#まつ毛レスキュー
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いのち、ばんざい。
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いのち、ばんざい。
作家名:和田聡文 会期:2023年7月27日(木)~8月20日(日) 時間:16:00-22:00 休廊日:7月31日(月)、8月7日(月)、12日(土)~16日(水) 料金:入場無料 場所:IAF SHOP* 福岡市中央区薬院3-7-19 2F TEL:090-5475-5326(佐藤) http://iafshop.tumblr.com/
=================== 本展に関する4つの動画がyoutubeにて公開されています。
いのち、ばんざい。 https://www.youtube.com/watch?v=A6Nv8syTENs
プランクトンダンス https://www.youtube.com/watch?v=ZyDdtBkHNnk
よるのかんだた うっすらと排除される「おっさん」という属性について https://www.youtube.com/watch?v=V5GnpN0LLtU
louper digger looper https://www.youtube.com/watch?v=lFFif7LwFtw ===================
色々、五月蠅いね。
だけど、あたしは、
ポリネシアの血族。海に浮かぶ島々の者。
8人産んでも2子しか生きて残せなかった祖霊の末の子。
だけど、あたしは、
一度は魔法使いになり、
高校卒業13年目にして、
やっとこさ同級生の妻と再会し、
今は青年の一人の息子の親になった、
「うっすら嫌われる中高年のおっさん」。
だからこそ、あたしはブリジット・バルドーの側に立つよ。
あたしは、どうせ「色々分かっていないおっさん」だから、
おっさん臭いことしか思い付かないし。
ならば、いっそ、「おっさん臭さ」を引き受けて、
すごくベタに「天」と「人」と「地」のお話しをする。
「いのち、ばんざい。」
■ 天(伴天連さんの話):
「挑戦」って言葉を知ってるかい?
この島国と伴天連(バテレン)の話だよ。
最初の「挑戦」は戦国時代。「第一次挑戦」ってやつさ。
大海原を渡ってやって来たんだ。揉み手、摺り足、赤ら顔で。
でも、銃器の販売やら、人身売買やら、
伴天連同士のもめ事やら、色々あって、
お前ら、帰れって、叩き返しちゃった。
次の「挑戦」は幕末から維新。「第二次挑戦」ってやつさ。
真っ黒い船に乗って、煙モクモク、やって来たんだ。
漢字やめれ、アップデートしろ、神社、仏像打ち壊せとか、
色々やり過ぎて、嫌われて。案外、不人気。
パァとはしなかったね。
「俺らも案外とすげえ」とか逆に調子に乗られちゃうし。
近々の「挑戦」は大戦直後。「第三次挑戦」ってやつさ。
美しい、大きな銀��の飛行機でやって来た彼は、
コーンパイプをぷかぷか。
欧米様にはかなわねぇ。マッカーサー格好良いとか。
伴天連さん達、大チャンス。
天皇さんに聖書の講義したり、農業国に変えちゃうぞ、とか、
亜米利加さん、大盛り上がり。
でも、まあ、隣の半島やら、東の側やら、
ゴタゴタ、ピカピカ、どかんどかんで、
余裕無くなって、締め付け中途半端。
で、この島国のアップデート人口は1%程度。
しょぼいかぎり。
で、今。
「次にファシズムがやってくるとき、
彼らは、「反ファシズム」を掲げてやってくるだろう。」
と、「ディミトロフなんとか」が言ったとか何とか言うけど、
四回目の「挑戦」は、どんな顔をして来るのかな?
もう来てるのかしらん?
「ソドムの街を火と硫黄で焼き払う」の、逆で来るのかな?
「産めよ、増えよ、地に満ちよ。」の、逆で来るのかな?
「天父神」、「長兄たる救世主」の、逆で来るのかな?
虹の橋を渡って来るのかな?「第四次挑戦」ってやつが。
ブロガー納言と、レディコミ式部と、
元祖バ美肉おじさん紀貫之と、古典BL信玄公と、
カルーセルと、明宏と、ピーターと、
おすぎとピーコと、デラックスと、マングローブと、
天宇受賣命と、阿国と、弥次喜多と、
全裸監督、村西とおると、
エロ屋/小説家/ニュースアンカー、紗倉まなと、
オスカルと、ジルベールと、
バンコランとひばりくんのこの島に。
また、来るのかな?
生まれて、まぐわって、子らにつなげる
我らの原罪を問うために。
でも、また来ても言い返すよ。あたしは。
あたしは、人間だし��生きてるし、おっさんだから。
「いのち、ばんざい。」
■ 人(カンダタさんの話):
「カンダタ」のお話って、知ってる?
お馬ぱかぱか、愛馬の「カンタカ」君じゃないよ。
芥川龍之介くん初めての児童文学
「蜘蛛の糸」のあいつだよ。
地獄と極楽の間で宙ぶらりんのお友達。
でもさあ、この話、なんか変。
違和感マシマシ。
この話の「釈迦さん」、なんか上から目線。
切羽詰まって、焦って、失敗しちゃったカンダタさんに対し、
「浅ましい」とか「ヤレヤレ愚民は。。。」感、丸出し。
しょうがないじゃん。カンダタさんは。
生まれからして元々余裕なんかないんだし。
「糸切れちゃう!登ってこないでー!」とか、
そりゃー、言いたくなるよ。安全問題だし。
なのに、何、その、ちょっと一本釣りうまく行かなかったら、
飽きちゃって、テキトーに放り出しちゃう、投げやり感。
お腹空かせた虎さんに、我が身ぽーんと投げ出す、
釈迦牟尼本来のキャラじゃないよね。。。
大体、自分は涼しい顔して、快適な場所に居て、
面白そうな奴だけ、一本釣りとか、
衆生を救おうって気概が無いよね。
福祉事業をなめてんの?
現場に飛び込んで行って、問題解決せんのかーい!
我が身ポーンと行かんかーい!!
大体、カンダタ以外の奴らはみんな、
亡者、すなわち、アウトオブ眼中。
目覚めて、アップデートした奴にだけ、
極楽から「救済」の手を差しのべるとか、
キリスト教終末論の「携挙(けいきょ)」かよ。
救ってやるのは伴天連だけで、
ハルマゲドンで亡者/異教徒は一掃かよ。
「選民思想」臭え。
手に似合わない「水掻き」なんかを付けてでも、
なんとかして、なんとかして、漏らさず衆生を救おうってな、
大乗レスキュー「阿弥陀如来」の気概はどこ行った?
で、さあ。
このへんちくりんな違和感の話を妻にしたら、
理系にして日本文学オタクの我が妻も、
「あたしもヘンだと思ってた」とのこと。
でね。。。調べてみたの。ちょっとググって、wikiにて。
そしたらさぁー。パクリだって。
ドイツ生まれアメリカ籍の作家ポール・ケーラスの著作
『カルマ』収録の「The Spider-Web」が元ネタだって。
タイトルまんまじゃん。。。。しかも、この『カルマ』、
「本場モンの仏教説話を紹介」ってな本なんだけど、
「The Spider-Web」については「創作」だって。
本物に創作混ぜ混ぜ、仏教説話の捏造じゃん。
パクリと��知らんかったわー。龍之介やらかすなー。
バチモンの仏教説話とか知らんかったわー。
ポール、やらかしおったなー。
そりゃー。「ヘン」だわな。釈迦のキャラじゃないわなー。
仏じゃないじゃん。偽仏じゃん。仏罰モンだわー。
「自分ばかり地獄からぬけ出そうとするとか、
無慈悲だわー。浅間しいわー。」とか、
「蓮の華の何とも云えない好い匂い」の
爽やかな極楽の風に吹かれて、のほほんしてる
偽仏のてめぇこそ、文句言える立場??
「どうでも良いわー。平等に地獄に落ちればー。」
とか、なにその「タワマン文学」。
「瞑想」じゃなくて、「マインドフルネス」、
「ヨガ」じゃなくて、「ピラティス」とか、
言い出すんじゃないの?
あらまー!「カッコイイ消費者」ですことっ!!
「丁寧な暮らし」ねっっ!!!
美しい、大きな銀色の摩天楼から見下ろしてる
虚業の小金持ちみたい。
カンダタ君もさあ、
タワマン野郎に「いいね!」とか声かけられて、
「一歩抜け出すチャンス!!」とか
調子に乗るの止めようよ。。
良いことないって。。
あいつらさあ、ペットか番犬探しているだけだから。
カワイソウな順か、カワイイ順に声掛けてるだけだから。
カワイソウな奴に餌やると「徳」を積めるし。
「徳」=「信用」=「クレジット」=「通貨」だから、
儲かんのよ。「カワイソウなペット」を飼うと。
大体、地獄って、年季を勤め上げると、
生前よりちょっとは良いステージに行けるし、
学校みたいなもんじゃん。
周りにいる奴らもカンダタ君と似たようなもんで、
みんな生前、色々苦労してるし、
タワマン野郎よりずっと共感できるじゃん。
鬼だって学校の先生みたいなもんで、
死なないように注意して、君を鍛えてくれてるだけで、
ちゃんと良く見てくれてんじゃん、君のこと。
ウエメセのタワマン野郎よりずっと。
ヘンな上昇志向に捕らわれて、痛い目見るより、
実直に自分の手で、地に足付いたコトをしようよ。
そうだ。友達を作りなよ。愛する人を作りな。
出来たら家族になって、子供を育てなよ。
老いて子供がもう無理なら、若い者を応援しなよ。
虚業で浮いてるタワマンの偽仏よりずっと良いよ。
地に足を付けて生きるってことだよ。
だから、「ぢごく」で結構。大「地」の「極」み。
だから、おっちゃんは叫ぶよ。
「いのち、ばんざい。」
■ 地(生き物の話):
やあ、こんにちわ。僕らの名前は「オピストコンタ」。
「尻尾が後ろ」って意味だよ。
人間の精子みたいな形なんだ。
キノコとか、ツボカビとかの菌類と、
人間とか、魚やミミズ、トンボなんかの多細胞の動物を
ザックリ含んだフレンズさ。
襟鞭毛虫なんかのちっこい奴らも僕らの仲間さ。
世の中、僕ら「オピストコンタ」だけじゃなくって、
色んなフレンズがいるよ。
土の中にも、蓮のお池の中にも、地べたの上にも。
「真核生物」に限っても色々いるよ。
「オピストコンタ」の兄弟分「アメーバ動物」
草花や樹木とかを含むフレンズの「アーケプラスチダ」
昆布とか珪藻とかのフレンズの「ストラメノパイル」
ゾウリムシとかのお友達「アルベオラータ」
有孔虫、放散虫のフレンズ「リザリア」
ミドリムシとか光合成する奴もいる「エクスカバータ」
「クリプト植物」とか「ハプト植物」とか「太陽虫」
「真核」じゃなくて、「原核」だけど、細菌も色々。
シアノバクテリア(藍藻)とかを含むフレンズ。
美しい、大きな銀色の鏡胴を持つ顕微鏡で、
小さな水滴に閉じ込められた彼らを、上から覗き込むと、
色んなフレンズが、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、してて、
本当に、本当に、面白いよ。例えば、
放置しちゃった植木鉢の雑草の中。
劣化したプランターの壁面。
ジメジメ湿った苔の上。
蓮のお池の水の中。
只の水溜まり。
蟻の行列。
蝸牛。
藻。
蝶や蛾。
ダンゴ虫。
マ��トビムシ。
苔の子実体の森の中。
くるくる回るミズヒラタムシ。
慌てて席取りをするクラミドモナス。
巨大なミジンコの屍骸を喰らう原生動物。
ほとんどが単細胞で、小さくて、単純なはずの生き物が、
くるくる踊ったり、パクパク食べたり、
ぶつかってビックリしたり、キョロキョロあちこち覗き込んだり、
居場所を見つけたり、喧嘩したり、慌てて逃げまどったり。
多細胞生物���はなく、ただの「群体��に過ぎないのに、
喧嘩せずにお互いしっかり体をつないで、
くるくるくるくる泳ぐ、ヒゲマワリ(ボルボックス)やシヌラ。
動物じゃないと思っていたら、
意外とクネクネ、クルクル、活発に動く、シアノバクテリア。
小舟みたいに、スイスイ走り回る、小さな小さな珪藻たち。
独立した多細胞生物のはずなのに、
まるで一個の生き物のように合体してしまうイトヒメウズムシ。
それに、なにより面白いのは、
ご先祖の「古細菌」から、ずっと昔に枝分かれして、
お互い全然違う見た目や、違う生き方をしている
遠く離れたフレンズたちのはずなのに、
みんな、みんな、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわり、接合して、次世代を作ったりすること。
知ってる?生物の世界において、
「成体(アダルト)」とは、「生殖可能となった個体」という意味。
子供を作るのが「おとな」なのさ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと違う話をするよ。「シン・ウルトラマン」って映画の話。
その映画の中で、ウルトラマンは、頭の先からつま先まで、
均質な物体で出来た、微細構造を持たない完全体とされる。
「一にして全、全にして一」な完全な個体。ほぼ神。
当然、マンガ「はたらく細胞」みたいに
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、協力し合う、
たくさんの細胞を持つ「多細胞生物」ではない。
理念、思想の固まり、孤高で単一の「思念体」。
外宇宙から来た、美しい、大きな銀色の飛行体。
よって、本質的に「個と個の(細胞)間の協力」は、
その身体自身に内在せず、
「バディー(仲間)」の意味がまったく分からない。
(映画では、故郷は「光の星」。国家は無い。)
(彼は人類と同種のものから進化した存在。)
彼は弥勒菩薩の様に完全な美(統一感)の化身だが、
無関係の子供を助けて死んだ男のことが分からない。
進化の最果てに居る彼には、「仲間」の意味が思い出せない。
遠い未来に来迎する弥勒菩薩の様なポーズをとって、
死んだ男の姿を掌に、森の中で悩み続ける。
覚えていたが、今は忘却した何かを思い出そうとして。
強くて、全知で、大きくて、けれど孤高のウルトラマンには、
起動してしまったゼットンを止める術が分からない。
なのに、弱くて、無知で、小さくて、愚かな人間たちは、
ぶつかり合ったり、協力したり、怒ったり、信じあったり、
ドキドキしたり、お尻パンパン気合を入れたり、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ゼットンを止める解決策を見つけ出す。
上から目線の外星人たちには出来なかったことを、
小さな「はたらく細胞」みたいな人間たちが成し遂げる。
VRゴーグルを付けての独り言、虚空に手をブンブン、
滑稽で、とっても格好悪いけれど。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ずっとずっと昔に進化の枝分かれをする前から、その後も、
地べたに這いつくばって生きる「いのち」の本質は、
わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、わちゃわちゃ、
ぶつかり合ったり、喧嘩したり、食べ合ったり、
身を寄せ合ったり、協力したり、
まぐわって、子供を作ったり、育てたりしながら、
「なんとか必死に次につなげ続けること」なんだろう。
人間も明確に動物だし、生き物だし、「いのち」。
だから、おっさんは、勇気を出して、ベタなこと言うよ。
わたしは、一人の息子の父親だから。
ショーペンハウアーとか、シオランとか、ベネターとか、
そんな馬鹿どもの言うこと知るか。五月蠅い。
「いのち、ばんざい。」
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「てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復」展
神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で「鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復」展を見る。神奈川県立近代美術館では、阪神淡路大震災をきっかけに美術館における作品の保存修復に対する意識が高まり、2003年に葉山館が開館したのにあわせて保存修復専門職員を配置したとのこと。公立の美術館で保存修復部��を持っているところは少ないらしい。
展示室へ入るとまず目に飛び込んでくるのが、たくさんのさまざまな道具類。
修復技術者の用いる道具の中には、一般には知られていない特殊なものももちろんあるが、むしろホームセンターなどで売っていそうな汎用品のほうが多いようにも見え、興味津々。道具類に大胆さと繊細さが入り混じって宿っているようで、それがまた魅力的に映る。
最初のテーマは「てあて」。損傷したり劣化したりした作品を修復する作業は、具体的な方法はわからなくとも漠然となら比較的イメージがしやすいものだと思う。
村山知義《ヘルタ・ハインツェ像》。薄い板の上に書かれた小さいサイズの油彩。板の割れ、黄変したワニスなどが修復されている。
展示を順路通り見ていくと、あとの方でこの作品を輸送するための箱を見ることができる。これは「まもり」のテーマと関わっている。
古賀春江《窓外の化粧》。ワニスが盛大に黄ばんで汚れていたのを修復したら、見た目が劇的に変化して戸惑うほどだったとか。もとは川端康成が所有していたようで、額縁にクレジットが残してある。
江見絹子《むれ (2)》。かなり大きなサイズの油彩で、カンヴァスが筒状に巻かれた状態で寄贈されたため、巻き癖がついたカンヴァスをゆーーーっくりと引き伸ばさなければならなかったそう。厚く塗られた絵具の重みに耐えられるよう���工夫もしてあるとのこと。
朝倉摂《夫婦》。油彩用の木枠に張られた日本画。裏側には別の作品《街頭に観る》も挟まれており、修復にあたってそれぞれを別個に鑑賞できるようにした由。
朝倉摂《街頭に観る》。別に保管されていた部分(右側の縦長のところ)を継ぎ合わせたが、左下の部分は見つかっていない。
関根正二《暗き内に一点の光あり》《永遠の春》。スケッチブックの1枚の紙の両面に描かれたもの。紙が酸化して脆くなっていたため、酸化を抑えて柔軟性を取り戻す処置を施し、両面が見える額装に耐えられるようにしたとのこと。
「まもり」のパートでは、修復したものやまだ修復が必要でないものを適切に保存する取り組みが紹介される。
高橋由一《江の島図》。額縁自体も古く価値の高いものなので、外部に貸し出す際はオリジナルを模した貸出用額縁をつけているとのこと。下の写真の左がオリジナル、右が貸出用額縁。
村山知義《美しき少女等に捧ぐ》。油絵具の上に布を付けたコラージュ作品。全体的に傷んでいたが、布の部分を改善するのは難しいので、全体の調和を考えて油彩部分もあえて軽く清掃する程度にとどめたそう。なんでもかんでも修復すればいいというものではないということがわかる。アクリル板の入った額縁に入れたことで布が擦れて裂ける恐れがなくなった由(「まもる」案件)。
アンリ・マティス《シャルル・ドルレアン詩集》。リトグラフの版画集。全体的な紙の黄化、部分的な褐色の染みが見られたため、染みのひどかったページが修復されている。
そしてその保存箱。
アルベルト・ジャコメッティ《裸婦小立像》。これは「てあて」(修復)の経歴がなく、「まもり」の例として展示されていた。高さ10cmに満たない、ジャコメッティならではの針金のようにか細い石膏像(ブロンズとかではない!)を「まもり」つつ展示する作業にはとんでもない緊張感が伴いそうである。つまりここでの見どころは像を支えているパーツであり、写ってはいないがそれを設置する人の手である。
ちなみに、この展覧会の図録の表紙には、この像を設営しているところの写真が使われている。粗忽な不器用人には務まらない仕事だ……。
堀内正和《D氏の骨ぬきサイコロ》。これも修復歴はなく、「まもる」パートを構成する作品。
上の作品用の輸送箱。
作品の固定具一式。
空気環境管理関連資料。
虫害対策関連資料。なんかゴキブリホイホイに似た形のものがある……
最後のテーマは「のこす」。保存修復で作品を「てあて」し「まもり」、そこからさらに先を見据えて作品を「のこす」、という位置付けになっている。このパートでは映像やスライドショーによる解説が多かった。各々それほど長くはないので、時間の許す限り見たほうがいいと思う。
災害で被災した文化財を助ける文化財レスキュー事業に関する展示ケース。
下の作品は、映像の中で修復の模様が紹介されていた屋外作品のひとつ、《SWING86-01》。作家の監修のもと、鉄が腐食した部分を錆びにくい素材に換えたり、塗料が剥落したのを塗り直したり、といった修復をこれまで4度にわたって行ったとのこと。このような保存修復のためには、作家が存命中なら作家本人と、故人なら遺族や著作権者との良好な関係を保つことが必須と言えそうである。
なお、屋外彫刻は年に一度、学芸員総出で点検を兼ねて清掃しているとのこと。たわしや高圧洗浄機で表面にこびりついた汚れを落とす作業は、もしかしたら通常業務とは毛色が違ってちょっとハレの気分になれて楽しいかも……?
展示とは無関係の余談。石の上に何か書いてあるので、これも作品なのかと思って近づくと……
“飲食の際はトビにご注意ください。手に食べ物を持っているとトビに狙われて危険です。”
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アドプション、続々!
ケ(ケン): 日本から帰ってきて、あっという間にもうひと月! 日本での飲み過ぎ食べ過ぎと、ウェリントンの寒さで2週間ぐらい体調悪かったんですが、ようやく平常運転になりました〜。
リ(リッシェ): スクールホリディで忙しかった4月から比べると、他のビジネスは5月かなり売り上げが落ちてるみたいなんですが、幸いにもウチの猫カフェは好調です! それに、たくさんの猫に家が決まりました!
ケ(ケン): 前回話したジギーに引き続き、ティリー、キャリー、ニクスのアダプションが決まりました!ニクスのような人間が大好きな子猫にはすぐに家が決まるから心配ないんやけど(一番上の写真)、他の猫が嫌いなティリーやシャイなキャリーが��しい家族にベッタリと懐いている写真を見ると、ほんま嬉しいよね。
リ�� そして、アニャとマーマイトの親子もトライアルに出て、2週間の期限を待たずにアダプションが決まりました! この子達はビビリで他の猫からいじめられてたし、ソファーの下からほとんど出てこなかったのに、そういう難しい猫を受け入れてくれる心優しい人がいるんですよ! そして、それに応えるように伸び伸びと新しい家で生活しているこの子達を見ると、ほんまに涙が出そうになります。
ケ: これで5月だけで6匹に家が見つかりました。1月から4月までで5匹しか見つかってないことを考えると、すごいペースよね! そして、これ以外にもニクスの兄弟のハンター、それとグースもトライアルに出ています。
リ: 6月に入ってからも好調で、ロズとサリーがトライアルに出て行きました。
ケ: 猫たちを出すためには新しい猫を入れる必要があります。最低でも10匹はカフェに置いておきたいもんね。グレイシーの後には、ランギとアロハの兄妹がウチにスレンダー(譲渡)されてきました。この3匹はビビリなんで、いつもソファの下に隠れています。
リ: そして、アルフィーとグレイシーの母親、ニクスとハンターのおばあさんのイングリットも先週の日曜日から来ています。この子の毛並みはメチャクチャキレイなんですが、人慣れしてないから時間かかるやろうなぁ。
ケ: そして、レイチェル・レスキューから3匹の兄妹子猫も来ています! むっちゃ可愛い!
リ: イングリッドがカフェに来て、うちの里親さんで預かってもらってる猫がいなくなったんで、受け入れも始めています。その辺を次回に書きますねー。
ケ: ではまた、みなさんお元気で!
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じゃれ本 3冊目の作品
「じゃれ本 オンライン試用版」を使ったセッションで紡がれた物語たちです。前の文の前後関係がわからずに何かを書こうとするとこうなります。参加した本人たちはめちゃくちゃ楽しかったです。
お題:特になし ページ数:6P
『透明化学現象』
透明化学というのは正しくは「トウメイ」と「バケガク」に分けられる。すなわち化けるのである。何がって、僕らが。透明に。僕ら狸にとってバケガクの習得は命綱のようなものだ。
狐たちは狐たちで何やら研究しているようだが、そこは僕ら狸のほうが一歩分野に秀でていると自負してもいいだろう。 ただ、しょうがないことだけど例外はいるのだ。 この間なんかは…
『最も完璧なアライグマと狸の区別の付け方』と言う我ら狸の宿願に対し、 「食べたら分かるんじゃない~」 「たぬきうどんときつねうどん見れば一発だもんな~」 と狐と盛り上がっている仲間がいたのだ!
そんな捕食者目線で区別をされてはたまったものではないんである。熊連中なら確かに、多分骨とか肉とか舌触りとかで区別も付けるんだろうけど。
僕はそんな考えを振り払うように身震いした。 そんなことにならないよう、僕自身もこの『透明化学現象』をしっかと解明し、学習し、修��しなくてはならないのである。 試しに尻尾だけを消してみることにした。
…… ……………
消えない。 終わった。人類の尊厳は失われた。これから僕は尻尾を活用すべく四脚の哺乳類としていかねばならぬのだろう。 「バカ?」 近くを通った姉のツッコミはもちろん耳に入らなかった。
『眩しいiPad』
俺はいつものように、枕元にiPadを置いて動画を再生しながら寝ようとしていた。 何のことはない、いつもの日課だ。 だがその日に限って、猫がやけにiPadを気にしていた。
『ゴロ……ゴロゴロ……にゃお……ん……ゴロゴロ」 と言うかうっとりしている。 なんだコレ。俺の猫――猫は誰のものではなく猫自身のものであり、それでもあえて言うなら神のものだ――が寝取られた!
「へいsiri!」「聞き取れません」「Heysiri!」「聞き取れません」そりゃそうだ、俺だって俺より猫が良い。より好きなモノや場所を選ぶのは生き物としての道理だ。多分iPadだってそうなんだろう。
「ンマ~ォ」ポポン! このSiriめ、いけしゃあしゃあと猫の声には反応しやがる。 「ナ~」「猫には難しいかもしれません。」 「ルノァ~」「重機ならば可能でしょう。」 待て、何の話をしている。
問い詰めたいが、Siriにも猫にも言葉は届かない。おかしい。人類こそが言語を発明したのではなかったのか。それは人類の驕りだというのか。 答えて欲しいが相も変わらず1台と1匹は2人(?)の世界だ。
何となく傍をうろついてみたが世界に入り込めそうにない。俺は耐えかねてAlexaを呼んだ。
『はがれない毛布』
「こ、これは僕の大事なものなんだ! 例えるならライナスの毛布さ」 「なんの例えにもなってない! まんまじゃない!」 幼い子たちが揉めている。 発端は1人が布団から出て来ないことであった。
半泣きになりながらも毛布にひっついている子どもは、やがて2人になり3人になり、一ヶ月も過ぎれば部屋中の子どもたちがすっかり布団から……正しくは毛布にひっついて離れなくなってしまった。
紛れもなく一大事である。レスキュー隊がやって来て子供たちを救助しようとしたが、一人、また一人と毛布の餌食になっていく。うんとこどっこいしょ、うんとこどっこいしょ。それでも毛布は剥がれません。
しまいには軍隊まで負けてしまったのです! 「オトナもこんなものなのね」 「そこは毛布の吸引力がすごいって言ってあげなよ」 と、一足先に飛び出した子どもたちが楽しそうに笑ったのでした。
大人たちもおずおずと目を見合わせ、お互い��探るようにへへっと笑ったりして少しだけ言い訳めいたものをごにょごにょと口の中で呟いてから、誰からともなく足は徐々に毛布へと向かっていくのです。
こうして地球人類全ては毛布につつまれました。 地球をヌクモリティが包み、スヤみが覆ったのです。 かくして地球《ガイア》自身もヌクモリティに包まれる事により、恒久的な世界平和が実現したのでした。
お題:ランダム縛り 6P
『極端な化粧水』
いつものツルハドラッグで、私は目を疑った。 いつもの化粧水を買おうとしたら、その隣になんと、50円の化粧水と50000円の化粧水が並んでいるのだ。 ご丁寧に、50円のほうにはオススメPOPまである。
ツルハドラッグは住宅街を中心に展開している真っ当な対応とポイント制度が売りのドラッグストアであって、こんなアホみたいな煽りで商売をする店ではない。 値段をつけるにしてももうちょっとあるはずである。
「いくらなんでも化粧水が1400万円はさすがにないだろう……円高もバカにならないってことか?」印刷ミスかと思ってSNSに投稿しようかという気がよぎるが本当にその値段だった。分割ローン払いもある。
しかし…これだけの金額を出すだけの価値はあるということなのか?突拍子もない値段過ぎて感覚が麻痺してきている。そうだなあ、宝くじでも当たったら考えてみなくもない。万が一にも当たったら、だ。
そういえば、先週買ったスクラッチくじが財布にあったな… そう思い、その場で番号を確認してみた。なんときっかり5万円当たっている! つまり、買おうと思えば買えなくもないのだ!どうする!どうするんだ私!
5万あったらできるおしゃれ……ほら考えてみて。ネイルサロン。うんうん、キルティングネイルとか高いのも行けそう。美容室でアンニュイカールを指定……医療脱毛……はちょっと無理かな。
『好きな人の側に行きたい麻酔銃』
あたし、麻酔銃! (製造)年は2124年のレトロ型。 ある日研究室の保管庫から取り出されて……ええーークマ退治ですって~~!?!?
さすがに一世紀も前の麻酔銃に凶暴な遺伝子組み換えクマの退治はちょーっと荷が重いかな……!? でも博士は期待してくれている。おっと、緊張で麻酔の塩酸エトルフィンが溶け出……
危うく早々に博士から退治してしまうところだった。これでも麻酔銃としての自覚と自制は人一倍あると自負している。クマでもゾウでも持ってこいという気持ちがたかまってきた。
それでも、あの人の事が忘れられない。自分の銃としての役目を身に刻んでくれた、あの人の事が。 博士は私を手に取ると、舌なめずりするようにこう言った。 「サメを撃つぞ」 サメ!?サメに銛じゃなく私を!?
そんなぁあ~~! だってこの私麻酔銃は生まれてこの方水中戦はこなしたことがないのだもの。 無理無理カタツムリ。無理めの無理~~~! しかもSAME!? 絶対中盤に効かなくて悲しい気持ちになるヤツ!
たとえあとで「効いてやがらなかった!畜生!」みたいなことになるのがわかりきっていたとしても。サメの動きを少しでも止められるなら……っ! もしアホみたいな映画だったら倒した判定もワンチャンない?
『口にくわえるワサビ』
くわえるものではないことくらいよく分かっている。現在進行形で鼻だってか��りやばい。でもそうでもしないと眠気に耐えられないのだ。カフェインなどもう効かない。もっと物理に近い刺激がないと無理なのだ。
タバコも試した。自分には向かないらしく、せき込むだけだった。 唐辛子も試した。口が痛くなるだけだった。 コーヒー豆直食いも試した。全く効かず、眠くなるだけだった。 もう、これしかないのだ。
ペロリ。 鼻にツーンと来る刺激。爽やかで芳醇な香り。目に優しいyellowgreen。 いや目に優しいと落ち着いちゃうからダメだな。でもそれ以外全てが完璧だ。
電子タバコならぬ実ワサビというわけである。眠気覚ましにメンソールの時代はもう過ぎ去った。天然由来・清水で育ったワサビをくわえる時代なのだ。「S&Bワサビ、10番」そんなふうにコンビニで買う時代も近い。
普及が進めばデザインの多様化も進む。清水育ちをアピールするための原木(?)デザインからポケットから取り出しやすいスマートなデザイン。敢えて見せるための吊りデザインなどもあるようだ。
今や口にくわえるワサビは日本における一大ムーヴメントとなり、クールジャパンとして海外のニュースでも(面白半分に)取り上げられた。 だが俺は気付いてしまっていた。ワサビの刺激では物足りないということに…
『証明された鮭』
「ついにアラスカから認められた!」 生け簀の鮭の帰化が認められた。鮭たちの出身地をノルウェーからアラスカにすることで、こいつらは「キングサーモン」となる。今の時代、情報という衣が本体だ。
そうと決まれば早速手続きを進めようではないか。ご出身は? アラスカです。ふふふ、早く誰か聞いてくれないか、ご出身を。おやノルウェーからですか? いいやアラスカなんだよ、この度帰化が認められてね。ふふふ
ノルウェーからでもアラスカからと名乗れる、誠に良い制度が出来た物ですな。鮭たちは顔を見合わせて笑った。これで箔がつくというものだ。 だが、それを黙って見過ごさない者がいた。 タラだ。
タラはタラ目タラ科タラ亜科の魚類である。 必ずかの邪智暴虐な鮭達を除かなければならぬと決意した……いや、除くのはちょっと穏やかじゃないな。 もうちょっと穏やかな解決方法、例えばそう……
つまり……そう、遺伝子を編集するのだ。川にバクテリオファージを送り込み、緩やかに、穏やかに、邪知暴虐な鮭どもを品行方正に脂ののった鮭に変えてみせるというのである。 祈るように目を閉じて結果確認する。
結果は成功と言えるだろう。彼らは従順で脂ののった実に良い鮭になり、我々は大いに喜んだ。めちゃくちゃうまい。そして、その結果がやがて「我々」にも出始めた。
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2021.3.29mon_kanto
3月29日。何も手がつかなかった。まあ、そんなこともあるでしょう。明日がんばろう。
今日は基本的にソファの上にいた。
ネットフリックスで『攻殻機動隊』を見てから昼寝をし、喉の乾きで目が覚めてコーヒーを飲んだ。メールをチェックし、ネットフリックスに戻って、そうしてまた睡魔が襲い……
というよう��感じで、気がつくと20時である。起きたのが昼過ぎなので、半日ほどスマホを眺めてゴロゴロしていたことになる。「ネットは広大だわ」という攻殻機動隊の名台詞が頭に浮かぶ。
食事をとると、今月から始めたフィンランド語の歌作り。毎日やると決めたので、これだけは歯磨きと一緒で、どんなにダラけた日でもやる。別にフィンランド語ができるわけでもない。今はひとまず辞書をランダムに開き、気に入った単語を見つけたら簡単な歌にする。今日は
kylmä(キュルマ)冷たい
kahvi(カハヴィ) コーヒー
の二つを使って
kylmä kahvi アイスコーヒーという曲を作った。
言うまでもなく、言葉の海は広大だ。フィンランド語は英語などと違い、格変化が独特なので、なかなか最初は取っ付きづらい感じがあるが、きっと慣れてしまえば、サーフィンのように言葉の波の上をすいすいと進んでいけるような予感がしている。(サーフィンをやったことはないけれど🏄♂️)
そうこうしているうちに、深夜0時。まあ、最近は毎日早朝5時ぐらいに寝るので、感覚的には"そろそろ夜か"という感じだ。Facebookのメッセンジャーを見ると、広州のデビッドからチャット会議のメッセージが届いていた。デビッドも完全な夜型なので、僕らにとってはこんな時間のやりとりがすっかり当たり前になってしまった。彼のいる広州とは時差が1時間だから、今向こうは23時か。
ちなみにデビッドは僕の中国のマネージャー。チャット会議で中国でのリリースと今後の話をする。いつもバタバタしていて、あまり深い話ができていなかったが、今日はお互い若干余裕があり、雑談も盛り上がった。向こうの音楽業界も変わらず盛り上がってる様子。一年半前に僕がいた広州、特にその近所の深センは、まさに攻殻機動隊さながらのサイバーパンクな世界(それはさすがにいいすぎか)が広がっていたけれど、きっと今ではさらに凄まじいことになっているに違いない。想像を超えた中国のハイテクぶりが僕を中国SFの世界にどっぷりとハマらせ、僕を中国SF翻訳者にまでしてしまったのだから、我ながらよっぽどの衝撃だったのだなあと、人ごとのように思い返す。「落ち着いたら早く広州に行きたい、また深センでもライブしたい」とデビッドに伝え、会議を終えた。
この一年、数えるほどしか外出らしい外出をしていない。家にいるのは一向に苦にならないが、とにかく飛行機だけは無性に乗りたくてたまらない。
飛行機は僕にとって”外出”というよりも、窓付きの”空飛ぶ密室”という位置付けだと最近気づいた。フライト中、特に窓から雲を眺める時間は、決まって自分を見つめる時間になる。短い空の旅もいいが、やはり5、6時間以上のフライトが望ましい。雲を眺め、疲れてきたら機内映画を見て、ウトウトする。喉の渇きで目が覚めて、コーヒーを飲んで、また雲を見て……僕には今、雲だけが欠けている。次に飛行機に乗る機会があれば必ず窓側の席を取ろう。どこまでも広がる雲海を見たら、感動で泣いてしまうかもしれない。
深夜4時にお風呂に入り、5時にベッド。枕に頭を沈める。これまで自分が見てきた夢の内容は基本的に覚えていない。けれども子供の頃に見た、気球に乗った夢だけはなぜか強烈に覚えている。特に空の色が印象的だった。パレットで混ざり合う水性絵具のように、赤や黄色や紫色が自由気ままに空に広がり、やたらとサイケデリックな夢だった。あの色はもしや遠くまで続く雲の色だったのかとふと思う。
スマホを置いて目を瞑る。今夜、雲海の夢を見られたらいいなと思う。心の海は広大だ。
-プロフィール- 小島ケイタニーラブ 関東 音楽家・作家・翻訳者 楽曲『毛布の日』(NHK みんなのうた)、著書『こちら、苦手レスキューQQQ!』(文・小島ケイタニーラブ 絵・木下ようすけ/白水社)』、訳書『中国・アメリカ 謎SF』(柴田元幸・小島敬太 共編訳/白水社)ほか
https://www.hakusuisha.co.jp/qqq/ @keitaney_love
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鉱物の街のレスキュー隊
鉱物の街にはいくつか救助要請の方法があるが その中の一つに「SOSの合図となる香りをミニ扇風機で送る」というものがある。
救助要請を受けて現場に向かうのが、モグラとオオカミのコンビである。 臭いを立体的に嗅ぎとれるモグラが位置と距離の特定し、オオカミは迅速な現場到着と 救助、遠吠えによる応援要請を担当している。
頭の上からオオカミに指示を出すモグラは、活動に必要な食事の量が多く 半日も食べないと餓死してしまう。そのためパトロール中は常に何かを食べているが それらは全てゼリー状のものと決まっている
なぜゼリー状なのか。その理由は このコンビが考案された当初モグラがモグモグしている最中にSOSの香りを嗅ぎ 焦ってしまった結果喉に詰まらせて救助が遅れたり、場合によってはモグラが救助される側になる という事態が頻発した。
そのためモグラの食事は、喉に詰まりづらいゼリー状のものか、栄養ドリンクに限られることとなった。
しかし別のモグラオオカミコンビにたまたま遭遇した際は、ジャンケン的なゲームをして 勝った方が固形の食べ物を食べ、負けた方は食べ終わるまでその様を見続けなければいけないという 裏ルールがいつのまにやら出来上がり、いつ別のコンビに会えるかソワソワしながらパトロールをしてるんだそうだ。
オオカミはオオカミで、連続で3回同じ異性とパトロール中に出会うとその2匹はつがいになるというジンクスがある。 ただ、同性や別の異性と遭遇するとリセットされるんだそうで、なかなかつがい誕生の話は聞かない。
最近2回連続で意中のメスオオカミと出会い、ついにつがい誕生か!?と盛り上がったものの 3度目の遭遇がよりにもよって母親で、悲しいやら悔しいやらつい遠吠えで泣いてしまった。 ただごとではない鳴き声に大事故でも起きたのかと急いで駆けつけてきた鉱山中のオオカミに、 母親に抱き着いて号泣しているところを見られて、毛が赤くなるほど恥ずかしい思いをした挙句 意中のメスオオカミに振られてしまったんだそうだ。
そんなソワソワコンビが何組も鉱山中をパトロールし、不測の事態に備えているのである。
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ロストヒューマンの塵
カップリング/ReS。・・・陣&章臣(千秋&奏汰)
参考ストーリー・・・Saga前編・後編
「三年A組守沢千秋! 止まりなさい!」 廊下を駆け抜ける力強い足音をかき消すかのように、遠く突き抜けるような甲高い静止が響き渡る。 おうおう、若人のエネルギーに負けない声量だねぇ。興味本位に保健室のドアを開け、顔を出すと、ちょうど仁王立ちしたあきやんがクソ真面目な早歩きで通り過ぎていくところだった。 「い、いや、これはその……! 緊急事態なんです! 一刻も早く向かわないと手遅れに、いや! もう既に手遅れではあるんだが!」 こっちはこっちで耳慣れた常連の声だった。常連になってもらっちゃ困るんだが、と一年の春先から苦言は呈してきたんだが、ついぞ三年の冬になっても改善することがなかった。思いのほか切羽詰まったような態度の守沢が、ゆっくりと速度を落としながらこちらを振り返る。俺��ことには気付いていないのか、その正義感に溢れる琥珀色の瞳は、困ったように揺らめきながらも真っ直ぐにあきやんを捉えている。何故だか知らんが、赤地に白い星の模様が入った大きなバスタオルを牽制のように両手で広げ、じりじりと後退を試みているようだった。 危ねえなぁ、振り向くか立ち止まるか、せめてどっちかにしろよ。 クソ真面目さではあきやんに引けを取らない守沢は、煮え切らない態度で数秒あきやんと対峙した後、くうぅ、と悩ましげな悲鳴を上げ、ついにバスタオルをぶんぶん振って駆け出した。 「すっ、すまん! 今回限りは見逃してくれ! あいつのレスキューが終わり次第、戻ってきて反省文を書きます!」 「あっ! こら! 待ちなさ――」 あきやんが言い切る前に、守沢は走り去ってしまった。「奏汰ぁぁぁ!」と叫ぶ声が遠くから聞こえて、レスキュー、大きなバスタオル、既に手遅れ、の意味を知る。深海のやつ、またこんな時期に噴水に突っ込んでるのか。そりゃあ一大事だし、守沢が一秒でも早く向かいたい気持ちも分かる。ただでさえこの時期は風邪もインフルエンザも流行るのに、こじらせて肺炎とかになろうもんなら洒落にならん。俺らの仕事なんてのは、できるだけ少ない方がいい。こればかりは楽をしたがって言っているわけでは断じてない��� 俺が守沢の行動に納得している間に、深々と息を吐く音が聞こえて顔を上げる。悩ましげに額を押さえつけながら、あきやんがこちらへ向かって歩いてくる。眉間に刻まれたしわはいつも通りといえばそうだが、俺から言わせりゃ、いつもより少し多めに回っております、といった風貌だった。
「全く……反省文は校則違反をした自覚と反省を示すために書くものであって、書くこと自体が違反の免罪符になるわけではないんですよ」 「アハハ。あいつアホ真面目だからなぁ」 苦々しいお小言に対して返事をすると、予想外の反応だったのか、紫色の瞳が大きく見開かれた。 話しかけられたんだと思った俺も、なんだただの独り言だったのか、と少しだけ恥ずかしくなる。 「陣……見ていたんですか」 照れ隠しに眼鏡のテンプルをなんどもいじって、あきやんは視線を反らした。 「あれが真面目なものですか。あの子が私の注意を聞いて廊下を立ち止まったことなど数えるほどしかありませんよ」 「数えるほどはあるのかよ。ますますアホで真面目だな。てかあきやん、守沢のこと結構好きそうなのになぁ~何だぁ? もしかしてまだ根に持ってんの?」 「あなたじゃないんですからそんなことで態度を変えるようなことはありません!」 「えっ。心外だな~俺だってそんなことしないっての……」 「……まあ。印象的だったので、記憶が鮮明なのは事実ですけどね。あんな風に表立って野次を飛ばすような子ではなかったでしょう」 ぱちくり、と二度まばたきをする。 あきやんは俺の心を当然のように見透かして、呆れたように眉尻を下げた。 「何を意外そうにしてるんです。覚えているに決まっているでしょう。生徒の顔と名前が分からないようでは教員失格ですからね」 昔は目立たずとも大変真面目な生徒でしたよ。規則を破ったことなどない、地味ですが模範的な生徒でした。それに生徒会の発足にも一役買ってくれた子ですからね。蓮巳君が署名の件を嬉しそうに報告してくれたことも、昨日のことのように思い出せます。 意外や意外、守沢のことを昔から知っていたのは俺だけではなかったようだった。 守沢の過去を訳知り顔で語ったあきやんは、その直後にハァ~とくたびれたため息をよこした。 「それが今や、廊下を走り放題の問題児のようになってしまっているんですから。困るんですよ。走る理由は理解できますが、周囲の生徒に示しがつかない」 「ハハ。若人と違って、先生は大変だねぇ。規則違反を取り締まらなきゃいけない規則でがんじがらめだ」 「茶化すのはおやめなさい。あなたも教師の端くれでしょう」 「教師じゃなくて養護教諭だも~ん」 「ああ言えばこう言う……昔から変わりませんねあなたは」 「どうかね。変わっちまったもんの方が多いと思うけど? それも悪い方にな」 淡々と事実を言ったつもりが、あきやんはそうは受け取らなかったらしい。 急に黙るもんだから、まるで意地悪でも言って黙らせたみたいだ。居心地悪いな、どうしたもんか、と唇をモゴモゴさせていると、再びバタバタと足音が聞こえてきた。さっきよりも人数が多い。レスキューとやらは成功したのだろうか。しばらく二人分の靴音を聞いていると、廊下の向こうから下足で上履きに履き替えた二人組が姿を現した。一人はさっき守沢が持っていったデカいバスタオルにくるまれているが、くるん、と頭頂部から顔を出した独特の癖毛のおかげで、誰なのかはすぐに分かった。あきやんはまた一つため息をついて、怖そうな顔を作って腕を組んでみせた。けれどそれも長くは続かず、守沢が深海の肩を抱えて心配そうに歩いてくると、心なしか困ったように唇をへの字に曲げた。
「ほら、奏汰、ちゃんとこれで拭いて暖房のある部屋にいろ。着替えなら俺の体操着を貸してやるから」 「うう~……だめですか? もうあと『いっぷん』だけでいいですから……」 「駄目だ駄目だ! 噴水は駄目だ! 代わりにあとで銭湯の水風呂に入れてやるから、な? もう少しだけ我慢してくれないか」 「でも、おへやにいると『かんそう』が……っくしゅん」 「あ~ほらもう、くしゃみしてるじゃないか! だから冬の噴水は駄目だって何度も言うんだぞ! だが……うん、よし分かった。霧吹きを用意してくるから、五分だけ待ってくれ!」 「『きりふき』ですか? それってどういうものですか? 『ふんすい』のかわりになりますか?」 「ああ! 乾燥を防ぐには役立つはずだぞ! 確か手芸部の部室にあったはずだから、もう一っ走りして斎宮に頼み込めば五分で――」 守沢は深海の説得に夢中で、目の前のあきやんに直前まで気付かなかった。ふと顔を上げた瞬間の「あっ」という間抜けな声に、あきやんはものすごくあからさまにため息をついてみせた。 「……佐賀美先生。急患のようですよ」 「へ?」 「そ! そうなんです! 佐賀美先生! すみませんが奏汰をしばらく頼めますか」 「あぁ、そりゃ構わない、っつか……風邪っぴきの面倒は俺の仕事だけど……」 「守沢君」 「はい! あと五分だけお待ち頂けたら反省文を――」 「走るのはおやめなさいと何度言わせるんですか、全く。職員室の観葉植物の前に、霧吹きがありますから、そちらのほうが早く済みますよ。五分もかかりませんから、走らずお行きなさい」 守沢は驚いたように目を丸くしていた。っくしゅん。深海の間の抜けたくしゃみに、はっと我に返ったように肩を上下させる。 「あっ……ありがとうございます! お借りします!」 「声が大き……こら! だから走らずにお行きなさいと言って――」 守沢が駆け出した瞬間、ポケットから何かが落ちてカツンと固い廊下の上を弾んだ。 なんだなんだと目で追って、それが何かに気付いてハッとする。 「おい! 守沢!」 怒鳴るような声になって、隣にいたあきやんと深海が大袈裟に肩を震わせた。 大きくつんのめってからこちらを振り向いた守沢に、右手人差し指で落としたものを指し示す。守沢よりも先に、落ちたものが何だったのか、深海も気付いたようだった。ちあき。少しだけ焦ったような鼻声がバスタオルの隙間から漏れ出た。動き出そうとする深海をそっと制して、落とし物を拾いに行く。数秒��て守沢も気付いたのか、顔面蒼白になってこっちに駆け寄ってきた。 「よっこいしょ……っと。うー、腰にくるな、年だなやっぱ……」 片手に拾い上げたソフトビニールのヒーローフィギュアは薄汚れていて、所々に傷がついていた。千切れてしまったのをテープで貼り合わせた形跡もある。かなりの年代物だ。幼少期からずっと大切に持ち歩いているのだろうか。膝に手をあてて上体を起こすと、引き返してきた守沢と目が合った。今となっては珍しいが、その目は初めて保健室で会った時のように、わずかばかり怯えて見えた。 「佐賀美先生」 「はいよ。よかったな、俺が落としたのに気が付いて」 「はい。……すみません。助かりました。ありがとうございました」 「あー……。お前さぁ、もうちっと気を付けろ。前ばっか見てると大事なもんを落っことすぞ」 フィギュアを守沢に手渡す。たまには教師らしく説教でも、というわけでもなかったんだが、それはあきやんの怒声よりも守沢の心に刺さってしまったようで、守沢は歯痒そうに眉尻を下げて目を閉じた。 「はは……すみません。以後気を付けます。ありがとうございます」 握りしめたフィギュアをそうっと大事そうにズボンのポケットにしまう。 けれど、それも束の間、ちらっとバスタオルにくるまった姿を一瞥すると、守沢はさっきよりは控えめという程度の駆け足で職員室へと向かっていった。俺は小さくため息をついた。さっきは茶化しちまったけど、今ではあきやんの気持ちがちょっとだけ分からなくもない。
「ありゃ、またやるな。ほんとさぁ、毎回拾ってやれるわけじゃないんだから。世のため人のためもほどほどにしといてくんないかな~」 「おや。流星レインボーの台詞とはとても思えませんね。ファンが聞いたら泣きますよ」 「おえ~やめてくれ~昔の栄光なんて虚しいだけだってのに……」 「……うふふ」 「ん? どうした? お前さんは早いとこ保健室に入ってくれると助かるんだがな」 「いいえ。あなたもヒーローだったって、ちあきにきいたのをおもいだして。『ほんとう』だったんだなぁって」 守沢のやつ、あることないこと吹き込んでないだろうな。 げげ、と口を歪めたいのをなんとか堪えて、深海を保健室に押し込む。 「ほれ。ベッドは全部空いてるから、好きなとこに寝転がって、布団被って待ってろ。お前さんのくしゃみが悪化したら、あとで守沢が泣くぞ」 「むぅ……それはこまりますね……ほんとうは『だんぼう』のきいた『おへや』はいやなんですけど……」 しぶしぶ、という感じの雰囲気を隠すこともなく、それでも最終的には大人しく保健室のドアをくぐった深海を見て、俺は正直感動を覚えていた。どいつもこいつも言うこと聞かない連中だなぁと思いつつ、深海だけは最後まで誰にもその自由を奪えないのだと思っていた。 ――いや。それこそが俺の勘違いで、深海がようやく自由になったのがこの冬、ということなのかもしれない。真冬に噴水に入るのも、守沢を困らせたくない気持ちも、その自己矛盾にぶつぶつ文句を言うのも、今になってようやく――人生で初めて得たものなのかもしれない。 あいつが、他の何もかもを振り落としてまで助けたかったものが、今の深海の姿なのかもしれない。 「……? ぼくの『かお』に、なにかついてますか?」 澄んだ海の浅瀬のような瞳を真っ直ぐに向けて、深海は首を傾げた。 「いいや。なんにも。強いて言うなら、まだ濡れてんだよな~。ちゃんと拭いとけよ、髪」 「はあい……くすくす。『りゅうせいれいんぼぉ』の『ちゅうこく』ですから、ぼくもまもらないといけませんね」 ちあきにしかられてしまいます。 そう言い残して、深海は保健室の奥へと進んで行った。 ハァ~と何度目かのため息をついて、ゆっくりと音を立てずにドアを閉める。沈黙を保ち続けるあきやんに目を向けると、それに気付いてかあきやんもこちらに視線を合わせた。 「つか、なんだよあきやん。守沢の肩持つの? もう脱退済み、ってか、何年も前に卒業したヤツの話なんだからさ。どいつもこいつも……過去の幻想ばっか追っててもらっても困るよ」 「幻想と言い切るには、早計だと思いますけどね。私は」 りゅうせいれいんぼぉ。 独特の口調でそう告げた深海の、柔らかい笑みが頭をよぎる。 途端に胸のどこかがじくじくと鈍い痛みを放って、俺の呼吸は鈍くなる。 幻想だ。そんなものは。 お前が憧れたヒーローたちと違って、俺は誰のことも助けられなかった。大事なものは全部落とした。 だから。 「他人の落とし物について、貴方が語るのは。どうにも、腹が立ちますね」 だから、目の前の大切だった後輩が、こうして追いかけてきたことを、有難くも申し訳なく思う。 「ごめん」 白々しく聞こえたかもしれなかった。 それでもあきやんは、それ以上俺を責めることはしなかった。 「分かってるよ、あきやん」 俺が振り落としてきた全てのものも。 その中にお前が含まれてることも。 それなのに今度は同僚としてもう一度俺の前に現れてくれたことも。 「お前が全部、 拾っといてくれたことも」 俺が俺のせいで失くしたいくつもの欠片たちは、この春に始まった企画によって、ほんのわずかだけれどもこの世によみがえった。やっぱり、分不相応だと思う。ああいうステージや予算ってのは、こんな老いぼれじゃなく、未来のある若人に与えられるべきだ。今でもその考えは変わらない。だけど。 「……私は」 後悔がないって言ったら、それは、嘘になっちまうから。 「あの時、手遅れになる前に。走っていればよかったのかと」 遠く、廊下の向こうをぼんやりと見つめるあきやんの瞳に���、規則を破ってばかりの真っ赤なヒーローが映っているのだろう。廊下を走るなと注意するあきやんの毅然とした態度に、その堅苦しい声色に、ごくごく個人的な苦悩が混じっているだなんて、誰が気付くだろう。 「いつも後悔していましたよ。もっと早くに渡せたのに、と」 俺くらいは――俺だからこそ、気付いてやらなきゃいけなかったのに。 「……どうせ受け取らなかったよ。俺のじゃない、って言ってさ」 ああ、本当の本当に、俺は世界一の大馬鹿者だった。 そんな大馬鹿に、いろんな連中がお節介を焼いてくれた。 空にかかる虹のような、一瞬の輝きための、奇跡みたいな一年だった。 お前が背負うことなんかなかったのにな。全部が全部、俺の身勝手のせいなのに、真面目で、面倒見がよくて、俺より俺のことを大事にしてる。俺の後悔の一部を、振りほどいて置き去りにした何もかもを、まだここにあるぞって突き付けてくる。俺が「ゴミだから」って丸めて後ろに捨てたものたちのことを、まるで流れ星が振りまいたきらめきみたいに言う。 それが果たしてそこまで輝かしいものなのかどうかは分からない。 だけど、捨て去ってしまっていいものでもない。 少なくとも俺にとって大事なものだったってことを思い起こさせる。 遅くても早くてもきっと届かなかった。 だから、言う。何度でも。 「まあ。こんなオッサンになってからでしか。駄目だったけどさ」 あれは虹のような輝きだったと。 「ありがとうな。ずっと持っててくれて」 晴れ間がのぞく、たったの一瞬を、辛抱強く待ち続けてくれて。 「あきやん」 呼ぶと、銀のフレームがちかちかと光って、その奥にある紫の瞳をほの白く輝かせた。 まだその目には、手遅れにならないようにとひた走るヒーローの背が見えているのだろうか。でもな、あきやん。あいつだっていろんなものを落とすんだぜ。今日みたいに。だから、見つけたやつが、拾って手渡してやんなきゃいけないんだよな。 「お前の落としたものは、誰かが拾ってくれたか」 そんな当たり前のことも今日まで気付かなくって、ごめんな。 「……さあ。どうでしょう。でもきっと、どこかにいるんでしょうね。私が気付いていないだけで」 そっか、と小さく息をつく。 そうだといい、そうに違いない、と俺は願う。 ヒーローなんて信じちゃいなかったあの頃の俺に、何もかも適当なまま「虹」を名乗らされていた当時の自分に、今だったら言えると思う。 拾ってやれ。 立ち止まらずに駆け抜けていく星々の塵を。 いつかそれがきらめく時を、お前だけは信じ続けてやれ、と。 遠くで守沢が、職員室に向かって直角におじぎをしている姿が見える。きっとすぐに走ってやってくるだろう。大事なものを守り抜くために。あきやんの注意なんて、きれいさっぱり忘れて。
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応募用です❣️ A賞希望✨ #ララにゃんにゃんにゃん 当たりますように😻❤️✨ #坂口マロン #坂口アム 以下リポスト文🍀 #Repost @raramart.1 with @make_repost ・・・ ゲリラ企画でございます! 2022年2月22日 スーパー猫の日キャンペーンしまーす😻🐈️😽💕 2がこんなに揃うのは、もう生きている間にはないですね😂😂😂 🍀応募方法 ▽投稿する画像は3枚 1枚目:この投稿の1枚目画像 2枚目:愛猫ちゃんのとっておきの写真、お気に入りの写真、こだわりの写真 ご自身の中の「これぞ‼️」というお写真 3枚目:この投稿の2枚目3枚目のA賞B賞希望する商品の画像 ❤️1枚目3枚目に使用するこの投稿の画像は、スクショでもダウンロードでも構いません。 わかればOKです👌 ❤️2枚目のお写真は、動画でも構いません。 ❤️キャプションに何故お気に入りなのかなど そのお写真(動画)へのコメントもお願いいたします^^ ▽ハッシュタグ厳守でお願いいたします。 「 #ララにゃんにゃんにゃん 」 を付けて投稿をお願いいたします! このタグで集計致しますのでタグ付けお忘れなく~🙋 「にゃん」3つですよー👐 🍀プレゼント商品 A賞:キャットステップ & にゃんエプロン B賞:カバーベッド & 猫ひげ手袋 当選数:各1名 今年の猫の日はスーパーなのでw 猫ちゃんだけでなく、ママにも😘 まだ寒い日が続くのでね、ママさんもあったか💓 にゃんエプロンはもちろんニャン入れて♪ 入れなくてもあったかい~👌 猫ひげ手袋、裏起毛であったか気持ちいですよー✋💕 ❤️カラーは当選後お選び頂きますが、現在庫からお選び頂く形になります。 🍀応募締切&当選 締切:2/23(水)23:59まで 当選者は、今回はララマートスタッフ内で選考させて頂きますね! 決まり次第インスタにて発表いたします🙋 何かご質問ございましたらお気軽にどうぞ😊 猫の日ですし 我が子の可愛い写真を選びながら、我が子への愛で胸いっぱい💖にしてご参加下さいねー😁💕 ★----------------------------- ララレスキュープロジェクト開催中 ★----------------------------- ハッシュタグ「ララレスキュー隊02」を付けて投稿してね! ▽今回の支援先はこちら わんにゃんレスキューはぴねすさん ハイライト「RRT活動中」に、アメブロとフェイスブックのリンクがございます。 支援プロジェクトは4/30まで 詳細はプロフィールのリンクから ★----------------------------- ララマート公式ハッシュタグ ★----------------------------- 先頭に「#」付けてね! #rara_●● ▼お掃除コーム rara_お掃除コーム ▼バリカン24枚刃/33枚刃 rara_バリカン ▼猫耳フードスタンド rara_猫耳フードスタンド ▼吸盤窓用ニャンモック rara_ニャンモック rara_スケルトン (ニャンモックでも構いませーん) ▼グルーミンググローブ rara_グルーミンググローブ ▼エッグフィーダーなどの早食い防止関連 rara_早食い防止 ▼吸盤窓用ニャンモック特別編 rara_ちょいはみニャンモック ちょいはみ、はみ出すぎ、すんごい寝相、変な乗り方使い方 これは❗と思うものはなんでも👌 ▼トイレ関連 rara_トイレ トイレ、トイレマットなどトイレ周りのものなんでも ▼rara_ベッド ベッドならなんでも! ▼フードボウル・スタンド関連 rara_フードボウル ▼給水器 rara_給水器 ▼ハンモック風ベッド rara_ハンモック風ベッド ▼爪とぎ関連 rara_爪とぎ ▼にゃんパーカー rara_にゃんパー ▼ペアルック関連 rara_ペアルック ▼上記以外でなんでも rara_ペット https://www.instagram.com/p/CaQwnpKPltW/?utm_medium=tumblr
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載せるの忘れてた! ねこばっか+ワン最終日、ワタクシ最後の形態です。ネコチヤンめっちゃ増えてます。 首にはネックレス何本も掛けて、もうチンドン屋状態(笑) 終了直前に駆け込み購入した子達は、まだ車の中から救出できておりません💦 雨が〜💦💦💦 🐱だるま型のクロネコチャンは、「ねこのしっぽう+たまよしこ」さんにて。くじ引き1回1000円でゲット♥️ 店番は七宝作家のお母さんで、羊毛は娘さん作だって仰ってました。 めちゃツボるぅ🤣 🐱黒猫のエレガントな七宝焼は、大好きな【nicoぬこ★ねこnoco】さん♥️ いつもネックレスばかり購入してて、今回初めてブローチを買ったよ♥️ これで私も、オシャレ人間の仲間入りさ!(大いなる勘違い) 閉会ギリギリで購入した子達も、はよレスキューせねば…💦 🐱ねこばっか+ワン 2021🐶 11/19(金).20(土).21(日) 11:00-17:00 @石川県産業展示館2号館 ブースNo.27「びーにゃんくらぶ」 @be_nyan_club #ねこばっか #ねこばっかプラスワン #ねこばっかプラスワン2021 #猫イベント @nekobakka1 (Kanazawa, Ishikawa) https://www.instagram.com/p/CWmaFdVBy8p/?utm_medium=tumblr
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わたしは、一般的感覚よりもさらに地震が苦手だ。
初めて大きな地震に遭遇したのは、7歳の夜。
母が入浴中で、わたしは妹と読書をしていた。
読んでいたのは、キュリー夫人の伝記。
カタカタ…と揺れ始めて、
おや、と思って本を閉じた瞬間、
今までの小さな人生の中では経験したことのない、大きな物音と激しい揺さぶり。
踏みしめる地面が、空間が、地響きを立てて突き動かされる恐怖に、
身の毛が逆だった。
母は目を閉じて洗髪していたらしく、すぐには気づいてくれず。
わたしは妹の手を引いて何とかダイニングテーブルの下に逃げ込み、
母を必死に呼んで、妹と抱き合って泣き叫んだ。
ようやく母が飛び出してきた頃には、
古いマンションだったのでガスが耐震のため止まってしまい、
わたしたちはすぐ近くの祖母宅に移動することになった。
単身赴任だった父が安否を気遣ってかけてきた電話で、
恐怖を伝えながら、また泣いた。
祖母宅でお風呂に入り、いつもと違う夜を過ごして自宅に帰ってきたとき、
初めて「夜の10時20分」を示す時計を見た。
9時には眠る子どもだったので、
10時20分の時計は、わたしにとって学校の2時間目のためのものだった。
あ、と思った。
わたしが眠っている間に流れている知らない時間が、この世には存在しているんだと。
時は経って、
高校生のときにも、大きな地震は何度か経験した。
そして東日本大震災。
あまり世間には知られていないけど、
わたしは電波の届かないトンネルの中で停止した新幹線の中に15時間、閉じ込められた。
そこには、
初めて夜の10時20分をみたときのように時計はなかった。
電気も止まり冷えきった車内、
自動トイレは糞尿で溢れ、
ヤケを起こしたおじさん達が酒盛りして煙草を吸い出し添乗員に怒鳴られ。
窓のすぐ外はトンネルのコンクリート壁で、
あのときのように時間の流れは全く感じられず、ただただ無機質だった。
何度も余震が来るたび、
天井が崩れて死ぬのかな、ぺしゃんこになるんだな、と、ぼんやり思った。
飲み物も持ち合わせておらず、
添乗員さんから小さな紙コップにもらったポットのお湯を、
窓にくっつけて冷やしながら、少しずつ少しずつ、飲んだ。
ニュースは全く入ってこなかったけど、
暫くして車掌さんが現れて
「東北で地震、8メートルの津波、壊滅状態」
とだけ話した。
そのときは、
実家も全部崩壊して跡形もなく、
家族も皆死んで、
わたしは独りぼっちになってしまったんだな、と冷静に考えた。
(実際は皆、大丈夫だったのだけど)
そのときのわたしは、
学費は払えないから大学は辞めることになるんだろうな、どうやって生きていこうかな、
と頭を薄く巡らせながら、
何の情報も届かずキャッチもできない、
節約のために電源を落とした役立たずのガラケーを握りしめて途方に暮れていた。
そしてレスキュー隊が来て乾パンと缶詰を渡された時、
そんな立場になってしまったんだ、と改めてたくさんのことを覚悟した。
トロッコのようなもので、見たことの無い空間をゴトゴトと通り、
トンネルを抜けて最寄り駅に降ろされたとき、
朝の6時だった。
空はうっすら、桃色だった。
カチカチになった指で電源ボタンを長押しして「生き返らせた」なけなしのガラケーで、
家族や友人と短い電話をいくつもした。
みんな、生きていた。
沿岸に住む父方祖母は健脚で走って逃げ、
避難所に着いても「ここじゃダメだ」とさらに上へ駆け上がり、
わずかなタイミングで津波を逃れた。
家は、失った。
同じく沿岸に住み、
左右違う靴を履いて家を飛び出してきた親戚一家は、
長い長い渋滞を抜けて、近くの家族に助けられた。
家は、失った。
こうした断片的な情報をひとつひとつ聞きながら、
自分たちが広い意味で「大きなニュースの当事者」になってしまったんだな、ということを感じた。
郷里に戻りたかったけれど混乱も大きそうだったので、
出発前に母方祖母から貰った数万円のお小遣いを握りしめてタクシーに乗り、
もともと目指していた目的地へ、向かった。
到着してからは、
電池を求めて暗いお店の中並んだこと、
電卓で会計をしてもらったこと、
初めてガスとお鍋でお米を炊いたこと。
他にもたくさんの、非日常があった。
大きな地震があると、
そういうことを��気に、時系列で思い出す。
踏みしめる地面が、空間が、
地響きを立てて突き動かされる、恐怖。
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草花木果の大人のニキビラインしっとりタイプの トライアルセット使ってみたよ😊 詳しくはコチラ @sokamocka 草花木果のスキンケアは内部に水や栄養をたたえた幹のように健やかな状態を『肌の幹』と呼び、自然の力で強く美し肌育てが楽しめる様なお手入れをオススメしています。 大人のニキビラインは、肌の調子や肌悩みによりそい、やさしくいたわる薬用ケア。 デリケートでゆれがちな肌をレスキューするライン。 肌あたりのやわらかい泡でやさしく汚れを落としたあとは、肌の水分と油分のバランスをととのえる化粧水→ 保湿液へ。 抗菌作用が期待できるどくだみや女性のゆらぎによりそうクマザサエキスなどの有用成分を配合。 ニキビを予防し、肌あれをいたわりながらすべすべの肌へとサポート。 <使ってみた感想> アクネ洗顔石けん:泡立てネットを使用して使っていました。 濃密な生クリームみたいな弾力泡が簡単にできちゃいます。 香りも爽やかでした。 弾力泡のクッションで洗えるので肌への摩擦などが気になる方にも向いてると思います。 コスパもめっちゃいい!! アクネ化粧水:コットン使いオススメされていたので、コットンでこの化粧水つけていました。 爽やかな香りの化粧水で、肌なじみがとても良かったです。 乾燥肌の私の肌にグングン吸い込まれていきました。 たっぷりこの化粧水馴染ませてあげたので、お肌がいつもよりみずみずしい感じになれました。 コットンパックも良かったです。 アクネ保湿液:テクスチャーはみずみずしい感じでした。 香りがとても爽やかです。 肌なじみがとてもいい。 べたつきすぎず、乾燥しすぎず、程よい感じでした。 アクネスポッツジェル:肌なじみとても良かったです。 朝とかメイク前にはちょこっと薄めにつけて、夜寝る前などは多めに気になるニキビの部分につけていました。 劇的に改善しました!!とまではいかないけれど、少しずつゆっくりニキビが落ち着いてくれた感じがします。 ニキビ出来そうだなぁって時に気になる部分に付けた時はニキビにならなかった気がします。 ここの所マスクを頻繁にするようになってから部分的なニキビが気になっていたのですが、染みたりする事もなく刺激も感じなくって大丈夫でした。 使い続けていくとニキビが良くなりそうだなぁって思えた使い心地でした。 天然コットン:無漂白の天然綿100%のコットンで大判サイズです。 適度に厚みも合って毛羽立ちにくくて使いやすかったです。 肌あたりがものすごく柔らかいです。 コットンパックにも向いてると思います。 100均のコットンなどよりも同じ化粧水使ってても、このコットンは肌へのなじみがいい感じがしました。 大判サイズで品質もすごくいいのに価格も良心的。 これはリピしたいです。 お買い得な感じがします。 トータルで使ってみて思ったのは、ここの所マスクを頻繁にするようになってから部分的なニキビが気になっていたのですが、染みたりする事もなく刺激も感じなくって優しく洗えました。 使い続けていくとニキビが良くなりそうだなぁって思えた使い心地のスキンケアでした。 @sokamocka #草花木果 #そうかもっか #ニキビケア #肌荒れ #草花木果ライン#PR #ニキビ #ニキビ予防 #大人ニキビ #大人のニキビ #大人ニキビケア #大人のニキビケア #ニキビ化粧水 #肌あれ#ゆらぎ肌 #自然派 #自然派コスメ #自然派化粧品 #天然香料 #植物由来成分 #無添加処方 #医薬部外品 #トライアルセット #お試しセット https://www.instagram.com/p/CH90b03D54R/?igshid=1uppqzjt427s9
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「なぁ、メイス、やっぱりオレお前のこと好きだわ」 「聞き飽きたよゲーラ。ここの店のパスタと同じくらい。…あと声を控えろ。誰かに聞かれたらどうする」 「皆好き勝手しゃべってるし、この店有線でけぇから気にすんな」 「お前の声はでかいし響くんだよ」
我ながらつれない対応とは思うが、場所も時間も構わず何度も言われれば、流石にそうなるだろう。
例のピザ屋は相変わらず満員で、運が良ければテーブル席でゆっくりと食事を楽しめる。 ただ、最近はテイクアウトもできるようになり、その気遣いにますます店のファンは増える一方だ。
「つかメイス、またそれ喰うのかぁ?」 トマトソースにベーコン、それに名前は知らないがチーズが惜しみ無く入ったパスタをさして、呆れたようにゲーラが言う。 「飯は適度に美味ければいいんだよ」 返す言葉に納得いかない表情を隠しもせず、ゲーラは運ばれてきたばかりのパニーニにかぶり付きながらニョッキの皿を待っている。相変わらず、良く喰う奴だ。
俺達のオーダーが被ることは全く無い。俺は飯にこだわりはなく、気に入ればそればかりでも構わないが、ゲーラは今日は店の看板であるピザ、一昨日は新作リゾット、明日は最近出来た屋台のガパオライス、色々と試してはレスキュー隊の皆に報告するのが日課になっている。
「…飽きねぇの」 昼飯時、忙しい店員に聞こえはしないだろうが、それでもいつもよりトーンダウンした声でゲーラが聞いてくる。 「…別に。相変わらずトマトと何とか言うチーズが旨いな、と」 「や、せっかくならたまにはアーリオ・オーリオとかよ」 「ニンニク臭い息吐き散らかしながら仕事か?」
この生活にも大分慣れてきた。 人間として扱われることに。
半年前の自分たちに想像できたろうか。 椅子に座り、カトラリーを使い、皿に盛られた暖かい飯を食うことを。 眠りは身体だけでなく、心も休めるということを。 感情の昂りに呼応するバーニッシュフレアはあるべき場所へ還ったことを。
もう賞味期限切れの缶詰を恐る恐る開けなくてもいい。強奪しなくとも、金さえ出せば金額に見合ったものが手に入る。 毎晩、戦闘要員である誰かが見張りを引き受けてはいたものの、最高指揮官であり責任者は幹部である俺達だった。 常に微かな足音や気配に耳をそばだて、互いに浅い眠りを繰り返す毎日。 汚いシーツがわりのシート、どんなに干しても黴臭い毛布。
今はどうだ。柔らかなマットレスといい匂いの毛布、おまけに枕付きという待遇だ。 …二人だけの秘密だが…最初の頃はマットレスに慣れることができず、どちらかの部屋に毛布を持ち寄り、硬い床の上に動物のように踞って寝ていたこともある。 その頃と比べると、それはそれは大きな進歩だ。俺もゲーラも、今はきちんと互いのベッドから落ちずに朝まで眠れるようになってきたのだから。
…世界中を巻き込み焼き尽くした大炎上の後、人間と元バーニッシュはどうなったか。 大半は案外早く、社会生活に溶け込んでいった。もともと非戦闘員が7割を占めていたし、彼らがフレアを使っていたのは、怪我の治癒や日常生活におけるときだけだったから。 元の生活に戻るもの、新たな名と職を得てやりなおすもの、さまざまだ。
…だが3割の元マッドバーニッシュ…俺達やボスは…本来なら死ぬまで何処かに収監されるはずだったのだろう。だが、地球を救った英雄の1人はボスことリオ・フォーティア。史上最強(ゲーラ曰く)のマッドバーニッシュの元リーダー。 …結局、監視付きで復興協力作業に従ずるという、逆に俺らは元国際的テロリストだぞ! そんなんでいいのかよ! と叫んでしまうような判決が下された。
ただ、これはこれで重労働だった。 50階だてのビルから飛び降りたり、アーマーを形成しどんな鋼鉄も切り裂く力は、もう俺達にはない。 イグニス隊長の指揮のもと、瓦礫や倒壊の危険性が高い建物を取り崩したり。仮設住宅の建設。その他諸々。確かに威勢のいい火消しの兄ちゃんのいう通り、人手は足りなかった。
改めて痛感する。人間の身体は、思ったよりもずっとヤワで疲れやすかった。 一度怪我をしたらしばらくは痛みと付き合うことになる。 無骨な機械を扱いつづけたおかげで、俺達の手は肉刺だらけになった。 飲まず喰わず、一睡もせずにいられたのはバーニッシュフレアのおかげだったのだ。
さらに、次第に疲れからか苛立ちか。隊員達同士の揉め事が起こるようになった。 無断欠勤を繰り返し、やがて行方知らずになるもの。バーニッシュだった時の感覚を過信して大怪我をするもの。
そこで隊長に許可を得て、元幹部の俺達を頭に、それぞれの性格や適性で3つのチームに振り分けることにした。 ボス…リオが率いるチーム1。任務遂行可能な女性、子供、怪我人など。レスキュー隊と提携し、簡単な医療や備品の配布などの手伝いをする部隊。 チーム2。ゲーラがリーダーといえば、大体想像がつくだろう。使い古しのギアをものともせず使いこなし、勝手にデカイ獲物競争とか始めだす部隊。 そしてチーム3。こう言ってはなんだが、さほど特化したメンバーはいない。 なんせ所詮ただの元バンドマンがリーダーだ。何人かはプログラミングや建設知識はあるが、そこは遊軍部隊ということで各自、得意分野や他部隊、時には本家のバーニングレスキューの手伝いをしたり、というところだ。
そんな毎日が続き、やがて俺はダラスの、ゲーラはマイアミの乗り心地やエンジンの吹かし方を少しずつ忘れていった。 …痩せぎみの顔色の悪い男の指先から、鮮やかな青色のフレアが、躍るように迸ることは二度と無いからだ。
「…メイス、またくだんねぇこと考えてたろ」 そんな時にはこいつが一番、と突然に眼前に置かれたのは、筒状に丸められたパイの中に溢れるくらいのクリームやナッツが詰め込まれた菓子が2本、乗せられた皿。カトラリーも二人分。 「お前甘いモノ割と食うだろ?」 にっ、と笑う奴の顔は、ベッドサイドの引き出しに隠していたチョコバーを発見された時にも見たからこれで二回目か。 「…お、クリームかと思ったらチーズ…?ピスタチ��とか苺と…ザクザクしたパイも美味ぇわ」 口の回りを粉砂糖まみれにしながら、グルメレポーターばりの独り言を口にする。 「いらねぇの? なら俺2本目」 そういって伸ばして来た手を叩き落とすと、俺もその菓子に口をつけた。 …どうやら中身が若干違っていたようで、こちらは細かく砕いたチョコレートとオレンジの皮の砂糖漬けが混ぜこまれていた。 「で、どうよ。美味いよなこれ」 「…あぁ」 「……そんだけ?」 「………他に何が?」 そこまで言うと。ゲーラは突然あー、だかとうなり声だか鳴き声だかわからない声をあげてテーブルに突っ伏し、空きタンブラーに水を注ごうと近づきかけたウェイトレスを固まらせ、隣席のご夫婦にぎょっとした目を向けられ、慌てて俺が頭を下げる。連れが失礼を、の意で。 そしてそのまま、テーブルに顔を伏せたまま、奴は呟いた。 「……前から、思ってたんだけどよ。 ……俺のこと、イヤになったなら…はっきり言えよ」 「………何でそういう結論になる」 伏せた顔を上げたゲーラは、寂しそうに笑いながらこう言った。
「………好きな奴から…同じ言葉、聞きたかったんだよ。何度でも。…何度でもお互い、繰り返したかった。 …バーニッシュだったときも人間になっても、俺はそこだけは変わんなかったし、メイス、お前もそうだと思ってた。 でも、悪ぃな。俺だけ舞い上がっちまってよ」 「…ゲーラ、それは」
先戻るわ。ゲーラはそう言うとのそっと椅子から立ち上がり、器用にテーブルやウェイトレス、他の客を避けながら大股で出口へと向かっていってしまった。
付き合いはそこそこ長いはずなのに、たまにゲーラの行動パターンが分からず、なぜだか癪にさわる。 …本当に一体何なんだ。一方的に喋りだしたと思ったら、いきなり不機嫌になりやがって。 遠くなる背中に悪態のひとつでも付いてやろうとしたが、あの野郎わざとか。 二人分の伝票をそのまま残して行きやがった。あぁもう、後で端数切り上げで請求してやろう。
金属の指先とコイントレイ同士がふれあい、軽く高い音を鳴らした。 「レシート、お入り用ですよね。いつもありがとうございます」 「ごちそうさま。…指の調子は?」 「おかげさまで。釜の温度調節以外はだいぶ慣れてきましたよ」 濃い肌の色、人の良さげな顔つきの青年の左の五指はすべてステンレスや合金で出来ている。 彼は…ヴーゴは元バーニッシュで、俺達より早くプロメティックエンジンの犠牲になっていたらしい。左手は、その際に燃え尽きてしまったと、後に本人の口から聞かされた。
激しく燃える程、再生と回復には時間がかかる。生命力を根こそぎ奪われれば、いくらバーニッシュでも完全な再生は難しい。 マッドバーニッシュと称し、怒りや苛立ち、化け物呼ばわりされるすこしばかりの悲しみを業火に変えてきた俺達は知りも見向きもしなかったのだ。 ただ静かに、炎上衝動をこらえながら息を潜めていたヴーゴのような存在を。
「……すまなかった」 「…メイスさん…過ぎたことですよ、もう」 “この世界にはもう、プロメアもバーニッシュも存在しない” 1人の少年が呟いた言葉は、いつしか新時代の幕開けと全人類の鬨の声となっていた。 「それに、あのまま政府から逃げ続けられたとしても、命は全うできたとしても。それは」 幸せだったかどうか。 何の前触れもなく身体から炎が噴き出す。それが発覚した瞬間、もう人間とは見なされない。戯れに殺されても、文句のひとつも言うことはできない。 「……店を再建するとき、おやっさんと色々話をして…ピザだけでなく、他のメニューも増やそうってことになって」 復興前までは、店主の方針でピザしか出さなかったらしい。だが一番弟子が左手を失ったことをきっかけに、新しい試みとして、軽食やドルチェなどの提供もはじめたとのことだ。 「いつも注文されてくれるパスタ、初めておやっさんに合格点もらったんです。端くれだけど料理人にとって、美味いって最高の賛辞なんですよ」 まだまだですけどね。はにかみ笑いを浮かべたヴーゴの初々しさに、改めて思い出した。新歓とやらで、はじめてレスキュー隊の皆に連れてこられたときのことを。
暗がりのなか、見張りを立てながらただ飢えを少しでも満たすためだけに喰らう飯とは全く違う。 暖かい日の当たる場所で、皿に盛られた暖かい料理。10数年ぶりの食事に、ゲーラも俺もぼろぼろ涙が出てきて…ボスに笑われたんだ。 そういうボスだって、何度か目の縁をナフキンで拭っていたけど。 あのときは確かに固まったものが緩やかに溶けていくような気がした。
…幸せ、か。 それぞれの座席に置かれた赤と黄色のキッチンブーケ。水だけでなく、くし切りのレモンやミントの入ったピッチャー。 出来たての料理は湯気を立てたまま、客の席まで運ばれ、美味しそう! と歓声が上がる。可愛らしいドルチェは写真を撮られて、世界中に宣伝される。 “もう食べた?今回の新メニューも可愛すぎ!” 「…ありがとうな。今日も美味かった」 店を出かけにするりと口をついた言葉に、ヴーゴもだが言った俺自身が驚いた。一瞬大きな目を更に大きく丸く見開いたヴーゴだが、すぐに笑顔で見送ってくれる。 「また来てくださいね! …ゲーラさんやリオさん…バーニングレスキューの皆さんで!」
…“幸せ”か。時々ルチア先輩が、まぁた眉間にシワ寄せてるよぉ? と無造作に口に突っ込んでくるキャンディを転がすように、胸のなかでしばらく繰り返す。 ストロベリーを模した味と香りに、まだボス…リオに出会うまでの、世界中から忌み嫌われていたあの時のことを思い出す。 たまに戦利品として手に入ったキャンディやチョコレートを食べた時の子供達の笑顔。 恋に落ち、結ばれ、祝福され生まれてくる命もあった。 それは、幸せと呼んでもいいことじゃないのか。 …そして、その中にはいつも、あいつがいた。 ゲーラ。
村の皆から慕われて、仲間からも一目置かれてる。前のリーダーからも信頼されてる。太陽みたいな奴だと思っていた。 そんなお前とは逆の俺だから、どうしても皆の輪からは外れがちになる。 そんな奴のどこが、そんなに気に入ったのか。 ある夜、見たことのない真剣な顔で、真っ直ぐに俺の目を見て、お前のことが好きだと告げられた。
実はな。お前より先に気付いてたよ、ゲーラ。俺は他人のそういう視線や気配には敏いし、慣れているから。 まぁ、俺も悪い気はしなかったからな。 何度も機会を伺って二人きりになろうとしたり、その度に口ごもったり話を逸らしたりしてたしな。 いい加減待つのも飽きてきた時、やっとその時が来た。 散々焦らされたけど、やっと言ったか。 さぁどう答えてやろうか。
“……俺もだよ”
むしろ俺自身が驚いた。 情けないほど震えた涙声で、見ない振りをしていた本心を知る。
そう。ずっと欲しかったんだ。探していた。 かけがえのないものを。
本当は臆病で狡くて、そんな心を見せまいとふるまう俺の手を引いてくれる、そんな存在を。
……ピザ屋からなるべく早足で現場に戻ってはきたものの、15分。しっかり遅刻してしまった。 それでも見つかったのがゲーラで良かった。流石に露骨に顔をしかめはしたものの、何も言わずにそっと作業に混ぜ、まえからいましたよこいつ? といった体を装ってくれた。 「今日中にここら一帯の片付けだとよ」 ゲーラとバディを組んで作業を進めつつ、回りの奴らに聞こえないように声を落としつつ話しかける。機械のモーター音やら誰かの怒鳴り声が響くなか、俺達だけに聞こえる程の会話は、なにやら密事のようだ。 「……なぁ、ゲーラ」 「…あー…昼飯代なら後で返す」 「そうじゃない。…いや、それより…今夜、空いてるか」 「今夜ぁ? 明日も仕事だぞ」 「…あの店、夜もやってるらしいから…だから」 「…だから、なんだよ、メイス」 「…オーダーは任せるから、付き合ってくれ」
炎とはまた違う、身体を流れるいつもより早い血の熱さ。それはそれで、わりと心地良いものなんだな。 人間ってのも、そう悪いもんじゃない。
あいつに何度も言われる度、初めてのとき以外ははぐらかしていた感情を、これからはきちんと受けとめ、何度でも言葉にして伝えてやろう。 俺達は、人間だから。
「…俺もだ。好きだ、ゲーラ」
不機嫌なゲーラの顔が真顔になり、やがて真っ赤になる。 きっと俺だって同じだ。 良い年した男ふたりが、トマトかリンゴのような赤い面。全く格好がつかない。今時のティーンエージャーだってもっとスマートだろう。
バーニッシュだったときも、幹部だったときも、ただの男ふたりになった今でも。
やっぱりこの気持ちは変わらない。 ゲーラ。俺も、お前のことが好きなんだ。
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obaodo risoulaser
みんなレーザーポインターを使ったことがありますよね。実はレーザーペンには多くの機能名があります。たとえばグリーンレーザーポインター、会議用のレーザーペンなどです。使ったことがなくても、レーザーペンについて知っていると思います。これからレーザーポインターのメリットを紹介します。
生活の中で、自分の安全を脅かす動物がたくさんいます。たとえば、都市や農村で見られるカラス、多くの人がカラスに嫌がらせを受けていると思���ます。田舎ではカラスが集まって農地の作物を破壊し、多くの作物が食べられています。市内では、巣を作るために小さな金属製品と住民のハンガーが盗まれました。それだけでなく、カラスは通り過ぎる歩行者も攻撃し、歩行者の帽子や髪の毛を取り除きます。住民が置いたゴミ袋に穴をあけ、ゴミが袋から落ちて風になびくと、臭くて見苦しい通りになりました。カラスに対処するために、カラスレーザーポインターを使用して、カラスに害を与えることなく効果的にカラス撃退できます。実際、カラスだけでなく、野生の猫や野生の犬にも使用でき、変態を防ぐことさえできます。私たちが危険にさらされているときは、レーザーポインターを取り出して他の人の頭に向かって振ることで、害を及ぼす可能性のある動物や人々を追い払うことができます。
レーザーポインター利点
まず第一のメリットです。ヒント、目立つ効果があります。多くの登山愛好者がいますが、彼らの趣味は非常に危険です。よく足を踏み外して落ちていく人がいますが、崖なので、落ちている人を見つけにくいです。プロのレスキュー隊ですが、このような地形で正確に落ちた人を見つけるのは難しいです。この時に落ちた人はレーザーを使って自分の位置を教えてくれます。日本ではよく地震が起きます。大地震が起こると、多くの家が倒壊し、多くの人が廃墟に押しつぶされます。ニュースでよく見ますが、発見されていないので、死んだ人がたくさんいます。レーザーペンがあれば、細かい隙間から発射して、下に埋められていることを知ることができます。救出の機会が大幅に増えます。
第二の利点,自分の手の届かないところを指してもいいです。特に教室や会議でよく使われます。先生は歩かなくてもいいです。レーザーで黒板の内容を指摘すれば、学生に注意する効果があります。会議の時、緑色のレーザーが特に目立つので、いつも注意力を集中させます。工場で指揮していますが、危険地帯がありますので入れません。レーザーを使って遠距離マーキングができます。また天文愛好家もレーザーを利用することができます。夜には、天上の星座や星を紹介する時、いつも正しくないことを指すので、どの星なのか分からない人が多いです。レーザーは違っています。レーザーは超遠距離の射程を使っています。星空観察レーザーポインターを使って、星と星座を正確に表記できます。
第三の利点、一番よく使う目的です。都市や農村にいる人たちはよくカラスに襲われます。レーザーは効果的にカラス撃退うことができます。
第四の利点は、多くの猫好きが知している、それはレーザーペンを使って猫と遊ぶことです。猫は好奇心のある生き物で、手に持っても揺れ続けているので、猫の注目を集めています。レーザーを使う時もペットを傷つけないように注意してください。ペットの目に入らないようにしてください。ガラスや鏡にも照らさないでください。
最後の利点は、多くの若者が使ったことがあると信じています。世界最強レーザーポインターは頭を換えることができます。多くの頭を交換して、図案を照らすことができます。夜にはとても華やかに見えます
これらの紹介で、レーザー手袋に興味があるかどうかは分かりませんが、あったら買って帰って持ってきたほうがいいです。
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