#右近の下駄
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汚辱の日々 さぶ
1.無残
日夕点呼を告げるラッパが、夜のしじまを破って営庭に鳴り響いた。
「点呼! 点呼! 点呼!」
週番下士官の張りのある声が静まりかえった廊下に流れると、各内務班から次々に点呼番号を称える力に満ちた男達の声が騒然と漠き起こった。
「敬礼ッ」
私の内務班にも週番士官が週番下士官を従えて廻って来て、いつもの点呼が型通りに無事に終った。辻村班長は、これも毎夜の通り
「点呼終り。古兵以上解散。初年兵はそのまま、班付上等兵の教育をうけよ。」
きまりきった台詞を、そそくさと言い棄てて、さっさと出ていってしまった。
班付上等兵の教育とは、言い換えれば「初年兵のビンタ教育」その日の初年兵の立居振舞いのすべてが先輩達によって棚卸しされ、採点・評価されて、その総決算がまとめて行われるのである。私的制裁をやると暴行罪が成立し、禁止はされていたものの、それはあくまで表面上でのこと、古兵達は全員残って、これから始まる凄惨で、滑稽で、見るも無残なショーの開幕を、今や遅しと待ち構えているのであった。
初年兵にとつては、一日のうちで最も嫌な時間がこれから始まる。昼間の訓練・演習の方が、まだしもつかの間の息抜きが出来た。
戦闘教練で散開し、隣の戦友ともかなりの距離をへだてて、叢に身を伏せた時、その草いきれは、かつて、学び舎の裏の林で、青春を謳歌して共に逍遙歌を歌い、或る時は「愛」について、或る時は「人生」について、共に語り共に論じあったあの友、この友の面影を一瞬想い出させたし、また、土の温もりは、これで母なる大地、戎衣を通じて肌身にほのぼのと人間的な情感をしみ渡らせるのであった。
だが、夜の初年兵教育の場合は、寸刻の息を抜く間も���されなかった。皓々(こうこう)とした電灯の下、前後左右、何かに飢えた野獣の狂気を想わせる古兵達の鋭い視線が十重二十重にはりめぐらされている。それだけでも、恐怖と緊張感に身も心も硬直し、小刻みにぶるぶる震えがくるのだったが、やがて、裂帛(れっぱく)の気合
怒声、罵声がいり乱れるうちに、初年兵達は立ち竦み、動転し、真ッ赤に逆上し、正常な神経が次第々に侵され擦り切れていった。
その過程を眺めている古兵達は誰しも、婆婆のどの映画館でも劇場でも観ることの出来ない、スリルとサスペンスに満ち溢れ、怪しい雰囲気につつまれた素晴しい幻想的なドラマでも見ているような錯覚に陥るのであった。幻想ではない。ここでは現実なのだ。現実に男達の熱気が火花となって飛び交い炸裂したのである。
なんともやりきれなかった。でも耐え難い恥辱と死につながるかもしれない肉体的苦痛を覚悟しない限り抜け出せないのである。ここを、この軍隊と云う名の檻を。それがあの頃の心身共に育った若者達に課せられた共通の宿命であった。
この日は軍人勅諭の奉唱から始まった。
「我ガ国ノ軍隊ハ代々天皇ノ統率シ賜ウトコロニゾアル……」
私は勅諭の奉唱を仏教の読経、丁度そんなものだと思っていた。精神が忘れ去られ、形骸だけが空しく機械的に称えられている。又虐げられた人々の怨念がこもった暗く重く澱んだ呻き、それが地鳴りのように聞こえてくるそんな風にも感じていた。
勅諭の奉唱が一区切りついたところで、一人の古兵が教育係の上等兵に何か耳うちした。頷いた上等兵は、
「岩崎、班長殿がお呼びだ。すぐ行けッ」
全員の目が私に集中している。少くとも私は痛い程そう感じた。身上調査のあったあの日以来、私は度々辻村机長から呼び出しをうけた。あいつ、どうなってんだろ。あいつ班長殿にうまく、ゴマすってるんじゃないか。あいつ、俺達のことを、あることないこと、班長殿の気に入るように密告してるんじゃないか。同年兵も古兵達も、皆がそんな風に思っているに違いない。私は頑なにそう思い込んでいた。
つらかった。肩身が狭かった。
もともと私は、同年兵達とも古兵達とも、うまくいっていなかった。自分では余り意識しないのだが、私はいつも育ちや学歴を鼻にかけているように周囲から見られていたようである。運動神経が鈍く、腕力や持久力がからっきし駄目、することなすことがヘマばかり、ドジの連続の弱兵のくせに、その態度がデカく気障(きざ)っぽく嫌味で鼻持ちがならない。そう思われているようだった。
夏目漱石の「坊ちゃん」は親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしていたと云うが、私は生まれつき人みしりのする損なたちだった。何かの拍子にいったん好きになると、その人が善人であれ悪人であれ、とことん惚れ込んでしまうのに、イケ好かない奴と思うともう鼻も引つかけない。気軽に他人に話しかけることが出来ないし、話しかけられても、つい木で鼻をくくったような返事しかしない。こんなことではいけないと、いつも自分で自分を戒めているのだが、こうなってしまうのが常である。こんなことでは、同年兵にも古兵にも、白い眼で見られるのは至極当然内務班でも孤独の影がいつも私について廻っていた。
あいつ、これから始まる雨霰(あめあられ)のビンタを、うまく免れよって――同年兵達は羨望のまなざしを、あいつ、班長室から戻って来たら、ただではおかないぞ、あの高慢ちきで可愛いげのないツラが変形するまで、徹底的にぶちのめしてやるから――古兵達は憎々しげなまなざしを、私の背に向って浴せかけているような気がして、私は逃げるようにその場を去り辻村班長の個室に急いだ。
2.玩弄
部屋の前で私は軽くノックした。普通なら「岩崎二等兵、入りますッ」と怒鳴らねばならないところだが、この前、呼び出しをうけた時に、特にノックでいいと辻村班長から申し渡されていたのである。
「おう、入れ」
低いドスのきいた返事があった。
扉を閉めると私はいったん直立不動の姿勢をとり、脊筋をぴんとのばしたまま、上体を前に傾け、しゃちこばった敬礼をした。
辻村班長は寝台の上に、右手で頭を支えて寝そべりながら、じっと私を、上から下まで射すくめるように見据えていたが、立ち上がって、毛布の上に、どっかとあぐらをかき襦袢を脱ぎすてると、
「肩がこる、肩を揉め」
傲然と私に命じた。
私も寝台に上がり、班長の後に廻って慣れぬ手つきで揉み始めた。
程よく日焼けして艶やかで力が漲っている肩や腕の筋肉、それに黒々とした腋の下の毛のあたりから、男の匂いがむっと噴き出てくるようだ。同じ男でありながら、私の身体では、これ程官能的で強烈な匂いは生まれてこないだろう。私のは、まだまだ乳臭く、淡く、弱く、男の匂いと云うには程遠いものであろう。肩や腕を、ぎこちない手つきで揉みながら、私はふっと鼻を彼の短い頭髪やうなじや腋に近づけ、深々とこの男の乾いた体臭を吸い込むのだった。
「おい、もう大分、慣れて来たか、軍隊に」
「……」
「つらいか?」
「いエ……はァ」
「どっちだ、言ってみろ」
「……」
「つらいと言え、つらいと。はっきり、男らしく。」
「……」
「貴様みたいな、娑婆で、ぬくぬくと育った女のくさったようなやつ、俺は徹底的に鍛えてやるからな……何だ、その手つき……もっと、力を入れて……マジメにやれ、マジメに……」
辻村班長は、岩崎家のぼんぼんであり、最高学府を出た青白きインテリである私に、マッサージをやらせながら、ありったけの悪態雑言を浴びせることを心から楽しんでいる様子であった。
ごろりと横になり、私に軍袴を脱がさせ、今度は毛深い足や太股を揉みほぐし、足の裏を指圧するように命じた。
乱れた越中褌のはしから、密生した剛毛と徐々に充血し始めた雄々しい男の肉茎が覗き生臭い股間の匂いが、一段と激しく私の性感をゆさぶり高ぶらせるのであった。
コツコツ、扉を叩く音がした。
「おお、入れ」
私の時と同じように辻村班長は横柄に応えた。今時分、誰が。私は思わず揉む手を止めて、その方に目を向けた。
入って来たのは――上等兵に姿かたちは変ってはいるが――あっ、辰ちゃんではないか。まぎれもなく、それは一丁目の自転車屋の辰ちゃんなのだ。
私の家は榎町二丁目の豪邸。二丁目の南、一丁目の小さな水落自転車店、そこの息子の辰三は、私が小学校の頃、同じ学年、同じクラスだった。一丁目と二丁目の境、その四つ角に「つじむら」と云ううどん・そば・丼ぶり物の店があり、そこの息子が今の辻村班長なのである。
私は大学に進学した関係で、徴兵検査は卒業まで猶予されたのであるが、彼―― 水落辰三は法律通り満二十才で徴兵検査をうけ、その年か翌年に入隊したのだろう。既に襟章の星の数は私より多く、軍隊の垢も、すっかり身についてしまっている様子である。
辰ちゃんは幼い時から、私に言わせれば、のっぺりした顔だちで、私の好みではなかったが、人によっては或いは好男子と言う者もあるかもしれない。どちらかと言えば小柄で小太り、小学校の頃から既にませていて小賢しく、「小利口」と云う言葉が、そのままぴったりの感じであった。当時のガキ大将・辻村に巧みにとり入って、そのお気に入りとして幅をきかしていた。私が中学に入って、漢文で「巧言令色スクナシ仁」と云う言葉を教わった時に「最っ先に頭に想い浮かべたのはこの辰ちゃんのことだった。ずる賢い奴と云う辰ちゃんに対する最初の��象で、私は殆んどこの辰ちゃんと遊んだ記憶も、口をきいた記憶もなかったが、顔だけは、まだ頭��一隅に鮮明に残っていた。
辻村班長は私の方に向って、顎をしゃくり上げ、辰ちゃん、いや、水落上等兵に、「誰か分かるか。」
意味あり気に、にやっと笑いながら尋ねた
「うん」
水落上等兵は卑しい笑みを歪めた口もとに浮かべて頷いた。
「岩崎、裸になれ。裸になって、貴様のチンポ、水落に見てもらえ。」
頭に血が昇った。顔の赤らむのが自分でも分った。でも抵抗してみたところで、それが何になろう。それに恥ずかしさに対して私は入隊以来もうかなり不感症になっていた。部屋の片隅で、私は手早く身につけていた一切合切の衣類を脱いで、生まれたままの姿にかえった。
他人の眼の前に裸身を晒す、そう思うだけで、私の意志に反して、私の陰茎はもう「休メ」の姿勢から「気ヲ付ケ」の姿勢に変り始めていた。
今日は辻村班長の他に、もう一人水落上等兵が居る。最初から突っ張ったものを披露するのは、やはり如何にもきまりが悪かった。しかも水落上等兵は、私が小学校で級長をしていた時の同級生なのである。
私の心の中の切なる願いも空しく、私のその部分は既に独白の行動を開始していた。私はどうしても私の言うことを聞かないヤンチャ坊主にほとほと手を焼いた。
堅い木製の長椅子に、辻村班長は越中褌だけの姿で、水落上等兵は襦袢・軍袴の姿で、並んで腰をおろし、旨そうに煙草をくゆらしていた。班長の手招きで二人の前に行くまでは、私は両手で股間の突起を隠していたが、二人の真正面に立った時は、早速、隠し続ける訳にもいかず、両手を足の両側につけ、各個教練で教わった通りの直立不動の姿勢をとった。
「股を開け。両手を上げろ」
命ぜられるままに、無様な格好にならざるを得なかった。二人の視線を避けて、私は天井の一角を空ろに眺めていたが、私の胸の中はすっかり上気して、不安と、それとは全く正反対の甘い期待とで渦巻いていた。
二人は代る代る私の陰茎を手にとって、きつく握りしめたり、感じ易い部分を、ざらざらした掌で撫で廻したりしはじめた。
「痛ッ」
思わず腰を後にひくと、
「動くな、じっとしとれ」
低い威圧的な声が飛ぶ。私はその部分を前につき出し気味にして、二人の玩弄に任せると同時に、高まる快感に次第に酔いしれていった。
「廻れ右して、四つん這いになれ。ケツを高くするんだ。」
私の双丘は水落上等兵の手で押し拡げられた。二人のぎらぎらした眼が、あの谷間に注がれていることだろう。板張りの床についた私の両手両足は、時々けいれんをおこしたように、ぴくッぴくッと引き吊った。
「顔に似���わず、案外、毛深いなアこいつ」
水落上等兵の声だった。突然、睾丸と肛門の間や、肛門の周囲に鈍い熱気を感じた。と同時に、じりッじりッと毛が焼けて縮れるかすかな音が。そして毛の焦げる匂いが。二人は煙草の火で、私の菊花を覆っている黒い茂みを焼き払い出したに違いないのである。
「熱ッ!」
「動くな、動くとやけどするぞ」
辻村班長の威嚇するような声であった。ああ、目に見えないあのところ、今、どうなってるんだろう。どうなってしまうのだろう。冷汗が、脂汗が、いっぱいだらだら――私の神経はくたくたになってしまった。
3.烈情
「おい岩崎、今日はな、貴様にほんとの男ってものを見せてやっからな。よーく見とれ」
四つん這いから起きあがった私に、辻村班長は、ぶっきらぼうにそう言った。辻村班長が水落上等兵に目くばせすると、以心伝心、水落上等兵はさっさと着ているものを脱ぎ棄てた。裸で寝台の上に横になった水落上等兵は、恥ずかしげもなく足を上げてから、腹の上にあぐらを組むように折り曲げ、辻村班長のものを受入れ易い体位になって、じっと眼を閉じた。
彼白身のものは、指や口舌で何の刺戟も与えていないのに、既に驚くまでに凝固し若さと精力と漲る力をまぶしく輝かせていた。
「いくぞ」
今は褌もはずし、男一匹、裸一貫となった辻村班長は、猛りに猛り、水落上等兵を押し分けていった。
「ううッ」
顔をしかめ、引き吊らせて、水落上等兵は呻き、
「痛ッ……痛ッ……」と二言三言、小さな悲鳴をあげたが、大きく口をあけて息を吐き、全身の力を抜いた。彼の表情が平静になるのを待って、辻村班長はおもむろに動いた。大洋の巨大な波のうねりのように、大きく盛り上がっては沈み、沈んでは又大きく盛り上がる。永落上等兵の額には粒の汗が浮かんでいた。
凄まじい光景であった。凝視する私の視線を避けるように、流石の永落上等兵も眼を閉じて、烈しい苦痛と屈辱感から逃れようとしていた。
「岩崎、ここへ来て、ここをよーく見ろ」
言われるがままに、私はしゃがみこんで、局部に目を近づけた。
一心同体の男達がかもし出す熱気と、激しい息づかいの迫力に圧倒されて、私はただ茫然と、その場に崩れるようにすわりこんでしまった。
戦いは終った。戦いが烈しければ烈しい程それが終った後の空間と時間は、虚しく静かで空ろであった。
三人の肉体も心も燃え尽き、今は荒涼として、生臭い空気だけが、生きとし生ける男達の存在を証明していた。
男のいのちの噴火による恍惚感と、その陶酔から醒めると、私を除く二人は、急速にもとの辻村班長と水落上等兵に戻っていった。先程までのあの逞しい情欲と激動が、まるで嘘のようだった。汲(く)めども尽きぬ男のエネルギーの泉、そ���では早くも新しい精力が滾々(こんこん)と湧き出しているに達いなかった。
「見たか、岩崎。貴様も出来るように鍛えてやる。寝台に寝ろ。」
有無を言わせぬ強引さであった。
あの身上調査のあった日以来、私はちょくちょく、今夜のように、辻村班長の呼び出しをうけていたが、その度に、今日、彼が水落上等兵に対して行ったような交合を私に迫ったのである。しかし、これだけは、私は何としても耐えきれなかった。頭脳に響く激痛もさることながら、襲いくる排便感に我慢出来ず私は場所柄も、初年兵と云う階級上の立場も忘れて、暴れ、喚き、絶叫してしまうので、辻村班長は、ついぞ目的を遂げ得ないままであった。
その時のいまいましげな辻村班長の表情。何かのはずみでそれを想い出すと、それだけで、私は恐怖にわなないたのであるが、辻村班長は一向に諦めようとはせず、執念の劫火を燃やしては、その都度、無残な挫折を繰り返していたのである。
その夜、水落上等兵の肛門を責める様を私に見せたのは、所詮、責められる者の一つの手本を私に示す為であったかもしれない。
「ぐずぐずするな。早くしろ、早く」
ああ、今夜も。私は観念して寝台に上がり、あおむけに寝た。敷布や毛布には、先程のあの激突の余儘(よじん)が生温かく、水落上等兵の身体から滴り落ちた汗でじっとりと湿っていた。
私の腰の下に、枕が差し込まれ、両足を高々とあげさせられた。
「水落。こいつが暴れんように、しっかり押さえつけろ。」
合点と云わんばかりに、水落上等兵は私の顔の上に、肉づきのいい尻をおろし、足をV字形に私の胴体を挟むようにして伸ばした。股の割れ目は、まだ、水落上等兵の体内から分泌された粘液でぬめり、私の鼻の先や口許を、ねばつかせると同時に、異様に生臭い匂いが、強烈に私の嗅覚を刺戟した。
「むむッ」
息苦しさに顔をそむけようとしたが、水落上等兵の体重で思うにまかせない。彼は更に私の両足首を手荒く掴んで、私の奥まった洞窟がはっきり姿を見せるよう、折り曲げ、組み合わせ、私の臍の上で堅く握りしめた。
奥深く秘められている私の窪みが、突然、眩しい裸電球の下に露呈され、その差恥感と予期される虐待に対する恐怖感で、時々びくっびくっと、その部分だけが別の生き物であるかのように動いていた。
堅い棒状の異物が、その部分に近づいた。
思わず息をのんだ。
徐々に、深く、そして静かに、漠然とした不安を感じさせながら、それは潜行してくる。ああッ〃‥ああッ〃‥‥痛みはなかった。次第に力が加えられた。どうしよう……痛いような、それかと云って痛くも何ともないような、排泄を促しているような、そうでもないような、不思議な感覚が、そのあたりにいっぱい。それが、私の性感を妖しくぐすぐり、燃えたたせ、私を夢幻の境地にさそうのであった。
突然、激痛が火となって私の背筋を突っ走った。それは、ほんのちょっとした何かのはずみであった。
「ぎゃあッ!!」
断末魔の叫びにも似た悲鳴も、水落、上等兵の尻に押さえつけられた口からでは、単なる呻きとしか聞きとれなかったかもしれない。
心をとろけさせるような快感を与えていた、洞窟内の異物が、突如、憤怒の形相に変わり、強烈な排便感を伴って、私を苦しめ出したのである。
「お許し下さいッ――班長殿――お許しッ ――お許しッ――ハ、ハ、班長殿ッ」 言葉にはならなくても、私は喚き叫び続けた。必死に、満身の力を振り絞って。
「あッ、汚しますッ――止めて、止めて下さいッ――班長殿ッ――ああ――お願いッ――お許しッ――おおッ――おおッ―― 」
「何だ、これくらいで。それでも、貴様、男か。馬鹿野郎ッ」
「ああッ、……痛ッ……毛布……毛布……痛ッ――汚れ――汚れますッ――班長殿ッ」
毛布を両手でしっかりと握りしめ、焼け爛れるような痛さと、排便感の猛威と、半狂乱の状態で戦う私をしげしげと眺めて、流石の辻村班長も、呆れ果てで諦めたのか、
「よしッ……大人しくしろ。いいか、動くなッ」
「うおおおー!!!」
最後の一瞬が、とりわけ私の骨身に壊滅的な打撃を与えた。
「馬鹿野郎。ただで抜いてくれるなんて、甘い考えおこすな。糞ったれ」
毒づく辻村班長の声が、どこか遠くでしているようだった。
終った、と云う安堵感も手伝って、私は、へたへたとうつ伏せになり、股間の疼きの収まるのを待った。身体じゅうの関節はばらばら全身の力が抜けてしまったように、私はいつまでも、いつまでも、起き上がろうとはしなかった。
班長の最後の一撃で俺も漏らしてしまったのだ。腑抜けさながら。私はここまで堕ちに堕ちてしまったのである。 瞼から涙が溢れ、男のすえた体臭がこびりついた敷布を自分の汁と血で汚していた。
どれだけの時間が、そこで停止していたことか。
気怠(けだる)く重い身体を、もぞもぞ動かし始めた私。
「なんだ、良かったんじゃねぇか、手間取らせやがって」
おれの漏らした汁を舐めながら辻村班長が言った。
そして汚れたモノを口に突っ込んできた。
水落上等兵は、おいうちをかけるように、俺に覆い被さり、聞こえよがしに口ずさむのであった。
新兵サンハ可哀ソウダネ――マタ寝テカクノカヨ――
(了)
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CHAPTER 12 RAYS FILE 11
((MUSIC => Clint Mansell - Lux Aeterna [REQUIEM FOR A DREAM, USA - 2000] ))
「オレを信じなくていい、全然問題ない。けどさ、お前のその意固地さ、少しは直したほうがいいんじゃねぇか?他人の忠告を無視してもいいことなんてないし、オレが言ったことだって別に悪いことじゃねぇだろ。」
相手の目はまだ疑いの色を帯びており、礼儀正しく自己紹介もしない上に顔さえ見せない人物を信頼するのは不可能に思えた。ただ見えるのは、赤と黄色の瞳が暗闇の中から突き刺すように輝き、無限の空に浮かぶ日食の輪のようだった。彼の声は重く冷たい響きを持ち、不穏なオーラを放ち、まばたきするのも難しいほどの緊張感を生み出していた。その視線は鋭く、時折シニカルに目を細める。その唇から時折漏れるかすかな笑い声は、聞く者の背筋を凍らせ、警戒心をさらに掻き立てた。
彼は本当に何を望んでいるのか。その問いにはまだ答えがなく、この謎めいた人物に初めて出会った瞬間から、圧し掛かるような疑念が離れなかった。
恐怖ではない。ただ、言い知れぬ不安感。まるで見えない目に四方八方から見られているような感覚で、立つことすら震えを抑えながら必死だった。「お前に何の得があるんだ?手伝うなんて怪しすぎる。信じられるわけがない。」落ち着かない思考の中で、そう吐き捨てた。
「オレが怖いのか?」彼の声は嘲笑的で、その瞳は鋭く睨みつけてきた。
「お前みたいな奴を怖がる歳じゃない。家に帰って俺を邪魔するのはやめろ。」相手の無礼さがこれ以上ないほど明白な状況で、話すだけ無駄だと思った。それでも心のどこかで湧き上がる好奇心がちらつくが、後悔や面倒事を招き入れるのは絶対に避けたかった。必要のないことにエネルギーを割きたくない、それだけだった。
その言葉に謎の人物は不機嫌そうに鼻で笑い、低い声でくぐもった笑い声を漏らした。周囲は暗く沈んでいく。まるで広がる嵐の雲が一帯を包み込むかのように。彼はその場に立ち尽くし、突然の変化に敏感に身構えていた。
「歳?自分が今いくつかも知らねぇくせに?」影の中から鋭い歯が輝き、突然の笑みに冷や汗が背中を伝った。彼はこの人物が消え去ってくれることを心の中で願ったが、そんな希望が叶う気配はなかった。相手は自分の警告を再考するようしつこく迫り続けた。誰かに操られ殺されるだろうと脅し、申し出を拒むならばと付け加えた。しかし、その言葉はまるで自分自身について語っているかのようで、自己弁護のために他人を攻撃しているだけのようにも思えた。あるいはただ楽しんでいるのかもしれない。この奇妙な中傷のゲームを。
「ただ年を取った気がするだけだ。」口に出した言葉に自分でも驚いたが、その信念は頑なだった。自分は年を取っている。それは間違いない。ただ、いくつなのかは分からない。それとも、そもそも覚えていないのか。
そう、確かにおかしい。なぜ自分の年齢も分からず、ただ長く生きてきた気がするだけなのだろう。だが、それを深く考える必要があるだろうか?生きているうちは年齢など関係ない。少なくとも彼はそう考えていた。死ぬなら死ぬ。それが何歳であろうと関係ない。死は必ず訪れるものなのだから。
「そんなに軽く言うんだな。気にならないのか?」
彼は自信を持って首を振った。「いや、重要じゃない。そんな些細なことに興味を持つと思ったら、お前は間違ってるし、馬鹿だ。さっきお前が言ったよな。信じようが信じまいが構わないって。だったらこれが俺の答えだ。重要なのは、お前の言うことを聞いてよく考えた結果、俺が下した結論だってことだ。俺はお前を信じられない。十分だ。これ以上俺を説得しようとすれば、お前がさらに馬鹿に見えるだけだ。こんなところで時間を無駄にするな。お前が老いていくだけだ。さっさと消えろ。」その声は揺るぎなく、瞳には決意が宿っていた。妥協も、さらなる議論もなかった。彼はもう耳を貸すつもりはなかった。名前も知らない誰かに、不快な言葉で包まれた脅しを突きつけるような相手に対して。
「馬鹿、だと?お前から聞かされるのは本当に不愉快だな。昔は楽しんでたのに。」
「お前、思った以上に変な奴だな。」
「オレが認める相手以��から聞きたくない。それが、お前じゃない。」
「俺には関係ない。お前の奇妙さなんてどうでもいいから、まだ俺が正気でいるうちに消えろ。」
「そうか。じゃあ、お時間ありがとうございました。」
「ああ、どういたしまして。」
そう言って、謎めいた人物は一瞬にして消え去った。その場を包んでいた闇は、高度に怪しい黒い穴に飲み込まれた。名乗りもせず、名前すら明かさずに、ただ現れ、信じがたい戯言を並べ、そして去っていった。しかし彼の言葉、あの警告だけは、聞いた者の心にしっかりと刻まれていた。
誰かが自分を利用しようとしたり、殺そうとしたりする理由が理解できなかった。傲慢さではない。ただ、これまで誰一人として自分の空間にたどり着き、直接会えた者はいなかったのだ。彼自身も、この奇妙な人物以外には誰とも出会ったことがない。なのに、誰かが自分を知っているというのは不可解だった。警告はどれほど馬鹿げていようと警告だ。それを心に留めておくことだけは忘れなかった。
ガスター。
彼は自室の天井を見つめながら、思考の混乱に沈んでいた。
確かに、彼は誰かと話をしたいと切望していた。いつも孤独なその空間で、退屈を紛らわすために、外へ出ることもできずにいたからだ。目の前には扉があったが、どれだけ力を込めても、破壊しようとしても、開くことは絶対になかった。あらゆる試みが失敗に終わり、最終的には諦め、空想や静寂で孤独を埋めるようになった。
しかし、その謎の人物は、何か切なる祈りが叶えられて現れたわけではない。扉を叩いて「お前の人生をめちゃくちゃにする奴がいるから気をつけろ」と警告する者が来ることを、彼は望んでいなかった。まるで死神や突然の審判の日が訪れたように感じたのだ。
「俺の人生、どれだけ惨めなんだ。」彼は苦い笑いを浮かべ、運命を嘆きながら再び空想に戻った。心は依然として落ち着かず、混乱していた。
***
サンズは足を引きずりながら、フリスクの体を腕に抱えて前へ進んでいた。彼の右手は重傷を負い、ほとんど折れていたが、フリスクのポケットにあった包帯を使って骨折を応急処置していた。その修繕は完璧ではなかったが、細かな擦り傷など気にする必要もない程度には役に立っていた。彼の息は短く、苦しげで、その目は疲労に覆われていた。それでも彼の顔には大きな笑みが刻まれており、埃と泥にまみれた頭蓋骨に深く刻み込まれていた。
エコーフラワーの花びらが彼のボロボロになったジャケットに絡みつき、そのジャケットは穴だらけで、下に隠された骨をちらつかせていた。それは彼の魂を守る盾であり、狙う者から必死に守られていた。
フリスクの状態もまた芳しいものではなかった。その服はボロボロで、風に揺れる糸が自由に垂れ下がっていた。生地には無数の裂け目や汚れが付き、色あせていた。彼の体には��くの切り傷と擦り傷があり、命に関わるほどではなかったが、その過酷な戦いを物語っていた。短い髪は乱れ、焼けたように焦げた部分や欠けた部分もあった。彼の顔は青ざめ、赤く腫れた目はうっすらと腫れていた。
サンズの表情は中立的で、前方の道をじっと見据えていた。時折、彼は調子外れのメロディを口ずさみ、それはチャラとの過酷な戦いの後、自分を落ち着かせるためのささやかな試みに過ぎなかった。
チャラは容赦なかった。その動きは計算され、無駄がなく、すべての攻撃が正確だった。彼女の燃え上がる赤い目は、獲物を追う捕食者のように輝いていた。サンズはまだその戦いの緊張を感じていた。チャラの猛攻は、炎のような決意に満ちており、その攻撃一つ一つが隙を与えなかった。その鋭いナイフの一撃一撃は、サンズを消耗させ、回避と反撃の間で綱渡りを強いるものだった。
エコーフラワーに囲まれたその場所では、不気味で哀れな歌声が響いていた。チャラの赤いナイフの光と、サンズの青い魔法の淡い輝きが激しくぶつかり合い、混沌とした戦いの中で、花々の哀歌が破壊への悲しみを謳うようだった。
しかし、何も永遠には続かない。
チャラが借りた体、フリスクのか弱い身体は、次第に力を失っていった。呼吸が乱れ、足元がふらつき、かろうじて立っていた。彼女の視線は依然として鋭かったが、力はすでに尽きていた。かつて圧倒的な捕食者だったチャラは、今や崩れ落ちそうな状態に見えた。サンズはその様子を見守り、勝ち誇った笑みを浮かべた。チャラは歯を食いしばり、ナイフを強く握りしめ、必死に最後の一撃を放とうとした。
しかし、その時——
「チャラ、もう十分だ。」サンズは静かに自信を持って言った。
「お前はもう負けている。」
サンズの片手がチャラの首にかかり、鉄のような握力で彼女を抑えた。その圧力は、無言の警告だった——少しでも無謀な動きがあれば、それが最後になるだろう。サンズの声は穏やかでありながら、冷徹さを帯びていた。彼の笑みが広がり、彼はさらに近づき、言葉には悪意がにじんでいた。 「お前はもうここで終わりだ。これ以上戦っても意味はない。」
チャラはフラストレーションで歯を食いしばりながらも、身動きが取れないことを感じた。サンズの冷静でありながら威圧的なささやきが耳元で響き、彼女の支配力の幻想を完全に打ち砕いていた。反抗しても無駄だと彼女は悟った。
「よし。ようやくお前が聞いてくれたか。」サンズはささやくように言った。「何をしようが、お前は負ける。」
チャラは歯を食いしばり、サンズを憎しみと絶望の入り混じった視線で睨んだ。「お前はフリスクをお前の計画に使いたいんだろ? もし俺を殺したいなら、フリスクも一緒に殺さなきゃならない。別の方法はない。お前、結局何がしたいんだ、サンズ?」
サンズはすでにそのことを予測していた。だから、彼はクスクスと笑って、さらに強く首を握り締めた。「‘殺す’って言葉は、俺がお前にすることを表すのにふさわしくないな、チャラ。いや、それどころか全然違う。完全に間違ってる。俺はお前を殺すつもりなんてない。」
サンズの言葉には、いら立たしい謎が含まれていた。サンズはチャラに十分な思考の余地を与えず、彼女の本当の計画を推測する暇も与えていなかった。サンズは意図的にあらゆる角度からプレッシャーをかけ、冷静に考える機会を奪っていた——脅しや、チャラとフリスクの命を脅かすその手で。チャラは攻撃的な行動を取らないようにしなければならなかった。もし反抗すれば、瞬時に首をへし折られるだろうことは分かっていたからだ。たとえフリスクの助けを借りてリセットできるとしても、サンズがフリスクのシステムに手を加え、フリスクの魂の核心に何か未知のコードを追加したのを見た後では、もうリセットできるかどうか自信が持てなかった。
すべてがぼやけ、疑問で満ちていた。チャラは困惑し、どうすべきか分からなかった。彼女は嫌悪するような恐怖を感じ始めた——水のようにゆっくりと溺れていく恐怖。逃げ出したいと思ったが、サンズの握力は容赦なく、甘い考えを許さなかった。もし反抗すれば、サンズは即座に彼女の首を折るだろう。それだけで十分だった。これはばかげているように思えるかもしれないが、あるいはチャラがサンズの力を誇張しているのかもしれないが、彼女の圧倒的な恐怖がサンズが本当に彼女を殺す準備ができていると信じ込ませた。
もしかして… 彼はこのゲームをリセットできるのか?
チャラは内心で、サンズがこの世界をどこまで制御できるのか疑問に思った。サンズはあまりにも自信満々で、チャラを疲れさせて反撃できないようにしていた。もしフリスクを手にかけても、この世界を元に戻すことができるのだろうか?
サンズは何か隠し持っているのだろうか、チャラに手がかりを与えないようにしているのだろうか?
「お前が今、考えていることは分かってるよ。リセットだろう? この世界を元に戻せるか、ってな。」サンズはチャラの混乱を読み取って、軽く笑いながら言った——彼を嘲笑するように。「もちろん、できるさ。今、お前を殺しても、後で殺しても…いつでもいい。」
サンズはチャラの左手——いや、フリスクの手をさらに強く握り、彼の力が握った手に痣を残した。
「お前は、この体が本当の痛みを感じないことに感謝すべきだな。痛みを感じずに死ぬのって、こんなに気持ちがいいなんて、きっと安らかなんだろうな。まるで家で寝て、永遠の眠りに落ちるようなものだ。ああ、わかる、かなり楽だろ、チャラ?」
「お前はリセットできないって信じない。」チャラは反論し、サンズの言葉を信じることを拒んだ。
そして、はい、サンズが彼の命をしっかり握っていることを感じた時、痛みがないことを実感していた。
「関係ない。」サンズは気楽に言った。「チャラ、好きにすればいい。信じても信じなくても、俺にはどうでもいい。お前がそれを受け入れるかどうかなんて、俺は全く気にしない。」
そう言った瞬間、チャラは言葉を返そうとしたが、突然、口が開かなくなった。身体中に衝撃が走り、心まで引き裂かれるような感覚が押し寄せた。まるで脳が爆発したような感覚だった。身体が硬直し、凍りつく。目を見開き、信じられないような衝撃を受けた。
サンズはその背後で、何事もなかったかのように、静かなメロディを口ずさみ���がら、満足げにその瞬間を楽しんでいた。
「く...くそ野郎。」
Charaの最後の言葉は、Sansが彼の魂をしっかりと握りしめた瞬間だった―もはやFriskの魂ではなくなっていた。SansはCharaの魂をすべての角度から貫き、そのコードを破壊して混乱を引き起こしていた。その激しい衝撃に、Charaは逃げる力を失い、Sansは楽しげにさらに深く入り込んでそのコードを壊していった。
「どんな感じだ?」Sansが尋ねたが、Charaは彼に呪いの言葉を吐く力さえ残っていなかった。 Sansはただ笑い、Charaをじっと見つめた。 「おお、これがあんたをかっこよく見せてたコードってわけか。俺、あんたを奴隷に変えることだってできるって知ってるか?番犬みたいに使うの、めっちゃ面白そうだろうな。」
Sansの言葉はあまりにも残酷で、自分自身でも驚き、急いで口を覆った。 彼の目は少し震え、広がっていった。「忘れろ。」
そして、Charaの弱った体が地面に激しく倒れ込んだ。SansはまだCharaの魂を握りしめたまま、彼の無力な姿を見下ろし、何も言わなかった。 Sansは自分のかつての姿を想像した――もし昔の自分だったら、この状況をどう扱っていただろうか。慈悲を見せて、Charaを許しただろうか?必死に説得して、邪魔をやめさせようとしただろうか?懇願して交渉しただろうか?
「昔の俺はみじめだったな。」彼はその考えを否定し、Charaの体を踏み越えて、彼の激しい戦いを静かに目撃していた滝を見つめた。 深い息をつきながら、彼は自由に笑い、「待ってろよ、Rays!」と叫んだ。
Friskを見下ろし、まだ地面で眠っている彼を抱き上げると、Sansは目を閉じ、その胸が少し軽くなったのを感じた。冷たい笑みを浮かべながら、彼は言った。「じゃあな、Chara。」
数分間、自分の混乱した考えを整理し、気持ちを落ち着かせた後、Sansは再びFriskの体を抱え、傷ついた手でそれを持ち上げた。二人とも完全にボロボロで、その場の破壊的な光景と見事に一致していた。周囲を見渡すと、押しつぶされて枯れた花々、砕けた岩、そして散らばった骨の破片が広がっていた。戦いは本当に激しく、恐ろしいものだった。
倒れる寸前まで力を振り絞り、Sansは歩みを進めた。時折つまずいて、ほとんど倒れそうになりながらも。Sansが崩れ落ちる中、Raysは自分の手が届かないすべてのNPCの苦しみを楽しんでいた。彼らの運命を弄びながら、その温かくておいしいブラックコーヒーを味わっていた。
「ゆっくり休め、Frisk。」Sansは囁きながらFriskを毛布の山で包んだ。彼はFriskを慎重にベッドに寝かせ、その後、散らかったゴミだらけの部屋を片付けてからドアを閉めた。部屋を出て、Papyrusがその場で凍りついたままの姿を見つけた。
***
「何しに来たんだ?」
「ちょっと手伝ってほしいだけだ、そんだけだよ。」Sansが答えた。
Gasterは目を細め、その言葉を簡単に信じようとはしなかった。「もし俺を利用するつもりなら、さっさと立ち去れ。もうお前たちにはうんざりだ。」
「俺たち?」Sansは笑った。「��あ、Charaのことか?」
Gasterは急に振り返り、目に好奇心を浮かべた。「ああ、それが奴の名前、Charaだな。」
彼はその人物が男性だと思っていた。Raysが本当の声を使っていたことが判明した。
Sansは頷き、包帯で巻かれた腕を見せた。「奴はさっき俺を攻撃したんだ。俺が奴の要求に従わなかったから。Charaは自己中心的で欲深い、欲しいものを手に入れるためなら何でもするタイプの人間だ。最初に会ったときに嫌いになるタイプだよ、それが俺の見解だ。」Sansは正直に話したが、あの謎の人物の名前については少し引っかかっていた。自分の敵であるRaysの良い名前を守っているのはどうしてだろうか?その答えを考える理由は多くあった。
そして予想通り、RaysはすでにGasterに近づき、彼を操ろうとしていた。おそらく、Sansについて話を持ち出し、Sansは警戒すべき危険な人物だと警告し、Gasterを罠にかけようとしていたのだろう。疑念を撒き散らし、名前さえ明かさずに。Sansに、自分の正体を明かすか、他の誰かを犠牲にして自分を守るかを決めさせた。Charaは、SansがGasterがどう反応するかを試すために選んだ生け贄だった。
でももちろん、SansはGasterがこういった操作に長けていることを理解していた。
「奴はお前について面白いことをたくさん言ってたぜ。」
ああ。
SansはGasterが自分をおびき寄せようとしているのに気づいた―それがあまりにも明白だった。Gasterが自分をどう見ているのか、その好奇心が目に浮かんでいた。SansはすぐにGasterの計画を察し、彼が自分の反応から情報を引き出そうとしているのを感じ取った。
Sansは小さな笑顔を浮かべて、罠を避けた。「ああ、そうだよ、奴は俺がすごく面白くて馬鹿げてるって言ってた。何がそんなに素晴らしいのか分からないけど、まあ、偽りの褒め言葉を受け入れて、先に進むとするよ。それがお前にとって面白いことかは分からないけど、それが奴が言った唯一のことだ。」もちろん、Sansが言ったことの半分は真実ではなく、残りは彼自身の作り話だった。彼はそれがGasterが欲しがっている答えでないことを分かっていたが、Sansはそれを与えなかった。
Gasterはすぐにはその言葉を受け入れなかったが、心の中でSansの言葉に同意した。「奴がこんなに早くお前に会うとは思わなかった。もしよければ、あの時お前たちは何を話したんだ?」
SansはGasterがすぐに答えるとは思っていなかった、むしろGasterは黙って何も言わないだろうと予想していた。
「言わない。」
もちろん、彼の予想通りだった。
Gasterは慎重に情報を隠し、Sansのことを全く知らなかったので、Sansが信頼できる相手か、Charaと呼ばれる人物と同じくらい危険な存在か疑っていた。
Gasterの疑念に気づいたSansは一歩後ろに下がった。「俺を信じてないんだな?もちろん、状況はよく分かるよ。突然助けを求めてきた見知らぬ奴を信じるわけがないよな。」巧妙に、悲しそうな顔を作って言った。「俺が死にかけてるってことを知ってほしいんだ。そして、奴が俺を攻撃した時、お前の名前を出してた。」
「どういう��味だ?」
「奴が俺をここにおびき寄せるために、お前の名前を出したんだ。お前だけが俺を助けられるって言って、俺には選択肢がなかったんだ。俺はあいつの策を見抜けなきゃバカだろ?どうして敵を助けるんだ?意味が分からないだろ?でも、俺は心配で怖くて、何もせずにいられなかったんだ。奴と戦うには力が足りないけど、少なくともお前に警告はしたかった。Charaに関わるな、奴は本当に危険だ。もし会うことがあったら、すぐに逃げろ、二度と戻ってくるな!お願いだ。」悲しみを込めた声は説得力があり、Gasterを揺さぶり始めた。
「分からない。俺が関わる理由がわからないし、Charaがどうして俺を助けられると思ってるんだ?」
Sansは答えを知っていたが、それを共有するつもりはなかった。
「分からない、俺はこういうことに疎いんだ。でもだからこそ来たんだ、Gaster。気をつけて。奴は本当に狂ってて恐ろしい。」
Gasterはすぐには返事をしなかった。考え込み、慎重に思案した。不安で焦る気持ちが彼をむしばんだ。自分がこの部屋から出られないことを言うべきかもしれなかったが、彼の直感は黙っておくように、そしてその情報を漏らさないように告げていた。Sansについて何か違和感があった。彼の存在が不安を感じさせ、信じるに足りる説明がなかった。
「それなら、奴に気づかれる前に出て行け、Sans。」今のところ、GasterはSansを追い出す決断を下した。彼の存在は威圧的で、まるでCharaのようだった。無視できなかった。
「俺を警戒してるんだな、Gaster。」
「何でそう思う?」
「顔に出てる。俺を疑いの目で見てる。」
「お前が言うほど愚かじゃないだろ、Sans。」
Sansは笑った。「誰にでも得意なことがあるんだよ。」
「本当か?」
Sansは肩をすくめ、会話を続けることに興味を示さなかった。一方、Gasterは物事が宙ぶらりんのままで終わったことに不満そうに見えた。Sansには確かに何か違和感があったが、Gasterはそれが何なのか正確に突き止めることができなかった。それはあまりにも微妙で、暗闇の中で影をつかむようなものだった。疑問が頭を満たしていたが、それにも関わらず、Gasterの小さな一部分は、Sansはまだ信頼できるかもしれない、Charaほど悪くはないだろうと主張していた。Sansはあの狂人よりも安定しているように見えた。 しかし、その考えを裏付け��確かな証拠はなかった。Sansは依然として未知の脅威であり、彼がもたらす害の真の可能性は不明のままだった。
「なんか疲れてるみたいだな。大丈夫か?」Sansが沈黙を破って尋ねた。
「やっと気づいたか。休みたいから、さっさと出て行け。」 Gasterはすぐにドアを指差し、顔には不快感と苛立ちが浮かんでいた。
Gasterの明らかな不快感を見て、Sansはその追い出しを優雅に受け入れ、後ろに下がって出口に向かって歩き出した。こんなに熱く議論を続けても意味がないと思ったからだ。
しかし、Sansが白いドアの取っ手に手をかけたその時、彼は静かに笑って言った。「明日、コーヒーでも一緒にどう?」 Gasterはうんざりした様子で彼を睨んだ。「さっさと出て行け。」
Sansは最後にGasterを一瞥し、冷静な声で答えた。「ドアはロックされてないからな。」
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蠟燭を欲する狐(三)
長野県北佐久郡中佐都村の中山浅之進氏の体験談。
彼が二十七、八歳の頃の、一月七草の晩のことだったという。 同郡今井村に患者があったので往診した帰りが遅い時間になった。 提灯を点して腰に差して帰途についた彼が、高瀬小学校附近に差しかかると、ふいに雪がちらつき始めた。 瞬く間に雪は激しくなり、下駄を履いた足が自由にならなくなった。 するとふいに腰の提灯の火がフッと消えた。 妙だな、と思った瞬間、思い当たった。 狐だ! 狐が蠟燭を盗とうとしたのだ。 盗れるものなら盗ってみろ、と心を落ち着けながら、蠟燭を再点火。 提灯を右手にしっかりと持ち、小学校前の坂を西に降り始めると、ストンと音がして、また提灯が消えた。 後に聞いたところでは、このストンという音は狐が尾で提灯を打った音なのだという。
手探りで提灯を調べると蠟燭がない。狐に盗られてしまったのだ。 あたりは暗いし、雪は激しい。これではどうにもならない。 南の岩尾村へ降り、知り合いの大井茂十郎氏の家に立ち寄って茶でも呼ばれよう、と考えた。 ところが、そちらに進もうとしても、どうも道が捗らない。 前方を見ると、桃源院の灯りと知人の家の灯りが二つ、合計三つの灯りがはっきり見えている。 いつもよりずいぶん時間がかかってやっと三本松まで来た。 すると後ろから、ドシーン! と体にぶつかったものがある。 びっくりして振り返ると、何か黒いものが走っていくように思われた。 途端にあたりがパッと明る���なり、道もはっきり見えてきた。 雪など少しも降っていなかった。
(信濃教育会北佐久部会・編『北佐久郡口碑伝説集』十一、奇聞巷談 「19、狐に憑かれた話」)
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雨の合間に。

2024年6月、紀伊半島某所 iPhone11
どうも、こんにちは。6月22日(土)は、フライフィッシングに行ってきました。最近、旧ツイッターで「ロンデニ」のツイートが流行ってまして…狙ったわけじゃないのですが、ついw。雨が多いので、雨の合間に行ってみました。この日は午後から雨なので、雨の降り出しまで釣るつもり。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
雨天増水から水の引き際を狙いました。この日の水位は+5cm。バッチリやんw。なのでポイント選びは大切。悩んだ末にこの谷に賭けた!

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
言わせてください。バッチグーwww。昔は増水気味の時に(別の谷だが)イワナがポコポコ釣れたり、(別の川だが)本流で良型のアマゴがよく釣れたりしたので、良いイメージを持って入渓しました。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
十数本あるバンブーロッドを順番に使ってます。今日の竹竿はオービスのセブン・フォー。7ft#4のバンブーロッド。フルフレックス・アクションといって、グリップの上から曲がるアクションなんですが、今日は上手く振れるかな?リールはセント・ジョージの3inです。メノウリングのやつ。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
バンバン釣れるかと思いきや…魚が走らへん。期待外れ〜orz。ウェットフライも、#10の鉤で揃えたレギュラーのボックスを車に忘れて、ベストに入れっぱなしの#14ぐらいの鉤が入ってる小さいボックスしか持ってないので鉤も小さい。やっぱ#10やろ。それでも、そこそこ大場所でカタを流れるウェットフライに水飛沫を上げてヒット!

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
取り込んでから落として逃したので写真はないが、「落込み」の「巻き」に放り込んだウェットフライにアマゴがヒットして取り敢えず両目は開きました。名前忘れたけど、ボディが金色のリードフライにばかり釣れてくる。しかし、もっと釣れると思ったけどな〜。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
パタっと釣れなくなったので、ドライフライに変更。ウェットフライで押し通せない悪いパターン。hrkさんとの釣行でhrkさんがCDCのダン・パターンでよく釣ってるので、似たフライをヤフオクで見つけてゲット。早速、仕事をしてくれました。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
岩盤沿いについているパターンですよね。前回来た時は減水で水もチョロチョロ流れてるだけだったが、今日は良い感じで流れてる。だが、しかし…反応無し。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
ミスキャストで岩盤沿いを外して、左の浅いところに鉤が行った。岩陰に入って鉤が見えない。打ち返そうとしたら、ググッて…ありゃ、イワナが釣れちゃった(汗)。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
ループが綺麗に伸びてポイントに鉤がスパッと入ったら気持ちええなあ。長い瀬を気持ちよく流してたら、バシャッと出て釣れた〜と思ったら掻いてました(汗)。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
浅く広く長い瀬。ポイントらしいポイントもないし、すっ飛ばしても良い感じですが…

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
岸際の深みで釣れた!

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
こんな浅い瀬で2連発。遠くで掛けたので楽しいけど、手前に走ってきたのでラインを手繰るのが大変(汗)。もうちょっと大きければなあ。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
美しい野草。野生のラン?

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
約4時間釣ってもうお昼。思ったほど釣れないし、ごはんにします。午前中はアマゴ5尾、イワナ1尾でした。サイズももうひとつ。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
今日もお昼は村の食堂でカツ丼。使い回しじゃないですよw。毎回撮ってます。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
午後は、別の谷へ向かったが、前回の釣行で再会したテンカラの猛者のR32型スカイラインが停まっていたので、猛者は入渓しているらしい。なので、別の別の谷に向かいました。ここは前回、「風切」…じゃなくて、白いカーボンロッドを振るテンカラ釣り師に先行されて入渓を見送った谷。良い感じやん。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
全然っ、釣れねえ…。唯一釣れたのがコイツ。しかもしかも、口唇に鉤がちょん掛け。しかも外側から。スレやん…

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
釣れなさ過ぎて、林道で咲いているユリのうなじをiPhoneのポートレートモードで撮ってみました。おい、こっち向いて咲けや。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
野生のカンがうずく。こういう時は、普段水のない区間が良いのでは?はい、大移動。ウェットフライで過去に何回か良いイワナを釣った鉄堰にきました。今日はドライフライで狙ったけど駄目。下からイワナが喰ってくるのを妄想したのに。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
鉄堰の上。昔…昔話ばかりですねw。ここで25cmのアマゴを釣ったことがある。数は出ないけど釣れないことはない。最後の鉄堰で尺イワナを釣ったこともあるし。では、今日は?鉄堰の手前の岩と岩の間に鉤を落としたらイワナがカツーンと鉤に当たったがかからず。鉄堰でも釣れそうな気がしただけで魚影すら見なかった…

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
雨がパラついてきた。もう、ここが最後。川原は開けてるけど、右側が森で凄く怖い。今年、別の川でクマ見たし。ここが先途とホイッスルを吹きまくりましたw。ホイッスルの音に驚いたのか、イワナも釣れませんでした。普段から水がなさ過ぎてアカンかな。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
道路が遠いわけではないのですが、川から離れると森のそばを歩くので怖い。車が見えるとホッとする。

2024年6月、紀伊半島某川 iPhone11
本降りかな?もう帰ります〜。
ということで、6月22日は午後はスレ1尾のみで、午前中のアマゴ5尾、イワナ1尾だけでした。
入る場所間違えたかな〜、どうなんでしょ?
では、また。
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お葬式
祖父が全うした。91歳だった。5/27の6:27に息を引き取った。自分の誕生日は10/27で、紫の手帳を受け取ったのが12/27。おいおい、おじいちゃん。あなたの才能は十分に承知していた。けど、そこまでされると怖いぜ。
ここから長すぎる。一時間足らずで狂い書きな感じ。読みたきゃありがとうございますね。
黙して語らず、ニコニコ優しく、しかし熟慮している人だった。従兄弟曰く、「大学に行くときに、ニーチェの詩?に注釈つけて渡された。おじいちゃん心配してたんだなあ」おそらくそれはツァラトゥストラだ。おじいちゃん、同じ道を辿ってるね。「毎年おじいちゃんは宝くじ買ってたやろ?あれをどう使うか聞いてみたら、『あの道を直して、ここの堤防を強くして』って言ってて、本当にすごかった」そう、だからあの葬儀の当日、近隣は大雨で避難警報が出されたんだが、不思議とおじいちゃんが道を作り治水した地域にはほとんど被害がなかった。すげえぜ。かっこいい。
自宅から出棺。近所の人たちがお見送りに来てくれた。しかしまあ、その出棺作業は自らと親戚で急ピッチで段取りしました。すごくね?あなたは本当に、素晴らしい人だったのだ。みんなが知っていた。それだけは確かだ。私もその一人だ、と述べてもいいですか?おじいちゃん。あなたと将棋をしても、絶対に勝てなかった。正月に家の玄関の上がりで、自らのプライドである刀を手入れしていた姿を、鮮明に覚えています。祈るように、あなたは梵天に手入れの粉をつけていた。
通夜から葬儀まではパニック。全ての段取りを把握している父が、その段取りを内々の親族に明かさない。いや、普通さ、もういくばくもない命を目前にすれば、あらゆる段取りを把握して、誰がどこにどう動けばいいのかを伝える。あなたの生業はそういうものでしょう?『随時更新の身内スケジュール』が必要でしょう?そうやって自分が全部しなきゃ、という使命感の反対には、人に任せられないという不信感があるのでしょう?だから仕事以外に友人がいないんです。普通に休日に飲みに行くこともないと。「お前が友達と馬鹿話するような友達はいない」と断言しましたね。違うんです。馬鹿話じゃないんです。お茶会や飲み会は、深刻で暗い話を笑い飛ばす場所なんです。
なんでわかんねぇかな。わかんねえからあなたと飲んでも面白くない。というか、「こういう馬鹿がいた」みたいな仕事上の話を家に帰って母に申しつける時点で、非常に卑怯な落語なんですが、おめえさんよ、案外馬鹿を馬鹿にしちゃいけねえよ、馬鹿も馬鹿なりに考���てる。その考えてることを否定しては悦に入る。『酢豆腐』の旦那じゃねえか。大いなる阿呆。ダサ坊。シャばい。自分専用のポルノを自分で拵える野郎。水商売を貶しながら、お姉ちゃん遊びには大いなる興味があるどすけべ。小学生女児がなんぞの事件にあった、と聞けば、「この子はなんかとっぽいからそうなるよね」口が裂けても言うなよ。ジャニーズの会見、「この男は、男なのに化粧なんかして目も落ち窪んで、気色悪い」何様だよ。てめえが利用するだけ利用したゾーンに対してそういう言葉を吐くんだ、へえ〜。高校ぐらいまで父と祖母の着せ替え人形として彼らの与えられる服を着た。気色悪いんだよ、友達の言うには、その服装は、「なんか、おじいちゃんみたい」だとよ。っざけてんじゃねえよ!お人形遊びは楽しいか?てめえら俺が幼い頃に女装させたりとかしたよな。こちらはグチャグチャです。「お前が寝てても呼びかけたら応えてくれるから、つい」とか抜かしてるけどさあ、起きてるよ。その気色悪いボディタッチも。でも寝てて可愛いふりしてた方があなた気持ちがいいでしょう?てめえが俺を撫でるたびに、吐きそうになって仕方がないんだ。You Know? Yeah, you Just say "I Don't Know". ****
最後の念仏が唱えられる。輪廻転生は仏教で三回とされる。誰も見たことのない祈り方。三回同じ言葉を唱えた後に、なんとなく解脱のような文言があった。「見たことがない葬儀だった」と口を揃えて申し述べる親族。火葬場へ。これが悪夢のようだった。
とても現代的でシステマチックな火葬場。荼毘に伏すとして、その間はみんなでなんとなく空を見たり、煙突からの煙を見たり、そんな時間だと記憶していた。しかし実際は、棺を運ぶのは手動で操作できるフォークリフト。最後に顔を見て、そこからは全員が揃って荼毘の場所へ。もうその時点で、呼吸が苦しい。自分が過呼吸になっているのではなく、そこに漂う人間のタンパク質を燃やした独特の空気が、襲いかかってくる。少しは泣いたけれど、本気では泣かなかった。
喫茶室があります。親族の待機室はここです。全員が喫茶に向かう。一悶着あったらしいが、それは全てを握���ているはずの父が何も手立てを打っていなかったことによるらしい。つまり、「あの家に帰る手立てがない」とのこと。大揉め。しれっと、親戚のおっちゃんが「また始まった」と呆れたように言うので、彼について行って喫煙所へ。「おじいちゃんの棺に、ショートホープ入れてあげたらよかったなあ、と今更後悔してるんですよ。植木職人の人曰く、『耳から煙出るぐらい吸う』ぐらいの人だったんで。まあなんかあるときに胸ポケットに入れたままやめたらしいですけど」「俺もおっちゃんのイメージそれよ。でもそんなんクラクラするやろうな。でもやっぱり、紙巻きじゃないと俺は満足できん。何回か試すけど、口の中がなんか変になる」「あれって、水蒸気にニコチン入って香料入って、ってことなので、口の中に残るの当たり前ですよ。で、定期的に掃除しなきゃなんですけど、してないように思います」「なるほどなあ」「紙巻きは手の中に隠せないじゃないですか、でもよく見ますけど、子供の散歩に付き合いながら、あのデバイスは手の中に収まるので、隠れて吸ってる人とか、あと軽自動車の中とかでずっと吸ってる若い女性」「あ〜!よく見るわ!」「なんか卑怯ですよね」「堂々と吸えばいいのに」
骨上げ。向こうから機会が運ぶ音がする。耐えられない。目を背けて壁に引き下がった。説明がある。その人の話を聞こうと思って顔を見ると、祖父のお骨が目に入った。無理。逃げ出して外で存分泣いたが、これはやらねばならん。おじいちゃんも本望ではないだろう。ある程度落ち着いた。元に戻った。骨箱を抱えたさっきのおじちゃん、「ほれ」完全に試されている。立ち向かおうと思った。おじいちゃんの顎の骨の右側をなんとか取り、入れた。壁に向かって泣いていると、おっちゃんが背中を叩いてくれた。優しいボディコンタクト。あれがなかったら、自分はもう立ち直れなかっただろう。
親族の直来。席順がアウトだった。向かいに祖母。斜め向かいに弟、隣に叔母の配偶者。彼や弟と話しているときは、苦しくなかった。弟は後ろから声が聞こえたらしく、ギャルソンとして働き出したので、真似てとりあえず。未来に向ける光を見たように思う。挟まれる祖母の無駄口、思い出話、さっきも言うたやん、で最終的に、「あんた食べんのな?あんた食べんのな?」この役割は弟が担ってくれた。途中で異常を察した母が「持って帰るので」と包んでくれた。そこで祖母が、「物足りんな!うどんでも食べたくなるわ!」糸が切れる。立ち上がって親族の控室に足取りもおぼつかず帰り、水を飲んで倒れそうなところを背中で柱に寄りかかったのは記憶している。そのあとは完全にギャルソンに徹した。席に戻れば……と感じた。
見送り、なぜか親族はパニック。というか、祖母の血をダイレクトに引いている人たちが大揉め。関わったら壊れる。だから、早く帰りたいだろう人たちのドアマン、ポーターとして立ち働いた。その場所が貸し出す傘の場所を把握しているのは俺だけで、木偶の坊なので雨風を防ぐにはもってこいだ。帰るまでが遠足。帰るまでが葬儀。見送ったあと、祖母に話をされた時点で、おそらく人生で一番危険な焦点発作があった。見える聞こえる把握はできるが、動かない。少しだけプルプルしている。話の隙間で深呼吸して、離脱。その後、なぜか父が、「この鍵が潜戸の鍵。行けるか?」と。拒否したところでまたパニックだろう。叔母方の年嵩とおばあちゃんが同情する車で帰ることになった。話の流れで、「えっ、だって私ら帰っても鍵はにいちゃんしか持ってないやろ?潜だって鍵かかっとるし」「これ受け取ってまーす」と鍵束を見せる。永遠のような10秒間の沈黙が、どうしても笑ってしまいそうになって良くなかった。
で、まあ帰宅したものの、真っ暗で鍵の種類がわかるのは父のみ。明かりをつけても何が何やら。普通に礼服で鍵を探しながら試して回る、という、夜盗みたいな働きをして、必要な鍵は開けた。自分はともかく着替えと服薬をしなければ無理。処方薬を飲んでいるところを見られようものなら、またおばあちゃんの詰問に合う。口に含んだまま、水道水の出る蛇口に向かう。「あんたな。夜に明かりつけて網戸にしたらいかんのよ」知るか!緊急事態だ!黙ったまま食器棚からコップを出して水で飲み下す。危なかった。あの場で自分が倒れたらマジでやばかった。ちょっと効いてきたのでせにゃいかんことをしようとしたんだが、お呼び出ないらしい。仏間のパニックを感じながら、叔母方のおっちゃんが絶対にまだ上がらない、との意思表示をしたので、ここは、と思い、靴を脱いで上がる。「これはここ!これはこれでいい!これは日にちが明けてから!とりあえず帰らせ!」と仕切って、「仏間できました。どうぞ」でおっちゃんおばちゃんもう帰らなやってられん状態。見送ろうと玄関について行った。母の「あれはどこ?」攻撃。「ありました!ご安心しておかえりください!」見送りで礼をしたが、90度だった。無意識なのにね。気持ちが出るね。
そこから自分たちのサルベージ。呑気に「あんたら泊まっていかんのな?」「ばあちゃんな、うちはうちでやることがあるんや」と挨拶もせずに帰る。あとから聞けば、母に「大丈夫な?」と聞いてたらしい。大丈夫なわけあるか!お前の不可知領域かつ被差別領域に踏み込んでるんだからほんとのことなんて言えるか!ババアに申し伝えたら、きっと座敷牢の世界なので、両親のそこの理性には感謝したい。
帰りながらうだうだ。珍しく母が飲まないとやってらんないね、状態だったので、缶ビールを美味しく注ぐ方法を実践して、本当の直来。
ここからは結構スピリチュアルなのに事実として観測されている事象を改めて結び直した話になるので、またの機会に。
Adeu!
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ドラクエⅧリメイク(メインシナリオ)クリアしました

キタカミの里を訪れたい衝動を抑��、暇な時間を見つけてひたすら3DS触ってたふねけです。めちゃくちゃ面白かったので完走した感想をレポートの如く連ねています。
※以下全文クソ長感想&ネタバレ注意※
感想を書くに際しまして、wiki等でドラクエ8の情報を漁りある程度の"答え合わせ"は済ませてある状態です。あしからず(本来拾えた筈のアイテム、リメイク前との差異、etc…)
ものすっっっごい個人的なことばかり書いてるので共感とかそんなに無いかもしれません。ご了承ください。
此度のドラクエ8プレイに当たる基本的な方針として
・可能な限りリメイク版追加キャラクターであるゲルダ、モリーの使用を避ける(めっちゃ強いらしいのとなんとなくリメイク前の質感に近づけたかった)
・ヌルゲー化を避ける為過度なレベル上げはしない(道中見かけたメタルは狩ろうかなくらい)
・あまりにも詰まったら普通にwiki見る(方向音痴定期)
というのを気にしてシナリオを進めていました。縛りというかめんどくさいこだわりの域ですね。
どうせ縛るのにモリーを仲間にした理由はもちろんエンディングに居て欲しかったからです。仲間になるという情報をプレイ前に得てしまっていたのもありますが……


最終的には画像の育成状況で暗黒神を屠ることに成功しました。結構満足してます(上は父上のデータ)
印象的なキャラ
ククール : 彼のビジュアルや性格はDCD版モンスターズバトルロードやヒーローズで断片的に得ていましたが、実際に本編を遊んでみてその味わい深さに気付いたクチです。案外というか結構アツい男。話が上手く、煽りのセンスが無駄に高い。当然本人も好きだが後述のマルチェロとの関係も好き。
マルチェロ : ライバルズではお世話になりました。確かに彼の持つ人格は素晴らしいものとは言えないかもしれませんが、一時とはいえ一般人から法皇にまでのし上がった圧倒的な野心家&努力の人というイメージです。ゴルド崩壊後のククールとのくだりは全人類の心が動く。
てっきりリメイク前からあると思っていた「奈落の祭壇」での共闘シナリオがアホ良かった。時系列的にはゴルド崩壊後すぐ挑めるので復帰早くね?とは思いましたが
リメイク前ではあれ以上��終ぞ埋まらなかったマルチェロ、ククールの歪な兄弟の溝が「奈落の祭壇」の追加によりほんの少しでも埋まったのならそれはとても素晴らしいことなんじゃあないでしょうか。
ミーティア :ウマ娘。普通に善い娘すぎるのでクリア後のシナリオも最低でも主人公とミーティアが結ばれるところ(+地獄の帝王との邂逅)まではやろうと決意しました。あと母親似っていうかもう本人じゃん。
モリー :DCDのモンスターバトルロードのオタクであり残党なので彼を見ているとものすごく懐かしい気持ちになる。YOUのチームに命令を与えるのだッ!!
いちキャラクターという観点から見てもロマンに対して無限にアツい漢であり、年長者としての視点をちゃんと持っていたり、夢を叶えてくれたから今度はボーイの夢を叶える為にどこまでも付いていくと言いなんか暗黒神のとこまで一緒に来てくれるおもしれー男。善い人すぎません?
印象的な敵
オセアーノン : 他の作品の扱いが結構良い割に思ったよりちょい役だったモンスターその1。序盤の海で出会ってボス戦してそれ以降見ることも無かった。思ってたんと違う……
ドン・モグーラ : 他の作品の扱い(ry その2。キミさ、ジョーカー2で闘技場の責任者やってたりドラクエ10で激強アクセのコインボスになってなかった……???ハープ取り返してアジトが売地になってた以降、彼の姿を追うことができない。思ってたんと違う……
バベルボブル : 単純に好きなモンスターでもある。モンスターズシリーズではとりあえずで作りがち。トロデーン城を前にしてエンカウントしたボルがおもむろに目の前で合体し出し、そして完成したコイツにパーティを半壊させられました。(割と色々な作品で強めの扱いされてる合体モンスターをこんな序盤寄りのなんの変哲もないフィールドで出すな)
ドルマゲス : 化け物その1。リメイク前も強かったらしい。方針に過度なレベル上げはしないとしましたが初見時のレベルで彼に勝てるビジョンが一切見えずククールがベホマラーを覚えるレベルまでトロデーン城ではぐメタ狩りしてました。屈辱。そしたら逆に簡単になっちゃった。マジで屈辱。もし次最初からやる日が来たら頑張ってククールのベホマラー習得前に倒してやります。
レティス : 化け物その2。やっぱりリメイク前も強かったらしい。彼女のわしづかみ一撃でゼシカのHPがオレンジに染まったのを見て素で「は?」って言っちゃった。しかもなんか異様に硬いし。バイキルトかけたヤンガスの蒼天魔斬で100くらいしか出なかった気がする。当時間違えて多額のゴールドを抱えて彼女に挑んでしまい、本当に絶対に負けたくなかったのでゲルダのゴールド投げを解禁してしまった。マジで屈辱。
ジャハガロス : リメイク版の刺客。普通に1回全滅した。マルチェロがいなければ即死だった。第二形態は大岩投げで全体に100〜130くらいのダメージ出してくるし、いなづまで合計約400ダメばら撒いてくるし、かみなりパンチで確定麻痺攻撃してくる。しかもAI2回行動。つまり大岩投げ×2を1ターンでしてくることもあるんですよ。ウソでしょ……???
ただ、挑んだ時期が悪いのもあります。この「奈落の祭壇」というダンジョンは必ずしもゴルド崩壊直後の解放された瞬間に挑まなければいけないものではないらしいです。
というかジャハガロス本人より助っ人のマルチェロの恐るべき強さの印象の方が強いです。こういうキャラって仲間になったら弱体化するのが世の常なのに彼は違いました。助っ人キャラの例に漏れずマルチェロはHP、MP共におおよそ無限。いなづまのダメージも運が良ければ吸ってくれるし、グランドクロスで150くらい、メラゾーマでなんと250くらいのダメージを叩き出してくれる正真正銘の化け物です。お前も仲間にならないか……?
暗黒の魔人 : なんか微妙に弱くね?
暗黒神ラプソーン : あんま強くないって風の噂で聞いて正直ナメてかかりました。リメイク前の話だった……インターネットに踊らされるな
全滅回数は4回。一番苦戦しました。なんかリメイク後の今作で超絶強化貰��たらしくて、神々の怒りで運が悪ければ問答無用で1人即死するし、頻繁にいてつくはどう打ってくるし、マダンテ+叩きつけとかいう低耐久絶許確定即死コンボを予備動作無しで放ってくる。普通マダンテ前にはめいそうとかするもんじゃないの!?!?!?
ピオリムかけないと絶対に上取れないし(ポケモンで学んだsの重要性)、エルフの飲み薬やせかいじゅのしずくフル活用だし、マジックバリアを絶やさなければマダンテ+叩きつけをゼシカは無理でもククールはギリギリ耐える事を発見しなければ勝てなかったと思います。最後の戦いに相応しい、文字通りの総力戦でした。ヤンガスには3回くらいメガザルしてもらいました。R.I.P.
色々なお話
ドラクエ8よりも先にドラクエ10をプレイしてしまったふねけにとってのBGMの第一印象としましては、
トラペッタにて
(レ◯ドア(ラッ◯ラン)じゃねーか…!!!)
フィールドにて
(氷の◯界じゃねーか…!!!)
アスカンタにて
(グラ◯ゼドーラ城じゃねーか…!!!)
という感じでした。いや違うんだよ。やったことない��ームの筈なのにどこへ行っても聞いたことのある、ある程度刷り込みが、認識が成されたBGMが流れてくるんだよ……!"こっちが原作"だと頭では理解してても、逃れられないドラクエ10の認識の呪縛が先回りしてくるんだよ……!!しかし まわりこまれてしまった
ほかのゲームで聞いたことがある、つまり他のゲームに多く起用されているということは、それだけドラクエ8のBGMの完成度が高く、愛されている証拠でもありますね。ほんとに聞いたことのないBGMの方が少なかったです。
あとBGMの話でもう一つ、物語の最後を締め括る戦いである暗黒神ラプソーン戦の、あの有名なBGM「おおぞらに戦う」ですが、
生で(生か?)聞けて良かった……!!!自分の打つコマンドで繰り広げられる戦いの背景にあの神BGMが流れてるのホントに感動しますね……
ドラクエのラスボスのBGMって【魔王の恐ろしさ、性質を前面に出すBGM】と、【最終決戦そのものを表しているような、勇者を鼓舞するようなBGM】の大きく二種類に分けられがちで、例えば「悪の化身」、「オルゴ・デミーラ」なんかは前者に、「勇者の挑戦」や「決戦の時」なんかは後者に分類されます。そしてこの「おおぞらに戦う」は正に後者の代表格と言えるでしょう。
ふねけはRPGとかのラスボスのBGMって結構大事な要素だと思っていて、無くてもいいけど(演出の都合とかもあるし)、有れば絶大なチカラを発揮し、物語を鮮やかに彩るモノという認識です。そのカタルシスの質さえ平気で左右してしまうような要素で、もし自分でゲームを作ることになったら、多分ラスボスのBGMには力を入れると思います。それくらいの代物だと思っています。そして、今作の「おおぞらに戦う」はその完成系の一つだと思っています。
それと色々調べてる内に気付いたのですが……そういえば一応メインシナリオをクリアした筈のふねけのふくろにドラクエ8最強のアイテムと名高い『ふしぎなタンバリン』と、なんか高速で移動できるらしい『バウムレンのすず』が無えな、と
あれ、またなんかやっちゃいました?(汗)(涙)
『ふしぎなタンバリン』に関してはレシピを教えてもらえるのがクリア後要素とのこととあるので、情報をある程度断ち気味だったふねけが作ってないのはまあ仕方ないです。ただ、材料自体はレオパルドの時くらいにはもう揃えられるらしいですね。
『バウムレンのすず』は……いや、存在すら知らなかった。というかフィールド移動が徒歩固定なことに何の疑問も抱きませんでした。考えてみれば確かに……最近のドラクエは徒歩以外の何らかのフィールド移動手段を用意されがちですが……(10のドルボード、11のウマ等)
という訳でタンバリンは仕方ないとしても、探索不足で読むべきストーリーの一つを読まず、挙げ句フィールド移動の時間を無駄に引き伸ばしていたみたいです。こんなハズでは……
話は変わるんですけど、モンスターズの方にこの世界では親鳥の、我々を背に乗せ暗黒神と戦ってくれた『神鳥レティス』と、死してなお"神鳥のたましい"に姿を変え一行を支えてくれた、その"子"の成長した姿らしき『レティス』がいますよね。
もしかして、いやもしかしなくても、子供の方の黄色い『レティス』がちゃんと自分の"肉体"を持って存在してるの、めちゃくちゃ涙腺ブッ壊れ案件なのでは………?
さいごに
ここまで読んでいただきありがとうございます。さらに細かい感想とかはもっと無限に湧いてくるんだけどそれこそ無限に等しいので心の中に納めておきます。
履修できて本当に良かったです。背中を押していただき誠にありがとうございました!
クリア後要素につきましては他のゲームとの折り合いを付けながらチマチマ進めていこうと思います。さっきも言いましたが、ミーティアと主人公の結婚を見届けるのと地獄の帝王に謁見するまでは最低でもやりたいと思ってます。
不一
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上信電鉄200形
ボディはどことなく西武鉄道を思わせるけど、素性は101系電車に結構似ているという感じ。そして性能面で面白いのが定格速度51.5km/hっていう点。最高速度80km/hの路線でこの定格速度は無駄に速い。だったらギアリングをもうちょっと深く取って定格33km/hくらいにしたほうが使い勝手いいと思うんだよね。ちなみに全界磁までの加速力はギアリング5.6で1.8km/h/s。1M1Tならこんなもんかって感じかな? モータはTDK-806だから小田急のロマンスカー・SE(3000形)と同型(つまり国鉄101系のMT46Aの親戚。端子電圧が750Vか375Vかの違い)。つまり高回転低トルク型のモータなんですよ。それを1M1Tで運用するんだからまあ、こういう性能になる
で、なんでこんな性能になったかというと上信電鉄が国鉄に直通して新前橋に乗り入れるというのをもくろんでいた��て話があって。それならば駅間4kmに合わせたこのセッティングも納得がいくところなんだよね。速い電車を遅くするのはまあそれほど難しくないけど、遅い電車を速くするのは難しい。だから性能面では「速い国鉄」に合わせて、「遅い上信電鉄」ではノッチ制限とかで対応、もしくは1M2T運転でもすればいいじゃん、みたいなノリでまとめたんだろうね。全界磁までの加速力1.8km/h/sってのも115系と同じくらいだから国鉄線を走る分には問題ない性能。設計最高速度90km/hってのは国鉄線ではちょっと物足りないけどこれは40%くらい弱め界磁かませれば100km/hくらいならどうにかなる
ところでそうなると上信電鉄の事情で右側運転台なっている乗務員室まわりで国鉄から文句が出ないだろうかって一瞬思うんだけど、片乗り入れの場合小湊鉄道や小田急電鉄みたいに民鉄の乗務員が国鉄の研修を受けてそのまま国鉄線を運転するという形だったから、運転台の位置は別にそこまでとやかく言われなかったと思う
まあ結局国鉄乗り入れは夢で終わったけど、そのセッティングに国鉄直通の夢が残っている電車、なんてのも趣味的にはなかなかいいもんじゃないですか
ところで上信200形の台車、国鉄のDT21ライクな近畿車両製KD-207なんですが、上信200形の4年前に福井鉄道が200形をデビューさせてるんですが、こちらもDT21ライクな日本車両製ND-108台車履いてるにもかかわらず、福井Ver.にはボルスタアンカついてるんですよね……
高速運転をするのは国鉄の太くてたくましい線路の上だけで、線路が弱い上信電鉄では速度を出さないからボルスタアンカはなくてもいいと判断したんでしょうか。まあ実際国鉄の近郊型以下の台車にはボルスタアンカついてませんけど、ボルスタアンカがないと乗り心地に露骨に差が出るんですよね……
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創価学会と公明党、統一教会と同じだ
櫻井よしこ
衆議院の小選挙区「10増10減」に伴う候補者調整をめぐって自民党と公明党の対立が深まり、東京都における選挙協力が成立しなくなるという。公明党の集票力は1選挙区で約2万票とされ、先の衆院選で次点との差が2万票以下だった5人の自民党議員の当選が危ぶまれる。
5月29日現在、東京都に限られている協力中止が他の選挙区に拡大し全面的中止となった場合、自民党の衆院議員262人の内、当選が危うくなるのは60人から100人規模だとされる。
20年以上も続いた自公協力はここまで深く自民党に浸透してしまった。だが両党の協力が国民、国家の為になっていない事実の前では、共闘を見直すのは当然であろう。
日本国はこれまで公明党の所為(せい)でどれ程恥ずかしい想いをしてきたか。最近の事例は中国の人権弾圧に対してわが国が声を上げられなかったことだ。2021年12月、自民党は対中抗議文策定の最終段階にあった。中国政府はウイグル人を100万人単位で収容所に閉じ込め、民族の言語を奪い、イスラム教を禁止し、中国共産党の信奉者になれと強制した。従わないウイグル人を拷問し、死に至らせる中国共産党の手法はジェノサイドだとして世界の非難を浴びた。
自民党は「新疆ウイグル等における深刻な人権侵害に対する非難決議案」を作成したが、公明党の竹内譲氏が修正を入れた一枚の縦書きの紙を出してきたと、当時自民党の政調会長代行だった古屋圭司氏は語った。
公明党の修正は「人権侵害」を「人権状況」に、「非難決議」をただの「決議」に弱めるものだった。修正点は他にもあり、その全てが「平和と人権の党」を標榜する同党の有権者への背信を示すものだった。
この種の事例には事欠かないが、より大きな問題として憲法改正がある。第二次安倍政権以降、わが国は戦後初めて憲法改正の発議に必要な衆参両院における3分の2の改憲勢力を得た。が、改正は一向に進まない。
「政治家とは何か」
その責任は第一義的には自民党にあるが、公明党の責任も非常に大きい。目前に迫る中国の脅威に、岸田文雄首相は防衛費を27年度にGDP比2%へ倍増するなど、手を打ち始めた。だが危機はこれだけでは防げない。自衛隊を他の民主主義国同様に軍隊と位置づけ、警察法の枠組みから解放しなくてはならない。それができないのは、憲法改正に常に後ろ向きな公明党に大きな責任がある。
選挙協力を望むのなら、都に新たに生まれる五つの選挙区中、28区を含めて二つをよこせという公明党の言い分を自民党は断った。政調会長の萩生田光一氏は自民党都連の会長も務める。氏は東京選出の衆議院議員21人を招集して考えを聞いた。公明党の支援なしには選挙は戦えないと弱気だったのは一人だけで、残り20人は基本的に公明党なしで自力で戦おうと意見表明した。それを以て萩生田氏は、公明党の応援に頼らず選挙を戦う、自民党議員としての本分を尽くすと党本部に伝えた。18区選出(新30区)の長島昭久氏が語る。
「これまで8回、選挙を戦いました。四方八方気を配って、この法案は強すぎるのではないかなどと考え後退するより、決死の思いで戦う方が有権者に伝わると思います。その意味で、自民単独で選挙に臨むのがよいと、発言しました」
公明党との選挙協力なしには当選は危ういと報じられた一人、山田美樹氏にも話を聞いた。
山田氏はこれまでは東京1区で、港区を地盤としていた。それが新しい区割では新宿区と千代田区だけになる。新宿区には創価学会の本部があり、学会員の動向は当然、選挙に大きく反映される。山田氏は港区で築いた実績、人脈、後援会、友党の公明党議員とも深めてきた相互理解など全てを置いて、新選挙区で一から出直すことになる。
彼女はしっかりした国家観をもつのみならず、政策立案能力も高い。自民党の政治家らしい実績を私は高く評価する。そうした政治家が選挙区で培ってきたものをいきなり白紙状態に戻すような区割をする審議会は一体どういう基準でこんな線引きをしたのかと、私は大いに疑問に思う。絶体絶命の次元に置かれた山田氏は萩生田都連会長にどう訴えたか。
「公明党に支えられている弱気な自民党では本当の保守勢力が離れていく。このままでは駄目です。その上で、自民党が自民党らしく潔く戦えば、無党派層の有権者がついてきてくれる可能性はあると、私は言いました。無論、私の立場は苦しいです。でもこれは政治家とは何かという根源的な問題です」
「創価学会の強い意向」
ここで注目すべきことがある。正論に立って揺らがない山田氏を含め、都選出の自民党国会議員の多くが公明党の議員に同情的でもあるのだ。理由は一連の動きを主導しているのが公明党ではなく、創価学会だという点に尽きるだろう。学会の力をフルに使って、政教分離を定めた憲法20条に違反していると言えるのが「創価学会の政治部長」とされる佐藤浩・創価学会副会長だ。
5月21日配信の朝日新聞DIGITALの記事のタイトルが、興味深い。「『軽く考えているのか』創価学会幹部が自民に迫る衆院選候補者調整」(傍点筆者)である。右の記事は5月9日に自公両党の幹事長と国会対策委員長が国会内で行った会談の様子を報じたものだが、公明党幹事長の石井啓一氏、即ち公明党執行部には、候補者調整の主導権がなく、彼らは「支持母体の創価学会の強い意向を体現しているに過ぎない」というのだ。記事は「候補者調整の実権は、ある学会幹部が握っている」とも指摘する。それが佐藤氏であることは記事の
続きを読めば明らかだ。
ここで統一教会問題と公明党・創価学会問題がぴったり重なる。安倍晋三総理がテロに斃れたとき、朝日をはじめとするメディアは総理殺害の重大犯罪に焦点をあてるのでなく、統一教会問題、宗教と政治に的を絞って被害者である安倍総理への批判を展開した。今起きているのは、統一教会の約100倍の信者数を持つ創価学会が政治を動かしているという厳然たる事実だ。統一教会の信者は6万から8万人だが、創価学会は近年の選挙で700万前後の票を獲得してきた巨大宗教団体だ。
その副会長が前面に出て、東京28区をよこさないなら学会の信者に指令を出して、自民党には投票させないが、それでよいかと言っている。だから朝日でさえ、「創価学会幹部が自民に迫る」とタイトルにつけた。創価学会と公明党によるとんでもない憲法違反が進行中なのだ。
自民党は公明党とのこんな“くされ縁”を断ち切り、山田氏が訴えたように自力で戦うのがよい。そこから保守政党として国民の信頼を取り戻す作業が始まるだろう。
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【遭難した話】 3/31(金)始発のバスを下りて私は1時間ぐらい歩いたつもりだったが、警察の方は30〜40分ぐらいの距離だと言っていた。 まずここから滑落まではただただ情報収集不足だったし、装備不足、判断能力不足。 落ちるべくして落ちました。 山屋だから当然、YAMAP、ヤマレコ、ココヘリも所有済。 なのに一切準備してなかったんです。 登山じゃないからって、渓流釣りを舐めてました。 知らない土地なのに、とにかく行ってみよう!と甘く見ていた。 地図読みなんかも一応出来るのに、ちゃんと見ていなかった。 そんなアホが大勢の人達を巻き込んでこの大事故を起こしたことを、まずお叱り下さい。 橋の近くまで来て川を覗き込んだ。 岩肌を見てここから下りれそうだなと、登山の経験を過信して行けると判断した。 その判断は大間違いだった。 土が柔らかく思ったより足場が悪かった。 捕まる木々も根っこが不安定だった。 案の定、早速落ちた。 10〜20mあったんじゃないか? 一回転したと思う。 そう、私はこの日釣りに来て早々に滑落したんです。 救助に来た警察官にも言われました。 えーじゃあ全然釣り出来てないじゃん!って😂 その後正しい入渓点を教えてくれました。 リベンジしに来なきゃねって。 優しい世界です。 私の返事はもちろん! 妹は余計なこと言いやがってと言っていましたが…w 落ちた先は川の端っこでした。 記憶が定かではないけど、多分お尻から落ちたんでしょう。 横に転がり両手を川の中に付いてました。 直後はパニックになったけど、落ち着いて落ち着いてって自分をなだめながら、まずスマホを落としたのを確認。 手足がどれだけ動くか確認。 生きてる?動ける?歩ける? スマホの電波はここまで来る途中からなかった。 だからスマホがあってもどうせ救助要請はできなかった。 頭は打ってない、首も胸も大丈夫、手も動く。 呼吸を整えて!ふうふう。 うん、立てない… あぁ右脚がダメだ。 左はなんとか付ける。 お尻も痛い。 あぁ、骨盤やったな、こりゃ… 右脚を引きずりながら腕の力で上流に少し移動したけど、ハングした岩があってそれ以上行けない。 まず落ちた場所が道路側で上から覗き込んでも見えない位置だったから、川を渡って対岸に移動することを決めた。 約2mの川幅で水流も弱め。下手したら水に流される可能性もあったけど、そこは意地と根性… 水に入れば浮力で足は楽になるから、後は腕力だけで移動。 顔に水が付くぐらい深い所もあり這って進んで流されそうにもなったが、女の根性火事場の馬鹿力。 無事対岸に到着。 上半身まで濡れて低体温症も恐れたが、その日暖かくなることを知っていたし、向こうに行かないと発見されないと思った。 そこから登り返すことは不可能だったし、右脚の大腿部頸部と骨盤をやったかもしれないと思っていた。 骨盤骨折が如何に危険なことかは知っていた。 内臓や血管を傷付けたら出血死すると分かっていたから、これ以上動かない、もうここで救助を待つことを決めた。 ある程度平らな場所で力尽きて寝転がった。 案の定寒くなって来て、まずリュックに入ってる物を出した。 若干濡れたULダウンと、レインウェアを急いで着る。 でも足が動かなくてズボンを履くのに苦労した。 痛過ぎてお尻が上がらない… そもそも体を起こすのも辛い。 痛みを我慢してやっと履いた。 靴もびしょ濡れで一旦脱ぎたかったけど、脱いだら履き直せなくなりそうだったし、���れ以上手を伸ばすのはもう痛すぎて紐を緩めるまでに留めた。 着ていたフリースはしっかり水を吸ってしまったため、絞れるだけ絞って、足の上に広げてかけた。 このお天気で少しでも乾いてくれたらと願って。 食料は多めに持っていて、おにぎり、サンドイッチ、パンを各1個。 しかし水を入れてたボトルも紛失したことに気づいた。 沢の水を飲めば良いんだけど、動けない。 どうしたものか… 釣り竿にコンビニ袋を付けて、袋で汲み上げる作戦! 持ち上げると竿が折れるから、ズルズル引きずり上げて、大成功。 ただ袋の水を手で掬って飲むことが出来なかった。 何故なら痛過ぎて手を付いていないと上半身を起こしていられなかったから。 朝食べたおにぎりの空を使って、それで掬って飲むことにした。 大した量は入らないが、いっぱい飲む訳ではないから、充分のぐい呑みだった。 いつ発見されるかわからなかったから、脱水、低血糖、低体温症にならないようにと考えた。 動かないからお腹も空かないけど、食べないと低血糖を起こすし、エネルギーも必要だと思って、ちびちび囓った。 もしかして一週間も見つからない可能性もあるかもしれない… 食料は残さなければと思った。 ここまでまだ朝の話だ。 一日長かった。 平日で釣り人や沢登りの人は皆無だろうと思った。 天気も良い。 だが定期的に寒気がやって来た。 悪寒と言うべきか、全身の震え。 いちいち筋肉が強張って患部が痛んだ。 これは外傷による身体反応なのか、外気に対しての寒さなのか、最後まで分からなかった。 長靴もあった。 靴を履き替えることも考えたし(無理だった)、最初は手を突っ込んで腕を温めるもしたが、体幹を温めることが大事だと思って、上着の中、胸に入れた。 小さい保冷バックもあったからそれも胸に。 他にもジップロックやコンビニ袋があったから、背中に入れた。 替えの靴下は手袋になった。 周りには落ち葉がたくさん積もっていた。 少しでも身体を温めるように、枯れ葉を掻き集めてこんもり足に乗せた。 どうやって集めるかって? タモ(釣り用の網)を使って、見えない頭の方も目一杯手を伸ばして回収。 時間はたっぷりあるから、普段のサバイバル精神をフルに使って色々工夫した。 流石に夜は寒かった。 リュックを肩に乗せて寝ていたら、自分の近くに石が落ちた音が聞こえた。 上の山で鹿が歩いてるんだと思った。 あいつらが歩く度に落石があると思うといつ頭に直撃するか怖かった。 リュックに両腕を入れ頭を保護。 追っ払うために声を出したら、そのうち落石はなくなった。 ちなみに翌日も同じことが起きた。 熊もいるかもしれないけど、岸壁に囲まれた深い谷の渓流だから、餌場もないし動物はあまり入らないだろうと予想していた。 熊だけは来ないことを祈るしかなかった。 ロキソニンとエペリゾン(鎮痙剤)とデパス(抗不安薬)、眠剤各種を持っていた。 夜をメインにちょっとずつ時間を見ながら内服していた。 夜がとにかく長いから、眠りたかった。 時計はあまり見ないようにした。 見てもあまり時間が経ってないから。 2日目も良い天気だった。 今いる場所がどうも斜めになっており、真っ平だったため体を起こすのが辛かった。 頭側を高くしたかったから、数m、ほんの少しずつ腕の力で移動し、具合の良いところで収まった。 万能道具達も同時に移動させ、また枯れ葉を掻き集めた。 土曜日だから釣り人に期待した。 時々見上げた先の道路に車が通るのが見えた。 声を上げてみたが当然気付かれることはなかった。 よっぽど車から降りて見下ろさない限りは見えない深い谷だった。 天気が良いのに相変わらず定期的な悪寒と、とても眠かった。 窮地に立って仮死状態になるのか? ウトウトすることが多かった。 寝てると悪寒が来て寒さに震えてたまに痛みを堪えてなんとか起き上がって水を飲んで食料齧って… そんなことを繰り返してると、夕方になった。 この日出勤予定だったから、職場に来ない連絡も取れないとなれば確実に捜索願が出るだろうと思った。 ここから捜索か… 夜は動かないから明日の朝からだな… どこかで明日には見つけて貰えるだろうと期待していた。 Suicaの履歴を調べりゃ直ぐわかると思っていた。(実際はそうじゃなかった) もう一晩我慢しなきゃ。 いよいよ体力?筋力?が落ちて来て自力で首が上げられなくなった。 手で頭を持ってなんとか半身を起こして水を飲んだ。 2つ目の食料残り僅か。 3日目に入った夜、小雨が降った。 眠ってて気付いたら足の上に乗せていたフリースが濡れてしまって凹んだ。 まぁ下半身はすでに濡れてたし、落ち葉をたくさん乗せて葉っぱに埋もれるようにしていたからそのままにした。 足が寒いのは仕方ないから上半身だけを守った。 幸い雨はすぐ止んだ。 夜が明けて青空が見えたのは奇跡だ。 今日は日曜日、人が来ないか期待した。 ふと横を見ると釣り人が見えた。 と思って大声で叫んだけど、向こうに行ってしまった。 とうとう幻覚が見えるようになったか? 低体温症で幻覚が見える症状があるが、そこまで重症になっている印象はなかった。 そもそもそうなれば自覚もないんだろうけど… 脱水も低血糖もなさそう。 貧血でもないと思う。 それを心配する余裕もまだあった。 冷静を保っているつもり。 沢の音で声はかき消されるし、横たわってたので見えなかったのかもしれない。 ただ、前日より更に眠気が強く、夢だと思うしかなかった。 首が上がらないし、疲労もあって起きるのは精一杯だった。 もう半身の半身で、ほぼ横向きで水をやっと飲んでいた。 眠気が酷い。 この日も時々車が通り過ぎるが、声を出して無駄な体力を使うより、大人しく見つけて貰うのを待とうと、辞めたというか諦めた。 どこかで今日見つけてくれると信じていた。 上のガードレールとは別方向の道路に、白い車が停まってるのが見えた。 いつから停まってるか気付かなかったが、何度も見てあれは車だよな?と目を凝らした。 きっと釣り人が来てるんだろう。 車にはいないだろうから、車に帰って来たところがチャンスだと思って、その時に声を出そうと決めていた。 眠気に負けてよく寝ていた。 悪寒で起きて、水を飲んで、食料を齧って、また寝て… 時計は見たくなかった。 空の色や影を見て、なんとなくの時間を予想していた。 時間が経つに連れ、もし今日来なかったら…また夜かぁ… そろそろ雨が降るんじゃないか。 体力…持つかなぁ… なんて不安もよぎった。 陽が傾いて来た頃、ふと見ると白い車が消えていた。 しまった!いなくなってしまった。 まぁ声を出したところで無駄だっただろう。 諦めるしかなかったが、一つのチャンスだと思っていたから多少凹んだ… 時計を見たのは15時半頃だと思う。 捜索時間はもってあと1時間半だな… 陽が暮れたら明日だ。 間もなくして、ふと見るとガードレールから人が覗いているように見えた。 声を出したらどこかへ行ってしまった! 待って!行かないで!ここだよー! やっぱり幻かと思った… そしたら、いなくなった人が戻って来た。 …手を振ってる。 そして続々と人が集まって来た。 あぁ…救助が来たんだ。 両手を振り返した。 第一声、「大丈夫ですかー」と聞かれた。 腹から声を出した。 それからもその距離で大声で叫びながら会話した。 名前を言えるか、動けるか、どこが痛いか、等々。 到底3日遭難して弱っている声ではなかった。 なんだ、自分結構元気じゃん、と思った。 そこからまず一人の警察の方がロープで下りて来たが、私が下から見て下りるルートを指示するほど、急な崖だったことを再認識した。 もし両腕、両脚を付いていたら開放骨折、出血死だっただろうし、頭や首だったら即死。 肺を傷付けていたら3日は持たなかっただろう。 出血がないことは本当に奇跡。 消防の救助隊をもう一人要請している間、警察の方と和やかに会話した。 温かいお茶を保温ボトルに入れて来てくれて、ありがたいと受け取ったが熱過ぎて火傷するわい!と心の中で突っ込む余裕もあった。(最後熱過ぎると正直に言った←この期に及んでワガママ言うな!) 骨盤と、当時は右大腿骨頸部もやったと思っていたからそれを報告して、簡易的に固定してくれた。(激痛) もう一人も下りて来て、後は救助用の担架のボードに折り畳められた。(激痛) 下半身は川に沈みながらも対岸へ移動。(激痛) 上の道路から崖を吊り上げる形で無事、地上に戻った。(激痛) もうそこからはたくさんの人間に取り囲まれ、外すもの付けるものガチャガチャやいのやいの。 皆さんのプロの手際でストレッチャー に移動し、救急車に乗った。(激痛) 本当に情けないことに、毎度断末魔の叫び声を上げ、涙が出るほど痛かった。 テメェが悪いんだから痛いのぐらい我慢せいと言われるだろうが、こんなことになるとこんなに痛いんだよというのを伝えたいから敢えて言う。 今も痛いけど、生きているんだから感じる痛み。 もし死んでたら、痛いなんてワガママも言えず、今ここにいないんだ。 私の不徳の致すところで、最初は誰一人行き先を知らなかった。 そんな中での救助に至るまでの経緯は、また改めてツイートすることにします。 怪我はもちろん、見つかったのも奇跡があった。 全ては妹と友達、たくさんのいいねと拡散で心配してくれた皆様、警察及び捜索隊の方々のお陰です。 遭難の間の話は一旦これで終わりますが、感謝して���し切れず、伝えたいこともいっぱいです。 アホの遭難話をどうか笑い事にしながら、山や渓流、自然を楽しむ皆様がどうか安全に楽しんでくれることを願って、このお話を締めたいと思います。 まずはここまで本当にありがとうございました。
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331 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2025/03/16(日) 14:23:45.31 ID:rLbDNjjN 父方の伯母は超がつく程の天然キャラで、衝撃的なエピソードに事欠かない
・家の近所で火災が発生した時、パニックに陥って手に大根・右足にサンダル・左足に下駄を履いたまま外に飛び出して 「おとうさん(伯父のこと)!119番って何番!?119番って何番!?」と叫ぶ
・伯母の娘婿(自分から見て従姉妹の夫)がタイトで少しテカテカした生地のズボンを履いているのを見て一言 「やだぁ~いい歳した大人がお漏らししてぇw」 ※ちょうど股下が濡れているように見えたらしい
・正月に父と共に伯母宅へ訪問した時、父に向かって一言 「今日は良い下ネタネギが入ったわよ」 ※下仁田ネギの事を生まれてこの方ウン十年以上も下ネタネギだと思い込んでいた
…フェイク入れたが、あまり書いてると身バレしそうだからここまでにする (ノ∀`)
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本日カミさんの病院へ行った帰り道、いつもの経路が工事中のため千曲川沿いの道路に下ったところ、ダブルの虹に出会いました。小雨が降っているけど画面右側(南側)には太陽が覗いていて起きた現象ですね。

もっとよく見ようとさらに走って(東に)千曲川右岸(河川の場合、下流に向かって右が右岸になります。)に渡る「男橋」の上で撮りました。クリアに見えますね。地上から太いホースで虹が噴出しているみたい。

で、橋を渡って右岸の道路を進みます。ちょっと右側にうっすらともう一本の虹が見えますね。 実はこの日、帰る途中で洗車をしたんですね。もともと汚れていたのに18、19日に30cm積もった雪でさらにドロドロになったのをさっぱり綺麗にして走って来たのに隣の南牧村辺りから元の木阿弥。まあ、前よりはマシですけど・・・。

我が家まであと7〜8分の辺り。千曲川左岸から昇る虹です。河川敷が黒く見えるのは昨日この地区の農家と消防団が野焼きを行った跡です。いよいよ春が近づいて来てますね。 洗車が無駄になったけど、ちょいと楽しめた帰り道でした。(2025/3/24)
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250221-23 韓国・ソウル編
ただいま!
おそらく人生初だな5泊6日の旅
感想、すごく楽しかった!けどやっぱり疲れたね
今回は一人だったけどこれが家族、友人となるとまた楽しさも感想も違ってくるんだろうなと旅の間何度も思った
今まで旅に行くたびにしっかり感想を書きたいと思うけど長くなるから書き切る前に疲れちゃって下書きに残ったままの日記が複数ある
今回こそは絶対に残したい、と言う気持ちで前半(ソウル)、後半(釜山)分けて書く
いきます、
21(金)初日
朝イチとまではいかないけど10時台の便だったからチェックインのことも考えて朝早く家を出た
平日だったから誰かに送ってもらうこともできず小学生が歩いて登校してる中でかいキャリーをゴロゴロゴロしながらバス停に向かった
空港着、今回は初めてのエアソウルを利用したチェックインまで20分くらい待ってチェックインと荷物を預けを済ませた
韓国の友達が空港まで迎えにいくよって言ってくれていたので早く空港を出られるようオプションを追加して(といっても500円)優先荷物受け取りのサービスを追加してみた
あのレーンの前でじっと自分のキャリーを待ち続けるの地味にストレスだよね
特に遅延もなく離陸からの着陸
そのまま足早に入国審査のエリアに行って紙をささっと書いて
過去ニ回とも第一ターミナル着のジンエアーを利用したから今回初めての第二ターミナル、いろんな航空会社の飛行機が着陸するからか私含め外国人の方が多いきがした
入国審査めっちゃ並ぶって聞いてたから1時間くらいかかるのかとビビってたけど15〜20分くらいで行けたと思う
でもさ、自分の番が来る直前にさっき書いた入国の紙がない!って(多分書いた台のところに置いてきた)なってめちゃくちゃ焦ったけどその紙書いてる時にこれいつも書く内容忘れてその場で調べたりするの大変だから予備でもう一枚もらっておこうと思ってパスポートに挟んでたから小分けの列の後ろに戻って急いで新しい紙書いたから被害は最小限に抑えられた
この時点で到着して30分以上経ってたから入国審査終わって荷物受け取りのレーン行った頃には私の荷物含めて3つくらいしか流れてなかった、500円無駄にしました(お勉強代ですね)
自分のキャリーもゲットして自由の身だ〜ってなったところで迎えにきてくれていた友達とも合流できてまずハグ、大好きハグ
ちなみに会話はできない、全部携帯の翻訳
そろそろフレーズだけでもいいから覚えようねと思った
ちょっと待ってたらアッパが颯爽と登場して荷物乗せてその日泊まる宿があるホンデまで送ってくれた
お土産で持って行ってたお酒を渡したらすごく喜んでくれてよかった
普段お酒を飲まないから詳しく無いけど学生の時バイトしてたお店で出してたやつが美味しかった記憶があってそれを頼りに選んだ
一応福岡、九州のものを選んでみた
その後アッパも一緒にお昼食べるかと思ってたらそのままお家に帰っていった
また夜ごはん食べる時に来るって〜だって
娘の友達を送ってくれるためだけに休日の貴重な時間を…なんて優しい…ここで私の父との違いを感じ感動
その後荷物を預けてお昼ご飯を食べに行った

ここ私的今回の旅で一番衝撃的な美味しさだったお店
中華料理だと思うんだけど
食べたことない味だけどなんかもう美味しくて、うまい!うますぎる!!!って感じ無心で食べた
韓国に行ったらつい韓国料理を食べようになるから油断してた、ここはまた行きたい
その後友達と毛糸屋さんに行ってその上に併設されてるカフェで編み物やってみた
ここにいる人みんな1人でひたすら編んだりお友達たくさんで編んでたり楽しい空間だった

私の買い物についてきてくれて一緒に毛糸見てたら私もやって見たくなったと挑戦する友達、がんばってた、私はスイスイと編むかと思いきやいつもとは違うかぎ針編みだったので二人して全然できねぇ〜となって終わった
その後はオンニと友達の家族と合流してタッカルビを食べに行った!
ちょいと予約の時間に遅れてしまい事前に注文しててくれたみたいでお店に着いたらすでに完成していた
オンニとオンマが素早くテーブルセッティングしてくれるのを眺めてすごい!となる私(あなたも手伝え)


タッカルビ、家でもどきみたいなのは食べたことある気がするけど本気のタッカルビはなかったから初、美味しかった
エゴマの葉を入れて食べて、麺を追加して食べて最後にご飯入れての三部構成だった、鍋食べる時みたいな流れだったね
私があまり辛いものに強くないから辛くないのにしてもらったよ!と言われたけど少しだけ辛かった、けど本当においしかった!
辛いものは好きなんだけど強くないという悲しい性質韓国の辛くないレベルでも全然辛く感じて日頃から食べてるからかと感じた
2日目!
朝昼ごはんにカルグクスのお店に連れてきてもらった

まず左上の前菜セットが出てきた、
ご飯にエゴマ油をかけてちょっと食べる、その後にコチュジャンをかけて混ぜて即席ビビンバのようにし食べるんだって
アッパはもう最初からエゴマ油とコチュジャンかけて混ぜて食べてた
コチュジャン摂取を極めていた
これ具材がたくさん入ってるわけじゃないのにすごく美味しくて帰ってきた今でも家でよくやってる
そして海鮮チヂミとカルグクス
左は冷たい豆乳スープ麺で右はアサリが入ったあったかいうどん
韓国人は夏に暑いからこの冷たい豆乳スープのカルグクスを食べるんだよ〜って教えてもらった
そうめんとか冷やし中華的なポジなのかなと思った
オンマ、朝だけどマッコリ飲んでいいかしらと言って飲んでた(かわいすぎる)ので私もすこしいただいた
初マッコリ&初朝から飲酒で楽しかった
その後は私が行きたかった東大門市場まで送ってもらって布を買いに行った、
安かったなーツイード生地が日本で買うより1/4くらいの値段で買えて満足!
その後布ゾーンからリボンとかデコパーツゾーンに移動した
土曜だったからか子供から大人まで家族で来てたり自分の好きなものを作ることへのハードルがすごく低くて自分のアイデアを形にしやすいのいいなーと思いながら眺めてた
その後KWANGYAに寄って먹2Uに登場してたチキンのお店に行った

どうやったらこんなパリッパリカリッカリに仕上げられるんだと感動して食べた
味も美味しくて後半はヤンニョムソースにつけながら食べるのもよかった
店員さんもトレカとかぬいを見てシズニ?写真撮ってあげるよー携帯貸して〜とやさやさだった
3日目!
この日は威神のソウルコンに入る日だったのでお昼ご飯を一緒に食べて別れた


ミナリ&しゃぶしゃぶ
スープも辛すぎず豚スライスとミナリときのこと一緒に食べるの美味しかった…
お店の情報はない!記録し忘れた

そして近くのカフェで時間までお茶しよ〜って入ったお店でまさかのお誕生日おめでとう〜してもらった
お店の中では火つけちゃダメって言われたみたいでちょ、外出てって連れてかれて外出てろうそくフ〜しました
嬉しくて号泣、書いてないけどこの3日間で合計8回くらい泣いた、ずっと優しくてご飯食べる時あったかくてこんな幸せでいいものか…と胸いっぱいだった
この後威神に行ったんですけど写真これ以上貼れないので一旦終わる!
ほぼご飯
ずっと美味しかった
次は後半釜山!書くぞ!

↑渡す前にバタバタ撮った酒の写真(記録用)
・米焼酎の「鳥飼」←これはすごく飲みやすくて美味しかったはず
・日本酒「若波」←なんかよく見かけるから多分おいしいはずと思って買った
・あらごし梅酒「うぐいす鶯とろ」←これも果肉が入ってて美味しかったと思う
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chapter 9
file 08
後戻りはできない
( (この音楽を聴きながら第9章を読んでください。ベートーヴェン -「月光ソナタ」第1楽章 - 432 Hz -(ピアノ演奏))
殺人鬼を捕まえるには、殺人鬼のように考えることが必要だ——時には自分自身がその存在になる必要さえある。それがSansとRaysが始めたゲームだった。Sansには勝つためにできることはあまりない、少なくとも彼はそう思っていた。彼はSnowdinを彷徨いながら、弟を置いていき、彼にまとわりつく雪を払った。
残念ながら、これは夢ではなかった。Sansは魂が抜け落ちたかのように歩き、その目は遠くを見つめ焦点を失っていたが、彼の心はただ一つのことに向かっていた。自由に動けるのは自分だけだという苦い現実が、彼の口の中に嫌な味を残した。彼は目を閉じ、この悲劇的な現実���受け入れる準備をした。
「これがゲームの始め方だっていうのなら、俺もそれに乗るしかねぇな。」
Sansは自分を助けるか、あるいは奈落に突き落とす可能性のあるさまざまなシナリオを思い浮かべた。どの計画も、彼がずっと避けてきた暗い場所へと導いていた。それまでは遠くから観察するだけだったが、今ではもはや制限はなかった。道徳を犠牲にする道が大きく開けていたのだ。
「さよならだ、Sans。」彼は真剣にそう言った。そして結果を受け入れた。これが彼の新しい自分への歓迎だった——血に染まった道を歩き、光を置き去りにしなければならない。
「フリスク、今どこにいるんだ、ん?」
彼はあの人間を利用することができた。そしてもう一人...あの人間と同じ姿を持つもう一つの存在。 この世界の暗い領域に玉座を持つ女王。
「Chara、お前に会うのが待ちきれねぇ。」
Raysのおかげで、SansはUndertaleの世界の隅々まで知っていた。プレイヤーを無力にし、彼らの意志を強制的に従わせることができる存在さえ知っていた。 FriskとFloweyだけが知る隠された存在、Chara。Sansは成功のために彼ら両方を見つけなければならなかった——力ずくでなければ不可能だったとしても。
Sansはそれに気づいていなかった。だが、その笑み——いや、むしろその薄笑いは——Raysと同じものだった。それが無意識のうちに彼の顔に浮かんでいた。その笑みには恐怖が宿っていた。それは決意と深い絶望によって形作られたもので、雷鳴のように轟き、隠れた深みから獲物を打ちのめす準備ができていた。
Sansの足取りはいつもより軽やかだった。これまで彼が拒絶してきた最悪の側面を、今回は拒むことなく、両腕を広げて受け入れていた。その背後に漂う暗い霧は今や彼の身体を支え、彼の最も暗い側面から遠ざけていた鎖を断ち切る満足感で彼を強化していた。
Sansが到着したのは、お気に入りの場所——Waterfallだった。その場所はいつものように静かで穏やかだった。魔法の結晶のような青い輝きが、彼の肩に溜まった緊張をほぐしてくれた。それはまさに目に優しい光景で、とても美しかった。水の穏やかな流れと周囲に咲くエコーフラワーが、彼の心をより静かにしてくれた——Sansは彼を押し潰していた負の感情が水のように蒸発し始めるのを感じた。それは静寂の雰囲気がもたらす癒しだった。
突然、花々の囁きが聞こえてきた。それは彼が過去に言った言葉を繰り返していた。「責任を取る準備ができていない。」 Sansは自分の過去の戯言を再び耳にして、思わず笑い出した。
通常であれば、Sansはこうした囁きに悩まされていたはずだ。しかし今回は、Sansは全く動じなかった。彼は「自由」を感じていた——それも、いつもとは違った形の自由だった。Sansはその暗い奈落に突き落とされたのではなく、自らその中に手を伸ばし、それを支配していたのだ。
支配。Sansは初めて、自分の心を完全に支配しているという感覚を得た。 エコーフラワーの囁きは今や、彼にとって些細なことでしかなく、全く気にならなかった。
古びた公園のベンチはいつものようにそこにあり、使われていないようで色褪せていた。彼はその上に腰を下ろし、声を上げた。
「おい、Rays。」
返事はなかった。
「俺を見てるのは分かってるぜ。けど、それってすごく不公平じゃねぇか?」
再び、沈黙。しかしSansは確信していた。Raysが確かに聞いていて、そして今頃間違いなく、広い笑みを浮かべているだろうということを。
「15日だけくれ。俺を見るのをやめろ——たった15日だ。それくらいできるだろう?」
今回は、SansはRaysからの返答を待った。
突然、彼の目の前の地面が動き始め、文字を形作った。それはこう綴られていた。
「お願いって言って。。魔法の言葉を使え、Sans。」
もちろん、そんなに簡単にはいかないだろう、とSansは思った。既に絡み合った彼の思考はさらに重くなっていく。Raysが欲しがるものを渡さなければ、計画を隠すためのプライバシーは得られないだろう。 復讐——すべてはそこに帰結していた。SansはこれまでにRaysを散々侮辱してきた。その結果、今やRaysは自分のプライドに傷つけられた仕返しを求めていた。Sansはこれを予想していた。Raysがいつか動き出すだろうと分かっていたのだ。
Sansは長いため息をつき、不快な言葉を口にする準備をした。Raysはその間、ポップコーンの入ったバケツを手にしながら、辛抱強く待っていた。Sansは、Raysがこういう瞬間をどれだけ楽しむかをよく知っていた。
Sansは心を決め、言いたくない言葉をどうにかして口に出さなければならなかった。その忌々しい言葉を言う必要があった。勝利を掴むために、Sansは自分の快適な領域を飛び出し、再び頭を下げなければならなかった。彼の失墜を待ち望む悪魔に向かって。
Sansは頭を下げ、苛立ちを隠せない声で言った。
「... お願い 。」
そして——
「プッ——」
Sansはその声が聞こえた瞬間、すぐに顔を上げた。その嫌いな声が、今やすぐ近くから聞こえてきたのだ。彼の目は、嘲笑の表情を浮かべて彼のプライドを踏みにじるように見つめる姿とぶつかった。だが、それはいつものRaysではなかった——その姿は人間の形をしており、同じ服を着ていたが、顔は全く違っていた。

「マジかよ?」
「俺がお前の顔を使うの嫌だろ?だから、もっとイケメンな人間の姿を取ることにしたんだ。どう思う?」
彼は広い笑みを浮かべ、Sansからの褒め言葉か、不満げな反応を待っていた。Raysはどちらの反応でも実際には気にしなかった。ただ、この大きく変わった外見でSansがどんな影響を受けるかを楽しむことだけが目的だったのだ。
一方で、Sansには、このRaysの馬鹿げた振る舞いがいつまで続くのか分からなかった。彼は、Raysが聞きたい言葉を言ったからといって、それで終わるような相手ではないことを知っていた。何か別の目的があるはずだ。そのため、Sansは無関心な態度を選んで応じた。
「さぁな、どう思う?俺、ファッションとかよく分かんねぇし。」
Raysはこの些細な返事をすでに予測していた。
「残念だな。お前を感心させる顔を決めるのにかなり時間をかけたのに、サンズ。」
それに対してSansはくすっと笑いながら返した。
「がっかりだろ。」
「少しね。最初からお前に期待なんてしてなかったけど。」
「Sansはすぐに目を岩壁に埋め込まれたクリスタルに向けた。それは明るく輝いていた。Raysは、Sansがすでに会話に興味を失っているのを見て、すぐにベンチに向かい、空いている場所を探して座った。Raysが隣に座っても、Sansは何の反応も示さず、ただ無関心さを漂わせていた。彼は顔を手で支え、沈黙を支配した。やがて、Raysが沈黙を破った。「うーん、まだ足りないな。うん、すごく不満だ。」Raysは体を寄せ、広い笑みを浮かべた。「さっきのお願いのことだけど、本気じゃなかっただろ、Sans。とてもがっかりだよ。」」
Sansは心の中でため息をつき、軽く目を転がしながら小さく息を吐いた。
「今度は何だよ?」Sansは隣のエコーフラワーを見続けたまま言った。
Raysはすぐには答えなかった。しかし、数秒後、ついに口を開いた。
「跪け。」
Sansはそのショックを隠しきれなかった。鋭い刺すような感覚が彼の扁桃体へと一気に流れ込むの���感じた。Sansは魂も心も、恐ろしく衝撃的な感覚に包まれた。一言が巨大な爆発のように感じられた——Raysは彼にとって最悪の状況を望んでおり、それはこれからも続いていくのだ。祈ることは無駄だった。Sansは自分の悪運を受け入れ、プライドを投げ出さなければならなかった。
「...それがお前の望みなら。」
Raysはすぐに満足そうに微笑んだ。Sansが不本意ながらもその尊厳を投げ出した姿をじっくりと観察していた。その満足そうな表情はSansにとって屈辱的であり、苦々しく酸っぱい一時的な勝利の祝賀だった。
「始めようか、Sans。」
Sansはすぐに立ち上がり、重い足取りでRaysに向かって歩き始めた。ここにいるのが自分とRaysだけであることに感謝した。自分の崩壊した姿を、多くの目にさらしたくなかったからだ。
右足を下ろし、頭を垂れながら、体は動かすのが非常に重く感じられた――まるで背中が1トンの石に圧迫されているかのようだった。心の中での抵抗は、Raysの力に屈することを拒んでいたが、その圧力を解き放ち、自分を最も低い位置に降伏させなければならなかった。Raysの前に膝をつき、最悪の敵の前に。
手は汚れた地面に触れ、全ての無意識の拒絶が尊厳を保とうとしていた。Sansは顔を上げ、両目に火花を宿したままRaysを見つめた。「お願いだ」Sansはその二つの言葉を口にした、それは致命的な毒のようで、口から汚物が出るように感じられた。喉の骨は、舌を刺す酸っぱい味で締め付けられるようだった。
そして、ついに…
「HAHA!おお、これを見ろ、私はこの美しい瞬間をよく覚えておこう。」
Raysは楽しそうに拍手を始め、その目は興奮に満ちた満足感で輝いていた。彼はそれを心から楽しんでいた。その表情は、コロッセオの闘技場で剣闘士の戦いを楽しむ王のようであり、頬を流れる血を拭いながらその快感に浸る姿そのものだった。
屈辱の感情はSansの喉元に引っかかっていたが、彼はそれを抑え込んだ。手を握り締め、魂の中の炎をゆっくりと消し去り、今にも爆発しそうな感情を飲み込んだ。
「まあ、もう立っていいぞ。満足した。すごく楽しかったよ。」
Sansはすぐに立ち上がり、膝についた砂や汚れを見つめた。そして、独裁者のように椅子に座り続けるRaysを見上げた。彼の黄色と赤の目は、獲物を憐れむ狩人のようであり、退屈した結果その獲物を再び逃がしてやるような目をしていた。
「15日間か。よし、その15日間は目を閉じてやる。」Raysは目を細めて言った。
「きっと退屈な時間になるだろうけど、それが面白い挑戦でもある。お前の計画がどう進むか、楽しみにしてるよ、Sans。」
Sansは膝と手を払いつつ、少し苛立った顔でRaysを見つめたが、感情を抑えていた。
「そうだな、お前は待つしかない。それが楽しいところだ。お前に最高の驚きを用意しないとな。」
Raysはすぐにニヤリと笑った。それは何か非常に面白いことを思いついた時の表情だった。
「なあ、Sans。」Raysは左側を軽く叩き、Sansにもう一度座るよう合図した。Sansは無言で従い、その場に腰を下ろした。
「お前に贈り物をやるよ。」
「贈り物?」
Raysは右手を開くと、火花がまるで花火のように手のひらに現れた。「アクセスだ。」彼の目が大きく見開かれると、火花の周りを数字の集まりが旋回し始めた。それは壮観な花火のショーのようだった。そしてRaysは再び口を開いた。
「お前に好きなNPC一人へのアクセスを与えてやる。」
Raysは混乱した様子のSansをじっと見つめながら続けた。「そのNPCはお前の仲間、友達、あるいは奴隷になるかもしれない。お前がどう扱うかは自由だ。そのNPCを完全に支配する権限を与えてやる。どうだ?」
Sansは驚愕した表情でRaysを見つめていた。まさか、本気か?混乱しながら考えた。
Raysは一体何を考えている?何が狙いだ?なぜこんなことをする?頭の中で疑問が積み重なり、それはまるで積み上げられたブロックタワーのようだった。しかし、Sansは答えを得ることができなかった。いや、問い詰める必要もなかった。「アクセス」を得るということは、今の壊れた状態で選択肢がほとんど残されていない自分にとって拒むことのできない贈り物だったからだ。
「で?」RaysはSansをちらりと見ながら尋ねた。彼にはSansの答えが既に分かっていたようだった。
「それは見事な贈り物だな。受け取るよ。」
Sansは微笑みながら、決意のこもった目でRaysを見つめた。
「その調子だ!」
そう言うや否や、RaysはSansの手首をしっかりと掴んだ。すると、焼けるよう��感覚が瞬く間に広がった。突然のまばゆい光が目を覆い、Sansは何も見えなくなった。彼は体と心に何かが侵入してくるのを感じた。異様な清涼感に襲われると同時に、頭の中がかき乱され、魂が激しく震えた。それは心臓が速く鼓動し、その衝撃が全身を駆け巡るような感覚であり、自分の力が完全に奪われるような混沌だった。
Sansは何が起きているのか理解できなかった。身体がけいれんし、まるで盲目になったかのような感覚が襲った。そしてその瞬間、全身と精神が強烈な衝撃を受ける中、Sansは何も感じなくなり、痺れるような感覚に襲われた。脚に力が入らず、完全に弱り切っていた。この感覚は、Raysが彼にUndertaleのすべての情報を与えた時の感覚と似ていた。しかし、今回はそれよりもさらに苛烈で、完全に予想外で、パニックに陥るほどのものだった。
そしてついに...
「起きろよ、lazybones。」
Sansはパニックになり、目を開けた。彼はもう椅子に座っておらず、非常に乱れた状態で地面に横たわっていた。そして...
「Rays?」Sansは周囲を見渡したが、そこには自分以外誰もいなかった。Raysはもうその場にいないようで、跡形もなく姿を消していた。彼を地面に残し、自分の玉座に戻ったようだった。
「...クソ野郎が。」
Sansはよろめきながら立ち上がり、脚は震え、非常に疲弊していた。息は荒く、体力は極限まで低下していた。彼はあまりにも弱っており、庭の椅子まで這い寄り、背中を預けて長い溜息をついた。
「まあ、約束は守ったな...公平なゲーム、ってか。」
SansはWaterfallを歩きながら、周囲の美しい景色を楽しんでいなかった。彼の目はターゲットにした人物を探していた。Raysの贈り物を受け取ったが、Raysには彼を助ける気などないことを知っていた。彼は、Raysが自分の対戦相手を助けようとする善良な人間ではないことを、そう単純に考えていない。Raysはただ、もっと驚きの要素で物事を盛り上げたかっただけだ。それが彼を生きていると感じさせる唯一のことだった。何の味もないプログラムではなく、運命を嘆く負け犬だ。そして、Raysは15日間彼を監視できなかったので、Sansが何を計画するのかを予測させることになった。
そして最終的に、あまり時間が経たず、彼が探していた人物、もちろんFriskを見つけた。しかし…
「彼はUndyneと戦っているのか。」
Sansは、Raysとの会話中にそのゲームがプレイヤーによって行われていることに気づいていなかった。彼は安全な距離から静かに戦いを観察していたが、突然、彼の心にひとつの考えが浮かび、彼を動揺させた。
今まで感じたことのないような衝動、背中を優しく撫でられるような感覚。冷静な口調で残酷な言葉を囁きながら、彼は平穏と微かな恐怖を感じた。いつもとは違う自分に迷い込んでいた。今回は、暗い深淵が手を差し伸べてきて、彼の手を掴み、強く引き寄せた。
「ようこそ」とそれは言った。Sansは目を閉じ、体をさらにその中へと漂わせた。かつての自分から遠く離れて。
「…試してみる価値があるかもな」と彼は囁いた。
Sansの第一歩は、最も暗い道に踏み出すことだった。
彼はその一つにじっと目を向けた。ナイフのように鋭い骨の先端が空中に突き出し、その先端から血が流れるのを待っていた。それは非常に間違った一歩だとSansは気づいた。しかし他に方法はなかった。彼はそれをやらなければならなかった。ためらってはいけない、さもなくばまた敗北の終わりを迎えるだけだ――彼の道徳は粉々に砕け散った。Sansの目の前に広がっているのは、命のないコードの集合体、自己の世界を理解することさえできないNPCたちだった。それをUndyneに見ようとした、以前のように彼女を見たくはなかった。
Sansは旧い自分を否定し、新しい自分で立っていた。
Sansは引き下がらない、彼はその危険な道を歩み続けるだろう。
「ごめん。」
数百本の骨の弾幕が素早く飛び、容赦なくターゲットを貫き、空中で紙のように引き裂かれた。Sansは無力なまま、自分の手で友人の一人が死ぬのを見守った。Undyneはすぐに死に、反応することも、なぜ自分がその残虐な死に値するのかも理解できなかった。血が流れ、彼の体を濡らした…まるで血に満ちた泥のプールで溺れているようだった。Sansは自分を引き渡し、さらに深くその中に沈み込んでいった。
Sansは自分の行動がひどく間違っていたことを知っていた。彼は許しを受けるに値しない。
だが、Sansはそれを受け入れた。犠牲にしなければならないものがあった。そしてそれが、彼の感情、彼の友人、そしてかつての自分だった。もはやユーモアのあるSansではなく、検察官は力の座から引きずり下ろされ、決して洗い流せない罪で汚れていた。
「ふふ、これがどういう感じか。」
血で汚れた手を見る幻想を見て、Sansは広く笑い、息を吐いた。
「本当に気持ち悪い。」

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331 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2025/03/16(日) 14:23:45.31 ID:rLbDNjjN 父方の伯母は超がつく程の天然キャラで、衝撃的なエピソードに事欠かない ・家の近所で火災が発生した時、パニックに陥って手に大根・右足にサンダル・左足に下駄を履いたまま外に飛び出して 「おとうさん(伯父のこと)!119番って何番!?119番って何番!?」と叫ぶ ・伯母の娘婿(自分から見て従姉妹の夫)がタイトで少しテカテカした生地のズボンを履いているのを見て一言 「やだぁ~いい歳した大人がお漏らししてぇw」 ※ちょうど股下が濡れているように見えたらしい ・正月に父と共に伯母宅へ訪問した時、父に向かって一言 「今日は良い下ネタネギが入ったわよ」 ※下仁田ネギの事を生まれてこの方ウン十年以上も下ネタネギだと思い込んでいた …フェイク入れたが、あまり書いてると身バレしそうだからここまでにする (ノ∀`)
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神殿と炭鉱場の痕跡
カロルディアの七角形の世界。全体的に寒冷であり、雪山だけでなく鉱山や発電所、海底油田が存在するのが特徴。中央には大きなタワーが存在しており、夜はライトアップする事も。
はぁ…はぁ。此処も寒いなぁ。 まあ、私達は寒い所に住んでましたので。 しかし、似てんな。このカロルディアの場所…嘗てのヒスイに近い様なそんな気がする。
3人も寒冷地に住んでおり、比較的寒さには慣れている。アイヴァンヌはガラルの出身であり、リベティーナとサンディエゴは後のシンオウであるヒスイの地を知っている。この七角形の世界はそんなガラルやシンオウ・アルミアの地に似ていると言って良いだろう。
何だったっけ…名前忘れた。何だかの海岸とか純白の何とかみたいな場所あったよね。 『群青の海岸』だな? それと…『純白の凍土』ですね。私の祖母から聞きましたが、あの当時のヒスイはアラビア語みたいに、看板なども右から左に読んでいたみたいなんです。
アプリで地図を見るアイヴァンヌ。七角形の世界は雪山が多く、ラナキラマウンテンや天冠山の様な標高の高い山、アルミアの城やカンムリ神殿などの様な建造物、そしてアンヘルタワーやナックルシティタワートップの様な巨大な電波塔も存在している。一方で、寒冷地故なのかボイルランドやハードマウンテンの様な火山は存在していない。寒いスポットが無い十字の世界とは逆に、七角形の世界では暑いスポットが無い。
右から左、ね…良く読めたね、そんなの。英語とかどうしてたんだろう? 後々の時代に、逆から読むと意味が変わってしまう単語も多く出て来たので、英語の看板が出てからは日本語の看板もそれに準える様になったんです。 そう…不思議だわ。
先に、3人は雪山にある大きな神殿や城を目指す事に。巨人が眠るとされている神殿には、複雑な構造の迷路が広がっていた。
そう言えば、シンオウのキッサキにも神殿あったよね。後、アルミアにも砂漠のところに神殿が。 ああ…それがどうした? 実は、そこはどちらも巨人の王が眠ると言われてて、岩と氷と鋼の巨人を連れて行く必要があったんだよね。 ええ。でもそんな彼らもヒスイの時代には必要ありませんでした。壁面を見て下さい。
壁にはそれぞれ岩→氷→鋼と模様が順番に続いており、鋼からまた岩に戻り同じ様に進んで行くと言う流れの様だ。
この当時は巨人の王しかいなかったので、おそらくこの様に進むべき道があったのでしょう。似た様な場所として、八角形の世界にもとある雷と火と水の主を連れて行くと三つ星の神と出会える…と呼ばれている巨塔があります。 うん。そうだった。…でもね、私には一つ引っかかる事があるの。ジニィが教えてくれたんだけど、これ見てくれない? ん?どうした。
アイヴァンヌは自分達が五角形の世界で撮った3つの列石の写真と、ジニーエイラがガラル南部のカンムリ雪原で撮ったとされる三又が原の3つの列石の写真を見せる。何処となく酷似している撮影スポット、更には………
この近くにある『定めの遺跡』は、雷の巨人と竜の巨人もいたんだって。雷の巨人には『X』が、竜の巨人には『Y』が刻まれてた。それぞれ生命の神と破壊の神が眠る地を象徴するかの様な風景のある遺跡に眠ってたの。ジニィが戦ったみたいなんだけど、とても強かったみたい。 え…、やば…
そんな話をしながら何も無い、薄暗く冷たい神殿の中を歩き、階段を登ると1番高いところまで来た。アイヴァンヌは考える。
この当時…ヒスイには王が作ったのはまだ3体しか巨人がいないと考えられていた、と呼ぶのが自然か…?
結局、何処にも後から作られたとされる雷と竜の模様はこの神殿内には無かった。となれば、ヒスイの時代はカロスやガラルとの関わりは薄いと見るべきか。
グルナッシュさんに聞かないと分かんないかな? いや…あいつは分からんだろ。幾ら何でも、俺やリベと違ってグルナッシュの親やその祖先はヒスイで暮らしてた訳じゃねえし。 あ、確かに彼女は複合金属で進化してましたもんね…。
頂上からの写真を撮り、神殿を後にした3人。気を取り直して、次は鉱山のある場所へ向かう。この地にもガラル同様に、鉄道が走っている。
と言うか凄くない? え、何がですか? 次に行く鉱山はね、面白いスポットがあるみたいよ。これ見て。
移動中の車内で、アイヴァンヌは鉱山内部の写真を見せる。そこには、今のシンオウには無くなってしまった『赤い鉱石』が光っている。一体、この鉱山のどの��にあるのだろうか。
き、綺麗です………。
電車を降り、3人は極彩色の鉱石が光る大きな鉱山に向かった。
ヒスイの地は、こんなに綺麗な山では無かったな。いや、今の黒鉄炭鉱もおんなじ様なもんか。 サンディエゴさん、それ言います?
どちらかと言うとこの鉱山内部は、ガラルやアルミアに近いものである。となるとこの七角形の世界にある鉱山で取れる鉱石も、何かしらの力を秘めているのであろうか。
様々な光る石を撮りながら先へ進んで行くと、最深部に強く、妖しく光る色彩の鉱石を遂に見つけた。
ガラルのねがいぼし…ヒスイのオリジン鉱石…アルミアの結晶…とにかく、それに似た強いエネルギーを感じる! …えっ!?
ビリビリと光り、電気石の様に触ると痺れる。あまりに強大な鉱石である為、大半の人間は近寄らないのだが、一度その鉱石を採掘すれば、その一欠片でもこの凄まじいエネルギーでカロルディアの一帯の電力を数時間持たせる事が可能。難点はその力が放出されるまでに鉱石として成長する期間がかなり掛かる事だが、それを持ってしてでも有り余るものである。
へぇー…君達もそれを取りに来たんだ? だ、誰ですか!?
不敵な笑いを浮かべて3人の前に現れたのは、氷の結晶を纏う狐の生物。少し歩き出し、彼女は悪の波動を放出する。
ふっ!! あっ。なかなかやるじゃん、お姉さん。でも…君とそのお兄さんはこのあたしの眼中に無いよ。
盾でガードしたアイヴァンヌ。そして、氷の結晶を纏う狐の生物はただ1人に狙いを定めていた。
きゃっ!!
爪でいきなり襲われ、後退するリベティーナ。紫混じりの長い白髪がふわりと靡く。
あたしは君が気になるんだよ、狐のお姉さん。付き合ってくれよ。 い、嫌です!そんな事言われましても、確かに私には相手がいませんけど!でも!! いや、何を言ってるんだ。勘違いしてる様だね、あたしは君と戦う時間をくれと言ってるだけなんだ。 あっ…恥ずかしい…。
大きな勘違いをしてしまい、恥ずかしさでダメージを受けるリベティーナ。だが、彼女はそれでも逃げない。
あの…一ついいですか。 はっ?一体何だ��� …私の幼馴染に、氷の妖精である九尾の狐がいますが、もしかして貴方はそれに近い種族なんですか。 …んー!そうだねぇ…惜しいな。確かに九尾の狐はこの七角形の世界では真っ白な氷の妖精だ。そして、パティシエールの生物も同じ氷の妖精として、彼女達と共に共存している。まあ尤も、パティシエールの生物の方は街中にいる割合が多いがな………でも、あたしの種族はつい最近になってその九尾の狐の生物と一度鎬を削った事もある仲だ。まあ…負けたけどね。やっぱ妖精には勝てんな。 そうでしたか。私を狙うと言う事は、私達の種族については御存知なんですか。 当然だよ。追い回されて、成仏出来なかった魂が止まり、怨恨を背負って生きている…恨み狐だろう? …そこまで知ってるんですね。私の祖先はその様に亡くなりました。でも私は違う。それは今から、貴方にお見せします。
唯一残った鉱山の痕跡。それを巡り、2つの種族が立ち向かう。
2人とも、少し離れて下さい。此処は私が引き受けなければなりません。 ああ、分かった。 …うん。無理しないで。 いいねえいいねぇ。でも、あたしは負けない。何故なら!
素早く踏み締め、リベティーナの懐に向かう氷の結晶を纏う狐の生物。そしてその爪を、彼女の喉元に突き立てる。
きゃ………あぁっ!!うぅ…げほっ!!!
リベティーナは地獄突きの一撃で首を刺され、強い痛みで血を吐く。
どう?一応言っておくけど、あたしは霊とかには強いから。君は確かに強いかもしれない。だけど、このあたしとは相性が悪い。それだけなの。
上から勝ち誇る様にリベティーナを見る氷の結晶を纏う狐の生物。しかし、彼女はそれを未だ認めようとはしないのか、首を横に振った。
いいえ。まだ…ですっ!! 小賢しいな。じゃあもう1発、君に現実を見せてあげる。次は此処で。
爪を立てたまま横回転し、リベティーナの腹を切り裂く。素肌が出ているとは言え大きな傷が入り、鮮やかに血が噴き出す。
ふぅ、ふぅ………っ。ぁぁぁあああ………!
流石にこれ以上やられまいと、リベティーナは怨恨をぶつける。これには氷の結晶を纏う狐の生物も驚き、身の毛がよだった。
ふっ、まあそんなもんなのね。とっとと倒れたら? いいえ。私は!それでも私は…っ!きゃあああっ!! ああ…リベがやられちゃう…!! 待て。行くなイヴ。彼女には何かの秘策があるかもしれん。
今度は胸元を突かれ、キャミソールが破れてしまった。それだけでは無くまたしても血を噴き出したまま、リベティーナが吹き飛ばされて倒れた。
もう無駄。諦めなよ。あたしは君の先祖様だっけ?その先祖様が持ってた怨恨を忘れて、何故かのうのうと生きてる君を殺しに来たのに…こんな様なんてね。期待外れだった。 期待………外れ………?………許さない。
浴びせられた心無いその言葉が、ただやられていただけのリベティーナを遂に怒らせてしまった。本来の丁寧で穏やかな口調が無くなり、背中をぶつけた鉱石に触れてしまった彼女の、強烈な報復が始まる。
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旅の間に唯一書いたRV trip日記の断片。
日記を書くことが大好きだ。
ニューヨークも大好き。
でもどちらも一言で理由をうまく言うことができない。むしろうまく説明できない良いものは大体大好きになるのかもしれない!
はて、この一週間(今は2/2)は極力時間を割いてエアビー旅を書いていた。どちらのバージョンも読んでみたい。この(LAも挟んだ)ひと月以上後に書いている思い出し日記と、もしあの日々に書けていたらどんな言葉が残っていたのか、と。いずれも行った場所や食べたものは変わらないのに、その事実を纏う感情や言葉は、違うものもありそう。こうして結果的にビアンカの家に泊まっている今と、そんな未来を梅雨とも感じていなかったあの最初の日々の中で書き残した日記には、どんな違いがあったのやらなかったのやら、そんな辺りが気になる。
RV trip: 26th Dec
12月26日は大移動というかシフトチェンジの日というか記念すべき人生初RVの日。
朝、Pollock Pinesを出てきたという事実が少し信じ難いような気がする。荷物詰め込んで、2泊ってこんなにも物足りないのかという気持ちにもなりながら、サンホゼに帰る。
車の中では買い出しリストのアイディアを出し合う。サンホゼについてからの身の振り方も相談し合う。任せっきりで全然知らなかったのだけれど、そもそもRVの予約では大人4人と子供2人、という登録をしているとのことで、全員でピックアップに行くのはないよね、でも運転手は登録したほうが良いね、などなど。誰が受付時にキャンピングカー屋さんへ行くのか、誰が買い物に行くのか、最適な動きをシュミレーションし合う帰路。
あーそっか、朝のコーヒーを買いにカフェにも寄った帰路だった。コーヒー欲しい、とカレンが言って、オンザウェイの珈琲屋を見つけたから行こうということになってナビに従って行ったら、なんということはないただの閑静な住宅街のどこでもないどこかにたどり着いて面白かった。目的地と思っていたポイントへ近づけば近づくほど、こんなに街から離れた場所にあるカフェってどんななんだろうとみんなが胸の内で思っていた。で、ついたところはなんでもなくて、「なんで?」とカレン&みんな。結局そこからそう遠くないカフェに行った。そのカフェがとってもとっても良かった。ただコーヒーを買うだけなのが勿体無い、また行きたいけどかなりの高確率で二度と一生行く事のないであろう場所のカフェだった。一応mapに星つけておいた、Moonraker Coffee Roasters。ふと今書いた一段落を読み直していたら思い出したカフェがある。10年前のイギリスの田舎の、人里離れた場所のカフェ。カフェなのかダイニングなのか覚えていない。自転車旅の最中に寄ったカフェ。あれは現実なのか夢なのかも朧げと表現したくなるくらい、手の届かないどこかにある、あった、時間だった。何年かに一度思い出すことがある。この朝のカフェで思い出したかどうか全く分からないけれど、日記を書く楽しさはおそらく、ただ事実をしたためるだけじゃなくて、その事実・行動によって自分は何を感じて考えていたのかに、面白さを見出している気がする。その整理をする行為が日記を書くと言う行為の本当の楽しさかもしれない。
サンホゼの家について、nice to meet you Naoya. 第一印象は、人見知りのなさそうな人。その場では私とビアンカがナオヤと初対面。他の二人とは旧知の仲だから、そう言う環境で生じる人見知りのなさもあったのかもしれないけれど、普通にそつなく話す事のできる、男子、と言う感じの人という印象だった。5月までアメリカに2年住んでいたという。
ひたすら無駄な時間の無いように、と荷造り。というかまぁナオヤはいつでも出れるし、私とビアンカもほとんど荷物は変わらない。ナパワインは置いていく。
崇とカレンが服やら何やら何から何まで荷造りのし直しをして、ビアンカがせっせせっせとカレンのキッチンから旅で使えるものをパッキングする。私はちょっくら仕事をば。
そしてみんなでIndie Campersと言うサンフランシスコのRVレンタルに向かう。向かう途中で薬局に寄り、使い捨てフィルムカメラを2つゲットするカレン。40ドル。
Indie Campersには早く着けそうだったので、崇がとにかくおすすめしているサンフランシスコだけにあるバーガーチェーンでお昼を入手。Super Duperと言うバーガー。ビアンカはIn-n-Outを食べないでNYに帰るなんてあり得ないからね、帰る前に食べなね、とよく私に言っていて、その度に崇が、いやSuper Duperが美味しい、と言っていた。みんな好きねぇバーガー。
サンフランシスコはゲイカルチャーの発展がとても早かったことや、環境意識も昔からマインドセットがあったという。で、Super Duperはスローフードを掲げるオーガニックなバーガーチェーンという事だそうです。六個のバーガーを買ったボックスはなかなか迫力あった。トランクにその箱を積んでいよいよIndie Campersへ。
路肩で、またもトランクを台にして、みんなでバーガー頬張った。タクオミが到着。いろんな事が記憶から溢れていくのに、なぜかこの集合のシーンはとても克明に記憶している。潜在意識が躍起になっていたのかもしれないね、“始まるんだ!”と。
タクオミが通りの向こうからだんだん段々と近づいてきて、みんなはバーガー食べながら手を振った。2週間以上ひどい風邪で寝込んでいた病み上がりのタクオミは、絶賛鼻声だった。キャンプ椅子を肩から下げて、トランクとリュックサックで現れたタクオミ。日本人の量が多くて、最初からずっとビアンカが何度も言っていたのだけれど、人生でこんなに日本人と過ごすのは初めてだ、と、また言っていた。
ところで先日、崇にこんな話をした。「崇は男子と話をする時全然口調が違うよね」と。すると崇はびっくりしていて、全然気づかなかった、恥ずかしい、とめちゃくちゃ恥ずかしがっていた。いや気付いてないと聞いてめちゃくちゃびっくり。全然違うんだもの。簡単に言えば言葉使いが悪くなる。崇・ナオヤ・タクオミ、が集合するともうそこには、男子ー!という空気がムンムンしていて、急にカレンとビアンカと私の中に何やら連帯感が芽生えた。人間心理は面白い。日本語が増えて、台湾語が増えた。
ここからは二手に。崇・カレン・タクオミが在米者かつアメリカの免許を持っているので受付することに。他の3人が買���出しに。
〈
カレン宅とIndie Campersは車で30分くらい。遠く無いけど近くはない。その距離を買い出しに向けて走り終わるまさに直前くらいに、レンタカー組から電話がかかってきて、あと3-4時間は出発できそうにない、と連絡が来る。受付の対応が酷く、今日は混んでいて、前の人の返却も遅くて、掃除とかに時間がかかるから予約時間には間に合わない、ということだった。酷いね、となってとりあえずとんぼ返りしてみんなを迎えに行くか、とUターンをして戻っているとまた電話がかかってきて、掃除を自分たちで手伝うから早く貸出してくれ、と交渉したから迎えに来なくて良い、買い出しをして家に戻っていてくれ、という内容だったので、もう一度Uターンをしてまたアジアンスーパーに向けて走り出した。コメディみたいに私たち3人の乗った車はあっちこっちあっちこっちと動き回った。
〉
ヤッホー。今は2月4日の13:19。もう何度来たのか数え切れないほど楽しんでいるワインバーで、今日もアイスコーヒーを啜っている。一昨日サブウェイの中で崇とこのページに書いていある時間の話になった。
「どこまで書いた?」
「まだRVtripが始まってもないよ。なんかあのみんなでバーガー食べていたあたりがすごく記憶に濃くて無駄に文字数割いてしまって進んでない。」
「俺もあそこすごい覚えてるんだよね」
「なんか、目に見えない、始まるぞ、という感情が結びついたんだろうね
ところでさ、あの二手に別れた時に、鍵がどうのこうのとか、あったじゃん。全然細かいこと覚えてなくて、ただただ車で右往左往したことは覚えているんだけど。鍵の話覚えてる?」
「なんかあった気がするね。タクオミが集合した瞬間のことはすごい濃く覚えてるんだけど、その後のこと曖昧だわ。
あ!あったわ!俺、ビアンカに鍵渡したの思い出した。」
「やっぱあったんだ、あったかも!」
「あの時はまだ全然受付の人と話しさえできてなくて、で、ビアンカに鍵渡して、しばらくしてから掃除終わるまで貸出できないとか言われて、ずーっとカレンとタクオミと事務所で座って話してたんだよね。何話してたのか全く思い出せないけど。」
上記〈〉で囲った段落のことがちょっと曖昧で、鍵がないとかなんとかなったのに結論覚えてないからぼやっと書いた。でも崇と記憶を掘り起こしていて思い出してきた。
バーガーを食べ終えて、じゃぁね、と二手に別れて。ナオヤが助手席で、私が運転して、日本語で喋ったり、ナオヤとビアンカが一通り喋ったりしながら30分近くかけてスーパーの方に向かっていて、ふと、誰が言い出したんだったか、多分私じゃないけど、「てか、買い物終わってもアパート入れないじゃん、鍵、彼らが持ってるじゃん。」となった。それで1回目のUターンだった。またまたハイウェイ飛ばしてみんなでバーガー食べた通りに戻って路駐して、ビアンカが鍵を取りにレンタカーの受付にいる崇の所に行ってきた。2度目の出発をして、その道中で、私は3-4時間はまだRV借りれない、と上記で書いたけれど、一昨日崇に聞いたら3-4時間なんてもんじゃなくて、5-6時間はかかるって言われたとのことだった。もうすぐスーパーに着く、というあたりで崇とビアンカが電話して、ビアンカが「えぇ!」みたいな反応をしていたので私とナオヤはビクビクしていたのを思い出す。5-6時間は貸出できないと言われて、じゃぁ自分たちで掃除手伝うから、という話になったということだった。RVの掃除はなんだかんだ言って楽しかったそうです、一昨日初めて聞いたけど。
あの日はアメリカンピーポーはみんないかにして掃除した分を割引してもらうのかの交渉の話で盛り上がっていた。ので、そもそも掃除を楽しんだという感情は全く知らなかった。
私とナオヤとビアンカは、アジアンスーパーで一通り買い物をする。台湾ビールの瓶と��サヒビールの缶。日本酒。巨大なポッキー。果物。鍋やカレーの具材やらなんやら。アップル本社のすぐ裏手にあるスーパーでナオヤが興奮していた、昔アップルでバイトしてたらしい。他の3人からはこの辺りでゴム手袋してキャンピングカーを掃除している動画が送られてきた。
家で待機していてもなかなか帰ってこないので、RVが到着したら出来るだけスムーズに出発できるようにと、荷物を駐車場に運び出した。車も倉庫のように使って色々乗せておいた。
今日は3時間ほどの移動なので、今夜は明るいうちには着けないね、という時刻になっていった。ナオヤは本を読んでいて、私はもうできないと思って切り上げていた仕事のパソコンを開いたり、HIMALAYAN DIARYの第二版の仕上げなどをしていた。
出発したよーという連絡が入ってから1時間弱、どんどん夕暮れになる時刻に、RVがカレンの家に到着した。早速後ろのてっぺんが車庫に軽くぶつかってておっかないのなんの。大層でかい。
テキパキテキパキ手分けして荷物を運び込む。家から車から、どかどかどかどかと積み込んでいく。カレンのバルコニーからビーチチェアとバルコニーテーブルを持って行くか否かで私と崇の意見が割れた。崇は要らない。私は、持っていっておけば良いじゃん!という派。だって、荷物スペースいくらでもあって、たとえ使わなくても邪魔にならないのに!とゴリ押しして持って行くことになった。みんながそのやりとりを笑っていて誰も意見を述べなかった。(レンタルの椅子は4つしかないのです。)テーブルは絶対キャンプの時に役立つという判断。
とにかく、広いね、というのが最初の感想だった。こんなにスペースあるんだ、キャンピングカーって、という感じ。犬2匹が一つのソファの左右に括り付けられているのが最高に可愛い。いざ、出発。12月26日、16時23分。始まるぞーっ
運転はたかちゃん。始まるぞーとは言っても、まずはガソリン入れなきゃだったりスノーチェーンを買わなくてはならない。崇くんの運転のせいだとは思わないようにしていたのだけれど、RVはものすんごい揺れる。震度8くらいの感じ。立ってられないレベルで揺れて、棚という棚からいろんなものが落ちてきた。ちょっと待ってー!となったけれど、既に車道に出ていて、巨大なRVを路駐できる場所がない。タクオミがとっさに荷物から靴下を引っ掴んで戸棚の取手を縛る。「ちゃんと洗ってあるやつだから」byタクオミ。ヌヌがすっ転んでペシャンコになる。とにかく大慌てでキッチンあたりの出ているものをシンクの中に沈める。
開始早々にあまりの揺れと、轟音で、ワクワクよりもどうなっちまうんだ感に見舞われる。なんと言ってもラーメンがビビりまくっていて可哀想すぎた。骨の髄まで震えていた。頼むからもう少し優しくアクセル踏んで~と思うけど、言えないよね、RV運転したことないので加減を知らないし。もう信号が青になったりすると構えの体制になる、クル、、、!と思って掴めるところを掴んで飛ばされないようにする。そんな感じのスタートを切った。
スノーチェーンを買うまでが長かった。普通の一般道を曲がることが結構困難なのである。なので、普通のナビに案内されて町中を走ることができない。ナビに曲がると言われているところで曲がれないので、広そうな角を探して大きく大きく町中を曲がりまくった。崇が一番焦ったというシーンはUターンを試みた時。今にして思えばRVでUターンなんて絶対不可能なのに、まだ開始15分の私たちは誰も指摘しなかったのでえらい事になった。Uターンしようとして交差点止めてた笑 クラクションの嵐浴びた。笑
タクオミが冷静に、良いから慌てないでゆっくりで良いからぶつけんなよ、と優しいパパになっていた。
外はもう真っ暗。スノーチェーンは200ドル近くしたけれど、保険だと思って仕方ないね、と。使わなかったら返却できるし、と。
本当の出発を切った時刻はもうすっかり暗かった。カーブでは冷蔵庫の扉が開いて中身が全部飛び出してきた。運転手も、乗組員も、だいぶ慣れたけど、先は長かった。高速道路のうるささは本当にすごかった。音楽も全然聴こえない、音量マックスなのに。とっても退屈で寝るしかできなかった。そうしてある時、台湾ビールが冷蔵庫から飛び出してきて、割れた。6本飛び出してきて、割れたのは1本だったから、まぁまぁまぁ、という感じだったけど、ガラスの破片の飛び散った床とビールのベタベタが最悪で、着いたらいの一番に掃除をした。
真っ暗で雨の中、運転お疲れ様でしたのまき。到着時刻は分からないけれど20時過ぎかな。まっっっっっっくらで、怖かった。RV parkというRVの停められるキャンプ場なのだけれど、そんな時間に受付もちゃんとやってないし、雨だし、街灯が全くなくて、どこ!?!?という感じだったけど、タクオミと崇がぱっぱと動いて無事自分たちの番号のパーキングスペースに到着した。Yosemite Pines RV Resort。
割れたビールの掃除をして、カップラーメンを食べる事になった。今日はもう遅いから、カップラーメンだねって、誰が言い出したのだったか、私は内心、えぇ~だった。ええやん、手分けして準備したらものの30分とかでご飯できるだろうに、と。結果ラーメンで正解だったんだけどね。
男子がhookupを頑張ってくれた。電気とガス、水栓を繋ぐ。
カップラーメンはナオヤが作ってくれた。辛ラーメンと辛くない辛ラーメン。いずれにせよ辛いって言う。21時半ごろラーメン食べてる写真が残っている。ただただ楽しかったな~。これが最初の晩なのか、と言う感情があった。みんなでいることは不思議なくらい当たり前の感覚なのも面白かった。まだ出会って半日とかのメンバーなのに、なんかこう一緒に乗り越えなきゃならないことが多すぎたのか、不思議な調和があった。あとはやはり、犬が偉大。可愛いね~可愛いね~と入れ替わり立ち替わりに2匹のキャラの違いすぎる犬を愛でて、そこに人間的な会話が不要になるという偉大さがあったと思う。
ナオヤが成田空港で買ってきたロイスのチョコレートを食べながら台湾ビールを消費した。瓶ビールはRVに持ち込んではいけないねと学んだね、今夜飲んじゃおう、と言う事になって。
そしてポーカーナイツが始まった。寝床をかけてポーカーしようと言う事になった。買った人から取りたい寝床を決めて行くと言うことで。ポーカーは、勝負に出る時に、やっぱりリスク次第で動きが変わる。私も崇も、えぇ~所詮寝床でしょ、どこでも良いもん、みたいなこと言いながら結構ふざけた勝負に出た。本当にひたすらビール飲んだ。なんか、飲めた。
結局ナオヤが大勝ちして、俺絶対ここ~!と嬉しそうにシングルベッドを確保。2,3番目だった私はロフトを確保。いや絶対一位でもここ選ぶんだけど、と言うどう考えても好きな場所をとれて嬉しい。ビアンカが一緒でも良い?ってロフトに決めて、カレンがシングルベッド、崇とタクオミが奥のダブルベッドと、とっても順風満帆に配置が決まった。タクオミはいびきが凄いらしく1番のはずれは崇だ、と言うことで騒いでいた。
ベッドも決まったし、寝支度しますか~と。私は全然シャワーなしで寝れちゃうタイプだけど、全くそんなこと絶えられないタイプの人もいて、三々五々シャワーやらなんやら行動する。キャンピングカーにはシャワーがついていて、でもキャンプ場にもシャワーがある。
ビアンカがまずは試さないと、とRVのシャワーを試していた。私はキャンプ場のシャワールームを確かめに雨の真っ暗のキャンプ場に繰り出した。案外すぐシャワー棟に着いたしシャワーもトイレもすごく綺麗でびっくり。なんか思っていたより全然サバイバル感物足りないんですけど!と言う感覚になった笑 環境良すぎるやん、と。みんなに写真を送ろうとしたけれど電波が弱すぎて一生写真が送れなかった。
ところでGmailアプリって一番電波強いアプリだと私は時々おもうのですがいかがです?この頃だった、菊池の姉さんからバングラに行きそうだという連絡が来たのは。LINEで写真は一生送れなかったけど、シャワー棟の付近で繋がった電波が、姉さんからのchatメッセージをキャッチした。普通に返してからちょっとずつ電波が悪くなって、「ヨセミテにいて電波悪い」って伝えて朝起きたらデジタルデトックスしてきてって言われてた。
1時前に寝たと思う。
あ、ナオヤのベッドは、普段はテーブルと差し向かいの2つのソファになっている場所がフルフラットになって一つのベッドになる、と言う場所で、フルフラットにするのが大変だった。カレンのも日頃ソファの場所だけど、そっちは結構簡単にベッドに変えられた。私とビアンカはずっと布団も出し��ぱなしでOKの誰も使わないロフト。寝床へは毎回上り下りが必要だけど、特に大変なものでもないし、荷物のそばで寝れるのも何かと楽だった。
RV trip: 27th Dec
朝はシャワーを浴びにシャワー棟に行った。キャンプ場の雰囲気がやっとわかって、とても良い空間だった。木々は、深い森というよりも、どこかオンザロード感のある木々。なんだそれ。なんか杉が多くてね。私どちらかというと杉じゃない木が好きなのでね。
RVの電気がうまく付かなくて、人間は電気がないとこうも何もできないのだねというお決まりの話���なる。ガスはつくのだけれど、火はものすごく弱いのでお湯を6人分沸かすのは大変時間を要する。電気がつかないと持ってきたケトルもただの物質。
外の隣の車のスペースの電気も借りちゃおうという事になって、外で炊飯器をつなぐ際に。持ってきたカレンのバルコニーテーブルが役に立ってそら見たことかというくだりをした朝ごはん準備。味噌汁とご飯。ふりかけ。残間さんがNY行ってらっしゃいとふりかけをくれて、はるばるキャンピングカー旅で台湾人たちの胃に収まった。私はサンホゼでよく食べた梅ふりかけ。
ここで面白い記憶の残り方をしているのが、象印炊飯器のメロディー音に関するもの。炊飯器で米炊きの準備をしていたのは外にいた人たちで、私は中にいたのでそのメロディーを聞いていない。なのにすごく覚えている。外にいた人たちが、「この大自然の中で鳴る炊飯器の電子音楽の間抜けさやばい!」とわざわざキャンピングカーの中にいる人たちに説明しにきて、自分では聞いていないのに、それがどんな風に響いたのかを共感した。それ以降、象印の炊飯器の電子音楽を聞くたびに、あの日のキャンプ場を思い出す。
さて、夜ご飯はカップ麺で、と急いだ人たちなのに朝ごはんはのんびりと準備して、時刻はすっかり10時過ぎ。今日ってヨセミテでハイキングするんじゃなかったの?と内心思いつつ、集団行動って感じだわ~と楽しむ事にしていた。崇は心なしかちょっと急いでいた。みんなのムードというものがあって、みんなそれぞれ協調性の塊で、様子見合っているからこそのあまりテキパキとは進まない。やばいね、もう10時半だ、とか崇だけ言っていた記憶がある。私は既にハイキング案はないだろうな~とか思っていたので、まぁwe’ll seeね、というマインド。
運転です!人生初キャンピングカーじゃー!
まずはパーキングスペースを出て、排水場へ。ダークウォーターとグレーウォーターと呼ばれるトイレシャワーの排水と、シンクの水を出す場所につなぐ。特に難しいこともなく、事前情報でこの掃除が大変だ、みたいに聞いていた崇は一安心。なんてことはないじゃん、こういう感じなのね、というムード。
さて、出発。異常なほどゆっくりアクセルを踏んで進む。助手席には崇。
道を走り始めてナオヤ、「これって、崇の運転が荒すぎたって事だったんじゃん」と。特に後ろでてんやわんやはしなかった。まぁ昨日散々体験したからこその慎重な運転だよね。
とはいえ、ナショナルパークに入ってからは結構焦る。そんなにのんびりしていられなくて、観光地だから車の列がすぐできちゃって、ダークウォーター流すね、とか冗談言いながらよく路肩に避けて後ろに溜まった乗用車の列に先に行ってもらって、で、また発進するのにアクセル踏まなきゃでいちいち揺れて、と。急にブレーキ踏まなきゃいけない時も結構最悪で、観光地ではよくプチ渋滞が生じていて、乗用車だったら軽くブレーキ踏みながらで済むところ、RVはグンと踏まないと止まらない。sorry sorry sorryと叫びながらよく必死な思いをした。あとはナショナルパークのだいぶ奥地まで行くと道の整備が成っておらず、凹凸が多いのでまさかの上下の揺れが激しくなった。急がなくて良いから、とタクオミ。ごめんちゃい。一本道なのでね、焦るんですよ、自分が渋滞を作っている、という感覚がね。でもちょっとスピード出すと上下にガボガボと揺れる、すごい悪路が奥にはあった。結構崖っぷちで怖かった。
目的地はまだだったけれど、一回ちょっと良さそうなスペースがあって停まる。ここでの散歩がとても良くて、私も崇もその後よく、「あの、一回目に停まったのが良かったよね」と言い合っている。ところでサイドミラーは2種類が上下についていて、違う角度と違う広角で後ろが見えるようになっている。車は長くて、車の後ろの感覚を掴むのが難しい。2つのミラーのうちの1つは、ずいぶん遠くを写している。
あてもなく散歩して、楽しかった。信じられないなぁ、10年以上夢見ていたヨセミテに、こんな形で来る事になったなんて、そんな気分を秘めていた。カレンと崇、ビアンカは既に来たことがあって(タクオミとナオヤは知らない)、ビアンカにもうそんなに何回も来たことあるんだ的なことを言ったら、カリフォルニアってやることないから行くところといえば大体決まってくるものよ、と言われた。なるほど、そういうものなのかしら?
すごい高さを落ちている滝を見て、ビアンカがあの滝を見れるのは貴重だ、と教えてくれる。凍っているか、乾いているかで、滝があんな風に発生しているのは限られた時期で、私は初めて見る、と言っていた。そして滝の向こうの崖の窪みに虹が生じているのも素敵だった。
柴犬は、なんだかヨセミテという私の持っているイメージとは絶妙に似合わなくて、でも最高にカッコ良いやはり似合うものがあって、柴犬たちとヨセミテという大地を散歩するのが楽しかった。ナオヤは押し黙っていて何を感じているのかちょっとよくわからなかった。だいたいずんずん歩いちゃうのが私で、カレンが大体一番後ろで、ふと気づくとみんなでカレンを待って、ふと気づくと私とビアンカとラーメンがみんなから離れていて、ちょっと待っているとヌヌのなんだかが起きていて、みたいな散歩。崇は楽しいね楽しいねと笑顔いっぱいで、タクオミは私とは違って、前をいくのではなくて、横に一人でどっかに行ってしまう。あ、タクオミどこか散策に行ったな、と思いながら消えていく彼の後ろ姿に近しいものを感じる。ビアンカはひたすら中立な気がする。勝手な行動はしないで、一番前にも一番後ろにも左右にもはみ出ないで、ラーメンに話しかけたりしてた。
この時間は靄が素晴らしかった。雄大な場所に、ひたひたと流れる靄が美しかった。枯れきった大地の色は、水分を含んでコントラストが濃い。見たことのない植物もあれば、見慣れた植物も枯れてある。棘のある枯れ枝のあたりでは犬が入れなくて二手になったり。
すごく背の高い木の、肌がすごくて、ねぇちょっと木の肌がすごい、とみんなを呼び集める。みんながほんとだー、と熱心に木に集まっている姿がおかしくて、何枚も写真を撮った。今でもすごくお気に入りの一枚。
あとは燃えた木の大地がすごい迫力だった。深く感じていたのに、すっぽりと書き忘れている事を思い出した。12/25、レイクタホに向かう道中でのこと。山火事の跡地を通過した。まさかそのあと山火事の現場に出向く事になるなんて1億%も予想していなかったあの日、堪えるものがあった。山が一面燃えた跡になっていて、それがいつのことなのかは分からないけれど、異様な禿山がそこのあたりに当たり前に存在している場所があった。決して再生することのなさそうなツルハゲの死んだ木が所々立っていたり、ほとんど全てが横倒しになっている流木の積み重ねの山。禿山なのは冬場だから、ということもあるのかもしれないけれど。燃えたものが再生するのは、人の一生では測りきれない時間を要するのだろうなという残酷な感覚に見舞われた。美しさと紙一重のエルドラドフリーウェイ、大事なドライブだったなぁ。
という感情を思い出しながら、ヨセミテのこの散歩でも炭化した大木の幹などによく出会った。崇と、あのドライブ思い出すねと言いながら、これは、燃やしたのかな、燃えちゃった時があったのかな、と見た目では分からない景色の中を歩いていた。炭になった木の肌に魅了されてみんなを呼ぶ。倒れている黒い木を見たあと体を起こすと遠くを横切る靄の様子がすごく綺麗。そんな感じの散歩時間だった。
車に戻って、目的地、ヨセミテヴァレーに着いたのは14時半頃とかだったのかな。
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