたに。 コレコレ横須賀の伯母どんに、言いついでおくんなさい。 道楽寺さまに勧説法があるから、遊びながらおいでと言ってよう」 (道楽寺は遊びながらおいでにこじつけた架空の寺の名) 馬方は、 「アイアイ、また近うちに来るように伝えときましょう。ドウドウ」 と、いうと、また歩き出した。
「この馬は静かな馬だ」 北八は、珍しく乗りやすい馬なので、つい、そういうと、 「女馬でおざるわ」 と、馬方が、こたえる。 北八は、にんまりして、 「どうりで乗り心地がよい」 馬方が、問い掛けてきた。 「旦那は、お江戸はどこだなのし」 「江戸は日本橋の本町」 と、北が答える。 「はあ、えいとこだァ。わしらも若い時分、お殿様について行きおったが。 その本町というところは、なんでもえらく大きい商人ばかしいるところだァのし」 と、昔のことを思い出しながら、話してくる。 「オオそれよ。おいらが家も、家内七八十人ばかりの暮らしだ」 と、またまた、くちからでまかせ。 馬方もしんじているにのかいないのか、 「ソリャ御大層な。お神さまが飯を炊くも、たいていのこんではない。 アノお江戸は、米がいくらしおります」 「まあ、一升二合、よい所で一合ぐらいよ」 と、考えながら言うと、 「で、そりゃいくらに」 と、馬方は、よく分からない。 「知れたことよ、百にさ」 と、北八がいうと、 「はあ、本町の旦那が、米を百文づつ買わしゃるそうだ」 馬方は勘違いして、そういう。 北八、笑いながら、 「ナニとんだことを。車で買い込むは」 「そんだら両にはいくらします」 と、馬方。 「なに、一両にか。ああ、こうと、二一天作の八だから、二五の十、二八の十六でふみつけられて、四五の廿で帯解かぬと見れば、無間の鐘の三斗八升七合五勺ばかりもしようか」 (割り算の九九の二一天作の八は一��天作の五の間違い、途中から浄瑠璃の文句でごまかしている。米の値段��出でたらめ) と、何やら、難しそうな、計算をはじめる。 「はあ、なんだかお江戸の米屋は難しい。わしにゃァわからない」 馬方は、すっかりけむに負かれて、 「わからぬはずだ。おれにもわからねえ。ハハハハハ」 と、北八も自分でいっててわからなくなった。
この話のうちにほどなく天竜川にいたる。 この川は信州の諏訪の湖水から流れ出て、東の瀬を大天竜、西の瀬を小天竜と言う。 舟渡しの大河である。弥次郎は近道を歩いてここで北八を待ちうけ、ともにこの渡しを越えるとて、一首。
水上は 雲よりい出て 鱗ほど 浪の逆巻く 天竜の川 (水、雲、鱗、浪、逆巻く、みな竜の縁語の竜づくしが趣向)
舟からあがって立場の町にいたる。 ここは江戸へ六十里、京都へも六十里で、東海道の振り分けになるから中の町(浜松市)というそうだ。
傾城の 道中ならで 草鞋がけ 茶屋に途絶えぬ 中の町客 (ここを江戸吉原の中の町に見立てて、花魁道中の高足駄の代わりに草鞋、吉原の引き手茶屋と街道筋の茶屋、どちらも客が絶えぬと言う趣向) それより萱場、薬師新田を過ぎて、鳥居松が近くなったころ、浜松宿の宿引きが出迎えて、 「もし、あなたがたァお泊りなら、お宿をお願い申します」 と、二人の呼びかける。 北八がそれに答えて、 「女のいいのがあるなら泊りやしょう」 客引きここぞとばかりに、 「ずいぶんおざります」 と、いうと、弥次郎兵衛が、 「泊まるから飯も食わせるか」 宿引き 「あげませいで」 北八、 「コレ菜は何を食わせる」 宿引き、 「ハイ当所の名物、自然藷でもあげましょう」 「それがお平の椀か。そればかりじゃあるめえ」 「 それに推茸、慈姑のようなものをあしらいまして」 「汁が豆腐に蒟蒻の白和えか」 と、北八が、客引きとやりあっている。
弥次郎兵衛が、 「まあ、軽くしておくがいい。その代わり百ケ日には、ちと張り込まっせえ」 (ここのやり取りは、宿引きの言うのが、野菜ばかり並べた精進料理なので、死人の法要の料理だと皮肉ったのである。法要では、当初と百ケ日には料理を張り込むのがしきたり) 「これは異なことをおっしゃる。ハハハハハハ。時にもうまいりました」 「オヤもう浜松か。思いのほか早く来たわえ」 と、弥次郎兵衛、ここで一首読む。
さっさっと 歩むにつれて 旅ごろも 吹きつけられし 浜松の風 (松風の音の颯、颯と、さっさと歩くとにかけている。風に吹き送られて早く着いた意味も含む)
その横を宿ひきが駆け抜ける。
宿引きは、旅館に駆け込むと、 「サァサァお着きだよ」 と、置くに声をかける。 「お早くございました。ソレおさん、お茶とお湯だァよ」 それに、こたえて、この旅館に亭主が出てくる。 弥次郎兵衛が、 「イャそんなに足はよごれもせぬ」 と、いうと、亭主 「そんなら、すぐにお風呂にお召しなさいまし」 と、奥に案内しようとする。
つづく。
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Photo -彼時今日-
天空的雲帶走一切也堆積了風塵及那些抖不掉的愁緒… 親像那牆上的野牽牛, 天還沒暗就打烊, 從不留戀豔陽的暖 ~ "事事皆有時"。 聖經中訓道篇第三章(Ecclesiastes:Chapter 3),很有感觸。
(At that time and today - the clouds in the sky took away everything and accumulated the dust and the melancholy that could not be shaken off… I am like the wild morning glory on the wall that closes before it gets dark, It no longer feel devoted to warmth of the sun ~"There's a time for everything". The Bible Ecclesiastes:Chapter 3. feels moving and teachable. Thanks 🙏 Amen. 🪷 ℒan~*
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試著讓每個人都快樂的人,永遠是最孤獨的人;不要讓他們孤獨,因為他們永遠不會說需要你。
The person who tries to keep everyone happy is always the most lonely person, so never leave them alone because they will never say that they need you.
✔♡ Yes~*
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#chu lan#朱蘭皮藝#fine craft artist#leather art artist#beautiful life#訓道篇第三章#ecclesiastes:chapter 3#梁靜茹 fish leong#malaysian singer & songwriter and success in china/ hong kong/ taiwan/ japan/ singapore and malaysia#昨天 yesterday
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Berserk: The Golden Age Arc II - The Battle for Doldrey
ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略 (2012)
#Berserk: The Golden Age Arc II#Berserk#ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略#ベルセルク#Toshiyuki Kubooka#Kentaro Miura#窪岡俊之#三浦建太郎#japan#movie#gif#2012
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A confession...
#scissor seven#killer seven#meihua shisan#wu liuqi#seven x thirteen#thirteen x seven#plum blossom thirteen#刺客伍六七#伍六七之玄武国篇#梅花十三#donghua#2xcheeze
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饅頭人 火冒三丈篇
LINE Moon 同人 二次創作 日本 Japan 北斗神拳 北斗の拳
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着眼未来,Trop-2 ADC 带来实体瘤抗癌新曙光!
ADC(Antibody Drug Conjugate)是将细胞毒药物连接到靶向肿瘤的单克隆抗体而构成的复合体,可成功实现精准治疗。ADC 药物的概念在 1900 年被提出,然而技术限制使其长期停留于理论层面,并没有真正在临床得以实现。随着技术的发展,「魔法子弹」的概念终于可以在临床得以实施,截至 2022 年底,全球已有 15 款 ADC 药物获批上市,目前全球在研的 ADC 药物超过 400 余个,其中进入临床阶段的超过 200 个。 目前 ADC 药物在乳腺癌领域的研发主要分为两大类,一类是以 HER2 为靶点的 ADC 类药物,另一类是以 TROP2 为靶点的 ADC 类药物。这次我们将针对明星靶点��TROP2」类 ADC 药物为大家盘点年度重要进展。 人滋养层细胞表面糖蛋白抗原 2(Trop-2)是 GA733 基因家族的成员,又称肿瘤相关钙信号转导子…
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刑事はあいかわらず少し驚き、いぶかっていた。だが続いて光と音が現れた。そして自分がある庭園のなかにいることに気づいた。前方の大樹のもとで、ひと組の姉妹が幹を背に本を読んでいる。
— 許順鏜著/三須祐介訳「逆関数」(伊格言他著/呉佩珍、白水紀子、山口守編『台湾文学コレクション1 近未来短篇集』2024年7月、早川書房)
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三篇 下 その二
犬市が、 「こりゃ、猿よ、盃を回さぬか。」 と、盃をひつたくって、銚子を取って酒を注いだが、一滴もない。 「やい、猿市め、独りで全部、飲みやがったな。」 そういわれて、猿市は、 「なに、とんでもないことを言う。」 「それでも、もう、銚子がからだ。」 犬市は、銚子を猿市に渡した。
猿市は、茶店がくすねたと思い、 「なんだ、銚子に酒がない。 やい、ここのご亭主、ご亭主、わしらを目が見えねえとあなどって、こんな横着をされるか。 二合の酒がたった二口飲んだだけで、もう無いとはどういうことだ。」 亭主は呼ばれて出てくると、 「はい、それは二合、しかもたっぷり注いであげましたに、大方こぼしなさったもんでしょう。」 と、言って、二人の周りを見ている。 猿市はなおも食って掛かる。 「なに、こぼすもんか。商人に似合わぬことをされるなら、この酒代は払いませぬぞ。」 と、大いに腹を立てる。
この時、この様子をさっきから見ていた子守の少女が、北八を指さして、 「わあい、座頭どんの酒、みんなあの人が茶碗へそそいでましたわ。」 と、大きな声で言う。北八、この声に驚いて、 「おや、この子はとんだことを言う。こりゃ、茶だ、茶。」 と、いいながら、飲みかけの茶碗の酒を、あわててみんな飲んでしまう。 亭主も、それに気がついて、北八と、全部飲み干してしまった、茶碗とをみながら、 「いや、お前さん。酒臭いわ。そのうえ、顔が赤くなってるのは、大方、あの人たちの酒を飲みなすったのだな。」 北八、大慌てで、 「ええ、この人も同じように、とんでもないことを言う。 わしの顔が、赤くなったのは茶に酔ったのだ。 わしは変わっていて、茶をたくさん飲むと酔ってしまうんで、酒に酔った人はくだを巻くが、茶に酔った証拠に、ちゃばかり言うのだ。 そこで、ちゃばかりながら、どなたもちゃのと、わかっちゃかな。チャハハハ。」
猿市は、そのなんとなく聞き覚えのある声の方をみやりながら、 「いいや、その手は食わぬ。子供は正直だ。 こりゃ、貴様が、横取りして飲んだに違いはない。酒代を払え。」 北八は、 「ちゃれちゃれ、ちゃわいのないことを、ちゃらちゃら、ちゃべられる。 ちゃっきから飲んだのはちゃばかり、ちゃとうのちゃけを、ちゃくふくしちゃ、おぼえはない。チャハハハ。」 (やれやれ、たわいのないことを、しやべられる。 さっきから飲んだは茶ばかり、座頭の酒を、着服したおぽえはない。アハハハ。) と、ごまかそうとしている。
犬市も、その声の方をみやりながら、 「いや、これ、目の見えぬ者だと思って、そんな、出鱈目はやめなさい。 それ、見ていたその子供が証拠人だ。」 猿市が、 「おおそう。御亭主、その男の飲んだ茶碗が、酒臭いか嗅いでみてくれ。 これほど、確かなことはないだろう。」 と、動かぬ証拠に気づかれたので、北八はすば��く茶碗を隠そうとする。 亭主はそれをひったくって匂いをかいでみる。 「ひゃ、臭い臭い。そして酒で、にちゃにちゃする。 こりゃ、お前さんが飲んだことは、間違いない。酒代を払ってもらいましょう。」 と、言われ、北八も場の雰囲気におされて、 「いや、ちゃけは飲まぬから酒代は払わぬ。茶代ならなんぼでも払おう。いくらだ。」 と、言う。 亭主は心得たもので、 「そんなら茶代を払っていただきましょう。ええと、茶が二合で六十四文。」 北八、驚いて、 「やや、なんだ。茶を二合飲んだだけで、むちゃな。」 弥次郎兵衛は、この様子を黙ってながめていたが、 「ええい、面倒な。払ってしまったがいい。 お前のすることは、いちいち腹が立つ。足元の明るいうちに、払ってしまえ。」 と、目顔で知らせると、北八もしょうことなしに、金を払った。
猿市は、 「いやはや、とんだ人たちだ。大方、さっきおぶさってきたのも、お前がただろう。 人の買った酒を横取りして飲むのは、泥棒と言うものだ。」 北八は、泥棒だといわれたので、ついむきになり、 「なに、泥棒だ。この目も見えねえ野郎どもめ。」 と、力みかえるのを、弥次郎兵衛が押し止めて、 「いや、こっちが悪い。もし、堪忍してくんなせえ。 こいつは茶に酔うと、気が強くなって、いけません。 さ、ちゃっちゃと行こう。おちゃらば、おちゃらば。」 と、いい捨てて、北八を無理に引ったてて、ここを立ち出て、足早にこの宿場をあとにした。
北八、 「ええい、いまいましい。今日は、とことんついてない。 自分で、銭を出して酒を飲みながら、ギャフンと言わされた。まったく、つまらねえ。」 弥次郎兵衛は、 「ハハハ、俺よりはよっぽど、智恵のねえ男だ。」 と、この有様で、一首詠む。
することも なすこともみな 足久保や 茶にしられたる 人のしがなさ
(足久保は当時の茶の名産地で、することなすことみな悪しにかけている。 茶にしられは、他人から馬鹿にされることで、しがなさは惨めな気分と言うことである。)
このように面白がって笑いながら、やがて秋葉山三尺坊へのわかれ道に着いた。 弥次郎兵衛はここから秋葉権現に遥拝して、
脇差の 二尺五寸も なにかせん 三尺坊の 誓いたのめば
それより、沢田、細田を過ぎて、砂川の坂道にかかると、両側の木立が生い茂って日の蔭も暗く、ちょうど、人の往来も絶えたもの淋しさ、そこへ、誰とも知れず呼びかける声がした。 「これこれ、旅の人。旅の人よ。」 二人で、声のするほうを振り返ってみると、側の木陰から、のっしのっしと現れたのは、どてらを着込んで、二尺五寸の長脇差を腰に差し、狩人のかぶる藁の山岡頭巾で、ふところ手をした、髭だらけのむさ苦しい大男だ。 その男は、弥次郎兵衛と北八の向こうにまわって立ちはだかる。 二人ともびっくりして、すくみあがってしまった。
弥次郎兵衛は、及び腰で、 「こりゃ、昼日中になんの用だ。」 と、震え声で、問いかけると、 「いや、酒代を一文くださいませ。ハハハ。」 北八、ほっとしながら、 「なんのこった。ただの乞食か。いや、それで気が落ち着いた。ほれ、一文。」 弥次郎兵衛も、 「胆をつぶさせやがる。いまいましい乞食だ。」 と、つぶやきながら原川を過ぎ、早くも名栗の宿場に着いた。 ここは花ござを織って商うので名高いところだ。
道ばたに 開く桜の 枝のよう みなめいめいに 織れる花ござ
ほどなく、袋井の宿場についた。 両側の茶屋の喧騒は激しく、往来の旅人は、おのおの酒を飲み、食事などしているのを、弥次郎兵衛は見て、また一首。
ここに来て 行き来の腹や ふくれけん されば布袋の 袋井の茶屋
この宿場を通り過ぎて、歩いていくと、上方者と見えて、桟留縞の布子に銀拵えの脇差、花色羅紗の装束をかけた合羽という、金持ちの商人らしい、ぜいたくな身なりの男が、供の者一人を連れて、二人の後になり先になりして行く。
その金持ちの商人らしい男が、弥次郎兵衛たちに話しかけてきた。 「もし、お前方はお江戸のかたじゃな。」 問われて、弥次郎兵衛、 「おうよ。」 上方者は、続ける。 「私も、毎年お江戸へ下るが、お江戸とは大層繁盛なとこじゃわいの。 あの吉原へもちょこちょこ誘われて、昼三と言う女郎を買うたが、いつも人に振る舞われて行くさかいに、なんぼかかったのか、こっちは、知らんが、お前方も、さぞかしあそびなさるのじゃろう。 ありゃ、なんぼほどかかるもんじゃな。」 弥次郎兵衛は、また、いたずら心がおきてきて、 「私らも、女郎買いでは、土地の五個所や十個所の財産を無くした者だが、なあに、昼三ぐらいはわずかなことさ。 まあ、並みの昼三なら、夜だけで、一分二朱、それに茶屋代が一分か、芸者が一組でまた一分、それに一斤一斤でも取れば、その代金が二百ってとこ���。」 上方者は、 「はて、わしも昼三のいる大見世へはいろいろ行ったが、そのいっきんいっきんと言うのは、なんのこっちゃい。」 「ああ、そりゃ、酒一斤、肴一斤などと、女郎のいる見世の酒はうまくないから、別に外から取り寄せることさ。」 と、弥次郎兵衛が、自慢げに言うと、 上方者、 「あれ、わしが行った見世では、そないなことはなかったわいな。 それに、なにも飲めぬ酒は出しゃせんわいの。えろう、よい酒であったわいな。」 「なに、そりゃ飲める酒でも、飲めねえと言って、高いのを別にとるのが、江戸っ子の気性さ。それが通と言うもんさ。」 と、鼻息あらく言う。 上方者が、 「なるほどの。ところで、上方では、女郎の店はみなツケ払いで借りてもどるが、お江戸の女郎はみな現金払いじゃそうな。」 と、問いかけると、 「なに、あそこでも、付き馬を連れて帰りさえすりゃ、いくらでも貸してよこしわ。」 と、弥次郎兵衛が答える。 ここで、上方者も気がついて、 「ハハハ。こりゃ、お前は、大見世の客じゃないわいの。 その付き馬とやらは、見世の者が、帰る客の自宅までついてきて代金を取ることじゃろう。 私らの店の職人たちの話で聞いたことがある。 昼三買いにそんなことは、ありゃせんわいな。」 弥次郎兵衛は、まだ続ける。 「ないことはない。本当に私ら、カゴで、吉原に通いすぎて、尻にたこが出来たほどだ。嘘をいいましょうか。」
つづく。
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Berserk: The Golden Age Arc I - The Egg of the King
ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵 (2012)
#Berserk#Berserk: The Golden Age Arc I#ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵#ベルセルク#Toshiyuki Kubooka#Kentaro Miura#窪岡俊之#三浦建太郎#japan#movie#gif#2012
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儿童流感,奥司他韦、玛巴洛沙韦该如何选择
流感,这个秋冬季节的“不速之客”。当它们和儿童亲密接触时,发烧、咳嗽、头痛等症状就会接踵而至。流感病毒随时准备攻击我们的呼吸道。决战“流感君”,我们有妙招。抗流感病毒药物中,最知名的当属奥司他韦、玛巴洛沙韦,这“一老一小”是抗流感病毒药物中的“明星药”。儿童面对“流感君”,药物该如何选择呢? 已获批临床使用的特异性抗流感的药物 奥司他韦与玛巴洛沙韦的比较 一、“作风”—作用机制 奥司他韦属于���经氨酸酶抑制药,其活性产物可以牢牢霸占流感病毒表面的神经氨酸酶并与之结合,使用的是“关门打狗”战术,作风老道强硬。使“流感君”无法从被感染的细胞中“突围”,减少甲型或乙型流感病毒的播散,降低其致病性。 玛巴洛沙韦属于RNA聚合酶抑制剂,其活性产物可以抑制酶的活性,而流感病毒的复制必须要依靠酶的作用,使用的是“简单直接、正面战斗”战术,拳怕少壮,直接阻止病毒RNA在人体细胞内的复制,从而发挥…
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三篇 下 その一
まだ、日も明けやらぬ薄暗いころから、宿場では、往来が激しく、馬方たちが引き連れる、馬のいななきに、旅で疲れた目をこすりながら、弥次郎兵衛と北八は、寝床から起き出して、出立のしたくをしだした。 タベ、しくじった相宿の巫子の婆が、ふくれっ面でいるのを見て、二人とも、おかしく思いながら、宿を旅立った。
古びたお宮の誉日八幡宮を通り過ぎると、右の方に姑の畑が見えてきた。 続いて、嫁が田と言うところが見えてきたので、弥次郎兵衛は、一首詠む。
干からびし 姑の畑に ひきかえて 水沢山の 嫁が田ぞよき
それより、塩井川という所に着いたのだが、昨日の大雨のせいで橋が落ちたのか、行きかう人々はみな下のほうを脱いで、裾をまくり上げて川を渡っている。 弥次郎兵衛と北八も、仕方がないので、連れ立って渡ろうとしていたら、京の都に行くのか目の悪い座頭の二人づれが、この川は歩いて渡るのだと喋っている周りの声を聞きつけたらしく、そばにいる北八に聞いてきた。
「もしもし、川の深さは膝くらいありますかな。」 北八は、川を見ながら、 「そうだな、そんなところだろうか。でも、水が速いから、目が悪いんならあぶない。 用心して渡りなせえ。」 「ははあ、なるほど、水の音がよっぽど早い。」 と、いいながら、石をいくつか拾って川の中に投げ込んで、音を聞いて考え、 「いや、ここらが、どうやら浅いようだ。 こりゃ、猿市よ、二人ながら脚絆を取るのも面倒だ。 おぬし、俺より若いのだし、俺をおぶって渡れ。」 と、座頭の一方の犬市がもう一人に声をかける。
猿市は、 「ハハハ。ずるいことを言う。ジャンケンしよう。 で、負けた者が、勝った方をおぶって渡るんだ。いいか。」 犬市はこれをうけて、 「こりゃ、面白い。さあ、こい。ジャン、ケン、ポン。」 と、やりだした。 この様子を弥次郎兵衛と北八は、だまって、見ている。 「さあ、勝ったぞ、勝ったぞ。」 どうやら、勝ったのは、犬市のほうらしい。 猿市は、自分の荷物を犬市に渡しながら、 「ええい、いまいましい。そんならこの風呂敷包を、貴様、一緒に背負ってくれ。 いいか、それ、こい、こい。」 と、支度して背中を向ける。
これを見ていた、弥次郎兵衛は、これはありがたいと、猿市におぶされば、猿市はてっきり連れの犬市と勘違いして、すぐにさっさと川へ入り、難なく向こう岸に渡ってしまった。
こちらの岸に取り残された犬市、 「やい、猿よ、どこだ。早く川を渡さぬか。」 と、怒鳴りたてる。 猿市は向こう岸でこれを聞いて、腹を立てて、 「こりゃ、ふざけるな。たった今おぶって渡したのにまたそっちへ行って、俺を、からかうな。」 犬市は、 「馬鹿言え、おのればかり渡って、太いやつだ。」 「いいや、太いとはそっちのことだ。」 よ、猿市と、塩井川の両岸で、やりあう。
「こりゃ、貴様、兄弟子にむかって言語道断な。早く来て渡さぬか。」 と、犬市は、白い目をむきだして腹を立てているので、猿市も仕方なく、また��ちら岸に渡って帰り、 「さあ、そんなら、おぶりなされ。」 と、背中を向ける。 北八はしめたとばかりに、手をかけておぶされば、猿市はまたさっさと川へはいる。 残された犬市は大いにせき込んで、一向に担ごうとしない犬市に、 「これ、猿市。」 と怒鳴る。川の中の猿市は、これは変だと気がついて 、 「いや、こいつは誰だ。」 と、背中の北八を川の中へどんぶりと落とした。 北八は、大慌てで、 「やあやあ、助けてくれ、助けてくれ。」 と、手足をもがき、叫びながら、深みの方へ流されていった。 弥次郎兵衛は、急いで飛び込んで、もがく北八を引き上げれば、両人は頭から骨まで腐るほどずぶ濡れになってしまった。
北八が、 「ええい、座頭めが、とんだ目に遇わせやがた。」 と、毒ずくと、弥次郎兵衛は、自分たちの様子を見ながら、 「ハハハ。まず着物を脱げや。しぼってやろう。」 と、自分から服を脱ぎ出す。 「だいたい。弥次さんが悪い。 あそこで、おぶさらずともいいことに、お前がお手本を出したから、つい、俺も。」 と、北八が、愚痴るのに、 「川へはまったか。気の毒な。ハハハ。それで、一首思いついた。」
はまりけり 目が悪いのと あなどりし むくいは早き 川の流れに
北八は、 「ええい、聞きたくもねえ、よしてくんな。ああ、寒い、寒い。」 と、裸になって、がたがた震えながら着物を絞る。 この間に座頭は川を渡って行ってしまったようだ。
弥次郎兵衛は、 「ここで着物を干してもいられねえし、着替えを出して行って、どこかで火を焚いてもらって、あぶるとしよう。」 「まったく、いまいましい。風邪をひいたみたいだ。ハックション。」 と、ぶつぶつ小言をいいながら、着替えると、濡れ腐った着物は水を絞ってから、ぶらさげて歩き出した。
ほどなく掛川の宿場に着いた。 掛川の宿場の入り口で、宿の客引き女が、 「お飯を、あがりまし。鯵と蒟蒻、干大根のお吸物もおざります。 蛸のせんば煮もおざります。」 と、声高に、客に呼びかけている。
長持人足の唄も聞こえてきた。
吹けば~な、吹くほどな~んあえ~。 持つもな軽いな~んあえ~。 綿をさ、入れた 入れたやな~。 長持に綿を~んよお~。 しったかどうだか、どうだか。
それに答えるように、馬のいななきが、 「ヒインヒィン。」 弥次郎兵衛は、そんな様子を見ていると、先ほどの座頭が、茶屋で休んでいる。
弥次郎兵衛は、 「おや、北八、見てみろ。さっきの座頭らが、あそこで呑んでいやがる。」 北八も、弥次郎兵衛のさすほうをみて、座頭を見つけると、何か考えついたようだ。 「こいつはいいことがある。おいらを川へはめた仕返しをしてやろう。」 と、座頭らがいる茶屋に向かって歩きだした。 それから、作り声で、 「ご免なせえ。」 と、言いながら、茶屋に入る。 「おいでなさいまし。」 と、女中が茶をくんでくる。北八は、かの座頭のわきへ腰をかける。 女中は、北八らに向かって、 「お食事にでもなさいますか。」 と、聞くと、弥次郎兵衛も、変な声で、 「まだまだ腹が、ボンポゴだな。」 と、いうと、茶屋の女は、『ボンポゴ…』と、首をかしげる。
先ほどの座頭二人は、この茶屋に休んで酒を飲んでいたが、かの二人��は気がつかず、話をしている。 「ぜんぜん、酒が足らんようだ。もう二合ほど、飲もう。」 と、犬市、 「そうだな、御亭主、御亭主、もうちっと頼みます。」 と、猿市が、答えて言う。
「ところで、さっきの川へはまった、ふざけた野郎どもはどうしたろう。」 と、犬市、 「それよ。ハハハ。おっと、きたきた。まず、かわり目の酒を一杯やろう。」 と、猿市は、猪口に一杯注いで一口飲み、盃を下に置いた。 隣に座っている北八は、そっと手を出して、猪口の酒を飲��でしまい、ちゃんともとの所に置く。 猿市らは、まったく気がつかないで、 「いや、太い奴らだったな。ちゃんと俺におぶさりやがって、でも、その代わり、水の中に落ちた時には『助けてくれ』と、悲しい声を出しやがった。 なんでも人の上前をはねることばかり考えるような奴らだから、大方、あいつらは、護摩の灰(泥棒の事)だろうよ。」 犬市が、 「そうさな。どうせろくなもんじゃない。 ああいう奴は、こんなところへ来ても、えてして、食い逃げをして、ぶちのめされるもんだ。いや、時に盃はどうした。」 と聞かれて、猿市は、 「ああそうだ、忘れてた。」 と、猪口を取り上げて飲もうとしたところが、酒は一滴もない。 猿市は、おおかた、その辺にこぼしたかと、 「おや、こぼしてしまたようだ。」 と、そこらが、ぬれてないかと探りまわして、 「はて、不思議だ。まあ、いい。あらためて差そう。」 と、また一杯注ぎ、一口飲んで下に置くと、北八またそっと引き寄せて飲んでしまう。
犬市が、 「こうしているところへ、さっきの奴らが来たらおかしかろうな。」 こたえて、猿市。 「なあに、あいつらは大方、着物を絞ったり干したりして、まだあの辺りをうろうろしているだろう。知恵のないやつは、しょうがない。」 と、いいながら盃を取り上げたところが、また酒は一滴もない。 猿市は、不思議そうにまた、辺りを探ってみたが、 「これはどうだ。」 「またこぽしたか。おかしなやつだ。」 と、犬市がいう。 「いや、こぼしては、いないはずなんだが、はて、奇妙なことだ。」 と、首をかしげている。 犬市が、 「いやいや、お前。そんなことばかり言って、独りで飲むきだな。」 と、この間に北八、座頭たちの銚子を取り、自分が飲んだ茶飲み茶碗二つに、酒をみんなあけて、銚子をまたそっと元の所に置く。
つづく。
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直播电商大败局:找主播带货六千万,商家净利润三万,简直就是奇迹
前几天我的杭湾会一位老板到我这里学习做私域,提起他最近做的一个生意。他找了某手某头部主播做了一个专场,就是那个怼天怼地怼空气的狮子王。那场销售成功卖出去六千万销售额,最后算了下账,净利润是三万元。当时我震惊了,对狮子王的公司佩服得五体投地,他们是怎么实现既让商家实现盈利,又仅仅只有万分之五的利润的。这简直就是奇迹,他们的核价师团队和精算师团队绝对是全球最顶级的。 “让你多赚一分钱,算我输。”虽然略带嘲讽,但我认为狮子王的公司还是不错的,至少还给商家留了一点蝇头小利。现在和这些头部主播合作,不亏钱就已经烧高香了。之前我们的另外一个会员,找某音上的一个顶流主播带货,那个主播是全网口碑最好的情怀主播,全网有三千万铁粉,总喜欢说“谷贱伤农”。同样也是大卖,不过他们没有那么幸运,最后是亏钱离场的。 说良心话,商品售价不低的,那个主播销售能力的确很强,他的粉丝消费力也是超强。只不过佣金太高了,除…
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