#大型トラックの車窓から
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国土交通省物流・自動車局貨物流通事業課は、3月から4月にかけて業者に引越し依頼が集中することから、引越し時期の分散に協力を呼びかけている。この時期は通常月の約2倍の引越し件数があり、ピーク時を避けることでスムーズな引越しが可能になるという。国交省によると、引越し時期を分散��ることで、引越代金の削減や予約の容易さなど、利用者にとって多くのメリットがある。特に3月末の土日を避けることで、引越し業者の予約が取りやすくなり、コスト削減にもつながるとしている。しかし、依然として3月と4月には引越し依頼が集中しており、国交省は本年もピーク時を避けるよう呼びかけている。合わせて、経済団体を通じて民間企業の異動時期分散化の検討を要請し、地方運輸局における引越しトラブル情報提供窓口の設置などに取り組む。引越し業者が見つからない場合は、運送業者や軽トラック運送事業者への問い合わせも有効だ。荷造りは引越し当日までに完了させ、早めの準備を心がけることが重要だ。引越しの日時が決まったら(1)荷造りは前日までに終わらせる●引越当日トラックが到着するまでに荷造りが完了しているように準備する。梱包用の段ボールなどが足りなくなった場合には、早めに事業者へ連絡する。●段ボールに入るサイズのものは箱詰めをしておく。小型家電(例:炊飯器、トースター)も段ボールに箱詰めする。作業効率の向上や、破損や荷崩れ事故の防止に有効だ。●荷造りが終わっていないと予定時間に引越が終了しない要因になる。繁忙期には同じスタッフが1日複数件の引越作業を担当していることも多く、作業が遅れると他の顧客にも迷惑がかかる。(2)不要品は事前に処分する●引越先で使用しない家具などの不要品は前日までに処分しておく。不要品を処分しておくことにより室内の作業スペースが増え、作業時間の短縮や費用の節約にもつながる。●不要品(粗大ゴミ等)の処分方法については市区町村に問い合せること。
引越しはピーク時期を避けてスムーズに…国交省が呼びかけ | リセマム
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劇団O.Z.E「72′ライダー」
2023年/日本/カラー/95分
沖縄の劇団O.Z.Eの「72'ライダー」というお芝居の評判の良さは聞くんだけど、なかなか沖縄まで行くのも大変だし、DVDとかで見られないものかな?と思っていたところ、東京のUPLINK吉祥寺で一回限りの上映会があるというので遠征して見に行ってきました。
沖縄本土復帰の翌年、1973年5月20日��国会議事堂の鉄柵に激突して無くなった実在の上原安隆さんがもし今も生きていたら?というifに基づいて描かれています。
復帰50年の式典を迎えようとしている2022年。「復帰っ子」と呼ばれる安隆の同級生達が同窓会を開いていた。しかし寡黙で人付き合いも上手くない安隆は同窓会に参加せず、自ら経営するバイクショップで古いカワサキの大型バイクを黙々と修理している。やがてバイクショップに二次会をパスした男友達がやってくる。県庁勤務の哲也と米軍基地勤務の長一だ。やがて妙子・みえ・明日香も加わり二次会が行われる。しかし皆がビールを飲むなか、安隆は参加するような、しないような感じでノンアルコールビールを飲んでバイクを修理し続けるのであった。
やがて安隆の過去がインサートされる。米軍基地を残したまま日本に返還されることに不完全な返還だと憤る姿。コザ騒動(暴動)で逮捕される姿。そして神奈川県川崎市でトラック運転手として働くが本土の沖縄に対する無理解に孤立する姿。
やがてバイクの修理が終わり乗り込む安隆。その向かう先は…というお話でした。
いやー、面白かったです!95分、エンドロールがあるから実質94分くらいかな?お芝居としては短めなんだけど2時間分あるくらいの物語の重厚感を感じました。といっても重たい話ばかりでもなく、前半の哲也と長一の漫才のようなやりとりはかなり面白く、面白い中でも「復帰っ子」世代の沖縄史の「あるある」を語っていき、無口な安隆の代わりに彼と「復帰っ子」達の背景をさりげなく説明していく構成は流石の作りでした。
主人公の安隆は無口の上にずっと同じポジションに居続けるため実は物語への盛り上がりには大きくは関与しないんです。哲也と長一、女性陣達のやりとりで場を持たせつつ後半から安隆のキャラや背景がしっかりしてきたところで勝負、という感じかな。こうやって振り返って見ると「RRR(2022年)」の進め方に似ているし、「RRR」が影響を受けたというチェ・ゲバラの青年期を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ(2004年)」にも通じるものがあると思います。まぁ、安隆は「RRR」みたいに踊らないし、肩車ガンアクションもしませんけどね(笑)。でもそれに相当するのが修理が終わったカワサキのバイクのリアルな爆音なのかも。
このお芝居の事を知ったのは沖縄のRBCiラジオで出演者の誰かがゲストで来ていて、この公演の2022年の時の告知をしていたからだと記憶しているのですが、それだけ評判だったのに東京や大阪公演が出来ないのはなんでだろう?と思っていたんですが、見て納得。実際に動くスクーター一台に、カワサキのバイク一台、そしてバイクショップという設定のため他のバイクがおそらく3台(多分これらは動かない)あったのでバイクを含めたセットを県外に持っていくのにお金がかかるし、さらにエンジンを吹かすために使える劇場(換気・奥行き等々)が限られると思うので県外公演をするのにはかなりハードルは高いと感じました。ただ、作・演出の真栄平仁さんによるこの上映会後のアフタートークによると「何時か県外公演をやりたい。」と言っていたので期待して待ちましょう。
今作品はうちなーぐち(沖縄方言)で演じられる作品の為、今回の東京上映は標準語の字幕付きでした。おかげでうちなーぐちを解らない僕でもすべての台詞を追いかける事が出来ました。と言っても標準語も混ぜつつなので舞台で見たとしてもストーリー全体はなんとなく追えたと思います。
余談ですが、作演出の真栄平仁さんはラジオ沖縄で「ティーサージ・パラダイス」という番組を平日昼間にやっており、今回の上映会は東京リスナー達が集まる会という側面もあったようでアフタートークでの熱気は凄いモノがありました。ラジオ聞いていなくて、お芝居の評判だけでふらっと行った僕が一番薄いお客さんだったかも(苦笑)。
了
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2024/12/2 21:00:12現在のニュース
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【小説】非・登校 (下)
※『非・登校』(上)はこちら (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/766014791068319744/)
※『非・登校』(中)はこちら (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/766015430742736896/)
と、いうのはすべて、僕の妄想だ。
現実の僕は、ベッドの上に横になったまま、目覚まし時計のアラーム音を聞いている。アラームが鳴る前から目は覚めていたものの、身体を起こす気にはなかなかならなかった。結局、布団から出るのはいつもと同じ時間になってしまう。僕はアラームを止めて、起き上がった。
部屋を出て、階段を降りる。一階のダイニングは静まり返っていた。昔、朝起きて来ると、僕の父親がここでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたっけ。母親はトーストとハムエッグを朝食に作ってくれていた。そんな記憶が一瞬、目の前の景色に重なるように思い出される。でも今は、この家には僕以外誰もいない。
棚のコーンフレークの袋を手に取ったところで、昨日の朝で牛乳を切らしたままになっていることを思い出し、そのまま袋を棚に戻す。僕は引き出しを開けて栄養調整カプセルのケースを取り出した。ケースの後ろに記載されている長ったらしい説明書きに目を通さなくても、一日の活動に必要なカプセルの種類と数量の組み合わせをもう完璧に覚えている。台所の水道からコップに水を注いで、識別のためにカラフルに着色されているカプセルたちを飲み込んだ。
洗面所で顔を洗う。昨夜就寝前に歯を磨いて以降、何も咀嚼していないが歯も磨く。今日着るべき制服は昨日のうちに脱衣所に用意しておいた。それに着替え、今まで着ていたTシャツとスウェットは洗濯機へと放り込む。
シャツの襟が折れていないかを確かめるため、鏡へ顔を近付けた時、髪がずいぶん伸びているな、と改めて気付いた。そろそろ散髪した方が良いかもしれないな、と思う。特に、この目にかかりそうな前髪は。
ふと、僕は思い出して、洗面所の棚を探る。使い残りの整髪料を見つけ出し、まだ使用できることを祈りながら、容器から指ですくい、前髪へと塗りたくった。今まで前髪をセットしたことなんてない。やり方もよくわかっていない、見様見真似だ。前髪をオールバックにするのは、僕の父親が今日という日に特別の気合いを入れていることの表れだった。鏡の中の僕の前髪は、父親に比べると稚拙でしかない出来栄えだったが、僕の気合いは十分だった。
玄関で念入りに靴紐を締めて靴を履く。幼い頃、出掛ける僕をハグしてキスしてくれた母親のことを思い出す。もう見送ってくれる家族はいない。それでも、誰もいない家に向かって、行ってきます、と小さく口にして家を出た。
指定場所で待機していると、指定された時間に一台の大型トラックが走行してきた。荷台に背の高い幌屋根が付いた、兵員を乗せて運ぶためのトラックだ。目の前で停車したトラックの荷台に、僕はよじ登るようにして乗り込んだ。
トラックの中にはすでに十一人、兵員たちが座っていた。
「おはよう、ケイタ」
僕にそう挨拶をしてきたのはボーロだった。狭い荷台の上で、彼は大きな身体を狭めるようにして腰を降ろしている。僕のふたりいる幼馴染みの片割れが彼だ。もうひとりの幼馴染みであるキョウイチロウ博士は、今は本部の作戦会議室にいる。ふたりとも、僕にとってはかけがえのない友人だ。
「おはよう、ボーロ」
ボーロの隣に座っていた兵員がわざわざ立ち上がり、僕が座るための空間を空けてくれたので、名前も知らない彼に会釈をしてボーロの隣へと腰を降ろした。
僕以外の十一人の兵員の中で、知っているのはボーロだけだった。あとの十人は顔も名前もわからない連中だ。今回の「任務」では他地域から応援を募ると聞いてはいたので、恐らくは他支部から派遣されてきたのだろう。
僕が腰を降ろしてすぐ、トラックは再び走り出した。座席もクッションもないトラックの荷台では、振動で尻が痛くなりそうだったが、目的地はここからそう遠くない。短い間の辛抱だった。幌屋根に遮られて外の様子はよく見えないが、僕たち十二人の兵員を乗せたトラックは、葉桜となった桜並木を北上しているはずだ。
「おい」
チームのリーダーであることを示す、赤い腕章を付けた兵員の男が僕に端末を手渡した。僕は端末を受け取ったのとは反対側の手を軽く上げて、礼を示したつもりだが、リーダーの男は眉ひとつ動かすことなく、じっと前を見つめるだけだった。兵員たちの間には妙な緊張感が漂っていた。ほとんどの兵員は自らの膝を抱えるように座り、目線は下を向いていた。お互いに目を合わせることも、言葉を交わすこともしない。
命の危険が伴う「任務」の前には、こういう光景は��して珍しいことではない。僕も無理に他の兵員とコミュニケーションを取ろうとは思わなかった。黙ってリーダーの男が渡してきた端末を操作する。
端末の画面には今日の「任務」の要項が表示されている。どうということはない、事前に知らされていた内容と相違なかった。最後までスクロールすると、武器を選択する画面が現れた。十二種類の武器が用意され、兵員は自由に種類を選ぶことができる。
「ボーロは何を選んだんだ?」
僕は小声でボーロに訊いた。彼の左腕に装着されている腕時計型の端末は、青い光を発している。それは選択された武器の用意がすでに整っていることを示している。幼馴染みはどこか得意気に笑って答えた。
「俺はいつものあれだよ」
「そうか、あれか」
ボーロは昔から、使用する武器をほとんど変更していない。今日もガトリング砲か、モーニングスター――今回、ボーロが選んだのは後者だろう、と僕は思った――だろう。
「ケイタは? 何にするんだ?」
「僕も、いつもと同じだ」
そう答えた僕を見るボーロの表情が、少しばかり曇った。そこには微かな軽蔑の色が混ざっていた。しかし、幼馴染みのそんな表情にももう慣れっこだった。
「ケイタはいつも、そればっかりだな」
目元に嫌悪の色を滲ませたまま、幼馴染みの口元がいびつな笑みを作る。僕は笑い返さなかった。
使用武器を固定化する兵員は決して珍しい訳ではない。十二種類すべての武器をまんべんなく使いこなす兵員の方がよっぽど稀有だ。これは他のことに関しても当てはまるかもしれないが、多くのことに手を出すよりも、どれかひとつに絞って鍛錬した方が、より習熟した技術を得ることができる。だからたいていの兵員は、使用武器種はひとつかふたつ、多くても三つというところだ。
僕は端末の画面に表示された十二種類の中から、愛用している唯一の武器種を選択する。表示され��確認のメッセージをタップすると、すぐに僕の左腕に装着してある端末が同期する。青い光が灯った。
改めて荷台を見回すと、兵員は全員、左腕に青い光を灯している。準備は整っているようだ。
「そろそろ、目的地に到着するぞ」
リーダーの男が低くそう告げる。途端に、兵員たちの間に漂う空気がより重たくなったように感じる。「任務」が始まろうとしていた。
僕たちはこれから、トチコロガラドンを倒さなくてはいけない。
停車したトラックの荷台から降りると、そこは校庭だった。目の前には小学校の校舎と、隣接する体育館があった。通常ならば、児童が登校してくる時間帯のはずだが、校庭にも校舎にも、どこにも人の姿は見当たらない。どの窓を見ても灯りはない。この学校は半月前から無人になっている。避難指示が出されているからだ。この都市に暮らす住民はすべて、近隣の都市へ避難するように指示が出されている。残っているのは僕のような「任務」に就く兵員だけだ。
無人の学校はどこか不気味だった。あまりにも静���すぎる、そう感じた。誰もいないのだから、それは当然なのかもしれなかった。否、誰もいない訳ではない。トチコロガラドンがいるはずなのに、なんの音もしなかった。そのことを不自然に感じているのかもしれなかった。
リーダーの男が指示を出した。事前に知らされていた内容通り、まずは校舎の中を探索する。十二人の兵員は三つのグループに分けられ、それぞれ校舎の一階、二階、三階を探索することになった。僕とボーロは違うグループに分けられた。僕は三階、ボーロは一階を探索することになる。僕はボーロと無言で目配せをした。
違うグループになったことは、特別残念なことでもなければ、嬉しいことでもない。各兵員が選択した武器種が近接攻撃に特化した武器なのか、それとも援護が可能な遠距離攻撃の武器なのか、あるいは、兵員がベテランなのか新人なのか、そういったバランスによって各グループに分けられただけだ。誰も異を唱える者はいなかった。
僕たちは昇降口から校舎へと足を踏み入れた。主に遠距離武器を選択した兵員たちの手には、すでに武器が握られていた。左腕に装着した端末を通して、兵員は任意のタイミングで本部の武器庫から自らの武器を異空間移動で呼び出すことができる。基本的に、大型の武器は持って歩くだけで体力の消耗や機動力の低下に関わるので、戦闘が始まるその瞬間まで装備しない兵員が多い。ひときわ身体の大きな男が、ハンマーソードを肩に担いだまま二階への階段を登って行ったが、彼は体力に自信があるのだろう。僕は丸腰のまま、土足で下駄箱の前を通り過ぎる。
ふと、下駄箱に一足の靴が残されているのが目に入った。黒いエナメルのスニーカーだ。デザインからして、女児の物だろう。忘れ物だろうか。下駄箱にスニーカーを忘れて帰るなんて、上履きのまま下校したのだろうか?
ボーロたちのグループとは階段の前で別れた。階段を登って行く。土足のまま校舎の中を歩き回るというのは奇妙な感覚だった。避難訓練の時、上履きのまま校庭へと走り出したことを思い出す。あの時と、今は状況が真逆な訳だが。
二階を探索するグループと別れてさらに階段を登る。校舎の中は静まり返っていた。本当にここにトチコロガラドンがいるのだろうか。この都市を壊滅状態にまで追い込むかもしれないと噂されている、宇宙からの侵略者が、ここに。
「手分けして探そう」と、同じグループに配属された金剛鈴使いの男がそう提案した。僕たちはそれぞれ、三階の教室を探索することになる。僕が宛がわれたのは五年二組の教室だった。灯りの消えている室内は薄暗く、廊下からでは中の様子はよくわからない。僕は慎重に、教室のドアを開けた。
教室には誰もいなかった。五年二組に所属している児童、三十二名分の机と椅子が並べられているだけだ。一歩、二歩と教室の中へと踏み込む。これといって異常はない。ごく普通の教室だ。五年二組、異常なし。左腕に装着している端末からそう連絡し、廊下へと引き返そうとした、その時だった。
目の前で、音ひとつ立てずに教室のドアが閉ざされた。まるで、僕をこの教室から逃がさないようにしたかのように。
「おはよう、ケイタくん」
声がした。凛とした声だった。教室には誰もいないはずだった。しかし、振り向くとそこにいた。教卓の陰にでも隠れていたのだろうか。誰もいなかったはずの教室に、まるで遥か昔からずっとそこに存在していたかのように、あるいは、たった今魔法でその場に現れたかのように、「彼女」が降臨していた。
「ケイタくん、どうしたの。もしかして、日直の当番の日、間違えちゃったの?」
透き通るような白い肌。艶やかな長い黒髪。髪と同じか、それよりももっと深い闇を湛えたような、大きな瞳。「彼女」――トチコロガラドンだった。トチコロガラドンが、そこにいた。
僕は瞬時に左腕の端末から自らの武器を異空間移動させて召喚し、彼女に襲い掛かる――はずだった。しかし、現実の僕は咄嗟に動くことなどできず、ただその場に立ち尽くしているだけだった。否、立っていることくらいしかできなかった。僕はトチコロガラドンを見つめていた。見つめるしかなかった。彼女から目を離すことができなくなった。
それは鱗と羽毛に覆われているはずだった。手には鉤爪が生えているはずだった。だが、目の前のトチコロガラドンには、二対の翼も、八本の手足も、五つの目玉もなかった。彼女は美しかった。眼差しは優しげで、口元は柔らかな曲線を描いていた。彼女は微笑んでいた。僕に微笑みかけていた。僕たち十二人の兵員を全員抹殺し、この第八都市を滅亡させるはずの破壊者は、それでも美しい笑みを僕に向けていた。
僕が咄嗟に動けなかったのは、突然目の前に敵が現れた恐怖心からだったのか、それとも彼女の美しさに呆気に取られてしまったからなのか、もしくはそのどちらともだったのかもしれない。
その場の空気を切り裂くような鋭い金属音が鳴り響いたのと、トチコロガラドンが僕に向かって手を伸ばしてきたのはほぼ同時だった。その金属音は金剛鈴の音色だった。廊下で別れたはずの金剛鈴使いの男が、いつの間にか僕がいる五年二組の教室の前に立っていて、その音色で閉ざされたドアを開け放ってくれていた。
「大丈夫か!?」
僕に向かってそう叫んだ金剛鈴使いの男を、トチコロガラドンは変わることのない優しい瞳で見つめる。彼女はその声までも、優しい響きをしていた。
「――ケイタくん、いつも置き勉してるんだ、いけない子だね」
逃げろ。そう言う暇さえなかった。次の瞬間、金剛鈴使いの男は真っ赤な飛沫となって廊下に飛び散った。彼が立っていたはずの場所に、もう人間の姿はなく、骨も肉も装備品も武器も何もかもなく、ただ赤い飛沫だけが廊下に残されただけだった。
殺される。
情けない僕の足はそこでようやく走り出した。教室を飛び出し、廊下を駆ける。端末で通信するなんて余裕はなかった。トチコロガラドンが追って来る気配がしたが、後ろを確認する勇気もなかった。
廊下に面した教室にいた兵員たちが僕を追うトチコロガラドンの存在に気付き、悲鳴を上げる。武器を向けた兵員が赤い飛沫となった。本部で通信しようとした兵員も赤い飛沫となった。振り向かなくてもそれがわかった。誰かが飛沫となる前に緊急事態を知らせる左胸のボタ��を押したようだ、僕の左腕の端末が赤い光を放ち始めた。一階と二階を探索している兵員たちにも、この異常事態が伝わるだろう。
これで、三階にいる兵員は僕ひとりになった。
僕は廊下を一度も振り返ることなく走り、迷わず屋上へと階段を駆け上がることを選んだ。トチコロガラドンは僕を追って来ているはずだ。下階へ行けばより多くの犠牲を出すことになる。
事前の「任務」内容の確認や日頃の訓練の効果も、今は空しいだけだった。僕は今、誰のことも救えずにただ逃げ出しているだけだ。それでも屋上へと迷わず走ることができたのは、一階を幼馴染みのボーロが探索しているとわかっているからかもしれない。
『ケイタくん、思い出して』何か、階段の壁にそんな内容の文章が書かれていた。誰かがスプレーで書き殴ったかのような文字だった。でも僕は階段を登ることに必死だったから、何かの見間違いかもしれない。
「ケイタくんは、強い?」
後ろからトチコロガラドンの声がした。僕を追って来ているのは間違いない。ある程度の距離を保っていることはかろうじてわかるが、背後にどのくらい迫って来ているのか、正確な距離は測れない。
屋上へと続く扉は鍵が閉まっていて開かなかった。それでも錆び付いて古ぼけた扉に一縷の望みを託して、僕は扉を蹴破ろうとする。
何度も何度も扉を蹴った。狂ったように扉を蹴った。もう足が折れているかもしれなかった。それでも僕は扉を蹴り続けた。
開け。開け、開け、開け、開け。『戦って。ケイタくん』扉にはそんな言葉が書いてあった。スプレー缶で落書きされたような文字。校舎にこんな落書きをするのは一体誰なんだろう。僕はその扉を蹴って蹴って蹴って蹴って、蹴り続けていた。しかし、扉は頑として開かなかった。
「ねぇ、ケイタくんは強いの?」
声がした距離が近かった。僕は振り返った。階段の踊り場に、こちらへと登って来るトチコロガラドンの影が見える。もうすぐそこまで、彼女は迫って来ていた。もう逃げられない。どうやら、ここまでのようだ。
僕は扉を蹴ることをやめた。階段を登って来る、トチコロガラドンの頭が見え始める。一段一段、踏みしめるように彼女は近付いて来る。
『ケイタくん、お願い』階段にはそんな文字が書いてあった。誰か落書きした人がいるのだろう。壁や扉のみならず、階段にまで書くなんて。さっき駆け登って来た時には、まったく気付かなかった。そんなメッセージを残す人を、僕は知っているような気がした。でもそれは、妄想なのかもしれなかった。
死にたくない。
僕は左腕の端末を操作した。僕の武器を異空間移動で呼び出す。
青い光の輪が広がった。僕の武器が突如として足下から出現する。冥府より蘇りし六角形をした金属製の箱。コフィンは、兵員たちの中で最も忌み嫌われている武器だ。僕がこの武器を選ぶ度にボーロが嫌な顔をするのには理由がある。それはこの棺桶(コフィン)の中に納められている存在が、時として敵よりも邪悪な存在であるからだ。
階段を登って来たトチコロガラドンは、突如として出現したコフィンを目の前にしても、驚きの表情ひとつ浮かべない。変わらず優しい笑みだった。
「リスコ、起きてくれ」
僕の声に応えるように、棺桶の蓋が突然開く。途端、辺りをひどい悪臭が立ち込めた。獣のような呻き���。汚れきった頭髪が棺桶の中から覗いている。あの世から蘇ってくる。この世へと腕を伸ばし、足を降ろし、その姿を現す。それは邪悪な死者。寝起きがあまり良くなくて、永遠の眠りから自分を呼び起こしたすべての者を噛み殺そうとする、気性が激しい怪物。
リスコ。それは僕の妹。死してもなお、幾度となく眠りを妨げられる、僕のたったひとりの不憫なきょうだい。
棺桶から出て来たリスコは、しばらく目の前のトチコロガラドンを見つめていた。否、本当に彼女を見ていたのかはわからない。妹は、もう僕が知る生前の姿とは異なっている。黄色く濁った瞳では、対峙している相手が見えているのかは不明だった。
対するトチコロガラドンも、リスコをじっと見つめていた。リスコは低い呻き声をときおり上げはするものの、微動だに動こうとしない。そんなリスコを見つめる彼女の姿は、教室の中で大人びた女子児童がクラスメイトたちの他愛のない雑談に耳を傾けている時のような、そんな様子に見えるかもしれなかった。
ただ、ここはもう逃げ場がない階段の踊り場で、トチコロガラドンはこの都市を壊滅させる侵略者で、僕は彼女を討伐する「任務」を課せられた兵員で、リスコはその死によって武器として利用されている可哀想な死者だ。
「リスコ、食い尽くせ」
ふいにトチコロガラドンの右腕が動いたように見え、僕は咄嗟にそう命じていた。今までぴくりとも動かなかったリスコは突然、トチコロガラドンに��び掛かる。
一瞬、何が起きたのか理解が追いつかなかったが、僕の左頬を何かが掠めた。背後にあった扉に激突して僕の足元に転がったそれは、妹の左腕だった。肩の辺りから捩じ切られたように切断されている。恐らくは、トチコロガラドンの攻撃が被弾したのだろう。他の兵員たちのように赤い飛沫にならずに済んだのは、上手く躱せたからなのか、もしくはリスコがもう人間ではないからかもしれない。腕の切断面は妙に白茶けていて、血も流れ出なかった。マネキンの腕みたいだった。
腕を一本吹き飛ばされたにも関わらず、リスコの勢いは止まらなかった。未だに痛覚が備わっているとは思えない。僕の不憫な妹は、かつて僕の妹であった哀れな死者は、自分の片腕が失われたことに気付いてさえいないのかもしれない。リスコはトチコロガラドンに飛びついた。そして頭からバリバリと、彼女を食べ始めた。
僕はもう、自分が見ている光景が現実だとは思えなくなっていた。トチコロガラドンはなんの抵抗をすることもなく、リスコにバリバリと食べられていた。それは何かのテレビ番組で見た、クマに食される魚の映像に似ていた。まだ残されていた彼女の右目が、僕のことを見ていた。最後まで、その瞳は微笑んでいた。トチコロガラドンは、顔の表情を変えることができないだけなのかもしれない。そうでなければ、こんな瞬間まで、笑っていられないだろう。やがて頭部をすべて食べられその表情が完全にわからなくなるまで、トチコロガラドンは顔色ひとつ変わらなかった。
リスコは僕の命令通り、トチコロガラドンを食べ続けた。頭から、胴体、腕、足、すべてを食べ終えるまでにどのくらいの時間が経ったのか、よく覚えていない。僕はどこか夢でも見ているかのように呆然と、妹の裁断機��ような歯が口の中で幾重にも連なり、それらが機械的に開いたり閉じたりするのを見ていただけだった。
やがてリスコはトチコロガラドンを完食した。何を言っているのかわからないほど低く唸りながら、あたかも自分の成すべきことはすべて終わったのだとでも言うように、自ら棺桶の中へと帰って行く。
「……リスコ、ありがとう。助かったよ」
僕は夢見心地のまま、かつて妹だった者に、なんとか言葉を絞り出してそう声をかけた。ひときわ大きな唸り声が返ってくる。とっくの昔に人語を理解できなくなったはずだから、僕の言葉に返事をしたように聞こえただけで、偶然に過ぎないだろう。コフィンの金属製の扉は音を立てて閉ざされる。召喚した時と同じように、冥府から運ばれし棺桶は僕の足下で回転する青い光の中へたちまちに消えた。
左腕の端末からは、敵の信号が完全に途絶えたこと、すなわち、トチコロガラドンの討伐に成功したことを伝える通信が入っていた。僕はそれを、やはり夢を見ているような気分のまま聞いていた。トチコロガラドンがこんなにもあっさりと、討伐されてしまって良いのだろうか。否、すでに兵員は三名の死者を出している。決して少ない犠牲ではない。だが、そうではなくて、僕が召喚したリスコを前に、彼女はあまりにも無抵抗ではなかったか? 彼女はこの都市を壊滅させるはずではなかったのか? それだけの脅威だったはずだ。何かがおかしい、何かが……。これではまるで、ゲームのバグのような……。
気が付くと、屋上へと続く扉が開いていた。僕があんなに蹴り飛ばしても開かなかった扉が、今は開いている。僕は誘われるように、扉の向こうへと踏み出した。
屋上には湿気た風が吹いていた。曇天からか細い陽が射している。屋上のアスファルトは濡れていた。そこにスプレーで書いたような文章があった。
『ありがとう、ケイタくん。トチコロガラドンを倒したんだね。君はついに見つけたんだ、誰も見つけることができなかった、第八都市を壊滅させずにトチコロガラドンを倒す方法を。君によって世界は救われたんだ』このメッセージを書いたのは、一体誰なんだろう。でも僕は、そんな落書きにも、それを書いた人物にも、もうたいして興味を持てなかった。
屋上にできたひときわ大きな水溜まりに、何か落ちている。僕は近付いた。それはヘアピンだった。水色の水玉模様が付いている。指先で摘まみ上げてみる。僕はそのヘアピンをしばらく見つめ――、しかし、何も思い出せなかった。
それは、僕にとって大切な記憶だったような気がした。でも気のせいかもしれなかった。妄想なのかもしれなかった。今までずっと僕の妄想が繰り返されてきたように、今こうして見ている景色も、現実ではないのかもしれない。この記憶も妄想ということで片付けられ、また違う世界の、僕の物語が始まるのかもしれなかった。そしてそれもまた、僕の妄想なのかもしれない。
僕はずいぶん長い間、そうやって妄想の中で生きているような気がする。まるでテレビゲームの中のような世界を、映画の中のような世界を、どこかで見たような誰かから聞いたような何かで読んだような世界を、ありふれた、当たり前のようにありきたりな、決まりきった世界を眺めているだけのような気もする。
本当は、こんなはずじゃなかった。こうなる予定じゃなかった。トチコロガラドンは倒せないはずだった。第八都市は壊滅するはずだった。この都市を犠牲にして、あの怪物を倒す。それが僕たちの任務のはずだった。そう、あれは怪物でなければならなかった。僕が倒した「あれ」は、怪物なんかじゃなかった。優しく微笑み続ける「あれ」は、「彼女」は、倒すべき敵なんかではないはずだ。
僕は探しているはずだった。怪物を倒す方法を。第八都市を滅ぼすことなく、宇宙から飛来した侵略者を倒す手段を。「彼女」は探していたはずだ。僕たちが助かる方法を。僕たちが現実の世界で、生き延びるための手段を。
僕たちはそれをずっと探していた。僕たちは、こんなバグみたいな、偶然の産物みたいな、百万回に一度だけ起こる奇跡のような、そんな確率論の成れの果てを求めて、挑戦していた訳ではなかった。僕たちは――「僕たち」って、一体、誰のことなんだろう?
僕はこのヘアピンを、誰に返さなくちゃいけないんだっけ。
突然、青い光の輪が、僕の足下に広がった。咄嗟に手を伸ばしたが、光の出どころは僕の左腕の端末ではなかった。僕が武器を異空間移動させようとした訳ではない。当たり前だ、そんな操作をしていない。では、この光は。一体、何が召喚されようとしているのか。
光の輪が幾重にも広がる。ひとしずくの水滴が波紋を起こしていくように、光の波がアスファルトの上を伝わっていく。『ケイタくん、思い出して』いつの間にかそんな落書きで屋上のアスファルトは埋め尽くされていた。光の輪はその文字の上も走り続け、たった今スプレーで噴射されたような落書きたちはみるみるうちに霞んでかき消されていった。
気が付くと、青い光の波の中に僕は立っていた。光は風にそよぐ夏草のようにゆらゆらと揺れていた。一面の波だった。もうそこには屋上も、学校も、この都市も存在していなかった。何もかもが消えていた。ただ、光の海が広がっていた。海の外側は深い闇だった。
膝の辺りまで波は来ていた。波ではあるが、水ではないから濡れないことが不思議だった。ふいに、水面が盛り上がった。何かが下から、この光の大海原の奥底から、姿を現そうとしている。それは人のようだった。人の姿をしているように、僕には思えた。それが誰なのか、知っている気がした。けれど、どうしても思い出すことができない。僕にとって、とても大切な人だったような気がするのに、名前すらわからない。
ばしゃんと、光の波が跳ねて飛沫が飛んだ。その人は水面から顔を出し、振り返って僕を見る。そして立ち上がる。僕の方へと、光の波の中をかき分けるように歩み寄って来る。
「ケイタくん」
その人は、僕の名を呼んだ。優しい声だった。もう何度も聞いた声だった。もうずっと、耳にすることを待ち望んでいた声だった。
「ケイタくん、泣いているの?」
僕は泣いているんだろうか。
「泣かなくていいんだよ」
僕は泣いていたんだろうか。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
その人がそう最初に言ったのは、僕の妹が死んだ時だった。
寝起きは特別機嫌の悪い僕の妹は、ある日、父に殴打されて二度と目を覚まさなくなった。もう目を開けることはないとわかっていても、横たわる妹に触れるのは怖かった。いつか起き上がって、毎朝お決まりの癇癪が始まるような気がした。妹が棺桶に詰め込まれて火に焼かれ、地中に埋められるまで、僕はひそかに怯え続けていた。そうして妹が死んでから、眠ることが怖くなった。可哀想な妹と同じように、僕も眠ったっきり、二���と目を覚まさなくなってしまうような気がした。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
僕の母親が失踪した時も、その人は僕にそう言った。
日に日に酒の量が増えていった母親は、次第に料理を作ることをやめ、洗濯機を回すことをやめ、掃除機をかけることをやめた。冷蔵庫が空になり清潔な衣服が何ひとつなくなり、家じゅうにゴミが散らかるようになった頃、ビールを買いに出て行ったっきり、母は帰って来なくなった。それから三ヶ月経った頃、海に浮いているのが見つかった。一緒に漂っていた鞄の中に仕舞われていた財布には、所持金が二円だけ入っていた。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
僕の父親を殺した時も、その人はそう言った。
台所の薄暗がりの中、こちらに右手を伸ばしたまま、目を見開いたまま死んだ父親。背中から突き抜けていた包丁の切っ先が、鈍い光を反射していた。床に広がっていく血溜まり。父の瞳から命の灯が消えていく。まるで助けを求めるかのようにその右手が伸ばされた時、薄情な僕は後ずさったのだ。助けるどころか、叫ぶことさえしなかった。その人が父を殺すのを、僕はただじっと見ていた。見ていることしか、できなかった。
それらは、僕にとって大切な記憶なのかもしれなかった。でも、すべて僕の妄想のような気もした。テレビゲームをしている間は楽しかった。どこかで見たような、誰かから聞いたような、何かで読んだような、そんな世界に浸っていられる間は、現実のことを忘れていられた。
だから僕は妄想をした。妄想し続けた。トチコロガラドンが宇宙からやって来てこの都市を破壊していく姿を思い描いた。トチコロガラドンが宇宙からやって来て、僕の家族を破壊していく姿を想像した。たとえ本当にこの都市が壊滅しても、僕の家族が崩壊しても、それは妄想なのだと思えば、その苦しさを忘れることができる。
いや、それは嘘だ。忘れることなんてできなかった。僕はずっと苦しかった。苦しくて苦しくて、それでもどうすることもできなかった。僕は見つけられなかったのだ。怪物を倒す方法も、僕たちが助かる方法も。
光の波が僕の頬を撫でた。ずいぶんと高い波だった。水じゃないから濡れなかった。
その人は光の海の中を歩いて来て、僕の前で足を止めた。少し困ったような表情で僕を見ていた。やっぱり、微笑んでいた。
「ついに、ケイタくんに倒されちゃった」
その声は、どこか嬉しそうに聞こえた。でもそれは、そうであってほしいと僕が思い込んでいるだけかもしれない。
「すごいね、ケイタくん。やっぱり、ケイタくんは強いんだね」
――トチコロガラドンが倒せないの。
いつだったか、その人は僕にそう言った。そのトチコロガラドンは、今はもういない。僕の可哀想な妹が、すべて食い尽くしてしまったから。
「私が守ってあげなくても、ケイタくんはもう大丈夫だね」
これも僕の妄想なんだろうか。僕はこの人に、こんな風に言葉をかけてもらいたいと、思っていたのかもしれない。ずっと僕の側で微笑んでいてほしいと、そう願っていた頃があったように。
僕はこの人の笑顔をいつまでも見つめていたかった。それが許される存在でありたかった。ずっと見つめていたいのに、見つめ返されると胸が苦しくなった。自分が許された存在ではないということを、突き付けられているような気がした。自分なんかが憧れてはいけない相手のように思っていた。
僕は許されたかった。
この人��許してもらいたかった。
この人を許してあげたかった。
この人が許されてほしかった。
「もう、大丈夫だね」
それが、僕が聞いた最後の声だった。その人は光の波に飲まれて、光の渦の中へ吸い込まれていって、光の海の中の、光に満ちた奥底へと沈んでいった。海底��眩しかった。どんなに目を凝らしても、もうその人の影も形も見つけられなかった。
僕はいつまでも、光の波の中に立っていた。ゆらゆらと揺れる光を見ていた。
光の波が僕の頬を撫でる。水じゃないから濡れないはずだった。僕は泣いていたのだろうか、水じゃないのに頬は濡れていた。
と、いうのはすべて、僕の 。
僕は、目覚まし時計のアラームを止めて起き上がった。
朝の支度。棚のコーンフレークの袋を手に取り、皿に出して牛乳を注ぐ。洗面所で顔を洗う。歯を磨く。服を着替える。寝間着代わりにしていたTシャツとスウェットを洗濯機へと放り込む。
リュックサックは玄関先に置いてある。新調したスニーカーも出してある。ひとりで暮らしているから、見送ってくれる家族はいない。それでも、行ってきます、と口にする。
葉桜となった桜並木を歩いて行く。登校途中なのであろう、小学生たちとすれ違う。ひときわ身体の大きな男の子と、ひょろっとした眼鏡の男の子が仲良さそうにおしゃべりしながら歩いていて、僕は昔いた友達のことを思い出す。僕も彼らみたいに、友達とスニーカーの話やテレビゲームの話をしながら、学校へ向かうのが好きだった。
懐かしい記憶を思い出しているうちに職場に着く。店長のヨモギダさんは、僕が面接で出会った人間たちの中で、やたらと空白ばかりでなんの資格も免許もない僕の履歴書を見ても、唯一顔をしかめなかった。断られた回数を数えることを諦めてからもしばらく無為に数を重ねることしかできなかった僕のしがない就職活動の中で、唯一採用してくれたのもヨモギダさんだった。採用してくれた理由が、二十四時間営業の居酒屋のアルバイトというのはそれだけ人気がない仕事なのか、「俺も昔、三年くらい引きこもってたよ」と休憩中に煙草を吸いながら言った彼の琴線に僕の経歴が触れたからなのかは、未だにわからない。
「おはようございます」
「おー、おはよ」
店の裏に回ると、副店長のミシマさんとバイトリーダーのサキハラさんが従業員専用出入口の側で煙草を吸っているところだった。
「あ、ケイタくん、良いところに」
「今ちょうどミシマさんとスタストの話してたとこなんだよ」
「ケイタくん知ってた? 来月発売の新型ゲーム機、あれにスタストの新作が出るんだって」
「八年ぶりの続編なんて、テンション上がるなぁ、おれ絶対買うよ」
「ケイタくんも買う? そしたら三人で遊ぼうよ」
ふたりの会話の勢いに僕はちょっと面食らって、「金、貯めておきます」とだけ答えて店の中へと入った。
「スタストと言えば、なんだっけ、なんとかドラゴンがさぁ……」
「あー、ありましたね、都市を壊滅させる代わりに倒せるやつ……」
「あれ、地味にトラウマになったよなー」
ふたりの会話が続いているのが聞こえてきたが、僕は構わず更衣室に入り、制服に着替える。
更衣室を出た時、店長のヨモギダさんとすれ違った。
「店長、おはようございます」
「おー。今日もよろしくな」
今日も目の下の隈がひどいヨモギダさんは僕の挨拶に覇気のない声で返事をしてから、裏口の扉を少しだけ開けて、「おーい、いつまで煙草吸ってんだー、仕事しろー」と、外に向かって���鳴った。
ミシマさんとサキハラさんは、ふたり揃って「すんませーん」と頭をぺこぺこ下げながら裏口から入って来て、それでもヨモギダさんが店の奥の事務室へと消えると、スタストでどの武器を愛用していたか、まだ話していた。
僕が小学生の時に友人たちとハマっていたテレビゲーム、スタストこと、スターストレイザーの新作の発売が発表されたというニュースを、僕はすでに知っていた。先週、ヒナカワから送られてきたメールにそう書かれていたからだ。
ヒナカワは僕の小学校の同級生で、彼女はその頃からすでに、筋金入りのオタクだった。女子よりも男子に人気があったスタストを、クラスの誰よりも、いや恐らくは学校じゅうの誰よりも、熱心にプレイしていた。もともと、僕とヒナカワは特別仲が良いという訳ではなかったが、同じゲームに夢中になっている者同士、何度か一緒に敵の攻略方法を模索したことをきっかけに、ときどきメールでやり取りをするようになった。
僕は小学五年生の時に諸事情から学校に行くことをやめてしまい、それから六年間ほど、半ば引きこもりのような生活を送っていたので、実際に顔を合わせる機会はほとんどなかった。それでも定期的にヒナカワからは「お願い、一緒に戦って」というメールが届き、インターネットを介したマルチプレイで一緒にゲームをしていた。彼女も彼女で、中学生に進学した頃には不登校になり、一日じゅう部屋にこもってオンラインゲームばかりしていたようだが、僕がそのことを知ったのはずいぶん後になってからだ。
中学校の門をくぐったことが一度もなく、高校卒業資格も持たない僕が、今こうして二十四時間営業の居酒屋で働いているように、どうやらヒナカワもアルバイトをしているようだが、自身のことを語る内容をメールに一切記載してこない彼女が、今どこに住んでいて何をしているのか、本当のところはよく知らない。知りたいとも、会いたいとも特別思わない。
ただ、僕が引きこもっていた六年間、毎日毎日、現実から目を背け、妄想の世界に閉じこもっていたあの時期に、ヒナカワが、彼女だけが、僕に現実と向き合うよう、何度も訴え続けてくれた。そのことだけは、僕は一生、彼女に感謝し続けるだろう。
月日が経って、スタストもずいぶん古いゲームになってしまい、僕もヒナカワもいつの間にか一緒にゲームをすることはなくなったが、それでも今でもときどき、彼女からは簡素なメッセージが届く。
『スタスト新作、買う?』とだけ記されていたそのメールに、僕はまだ、返信をしていなかった。
スターストレイザーの続編を購入するかどうか、決めかねていた。新型のゲーム機と新作ソフト、インターネット環境や周辺機器を整えることを考えると、決して安い出費では済まされない。それに、僕はもう何年も、テレビゲームをしていなかった。電器屋のゲームコーナーで「新作」のタグが付けられたゲームソフトを眺めても、遊びたいという気持ちになることさえなかった。欲しいゲームソフトを何本も買ってもらえる訳でもなかった子供の頃は、店頭に並んでいるパッケージを眺めるだけで心が弾んだのに、今はなんの感情も湧き上がってこない。もう今さら、テレビゲームを楽しむこと��どできないのかもしれない。
それでもヒナカワからのメッセージに『買わない』と即答しなかったのは、夢中になって敵を倒そうと奮闘していたあの頃を思い出して、懐かしい気持ちになったからだった。もう一度あの頃の楽しさを体験できるのであれば、プレイしてみたいと思ったからだ。そして恐らく、それは多くのスタストファンが抱いている感情だろう。ミシマさんも、サキハラさんも、そして、たぶんヒナカワも。
しかし、そんな僕の前に立ちはだかる、金銭問題という壁は巨大だった。両親を亡くした僕を引き取って面倒を見てくれていた祖母が亡くなり、ひとりで生活するようになってもうすぐ二年が経つ。しかし今の僕には、テレビゲームを遊ぶ余裕はなかった。
あと何回、客のテーブルまで生ビールの大ジョッキを運び、あと何枚、汚れた皿を洗い場の片隅で洗い続けたら、スタストの続編が買えるようになるんだろう。そんなことを考えながら、客がはけたタイミングを見計らってフロアにモップ掛けをしていると、八時間の今日の労働が終わった。
更衣室でリュックサックをロッカーから取り出し、制服から着替える。まだ残っているスタッフとこれからシフトに入るバイト仲間たちに「お疲れ様でした」と声をかけ、来た時と同じ、裏口から店を出る。
「おー。お疲れさん」
帰ろうとする僕に声をかけてきたのはヨモギダさんだった。彼は従業員専用出入口の横で、ひとり煙草を吸っていた。一体、何時から出勤していて、何時まで店にいる予定なんだろう。ときどき、この人は本当に寝ている暇があるのか、心配になる。
お疲れ様でした、と挨拶をして通り過ぎようとする僕を、ヨモギダさんは煙草を持っていない方の手で引き留めた。
「ちょっと、これは皆には内緒の話なんだけど」
そう言って、ヨモギダさんは手招きをする。僕が煙草臭い彼の顔に、内心嫌々、耳を近付けると、彼は相変わらず疲れ果てた口調のまま、囁くように言った。
「ケイタくんは真面目に頑張ってるよ。給料、前貸ししてほしい時はそう言いな」
その言葉に、驚いて彼の顔を見ると、ヨモギダさんは少しだけ笑って、「皆には内緒な」と、もう一度念を押すように言った。ミシマさんとサキハラさんと、スタストの話をしていたのが聞こえていたのだろうか。それとも、僕の顔にはそれほどまでにはっきりと、「金が欲しい」とでも書いてあるのだろうか。目の前に希望の光が見えたような気がするのと同時に、自分の懐事情を把握されているような恥ずかしさに、思わず何も言葉を返せないでいたが、ヨモギダさんはそんな僕にはお構いなしで、もう用は済んだとでも言うように、煙草を吸い終えてさっさと店の中へと消えてしまった。
来た時と同じ道のりを歩いて家まで帰る。下校中の中学生たちが、自転車で僕を追い越してみるみる小さくなっていく。夕暮れの街には、ひとつ、またひとつと灯りがともり始め、どこかの家からは今夜の夕飯なのであろう、良い匂いが漂ってくる。
そう言えば、冷蔵庫にもう何もないんだった、と思い出し、夕飯もコーンフレークで良いかな、と考える。居酒屋で働いて最も良かったことは、客の注文と間違って調理された料理を食べさせてもらえることだ。それがなければ、僕は今よりもっとひもじい思いをしていた��もしれない。
アパートの郵便受けには、珍しくチラシが挟まっていた。それを引き抜き、鍵を開けて自分の部屋へと帰宅する。リュックサックを玄関先へと降ろし、たいして読む気力も起きないチラシを四畳半の中心に鎮座しているミニテーブルの上に放った、その時、僕はチラシだけだと思っていた郵便物の中に、一通の封筒が紛れていることに気付く。
切手が貼られ、消印が押されたその封筒には、見覚えのあるボールペンの字で宛先のところに僕の名が記されていた。封筒を裏返すと、差出人のところには、やはり見覚えのある字で――。
ああ。
やっぱりそうだ。
彼女だった。
それは彼女が、僕に宛てた手紙だった。
今までも何度か、こういう風に、彼女は僕に手紙をくれた。
力強くも整った、この字で。
それは、ナルミヤからの手紙だった。
ナルミヤ。
僕は彼女のことを、なんて説明すれば良いのかわからない。
彼女はヒナカワと同じく、僕の小学校の同級生だ。そして彼女は十歳の時、僕の父親を殺した。それから十六歳までの六年間――僕が不登校になり、ほとんど家に引きこもって生活していた六年間を――、ナルミヤは少年院で過ごしたはずだ。
少年院を出てからの彼女がどこでどういう生活をしているのか、僕は知らない。ときどき送られてきた手紙には、差出人であるナルミヤの住所は記されていなかった。だから彼女が少年院を出てから、手紙に返事を出せたことはない。恐らくは、どこか遠い土地で暮らしているのだろう。
人を殺した罪を、償い続ける人生。
僕にはそんなナルミヤの生活のことが、まるで想像できない。
彼女は僕の父親を殺した。しかし、そのことでナルミヤを恨んだことは一度もない。父は日常的に僕や母に暴力を振るう人間であったし、可哀想な妹は父に殴り殺されていた。ナルミヤが僕の父を殺さなければ、いずれは僕が死んでいただろう。だから、彼女は命の恩人のような存在と言えるのかもしれない。
でも、誰もそんな風には、ナルミヤのことを捉えない。
小学五年生の女の子が同級生の父親を刺殺した、というニュースは、世間に大きな衝撃を与えた。ナルミヤの実名も顔写真もあっという間にインターネット上に出回った。彼女の生まれながらにして持っていた美しさがまた、人々をさらに騒がせた。さらには、彼女が援助交際をしていただとか、万引きの常習犯であっただとか、そんな噂も広まった。
ナルミヤの家族や親戚たちの情報も流出して、彼らはずいぶん肩身の狭い思いをしたはずだ。彼女の両親は離婚して、父親はその後亡くなった。自殺だった、と噂で聞いた。旧姓に戻ったナルミヤの母親は、過去を詮索されずに済む場所へ移り住んだらしいが、少年院を出所して来る娘と一緒に生活することは拒んだらしい。
だからナルミヤは――彼女の名字も母親の旧姓に戻ったはずなので、もうナルミヤではない訳だが――、どこかでひとり、生活しているのだろう。彼女が少年院を出て、もう二年になる。
僕はナルミヤのことを、どう考えればいいのかわからない。彼女はきっと、僕を助けたかった。そのために罪を犯した。一生、消えることのない罪を。そうしてまで、彼女は僕を救いたかったのだろうか。それが正しい選択だと、そう思っていたのだろうか。
そんな選択をした彼女に、僕は何をしてあげられるのだろう。僕はずっと無力だ。子供の頃からずっと、無力のまま。
手紙の封を開ける。便箋には見慣れたナルミヤの端正な字が、最近の彼女の生活の様子をすらすらと語る。肝心なところには触れられていないが、文章からはなんとなく、ナルミヤが田舎の方に暮らしているのだということがわかる。仕事帰りに見た星空が綺麗だったこと、部屋の窓から見える山が四季の移り変わりに伴って変化していくこと、職場の裏庭で育てている野菜が変な形ばかりに育ったのに食べたら美味しかったこと。他愛のない内容だ。でもきっと、今の彼女にとって、それは大切な日常なのだ。
手紙の最後に差し掛かった時、僕は思わず、目も見張った。そこには、『スターストレイザーの続編が、今度発売になると聞きました。ケイタくんは買いますか? もし良かったら、また一緒にプレイしない?』と、書かれていた。
そう、僕たちが小学生の頃、ナルミヤもスタストをプレイしていた。クラスの女子の中ではかなり珍しいことだった。僕とナルミヤは同じゲームをプレイしているのを知ったことで仲良くなり、強敵を攻略するために僕の家に招いた。
それがきっかけだった。ナルミヤは僕の家の、壁に残された拳の跡や、ひしゃげた家具、割れたままになっている窓、そして、僕と妹の、学校では見えない位置に残された痣を見て、知ったのだ。僕の父親がどんな人間で、僕がどんな仕打ちを受けているのかを。そして後々、そのことが、彼女を殺人者へと変えることになった。ナルミヤの口から聞いたことはないが、僕はずっとそう思っている。あの時、家に招いたりしなければ、ナルミヤの未来は違っていたかもしれない。
だけれど、ナルミヤと一緒にゲームをしたことは忘れられない大切な思い出だ。あの頃のナルミヤは、強敵を倒すための方法を模索していた。第八都市を壊滅させることなく、トチコロガラドンを討伐する方法を。当時、まだ世界の誰も、その方法を発見できていなかった。よくふたりで、何時間も費やして、その方法を探したものだ。けれど、結局いくら検証しても、それは見つからなかった。そして恐らく今も、その方法は見つかっていない。
それでも、ふたりで探し続けた時間のことを無駄だったと思わないのは、それはゲームをしている時のナルミヤが、学校で見せる姿とは違って、少し子供っぽい様子で、無邪気で、本当に楽しそうに笑っていたからだった。本当は、僕はトチコロガラドンも第八都市もどうでも良くて、ただ、そんな風に笑っているナルミヤを隣で見ていたかっただけなのかもしれない。
そんなことを、取り留めもなく思い出す。
もし、ナルミヤとまた一緒にゲームをプレイすることができたら、何か変わるのだろうか。僕にとって大切な思い出になっているように、彼女にとってもあの頃一緒に戦ったことは楽しい思い出になっているのだろうか。もうその笑顔をこの目で見ることはできないのかもしれないけれど、楽しい時間を共有することができたら。あの頃の楽しさをもう一度、ふたりで思い出すことができたら。今度こそ、僕とナルミヤふたりだけの、攻略方法を見つけ出すことができるかもしれない。
僕は便箋を元通りに折りたたんで封筒の中へと仕舞う。ヨモギダさんになんて言って給料の前貸しの相談をするべきかを考えながら、僕は携帯電話を開く。まだ返信していなかったヒナカワからのメールに返事を出した。
もう一度、戦おう。
それはゲームの話かもしれない。でも決して、僕の妄想��んかじゃなくて、現実の話だ。
僕はもう一度、この現実で戦う。
何度でも、方法を探して、もがきながら、あがきながら、生きていく。 どうか今度は何も犠牲にせず、僕たちが救われるために。
了
0 notes
Text
おそらく、ほぼ確実に、
自分の希死念慮は、おばあちゃんから吹き込まれたものだと思う。
まず初めに、三世代で車移動しているときに、車から頭を出して風を浴びようとした。車酔いがひどいので、外気が欲しかった。そ��から、「子供が窓から頭出してたらすれ違ったトラックに頭だけ持って行かれた話聞いたことあるからやめとき」と言い、車の窓を開けるたびにその話が繰り返される。風が欲しいだけで頭なんて出そうとしたのは一回だけで、そのあとは後部座席の真ん中に座らされる。窓を開けるたび、同じ話になる。父は、「俺も聞いたことあるけど、車から腕出して走ってた人が腕跳んだりしたとかな」と。父、加勢するなよ。
次に、赤子が生まれたとか親族関係の遠い人に二人目の子供が生まれた話になると、「聞いたことあるけどな、まだものがわからん子とその下の子がお盆に帰ってきてな、大人で盛り上がってるところに、赤ん坊の泣き声がうるさいなあと誰かが言うたんやと。そしたら、その子がふっと赤ん坊の方に行って、ぴたりと泣き声が止んだ。嬉しげにしてるその子と、心停止している赤ん坊が見つかったんやと。子供やからな、声を出さないためには口塞がんと、と思ったから息ができんようにしたらしい」と聞いた。まだ幼かった自分は恐ろしいと思った。
今度は、墓参りのたびに、苔が生えるほど古いのに立派な墓を指差して、「この人はな、頭が良くて今で言う京都大学に行ったけど、途中で結核で死んでしまったんよ。そしたら、同級生がこのお墓の横にな、漢詩で書いてくれた。私は読めんけど」と言い、その漢詩の解読は彼女にとって孫である私と従姉妹に振ってかかり、従姉妹はそれをなんとか判読して、国語の先生に渡したらしい。先生曰く、「私には、素晴らしい友愛として読める」と言われたらしい。「どう思う?」と、漢文なんてまだ書き下す法則しかわからない自分に回ってきた。知るかよ。
さらには、ひいおばあちゃんの死に際について、おばあちゃんから聞かされたが、Ver.3まである。しかし一貫しているのは、「栄養摂取の拒否」で、それだけが共通している。無理にでも食べさせんと行かんのではないか?
華厳の滝がニュースに映る。その度に、「身投げした子がいたよな」と言い、この話は自分が、「人生不可解のね」で締めないと終わらない。だからお盆に帰るのが嫌だ。去年は帰らなかった。今年はどうだろう?
「考古学者になりたいと思い続けてな」と言った。ピラミッドを調べたいと。墓荒らしである。「法医学者になりたかった」と。合法だが、あまりよろしくない。法医学者は、本当の正義感に突き動かされなければいけないが、彼女には向いていないと思った。
墓をセメントで蓋する提案があったが、それは良くないと父もおじいちゃんも反対していたが、独断で勝手に蓋した。
で、いよいよおじいちゃんが老衰で入院していて、その面会に行って帰るたびに、「もうな、あんなに"かわいそう”なら、いっそ連れて帰って心中でもしようかと」と、わ��わざ従兄弟が結婚予定だ、という報告をしてきたその座卓の場所で言う。「物の言い方に気をつけろ」で父とおばあちゃんに育てられてきた己は、諦めた。叔母は(〇〇ちゃんと呼ぶぐらいには叔母である感覚はないが)その発言を聞いてから、祖母に対する目つきが呆れ返っていた。父は父で、自分の話しかしない。家族全員、うどんの話ばっかり。ついていけない話の緩衝材に、「本当にうどんの話ばっかり!」と投げ入れて笑わせた。「実は私、こちらに旅行したことがあって、その時は骨付鳥を食べたんです」そこからメインどころの骨付鳥の店を列挙していくが、いちいち自分が解説しないと店がわからない。「でも最近ラーメンもちょっとずつ盛り上がってて、いりこラーメンが来てるんですよ」と話した。前情報で海沿いの人だとは聞いていたので、おそらく魚介の話をすればなんとなく繋がるだろうな、と思って話したところ、「うちはどこそこで、海のもの美味しいんですけど、瀬戸内海はまた違いますよね」「よく言うんですけど、なんちゃって地中海気候なんですよ。オリーブとかレモンとか」そして美術館や文化、電車の話をして、共通項が見つかった。最初は己も母も同席しない予定だったが、従姉妹の結婚報告に立ち会ったのに従兄弟の報告に立ち会わないのは筋が通らないだろう、と無理やり母も呼んだ。最適解だったが、あの席で一番脳みそを使ったのは自分だと思う。父と従兄弟と叔母が、完全に自分の目を見ながら話をしていて、「あー、これ完全に役割もらってるな」と内心思った。し、実際もらっていたらしい。あとから母に聞くに、「あんたの発言で全部話題がお相手にシフトしたり、止すべき話題が止まったり、よくやったと思う」と。昔からこうだった。あるときから混沌だった。今回は役割を果たした。すると従兄弟は、「式は何日にどこでやるので、何卒よろしくお願いします」と、父ではなく完全に自分の目を見て言った。誠意があった。墓を見てから帰るとのことで、車で大回りして宿泊場所に帰るらしい。タイミングとルートとして、この道をこう通るだろう、と予測して、やってきたのと同じような車が通ったので手を振った。助手席の人が思いっきり手を振ってくれて、ああ、この振り方は叔母だ、と記憶の中にある映像を思い出す。
ここまでに二回、「あんたなんか病気か?痩せすぎやろ」と祖母に聞かれていて、もうすでにイライラしまくりだったが、別れ際にもう一回、同じ質問をされた。本気でイラついたので、「大丈夫だからもう聞かんとってくれんか」と靴で地面を蹴りながら話したところ、返す刀で、「まあ、前がぽっちゃりしすぎとったからな。あれもあれでどうかと思うけど」とのこと。死ぬほど食わされて胃が膨れたら、「お腹出たな!運動せんとな!」と抜かしていた今と同じ体型の自分に欠ける言葉とは思えない。死ぬほど食わされると言って、たとえばすき焼きで肉1kgに野菜たっぷりを3分の2程度食わないと「これじゃ締めができないじゃない」と残りを食わされる。で、そのあとに締めのうどんになるが、これがまた、たった五人なのに普通に8玉とか買って、それに一応付き合うだけの両親と、ほとんどすき焼きそのものを食べない祖母と、すき焼きを食らい尽くした己が祖母が食べたそうにしながら誰も食べないのだったら食べない、といったうどんを、「じゃあ食べようか」と優しさで付き合うんだが、食後には大量の水を飲み口の中の砂糖と醤油っけを洗い、吐いたらまた叱られるので大人しくしながら胃から下に落ちるのを待つ。そんだけ食わせて、「腹出たな!」もおかしければ、痩せりゃ痩せたで詰問。ダブルバインド。無理。あのババアにはもう会わない。じいちゃんには会いたい。従兄弟の結婚式は行きたい。従姉妹の子供も見たい。弟はいずれ。
偏食ではなく、悪食でもなく、家族が残したメシを食う。食えるだけありがたいが、量が虐待(物心ついてからずっと)で、箸の持ち方がおかしければ注意され、一方父親も祖母も箸の持ち方がおかしく、すき焼きで最悪の音声の啜りぐいをする。テレビはつけっぱなしなんだが、ポジショニングが父の向こうにテレビがあるから見えない、なのに音声だけで己がテレビが今何を放送していてどういう経緯でこの顛末に至っているのか解説せにゃならん。鍋の肉はどしどしこちらに応募される。鍋の肉の管理は己の管轄だ。野菜を次々に投入するのはいいとして、煮えてるゾーンを寄せてから煮えてないゾーンを作らないので、肉が下に行く。たまたま掘り起こした肉をこちらによこす。無理〜〜。
寿司だったら例えば四人前のパック寿司に助六と稲荷とetc.が追加され、結果七人前になり、そのうち四人前食べないと納得されないが、彼らの好きそうな寿司を率先して食べると、「食べたかったのに」と怒られる。イカ、サーモン、鉄火巻き。見た感じ大トロや鯛、ハマチがあるのに、食べてるネタは悲しい。イカとサーモンはものすごく嫌いなんだが、食べられないわけではないので食べる。いくら軍艦も嫌いだが、これは誰かが率先して食べる。さすがっすね。助六と稲荷はもちろん食べたがる人は少ないので、結果的に残り物になろうとしているものを、「もったいないから食べりなよ」とか「若いんやから食べれるやろ」とかで、まあ食べれちゃうんだが、食べられることと食べたいかは別である。正直苦役だ。
という希死念慮から歪んだあの食卓について話したところ、お医者さんは、「呪縛やね」と言っていた。医学用語で呪縛と調べると、実際に存在した。しかしまあ、精神医学の診断はほとんど占いに近い。
そうなんすよ。よく生きてたよ��己。死にたくないよ俺は。こんだけ食わされても痩せ型というかカリカリというか、内臓の力よ。一時期の軽い肥満の原因は概ね把握した。次はどうしよう。
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2023/08/19
大謀がクビになった。
悔しい。謙さんは、分かりましたというしかない、と言っていた。これもまた人生、とも。
私は悔しい。腹が立ってすらいる。怒りを、ぶつける先も見当たらない。何に怒っているのだろう。ただ決定を下し伝えるだけの社長に?正しいが、鼻息荒く弁護士だなんだと訴える笠原さんに?誰も本当のことを言わないで、こんな時でさえ、できるだけ穏便にとでも言うように、どこか遠回しに物事を伝える会社に?そして本当の直すべき、原因をおそらくきっと未だ気づいていない謙さんに?それらを、思いのほか落ち着いて、受けれてしまっている自分に?
全部に、本当に腹がたつ。人を一人切り捨てるのに、その痛みに誰一人として、まっとうに向き合おうとしない。
全てを謙さんと会社のせいにして、ここまで騒ぎ立て、その結果を被るのは自分たちだ。変革には時間と痛みを伴う。その痛みは、大謀の不在という、想定外(想定可能だが、想定したくなかった、そして不可能だと、それありきで考えていた)の形で唐突に降ってきた。
12:17分の不在着信に折り返すと、お昼食いさいかねえ、話もあんだ。と謙さんは言った。その前、先に帰ろうとした時も、帰るのか?と聞かれたから、ご飯に誘おうとしていることは気づいていた。がっかりなニュースを伝える。誰が辞めるか当てようとし、俺俺、と親指を自分に向ける、謙さんの目が、赤いように見えた。
謙さんは直接皆んなに伝えないんですか?と私は聞いた。納得がいかない、会社の人に伝えられるのと、謙さんから直接聞くのでは。私は、できれば、前に笠原さんが言ったような、若い人たちも関われるような日門網にして、自分も関わりたかったと伝えた。海の仕事っつうのは、そう簡単に行かないというようなことを謙さんは言っていた。うん、でも、そういう姿勢であるかどうかは全然違うと思うと私は言った。それはそうだな、と謙さんは言った。
最後に、お世話になりましたと言って車を降りた。なんでもないようなイエライシェンのママのTバックの話をして、見たんですか?などといって、触ったらさ、という謙さんに呆れた顔で返して、最後にしょうもない話してしまったな、と言って、本当に最後に、「気をつけてかせがいよ」と、今日何度目かのそれを言って別れた。
会社からは、あまりにも事故が多いこと(つまり労災が多く、国交相からの忠告のようなものがある)が、大謀にふさわしくない、というようなことを言われたそうだ。
ヨシマサさんは、牛を飼う。「牛を見てるとお網のことを忘れられる。だから牛を飼っている」と、俺に何回も言ったよ。と、謙さんは言っていた。
謙さんに会う前、ひっこさんと笠原さんに会った。元気そうでよかった。笠原さんは、うなされていたそうだ。異常だよな、と言った。私は、異常な瞬間と、まるでそれがなかったかのような翌日と、が繰り返す、それが感覚をおかしくすると思う、と言った。山崎はいい辞め方をした、俺もあのときやめればよかったな。いろいろ相談してかったな、お前いないと、中間の役割できるひとがさ。俺は信じたわけよ。でも結局また繰り返した。去年もやって、今年もまた忙しくなってきたら繰り返すぞ、絶対に。12時間話したのはなんだったんだよ、裏切られたような気分だよ。
1年前、笠原さんは、変化には時間がかかり、痛みを伴うと言った。私は、きっとまた繰り返すと思った。年末、たけしさんが車輪に腕を挟んで痛がっているのを横目に仕事を続ける、その様子を大型トラックの上からみて、異常だよ、死ぬ前に私は���めるぞ、誰かが怪我するのはもう見たくない、死ぬのなんてもってのほかだ、と思った。そして辞めた。
間違っていなかった、と思う。だけど、信じた人が報われない、なんて、最高に気分が悪い。
希望がないじゃないか。笠原さんのいない日門網には希望がない、と思っていたが、謙さんがいなければもはや、日門網は存在しないも同然だ、と私は思う。
彼の存在は大きい。何よりも大きい。ボスという人のあり方を知った。なによりも愛がある。情があり、人間らしい。そう、人間らしいのだ。海一筋の漁師として育ち、航海を終え、地元のお網の船頭になった。みんながけんちゃんと呼ぶ。周りの年寄りたちが、漁協の職員が、もと同僚が、けんさんを訪ね、お網に寄っていく。浜のおじさんたちは彼の味方だろう。だってけんさんは、心が優しいのだ。
第三者に謙さんのことを話すとする。そして最後に付け加える。 ただひとつ、時々感情をコントロールできなくなること、それが時に暴力的な振る舞いを含むことを除いて。
ああ、そう聞くと、一気にそれまでの全てがかき消される。本当の謙さんが見えなくなる。というか、本当の謙さんとはなんなのだろう。それでも私は、それ以外のほとんど大半の、人間らしく、愛のある、謙さんを信じたい。というか信じている。しかしそれすら、DV夫の話を聞いているときはこんな感じなのかもしれない、という気持ちになる。あなたがどんなにいい人と言っても、それでも、別れた方がいいよ、と言うだろう。暴力とは、それほど、あってはいけないことなのだ。
数日前、謙さんのいいところと、残念なところを豪さんに話したら、「普通に失格だと思うよ」と、すぐに返ってきてすこし驚いた。そういえば大ちゃんも、船頭がそうであってはいけないんだというようなことを言っていた。私は、この船しか知らない。麻痺しているのだろうか。
謙さんのいない船を想像してみる。計画と予定調和、コミュニケーション、クリーンな労働環境、休暇… 家族も大事にできそう?魚をもっととることについては考える必要がなさそう。売り上げ一億を目指してちょっとばかり燃えることもなさそうか。代わりに、魚価向上のための処理などに注力できるのだろうか。持続可能で自然環境にやさしい定置網漁業。 悪くない。メンタルは安定するかも。クリーンであり、どこかドライだ。言うなればふつうの、いち会社っぽい。なんだろう。私にはどうしても、何かが物足りなく思えてしかなたい。しかしそれが変化というものなのだろうか。この船における人情、そして日門網がこの浜においてみんなの日門網たる色々を、謙さんがひとえに担っていた気がしている。
ほかの5人は午後に本社へ行って、今後の方針について伝えられたそうだ。白い紙を渡されて。前の月にスケジュールをたてて伝えること、とか、いろいろルールが書いてあるという。よしまささんは、こちらの言い分も取り入れてもらいながら、というようなことを伝えたそうだ。私たちは今まで、会社にいろいろな文句を言った。会社が決めてくれ、会社がちゃんと管理��ないから。昔、現場については「任せるから」と言われていたそうだ。会社にあれこれ求めるということは、ある日ただ唐突に白い紙を渡されるということである。私たちは、膝をつきあわせて腹を割って話す、ときに叫ぶ、そういうことを本当のところで避けてきた、いや、少しは試みたがそれを続けなかった、あるいは早い段階で諦めた、もしくはほとんどの人が自分ごととして真っ向から挑まなかった、その結果が今日である。
本当に心が痛んでいる顔をしたよしまささんと玄関先で話をしていたら、その白���紙を持って、謙さんが家にやってきた。それじゃあまた月曜に、とヨシマサさんに伝えて、謙さんと言葉を交わさず私は去った。窓全開のダイハツの軽トラ、目尻を垂らし、きっと結んだ口は少し上を向くガタイのいい人。
早く航空券をとろう。
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先日、日焼け対策して作業していたら今年初のプチ熱中症に🥵 「が弱いので」と愛妻と愛娘に伝えと「ん?貧弱」とありがたいお言葉😂 #熱中症注意 #暑くなってきました #日焼け対策 #豊田市 #浄化槽 #点検 #清掃 #大型トラックの車窓から (at 浄化槽管理センター株式会社) https://www.instagram.com/p/CeE_C40vVwl/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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#道 #空 #大型トラックの車窓から #信号待ちの風景 #仕事なう #road #sky #spotify #nomusicnolife #音楽好きな人と繋がりたい #kygo #carryon #nickyromeroremix 今日の暑さは夏だな😩 KygoのCarryOnのNickyRomeroRemix好きな感じだ😋 https://www.instagram.com/p/CACV4hbnNk1/?igshid=cik7sfw39h3y
#道#空#大型トラックの車窓から#信号待ちの風景#仕事なう#road#sky#spotify#nomusicnolife#音楽好きな人と繋がりたい#kygo#carryon#nickyromeroremix
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生者に穢されて(上)
今から4年前の話です。私はその時、東京の郊外にある花屋に勤めていました。 花屋といっても、皆さんが想像する様な花を売る仕事ではなく、主に、葬儀の花祭壇を担当する会社です。なので、会社の広い駐車場には、作った花祭壇を葬儀場に運ぶための大型トラックが並び、また、花祭壇や葬儀に使う大道具を回収し、廃棄するためのゴミ捨て場がその隅にあったのでした。 その日は、葬儀場から戻ってきた業務部達の廃棄作業もようやく落ち着き、しんとした社内の2階で、遅番を勤めていた時の事でした。 真夏の夜でしたので、7時頃になっても空はまだ群青色です。その為、外の景色もよく見えていました。 一方で私は、社内でのセクハラ・パワハラが原因でうつになっており、ほぼ無表情無感情のままで、作業完了の報告をPCで打っておりました。すると、虚ろになっていたその目に、窓の向こう――、遠目に見えるゴミ捨て場から、何やら見慣れぬ物が映ったのです。 「あれ、なんだろう」 無味乾燥に言った言葉に、事務室に残っていたパートさん達が、ぎょっとして私の方へ振り向きました。 「どうしたの?」 私がぼんやりと外を見ているのが気になって、パートさん達も歩み寄っては窓の向こうを覗きます。するとやはり、彼女達の目にも、腐った草花と一緒くたにされた材木の上、そこにぽつんと置かれている白い物が映ったのです。ゴミ捨て場の真ん中で映える唯一の白い物。遠くだったので何かは分かりませんでしたが、私も、そしてパートさん達も、分からないのになんだか不気味に感じたのでした。 「なんだろう」 「ちょっと、見てみない?」 「うん、確認してみようか」 と、皆がおそるおそる声を掛け合いながら、外階段を下ってゴミ捨て場に近づいていきます。私も後に続きました。やがて、5メートル位の距離まで近づいた時、一気に視界が開け、その姿と正体を知る事になりました。その瞬間、パートさんが短い悲鳴をあげました。 「な、なによ、これ」 と、その時パートさんは言いましたが、葬儀関係者として、その正体を知らぬ者はそこにはいませんでした。 その、20センチ四方の白い箱は――、紛れもなく、「骨箱」でした。 そう、火葬をしたご遺体の骨を納める骨壺を入れる箱です。本来なら、葬儀場に残されて遺族の手の中にある筈が何故、こんなゴミ捨て場に置かれているのでしょうか。 「どういう事なのよ……!」 「誰がこんな事をしたのよ!」 パートさん達は当然戸惑いましたが、そのままでは埒があきません。そこで私が前に出て、 「中身があるか確認してみる」 事にしました���驚くパートさん達を置いて、私は躊躇なく歩み寄ります。その前では、捨てられた草花やぐちゃぐちゃになったオアシス(花を挿すためのスポンジの様なもの)が積み上がって行く手を阻みますが、つま先を立てて骨箱の四隅を掴み、何とか持ちあげる事が出来ました。 その時に感じたずしりとした重さに「あ、中身があるな」と、思いました。そこからしゃがんで骨箱を太腿の上に置くと、その紐を解きます。その様子をパートさんは更に不気味に思ったらしいのですが、とにもかくにも、私はうつ病だったのです。すると、やはり、骨箱の中には真っ白な陶器の骨壺があり、そこには名前の記載もありました。 『平成二十九年七月十一日 〇崎 ◆郎 享年 八十八歳』 なるほど、それはまだ拙さの残る、私の同期の文字でした。やはりうちの会社が担当した喪家の物だった様です。 「うっわ、何それ、最近のじゃん。気持ち悪い……」 ゴミ捨て場の腐臭が生温い風で伝わります。それが余計に胸糞悪くさせるのか、パートさん達は顔を歪ませました。続いて私が、骨壺の蓋にまで手をかけようとした時、誰かが「やめて!」と、叫びましたが間に合わず、骨壺の蓋は開かれました。すると、のぞき込んだその中身は――、空でした。 「……何もなかったみたいですね」 それにパートさん達は安堵しましたが、皆怖がって近づこうとはしません。それに対して、私はあの時一体何を血迷ったか――、遠目から見ても空である事をちゃんと見せようと思ったのか――、いきなり骨壺を掲げてそれを逆さまにしたのです。「ホラ、何もなかったでしょ」と、そう言って済ませる予定でした。 そう、「空だった」と、本気で思っていたまでは。 その瞬間、「サアーーーーッ」と流れる音がしたと思いきや、真っ白い粉末が一本の線を引いて、私の太腿に零れ落ちたのです。 黒のタイトスカートが真っ白に染め上がりました。その瞬間、私は、パートさんは、それが「骨」である事に気付いたのです。暗い視界、虚ろになった目、骨壺と同じ白。私は、骨の粉末が壺の底にこびりついていた事を見抜けなかったのです。 パートさん達は、「ぎゃーっ」と悲鳴をあげながら、蜘蛛の子を散らす様に逃げていきました。私もその時ばかりはさすがに、身を強張らせ、責任者が駆けつけてくるまでその場を動く事が出来ませんでした。 どうしてゴミ捨て場に、骨の粉末が入った骨壺があったのか。実は私は、経験から既にその訳に気づいていました。動けなかったのは怖かったのではなく、その事実に「恐れて」いたからです。 そこには、おぞましい事実が待ち受けておりました。 (下に続く)
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【サンパウロ時事】ブラジル最大都市サンパウロの中心街パウリスタ通りで11日夜、新型コロナウイルス対策としてサンパウロ州政府により実施されている隔離措置に反対するデモが行われた。
参加者らは、通りを車でふさぎ、「ドリア知事は辞めろ、われわれを働かせろ」とシュプレヒコールを上げた。
参加者らは通信アプリや口コミでデモを知ったといい、主催者によると、車1000台とオートバイ2000台、トラック200台が加わった。
国旗を振って隔離措置解除を訴えた教師チコ・ペンチアドさん(53)は「このままでは経済は2、3カ月で崩壊する。効果と犠牲をはかりに掛けると、こんな措置は見合わない。隔離は高齢者だけでいい」と語った。
新型コロナの感染者2万人以上、死者が1000人を超えているブラジルではサンパウロをはじめ、ほとんどの州で商業活動などが停止。市民は外出自粛を求められている。経済への打撃は深刻化しており、国内企業の99%を占める零細・小企業の3割は1カ月で事業閉鎖に追い込まれるとの調査がある。
世論調査では8割が隔離措置を支持しているが、ボルソナロ大統領は「雇用が破壊され、人々は餓死する」などと主張し、隔離に反対する態度を変えていない。
大統領に反発する市民は毎日午後8時半になると、自宅の窓から突き出した鍋をけたたましく打ち鳴らし、抗議の意思を示している。
(「われわれは働きたい」 ブラジルで隔離反対デモ 新型コロナ(時事通信) - Yahoo!ニュースから)
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無題
とにかく雪の日は気分がいい。寒すぎて笑いがこみあげてくる顔をマフラーに埋めてどこまでも歩いていける気がする。野良猫が窓を叩いている。外套の前をとじる。手袋の中で拳を握る。足の指の感覚が消える。自動車のボンネットや空き地のむきだしの地面が白く染まりはじめても、アスファルトはどこにそんな熱を保っているのだろう、着陸した粉雪をむしろ白々しいくらい次々に溶かしていく。逆にいえば、東京の積雪はアスファルトが白くなってから始まるのだ。茶色くなったシャーベット状の雪が走り去る車にぶちまけられていくところを想像したら、スリップした大型トラックが下校中の子どもたちに突っ込む光景が浮かんで目を伏せた。雨も雪も止んでから申し訳なさそうに顔を覗かせる青空にかけてやる言葉を知ってる? 俺は知らない。路線バスのタイヤに巻き付いたチェーンの金属音はメルツバウのなんとかって曲みたい。首都東京の交通インフラは降雪に際してあまりに脆弱で、俺の手はかじかんでいる。雪の中で眠るように死ねたらいい。ブレードランナーのライアンゴズリングみたいに。とにかく雪の日は気分がいい。
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2022年12月23日
強烈クリスマス寒波 広島市中心部も積雪 混乱の1日(RCCニュース)
この冬一番の強烈な寒波が、県内を襲い、広島市など沿岸部でも雪が積もりました。23日朝から各地で取材した雪の状況です。
坂本可織 記者 「午前7時過ぎ、広島市中心部の八丁堀交差点に来ています。けさから降り続いている雪の影響で道路沿いの植え込みにはおよそ3センチほどの雪が積もっています」
朝の通勤・通学時間帯…
通勤する人 「朝起きて、窓を開けたら真っ白だったので、あわてて出ました。電車がゆっくりだと思うので、仕事に遅れたらいけないので…」
原爆ドーム
広島城
宮島(廿日市市)
広島市郊外では…。
山崎有貴 記者 「広島市中心部から車でおよそ20分のところです。とっても寒くて、一面、真っ白。雪国のようです」
通勤する人 「朝5時から歩いて、ここまで来たんですけど」
― 何キロくらい?
「10キロくらいですかね」
坂道を上がれない車も…。
山崎有貴 記者 「トラックのタイヤがスリップしてしまっています」
雪の中、チェーンを装着。そのとき…。
山崎有貴 記者 「融雪剤をタイヤのまわりにまいています。ああ、風がすごい。木から大量の雪が落ちてきました」
三次市では、住宅の軒先を雪かきする人の姿。
最北・庄原市では、「道の駅たかの」に除雪車。
8時41分ごろ 広島市南区的場町
11時38分ごろ 広島市南区的場町
大雪続く広島・北部の豪雪地帯(庄原市 高野)は 気象予報士リポート
大雪が続く広島・北部の豪雪地帯(庄原市 高野)から今(午後6時過ぎ)の様子を伝えてもらいます。
RCCウェザーセンター 乙藤亮平 気象予報士「現在も横殴りの雪が降り続いています。午後4時台に中継でお伝えしたところから移動しまして、道の駅たかの(庄原市)に来ています。1時間くらい前に到着したのですが、5分~10分おきくらいに強弱を繰り返しながら雪が降り続いています。(午後6時積雪 84センチ)どれも細かい粒の雪です。
特に午後6時を過ぎたあたりくらいから強めに雪が降っている感じです。突風のように一気に強く吹く風はないのですが、絶えず西寄りの冷たい風が吹き続けている印象です。
手元の気温計でもマイナス2~3℃くらいでして、一日、氷点下の真冬日になろうとしています。きのう22日より気温が3~4℃低くなっていますので、細かい雪、さらさらとパウダースノーのようになっている感じを受けます。時折り、強めの風が吹くだけで雪が舞い上がるような光景も見られます。
今夜、大雪のピークは過ぎつつありますが、あす24日にかけて強い冬型の気圧配置は続く見込みです。特に県北部の山沿いでは、断続的に雪が降って、一時的に強まるタイミングもありそうです。
引き続き、今夜、積雪が増えていくこともありますし、路面の凍結など交通障害にもまだまだ十分に警戒が必要となります」
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山陽新幹線の指定席予約 この年末年始は前年より増加(NHKニュース)
ことしの年末年始に広島駅などを発着する山陽新幹線の指定席の予約状況は前の年と比べて13%増えています。
ただ、新型コロナの感染拡大前と比べると、7割ほどにとどまっています。
JR西日本は、12月28日から来年1月5日までの年末年始に、広島県の三原駅から山口県の新下関駅までの「広島エリア」を発着する山陽新幹線の指定席の予約状況を取りまとめました。
それによりますと、12月15日時点で▼指定席の予約状況は前の年と比べて13%増えていて、▼座席の予約率は39%となっています。
指定席の予約状況は回復傾向にありますが、新型コロナの感染拡大前と比べると、7割ほどにとどまっています。
また、年末年始の利用のピークは▼博多方面に向かう下りが今月29日、▼新大阪方面に向かう上りが来月3日と見込まれていてJR西日本は指定席を利用する場合は早めの予約を呼びかけています。
新規感染者が急増中 年末年始 医療現場で “ひっ迫” 危機感(RCCニュース)
学校も冬休みに入り、職場の多くもまもなく年末年始の休みです。そんな中で新型コロナの感染者数は、深刻な状態です。医療の現場では、年末年始にかけて「ひっ迫」への危機感���高まっています。
広島市にあるクリニックの発熱外来です。発熱やのどの痛みなどの症状で受診を予約した患者が相次いで訪れています。
医師が抗原検査の結果を確認すると…。
「(新型コロナ陽性と)出ている」
こうした状況が連日、続いています。
大橋内科医院 大橋信之 院長(広島市医師会 常任理事)「第7波のときもそうだが、(陽性率は)多いときは8割くらい。流行が強くなっているのをひしひしと感じるような数字」
患者を受け入れる現場の医療機関は、厳しさを増しています。各地の病院で院内クラスターが相次いで発生していて、現場のクリニックにもその影響が及んでいます。
大橋信之 院長 「病院内で新型コロナ陽性者が出てしまうこと、これはスタッフでも、入院している人でもあり得ると思うが、そういう中でどうしても病室の数を制限しないといけなくなってしまう。スタッフの数も制限せざる得なくなる。だから、救急で病院に搬送されても入院できないということが実際に起こっている」
実際にかかりつけの患者の救急搬送が、困難になったケースもあったといいます。
大橋信之 院長 「家で倒れている状況で、意識はあるが、おそらく脳血管障害だと思われるので、早急に救急搬送が必要な状態だが、それをお願いしたところ、そういう病院の今の受け入れ状況で、どうしても難しいということ」
さらに心配しているのは、この冬一番の寒波の到来で急激に冷え込みが厳しくなっていることです。
大橋信之 院長 「特にことしは急に寒くなって来ているので、いわゆる感染症でかぜをひく。コロナになる。それから発展して肺炎になる人も増える懸念があるし」
「脳の血管とか、心臓の血管の病気とか、どうしても増える時期なので、それが今の寒さですごく危惧される」
感染拡大が続くコロナの第8波。広島県は、このペースが続けば、年末には第7波のピークを超え、年明けにはコロナ病床が満床になるおそれがあるとしています。
では、コロナの入院患者を受け入れている病院の現状は―。
舟入市民病院 北原良洋 内科主任部長 「このパーティションの向こう側がコロナ病棟になる」
高熱などの軽症患者や肺炎などの中等症患者を受け入れている舟入市民病院。現時点でコロナ病床が20床ありますが、すでに8割から9割が埋まっている状態だといいます。
北原良洋 内科主任部長 「以前(第7波まで)は若い人が多かったので、ある程度、治療すれば、残りの期間は自宅に退院して療養することができたが、現在は80~90歳の高齢の人が多いので、なかなか退院できないのが現状」
病床のひっ迫が懸念される中、気になっているのが、インフルエンザの流行状況です。
北原良洋 内科主任部長 「インフルエンザの患者も少しずつだが、いるので、これが年末年始にかけて増えてくると、インフルエンザの患者もコロナの患者も同じように診療しないといけないから、今以上に病床がひっ迫してくる可能性はあると思う」
さらに年末年始にかけ、懸念しているのが、救急医療への影響です。
舟入市民病院 北原良洋 内科主任部長 「現状では発熱があると、救急要請しても受け入れ先がなかなか見つからないということが多い。現に当院にも15件以上、断られて、『何とか受けてほしい』という要請があったことがある。今後も発熱患者の『救急搬送困難例』が増えてくることが非常に懸念される」
医療ひっ迫という事態が、目の前まで近づいています。
― 広島県は、年末年始を中心にした発熱患者などの診療・検査体制を21日に公表しました。それが、こちらの表で、発熱などの患者が診療や検査を受けられる医療機関をご覧の数ほど確保したとしています。
具体的な医療機関のリストは、県のホームページに26日から掲載されます。県では、受診前に必ず事前の電話予約をするよう呼びかけています。
【本日(12/23)の広島県内の感染状況】(広島県)
新型コロナ 県内で5114人感染確認9人死亡 23日発表(NHKニュース)
広島県では23日、新たに5114人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され9人が亡くなったと発表されました。
感染が確認されたのは、▼広島市で2087人、▼福山市で1105人、▼呉市で343人、▼東広島市で326人、▼尾道市で281人、▼廿日市市で187人、▼三原市で131人、▼府中町で79人、▼府中市で71人、▼三次市で69人、▼庄原市で60人、▼海田町で51人、▼大竹市で44人、▼安芸高田市で42人、▼熊野町で38人、▼江田島市で36人、▼竹原市で35人、▼世羅町で34人、▼坂町と北広島町でそれぞれ27人、▼神石高原町で23人、▼安芸太田町で10人、▼大崎上島町で8人のあわせて5114人です。
感染確認は、1週間前の金曜日より802人多くなっていて、1日の発表が5000人を超えるのは4日連続です。
一方、福山市は今月20日に発表した1人について取り下げました。これで県内での感染確認は、のべ62万人8020人となりました。
また、県内で患者9人が亡くなったと発表されました。県内で新型コロナウイルスに感染し、その後死亡した人は983人となりました。
新型コロナ医療体制 病床使用率は61.2% 22日時点(NHKニュース)
22日の時点で病床の使用率は61.2%です。(確保病床数806床、入院患者493人)
このうち重症患者用の病床使用率は16.0%です。(確保重症病床50床、重症の入院患者8人)
軽症の人や症状がない人が入る宿泊療養施設は1228室を確保し、350人が過ごしています。(利用率28.5%)
直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は1154.96人です。
現在、広島県の感染レベルは、1から4の4段階のうち発熱外来を受診する患者が増えるなど、保健医療の体制への負荷が高まり始めていることを示す「レベル2」です。
【新型コロナ 厚労省まとめ】315人死亡 17万3336人感染 (23日)(NHKニュース)
厚生労働省によりますと、23日に発表した国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め17万3336人となっています。また国内で亡くなった人は315人で、累計5万4680人となっています。
東京都 新型コロナ 22人死亡 1万7332人感染 18日連続前週比増(NHKニュース)
大阪府 新型コロナ 19人死亡 1万537人感染確認(NHKニュース)大阪府内の感染者の累計は246万5352人となりました。府内で感染して亡くなった人は合わせて6995人となっています。
コロナ死者、最多371人 感染者は17万4079人(共同通信)
国内で23日、新たに371人の新型コロナウイルス感染症の死者が報告され、1日当たりで過去最多となった。流行「第8波」で感染者数が膨らむのに伴い、死者数も増えている。これまでは第7波だった9月2日の347人が最多だった。一方、今年の累計死者数は3万6600人余りとなり、平均で1日100人以上が亡くなったことになる。
23日の感染者は17万4079人が確認された。前週の同じ曜日より約2万人多い。
都道府県別の死者は神奈川28人、北海道25人、東京24人など。福井と鹿児島を除く全ての都道府県で報告があった。
インフルエンザ 6都県で「流行期入り」 コロナ感染拡大以降初(NHKニュース)
新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されているインフルエンザについて、全国の医療機関から今月18日までに1週間に報告された患者の数は全国で2592人でした。
全国では流行期入りの水準を下回っていますが、この冬は岩手県や東京都など6の都県で新型コロナの感染拡大が始まって以降、初めてその水準を上回っていて、専門家は注意を呼びかけています。
厚生労働省によりますと、今月18日までの1週間に全国およそ5000か所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より1354人多い2592人でした。
インフルエンザは、1医療機関当たりの1週間の患者数が全国で1人を超えると「全国的な流行期」入りとされていますが、現時点では0.53人と下回っています。
患者は45の都道府県で報告され、1医療機関当たりの患者数は▽岩手県が2.84人▽富山県が1.33人▽青森県が1.25人▽熊本県が1.14人▽東京都が1.12人▽神奈川県が1.05人とこの冬は、新型コロナの感染拡大がおととしに始まって以降、初めて「1」を超えていて、それぞれの都県は「流行期に入った」と発表しています。
感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は「来週以降『流行期入り』となる地域がさらに増えるとみられ、全国的な流行につながるリスクが高まり、懸念されていたコロナとの同時流行も現実的になってきている」と話しています。
新型コロナ 新規感染者数の1週間平均 増加傾向もペース下がる(NHKニュース)
新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では1.12倍と増加傾向が続いていますが、感染者数が増えたすべての地域で増加のペースは前の週よりも下がっています。
NHKは、厚生労働省が発表した感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。
全国 全国では▽先月24日までの1週間では前の週に比べて1.08倍▽今月1日は1.27倍と7週連続で増加が続いたあと▽今月8日は1.00倍とほぼ横ばいとなりました。
その後 ▽今月15日は1.26倍と再び増加に転じ▽22日まででは1.12倍となっています。
一日当たりの全国の平均の新規感染者数は、先週よりおよそ1万7000人多い15万6000人余りで、37の都府県で前の週より多くなりましたが、増加のペースは感染者数が増えたすべての地域で下がっています。
感染が遅れて��大した九州などでは増加の幅が比較的大きく、鹿児島県で1.52倍、福岡県で1.36倍、熊本県で1.35倍などとなっています。
また、鳥取県と島根県、岩手県では、一日当たりの平均の新規感染者数が過去最多となっています。
佐賀県 人口当たりの感染者数が最も多いのは佐賀県で▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍▽今月15日は1.66倍▽22日まででは1.22倍と8週連続で増加しています。
一日当たりの新規感染者数はおよそ1610人で、人口10万当たりの感染者数は1389.26人となっています。
1都3県
【東京都】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.01倍▽今月15日は1.22倍▽22日まででは1.11倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ1万6487人となっています。
【神奈川県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.02倍▽今月15日は1.23倍▽22日まででは1.10倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ9862人となっています。
【埼玉県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.07倍▽今月15日は1.22倍▽22日まででは1.09倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ8512人となっています。
【千葉県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.02倍▽今月15日は1.29倍▽22日まででは1.10倍で一日当たりの新規感染者数は7255人となっています。
関西
【大阪府】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.08倍▽今月15日は1.36倍▽22日まででは1.18倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ9247人となっています。
【京都府】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍▽今月15日は1.34倍▽22日まででは1.10倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ2642人となっています。
【兵庫県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.17倍▽今月15日は1.40倍▽22日まででは1.19倍で一日当たりの新規感染者数は5950人となっています。
東海
【愛知県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の0.94倍▽今月15日は1.24倍▽22日まででは1.15倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ9866人となっています。
【岐阜県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の0.97倍▽今月15日は1.26倍▽22日まででは1.12倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ3135人となっています。
【三重県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.09倍▽今月15日は1.33倍▽22日まででは1.27倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ2580人となっています。
その他の地域
【北海道】 ▽今月8日までの1週間は前の週の0.79倍▽今月15日は0.89倍▽22日までは0.89倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ5046人となっています。
【宮城県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の0.93倍▽今月15日は1.10倍▽22日まででは0.92倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ3345人となっています。
【広島県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.08倍▽今月15日は1.30倍▽22日まででは1.15倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ4543人となっています。
【福岡県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.16倍▽今月15日は1.62倍▽22日まででは1.36倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ7858人となっています。
【沖縄県】 ▽今月8日までの1週間は前の週の1.15倍▽今月15日は1.15倍▽22日まででは1.08倍で一日当たりの新規感染者数はおよそ724人となっています。
東邦大 舘田教授「年末年始 さらに医療体制が厳しくなる」
新型コロナウイルス対策に当たる政府の分科会メンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、現在の感染状況について「感染者の増加ペースはやや緩やかになっているが、中国・四国や九州などでは増加が大きくなっている。行動制限がないなかで年末年始の時期を迎え、クリスマス、忘年会、帰省、新年会と接触機会が増えることなどで、感染が急増に転じないか注意が必要だ」と指摘しました。
また、亡くなる人の数の報告が全国で一日に300人を超えていることについて「まだ第8波の入り口の段階で、ことし夏の第7波のピークに近づきつつあり、これから感染が拡大し亡くなる人がさらに増える事態を懸念している。年末年始は、ただでさえ通常の疾患の患者が増え、医療体制が弱くなる時期で、事故によるけがや、心疾患などの病気の人に対応できなくなる事態もありうる。さらに3年ぶりに季節性インフルエンザの『流行期入り』となる地域が増えてきており、今後も広がっていくことが見込まれる。インフルエンザとコロナの同時流行が起これば、さらに医療体制が厳しくなる」と述べ、懸念を示しました。
そのうえで、舘田教授は「感染状況は日に日に厳しくなり、医療ひっ迫が近づく今の状況について、もう一度考えてもらう必要がある。忘年会や新年会はあまり大人数にならず、換気ができるところで短時間で楽しむことや、帰省する際はなるべくワクチンを打ち、自分の体調を事前にしっかりチェックするなど基本的な対策を一人一人に続けてもらうことが重要だ」と述べました。
岐阜県 感染拡大続き 全国初 対策レベル3に引き上げ
岐阜県は、新型コロナの感染拡大が続き、医療体制がひっ迫しているとして23日に政府の新たな方針に基づく対策のレベルを、4段階のうち2から3に引き上げました。
県によりますと「第8波」に備えた新たな対応方針に基づき、レベルを3に引き上げたのは全国で初めてだということです。
岐阜県は23日、新型コロナの対策本部会議を開き県の担当者が、病床使用率が50%前後で推移し、一般病棟や救急医療を制限している医療機関が19あるほか、救急搬送の困難事案も今月だけで60件に上り、受け入れまでに1時間以上かかるケースも出るなど、医療体制がひっ迫していると説明しました。
そして、助かる命が助からない状況になりかねないとして、政府の新たな方針に基づく対策のレベルを、4段階のうち、2に当たる「感染拡大期」から、3の「医療負荷増大期」に引き上げるとともに、22日から来月22日までの1か月間、「岐阜県医療ひっ迫防止対策強化宣言」を発出することを決めました。
県によりますと「第8波」に備えた新たな対応方針に基づいてレベルを3に引き上げ、対策強化宣言を発出するのは全国で初めてだということです。
岐阜県は人の移動が増える年末年始を中心に対策を強化することにしていて、初詣などで混雑した場所への外出を控えるとともに、新年会などでの長時間の飲食を避け、大人数の会食や大規模なイベントへの参加は見合わせることも含めて、慎重に検討するよう要請するということです。
岐阜県の古田知事は、対策本部会議のあとの記者会見で「他県と比較して岐阜県の感染状況が突出しているから真っ先に手をあげたのではない。レベル3の水準に照らして宣言が必要ではないかと考え、実態とやるべき対策とをわれわれのルールに照らして判断した」と述べました。
そのうえで「残念ながら感染の勢いが止まらず、むしろ人流が盛んになる年末年始に向けてさらに拡大している。本来なら受けられるべき救急搬送が滞ってしまい、身近な医療にも問題が生じている。それぞれの立場で全力で警戒し、徹底した感染防止対策をお願いしたい」と呼びかけました。
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映画『草原の実験』
というわけで(どういうわけだ? ←お約束)Amazon Primeで『草原の実験』を見ました。
全く予備知識なしに見たのですが、2015年制作のロシア映画のようです。
どうしてこの映画を見る気になったんだろう……思い起こせば随分前、どこかのサイトで「どんでん返のある映画」として紹介されていたのを見たからだと思います。
でも、この映画の場合、「どんでん返し」と言っていいのかな。うーん、どう言えばいいんだろう……不思議系映画としか言いようがありません。
なにしろ一切セリフがないんですから。
はい、この映画にはセリフというものがありません。あるのはただ映像だけ。
見渡す限り何もないどこかの平原に中年の男とその娘(なのだろうと思います)が住んでいます。男はモンゴル系なのかな、小型の朝青龍のようで、娘は歳の頃なら16、7、信じられないくらい美人です。
父親は毎朝、娘と一緒にトラックで出かけますが、三叉路というかY字路というか、とにかく道が分かれているところで娘を下ろします。
するとどこからともなく馬に乗った青年が現れ、娘を家まで送ってくれます。
ある日、自動車に乗った男たちが娘の家の近くにやってきます。どうやらエンストで水を探している様子。
娘の家には井戸があるのですが、井戸には鍵がかかっています。この地では水は貴重なんでしょうね。娘は車に乗っていた金髪の青年に水を与えます。
金髪の青年は娘の美しさに魅入られたのでしょう、帰り際に娘の写真を何枚もとります。
数日後の夜、娘が寝ていると窓を叩く者がいます。金髪の青年です。彼は娘を写した写真をスライドにして家の壁に映して見せ、スライドを娘にプレゼントします。
また別の夜、娘が物音に気づいて起きると、黒いレインコートを着た男たちがいて、父親が裸に剥かれています。レインコートの男たちはガイガーカウンターのようなもので父親のトラックの荷台や父親の体を調べています。
翌日、父親は体調を崩し寝込んでしまいます。軍人と軍医のような二人組が現れ、父親を連れて行きます。
父親の留守中、馬に乗っていた男と金髪の男が娘の家にやって来ます。二人は恋敵ということなのでしょう、取っ組み合いの喧嘩を始めます。娘は二人に頭から水を浴びせ、喧嘩をやめさせます。
数日後、父親が家に戻ってきます。彼は沐浴をしてスーツを着てネクタイをしめ、家の外のベンチに座って上る朝日を眺めます。
娘がベンチのところへ行くと、父親は死んでいます。娘は家のそばに穴を掘り、父親を埋葬します。
娘は家を出ていくことにしたのでしょう、荷物をまとめてトラックに乗って行きます。しかし、三叉路のところでガソリンがなくなってしまいます。
娘はトラックを捨てて歩き始めます。しかし、あるところまで来ると見渡す限り鉄条網が続いていて、それ以上先には行けません。
仕方なく家に戻ると、家には老人たちが大勢います。どうやら彼らは馬に乗った青年の親族で、二人を結婚させるために来ているようです。
娘は部屋に入り髪を梳り、短く切ります。金髪の青年がやって来ます。どうやら娘は金髪の青年と一緒になることを選んだようです。
そこから先は書かずにおきましょう。とんでもないことが結末でおきますが、「まあ、そうなるよなあ」、「そうなるしかないよなあ」という結末です。
私は顔を識別する能力が低いだけでなく、画像を識別する能力も低く、画像だけで物語を組み立てるタイプの映画がどうも苦手です。もう一度同じようなタイプの映画を見たいかと言われるとすぐに「はい」とは言えませんし、是非ご覧くださいとも言えません。
でも他に類を見ない映画であることは確かです。
「なるほどなあ」というのが私の偽らざる感想です。
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Packed Schedule
Wednesday 6 June 2012
7時40分にマキマキ宅を出てバスに乗る。バスの中は、超満員!僕の様に機材が持ち運ぶ人間にはバスは、向かない。いつもの高速バスは、違うよ、トランクがあるからね。
三鷹駅から学校の市ヶ谷駅までは総武線で1本だから楽だったが座れなかった。
今日の授業は、東京都国立近代美術館に行った。小雨の中歩いてクラスで出掛ける。休んだのは1人だけ。集積率がいいと嬉しい。
午後は、2部の生徒の作品を批評するはずだっがら先方の都合でキャンセル。
昨日からジャッキーとメールでやり取りしていた。今日の合流は難なく出来そうになって来た。
2時半、渋谷ハチ公でジャッキーと久しぶりに再開。
彼女元気だった。30分遅れてCLAUDIAも合流。そして瀬戸口君も。
いつもはいかないTSUTAYAのあるビルのスターバックスでお茶を4人でした。
香織ちゃんからもらったスタバのカードで4人分の支払いが出来た。香織ちゃんに感謝。
一度お店を出たけれど話足りなかったのでまたバスケ通りのバーガーキングでお茶をした。
6時過ぎにお店を出てCLAUDIAと渋谷で別れ残りの3人で電車に乗る。僕と瀬戸口君は、ギャラリーのオフィスへ。(もうこれからはオフィスと書くことにする)男衆が沢山いて賑やかだった。緒方さんがいてCanonの5Dマーク3を始めて触ってみた。緒方さんの言う様にシャッター音が微妙で軽く感じた。ピントの精度とISO感度は大幅に進化していた。
上野さん、瀬戸口君、そして僕の2人でいつもの中華料理店に行き夕食を食べた。ここもよく賑わっていた。ウェイトレスの女の子と時々おしゃべりするのも楽しみの一つ。テレビでは、AKB48の総選挙をやっていたが僕には関係なかった。どうでもよいこと。帰り際、ウェイトレスの女の子と店先でおしゃべり。一緒に写真を撮った。インターネットには載せてくれるなというので顔を切って今回は載せることにする。その後、いつもの様にベローチェに行ってお茶をした。ここもよく賑わっていた。
10時半、最終バスに乗ることが出来た。
途中のバス停近くで大型トラックが仮眠のためか違法駐車していてバスが通れないので運転手がバスを降りてそのトラックの運転手を起こそうと窓を叩いたりしたのだが一向に動く気配がない。反応もしない。この件で少しバスの到着時間が遅れた。キャイ〜ンだったが大した時間ではなかった。
2日間の過密スケジュールが終わった。
疲れているが充実した時間。
"勲章"も貰えた。
ホントは、「MIND THE GAP」のTシャツを着て撮るはずだったが朝から雨が降っていて肌寒かったのでヒートテックを着ていた。今日は、ジャッキーが撮ってくれた。セルフで撮る時は、中々笑顔を作れないがジャッキーカメラマンは、僕のいい表情を押さえた。首から下げるシージュエリーは、ジャッキーから買った。白の短パンは、"白の時代"(2007〜2009)に購入。皮のトランクケースは、青葉台写真事務所時代の拾い物。これは、20年近く使っている。こういった重いものを持っての移動の時は、足首を痛めない様にハイカットのスニーカーを履く様にしている。
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#道 #空 #大型トラックの車窓から #信号待ちの風景 #仕事なう #road #sky #spotify #nomusicnolife #音楽好きな人と繋がりたい #alone #marshmello 久々の大型運転だー 今日はFortniteでSteveAokiとDeadmau5のイベントやってたなぁー 仕事でちょっとしか見れなかった😩 またMarshmelloのイベントやってくれないなぁー https://www.instagram.com/p/B_9WqZ5H7wf/?igshid=1u9dpxuqakfzm
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和歌山県から来た男性運転手は、宅配便の荷物をぎっしり積んだ10トン車の運転席からこう訴えた。 「夜走るので、到着して荷物を降ろすまでの待ち時間に仮眠しないと死んでしまう。これだけの車を止められる場所は(川崎では)路駐しかないんや」 「トラックの駐車場を整備している県もあるわけ。よそから仕事で来るいうことは、その地に税金が落ちるいうことや。そういうことに向き合うんじゃなしに、ただ単に邪魔者扱いされ、行くところがない」 “路駐スポット”の道路周辺には、大きな工場や倉庫が並ぶ。「トラックステーションや道の駅のようなものを、川崎にももっと造ってほしい。物流が止まると、普通の人間が困るわけですよ。ここらへんは物流や、工場で持っているような街やから」 トラック運転手は荷主の要求に従い、路上駐車せざるを得ない弱い立場にいる構図が分かってきた。 富山からトラックで鋼材を運んでいるという40代男性運転手にも、荷主の敷地内に止められないのか尋ねたが、「無理や。『出て行け』言われる。ここに止めるしかない」と疲れ切った表情で答えが返ってきた。 取り締まるも「いたちごっこ」 投稿者の男性は、警察の取り締まりが効果的でないと指摘していた。その点はどうなっているのか。川崎臨港署に取材を申し込んで趣旨を伝えると、署員があらためて駐車中の運転手計7人に事情をヒアリングしてくれた。 その結果は「近くの工場から出てきて、別の場所に行く前の休憩や時間調整」「大型車両を止める場所がない」などの意見が多かった。午前10時半ごろにトラックを駐車していた男性は「朝早く山形県を出発し、午後1時ごろに川崎に荷物を降ろす予定で、時間待ち」と説明したという。 署によると、この場所で過去3年事故などの発生はないが、「駐車トラックを何とかできないか」との苦情が寄せられたこともあり、署員が路駐を見つけた際は窓ガラスをたたいて「移動してください」と呼び掛け、車を動かすようにしているという。 ただ、警察が去れば、大型車はすぐに戻ってくる。署の担当者は「運転手は荷主に対しても弱い立場なので、こうなってしまう。車を止めにくくすることも解決にはならない。『いたちごっこ』になる」と悩ましい状況を打ち明けた。 では、どうすればいいのか。担当者は「敷地面積が広い事業所では専用駐車場を設けてもらえるかもしれない」と可能性を指摘しつつ、「市も巻き込んで対策を考えようとはしている。できることがないか今後、検討していく」とトラック業界だけでなく、自治体などと一緒に解決方法を模索したい意向を示した。(井口 孝夫)
トラックに優しくない?川崎臨海部(上)路駐の列、どうして 追う!マイ・カナガワ | カナロコ by 神奈川新聞
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