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2020東京オリパラ大会の野宿者排除概要
私たちの知り得た範囲において、2020東京オリパラで排除された野宿者は145名、間接的な影響で排除された野宿者は41名、計186名になる。
交渉によって撤回させたりイベントが中止になったりして、排除が未遂に終わり、数字に含めていないケースも含めて概要を記す。
1、招致期間
2013年3月4日~7日、IOC評価委員会の東京視察が行われた。その際、国立競技場周辺の都道に置かれていた約10人分の荷物、代々木競技場周辺のテント10張と約20人分の荷物に、以下の警告書が貼られた。
「2月27日までに撤去しない場合は不要な物として処分する。その後、3月8日までの間、この付近に放置された荷物・テントはすべて即刻撤去する。 東京都建設局第二建設事務所 代々木警察」
警告に従い、代々木公園内に移動させた荷物に対しては、公園のサービスセンターが追い出しをかけた。また、移動した路上で荷物に放火され、焼失された方もいた(この時期、渋谷近辺では野宿者の荷物への放火が頻発していた)。これらの人たちは、10日近く、寝場所や荷物の置き場所に困ることとなった。
また、同様の期間、国立競技場に隣接する、明治公園「四季の庭」で、テント・小屋に暮らしていた約10名の野宿者は、園内の一隅に集められ、周囲から見えないように白いシートで囲われた。
2、開催決定後
①明治公園
2013年10月下旬、東京都東部公園緑地事務所が明治公園の小屋に暮らす野宿者に「11月か12月に工事に入るので立ち退いてください」と勧告した。国立競技場建て替えのための関連工事ということだった。
以後、野宿者と支援者(応援する有志)は、国立競技場を管轄運営するJSC(日本スポーツ振興センター)と7回の団体交渉を行った。また、野宿者は、都の要請により2度の園内移転を行った。しかし、2年半の間には、絶え間ない圧力により、半数以上の方が公園から出て行かざるをえなかった。
また、明治公園霞岳広場・国立競技場の軒下・近場のトンネルなどで、夜だけ就寝する人も追い出された。
2016年1月27日、四季の庭を含む明治公園の大部分は東京都からJSCへ無償で貸与された。同日、JSCは、職員・警備員・警官、併せて約200名を動員して、強引に、テントのフェンス封鎖、水道やトイレなどのライフラインの停止を行おうとした。
2016年3月18日、JSCは、野宿者3名に対し、土地明け渡しの仮処分命令を東京地裁に申し立てた。申立書には、仮処分の必要性として「平成28年3月下旬までに本件土地を工事可能な状態にして施工業者に引き渡さなければ2020年東京オリ・パラ大会の開催自体が危ぶまれる状況にあること」と書かれてあった。
4月16日早朝に強制執行が着手され、明治公園の野宿者4名と支援者数名が排除された。野宿者の生活用品などの荷物は東京湾岸部にある倉庫までトラックで持ち去られた。
身一つで追い出されることとなった野宿者たちは、明治公園として唯一開園していた、飛び地に移動した。しかし、その場所も、日本体育協会とJOCの新ビル(ジャパンスポーツオリンピックスクエア)をつくるために、2016年10月に廃園になり、東京都が追い出しをかけてきた。
工事資材の搬入が始まる中での抗議・抵抗、議員による五輪相への追及などにより、土壇場で東京都は方針を覆した。都の提案と斡旋のもとに、野宿者たちは他の公園へ移転することになった。
明治公園内にある東京体育館において、2018年7月からオリパラ(卓球会場)のための改修工事がはじまり、同年10月、建物周囲のひさしで就寝していた約12名が締め出された。
工事自体は2020年1月末に終わったはずだったが鋼板で囲ったままで五輪会場として使用した。
現在、就寝していた所にはロープが張られている。
②有明
東京湾岸の有明で、オリパラのシンボル的施設の工事によって、2名の野宿者が生活拠点へ通行できなりそうだった。2019年11月、組織委員会が通行止めを記した工事看板を説明もなく設置した。
野宿者と支援者は交渉を重ねたが、「港湾局から完全閉鎖するように言われている」(組織委)、「閉鎖とは言っていない」(港湾局)と見解が食い違った。組織委は交渉の人数を制限し、ついには逃げ回る状態になった。
2020年3月、生活場所へ通行できるように変更した工事看板が設置された。その後、五輪延期��伴って、その看板も撤去された。2021年5月、工事が開始されたが大きな影響はなく、オリパラ期間中も同じ場所で生活をつづけた。
③潮風公園
2019年12月、私たちが潮風公園に行ったのは、ビーチバレー場の工事開始後で、すでにフェンスなどで囲われ、公園の大部分には入ることができなかった。
潮風公園には、荷物を常在させ就寝している方が5、6名いたということだった。施工業者によると、12月1日(着工日)早朝に、園内にいた2名ほどの野宿者が出て行ったという。
組織委に対して話し合いを持ったが、組織委は、野宿者が寝泊まりをしていることは認識していなかった、着工以前については関知しない、行政上必要な手続きは行った、と責任逃れを繰り返した。
品川区生活福祉課は、12月の定期巡回時に公園閉鎖に気づき、野宿者に会う術もなかったという。ホームレス自立支援法11条「適正な利用の確保」における「支援等に関する施策との連携」すらなされないままに野宿者排除が起きていた。
炊き出しも含め支援活動や野宿者の強いネットワークは、東京においては新��・渋谷・池袋・上野・山谷など野宿者の集住地域に限られている。東京五輪の競技場がたくさん作られた湾岸エリアは、そのような網の目から漏れており、他にも排除された可能性がある。
3、開催直前
ライブサイト・聖火リレーの中止・無観客試合というオリパラの縮小に連動して、野宿者に対しての排除も抑制されたのは不幸中の幸いだった。
一方で、聖火セレモニー、そして競技会場近辺の交通規制・立入禁止による排除は行われた。
①代々木公園
代々木競技場に隣接する、公園内の広大な敷地が、���会駐車場にするために、7月16日から9月5日まで立入禁止となった。それに伴い、少なくても4名の野宿者が追い出された。
立入禁止の一部は、雨を避けられ常住できる場所だった。また、ベンチでは不特定の野宿者が就寝していた(なお、公園内のベンチは、2018年及び2021年2月、手すりで中央を仕切られた、横になりにくいものになった)。東京都は常住している方に対して「公園のほかの場所に移動してください」と言っていたが、公園内で、屋根がある場所は限られており、新たにテントを張ることも認めていない。移転した場所でも、会場周辺警備の警察官によって、テロ対策を名目に執拗に声をかけられ追い出された人もいた。ちなみに、駐車場は10台以下の利用しか見たことがなくガラガラだった。代々木競技場には自前の駐車場があり、隣接する旧・岸記念体育会館(JOC・日体協ビル)跡地もオリパラ用の臨時駐車場だったのだから必要性が乏しいものだった。
②国立競技場周辺
オリパラ期間中、国立競技場周辺は戒厳令下のようだった。6月8日から順次、立入禁止と交通規制を拡がり、7月3日から9月16日までは幹線道路(外苑西通り)を封鎖し、地域住民を度外視してオリパラを優先する区域になった。
競技場の近くの緑地帯に住む野宿者に対しては、4月末に、5月6月には出て行くように、都の第二建設事務所が通告。5月末、生活拠点を鋼板で完全に囲うことになると組織委が明言した。
6月18日、組織委(大会運営、警備)と都の建設局道路課、第二建設事務所と現地で話し合った。野宿者のことで組織委が現地に来たのは、はじめてだった。
組織委は、関係車両の円滑な走行とセキュリティのために7月5日には立入禁止にする必要があると言うばかりで、野宿者の人権や生活については何も答えなかった。また、代替の寝場所も提示しなかった。
7月3日の深夜、一帯は封鎖され、雨天時に野宿者が利用していた橋の下も閉鎖された(次の日まで当事者のみ出入りはできた)。主な生活拠点であった緑地帯も、組織委の説明より前倒しで封鎖された。
そのため、野宿者2名が長期にわたり追い出されることになった。
③渋谷地区
6月16日、聖火リレーコースの都道に置かれている、テント小屋や荷物に、東京都第二建設事務所が警告文を貼付した。
「この物件は、東京オリンピック聖火リレー(7月22日)、パラリンピック聖火リレー(8月24日)の支障となるため、至急撤去してください。撤去されない物は、支障物として移動・撤去します。」(一部区域は東京オリンピック聖火リレーのみ記載)
情報公開で得た資料によると、渋谷地区で49カ所、東京都は警告文を貼付している。自転車1台をのぞけば野宿者の物資であり、少なくても40人くらいは影響をうけるものだった。
現地の野宿者の交渉時、建��事務所は、警備上の支障になるから遠くに移動してくれ、テロリストに物を置かれてはこまる、と発言。
その後、建設事務所は、荷物置き場を渋谷区内につくるのでリレーの2、3日前までに移動してくれ(寝場所については示さなかった)と言っていたが、都内での聖火リレー中止によって、移動・撤去の話は立ち消えた。
④東京都庁舎周辺
7月23日、新宿西口にある都庁都民広場で聖火セレモニーが行われた。周辺に暮らす野宿者のうち15名ほどが、東京都第三建設事務所と警察によって、寝場所と荷物に警告文を貼付され、7月22日朝から23日夕方まで移動しなければならなかった。
また、8月20日、パラリンピックでも聖火セレモニー(集火式)が都民広場で行われた。5名ほどの野宿者のテント・荷物に対して、警告が貼付され前日から撤去を余儀なくされた。
なお、第三建設事務所は、東京マラソンで野宿者の荷物を移動させた時に、路上に残された必要とする荷物を即時廃棄して問題になったことがある。
⑤横浜スタジアム
横浜スタジアム周辺(横浜公園を含む)では約40名が夜間に就寝していた。7月24日から開始されるソフトボールや野球競技の会場準備によって、6月8日に一部が立入禁止になり、7月23日昼からは全面的に入れなくなった。
支援団体の交渉によって、横浜市が借り上��た簡易宿泊所(ドヤ)40床が、8月23日まで食事を含め無料になり36名が利用した。しかし、10名弱は利用せずに寝場所から出て行った。
4、間接的な影響
渋谷区立宮下公園は、「2020年東京オリンピック・パラリンピックを迎えるにふさわしい公園」を改修整備の目的の1つとして2014年7月、公募を開始した。オリンピック観客の宿泊場所が不足していることを理由として、ホテルをつくる三井不動産の案が採択された。2017年3月27日、渋谷区と三井不動産は抜き打ちで公園を封鎖し、夜間就寝していた野宿者約10名を追い出した。公園を屋上につくった商業施設、ミヤシタパークは2020年7月末に開業した。宮下公園は夜間施錠し、野宿者が泊まることは出来なくなった。
都庁の膝元にある新宿区立中央公園では、2013年から2年間で、テントなどの野宿者67人が追い出された。その後、オリパラを視野に入れた公園整備が進められ、2020年7月16日、公園内にスターバックスやレストランなどが開業した。野宿者の追い出しは、オリンピックと一体となった公園の商業化への露払いであっただろう。しかし、詳しい事情が分からないため、今回はカウントしなかった。
5、総計
①直接的影響による排除
・国立競技場 4名
・東京体育館 12名
・IOC評価委員視察 テント20名 荷物30名
・潮風公園 6名
・聖火セレモニー 新宿 20名
・交通規制、立ち入り禁止
国立競技場周辺 3名 荷物1名
代々木公園 4名
横浜スタジアム周辺 45名
計145名
②間接的影響による排除
・国立競技場
明治公園 6名(強制排除をのぞき)
競技場周辺 10名
道路などの荷物 10名
・宮下公園 10名
・ジャパンスポーツオリンピックスクエア 5名
計41名
③総計
延べ186名
※同一の人が異なる時期や場所で受けた排除もカウントしている。また、追い出しへの強い圧力があったケースでも未遂の場合は含んでいない。
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明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟 執行官の尋問決定! 7/22 東京地裁に大結集を!
明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟 執行官の尋問決定! 7/22 東京地裁に大結集を!
第15回期日 2022年7月22日(金)東京地裁 13:00 東京地裁前 集合 メシ・街頭情宣 (13:30 傍聴券抽選 ) 14:00 開 廷 東京地裁 706号法廷 ※約50席 証人尋問 元東京地裁執行官 (2016.4.16明治公園強制執行の責任者) ※ 終了後、弁護士会館にて報告集会
明治公園コクバイ、5月から延期となっていた第15回期日が、7月22日(金)14:00〜 に決定しました。 そして、強制執行を指揮した現場責任者、元東京地裁執行官の証人尋問が決定! 執行官は東京地裁からすればいわば「身内」。原告側からの求めに応じ、執行官本人が出廷するのは異例中の異例です。 オリンピック・パラリンピックを盾に、野宿の仲間に対し「断行の仮処分」という取り返しのつかない過酷執行に及んだ 日本スポーツ振興センター(JSC)・国・東京都の暴挙を明らかにする重要な法廷です。 コロナ禍での傍聴者数制限が解除となり、約50名の傍聴が可能です。法廷を埋め尽くしましょう。 くしくも翌7/23は東京五輪強行から1年、排除の祭典・オリンピックへの抗議も込めて大結集、大注目よろしくお願いします!
(カンパご支援も大歓迎!)
明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟原告団 郵便振替00120‐8‐265747 三井住友銀行町屋支店(普)7122609
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2021.12.14 明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟(明治公園コクバイ)第13回期日
反五輪の会メンバーが証人として法廷に立ちます!ご注目お願いします!
利権まみれのオリンピックは廃止だ!
JSCは追い出した野宿者に謝罪しろ!
野宿生活者に対する強制執行仮処分という史上最悪の暴挙
独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)・国・東京都を相手取りコクバイ提訴
2020東京五輪メイン会場=新国立競技場建設による野宿者への仮処分強制執行の不当性を問う
明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟(明治公園コクバイ)
第13回期日 2021年12月14日(火)東京地裁
13:00 東京地裁前集合 ビラくばり 街頭アピール 昼メシ
13:30 傍聴券抽選
14:00 開廷 東京地裁706号法廷
※証人尋問 内藤光博(憲法学・専修大)、のじれん、反五輪の会
※終了後、弁護士会館にて報告集会
※次回 第14回期日 2022年2月25日(木)「応援する有志」共同代表、明治公園野宿住人 出廷!
明治公園オリンピック追い出しを許さない国家賠償請求訴訟原告団
郵便振替00120‐8‐265747 三井住友銀行町屋支店(普)7122609
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オリンピックは閉幕しましたが、会場周辺での野宿者排除は続いています。ねる会議の仲間が報告してくれています。
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