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#ボンジュール大平
kennak · 2 months
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スイスのある施設のベッドに横たわったその男性は、40年にわたる生涯を自ら閉じ、旅立とうとしていた。枕元のスマートフォンからは、自身が最期に選んだ曲「ラ・リベルテ(自由を)」が流れている。医師は点滴に致死薬を投入し、その準備を終えた。 医師:「この病院に来た理由は何ですか」 男性:「安楽死するためです」 医師:「点滴を開けたら、何が起こるか理解していますか」 男性:「静かに眠りに入り、数分後に心臓が止まります」 医師:「そうです。あなたの心臓は止まって死にます」 男性:「はい」 四肢麻痺の男性は、鼻で点滴のストッパーを開けた。致死薬が体内に徐々に投入されていく。やがて、彼は永遠の眠りについた。つい先ほどまで、私に笑顔を見せて話してくれた男性が、わずか数分後に眠るようにして亡くなってしまう現実。目の前で展開された「死」を、私は現実として実感することができなかった。(TBSテレビ 西村匡史) ■交通事故後の耐え難い痛み 「生きるのを諦めた」 「ボンジュール。ジュリアンです。初めまして、よろしく」。2022年6月、フランス南部ペルピニャンの病院に入院していたジュリアン・クレイさんは、初めて訪ねた私を笑顔で迎え入れてくれた。 市役所の職員として森林を管理する仕事をしていたクレイさんは、32歳の時に交通事故で脊髄を損傷し、首から下の自由を失った。慢性的な痛みに悩まされ、軽減するための手術を複数回受けたが、効果はない。膀胱を除去した手術後はさらなる痛みに襲われた。 「刺すような、燃えるような、電気ショックを受けているような痛みです。2,3日間続けて眠れずに一晩中、泣くこともあり、気が狂いそうになります」 同居する両親に何度も「殺してくれ」と頼んできたという。 「医者は痛みをとると約束したのに、できませんでした。私は生きることを諦めたのです」 ■安楽死のためスイスへ 移動後も激しい痛み 2022年7月、クレイさんは共にリハビリを続けてきた仲間たちに付き添われて、車でスイスに向かっていた。フランスでは安楽死が認められていないため、海外からの希望者も受け入れているスイスの団体を探し続けた。そして、2か月前にスイスのある団体がクレイさんの受け入れを決めたのだ。 ペルピニャンを発って11時間後、一行はスイスのバーゼルに到着した。 一夜明けてクレイさんの体調が急変した。長時間での移動に伴う疲労から高熱が出て、吐き気を催し、息も絶え絶えになっていく。呼吸不全が起きたため、看護師が腹部を突き上げ、気道を拡げる応急処置を行った。苦痛で顔を歪めたその表情は、痛みを背負いながら生きてきた9年の歳月の重さを私に感じさせた。 ■安楽死へ厳格な審査 団体が定める4条件 翌日、体調を少し持ち直したクレイさんのもとに、安楽死団体「ライフサークル」の代表、エリカ・プライシック医師がやってきた。ライフサークルは、2011年に設立されたスイスの団体の1つで、海外からの希望者も受け入れている(現在は新規会員の受け入れを終了)。ここに会員登録しているクレイさんは、医師による審査の結果、許可が下りれば安楽死することができる。 ライフサークルが定めている安楽死の要件は「耐え難い苦痛」、「回復の見込みがない」、「治療の代替手段がない」、「明確な意思表示」の4つだ。「耐え難い苦痛」は肉体的な痛みである必要はなく、精神的な痛みも含まれる。プライシック医師は、クレイさんとの対面での審査や別の医師の意見も踏まえて、4つの要件を満たしていると判断し、安楽死を許可した。 「本当は安楽死よりも治してあげたいのだけど、治療の方法がありません」 そう話すプライシック医師に対し、クレイさんはこう答えた。 「私を死なせてくれるのが治療なのです」 ■両親への心残り 声を上げて泣いた妹 安楽死の選択に迷いはないが、クレイさんは9年間、献身的に介護してくれた両親を残して旅立つことだけが心残りだった。父は高齢で末期がん、母は父の看病があるため、スイスまで来ることができない。2人は「フランスに安楽死法があれば、息子を看取ることができたのに」と悔やんでいたという。 クレイさんの胸には、両親と、4人兄妹の中でも最も可愛がっていた末妹の名前がタトゥーとして彫られている。その名前の下には「どんなに感謝しても感謝しきれない」というメッセージが入っていた。「一緒に旅立ちたいという思いから、タトゥーを入れました」 末妹のブランディーヌさんは、兄の反対を押し切り、家族の中で唯一人スイスまでやってきた。当初は兄の決断を「自分たちを捨てて旅立つ」と感じ、受け入れることができなかったが、次第に「利己的なのは自分であり、兄の決断を尊重しなければならない」と考えるようになったという。 ブランディーヌさんは平静を保とうと努めていたが、安楽死の許可が下りると堪えきれずに、椅子から立ち上がった。兄の方に向かっていき、抱きしめ、その胸に顔をうずめて声を上げて泣いた。 ■安楽死当日 両親に告げた「愛している」 安楽死当日の朝を迎えた。前日は雹が降るほどの荒れた天気だったが、この日は嘘のように空が晴れ渡っていた。 誓約書への署名を終え、安楽死の準備が整う。ベッドに横たわったクレイさんは、共にリハビリをして励まし合ってきた仲間たち一人一人に対して、最後の別れの言葉を告げた。 フランスに残してきた両親とは、スマートフォンで最後のテレビ電話をつないだ。重い病気と高齢のために、スイスで息子を看取ることができなかった両親の無念さを、クレイさんは十分にわかっていた クレイさん:「もしもし。今、準備しているところ」 父:「そうか」 クレイさん:「さよならだね」 父:「うん」 最後の別れを前に、父は言葉を返すことが精一杯のようだった。 クレイさん:「二人を本当に愛している」 父:「うん。俺たちもだ」 クレイさん:「さよなら」 父:「さよなら」 クレイさん:「本当に愛している」 母:「私たちもよ」 クレイさんは投げキッスを送り、両親に別れを告げた。 ■安楽死の瞬間 目を閉じ、口ずさむ「自由を」 致死薬が点滴に投入された。スイスでは医師が患者に薬物を投与して、死に至らせる行為は禁止されているため、処方された致死薬を、患者本人が体内に取り込む必要がある。四肢麻痺のクレイさんは点滴のストッパーを自身の鼻で開けて安楽死することになる。 妹との別れの時が近づいていた。「大好きだよ。気をつけるんだよ」と、妹の行く末を心配する兄の涙が頬を伝う。クレイさんは妹にトラウマを残さないため、最後の瞬間だけは立ち合わないよう伝えていた。「愛しい妹よ。そろそろ逝かなければ。音楽を聴けるように準備してくれ。音楽を聴きながら死ねるように」 ブランディーヌさんがスマートフォンで音楽をかけて枕元に置く。流れたのは「ラ・リベルテ(自由を)」。クレイさんが苦しい闘病中に何度も聞いていた曲だ。兄妹は別れのキスを交わし、ブランディーヌさんは、振り返ることなく部屋を立ち去った。 ライフサークルのスタッフが、警察に提出するためのビデオを撮影する。プライシック医師によるクレイさんへの最後の質問が行われた。 プライシック医師:「あなたの名前は」 クレイさん:「ジュリアン・クレイ」 プライシック医師:「この病院に来た理由は何ですか」 クレイさん:「安楽死するためです」 プライシック医師:「それがあなたの最後の願いならば、点滴のストッパーを開けてもいいですよ」 クレイさんはそっと目を閉じ、「ラ・リベルテ」を噛みしめるようにして口ずさむ。そして、鼻でストッパーを開けた。致死薬が体内に投入されていく。2分後、「眠くなってきた」と呟き、小さないびきをかいた後、息を引き取った。 ■「妹よ、強く生きろ」 安楽死した男性が残した生きる意味 安楽死を遂げてから1年。クレイさんの死は、スイスで看取った人たちに何を残したのか。2023年7月、私は再びフランスを訪ねた。 全身の筋肉が徐々に衰えていくALS患者のマリンさんは、闘病中のクレイさんと安楽死について、夜を徹して何度も語り合った。 最後の別れの際、クレイさんは「あきらめるな、生き続けろ、強くあれ。ここで人生が終わるわけではないのだから」という言葉を残してくれたという。マリンさんは「彼のアドバイスを聞き、私は最善を尽くして生きようと思っています」と話す。 事故で腰から下の自由を失い、生きることに絶望していたキリアンさん。クレイさんは「絵が上手なお前の才能を活かせ」と、タトゥー彫り師になる道を勧めてくれた。兄貴分のクレイさんに贈ってもらった道具を大切そうに手に取り、私に見せてくれた。 「私が彫り師になって生きがいを持てるように、彼は自分の身体まで実験台として提供してくれました。『頭から足の先、全ての皮膚をお前のために使ってくれ』と。彼が亡くなった時に、自分はもっと頑張って生きなければと勇気づけられた気がします」 クレイさんの末妹、ブランディーヌさんの自宅には、兄の写真立てが置かれ、花が添えられていた。私が訪ねたこの日の前日は、クレイさんが亡くなってからちょうど1年だった。 「兄の安楽死を受け入れることは難しいことでしたが、彼に残された唯一の選択肢だったと、1年経ってやっと思えるようになりました。そう思えるようになってから、四肢麻痺だった兄が元気に歩いている夢を見ることができたのです。私の心が少し落ち着きました。兄は私が強く生きて、幸せになることを、心から願っていました。幸せな人生を謳歌できるよう、私を見守ってほしい。私は兄と二人分、生きていくからです」 ■取材を終えて 「自分のような1人の人間の死でも、日本人に安楽死を考えてもらえるきっかけになるのは嬉しいんだ。命が活かされることになるのだから。あんたに会えてよかった。しっかり伝えてくれよ」 最後の晩餐で、私に託してくれたクレイさんの思い。その時の彼の温かな眼差しは、今も私の心を捉えて離さないでいる。 私がクレイさんと共に過ごしたのはわずか5日間にすぎない。だが、フランスからスイスまでの車中を含め、非常に濃密な時間だった。彼は自身が生きた40年の命を精一杯、伝えようとしていたし、私もその命の輝きを一瞬たりとも逃すまい、と目を凝らし、耳を傾けた。いつしか、5歳年下の彼に対して、友情のような気持ちすら芽生えていたことを覚えている。「明日が彼との永遠の別れになるのか」。胸が張り裂ける思いをしながら、二人でピザを食べたことを思い出す。 クレイさんは幼い頃から、家の外を駆け回って遊ぶ元気な子どもだった。近所の家の郵便物を一か月間、全て抜き取って隠したり、カエルをテープに巻き付けて太陽にかざして眉間に皴が寄るかを実験したりするなど、いたずら好きの面もあり、その度に両親からこっぴどく叱られたという。森林を管理する仕事を選んだのも、山中を駆け巡って猟をできるのが楽しかったからだ。そんな彼が交通事故で四肢麻痺になり、自由を制限される生活を余儀なくされた苦しさは察するに余りある。 事故後は、なんとか生きる道を模索して懸命に努力してきた。立ちはだかったのは「痛み」という壁である。夜、眠ることができないのは、彼にとって「逃げる場がない」ことを意味した。 誤解なきように記しておきたいが、彼は「生きる」ことの尊さを信じていた。安易に安楽死を賛美することには加担しなくない、という思いが強くあった。その一方で、安楽死を選択せざるを得ないほどの痛みや苦しみを抱えた人がいるのに、自分事として捉えずに見て見ぬふりして法制化やそれに至る議論さえしない国や社会に憤り���感じていた。 「自分は痛みから安楽死を選択せざるを得なかったけど、お前たちには頑張って生きる道を模索してほしい」。それが愛する妹や友人へ残した最後のメッセージだった。 * * * * * 西村匡史 TBSテレビ「報道特集」記者。2003年入社以来「いのち」をテーマに追い続ける。社会部、NEWS23を経てロンドン特派員として安楽死を取材。著書に「悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機墜落事故の30年」(講談社)、映画監督として「"死刑囚"に会い続ける男」、「さっちゃん最後のメッセージ 地下鉄サリン被害者家族の25年」を制作。TBS NEWS DIGの特集記事「安楽死を考える スイスで最期を迎えた日本人 生きる道を選んだ難病患者」で、LINEジャーナリズム賞(24年2月~4月期)を受賞 ※この記事は、TBS テレビと Yahoo!ニュースによる共同連携企画です
私は生きることを諦めた―― “安楽死”を選択した男性、耐え難い激痛の日々 声をあげて泣く妹へ「強く生きて」(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
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fukurabi9 · 1 year
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1102 東京スカイツリー
この地区の島は、サンゴ礁で出来ているため、耕作地が少なく、重税感は過酷を極めたとの事。 島々には石を高く積み上げた、見晴らし台があり、税金取締役人の船を発見すると、各島へ狼煙で連絡され、村長は、税金対象物を隠させ、島一番の美女を引き連れ、少しでも納税額を軽くするよう、役人を饗応し、村人を守ったと言う。 島人達が、汗にまみれ積み上げた見晴らし台、ささやかな税金逃れをし、生き延びる、歴史と知恵の結晶でした。 国民の生活を守るのが、政治家。 税金逃れや天下りが、取りざたされる毎日。 都会にひしめくサラリーマン。 どうあがいても、逃れられないのが税金。 マイホームは遥か彼方。 やっとの思いで確保して、月々支払うローンと税金。 ガツーン、カツーン、心はコブだらけ。 どうしたらよいのでしょうか? 仕方ありません、見晴らしのいい、東京スカイツリーへ上り、叫びましょう。 沖縄県3番目に大きな石垣島は人口4万5千人。 川平(カビラ)湾は世界で唯一黒真珠が採れる、鮮やかなエメラルドの湾。 波間にキラリと光る真珠の輝きあり、入江に浮かぶ島々は真っ白い砂浜に取り囲まれ、砂浜から深みへの微妙な色の変調は、絵の具を流し込み、風の筆で描かれたのではないかと思われる眺めです。 この色は、どうして砂に染まらないのだろうか? 例え、どのような名文をもってしても、表現は不可能でしょう。 決して、日本三景に見劣りのしない絶景。 一見に値するのでは無いだろうか。 ・・風筆や 描き尽くさん 八重の島・・ ・・海の色 湧き出る元か 川平湾・・ 近年川平湾には異常に外国人が多い。それも中国や台湾 近くの東南アジア諸国の人ではなくヨーロッパ系の人でフランス人が大半。 ボンジュールが連発される石垣島だ。 訳を聞くとフランスの著名な旅行雑誌、価値ある観光地ベストテンに川平湾が入っているとの事。皆さんも一度は行ったら・・
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katchancho · 3 years
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#Goodevening * 再び!ご近所の#ンパー 屋#🍞@#ボンジュール大平 入って行き〜の🚶‍♂️誰も居ないのかと思ったら、、お母さん、奥で寝てました😪😆 #長閑 ♡ #ロケット get🙌😋 * #bonjour #ボンジュール #🇫🇷 #大平パン屋 #街のパン屋さん #bread #パン #🥖 #🥐 #🥯 #植田 #ueda #iwaki #fukushima #japan #delicious #マイウー #food #instafood #instagood #instadaily #instajapan #20210930 * やっぱりパン食うと胸焼けする🔥😆💦 → じゃ食うなよ‼️🤣 これからはおみやにします🎁 #ごちそうさまでした ✨ (ボンジュール大平) https://www.instagram.com/p/CUcAQnLBMmVRU-kSsb6FaNWiQkekcKzqWtyiHE0/?utm_medium=tumblr
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visionmovie-blog · 6 years
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ジュリエット・ビノシュが日本語で「アイシテイマス」 吉野の森をイメージした和傘のプレゼントに歓喜 公開記念舞台挨拶
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6月9日(土)ジュリエット・ビノシュさんを迎え、新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶を実施いたしました。
映画の余韻が残る空気の中、今かと待ちわびた観客の皆さんからの大きな拍手とともに、1年ぶり4回目の来日を果たしたジュリエット・ビノシュさんと、永瀬正敏さん、夏木マリさん、岩田剛典さん、美波さんそして河瀨直美監督が登場。
淡いピンクのドレスで登場したビノシュさんは、この日のために覚えたという日本語で「コンニチハ、ミナサン。アイシテマス」と挨拶し、周囲を驚かせた。 一方で永瀬さんが「ボンジュール、みなさん」とあいさつし、客席から笑いが。
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続いて夏木さんも流暢に「ボンジュール、ジュリエット・ビノシュです」と挨拶し、さらに観客を沸かせた。
岩田さんも「皆さん、ボンジュール。今回初めて河瀨監督の作品に参加させていただきました。日本の美しさが表れている作品です。多くの方に届くよう盛り上げていきたい」と挨拶すると、美波さんも「ボンジュール、この映画で日本全体が吉野の森に包まれて、不思議な現象が起きるのではないかと期待したい」と作中のような独特の雰囲気をまとってコメント。
本作が記念すべき劇映画の第10作目となった河瀨監督は、全国130館で同時に実施されているライブビューイング会場に向けて手を振り「全国の皆さんありがとうございます」と呼びかけた。 「本当は一人ひとり挨拶をしたいけれど、想いは皆さんと一緒にいます。この深い森の中の出会い、絆を皆さんに届けたいです」と満席の観客に感極まった様子だった。
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前日には関西の舞台挨拶について「平日だったけど、地元の奈良では多くの人にこの作品の誕生を祝ってもらえました。この映画の冒頭では、ビノシュが近鉄電車に乗って奈良に向かう途中で涙を流すシーンがあるんです。台本には涙を流すということは書いていなかったけれど、その涙の意味を考えると心が震えました」という河瀨監督に対して、 「あの涙は予感だったのかもしれない」とビノシュさんは回答。「この映画で本当に素晴らしい体験をさせてもらいました。日本に来ると、東京や大阪、京都と都会ばかりでしたが、今回吉野で大切なものに触れたと思います。河瀨監督は詩人だと思います」と日本と本作で初タッグとなった監督への想いを明かした。
本作を最初に見たときに眠れなかったという永瀬さんは「今も眠れません。ずっと震えっぱなしです。今日ビノシュと一緒にいることでさらにその気持ちがよみがえってきました」といい、撮影中に奈良の談山神社でビノシュさんとデートをしたことが明かされると「ビノシュはずっと「美しい」と言っていて、その姿は彼女が演じるジャンヌとすごく重なりました」と思い出しながら語った。 ビノシュさんも「あの森では空気や風、色彩や虫などすべてが生きていることを感じた。街にいると自然と離れているけれど、人は自然に還ると思っているので、���の中に身を置くことで落ち着きましたし幸せでした。特に今回は一人ではなく、監督たちといっしょで、そういう気持ちが倍増しました」と情感たっぷりに語り、撮影の時の気持ちを思い出したようだった。
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撮影については岩田さんも「台本を読んだ時に英語で話すシーンがあって、最初はどうしようかと思いました。撮影中は奈良の中で生活しながらで、その間も自分のセリフとかアドリブとか努力していたんですが、いざ撮影に入るとビノシュさんの包み込むような母性にすごく助けられました。目と目が合うだけで伝わるものがあるんだと感じましたね。微妙な表情の違いなども伝わってほしいです」というと河瀨監督から「冒頭でビノシュが泣いたように、彼もご飯を食べながら泣くシーンがあるんです。それは台本には無かった」と思わぬ暴露が。 岩田さんは「日常生活を切り取っているような感じで撮影していたので、鈴の気持ちになったら自然に出てきたんです」と明かした。岩田さんの涙についてはビノシュさんも「今回初めて会ったのに、深いところでつながっている気がしました。まさか日本に息子がいるとは思わなかった」と言い、会場を驚かせると岩田さんも「僕もビノシュさんをフランスのお母さんだと思っています」と本作の撮影で深い絆が出来上がったことを思わせた。
ビノシュさんのコメントについては、通訳が聞き逃してしまう一幕もあったが、本作でも通訳役として登場する美波さんが劇中同様にサポートするという通訳ぶりを発揮していた。 作中についてビノシュさんから夏木さんが披露するダンスについて触れると「(岩田さんや森山未來さんなど)本作はダンサーが沢山出演していて、その中で踊って言って言われたので、ちょっと時間がかかりました」と少し照れた様子。しかし、河瀨監督からは「本当に山の主のようでした。あの日はきれいな光が森に降り注いでいて、まるでVisionだった。映画史に残る美しさだったと思います」と太鼓判。
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美波さんはビノシュさんとの共演について「役者としてのスタイルを盗もうって思いながら現場に入ったんです。でもビノシュは古事記や空海のことなど、日本のことを徹底的に勉強してこられて、恥ずかしながら私がぜんぜん答えられなかったんです。自分の想像よりはるかに日本というものを知ろうとしていて、日本の文化とフランスの文化が溶け込んでいくことにゾクゾクしました」と語ると、永瀬さんからもビノシュさんが「一流とは努力すること」と言っていたことが明かされ、一同は納得の表情だった。 「私は人々がどんなことを感じで、考えているのかをシェアすることが大事だと常に思っているの。今回のように映画を通して日本を深く知ることができて、すごく幸せだった」と笑顔で語るビノシュさんに、永瀬さんから特別に吉野の森をイメージしたという和傘がプレゼントされた。和傘を開いて見せたビノシュさんも「アリガトウゴザイマス。メルシーメルシー」と大歓喜。
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最後に、永瀬さんが「この映画の中で僕はジャンヌとアキと鈴とコウを愛していて、愛が詰まっている作品です。この映画を観て、愛しい人のことを想って、その愛情を再び劇場にもってきてほしい」と語ると、ビノシュさんは「誰もが暗い部分に落ちこんだ時に、自分と向き合わなきゃいけない。そうやって成長していく可能性を感じさせてくれる、まるで神話のような作品」と観客を包み込むかのようにやさしく表現した。 河瀨監督も「去年のパルムドールでプレゼンターを務めたビノシュが『映画は光』と言っていました。光がなければ私たちは存在しないんです。そういう原点に返ってこの映画を作りました。ぜひ皆さんに『万引き家族』も『Vision』も見てもらえるようにお願いします」と会場に語りかけ、イベントは本作の雰囲気と同じように和やかに終了した。
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hello-ratika · 4 years
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ご近所人気店 いつもお客さんでいっぱい 近所だからいつでも行けるという安心感と、お客さんがいっぱいでなかなか行けてないけど、平日の朝だったら大丈夫かなーということで 相変わらず優しく柔らかい雰囲気 途中ボンジュールと入ってらしたフランス人紳士(多分)。どうやら常連さんらしく、フランス語でオーダーの相談されてて、一瞬外国にきてる気分に;D ミルクティーには茶色い砂糖2個が好みです (Tsuyu coffee) https://www.instagram.com/p/CEnZdBmjKoR0xDqUhA-QBkhrIz0N0_4orOPKaU0/?igshid=x1l43ddvdw6r
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ldvtest · 5 years
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華の都
縦書きで読む(一部未対応です)
東南アジア系移民の金切り声。赤ん坊の鳴き声。降車口のドアを力任せにこじ開けて乗り込んでくるアフリカ系移民。
「Ce n'est pas possible!」 (ありえない!)
どこからか上がる声。いい加減うんざりするような混み具合。華の都パリ、市営バス。
今しがた席を立った老人の後の、空いた席にめがけて飛び込むマダム。そいつが気に食わないと不平をいう別のマダム。首尾よく座席を獲得したマダムは、ヘッドフォンをした自分の耳を指差しながら
「Je n'entends pas!」 (わたし聞こえない!)
なんて、実際なかなか聞かない言い訳。
一際甲高い赤子の泣き声。渋滞に巻き込まれたバスは、扉を閉めても停留所から動けない。携帯電話口で盛り上がりながら、今しがたバス停にやってきて、のこのことバスに乗り込もうとして拒否された男が、何だか運転手とやり合ってる。
拒否したのは運転手じゃない。乗車口付近、最後にバスに乗り込んだやつらだ。彼らも同じように、彼らの直前にバスに身体をねじ込んで来た客に「もう無理、乗ってくんなよ」と拒否されていたにも関わらず。
……最後に到着した者が、新しくやってくる者を拒絶する。「すでに席を確保した者」には関係のない話。華の都パリ、17区。うんざりするような移民の群れ。窓に映るアジア人の顔はわたし。
――知ったこっちゃない。
わたしは身体をよじるようにして車内の奥の方へと少し詰める。やがて、青空に流れ込んできた黒雲から、窓の外には今大粒の雨が撃ちつけ始めた。
フランス語「B1」の授業が始まりました。「中級フランス語」最初の課題は……
「C'est un vrai goujat, cet homme! Tout le monde le fuit comme la peste!」
だそうです。
丁寧に訳しますと……
「あいつマジでゲスよね!みんなあいつのこと避けてる、ペストみたいに!」
だそうです。つまり「ゲスの扱い方」です。
公立語学学校の授業としては珍しい気もしますが、パリ市推薦の教科書に載っております。フランス人はこうして嫌味の表現を覚えてゆくのですね。
数週間前まで「ジョン=シャルルはパスカルよりも背が高い」などと勉強していたような気もしますが、高度な内容に達したということでしょうか。ある映画の中にあった「フランス語は『罵る言葉』がたまらなく感じさせる」なんて台詞を思い出しました。
さて、そんな「罵り」は日本語に翻訳しますと今ひとつ「感じ」させませんが、ともあれ中級フランス語、最初のフレーズはフランス語のままで覚えることに致します。
ある意図を持ったコミュニケーション行為が、他者に伝達されるためには、受け取り側も行為の意味するところを了解していなければならない。
そこには社会的、そして文化的な共通認識が求められる。アメリカの言語学者、デル・ハイムズは、その認識を「コミュニケーション行為の解釈に関する知識を共有している共同体」、すなわち「スピーチ・コミュニティ(言語共同体)」と呼んだ。
あるスピーチ・コミュニティの中で、円滑な言語活動を行うためには、まずコミュニケーションを行う相手に「十分な量の情報を与える」ことが必要である。それか��「自分では間違いだと思っているような、質の悪い情報は与えない」こと。また相手を混乱させないように「関係ないことは話さない」、そしてお互いの合意に基づいた「形式に乗っ取って話す」ことが必要である……と言ったのはイギリスの言語学者、ポール・グライスで、これは「協調原理」と呼ばれている。
ところで、そうした協調の原理に従って、いつも「本当のこと」ばかりを喋っていると、たしかにそれは「正しい」のかもしれないけれど、あまりあからさまに「本当のこと」ばかりを言われてしまうと人は時々傷ついてしまう。だからそこに「人を傷つけないように」という「配慮」が生まれる。その「配慮=気遣い」のことを言語学では「ポライトネス」と呼ぶのだけれど、まぁ平たく言ってしまえば(優しい)「嘘」である。そして、相手のことを慮ったこの「嘘」つまり「配慮」の方法は、当然「スピーチ・コミュニティ(言語共同体)」ごとによって異なっている。
アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、著書『文化を超えて』の中で、世界中の言語コミュニケーションの型を「高文脈文化」と「低文脈文化」に分類した。
「ハイ・コンテクスト(高文脈)/ ロー・コンテクスト(低文脈)」とはいうものの、これはどちらが優っている、劣っているというような話ではなく、単に類型的な分析である。
ホールは……
『高文脈文化のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式であり、その最極端な言語として日本語を挙げている。
一方の低文脈文化のコミュニケーションでは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる。最極端な言語としてはドイツ語を挙げている』 【高・低文脈文化 / 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】
と云う。
例えば。近しい文化背景を持った人々が集まって長い時間同じ土地で共同生活を続けていると、言語内に共有(蓄積)される記憶(情報)の量が増えてくるから、意思の疎通は少ないサインの交換だけでも可能となる。
――以心伝心、阿吽の呼吸、そんなことまで言わせないでよ……
高度に象徴化された「仄めかし」は、「ハイ・コンテクスト」の言語共同体において有効なコミュニケーション手段として機能する。
一方で、異なる文化背景を持った人々が集合して言語共同体を営んでいる場合、「語」が暗に示唆(含蓄)する「意図」が次第に不明瞭となってゆくので、意思の伝達には常に正確さが求められる。
――結婚式のための教会使用の許可にあたって念のために尋ねますが、あなたは今までにあなたの伴侶を殺害したことはありますか?
――では、あなたは今までに胎児を含む、あなたの子供を殺害したことはありますか?
――では、あなたは今までに、あなたの血縁家族を殺害、あるいは殺害の計画および実行に関与したことはありますか?
……いや、なに、あくまで形式的な質問ですよ。だって尋ねなければわからないでしょう?
大昔から異文化の往来が活発だった土地や、移民や多民族によって成り立っている社会などの多くは「ロー・コンテクスト」であると云われている。そして「ハイ・コンテクスト」に慣れ親しんだ人々にとっては、「ロー・コンテクスト」におけるやり取りは「あからさま」で、時に露骨で無粋にさえ思えるのである。
「ロー・コンテクスト」文化における「伝達」は、言葉が大きな位置を占めている。言語により態度を明確にすること。故にそこには正確さが求められる。当然「契約」も双方の完璧な合意によって行われるため、一度契約を結ぶとその変更は容易ではない。意思決定は理論的に行われ、また会話の途中に訪れる「沈黙」は、コミュニケーションの断絶とみられ不快にさえ感じられる。
対して「ハイ・コンテクスト」文化において交換される情報は、言語の「含み」に大きく依存するので、「空気」のような曖昧さを持っている。双方の合意も「一般的な共通認識」に頼るため、状況によってコロコロと変更(忖度)されてしまう。意思決定は感情的に行われ、会話の途中に現れる「沈黙」も、互いの暗黙の合意に基づいている場合が多いから決して不快なものとは捉えられない。
こうして考えてみると、確かに日本は「ハイ・コンテクスト」文化であり、ドイツやアメリカは「ロー・コンテクスト」な文化である。そしてフランスは……
パリの「当然」は、街のいたるところに転がっている。
日曜日は「当然」お休み。「当然」誰も働かない。「当然」バスの本数も少なく、「当然」街は閑散とする。
「担当者は9月までヴァカンスをとっているので、メールの返信は9月以降になります」
――C'est normal! 当然でしょう。そしてその間にヴィザが切れてしまえば、当然わたしが悪いのであります。
「アパルトマン契約がないとヴィザの発給はできません。そしてヴィザがないと、アパルトマンの契約はできません」
――C'est normal! まったく当然のロジックであります。そりゃぁそうさ、すべてわたしが悪いんだもの。
当然、わたしはそれに従うしかなく、すべてが実に当たり前に……それにしても。街を動かしている根本のアイデア違う、わたしにはそう思えるのであります。
「Bonjour!」 (ボンジュール!)
郵便局からはみ出す勢いで並んでいたパリ10区、「ボンヌ=ヌーヴェル(Bonne Nouvelle=よい知らせ)」駅前の郵便局。たっぷりと45分も待たされたわたしは、せいぜい愛想好く「こんにちは!」と。カウンターには中年のマダム。たっぷりと10秒はシカトを決め込んで
――今
――ゆっくりと
――自分のタイミングを見計らい
――さて
――ようやく
――「Oui monsieur?」 (はい、ムッシュー?)
「で?」と言わんばかりの投げやりなご様子。やれやれ、明らかに「サーヴィス」という概念が、わたしの思うものとは異なっているね。
「これ、お願いします」
10通の大型国際普通郵便をカウンターに差し出す――と、マダムはあからさまな溜息。実に判り易い「当然」の反応。よぉくわかるよ、面倒くさいもんね、10通。でも「Ce n'est pas mon problème, わたしの知ったこっちゃないよ」ちゃんと仕事してね、と知らん顔を決め込むのがこの言語共同体での正解の態度であります。
それにしても。本日の郵便局はいつにも増して混雑している。切手の自動販売機の故障のせいか、それとも原因はどこか別にある?
カチャカチャとキーボードを叩く音がして、やがて切手がプリント・アウトされてくる。手続き開始からすでに5分、たっぷりと待たされる意味がよく判るね……っておや?わたしはモニターを見つめるマダムの口元が、時々ちらりと上がることに気がついたね。
「さてと……」待ちくたびれたフリなんかして、わたしはさりげなく移動してみる、ついでにちょいと首の運動でも……って、ホラ!見えたよ、見えた!見たことあるよ、その画面!
郵便局から溢れ出す行列を前に、そして局内に充満する諦めと苛立ちのムードの只中、現在この中年のマダムは、なんと「メールをチェック中」なのであります。
ふぅむ、言語の不自由さを呪うのはこんな瞬間であるね。気の利いた嫌味のひとつでも言いたいところ。
「Il y a plein de Bonne Nouvelle c'est pourquoi le Bonne Nouvelle sont plein…」 (今日は「ボンヌ・ヌーヴェル(よい知らせ)」がメールボックスにいっぱいなので、「ボンヌ=ヌーヴェル」駅前郵便局は待ち客でいっぱいだ……)
うぅん、今ひとつ……
さて、そんなこんなでパリに拠を据え早くも十数年が経ちました。わたしのフランス語はいまだにひどいものなのですが、それでも少しづつは慣れてきて、日々は決して「華やか」とは言えないまでも、まぁ楽しく過ごしていたのでありました。
そんなある日、フランスに生活するために必要な「滞在許可証」に関して移民局から連絡が入り、近日中に証明写真を3枚提出することになりました。尋けば、許可証がこの度めでたく10年毎更新のものに切り替わるということで、わたしにとっては実に素晴らしい「ボンヌ・ヌーヴェル」、写真はこの手続きに使うのだそうです。
それで。時同じく、ちょうど電話のあった月曜日あたりから、まぁ滅多に出来ることのないニキビが、これまた滅多に出来ることのない鼻の頭あたりに、突如浮かび上がってきたのであります。しかもポツンと出来るんだったらまだしも、じわっと周囲が赤くなる、つまり何処から何処までが患部だか判らない、実にややこしいやつであります。ひとまずハーブの香りのする薬をつけて、様子をみてはいるのですが……そういった訳で。
移民問題に揺れる昨今の欧州。フランスでも滞在許可証の延長がますます厳しくなってきているというこの状況の中で、現行最長である10年の許可証に切り替わるというのは改めて光栄なことで、つまりわたしはこれから10年間、面倒な更新手続きからは解放されるわけで、そしてこのまま見事にカードが発給されてしまうと、わたしはここ華の都パリにおいて、少なくとも今後10年間は、鼻の頭がずっと赤いままとなるのであります。
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logdevoyage · 5 years
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華の都
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東南アジア系移民の金切り声。赤ん坊の鳴き声。降車口のドアを力任せにこじ開けて乗り込んでくるアフリカ系移民。
「Ce n'est pas possible!」 (ありえない!)
どこからか上がる声。いい加減うんざりするような混み具��。華の都パリ、市営バス。
今しがた席を立った老人の後の、空いた席にめがけて飛び込むマダム。そいつが気に食わないと不平をいう別のマダム。首尾よく座席を獲得したマダムは、ヘッドフォンをした自分の耳を指差しながら
「Je n'entends pas!」 (わたし聞こえない!)
なんて、実際なかなか聞かない言い訳。
一際甲高い赤子の泣き声。渋滞に巻き込まれたバスは、扉を閉めても停留所から動けない。携帯電話口で盛り上がりながら、今しがたバス停にやってきて、のこのことバスに乗り込もうとして拒否された男が、何だか運転手とやり合ってる。
拒否したのは運転手じゃない。乗車口付近、最後にバスに乗り込んだやつらだ。彼らも同じように、彼らの直前にバスに身体をねじ込んで来た客に「もう無理、乗ってくんなよ」と拒否されていたにも関わらず。
……最後に到着した者が、新しくやってくる者を拒絶する。「すでに席を確保した者」には関係のない話。華の都パリ、17区。うんざりするような移民の群れ。窓に映るアジア人の顔はわたし。
――知ったこっちゃない。
わたしは身体をよじるようにして車内の奥の方へと少し詰める。やがて、青空に流れ込んできた黒雲から、窓の外には今大粒の雨が撃ちつけ始めた。
フランス語「B1」の授業が始まりました。「中級フランス語」最初の課題は……
「C'est un vrai goujat, cet homme! Tout le monde le fuit comme la peste!」
だそうです。
丁寧に訳しますと……
「あいつマジでゲスよね!みんなあいつのこと避けてる、ペストみたいに!」
だそうです。つまり「ゲスの扱い方」です。
公立語学学校の授業としては珍しい気もしますが、パリ市推薦の教科書に載っております。フランス人はこうして嫌味の表現を覚えてゆくのですね。
数週間前まで「ジョン=シャルルはパスカルよりも背が高い」などと勉強していたような気もしますが、高度な内容に達したということでしょうか。ある映画の中にあった「フランス語は『罵る言葉』がたまらなく感じさせる」なんて台詞を思い出しました。
さて、そんな「罵り」は日本語に翻訳しますと今ひとつ「感じ」させませんが、ともあれ中級フランス語、最初のフレーズはフランス語のままで覚えることに致します。
ある意図を持ったコミュニケーション行為が、他者に伝達されるためには、受け取り側も行為の意味するところを了解していなければならない。
そこには社会的、そして文化的な共通認識が求められる。アメリカの言語学者、デル・ハイムズは、その認識を「コミュニケーション行為の解釈に関する知識を共有している共同体」、すなわち「スピーチ・コミュニティ(言語共同体)」と呼んだ。
あるスピーチ・コミュニティの中で、円滑な言語活動を行うためには、まずコミュニケーションを行う相手に「十分な量の情報を与える」ことが必要である。それから「自分では間違いだと思っているような、質の悪い情報は与えない」こと。また相手を混乱させないように「関係ないことは話さない」、そしてお互いの合意に基づいた「形式に乗っ取って話す」ことが必要である……と言ったのはイギリスの言語学者、ポール・グライスで、これは「協調原理」と呼ばれている。
ところで、そうした協調の原理に従って、いつも「本当のこと」ばかりを喋っていると、たしかにそれは「正しい」のかもしれないけれど、あまりあからさまに「本当のこと」ばかりを言われてしまうと人は時々傷ついてしまう。だからそこに「人を傷つけないように」という「配慮」が生まれる。その「配慮=気遣い」のことを言語学では「ポライトネス」と呼ぶのだけれど、まぁ平たく言ってしまえば(優しい)「嘘」である。そして、相手のことを慮ったこの「嘘」つまり「配慮」の方法は、当然「スピーチ・コミュニティ(言語共同体)」毎によって異なっている。
アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、著書『文化を超えて』の中で、世界中の言語コミュニケーションの型を「高文脈文化」と「低文脈文化」に分類した。
「ハイ・コンテクスト(高文脈)/ ロー・コンテクスト(低文脈)」とはいうものの、これはどちらが優っている、劣っているというような話ではなく、単に類型的な分析である。
ホールは……
『高文脈文化のコミュニケーションとは、実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式であり、その最極端な言語として日本語を挙げている。
一方の低文脈文化のコミュニケーションでは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる。最極端な言語としてはドイツ語を挙げている』 【高・低文脈文化 / 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】
と云う。
例えば。近しい文化背景を持った人々が集まって長い時間同じ土地で共同生活を続けていると、言語内に共有(蓄積)される記憶(情報)の量が増えてくるから、意思の疎通は少ないサインの交換だけでも可能となる。
――以心伝心、阿吽の呼吸、そんなことまで言わせないでよ……
高度に象徴化された「仄めかし」は、「ハイ・コンテクスト」の言語共同体において有効なコミュニケーション手段として機能する。
一方で、異なる文化背景を持った人々が集合して言語共同体を営んでいる場合、「語」が暗に示唆(含蓄)する「意図」が次第に不明瞭となってゆくので、意思の伝達には常に正確さが求められる。
――結婚式のための教会使用の許可にあたって念のために尋ねますが、あなたは今までにあなたの伴侶を殺害したことはありますか?
――では、あなたは今までに胎児を含む、あなたの子供を殺害したことはありますか?
――では、あなたは今までに、あなたの血縁家族を殺害、あるいは殺害の計画および実行に関与したことはありますか?
……いや、なに、あくまで形式的な質問ですよ。だって尋ねなければわからないでしょう?
大昔から異文化の往来が活発だった土地や、移民や多民族によって成り立っている社会などの多くは「ロー・コンテクスト」であると云われている。そして「ハイ・コンテクスト」に慣れ親しんだ人々にとっては、「ロー・コンテクスト」におけるやり取りは「あからさま」で、時に露骨で無粋にさえ感じられるのである。
「ロー・コンテクスト」文化における「伝達」は、言葉が大きな位置を占めている。言語により態度を明確にすること。故にそこには正確さが求められる。当然「契約」も双方の完璧な合意によって行われるため、一度契約を結ぶとその変更は容易ではない。意思決定は理論的に行われ、また会話の途中に訪れる「沈黙」は、コミュニケーションの断絶とみられ不快にさえ感じられる。
対して「ハイ・コンテクスト」文化において交換される情報は、言語の「含み」に大きく依存するので、「空気」のような曖昧さを持っている。双方の合意も「一般的な共通認識」に頼るため、状況によってコロコロと変更(忖度)されてしまう。意思決定は感情的に行われ、会話の途中に現れる「沈黙」も、互いの暗黙の合意に基づいている場合が多いから決して不快なものとは捉えられない。
こうして考えてみると、確かに日本は「ハイ・コンテクスト」文化であり、ドイツやアメリカは「ロー・コンテクスト」な文化である。そしてフランスは……
パリの「当然」は、街のいたるところに転がっている。
日曜日は「当然」お休み。「当然」誰も働かない。「当然」バスの本数も少なく、「当然」街は閑散とする。
「担当者は9月までヴァカンスをとっているので、メールの返信は9月以降になります」
――C'est normal, 当然でしょう。そしてその間にヴィザが切れてしまえば、当然わたしが悪いのであります。
「アパルトマン契約がないとヴィザの発給はできません。そしてヴィザがないと、アパルトマンの契約はできません」
――C'est normal, まったく当然のロジックであります。そりゃぁそうさ、すべてわたしが悪いんだもの。
当然、わたしはそれに従うしかなく、すべてが実に当たり前に……それにしても。街を動かしている根本のアイデア違う、わたしにはそう思えるのであります。
「Bonjour!」 (ボンジュール!)
郵便局からはみ出す勢いで並んでいたパリ10区、「ボンヌ=ヌーヴェル(Bonne Nouvelle=よい知らせ)」駅前の郵便局。たっぷりと45分も待たされたわたしは、せいぜい愛想好く「こんにちは!」と。 カウンターには中年のマダム。たっぷりと10秒はシカトを決め込んで
――今
――ゆっくりと
――自分のタイミングを見計らい
――さて
――ようやく
――「Oui monsieur?」 (はい、ムッシュー?)
「で?」と言わんばかりの投げやりなご様子。やれやれ、明らかに「サーヴィス」という概念が、わたしの思うものとは異なっているね。
「これ、お願いします」
10通の大型国際普通郵便をカウンターに差し出す――と、マダムはあからさまな溜息。実に判り易い「当然」の反応。よぉくわかるよ、面倒くさいもんね、10通。でも「Ce n'est pas mon problème, わたしの知ったこっちゃないよ」ちゃんと仕事してね、と知らん顔を決め込むのがこの言語共同体での正解の態度であります。
それにしても。本日の郵便局はいつにも増して混雑している。切手の自動販売機の故障のせいか、それとも原因はどこか別にある?
カチャカチャとキーボードを叩く音がして、やがて切手がプリント・アウトされてくる。手続き開始からすでに5分、たっぷりと待たされる意味がよく判るね……っておや?わたしはモニターを見つめるマダムの口元が、時々ちらりと上がることに気がついたね。
「さてと……」待ちくたびれたフリなんかして、わたしはさりげなく移動してみる、ついでにちょいと首の運動でも……って、ホラ!見えたよ、見えた!見たことあるよ、その画面!
郵便局から溢れ出す行列を前に、そして局内に充満する諦めと苛立ちのムードの只中、この中年のマダムは、なんと(驚くなかれ!)現在「メールをチェック中」なのであります。
ふぅむ、言語の不自由さを呪うのはこんな瞬間であるね。気の利いた嫌味のひとつでも言いたいところ。
「Il y a plein de Bonne Nouvelle c'est pourquoi le Bonne Nouvelle sont plein…」 (今日は「ボンヌ・ヌーヴェル(よい知らせ)」がメールボックスにいっぱいなので、「ボンヌ=ヌーヴェル」駅前郵便局は待ち客でいっぱいだ……)
うぅん、今ひとつ……
さて、そんなこんなでパリに拠を据え早くも十数年が経ちました。わたしのフランス語はいまだにひどいものなのですが、それでも少しづつ不便は減ってきて、日々は決して「華やか」とは言えないけれど、慣れれば快適、それなりに楽しく過ごしていたのでありました。
そんなある日、フランスに生活するために必要な「滞在許可証」に関して移民局から連絡が入り、近日中に証明写真を3枚提出することになりました。尋けば、許可証がこの度めでたく10年毎更新のものに切り替わるということで、わたしにとっては実に素晴らしい「ボンヌ・ヌーヴェル」、写真はこの手続きに使うのだそうです。
それで。時同じく、ちょうど電話のあった月曜日あたりから、まぁ滅多に出来ることのないニキビが、これまた滅多に出来ることのない鼻の頭あたりに、突如として浮かび上がってきたのであります。しかもポツンと出来るんだったらまだしも、じわっと周囲が赤くなる、つまり何処から何処までが患部だか判らない、実に厄介なやつであります。ひとまずハーブの香りのする薬をつけて、様子をみてはいるのですが……
そういった訳で。
移民問題に揺れる昨今の欧州。フランスでも滞在許可証の延長がますます厳しくなってきているというこの状況の中で、現行最長である10年の許可証に切り替わるというのは改めて光栄なことで、つまりわたしはこれから10年間、面倒な更新手続きからは解放されるわけで、そしてこのまま見事にカードが発給されてしまうと、わたしはここ華の都パリにおいて、少なくとも今後10年間は、鼻の頭がずっと赤いままとなるのであります。
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forbethcooper · 6 years
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2018.11.23
 時の流れとは早いもので11月真っ只中。ブラックフライデーという旗日も底辺職は露ほども知らないようで、今日もウキウキ出勤です。秘封コンピレーションアルバム「レター・フロム・ジェーン・ドゥ」が委託販売サービスを開始しております。幾人ものお方に届いたことかと思いますが、僕は未だ拝見しておりません。楽しみで夜も眠れません。それはそれは趣向を凝らした珠玉の傑作、天下一品の逸品、風光明媚に風味絶佳、花鳥風月も恥じて顔を隠すものと疑う由がありません。美辞麗句などではありません。非常にグッドでグレートでマッバイなアルバムとなっております。ご購入をご検討されている皆さま、今こそその「あと一歩」を踏み出す絶好の機会かと存じます。ボンジュール岡田による「錦三のグリニッジ」はいかがでしたでしょうか。気に入ったり入らなかったり、良かれ悪かれの印象はお持ちになっていただけましたでしょうか。ポジティブな方向性だと嬉しいです。そうでなければ他サークル様たちの素敵な楽曲をより一層お楽しみいただければと思います。四分弱という果てなき宇宙旅行くらいに長い貴重なお時間の一端を担うことができましたら、感動の余り咽び滂沱の涙で応えさせていただきたく存じます。光栄の余り無双乱舞が出せそうです。よろしければ11月10日に公開されたボンジュール岡田氏の独占インタビュー記事もご覧下さい。もしプラスの印象を感じ、超絶ウルティマに暇を弄んでいましたらツイッターとかもありますのでおフォローいただければ嬉しいです。ラインもあります。カカオはないので必要であればインストールします。個チャも対応可能です。光陰矢の如く、キムタクが如く発売まであと少しです。そろそろ師走を控えた各寺社仏閣の僧侶から何から何までがクラウンチングでスタンバってる頃でしょうか。師走を控えた僕はただひたむきに俯きながらテンパってます。この時期になると毎年のようになんかしなきゃと思うんですが、あるのは蒙昧が故に茫乎としたビジョンしかないんですよね。どっかに遊びに行く気力が欲しいです。「うんてい」をご存知でしょうか。ご存知でしょう。漢字で書けば雲梯。初等教育の低学年を彷徨い歩いていた頃に、上級生がそいつをいとも容易く渡りきる様は、少年八木の目には輝かしく勇ましく映りました。正しく雲梯と呼ぶに相応しい光景です。ちびっ子時代の原風景の一つです。今になってしまえば何が面白くて何がすごいのかも分からぬあのオブジェに僕は夢中になったのです。僕が上級生になろうとした頃、それが男らしさに違いないと疑わなかった僕は息巻いて渡りきったものです。何故かそうしたら気になるあの子が振り向いてくれるような気がして。一つ飛ばし、二つ飛ばしで、掌が錆やら剥がれた塗装やらで汚れるのも気にせずに遮二無二渡り続けました。しかし、僕がモテるどころか気になるあの子すら振り向きはしないのです。何故なら僕は鉄棒で逆上がりが出来ませんでした。0点チャンピオン的に言えば逆上がりが出来ないディスアドバンテージの大きさは計り知れないようです。先日、知人に誘われて地元の居酒屋さんに行ったのですが、そちらの店員さんがなかなかにギャルでした。僕はギャルが好きです。それはもうとても。ハロウィンに渋谷で乱痴気起こして、喚き声やら嬌声やら怒罵声の中でけたたましく酩酊し、所狭しとゴミを敷き詰めて、運転手自らが煽り立て軽ト��の荷台で群衆を踊らせたかと思えば、当の軽トラは横転し、なぜか焚きつけた本人が被害届を出し、公安のお仕事を増やす彼らへの恋い焦がれがそこにはあります。彼らは僕の知り得る可能性が微塵もない楽しい世界を知っています。TikTokってなんですか。僕には楽しみ方がわかりません。なんたらライブとか往々にしてそう呼ばれている類の楽しみ方がわかりません。多分それは僕が文明から取り残された「はじめ人間ギャートルズ」だか、「原始家族フリントストーン」だかであるが故に、未だにiPhone5sのサイズ感が完成されているとかしょーもない理屈をこねくりまわして、熟成発酵させたくそしょーもない矜持に縋り付いているからなのです。そんな彼らや彼女らパリピは僕の人生において関わり合うことのない人々なのです。ギャルがその典型です。だからこそ夢があるのです。最近良くあるオタクに優しいなんてのは虚構でしかありません。そんなこたあ億も承知の上。でもそういう漫画は嫌いじゃありません。楽しく読んでます。身分不相応な触れ合いの願望は元よりありません。オタクの夢幻は霧散、憧憬は無意味、羨望は大罪と心に刻みながら慎ましやかに死んでいくのみです。前髪なんか伸ばしてる場合じゃあないのですよ。紀元前だかのギャルゲーやエロゲーの主人公に扮する時代は疾うに過ぎたのです。そんなんだから前髪が邪魔で現実も未来も見えないんですよ。古典的な出涸らしな洒落ですが、妄想はもう止そうとはよく言ったものです。所詮僕はギークボーイであって、アメフト部のキャプテンではないのです。アルコールからドラッグまでありとあらゆる嗜好品と欲と欲と欲とちょっぴりの甘酸っぱさのあるアメリカングラフィティーは僕の理想郷です。だと言うのに映画の中のナード共はなんやかんやで美味しい思いして、幸せ噛み締めちゃって、熱烈なチッスシーンが佳境になるなんてどうかしてる。あれもこれも全部ウィンターズ・ボーン(オチ的なニュアンスで引き合いに出していますが、非常に良い映画でございます)みたいな終幕でいいでしょ、と。全ては電車男がいけない。僕の思春期真っ盛り中にあんな映画見たら期待を持ってしまう。よくよく考えなくても山田孝之なら関係ないですよね。毛むくじゃらになる前ですよ。最早、僕が山田孝之に恋したいくらい。メリーにヘアジェルって嘘つきたい。ちなみに僕が一番好きなキャメロン・ディアスはナイト&デイで化粧室で鏡を前に独り言いいながら身なりを整えてる時です。話が横道にまっしぐらでした。あれはそう、件の店員さんがお会計で僕がお釣りを待っていた時でした。阿呆みたいに仰向けでおっ広げた僕の右の掌。彼女はそこへ左手を添えると、お釣りを嫋やかに置いて下さったのです。僕は至極単純明解な単細胞生物です。思春期の残像に縋り付く亡霊みたいな屍ですので、たったそれだけで胸がときめきました。異性の手が触れるとか、セクシャルハラスメントだと騒がれてもなんら可笑しくないご時世でございます。それなのに左手を添えるなんて、きっと熱心なスラムダンク読者なんでしょうね。非常に気色の悪い話ですがご容赦ください。最後までいわけなくも婀娜っぽい笑顔で、またお越しくださいと言われてしまったもんですからね、またお越ししたいと思っております。ただ、ちょっとばかしお値段に対して質量がかなり少なめでしたのでお財布と入念な相談させていただきたく存じます。点睛を欠いているというか、そもそもの本旨がないのでてんでばらばらで難読怪文書になっておりますが続きます。というより続けます。何故なら友達の少ない僕は、誰かと話す代わりにここに日記を書いてリビドー的な開放欲を発散するからです。限りなく露出狂に近いです。あれから約ひと月が経とうとしていますね。言わずもがな、僕が拵えて世に送り出した恥部オブ恥部ズ、セルフイシューツーです。前々回だか前々々回だかにも、簡素ながら謝辞を述べさせていただきましたが、改めまして、現物をお手に取っていただいた方々もサウンドクラウドでご試聴いただいた方々も、誠に御礼申し上げます。僕がCDを作る中で一番重要視していたのは、あとがき的なダイアリーです。最後まで読んだなんて人がいたらそれは大分やばいです。お気を確かにお持ちください。そもそもですが、この部分までこの日記(と呼称するにはあまりにも更新頻度は疎らでありますが)を読んでいる人がいればそれはもう重篤です。ありがとうございます。こんなにも面白みのない文章を書き続けてる僕が最も狂っているのかもしれません。それ、褒め言葉ね。僕のような素っ頓痴気狂人がプレステする間を惜しんで作った傑作を久し振りに聴き直してみたんですよね。そんなに悪くないですよね。自分で自分を頑張ったねって褒めてあげたいです。マルあげよう。最近まで二つマルを付けるとどうしてちょっぴり大人なのか分からなかったんですが最近分かりました。歌詞とかも読んでもらえましたか。どうですか、いい歌詞じゃないですか。エモいですよね。今回ばかりは自画自賛くらい許してください。自分で自分を褒めてあげなきゃ誰が褒めるって言うんです。ナルシズムは重要なんです。時々でも自身を認めてあげないと木偶の坊になってしまいます。自分の一番のファンが自分でないとどんなこともやらなくなってしまいます。そんな訳で四曲目の「キリマンジャロ・コーヒー」についての話です。基本的にどの曲も題材があります。総じて僕のストレス発散が根底にあるんですが、この曲は少し違いました。思い入れのある、と言えば語弊が生まれます。特別か、と言えば齟齬が生まれます。とりあえず、僕の中の美化されて煌めいて見える記憶を掘り起こしたものになっているんです。それがどうしたと言われればどうもしないよ、と答えるしかできませんがそういうものなのです。あれは僕の齢がやっとこ二桁の大台にのった頃です。僕の初恋とかいう淡く切ない、青(というにはあまりにも薄く)春(というにはあまりにも寒々しい)ストーリーがありました。打ち切りエンドでしたが。渺茫とした一面の焼け野原に芽生えた新しい生命が如くそれは美しいまま大脳新皮質の片隅に根付いています。彼女の名前はゆきちゃん(仮名)。今は幸せに彼氏と過ごしているそうです。まあ、そんなこたあどーでもいいんです。大分前の日記にも書いたんですが、キリマンジャロ・コーヒーというのは初恋の味なのです。誰がなんと言おうとそうなんです。不味いんですよ。まるで良いもののように語る初恋ストーリーは大抵が成功例なんですよ。失敗したとして、そこには副産物的な友情やら経験やらが転がっていて、それを逃さずに拾い集めたやつらの思い上がりも甚だしいただの自慢話にしか過ぎません。手前味噌並べて耽溺に浸ってるやつらは知りはしないんです。辛酸舐め回してビリビリしてる口の中を知らないんです。ただこれだけは知ってもらいたい。甘酸っぱい初恋の味というものは、酷く非道く正しいのだと。大家族で分け与えるカルピスの希釈みたいな引き伸ばしたものではない、原液みたいに粘っこい甘酸��ぱさが誰もが追い求める理想像なのです。だから何が言いたいのか、という話です。だからあれはラブソングなんだよ、という話です。ラヴです。愛で地球を救う前に僕を救っておくれ。日本人全員の口座から5円ずつでいいので、僕の口座に振り込んでおくれ。それぞれの5円失う悲しみの度合いなんて限りなく0に等しいだろうし、その0に人口分掛け算しても0は0でしょう。それに対しての僕の喜びはひとしおどころかおくしおです。そのお金でPS4proやら4Kモニターやら買います。スポンサーついて欲しい。パトロン欲しい。贅沢は味方ではないのです。そういうのは欲しがって貰える立場がするのです。こうやって駄文を書き連ねてる間にも僕の希少な有意義であったであろう時間は過ぎ去っていくのです。厠に流れる排出された糞尿にも劣る無価値なものになるんです。人生においてシャルピー衝撃試験とどちらが重要であるかの議論は平行線を辿るに違いありません。光陰矢の如し。皆さんは日々を無下にすることのないよう細心のご注意の上、これから流行るであろうインフルエンザに備えていただければと思います。またギターの弦やらの消耗品を注文したら曲を作りたいです。ただ今はゲームします。来年とかなんかできたらいいなあ。
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cafe-the-morning · 6 years
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\本日営業/ #珈琲を淹れる人 シリーズ 県南からイカついん来た🏍 シリーズ no.66 同級生の陽一郎くん♡ ありがとね〜〜 会えて嬉しかった^ ^ よさこいはまたにして とりあえず吾平行こ〜 . THE MORNING 〈本日営業11時〜16時〉 ランチは15時迄 無くなり次第終了 . ※駐車場に限りがございますので 出来るだけ乗り合わせてお越し下さいm(._.)m . 🅿︎ 7台 駐車場のご案内 . ◯向かい・道路を挟んだ前4台 (メガネのアズマさんの隣り) ※大きな車はこちらに/反対車線 ◯東隣り3台 (お店とボンジュールさんの間) ※少し狭く停めにくいのと 時間帯により満車の場合もあり 向かいの駐車場を オススメしております。 . ※指定の場所以外には、 絶対に停めないで下さい。 . お席のご予約 ベビーカーお子様連れ もちろんOK . THE MORNING 088-677-7177 . #themorning #ザモーニング #cafe #カフェ #lunch #ランチ #徳島 #tokushima #徳島カフェ #徳島cafe #佐古 #coffee #コーヒー #珈琲 #珈琲を淹れる人 (The Morning)
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katchancho · 3 years
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#Goodevening * ご近所の#ンパー 屋さんにて😋 ボンジュ��〜ル🇫🇷😁 美味くて安い☝️@#ボンジュール大平 #アイドルタイム嫌いです#🙅‍♂️ * #bonjour #街のパン屋さん #bread #パン #🍞 #🥐 #🥯 #植田 #ueda #iwaki #fukushima #japan #delicious #マイウー #food #instafood #instagood #instadaily #instajapan #20210907 * Q:さぁ〜このンパ〜は何でしょ?🥯 正解者の中から抽選で、、 つづく😛 #ごちそうさまでした ✨ (ボンジュール大平) https://www.instagram.com/p/CTgzAMVBgaoxw0Ra6csjrUZN78eiD9cxzh6Gvo0/?utm_medium=tumblr
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cafe-the-morning · 7 years
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cafe-the-morning · 7 years
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cafe-the-morning · 7 years
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cafe-the-morning · 7 years
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cafe-the-morning · 7 years
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ザ モーニングOpenします⛄️ お気をつけてお越し下さい🚗 . ※状況をみながら少し早めに closeする場合がございます。 お問い合わせ下さい。 . 【駐車場のご案内】 ◯向かい・道路を挟んだ前4台 (メガネのアズマさんの隣り) ※大きな車はこちらに/反対車線 ◯東隣り3台 (お店とボンジュールさんの間) ※少し狭く停めにくいのと 時間帯により満車の場合もあり 向かいの駐車場を オススメしております。 . 【お店の場所】 国道192号線沿い お城の病院(義成病院さん)と カフェレストラン ボンジュールさん側の間です。 . お席のご予約 お子様連れの方 ベビーカー もちろんOK!! . 【只今スタッフ募集中!】 土・日・平日 11時〜16時 お昼2~3h 週1回・月1〜2回OK . CAFE / GROCERY . THE MORNING 088-677-7177 火曜定休日 . #themorning #ザモーニング#cafe #カフェ #lunch #ランチ #徳島#tokushima #徳島カフェ #徳島cafe #佐古#coffee #コーヒー #珈琲 #雑貨 #道具 #日用品#生活雑貨 #グロサリー #グロッサリー#grocery (The Morning)
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cafe-the-morning · 7 years
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#お皿をさげにいったらキャ シリーズ年末年始まとめ ありがとうございます(^.^) . 本日営業〜〜11時オープン 今日も一日よろしくお願います☆ . 【駐車場のご案内】 ◯向かい・道路を挟んだ前4台 (メガネのアズマさんの隣り) ※大きな車はこちらに/反対車線 ◯東隣り3台 (お店とボンジュールさんの間) ※少し狭く停めにくいのと 時間帯により満車の場合もあり 向かいの駐車場を オススメしております。 . 【お店の場所】 国道192号線沿い お城の病院(義成病院さん)と カフェレストラン ボンジュールさん側の間です。 . お席のご予約 お子様連れの方 ベビーカー もちろんOK!! . 【只今スタッフ募集中!】 土・日・平日 11時〜16時 お昼2~3h 週1回・月1〜2回OK . CAFE / GROCERY . THE MORNING 088-677-7177 火曜定休日 . #themorning #ザモーニング#cafe #カフェ #lunch #ランチ #徳島#tokushima #徳島カフェ #徳島cafe #佐古#coffee #コーヒー #珈琲 #雑貨 #道具 #日用品#生活雑貨 #グロサリー #グロッサリー#grocery (The Morning)
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