#八女茶ツアー
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mitsu-maru · 2 years ago
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Bleu
 記憶というのはポインタとデータで出来ている。いつからか、そのように僕は信じている。忘却とはデータの在り処を指し示すポインタを失った状態であり、データそのものは確かに残っているのだと。何らかの切っ掛けでポインタが復元された時、記憶は鮮やかに蘇る。たった今まで自分が忘れていたことにすら驚くほどに。紅茶に浸したマドレーヌは暮らしに満ちている。長く生きれば生きるほど、過去が未来よりも重くなるから。
 記憶のポインタは厳密な一対一対応ではなく、大なり小なり誤差が生じる。本来想起されるべき思い出の一部が欠落したり、少しずれた思い出が蘇ったりする。あるいは、なかった記憶が新たに生成されたりもする。これは僕が2022年11月20日の午後、「Solarfault, 空は晴れて」という本を読んだ時に生じた反応を元に生まれたテキストである。記憶というのは揮発性であるだけでなく発泡性でもあるから、1週間という時間は記憶を発酵させるに十分な時間だ。読んだ小説の感想文が新たな小説であっていけない理由はない。
 青い、作用の定かでない、おそらくはあまりよろしくない液体。小瓶。『ロスマリン』だと思った。図書館で借りたハードカバーの本だった。少年たちが夏休みに高層ビルディングを抜け出して旅立つ先は暖かい海だった。映像の中で少年と犬が白い浜辺を走っていた。オゾンホールが話題になっていた世紀末。姉はフロンが使われているという理由で旧型のエアブラシをゴミの日に捨てた。その頃、一度塗った色をCtrl+Zすることはできなかった。読み終えた本の感想をTwitterで検索することはできなかった。Amazonは夜中に切らしたPPC用紙を翌日の夕方に届けてはくれなかった。
 大学進学を機に上京し、僕は私鉄の駅から坂道を登って、サンドイッチ屋のT字路を左に曲がってどこかの企業の借り上げ社宅の側を抜けた先にある青いアパートで暮らした。とても青い家だった。九州から上京した人間には東京の日暮れは地球が丸いことを実感させるほどに早く、うどん屋のつゆはあ���えないほど黒かった。レンタカーで意味もなく夜の新宿を走り回って、ラーメンを食べた。殺人事件が起きそうな間取りの海辺の一軒家でペペロンチーノを作った。サークルに入って本を書いた。酔い潰れた関西人の介抱をしながら、寝言も関西弁なんだと妙に納得した。
 敷地の外れの外れに、今はないその建物はあった。自治の名の下にビラがばら撒かれ、インクの匂いが漂い、アニメソングが館内放送で流れるような建物だ。そういえばビラを配っていたあの団体も青という字を冠していた。季節を問わず週に一度僕たちは集まって、ただひたすらに話をした。それが僕たちの活動だった。生協の缶ジュースは少しだけ安かった。年齢も専門もバラバラな学生たちが、教養を無駄遣いしていた。時々真面目に小説を書いて本を作り、批評会で真剣に意見を交わしたりした。僕たちの掟はただ一つ、描き始めた物語を必ず完結させること。開いた物語は閉ざされなければならない。それさえ守れば何をやろうと自由だった。その頃茨城県でバケツで流し込まれた液体が青い光を放った。
 学園祭で小遣い稼ぎをするために部員総出で占い師の真似事をした。タロットカードから客が望む物語を紡ぎ出すのは即興小説の訓練だ、というのが建前だった。原価がただ同然の占い屋はなぜだかいつも大繁盛で、僕たちのサークルは本の印刷代には困ることがなかった。
「久しぶり」
 堤が話しかけてきたのは、夫の不倫を見て見ぬふりをしつつ、別れる決心ができないと悩んでいる女性の背中を押してしまった直後だった。
「俺のことも占ってよ」
「顔見知りのことは占わないようにしてるんだ」
 本当に占いがお望みなら、と後輩のテーブルを指差す。堤は肩を竦めて、三百円を支払った。後片付けを終えた後、二人でステーキを食べに行った。安くて硬い牛肉にニンニクと醤油でえげつなく味をつけた代物だが、その頃の僕らにはそれでよかった。紙エプロンに跳ねたステーキソースが抽象画のようだった。
「なんだ、その。元気そうだな」
「どういう意味だよ」
「別に」
「ああ、聞いたのか」
「聞いたとも。なんで教えてくれなかった」
「教えたからといって、何が変わるわけでもないだろう」
「そりゃあ、そうだけどよ」
「じゃあ、いいだろ」
 堤は煙草をくるくると回して言葉を���した。最後まで、出てこなかった。
 小さなゲーム会社でアルバイトをした。携帯電話で話をしながら深夜の住宅街を歩いた。千駄ヶ谷のモスバーガーが秘密基地だった。自分たちが作っていたゲームのことは欠片も好きになれなかったけれども、スタッフ同士で話しているのが好きだった。六本木のライブハウスには月一で通っていた。お目当てのバンドの対バン相手のファンが自分の周りで激しく踊り出して、つられて踊っていた。強い人が集まる、という噂のファミリーレストランに自転車で乗り込んでカードゲームの対戦を挑んだりした。初めて中央特快に乗って八王子まで行った。
「で、いつ?」
 帰りの電車は適度に混んでいた。冷蔵庫にマグネットで貼り付けたメモのことを思い出した。換気扇の調子が悪いから業者に連絡すること。そうメモしてから何ヶ月が経っただろう。その頃僕はもう自炊することを止めていて、冷蔵庫には赤ワインとチーズしかなかった。黒い服ばかり選んで着るようになっていた。たまたま見つけた美容院の美容師と気があって、好きなように自分の頭を作品にしてもらうことしていた。この時は確か、虎をイメージした金のメッシュの入った黒髪だったと思う。ギターなんて一度も弾いたことがないのに、スタジオを借りてエアバンドのアー写を撮った。悪ノリしてロゴも作った。
「まだ決まってない。決まっていたとしても、お前には教えない」
「そう」
 エアバンドのベースは、本当のベーシストだった。本当はギターが弾きたかったらしいが、手が小さくてコードがうまく押さえられなかったんだと笑っていた。雷と餃子で有名な街から、時々都内に遊びに来ていた。常軌を逸した方向音痴の彼にとって、乗り換えはいつだって至難の技だった。コンピュータグラフィックスを専攻していた彼を、八王子の某大学の教授のところまで無事に送り届けるのが今日の僕のアルバイトだった。この頃のインターネット回線はZoomで面談するほど力強くもなく、クラウド環境はGitHubで自分のポートフォリオを公開できるほどではなかったから、修士論文の指導をしてもらうために直接会いに行く必要があったのだ。
「お前がいなくなるのは嫌だなあ」
 そんなことを面と向かって言われたのは当たり前だが初めてだった。正直少しだけ心が揺らいだ。努めて僕は平静を装い、東へとひた走る列車の窓から外へと視線を移した。刻一刻と時は迫っていた。冬が始まっていた。セーターの袖を鼻に押し当てた。
「バンドはエアなんだ。ギタリストがいなくたって、やっていけるさ」
「エアじゃなかったら、よかったのにな」
「そうしたら、ツアーには必ず宇都宮を入れてやるよ」
「絶対MCでいじられるやつじゃないか」
 東武線の駅の側、一階が物販になっているライブハウスを幻視する。もちろんバンドはエアなので、歌詞も曲もない。それでもステージの上で僕たちは青いライトに照らされていた。ライブの後半で必ずやる定番のバラード曲を歌えば、正確にハモってくれるという信頼があった。電車が新宿駅について、ベーシストと一緒に湘南新宿ラインのホームまで歩いた。
「それじゃあ、またな」
「ああ。今日はありがとう」
 手を振って僕らは別れる。僕には、これが最後だと分かっていた。携帯電話が鳴る。新宿駅は人が多すぎて、誰も僕のことを気にも止めない。運命が僕を迎えに来る。もうすぐだ。こうして世界は分かたれる。
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homatamblr · 6 months ago
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バースデーイベント@曳舟文化センター
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誕生日当日のインスタに載っていたお店へ。天気が悪かったからか早くも店じまいしてたのでメロンパンは食べられず。気を取り直して曳舟へ向かう。
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帰り道に書いた殴り書きメモを軸に、はっきり思い出せない部分は他の方のレポも参考にしつつ・・・なので多少の違いはあるかも。
「全員の顔を見たい」「皆さんへのサプライズとしてやりたかった」と降臨。しばし客席を歩く。
「米村姫良々と誕生日デートしました」 お祝いメッセージ映像。ビヨ曲が流れて察したようで動揺、平井美葉さんが出てきて崩れ落ちる。 夜、急に平井さんから連絡があり、「脈ありじゃない?」と思った。焼き肉食べに行くことになったので「その日は絶対に仕事を入れないでください」。
"おかむランキング" 客に答えさせるコーナー。正解するとほまプレがもらえる。
好きなお肉 ①ミスジ②牛タン③ハラミ④上ミノ⑤鶏モモ
好きなお茶 ①すこやか茶②マスカットルイボスティー③麦茶④ジャスミンティー⑤ほうじ茶
好きな髪型 ①ハーフツイン②サイドポニー③ツイン④ストレート⑤まき
好きなラーメン ①豚骨②魚介醤油③担々④味噌⑤醤油
タンメンと坦々麺を間違えるミスも。冷やし中華はラーメンじゃない。豚骨が好きでよく食べに行く、学校帰りにも行ってた。二郎系も好きで麺半分で野菜は増す。魚介醤油はドロドロのやつ、坦々麺は坦々麺と小籠包4つのセットを召し上がるのだそう。
ハーフツインは大事な時、気合い入れたい時に��縛る場所のことを場位置と表現し「アイドルなので」。ストレートも熱通して手間かかってるんだよねー。
2部では抽選箱無視しだすし1列ないのに1列立て続けに呼んでてヲタにないない!って言われるのも面白かった。自由すぎて楽しい。
"15期の絆を確かめるクイズ" 北川・めいちゃんに質問をしてYES/NOで答えてもらった。2人の答えがそれぞれYESかNOかを当てる。賞品はKから始まるチキン店の券。
3人の中で一番運が良いのはほまれ?15期で一番しっかりしているのはほまれ?中学校で同じクラスだったら友達になってる?男だったら一番もてるのはほまれ?前世で会ったことがある?
出会った頃とほまれの印象が変わった?ほまれと入れ替わりたい?保育士になったらこどもたちから一番人気が出るのはほまれ?実はほまれより自分の方が肉好きだと思う?15期のことが一番好きなのは? みたいな内容。3人それぞれの考え方、関係性がすごい出ててとてもおもしろかった。ちょいちょい外してるけど理由を聞くとなるほどなーというのも興味深かった。 とにかくめいちゃんはほまれのこと好きすぎだし北川も素っ気ないようだけど良いこという。1部で前世は関係ないと言われてロマンがないと文句を言い、2部で「ほまれになったらほまれと関わらない」と北川に言われたら今度はロマンチックと言い。振り回されてるな、と。 ほまれは運より努力の人、やさしい、小動物のようだと思っていたらギャルに、サプライズ女、ほまママが毎年15期加入日に3人の写真がプリントされたお菓子を配っている等々。これは改めて映像で見たい。
セトリ 1.赤いフリージア 2.禁断少女 3.大人の途中 4.ドキッ!こういうのが恋なの? 5.愛しく苦しいこの夜に
「赤いフリージア」 →カラオケの十八番。「米村姫良々にはよく聞かせてるけど今日は皆さんに」衣装を赤にするか迷ったがメンカラを大事にしたいとデイジーに。 「禁断少女」 →選曲理由特に言及なし。リズム感が良い。ファルセットがんばってた。 「大人の途中」 →恒例のスマ曲からのセレクト。まさに今の自分にぴったり。 「ドキッ!こういうのが恋なの?」 →リズム天国の曲がハロメンの中でプチブーム。コールアンドレスポンスをやりたかった。1部はミスったが2部でやりきった。 「愛しく苦しいこの夜に」 →'23秋に年長組がやってたがほまれはまだお子ちゃまだったのでできず。これもカラオケの十八番で「米村姫良々にはよく聞かせてます」。
衣装はデイジーのドレス、「姫にしてもらいました」。あの曲にちなんでピザとかI need my space(意味はわからないと言っていたがちゃんと読めてた)とかつけてもらった。グッズ写真の一部ではデニムジャケットを着ていたが、実際は最初から最後まで着用なし。
髪型は1部がサイドポニー、2部が高めツインテール。「みんなツインテ好きでしょ」みたいな感じで選んだそう。
高校卒業しました、ピアスあけました、髪も染めたいです。で、さわごろ「よこやんみたくする?」さすがにそこまでではなく徐々に染めていくとのこと。 このやりとり見ててなんとなく近いうちに染めそうだなと思った。早ければこのツアーのうちにも動きがあるのでは。
最後にほまたん大好きと言わされ終了。
出ようと思ったらさわごろがほまれがステージ上に残していったおぱんちゅを回収しに出てきた。隠されたおぱんちゅを探すゲーム的なのやってたらしい。
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この日は何故か曳舟らへんですこやか茶がバカ売れした・・・かもしれない。
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endekashi · 9 months ago
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ほんまのなせ?
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三連休最終日!本日もなせツアー!!多少の常連さんはいるものの、今回は本当の初心者の方もいますので、今日はほんまのなせですよ!ほんまやで!トゥルーなせやで!え?必死にアピール��るあたりが怪しい?ほな、みてみてやー!
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本日の先鋭達。本日も沢山の方にご参加いただいたので、テールガイドにマイメン、まちゃ君に来てもらいました。(一番左)実力派のスキーガイドです。俺は彼に色々と教わってスキーガイドの資格を取ることができました。
相変わらず、大して積雪は増えていなく、下地はカリカリな状況が続く白馬ヴァリー。今日もゆるーくゆるーくをモットーに行き先を決めました。ほんまになせやて。
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の、前にちょっときょんたてな崖をチラ見。ヒュ〜。怖い〜。けど見てまう〜。
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てな訳で我々はなせな斜面にドロップ!まちゃ君に写真撮ってもらいました。え?俺のカメラこんなに綺麗に撮れるの!?
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ちょっと斜度があるとガガガガガってなるからなるべくゆる〜いところをどうぞ〜。
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会社の若手をBC沼に嵌めるべくやってきた上司。
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こちらがその若手。若さみなぎる活きのいい滑りしてます。
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ボトムの方はだいぶなせになり、快適でした。
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おーい、皆さん、クソつまんなくても楽しそうなフリしてくださーい!
イェ〜イ!!
こうやってうちのツアーはいつも楽しそうに見せかけているんですよ。
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凍りついたポールを一所懸命に引き抜くの図。ポールはバラして乾かしましょうね〜。
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アベノマスクを愛する塾長、注目の今日の行動食は?
なんとマックのナゲット!わお!健康派イメージを塗り替える意表をつくチョイス!
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石川県からお越しのこちらの方。あ、当ブログでお馴染みのガス女さんです。今回はまだそんなにひどいガスでは無いですね。
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実は彼女、お正月に予約をいただいていたのですが先の地震により、とてもそれどころではないと、(被災はしていないが家の中はぐちゃぐちゃになったそうです。)キャンセルして今回やっと改めてお越しいただきました。という訳で能登に思いを馳せて能登縛りの行動食できたそうです。少しづつ復旧してきたものの、まだまだ不便な生活をしていらっしゃる方もいると思います。少しでも何か力になれることをしていきたいと思っています。
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さーて、登り返し行ってみよー!!今回登る標高差は〜…なんと〜…40m!!
ほんまかいな〜!!それで2時間くらい歩かすんちゃうん?
全然信じてくれないお客様方。
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途中、カリカリ斜面の上りでなせっぽくないとこもありましたが、
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本当に30分くらいの登りでした。ほうら、少しはガイドを信用しなさい。この先も斜度の緩いところ繋いできますからね〜。あ、ちなみにこの先は初めて行きます。出たー!人体実験!
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あれ?なんか思ったより急だな?ちょっと油断すると滑落するレベルだぞ、これは。
地図を確認すると、あらやだ、こっちじゃないわ。一番斜度のあるとこきちゃってるわ〜。おい!
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申し訳あらっせ〜ん。で、いつものやつ。
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なんかよくわかんないけど疲れましたね。なんか食いましょう。え?お茶漬けすか!なかなかやりますね!
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塾長の納豆はもう言わずもがなですね。
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さーてようやくなせな面を楽しめそうですよ〜。
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よーし若手!いいとこ見せてくれ!
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ぎゃはははははは!
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気持ちええのう〜。
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ほうてい難民の彼も楽しめたでしょうか。
後半、なせな斜面が沢山ありました。
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最後の林道の帰りはスキーモードにするという塾長と塾生達。
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よーやりまんな〜。
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っつー訳で、無事下山!!今日、初めてきたけどなかなかいいルートだぞこれは!今後もなせツアーで使えそうです!
今日は総じてなせツアーだったってことでいいですかね?滑落しかけた人は首を横に振りそうですが。
何はともあれ今日もお疲れ山でした!&おしょっ様でした!!
P.S. 今晩、八方国際ゲレンデボトムのROOTS CAFEにてジャマイカからYaadcoreさんというアーティストを招いてレゲエパーティーがございます。このパーティーは能登地震のチャリティーイベントで入場料は全額能登の被災地に送られるそうです。うちの嫁さんの信州小谷太鼓もオープニングアクトやるそうなので、皆さんぜひ遊びにきてください!
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kachoushi · 2 years ago
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各地句会報
花鳥誌 令和5年2月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和4年11月5日 零の会 坊城俊樹選 特選句
秋風や日覆ひの色褪せしまま 秋尚 のつそりと冷ゆるがままの地蔵かな 軽象 佃煮屋間口小さく秋灯す 三郎 神水を掬へば木の実溢れ出る はるか 残菊やまことに細き路地ぬけて きみよ くつくつともんじや躍らせ小春人 眞理子 欄干に頬杖をつく鯊の竿 はるか 猫じやらしいづれも佃生まれなる 和子 小鳥来て路地の少女の消えてゐる 同 晩���に釣糸たらす女かな きみよ
岡田順子選 特選句
初冬の海月は川の色をして 小鳥 のつそりと冷ゆるがままの地蔵かな 軽象 大正の風沸く交番神の留守 小鳥 もんじや屋の高き箆音小六月 眞理子 てつぺんへ鳥入れ替る柿の空 千種 産土神の留守の月島一号地 いづみ 朝寒し江戸の醤油の煮詰まれり ゆう子 佃とは小鳥姦し婆もまた 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月5日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
鷹匠の脈打つ腕畏鳥 美穂 襟元を直す鷹師の指女性 勝利 風の待つ鷹一点を凝視して 孝子 鷹匠の血脈誇り隠れ棲む 美穂 白樺の空ふかぶかと鷹柱 朝子 りんりんと月呼びよせて虫の声 成子 七五三背中をあふれさうに帯 美穂 隼の一閃に散る鳥の群 由紀子 風も日も包みて蓮の枯れにけり 孝子 あまたなる祈り睡らせ枯蓮 かおり 前を行く心変りの時雨傘 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
石蕗の黄飛ばねばをれぬ蝶一つ 雪 赤とんぼ飛んで昔の空の色 同 この晴を授けて神は旅に出し かづを 幾千里子連れの鴨の渡り来し 匠 在りし日や歴史は遺る左内の忌 千加江 潮風や句碑は礁に柏翠忌 同 霙るるや獄舎の左内穀然とし 千代子 天高く貫ぬく像や左内の忌 笑 街路樹の一夜に痩せて神渡 希
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月8日 萩花鳥会
石蕗の花段段段と崖ぷち 祐子 コロナ禍の波乗り上手に冬構 健雄 小春日の暮れて待たるる燗一杯 俊文 風に揺れ森の囁き木の葉散る ゆかり 会釈から世間話に小春の日 陽子 ただふるへ明日を求めぬ木の葉かな 吉之 流星の如く零れし小夜時雨 明子 南窓微睡む父や冬ぬくし 美惠子
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令和4年11月5日 さくら花鳥俳句会 岡田順子選 特選句
袖揺らし拙く歩く七五三 あけみ 傷のない大根抱へ師を訪ひぬ 登美子 面取りの暇なき夕の煮大根 実加 徒歩多き歴史ツアーや椎の秋 紀子 細路地に並ぶ地蔵��朝時雨 実加 葛湯して今夜は静かすぎる母 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月10日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
凩や気にしても今猫背かも さとみ 句をよんで名を知れるなり石蕗の花 同 手の先に触れ行く物の冬に入る 都 廃船のたゆたふ河や冬めきて 同 前山に人の呼び合ふ小春かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
蒼穹へ差し出されあり鵙の贄 都 トタン屋根黒く被ひて山葡萄 史子 迷ひ来し犬は小春の匂ひして 都 神名備へ舞ひ降りて来し渡り蝶 宇太郎 冬籠老いて小さくなるままに 悦子 遠き日の灯台の下大根畑 すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月12日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
欠礼の葉書一通冬に入る 恭子 大綿の飛ぶ一角や時ゆるむ 同 朝の日に虻を待ちゐる花八手 三無 初時雨移ろへる��厨より 和代 蒼天に柿の朱色の映り込み 三無 大綿の抱へる影の漂へる 秋尚 想ひ出は些細なはなし花八手 ゆう子 木々の葉の手さわり厚く冬来る 恭子 綿虫のふうはり中子師の化身 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月14日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
こつこつと振子の音や冬灯 時江 残菊に風の別れか纏ひつく 同 丁寧に描く絵手紙曼珠沙華 ただし 神なびの落葉時雨や岩を打つ 時江 花八手午後の日早も翳りゆく 昭子 職人はなべて無口や日短 同 落葉踏む音にも山の深さあり みす枝 踏み入りて銀杏落葉に呑まれたる 信子 マネキンの衣裳着膨れしてゐたり 世詩明 初霜の夜なりオリオン瞬きぬ 信子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月14日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
山茶花の掃きたるあとに二三片 廸子 ものの影長く濃くなる冬めきて 三無 隼の腹白じろと急降下 怜 街路樹の風音乾き冬めける 秋尚 夕散歩我が影長く冬めきぬ 怜 箒持ち山茶花散るを楽しめり ことこ 青空を切るビルの影冬めける 秋尚 立ち話続く山茶花日和かな 和魚 冬めきて木立の空の広くなり 廸子 蒼天を蹴りて隼矢となりぬ 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月16日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
字余りの句をつくりたる文化の日 世詩明 桟橋も浚渫船も冬に入る 千代子 神の旅紅く際立つ大鳥居 笑子 茅葺の千古の家に散る紅葉 希子 玉砂利の中に見つけし木の実かな 和子 存問もせずしづむ身に石蕗の花 数幸 せめて欲しうすばかげろふ程の翅 雪 人の世を仏の流転秋の風 同 だんまりを通しきれずに蚯蚓鳴く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月17日 伊藤柏翠��念館句会 坊城俊樹選 特選句
人の世に蓑虫鳴くと誰が云ひし 雪 火取虫飛ばざれば灯も淋しきか 同 寺小春上品上生仏仰ぐ 千代子 ぼてさんは越前蟹を売り歩く 同 銀杏散り大樹の影の細りゆく かづを 千年の古都の時雨にあひにけり 同 潮風に磨きあげられ石蕗の花 眞喜栄 腕白も今日は神の子七五三 みす枝 秋風に揺れてゐるかに弥陀の耳朶 やす香 冬ざれや星をつけたる兵の墓 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月18日 さきたま花鳥句会
参道を江戸小紋なる散紅葉 月惑 冬凪や島のなぞへの墓の群 裕章 麦稈のロールどすんと冬を待つ とし江 藤袴やさしく撫づる福禄寿 ふじ穂 あかあかと冬田息づく日の出かな 康子 神無月何事もなく老いの日々 静子 美女と言ふ嘘を重ねて冬鏡 良江
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令和4年11月20日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
照紅葉ここは武蔵野ど真ん中 三無 黄落の熄み変哲もなきベンチ 千種 落葉して三面恐し馬頭尊 慶月 重さなき影を揺らして枯尾花 三無 藁屋根に落葉降り積み主留守 慶月
栗林圭魚選 特選句
冬枯や蚕飼の匂ひふと間近 炳子 冬灯しコルクのもろき薬瓶 久 初時雨お薄いただく森の庵 久子 雲割れてゆく黄落の激しさに 千種 大根の髭剃られあり品評会 久子 山茶花や雨の重さも散り敷きて 亜栄子 黄落の熄み変哲もなきベンチ 千種 白銀の手摺り冷たく磴下る 炳子 乾びたる音の遠のく冬木道 眞理子 ちりちりと咲き揃ひたる冬桜 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋祭皮張り替へし大太鼓 雪 而して九十一の菊膾 同 七福神旅立たれたる村静か みす枝 百地蔵に散華の如く紅葉舞ふ 同 湯豆腐の正面に座す強面 昭子 掃き終へし箒立て掛け花八手 同 季は今し厳き面となる猟夫 一涓 還り来し神をねぎらふ祝詞かな ただし 百鉢の菊の位を競ひけり 世詩明 一寺置く知恵の文殊の山眠る 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月27日 月例会 坊城俊樹選 特選句
皇のげに隙のなき白障子 昌文 身を包むコートの中が愛国者 いづみ 箒目を真直ぐに神を迎へけり 光子 陸士らの祈りの長き神迎 はるか 今にして見えてくるもの綿虫も 千種 大前へ小春は人を歩かせて はるか 孤独なる鴨の水脈とはもつれざる 光子
岡田順子選 特選句
桜もみぢ防大生の整列へ 眞理子 狛犬の阿吽おそらく息白し 俊樹 黄落す絵画の中に居るやうな 政江 参道の冬日の中へ防大生 同 幾そ度落葉の艶を神の池 幸風 すれ違ふ男冬野の匂ひして 千種 大前へ小春は人を歩かせて はるか すめらぎの濠へ映りて柿たわわ 眞理子
栗林圭魚選 特選句
冬蜂のとどまるところ香の濃ゆし 光子 ハーレイの枯葉舞ひ上ぐ九段坂 要 靖国は黄金色に神迎 千種 枯蓮の影縮こまる濠深き 秋尚 日を溜める力残せし枯尾花 同 すれ違ふ男冬野の匂ひして 千種 孤独なる鴨の水脈とはもつれざる 光子 紅葉散る城跡になほ地の熱り 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年11月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
蓮根掘る胴長干して昼餉時 光子 蓮根掘り母のがめ煮の待つてをり 美穂 目貼せし仏間に母と長話 愛 黄落やへうたん池を膨らませ 由紀子 手の窪に在はす仏や霜の声 成子 蓮根掘るまぶしき泥の太古まで 睦古賀子 冷たき掌胸に合はせて百度石 かおり づぶづぶと臍まで沈む蓮根掘 千代 抜き足は得意技なり蓮根掘 美穂 蓮根掘るこのまま脚の根付きさう 愛 冬銀河泳ぎ止まざる大魚達 ひとみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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madokamatsunaga-att · 2 years ago
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以前、平将門ツアーを案内してくれた ミーシャさんの新たなお寺巡り 【五色不動尊巡り】に参加してきました ⁡ さすがに1日で五色は回れないので 第一弾の今回は黄 赤 白へ ⁡ ⁡ スタートは 目黄〜目赤〜目白〜穴八幡宮と 地下鉄や荒川都電を 都内の北側をぐるっと周りました ⁡ ⁡ どこのお寺さんも穴八幡さんも 平日昼間だとしても 見事なくらい人払いされてて ミーシャさんから教わった ご真言を咬みつつ唱えながら ゆっくりと御参りすることが できました ⁡ ⁡ お茶タイムのカードリーディングでは タロットも出てきて 将来の展望をガッツリと 見てもらえました! (エネルギー高いってw) ⁡ ⁡ お腹いっぱいアメリカンピザも食べて 14,000歩運動もして 金運祈願も出来たので 第二弾も楽しみです😊 ⁡ ⁡ ⁡ たくさんのエネルギー充電できたので あやかりに来てね🤗 ⁡ ⁡ ⁡ ⁡ ⁡ #五色不動尊 #お寺巡り #個室 #女性専用サロン #エステ #完全予約制 #千葉 #船橋 #マッサージ #女性専用 #𝖻𝖾𝖺𝗎𝗍𝗒 #大人女子 #女子力アップ #美意識 #脱毛サロン #自分磨き #セクシャルウェルネス #キッズ脱毛 #膣美容 #デリケートゾーンケア #スキンケア #脱毛 #𝗏𝗂o脱毛 #skincandy #ブラジリアンワックス #シュガーリング #アロマ https://www.instagram.com/p/ClCnkQwySfq/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ushijimaseicha · 3 years ago
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【牛島製茶の八女茶製造工場からのお知らせです】 福岡県の緊急事態宣言の延長に伴い、八女茶の工場見学の新規受付停止期間を延長させていただいております。 今後も皆様が安心してご覧いただける工場見学をご提供していきたいと考えております‼️ 工場見学再開の時にはご連絡させていただきます😃 どうぞよろしくお願いいたします😃 さて、ここからは 八女本店&六本松421店の 2店舗からのお知らせです✨ ✨本日9月10日(金)✨ 大人気のソフトクリームイベントです✨皆さん、ぜひ食べてご協力ください😌 食品ロス削減のため、9月10日午後1時から5時まで八女玉露ソフトクリーム、八女ほうじ茶ソフトクリームなど全メニュー【半額】とさせていただきます。 半額イベントの理由は、ソフトクリーム機の衛生的管理のための定期洗浄にあります‼️ 定期洗浄のためどんな新鮮なソフトクリーム原料でも一度廃棄しなければなりません。 それだったら、廃棄になる前に出来るだけみんなに食べてほしい✨ ソフトクリーム原料の廃棄削減を目的としたイベントです‼️ ソフトクリームは、原料が無くなり次第終了となります。 以下の点にご注意ください! ↓↓ ※八女本店はコロナ対策のため店内飲食が出来ません。 テイクアウトのみとなります。 ※牛島製茶 筑後けやき通り店には、八女茶カフェはありますが、玉露ソフトクリームの提供はございません。 ※牛島製茶 JR久留米店には、八女茶カフェも、玉露ソフトクリームの提供もございませんのでご注意ください。 八女玉露ソフトクリーム 八女ほうじ茶ソフトクリームは、八女本店と六本松421店だけの提供になります。 ぜひ、よろしくお願いいたします😃 牛島製茶 @ushijimaseicha https://www.yame.co.jp 八女茶cafe Leaf Heart https://yame.co.jp/cafe/ 八女茶のココロ日記 https://ameblo.jp/ushijimaseicha/ Matchacocoro @matchacocoro matchacocoro.com #八女玉露ソフトクリーム #廃棄削減 #食品ロス削減 #八女ほうじ茶ソフトクリーム #お茶ソフトクリーム #ゴミ削減 #六本松 #六本松421 #牛島製茶 #茶のくに八女 #八女茶 #八女茶ツアー #茶畑見学 #福岡 #お茶工場見学 #工場見学 #八女観光 #八女茶カフェ #自由研究 #緊急事態宣言 #factorytour #houjichasoftcream #matchacocoro #fukuoka #gyokurosoftcream #ushijimaseicha #greenteafactory #yamecity #greenteafarm #ropponmatsu (牛島製茶) https://www.instagram.com/p/CTnr6MBJ4Zn/?utm_medium=tumblr
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nuthmique · 10 years ago
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構成・演出
額田大志 Masashi Nukata 作曲家、演出家。1992年東京都出身。 幼少期より、母親の影響でリトミックを始める。中学二年生の頃、友人の影響でロックバンド『UNICORN』にのめり込みバンド活動を開始。20歳までは主にドラムを演奏。高校時代に作曲、編曲の面白さに気付き、朝まで打ち込みをしては授業中に寝るという生活を送ったため、成績が学年で下から二番目になる。一般大学への道のりは絶望的だったが、音大なら進学できるかもしれないと思い立ち、運良く東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科に入学。 その後、複数のロックバンドでドラムを叩き、ライブハウス『下北沢屋根裏』などに定期的に出演するも中々上手くいかず、大学二年生の冬に8人組バンド『東京塩麹』を結成。同バンドは活動を継続していく中で様々な機会に恵まれ、ツアーやフジロックの出演などで注目を集める。現在は主にシンセサイザーを演奏。 また、大学時代に友人の演出する舞��に衝撃を受け、自らもダンス公演を主催するなど舞台芸術の活動を開始。とはいえ厳しい道のりであり、プロのアーティストの道を諦めて大学留年の後に音楽企業へ就職。しかし、誘われたライブ活動で有給(厳密には特別休暇)を即座に使い切ってしまい、なし崩し的に休職。そして、休職中にのんきに金沢観光していたことがSNS経由で上司にバレて、勤続7ヶ月でスピード退職。活動を本格化。 就職と同時に演劇カンパニー『ヌトミック』を結成(こちらは継続)。カンパニーは現在5人のメンバーで活動。舞台音楽や広告音楽も手がけるが、その便利屋的な立ち回りに、そろそろ自分の軸を持たなければと焦りながら創作を続ける。
演奏
※出演を予定していたCharさんは、ご家庭の事情により不参加となりました。何卒ご了承くださいませ。 波岡康之 Yasuyuki Namioka パフォーマー。 まず私の人生で最初に影響をあたえたのはブルース・リーです。 そして空手をはじめました。私の通っていた道場には、少年部はなかったので、大人と一緒にトレーニングしていました。そのせいかみるみる体力がつきました。以前は学校でほとんど選ばれることのなかったリレーの選手に選ばれるようになりました。そしていろいろなことに積極的に取り組めるようになりました。 役者にも挑戦しました。アルゼンチンタンゴもやりました。 そしてよく行くようになったJAZZ喫茶のとなりの座っていた方が有名なサックスプレイヤーで、その人に習い、サックスも吹けるようになりました。 ブルース・リーの有名な言葉に“Don’t think feel”というのがあります。 そしてジークンドーに、型はないというのがあります。私も既成概念にとらわれず格闘技にARTにTRYし続けていきます。 遠山ひかり Hikari Tohyama 1997年生まれ。東京都出身。幼少期から一日中絵を描き続けたり、5歳からピアノを習うなど芸術全般に多く興味を示す子供であったが、小学校3年生の学芸会で主人公『負けうさぎ』を演じたことが深い興奮として記憶に残る。芝居の世界への憧れから、中学時代は邦画を観漁るようになる。そうして高校では念願の演劇部に入部。この頃から、小劇場の公演に足を運ぶようになる。晴れた日は高校の屋上で寝て過ごしていたのでクラスで浮いていたが、文化祭のクラス演劇で主演女優賞を獲得したことから急に人に話しかけられるようになった。すっかり演劇以外にやりたいことがなくなっていたので、桜美林大学芸術文化学科演劇専攻に進学。学生団体に出演したり、作・演出・出演の一人芝居に挑戦したりして過ごすが、様々な出会いを通して学外の活動が盛んになり大学から足が退く。何か続けられる仕事を始めたくて、憧れていたバーテンダーの求人に応募。アルバイト生活をしながら2019年に同世代の劇団に俳優として加入するも、現在は活動休止している。演劇や生活に挫折する日々ではあるが、救急車で運ばれた際に生死を彷徨いながら「女優です!」と叫んだ自分を信じ、舞台活動を続けたいと思っている。 小又旭 Asahi Omata 学生。1997年生。自己紹介に苦手意識がある。小学校時代には図書室によく通い、アルセーヌ・ルパンなどの冒険譚や、ハリーポッターなどの長編ファンタジーが好きな少年だった。 図書室に折り紙が常設されていたことをきっかけに、小3から中学校くらいまでは折り紙に傾倒していた。そのころは学校で配布されたプリントを折ってしまい、ぐちゃぐちゃになっていた。高校に入り演劇を始めるとともにほとんど折り紙を折らなくなったが、自己紹介の際に「折り紙好き」という情報が使いやすいので頼りがちである。 その後、演劇系の大学に入学。他学科との関わりや実習など、校内施設を使った授業の多さに惹かれて入学したものの、体調を崩したためほとんど参加できない日々が続く。 今年に入り、二年間の休学から復学した。しかしコロナの関係であまり実習もないので、家で折り紙を折ってSNSにアップすると割と反響があるのでたまにやる。現在はサボテンを育てはじめた。 カワイサンホ Sanho Kawai 会社員。1992年生まれ。長野県出身。 実家はスキー場近くの山の中。両親が脱サラ後に自分で建てた丸太小屋で育つ。自然と動物に囲まれ、近所に子供がいなかったので一人遊びをして過ごすことが多かった。西日の当たる部屋で絵を描きながら眠るのが幸せだった。 運動はてんでダメで、その代わり音楽はずっと好きだった。中学生では吹奏楽部でバリトンサックスを吹いていたが、その傍らロックやバンドという概念に強く惹かれ、自分もバンドを組んでみたいという思いが日に日に強くなる。 高校生の時にエレキベースを購入。念願の軽音楽部に入る。大学時代はコピーバンドサークルに入り、ソウル、ファンク、R&Bなど様々なジャンルの音楽に触れる。 社会人になっても音楽活動をゆるく続けている。去年は「Cutty Scooner」というユニットで音源をリリースし、ベースで参加している。 今���、粘土という素材で参加した理由は、会社員で調子を崩してしまった時に、たまたま家にあった粘土で造形を始めてみたら気持ちが楽になったことがきっかけ。現在も気が向いた時にオリジナルの作品を作っている。Instagram:@__pumo 八木佑平 Yuhei Yagi 1996年3月28日生まれ、香川県出身。現在は都内にある建築デザイン事務所に勤務。普段全くと言っていいほど音楽を聞かなかったのだけれど、3年前くらいから音楽というより音に興味を持ち始めた。 それは大学4年の冬、友人の研究の手伝いで音楽を制作したことがきっかけで。 ある音とその音がもつイメージとの関係についての研究だったように思う。 1人用の特殊なドームの中で、ヘッドホンとVRゴーグルをつけてその制作は始まった。まずセミの鳴き声・海の音・風の音を同時に聞いて、夏が見えるでしょうと友人はサンプルの音源聞かせてきた。 うん、確かに。VRはウユニ塩湖みたいな映像になっていたけれど、いわゆる夏感を音によってイメージさせられた。音も、ある体験の重要な要素なのだ。 音によって感情が引き出される。日常でもよくある事だ、音楽を聞く目的のほとんどと言ってもいい。 その音に対する自分の認識。解像度が様々なイメージまでくっついている。黄色を見て「黄色」と言う。その共通認識ゲームは音にも言えるのだと改めて知覚したことは大きな衝撃だった。 次は100種以上あるサンプリングされた音源を自由に組み合わせ、あるイメージを実現させる音楽を作ってみる。雨音なら「小雨」から「豪雨」まで、鳥のさえずりは複数種の鳥の鳴き声があり、車や人混みなどの騒音も用意されていた。 何をイメージしてどの音源を組み合わせたかは忘れてしまったのだけれど(悲しい…)、それは生きてきて聞いたなかで一番不快な音楽になってしまったのだ。 自分が聞きたい音を6種くらい、ある程度風景のイメージ(=絵とそこになる音の成立)も持って組み合わせたその音楽は、とにかく聴き心地が良くない。不快。 雑多な音が同時に存在する日常はなぜここまで不快にならず成立しているのだろうか。耳が慣れているのだろうか。ある音が許容値を越えると異常事態化し(うるさいなど)不快になる。 ましてや音楽を作るなんて、なんて難しい制作なんだ。とここ数年悶々としていたところ今回のWSを知って参加してみた。 ひろすえゆうた Yuta Hirosue 介護福祉士。先天性の心室中核欠損症で運動が出来なかったのですが、音楽の授業で自分を表現する楽しさを知り、中学、高校と吹奏楽部でパーカッションを担当しました。 高校卒業後は福祉の専門学校へ進み、保育士、幼稚園教諭、介護福祉士の資格を取得し、福祉施設で働いています。現在は福祉施設で働きながら、児童館で小学生から高校生を対象としたドラム講師のアルバイトをしています。 お笑いが好きで、ライブを観に行くことやラジオにハガキを送ることが好きです。昨年からは自分も何かやってみたい、という気持ちが強くなり、自分自身もエピソードトークやフリップネタでお笑いライブに出演するようになりました。 コロナ禍で自分にとっての幸せは人と出会うことだと思い知り、「一度きりの人生、出来ることは何でもやってみよう」と前向きになることができました。 共演者との出会い、私が鳴らす「物体」との出会い、観てくださるお客様との出会い、全ての出会いへの感謝と幸せを噛みしめて演じます。  長沼航 Wataru Naganuma 俳優。ヌトミック所属。幼稚園くらいまではそこそこ内気なシャイボーイ、保健室のれいこ先生と仲良しこよしでお届けしておりましたが、家では風呂から出てくるやいなやソファに飛び込み「おもしろ劇場」を開催する陽気な一面もある男の子でした。小学3年生からはマーチングバンドに所属してユーフォニアムとチューバを担当、朝練はよくサボっていた。中学校では一旦科学部に鞍替えするも、母親の友人経由で週末にゴスペルを歌い始める。高校ではオリエンテーションでかっこいい演奏をしていた吹奏楽部に入ろうと決意し仮入部に行く。すると、「久しぶり、ビリー!」と会ったこともない先輩にいきなり抱擁され、そこからあだ名は基本的にビリーで統一している。また、その人とは別の打楽器の先輩につかまり実はずっとやりたかったパーカッションに転向する(ちなみに人生のどこかでベースもやってみたい)。高校は笑いにシビアなところだったので、文化祭や合唱祭のたびに漫才やコントのコピーをやっていた。高2の定期演奏会で寸劇をやり、ウィンクキラー役を務めたのが演劇に目覚めたきっかけ、ではないのだが台本係の後輩と帰り道にフィクションのことばかり話している時間は楽しかった。大学に入って下北沢・本多劇場で観たヨーロッパ企画『来てけつかるべき新世界』が衝撃的に面白くそこから演劇にハマり、いつの間にか舞台の上に俳優として立っている。今年度からは横浜国立大学大学院の修士課程に在籍し、作品制作という形で研究を行っている。ちなみに、順調ではない。 深澤しほ Shiho Fukasawa 俳優。ヌトミック所属。山梨県出身。母親がドラマを見るのが好きで、小さい頃、一緒に寝るまで横で見ていたことをきっかけに「テレビの中の人になったらお母さんが喜んでくれる!」と思い「テレビの中の人」になることを目��す。 田舎の小さな中学校・高校には演劇部が無く、地元には映画館も無く、俳優になることを本格的に意識し始めたのは高校2年の進路提出のとき。 社会人としてなりたいものが本当に浮かばず、どうしたら俳優になれるのかもわからず、とりあえず学校帰りに「月刊 デ☆ビュー」を買って、当時人気だった小池徹平が「君も応募しよう!」と微笑みかけてきたのでこっそり応募。俳優養成所に合格するも、よくあるぼったくりの養成所だと気づくのは5年後。 心理学を学べる大学に通いながら、俳優養成所に通い、大学ではなぜか図書館司書の資格を取得するというブレブレの時代を通過する。「タマビ」「ムサビ」「オウビリン」という美術系の大学もあることを教えてくれなかった高校3年の時の担任・本多の顔は忘れない。そしてそういう大学があることを調べもしなかった当時の自分の怠慢を今でも根に持っている。 ようやく人生の軌道修正するのは大学を卒業して3年後、養成所で奇跡的に知り合うことができた〝師匠〟から「これを読め」と『東京ノート』(平田オリザ著)を渡され、以降は青年団関連の舞台を片っ端から見に行く。 アーツ千代田3331でやっていた、わっしょいハウス『木星の運行』を見に行ったとき、出演していた浅井浩介さんの佇まいに度肝を抜かれ、今まで私が養成所で教わっていた〝それら〟が一気に崩れ去る音を聞く。ぼんやりしていた心の目がついに開眼し、青年団の俳優が講師をしてくれるという「映画美学校アクターズコース」を受講。その後のスピード感は自分でもよくわからないが、生粋の下克上精神は維持しつつ、人生遠回りしてもまあいいじゃないか、と楽観的な思想も持っている。 << 公演トップページ << 無料楽譜公開
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yrkhang · 5 years ago
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「遅刻遅刻ってパンをくわえて走るのは危険です」について
遅刻魔なので危ないんだよね。遅刻遅刻ってパンをくわえて走ると曲がり角で正面衝突しちゃう可能性もあるからやめようね。道路交通法にもそう書いてある。
そんなこんなでネタバレふうな話を交えつつ。出来たらいいなあ。ぽやぽや。
そうだなあ。
「いいなー」って思ったのは多分豊崎さんで。
なんだっけな、MC大好き人間だから大概MCの話に終始してしまうんだけど。
最初の挨拶だったか、「スフィアの豊崎愛生です」って話があって。個人的にこの流れって弊社の(弊社?)高垣さんが十八番としている「私スフィアってユニットをやってるんですけど」みたいな話とすごく似ている感じがして「取られた!!!!!」って感じの顔をしてたのだけど(この時は高垣さんもすごい顔してて面白かった)、何というのかな。このツアーの前後にはアニサマなんかもあって、多分豊崎さんはそこでも色んな景色を観たんじゃないかな、みたいなことを感じて。
中野、という意味では、MRでは作品の曲を歌う事も沢山あったし、例えば「スフィア」というユニットのファン層を思い浮かべてみても、結構「その中の個人のファン」みたいな人たちもたくさん居るのだろうなあ、みたいな、これは僕の勝手なイメージだけれども、ところもあるし。中野という場所は色んな人が色んな関わりで立ってきた場所だから、そこに居るひとりひとり、思い浮かべる景色も全然違うんだろうな、とも思う。でも、この日の豊崎さんは「スフィアの」豊崎さんです、という話をしていて、なんとなく、それはすごく良かったなと思っている。このMCはこの後「じゃあ今日スフィアを初めて見た人~?」みたいなふうに展開していったと記憶しているのだけど、まあこれはライブではどこでも定番の流れではあるものの、僕が見たそれは、やっぱりそこに色んな立場の人がいて、色んな人がいてのスフィアのこの場所なんだな、みたいなことが感じられた。それは豊崎さんのおかげだと思うのですごく有り難かったなあと思っている。
どの辺だったかな、「10周年ということで」、という話しの流れの中で、この日の豊崎さんは「おめでとうをすごく言われるんですけど」という話をしていて。この「"おめでとう"と"ありがとう"」の話、豊崎さんは例えばご自身の誕生日とか、節目節目にいつもしている気がするんだけど、僕が初めてこの話を聞いたのっていつだろう。5周年の武道館…?くらいになるのかなあ。ちょっと自信ないけど、スフィアの中でこの話をしていた、という記憶は確かに在って。なので今年、スフィアという場所の中でこの話が聞けたことは個人的にとても嬉しかった。
高垣さんの話する?別にいいか?
今回、僕は事前にセットリストとか全然見てなくて。なので、これがどんなふうな意図で選曲されたのか、みたいなところは全く分からないんだけど。
ツアー恒例のひとり一曲ずつのソロ曲が、この日は『一千年の散歩中』で。
すごい良かったんですよね。衣装が藍色のドレスに、あれラメなのかな、全身がすごいキラキラしていて。下手上段から出てきたとき、ちょっと息を飲んでしまった。
ソロのツアーまではなかなか追い切れていなくて、高垣さん以外は滅多なことが無い限り近場の公演を拝見していることが僕は多いのだけど、そういう意味では「中野に立つ姿」を僕が四人の中で一番多く見てきたのは間違いなく豊崎さんである筈で。色々思い返すこともあるんだけど、この日のこの歌を見ていて強烈に思い出したのは「live your Best」の時の事だった。あの時は確かステージの背景が瞬く星空で、やっぱり彼女には白いスポットが落ちていた。
すごく面白かったのはそのスポットの形があの日のままの形をしていて、最後にその光が収束する光景までまるっきり変わらなかったことだった。うーん、なんだろう。多分僕はこの曲すごく好きなんだろう���と思うのだけど、それは純粋にこの曲が僕の好きな感じの曲だから、ということではないのだろうなとも思っていて。
何というのかな、この日のこの歌を聴いていると、僕がこの歌を好きな理由がちょっとだけ分かった気がしたのかな。
あ、余談だけど、この曲をモチーフにしたことねさんのイラストがマジで素晴らしいのでみんな見てくれよな!アレめちゃくちゃ好きなんだよなあ…ことねさんのイラストの中でいちばん好きかも知れない。「」
高垣さんの話する?別にいいよね?
なんかね、めちゃくちゃ印象的でそこだけロングショットでスパッと抜いたみたいに脳裏に残ってる光景があって、どこだか全然覚えてないんだけど隣の寿さんを見てる横顔だったから、多分サプライズの前後くらいじゃないかと思ってるんだけど。
「はるちゃんが珍しく笑ってるなあ」と思って。
いや言い方が良くない。戸松さんが笑ってないときの方が珍しくて、彼女といったら大体笑ってるに決まってる筈なんですけど。この日もたくさん笑顔を向けてくれてて眩しかったなあ。
うん。ただ、戸松さんは優れた役者さんで、同時に彼女は「お客さんが笑顔で居られること」をすごく大切にしてきたアーティストだとも思っているので、そういう彼女の笑顔の多くに僕はすごく攻めの姿勢を見てしまうところがあるというか。
攻め、というと少し違うのかな。お客さんが笑顔で居られる条件というものを考えたときに、ステージ上の演者が笑えている事、というのは間違いなく必要な要素であるはずで、そういう風に観たときに、戸松さんの笑顔がすごく「投げかけられてるなあ」と感じる瞬間が僕の中には沢山あって。彼女の面白いところはその辺りを理論ではなく無意識に感じ取って演ってしまう天才肌な部分でもあり、同時にそうしている彼女自身がそう在ることで自分の中の楽しさを再発見しているようなところも感じられるところでもあって。だからこれは良し悪しの話では全く無いのだけれど、少なくとも彼女にはそういう、意識して出している笑顔と、そうではない、無意識に出てしまう内面からの笑顔の二種類があるのかなーみたいに僕は思っているんです。そしてその後者は、意識していないからこそ滅多には見られない。過去振り返っても、3回…くらい、なのかな。僕が見た中で言えばそのくらいなんじゃないかと思っている。笑顔を大事にしているからこそ、本当のその表情が隠れてしまう、みたいな一面がある人なんじゃないのかなと思う。この辺は歌を聴いていても感じられるところだったりする。
そういうはるちゃんの、内面から出る自然な笑顔って、見たら一発で分かるんですよ。こう、にへーっと目がすごく細くなって。そういう時のはるちゃんは「いくぞー!!」って感じの笑顔とは全然違ってすごい優しい顔をしてるんですよね。あの笑顔は見たら誰でも分かると思う。
この日見た彼女の笑顔は、誕生日を迎える寿さんにまっすぐ向けられていて。あの笑顔を見ているだけで、二人の関係やその間に流れてきた色んなものが見えるんじゃないかという気がする。何だろう、「お姉さん」って感じがしたのかなあ、上手く言えないのだけど。
あ、全然関係ないけど、この日のはるちゃんにはお姉ちゃんみが滅茶苦茶あって。あれいつ頃から何だろう、MCの中で「○○だねぇ」って投げかける感じが、親戚の甥っ子に話しかける叔母ちゃん���みたいな。ああいう戸松さんを見たのは僕は初めてだったので滅茶苦茶びっくりしてしまった。お姉ちゃんって書いたのに叔母ちゃんっていう本音が出てしまったんだけど、それはすごくいい感じだったから、これからも戸松さんにはいい叔母ちゃんでいて欲しいなあと思う。
コイツ高垣さんの話をするつもりが無いな?
いやね、今日はそもそもみなちゃんの話をしたいと思ってたんです。いや長かった…。ここまで読んでくださってる方は相当の暇人なんだろうな。まあいいや。(よくない)
なんかねえ。これ書いたらみなちゃんファンに滅茶苦茶怒られそうなんだけど、この日のみなちゃん見ててずーっと感じてたのが、「なんかふわふわしてんなー」ってことで。
や!ちょっと待って!なんか西の方から大量の石が飛んできてるけどちゃんと話をするからちょっとだけきいて!石はダメ!石は痛いから!!
寿さんは、勿論4人の中では一番年下ではあるのだけど、一方で彼女はスフィアがスフィアになる前、というよりさらに昔、彼女たちがミュージックレインに属するよりも以前から、役者さんとしての経験を重ねてきた人でもあって、そういう意味では彼女たちの中の寿さんって、「年下だけど先輩」みたいな側面もあったりするのかな、って思うことはこれまでも沢山あったんです。スフィアを少しでも知っている人ならみなちゃんが四人の中でも一番(敵が増えた音)、…いや、勿論四人それぞれ色んな側面で「スフィア」というユニットに資してくれていると思うけれど、それでも、…一番、しっかりした子なんだという事を知っている筈。いろんなアイデアを出してくれる子でもあるし、振り付けなんかも今回はみなちゃんが考えてくれた、という話をどこかで目にもしたし、ステージ上でもともすれば四方八方好き勝手を始める主にオレンジとピンクの人をまとめ上げながら、リーダーシップを持って引っ張っていってくれる、そういう才能を持った人でもあるし、そうしていこうという意志を持ってくれている人でもあると僕は思っています。みなちゃんはホントにすごい子なんだよね。
あのー、うーん…やめるか…
いいや。個人的には、そういうみなちゃんって例えば『けいおん!』で言うならある意味あずにゃんみたいな立ち位置に立ってくれている人なんじゃないかなと思っていて。年下ではあるんだけど、才能もあって、「皆の為に私がちゃんとしよう」みたいな気持ちも持ってくれてて、その気持ちがたまに鬼教官みたいに出ることもあるらしいけど、そういうところもみなちゃんっぽいよなあとも思うし。ひとつの「ユニット」という中の場所として、そういう所に居てくれている子だなと思っていて。
なんだけど、それはもどかしさでもあって。ユニットって難しくて、歳の差があると逆に、年上の側は寧ろ「下げよう」みたいな意識も働くのかなと感じることもあるし。スフィアはその年齢で大別すると昭和組と平静組に分けられるけれど、その景色の中の昭和組を見ていると、意識的にゆるい感じをやることでバランスをとっているのかな、と思うことも沢山あったし。
でも、そういう色んな人の色んな立場に基づいた気持ちや行動があるにせよ、その中に居る寿さんが、「自分がしっかりすることでこのユニットの為になろう」と思っていてくれたんじゃないか、みたいなことは僕の中ではすごく確かで、一番年下の彼女にそういう立場を担ってもらえ���ことは、嬉しくありつつも申し訳ないなあ、みたいな気持ちもあって。何ていったらいいのかなあ…決して犠牲になろうみたいな気持ちではないと思うし、寧ろ鬼教官してるみなちゃんの話を聞くと楽しそうだとも思うんだけど、でも、「ちゃんとしてくれている寿さん」には、本来だったら末っ子である筈のその立場にいてもらうことは、きっとできていないんだろうなあ…みたいな事を、事ある度に思ってしまったりしている。
この日のみなちゃんがねえ。なんだか終始ふわふわしていて。アレなんだろうな、ソロのときも、あ、この日のみなちゃんのソロは Bubblicious だったんだけど、衣装がなんかすごい印象的で。僕の中にはああいう服装をするみなちゃんって全く存在しないんだけど、寿さんファンだとまた違う感想があったりするのかな、個人的な感想で言えば、ちょっと子供みたいな感じが下というか。みなちゃんの確か最初のフォトブックに、額にお姫様ティアラ載せてわらってるみなちゃんが居たと思ったんだけど(髪がウェーブのオールバックになってるやつ)、単純に印象だけでいえばあの感じを思い出したというか。
この日のみなちゃんはMCを聞いててもどことなくふわふわしていて。普段だったらめちゃくちゃ鋭くツッコミを入れているような周りのお姉さんたちのボケボケトークにもなんだかずっとニコニコしているだけ、みたいなところがあって。そう、それで思い出したのは、そういえば前のツアーで誕生日だった富山公演のときもみなちゃんは確かこんな感じだったな、というようなことで。よーくよく思い出したら、もしかしたら誕生日付近のみなちゃん、いつもこんな感じだった気がする。いつからだろう…もしかして初めて皆でお祝いした代々木からなのかな。流石にあの頃の記憶は漠然としているんだけど。
ただ、みなちゃんの誕生日って「スフィア」でお祝いしてきたな、という思い出は沢山あって。そうそう最初の代々木の頃はさああの頃まだキンブレとか無くて電池式の細い単色のペンライトだったんだよ。美菜子パープル。確かスフィアのグッズで電池式ペンライトが初めて出たのがこの時で武道館までは売ってもサイリウムだったんだよね。「電池式!!新しい!!!!」と感動したことをよく憶えているし、その初めてがスフィアの青じゃなくてみなちゃんの紫で、「あ、これは皆でお祝いするんだな!」って、嬉しくてたくさん買ってしまった事も良く憶えてる。8年経つなんてねえ…。今や恒例だけど、ろうそくに見立てたペンライトを消していくっていうのもこの時が初めてで、この日の中野もやっぱりそれをやったのだけど、個人的にはあの時の景色がどうしようもなく思い出されてすごく眩しかった。
これは、あくまで僕の想像に過ぎないのだけど。
若しかしたらだけど、普段はあんなにしっかりと皆を引っ張って行ってくれるみなちゃん。
そんな彼女が、歳相応の、「皆の妹」みたいな姿になれるのは、もしかしたら誕生日の近いこの時間だけなんじゃないかなあ、みたいなことを考えたりしていた。誕生日って周りの人たちが自分の為に色々考えてくれて、だからこそ、等身大の素直な姿でその人がいられる瞬間なんじゃないかなあと思う。そういうことを思うと、先に書いた豊崎さんの「"おめでとう"は"ありがとう"」という話も、それを向ける人と向けられる人、お互いの中に同時に流れる想いなのかなみたいなことも思う。いつも頑張ってくれているみなちゃんに、「スフィア」��時間の中で、皆でお祝いできる時間が沢山あって、良かったなと改めて思いました。お誕生日、おめでとう。だいぶ遅刻なので冒頭はパンをくわえた話になりました。
このままいけばいい話で終わるしやっぱり高垣さんの話やめない?
するか…(天邪鬼)
スフィアのステージも、やっぱり「ステージ」ではあるから、そこで見せてくれているものというものは須く「みせてくれているもの」なのだろう、と思っている。傍から見ていると普段の彼女たちそのまんまなんじゃないか、とさえ思ってしまう最近のスフィアなのだけど、でも、それはやっぱり「ステージ」だから、そういうふうに見せてくれているという側面は間違いなくある筈で、彼女たちの日常の中には、そこに見えるような日々もあるのかも知れないし、敢えて見せないようにしている時間もきっとあるだろうとも思っている。
ただ、その境界線というものは近年どんどん曖昧になっているのかなあ、という感じもしていて。
いや、良い話になる筈だったんだよ!!アンコールのね?みなちゃんが「いやーなんかお腹減りました!」みたいなふわーっとした話に見かねたはるちゃんが「この後ケーキあるからね、みんなで食べようね」みたいな話、ここで終われば絶対いい話だったと思いません!?ああお誕生日だもんね、みなちゃんには内緒にしてたんだよね、ってみんな分かるじゃないですか。
なんで突っ込んじゃうの!!!!!
いやね、高垣さん、マジギレしてるときってすごくよく分かるんですよ。表情も分かり易いけど、彼女って怒ると口調が高垣家母そのまんまみたいになるんですよね。「彩陽ちゃんなんで言っちゃうの…!」…僕はあの瞬間、ハレルヤ家でママがめっちゃ怒ってるくだりを思い出しましたね…。
最近のスフィアってそうなんだよなって思う。ステージに立つ人って、やっぱりステージに立つ人だから、そこでは見せられないものって在る筈だと思うし、それでいいとも僕は思っているのだけど、最近の彼女たちはそういうところを突き抜けてしまっていて。上に書いたような話はそういう今の彼女たちの側面が端的に表れた瞬間だったなあと思っているのだけれど、なんというのか、例えば「コレ本当だったらBDのメイキングとかでちょっとだけ観れるような映像なんじゃないか」みたいな景色を、ステージ上から、「そう見せよう」というのではなく、それがぽろっと零れてしまったみたいに、みせてくれる。僕はなんだかそういう景色は見ちゃいけないものなんじゃないかと思うから、そういうときはつい両手で顔を覆ってしまうのだけど、でも実は、覆った両手の指の間から、それをちらっと見てしまったりしている。
「そういうものが自然と出てしまうくらい」。そのくらい、そのままの姿を彼女たちが見せてくれているということ。それはそのまま、今の彼女たちにとっての「お客さん」に対する彼女たちの信頼の表れでもあると思うし、10年という時を重ねて今、彼女たちが私たちのことをそんなふうに思ってくれているのだとすれば、それはとても有難いことだし嬉しいことだと思う。「アーティスト」としてすごく格好いい姿も見せてくれる彼女たちの、そういう姿もいっしょに見せて貰えることが、なんだかんだで私は一番嬉しいんですよね。
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isana-9 · 2 years ago
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一昨年ショールームにクーラーを導入したので、昼下がりにソファに座ってしまうと、仕事ができず、、、うとうと、、、 ⁡ 明日ショールームにて行われる、チョモ山さんのゲーム会の準備が完了!! ⁡ おかげさまで、たくさんの方にお申し込みいただきました!明日は僕も楽しみ���す〜 ⁡ ⁡ 午前の部はたくさんお申し込みがありましたが、午後の部はまだお受けできますので、 ⁡ 昼下がりクーラーきんきんに冷えたショールームで、わいわいボードゲームにご興味のある方は、ぎりぎりのお申し込みおまちしております!! ⁡ ※午前の部もお申し込み可能です👌 ⁡ ⁡ ⁡ ⁡ ⁡ ↓以下概要です。 ⁡ 【要予約 7/2土 チョモランマ山下さんのボードゲーム会@ISANA FACTORY】 ⁡ 前回、大盛り上がりしたチョモランマ山下さんのボードゲーム会を、新潟市秋葉区にあるISANAの家具工房の中にあるショールームにて再び開催します!! ⁡ ぐるり東北ツアー中のチョモランマ山下さんのアカウント↓ @chomoyama ⁡ 前回開催の模様↓ #207日目チョモさん来たる ⁡ ⁡ 前回が楽しすぎまして、お時間の合う方はぜひいらしてください!ナカガワマサユキおすすめ企画でございます! ⁡ 今回は、ボードゲームをたくさん広げれるように、ISANAの家具ショールームにて、思う存分楽しんでいただけるようご準備いたします😻 ⁡ ⁡ ボードゲーム初心者さん、老若男女どなたさまでも大丈夫です!!チョモさんが上手に手ほどきしてくださいます🃏✨ ⁡ みなさまのお申し込みお待ちしております!! ⁡ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ⁡ ⬜︎日時・場所   ⁡ 7/2土曜日  ISANA FACTORY 1Fショールーム/新潟市秋葉区古津1840 ⁡ ①午前の部10:00-12:00 ②午後の部14:00-16:00 ⁡ ⁡ 午前午後どちらかをお選びください ⁡ ⁡ ⬜︎参加費(ドリンク付) ⁡ 大人(高校生以上)2,500円 子供(5歳〜中学生)1500円 4歳以下無料 ◎ファミリー割として1家族上限6000円 ⁡ ⁡ ⬜︎お申し込み方法  このインスタグラムアカウントのDMにてお申し込みください。 その際、 ・参加希望時間(午前or午後) ・人数 ・電話番号 を、ご明記ください。 ⁡ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ⁡ 【チョモランマ山下さん】 ⁡ 岐阜県郡上八幡生まれ・現在も郡上八幡在住 ⁡ 新潟大学に進学し、新潟にて学生時代を過ごす(ISANA中川夫妻とは同級生・その時からの仲) ⁡ 元はちゃんとした会社員だった山下さんが、ボードゲームの楽しさに魅了され、紆余曲折を経て、ボードゲームの伝��師「チョモランマ山下」として、全国各地を渡り歩くことに。 ⁡ トークも愛とユーモアがあって、 ⁡ 一度でも一緒にゲームをプレイすれば、ほぼ100%の確率で、チョモ山さんのファンになってしまうだろうなと思うくらいのやさしい世界観と、タレント性が溢れています。 ⁡ ⁡ ⁡ ↓ ⁡ #毎日更新してます #279日目 ⁡ #チョモランマ山下 #ボートゲーム #カードゲーム #沼垂テラス商店街  #イサナ喫茶室  (at ISANA) https://www.instagram.com/p/CfdT4pPrs74/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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endekashi · 2 years ago
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リターン オブ ザ 雨女、ガス女。
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二週間前、その力を遺憾なく発揮してきた雨女さんと、ガス女さんがリベンジしにやってまいりました。今回はジンクスを打ち破ることができるのか!?
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流石、二人の力かわかりませんが当初は良かった予報がどんどん悪い方に転んでいき、なかなか荒れそう&冷えそうな感じになってきたので白馬を脱出する事にしました。
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桜前線は北小谷まで来てます。白馬も咲き始めましたね。はえーすね。
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朝のうちはさほど天気も悪くありませんでした。昨日の雨のせいで川の水量は多めです。
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なんなら青空まで。遂に雨女、ガス女、破れたり!?
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レストハウスで登山届けを書き込み、パトロールにワッサップかまして出発します。
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本日はなせ(初心者)ツアー。経験浅めの人、ゆっくりいきたい人、初めてのえんでかしの人、暇な人。今日もなせツアーは多種多様な人間模様を織りなしております。
テールガイドは川上豪君。毎回、朝の挨拶でフリースタイルを無茶ブリされて迷惑そうですがたまに踏んでくるようになりました。
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朝のうちはまだ奥の山が見えてました。しかし、今にもガスの中に隠れちゃいそうです。流石、ガス女さんです。みなさん!今のうちに網膜に焼き付けて!!
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ゲストの板。ハンドメイドの板を自分で割ったそうです。すげえな〜。俺には絶対できない芸当ですね。
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登りはゆるゆるな斜面をぼちぼちと歩く感じです。
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眺望のいい山ですがみるみるガスが降りてきました。
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景色楽しむなら今ですよー!!
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どうやらガス女さんの真骨頂っぽいです。
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頂上に着く頃にはハードガスに。
更に雨もパラパラ。
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雨女、イェ〜イ!!
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イェ〜イちゃうわ、みんなに謝らんかい!と、ガス女さん。
いやいや、むしろ今回もガスと雨を避けられなかった俺の負けです。ちくしょー!!
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気を取り直してお茶にしましょう。
石川にてひゃくまん焼きというまんじゅうを捌くゲスト。差し入れを下さりました。優しい甘さでとっても美味しかったです。今年は外国人が帰ってきて無茶苦茶忙しくてあんまり滑りに来れなかったそう。
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更に白えびビーバーなる石川のソウルフードも。すげえサクサクしたあられでビールがあったら止まらないやつですね。
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あれが焼山で〜、あっちが火打、あ、昼闇も見えますね〜。最高な景色を思う存分心の中で味わったんで行きますか。
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視界10m。余裕ではぐれるヤツです。
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しかも無茶苦茶ややこしい地形。
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無茶苦茶タイトな狭い沢に吸い込まれたり、
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マジックワックスで緩い斜面をクリアしたり、
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とてもなせとは思えない登りをしたり、
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かと思えばテールガイドが裏から全然楽に登れる斜面を発見したり、
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ハードなせ(!?)をクリアしたら遂にガスが抜け始めました!!
イェ〜〜〜〜イ!!
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やっとまともに滑れる斜面にきました〜。
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そのうち青空まで見えてきて気分も上々♩
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雪もストップってほどでもなく楽しめました。
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スノーブリッジもギリギリなところが多く下から見てる方が怖いです。
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無事に降りてまいりました〜!
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あれ、なんかこれ八方でみんなやるヤツやん。まあ最後の集合写真撮るの忘れたからこれで。
最後には晴れたけど、今回もガス女さんと雨女さんには敗北感を感じました。次こそは必ず!!また来シーズンかな?よろしくお願いします!
お疲れ山でした!&おしょっ様でしたー!!
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帰りは傳兵行って魚食いたかったけど時間に間に合わずだったのでラー���ョー、キメときました!!
うめえ〜〜〜〜!!!
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usickyou · 2 years ago
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たくさんかわいがってね
 扉を閉じると、足で踏んでスイッチを入れる。数十のブルーライトが点灯して、水槽を照らし出す。水槽は、壁という壁を埋め尽くしていてあたしを取り囲む。ここに来ると、どちらが飼われているのかその認識はひどく曖昧になる。  部屋の真ん中には小さな水槽があって、ただ一つ白い明かりの中を金魚が泳いでいる。赤や黒、時々は金色。そろそろサイズを上げるか買い足すかしないといけないと思うけど、水面を覗くと二匹がおなかを見せて浮かんでいるのでその決断には決め手がない。あたしは両手でくるんだ、新しく生まれた赤い金魚を水槽に放る。金魚はしばらくとまどって、だけど状況を理解するとすぐに泳ぎはじめた。ものの数秒で、他の子との見分けはつかなくなった。  それから死んだ二匹をタオルでくるんで、ビニール袋に放る���次のゴミの日のことを考えた。
 羽衣小町のツアーは成功に終わった。仙台から福岡を巡る六都市ツアーは失敗もあり得る初めての大きな試みだったけど、心配はぜんぶ杞憂で終わって蓋を開ければ会場はどこも大入り、同行の演出さんは会場読みを間違えたねなんて笑っていた。もっともあたしたちに失敗はあり得なくて、細かく見ればダンスがコンマずれたとか一番と二番の歌詞を間違えた(それだってプロンプの出し間違いが原因)とかのミスはあっても、お客さんを満足させることに関してあたしたちはプロフェッショナルだった。紗枝ちゃんは芸事に対する真摯な姿勢を持っていて、人に見られることのおそれも喜びも深く知っている。あたしはあたしで芸能に対する適正があって、そんなことより人がどうすれば楽しい気分になるのか嬉しく思うのかをはかる才能があった。あたしたちがそういう力をちゃんと使えばステージはいつも桜吹雪みたいな歓声で溢れたし、場所とか大きさが変わっても、それは変わらない。変わらないと、そう思っていたけど紗枝ちゃんが十八歳になると思いもしなかったかたちで全ては変わりはじめた。  その告白をされたのは半年前、アンコール直前に衣装替えをしているタイミングで、彼女がどうしてそんな時を選んだのかは未だに訊けていない。ばたばたとせわしなくスタッフさんたちがあたしたちを着替えさせている最中に、先にツアーTシャツになったあたしに耳を寄せて、「うちな、あと一年したら帰ってこいて言われとるんどす」そう彼女は言った。そうして完璧なタイミングで着替えを終えて、またステージへ飛び出した。  あたしたちは、プロフェッショナルだった。  ライブを終えると、同じ社用車に乗り込んだ。あたしはもう寮を出ていたけれど、会場からマンションまでの方向はだいたい同じだったからそれは自然だった。道の途中で紗枝ちゃんは「気持ちわるい」と突然言いはじめて、もう近くまできていたからうちに転がりこむとソファで横になった。そこで、はじめて金魚を吐いた。 「あかん、えずきそ」 「肩貸すよ。トイレ行こ」 「無理やわ、かんにんな」 「ええよ、ちょっとだけ我慢して」 「かんにんな、周子はん、ほんまに」  あたしが慌ててアルミボウルを紗枝ちゃんの口もとに添えて「すぐ楽になるよ、大丈夫」と言うと、彼女は、こう、背中をぶるっと震わせて全身を弓みたいにしならせて赤い金魚を吐きだした。血だ、はじめはそう思ってよく見るとそれが金魚で、しかも生きていて体をびくびくさせているのであたしはひどく混乱した。銀色のボウルの中で赤い光が動くたび反射して、フラッシュライトみたいにあたしを照らした。  めまいを抑えながらキッチンで水を入れると、金魚は元気に泳ぎはじめた。あたしは、良かったと思った。  ソファの軋みが聞こえて顔を上げると、紗枝ちゃんが起き上がっていた。あたしをじっと見て、彼女はつやつやした唇をひとさし指で拭うと「生まれてもうた」とだけ言った。  あたしは待機してもらってた社用車のスタッフさんを言いくるめて帰すと、紗枝ちゃんと金魚を眺めた。「金魚鉢、買おうか」とあたしが言うと、紗枝ちゃんは「せやなあ」と答えてすごく喜んだ、みたいに見えた。  結局、その一匹は朝を待たずに死んだ。  あたしは金魚の育て方を調べて、次に備えることにした。その時はすぐにやってきて、黒い出目金はなんだか働くことをやめた内臓みたいに見えた。
 紗枝ちゃんの進路がなかなか決まらなかったのにはいくつか理由がある。一つは小早川家とプロダクションの意向の衝突。家は彼女を高校卒業の時点で京都へ戻して後継者としてまた育てたがった。事務所はもちろん、アイドルを続けてほしかった。互いのゴールは、それはもう明らかに真逆で、なんとか折衷案をというレベルでもないのにそういう優しい決着をどちらも、彼女のために望んだ。次は、まわりの後押し。噂というのはどうしても、それこそ空気みたいにどこからでも入り込んでどこにだって出て行くもので、彼女が京都に帰るかもしれないという話はあたりを駆け回るとみんなを固く団結させた。別に直接お願いしたりこれ見よがしにこっちのお水は甘いよと主張したりはしないけど、みんながより彼女を愛でるようになった。息苦しくならないくらいの自然さで大切にされて、もちろん気付かないはずはないのだけど、彼女が嬉しそうに笑う時間はめっきり増えたみたいだった。  そして何より、紗枝ちゃんの考えがわからなかった。彼女は家にも事務所にも、友達にも、当然あたしにも何の意見も言うことなく、はんなりと日々を過ごしていた。そんな中でツアーが決定して、行き先もわからないまま成功に終わって、世間は新しい年を迎える。その喧噪のただ中で、あたしたちはひときわ賑やかな年越しパーティーを終えると初詣に出かけることにした。  場所は別にどこでも良かったから、ただ近くの神社を選んだ。スマホのナビにしたがって歩く道には着物姿の人なんかもちらほらいて、あたしたちはうまく人混みにとけ込むことができる。そもそもが夜で、みんな浮かれていて周りなんか気にしていない。それであたしたちは、緩やかに二人きりになる。 「なんの御利益があるんやろか」 「いや、それがよう知らないんだよね」 「あかんて、そない態度やったら叶うもんも叶われへん」 「そう? あたしが神様だったら、一日でも会いにきてくれたら嬉しくなって大サービスしちゃうけど」 「周子はんらしいなあ」 「さえはんは?」 「うち?」 「そ、叶えてくれる?」 「せやなあ。うちも叶えてしまうかもしれん」 「でしょー」 「したら、また会いにきてくれるやろから」 「あたしら向いてるかもね」  参道の人混みで、そんなふうに話した。紗枝ちゃんはたぶん「せやろか」と最後に言ったけど、うまく聞こえなかったからあたしは露店の甘酒を買って一緒に飲もうよと言った。  二礼二拍手一礼、特別な作法もなかったので当たり前の作法で、あたしたちはお願いをする。こういうのは話すべきじゃないという理解も共通しているので、特別なやり取りもなく来た道を辿る。おみくじも引くし、なんなら破魔矢も授かろうとする。  その夜、紗枝ちゃんはまた金魚を吐いた。縁日でするみたいにビニール袋を下げて帰ろうとするあたしへ、「いつもいつも、おおきに」と言った。 「おかげで寂しくないよ」と答えて、あたしは家に帰ると金魚を口に入れてみた。すぐに吐きだしたのに、生ぐささやこわいくらいの柔らかさはしばらく残った。
 初雪が降った日、あたしたちは隣にいた。
 紗枝ちゃんの卒業式が終わる頃、あたしは高校を少し離れた喫茶店で甘いシナモンティーを飲んでいる。そこはこのご時世にまだぜんぜん分煙がされていなくて、とても居心地が良いとは言えなかった。だから紗枝ちゃんがお店に入ってくるとすぐに席を立ったし、もう二度と来ないだろうなとすんなり思うことができた。 「せっかくの式なのに、ほんとにいいの?」 「ええんどす。仲ええ子らとはまた会えるさかい」 「ちゃんと約束した?」 「約束」 「そう。なんもかんも、ぼんやりしてるとすぐなくなっちゃうよ」 「らいん、あとで送ったほうがええんやろか」 「今にしとこ、ね」とあたしは言う。それから紗枝ちゃんの頼りない連絡を待って、彼女をタンデムシートに乗せた。「ちゃんと掴まってね」と言っても、「もっとちゃんと」と言ってもその手触りがぜんぜん頼りないから、「抱きしめてくれていいから」と続けた。 「うち、これでいっぱいやのに」と紗枝ちゃんは小さく笑って、それからその通りにした。  ヤマハドラッグスターの白いボディに(卒業したとはいえ)女子高生のタイツをさらすわけにもいかないので、スカートの下にはジャージを履いてもらう。それと上には冬物のコート。地元にいた頃の友達を思い出して、彼女の声を忘れていることに気付く。そんなものだとも思うし、やっぱり悲しい。中学から付き合ってた彼氏のことがとても好きで、眉の作り方がじつにへたくそで、そういうところが可愛い子だった。  道のりはこの日の天気と同じように平坦で、日が暮れはじめた頃あたしたちは海へたどり着く。  たぶん、夏だったらもっと良かった。  バイクを停めると、あたしたちは人目を避けるみたいに浜辺へ降りる。うすく傾きかけた日の下で、そこにいる人たちはみんな亡霊みたいに見えた。 「きれいやなあ」と紗枝ちゃんは言った。風になびく髪を耳にかけると、「こんなにきれいやったら、もっとはよから来とけば良かったのに」と寂しそうに続けた。 「また来ればいいよ」とあたしは言う。何度も。そう言いかけてから、もう何もかも取り返しがつかないことに気付く。  紗枝ちゃんは、「せやなあ」と笑った。それで口もとをおさえると、すぐに金魚がこぼれる。砂の上に落ちて、すぐに動かなくなる。ぜんぶ赤い。またたきの間に、何匹もの金魚の死���があたしたちの間に積もっていく。紗枝ちゃんはもう我慢できないというふうに屈んで、「どうして心は、たった一つしかあらへんのやろか」と言った。  しばらくそうして、紗枝ちゃんが落ち着くと二人でお墓を作った。あたしは彼女を寮に送って「またね」と手を振ると、その日の夜に金魚をぜんぶトイレに流した。それからの彼女は吐くこともなくなったし、うちに来ることもなくなって、半年が過ぎると京都へ帰った。別れ際、「ようさんかわいがってな」と渡された赤い金魚は数年のあいだ生きた。
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461081138 · 3 years ago
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20211121
裕子(ヒロコ)@hiroko_fujimaki
21:39
@Ryota_Fujimaki 八女公演お疲れ様 今回はちょっとハプニングが多すぎた気もしますが(笑)、亮太さんの歌声もあいさんのピアノも一段と素敵なライブでした 八女には前回どうやって行ったのかも忘れていましたが、会場に着くまでの行程も楽しい旅として味わえました 次は福井への旅とライブを楽しみにしています
アップルパイ@I5oGkaSApgH6SrL
21:38
@Ryota_Fujimaki お疲れ様でしためちゃ楽しいトークと新曲聴けてハッピーありがとう二人とも可愛かったです
Satoko@Carpe_Diem_365_
20:48
@Ryota_Fujimaki 亮太さんのライブに久々に行けて、本当に嬉しかったです!!あいさんのピアノ演奏も感動しました素敵な時間をありがとうございました
。。。@akkiki39
20:39
@Ryota_Fujimaki 今日はラジオでがんばる。って言ってたのでどこかなぁ。と、思ったら八女だったんですね。。 おつかれさまです。 早い時間帯におわったのですね。 八女茶最近の目にとまります。。 今度買ってみよう。
美紀@mkhm2723yass
20:35
@Ryota_Fujimaki やっとやっとこの日が来ました! 一曲目で「藤巻さんの生の歌声聴いてるんだ」と一気に実感が押し寄せて涙が溢れました。 八女の事褒めてもらえたし、愛さんに素敵な曲も奏でてもらったので、次がいつになるかわからないけど、それに恥じないようここで頑張ります。 充分その元気をもらえました!
ナオキ@mr_naokid1990
20:12
@Ryota_Fujimaki 初コメします。今日は楽しかったです!藤巻さんの紳士な気遣いも、すごく嬉しかったです! また行きたいです(﹡ˆ﹀ˆ﹡)♡
はっぴまっぴ@j217har2000
20:10
@Ryota_Fujimaki 2年ぶりの八女公演有難うございました!藤巻さんの歌声が心に沁みいってくるような不思議な感じでした。桑原さんの八女茶テーマの演奏も本当に素敵でした。八女はとても優しい町です。どうぞまた八女で公演して下さったら嬉しいですpic.twitter.com/5zyV6PwNf2
なおඊ@milk_tre114
20:04
@Ryota_Fujimaki お疲れ様でした(^^)福井は単独なんですね!!トークなども頑張って下さい
モーリー@EkuCm7RlB4uQba1
19:36
@Ryota_Fujimaki お二人とも素敵な笑顔ですねヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ 23日の福井、行くので楽しみにしてます 単独だとどんな感じになるのかなー((o(^∇^)o))
ユキ☆@3_9yu_ki
19:18
@Ryota_Fujimaki 帰り途中、雨ですが いま心はポカポカしてます八女のまちの優しい雰囲気に、亮太くんの優しい歌声とあいちゃんの素晴らしい演奏、酔いしれました!こうして当たり前にまたライブに行けたことに感謝しかありませんコロナ後で ますますそう感じた特別なライブでした! ありがとうございました
しろ@shiro_kuro46
19:11
@kana_oromen @Ryota_Fujimaki 八女られない止まらないですね!
ゆつき@remiyuki8012
19:08
@Ryota_Fujimaki お疲れさまでした! 今日のあいちゃんへのお題はなんだったのかなぁ…。 そして、ピックと1とは?色々気になります
すぎかな@kana_oromen
18:47
@Ryota_Fujimaki 亮太さんが淹れた八女茶を飲めるイベントがあったら最高ですね笑
pompom*藤巻っこ@remi_pompom
17:40
@Ryota_Fujimaki コーヒーの次は、お茶も美味しく淹れることが出来るなんて素敵 亮太君の淹れてくれたお茶もコーヒーも飲んでみたい〜
ゆつき@remiyuki8012
17:08
@Ryota_Fujimaki コーヒーの次は、お茶を丁寧に入れることにはまりそうですね 湯呑みを温めたり、お湯の温度に気をつけたりが大切なんですよね。茶器も気になります 美味しい淹れ方、ラジオでも是非教えて下さい! 八女茶でリラックスして、楽しくライブしてるところかな
みゅー(♪☆海☆☆♪)@midriumsunmonrm
16:37
@Ryota_Fujimaki 脱字失礼しました。「チャーミングな方」…です…
ピコ@picoron_n
16:07
@Ryota_Fujimaki 亮太くん嬉しそうですねカッコイイ♡ 八女茶パワーで最高のライブになりますように
福岡のカモノハシ@39remioMe
15:49
@Ryota_Fujimaki 会場でお待ちしてます♪
Rikiko@RIKIKO_08_21
15:35
@Ryota_Fujimaki この写真の亮太くん、カッコいいです 決して、マスクをしているからではありません
裕子(ヒロコ)@hiroko_fujimaki
15:28
@Ryota_Fujimaki 八女茶、良いですね~ ちゃんと淹れたら全然違うんでしょうね 今度は私に教えて下さい(笑) 開演まであと少し、美味しい八女茶にパワーをもらった今日のライブ、楽しみにしています
みゅー(♪☆海☆☆♪)@midriumsunmonrm
15:03
@Ryota_Fujimaki 些細で微力なゴミをなるべく出さない車のアイドリング冷暖房控えるコンセントをぬくetc…何の為にしていたかも忘れていたくらい小さな事ですが思い出しました小さな力が集まれば大きな力になる事も。村木風海さんと言えばひやっしー。発明したロボットを愛して可愛がってるとてもチャーングな方
モーリー@EkuCm7RlB4uQba1
13:28
@Ryota_Fujimaki 今日も楽しかったです 来週も楽しみにしてます(o´▽`o)ノ
裕子(ヒロコ)@hiroko_fujimaki
13:16
@Ryota_Fujimaki 行徳・韮崎公演を終えて和田山・岸和田公演を控えてる状況で八女当日の放送というのが何とも言えないです 収録とツアーで大��しでしょうが、どちらも楽しみにしてるので頑張って下さい
ピコ@picoron_n
13:14
@Ryota_Fujimaki 今日も素敵なお話が多くてグッとしました¨̮ 来週は和田山と岸和田の旅のお話が聴けるのかな♪楽しみ¨̮
ゆつき@remiyuki8012
13:11
@Ryota_Fujimaki 今日の #FM藤巻 では山梨へ向かう車窓の様子や(進行方向の右側の景色、すごくわかります!)韮崎の話も出て楽しかったです♪ 音楽ルーツの話がおしまいというのは、とても残念…。でも音楽にまつわる話は続けてほしいなぁと思います。 連休頃から寒くなる予報なので、福井では暖かくお過ごし下さい!
梅崎美智子*藤巻っこ@umezakisakura
13:09
@Ryota_Fujimaki 今日も楽しく聴かせていただきました途中からはご飯を食べながら聴いていましたが、ファンからのメールを聴きながら涙が溢れたり流れる楽曲に思いを馳せ、今だ行けなてないけど近いうちにライブ遠征できたらなぁって思っています早く会いたいです
ゆつき@remiyuki8012
12:27
@Ryota_Fujimaki 村木さんのインタビュー記事もあったので読んでみました! #藤巻亮太 #旅是好日 #村木風海 地球を守り、火星を拓く 『火星に住むつもりです』村木風海さんインタビューbook.asahi.com/article/144779
裕子(ヒロコ)@hiroko_fujimaki
11:20
@Ryota_Fujimaki お知らせありがとうございます さすがに今日は忘れてたので気付かせて頂いて普通に有り難いです 八女公演当日に聴けるというのも素敵 今回も楽しみにしています
ゆつき@remiyuki8012
11:14
@Ryota_Fujimaki 今回の「旅是好日」は���り返し何度も読みました。写真は韮崎からの景色だなぁ(韮崎公演からもう2週間以上たったんだなぁ…)などと思いながら。 色々考えてしまいます…。自分にできることとは?地球規模すぎて一体何ができるのか?でも、きっと大きいからこそ一人ひとりが動かないと、ですよね
なおඊ@milk_tre114
11:09
@Ryota_Fujimaki 楽しみにしています♪
モーリー@EkuCm7RlB4uQba1
11:08
@Ryota_Fujimaki 今日のFM藤巻も楽しみにしてます このカーディガン可愛いです似合ってます(〃´▽`)
ゆつき@remiyuki8012
11:08
@Ryota_Fujimaki 今、旅是好日を読んでいました。今日の #FM藤巻 も楽しみにしています
さくらさくら@P7Azoi6xw7e577n
11:06
@Ryota_Fujimaki 今新幹線で九州へ向かってます。ラジオは夜ホテルで聞こうかな
ユキ☆@3_9yu_ki
11:06
@Ryota_Fujimaki 亮太くんスタッフさん、いつもありがとうございます ラジオもですが、今日は福岡公演ですね♪延期の延期、やっと久々のライブに行けますおりなす八女さんから以前に頂いてたハガキも連れていきま~す↓(短髪亮太くん!) 私の #まほろば は亮太くんの音楽です♪pic.twitter.com/1d7fJ917ET
好書好日(こうしょこうじつ)@BOOK_asahi_com
10:40
#藤巻亮太 さん @Ryota_Fujimaki の「旅是好日」を更新しました。改めて、地球温暖化について考えるきっかけに。 book.asahi.com/article/144846
。。。@akkiki39
10:22
@Ryota_Fujimaki ちょっと前にドライブで山を抜けると針葉樹が黄葉してて、この時期にドライブあんまり行ったことないけど、冬も緑色してるのに、不思議な光景。。北海道の米が美味しくなったのは温暖化だと言う政治かもいて、初雪見逃したけど、雪もまだみてない。。pic.twitter.com/R2OHbu7irD
裕子(ヒロコ)@hiroko_fujimaki
10:20
@Ryota_Fujimaki 今回は少し難しいけれど勉強にもなる大切なお話、今日の会場に向かいながら読ませて頂きました。 地球温暖化が深刻な問題であることは分かってますが、亮太さんの言葉だと頭にしっかりと入って来ます。 解消するための様々な取り組みを応援すると共に、自分自身も日頃から意識していたいと思いました
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furugiyakikkakeyaniku · 3 years ago
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レディースアウター追加
本日も13時〜20時までの営業(電話やSNSなど前日までに連絡頂ければ12時〜営業致します)
狭い店内ですので、入店制限は6人まで
マスク着用&アルコール消毒お願いします
少しでも体調の良くない方はご来店をお控えください
本日はレディースアウターなど
追加しておりますので、ご紹介☆
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TALBOTS
インドネシア製、デッドストック
アメリカの老舗ブランドで、コチラは茶色地に赤やピンクが印象的なペイズリー調のボタニカル柄のショートコート
ボタンが大きかったり、ディテールも良い感じ
レディースMサイズ
是非♪♪
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タグなし
おそらく着物地を仕立てた一着
赤×黒の洒落た総柄に、マオカラーでほんのりチャイナ感のあるジャケット
ボタンの作りやハンドポケットも良いです
レディースL〜サイズくらい
是非♪♪
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TSUMORI CHISATO
エイ・ネット、日本製
パープルカラーが印象的なナイロンジャケット
襟後ろがセーラーぽい形で、少し剥げた感じですがリフレクター付き
レディースMサイズ
是非♪♪
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10月30日(土)15時半オープン、16時スタート Studio OWLにて
「三上寛×ハナクソ師弟ツアー2021 秋の西日本巡業 -EXTREMEDIVES,vol283」
地元勢からは魔女オランジーナ、八百奇天烈トリオ、SPACEGRINDERが登場
お時間ご都合の合う方、是非♪♪
それでは本日も元気に営業致します
よろにくです^ ^
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isana-9 · 2 years ago
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【要予約 7/2土 チョモランマ山下さんのボードゲーム会@ISANA FACTORY】 ⁡ 前回、大盛り上がりしたチョモランマ山下さんのボードゲーム会を、新潟市秋葉区にあるISANAの家具工房の中にあるショールームにて再び開催します!! ⁡ ぐるり東北ツアー中のチョモランマ山下さんのアカウント↓ @chomoyama ⁡ 前回開催の模様↓ #207日目チョモさん来たる ⁡ ⁡ 前回が楽しすぎまして、お時間の合う方はぜひいらしてください!ナカガワマサユキおすすめ企画でございます! ⁡ 今回は、ボードゲームをたくさん広げれるように、ISANAの家具ショールームにて、思う存分楽しんでいただけるようご準備いたします😻 ⁡ ⁡ ボードゲーム初心者さん、老若男女どなたさまでも大丈夫です!!チョモさんが上手に手ほどきしてくださいます🃏✨ ⁡ みなさまのお申し込みお待ちしております!! ⁡ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ⁡ ⬜︎日時・場所   ⁡ 7/2土曜日  ISANA FACTORY 1Fショールーム/新潟市秋葉区古津1840 ⁡ ①午前の部10:00-12:00 ②午後の部14:00-16:00 ⁡ ⁡ 午前午後どちらかをお選びください ⁡ ⁡ ⬜︎参加費(ドリンク付) ⁡ 大人(高校生以上)2,500円 子供(5歳〜中学生)1500円 4歳以下無料 ◎ファミリー割として1家族上限6000円 ⁡ ⁡ ⬜︎お申し込み方法  このインスタグラムアカウントのDMにてお申し込みください。 その際、 ・参加希望時間(午前or午後) ・人数 ・電話番号 を、ご明記ください。 ⁡ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ⁡ 【チョモランマ山下さん】 ⁡ 岐阜県郡上八幡生まれ・現在も郡上八幡在住 ⁡ 新潟大学に進学し、新潟にて学生時代を過ごす(ISANA中川夫妻とは同級生・その時からの仲) ⁡ 元はちゃんとした会社員だった山下さんが、ボードゲームの楽しさに魅了され、紆余曲折を経て、ボードゲームの伝道師「チョモランマ山下」として、全国各地を渡り歩くことに。 ⁡ トークも愛とユーモアがあって、 ⁡ 一度でも一緒にゲームをプレイすれば、ほぼ100%の確率で、チョモ山さんのファンになってしまうだろうなと思うくらいのやさしい世界観と、タレント性が溢れています。 ⁡ ⁡ ⁡ ↓ ⁡ #毎日更新してます #275日目 ⁡ #チョモランマ山下 #ボートゲーム #カードゲーム #沼垂テラス商店街  #イサナ喫茶室  (ISANA) https://www.instagram.com/p/CfTKtXPrsJ3/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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kadookanobuhiko · 6 years ago
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みちのく三都物語 ②
    <八戸ブックセンター>
 八戸を訪れたのは、雑誌かなにかで八戸ブックセンター(以下、BC)を知り、興味を持ったからである。売れ筋を置かない公営の本屋だと書いてあった。
 あるとき、私が北川景子にBCの存在を伝え、関心があることを伝えたらしい。らしいと書いたのは、当の本人は忘れていたからである。当地で観光案内所のパンフを見て、ようやくBCの存在を思い出したのだった。私もかなり老人力がついている。
 市の中心部、地元百貨店近くの一等地にBCはあった。315平米の中央に、喫茶カウンターがデンと構えている。通常こういったコーナーは、施設の端にあるものだ。
 さっそく店内を視察する。BCの発案者の市長や地元の企業人、学者が推薦する棚がある。本好きの市長は、自治体関係の本を、高専教授は意外にも塩野七生の本を薦めていた(ヨーロッパの各国のインテリは、神聖ローマ帝国を強く意識しているのだとか)。
 書棚の分類が面白い。<知へのいざない><人生について><本のまち八戸>に大きく分かれている。さらに「みわたす」「みつめる」「かんがえる」「まつりごと」「いのり」「どう生きるか」「仕事のはなし」などの項目で、硬軟さまざまな本が並んでいる。面白いなあ。楽しいなあ。私は本屋に入ると長居するので、北川は優雅にごぼう茶を飲んでいる。本屋と喫茶店が合体しているのもいい。
 離れの手洗いに行って再入店する際に、20分間の店内ガイドツアーがあることを張り紙で知る。だが、気付いたのが遅かった。受付け終了時間まで、あと10分しかない。事前に情報を収集し、予約をしてくるんだった。これだから、その日暮らしのフリーライターはダメなのである。
 カウンターで、30代半ばとおぼしき男性に、おそるおそる申し込むと「あ、大丈夫ですよ」と快諾してくれた。突然の申請に加え、受け付け終了間際なのに、嫌な顔ひとつしない。なかなかできることではない。
 たったふたりを相手にしたガイドツアーが始まった。その男性スタッフが、BCの成り立ちとコンセプトを説明してくれる。入店の対象は中学生以上で、蔵書は8000冊におさえているという。詰め込めばまだまだ入るが、テーマごとにいろんな版型の本をおさめるため、余裕を持たせた棚を心がけている。営利目的ではない公営書店だからこそ出来る贅沢であろう。
 スタッフが観音開きの書棚を押し広げると、中に8畳ほどの空間があった。ここで読書会などが開かれるらしい。秘密の小部屋みたいで、興奮する。これはガイドしてもらわないとわからない。
 入り口近くにふたつのハンモックが吊るしてある。「なぜですか?」と訊ねると、スタッフは微笑みながら本棚を指し「ここは『命のおわり』の本が並べられています。ハンモックに座って、じっくりこのテーマについて考えてもらいたいんです」と話してくれた。揺れながら、人生の終末について考えるのも悪くはない。メメント・モリ!
 できるだけ本に親しんでもらうための工夫が他にもあった。喫茶サービスのメニューには、ビールまであった! 本&酒好きの楽園である。汚れを防止するため、すべての本に透明のビニールカバーがかけられている。
 知的好奇心の入り口を広げるため、分類は平仮名が多い。政治は「まつりごと」、宗教は「いのり」、社会は「よのなか」、心理は「こころ」といった具合だ。自然科学の棚は、宇宙からミクロまで、段々世界が小さくなっていくよう本が配列されている。
 ノンフィクション系のライターとしては、社会・差別問題が少ないのが残念ではある。また、全体的に固い本が多いなあというのが第一印象だ。だが、それも”普通の本屋”ではない特徴のひとつなのだろう。考えてみれば、八戸には市立図書館もあるわけだから。
<本のまち八戸>のコーナーでは、地元出身の三浦哲朗の本、地元の美術館・博物館で開催されている展示図録や関連本が買える。
 ひとりで店内を周遊しているときは素通りしていたが、スタッフに言われて、木材で囲まれた四角い塔があることにあらためて気付いた。塔の中は大人ひとりが座れる空間があり、覗くと若者が読書中だった。究極の密閉空間である。私も体験したかったので、時間をずらして再訪したが、別の若者が入っていた。人気スポットなのだろう。遊び心がある。
 ガイドツアーのスタッフの説明は、丁寧で熱意があった。何よりも本好き��あることが伝わってくる。ツアーは予定の20分をはるかオーバーし、なんと50分間にわたった。カラオケボックスなら、何度も延長していることになる。
 自治体などから視察に来て「うちでは、とうてい無理です」と言い残して帰っていく人もいるという。税金の無駄遣いと指摘する地元議員や市民もいるらしい。そうだろうか? 
 一般的に言って、大規模書店の多くは、売れ筋を最優先するので個性がない。ビジネスなのだから、それはそれでいたし方ないのだが、そこにしかない書店があってもいいはずだ。
 地元関係者に混じって、書評家の豊﨑由美の推薦図書コーナーがあった。市外の愛書家の推薦コーナーを設けるのもいいなあ。他の自治体もBCを設立して、お互いのコーナーをもうけたら面白い。
 八戸ブックセンターの試みが、各地で独自に形を変えて広がりますように。
      <八戸の夜>
 ガイドツアーを終え、夜の街へ繰り出す。中心街の小部屋タイプの屋台村は、どこも満員で、あまり心を惹かれなかった。私は屋台に過剰な思い入れはない。限られた空間、設備で料理をつくるのは、無理があるからだ。料金もおしなべて高い。
 屋台村は素通りし、メニューを点検した上で、近くの小料理屋に入る。前日は店選びに失敗しているので、慎重にならざるを得ない。1階は満席なので、2階に案内される。
 60代半ばから後半の女性3人が、20人余りが入れる座敷席を切り盛りしている。運ばれてくる料理を見る限り、モノは間違いなさそうである。期待が高まる。
 2階もほぼ満席である。決めた酒と肴を頼もうとするが、従業員がなかなか注文を取りに来ない。嫌な予感がする。約5分後。付きだしを持った従業員がうろうろしている。「あ、こっちです、こっち!」と叫ぶと、「お客さんのじゃないんです」と冷たく言われる。先客のものらしい。ガイドツアーで高揚した気分が、いっきに冷める。
 いくら忙しくても、付きだしくらいはすぐに出せるだろう。また、出さなければならない。段取りが悪すぎるのだ。
 我慢してしばらく待ったが、一向に注文を取りに来ないので、何も頼まずに店を出る。傷は浅いほうがいい。後で地元の人に聞いたら、料理が出てくるのが遅いので有名な店だという。店を出た決断は、間違ってはいなかった。そもそも、そこを選んだのが間違いなのだが・・・。
 こういうことがあると、店の選択のハードルが低くなりがちである。近くにたまたまあった、悪くはなさそうな小料理屋に入る。さて何を食べるかな・・・北川と協議していたら、私たちの会話を聞いていた大将が「大阪からですか?」と話しかけてきた。「ええ、そうです」と答えると「関西は味付けが違いますからねえ。淡口(うすくち)醤油を使うから料理は塩辛いでしょ」とおっしゃる。関東に比べて関西は淡白な味付けで、決してしょっぱくはない。淡口の意味を取り違えているのではないか。いや、そんなことないですよ、何か誤解してませんか、と心の中で叫ぶ。
 注文して出てきた肉豆腐は、なぜか砂糖菓子みたいに甘かった。イカ刺身、サバの竜田揚げは、普通以下である。調理のセンスがまったくない。大将には悪いが、よくこんなレベルで店を開けるなあ、客が来るなあと思った。
 大将は気のいい人で、遠方からの客を気遣って、山菜のてんぷらをサービスしてくれた。ところが衣がべちゃべちゃで、話にならない。
 適当な店に入って、適当に頼んだら、まさに適当な料理が出てきた。みちのくの計画性のない店選びは、弾がいっぱい詰まったロシアン・ルーレットみたいだった。(2018・5・14)
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my-orange-pekoee · 5 years ago
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【ムンバイのダラビ】
今回は、今月行ってきたムンバイ旅行の事を書きたい。
いつも旅行中は日記をつけるようにしているのだが、たいてい途中で面倒になってしまい、書くことをサボってしまう。
この旅行でも、1日目の昼までのことしか書けていなかった。
2020年1月18日
この日はムンバイ旅行2日目だった。
この日は9時からツアーの予定があった。
時差ボケか疲れなのか、8時半に起床してしまい、身支度もまともにせず、散らかった荷物達をリュックサックに詰め込んで、慌ててチェックアウトをした。
本当は7時くらいに外に出てインド門周辺の写真を撮りたかったのだが。
ロビーで待つようにとバウチャーには書かれていたが、外の人が見えていない状態はなんとなく不安なので外で待っていた。
何人かの宿泊客がタクシーを捕まえ、次々と宿を離れていく。野良猫を眺めていると、1人の男性(名前はわかるがあえて伏せる)が私の名前らしきものを呼んだ。ツアーの人だった。
彼は私にタージマハルの写真のポストカードと、ダージリンの茶葉をお土産にくれた。
迎えの車が来るまで、どこから来たの?とか、話したのだが、相変わらず私は極度なシャイで、自分から話を振ったり、質問したりしなかった。(本当にこの性格が嫌になる。)
私は自分がいかにつまらない奴か、もう十分にわかってしまっている。普段からそうだが、日本から出るとよりそのことが浮き彫りになってしまっていて、人と距離を自らとってしまう。いつも。
そんな事を考えながら待っていると、迎えの車が来た。
車の中では2人の男性が、淡々と会話をしていた。なんの話をしていたのかはわからない。ただ理解できる単語からは、真面目な人生についての話なんだろうと推測できた。全く違う話かもしれないが。
1人旅だと、移動の際は話す相手もいないので、ひたすら外を眺めるだけになる。でも私は、この時間が好きだった。
混み合っている道路の脇に駐車をしたかと思うと、降りるよう言われた。
てっきり初めに合った男性がガイドなのかと思っていたが、別の男性が現れ、彼が今回のダラビツアーのガイドなのだと知った。ガイドではなかった男性がガイドに、私が英語が苦手だという事を、恐らく伝えてくれていた。
そこからガイドと、私の2人行動が始まった。まずは横断歩道のない道路を渡ることから始まった。1年前に行ったカイロでも何度もやったので、今更驚きはしないのだが、慣れてもいなかった。彼がリードしてくれたので、スムーズに渡れた。
その後よくダラビを舞台にしたインド映画でよく見かける歩道橋に行き、ダラビの入り口を俯瞰した。ガイドが「これから行く場所はスラムと呼ばれる場所だが、私たちはそう呼ばれるのが好きではない。だからneighborと呼ぶ。君もスラムとは呼ばない��欲しい。何か質問があったら何でも聞いて欲しい。写真は撮る前に私に許可を取って。そして、安全な場所だから、どうか怖がらないで欲しい。」と丁寧に説明してくれた。完璧な日本語訳にはなっていない。ニ��アンスだけだが。
「スラム」と聞くと、なんとなく犯罪が多発している、所謂治安の悪い場所、のようなイメージが、一般的にはある。
私自身は、人々が安定して生活している場所はそこまで危険に思う必要はないと思っているが、メディアが作り上げたイメージの断片が自分の頭のどこかに存在していることは否めない。
しかしこのダラビという場所に関しては、いくつかのインド映画で舞台にされていることもあって、そもそも不安に思ったりとか、そういう気持ちはなかった。まあ1人でふらりと行けはしない場所ではあると思う。地理的に。
彼は経済学を学んでいるとの事だった。
ムンバイ行きの便で、映画「ガリーボーイ」をみていて良かったと思った。あの映画はダラビという場所のリアルに近くつくられていたと思う。ダラビの住人ではないため、断言はできないが。その映画の主人公も大学生であった。
話が逸れてしまうが、以前Twitterで反スラムツーリズムに関する意見を見かけてから、私はスラムツアーというものに懐疑的でいた。グエル公園やグランドキャニオンなどの観光地で観光客がセルカ棒を振り回し、母語を大きな声で話しはしゃぐことはまあ理解できる。観光ってそういうものだ。しかし、スラム(というより住宅地)のツアーというのは、人々が日常生活をしている場所だ。日本でいったら商店街だったり、電車だったり、マンションの入り口や、家のキッチンだ。そんな場所で無神経に写真を撮られたり、文化の違いに関して声高々に議論などされたら、たしかにあまりいい気分はしない。少なくとも私はそう思う。だから私もそんなことはしたくないと思っていた。
だが、やはり我慢できなかったのは私の悪いところだ。自分はやりたくないと思っていたことを、やった。だが、だからといってダラビの人々の生活に全く以って無関心であるわけではない。無礼になることが嫌なのであって、インド最大のスラムなどと呼ばれる地域の人々の様子について、関心はあった。だから私は正直学生の自分にとっては少々高額な金額を払うことで罪悪感を消されるのではないかと愚かな期待をしていた。2つのジレンマに対して、お金が免罪符になってくれるだろうと考えたのだ。我ながら本当に呆れる。早くまともな思考ができる人間になってくれ、頼むから。
そのような罪悪感があったから、正直言うと地元民であるガイドの彼に対する言葉も慎重に選んでいた。彼は彼の母が料理上手であること、下に3人の弟がいること、ツアーはアルバイトでやっており他に2つものアルバイトをしていること、など沢山の私生活のことを教えてくれた。そして、その度に私のことも尋ねてくれた。
ダラビの生活についても、ユーモアたっぷりに紹介してくれた。映画館とは言わないような1つの部屋にプロジェクターで映し出される「映画館」は1ドルで何本もの映画がみれるらしい。インドでは"copyright"は"right to copy"だそうだ。映画がいかに人々の人生を豊にしてくれるのか痛感する私にとっては、映画館が賑わうことは嬉しかった。そして地上の混雑を整理するために政府が作った歩道橋は誰にも使われず、舗装されていない土が剥き出しになった道路を、さまざまな車、バイク、人、犬が行き交っていた。この場所には八百屋も、病院も、学校も、なんでも揃っている。個人的には、ヒンドゥー教、キリスト教、イスラム教の拝礼場が一箇所に集まっていた事に驚いた。そのような場所って、あまり聴いた事がなかった。
恥ずかしながら、ずっとインドはヒンドゥー教が圧倒的多数だと思っていたし、なんならイスラム教はあまり歓迎されていないのかと思っていた。(本当に無知だ。)しかし、宗教同士で住む場所が違ったり、排除されているような風では全くなく、まさに「共存」していると、ここ最近知った。
初めに行った地区は主に労働者が行き交う場で、安全を配慮し子供は連れてこないんだそうだ。奥まったところではプラスチックのリサイクルがされており、捨てられたプラスチックを細かくし、重さによって2種類に分け、洗い、チップにしていく。これが次に生まれるプラスチック製商品の原料になるらしい。彼は、「この仕事を誰もしなくなればムンバイはゴミだらけになる。だから彼ら(労働者)はヒーローなんだ。尊敬している。」と言っていた。私も同感だった。
他にもリサイクルに使う機械を作っていたり、人工のレザーだったり、スーツのケースを作っていた。改めて、この世にあるあらゆる商品というのは、作り手あってのものだと思った。
もう十分わかるだろう。この場所が「所謂スラム」かどうか。
私の他にもツアー客らしき人がいた。大体は団体で、1人ぼっちなのは私くらいだった。
色々と話をしていく中で、彼は私と同じ22歳で、明日が誕生日なのだと知った。別に歳はただの数字に過ぎないと思うが、やっぱり親近感がわくというか、ほんの少しだけ、(同じ時代を生きてきた者同士なのだ)と、実に勝手に思ったりした。もちろん人生の中の経験は個々で違うが。そして、貴重な誕生日前日を私などのために使ってくれた申し訳なさと感謝の気持ちでいっぱいだった。
そこから、小学校を訪れたり、彼の家がある通りを覗いたり、新鮮な野菜やフルーツを売るマーケット通りを歩いたり、壺を家業として作っている人々の住む場所に行ったりした。通りでガイドの彼と、その知り合いが親しげに挨拶しているのをみて、(極めて当たり前な事だが)この街に住んでいる人々なのだと思ったりした。当たり前だ。未だに私はこの場所を何かのテーマパークか何かと思っているんだろうか。再度自分に呆れながらも、相変わらず私は人々の生活というものに美しさを感じていた。まだ私の言語能力では表現できないが、美しいのだ。人々がある場所を基盤にし、生活を営むというのは。
帰り道、ふと結婚しているか聞かれたので、していないと答えた。する予定はあるかと聞かれ、私は日本で常に考えている、「結婚は相手との契約であり同時に人生の終わりまで続く責任との結婚でもある。結婚によって幸か不幸かは決まらず、納得できる相手に出会えない事には始まらない。何より、相手が見つかる自信がない」という事を、英語でなんと言えばいいのか分からず黙り込んでしまった。「まだわかんないや」と言えば良かったものを。彼は気まずそうに、プロポーズしているわけじゃない、と言いかけて私はまた自分の英語力のなさと退屈さに後悔するのだった。当たり前だ。そんな質問だなんて、1ミリも考えなかった。また不要な誤解を招いてしまったし、そして決まって気まずくなる。本当に恥ずかしかった。(無論自分自身が。)
あっという間に2時間のツアーは終わり、迎えの車のもとに着いた。私はずっと、ツアー手配会社に渡すよう言われていた「チップ」について考えた。渡すべきか否か。いや、インドにチップ文化がある以上、勿論渡すべきである。しかし、なんというかあまりにも「ガイドと客」感がなかった事と、現金を手渡すという行為が未だに私には抵抗があった。なんというか、それは比較的裕福な人間が裕福でない人間に渡るとき、金額に対する価値観の違いが一瞬で変わるあの感じがどうしても苦手だった。彼らにとっての大切な稼ぎが、私たちの「お気持ち」だなんて、頭ではそういうものだと分かっていても変な感じがする。ただ私はこの感謝の気持ちを何にも表さず帰るのが嫌だった。その意味もあって、私は車に乗り込む直前に、彼に300ルピーほどを、誕生日おめでとう、と言いながら渡した。彼は驚きと困惑と気まずさが混じった(ように見える)表情をした。本当の胸の内はわからない。ただ、もし、もしそれが「スラムに住む青年男性に日本の(海外旅行に行けるだけの金を持ち、親による厚いサポートを持つ)女子大学生が心ばかりの現金を渡す行為」というふうに映るのであれば、これほど抵抗のあることはない。しかしながら、もちろん2時間ガイドをしてもらったくらいで親しい友達になれたとも思わない。
複雑な話だ。私はアルバイトをして貯めたお金を簡単に、しかも2日間で十数万円使うというようなことをしている。しかしダラビに住む多くの人は、その土地で生きていく(大学に通ったり、余暇を楽しんだりすることも含め)ためにお金を使う。そこには明らかに貧富の差は存在している。ない、だなんて、死んだって言えない。しかし、「ほら、ありがとう。感謝のお金だよ」みたいなやり取りはあまりにも悲しすぎる。しかも、300ルピーだ。私はそもそもこのツアーに対して30倍以上のお金を払っているのに。もうわからない。何が正解なのか。考えることすら疲れてくる。
ただ、きっと、私はそうやって考え続けるべきなのだ。考えもせず、楽になっちゃだめだ。自分は自分にせめても心理的負担をかけ続けなきゃ、だめだ。悩む事を諦め、面倒だからと、目の前にある、自分以外の他者が関わった明らかな問題を投げ捨てる人間にだけは、なって��いけない。死ぬまで背負わなければならない、私への課題だ。
そんなこんなで、ダラビツアーを終えた。
帰り道の途中にカシミアストール屋さんに連れて行ってもらったが(頼んではないないが断りもしなかった)5000円以上するものを、買おうとは思えなかった。
確かにインドと日本は経済力が違う。まだ多少は、日本は力を持つ方の国ではある。だが、現地であまり買う気になれないものにまでお金を出せるほどではないのだ。往復の航空券と宿、食費といくつかの安めのお土産を買うだけの予算しか持ち合わせていない。決して買える財力があるのに相手国の価格でしか買おうとしないような、ケチくさい人間になりたいのではない。
きっとインドは直ぐにも経済力を伸ばし、日本を抜いていくだろう。そういうものだ。別にそれで日本が国としての価値が落ちるわけではない。そもそも国としての価値など、どの国にも決められるものではないと思う。
そんな事を考えていた。
午後についてはまた今度書こうと思う。
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