#ベルセルク 2016
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the-bejeesus · 7 years ago
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infantinplastic · 3 years ago
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curiousrentals · 3 years ago
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Berserk (ベルセルク) 2016-17
Farewell, Kentaro Miura
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demifiendrsa · 8 years ago
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Berserk 2016 TV anime blu-ray box set volumes 3 & 4 cover by Kentaro Miura.
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Screen-Capture(s) of the Week:
Berserk #20. 「クリフォトの汚濁」 (”The Corruption of Qliphoth”)
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berserksweg · 4 years ago
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yeah, dunno what’s this about. Fingers crossed it just means he’s handing the art reins over to assistants and will just be doing story and pencils so there can be more regular releases. Would be down if it were a new anime too (I guess I haven’t been hurt enough lol. The 2016 anime is what forced me to read the manga after all)
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gonagaiworld · 2 years ago
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Berserk: The Golden Age Arc – Memorial Edition pubblica i video delle sigle di Susumu Hirasawa L'OP della serie "Aria" e il video musicale "BERSERK-Forces 2016" sono disponibili su YouTube. Info:--> https://www.gonagaiworld.com/lanime-televisivo-berserk-the-golden-age-arc-memorial-edition-pubblica-il-video-della-sigla-di-apertura/?feed_id=310669&_unique_id=6354420cd2496 #Berserk #Berserk–Lepocadoro #BerserkTheGoldenAgeArc–MemorialEdition #Studio4°C #SusumuHirasawa #ベルセルク
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recentanimenews · 4 years ago
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Berserk Manga to Celebrate Its 30th Anniversary at Special Art Exhibition in Winter 2021
    Japanese publisher Hakusensha announced today that a special event "Dai Berserk-ten" (Big Berserk Exhibition) to celebrate the 30th anniversary of Kentaro Miura's internationally popular dark fantasy manga Berserk is scheduled to be held at Ikebukuro Sunshine City's Exhibition Hall A in Tokyo from January 30 to February 15, 2021.
  The memorial art exhibition will include:
  "Berserk Chronicles" - The events and the main characters' trends in the story are introduced with the original manga drawings and chronological panels.
"Cover Art Collection" - All of the cover arts of the 40 volumes are displayed.
"Famous dialogues and scenes" & "Character Directory" - The iconic dialogues and scenes are introduced with their original manga drawings.
Displays of three-dimensional objects and dioramas of the famous landmarks, real-size character statues, and many more.
        Also, a crowdfunding campaign for a giant Zodd statue to display at the venue is launched for a goal of 10 million yen (about 94,475 US dollars) today. It is going to be almost the same size as he is portrayed in the story (He is 350cm-tall when he is in his apostle form according to "Berserk Official Guidebook" published by Hakusensha in September 2016). Those who support the campaign will receive original limited goods as a return gift. The crowdfunding is scheduled to be closed at 23:59 on October 31 (JST).
    【巨大ゾッド像を降臨させよう!】 使徒形態の「不死者」ゾッドを等身大に近い大迫力のスケールで立体化し、イベントの一部として展示するプロジェクトが始動!! 本日12:00よりクラウドファンディングがスタートいたします!????????https://t.co/nchfgY228r#大ベルセルク展 #ベルセルク #三浦建太郎
— ベルセルク公式ツイッター@最新40巻発売中 (@berserk_project) October 8, 2020
        Manga tankobon 1st and 40th volume covers:
    Source: Hakusensha press release  
  ©Kentaro Miura (Studio Gaga)/Hakusensha
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memo2karamix · 5 years ago
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『ドラゴンボール』をはじめとする数多くの名作コミックを生み出し、今もなお『僕のヒーローアカデミア』『鬼滅の刃』といった新たなヒット作を送り出している『週刊少年ジャンプ』。 (画像はDRAGON BALL 1 (ジャンプコミックス) | 鳥山 明 、僕のヒーローアカデミア 1 (ジャンプコミックス) | 堀越 耕平、鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックス) | 吾峠 呼世晴 | Amazonより)  そんな『ジャンプ』の強さの秘密はどこにあるのか。そして紙の雑誌の売れ行きが急速に落ち込んでいる現在、『ジャンプ』を中心とした少年漫画はこの先、どんな方向を目指していくべきなのか。  それは漫画業界だけでなく、『ジャンプ』の連載漫画を原作とした作品が大きなウェイトを占めているゲームやアニメなどの世界においても、大きな関心事だと言えるだろう。  2019年8月27日にDiscordで配信されたラジオ「居酒屋:でんふぁみにこげーまー」では、ホスト役にTAITAI編集長と鳥嶋和彦氏、鵜之澤伸氏、そしてゲストにサイバーコネクトツーの松山洋氏と、集英社の矢作康介氏を迎えて、「漫画はこの先どうしていくべきか?」というテーマについて、大いに語り合ってもらった。  放送に参加したメンバーのうち、白泉社代表取締役会長の鳥嶋氏は、かつて『週刊少年ジャンプ』編集者として鳥山明氏や桂正和氏を発掘し、後に『ジャンプ』第6代編集長を務めた人物だ。  そして矢作氏は、同じく『週刊少年ジャンプ』編集者として『NARUTO-ナルト-』を連載当初から約9年にわたって担当し、『ジャンプ』の副編集長を経て、現在は『月刊ジャンプスクエア』の編集長を務めている。つまり、『ドラゴンボール』と『NARUTO-ナルト-』を世界的な成功に導いた『ジャンプ』の元編集者が、漫画について語るというわけだ。  一方、鵜之澤氏は元バンダイナムコゲームス社長として、『ジャンプ』をはじめとする数々の漫画原作ゲームを世に送り出してきた。  そしてサイバーコネクトツー代表取締役社長の松山氏は、鵜之澤氏と協力して『NARUTO-ナルト-』や『ジョジョの奇妙な冒険』のゲームを制作してきただけでなく、ゲーム業界の中でもとりわけ漫画に対する愛情が強いことでも、広く知られている。 左奥から鳥嶋和彦氏、鵜之澤伸氏、TAITAI、左手前から松山洋氏、矢作康介氏  このようなメンバーが“居酒屋”のノリで自由なトークを繰り広げているだけに、登場する話題も非常に興味深いものだ。なかでも鳥嶋氏や矢作氏は、読者アンケートや連載会議といった『ジャンプ』編集部の“核心”部分を、元当事者の視点で明らかにしてくれている。  『ドラゴンボール』や『NARUTO-ナルト-』を、漫画家と共にいかにして作り上げていったかというエピソードは、ファンならずとも注目だ。  なお、この記事の内容は、「居酒屋:でんふぁみにこげーまー」で放送された発言に、放送後に行われた現場見学者との質疑応答を加えて、再構成したものとなっている。 聞き手/TAITAI 文/伊藤誠之介 編集/クリモトコウダイ 「僕は松山君のことを半分も理解していなかったようです」と、鳥嶋氏からのメールが ──それでは始めたいと思います。会場はすでに宴会ムードになっておりまして。唐突ですが、乾杯のコールから入り��いと思います。乾杯! 一同:  カンパ~イ! ──もともと鳥嶋さん、松山さん、鵜之澤さん、集英社の矢作さんという4人での飲み会があったと聞きまして。ご存知の方も多いかもしれませんが、松山さんはすごいしゃべる方なんですね。ところがその会では、松山さんはなかなかしゃべれなかったらしいんですよ。  それで、あの松山さんがしゃべられなかったなんて、いったいどんな会話が繰り広げられたんだろうと、興味を持ったんです。なぜか?と聞いてみると、集英社の矢作さんが鳥嶋さんに対して、漫画について熱く語っていたらしくて、松山さんが介入する隙がなかったという話を聞いて。  その会を再現してみたら面白そうだなというのが、今回の趣旨になります。 松山氏:  覚えてないでしょ? 矢作氏:  覚えてない(笑)。 松山氏:  じゃあ、覚えていないのは幸いだね。 矢作氏:  もう一回話せるから。 ──そもそもは、矢作さんと鳥嶋さんのあいだでどんな話をしていたんですか? 鳥嶋氏:  それがよく覚えていないんだよね(笑)。5時間半も盛り上がっていたのに、中身は誰もよく覚えていないという(笑)。 鳥嶋和彦氏  そもそものきっかけはね、松山さんが泥酔した写真がツイートに載っけられていて。それをたまたま見て「松山さん、どうしてるかな?」と思って連絡したんです。 松山氏:  そうですね。 鳥嶋氏:  松山さんは『ジョジョの奇妙な冒険』のゲーム【※1】だとか、その前に『NARUTO-ナルト-』のゲーム【※2】を、非常にちゃんと作ってくれていて。  鵜之澤さんからも、九州のレベルファイブ、ガンバリオン、それからサイバーコネクトツーが、非常にがんばっていると。バンダイナムコが頼りにしているゲーム会社だという話を聞いていて、その存在自体は知っていたんです。だけど松山さんとは、挨拶するぐらいだったので。 ※ 1 『ジョジョの奇妙な冒険』のゲーム……サイバーコネクトツーは、2013年発売のPS3用ソフト『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』と、2015年発売のPS3&PS4用ソフト『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』の開発を担当している。 (画像はゲームソフト | ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン | プレイステーション より) ※2 『NARUTO-ナルト-』のゲーム……サイバーコネクトツーは、2003年発売のPS2用ソフト『NARUTO-ナルト- ナルティメットヒーロー』から、2016年発売のPS4用ソフト『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』まで、『NARUTO-ナルト- ナルティメット』シリーズ14作品の開発を、13年以上にわたって続けてきた。 (画像はゲームソフト | NARUTO―ナルト― 疾風伝 ナルティメットストーム4 | プレイステーションより  それで松山さんにメールを差し上げたら、本が2冊送られてきまして。1冊は『熱狂する現場の作り方 サイバーコネクトツー流ゲームクリエイター超十則』(星海社)という、どうやって今に至るか、なぜサイバーコネクトツーなのかという話。  それともう1冊、1人の少年を絡めての話があってね。『エンターテインメントという薬 -光を失う少年にゲームクリエイターが届けたもの-』(KADOKAWA)という本。その2冊を読んだら、松山さんは面白い人だなと。 (画像は熱狂する現場の作り方 サイバーコネクトツー流ゲームクリエイター超十則 (星海社新書) 、��ンターテインメントという薬 -光を失う少年にゲームクリエイターが届けたもの- | Amazonより)  それで1冊目の中に、鵜之澤さんや矢作の話が出てきて、僕が知らなかったような話も書かれていて。だから4人で一回会って、話をしてみたいねということで、その4人で寿司屋で会ったのが始まりなんです。 松山氏:  そうですね、もう何カ月も前の話ですけども。 鳥嶋氏:  どうでした? メールが届いて。 松山氏:  いやもう、メールの一行目から怖かったんですけど(笑)。普通ほら、「サイバーコネクトツー 松山様」とか、あるじゃないですか。そういうのが何もないですから。いきなり1行目に、「僕は松山君のことを半分も理解していなかったようです」と書いてあって。もうスクロールさせるのが怖くて(笑)。メールの下のほうに何を書いてあるのかなと。 松山洋氏  そうしたら、私の書いた本を読んでくださって、面白かったと。つきましては、本に登場している2人を呼ぶから、一回4人でご飯を食べようと言っていただいて。それでお店に入ったら……まぁ、5時間半でしたよ。 鳥嶋氏:  そんなにしゃべってた?(笑) 鵜之澤氏:  あの時はシラフだよね? 松山氏:  ビールを飲んでノンアル飲んでというのを交互で。ていうか、あの日からですから。オレはあの日以降、アルコールを飲んだら同じ量のノンアルコールを飲むというルールを作って。  なにしろあの場で鵜之澤さんがオレに対して、めちゃめちゃブチギレたので。鳥嶋さんの会なのに、その横でなぜか鵜之澤さんが、めっちゃ怒ってましたからね。 鵜之澤氏:  あの時ね、矢作さんがちょっと遅れて来たんだけど、その時もお前が酔っ払った話しかしてなかったの。 鵜之澤伸氏  そんなふうにお前が酔っ払ってるのを、みんなに知られているのはマズいなと。一応、社長じゃないですか。  今、ゲームってお金がかかるじゃないですか。バンダイナムコはそれだけのお金をこの男に任せて、ましてやこの男の思いだけでゲームができあがっているようなものなのに、その社長がどっかで酔っ払って、まるで死んだみたいな格好になってると。  これは経営問題だ、取引停止にするぞと怒ったら、多少は抑えるようになったのよ。良い話ですよ(笑)。 松山氏:  久々に、大人から頭ごなしに怒られた感じがして(笑)。 鵜之澤氏:  本当は、私が鳥嶋さんに怒られるぐらいのつもりで行ってたのに(笑)。 松山氏:  まさか真横のバンダイナムコから怒られるという(笑)。 鳥嶋氏:  いやでもね、その後で『若ゲのいたり』という漫画があって。あの中に松山さんと鵜之澤さんのエピソードがあった時に、「これはいかにも鵜之澤さんらしいエピソードだな」と。あのやり取りの状況が目の前にあったんだなと、後から思ったね(笑)。 矢作氏:  僕はそのやり取りが終わってから入っていったんですよ、その日は。 松山氏:  さんざん怒られた後でしたね。 矢作氏:  遅れて入ったので、今、そういう話だったんだと分かりました。いなくて良かったと思いました(笑)。 矢作康介氏 鳥嶋氏:  遅れて入ってきて、このテンションで矢作は大丈夫かな? と思って。それで一言振ったんだよね。「今どう? 編集部の状況は」って。  そうしたら、ものすごく真剣に、いろんな話を始めて。それで違う形で盛り上がったんだよね。 ──その話は、どういうものだったんですか��� 矢作氏:  それがぜんぜん覚えてないですよ(笑)。その時に憤っていたことを、鳥嶋さんだからしゃべったんだと思うんですけど。ちょっと覚えてないですね。 鳥嶋氏:  じゃあ今日現在、憤っていることを(笑)。 矢作氏:  話が進められなくなりますよ。「ピー」って流さないと(笑)。 鳥嶋氏:  じゃあ、ここしばらく憤っていることを話してみて。 矢作氏:  そんなにはないですけどね。なんて言ったらいいんだろう、難しいじゃないですか。話の流れの中で言いたいですよね。 鳥嶋氏:  でも会社、ロクでもないでしょ? 矢作氏:  いや、そんなことないですよ(笑)。 松山氏:  「そうですね」って、絶対に言えないじゃないですか(笑)。 鳥嶋氏:  矢作さんの会社って、どんな会社なのか知らないんだけど。ひょっとして、小学館の方でしたっけ?(笑) 一同:  (爆笑) 同じ漫画を10年も20年も連載して、それで完結しないお話って何なの!? 松山氏:  ちょっと1つお伺いしたいですけど。『ベルセルク』【※】、ついにキャスカが目覚めましたね。 ※『ベルセルク』……三浦建太郎氏により1989年から執筆されているダーク・ファンタジーコミック。主人公ガッツの親友グリフィスが魔に落ちた「蝕」の際に、女剣士キャスカは凌辱されて正気を失っていたが、2018年に刊行された第40巻で、ついに意識を取り戻した。 (画像はベルセルク 40 (ヤングアニマルコミックス) | Amazonより) 鳥嶋氏:  あんまり関心がない。 松山氏:  ええッ!?  22年ぶりですよ、キャスカ。 鳥嶋氏:  三浦さん本人にも言ったけど、「蝕」以降の『ベルセルク』って、話の展開があんまり好きじゃないんだ。正直言って、読者として興味がないから、読んでない。ごめん(笑)。 松山氏:  白泉社の方ですよね? 鳥嶋氏:  オレはもう会長で、現場に直接の責任はないから(笑)。  でもね……旬の時に描き切っていなくて、話の流れの中で今ここに来て描くというのは、ファンにとっては良いかもしれないけど、ほとんどの人にとっては「だから?」って感じがあると思う。  身も蓋もない言い方だけど、同じ漫画を10年も20年もやっちゃダメ。  なぜかというと、週刊誌って年間50冊でしょ。50話だよね。ということは、10年間やったら500話だ。それで完結しない話って何なの?  基本的に1カ月に4週じゃない、週刊誌は。だったら4週で1エピソード、サイクルで終えて行かなきゃいけない。  せめて2カ月だよね。それが何カ月も続くと、新しい読者が入ってこれなくなる。漫画の良さって、誰でも読める、誰でも入ってこられる、いちばん安価な娯楽だから。それが途中から入っていけない形になってるのは、ビジネスとしてマズい作り方だと思う。  これを言うと、元いた会社批判になっちゃうけど。僕が会社に入った時の野球漫画が読めなかったんですよ。  なぜかというと、ボール一球を投げるのに何カ月もかかってる。冗談じゃないと。  アンケートがあるから、山場をずっと見せたいという気持ちは分かるけど、そこのところを誤解すると、ある種のオナニーになっちゃう。やっぱり、もうちょっと見たいっていう時に切っていくとかね、どういうふうに読者を意識しながら綱引きをするかを、やらなきゃいけない。  そういう意味で言うと、今は編集者が作家に寄りすぎていて、作家と読者の中間にちゃんと位置していない感じです。ということで、矢作さんにお返ししましょう(笑)。 矢作氏:  まあでもやっぱり、引き込まれていっちゃうというのはありますね。あと、これだけの数のお客さんを掴んだら、そのお客さんを楽しませるように作るというのも、1つの考え方になっているかもしれないと思って。  本当に、新しい読者を入れる努力というのは難しくて。  たとえば、雑誌には「このタイミングで売るぞ」というのがあるんです。スゴい作家が新連載を始めるとか。  その時に僕らとしては、ここから読んでくれる読者、新しく入ってくれる読者がいるわけだから、その新しい読者に向けて、今やってる連載を読んでもらえるようにしなさい、という話をするわけですよ。  でも、これまでの展開とか自分のやりたいことに引きずられていって、そこにきちんとついてこれる作家さんは少なくて。そんななかで、本当に新しい読者を取り込んでいきたいという貪欲な人は、そこにしがみついてくる。  どんどんと貪欲に行く作家さんもいるし、「もうオレはいいよ」という人もいるんで、そこは一概に言えないところもあると思うんですけど。 『ジャンプ』で連載している漫画家なら、全員がアンケート1位を目指している 鳥嶋氏:  松山さんに2つ、漫画ファンということで聞いてみたいことがあるんです。  まず1つ目。ナンバーワンの漫画が10年変わらないということは、雑誌のカラーが10年間変わらないわけですよ。そんな雑誌をあなたは見たいと思いますか?  2つ目。何週かに1回お休みして、良い原稿を描く。  単行本も売れます。だけど載っている号と載っていない号がある。載っていない号は、その漫画のファンからすると欠陥商品だよね。それでもあなたはその雑誌を買いますか? この2つを答えてください。 松山氏:  マジメに答えちゃうと、どっちも「NO」ですね。  10年間同じ作品が1位を取ってるのは、やっぱりおかしいですよ。新しい作品が次から次に、予想もしなかった新しいエンタメが生まれてくるのが、そもそも『少年ジャンプ』だったわけじゃないですか。言い方が悪いですけど、蟲毒みたいな場所で。……これはたとえが悪いな(笑)。  だけどやっぱり他誌と比べて、化け物みたいな発明作品が生まれるのが、『ジャンプ』だと思います。しかも、そういうメガヒットを生み出す人はみんな、ベテランじゃなくて若手じゃないですか。  それこそが『ジャンプ』だと、私はずっと思っているので。 矢作氏:  『ジャンプ』でも、みんなトップを目指しているとは思うんですよ。ただ結果的に、1位の作品が他から抜かれなかっただけで。  それにいちばん辛いのは、トップに立った人ですよ。だって抜かれたくないじゃないですか。  そうすると、ずっとトップを取り続けないといけないんですよ。僕だって、自分が担当した作品でトップを一回取ったら、次の週からゲロ吐きそうになりますよ。だって落ちちゃうしかないんだもん(笑)。  ところがそれをね、クリアし続ける漫画もたしかにあるんですよ、『ドラゴンボール』とか。アンケートで800票とか取っちゃうと、「あぁ勝てないな」みたいな。  もちろん、そういう「勝てない」という気持ちは、持っちゃいけないと思うんですけど。  ��だ、僕らの頃はやっぱり、絶対に1位になるというのを目指していましたから。アンケートで1位になったら、編集者が漫画家の言うことをなんでも聞いてくれる、ってことにしたりして。  たとえば自由に描かせてもらうとか。  僕が高橋陽一先生から聞いたのは、「原稿のフキダシにセリフを書かなくていい」と。「自分の代わりに担当編集が全部、ネームから書き写してくれるんだ」って。  『キャプテン翼』が過去に1位を取った時にそういうシステムを考案して、そのおかげで僕が担当になったら、ずっと書き写すハメになったんですけど(笑)。 鳥嶋氏:  それはダメでしょ(笑)。 矢作氏:  でもそれは、高橋先生が自分でそう言って、達成して得た権利ですから。僕はそれに対して文句を言いたいわけじゃなくて。  要するに、読者アンケートで1位を取るというのは、『ジャンプ』においては全作家の目標なんですよ。『ジャンプ』の漫画って、20本しかないじゃないですか。  20本の中の1位って、イメージしやすいんですよ。アレとアレが1位、2位、3位となったら、それを超えればいいんだと。  だから結果的に、1位の漫画はずっと変わらないように見えるかもしれないですけど、じつは週ごとには、けっこう入れ替わったりしているところもあるんですよ。 松山氏:  たとえば今って、載れば1位の『ONE PIECE』があって、絶対に不動の1位じゃないですか。 (画像はONE PIECE 1 (ジャンプコミックス) | 尾田 栄一郎 |Amazonより) 矢作氏:  でも『ONE PIECE』だって、抜かれる時はあるし。 松山氏:  あるんですか!? 矢作氏:  ありますよ、それは。僕も抜いた時はありますし。 松山氏:  それは『NARUTO-ナルト-』でしょ。 (画像はNARUTO-ナルト- 1 (ジャンプコミックス) | 岸本 斉史 |Amazonより) 矢作氏:  『NARUTO-ナルト-』でもありますし、他の漫画が抜いてるのを見たこともありますよ。  ただ年間1位は当然、ダントツで『ONE PIECE』です。10年続くのはおかしいと言われても、それはやっぱり尾田栄一郎先生の努力がナンバーワンだからだと思うんですよね。  なんか変な力が加わって1位になってるわけではないですから。読者は本当に面白いものを1位にするので。 松山氏:  それは間違いなくそうですよね。 矢作氏:  尾田先生の何がスゴいかというと、今でも進化しているところがあって。  「なんでもいいから欠点を言え」って、編集者に言うんですって。そこに尾田先生の凄みがあるというか。なんか、若い編集者が愚にもつかないことを言っても、尾田先生にはそれを取り入れる感じがあるんですよね。 松山氏:  毎週のネームで、強いてあげればどこが気になるかというのを、必ず担当の方に言わせるらしいんですよ。 鳥嶋氏:  そんなの当たり前じゃん。 松山氏:  もちろんそうですけどぉ(笑)。 矢作氏:  新入社員が担当になったら、そんなの普通は何も言えないですよ。そもそも数年前まで、卒業文集に「『ONE PIECE』大好き」って書いたりしていた人間なんですから。 松山氏:  子どもの時に読んでいた『ONE PIECE』の作家さんですからね。 新人漫画家のデビュー作を表紙にする雑誌なんて、世界の中で『ジャンプ』だけ 鳥嶋氏:  ずっと1位の話はちょっと置いといてね、僕は鵜之澤さんに話を振って聞いてみたいんだけど。  矢作も僕も、『少年ジャンプ』の編集部にどっぷり浸かってきたわけですけど。そうすると外から見てね、『ジャンプ』編集部のこういう、良くも悪くも煮詰まっている感じ、それはどういうふうに見えてました?  鵜之澤さんは『ジャンプ』以外の漫画雑誌やその編集部も知っていると思うんですけど。 鵜之澤氏:  いろんな漫画が原作のゲームをやらせてもらうけど、やっぱり『ジャンプ』って別だよね。一個だけまったく別の体系っていうんですかね。  NHKのドキュメントでもやってましたけど、編集部自体が下克上じゃないですか。電話を誰よりも早く取って有望な新人を捕まえよう、みたいな。 松山氏:  編集部全員がライバルですからね。 鵜之澤氏:  僕のいたバンダイも、けっこうエグい会社でしたけどね。わりと肉食系の、狩猟民族と言われていたんだけど。でもそれ以上に、『ジャンプ』はスゴイなと思うし。  その結果として、バンダイナムコが商売をさせてもらうと、売れるのが『ジャンプ』モノばっかりになるでしょ。面白い原作は集英社以外でもいっぱいあるんだけど、売り上げはそこまでいかないんだよね。  これが不思議なところで。 松山氏:  バンダイナムコのそこそこの成分が、『ドラゴンボール』と『ONE PIECE』と『NARUTO-ナルト-』でできてますから(笑)。 鵜之澤氏:  あと『ガンダム』ね(笑)。戦隊、ライダーという子ども向けのものもあるけど、小学校高学年以上だと『ジャンプ』になっちゃうんだよね。  僕はたまたま『機動警察パトレイバー』【※】とかをやってたんで、『週刊少年サンデー』編集部なんかも当時、いろいろ行ったりしていたんだけど、向こうは平和ですよ(笑)。空気がぜんぜん違う。 ※『機動警察パトレイバー』……作業用ロボット「レイバー」が普及した東京を舞台とする、アニメ・コミックなど多岐に渡るメディアミックスプロジェクト。ゆうきまさみ氏による漫画版は、1988年から1994年まで『週刊少年サンデー』で連載された。 (画像は愛蔵版機動警察パトレイバー (1) (少年サンデーコミックススペシャル) | ゆうき まさみ | Amazonより)  どっちが好きかというとまた別だから。単純に漫画雑誌で言うと、僕は『サンデー』がけっこう好きで。  でも『ジャンプ』ってまったく別物だもんね。今の10年続いたりする話とかも、僕は特殊だと思うし。  誰にでも分かりやすくないと、1位にはなれないじゃないですか。いくら作家性があったからといって、たとえば大友克洋が描いたからって、必ず1位になるわけではないですから。 矢作氏:  それとは別のベクトルになっちゃうんですよね、売れるとか、話題になるとかいったことは。  『ジャンプ』は若者どうしが組んで、そういうものを生み出すんです、『バクマン。』じゃないですけど。ベテランが活躍するところでは一切なくて。 (画像はバクマン。 1 (ジャンプコミックス) | 小畑 健, 大場 つぐみ | Amazonより)  たとえば、鳥嶋さんや僕が新しい漫画を立ち上げて、スゴい漫画を作ろうという発想は、『ジャンプ』ではゼロなんです。新入社員が入ってきて、その新入社員と同じぐらいの年齢の漫画家と出会って。  『ジャンプ』って、みんなが最初に読んでいた漫画雑誌だから、みんなが持ち込みに来てくれるんですよ。  そうするとそこにいる編集者が、どんなに若い漫画家だろうとちゃんと相手をして、付き合ってくれるんです。  だから漫画家としては、この人の言うことをちゃんと聞こうと思うし、その漫画家の姿を見て、編集者のほうも成長していく。この人に尽くさないといけないと、お互いに思うようになって伸びていく。  そうやって1位になるじゃないですか。1位になってなくてもある程度の順位になると、今度はそこから落ちたくない。それも漫画家だけじゃなくて、編集者にとっても自分ごとなんです。  だ��どベテランの編集者がついちゃうと、そうでもないというか。わりと客観的に「それはそうだよな」「この位置だよな」と見えちゃうというのが、僕らはあるんですよね。  だから『ジャンプ』編集部って、歳を取ったらみんな外に出ていくし。 鵜之澤氏:  それはあえて出すの? それとも自然と出ていっちゃうの? 鳥嶋氏:  どっちを? 鵜之澤氏:  両方ですよ。編集者も漫画家も。 矢作氏:  編集者も漫画家も、両方ですね。  『ジャンプ』としては、新連載は新しい漫画家でやりたいと。まったく世の中に出ていない作家、この漫画で初めて世に出る作家を、新連載号の表紙にするんですよ。そんな雑誌なんて『ジャンプ』しかないですよ、たぶん世界中で。  だからそのぐらい、他の雑誌とはやり方が違うんです。方法論が違うし、考え方も違うし。  そういう雑誌だと思います。だから唯一売れているんだろうし、新しいものも出てくるし。 鵜之澤氏:  逆に言うと、他の雑誌は何でやらないの? 矢作氏:  できないですよ。怖いし。 鵜之澤氏:  アンケートハガキを入れて、それを冷酷なまでにやるっていう。今のソシャゲみたいに。 松山氏:  アンケートやKPIだけの話じゃ、たぶんないんですよね。他の雑誌にもアンケートは付いてますし、もちろん集計もしてますから。 鳥嶋氏:  だからもう1回、『ジャンプ』が大好きな松山君に質問します。  「面白いもの3つに○をつけてください」っていうハガキがあるじゃないですか。今、鵜之澤さんから出た『ジャンプ』のアンケートシステムね。批判の的でもあるけれど。  松山さんはたとえばハガキを送るとして、20本全部読んで、点数をつけて、上位3つに○をつける? 面白いもの3つって、どういう心持ちで○をつけると思います? 松山氏:  私は子どもの時も含めて、アンケートに○をつけて送っていた側なので。その時の感覚で言うと、私はこの週の『ジャンプ』でいちばん面白かったもの3つを、ちゃんと選んでいましたね。 鳥嶋氏:  ほう。 松山氏:  もともとこの作品は好きなんだけども、今週はちょっとそうじゃなかったというのは、入れていなかったです。 矢作氏:  ちゃんと批判もするんだ。 鳥嶋氏:  これは、ちょっと少ない気がするな(笑)。 矢作氏:  珍しいタイプですよね。 松山氏:  ほとんどの人が、みんなまず盲目的に『ONE PIECE』は絶対につけちゃうと思うんですよ。 鳥嶋氏:  だいたいは、もともと好きなもの3つなんですね。あとはその時に目に留まったもので。  これを言うと極論だけど、面白いか面白くないかは、あまり関係がないの。だって1本の漫画の19ページは「悩んでも19ページ」だから。  要するに、一生懸命考えた19ページでも、印象に残っているコマがいくつかあっての19ページでも、○がついたものが勝ちなんですよ。  ということは、一週間の使い方を間違えて、7日間のところを9日間使って漫画を描きました、今週は面白いですよと言っても、次の週で使えるのは5日になっちゃうんですよ。そうなるぐらいなら「今週はもうこれでいいや」って割り切るべき。  だから鳥山君が『Dr.スランプ』から『ドラゴンボール』に変わった時に、「鳥嶋さん、ストーリー漫画はラクでいいですね、ページが来たら終わりますから」と言ったんですよ(笑)。 (画像はDr.スランプ 1 (ジャンプコミックス) | 鳥山 明 | Amazonより) 松山氏:  ギャグ漫画は1話完結で、オチをつけないといけないから。 矢作氏:  それはある種の境地ですよね。 『ドラゴンボール』を魔人ブウ編の前に終了できなかった��は、今もって悔いている 松山氏:  だけど私の感覚だと��『ドラゴンボール』の連載は延べ11年、少年編から最後の魔人ブウの戦いまでで、10年ちょっとなんですけども。  『ドラゴンボール』がそれだけ長く続いたことが、その後の『ジャンプ』の漫画が長くなったきっかけになっている気がするんですよ。  それ以降だと、『ONE PIECE』も『NARUTO-ナルト-』も10年以上やってるし、『銀魂』も『BLEACH』もやってるじゃないですか。そういう長寿連載って、今は『ONE PIECE』以外はだいたい終わりましたけど。 (画像は銀魂-ぎんたま- 1 | 空知 英秋 、BLEACH 1 (ジャンプコミックス) | 久保 帯人 | Amazonより) 鳥嶋氏:  それはね、オレはもう卒業生だから言っちゃうけど、『ドラゴンボール』は止めたかったのに止めさせてもらえなかったんだよ。はっきり言うと、僕の前の編集長とその前の編集長の判断だよね。  あの時、僕が『Vジャンプ』にいて、鳥山君を助けてあげられなかったのは、今もって悔いている。魔人ブウ編はやるべきじゃなかったよね。  どういうことかと言うと、前の編集長と前の前の編集長は、雑誌の部数しか見ていない。誰が描いていて、誰が支持しているかを見ていない。  お金を払ってるのは読者。描いているのは作家。会社のためじゃないんだよね、オレたちがやってるのは。読者のためなんだ。それを忘れちゃうと、ああいうことになる。  それで『ジャンプ』の部数は、『ドラゴンボール』が終わってどんどん落ちた。結果、僕はそのために『Vジャンプ』から『少年ジャンプ』に戻された。 矢作氏:  怒ってましたね、当時(笑)。「ふざけんな」って。その下につく人たちの気持ち、分かります?(笑) 鳥嶋氏:  ハハハ(笑)。さっき矢作が言った、新人の新連載で表紙にするっていうのは、じつは僕が戻ってからなの。 矢作氏:  そうでしたっけ。そうなんだ。 鳥嶋氏:  それはどうしてかというと、やっぱり戻った時に「『ジャンプ』って何だろう?」って、もう一回問い直さざるを得ないわけ。ガタガタになっているわけだから。  部数は一見すると、まだ600万部弱ぐらいあるんだけど、この先もう落ちていくのは見えてるし。編集部はみんな暗い顔をしてるし、会社の中はガタガタしてるし。 松山氏:  それでも600万部ですけどね。 鳥嶋氏:  そうやって問い直すと、さっき矢作が言ったように、『ジャンプ』には新人の新連載しかないわけ。なぜ新人の新連載をやるかというと、読者にいちばん近い感覚でモノを作っているから。空気感をつかんでいるから。  ただ新人だから、絵がヘタじゃん。構成力もないじゃん。だからそれをちゃんとした形にするには、編集と打ち合わせをしなきゃいけない。それで形にするわけ。  もう1つ、新人の新連載は何が良いかと言うと、さっき矢作が言った通り、作家と編集者が一緒に育っていくから、何かを掴んだ時の覚醒力、爆発力が違う。ホントに一気に伸びるから。  まるで3歳馬がダービーに出たら一気にクラシックで勝てるようになった、あんな感じだよね。 矢作氏:  編集も2回までは使えると思っていて。1本、新人と一緒に当てるじゃないですか。そうすると、次の作品までは使えるんですよ。  その次のもう1本は、編集者が道理を知りすぎちゃって、自分の方向性に持って行こうとし過ぎちゃって、作家の良さが活かしきれない。だから編集もどんどん追い出したほうがいい。 鳥嶋氏:  それはその通りで、作家にしても連載を続けて3回失敗したら、もう無理。その作家に関しては可能性がない。『ジャンプ』においてはね。  僕が編集部に戻った時は、そういう作家が多かったの���「新連載」って言ってるけど、失敗した作家がまた違うものをやってるわけ。でも読者は見てるから。「これじゃあパチンコ屋の新装開店と一緒じゃないか」って(笑)。 矢作氏:  いやでも新人の新連載は、やっぱりこの表紙じゃ売れないなと思ってましたよ(笑)。表紙を見て「これで売れるのかなぁ」と思ったら、やっぱり部数が落ちるんですよね、結局は。 松山氏:  今でも思いますよ。 矢作氏:  「この雑誌、欲しくねぇな」って思うじゃないですか。でもそういう作家が、将来的に売れてくる。 鳥嶋氏:  『ジャンプ』の新人の新連載は、4色(カラーページ)の使い方を見てください。センスないですよ。あれだけカラーページがあるのに、何を描いているんだと思う。 矢作氏:  4色はみんなヘタですよ、最初は。 鳥嶋氏:  そんなにヘタな新人になぜ表紙を描かせるか、分かります? 会社の部数会議でも、ロクでもないことを言われるわけ。「絵がヘタだね、当たるのこれ?」って聞かれたら、どう答えるの? 編集長として。 松山氏:  聞いている限りの理解で言うと、新人作家を生み出すことを一番に重きを置いているというのが『ジャンプ』の姿勢であって。  1話の巻頭カラーと表紙に関してはある種、ご祝儀みたいなもんだという感覚ですよね? 鳥嶋氏:  松山さんが今言ったように、『ジャンプ』の覚悟を見せるわけ。そのことをちゃんと重みに感じて描いてほしい。でも3週目のアンケートの結果によってはもう、終了候補になってしまう(笑)。 矢作氏:  そうなんですよ。『ジャンプ』で新連載が始まる時に、表紙をやるというのが当たり前のことになっている。読者も編集者も。  だけど結局、それが売れるか売れないかというのを、どこまで考えるかということが大切で。  それを考えている人って、わりと残っていくなと。「そうか、新しいものを『ジャンプ』で始めようと思っているんだな」という雰囲気を出してくる人は、やっぱり漫画も新しいものを描いてくる。 新しいものを世に出すのは勇気がいるが、新しいものしか起爆力を持たない 鳥嶋氏:  でも昨日ね、『ルパン三世』のアニメは最初の放送ではぜんぜん当たらなくて、再放送でブレイクしたっていう話を、BSの番組で見たの。アニメーションで言えば『ガンダム』もそうだし、『エヴァンゲリオン』もそうだし。  新しいものが最初に出てきた時には、なかなか見ている人に対して刺さらない。そのへんはどうですか? (画像はAmazon.co.jp | ルパン三世 first-TV. BD-1 [Blu-ray]、新世紀エヴァンゲリオン Blu-ray STANDARD EDITIONより) 鵜之澤氏:  狙ったターゲットとは違うところで当たるもののほうが、残りますよね。だって『ガンダム』なんかね、最初は子どもに超合金みたいなものを売るためにやってるわけですよ。要するに幼稚園から小学校低学年向け。  それであの内容はないよね、あり得ないよね(笑)。あれは完全にスタッフがスポンサーを騙したよね。最初のスポンサーはバンダイじゃないんだけど。 矢作氏:  でもアニメってけっこう、そういう歴史ですよね。 松山氏:  『進撃の巨人』もある意味、そうじゃないですか。 (画像は進撃の巨人(1) (少年マガジンKC) | 諫山 創 | Amazonより) 鳥嶋氏:  だからやっぱり、新しいものを世に出すのには勇気がいるけど、新しいものしか起爆力を持たないんですよ。時代を変えてきたのはみんな、そういうものなんです。 松山氏:  その新しいものを作り続けるためにも、冒頭の話に戻るかもしれないですけど、10年はサイクル��長すぎだと思うんです。私は5年でいいと思うんですよ。どれだけ長くても5年。  だって、私が大好きだった『リングにかけろ』も『北斗の拳』も『聖闘士星矢』も、どれも連載期間は5年ぐらいじゃないですか。それぞれが。 (画像はリングにかけろ1 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) | 車田正美、北斗の拳 1巻 | 武論尊, 原哲夫 | Kindleストア、聖闘士星矢 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) | 車田正美 | Amazonより) 矢作氏:  全部好き(笑)。 松山氏:  ですよね(笑)。たった5年の連載がそれぞれ、一財産稼げる伝説の作品になってるわけじゃないですか。『スラムダンク』だってそうだったわけですから。 (画像はSLAM DUNK 1 (ジャンプコミックス) | 井上 雄彦 | Amazonより) 矢作氏:  『スラムダンク』の連載期間は? 松山氏:  5年半ぐらいですね。 鳥嶋氏:  『スラムダンク』は作家がね、あそこでね。 松山氏:  いやいやいやいや(笑)。 矢作氏:  危ない、危ない(笑)。僕なんて、どんだけ読んだか分かんないですよ。 鳥嶋氏:  でも松山さんが言ったように、昔は『ジャンプ』でも連載が1年を超えるたびに表彰式をやって、5年を過ぎるとハワイ旅行に行けるっていうご褒美があったの。 松山氏:  作家先生に対して? 鳥嶋氏:  奥さんとどうぞとか、アシスタントとどうぞとか。それで6年目からは、好きなところに行っていいの。 矢作氏:  しかも、誰も行ってないんですよね(笑)。 松山氏:  あっ、そうなの!? 鳥嶋氏:  それは逆に言うと、連載が5年を超えるのが、いかに難しいかということ。ところが今や、いとも簡単だもん。  なぜある時期から『ジャンプ』の連載が長期化したか。  『ONE PIECE』が出てきた時は、『ジャンプ』の部数がどんどん落ちてる最中なんですよ。雑誌の力がない時の1位なの、イヤな言い方をすると。だから長く続いたっていう見え方もある。 矢作氏:  コメントしづらい(笑)。 一同:  (苦笑) 鳥嶋氏:  だからこれは『ONE PIECE』の責任とか、他の漫画の責任どうこうよりも、『ジャンプ』という雑誌自体の持っている生命力とか、市場性の問題が片方にあるんじゃないかと。 鳥嶋氏が明かす『少年ジャンプ』連載会議の茶封筒システム ──でも『ジャンプ』って、一線級の場にド新人がいきなり乗り込んでくるという、めちゃくちゃ珍しい場じゃないですか。広くエンタメを見渡しても、そんな場って世界中であります?  Steamとかで、新興のデベロッパーのゲームがたまたま売れたとかいうことはあっても、『ジャンプ』って本当に、新人を強制的にスターダムに乗っけるシステムになっていて。  じつは以前、鳥嶋さんに、『ジャンプ』の編集の仕組みの話を伺ったことがあって。 松山氏:  それは連載会議を取材したんですか? ──直接取材したわけではなくて、『ジャンプ』がどういうシステムで動いているのか、鳥嶋さんが知っている時代の話を聞いたんです。その時に感じたのが、属人性がないところで。  有名なアンケートシステムにしたって、連載が始まるかどうかは編集長が気に入ったら採用とかじゃな��て、あくまで「仕組み」なんですよね。とにかくシステマチックに回っていく形で。  一方で、他の漫画雑誌の話を聞くと、やっぱり属人的な裁量の部分に比重があるように感じるんです。 松山氏:  私が知る限り、アンケートはじつは結果だけの話であって。『ジャンプ』でいちばんスゴいのは、新連載を始めるかどうかを決める連載会議なんです。  さっきから出ている話だと、『���ャンプ』って名もなき新人がポッと出てくるみたいに聞こえるから、簡単に載りそうに感じるかもしれないですけど。  『鬼滅の刃』の吾峠先生の話を伺ったんですけども、あの人は1年以上に渡って編集部にネームを持ち込んで、描き直して、描き直して、持ち込み続けて1年以上たって、ようやく連載会議にかかったと。  それで載ったのが『鬼滅の刃』ですから。その間は、複数人で判断をしているわけじゃないですか。3話分の連載ネームを見て。 鳥嶋氏:  担当に力がなかったんじゃない? 矢作氏:  いやいやいや!(笑) 松山氏:  こら!(笑) 矢作氏:  でも『ONE PIECE』だってそうですよ。連載が決まるまでに1年ぐらいかかったんですよ。 松山氏:  1年かかったんですか! 『ONE PIECE』が!? 鵜之澤氏:  そうなんだ! 鳥嶋氏:  かかったね。連載会議で通ったのは、3回目だから。 松山氏:  3回テーブルに上がって、2回落ちてるんですか!? 矢作氏:  僕はその時の連載会議には出てないんですよ、まだ若かったから。だから下で見ていて「こんなに面白い漫画がなんで通らないんだろう?」って、ずっと思ってました。 ──その時の編集長が鳥嶋さんですよね。 鳥嶋氏:  なぜ通らなかったのか簡単に言うと、構成がメチャメチャだったから。 矢作氏:  今、そう言われると分かるんです。でも当時は「こんなに面白いものが通らないってどうなの?」って思ってました。 鳥嶋氏:  持ち込みから連載に至るまで、どういうふうに進むかっていう話を簡単にすると。  まず投稿なり持ち込みで、その作家に編集者がつきますよね。そうすると編集者は編集部に対して、この作家がどういう作品を描いて、どのぐらいの力があるヤツなのかというのを、アピールしないといけない。  そのためには増刊に載っけたり、副編集長が「本誌に読み切り枠があるから出して」って言って、そこからセレクションされて載ったりするわけ。その中でアンケートの票とか、他の連載との票の兼ね合いで、こいつは可能性がある、こいつはない、というのを見ていく。  そうすると、3~4名の編集スタッフの前にデスクがいるんだけど、このデスクが「そろそろ連載でもやってみたら」と声をかけるの。  それで作家と編集スタッフが、3回分の連載ネームを作るわけ。デスクが無能で一向にそういうことを言わなかったら、勝手に作って出したりするんだろうけど(笑)。  それで、デスクが「これは可能性があるな」って思ったら、副編集長のところに上げられる。そこでようやく、連載会議にかかるかどうかが決まるの。 松山氏:  連載会議にかかるかどうかは、副編集長が判断するんですか? 鳥嶋氏:  デスクの判断です。それで連載会議にかけて、3本終わったら3本始めるわけ。4本始めるんだったら、4本終わる。 松山氏:  それはどっちなんですか? 連載が終わるから新連載を始めるのか、新連載を始めるから終わるのか。 鳥嶋氏:  新しく起こす漫画と、やめる漫画の兼ね合いで見ている。バランスを。 松山氏:  3つ始まるから3つやめましょう、ではないんですか? 鳥嶋氏:  違う。何を始めたいかで、終わるものを決める。たとえば年少向けの漫画が3本始まるんだったら、年齢が上に向けたものを残すとか、そういうバランスを見るの。  大事なことは、その過程を全部オープンにするんですよ。  「上書き」って言って、茶封筒に担当がタイトル・作家名・1話何ページ・2話何ページって書いて、担当が自分で推薦する言葉を書いて、その茶封筒に3回分の連載ネームとキャラ表を入れて回すわけ。  するとデスクがそれに対して「これは今回いけると思う、こういう問題点はあるけど」と、茶封筒にコメントを書く。  それでデスクを通って連載会議に出ることになったら、他の班のデスク��副編も、同じようにコメントを書くんですよ。 松山氏:  『バクマン。』に載ってた通りや! 矢作氏:  その通り。 鳥嶋氏:  その茶封筒が、副編の机の上に重ねて置かれるわけ。するとそれを編集部全員が見る。 松山氏:  誰がどういうコメントを書いたか、丸見えなんですね。 鳥嶋氏:  知恵が回る担当だと、「この3話目は弱いな」って、茶封筒の中身のネームをこっそり差し替えたりするの。ギリギリで。 松山氏:  途中で!? それアリなの? 鳥嶋氏:  ありあり。差し替えもあり。 矢作氏:  良くなるんだったらアリですよ。 鳥嶋氏:  他の担当から出てきたものを見て、「これだと負けそうだから露出を多くしよう」とかね。そういうことも含めてやります。 松山氏:  リアルタイムに変えてるんだ! 鳥嶋氏:  それで連載会議にかけて、1本1本落としていくわけ。ディスカッションしていく。だいたい2時間か3時間ぐらいでね。  そこで、自分のデスクがちゃんと自分の作品を推してくれないとか、返ってきたコメントが中途半端だったりすると大変だよ。もうね、火を吹くから。「何なんですか、あなたは!?」って。 鵜之澤氏:  それ、言えるんだ。 鳥嶋氏:  言える。僕なんか、茶封筒にお手紙を貼られたことがありますよ、編集スタッフから。 松山氏:  それはなんて書いてあるんですか? 鳥嶋氏:  「納得がいかない」とか、直訴状が(笑)。イヤだなぁ、これ読みたくないなぁって。みんなニコニコして見てるんだけど。 松山氏:  その作品が落ちたのも、会議の中で明確な理由があって落ちてるわけじゃないですか。 鳥嶋氏:  それをちゃんと伝えてるんだよ。でも納得がいかないと。 松山氏:  それでも納得いかないんですか!? 鳥嶋氏:  だから、ここで大事なのはね、常にオープンに作品論を、その競争原理の中でやっているから、ちゃんとした作品評価軸を持たない人間は、幹部としてやっていけないし、信用がないんですよ。  だから作品をヒットさせてないヤツは副編集長になれない。そこは『ジャンプ』のね、明快なところです。 矢作氏:  「お前に言われたくねぇよ」ってなるから。 松山氏:  あぁ、なるほど。その目利き集団が『ジャンプ』編集部の強みということですね。 鳥嶋氏:  そう。あと、新入社員を優先的に2人とか3人、『ジャンプ』編集部に入れるわけですよ。その代わりに3人を必ず外に出すわけ。それは編集長に指名権がある。  他の編集部は『ジャンプ』で揉まれた人なら誰でも欲しいいのよ。即戦力だから。  『少年ジャンプ』にいるということは、それだけ鍛えられている。梶原一騎さんの虎の穴みたいなところはあるよね(笑)。 松山氏:  だけど、そのまんま『バクマン。』の、あのシステムの通りなんですね。今もそうなんですか? 矢作氏:  今もそうです。だって結局、みんな『ジャンプ』に集まってるんですから、『ジャンプ』を読んで育って漫画家になりましたという子は、みんな『ジャンプ』に持ち込んでくるんです。  いちばん売れている雑誌で、いちばんたくさん母数がいるわけですから。それは集まってくるじゃないですか。 スポーツ漫画の概念を変える『キャプテン翼』が突然出てくるのが、『ジャンプ』の怖さ 矢作氏:  終わらせる、終わらせないで言うと、さっき言ったように始まる本数と同じだけ、絶対に終わらせないといけないので。 松山氏:  連載の本数が決まっている以上は、入らないですからね。 矢作氏:  僕が『ジャンプ』にいた時に、編集者でいちばん大切だと思っていたのは、何を終わらせるかというジャッジなんですよ。始めるのはけっこう簡単なんです。 鳥嶋氏:  そう。 矢作氏:  新連載の候補になる作品はだいたい面白いですし。 鳥嶋氏:  新しいからね。 矢作氏:  でもじゃあ、さっき鳥嶋さんが言ったように、他のどれと引き換えにするのかというのを含めて、考えないといけないから。終わらせる漫画を考えないといけない。  でもこれが漫画アプリで配信する形式だったら、どうなるのか。とりあえず全部続けておいて、さらに新しいものも始めようという、そんなジャッジになってくる。  今こんなにいろんな漫画のアプリが出ていて、でもそこからメガヒットが出ないのは、こういうところに問題があるのかなと、ちょっと思ってます。  それぐらい、終わらせるのがいちばん難しいんです。才能のある作家が「ちょっとこれは違ったかな」というものを描いたら、本当は早く終わらせて、次の作品を描かせてあげたほうがいいですよね。  それは読者も分かるじゃないですか。 鳥嶋氏:  それは『BLEACH』の前の『ZOMBIE POWDER.』のことかな? (画像はZOMBIE POWDER. 1 (ジャンプコミックス) | 久保 帯人 | Amazonより) 松山氏:  いやいやいや!(笑) 矢作氏:  その時はリアルにいちばん下の現場だったので、そんなのは思ったことないですけど(笑)。  それはともかく、そうやって早く終わらせてあげることが、その作家の次につながってきますから。『ジャンプ』でも10週で終わって、その次の作品が当たったりする人もいるんですよ。  でも「3本続けて外れたらダメ」と鳥嶋さんがおっしゃいましたけど、たしかにその通りで。 松山氏:  『ジョジョ』も3本目ですからね。 (画像はジョジョの奇妙な冒険 1 (ジャンプコミックス) | 荒木 飛呂彦 | Amazonより) 鳥嶋氏:  それで言うと、井上雄彦さんも『カメレオンジェイル』があったし、『テニスの王子様』の許斐剛さんも2本目なんですよ。1本目は2人とも、ハードボイルドの探偵モノを描いてダメだった。 (画像はテニスの王子様 1 (ジャンプコミックス) | 許斐 剛 | Amazonより)  じゃあ、井上さんがなんで『スラムダンク』は良かったかというと、バスケが好きだから。そういう単純なこと。  許斐さんはテニスのインストラクターだったから。そういう理由で描いてもらったのが良かったわけ。  だから描きたいものは当たらないんですよ。その作家が描きたいものじゃなくて、その作家が描けるものじゃないといけない。 松山氏:  なるほど! バスケとテニスは描けるものだったから、あれだけ続いたわけですか。 鳥嶋氏:  今やスポーツ漫画は、そのスポーツをプレイしている人じゃないと描けない。それはなぜかというと、どんなに写真集を持ってきて模写しても、それって第三者視点ですよね。プレイヤーの視点で描けるのは、そのスポーツを経験した人だけだから。  それが漫画の主人公視点の素晴らしさだから。これはね、プレイしていた人じゃないと描けない。 松山氏:  なるほど。 矢作氏:  本当にスポーツ漫画はそうですね。 鳥嶋氏:  僕がそれを実感したのは『キャプテン翼』。  『キャプテン翼』のアンケートが良くて、矢作がさっき言ったとおり、たしか1位になって。その時に見たのかな。正直に言うとね、「なんでこの絵で1位になれるの?」と(笑)。どこが面白いんだと。 (画像はキャプテン翼 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) | 高橋陽一 | Kindleストア | Amazonより) 松山氏:  いやいや(笑)。 鳥嶋氏:  それで、何週か見て分かりました。それまでのサッカー漫画とはぜんぜん違うと。どこだと思う? 画期的に違ったのよ『キャプテン翼』が。 松山氏:  そんなに違いましたっけ? 鳥嶋氏:  『キャプテン翼』以前にはなくて、『キャプテン翼』から始まったもの。それはつまりね、“カメラが人じゃなくてボールにフォーカスされている”ってことなんですよ。 松山氏:  たしかにカメラ低いわ! 鳥嶋氏:  カメラがいつも追わなきゃいけないものは、主人公じゃなくてボールなの。だからボールは友達なんだよ(笑)。 一同:  (笑) 鳥嶋氏:  この時に高橋陽一さんの運動神経というか、漫画家として��スゴさにビックリしたね。読者がこれにそのまま反応してるんだと。これから後のスポーツ漫画は大変だなと。 松山氏:  だってあれ、誰も真似できないですよ。コマを縦と横に割ってなかったんですよ。  線が入っていないのに、見開きの中に5コマぐらいあるの。でも、ちゃんと目線の誘導ができていて。それはたしかに、カメラがボールに向いているんですよね。 鳥嶋氏:  あれからスポーツ漫画がガラッと変わったの。じつは『キャプテン翼』より前は、漫画業界でヒットしたサッカー漫画ってないんだよ。 松山氏:  ないですね。全部野球漫画ですよね。 鳥嶋氏:  だから矢作が言ったように、新人が描くことの『ジャンプ』の怖さはそこにあるね。それまでの視点を持ってないヤツが出てくるからね。 『ドラゴンボール』は読んだ後に何も残らない漫画を目指した ──先ほど、『ジャンプ』では編集部員どうしがライバル関係で争っているというお話があったんですが。ライバル関係にありながらも、それぞれの担当者が別の担当者に対してアドバイスしたりはするんですか? 鳥嶋氏:  デ��クになると、せざるを得ないね。同じポジションだったらしないだろうけど。 矢作氏:  その人のキャラにもよると思うんですよ。僕はしない派でした(笑)。 一同:  (笑) 鳥嶋氏:  僕も基本的には矢作と一緒で、やらないかな。なぜなら漫画に対する考え方が違うから。  『北斗の拳』の担当だった堀江(信彦氏)【※】は、泥臭い漫画が好きなんです。僕はそういうのが嫌いで、邪魔だったんですね。  だって好きな方向が違うから、同じことを言っても伝わらないの。『ドラゴンボール』は読んだ後に何も残らない漫画を目指したから。 ※堀江信彦 『週刊少年ジャンプ』の編集者として『北斗の拳』などを担当。『ジャンプ』5代目の編集長を務めた。集英社を退社後、株式会社コアミックスの代表取締役社長に就任し、『週刊コミックバンチ』の編集長を務めた。同誌の休刊後、コアミックスは『月刊コミックゼノン』の編集を行っている。 松山氏:  両方あっていいと思うんですよ。たしかに『ドラゴンボール』には説教がないので。 鳥嶋氏:  僕が『ドラゴンボール』でいちばん好きなシーンは、悟空がつまづいて「なんで身体が軽いんだろう? あっ、シッポがついてないからか! まぁいいか」っていう。それが『ドラゴンボール』ですよ。 松山氏:  クソ明るいんですよね。あれは作れないですね。作家さんはみんな「オレはそんなに明るくない」って言うんですよ。 鳥嶋氏:  作家の中にない感情を、キャラクターは外に出せないんです。それを人工的に作ろうとすると、すぐバレるの。 松山氏:  『ドラゴンボール』って、鳥山先生ご自身も言われてますけど、登場人物が変人しかいないんです。言われてみるとそうなんですけど。みんなどこかズレてるんですよ。  あれは全部、鳥山先生の中にある感情というか、キャラクターなんですか? 鳥嶋氏:  まあ基本的に鳥山明は、亀仙人と則巻千兵衛であることはたしかですね(笑)。 松山氏:  あぁ、そこがベースなんだ。 海外では『ONE PIECE』よりも『NARUTO-ナルト-』のほうが人気が高い理由とは? 鳥嶋氏:  松山さんは『ジャンプ』が好きだから1つ質問を出しますね。国内であれだけヒットしている『ONE PIECE』が、海外では『NARUTO-ナルト-』に及ばないのはなぜだと思う?  よく海外で聞かれたの。「なぜ『ONE PIECE』は海外で『NARUTO-ナルト-』ほどヒットしないのか?」って。  海外の人もみんな、『ONE PIECE』が日本でスゴイのは知ってるんです。でもなぜ海外でヒットしないのか。その理由は分かる? 松山氏:  私の感覚ですけども、『ONE PIECE』がやっていることって、歌舞伎という��ヘンですけども、任侠道ですよね。昔のヤクザ映画とかの。  そういう、日本人はグッとくるお涙頂戴の部分も含めて、演劇というか舞台劇っぽいものになっているんで。  『NARUTO-ナルト-』はある意味、展開も含めてハリウッド志向というか。だから世界で売れる性質が違うんだろうなって感じてますね。 鳥嶋氏:  鵜之澤さんは両方扱ってるけど、どうなの? 鵜之澤氏:  そうなんだよね。聞くとみんな「海賊は人気がない」とか言うんだけど。でもきっとそういうことじゃないよね、たぶん。不思議なんだよね。 松山氏:  面白さのベクトルが違うんだと、私は思うんですけど。 鵜之澤氏:  逆に言うと、『NARUTO-ナルト-』はなんで海外であそこまでウケるんだろうと。 矢作氏:  ナルトが金髪で青い目ですから。 松山氏:  そんな単純な(笑)。 鵜之澤氏:  でもそれは大きいよね。僕らもそうだよね。 矢作氏:  海外の人から見てもカッコ良いんですよ。  『ONE PIECE』はドラマがすごく面白いんですよ。それに対して『NARUTO-ナルト-』はドラマの部分よりも、やっぱりアクションとか、そのへんが分かりやすいというのがありますね。  僕は子どもがいるんですけど、子どもに見せるといちばん分からないのが、ドラマなんです。  子どもって、気持ちのいい絵を見ただけで「気持ちいい」って思うんです。たとえばパースが効いていたり、空がきちんと見えてる絵だと、「これ好き」って言うんですよ。  だから、パッと見で面白いかどうか。  僕らはずっと漫画を読んで来ているから、漫画の面白さを深読みしていくじゃないですか。でも海外の人の多くは、日本の漫画って分かんないですよね。  それはたぶん、リテラシーとか読解力がないから、分からないと思うんです。だからつまるところ、『NARUTO-ナルト-』はそういう読解力がいらないんじゃないかと思うんです。 鳥嶋氏:  答えは出てると思うけど。まず1つは、海賊じゃなくて忍者だから。忍者が大好きなんですよ、海外の人は。それに対して、海賊の概念は日本以外にもあるから。  次に松山さんや矢作が言ったように、『ONE PIECE』は泣きのドラマだよね。泣きのドラマは日本人にしか通用しない。海外では泣きのドラマは嫌われる。ウェットだから。  もう1つは画面構成やキャラクターの見せ方が、残念だけれども、岸本斉史さんのほうが上手い。 矢作氏:  どっちを取るかということだと思うんですけども。 鳥嶋氏:  見やすいんだよね。その結果どうなるかというと、アニメにした時に映えるのは『NARUTO-ナルト-』なんですよ。アニメは動くからね。そういう意味でいうと、海外に伝わりやすい漫画の作り方は『NARUTO-ナルト-』のほうなんです。  そのへんは鵜之澤さんがいろんなコンテンツを扱っていても、海外に通じるものと通じないものがあると思うんだけど。 鵜之澤氏:  そうなんだよね、それが分かれば苦労しないよね(笑)。  たしかにある時点から、漫画家の先生もそうだし、アニメのスタッフもゲームを作るスタッフも、海外を意識するんですよね。イベントに出たりして。  それで「海外に向けて作るには、こういうふうにやるんだ」って。でも一発じゃ無理だよね。続けるうちにだんだん分かってきて。  『NARUTO-ナルト-』も最初は日本だけで。それが『疾風伝』【※】になった頃に、海外で爆発的に売れて。こんなに売れるんだと正直ビックリしたよね、国内では『ONE PIECE』のほうがパワーがあったからさ。  海賊をアメリカ人が分かるかどうかはともかく、『ONE PIECE』はキャラが外国人っぽいじゃないですか。だからいけるのかなと思ったけど、海外ではダメでしたね。  たしかにね、さっき矢作さんが言われたように、金髪と青い目っていうのも大きいんじゃないかな。金髪ってすごく大事で、分かりやすいよね。 ※『疾風伝』……『NARUTO-ナルト-』のTVアニメは原作の第1部でいったん終了し、原作の第2部からは『NARUTO -ナルト- 疾風伝』として新たにスタートしている。 (画像はAmazon | NARUTO -ナルト- 疾風伝 風影奪還の章 一 [DVD]より)  外国の人はたぶん、悟空やナルトのことを日本人だと思ってないよね。アニメは現地の言葉で吹き替えられてるんで、日本人が芝居してるように見えないじゃないですか。それもやっぱり大きいんだろうなと。 鳥嶋氏:  漫画やアニメの持っている無国籍性だね。 『NARUTO-ナルト-』を始めるにあたって、『ONE PIECE』を徹底的に分析した 矢作氏:  そもそも『NARUTO-ナルト-』よりも『ONE PIECE』のほうが、先に連載が始まってるんですよね。作家も「『ONE PIECE』には絶対に敵わない」と言っていて。「『ONE PIECE』は面白すぎる」と。  僕も面白すぎると思いつつも、「そんなこと言っちゃダメだ」と(笑)。 鵜之澤氏:  そりゃそうだよね。 矢作氏:  1位にならないとダメですから、『ジャンプ』では。そう思っていたので、一応そういうふうに話をして。「まぁ、10巻ぐらい続くといいね」ぐらいの感じで『NARUTO-ナルト-』を始めたんです。 鵜之澤氏:  それぐらいで一区切りなんですか? 鳥嶋氏:  10巻ということは2年ね。 矢作氏:  それぐらい続けば、ある程度のお金が作家さんに入るだろうから、次の作品に対して準備ができるんじゃないかと。 鳥嶋氏:  たしかにそれは考えるよね、編集者としてはね。 矢作氏:  それで『NARUTO-ナルト-』を始めるにあたって、「『ONE PIECE』はどこがスゴいのか?」というのを分解して、分析したんです。 鳥嶋氏:  分析したんだ。 矢作氏:  めちゃくちゃ分析しました。“イーストブルー”や“アラバスタ”、“空島”と沢山舞台があるわけですが、それらはRPGで言うマップなんですよ。  で、『ONE PIECE』がスゴいのは、新たなマップに入ると、出だしでそのマップでの目的が提示されて、それをクリアすると主人公は成長し、さらそれが次のマップでの目的に繋がっていく。  つまり、最初に振りがあって、オチがあるというのを繰り返していくんですよ。しかも次のマップで全然違う世界観を提示してくるので、否が応でも盛り上がる。  さらにスゴいのは、周りのキャラのことを描いていながら、主人公が前に進む話を描いているんですね。ルフィが人を集めるということが、ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)につながっていく。  そもそも漫画は主人公のことしか描いちゃダメなので。主人公以外のことを描くと面白くないんですよ。  だからこれは、研究すればするほどスゴい漫画だと。これは敵わない。  これに対抗するとしたら、やっぱりアクションで驚かせようと。それは意識してやってます。作家本人も「『ONE PIECE』より感動的な話は描けない」と言ってるから、だったら他のところで勝負しようと。  同じ雑誌で、同じベクトルで勝負してもしょうがないじゃないですか。だから『NARUTO-ナルト-』はそういう方向に行って。しかも作家の絵の力がスゴかったんですね。 鳥嶋氏:  矢作が『NARUTO-ナルト-』を始めるにあたって『ONE PIECE』を研究した。ナンバーワンを研究したって聞いて、さすがだと思ったの。  じつは僕も『ドラゴンボール』が中だるみというか、人気が落ち始めてマズいなと思った時に、自分が好きじゃない『北斗の拳』を初めて研究したんですよ(笑)。編集部で読むのが癪(しゃく)だから、コミックスを家で読んで(笑)。  ナンバーワン漫画だから、読者がいちばん好きな要素がそこにあるわけですよ。だからナンバーワンを分析するのは、読者の趣味嗜好を分析するということ。そこに意味がある。  『北斗の拳』を研究している時に思ったのは、「うわっ���この1話目は良くできてるな」と感心したんだよね。原哲夫さんの持っている絵の良さを上手く使っている。  逆に言うと、原さんが持っているダメさを表さないように作っている。  原さんは一枚絵はスゴいんだけど、アクションを描けないんです。あの全身のあの劇画タッチで描くから、アクションを描いちゃいけないんです。  どういうことかというと、止め絵の連続で描くから、秘孔を突いて前後で見せるしかない。 松山氏:  あぁ、なるほど。 鳥嶋氏:  だから原さんの絵の持っている良さだけを抽出した形が、秘孔を突くという形なんです。おまけにそれを、『マッドマックス』とブルース・リーから持ってきてるから、そのへんのイメージの取り方も上手いわけ。 (画像はAmazon | マッドマックス [DVD]、死亡遊戯〈日本語吹替収録版〉 [DVD]より)  『ドラゴンボール』でこれを抜くにはどうしたらいいか。あぁ、簡単だなと。  鳥山さんは自由自在にアングルが取れる。原さんは一定方向からしか描けない。だったら『ドラゴンボール』は上下左右、前から奥と、自由自在にアクションが出来る形にしようと。  天下一武道会の展開はまさにそういうこと。だから、当初の『ドラゴンボール』の元になったジャッキー・チェンのアクションを、もっと徹底的に、意図的に、漫画の中で再現しようと。  それと、『北斗の拳』はドラマを見せていくものだから、展開がやっぱり長いんですよ。セリフで決めていくやり方ですから。  僕らはもっと下の年齢層を狙って、4週単位で展開を変えていく、スピーディーな見せ方をした。  何回かインタビューで答えてるけど、修行編を長くやったらもっと人気が落ちちゃうから、修行を短くして。亀仙人とクリリン以外のサブキャラは全部落としちゃって、その修行の成果を天下一武道会で見せた。  天下一武道会はトーナメント制なので、1つの戦いはみんな1週か2週で終わるんです。  あと、トーナメントが面白いのは、どこで誰と会うかというのを読者が予測してくれるから。その予測をどう裏切るかで、読者の興味を引きつけていった。  そうしたら、このへんで『北斗の拳』を抜けたらいいなと考えていた半分ぐらいのところで、大したキャラでもないバクテリアンとの対戦の回で、『北斗の拳』を抜いちゃってね(笑)。 松山氏:  そこからなんだ。へぇ~。 鳥嶋氏:  だからそういう意味で言うと、『NARUTO-ナルト-』が『ONE PIECE』を研究したのはよく分かる。 矢作氏:  僕らは『ONE PIECE』を抜けなかったですけどね(笑)。 『ONE PIECE』の連載を開始するかどうかだけで、会議に2時間かかった ──さっきの連載会議の話に戻りますけど、会議の時間がいちばん長かった漫画は? 鳥嶋氏:  やっぱり『ONE PIECE』じゃないの。『ONE PIECE』は2時間かかったから。 矢作氏:  連載会議にかけるネームって、全部で3話あるんですけど、確か『ONE PIECE』は、2〜3回めくらいのネームだったかな? 結果的に連載会議に通らなかったヤツなんですけど、そのネームで島で宝を守ってるキャラクターが出ていて。その話がかなり面白かったんです。めっちゃ泣けるし。 ──でも、会議では通らなかった? 矢作氏:  そう。こんなに面白いのに、なんで通らないんだろうと、当時は不思議で。 鳥嶋氏:  なぜ連載会議の際に、3話までのネームを用意するかというと、基本が10週だから、3話までで1/3のストーリーを展開するわけでしょ。そうすると、主人公は誰でどういう話なのかっていうのを、その3話の間に見せてほしいの。  それが見せられない漫画は、構成が悪いということ。それで言うと『ONE PIECE』は、構成が悪かったんですよ。 矢作氏:  ええ。いま考えたら、なぜ通らなかったのか分かるんです。というのも、そのネームの話は主人公が成長したり、物語が先に進む話ではなかった。漫画において、主人公って絶対に、少しずつでもいいから前に進まないといけないんです。たとえば主人公を出さない回があってもいいんですけど、その代わり、主人公が何かやっているぞというのは読者に常に意識させておく。 ──なるほど。 矢作氏:  その視点で考えると、あのときのネームって、話は確かに面白いんだけど、主人公が先に進んでいなかった。だから通らなかったんだなと。そうね、今そのことを考えたら、分かるんです。でも、あのときは、こんな面白いもの、なんで連載を始めないんだろう? 余裕あるなぁ、みたいな感じで見てましたね(笑)。 鳥嶋氏:  余裕なかったよ。編集長だったけど(笑)。 松山氏:  『NARUTO-ナルト-』でカカシを3話まで出さなかったのも、そういう理由なんでしょ。 矢作氏:  いや、そういうことじゃないんですけど。でも『NARUTO-ナルト-』の時は他の漫画をすごく研究して。  1話目は、周りの大人たちはナルトをどう見るか、2話目は子どもたちがナルトを認めるのかという話にしたんですよ。なぜかというと、『北斗の拳』は1話目でそういう形になって、2話目でおじいさんを助けるんですね。  結局、いろんな人がナルトをどう見るか、認めるかっていう。主人公って他の人に認められると、成長したと見えるんですよ。  だからいろんな人に認められる話にしようというのが、そもそものコンセプトだったんです。そうすると、2話目はゲストキャラの話なのに、話が進んでいるように見えるんですよ。  でも『ONE PIECE』の場合は、あの2話目だと主人公がまったく先に進まないんですよ。救われた男の話だけなんですよ。それは今ならすごく分かります。 鳥嶋氏:  連載会議で『NARUTO-ナルト-』について議論したのは、たぶん5分ぐらい。『ワンピース』は2時間。この差だよね。 矢作氏:  『HUNTER×HUNTER』も5分ぐらい。5分もかからなかったですね。 (画像はHUNTER X HUNTER 1 (ジャンプコミックス) | 冨樫 義博 | Amazonより) ナルトの修行では、子どもたちが自分で試してみたくなるものを考えた 矢作氏:  『ONE PIECE』だけじゃなくて、『ドラゴンボール』もすごく研究しましたよ。修行シーンがなんでこんなに上手いんだろうと。  修行って、やってるというのを見せないと、強くなる理由が描けないんですよ。でも『ドラゴンボール』は、修行を楽しく描けるんです。重力何倍とかズルすぎません?(笑)  ナルトも強くなるために修行をしないといけないんだけど、修行が長くなるんですよ。修行が長いってイヤじゃないですか。  さっき鳥嶋さんが言ったように、アンケートの票が落ちちゃいますからね。でも「修行してきたぞ」って、急に帰ってくるのもイヤじゃないですか。それはズルいってなるので。 松山氏:  『BLEACH』が多かったですね、そのパターンは(笑)。 矢作氏:  それは僕、知らないですよ(笑)。もっと他の漫画で、そういうのがたくさんあって。洞窟から出てきたら強くなってるとか、これは絶対にやっちゃダメだと。子どもも分かってるから。  何の努力をして、どこを鍛えたから強くなったっていう、やっぱりそれはほしいんです。  それで、『ドラゴンボール』はあんな感じで楽しくやったけど、『NARUTO-ナルト-』の雰囲気で同じようにやるのは無理だと。それでいろんな漫画を見て、修行が上手い漫画ってどうしたらいいのかなと。  子どもが実際に試してみたい授業というのも考えて。螺旋丸の、祭の水風船やボールの中で水を動かすと��うのは、子どももちょっと試してみたいと思うだろうとか、そういうのをいろいろ考えて、考えて、ああいう結論に落ち着くんですけど。  ただ長いし、成功だった��どうか分かんないんですけどね。 松山氏:  ナルトが螺旋丸を習得する時に、四代目火影は片手で螺旋丸を作っていたのを、『NARUTO-ナルト-』はチャクラのコントロールがヘタだから両手でやるってなって、結局、手が足りないのを分身で補うっていうのは、あれは修行を始める前から……。 矢作氏:  決まってないですよ! 松山氏:  ウソ~!?(笑) めちゃめちゃスゲェって思ったんですけど! あの答えの出し方! 矢作氏:  岸本先生の中では決まってたかもしれないです。僕の中ではぜんぜん(笑)。  「こういうのどう?」って提案するじゃないですか。たとえば風船を置いて、この中でチャクラを動かしてっていうのは言うんです。  でもその後どうなるのかは、やっぱり先生の中で……。 松山氏:  そうなんだ! 矢作氏:  そうなんです。そういうのはたくさんあって。 鳥嶋氏:  松山さんね、打ち合わせをし過ぎるとつまんないんですよ。  僕らは漫画家から上がってきた絵コンテを、読者の視点で最初に見るわけですよ。その時に僕らが感じる驚きは、読者の驚きだから。そこで先のストーリーを知っていたら……。 松山氏:  ああ、そういうこと! 鳥嶋氏:  だから大きな流れは作っておくけど、細かい打ち合わせは逆に、あえてしないの。 矢作氏:  鳥嶋さんは本当に「長い打ち合わせはするな」って言いますよね。僕はけっこう長いんです。 松山氏:  ガッツリやられてたって聞いてますよ。 矢作氏:  ファミレスに4、5時間ぐらいいたりして、全部決めて帰ってきたりするんですけど。そうすると鳥嶋さんから「それは作家に迷惑だから止めなさい」と怒られて(笑)。 鳥嶋氏:  僕は打ち合わせ、30分で終わり。 松山氏:  30分!? 鳥嶋氏:  絵コンテを2回見て終わり。 矢作氏:  何もできないです。 松山氏:  その原稿の話だけで終わるんですね。だけど、不安じゃないですか? 矢作氏:  大枠は決まってるんですよね? ここまでは行くっていう。そこでどういう決着があるかと。 鳥嶋氏:  そうだね。昔、『スパルタンX』【※】ってゲームがあったじゃん。あれが出た時に「これはいいな!」と思ったの。でも横にするとバレちゃうから縦にしようと。それが『ドラゴンボール』のマッスルタワーだよ。 ※『スパルタンX』……1984年にアイレムが開発してリリースしたアーケードゲーム。1985年に任天堂がファミコン用ソフトに移植して発売した。ジャッキー・チェン主演の同名映画が題材となっているが、ゲームの展開は映画とまったく異なり、むしろブルース・リー主演映画『死亡遊戯』のクライマックスに登場する、五重塔での戦いを彷彿とさせるものになっている。 (画像はKung-Fu Master for Amstrad CPC (1987) – MobyGamesより。Screenshot via Mobygames) 松山氏:  あぁ! 矢作氏:  必ず終わりが見えてないと、読者はやっぱりイヤなんですよ。ドラマでも「あと何回って分かっていれば見るけど」というのがあるじゃないですか。  だから、終わりがどこなのかはあらかじめ見せておきたい。五重塔システムは、それが便利なんです。 鳥嶋氏:  だよね。 松山氏:  天下一武道会もそうですよね。 矢作氏:  そうです。ここまで行けば勝ち、とか。 鳥嶋氏:  上に行けば行くほど強いヤツが出てくるとあらかじめ言っておけば、次はどんなのが出てくるんだと、予想してくれるじゃないですか。その想像力がプラスになる。 矢作氏:  十二宮もそうですよ。『聖闘士星矢』の。 松山氏:  12はさすがに多いなと思いましたけどね(笑)。だから��まった瞬間まず、牡羊座のムウが聖衣を修理するところから始まって、実質2つ目からバトルでしたからね。 鳥嶋氏:  子どもは数を数えたり、集めたりするのが大好きなんですよ。 松山氏:  それはそうですよね。 矢作氏:  そういう方法論がいくつかあって。でも、これからの漫画はまた新しい方法論というか、今の子はこれが好きだからこう、と変わってくるから、それが楽しみですよね。 今の子どもたちはコミックの単行本は読むが、雑誌の『ジャンプ』を読んでいない 松山氏:  今、僕が不思議なのが、『鬼滅の刃』だと“十二鬼月”って12人の敵がいて、その中に上弦と下弦が6人ずついるという、数の楽しみがあるんですけど。  でも『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』だと、今どこに向かっているのか、なかなか見えないところがあるじゃないですか。敵の数も決まっていないし。 (画像は呪術廻戦 1 (ジャンプコミックス) | 芥見 下々 | Amazonより) 矢作氏:  僕だったら「それはちゃんと見せようね」って言いますね。とりあえずのゴールは見せておかないと。 鳥嶋氏:  今の話を聞くと、その2つの漫画は年齢層が上だと思う。矢作が今言ったような形で、下の年齢層を取り入れる努力をやるべきだね。今の『少年ジャンプ』の漫画は難し過ぎる。漫画は誰にでも分かるという、分かりやすさがなければダメ。  何回か苦言を呈しているんだけど、今は『少年ジャンプ』の“少年”が意味を成してないよね。少年っていうのは、小学生の低学年から中学生までよ。  このターゲットを今、『ジャンプ』が押さえられているのか。 松山氏:  アンケートの平均が20代後半って聞いてますから。 矢作氏:  下の子も読んでるんですけど、上の人もついてきているので。ただ、今はもう……僕と松山さんって、同じぐらいの歳じゃないですか。今は子どもの数が、僕らの頃の6割ちょっとだって、知ってます? 松山氏:  いや、半分以下ですよ。我々が生まれた時は、1年間で生まれた子どもの数が250万人ですよ。今はそれが80万人ですよ。100万人を切ってるんですよ。 矢作氏:  中学生はもうちょっと多いですよね。この前調べて、ビックリしたんです。そんなに減ってたら、たしかに子どもに売れないよな、って。 鳥嶋氏:  いや矢作ね、『コロコロコミック』は今でも、毎月50~60万部刷ってるわけだよ。それで言うと、『ジャンプ』ももっと数字を出してもいいじゃないかと、僕は思うね。  任天堂もそうだし、バンダイが扱っている『アンパンマン』を見ていて思うんだけど、進化しないスゴさね。定番キャラクター。  常にここを間口として押さえるというキャラクタービジネスや作品の作り方って、忘れてはいけないと思うんだ。 矢作氏:  『ジャンプ』って昔から、小学4年生ぐらいから中学生が主だったと思うんですよ。今は中学生の7割ぐらいがスマホを持ってるじゃないですか。そういう意味で言うと、多少逃げちゃうんですよ。  そこが『コロコロ』とは少しだけ違うと思うんです。『コロコロ』はまだスマホを持っていない世代なので。その『コロコロ』を読んでる子たちが、次にどこに行くのかを考えないといけないですね。 鳥嶋氏:  『ジャンプ』には上がっていないよね。 矢作氏:  でも、同じ小学館の『サンデー』にも上がってはいないでしょ。 松山氏:  いきなりスマホになってるんですよ。みんなYouTubeになっちゃってる。 鳥嶋氏:  それはYouTubeやスマホがあるからなのか。それとも、そこまでして読みたい漫画がないからなのか。そのへんはキチッと考えるべき問題だと思う。 矢作氏:  YouTubeを見るより面白い漫画があれば、読むと思いますよ。 松山氏:  うちのスタッフの子ども���見てると、『コロコロ』はやっぱりみんな読んでるんです。でも小学校高学年になって、「『ジャンプ』は読まないの?」って何度聞いても、読まないんですよ。  読まないんですけど、ある時、その子が『斉木楠雄のΨ難』の単行本を持っていたんです。 (画像は斉木楠雄のΨ難 1 (ジャンプコミックス) | 麻生 周一 | Amazonより)  「おっ! ついに『ジャンプ』読んでるじゃん!」と思ったら、『ジャンプ』の雑誌は読んでないんですよ。『斉木楠雄』の単行本だけを読んでるんです。  「なんで『ジャンプ』を読んでないのに『斉木楠雄』を知ったの?」と聞くと、「アニメ」だと。アニメきっかけで作品を知っているのに、『ジャンプ』を通ってはいないんです。  「『斉木楠雄』が載ってるんだから『ジャンプ』を読みたくならない?」と聞いても、単行本で十分らしくて。 矢作氏:  うちの子どもも『ジャンプ』は読んでないですよ、雑誌はね。 松山氏:  えー!? 鳥嶋氏:  それは何年生? 矢作氏:  中1の男の子と、高2の女の子なんですけど。 鳥嶋氏:  中1が読んでないのはイヤだな。 矢作氏:  ただ、『ヒロアカ』とかは大好きですね。『ハイキュー!!』とか。 (画像はハイキュー!! 1 (ジャンプコミ��クス) | 古舘 春一 | Amazonより) 松山氏:  それは単行本で読んでるんだ。あとアニメとか。 ──単行本は読むけど、雑誌は読まないというのは、なんでだと思います? 矢作氏:  雑誌を買えないというのは、あると思いますね。 松山氏:  1週飛ばすと買えないじゃないですか、簡単に心が折れて。単行本はいつ本屋さんに行っても、1個前の巻が売ってるんですけど。 鳥嶋氏:  それは違うと思う。1週飛ばしても、買わなくても平気だから、買わないんだよ。 松山氏:  そもそも熱量が足りないということですか? 鳥嶋氏:  というか、1話19ページを、ちゃんと次週も読みたくなるような引きで作っていないから。もっと言うと、雑誌にライブ感がない。 矢作氏:  ライブ感がないというのはそうですね。読者がそういう読み方になっていないと思います。コミックスを読む楽しみ方になっている。要するに、週刊で楽しむやり方ができていないんじゃないかと思います。 鳥嶋氏:  たとえばさっき『コロコロ』の話が出たけど、『コロコロ』はYouTubeとかそういうものについての情報も、ちゃんと雑誌の中に取り入れていると思うよ。  子どもたちの身近にあるそういう情報や、そうした見え方あり方を、『少年ジャンプ』が漫画の中に、要素として取り込めているのか。  それで言うと、『ジャンプ』についてある種の既成概念、「『ジャンプ』ってこんなもの」「『ジャンプ』ってこうだよね」で作られているんじゃないか。  さっきから話に出てきたように、これまでにない新しいもの、「これ何?」というものが『ジャンプ』だったはずなのに、今は「これ何?」がないんじゃないの。 矢作氏:  そうですね。でも、それを僕らが作るのは無理なので。  今の子って、育ちも生活も人生観も友達も人付き合いも、僕らとは全部違うんですね。放課後に集まったりもしないし。  おじいちゃんやおばあちゃんと死に別れたりとか、そういう経験がなかったりもするし。  それで言えば、本当は鳥嶋さんの時代と僕の時代も違うはずなんですよ、厳密に言うと。貧しさに対する感覚も違うし。  でも今の子の貧しさは「オレはスマホを持っていないけど、アイツは持っている」とかなので、そこは隔絶してると思うんです。  逆に言うと、中学生の7割がスマホを持っていて、3割が持っていないというのなら、それはとんでもない差だと思うんです。僕らの頃は、そこまでの差はなかったので。 鳥嶋氏:  資本格差があるってこと? 矢作氏:  ご飯が食べられないとか、そういうことではないんですけど。  僕らの頃はたとえば、児童館で手塚治虫先生の漫画を読んでいたり、学級文庫で『はだしのゲン』を読んだりしていたんですけど。  ���の子はそういう経験がないし、場もないし。ぜんぜん違うんですよね。 (画像ははだしのゲン(1) (中公文庫コミック版) | 中沢啓治 | Kindleストア | Amazonより)  今の子どもたちが何で遊ぶかというと、スマホで一緒に『フォートナイト』をやってたりするんですよ(笑)。そういう子たちが読む漫画を作れるのは、それは僕らじゃなくて、今の子ですよ。  今の子たちが感じていることとか、人生の課題だとか、そういうことを考えて作らないと、今の漫画って新しくないわけで。僕らみたいなおじさんが集まって、「どんな漫画を作ろうか」と言ってること自体が、愚の骨頂だと思うんです(笑)。 (画像はフォートナイト 公式サイト | Epic Gamesより) 鳥嶋氏:  でも矢作ね、ツッコミを入れるようで申し訳ないけど、今の子供の置かれているメディア状況は、それは我々とは違うでしょうと。だけど子どもひとりひとりが大人に比べて、親の管理下に置かれて自由ではなくて。  なかなか友達と遊べない孤独な状況だとか、その中で時間を合わせて『フォートナイト』をするだとか、子どもが不自由な状況に置かれているということに関しては、昔も今も一緒じゃない。ただその周りで、関わるものが違うだけで。 矢作氏:  そうですね。 鳥嶋氏:  逆に言うと、そういう子どもたちを僕らは、漫画は、どうやって救えるかということをちゃんと見るべきで。 矢作氏:  そうなんですよ。だから僕は、今入ってくる若い編集者に、それを期待しているところがあって。  君らのほうが分かっているでしょと。「課題は何だ?」って。みんなやっぱり、悩みや苦しみといった課題があるからこそ、漫画を読んでそれが解消されるわけで。  「貧しい」とか「お金がない」とか、僕らの時の課題と今の課題は違うと思うので。だからそれを解消できるのは、どういう漫画なのか見せてほしいと。  『ジャンプ』って唯一、それができる雑誌なんですよ。新入社員が必ず2人ぐらい入ってきて、その新入社員と同じぐらいの年齢や、それ以下の10代の新人作家が持ち込みにやってくる。  その子たちはちょっと前の『ジャンプ』作品、『鬼滅の刃』や『約束のネバーランド』を見て、「これは面白い!」と持ち込みにやってくる。  この編集者と漫画家の組み合わせで作られるものを見たいというのが、すごくあるんですよね。 (画像は約束のネバーランド 1 (ジャンプコミックス) | 出水 ぽすか, 白井 カイウ | Amazonより) “少年”が見ることのできない漫画アプリは、はたして『少年ジャンプ』なのか 鳥嶋氏:  そういうさ、新しく入ってきた社員たちを見ていて、彼らに作れると思う? 矢作氏:  それはまだ分からないです。僕だって「会社やめろ」って何回も言われましたからね(笑)。鳥嶋さんには言われてないですよ。鳥嶋さんは優しかったです。直接関係なかったから(笑)。 鳥嶋氏:  矢作に聞いてみたいのはね、漫画を読んで入ってきたヤツに、はたして漫画が作れるのか? っていうこと。集英社には『ジャンプ』っていうブランドがあるじゃない。  鵜之澤さんにも聞きたいんだけど。バンダイナムコもそうだけど、昔、それぞれの会社が大して知名度もなかった頃に入ってきた人たちと、知名度ができてから入ってきた人たちとでは、やっぱり違うよね、資質が。  だから今、会社のブランドを知って入ってくる人たちに、はたしてモノが作れるの? って思いますね。 鵜之澤氏:  僕は今、62歳になるんだけど、僕が入った当時のバンダイなんて、まだ上場もしてないし。  僕は大学時代、おもちゃ屋でバイトしてたんですよ。だからおもちゃは詳しいんだけど、おもちゃ会社のことは知らなくて。  その中でいい加減そうな、何��もやらせてくれる会社だと思って、バンダイに入ったの(笑)。3年いたら会社を辞めて、その後は自分で仕事を始めようと思って。それぐらい、いい加減でね。  ちょうどアニメやゲームが始まるぐらいの年なんですよ。1981年。  ファミコンもまだ出てない。アニメと呼ばれるようになったのは『ヤマト』『ガンダム』『うる星やつら』といった作品で、ちょうど僕がバンダイに入った頃に、アニメという文化ができるんだよね。 (画像はAmazon | 宇宙戦艦ヤマト DVD MEMORIAL BOX、機動戦士ガンダム 1 [DVD]、うる星やつら TVシリーズ 完全収録版 DVD-BOX1より)  ビデオデッキが出たのもその頃。僕はその後で、ビデオカセット用のアニメを作る仕事【※】を、バンダイの中で新規事業としてやらせてもらうんだけどさ。  そのぐらい誰もやっていなくて、だからチャンスだったんですね。 ※ビデオカセット用のアニメを作る仕事……鵜之澤氏は1983年より、当時の株式会社バンダイで映像ソフト事業を手がける、フロンティア事業部に異動。同事業部は、世界初のオリジナルビデオアニメ(OVA)となる『ダロス』を企画・製作している。 (画像はAmazon | ダロス [DVD]より)  なにしろ新入社員の時に、富野由悠季監督と会ってるからね。『ガンダム』が当たったから、次の番組をどうしましょうか? という打ち合わせに僕と、今、バンダイナムコエンターテインメントの社長をやってる宮河恭夫っていう、同期の新入社員が2人、参加していて。  急に『ガンダム』ブームが来たから、会社の先輩たちはアニメという言葉も知らないんだよね。そりゃ知らないでしょ、先輩たちはアニメなんて、子どもの見るものだと思ってるんだから。  でも僕らは新入社員で、感性がまだ若かったから。学生時代に『ガンダム』なんか見てなかったけど、いざ見たらやっぱり面白いと分かるんだよね。  それで今から考えると恐ろしいけど、新入社員が富野監督に向かって、「次の『ザブングル』ではこういうメカを出してほしいです」と打ち合わせしているっていうね(笑)。  若いから怖いものも知らないし、逆に言うとスポンサーのバンダイからしても、そういうことを言うようなヤツがまだ誰もいなかった。  誰もいないところの開拓者だったんだよね、新規事業の。 (画像はAmazon | 戦闘メカ ザブングル DVD-BOX PART1 より)  そういう意味じゃ、僕らの上には誰もいなかったから、全部自分でやるしかなかった。今の20代、30代のみなさんは、必ず会社の先輩がいるわけですよ。  自分がやる仕事のことをよく知っている、ゲームも漫画もアニメもなんでも知っている、先輩がいるようになっちゃったんだよね。 鳥嶋氏:  鵜之澤さんの話を聞いてるとね、僕も漫画を読んでなかったし、『ジャンプ』を知らなかった。だから漫画というものを「なんで面白いんだろう?」と自分で考えながらやったから、漫画が作れた。それまでの編集者とは違った作り方ができたんだけど。  さっき矢作が『ONE PIECE』を解体したって言ってたけど、もう1回ね、漫画を解体して考えてもいいんじゃないかなと。どこかで『ジャンプ』とか漫画ってこういうものだと、みんな思い込み過ぎてるんじゃないか。  矢作に意見を聞いてみたいんだけど、『少年ジャンプ+』ってネットで始めて、ついに年齢制限がついた【※】じゃん。もはや“少年”じゃないよね。  でも“少年”って名前がついてるよね。ああいう状況って、現場からどう見える? ※『少年ジャンプ+』の年齢制限 『少年ジャンプ+』のiOS���アプリは、17歳以上が対象となっている。ちなみにAndroid版アプリでは12歳以上が推奨されており、ブラウザ版の利用には特に年齢制限はない。 矢作氏:  そうですね……。『ジャンプ+』に関してはいろいろと難しいところがあるとは思うんですけど。今、Webも含めてですけど、売れるものってどういうものかを考えると、「こういうものを扱わないといけない」というのも出てくるし、やっぱり制限がついちゃってもしょうがないと。そこで何をするのかってことだとは思うんですけど。 松山氏:  そもそも『ジャンプ+』自体が、ぜんぜん少年向けにはなってないんですよ、最初から。エロもバイオレンスも含めてですけど。 矢作氏:  ていうか、本当に幅広いんですよ。だから逆に言うと、これとこの作品が競っているとか、この作品のほうが人気あるだとかいった、競っているものがない。  これだけ読まれていればまあいいだろうってところでやっちゃうと、編集も作家も、原稿料が入って、自分が担当している本数があって、仕事している気になってくるじゃないですか。  だから年齢制限とかが問題なんじゃなくて、面白いものとか売れるものがちゃんと作れているのか、というのがいちばんの問題で。  年齢制限はついてもいいんですよ、別に。  さっき言いましたけど中学生の3割はスマホを持っていないから、漫画アプリを読めないんですよ。その3割が読めない漫画アプリに作っているわけですよ、漫画を。  そういうことも考えると、じゃあどこに出していくのかと。 鳥嶋氏:  そういうことだよな。  だからね、今ちょっと意地悪な質問を投げかけて。結局、何をもって雑誌を作り続けるのか。  雑誌のテーマとか哲学がどこにあるのかにこだわる一方で、「漫画って何? 誰のためのものなのか?」ということを考え続けてやってかないと、仕事がブレてくるんだよね。 新人漫画家に対しては、才能を磨くための編集者が絶対に必要だ 鳥嶋氏:  じつはこのまえコミティアに行って、同人誌を僕、30年ぶりに見たのね。持ち込みを見たんですよ。  新人はやっぱり常に、自分がどこでデビューできるのか、どこで描けばいいのか、っていうのをちゃんと見ている。だから、そこのところも一方で見ておかないと。  常に僕らは、読者がどこにいて、作家がどこにいるか、この2つをどうつなぐかということを考えなきゃいけない。  僕が30年ぶりに見に行った理由は、今持ち込みをする人たちはどんなマインドで、どんな人たちなのか、見てみたかったの。実質ね、30年前とあんまり変わらない。  すごく真面目。むしろちょっと真面目過ぎるぐらい。「いっちょ当てたろ!」っていう野心も、もう少し出してほしかったね。 松山氏:  白泉社自身は、持ち込みってやっぱりあるんですか? 鳥嶋氏:  白泉社は「マンガラボ!」って形で。コミティアも、白泉社はギリギリ第3位ぐらいだったね。 矢作氏:  「鳥嶋さんがいたから増えた」って言ってましたよ。 鳥嶋氏:  僕はあんまり聞いてないから(笑)。 矢作氏:  でも、デジタルに集まるのは分かりやすい。デビューしやすいって皆、思っていると思います。 鳥嶋氏:  これは平君(電ファミニコゲーマー編集長)からの宿題なんだけど、「編集者って必要?」という議論がずーっとあるじゃん、ここしばらくネットで。矢作はどう思う? 矢作氏:  たとえば作品があって、それをより���くできないんだったら、編集者なんていらないだろうし。あと、作家と作品をプロデュースできないんだったら、いらないでしょうね。  だけど、こと新人に至ってはですよ、これは僕の持論なんですけど、編集者は必要��すよ。  僕も何人も見たことありますけど、ベテラン作家で本当にスゴイ人たちはたくさんいて。鳥嶋さんももちろんご存じだと思いますけど、もうこの人は1人でいいじゃん、毎回「面白いです、ありがとうございます」って言うだけの作家もいるんですよ。 鳥嶋氏:  そんな作家、いないと思うよ。 矢作氏:  いるんですよ、名前は言わないですけど(笑)。  でも新人作家にとっては、編集者は絶対に必要だと思うので。  「編集がいたら自分の描きたいもの描けないんじゃないか」とか、「自分1人で描いて連載ができたらいいから連載しやすいところに行こう」、というふうになると、やっぱりそれはかわいそうというか、残念だと思っていて。  ピッチャーとキャッチャーってよく言うじゃないですか。ピッチャーはもちろん作家で、キャッチャーが編集者なんですけど。  球を受けているほうは、ピッチャーが今どういう球を投げてきているかとか、今日は調子悪いとかが分かるんですよ。今週は調子悪いからこれぐらいにしとこうかとか。  さっき鳥嶋さんが言ってましたけど、漫画って毎回面白くなくても、キャラクターが良ければアンケートの票を取れるんで。1週、2週だったら我慢してもらえるし。  それなら「マックスを3週目に持っていこう」でいいんですよ。その判断をするのがキャッチャーで。ここは点数を取られても大丈夫。ここはヒットを打たせても大丈夫、とかね。そういうのをやるのが編集で、編集の力がないと、作家って伸びないんですよ。  編集者がいないと、誰もイヤなことを言ってくれない。「お前これ、クソだろう」って言ってくれる編集がいないと、周りがファンだけだと、ピッチャーが壁当てしてるのと一緒ですよね。  たとえ良くなくても、「今日もスゴい球を投げてました」ってなっちゃう。  スポーツ選手でも、トレーナーのいない人って絶対にいないと思いますよ。だって、客観的に見て「ここがダメだ」とか「今ここがイイよ」とか言ってくれる人がいないと、やりがいもないし、どこを修正したらいいかも分からないから。  そういう意味で、使えない編集はいらないと思います。それだったら自分1人で描いたほうがいい。  自信があるなら1人で描いてもいいし、それで当たる人も絶対いると思うんです。でも編集者は、その作家の才能を信じて愛しているからこそ、何を言ってくれるかっていうのがすごく大切で。  もう1つ、作家って絶対に作れないんですよね。才能って作れないんです。  そこにあるんですよ。だから編集の仕事は、その才能をどう磨くかなので。それができるかどうかだと思うんですよね。ダメな人もたまにいますけど(笑)。集英社の編集に限って言うと、これは宣伝ですけど、できると思います。 鳥嶋氏:  いま矢作が言ってることに突っかかるとね、最初にどれだけ的確に「NO」を言えるかなんだよね。  さっきの話だけど、ベテランであればあるほど、自分で簡単に作れちゃうわけですよ。でもそれが本当に面白いかどうか疑問に思ったら、夜も眠れないはずで。それをいかに的確に、評価として言ってくれるかなの。  作家が表現をしたい、伝えたいということは「売りたい」だよ、たくさんの人に。だったら編集はそれを伝えるために、どこに読者がいて、どういうふうに表現すれば伝わるかを知っているべき人間なの。  それが編集の役割なの。さっき矢作が言ったように、才能そのものは作れない。だけど、才能を形作ったり、どこかに運ぶことはできるから。編集の役割はそこなんだよね。 矢作氏:  僕は話が長いから打ち合わせに4時間かかるんです(笑)。これだとたしかに、鳥嶋さんは30分で終わる。僕は作家の時間を無駄にしてますね(笑)。 一同:  (笑) 他人の話を聞いて直しをできる人間性が、作家の才能 ──編集者がヘボくても、作家さんだけの力でヒットするということは、『ジャンプ』ではあるんですか? 矢作氏:  それは絶対ありますよ。 鳥嶋氏:  逆に、低迷していた漫画が編集の力で盛り返した、というのはあったけどね。『キン肉マン』がつらかった時に、僕の後輩が担当になって。そいつが格闘技に詳しいヤツだったので、『キン肉マン』をプロレス路線にしたら、一気に火がついた。  だから、そういうこともある。どの編集がつくかによって、作家の運命は変わるね。 (画像はキン肉マン 3 (ジャンプコミックス) | ゆでたまご | Amazonより) 矢作氏:  相性もありますしね。すごい才能があっても、担当によっては潰されちゃうというか、それは違うんじゃないか、みたいなことになる場合もあるでしょうし。 ──作家さんの才能というのは、具体的にどんなところで感じ取るんですか? 矢作氏:  いちばん分かりやすいのは、人の話が聞けるかどうかですね。 鳥嶋氏:  その通り。つまり、直しができるかどうか。 矢作氏:  逆に、それしかないかもしれない。だって、いくら言っても直してくれないのなら、面白くなりようがないですからね。 ──それは解釈力ということ? 矢作氏:  解釈というよりは、本当に聞く耳を持っているかどうかですね。 鳥嶋氏:  人間性かな? 矢作氏:  人間性ですね。聞こうという意志があれば、10時間かけて話しても聞いてくれますから。 ──言うことを聞かないんだけど、アウトプットはスゴイなぁ、みたいなパターンはないんですか? 鳥嶋氏:  ない。 矢作氏:  スマッシュヒットはあると思うんですよ。作家のいいところだけを、他はいいからそこだけを描くことにすれば。『ジャンプ』だったら10万部ぐらいはいけるかもしれないけれど、でも100万部は決していかないですね。 鳥嶋氏:  そうだね。100万部いくか、いかないかは大きな違いだね。100万部を超える作家と、そうでない作家はぜんぜん違う。 矢作氏:  聞く耳は本当に大きいですね。 ──10万部の作家と100万部の作家の違いが分かる肌感覚って、たぶん『ジャンプ』編集部ぐらいしかない気がしていて。この手の話って、正直、僕も含めて“その肌感のない普通の人”が何を聞いても、本当の意味ではピンと来づらいんですよね。 矢作氏:  画力が大きいと思いますよ、説得力のある絵が描けるとか。できる人は大勢いるんですけど。その中でも特にできる人。  あとは打ち合わせがちゃんとできる人。そういう人は「いけるんじゃないか」って雰囲気が出るんです。 ──漫画の絵って、イラストレーターとはぜんぜん違うじゃないですか。ちょっと前に三浦建太郎さんを取材させていただいたんですけど、その時にすごく興味深いと思ったのが、“絵の身体性”みたいなお話で。  ガッツが剣を振った時に、どういう角度で当たると、どういうふうに吹っ飛ぶか。そういう言葉では説明できない、絵を見た時の気持ち良さみたいなものを追求しているってお話だったんですけど。  その気持ち良さをどこで学んだかというと、『北斗の拳』で拳が読者に向かって飛んでくる表現だというんですね。  あれは横から見るパンチと違って、身体性があると。もっと具体的にいうと読者に対して向かってくるみたいな描き方だって話をされていて。  それを見た時に「あっ」ていう感じがあったんだと。そういった身体の感覚みたいなところまで踏み込んだ「動きの表現」をしているのが、漫画とそれ以外のイラストの決定的な違いだと思うんです。 鳥嶋氏:  もっと言うと、表情を描ける��どうかだね。イラストレーターに表情は描けない。漫画家は顔を描くだけじゃなくて、たとえば手の指を描いても、そこに表情をつけられるんだね。 少年漫画は主人公の成長“しか”描いてはいけない ──漫画の説得力って、お話とかプロットとかの構成だけではなくて、コマの描写1つだとか、いま言われたような絵の描写における情報量が、ぜんぜん違うと思うんです。 鳥嶋氏:  あとはキャラクターだね。そういえば、『NARUTO-ナルト-』の主人公はなんでナルトって名前で、ハチマキをつけさせたの? 矢作氏:  ハチマキは、忍者ってもともと鉢金をつけてるじゃないですか。  ナルトは普通に、最初から出てきましたね。主人公の名前が「うずまきナルト」っていうのは、いかにも『ジャンプ』っぽいし、少年漫画っぽいじゃないですか。そんなふうに何も考えずにつけてます。「NO」は1つも出なかったですね。 鳥嶋氏:  このネーミングのセンスと、鉢金のところの渦巻き模様ね。パッとキャラ表を見た時に、「こいつ上手いな」って。センスあるわって思うよね。 矢作氏:  天然なんですよ。岸本先生はいろんな作家の影響を受けているんですけど、描いていて気持ちいい絵じゃないですか。 鳥嶋氏:  キャラクターっていう話をもっと深めていくと、さっき矢作が言ったように、主人公を描けない作家はダメなの。100万部を超えられないよね。主人公が出てきた時に、こいつが主人公だ、と見えないといけない。 矢作氏:  ナルトは明らかに主人公ですからね。 鳥嶋氏:  あれが少年漫画の主人公だね。それをスッと描けるのがセンスなんだよ。サスケじゃ主人公じゃないんだよね。 矢作氏:  僕もじつは、ナルトはそんなに好きじゃないというか、共感できるキャラクターが最初はいなかったんですよ。どっちかというとサスケのほうが共感できる。  でも、だからこそナルトみたいな主人公をスッと描けるのは、才能だなと。この才能の原石をどう磨くのかはけっこう簡単で。  自分みたいな普通の人がどういうものを求めているのか、という話をしていくだけなので。 鳥嶋氏:  もっと言うと、サスケは隙間が少ないんですよ。キャラとしての手足の本数が少ない。だから逆に、出てきた時にはキャラが立ってて分かりやすいわけ。  それに対して、主人公には隙間が必要。キャラとしての手足をたくさん持っていれば、いろんな人間と手を握り合ったり、どうのこうのができるわけ。  そういう隙間を持っているキャラクターを設計できるかどうか。それがセンスなの。 矢作氏:  岸本先生自身は、サスケがいちばん描きづらいって言いますけどね。あんな分かりやすいキャラを。ずっと「理解できない」って言ってましたから。 松山氏:  結局、サスケの気持ちは最後まで分かんなかったからですね。 鳥嶋氏:  あれは1回殺すべきだったね、早めに(笑)。 矢作氏:  それは分かってるんですよ。僕が担当を離れる時に「サスケをなんとかしてね」と言って別れたので。だから申し訳ないなと。最後は逃げましたから。もっと早く片付けるべきでしたね。 鳥嶋氏:  キャラクターに関して言うと、敵キャラって人気が出やすいんだよ。だけど主人公はちゃんと毎回出して、真ん中に置かなきゃいけない。そうじゃないと少年漫画じゃなくなるから。そこが厄介なの。 松山氏:  主人公の成長はちゃんと描くべきだと、私も思うんですけれども。敵の成長をダラダラと描くのは、絶対に要らなくて。 鳥嶋氏:  僕もね、敵の成長は要らない。 矢作氏:  主人公しか描いちゃダメなんですよ。他のキャラクターが可愛くなって描いちゃうのは、作家のエゴだと思います。だって読者は、主人公を見たくて読んでいるはずなんです。 鳥嶋氏:  全面的に賛成だな。 矢作氏:  作家はついつい、「この敵キャラをもっと描きたい」って可愛がりそうになるんですよ。それで1回、エピソードを作ろうとするんで、「それは主人公と関係��るの?」って聞くんです。  そのエピソードは主人公が伸びていくのに関係があるのかどうかを聞いて、「関係ない」って言ったらやらせない。「じゃあ、むりやりにでも関係づけて」って(笑)。このキャラが成長することで主人公も成長するんだったらイイよと。  『ドラゴンボール』のスゴイところはそこなんですよね。主人公だけを描いている。  最後まで悟空で終わっているという。誰もセルの気持ちになんか、なっていないわけですからね(笑)。 松山氏:  なろうとも思わないし(笑)。 「ゲームの画面写真に映っているナルトの足の指が、カッコ良くないから描き直せ!」 ──昔と今では、編集者の役割が変わっているのかどうかをお聞きしたいんです。『ジャンプ』ひとつとっても、昔は600万部を超えていたのが、今は200万部を切ったぐらいですか。  昔だったら『ジャンプ』で人気になれば自動的に売れるっていう道が見えていたけれども、今は必ずしもそうではない世界が来つつある。これからもっとそうなっていった時に、編集者がカバーすべき領域や、果たす役割はどうなると思います? 矢作氏:  僕は『ジャンプ』にずっといたので、だから正直分かんないです。『ジャンプ』とそれ以外というのが、すごくあるんですよ。  『ジャンプ』以外の雑誌って、作家と作品をどうプロデュースするかっていう能力を持っている編集者も必要な��で。ヘタすると才能があるのに売れない作家もいて、それをどうプロデュースをするかという能力のほうが必要なのかもしれないと思いますね。  特に今こういうご時世だと。 松山氏:  実際、面白い漫画を作って売るのって、じつは漫画ビジネスとしては入口で。ある時から、おそらく鳥嶋さんぐらいからだと思うんですけど、漫画を作るということと、ビッグIPを作るという意味合いがイコールになっていて。  どのタイミングでアニメ化して、映画化して、ゲーム化してというふうに、漫画以外の商品を作っていくか。あとはそれをどれだけ持続できるかっていうところまでが、編集者の担当なので。  最初は漫画家さんと向き合う編集担当だと思うんですけど、途中から完全に、やってることはほぼプロデュースという状態に、こちら側からすると見えていますけどね。 鳥嶋氏:  あのね、見え方はそうかもしれないけど、順番を間違えちゃいけない。やっぱり作家と一対一で対面して、その作品を磨かないことには、その後は全部ない。 松山氏:  なるほど、たしかにそうですね。 矢作氏:  僕はプロデュースするのが苦手だったので、そういう意味で、仕事をしたっていう記憶はひとつもないんです(笑)。邪魔しかしてないんじゃないかって(笑)。 松山氏:  いやいやいや(笑)。 鳥嶋氏:  今の矢作の発言を聞くと、松山さんの本に出てくるエピソードがね、いかにも矢作らしい、『ジャンプ』の編集らしいエピソードだと思うよ。「足がちゃんと作れてないじゃん」と本に書いてあるわけ。 矢作氏:  足の指ですよ(笑)。 鳥嶋氏:  「ナルトの足の指がちゃんと描かれてない」ってさ。それはゲームの中ではどうでもいいことだよね。 松山氏:  なにしろPS2のゲームですからね(笑)。 (画像はAmazon | NARUTO-ナルト- ナルティメットヒーロー | プレイステーション2より) 鳥嶋氏:  だけど、そこに目がいって、こだわってしまうところが漫画編集だから。 矢作氏:  それは違うんですよ。ゲームの中で動いてるのは別にいいんですけど、画面を撮影して誌面に載っける時に、「カッコ良くしてくれ」って言ったんです。  動いてるのを止めて、ちょっと変なのは当たり前じゃないですか。いいアニメでも、動いてるのを途中で止めたら、とんでもない絵になってるじゃないですか。でも誌面に載せる時は、めっちゃカッコ良くしてくれないと困る。だから描き直してくれって(笑)。 松山氏:  我々からすると、画面のスクリーンショットを撮った後に、そこに手を入れるというのは、お客様にバレたらどうすんだっていう(笑)。 鳥嶋氏:  結局、足を全部描き直したの? 松山氏:  描き直しましたね。『ジャンプ』に載るってこういうことなんだと、現場のスタッフに説明して。「描き直していいんですか?」「じゃないと載らないから」って(笑)。 矢作氏:  ウソをついているわけじゃないんですよ。動いているのを見たらカッコ良いと思うんですから。でも止めるとカッコ悪いから、それをカッコ良く描き直してほしいと(笑)。  だってカッコ良い絵じゃないと、そのゲームを欲しくならないじゃないですか。ゲームの中ではカッコ良いんだから。それがダメなんですか? 松山氏:  結果的に正解でしたけど(笑)。 鳥嶋氏:  これね、すっごくよく分かる。僕も『ドラゴンボール』の監修を上がってきた時、見た瞬間に……。 鵜之澤氏:  「捨ててくれ」って(笑)【※】。似てないからってだけだからね。「似てないから全部捨てろ」と。 ※『ドラゴンボール』のゲームを「捨ててくれ」 この「事件」については、2019年10月26日に「Unite Tokyo 2019」で行われた講演「出版社とゲーム会社はなぜすれ違う? ドラゴンボールのゲーム化で酷い目にあった…もとい勉強させて頂いた話」で、鳥嶋氏や鵜之澤氏のコメントも交えて、詳しく紹介されている。 鳥嶋氏:  3億円近くかかったヤツを「全部捨てて」って(笑)。それも矢作が言ってるのと同じだよ。 鵜之澤氏:  絵しか見てないんですよ。「似てる」「似てない」しかない。でも、それが基本だよね。たしかにそう。ましてや『ジャンプ』本誌や『Vジャンプ』に載る絵が似てないって、編集部としては絶対に認められないじゃないですか。 矢作氏:  だから僕は毎回、赤ボールペンで「こうやって直してくれ」って、レタッチの指示を出して。 松山氏:  指の爪まで描いてましたからね(笑)。 矢作氏:  そしたら松山さんが不思議な顔してるから、なんだろうと思って(笑)。 鳥嶋氏:  衝撃だった? 松山氏:  衝撃でしたね(笑)。 鳥嶋氏:  それはね、担当編集は絵コンテから、原稿チェックから、入稿から、本になったものも含めて、そのビジュアルをどのぐらいの時間、見てるかなんですよ。だから見た瞬間「違う」っていうのが分かる。  これは、さっき矢作が言った一言に尽きるんだよね。「読者にカッコ良く見せたい」。それだけの時間を作家が費やしているんだから、そのベストを見せたい。 矢作氏:  あと、ゲーム自体もカッコ良いんですよ、動いているのを見ると。でも、止めてこんなにカッコ悪いのはマズいだろうと(笑)。損じゃんっていう。 鳥嶋氏:  止めるかな? 松山氏:  止めないと写真が撮れないですから(笑)。 矢作氏:  その止めた画面をそのまま載せるっていうから、「それは損でしょう」と。 松山氏:  だから、PVとかで動画で見せるぶんには、何もおっしゃらないんですよ。ただ、『ジャンプ』に載せるのは写真だから、これは全部描き直してって(笑)。それで足の指を全部描き直しました。ちなみに手の指も描き直しましたね。 矢作氏:  こんなナルトを雑誌に出せないって思いましたから。あまり知らないからですけどね、ゲームを。 松山氏:  当時のPS2のゲームって、五本指を表現できなかったんですよ。指とかも3本くらいしか関節がないから。  ナルトの指っていっても、影分身の印もまともに結べない状態なので。少なくともこれなら印を結んでるように見えるだろうということでポリゴンを当てたんです。でも「これは印が違う」って(笑)。そりゃ違いますけど(笑)。 矢作氏:  動いてれば、そう見えてるのに(笑)。 松山氏:  「どこに関節があるか分からない」とか言って(笑)。 矢作氏:  そうですね、すいませんでした(笑)。 松山氏:  いえいえ、とんでもないです(笑)。 鳥嶋氏:  いい話だわ、いい話だ(笑)。でも、それが結果的にね、読者に伝わるんですよ。なぜかというと、ゲームを待っている読者はジーッと、その画面を見ているんだよね。 矢作氏:  それしか情報がないですからね。 松山氏:  『ジャンプ』は動かないんで。 矢作氏:  買うか買わないかって迷ってる子に、カッコ良いと思ってもらいたいなと。当時は他のゲームも『ジャンプ』に載ってて、そっちはカッコ良かったんですよ、わりと。顔だけカッコ良いとか。 松山氏:  他のゲームはみんな拳を握ってるんですよ。関節がいらないんです。グーの状態でパンチを前に出しているだけなんで、ぜんぜん問題ないんです。『NARUTO-ナルト-』はとにかく指の演技がすごく多かったんですよ。印を結ぶから。 鳥嶋氏:  たしかに『ドラゴンボール』は印を結ばないからなぁ(笑)。 漫画の未来は、明るいと思いますよ 鳥嶋氏:  「残り時間、あとわずかです」だって。 松山氏:  どうまとめますか?(笑) ──僕はさっきの漫画アプリの話を、すごく興味深いと思いました。アプリの話をすると、ダウンロード数がどうのこうのとか、マーケット寄りの話になることがすごく多いんですけど、矢作さんからは、作り手の視点でのアプリの話がすごく出てきて。  漫画アプリには入れ替える判断がないから本当にいい作品が磨かれる土壌がないというのは、ものすごく本質的というか、あまり語られていない部分のお話ですよね。 矢作氏:  漫画アプリからは、すごく才能のある人が出てきていると思いますよ。ただ、その密度は薄いんじゃないですか。そんなには出てこない。 ──ネットメディアから本当のヒット作がなかなか出ないのはなぜだろうと、僕はずっと疑問に思っていて。ネットメディアって、見る人の数だけで言えば膨大なんですよ。  それなのに本当のヒット作が出てこないのは、何か原因があると思っていて。それはマーケットとかそういう話じゃなくて、おそらく作る側の仕組みだとか作り手の空気みたいなものが、1つの原因じゃないかと思うんです。 松山氏:  作家さんが今、ネットで自分で発信するだけで、読者の反応があるじゃないですか。「編集者なんかいなくたって、自分は読者から“いいね”をいっぱいもらってる」という、そういった勘違いが起きているだけだと思うんです。 鳥嶋氏:  そういう良い評判を持っている人が、中途半端なところで妥協してしまうと、もっとたくさんのものを持っているはずなのに、埋蔵量が見えていないんだよね。それを僕はもったいないと思うわけ。  さっき矢作が言ったけど、やっぱりキャッチャーがいることで、単に球速が何キロってだけじゃなくて、受けた時の球のキレとかね、そういうものも含めた資質を見ることができる。 鵜之澤氏:  ネットにこれだけいろんなものがあって、たとえばYouTubeにしても、その場さえ面白ければいいわけじゃないですか。  それに対してお金を払う価値のあるものは、漫画の単行本もそうだし、ゲームもそうだけど、いわゆる作家性、作品性みたいなものを持っている。それに感動して、作っている人のためにお金を払おうって、みんな頭では分かってるんだよね、子どもでも。これを買ってあげると連載が続くとか、アニメが続くとかってことを。  1円でもいいからお金を払うかどうか。やっぱりそこがアマチュアとプロの差じゃないかと思う。  でもアマチュアが今、お金を稼げるようになっちゃった。e-Sportsにしても、YouTuberにしても。ゲームを作った人よりも、そのゲームを遊んで実況する人のほうがお金を稼いでる。それはちょっと悔しいよね、モノを作ってきた人間としては。 松山氏:  でもそれはホントに、一握りの例外の話じゃないですか? 鵜之澤氏:  『ジャンプ』ってね、ソシャゲとかと同じようにアンケートを基準にしているけれど、決してそれだけじゃない。  ネットの場合はそれだけだから。フォロワー数、ビューワー数で今日はいくら入りました、というところで。そこからは本物は出てこないですよね。絶対に残らない。 矢作氏:  僕もそう思うんですよね。そう思うんですけど、その一方で今は、e-Sportsの選手に憧れる子どもたちもいるし。ウチの娘はインスタばっかり見ているし、息子も動画ばっかり見てます。『FORTNITE』の動画も見てますよ。  僕はけっこうスマホで漫画を読むんです。縦読みの漫画も読みますし。だけど娘は「面倒くさい」って言うんです。  そういう子たちがどういうものを作っていくのか。そういう子たちが次は何を楽しいと思うのかは、その子たちにしか分からないですから。  そういう意味で言うと、次の子たちが出てきた時にどう育ててあげられるかは、ここにいるみなさんの使命というか。松山さんも、いつまでもディレクターではダメなので(笑)。  若い子に「何がいいの?」って、聞いてあげたほうがいいし。 松山氏:  もちろん、もちろん! 若い人間にはドンドンやらせてますよ。 矢作氏:  僕は編集作業を38歳で外れちゃって。『ジャンプ』って早いんですよ。だからよけいに、そう思うんです。 鳥嶋氏:  オレも38で離れたな。 鵜之澤氏:  やっぱり40過ぎちゃダメだよね。 矢作氏:  だから鳥嶋さんが今、コミティアで新人の作品を見ているって聞いて、スゴいなと思ったんですけど。  僕も若い作家の連載ネームを見て、自分の意見を言うんだけれども、「今の若い子がこう言うのなら、そっちが正しいのかな?」って気持ちもあるし。これは別に老いとか老化でもなく。  だから逆に言うと、若い子が作ってきたものを感じ取れるというのは、僕らの力だと思うんですよ。だって僕の親が今の若い子の漫画を見て、それを面白いとは絶対に言わないですから(笑)。  だから僕はそれを「今はこうなんだ」って感じられるようになりたいですね。  でも漫画の未来は、明るいと思いますよ。 鳥嶋氏:  なぜ? 矢作氏:  だって今現在も、漫画がいちばんIPを生んでいますから。他で出てくることって、ほとんどないので。しかも紙がまだ優勢です。それは僕が紙の雑誌をやっているからなんですけど(笑)。  でもさっき言った理由で、紙の雑誌はページ数が決まっている以上、始めるぶんだけ終わらないといけないので、そのぶん平等で、自浄作用がありますから。 ──今日はこんなところで。いろいろ興味深い話が聞けたと思います。けっこう本音の話も出たのかなと。お疲れさまでした! (了)  ここで語られているように、『ドラゴンボール』や『NARUTO-ナルト-』『ONE PIECE』といった『ジャンプ』の人気タイトルは、連載当初から大ヒットが約束されていたわけでは、決してない。  読者アンケートによる他の連載漫画との人気争いに勝ち残るため、時には他の漫画を徹底的に分析して、より多くの読者に“届く”作品となるように磨きをかけていく。そうした不断の努力によって、世界的な大ヒット作へと成長していったことが、鳥嶋氏や矢作氏のコメントからよく分かる。  なかでも驚きなのが、『週刊少年ジャンプ』における新人発掘のシステムだ。読者に感性がより近い、新人漫画家と新人編集者のタッグを意識的に作り上げて、そうした若い才能が活躍する場を、属人性を廃したシステムとして提供しているという。  このシステムこそがまさに、革新的なヒット作がどの時代でも次々と生まれてくる、『ジャンプ』の“強さ”��秘密なのだ。  だが現在、『ジャンプ』だけでなく漫画業界は大きな岐路に立っている。対談の中で矢作氏が投げかけていたように、WEBでの漫画アプリをはじめとする新しいメディアにおいて、『ジャンプ』のような新人発掘のシステムを作り上げることができるかどうかは、今後の漫画を左右する重要な鍵となるのではないだろうか。  もちろんこれは、漫画業界に限った話ではない。ゲームから小説、音楽、映像といったあらゆるエンターテインメント、ひいてはあらゆる産業において、若い才能をどのようにして発掘し、その若い才能が活躍する場を“システムとして”どう整えるのか。  未来へのビジョンを考える上で、これは非常に重要な課題だと言えるだろう。 週刊少年ジャンプ 公式サイトはこちら 【この記事を面白い!と思った方へ】  電ファミニコゲーマーでは独立に伴い、読者様からのご支援を募集しております。もしこの記事を気に入っていただき、「お金を払ってもいい」と思われましたら、ご支援いただけますと幸いです。ファンクラブ(世界征服大作戦)には興味がないけど、電ファミを応援したい(記事をもっと作ってほしい)と思っている方もぜひ。  頂いた支援金は電ファミの運営のために使用させていただきます。 支援金を送る(PayPal.Me) ※クレジットカード / 銀行口座に対応 メッセージと支援金を送る(Ofuse) ※クレジットカードにのみ対応 【あわせて読みたい】  一体、伝説の漫画編集者とゲーム業界との関わりはどんなものだったのか? ほとんどメディアに姿を現さない氏に、長年の友人というカドカワ会長・佐藤辰男氏の紹介で我々が出会ったのは、とある都内の老舗ホテルの一室。  白髪頭におしゃれなブランド服の出で立ちで現れた鳥嶋氏は……確かにマシリトの面影がある。そして話し始めてみると、60歳を超えた人間とは思えないほどの俊敏な頭の回転で、カミソリのような切れ味鋭い言葉が次々に飛び出してきた。  ──かくして我々はその日、『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『クロノ・トリガー』など数々の名作ゲームたちが生まれるに至った、ゲーム業界黎明期における知られざるエピソードと人間関係の逸話の数々を、その中心人物の口から聞いていくことになったのであった。 インタビュアー TAITAI 電ファミニコゲーマー編集長、およびニコニコニュース編集長。 元々は、ゲーム情報サイト「 4Gamer.net」の副編集長として、ゲーム業界を中心にした記事の執筆や、同サイトの設計、企画立案などサイトの運営��般に携わる。4Gamer時代は、対談企画「 ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」などの人気コーナーを担当。本サイトの方でも、主に「 ゲームの企画書」など、いわゆる読み物系やインタビューものを担当している。 Twitter: @TAITAI999 ライター 伊藤誠之介 過去には『電撃王』『電撃姫』で、クリエイターインタビューや業界分析記事などを担当。現在は『電撃オンライン』『サンデーGX』などでゲーム記事を執筆中。また、アニメに関する著作も。 Twitter:@ito_seinosuke 編集 クリモトコウダイ 新聞配達中にトラックに跳ね飛ばされたことがきっかけで編集者になる。過去に「ロックマンエグゼ 15周年特別スタッフ座談会」「マフィア梶田がフリーライターになるまでの軌跡」などを担当し、2017年4月より電ファミニコゲーマー編集部のメンバーに。ゲームと同じぐらいアニメや漫画も好き。 Twitter:@ed_koudai
『ドラゴンボール』と『ナルト』の元担当編集が語る「ジャンプ」の裏側 ― 絶対に敵わない『ワンピース』に勝つために『ナルト』が取った戦略とは【鳥嶋和彦×矢作康介×鵜之澤伸×松山洋】
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the-bejeesus · 8 years ago
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darkbaron · 7 years ago
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明日のTVアニメ(地上波関東版)06/17
今日の一言:人を騙して傷つける人よりも、騙されて傷つく人であれ!なんてかっこいい事言っていた頃が懐かしい。人を騙��人にも騙される人にもならないほうがもっといい!!と今は高らかに言います。
※今日の一言を募集しています。アニメと無関係でも全然OKですが、改行は削除して1行にまとめさせていただきますので、予めご了承ください。   投稿は http://form.mag2.com/koutrethec から。
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~本日のnotes~ ・何か書けるといいんですがね~。 ・情報ソースはしょぼいカレンダーです。番組表はあくまで目安と言う事で、あとは購読者の皆さんの側でご確認ください。
※「本日のnotes」はあくまで雑記帳です。私が気が付かなかったことは書けないし、アニメとは無関係に言いたいことを書く時もあります。ご容赦を。
※この番組表は前日以前の発表に基づいて書かれています。正確な情報は当日の新聞や放送局サイトなどでご確認ください。
00:00  終物語 #10 「しのぶメイル 其ノ肆」 [TOKYO MX]
00:00  終物語 #10 「しのぶメイル 其ノ肆」 [群馬テレビ]
00:00  銀魂(第3期) #261 「沈まぬ月」 [チバテレビ]
00:12  孤独のグルメ(6) #10 「千葉県富津市金谷のアジフライ定食」 [テレビ東京]
00:30  ソード・オラトリア #10 「少年と英雄」 [TOKYO MX]
01:05  sin 七つの大罪 #9 「汝、一切の希望を捨てよ」 [TOKYO MX]
01:35  信長の忍び(2) #37 「百年の歴史」 [TOKYO MX]
01:40  ひなこのーと #11 「ゆくとしくるとし」 [TOKYO MX]
01:57  神撃のバハムート VIRGIN SOUL #11 [TBS]
02:27  ベルセルク(第2期) #22 「炎の旅立ち」 [TBS]
04:52  ぼのぼの(2016) #62 「ニクキュウを見に行こう」 [フジテレビ]
06:30  パスカル先生&ちぃちゃん #10 「『入るなキケン!動物教室/完璧(パーフェクト)プレート/1%パスカル』/ヒヤヒヤ!ゆーかとママの仲良し大作戦でち!」 [TBS]
07:00  ドライブヘッド #10 「激走!ソニックインターセプター!!」 [TBS]
07:30  遊戯王DM #121 「脱出!!」 [テレビ東京]
08:00  バディファイトX #12 「Cの支配者!ギアゴッドVII!!」 [テレビ東京]
09:30  デジモンユニバース #37 「襲来!極アプモン・アルティメット4!」 [テレビ東京]
17:30  僕のヒーローアカデミア(2) #25 「轟VS爆豪」 [日本テレビ]
17:35  境界のRINNE(3) #61 「花畑の謎/右腕貸します/黒い通知表」 [NHK Eテレ]
18:00  名探偵コナン #863 「霊魂探偵殺害事件(前編)」 [日本テレビ]
21:00  銀の墓守り #12 [TOKYO MX]
22:00  【最終回】 進撃の巨人(2) #37 「叫び」 [TOKYO MX]
22:30  バンドリ! BanG Dream!めざせ武道館特BanG!3 [TOKYO MX]
23:00  アトム ザ・ビギニング #9 「シックス戦闘不能」 [NHK総合]
23:30  Re:CREATORS #11 「軒下のモンスター」 [TOKYO MX]
23:30  Re:CREATORS #11 「軒下のモンスター」 [とちぎテレビ]
23:30  Re:CREATORS #11 「軒下のモンスター」 [群馬テレビ]
23:55  まけるな!!あくのぐんだん! #11 「お引越し」 [チバテレビ]
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jalopeura · 7 years ago
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i really really love the sound of this piece (Sun by Shiro Sagisu for the Berserk series 2016) but the vocals are so ughhh blagh so, uh, I cut it up to have no vocals. feel free to come at me or whatever, i don’t really care
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demifiendrsa · 7 years ago
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Berserk 2016 TV anime Blu-Ray volumes 3 & 4 fold out case artwork.
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Screen-Capture(s) of the Week:
Berserk #20. 「クリフォトの汚濁」 (”The Corruption of Qliphoth”)
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shioriwhite · 8 years ago
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あけましておめでとうございます!
なんかダラダラして、2016年を 振り返っていなかったので、今更ですが、 ふりかえろーと思います。
1年の振り返りは、 遅れても、記録しておきたいのです。
1月:地元のこじんまりしたお店で、N氏とY氏がごはん食べるというので、嫁と割り込んだ。(やるきにさせる会) 2月:バレンタインにクッキーを焼きました。以外と上手くいった。鹿児島の友達が就職が決まったので地元に帰ることに。最後にタコパをしました。このころから、彼のお店のチラシ制作を担当することに。 3月:彼の誕生日に手書きのパラパラ漫画を作成。結構時間掛かったけど、喜んでもらえて満足。妹の恋愛話に付き合う。うんうん、知らないところで大人の階段上っている。母とはじめて競馬場に行く。賭け事ではなく、馬の鑑賞がメイン。 4月:お花見に、王子動物園へ。ここはほんとに桜が綺麗なのでオススメ。伊丹の美術館で、エドワード・ゴーリーの作品を見る。緻密なイラストが素敵。 5月:猫を飼う。住んでいた家がペットが飼えなかったので、引っ越した。莫大な出費。でも一目惚れなので誰も止められず。引っ越しと、猫と大変な一ヶ月。嫁とお松さんカフェ。ガラス張りで、手作り感あふれる店内に失笑。恥ずかしかったNE。 6月:嫁が始めたルームシェアのおうちに遊びにいく。…この月は、それ以外の写真がない。笑 7月:ぴんくめん集会。毎年恒例行事になりつつある、2人の誕生日会をした。最後にケーキもプレゼントして、バースデイのスペルミスもよき思い出。同期が仕事辞めた。寂しさというより一緒に走れていると思っていただけに、悔しかった。はじめてのお笑いライブ。東京03を見に行った。後ろのほうだったけど、すごく良かった。握手会緊張した。(みんなおじさんなのにね。) 8月:京都へ、ダリ展に行く。バス乗り間違えたけど、なんとかたどり着いた。嫁とナイトプール。オシャレな感じ。監視?のおにいさんがイケメンなやつ。私は嫁とイチャついていましたが。お盆は恒例のお墓参り。伊丹の花火大会。料理教室を体験。金銭的に通う気はないけど、盛り上げといた。(最低) 9月:やる気にさせる会で、嫁の家の近くのお店で飲み。楽しかった。後輩のラグビーを見に行く。若いって素敵。きなちゃん(猫)の避妊手術。術後はぐったりで心配だったけど、だんだん元気になってきたので安心。 10月:グランブルーのイベント、よろずやシェロに行く。テンション上がった。誕生日に神戸へ繰り出す。鞄に一目惚れ。予期せぬ出費。プレゼントは、丸めがね。お気に入り。夜は飲みにいって、次の日も一緒。後日、家族にも誕生日会をしてもらって、幸せ。月末には、楽しみにしていた9mmのライブ。滝さんの調子が本調子じゃない。寂しかった。でも滝さんはもっと辛かったはず。これからも応援しよう。 11月:やる気にさせる会での釣に参加できず。来年こそは参加したーい。TSUTAYAカードを新しくしてみる。(なんとなく) 12月:やる気にさせる会に、彼(主催者)が初参加する。ご飯食べにいって、バッティングセンター。クリスマスは、何故か競馬場へ。有馬記念がちょうどやってたので、盛り上がっていました。おめでとうサトノダイヤモンド。
2016年アニメ ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない キズナイーバー(DVD) くまみこ 甲鉄城のカバネリ 坂本ですが? 昭和元禄落語心中 だがしかし 91Days はんだくん ベルセルク 僕だけがいない街 Dgray-man HALLOW
今年も、途中までしか見てないやつもありますがね。 91Daysと、昭和元禄落語心中は 私の中では、表現や題材が、注目のアニメでした。 (しかし、全部見ていない。笑)
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acgeo · 7 years ago
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griffith Berserker
Dans l’anime comme dans le manga, Griffith est le fondateur et commandant de la Brigade des Faucons, la troupe de mercenaires qui accueillera Guts (bien qu’à la base il s’agisse plus d’un groupe de bandits). Génie de la guerre et de l’épée, agile et gracieux, charismatique, doté d’une beauté androgyne surhumaine, Griffith constitue l’un des grands mystères de l’œuvre et avec Guts et Casca, un des piliers de Berserk.
Dans l’épisode 12 de la série (volume 7 du manga), Casca décrit parfaitement l’ambiguïté du personnage en opposant le « vrai » Griffith, au cœur pur et au sourire d’enfant, à un Griffith « corrompu », qui se révélerait plus nettement au contact de Guts. En fait, le flash-back de Casca révèle que cette « corruption » remonte déjà aux débuts de la Brigade des Faucons. Griffith est un personnage altruiste, animé par l’idéal du « rêve » auquel chaque homme digne de ce nom devrait consacrer sa vie, mais également dévoré par l’ambition liée à la réalisation de ce rêve qu’il veut atteindre — sans doute sous l’influence de son pendentif, le Béhélit qu’une vieille femme lui aurait « confié » à l’âge de 9 ans (mais cela est remis en question par les dires de Zodd, qui annonce à Guts que le Béhélit est lié à son destin et qu’il est une part de lui qu’il ne pourra jamais perdre). Griffith est animé d’un noble sentiment (accomplir son rêve, à savoir fonder son propre royaume), mais le chemin qu’il doit prendre pour réaliser son rêve n’est pas aussi innocent que ce dernier, et cela le fait souffrir (il est tiraillé entre deux choix : ne plus faire de morts — ce qui revient à mourir brisé, sans rêves — ou continuer son chemin vers la réalisation de son rêve).
Dans le volume 9, il est totalement détruit par le départ de Guts et ne sait plus quoi faire. En effet, le jour où il vit pour la première fois ce guerrier invincible, les premiers mots qui lui vinrent aux lèvres furent « Je te veux ». Peut-être par réelle attirance, très certainement par ambition, Griffith n’avait jamais su se passer de son meilleur guerrier et ami. Précipitant maladroitement l’accomplissement de ses plans, il a la mauvaise idée de consommer son flirt avec la princesse Charlotte, déclenchant la colère du Roi. Il est ensuite arrêté et torturé pendant un an mais finit par être libéré par les Faucons. L’année de torture a laissé des marques : écorché, muet et privé de ses membres (après s’être fait sectionner les tendons), il fait peine à voir. La Brigade et en particulier Guts et Casca sont fous de douleur et de rage (surtout le premier) de voir leur ami et chef réduit à un état si misérable. Comprenant que ses ambitions sont brisées et qu’il inspire à présent de la pitié à ceux qui l’adoraient, il prend la fuite.
Source
Berserk (ベルセルク, Beruseruku) est un manga de dark fantasy de Kentaro Miura. Il est prépublié depuis 1989 dans le magazine Young Animal de l’éditeur Hakusensha, et 38 volumes sont sortis en juin 2016. Le rythme de sortie de chaque tome est long car l’auteur précise qu’il porte un intérêt tout particulier au soin des détails de chaque planche. La version française est éditée par Glénat et 38 tomes sont sortis au 18 janvier 2017. En juillet 2015, le tirage total de la série s’élève à 27 millions d’exemplaires au Japon et 8 millions dans le reste du monde.
Source
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  Dessin repris depuis une illustration de Griffith, Beserker (2000 à 2003) Dans l'anime comme dans le manga, Griffith est le fondateur et commandant de la Brigade des Faucons, la troupe de mercenaires qui accueillera Guts (bien qu'à la base il s'agisse plus d'un groupe de bandits).
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