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apparelweb-collection · 9 years ago

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【2016春夏コレクション＝東京　2日目】東京でのラストショーを行ったファクトタムの他、メンズ有力デザイナーが出揃う

ファクトタム(写真上)

Mercedes-Benz Fashion Week TOKYO 2016 S/S ２日目は、東京メンズを牽引してきたファクトタム（FACTOTUM）やコレクションだけでなくショーの演出にも注目が集まるパッチーケークイータ��（Patchy Cake Eater）、昨シーズン10年ぶりに東京のファッションウィークに帰ってきた5351プール・オム（5351POUR LES HOMMES）、そして今シーズン初めてランウェイを行うプラスチックトーキョー（PLASTICTOKYO）などメンズブランドが目白押しだ。ランウェイ以外でも、素材やディテールにこだわり日本ブランドらしいモノづくりを行うジュンハシモト（jun hashimoto）がインスタレーション形式でコレクションを発表。レディスではケイタマルヤマ（KEITA MARUYAMA）やビューティフルピープル（beautiful people）など常連の実力派が揃った。

◆ファクトタム（FACTOTUM）

詩人・山尾三省の詩集からインスピレーションを受けたという今シーズンのファクトタム（FACTOTUM）は「レイヤード（LAYERED）」をテーマにコレクションを展開。山尾三省が住んでいたという屋久島や奄美大島を、実際にデザイナーの有働氏が旅し、豊かな自然に触れ、実感したアニミズム（自然界の全てのものが魂を持っているという考え方）を様々なレイヤードで表現した。

一つ目のレイヤードはファブリック。コットン・リネン・シルクなどの天然素材をベースにフィルムコーティングなどを重ね、テクノロジーをいかした新しい素材作りを行った。

二つ目はプロダクト。生地を重ねてリバーシブルにしたアウターや、同素材を用いたカットソーやシャツのアンサンブルを展開。

三つ目はスタイリング。重ねた時にきれいなバランスで着られるように計算された袖や裾の長さ。同色、同素材の重ねや異なるアイテムのレイヤードなど表現は様々だが、その見事なバランス感覚はファクトタムらしい上品さを際立たせている。

そして最後のレイヤードはコレクションの演出。いつもはヒカリエで行っていたショーを、今回は新宿の東京モード学園、50階で開催した。そこには高層ビル群が並び、都会的な重なりとなってコレクションのムードを盛り上げていた。モード学園は有働氏の母校であり、学校内で��ョーを行うというのはこれまでの数シーズンを振り返っても珍しくなった試みだ。ヒカリエの広大なホールを観客で埋め尽くすだけの実力があるブランドがあえて違う会場を選んだというのは、それだけ有働氏がこのコレクションに情熱を注いでいた証である

ショー終了後のインタビューで、東京でのランウェイはこれが最後だと明言した有働氏。来シーズンからはパリでのコレクション発表となる。先シーズンから日本にスポットをあててクリエイションを行ってきたファクトタムが、これから世界でどのように輝きを見せるのか、ますます目が離せない。

◆パッチーケークイーター（Patchy Cake Eater）

毎シーズン凝った演出を繰り広げるパッチーケークイーター（Patchy Cake Eater）。今シーズンは会場にビリヤード台を並べ、モデルたちがビリヤードをしながら順番にウォーキングをしていくという演出。ビリヤードをテーマに選んだ理由は、デザイナーが普段自分が仲間たちとしている遊びを取り入れ、「オシャレをして遊びに行く」という日常性を表現したかったからだという。スタイルのベースはパッチーらしいテーラリングだが、いつものタイトなものに比べ、今シーズンは少し丸みをもたせ、ゆったりとしたシルエットをつくりあげた。またハーフパンツやTシャツのカジュアルなスタイリングにベストやハットといったフォーマルな要素を加え、肩の力を抜いた大人の夜遊びをイメージさせるコレクションに仕上がっている。

◆5351プール・オム（5351POUR LES HOMMES）

5351プール・オム（5351POUR LES HOMMES）の2016春夏コレクション、タイトルは「アンソロジー（ANTHOLOGY）」。1970年代のギャングカルチャーをテーマに、デザイナー、スタイリストなどクリエイションメンバーそれぞれの個性を詰め込んだ「作品集」のようなコレクションとなっている。先シーズンはロックのイメージが強かったが、今季はロック・パンク・サファリ・アフリカンなど様々なエッセンスが散りばめられている。アニマルプリントやポンチョのようなアウター、フェザーモチーフのアクセサリーなど、ネイティブな要素も取り入れられている。印象的なのはカラーパレット。前回の白・黒・赤の明確な色表現から変化をつけて、アイボリーやネイビー、カーキなど、自然を想起させるカラーを展開した。先シーズン、10年ぶりに東京コレクションにカムバックを果たした同ブランドだが、10年前では考えられないほど早く、広く情報が拡散し、その後の反響に驚いたという。自分たちのクリエイションが世界へ届いていることを実感し、これからもっと発信力のあるブランドとなっていきたいと、今後も東京でコレクションを発表していく力強い意志をのぞかせた。

◆プラスチックトーキョー（PLASTICTOKYO）

衣服の物質性にフォーカスし、視覚に訴えかける最先端のデザインを世界に発信する東京発のストリートブランド、プラスチックトーキョー（PLASTICTOKYO）。2012年デザイナーの今崎契助がブランドを始動し、今シーズンは初のランウェイでのコレクション発表となった。今シーズンは「フェスのウェアをアップデート」することをテーマにコレクションを展開した。BGMはバンド、Hi-FI CITYの生演奏で会場を盛り上げる。フェスの雰囲気をつくりあげた中繰り出されるのは、プラスチックトーキョーらしい奇抜で複雑なパターンやプリントをのせたスポーティーなスタイル。素材にはコットンライクなポリエステルを使用し、コットンのような肌触りは保ちつつ、速乾性に優れ、しわになりにくいマテリアルを選んだのだという。またフェスで動き回ることを想定し、リュックと服が一体になったアイテムも展開。1969年に開催されたウッドストック・フェスティバルの頃からあまり変わらないフェスのウェアを都会的に再解釈し紡ぎ上げたコレクション。東京ストリートの若い、新たな可能性を見せつけた。

◆ジュンハシモト（jun hashimoto）

ジュンハシモト（jun hashimoto）は映像と音楽をリンクさせたインスタレーション形式でコレクションを発表した。2016年春夏のテーマは「assumption_army」（assumption: 仮説・仮定）。「もし、半世紀前にストレッチ素材があったならば」という仮定の元、「POWERED CLOTH」というストレッチ素材を用いてミリタリーアイテムを紡ぎ上げた。縦横ツーウェイにストレッチがきいており、体にフィットするシルエットで形の美しさは保ちながらも動きやすく、実用性にも優れている。またテーラリングにはナイロン素材を使用。通常のシャカシャカとしたナイロンとは違い、しっとりとした素材で上品さがあり、「見た目はきっちりとしながらも着ていて楽」という「実用的な美意識」を表現した。

◆ビューティフルピープル（beautiful people）

コレクションを重ねるにつれ、��りエレガントな女性らしさを表現していくビューティフルピープル（beautiful people）。今シーズンは「OLD TRICK」をテーマに、クラシックなクチュールの再構築を見せた。その集大成と言えるのがラストルックのブラックドレス。前面はパンツ・後ろはスカートになっており、歩くたびに空気を含んでふわりとゆれる、シックかつエレガントなアイテムで、デザイナーの熊切秀典氏もおもしろいコレクションができたと語っていた。コレクションを始めて10年となるビューティフルピープル。ショー後のインタビューでは「発表の場は東京にこだわらなくてもいいのではないかと思っている」と、海外での発表への可能性にも言及した。

その他、「かろみ」という日本独自の概念を「大人のポップ」という第二のテーマと組み合わせながら表現したマトフ（matohu）、「あさきゆめみし」と題し、日本の技術や伝統に目を向け、敬意を払いながらも独自の世界観を紡ぎ上げたケイタマルヤマ（KEITA MARUYAMA）、サマーツイードやレース、オーガンジーなどでロマンティックな大人の装いを展開したバイユー（byU）など、実力派デザイナーたちもコレクションを発表した。

◆マトフ（matohu）

◆ケイタマルヤマ（KEITA MARUYAMA）

◆バイユー（byU）

Text&Photo(プラスチックトーキョー、ジュンハシモト) by Yumi Yamane

Photo by Ko Tsuchiya(パッチーケークイーター、5351プール・オム、ビューティフルピープル、ケイタマルヤマ)

Photo by Ayako Nakamura(マトフ、ファクトタム、バイユー)

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