#ぴぃーちこ弁当
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こんちゃ、あろハムです
つい1年前の今頃は演劇のえの字も頭になかったのに偶然が重なって今では舞台に立って新入生を演劇に勧誘している。人生って本当に不思議なもんですねえ〜。さて、本題の役者紹介ですが、あれ?独断と偏見シリーズ流行ってるの、、、?結構色々考えたのですが皆面白いのを書いてくれてるのでこれまでふざけてた分今回くらいは自分が感じていることを素直に書いてみるのも良いのかも知れませんね。たまには、ね。さ、前置きはこれくらいにして、耳の穴かっぽじいて聞いて下さい。
園堂香莉(夢の住人α)
本当、器用な役者さんなんだなと今公演特に感じました。今回の3役とも全く性質が違うのに飄々とこなしてしまうなぽりが羨ましいです。実は稽古の時エレベーターガールのなぽりが好きすぎて気付かぬうちにガン見していたことは墓場まで持っていきます。エレガのマイムいつの間にあんな上手くなったの?5月にあるvaundyのライブ、どうだったかまた感想言いますね。
水琴冬雪(東雲)
私の演劇を好きになるキッカケを作ってくれた先輩なので、今公演でやっと役者として同じ舞台に立てるのが凄く嬉しかったです。役者として理想的すぎる発声と滑舌を持っているので演技しているところを見て自分なりにもこそっと真似してみますがまあー近づけないですよね。いつか背中が見える日が来れば良いな。あ、噛んで落ち込んでるベガさんも素敵ですよ。
緒田舞里(二宮光)
ちゃうかの大量の仕事をやりながら主役するってどんな生活、精神力してるんですか?絶対疲れてるはずなのに演技中全然そんな姿を見せないのは何故ですか?まりおさんの声の震わせ方、表情、目線の使い方がめっちゃ好きです。みんなの魅力を引き出すキャスパ、素敵すぎました。とにかくお疲れ様でした。ゆっくり休んでください。
たぴおか太郎(弁護士)
ちゃうかをイメージすると大体一番最初になすかさんが出て来ます。(withちいかわTシャツ)異議なし、毎回���裏で笑っていました。あのなすかさんの通る声だからこそ6発6中でウケたのだと思います。オムニからお世話になっているのでなすかさんに褒められると尻尾振って喜んじゃいます。仕込み週になるとほぼ毎日全体LINEで謝ってるなすかさんが大好きです。
肆桜逸(検察官)
唯一の学科の先輩です。体験稽古でめっちゃ優しく話しかけて下さって、それが無ければ私はちゃうかに入ってなかったかもしれません。重い物持ってる時とか仕込みの時とか一番皆に声かけしてくれている優しい先輩です。オムニの時から思っていたのですが、ボケ寄りの役をやってるスチルさんめっちゃ好きです。あと、今公演の場転で行き詰まった時すぐ解決策を出してくれるのがすっごく頼もしかったです。でもキャスパのカウントを勘違いしていて呆然としていたスチルさんもなかなか良かったですよ。
帝京魂(深山登)
今公演で1番関わりがあった役者です。こんの爆発力のある演技を間近で見てみたいなあとは前々から思っていたのでそれが叶って嬉しかったです。演技している時の表情とか目つきが「入っている」感じがして役者として悔しかったです。あんな素晴らしい演技をするもんだから、私の存在感が消える!負けたく無い!と思って必死に練習しました。あと、この前サッカーマシンガントークしてごめんなさい。でもあれは聞いてきたこんが悪い。
縦縞コリー(市原優)
2公演続けての主役、本当にお疲れ様でした。こりの演技を見てると「ああ〜主役だなあ〜」とひしひし感じます。主人公、という言葉がお似合いです。新入生が入ってきても変わらず主演の座に立ち続けて下さい。恐らくこりは自分の中でこう演じたいとイメージしたものをそのまま演じることができる役者さんなんだろうなと勝手に思っています。凄いなああ。私もそうなりたい。線形なんてものも簡単に攻略できるんだろうなあ。
大福小餅(裁判長)
本当に、本当に頑張ったよね。舞監としても、役者としてもめちゃくちゃ頑張ってた。ここは手を抜いてもいいかな、こんくらいで良いかみたいなことを絶対にしない。キャスパも夜遅くまで残って、周りもほとんど帰ってるのに、すごく疲れてそうだったのに、「私出来てないからまだやりたい」って言ってたこふくの顔が忘れられません。こふくを傷付けるような人は私が絶対に許しません。みんなでこの可愛く勇ましい舞監をこれからも全力で支えていきましょう。
苔丸(村上)
器用すぎる。役者としても裏方としても。かっこいいと可愛いを両方バランス良く兼ね備えた役者さん。毎公演本当見事に違う役を演じていて、稽古初日どんな演技をしてくれるのか楽しみでした。色んな役をやってみたいとは思っても���際にやるのはめちゃくちゃ難しいし、苔丸にそういう色んな幅の役が任されるのは恐らくこれまでの演出全員「苔丸なら出来る」と大きな信頼を寄せているからなんでしょう。今公演、役の相談にも乗ってくれてありがとう。役者としても人としてもすごく信頼しています。
岡崎仁美(七瀬マイコ)
先輩としての頼もしさもあるのにたまに同期と勘違いしてしまうような可愛さを持っている方です。今公演の役、恐らくカヌレさんじゃ無いとあんなあどけない無垢な少女にはならなかったでしょう。カヌレさんじゃ無かったら誰がやってたんだろ。想像つかない。立て看、良すぎです。めちゃくちゃ好き。あれに顔はめて写真撮れなかったのが心残り、、、。次もまた看板作ってくれますよね?
衿君(夢の住人β)
実はちゃうかイチオシの役者です。公演ごとの私の推しキャラは大体エリックがやってます。普段は割と大人しめ(周りがうるさい)なのに皆をツボらせたときのウケ方は間違いなくちゃうかイチだと思う。静と動の演じ分けがめっちゃ上手い。だから人の注意が飽きることなくエリックに注がれるんだと思う。ラジパ、後ろでやってたから一回も見れ無かったけど写真で見てビックリしました。あんな笑顔してたんですね。あの写真は今公演1番のお気に入りです。
海泥波波美(夢の住人γ)
この人は何にも考えてなさそうに見えて(失礼)人の観察力がすごいなと思います。だから適当に言っているように思える発言でも実はそのおかげでちゃうかの空気は澱みなく流れてるんだと思う。今公演のあさぎの不気味なシーンちゃんとめちゃくちゃ不気味で大好きです。あの笑い方、良いですよねえええ。あそこで空気がひゅんっと変わる感じが大好き。楽ステのアドリブめっちゃ面白かった。回転扉が回らなくなって焦ってる時のあさぎの顔が忘れられません。
七枚目(郷田)
マキマさーん!チェンソーマン見たことないけどマキマさんだー!郷田さん好きぃいい!私も郷田さんに肩揉んでもらいたいよーー!ぜーんぜん怖くないよ!って言って欲しいよおお!って感じでみそかの演技は脳死しちゃうくらい好きです。通しの時とかずっと周りでウロウロしててごめんね。みそかの優しさと強さを兼ね備えた声が大好き。毎回言ってるけど。一生役者していて下さい。
ミル鍋(施設長)
相変わらず動きの付け方が上手すぎる。実は今公演からゆにの動きをパクってます。というか、ここ動きどうしようって思ったらゆにならどうするかなとイメージしてからその動きを真似してます。バレて、、無いよね!?多分まだ言われたことないから大丈夫。今回も動きに関することでゆにに相談させてもらったら、良いアイデアを即座に言ってくれました。流石です。吹田で一緒に練習したの楽しかったね。またやろう。製図なんてくそくらえ。
西峰ケイ(八戸)
面白すぎです。らびの面白さがフル発揮出来る役を見れてめっちゃ良かった。あの漫才、本当に驚きました。内容もさることながらテンポ感、間、動きの付け方、完成度が凄すぎてちゃんと面白かったし、あんだけお客さんを笑わせるの普通じゃないよ。ずっと練習してたもんね。なのに、そこだけじゃない。二宮と八戸のあの2人のシーン、周りからも散々言われたと思うけど本当に良かった。2人とも演技してるようには思えない空気感だった。あのシーンが今公演で1番のお気に入りです。
あろハム権左衛門(黒川)
キャラメルメル
白子(演出補佐)
誰よりも演劇への想いが熱く、そして演技指導をする時の「こんな感じ」が、レベル高すぎる生粋の演劇サイボーグ。役のことで相談した際、わざわざ私の役の解釈を色分けした台本を作ってくれた。あれは本当に助かりました。白子には前公演も今公演も助けられてばかりです。次の公演は役者として出てくれるのでしょうか?楽しみにしています。あ、授業の方も演劇と一緒にちゃんと頑張りましょうね。
近未来ミイラ・唯端楽生(演出・脚本)
もう散々褒めたしいっか。嘘です。褒め足りません。メガホン持ってスクランブル交差点のど真ん中で「俺は天才なんだぞおおおお!」って言ってもお釣り帰ってくるくらい天才です。ミイラの脚本は、こんな感じのストーリーを描きたいからこのキャラを作る、じゃなくてこのキャラの人生、生き様を描こうとして気づいたらストーリーが出来ていたって感じがします。付け足しのキャラクターがいない。ひとつのキャラクターがいなくなっちゃうだけでもストーリーが壊れてしまうような繊細で美しい作品。黒川の解釈を聞いたらめちゃくちゃ長文ですっごく分かりやすい表現で説明してくれたとき感動しました。ひとつひとつのキャラクターにこんな細かい想いが込められているとは思ってなかったです。出来れば他の人のアドバイスとか指摘とか一切聞く耳持たずにみいらの感じたこと、書きたいことをそのまま書き続けて欲しい。演劇のルール、文学のルールとかにとらわれない自由な作品をこれからもずっと描き続けて欲しいなあと勝手に思ってます。
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--深海人形-- 賢い老人は、愚かな若者に勝り、愚かな老人は、此の世で最も要らない重荷である。
※閲覧&キャラ崩壊注意
※ショタリョナ・男リョナ他過激ネタ注意
※後半クロスオーバーネタ注意
※名指しでの誹謗中傷、各所での晒し行為、不自然な迄に頻繁な通報行為、その他サイバー加害行為等の、余りに嫌がらせが酷い場合は、人権擁護団体か弁護士に相談します。場合によっては、開示請求及び提訴するかもしれません。
政府「此れから、75歳以上の皆様は医療費3割負担です!!(※例の奴採決済)」
年寄り「キシャァァァアアアアアア!!!!!!!老人差別!!!!!!!!!(※許さんぞ政府!!!!!!!!!!!!!)。」
政府「老兵は去るのみと言う言葉知ってますか?()。」
…。
97のニューフェイスチームエンディング見たら彼等の(特にシェル美さん)の印象変わる(※180度完全に)。そして、無論、参考にしてる(※見てない人は是非見て欲しい)。
彼等は一見軽そうに見えるけど、決して其うでは無いんだなって言う事が分かる(※此処等辺はネスツ編並に重い)。
…。
サイキックフォース 2012は、全体的に精神に堪える。対ウィンディ戦後にエミリオが言う「…うっ……頭が……。」とか対マイト戦勝利後のパティの「マイト……。」が一番精神に堪える。だけど故に好き(※色々と常軌を逸脱してる名作だし)。
…。
サムスピシリーズで色々働いて下さる黒子サンの特技は、『死者蘇生(王大人と同じ)』で、此の点は、サムスピも男塾も同じですね。じゃ、断末奥義も絶命奥義(※特に羅刹丸婆娑羅外道水邪の)も喰らわせ放題じゃん(※大歓喜)。
同じ事前にも言った(※様な気がする)けど、そーけつとふーけつと館主様に『臓腑抉り』、『獄門』喰らわせたいです(※絶命⭐︎勝利)。
…。
ウォーザードのムクロにも、羅刹丸と同じ演出あったのに、全然問題にならなかった所は……ウォーザードのマイナーさを物語ってますよね()。
…。
前何処かで書いたけど動物連れてる人達が絶命奥義食らったり斬殺された後にちゃんぷる、ままはは、ぱぴぃが「…みな、みなぁ〜!!」みたいに泣いて縋ったり、吠えたり、遠吠えしたりと主人達の嘆き悲しむ演出がとてもsnkらしくて細かくて良い(※天サムでそうげつがかづきを斬殺した時の勝利デモも途方も無く悲愴感が漂って居て大好き)。
…。
ガソダムシリーズのパイロット達でセイヴァーか零SPみたいなゲー出して欲しい(※モーコンとかサムスピ好きな海外勢は、こぞって、かつて無い程に群がって買うから)。
…。
炎邪たその絶命奥義はね、炎邪たそらしい純粋な『パワーッ!!!』みたいな演出で良い。好き。同じく、水邪様の絶命奥義もですね、今迄笑い者にしてたけど、あの絶命奥義見た途端、一気に「如何か御許下さい(※すみませんでした)。」…と息を呑んで、掌返しした位に好き(※其れ位、正に、神憑った技)。
…。
反応しないのも歴とした一種の反応です。…と言う訳で、絶命奥義 獄門か炎邪たそか水邪様の奴行きます(※何れも検索厳禁)。
…。
ガソダムシリーズ式究極神拳・Fatality(※=絶命奥義)一覧
ビームサーベルで焼いて消し炭にする
MSの手で人間を握り潰す
某フレッシュトマト味の様に「やめなさい!」と潰す
コックピットに物理攻撃を直撃させてミンチより酷い状態にする
コロニーレーザーで焼く
サイクロプスでレンチンする
……未だある(※滅茶苦茶ある)。
…。
MSの手で人間潰す奴は、ダム版絶命奥義 獄門(※単語検索禁止)出来るよな(※…でも、其れって→えゔぁのかおる君)。
…。
FINISH HIM!
……ビームサーベルで焼かれて消し炭にされたり、ミンチよりひでぇ最期を迎えたり、MSの手で獄門みたいに握り潰されたり、トマトみたいに「やめなさい!(虫を潰す感じで)。」で潰れる矢鱈思想の強い少佐(※実質大尉)と野獣大尉良い……(究極神拳)。
…其う考えると、零SPの方には潰す系の絶命は、リムのしか無いよな(※…まぁ、腐っても、侍剣戟対戦だし……)。
…。
脱衣KOとアルティメットKOとミッドナイトブリスが実装されると思ったら〜〜〜〜(※実際に実装されたのは)自決と断末奥義と絶命奥義でした〜〜〜〜(※チキショーーー!!!!!!)。
…。
敢えて自決ネタを出したのは、既にサムスピの一部ゲームに組み込まれて居るシステムだからです。
なので同じく一部ゲームに実装されて居る断末奥義と絶命奥義のネタも、いずれはもっと出します(※嫌なら逃げて下さい)。
ワイ(+拙作)の場合、誰も見てない前提だから、御嬢様が幸せ投げしたり、リョナ、ショタリョナ、男リョナしたり、武神流忍者をキョーヤジポジにしたり、ソロモンの悪夢とか野獣大尉を拳銃自決させたりするサムスピ由来の自決ネタだのを平気で出せる(※…したい放題、やりたい放題、好き放題)。
…。
※以下、クロスオーバー注意
ジェノサイドカッター使えるだけで木星帰りが、ルガと同じ趣味:自爆おじさんになるなら、ガイガーも趣味:自爆おじさんになるであろう(※…実際、自爆出来るだけの科学力はあるし…)。
…。
此のレルムちほーでもシロッコの所為でブルコス思想が蔓延したら面白いな(※他のコーディネーター来れなくなるね苦笑)。
…。
種運命���種自由)のデストロイ数機がレルムを荒らす展開の構想あった(実際種運命と種自由作中でブルコスの手先として、本機はベルリンとオルドリンを焦土に変えた)。
…。
※Zガソダム×ファンタジーストライク・YOMI(Mobile suits Z Gandam +Fantasy Strike and YOMI series)。
※シロッコ、ガイガーに遺伝子組み換え人間差別(?)と復讐・報復されるの巻。
※シロッコ(ヤツ)を倒す!蒼き清浄なるレルム(世界)の為に!(※頭ブルコス並感)。
※シロッコ=デザイナーベイビー(SEEDで言うコーディネーター)説採用
※リンチ・絞首刑・男リョナ注意
*Male Ryona Caution (*Mr. Geiger suffers a terrible fate due to a certain legendary supernewtype)。
※英語版あり
※元ネタ:クロス アンジュ 第10話の絞首刑シーン
其の日、モーニングスターサンクチュアリでは会議が行われて居た。
「奴が血統改造(=遺伝子組み換え人間)である事を暴露する。此れで奴の地位は失墜せざるを得ない。」
其んなガイガーの姿を見兼ねたルークが言う。
「其んな事をして何になる?」
「此の世界の未来と科学の為になりますよ。」
…。
場所は、フラグストン市の大広場。其の日の大広場は、まるで興行の様に、絞首刑台が用意されて居る。
「何の見世物だろう?」
其れが気になった市民は、野次馬根性丸出しに興味津々で絞首刑台の周りに集まって来る。
其処には、----ガイガーによって、モーニングスターサンクチュアリで作られたロボットによって----捕獲された後、瀕死になる迄リンチされたシロッコが居た。彼は、血塗れで泥塗れだった。
「済まない。本当はギロチンにしたかったのだが、器具が無くてな。」
…此のガイガーの発言で、ザンスカール帝国の事を思い出した読者も居られるだろう。…では、さて。
ガイガーは、『遺伝子組み換え(コーディネーター)差別』を、レルムのクンタラ差別にでもしようとしてる居るのだろうか?
現時点でボロボロに傷め付けられたシロッコを足で激しく踏み躙ってから、ガイガーは此う喧伝する。
因みに、シロッコの手と足は、ガイガー謹製の金属製手錠によって後ろ手に縛られており、身動きが取れない。
「先天的な遺伝を操作して生まれた存在は明らかに自然に反して居り、不自然だ!そして、其の遺伝を改造して得た才能等、只の卑怯では無いか!」
コズミック・イラのコーディネーター達からしても、此の発言は許せないだろう。ブルーコスモスとか言う連中に、毎分毎秒単位で、此の様なヘイトスピーチをされ続けて居るのだから……。
やがて、其れを聞いたシロッコが反論する。
「何が不自然な存在だ!時を捻じ曲げる方が、自然に反して居るでは無いか!」
だが、相手は其の反論を踏み躙る。何度も何度も臀部と顔面と腹を蹴りながら。
「お前の存在自体の自然への反し様と比べれば、其れは、途方も無く些細な物だ!」
真面目にガイガーが、遺伝子組み換え人間の危険性を懸念する一方、民衆は民衆で騒ぎ出す。何とも、ワクワクと楽しそうに。
「其奴をさっさと、吊るして欲しいんだけど。」
「何で其んなに、前振り長いの!焦らすなよ!早く吊るしなよ!!早く!早く!あの美形の死に様が見たい!」
「つ・る・せ」
「つ・る・せ」
「つ・る・せ」
「つ・る・せ」
其処で、其の民衆の『大声援』を聞き、気を取り直したガイガーが言う。
「聞いてるか?パプティマス、…何とも良い声援だろう?」
「……外道が。」
…………沢山の女性を含めた民衆による「吊るせ」の大合唱、シロッコは其の群衆を悲しみと怒りの眼で見て居た。
…多分、彼等は、血統改造--遺伝子組み換え人間とかの話を理解しておらず、ただ単にその場ノリでやっている。其う言う処刑を見世物として見るのが愉快で。
其の様子を、民衆がウキウキとして、此の自分の処刑を楽しみにしていると言う現状を、シロッコは只管、絶望の顔で見る。
(…ガイガー、君が此処迄の鬼畜生になったのは、矢張り、私の所為だろうな……。)
シロッコの何処か悟りを得た様な表情。…そして、最後の最後に血と泥に塗れたシロッコを吊るそうとする。
…。
それより少し前、フラグストンの内閣では、此の様な緊急会議が行われて居た。
「彼奴を見殺しにしてはならぬ!」
「ですが、将軍、内部抗争と膨れ上がる研究費予算と女性の権利が如何とかみたいな女性関連の問題が絶えないのは、全て、あの問題児----パプティマス氏の所為でしたよ。実際の所、ガイガー氏も、あの人がガイガー氏より優秀で沢山功績を上げるものだから、其の所為でガイガー氏は出奔してレジスタンスになりましたし。…然し、モーニングスターサンクチュアリも中々粋な事をやりますね。あの人がああして、処刑されれば、又、平和なフラグストンが帰って来ます。」
「御主に人の心はあるのか?」
そして、クインスが最後に会議を締め括る。
「良いでしょう。皆さん。我々で助けましょう。」
「正気か?」
「…ええ、私は正気です。」
----此処で、シロッコに、恩を、売る!利用しない手は無い!此うして、反現体制の人間やら異種族やらに迫害される『血統(遺伝子)組み換え人間(シロッコ)』���肯定する事で、元々から良いイメージの、我が政権のイメージを更に良くする!!
かくして、クインスと救助部隊は動き出した。
…。
「さぁ、潔く死んで貰おうか。」
…其処で、シロッコが淡々と言う。
「…良いのか?…私を殺したら、後悔するぞ。」
「貴様の辞世の句は其の程度か?我が生涯に一片も悔い等無い。では、嬉々として、君には死んで貰う。」
其う言いながら、ガイガーは自らの手で、シロッコの首にロープを掛けた。
----サラ、ごめん。もっと、未だ、生き延びられると思って居たのにな……。本当に御免…。
其の時、シロッコに奇跡的な助けが入った。絞首刑のロープに、シロッコの首が掛けられた瞬間、其のロープは何処かの忍者が勢い良く投げたくないによって斬られたのだ。其れから、広場の前で徒に群れる民衆達を押しのけて、兵士達が雪崩込む。
其うして、シロッコを政権ぐるみで救出させた後、--矢張り、時間停止で逃げたのであろう--ガイガーを捕縛し損なったが、絞首刑台を薙倒した後に、クインスは堂々と----実に派手に----演説を初める。
「優れた者に、天然も血統改造も関係無いであろう。優れた者は優れた者なのだ。例え、彼等にドラゴンや神聖な気高き幻獣達の血が入って居ようが、我がフラグストンは、其の者達を重用する!!」
…然し、其の様な、輝かしくて歴史の第一歩に残るスピーチが目の前でされて居るのにも関わらず、シロッコは極限迄疲れ果てて居り、其れを、ボーッして、虚ろな目で見るだけだった。
…。
後日、フラグストンの内閣内で、此の決定が為された。
「我々は、モーニングスターサンクチュアリを、都市国家テロリストとして指名手配する!」
……カラバ、デラーズ フリート、ネオ・ジオン、袖付き、クライン派、海賊部隊、クロスボーン バンガード、ソレスタル ビーイング……、
機動戦士シリーズには、星の数程の賊、テロリスト、レジスタンス、傍迷惑な軍事組織が居る。カラバ、海賊部隊、クライン派、ソレスタル・ビーイングに至っては、各作中に置いて、味方側の存在である。
いずれにせよ、彼等も其の『先人達』に並ぶ輝かしい歴史と活躍を残して行くであろう。
…。
※元ネタ:Zガソダム 最終話
シロッコ「貴様の様なのが居るから、戦いは終わらない! 消えろ!」
ガイガー「私をテロリズムに駆り立てたのは貴様だ!そんな事が言えるのか?!」
「パプティマス!貴様は私の……!」
私の……全てを奪った!
…。
長くなったので英語版のリンク貼る
…。
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20231213
megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13 (水) 23:53:42 @maedaya_olive
@ojro_men
治ちゃんへのコメントにいいね❤️ありがとうございます❣️めっちゃ嬉しいです😆💕そしてちょっと恥ず…🙈︎💦 むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2023/12/13 (水) 23:52:07 Replying to @ringonoDANGO and @ojro_men 次男三男「ええーーー‼️」 長男「髪伸びた⁉️」 次男「オサ先生〜❣️」 むーちょ「きゃぁぁーー❣️❣️❣️」 次男「オレ今日からオサ推しになるわ‼️」 むーちょ「ヾ( 〃∇〃)ツ キャーーーッ♡」 次男「(≧∇≦)きゃ〜‼️」 ……現場からは以上です…… スマイルりん @FT_lovelysmile 2023/12/13 (水) 23:47:22 Replying to @ojro_men お疲れ様でした〜!! lunaria25 @lunaria25 2023/12/13 (水) 23:22:48 Replying to @ojro_men 見逃しました💦来年の城ホールで会えたら嬉しいです 🐟💚さくらこ🐰(りんまぁこ🍏) @chmichil 2023/12/13(水) 23:12:17 Replying to @chmichil and @ojro_men 容量の問題でTVerも見れない😩 🐟💚さくらこ🐰(りんまぁこ🍏) @chmichil 2023/12/13(水) 23:11:36 Replying to @ojro_men 仕事だったから今日のは20:15からしか見れなかったです🥺 miletちゃんのは見れなかったです😣 ちはるん♪ @chiharu509 2023/12/13(水) 23:10:30 Replying to @ojro_men 🥁リズム難しいぃって思いながらも、miletちゃんの唄がかっこよくてあっという間に終わっちゃって、リピってました🤭🎶素敵でした〜👏 megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13(水) 23:08:21 Replying to @ojro_men ねぇ素敵な楽曲ですょね~😌✨ Anytime Anywhere🎶🩵💙💚 今回治ちゃん叩くの初めてですょね❓ エンディング🥁バーンバーンバーーーンめっちゃカッコよく決まってたょ~😍👍✨ 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2023/12/13(水) 23:07:13 Replying to @ojro_men 急なお知らせにびっくりちゃん😂 miletさんの歌声に寄り添うオサのドラムめちゃくちゃ素敵でした🥁 カッコ良かったー😍💕💕 お疲れ様でした😌💓 わびすけ @wabeeske 2023/12/13(水) 23:06:30 Replying to @ojro_men Anytime Anywhere、今観ているアニメのEDテーマなので演奏して頂いて嬉しいです! リアルタイムで観れなかったのでTVerで観てみます…! A @ari_koi8 2023/12/13 (水) 22:39:10 Replying to @ojro_men 仕事��した。また配信で皆さんとお話し観させてもらいます👏👏 ちぃ(葵空) @chiivremio 2023/12/13 (水) 22:32:17 Replying to @ojro_men あわわ💦お知らせありがとうございます✨アーカイブみます! きしめんRI-nem @rijooki 2023/12/13 (水) 21:55:01 Replying to @ojro_men ぎゃーーーん…仕事してた〜(т т) megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13 (水) 20:22:19 Replying to @ojro_men めーーっちゃかっちょよかった😍💓髪の毛つやっつや✨のサラッサラ~✨ さとみ @remisato 2023/12/13 (水) 19:35:58 Replying to @ojro_men ASKA見たかったので初めから見てます😊 録画しとこ😁楽しみ〜(*^^*) ♡ぴーち♡ @remipipi 2023/12/13 (水) 19:30:45 Replying to @ojro_men えっっ⁉️ わ〜い🙌🙌🙌
楽しみにしてます😆 megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13 (水) 19:24:59 Replying to @ringonoDANGO and @ojro_men やっぶなっ🤣💦 むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2023/12/13 (水) 19:13:33 Replying to @ojro_men あぶなーっっ ごはん作ってて今気づいたです( ˊᵕˋ ;) やぶねーっ( ◜ω◝ ) yoshino @yoshino3996 2023/12/13 (水) 19:10:29 Replying to @ojro_men えっ?今日?今夜?? 朝、教えてくれればいいのにぃ~💦 録画するー❣️ 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2023/12/13 (水) 18:46:26 Replying to @ojro_men え⁉️今夜⁉️ 録画しなきゃ‼️ スマイルりん @FT_lovelysmile 2023/12/13 (水) 18:42:51 Replying to @ojro_men そーなんですね!! 今観てます〜20時台ね!楽しみ😊 フランスパンmimi(暴走洗濯機、ぶぁん、めがしら) @yomieko444 2023/12/13 (水) 18:41:54 Replying to @ojro_men 観ます! くう間もん @kasu3iro 2023/12/13 (水) 18:35:52 Replying to @ojro_men 🥁👏👏🎶始まりました〜☺️ 八時過ぎ??!❣📺!!~~ ヽ(`▽´)/ ちはるん♪ @chiharu509 2023/12/13 (水) 18:21:42 Replying to @ojro_men わーい(*´∀`*)🩷 今日午後振休でよかった😊楽しみにしてまーすです🥁🎶 ありひろちゃん @arihiro_CHAN 2023/12/13 (水) 18:21:10 Replying to @ojro_men こんばんは 今日も12月とは思えない気温でしたね☀️ れいか @12AtoZ5 2023/12/13 (水) 18:18:05 Replying to @ojro_men 出演おめでとうございます! 生放送ですか?頑張って下さい🥁😆👍 megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13 (水) 18:16:20 Replying to @ojro_men きゃ〜~~😆💕💕💕💕💕 めっちゃ嬉し~けど😍めっちゃ急過ぎる💦 しろ @shiro_kuro46 2023/12/13 (水) 18:16:13 Replying to @ojro_men がんばってください〜! Alice @Alice6499530073 2023/12/13 (水) 18:15:49 Replying to @ojro_men 🫡
楽しんで〜🥁 さとこ(N→S) @okourt11 2023/12/13 (水) 18:14:14 Replying to @ojro_men 楽しみー💕絶対見るよ👀✨ ちはるん♪ @chiharu509 2023/12/13 (水) 15:33:23 Replying to @ojro_men おはようございます🐹🩷 お昼に実家に行ったら、母が、夢にオサくんが出てきて、ちぃちゃん(私)の家に遊びに来ていたんだよ〜!って😂でね、何で家知ってるの⁉️ってオサくんに聞いたらしい🤣お昼に大爆笑でした🤣 オサくん…私の夢には出てこないのに…😂 むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2023/12/13 (水) 14:55:57 Replying to @ojro_men おはよぉございま〜(о´∀`о) 無事クリスマス出勤が確定して しかもアウェー戦なんで🥨 こりゃ〜オサきゅんパワーをもらわないとなーってところです( ̄▽ ̄)ふぅ さて、配信の続きでも見るか…… sayaka @saya103 2023/12/13 (水) 14:31:22 Replying to @ojro_men こんにちは❗️ 早起きしてるのにお弁当作れなかった~💦 Alice @Alice6499530073 2023/12/13(水) 13:08:50 Replying to @ojro_men おはようございます☀
もう既に金曜日のような体力🪫 momo @momochi039 2023/12/13(水) 12:32:30 Replying to @ojro_men 晴れてるますね〜☀️ 暖かいですね~😌🔆 おはようございます😃 🐟💚さくらこ🐰(りんまぁこ🍏) @chmichil 2023/12/13(水) 12:28:56 Replying to @ojro_men おはようございます、オサ🤗 晴れてますね☺️🌞 あんみつ彦 @anmitsuhico 2023/12/13(水) 12:06:07 Replying to @ojro_men ですね〜😃☀️ おささん、おはようございます‼️ gash @a_kie_1123 2023/12/13(水) 11:52:03 Replying to @ojro_men おはよーございます😊☀️ 朝は、風が強かったです🍃🚲 さとみ @remisato 2023/12/13(水) 11:37:07 Replying to @ojro_men こちらも今日は良い天気です☀
こんにちは(*´∀`*)ノノ くもうさぎ姫 @kumousagihime 2023/12/13(水) 11:35:20 Replying to @ojro_men おはようございます☀😊 yoshino @yoshino3996 2023/12/13(水) 11:33:39 Replying to @ojro_men おはようございます🌞 雪が積もってるから お日さまが眩しいです🍀 くう間もん @kasu3iro 2023/12/13(水) 11:15:27 Replying to @ojro_men 良いお天気☀☀です✨ おはようございます😃 風はひんやり!です🍃 家族用のほうとう🍲仕込みます〜〜😆☺️🎃🥕 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2023/12/13(水) 11:08:54 Replying to @ojro_men おはようございます😊 いい天気☀️ midorichan0522 @midorichan05221 2023/12/13(水) 10:30:49 Replying to @ojro_men 晴れてくれました~☀️ おはようございます😃 元気に必殺配達人を頑張って来まぁす🏃🚙💨今日も美味しい愉しい一日を~😁✋✨ remiofan @remiofan 2023/12/13(水) 10:28:58 Replying to @ojro_men おはニキ☀️ 良天キー🙋 みーにゃん @minyan_3939 2023/12/13(水) 10:26:40 Replying to @ojro_men おはようございます! いいお天気☀️ 12月とは思えないですな〜💨 れいか @12AtoZ5 2023/12/13(水) 10:22:09 Replying to @ojro_men おはようございます! ものもらいが悪化して目がほとんど開かなくなってしまいました(3_3) 東京から帰ってきて早々眼科にかかってます😅 まっちゃ @mattyasweets 2023/12/13(水) 10:13:10 Replying to @ojro_men おはようございます☁️ スマイルりん @FT_lovelysmile 2023/12/13(水) 10:12:37 Replying to @ojro_men う〜ん、お天気良すぎー!! おはようございます! megmeg🐰🐥🌸 @megmeg_fblc07 2023/12/13(水) 10:07:35 Replying to @ojro_men おはよおさ〜ん🐥🐰✨☀️ サンタ🎅でございま~す❣️ 今日~もいい天気~🎶😆👍✨ K.strawberry.music819 @819musiclove 2023/12/13(水) 09:57:20 Replying to @ojro_men おはようございます🦖 くみくみ @kumikotakuro 2023/12/13(水) 09:49:10 Replying to @ojro_men おはようございます😀 晴れ〜☀ でらゆう dž息子NICU•GCUから退院 @dera_you6453 2023/12/13(水) 09:48:58 Replying to @ojro_men おはようございます🌞 きしめんRI-nem @rijooki 2023/12/13(水) 09:47:52 Replying to @ojro_men おはようございます🌞
セキュリティカードの代わりに 肉まんをかざしたところです🐷マチガエター アカネ @akaneteresa 2023/12/13(水) 09:45:15 Replying to @ojro_men おはようございます😊 ももくるひめ @momokurumihime 2023/12/13(水) 09:44:42 Replying to @ojro_men おはようございます! 晴れましたー♪ あられ @0416_haha 2023/12/13(水) 09:43:50 Replying to @ojro_men おはようございます😊 今日も良い日になりますように💕 ♡ぴーち♡ @remipipi 2023/12/13 (水) 08:28:27 Replying to @ojro_men オサの魚捌きは長年主婦をしているようなしていないような私(笑)より何十倍も慣れた🐟捌きです。🍻🍶🍷🍚何杯でもいけそう😋 ちはるん♪ @chiharu509 2023/12/13 (水) 02:36:17 Replying to @ojro_men and @YouTube 🎮配信なのに沢山🎣のこと教えてくれてありがとうございました🙏💦 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2023/12/13(水) 00:14:54 Replying to @ojro_men やったー😆🎶 しろ @shiro_kuro46 2023/12/13(水) 00:13:46 Replying to @ojro_men 3時までには寝よう💤 ぽゆん @hashibiro_poyun 2023/12/13(水) 00:12:58 Replying to @ojro_men やった!
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おっさんの弁当 別荘の敷地内に筍がポコポコ生えてて ヤバイって採って帰ったやつなんぞでお弁当 本当、ムカつく💢 今日、午前中の仕事終えて帰宅したら 何事も無かった様にしていたので 二、三発殴ってやろうかと思った💢 「なんか言うこと無いん?」 「………」 「昨日は飲み過ぎてごめんなさいくらい言うたら💢」 「昨日は飲み過ぎてすみません」←棒読みか💢 一回、埋めてやる💢 #ぴぃーちこ#ぴぃーちこ弁当#筍弁当#筍三昧#曲げわっぱ#弁当#bento #도시락#弁当に毒盛るぞ💢 (この地球のどこか) https://www.instagram.com/p/CONVBh3gwyX/?igshid=1jene124eqnti
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続・くのいちイリュージョン
1. 女性だけのイリュージョンチーム「コットンケーキ」に所属していたあたし、御崎芽瑠(みさきめる)がフリーのマジシャン、谷孝輔(たにこうすけ)と出会ったのはほんの4か月前のことだった。 恋人同士になり、専属のパートナーになって欲しいと頼まれた。 悩んだ末、あたしはコットンケーキを辞め、彼のアシスタントになって生きることに決めた。 2. 以前は撮影スタジオだったというフロアの半分に客席のソファとテーブルが並んでいる。 残り半分があたし達のステージだ。 ちらりと見たところ、客席は結婚式の披露宴みたいに着飾った人ばかりだった。 ここってものすごく高級なクラブなの? 「会員制の秘密クラブさ。会費は安くないらしいよ」 「すごいね」 「みんな俺たちを見に来てくれてるんだ���ドキドキするステージにしよう」 「うん!」 〇オープニング ステージが暗くなって、中央にスポットライトが一本当たった。 ゴーン。 鐘の音のSE(効果音)。 あたし一人で進み出た。 衣装は真っ赤な忍者の上衣、ショートパンツに網タイツとブーツ。覆面で顔を隠している。 身を屈めて爪先で小走り。ときおり物陰に隠れるようにして周囲を伺う。 あたしは敵地に侵入したくのいちだ。 絶対に見つからないよう、気配を殺して・・。 〇 スネアトラップの罠 がたんっ!! 大きな音がして、くのいちが消えた。 ピーッ、ピーッ! 呼び子が響き、ステージ全体が明るくなる。 くのいちは頭上高くに吊られていた。 片方の足を縄に絡められて、逆さになって激しくもがいている。 これは森で動物などを捕獲するために使うスネア・トラップという罠だ。 目立たないように張ったワイヤを引っ掛けると、縄の輪が足に掛かり、立ち木をしならせたバネの力で吊り上げられる。 「獲物がかかったか!」 黒装束の忍者が登場した。コースケだ。 長いマントを翻し、背中に太刀を背負っている。 黒忍者は逆さ吊りになったくのいちの手首を捕らえると、後ろ手に組ませて縄で縛り上げた。 さらに覆面を剥ぎ取って、その口に懐から出した白布を詰める。 「舌を噛んで自害されては困るからな」 にやりと笑うと、前髪を掴んで前後左右に振り回した。 ・・あたしは悔し気な表情を浮かべながら振り子のように揺れた。 揺れ幅が小さくなると、再び髪を掴んで揺らされた。 全体重を片足で受けているから長く続けると足首を痛めるけれど、そのために足首部分を分厚くしたブーツを履いているから耐えられる。 〇 逆さ吊りオリガミ 黒忍者は小さな箱を載せた台を押してくると、くのいちが揺れる真下に据えた。 一辺がわずか30センチほどのサイコロ形の箱である。 その箱の蓋を開け、くのいちを吊るす縄を緩めてゆっくり降下させた。 くのいちの頭が箱に入り、続けて肩、胸、腰と沈んでゆく。 こんな小さな箱にどうやって人間の身体が入るのか不思議だった。 くのいちの膝まで箱に入ったところで、黒忍者は足首に絡んだ縄を解き、さらに左右のブーツを脱がせた。 網タイツだけになった脚を上から押し込んで箱の蓋を閉じる。 黒忍者は背中の太刀を抜くと、箱にぶすりと突き刺した。 すぐに抜いて別の角度で再び突き刺す。 これを何度も繰り返した後、黒忍者は箱の面を内側に折り込んで半分の大きさにした。 さらに折って小さくする。 箱をゲンコツほどの大きさまで折り畳むと、黒忍者はその台まで二つに畳んで運び去ってしまった。 〇 皮張り椅子からの出現 ステージが暗くなって、反対側に置いた皮張りの椅子にスポットライトが当たる。 黒忍者はその椅子に艶のある大きな黒布をふわりと被せた。 すぐに布を外すと、そこにくのいちが腰掛けていた。 縄で後ろ手に縛られ、白布の猿轡をされた姿は変わりがない。 黒忍者はその口から覗く布の端を摘むとずるずる引きだした。 咳き込むくのいち。 その首を両手で締め上げる。 くのいちは首を振りながら苦しみ、やがて動かなくなった。 ・・コースケの首絞めは容赦なしだ。 あたしは息を詰まらせ、ちょっぴり感じながら気絶する演技をする。 黒忍者はくのいちの頬を叩いて意識を失ったことを確認する。 大きなビニール袋を持ってくると、くのいちの上から被せ、袋の口を縛って床に転がした。 〇 透明袋のスパイク刺し 椅子が下げられて、キャスター付の薄い金属台が登場した。 金属台の広さは畳一枚分ほど。 黒忍者はくのいちを入れたビニール袋を金属台に乗せた。 袋の中ではくのいちが目を覚ましたようだ。 ・・あたしは身を捩ってもがくふりをする。 この後、後ろ手に縛られた縄を抜けてビニール袋から脱出するけれど、そのタイミングが難しいんだ。 コースケがアドリブで芸をすることもあるし。 痛! こらコースケっ、女の子を足で蹴るなぁ。 喜んじゃうじゃないか~!! 黒忍者がくのいちを袋の上から蹴って、くのいちが苦しむ。 その間に頭上から大きな器具が降りてきて、ビニール袋のすぐ上で停止した。 鉄板は金属台とほぼ同じ大きさで、100本以上の金属針(スパイク)が下向きに生えていた。 生け花に使う剣山(けんざん)を逆さにしたような形状である。 四隅に布ロープを掛けて吊るしているようだ。 もしロープが切れたら鉄板は落下して、鋭く尖ったスパイクがくのいちを貫くことになるだろう。 黒忍者は火のついた松明(たいまつ)を持つと、4本の布ロープに順に火を移した。 燃え上がる布ロープ。 透明な袋の中ではくのいちが必死に縄を解こうとしている。 4本あるロープの1本が燃え尽きて切れた。 鉄板は大きく揺れたが、まだ宙に浮いている。 反対側の1本も切れた。 鉄板がぐらりと傾き、それにつられて残りの2本が同時に切断された。 がちゃん!! 大きな音がして鉄板が落下した。 ちぎれたビニールの破片が舞い散る。 観客の誰もが息をのんでステージを見つめた。 金属台にスパイクが突き刺さっているが、そこに人影はなかった。 最後の瞬間まで、袋の中には確かにくのいちが閉じ込められていた。 いったいどうなっているのだろう? ステージが明るくなった。 黒忍者がマントを広げると、その陰からくのいちが現れた。 拍手の中、並んでお辞儀をする。 ・・やったね! コースケの目を見て微笑んだ。 コースケも笑ってあたしの頭を叩いてくれた。 3. 「じゃあ、お仕事うまくいったんですね!?」ノコが聞いた。 「まあね」 「いいなぁ��私も見たかったです」 「ダメよ。会員でないと入れないお店だから」 ノコはコットンケーキの後輩で、あたしとちょっと特別な関係にある女の子だ。 「・・だいたい片付きましたね」 「ありがとう、助かったわ」 「メルさんのことなら何でもお手伝いしますよ~♥」 ここはコースケのマンション。 彼の専属になって、あたしは前のアパートを引き払いコースケと一緒に住むことにした。 一緒と言っても、籍は入れない。ただの同棲だけどね。 ノコは引っ越し荷物の整理に手伝いに来てくれたのだった。 「お茶、入れるわ」 「お茶よりも・・」「何?」 「コースケさんはまだ帰らないんですよね?」 「うん。彼、ショーの打ち合わせで、戻るのは夜になるって」 「なら、触れ合いたいです、メルさんと」 「もう」 「えへへ」「うふふ」 あたし達はくすくす笑いながら着ているものを全部脱いで裸になった。 忍者の長いマントを互いの首に巻く。 マントは忍者装束が趣味のあたしがノコと一緒に過ごすときに必ず着けるアイテムだった。 「拘束してもらえますか?」 「ノコってマゾなの?」「はい、ドMです♥」 相変わらず素直ではっきり言う子。だから好きなんだけど。 ノコはマントの下で後ろに手を合わせ、あたしはその手首に手錠を掛けてあげた。 「ああ、これで私に自由はありませんよね」 後ろ手錠の具合を確かめるノコ。 その顎に指をかけて持ち上げた。そっと唇を合わせる。 キスの後、後ろから回した手で左右の胸を揉みしだく。 この子はあたしより小柄なくせに、おっぱいが大きくてふわふわ柔らかいんだ。 股間に手をやると、そこはもうしっとり濡れていた。 「はぁ・・ん」 カナリアみたいに可愛い声。 こんな声で鳴かれたら、あたしも濡れてくるじゃないの。 ソファに揃って倒れ込んだ。 乳首を甘噛みすると、ノコは全身をびくんと震わせた。 「・・俺がいないときを狙って、何やってるの」 振り向くと、ドアが開いてコースケが立っていた。 4. 「コースケ! 帰るのは夜だって・・」 「のはずだったけど、早く済んだから帰ってきたの」 コースケは頭を掻きながら呆れたように言う。 「ま、こんなことになっているだろとは予想してたけどね」 「すみませーんっ、メルさんを食べようとしちゃって」ノコが謝った。 「俺は気にしないよ。それに食べようとしてたのはメルの方じゃないの?」 「・・」 あたしはノコの上から離れた。 赤くなっているのが自分で分かる。 二人の関係はコースケ公認だけど、彼の見ている前でこの子とエッチするほどあたしの心臓は強くない。 「わははは。メル、それじゃ欲求不満だろう?」 「ばか」 「楽しませてあげるよ。ノコちゃんもね」 「うわ~い」 そんな簡単に喜んじゃダメよ、ノコ。 コイツがこんな風に言うときは、だいたいロクでもない目に会うんだから。 コースケは皮張りの椅子を持ってきた。 それ、この間のステージで使った椅子。 「はい、メル。ここに座って、前に両手出して」 「この格好で?」「もちろん」 コースケはあたしを椅子に座らせると、前に出した両手首を縄で縛った。 さらに肘を折らせて手首の縄を首に巻いて括り付けた。 あたしは手を前で合わせたまま、下げられなくなった。 椅子ごと大きな黒布を被せられた。 「動いたら後でお仕置き。いいな?」「う、うん」
「さあノコちゃん、メルを好きにしていいよ」 「うわ~いっ」 後ろ手錠のノコが這って黒布の下に入り込んできた。
自分は膝立ちになると、あたしのマントの中に頭を挿し入れた。 ちゅう。 「きゃ」 おへその下を吸われた。そ、そんなに強く吸わなくても。 ノコの口は下へ下へと移動する。 あ、それ下の毛! 汚いよぉ。 「そろそろ諦めて足を開いてくださぁい、センパイ♥」 だ、だ、だっ、だめぇ。 両足の間にノコの肩が割り込んだ。 「はんっ!」 クリを吸われた。 「あ・・、あん、はぁん」 舌の先で転がされる。 「あ、あ、あああ」 我慢する気はすっかり失せた。 あたしは身を反り返らせて喘ぎ続ける。 「れろれろ。メルさんのおつゆ♥ 美味しいです」 「ば、ばか。そんなとこ、」 「噛みますよぉ。イっちゃってください」 「あ、やっ」 きゅん!! 衝撃が駆け抜けた。一瞬、意識が遠のく。 ノコの顔が上がってきて耳元で囁かれた。 「抱いてあげたいんですけど、手錠してるんでダメなんです。・・代わりにキスしますね♥」 「あぁっ!」「んんっ!」 ノコとあたし、両手を拘束された女同士がディープキスをする。 はあ、はあ。 肩で息をして、もう一度吸い合った。 ぱちぱちぱち。 「いいねぇ。堪能させてもらったよ」 のんびり拍手してからコースケが言った。 「はあ、はあ。コースケぇ。もう許して」 「そうだな。じゃ、そのままバニッシュしてよ」 「そ、そんな、無理」 「無理じゃないさ。それくらいできないとこの先困るぞ」 「きっとできます! メルさんなら」 もう、ノコまで無責任に。 「じゃ、いくぜ。・・ワン、ツウ、スリー!」 コースケは椅子全体を覆う黒布を両手で持って外した。 そこには後ろ手錠のノコだけが膝立ちで屈んでいた。 あたしが座っていた椅子の座面には、半透明の液体が広がって溜まっていた。 5. 翌日。 喫茶店に現れたサオリさんは以前より綺麗になっていた。 「待たせたかしら」「いえ、あたしも来たばかり」 「メルちゃん、何だか綺麗になってない?」 「あたしこそ、サオリさんが綺麗になったって思ったんですけど」 「え? あはは」「うふふ」 コットンケーキのリーダー、サオリさんと会うのはチームを辞めて以来だった。 あたしが円満に退所できたのはサオリさんが応援すると言ってくれたからで、あたしはとても感謝している。 「どうしてるの?」 「クラブで彼とイリュージョンのお仕事をやってます」 「そっか。頑張ってるのね」 「まだ続けてできるかどうかは分からないんですけど」 「コットンケーキだって最初はそうだったわ。・・それで、どこのお店?」 「それはまだちょっと、」 あたしは言葉をにごす。 秘密クラブで拷問イリュージョンやってます、なんてこの人には言えないよ。 サオリさんの目がきらりと光った。 「そう・・、詳しくは聞かないけど、いろいろなお店があるわ。危ない仕事はしないでね」 「無茶はしません。彼を信じて頑張ります」 「分かった」 サオリさんは笑って手を握ってくれた。 「じゃあ何も言わない! 自分の信じた道を進むのよ、メルちゃん」 「はい!」 6. 「くのいちの拷問とは考えたもんでんなぁ。客の評判は上々でしたで」 クラブのマネージャーが言った。 ガッチーと名乗る不思議な関西弁を喋るおじさんだった。 あたしとコースケは先週のステージの評価を聞きに来たのだった。 「来月も頼みますわ。それも好評やったら出演枠を毎週とる、ちゅうことで」 やった! あたしはコースケとガッツポーズをする。 「・・まぁ、できたら、できたらでよろしおまっけど、次は、もちょっと過激にしてくれたら、ええかもしれませんな」 「過激に、ですか?」コースケが聞く。 「過激に、ですわ。そちらのメルさんでしたか、可愛い顔やさかいグロな演出やったら喜ばれますわ。エロでもよろしいけど」 「分かりました、やります。まかせてください」 彼が胸を叩いた。 グロかエロって、あたしがやるんだよね。 コースケ、大丈夫? 安請け合いしちゃっても。 7. 東京から車で2時間の高原。 そこは小さな湖に面したキャンプ場だった。 次の出演が決まったお祝いに、あたしとコースケは二人でゆっくり過ごそうとやってきた。 キャンプなんて面倒くさいし汚れるからホテルがいいと言ったあたしに、大人気の���景キャンプ場だから行こうと誘ったのはコースケだ。 「・・誰もいないじゃないの」 「あれ? おっかしいなぁ~。平日は空いてるのかなぁ~?」 「コースケ、知ってたんでしょ」 「わはははっ、まあいいじゃねーか」 「こんな寂しいところで二人だけなんて、どういうつもりよ!」 「誰もいなけりゃ、エッチし放題だぜ」 「え」 「ほら、今夜は晴れてるし、外でするってのはどう?」 これで喜ぶんだから、我ながら単純な女だと思う。 コースケはキャンプの料理も上手だった。 フライパンで焼いたピザとペンネ、チキンとキノコのホイル焼きを食べるとお腹いっぱいになった。 「マシュマロ、焼けたぜ」 「わ、食べるぅ」 パチパチ燃える火を前に並んで座っていると自然といい雰囲気になる。 あたしが身を寄せると彼が肩を抱いてくれたりして。 「キャンプも悪くないだろ?」 「うん、バカにしてごめんね。・・今度はノコも連れて来たいな」 「ああ、あの子なら喜ぶだろうね」 「見てっ。星がすごーい!」 「おお、まさに満天の星だ」 「こんなにたくさんの星見るの、初めてだよー」 見上げていると、頬に彼の手が添えられた。 顔を向けてキス。 「今日は優しいのね、コースケ」 「俺はいつでも優しいぜ?」「うそ」 「どう? 今なら何されてもいいって気分にならない?」 「そうね。・・いいよ、今なら」 「よっしゃ。じゃ、早速」 へ? コースケは立ち上がると暗がりの中を歩いていった。 もう、せっかくロマンチックな雰囲気だったのに。 バタン! あれは車のハッチバックの音。 「お待たせ~」 「何、そのキャリーケース」「見てな」 コースケはポケットから鍵を出すとキャリーケースの蓋を開けた。 大きな塊がごろんと転がり出た。 サージカルテープでぐるぐる巻きにされた布の袋だった。 テープを剥がして袋の口を開くと、中に膝を抱えて小さくなった女の子が入っていた。 「ノコ!!」 「えへへ。こんばんわぁ、メルさん」 「あんた、いつから」「えっと、朝からですぅ」 朝から? じゃ、あたし達がドライブして、ランチ食べて、コスモス園行って、それからえ~っと、ともかくいろいろしてる間、ずっと!? 「はいっ、頑張りましたぁ」 「水分補給も兼ねてカロリーゼリー持たせてたから問題ないぜ。トイレは無理だけど」 「私、漏らしたりしてませんよぉ。エライでしょ? ・・そろそろ限界ですけど」 「その袋は防水だよ。中でやっちゃって構わないって言っただろう?」 「女の子なのに、そんなことできませんっ。それに私、メルさんのためならボーコー炎になってもいいんです」 「そーいう問題じゃないでしょ!」 ともかくノコを袋から出して、トイレに行かせる。 ノコは裸で汗まみれだった。 「着るものあるの? それじゃ風邪引くわ」 「大丈夫です。メルさんに暖めてもらいますから」 「え? きゃっ」 やおらノコはあたしの服を脱がせ始めた。 「コースケ! 笑って見てないで何とかしてっ」 「俺、ノコちゃんの味方」「え~っ」 コ��スケは全裸になったあたしとノコを向かい合って密着させた。 反物のように巻いた布を出してくると、あたし達の首から下に巻き始めた。 とても薄くてゴムのように伸びる布だった。 きゅ、きゅ、きゅ。 弾力のある布が肌を絞め付ける。 き、気持ちいいじゃない。 「マミープレイに使う布だよ。メルはぎゅっと包まれるのが好きだろ? 性的な意味で」 「性的な意味は余計っ。・・否定、しないけど」 肩と肘、手首まで布に包まれる。 これ自力じゃ絶対に抜けられない。 「おっと、これを忘れてた」 あたしとノコの股間にU字形の器具が挿し込まれた。 「ちょっと重いから落ちないようにしっかり締めててね、ノコちゃん」 「はい!」 ノコ、何でそんな殊勝に応じるの。 やがて布はあたし達の膝から足首まで巻かれ、さらに二重、三重に巻かれた。 「口開けて、メル」「んっ」 コースケはあたしの口にハンドタオルを押し込んで上からガムテを貼った。 猿轡、あたしだけ!? 「よっしゃ、頭も巻くぞ」 あたし達は首から上も布を巻かれて一つの塊になった。 そのまま地面に転がされる。 「いいねぇ、女体ミイラ」 布の巻き具合とあたし達の呼吸を確認すると、コースケはおごそかに宣言する。 「二人揃ってイクまで放置。時間無制限」 えええ~っ!? 「俺は君らを肴にホットウイスキーでも飲んでるわ」 8. まったく動けなかった。 動けないけれど、女の子二人で肌を合わせて強く巻かれているのは気持ちよかった。 ちょっと息が苦しいのはノコの巨乳があたしの胸を圧迫するせい。 まあ仕方ないわね。 「メルさぁん♥」 耳元でノコが甘い声を出した。 あたし達は頬と頬を密着させた状態で固定されているから、この子の声は耳元で聞こえるんだ。 ぺろ。ぞくぞくぅ! 「んんっ、んんん~っ!!(ひぃっ、耳を舐めるな~!!)」 思わずのけ反ると、股間のU字器具が膣壁を刺激した。 「ひゃん!」「ん~っ!(ひゃんっ!)」。 あたしとノコは同時に悲鳴を上げる。 これ、うっかり力を入れるとヤバい・・。 ぶーんっ。 そのU字器具が振動を開始した。 「あぁ~んっ!!」「んんっ~ん!!!」 双頭バイブっ!? コースケめ、仕込んだなぁ!!! ノコがびくびく震え、同期してあたしもびくびく震えた。 膣(なか)で暴れるバイブは的確にGスポットを突いた。 耐えられずに下半身に力を入れると、それは刺激となって相手のGスポットに伝わる。 そしてさらに大きな刺激が返ってきて、こちらのGスポットをいっそう強く責めるのだった。 「はん! はん! はぁんっ!!!」「ん! ん! んん~んっ!!!」 コースケは双頭バイブのリモコンを気ままに操作した。 あたし達は震え、もがき、快感を増幅し合った。 イキそうになる前にバイブは停止して、その度に二人とも半狂乱になった。 疲れ果てたけれど、眠ることも休むこともできなかった。 あたしもノコも被虐の嵐の中をどこまでも堕ちた。 明け方近くになってコースケはようやくイクことを許してくれた。 ノコが声にならない声を上げ���動かなくなり、それを見てあたしも安心して絶頂を迎え、そして意識を失った。 とても幸福だった。 朝ご飯の後、コースケが撮影した動画を見せてもらった。 スマホの画面の中で、あたし達を包んだミイラがまるで生き物のようにびくびく跳ねまわっていた。 9. クラブからさらに過激なネタと求められて、コースケは新しいイリュージョンを準備した。 機材の費用はクラブが出してくれるという。 続けて出演契約できたら、という条件だけどね。 「どう? いける?」「大丈夫、いけるよ」 あたしは新調したガラス箱に入って具合を確かめている。 クリスタルボックスに似ているけれど、幅と高さの内寸が50センチずつしかないから中で身を起こすことはできない。 高価な耐熱強化ガラスで作った箱だった。 絶対に成功させないといけないよね。 「じゃ、隠れて」「分かった」 あたしは底の扉を開けて、その下に滑り込んだ。 燃え盛る火の下でも安全に過ごせる隠れ場所。 「蓋、浮いてるぞ」「え、閉まってない?」 「太っただろ、メル」「失礼ねーっ。バストが大きくなったの!」 「そりゃあり得ねー」「言ったわねー。なら今夜確かめる?」「よし、徹底的に確かめてやる」 軽口を叩き合いながら、あたしは自分の位置を調整する。 「ごめん、一度押さえてくれる」「おっしゃ」 ぎゅ。かちゃり。 仰向けになったあたしを押さる天板が下がって、あたしはネタ場の空間にぴたりとはまり込んだ。 「どう?」「気持ちいい」 「何だよそれ。・・浸ってないで、とっとと出てこい」 「もうちょっと」 「あのねぇ~」 それからあたし達は次のステージの構成を決めて、ネタの練習を続けた。 10. 次のショーの本番当日。 「ノコ、何であんたがここにいるのよ」 「えへへ。私も手伝いに来ました」 控室にはノコがいた。 コースケと同じ黒い忍者の装束で顔に覆面をしていた。 「あんたもコットンケーキ辞めさせられちゃうよ」 「大丈夫です。ちゃんと顔隠してやりますから」 「それでバレないほど甘くないと思うけど」 「やらせてやれよ。ノコちゃんも覚悟して来てるんだ」 コースケが言うなら、とあたしはノコのアシスタントを認めた。 アシスタントと言ってもノコは黒子で機材の出し入れなどを手伝う役だ。 「・・御崎メルさん、来客です。フロアへどうぞ」「あ、はい!」 来客? 客席に行くと、そこにはセクシーなイブニングドレスの女性が待っていた。 「サオリさん!! どうしてここに!?」 「コットンケーキのリーダーが秘密クラブのメンバーだったらいけない?」 「いけなくはないけど・・、驚きました」 「ショーのプログラムに『Kosuke & Meru』ってあって、もしやと思って来たらやっぱり貴女だったのね」 「知られちゃったんですね。恥ずかしいです」 「いいのわ。わたし、今日はすごく楽しみにしてるんだから」「?」 サオリさんは微笑んだ。今まで見たことのないくらい色っぽい微笑み方だった。 「ここでやるってことは、メルちゃん、きっと可哀想な目に会うんでしょ?」 「え」 「正直に言うとね、女の子が酷いことされるのが大好きなの。拷問されたり、無理矢理犯されたり」 「・・サオリさん、やっぱりSだったんですか」 コットンケーキ時代、サオリさんの指導がとても厳しかったのを思い出した。 あたし達後輩はいつも泣かされて、このドS!とか思ったものだった。 「うふふ。逆かもしれないわよ」 サオリさんは笑っている。 「ま、まさか、ドM!?」 「わたしのことはいいじゃない。ステージ、怪我しないよう頑張ってね!」 「・・はいっ」 控室に戻り、ノコに「サオリさんが来てる」と伝えた。 「ぎょぼ!」 何、その驚き方は。 11. 〇 緊縛木箱と性感責め スポットライトの中に黒忍者のコースケと黒子のノコが登場した。 テーブルを出して、その上に空の木箱を置いた。 すぐに木箱を持ち上げると、テーブルの上にはくのいちのあたしがうつ伏せになって縄で全身を縛られていた。 衣装は先月のステージと同じ赤い上衣にショートパンツと網タイツだけど、ブーツと覆面は着けていない。 その代わり最初から口に縄を噛ませて猿轡をされている。 緊縛はタネも仕掛けもない本物だった。 背中に捩じり上げてほぼ直角に交差させた両手首と二の腕、胸の上下を絞め上げる高手小手縛り。 両足は膝と足首を縛り、後ろに強く引かれて背中の縄に連結されている。 決して楽じゃないホッグタイの逆海老縛り。 ショーが始まる前からこの姿勢で木箱に仕込まれていたのである。 黒忍者はくのいちの足首の縄を首の方向へ強く引いた。 テーブルについた顎に体重がかかる。 さらにその状態で太ももの間に手が侵入し、突き当りの部分が激しく揉み込まれた。 ・・くっ! あたしは両目をぎゅっと閉じて恥辱に耐える。 きついけど、これはまだまだ序盤なんだ。 今度のショーではお客様の前で性的な責めを受ける。 コースケは本気で責め、あたしは本気で苦しみ本気で感じる。 二人で決めたシナリオだった。 やがて膝と足首の縄が解かれ、右足と左足を黒忍者と黒子が掴んで開かせた。 逆海老の後は180度に近い開脚。 黒忍者は苦無(くない:忍者が使う短刀)を持ち、先端をくのいちの股間に突き立てる。 ショートパンツが破れない程度に突くけれど、それでも確実に女の敏感な部分が責められている。 「ん、あああああ~っ!!」 ・・耐えられずに声が出た。 あたしは喘ぎながら身を震わせる。 完全に被虐モードだった。じっと忍ぶ力なんて残っていない。 スポットライトに照らされて光る粘液がテーブルを濡らす様子が客席からも見えたはずだ。 〇 鞭打ちレビテーション ぐったり動かなくなったくのいちに大きな布が被せられた。 テーブルの後ろに黒忍者が立ち、両手で持ち上げる仕草をすると、布に覆われたくのいちがゆっくり上昇した。 2メートルほどに高さに浮かんだところで、黒忍者は一本鞭を手にする。 振りかぶって布の上からくのいちを打つ。 ぴしり。「あっ!」 鞭の音と呻き声が聞こえた。 ぴしり。「んっ!」 ぴしり。「んんっ!」 ぴしり。「んあっ!」 ぴしり。「ああーっ!!」 5度目の鞭打ちで布がずれ落ちた。 ・・この鞭打ちにも一切タネがない。 布が被せられているとはいえ、あたしはコースケの鞭を本当に受けている。 絶対に逃げられない拷問。 「女の子が酷いことされるのが大好きなの。拷問されたり、無理矢理犯されたり・・」 さっき聞いたサオリさんの言葉が蘇った。 あたし、本当に酷いことされてる! 鞭で布が落ちると、そこには高手小手で縛られたくのいちが浮かんでいた。 黒忍者は両手を振ってテーブルの上にくのいちを降下させた。 もう一度布を被せ直して、再び浮上させる。 鞭打ちが再開された。 ぴしり。「あぁっ!」 ぴしり。「んん~っ!!」 黒忍者は鞭を置くと、宙に浮かぶ布の端を掴んで引き下ろした。 ばさっ。 そこにあったはずの女体は消えてなくなっていた。 〇 ミイラ短剣刺し ステージ全体が明るくなった。 隅の方に敷かれていた黒布がむくむく膨み、中からくのいちが立ち上がった。 猿轡は外れていたけれど、高手小手の緊縛はそのままだった。 その場から逃げようとするが、黒忍者が両手を合わせて呪文を唱えると、何かに固められたかのように動けなくなって黒子に捕らえられた。 黒忍者は反物のように巻いた布を持ってきた。 これはあのキャンプで使った薄くて弾力のある布だった。 その布をくのいちの頭から足先までぐるぐる巻きつけた。 薄手の布の下にはくのいちの顔が透けて見えていたけれど、何重も巻くうちに見なくなって、全体が白っぽいミイラになった。 くのいちのミイラは床に転がされた。 黒忍者は短剣を持って掲げる。刃渡り10センチほどの銀色の短剣だった。 やおらその短剣をミイラのお腹に突き刺した。 「きゃあっ!!」激しい悲鳴。 さらに3本の短剣を出して、胸の上下と顔面に刺す。 ミイラは1本1本刺される度に悲鳴を上げてびくびく跳ね、短剣を突き立てた箇所には真っ赤な染みが広がった。 〇 ガラスの棺 透明な箱が登場する。 細長い棺(ひつぎ)のような形状をしていて、人が入るとしたら横たわるしかない大きさだった。 黒忍者はミイラから短剣を抜き、肩に担いで棺の中に入れた。 黒子が蓋をして南京錠の鍵を掛ける。 黒忍者は松明(たいまつ)に火を点けた。 照明が消えて真っ暗になった。 ステージの明かりは黒忍者が持つ松明だけである。 黒忍者は棺のまわりを歩きながら、松明で棺の中を照らした。 すると、何と、棺のミイラが燃え始めた! その火は次第に大きくなって、棺の中いっぱいに燃え広がった。 わっ。観客がざわつく。 一瞬だけ、棺の中にくのいちが見えたのだ。 しかしすぐにその姿は炎の中に消えてなくなってしまった。 ・・ヤバい!! あたしは棺の底に背中をつけて隠し扉を開けようとしていた。 ガチで両手を縛られているから動かせるのは指先だけだった。 その指に、あるはずの扉のフックが掛からない。 見つからないっ、見つからないよ!! 網タイツの足がちりちり焼け始めた。 火が小さくなって静かに消えた。 やがて照明が点いてステージが明るくなる。 黒忍者と黒子が棺の前後を持ち、斜めに傾けて中身を客席に向けた。 皆が目をこらした。 棺の中は黒い粉が溜まっているだけで、その他は何も入っていなかった。 くのいちの女の子は灰になってしまったのだろうか? 黒忍者が客席の後方を指差す。 黒子がほっとしたように両手を叩いた。 そこにはくのいちが立っていた。 忍者の衣装は灰で黒くなり、網タイツは焼けて穴が開きその下は赤くただれていた。 ・・あたしはステージに向かって走っていった。 ふらふらしながら、どうにか倒れずにすんだ。 拍手の中、揃って頭を下げる。 うずうずした。 お客さんの前だけど、もう我慢できない! あたしはその場でコースケに抱きつい��。 黒忍者とくのいちはそのまま長いキスをした。 12. 喫茶店。 あたしはサオリさんと向かい合って座っていた。 「怪我したって本当?」 「火傷しただけです。脚に痕が残りますけど」 「可哀想に・・」 「大丈夫です。イリュージョンするのに問題ありません」 生足を出すのはちょっと難しいけどね。 「クラブの仕事はどうするの?」 「続けます。ただ、出演は減らそうって彼と相談してます」 「それがいいかもね。クラブを辞めないのなら、わたしはメルちゃんが苦しむシーンをこれからも楽しめるし」 「サオリさん、それ酷いですよ」 「あはは。じゃあ、今度はわたしが苦しんでみましょうか」 「見たい! でもいいんですか? コットンケーキのリーダーがそんなことして」 「コットンケーキでやればいいんでしょ? 拷問イリュージョン」 「まさか本気で言ってませんよね?」 「半分本気よ。ノコちゃんもやりたいって言ってるしね。貴女達のネタ見て興奮してるみたい」 「ぎょぼ!! 知ってたんですか、あの子のこと」 「リーダーを舐めちゃダメよ。そのときはメルちゃんもゲストで参加してくれる?」 「はい!」 13. 椅子に座ったあたしにコースケが黒い布を被せた。 「さあ、皆さま、ここに黒布に包まれたくのいちが一人!」 あたしは布の下から両手を前に出してひらひら振ってみせる。 「はい!」 真上から頭を叩かれた。ぱすっ。 「おおっ」「きゃっ!」 驚きの声が聞こえる。 あたしの頭はぺたりと潰れて、肩の高さで平らになってしまったのだった。 ここは公園。 あたしとコースケは通行人の前でイリュージョンをしていた。 赤と黒の忍者装束。 ノコはスマホの撮影担当で、ときにはネタの手伝いもしてくれている。 動画サイトに上げた『Kosuke & Meru のニンジャ・イリュージョン』は少しずつ閲覧回数が増えて、ほんの少しだけど収益を出すようになってきた。 「では、最後のイリュージョン!」 コースケはあたしの身体に布を巻き始めた。 薄くて弾力のある布を何重にも巻いて、あたしをミイラにする。 全身をきゅっと締められる感覚。 その気持ちよさにきゅんと濡れてしまいそうだ。 コースケは別の大きな黒布をあたしの上に被せた。 「はい!」 その黒布はふわりと広がって地面に落ちた。 あれ? 黒布を上げると、そこにはミイラに巻いていた薄い布だけが解けて落ちていた。 中身の女性はどこに消えたの? おおーっ。パチパチ! 一斉に起こる拍手。 その音をあたしは地面に置いたトランクの中で聞く。 今日も大成功ねっ。 この後、あたしはトランクに入ったまま帰ることになる。 荷物になって運ばれるのは悪い気分じゃない。 今夜はノコも一緒に過ごすことになっているから、またきっと酷い目に会うだろう。 「・・酷い目に会う女の子が大好きなの」サオリさんのセリフ。 あたしも大好きです。 ほのかな性感と被虐感に満たされた。 狭いトランクの中で回収されるのを待ちながら、あたしは甘くトロトロした時間を過ごすのだった。
~ 登場人物紹介 ~ 御崎芽瑠(みさきめる):25才。コースケとイリュージョンの新しい仕事を始める。イリュージョンチーム「コットンケーキ」元メンバー。 谷孝輔(たにこうすけ):30才。フリーのマジシャン。メルの恋人。 ノコ : 22才。コットンケーキの現役メンバー。メルのペット。 サオリ : コットンケーキのリーダー。30台半ばくらい��� 前作 でコースケに誘われたメルが彼と一緒に頑張るお話です。 布や袋を使うというお題で拷問イリュージョン。 短剣をぶすぶす刺したり、火で燃やしたり、女の子は最初から最後までずっと緊縛されているとか、いろいろ楽しませてもらいました。 無茶といえば無茶ですが、ここはメルちゃんの精神力がスゴイから可能ということにしておきましょうww。 この先コースケくんとメルちゃんは秘密クラブとユーチューバーの二足の草鞋(わらじ)で生きるのでしょうか。 それともどこかで名を売ってメジャーなイリュージョニストになるのでしょうか。 くのいちイリュージョンのお話はこれで終了しますが、機会があればいつか描いてあげたい気もします。 (お約束はしませんよ~) 挿絵の画像はいただきものです。 黒布の下には実際に女性が椅子に座っています。 2枚目は分かりにくいですが、椅子に座った女性に向かい合ってもう一人女性が膝立ちになっています。 ノコちゃんがメルを責めるシーンはこの写真に合わせて書かせていただきました。 それではまた、 ありがとうございました。 # このコロナ禍中、皆さまの健康とお仕事/商売が無事であるよう祈っております。
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5/8 4:13のなやみ、6/6 2:53のへんしん
エアポッズちゃんの充電切れたたった今
#わかる、私も今日打ち合わせのやつ聞いたらすぐ無くなりました、スンスン
愛の不時着あと2話きになるきになる
#めっちゃよかったよ、ワンワン泣いた、そしていま2週目をママとしてるよ毎晩
なんか軽めの話とかいったけど、よくよく考えるとそうでもなくて、そんなことを言ってしまったことを片隅におきながら見るのが悔しい
#わかる、一回気にしてしまうと自分で勝手に妄想膨らまして、ぜったいそうだわ〜ってなって、萎えるかへこむかする
でもウンドンがかわいくてうれしい
#ウンドンは可愛い。17歳だかんな。
いまウンドンの名前調べる中でネタバレしないかハラハラした、しなかった
#あと2話目、でもネタバレあるかもって思えてるのよいね
やっぱりあの人パラサイトのひとだった、言いたいけどそれもまたネタバレになる
#パラサイトではガンガン頭で信号うってっから、、、っょぃ
ごくせんの広告中だっ��
#ごくせん〜漫画おもろかったよね〜昨日ドラマ再放送してたけど沢田慎はマツジュンではないよね、、
バンタンの日本版アルバムどんくらい買おう
#結局いいジャケットのやつと通常版をかうよ。なぜなら可愛い絵柄だから、ただそれだけ。ブレるなブレるな
応募抽選券が気になってしぬ
#それはそう。
でもあんまりグッズとかは見ないんだよなぁわし。
#ソレナオブザイヤー。棚整理して全部そこにおしころめてあります
明日のしごとむり、帳票のことも何もかも考えたくない
#帳票、たった今日も苦しめられてるの笑う
はぎしりしたくない
#それはほんとそう。顎のナントカ筋なくしたい
いま4時なのに明日仕事なの無理
#かわいそ、、寝坊するとめんどいよ、本日談
でも出勤しないけどいつか出勤するのやだけどずっと出勤していないこの世の中もやだ
#いまだに出勤全然できてないの笑えるよね、いつになるんだろう。まぁなんやかんなでできんよな〜ってのがわかってしまった今。
あしたママと貝のくだりの共有するの楽しみ
#貝んとこだいすき!いまママと突っ込んでみすぎて感動ポイント忘れてきてるけど
あんな占い動画見ちゃったけど返信間違ってたきしかしなくて病む
#間違っても正しくもないと思う、ないんだよね正解なんて、、、頭ではわかってるマン
歯医者キャンセルにならないといいな
#ならないよ!そして全く違う歯医者に突撃しに行ったりしてしまう、ハタ迷惑おんな
振り込みめんどくさい弁当ごときの
#手数料取られたわ、しんどい
老人の離島の案をよくかんがえてしまう
#それはほんとそう。
ビーズステッチをやりたい
#やれてない。一個でも売りたい。
トイレに行きたい
#いけててほしい
韓国語話せるように聞き取れるようになりたい
#それなー、ってここで寝落ちてた、タイミング〜今も韓国語ちまちま勉強してるお
応募券がビデオ通話だった想像して無事死んだ
#ビデオ通話だとしたら無理すごる、なんかそうゆう時に限ってワイファイ終わりそう
スナップチャットのゲームおもろかった
#懐かしい、結構笑った記憶
漫画バンクでなにかよんどきたい
#なぁ、わりと結構読破した
口内炎なおっててほしい
#あったんだ、ってくらい完治
じっとしてると悶々といろんなことかんがえちゃう
#それは分かる、私ぜったい人よりも脳の回路が変に活発。。考えすぎないで行動していきたい気持ちですね
トイレ行きたい
#行ってよ早く
早く歯医者行きたい
#行けたよ
歯医者行きたいなぁ
#行けたってば、通うかをいまがち悩みちう
美容院も行きたい
#いけた!可もなく不可もない元どおりになった
6月いっぴに全員登校するの楽しみ、新入生の顔見るのたのしみ
#全員登校なんてありゃあせんよ!!!多分、わりと結構ない。新入社員の顔はみれた!
それまでに顔痩せしときたい
#あああ〜やってたのに最近す〜ぐサボる
淡々としてるわけではないけど、毎日が秒速でおわっていって、きづいたら23さいになっててこわい、早くメリハリのある人生歩みたい
#ね、、、今週なんて仕事のことしか考えてなくて忙しくてパーって終わってった。思い出作りたい
筋肉つけたい
#えらい熱量。。暑くていま無理
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<デジタルシンセ戦国記 III ; KORG DW-8000>
●メーカー名
KORG
●機種名
DW-8000 Programmable Digital Waveform Synthesizer
61 鍵、ベロシティ・アフタータッチ対応 '85年発表、定価 198,000円
ご覧のとおり、サブタイトル的に「音色メモリー可能なデジタル波形シンセ」という意味の英語で銘打たれているが、ちょっとでもデジタルと言いたかった、つまりデジタルであると言えることが時代の最先端であった当事の世相というか、時代の流れに必死で追いつこうとしていたメーカーの意地のような気持ちが感じられる。
コルグ DW シリーズは ・2基のデジタルオシレーター ・1基のアナログフィルター(VCF) ・1基のアナログアンプ(VCA) による減算方式シンセであり、当時このようにオシレーターのみデジタルな機種は「デジアナシンセ」とか「ハイブリッドシンセ」と呼ばれた。
しかし当時のコルグは、あくまでデジタルであることを前面に押し出すことで、これを最先端の技術をもちいた一種のデジタルシンセ的存在として言いたかったらしい。そんなわけで、この時、倒産しかかっていたコルグの悲壮感を汲み取って、この「デジタルシンセ戦国記」に、ご登場いただく。
ちなみに時代は変わるもので、26 年が経過した 2011 年1月に発表された KRONOS の HD-1 では、デジタルシンセ用アイコンとして DW が、アナログシンセ用アイコンとして 800DV が、おのおのカラー表示されるようになっている。
●音源方式
D.W.G.S 音源 Digital Wave Generator System の略。
これだけでは、ただ「デジタル音源ですよ」と言っているだけで���あまり分からない。ai音源(advanced integrated:M1、Tシリーズ)、HI音源(Hyper Integrated:TRITON「トライトン」シリーズ)も、単に「はげしく集積しました」って言っているだけですよね。
現実の音をフーリエ解析し、その倍音構成を整数次倍音でのみ再合成。ここから1波のみ取り出し、音源波形としてプリセットし、あとはユーザーが通常の減算方式しかもアナログ回路で処理する。コルグが初めてつくったデジタルオシレーターであり「現実から得たデジタル音をアナログによる減算方式で処理する」という発想は、いうなれば現在のハイブリッドシンセの先がけでもある。
なお、DW-8000 における音源波形は、オクターヴごとにマルチサンプリングされたものがベースであったといわれる。
80年代終わりごろになると、DWGS 音源や PCM 音源は、まとめてウェーヴ・メモリー方式、あるいはウェーヴ・テーブル方式などと呼ばれた。ただしウェーヴ・テーブル方式とは、狭義では PPG-Waldorf が始めた「波形アニメ」的な方式を指すので注意。初代 DW-6000 では8種類あった音源波形も、DW-8000 では 16 種類に増えた。
●同時発音数
8音。
このころは、まだヤマハ DX を除けば最高でも6音ポリのシンセが多かったので、8音というのは微妙にアドバンテージがあった。コルグ Poly-800 なんか実は VCF が1基しかないパラフォニックで「ウソはっぴゃく」とまで言われたのに、それでも8音パラフォで「きゅっきゅっぱ」というコスパに、全世界の少年少女が乱舞したのである。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
デジタルによる、ステレオ・モジュレーションディレイ1系統。
最大 512msec。独自の LFO を搭載しているので、モジュレーションかけてコーラスにもフランジャーにもなる原始的なマルチエフェクトとして、コルグは見ていた。デジタルであるということが、ここでも時代の先端を示すものであった。 とはいえ同社の名機 Polysix の、演歌ばりに泣きの入ったコーラス回路などとは、くらべものにならないくらい地味な効き味。ま、京都の薄味みたいなもんで、素材の味を大切にしはるわけどすな、はい京都生まれです私w
●内蔵波形、プリセットの傾向
16種。
普通のサイン波や鋸歯状波なども搭載。それ以外の波形は、現実の音を元にしてはいるので、ややリアルではある。しかし整数次倍音でのみ再現しているため、どこか音が甘い。しかも単に1波ループであるため、VCF / VCAエンベロープをかけないかぎり無表情なまでに一定の波形。つまり、PCM シンセのような、音源波形を出力しただけで完パケの音になるような便利さ安直さは、ない。
波形の元ネタは、生ピ、ベース、サックス、ディストーションギターなどあり、ただし前述のように生き生きとした PCM 波形ではないため、あくまで無表情な1波ループである。
時代なのは、DX エレピを元にしたと思われる波形があることで、たしかによく特徴が出ているが、やはり正弦波合成による1波ループのため、これをそのまま使ってもせいぜい DX エレピの劣化コピーみたいにしかならず、うまく独自の味付けを考えて音創りするほうが良い。
金属ベルを元にした波形などは、非常におもしろく、DX エレピとはまた違った実に情感ゆたかなエレピ、それも DW-8000 でしか出ないエレピにしたり、金属的なパッドにして輝く雲のように演出させたりと、いろいろと使いみちがある。
鋸歯状波などはベーシックな波形のはずだが、やはり DW-8000 ならではの個性があり、はやりの JUNO-106 のような涼しげなストリングスにはならず、どことなく中域に倍音が密っぽいというか、なんとなく暑苦しい音になるのも、プログレにファンが多いコルグならでは、か。
波形メモリーには、256k bit ×4個のチップを使っているそうで、すなわち1メガビット、ということになる。仮にサンプリング周波数が8bit とすると、128 キロバイトの波形容量ということになるが、1波サイクルしか保存していないはずなので、これでも充分であろう。オクターヴごとにさりげなくマルチサンプルされているという噂があるが、聴いているぶんにはスプリットポイントが分からない。
8バンク×8音色= 64 音色メモリー。すべて上書き可能。 プリローデッド音色がどんなであったかは、すべて私の音色となってしまった今となっては知るすべがないが、Polysix のすごいやつを期待すると 「なんやしらんけどヤマハみたいな整った音やな。コルグにしては、ちょっと細いんちゃう?」 という感触をもつかも。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、どっかダイナミックレンジも狭く、S / N も色あせた、それでいて渋い音になる。
液晶表示による文字表示機能が無く、7セグ LED 数字表示しかないので、音色名も当然ない。しかし意外に簡単につかいこなせる。むしろ「下手にバイオリンなどという名前をつけますと、そのイメージにひきずられて、自由な発想ができません」とまで開き直っていた当時のコルグの恐るべき哲学(いや、ごもっとも!)と、なぜかオプションの MEX-8000(後述)取説に付属してついていた紙1枚だけのプリセット音色一覧表しかも音色に名前つきおまけにネーミングセンスがハズしているという謎の存在とが、過渡期の混沌ぶりをしのばせる。
●エディットの自由度と可能性
パラメーターの解像度は粗い。これはその後しばらくのコルグ製シンセすべてに言える事で、限界値が低いことや、解像度が粗い事もあって、実は緻密なエディットができない。しかしカタログを見ると「デジタルを越えた美しい音」とある。シンセはスペックではなく、実際に出てくる音でこそ勝負が決まる。これがコルグらしいこだわりであるとともに、私のような音色フェチには、ちょーっと寂しいというか「もーちょっと口あけてほしいなぁ」と言いたくなるところでもあり、その一方でカタログ通り美しい音にシビれ、その頑固一徹さに敬服するところでもある。
2 Osc. → 1VCF → 1VCA と、いたってシンプルな構造だが、残念ながら PWM やリング変調、クロス変調、ハードシンクなどのオシレーター変調は一切無い。そのぶん、倍音が豊富な音源波形の組合せとツインオシレーターでのピッチインターバルなどに、命をかけることになる。これが結構おもしろい。双子のメインオシレーターとは別個に、ホワイトノイズジェネレータを搭載しているのも良い。
スプリットやレイヤーは不可能、むろんマルチティンバー駆動も不可。ただし私が毎回はずさないユニゾンモードは、ちゃんとついていて、倍音の多い音源波形で本領発揮。コルグに独特の、異様にキツいフォルマントをもったディストーション系リード・サウンドは、このあたりから頭角を現してきたように思う。 さらに、ポリフォニック・ポルタメントを実現すべく、普通のローテーション・アサインの他に各ボイスを積み重ねる発音方式も用意されているのは、時代。
VCF は、VCA とともにコルグ独自設計のチップ NJM2049 により実現されている。Polysix まではラダー型の SSM2044 だったが、Poly-800 からは、この独自設計の Quad OTA VCF チップに交代。マイナーな DW にあって、アナログ回路部分はさらにスルーされるきらいがあるが、どうしてなかなかまろやかに効く。しかも DWGS 音源によるデジタルオシレーターの音も、この VCF を通すことでアナログらしく色あせてくぐもった感じになり、ダイナミックレンジも狭くなってかえってレトロで良い、味わいぶかい。
このチップは、この次の DSS-1 / DSM-1 でも採用され、サンプリングした音がおもしろいほど変化するところを聴いてもわかるとおり、隠れた名器である。そしてヴィンテ・コルグ時代最後のアナログフィルターであり、アナログ世代最後の音へのこだわりの結晶となった。
ちなみに DW-8000 は8ボイスなので、このチップが8個搭載されているが、Poly-800 では1個しか搭載されないパラフォニック・シンセだったため、前述のとおり当時から「ウソはっぴゃく」と言われるも、誰もそんなこと気にせず、もうあこがれのシンセが手に入るただそれだけですでに嬉しかった。
EG が、フィルターとアンプとに個別にあるのも、当時としてはすばらしい。しかも、ADSR より1点多い ADSSR 方式(Attack、Decay、Slope、Sustain、Release)を初めて採用。上下反転させれば、ちょっとした複雑なアタック・トランジェントも演出できた。当時コルグが、これを誇らし気に DEG すなわち、でぃぢたるえんべろーぷじぇねれぃたぁ、と呼んでいたのが、これまた時代。どこまでも「デジタルシンセ」と言いたかったコルグの悲哀。しかも、極端に遅いエンベロープを組むと、階段状の音色変化が露呈してしまうのがご愛嬌。
またピッチ EG の原型として、アタック時に自動的にベンドアップ / ダウンさせる機能だけがあった。極端に高い音程から、極端に短い一瞬で落下するようにかけると、例えばスラップベースのアタックにて「キュッ!!」と弦っぽい感触が得られてリアル。
画期的なのが、コルグとしては初めてキーベロシティとアフタータッチとの両方に対応していることで、豊かな倍音の音源波形、多ポイントの EG、オシレーターのピッチインターバルなど合わせて、じつは表現力は多彩である。先述の情感豊かなベル波形エレピの音などは、ほんとうに良い音なので、持っている人はぜひぜひ試行錯誤してみて下さい! ネモ秘伝の作りかたを、以下の通り大公開!
『15番の金属波形と13番の波形とを使用。 VCF-EG は、アタックに鋭いピークをつくってから、ゆっくり減衰するように設定。つまりディケイまでをほとんど一瞬で終わらせ、そこからスロープを使ってゆっくりとしたセカンド・ディケイを演出する。ベロシティによる VCF の開閉具合と、この「コツ」っていう VCF のアタックでのピークとの調整が、ほんとうに微妙だが、デジタルなので安心の再現性 笑。エンヤの光輝くピチカートにセカンド・ディケイをくっつけた、くらいに聞こえるほうが良い。強いキータッチで DX ベルを彷佛とさせつつも、上品に倍音を抑えれれば完璧。弦をつまびいているようなデリケートさを兼ね備えた、素朴だが極上のエレピを耳にしたとき、「えー、これ当時はアナログシンセに分類されてたのー?w」と貴方が思うこと請けあい。 ついでに蛇足ながらアタックがカカっと2回聴こえるように内蔵ディレイをひかえめなレベルで設定してみると、さらにアタックが特徴的に思えて効果的。』
あとコーラスギターの音をつくると、バンジョーの明るい風味ありつつも古いギターのように甘いといおうか、デヴィッド・シルヴィアンの曲で使えそうな感じに飴色な夕暮れな感じがでて、なんとも不可思議なギターになって最高。これも手の内をちょろっと明かすと:
『音源波形には6番と10番を使い、VCF カットオフはこもらせ、レゾナンスは少し上げ気味に、フィルター EG デプスは軽く減衰がわかる程度にする。ベロシティでカットオフが大きく反応するように。』
未だにこの2音色を超える音色は、手にしていない。
フロントパネルは、Poly-61 以来の悪しき伝統で、たった1本のデータエントリー・スライダーを除いてツマミを一切排除した設計。この為、昨今のリアルタイムぐりんぐりんには、とうてい向かない。はっきり言って操作性は悪い。 しかし、のちの DS-8 や M1 に始まるワークステーションに受継がれたパフォーマンス・パラメーターと言う機能があり、DW-8000 では任意の1パラメーターのみを、スライダーにアサインしておける。任意の、というところがポイントで、応用すれば MIDI チャンネルすら演奏中にスライダー1本で変えれるため、マルチ音源をスレイヴにするときいい。ここまで出来るのは、DW-8000 くらいなものであろう。
また音色切替のために十の位だけを止めておくバンクホールド機能が、はやくもついていたが、DW-8000 ではこれをエディット中にパラメーター・ナンバー選択時にも使えるのが、気が効いている。フィルター関連は 30 番台、VCF EG は 40 番台、VCA EG は 50 番台、ディレイは 70 番台というふうに、パラメーターがわかりやすく配置されているので、バンクホールドも役立つのだ。
その場かぎりのアルペジエイターも搭載していて、打鍵した順番を忠実にリピート再生してくれるモードには拍手! 最大 64 ステップの簡易シーケンサーとして使えるので、内蔵ディレイと組合わせれば、工夫次第でいくらでも複雑なパターンを演出できた。しかも MIDI 同期可能! このおかげで、「音源波形も面白いし、実質的にはコルグ初のワークステーションなんちゃうのん?」と言いたくなるくらいの実力があった。Poly-800 には、ほんとにシーケンサーがありましたね。
音はどうか? どちらかと言えばカマボコ型には違いない。しかし、自作した音色を聞きかえしても、DWGS ならではの、つまりフォルマントが半端にはっきりした正体不明な音が多い。とはいえ Polysix のような、VCO の出力が過大で VCF 内部でクリップしているような、中域の太い乱暴さはない。無理なく音がでている感じがする。そしてアナログにしては、はんぱに明瞭な音がする。
しかも最後はアナログのフィルターとアンプを通るので、不思議に S/N もダイナミックレンジもちょっとくぐもったアナログシンセの音になる。CZ が VA っぽいなら、DW はアナログっぽいというか半端にデジタル半端にアナログな音色になる。あたりまえながら、デジタルシンセをアナログのフィルターバンクに通した雰囲気。
元の音源波形の由来を、とことん無視して音を作ると面白いが、それでも半端に軽く、半端に明瞭で、半端に太く、結局なにで作ったのか分からない音になるところが、実は一番の特徴。正体不明ながらに個性的で、じつは私がなによりも好きなところでもあった。
●拡張性
あるはずがない。
しかし偉いもんで、あったのである。MEX-8000 という弁当箱のようなサイズと形の周辺機器があり、これがなんとシステム・エクスクルーシヴをためこんで吐き出すだけの、RAM ボックス(!)であった。256 音色までストックできたが、データサイズが小さいので転送時間は一瞬で済む。64 音色バンク単位で送受するので、1音色だけロードとかは不可。おまけに、なんの表示もしない味もそっけもない弁当箱である。私も愛用していたが、どこになにをセーヴしたか、とんと思い出せないまま愛用。しかもバックアップ電池が必要で、これがまた乾電池であった。これを外すとえらいことになるので、AC アダプターが必須。
なお、この MEX-8000 は、DW-8000、DW-6000、Poly-800、Poly-800II、DVP-1 で使うことができ、相手となる機種を切り替えるには、本体にあるディップスイッチを使う。
DVP-1 って、変なヴォコーダー兼ピッチシフター兼ヒューマンボイス5音ポリ音源モジュールで、じつはおもろかった。
DW-8000 はコルグ最初期の MIDI シンセのひとつなので、Sys-Ex で音色をバルクダンプするにも、1音色ずつしかセーヴ / ロードできない。一括で送受信するには、いちいちプログラムチェンジを送信し、その上で1音色ずつデータセーヴリクエストなどを送信しないとデータを吐かないので、普通のバルクライブラリアンでは対応できないことがほとんど。
よって、むしろカセットテープ・インターフェイス内蔵であることを生かし、そこから出る音声データを DAW などで wav ファイルにでもするほうが、実は手軽だったりする!
●あなたにとっての長所
アナログでもデジタルでもない「これ何で作った?」というような正体不明の音色が、なによりもおもしろい。そして比較的簡単におもしろい音がたくさんつくれて、しかもタッチセンスにより表情がつくところが、また良い。VCF と VCA を通るためか、アナログっぽく S/N も悪いダイナミックレンジも狭いが、それがかえって渋い渋い渋ーい音色になるんですけどね。
私が手にした機材では、もっともつきあいが長かった。さんざん使いたおしたので、120 パーセント使いこなしました、と胸はって言える。
●あなたにとっての短所
今となっては、PCM シンセの方が多芸で音も多彩。さらに DW は、パラメーターの解像度は粗い、鍵盤のタッチも悪い、MIDI 受信したときのレスポンスの遅さは逸品。
せめて片方のオシレーターの直後にアンプ・エンベロープが独自に装備されていたら、もっと使い勝手が良かっただろう。これを克服するには第二オシレーターのピッチを極端に上げて倍音群として扱い、VCF-EG でその倍音群が一瞬だけ目立って聴こえるよう時間軸上のピークを作り、なおかつピーク部以外を削り取ってしまう事で、あたかも VCF-EG で第二オシレーターの音量まで制御しているかに見せる方法があった。見ろ。文句言うだけじゃなくて、ちゃん使いこなしているだろう!
●その他特記事項
中古でもあまり人気がないらしい。PCM ほどは明解な音がせず、かといってアナログにしては整った音がする上に、なんせのっぺりフェイスのせいで、リアルタイムで操作しにくいとなると、中途半端な印象をもたれるのだろう。確かに出音は、軽めのアナログっぽくもある。
発売当時も人気が無かった。なんといっても正真正銘フルデジタルの DX が、人気絶頂だったのだから、無理もない。
そもそも DW-8000 は、ヤマハ DX7によってどうしようもなく劣勢に立たされたコルグが、それでもなんとかして生き残りをかけて開発した機種である。
81年:Polysix 発売、24 万8千円、VCO ×1基、6音ポリ 82年:Poly-61 発売、17 万9千円、DCO ×2基、6音ポリ 83年:ヤマハ DX7 発売、24 万8千円、フルデジタル、16 音ポリ 84年:DW-6000 発売、18 万4千円、ハイブリッドシンセ、6音ポリ 85年:DW-8000 発売、19 万8千円、ハイブリッドシンセ、8音ポリ
Polysix といい Poly-61 といい、発売したての新製品が、たった1年か2年で、それこそもう回復不能なまでに時代遅れになってしまうなど、いったい誰が予想しえたであろう。
だが、それがために DX7対策として開発された DW-8000 は、なかなか完成せず、焦ったコルグは「ぜがひでも早急にデジタルシンセを!」ということで、急きょ、DW-6000 を開発し、先にデビューさせた。
両者をくらべると、こうなる:
DW-6000 ・’84 年 12 月発売 ・18 万4千円 ・6音ポリ ・6種類の音源波形 ・アフタータッチのみ対応 ・コーラスのみ内蔵 ・CPU×2基
DW-8000 ・’85 年9月発売 ・19 万8千円 ・8音ポリ ・16 種類の音源波形 ・ベロシティとアフタータッチとに対応 ・モジュレーションディレイ内蔵 ・CPU×1基
すなわち、定石通り CPU を1基だけで DW-8000 の開発を進めていたが、どうにも開発が遅すぎるというので、後から DW-6000 の開発が始まり、CPU を贅沢に2つも投入することで、重たいままの未熟なソフトウェアでも走るように、とにかくなんとしてでもマッハでデジタルシンセを発売し、世のトレンドに乗り遅れまいとしたのであった。
そんな悲壮な機種 DW-6000 は、当然ながら中つぎもいいところで、デビューして1年たたずに DW-8000 にバトンタッチすることになってしまう。だいたいユーザーはそんな事情を知る由もないから、せっかくお金貯めて買った DW-6000 が、一年たたずして後継機種に引き継がれるというアゴがはずれそうな事態に。
今から見れば、DW-6000 も Poly-61 も、なかなかいい音がする。 しかし、ヤマハ DX シリーズが破竹の勢いで新機種を投入し、鉄壁のラインナップを広げ、DX9という失敗作が出てもぜんぜんへっちゃらなくらい売れまくっていた当時。そうこうしているうちに、カシオという思わぬ新規参入メーカーがあらわれ、お得意のデジタル技術でもって賢い安い CZ シリーズを、これまたラインナップ展開させて売れまくる。時代はすっかりデジタル。フルデジタルでなければ遅れている、とみなされた世の中。その双頭をなすXとZに食い込まんとしたWは、フルデジタルになりきれず、MIDI 対応も中途半端で、それでもなお「デジタル」と言いたかった DW シリーズなのであった。
だが、そんな必死のぱっちの努力もむなしく、頼みの綱 DW-8000 が売れなかったせいもあってコルグは倒産しかかり、遂にヤマハの子会社となった。チップの設計をヤマハに委託したことで、しっぽを掴まれてしまったのだという説もある。
無念。
しかし繰返しになるが、DW シリーズの音色は個性的であるだけでなく、正体不明ですらある。まじめな楽器シミュレーションをめざして作られている以上、気品のある音もつくれて、しかも「これ何?」と言わせる謎めいた感じがする。元来シンセは、正体不明な音がするから面白いのであって、既存の楽器と同じ音がしては、いかんのでは無かったか? 他人と同じアナログではしっくりこない諸兄には、実は DW、うってつけかもしれん。中途半端な太さと輪郭をかねそなえたユニゾンモードでのスラップベースの音とか、そのうちにブレイクせんやろか? TX81Z と重ねると、またおもろかったりすんねんけどなぁ。
事実、海外では DW-8000 や音源モジュール版 EX-8000 を、Sys-Ex でもって外部制御することで、DW の固定観念をくつがえすぐりんぐりんのアナログな操作と音色変化とを実現している人がいたりする。
ジョー・サヴィヌルは prophet-5 を売って DW-8000 を購入したという、いま思えば奇特な方である。一時期のキース・エマーソンは、DW-8000 のラック版 EX-8000 を数台(ちなみに、まぎらわしい EX-800 という機種もあり Poly-800 の据置型モジュールである。これも使ったらしい)、Kurzweil K250、Oberheim Matrix-12、YAMAHA TX816 など、そうそうたる面々と重ねて図太いブラスの音を出していた。Emerson Lake & Powell のアルバムを聴けば、その咆哮に出会える。
そう、DX7よりも DW-8000 のほうがブラスやストリングスなどの音色は分厚いことは、すでにこの当時、誰もが知っていたのである。
その後も DWGS 音源の開発は進み、同社初のサンプラー DSS-1 は、DW-8000 の構造をそのままに音源波形をサンプリングに解放した、まさに DW-9000 とも言うべき構造になっていた。そしてコルグから DSS-1 用に発売されたサンプルライブラリーの中に、しっかりと DWGS で合成した半シンセ波形の数々も、おさめられていた。なんせ1波ループなので、メモリーもディスクスペースも消費しないのが良い。
やがて DW シリーズの設計思想は、今度こそ何度めかの正直として社運をかけて開発された M1 にて、遂にフルデジタルの減算方式しかも二系統駆動可能となって具現化した。その音源波形には、DW-8000 に搭載されていた DWGS 波形の大半である 14 種類が移植され、さらに9種類が新規追加、DW を越える合計 23 種類もの DWGS 波形が、あまたの PCM 波などとともに収録され、結果、M1 の音源波形は 144 種類に達した。かくもぎゅうぎゅうに音色資��を充填された M1 は、待望のフルデジタルシンセというだけでなく、ワークステーションシンセという名の開祖となり、コルグ決死の起死回生満塁ホームランを放ち、たった一機種で十万台以上も売れるという前代未聞の快挙を成し遂げ、コルグがヤマハから株を大量に買い戻すための救世主となった。
XとZという双璧の時代からコルグを救うはずだったWは、ひっくりかえってMとなり、もう一度ひっくりかえって、まさにワークステーションのWとなって、コルグどころか楽器業界まるごとトレンドを変えることになる。 そして今、もはやXもZも現存しない。
その後も数々のコルグ機種に伝統芸能のごとく搭載されつづけた DWGS 波形、最新機種にまで搭載されているのも興味深い。
最後に、DW-8000 そのものは、なにかと不運なシンセだが、ここで初めて搭載された機能は、DWGS 音源のほかにも数多い。 例えば多ポイント EG や、MIDI 同期アルペジエイター、内蔵デジタルエフェクト、タッチセンス、パフォーマンス・パラメーター、原始的なコンペア表示などなど。いずれも未熟とはいえ、その後のコルグ・シンセを形成するに必要不可欠なものばかり。中にはポリフォニック・ポルタメントのように、その後、ひさしくコルグから聴けなくなったものすらある。パラメーターの解像度は粗いが、かたくなに出音の個性にこだわった頑固さにはただただリスペクトし合掌するばかり。人によっては、これが最後のコルグらしい音のするシンセだと言う人すらいる。そして何よりも、全体に貫かれた分かりやすさと親しみやすさへの配慮。まさしく現代コルグ・ワークステーションの原点となった機種であり、永遠にコルグ中興の祖の、そのまた礎となった名機と言えよう。
聴け! 未来のコルグへの胎動は、ここにあり!
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【特別企画】みんなの推し配信者さんをご紹介🎉
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神業がバンバン生まれる場面にもしびれてます!!ゲーム配信中にも
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1番はカワボ!もうこれは絶対!!! 一生聞いてられるくらいかわいい!!! 話し方までかわいいんだからもう罪に値する。
あとはたまにでる関西弁!!! たまらん。なんなんかわいすぎる。
ゲームも一生懸命がんばっててうまくなろうとして ほんと努力家で褒め上手でかわいい。 もう全部かわいい。
エモモもおそろいにしてくれるし 写真いっぱいとってくれるし うちは毎日大好き言ってるけど 言われないけど愛してます。
ミラやめたいって思ったこと何回もあったけど ぴのちゃんがいたからやめないでこれた!!! 一生私の推しです♡
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リーヌ🍀かりん★(今カノ)さん の推し配信者さんをご紹介🥰
みんなが1度は見ている、起動画面の中心のエモモの人です!
ぺるりーぬさんは関西弁で明るく楽しそうにゲームをするところが大好きです。ゲームに対する反応も面白く、絶叫や無呼吸は個人的には見どころだと思ってます!一緒にゲームするといじり合いをしながら楽しくプレイします♪
面倒見の良さもあり、ゲームのお手伝いやアシストなどもしてくれます。面倒見の良さに惹かれて、姉さんと呼んで毎日見に来てる視聴者もいるくらいです♪
そして、りーぬ族(視聴者)もみんな優しく、初見さんでもみんなで盛り上がることが出来ます!ぜひぺるりーぬさんの配信でお会いしましょう♡
一緒にぺるりーぬを推してみいひいんか?
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saki.Aさん の推し配信者さんをご紹介🥰
オリさんの配信の魅力はまったりとした空気感です。配信しているゲームに入り込み過ぎないで、視聴者との会話を大事にしてくれています。「今日こんなことがあったんだけどさ〜」「あぁ、わかるわ〜」みたいな、友達の家に遊びに行って、なんとなくでゲームをしながらおしゃべりしている感覚です。それがとても居心地が良く、ついつい長居してしまいます。
また、毎日同じくらいの時間帯に配信されているので遊びに行きやすいのもポイントです。夜〜日付が変わるぐらいまでと、社会人でも学生でも視聴しやすい時間となっています。 みなさんもオリさんの所へ遊びに行ってみませんか?
配信者さんのID:6471728
おちび🐣さん の推し配信者さんをご紹介🥰
自分の配信だけじゃなく、わたしの配信の相方さんとしても、いつもコラボして手伝ってくれるとっても優しい配信者さんです!
参加型でスマホのゲームやパソコンでSwitchの色んなゲームを一緒に遊んでくれます! 本人の人柄の良さで、いつも見に来てくれるリスナーさんからつっこまれたりする、いじられキャラで、みんなに愛されてるのが伝わってきます! 定期的にカラオケの枠をして、みんなの無茶ぶりなリクエストにも全力で答えて歌う姿はとっても微笑ましいです! きっと1度配信にきてくれたら、すぐ仲良くなれると思うので、遊びにきてもらえたら嬉しいです!!
配信者さんのID:119315925
やみかぜ♂🐕🎤さん の推し配信者さんをご紹介🥰
出会ったきっかけは、グルショギャラリーで見かけた事。私自身、自分の着飾ったエモモを他の枠に召喚させる事を楽しみの一つとしていて、グル活をしていた時に彼女は歌枠をしていました。
聴いたことの無い曲でしたが、とてもその歌が心に刺さり、初めて聴いた声、歌なのに気がついたら泣いていました。(傘村トータさんの贖罪)そこからいろいろ話す様になり、今では大切な推しになりました!いつか打上花火をデュエットで歌いたいと思ってます😌
こう言ってはなんですが、歌がめちゃくちゃ上手いかと言われれば、そうでも無いかもしれません。たまに歌詞を間違えたりするけど、そんな頑張ってる姿も含めて推せるポイントだと思ってます!
配信者さんのID:118582691
ISSEIさん の推し配信者さんをご紹介🥰
にゃんさんはカワボと言われる事が多い。一日に一回は言われる程である。 しかし、その実態は聴き心地の良い声と可愛い話し方、愛嬌のある笑い方なのである。 そう、つまり癒しの権化と言っても過言ではない。
ライブゲームや雑談を含め、第五人格の配信を主としてるため、毎晩 視聴者さん達と遊びながら和気藹々と笑い合ってる配信です。 たまーに苦手なくせにホラゲ配信をして怯えているのも可愛いポイント。 イベントにも真摯に取り組んでるため最終日には感極まって本当に泣く事もあるけれど、それもご愛嬌!
推しポイントを更に挙げていけばキリがないため自身の目で確かめに来てください!
配信者さんのID:103957262
📿かりん🦋さん の推し配信者さんをご紹介🥰
まず、The イケカテってみんなから言われるくらい声がいいです!それだけでも高ポイントなんですが、しんちゃまさんの魅力はそれだけじゃないです!どんなネタも拾えるくらいの守備範囲の広さを持っています!毎日、リスナーのボケを余さず拾うところはほんとに尊敬ものですね😂
配信の雰囲気はいつも和気あいあいとした感じで居心地はとてもいいです!基本的に夜に配信していることが多いので寝落ち枠にもオススメですよ😎しんちゃまさんって人柄が良くて優しいんですよね!いつか、あなたを救う勇者になってくれるかも?🤔💗
ぜひ、しんちゃまさんの魅力を一緒に発掘していきませんか♡配信でお待ちしてます!
配信者さんのID:107179056
ゆゆゆさん の推し配信者さんをご紹介🥰
華溟さんは明るくノリが良くて初見さんにも優しいのが魅力です!
華溟さんとリスナーさんの気遣いのおかげで初対面で話しかけづらくて困るという事が無く優しくしてくれたのを今でも覚えてます
また、リスナー同士も仲がよく団結力がある所も好きです!
華溟さんが落ち込んだ時に何かしてあげたいとリスナーに話したら華溟さんの為ならとすぐに動いてくれて楽しくまたふざけながら建築したりしたのが楽しかったですね!
最大の華溟さんの魅力は可愛さと反応の良さです!
声や反応が可愛くていつもリスナー皆で癒やされています!
また反応の良さでは話しててもですがMinecraftでびっくりした時等反応が良く見てて面白いです\(*´꒳`*)/
配信者さんのID:6389192
🤍ノア🐈⬛🤍₺ƾ🐿さん の推し配信者さんをご紹介🥰
もちみだいふくさんは、普段10:00〜13:00のお昼枠、22:00〜寝落ち枠がメインの配信者です。1日の配信時間が10時間超えの日もしばしば!
みんなはもち、ダイフクニキなどの様々な愛称で呼んでいます!
リスナー思いで1つ1つのコメントを丁寧に拾ってくれるような優しいところとみんながすぐ寝落ちてしまう可愛くて素敵な声が魅力です。
また、リスナー同士の仲がよく、和気あいあいとした雰囲気とノリの良い楽しい場所を提供しています。
さらにチアリーダー特典やエモモイベントに合わせたオリジナル返礼品、ギフト耐久などリスナーが参加出来る楽しい企画が盛りだくさんなところも魅力の1つです。
ぜひ1度もちみだいふくさんのほのぼのオアシス枠へお越しください🐈⬛🤍
配信者さんのID:113904525
⚠️注意事項⚠️
本企画は予告無く変更、中止されることがあります。
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役者紹介
どうもらっしーです。
妄想した似合いそうな場所と共に役者とオペさんを紹介していこうと思います。
中津川つくも
素敵すぎる先輩。かわいい動きするトロンさんに困惑する私に、対応するイケメンな動きをつけてくださってありがとうございます。つくもさんがぱっとする動きが役にぴったりで、いつもすごいなぁと眺めていました。
仕込み期間中指示出しまくってバリバリ仕切ってる印象が強かったけど、今回一緒に稽古してそのあたたかさと天真爛漫さに衝撃を受けました。厳しさと優しさ両立するのかっこよすぎて…。今回役者をした理由の一つに、32期の皆さんが今回で引退される寂しさがあったので、最後につくもさんとたくさん関われて嬉しかったです。そんなつくもさんにはキラキラにぎやかな台北(夜)が似合います。昼はなんか違います。夜だけ行ってすぐ帰ってきてください。
ベジータベジ子
アキぴっっっっったりですね!!!エチュードうまくて尊敬します、その対応力は努力と分析によって得たものだということが何となく感じられてそこがさらにかっこいいです。そんなベジさんにはピラミッドに行っていただきたいな。ラクダに乗って法外な値段ふっかけられてほしい。
佐々木モモ
ころねさんもA脚オペ兼B脚役者で、ずっと同じ場所にいたので勝手に仲間だと思ってました。でも私よりずっとたくさんの仕事を抱えてずっと大変な役をやっているころねさんはすごい。すごすぎる。ころねさんはブリュッセルで一旦のんびりチョコレートを食べるだけの生活を送りましょう。大好きです。
坪井涼
付け替え可能なかわいさとかっこよさを持っているアイドル。今回ご一緒するの初めてなのに自然に仲良くしてくださってありがとうございます。ゴコさんが話しやすすぎるあまり失礼なことを口走ってないといいのですが…。そんなゴコさんにはアラジンの舞台のようなガンジス川沿岸の町が似合いそう。
ζ
戦闘シーン作ろーとりあえずやってみよーの時、既に完成された動きをされていた。どうしたらそんなかっこよく動けるんでしょうか…?ベータさんはメキシコのサボテン生えてる荒野に行って、西部劇ちっくなピストルを持ったカウボーイと素手でやり合っていただきたいです。それかスペイン語で和解してもよいです。
緒田舞里
キャスパー!!まず15〜20人をいい感じに動かすのがすごい、全員が踊れる振りを考えて、それを全員の前で教えたり入りハケ指示して仕切ったりするのもすごい、総じてそれをやりきったまりお、君はアムステルダムに行って美しい街並みの中黄昏るべき人材だ!!キャスパ前目が覚めた人たちで会話するの好き。
三一三
オブリビオン波かっこいいね!自分の攻撃でみんなが斃れるの気持ちよさそう。最後フユコにヘッドギアつけられるからロキもロボ仲間だと思ってる。ロキはどっかあったかいところでおおらかな人たちに囲まれて俗世の悩みを忘れてほしい。しらんけどいつも何かに悩んでそう。タヒチとかどうですか。
トロン
オムニの時からファンだったので今回ペアになれて光栄です。ロボ1のかわいさったらもう!!面白いのになぜかかわいくてずるいです。稽古の前半すれ違い続けてたから、トロンさんに初めて会えた時めちゃくちゃテンション上がりました。トロンさんはスペインのかわいらしい田舎町でフラメンコ踊ってる。多分。
えどいん
B脚では殿にしか見えないしA脚ではてんとう虫にしか見えなくてどっちも魅力的に演じてらっしゃるのすごい。2脚本で役者やってコントやって絶対忙しい。でもなぜかエドウィンさんを見ていても大変そうに見えない不思議。そんなエドウィンさんは長崎とかに行ってほしい。国内の異国情緒あふれる場所でお願いします。
荻野琥珀
稽古��もほとんど会わなかったし役で絡むこともなかった。悲しい。結婚式のシーンでおしゃべりできたからいっか。ネギとアスパラの話をするハクさんの笑顔がとても素敵でした。ニュージーランドという人の数より羊が多い美しい国がありまして、ハクさんにはそこの南島にぜひ行って欲しいです…。
かの
福岡弁話者なの初めて知りました。良いですね。木漏れ日の中を歩くすふれさんは美しいしきゃっきゃするすふれさんは面白いし殺陣をするすふれさんはかっこいいです。すふれさんは天才だと聞いているのでナイアガラの滝みたいな人間の力の及ばない雄大な自然に圧倒されるような場所が似合いそう。
ふぉにゃ
統括のふぉにゃ、当制のふぉにゃ、閻魔のふぉにゃ、色んなふぉにゃが見れて今公演は楽しかった!!役者バチバチにやってるのにスタッフワークやりたがってくれて根っからのスタオンからしたらとても嬉しいよ。ふぉにゃはね、ダイナミックだからサバンナが似合うと思う。絶対生きていけるよ。うん。
たぴおか太郎
「閻魔さまぁ…♡」になすかの、死亡フラグの魅力が詰まってる気がする。インターホンにしたい。それか冷蔵庫開けっぱなしにした時のピー音の代わりとか。演技が本当にうまい。演劇ほぼ未経験ってマジか…幼少期おままごとのママ役とかに真剣(マジ)だったんだろうな…。なすかは王道にニューヨーク。
水琴冬雪
初めて役者をする私を気にかけて、丁寧に発声方法教えてくれたり、たくさん演技指導してくれたりした。もう本当にありがとう。あなたのおかげで私は役者っぽくなれた気がします。稽古場でめちゃくちゃ笑ってて意外だった。もっと早くその無邪気な笑みを見せろよ!!君は芸名が冬っぽいからストラスブール!
かけうどん
私にアイさんブレードと丸ノコとインパクトの使い方を教えてくださった恩師。ロッドさんとゆるあさんがいなければ私はナグリしか使えない仕込み照明班員という無価値な物質になるところでした。尖ろうと頑張るけど最後はいい感じに収まってるの面白いです。ロッドさんは東尋坊ですいすい崖上り下りしてた印象が強いのでスイスの高めの山とか登ってみませんか?
Aru=R
天国に振り分けられるシーン、短いのに笑いをかっさらってて流石です。殺陣あり、特殊衣装有りで楽しそうな役だなぁ。特に理由はありませんがホバさんがマーライオンがいる広場にいるのが見たいです。そしてあの王道の写真を撮ってる人たちを30分くらい小馬鹿にした後ノリノリで同じ写真撮ってほしい。
アリリ・オルタネイト
袴姿かぁわいいぃねぇ。殺陣ですふれさんに攻撃交わされて、無防備なハクさんをわたわたさせるところ好き。すふれさんと闘う時の凛々しい表情も好き。袴も日本刀での戦闘も馴染みないだろうに挑戦してやりきっちゃうのすごい。そんなイルルはもう地球じゃ収まりきらないから月くらいまでは行ってほしい。
杏仁アニー
照明オペありがとうございます!アニーさんに頼めば何とかなる!の流れの中で本当に何とかしちゃうのかっこよすぎますね。照明オペとしてB脚の場当たりにずっといるのにA脚の場当たりでもずっと演補としていて、それでいて疲れを見せることなく振る舞ってるなんて本当に人であらせられるのか…?と疑いの目で見てしまいます。私にとっては照明にとっても詳しい先輩だけど、同時に舞台にとっても詳しい先輩であり小道具にとっても詳しい先輩であり…なんだと思うともうなんか凄すぎて恐ろしいです。そんなアニーさんにはウィーンが似合います。これはみんなにも賛同してもらえる自信がある。
荷電レプトン
もうすっかり映像チーフだね!テンション上がってるレプトンはみんなを笑顔にするからレプトンには死海に行ってほしいな!
梅本潤
「しょうがねぇなぁ〜」最高でした!音響オペ未知の世界だけどめちゃくちゃ大変そう、お疲れ様ですオアフ島で疲れを癒してください。
夕暮児
初めて役者をしたのがこたちの脚本で良かった!!ずっと楽しかったですありがとう。演出の人にとっては当たり前なのかもしれないけど、演出をつけてほしいって頼まれた時にすぐにこうしたらいいと思うって具体的な指示を出せるのすごいと思う。こたちはどこでも似合いそうだけどモンゴルがいいかな!どこまでも続く草原、ぽつぽつとある白いゲル、そしてこたち。
役者紹介で、誰かを何かに例えるのいつかやってみたいなと思っていたのですが、もうえもい方面にも面白い方面にも達人が溢れているので困りました。悩んだ末、旅(に行くのを妄想)するのが好きなのでこんな感じにしてみましたがどうだったでしょうか。
みなさんが自分の場所について検索したり、Google Earthで歩いてみたりしてくれたら嬉しいです。もちろん実際に訪れてもいいんですよ。
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ヨンナに連れられて着いた場所は、昼休みには使われていない柔道室だ。 畳の床に、矢部を横たえる。そのかたわらにヨンナがしゃがみこんで、顔のあたりに手をかざした。 矢部の顔が淡い光に包まれる。 「……頭蓋骨が一部陥没。左目は失明している可能性が高いです。鼻骨も折れています」 「……」 「道太、あなた、自分がなにをしたかわかってるんですか?」 ヨンナの声は、平坦だった。責めるでもない。怒るでもない。単純な事実確認をしているみたいに冷静な声だった。 その声が、俺に現実を教えた。 確実な手応えがあった。人間を破壊するに充分なレベルの手応えが。 俺がやった。人に暴力を振るった。おそらく、矢部の人生がめちゃくちゃになるレベルで。 いまになって、震えが来た。 あのとき俺は、まちがいなく、こいつを殺していいと考えていた。衣紬の害になるからだ。なら、消したほうがいい。 激昂していたことは認める。殴られずに殴る方法を考えていたのも事実だ。しかし、俺はそこまで短絡的な人間だっただろうか。前世の俺なら、もっと狡猾に立ち回っていたはずだ。少なくとも、こんな、人をここまで壊すような、そんな……。 「道太」 あくまで冷静なヨンナの声に、ぎくりと心臓が震える。 「約束してください」 「……」 「以後、二度とこんなことはしないと。人に暴力を振るわないと」 「……衣紬のことが絡んだら、約束はできない」 「道太!」 叱責するような強い声。 「……お願いです。私に、約束してください。道太が、こんなことを平然とする人ではないと、そう思わせてください……」 ずきずきと心臓が痛む。 ああ、これは罪悪感だ。 とりかえしのつかないことをしてしまったときの、あの感情だ。 よりによって、俺がこれをしたのか。人が傷ついたとき、その人を愛する人がどういう思いをするのかだれよりも知っている俺が。 「衣紬に、直接の危害が加わるようなときは、なにもしないとは、断言できない」 「……ええ」 「けど、約束する。衣紬が危険な目にあわない限り、俺はもう、二度とこんなことはしない」 「ありがとう、道太」 礼を言われるようなことじゃない。 俺はもう、しでかしてしまったのだ。なんの罰もなしというわけにはいかない。そしてそのことは、きっと衣紬を悲しませる……。 「畜生……」 食いしばった歯のあいだから、我知らず声が漏れた。 「少し、離れていてください」 ヨンナが言った。 数歩後ろに下がる。 ヨンナはまた、矢部の顔に手をかざした。そしてまた光が発生した。 しかし、今度の光は強い。まばゆいばかりの光が矢部の全身を包む。 そして、数秒後。 「……あれ、俺、なんでこんなとこに」 「矢部」 「み、三森!!」 跳ね起きた矢部が、その場で土下座した。 「もう絶対に妹のことは言わない! だから、だから……もう……勘弁してくれぇ……」 「いや、あの」 「ひぃぃっ」 悲鳴を上げて、矢部が頭を床にこすりつける。 「いや、つーか矢部、おまえの顔……」 「え? ……あれ?」 矢部は、おそるおそる自分の顔に触れる。 そしてその変化は、傍で見ている俺には、よりはっきりわかる。 矢部の顔には、いかなる傷もない。 矢部のかたわらにヨンナがしゃがむ。 「矢部君」 「月夜野さん……?」 矢部が頭を上げて、ヨンナを見る。 「あなたは、確かに道太とケンカをしました。けど、怪我はありませんでした」 「あ、ああ、どこも痛くは……ない……いや、そんなはずは」 「怪我がない以上、なにも起きてはいない。そうですね?」 「……ああ、そう、かな」 「でしたら、教室に戻ってください」 「あ、ああ……」 矢部の顔つきがどことなく呆然としている。 立ち上がった矢部が、こちらを振り返りながら柔道場を出ていく。表情とは対照的に、なんの不安もない、ふつうの足取りで。 狐につままれた、というのはまさにこういう状況だろう。 あまりの出来事に、さっきまでの罪悪感も恐怖も、一瞬、吹っ飛んでしまう。 「えーと、ヨンナか?」 「私以外にだれがいますか」 「その、天使的な力、で?」 「それ以外、ありえませんよね?」 「まじか……」 全身の力が抜けて、俺は頭を抱えてその場にしゃがみこんだ。 正直にいえば、ほっとした。 「矢部君の傷をすべて治療すると同時に、記憶の一部を改竄しました。矢部君の記憶では、道太とひどいケンカをしたことにはなっているものの、奇跡的に怪我はなかった、という認識になっているはすです」 「……アリなんだ、そんなの」 「道太のしたことが消えるわけではありませんよ?」 「わかってる。俺は、とりかえしのつかないことをした。……衣紬のことが絡んだときには、俺は自分を信用しちゃいけない」 「ケンカをしたという事実が消えたわけでもありません」 「わかってる。あとで担任に自首してくる」 現在の俺を処罰できる人間は、ひとまず教師以外にはいないだろう。このままなかったことにはしない。それくらいしか俺にできることはない。 そう思ったのだが。 「……ヨンナ?」 ヨンナが、考えごとに沈んだかのように、視線を落としている。 「どうした?」 「いえ」 と言ったきり、ヨンナは口をつぐむ。 愛想でも尽かされただろうか。『私に、約束してください』というセリフは、そうでもしてくれなければ、もう信じられない、という意味に思える。 「道太って、あんなふうに、カッとなると見境がなくなる……というタイプではない、ですよね……」 「やらかしておいてなんだが、俺は本来、もっと粘着質なタイプだ」 「でも、実際にはカッとなった……」 「言い訳に聞こえるかもしれないけど」 そう前置きして、俺はあのときの心理状態についてヨンナに説明した。 いまになってみると、自分でも腑に落ちない部分が多い。本当に腹が立ったとき、相手を許せないとき、俺は直接的な暴力に訴えるよりも、たとえば出前百人前とか無言電話とか、そういういやがらせを長期的に繰り返すタイプである。なんなら百人前とかやらないで、毎日5人前とか地味に長引かせるくらいはするだろう。やったことないけど。いやまじで。 思案顔で聞いていたヨンナは、さらに質問を重ねてきた。 「前世といまとで、精神状態に顕著な違いはありますか?」 「あるっちゃあるけど……」 わりと言いづらい。 「どんな些細なことでもかまいません。必要なことなんです」 訴えかけるような目で見られる。 俺には負い目もある。隠すわけにもいかないらしい。 「自分の意志と、行動が食い違うような感じがするときがある。たとえば芹ヶ谷だ。小学校のときに告白したのは本当だけど、いまの俺は、あのタイプは避けたい」 「でしょうね」 「けど、俺自身がそう思っていても、体が勝手に……なんというか、こいつを好きなんだ、という反応をしてるような」 「ほかには?」 「……性欲が強い」 「せいよく」 ヨンナがぴきんと背筋を伸ばす。 「話せって言ったのはそっちなので、その猫がフレーメン反応したみたいな顔やめてくれる?」 「い、いえ、はい。続けてください」 「だから、言葉どおりだよ。体が若いんだから、しゃーないだろ。なんかこう……女の子がやたらかわいく見える」 「そ、そうですよね……」 あとまあ、自分のイメージより体が動くので、とっさの反応のとき逆にコケそうになるとか、細かい字を見たときに反射的に距離をとるけど実は近くでも見えましたとか、そういうのは言ってて悲しくなるので言わない。 「道太、私、今日は先に家に帰ろうと思います」 ヨンナがやけに真剣な顔で言う。 「ああ。俺はお説教大会もあるだろうし」 「では、そうさせてもらいます」 そのタイミングで予鈴が鳴って、あわてて柔道室を出た。 微妙な空気をたたえたままの教室で、5時間目、6時間目が過ぎていく。大怪我をした矢部が、無傷で帰ってきたのだから当然だ。だれもが俺と矢部の双方にどう接していいのかわからない雰囲気になっている。俺としても、矢部とはきちんと話をしたいのだが、向こうはあからさまに怯えていて、ここで話かけるのは追い打ちになるんじゃないかと思うと、うかつに話しかけられない。 芹ヶ谷に対しても同様だった。 そもそもこいつが原因だとすらいえるわけで、きっちりと落とし前はつけたい。が、いまの俺は、自分の理性を信用することができない。落ち着いてからきちんと話そうと思うものの、授業中、芹ヶ谷がじーっとこっちを見てくるので落ち着かない。 いや、まじでなんなんだよ芹ヶ谷。 帰りの会が終わって、担任に自首をした。 生徒のだれかが報告したのだろう、担任も俺を捕まえる気だったらしい。 タバコの煙が充満する職員室で20分ばかり、みっちりと怒られた。元気があるのはいいが、なんて前置きがつくあたり、いかにも昭和である。この時代、令和より世間ははるかに暴力には寛容だったし、なんならこの担任もたまに生徒を殴る。 そうして午後4時過ぎ。ようやく学校を出ることができた。 今日一日で、いろんなことがありすぎた。衣紬に避けられたことのショックですら、相対的に小さく感じられるくらいに。そもそも、衣紬に対する俺の過剰な執着が根本的な問題である気もする。 心ここにあらず、という感じで通学路を歩く。 そして、神社への分かれ道のところで、俺は思いがけない人物に出会うことになる。 「ずいぶん遅かったんだね、三森」 「芹ヶ谷……」 どうやら、俺の一日は、まだ終わってくれないらしい。 妙な気分だった。 こいつは今回の騒動の発端だ。なんらかの決着をつけなければならない。同時に、口もききたくないというのが俺の正直なところだ。 なのに、肉体の反応はまったく別だ。鼓動は少し早くなっているし、芹ヶ谷にあえて嬉しいという感情を、勝手に俺に送り込んでくる。油断すれば、流されそうだ。 意図的にため息をつくことで、気持ちを整える。ひとまずは事実確認からだ。 「衣紬のことを、矢部に吹き込んだの、おまえだよな」 「うん」 あっさりと認めた。 てゆうかこいつ、どういうメンタルしてるんだろう。自分が原因で目の前でケンカが始まって、しかも一度は大怪我が発生する現場を見ているというのに、その加害���のほうを待ち伏せしているとは。 まあちょうどいい機会ではある。どのみちいつかは話すつもりだった。厄介事の先送りは自分を苦しめる。機会のほうから転がり込んできたのなら、それに乗らない手はない。 「……先に芹ヶ谷のことを悪く言ったのは衣紬だ。そこは詫びるし、衣紬にもいつかちゃんと謝罪させる。けどさ」 「ごめんなさいっ」 出し抜けに、芹ヶ谷が頭を下げてきた。気勢を削がれたというか、ちょっと驚いた。 「あ、いや、その」 「あんなことになると思ってなかった! 私が考えたらずだった!」 そのとおりなんだけど。 なんていうか、怒りの梯子を外されたみたいな現象が起きている。 不完全燃焼だが、矢部のこともある。可能な限り、怒りの原因には触れないほうがいい。 「わかった。謝罪は受け取った。以後、衣紬に関しておかしなことを言わない限り、今回のことは水に流す」 それじゃな、と手を上げてその場を立ち去る。 「待って!」 「……なんだよ」 用事は済んだんだから、一刻も早く逃げたいんだけど。 「三森って、意外にケンカ強かったんだね」 「不意打ちしただけだ。それに、あれはケンカなんて言わない」 「でも、手加減してたんでしょ? 矢部、怪我してなかったし」 そのへん、どう処理されてるんだろう。ヨンナの不可思議なパワーが発動すると、いろいろ現実がおかしくなる。 「あのさ、その……」 と、妙に芹ヶ谷がもじもじする。 「いまなら、その、受けてもいいよ」 「なにを」 「……告白」 「……」 なにを言い出す。 さすがに驚いて、二度見した。 するとそこには、丸っこい輪郭でぱっちりした目で、いかにも男子ウケしそうなかわいい女子中学生が赤面しつつ落ち着かなさげにしているのが見える。 さすがに、これを無視するのは気が引ける。 なにより、俺の肉体が勝手に喜んでいる。 「……なんでだよ」 と、かろうじてそれだけ絞り出した。 「え、だって三森強いし。かっこいいかなって。それに、なんか雰囲気変わって……大人っぽくなったし……」 「なるほど」 完全に理解した。地雷だ。 仮に芹ヶ谷が言うことが事実だったとしも、こうまであっさりと手のひらを返すやつを信用できるもんか。あと1年もすればビッチ確定との噂があるやつだから、告白を受け入れたらひょっとしておっぱいくらい揉めるかもしれないけど。つーか若い肉体やばい。おっぱいを揉める可能性について考えただけで叫びだしたくなってきた。俺の精神、侵食されてねえか。スカートとかめくりそう。 がまあ、俺はまだ冷静だ。 「前にも言っただろ。俺はもうおまえには興味ない」 「なんで? 告白したんだから、私のこと好きなんでしょ? 私がいいって言ってるのに!」 「外面に騙されたんだ」 「な……」 芹ヶ谷の表情が、見る間に真っ赤になる。こんなに顔を赤くして怒ってるのかな? いや、これはガチでキレてる。 自覚があるのだ。外見のかわいさにも、外面にも。それに魅惑された俺はいいおもちゃだった。そのおもちゃが手を噛んだら、キレるだろう。 「……わかった」 わなわなと震えつつ、絞り出すように芹ヶ谷は言った。 「ご理解いただけてなによりだ」 「見てなさいよ」 すれ違いざま、捨て台詞を残して、芹ヶ谷が去っていった。 いかに社会人の処世術があっても、うまくいかないものらしい。俺は芹ヶ谷の後ろ姿を見送りつつ、深々とため息をついた。
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甘味な復讐 6(-2)
そうだ、忘れていた。
「俺は用事があったの!おい、おまえこの間あげたカードとかどうした?捨てちまったか?」
「‥‥なんだ、宝くじでも紛れてたのか?」
「捨てたのか!?」
うわ、最悪だと頭を抱えればルキアは窓際の机の上にある、ファーの箱に手をかけた。
「貴様からでも貰ったものはなかなか捨てにくくてな‥」
「助かる!」
もういい、捨ててないならこっちのもんだというか見せるわけにはいかない俺はバッとルキアに飛びかかって箱を奪おうとした。が、何か野生の勘でもあるのかルキアは箱を持って俺の鳩尾に肘鉄を食らわした。
「ぐぇっ」
「何だ?貴様何を焦っておるのだ?」
そう言いながらおもいのほか痛くて動けない俺を足蹴にして急いで箱の中を漁りだした。
「あ!?」
とうとう、見られてしまった‥
「‥これ、貴様、なのか?」
「‥男前だろーが‥」
ルキアはぽかんとしながら免許証を手にして、俺の顔と免許証の写真を見比べている。もう逃げ場はない。みられてしまえばどうしようもない。
「‥‥」
「ぁんだよ💢言いたいことあんなら言えよ!」
もう見られてるんだからヤケクソだった。だがルキアは
「‥犬」
「は!?」
「昔、飼ってた犬に似ておる‥コン、そうだコンに似てるのだ!」
何故かすごく嬉しそうにあは、と笑った。
は?まじか?なんだよコンて、と言えば昔飼っていた雑種だという。
「うーん、なんかこれ見たら黒崎少しだけ好きになったぞ」
「ばかにしてんのかてめぇ」
「ばかになんかしない、大好きな、仲良しの子だったんだ‥」
コンに会いたくなってしまうではないか‥と笑いながらも涙目になってルキアに、ある意味驚いていた。
というのも
免許証の写真の俺は、今より体重が10キロ以上いやもうちょいいやかなり、太っている黒歴史なのだ。大学からの友達には誰一人見せたこともない。女にはもちろん誰にも見せない。顔なんかまんまるでぱんぱんだし、これ見せたら間違いなくまりんなんかはドン引きして逃げていくような頃の俺なのだ。
けれどルキアはそこは全然気にしてないのか、コンとやらの犬の思い出に夢中なのかツッコミもしなければ笑いもしない。
「なるほどな、免許証はなくしたらまずいからな。気づいてよかったな」
「‥あ��、さんきゅ‥てか、言わねーのかよ」
「何を?」
「‥‥デブとか、モサイとか‥」
「あぁ、確かに今より太っておるな」
でも
黒崎に変わりないし、それよりコンを思いださてもらえて嬉しかったよ
そう笑うコイツは、よれよれの白Tシャツに高校の時の(多分)ジャージの下を着ていて、凡そお洒落で可愛いからかけ離れた格好だというのに何故か可愛く見えた。いやこれは気の迷いだなと自分の右頬を殴ってから免許証だけ返してもらって帰った。
そういやアイツ
すっぴんなんだよな
外でも家でも全く顔が変わらない女ってのもなかなか珍しいよな、とフッと笑ってしまった。
⭐
⭐
当然と言えば当然だが次の日から車谷さんは店に来なくなった。パチンコ屋でしか働いてこなかったらしく、ウチでは新人といえベテランで台のトラブルにも強かったし、困った客の対応もうまかった為、車谷さんが不在になったのは店に大きな穴を開けた。
「もー!1人いないだけで忙しさ倍増!」
「オッサンだけど話すと面白かったのにね」
と白とリサがぶうぶう文句を言っていれば、愛川がそういえば、と
「でもあの人ルキアちゃん狙いだったみたいでさ、結構わかりやすくアピールしてたんだ���な。ルキアちゃんにこっぴどくフラれたか、ルキアちゃんが上にチクったんじゃねーの?」
と言い出した。
半分あってて半分違うんだけどと思いつつ何も言えない。いや何があったのか言ってもいいけど、ルキアがどう出るのかわからないのに余計な口出しは躊躇われた。知らん顔して煙草をふかしていれば
「そういやさ、ルキアちゃんてあの朽木家の人間だって知ってた!?」
「は?朽木って確か‥あの四菱買収したとこ?」
「そうなんだよ!なんかいつも同じよーな格好だしあんまり金持ちオーラないからさ、全然そこ繋がらないと思ってたらあの朽木の娘だってよ?」
ぶふぉっと蒸せた。
あほか!んなわけあるかと
「ぜってーそれ、ガセだろ阿呆かリサ」
「いや、今志波さんが納品に来てて、マネージャーと雑談してんの聞いたんだって」
「ぜってー違うって!そんな朽木の家の人間がパチンコ屋で働かねぇだろーが。志波さんとこの印刷会社だって大手でもねーし。それにアイツの家、オンボロだぜ?令嬢の住むとこじゃねぇって」
「なんでそんなん、べりたん知ってんの?」
やべぇ!
うっかり喋りすぎたと「あ?ルキアがボロ家って言ってた」と早口で付け足したところに、休憩所にマネージャーと志波さんが顔を出した。
「俺、今日志波さんとこのまま飲みに、じゃねぇ打ち合わせしてくるから」
「飲み会って言ったよな今」
打ち合わせと称した飲み会なんていつもの事だから誰も怒らないし気にもしないが、とりあえずリサがツッコミをいれた。
「マネージャーお借りしますね。あと朽木、残り半月よろしく頼みます」
ニコッと爽やかに志波さんが言って、皆では~いと返事をしながらも、何か引っ掛かった。なんだろう?志波さんの顔色が悪いような気がした。
⭐
予感は的中
その日中番勤務だった為、8時半頃店を出ようとした時、事務所の電話が鳴った。打ち合わせと称した飲み会に出掛けたマネージャーからだった。
「お、黒崎か?すまねぇ、駅前の赤提灯まで来てくれねーか?」
「はぁあ?代行っすか?また俺に代行サービスさせるつもりっすね?」
「いや、うん、そうなんだけど、残業代つけてやるからマジで頼む!今日本店のマネージャーもいるから俺はまだ帰れないんだけどさ、志波さんが」
「志波さん?」
「そう、志波さん悪酔いしちゃってグロッキーなんだわ、タクシー乗せようにもタクシーの運転手殴りそうな勢いでちょっとやばくて」
「いやそれ、俺もイヤです」
「頼むよ黒崎ぃ!タクシー代込みで諭吉やるから釣りもいらねぇ!頼む!」
なんなんだよ~とバリバリ頭を掻きながらも駅前の赤提灯に向かった。顔色悪かったからなぁ疲れてんのか志波さん、と思いながら店につけば、志波さんは鼾をかいて寝てしまっていた。
「悪いな黒崎、家わかんねーからとりあえず会社までタクシー乗せてってくれ。さっき電話したら一角君がいて、仮眠室にそのまま寝かせるって言うからさ」
「へいへい‥」
どーしちゃったんだ志波さん、珍しいと寝顔を覗き込む。わかっちゃいたが志波さんという人は綺麗な顔をしている。酔って寝てても色気がある。いつも無駄に元気で明るく酒の強い志波さんがこんな無防備に酒に呑まれるなんて相当疲れているのだろうか。
「志波さーん、俺が会社まで送りますからちょっと起きてくださーい」
「んん、ん‥あれぇくりょさき?」
「はいはい車乗ったらまた寝ていいっすから、とりあえず頑張ってー」
「ぅ、すまにゃいにゃー」
呂律もまわってない。そんな飲んだんすか?とマネージャーに聞けば、何だかやけ酒あおる感じだったんだよなぁ、何かあったんかなぁ?とマネージャーは首を傾げていた。
タクシーに乗り込むと志波さんは膝貸してぇ?と甘えて俺の膝に頭をのせてきた。タクシーの運転手がちらりと俺と志波さんを見たくせに無言なのがイタイ。勘違いは勘弁して欲しい。
みやこぉ
と、志波さんが誰かを呼んだ、のだと思う。甘えるようなすがるようなその声は何だか切なく車内に響いた。
会社の前でタクシーを降りて、なんとか肩に志波さんを抱えてエレベーターに乗り込んだ。
会社のある階で降りたところで偶然ルキアが通りかかった。
「む、黒崎?てか、志波さん?ど、どうしたのだ」
「逆納品だよ!おたくの会社に志波海燕の納品にきたんだコノヤロー」
「大丈夫ですか!?志波さん!」
なんだこの態度の違いは💢
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⑥キスを止めないで
フミちゃんと一緒に夏期講習へ通うようになってから、2週間が過ぎた。 分からないところはフミちゃんが教えてくれたりするし(しかも教え方が先生よりうまい)、一緒に電車に揺られて学校へ行ったり一緒にお昼ご飯を食べたり、 帰りに本屋さんに寄り道しておすすめの参考書を教えてもらったり、フミちゃんからメールが来ることも増えた。 彼氏がいてもいなくても、どっちでもいいような気になってきた。 たとえいなくてもつき合えないかもしれない。 それなら今のこの時間を手放すようなことはしたくない。 「だらしないニャンねー、つき合って欲しいってはっきり言えばいいニャン」 「う……しょうがないじゃん、今振られたらショックで勉強が手につかなくなるし……」 ケータは小声で弁解すると、手早く制服を着て「行ってきます」と家を出た。 8月の第一金曜日。 いつも待ち合わせる交差点でフミちゃんと落ち合うと、一緒に駅へ歩き始めた。 「今日花火大会だね」 シャワシャワとセミの声に交じってフミちゃんが言う。 「そうなの?」 「うん。ケータくん誰かと行く予定ある?」 「いや、ないけど。今知ったし……」 ケータが答えると、フミちゃんは小さく微笑む。 「……じゃあ、よかったら一緒に行かない?」 少し頬を上気させてフミちゃんが言う。 ケータの頭の中には浴衣姿のフミちゃんと手を繋いで花火を見上げる自分の姿が瞬間的に浮かんだ。 「うん、行こう行こう」 内心かなりがっついているのを必死に押しとどめて、ケータはさわやかな笑顔で言う。 「よかった。サトちゃんもちーちゃんも彼氏と行くって言うから」 懐かしい級友たちの名前を聞いて、ケータはさらに確信を深めた。 フミちゃんには一緒に行く彼氏がいないという確率がこれでまた上がった。 ぜっこう蝶でも取り憑いているのだろうか、ケータは成層圏まで舞い上がりそうになる。 立ち並ぶ夜店を見て練り歩きながら、一緒にかき氷を食べる。 花火をきれいと言うフミちゃんに、君の方がきれいだよと言い、人混みでは危ないからと手を取ってエスコートする。 そこまでシミュレーションしていたら今日の講習は終わってしまった。 「じゃあ、6時に迎えに行くね」 フミちゃんと手を振って別れると、ケータは自宅に戻っていそいそと出かける準備をした。 シャワーを浴びて、髪を手ぐしで整える。 「頭ボサボサじゃないかな、いつもとあんま変わんないか」 クローゼットを開けて服を選ぶ。 「何着てもいつもとあんま変わんないか」 さっきと同じようなことを言いながら、結局いつも通りTシャツとカーゴで行くことにした。 「ケータぁ、オレっちたちも一緒に行ってい��ニャンか?」 「わたくしたちは別行動した方がいいでうぃすか? デートですし」 「デ……」 デートなのか、やっぱり、これは。 ケータは今さら赤くなる。 「一緒に来てもいいけど、おとなしくしててよ」 ケータが言うと、二人ははーいと元気よく返事をした。 ウィスパーはケータのデートが円滑にいくようにサポートするつもりでいるけれど、ジバニャンはケータのかき氷やたこ焼きに期待していた。 久々に木霊家の前まで来ると、ちょうどフミちゃんも玄関から出てきた。 「ケータくん、お腹すいてる?」 ケータは思わずフミちゃんをまじまじと見る。 シフォンのノースリーブにデニムのショーパンにかごバッグという、予想に反してシンプルな装い。 「浴衣じゃないんだね」 「着たかったけど……」 フミちゃんは言葉尻を濁して、ケータの背中を押すように「たこ焼き食べたいな」と歩き出した。 さざなみ海浜公園への道を行きながら、ケータはフミちゃんに釘付けになる。 浴衣ではなかったけれど、普段着も相変わらず可愛い。 シャワーを浴びてきたらしく石鹸の香りも漂っている。 久々に見たポニーテールからのぞくうなじの遅れ毛が愛らしい。 こんな子が彼女だったら、毎日どんなに幸せだろう。 実際、彼女だった時期はあった。 毎日最高に幸せだった。 ケータはそのことを思い出そうとすると、ぴたりと妄想をやめてしまう。 フミちゃんに振られた時は本当に辛かった。 あの辛さが今でも胸に引っかかって、一歩踏み出そうとするケータの足を止めてしまっていた。 だらしないとジバニャンに言われてしまっても。 薄暮の海辺は賑わっていて、生ぬるい風が潮の香りとソースの焦げる匂いを運んでくる。 フミちゃんのリクエスト通り夜店のたこ焼きを買って、分け合って食べた。 釣り下げられた提灯や電球の灯りがどこか幻想的で、灯りに照らされたフミちゃんはますます美しい。 スタートを知らせる花火が上がると、フミちゃんは「始まったね」とケータの腕を引いて海岸近くへ行こうとする。 フミちゃんに触れられた腕が熱い。 親友たちとも妖怪たちとも接点が減り、冴えない日々に突然花火が上がった。 なんとなく過ごしていた毎日をフミちゃんが変えてくれた。 矢継ぎ早にスターマインが繰り出され、観客たちの歓声に交じってウィスパーとジバニャンが「たまやー」とはしゃぐ。 楽しそうに花火を見上げるフミちゃんの横顔が赤、青、緑と次々に照らされる。 このまま時が止まればいいと思ったのは何年ぶりのことだろうか。 花火大会が終わり、ぞろぞろと帰路へつく人たちに交じってケータとフミちゃんも歩いた。 歩き疲れたので、ラムネを買ってベンチで少し休むことにした。 「楽しかったね」 「うん。誘ってくれてありがとう」 並んで座ると、同時に背もたれに上体を預けた。 人々のざわめきが遠のき、二人だけ薄い膜を隔てた世界に来たかのように錯覚する。 「まさかフミちゃんと一緒に来れるって思ってなかった」 火照った頬でケータが言う。 「来週の夏祭りも一緒に行きたいね」 フミちゃんが言うと、ケータは満面の笑みで頷いた。 人目につかないベンチを選んでしまったせいで、起こしてはいけない欲が湧く。 ケータは手を伸ばして、そうっとフミちゃんの手に重ねる。 フミちゃんは一瞬身をこわばらせると、熱っぽい目でケータを見上げた。 そのまま見つめ合う。 何も言葉を交わさなくても、言葉以上の感情を交わす濃密な数秒間。 どちらからともなく近付き合って、目を閉じて唇を重ねた。 口づけ合っていると、もっと密着したくなる。 抱き締めたくなる。 フミちゃんがそうして欲しがっているのも伝わってきたけれど、ケータはそうしない。 そうっと唇を離すと、至近距離で見つめ合う。 ケータを見上げるフミちゃんの潤んだ目。 めまいがするほど可愛い。 額をこつんとぶつけて、ケータは重ねていたフミちゃんの手をぎゅっと握った。 「……帰りたくない」 か細い声でフミちゃんが言う。 フミちゃんからこのセリフを言われたがっている男がどれだけいるだろうか。 ここで糸の切れた凧になれたらどれだけいいか。 ケータはクラクラしそうになるのをなんとか堪えて、しっかりとフミちゃんの目を見た。 「……今フミちゃんとこれ以上親密になったら、他のこと手につかなくなると思う。絶対勉強どころじゃなくなる」 フミちゃんは不安そうにケータの次の言葉を待つ。 「オレ、フミちゃんのこと本当に好きだから、そんな風になりたくない」 ケータは途切れながら慎重に言葉を紡ぐ。 「……だから、もう少し手応えとか結果とか出るまで、このまま一緒にいて欲しい……」 しどろもどろになりながら何とか言い切ると、ケータは体中から空気が抜けたようにぐったりとベンチにもたれ込んだ。 「どうしたの? 具合悪いの?」 フミちゃんが心配そうに言うと、ケータは力なく笑って首を振る。 「今の、すっげー緊張した……」 帰りたくないのたった一言でも、フミちゃんだって緊張はした。 ケータの言葉に嘘はないのだと実感して、フミちゃんもホッと安心する。 「待ってるね」 繋いだままのケータの手を握り返して言う。 本当に、どこまでも幸せな奴だ。自分は。 「あーーー………帰したくねえ……」 つい本音がこぼれる。 脱力しきってケータが言うと、フミちゃんはくすくす笑う。 ケータは涙が出そうになるほどすべてのことに感謝した。 手を離すことなく、繋いだまま歩いて帰る。 フミちゃんの手のやわらかさ滑らかさに、ケータは前言撤回してしまおうかと何度も心が揺らいだ。 「だったら浴衣で来たらよかったな」 「え?」 「浴衣は一度脱いだら自分で着付けできないもん」 フミちゃんはわざと意地悪に言って見せる。 「フ、フミちゃん………」 蛇の生殺しとはこのことを言うのだろう。 本心だったとはいえ強がったことをケータは後悔しそうになる。 「ふふっ、冗談」 ケータの反応を見て、フミちゃんはくすくす笑った。 「フミちゃん、オレの方が我慢してるんだから……決心が鈍るからやめて」 「ごめんね」 フミちゃんは可笑しそうに笑い、そうしている間に木霊家に到着してしまった。 なかなか手を離すことができずに、二人は立ち止まって向かい合う。 「ねえケータくん、抱っこして」 「えっ、あ……うん……」 手を離して、ケータはフミちゃんの体を包み込んだ。 フミちゃんも両手をケータの背に回す。 腕の中に収めてしまうと、フミちゃんはこんなに小さいのだと実感した。 ケータが体を離そうとすると、フミちゃんはぎゅうっとケータにしがみつく。 「フミちゃん、誰かに見られるといけないから……」 「もう少しだけ」 本当の本当に、フミちゃんにこんなことを言われたい男がどれだけいるというのか。 もしかしたら夢じゃないだろうか、ケータは今さらながら心配になる。 「フミちゃん、ちょっとほっぺつねってみて」 「夢じゃないよ。私も同じだもん」 ケータの考えていることなどお見通しというように、フミちゃんはケータを見上げて、つねる代わりに頬に口づけた。 真っ赤になるケータを開放して、フミちゃんはふふっと笑う。 「送ってくれてありがとう、おやすみケータくん」 フミちゃんが玄関の中に入っていっても、ケータは頬を手で押さえたまま呆然と立ち尽くしていた。 「女の子にあそこまで言わせて帰すなんて、フミちゃんかわいそうニャン」 「いーえ、ケータくんがフミちゃんを本当に大事に思っているからこそでうぃす」 ケータの椅子でゴロゴロするジバニャンに、何故かウィスパーが熱弁する。 大体合っているのでケータは口出ししないでおいた。 「こういうのって慣れてないから疲れるね」 ケータはそう言って入浴を済ませると、勉強もゲームも漫画も手を付けずに寝てしまった。 瞼と耳の奥に残るフミちゃんの余韻を感じたまま眠る。 こんな幸せな一日の終え方はない。 次の月曜日は、朝からフミちゃんから『寝坊したから先に行って』のメールを受け取った。 フミちゃんが寝坊なんて珍しいけれど、ケータもギリギリの時間に起きたので慌てて学校へ走った。 教室に入ると、もう空いている席も少ない。 なんとか2人分空いている席を見つけて座ると、隣に誰かが座った。 「天野くんも夏期講習来てたんだ」 隣を見ると、ケータと同じクラスの女の子。 「あ、うん……」 「先週ノート取ってないとこあるんだけど、見せてもらってもいい?」 その席は人が来るからと言う間もなく被せられてしまって、ケータは仕方なくノートを貸した。 「この子誰ニャン?」 「なんとなく雰囲気がフミちゃんに似てますね」 ケータの背後で妖怪たちが呑気に言う。 確かに彼女はクラスの男子たちの間で、フミちゃんの次に可愛いと目されている。 さらさらの長い髪、透き通るように白い肌、キラキラと大きな目、ツヤツヤの唇、整った顔立ち、華奢な体つきと、フミちゃんに似ていなくもない。 仕方ない、フミちゃんにはメールで知らせておこうとスマホを取り出そうとした時。 「ねえ、数Ⅱの授業分かりにくくない? 私いつも眠くなっちゃうからもし寝てたら起こしてね」 彼女はケータに体を押し付けるように近寄る。 彼女とフミちゃんの最大の相違点。 Fカップはあろうかという豊満な胸がケータの左腕に当たった。 ケータは思わずそれを見る。 別に鼻の下を伸ばして見とれる訳じゃないけれど、健全な17歳男子としては至ってまともなことのはず。 はっと顔を上げると、それを見るフミちゃんと目が合った。 ヤバい。 咄嗟に言い訳をしようとすると、フミちゃんは何もなかったようにすいっと通り過ぎて、空いている席に座った。 結局フミちゃんにメールをする時間もなく1限目が始まり、ケータはもどかしい気持ちでチャイムが鳴るのを待った。 「フミちゃんごめん、オレも今朝遅刻寸前で、席取っとけなかったんだ」 1限目の終わり、教室を出ようとするフミちゃんを廊下で慌てて捕まえて、ケータは両手を合わせた。 「ケータくん、あの子のこと好きなんでしょ」 「え?」 「だから花火大会の後帰っちゃったんでしょ?」 フミちゃん��目から涙が一雫こぼれる。 また泣かせた。 何故そうなる。 「いや、ちょっと待って……」 「私あんなに胸大きくないからでしょ? ケータくんなんて大っ嫌い! 最低!」 フミちゃんはそれだけ言うと、鞄を持って教室を出て行ってしまった。 廊下側の生徒たちには聞こえたらしく、何人かがケータをちらちら見る。 「……嘘だろ……」 昔のケータなら、真っ先に妖怪の仕業を疑った。 でも今はもう、女の子の心は妖怪不祥事案件以上に不可解だと知っている。 休憩時間ごとにメールをしたけれど、返事がない。 負けじとお昼休みにメールをすると、すぐに返信が来た。 急いで見ると、それはエラーメールだった。 「あらー、フミちゃんアドレス変えちゃったみたいでうぃすね」 「やること早すぎニャン……」 それならと電話をかけてみると、ケータの耳には『おかけになった番号は現在使われておりません』の無慈悲なアナウンス。 「完全に嫌われちゃったかな……ハハ……」 フミちゃんはそういえばかなりのヤキモチ妬きだったことを思い出す。 がくっとうなだれるケータの右肩と左肩を妖怪たちがさする。 かけてやる言葉がない。 それからフミちゃんが夏期講習に来ることはなかった。 家庭教師をつけるようになったと風の便りに聞いた。 女の子は分からない。 本当に分からない。 恋はまたしても、突然終わりを告げた。 ケータは失恋の傷を癒すように、のめり込むように勉強に没頭した。 続く
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裕の誕生日
この小説は同好者の間だけで楽しむために作られた二次創作の小説です。
原作者様とは一切関係ありません。
本編のネタバレ、及び各キャラクターのルートネタバレを含みます。 メインキャラクター5人のルートが終わってない方は読まない事を推奨します。
世界観等への独自解釈アリ。 定晴さんトゥルーED後の妄想。 定晴さんトゥルーED後と言いながら定晴さんが殆ど出てこない罠。 裕の誕生日パーティーしようぜ!いえーい!的な。 同年代組がわちゃわちゃしてるとこが書きたかったんですよ!!!
裕の誕生日
・・・初めて打波島を訪れて約一年。 蛭子の干渉がなくなり、その庇護下から離れた打波島はその豊かさを失いつつある。 けれど、それでも島の人達は今を生きるため少しずつ前に進んでいる。 禍月もなくなり、月狂いの性質もほぼ鳴りを潜めたようだ。 生活にも変化が現れ、禍憑きだのなんだのと言った差別も表向きは解消されたようだ。 さて、そんな打波島の景観はというと一年やそこらで大幅に変わるわけでもない。 が、明らかに以前より様々な建物が増えているのがわかる。 どちらかと���うと建設中のものが多い、という印象か。 急激な変化も軋轢を生むとの事で、尊久さん主導のもとゆっくりと生活の近代化が進められている。 これは元々尊久さんが行っていた事業でもあり、その点に関しては特に問題は無い。 潮の結界が無くなったため島から本土へ足を運ぶ人が多くなり、文明開化さながら色々な情報が飛び交っている。
そんな変化を始めた打波島に、俺は再び足を運んでいた。 色々あったし、母さんの一周忌くらいはキチンと島で迎えたかったのだ。 とは言え、お寺の住職がいるという事もなく、立派な墓があるわけでもない。 簡単な墓参りみたいなものだ。 そんな訳でちょっとだけ大学を休みつつ、俺は連絡船に飛び乗ることになった。 泰蔵さんとはちょくちょく連絡を取っていたためそこまでそこまで目新しさは無かったが、この一年間島と本土を恐ろしい頻度で行き来していたのを知っている。 曰く、「一年の1/3は船上の生活だった」とかなんとか。 それが比喩なのかどうかは分からなかったけど、去年会った時より若干やつれたような印象を受けたのも事実だ。 本当に忙しかったのだろう。
島に着き、伯父さんと崇と一年ぶりの再会。 崇は少し背が伸びており、成長期に入ろうとしていた。 学校にも通い始めたようで楽しくやっているようだ。 屋敷に再びお世話になりつつ、三人で母さんの墓へと赴いた。 読経を上げるわけでもないが、墓の前で皆で腰を下ろす。 持ってきた弁当を広げながら、伯父さんから母さんの思い出を聞き、崇の近況を聞き、俺の近況を話す。 本当にただの墓参りの光景だった。
前より本土との行き来が楽になったとはいえ、あまり島に長居するわけにはいかない。 以前お世話になった人たちに挨拶回りをして島内を移動する事約一日。 体力を使い切った俺は屋敷の部屋で突っ伏していた。
「むり・・・もう歩きたくない・・・」 「何だよ、向こう帰って軟弱になったんじゃないか?裕」 「俺は元々都会のもやしっ子だっての・・・。常に体力持て余してるお前らとは違う生き物なんだよ・・・」
突っ伏す俺の横で千波がからからと笑う。 千波もあの後色々とあったようで中々大変だったようだ。 最近はその状況も少し落ち着いたようで、何度か本土の方にも足を運ぶ機会もあったようだ。
「で、明日には帰っちまうのか」 「まぁな。大学自主休講してこっち来てるわけだし長居するわけにはいかないよ」
明朝には島を離れ、夕方には本土に到着予定だ。 潮の結界が無くなったおかげで迂回するルートを使う必要が無く、片道6時間足らずで動けるようになったのは本当に有難い。
「なぁ、裕!」 「ん、どうした?」 「お前、もうちょっとで誕生日だろ?誕生日ぱーてぃーしようぜ!」 「確かにそうだけど・・・俺本土に帰るんだぞ?」
唐突な提案に面食らいはするが、そもそも自分は明日には本土に帰るのだ。 この様子だと今からという事でもなさそうだ。 その辺をわかっているのだろうか。
「おう!だから、俺も一緒についてくぜ!」 「・・・はぁ!?お前、漁はいいのか?」
確かに島の住民は本土に出れるようになったし、千波も数回本土に来たらしい話は聞いている。 だが、こいつの本業は漁師だろう。 そんなホイホイ島から出ても良いものなのか。
「おう!実は、父さんから内地での用事を頼まれててな。薬だの医療器具だの色々受け取りに行かなきゃいけねんだ。そのついで、ってワケじゃねえけど」
成程、耕平先生のおつかいか。 あの人の事だからそれにかこつけて千波が本土に来る機会を作ってるんだろうとも推察できる。
「・・・やっぱ、ダメか?」
不安そうな、しゅんとした雰囲気を出された顔をされて無下に扱える程俺は人でなしではない。 そもそも、向こうが厚意で祝ってくれると言っているのだ。嬉しくない筈がない。
「・・・いや、嬉しいよ。千波がい��って言うならありがたく祝ってもらおう!」 「いよっしゃあ!辰馬にはもう連絡して約束してあんだ!」
嬉しそうに叫ぶ千波。辰馬にも連絡済みと来た。 そんな話は聞いてないけど・・・辰馬の事だ、秘密にしてたってところだろう。
「用意いいな・・・。辰馬も来てくれるのか」 「へへ、デンワって便利だよな!連絡したら即決で乗ってくれたぜ。よっぽどお前の誕生日祝いたかったんだろうなあ」 「まぁ・・・去年はそれどころじゃなかったしな」
電気が広く普及し、文明の利器が入り始めた打波。 新市街等一部の施設にはあった電話も、だいぶ広く普及したようだ。 去年の8月頃にたまたま誕生日の話になって「何でもっと早く言わないんだ!」なんて怒られたこともあったっけ。 あの時は母さんの事や島の事で自分の誕生日の事すらどうでもよくなってたからなあ。 ・・・そう言えば、イザナギに誕生日おめでとうって言ってもらったっけ。
「なあ裕、洋一さんも呼ぼうぜ!勇魚のおっちゃんや海堂のおっさん、冴の姉ちゃんとかもさ!」 「ちょ、落ち着けって。第一、皆自分の生活があるんだからそんな急に来れる訳ないだろ・・・」 「えー・・・」
確かに旺海邸で生活したあの面々とまた一堂に会したいという思いもある。 たった2か月という時間だったが、あの人たちはそれだけの思い入れと感謝他様々な気持ちもあるのだ。 幸いそれぞれの連絡先は聞いている。 自分の誕生日という機会を使うことに若干の気後れもあるがそれはそれとして。 誘ったら、来てくれるだろうか。 そんな期待が仄かに浮かぶのも事実だった。
「わかったわかった、聞くだけ聞いてみるから・・・」 「頼むぜ裕!」
そんなこんなで各方面に連絡したが、やはりと言うか皆各々の仕事・予定がある為来ることは難しい、となってしまった。 が、大学に通い始めたという洋一さんは時間が取れるということで、俺達4人で集まる事となった。 幸いな事に今年の誕生日は日曜日という事で、土曜日から集まってそのまま夜更かしコースとなった。
「お、いたいた!おーい!洋一さーん!辰馬ー!こっちだこっち!」
当日、千波と先に合流していた俺は2人との待ち合わせ場所に向かっていた。 遠目で見てもすぐに判別の付く洋一さんを目印に、千波が声を掛ける。
「久しぶりだな、裕、千波」 「お久しぶりです、裕さん。千波も元気そうだな」
2人は千波の声にこちらに気づいたようで無事合流することができた。 島から戻って来た後もこの2人とは連絡は取っており、何度も会う機会があったのでそこまで久しぶりという訳ではないけれど。
「お久しぶりです、洋一さん。辰馬も元気そうだな!」 「ああ。裕達も健勝そうだな」 「あはは、ラガーマンは健康第一ッスからね。風邪ひいてる暇なんて無いッスよ」 「なんだよ辰馬、俺は風邪ひきそうな貧弱ってか?」 「そ、そんなつもりは・・・!いやでも、裕さん製作で結構不規則な生活してるってこの間・・・。そういう点は関心しないッス」 「そうだぞー。だから島回っただけでバテるんだぞ」 「うっ・・・藪蛇だったか・・・」 「あはは!裕、ちゃんと早寝早起き快眠快食快便は大事だぜ?」 「うむ。生活のリズムを崩すのは心身共によくない。バランスの良い食事、適度な運動、規則的な生活、これが乱れれば様々な不調が現れるぞ」
あれ、なんで俺こんな説教されてるような状況に? 今日は俺を祝ってくれるための日じゃ無かったの・・・?
「う、今日はその辺で勘弁してくれ」 「はは、裕さんの健康指南はまた今度改めてやるとして」 「先延ばしにはされたけどやるつもりなのか・・・」
意外と辰馬はそういう時スパルタだからなァ。 島に居た時の特訓を思い返す。 そういう所は一般人の限界を考慮しないと言うか藤馬さん仕込みの厳しさというか。 うん、今日はもう考えないようにしよう。不安な気持ちになって来た。
「じゃ、行きましょうか」 「おー、裕の家行くのは初めてだな!」
千波の言う通り、この面子を家に呼んだことは無かったなあと思いながら冷蔵庫の中身を思い出す。 帰って来てからもバタバタしてたからロクな物がないぞ。
「いや、その前に買い物行かせてくれ。準備する時間なかったし色々足りないから」 「ならご飯の用意も考えなきゃッスね。どうしましょうか」
今からの時間なら俺が作るのもアリか。 この面子なら皆で夕飯を作るのもそれはそれで楽しそうだ。
「あ、俺ぴざ食いてえぴざ!前に見て食ってみたかったんだよな!」 「ふむ、ピザか」
誕生日パーティーにピザ。 こう、フライドチキンとかコーラとかそういうジャンクな感じの食べ物が集まったパーティーにつきものなチョイスだ。 良いかもしれないけど家にあるオーブンで焼くには小さ目のものになってしまいそうな気もする。 それも悪くはないけれど、どうせならでっかいピザを皆でカットして食べたい気持ちもある。
「いっその事買うのもアリか・・・?」 「おー!〇ざーらか?どみ〇ぴざか?」 「いいけど、出せる金も限界があるからな」
嬉々として店を上げる千波。楽しそうでなによりだ。 だがしかし俺達は学生の身。 バイトをして収入を得ていたとしても日頃の生活だってある。 出せるお金だって多いわけではないのだ。
「いや、資金に関しては気にするな」 「え?」 「巌から結構な額の金を渡されている。巌にも裕の誕生日に皆で集まらないかという話をしたのだろう。自分は当直で行けない代わりにこれで楽しめと」
資金繰りを気にしていると、洋一さんが懐から厚めの封筒を取り出し手渡される。 渡されるままに中身を確認すると、諭吉様が・・・いっぱい。
「うわ、こんなに!?かなりの金額ポンと出しましたね。何か申し訳ないな・・・」 「気にするな。裕宛に巌からの手紙も預かっている。これだ」 「なになに・・・」
『皆と楽しくやれよ。んで、洋一を目一杯楽しませてやってくれ。それと、誕生日おめでとうさん』
(過保護かよ!!ていうか俺の誕生日ついでかよ!!)
海堂さんと洋一さんの事情は島から帰って来た後になんとなくは聞いている。 この人達はこの人達で様々な苦労をしてきたのは知っている。 本土に戻ってから海堂さんにも頼まれはしたが、暇がある時は洋一さんと連絡を取って時には一緒に出掛けたりもしている。 それはそれで楽しいし、洋一さんにとっても良い刺激になるかとは思っているが・・・。
(初めて打波島に行く時からしたらえらく変化したもんだなあ・・・。いや、良い事だな。それに、これも海堂さんなりの気遣いか。ありがたく使わせて貰おう)
去年の打波行きの連絡船での出来事を思い出しつつ、頬が少し緩む。 あの時と比べたら、皆色々と変わった。きっとそれは良い事なんだろう。
「俺も母ちゃんと父さんから幾らか持たされてるぜ!金なら心配すんなって!」 「沙夜さんまで・・・。ちょっと流石に申し訳ないな」 「うう、こういう時に沢山出せない自分が悔しいッス・・・」 「辰馬は父さんと同じ医者になるんだろ?なら医者になってその後裕に色々してやりゃいいじゃんか」 「そ、そうかな・・・」 「そうだな。その時は稼いでる筈の辰馬先生に奢ってもらおうかなー」 「なら頑張るッス!その時はまた皆で集まりましょうね!」
脳裏に浮かぶ耕平先生と沙夜さんの笑顔に感謝しつつ、今度お礼をしなければと脳内にメモする。 苦学生の辰馬が申し訳なさそうに眉を下げるが、すぐさま千波がそれを引き上げる。 こういう時千波の真っ直ぐ純粋な精神は、生真面目過ぎる辰馬をガッチリとフォローする。 光属性のメンタルは周りすらも照らし出す。 ・・・プリキュ〇かな?
「そしたら後でピザー〇でも寄ってくか。持ち帰りの方が安いし」 「ピザ・・・高級品ッスね」 「確かに。なんでピザってあんな高いんだろうな」 「人件費、配送料の関係上割高になるのだろう。メニューにもよるのだろうが生地や材料の原価、それに基づく粗利率、定価から逆算しても明らかな乖離があるからな」 「だから持ち帰りで一枚タダとかやってるのか」
先に買い物をする為スーパーに向かう途中、ピザの価格について話したり。
「ビールはスーパードゥライでいいか?」 「あ、俺ドゥライ好きッス」 「裕ー!これ!俺ポテチ食いてえ!」 「ああ、いいぞ。好きなもの入れろよ。洋一さんは何か欲しいのあります?」 「えり好みはしない。任せよう」 「あ、コーラとかも買ってくか。辰馬も酒だけだとキツイだろ?」 「助かるッス」 「他のソフトドリンクも多少あった方が良いだろう。割り材にもなる」
皆でワイワイ喋りながら菓子や飲み物を選んだり。
「後はケーキか?」 「どうせならばホールで良いのではないか?」 「ホールっスか!?そんな高級品を・・・」 「いやまぁ今回は軍資金も潤沢なので・・・」 「裕、どれにすんだ?どれも美味そうだぞ!」 「うーむ・・・これは迷う」
ケーキ屋に入って色々悩んだり。
「ジューシーステーキか、アスパラベーコンか・・・」 「クォーターもアリッスすねぇ」 「洋一さん、このなげっとってなんだ?」 「ナゲットは貴金属の塊という意味もあるがこの場合はチキンナゲット、つまり鶏ひき肉に衣などをまぶして調理した料理のことだな」 「おい千波、お前が食いたいって言ったんだからお前も選べよ」
ピザー〇でメニューを前に唸ったり。 終始皆でワイワイと騒ぎながら買い物をする。 こういうノリ、大学の友人とはあまりした覚えがないからそれがまた楽しい。 そんなこんなで買い物を終えた俺達は今日の会場である俺の家へと到着したのであった。
「おっじゃましまーす!」 「お邪魔します」 「邪魔をする」 「おお、4人もいるといつもより狭く感じるな・・・」
男四人というむさくるしい図というのもあるが、辰馬や洋一さんの体格が大きいのもあるかもしれない。 決して狭い部屋ではない筈なのに、部屋の中が妙にみっちりした気分になる。
「おー、裕の家結構綺麗だな!なんかこう、裕の家!って感じ」 「なんだそりゃ」 「裕、冷蔵庫を借りるぞ」 「ええ、ケーキと飲み物はそっちに。今テーブル出しますね」 「千波。飾り付けしようか」 「おう!まかせろ」 「え、飾りつけ?そんなものまで用意したのか?」 「だって内地の誕生日ぱーてぃーはこれが当たり前なんだろ?」 「いや、そうなんだけど・・・それをやるのって大体子供じゃ」 「いいじゃないスか。折角準備したんですし、俺達がやりたいので」 「・・・じゃ、お言葉に甘えて。頼んだぞ」
飾りつけまで準備してくれた千波と辰馬に面食らいつつ、パーティーの準備にそれぞれ手を付けていく。 軽い掃除は流石に済ませているのでテーブルや食器を用意し、食べ物類と一緒に準備していく。 と、そんな時だった。 『ピンポーン』 家の呼び鈴が鳴り、何かと思い玄関のドアを開けた。
「はーい」 「こんちゃー!ノラネコヤマトです。旺海裕さんでお間違えないですか?お荷物お届けにあがりましたー!」 「・・・何か頼んでたっけ?・・・あ、ここにサインですね。ご苦労様です」 「床に失礼しますね。重量ありますのでご注意ください。ありがとうございました~!」
やって来たのはノラネコヤマト便。 特に何かを頼んだ覚えはないけれど俺宛なのは間違いないらしく受け取りのサインを記入する。 ノラネコのお兄さんはニカッと笑って礼をして去って行った。 床に置かれた大き目の四角い段ボール。 重量あるって言ってたけどどんなもんだろう。
「って重っ!」
持ち上げた段ボールはかなりの重量があり、ひーこら言いながら持ち上げる。 と、その重量が一気に軽くなる。 段ボールの反対側にはいつの間にか辰馬が来て一緒に支えてくれていたようだ。
「裕さん、大丈夫ですか。持ちますよ」 「助かる。しかし一体誰から・・・冴さんから!?」 「これ結構な重量ありますね。何が届いたんスか?」 「えっと・・・ワレモノ、酒類・・・ああ、うん。実に冴さんらしいプレゼントだ」
段ボールに貼られた依頼主の名前を見て一気に納得する。 冴さんからの贈り物、と言ったところだろうか。 誘った時に皆で集まる旨を話したので行けない代わりにお酒を、という事だろう。 辰馬に台所まで運んでもらい、早速中身を検分させてもらう。
「日本酒、焼酎、ウィスキー・・・え、これウォッカ、にスピリタス・・・?え、アルコール96%!?お、リキュール類もある。カシスにピーチにコーヒー。どんだけ詰め込んだんだあの人」 「ふむ。流石冴だな。豊富なラインナップだ」
『裕、誕生日おめでとう。誘ってもらったのに行けなくて悪いわね。代わりに私のオススメを入れたから皆で楽しんで頂戴。面白い事態になったら仔細の報告よろしくね。P.S.今度は別日に是非呼んで頂戴ね。あなたの料理が食べられなくてちょっと口寂しいわ』
(祝ってくれてる・・・んだよな、これ?)
前半部分は兎も角、後半と追伸がメインの文章に見えて仕方がない。 贈られてきたお酒もバラエティ豊かで色々と楽しめそうではあるが、どう見ても冴さん専用のお酒としか思えないものもある。 ・・・これは後日お礼も兼ねてお招きしなければならないんだろうな。
「いっぺんに消費できる量じゃないな。取りあえず楽しめる分だけ使わせてもらおう」 「裕ー!こっち準備出来たぞー!」 「おー!じゃあ始めるか!」
取り合えず冴さんからのお酒は一旦しまい込み、台所から離れる。 部屋側に戻ると壁や天井、テーブルに様々な飾り付けがされており、正にパーティーの雰囲気だ。 俺の家なのに別の場所みたいだ。
「・・・凄いな」 「へへ、辰馬と一緒に頑張ったんだぜ!」 「どうッスか?中々いい感じに出来たと思うんスけど」 「ああ、これは凄いよ。ありがとうな、2人とも。さて、準備万端という事で始めようか」 「飲み物の準備もOKだ」 「千波、音頭頼むぞ」 「おう!一日早いけど裕の誕生日を祝って。かんぱーい!」 「「「かんぱーい!」」」
一斉にグラスを掲げ、乾杯。 皆でピザにかぶりついたり。 辰馬がピザにちなんだ苦労話を零したり。 ポテトのフレーバーで論争になったり。 洋一さんがナゲットをひたすら食べ続けたり。 結局食べ足りなくて俺が台所に立ったり。 俺がケーキのロウソクの火を一本消し損ねたり。 千波が初めて食べた苺のショートケーキに目を輝かせたり。 楽しい時間はあっという間で、飲んで食べて騒いでいる間に時間は0時前になってしまった。 そして。
「お、日付変わったな!というワケで、裕、誕生日おめでとう~!」 「裕さん、誕生日おめでとうッス!」 「裕、誕生日おめでとう」 「うん、皆ありがとう・・・ははっ」
誕生日おめでとう、という言葉と共にパンパン!というクラッカーの音が鳴り響く。 クラッカーから飛び出た火薬臭い紙テープが降りかかる。 そんな匂いすらも嬉しく、愛おしく感じる。
「本当にありがとうな、皆。去年の今頃はそれどころじゃなかったし」 「裕さん・・・」 「だから、凄く嬉しいよ。千波、企画してくれてありがとうな」 「おうよ!俺もまさか内地の裕ん家来て誕生日ぱーてぃーできるとか思ってもなかったぜ。ありがとうな!」
千波の笑顔がすごく眩しい。 ああ、お前は本当に良い奴だなあ。 思わず感極まって千波を抱き込んで撫でまわす。
「千波・・・。この、可愛い奴め!」 「うわ、やめろよー!」 「うりうりー!っはははは!」 「うひっ、そこやめろって!あはははは!」
一通り千波を弄りまわして解放する。 千波はくすぐったかったのか、未だに笑っている。 そんな俺達を眺めていた辰馬と洋一さんに改めて向き直る。
「辰馬も、洋一さんも今日は来てくれてありがとう。こうやって皆に祝ってもらえるなんて思いもしなかったよ」
身を正して礼を言うと、辰馬がふるふると顔を振る。
「お礼を言うのはこっちの方ッスよ、裕さん」 「島でも、島から戻って来た後も、皆お前には世話になっている。俺達が何かをして喜んでもらえるならば嬉しい」 「ええ。色々、本当に色々ありましたけど、皆裕さんには沢山感謝してるんスよ。だから、少しでもお返ししたいッス」 「辰馬、洋一さん・・・」
2人の言葉に思わず涙ぐむ。 本当に、本当にあの島に行って皆に出会えて良かった。 こんなに暖かくて、幸せで、掛け替えのない友に出会うことができたのだから。
「・・・ちょっとしんみりしちゃったな。さ、夜はこれからだ。呑むぞー!」 「おーっ!」
折角の誕生日にこんな空気は似合わない。どうせならもっと楽しい思い出にしたい。 そう思い、再びグラスを掲げようとすると辰馬がゴソゴソと動き出した。
「と、その前に。裕さん。俺達から裕さんに誕生日プレゼントッス!」 「お、おお・・・!マジか、そんな用意もしてくれたのか」
誕生日プレゼント! 俺にとってはこのパーティーだけでも十二分にプレゼントのようなモノなのにまだあるのか! 驚く俺に、辰馬は笑顔で紙袋を手渡してきた。
「俺からはコレッス!どうぞ開けてください」 「じゃあ遠慮なく、って重っ!リストバンド・・・にしては随分ゴツいというか重いような」 「リストウエイトとアンクルウエイトッス!これなら日常生活でもトレーニングできるッスよ!」 「えっ・・・?」 「裕さんはもうちょっと鍛えておいた方がいいッス。ただでさえこっちは物騒なんスから。製作作業で運動不足ぎみって言ってましたよね?これなら日常生活でもトレーニングできるし健康にも良いし、いざって時に動けるッス!」
(これ、1パーツ毎に5kgって書いてあるように見えるんだけど・・・)
「ふむ、これはいいな」 「俺の使ってたのよりは軽いですけど動きを阻害しないし吸汗性も抜群ッス!おすすめッスよ!」
ラガーマンの辰馬にはこれでも軽いくらいなのかもしれないが悲しいかな文系の俺にはかなりキツい代物なんだが。 とはいえ島で教わった武術の型は今でも継続してるんだ、基礎体力と筋力だって去年よりは上がってる筈。 折角だしこれを機に改めて鍛えてみよう。
「ありがとう、辰馬」 「どういたしましてッス」 「次俺な!俺はこれだ!」
次は千波か。 千波がそう言って取り出したのは本、本、本。 あっという間に目の前に本の山が築かれる。
「おお・・・これは・・・」 「こっち来るたび色々読んでみたけど俺のおススメ10選!特にこの『白猫ジロ』シリーズが凄い良くてな・・・!」 「あ、これ前にサキが読んでた奴ッスね。めっちゃ泣けるって言ってたッス」
10選という割には冊数が15を超えているという事は10冊ではなく10種類といったあたりか。 本の虫である千波の選んだものに外れはないだろう。これは楽しみだ。
「さんきゅな、千波」 「おう!読んだら感想も聞かせてくれよな!」 「俺からはこれを」
最後は洋一さん。 カサリという音と共に手渡されたのは小さ目の紙袋。 辰馬の時と違って随分と軽い。
「おお、これは・・・んん!?」
開けてくれ、と促されたので早速開封。 出てきたのは馬の写真がプリントされた薄く、手のひら大の黒い箱。 なんか見覚えのある形状だ。 表面には英語でデカデカと商品名が書かれていた。
「ぎがんとほーす?・・・洋一さん、これは・・・?」 「コンドームだ」
こんどーむ・・・コンドーム!? 今洋一さんコンドームって言った?
「えっ?」 「えっ!?」 「・・・?」
聞き間違いかな?と思い聞き直そうとすると、辰馬も声を上げた。 千波は言葉の意味が分からないのか不思議そうな顔をしている。
「ああ、避妊具のコンドームだ。何を贈るべきか色々迷ったのだが、実用性、希少性を鑑みてこれにした。あまり流通量が多くないのだな」 「え、あの・・・」 「以前、勇魚との性行為の際に避妊具の調達が大変だと言っていただろう。色々調べたがこれが最も頑丈且つ大きいサイズのものでな」 「アッハイ」
ああ、やっぱり聞き間違いではなかったのか。 純粋な厚意なのだろう。 洋一さんはそういう人だ。 その気遣いは有難い。有難いんだけどちょっと違うよね? なんかこう、誕生日に贈るものとしては揶揄いとかを含むチョイスだよこれは。 海堂さんか。 海堂さんチョイスなのか。やはりあの髭親父とは一度決着をつける必要がありそうだ。
「すまん、誰かに贈答をするなど余り経験がなくてな。巌にも相談したのだが自分で考えてみろと言われてしまってな。・・・不適当だっただろうか」
まさかの洋一さん自身のチョイス。 珍しくしゅんとした表情の洋一さん。 んー!千波とは違う方向のこの純粋培養メンタル!たまんねえな! あの髭親父とは一度洋一さんの情操教育について話し合う必要がありそうだ。 しかし、不適当どころかピンポイントで適切すぎるというか。 実際、勇魚さんとシてる時にゴムの方が持たない事はままあるのだ。 大��そのままなし崩し的に生でやる事になってしまう時も多い。 実際凄く有難いチョイスでもあるというのは流石と言うべきか。 兎も角、洋一さんの顔を曇らせるわけにはいかない。 中身にツッコミどころはあれど、俺の為に選んでくれたプレゼントなのだ。 そう思うと表情が緩むのを感じた。
「いいえ、助かります。ありがとうございます、洋一さん」 「ああ、喜んで貰えてなによりだ。今後誰かに贈呈する時の参考にもなった」 「次は俺も手伝いますよ!何なら巌さんにも相談しましょう!」 「む?・・・ああ、そうだな。そうしてくれると嬉しい」
次なる犠牲者を増やすわけにはいかない。 そんな思いで食い気味に洋一さんに協力を申し出ると、案外満更でもなさそうに洋一さんも笑う。 海堂さん、後でちょっとお話ししましょう・・・。 そんなハプニング?もありつつ3人からのプレゼントを受け取り、自分の机に一旦置きに行く。 戻ってくると、辰馬がもう1つカバンから何かを取り出した。
「その、裕さん。あの・・・兄さんとおじいさんからも預かってるッス」
ちょっと顔を曇らせながらも辰馬がごそごそと取り出したのは風呂敷に包まれた箱のようなもの。 ・・・来た。来てしまったか。
「なぁ辰馬。これって・・・」 「兄さんとおじいさんから裕さんに、と。その、誕生日プレゼントらしいッス」 「お、おう。ありがとう・・・」
いやね、今日辰馬に会った時から感じてはいたんですよ。 あの島でも感じたビリビリとくる感覚というかエネルギーというか。 明らかにヤバげな物を辰馬は持ってきているな、と。 気付かないふりをしていたけど出された以上は避けることは不可能。 辰馬自身もそれを感じとっているのだろう。 こう、何とも言えない表情がそれを物語っている。 しゅるりと風呂敷を解くと、中にあったのは厳重に封をされた桐箱。
「おおー。何か凄そうだな!」 「こういった贈り物も趣きがあるな。参考になる」
千波と洋一さんが無邪気な感想を言っているがこっちはそれどころじゃない。 藤馬さんとおじいさんの贈り物だ。変なものでは絶対ない。 純粋に俺を思って贈ってくれたものなのはわかる。 わかるのだが、あの人たちの好意というか善意を本土基準で考えてはいけない。
(ええい、ままよ!)
意を決して桐箱の蓋を取る。 と、箱から突風が吹いたような衝撃を受けた。ような気がした。
「うわっ!」 「おい裕どうした!?大丈夫か?」 「お、おう。大丈夫だ、ちょっとびっくりしただけ」
叫び声をあげた為千波に心配されつつ、呼吸を落ち着ける。 大丈夫、大丈夫だ。 自分にそう言い聞かせつつ桐箱の中を改めてのぞき込む。
「これは・・・」 「勾玉、か?御守のようだが」
中に入っていたのは小さめの勾玉。 ぱっと見は御守やアクセサリの類に見えるものだ。 淡い水色をしているが、光の当たり方では赤い色にも見える気がする。 が、問題はその中身というか性質というか。 箱を開封した瞬間、部屋の中の空気が一気に清浄化されたのが理解できた。
「裕さん、これ・・・」 「うん・・・これはヤバい。いや、確かにこれは凄まじい御守だわ・・・」
辰馬も少なからず感じ取っているのか圧倒されている。 そうだよね、そう思うよね。俺自身もヤバイと思うもん。 これ、あれじゃん。ヒヒイロカネじゃん。 島に居た時適当に採掘してたら出てきたヒヒイロカネの欠片。 いつだったかテンションがおかしかった時の細工に使ったけど、余った分を海皇神社に奉納したんだった。
『裕殿の誕生日と聞き、おじいさんと共に贈り物を用意させて頂きました。これが裕殿にかかる厄を祓ってくれるでしょう。機会がありましたら、また島に遊びに来てください。裕殿の息災を願っております』
『御子殿、ご生誕の日誠におめでとうございます。何か贈り物を、と思い以前御子殿が神社に奉納してくださったヒヒイロカネの欠片を加工して御守をこしらえました。これが御子殿を災いから守ってくれるでしょう。どうぞ息災であられますよう』
はい。ありがとうございます。 お気持ちは嬉しいです。本当に。 けど・・・。
(・・・重い)
何というか、思いが重い。 ギャグで言ってる訳じゃないよ? 給料3か月なんてレベルじゃない。下手すれば一生ものの贈り物だ。 いやでも元々は俺が採掘したものが材料だしいやでもこれはちょっと洒落にならんブツというか。 色々な考えが頭の中を駆け巡り、俺はやがて考えることをやめた。
「取り合えず、普段身に着けるものに入れておこう」 「そ、そうッスね・・・」
余談ではあるが、この御守を貰ってから島に居たときのように『勘』が鋭くなった、ような気がする。 島に居た時に聞いた、ヒヒイロカネの『勾を増幅する』というその性質。 本土にいてもその性質は有効なのか、虫の知らせというか直感というか。 明らかに日常における危険というか災難が減ったと言いますか。 ・・・凄いな、コレ。
色々衝撃が走ったけど仕切り直して改めて乾杯。 ここからは本格的にお酒も解禁だ。 冴さんから貰ったお酒たちもさっそく開封させてもらおう。
「これだけ種類があればカクテルも色々作れるな」 「幅広く使えるリキュールの種類。入っているのも甘めのものが多い。流石冴だな」 「なぁ裕。この銀色の水筒はなんだ?」
段ボールの中に入った中身を検分。 本当に様々な種類の酒が入っている。 と、千波が銀色のボトルのようなものをを見つけて持ち上げる。
「ああ、シェイカーだな。簡単に言うと、これを使ってカクテルを作るんだ」 「かくてる!ヘミングウェイが愛したって言われるアレか!」 「これだけ材料が豊富にあれば結構な種類を作ることができる。何か作るか?」
シェイカーまで用意されているとは流石冴さん。 そして洋一さんのこのスキルである。
「え、洋一さんカクテル作れるんですか!?」 「見よう見まねだがな。レシピにはよるが混ぜるだけでも作れるカクテルはある。シェイカーを必ずしも使う必要はない。やろうと思えば誰でもできる」 「へぇ・・・」
ホントに洋一さんは何でもできるな。 関心している間に、洋一さんは段ボールの中身の検分を進めている。
「ラムはあるな。・・・ライムジュースを買っておいて正解だったようだな」
取り出したシェイカーを洗い、キッチンペーパーで丁寧に水気を拭き取り準備完了。 シェイカーにカラカラと氷を入れ、ラムとライムジュースとシロップをメジャーカップで量ってシェイカーに入れる。 蓋をして、映画とかでよく見る動きでシェイカーを振る洋一さん。 洋一さんの太い腕が振られると、シャカシャカ、カシャカシャという軽快な音が響く。
「「「おおー!」」」
何て言うか、凄く様になっている。 これでバーテンダーの恰好してたら本職の人かと勘違いしてしまいそうだ。 洋一さんだったらバーテンダーの恰好も様になるだろうなぁ。 そんな妄想はさておきシェイカーが振り終わり、グラスに静かにカクテルが注がれていく。 流石にカクテルグラスなんてないから普通のグラスだが。 そのグラスがスッと千波の前に差し出される。
「フローズンではないが、ダイキリだ。生ライムや生レモンを使うレシピもあるが、今回はライムジュースを使った簡単なレシピだ。ヘミングウェイに縁のあるフローズンダイキリの元になったカクテルと言えばわかるか?」 「おー!これが!・・・うめえ!すっきりした甘酸っぱさだな!」
ヘミングウェイとかフローズンダイキリとかはよくわからないが、千波にとっては馴染みあるワードだったようだ。 嬉々としてグラスを傾ける。 千波はダイキリを気に入ったのか、少量ずつではあるが何度もグラスを口に運んでいる。
「辰馬ー!お前も飲んでみろよ、だいきり!甘酸っぱくて美味いぞ!」 「そうなのか?じゃあ一口だけ・・・」 「あっ、千波、バカ!」
カクテルってモノにはよるけどかなりの度数あるんだよね。 特にダイキリの元はラム。蒸留酒で結構の度数の酒だ。 だからこそよっぽど軽めのモノを作らない限りビールよりアルコール度数が高くなりやすいわけで。 材料はラムとライムジュースとシロップ。どう見てもダイキリって度数高いよな。
「おー、うまい!それに体が温まってきたッス!」 「だろー!うまいよなー、だいきり!」
ダイキリを飲み終わった辰馬の顔が一気に赤くなる。 グラスに残っていた量は結構少なかったのだが辰馬にとっては十分すぎる量だろう。 さり気なく千波の顔も真っ赤に染まっている。
「ああ、遅かった・・・」 「あのダイキリで辰馬のアルコール許容量がオーバーしたようだが」 「ですよねー。・・・洋一さん、もし辰馬のベアハッグが俺に来たら助けてください」 「善処しよう」
この後に起こるであろう惨劇をなんとなく感じ取り、洋一さんに救助要請をしておく。 そして俺はその未来を回避するため、すぐさま台所に行きグラスに水を用意した。
「ほら、水飲んどけ。千波」 「おー。さんきゅ、裕。んぐ、んぐっ・・・はー、水うめー!あはははは」
そう言って水を千波の前に置く。 千波は酔ってはいるものの意識はハッキリしているらしく水を一気に呷る。 が、やっぱり結構酔ってはいるらしく水を飲みながら爆笑している。 だがこの状態なら千波はまだ大丈夫そうだ。 問題は―
「辰馬、大丈夫か?水飲めそうか?」 「うー・・・」
顔を真っ赤にしながらゆらゆらと揺れている辰馬だ。 声を掛けても唸り声をあげるだけ。
「ほら、水だ。後が楽になるからちょっとでも飲んどけ」 「ん、ぐ・・・んぐ、んぐ」
自発的に動きはしないが、グラスを口元に運ぶと少しずつ水を飲み始める。 辰馬の喉もゆっくりと動いているのできちんと水を飲んでいるようだ。 なんかこう、子供をお世話しているような感覚になってきて微笑ましい。
「お、ちゃんと飲めたな。よし、えらいえらい」 「へへへぇ・・・」
グラスが空になったのを確認してテーブルに置く。 まだお世話している感覚が抜けていなかったのか、思わず辰馬の頭を撫でる。 辰馬も満更ではないのか子供のようにへにゃりと笑う。 うん、もう少し水を飲ませれば落ち着くかな。 そんな風に考えて、完全に安堵した瞬間だった。
「裕さん・・・裕さーん!」 「おごっ!?ちょ、辰馬・・・」 「裕さん裕さん裕さん裕さん裕さん!だーい好きッスー!」
案の定というか分かっていた結末というか。 辰馬が弾丸のようなスピードで俺に飛びついてきた。 当然俺がそれを受け止めきれる筈もなく、肺から空気を漏らしながら運動エネルギーに飲まれるまま床に激突する。
「ごふっ!ちょっ・・・苦し、しまって・・・ギブギブ!イデデデ!よ、洋一さん、ヘルプ!」 「ああ」 「なら俺は洋一さんに抱き着くー!」 「むっ。構わんが・・・」
辰馬が俺を床に押し倒し、千波は洋一さんの背中に飛びつく。 ていうか辰馬、抱き着くのはいいけど締まってる、首締まってるから。 なんというか、酔うと人にくっつきたがるなあお前ら。 そんな感想が頭に過ぎりながら意識が遠のきはじめる。 あ、本格的に締まってるっぽい。
「辰馬、それくらいにしておけ。裕、大丈夫か」 「かはっ、けふっ・・・た、助かりました。っ痛つ・・・」
白み始めた視界に唐突に色が戻ってくる。 体が酸素を求め多少咳き込むも、意識はハッキリしている。 むしろ、辰馬のベアハッグによるダメージの方がデカい。
「うー・・・何で邪魔するッスかぁ!裕さぁーん!」 「裕、大丈夫かー?っと、洋一さんやっぱでけー!高ぇー!あははははは!!」
切なげな辰馬の声につられて前を見ると、洋一さんが辰馬を羽交い締めにしながら持ち上げている。 その洋一さんに千波がおぶさるようにくっついており、肩越しに楽しそうな顔が見える。
「千波、すまないが辰馬についてくれるか」 「いいぜー。おりゃー、今度は辰馬にはぐだー!あはははー!」 「裕、もう一杯水を用意してくれるか。2人の面倒は俺が見ておく」 「はい、お願いします。辰馬、ちょっといい子にしてろよ」 「裕さぁーん・・・」
洋一さんに頼まれ、水の準備するために立ち上がる。 辰馬の鳴くような声に仔犬を連想してしまい、後ろ髪を引かれつつも俺は台所に向かう。 もうグラ���じゃ足りないだろうからピッチャーで出すか。 というか、最初からピッチャーで水を用意しておくべきだったな。失敗した。 軽くピッチャーを洗い水を用意して戻ると、随分と静かになっていた。
「あれ・・・?」 「2人とも完全に意識が落ちた。裕、すまないがお前のベッドを借りていいか?」
辰馬が洋一さんを背もたれにした状態で眠っており、その辰馬に抱き着くような体勢で千波も寝ている。 普段中々見ることのない光景だ。
「ええ。こっちです」 「すまない」
洋一さんは2人を起こさないようにゆっくりと抱え上げる。 俺は誘導するように寝室のドアを開ける。 洋一さんがゆっくりと2人をベッドにおろし、タオルケットをかける。 筋肉のついた野郎2人を乗せたせいで俺のベッドがギシギシと悲鳴を上げているが、そこは頑張ってもらおう。 2人は横向きで向かい合うように眠っており、スースーと寝息を立てている。
「よく寝ているな」 「ふふ、顔は似てないのに兄弟みたいだなァ」
そんな2人の寝顔を眺めた後、リビングへと戻る。
「少し飲ませ過ぎてしまったようだな」 「飲ませ過ぎたというか自ら呑まれに言ったというか・・・」 「だが、辰馬も千波も楽しんでいたようだ。俺も、楽しかった」 「俺も楽しかったですよ」
テーブルの上を軽く片付け、もう使わない食器は先に洗ってしまう。 洗い物、軽い掃除程度ならば洋一さんと一緒にやればすぐ終わってしまう。 片付いたテーブルの上に、改めてお酒の準備をしていく。 正直なところ、飲み足りなかったのでもう少しだけ2人で飲むことにしたのだ。
「改めて、今日はありがとうございました。洋一さん」 「構わん。言っただろう、裕には感謝していると。お前が喜んでくれたならば、何より嬉しい。それは千波も辰馬も同じだ」
いつもより饒舌に語る洋一さん。 酔っているのせいなのかはわからないが、目じりが緩み、口角が少し上がっている。 洋一さんがこうやって感情を少しずつ表に出せるようになってきているのが、友人として素直に喜ばしい。
「はい、ありがとうございます。で、今日のお礼に俺に一杯作らせてください」 「ふむ?カクテルか」 「ええ」
レシピはさっき見ていたので覚えている。 ラム、ライムジュース、そしてシロップ。 シェイカーに氷をガラガラと放り込み、メジャーカップで量って注いでいく。 注ぎ終わったらシェイカーの蓋をして、シャカシャカとシェイクする。 中身がよく混ざり合ったら、グラスに静かに注ぐ。
「ダイキリか」 「ええ。洋一さん、カクテル言葉って知ってます?」 「ああ。ダイキリのカクテル言葉は希望・聡明だったか」
ホントに何でも知ってるなこの人。 俺なんてさっき軽く調べて初めて知ったのに。
「流石ですね。俺の、誇らしい聡明な友人に。その友に、希望ある未来があることを願って、なーんて。ちょっとキザっぽいかな」 「そんなことはない。・・・ありがとう、裕」
その後は、洋一さんにカクテル作って貰ったり、互いの近況を話したりしながらゆっくりと飲んでいた。 ふと気づけば3時を回ろうとしている。
「俺達もそろそろ寝るとしよう。裕は今日これから勇魚に会うのだろう?しっかり休んでおいたほうがいい」 「え、知ってたんですか」 「いや、もしこの集まりに勇魚が居なかったのなら何かしら贈っているか日付が変わった時間に連絡してきているだろうと思ってな。そんな風にも見えなかったからな。そんなところだろうとあたりをつけたのだが」 「流石・・・」
洋一さんの推理力というか察しの良さに脱帽しつつ、後片付けを終える。 ベッドをあの2人が占有しているため、使える布団が1つしかないためどちらがソファー使うかでひと悶着もありつつ消灯。
「おやすみ、裕」 「ええ、おやすみなさい。洋一さん。・・・千波も、辰馬も」
翌朝、昨晩の記憶がバッチリ残った辰馬による謝罪の嵐と、カクテルの飲みすぎで二日酔い状態な千波による騒動が起こったりしたものの。 朝飯を食べながら、また皆で互いの誕生日を祝おうと約束をしながら解散。 21歳の俺の誕生日パーティーは楽しい記憶で満たされて幕を閉じた。
「で、終わるワケもなく・・・」 「裕、スマン・・・その・・・大丈夫か?」 「・・・ええ、だいぶ落ち着きました」 「・・・なら、もう一発、な?」 「え・・・ちょ、もうちょっと休ませ、ンッ・・・」
夜、久々に勇魚さんと会い、誕生日のディナーに連れて行ってもらいつつ、その後は当たり前にホテルにエスコートされ。 誕生日というシチュエーションだったせいかお互いに盛り上がってしまい、折角もらったゴムも余り使うこと無く。 そのまま朝まで激しいコースと相成りましたとさ。
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. . 雨の音を楽しみにしてる人、どーもきよです! たまには雨に濡れてもいいじゃないかと思ってる青いやつです。 胃カメラ後まだ喉が痛いのは胃カメラのせいでしょうか?それともぼくの口がぽっかり開いて寝てたせいなのでしょうか?答えがわからない! 今日はちょっぴり文句じみたことを書きたいと思います。 改めて失望するというかなんというか…。 ▼支援学校 ぼくは学校に対してそんなに重きを置いてません。 子供は絶対に学校に行かなきゃダメだー!なんてこれっぽっちも思ってなくて、不登校なら不登校でいいと思うし、フリースクールならフリースクールだっていいし、別にそこが全てじゃないから自分の好きにしていいぜって感じのやつです。(むしろフリースクールの方がいいと思ってる!) そもそも今の学校のシステムは工場みたいだし、本当に学ぶにはそれってどうなの?ってことが沢山あって、疑問だらけです。 制御・管理された時間からテストと言う名の検品、就職と言う名の納品。 各地で散々言われてますが、偉い人が都合の良い人材を作り上げるために作られたシステムですわねって感じ。 そんなことも感じており学校に対して重きを置いてないんです。 置いてないんですがよ!!! でもだからといってないがしろでいいかというとそんなことはない。 支援級や支援学校のことって自分が通った道じゃないんだからそりゃ~知りたいよね。 見て聞いて学びたいよね! そう。 イサネさんはもう年長さんで就学の準備をしなきゃいけないんです。 それに辺り見学をしたりできるんですが… ・親はどっちか一人しか見学できない ・子供はマスク着用が必須 っとかって条件がある場所もあるんです。。。 失望に失望を上塗りしてくるこの感じ、どうにかしてくれ! 「100歩譲ってコロナの影響で…」の言い分は認めます。(この時点で100歩譲ってる!) でもよ?親二人見学来るだけで密になるか? 感染対策取れないか?ソーシャルディスタンス保てないか? ちゃんと対策は打てるのに、完全にそこをさぼってるとしか思えない。。。 ひょっとしたらこの道一つで子供の人生が左右するかもしれないのに、それをないがしろにするのって………、やれやれだぜ。。。 んでよ?「子供はマスク着用が必須です」って…… ここ何級でしたっけ?何学校でしたっけ?って話!!! もしもーーーーーし! 繰り返しまーーーす! ”支援”級、”支援”学校ね!!!! だ~れ~を~支援してんねん! 感覚過敏の子おることぐらい知っとるやぁろぉがいっ!!! ふぃ~~~~ 参った参った…。 ついついエセ関西弁がでるぐらい熱くなるやつね! おそらく”学校”っていうシステムがなっかなか変わらない体質の中、支援級や支援学���ってさらにさらにさらに変わりづらい体質、もしくは変わるのがすっごいすっごいすっっっっっごい遅い場所にある下層な位置に位置するんだと思うのね。 でもさ、いきなりぶっ飛んだ面白いことしてくれなんて言わないからさ、見学とかはちゃんと親が二人でしたいって言うんなら対応していいと思うし、子供同伴で見学したいって家庭があるならそれぐらいは対応しなさいよ。。。 子供だってその場所が気に入るかどうか、事前準備として行ったことがある場所かそうじゃない場所かってのはかなり大きく変わることはわかるじゃん? もうさぁ…、せめてちゃんと適切な範囲でコロナには怯えてください。。。 ちょっぴり呆れるおいらなのでした。 おいら怒ったから今日髪でも切りに行こうかしら? ぐむむむ… ほんじゃ今日はこの辺で~! 『障害者の、きみがすきだ!』 2021.5.13 #障害者のきみがすきだ #知的障害 #発達障害 #自閉症スペクトラム #子育てパパ #パパ育児 #福祉 #放課後デイ #学校 #支援級 #支援学校 #フリースクール #起業 #障害なんて言わせねぇ (Saga, Saga) https://www.instagram.com/p/COy-qZHH4ko/?igshid=ctn38yjb1wsq
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narrative
------------------------------------------------------ 『きみと白々しい夜に』 ------------------------------------------------------
あの子が気に入りそうなカフェを必死で探して、思い切って誘った時が人生で一番緊張した瞬間だった。あの日以来、あの子と会うたびに『人生で一番緊張した瞬間』を更新し続けている。
今日も待ち合わせは昼下がりのカフェだ。いつしかあの子の方から、行きたいカフェを教えてくれるようになった。3時間並ぶ人気店なんてのもザラにあって、そういう時は僕が朝早くから並んでおく。入店できそうな時間が分かったらあの子に連絡すると、彼女はなんの苦労もなく人気のカフェでくつろげるというわけだ。僕はあの子に負担をかけないことに幸せを感じている。 けれど、あの子の彼氏はそういう人じゃないらしい。 「朝ふたりで食べようねって、パン屋さんでパン買ってたの。インスタでみんなが食べてるやつ。猫の形のね、すっごい可愛くて。それなのに、バイトの時間だからって、朝ごはん食べずに出て行っちゃったの。インスタにアップするから、ふたりぶんの朝ごはん写したかったのにぃ。ひどくない?」 「ひどいね」 そうだよ、ひどい男だ。僕ならもっと大事にするのに。いつでも最優先で考えてあげるのに。 「朝からほんと病んでたけど、今はすっごくうれしいー! ほら見て、このクマさんモチーフのケーキ、めっちゃ話題なの! 彼くん並ぶの嫌いだから、全然こういうとこ一緒に来てくれなくてぇ。ほんとありがとっ」 「いいよ、全然。喜んでもらえて嬉しい」 「ほんっと優しいよねぇ。彼くんも君くらい優しかったらなぁ」 「はは……」 そんなに言うなら、別れちゃえばいいのに。なんて、言わないけど。 僕にとっては、彼女の幸せが一番で。それ以上の何かを求めるなんておこがましい。 「てか聞いて。昨日の夜ね、彼くんのスマホで一緒にYouTube見てたの。そしたら地下アイドルのチャンネル観てた履歴すごい出てきてぇ。ひどくない? まい、地下アイドルの子たちより魅力ないかなぁ……なんか自信なくすし……めっちゃやむ……」 「落ち込む必要ないって。まいちゃんが世界で一番可愛いよ」 「ほんとぉ?」 「うん、本当。まいちゃんより可愛い子とか、見たことないし」 「うそだよ、大学に可愛い子いっぱいいるもん」 「そんなことないって。まいちゃんが一番だよ!」 カタン、とテーブルが揺れた。思わず身を乗り出してしまっていた。 「……ぷっ。すごいね」 彼女はくすくす笑って、それから世界一可愛い笑顔で僕を見つめた。 「でも、ありがと。元気でた。一番って言ってもらえるの、すごい嬉しい」 それなら、そんなの、いくらでも言うのに。毎日、毎時間、毎秒、いつだって君のことを考えている僕なら、気持ちを込めて言葉を紡ぐなんて光栄ですらある事なのに。
夕方、彼氏のバイト先まで迎えに行くというあの子のことを駅まで送ってから家路についた。途中のコンビニで、晩飯用の塩おにぎりを二つ買った。本当は節約は大事だ。次のお誘いがいつで、どんな店なのか分からないから、貯金は大事だ。いつだってあの子の希望に沿いたいから。あの子の願いを叶えたいから。 六畳一間の自分の部屋は、狭く息苦しかった。灰色に淀んだ光景は、見ているだけで気が滅入った。そこが僕の唯一の居場所なんだと思うと、自分自身がひどくみじめに思えた。あの子と一緒にいる時は、世界中がキラキラして見えたのに。すべてが柔らかくて温かな、春の日差しのような明るさを放ち、鮮やかな色彩でもって僕の心を慰めてくれていた。そんな爽やかで清らかな世界の中で、あの子は一番の輝きを放っていた。この世界を構成する、どんあものよりもあの子は僕のことを幸せな気持ちにさせてくれる。あの子を見ているだけで、自分の中にまで明るい色彩が芽生えたような気持ちになれる。 今ごろあの子はきっと、あの子に優しくない彼氏の家に遊びに行っているんだろう。もしかしたら、泊まりかもしれない。朝の件で少し喧嘩して、優しいあの子は彼氏を許して、二人ですてきな晩ごはんを食べて、ひとつのベッドで寝るんだろう。吐息が頬を撫でる距離で、その日あったことを話したりするだろう。あの子は僕のことを話したりするんだろうか。彼氏は少しくらい焼きもちを妬くだろうか。話すことがなくなったら、きっと二人はキスをして、それから。それから…… 僕はそれ以上考えるのをやめて、風呂に入ることにした。食欲はすっかりなくなっていた。
大雨が降った日の翌日、僕は朝から大学にいた。一日中必死に授業を受けて、図書館で資料を漁っているうちにすっかり日が暮れていた。夜ごはんをどうするか悩んで、とりあえず学食まで向かったところで友人に出会った。 「相変わらず顔色悪いね」と友人は顔をしかめた。「ちゃんと食べてる?」 「これから食べようと思ってたところだよ。君こそ、相変わらず母親みたいなことを言うね」 「しょうがないでしょ、心配なんだから。せっかくだし、一緒に食べる?」 「そうだね。それなら学食でも外でも……」 時間を確かめようとスマホを見ると、一件メッセージが届いていた。あの子からだ。無意識に僕はそのメッセージを開いていた。あの子のことはいつだって最優先で、その制約は魂に刻み込まれているみたいに条件反射的に僕を行動させる力を持っていた。 あの子からの呼び出した。僕は目の前で怪訝な顔をしている友人に弁解する余裕もなく、あの子に返信した。 「どうしたの?」 「ごめん、ちょっと急用ができた。今度埋め合わせするよ」 「別にいいけど……例の子からの連絡?」 「うん、そう」 「ふーん……」 「それじゃ、行くから」 友人を置いて、僕は大学を飛び出した。
僕が向かったのは、あの子の彼氏のバイト先近くにあるダイニングバーだった。彼女は店の前でしゃがんで、膝に両手を載せて、手の甲に額をつけて丸くなっていた。ショーツが見えそうなそのポーズに一瞬ドキッとしたものの、僕は慌ててあの子に駆け寄った。 「大丈夫、まいちゃん」 僕が声をかけると、彼女はうつむいたまま左右に首を振った。 「どうしたの? 何かあった?」 ぴた、と首を振るのをやめると、彼女はゆっくりと顔を上げた。可愛らしいアーモンド形の瞳はうるうると潤んでいた。頬は涙の乾いた跡があり、鼻頭は痛々しいほど赤くなっていた。 泣いている女の子の励まし方なんて知らなかった。 「とりあえず、お店に入ろうか。何か美味しいものを食べたら、元気が出るよ」 「うん……」 か細い声を漏らして、わずかにうなずく。僕はホッとしつつ身を起こして、彼女が立ち上がるのを待った。すると彼女はしゃがんだまま、可愛らしく僕を見上げている。 「立たせて?」 さっきまで泣いていたからなのか、やたらに庇護欲を誘う甘い声だった。どきどきしてしまう自分を胸中で諫めながら、おそるおそる彼女の手を握る。華奢で、少しでも力の籠め方を間違えば折れてしまいそうだった。緊張しながら引っ張り上げると、彼女はふわりと天使が舞い降りるような軽やかさで立ち上がった。 「ありがと」 泣いた余韻が残る痛々しい笑顔ですら、彼女は世界一可愛かった。
「彼くんから3日もラインの返信が来ないの」と彼女は言った。 「忙しいんだよ、きっと」 「そんなことない。だってインスタは見てるっぽいもん。他の子の投稿にいいねしてたもん」 彼女は「ほら」と言って、インスタの画面を見せてきた。彼氏のアカウントらしきものが表示されていて、「いいね」ボタンを押した履歴が一覧になっていた。最新のものは1時間前だった。 「不安になったから、バイト先に行ったの。今日、シフト入ってるって分かったから。そしたら、レジのとこで女の人と楽しそうに喋ってるのが見えて……バイト先の先輩の話、最近よくするなって思ってたけど、美人な人だからだったんだ……まいよりあの人の方がよくなっちゃったんだぁ……」 彼女の瞳がまたうるうるしだす。店内の抑え目な照明の光が彼女の大きな瞳に反射して、キラキラと光っている。彼女の弱さを目の当たりにして、僕の中に様々な感情が生まれていた。彼女の弱さを受け止めたい、という願望や彼女の弱さを受け入れることができるのは僕だけだという自負、彼女への愛、彼女への同情、彼女への庇護欲。感情の激しい奔流を必死で抑えようとする。うかつに口を開けば、どんな言葉が飛び出るのか予想がつかなかった。 「……とりあえず、飲み物追加で頼もうか」 僕は言って、ドリンクメニューを開く。彼女は頷き、ごく自然なそぶりでアルコール類のページからキールを指差した。店員さんを呼びつつも、心配になって彼女に尋ねる。 「強そうだけど大丈夫?」 「いいの。今日は酔いたい気分だから」 安っぽいドラマみたいなセリフも、彼女の口からこぼれると自分でも信じられないくらいドキドキさせられる。邪な期待を抱くつもりはないのに、今までずっと、ただ純粋に彼女のことを好きでいたのに、さっきから鼓動が早くなったままだ。あらゆる感情に思考がかき乱され、頭がずきずきと痛む。 うやうやしく運ばれてきた淡いピンク色のカクテルを、彼女はどこかうっとりした瞳で見つめる。その色っぽさは初めて見るもので、僕は落ち着かない気持ちになった。今日の彼女は、いつもと違って――どこか危��げな艶めきがあった。 「写真、撮ってくれる?」 彼女は言って、僕にスマホを差し出してきた。僕は頷いてそれを受け取り、なるべく彼女が綺麗に写るようにと必死になって構えた。 グラスを口元近くに持って、小首をかしげる彼女はスマホのカメラでは表現しきれないくらい可愛らしかった。僕が撮った写真を彼女が確認し、2、3回撮り直しが行われた。僕の注文したジンジャエールのグラスをどうにか画面の端に映りこませると、彼女は満足げにその写真をアプリで加工しはじめた。 「加工しなくても可愛いのに」と思わず言うと、彼女は楽し気に笑った。 「ありがと。優しいんだね」 彼女はいつもの調子で明るく言ったつもりだったのかもしれないけれど、ずっと見てきた僕には分かった。その声には、少しだけ寂し気な響きがあった。彼氏が他の女に目移りしているという可能性は、彼女にとって想像以上に重たい事実のようだった。 「君だったら、まいの連絡無視したり、他の女の人と楽しそうにしてまいを不安にさせたりしないんだろうな」 甘い香りのするカクテルをひと口飲んだ後、彼女が言った。 「もし君と付き合ったとしたらどんな風なのかなって、たまに考えるの。きっと君だったら、彼女のこと大切にするんだろうな。君と付き合った方が、まいは幸せなのかもって」 「あ……そ、そう、なんだ」 「ねえ。もし、まいと付き合うことになったら……大切にしてくれる?」 彼女がどういう考えで僕にこんな質問をしてきたのかわからなかった。 「もちろん、大切にするよ」 緊張にかすれた声で、僕は返した。慎重に声を出さなければ、今にも店内中に響く声で言ってしまいそうだった。『僕は君のことが大好きなんだ』なんてことを。 「ふふ、断言しちゃうんだ?」 彼女はからかうように言った。自分が前のめりになっていたことに気付いて、必死さを自覚して僕も笑った。 「優しくされたら、まい、すぐ勘違いしちゃうんだよ」彼女は微笑みながらそう言って、ささやくように付け足した。「……ねえ、今好きな人いるの?」 「いないけど……」 それ以外になんて答えればいいのかわからなかった。彼女には彼氏がいるのに。 「そうなの? すっごく意外」 彼女は心から驚いた様子で、無邪気に目をぱちくりさせる。その無垢さにどうしようもなく胸がかき乱されて、もう気持ちが抑えられなくなった。 「僕は、だって、まいちゃんが好きだから」 口に出すと、鼻の奥がツンと痛んだ。 「え……?」 「ずっとまいちゃんのことだけが好きだったから。他の子なんて、考えられなくて。だから、彼女なんていないよ」 僕の言葉に、彼女は目をしばたたかせた。冗談なのか本気なのかを見極めようとしているかのような、どこか冷静な雰囲気すら感じられた。僕の方はといえば、言うつもりのなかった思いを吐露してしまったことに自分自身でも戸惑って、心臓がバクバクと激しく鳴っていた。僕たちの沈黙を埋めるかのように、周囲では楽し気な会話が交わされていた。それはどこか遠い出来事のように、ぼんやりとくぐもって聞こえた。 「……そっか」 彼女は小さくつぶやくと、テーブルの上で硬く握りしめられた僕の手にそっと手を添えた。柔らかくて少し冷たい、華奢な手だ。 「ありがとう、こんなまいのこと、好きって言ってくれて」 「お礼を言われるようなことじゃ……僕が勝手に、好きでいただけで」 「ううん、嬉しい。君みたいに優しい人と付き合える人は幸せだろうなぁって思ってたの」 どこまでも優しい声だった。 「君を好きになれたら、きっと毎日楽しいよね」 彼女は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。重ねた手を見つめていたかと思うと、不意に僕の顔を覗き込む。 「ずっとずっと、まいのこと大切にしてくれる? 他の子に目移りして、不安にさせたりしない?」 一語一語区切るように、まるで催眠術にかけるかのように、静かに彼女が言う。 「大切にするよ。だって僕はずっと、君が好きだったんだから」 「ふふ、嬉しい」 目を細めて、優しく微笑んだ彼女は、僕を見つめたまま小さな声で言った。 「ねえ……今夜は、ずっと一緒にいたいな」
夢のようだった。 ふわふわとした気持ちで支払いを済ませて店を出ると、彼女がそっと寄り添ってくる。僕の腕に体をもたせ掛け、ゆっくりと歩きながら、少しずつ人通りの少ない通りへと向かっていく。大学のカースト上位、よくモテる人たちが時々話題にしている通り。どちらからともなくその通りへと入って行く。ひと際おしゃれで、心理的なハードルが低そうな店構えのラブホテルの前でお互いの歩みは遅くなり、そして止まった。 問いかけるような瞳で見つめてくる彼女に頷きを返して、自動ドアの前に立つ。フロントは甘ったるい香りが充満していた。彼女が最後に注文したカクテルのように、薄ピンク色を予感させる甘さの香り。嗅いでいるだけで意識が遠のきそうで、くらくらした。 夢うつつで、自分がどうしたかもわからないまま提示された通りの部屋代を払い、エレベーターに乗って、そしてとうとう、彼女と二人きりの空間に足を踏み入れる。初めてのことだった。いつも大学の教室や、中庭や、大学外で会うとしたらカフェや映画館で、他人の目は常にあった。それなのに、今は、世界の誰にも僕たちのやり取りを知られない、ラブホテルの一室に、二人きりでいる。 「こんなこと……他の人にはしないよ?」 入り口に呆然と立つ僕から少し離れて、彼女が恥ずかしそうに言う。「いつもまいに尽くしてくれて、優しくて、好きって言ってくれる君だから……」 「分かってるよ」 僕は言って、震える手を彼女の肩に添えた。彼女は僕を見上げて、長いまつ毛に縁どられた綺麗な瞳をまっすぐに向けてくる。たまらなくなって、思わずぎゅっと彼女を抱きしめた。 「きゃっ」 小さい声をあげて彼女がよろめく。そのままベッドへ倒れ込んでしまった。二人分の体重が一気にかかって、ベッドはギシ、と生々しい音を立てた。 「まいちゃん……」 ベッドに倒れ込んだ体勢のまま、彼女を見つめているうちに、たまらなくなってくる。彼女の服の裾に手を伸ばそうとすると、手の甲をつねられた。 「だめだよ」 「あ……ご、ごめん」 勝手に盛り上がってしまった自分が恥ずかしくなって、身体を離そうとする。けれど彼女は、逆にいっそう身体を近づけてきた。 「……もう一回、ちゃんと言って? まいのこと……好き?」 「うん、好きだよ。ずっと好きだった」 「ふふ……ありがと」 彼女は僕の手を自分の胸元へと添えさせた。 「嬉しくて、ドキドキしてる」 至近距離でも、彼女の瞳はどこまでも澄んでいて、綺麗だった。 それは本当に、本当に――夢のような時間だった。 あの電話がかかってくるまでは。
二時間ほど経ったころ、彼女のスマホが鳴った。最初はメッセージが届いたような、短い音。それが数回続いた後、電話に変わった。添い寝の状態で休んでいたから、その音はやたらと耳についた。 「出るね」 起き上がった彼女が、スマホを耳に当てる。 「もしもし? うん……うん……」 彼女の声は、今日聞いたどんな声よりも甘えて聞こえた。僕は嫌な予感がした。洩れ聞こえてくる電話口の声はまぎれもない男の声だった。彼女の様子から見て、その相手が誰かは想像に難くない。まず間違いなく、彼女を翻弄して傷つけた、例の彼氏だった。 「インスタ? うん、今日撮った写真……別に、友達……なんで? そっちこそ、バイト先の人と……うん……ただの先輩? そんなこと、信じられないよ」 諫めるような言葉を並べ立てているにも関わらず、彼女の声はどこか子供が構ってほしくて拗ねたふりをしているような、甘えが混じっている。さっきまで感じていた幸福感や、充足感はとうに消え去っていた。今はただ、胃のあたりがキリキリと痛んでいる。 「本当に、まいだけ? もっかい言って……うん……うん、まいも、直接会いたい」 彼女は電話を切ると、息つく暇もなくベッドを降りた。 「どこに行くの?」 「彼くんのとこ。まいが一番大好きって、謝ってくれたの」 「えっ? でも……」 いそいそと服を着る彼女の姿が、どこか遠く感じられた。現実味がなかった。この部屋に入ってからずっと夢見心地ではあったけれど……今は悪夢を見ているような気分だ。 「好きって言ったよね、僕。だから君も……」 「うん。好きになってくれてありがとうって、お礼を言ったよね」 僕の戸惑いを封じ込めるように、妙に事務的で強い口調で、彼女が言った。 「嬉しい。まいも、友達として君の優しさが嬉しいの。まいたち、きっと、ずっとすてきなお友達でいられるよね」 「……友達?」 「これからも、優しい君でいてね」 彼女は身支度を終え、ひらりと部屋を飛び出して行った。 僕は呆然としたまま、ベッドに取り残される。それ以外にできることなど、何もなかった。
――現実味に欠けたその一夜を超え、数日後。 僕は友達と、駅前にあるチェーン店の居酒屋で晩ごはんを食べていた。 「何それ。結局遊ばれたってこと?」 かいつまんで事情を話し、相談した僕を心底呆れた表情で見つつ、友達は深いため息をついた。 「遊ぶって……あの子はそんな子じゃないよ。ただ、あの日はほら、きっと混乱してて……」 「人がいいにもほどがあるよ。分かりなよ。二人で食事してるっぽい匂わせ写真投稿して彼氏の嫉妬煽って、彼氏が浮気してるかもって疑惑だけで仕返し決意したあげく、手ごろなあんたを利用したんだよ。そういう子なんだよ、あんた絶対騙されてるって」 いつも苦笑しつつも僕の恋愛相談を聞いてくれる友達なのに、今日はやたら厳しかった。特に彼女に対しての言葉が辛らつだ。 「そんなこと……ないって。女の子が、そんな理由で……彼氏の嫉妬を煽りたいだけで、他の男とデートしたりするわけないだろ」 全部を知らないからそんなことが言えるんだ。あの子と直接話せば、どんなにいい子かすぐに分かるのに。 「……あんたはほんとに、お人よしすぎなの。気を付けてないと、絶対また騙されるよ」 友達は深い深いため息をついた。その表情はひどく悲し気で、本当に僕を心配してくれていることが分かった。 「ありがとう。でも、あの子はいい子だから」 それだけしか返せない僕に、友達はますます悲し気に表情を曇らせた。
友達と別れ、アパートの自分の部屋に帰ると、また閉塞感が僕を襲った。 あの子に対するあらゆる感情を閉じ込めておくには、この部屋は薄暗く、色あせて、窮屈すぎる。みじめさに吐き気がした。 疲労感から倒れ込むように床へ寝転がり、言いようのない倦怠感を覚えつつスマホをいじる。さきほどまで一緒だった友達から一件、心配してくれているメッセージが届いているほかは何も連絡がきていなかった。惰性でインスタを開き、あの子のアカウントを見る。最新の投稿は2分前だった。すごい偶然だ。 『彼氏とペアリング選んできた! 試着した時二人でこっそり写真撮っちゃった』 そんなキャプションが付いた写真には、男らしいごつごつした手と指を絡め合っている、幸せそうな笑顔のあの子が映っていた。
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ドストエフスキーの『白夜』があまりにも色褪せなさすぎて感動したので 思わず書きたくなった話です。
>写真をお借りしています。
Bernadette WurzingerによるPixabayからの画像
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