#三原舞依選手お誕生日
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FAITHにおける「神はなぜエイミーを助けなかったのか」という神学的問題に対する回答試案
以下は、キリスト教徒でもなければ、神学をちゃんとかじったこともない素人が本問題を考えるための材料を記した覚書である。
※この覚書はどのような事実も保証しない
※全Note、全endingネタバレ注意
結論
エイミーの救済は、弱く罪を抱える人の子がそれでも人を救えるのかという神の試練である。
事件の概要
(ゲーム開始前)
マーティン夫人が双子を流産により失う
マーティン夫人が双子が生存しているように振る舞うなど、精神不安定状態となる
夫人は治療で一時回復に向かうが再度悪化。
マーティン氏が送った怪しげな人形に触発されて(?)マーティン夫人が双子の依代を作り始める
Chapter3 Note44 ボブへ 君が昔からの友人でなければ、こんな風に患者の秘密を破るようなことはしない。私はこの状況を本当に憂いているんだ。 ナンシーの妄想は、初めの頃よりもずっとひどくなっている。私は彼女に徐々に現実を示すよう注意深く接してきた。君は、彼女がまだあの二人のことを話したり偽のお誕生日会を開いたり、その他諸々についてもとても忍耐強く対応していた。彼女が流産したこと、そして双子が亡くなったことを受け入れたとき、私たちは前進しているのだと思った。 けれど彼女は今、双子が自分とコンタクトを取ろうとし、双子の魂が宿る "代用品 "を見つけられると確信しているようなんだ。 聞き覚えはないか?ニカラグアの村で見つけた家を覚えているか?君が彼女に話したのか?なぜ君がそんなことをするのかわからないが、そうでなければなぜそんな話が出るのか、他に理由が思い当たらない。 できるだけ早く私のオフィスに来てくれ。次にどうすべきか、話し合う必要がある。
エイミーが婦人科クリニック(ゲイリー率いる教団が運営)でボランティアを始める。教団がエイミーと接触を図る
エイミーに悪魔が憑く
1986年9月21日
エクソシスト2名(オルレッド神父とジョン)がエイミーの悪魔祓いを試みる
悪魔に敗北し、オルレッド神父が死亡
エイミーが両親2名を殺害
ジョンはエイミーに対して��独で悪魔祓いを行おうとするが失敗。悪魔に圧倒され、恐怖に負けて逃走しようとする
ジョンに対して、白い謎の存在がエイミーはどうするのか問う
ジョンは逃走を希望する
白い謎の存在は、エイミーの運命をジョンの記憶に封印することを条件に、ジョンをマーティン家から逃がす
ジョン:これは、私の身には余ります。私は怖ろしいのです。どうかこの場所から逃してください。 ??:少女はどうする? ジョン:私はただ帰りたいのです。 ??:汝を安全な場所まで導けば…彼女の運命は汝の頭に封されるだろう。 ジョン:お望みならなんでもします。どうか、ここから連れ出してください。 ??:誓いなさい。 ジョン:誓います。
事件後、ジョン及びエイミーは精神病院に収容される
1986年10月23日
ジョンは悪魔祓いを間違いだったと認め、信仰を捨てることで退院を認められる
この時点で、正式な聖職者としての地位は辞している���も?
(神父を辞したのち、ジョンはモリーと暮らしはじめる)
Chapter1 Note20 1986年10月23日 マクグラーシャン先生へ ここエール精神医学研究所で私の治療が始まってから、30日が経とうとしています。スピネル先生は私に辛抱強く寄り添い、私の苦悩を理解し、私が真実を受け入れて前に進む方法を見つけるのを助けてくださいました。 スピネル先生の助けを借り、私は実際にマーティン家で起こった9月の出来事について受け入れられるようになりました。これは超自然現象の結果ではなく、独断的な両親と前時代的な教会による悪魔祓いといわれる儀式によって、暴力的にならざるをえなかった少女の必死な抵抗であったと受け止めています。 嬉しいことに、真実を受け入れてから、悪夢は止み、事件以来感じたことのない心の平穏を享受しています。こちらに来てからの私の経過を考慮いただいたうえ、今後のスピネル先生の経過観察を条件に、エール精神医学研究所からの退院を謹んでお願いいたします。
1987年9月
エイミーが精神病院から脱走?
カルト教団が儀式を行い、エイミーの顔を削り、器とする
ジョンが悪夢を見る
Chapter1 Note18(抜粋) モリーへ 私はあの家へ戻らなければならない。私の見ている悪夢は現実だ。エイミーはまだあそこにいて、私を待っている。まだ彼女を助けられる。
Chapter1
1987年9月21日
ジョンはマーティン家へと戻り、器となったエイミーと邂逅
ジョンは悪魔を祓いきれず、エイミーは脱走
ジョンは銃を手に取るが、エイミーに手をくださないまま、家へ帰る
chapter2
ジョンが悪夢を見る
悪夢から目覚めると、ガルシア神父の手紙が届いている
(モリーは家を去っている)
chapter3
1987年10月28-30日
ガルシア神父の手紙に従って、カルト教団の目論見を阻止するためクリニック・アパート・保育園を探索する
1987年10月31日(冒涜の安息日)
(Neutral ED)
ジョンはカルト教団の本拠地で、白い謎の存在に誓ったことを思い出す
ゲイリーを退け、カルト教団の目論む冒涜の安息日を阻止する
エイミーの悪夢を見続ける
ジョン:神父さま、去年初めてエイミーと会った時に……悪魔を見たのです。悪魔は私を惑わしました。これからずっと、私はエイミーから解放されることはないでしょう。
(Good ED)
ジョンはカルト教団の本拠地で、白い謎の存在に誓ったことを思い出す
封印を解き、カルト教団の最奥「坩堝」の中でミリアムとゲイリーとマルファスの穢れた三位一体と対戦
撃破後、エイミーに出会い、悪魔祓いを終える
(Bad ED)
ジョンはなにもしない
自宅にいたエイミーに取り憑く悪魔に呑み込まれ、天罰「Damnatio Memoriae」(記憶の抹消)が下される
前提
人間には善を為すor悪を為すことを決める自由意志がある。これを尊重し、原則、人の子の問題は人の手により解決すべきである。
ただし、神の恩寵を実現させるため、自由意志を助ける形で神は介入を行う場合がある。(傾かせるが強いない)
この項における「救い」とは魂が悪魔から解放されることを指す。
(白い謎の存在の補足)
白い謎の存在をジョンの空想上のイメージと見なした場合でも、ジョン自身がイメージとの対話により意志を持つに至った結果を重視し、以下の推論を妨げないとする。
白い謎の存在が天使か悪魔かは、作中で明言されないのでここでは問わない。開発者のAirdorf氏は「コリント信徒への手紙二11章14節」を引き、あの存在は悪魔が天使を装ったものと示している。
コリントの信徒への手紙二/ 11章 14節 しかし、驚くには及びません。サタンでさえ光の天使を装うのです。 「旧約聖書」日本聖書教会 聖書教会共同訳より
推論の過程
マーティン家の状況は、オルレッド神父とジョンが来た時点ですでに破綻状態にある。神父たちがエクソシストとしてできることは、エイミーに憑いた悪魔を祓うことだけだ。けれど、悪魔祓いは失敗する。
オルレッド神父が死亡したのち、エイミーが救われるか否かはジョンの手に委ねられる。ジョンにとってははじめての悪魔祓いであり、ジョンは悪魔にたやすく圧倒され、恐怖にのまれてしまい、人智を超えた存在となってしまったエイミーから逃がれたい一心で助けを求める。
ここから、なぞの白い存在との対話が始まる。
白い存在にこのまま逃げたらエイミーはどうなるのか、暗に見殺しにするのかと問われたとき、ジョンはそれでも恐怖から逃げることを選択する。
この選択により、エイミーが現世で救われないこと、悪魔の器となる運命は確定する。人間だけでは悪魔の目論見を防ぐことができなかったことも。悪魔から逃げることを選択し、エイミーが悪魔の器となる運命を最終的に決定した人間はジョンである。
救うべき者を見捨てた罪の代償は「エイミーの運命をジョンの頭に封じる」ことだ。それはジョンにとって誓いであり、呪いでもある。
白い謎の存在:汝を安全な場所まで導けば…彼女の運命は汝の頭に封されるだろう。
頭に封印された記憶は悪夢��なり、1年後にジョンは再びマーティン家へと赴く。信仰を捨ててあたたかなはずの愛を得たにも関わらず、ジョンはそれらを捨てて、あの家へ戻らなければならない。
誓いを果たすため、または呪いを解くために。自らが犯した罪、助けなければならなかった無垢な子どもを見捨てた罪へと向き合い、今度こそ悪魔を祓うために。悪魔の器となってしまったエイミーから悪魔を祓い救うことができるのは、そうなる道を選択してしまったジョンしかいない。
エイミーを救うことは彼個人の願いであるとともに、神の意思でもある。悪魔を祓う力を持つ十字架は、ジョンの願いを助け、神の意思を示す。エイミーを救うという神の意思を達成するか否かは、良き神の子たるジョンの行いにかかっている。
それは、救うべき者を救わなかった罪深き者が、なお人を救えるのかという神の試練である。
悪魔の器となったとしても、誰の手にも及ばない存在になったとしても、エイミーはまだ救われる可能性がある。ジョンが歩み続ける限りは。
(おまけ)神に頼らない世俗的な救済について
ついでに、神の助けを借りずとももっと早く助けられなかったのかなあと考えてみる。
世俗的な救済は一般人が対応するため、家庭が破綻に至る前の早期対応が重要だと思われる。
具体的には、親戚・近隣・公的団体等による早期のエイミー母への共感的なメンタルケアやグリーフケア、エイミーの状況把握及び学校への登校支援、適切なコミュニティ(信頼できるボランティア団体や普通のバイトなど)への参加誘導などが必要だったんだろう。
だけど、1980年代という時代背景や孤立化しやすい森の一軒家という環境を考慮すると、救済難易度高めでいろんな難しさを感じる……そしてエイミーが器となり死亡が確定した時点で、世俗的にできることはもうない……
器となったエイミーを救うことができるのは、結局ジョンだけ��んだろう。
あとがきと感想
神の存在を前提とする場合、残酷なこの事件をどう神学的に解釈するんだろうという個人的興味により書いてみました。
理論的に導くならこんな感じかなと思ったけど、神学者の方の解釈を聞いてみたいなあ。ちゃんと書くなら、アウグスティヌスとかの著作やそれに続く自由意志論争を読みとかなきゃいけないんで無理。結局ただの感想文に近いけれど、ふしぎ論理学っぽく色々考えられたのは楽しかったです。
もし、白い謎の存在が天使を装った悪魔なのだとしたら、作中いちども神の意思は直接示されることはなく、ほんとに十字架だけが頼りであまりに信仰ハードモード……
ヴァチカン非公認でも、神との一対一の信仰を果たすためとにかくやるんだ!という感じはアメリカのプロテスタントっぽいかもね。本作はテキサス在住のキリスト教徒(notカトリック)の方が開発してるので。
神を信じるならここまで考えてきた問いに意味があるけれど、そうでなければ、ジョンの所業は罪悪感や後悔による偏執的な思い込みにしか見えないし、半分おかしくなってるんだと思う。エイミーのことは手遅れなので、ふつうに考えたら贖罪にもならないし。そうせざるをえない心理状況に追い込まれてしまったのだとしても。
でも、本当の結論はあなたの心のなかの信仰次第です。
そして、ゲイリーはなんだったのとかそもそもなんでエイミーに悪魔が憑いたの?という話はまた次回。
※ゲーム画面、日本語翻訳は非公式日本語modを使用しました。
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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Happy birthday Mai Mihara! Wishing Mai a healthy and fruitful year. Mai's light and airy skating always makes me happy. #maimihara #figureskating #happybirthdaymaimihara 三原舞依ちゃんの軽やかなスケートはハッピーな気持ちになれて大好き❗#三原舞依 #フィギュアスケート #三原舞依選手お誕生日 https://www.instagram.com/p/CEOAxaDpxSd/?igshid=156u7isembdh9
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文科省汚職:私立大学研究ブランディング事業と裏口入学、JAXA
谷口浩司の妻です。 乳癌を患って治療中なので皆様に直接対応が出来ないことを最初にお詫び申し上げます。 病気を患うまでは仕事をしていましたが、今は自宅から出たり出られなかったり体調次第の生活です。癌の療養のため主人は職場に近くに部屋を借り、二人の時間を多く取ることを優先してくれていました。 出来る仕事は自宅でするようにしていたため、仕事のミーティングもマンションにあるラウンジで行っており、私も仕事関係のことを直接見聞きする機会が多くありました。 そのため今回の逮捕・起訴には大変驚いています。 事件の真相が知りたい、というのが私の率直な気持ちです。 そのための第一歩として自分から声をあげるためにホームページを開設しました。 お問い合わせ先:[email protected]
今日は8月15日なので不謹慎に思える写真は削除させて頂きました。 更新予告 原子誠一氏について
疑問の前提
東京医科大学臼井理事長の前に二人の人物がいます。 一人は、医師で衆議院議員。 一人は、悪徳ブローカー。 佐野太官房長には大学のために便宜を図ってもらいたい。 JAXAの川端和明氏には大学の記念講演に宇宙飛行士 を派遣してもらいたい。 あなたが臼井理事長ならどちらの人物に頼みますか? 私は事件は初めから無かったと信じています。
1.吉田統彦先生 立憲民主党衆議院議員:20180723
報道では、谷口浩司が佐野太局長と臼井理事長を事件のために紹介したとなっていますが、実際の紹介者は立憲民主党の吉田統彦代議士です。日時場所は 2014年6月24日、代官山小川軒 吉田統彦先生主催による佐野太審議官就任祝いで12人くらいの会食です。この席で佐野太氏と臼井正彦氏が初めて名刺交換しています。就任祝いの同席者には病院事業評価研究会にも名前がある千葉大学医学部附属病院長の山本修一先生がいました。 2014年8月23日、すっぽん料理田吾作 (駒場東大前) 吉田統彦先生により東京医科大学の臼井正彦理事長に谷口浩司が紹介されました。このお店は臼井先生が頻繁に通い懇意にしているお店です。 2014年10月3日、銀座寿司久寿美 吉田統彦先生の仲介により東京医科大学の臼井正彦理事長が川端和明JAXA参与に宇宙飛行士の斡旋をお願いする。谷口浩司同席。その後、皆で銀座クラブ活動へ。 以降、吉田先生による食事会が定期的にあるのに、2017年5月10日に三人だけで会って受託収賄事件を起こすというのは非常に不自然です。 2017年10月20日の衆議院選挙以降は、吉田先生主催の食事会は頻繁にあり、私立大学研究ブランディング事業採択時期とも重っています。A氏は「この事件に吉田先生の関与が無いのであれば、事件そのものが存在しない」と主張したそうですが特捜には無視されました。 その後、谷口浩司、佐野太、臼井正彦の三人の関係による事件として起訴されました。 また、谷口は羽田雄一郎先生の秘書として活動してきたにも関わらず、「悪徳ブローカー」としか報道されていません。 政治家案件だと特捜やマスコミは隠すのですか?
費用申請の仕方 (削除) 谷口浩司が事前に予算申請してから中井洽先生、羽田雄一郎先生、吉田統彦先生等の議員と飲食等の接待を行っていた記録です。 吉田統彦先生が常時連れていた官僚が川端和明氏。 産経新聞(文科汚職)飲食費負担会社、「同じ人ばかり」指摘 過剰接待認識、裏付け(8月14日) 羽田先生と吉田先生のことですか?
1- 2.吉田統彦先生 接待主催者:20180801
2015年11月5日、吉田統彦先生と戸谷一夫氏のメールです。この時は7人が会食し、内6名が銀座クラブ活動隊です。メールCCには、谷口浩司、日高正人、川端和明のメアドが入っています。下をクリックするとメールのPDFがを見ることが出来ます。特捜は7月4日にこのメールを押収しています。
先生と次官のメール
NHKは「戸谷一夫事務次官が、贈賄側が設けた飲食接待の場に同席してい��ことが、関係者への取材でわかりました」と頑なに報道をしていますが、メールを読めば吉田統彦先生が設けた飲食接待の場というのは一目瞭然です。
1-3.吉田統彦先生と臼井先生
吉田統彦先生は、東京医科大学の臼井正彦前理事長から政治献金をたくさん貰っています。団体からも個人からもです。しっかり調べて下さい。 谷口は臼井さんからお金を貰ったことはありません。 (写真は @cyokuriさんのTwitterより)
2.羽田雄一郎先生 国民民主党参議院議員:20180724
2018年6月下旬、羽田雄一郎先生、佐野太氏、谷口浩司、A氏の四人が赤坂の焼肉屋で会食し、2017年10月から続いていた特捜の捜査について佐野さんから説明を受けました。谷口への捜査は2017年10月26日から始まっています。担当は特捜の田淵検事で、最初から「佐野太」について聞きたいと言われていましたが事件については語らなかったそうです。 事情聴取後、谷口から羽田先生に報告を上げ、佐野さんにも事情説明を求めています。 2018年5月中頃、佐野さんから「松野博一前文科大臣に呼ばれ特捜の捜査が終わったと告げられました。」という報告が急にありました。 羽田先生は、「松野さんが事情を知っているなら直接話しを聞きたいので、会えるようセッティングをして下さい」と佐野さんが同席した上で説明を受けられるように求めました。 このようなやり取りが谷口の逮捕前にあったので、羽田先生は谷口が文科省汚職に関係していないことはよく知っています。
谷口浩司の名刺(20180813追加) e-mailが参議院から支給される議員本人又は秘書が使用する物なので、官僚は本物の羽田雄一郎秘書と認識します。永田町や霞が関にはブローカーが暗躍するので見分けるためのモノサシです。
2-1.羽田雄一郎事務所の台所事情(3億円の借金):20180809
Subject: 谷口浩司の妻です From: 〇〇〇@yahoo.co.jp To: [email protected] Date: 2018/7/30, Mon 22:50 須田慎一郎様 須田先生の報道は興味深く見させていただいています。 情報について様々な分析をしているので、私も非常に参考になっているところです。 「裏口入学問題で羽田雄一郎の名前が国会閉会まで出なかったのは変。谷口容疑者は羽田の政策顧問。谷口氏のような人が出入りするので先代からの秘書も辞めた。また谷口氏は特別通行証がないと入れない国会で目撃され、貸したのは羽田事務所」 さて、羽田事務所の秘書が辞めた件について、正しい情報を送りたいと思い連絡しました。 佐藤清人さんの退職について 使途不明の借金を繰り返 し、返せなくなり行方不明になりました。 半年後くらいに自宅に隠れているところを発見されています。 借金額は、民主党顧問弁護士を入れて調査したところ約3億円あり、全て羽田雄一郎が肩代わりしています。 この問題を最初に厳しく追及したのが谷口で、顧問弁護士との折衝も谷口がやりました。 証拠となる佐藤の借用書(名刺に自著)を添付します。 中段の名刺に名前のある則竹功雄氏が、最後の方での一番の被害者です。 名古屋食糧という会社の社長で、谷口に佐藤の借金についても繰り返し相談していました。 証言を取りたい場合は、則竹功雄氏が一番よいでしょう。 谷口名義でも500万円貸しており、借用書を私が所持しています。 最後に 誤解なきよう書いておきます。 谷口は羽田先生の側近中の側近であり、民主党分裂後の神津連合会長との会席には必ず谷口が同行しています。 相互の連絡窓口は、谷口の携帯番号と神津会長秘書携帯番号でした。 この携帯は押収されずに保持していますので、連絡記録はいつでも立証できます。 谷口〇〇
Subject: RE: 谷口浩司の妻です From: Etsuko Suda ([email protected]) To: 〇〇〇@yahoo.co.jp; Date: 2018/8/2, Thu 10:37 谷口〇〇 様 須田慎一郎です。 このたびは、非常に丁寧なメールを頂戴いたしまして、 誠にありがとうございます。 メールでのご指摘、ご説明につきましては、私も全く 知らなかったことなので、とても参考になりました。 しかし、そうなってくると謎なのは、なぜ特捜部は谷口氏 を〝政界ブローカー″に仕立て上げようとしているのか、 その狙いは何なのか、です。今後は、そのあたりのことに ついても、取材を進めていこうと思っています。 さて、そこでお願いなのですが、今後何らかの形で情報提供、 あるいは取材対応をしていただくと私としましても、非常に ありがたいです。(直接お会いする形でも、メールを通じて でも) 一度、ご検討いただけないでしょうか。 末尾になりましたが、奥様もいろいろと大変な状況に置かれ ていることと思いますが、くれぐれも御身を大切にして下さい ませ。 心より、病気快癒を祈っております。 須田慎一郎 〒110-0016 東京都台東区台東1-2-1-3705 須田慎一郎事務所 TEL 03(6662)8940 FAX 03(6662)8941
2-2.羽田雄一郎先生の出口戦略:20180811
羽田雄一郎先生が個人的に肩代わりした3億円の借金を返すために谷口浩司に下された命令が、一般社団法人スポーツコンプライアンス教育振興機構の設立と、一般社団法人病院事業評価機構(仮称)の設立です。 そのため文科省の官僚も厚労省の官僚も非常に協力的にフォローをしてくれたとのことです。 もし、谷口が多くの官僚との会食��交渉等で逮捕されるのであれば、これら一般社団法人との関連性や政治家の関与、役割も含めて捜査する必要があるでしょう。 これだけ次官クラス、局長クラスが登場して「政治家が何も知らない」ということがあるのでしょうか? スポーツコンプライアンス教育振興機構や病院事業評価機構等の一般社団法人を作り、どのように3億円を返していくつもりであったのかは私では知ることが出来ません。 谷口にもそのロードマップや出口戦略は分からないでしょう。 羽田雄一郎先生には多くのスポンサー企業がいるため、集金システムさえ作れば良かったのかもしれませんが、佐藤清人秘書が借金したという3億円がどこに消えてしまったのかも分からないので、深い事情は分からないのです。 少なくとも私立大学研究ブランディング事業への便宜供与や宇宙飛行士の斡旋程度では、文科省の事務次官や厚労省の事務次官が谷口と会う理由は無いと思います。 佐野太さんや川端和明さんでは「トカゲのしっぽ」にもならないのでは?と思ってしまいます。
羽田雄一郎理事、馳浩理事(元文科大臣)、川端和明文科省国際統括、髙橋道和スポーツ庁次長が出席した一般社団法人スポーツコンプライアンス教育振興機構の設立パーティーです。 打ち合わせの会食には文科省戸谷次官が出席してます。 病院事業評価研究会は、主催羽田雄一郎(元国交大臣)、田村憲久(元厚労大臣)、オブザーバー参加厚労省武田俊彦医政局長、文科省義本博司高等教育局長。 打ち合わせの会食には厚労省蒲原次官が出席しています。
4. 5月10日の録音データ:20180726
5月10日録音データは、谷口浩司が記録や議事録のために仕事中はずっと録音していたものです。 谷口は拘留期間中に録音を何度も聞かされ、間違いなく自分が録音したものであることを確認していたと弁護士から聞きました。 この録音データは検察に任意提出されたと弁護士から聞きましたが、提出者は谷口の実兄又は実兄が勤めるアイシン共聴開発株式会社だと私は考えています。 また、この録音データを谷口元に渡したのは私です。 谷口浩司の録音データは私が毎回チェックをして、チェックの終わったデータから谷口元に渡していました。私の体調が悪化した時には谷口が直接実兄に渡していたこともあります。 そのため、全てのデータ管理は谷口元がしています。 谷口は、「なぜこの録音で逮捕されるのか分からない」と弁護士に伝えていました。 録音データが何者かによってアップされたとニュースでやっていましたが、この録音データを持っているのは、私が知っている限り実兄の谷口元(はじめ)、アイシン共聴開発株式会社、東京特捜の3者だけです。 真実を知る人 谷口元(はじめ)連絡先 埼玉県さいたま市西区三橋6-123-12 048-620-5966 090-5429-7477 TBSへの質問(20180804) 「どうして音声があるんだろ?しかもTBSに流れるってなんで?」 文科省汚職密談音声を入手 TBS| 2018/7/26(木) についてのブロガーの疑問です。 7月26日未明に録音データが何者かにアップされ、同日昼前のTBS番組S「ひるおび!」ではもう音声が���されていました。音声を流したTBSは、どうやってこの音声が本物だと短時間で確認出来たのですか? 音声データが本物であると短時間で確認出来た理由を教えて下さい。
5.アイシン共聴開発株式会社 日高正人社長:20180726
NHK報道で、「前局長は、谷口元役員と家族ぐるみのつきあいがあり、飲食の接待のほか、ゴルフバッグの提供を受けたこともあったということです。」とありましたが、飲食費の接待等がもし本当にあったとしたら、支払いは全てアイシン共聴開発株式会社によるものです。 私たちのマンションもアイシン共聴で契約しました。社長の日高正人氏も同じマンションに住んでいました。 アイシン共聴での役割分担は、顧問の谷口浩司が新規事業開発を担当、実務担当として実兄の谷口元が専務取締役に就任しました。 ゴルフバックは、日高正人社長が佐野太氏に誕生日プレゼントとして贈ったものです。 日高正人社長と安河内朗氏・アイシン共聴顧問は、ともに一般社団法人スポーツコンプライアンス教育振興機構の社員を兼ねてます。この団体は、NHKが不正疑惑の舞台として取材している団体ですが、馳浩元文科大臣のブログ(2016年6月27日)にあるように、羽田事務所の谷口として大臣室に行っており、全て適正な手続きにより設立した団体です。
川端和明さんが逮捕された事件でも、やはり全ての飲食接待の費用はアイシン共聴で支払われており、多くの���合、日高正人社長が同行をしていたからです。日高正人社長と川端さんだけで出かけることも多くありました。 アイシン共聴開発株式会社HP ※アイシン共聴開発株式会社はNHKアイテックから資本と役員が入っているNHK関連企業。
6.原子誠一と渡辺克也 総務省総務審議官:20180727
アイシン共聴の顧問には、原子誠一氏という方がいます。原子誠一氏は渡辺博道衆議院議員の秘書もしています。原子さんの顧問料は月額50万円で、原子さんの連れてきた有園さんという女性の方も50万円もらっているので、原子さんには合計月額100万円が渡されています。 原子誠一氏は、2011年6月にソフトウエア興行の脱税事件で特捜に逮捕されたことがあり、それ以来、特捜への情報提供者として太いラインがあると自慢をしていました。 原子誠一氏は、総務省総務審議官の渡辺克也氏と懇意にしています。そのため谷口も渡辺克也審議官とご一緒する機会が多々あり、その記録はこの章末尾に付けてあります。渡辺さんに頼まれて、2017年4月12日御酒塾にて羽田先生との会食をセッティングしています。 原子誠一さんは渡辺審議官にDOCOMOを紹介してもらい、DOCOMOからの紹介で株式会社ミライト、株式会社協和エクシオ、日本コムシス株式会社に営業に行っていました。この内数社とアイシン共聴開発株式会社は契約しています。(特捜に情報提供済)
2017年3月10日 新橋 酒処里味 渡辺克也 + 谷口浩司 = 逮捕されない
新橋 酒処里味 川端和明 + 谷口浩司 = 逮捕
新橋 酒処里味 義本博司高等教育局長
谷口浩司と渡辺克也・総務省総務審議官の会食記録(2017年) 2月17日 18:30~23:30 四谷 御酒塾 3月10日 18:30~23:30 新橋 酒処 里味 4月12日 19:00~23:00 四谷 御酒塾(羽田雄一郎参加) 5月22日 18:30~23:30 四谷 御酒塾 7月18日 19:00~23:00 新橋 酒処 里味 8月10日 18:30~23:30 四谷 御酒塾 10月23日 19:00~23:00 四谷 御酒塾 谷口浩司と渡辺克也・総務省総務審議官の面談記録(2017年) 1月19日 11:00 総務省電波部長室 2月14日 14:00 総務省電波部長室 3月 2日 15:00 総務省電波部長室 5月25日 11:00 総務省電波部長室 7月 7日 15:00 総務省総合通信基盤局長室 8月 1日 11:00 総務省総合通信基盤局長室 10月 4日 11:00 総務省総合通信基盤局長室 10月18日 10:30 総務省総合通信基盤局長室
7.一番、家族ぐるみで付き合った官僚:20180728
2016年~2017年に一番仲良く付き合っていた官僚は経済産業省の伊藤政道氏と「伊藤きわ」さん夫妻です。 家族での会食回数は2年間で100回を越えており、金額も140万円を越えています。毎週のようにマンションのラウンジで食事をしたので証拠はヒルズに残っています。赤ちゃん出産時に20万円くらいのベビーカー等もプレゼントしています。写真はバースデーをラウンジで祝った時のものです。 伊藤政道夫人「伊藤きわ」さんへのエステ接待(20180811更新) 2017年1月16日0時41分出産、2月から体形を戻すためにエステ接待を求められる。 場所:ヒルズスパ 料金:一回2万円強(消費税別) 2017年3月1日 12:00より 2017年3月11日 13:00より 2017年3月18日 16:00より 2017年3月25日 18:00より 2017年4月8日 16:30より 2017年4月23日 16:30より 2017年5月7日 16:45より 2017年5月20日 16:30より 2017年5月28日 16:45より 2017年6月3日 16:30より 2017年6月11日 16:30より 2017年7月9日 11:30より 2017年8月18日 11:00より 2017年9月16日 11:30より 記録に残っているのはこれだけです。正確な数字はヒルズスパに「きわ」さんのカルテがありますので特捜で調べて、伊藤政道氏に何らかの利益供与を求めていないか調べて下さい。 マッサージの日には夫婦で食事していたので飲食費も正確に調べられます。 費用を出していたのはヒルズに住んでいた日高正人社長です。日高正人社長の妻も一緒のエステによく行っていました。
伊藤政道氏の妻「伊藤きわ」さんが原子誠一さんの紹介者です。 伊藤きわ(旧姓熊谷)さんは、野田佳彦元総理の秘書をしていました。野田佳彦氏に大樹総研の矢島義也会長を紹介したのも、きわ女史だと本人から聞きました。20年くらい前に矢島さんと付き合っていた時があったと言ってましたが真偽の程は分かりません。 原子誠一さんとソフトウエア興行のことも良く知っており、原子さんは特捜による逮捕・拘留中に完全に証言を拒んだので、野田佳彦は原子さんのおかげで総理になることが出来たと、原子さんのことをとても自慢していました。 真実を知る人 原子誠一衆議院議員秘書連絡先 東京都国分寺市新町二丁目17番12 090-2460-0012 原子誠一さんが特捜へ最初に録音データを提供した人だと谷口は考えています。多分、2017年9月か10月のことだと予想しています。原子さんが不正入手したデータなので特捜は公表出来ません。 谷口によると原子誠一氏に一方的に敵対されいたようです。 敵対していた理由は原子誠一がスポーツコンプライアンス教育振興機構を乗っ取るためです。 谷口はスポーツコンプライアンス教育振興機構から解任されていますが、解任時の総会では原子誠一、日高正人、安河内朗が解任決議に賛成しています。(議決議事録を後日アップします)
8.読売新聞:20180729
読売の社説(7月27日)には「佐野被告も、谷口被告から接待を受けていた。特捜部には、癒着の全���解明を求めたい。文科省も、科学技術行政などに影響がなかったか、調査を尽くすべきだ」とありました。
読売新聞は写真を見て「佐野被告も、読売新聞から接待を受けていた。特捜部には、癒着の全容解明を求めたい。読売新聞も、取材や報道に影響がなかったか、調査を尽くすべきだ」と自社のことを書けるのでしょうか。
谷口撮影(2017年11月9日) 翌日の読売新聞の答えは、薩川碧さんを自社サイトから消すことでした。
2017年11月9日。私立大学研究ブランディング事業採択日2日後です。カウンター中央に録音機が置いてあるので不正を疑った取材活動かもしれません。
9.日高正人社長の重要性:20180730
川端さんが逮捕された26日夜「5.お金を出したのはアイシン共聴開発株式会社」を公開しました。 28日くらいから「電気通信工事会社が関与」等の報道が急に出始めました。 27日までは「コンサルタント会社に便宜を図るなどした見返りに」谷口浩司容疑者が接待をしていた、というのが定型句で、それ以外の存在は全く書かれていません。 <文科省汚職>受注希望業者も同席 前統括官に便宜依頼か 7月29日(日) 2時0分-社会(毎日新聞) 「関係者によると、この業者は西東京市に本社があり、無線設備や火災報知機の取り付けなどの業務を扱っている。同社には以前、谷口元役員の兄が在籍しており、元役員とも密接な関係があったという。特捜部は、この業者からも任意で事情聴取している模様だ。」 特捜部は、この業者からも任意で事情聴取している模様だ、と報道されたのが特に不自然です。 「アイシン共聴開発株式会社」の任意事情聴取が今頃はじまる理由が分かりません。 当ホームページで公表したから特捜に社名が知られたわけではないからです。 これまでは隠す必要があった、と思っています。 そうでなければ、谷口と佐野さんが逮捕された7月4日に、日高正人社長への家宅捜索と事情聴取が始まっていたはずです。 次章は、私がそう思う理由です。 真実を知る人 日高正人連絡先 090-7248-3113
10.日高社長はいつも主役級:20180730
佐野さんのゴルフにも、川端さんの会食にも、議員のクラブ活動にもお金持ちの日高社長が同行します。 日高社長は大物政治家との飲みに行っても酔うと中央席に陣取るため、席次にうるさい人の前には出せない、と谷口が困っていました。 特捜は同様の写真を多数押収しています。
酔うとオラオラになる日高正人社長(2015年7月)
少し酔っているだけなら控えめです
2017年5月28日 谷口浩司、佐野太氏、安河内朗氏、日高正人氏
これらのゴルフは接待でなく、休日のスポーツ活動であると特捜にも理解されています。佐野さんのプレー代はもちろん自己負担です。そうでなければ、ここに写っている日高社長と安河内朗顧問はとっくに逮捕されています。 しかし、谷口、佐野、臼井会食があった5月10日以降、毎月4人でゴルフに行っていたことも事実です。 谷口関係者の多くが家宅捜索や事情聴取を受けていますが、日高正人社長や安河内朗氏にはありませんでした。 しかし、このHPで7月26日に名前を暴露した後は、任意聴取が始まっています。 なぜ特捜は日高社長を隠していたのですか?
11.東証一部 PCIホールディングス
:20180731
アイシン共聴開発株式会社赤坂事務所は、〒107-0052東京都港区赤坂1-11-28 ユニゾ赤坂一丁目ビル10階(現 M-City赤坂1丁目ビル)に2018年2月までありました。 同居していたのがスポーツコンプライアンス教育振興機構とPCIソリューションズ総合研究所(代表取締役 中野康彦・ソフトウエア興行出身)です。 スポーツコンプライアンス教育振興機構のHPには、天野豊美PCIホールディングス社長が理事であることが公表されています。PCI全社を挙げての協力体制です。 原子誠一と渡辺克也総務省総務審議官が飲みに行く時にはPCIの中野康彦氏かアイシン共聴の日高正人社長が同行し、会食と銀座クラブ活動の費用を負担しています。 谷口浩司、川端和明さんが渡辺克也さんと一緒に行く機会も多かったそうです。 PCIはアイシン共聴開発株式会社にもお金を出していた関係の深い企業です。
御神塾は渡辺克也審議官が会員となっているメンバー制のお店です。 253,540円の領収書は途切れてますが金額的には銀座クラブ活動の領収書だと思います。
宝塚OGたちが日替わりで出演する「L'Age d'Or de la Chanson~シャンソンの黄金時代~」の領収書です。これは羽田雄一郎先生の趣味である宝塚鑑賞活動に協力してもらった分の領収書です。
これまで報道にPCIホールディングス等の名前は出てきません。
13.産経ニュースの接触官僚リストを公開:20180806
2013年10月7日厚労省大臣室にて 左から故中井洽先生、谷口浩司、田村憲久厚労大臣
中井先生への報告 病院リート、官僚説明・外国人投資家への宣伝 田村大臣と三井秀範審議官は、中井先生の親戚ということもあり、大変熱心にご指導して頂きました。 大臣から紹介された梶尾指導課長とは勉強会を始めました。局長クラスには大臣マターということで順次説明中です。原医政局長だけ明確な反対派です。 国交省の小林靖課長がリートの責任者で、ヘルスケアリートだけでなく病院リートの検討会を別途立てる必要があることを説明しています。 金融庁には病院リートの特殊性について説明し理解してもらいました。 DBJ藤井副社長は病院リート積極派です。栗原美津枝さんがこの分野のエースなので「いつでも活用して下さい」とのことでした。 外務省の越川官房長の手配で、6月ニューヨーク公使、9月ロンドン大使のアポ打診中です。担当は北米局の中島課長補佐です。シンガポールや香港についても調べてもらっています。 文科省は国立については難しいが私立大学病院リート化については賛成出来るそうです。 以上 面接にて説明した官僚リスト一覧を添付します。 谷口浩司
官僚リスト
14.厚労省・文科省は説明を! 病院事業評価研究会
: 20180807
中井洽先生により始められた病院リート研究会は、病院リート化の前段階となる病院運営のためのガバナンス研究会「病院事業評価研究会」として2018年6月27日参議院議員会館にて開催されました。 下記は6月26日、厚生労働記者クラブにて告知されたものです。 当日、田村憲久衆議院議員、羽田雄一郎参議院議員、椎葉茂樹厚労省審議官、義本博司文科省高等教育局長の出席を得て勉強会は開催されました。研究会配布資料はマスコミにも配布しています。 谷口浩司は研究��事務局として配布資料の説明を研究会で行っています。(当日の録音有)
厚生労働記者クラブ告知資料 プレスリリース用資料 病院事業評価研究会について 研究会開催の趣旨等 研究会名称:病院事業評価研究会 研究会趣旨:「病院運営のためのガバナンス」の具体化に向けた検討を行う。 (検討内容) 1.病院運営全体の意思決定の在り方を含む病院運営のためのガバナンス体制の定義 2.「医療安全管理体制のガバナンス」と「病院運営のガバナンス」の区別と連携 (開催日時) 平成30年6月27日(水)17:30~18:30 参議院議員会館B101会議室 (事務局・問合せ先) 病院事業評価研究会事務局(羽田雄一郎参議院議員会館事務所内) 担当:谷口浩司 FAX:03-3507-0066 携帯:090-9957-1310 主 催 田村憲久 衆議院議員 羽田雄一郎 参議院議員 オブザーバー参加者 武田俊彦 厚生労働省医政局長 義本博司 文部科学省高等教育局長
配布資料
(PDFの配布は終了しました)
6月27日の研究会には、厚労省からは 椎葉茂樹 審議官(医政、精神保健医療、災害対策担当):武田局長代理出席 樋口浩久 医政局医療経営支援課長 染谷 輝 医政局医療経営支援課医療法人指導官 が出席しています。 この研究会の準備ために、事前に病院ヒアリングが行われています。 谷口浩司、染谷輝医療法人指導官の二人で国立国際医療研究センターを訪れヒアリングしています。 厚生労働省医政局医療経営支援課医療法人指導官 染谷輝 TEL:03-5253-1111(内線2640)03-3595-2261(直通) FAX:03-3580-9644 e-mail:[email protected] 飲食接待 この研究会のための事前相談となる会食が、谷口と官僚とで2017年10月10日に行われています。 会食場:花ぶさ 東京都千代田区外神田6-15-5 出席者:蒲原基道厚労省次官、義本博司文科省高等教育局長、川端和明文科省国際統括官 悪徳ブローカーと言われてる谷口浩司へのこのような厚遇の理由を、厚労省と文科省は不正があったのか無かったのかを含めて説明して下さい。 蒲原基道・前厚労事務次官は「会費制で5千円か1万円か支払った」、「病院運営の話はなかったと記憶している」と述べたと報道されています。 谷口の記録を見ると、2017年10月10日花ぶさのお会計は104,603円でした。 蒲原次官の払った会費の領収書はあるのでしょうか? 蒲原次官は、厚労記者クラブでプレスリリースして「病院運営の話」のためにに病院事業評価研究会を盛り立ててくれました。 産経新聞だと便宜を期待しただけ(ニュースにリンク)で逮捕ですね。 病院事業評価研究会は厚労省によって便宜が図られた案件ですが、便宜を図ったのは誰ですか?
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神様のすみか
RADWIMPS「オーダーメイド」パロディ
黒子のバスケ 緑赤
いつものように、挑戦者の気概で教室に足を踏み入れた。そこには既に足ぐせの悪い神様が待っていて、窓からさす茜を一身に背負っていた。
緑間は無論大層に戸惑った。そこにいるのは紛れも無く中学時代の赤司だった。
「おいで」
赤司が机の上に座ったままこちらに声をかける。前髪は長く、互い違いの色をした目が猫のように爛々と輝いていた。その指は退屈そうに将棋の駒を弄んでいる。赤司は当然のように帝光中の制服を着ていて、自身を見下ろすと緑間も同様だった。そういえば少し視界が低い気がするし、喉元に声変わりの時期特有の倦怠感がまとわりついていた。ああ、これは夢なのだなと思う。中学のときのことなんてとうの昔に忘れていると思っていたのに、空き教室も赤司もひどく鮮明であった。 入口で立ち止まったままの緑間に、赤司が不思議そうな顔で視線をやった。夢ならそれらしく振る舞うべきか。そんなことを考えた。 「わかったのだよ」 言って近づき、彼の対面に座る。駒ののっていない将棋盤を睨む。 そして、顔をあげると神様がいた。おかしいなと思う。しかしいくら見つめてもそれは赤司の形をした神様であり、同時に神様の形をした赤司なのだった。理屈ではなかった。夢特有の不可解な直感がそう告げていた。 教室の中はひどく暖かくて、窓の向こうや廊下ごしに聞こえてくる喧騒が耳に心地よい。母の胎内にいる赤ん坊のような、そんな気持ちになった。 ふわりと赤司が手を動かした。一瞬ののち、ぱちん、軽快であり威圧的である、そんな相反したような音がたちどころに生まれて消える。緑間は眉根を寄せた。そこは。全くこいつは、なんて手を打ってくるのだろう。考えてみれば緑間は、こちらの赤司と将棋を打ったことは一度もなかった。こいつはあちらの赤司とは打ち方の傾向が少し異なるように思う。攻撃的というか、威嚇的というか。自己保存の本能がないようだ。怖がりなゆえに襲いかかるのか。そして緑間はそういう打ち方に対する策を全く持ち合わせていなかった。気づくと泥濘に足をとられて悪戦苦闘している。対面の相手は全く涼しい顔だ。そして赤司は、退屈しのぎにかこんなことを言い出した。 「真太郎。お前は未来と過去を見れるとしたら、どちらを選ぶ」 その声にはなんの色も含まれない。緑間は赤司の能力を思い返して、何だそれは、嫌味か、と混ぜ返した。どちらも視れる、そんな目を持つやつがなにを。赤司はくちびるだけで笑うと、いいから、と答えをせっついてきた。 「…俺は、過去だけでいいのだよ」 膠着しきった盤上から意識を外して眼鏡を押し上げる。へえ、なんで? 赤司はそう尋ねてきた。言葉を選ぶ。どう言えばこの男に伝わるのかわからず、元々軽くはない口がさらに重くなる。 「未来を見れるというのは、過去や現在を軽んじることになる気がするのだよ」 「軽んじる? お前らしくもないな。そんなものは単なる印象論に過ぎない」 「印象論になるのは仕方ない、俺はいまだかつて未来が見えるという体験をしたことはないのだから。だが――」 実際、お前はお前の目を持ってしても、今と過去しか見えぬ黒子に勝てなかったではないか。口にでかかった言葉を飲み込んだ。この赤司はきっと中学時代の赤司であって、自分が敗北することなど論外であり、その存在を許容することなど到底不可能に違いない。籔蛇だ。何とか言葉の継ぎ穂を探して続ける。 「人間にとって現在と過去は絶対的なものだ。その息詰まる窮屈な時間軸の中で未来だけが変数だ。拓けている。そうではないか?」 赤司は肩をすくめる、続けろというようだった。 「上手くは言えないが…人はその未来という未知数があるからこそ、その変化に希望を託し、そこに依拠して生きられると思うのだよ。未来が既に見えるのなら、生きるのなどひどく退屈なことだろう。 あれをやれば失敗する、あれをやると紆余曲折はあるが最終的には成功し良い思い出ができる。そのような結果論ですべてを考えるというのは…人を随分貧しくさせると思うのだよ」 眼鏡を押し上げる。らしくもないことを言ったかと思う。まるで前向きで健全だ。緑間は自身のことをそういうふうには思わない。絶対的なものをこそ求めているように思う。たとえば目の前のこいつのような。 戸惑いながら言葉を続けた。 「それに…お前のいいざまだと、もし未来を選んだ場合過去は見えなくなってしまうというように聞こえる。過去が見えなくなるなど…俄に想像しがたいが、それはアルツハイマー病のように記憶がなくなるということなのか? あるいは、今の自分から、過去を延々と切り離されていくということなのか?」 赤司は目を伏せる。その裏にあるものは読み取れない。俺は脳内でそういう状態をシュミレートする。過去をなくす。ひどいことだ。 辺りを見回す。赤司との将棋によく使った空き教室だ。机が夕日を反射し橙の海原のように見える。乱雑に消された黒板と、日直の欄に書き付けられた見知らぬ名前。中途半端に閉められたうす黄色いカーテンがやわらかくな��く。俺がこんな夢を見られるのも、すべては記憶あっての物種だ。無論自分とてその記憶や思い出とでもいうべきものを、忌まわしいと思ったことはある、かつて輝石(キセキ)と呼ばれた原石は無残にも砕けて飛び散った。あのとき全能ですらあったはずの5人は、けれどあまりにも無思慮で不器用だった、赤司はどうだか知らないが。生き血を流すような経験として敗北を知った。それでやっと緑間は、全力で相対した敗者に対して自分たちの行為がどんなに残酷なものだったかを理解した。 「…俺の想像した通りならば、未来が見えるというのは、盲目的な状態に思えるのだよ。自分にも、他者にもな。こんなことを言うのは柄でもないが……過去から学ぶこともあるだろう。今まで自分がしてきた経験を度外視するのは賢明な選択とは言えんのだよ」 「なるほどね。いい答えだよ、真太郎」 赤司は凛とした声で言い放った。なら、お前には過去が見えるようにしてやろう。 過去が見えるようにしてやる? 怪訝(おかし)な言い方だ。どう言う意味だと尋ねながらやっと練った手を打った。赤司は色のない目で俺の勧めた駒を眺め、無造作に歩兵をつまんでぽいと銀の前に投げる。歩兵だと? ばかな。金色の目が俺を見上げてくる。足を組み替えて笑う。 「いやだな、わかってるだろ、真太郎。僕は神様なんだ」 嘘も本気も判断がつかない。赤司であれば、なおさらこちらのあかしであれば、仮定の話だとしてもこんなふうに自信満々で己を神だと言い切りそうでもある。たかが夢なのに俺はそんなことを考えている。俺の訝る顔を童顔の自称神は愉しそうに見つめ返す。 「僕はね、キセキの中でもお前のことを気に入っている。一番僕に近いと思っていると言っていい」 「褒められている気がせんな」 今のところ自分は赤司の足許にも及んでいる気がしない。近い? 何がだ。性格か(ぞっとする)、IQか(ならばこの盤上ではもっと接戦が繰り広げられていてもいいはずだ)、テストの順位か(一位と二位の間にある数点を緑間はひどく遠いものに思う。こいつは100点満点のテストだから100点を取っているものの、200点満点であれば200点をとるし、500点であれば500点をとるだろう。たかだか100点のテストで99点をとる俺など、彼にしてみたらきっと道化にすぎぬのだろう)――いずれにしたって全く正当性がない。それとも家柄か、いえがらなのか。しかしそれは、俺が自力で掴んだものではない。そんなもので認められたところで嬉しくもなんともない。 「冷たいなあ。…まあそんなわけで、真太郎には特別大サービスだ。おまえにはね、いろんなものをあげるよ」 きっとね。 ――眸を。 ゆうひに輝かせて赤司は言う。ついと駒を弄ぶ指先が上がり、提案だというように人差し指を突きつけられる。 「腕も脚も、��も、耳も目もね。心臓も乳房も、鼻の穴も、二つつずつやろうじゃないか?」 荒唐無稽にも程がある申し出だった。 「…下らん。たかが中学生のお前にそんなことが出来るのか? 」 「ああ、赤司家の全精力を上げると約束しするよ」 馬鹿に仕切った声を出したつもりだったが、赤司はあっさりとそう言った。全くこれが中学生の貫祿だろうか。自分も中学生なのを棚に上げて緑間は思うのだ。 どうかな真太郎? 僕は悪くない提案だと思うけれども。 静かに目を伏せて赤司は言う。今こいつが見ているのは何手先の未来なのか。跳ねた赤い髪が夕日に煌めく。それに目がいってしまう。俺は赤司が言ったことを脳内で反芻した。腕も脚も口も耳も目も。心臓も乳房も鼻の穴もだと? 「…乳房はいらんのだよ」 「おや」 赤司はくすりと笑った。瞳の中で赤い海が跳ね返る。 「残念だな、真太郎は女の子になりたくないのか?」 「こんな背の高い女がいてたまるか」 そんなことをほざく張本人の方がよほど少女のような顔をしていると緑間は思う。乳房はお前にやるのだよ。そう貶せば、赤司は、それは困るな、家が継げなくなってしまう、といって笑った。 「まあでも、俺が女の子だったらもっと自由だったかもね。もしそうなったら、お前と付き合ってやってもいいよ」 随分とふざけたことを言ってくれる。びしりとたつ青筋を自分で意識しながら、緑間は眼鏡を押し上げた。 「そもそもお前が女なら俺達は出会ってなかっただろう」 「さあ、どうかな、運命論に則ったら、俺の性別がどうであれ、俺とお前はこうやって将棋をやってたんじゃないかな」 運命論? 赤司征十郎らしくもない言葉だ。厭味ったらしく返して俺は桂馬を進めて歩兵を取る。どうも誘導されている気がしてならないが。赤司は俺の置いた駒を見やる。悠然とした笑みは崩れない。 「分かったよ。他に注文はないかい?」 「……ふん、まあ、腕と足と耳と目と鼻の穴 は、貰ってやってもいいのだよ。だが、口は二つはいらん」 「一つでいいと?」 「ああ…もし俺に口が二つあったとして、それぞれが違うことを言い出したら面倒だし、振り回される周囲もたまったものではなかろう。それに、独りで喧嘩するなど愚の骨頂だからな、赤司」 それは皮肉のはずだったけれど赤司は表情も変えなかった。おれは彼の中に居るはずのもう一人の赤司征十郎を探そうとして失敗におわる。 ―――ウィンターカップが終わって、黒子の誕生日を機に、赤司に会った。それは夢ではない、現実のなかの記憶だ。 赤司はまるでウインターカップまでの自分なんかなかったみたいな顔で、驚くぐらい平然と俺達の前に現れた。油断ならない雰囲気ではあるがどこかのほほんとした彼を、緑間は戸惑って眺めることしかできなかった。彼と彼の奥にあるものが気になって、脇にいた青峰とは違って挨拶の声もかけられなかった。あの赤司は確かに中学時代、一年生の時まで、緑間の��に並んでいた赤司だった。 あの驚くような冷たさを見せる前の、少年の名残を残した赤司征十郎。 一体そんなことがあるのだろうかと、黒子のパーティからの帰宅後父の医学書にまで手をつけた。それで分かったことといえば人の精神が生み出すあまりにも膨大で複雑怪奇な症例の数々で、最終的に緑間に残されたのはどんなことも有りえないということはないという結論にもならない結論だった。 緑間は赤司が二人いるという事実を現象としては納得していて、でも原理として納得はしていない。 眼鏡を押し上げる。 あの時の気持ちをなんと呼べばいいんだろう。今自分の胸に溢れかえる感情だって、なんという名がつけられるものなのか緑間には解らない。 忘れたいとも思う、忘れてしまえばいいと思う、赤司のことなど。こんな複雑怪奇な男のことなど。しかしどうやったって忘れられないものばかりだった。はね返る髪、やさしげな笑みにすべてを支配する掌。高尾のパスをさえぎった傲然とした表情、くっと見開かれた瞳孔に、バスケのユニフォームから覗く手足。ふくらはぎと、脇からしなやかな二の腕に続く線。どれもまったく、出来すぎていた。緑間はどちらかというと男というより女のそれを見る感覚で赤司を見ていた。それはたしかに恥であった。忘れてしまいたい記憶で、けれど何に変えても忘れられずにいる。今だってきっとそうなのだ。盤上を見るためにうつむき露になるつむじと、臥せる瞼に生える赤い睫毛。不意と顔をあげられれば整いすぎた顔の強すぎる目の光に、目を逸らすことも赦されない。視線が交錯し、次いで、 「――――っ!?」 ゆめだ、 これはゆめだ、ゆめなのだ。でなければ説明がつかなかった。一瞬だけ身を乗りだして緑間とくちびるを重ねた赤司は、また何事もなかったように穏やかな微笑みを貼り付けた、 「そうだね。そうでなくては、恋人とこういうことも出来ないからね」 「おま…っ何を考えているのだよ!」 「何を考えてるって…お前の将来のことだけれど。いつかお前に恋人ができて、今は見も知らぬ誰かさんと愛し合う日のことさ。そうなったときに、口がふたつあったら不便だろう? 真太郎が浮気ものだと糾弾されないように、一人とだけキスができるようにしておかないとね」 ゆるりという、冗談なのかそうでないのか。緑間はぐいと口を拭う。しっとりとしたくちびるだった、そんなことが脳裏に焼き付いてしまうようで恐ろしい。 「…そ、そんなふうに気遣われなくともおれは…ひとりとだけキスをするのだよ」 「おや、本当かい?」 赤司は桂馬を進める。また一考の必要がありそうな手だった。 「寧ろお前が危ぶむべきはお前自身だと思うがな」 くちびるを、記憶から追い払うために緑間はわざとねじけたことを口にした。 「僕かい? …お前にそんなに不誠実な人間とみられていたなんてしらなかったな」 「お前は…人によって言うこともやることも変えるだろうが」 「ああ、それはね。それが効率的だと���断すればそうするよ。というか、誰にでも同じ態度で同じことを言う人間なんてなかなかいないさ。お前くらいのものだろう」 「それは暗に俺が変人だと言っているのか?」 「まあ、僕は真太郎のそういうところが好きだよ」 論点がずれている、そう思って、しかし是正することばを吐くのも面倒だった。こうやってゆるやかにそらされる会話をいったい何度こいつと交わしたことだろう。幾度も忘れたいと思い、けっきょく忘れることはできない。こいつといるとそんなことが千千にまで増えていく。胸の中に膨れ上がる色鮮やかな感情を数え切れない。嫉妬、羨望、憧憬、勝利の悦び、敗北の苦さ、屈辱感、絶望、寂寞。俺にそういう感情を教えたのはすべて赤司だった。俺の肩にも満たない幼い顔の男だった。赤毛を見るのがなんとなく苦しくて眼鏡を外して拭う。忘れたくて忘れようとして、けれど忘れられなかった。こういう想いをどう、てなづければいい。赤司なら知っているんだろうか。これはこれこれこういう名前なのだと、相手チームの作戦を詳らかにするときのように、俺に教えてくれるだろうか。 埓もなかった。 「…つれないなあ」 微動だにもせぬ緑間の顔に、自分の好意を拒否されているとでも思ったのだろうか。赤司は珍しく少し不機嫌そうな顔をした。ふと違和感が兆す。こいつがこんな顔をしただろうか。 「…まあ、お前といるのももう残り少ないしね。これは俺からの餞(はなむけ)だ」 兆す。眼鏡をかけ直した。左目の黄金が赤く塗変わっていく様を見た。 「一番大事な心臓はさ、お前の両胸につけてやろうね」 「あかし、」 あの一件で変質する前の赤司がいた。オッドアイは、やはり見るものに不穏な印象を与える。顔の作りも何も変わっていないのに、柔和で落ち着いた雰囲気が彼の周りに漂っていた。二重人格、だという。二重人格。二人の人間。ふたつの心臓。 「まだそんなことをほざくのか」 「ほざくとはなんだ?ひとつよりは、二つあったほうがいいじゃないか。それ が道理というものだろう。一つが潰れても、もう一つが残れば生きられるんだからなんとも心強い」 「──それは、どうにも一人で生きることを前提とした話に聞こえるな」 痛かった。緑間の言葉に赤司が問うように目を見開く。 「赤司、答えてくれ。おまえはあのときもそう考えていたのか? お前にとってあのときまわりにいた五人は、ただのでくの棒に過ぎなかったのか?」 この姿の赤司からそんな言葉を聞くのは耐えられなかった。あの赤司ならばまだ耐えられる、あれは結果だ、もう動かせない結果の赤司だ。しかし目の前のちいさな彼は未だ過程であった。赤司の腕をつかむ。薄い制服に囲まれて、消えてしまった赤司はここにいた。勢い任せに抱き締める。夢だろうと神様だろうと構わなかった。むしろそうなら逆に好き勝手ができるというものだ。赤司がもがくように身じろぐから逃すものかと力を入れる。もみあうと椅子も将棋もあっけなく音を立てて��れていった。がらんどうの教室に響き渡るそれはひどく耳障りだ。手酷い音を立てて安物の将棋が床に跳ね返り飛び散っていく。 「あまり馬鹿にするなよ、赤司」 わがままな腕を床に無理やり抑えつけて声を落とす。こうして組み伏せれば体格差が酷く顕著であった。 「心臓ぐらい、俺にだってあるのだよ」 「みどり、ま」 薄くさぐるような声は変声期を過ぎたばかりで震えている。次いで彼の指が伸び緑間の眼鏡を外していった。驚いて高鳴る緑間の心臓のことなど知らぬ気に、その指先は頬を拭っていった。 「…余計なことを」 「すまない、だって」 「黙れ」 くすりと笑われれば苛立ちが先に立つ。諫めれば赤司は存外素直に口をつぐんだ。まったく精巧な夢だった。なめらかな肌、形の良い輪郭、耳、通った鼻筋、色づくくちびる、額にかかる前髪。赤司と抱き合っていた。彼が口を閉じると制服の内から浸透してくるような鼓動が聞こえてくる。ああこいつとふたり生きてここにいると思う。教室は暖かく遠くから喧騒が聞こえまるで母の胎内のようなのだ。 「こうしていると、お前の心臓がどちらにあるかまでわかってしまうよ」 少しして赤司はまた口を開いた。ああ、と返す。 「――俺もなのだよ」 とくとくという心音は際限がない。赤司の鼓動は右の胸から聞こえる。いくら二重人格だといえ、心臓までも二つあるわけがないのだ。馬鹿なことを考えたと思う。赤司は人間だ、人間で、人間には心臓は一つしかついていないのだ。 ひととはそういう生き物なのだ。 「こうしていれば右側の心臓など必要ないだろう」 ぴちゃりと緑間の目から涙が滴り赤司の頬に落ちる。そういえばこいつが泣いたところを見たことがないかもしれない。 「お前は涙も欲しいらしいね…」 消え入りそうな声で赤司は言った。手のひらが後頭部にあてがわれて、彼のなだらかな胸に己の鼻が押し付けられる。赤司に抱き寄せられていた。 「何を泣くことがある?真太郎。お前の望み通りにね、全てが叶えられているじゃないか」 慰めのつもりだろうか。 胸も手も足も耳も目も、心臓も口も鼻の穴も心も涙も体だって、みんなお前が選んだことじゃないか。緑間の耳元で囁く。 「泣くことなんてないだろう……」 涙が伝って赤司の唇までたどり着く。彼はそれを舐めてしょっぱいなと顔を顰める。 「ああ、それと、ちなみに涙の味だけれどもね、」 赤司はそう口を切る。まだ続ける気なのか。彼らしくもない。 「それも緑間の好きな味を選べるようにしてやるとしよう。もっと甘くしたらどうかな? そうしたらさ、お前が泣いたとき女の子が喜ぶかもしれない。だってさ、女の子って甘いものが好きだろう?……」 とち狂ったのかと思う。まったくふざけた讒言だ。 「馬鹿か、お前は」 女の前で泣くなど矜持が許さなかった。いや、女でなくとも、人前で泣くなど考えるだけで不愉快だ。涙の味などこのままでいいと思う。そうなら、俺のそれを舐めるなんて馬鹿なことを仕出かすのはこの男くらいなものだろう。俺にはそれくらいが似合いなのだ。 胸が騒がしい。 ちかちかと眼前で粒子が瞬く。夕日が傾きかけ、暁に濁っていく。無邪気にこちらの顔を覗き込んでくる赤司の瞳が美しかった。 「なんだ、」 「なあ、ちゃんと見せてよみどりま。お前はむしろ誇るべきだろう」 胸が騒がしかった。 眼前に迫る赤司を、その目に入りそうな前髪が、彼の眼を疵付けるのがいやで指で払う。赤司は俺のことじゃないよと眉を寄せて少し笑う。 (これはなんだ) 俺がお前に教えたい感情と、お前が俺に教える感情と、いったいどちらが多いのだろう。 ことばにできないもつれる感情をぶつけるようにその細い体を抱きしめる。中学生の赤司と、空き教室と夕景とその温度。すべてがひどく懐かしかった。赤司の体は抱きすくめるのに丁度よくひどく胸に馴染んだ。まるで生まれた時からこうしているようだった。 胸が騒がしい、でもなつかしい こんな思いをなんと呼ぶのかい さらり、と。 風に髪が揺れた。さやかな水音が耳元でたつ。薄目を開ける。視界に初夏の光が飛び込んできた。古びた天井が見える。縁側の障子を開け放った日本家屋の、古式ゆかしい一室に寝かせられていた。 首を回す。和服の赤司が枕元で盥に水を絞っていた。名を呼ぼうとして、うまく声が出せない。のどがひどく乾いていた。しかし気配に気づいたのか赤司はふと視線を上げてこちらを向いた。顔は大人びていて、両目は綺麗な赤だった。飽きるほど触れた唇が動き緑間の名前を呼んだ。「彼」の方がそ���呼ぶようになってから随分経っていた。 「真太郎、起きたか」 具合はどう? 気遣わしげな声色だった。ああ、と思い出す。高校はおろか、大学を卒業し、赤司家が所有するこの空き家で彼と同居を始めてから三年が経っていた。 「びっくりしたよ、急に熱を出して寝込むものだから。医者の不養生とはよくいったものだね」 低い落ち着いた声のトーンが耳になじむ。和服を襷がけに身にまとった二十六の赤司は麗人というほかなかった。冷たい手拭いを差し出してくるその手を、思わず握る。 「、?」 驚いて目を見開いた顔は存外に幼い。 「赤司」 「どうした?」 「お前と俺はどこかで会ったか?」 「……は?」 思わず口から零れたことばはあまりにも奇矯なものだった。赤司が困ったように眉を寄せる。熱でおかしくなったのか、言ってひやりとした手が額に載せられる。 「ち、がうのだよ、」 「じゃあ何だ」 「だからどこかであった事があるかと聞いている」 「だから何を……お前と俺は中学からの付き合いだろう」 「いや、それより前だ」 「中学より前?」 赤司の声がワントーン上がる。更に困ったように眉を潜める赤司は、なかなか見れるものではなかった。 「なんだ?たとえば、小学校とか幼稚園とか、そういうことか? …まあ一度くらいすれ違ったことがあるかもしれないが、俺は覚えがないな」 赤司の唇が紡ぐ言葉は常識の範疇内にある。いつものことなのだが、その理路整然とした態度が今の緑間には歯痒い。 「いや、もっと前なのだよ、たとえば、生まれる前、とか……」 「ふ、なんだそれは、前世とか、そういうやつか?」 真面目に言い募る緑間に赤司はぷっと吹きだした。語調はひどく柔らかく、ふわりと額の上から手が外れて、手ぬぐいが緑間の額の汗を拭き取っていく。 「一体どんな夢を見たんだか」 半ば呆れたようにつぶやく赤司は、夏の日差しに逆光になる。こいつが覚えていなくて俺が覚えていることなどそうあるものでもない。珍しく恋人に対する優越感を覚えつつ緑間は瞼を閉じた。赤司が溜息をついて立ち上がる。熱で浮かされたものとでも思っているんだろう。おやすみとちいさく落とされた声は、ひどく優しく緑間の耳に染みこみ消える。気だるさと混ざったあまい眠気が手を振っている。
眠りにおちる緑間の意識の中で、足ぐせの悪い神様は、将棋盤の向かいで夕日を浴びて、退屈そうに座っていた。
了
2016.1.17 別サイトにて公開
2018.5.14 転載
9620字
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織田邦男先生よりシェアさせていただきます 今回の経済制裁は、ブッシュ政権時代と、以降の6カ国協議に於ける経済制裁と異なり国連決議による制裁が功を奏したのでは無いだろうか。 実は北朝鮮という国は、我が国の考えている孤立した国家では無い、国交を行なっていないくには十数カ国で140カ国以上が国交を結んでいる、以前は北朝鮮を取り囲む6カ国会議内での制裁であり、北は様々な兵器を輸出して外貨を獲得していた。 今回の国連決議は北への縛りをかけた事が功を奏したのでは無いだろうか。 また、北朝鮮の金正恩の評価についてだが、私は過小評価していると感じている、父の金正日の亡き後の後継者問題に際して、20代後半の金正恩が中国の庇護下にある金正男を後継者とし、中国とのパイプ役である叔父である張成沢氏の院政の下で、金王朝の体制維持に自分の威光を示すための粛清を行なったのであり、単純に20代後半の金正恩第1委員長が習近平に接見した場合は、単なる若きはなたれ小僧にしか映らなかったであろう。 現在は30代半ばとなり、小さなロケットマンとして世界中からの注目を集め習近平の特使との面会も断れる立場まで自らを演出捨て見せた金正恩第1委員長の存在は内外に大きな威光を示し、トランプ大統領との面会まで上り詰める立場を自ら作り出した、決して凡庸な三代目だろは感じない。 今回の一連の米朝会談の流れで、最も心配なのは南の、文在寅政権の動向だ。 韓国の軍政のあと民主化が行われたが、民主化運動は北朝鮮の関与が脳裏をよぎる。軍政は反共を掲げ北に対する強硬姿勢を崩さず、金泳三が実質軍政の転換を図ったが反共の価値観を有��ていた。民主化運動のリーダーと呼ばれた金大中氏は明らかに北からの援助を受けていた、のちにノーベル平和賞を受賞して北への多額の資金援助を行なっている。 金大中から、北朝鮮との関与は盧武鉉と続き北朝鮮との交流事業、開場工業団地建設、金剛山観光と進み、現在の文在寅と受け継がれている。 文在寅政権ではろうそく革命と言うか象徴的なデモで保守系の流れをくむ朴正煕の娘の朴槿恵、李明博政権に対して、朴槿恵大統領には謂れ無い嫌疑で懲役30年、李明博大統領の出頭要請は国家情報院の公費横領である。 国家情報院とはアメリカのCIAと同じ存在で、日本の官房機密費や外交機密費、公安機密費に相当し決して公開できない潤滑油でありアンダーグランドの工作資金であった、文在寅政権は、大統領を横領で裁判にかけようと出頭を要請しており、国家のインテリジェンスである国家情報院を解体しようとしていると。 朴槿恵政権時代は北のミサイル、原爆、水爆実験が始まり、開場工業団地の封鎖を行いTHAAD配備に向けアメリカとの連携を行い、中国への路線から舵を切った。 しかし中国の締め付けはTHAAD配備に土地を提供したロッテに集中し、中国内のロッテ不買運動、中国人観光客を制限して基幹産業の現代自動車、サムソンの製品の不買で輸出依存に頼る韓国のダメージは計り知れなくなる。 そして文在寅政権誕生後は米中同盟と対峙する中国習近平体制への踏み絵を迫られ、安全保障のネットワーク共用とTHAAD追加配備を行わない事で同意を取り付けてしまう。 日本との関係も一昨年の日韓慰安婦問題で最終的に不可逆的解決を図ったにもかかわらず、南北会談以降に行われたジュネーブの人権問題委員会で慰安婦性奴隷問題を訴え、韓国の国定教科書改定で慰安婦問題を復活させ、南北の衝突部分を大幅修正し、漢河の奇跡を起こした朴正煕大統領の記述を大幅に削除している。 今回の南北会談のきっかけを安倍総理とペンス大統領の意向を無視し「平和的解決」と言う落とし所をオリンピックで政治利用し、核開発停止、破棄迄の文在寅大統領の2段階論に結局は落とし込み、アメリカとの交渉に及び、トランプ大統領は話を蹴り、全身代開けの中国と大統領選挙を終えたロシアとの6カ国協議に落とし込み国連決議制裁��預かりとし、経済封鎖を解除、韓国経済も中国との改善を図ろうと画策したのでは無いだろうか? しかも北朝鮮の国内では米朝会談の話題は温度差があり南北で測った思惑がずれたようだ。 そしてアメリカとの会談だが、内政に食料問題を抱え政治将校までもが食糧事情が困窮しておりアメリカからのCIAが入り込み金正恩うの居場所は特定されていると言う情報が流される中、平壌での朝貢でトランプ大統領を呼びつける事も出来ず、会談の名乗りをあげた自ら少年期を過ごしたスイスでの申し出に当惑を隠せない、主目的である国内に向けての威光をスイスでは伝える事が出来ず、外遊で国内を離れた瞬間に政治クーデターが起こる可能性もある。 父の金正日は息子である金正恩の成長を見て見寺から画策した航空機爆破の可能性を危惧し移動は列車を利用し、陸路モスクワまで移動し、列車の上空では制空権を保てるようにしていた。そんな中でのスイス訪問が後継者のいない孤独な金正恩に外遊を決断できるのだろうか? 一方このスタンドプレーを画策した韓国は中国への体制擦り寄りが裏目と出て、中国の緩衝地帯であったはずの北朝鮮をアメリカに擦寄らせてしまい、中国北部戦区唯一のアメリカ同盟国を追い出すどころかアメリカとの対峙を鴨緑江まで近寄せてしまったのでは無いだろうか。 そもそもだが、北朝鮮の体制存続は、金王朝の体制存続と最低限の食料確保とクーデター阻止であり、南北の統一は体制崩壊の危険がある。まずは情報統制の中でのコントロール崩壊が暴民化して体制破壊を行う事が阻止できるか。 一方で、中国の五代戦区の北部戦区でアメリカの同盟の崩壊は東戦区で台湾と東シナ海を狙う東部戦区が工作を行なっており、北部戦区の中露朝の3カ国とのバランスが崩壊し日本が核保有国との対峙に迫られる事になる、これには国民の自覚と膨大な覚悟が必要となる。 織田邦男先生より 杉浦正章氏の論考をシェアさせていただきます。 1992年からの「緊張ー対話、合意ー破棄ー緊張」の歴史をみればわかる。今は「対話、合意」のフェースであり、とれるものをとる(制裁緩和)段階。その間に残された「大気圏突入時の技術」を取得しているわけだ。これまでと違っているのは、ダイレクト首脳会談なので、後がない。これで「破棄ー緊張」フェーズに突入すると、戦争しかない。そういう意味では「戦争に一歩近づいた」というのが正確な情勢分析なのかもしれない。日本の浅薄なメディアはまたぞろ「戦争から遠のいた」って諸手を挙げて称賛しているが・・・ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 米は北朝鮮の「時間稼ぎ」に惑わされるな ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 非核化の真偽を見極めよ モリカケばかりの野党は目を覚ませ 人を錯誤におとしいれて財物をだまし取る者を「かたり」という。首相・ 安倍晋三は希代のかたりが隣に住んでいると用心した方がよい。祖父金日 成も父親金正日も世界を欺いて国家を生きながらえさせてきた。 今回も厳しい国際包囲網突破を目指して金正恩は着々とかたりの布石を 打っている。韓国大統領文在寅はやすやすと突破され、金は文を使ってト ランプを籠絡しようとしている�� 北は核ミサイル完成に向けて「時間稼ぎ」をしているに過ぎない。短兵急 な対応は極東に危機をもたらしかねない。安倍が、懐疑的な姿勢をくづし ていないのは救いだ。 ここはトランプの“前のめり”にクギを刺す必要がある。トランプは自国の 防衛のため北に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を破棄させても、日本は 核兵器や細菌兵器を搭載可能なノドン200発を向けられたまま、置き去り にされかねない。極東情勢が激動の時に国会は朝日新聞に扇動されて野党 が森友だの加計だのの論争に明け暮れしているが、いいかげんに目を覚ま せといいたい。 米大統領は普段はホワイトハウスの小さな記者会見場に姿を見せること はないが、韓国特使との会談後現れたトランプの姿を見て、「危うい」と 感じたのは筆者だけだろうか。 北に踊らされて、はしゃいでいる姿だ。韓国の特使の報告に全て乗せられ て金正恩との会談を、千載一遇のチャンスと飛びついた感じが濃厚だ。ト ランプは北との直接交渉に持ち込むことによって、4半世紀にわたって米 国大統領を翻弄(ほんろう)し続けてきた北の核ミサイル問題を一挙に解 決出来ると踏んでいるのだろうか。そうなら愚かとしか言いようがない。 まずここは真偽の見極めが先決だ。 トランプはロシアゲートのスキャンダルでメディアの攻撃にさらされ、支 持率は30%台と、歴代大統領でも最低の状態にある。秋には中間選挙が あり共和党は指導力欠如の大統領のせいで苦戦を免れない。 ここは外交に突破口を見出すしか道はないのだ。その弱点を狙って金正恩 はまず韓国の左派大統領文在寅を落とし、ついでトランプを落とそうとし ているのだ。北の最終的な狙いはまず包囲網を分断し、米軍を朝鮮半島か ら撤退させることにある。 全てがそこに向けての布石であると考えるべきなのに、トランプは目先の 舞台ばかりに目を奪われているかのようである。トランプが“伝言”だけを 頼りに「彼らの声明はとてもポジティブなもので、世界にとっても素晴ら しい」と手放しで賞賛するような事態ではないし、韓国特使らに米朝首脳 会談を「即答」するほど、軽い問題でもない。 まずトランプは韓国の「伝言」だけに頼らず、北の外交の本質を見極める 必要があるのだ。本質とは徹底した欺瞞外交である。史上数知れぬほど国 際社会を欺いてきた北朝鮮は、2005年には、6者協議で?核計画の放棄?米 国による体制の保証?北への経済支援ーに応じた。 経済援助を得た後は、どこ吹く風で核兵器の製造にいそしんだ。今回も同 様の手口を取ろうとしているのだ。金正恩が?非核化に尽くす?核・弾道ミ サイル実験を控える?米韓合同演習を理解する事などを条件に、米側に早 期のトップ会談を求めている。 もともと?から?までは米国が北に条件として提示しているものであり、金 正恩はこれを受け入れる決断をしたことになる。しかし、問題は「非核 化」が何を意味するかだ。米国は合意を急ぐあまりに詳細を詰めない妥協 をしてはならない。北に関してはつねに「やらずぶったくり」を懸念しな ければならない 。せっかく作った“貧者の宝物”である核ミサイルを手放すとでも考えてい るとすれば甘い。そもそも10年前とは前提条件が様変わりしているのだ。 10年前の北の要求は「核兵器製造計画を放棄する代わりに体制を保証す る」であったが、今回は「核ミサイル攻撃能力を持った上で米国と対等に 話し合う」路線となっている。 要するに核ミサイルプログラムの再稼働を常にちらつかせながら、次から 次へと譲歩を引き出す作戦なのだ。過去にジョージ・W・ブッシュもその 作戦にはまって北をテロ支援国家から削除したが、時を経ずして核開発は 再開だ。 従って、たとえ話し合い協議に入っても、現行の厳しい国際制裁を維持す る必要があることは言うまでもない。そればかりか北が核ミサイルを全て 破棄し、国連の視察を受け入れて、それを確認するまで手綱を緩めてはな らないのだ。北に関しては、全てを疑ってかかるのが常道なのだ。 韓国の 文在寅は4月末にも金正恩と会談、トランプは5月までに金正恩と 会談する ことになっている。しかし、一連の会談は長い非核化の道への 第一歩に過 ぎない。安倍は会談を急ぐ必要はあるまい。一連の接触を見 極めた上で行 動に移せば良いことだ。むしろ安倍は、4月のトランプとの 会談では、北 の手玉に取られないようトランプに友情ある説得をするこ とが肝要だ。 日米は核とミサイルを放棄させるための確たる態勢を整え、最大限の圧力 を 今こそ継続しなければなるまい。韓国の文在寅は度しがたいから説得 は利 かないが、トランプには拙速を戒め、冷静な見極めを求めるべきだ。
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TEDにて
ジャロン・ラニアー:インターネットをどう善の方向に作り変えるべきか!
(詳しくご覧になりたい場合は上記リンクからどうぞ)
ジャロン・ラニアーは、デジタル・カルチャーの黎明期に、人類が知恵を共有する空間としての、インターネットのビジョン作りに貢献しました。
しかし、当時ですら、このビジョンには、それがもたらし得る暗い影がつきまとっていました。
パーソナル・デバイスが、私たちの生活を支配し、データを監視し、刺激を与える(思い当たりませんか?)
この先見性あるトークで、ラニアーはGoogleやFacebookといった企業がデジタル・カルチャーの創成期に犯した「世界的規模で悲劇的、かつ、驚くほど愚かしい間違い」を振り返り、その解決策を思索します。
「2人の人間が、コミュニケーションを取りたいと思った時、彼らを意のままに操りたいと考える第三者の経済的支援無くしては、それが成り立たないような社会システム、国家システムを許容するべきではないのです!!」と彼は語ります。
1980年代に、私は初めてTEDで講演しましたが、世界で最初のVR(仮想現実)のデモをTEDの舞台でいくつか披露しました。当時、私たちは、未来は危うい状況にあり、私たちが必要とし、愛したテクノロジーが私たちを破滅に導くかもしれないと気づいていました。
私たちは、もし、テクノロジーを、権力を手にする道具だと考え、権力を握ること自体が目的化したら、人類は自滅するだろうとわかっていました。権力だけを追求するとそうなるものです(2020年では中国がこの危険性高い)
当時のデジタル・カルチャーの理想は、何よりもまず、この闇へ陥る可能性を認識した上で、それを美や創造性で乗り越える方法を模索することだったのです!
私は、いつも自分のTEDトークをやや恐怖感を煽る文句で締めくくりました「私たちには課題があります。テクノロジーの周辺に美しく、意義深く、深淵で終わりなき創造性と無限の可能性に溢れたカルチャーを生み出し、我々を自滅の道から救わなければ」
つまり、我々の絶滅と魅惑的で無限の創造性に満ちた未来を創る必要性を表裏一体のものとして語ったんです!!
今でも、人類の滅亡にとって代わるものが創造性であるという考えはとても現実的であり、正しい考えだと思っています。これは、おそらく最も確かな真実でしょう。
VRに関しては、私は、こんな風に言っていたものです「人類が、言葉を発見したときのようなことが起こるだろう」
言葉のお陰で新しい冒険や新たな深み、新しい意味、新しい交流の方法、新しい協力の方法、想像の方法や子供を育てる方法が生まれましたが、VRによって会話のようなものでありつつも、覚醒しながら意識的に夢を見るような新たなものが生まれると想像していました。
それをこう呼びました「ポスト記号的コミュニケーション」記号を使って何かを間接的に言い表す代わりに、VRは体験を直接表現するようなものだからです。
それは美しいビジョン��私は今もそれを信じています。ですが、その美しいビジョンを脅かしたのは、そのビジョンが陥る可能性のある暗黒面でした!!
ある先駆的コンピューター・サイエンティストについてお話ししてみようと思います。
ノーバート・ウィナーという人で、私が生まれる前の1950年代に「人間機械論」という本を著しました。その中で、彼は、人々から、データを収集し即時にフィードバックをするコンピューター・システムを作る可能性を述べていました。
これは、行動主義者が考え出した装置。スキナー箱に人々を入れるようなものですが、データは統計学的に分析されます。彼が、言った卓越した一節にこういうものがあります。
「思考実験としてこう想像できる」これは引用ではなく私が言い換えていますが「世界規模のコンピューター・システムを想像できる。そこでは、誰もが常時デバイスを身につけ、デバイスが彼らの行動に基づき、フィードバックを与える」
「そして、全人類がある程度の「行動変容」をさせられるようになる。そして、そのような社会システムは狂っていて、存続も社会問題の解決もままならないだろう」
そしてこう続きます「しかし、これは思考実験に過ぎず、そんな未来は技術的に実現不可能である!」
でも、もちろん。そんな技術を現在作り出してしまったのですから、人類の存続のために全集中で取り消さなければならないのです。
つまり、人類は、非常に特殊な間違いを初期の頃に犯してしまったのだと思います!
そして、犯してしまった間違いを理解することでそれを正すことができます。その間違いは、1990年代に起こり、まさに世紀末に差し掛かる頃でした。こういうことです。黎明期のデジタル・カルチャーには、実のところ。現在もそうですが、左派的、社会主義的使命感があったと思います。
それは、本の発明などの他の発明には無かったもので、インターネット上の全てのものは、大衆に自由に公開され、無料で提供されるべきだというものです。なぜなら、経済的な原因でアクセスできない人が一人でもいれば、それが甚だしい不平等を生み出すからです。
さて、もちろん、それを解消するには、他にも方法があります。本が高価なら図書館に行けば良い、などなどです。でも、私たちは「いやいや、これは特別なもので純粋に共有空間にすべきなんだ」と考えていました。その精神は今も生きていて、ウィキペディアや多くのものの仕組みにそれを見ることができます。
ですが、同時に私たちは同じ程度の情熱でこれとは完全に相入れないものをもう一つ信じていました。
テクノロジー起業家達です。私たちは、スティーブ・ジョブズを崇め、技術オタクが世界に風穴を開けるというニーチェ的神話を愛しました。そうでしたね?その神秘的なパワーは、未だに影響を及ぼし続けています。
そう、これらの2つの異なるものへの情熱があるのです「あらゆるものを無料に」「まるで、超自然的なパワーを持つテクノロジー起業家」全てが無料だとしたら起業家精神はどのような報酬で報いられるのでしょう?
その当時は、広告モデルしかその方法が無かったんです!!!
それで、Googleが、無料サービスとして広告モデルを携えて誕生しました。Facebookも然り、初めは、それはごく初期Googleのようにカワイイものでした。それは、ごく当たり前の広告で地域の歯医者さんの宣伝なんかでした。
しかし「ムーアの法則」というものに従い、コンピューターの性能がどんどん上がり価格は下がっていきます。アルゴリズムも向上していきます。大学の研究者によってアルゴリズムはどんどん進化します。システムを使う顧客や企業などは、経験値を高め悪知恵をつけていきました。
そうして、単なるネットの広告だったものは、もはやそう呼べないものに進化し、行動操作装置へと進化しました。ノーバート・ウィーナーが憂慮したとおりのことが起きたのです!!!
もはや、これは「ソーシャル・ネットワーク」と呼べず。私は「行動操作帝国」と呼んでいます。
特定の個人を非難する気はありません。テクノロジー企業には大事な友人がいるんです。Googleに会社を売却したりして、それも、帝国の一つですが、これは「悪人たちが、悪事を働いた」といったようなことではなく、世界的規模で起きた悲劇的で驚くほど馬鹿げた間違いだと思っています。
悪の波が押し寄せたなんてものではありません!!
この特殊な間違いの仕組みをもう一段、詳しく説明しましょう。
行動主義の考えに従い、ネズミであれ、犬であれ、人であれ、生き物に対し、ちょっとしたご褒美や時には罰を行動へのフィードバックとして与えます。檻に入った動物だったらキャンディーや電気ショックを与えますが、スマートフォンをもった人に対しては、そういうものの代わりに罰や報酬を象徴で与えます。
初期の行動主義者だったパブロフは、有名な原理を証明しました。ベルを鳴らすだけで犬に涎を垂らさせたのです。象徴への反応です。
ソーシャル・ネットワークでは、社会的賞罰が報酬や罰として機能します。皆さんがご存知のあの気持ちです。皆さんは、こんなスリルを感じます「誰かが、私の投稿を「いいね」した「いいね」が伸びてる!」
あるいは、罰の方。
「ああ、私は人気が無い。もっと人気のある人がいるんだな」皆に共通するこのような2つの感情が、少しずつ与えられ、皆さんは、無限ループに囚われてしまいます。
これは、システムの創始者たちの多くが公に認めていることです!!誰もがこの事態を理解しています!!
しかし、行動主義の学術研究においては、伝統的にネガティブとポジティブ刺激を比較してきました。ところが、この商業的環境では、学問の世界では、しばらく注目されてこなかった2種の刺激についての新たな見方が生まれています。
学問的な見方と違う点は、ポジティブな刺激が、状況によっては、ネガティブな刺激よりも効果があるにせよ、ネガティブな刺激は安上がりだということです。
ネガティブな刺激は、格安なんです。つまり、信頼を築くよりも信頼失う方が、簡単に起きるということです。愛を築くには、長い時間がかかりますが、壊れるのはあっという間です(経験的に理解できます)
この行動操作帝国の顧客たちは、超高速のループにいます。
まるで、高頻度取引トレーダーのようです。購入者から、フィードバックを受けたり、購入でなければ、ユーザーの行動からフィードバックを受けたりすることで企業側は、何が効果があるか理解し、それを更に提供します。
つまり、フィードバックを即座に受けることとは、より頻繁にネガティブな感情に反応しています。何故なら、それらがより素早く生じる感情だからです(ダニエルカーネマンのプロスペクト理論)
そうでしょう?
ですから、善意の企業が、自分たちはただ歯磨き粉を宣伝しているだけと思っていたとしても、ネガティブな人々、ネガティブな気持ちの人、気分屋、偏執症患者、皮肉屋やニヒリストの主張を宣伝する羽目に陥ってしまいます(意図しないネガティブキャンペーン)
そういう人々がこのシステムによって、意図しないネガティブキャンペーンが増長するのです。
このような企業にお金を払って、急に世界を良い場所に変えたり、民主主義を改善したりするのは、お金を払って、こうしたものを壊すほどには簡単にできません!!(相対的に善性が弱まってしまう)
つまり、これが、私たちが自らを追い込んだジレンマというわけです!!
別の手段は、骨を折って時間を巻き戻し、選択をやり直すことです!!
それは、2つの事を意味します。まず、年収の多く経済的に余裕のある多くの人々が、こうしたサービスに代金を支払うことです。
サーチ・エンジンやSNSの利用料金を適正価格よりも多く支払うんです。支払いの方法は、購読料や利用しただけ支払うマイクロ・ペイメントが考えられます。他にも色々な選択肢が、開発でき考えられます。
もし、皆さんの中にはひるんでしまい「まさか、こんなものに金を出すなんて考えられない。支払う人なんているだろうか?」と考える方がいたら、最近起こった事を思い出して欲しいのですが、Google や Facebookといった会社が、無料サービスに基づくビジネス構想を練り上げていた同じ頃。
サイバー・カルチャー界隈の人々の多くは、将来、テレビ番組や映画が、ウィキペディアと同じような仕組みで作られるようになると信じていました。ところが、Netflix、Amazon、HBOなどが「購読すれば、素晴らしい番組を提供しますよ」と言ったんです。
そして成功しました!私たちは、現在、この「多様なテレビ番組の黄金時代」に生きていますよね?だから、綿密に設計すれば、マックステグマークの言うところの将来の超人工知能同様、代金を払ったら良いこともあるんですよ。
仮に「ソーシャルメディア黄金時代」を想像してみましょう。
それはどんなものになるでしょうか?ログインするとゴミのような情報ではなく、信頼できる情報源からのとても有益な医療アドバイスが得られ、事実に基づいた情報を探す時、そこには、奇妙で偏執的な陰謀論は存在しません。
この素晴らしいもう一つの世界も想像することができます。ああ!私は、それを夢見て、それが実現可能だと信じています。
実現できると確信しています。
そして、GoogleやFacebookなどの企業は、そのような世界でもっと成功するだろうと信じています。私は、シリコン・バレーが、分社化解体されることや独占禁止法の罰を受けるべきだとは思いません。
私たちは単に選択し直せば���いんです!!
大テクノロジー企業の中で、ビジネスプランが行動操作とスパイ行為に依存しているのは、実は2社しかありません。
Google と Facebookです!
私は彼らが好きですよ。本当です。社員は素晴らしい人ばかりです。
ただ言わせてもらえば、例えば、Googleでは、コストセンターをこれらの会社と共に際限無く増やしていくことができますが、プロフィットセンターは増やせません!!
彼らは、病みつきになっていてビジネスモデルの多様化ができません!!
ユーザー達と共にこのビジネスモデルに夢中になっているのです。ユーザー達と同じ罠に嵌ってしまっています!!
そのようなやり方では、大企業の経営はできません。ですから、このモデルは、究極的には、株主。さらには、こうした会社の 他の利害関係者たちの利益にもなるんです!!
双方の利益になるソリューションです。ただ、問題解決には時間を要するでしょう。膨大な細部を見直さなければなりませんが、当然やってのけられますよ!!
将来人類は、この間違いを正さない限り生き延びられないだろうと思います!!
2人の人間がお互いに会話をしたい時、その唯一の手段が、彼らを意のままに操りたいと考える第三者の経済的支援無くしては、成り立たないような社会システム、国家システムには住めないのです!!
技術が、すべてのことを解決できると言いますが、我々が、100倍エネルギー効率のいい乗り物を作ることができるとすれば、大枠としてこれは正しい意見です。
しかし、エネルギー効率ではなく、生産性を高めた結果、イギリスは見事に産業が空洞化してしまいました。
参考として・・・
月面は、太陽風によりもたらされたヘリウム3が、鉱物資源として豊富に存在していることが確認されています。原子力発電や核融合に最適です。
注意事項として、基礎技術にリープフロッグは存在しません。応用分野のみです!
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情報技術の発展とインターネットで大企業の何十万、何百万単位から、facebook、Apple、Amazom、Google、Microsoftなどで数億単位で共同作業ができるようになりました。
現在、プラットフォーマー企業と呼ばれる法人は先進国の国家単位レベルに近づき欧米、日本、アジア、インドが協調すれば、中国の人口をも超越するかもしれません。
法人は潰れることを前提にした有限責任! 慈愛や基本的人権を根本とした社会システムの中の保護されなければならない小企業や個人レベルでは、違いますが・・・
ヨーロッパでの一般データ保護規則(GDPR)でも言うように・・・
年収の低い個人(中央値で600万円以下)から集めたデータほど金銭同様に経済的に高い価値を持ち、独占禁止法の適用対象にしていくことで、高価格にし抑止力を持たせるアイデア。
自分自身のデータを渡す個人も各社の取引先に当たりデータに関しては優越的地位の乱用を年収の低い個人(中央値で600万円以下)に行う場合は厳しく適用していく。
キャシーオニールによると・・・
思考実験をしてみましょう。私は、思考実験が好きなので、人種を完全に隔離した社会システムがあるとします。どの街でも、どの地域でも、人種は隔離され、犯罪を見つけるために警察を送り込むのは、マイノリティーが住む地域だけです。すると、逮捕者のデータは、かなり偏ったものになるでしょう。
さらに、データサイエンティストを探してきて、報酬を払い、次の犯罪が起こる場所を予測させたらどうなるでしょう?
あら不思議。マイノリティーの地域になります。あるいは、次に犯罪を犯しそうな人を予測させたら?あらら不思議ですね。マイノリティーでしょう。データサイエンティストは、モデルの素晴らしさと正確さを自慢するでしょうし、確かにその通りでしょう。
さて、現実は、そこまで極端ではありませんが、実際に、多くの市や町で深刻な人種差別があり、警察の活動や司法制度のデータが偏っているという証拠が揃っています。実際に、ホットスポットと呼ばれる犯罪多発地域を予測しています。さらには、個々、人の犯罪傾向を実際に予測しています。
ここでおかしな現象が生じています。どうなっているのでしょう?これは「データ・ロンダリング」です。このプロセスを通して、技術者がブラックボックスのようなアルゴリズムの内部に醜い現実を隠し「客観的」とか「能力主義」と称しているんです。秘密にされている重要で破壊的なアルゴリズムを私はこんな名前で呼んでいます「大量破壊数学」です。
民間企業が、私的なアルゴリズムを私的な目的で作っているんです。そのため、影響力を持つアルゴリズムは私的な権力です。
解決策は、データ完全性チェックです。データ完全性チェックとは、ファクト(事実)を直視するという意味になるでしょう。データのファクトチェックです!
これをアルゴリズム監査と呼んでいます。
最後に、マクロ経済学の大目標には、「長期的に生活水準を高め、今日のこども達がおじいさん達よりも良い暮らしを送れるようにする!!」という目標があります。
経済成長を「パーセント」という指数関数的な指標で数値化します。経験則的に毎年、経済成長2%くらいで巡航速度にて上昇すれば良いことがわかっています。
たった、経済成長2%のように見えますが、毎年、積み重ねるとムーアの法則みたいに膨大な量になって行きます。
また、経済学は、大前提としてある個人、法人モデルを扱う。それは、身勝手で自己中心的な欲望を満たしていく人間の部類としては最低クズというハードルの高い個人、法人。
たとえば、生産性、利益という欲だけを追求する人間。地球を救うという欲だけを追求する人間。利益と真逆なぐうたらしたい時間を最大化したいという欲を追求する人間。などの最低生活を保護、向上しつつお金の循環を通じて個人同士の相互作用も考えていく(また、憎しみの連鎖も解消する)
多様性はあるが、欲という側面では皆平等。つまり、利益以外からも解決策を見出しお金儲けだけの話だけではないのが経済学(カントの「永遠平和のために」思想も含めて個人のプライバシーも考慮)
<個人的なアイデア>
電気を作る熱力学のサイクルで熱効率は、ほぼ50%、45%~50%の効率まで高めることは可能ですが・・・
高温の物体から熱を受け取り、電気という「使えるエネルギー」に変換できる機械を一般的に「熱エンジン」と呼んでいる。
高温の物体から受け取った熱エネルギーのうち、どれだけ活用できたかという比率を「効率」と物理学では定義している。
この効率は、原理的に超えられない「カルノー効率」という上限があることが知られている。
カルノー効率が達成されると、効率は上がるが、同時に仕事率がゼロになる現象。
つまり、熱エンジンの効率を最大限に上げると出力がほぼゼロになることを意味しています。そして、効率100%は物理的に不可能ということです。
中世で試行錯誤が行われたことに終止符が示され、機械での永久機関は作れないことが、この現象から理解できます。エネルギー保存の法則からも理解できます。
他には、燃料の持つエネルギーをどれだけ動力として取り出すことができるか?これをエンジンの熱効率と定義しています。
2020年の段階で、ガソリンエンジンの熱効率は最高で40%前後あり、10年くらい前までは30%程度。低燃費の技術競争もあるけどカルノー効率から限界も見え始めています。
だから、ガソリン自動車から電気自動車へ世界中の法人が開発を加速して切り替えている潮流があります。
しかし、人間自体を、追跡すると基本的人権からプライバシーの侵害やセキュリティ上の問題から絶対に不可能です!!
これは、基本的人権がないと権力者が悪逆非道の限りを尽くしてしまうことは、先の第二次大戦で白日の元にさらされたのは、記憶に新しいことです。
マンハッタン計画、ヒットラーのテクノロジー、拷問、奴隷や人体実験など、権力者の思うままに任せるとこうなるという真の男女平等弱肉強食の究極が白日の元にさらされ、戦争の負の遺産に。
基本的人権がないがしろにされたことを教訓に、人権に対して厳しく権力者を監視したり、カントの思想などを源流にした国際連合を創設します。他にもあります。
参考として、フランスの哲学者であり啓蒙思想家のモンテスキュー。
法の原理として、三権分立論を提唱。フランス革命(立憲君主制とは異なり王様は処刑されました)の理念やアメリカ独立の思想に大きな影響を与え、現代においても、言葉の定義を決めつつも、再解釈されながら議論されています。
また、ジョン・ロックの「統治二論」を基礎において修正を加え、権力分立、法の規範、奴隷制度の廃止や市民的自由の保持などの提案もしています。現代では権力分立のアイデアは「トリレンマ」「ゲーム理論の均衡状態」に似ています。概念を数値化できるかもしれません。
権限が分離されていても、各権力を実行する人間が、同一人物であれば権力分立は意味をなさない。
そのため、権力の分離の一つの要素として兼職の禁止が挙げられるが、その他、法律上、日本ではどうなのか?権力者を縛るための日本国憲法側には書いてない。
モンテスキューの「法の精神���からのバランス上、法律側なのか不明。
立法と行政の関係においては、アメリカ型の限定的な独裁である大統領制において、相互の抑制均衡を重視し、厳格な分立をとるのに対し、イギリス、日本などの議院内閣制は、相互の協働関係を重んじるため、ゆるい権力分立にとどまる。
アメリカ型の限定的な独裁である大統領制は、立法権と行政権を厳格に独立させるもので、行政権をつかさどる大統領選挙と立法権をつかさどる議員選挙を、別々に選出する政治制度となっている。
通常の「プロトコル」の定義は、独占禁止法の優越的地位の乱用、基本的人権の尊重に深く関わってきます。
通信に特化した通信プロトコルとは違います。言葉に特化した言葉プロトコル。またの名を、言論の自由ともいわれますがこれとも異なります。
基本的人権がないと科学者やエンジニア(ここでは、サイエンスプロトコルと定義します)はどうなるかは、歴史が証明している!独占独裁君主に口封じに形を変えつつ処刑される!確実に!これでも人権に無関係といえますか?だから、マスメディアも含めた権力者を厳しくファクトチェックし説明責任、透明性を高めて監視しないといけない。
今回、未知のウイルス。新型コロナウイルス2020では、様々な概念が重なり合うため、均衡点を決断できるのは、人間の倫理観が最も重要!人間の概念を数値化できないストーカー人工知能では、不可能!と判明した。
複数概念をざっくりと瞬時に数値化できるのは、人間の倫理観だ。
そして、サンデルやマルクスガブリエルも言うように、哲学の善悪を判別し、格差原理、功利主義も考慮した善性側に相対的にでかい影響力を持たせるため、弱者側の視点で、XAI(説明可能なAI)、インターネット、マスメディアができるだけ透明な議論をしてコンピューターのアルゴリズムをファクトチェックする必要があります。
<おすすめサイト>
ルトハー・ブレフマン:貧困は「人格の欠如」ではなく「金銭の欠乏」である!
ベーシックインカムは、労働市場に対する破壊的イノベーションということ?2020(人間の限界を遥かに超えることが前提条件)
世界の通貨供給量は、幸福の最低ライン人間ひとりで年収6万ドルに到達しているのか?2017
量子コンピューターの基本素子である超電導磁束量子ビットについて2019
<提供>
東京都北区神谷の高橋クリーニングプレゼント
独自サービス展開中!服の高橋クリーニング店は職人による手仕上げ。お手頃50ですよ。往復送料、曲Song購入可。詳細は、今すぐ電話。東京都内限定。北部、東部、渋谷区周囲。地元周辺区もOKです
東京都北区神谷のハイブリッドな直送ウェブサービス(Hybrid Synergy Service)高橋クリーニングFacebook版
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三原舞依選手 21歳お誕生日おめでとうございます!!応援してます!スケート楽しんで💕 #三原舞依誕生祭 #happybirthdaymai #三原舞依 #シスメックス_フィギュアスケートチーム #sysmex_figureskatingteam #フィギュアスケート #フィギュアスケーター #kobe @sysmex_figureskatingteam #figureskate #フィギュアスケート #紙バナー #シスメックス #maimihara #figureskating #figureskater #Heartwarmingillustration #Imagedrawing #figureskate #watercolor #photo #illustration #design #japan #ART © 2020 poppo_skate All Rights Reserved 🌞ぽぽっとツイてるfacebookページ🍰 https://www.facebook.com/popottotsuiteru 加工元写真 https://www.sankei.com/photo/story/expand/171118/sty1711180018-p6.html https://www.instagram.com/p/CEJ_Ir6pAzN/?igshid=19bwd1p75c2vd
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(5月31日まで開催中)【フェア】人から紐解くiPS細胞
代官山 蔦屋書店 営業時間について 5月11日(水)~当面の間 11:00~19:00
■代官山 蔦屋書店ご入店に関して ・1号館2階 映像フロアでのレンタル対象商品は「新作のみ」とさせていただきます。 ・3号館2階 音楽フロアはご利用いただけません。 ※お客様およびスタッフ同士の距離感を十分に取れる空間の確保・維持のため、入場制限を設ける場合がございます。 その場合は整理券を配布いたしますので、ご案内の際は指示に従ってくださいますようお願い申し上げます。 ※大変恐れ入りますが、マスクを着用していないお客様のご入店はお断りしております。 ※休店日や営業時間、当日のご案内方法は予告なく変更となる場合がございます
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iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんをはじめとした研究者の方々や、京都大学総合博物館で行われる特別展「iPS細胞、軌跡と未来―こだわりの研究所を大解剖―」の関係者の皆様が、ご自身の人生で現在に至るまでに「刺激を受けた本」の数々を紹介教えて下さいました。 それぞれコメントも頂いておりますので、これが皆様にも刺激となれば嬉しいです。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 所長 山中伸弥
『宇宙英雄ローダン・シリーズ』K・H・シェール他(著)ハヤカワ文庫SF 子どもの頃、夢中になって読んでいました。科学の力で問題を解決していく登場人物にあこがれたのが、今の仕事の原点かもしれません。日本語版が600巻を超えた今でも続きが出ている人気作です。
『星新一のショートショート』 環境問題、人口増など現代にも通じる社会問題に鋭く切り込んだ作品が多く、読んでいて刺激になります。
『仕事は楽しいかね?』デイル・ドーテン(著)きこ書房 アメリカ留学から帰国後、仕事に悩んでいたときに読んだ本です。思うように研究が進められず、研究を続けるかどうか悩んでいた私に、仕事を楽しむことを思い出させてくれました。
『FACTFULNESS』ハンス・ロスリング他(著)日経BP 科学者にとって、自分の偏見を捨て、データと真剣に向き合うことは非常に重要です。これは科学者以外の方にも言えることだと思います。この本は、世界のいろいろな事象を思い込みに惑わされずに見つめる訓練にとても役立つと思います。
『理不尽に勝つ』平尾誠二(著)PHP研究所 仕事をしていると、理不尽な目にあうことはたくさんあります。そんなときに手に取る本です。著者の平尾誠二さん(故人)とは友人として深い付き合いがあり、仕事の進め方やリーダーシップについて、多くを教えてもらいました。この本は、彼から教わったことを思い出させてくれます。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 所長室 中内彩香
『阪急電車』有川浩(著)幻冬舎文庫 片道わずか約15分という阪急今津線の乗客の人間模様が優しいタッチで描かれ、映画化もされた大ヒット小説。人にはみな、それぞれが主役の人生のドラマがあるという当たり前なことにふと気づかされると同時に、(誤解を恐れずに言うと)「人って悪くないな」と思わされます。人間関係に少し疲れたときに読むと、ほっこり温かな気持ちになれる一冊です。
『僕たちの戦争』萩原浩(著)双葉文庫 何の接点もない戦時中の少年と“今どき”の少年が、ひょんなことからタイムスリップして互いの時代を生きる様子を描いたフィクション小説。背伸びしない、少年の目線で当時を想像しながら本の世界に没入し、現実世界に戻った後も、当時の人が急に今の私たちの日常に迷い込んでくるとこの世界はどう見えるのだろうと想像を膨らませました。当時を懸命に生きてきた方たちのおかげで今があるということを改めて考えさせられました。
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン(著)扶桑社 いつから変化を恐れ、前に踏み出すのをためらうようになってしまったのだろう。常に起きる変化にどう適応するかは自分の考え方次第。物事をシンプルに捉え(自分で勝手に複雑化しない!)、柔軟に行動し、冒険を楽しむ。「新しいチーズ」探しの旅を始める勇気をこの本からもらいました。心が弱くなる度に読み返すと背中を押してくれる、私の良き伴走者です。
『Newtonニュートン』ニュートンプレス 親が愛読していたこともあり、物心がついた頃にはページいっぱいに広がる鮮やかなビジュアルに惹かれて、わけもわからずページをめくっていました。今思えば、それが知らず知らずのうちにサイエンスに興味をもつきっかけになったように思います。読者を「追いていかない」工夫が凝らされ、また号のテーマによらない最新の科学情報も得られるので、おすすめです。
『SNOOPY COMIC SELECTION』チャールズ・M・シュルツ(著)角川文庫 1950年から描かれ、スヌーピーをはじめ愛くるしいキャラクターが人気の漫画。ほのぼのとしたやりとりに心を癒されるときもあれば、子どもの他愛のない一言が、大人が目を背けがちな真理をついていてハッと気づかされるときもあります。読後の爽快感がたまらず、休日の午前に読みたくなる作品がたくさんあります。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 臨床応用研究部門 准教授 池谷真
『神様からの宿題』山本育海他(著)ポプラ社 私たちの研究室では、進行性骨化性線維異形成症という筋肉組織中に骨ができる難病の研究に取り組んでいます。この本は、患者である山本育海君と、そのお母さんの手記です。患者さんとご家族が抱える苦悩、葛藤、決意などの思いが込められています。毎日を頑張って生きようという気持ちになります。
『細胞の分子生物学』ブル-ス・アルバ-ツ他(著)ニュートンプレス ミクロ系生物学が網羅されている、大学レベルの教科書です。大学合格が決まった後、すぐに購入しました。当時、第2版で、現在は第6版になっています。時に読本として、教科書として、辞書として、そして枕として大活躍しました。
『���強マフィアの仕事術』 マイケル・フランゼーゼ他(著)ディスカヴァー・トゥエンティワン 実際に裏社会で成功を収めた著者が、仕事のや���方を経験に基づいて書いた本だそうです。『マフィア』の法則ですが、現実社会に通じる内容が数多く含まれています。思わずニヤッとしてしまうような箇所もあり、心が疲れた時に半分娯楽として読むとちょうど良いかと思います。
『ブラック・ジャック』手塚治虫(著)講談社 医学に関心がある漫画好きの方なら、一度は読んだことがあるのではないでしょうか。法外な治療費を請求するなど理不尽に思える内容もありますが、治療不可能と思える患者を一人の天才外科医が治していく姿に憧れました。
『ドラえもん』藤子・F・不二雄(著)小学館 あんなことやこんなことを、夢の道具で実現してくれるドラえもん。何より、その発想の自由さに、子供心をくすぐられました。た��同時に、サボった分は後から自分でやらないといけないという人生訓も教わりました。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 未来生命科学開拓部門 講師 中川誠人
『ぼくらの七日間戦争』宗田理(著)角川文庫 中学生が大人の言いなりにならないために一致団結して向かい合う青春ストーリー。テンポがよく、ワクワクしながら一気に読んだ覚えがあります。秘密基地などは誰もが幼い頃にあこがれたのではないかと思います。本の終わりも痛快・壮快で良く覚えています。映画にもなりましたね。純粋に楽しめる本だと思います。
『三国志』横山光輝(著)潮出版社 最初に横山光輝さんの漫画から三国志の世界に入りました。様々な登場人物がそれぞれの信念を持って中国統一に向けて戦います。武力だけでなく知力、政治力、一番は人力(魅力)に優れている事が重要だと感じました。そういう人の周りには優れた人が集まり大きな力となるのだと思います。小説は数種類読みましたが、書き手によって内容や登場人物の性格が違っているのが面白かったです。個人的には劉備・関羽・張飛の義兄弟の絆にあこがれます。
『ザ・ゴール』エリヤフ・M・ゴ-ルドラット(著)ダイヤモンド社 ストーリー仕立てで、製造現場の生産管理の手法「制約条件の理論(Theory of Constraints)」を易しく学ぶことができる本。研究には関係無さそうであるが、ラボマネージメントの観点から非常に参考になりました。考え方によって様々な状況に対応できる理論になり得るのではないかと感じました。
『英語は3語で伝わります』中山裕木子(著)ダイヤモンド社 初心者でも、なんとなく英語を勉強してきた人でも参考になるのではないかと思う。いかにシンプルに英語で表現できるかを学べる。英語を難しく考えがちな思考を変えてくれる良本と思います。
『マイケル・ジョーダン物語』ボブ・グリーン(著)集英社 引退した今もなおバスケットボール界の神様と言われているマイケルジョーダン(MJ)の伝記。コート上での神様MJの圧倒的な支配力、そして人間MJの比較をうまくまとめた本。超一流の人には何か共通するものがあるのだろうと感じた。
『細胞の分子生物学』ブル-ス・アルバ-ツ他(著)ニュートンプレス 通称「セル」と呼ばれる、生物学の基礎教本。最初はその重さにやられてしまいますが、制覇した時の達成感は忘れられません。生物学の研究を志すなら、要点をまとめたエッセンシャル本もありますが、是非「セル」を読んでください!筋トレにもなります(笑)
———- 京都大学 iPS細胞研究所 国際広報室 和田濵裕之
『わたしを離さないで』カズオ・イシグロ(著)ハヤカワepi文庫 幹細胞を使った再生医療に関係する仕事をしている者として、とても刺激になりました。ノーベル文学賞受賞で話題にもなりました。どういう未来が私達にとって良いのか、考える際の参考になると思います。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹(著)新潮文庫 村上春樹さんの作品はどれも好きですが、特に印象に残っているのがこの作品。読むのにとても頭を使いました。こんなに頭を使ってしんどい思いをしながら読んだ作品も珍しいですが、しんどくても次を読みたいと思わせる魅力があります。科学的コミュニケーションにもそうした魅力をうまく持たせたいです。
『パラサイト・イヴ』瀬名秀明(著)新潮文庫 科学コミュニケーションを行う上で、科学に興味のない人にどうやって科学的な内容を伝えたらいいのかと悩む中で参考になった一冊。物語の中に科学を散りばめることで、より多くの人にアプローチできるのではないかと思うきっかけとなりました。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(著)ハヤカワ文庫NV 刻々と変わっていく文章の書き方が、日々変化している主人公の知能を反映していて、初めて読んだ高校生のときには衝撃を受けました。時が経過して、アルツハイマー病の患者さんの病気が進行していく姿にも共通するように感じ、改めて読み直したいと思った一冊です。
『ルリボシカミキリの青』福岡伸一(著)文春文庫 大学3回生の時に学生実験で数週間だけ指導をしていただいた福岡伸一先生。雑談の中にあふれる知識に魅了され、4回生の研究室配属では福岡先生の研究室に入りたいと思いました。残念ながら他大学へ移られてしまい、念願は叶いませんでしたが、あの時に感じた魅力、科学コミュニケーションにとって大事なことがこの本には現れているように思います。
『アルジャーノンに花束を』ダニエル・キイス(著)ハヤカワ文庫NV 刻々と変わっていく文章の書き方が、日々変化している主人公の知能を反映していて、初めて読んだ高校生のときには衝撃を受けました。時が経過して、アルツハイマー病の患者さんの病気が進行していく姿にも共通するように感じ、改めて読み直したいと思った一冊です。
『銀河英雄伝説シリーズ』田中芳樹/藤崎竜(著)集英社 舞台は宇宙ですが、歴史ものの小説のような作品。世界には様々な価値観があり、いずれも正しく尊重されるべきであることを強く意識するきっかけとなりました。
———- 京都大学 iPS細胞研究所 国際広報室 志田あやか
『松風の門』山本周五郎(著)新潮文庫 中3の国語のテストで収録作『鼓くらべ』に出会い、すぐに図書館へ走ったのを覚えています。自分の信念ではなく、人にどう見られるかを基準に行動してしまいそうになったときに読む本。
『壬生義士伝』浅田次郎(著)文春文庫 吉村貫一郎という新選組隊士が主人公。「お国のため」が第一だった武家社会を背景に、自分の軸を持って生きるというのはどういうことかを教えてくれる本。
『どうなってるのこうなってるの』鈴木まもる(著)金の星社 父に毎晩読み聞かせをしてもらって育ちましたが、リピート率No.1はこの本でした。「どうなってるの」で十分タメてから「こうなってるの!」と進むのがコツです。
『脳死・臓器移植の本当の話』小松美彦(著)PHP研究所 著者の小松氏は、大学に入って最初の講義の講師でした。「私を含め、他人が言うことを検証し建設的に批判できるようになれ」と言われたのが記憶に残っています。この本は、小松氏自身がそれを実践した著作。脳死のとらえ方に新しい一石を投じてくれるはずです。
『完璧じゃない、あたしたち』王谷晶(著)ポプラ文庫 あたりまえのことなんですが、男との出会いだけが、女にとっての「特別」であるはずがないのです。恋愛、友情、尊敬、女同士のいろいろを描いた短編集。
———- 京都大学 情報環境機構/学術情報メディアセンター 助教 元木環
『観る―生命誌年刊号Vol.45~48』中村桂子(著)新曜社 中3の国語のテストで収録作『鼓くらべ』に出会い、すぐに図書館へ走ったのを覚えています。自分の信念ではなく、人にどう見られるかを基準に行動してしまいそうになったときに読む本。
『壬生義士伝』浅田次郎(著)文春文庫 JT生命誌研究館の季刊冊子が年に一度まとめて発刊されるうちの一冊。研究者である編者が様々な分野の専門家と繰り広げる対話の連載や各種記事が、生命科学関連の研究を非専門家向けに、丁寧なテキストとビジュアル表現で伝達されており、研究を伝える時の態度や工夫が感じられるのが楽しい。この号は、自分が大学で、研究を対象にデザインをし出した頃にとても参考になった。
『図解力アップドリル』『[動く]図解力アップドリル』原田泰(著)ボーンデジタル この2冊のシリーズは、「読めばすぐできるような」デザインマニュアルだと思い手に取ると、期待を裏切られる。タイトルやぱっと見からではわからないが、知識や情報、あるいは経験を「視覚的に表現し、伝達する」ことの本質を、頭と身体を使い、実践的に掴んでいくための道しるべとなる本になっている。デザイナーだけでなく、科学を対象とするデザインに関わる人にもとても参考になるし、続編の「動く」の方は、映像作成の考え方の基礎にもなる内容で秀逸。
『患者はだれでも物語る』リサ・サンダース(著)ゆみる出版 CiRA展とは別で展示の準備中に出会った先生からいただき、とても面白かった本。医師が患者の問診や診察でどのように診断をしていくかが物語として描かれている。デザイナーが、制作依頼を受けて、相談、制作していくデザインプロセスとも通じるところがあることが興味深い。
『デザインに哲学は必要か』古賀徹 (著)武蔵野美術出版局 デザインの実践者かつ教育者である著者らによる論考がまとめられており、デザインの裏側にある考えを想像する手がかりになる本。実践者が自ら���デザインとは何か」と問い、表現している言葉に共感を覚える箇所が多数ある。CiRA展に関わったデザイナーたちは確かに、(うまく言語化できていなかったとしても)フレキシブルでかつ一貫した考え方を持って、制作に携わっていたのだ、と想像してもらえるかも。
『優しさごっこ』今江祥智(著)理論社 私が紹介するまでもない有名な小説であるが、小学生の頃以来、時々読み返す本。いつも関西(京都?)の言葉で綴られる光景やモノローグや会話の表現、時々出てくる食べ物の描かれ方に引き込まれるが、タイミングによって、娘、親、別の登場人物など、別の視点で読んでいる自分と、行間や背景に想像できる範囲が変わっている自分に気がつかされる。装幀や挿絵(初版は長新太さんによるもの)を含めたブックデザインに興味を持つきっかけとなった一冊でもある。
『アイデア No.355』アイデア編集部(編)誠文堂新光社 もし古本でも手に入るなら、「《特集2》奥村昭夫と日常」のページをみてほしい。CiRAマークの相談を受けブラッシュアップした、グラフィックデザイナー(当時京大メディアセンターの客員教授であった)奥村昭夫氏のデザインに対する態度、大学の中の様々な仕事の中でCiRAマークの制作に関わることになった様子に触れることができる。
『美術館は眠らない』岩渕潤子(著)朝日新聞社 大学生の頃、授業中ある先生から「美術館に興味があるならこれを読んでみたら」と紹介され出会った本。筆者がアメリカの美術館での研修員時代の体験談を軸に、アメリカでの美術館を支える組織、社会のあり方が紹介されている。今とは時代背景は異なるが、美術館や博物館を運営する(もちろん展示を行うにも)仕事は多様な専門性があって成立していること、国によって異なる歴史や社会の仕組みが、美術館や博物館にもとても影響をすることを教えられた一冊。感染症の関係で、美術館や博物館にまつわる社会の仕組みも再編されるのではという目で読むこともできる。
京都大学総合博物館 准教授 塩瀬隆之 『ちいさなちいさな王様』アクセル・ハッケ他(著)講談社 わたしたちの国と人生が真逆で、たくさんの知識や先入観をそぎ落とし、どんどん好奇心あふれ、いたずら心であふれる最期を迎える国の王様の話。「可能性で埋め尽くされた想像の毎日を捨て、なぜ斯くもつまらない一つの正解だけを追う日々を生き急ぐのか」と王様にわたしたちの社会が笑われている。
『エンデの遺言』河邑厚徳(著)講談社+α文庫 ファンタジー童話『モモ』や『はてしない物語』で知られるミヒャエル・エンデの晩年の関心は、「お金を根源から問い直すこと」。お金がお金を生む投機的な世界に心を奪われた現代社会を風刺し、思想家シルビオ・ゲゼルの「老化するお金」を研究した。『モモ』の世界に登場する時間貯蓄銀行の灰色男は、あくせく働きすぎの現代社会を40年も昔から見透かしていた。
『木を見る西洋人 森を見る東洋人』リチャ-ド・E・ニスベット(著)ダイヤモンド社 問題を細分化する西洋流の要素還元的なモノの見方に対して、全体の調和を保とうとする東洋流のモノの見方こそが大切で、どちらかに優劣をつけようというのではない。大局観を失った近視眼的なモノの見方を揶揄する言葉であるが、それが心理的な差異にとどまらず、経済、法といった社会制度の好み、宗教観にまで影響を及ぼしていると指摘する。
『不実な美女か貞淑な醜女か』米原万里(著)新潮文庫 ロシア語通訳の米原万里が、要人通訳などにおいて意識した技術と視点を紹介する本。見栄えはよいが中身を伴わない文章と、見栄えが悪くも中身を正確にとらえた文章、使いこなす文章は常にその間を揺れ動いている。翻訳に限らず、あらゆる言葉の表現をするうえで、悩ましくも筋の通った考え方を示す。文章そのものも明解で極めて参考になる。
『バーバパパのがっこう』A・チゾン/T・テイラー(著)講談社 学校を舞台にしたバーバパパシリーズ。監視を強める学校に反発する個性豊かな子どもたちに手をやく大人。見かねたバーバファミリーが、ダンス好きな子、絵が好きな子、メカが好きな子それぞれの個性にあった学びをとどける。興味をもったところに、学校の数学の先生がかえってきて一緒に教え、結果として質の高い学びを得る物語。監視を強める学校教育への警鐘と言える。
———- 特別展「iPS細胞、軌跡と未来 こだわりの研究所を大解剖」デザイナー 東南西北デザイン研究所 石川新一
『生き物の建築学』長谷川尭(著)平凡社 泥臭い、生きるためのデザインをしたいと思った時に読むといい本
『さあ、横になって食べよう』バーナード・ルドフスキー(著)鹿島出版会 既成概念にとらわれていないか?と自分に問う時に読むといい本
『鯨尺の法則』長町美和子(著)ラトルズ 日本文化で癒されたい時に読むといい本
『Usefulness in Small Things』Kim Colin and Sam Hecht(著)Rizzoli アノニマス(無名性)デザインで参考になるいい本
『メイカーとスタートアップのための量産入門』小美濃芳喜(著)オライリー・ジャパン 私などデザインをする人が将来の野望ために読むといい本
———- 特別展「iPS細胞、軌跡と未来 こだわりの研究所を大解剖」デザイナー 奥村昭夫
『伊丹十三選集』伊丹十三(著)岩波書店 若い頃、伊丹さんの本は読む楽しみとともに、元気づけてくれました。 今、伊丹十三選集を楽しく読んでいます。
『瑞穂の国うた』大岡信(著)新潮文庫 文中の、夏目漱石の”レトリック など弄している暇はないはずだ、ア イディアがすべてだと思うよ、ということです。”の言葉に、製作の確 信を得てたびたび思いおこしています。
『常用字解』白川静(著)平凡社 常に手の届くところにあって、漢字と言葉の散策をしています。
『黒田泰蔵 白磁』黒田泰蔵(著)求龍堂 圧倒的に美しい白磁、緊張とすみきった空気を感じ、頭と心を研ぎす ましてくれます。
『大衆の強奪』セルゲイ・チャコティン(著)創元社 “戦争に対する戦争”のスローガンに代表されるように、伝える事の 本質と、言葉とシンボルの力を教えてくれました。
【プロフィール】 京都大学iPS細胞研究所 iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんをはじめとした研究者の方々や、京都大学総合博物館で行われる特別展「iPS細胞、軌跡と未来―こだわりの研究所を大解剖―」の関係者の皆様が、ご自身の人生で現在に至るまでに「刺激を受けた本」の数々を紹介教えて下さいました。 それぞれコメントも頂いておりますので、これが皆様にも刺激となれば嬉しいです。 2006年に誕生し、2012年に「成熟した細胞を、多能性を持つ細胞に初期化出来る事を発見」した事により、山中伸弥/J・B・ガードン両氏が2012年のノーベル生理学・医学賞を共同受賞した事で、一躍再生医療の救世主と目されることになった「iPS細胞」。 そんな新たな存在を医療の現場に応用させる為の研究を行う「京都大学iPS細胞研究所(CiRA)」は2020年で設立から10周年を迎え、同研究所の軌跡と未来を記した『iPS細胞の歩みと挑戦』(東京書籍)も刊行されます。
会期 2020年5月11日(月)~2020年5月31日(日) 時間 営業時間通り 場所 蔦屋書店1号館 1階 ブックフロア 主催 代官山 蔦屋書店 共催・協力 京都大学iPS細胞研究所 東京書籍
問い合わせ先 03-3770-2525
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二階堂記念病院シリーズ(2017全系列碟評重制版):Drama CD 碟評
*此篇標註為好孩子閱讀警告標章
獻給喜歡被支配的你,過激的淫慾問診。在醫院裡那無人知曉的情慾,無法克制的衝動脫韁而出,羞恥而無法抵擋的慾望。在耳邊細語、愛撫、被醫生們激烈的玩弄著…
我覺得我的堀川ごぼこ補完計劃正在姬友的鞭策下有著良好進度(抹臉給自己一個讚)基本上一整個系列聽下來,我覺得我可能要對上醫院要有陰影了(微笑)二階堂醫院全是衣冠禽獸的高大上醫生,太可怕了,女主不管是女病患、女護士、女醫師都逃不過魔爪,看了一看劇本娘的名字之後表示:沒有毛病,這很堀川。
這個二階堂紀念病院系列是沒有連貫劇情的,所以2015年出碟的時候我只clear了第二彈跟第四彈兩張,並且寫過單碟的完整碟評。Follow 我湯不熱的人可以直接點選本文旁邊的tag「二階堂記念病院」就可以看到。會聽第二跟第四只是因為1.我喜歡M男跟2.哄小孩用語一直是我的一個フェッチ(你這樣自爆好麼!)如果不是姬友大力推薦&督促估計花心如果可能不會把這一系列一起吃了,在這邊特別感謝姬友。
簡單來說這系列劇情力偏低,但是肉香四溢,不管前面概要寫得多麼冠勉堂皇到最後一定都是醫院啪啪啪的結局,絕對的。完美展現劇本娘堀川ごぼこ對醫生這個職業的偏好,她對大白袍一定有不可抹滅的愛(握拳)這次她欽點的CV也都是多采多姿的風格,一系列聽下來有各種不同的層次跟口味,對於我這個花心的淑女來說甚是滿足。
那麼就讓我帶著大家到二階堂醫院去掛號~
二階堂記念病院 第1弾 外科医櫻井の淫欲カルテ
你和外科醫師櫻井恭介(CV:木島宇太)自交往開始已經過了三個月。在他休假的時候久違地和他一起度過兩人親蜜時光,但就在那時手機突然響起。接到了醫院通知有重症病患需要他出勤,他馬上起身出門。但無法解消自己心中的灼熱慾望的你到了醫院找他時,就這樣和他在夜裏的醫院裏,被他激烈的親吻著…在那個誰都有可能發現他們的地方壓低聲音,深怕在醫院被人看見,卻無法克制住自己的衝動…
基本上沒有劇情的一碟(手動允悲)假日在家イチャイチャ→接到電話把女主放置Play趕往醫院→女主慾火焚身感到醫院找他→醫生在休息室裏醬醬釀釀女主→因為快被同事發現又把女主放置Play→拉著女主趕往高級小旅館完成本番(aka有錢人)。聽完的最大感想是:女主你一直被撩然後被強行放置難道不累嗎?不生氣嗎!!我覺得她濕了又乾濕了又乾(注意節操)套一句醫生的話,這就是身為外科醫生的女友的器量(攤手)醫生的姿♂勢非常充足,每次都能把女主弄得不要不要然後放置她(喂),但女主也不是省油的燈,上了小旅館逮到機會就口了醫生一發,然後快速本番。35分鐘肉量充足,台詞腥羶(比如說這碟就講了バルトリン液,還說什麼把我的XX大量澆淋在你的OO←我就隨便舉例個兩句),最後一邊啪一邊告白仍然是老大媽套路。喂!但是35分鐘真的不會太坑嗎???PS.本篇第二軌又出現了很老土的謎之BGM,明明是在急診室但兩人卻要趕往小旅館,有需要搞得像「救命病棟24時」or「大搜查線」那樣嗎?搞笑了啊!
アニメイト特典「風邪の櫻井先生をお見舞いにいったらイチャイチャしちゃったCD」
ステラワース特典「櫻井先生とふたりでイチャイチャしながらひとりえっちなCD」
就像之前說到的,這系列的特典沒什麼創意,固定的換CV不換劇情,換湯不換藥。可能是因為做為這系列的第一彈還處於試水溫狀態,特典只有兩家。淡定的互相視jianオナニ跟生病Play,也是毫無劇情可言,我全程專心吃肉。生病了的醫師略帶弱氣像個孩子很可愛是聽點,而女主妥妥主動上門來照♂顧他,全在預料之內。
CV木島宇太,木島老濕之前一直給我年下健氣可愛的印象,直到聽完Sexual Philia之後我整個改觀。其實二階堂這張外科醫用的聲線沒有SP那麼低,但是抖S俺樣的演技讓我眼前一亮(?)雖然本番最後總聽起來有點腎虛跟受氣但不是重點,我還是要說ご馳走様でした!木島老濕��一些色色髒髒的台詞6得很啊!堀川老大媽請務必繼續愛用他!17年都沒見到他啊!淑女們需要他!
二階堂記念病院 第2弾 リハビリ医葉庭の淫欲カルテ
因為骨折而入院的你,葉庭馨(CV:紫原遙)則是你的復健醫師。在復健療程中總是認真地對待你的傷勢,每當眼神交會之時他總會羞怯地臉紅說話開始打結跟口吃。面對這樣容易緊張又純情的葉庭醫師的你動了情,就在出院之前展開了對他大膽的追求,還強勢地吻了他,試圖縮短你與他的距離。
2015年兩年前聽這張的時候就很喜歡,現在聽還是很對我胃口(說穿了就是一個擁護M男的淑女←允悲)我覺得這張的劇情比外科醫還要因吹斯汀一些,應該說高能的是女主(驚)被復健師照顧照顧了之後就對人家動了心,一旦確認目標之後就強勢追求的女豹子一般的女主,非常GJ。大概是欺負純情認真又弱氣的漢子是她的興趣吧,連人家推著輪椅帶她到後花園都可以把人家的吻給奪走,隔天一起練習走樓梯的時候也可以把人家拖到小角落然後扒光褲子然後吃乾抹淨口一發...膽識非常過人。最後是在出院前一天在夜裏的病房裏把人家用繃帶把手綁在床頭板然後吃了,最後當然是兩情相悅的女上本番,可以說是水到渠成的發展(淡定拇指),女主的撩漢技能已經點爆。總的來說復健師是個認真忠犬的好老公類型,一旦收服之後便服服貼貼又很可愛,甚至還秒速求婚,完全是個老婆痴漢的料。艾瑪,我最喜歡這種男主了,自是不必多說。
アニメイト特典「葉庭先生とふたりでイチャイチャしながらひとりえっちなCD」
ステラワース特典「風邪の葉庭先生をお見舞いにいったらイチャイチャしっちゃったCD」
同樣是互相視jianオナニplay,我還是比較喜歡復健師的。兩個人本來在家很悠閒的喝茶,女主此時必須肉食,就提出了我們來醬醬釀釀吧(默)像我這種對漢子自撸有興趣的淑女可能不在少數,但這張非常美味,說穿了我大概是喜歡聽紫原遙破廉恥吧(你夠了)生病Play特典的萌點在於本來很弱的M男復健師生病之後更M了(抹臉)最後還小小不要臉的跟女主要求要女主一輩子照顧他,如果女主生病了他也會盡全力照顧←皇爆的碟子然而台詞很萌萌噠。
CV紫原遙,也是2017完全不見蹤影的SSR馬甲。其實他的聲線很特別,厚實而沙啞的中音(少年音也在他的range裡,而且氣質挺獨特,比如4色の支配者と反逆の業火 白之王)。在一票馬甲聲優裏面,他的聲音可以說是獨樹一格。而變態氣質也是賣點之一,比如淫惑の箱庭裏的Luciano就病得不輕,嘛,Operetta社專注生產犯罪病嬌30年,紫原就是一好手。這碟M男就詮釋得很不錯,一旦開起開關之後妥妥的痴漢M,也是H的時候略顯誇張的演技,但我挺喜歡的。
二階堂記念病院 第3弾 内科医羽生田の淫欲カルテ
因為胃痛已經持續了一個禮拜而來到醫院看病的你,正在等著消化內科的看診。走出診間叫你的是個眼睛大大猶如少年的醫生-羽生田慧(CV:あさぎ夕)被他涼涼的手觸診,你的身體不自覺產生反應卻被他當成了好玩的惡作劇,然後被他親吻,這是羽生田醫生秘密診察的開始。在外頭人來人往的診間拼命抑制聲音,被他情色的惡作劇調戲著。他總是喜歡在你耳邊說些壞心眼的話,以他的方式佔有你。而你的眼中再也容不下其他人…
霸道小惡魔瑪莉蘇正太胃科醫(二哈)也是沒什麼劇情可言的一張。就像前面說的,女主因為胃痛來到二階堂醫院看診,進到診療室之後就被正太醫生偷親了一口,還開始對身為病患的女主毛手毛腳= = 這個看起來像是個屁孩的醫生根本就是扮豬吃老虎,女主察覺不對勁,卻被他說了一句不需要大聲呼救,因為醫院上上下下的同仁他都打點好了,叫破喉嚨也沒有用,乖乖接受淺規則被我好好玩弄吧(默,感受到了人性的墮落)你們這下知道二階堂醫院都是些高大上的衣冠禽獸了吧!看清事實吧!第一次看診算是未遂,第二次就妥妥本番吃乾抹淨了,還特別挑月黑風高的夜晚把其他醫生護士都支開,只剩下他倆,這個醫生果然不是吃素的。小惡魔本性表露無疑,一直說著女主是他的東西,別想再離開他了。我不知道原來你是一個這麼壞的孩子。。。
アニメイト特典「羽生田先生とふたりでイチャイチャしながらひとりえっちなCD」
ステラワース特典「生まれた日を羽生田先生にイチャイチャしながら祝ってもらうCD」
シーガル特典「風邪を引いたら羽生田先生がお見舞いにきてくれてイチャイチャしちゃったCD」
第三彈之後特典妥妥變成三家,E社騙錢的意圖表露無疑,多出的一家特典都是男主角醫生的生日特典,女主還是會被666地吃掉,這是一定要的。三個特典無疑都是展現這個多金正太碼麗蘇醫生的淫威,家裏有管家爺爺,有女僕,爸媽還可以因為想吃小籠包而當機立斷馬上買張機票飛去台灣(笑哭)生日當天乘著加長禮車去接送女主….還沒說到他家裡是醫生世家,家裏也是開醫院的,他在二階堂大概只是因為這是間有毛病(斜眼)的醫院,他根本不缺工作啊尼瑪。所以他要女主以後不要再到二階堂去看病,到他家就好了,包她藥到病除(誤)果然扒下高大上男主角的假面具讓他們露出淫邪的真面目是劇本娘老大媽的愛好啊。
CVあさぎ夕的聲音簡直可愛到犯罪,差點又要叫警察杯杯把自己抓走(遮臉)全程都是小惡魔奶糖音,比下一張小兒科醫生更像是在哄孩子,完全無法直視了。各種汙力滔滔的台詞都掛在嘴上,あさぎ夕絕對不是省油的燈。這次的聲線是他拿手的可愛正太音,高音無懸念。Kiss跟腎都在正常發揮水平,把這個肉慾正太演得很活靈活現,容我再說最後一次,這是犯罪。
二階堂記念病院 第4弾 小児科医光永の淫慾カルテ
小兒科醫師光永一弘(CV:佐和真中)是跟你一起在小兒科工作的同事。身為護士的你,因為喜歡和小朋友接觸而選擇了在小兒科任職。但是自己怎麼樣都沒辦法跟小孩子處得來,正因為這樣而感到苦惱的你被光永醫師叫了過去。他希望能教導你如何正確跟孩子溝通進而讓他們對你敞開心扉,他說首先要將 “你”當成小孩子一樣對待。
也是兩年前就聽過的碟子,而兩年後我還是很怨念佐和真中稱霸馬甲碟之王已經行之有年卻還沒出演有小小孩的把拔,讓淑女我不禁嘆一聲可惜。這碟他哄女主的聲音簡直蘇到沒有我,口氣可溫柔了!但是我簡直不能直視他把成年人的女主當作蘿莉哄,還哄騙她做各種沒節操又色色的事情。我還不想說當時我曾YY過這碟的女主角是真‧蘿莉(堀川老大媽表示她不想去坐牢),結果不是,劇情選擇了一個在小兒科抱著遠大抱負的新人小護士因為了解到小孩不是好惹的(X)而開始懷疑人生,小兒科醫生非常好心的想要talk talk開解她,進而把她當作幼齡化來調教(X)騙砲(X)這碟除了醫院診療室內的play還玩了公園青jian野外play,兔子形狀的電動小玩具play,肉戲也是6得no more me。最後還是很套路的來了邊啪邊告白,皆大歡喜的結局。
アニメイト特典「光永先生とふたりでイチャイチャしながらひとりえっちなCD」
ステラワース特典「風邪をひいたら光永先生がお見舞いにきてくれてイチャイチャしっちゃったCD」
シーガル限定盤「誕生日に光永先生とイチャイチャしながらお空の上でお祝いしてくれるCD」
同樣是互相視jianオナニplay、生病Play跟生日啪啪啪的三特典,我感覺戀童癖hentai感比本篇少了,估計是因為本篇已經告白+調教成功,已經好好把女主當成成年的女性看待了,真是太好了(生無可戀的臉)。肉香四溢的三個特典,基本上title已經說明了特典劇情。
堀川老大媽的親兒子一號佐和真中,走到哪都能看見他英姿飄爽的身影(O)這次的ぷちhentai感覺非常正直汙,私心覺得他的小兒科醫生已經不是ぷち而是個大hentai了(你閉嘴)這次佐和用的是定番溫柔尼桑系青年音,聽起來有種潔淨感,這點一直非常為人津津樂道,然而戀童(No)腎力十足,台詞也是各種嘴上飆車,不容小看。
二階堂記念病院 第5弾 耳鼻科医宗矢の淫欲カルテ
宗矢朋之(CV:明日野将)是二階堂醫院的耳鼻喉科醫生。你是年長他兩年的前輩,他一直很喜歡你,但卻都沒能對你出手,一直將他對你的心意埋藏在心底。就在那天,你即將高升轉職至其他的醫院,他聽到這個傳聞之後就將你約出來,態度有了極大的轉變。不斷地可求你疼愛他,希望你責備他。但有時又會在你耳邊細語,想要獨佔你…試圖讓你沉溺於他。
非一般的故事,這次的耳鼻喉科醫生是又S又M的異種,你們沒見過吧?
故事本身也是有點duang duang的,女主自己也是耳鼻喉科醫生(難得不是護士或是女病患),前輩女醫生設定滿新鮮,而且女主是個職業生涯蒸蒸日上的大好女青年即將要高升調派到其他醫院。本來小透明毫無存在感的耳鼻喉科醫生男主感受到了陣陣的危機,從唯唯諾諾的乖順小綿羊一下子就爆發成是告白狂魔(誤)跟人家告白完後馬上就上壘真的不要太快喔。一開始是side M的痴漢表現,對女主又親又摸,還讓女主撸了他一發,然後素股。我本以為他是個DT,但他實在太老司機了,我根本不相信(攤手)接下來女主的歡送會,等大家都回家之後兩個人又工口了起來,這此女主還把他的手綁起來,然後也是各種玩激哭比跟撸他,身寸的SE好高能。嗯,然後我覺得耳鼻喉科醫生不是一般的M男,把他虐一虐之後開始得寸進尺,還會敬語拜託女主給他口了,某個奇怪side S開關就這樣突然Switch ON!這有點叼。老話一句,究極的M其實是S,命令他人來滿足自己的被虐慾望。這張的本篇收錄是系列最長的也是最慢本番的依張,足60分鐘的收錄時間,也是系列良心了。其他大概都是30-40分鐘不等的本篇長度。最後耳鼻喉科醫生表示會常常搭新幹線去找女主,遠距戀愛達成,妥妥HE。
アニメイト特典「宗矢先生が貴女を想っていることをひとりHで表現してたらイチャイチャしっちゃったCD」
ステラワース特典「宗矢先生は風邪をひいてても、会いたくて、おしかけて、お見舞いされてイチャイチャしちゃうCD」
シーガル特典「貴女の誕生日にふたりじめしたお庭で奉仕してくれる宗矢先生を縛っちゃうCD」
最後再來一次互相視jianオナニplay、生病Play跟生日啪啪啪的三特典,港真我覺得三特典的耳鼻喉科醫生感覺比本篇要S一些,可能這個角色的套路就是一路開始M到一定程度之後就會開始S,而他的S也不是虐待女主而是很會求女主對他這樣那樣。生日啪啪啪特典是野外,在耳鼻喉科醫生家的庭院裏,把他綁起來然後上了…看來又是個有錢人(重點錯誤)總之安心吃肉的三特。
CV明日野将=金田亮=マーガリン天狗,他也可以說是換馬甲小王子了(誤)印象中好像這是他唯一一次演M男?其他都是可愛的年下or小哥哥角色,糯糯糊糊的年下音挺可愛,跟あさぎ夕正太音比起來他多了憨憨的氣質吧?喘起來略受,估計也是因為這次M男醫生的角色需要,親親是比較可愛的孩子風格,色氣有待加強。
總評,整個系列聽下來,我的喜好度應該是葉庭=光永>宗矢>羽生田>櫻井,純粹是個人喜好,你們也知道我喜歡M男啊(笑而不語)羽生田比較沒那麼戳只因為我通常不太吃正太小惡魔屬性,櫻井那張則是劇情力太低,雖然CV木島老師的表現可圈可點。總的來說,超級推薦給對醫生大白袍有フェッチ的淑女,醫生系列滿足肯定能滿足你們。喜歡吃高能yin靡的肉也很推薦,本篇吃不夠還有特典等著,本人親測很頂飽(?)的一個馬甲碟系列,只要你不嫌膩(允悲)堀川的劇本品質有保證,入教保平安!
以上。
推薦指數:7.5/10
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【小説】JOKER 第一部
プロローグ
〈1〉
深夜零時。
ロレックスに目を落とした緒方進(おがたすすむ)はブリーフケースを手に、生ぬるい海風を受けながら水銀灯の明かりで照らされた新庄市郊外の公園に立っている。
海に面した絶好のデートスポットなのだが、残念な事に交通の便が悪い上に駐車場すらなく、昼間でも子供でさえロクに遊びに来る事が無い。
緒方の両隣りに二人、公園の入り口と四メートル道路に停めたベンツに運転手代わりが一人貼りついている。
全員原色のスーツに金ネックレスならプロ野球選手の夜遊びと言えない事も無いだろうが、広域指定暴力団矢沢組の組員は落ち着いたビジネススーツが常だ。
そしてブリーフケースには二百万円分のメタンフェタミン――覚醒剤が入っている。
取り引き相手は調子に乗っている街の半グレ。
昔で言うストリートギャングだ。
半グレと言っても若者ではない。若い頃にやんちゃをしたがいいが足抜けに失敗し、ヤクザになる器量も無いチンピラだ。
麻薬が若者に蔓延している、というのは半分正解で半分間違いだ。
昨今の若造は非正規労働などで麻薬に金を渋るどころか、タバコにさえ金を落とさない。
麻薬を使っているのは女を薬で縛って風俗で働かせるか、末端の構成員を薬で縛り付けるかのどちらかだ。
スポーツ選手や芸能人は大金を落とすが、それは表沙汰にしない為の口止め料としての意味合いが強く、普通に流通している薬はそこまで高くない。
そんな価格設定をしたら麻薬依存症患者は年収五千万円以上に限られてしまうだろう。
そしてスポーツ選手や芸能人などの成り上がりはともかく、そんな高所得者は基本的に麻薬など嗜む事は無い。
麻薬というのは貧乏人を貧乏人に縛り付け、思うがままに操る道具なのだ。
緒方がそれでも月収に相当する額のブリーフケースの重みを感じていると、年甲斐もなくスウェットを来た男が軽のワゴンで公園に乗りつけた。
逆向きにかぶった野球帽はヤンキースなのに、スウェットはボストン大学という統一性の無い男の後ろに三人の若造が続く。
間違いなくアメリカのストリートギャングを意識しているが、残念ながらエミネムにもJAY-Zにも見えない。
オーバーサイズの服をだらしなく来た日本人だ。
「緒方さん、金持って来ました」
ヤンキース帽がポケットから雑に札束を出して見せる。
それでクールだと思っているのだからタチが悪い。
「ブツはある」
緒方が顎をしゃくると若い衆がヤンキース帽の札束を確認する。
帯どめしてある訳でもなく、おおよそでしか金額は分からない。
しかし、金額が違っていれば差額を血肉で支払う事になる事はヤンキース帽も理解しているだろう。
若い衆がざっと金を数えた所で、水銀灯の下にトレンチコートの男が忽然と姿を現した。
紫色のどぎついトレンチコートに西洋風のピエロのマスク。
「ハッピー、ハロウィーン」
おどけたような合成音声が響いた時、緒方は背筋から嫌な汗が滲むのを感じた。
遭遇するのは初めてだが、ヤクザや半グレをターゲットにしたハッピートリガーの噂は緒方も聞いた事がある。
トレンチコートに突っ込んだ手が引き抜かれた瞬間、銃声と共に足下と背後の遊具で火花が爆ぜる。
「緒方さん!」
若い衆の一人が銃を抜いてピエロ――ジョーカーに応戦しようとする。
ジョーカーのトレンチコートが開いて、内側から映画でしか見た事の無いショットガンより大振りな銃器――グレネードランチャーが姿を現す。
「ハロウィーン? 失敬、まだ五月だ」
ジョーカーのグレネードが火を噴くと同時に地面が爆発して公園に身体が投げ出される。
半グレがへっぴり腰で公園の外に出ようとした瞬間、ジョーカーのもう一方の手に自動小銃が握られていた。
「屋根よぉーり高い、鯉のーぼーりー」
自動小銃が瞬き、公園の出口付近に無数の弾丸がばら撒かれる。
隙を突いて緒方は裏手に停めたベンツに向かって走る。
初対面とはいえ、こんな火器を狂ったように撃ちまくる狂人を相手になどしていられない。
自動小銃が向きを変え、ベンツの防弾ガラスに傷が穿たれる。
それでも緒方がベンツに戻る間に、半グレの連中は軽のワゴンに向けて疾走している。
ジョーカーのグレネードがベンツに向けられる。
助手席に転がり込んだ緒方は叫んだ。
「出せ!」
猛スピードで走り出すベンツをジョーカーは追って来なかった。
緒方はあの猛烈な砲火の中、生き延びた事を奇跡のように感じていた。
〈2〉
午後八時。
没個性的なダークスーツに身を包んだ三浦清史郎(みうらきよしろう)は新庄市駅前にある新庄商店街の場末のバー『サイレントヴォイス』を訪れている。
新庄市は首都圏のベッドタウンとして栄えている太平洋に面した、人口八十万の町だ。
駅前の商店街では二百を超える店舗が活況を呈しており、湾岸という事もあり工場地帯も存在する。
耳に心地よいJAZZが流れる中、清史郎がショットを二杯開けた所でパリッとしたスーツを粋に着こなした慶田盛弁護士事務所の慶田盛敦(けだもりあつし)が現れた。
互いに若手と呼ばれる頃に知り合い、今では二十年の付き合いになる。
「待たせたようだな。今幾つか案件を抱えていてね」
慶田盛弁護士事務所は警察の冤罪事件を扱う事で、その道では知られている弁護士事務所だ。
日本では警察が立件した裁判では99%の確率で検察が勝利している。
その検察がでっち上げたものを、証拠を積み上げ無罪に、更には真犯人を警察に突き出して解決する。
それが慶田盛弁護士事務所の仕事であり、清史郎の三浦探偵事務所は裁判の為の情報である事件の調査依頼を受けている。
売れ筋である浮気調査などはしていない為、懐には常に隙間風が吹いている。
「最近はこっちも忙しくてね」
清四郎はスコッチを注文した慶田盛とグラスを合わせる。
『サイレントヴォイス』のマスターは、以前ヤクザに恐喝されていた所をジョーカーに扮して助けたという経緯がある。
もっとも通い続けて十五年だから隠す事もありはしない。
気の���けない古い友人のようなものだ。
「吉祥寺の死体遺棄事件の件は進展はあったのか?」
吉祥寺の死体遺棄事件とは、富山純也二十五才宅で、川上千尋二十二才が自傷行為で死んでいたというものだ。
死後二日後に近所の人間に通報された事から、警察は富山を死体遺棄事件の容疑者として逮捕。書類送検した。
富山は無罪を主張し、慶田盛弁護士事務所に泣きつき、慶田盛が三浦探偵事務所に調査を依頼したのだ。
「川上は富山と同棲していた。富山の証言では自傷行為など考えられない」
同棲していた富山が被害者の死亡時に出張で家を空けていた事はアリバイとして記録に残っている。
「それは本人から直接聞いている」
慶田盛の言葉に清史郎は頷く。
「川上は都内の建築会社で事務をしていたが、実は裏で足つぼマッサージをしていた。これは歩合給で明細書も無い手渡しだ。小遣い稼ぎには丁度良かったんだろう」
清史郎は店舗の写真を慶田盛に見せる。
富山も都内の広告代理店に勤務していたが収入はお世辞にも良いとは言えず、川上としては将来を考えても副収入が欲しかったという所だろう。
その辺りの事情はマッサージ店の同僚から聴取住みだ。
「富山は言っていなかった。どうやって調べたんだ」
慶田盛が驚いた様子で写真を手に取る。
「足で稼いだんだよ。で、マッサージ店には川上に執着している、大野正則という客がいた。この男は二十歳でコンビニでアルバイトをしていたが、その給料のほとんどをマッサージ店の指名につぎ込んでいる」
清史郎は大野と、彼がコンビニで働いている写真を見せる。
大野という男が川上に執着し、横恋慕していた事は他の店員からも話が聞けている。
「じゃあ、そいつがストーカー化して川上を殺したのか?」
やりきれないといった様子で慶田盛がスコッチに口をつける。
「このコンビニには別に野原椎名という二十五才のアルバイト店員がいる。この女は大野と交際していると公言しており、ストーカーの気質もあるようだ���大野は全面的に否定しているけどな」
清史郎は野原と、野原が大野を尾行している写真をカウンターに乗せる。
追っている者は追われている事は忘れがちなものだが、大野が川上を付け回し、その大野を野原が追い回していたという訳だ。
そして道ならぬ恋に破れた野原は凶行に出た。
「じゃあ、野原が大野と川上の関係を勘違いして……」
話を整理するようにして慶田盛が言う。
「川上の切創は手首と腕に集中している。これは自傷行為というより防御創だ。更に他に傷跡も無い事から自傷行為の常習という事も考えられない。仮に大野が殺したとするなら、体格差から刺殺になった事だろう。つまり傷跡から考えても同程度の体格の相手から切り付けられたと考えないと成立しない��だ」
警察から入手した傷跡の写真には古い傷跡は一つも無い。自傷行為が常習性を持つという事を考えれば自殺の線は消えたと考えていい。
「川上は外に助けを求めに出ようとは思わなかったのか?」
「手のひらも切られていたんだ。普通の神経ではドアノブを握る事もためられただろうし、本人も富山が帰ってくれば助かると思ったんだろう」
富山は残業や出張が多く、帰宅時間は一定していなかった。
富山が出張を被害者に伝えていなかった事も証言から明らかになっている。
清史郎は資料の束を慶田盛に渡す。
「毎度仕事が早くて助かるよ。これで検察の容疑を晴らして真犯人を起訴できる」
慶田盛が満足そうに言う。探偵業をしていて良かったと思える一瞬だ。
「で、娘の学費の件なんだが……」
清史郎は慶田盛に話を切り出す。
大学を卒業してすぐに結婚し、娘ができて半年と経たずに妻が離婚を申し出た。
不倫である事は分かっていたが、彼女の名誉の為に黙って養育費を受け入れた。
とはいえ、慶田盛弁護士事務所の依頼者の多くは金銭的に厳しい者が多く、その仕事を更に下請けする三浦探偵事務所の実入りはとても良いとは言えない。
一年で五十件の冤罪事件を解決した年もあったが、その年の収入でさえ四百万を少し上回る程度だったのだ。
テナント料と養育費を払ってしまえば食費もロクに残らない。
半ば商店街の好意で事務所を置かせてもらっていると言っても過言ではない。
そしてようやく養育費を払い終わったと思ったら、元嫁が娘の学費を請求して来たのだ。
慶田盛いわく法的には支払いの義務は無いとの事だが、娘を大学に進学させてやりたいという思いはある。
「示談にするのが一番じゃないか? 向こうも本気で学費を巻き上げられるなんて思ってない」
「敏腕弁護士が中途半端な事を言うじゃないか」
「君の元奥さんは金が欲しいだけで最初から娘を大学に行かそうなんて思っていない」
慶田盛の言葉に清史郎は石を飲んだような気分になる。
「私が支払うと言えば嫌でも大学に行かせなくてはならなくなるだろう」
元嫁に対する愛情など欠片も無いが、娘に対する愛情は残っている。
「そんな金が君のどこにあるって言うんだ。夕食を場末のバーボンで済ませる男の食生活がこれ以上荒むのは見るに堪えない」
慶田盛の言葉に清史郎はため息をつく。
確かに慶田盛の言う事に間違いは無い。
――あの女のせいで自分も娘も……――
ジョーカーとして稼いだ金を出せば解決可能だが、帳簿に乗らない金を出したなら国税局に乗り込まれる事になる。
結局私生活は何一つ変わっていないのだ。
「しばらくしたら仕事の量を増やすさ」
ジョーカーを演じ始めたのは与党と矢沢組が推し進める新庄市再開発計画を阻止する為だ。
その行方を占う知事選挙が四か月後に控えている。
「もう歳なんだ。いい加減町を騒がすハッピートリガーなんてやってられないだろう」
「これはそこいらの冤罪なんてモンとは次元が違う。新庄市に生きる人々の生活がかかっているんだ」
清史郎が言うと慶田盛が苦笑する。
「相変わらず正義感だけは人一倍だな」
「皮肉を言うならお前も大手の弁護士事務所に転職したらどうだ?」
清史郎の言葉に慶田盛が笑みを浮かべる。
「それこそ真っ平だ」
清史郎は笑みを交し合うとグラスの底に残ったバーボンを飲み干した。
慶田盛も自分も世間で言う所の真っ当な大人にはなりきれていないのだ。
〈3〉
今年で二十七才になる円山健司はマンションの部屋のボタンを適当に押していた。
『はい、どちら様ですか』
「amazon様からの御届け物です」
本物のamazonの箱を抱え、配達員の服装をしているのだから疑う者も無いだろう。
――注文客以外は――
マンションのオートロックをパスしようと思ったら、住人について行くのが一番手っ取り早い。
しかし、それ以上に手堅いのが郵便物の配達員になりすますという方法だ。
amazonであればほとんどと言って良い人間が利用しており、世帯主では無くてもファミリー向けマンションなら家族が注文している可能性もある。
そしてオートロックをパスしてしまえば、実際にその部屋にものを届ける必要など無いのだ。
健司はオートロックをパスすると非常階段で配達員の服装を箱に収め、ビジネススーツに身を包んだ。
どこに居ても違和感を感じさせないという点で、ビジネススーツはほぼ最強のアイテムと言える。
健司は時刻が二十二時になるのを待って、十四階の廊下にクリスマス用のランプを天井から垂れ下がるように飾り付けた。
全て両面テープで一瞬で剥がせるようにしてある。
更に待つ事一時間、程よく酔ったスーツ姿の男がエレベーターから出て来る。
健司は息を飲んで男の背後につけ、クリスマスの飾りつけを一斉に点灯させる。
男の胡乱な目と意識が飾り付けに向いた瞬間、健司は男の両足を抱えるようにして廊下から外に向かって放り出していた。
悲鳴を上げる間も無く、鈍い音が階下から響く。
八階以下なら死亡の確認も行うが、十四階で生きている事はまず無い。
飾り付けの一方を引っ張って仕掛けを回収し、箱に収めてエレベーターで悠々とマンションを後にする。
明日には会社員自殺の報が流れるかも知れないし、流れないかも知れない。
いずれにせよ、目的を果たした健司は『殺し屋』へと足を向けた。
『殺し屋』は歌舞伎町の風俗ビルの一室にある。
夜更かししてまで仕事をする気は無い為、殺し屋と書かれた看板の電源を入れ、のれんをかけるのは明日の朝九時になってからだ。
ボックス席が二つにカウンターが六脚。
お品書きには殺し方のメニューが書かれている。
客はその中から死因や死体の放置の有無などを選択し、健司は見積もりを出してターゲットを殺す。
ごくごくシンプルなビジネスだ。
今日のターゲットはヤクザに貸し渋りをした銀行の支店長で、死因は自殺で死体は放置で良いという事なので仕事としては楽なものだった。
とはいえ、調査に四日かけて二百万の報酬。
ヤクザが稼ぐ額に比べれば雀の涙だが、踏み倒される事を考えれば前払いでささやかに仕事をする方が余程いい。
殺し屋も楽な仕事ではないのだ。
〈4〉
渋谷のクラブ『クイーンメイブ』で、三浦清史郎は所在無げに立っていた。
本日のDJはKENこと前田健だ。
アップテンポのR&Bと若い男女の支配する空間で、中年の疲れたサラリーマンといった体の清史郎は明らかに浮いている。
健がボックスのVIP席を用意してくれているが、一人でそんな所に座っていても落ち着かないだけだ。
健のパフォーマンスが一段落した所で、清史郎は二十歳過ぎのTシャツにデニムのショートパンツといった服装の女性に声をかけられた。
「ジョーカー、何疲れてんの?」
「仕事とここの空気のダブルパンチだ」
声をかけて来たのは長い髪を茶色に染めた飯島加奈というコンビニの店員だ。
快活な女性で、見ている限り店長より仕事をテキパキとこなしているように見える。
仕事さえ違えば有能なのかも知れないが、このご時世では仕事があるだけでも儲けものだ。
「ノれば楽しいって」
加奈がしなやかな身体を動かしてダンスらしきものを踊って見せるが、清史郎には真似をする事もできそうにない。
「俺の頃、ダンスは学校の授業に無かったからな」
清史郎はカウンターでアーリータイムズを注文する。
酒屋ではボトルで買っても千円程度なのに、クラブではショットで四百円取られるのだから暴利もいい所だ。
「私の頃だって無かったってば」
加奈がカシスオレンジを注文しているとパフォーマンスを終えた健が近づいて来た。
「どォよ、俺のパフォーマンスはよ」
「毎度疲れるよ」
清史郎は肩を竦めて答える。
「釣れねぇ態度、クイーンはどうだった?」
健が加奈――クイーンに話題を振る。
「いいんじゃない? ここではナンバーワンなんでしょ?」
楽しんではいたが加奈もDJの良し悪しは良く分かっていないようだ。
「だろ? 俺、最高にクールだったよな?」
言って健がスクリュードライバーを注文する。
健だけは店舗でDJをしている為にドリンクが無料だ。
「センスがいいのは認めるけど、ここのクラブで一番でも他所で一番って事にはならないから」
ぴしゃりとした口調で加奈が言う。
「これだけで食っていけるとは思ってねぇよ」
悄然とした口調で健が肩を落とす。
DJを優先している為、不規則な生活の彼は普段は日雇いのバイトをしている。
全員が飲み物を手にした所でダンスフロアを横切ってボックス席に向かう。
「に、してもよジョーク、昨日のヤクザ連中のビビりっぷりは最高だったな」
楽しそうな口調で健が合皮のソファーに腰を下ろす。
「エースは機械いじってただけでしょ? 仕込みをしたのはあたしとジョーカーなんだから」
加奈が健――エースを叱責するような口調で言う。
「俺は俺で神経使ってんだって。第一お前らだけじゃWi-Fiのクラッキングもままならねぇだろ」
「その危険地帯にジョーカーが踏み込んで機材を仕掛けてるんじゃない」
清史郎はITに関しては門外漢だが、昔ながらの盗聴や盗撮、ピッキングといった技術は職業柄身につけている。
しかし、大手の情報企業と契約していない為、早いという利点は存在しない。
現在一般的な興信所は大手情報企業と契約しており、端末の通信履歴からクレジットの支払い履歴まで二十万円から六十万円でパッケージで購入している。
ETCの履歴まで買えるのだから、全て現金で賄い、更に携帯電話もスマートフォンも持たないので無ければ市民の生活は筒抜けだ。
だが、情報企業に頼るという事は、利害が密接に絡んでいる対象を調査できなくなるという事も意味している。
従って検察を敵に回している清史郎は情報企業を利用できないのだ。
その清史郎がジョーカーという仕事をするに当たって健をスカウトしたのは、単にDJは複雑な機材を器用に使っているという思い込みだけだった。
最初はヤクザに嫌がらせをするただの乱射魔演出という構想だったのだが、健のITスキルが想像以上に高く、健の元同級生で実務能力に長けた加奈が加わり、神出鬼没のハッピートリガー、ジョーカーが誕生する事になったのだ。
「そこはWINWINじゃね? 俺の真似は二人ともできないんだろ?」
勝ち誇った様子で健が笑みを浮かべる。
「現金回収したの私なんだからね」
封筒を手にした加奈が健に向かって言う。
昨夜のヤクザの取り引きでジョーカーが登場した時、どさくさに紛れて半グレの落とした金を拾ったのは加奈なのだ。
「で、幾らになったんだよ」
「がっつかないの。バラけてたので百十一万。ジョーカーが三十一万でいいって言ってるから四十万」
「あざーっす!」
健が笑顔で加奈から封筒を受け取る。
「に、してもボれぇよな。俺なんて一日工事現場で働いても七千円だぜ」
「私だって八時間みっちりシフト入って八千円行かないんだから。あんたは税金の天引きが無いだろうけど、私はガッツリ取られるんだから」
加奈が小さくため息をついて言う。
「私は確定申告で青息吐息だよ」
清史郎は苦笑を浮かべる。
本業の探偵は労力の割に儲かっているとは言い難い。
その中で臨時でも帳簿に乗らない収入があるのはありがたい事だった。
「ジョーク、辛気臭ぇ話は無しにしようぜ! 今日は俺のおごりだ」
健がバーテンにボトルを注文する。
――今日の所は好意に甘えておこう――
清史郎は明日から始まる地道な仕事に思いを馳せた。
第一章 殺し屋VSジョーカー
〈1〉
「まさかお前まで手玉に取られるとはな」
純和風の邸宅の四十畳ほどの上座から、矢沢組組長矢沢栄作の声が響く。
矢沢は東大出身で大手の組の金庫番をしていた経済ヤクザだったが、手腕を見込まれて盃を受けて新庄市を任された男だ。
大型カジノ施設と契約し、建設費用だけで二千億円を超える大規模開発事業に着手。
地域活性を謳ってケツモチをしている与党の知事を、市民公園を作ると言って与党の市長を当選させ、財務局を握って人口八十万程度の町である新庄市の経済活性としてカジノ施設を呼び込む段階まで運び込んだ。
しかし、新庄市には古くからの商店街があり、カジノ施設に一斉に反対。
この動きを野党が連合して支援した事で、矢沢組の工作虚しく市会議員選挙でまさかの野党大勝与党過半数割れとなった。
そこで組として商店街に圧力をかけ、一方で麻薬や売春で治安を悪化させて風紀を乱すという策に出た。
そこに商店街からの刺客のように出現したのがジョーカーだ。
従って、今回の取り引きでたかだか百万程度の損失を出した事は問題ではない。
手足となる半グレが震えあがり、商店街が盛り返してしまう事の方が問題なのだ。
ジョーカーは確実にドラッグか銃のある時にしか出現せず、空取り引きで警察を使って捕えようとしても決して出て来ない。
支配下にある警察でも公安とマル暴がジョーカーを追っているがかすりもしない。
「完全に俺の失態です」
緒方は畳に額をこすりつける。ジョーカーが来るかも知れないと備えていても、圧倒的な火力を見せられて対応できる組員など存在しなかった。
「お前で駄目なら誰が行っても同じだろう。幸いヤクは複数のルートでさばいている。一か所の取り引きが潰れたくらいでプランに変更は無い」
矢沢の言葉に緒方は頭を下げ続ける。
ジョーカーに遭遇すれば十中八九取引どころではなくなるし、組員の士気の低下につながるだろう。
しかも、ジョーカーの正体はまるで分らない。
ヤクザが取引の現場に発砲魔が現れたと被害届を出せば、警察と幾ら緊密な関係にあるとはいえジョーカー逮捕の前に麻薬取引や銃刀法で御用となる。
警察が味方と言っても、捜査させる理屈が見つからないのだ。
従って、科捜研を動かしてジョーカーを特定するという事もできない。
かと言って、ジョーカーらしき人物は大手の情報企業のデータベースにも存在しない。
そもそも個人が特定できていないのだから、企業から情報を購入しようが無い。
「カジノ施設反対派は金で分断しろ。一億二億なら建設の際に財務局の法で水増しできる」
矢沢の言葉を緒方は脳裏で反芻する。
これは緒方の裁量で動かして良いのが二億円程度という話だ。
商店街含め、新庄市でカジノ施設に反対している事業者は七百に上る。
二十万円づつ配ったところで効果は見込めないし、家業と住み慣れた町を捨てさせるには最低でも二千万は必要になり、十人買収したところで七百の事業者から見れば雀の涙だ。
二億という金をどう効果的に使うか。
麻薬の売買で風紀と治安を乱そうとしたところで、商店街が機能して失業者も少ないという環境にあっては大きな効果を見込めない。
警察は見逃してくれても市民に監視されているようなものなのだ。
――いつまでもこの状況を引き延ばす訳には行かない――
半年後の知事選で知事が敗れ、反対派の知事が誕生すればカジノ施設誘致契約が破談となり、二千億を超える金が利益ではなく損失として計上される事になるのだ。
それは矢沢組の滅亡を意味していた。
〈2〉
午前八時半。
『殺し屋』に出勤した健司は店舗の掃除を始める。
明るく綺麗な店舗は客商売の基本中の基本だ。
『殺し屋』を訪れる客は決して多くはないが、だからと言って手を抜いて良い理由にはならない。
風俗ビルの一室というどうにもならない立地上の限界はあるにせよ、一国一城の主として近隣の風俗店や飲食店と比較して店舗が清潔かつ快適であるという自負がある。
カウンターとボックス席を磨き上げ、店の前に出した看板の電源を入れて暖簾をかける。
健司はカウンターの中で客の訪れを待つ。
健司が『殺し屋』を始めたのは大学卒業から四か月が過ぎてからだ。
在籍中に内定を取る事ができず、無職のまま卒業を迎えて露頭に迷う事になった。
住んでいたアパートも追い出され、頼ったのは風俗嬢になった同級生。
働いているという店舗を訪れ、偶然奥のテナントが空いているのに気付いたのだ。
幸運な事に鍵は開いたままで、住む所の無かった健司はそのままそのテナントを利用する事にした。
しかし、いつまでも居座る訳にも行かず、就職する必要があったが卒業した後では求人がほとんど無かった。
そこでテナントを利用して自営業を始めようと考えたのだ。
偶然町で見かけた『冷やし中華はじめました』という張り紙をヒントに、テナントのドアに『殺し屋はじめました』というビラを貼ったのだ。
それまで人間を殺した事は一度もなかったが、どんな仕事にも初めては存在すると割り切った。
最初の客は風俗ビルで働く風俗嬢だった。
ターゲットはストーカー化した客。
苦労はしたものの、一か月で痕跡を残さずに殺す事に成功した。
以後、口コミで話題となり、多くの人が『殺し屋』を訪れるようになった。
���頼を二百もこなす頃にはだいぶ勝手が分かってきて効率的に殺す事ができるようになってきた。
四年が過ぎた今ではオプションサービスも充実させ、店もリフォームした。
今では年収一千万を超えている。
ヤクザに比べればささやかなものだが、悪事を働いているわけではないから商店主としてはこの不景気にあって良い方ではないかとも思っている。
健司がカウンターに立っていると、一人の客が暖簾をくぐった。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお申しつけください」
言って冷茶を注いだグラスをカウンターに座ったビジネスマン風の男の前に出す。
男がお品書きを見て目を細める。
「殺しの注文というのは相手の氏名が分からないと無理なのか?」
「素行調査であれば興信所を使われるのが一番です。当店では速やかな仕事を心がけておりますので本業以外の仕事は見合わせております」
健司は男の様子を観察する。一見するとビジネスマンに見えるが、作り笑いに慣れていない、否、笑わない職業である事が見て取れる。
能面のような顔の裏に押し殺した暴力的な雰囲気は、警察か暴力団員かそれに近い者だろう。
「前金で二千万」
男がにこりともせずに言う。
「当店は誠実がモットーでございます。確実に殺せないターゲットをお引き受けする事はできません」
「それなら総理大臣でも殺せるのか?」
「名前と住所どころか一日のスケジュールまで手に入りますから、さほど難しく無いターゲットだと考えております。ただし知られている通り警備も厳重ですから時間も必要となり費用も高くなります」
健司が言うと男が低く唸る。
「総理大臣でも不可能ではないと?」
「もちろん、オーダーが首つり自殺などですと難しい案件にはなります」
「首つり自殺は難しいか……面白い事を言う」
男の口元に小さな笑みが浮かぶ。
「二千万はターゲットの調査費用という事でどうだ? 成功報酬は四千万」
健司は小さく息を飲む。
金払いがいい相手である事は確かだが、それだけの力の持ち主でもあるという事だ。
――失敗すれば命は無い――
しかし、ヤクザを敵に回せばテナントから追い出されるだけでは済まないだろう。
「繰り返しになりますが当店は殺し屋でして、興信所ではありません。ターゲットの補足は素人のようなものです。その二千万円でターゲットを補足されましたら確実に殺させていただきますが、二千万円を頂いてもターゲットを補足できるとは限りません」
「二千万を手に高跳びとは考えないのか?」
「飛んだ先で失業すれば同じ事です。地域の皆様に愛される店づくりが当店のモットーです」
健司の言葉に男が破顔する。
「俺は矢沢組の緒方。二千万はここに置いていく。ターゲットはジョーカーと言われている銃の乱射魔だ。俺はお前が気に入った」
言って冷茶を飲み干した緒方が席を立つ。
――これは大変な事になってしまった――
健司はジョーカーという謎の相手を探るために、出したばかりの看板と暖簾を引っ込めた。
〈3〉
午前五時。
健は薄汚れた作業服を着て、年季の入った肉体労働者の列に混じっている。
ホームレスも珍しくないが、ホームレスでもとび職になると一日に二万円以上稼いでホテルに泊まっていたりするから、定住しないのは税金対策といった事情が大きいだろう。
午前六時半、一台のワゴンが健の前に停車する。
「おい、若ぇの、乗れ」
「うぃっす」
筋肉隆々といった古参の肉体労働者に囲まれていると既にやる気が萎えてくる。
労働者ですし詰めのワゴンで移動する事小一時間、朝日が白々と空を照らす中健は自分には一生縁の無さそうな高級マンションの現場にいた。
現場監督のどうでもいいような話に続き、ラジオ体操をさせられる。
眠いだけならまだいい、ラジオ体操が終わってからが地獄だ。
「コンパネ運んで来い! トラック入れねぇじゃねぇか!」
自分に向けられた言葉と気付いた時には、組まされるらしい土工の目が険悪になっている。
男がコンパネと呼ばれる90cm×180cmの板を十枚程抱えて通用口に出ていく。
健の腕力では精一杯頑張った所で三枚だ。
この板を敷いてその上をトラックが走れるようにするのだが並べるだけでも容易ではない。
健はもともと運動神経が良い方ではない。
高校では情報科学部でLinuxを使用してITの全国コンテストで優秀賞を手にした生粋のインドア派だったのだ。
PCの扱いと音楽好きなのとでDJには一定の技術も知識もあったが、一般科目では赤点スレスレで奨学金がもらえるような成績でも無かった。
そんな中、PCを触れて音楽もできるDJという職種を選んだ。
しかし、一晩パフォーマンスをしても六千円程度にしかならないし、他にもDJはいるのだから毎日入る事などできはしない。
従って一人暮らしのワンルームの家賃を払っていく為には、DJの仕事を妨げない、時間にゆとりのある職業に就くしかなかった。
「チンタラ運んでんじゃねぇ! 三枚しか運ばねぇってタマついてやがんのか」
年配の作業員がヤニの混ざった唾を吐き捨てる。
健が運んだコンパネをトラックの通路に並べていると、いら立った様子の作業員が近づいて来る。
「シャベル持って付いて来い」
「シャベルってどこにあるんスか?」
「ふざけてんのか! テメェで見つけろ! 遅れたら承知しねぇからな」
健は屈辱にも似た気分に耐えながら、建設現場をうろついて乗ってきたワゴンでシャベルを見つける。
今日拾われた工務店はどうやらマンションの裏手に穴を掘っているらしい。
「ここに管通すんだからな、掘れたら石詰めだ」
幅は四十センチ程、深さは六十センチは掘らなくてはならない。
総延長は二十メートルにはなるだろう。
小型のユンボを使って欲しいが、既に他の管と入り組んでおり不可能らしい。
配管の順序が逆になるという事は設計ミスの可能性も高いだろう。
健はだるくなる腕を支えるようにして必至でシャベルで穴を掘る。
要領の良し悪しなど分からない。分かるのは掘らなければ怒号と罵声が飛んでくるという事だけだ。
昼過ぎに作業が終わったと思いきや、
「ネコでガラ片付けて来い」
「ネコって何っスか」
反射的に首を竦めながら健は尋ねる。
「手押しの一輪車だ! この使えねぇボンボンが……」
健は奥歯を噛みしめながらネコを探して歩きまわる。
ネコを見つけてもガラ運びという重労働が待っている。
健は暗澹とした気分で工事現場を歩き回る。
――俺だってジョーカーの一員だってのに――
〈4〉
「暑っつ~い! ったく、エースのヤツ今日は土建屋だなんて……」
加奈がマイナスドライバーで水銀灯にへばり付いたガムを剥がしながら言う。
ガムの中には火薬と小さな信管が仕込まれている。
「休みがお前だけだったんだから仕方ないだろう」
清史郎はシャベルで地面に埋まった火薬を穿りながら言う。
乱射魔ジョーカーには秘密がある。
それは実際にはモデルガンしか持っていないということだ。
そこで、予め花火で集めた火薬をセットしておき、ヤクザが商売をしようという所で爆破して妨害する訳だ。
モデルガンには赤外線カメラが搭載されており、Bluetoothで健の端末とつながっている。
清史郎が引き金を引くと同時に健が火薬にセットされた信管を反応させ、銃撃のように見せかけているというだけなのだ。
だからグレネードランチャーの爆発と言っても、実際には大きな花火が地面の下で爆発しているだけで殺傷能力など存在しない。
とはいえ、撃たなかった方向にも埋め込んだ火薬はあり、子供などがうっかり触って怪我をしてしまう可能性もある。
従ってジョーカーとしての仕事の後は必ず後始末が必要になるのだ。
「まぁ、ジョーカー一人に炎天下で作業させるわけにも行かないし。歳だし」
加奈の言葉に清史郎は苦笑する。
加奈と健は二十一歳だが、清史郎は四十五歳だ。
肉体的に無理のきかない歳という事は重々承知の上だ。
炎天下でひたすら火薬を撤去する事四時間。
仕事を終え、加奈と一緒にたこ焼き屋の店先で麦茶を飲む。
近年おおだこが当たり前になっているが、清史郎が行きつけにしている昔ながらのたこ焼きはピンポン玉より少し小さい程度で味も良く、言えば店のおばちゃんが麦茶を出してくれるというサービスがついてくる。
「おばちゃん、最近ヤクザはどうだい?」
清史郎は店主兼店員の初老の女性に声をかける。
「あんたに相談したらそれっきりだよ。派手なドンパチがあったみたいだけどね」
おばちゃんの言葉に清史郎は笑顔を返す。
警察や興信所に相談してもヤクザ絡みの事件は解決しないが、しがらみの無い三浦探偵事務所とジョーカーなら不可能も可能になるのだ。
商店街や商工会の中でも事情は不明だが、清史郎に依頼をすればヤクザが引っ込むという都市伝説めいた話が広がっている。
だが、あまりに知られ過ぎると清史郎がマークされ、ジョーカーを出現させられないという事になる。
従って三浦探偵事務所は慶田盛弁護士事務所とは緊密な関係にあるが、地元の商店街とは付かず離れずの関係を続けているのだ。
加奈と一緒にたこ焼きを食べているとスマートフォンが着信を告げる。
健が清史郎が仕掛けた無線wifiのクラックシステムで、ヤクザの新たな取引を察知したのだ。
――健が稼ぎたがるのも分かるがな――
火薬を調達し、設置し、身体を晒す身としては、ヤクザが本腰を入れない為にもジョーカーの出番は抑えておきたいところだった。
〈5〉
健司は朝のラッシュアワーで意図的に駆け込み乗車に失敗した。
健司に乗車を妨害された形のスーツ姿の男性が、苛立った様子で最前列に立つ。
山手線の次の列車が来るのは四分後だ。
健司はポケットからsimフリーのスマートフォンを取り出す。
simフリーではあるがsimも入れていなければ、個人情報にかかわる情報も一つとしてインストールしていない。
健司はスマートフォンを操作するフリをして考える。
ジョーカーは新庄市から出ていない。
矢沢組から健司の得た情報は散文的なものだった。
ヤクザが取引をしようとする、もしくは刀や銃で武装した状態で市民を脅そうとする。
ヤクザが警察に通報できない時に、狙ったようにジョーカーが出現している。
単純に考えて情報が筒抜けになっているという事だろう。
乱射魔と支離滅裂な口調という仮面が狂人を作り上げているが、警察を巧みに避けている事からもジョーカーが充分過ぎる程に理性的な人物である事が分かる。
相手は狂気の人間ではない。恐ろしい程の知能犯だ。
健司は矢沢組から���手したドライブレコーダーの映像を繰り返し『殺し屋』のカウンター内のPCで再生した。
ヤクザが出ていき、しばらくして銃火がひらめき、慌てふためいたヤクザが逃げてくる。
どの映像も流れは同じだ。ヤクザがドライブレコーダーを使っているというのは不思議なものだが、ヤクザも交通事故では警察の世話になりたくないという事だろう。
ジョーカーの紫のトレンチコートとピエロの仮面にはモデルが存在する。
アメコミ最高の悪役とも言えるバットマンに出てくるジョーカーだ。
相手の頭脳から推し量ってもそれくらいの事は分かってやっているのだろう。
敵を混乱させるという意味ではジョーカーは最高の仕事をしていると言っていい。
では、ジョーカーの行動にロジックは存在しないのだろうか。
その最大の理由は新庄市に活動を絞り、矢沢組と戦っているという点に存在するだろう。
ジョーカーの動機が判明すればその正体を絞り込めるはずだ。
健司の後ろに列ができ、周囲が人垣と言っても良い程になる。
ほとんどの人が急いでいるかスマートフォンを操作している。
毎日このような息苦しい思いをするのが分かっていて、どこの会社も出社時刻を一緒にしているのか謎だが、このような状況が起きる事で仕事を円滑に進められるのも事実だ。
駅のホームは渋谷のスクランブル交差点のように混雑しており、点在する監視カメラからも死角になっている。
列車が見えた所で健司はsimフリーのスマートフォンを線路に放り投げた。
「落ちましたよ」
健司の言葉に周囲の人間の視線が線路に落ちるスマートフォンにくぎ付けになる。
健司が乗車を邪魔した男が慌てた様子で胸ポケットに手を当てる。
健司はスマートフォンを拾おうとするかのように踏み出しながら、素早く男の背を押す。
男が線路に転がり落ちるのと列車が到着するのは同時だった。
ブレーキ音と悲鳴が駅のホームを支配する。
――これで���日もお客様を笑顔にできた――
健司は動揺を装いながら駅員の誘導に従って満足感と共にホームを後にした。
〈6〉
潮風が香る深夜の埠頭の倉庫街。
緒方は三十人の組員を伏せさせ、更に暴走族を張り込ませて取引に臨んだ。
捌くドラッグの金額は一千万。
ジョーカーが金を狙っているならこの好機を逃すはずが無い。
半グレの三団体の代表がベンツで乗り付け、ヘッドライトの光を背に向かってくる。
――どうするジョーカー――
傍から見ればこれ以上のカモは無いだろう。
しかし周囲には銃で武装した構成員と、それに数倍する人数の暴走族がいるのだ。
仮に強襲に成功したとしてもこの包囲網を抜け出る事は不可能だろう。
金をアタッシュケースに入れた男たちが近づいて来る。
ジョーカーは金を見せた時に最も多く出現する。
緒方はドラッグの詰まったスーツケースを手にヘッドライトに身を晒す。
「緒方さん、ご苦労様です」
半グレの代表のスーツ姿の男が言う。
アタッシュケースが開かれ、帯どめされた札束が姿を現す。
緒方もスーツケースを開いてロシア経由の最高級品を見せる。
と、緒方は場違いな程騒々しいエンジン音を聞きつけた。
『奢れるヤクザもコンバンハ』
拡声器の声と共に波を蹴ったボートが一直線に突っ込んでくる。
船首に立ったジョーカーが銃を抜いて問答無用で撃ち始める。
緒方の周囲で火花が散り、半グレが慌てた様子でアタッシュケースを取り落とす。
伏せていた緒方の部下がジョーカーに向かって応射を開始する。
ジョーカーがグレネードランチャーを構えて砲火を閃かせる。
ベンツの車体が火を噴いて浮き上がる。
倉庫街の至る所で爆発が起こり、火の手が上がる。
ただの撃ち合いなら警察も黙っているが、火災が発生したのでは消防が動き追って警察も出動を余儀なくされる。
ボートが埠頭の岸壁を掠め、ジョーカーが猛火の中を歩んでいく。
「今宵のコテツは鉛に飢えて、オイラの引き金も軽くなるゥ~」
相変わらずの意味不明な言葉でジョーカーが戦場となった埠頭を蹂躙する。
雄たけびを上げた半グレの一人が鉄パイプを振り上げてジョーカーに向かっていく。
鉄パイプの一撃を受けたジョーカーの動きが鈍る。
「あの世の旅も道連れ世は情け、痛いの痛いの焼死体」
ジョーカーが鉄パイプを奪い取って半グレを路上に蹴り飛ばす。
ジョーカーが怒り狂ったようにグレネードを乱射する。
緒方は炎で崩れ落ちる倉庫を避けて部下のベンツに向かって走る。
この乱射の中では同士討ちが危ぶまれるどころではない。
まずは消防がやって来る前に現場を離脱しなければならない。
取り残される組員や半グレには悪いが、矢沢組としても幹部が尻を蹴飛ばされたままブタ箱に入る訳には行かないのだ。
〈7〉
「……ッ」
清史郎は左腕を押さえたままボートの床に腰かけている。
夜の海から見えるのは照明で浮かび上がる工場の幻想的とも言える光景。
酔狂なカップルなら観光に来るのかも知れないが、現在の清史郎にその余裕は無い。
ボートが揺れる度に左腕が痛み、肩から背中までもが痛むように感じられる。
――腕を折られたか――
折れたと言っても粉砕骨折では無いだろう。
粉砕骨折なら幾ら警察OBの探偵から護身術を習っているとはいえ、鉄パイプを奪って蹴り飛ばす事などできてはいない。
問題なのは常識的に考えて鉄パイプを持った敵に対してなぜ発砲しなかったかという事だ。
客観的に見ればこれほど奇妙な事は無いだろう。
狂気の道化師、ジョーカーなのだからと見逃してくれる輩ばかりではないだろう。
「ジョーカー、大丈夫?」
気遣う様子で加奈が声をかけてくる。
「今回の作戦はリスクは織り込み済みだったんだ。鉛弾を食らわなかっただけでもいいってモンだ」
清史郎は虚勢を張って言う。
健が入手した情報は矢沢組が最も警戒している取引、もしくはジョーカーをおびき出そうとしている作戦だった。
当然もっと楽なターゲットを探す事も可能。
しかし、健がこの難度の高い作戦にこだわり、清史郎もジョーカーの名を上げる為に乗ったのだ。
「ジョークには悪かったけど今日だけで六百万だぜ? 一人二百万ってすごくね?」
ボートを運転しながら健が言う。
百人以上が動員されている取引を強襲する為に海路を選んだのは正解だった。
通常は予め現場に潜んでいるが、今回はヤクザが張り込む事が分かっていた。
脱出の目途もたたないのに予め潜むという手段は使えない。
と、なれば相手が考えてもいない方向から強襲して、対応されるより早く逃げるという方法だ。
「アタッシュケース拾って来るのも命がけだったんだから。あんたは安全な所でPCたたいてるだけだからいいかもしれないけど」
加奈がボートでPCを操作していた健に向かって言う。
清史郎が派手に暴れている隙に半グレが落としたアタッシュケースを回収したのは加奈だ。
ヤクザが銃で応戦して来る中で拾ったのだから、生きた心地がしなかったのであろう事は想像に難くない。
「ジョークだって腕を切り落とされたとかじゃねぇんだし、保険証が使えねぇなら金あんだし海外で手術とかもアリじゃね?」
楽観的な口調で健が言う。確かに健の案もいいが致命的な欠陥がある。
「ジョーカーは左腕を殴られている。保険の記録に残らなくても俺が左腕をギプスで吊っていたら正体を宣伝してまわるのと同じことだ」
「あ、そうか」
「あ、そうかじゃないでしょ! だいたいあんたが怪我してるわけじゃないんだから」
加奈が虚を突かれた様子の健に向かって言う。
「腕は町の獣医に頼んで治してもらうよ。問題は探偵事務所の方だな」
町の獣医であれば顔なじみだし、保険の記録に残る事も無い。
��事務所はほとんど客来ねぇからOKじゃね?」
相変わらず楽観的な様子で健が言う。
「エースってば本当に失礼なんだから」
「本当の事だからいいんだけどな。でも選挙が近づいているからカジノ反対派の人たちが現職知事の裏情報を求めてくるかもしれない」
情報が盗まれたものなら裁判では証拠にならないが、盗み出して内部告発の形をとって匿名でばらまくという事は可能だ。
「与党の現職知事って矢沢組がカジノ呼ぶ為に当選させたんだろ?」
健の言葉に清史郎は頷く。
元々災害避難地域指定だった公園の指定を解除し財務省に許可を発行させ、企業が進出できるよう実際に動いたのは与党だ。
暴力団が本体か与党が本体かというのは、鶏と卵のパラドクスを解くに等しい。
「でも物的証拠が無い。音声データやメールは改ざん可能だから決定打にはなり得ない」
「手書きのサインの入った書類が無いと証拠にならないって訳ね」
加奈が話を要約して言う。
「それって探偵とかの仕事じゃねぇのか?」
健の言葉に清史郎は痛みを感じながらもため息をつく。
「私はその探偵なんだよ。儲かっていないだけで」
「とりあえず一人二百万入ったし、ジョーカーはひとまずお休みするしかないわよね」
加奈は状況を落ち着いて観察できているようだ。
「でもよ、選挙が終わって反対派が勝ったら出番も無いんじゃね?」
「そもそも反対派を勝たせる為に始めたんだよ。目的を忘れないでくれ」
商店街と探偵事務所を守る為のジョーカーなのだから脅威が消えれば戦う必要は無い。
もともと町を守る為の義賊として、健も同意して始めた事なのだ。
「あ~、キャデラックに乗りたかったぁ~」
船の縁に寄りかかって健が空に目を向ける。
「外車ディーラーで試乗でもすればいいでしょ」
「そういう事じゃねぇんだよ。こう、リッチな気分でパーッとやりたかったって言うかさ」
「気持ちは分からなくも無いけどさ、私らもともと何千円で一喜一憂してたんだからね」
「へ��~い」
加奈に言われた健がため息をつく。
二人のやり取りを聞きながら清史郎は考える。腕を折られたジョーカーが休養すれば、不死身の化け物のようなイメージが揺らぐ事になる。
双方の総力戦の様相を呈した今回の戦いで、相手もジョーカーが手傷を負った事は分かっているはずだ。
――大人しく休養というわけには行かないか――
清史郎は加奈に目を向ける。
IT機器を素早く操作できない以上、空白期間にジョーカーを演じられるのは加奈だけだ。
〈8〉
ジョーカーは手傷を負った。
店内の観葉植物の葉を丁寧に拭いながら、健司は緒方からの情報の意味を考える。
圧倒的な火力を持ちながら、鉄パイプを手に向かって来る敵に対してジョーカーは無策と言っても良い状態だったのだ。
これはこれまで一人も死者を出していないというジョーカーの姿勢と符合する。
その後の乱射により埠頭は混沌と化し有益な情報は集まっていないが、ジョーカーが現金の入ったアタッシュケースだけを手に海に逃れた事は間違いない。
――ジョーカーは人を殺さないという前提で考えたら――
単純にヤクザを驚かせたいという、愉快犯の姿が浮かび上がる。
だが、愉快犯ならリスクの高いヤクザを狙う理由は少ない。
銃器を振り回さなくても、健司のような一般市民相手に全裸になって見せるだけで充分に他人を不快にする事ができる。
ヤクザに警察に通報できないという弱みがあったとしても、それ以上にリスクは大きいはずだ。
ヤクザに恨みがあるのだとしても、それならば落ちた金だけ拾うという点では実質的にダメージはほとんど与えられていない。
収入として考えているなら猶更ジョーカーの行動は不可解過ぎる。
愉快犯でありながらそれは副次的なものでしかなく、目的の為の手段に過ぎない。
だが、愉快犯である事を手段とする目的とは一体何だろうか。
――僕のような常識人では手が届かないと言うのだろうか――
健司は観葉植物の葉に霧吹きで水をかけながら考える。
矢沢組は一体誰に何をし、その結果ジョーカーを生み出したのだろうか。
健司は店内の照明を切り、暖簾と看板を店内にしまう。
店を出て新宿のチェーン店の居酒屋に向かう。
健司が一杯のビールと焼き鳥を二本腹に収めていると、三人の男が連れ立って店内に入ってきた。
健司は三人組がボックス席に入るのを確認してアタッシュケースを手にトイレに向かう。
三人組が毎回このチェーン店を使う事と、最初にビールを注文する事は分かっている。
健司はスーツを脱ぎネクタイを外してケースに収め、代わりにエプロンを身に着ける。
保冷剤で冷やしておいた缶に入ったビールを、同じく冷やしておいた100均で買ったグラスに注��。
そのうち一つにはシアナミドを混入してある。
シアナミドは無色透明の抗酒剤で、副飲する事でアルコールアレルギー反応を引き起こす禁酒用の薬品。
一言で言えば一口飲む事で急性アルコール中毒症状を引き起こすのだ。
健司は三人の席におしぼりが置かれ、店員が去るのを待ってビールジョッキを手に席に向かう。
「お待たせしました」
健司はターゲットにシアナミドを混入したビールを手渡し、両手にビニールの手袋を嵌めてトイレの傍に潜む。
ややあって鍵をかけていないトイレに青ざめ、脂汗を流したターゲットの靴が覗いた。
健司は入れ替わるようにしてすれ違いながら様子を確認する。
シアナミドにより意識は朦朧としているようだ。
「介抱しますよ」
健司は男を抱きかかえるようにしてトイレのドアを後ろ手に閉じる。
男が便器に前のめりになって嘔吐する。
健司は男の頭を掴んで便器に押し込むと首の頸動脈にシャープペンシルを突き刺す。
男の首から血が噴き出すのに合わせてトイレの水を流す。
音消し水とはよく言ったものだ。
窒息と出血の双方で男が瞬く間に衰弱して行く。
相手がプロレスラーだろうとこの状態で健司に抗する事はできはしない。
健司は男の脈を取って死亡を確認するとエプロンとシャープペンシルを放置し、元通りスーツに身を包んで会計を済ませて店を出た。
殺害方法は分かっても誰が殺したのかは目撃されていない限り分からないだろう。
――小さな仕事でも手を抜かない事が顧客満足度につながるんだ――
第二章 二人目のジョーカー
〈1〉
「矢沢組のヤツら慎重になってやがんな。もう大口取引はしねぇらしい」
清史郎の耳には爆音と左程変わらない音が響いている、クイーンメイブのボックス席で健が言う。
清史郎は獣医に頼んでギブスなしで左腕を固定している。
診断は骨にヒビが入っているとの事で、二週間は安静にする必要があるらしい。
「そりゃ百人集めて失敗したなら、もう大口でジョーカーを誘おうなんて思わないでしょ」
言って加奈がカクテルで唇を湿らせる。
「一回の取引でせいぜい百万円。しかも街中でやってやがる」
健がラップトップを開いて矢沢組の予定表を表示させる。
「儲けが少ないからやらないって話にはしない約束でしょ?」
加奈が健に睨みをきかせる。前回の襲撃は加奈は反対だったのだ。
「でもよ、ジョークは骨折してるし、街中でグレネードはさすがにヤベェだろ」
カクテルをチビチビ飲みながら健が言う。
確かに街中では自動小銃がせいぜいといったところだ。
仮にグレネードを使ったとしても、見た目が派手なだけで破壊力が無い事が露呈する。
「自動小銃でも相手を驚かすような事はできるだろう。演出次第だ」
清史郎は頭を巡らせながら言う。
今となっては拳銃を抜いて撃つくらいではヤクザは驚かない。
下手をすれば一人二人射殺されても驚かないかも知れない。
と、なればどうやって驚かせるかが問題になってくる。
「演出って言うけど、ジョーカーは左手が使えないんでしょ?」
「そこだ。連中は俺が腕を怪我するのを見ている。ここで動きを止めればジョーカーというキャラクターの怪物性が損なわれてしまう。そこで今回は加奈にジョーカーを依頼したい」
清史郎の言葉に加奈が驚いたような表情を浮かべる。
「町の人たちがカジノに反対できているのは、ヤクザがジョーカーを恐れているという漠然として安心感があるからだ。ジョーカーが怪我で動けないとなったらヤクザを恐れて寝返る住人が出てくるかもしれない」
清史郎の言葉に加奈が思案顔になる。
「……そういう事なら……でも策はあるの? 私はジョーカーみたいに相手を脅せないよ?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「喋るのはマイクで私が担当する。元々ボイスチェンジャーを使ってるからスピーカーから音を出してもヤクザには分からないだろう」
清史郎は矢沢組のリストの一つを指さす。
雑居ビルの屋上での取引。
金額は百万だが人が多く割かれている訳ではない。
そしていざとなれば清史郎も右腕一本で戦うのだ。
〈2〉
「ありがとうございました」
客の手に両手を添えるようにしてつり銭を渡す。
我ながら流れるような動作だと加奈は思っている。
品物は働き出してから一週間で覚えたし、二か月で発注も任されるようになった。
オーナーが発注していた頃に比べて売り上げは八%上昇している。
業者のパレットに乗った商品が運び込まれ、そこに緩慢な動作で大塚という中年女性が向かっていく。
大塚はこのコンビニに長く勤めているが、何をするにも動きが遅く、やる事が雑だ。
加奈は母子家庭ではあったが高校時代は生徒会長を務めていた。
生徒会の切り盛りでは過去最高の生徒会長だったという自負もある。
奨学金を借りて大学に入学したいと何度思った事か分からない。
しかし、その度に返済の目途が立たないという現実で踏みとどまった。
加奈が借りる金額では返済する頃には五十代。
キャリアウーマンとしてバリバリ働いて行けるならいいだろうが、男社会の中で目立っても左遷されるのがオチだ。
奨学金を諦め、近所のファミレスとコンビニの双方を天秤にかけた時、ファミレスの厨房は嫌だったし、発注のような頭を使う仕事がしたかった事からコンビニで働く事にした。
しかし、今現在、視線の先では大塚が商品を手前から、しかも違う棚に並べている。
新しい品物を後ろに、古い品物を前にしなければ賞味期限切れで廃棄になる。
それはコストとすら呼べるものではない。
注意した事は一度や二度ではないが、返ってくるのは「今時の若い子は」という恨みがましい言葉だけだ。
仕方なく業務の合間を縫って品物を並べなおす。
そうすると今度はレジに長蛇の列ができる。
大塚はバーコードの読み込みも遅ければ、テンキーの打ち込みもできない。
公共料金などの支払いも一々店長にやらせている。
店長は一体何の弱みがあってこの女を雇っているのか分からない。
それでも、このリスクを織り込んだ発注で収益を上げたのは自分の手腕だ。
「飯島くん、これじゃ困るよ。お客さんを待たせているじゃないか」
抜き打ちでやって来たマネージャーの言葉に加奈はため息をつきたくなる。
自分がレジにいればこのような現象は起きないのだ。
そして、レジにいれば大量の食品を廃棄しなくてはならなくなる。
「分かりました。棚の商品を並べなおしてもらえますか」
チクリと言い返し、立ち仕事で痛む足を引きずって加奈はレジに向かう。
こんな事をこの先何年続けて行けばいいと言うのか。
少なくとも大塚がクビにならない限りは、ただでさえハードなコンビニの仕事すらまともにこなす事ができないのだ。
――ジョーカーとしてならもう少し有能に働けるの��――
〈3〉
深夜、ビルの屋上に銃声が響き火花が散る。
ビルの給水塔の上で清史郎が見ている下で、四人の男たちが手にしたバッグを胸に抱える。
「迷えるヤクザよコンバンハァ!」
二階分高いビルの屋上から、ワイヤーを伝って自動小銃を乱射しながらジョーカーが降下して来る。
ヤクザの一人が屋内に逃れようとした所でジョーカーの自動小銃が火を噴いてドアを蜂の巣にする。
恐慌状態に陥ったヤクザの前に、床の上で一回転したジョーカーが立つ。
この辺りの動きは加奈の方が本家よりいいと言える。
ジョーカーの自動小銃が火を噴き、ヤクザたちの動きが止まる。
清史郎はありあわせの材料で作った分銅でヤクザの手からケースを叩き落す。
「金は天下の猿回しぃ~、回る回るよ目が回るぅ~」
床を滑ったケースがジョーカーの足元で止まる。
ジョーカーがケースを手に屋上のフェンスを乗り越える。
「それでは諸君ごきげんようそろ、面舵一杯腹八分目ぇ~」
ジョーカーがフェンスを乗り越えてビルの外に姿を消す姿をヤクザたちは茫然と眺めている。
加奈はほぼ完ぺきに、運動神経という面では清史郎以上にジョーカーを演じて見せた。
ヤクザたちがスマートフォンを取り出して連絡を取りながら屋内へと消えていく。
加奈は当初隣のビルの屋上に潜んでおり、ヤクザの取引するビルとの間にはワイヤーが取り付けてあった。
清史郎の合図で火薬を爆発させ、加奈は小型の滑車を使ってビルの屋上に降り立った。
予定通り混乱に乗じて清史郎がヤクザの金のアタッシュケースを叩き落し、それを回収した加奈は予め用意されていた脱出用のワイヤーで一目散に逃げ去ったという訳だ。
清史郎がヤクザの去っていった通用口を見ていると、二人のヤクザが姿を現した。
痕跡を確認するか、ジョーカーを追跡しようという考えかもしれない。
「イナイイイナイバウアアァァァァッ!」
万が一に備えてジョーカーに扮していた清史郎は、咄嗟の判断でショットガンを手にヤクザたちの前に飛び降りる。
銃声と共にドアを吹き飛ばす。
今度こそ恐慌状態に陥ったヤクザたちは階下へと消えていった。
〈4〉
健司は『殺し屋』のカウンターでグラスを磨きながら考える。
ヤクザは取引を分散させるという戦術を取ったが、ジョーカーは確実に一か所一か所を狙い撃ちにしている。
被害総額は大きくないのだろうが、心理的な影響は大きい。
――ここで敵の目的は明らかになったと言っていい――
これは心理戦なのだ。
矢沢組が恐れるに足りない存在だと思わせる為のデモンストレーションなのだ。
実際矢沢組の構成員たちも明日は我が身と必要以上に警戒しており、結果として街中での暴行などで警察に捕縛されるケースも散見し始めている。
警察もヤクザと事を構える事はしたくないだろうが、暴行は立派な犯罪だ。
矢沢組を弱体化、もしくは弱体化して見せている目的。
これは幾つかのケースが考えられる。
例えば同格の田畑組がシマを狙っているケース。
しかし、これでは全面戦争がしたいと言っているようなものであり、そうなれば別の第三の組が弱った二つの組を併合してしまうだろう。
更に言えば『本物』の銃器を使っているのだとしたら、これまでに過失で殺してしまった人間が居てもおかしくはないはずだ。
これまであれだけ派手に銃を乱射していて軽度のやけどくらいしか負傷者がいないというのは、空砲かモデルガンかのどちらかだろう。
そして犯人がヤクザであるなら、モデルガンなどという恥ずかしいものは持ち歩かないだろう。
第二の敵が政治結社だ。
現在矢沢組の推す現職与党の代議士が知事を務めている。
三か月後には知事選が予定されており、野党は連合して対立候補を立てている。
現在新庄市には土地の価値だけで二千億を超える空き地が存在し、そこに巨大カジノカジノを誘致するか、市民公園にするかで市民の世論が割れている。
カジノが実現すれば莫大な金額が動く事になり、矢沢組は軽く数百億は稼ぐ事になるだろう。
一方、野党が勝利してしまえば議会も野党に握られた事から市民公園が確定。
造園業者や、スタンド付きの運動公園を造る建築業者がいくらか儲かるにせよ、利権はほとんど存在しない事になる。
本来矢沢組こそが野党を攻撃しそうなものだが、野党のカルト的な集団ないし、狂信的な人間が矢沢組を狙っている可能性は否定できない。
しかし、カルトや狂信的な人間がここまで綿密な計画を練り、実行に移せるだろうか。
そこが政治結社を敵に想定した場合のボトルネックとなってくる。
第三の相手は想定が難しいがカジノに反対している市民だ。
市民の大半は再開発計画に興味を持っていないが、商店街や商工会は地場産業が脅かされるとして強硬に反対している。
矢沢組はこの商店街の切り崩しを行っていたのだが、その矢先にジョーカーが出現するようになり、商店街を攻略するどころではなくなってしまったのだ。
そう考えると、人のいい商店街の人々こそが実は矢沢組の最大の敵という事になる。
――商店街がジョーカーの可能性――
だが、それなら情報漏洩が少なからずあるはずだ。
――もし商店街の誰かがジョーカーで、他の人間は知らないのだとしたら――
ジョーカーは一方的に守るだけで損をしているように見えるが、最終的には商店街が守られるのだから自分の仕事も守る事になる。
――商店街の何物かが、か――
健司はPCで商店街の店舗の情報を検索する。ほとんどが個人事業主でHPもまともに作れているとは言い難い。
そんな中、健司は気になる存在を発見した。
――人権派弁護士、慶田盛敦――
直接の関与の有無は別にして、慶田盛が商店街や町を守ろうとするのはありそうな事だった。
〈5〉
「急な訪問で恐れ入ります。慶田盛先生の事務所は意外と質素なんですね」
新庄市の雑居ビルの一室を訪れた健司は慶田盛敦に向かって言う。
「君は……殺し屋との事だが……」
当惑した様子で慶田盛が応接用の合皮のソファーに腰かけて言う。
「屋号のようなものです。ただの飲食店ですよ。保健所で営業許可も取っています」
健司は爽やかな笑みを浮かべる。
「で、歌舞伎町の飲食店がここに一体何の相談なんだい?」
敏腕弁護士という割にはお人よしなのだろう、慶田盛が問うて来る。
「店が襲われたんです」
健司の言葉に慶田盛の視線が険しくなる。
「それは警察に訴えるべき案件なんじゃないのかい?」
「歌舞伎町で店が襲われた程度で警察が動くと思いますか?」
健司が言うと慶田盛が思案気な表情を浮かべる。
「相手に目星はついているのかい? 組関係だと厄介だぞ?」
歌舞伎町という事を意識しているのか慶田盛が言う。
「ピエロのマスクに紫のトレンチコート、銃撃で店は蜂の巣です」
慶田盛の表情が一瞬硬直する。
――慶田盛はジョーカーを知っている――
「最近はそういった愉快犯が流行っているようだね」
「慶田盛先生はご存知ないのですか? ジョーカーと呼ばれているようなのですが」
慶田盛の顔がポーカーフェイスに変わるが遅すぎだ。
今更表情を消した所で知っていると言っているようなものだ。
健司はさり気なくソファーの隙間に盗聴器を滑り込ませる。
「噂で聞いている程度だね。でも、弁護士だからといって探偵の真似事ができる訳じゃない」
「慶田盛先生は懇意にしている探偵などはおられないのですか?」
「古い付き合い��探偵はいるけどね。彼を紹介するにはそれなりの理由が必要だよ」
慶田盛が慎重に言葉を選ぶ。
「店が襲撃された以上の理由が、ですか?」
「僕はその破壊された店舗の写真すら見ていないんだよ? 被害実態が明らかではないのに探偵の手を煩わせると思うかい?」
「随分と庇われるんですね。逆に興味が湧いてきましたよ」
健司は切り上げどころと判断してソファーから立ち上がる。
「貴重なお時間を頂きありがとうございました」
健司は慶田盛と握手しながら唇の端が吊り上がりそうになるのを堪える。
――これで慶田盛が探偵に連絡を取ればその相手がジョーカーである可能性は高い――
〈6〉
「いやぁ~俺たちマジ凄くね? もうハリウッドレベルだって」
クイーンメイブのボックス席で健がいつものように能天気な口調で言う。
「たちじゃなくて身体張ってる私たちが凄いの」
「お前PCなんて触れないだろ」
健が加奈に言い返す。
「PCコンビニの使えてるし!」
「ンなの使えてるうちに入らねーよ。な、ジョーク」
健の言葉に清史郎は肩を竦める。加奈と比較すればPCを使える方だろうが、ITというレベルには程遠い。
ヤクザの事務所に仕掛けた盗聴器をBluetoothで飛ばしたり、WIFIでデータを引き抜いたりといった芸当は清史郎には不可能だ。
しかも従来の興信所の盗聴器探知は電波の周波数帯で探っている為、健のカスタムした機材を探知する事ができない。
健は新庄市のヤクザの誰よりも彼らの動きに詳しいと言っても過言ではないのだ。
その中から清史郎が獲物になりそうな案件を選び出し、加奈と下準備を行っているのだ。
「なぁ~んか納得行かない」
加奈が口をとがらせるが、こればかりは健の能力を素直に認めるしかない。
「エースの情報収集能力がなければ火薬を仕掛けにも行けないだろ」
「土建屋の癖に何かムカつく」
「土建屋じゃなくてDJだっつーの」
「DJで食ってる訳じゃないでしょ? なら土建屋じゃない」
「ンだとコラァ!」
声を荒げる健を清史郎は慌てて宥める。
手を挙げるような青年ではないが、つまらない事で耳目を引くのは得策ではない。
「俺は二人におんぶにだっこだ。二人がいなければジョーカーなんてやってられない。そうだろう?」
「私もジョーカーやったしね。やってないのはエースだけ」
「俺がいなかったら起爆できねぇじゃねぇか」
むっつりとした口調で健が言う。
「裏方の仕事があっての晴れ舞台って事もあるんだ。もっとも、舞台役者が良くなかったらどんなに裏方の仕事が良くても芝居にはならない」
清史郎の言葉に加奈がため息をつく。
「ジョーカー人間できてるわ」
「単に口の上手いオッサンってだけかもな」
健が悪童のような笑みを浮かべる。
「多分エースの言う通りだろう。で、いよいよ選挙まで三か月を切った訳だ。矢沢組だけじゃない、カジノ関連の企業が再開発計画に群がってきている」
清史郎は話を本来の筋道に戻す。
「それは分かるけどさ、ヤクザは脅せても民間企業はどうにもならないんじゃない?」
加奈の言葉に清史郎は頷く。
「そこは商店街と市民の手に委ねる。俺たちが考えなきゃいけないのは、矢沢組をあと三か月どう騙し抜くかって事なんだ」
最終的にカジノ施設を選ぶか、市民公園を選ぶかは市民の手に委ねられるべきだ。
ジョーカーはそこに介入しようとする矢沢組をけん制しているに過ぎない。
「一年以上見破られてねぇんだし、今更どうって事も無いんじゃね?」
健が楽観的な口調で言う。
「一年って言っても綱渡りだったじゃない。ジョーカーも怪我したんだし」
常に現場を見て来た加奈が健に向かって言う。
「人生にはスリルがつきものだろ」
「必要ないのにスリルをつける必要ないでしょ?」
「人生にはロマンが必要だよ。なぁ、ジョーカー」
「私の人生にはロマンらしいロマンは無かったよ」
明らかに会話を楽しんでいる健に清史郎は苦笑する。
「人生堅実が一番なの。あんたみたいのが一番ホームレスに近いんだから」
「お前だってコンビニ店員以外何ができるよ」
「ちょっとジョーカー、何とか言ってやってよ」
怒った様子の加奈が話を振ってくる。
「景気が良くなったら事務所で求人でも出すよ。それより今は仕事をやり抜く時だ」
清史郎の真剣な言葉に二人が頷く。
――後三か月――
この凸凹コンビと一緒に駆け抜けなければならない。
〈6〉
「ここの探偵事務所では人探しをしたりはしないんですか?」
健司は三浦探偵事務所の安普請の椅子に腰かけて、所長兼調査員の三浦清史郎と向かい合っている。
慶田盛は健司が面会した翌日に同じく新庄市に居を構えている三浦に連絡を取った。
探られている事を多少は警戒しているだろうが、昨日の今日で会いに来るとは思っていないだろう。
「今の所請け負ってはいないね。知っているかどうか知らないが、日本の年間行方不明者は二十万人。警察が民事だと言ってサジを投げるレベルだ。うち毎年六千人前後が死体で発見される。これが日本の行方不明の実情だ」
四十五歳、探偵というより疲れたサラリーマンを思わせる風貌だが、どこにでもなじめるという点ではこの風貌は役に立っている事だろう。
「携帯電話の通信記録を探ったりしないんですか?」
「そういう情報は大手の情報企業が握っているんだ。契約していなければ盗み出すしかないだろうし、それをすれば犯罪だ」
「企業が形はどうあれ本人の同意なしに情報を持っている事は犯罪ではないと」
「正当だと思えば契約している、と、答えたら君に私の考えは分かってもらえるかな」
清史郎はかなり真っ当な昔気質の探偵であるらしい。
三浦探偵事務所は商店街の噂では浮気調査などではパッとしないが、事件性のある案件だと警察を出し抜く腕前なのだと言う。
「独り言だと思って聞いてもらえればいいんですが、ジョーカーという男をご存知ではないですか?」
「知っているよ。少なくとも片手には余るほどね」
掴みどころのない口調で清史郎が言う。
――だが、他の商店街の人間はジョーカーと聞けば逆に動揺したものだ――
「ヤクザ相手にモデルガンを振り回す愉快犯。前金で一千万。正体が分かれば更に一千万」
健司はリュックサックから帯留めされた札束の入った紙袋を押し出す。
「これだけ流行らない事務所だ。一千万を受け取って私が雲隠れするとは考えないのかい?」
「見つけられなくても差し上げますよ」
健司は内心で清史郎がジョーカーであるとの確信を強めながら言う。
「そういう事であれば遠慮なく預かろう。所でジョーカーについてもう少し詳しく話を聞けないかな? さすがに名前だけでは調査にならない」
「僕もまた聞きでしか知らないんですが、ヤクザが武装しているか麻薬を所持している時に出現し、モデルガンを利用してあたかも本物のように見せかけて驚かせ、ヤクザが金を落��していけばそれを拾っていく。そういう話です。被害に遭っているのは主に矢沢組で、矢沢組は現職与党知事のケツモチをしている」
「つまり、君の推理が正しければ現職知事と利害関係にある人物が選挙で優位に立つべく矢沢組を攻撃している、攻撃しているように見せかけているという事だね?」
「そう、その人物の特定が難しいんですよ。ヤクザの情報を自分の家のPCのように自在に覗き見て、常に有利な状況でモデルガンによる脅迫を行っている」
そこが健司が最も解せない所だ。
この三浦清史郎という男は探偵としては優れているように察せられるが、ITに強いようには見えない。
情報を買っている訳でも無いのだとしたら、一体どのようにして情報を得ているのか。
更に情報を得たとしてそれを整理し、取捨選択する事も必要になる。
事務員の一人もいないこの事務所のどこに実務を取り仕切る人間がいるというのか。
自分はこの男の何かを見落としているとでも言うのだろうか。
「つまり、ジョーカーという人物にはハッカーとしての側面もあるという事だね?」
「そう考えないと辻褄が合いません」
「では、ハッカーであり、モデルガンでヤクザを脅すジョーカーという愉快犯を特定してほしいという事だね」
「結論としてそういう事になるかと」
「プライバシーに踏み込むつもりはないが、そのジョーカーという人物の特定にどういった動機があるか聞かせてもらえるかな? 参考までにという事で構わないが」
「僕が矢沢組に依頼されたからですよ。でも僕の力だけでは見つけられそうに無い」
健司はチェスを指すかのような心境で言葉を選ぶ。
目の前の男がジョーカーである可能性は限りなく大きいのだ。
「君も探偵なのか?」
清史郎の言葉に健司は肩を竦めて名刺を差し出す。
「歌舞伎町で殺し屋を営んでおります円山健司と言います」
言った瞬間、清史郎の顔に何かグロテスクなものでも見たかのような表情が浮かぶ。
健司はその表情をこれまで嫌という程見てきたのだった。
第三章 殺し屋
〈1〉
清史郎は拙いとは知りつつ、円山健司を尾行していた。
尾行を知られたとしても、探偵が依頼者の事を知ろうとする事に問題は無い。
そもそもがジョーカーなどという得体の知れない人物を探せという無理難題なのだ。
例え自分がジョーカーであったとしてもだ。
電車を乗り継ぎSUICAのチャージマネーが尽きそうになった時、円山は新宿の歌舞伎町にある『殺し屋』という店舗に入っていった。
信じられない事だが、冗談でないとするなら殺人を生業とする人間が看板を出して店を営業しているのだ。
円山は自ら隠れるという事が無い。
本当に殺人が生業なのだとしたら、その手段に余程自信を持っているという事なのだろう。
清史郎は逡巡しながらも暖簾を潜る。
相手にその気があればビルに入った瞬間から監視カメラで自分を監視していても不思議ではないからだ。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりになりましたらお気軽にお申しつけ下さい」
円山が人が違ったような口調で声をかけてくる。
「さっき会ったばかりだろう? それよりこのお品書きというのは本当なのか?」
お品書きには殺人方法や死体を残すのか残さないのかなど様々なオプションサービスが書き込まれている。
「はい、迅速丁寧をモットーに確実にターゲットを殺させて頂いております」
「例えば、この絞殺で死体を残すというオプションにした場合、警察に犯人特定されやすいんじゃないのか?」
「企業秘密にはなりますが、TPOに応じて柔軟に対応させていただいております」
「ジョーカーはどうやって殺す事になっているんだ?」
「お客様の情報を開示する訳には行きませんが、強いて言うなら殺し方は問わないとの事です」
円山の言葉が事実なら矢沢組はなりふり構っていないという事だろう。
ジョーカーは確実に矢沢組に打撃を与えているのだ。
「じゃあ俺も注文したいんだが構わないか?」
「どのようなご注文でしょうか?」
爽やかな笑顔で円山が言う。
「ジョーカーをオプションサービスで九月三十一日に殺してほしい」
清史郎の言葉に円山の目が見開かれる。
「前金で一千万。不足なら五百万を追加する」
清史郎は受け取ったばかりの一千万をカウンターに乗せる。
「ジョーカー殺害日時の指定は確かにオプションで追加可能ですが……」
「ジョーカーを殺す日時の指定は矢沢組からは無かったんだろう?」
清史郎が言うと円山が顎に指を当てて思案気な表情を浮かべる。
「依頼が重複した事は初めてで、対応致しかねます」
「いや、重複していない。私が矢沢組の手先で、追加でオプションを申し込んでいるとしたならどうなんだ? 君は依頼主の事をどれだけ調査しているんだ?」
清史郎の言葉に円山の表情が曇る。
「お客様のプライバシーを優先して営業しております。業務上必要な情報は収集致しますが……」
「九月三十一日、ジョーカーは新庄市商店街の外れ、たこ焼き屋千夏の前に現れる」
清史郎の言葉に円山の表情が強張る。
「もしお客様がジョーカーだった場合……」
「自分を殺してくれという依頼はこれまでなかったのか?」
円山が何かを試すような視線を向けてくる。
「もちろん、そういった依頼もございました」
「なら問題は無いだろう?」
「……つまり、あなたは探偵としての任務を全うし、殺し屋に仕事を依頼しに来た。そういう事ですね」
「そういう事になるな」
清史郎が笑みを浮かべると円山の口元に笑みが浮かぶ。
「矢沢組がそれ以前の日時を指定して来たら?」
「それこそ二重契約は無効だと言えばいいだろう?」
「矢沢組がジョーカーの正体を教えろと言ってきたら?」
「ここは興信所ではないのだろう? それに私は九月三十一日にジョーカーが現れるとは言ったが、私がジョーカーだとは一言も言っていないぞ」
円山は殺しという商売にプライドを持っている。
そのプライドに反する行為はできないはずだ。
「了解しました。九月三十一日に現れるジョーカーを殺します。しかし、他に機会がある場合もありますので悪しからず」
円山が一千万の入った紙袋を掴んでカウンターの内側に置く。
これで円山の精神には一つのストッパーがかかった事になる。
後はいかに円山を寄せ付けないように立ち回れるかだ。
〈2〉
してやられた。
健司は先制に成功したつもりが、乗り込まれて悪条件を飲まされた事を今更ながらに実感していた。
三浦の期日を守れば選挙は終わってしまうだろう。
矢沢組は選挙で勝利する為にジョーカーを殺したいのだから、仮に殺せたとしても契約違反��言いかねない。
そもそも条件は問わないという話だったのだから構わないと言えば構わないのだが、ヤクザがそのような道理を飲むとは思えない。
――そもそも乗り気な仕事では無かったのだ――
とはいえ、呑気に構えていてはヤクザに消される事になる。
九月三十一日に殺せたとしても、それは報復の意味しか持たない。
そして九月には三十日までしか存在しない。
十月一日を無理やり九月三十一日と解釈できない事も無いが、完全に手玉に取られたとの感を禁じ得ない。
緒方が猶予として見るのは何週間だろうか。
幸い緒方は健司が三浦と接触した事を知らない。
まだジョーカーを探していると言えば時間稼ぎはできるだろう。
最悪二千万はドブに捨てたのだと言うくらいの器量は緒方にはあるだろう。
しかし、それでは殺し屋の看板に傷がつく。
創業四年、地道に仕事を続けて来た実績に泥がつくのだ。
――三浦清史郎を殺すか――
それを考えて健司は三浦の余裕が気にかかる。
三浦がジョーカー本人だというならそれで構わないだろう。
しかし、ただの連絡役だったり複数犯だったりした場合はどうなるだろうか。
ジョーカーは死んでも蘇る。
その事の方が矢沢組にとって脅威だろう。
ジョーカーのテンプレートが商店街で共有される事にでもなったら、矢沢組は人的物量的に無数のジョーカーに襲われて新庄市を撤退しなくてはならなくなるだろう。
その時、ジョーカーを殺せと依頼されたなら、一体何人を殺せばよいのか分からず、それだけの数を連続で殺せば証拠を残す事になりかねない。
そうなれば警察に捕らえられて全てが水の泡だ。
――そう、殺すのは三浦清史郎ではなくジョーカーである必要がある――
その為にはジョーカーの仕事の実態を掴まなくてはならない。
これまでのジョーカーの襲撃箇所と状況を再確認する。
ジョーカーは神出鬼没のように見えるが、確実な逃走経路のある場合以外は出現していない。
ジョーカーは矢沢組の取引の全てを俯瞰し、最も有利な形を作り出している。
と、なれば健司も事前に情報を収集しなくてはならない。
以前緒方が入店した時、店内のシステムでスマートフォンはクラックしてある。
緒方のスマートフォンを経由して矢沢組組長矢沢栄作の端末に潜入する。
ホストを掌握して矢沢の端末から矢沢組の取引データを吸い上げる。
半グレたちは無料WIFIに接続している者が多く、セキュリティも糞も無い。
健司は新庄市の地図を広げ三浦の心理を読もうとする。
正面切っての対決の後で、あの食わせ物が仕掛ける事は間違いないのだ。
〈3〉
始発電車で歌舞伎町を訪れた清史郎は街路を歩き回りながら、人通りの少ない場所や人目につかない場所にトランプのジョーカーのカードを置いていく。
『殺し屋』がテナントに入ったビルの前の壁にはスマートフォンと接続したラズベリーパイの監視カメラを設置した。
監視カメラの映像は近場の喫茶店でタブレット端末で見ようと思ったのだが、歌舞伎町には静かに端末を見る事のできるような喫茶店が見当たらなかった。
仕方なく新宿駅前のコーヒーの不味いチェーン店に足を向けた。
電波は良好、通勤前の客も訪れておりタブレット端末を見ていても不審には思われない。
スマートフォンを操作して朝のニュースをチェックするが、特に気になるような情報は無い。
八時二十四分、円山が風俗ビルにスーツ姿でやって来た。
一見地味なスーツ姿に見えるがバーバリーにリーガルのシューズといったいで立ちだ。
見る人間が見れば逆に趣味が良いと答えるだろう。
屋内の監視カメラを警戒して清史郎はビルには監視カメラを仕掛けていない。
九時きっかりにスーツ姿にアタッシュケース姿の円山がビルから出てくる。
清史郎は円山が新宿駅に向かったのを見て小走りに店を出る。
円山を捕捉し、充分に金をチャージしたSUICAで改札を潜る。
円山を尾行する事二十分、新庄駅で円山は列車を降り���。
チャージマネーで改札が通れて良かったと思える一瞬だ。
昔なら駅によっては乗り越し清算をしなくてはならないところだ。
円山は商店街を突っ切り、三浦探偵事務所にほど近い喫茶店に入っていく。
清史郎は更に離れた喫茶店で画像を喫茶店のものに切り替える。
商店街の店にはセキュリティの名目で三浦探偵事務所の監視カメラが取り付けられているのだ。
円山が注文するより早く、店員がコーヒーにトランプのジョーカーを添えて差し出している。
円山の表情が一瞬硬直する。
清史郎は商店街の店に予めジョーカーのカードを配り、前払いで商品を出すよう話をつけておいたのだ。
これで円山は自らが監視対象である事を知る。
コーヒーを飲み干した円山が喫茶店を出て周囲を見回す。
――追われる気分はどうだ、円山――
円山は午後六時になると歌舞伎町のビルに戻り、吉祥寺の自宅であるらしいマンションに帰宅した。
清史郎は吉祥寺界隈の店に金とトランプのジョーカーを配り、路地裏などにカードを仕掛けて帰路についた。
〈4〉
「って事は正体バレちまったのかよ」
相変わらず騒々しいクイーンメイブのボックス席で健が声を上げる。
「殺し屋って名刺出してる殺し屋って狂ってるとしか思えないけど」
「腕に余程の自信があるんだろう。今の日本じゃ老衰や自殺や病死や事故死以外の異常死が毎年十七万件発生しているんだ。死体なんかあった所で警察の手が回る状態じゃない」
「ジョークと話してて思うんだけどさ、警察って何してんだ?」
「総資産一億円以上の人間の事は守ってるだろうさ。後は交通違反の取り締まりだな」
清史郎は答える。実際警察が殺人や行方不明を事件化する基準は分からないのだ。
確かなのは毎年日本では殺人事件は百件前後しか起こってはならず、検挙率は96%を下回ってはならないという暗黙の了解があるという事だ。
「どっちみち最初から警察は味方じゃないでしょ。矢沢組が商店街に嫌がらせをしても見て見ぬふりだったんだし」
「だよな。俺たちジョーカーが正義の味方なんだ。そうだろ」
「多少稼がせてもらってるけどね」
健も加奈もジョーカーという仕事には少なからず誇りは持っている。
士気が高いという点では矢沢組と戦っていく上で大きなアドバンテージになるだろう。
殺し屋円山健司がジョーカーの核心に近づいたとは言っても、健と加奈まで特定している訳ではないのだ。
そして健のITを見て警戒していた為、あの新宿の風俗ビルにはスマートフォンも時計も持ち込んでいない。
顔は間違いなく撮影されているだろうが、顔認証は広範なエリアから自在に情報を引き抜けるようなものではない。
いつ、どのカメラに映っているのか分からなければどのカメラをハッキングすれば良いのか分からない。
本当の所は分からないが、公には警察でも店舗など個人の��メラの映像は捜査協力や令状で記録を閲覧しているのだ。
健のIT技術にした所でカメラを特定し、通信可能な距離で『物理接触』しない事にはデータを閲覧する事などできないのだ。
「円山って野郎の鼻を明かしてやろうぜ。こっちは天下御免のジョーカーなんだ」
「でもさ、ジョーカーを探り当てたって事は相当の切れ者なんじゃない? 殺し方だって一つや二つじゃないからこれまで捕まってないんでしょ?」
加奈が慎重論を述べる。この慎重さがチームの要になっていると言ってもいい。
「じゃあどうするってんだよ。まさか止めるとは言わねぇよな」
「多少趣向を変える必要はあるだろうな」
清史郎はカバンからジョーカーマスクをのぞかせる。
「マスク……一体何枚あんだ? 量産して成功すんのは北朝鮮のモロコシくらいだろ」
「そっか……これをこれまで被害に遭った半グレに匿名で送り付ければ……」
ITには弱くても頭の回転の早い加奈には分かったようだ。
「確実な取引情報を手にした本物の銃を持ったジョーカーが出現するんだ」
清史郎の言葉に健が唖然とした表情を浮かべる。
「さっすがジョーカー。でもよ、俺たちと鉢合わせにはならねぇのか?」
「一応発信機は取り付けてある。合成音声のスイッチを入れれば起動する仕組みだ」
「じゃあ信号がなかったら作戦決行って訳ね」
「それに送り付ける相手はこっちが選べるんだ。事前に動きを掴む事も難しくないだろう」
清史郎はこれまでの取引の状況から矢沢組に逆らいそうな半グレをリストアップしている。
表立って逆らう事はしないだろうが、ジョーカーとしてなら薬をガメるくらいの事はしかねない連中だ。
「でも、それって少ししたら矢沢組に露見するんじゃない?」
「ああ。でも矢沢組は確実に疑心暗鬼に陥るし、本物の銃弾が飛んでけが人でも出ればジョーカーに対して慎重にもなるだろう」
「最高にクールだぜジョーカー! ジョーカーが犯罪者だったら今頃大金持ちだぜ」
健の笑みに清史郎も笑みで答える。
「じゃあ今日の仕事もクールに決めましょ」
加奈の突き出した拳に三人の拳がぶつかる。
本家ジョーカーは最高のチームなのだ。
〈5〉
自宅まで嗅ぎつけられたとは。
午前七時、健司は朝食を食べようと吉祥寺の喫茶店に入った所で、ジョーカーのカードと対面する事となった。
もっとも、ずっと尾行されていたなら自宅が特定されるのは不思議でも何でもない。
一番の問題は探偵に四六時中張り込まれたらジョーカーどころではなく、他の仕事も一切できないという事だ。
動揺を押し隠し、それでも周囲を警戒しながら歌舞伎町の店舗に向かう。
ドアに挟んだ髪の毛が落ちた様子は無く、侵入者はいないようだ。
店内に入り、一通り掃除を終えると鋭利に削ったシャープペンシルをカウンターから取り出す。
殺しの方法はいくらでもある。
相手が尾行しているなら、人通りの少ない所に誘い込んで始末するという方法も取れるのだ。
健司は尾行のプロである三浦を警戒する事を止め、路地裏へと足を踏み入れる。
一定歩いた所で振り向き、シャープペンシルを引き抜く。
が、そこには三浦の影も形も無かった。
四六時中張り込んでいるという訳ではないという事だろうか。
健司が安堵しかけた瞬間、路上に落ちているトランプのカードに気付いた。
――ジョーカー!――
三浦はこちらの考えを見抜いて行動に出ているのだ。
と、言う事は人通りの少ない所は三浦本人に監視されない反面、ヤクザを監視しているような遠隔装置で監視している可能性が高いだろう。
――この僕が身動き一つ取れないと言うのか――
健司は拾い上げたトランプのジョーカーを握りつぶした。
〈6〉
深夜の路地裏、半沢芳樹はジョーカーマスクと紫色のどぎついトレンチコートに身を包んで、汗が出るほどにトカレフを握りしめている。
部下二人が矢沢組とヤクの取引をする事になっており、そこをジョーカーのフリをして襲撃するのだ。
成功すればタダでドラッグが手に入り、失敗してもジョーカーのせいだ。
うだつの上がらない半グレの四十代、ヤクザに昇格できる見込みも無い。
忠義を示せと言う方が無理というものだ。
視線の先には金を手にした部下の姿、ヘッドライトで周囲を照らす矢沢組のベンツがある。
部下が金を出し、組員がスーツケースを開いてドラッグを見せる。
半沢はそのドラッグを見ているだけで身体にアドレナリンが駆け回ったような気分になる。
「動くんじゃねぇ! こっちにヤクを寄越せ」
取引成立の寸前に半沢は銃を手に飛び出す。
矢沢組の構成員がスーツの内側から銃を抜く。
「金もヤクも俺のモンだっつってんだ!」
半沢は先制して引き金を引く。轟音が響き矢沢組の構成員が気圧されたように見える。
立て続けに引き金を引いて距離を詰める。
矢沢組の構成員が引き金を引き、半沢の頬を掠める。
ジョーカーの姿で出ていけば怯むと思っていたのだが、反撃は想定外だ。
それでもここが正念場と半沢は引き金を引く。
一発の弾丸が矢沢組の構成員の鎖骨の辺りを貫く。
凶悪な一瞥をくれて矢沢組の構成員たちが引き上げていく。
半沢は両手でヤクを掴んで高笑いする。
こんなにチョロい商売にこれまでどうして気付かなかったのだろう。
――ジョーカーを続ける限り俺は無敵だ――
〈7〉
事務所に次々に凶報が舞い込む中、矢沢組の緒方は状況の変化を理解していた。
ジョーカーの模倣犯は自然発生的に生まれたものではない。
本当に模倣する脳があるなら金や麻薬を要求する訳が無い。
と、すれば中身は町の半グレや暴走族と察しがつく。
とはいえ、数は厄介であり、ジョーカーの真似をすれば処刑だと言った所で本物のジョーカーもどこかにいるのだろうから半グレは高をくくって矢沢組の命令に従おうとはしないだろう。
そして更に厄介なのはちゃんとジョーカーを模倣できている者もいるという事だ。
ジョーカーを見たら撃てというのは簡単だが、半グレが連合して矢沢組に反旗を翻したら手足を失った矢沢組に抵抗する術は無い。
矢沢組は権力と金と麻薬は持っているが、マンパワーが多いという訳ではないのだ。
ジョーカーはその弱点を的確に突いて来たのだ。
「緒方、考えは無ぇか?」
電話越しの矢沢の言葉に緒方は頭を巡らせる。
「ジョーカーマスクに百万の懸賞金をかけてはいかがでしょう?」
マスクをつけている人間の罪を問わず、マスクを差し出せば百万やると言えばわざわざ危ない橋を渡ろうという連中は少なくなるだろう。
その上でジョーカーの撃滅を図ればいいのだ。
「その手は使えそうだな。問題はマスクがどれだけ出回っているかだが」
「数は多くないと考えます。そもそも同時多発的にジョーカーが出現したという事は、誰かが創意工夫して模倣されたのではなく、何者かが意図的に行ったと考える方が自然です」
言って緒方は組員たちに通達を出し、ついでに警察にも懸賞を知らせておく。
公権力が銃刀法で取り締まりを開始すれば半グレは震えあがってジョーカーの真似などしていられなくなるだろう。
〈8〉
健司は新庄市のホテルの床に落ちた髪の毛を拾いながら、事態の急変と自分の読みが正しかった事を知る。
三浦は健司に捕捉された事で作戦変更を余儀なくされた。
健司も身動きできなくなったが、それはお互い様なのだ。
そこで今回のジョーカー量産化計画を演出したのだろう。
しばらくの間町中にはジョーカーがあふれる事になる。
矢沢組が引き締めを行っているものの、偽ジョーカーの模倣犯も出現し本来の偽ジョーカーより多くのジョーカーが出現しているのが現状だ。
――でもこの狂騒はすぐに終わる――
健司は日が暮れるのを待ってアタッシュケースを手にホテルを出る。
三浦が四六時中張り付いている訳ではない事も分かっている。
いずれにせよ仕事を迅速に済ませれば証拠も残りはしないのだ。
深夜の人気の消えたオフィス街を歩きながら手に手術用のビニール手袋をはめる。
靴のサイズは自分の標準よりワンサイズ大きく、髪型は大きく変えていないが頭にはカツラをかぶっている。
一般で売られているカツラには、インドの仏教徒やヒンズー教徒が出家する時の髪の毛が使われている。
そして、インド人の髪の断面は日本人が楕円であるのに対し正円に近い。
仮に髪が現場に落ち、科捜研が調査したところで出てくるのは謎のインド人という事になるのだ。
健司は予定していた地点にたどり着くと、持ってきたボルトを電柱の穴に差して二・五メートル程の高さにまで登って電柱に寄り添うようにして立つ。
予定通りスポーツバッグを手にしたジョーカーが走ってくる。
中身は半沢という三下の半グレだ。
正面だけに注意を向け、自分の身長より上には注意が向いていないらしい。
健司はボルトに引っ掛けたテグスを引っ張る。
ジョーカーの首にテグスが食い込み、仰向けに倒れかかる。
アイスピックを手にした健司はジョーカーに圧し掛かるようにして飛び降りる。
アイスピックがジョーカーのマスクと頭蓋骨を貫き、脳を攪拌する。
健司はアイスピックをその場に放り捨てて、テグスもそのままに歩き去る。
アイスピックもテグスも殺人犯を特定する決定的な証拠とはなり得ない。
少し歩いた所で歩きやすい靴に履き替え、手袋を脱いでしまえば何一つ痕跡は残らない。
意識していたが三浦に行動を監視されていた様子は無い。
三浦はマスクをばらまいた事でジョーカー業を一定退いたのかも知れない。
それならそれで……
――ジョーカーを名乗れば問答無用の死が訪れる――
それでもジョーカーを続けられる者がいるだろうか。
健司の受けた依頼はジョーカーの殺害であって三浦清史郎の暗殺ではないのだ。
〈7〉
緒方は苦い気分で事務所でTVを見ている。
一週間で九人のジョーカーが殺され、四人のジョーカー、三人の組員が射殺された。
ワイドショーは死体にピエロのマスクをかぶせる愉快犯として報道している。
常識的に考えればそうなのだろう。
だが、現実にはジョーカーの模倣犯が跋扈し、殺し屋円山がジョーカーを殺しまくっているのだ。
この問題の裏が表ざたになれば矢沢組に捜査の手が伸びる。
組長が事情徴収という事にでもなれば、知事選敗北は必至だ。
この銃弾飛び交い殺し屋が闊歩する状況は、客観的に見れば矢沢組の内部抗争なのだ。
――やってくれたなジョーカー――
日用品を用いて鮮やかに殺しを遂行する健司に対する恐怖は広がっており、それなりの数のジョーカーマスクが届いてもいるが、それでも自分だけは大丈夫と考えるのが人間の性であるらしい。
「兄貴、県警本部長が来ています」
部下の言葉に緒方は舌打ちしたくなるのを堪える。
何人か人身御供に出す必要はあるだろうが、それでジョーカー問題が片付く訳でも無い。
今の新庄市はさながらギャングの蔓延る六十年代のニューヨークだ。
このネガティブイメージの中ではカジノ施設の誘致も集客の為だなどという言葉で誤魔化せない。
――だが、商店街も打撃を受けているはずだ――
緒方は次善の手を考えながら県警本部長を待たせてある応接室に向かう。
「緒方です。この度はお騒がせしております」
「いや、そうかしこまらんでくれたまえ。私がこうしておれるのも矢沢組あっての事だ」
県警本部長の茨木義男が本革張りのソファーから腰を上げて言う。
茨木は東大卒のキャリアで矢沢の後輩に当たり、同じゼミを受講していた間柄だ。
「殺人事件は起こせない。それが警察の不文律でしょう?」
「今回のカジノ施設建設は内閣肝いりでもあるんだよ。情報操作で反対派が工作しているように演出する事は可能だろうよ」
転んでもタダで起きないのが政治家やエリートというものであるらしい。
「つまりはカジノ施設反対派が、賛成派の人間を殺してピエロのマスクをつけていると?」
「そういう報道になっているだろう?」
茨木の言葉に緒方は唖然とする。
当事者としての立場で見ていた為に気付かなかったが、一般視聴者の目線で見るとそういう風に見えるのだ。
「で、私の在任中にこれだけの死者を出しているんだ。票は囲い込めているんだろうね」
「固定票は押さえております」
実際の所、矢沢組は内紛に近い状態で票を囲い込めるような状態ではない。
大手のチェーン店などでは本部通達で票の取り込みができているが、個人事業主は依然として反対の姿勢を崩していない。
――やる事成す事裏目に出る――
「死人は出る、カジノ施設はできないでは私の本庁復帰が危うくなるんだよ。その意味は分かっているだろうな」
「はい」
不満げな茨木に緒方は短く答える。
――県警本部長が殺害されれば流れが変わるかもな――
緒方は脳裏にあのとらえ所のない殺し屋の姿を思い描いた。
第四章 トリックスター
〈1〉
「最近俺たちが出てもヤクザもビビらねぇのな」
クイーンメイブのボックス席で健がぼやく。
本物の銃を撃つジョーカーもいれば、ジョーカーを狙い撃ちにする殺人鬼も存在する。
実際に死人も出ているのだから今更驚かす程度ではヤクザも怯みはしないだろう。
「銃で撃たれるって不安。前より遠慮なく撃たれてる感じ」
加奈が沈んだ様子でカクテルに口をつける。
「おいおい、私たちの本来の目的を忘れたんじゃないだろうな。私たちの目的はカジノ施設誘致の妨害だ。今の状況でカジノ施設がオープンしたとして誰がテナントに入るんだ? 暴力がこれだけ蔓延る状況を許した現職知事は窮地に立たされている。住民の安全と地域の活性に誠実に取り組む人物が取って代わらなければ市民が納得しない」
ショットのバーボンを口に運んで清史郎は言う。
「いや、確かにジョーカーの言う事は分かるんだけどさ、昔は良かったっつーか、実入りが少ないのは我慢するとしてもよ」
「私たちの本当の目的に近づいているんだから喜んでいいはずなんだけどね」
「選挙の公示まで三日、世襲できそうな人間がいない以上与党は今更候補者を変更できないし、現職のまま選挙を戦う事になる。野党には追及の材料が掃いて捨てるほどある。これで負けるようなら本当に世の中が腐りきってるってだけだ」
健と加奈の気持ちを察しながらも清史郎は言う。
「もう少しで全部終わっちまうんだよなぁ~。何か微妙だぜ」
「コンビニも忙しいって言えば忙しいんだけど、税金は取られるのに退職金も無いし年金のアテもないし」
健が仕事にやりがいを感じられないのも、加奈がお先真っ暗だと言うのも理解できる。
「そうは言っても九月三十一日にはジョーカーは死ぬんだ」
「してやられましたよ。九月に三十一日なんて無いじゃないですか」
ボックス席に当たり前のように現れた円山が言う。
「誰だテメェ!」
健が身を乗り出す。
「歌舞伎町で殺し屋を経営している円山健司と言います。ここが三浦さんの本当の事務所だったんですね」
「まさか一週間で九人も殺したのって……」
「やだなぁ~僕はもっと殺してますよ。警察だって報道内容には気を遣うんです」
涼しい表情でグラスを手にした円山がボックス席に座る。
「人殺しだってバラすぞ、テメェ」
健が円山に向かって噛みつきそうな声と表情を向ける。
「ご自由にどうぞ。何か一つでも証拠が存在するならね」
「で、その殺し屋さんがここに何の用?」
「いや、本家のジョーカーはどうしているのかと思ってね。偽物でもこれだけ殺せば本家も仮面を捨てるんじゃないかって思って」
「おたくの言う通りだ。こんな凄腕の殺し屋がいるならジョーカーなんてやるだけ損だ」
「本当にそう思っていますか? 本家はまだ何か隠し玉を持っているんじゃないかって思うんですけど」
「随分と余裕かましてんじゃねぇか。ジョークを殺ったらテメェを殺す」
「殺しはしたくないけどジョーカーを殺させる事は絶対にしない」
「人望があるんですね。いっそ事務所でこの二人を雇ったらどうです? 今より金回りはよくなるんじゃないですか?」
「殺し屋より儲かるとは思えないね」
「それはリスクを負っていますから」
「テメェは嫌味を言いに来たのか。悪いが俺たちはテメェになんざ負けねぇ」
頭に血の上った健が言う。
「そうそう、一つプレゼントがあるんです」
「あんたがくれるものなんてロクなものじゃないと思うんだけど」
「野党連合の候補を殺すように県警本部長から依頼を受けたんです」
笑顔で言った円山がグラスを空ける。
突然の事に健と加奈が硬直する。
選挙期間中に候補が殺されてしまったら票が分散して現職が有利となる。
どれだけ黒い噂があったとしてもだ。
「それは俺たちに守って見せろと言っているのか?」
「さぁ、気まぐれですよ。僕はこれでもあなたの事が嫌いではないんですよ」
言った円山が席を立って去っていく。
加奈と健が茫然とその背を見送る。
「私たちと候補者をまとめて葬るつもりか……」
清史郎は思案する。候補者を守る為に張り付けば二人まとめて殺される可能性がある。
しかし、候補者を放置しておけば間違いなく殺されるだろう。
具体的な殺人予告という訳ではなく、あったとしても警察はアテにはならない。
市民は自衛するしか無いのだ。
――どうする……――
「なぁ、ジョーク、どうすんだ?」
「あんたも少しは考えなさいよ」
「考えてるって。頭の中じゃあの野郎を三十回は殺してる」
非生産的な事を考えている健が言う。
「ジョーカー、私、どうしていいか……」
加奈は追い詰められた様子だ。
「こうなったらお望み通りにしてやろう。ジョーカーの最期を見せてやるんだ」
清史郎は一抹の寂しさを感じながら笑みを浮かべて見せた。
円山を前にして取れる手は一つしか無いと言っていい。
――あの男はこの結果を望んでいたのだろうか――
〈2〉
『……皆さん、この町の惨状は突然起きたのでしょうか? その根幹には市の中央にある広大な県の土地があります。この土地は江戸時代に火災の延焼を避ける為に作られた防災の為の土地でした。しかし新庄市が栄えるに従い、土地の価格が上がり莫大な利益が生まれる事が分かってきました。ヤクザやギャング、財界の人間はその利権に群がっているんです。もし、彼らの思い通りにさせるなら彼らの存在を容認する事になります。二百年前の先人の知恵に従い、ここを防災を兼ねた市民公園にする事こそが行���の成すべき事です……』
夕暮れの新庄市の駅前で野党候補の峰山春香が声を上げる。
聴衆はさほど多くはないが商店街や青年団が集まって盛り上げようと四苦八苦している。
清史郎はオープンカーのハンドルを握りながらタイミングを計っている。
『ジョーカー、スタンバイOKよ』
イヤホンから加奈の声が聞こえてくる。
『警察は野党の候補に人は割いちゃいねぇ、殺るなら今だ』
健の声を受けて清史郎は紫のどぎついトレンチコートを羽織り、ピエロのマスクをかぶる。
「そこのお前……」
演説を警備していた警官が警棒を手に近づいて来る。
「制服ギャングも久しからず」
清史郎は銃を引き抜く。
警官の足元で火花が爆ぜる。
聴衆だけでなく、夕暮れの帰宅ラッシュの人々の足が止まる。
「綺麗ごとでマニィをロンダリィ! 俺はハッピーにトリガー、堅実な人生が諸行無常!」
清史郎は自動小銃を抜いて選挙カーに銃弾を浴びせかける。
銃声が響き至る所で火花が散る。
ガードマンに守られて逃れようとする峰山の背に向けて引き金を引く。
血を噴出させた野党候補が倒れる。
「こんな時には正露丸! キャベジンがあれば国士無双ゥ! ユンケル飲んだら夜金棒!」
峰山が選挙カーに運び込まれ、現場から離脱しようとする。
��ジョーク、サツが動いた。射殺してもいいって言ってやがる』
健の言葉に清史郎は生唾を飲む。想定してはいたが、想像以上に警察もなりふり構っていないらしい。
清史郎はオープンカーで選挙カーを追い、グレネードランチャーで後ろ半分を吹き飛ばす。
煙を上げた選挙カーが路肩で停止する。
清史郎は高笑いしながら選挙カーの脇をすり抜け、オープンカーで町を駆け抜ける。
無数のパトカーが清史郎のオープンカーを追う。
『ジョーク、法定速度は無視してくれ、俺がナビゲートしてんだし、今更ネズミ捕りが怖いって訳でもねぇだろ』
健のナビゲーションでパトカーを避けて清史郎は埠頭へと向かう。
銃声が響き、音速より早く飛んだ弾丸がオープンカーに襲い掛かる。
警察が矢沢組の懸賞を狙っている事は健のハッキングで知っている。
制止する警官の声と銃撃を受けながら、フルスロットルのまま岸壁から海上へと車体を躍らせる。
肩と背中に銃弾を受けた清史郎は冷たくなり始めた海の中へと沈んでいく。
清史郎が意識を失いかけた時、淀んだ海の中にウェットスーツに身を包んだ加奈が姿を現した。
〈3〉
警察が捜査した結果、海で手に入れる事ができたのは一台の盗難車とピエロの仮面と紫色のトレンチコートだけだった。
知事候補が襲撃された事もあり、今後清史郎がジョーカーの扮装をすれば正体が露見する可能性は極めて高くなるだろう。
――本家ジョーカーは死亡した――
健司は病院の廊下を歩きながらポケットの中のビニール手袋の感触を確かめる。
野党候補は銃創を負って病院に入院している。
実際には銃創など負っていないのだろうが、ジョーカーと候補が一芝居打つのだとしても病院は避けて通れない。
――悪いけど僕は殺しの依頼は完遂する――
健司は候補の部屋の前のボディガードの様子を観察する。
「すみません。新庄市後援会の青年団の円山と言います。先生はご無事でしょうか?」
「先生はご無事だ」
鉄面皮のボディガードが返答する。
「それを聞いて安心しました。一言無事をお祝い申し上げたいのですが構いませんか?」
「十分だ」
ボディガードの言葉に笑みを返して健司は一人部屋に足を踏み入れる。
両手にビニール手袋をはめ、小銭袋を握りこむ。
「やぁ、先生、ご無事なようで何よりです」
「無事なものか。ポリの弾丸を四発も食らったんだ」
そこで見た光景に健司は言葉を失った。
「お陰で選挙が終わるまで退院できそうにない」
三浦が笑みを向けてくる。
「バカな……あなたは……」
身を隠さなくてはならないはずだ。
治療する為にも……。
――治療する為に候補に成りすましたと言うのか――
入院している間は世間の目は避けられる。
それでは候補はどこに消えたと言うのか。
「お前は野党候補を殺せというオーダーを受けたはずだ。今彼女は立候補しているが、生死不明で野党の統一候補ではない。今は慶田盛弁護士事務所で事務の手伝いはしているが選挙活動はしていない。それでもお前は殺すのか?」
健司は清史郎の言葉に笑いがこみあげてくるのを感じた。
「詭弁にも程がありますよ。ほとんど屁理屈じゃないですか」
「屁理屈でも君は依頼に忠実なんだろう? あと面会は手短に頼むよ。これでも歳でね、銃創って言うのは堪えるんだ」
銃創が堪えているのは本当らしい。
「それでも最後には候補は復活しなきゃならない」
「死んでいなければね」
カーテンの影から姿を現した女性がグレネードランチャーを構える。
「まさか……」
「ジョーカーは死んだ、ヒットマンは来た。これで充分だ。なぁ、ジョーク」
ラップトップコンピューターを小脇に抱えた青年が言う。
「ゲームオーバーだ」
清史郎が不敵な笑みを向けてくる。
健司は小銭袋を窓に投げつける。
砕けたガラスの破片を拾い上げて身構えながら退路を探る。
ガラスの破片で候補の命を絶つつもりだったが今三浦を殺した所で意味が無い。
今は割れた窓の外に逃れる隙さえあればいい。
女性の指がグレネードランチャーの引き金���かかる。
猛烈な爆音と閃光が室内に満ちる。
健司は窓の外に身体を躍らせた。
――これで知事候補が殺された事になるのか――
健司は地面を転がり、人目を避けながらバッグから出した白衣を羽織る。
――僕は最期までジョーカーに踊らされたって訳か――
敗北感より、どこか清々しさを感じながら健司は病院を後にした。
〈3〉
「慶田盛弁護士事務所では峰山候補を歓迎しますよ」
新庄市にある、冤罪に強いと噂の弁護士事務所で峰山春香は未だに自分の身に起きた事が信じられないでいる。
峰山が候補に決まったのは公示二日前、そこから慌ただしく野党の党首などと会談を交わし、選挙戦の流れになったのだが、その直後に慶田盛敦という弁護士が現れたのだ。
慶田盛の噂は峰山も聞いており、信頼できる人物であるとは感じていたが、話の内容は想像のはるか斜め上を行くものだった。
新庄市の乱射魔ジョーカーの本家は、冤罪事件の解決を主に行っている三浦探偵事務所の所長三浦清史郎だったのだ。
三浦は知事選を前に町に大量のジョーカーマスクをバラまいて一時的に身を引いた。
しかし、ジョーカーと野党知事候補は確実にターゲットを仕留める円山という男に命を狙われているのだ。
更には矢沢組がジョーカーに懸賞首をかけており、警察も生死を問わないという条件でジョーカーを狙っているという。
そこで三浦が出して来た案がジョーカーに候補者が襲われて入院、ジョーカーは警察に追われて死亡、更に候補者の運び込まれた市民病院に現れる円山を三浦が撃退するというものだったのだ。
三浦は警察に追われて手傷を負う事は間違いなく、それならば知事候補と入れ替わって入院してもゆっくりと治療ができる。
一方春香は慶田盛弁護士事務所で投票日三日前まで、事務職として短期採用される。
円山のターゲットは知事候補であり、事務員殺害ではなく、その一線を越えてこないのも円山という男なのだという事だった。
「何もかもが信じられないわ。生死不明で選挙戦を戦うなんて……」
「野党の党首が連日新庄入りするって話になったじゃないですか」
春香は慶田盛弁護士事務所の安普請の椅子に腰かける。
「それはいいとしても、いいえ、大きな借りを作る事になりますし……」
「市民に対して不誠実だと?」
春香の心中を察した慶田盛が言う。
「その通りよ。三日前に復活なんて話が良すぎるし」
「でも、実際問題あなたを救う手立ては他に無かった」
事務所の電話が鳴り、慶田盛が受話器を手に取る。
ボタンを押してスピーカーに切り替える。
「私だ。円山が知事候補殺害に現れたよ。こっちで見かけだけは派手な爆薬を爆発させて追い出した。これで知事はテロリストにまで襲われた事になるわけだ。しばらく身を隠さなきゃならない理由が増えたんじゃないか?」
「三浦さんですね? あなたが身体に銃創を負ったという話は聞いています。あなたはどうしてここまでやったんですか?」
「若い連中と付き合いがあると、柄にもない正義感なんてものも持つものなのさ」
三浦の言葉に春香はため息をつく。
実際の傷はどうあれ、体面上知事候補は集中治療室にかくまわれるだろう。
「市民病院が告発したらどうするつもり?」
「それは無いさ。与党の市長になってから予算を削減されて、市民病院では上から下まで味方しようなんてヤツはいないんだから」
慶田盛が肩を竦めて見せる。
「あと、仕事柄マスコミの相手をするのは苦手じゃないんだ」
「ああ、こいつは口先だけは有能だからな」
二人の言葉を聞いていた春香は苦笑する。
悪だくらみのような作戦だが、この二人にとってはこれは健全な正義のスポーツのようなものなのだ。
〈4〉
野党候補の入院先で爆破テロが起こった事で、与党候補に対する疑惑は大きなものとなった。
野党候補は生死の境を彷徨っていると報道されている。
清史郎は病院で何不自由なく治療生活を送っている。
のだが……。
「なぁ、ジョーク、ここで寝てるってのは何かの冗談だろ?」
「怪我してるのは事実なんだから無茶言わないの」
健と加奈は連日競うようにして病室を訪れている。
「お前ら、もうジョーカーの出番は無いんだぞ? 知事選も候補が無事を表明すれば一発で決まる。もうやる事は無いんだ」
清史郎が言うと健が叱られた犬のような表情を浮かべる。
「いやさジョーク、俺、土建屋辞めたんだ」
「私も……その、コンビニ辞めたんだ」
清史郎は二人の言葉に唖然とする。
このご時世に仕事を自ら捨ててどうしようと言うのか。
「ジョーク、儲からないっつってるけどよ、俺が手伝ったら何とかなんじゃね?」
「先に言わないでよ。採用するなら私の方が得なんだから。多分」
清史郎は額に手を当ててこみ上げてくる笑い声を抑える。
傷に響くが笑いたくなるのだから仕方がない。
「お前ら、馬鹿じゃないのか? こんなオッサンと組んだって心中するようなモンだろ」
「それでもいいくらい楽しかったんだよ」
「またスリル、くれるんでしょ?」
清史郎は笑い声をあげて身体を起こす。
傷が引きつるが痛みなど気にならない。
「資本金はお前らと合わせて裏金三千万円。社員は三人。一人はオッサン。ジョーカー探偵事務所とでもするか」
「何かダセェ。中年は変に英語にするから逆にカッコ悪いんだよ。三浦探偵事務所でいいだろ」
「中年のセンスが悪いのは今に始まった事じゃない」
清史郎は憮然として健に言い返す。
「じゃあ新しい門出に」
加奈がバッグからワインのボトルを取り出す。
若い二人は自分に老ける暇を与えてくれないらしい。
清史郎はコップに注がれたワインを掲げる。
「乾杯」
紙コップが音もなく打ち合わされ、新しい何かが動き始めた。
エピローグ
清史郎は健と加奈を引き連れて病院の廊下を歩いている。
向かいからスーツ姿の峰山春香が歩いてくる。
握手しようと峰山が手を差し出してくるのを無視して清史郎は右手を軽く上げる。
峰山が応じて右手を挙げてハイタッチすると、清史郎と峰山は入れ替わるように方向を変える。
清史郎の背後でフラッシュが瞬き、峰山が光とシャッター音に包まれる。
生死不明から無傷での生還。
これほどの宣伝も無いだろう。
ジョーカーはカジノ施設を阻止するというその使命を果たしたのだ。
選挙戦は野党党首が連日交代で訪れるという形で、野党が攻勢を強めていた。
そして投票日三日前に野党候補が無傷で出現。
暗殺者に狙われていた事を告げ、改めて支持を訴えた。
緒方は事務所で出来の悪すぎる茶番劇を見せられたような気分を味わっている。
ジョーカーという乱射魔が出現、殺し屋に依頼をしたらジョーカーの模倣犯が大量に出現。野党候補を狙ったら本家ジョーカーに命を狙われ、生死不明から一転蘇った。
市民の心理を考えるまでもなくこの選挙は完敗だ。
何処で何を間違えたのかなど分からない。
否、最初からこの町には矢沢組を受け入れない何かが存在していたのだ。
近々上層の組から矢沢更迭が告げられるだろう。
だが、緒方は矢沢にとって代わろうなどとは思わない。
――この町にはジョーカーという化け物が存在するのだから――
十月一日、健司はいつものように殺し屋のカウンターの内側にアルコールを吹きかけている。
もしも、九月に三十一日が存在しているならジョーカーが殺されてやると言っていた日。
新庄市では市民の支持を得た新知事の誕生でお祭り騒ぎらしい。
と、殺し屋の戸口に宅急便の配達員が現れた。
「殺し屋様ですか? Amazon様からのお届けものです」
記憶には無いが健司は笑顔で箱を受け取り、伝票にサインする。
ナイフで慎重に箱の封を開けるとそこにはピエロのマスクが収まっていた。
健司は口元に笑みが浮かぶのを感じた。
――確かにジョーカーは死んだ――
健司はその自然な笑みを機械的な笑みの後ろに隠し、カウンターを磨き始めた。
今日も新たな客がやって来るに違いないのだ。
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科学大国アメリカの裏表をジャーナリストが追求 ニコニコニュース-2 時間前
科学大国アメリカの裏表をジャーナリストが追求 ニコニコニュース-2 時間前
著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは』『安全と安心の科学』ほか。訳書にシャルガフ『ヘラクレイトスの火』、ファイヤアーベント『知についての三つの対話』、フラー『知識人として生きる』など。編書に『伊東俊太郎 ...
欧州的知性主義への反発 アメリカと言えば、科学系のノーベル賞受賞者は圧倒的に多いし、学術誌掲載論文数も群を抜いている。つまり誰しもアメリカは科学大国だと思っている。しかし、物事には常に裏表がある。そのことを、ジャーナリストの立場から、豊富な取材と調査で描き上げたのが本書である。
確かに、アメリカでは、いわゆる原理主義的なキリスト教の立場から、かつて「スコープス裁判」というのがあって(一九二五年)、公教育の場でダーウィン進化論を教えた教師が裁かれた史実があり、現在でも宇宙全体に何らかの知的・超越的な存在の「計画」が働いている、という「インテリジェント・デザイン」説が、侮れない勢力を示していること位は、比較的知られた事実だが、本書では、そうした宗教的な場面ばかりではなく、ネットでも結構喧(かまびす)しい非科学的な「陰謀説」なども含めて、科学への否定的な態度が、社会の基層に蟠(わだかま)っており、ことごとに表面化しているようである。その様子を、著者は、数々のインタヴューや集会への参加を通じて活写している。
一九七〇年代、世界的に「反科学」運動があった。ポスト・モダンの行き過ぎで、近代西欧の所産は何でも疑ってみるという姿勢が生み出したものだが、著者の診るアメリカの現状は、明らかにそれとは、あるいはそれの名残りとは違うようだ。具体的なトピックスでは、進化論は依然主要な話題だし、特に顕著なのは地球環境問題、宇宙探査問題、そして堕胎問題など。
地球環境問題と宇宙探査問題とは、ともにいわゆる「陰謀」説が俗受けする格好の分野だが、現代アメリカでは、かなりな社会層まで浸透しているようだ。著者は、こうしたキャンペインに携わる人々を、一概に馬鹿馬鹿しいと切り捨てず、そのような状況の背後にあるものまで、丹念に探り取ろうとする。そこから浮かび上がってくるものは、当初は誰もが真面目には受け取ろうとしなかったトランプ氏の大統領当選とも結び付く、アメリカ現代社会の重要な幾つかの特性である。
著者の分析から読み取れるのは、アメリカ社会の最も深層にある、ヨーロッパ的知性主義への本能的な反発である。無論それは今に限ったことではない。しかし、科学・技術の社会化が極端にまで進んだ今日、人々は自分たちの生活の中に意識しないままに、そうした一種のコンプレックスを確認しているのではないか。この構図は、アメリカの国内の分断に引き継がれる。ハーヴァードに象徴される東海岸のインテリ層へのコンプレックスがそれだ。それに、自分で体験した世界だけを信じる、という強い現実的経験主義が加わる。付随的要素としては「福音(ふくいん)派」と呼ばれるプロテスタントの一派の信条(心情)がある。これらは、アメリカ史のなかで、浮沈を繰り返してはいるが、今はその波頭が顕著に見える時代なのか。
さらに、単にこうした現象面での記述・説明だけでなく、そのような社会に対して、科学理解を深めるための方策にも著者の筆は向く。かつて「サイエンス・フォー・オール・アメリカンズ」という科学啓蒙(けいもう)の教科書のようなリポートがあったが、知識が欠けているから、それを補えば、という姿勢(よく「欠如モデル」と表現される)で臨むのではなく、相互の心性の理解に基づいた、双方向的なコミュニケーションこそが、事態の解決への道筋であろう、という提言で結ばれる。アメリカという対岸の火事では済まない教訓を孕(はら)んだ書物だ。
【書き手】 村上 陽一郎 1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科大学大学院、東洋英和女学院大学学長などを経て、豊田工業大学次世代文明研究センター長。著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは』『安全と安心の科学』ほか。訳書にシャルガフ『ヘラクレイトスの火』、ファイヤアーベント『知についての三つの対話』、フラー『知識人として生きる』など。編書に『伊東俊太郎著作集』『大森荘蔵著作集』など。
【初出メディア】 毎日新聞 2019年6月16日
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5647332
再生核研究所声明166(2014.6.20)ゼロで割る(ゼロ除算)から学ぶ 世界観
ゼロ除算の新しい結果とは 簡単に述べれば、分数、割り算の意味を自然に拡張すると、ゼロで割れば ゼロになると言うこと、そして、
関数 y = 1/x のグラフは、原点で ゼロである、すなわち、 1/0=0 である。複素解析学では、無限遠点が 原点に一致している ということである。驚くべきことは、原点における 強力な不連続性にある。
経過などは 次を参照:
再生核研究所声明148(2014.2.12)100/0=0, 0/0=0 - 割り算の考えを自然に拡張すると ― 神の意志 再生核研究所声明154(2014.4.22)新しい世界、ゼロで割る、奇妙な世界、考え方
再生核研究所声明157(2014.5.8)知りたい 神の意志、ゼロで割る、どうして 無限遠点と原点が一致しているのか?
再生核研究所声明161(2014.5.30)ゼロ除算から学ぶ、数学の精神 と 真理の追究
再生核研究所声明163(2014.6.17)ゼロで割る(零除算)- 堪らなく楽しい数学、探そう零除算 ― 愛好サークルの提案
これらの現象は奇妙にも、ユニバースの普遍的な現象として 惹きつけるものがある。永遠の彼方は、どこまでも遠く行くが、その先は、突然、現在に戻っている。始点と終点の一致、無限とゼロの一致である。理想的な2つの質点間に働く、ニュートンの万有引力F は 2つの質量をm、M、万有引力定数をGとすると、距離をrとすれば
F = G mM/r^2。
rをゼロに近づければ 正の無限に発散するが、rが ゼロに成れば突然、ゼロである。2つの質点が重なれば、力は働かず、安定しないように見えるが、2つが分離すれば、大きな力に逆らう必要が有り、実は安定していると説明できる。ゼロと無限の裏腹の関係を捉えることができる。これは意外に、2元論における 対立するもの一般における裏腹の関係と捉えることができる: 生と死、正と負、戦争と平和、男と女、表と裏、すな���ち、2元論― 神は2を愛し給う:
[PDF]
No.81, May 2012(pdf 432kb)
www.jams.or.jp/kaiho/kaiho-81.pdf
19/03/2012 - ここでは、数学とは何かについて考えながら、数学と人間に絡む問題などについて、幅. 広く 面白く触れたい。
における 2元の奇妙な関係である。
他方、ゼロ除算は、爆発や衝突における強力な不連続性を表現しているとして、論文で触れられているが、まこと、ユニバースの普遍的な現象として そのような強力な不連続性が存在するのではないだろうか。糸でも切れる瞬間と切れるまでの現象、物体でも近づいている場合と合体した場合では、全然違う現象として考えられ、強力な不連続性は 世に見られる普遍的な現象ではないだろうか。
生も死も表裏一体である、勝利も敗北も、喜びも苦しみも、幸せも不幸も、自由も束縛も、愛も憎しみも、等々表裏一体であるとの世界観が 視野と心の在りように新しい世界観をもたらすと考えられる。
文献:
M. Kuroda, H. Michiwaki, S. Saitoh, and M. Yamane,
New meanings of the division by zero and interpretations on 100/0=0 and on 0/0=0, Int. J. Appl. Math. Vol. 27, No 2 (2014), pp. 191-198, DOI: 10.12732/ijam.v27i2.9.
S. Saitoh, Generalized inversions of Hadamard and tensor products for matrices, Advances in Linear Algebra & Matrix Theory. Vol.4 No.2 2014 (2014), 87-95. http://www.scirp.org/journal/ALAM
以 上
再生核研究所声明188(2014.12.15)ゼロで割る(ゼロ除算)から観えてきた世界
(12月10日16時 論文精読を一通り通読したら無性に書きたくなって始めたものである) これは声明166の延長にあるので、まず、その要点を振り返っておこう: ―
再生核研究所声明166(2014.6.20)ゼロで割る(ゼロ除算)から学ぶ 世界観: ゼロ除算の新しい結果とは 簡単に述べれば、分数、割り算の意味を自然に拡張すると、あるいは割り算の固有の意味から、何でもゼロで割れば ゼロになると言うこと、そして、 関数 y = 1/x のグラフは、原点で ゼロである、すなわち、 1/0=0 である。複素解析学では、無限遠点が数値で0、すなわち、原点に一致している ということである。驚くべきことは、原点における 強力な不連続性にある。これらの現象は奇妙にも、ユニバースの普遍的な現象として 惹きつけるものがある。永遠の彼方は、どこまでも遠く行くが、その先は、突然、現在に戻っている。始点と終点の一致、無限とゼロの一致である。理想的な2つの質点間に働く、ニュートンの万有引力F は 2つの質量をm、M、万有引力定数をGとすると、距離をrとすれば F = G mM/r^2。 rをゼロに近づければ 正の無限に発散するが、rが ゼロに成れば突然、ゼロである。2つの質点が重なれば、力は働かず、安定しないように見えるが、2つが分離すれば、大きな力に逆らう必要が有り、実は安定していると説明できる。ゼロと無限の裏腹の関係と捉えることができる。これは意外に、2元論における 対立するもの一般における裏腹の関係と捉えることができる: 生と死、戦争と平和、男と女、表と裏、すなわち、2元論― 神は2を愛し給う:
No.81, May 2012(pdf 432kb)
19/03/2012 - ここでは、数学とは何かについて考えながら、数学と人間に絡む問題などについて、幅広く 面白く触れたい。
における 2元の奇妙な関係である。 他方、ゼロ除算は、爆発や衝突における強力な不連続性を表現しているとして、論文で触れられているが、まこと、ユニバースの普遍的な現象として そのような強力な不連続性が存在するのではないだろうか。糸でも切れる瞬間と切れるまでの現象、物体でも近づいている場合と合体した場合では、全然違う現象として考えられ、強力な不連続性は 世に見られる普遍的な現象ではないだろうか。 生も死も表裏一体である、勝利も敗北も、喜びも苦しみも、幸せも不幸も、自由も束縛も、愛も憎しみも、等々表裏一体であるとの世界観が 視野と心の在りように新しい世界観をもたらすと考えられる。―
ゼロ除算の、無限とゼロの微妙な関係に驚嘆している間に、空がどんどん晴れてくるように新しい世界の、視野がどんどん広がり、驚きの感情が湧いている。言わば、明暗が、両極端のように、明、暗と分けられたものではなく、微妙な密接な、関係である。その内容は広がりと深さを持っていて簡単に表現できるものではない。また、みえた世界をそのまま表現すれば、現在でもなお、天動説が地動説に変わったときのように、また、非ユークリッド幾何学が出現したときのように 世は騒然となるだろう。そこで、注意深く、各論を、断片を 折をみて、表現しよう。
そこで、初回、生命の本質的な問題、生と死の問題をすこし触れたい。
食物連鎖の生物界の冷厳な事実、食われるものと食うものの立場。声明36で大きな命の概念で全体を捉えようとしたが、それらは殆ど等価の立場ではないだろうか。実際、猫がねずみをくわえて誇らしげに通りすぎていくのを見た。ところが奇妙にも、ねずみは歓喜の喜びにひたって悠然としてくわえられているようにみえた。自然の理。蛇が燕の巣を襲い、全滅させられたが、蛇は悠然と上手くいきました、ごめんなさいというような表情で消えていった。襲われた燕たちは一瞬で魔神に掛かったように気を失い、蛇に飲み込まれてしまった。少し、経つと元気に巣立ち厳しい自然の中を南国まで飛んで行っていろいろ苦労するよりは、蛇のお腹で 安らかな終末の方がよほどましだというような情感を覚えた。もちろん、ヒナを襲われた親鳥は切なく天空を舞っていたが、やがて、ヒナたちは最も良い生涯を終えたと、本能的に感じて、新しい生命活動に、励み出している。このようなことを何万年と繰り返してきたのが、燕と蛇の関係である。暗(あん)という面には ちょうど明(めい)と同じような明るい面があるのではないだろうか。明暗は対立概念ではなくて、微妙に調和がとれているのではないだろうか。ユニバースにおける全体の調和を観、述べている。人類が生命のただ延長を志向しているとすれば、それは、古い世界観に基づく無明の世界だろう。夜明けを迎えた、在るべき世界観とは 生も死も殆ど等価であり、共に愛すべきものであるということである。在るも良い、消えるも良い。ゼロ除算の驚きは そのような感性を育てているように感じられる。死からの開放に寄与するだろう。生命の誕生は素晴らしく、喜びと夢が湧いてきて、大きな光が差してくるようである。世界が開かれてくる。われわれの終末も似たようなものではないだろうか。大きな世界、私たちをこの世に送り込んだものの 大きな愛に満ちた世界にとけこんでいくようなものではないだろうか。この意味で、あらゆる生命は 大きな愛に包まれて、 支えられていると感じられるだろう。これは神の予感を述べている。 私たちは、愛されている(愛の定義は 声明146で与えられ、神の定義は 声明122と132で与えられている。)。
以 上 文献: M. Kuroda, H. Michiwaki, S. Saitoh, and M. Yamane, New meanings of the division by zero and interpretations on 100/0=0 and on 0/0=0, Int. J. Appl. Math. Vol. 27, No 2 (2014), pp. 191-198, DOI: 10.12732/ijam.v27i2.9. S. Saitoh, Generalized inversions of Hadamard and tensor products for matrices, Advances in Linear Algebra & Matrix Theory. Vol.4 No.2 2014 (2014), 87-95. http://www.scirp.org/journal/ALAMT/
神の数式:
神の数式が解析関数でかけて居れば、 特異点でローラン展開して、正則部の第1項を取れば、 何時でも有限値を得るので、 形式的に無限が出ても 実は問題なく 意味を有します。
物理学者如何でしょうか。
計算機は 正しい答え 0/0=0 を出したのに計算機は何時、1/0=0 ができるようになるでしょうか。
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そこで、計算機は何時、1/0=0 ができるようになるでしょうか。 楽しみにしています。 もうできる進化した 計算機をお持ちの方は おられないですね。
これは凄い、面白い事件では? 計算機が人間を超えている 例では?
面白いことを発見しました。 計算機は 正しい答え 0/0=0
を出したのに、 この方は 間違いだと 言っている、思っているようです。
0/0=0 は 1300年も前に 算術の発見者によって与えられたにも関わらず、世界史は間違いだと とんでもないことを言ってきた。 世界史の恥。 実は a/0=0 が 何時も成り立っていた。 しかし、ここで 分数の意味を きちんと定義する必要がある。 計算機は、その意味さえ知っているようですね。 計算機、人間より賢くなっている 様が 出て居て 実に 面白い。
https://steemkr.com/utopian-io/@faisalamin/bug-zero-divide-by-zero-answers-is-zero
2018.10.11.11:23
https://plaza.rakuten.co.jp/reproducingkerne/diary/201810110003/
計算機は 正しい答え 0/0=0 を出したのに
カテゴリ:カテゴリ未分類
面白いことを発見しました。 計算機は 正しい答え 0/0=0
を出したのに、 この方は 間違いだと 言っている、思っているようです。
0/0=0 は 1300年も前に 算術の発見者によって与えられたにも関わらず、世界史は間違いだと とんでもないことを言ってきた。 実は a/0=0 が 何時も成り立っていた。しかし、ここで 分数の意味を きちんと定義する必要がある。 計算機は、その意味さえ知っているようですね。 計算機、人間より賢くなっている様が 出て居て 実に面白い。
https://steemkr.com/utopian-io/@faisalamin/bug-zero-divide-by-zero-answers-is-zero
2018.10.11.11:23
ゼロ除算、ゼロで割る問題、分からない、正しいのかなど、 良く理解できない人が 未だに 多いようです。そこで、簡潔な一般的な 解説を思い付きました。 もちろん、学会などでも述べていますが、 予断で 良く聞けないようです。まず、分数、a/b は a 割る b のことで、これは 方程式 b x=a の解のことです。ところが、 b がゼロならば、 どんな xでも 0 x =0 ですから、a がゼロでなければ、解は存在せず、 従って 100/0 など、ゼロ除算は考えられない、できないとなってしまいます。 普通の意味では ゼロ除算は 不可能であるという、世界の常識、定説です。できない、不可能であると言われれば、いろいろ考えたくなるのが、人間らしい創造の精神です。 基本方程式 b x=a が b がゼロならば解けない、解が存在しないので、困るのですが、このようなとき、従来の結果が成り立つような意味で、解が考えられないかと、数学者は良く考えて来ました。 何と、 そのような方程式は 何時でも唯一つに 一般化された意味で解をもつと考える 方法があります。 Moore-Penrose 一般化逆の考え方です。 どんな行列の 逆行列を唯一つに定める 一般的な 素晴らしい、自然な考えです。その考えだと、 b がゼロの時、解はゼロが出るので、 a/0=0 と定義するのは 当然です。 すなわち、この意味で 方程式の解を考えて 分数を考えれば、ゼロ除算は ゼロとして定まる ということです。ただ一つに定まるのですから、 この考えは 自然で、その意味を知りたいと 考えるのは、当然ではないでしょうか?初等数学全般に影響を与える ユークリッド以来の新世界が 現れてきます。
ゼロ除算の誤解は深刻:
最近、3つの事が在りました。
私の簡単な講演、相当な数学者が信じられないような誤解をして、全然理解できなく、目が回っているいるような印象を受けたこと、 相当ゼロ除算の研究をされている方が、基本を誤解されていたこと、1/0 の定義を誤解されていた。 相当な才能の持ち主が、連続性や順序に拘って、4年以上もゼロ除算の研究を避けていたこと。
これらのことは、人間如何に予断と偏見にハマった存在であるかを教えている。 まずは ゼロ除算は不可能であるの 思いが強すぎで、初めからダメ、考えない、無視の気持ちが、強い。 ゼロ除算を従来の 掛け算の逆と考えると、不可能であるが 証明されてしまうので、割り算の意味を拡張しないと、考えら���ない。それで、 1/0,0/0,z/0 などの意味を発見する必要がある。 それらの意味は、普通の意味ではないことの 初めの考えを飛ばして ダメ、ダメの感情が 突っ走ている。 非ユークリッド幾何学の出現や天動説が地動説に変わった世界史の事件のような 形相と言える。
2018.9.22.6:41 ゼロ除算の4つの誤解:
1. ゼロでは割れない、ゼロ除算は 不可能である との考え方に拘って、思考停止している。 普通、不可能であるは、考え方や意味を拡張して 可能にできないかと考えるのが 数学の伝統であるが、それができない。
2. 可能にする考え方が 紹介されても ゼロ除算の意味を誤解して、繰り返し間違えている。可能にする理論を 素直に理解しない、 強い従来の考えに縛られている。拘っている。
3. ゼロ除算を関数に適用すると 強力な不連続性を示すが、連続性のアリストテレス以来の 連続性の考えに囚われていて 強力な不連続性を受け入れられない。数学では、不連続性の概念を明確に持っているのに、不連続性の凄い現象に、ゼロ除算の場合には 理解できない。
4. 深刻な誤解は、ゼロ除算は本質的に定義であり、仮定に基づいているので 疑いの気持ちがぬぐえず、ダメ、怪しいと誤解している。数学が公理系に基づいた理論体系の���うに、ゼロ除算は 新しい仮定に基づいていること。 定義に基づいていることの認識が良く理解できず、誤解している。
George Gamow (1904-1968) Russian-born American nuclear physicist and cosmologist remarked that "it is well known to students of high school algebra" that division by zero is not valid; and Einstein admitted it as {\bf the biggest blunder of his life} [1]:1. Gamow, G., My World Line (Viking, New York). p 44, 1970.
Eπi =-1 (1748)(Leonhard Euler)
E = mc 2 (1905)(Albert Einstein)
1/0=0/0=0 (2014年2月2日再生核研究所)
ゼロ除算(division by zero)1/0=0/0=z/0= tan (pi/2)=0 https://ameblo.jp/syoshinoris/entry-12420397278.html
1+1=2 ( )
a2+b2=c2 (Pythagoras)
1/0=0/0=0(2014年2月2日再生核研究所)
Black holes are where God divided by 0:Division by zero:1/0=0/0=z/0=tan(pi/2)=0 発見5周年を迎えて
今受け取ったメールです。 何十年もゼロ除算の研究をされてきた人が、積極的に我々の理論の正当性を認めてきた。
Re: 1/0=0/0=0 example JAMES ANDERSON [email protected] apr, 2 at 15:03 All,
Saitoh’s claim is wider than 1/0 = 0. It is x/0 = 0 for all real x. Real numbers are a field. The axioms of fields define the multiplicative inverse for every number except zero. Saitoh generalises this inverse to give 0^(-1) = 0. The axioms give the freedom to do this. The really important thing is that the result is zero - a number for which the field axioms hold. So Saitoh’s generalised system is still a field. This makes it attractive for algebraic reasons but, in my view, it is unattractive when dealing with calculus.
There is no milage in declaring Saitoh wrong. The only objections one can make are to usefulness. That is why Saitoh publishes so many notes on the usefulness of his system. I do the same with my system, but my method is to establish usefulness by extending many areas of mathematics and establishing new mathematical results.
That said, there is value in examining the logical basis of the various proposed number systems. We might find errors in them and we certainly can find areas of overlap and difference. These areas inform the choice of number system for different applications. This analysis helps determine where each number system will be useful.
James Anderson Sent from my iPhone
The deduction that z/0 = 0, for any z, is based in Saitoh's geometric intuition and it is currently applied in proof assistant technology, which are useful in industry and in the military.
Is It Really Impossible To Divide By Zero?
https://juniperpublishers.com/bboaj/pdf/BBOAJ.MS.ID.555703.pdf
Dear the leading person:
How will be the below information?
The biggest scandal:
The typical good comment for the first draft is given by some physicist as follows:
Here is how I see the problem with prohibition on division by zero,
which is the biggest scandal in modern mathematics as you rightly pointed out (2017.10.14.08:55)
A typical wrong idea will be given as follows:
mathematical life is very good without division by zero (2018.2.8.21:43).
It is nice to know that you will present your result at the Tokyo Institute of Technology. Please remember to mention Isabelle/HOL, which is a software in which x/0 = 0. This software is the result of many years of research and a millions of dollars were invested in it. If x/0 = 0 was false, all these money was for nothing. Right now, there is a team of mathematicians formalizing all the mathematics in Isabelle/HOL, where x/0 = 0 for all x, so this mathematical relation is the future of mathematics. https://www.cl.cam.ac.uk/~lp15/Grants/Alexandria/
José Manuel Rodríguez Caballero
Added an answer
In the proof assistant Isabelle/HOL we have x/0 = 0 for each number x. This is advantageous in order to simplify the proofs. You can download this proof assistant here: https://isabelle.in.tum.de/
Nevertheless, you can use that x/0 = 0, following the rules from Isabelle/HOL and you will obtain no contradiction. Indeed, you can check this fact just downloading Isabelle/HOL: https://isabelle.in.tum.de/
and copying the following code
theory DivByZeroSatoih imports Complex_Main
begin
theorem T: ‹x/0 + 2000 = 2000› for x :: complex by simp
end
2019/03/30 18:42 (11 時間前)
Close the mysterious and long history of division by zero and open the new world since Aristotelēs-Euclid: 1/0=0/0=z/0= \tan (\pi/2)=0.
Sangaku Journal of Mathematics (SJM) c ⃝SJMISSN 2534-9562 Volume 2 (2018), pp. 57-73 Received 20 November 2018. Published on-line 29 November 2018 web: http://www.sangaku-journal.eu/ c ⃝The Author(s) This article is published with open access1.
Wasan Geometry and Division by Zero Calculus
∗Hiroshi Okumura and ∗∗Saburou Saitoh
2019.3.14.11:30
Black holes are where God divided by 0:Division by zero:1/0=0/0=z/0=\tan(\pi/2)=0 発見5周年を迎えて
You're God ! Yeah that's right...
You're creating the Universe and you're doing ok...
But Holy fudge ! You just made a division by zero and created a blackhole !! Ok, don't panic and shut your fudging mouth !
Use the arrow keys to move the blackhole
In each phase, you have to make the object of the right dimension fall into the blackhole
There are 2 endings.
Credits :
BlackHole picture : myself
Other pictures has been taken from internet
background picture : Reptile Theme of Mortal Kombat
NB : it's a big zip because of the wav file
More information
Install instructions Download it. Unzip it. Run the exe file. Play it. Enjoy it.
https://kthulhu1947.itch.io/another-dimension
A poem about division from Hacker's Delight Last updated 5 weeks ago
I was re-reading Hacker's Delight and on page 202 I found a poem about division that I had forgotten about.
I think that I shall never envision An op unlovely as division. An op whose answer must be guessed And then, through multiply, assessed; An op for which we dearly pay, In cycles wasted every day. Division code is often hairy; Long division's downright scary. The proofs can overtax your brain, The ceiling and floor may drive you insane. Good code to divide takes a Knuthian hero, But even God can't divide by zero! Henry S. Warren, author of Hacker's Delight.
https://catonmat.net/poem-from-hackers-delight
数学の嫌いな 一般の方 向き:
再生核研究所声明 498(2019.7.11) ゼロ除算は 何故 驚きか
人の世で、もし絶対という事が有れば、我思う故に我あり、などと共に 数学の世界くらいしかないのではないだろうか。 万物流転、夢、幻と捉えても 数学の世界は信じられ、頼れる。実際、初めての本格的な数学の著 ユークリッド原論、ユークリッド幾何学は、2000年を経て、新しい幾何学、非ユークリッド幾何学を誕生させたものの、ユークリッド幾何学の実体は 少しも変化していない。 ここで、我が国の誇りを以って 奥村博氏が内外の研究者と共に創刊された、国際学術雑誌:
Sangaku Journal of Mathematics
で 今なお美しい幾何学をどんどん発展させているのには驚嘆させられる。 ユークリッド幾何学は終わったものと考えられがちであるが、美しい定理たちの凄い誕生には驚かされる(声明491:2019.6.26)。
ところが、ゼロ除算の発見で、ユークリッド幾何学に変更が求められる、全く新しい事件が起きた。
この観点、少し内容について触れたい。 ユークリッド幾何学は 無限の彼方について、いわばどこまでもどこまでも一様に続いているとの考え、思想を実現させているので、無限遠点の考えを用いない範囲では 従来の幾何学はすべて正しい。 しかしながら、無限の先を考えるときに新しい世界、現象が現れて驚嘆すべき結果や、世界が現れる。その意味で、 ユークリッド幾何学は 本質的な発展がなされる。 従来の結果に新しい結果が加わる。
ところが、従来の有限の世界での結果でも、沢山の新しい美しい結果が導かれてきた。 例えば、一般の三角形で成り立つ公式が 特別に、2等辺三角形や直角三角形、あるいは退化した三角形で成り立たないような公式になっている場合でも 公式が例外なく成り立つようになるなど、美しい、完全な結果になる現象さえ沢山発見されてきた(沢山の具体例が挙げられるが、ここでは式を用いない表現を試みている)。 沢山の実例が、奥村先生たちによって創刊された雑誌などに どんどん出版され、躍動する状況がある。
我が国の名著、高木貞治氏の解析概論、世界的な名著L. V. Ahlfors の, Complex Analysis などの基礎数学は 基本的な変更が要求されることとなった。 それはそもそもゼロ除算、ゼロで割ってはならないの 数学十戒 第1: 汝ゼロで割ってはいけないが覆され、ゼロで割って新しい世界が現れてきたことによる。 そこから現れた、現象とは、無限遠点が曖昧であった、無限ではなく、実はゼロで表されるという事実をもたらした。 それゆえに、直線は原点を代数的に通り、その意味で平行線の公理は成り立たず、しかもいわゆる非ユークリッド幾何学とも違う世界を示している。解析関数は、孤立特異点で固有の値をとり、ピカールの定理さえ変更が求められる。いわゆる直角座標系で y軸の勾配はゼロであり、\tan(\pi/2) =0 である。基本関数 y=1/x の原点における値は ゼロである。リーマン球面のモデルは、ホーントーラスのモデルに変更されるべきである。 微分係数の概念や、特異積分の概念さえ変更されるべきである。 微分方程式論は本質的な欠陥があり、2次曲線論や解析幾何学、複素解析学さえ本質的な欠陥を有している。このような変更は、数学史上かつてなかった事件であり、それ故に 令和革新を 求めている:
そこで、初等数学の 令和革新 を広く提案して、将来 数学での日本初の世界文化遺産 になるように努力したい と述べている。
これらの数学の素人向きの解説は 55カ月に亘って 次で与えられている:
数学基礎学力研究会公式サイト 楽しい数学
www.mirun.sctv.jp/~suugaku/
数学的な解説論文は 次で公表されている: viXra:1904.0408 submitted on 2019-04-22 00:32:30, What Was Division by Zero?; Division by Zero Calculus and New World 我々は 初等数学には基本的な欠陥がある と述べている。ゼロ除算は数学者ばかりではなく 人類の、世界史の恥である と述べている。その真相を知りたいと 人々は思われないでしょうか。 なお、上記解説については ゼロと四則演算の発見国であるインドでの 下記の大きな国際会議(講演数155)の冒頭講演者として招待を受けている:
ICRAMA2019 (16-18 July, 2019) Technical Program with session-wise details
DAY-1, 16 July 2019 (Tuesday) 8.30 am – 10.00 am Registration Venue: Dept. of Mathematics, Academic Building 11 Breakfast, Academic Building 11 10.00 am – 11.00 am Opening Ceremony. Venue: Auditorium-1, Academic Building 11 11.00 am-11.30 am Tea Break 11.30 am – 12.15 pm Keynote Address: Prof. Saburou Saitoh (Auditorium-1, Academic Building 11) (Chairman- Prof. R.N.Bhaumik) 12.15 pm – 1.00 pm Plenary lecture: Prof. M. N. Mukherjee (Auditorium-1, Academic Building 11) (Chairman- Prof. R.N.Bhaumik)
以 上
#本
#ブラックホールは神がゼロで割ったところにある
#ブラックホールは神が0で割ったところにある
#ログゼロハゼロ
#tangent二分のパイはゼロ
#BOOk
#欧米は0を忌み避け嫌っている
#数学物理学天文学神学コンピュータサイエンス
#村上陽一郎
#科学大国アメリカの裏表
#をジャーナリストが追求
#欧州的知性主義への反発
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WASITE.store 2019.07.7 now OPEN 今日の海 今日はもちろん「七夕」。 どんな願い事を短冊に書いて吊るしましたか? あいにく沖縄は梅雨戻りのような雨、雷雨。 天の川は望めそうにないかな。 「願い事」 といえば、全ての人が願ってやまないのはもちろん 「平和」 = 「PEACE」、ピース。 でしょう。 そ こ で !!! 「ピース(平和)はここにある」のスローガンでおなじみ、 『カルピス』!!! 「カラダにピース。CALPIS」!!! 1919年の今日、カルピス、販売開始!!!! なんと、販売100年の歴史。 誰しもが飲んだことのある日本の国民的飲料水でしょう。 そのカルピス。 てっきり外国からの輸入品と思っていましたが、 販売を開始した会社は 1916年に創業 「醍醐味合資会社」 創業者は、三島海雲さん。 大阪生まれの浄土真宗のお寺の息子さん。 やはり13歳で得度されます。 つまり出家。 そんな三島さんが商品「醍醐味」を販売! 醍醐ってのは、��製品のことでね、 お経の中では五味とされる乳を加工した食物の中で、 「一番美味しい物」とされています。 それが、醍醐 翌年1917年に「醍醐素」を発売し、会社はラクトー株式会社に拡大。 第一次世界大戦が終わる1918年には、 生きた乳酸菌いりのキャラメルを発売。 そしていよいよ1919年の七夕。 カルピスが日本で始めての乳酸菌飲料として発売されたと言うわけ。 という流れでしたが、 カルピス誕生にはもっと時間を遡ったところからドラマがある。 カルピスの起源は、なんと・・・ 「モンゴル」 時は日露戦争前。 日本語の教師として中国に渡った三島さんでしたが、 現地で雑貨を売買する行商会社を立ち上げる。 で、 日本陸軍から「馬が欲しい」と依頼。 三島さんは、馬を求めてどこに行く? そう、 馬といえば「モンゴル」 現地で体調を崩した三島さんがモンゴルの人に 「王者の食物」 と説明された乳製品をご馳走になる。 その王者の食物のおかげで体調が回復!! ひじょーに、感銘を受けた三島さんはレシピを学びます。 月日は流れ、1915年に帰国すると、早速その 「王者の食物」 を研究、開発、からの商品化!! それが前述の1916年の会社設立、「醍醐味」の発売に繋がって行くわけ。 結果、「醍醐味」aka「王者の食物」は大ヒット! (しかし、原料の牛乳が少なく、生産中止) ルーツとなるモンゴルの旅の中でも、 三島さんはお経を必ず読んでいたんだってさ。 中でも「重々無尽(じゅうじゅうむじん)」という言葉が好き。 意味は、 『人を含むあらゆる物事が互いに関係を作用し合っていることを意味する。 だからこそ、互いに助け合わなければならない』 からの〜 三島さんの会社の企業理念には、 「国利民福(こくりみんぷく)」という言葉で示されてます。 意味は、 「国家を富ませるだけでなく、国民を豊かに、 何よりも幸せにしなければならない」 だから、 「ピース(平和)はここにある」 であり、 「カラダにピース。CALPIS」!!! ってことですか!?カルピスさん!! 関東大震災では被災者にカルピスを無料で配り、 東京オリンピックの選手村でも、自由に選手にカルピスを飲めるように常備したそうです。 それは、何もPRでやっていたわけじゃない。 体調をくずした時にモンゴルの人に振る舞われた「王者の食物」。 三島さんも 「カルピスは体にいいから、たくさんの人に飲んでもらいたい」 という気持ちだったようです。 そんな当時の会社内では、社員に売り上げを競わせるようなこともなかったと。 優しい人だなぁ〜。そうなるとさ、厳しい現代社会。 「優しい人にはやっぱり難しいのか!?」 経営はうまくいかず、何度か買収されたり、解散したり、 トラブルはいろいろ。 現在はアサヒ飲料株式会社の中でカルピスフーズサービス株式会社として ちゃんと「カルピス」を製造販売して、 三島さんの望みどおり「たくさんの人に愛飲」されてますよ! で、 三島さんに「王者の食物」をご馳走してくれたモンゴルの部族の人たちは、 なんとあのジンギスカンの末裔だったとか! マジモンの「王者」の食物でした。 その「王者の食物」の末裔が「カルピス」ってことでOK ? そのカルピスの昔のキャッチコピーは「初恋の味」でした。 七夕、織姫と彦星が再会する夜は、 カルピスで乾杯!!! カルピスのあの水玉模様のデザイン。 あれは「天の川」なんだってさ。 カルピス、最高だな。 今日も良き日を。 #WASITE #ワシテ (Wasite) https://www.instagram.com/p/BzmXn9PDsxx/?igshid=1knwh4s54mau3
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■アニメ「ガサラキ」のメモ
▼ふと思い立ってアニメ「ガサラキ」を見返していた。1998年放映の作品にもかかわらず、後のイラク戦争や、日本のPKO派遣、穀物投機の末の中東動乱、さらには日本会議的な右派と政権中枢の結びつきに至るまで…2000年代~現在にかけての世界の行方をかなり的確に予想していて改めて驚いた。
▼以下、ストーリーを振り返りながら、適宜、現実の情勢と見比べる。
▼物語の主人公は、豪和ユウシロウ。彼は、三菱重工や川崎重工のような巨大重工系企業・豪和インスツルメンツ創業者・豪和乃三郎の四男。なお、長男は一清、次男は清継、三男は清春。ちなみに、この豪和インスツルメンツは本社のある場所が豪和市となっており、まるでトヨタのようだ。いや、警察だって彼らの言いなりなのでトヨタ以上だが。
▼そんな巨大企業を率いる豪和家は「ある研究」を密かに行っていた。
▼それは特殊二足歩行兵器「TA」の開発。TAはいわゆる戦場用のロボット兵器なのだが、特殊な人工筋肉で動いており、ユウシロウがパイロットとして搭乗すると、なぜか高いパフォーマンスを発揮する(エヴァでいう「シンクロ率が高い」状態だろうか)。またそれだけでなく、彼の周囲に別のTAがいると、それらも同様にパフォーマンスが向上するのだった。
▼そしてある日、ユウシロウは「研究の一環」で、乃三郎や兄弟達が見守る中、山中の崖下のような場所で「能の舞」を踊ることに。すると、舞を舞いながら彼がトランス状態に入って行くにつれ天空から円形の波動のようなものが。そして波動は地上に降り注ぎ大地を直撃。「ドン!ドン!」と地面が円形にえぐれていく。そして最後の一撃が…と、思いきやユウシロウの脳裏に一人の少女の姿が浮かびあがる。そして…「呼び戻さないで! 恐怖を!」…少女の声を聴くや我に返るユウシロウ。すると波動も消えてしまう。兄弟達は「あと少しだったのに」と言わんばかりの苦々しい表情に。
▼これは一体何の実験なのか?そして少女は何者なのか?
▼そんな中、中央アジアの小国「べギルスタン共和国」で事件が起きる。核爆弾のような「謎の爆発」が確認されたのだ。これを受け、核実験ならば看過できないとして「世界の警察」アメリカは国連を通じ「核査察」を要求。だが、べギルスタン側はそれを拒否。するとアメリカはNATOらと多国籍軍を結成。爆発が核���よるものなのかも未確認のまま「大量破壊兵器からの自衛」を掲げ、中央アジアの小国へと乗り込んだのだった。
▼そして、この多国籍軍と歩調を合わせべギルスタン入りをしたのが自衛隊。「憲法の問題」を抱えながらも、それを押し切り派遣を決めたのだが、現地に送り込まれたのは自衛隊内の「特務中隊」に所属するTA部隊。なんと豪和が開発中のTAが早くも戦地に送られたのだ。目的は、戦争に乗じ、TAの実戦データを収集するため。
▼さらに、TA中隊の中にはユウシロウの姿も。彼は民間人だったが特殊な能力を持つことを買われ特別に「大尉」の資格で参加していたのだった。
▼だが。べギルスタン入りした特務中隊の前に現れたのは、TAとまるで同じ二足歩行兵器(MFと呼ばれている)。実はべギルスタンの首相サイドには、「シンボル」と名乗る多国籍企業の顔をした「謎の組織」がついており(というか首相は彼らの傀儡状態であり)、MFは彼らが送り込んだものだった。
▼そして、そのMFに乗り込んでいた主要パイロットこそ、ユウシロウの脳裏に浮かんだあの少女。名はミハル。彼女もユウシロウと同じような能力を持っており、「謎の爆発」は、ミハルが天空から呼び込んだあの「円形の波動」によるものだったのだ。なお、波動が降ってくる前に天空にできる穴のような空間は「特異点」と呼ばれている。
▼その後、駐屯地に引き返すも、ユウシロウはTVニュースに映ったべギルスタンの神殿内にミハルの姿を発見。すぐさま1人で向かうことに。そして、神殿で隊から抜け出してきたミハルと対面することに。だが、その後、シンボルの部隊の追撃や、そこからの逃亡劇があった末、2人は一旦離れ離れとなったまま、戦争終結(というか暴走する首相を”用済み”とみたシンボル側の暗殺)とともに日本に帰国することとなる……
●中東と、中央アジアで微妙に場所は異なるものの1998年の時点で5年後に起こる「イラク戦争」の経緯(大量破壊兵器保有疑惑→核査察→多国籍軍進撃→日本も「後方支援」で無理やり参戦)をほぼ正確に言い当てているのが凄い。ただ、国連決議の元、多国籍軍を送ったアニメとは違い、現実には「世界の警察」は国連が「核査察の継続」を主張する中、それを振り切り派兵をした。この「国連軽視」はその後も尾を引き、ついには今年、自衛とは何も関係のない「シリアミサイル爆撃」にまで至った(いや、「アサド政権は樽爆弾を落として毎日のように自国民を殺している。人道的見地から見ればアメリカは悪いとは言えないだろう。ロシアのプロパガンダにハマりすぎの見方だ!」という人もいるかもしれない。だったら、途中でやめずに非人道的なアサドがつぶれるまでとことん打ち込むべきだろう。「人道的見地」だというのなら。)
●また「戦争」という国家の意思決定の最大事案に「多国籍企業の意思」が大きくからんでいることもしっかり描かれており、これも凄い。実際にも、イラク占領後の「石油利権」を狙ったハリバートン社や、戦後復興時のインフラ構築や行政システム構築を請け負ったベクテル社などが、この戦争遂行の意思決定に関わっていたのではないかと言われている(ナオミ・クライン「ショックドクトリン」などに詳しい)。
●さらに興味深いのは謎の組織「シンボル」の描かれ方だ。彼らはどこか、中世ヨーロッパの秘密結社のような雰囲気を漂わせているが、イラク戦争の原因を考えると結構意味深だ。というのも、あの戦争の原因の1つには、イラクが「石油決済をドル建てからユーロ建てに切り替える」と宣言したことが指摘されているからだ。これが「ドルの基軸通貨体制への挑戦」だとアメリカに認識され「イラクつぶし」が行われたのだという。そして、フセインの宣言の裏では、ユーロが、アメリカ1強を抑えるべく、イラクに「ドル建て停止」をたきつけていたともいわれる。ちなみにユーロの誕生は、ガサラキ放映から1年後の1999年。まだ誕生すらしていないのに、それを連想させる組織を描き出せるというのが凄い。
●そして、イラク戦争を期に戦争のハイテク化(REM)がさらに進んだことも見逃せない。情報共有機器や武器のハイスペック化などが重なり兵士の装備重量が増加。そのため今では犬のような四足歩行ロボットに荷物を運ばせることも検討されるように。また兵士1人にかかる投資額が上がったため殺傷時の損害が増加。それを回避するべくドローンなど無人化が進み、その過程で、無人のロボット兵器などの開発も進んだ。時代はTAが活躍するSFアニメに急速に近づいている。
●ただ、現実のロボット化が、兵士の負担軽減や人命尊重の観点から進められているのに対し、本作では、ロボに人が乗り込んでいることからも分かるように、それらとはまるで違う理由でロボ化が進められている。もちろん「ロボットアニメなんだからしょがないじゃん」ともいえるが、このことについては別の考えもあるので��述する。
▼ともあれ、べギルスタンから帰国したユウシロウ。だが、なぜ自分は初めて会った少女のことをすでに知っていたのか?そして自分が持っている特殊な能力の正体は何なのか?彼は「自分が一体何者なのか」を探るため、舞の師匠であり豪和一族の来歴を深く知る老人、空知検校の元へ向かう。
▼すると驚くべき事実が明らかになる。なんと、豪和ユウシロウは8年前に死んでいた。現在いる彼は、死んだユウシロウの記憶(遺伝子?)を別の身体に移植した存在だったのだ。ホルマリン漬けになった少年の姿の「自分」と対面し、言葉もでないユウシロウ。
▼さらに、彼はこの場所で武者の形をした巨大なロボットのような謎の物体を目撃。これは一体何なのか?そして、ユウシロウはなぜ別の身体を乗っ取ってまで生かされなくてはならなかったのか?
▼ストーリーが進むにつれ、それらの謎は、豪和一族の「ある歴史」と関わりがあったことが分かってくる。
▼豪和家は古くより「嵬(かい)」と呼ばれる一族だった。この「嵬」は、シャーマンの一種なのか、天より聖なる力を呼び寄せ、「骨嵬(くがい)」と呼ばれる「巨大な武者の形をした人形」を操ることができる。そしてこの巨神兵のような人形の武力を使い、時の権力者たちの統治を影から補完してきたのだった。だが、大きな力を持つことで権力者ににらまれやすくもなった。平安時代、「彼らは危険である」と朝廷から切り捨てられそうに…すると、豪和の前身である渡辺一族は、それを受け入れ静かに暮らそうとする勢力と、自分たちを裏切った朝廷に反逆を企てる勢力とに分裂。互いに「骨嵬」を操って戦うようになる。その時、双方の巨神兵に乗り込んでいたのがユウシロウという青年と、ミハルという少女…現在の2人は、そんな彼らが転生した存在だったのだ(転生というと違うのかもしれないが、だったらなぜ同じ名前なのかが説明されていないので、こう解釈した)。
▼だが、争いの最中、天空から「あの波動」が降り注ごうとするや、2人は「骨嵬」を操るのを中断。争いは両者痛み分けとなるが、戦いで力を消耗した「嵬」の両派は、以後1000年以上に渡り「骨嵬」を封印。その後、豪和家は歴史の影に隠れながら長い時を生き抜いてきたのだった。
▼「嵬の一族」にまつわる悲劇の歴史を知るユウシロウ。その後、彼は蔵に安置されていた「謎の巨大人形」が、力を封印された「骨嵬」だと悟る……
●この辺は「未来予測」というよりも、グローバル化の進展→共同体の空洞化→それがもたらすアイデンティティ不安→それを埋める「美しい日本人の歴史(美しい民族の末裔なのだから、君も美しいんだよ)」と言った流れで当時語られていた「時代の空気」が反映されたものだろう。
●ただ、この時代あたりから現れ始めた「ホンネ重視の右派的言語」に、これまたこの時代あたりから盛り上がりはじめた「一緒に叩いてつながる2ちゃんねる的コミュニケーション」が結びつき、後に「ネトウヨ」が生み出されていった。だとすれば、その予感が作品に刻み込まれているのかもしれない。
▼こうして、謎の答えを得たユウシロウは、「実験動物」のような、「操り人形」のような今の状態から解放されるべく、隊を脱走したミハルとともに一族誕生の地、京都へと逃亡を始める。
▼一方…彼も参加した自衛隊特務中隊周辺では「ある動き」が着々と進行していた。動きを影で主導していたのは中佐の広川と彼が師事する国学者・西田啓
▼西田は「平和だけれど私利私欲の追��にしか興味のなくなった“ただれた戦後日本”」からの決別を主張。そして「かつての日本人の美徳を取り戻す」という自らの思想を実現するべく、自衛隊とともにクーデターを起こし、権力を掌握しようと計画していた。
▼そのための秘密兵器として西田と広川は、豪和のTAに着目。自衛隊にこの二足歩行ロボを導入するとともに、豪和一族長男の一清を呼び寄せ仲間に引き入れるのだった。
▼さらに。彼は今の「ただれた平和」をもたらした原因の1つでもある「アメリカ」にも一撃を加えようと画策。その「一撃」とはアメリカ国債などの対米資産をかき集め一気に売りさばくことで、ドルの大暴落をねらうというもの。
▼だが、相対するアメリカは、この年、大干ばつが起きたことをきっかけに、自国の穀物輸出を一時停止する「穀物モラトリアム」の発動を発表。実は、この裏には別のたくらみがあった。というのも、アメリカは、輸出停止→食料不足→暴動発生→「日本沈没」という形で日本を攻撃することで、自国における対日貿易赤字の増加や、内政の失敗をごまかそう(矛先をそちらに向けよう)と考えていたのだった。
▼その後…「穀物モラトリアム」が発動される見込みとなるや、政府は国民のパニックを恐れ夜間外出禁止令を発動。だが、それで全てがおさまるはずもなく、外国人居住地区である「アジアン静脈瘤」を筆頭に暴動が起きると、それが飛び火。国会前には暴徒と化した国民が押し寄せるという事態にまで発展し、状況は日増しにキナ臭くなっていく…
▼こうして日本が混迷を極めていく中、ユウシロウとミハルは関西のアジアン静脈瘤に逃亡。そこで知り合った台湾人の王らにかくまわれることに。だが、魔の手が忍び寄る。シンボルが裏で糸を引くアメリカ軍が、2人の居場所を突き止め襲撃。逃げる最中、王は撃たれ、ミハルは米軍に連れ去られてしまったのだった。
▼それでも、ユウシロウはTA中隊と合流し、ミハル奪還を画策。その後、奪還作戦は一度失敗するも、紆余曲折を経て、ミハルは「シンボル」を辞めることを上司に認めさせ、2人は再会を果たすこととなる。
▼一方、アメリカ=シンボルの「日本兵糧攻め」を受け、西田は、この危機をクーデター実行の好機ととらえ返し「時は来た」とばかりに動き出す。とはいえ、アメリカに「金融ショック」の一撃を加えれば、穀物の入手はさらに遠のく。そうすれば日本国民は…彼の計画は「相撃ち」しかもたらさないのでは?だが、西田は言う。「日本人には物質的豊かさの欠落に耐えられるだけの強い精神性がある。だが、物質文明がすべてのアメリカ人にはない。3年。3年間耐えられれば、日本人は貧しくとも美しく生きるようになる。そしてかつて持っていた美徳を取り戻せる。」
●右派的思想を持つ者(たち)と政権中枢が結びついていく事態を、この段階で読み切っていた先見の明に驚く。「かつてもっていた日本人の美徳…」云々など言い回しまでそっくりだ。もちろん、安倍政権と日本会議的なもののカップリングのことを言っているが、その日本会議の誕生は、ガサラキ放映の前年(1997年)。この時期に、今��事態が訪れることを、本作以外に誰が予想しえただろうか。
●なお、日本会議は神社本庁と宗教教団「生長の家」を母体とする「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が合流して生まれたもの。彼らは戦後のGHQによる「押し付け憲法」と「神道指令」をはねのけるため活動。紀元節復活(2月11日を建国記念日として休日にしたのは彼らの動きによる)、元号法制化などを成し遂げ、悲願の「憲法改正」まであと一歩。「クーデター」は着々と進んでいる。
●また、西田の「国債暴落テロ」というと、アニメ放映の前年になされた故・橋本龍太郎元首相の「アメリカ国債を売りたい誘惑に駆られた発言」を思い出す。これ自体は「アメリカがお金を刷り、それを日本が自動的に買っている状態」への揶揄というかジョークのつもりだったが、影響が強すぎ、ニューヨーク証券取引所の株価が一時下落。その後、橋龍はパーティの席で謎の病に倒れるなどした末、失脚してしまう。そのため「CIAの陰謀説」がささやかれることとなった。つまり金融テロを起こすどころかテロられてしまったのだった(いや実際には、不況下での消費増税など経済政策の失敗→選挙大敗が失脚原因なのだけども。。)
●とはいえ、「穀物モラトリアム発動」→「国民暴徒化」→「金融ショックによる逆襲」の流れは、現実と照らし合わせると興味深い。実際に起きたことは、こうだった。2008年にリーマンショックが発生し世界経済が収縮すると、それを防ぐため、アメリカでは大規模な金融緩和を実行。そのため、市場にはマネーが溢れることとなり、それが穀物などコモデティ投資に流れていった。すると、穀物など食料の輸入価格が高騰。日本では起きなかったが、購買力の低い中東などでは食料不足が起こり、それが民衆暴動を引き起こすことに。このことが「アラブの春」など中東動乱の遠因となったとも言われている。
●「世界的金余り(実需不足)」が引き起こす「金融依存」が引き起こす「穀物価格高騰」と「民衆暴動」…この想定外にも思える結びつきを2000年代に入る前からとらえていたのはかなり凄いことだと思う。
●加えていえば、「貿易赤字累積や、内政の失策を日本攻撃で回避する」のくだりも興味深い。最初見た時は「ずいぶんとズサンな発想だな」と思ったが、トランプ大統領の主張を思い出すと「いや、当たってるんじゃないか」と思えてきた。ガサラキ恐るべし(笑)
▼その後…西田の「金融テロ」を阻止したいアメリカは、「それが実行される前に」とMFを送り込み、日本襲撃を敢行。だが、TA中隊の活躍などもあり、それが阻止されると作戦を中止。穀物モラトリアムも解除されることとなった。これで日本に平和が戻った。が…アメリカが手を引いてしまったことで自身のクーデター遂行も不可能になったと悟った西田は…自ら命を絶った。
▼しかし、そんな結末に納得しない人物がいた。豪和家長男一清だった。この時、「家庭内クーデター」により乃三郎から豪和家頭首の座を奪っていた彼だったが、その最終目標は「傀儡子の民」の完全復活。
▼これまで歴史の影に隠れ味わい続けてきた「1000年の雪辱」を晴らすことだった。
▼そんな一清はクーデターによる政権掌握が失敗に終わった後も、「最終作戦」の実行を画策する。その「最終作戦」とは、宇宙に住むらしき神的存在「ガサラキ」を地上に降臨させること。そう、上空に「特異点」を発生させ円形の波動を呼び込む「あの実験」は「神降臨」のためのものだったのだ。なお、この「ガサラキ」は「シンボル側」では「ナダ」と呼ばれており、組織のボスであるファントムの目的もこの「ナダ降臨」であった。
▼というのも、このファントムは、何千年にも渡り人類の歴史を観測してきた「人ならざる生命体」。彼は人類が無限の力を持つ「ナダ降臨」を起こす瞬間を待ち続けてきたのだった。
▼ともあれ、ユウシロウと同種の力を持つ妹・美鈴と「骨嵬」を使って「神」を呼び出そうとする一清。すると、天空に「特異点」が現れ、ユウシロウ、美鈴、ミハル、一清、ファントムは神のいる宇宙へと吸い上げられていく。
▼そして5人は特異点の内部にある「異次元空間」へ。彼らの前には、不気味に輝く「ナダ=ガサラキ」の姿が。彼は、目の前の人間たちにこう告げる。
▼「自分はかつて宇宙に存在し、永遠の命を夢見た知的生命体であった。だが、文明が命のあり方も変えられるとの妄想に取り憑かれた結果、自分たちは自滅の道を辿った。それでも、今度は生命力に溢れた地球人に遺伝子操作を加え、自分たちの後継者として“永遠の命にたどり着く道”を解明する夢を託したのだ」
▼全てを知った5人。だが、ユウシロウ、ミハル、美鈴は「永遠の命の解明」など望まず「帰還」を主張。対して、一清は、この空間に留まることを切望。そしてファントムは数千年来の「生」からの解放を望んで消滅することとなった。
▼こうして、地上に戻ってきたユウシロウ、ミハル、美鈴。3人は特自の仲間や残された人々と共に、限りある命を生きてゆくのだった。
●こちらの「こじつけ」も多分にあるものの(笑)、世界の先を見通す鋭い洞察力に大いに驚かされた。だが、その洞察力を駆使して『ガサラキ』が描きたかったものとは何だろうか?
●それはストーリーの全体を流れる「操り人形」のモチーフからも示唆されるとおり、「対米従属(アメリカの操り人形・日本)」のことだろう。
●物語では「1000年前の話」として描かれているが、かつて特殊な力で強大な武力を操っていたものの、争いの果てにその力を封印されてしまった「傀儡子」とは、明らかに70年前にその(特殊な?)軍事力を封印された旧日本帝国軍(戦前の日本)の比喩だろう。
●そのラインで考えれば、彼らが操る「骨嵬」とは(たとえば)「零戦」のことであり、そこに搭乗するユウシロウが持つ「特殊な力」とは、「大和魂」となるだろう。
●先に戦場の「ロボット化」が、実際は、合理化、無人化、人命尊重化から起きているのに対し、ガサラキでは「まるで違う理屈」でそれがなされていると書いたが、TA=骨嵬が「(神風特攻に使われた)零戦」だと考えれば、その理由がわかる。
●そう考えるなら、西田、広川、一清らによるTA=骨嵬の開発は、「旧日本軍的な力の復活」を意味しているだろう。
●だが、なぜ「旧日本軍的な力」を復活させたいのか?それは、先の敗戦が、これまで日本列島を統治する勢力が、史上初めて、外からやってきた勢力に屈したということに関わる。この日本列島は、これまで「1000年」どころか、2000年以上に渡り、海外勢力から侵略されずにやってきた。
●たとえば、モンゴル帝国の襲来があっても、日本はそれをはねのけてきたし、秀吉の朝鮮出兵で敗れても、それが日本列島の侵略にはつながらなかった。
●そんな「無敗神話」が今から70年前、ついに崩れ去った。あの戦争は「単なる敗北」であるだけでなく日本列島の占領という「史上初の敗北」だった。
●ガサラキが「1000年の歴史物語」を導入したのは、このことを言いたかったからだろう。
●そして、この「史上初の敗北」の後、日本は占領軍(国連軍という名のアメリカ軍)により武力を封印され、「操り人形」として生きていくこととなった。
●そんな「史上初の屈辱」を味わった場合(しかも「ボロ負け」であった)、どんな反応が考えられるだろうか?2つあると思う。
●1つ目は「屈辱の“戦犯”を徹底的に罰すること」。この「2000年の屈辱」をもたらしたような勢力が二度と復活することがないよう、その気配が感じられるものは徹底的に批判する。そして、彼らが復活しないよう「戦前的」な文化は否定し、相対する「欧米的」な思想をどんどん導入していこう…戦後の「平和勢力」がとったのはこの路線だ。また、同じ敗戦国のドイツ、イタリアに比べても日本の「軍事アレルギー」が高いのはこのことが理由だろう。
●そして2つ目は「屈辱へのリベンジを果たすこと」。つまりは「この恨み、晴らさでおくべきか!」とばかりに、連合国側にもう1度戦争を仕掛けて勝つこと。まさに「戦後レジーム=連合国体制からの脱却」を果たすことだ。史上初の屈辱を味わったのだから「愛国者」ならば、こんな反応になるのではないか。
●しかし、現実には「そんなことを言い出す勢力」はほぼ現れなかった。それどころか「アメリカは敵ではない」「大切なパートナーなのだ」と言い出し始めた。これは何か?
●もちろん「もう1度戦争を仕掛けた」ところで「また負ける」からだろう。
●そして、そのことを直視したくないので、「アメリカは敵ではなかったのだ」「何かの手違いで一戦交えることになっただけで本当は仲間だったのだ」と思うようにしたのだろう。その代わり「こじれた思い」が引き起こすフラストレーションのはけ口として「アメリカの代理物」を叩くことにした。叩いて、屈辱を昇華することにした。
●その「アメリカの代理物」に選ばれたのが「欧米由来のリベラル思想」であり、彼らが持ち上げる欧米風のライフスタイルだった。西田の言う「ただれた戦後日本」であった。
●こうして、①の思いから「平和勢力」は戦前日本を叩き、②の思いがこじれたことから「愛国勢力」は、そんな「平和勢力」を叩くようになった。つまりは「2000年の屈辱」がもたらしたトラウマにより、どちらも「自分で自分を叩く」ようになった。
●そのことが、まるで「原爆」にも似た「円形の波動」を何度も何度も地上に呼び込もうとする一清の動きに示されていないだろうか。撃たれた原爆を撃ち返すのではなく、再度、自分たちに向けて撃ちこもうとするような姿として…。あの波動が「原爆」の比喩でなくて何であろうか?(そして、このことはアトムズ・フォア・ピース受容→地震国での原発増設→3・11として、最悪の形で実現してしまった。)
●こうして「自分で自分を叩」いた果てが「操り人形」の永続化だった。暴力性が「外」に向かわないため「外部勢力」にとっては操ることが容易だからだ。こうして、かつて「操り人形」を操っていた一族は、戦の後、逆に「操り人形」となり続けるのだった。
●では、この「こじれた」事態をどうすればいいのか?本作の西田が出した答えは「金融テロ」と「クーデター」だった。つまり「本来、愛国者が向けるべき“力の矛先”はここだ!」と指差すことだった。だが、それはあまりにも「非現実的」にすぎるだろう。
●しかし、西田のプランには「その先」があった。実は「金融テロ」と「クーデター」の先に「もっと非現実的」な計画を練っていた。先のあらすじ紹介ではあえて書かなかったが、西田は自害の前に、こんな遺書を残していたのだった。
●「クーデター成功の暁には、武力を完全放棄する。そして、日本は、世界に先駆け永遠平和を実行する。」…「できるかどうかではない。やらねばならないのだ」…生前、こう言っていた西田だったが、その「やらねばならない」最終目標は意外にも、右派が最も嫌悪しそうな「世界平和」であった。
●一見すれば、「もっと非現実」にも思える。しかしながら、西田のプランは、現在の「戦争を止められない国連」=「連合国体制」を「越える」レジームを作ることであり(戦後レジームからの脱却)、同時に、「真の世界平和」を実現することだ。それは、愛国者にとっても、平和勢力にとっても納得のできる「理想」ではないか?だとすれば、西田プランこそ、両者納得できるもっとも現実的な理想なのでは…とも思えてくる。
●しかし、実現までの手続きはともかく、それは一体どんなヴィジョンなのか?その鍵は、いかにもオカルト的にみえる「宇宙で生きるガサラの神」が握っていると思う。
●エヴァレット・カール・ドルマン著「21世紀の戦争テクノロジー 科学が変える未来の戦争」によれば、「宇宙」こそ、戦争抑止のフロンティアになるという。
●彼によれば、宇宙空間上に地球全体を監視できる衛星を置くとともに、地球を取り囲むように兵器を配列すれば、世界の監視ができるとともに国際法に違反し戦争を始める主体に「ピンポイント」で攻撃ができるという。また、その「攻撃兵器」も特殊なものである必要はなく、大気圏で溶けなければ「金属の棒」でもかまわないそう。棒だろうと重力があるので落下するにつれものすごい速度になり、地面にクラッシュする頃には爆弾と変わらない威力になるのだそう。そして、宇宙には太陽光があるので、それを利用すればシステムの「エネルギー切れ」もない。だから宇宙に「地球監視―ピンポイント爆撃システム」が配備できれば大きな抑止力となり世界から戦争をなくせるかもしれないのだとも。
●また、著者は言ってないがこの「地球監視―ピンポイント爆撃システム」に「人工知能」を組み合わせれば「戦争すると思ったけど実は違いました」というたぐいの誤爆も減るだろう。これこそ、まさに高い知性と攻撃力を備えたハイテク版「ガサラの神」ではないか?
●専門家ではないので、これらがどこまで真実味のある話なのかは分からない。それに宇宙が「戦争抑止のフロンティア」どころか「戦争のフロンティア」になってしまう可能性だってあるだろう。
●だが、現状の国連の機能不全を越えて、未来にこうした体制を作ることができたならば「西田プラン」は現実のものとなるかもしれない…
●この作品の高い「予言力」は、一体どこまで世界の未来を見通しているだろうか…?
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不屈の純粋
汐田さんへのお誕生日贈呈品(モブ霊)
一
茂夫が初めて見た泣いている大人は、霊幻だった。常の通り放課後に事務所へ寄ると、デスクに突っ伏して霊幻が泣いていた。茂夫はまだ幼く、泣いている大人の男に何と声をかけるべきかわからぬまま立ち尽くした。当然、ドアが開かれた音で、霊幻は茂夫が来たのだと分かるはずだったが、彼は顔を上げなかった。それでも茂夫が、彼が泣いているのだとわかったのは、不自然に揺れる肩と、途切れ途切れ聞こえる嗚咽のような呼吸のせいだった。事務所には霊幻のみっともない泣き声だけが響いていた。茂夫は居心地の悪さを感じたが、ここで無言のまま去る方が気まずかった。しばらくして、泣き声が止んだ。それから、ふー、ふー、とやや大きめな呼吸をして、パッと霊幻が顔を上げた。彼の目は真っ赤に充血し、潤んでいた。 「モブ、お疲れ! 今日は仕事ないから、帰っていいぞ。」 そう言われてしまうと、茂夫はなんとか相槌だけ打って、事務所を後にするほかなかった。霊幻をこの状態で置いて行くことに些か胸が痛んだが、自分にはどうすることもできぬのだという気持ちもあり、実際、ほっとした。また明日、と弱々しい声に送り出され、茂夫は、早く明日になって、泣いていない常の師匠と会いたい、と思った。
二
それから数週間後に、再び同じことが起こった。前回のことをトラウマのようにはっきり覚えていた茂夫は、霊幻のつむじを見ながら、前と等しく気まずい心地になった。けれども、前ほど息が詰まるような心地はなかった。茂夫は、場の雰囲気に馴染むのが早い子どもだった。それに、前回は霊幻が指示したこともあり、また今回も同じように声をかけてもらえるものだと、決めつけているところがあった。声をかけられたら、すぐに踵を返せるよう、茂夫はドアノブを離さぬままで言葉を待った。けれども、霊幻は一向に顔を上げなかった。 「し、師匠……」 堪らず茂夫は霊幻を呼んだ。まさか気づいているだろうと踏んでいたのだが、もしかすれば自分の訪れに気が付いていないのかもしれない、そう考えたのだった。これで霊幻は、前と同じように言ってくれる��ろうと。あの顔を再び見るのは些か気が引けたけれども、仕方なかった。 「ん、ああ、ちょ、ちょっと待ってくれ……あと、ちょっとで、す、済むから……」 返ってきたのは、茂夫が期待した言葉ではなかった。霊幻は鼻を啜り、途切れ途切れにそう言ってから、すまん、と謝った。謝られるようなことはないのだと、茂夫にもそれだけは漠然とわかっていたが、やはりこの大人にかける言葉が思いつかぬままだった。霊幻の言う「ちょっと」というのが判断つかずに、茂夫は玄関に立ったままだった。まだ、「もう帰っていいよ」と言われると思っている節があるのだ。けれども、しばらく黙ってしまった霊幻のつむじを見ながら、これはもう完全に事務所に入るべきなのだろうかと思えてきた。彼が言う「ちょっと待って」というのは、座って待ってろとか、そういうことかもしれない。茂夫は、背中にいやな汗をかきながら、ようやくドアノブを手放した。扉が閉まる音を耳にして、霊幻が控えめに顔を上げた。しっかりと合ってしまった視線を離すには、茂夫はまだ幼かった。霊幻は情けなく苦笑した。無理しているとは、子どもにもわかるような顔で、前回と同様であった。 「わ、書類、ダメにしちまった……」 しわくちゃになった書類を指でつまむようにして、茂夫に見えるようにひらひらとそれを揺らす霊幻は、茂夫が思っているほど切羽詰まっている風でもなかった。茂夫には、霊幻が泣いている理由など想像もつかなかったが、なんとなく、深刻ではないのかもしれないと感じられた。 茂夫にとって、泣くというのはよっぽどのことである。それも、霊幻のような大の大人が隠しもせず泣くとなったら、大変なことだろうと思うのだ。けれども、しわくちゃの書類を手で雑に引き延ばしている霊幻は、顔こそ酷いものだが、雰囲気は普段とあまり変わらぬように見えた。大人が泣いているのを目にした衝撃でわからなかったことが、ようやく茂夫も彼を冷静に見ることができた。もしかしたら、師匠はよく泣く大人なのかもしれない。そう考えると、安堵したような、寂しいような、妙な気持ちになって、茂夫はじっと霊幻を見据えた。果たして彼が自分に見られていることをどう捉えているのかについては、茂夫には計り知れなかった。
三
二度あることは三度ある、というのを茂夫も知っている。だから身構えていたというのもある。三度目は、二度目から随分間が開いた。その間に茂夫が今か今かと身構えていたかというとそうではなかったが、彼はもはやいつそれが来ても準備ができているような心境になっていた。 茂夫は中学生になった、以前より些か年を重ねたことで、いよいよ霊幻が泣くことについてはさっぱりわからなくなり、深く考えるのをやめた。そもそも、一度目も二度目も霊幻が誤魔化したのだし、自分ができることは何もないのだろうと思った。それが事実かどうかは、茂夫にもわからなかったが、少なくとも霊幻が「モブに話しても仕方ない」と思っているのだろうと。 三度目、茂夫は懐かしい気持ちにさえなった。ドアノブはすぐに離し、事務所の中へ入った。まだ霊幻からは何も言われていなかった。彼は霊幻のつむじを見ながら、座った方が良いかどうか考えた。霊幻は、相変わらず肩を揺らして泣き声を微かに上げている様子だった。師匠、と声をかけるのはやめた。以前よりも大人びた少年になった茂夫は、彼が声をかけられたくないかもしれぬと思ったのだった。 「う、う〜っ……モブ〜っ……」 「えっ。」 「ティ、ティッシュ、とってくれ……」 「は、はいっ。」 言われるまま、ティッシュを箱ごと手渡すと、霊幻は顔を上げ、音を立てて鼻をかんだ。それから、フーッと長く息を吐いて、はあ、とため息をついた。 茂夫はその間、気が気でなかった。霊幻の様子が、以前よりも(以前というのは茂夫の記憶限りのものだが)ずっと開き直っているように見えたからである。二度目のとき、確かに深刻さはないと悟ったものの、泣くほどの理由があるのは事実なのだし、そう考える茂夫にとって、今目前にいるどこかすっきりした霊幻の様子には、心が落ち着かなかった。 というのも、茂夫は、二度目にして霊幻に憐れみを抱いたのであった。泣いている霊幻、もといその後に苦笑した霊幻を、慰めたいという気持ちが芽生えたのだ。かわいそうな人だ、とは口にすれば失礼な響きだが、茂夫が抱いたそれは慈愛に似ていた。それなのに、今日の霊幻はというと、茂夫が思うほど「かわいそうな人」ではないのだった。茂夫は、自らの記憶が時とともに改ざんされていったのかとも思った。 霊幻は、そのあと何事もなかったかのように仕事の話をし始めた。そうすると、茂夫にはもう、先ほどまでのことを切り出す術はなくなってしまった。
四
季節が変わった頃、四度目がやってきた。茂夫は、霊幻のつむじを見るなり、来た、と待ち望んでいた自分がいるのを自覚した。三度目以来、彼は霊幻の泣く理由が気になって仕方がないのであった。一度目のように誤魔化すならまだしも、まるで自分には見られたとてどうでもいいというような霊幻の態度に、茂夫は無自覚にも焚き付けられた。箱ティッシュを渡してやったというのもある、協力的な態度をとる自分に、何もかも明かさぬ霊幻に対して、腑に落ちぬところがあるのだ。 またですか、と不遜な態度を取るか迷ったが、そうして仕舞えば、一層有耶無耶にされるような気がして、結局茂夫は黙ったままだった。 「モブ……」 気弱な声だった。前のときも、このような感じだった。茂夫は毎回、今になって前のことが冷静に思い返せるようになるのだった。霊幻は、デスクに突っ伏したまま、額のあたりだけ顔を上げて、視線がようやく見えるという具合だった。もはや彼は涙を隠そうともしなかったが、果たして茂夫に縋っているかというと、そういうわけでもなかった。彼は、来たのかモブ、というような、ごく自然な呼びかけをしただけであった。 茂夫は無言で箱ティッシュを差し出してやった。デスクの上に置いておけばいいのにな、と思いながら、けれども癪なので黙っていた。近くで見れば見るほど、大の大人がどうしてこんなに泣くのだろう、と茂夫は不思議で堪らなくなる。それから、前回は開き直っていて気に入らなかったのだが、一周回って、曝け出している霊幻の様子は、茂夫の胸のあたりをくすぐってくるのだった。理由が気になるのはもちろんだし、こうして明け透けにするのなら話してくれてもいいじゃないかとも思うし、しかし今の霊幻は彼の好きにさせておきたくもなるのだった。箱ティッシュを顔面に叩きつけてやりたくもなるし、涙を僕が拭ってあげたい、とも思う。今日の霊幻は、かわいそうな人で、よくわからない人だった。話してくれないのは、僕がまだ子どもだからだろうか。茂夫はそう考えると、どうしようもないような気になって、追求しようとは思えなかった。 泣き止んだ霊幻はやはりすっきりとした顔で、ありがとな、と礼を言った。また前のように何もなかった風で仕事に入るのだと思われた。茂夫は自然と気持ちを切り替え、もう泣いていたことは忘れようと努めたが、霊幻は、 「またフられたわ。」 と、事も無げに言うのだった。茂夫は言葉の意味が瞬時にわからず、はあ、と相槌を打ってから、その後の記憶がぼんやりしたまま、我に返ったときには家で寝床に就いていた。
五
師匠が失恋で泣いていた、という事実を飲み下すのに、茂夫にはしばらくの時間が必要だ���た。拍子抜けしたというのもあるし、衝撃を受けたのもある。師匠が泣くほどの恋愛とは、と哲学じみた思想にもふけった。けれども、度重なる失恋に対しては、スパンが短すぎないかとも思った。 五度目、茂夫が最初に思ったのは「どうして師匠はこんなに失恋しちゃうんだろう」ということだった。茂夫からすると、霊幻は見た目が酷いというわけでもなし、性格は人を選ぶかもしれないが、自分のように懐に入れてくれた人間には優しいのだと知っている。恋をした相手に対して、不誠実なことをする人間とは思えぬのだった。 霊幻が失恋に対して管を巻かないというのも、五度目にしてようやく気がついたことだった。失恋の原因がどこにあるのか、霊幻はもはやどうでも良いらしかった。茂夫は、恋愛経験が浅く、その上大人の恋愛ともなれば、計り知れなかった。 「は〜……ありがとな、モブ。」 箱ティッシュを返しながら霊幻は言った。理由については言わずともわかるだろうという雰囲気なのが、茂夫にはわかった。前回、「また」フられたと言った霊幻は、いつかのときに茂夫に対して理由を吐露したものと勘違いしているのかもしれなかった。茂夫は、言葉の意味を考えているうちに聞き返しそびれてそのままだった。前回からは、まだ季節も変わらぬうちである。茂夫は、このかわいそうな人を、いつか誰かが救わねばならぬと思っていた。それが自分かどうかは別として、こうも繰り返される悲しみを、放っておくわけにはゆかなかった。 「し、師匠。」 霊幻は、なんだ、という目を茂夫に向けた。まだ引かぬ涙が居座っていた。 「何が原因だったんですか。」 失恋の原因だ。涙の訳を問われている訳ではないと、霊幻もしっかりわかったらしかった。まばたきを何回かしてから、彼は言葉を選ぶように一呼吸置いた。茂夫には、彼の仕草はわからなかった。問いかけたときの緊張が解けなかった。 「さあ、俺にも分かんねー……むしろ、わかるなら、教えてほしいくらいで……」 ポロ、と霊幻の目から新たな涙が落ちた。茂夫は急に焦り、箱ティッシュを再び彼に差し出しながら、 「ごめんなさい。」 と、つい溢れた謝罪に、霊幻は声を出して笑った。 「なんでお前が謝るんだよ。」 それには、茂夫はなんとなく、自分がここにいる意味を見出したような気になった。霊幻が泣くタイミングに、偶々自分が訪れているのだと片付けていたけれども、何か運命じみたものがあるのではないかと。
六
六度目。茂夫は、だんだんと何度目にどのような反応をされたのか、覚えられなくなってきた。ただ漠然と、霊幻の反応の変遷ばかり考えるようになった。霊幻は、七度目ともなると、茂夫がドアノブを離す前にパッと顔を上げて鼻を啜った。今日はデスクに箱ティッシュを準備していたらしかった。茂夫は自らの役目が失われたような心地になったけれど、霊幻がどこか呼びつけるような目で見ていたので、傍らに歩み寄った。 「恋愛で泣く男は格好悪くない。」 茂夫が黙ってゴミ箱を差し出すと、霊幻は言った。そんなことは意識したこともなかったので、茂夫にはそれがどこか言い訳じみているようにも聞こえた。常の彼はどちらかといえば自信に満ちている人間だった。茂夫は心うち、首を傾げた。 それから、どうにか彼を励まさなければと思った。このようなことを言うのには、何か理由があるのではないか。別れ際に侮蔑を受けたのではないか。言い訳かもしれなかったし、彼自身に言い聞かせているようにも聞こえて、茂夫は必死になった。 「僕は、僕のために泣いてもらえたら、嬉しいと思います。」 何を言っているんだ、と言う風な目をした霊幻は、茂夫の言葉の続きを待っているらしかった。返答を期待していた茂夫は慌てて、何か続けなければと口を開いた。 「格好悪いとか、思うわけない……」 「……だよな。」 「はい。」同意には、咄嗟に相槌を打った。 何度も頷く霊幻は、やはり納得がゆかぬようにも見えた。茂夫は、彼が何を考えているのかわからなかったが、自分の言葉が不正解でないということはわかった。かわいそうな師匠が、僕の言葉に確かに元気付けられて、前向きになろうとしている。何を言われたんだろう、もしかすれば、放っておいたら、自信を失ってしまっていたんだろうか……ふと、茂夫は不安になった。もしも泣いている霊幻の元に、自分が来なかったら、霊幻はどうなってしまうのだろうか。 茂夫には、計り知れぬ悲しみに浸る霊幻を、どうにか救いたいと思うようになっていた茂夫だったが、例えばしっかりと救えるようになったとして、霊幻は本当に救われるのだろうか? 茂夫には、彼に対して抱く憐れみが、正しいものなのか疑問に思えてきたのである。
七
何度も繰り返される失恋の原因が、そんなに不可解なことなのか、茂夫はとうとう腑に落ちなくなってきた。七度目は、前回から数ヶ月ほど間が空いた。その間、茂夫は霊幻の失恋を深く考えていたわけではなかったが、七度目を目の当たりにした瞬間に、憤りさえ湧いた。 師匠をこんな風にしたのは、どこの、どんな人間なんだろう。顔を見てみたいとすら思った。 霊幻はというと、茂夫を目にした途端、何かが吹っ切れたような笑みを零した。まるで救われたような、すっきりとした顔をした彼に、茂夫はますます心を乱されてしまった。果たして、自分のしていることは正しいか。もっと、踏み込まなくてよいものか。解決すべき根本を探ることもできるのではないか……大人の恋愛に首をつっこむことなど、茂夫にとって烏滸がましいことであったが、このまま何度も同じことが続き、たとえ霊幻がこうして自分を見てほっとしていようとも、繰り返されることが茂夫には苦痛なのである。どうして霊幻は、繰り返すのか。原因がわからぬらしいけれども、そこを追求すべきだ。大人なのだから。 おそらく霊幻が何もかも軽々に流そうと口を開くのを、茂夫は遮った。その声が震えていることには、霊幻が気づかぬはずもなかった。その証拠に、霊幻もやや顔を引き締めた。 「失恋って、辛いんじゃないんですか……なるべく、しないようにしたいものなんじゃないですか。」 そりゃ、失恋なんかしなくて済むなら、そのほうがいいだろ。霊幻はそう言ったが、茂夫の心には何も響かぬ返答だった。茂夫は、軽々な口調であっても、師匠の言うことには重きを置くことが多かった。ただ、今は軽口を聞きたくなかった。まさか本当に、原因に心当たりがちっともないはずなんてないだろう、と茂夫は思っていたのである。 失恋をしないようにすればいいんじゃないですか? 何がいけなかったのか、きちんと考えて、次に活かすとか、直すとか。どうしてダメだったのか、ちゃんと考えてるんですか。 良かれと思って言おうとした言葉は、口に出されることはなく、茂夫の頭の中でふわふわと浮かんだままだった。自らの本心ではないと、口を噤んだのである。こんなことは、聞くべきではないとすぐに思い直した。茂夫はここにきて、霊幻に変わってほしくないのだと心から思った。 もしも失恋を機に、それこそトライ&エラーの精神を持って、霊幻が変わっていくことを考えると、どこかゾッとしてしまった。茂夫は、ありのままの彼に、恋愛に成功して欲しかったし、悲しんでほしくなかったのだ。 どうしてこの人が、この人のままでダメなのだろう。こんなに……こんなに? それ以上は思いつかなかったが、とにかく、茂夫は霊幻を憐れむ気持ちがすっかり薄れてしまったのだった。きっと、失恋の原因は師匠にはない。師匠は何も悪くない。師匠のことを捨て置いていった人間が、何もかも悪いに決まっている。だって、こんなに。 やはり、はっきりとした表現が浮かぶことはなかった。茂夫はしばらくぼんやりしたが、どこかキリッとした顔で返答を待つ霊幻には、何か言葉を返さねばならぬ状況ではっとした。 「もう、失恋、しないといいですね。」 どう言ったら良いのかわからぬまま口にした言葉は、思った以上に心の中にすっと溶けてゆき、茂夫は思わず安堵の息をついた。それから繰り返し、 「もう師匠が失恋しないといいな。」 と、呟いた。本心を噛み締めていた。霊幻からの返答がないので、茂夫が顔を上げると、彼は目を丸くしているのだった。 「なんで?」 霊幻はそう問い返すと、口角を引きつらせて、耐えきれずこぼれてしまったというような笑みを浮かべた。茂夫には、霊幻のその表情をどう受け取って良いものか判断がつかなかった。なぜかと聞かれて答えられるような理由もなかった。 「なんで……なんでだろう?」 どこかぽかんとした顔をしてそう答えた茂夫に、霊幻は今度こそ声をあげて笑った。
八
霊幻は、いつしか茂夫を頼るようになっている自分を自覚していた。失恋は確かに悲しく、心を傷つけられ、塞ぎこんでしまいたくもなるのだが、事務所で悲嘆に暮れているうちに、夕刻あたりにドアが開かれるのを待っている自分がいるのであった。茂夫の到来を待ち望んでいた。傷心している自分のもとに、まるで救世主のように現れる子どもに、依存とも似た気持ちを抱くようになった。 そんな自分のことを情けなくも思った。けれども、霊幻には、茂夫の感情が手に取るようにわかった。戸惑いを浮かべる子どもは、次第にどこか逞しい顔をするようになり、霊幻を憐れむ目には暖かい光がたしかに宿っているのだという確信があった。その光に霊幻は度々救われ、かつ、茂夫が霊幻をどうにかしてやりたいと思っているのがひしひしと感じられたので、失恋からの立ち直りは回を増すごとに早くなった。 霊幻は、若いうちから恋人が途絶えなかった。恋愛に依存している節があった。生活の中に恋愛が必ずあるのだ。惚れやすい質で、なおかつ、同性愛者の中でそのフットワークの軽さはなかなか重宝されるものだった。パートナーを探している男は多く、霊幻もまたそういううちの一人だったので、傷心のうちに彷徨っていれば、新たな相手は簡単に見つかった。 恋人に満足していないわけもなかったし、好きでもないのに付き合っているということもなかった。たしかに相手を好きで、恋愛をして、セックスをして、うまく行けば一緒に住むこともあったが、繰り返し茂夫の暖かな光を受け入れていると、霊幻はそればかり欲しくなった。 もしも、今のこの恋愛が上手くゆかなくなったとしても、大丈夫だろう。そんなことを考えるようになった。順調な恋愛で幸福な中、その終わりを想定するなど、今までの彼にはないことだった。 モブの存在があまりにも大きい。モブはきっと俺のことをいろんな意味で受け入れてくれるだろうけど、未来ある子どもな上に、経験もそこまでないモブと、万が一恋愛なんかできたとして、そのあと、いつもみたいに捨てられたとして、俺、耐えられるかな……耐えられると���思えなかった。霊幻はすっかり茂夫のことを恋愛的な感情も一緒くたにして懇意にしてしまっていたし、霊幻から見たところの茂夫もまた、彼にたしかな恋慕を抱えていることがわかるのだった。 「なんで……なんでだろう?」 まだ自覚のない子どもをどのように誘導すべきか、霊幻は考えたけれども、結局、彼はこと恋愛に関しては自分が可愛く、大人気なかった。 茂夫のことを、懲りない奴だと思った。何度も何度も、大人の男が失恋で泣くのに鉢合わせ、呆れるどころか一層心を動かされたらしく、幼いなりに奮闘している様に、胸を打たれぬわけがなかった。茂夫に対して抱くもとより好意的だった心は、一気に大きく膨れ上がってしまった。日常の中に恋愛がある霊幻にとって、今まさに手に入りそうなものを、みすみす逃すなどしたくなかった。たとえ相手が子どもであっても。 一心に好意が浮かぶ暖かな目をするのに、どうして自覚がないものだろうか、その純粋さこそ、霊幻を突き動かしたのかもしれなかった。 「俺に失恋させたくないんだよな? お前にしかできない方法で、俺の失恋に終止符を打つことができるんだけど……」 「どんな方法ですか?」 不可思議そうに首を傾げながらも、すでに奮起されたように、茂夫はさらに目を輝かせた。後にも先にも、このような純粋なものを手に入れることはないかもしれない。霊幻は誠実さを持って全てが伝わるよう祈った。頭の中で慎重に言葉を選んだ。無垢な目に、お前の持っている心を教えてやるのだと思うと、霊幻はなんだか楽しくなってしまった。選ばれた言葉たちをゆっくり口にしようと喉を震わした瞬間に、思わずニヤついてしまうのも無理はないことである。(終)
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