#ケース磨き
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2024/06/29(土)
この日はー
朝カフェに行って作業して
帰ってきてこれで遊びました。
学研の科学 ときめく実験鉱物と岩石標本: 世界とつながるほんもの体験キット ([バラエティ]) https://amzn.asia/d/0343moUS
最近のわたしはなんとなく鉱物が好きで、図鑑買ってたまにパラパラ読んだりしてたんですけど
本屋に寄ったらこれがあって、思わず買ってしまった。夏休みムード全開最高。
蛍石を荒さの異なる4種類の紙やすりで磨くことができるんだよ!!ほんもの体験たのしすぎ💖
ビフォアフ撮るの忘れたし、根性ないので磨き切れたかイマイチ分かりませんが、いちおうつるつるピカピカになりました💎✨
↑蛍石を磨きまくった後の紙やすり、なんかきれい
↑上から2段目の真ん中が雲母で、まじではがせるの!!!!念願
うれしすぎる
1枚1枚が超薄くてほんとにセロハンテープくらいの薄さ!
すぐに標本作れちゃうのも嬉しいポイント
いつか自分でもコツコツ集めて標本を作りたいな〜、このケースもなんか別のやつ買ってかわいくしたい
本と漫画もついてて、石ってこうやってできるんだ〜とか知れて(理科で習った微かな記憶の雲みたいなものがその辺に浮かんできたりはしたけどほぼ忘れてるので)、楽しかった。なんか石好きだわ。もともとは全部宇宙から来てるんだよみたいなとこが好き。
1番右下の玄武岩とかは月の暗く見える部分にもあるんだってー🌝
あと、職場に凝り性��先輩がいて、最近はコーヒーに凝ってるみたいなんだけど「趣味長続きするコツってなんですか?」って聞いたら「道具新しく買うことかな?」と言っててなるほどとなった!それもあってこれ買ったところあったんだけど、やってみて納得した。買ってよかった〜
出会ったことありませんが、もし鉱物に興味がある人いたらいっしょに発掘体験とか行きましょう。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和六年(2024)4月19日(金曜日)
通巻第8221号
後継皇室問題で自民党が有識者会議の二案を『妥当』
やはり自民党に「現代の新井白石」はいなかった
*************************
皇統後継問題の皇室典範改正をめぐって有識者会議が開かれ、これを踏まえて岸田首相は令和六年(二〇二四年)一月三十日の所信表明演説後の質門に答え、かく述べている。
「有識者会議において悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないとの結論に至った」。
つまり「女系天皇論」という俗論をたしなめたのだ。だがメディアは意図的に、この一歩踏み込んだ発言を殆ど伝えなかった。岸田首相は「悠仁親王殿下までの皇位継承の流れをゆるがせにしてはならない」と明言しているのである。
皇統は神武以来の万世一系で男子が継承し、跡継ぎが幼少などの場合、未亡人皇后か独身の内親王が天皇代理として「称制」と務めた。この歴史の特質が意図的に議論されず学校でも教えない。
だから軽佻浮薄にも「愛子天皇待望論」が出てくる。女性天皇と女系天皇の区別も曖昧とされたままである。
小泉政権のおり皇室典範改正をめぐって有識者会議が開催された。明治二二年(一八八九年)制定された典範により、男系長子が皇位を継承するという神武天皇以来の万世一系の伝統が守られてきた。状況が変化し、皇統が絶えかねないという危機を認識し、急遽、有識者会議が招集された。
だが、座長はロボット工学専門の学者��歴史には無知だった。秋篠宮に悠仁親)王がお生まれになって、皇統問題は棚上げとなった。
もしこの流れを変えるとなると歴史を否定する革命である。フランクフルト学派が狙うのは二段階革命による国家破壊であり、グローバリズムが国境をなくせと唱えている国家否定の隠れた目標に通底する。
4月15日、自民党は皇位継承の安定のための皇族数確保に関する有識者会議の二案を『妥当』とする立場を示し、「安定的な皇位継承の確保に関する懇親会(麻生副総裁が会長)で党見解のとりまとめを急ぐとした。
「二案」とは(1)皇族女子の結婚後の皇族身分保持。(2)養子縁組に拠る旧皇族団系男子の皇籍復帰、である。
自民党はいずれも妥当としたわけだが、いささか勉強不足だろう。やはり与党に現代版の新井白石はいなかったのだ。
各党の意見のなかで、唯一まともなのが「維新の会」である。すなわち(1)に対して、現実的ではあるが「女系への皇位継承資格拡大につながる懸念がある」としている。
(2)に関しては『歴史と現実を踏まえれば、高く評価できる』とした。
そもそも皇室典範の改正云々を内閣ごときがおこなうべきではない。立太子と親王殿下がおられるのに、なぜこんな議論をするのか、裏に何か別の動機が潜んでいるのか。
(参考文献 宮崎正弘『二度天皇になった女性 ─孝謙・称徳女帝の光と影』(ワック)
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(再録)「新井白石 皇統断絶の危機を予知」
皇統が断絶の危機に瀕したことは神武天皇の御代から幾度かある。また後継皇位を争った政争、謀殺も何回かあった。
古代史最大の謎は応神天皇と継体天皇の正当性である。ほかにも雄略天皇��謀殺したイチノヘオシハ(履中天皇の皇子、雄略天皇の叔父)の遺児が播磨と吉備の境に二十年隠れ住んでいて、雄略の皇子・清寧天皇が亡くなると名乗り出た。この間、イチノヘオシハの妹の称制だった。
新井白石は自伝ともとれる『折たく柴の記』のなかで、皇室の後継が不在となる危機の到来を認識し、東山天皇の祖孫をして閑院宮家を立てられるよう将軍に建言した。その皇統を維持させた経緯を次のように回想した。
「議し申すべき一事の候は天亨・建武の間、皇統すでに南北にわかれ、南朝はいくほどなくて絶させ給ひぬ。北朝はもとこれ武家のためにたてられ給ひぬれば、武家の代の栄えも衰えをも、ともにせさせ給ふべき御事なるに、応仁の後、世の乱れ打ち続て、武家すでに衰給ひにし上は、朝家のことは申すに及ばず当家(徳川)神祖天下の事をしろしめされしに及びてこそ、朝家(皇室)にも絶たるをも?ぎ、廃れしをも興させ給ふ御事共はあるなれ。しかはあれど儲君(皇太子)の外は、皇子、皇女皆々御出家の事においては、いまもなほおとろへし代のさまに、かは
り給はず。凡そ匹夫匹婦の賤しさも子を産みては其室家あらむ事を思ふ。これ天下古今の情也。(中略)これより後、代々の皇子、皇女、其数多くおはしまさむに至りては天下の富も、つがせ給はぬ所ありぬべしなど申す事も候はんか。古より皇子、皇女、数十人おはしませし代々もすくなかれねど、それらの御後、今に至り給ふは、いくばくもおはしまさず。『天地の間には大算数といふもののある也』と古人は申したりき。これらの事は人の智力の推し測るべき所にあらず。ただ理の当否をこそ論じもうすべけれ」(松村明校注、岩波文庫。138~140p)
新井白石は後継皇統の候補者がたくさんおられた時代ではなく、いずれ後継候補が不在となる危機にそなえ、別に宮家を建てて費用をまかなうべきと建言したのだ。
将軍家宣は白石の建言を受けいれ直仁親王を閑院宮と称し、禄千石を進上した。はたして白石が危惧した通り第113代東山天皇の系統は第118代後桃園天皇で絶えた。
そこで東山の皇子、直人親王の孫にあたる光格天皇が第119代天皇として即位された。光格天皇は閑院宮典仁親王の第六王子。誕生の翌年に聖護院に入寺し将来は出家して聖護院門跡を継ぐ予定だった。
ところが後桃園天皇が崩御し、直系は内親王だけだったため、安永八年(1789)十一月二十五日、践祚された。今上陛下はこの光格天皇の系統である。
ゆえに令和の時代の皇室論議に臣籍降下された旧宮家の復活が急がれる所以である。
白石が冒頭にのべた「建武の間、皇統すでに南北にわかれ、南朝はいくほどなくて絶させ給ひぬ。北朝はもとこれ武家のためにたてられ給ひぬれば」という意味は、建武の中興の後醍醐天皇の南朝が99代の後亀山天皇で世継ぎなく北朝五代の後円融天皇の皇子が、第百代の後小松天皇、101代称光天皇のあと、五代遡って北朝一代の光嚴天皇の祖々孫にあたる後花園天皇となられたことを指している。
皇位が空位となったケースは幾つかあるが、未亡人か独身の内親王が称制(臨時天皇)として正式な後継皇子が成人するのを待った。たとえば持統天皇、皇極・齊明、元正、元明がそうだ。孝謙・称徳天皇の場合は後継淳仁天皇を廃帝とし、次の光仁天皇を指名したとする遺書は藤原百川がでっち上げた。
第二十一代雄略天皇の子、清寧には皇子がおらず三代遡って履中天皇の皇子イチノヘオシハの遺児(顕宗、仁賢)が継いだことはみたが、その間の飯豊天皇は明治三年に皇統譜から削除された。ところが葛城の麓へいくと宮内庁管轄の飯豊天皇陵がある。
その後、第二十五代武烈天皇にも後継皇子は不在で、こんどは五代遡り、応神天皇の五代孫と言われた継体天皇が践祚された。継体天皇は越前からやってきたが二十年間も奈良へ入らず、この謎は解明されていない。
(『月刊日本』から再録です)
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パワハラなどの疑惑が指摘されている兵庫県知事。調査する百条委員会が初めて知事の証人尋問を行いました。 内部告発した職員は、なぜ死に追い込まれたのか。独自に入手したマニュアルから、告発者捜しの実態が見えてきました。 ■知事による“パワハラ疑惑”「知事様」と呼ぶ職員も…元職員の証言 パワハラ疑惑が指摘される兵庫県の斎藤元彦知事。30日、こう弁明した。 兵庫県 斎藤元彦 知事 「いろんな指摘をされたということは、真摯にうけとめ、自分の行動の襟を正していくということをやっていきたいと思います」 ことの発端は2024年3月、ある告発文が報道機関などに届いたことだった。告発文には兵庫県の斎藤知事について… 告発文書 「知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる」 「齋藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名」 さら��、当時副知事��った片山安孝氏に関するこんな疑惑も。 告発文書 「斎藤知事の政治資金パーティ実施に際して、商工会に対してパー券を大量購入させた」 「実質的な実行者は片山副知事」 告発文の内容について、兵庫県庁の元職員が報道特集の取材に応じた。斎藤知事を「知事様」と呼ぶ職員もいたという。 兵庫県 元管理職の男性 「『知事様』という言葉がこの頃使われていますけども、『自分は知事なんだからもっと丁寧に扱え』という姿勢で、あたられたように思いますね。 長い会見が終わった後で多分イライラされたのでしょうけど、終わった後に資料とかをバンっとお付きの職員に投げつけた」 知事の意見に異を唱えると、異動の対象になったという。 兵庫県 元管理職の男性 「飲みの場で県政に対して批判的なことを言っただけで、その人に対して『辞表を書け』と言って、迫られたこともあります。犯人を捜して左遷するなどの方法をとることによって、みんな職員はおびえ上がっていた」 この斎藤知事のパワハラなどの疑惑を告発し、7月に亡くなったのが西播磨県民局長のA氏だ。A氏の告発について元職員は… 兵庫県 元管理職の男性 「勇気ある行動だったと思います。(県が)きちんと処理していたら、彼は英雄になれていたと思います」 「一死を持って抗議をする」という家族へのメッセージが残されていて、自殺とみられている。 ■匿名で行われたはずの告発が…「告発者捜しマニュアル」独自入手 何がA氏を死へと追い詰めたのか。そもそもこの告発は匿名で行われた。にもかかわらず、県はどのように告発した人物をA氏と特定したのか。 報道特集は県が作成した告発者捜しのマニュアルを独自入手した。これは、取材を基に再現したそのマニュアルだ。タイトルは「庁内調査手順」。告発者の特定が組織的、計画的に行われていたことがうかがえる。 聞き取り対象として告発したA氏を含む3人の名前が書かれていた。3班に分かれ、1人に対して2人で聞き取りを行うことになっている。 A氏に聴取を行うのは片山安孝副知事(当時)と人事課職員となっていた。 【調査手順】 ・午前10時30分に、各班一斉に訪問し、調査開始。 ・秘書や周囲の職員に対しては、訪問の目的は「近くに来たので寄っただけ」と伝える。 ・「名誉棄損及び守秘義務違反の調査のため、パソコン、スマートフォンには触らないように」と告げ、事情聴取を開始する。 ・パソコンは押収する。 また「調査実施結果」と題された別の文書には、A氏への聞き取り結果について、こう書かれていた。 【調査実施結果】 ・午前10時45分から11時30分で事情聴取を実施。 ・告発文書のことは知らない、自分はやっていないと「否認」の姿勢。 しかし調査終了から2時間後、A氏から人事課へ電話があり、自ら告発を認めたと記されている。 【電話の主な内容】 ・すべて自分一人でやったことを認める。 A氏が別の対象者・B氏に電話をした時、B氏は聴取を受けている最中だった。会話はスピーカー状態にされていた。 ・情報収集してきたものを文章にまとめたことがバレた。 ・単独で行った。 A氏が告発を認めた発言には下線がひかれ強調されていた。聞き取りの2日後、斎藤知事が会見した。A氏を告発者と特定した上で、強い非難を繰り返した。 斎藤元彦 知事 「県民局長としてふさわしくない行為をしたということ。被害届や告訴なども含めて、法的手続きを進めているところです。」 知事は15人ほどの記者を前に、告発の内容は事実無根だと強調した。 斎藤元彦 知事 「不満があるからといって、しかも業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格ですので」 ■告発文書は「噓八百を含む事実と異なることが多々含まれている」 この告発について調査するため、議会は51年ぶりに百条委員会を開くことになった。A氏はその最初の証人として委員会に呼ばれていたが、出席を前に亡くなった。 遺族は声明を出した。 遺族の声明 「主人が最後の言葉を残していました。そこには一死をもって抗議をするという旨のメッセージとともに、百条委員会は最後までやり通して欲しいことが記されていました」 知事が公然とA氏を批判したことに問題はなかったのか。28日、知事に聞いた。 ――噓八百であるとか、公務員として失格だという発言についてどういうふうに考えていらっしゃいますか。 斎藤元彦 知事 「表現としては行き過ぎたという風に思ってまして、反省しています。一方で、噓八百を含むということをお伝えしましたので、噓八百を含む事実と異なることが多々含まれている文書だということです」 ――あの発言を聞いた元県民局長がどれだけ傷ついたかは想像に難くないわけじゃないですか。あれは公衆の面前で行われたパワハラそのものじゃないんですか。 斎藤元彦 知事 「私としては、そこはやっぱりああいう文書が作成配布されたっていうことは大変遺憾だったと思っています」 ――元県民局長が追い込まれて、それで亡くなるという結果が出ていて、その言葉で済まされるような状況じゃないと思うんですけど。 斎藤元彦 知事 「行き過ぎた発言があったということは、これまでも反省お伝えしていますけど、やはり誹謗中傷性の高い文章ですから、そこは繰り返しになって申し訳ないんですけど…」 知事は告発文の内容は誹謗中傷性が高いとして、A氏を処分したのは適切だったと主張した。 ■「保護する対象ではなかった」守られなかった告発者 公益通報者保護制度では、告発した人は降格や���給など不利益な扱いを受けることがないよう、保護される。 だが、自殺したとみられる兵庫県西播磨県民局長のA氏のケースでは県の窓口に公益通報し、その調査が行われていた最中に停職3か月の懲戒処分を受けていた。 県は告発者を特定する調査はA氏の同意を得て行ったなどと説明しているが… A氏と親しかったという県のOB職員がJNNの取材に応じ、A氏が強引な調査の実態を語っていたと明かした。 OB職員 「人事課の発表ではパソコンの回収も『同意の上で』となっているが、元幹部(A氏)は『不意打ちだった』と言っていた」 プライベートで使用していたUSBメモリまで持って行かれたという。A氏への聴取を行った片山副知事は7月、「特別職として責任を取る」と辞職している。 兵庫県 片山安孝 副知事(当時) 「前からよく知ってた職員で、亡くなった事実は本当に痛恨の極み」 会見中、涙を見せたが、それはA氏の死を悼んでのものではなかった。 兵庫県 片山安孝 副知事(当時) 「悔しくてしゃあないですけど、自分の能力がもうなかったのだと思っています。一生懸命やってる知事を何で支えられなかったのか。」 疑惑で名前が上がる片山副知事がA氏を聴取したことについて、斎藤知事に聞いた。 ――3月25日だと思うんですけど聴取を行われたのはどなたですか。片山副知事ですか。 斎藤元彦 知事 「片山副知事含めて対応されてます」 ――公益通報者保護法では、『公益通報内容の利害関係者はかかわってはいけない』と定められています。片山副知事はもろ利害当事者だと思いますが。 斎藤元彦 知事 「あくまで誹謗中傷性の高い文書を作成した。これをやはり内容から見て、県の職員が作った可能性が高いということで調査をしたので、懲戒処分に該当することをやった可能性がある職員がいる、ということで調査をしたので、これは公益通報に対する調査ではないんです」 斎藤知事はA氏は公益通報者として保護する対象ではなかったとし、現在も告発内容は真実ではないと主張している。
兵庫県知事のパワハラ疑惑を内部告発した職員は、なぜ死に追い込まれたのか 県の“告発者捜しマニュアル”を独自入手【報道特集】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
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実は間違い!やってはいけない「おばあちゃんの知恵袋」時代の変化と根拠のない過去の常識 - ライブドアニュース
以下引用
民間療法は過去の常識を疑おう
「昔は今のように便利なものがすぐに手に入ったり、情報にアクセスできなかったので、身近なもので編み出した“苦肉の策”的なアイデアも多いんです。ただ、医師の立場から言えば、実際に効果があったというエビデンスのないものは、おすすめしません」 と話すのは、公衆衛生学が専門の医師、柳澤綾子先生。
「民間療法はあくまで補助的に行うべきもの。例えば、切り傷の治りが悪いぐらいならまだいいですが、菌が入って化膿(かのう)させてしまうような危険なケースもあります」(柳澤先生、以下同)
逆効果で害に!正しい治療法を知ろう
「昔はアロエがすぐに手に入ったため、『切り傷にはアロエを塗る』といった民間療法は日本だけでなく、海外でもよく知られている方法です。���ロエの成分には収れん作用があるので、小さな傷であれば有効である可能性があります。 ただ、土や雑菌がアロエに付着していれば、それが傷口に入り、化膿する危険性も。その結果、傷痕が残る可能性がないとはいえません」 さらに、今も一般家庭で行われている、市販の殺菌消毒薬を使う傷治療も、医学の世界では“時代遅れ”。 「正常な細胞まで破壊してしまう危険性のほうが高いので、泥などを水で洗い流すだけというのが、現在の傷治療の常識。昔の常識が間違っているというより、研究が進んで新常識に塗り替わっているのに、広まっていないということなのでしょうね」 最近の研究では、植物や食材を皮膚に塗ると刺激になってかぶれたり、口にするとじんましんが出る「食物アレルギー」発症のリスクが上がることがわかってきた。 「例えばキュウリパックなどで食物アレルギーになった場合、その発症を��っかけとして同じウリ科のメロンなども食べられなくなってしまうことも。“おばあちゃんの知恵”的な『自然のものだから安全』という思い込みは捨てたほうがいいです」 ほかにもヨーグルトやレモン、米のとぎ汁などでも発症する可能性があるので、皮膚につけるのは避けたほうがベター。乾燥しやすかったり皮膚が弱い人は特に要注意だ。 この時期、風邪のひきはじめや体調が悪いときの言い伝えを試す人もいるのでは? 「『風邪をひいたときにネギを首に巻く』のも効果はないですね。ウイルスが引き起こす風邪に特効薬はありませんし、ましてや特定の食べ物を食べて治ることはないです」 このような民間療法は、誰かひとりに何か良い結果が出たことが、噂として広まっただけかもしれない……と柳澤先生は語る。 「実害がなければ、個人の判断で行うのは構わないでしょう。『心地がいい』『気持ちいい』というのも、私たち人間には大事な要素。ただし、イメージで妄信せず、その民間療法が安全かどうかを事前に確認すべきです」
おばあちゃんの知恵【風邪対策編】
×:ネギを首に巻く 首に巻くとネギの成分「アリシン」が鼻から入ってきて良い……というのが、この対策を“本当のように”思わせてしまう理由。 「アリシン自体は免疫活性化に役立つといわれていますが、風邪を直接、治すものではありません。そもそも、首の皮膚から経皮吸収できませんし、分子が大きいので吸い込んでも吸収されません」(柳澤先生、以下同) 免疫を高めるためには「寝ることに勝るものはありません!」 △:風邪のひきはじめには卵酒 酒に卵と砂糖を混ぜ、温めたのが「卵酒」。卵であれば常備している家庭も多く、液体なら体調が悪くてもとりやすい。 「身体に異物が入ってくると、細胞性免疫や白血球が抗体を使って戦うのですが、この抗体を作る原料がタンパク質。 卵の主成分であるタンパク質(アミノ酸)をとると免疫の原料が増えるという意味では、卵に限らず、良質なタンパク質をとるのは良いことです。ただ、お酒はいらないのでは。 私たちはお酒を消化する際、免疫に必要な栄養素を消費してしまうので、免疫力低下につながります」 △:風邪をひいたらチキンスープ 風邪のとき、欧米ではポピュラーな“おばあちゃんの知恵”が「チキンスープ」。鶏肉や玉ねぎ、セロリなどの野菜を煮込んで作る。 「諸説あるものの、米国胸部疾患学会(ACCP)の報告書では、しっかりしたエビデンスはみつかりませんでした。卵酒と同様、鶏肉はタンパク質が豊富とはいえると思いますが……」 療養食としては適しているが“治る”のは期待しないほうがいい。 △:喉のイガイガにははちみつ大根 咳が止まるといわれている「はちみつ大根」。皮をむいてカットした大根をはちみつに漬け、半日程度冷蔵庫に置いてからその大根やシロップをとるというものだ。 「はちみつには咳を止める効果があるという論文がありますが、大根には今のところ裏付けはないはず。はちみつは上気道炎で咳が出ている小児での調査でも、咳止めの薬と同程度の効果が見込まれました。 抗酸化作用や抗菌作用のある成分が多いからとされていますので、喉が痛いときには、はちみつのみを少しとってみては」 ただし1歳未満の小児に与えるのはNGだ。
昔ながらの生活の知恵
×:ひじきで貧血予防 鉄欠乏症などの貧血を防ぐ食品として日本では知られるひじき。しかし、1950年から発表されている『日本食品標準成分表』では、ひじき100gあたり55mgあった鉄分は、2020年版では6.2mg、つまり9分の1に減っていた。 「そもそも、この鉄分は食材に含まれていたものではなく、鉄釜で調理していたから。今はステンレス鍋などを使うので含まれる鉄分が減ったのだとか。これは切り干し大根も同様」 動物性と植物性の鉄は作用が異なるので、レバーや肉、魚の赤い部分、豆類や小松菜などをバランスよく食べよう。 △:こりや痛みに「こんにゃく湿布」 昔はこんにゃくを温めて、こりや痛みのある患部に当てていたそうで、今もナチュラリストの間では実践する人も。 「現代では温めた��なら、こんにゃくである必要性はありません。湯たんぽやカイロなどで良いはず。ただ急性の炎症の場合は冷却が基本だったり、慢性期は温めるのが基本であったり、症状によって違います。 炎症の種類によって変える必要があるので、自己判断で決めず受診したほうがよいでしょうね」 △:お酒を飲む前に牛乳 お酒好きの人は飲酒前に何かをとって二日酔い予防をしたいという人も多いだろう。そのひとつが、「お酒を飲む前に牛乳を飲むと胃に膜ができてアルコールの吸収を遅らせ、酔いにくくなる」という説。しかし、効果は期待できないという。 「タンパク質は分解酵素の原料としては役には立ちますが、即効性はありません。乳脂肪は胃の動きを抑制してアルコールの吸収を遅らせるという作用はありますが、微々たるもの。酔いがまわるのがほんの少し遅くなるというだけです」 ×:塩で歯磨き 塩で歯磨きをすると浸透圧で歯茎の中の老廃物を排出しやすくなるといわれているが、「浸透圧で分子の小さな水分は外に出てきますが、老廃物は外には出てきません」と、柳澤先生は一刀両断。 「塩の結晶が大きいので、歯や歯茎を傷つける可能性しかないです。塩で歯茎のマッサージなんてもってのほか。刺激は強いので爽快感はあるのかもしれませんが……」 汚れを落とす効果もなく、塩分過多で血圧や腎臓への影響も心配だ。 △:りんごが病気を遠ざける 「1日1個のりんごで医者いらず」ということわざが有名。加えて「りんごポリフェノールが豊富なので皮ごと食べるとよい」、「抗酸化物質の塊」ともいわれ、まるで“万能薬”のようにうたわれるりんご。 「ポリフェノールという意味ならぶどうや緑茶にも入っています。ポリフェノールには脳卒中や高血圧、多くの心疾患リスク要因を減らすという効果が期待できても、その作用を起こすほどの量を食べることは現実的ではありません」 さらに果糖もたっぷりあるので食べすぎると、血糖値の上昇や血中の中性脂肪の増加を招く危険性も。 ×:魚の骨が喉に刺さったらご飯を飲み込む 「ご飯の粘度で魚の骨が取れる人もいるそうですが、ますます深く刺さることもあります。たまたま取れた人がいたとしても、ほかの人も成功するとは限らず、おすすめできません」 食道は縦に裂けやすくなっているため、硬い骨を無理して取ると神経などが通る部分に炎症を起こすことがある。 「人の身体には異物を排除する機能があるので、ある程度は自分の身体に任せておいて大丈夫」 どうしても気になるときは、耳鼻咽喉科で取ってもらおう。 △:やけど・傷はアロエで治る 日本だけでなく世界中で、ケガをしたときによく使われている多肉植物のアロエ。この成分を使ったゲルを塗ることで、にきびの回復、やけどの回復が早まる可能性が研究で報告されている。 「やけどの��期対応としてアロエの葉を使う場合、冷却作用は期待できますが、今はそれより冷蔵庫の保冷剤を取り出すほうが、葉っぱを取りに行くより早いのでは?水道水で良いのでとにかく早く冷やしてください」 また、土にはさまざまな雑菌が含まれているので、アロエの葉とともに雑菌が傷に入れば感染症を起こす可能性が。人によっては皮膚がかぶれたりすることもあるので要注意。 ×:蚊に刺されたらアルカリ性の石けんで洗う 蚊の唾液が酸性なので、アルカリ性の石けんで洗うとかゆみがなくなるといわれている。 「まったく効果はありません。そもそも蚊の唾液が酸性であるという証拠がないのです。それに、皮膚の上に石けん水を塗ったからといって、皮膚内に入った蚊の有害成分に届くことはないですよ」 異物が体内に侵入するのを防ぐ役割を果たしているのが皮膚なので、特殊な医療技術を使わない限り奥まで浸透することはない。 ×:わかめで髪が黒くなる&増える 見た目が“緑の黒髪”という言葉を連想させるためか、伝説のように語り継がれているわかめの効果。 「白髪の予防になるという科学的なエビデンスはまったくなく、増毛作用の根拠もありません」 だが、海藻にはビタミンやミネラル、食物繊維といった、毛髪にも良い成分が豊富に含まれているのは事実だ。 ×:美白のためにキュウリのパック キュウリに含まれるビタミンCには美白効果、βカロテンには美肌効果などの効用は認められているものの、キュウリに含まれる量は少ない。さらにいえば肌に直接のせてパックをしても、ほとんど肌に浸透することはないという。 「キュウリをパックするというのは、そのメリットがまったくわかりません。冷たくて気持ちいい程度の意味しかないと思います。それに刺激物だと身体が認識して、かぶれてしまう心配もあり、こちらのほうが心配です」
今は効果なし!おばあちゃんの節約術
健康法だけでなく、おばあちゃんの節約術にもハイテクになった現代には使えなくなったワザが。節約に詳しい丸山晴美さんは、次の3つにダメ出しした。 ×:水道水はチョロチョロ少しずつ出す 昔は水道メーターの精度が悪かったため、少量ならカウントされず水道代が安くなるといわれており、洗濯機や風呂の水をためるときに実践している家もあった。しかし、今はメーターの精度が高いので、この方法では意味がない。 ×:冷蔵庫内にビニールカーテン 冷蔵庫の開閉時に冷気が逃げないようカーテンをつける人が続出。しかし、電気代の節約効果はいまいち不明……。それよりは食材を詰め込みすぎないこと、無駄な開閉はしないことを心がけてみては。 ×:コンセントはこまめに抜く 何でもかんでも電源プラグからコンセントを抜いていたが、家電の進歩により今は待機電力がほぼかからない。10年以上前の保温式の電気ポット、旧式のガス給湯器についてはプラグを抜くか、主電源を切って。
教えてくれたのは……柳澤綾子先生●医師、医学博士。東京大学医学系研究科公衆衛生学客員研究員、国立国際医療研究センター元特任研究員。集中治療・麻酔科専門医指導医。年間500本以上の論文を読破し、著作本『身体を壊す健康法』(Gakken)では、世界中から集めた情報をわかりやすく解説。
(取材・文/オフィス三銃士)
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2023/12/29
12月29日 昨日、体調を崩して今日の予定をキャンセルした友人はインフルエンザだったらしい。昨日の帰り道にちょうどよく連絡がついて先日干支ツリーを見た友人と会えることになった。彼女の職場の方の子供の間でも学校閉鎖になる程インフルエンザが流行しているとのこと。本当に!体調に気をつけたい!
昨晩も30リットルゴミ袋二つ分のものを手放した。 衣装ケース一箱空いたので、年が明けたら粗大ゴミの手配をしたい。
年賀状は、何となくルールが決まったので後は淡々と進めるのみ。31日までに間に合うか微妙だけれど、今は焦りもなくてできるだけのことをしよう、という感じになっている。 日記もちょうどよく9月まで更新したので、年内はこれで良いかな?と思っている。
ちゃんと朝は早めに起きて、床磨きと台所周りの掃除とぬいぐるみの手洗いをした!えらい! 1日の初めに3時間くらい掃除をして、1日を振り返ってとても遠い記憶。今日は充実していたってこと?
午後に神保町で友人と待ち合わせして、神田に新しくできたギャラリーで菊池さんの展示を鑑賞。 神保町は、まだ仕事を納めていない方々と、納めて人気店に並んだり、大型のギターやスポーツ用品を買っている人でにぎわっていた。 友人はクリスマスに鶏の丸焼きやアップルパイをオーブンで焼いた話をしてくれた。 鶏の中に米や野菜を詰めて焼いたらしい。 昨日、6年使っているレンジに“オーブン”というボタンを見つけた話をしたら、その機能でも焼けるとのこと。
展示はサリースコットのお店で見たことのあるテイストのグラフィックだった。 会場は下の階がサウナで、サウナグッズのお店が隣にあり、ほぼ日のとびちが近くにあるからか、ほぼ日っぽさがあった(何となく怖い)。
そのあと、水の流れるエクセルシオールでお茶をした。 行く途中でお花屋さんで白いチューリップと干支みくじを2つ買い、1つ友人にもらってもらった。 やっぱり辰ってグッズにしずらさを感じる。 友人は現代短歌が気にな��始めているとのことで三省堂に寄って帰る、と言っていた。 短い時間だったけれど年内最後の人と会う予定を彼女と穏やかに過ごせて良かった。 “下町のナポレオン”の言い換えゲーム(“街角のヴィーナス(もういる)”、“郊外のマゼラン”、“海辺のガンジー”、“田舎の頼朝”など…)や、写真に絵を載せたい話など。忘年会の感じをした話を聞いて、この世にそんなものがまだあったのか…!!と、そんなイベントに参加したら4日くらい寝込みそう。
フィルム現像を受け取って、昨日スーパーで気になっていた芽キャベツが今日もまだあったので買ってみる。今日はまだ鶏ひき肉があったけれど、流石に2つも作れない(大パニック!)ので、芽キャベツを買ってどうなるかやってみます。
一期下の方から年末の挨拶と、年明けに和食展に行く日程調整ラインがきていて嬉しい。 今年は本当、お仕事もプライベート(?もはやなに?)も生活も写真も、ずーーっと地続きな感じで人生だな〜と、良い意味でも悪い意味でも切り替えが下手だった気がする。
ニコンのレビュー応募用のキャプション250文字が制限オーバーしている。
19時〜21時の時間指定をしているくせに、いつも19時には家にいられないわたしの生活スタイルを読んで、20時過ぎごろに配達をしてくれるようになった宅配便で新しい漢方を受け取る。また飲む薬を一つ増やしてしまった。 (今年も配達ありがとうございました。)
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【8話】 弁護士に言われたとおり取調べで黙秘してみたときのレポ・前編 【大麻取り締まられレポ】
前回のあらすじ 僕とプッシャーと友人の3人で、共謀の上に大麻を所持した容疑で捕まった僕は、接見で当番弁護士に「50パーの確率で不起訴を狙える」と言われていた。
僕は「どういう理屈で50パーなんでしょうか?」と弁護士に尋ねると、弁護士は「共謀の罪での逮捕は、他の方が自白してしまうケースが多いんです」と答える。
僕は「一緒に捕まった2人は自白しないと思うので、大丈夫だと思います」などと言うと、弁護士は「ところが、いざ捕まってみると喋っちゃうんですよ、これが。そういうケースを何件も見てきましたから」と恐ろしいことを言うので、僕は少し勘ぐって黙りこくる。
弁護士は続けて「むしろ、ほとんどの人が喋っちゃいます。黙秘を続けられる人はサイコパスみたいなひとしかいませんね」と笑いながら言う。僕が「まぁ…2人はサイコパスっぽい感じはあります」と応えると、弁護士は「そうですか。いずれにせよ、不起訴を狙うのであれば、現段階では2人を信用するしかないですからね」と身も蓋もないことを言う。
しかし弁護士は、僕が気落ちしているのを見てか「まあ、売人の車で大麻が見つかっていて、持ち主が判明していないという状況ですから、このままいけば、犯行の主体を立証できず、証拠不十分のために不起訴���なる可能性は高いでしょう」などと僕に期待を持たせてくれた。
それから1時間ほど、弁護士に今後の対策について色々と教えて貰った。ただ、僕がやるべきことは、黙秘と署名押印拒否ということであった。不起訴を狙うにあたって、黙秘は自分の利益にはならないが、不利益にもならない。また、調書の署名押印を拒否すれば、調書を証拠資料として使用することを防ぐことができるのである。
また弁護士は、国選弁護人として就いてくれることになり、僕が黙秘を続けるメンタルを保てるよう、頻繁に接見に来てくれると言うので、とても心強い味方がついてくれたと思った。
※このときに弁護士に貰った「取調べをウケる心がまえ」というプリントがよく出来ていたので、pdfのURLを貼っておきます。
接見を終えると、消灯・就寝時間の21時が過ぎ、22時をまわっていた。場内は暗くなっていたが、監視のため蛍光灯がついており、居室内も天井の蛍光灯3本中1本だけ明かりがついていた。
居室に戻ると、留置官が「今日は5番の布団敷いといたから。あと寝る前の薬あるから、このコップに水入れてきて」などと言うので、僕は洗面で水を入れ、鉄格子の前に行く。留置官は配膳口を開き、僕に手を出すように言って、薬の包装シートのプラスチック部分を押して、中の薬でアルミ部分を破り、僕の手の上に直接薬を落とす。
僕はマイスリーとデパスを飲むのは久しぶりだったので、少しわくわくしていた。僕は薬を水で流し込み、コップを留置官に返すと���布団の中に入り込む。布団は非常に粗末なもので、敷き布団はこれぞ煎餅布団といった具合に入れ綿の少ない薄く固い布団で、掛け布団は薄い割に重く、ちりちりしていて触り心地の悪い毛布であった。
寝具は粗末、天井の蛍光灯は眩しい、加えて隣室からはいびきが聞こえるので、この環境で寝るのは、睡眠に神経質な僕には難しいことであったが、こんなこともあろうかと、あらかじめ睡眠薬をゲットしておいたのである。
薬を飲んでから、1分ほどでデパスが効いてきて、強ばった筋肉が弛緩し、あらゆる不安が和らいでくるので、(今日は本当に長い一日だったけど、未体験のことばかりで結構おもしろかったな…)などと天井を見つめながら前向きな回想をしていた。
さらに10分ほど経つとマイスリーが効いてきて、眠たくなってくると同時に、思考が少し加速し、個人的におもしろい発想が連続して生成されているように感じるので、結構楽しい。そうして自分の思考にニヤけたり感心したりしていると、次第に意識が遠のき、いつの間にか眠っていた。
――逮捕から2日目。朝、起床時間とされる6時30分の10分前に目が覚めた。6時30分になると、消えていた蛍光灯が点灯するとともに、留置官が「起床―!」と大声を出して、まだ眠っている収容者を起こす。
布団を畳み、右隣の居室のベトナム人と入れ違いで布団置き場に布団を置いてから居室に戻ると、配膳口にブラ��と雑巾の入った桶が置かれており、トイレと洗面を掃除���るように指示をされた。
トイレと洗面はステンレス製で、水垢や尿石もなく清潔であったが、パフォーマンスとして掃除をし、ブラシと雑巾を桶に入れて配膳口に戻した。留置官がその桶を回収すると、今度は扉を開けて掃除機を渡し、床を掃除するように指示をしてきた。床は誰かの抜け毛が多く落ちていたので、割と丁寧に掃除機をかけておいた。
掃除機をかけている間、留置官が配膳口にタオルと石鹸、コップに歯ブラシと歯磨き粉を置いていたので、僕は掃除機を留置官に返してから、洗面で歯を磨き、顔を洗った。
タオルなどを抱え、鉄格子の前で待機していると、昨日左隣の居室でいびきをかきながら寝ていた、ガタイがよく目がギョロリとした50代くらいのヒゲの男が、ロッカーに向かう際にこちらを見てきた。
ギョロ目の男は僕と目が合うと、30度くらい頭を下げて「こんにちは!」と大声で挨拶してきたので、僕は少し萎縮して「あ、ちわ…」とぼそぼそした声で挨拶を返しておいた。ギョロ目の男は続いて、僕の右隣の居室にいるベトナム人にもかしこまって大声で挨拶をしていた。
↑ギョロ目の男は清原を老けさせてもう少し色白にさせた感じ
ロッカーにタオル等をしまい、自分の居室に戻ると、すぐに朝食の支度が始まった。今回の朝食は、コンビニ弁当のようなプラスチック製の容器の中に、白米、きゅうりの漬物少々、マカロニサラダ少々、千切りされたたくあん少々に、メインのおかずとして野菜の入った薄く丸い形をした小さい天ぷら1つが入っている質素なものであった。
朝食を終えると、時刻は7時15分だった。本を読めるのは8時かららしく、仕方がないので文字通りゴロゴロしていると、「点呼開始―ッ!」という爆音が留置場内に響き渡った。
点呼の合図からすぐに、遠くの方で「第6号室!27番!」という大きなかけ声の後、「ハイ!」という収容者の声が聞こえ、「以上1名!」という大声の後、4人の留置官が「「「「おはようございます!」」」」と大声で挨拶をし、隣の居室へ移っていく。
それから、留置官らは僕の居室の前に立ち、「第2号室!5番!」と大声を出すので、僕は寝っ転がりながら「あい」と応えると、居室の後ろの小窓の前に立っていた暗い色のレンズの眼鏡をかけたヤクザ風の留置官が「座れぇ!!」と大声で怒鳴ってくる。
僕はまぬけ面で「はい?」と言ってみると、ヤクザ風の留置官は「座れ!座って返事しろ!」と大声で指図してくるので、僕は仕方なしに上体を起こし、「はーい」と間の抜けた返事をする。
しかし留置官からのリアクションはなく、3秒ほど無音の空間になる。僕は少し戸惑った感じで「はい…」と言い直すと、留置官は「以上1名!」「「「「おはようございます!」」」」と大声を出し、次の居室へ移っていく。僕は彼らを人間らしくふるまっているNPCだと思う。
7時30分になり、“運動”の時間になる。この運動の時間とは、留置場の敷地内にある屋根のない狭い場所に出られるというだけの時間である。また運動場では、貸し出しの爪切りや電動ひげ剃りを借りることもできる。
僕はなんとなく日差しを浴びたかったので、運動場で伸びをしていると、隣の居室にいる若いベトナム人が「何で捕まりましたか?」と急に話しかけてきた。僕は「ああ。大麻持ってたのが見つかったんだよね」と応えると、ベトナム人は「ハハ。日本人はだいたいドラッグです。若い人は大麻ですね」と言う。
僕は「そうなんだ。よく知ってるね。ここに来て結構経つの?」と聞くと、ベトナム人は「6ヶ月います」と言うので、僕は驚いて「何をしたらそんなに拘留されるの?」と聞くと、ベトナム人は「ビザが切れて不法滞在で捕まりましたが、コロナのせいで入管は人がいっぱいですから、入管が空くまでここで待機させられています」と言う。
僕は「へえ。それは不憫だなあ。辛くない?」と聞くと、ベトナム人は「もう辛くないです。ここに来て日本語が少し上手くなりました」と言う。���を聞くと、ベトナム人はこれを機に、留置場内で積極的に日本人と喋り、日本語を上達させようとしていたらしい。立派だ。
また、運動の時間が終わる寸前に、左隣の居室にいるギョロ目のじじいとも少しだけ会話をした。ギョロ目のじじいは、僕とベトナム人の会話を聞いていたようで、「おう、5番は大麻か。おれは覚醒剤だよ。よろしく」と言いながら、僕と握手をして去って行った。
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つづく
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この物語はフィクションです。また、あらゆる薬物犯罪の防止・軽減を目的としています( ΦωΦ )
#フィクション#エッセイ#大麻#大麻取り締まられレポ
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江戸時代に思いを馳せ、紺地の大店暖簾を想起させる文字盤装飾。
日本橋三越では2023年8月16日(水)〜8月29日(火)に「第25回 三越ワールドウォッチフェア」を開催。創業350周年の記念とあって、グランドセイコーをはじめ、他ブランドでも記念限定モデルが用意される力の入れよう。
江戸時代に思いを馳せ、紺地の大店暖簾を想起させる文字盤装飾。 三越創業350周年を記念し、セリーヌコピーオリジナルモデルを実現させました。 1967年に発売されたブランド初の自動巻きムーブメント搭載モデル62GSをベースに、現代的なアレンジが施されたケースは、ザラツ研磨によるシャープな造形が特徴です。 それではSBGH319ののダイヤル、ケースデザイン、ムーブメントなどそれぞれについて詳しく見てみましょう。
SBGH319のダイヤル 『THE NATURE OF TIME』をブランドフィロソフィーとして、ありとあらゆる自然現象を表現することの多いグランドセイコーですが、百貨店や特定店舗、地域限定モデルはそれぞれにまつわるものを表現していて、興味深いですよね。 今回は「紺地のrasupaコピー大店暖簾を想起させる文字盤」ということで、三越のあの「越」の字を丸く囲んだ、立派な紺の暖簾(のれん)にインスパイアされた紺色が採用されているようです。 セリーヌ ショルダーバッグ サングル バケット スモール Sサイズ ブラック レディース CELINE 189303AH4 38NO N品価格:16600円 サイズ 縦 25 横 18 マチ 11.5 ショルダー全長: 84.5 (長さ調節) 不可 ⇒ サイズガイドはこちら ※商品によって個体差や計測の方法により2〜3cmの誤差が出る場合がございます。 カラー 38NO/Black ブラック スペック カーフスキン made in ITALY ※生産国は、同じ商品でも生産時期によって異なる場合がございます事ご了承下さい。 付属品 保存袋 ⇒ 付属品に関するご注意 ラッピング ギフト��ッピングは有料になります。 ⇒ 詳しくはこちら 商品説明 キズのつきにくい上質なレザーにNEWロゴの箔押しが際立つトートバ
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ブランド立ち上げ時から定番として作っている絆創膏ケース。
初期の頃から微妙にアップデートを繰り返して今のサイズに落ち着きました。
初期の頃はもう少し幅がスリムだったんですが、ワイドタイプの絆創膏を入れるとピッタリすぎて、絆創膏を複数枚入れるとちょっとキツいとの声を反映して余裕をもったサイズになりました。サイズがちょっと大きくなったので、ボールチェーンなどをつけやすいハトメを付ける事も出来る様になりました。
絆創膏をわざわざ入れるケースなんかいるの?と思う方もいると思いますが、箱で持つには邪魔だし絆創膏をバラバラで入れておくと、いざ使う時に袋が破けていて衛生的ではなかったりするので、好きな枚数やサイズを入れておけるケースは水回りの仕事で手が荒れる事が多かったり、もしもの子供のケガの時に備えたり、最近だとキャンプなどアウトドアの際のケガ用にといった需要がある様です。
Creemaで販売している革小物は、出来るだけ他には無い独創的な作品を増やす様にしています。
絆創膏ケースや爪楊枝入れを革で作っている所は、殆ど無いと思うので興味のある方はぜひチェックしてみて下さい。値段も手頃なのでプレゼント需要も高い作品です。
【革の絆創膏ケース/プログレ】ハンドメイド・クリエイター作品のマーケットプレイス Creema https://www.creema.jp/item/15129450/detail @Creema_jpより
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歯医者になるには大学院まで行かないといけないの?実は行かなくてもなることができる。行く人は何を学ぶ為に大学院まで進学するの?
歯医者になるためには、大学院まで行く必要はありません。歯科医師になるための基本的なステップは、6年制の歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格することです。その後、1年間の臨床研修を経て、歯科医師としての資格を取得します。しかし、大学院に進学する歯科医師もいます。大学院に進む理由は主に以下のようなものです:専門的な知識の深化:大学院では、特定の分野における高度な知識と技術を学ぶことができ���す。例えば、歯科矯正学、口腔外科学、歯周病学など、特定の専門分野に特化した研究や臨床技術を深めることができます。研究活動:大学院では、歯科医療に関する研究を行うことができます。新しい治療法の開発や、既存の治療法の改善に貢献するための研究を行うことで、歯科医療の発展に寄与することができます。研究者としてのキャリアを目指す場合、大学院での研究経験は非常に重要です。教育者としてのキャリア:大学院で学ぶことで、将来的に歯学部の教員として働くための準備をすることができます。教育者として学生に教えるためには、深い専門知識と研究経験が求められます。高度な臨床技術の習得:大学院では、より高度な臨床技術を習得する機会があります。これにより、難易度の高い治療や特殊なケースに対応できるようになります。例えば、インプラント治療や顎顔面外科など、高度な技術を必要とする分野でのスキルを磨くことができます。キャリアの幅を広げる:大学院での学びは、歯科医師としてのキャリアの幅を広げることにもつながります。臨床だけでなく、研究、教育、行政など、さまざまな分野で活躍するための基盤を築くことができます。このように、大学院に進学することで、歯科医師としての専門性を高め、さまざまなキャリアパスを追求することが可能になります。自分の目指すキャリアに応じて、大学院進学を検討することが重要です。
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2024年11月05日 08時00分 「思想の予防接種」によって人々が誤情報や陰謀論にだまされないようにする試み 世の中にはさまざまな誤情報や陰謀論がはびこっており、「どうしてこんなうそにだまされるんだろう?」と不思議になるものもあれば、じっくり考えないと真偽を見抜けない巧妙なものもあります。ケンブリッジ大学の心理学教授であるサンダー・ファン・デル・リンデン氏は、「思想の予防接種」を行うことで誤情報や陰謀論への耐性を高めることができると提唱しています。 Can people be ‘inoculated’ against misinformation? | Science | AAAS https://www.science.org/content/article/can-people-be-inoculated-against-misinformation オランダで育ったファン・デル・リンデン氏は少年時代、ユダヤ人である母親の親戚の多くがナチスによって殺害されたことを知り、学校ではヨーロッパではいまだに反ユダヤ主義的な陰謀論が広まっていることを学びました。そこでファン・デル・リンデン氏はプロパガンダが持つ力や、人々がなぜ誤情報を信じてしまうようになるのかについて、研究するようになったとのこと。 記事作成時点ではケンブリッジ大学のSocial Decision-Making Lab(社会意思決定研究所)で責任者を務めるファン・デル・リンデン氏は、人々が感染症に対するワクチンを接種するように、誤情報や陰謀論に対しても思想の予防接種を行うことが可能だと主張しています。 思想の予防接種は、「人々に対して思考が操作・誘導される可能性があると警告する」というステップと、「興味はそそるもののだまされるほどではない『弱体化した形式の誤情報』にさらす」というステップで構成されています。このコンセプトはシンプルであり、近年注目を集めている誤情報対策です。 そもそも思想の予防接種というアイデアが誕生したのは、1954年に朝鮮戦争が終結した際に一部のアメリカ人捕虜が帰国せず、共産主義思想に傾倒して中国へ残ることを決めたことがきっかけです。この一件に対し、多くの人は共産主義者による「洗脳」が原因だと考え、これに抵抗するには家庭や学校でアメリカの思想をよく教え込むことが大事だと主張しました。 しかし、心理学者のウィリアム・マクガイア氏は「捕虜がプロパガンダに対して脆弱(ぜいじゃく)だったのは、それが初めて触れた共産主義思想だったからではないか?」と考えました。つまり、捕虜は共産主義国家から遠ざけられた「無菌状態」で育っていたため、強烈なプロパガンダへの抵抗性がなく、素直に影響されてしまった可能性があるというわけです。 そこでマクガイア氏は、思想に対しても感染症と同様の予防接種が有効なのではないかと考えて、「毎食後に歯を磨いた方がいい」「抗生物質が人類にとって大きな利益をもたらした」といった自明の事実について、学生にあえて反論をぶつけてみる実験を行いました。その結果、反論を突きつけられた学生は事実に対する信念が劇的に減少しました。ところが、反論の前に「事実への反論を並べ、その反論が破られるエッセイ」を呼んでもらったところ、反論によって信念が揺らぎにくくなることがわかりました。 ファン・デル・リンデン氏はイェール大学の在学中にマクガイア氏の論文に触れ、さらに多様なシチュエーションでも思想の予防接種が有効なのではないかと考えました。ファン・デル・リンデン氏が2000人以上の被験者を対象に行った調査では、事前に気候変動問題についての誤情報について警告されていた被験者は、誤情報に触れても思想に影響が出ないことが示されました。この影響は、もともと気候変動問題に対して懐疑的だった人々でも確認されたとのことです。 すでにファン・デル・リンデン氏らが主張する思想の予防接種は、現実世界にも応用されています。2018年にファン・デル・リンデン氏らが開発したオンラインゲーム「Bad News」は、「フェイクニュース業界のトップ」になることを目的にして、さまざまな誤情報を拡散するというゲームです。 実際に「Bad News」をプレイすることにより、フェイクニュースを信じにくくなることも報告されています。 ゲームをプレイするだけで「フェイクニュースのワクチン」を接種できることが判明 - GIGAZINE また、「フェイクニュースの戦術を解説する動画」をYouTube広告で流すことで、人々のフェイクニュースを見抜く能力が高まるという研究結果もあります。 「フェイクニュースの戦術を解説する動画」をYouTube広告で流してフェイクニュースを見抜く能力を高める試み - GIGAZINE 思想の予防接種には大きな効果があるように思われますが、このアプローチに反対する声も上がっています。コーネル大学の心理学者であるゴードン・ペニークック氏は、誤情報に用いられる「感情を喚起するような言葉遣い」は正しいニュースにも使われており、思想の予防接種が逆に本当のニュースへの信頼性を失わせてしまう可能性があると指摘しています。 ペニークック氏は2023年12月に行われたファン・デル・リンデン氏との討論会で、ニューヨーク・タイムズが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について報じた記事で、COVID-19で亡くなった人々の名前を列挙したケースを取り上げました。「ヘッドラインを見て泣いた人もいたと思います」「これが操作的なテクニックだと思うかどうかはあなたの考え方次第でしょう?COVID-19に懐疑的な人は、これを操作的だと考えるかもしれません」と、ペニークック氏は述べています。 これに対してファン・デル・リンデン氏は、確かにもっともな懸念だと認めつつも、人々が誤情報に含まれる複数の異なる特徴について学ぶほど、誤情報かどうかを見分ける精度が高まると主張。また、たとえ評判のいい新聞であっても、人々の感情をかき乱すような記事を掲載したならば、人々が記事の信頼性を低く見積もるのは妥当なことだとも指摘しています。 他にも、思想の予防接種はあくまで情報の受信者に焦点を当てたものであり、誤情報の拡散から利益を得ているXやFacebook、TikTokといったソーシャルメディア企業から批判の矛先をずらしているという指摘もあります。ペンシルベニア大学の社会学者であるサンドラ・ゴンザレス・バイロン氏は、「思想の予防接種は体系的な問題に対処するよりも簡単ですが、個人にすべてのプレッシャーをかけています」と主張しました。 2023年に行われた研究では、思想の予防接種を含む9つの異なるアプローチが、人々の誤情報を見抜く能力にどのような影響を及ぼすのかが調査��れました。結果は、「誤情報を見抜く能力を高める特効薬はない」というもので、どれもある程度は機能するものの、突出して効果的なアプローチは確認されませんでした。それでも、思想の予防接種を含む複数の効果的なアプローチを見つけ、それを重ね合わせて効果を高めることは可能だという考えもあります。 ペニークック氏は誤情報に対処するため、ソーシャルメディア企業を対象にした体系的なアプローチが必要だと主張しており、ファン・デル・リンデン氏もそれに同意しています。ファン・デル・リンデン氏は、「私は心理学者なので、個人に対する解決策に偏っています。しかし、幻想を抱いているわけではありません。皆さんも知っている通り、構造的な解決策も必要なのです」と述べました。 この記事のタイトルとURLをコピーする ・関連記事 ゲームをプレイするだけで「フェイクニュースのワクチン」を接種できることが判明 - GIGAZINE フェイクニュースを拡散しまくり業界トップを目指すオンラインゲームを研究者らが開発 - GIGAZINE 「フェイクニュースの戦術を解説する動画」をYouTube広告で流してフェイクニュースを見抜く能力を高める試み - GIGAZINE 陰謀論を解消するための従来のアプローチはほとんど役に立たないとの研究結果、一体どんな方法なら効果的なのか? - GIGAZINE なぜ人が突拍子もない陰謀論にはまってしまうのかを心理学の専門家が解説 - GIGAZINE AIの方が人間より陰謀論者の説得が得意、ChatGPTとの会話で陰謀論への信念が永続的に揺らぐとの研究結果 - GIGAZINE 陰謀論者の中年は学生時代に「ぼっち」だったとの研究結果 - GIGAZINE 陰謀論を信じる人ほど批判的思考能力が低いという研究結果 - GIGAZINE ・関連コンテンツ 「心の知能指数」が高い人はフェイクニュースを見つけるのが得意だと判明 キヤノンが自社設立のシンクタンクの「気候変動否定記事」で環境活動家から圧力を受けているとの報道 「フェイクニュースの戦術を解説する動画」をYouTube広告で流してフェイクニュースを見抜く能力を高める試み 「子どもにはそれぞれに合った学習スタイルがある」という誤解が世界的に広まっている 「暴力」は人間の本質なのか? ネット上で他者を攻撃しやすいのは一体どういうタイプの人なのか? 陰謀論を解消するための従来のアプローチはほとんど役に立たないとの研究結果、一体どんな方法なら効果的なのか? 科学者推奨の「SNSをハッピーに使う方法」とは?
「思想の予防接種」によって人々が誤情報や陰謀論にだまされないようにする試み - GIGAZINE
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)9月28日(木曜日)弐
通巻第7928号
萩生田光一政調会長は「現代の新井白石」になれるか
安定的な皇位継承策議論をすすめると明言
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萩生田光一政調会長は「安定的な皇位継承策議論をめぐって自ら責任者として党内議論を進める」と産経新聞のインタビューに答えた。
岸田首相は令和3年9月の党総裁選で「旧宮家の男系男子が皇籍に復帰する案も含め、女系天皇以外の方法を検討すべきだ」としていた。
政府は令和四年1月に、皇族数の確保策として、旧宮家の男系男子が養子縁組などで皇籍復帰する案、女性皇族が婚姻後も皇室に残る案などを盛り込んだ有識者会議の報告書を国会に提出している。
小泉政権の有識者会議から議論は一歩も進んでいなかったが、萩生田の主導で、この重要な政治課題が前へ進むのか、彼は現代の新井白石になれるのか。
下記拙文は『月刊日本』(令和五年十月号)からの再録である。
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▼「新井白石 皇統断絶の危機を予知」
皇統が断絶の危機に瀕したことは神武天皇の御代から幾度かある。
また後継皇位を争った政争、謀殺も何回かあった。
古代史最大の謎は応神天皇と継体天皇の正当性である。ほかにも雄略天皇が謀殺したイチノヘオシハ(履中天皇の皇子、雄略天皇の従兄弟)の遺児が播磨と吉備の境に二十年隠れ住んでいて、雄略の皇子・清寧天皇が亡くなると名乗り出た。
この間、イチノヘオシハの妹の称制(天皇臨時代行)だった。
新井白石は自伝ともとれる『折たく柴の記』のなかで、皇室の後継が不在となる危機の到来を認識し、東山天皇の祖孫をして閑院宮家を立てられるよう将軍に建言した。
その皇統を維持させた経緯を次のように回想した。
「議し申すべき一事の候は天亨・建武の間、皇統すでに南北にわかれ、南朝はいくほどなくて絶させ給ひぬ。北朝はもとこれ武家のためにたてられ給ひぬれば、武家の代の栄えも衰えをも、ともにせさせ給ふべき御事なるに、応仁の後、世の乱れ打ち続て、武家すでに衰給ひにし上は、朝家のことは申すに及ばず当家(徳川)神祖天下の事をしろしめされしに及びてこそ、朝家(皇室)にも絶たるをもつなぎ、廃れしをも興させ給ふ御事共はあるなれ。しかはあれど儲君(皇太子)の外は、皇子、皇女皆々御出家の事においては、いまもなほおとろへし代のさまに、
かはり給はず。凡そ匹夫匹婦の賤しさも子を産みては其室家あらむ事を思ふ。これ天下古今の情也。(中略)これより後、代々の皇子、皇女、其数多くおはしまさむに至りては天下の富も、つがせ給はぬ所ありぬべしなど申す事も候はんか。古より皇子、皇女、数十人おはしませし代々もすくなかれねど、それらの御後、今に至り給ふは、いくばくもおはしまさず。『天地の間には大算数といふもののある也』と古人は申したりき。これらの事は人の智力の推し測るべき所にあらず。ただ理の当否をこそ論じもうすべけれ」(松村明校注、岩波文庫。138~140p)
新井白石は後継皇統の候補者がたくさんおられた時代ではなく、いずれ後継候補が不在となる危機にそなえ、別に宮家を建てて費用をまかなうべきと建言したのだ。
将軍家宣は白石の建言を受けいれ直仁親王を閑院宮と称し、禄千石を進上した。はたして白石が危惧した通り第113代東山天皇の系統は第118代後桃園天皇で絶えた。
そこで東山の皇子、直人親王の孫にあたる光格天皇が第119代天皇として即位された。光格天皇は閑院宮典仁親王の第六王子。誕生の翌年に聖護院に入寺し将来は出家して聖護院門跡を継ぐ予定だった。
ところが後桃園天皇が崩御し、直系は内親王だけだったため、安永八年(1789)十一月二十五日、践祚された。今上陛下はこの光格天皇の系統である。
ゆえに令和の時代の皇室論議に臣籍降下された旧宮家の復活が急がれる所以である。
白石が冒頭にのべた「建武の間、皇統すでに南北にわかれ、南朝はいくほどなくて絶させ給ひぬ。北朝はもとこれ武家のためにたてられ給ひぬれば」という意味は、建武の中興の後醍醐天皇の南朝が99代の後亀山天皇で世継ぎなく北朝五代の後円融天皇の皇子が、第百代の後小松天皇、101代称光天皇のあと、五代遡って北朝一代の光嚴天皇の祖々孫にあたる後花園天皇となられたことを指している。
皇位が空位となったケースは幾つかあるが、未亡人か独身の内親王が称制(臨時天皇)として正式な後継皇子が成人するのを待った。たとえば持統天皇、皇極・齊明、元正、元明がそうだ。孝謙・称徳天皇の場合は後継淳仁天皇を廃帝とし、次の光仁天皇を指名したとする遺書は藤原百川がでっち上げた。
第二十一代雄略天皇の子、清寧には皇子がおらず三代遡って履中天皇の皇子イチノヘオシハの遺児(顕宗、仁賢)が継いだことはみたが、その間の飯豊天皇は明治三年に皇統譜から削除された。ところが葛城の麓へいくと宮内庁管轄の飯豊天皇陵がある。
その後、第二十五代武烈天皇にも後継皇子は不在で、こんどは五代遡り、応神天皇の五代孫と言われた継体天皇が践祚された。継体天皇は越前からやってきたが二十年間も奈良へ入らず、この謎は解明されていない。
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CNNテレビによると、ファストフード店やカフェの会計でチップが支払われた割合は2022年末で48%となり、コロナ禍前と比べ11ポイント上昇した。生活のいたる場面でチップの支払いを求められるようになった状態は、チップ(TIP)の値上がり(INFLATION)をもじって「チップフレーション」ともやゆされている。 ▽持ち帰りでも表示される「チップ〇%」ボタン 大きな要因とされるのが、決済方法の変化だ。身体的接触を避けるコロナ対策に加え、人手不足に対応した結果として省力化も進み、セルフレジやタッチパネルを導入する店が拡大。空港や野球場の売店、タクシーなど多くの場面で「15%」「20%」「25%」などとチップ加算率が自動表示されるのが日常風景となった。 スマートフォンで事前に支払いを済ませ、店で商品を受け取るだけでもチップの選択ボタンが現れる。支払いに応じない人も当然いるが、「ノーチップのボタンは罪悪感から押しにくい」との声は少なくない。 ウーバーといった配車サービスのように、運転手と乗客の双方がアプリ上で「振る舞いの良さ」を評価し合う仕組みの影響も大きい。乗客からは「チップ額が評価に影響を与えて、低評価だと肝心なときに車がつかまらないのでは…」と、不安の声も漏れる。 ▽不満の矛先は「何のため?」という不透明さ ただ街で話を聞いて回ると、チップそのものへの拒否感を語る人は思いの外、少なかった。チップを求められる場面が増えたのに対して「誰の、何に対する対価なのかがはっきりしないのはどうしてなの?」と、その不透明さが、人々をいらだたせているようだ。 ワシントンの住宅街で犬の散歩をしていたデボン・パルソンズさん(43)は「接客への感謝の気持ちを示すため、ミネラルウオーターを1本買うのでもチップを1ドル(約140円)ぐらいは渡したいと思っている」と話す。一方で、最近は客にも知らせずにチップ分として料金を上乗せしているケースもあると指摘。接客サービスを受けていないと感じる店では「チップを払うつもりはない」と断っていると話す。 カフェでパソコンを広げて仕事をしていた女性(27)はチップ論争について「よく知っている」としつつも「従業員の懐に入るのであれば、これからもチップ自体は負担を続ける」と話した。 ▽「チップがなければ生活できない」 働く側は、論争をどう見ているのだろうか。 南部バージニア州ヨーク���ウンのレストランで働くアマンダ・ページさん(38)は「生計を立てるためにチップは不可欠」と言い切る。近所のアパートで暮らしており、家賃と光熱費で毎月4千ドル(約56万円)の固定費がかかる。一方、収入は季節や客の入りによって不安定だ。 「自分が外食する際には必ず代金の20%は上乗せするし、細部まで気を使った良いサービスにはもっと払う。ウエイターとして腕を磨いて30~40%ぐらい上乗せしてもらえるようにがんばりたい」 ページさんが苦しむのはインフレでかさむ生活費だけでなく、最低賃金の差別的な仕組みだ。実は、米国では労働者全般に適用される連邦最低賃金(州など地域ごとに定める基準もある)とは別に、チップ労働者に特化した連邦最低賃金が設けられている。チップが得られれば、他業種と同水準の収入が確保できるとの理屈からだが、それにしてもチップ労働者の最低賃金は低い。 労働者全般の連邦最低賃金は時給7・25ドルなのに対して、チップ労働者は2・13ドル。時給300円程度の最低賃金で働くページさんは「せめて時給15ドルぐらいに相当する金額まではチップ収入で埋めていかないと生活が回らない」と、表情をくもらせた。 ▽南北戦争後の寝台車ブームがチップ概念転換? 生計が立てられないような賃金しか払われず、残りはチップで賄う生活―。米公共ラジオNPRは、ページさんのようなチップ労働者を搾取するシステムが、19世紀の寝台車旅行ブームで「発明」されたと指摘する。 オハイオ州立大のミシェル・アレクサンダー准教授によると、チップの習慣はもともと欧州で貴族が使用人に好意を示す振る舞いとして始まり、米国に伝わった。転機が訪れたのは南北戦争。奴隷制廃止により、黒人労働者を安く使い続けたい白人経営者らが「チップの概念を転換した」。 なかでも、米著名実業家・発明家のジョージ・ブルマンは寝台車の製造と運行を行うプルマン社を創設し、19世紀後半に事業を拡大。解放奴隷の黒人男性をポーター(荷物運搬人)などとして大量に雇用し、それまで単に移動のための手段だった鉄道を、「使用人」のサービス付きの豪華旅客列車のレジャーとして中流階級に売り込んだ。プルマン社の鉄道が全米を行き来したことで、チップの習慣が飲食店などにも広がった。 ▽推定500万人、飲食店で働く人は貧困の可能性が3倍 その後、ポーターたちは労働組合を結成して処遇改善を勝ち取っていった一方、女性が多い飲食店業界では低賃金のチップ労働が定着。1938年にフランクリ���・ルーズベルト大統領によって制定された「公正労働基準法」が米国初の最低賃金を定めたものの、対象は限られ、飲食店従業員は除外された。 1966年の制度見直しで幅広い業種が最低賃金の対象に含められたが、しかしチップ労働者には今日のような別基準が設けられる。飲食店のウエイターや駐車場の係員、ネイルサロンの従業員らの連邦最低賃金は1991年に時給2・13ドルに引き上げられたものの、30年以上据え置かれたままとなっている。 CNNによると米国では現在、推計500万人以上がチップ労働者として働く。非営利団体「ワン・フェア・ウェイジ(公正な一つの賃金)」は、他業種に比べて飲食業界では「フードスタンプ(低所得者向けの公的食料補助)を受給する確率が2倍、貧困の可能性は3倍に上る」と指摘。チップ最低賃金を廃止し、包括的な最低賃金制度を創設すべきだと訴える。
うんざり!でも変わらない米国のチップ文化、インフレで負担感増大 奴隷制の名残?二つの最低賃金で置き去りにされた労働者【2023アメリカは今】 | 47NEWS
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【小説】非・登校 (下)
※『非・登校』(上)はこちら (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/766014791068319744/)
※『非・登校』(中)はこちら (https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/766015430742736896/)
と、いうのはすべて、僕の妄想だ。
現実の僕は、ベッドの上に横になったまま、目覚まし時計のアラーム音を聞いている。アラームが鳴る前から目は覚めていたものの、身体を起こす気にはなかなかならなかった。結局、布団から出るのはいつもと同じ時間になってしまう。僕はアラームを止めて、起き上がった。
部屋を出て、階段を降りる。一階のダイニングは静まり返っていた。昔、朝起きて来ると、僕の父親がここでコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたっけ。母親はトーストとハムエッグを朝食に作ってくれていた。そんな記憶が一瞬、目の前の景色に重なるように思い出される。でも今は、この家には僕以外誰もいない。
棚のコーンフレークの袋を手に取ったところで、昨日の朝で牛乳を切らしたままになっていることを思い出し、そのまま袋を棚に戻す。僕は引き出しを開けて栄養調整カプセルのケースを取り出した。ケースの後ろに記載されている長ったらしい説明書きに目を通さなくても、一日の活動に必要なカプセルの種類と数量の組み合わせをもう完璧に覚えている。台所の水道からコップに水を注いで、識別のためにカラフルに着色されているカプセルたちを飲み込んだ。
洗面所で顔を洗う。昨夜就寝前に歯を磨いて以降、何も咀嚼していないが歯も磨く。今日着るべき制服は昨日のうちに脱衣所に用意しておいた。それに着替え、今まで着ていたTシャツとスウェットは洗濯機へと放り込む。
シャツの襟が折れていないかを確かめるため、鏡へ顔を近付けた時、髪がずいぶん伸びているな、と改めて気付いた。そろそろ散髪した方が良いかもしれないな、と思う。特に、この目にかかりそうな前髪は。
ふと、僕は思い出して、洗面所の棚を探る。使い残りの整髪料を見つけ出し、まだ使用できることを祈りながら、容器から指ですくい、前髪へと塗りたくった。今まで前髪をセットしたことなんてない。やり方もよくわかっていない、見様見真似だ。前髪をオールバックにするのは、僕の父親が今日という日に特別の気合いを入れていることの表れだった。鏡の中の僕の前髪は、父親に比べると稚拙でしかない出来栄えだったが、僕の気合いは十分だった。
玄関で念入りに靴紐を締めて靴を履く。幼い頃、出掛ける僕をハグしてキスしてくれた母親のことを思い出す。もう見送ってくれる家族はいない。それでも、誰もいない家に向かって、行ってきます、と小さく口にして家を出た。
指定場所で待機していると、指定された時間に一台の大型トラックが走行してきた。荷台に背の高い幌屋根が付いた、兵員を乗せて運ぶためのトラックだ。目の前で停車したトラックの荷台に、僕はよじ登るようにして乗り込んだ。
トラックの中にはすでに十一人、兵員たちが座っていた。
「おはよう、ケイタ」
僕にそう挨拶をしてきたのはボーロだった。狭い荷台の上で、彼は大きな身体を狭めるようにして腰を降ろしている。僕のふたりいる幼馴染みの片割れが彼だ。もうひとりの幼馴染みであるキョウイチロウ博士は、今は本部の作戦会議室にいる。ふたりとも、僕にとってはかけがえのない友人だ。
「おはよう、ボーロ」
ボーロの隣に座っていた兵員がわざわざ立ち上がり、僕が座るための空間を空けてくれたので、名前も知らない彼に会釈をしてボーロの隣へと腰を降ろした。
僕以外の十一人の兵員の中で、知っているのはボーロだけだった。あとの十人は��も名前もわからない連中だ。今回の「任務」では他地域から応援を募ると聞いてはいたので、恐らくは他支部から派遣されてきたのだろう。
僕が腰を降ろしてすぐ、トラックは再び走り出した。座席もクッションもないトラックの荷台では、振動で尻が痛くなりそうだったが、目的地はここからそう遠くない。短い間の辛抱だった。幌屋根に遮られて外の様子はよく見えないが、僕たち十二人の兵員を乗せたトラックは、葉桜となった桜並木を北上しているはずだ。
「おい」
チームのリーダーであることを示す、赤い腕章を付けた兵員の男が僕に端末を手渡した。僕は端末を受け取ったのとは反対側の手を軽く上げて、礼を示したつもりだが、リーダーの男は眉ひとつ動かすことなく、じっと前を見つめるだけだった。兵員たちの間には妙な緊張感が漂っていた。ほとんどの兵員は自らの膝を抱えるように座り、目線は下を向いていた。お互いに目を合わせることも、言葉を交わすこともしない。
命の危険が伴う「任務」の前には、こういう光景は決して珍しいことではない。僕も無理に他の兵員とコミュニケーションを取ろうとは思わなかった。黙ってリーダーの男が渡してきた端末を操作する。
端末の画面には今日の「任務」の要項が表示されている。どうということはない、事前に知らされていた内容と相違なかった。最後までスクロールすると、武器を選択する画面が現れた。十二種類の武器が用意され、兵員は自由に種類を選ぶことができる。
「ボーロは何を選んだんだ?」
僕は小声でボーロに訊いた。彼の左腕に装着されている腕時計型の端末は、青い光を発している。それは選択された武器の用意がすでに整っていることを示している。幼馴染み��どこか得意気に笑って答えた。
「俺はいつものあれだよ」
「そうか、あれか」
ボーロは昔から、使用する武器をほとんど変更していない。今日もガトリング砲か、モーニングスター――今回、ボーロが選んだのは後者だろう、と僕は思った――だろう。
「ケイタは? 何にするんだ?」
「僕も、いつもと同じだ」
そう答えた僕を見るボーロの表情が、少しばかり曇った。そこには微かな軽蔑の色が混ざっていた。しかし、幼馴染みのそんな表情にももう慣れっこだった。
「ケイタはいつも、そればっかりだな」
目元に嫌悪の色を滲ませたまま、幼馴染みの口元がいびつな笑みを作る。僕は笑い返さなかった。
使用武器を固定化する兵員は決して珍しい訳ではない。十二種類すべての武器をまんべんなく使いこなす兵員の方がよっぽど稀有だ。これは他のことに関しても当てはまるかもしれないが、多くのことに手を出すよりも、どれかひとつに絞って鍛錬した方が、より習熟した技術を得ることができる。だからたいていの兵員は、使用武器種はひとつかふたつ、多くても三つというところだ。
僕は端末の画面に表示された十二種類の中から、愛用している唯一の武器種を選択する。表示された確認のメッセージをタップすると、すぐに僕の左腕に装着してある端末が同期する。青い光が灯った。
改めて荷台を見回すと、兵員は全員、左腕に青い光を灯している。準備は整っているようだ。
「そろそろ、目的地に到着するぞ」
リーダーの男が低くそう告げる。途端に、兵員たちの間に漂う空気がより重たくなったように感じる。「任務」が始まろうとしていた。
僕たちはこれから、トチコロガラドンを倒さなくてはいけない。
停車したトラックの荷台から降りると、そこは校庭だった。目の前には小学校の校舎と、隣接する体育館があった。通常ならば、児童が登校してくる時間帯のはずだが、校庭にも校舎にも、どこにも人の姿は見当たらない。どの窓を見ても灯りはない。この学校は半月前から無人になっている。避難指示が出されているからだ。この都市に暮らす住民はすべて、近隣の都市へ避難するように指示が出されている。残っているのは僕のような「任務」に就く兵員だけだ。
無人の学校はどこか不気味だった。あまりにも静かすぎる、そう感じた。誰もいないのだから、それは当然なのかもしれなかった。否、誰もいない訳ではない。トチコロガラドンがいるはずなのに、なんの音もしなかった。そのことを不自然に感じているのかもしれなかった。
リーダーの男が指示を出した。事前に知らされていた内容通り、まずは校舎の中を探索する。十二人の兵員は三つのグループに分けられ、それぞれ校舎の一階、二階、三階を探索することになった。僕とボーロは違うグループに分けられた。僕は三階、ボーロは一階を探索することになる。僕はボーロと無言で目配せをした。
違うグループになったことは、特別残念なことでもなければ、嬉しいことでもない。各兵員が選択した武器種が近接攻撃に特化した武器なのか、それとも援護が可能な遠距離攻撃の武器なのか、あるいは、兵員がベテランなのか新人なのか、そういったバランスによって各グループに分けられただけだ。誰も異を唱える者はいなかった。
僕たちは昇降口から校舎へと足を踏み入れた。主に遠距離武器を選択した兵員たちの手には、すでに武器が握られていた。左腕に装着した端末を通して、兵員は任意のタイミングで本部の武器庫から自らの武器を異空間移動で呼び出すことができる。基本的に、大型の武器は持って歩くだけで体力の消耗や機動力の低下に関わるので、戦闘が始まるその瞬間まで装備しない兵員が多い。ひときわ身体の大きな男が、ハンマーソードを肩に担いだまま二階への階段を登って行ったが、彼は体力に自信があるのだろう。僕は丸腰のまま、土足で下駄箱の前を通り過ぎる。
ふと、下駄箱に一足の靴が残されているのが目に入った。黒いエナメルのスニーカーだ。デザインからして、女児の物だろう。忘れ物だろうか。下駄箱にスニーカーを忘れて帰るなんて、上履きのまま下校したのだろうか?
ボーロたちのグループとは階段の前で別れた。階段を登って行く。土足のまま校舎の中を歩き回るというのは奇妙な感覚だった。避難訓練の時、上履きのまま校庭へと走り出したことを思い出す。あの時と、今は状況が真逆な訳だが。
二階を探索するグループと別れてさらに階段を登る。校舎の中は静まり返っていた。本当にここにトチコロガラドンがいるのだろうか。この都市を壊滅状態にまで追い込むかもしれないと噂されている、宇宙からの侵略者が、ここに。
「手分けして探そう」と、同じグループに配属された金剛鈴使いの男がそう提案した。僕たちはそれぞれ、三階の教室を探索することになる。僕が宛がわれたのは五年二組の教室だった。灯りの消えている室内は薄暗く、廊下からでは中の様子はよくわからない。僕は慎重に、教室のドアを開けた。
教室には誰もいなかった。五年二組に所属している児童、三十二名分の机と椅子が並べられているだけだ。一歩、二歩と教室の中へと踏み込む。これといって異常はない。ごく普通の教室だ。五年二組、異常なし。左腕に装着している端末からそう連絡し、廊下へと引き返そうとした、その時だった。
目の前で、音ひとつ立てずに教室のドアが閉ざされた。まるで、僕をこの教室から逃がさないようにしたかのように。
「おはよう、ケイタくん」
声がした。凛とした声だった。教室には誰もいないはずだった。しかし、振り向くとそこにいた。教卓の陰にでも隠れていたのだろうか。誰もいなかったはずの教室に、まるで遥か昔からずっとそこに存在していたかのように、あるいは、たった今魔法でその場に現れたかのように、「彼女」が降臨していた。
「ケイタくん、どうしたの。もしかして、日直の当番の日、間違えちゃったの?」
透き通るような白い肌。艶やかな長い黒髪。髪と同じか、それよりももっと深い闇を湛えたような、大きな瞳。「彼女」――トチコロガラドンだった。トチコロガラドンが、そこにいた。
僕は瞬時に左腕の端末から自らの武器を異空間移動させて召喚し、彼女に襲い掛かる――はずだった。しかし、現実の僕は咄嗟に動くことなどできず、ただその場に立ち尽くしているだけだった。否、立っていることくらいしかできなかった。僕はトチコロガラドンを見つめていた。見つめるしかなかった。彼女から目を離すことができなくなった。
それは鱗と羽毛に覆われているはずだった。手には鉤爪が生えているはずだった。だが、目の前のトチコロガラドンには、二対の翼も、八本の手足も、五つの目玉もなかった。彼女は美しかった。眼差しは優しげで、口元は柔らかな曲線を描いていた。彼女は微笑んでいた。僕に微笑みかけていた。僕たち十二人の兵員を全員抹殺し、この第八都市を滅亡させるはずの破壊者は、それでも美しい笑みを僕に向けていた。
僕が咄嗟に動けなかったのは、突然目の前に敵が現れた恐怖心からだったのか、それとも彼女の美しさに呆気に取られてしまったからなのか、もしくはそのどちらともだったのかもしれない。
その場の空気を切り裂くような鋭い金属音が鳴り響いたのと、トチコロガラドンが僕に向かって手を伸ばしてきたのはほぼ同時だった。その金属音は金剛鈴の音色だった。廊下で別れたはずの金剛鈴使いの男が、いつの間にか僕がいる五年二組の教室の前に立っていて、その音色で閉ざされたドアを開け放ってくれていた。
「大丈夫か!?」
僕に向かってそう叫んだ金剛鈴使いの男を、トチコロガラドンは変わることのない優しい瞳で見つめる。彼女はその声までも、優しい響きをしていた。
「――ケイタくん、いつも置き勉してるんだ、いけない子だね」
逃げろ。そう言う暇さえなかった。次の瞬間、金剛鈴使いの男は真っ赤な飛沫となって廊下に飛び散った。彼が立っていたはずの場所に、もう人間の姿はなく、骨も肉も装備品も武器も何もかもなく、ただ赤い飛沫だけが廊下に残されただけだった。
殺される。
情けない僕の足はそこでようやく走り出した。教室を飛び出し、廊下を駆ける。端末で通信するなんて余裕はなかった。トチコロガラドンが追って来る気配がしたが、後ろを確認する勇気もなかった。
廊下に面した教室にいた兵員たちが僕を追うトチコロガラドンの存在に気付き、悲鳴を上げる。武器を向けた兵員が赤い飛沫となった。本部で通信しようとした兵員も赤い飛沫となった。振り向かなくてもそれがわかった。誰かが飛沫となる前に緊急事態を知らせる左胸のボタンを押したようだ、僕の左腕の端末が赤い光を放ち始めた。一階と二階を探索している兵員たちにも、この異常事態が伝わるだろう。
これで、三階にいる兵員は僕ひとりになった。
僕は廊下を一度も振り返ることなく走り、迷わず屋上へと階段を駆け上がることを選んだ。トチコロガラドンは僕を追って来ているはずだ。下階へ行けばより多くの犠牲を出すことになる。
事前の「任務」内容の確認や日頃の訓練の効果も、今は空しいだけだった。僕は今、誰のことも救えずにただ逃げ出しているだけだ。それでも屋上へと迷わず走ることができたのは、一階を幼馴染みのボーロが探索しているとわかっているからかもしれない。
『ケイタくん、思い出して』何か、階段の壁にそんな内容の文章が書かれていた。誰かがスプレーで書き殴ったかのような文字だった。でも僕は階段を登ることに必死だったから、何かの見間違いかもしれない。
「ケイタくんは、強い?」
後ろからトチコロガラドンの声がした。僕を追って来ているのは間違いない。ある程度の距離を保っていることはかろうじてわかるが、背後にどのくらい迫って来ているのか、正確な距離は測れない。
屋上へと続く扉は鍵が閉まっていて開かなかった。それでも��び付いて古ぼけた扉に一縷の望みを託して、僕は扉を蹴破ろうとする。
何度も何度も扉を蹴った。狂ったように扉を蹴った。もう足が折れているかもしれなかった。それでも僕は扉を蹴り続けた。
開け。開け、開け、開け、開け。『戦って。ケイタくん』扉にはそんな言葉が書いてあった。スプレー缶で落書きされたような文字。校舎にこんな落書きをするのは一体誰なんだろう。僕はその扉を蹴って蹴って蹴って蹴って、蹴り続けていた。しかし、扉は頑として開かなかった。
「ねぇ、ケイタくんは強いの?」
声がした距離が近かった。僕は振り返った。階段の踊り場に、こちらへと登って来るトチコロガラドンの影が見える。もうすぐそこまで、彼女は迫って来ていた。もう逃げられない。どうやら、ここまでのようだ。
僕は扉を蹴ることをやめた。階段を登って来る、トチコロガラドンの頭が見え始める。一段一段、踏みしめるように彼女は近付いて来る。
『ケイタくん、お願い』階段にはそんな文字が書いてあった。誰か落書きした人がいるのだろう。壁や扉のみならず、階段にまで書くなんて。さっき駆け登って来た時には、まったく気付かなかった。そんなメッセージを残す人を、僕は知っているような気がした。でもそれは、妄想なのかもしれなかった。
死にたくない。
僕は左腕の端末を操作した。僕の武器を異空間移動で呼び出す。
青い光の輪が広がった。僕の武器が突如として足下から出現する。冥府より蘇りし六角形をした金属製の箱。コフィンは、兵員たちの中で最も忌み嫌われている武器だ。僕がこの武器を選ぶ度にボーロが嫌な顔をするのには理由がある。それはこの棺桶(コフィン)の中に納められている存在が、時として敵よりも邪悪な存在であるからだ。
階段を登って来たトチコロガラドンは、突如として出現したコフィンを目の前にしても、驚きの表情ひとつ浮かべない。変わらず優しい笑みだった。
「リスコ、起きてくれ」
僕の声に応えるように、棺桶の蓋が突然開く。途端、辺りをひどい悪臭が立ち込めた。獣のような呻き声。汚れきった頭髪が棺桶の中から覗いている。あの世から蘇ってくる。この世へと腕を伸ばし、足を降ろし、その姿を現す。それは邪悪な死者。寝起きがあまり良くなくて、永遠の眠りから自分を呼び起こしたすべての者を噛み殺そうとする、気性が激しい怪物。
リスコ。それは僕の妹。死してもなお、幾度となく眠りを妨げられる、僕のたったひとりの不憫なきょうだい。
棺桶から出て来たリスコは、しばらく目の前のトチコロガラドンを見つめていた。否、本当に彼女を見ていたのかはわからない。妹は、もう僕が知る生前の姿とは異なっている。黄色く濁った瞳では、対峙している相手が見えているのかは不明だった。
対するトチコロガラドンも、リスコをじっと見つめていた。リスコは低い呻き声をときおり上げはするものの、微動だに動こうとしない。そんなリスコを見つめる彼女の姿は、教室の中で大人びた女子児童がクラスメイトたちの他愛のない雑談に耳を傾けている時のような、そんな様子に見えるかもしれなかった。
ただ、ここはもう逃げ場がない階段の踊り場で、トチコロガラドンはこの都市を壊滅させる侵略者で、僕は彼女を討伐する「任務」を課せられた兵員で、リスコはその死によって武器として利用されている可哀想な死者だ。
「リスコ、食い尽くせ」
ふいにトチコロガラドンの右腕が動いたように見え、僕は咄嗟にそう命じていた。今までぴくりとも動かなかったリスコは突然、トチコロガラドンに飛び掛かる。
一瞬、何が起きたのか理解が追いつかなかったが、僕の左頬を何かが掠めた。背後にあった扉に激突して僕の足元に転がったそれは、妹の左腕だった。肩の辺りから捩じ切られたように切断されている。恐らくは、トチコロガラドンの攻撃が被弾したのだろう。他の兵員たちのように赤い飛沫にならずに済んだのは、上手く躱せたからなのか、もしくはリスコがもう人間ではないからかもしれない。腕の切断面は妙に白茶けていて、血も流れ出なかった。マネキンの腕みたいだった。
腕を一本吹き飛ばされたにも関わらず、リスコの勢いは止まらなかった。未だに痛覚が備わっているとは思えない。僕の不憫な妹は、かつて僕の妹であった哀れな死者は、自分の片腕が失われたことに気付いてさえいないのかもしれない。リスコはトチコロガラドンに飛びついた。そして頭からバリバリと、彼女を食べ始めた。
僕はもう、自分が見ている光景が現実だとは思えなくなっていた。トチコロガラドンはなんの抵抗をすることもなく、リスコにバリバリと食べられていた。それは何かのテレビ番組で見た、クマに食される魚の映像に似ていた。まだ残されていた彼女の右目が、僕のことを見ていた。最後まで、その瞳は微笑んでいた。トチコロガラドンは、顔の表情を変えることができないだけなのかもしれない。そうでなければ、こんな瞬間まで、笑っていられないだろう。やがて頭部をすべて食べられその表情が完全にわからなくなるまで、トチコロガラドンは顔色ひとつ変わらなかった。
リスコは僕の命令通り、トチコロガラドンを食べ続けた。頭から、胴体、腕、足、すべてを食べ終えるまでにどのくらいの時間が経ったのか、よく覚えていない。僕はどこか夢でも見ているかのように呆然と、妹の裁断機のような歯が口の中で幾重にも連なり、それらが機械的に開いたり閉じたりするのを見ていただけだった。
やがてリスコはトチコロガラドンを完食した。何を言っているのかわからないほど低く唸りながら、あたかも自分の成すべきことはすべて終わったのだとでも言うように、自ら棺桶の中へと帰って行く。
「……リスコ、ありがとう。助かったよ」
僕は夢見心地のまま、かつて妹だった者に、なんとか言葉を絞り出してそう声をかけた。ひときわ大きな唸り声が返ってくる。とっくの昔に人語を理解できなくなったはずだから、僕の言葉に返事をしたように聞こえただけで、偶然に過ぎないだろう。コフィンの金属製の扉は音を立てて閉ざされる。召喚した時と同じように、冥府から運ばれし棺桶は僕の足下で回転する青い光の中へたちまちに消えた。
左腕の端末からは、敵の信号が完全に途絶えたこと、すなわち、トチコロガラドンの討伐に成功したことを伝える通信が入っていた。僕はそれを、やはり夢を見ているような気分のまま聞いていた。トチコロガラドンがこんなにもあっさりと、討伐されてしまって良いのだろうか。否、すでに兵員は三名の死者を出している。決して少ない犠牲ではない。だが、そうではなくて、僕が召喚したリスコを前に、彼女はあまりにも無抵抗ではなかったか? 彼女はこの都市を壊滅させるはずではなかったのか? それだけの脅威だったはずだ。何かがおかしい、何かが……。これではまるで、ゲームのバグのような……。
気が付くと、屋上へと続く扉が開いていた。僕があんなに蹴り飛ばしても開かなかった扉が、今は開いている。僕は誘われるように、扉の向こうへと踏み出した。
屋上には湿気た風が吹いていた。曇天からか細い陽が射している。屋上のアスファルトは濡れていた。そこにスプレーで書いたような文章があった。
『ありがとう、ケイタくん。トチコロガラドンを倒したんだね。君はついに見つけたんだ、誰も見つけることができなかった、第八都市を壊滅させずにトチコロガラドンを倒す方法を。君によって世界は救われたんだ』このメッセージを書いたのは、一体誰なんだろう。でも僕は、そんな落書きにも、それを書いた人物にも、もうたいして興味を持てなかった。
屋上にできたひときわ大きな水溜まりに、何か落ちている。僕は近付いた。それはヘアピンだった。水色の水玉模様が付いている。指先で摘まみ上げてみる。僕はそのヘアピンをしばらく見つめ――、しかし、何も思い出せなかった。
それは、僕にとって大切な記憶だったような気がした。でも気のせいかもしれなかった。妄想なのかもしれなかった。今までずっと僕の妄想が繰り返されてきたように、今こうして見ている景色も、現実ではないのかもしれない。この記憶も妄想ということで片付けられ、また違う世界の、僕の物語が始まるのかもしれなかった。そしてそれもまた、僕の妄想なのかもしれない。
僕はずいぶん長い間、そうやって妄想の中で生きているような気がする。まるでテレビゲームの中のような世界を、映画の中のような世界を、どこかで見たような誰かから聞いたような何かで読んだような世界を、ありふれた、当たり前のようにありきたりな、決まりきった世界を眺めているだけのような気もする。
本当は、こんなはずじゃなかった。こうなる予定じゃなかった。トチコロガラドンは倒せないはずだった。第八都市は壊滅するはずだった。この都市を犠牲にして、あの怪物を倒す。それが僕たちの任務のはずだった。そう、あれは怪物でなければならなかった。僕が倒した「あれ」は、怪物なんかじゃなかった。優しく微笑み続ける「あれ」は、「彼女」は、倒すべき敵なんかではないはずだ。
僕は探しているはずだった。怪物を倒す方法を。第八都市を滅ぼすことなく、宇宙から飛来した侵略者を倒す手段を。「彼女」は探していたはずだ。僕たちが助かる方法を。僕たちが現実の世界で、生き延びるための手段を。
僕たちはそれをずっと探していた。僕たちは、こんなバグみたいな、偶然の産物みたいな、百万回に一度だけ起こる奇跡のような、そんな確率論の成れの果てを求めて、挑戦していた訳ではなかった。僕たちは――「僕たち」って、一体、誰のことなんだろう?
僕はこのヘアピンを、誰に返さなくちゃいけないんだっけ。
突然、青い光の輪が、僕の足下に広がった。咄嗟に手を伸ばしたが、光の出どころは僕の左腕の端末ではなかった。僕が武器を異空間移動させようとした訳ではない。当たり前だ、そんな操作をしていない。では、この光は。一体、何が召喚されようとしているのか。
光の輪が幾重にも広がる。ひとしずくの水滴が波紋を起こしていくように、光の波がアスファルトの上を伝わっていく。『ケイタくん、思い出して』いつの間にかそんな落書きで屋上のアスファルトは埋め尽くされていた。光の輪はその文字の上も走り続け、たった今スプレーで噴射されたような落書きたちはみるみるうちに霞んでかき消されていった。
気が付くと、青い光の波の中に僕は立っていた。光は風にそよぐ夏草のようにゆらゆらと揺れていた。一面の波だった。もうそこには屋上も、学校も、この都市も存在していなかった。何もかもが消えていた。ただ、光の海が広がっていた。海の外側は深い闇だった。
膝の辺りまで波は来ていた。波ではあるが、水ではないから濡れないことが不思議だった。ふいに、水面が盛り上がった。何かが下から、この光の大海原の奥底から、姿を現そうとしている。それは人のようだった。人の姿をしているように、僕には思えた。それが誰なのか、知っている気がした。けれど、どうしても思い出すことができない。僕にとって、とても大切な人だったような気がするのに、名前すらわからない。
ばしゃんと、光の波が跳ねて飛沫が飛んだ。その人は水面から顔を出し、振り返って僕を見る。そして立ち上がる。僕の方へと、光の波の中をかき分けるように歩み寄って来る。
「ケイタくん」
その人は、僕の名を呼んだ。優しい声だった。もう何度も聞いた声だった。もうずっと、耳にすることを待ち望んでいた声だった。
「ケイタくん、泣いているの?」
僕は泣いているんだろうか。
「泣かなくていいんだよ」
僕は泣いていたんだろうか。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
その人がそう最初に言ったのは、僕の妹が死んだ時だった。
寝起きは特別機嫌の悪い僕の妹は、ある日、父に殴打されて二度と目を覚まさなくなった。もう目を開けることはないとわかっていても、横たわる妹に触れるのは怖かった。いつか起き上がって、毎朝お決まりの癇癪が始まるような気がした。妹が棺桶に詰め込まれて火に焼かれ、地中に埋められるまで、僕はひそかに怯え続けていた。そうして妹が死んでから、眠ることが怖くなった。可哀想な妹と同じように、僕も眠ったっきり、二度と目を覚まさなくなってしまうような気がした。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
僕の母親が失踪した時も、その人は僕にそう言った。
日に日に酒の量が増えていった母親は、次第に料理を作ることをやめ、洗濯機を回すことをやめ、掃除機をかけることをやめた。冷蔵庫が空になり清潔な衣服が何ひとつなくなり、家じゅうにゴミが散らかるようになった頃、ビールを買いに出て行ったっきり、母は帰って来なくなった。それから三ヶ月経った頃、海に浮いているのが見つかった。一緒に漂っていた鞄���中に仕舞われていた財布には、所持金が二円だけ入っていた。
「私がケイタくんを守ってあげる。だから大丈夫。何も心配いらないよ」
僕の父親を殺した時も、その人はそう言った。
台所の薄暗がりの中、こちらに右手を伸ばしたまま、目を見開いたまま死んだ父親。背中から突き抜けていた包丁の切っ先が、鈍い光を反射していた。床に広がっていく血溜まり。父の瞳から命の灯が消えていく。まるで助けを求めるかのようにその右手が伸ばされた時、薄情な僕は後ずさったのだ。助けるどころか、叫ぶことさえしなかった。その人が父を殺すのを、僕はただじっと見ていた。見ていることしか、できなかった。
それらは、僕にとって大切な記憶なのかもしれなかった。でも、すべて僕の妄想のような気もした。テレビゲームをしている間は楽しかった。どこかで見たような、誰かから聞いたような、何かで読んだような、そんな世界に浸っていられる間は、現実のことを忘れていられた。
だから僕は妄想をした。妄想し続けた。トチコロガラドンが宇宙からやって来てこの都市を破壊していく姿を思い描いた。トチコロガラドンが宇宙からやって来て、僕の家族を破壊していく姿を想像した。たとえ本当にこの都市が壊滅しても、僕の家族が崩壊しても、それは妄想なのだと思えば、その苦しさを忘れることができる。
いや、それは嘘だ。忘れることなんてできなかった。僕はずっと苦しかった。苦しくて苦しくて、それでもどうすることもできなかった。僕は見つけられなかったのだ。怪物を倒す方法も、僕たちが助かる方法も。
光の波が僕の頬を撫でた。ずいぶんと高い波だった。水じゃないから濡れなかった。
その人は光の海の中を歩いて来て、僕の前で足を止めた。少し困ったような表情で僕を見ていた。やっぱり、微笑んでいた。
「ついに、ケイタくんに倒されちゃった」
その声は、どこか嬉しそうに聞こえた。でもそれは、そうであってほしいと僕が思い込んでいるだけかもしれない。
「すごいね、ケイタくん。やっぱり、ケイタくんは強いんだね」
――トチコロガラドンが倒せないの。
いつだったか、その人は僕にそう言った。そのトチコロガラドンは、今はもういない。僕の可哀想な妹が、すべて食い尽くしてしまったから。
「私が守ってあげなくても、ケイタくんはもう大丈夫だね」
これも僕の妄想なんだろうか。僕はこの人に、こんな風に言葉をかけてもらいたいと、思っていたのかもしれない。ずっと僕の側で微笑んでいてほしいと、そう願っていた頃があったように。
僕はこの人の笑顔をいつまでも見つめていたかった。それが許される存在でありたかった。ずっと見つめていたいのに、見つめ返されると胸が苦しくなった。自分が許された存在ではないということを、突き付けられているような気がした。自分なんかが憧れてはいけない相手のように思っていた。
僕は許されたかった。
この人に許してもらいたかった。
この人を許してあげたかった。
この人が許されてほしかった。
「もう、大丈夫だね」
それが、僕が聞いた最後の声だった。その人は光の波に飲まれて、光の渦の中へ吸い込まれていって、光の海の中の、光に満ちた奥底へと沈んでいった。海底は眩しかった。どんなに目を凝らしても、もうその人の影も形も見つけられなかった。
僕はいつまでも、光の波の中に立っていた。ゆらゆらと揺れる光を見ていた。
光の波が僕の頬を撫でる。水じゃないから濡れないはずだった。僕は泣いていたのだろうか、水じゃないのに頬は濡れていた。
と、いうのはすべて、僕の 。
僕は、目覚まし時計のアラームを止めて起き上がった。
朝の支度。棚のコーンフレークの袋を手に取り、皿に出して牛乳を注ぐ。洗面所で顔を洗う。歯を磨く。服を着替える。寝間着代わりにしていたTシャツとスウェットを洗濯機へと放り込む。
リュックサックは玄関先に置いてある。新調したスニーカーも出してある。ひとりで暮らしているから、見送ってくれる家族はいない。それでも、行ってきます、と口にする。
葉桜となった桜並木を歩いて行く。登校途中なのであろう、小学生たちとすれ違う。ひときわ身体の大きな男の子と、ひょろっとした眼鏡の男の子が仲良さそうにおしゃべりしながら歩いていて、僕は昔いた友達のことを思い出す。僕も彼らみたいに、友達とスニーカーの話やテレビゲームの話をしながら、学校へ向かうのが好きだった。
懐かしい記憶を思い出しているうちに職場に着く。店長のヨモギダさんは、僕が面接で出会った人間たちの中で、やたらと空白ばかりでなんの資格も免許もない僕の履歴書を見ても、唯一顔をしかめなかった。断られた回数を数えることを諦めてからもしばらく無為に数を重ねることしかできなかった僕のしがない就職活動の中で、唯一採用してくれたのもヨモギダさんだった。採用してくれた理由が、二十四時間営業の居酒屋のアルバイトというのはそれだけ人気がない仕事なのか、「俺も昔、三年くらい引きこもってたよ」と休憩中に煙草を吸いながら言った彼の琴線に僕の経歴が触れたからなのかは、未だにわからない。
「おはようございます」
「おー、おはよ」
店の裏に回ると、副店長のミシマさんとバイトリーダーのサキハラさんが従業員専用出入口の側で煙草を吸っているところだった。
「あ、ケイタくん、良いところに」
「今ちょうどミシマさんとスタストの話してたとこなんだよ」
「ケイタくん知ってた? 来月発売の新型ゲーム機、あれにスタストの新作が出るんだって」
「八年ぶりの続編なんて、テンション上がるなぁ、おれ絶対買うよ」
「ケイタくんも買う? そしたら三人で遊ぼうよ」
ふたりの会話の勢いに僕はちょっと面食らって、「金、貯めておきます」とだけ答えて店の中へと入った。
「スタストと言えば、なんだっけ、なんとかドラゴンがさぁ……」
「あー、ありましたね、都市を壊滅させる代わりに倒せるやつ……」
「あれ、地味にトラウマになったよなー」
ふたりの会話が続いているのが聞こえてきたが、僕は構わず更衣室に入り、制服に着替える。
更衣室を出た時、店長のヨモギダさんとすれ違った。
「店長、おはようございます」
「おー。今日もよろしくな」
今日も目の下の隈がひどいヨモギダさんは僕の挨拶に覇気のない声で返事をしてから、裏口の扉を少しだけ開けて、「おーい、いつまで煙草吸ってんだー、仕事しろー」と、外に向かって怒鳴った。
ミシマさんとサキハラさんは、ふたり揃って「すんませーん」と頭をぺこぺこ下げながら裏口から入って来て、それでもヨモギダさんが店の奥の事務室へと消えると、スタストでどの武器を愛用していたか、まだ話していた。
僕が小学生の時に友人たちとハマっていたテレビゲーム、スタストこと、スターストレイザーの新作の発売が発表されたというニュースを、僕はすでに知っていた。先週、ヒナカワから送られてきたメールにそう書かれていたからだ。
ヒナカワは僕の小学校の同級生で、彼女はその頃からすでに、筋金入りのオタクだった。女子よりも男子に人気があったスタストを、クラスの誰よりも、いや恐らくは学校じゅうの誰よりも、熱心にプレイしていた。もともと、僕とヒナカワは特別仲が良いという訳ではなかったが、同じゲームに夢中になっている者同士、何度か一緒に敵の攻略方法を模索したことをきっかけに、ときどきメールでやり取りをするようになった。
僕は小学五年生の時に諸事情から学校に行くことをやめてしまい、それから六年間ほど、半ば引きこもりのような生活を送っていたので、実際に顔を合わせる機会はほとんどなかった。それでも定期的にヒナカワからは「お願い、一緒に戦って」というメールが届き、インターネットを介したマルチプレイで一緒にゲームをしていた。彼女も彼女で、中学生に進学した頃には不登校になり、一日じゅう部屋にこもってオンラインゲームばかりしていたようだが、僕がそのことを知ったのはずいぶん後になってからだ。
中学校の門をくぐったことが一度もなく、高校卒業資格も持たない僕が、今こうして二十四時間営業の居酒屋で働いているように、どうやらヒナカワもアルバイトをしているようだが、自身のことを語る内容をメールに一切記載してこない彼女が、今どこに住んでいて何をしているのか、本当のところはよく知らない。知りたいとも、会いたいとも特別思わない。
ただ、僕が引きこもっていた六年間、毎日毎日、現実から目を背け、妄想の��界に閉じこもっていたあの時期に、ヒナカワが、彼女だけが、僕に現実と向き合うよう、何度も訴え続けてくれた。そのことだけは、僕は一生、彼女に感謝し続けるだろう。
月日が経って、スタストもずいぶん古いゲームになってしまい、僕もヒナカワもいつの間にか一緒にゲームをすることはなくなったが、それでも今でもときどき、彼女からは簡素なメッセージが届く。
『スタスト新作、買う?』とだけ記されていたそのメールに、僕はまだ、返信をしていなかった。
スターストレイザーの続編を購入するかどうか、決めかねていた。新型のゲーム機と新作ソフト、インターネット環境や周辺機器を整えることを考えると、決して安い出費では済まされない。それに、僕はもう何年も、テレビゲームをしていなかった。電器屋のゲームコーナーで「新作」のタグが付けられたゲームソフトを眺めても、遊びたいという気持ちになることさえなかった。欲しいゲームソフトを何本も買ってもらえる訳でもなかった子供の頃は、店頭に並んでいるパッケージを眺めるだけで心が弾んだのに、今はなんの感情も湧き上がってこない。もう今さら、テレビゲームを楽しむことなどできないのかもしれない。
それでもヒナカワからのメッセージに『買わない』と即答しなかったのは、夢中になって敵を倒そうと奮闘していたあの頃を思い出して、懐かしい気持ちになったからだった。もう一度あの頃の楽しさを体験できるのであれば、プレイしてみたいと思ったからだ。そして恐らく、それは多くのスタストファンが抱いている感情だろう。ミシマさんも、サキハラさんも、そして、たぶんヒナカワも。
しかし、そんな僕の前に立ちはだかる、金銭問題という壁は巨大だった。両親を亡くした僕を引き取って面倒を見てくれていた祖母が亡くなり、ひとりで生活するようになってもうすぐ二年が経つ。しかし今の僕には、テレビゲームを遊ぶ余裕はなかった。
あと何回、客のテーブルまで生ビールの大ジョッキを運び、あと何枚、汚れた皿を洗い場の片隅で洗い続けたら、スタストの続編が買えるようになるんだろう。そんなことを考えながら、客がはけたタイミングを見計らってフロアにモップ掛けをしていると、八時間の今日の労働が終わった。
更衣室でリュックサックをロッカーから取り出し、制服から着替える。まだ残っているスタッフとこれからシフトに入るバイト仲間たちに「お疲れ様でした」と声をかけ、来た時と同じ、裏口から店を出る。
「おー。お疲れさん」
帰ろうとする僕に声をかけてきたのはヨモギダさんだった。彼は従業員専用出入口の横で、ひとり煙草を吸っていた。一体、何時から出勤していて、何時まで店にいる予定なんだろう。ときどき、この人は本当に寝ている暇があるのか、心配になる。
お疲れ様でした、と挨拶をして通り過ぎようとする僕を、ヨモギダさんは煙草を持っていない方の手で引き留めた。
「ちょっと、これは皆には内緒の話なんだけど」
そう言って、ヨモギダさんは手招きをする。僕が煙草臭い彼の顔に、内心嫌々、耳を近付けると、彼は相変わらず疲れ果てた口調のまま、囁くように言った。
「ケイタくんは真面目に頑張ってるよ。給料、前貸ししてほしい時はそう言いな」
その言葉に、驚いて彼の顔を見ると、ヨモギダさんは少しだけ笑って、「皆には��緒な」と、もう一度念を押すように言った。ミシマさんとサキハラさんと、スタストの話をしていたのが聞こえていたのだろうか。それとも、僕の顔にはそれほどまでにはっきりと、「金が欲しい」とでも書いてあるのだろうか。目の前に希望の光が見えたような気がするのと同時に、自分の懐事情を把握されているような恥ずかしさに、思わず何も言葉を返せないでいたが、ヨモギダさんはそんな僕にはお構いなしで、もう用は済んだとでも言うように、煙草を吸い終えてさっさと店の中へと消えてしまった。
来た時と同じ道のりを歩いて家まで帰る。下校中の中学生たちが、自転車で僕を追い越してみるみる小さくなっていく。夕暮れの街には、ひとつ、またひとつと灯りがともり始め、どこかの家からは今夜の夕飯なのであろう、良い匂いが漂ってくる。
そう言えば、冷蔵庫にもう何もないんだった、と思い出し、夕飯もコーンフレークで良いかな、と考える。居酒屋で働いて最も良かったことは、客の注文と間違って調理された料理を食べさせてもらえることだ。それがなければ、僕は今よりもっとひもじい思いをしていたかもしれない。
アパートの郵便受けには、珍しくチラシが挟まっていた。それを引き抜き、鍵を開けて自分の部屋へと帰宅する。リュックサックを玄関先へと降ろし、たいして読む気力も起きないチラシを四畳半の中心に鎮座しているミニテーブルの上に放った、その時、僕はチラシだけだと思っていた郵便物の中に、一通の封筒が紛れていることに気付く。
切手が貼られ、消印が押されたその封筒には、見覚えのあるボールペンの字で宛先のところに僕の名が記されていた。封筒を裏返すと、差出人のところには、やはり見覚えのある字で――。
ああ。
やっぱりそうだ。
彼女だった。
それは彼女が、僕に宛てた手紙だった。
今までも何度か、こういう風に、彼女は僕に手紙をくれた。
力強くも整った、この字で。
それは、ナルミヤからの手紙だった。
ナルミヤ。
僕は彼女のことを、なんて説明すれば良いのかわからない。
彼女はヒナカワと同じく、僕の小学校の同級生だ。そして彼女は十歳の時、僕の父親を殺した。それから十六歳までの六年間――僕が不登校になり、ほとんど家に引きこもって生活していた六年間を――、ナルミヤは少年院で過ごしたはずだ。
少年院を出てからの彼女がどこでどういう生活をしているのか、僕は知らない。ときどき送られてきた手紙には、差出人であるナルミヤの住所は記されていなかった。だから彼女が少年院を出てから、手紙に返事を出せたことはない。恐らくは、どこか遠い土地で暮らしているのだろう。
人を殺した罪を、償い続ける人生。
僕にはそんなナルミヤの生活のことが、まるで想像できない。
彼女は僕の父親を殺した。しかし、そのことでナルミヤを恨んだことは一度もない。父は日常的に僕や母に暴力を振るう人間であったし、可哀想な妹は父に殴り殺されていた。ナルミヤが僕の父を殺さなければ、いずれは僕が死んでいただろう。だから、彼女は命の恩人のような存在と言えるのかもしれない。
でも、誰もそんな風には、ナルミヤのことを捉えない。
小学五年生の女の子が同級生の父親を刺殺した、というニュースは、世間に大きな衝撃を与えた。ナルミヤの実名も顔写真もあっという間にインターネット上に出回った。彼女の生まれながらにして持っていた美しさがまた、人々をさらに騒がせた。さらには、彼女が援助交際をしていただとか、万引きの常習犯であっただとか、そんな噂も広まった。
ナルミヤの家族や親戚たちの情報も流出して、彼らはずいぶん肩身の狭い思いをしたはずだ。彼女の両親は離婚して、父親はその後亡くなった。自殺だった、と噂で聞いた。旧姓に戻ったナルミヤの母親は、過去を詮索されずに済む場所へ移り住んだらしいが、少年院を出所して来る娘と一緒に生活することは拒んだらしい。
だからナルミヤは――彼女の名字も母親の旧姓に戻ったはずなので、もうナルミヤではない訳だが――、どこかでひとり、生活しているのだろう。彼女が少年院を出て、もう二年になる。
僕はナルミヤのことを、どう考えればいいのかわからない。彼女はきっと、僕を助けたかった。そのために罪を犯した。一生、消えることのない罪を。そうしてまで、彼女は僕を救いたかったのだろうか。それが正しい選択だと、そう思っていたのだろうか。
そんな選択をした彼女に、僕は何をしてあげられるのだろう。僕はずっと無力だ。子供の頃からずっと、無力のまま。
手紙の封を開ける。便箋には見慣れたナルミヤの端正な字が、最近の彼女の生活の様子をすらすらと語る。肝心なところには触れられていないが、文章からはなんとなく、ナルミヤが田舎の方に暮らしているのだということがわかる。仕事帰りに見た星空が綺麗だったこと、部屋の窓から見える山が四季の移り変わりに伴って変化していくこと、職場の裏庭で育てている野菜が変な形ばかりに育ったのに食べたら美味しかったこと。他愛のない内容だ。でもきっと、今の彼女にとって、それは大切な日常なのだ。
手紙の最後に差し掛かった時、僕は思わず、目も見張った。そこには、『スターストレイザーの続編が、今度発売になると聞きました。ケイタくんは買いますか? もし良かったら、また一緒にプレイしない?』と、書かれていた。
そう、僕たちが小学生の頃、ナルミヤもスタストをプレイしていた。クラスの女子の中ではかなり珍しいことだった。僕とナルミヤは同じゲームをプレイしているのを知ったことで仲良くなり、強敵を攻略するために僕の家に招いた。
それがきっかけだった。ナルミヤは僕の家の、壁に残された拳の跡や、ひしゃげた家具、割れたままになっている窓、そして、僕と妹の、学校では見えない位置に残された痣を見て、知ったのだ。僕の父親がどんな人間で、僕がどんな仕打ちを受けているのかを。そして後々、そのことが、彼女を殺人者へと変えることになった。ナルミヤの口から聞いたことはないが、僕はずっとそう思っている。あの時、家に招いたりしなければ、ナルミヤの未来は違っていたかもしれない。
だけれど、ナルミヤと一緒にゲームをしたことは忘れられない大切な思い出だ。あの頃のナルミヤは、強敵を倒すための方法を模索していた。第八都市を壊滅させることなく、トチコロガラドンを討伐する方法を。当時、まだ世界の誰も、その方法を発見できていなかった。よくふたりで、何時間も費やして、その方法を探したものだ。けれど、結局いくら検証しても、それは見つからなかった。そして恐らく今も、その方法は見つかっていない。
それでも、ふたりで探し続けた時間のことを無駄だったと思わないのは、それはゲームをしている時のナルミヤが、学校で見せる姿とは違って、少し子供っぽい様子で、無邪気で、本当に楽しそうに笑っていたからだった。本当は、僕はトチコロガラドンも第八都市もどうでも良くて、ただ、そんな風に笑っているナルミヤを隣で見ていたかっただけなのかもしれない。
そんなことを、取り留めもなく思い出す。
もし、ナルミヤとまた一緒にゲームをプレイすることができたら、何か変わるのだろうか。僕にとって大切な思い出になっているように、彼女にとってもあの頃一緒に戦ったことは楽しい思い出になっているのだろうか。もうその笑顔をこの目で見ることはできないのかもしれないけれど、楽しい時間を共有することができたら。あの頃の楽しさをもう一度、ふたりで思い出すことができたら。今度こそ、僕とナルミヤふたりだけの、攻略方法を見つけ出すことができるかもしれない。
僕は便箋を元通りに折りたたんで封筒の中へと仕舞う。ヨモギダさんになんて言って給料の前貸しの相談をするべきかを考えながら、僕は携帯電話を開く。まだ返信していなかったヒナカワからのメールに返事を出した。
もう一度、戦おう。
それはゲームの話かもしれない。でも決して、僕の妄想なんかじゃなくて、現実の話だ。
僕はもう一度、この現実で戦う。
何度でも、方法を探して、もがきながら、あがきながら、生きていく。 どうか今度は何も犠牲にせず、僕たちが救われるために。
了
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副業をしながらスキルアップを目指したい人におすすめできる副業3選
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1. ブログ
ブログ運営は、文章力やマーケティングスキルを高めるのに最適な副業です。ブログはただ記事を書く作業にとどまらず、SEO(検索エンジン最適化)、SNSでの集客、広告運用といったさまざまなスキルが必要です。これらのスキルを身につけることで、将来的にはWebライティングやマーケティング分野でのキャリアアップが期待できます。
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需要が高い:企業や個人がSNSやYouTubeで動画を活用するケースが増えており、案件が多くあります。
おすすめの始め方
動画編集ソフト(Premiere Pro、Final Cut Proなど)を使って基本的な編集技術を学び、YouTubeなどの小さなプロジェクトから始める。
クラウドソーシングサイトやSNSで動画編集の案件を探して実績を積んでいく。
3. プログラミング
プログラミングは、現代の副業として最も将来性のあるスキルの一つです。ウェブ開発やアプリ開発、システム構築など、多くの分野でプログラミングスキルが求められています。特に、IT業界では高収入を狙えるため、初心者でも少しずつ学びながら副業として取り組むことで、将来的に大きなキャリアチャンスに繋がります。
メリット
高単価の仕事が多い:プログラミングスキルを身につけることで、高単価な案件を受けることができ、収入が安定します。
需要が今後も拡大する:IT業界は成長を続けており、プログラミングスキルは長期的に役立つスキルとなります。
自分のプロジェクトも作れる:学んだスキルを活かして、自分でウェブサイトやアプリを開発することも可能です。
おすすめの始め方
プログラミング学習サイト(Progate、Udemyなど)で基礎を学び、小さな案件や個人プロジェクトに取り組む。
クラウドソーシングサイトで簡単なウェブ制作や修正の仕事からスタートし、実務経験を積んでいく。
まとめ
副業をしながらスキルアップを目指したい方におすすめの副業として、ブログ、動画編集、そしてプログラミングをご紹介しました。これらの副業は、それぞ���収入を得ながらスキルを磨ける魅力的な選択肢です。どの副業も将来的なキャリアアップに繋がる可能性があるため、ぜひ自分に合った副業からチャレンジしてみてください。
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8/3土
先日の健康診断の結果が届いた。僧帽弁に異常があるので必ず心電図でひっかかるのだけど、今回ひっかかってない。自然に治ることもないと思うんだけど、どういうことだろう。あとは胃カメラ的には逆流食道炎の兆候ありだけど現時点では心配なし、とのこと。あと血清鉄っていうのの数値が低かった。他はOK。メタボだけど。
それはいいんだけど、風邪症状で咳が酷いので近くのクリニックへ。早めに手を打ってこれ以上酷くなるのを避けたいのと、あと今晩ライブへ行きたいので。薬局で薬買うより安くすむし。発熱はあんまりなし。以前の処方箋薬局が閉店してしまったので初めての薬局へ。客自分��とりしかいないのに待たされる待たされる。挙げ句呼ばれてカウンタへ行ったら「いかがですか?」と言われ「はあ!?」と言ってしまう。いかがですか?って何?
時間が経つにつれ咳は酷くなるばかり。これではライブ参加は無理。今日はミチルくんのライブというかイベントというかお祭り?みたいなのがあって日与津十子も出るみたいだし、行きたかったんだけど。そして明日は高校の同級生のまことちゃんのサロードのライブがあってこちらも楽しみにしていたのだけど、こんな咳き込むのではだめそう。くやしい。ざんねん。
オリンピック女子バレー第1戦、ポーランド戦、視聴。大接戦で日本敗れる。くやしー!
おととい配信を担当した松倉如子さん。名前は知っていたものの、どういう生い立ちでどういう活動をしてきた方なのかは存じ上げなくて、改めて検索して、宮沢章夫さんの教え子だと知る。そうだったんだ。
松倉如子とはそもそもなに者か。劇作家・宮沢章夫が教える京都造形芸術大学の、映像・舞台芸術学科の三年に在籍する松倉は、いま京都に住んでいる。一年生のとき(2001年)、宮沢の授業で発見された。声が独特な魅力だった。表現者としてのある特別なものがその声にはある。一年前まで、人の前で歌うことなどまったく考えていなかったが、宮沢の強引なすすめで、二年時の授業における発表公演で歌うことになりそこではじめて「人に向かって歌うこと」を意識した。その後、三度ほどライブをやったが、経験はもちろん少なく、まだ途上にある。いまは洋楽のカヴァー中心。持ち歌も少ない。今後は松倉のオリジナルを発見し、新たな歌の道を見つける計画だ。東京における今回のライブは、いわばアウェーでの戦い。はじめのステップだ。経験を積んで、歌に磨きをかけようという試みである。その最初の出現を、いまこそ目撃してほしい。(宮沢章夫)
追加オーダしたDVD-Rが到着。
DVDケースも到着。
映像をどう売ればいいのか問題。DVD?Blu-ray? 今ならBlu-rayでしょ?ってなるんだけど、そもそもプレイヤーなんて誰も持ってないわけで、だったらまだDVDの方がPCにドライブがついてて読めたりする、のかなどうなんだろ。じゃあ物理メディアじゃなくてネット販売?となるとどういう売り方がある? ひとつの選択肢が配信なんだけど、生配信はまだしも、「ちゃんと編集した映像」って配信してもあんましみんな観ない、よね。うーん。と思っていたところで清水宏さんのページ観たら、映像をダウンロード販売してた。こういう方向になるのかなあ。でも結局ファンの人に、ってことになると物理メディアなのかな。うーん、難しいね。
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