#���生日玩具6歳
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dopepenguindonut · 2 months ago
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kobayashimasahide · 8 months ago
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<Hemingway’s Fly Bottle (*1)/Another Heart (*2)> 
7/21/2024 (The 125th Anniversary of Hemingway’s Birth)
by Masahide Kobayashi    6.6 (φ) × 35.5 (H.) cm  364 g      Mixed Media
Slightly Iridescent Clear Bottle with Octagonal Lower Half and Round Upper Half  (Glass)
Folded/Woven-blade Silver-grass-hopper (Plant Fiber)
Pine Stick (Plant Fiber)
Chocolate-colored Thong (Leather)
(*1)  [https://www.mutualart.com/Artwork/Flies-in-a-Bottle/1A3B028FC320BED32F4E681CC2D0615F]
(*2)  [https://reslater.blogspot.com/2011/07/big-two-hearted-river.html]
<ヘミングウェイのフライ・ボトル (*1)/もう一つの心臓 (*2)>
7/21/2024  (ヘミングウェイ生誕125周年記念日)
小林正秀 作      6.6 (φ) × 35.5 (H.) cm   364 g    混合材
下半分が八角面取りされ、上半分が丸い、僅かに銀化した透明瓶 (ガラス)
バッタの形に折った/編んだススキの “折り葉”/草編み玩具 (*3) (植物繊維)
松の木の小枝 (植物繊維)
チョコレート色の紐 (革)
 (*1) この言葉は、デヴィッド・ハモンズの (何本かある “ボトル・アート” の中の) 少なくとも6本は数えられる “フライ・ボトル” の連作の一つ、<ボトルの中のフライ (瓶の中の蝿)>の題名に負っている ([https://www.mutualart.com/Artwork/Flies-in-a-Bottle/1A3B028FC320BED32F4E681CC2D0615F])。
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 この連作では、透明な瓶の内側に接着剤で貼り付けたジッパーの引手を、止まった「蝿=“fly”」に見立てているわけだが、“fly” は「ズボンのボタンやジッパーを隠す覆い布」の意味もあって、恐らくこの縁語から、この見立てが思い付かれたのではないだろうか。
 この作品のボトルは連作中唯一「ペット=“PET”」だが、上述の「6本」の中には拙作同様ガラスのボトルもあり––––
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([https://newyorkarttours.com/blog/art,artist,contemporary,critic,exhibition,gallery,newyork,photography,sculpture,tour,visualart/bottles/]-右から四本目のワインの瓶)––––また、上述「6本」の内の残る4本は、ガラスはガラスだが、「ボトル (細首/細口瓶)」ではなくて「ジャー (“jar”=広口瓶)」である
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([https://www.mutualart.com/Artwork/Fly-Jar/624F86C99BE1B1E9]/
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[https://www.mutualart.com/Artwork/Fly-Jar/01A3D05CA4FFA6D7]/
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[https://lesoeuvres.pinaultcollection.com/en/artwork/one-stone-head]-1994/
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[https://greg.org/archive/2024/03/02/shoo-fly-shoo.html]-1994-蝿が黒人で瓶がニューヨーク市ハーレムの「ゲットー (“ghetto”)」を表しているとのことだが、今は瓶がガザで蝿はパレスチナの子どもたちに見えてならない)。
 拙作の「フライ (“fly”)」 は、蝿ではなくて「釣りの擬似餌=ルアー (“lure”) の一種である毛鉤 (“fly”)」––––飛ぶ (“fly”)  虫であるバッタ (「飛蝗」) の形に折った (折り紙ならぬ) “折り葉”/バッタの形に編んだ「草編み玩具」(*3) ––––である。
 (*2) この言葉は、ヘミングウェイの最初の本格的な短編集である《我らの時代に = In Our Time》(1925 刊) に収められた〈大きな、二つの心臓のある川 = Big Two-Hearted River〉(1924-5 執筆) の題名に負っている。
 この小説の第二部に、革紐で首から下げたバッタを入れたガラス瓶––––拙作の題名で言えば “フライ・ボトル”/原文では “グラスホッパー・ボトル” ––––が胸にぶつかって揺れたとあり、そこから、この瓶を、胸中の心臓の近くで揺れる胸外の “もう一つの/(二つある内の) 二つ目の心臓” に喩えた。
 「かれは空の瓶を手にすると…草地に行った。……餌にするバッタを捕まえたかった。おあつらえむきのバッタが一杯…草の…根もとにいた。……中ぐらいのサイズの茶色いバッタを五〇匹くらい瓶に入れ…/…栓がわりに松の枝を押し込んだ。それで、バッタたちが逃げ出せないくらい瓶の口はふさがったし、通気にも問題なかった。/////// かれは…バッタの入った瓶の口を革紐で片結びにして、首から下げて、流れの方へと降り…た。…/… バッタの入った瓶が胸にぶつかり揺れた」––––アーネスト・ヘミングウェイ著, ニック・ライアンズ編, 倉本護訳『ヘミングウェイ釣り文学傑���集』木本書店, 2003, pp.46-8。
  “he took an empty bottle and went…to the meadow. …Nick wanted to catch grasshoppers for bait…. He found plenty of good grasshoppers…at the base of the grass…. ……Nick put about fifty of the medium browns into the bottle. …/……Nick put in a pine stick as a cork. It plugged the mouth of the bottle…, so the hoppers could not get out and left plenty of air passage. /////// He started down to the stream, …the bottle of grasshoppers hung from his neck by a thong tied in half hitches around the neck of the bottle. …/…The grasshopper bottle swung against his chest.” –––– “Hemingway on Fishing” : Ernest Hemingway; edited by Nick Lyons, Lyons Press, 2000 ([https://www.amazon.com/Hemingway-Fishing-Ernest/dp/1585741442/ref=sr_1_1?crid=3ILB53P3QFMOI&dib=eyJ2IjoiMSJ9.JjbqJHremWZ5h_HnJQ9i8Q.bYOfxz8ItEOecHZymhUdroQz23LL5duJsEuP2ywH-Bw&dib_tag=se&keywords=hemingway+on+fishing%2C+lyons+press&qid=1718868802&s=books&sprefix=hemingway+on+fishing%2C+lyons+press%2Cstripbooks-intl-ship%2C251&sr=1-1]), pp.13~6.
 この本の写真頁 (上掲ハードカヴァー版原書には有るがスクリブナーズ社刊のペーパーバック版には無い) の7枚目に––––「1916年頃、釣行でのE・ヘミングウェイ。『大きな、二つの心臓のある川』で描かれるバッタを詰めた瓶を首にかけている」(“EH on a fishing trip, c. 1916. Note the grasshopper-holding bottle around his neck that would find its way into ‘Big Two-Hearted River.’”) ––––とのキャプションが付された写真が収録されている。
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 つまり彼がまだ高校卒業前の––––(卒業を目前に兵役志願するも左眼弱視で叶わず、代わりに) 1918年の春、赤十字野戦病院輸送車の運転手に志願して北イタリア戦線に配属され、2週間後には19歳の誕生日を迎えるという7月8日の深夜にヴェネツィアの30キロ北東を流れるピアーヴェ川西岸のフォッサルタ・ディ・ピアーヴェで (一説によるとイタリア兵にチョコレートを配っていた時に) オーストリア軍の迫撃砲弾と機銃掃射を浴びて重傷を負う前の––––この写真は、上で引用はしなかった瓶以外の装備……竿や手網や、肩から吊るして膝下まで長く垂らした (釣った魚を水中で生かしておく生簀としての) 布袋や、(これは中が見えないので作中の記述に従っての推測だが)「ランチや毛鉤入れ帳でふくれ上がっ…た」「シャツの胸ポケット」(同上 p.48) 等……も含めて、作中の描写にそっくりである。
 この小説は、(3ヶ月の入院と10数回にわたる237個の砲弾破片・銃弾摘出手術を経て帰国後の) 1919年9月に、昔のように友人らと釣りに出掛けた体験を基に、(しかし作中では彼らを消して主人公のニック唯一人が) 大自然との遣り取りを通して、戦場だった “彼の川” での心身の傷を、平和な “此の川” で癒し回��して行く過程を表した作品だが、このバッタ=“grasshopper” は––––���自身も含めた––––戦火に追われ傷つけられる犠牲の草の根の民=“grassroots” を表しているように思う。
 例えば第三短編集収録の〈人こそ知らね = A Way You’ll Never Be〉(1932執筆, ‘33刊) の中でも––––「この軍服を着た…数万の兵隊が、バッタ (ローカスト) の大群の如くやって來るよ」(谷口陸男訳, 三笠書房版全集1, 1955, p.156, 但し (ローカスト) は元文では行間に振られたルビである:“you will see…millions wearing this uniform swarming like locusts”-[https://gutenberg.ca/ebooks/hemingwaye-winnertakenothing/hemingwaye-winnertakenothing-00-h.html#story06awayyoullneverbe]-par.100)––––という風に、(確かに揃いの軍服を着て揃いの行動をする軍団を、「相変異」を起こし「群生相」となって飛来襲撃するバッタの群団になぞらえるのは極く常識的で常套的な連想とは言え) 徴集された民衆兵がバッタになぞらえられ、また “此の川” の岸で瓶に入れられたバッタも元は「草の…根もとにいた」(“They were at the base of the grass”) のであり、更には、小説の第一部で主人公は (戦火の換言に他ならぬ) 火事で焼き尽くされた町シーニー (Seney) を通り過ぎて行くわけだが、そこで見たバッタは––––「どれも煤けて黒い色をしていた。……焼け野原で暮らしているのでみな黒く変色してしまったのだ…。火災は一年前だった…が、バッタは今もみな黒く変色している…。いつまでこんなふうに変色したままの姿なのだろう、とかれは思った。…/『さあ、行くんだ、…どこかへ飛んでゆけ』/ かれはバッタを空中に投げ上げ、道の向こう…へと飛んでゆくのを眺めた」(同 p.36)––––のである。
 この末尾は犠牲からの治癒と回復への希望・願望だが、バッタの犠牲面に絞ってここで更に付言すると––––これは拙作の瓶の銀化とも結果的に照応してくるのだが––––この黒いバッタの「ほこりをかぶった背中や頭…は虹色だった」(同上, “it was … iridescent where the back and head were dusty”-ibid.)––––という。そしてこの虹色=“iridescence” は、実は、上で触れた第三短編集収録の別の短編〈死体の自然誌 = A natural History of the Dead〉(1929-21執筆, ‘32+’33刊) の中の、兵士の死体を自然誌的に描写した箇所にも出てくるのである。––––「暑いところに…放って置かれると肉はコールタールに似てくる。特に損傷した箇所には、タールの表面に見られるような虹色の光彩が現れる」(“If left long … in the heat the flesh comes to resemble coal-tar, especially where it has been broken or torn, and  it has quite a visible tarlike iridescence”-[https://gutenberg.ca/ebooks/hemingwaye-winnertakenothing/hemingwaye-winnertakenothing-00-h.html#story11anaturalhistoryofthedead]-par.8-l.4)。……つまりこのバッタたちは “生きている死体 (the living dead)” なのである。
 そして終いには、この「道の向こう」の……第二部の瑞々しい緑の渓谷に生きる健康なバッタたちもまた、瓶の中に囚われた後は生きたまま魚の餌として犠牲になる運命にあるわけで、その心臓は––––一寸のバッタにも五分の心臓がある––––主人公の胸の前で同じ鼓動を打つ同じ犠牲の草の根の民であることを証しているのである。……この瓶は、彼のもう一つの––––川ならば湧き/噴き出る水源としての––––心臓に他ならない。
 周知のようにシーニーの町の側を流れる川は、実際はたったの3文字から成る単純な1音節名詞1語のフォックス川=Fox River なのだが、彼はそれを、その遥か北東に在る––––3文字+7文字の2語3音節から成る長く複雑な形容の––––川の名と取り替えている (これに Big も加えた形容全体の構造/型式は……あの倭建命の「{倭は国の眞秀ろば}  畳なづく青垣  山籠れる  倭  {し麗し}」にも似た……第三短編集収録の〈清潔な、明るい光の差し込むところ = Clean, Well-Lighted Place〉という題名と同じである)。
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(via [https://reslater.blogspot.com/2011/07/big-two-hearted-river.html])
 この “grasshopper” への “grassroots” の仮託は、��約の『イザヤ書』(Is. 40–22~24) の昔から––––「主は地球のはるか上に座して、地に住む者をいなごのように見られ……また、…無きものとせられ、…むなしくされる。彼らは…植えられ、…まかれ、…地に根をおろしたとき、神がその上を吹かれると…枯れて、わらのように…風にまき去られる」(日本聖書協会『旧約聖書』1955年改訳 p.998) ––––と有るように、極めて馴染み深いもので、例えば現代の絵画でも––––Web 上では今はこの<赤バッタ、青バッタ>しか画像が見出せない
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([https://www.nihonbijyutukai.com/anpan/archives/archives57])––––長谷川匠のバッタ連作が思い出される (「なお,伝統的に日本では,聖書…や欧米の文学書など…,飛蝗…を〈イナゴ〉と訳してきたが,これは〈バッタ〉と訳すべきものである」-[コトバンク-バッタ-改訂新版 世界大百科事典]=[https://kotobank.jp/word/バッタ-115128#goog_rewarded]-山崎柄根執筆部分より)。
 この、聖書からの引用という繋がりで––––否、この短編集が刊行された百年前と今が何一つ変わらぬ戦火/戦禍の拡大/継起の時代だからという繋がりで––––最後に一言付け加えるが、この短編集の題名《我らの時代に》は……ヘミングウェイの作品 (と、併記するのは気が引けるが拙作) の題名が多くそうであるように……ある出典からの引用で、それは、英国国教会 (“Church of England”) の『祈祷書』(“The Book of Common Prayer”) の「晩祷」(“The Order for Daily Evening Prayer”) の中の––––「おゝ主よ、我らの時代に平和を与えたまえ」(“Give peace in our time, O Lord”-[http://justus.anglican.org/resources/bcp/1928/BCP1928.pdf]-p.31-l.9)––––だという。
  (日本聖公会の1895年版『祈祷書』-[https://dl.ndl.go.jp/pid/824979/1/1] では、この言葉は「晩祷」ばかりでなく「早祷」にもあって、どちらも會師の先唱 :「主よ。我らの生涯泰平をあたへ給へ」で、また、これに対する會衆からの応/答唱は「地のはてまで戦争をやめしめ給へ」([ibid.-1/34],[ibid.-1/45]) であり、戦後の1959年版では、司式者先唱 :「主よ、この世を安らかに治めたまえ」と、会衆応/答唱 :「地のはてまで戦いをやめしめたまえ」である-p.73, p.84)。
 ……いずれにせよ、この、記されず/発せられず/海面下に沈んで隠された氷山の言葉を––––それをヘミングウェイの非情と反語がどう捉えていたかは別にして––––私たちは私たちの「我らの時代に」、今一度新たに/改めて思い発 (おこ) す必要があるのではないだろうか。
 (*3) 新崎宏『手遊び 草編み玩具  第1巻』琉球新報社, 2011, pp.62~3 (沖縄型)/ 65~7 (普及型)/ 69~74 (中国型)。
 [https://www.youtube.com/watch?v=mxb3Z399GNM]。
 [https://www.youtube.com/watch?v=I_opJ2xl_Fk]。
追記
 1989年の3月13日から4月8日にかけてパリの【Galerie 1900 ▾ 2000】で開催されたジョゼフ・コーネル展のカタログ–––– Edouard Jaguer, “Joseph Cornell”, ©1989 The Joseph and Robert Cornell Memorial Foundation [https://nostos.jp/archives/363284] ––––には、 いずれも1933年頃の作とされるコーネルの4本の “ボトル・アート” ––––色々な物品が中に入れられた沢山の小瓶を一つの箱に収めた広義の “ボックス・アート” とは異なる “一本瓶もの” の作品––––の写真図版5枚が収載されている。
 その内<無題 (中国の瓶)>(p.20) と<無題 (月の瓶)>(p.21) の2枚=2作品はカラーで、
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3枚の白黒は、<無題>と、<無題 (バッタの瓶)>の全図 (p.22) とその部分拡大図 (p.11) である。
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 <…中国の瓶…>に入れられた活版印刷本の頁らしき巻かれた紙の右端一行は、漢字に [平仮名のルビ] を振った漢字+平仮名交りの日本語の文章で––––「食物 [しょくもつ] を與 [あた] へて汝 [なんぢ] ‥ 今 [いま] より我子 [わがこ] ‥ 做 [な] れよと云 [い] は」––––と読め、従ってこれは、<…日本の瓶…>と改めた方が良いのではなかろうか。
 それはともかくとして、コーネルにも<…バッタの瓶…>が有ったということだが、このバッタは、(解説も無く拡大図でも判別し難いのだが) ひょっとすると腹の下にゴムの吸盤が付いていて、何かに押し付けて初めのうちは平らに伏せて耐えているが、そのうちに吸盤の効力が失われて針金の脚のバネの反発力で突然跳び/跳ね上がるブリキの玩具の「跳ねバッタ」––––(例えば[https://www.ebay.com.au/itm/181510296673] 、[https://www.jataff.or.jp/konchu/obj/obj30.htm] 、[https://www.amazon.co.jp/ノーブラ��ド品-q1145510112-ブリキのおもちゃグラスホッパー雑貨ブリキ玩具品駄菓子屋懐かしコレクション絶版品バッタレトロ品珍品/dp/B0D9WKKWX4] のような) ––––かもしれない (但し写真を見る限りでは吸盤は……初めからなのか、後で取れたのか、は兎も角として……付いていない)。
 なお、1980年のニュー・ヨークMoMa でのジョゼフ・コーネル展の図録 ([https://nostos.jp/archives/49182]) には、反対側から異なる角度で撮られたと思われる内容物品の配置が違うこの瓶の白黒写真図版 (Pl. 12)
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が掲載されている。
                       (10/14/2024)
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neoshogunate · 9 months ago
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ネオ幕府アキノリ党による100の政策
※内はアキノリ将軍未満による脚注。
🌾 文化・日本語
1. 『双京構想』京都を陪都に。
※ 上皇后両陛下に仙洞御所にお戻り頂く案などから上奏。
2. 文章の形式を国粋化。縦書き・漢数字を基礎に、時間や単位や数理や音楽も日本文化圏独特の書式を考案し漸次移行。
※ 漢数字に関しては画数が多く判読もしにくいため,西ローマ・アラビア数字くらい判読しやすく書きやすい数字用の文字を作ってフォントに組み込んだりを検討。
3. 日本語の電子媒体を刷新。
※ イーロン・マスク氏に会いに行ってXの東アジアの言語を全部縦書き漢数字(言語ごと)に直してもらう事を条件に,共栄圏での法人を作ってもいいと約束。ただし,その情報資産は共栄圏のものとし,資本の移動は認めない。 ※ 拡張かなを拡充し電子媒体に組み込む・体制化した際に方言の言語化も視野に。
4. 都内の外国籍労働者・親族等への日本語や法制に係る教育サービスの展開。
※ それぞれの民族に寄り添った親善団体と連携 ※ 裏で世界共栄化に関わる宣伝を行い、本国に情報輸出させる足がかりとする。😈
5. 都内の宗教共同体の実態把握・公的包摂・共生都市社会の推進。
※ 体制化までの中長期的に各宗教の日本化を試みる方針。
🌾 税制・社会保障・経済
6. 税制改革や都債発行を財源に,実質賃金の上昇率の安定向上(最低でも年3%水準)まで一律で都民税半額。
7. 都営ブロックチェーンの創設・ネオ幕府トークンの発行とサーバー維持管理。
※ 全国電子通貨を想定・通貨の名前は「球」読み方は本名が「たま」,「きう」が普及版。NAMが出典。 ※ いずれ日本円にとって代わる。😈 ※ 我々が全国化した折には武蔵国の地域トークンというか藩札を創設を想定。
8. 都債発行・時限的な商品券等の給付による地域経済振興。
9. 都民や都内に通学する学生への一律奨学金免除。
10. インボイス廃止を国政に提言・特に中小零細企業の事務処理負担を軽減。
11. 濫用的な投資や無軌道な開発,オーバーツーリズム等に因る地価や宿泊施設の価格高騰を抑制。
12. 外国企業等による国土の売買規制に係るモデル条例の策定。
13. 都内の特に大企業の法人税の納税率を向上・財源構成の平等化。固定資産税の累進化。
14. 社会保障費用の逆進性緩和・累進課税の推進。
🌾 教育・学術
15. 公営学生寮の確保・増大。
※ 国際法を典拠に一定の自治権を認める
16. 大学院まで教育全面無償化+困窮世帯向けに塾代含め支援検討。
17. 専門学校等の整理統合・総合大学との連携強化・学生や職員の有益な流動化を促進。
18. 図書館民営化の見直し。知識アクセス・公共教育インフラの維持。
19. PTAの有償化や情報共有・可視化の促進。
20. 教育委員会の体質改善・責任体制の明確化。
21. 都立高校の入試改革の見直し・効果的な外国語教育に転換/無益な学習負担の軽減化。
※ どうでもいいけどほんとに外語やるならマッチング実践とかだわ
22. カルト校則の全面廃止・学生の学ぶ権利や表現の自由を守る。
23. 入学しない大学への入学金支払義務の免除・ルール撤廃を東京から実践。
24. 部活動の地域化・民営化等による教員の負担軽減を都から実践。
🌾 交通・公共施設
25. 練馬─中野─杉並─世田谷区や足立─台東─江戸川区を縦断する都営線路の開拓。
26. 東京都-近隣の港湾に集中投資・世界一の港湾大都市圏を構築。
27. 満員電車の終局的な解消・時差通勤の促進(主に企業向け)や代替手段の公的導入検討。
28. 離島との往復費用の低廉化・人材や投資交流の活発化。
※ 将来伊豆諸島は伊豆の国に, 小笠原諸島以南は小笠原国にする。
29. 16歳未満(中学生)に対しての交通インフラ料金を子供料金にする・25歳以下に対してユース料金の公共交通機関・各商業施設での導入。
🌾 防災・戦時体制を想定した防衛
30. 全国のあらゆる自然災害に対し救援・復興の為の物資や人員輸送が可能な体制の整備。
31. 都内のあらゆる公共設備の耐震化推進。
※ 災害をある程度前提とする伝統的な都市デザインの可能性も検討。
32. 核戦争を想定した核シェルター建設・地下経済圏の構築促進。
33. 災害リスクを見据えた都民や隣接県民(都内の勤労者)向けに食料等備蓄・予備的分配。
34. 官公庁・民間企業に対するサイバー攻撃の防衛体制整備。
35. 東京都の空を米軍から取り戻す・首都圏の集団安全保障体制を見直し。
36. 近隣諸国の紛争や破局的災害を想定した都民の命と経済を守る有事法制・モデル条例の策定。
37. 安全保障や軍需産業分野の研究開発支援・学界に蔓延る偏見の改善。
🌾 恋愛・婚姻等の共生生活・性的少数者支援
※ 現在はヘテロが社会の主体である事を公共に認め(右翼を安心させ), その余裕の下に性的少数者への配慮を行う政治指針を宣言化。
38. パートナーシップや相続法制等に係る性的少数者の権利保障モデル条例の策定。
※ パートナーシップに日本語の造語を与えることを目的に研究会を行う、反動保守国学者や左派リベラルの論客もネオ幕府体制の責任もとで幅広く招聘したい。
39. 専門家や当事者の意見を参考に高齢者向けの公的恋愛支援事業を実験的に開設。
40. 既存の公営マッチングアプリ・ブライダル支援等政策の見直しと再構築。
41. ユース(18-25歳を想定)以下に対してのマッチングアプリ補助制度。
🌾 医療・福祉・地域協同・家庭問題
42. 視力矯正器具や歯列矯正等への保険適用・車椅子や補聴器の価格低廉化。ゆくゆくは無償化。
※ 歯を生やせるようになればすぐ保険適用を検討
43. ひきこもり老人を訪問し地域を協同化・社会的包摂を目指す・若年層のアルバイトで高齢者を訪問しスマホ教室とネット普及・生活状況の実態調査。
44. 民間に甘んじた無料塾・こども食堂等の公営化。
※ 都から職員を派遣して実態調査し一定の基準で認可を行い、その場で謝礼。 ※ その後恒久的に経済支援, 半官半民でネットワークをくみ人的支援を拡大 ※ 定期的に児童虐待や裏社会の斡旋等の有無を潜入調査。😈
45. 実態調査のうえ, 都心や下町に関わらず包括的な訪問診療・介護サービス等を拡充。
46. 学校や社内研修に基礎的な救急救命の教育カリキュラムを導入・相互扶助の日本を再建。
47. 地域交流や文化活動を活性化すべく公立小中学校等の空きスペース活用促進。
48. 既にある公園に遊具を拡充・児童の自由と安全を保障。遊閑地の利活用推進。
※ クレーム処理等は我々ネオ幕府が��け負う。
49. 生活保護の取得要件緩和と生活再建・出口支援。給付付き税額控除の試験的導入。
50. 公共施設から迅速・全面・包括的にバリアフリーデザインを実装。
51. 乞食(路上生活者・野宿者・炎上するだろうがこの言葉を使う,いささかの差別的感情を含まない)の住宅支援事業における不合理待遇(いわゆる「タコ部屋」等)の撤廃。
52. 「禁煙」でなく「分煙」。公共喫煙所の増設と依存症支援拡充。
53. 「帰宅困難家庭」の児童のシェルター確保・拡充。
54. 親の孤立防止。財政的支援やシッター利用・保育所等インフラの拡充。
55. 麻酔科医の待遇改善・拡充による無痛分娩・不妊治療等の普及・無償化を都から実践。
56. ヤングケアラーの実態調査・迅速な支援拡充。
57. 一定期間の債務等支払義務の凍結や世間からの隔絶を許容する「隠遁」制度の試験的導入による自殺予防。
58. 共同親権制度移行後の離婚親や子の権利保証に向けたモデル条例案の策定。
59. 犯罪被害者や遺族の情報秘匿や生活再建支援事業の拡充を都から実践。
🌾 環境・公共衛生・都市デザイン
60. 『江戸東京オシャレ特区』構想・ドレスコードの厳格なサービス業種の方でも自分らしい服装等の表現を保障。
61. 炭素繊維等による東京湾浄化・老若男女が利用可能な東京湾に。
※ 一〇年単位の長期計画で研究会に予算をつけて水質浄化に関わる各方面の専門家と企業に助成を。
62. タクシーや通勤通学バスや訪問介護車両や都内を往来する長距離トラック等に向けた電気自動車等の導入支援。
63. 道路にゴミ箱を増設し収集作業も増員・雇用創出。
※ 『乞食』の方々向けに最低でも3日に1度は湯船に疲れる水準の支援体制を迅速に構築。
64. 都内の樹林伐採ストップ・地域経済や文化に無益な再開発の見直し。国土を守る。
65. 引越しや住宅確保等に係る費用分担による近隣県への移住サポート。
※ 漸次地方都市にも移住サポートしたい・全国化したときに地域を蘇らせる。
66. 主に大企業の都外への本社機能移転・人口とリスク分散を段階的に進める。
67. 排除アート・「座らせないベンチ」の全面撤去。小憩できる都市デザインの再建。
68. ユース(12-25最程度を想定)以下に対して公営美術館・芸術施設の入場料無料化。
69. 路上表現・アーティスト等に向けた道路使用許可申請等手続きの簡素化・拡充
70. 官民連携で路上ライブ・イベント等を充実させ,『解放区』の乱立。
🌾 動植物
71. 動物殺処分0の次は都から始める愛玩動物の生体販売全面禁止。
※ ペットショップの店員かわいそうだから動物病院とか生物学研究所に転職もさせてあげて。そのために予算つけよう。 ※ 日本固有種の生物種は緩和したさがある,というかその系統を維持するための研究会や国家機関創設を提唱したい。
72. 特定外来種や有毒の微生物等の実態調査・飼育手段の包括的なデータベースを策定し公開。
73. 生物学系の人材活用・医療分野との連携を強化。
74. 孤立対策に動植物との共生を促進・AI利活用で安全・安定的な飼育体制を提供。
🌾 宇宙開発
75. 軌道エレベーターや公共/民間通信衛星等を想定した宇宙産業への公共投資。
※ 東京から日本〜東南アジアをまたぐ測天衛星網(GPS)を提唱
76. 核融合発電技術への積極的公共投資。
※ 戦時を想定した燃料備蓄
🌾 食糧自給・安全保障
77. 家庭菜園や地域農産・地産地消の促進。
78. 種苗法改正の見直し・食文化の保全。
※ 戦時を想定した食料備蓄
79. 酒税法の見直し・どぶろく文化を再興。
80. 生レバーやユッケ等の規制緩和。
81. 依存症対策や飲酒強制の予防規制を条件に, 飲酒解禁を18歳に引き下げ。
🌾 労働市場制度
82. 新卒一括採用の見直し・企業や経済団体等への協力要請。
83. 官公庁や民間企業の採用基準にポスドク枠拡充。
84. 生涯学習・リカレント教育普及に向けた労働市場改革。職業訓練給付や実施企業への支援等の拡充。
85. 様々な産業分野の企業に対して有給や育休利用の促進。
🌾 汚職・職権乱用の防止
86. 地方議会における縁故的な役職(選管等)の選定過程・給与等の見直し・再編と代替的職務の用意。
87. 刑事収容施設や入管施設内での侮辱や虐待や差別的待遇の実態調査・迅速な改善。
88. 市民オンブズマン制度の創設・拡充による第三者目線の地方議会の監査強化。
89. NPO法人設立や生活保護申請・政治団体含む会計監査の厳格化・責任体制の明確化。
🌾 表現・報道の自由
90. 小池都知事が実施していた様な一部のマスコミやジャーナリスト等の排除に反対・報道と表現の自由を守る。
91. 『表現の自由』の前提として,エンタメ・出版・コンテンツ業界に投資拡充・且つアーティストの食い扶持と表現の場を守り,層の厚さを維持。
92. NHKの過剰な集金を規制・困窮世帯の債務免除・公共の利益となる基礎的なコンテンツは保障するが国民の無償・平等な『知る権利』に配慮。
🌾 スポーツ
93. 『マイナースポーツに光を』・Eスポーツ含む多様な体育会系コンテンツにも積極的に投資。
94. 身体に障害を有する方々が主役であるパラスポーツ分野に投資拡充・宣伝を強化。
🌾 その他
95. 小池都知事の財政調整基金の使途・費用対効果について徹底的に監査。
96. 小池都知事や森本首相も関わる東京オリンピックに関する利権構造や裏金・役員の不審死・作業員の過労死等の真実究明。
97. コロナ禍におけるエンタメ産業や一部の飲食業界・性産業等への差別的待遇の見直し・適切で平等な補償体制の確約。
98. コロナ禍における緊急事態宣言の手続的正当性・費用対効果を徹底再調査。
99. お気持ちベースの『自粛要請』では無く必要な法整備・責任体制を明確化。
100. 多様な業種の方々に配慮し投票所を26時まで開放・且つ開票日を平日にスライドし行政コストを軽減。
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team-ginga · 1 year ago
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山田との1日
 昨日(3月17日)はピッコロ演劇学校研究科同期の山田麻結と大阪・玉出のベトナム料理店「ホイアン」でランチ。
 玉出に行くのは初めてでしたが、ここってあの「スーパー玉出」の発祥の地という認識でいいんでしょうか。
 迷いに迷って山田は牛肉のフォーを、私はカリカリ塩豚ご飯のっけを注文。ベトナム前菜セット(えびせん、生春巻き、揚げ春巻き)とアヒルの丸焼き4分の1も頼み、食後はデザートにマンゴーを入れたタピオカ・ココナッツミルクと揚げバナナとベトナム・コーヒー練乳入りを頼んだので、お腹いっぱい。
 え? 料理の写真ですか。話が弾んでいたので全く撮りませんでした。
 11時に入店して結局出たのが15時頃。それから玉出の街を散策。
 西成劇場という大衆演劇���門の劇場があったり、寂れた商店街があったり、商店街に昔懐かし玩具屋があったので入ってみたり、スーパー玉出(元祖なんでしょうか)があったので入ってみたり……雨が降っていましたが、私は見知らぬ街を歩くのは好きなので結構快適でした。
 そのあとサンドイッチハウス兼喫茶店のようなところで「当店自慢のミックスジュース」を飲んで、別れたのは17時過ぎ。
 なんだかんだで6時間くらい喋り続けていたことになります。
 山田と会うといつもこんな感じーー歳は離れていますが気が合うんでしょうね。
 山田、また会おうね。
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t1003x · 2 years ago
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tausendglueck · 4 years ago
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どこにもない血 / 20210510
立ち上がって動き回るとじきに視界が暗くなったり体から力が抜けそうになって、私は壁に手をつく。じりじり焼けるような腹痛に、私は電気カーペットの上にうつ伏せに寝そべってお腹を当てる。まさに、焼けている「ような」お腹を本当に焼こうとするように。
本当にゴールデンウィークが終わってしまった月曜日に、私は生理休暇で床に寝そべっている。出社している日々でも、こうしてテレワークの日々でも、私は平気で生理休暇を申請する。恥も外聞もなく、生理痛が酷いので、と、おそらく私以上に酷い生理痛で苦しんでいる女性の方が圧倒的に多いであろう、そしてそんな人たちに限って簡単に仕事を休めないであろうことを差し置いて、私は上司に連絡する。「朝から生理痛が酷いので」。 先月の生理が殊の外軽く、ほとんど出血もなければ痛みもない、それでも毎月の儀式として一応済ませておく、ような程度のものだった。けれど先月がそうであったからといって今月も引き続きそうであるというわけでもなく、日曜の朝からじりじり焼くような、水に浸けた布巾を絞るようなお腹の痛みとともに夜になってようやく微量の出血が始まって、微量は微量のまま、お腹だけがせっせと忙しそうに痛い。
ピルを服用し始めてから今年で6年、この数ヶ月私の生理は随分軽くなったように思う。目を見張るほどの出血もないし、だらだら長くも続かない。けれど毎月お腹だけはしっかりと痛む。歩き回れば立ち眩む。そこまで外に出す血もないのに。まるで子宮が、中にはもうそれほどの血がないことを認めたくなくて、どこにもない血を、確かにあるんだと言い張って、乾いた布巾をずっと絞っているみたいだ。それにつられて、別に大して血が足りなくなっているわけでもないのに、惰性で貧血を起こす体がある。低用量ピルを6年も飲めば子宮もその力を奪われていく。婦人科の先生は、そのうち生理がなくなる人もいると言った。私もそのうち、生理を失ってしまうのかもしれない。
そんな私の隣で母が更年期障害に苦しみ、毎日ホットフラッシュを起こして暑い暑いと呻いている。電気カーペットに寝そべってじっと体を温める私の隣で、母は首にタオルを巻いている。かくも不都合な、私たちの身体。
実家に帰ってきて1ヶ月と少しが経った。GW前に復職だけはしたものの、ずっとテレワークで過ごしている。本当��昨日で大阪に戻り、今日からは出社するつもりでいたのだけど、まだしばらく戻ってこなくていいよこっちに帰って来たたら来たで緊急事態宣言中だし別のリスクもあるし、と上司から言われ、まだこの大阪から遠く離れた海の町に居残っている。海の町は毎日のように天気が悪く、家が軋むほどの風が吹き、雨が降る。目を覚ました朝が晴天であっても、夜になる頃には雨が降っている。もともとがそんな町だ。
私はこの町の人間だろうと、疑うことはない。18歳で家を出て、神戸へと移り、大阪に住民票を置いても、私は自分を神戸の人間だとも大阪の人間だとも思わない。大人になって一層顕著に、私はこの町の人間である以外にありえないという感覚が深まっていく。同郷出身の作家山内マリコの作品が複数映画化されて、死んだ田舎代表のようにロケ地に使われたとしても、私はその、死んだ田舎に生まれた女だ。そんなアイデンティティから、別に逃げようとも思わない。 けれど数年ぶりに1ヶ月ほどを実家で過ごしてみて、やっぱり、私はここではもうだめだろうなと、晴天の海風に寂寞を見る。
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美しい町だ。外目には死んだ田舎に見られても、ここは美しい町だ。髪を揺らす海風、耳を満たす潮騒、玩具のように波打ち際に浮かんでいる鴨の群れ、テトラポットで休んでいるカモメの群れ、水平線に夢を見せる蜃気楼。ここは美しい町だ。疑いようもなく美しい町で、私の故郷だ。 それでもここに「帰ってくる」ことは、限りなく、無いのだろうなと青い海を眺めながら私は思う。少なくとも仕事の異動や両親の介護など、私の一存ではどうしようもないことが起こらない限りは。
私の身体は変わってしまった��家の空気はアレルギーを引き起こし、荒天は私を寝込ませる。私はもう関西の地で生きるための身体に変わってしまった。望んで「この町に生きていた私」を捨てたわけではない、自然と、勝手に、重心が移り、揺らぎ、適応していっただけのこと。この町から出ることなく今日までを過ごした母親と自分の違いを如実に感じる。私はここに生まれた人間であっても、ここで生きる人間ではない。 なくなってしまった。
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私はじきに、来週には大阪に戻るだろう。そしてまた、生活の基軸は大阪となるだろう。大阪で仕事をして、大阪で友人に会い、大阪で、パートナーを探すだろう。長く一人で生活してきた身に今更パートナーのいる生活などそもそも無理なのかもしれないけれど、それでも一度くらいは、探してみてもいいように思えてきた。これもまた変化だ。
ゆるく、長く続く変化。私の子宮はゆっくりと眠りに落ち、アイデンティティもセクシャリティも流転を繰り返し、日々揺らぎ、この町の海の美しさよりも、大阪を流れる濁った川の色と匂いに安堵を覚えるときが来る。私はここにいて、どこにもいない。どこにもいない自分のまま、死に憧れを抱きつつ、移り気に生きていく。それでも瞼に焼きつく私の海は消えない。消えないから、在り続けるから、またいつか、この町を思って小説を書くだろう。
風が吹き、雨が降り出した。私のお腹は未練がましくじりじりと焼けている。誰もいない、音もない、広々とした居間にひとり、私はソファに座っている。この町にいてはできないことばかりを、ぼんやりと考え続けている。
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kkagneta2 · 5 years ago
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ボツ2
おっぱい、大食い。最後まで書いたけど胸糞なのでここに途中まで投稿してお蔵入り予定。
時: 午前8時05分
所: ○○中学正門前
身長: 標準的。155センチ程度。
衣服: 〇〇中学指定の制服。黒のセーラー。リボンの色より二年生と断定。
年齢: 中学二年生なので14、5。
持ち物: 右手に〇〇中学指定の鞄。左手にスマホを所持。
同行者: 友人1名。興味無しのため略。
背格好: やや細身か。冬服のため殆ど見えなかったが、スカートから覗く脚、そして周りの生徒と見比べるに、肩や腕も細いと思われる。腰回りもほっそりとしていると感じた。正確には引き締まっていると言うべきか。
顔: いと凛々し。小顔。頬は真白く、唇には薄い色付き。笑うと凄まじく整った歯が見え隠れする。この���髪をかき上げ血の色の鮮やかな耳が露出する。
髪: ボブ系統。ほぼストレートだが肩のあたりで丸くなる。色は黒、艶あり。
胸: 推定バスト98センチ、推定アンダーバスト62センチのK カップ。立ち止まることは無かったが、姿勢が良いのでほぼ正確かと思われる。しっかりとブラジャーに支えられていて、それほど揺れず。体格的に胸元が突出している印象を受ける。隣の友人と比べるとなお顕著である。制服のサイズがあっておらず、リボンが上を向き、裾が胸のために浮いていた。そのため、始終胸下に手を当てていた。揺れないのもそのせいであろう。制服と言えば、胸を無理に押し込んだかのように皺が伸び、脇下の縫い目が傷んでおり、肩甲骨の辺りにはブラジャーのホックが浮き出ている。されば制服は入学時に購入したものと思われ、胸は彼女が入学してから大きくなった可能性が大である。元来彼女のような肉体には脂肪が付きづらいはずなのだが、一年と半年を以てK カップにまで成長を遂げたところを見ると、期待はまずまずと言ったところか。要経過観察。名前は○○。胸ポケットに入れてあったボールペンが落ちたので拾ってあげたところ、「ありがとうございます」と丁寧にお辞儀をされる。
  時: 午前10時28分
所: 〇〇駅構内
身長: 高い。170センチ強
衣服: 薄く色味がかった白、つまりクリーム色のファー付きコート。内には簡素なグリーンのニットを羽織る。首元に赤のマフラー。
年齢: 22、3。休み期間中の大学生かと思われる。
持ち物: キャリーバッグ。手提げのバッグ。
同行者: 友人2名。先輩1名。何れも女性。貧。
背格好: 体格が良いと言った他には特に無し。腕も見えず、脚も見えず、首も見えず。肩幅の広さ、腰つきの良さから水泳を営んでいると推定される。
顔: その背に似合わず童顔。人懐っこい。マフラーに顔を埋め、視線を下げ、常に同行者に向かって微笑む。愛嬌よし。
髪: ショート。これより水泳を営んでいると断定。色は茶、染め上げてはいるがつやつやと輝く。
胸: 推定バスト129センチ、推定アンダーバスト75センチのR カップ。冬である上に、胸元が目立たないよう全身を地味に作っており、某コーヒーショップにてコートを取っても、無地のニットのために膨らみが分かりづらかった。さらに、胸の落ち具合から小さく見せるブラジャーを着用しているかもしれない。そのため、推定カップはR カップより3、4カップは大きい可能性がある。コートを取った際、胸元が一層膨らんだように感じられた。机の上に胸が乗って、本人は気にしていないか、もしくは気づいていなかったが、柔らかさは���高のようである。他の男性客の腕が肩にぶつかって、驚いた際に胸で食べかけのドーナツを落とす。以降会話は彼女の胸に話題が移ったらしく、左右に居た友人二名が所構わず触れるようになり、両手を使って片胸片胸を突っついたり、揺らしたりして遊ぶ。「机まで揺れる」と言う声が聞こえてくる。「ちょっとやめてよ」と言いつつ顔は相変わらず微笑むでいる。しばらくして四人とも席を立って、地下鉄筋の方へ消えていく。童顔ゆえに顔より大きい胸は驚くに値するが、体格からして胸元に自然に収まっているのを見ると、やはりなるべくしてなったとしか思えず。
  時: 午後00時14分
所: 〇〇市〇〇にあるスーパー前
身長: 低い。150センチに満たない。
衣服: 所謂マタニティウェア。ゆったりとした紺のワンピースに濃い灰色のポンチョ。
年齢: 26、7
持ち物: 買い物袋。ベビーカー。
同行者: ベビーカーの中に赤ん坊が一人。女の子である。
背格好: 小柄。寸胴で、かつ脚も長くはあらず、そして手足が細く、脂肪が程よくついている。つまりは未成熟な体つき。身長以上に小さく見える。
顔: かなりの童顔。着るものが着るものであれば高校生にも見える。可愛いがやつれていて、目の下に隈あり。子供が可愛くて仕方ないのか、そちらを見ては微笑む。
髪: セミロングを後ろで一束。中々の癖毛であるかと思われるが、目のやつれ具合からして、もしかしたら本当はもっと綺麗なのかもしれない。髪色は黒。可愛らし。
胸: 推定バスト110センチ、推定アンダーバスト58センチのQ カップ。体格が小柄であるのでQ カップよりもずっと大きく見える。というより迫力がある。私が訪れた時は買い物袋をベビーカーに吊っている最中であった。ほどなくして赤ん坊が泣き出したので、胸に抱えてあやしたが、赤ん坊は泣き止まず。片胸と赤ん坊の大きさはほぼ同じくらいであっただろう。また、胸と赤ん坊とで腕は目一杯伸ばされていた。胸に抱いて「よしよし」と揺らすのはしばらく続いたが、赤ん坊が泣き止むことはなかった。そこで、座る場所を求めて公園へと向かおうと、一度ベビーカーへと戻そうとしたのであるが、一度胸に食らいついた赤ん坊は離さない。「さっきも飲んだじゃない」とため息をついて片手で危なっかしくベビーカーを引こうとする。「押しましょうか」と接近してみたところ、意外にもあっさりと「よろしくおねがいします」と言って、私にベビーカーを預けた。中には玩具が数種類あった。道から離れた日差しの良いベンチに腰掛け、ケープを取り出して肩にかけ、赤ん坊をその中へ入れる。それでもしばらくは駄々をこねていたであったが、母親が甘い声をかけているうちに大人しくなった。私が「お腹が空いてたんですね」と笑うと、「困ったことに、食いしん坊なんです。女の子なの��」と笑い返して赤ん坊をあやす。話を聞いていると、母親の母乳でなければ我慢がならないと言う。授乳が終わってケープを外した時、子供はすやすやと眠りについていた。「胸が大きくなりすぎて、上手く抱っこできなかったんです。大変助かりました。ありがとうございます」と分かれたが、その言葉を考えるに、妊娠してから一気に胸が大きくなったのであろう。授乳期を終えたときの反動が恐ろしい。むしろベビーカーの中に居た赤ん坊の方に興味を唆られる。
  時: 午後01時47分
所: 〇〇市市営の図書館。某書架。
身長: 標準的。158センチ程度。
衣服: 白のブラウスにブラウンのカーディガン。
年齢: 30前後か。
持ち物: 白のタブレット
同行者: 無し
背格好: 小太りである。全体的に肉がふっくらとついている。けれども目を煩わすような太り方ではない。豊かである。ただし、著しく尻が大きい。
顔: 目尻は美しいが、柔らかな頬に愛嬌があって、どちらかと言えば可愛らしい方の顔立ち。鼻がやや低く、口元はリップクリームで赤々と照りを帯びている。色白とは言えないが、光の加減かと思われる。眼鏡をかけており、リムの色は大人しい赤。非常によく似合う。
髪: ストレートなミディアムヘア。髪色は黒であるが、不思議なことに眼鏡の赤色とよく合い、前髪の垂れかかるのが美しい。
備考: 司書である。
胸: 推定バスト128センチ、推定アンダーバスト81センチのO カップ。本日の夜のお供にと本を物色中に、書架にて本を正していた。胸が喉の下辺りから流麗な曲線を描いて20センチほど突き出ているばかりでなく、縦にも大きく膨れており、体積としてはP カップ、Q カップ相当かもしれない。頭一つ分背が低いので上からも望めたのであるが、カーディガンで見え隠れする上部のボタンが取れかけていた。本を取る度に胸が突っかかって煩わしいのか、肩を揺すって胸の位置を直す。本棚に胸が当たるのは当然で、文庫本などはその上に乗せる。一つの書架を片付け終わった辺りで、適当に思いついたジャンルを訪ねて接近すると、如何にも人の良さそうな顔で案内をしてくれた。脚を踏み出す度に甲高い音が鳴るのは、恐らくブラジャーのせいかと思われる。歩き方が大胆で胸が揺れるのである。途中、階段を下りなければならないところでは、一層音が大きくなって、臍のあたりで抱えていた本を胸に押し付けて誤魔化していた。そのため、ブラジャーのストラップがズレたかと見え、書棚の方へ目を向けている隙に、大胆にも胸を持ち上げて直していた。なまめかしい人ではあるが、年が年なので望みは無い。
  時: 午後02時22分
所: 〇〇小学校校庭
身長: 140センチ前後か
衣服: 体操服
年齢: 10、11歳
持ち物: 特に無し
同行者: 友人数名
背格好: ほっそりとしなやかである。幼い。腕も脚もまだ少女特有の肉が付いている。今日見た中で最も昔の「彼女」に似ている体つきであったが、この女子児童は単に骨格が華奢なだけで、痩せ細った体ではない。健康的である。脚が長く、短足な男子の隣に立つと、股下が彼の腰と同位置に来る。
顔: あどけなさは言うまでもないが、目元口元共に上品。笑う時もクスクスと擽るような、品の良い笑い方をする。眼鏡はテンプルに赤色が混じった、基本色黒のアンダーリム。そのせいで甚だ可愛らしく見えるが、本来は甚く聡い顔立ちをしているかと推定される。が、全般的に可愛らしい。
髪: 腰まで届く黒髪。ほぼストレートだが若干の癖あり。また、若干茶色がかっているように見えた。髪の質がかなり良く、時折肩にかかったのを払う度に、雪のように舞う。
胸: 推定バスト81センチ、推定アンダーバスト48センチのI カップ。体育の授業中のことである。男子は球技を、女子はマラソンでもやらされていたのか、校庭を走っていた。身体自体は小柄であるから胸はそう大きくはないのだが、無邪気に走るから激しく揺れる。揺れるごとに体操服が捲れ上がって腹部が見えそうである。明らかに胸元だけサイズが合っていない。何度か裾を直しながら走った後、耐えかねて胸元を押さえつけていたのであるが、いよいよ先生の元へ駆け寄って校舎内へ入った。そして出てきてから再び走り初めたけれども、その後の胸の揺れは一層激しくなっていた。ブラジャーに何かあったのだろうと思われる。顔には余裕がありながら、走る速さがこれまでとは段違いに遅く、これまで一緒に走ってきた友人に追い抜かれる。結局、彼女は胸を抑えながら、周回遅れで走りを終えた。しかし可哀想なことに、息を整えていると友人に後ろから手で掬われて、そのまま揉みしだかれる。小学生の手には余る大きさである。寄せあげて、掬い上げて、体操服をしわくちゃにしながら堪能する。私にはそう見えただけで、実際にはじゃれついていただけであろうが、指が深く沈み込んでいる様は男子児童の視線を寄せるのに足る。なされるがままにされていた彼女は、そのうちに顔を真っ赤にして何かを言いつつ手をはたき落とし「今はダメ」と言い、以降はすっかり両腕を胸元で組んで、猫背になって拗ねてしまった。この生徒は要観察である。下校時に再び見えてみれば、制服下の胸はブラジャーは着けていないながら見事な球形を為している。先程の光景から張りも柔らかさも極上のものと想像される。名前は○○。名札の色から小学5年生だと断定。ここ一ヶ月の中で最も期待すべき逸材。
  時: 午後05時03分
所: 〇〇市〇〇町〇〇にある某コンビニ
身長: やや高い。163センチほど。
衣服: ○○の制服。
年齢: 17歳
持ち物: 特に書くべきにあらず
同行者: 無し
背格好: 標準的だがやや痩せ型。恐らくは着痩せするタイプである。一見してただの女子高生の体であるが、肩、腰つきともに十分な量の肉量がある。その代わり腕は細い。右手に絆創膏。
顔: あどけない。非常に可愛らしい顔。人柄の良さが顔と表情に出ていると言ったところ。眉は優しく、目はぱっちり。常に口が緩んで、白い頬に赤みが差す。が、どこか儚げである。分厚くない唇と優しい目が原因か。
髪: 後ろに一束したミディアムヘア。一種の清潔さを表すと共に、若干の田舎臭さあり。後ろ髪をまとめて一束にしているので、うなじから首元へかけての白い肌が露出。これが殊に綺麗であった。
備考: 高校生アルバイター
胸: 推定バスト118センチ、推定アンダーバスト68センチのP カップ。服が腰元で閉じられているので、高さ24センチほどの見事な山が形成されている。そのため余計に大きく感じられる。手を前で組む癖があるのか胸が二の腕によって盛り上がって、さらに大きく見える。レジ打ちを担当していた。面倒くさい支払い方法を聞いて接近。レジにて紙を用いて説明してくれるのであるが、胸元が邪魔で始終押さえつけながらでの説明となり、体を斜めにしての説明となり、終いには胸の先での説明となる。ブラジャーの跡あり。よほどカップが分厚いのか胸と下着との境目がはっきりと浮き出ている。この大きさでこのタイプのブラジャーは、1メーカーの1ブランドしかないため、懐かしさに浸る。大体分かりました、では後日よろしくおねがいしますと言うと、にこやかにありがとうございましたと言う。腕の細さと胸の大きさとが全くもって合っていない。腰つきとは大方合っている。顔があどけないところから、胸に関しては期待して良いのではないだろうか? それを知るには彼女の中学時代、ひいては小学時代を知る必要があるが、そこまで熱心に入れ込めるほど、魅力的ではない。
   本日も予が真に求むる者居らず、―――と最後に付け足した日記帳を、俺は俺が恐れを抱くまでに叫び声を上げながら床へと叩きつけ、足で幾度も踏みつけ、拾って壁に殴りつけ、力の限り二つに引き裂いて、背表紙だけになったそれをゴミ箱へ投げつけた。八畳の部屋の隅にある机の下に蹲り、自分の頭をその柱に打ちつけ、顎を気絶寸前まで殴り、彼女の残した下着、―――ブラジャーに顔を埋めて髪を掻き毟る。手元に残りたる最後の一枚の匂いに全身の力を抜かされて、一時は平静を取り戻すが、真暗な部屋に散乱した日記帳の残骸が肌へと触れるや、彼女の匂いは途端に、内蔵という内蔵を酸で溶かすが如く、血管という血管に煮えたぎった湯を巡らせるが如く、俺の体を蝕んでくる。衝動的にブラジャーから手を離して、壁に頭を、時折本当に気絶するまで、何度も何度も何度も打ちつけ、忌々しい日記帳を踏みしめて、机の上に置いてあるナイフを手にとる。以前は右足の脹脛(ふくらはぎ)を数え始めて26回切りつけた。今日はど��を虐めようかなどと考えていると、彼女の残したブラジャーが目につく。一転して俺のこころは、天にのぼるかのようにうっとりと、くもをただよっているかのようにふわふわと、あたたかく、はれやかになっていく。―――
―――あゝ、いいきもちだ。彼女にはさまれたときもこのような感じであった。俺の体は彼女の巨大な胸が作り出す谷間の中でもみくちゃにされ、手足さえ動かせないまま、顔だけが彼女の目を見据える。ガリガリに痩せ細って頬骨が浮き出てはいるが、元来が美しい顔立ちであるから、俺の目の前には確かにいつもと変わらない彼女が居る。我儘で、可愛くて、薄幸で、目立ちたがり屋で、その癖恥ずかしがり屋で、内気で、卑屈で、でも負けん気が強くて、甘えん坊で、癇癪持ちで、いつもいつもいつも俺の手を煩わせる。冷え切った手で俺の頬を撫でても、少しも気持ちよくは無い、この胸、この胸の谷間が冬の夜に丁度良いのだ。この熱い位に火照った肉の塊が、俺を天に昇らせるかの如き高揚感を與えるのだ。
だがそれは後年の事。床に広がったブラジャーを拾って、ベッド脇のランプの燈を点けて、ぶらぶらと下へと垂れるカップの布をじっくりと眺める。華奢で肉のつかない彼女のブラジャーだったのだから、サイドボーンからサイドボーンまでの距離は30センチ程もあれば良く、カップの幅も中指より少し長い程度の長さしかない。が、その深さと広さはそこらで見かけるブラジャーとは一線を画す。手を入れれば腕が消え、頭を入れればもう一つ分は余裕がある。記念すべき「初ブラ」だった。
それが何たることか! 今日、いや昨日、いや一昨日、いやこの一ヶ月、いやこの一年間、いや彼女が居なくなってから実に6年もの間、このブラジャーが合う女性には出会うどころか、見かけることも出来ないではないか。細ければサイズが足りず、サイズが足りればぶくぶくと肥え、年増の乳房では張りが足らず、ならばと小学生の後を付け回してはお巡りに声をかけられ、近所中の中高にて要注意人物の名をほしいままにし、飽きる迄北から南の女という女を見ても、彼女のような体格美貌の持ち主は居なかった。風俗嬢へすら肩入れをし、ネットで調子に乗る女どもにも媚びへつらった。
恭しくブラジャーを箱へと収めて床に散らばりたる日記帳の屑を見るや、またしても怒りの感情が迸ってくる。今日は左太腿の上をざっくりとやってやろうか。紙屑をさらに歯で引きちぎり、喉に流し込みながらそう思ったけれども、指を切る程度に留め、代わりに床を突き抜ける位力を入れて、硬い板の上に差す。今日書いた文面はその上にあった。
「なんで、なんで俺はあんなことを、……」
気がつけば奇声を上げつつ髪の毛を毟り取っていた。時計を見れば午後11時28分。点けっぱなしにしておいたパソコンの画面にはbroadcasting soon! という文字が浮かび上がって居る。忘れた訳では無かったが、その英単語二文字を見るだけで、怒りも何も今日の女どもも忘れ、急に血の巡りが頭から下半身へと下り、呼吸が激しくなる。まるで彼女を前にした時のようである。急いで駆けつけて音量を最大限まで上げて、画面に食い入ると、直にパッとある部屋が映し出され、俺の呼吸はさらに激しくなった。
部屋はここと同じ八畳ほど、ベッドが一台、机が一つ、………のみ。
机の上にはありきたりな文房具と、食器類が一式、それに錠剤がいくつか。ベッドの上には質の良さそうな寝具、端に一枚のショーツ、その横に犬用のリードが一つ。これはこれから現れる者が、謂わばご主人さまに可愛がられるために着けている首輪につながっているのである。そしてその横に、あゝ、彼女がまだ傍に居ればぜひこの手で着けて差し上げたい巨大なブラジャーが一つ、………。ダブルベッドをたった一枚で埋め尽くすほど大きく、分厚く、ストラップは太く、今は見えないが12段のホックがあり、2週間前から着けているらしいけれどもカップは痛み、刺繍は掠れ、ストラップは撚れ、もう何ヶ月も着たかのようである。
しばらく見えているのはそれだけだったが、程なくしてブラジャーが画面外へ消えて行き、ショーツが消えて行きして、ついに放送主が現れる。病的なまでに痩せ細って骨の浮き出る肩、肘、手首、足首、膝、太腿、それに反して美しくしなやかな指が見える。顔は残念ながら白い仮面で見えないが、見えたところで一瞬である。すぐさま画面の殆どは、中央に縦線の入った肌色の物体に埋められるのだから。その肌色の物体は彼女の胸元から生え、大きく前へ、横へと広がりながら腰元を覆い、開けっ広げになった脚の間を通って、床へとゆるやかにの垂れており、ベッドに腰掛けた主の、脚の一部分と、肩と、首を除いて、体の殆どを隠してしまっている。床に垂れた部分は、部分というにはおかしなくらい床に広がる。浮き出た静脈は仄かに青々として、見る者によっては不快を感ずるだろう。
言うまでもなく、女性の乳房である。主は何も言わずにただそこに佇むのみで、何も行動をしない。仮面を着けた顔も、たまに意外と艶のある黒髪が揺れるだけで動かないのであるが、極稀に乳房を抑える仕草をして、愛おしそうに撫でることがある。けれどもそれは本当に極稀で、一回の配信につき一度の頻度でしかなく、殆どの場合は、一時間もしたらベッドに倒れ込んで寝てしまうのである。
この配信を見つけてからというもの、俺の日中の行動は、その寝姿を見るための暇つぶしでしか無い。彼女そっくりな体つきに、彼女そっくりな胸の大きさ、―――しかもこちらの方が大きいかもしれない上に、彼女そっくりな寝相、………見れば見るほど彼女に似て来て、��た奇声を発しそうになる。無言で、手元にあった本の背表紙で頭を打ちつけて落ち着きを取り戻し、画面を見ると、ゴロンとベッドから落ちてしまったその女の姿。彼女もよくやった寝相の悪さに、途端懐かしさが込み上げて来て、
「あゝ、こら、叶(かなえ)、寝るんだったらベッドの上で寝ないと、……。手伝ってやるからさっさと起きなさい」
と頬を叩いたつもりだが、空を切るのみで、消息不明となっている者の名前を呼んだだけ、羨ましさと虚しさが募ってしまった。
   幼馴染の叶が居なくなってから早6年、片時も忘れた事はないのであるが、隣に住んでいながら出会いは意外と遅いものであった。当時俺は11歳の小学5年生、物凄く寒かったのを思えば冬から春前であったろうか、俺の家は閑静な住宅街の中に突如として現れる豪邸で、建物よりも庭に意匠を凝らしたいという父上の意思で、洋館が一つと離れが一つ庭に面する形で建てられ、俺はその離れを子供部屋として与えられていた。球状の天井を持つその部屋は、本当に子供のために閉ざされた世界かのようだった。庭の垣根が高く、木に埋もれる形で建っているのであるから、内は兎も角、外からだとそもそも離れがあることすら分からない。音も完全に防音されていて、車が通りかかるのすら、微妙な振動でようやく分かるくらい外界から切り離されているのである。いつも学校から帰ると、俺はその部屋で母上と共に話をしたり、ごっこ遊びをしたり、宿題をしたりする。食事もそこで取って、風呂には本館の方へ向かう必要はあるけれども、学校に居る7、8時間を除けば一日の殆どをそこで過ごしていた。だから、近隣の様子なぞ目については居なかったし、そもそも父上から関わるなというお達しがあったのだから、あえて触れるわけにはいかない。学校も、近くにある公立校へは通わずに、ずっと私立の学校へ入れられたのだから、関わろうにも、友人と言える者も知り合いと言える者も、誰も居ないのである。
そんな生活の中でも、よく離れの2階にある窓から顔を突き出して、燦々と輝く陽に照らされて輝く街並みを眺めたものだった。今はすっかりしなくなってしまったけれども、木々の合間合間から見える街並みは殊に美しい。一家の住んでいる住宅街というのが、高台に建っているので、街並みとは言ってもずっと遠くまで、―――遥かその先にある海までも見えるのである。
そう、やっぱり冬のことだ、あのしっとりとした美しさは夏や秋には無い。いつもどおり、俺はうっとりと椅子に凭れかかって街並みを眺めていたのであるが、ふとした瞬間から、女の子の声で、
「ねぇ、ねぇ、ねぇってば」
と誰かを呼びかける声がしきりに聞こえてきていたのだけれども、それが少し遠くから聞こえてくるものだから、まさか自分が呼ばれているとは思わず、無視していると、
「ねぇ!」
と一層激しい声が聞こえてくる。下を見てみると、同年代らしい女の子が、彼女の家の敷地内からこちらを不満そうに見つめてきている。
「僕ですか?」
「そう! 君!」
と満面の笑みを浮かべる。
この女の子が叶であることは言及する必要も無いかと思うが、なんと見窄らしい子だっただろう! 着ている物と言えば、姉のお下がりのよれよれになった召し物であったし、足元には汚らしいサンダルを履いていたし、髪は何らの手入れもされていなかったし、いや、そんな彼女の姿よりも、その家の古さ、ボロさ、貧しさは余りにも憐れである。流石に木造建築では無いものの、築20年や30年は越えていそうな家の壁は、すっかりと黒ずんで蜘蛛の巣が蔓延っており、屋根は黒いのが傷んで白くトゲトゲとしているし、庭? にある物干し竿は弓なりに曲がってしまっていて、痛みに傷んだ服やタオルが干されている。全体的に暗くて、不衛生で、手に触れるのも汚らわしい。広さ大きさは普通の一軒家程度だけれども、物がごちゃごちゃと置かれて居るのでかなり狭苦しく感じられ、俺は父上がどうして近隣の者と関わるなと言ったのか、なんとなく理解したのだった。目が合った上に、反応してしまったからには相手をしなくちゃいけないか、でも、できるだけ早く切り上げて本の続きでも読もう。―――俺は一瞬そう思ったが、ようようそう思えば思うほど、彼女に興味を抱いてしまい、小っ恥ずかしい感情がしきりに俺の心を唆していた。
それは一目惚れにも近い感情だっただろうと思う。というもの、その時の叶の外見は、着ているものが着ているものだけに見窄らしく見えただけで、顔立ちは悪くないどころかクラスに居る女子ども��ぞよりずっと可愛いかった。いや、俺がそう感じただけで、実際は同じくらいかもしれないが、普段お嬢様と言うべき女の子に囲まれていた俺にとっては、ああいう儚い趣のある顔は、一種の新鮮さがあって、非常に魅力的に見える。どこか卑屈で、どこか苦心があって、しかしそれを押し隠すが如く笑う、………そういう健気な感じが俺の心を打ったと思って良い。また、体つきも普段見るお嬢様たちとは大きく変わっていた。彼女たちは美味しいものを美味しく頂いて、線の細い中にもふっくらとした柔らかさがあるのだが、叶はそうではない。栄養失調からの病気じみた痩せ方をしていて、ただ線が細いだけ、ただ貧相なだけで、腕や脚などは子供の俺が叩いても折れそうなほどに肉が付いておらず、手や足先は、肌が白いがために骨がそのまま見えているかのようである。兎に角貧相である。が、彼女にはただ一点、不自然なほど脂肪が蓄えられた箇所があった。
それはもちろん胸部である。叶は姉から譲り受けた服を着ているがために、袖や裾はだいぶ余らしていたのであるが、胸元だけはピンと張って、乳房と乳房の間には皺が出来ていて、むしろサイズが足りないように見える。恐らく裾を無理やり下に引っ張って、胸を押し込めたのか、下はダボダボと垂れているけれども、胸の上は変にきっちりしている。体の前で手をもじもじさせつつ、楽しげに体を揺らすので、胸があっちへ行ったり、こっちへ行ったりする。俺は最初、胸に詰め物をしているのであろうかと思われた。そう言えば、一昨日くらいにクラスの女子が、私の姉さんはこんなの! と言いつつ、体操服の胸元にソフトボールを入れてはしゃいでいたが、その姿がちょうどこの時の叶くらいであったから、自然にやっぱりこの年の女子は大きな胸に憧れるものなのだと納得したのである。だが、叶の胸は変に柔らかそうに見える。いや、それだけでなく、ソフトボールを入れたぐらいでは脇のあたりが空虚になって、はっきりと入れ物だと心づくが、彼女の体に描かれる、首元から始まって脇を通り、へその上部で終りを迎える曲線は、ひどく滑らかである。手が当たればそこを中心に丸く凹み、屈んで裾を払おうとすれば重そうに下で揺れる。
俺が女性の乳房なるものに目を奪われた初めての瞬間である。
それは物心ついた少年の心には余りにも蠱惑的だった。余りにも蠱惑的過ぎて、俺の体には背中をバットで殴られたような衝撃が走り、手が震え、肩が強張り、妙に臀部の辺りに力が入る。頭の中は真っ白で、少しずつ顔と耳たぶが赤くなっていくのが分かる。途端に彼女の胸から目が離せなくなり、じっと見るのはダメだと思って視線を上げると、さっきとは打って変わって潤いのある目がこちらを見てきている。微笑んでくる。その瞬間、徐々に赤くなって行っていた顔に、血が一気に上る感覚がし、また視線を下げると、そこにはこれまで見たことがない程の大きさの胸。胸。胸。………あゝ、なんと魅力的だったことか。
「こんにちは」
「うん、こんにちは。今日は寒いね」
彼女に挨拶されたので、俺はなんとか声を出したのだった。
「私は全然。むしろあったかいくらい」
「元気だなぁ」
「君が元気ないだけじゃないの」
「熱は無いんだけどね」
「ふふ」
と彼女は笑って、
「君どのクラスの子?」
「いや、たぶん知らないと思う。この辺の学校には通ってないから」
「どおりで学校じゃ、見ないと思った。何年生なの?」
彼女がこの時、俺を年下だと思っていたことは笑止。実際には同い年である。
「へぇ、あっちの学校はどうなの?」
「どうもこうもないよ。たぶん雰囲気なんかは変わんないと思う」
「そうなんだ」
と、そこでトラックが道端を通ったために、会話が区切れてしまって、早くも別れの雰囲気となった。
「ねぇ」
先に声をかけたのは彼女だった。
「うん?」
「またお話してくれない?」
少年はしばし悩んだ。近くの者とは関わるなと言う父上の言葉が頭にちらついて、それが殆ど彼女の家庭とは関わるなとの意味であることに、今更ながら気がついたのであったが、目の前に居る少女が目をうるませて、希望も無さげに手をもじもじと弄っているのを見ると、彼女の学校での扱われ方が目に見えてしまって仕方がなかった。そっと目を外すと、隣に住んでいなければ、多分一生関わること無く一生を終えるであろう貧しい家が目に飛び込んできて、だとすれば、良い育ちはしていないに違いはあるまい。だが、今言葉を交わした感じからすれば、意外にも言葉遣いはぞんざいではなく、笑い方もおっとりとしている。それに何より、自分がここまで心臓の鼓動がうるさいと思ったことはないのである。少年の心はこの時、「またお話したい」などというレベルではなく、彼女に近づきたい気持ちでいっぱいであった。近づいて、もっともっとお話をして、その体に触れて、夜のひと時をこのメルヘンチックな我が部屋で過ごせたら、どんなに素敵だろう。この窓から夜景を見て、手を取って、顔を突き合わして、行く行くは唇を重ねる、………あゝ、この部屋だけじゃない、綺麗に見繕って、二人で遊びに行くのも良い、いや、もはや二人きりでその場に居るだけでも僕の心は満足しそうだ。………実際にはこんなに沢山ことを考えた訳ではなかったけれども、しかしそういうことが、父上の言いつけから少年をすっかり遮断してしまった。つまりは、彼女の言葉に頷いたのである。
「もちろん。こうやって顔だしてたら、また話しかけてよ」
「ふふ、ありがとう。またね」
「またね。―――」
これが俺と叶の馴れ初めなのだが、それから俺たちは休みの日になると、窓を通じて10分20分もしない会話を楽しんだ。尤もそれは俺が父上と母上を怖がって、勉強しなくちゃいけないだとか、習い事があるとか、そういう理由をつけて早々に切り上げるからではあるけれども、もし何の後ろめたさも無かったら日が暮れても喋りあったに違いない。
「えー、……もう? 私はもっとお話してたい!」
「ごめんね。明日もこうやって外を眺めてあげるからさ」
その言葉に嘘はなく、俺は休日になれば、堪えきれない楽しみから朝食を終え、両親を煙に巻くや窓から顔を突き出していた。すると叶はいつも直ぐに家から出てきて、
「おはよう」
と痩せ細った顔に笑みを浮かべる。彼女もまた、楽しみで楽しみで仕方ないと言った風采なのである。
「おはよう。今日はいつにもまして早いね」
「ふふ」
会話の内容はありきたりなこと、―――例えば学校のこと、家のこと(彼女はあまり話したがらなかったが)、近くにある店のこと、近くにある交番がどうのこうのということ、近くにある家のおばさんが変人なことなど、強いて言えば、近所の人たちに関する話題が多かった。というのも、この住宅街に住んでいながら、今まで何も知らなかったので、俺の方からよく聞いたのが理由ではあるけれども、話に関係ないから述べる必要はあるまい。
それよりも、あんまり叶が早く出てくるので、いつのことだったか、聞いてみたことがあった。すると、彼女は心底意地の悪い笑顔で、
「私の部屋から丸見えなんだもん。そんなに楽しみ?」
と言うので、無性に恥ずかしさが込み上げてきたのは覚えている。どう返したのか忘れたが、その後の彼女の笑う様子が、強烈に頭に残っているのを考慮すれば、さらに恥ずかしい言い訳を放ったのは確かである。………
そんなある日のことであった。確か、叶と出会って一ヶ月経った日だったように思う。何でも学校が春の休み期間に入ったために、俺達は毎日顔を合わせていたのであるから多分そうで、非常に小っ恥ずかしい日々を送っていたのであるが、この日は俺しか俺の家には居ないのであった。それも朝一から深夜まで、何故だったのかは忘れてしまったが、両親も居なければ、ハウスキーパーも、確実に居ないのである。然れば初恋に目の暗んだ少年が悪巧みをするのも当然であろう。つまり俺はこの日、叶をこのメルヘンチックな離れに���待しようとしていたのである。
一種の期待を胸に抱きながら、いつもどおり窓から顔を突き出して、今や見慣れてしまった貧しい家の壁に視線を沿わせては、深呼吸で荒れそうになる息を整えようとする。一見、「いつもどおり」の光景だけれども、この時の俺はどうしても、初めての彼女をデートに誘うような心地よい緊張感ではない、恐ろしい罪悪感で押しつぶされそうだった。別に子供が同級生の女の子を連れてくることなど、親からしたら微笑ましい以外何者でもないかもしれない。が、これから呼ぶのは、父上が関わるなと言った、隣家の貧しい娘なのであるから、どうしても後々バレた時の事を考えると、喉が渇いて仕方ないのである。―――出来れば叶が今日に限って出てきてくれなければ、なんて思っても、それはそれで淋しくて死ぬ。まぁ、期待と緊張と罪悪感でいっぱいいっぱいだった少年の頭では、上手い具合に言い訳を考えることすら出来なかったのである。
「おはよう」
そうこうするうちに、いつの間にか外に出てきていた叶が声をかけてきた。一ヶ月のうちに、さらに胸が大きくなったのか、お下がりの服の袖はさらに長くなり、………というのは、服のサイズを大きくしないと胸が入らないからで、その肝心の胸の膨らみは今やバレーボール大に近くなりつつある。
で、俺は焦ることは何もないのに、挨拶を返すこともせずに誘うことにしたのであった。
「ねぇ」
「うん?」
「きょ、今日、僕の家にはだ、だれも居ないんだけど、………」
「え? うん、そうなの」
それから俺が叶を誘う言葉を出したのは、しばらくしてのことだったが、兎に角俺は彼女を頷かせて門の前まで来させることに成功して、庭を駆けている時に鳴った呼び鈴にギョッとしつつ、正門を開けると、さっきまでその気になっていた顔が、妙に神妙なので聞いてみると、
「なんか急に入って良いのか分からなくなっちゃった」
ともじもじしながら言う。それは引け目を感じると言うべき恥であることは言うまでもないが、一度勢いづいた少年にはそれが分からず、不思議な顔をするだけであった。それよりも少年は歓喜の渦に心臓を打たせており、今日という今日を記憶に焼き付けようと必死になっていた。というのは、普段遠目から見下ろすだけであった少女が目の前に現れたからではあるけれども、その少女の姿というのが、想像よりもずっと可愛いような気がしただけでなく、意外と背丈がひょろ高いことや、意外と服は小綺麗に整えてあることや、手も脚も、痩せ細った中にも一種の妖艶さが滲み出ていることなど、様々な発見をしたからであった。特に、胸元の膨らみにはただただ威圧されるばかり。大きさは想像通りだったものの、いざ目の前に来られると迫力が段違い。試しに顔を近づけてこっそりと大きさを比べて見ると、自分の頭よりも大きいような感じがし、隣に並んでみると、彼女の胸元にはこんな大きな乳房が生えているのかと驚かれる。
「ちょっと、どうしたの」
と言われてハッとなって、叶の手を引きながら広大な庭を歩き始めたが、少年の目はやはり一歩一歩ふるふると揺れる彼女の乳房に釘付けであった。
庭の様子は今後必要ないから述べないが、一方はお坊ちゃん、一方は女中にもならない卑しい少女が手を取り合いながら、花々の芽の萌ゆる庭園を歩く様子は、或いは美しさがあるかもしれない。
離れについて、「や、やっぱり私帰るね」と言い出す叶を無理に押し込んで、鍵をかけると、一気に体中の力が抜けて行くような気がした。何となく庭を歩いているうちは、誰かに見られているかのようで、気が気でなかったのに、今となっては何と簡単なことだったであろう。とうとう成功した、成功してしまったのである、叶を一目見た瞬間に思い描いていた夢が、一つ叶ったのみならず、この心の底から沸き起こる高揚感はなんだろうか。期待? それとも単に興奮しているだけ? いや、恐らくは彼女が隣に居ること、手を触れようとすれば触れられる位置に居ること、つまり、彼女に近づいたという事実が、嬉しくて嬉しくて仕方がないのだ。そしてそれが、自分の住処で起こっている、………俺は多分この時気持ち悪いくらいに笑っていたように思ふ。頭は冷静に叶をもてなしているつもりでも、行動の一つ��つに抜けている箇所が、どうしても出てしまって、土足のまま上がろうとしたり、段差に足をひっかけて転けそうになったり、お茶を溢しそうになったり、最初からひどい有り様であったが、彼女は引け目を感じながらも笑って、
「ほんとにどうしたの、熱でも出てるんじゃ、………」
と心配さえもしてきて、その優しさもまた、俺には嬉しくて仕方がなくって、ますます惚けてしまったように思われる。が、それが出たのは昼前のことだったろう、あの時俺は、目の前ある叶の乳房が大きく重たく膨れ上がっているのに対し、それを支える身体が余り痩せすぎている、それもただ単に痩せているのではなくて、こうして間近で見てみると、骨格からして華奢であるので、身長はどっこいどっこいでも(―――当時の俺は背が低かったのである)、どこか小さく感じられるし、そのために、余計に体と胸元の膨らみとが釣り合っていない上に、胸が重いのか、ふらふらとして上半身が風で煽られているかの如く触れる時がある、それが緊張で体が強張っている今でも起こるので、段々と心配になってきて、
「す、すごい部屋、………」
ときちんと正座をしながら目を輝かす彼女が、今にも倒れてしまいそうに思われたのだった。しかし惚けた少年の頭では、ああ言えば失礼だろうか、こう言えば婉曲的に尋ねられるだろうか、などと言ったことは考えられない。ただ、この眼の前に居るかぁいい少女が、かぁいくってしょうがない。あれ? 叶ってこんなにかぁいかっただろうか? と、彼女の一挙一動がなんだか魅力的に見えて来て、手の甲を掻くのすらもかぁいくって、言葉が詰まり、今や何とか頭に浮き出てきた単語を並べるのみ、彼女を一人部屋に残して外で気持ちを落ち着けようにも、今ここに叶が居るのだと思えばすぐさま頬が燃え上がってくる。再び部屋に入れば入ればで、自分の思い描いていたのよりかぁいい少女が、きちんと正座をしながらも、未だに目をキラキラとさせ、口をぽかんと開けて部屋中を眺めている。そんなだから、一層少年の頭は惚けてしまった。同時に、胸の前で、乳房を押しつぶしながらしっかりと握られている両の手が目について、その細さ、そのか弱さに惹き込まれて無遠慮に、
「ねぇ、前々から気になってたんだけど、どうしてそんなに細いの? どうしてそんなに痩せてるの?」
と、彼女の正面に座りながら聞いた。
「あっ、うっ、……」
「ん? だって手とか僕が握っても折れそうだし」
「え、えとね?」
「うん」
「その、食べては居るんですけれど、………」
叶はここに来てからすっかり敬語である。
「食べても食べても、全然身につかなくって、………その、おっぱいだけが大きくなってしまってるの。だから、こんなにガリガリ。骨も脆いそう。………あはは、なんだか骸骨みたいだね」
「全然笑い事じゃないんだけど」
「うん、ありがとう。それだけでも嬉しいな」
とにっこりするので、
「もう」
とにっこりとして返すと、叶はすっかり普段の無邪気な顔に戻った。
「あ、でね、もちろんお母さんも心配してくれて、お金が無いのに、私のためにたくさんご飯を作ってくれててね、―――」
「たくさんって、どのくらい?」
「えっと、………」
と言葉に詰まるので、
「まぁ、別に笑わないからさ。言ってごらん?」
とたしなめた。すると返ってきた言葉は、俺の想像を軽く飛び越していたのだった。
毎日微妙に違うから昨日のだけと、はにかんだ叶の昨夜の夕食は、米を4合、味噌汁が鍋一杯、豆腐を3丁肉豆腐、その肉も牛肉1キロ、半分を肉豆腐へ、半分を焼いて、野菜はキャベツとレタスと半々に、鶏胸肉2枚、パスタ500グラム、………を食した後に寒天のデザートを丼に一杯、食パンを2斤、牛乳一リットルで流し込んだ、と、ご飯中は喉が乾いて仕方がないと言って、水もペットボトルで2本計4リットル飲んだ、いつもこれくらいだが、それでも食欲が収まらない時は、さらにご飯を何合か炊いて卵粥として食べるのだと言う。
笑わないとは言ったけれども、流石に苦笑も出来ずに唖然とするばかりで、俺は、スポーツ選手でも食べきれない食い物が、一体全体、目の前で顔を覆って恥ずかしがる少女のどこに入って、どこに消えたのか、想像をたくましくすることしか出来なかったが、そうしているうちに、今日の朝はねと、朝食までおっしゃる。それもまた米が4合に、やっぱり味噌汁を鍋一杯。そして、知り合いが店を構えているとか何とかでくれる蕎麦を、両手で二束、大鍋で茹でてざる蕎麦に、インスタントラーメンを2人前、水を2リットル。言い忘れてけどご飯は大きなおにぎりとして、中に色々と具材を入れて食うと言って、最後に、デザートとは言い難いが、デザートとしてシリアルを、やっぱり牛乳1リットルかけて食べる。その後パンがあればあるだけ食べる。水も何リットルか飲む。で、大体食事の時間は1時間半から2時間くらいで終わるけれども、お腹が空いていたら30分でもこれだけの量は平らげられるらしい。
「いやいやいやいや、………えっ?」
俺のそんな反応も当然であろう。ところで以上の事を言った本人は、言っちゃった、恥ずかしい、と言ったきり黙って俯いているが、益々見窄らしく、小さく見え、やはり可哀想でならなかった。
ポーン、と鳴って、時計が12時を示した。叶の告白から随分時間が経ったように思っていたら、もうそんな時間である。空腹を訴えかけている腹には悪いが、今ここで食事の話題を振れば恐ろしい結果になるかもしれない、一応自分の昼食は、父上が予め出前���取ってくれたのが、さっき届いたからあるし、母上が夕食もと、下拵えだけして行った料理の数々があるので、それを二人で分けて、一緒に食べる予定ではあったのだが、しかし先の話が本当だとすれば、とても量が足りない。だが、恐ろしい物は逆に見たくなるのが、人間の常である。俺は、叶がご飯を食べている様を見たくてたまらなかった。普段、外食は両親に連れられてのものだったけれども、幸い街を歩けばいくらでも食事処にはありつける。日本食屋に、寿司屋に、洋食屋に、喫茶店に、中華料理屋に、蕎麦屋饂飩屋鰻屋カレー屋、果ては創作料理屋まであるから、彼女をそこに連れて行ってみてはどうか。もちろん一軒と言わずに何軒も訪れて、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげてみてはどうだろうか? 俺はそんなことを思って、心の内で嫌な笑みを浮かべていたのであったが、偶然か必然か、その思いつきは叶の願いにぴったり沿うのであった。
「あはは、………やっぱり引いた?」
と叶がもじもじしながら言う。
「若干だけど、驚いただけだよ」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「じゃ、じゃあ、もう一つ打ち明けるんだけどね、………あ、本当に引かないでよ」
「大丈夫だって、言ってごらん?」
と言って顔を緩めると、叶は一つ深呼吸してから、もじもじさせている手を見つめながら口を開くのであった。
「えとね、私、………実はそれだけ食べても全然たりなくて、ずっとお腹が空いてるの」
「今も?」
「今も。ほら、―――」
叶が服の裾をめくり上げると、そこにはべっこりと凹んでいる腹が丸見えになる。
「すっかり元通りになっちゃった。君と会うために外に出た時は、まだぼっこりしてたんだけど、………」
「お昼は?」
「え?」
「お昼。お昼ごはん。どうするの?」
「我慢かなぁ。いつもお昼ごはんは給食だから、全然平気だよ!」
この時、図らずも俺の画策と、彼女の願い、というよりは欲望が、同じ方向を向いたことに歓喜したのは言うまでもない。俺はこの後のことをあまり覚えていないが、遠慮する叶に向かって、
「ご飯一緒に食べよう!!」
と無理やり立たせて、取ってあった出前を彼女の目の前に差し出したのは、微かに記憶に残っている。彼女はそれをぺろりと平らげた。口に入れる量、噛むスピード、飲み込む速度、どれもが尋常ではなく、するすると彼女の胃袋の中へと消えていった。母上が下ごしらえして行った料理もまた、子供では食べきれないほどあったが、5分とかからなかった。こちらは食べにくいものばかりであったけれども、叶は水を大量に飲みつつ、喉へと流し込んで行く。それがテレビでよく見る大食い自慢のそれとは違って、コクコクと可愛らしく飲むものだから、俺はうっとりとして彼女の様子を見つめていた。食べ終わってから、俺は彼女の腹部に触れさせてもらった。その腹は、3人前、4人前の量の食事が入ったとは思えないほど平たく、ぐるぐると唸って、今まさに消化中だと思うと、またもや俺の背中はバットで殴られたかのような衝撃に見舞われてしまった。ちょうど、叶の乳房に目を奪われた時と同じような衝撃である。思わず耳を叶のヘソの辺りに押し付けて、たった今食べ物だったものが排泄物になろうとしている音を聞く。ゴロゴロと、血管を通る血のような音だった。
「まだ食べられる?」
「もちろん!」
叶は元気よく答えた。俺は彼女がケチャップで赤くなってしまった口を、手渡されたナプキンで綺麗に拭き終わるのを待って、
「じゃあ、行こうか」
と、財布と上着を取りながら聞いた。
「どこへ?」
「今日はお腹いっぱいになるまで食べさせてあげるよ」
俺の昼食夕食を軽く平らげた彼女は、今更遅いというのに遠慮をするのであった。「いや、私、もうお腹いっぱいで」とか、「お金持ってない」とか、「別にいいって、いいってば」とか、終いには「ごめん、ごめんなさい」と言って泣き出しそうにもなったり、なんとかなだめて離れから飛び出ても、動こうとしなかったり、自分の家に入ろうとする。「だ、大丈夫! 嘘! 嘘だから! 忘れて! もう食べられないから!」など、矛盾に満ちた言葉を放っていたのは覚えている。俺はそれをなんとかなだめて、気持ちが先行してしまって不機嫌になりつつも、最終的には弱々しい彼女の腰を抱きかかえるようにして引っ張って行った。
「ごめんね、ごめんね。ちょっとでいいからね。私よりも君がたくさん食べてね」
と食べることには堪忍したらしい叶が、物悲しそうにしたのは、確か家からまっすぐ歩いて、3つめの交差点を曲がって、広めの県道を西に沿ってしばらく行った所にある小綺麗な中華料理屋だっただろう。前にも述べたが、俺はこの日のことをあまり詳しく憶えていないのである。何故この中華料理屋に訪れたかと言えば、ようやく落ち着いた叶に何が食べたい? と聞くと、渋々、春巻きが食べたいとの答えが返ってきたからであるのだが、この店は昔も今も量が多いとの文句が聞こえてくる名店で、俺はよく、父上が天津飯一つすら苦しんで食べていたのを思い出すのである。とまぁ、そんな店であるのだから、そんな店にありがちな、所謂デカ盛りメニューなるものがあって、例えば丼物、―――麻婆丼だったり、炒飯だったり、それこそ天津飯だったり、そういうのはだいたい揃ってるし、酢豚とか、八宝菜の定食メニューもそれ専用の器すらあったりする。そしてそれを30分以内に食べきったら無料なので、これならお金を気にする彼女も安心してくれるだろうと、少年は考えた訳であったが、いざ入ってみて、奥の席へ通されて、
「この春巻きを10人前と、デカ盛りメニューの麻婆丼一つと、それと僕は、………エビチリ定食をご飯少なめでください!」
と注文すると、
「ぼ、僕? 冗談で言ってる?」
と、まず俺を見、そして叶を見して怪訝な顔をするのであった。
「冗談じゃないよ。ねぇ?」
と叶を見るが、彼女は静かに俯いている。
「ま、そういうことだから、お金は出すんだから、早く! 早く!」
「でもね、これはとっても量が多いんだよ?」
「うん、知ってる。だけど叶ちゃんが全部食べてくれるから、平気だよ」
「え、えぇ、………? この子が? 嘘おっしゃい」
そういう押し問答は10分乃至15分は続いたのであったが、とうとう店側が折れる形で、俺達の前には山になった春巻きと、山になった麻婆丼と、それ比べればすずめの涙程のエビチリが、テーブルの上に現れたのであった。俺も驚いたし、店員も驚いたし、何より他の客の驚きようと言ったら無い。奥の席だったから、人気はあまりないものの、写真を撮る者、頑張れよと冷やかしてくる者、わざわざ席を変わってくる者も居れば、自分たちも負けじとデカ盛りメニューを頼む者も居る。彼らの興味は殆どテーブルの上に置かれた理不尽な量の料理と、それに向かう華奢な少女であったが、妙に俺は良い気になって、ピースして写真に写ったり、冷やかして来た者を煽ったりして、相手をしたものだった。本当に、あの時の俺は、自分が一時の有名人になったかのような心持ちで、サインでも握手でもしてやろうかと思った。いや、そんなことよりも、もっと写真に撮って、もっと騒ぎ立てて、もっと人を集めてくれという気持ちであった。有頂天と言っても良い状態だった。が、ふと叶の方を見てみると矢張り俯いたままでいる。―――あゝ、こんなに騒がしかったら美味しいものも美味しくは無いだろうな、早く食べないと冷えてしまう、それに、自分もお腹が空いて仕方がない、そろそろ追っ払おうかしらん。叶の様子にいくらか冷静になった俺はそう思ったのであった。
「ごめんね、彼女、恥ずかしがり屋だから、ほら、あっち行ってて」
そう言うと、店主のハラハラした視線だけはどうすることも出来なかったが、皆次第に散り散りになった。叶もまた、周りに人が居なくなって安心したのか、顔を上げる。
「騒がしかったね」
「うん」
「まったく、野次馬はいつもこうだよ」
「うん」
「足りなかったら、もう一つ頼むことにしようか」
「あ、あの、………」
「うん?」
「いただきます」
この時の彼女の心境は、後になって聞いたことがある。たった一言、ああいう状況に慣れていなかったせいで、食べて良いのか分からなかった、と。実際には、中華店へ入る前から匂いに釣られて腹が減って死にそうになっていたところに、いざ目の前に好物の春巻きと、こってりとした匂いを漂わせている麻婆丼が現れて、遠慮も恥も何もかも忘れて食らいつきたかったのだそうである。事実、麻婆丼は物凄い勢いで彼女の口の中へと消えていった。
ところで麻婆丼は、後で聞けば10人分の具材を使っているのだと言う。重さで言えば8.7キロ、米は5合6合はつぎ込んで、女性の店員では持ち運べないので、男が抱えなければならない。時たま米の分量を誤って、餡のマーボーが指定分乗り切らない時があって、そういう時は乗り切らなかった餡だけ別の器に盛って出す。かつて挑戦した者はたくさんいるが、無事にただで食べられたのはこれまで1人か2人くらい、それも大柄な男ばかりで、女性はまだだと言う。
そんな麻婆丼が、11歳の、それも痩せ細った体つきの少女の口の中へ消えていくのである。休むこと無く蓮華を動かし、時折春巻きを箸に取っては、殆ど一口で飲み込むが如く胃の中へ流し込み、真剣ながらも幸せの滲み出た顔をしながら、水をグイグイ飲む。見れば、心配で様子を見に来ていた店主は、いつの間にか厨房に引っ込んで呆れ顔をしている。叶はそれにも気が付かずに黙々と口を動かして、喉が微かに動いたかと思ったら、蓮華を丼の中に差し込んで、幸せそうな顔で頬張る。あれよあれよという間にもう半分である。こういうのは後半になればなるほど勢いが落ちるものだのに、叶の食べるスピードは落ちないどころか、ますます早くなっていく。やがて蓮華では一口一口の大きさが物足りないと感じたのか、一緒に付いてきたスプーンで上から米もろとも抉って食べる。叶は普段から綺麗に食べることを心がけていて、大口を開けて食い物を口へ運んだとしても、それが決して醜くなく、逆に、実に美味そうで食欲が掻き立てられる。優雅で、美しい食べ方は、彼女が言うには、体の動かし方が重要なのだと、かつて教えてもらったことがある。気がついた時には、もう普通の麻婆丼と殆ど変わらない分量になっていた。一個もらうつもりだった春巻きは、………もう無かった。
俺は、叶の料理を食べている姿をついに見ることが出来て、ただただ感激だった。先程は恐ろしい勢いで食べたと言っても、量は大食いの者ならば簡単に平らげる程度しか無かったのである。それが今や10人前の巨大な麻婆丼を前にして、淡々と頬張っていき、残るは殆ど一口のみになっている。彼女はここに来てようやくペースが落ちたのだが、その顔つき、その手付き、その姿勢からして、腹が一杯になったのではなくて、あれほどあった麻婆丼がとうとうここまで無くなったので、急に名残惜しくなったのであろう。その証拠に、一口一口、よく噛み締めて食べている。俺は、またもや背中をバットで殴られたかのような衝撃に身を震わせてしまい、その様子をじっくりと穴が空くほどに見つめていたのであったが、汗もかかずに平然と、最後の豆腐に口をつける彼女を見て、とうとう食欲がさっぱり無くなってしまった。代わりに無性に苛立つような、体の内側が燃えるような、そんな堪えきれない欲が体の中心から沸き起こってきて、今までそんなに気にしてなかった、―――実際は気にしないようにしていた胸元の膨らみが、途端に何かを唆しているように思えて、もっともっと叶の食事風景を見ていたくなった。
「ごちそうさまでした」
と、声がしたので見てみると、澄ました顔で水を飲んでいらっしゃる。俺は慌てて、店主がテーブルの上に乗せて行ったタイマーを止めて時間を見てみた。
「16分39秒」
「えっ? 食べ終わった?」
「ほんまに?」
「本当に一人で食べたんだろうか。………」
気がつけば観客たちがぞろぞろと戻ってきていた。彼らの様子は、もうあんまりくだくだしくなるから書かないが、俺はまたしても注目を浴びている彼女を見て、ただならぬ喜びを感じたということは、一言申し上げておく必要がある。少年は輪の中心に居る少女の手を取るに飽き足らず、その体に抱きついて(―――何と柔らかかったことか!)、
「やったね叶ちゃん。やっぱり出来るじゃないか」
と歓声を放ち、
「ほら、ほら、この子はデカ盛りを16分で食べきったんだぞ。男ならそれくらいできなきゃ」
と、まるで我が手柄のように、奮闘中の大学生らしき男性客に言うのであった。俺の感性はまたしても有頂天に上り詰めて、多幸感で身がふわふわと浮いていた。隣で叶がはにかんで居るのを見ては、優越感で酔っ払ってしまいそうだった、いや、酔いに酔って、―――彼女の隣に居るのは僕なんだぞ。少年はそう叫んだつもりであるのだが、実際には心の中で叫んだだけなようである。俺がこの日の記憶をおぼろげにしか覚えていないのは、そんな感情に身も心も流されていたからなのである。………
騒ぎが収まってから、俺は半分近く残っていたエビチリを叶にあげた。もちろんぺろりと平らげた訳なのだが、しかしその後余りにも平然としてデザートの杏仁豆腐を食べているので、ひょっとしたら、………というよりは、やっぱりそうなんだなと思って、
「もしかしてさ、もう一回くらいいける余裕ある?」
「あ、………もちろん」
もちろんの部分は小声で言うのであった。そして小声のままその後に続けて、今体験した感じで言うと、もう一回あのデカ盛りを食べるどころか、さらにもう一回くらいは多分入ると思う。なんて言っても、まだ空腹感が拭えない。実のことを言えば、あれだけ店主が期待させてくるから楽しみだったのだけれども、いざ出てきてみれば、美味しかったものの、いつも食べてる分量より少なかったから、拍子抜けしてしまった、30分という時間制限も、頑張ったらさっきの麻婆丼2つ分でも達成できると思う。いや、たぶん余裕だと思う、出来ることならもう一回挑戦してみたいが、あの騒ぎを起こされた後だとやる気は起きないかなと言う。少年は彼女の食欲が未だに失せないことに、感謝さえしそうであった。なぜかと言って、この日の俺の願望は、彼女の食事姿を眺めること、そして、街にある食事処をはしごして、彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること、―――この2つだったのである。しかし、前者は達成したからと言って、それが満足に値するかどうかは別な問題であって、既に願望が「彼女の食事姿を飽きるまで眺めること」となっていた当時の俺には、元々の望みなどどうでもよく、叶がお腹いっぱいになっちゃったなどと言う心配の方が、先に頭に上っていた。が、今の彼女の言葉を聞くに、彼女はまだまだ満足していない。腹で言えば、三分ほどしか胃袋を満たしていない。となれば、第二の願望である「彼女が満足するまでたくさんご飯を食べさせてあげること」を達成していない。然れば、僕が叶の食事風景を飽きるまで眺めるためにも、そして叶が満腹を感じるまでに食事を取るためにも、今日はこのまま延々と飯屋という飯屋を巡ってやろうではないか。そして、あのメルヘンチックな子供部屋で、二人で夜景を眺めようではないか。………斯くして三度、俺の願望と叶の欲とは一致してしまったのであった。
結局叶は、春巻きをもう一度10人前注文して幸せそうな顔で味わい、その間に俺は会計を済ましたのであったが、あっぱれと未だに称賛し続けている店主の計らいで杏仁豆腐分だけで済んでしまった。本当にあの体にあの量が入ってるとは信じられんとおっしゃっていたが、全くその通りであるので、店を出てから叶に断ってお腹に手を触れさせてもらったところ、ちょうど横隔膜の下辺りから股上までぽっこりと、あるところでは突き出ているようにして膨らんでいる。ここに8.7キロの麻婆丼と、春巻き20人前が入っているのである。ついでに水何リットルと、申し訳程度の定食が入っている。そう思うと、愛おしくなって手が勝手に動き初めてしまいそうになったけれども、人通りの多い道であるから、少年は軽く触れただけで、再び少女の手を引いて、街中を練り歩き出した。
それから家に帰るまでの出来事は、先の中華料理屋とだいたい似ているので詳しくは書かないが、何を食べたかぐらいは書いておこう。次に向かった店は近くにあったかつれつ屋で、ここで彼女は再びデカ盛りのカツ丼4.3キロを、今度は初めてと言うべき味に舌鼓をうちながらゆっくりと、しかしそれでも半額になる25分を6分24秒下回るペースで平らげ、次はカレーが食べたくなったと言って、1つ2つ角を曲がってよく知らないインドカレー屋に入り、ご飯を5回おかわり、ナンを10枚食べる。おぉ、すごいねぇ、とインド人が片言の日本語で歓声を上げるので、叶はどう反応していいのか分からずに、むず痒そうな顔を浮かべていた。で、次はラーメン屋が目についたので、特盛のチャーシュー麺と特盛の豚骨、そして追加で餃子を頼んで、伸びたらいけない、伸びたらいけないと念仏のように唱えながら、汁まで飲み干す。この時既に、一体何キロの料理が彼女の腹に入っていたのか、考えるだけでも恐ろしいので数えはしないが、店を出た時に少々フラフラとするから心配してみたところ、
「いや、体が重いだけで、お腹はまだ大丈夫」
という答えが返ってくる。事実、その移動ついでにドーナツを10個買うと、うち9個は叶の胃袋へ、うち1個は俺の胃袋へと収まった。そして今度は洋食屋に行きたいとご所望であったから、先の中華料理屋の向かい側にある何とか言う店に入って、ナポリタン、―――のデカ盛りを頼んで無料となる19分17秒で完食す。とまあ、こんな感じで店をはしごした訳であったが、その洋食屋を後にしてようやく、ちょっと苦しくなってきたと言い出したので、シメとして喫茶店のジャンボパフェを食べることにした。彼女にしてみれば、どれだけ苦しくても甘いものだけはいくらでも腹に入れられるのだそうで、その言葉通り、パフェに乗っていたアイスが溶けるまでにバケツのような器は空になっていた。そして、喫茶店を出た時、叶は急に俺の体に凭れかかってきたのであった。
「あ、あ、………苦しい、………これがお腹一杯って感覚なんだね」
と、俺の背中に手を回してすっかり抱きついてくる。うっとりとして、今が幸せの絶頂であるような顔をこちらに向けたり、道の向かい側に向けたりする。人目もはばからず、今にもキスしそうで、その実ゴロンと寝転がってしまうのではないかと思われる身のこなし。心ここにあらずと言ったような様子。………彼女は今言った量の料理を食べて初めて、満腹感を感じられたのであった。―――あゝ、とうとう僕の願望と叶ちゃんとの欲望が、叶い、そして満たされたしまったのだ。見よ見よこの満足そうな顔を。ここまで幸せそうな顔を浮かべている者を皆は知っているか。―――少年も嬉しさに涙さえ出てくるのを感じながら、抱きついてくる少女のお腹に手を触れさせた。妊娠どころか人が一人入っ��いるかのようにパンパンに張って、元の病的なまでに窪んでいた腹はもうどこにもなかった。胸元だけではなく、腹部にある布地もはちきれそうになっていた。思えばここに全てが詰まっているのである。今日食べた何十キロという食べ物が、………そう考えれば本来の彼女の体重の半分近くが、この腹に収まって、今まさに消化されているのである。少年と少女はついに唇を重ねるや、そっとお腹に耳をつけてその音を聞いてみると、じゅるじゅると時々水っぽい音を立てながら、しかしグウウウ、………! と言った音が、この往来の激しい道沿いにおいても聞こえてきて、この可愛らしい少女からこんな生々しい、胎児が聞くような音を立てているとは! 途端に、股間の辺りから妙な、濁流を決壊寸前の堤防で堰き止めているかのような、耐え難い感覚がして、少年は咄嗟に彼女から身を引いた。今度の今度は背中をバットで殴られたような衝撃ではなく、内側からぷくぷくと太って破裂してしまいそうな、死を感じるほどのねっとりとした何かだった。そしてそれは何故か叶の体、―――特に異様に膨らんだ胸元と腹を見るだけでも沸き起こってくるのであった。少年は恐怖で怯えきってしまった。この得体の知れない感覚が怖くて仕方なかった。目の前でふらふらとしている少女から逃げたくもなった。が、無情なことに、その少女はうっとりと近づいてきて、少年の体にすがりつくので、彼は逃げようにも逃げられず、為されるがままに、その痩せきってはいるけれども上半身の異様に膨れた体を抱いてやって、少女の希望ゆえにお腹を両手で支えながら帰路につくのであった。
「お母さんに何言われるか分からないから、楽になるまで遊んで」
離れに戻ってから、叶はそう言って俺の体に寄りかかってきた。道沿いでしてきた時はまだ遠慮があったらしく、俺はすっかり重くなった彼女の体を支えきれずにベッドに倒れてしまい、じっと見つめる格好になったのであるが、そのうちに堪えきれなくなって、どちらからともなく、
「あははは」
「あははは」
と笑い出した。
「ねぇねぇ」
「うん?」
「さっきキスしてきたでしょ」
「………うん」
俺はこっ恥ずかしくなって、素っ気なく答えた。
「もう一度しない?」
「………うん」
今度はしっかりと叶の顔を見つめながら答えた。
これで俺たちは二度目の接吻をした訳であるが、俺の手はその後、自然に彼女の胸に行った。この時、叶の方がベッドに大きく寝そべっていたので、俺の方が彼女より頭一つ下がった位置にあり、目の前で上下する乳房が気になったのかもしれない。俺の手が触れた時、彼女はピクリと体を震わせただけで、その熱っぽい顔はじっとこちらを向けていた。嫌がっている様子が見えないとなれば、少年は図に乗って、両手を突き出して乳房に触れるのであったが、それでも少女は何も言わない。思えば、少年が恋する少女の胸に手をかけた初めての時であった。やわらかく、あたたかく、頭ぐらい大きく、手を突っ込めばいくらでもズブズブと沈み込んでいき、寄せれば盛り上がり、揉めば指が飲み込まれ、掬い上げれば重く、少年はいつまででも触っていられそうな感じがした。と、その時気がついたことに、着ている物の感触として、女性にはあって然るべき重要な衣服の感覚が無いのである。
「ぶ、ぶ、ぶ、ぶらは、………?」
と少年は何度もどもりながら聞いた。
「高くって買えないの。………それに、おっぱいが大きすぎて店に行っても売ってないの。………」
と少女は儚げな表情を、赤らめた顔に浮かべる。
それきり、言葉は無かった。少年も少女も、大人にしか許されざる行為に、罪悪感と背徳感を感じて何も言い出せないのである。少年の方は、父上の言いつけに背くばかりか、この部屋に連れ込んで淫らな行為に及んでいるがため、少女の方は、相手が自分の手に届かない物持ちの息子であることから、果たしてこんなことをして良いのかと迷っているところに、突然の出来事舞い込んできたため。しかし両者とも、気が高揚して、場の雰囲気もそういうものでないから、止めるに止められない。そして、どうしてその行動を取ったのか分からないが、少年は少女に跨って下半身を曝け出し、少女もまた裾を捲って肩まで曝け出した。玉のような肌をしながらも、はちきれんばかりになったお腹に、少年はまず驚いた。驚いてグルグルと唸るそれを撫で擦り、次に仰向けになっているのにしっかりと上を向く、丸い乳房に目を奪われた。生で触った彼女の乳房は、服を通して触るよりも、何十倍も心地が良かった。少年は、少女の腹を押しつぶさないように、腰を浮かしながら、曝け出した物を乳房と乳房が作る谷間の間に据えた。と、同時に少女が頷いた。右手で左の乳房を取り、左手で右の乳房を取り、間に己の物を入れて、すっぽりと挟み込み、少年は腰を前後に振り始めた。―――少年が射精を憶えた初めての時であった。
叶の腹がほぼ元通りに収まったのは、日も暮れかかった頃であったろうか、彼女を無事家まで送って行き、すっかり寂しくなった部屋で、俺はその日を終えたのであるが、それからというもの、お話をするという日課は無くなって、代わりに、休みの日になると叶を引き連れて、街にある食事処を次々に訪れては大量に注文し、訪れてはテーブルを一杯にし、訪れては客を呼び寄せる。その度に彼女は幸せそうな顔を浮かべて料理を平らげ、満足そうな顔を浮かべて店を後にし、日の最後は必ずその体を俺に凭れさせる。彼女にとって嬉しかったのは、そうやっていくら食っても俺の懐が傷まないことで、というのは、だいたいどこの店にもデカ盛りを制限時間内に食べられれば無料になるとか、半額になるとか、そんなキャンペーンをやっているのだけれども、叶はその半分の時間で完食してしまうのである。「頑張ったら、別に2倍にしても時間内に食べられるよ」と言って、見事に成し遂げたこともあった。その店には以降出入り禁止になってしまったけれども、痛いのはそれくらいで、俺は俺の願望を、叶は叶の欲望を満たす日々を送ったのであった。
だが、叶を初めて連れて行ってから一ヶ月ほど経った時の事、父上に呼ばれて書斎へと向かうと、いつもは朗らかな父上が、パソコンの前で真剣な表情で睨んで来ていらっしゃった。俺は咄嗟に叶との行動が知れたのだなと感づいて、心臓をドキドキと打たせていると、
「まぁ、別に怒りはしないから、隣に来てくれ」
とおっしゃるので、すぐ傍にあった椅子に腰掛けて、父上が真剣に見ていたであろうパソコンの画面を見てみた。そこには家中に配置されている監視カメラの映像が映し出されていたのであったが、その映像をよく見てみると、若い少年と少女が手を繋いで庭を渡る様子と、端に俺が叶を連れ込んだ日の日付と時間が刻銘に刻まれているのである。俺は頭が真白になって、どういい訳をしたらいいのか、どうやれば許して頂けるのか、―――そういう言葉ばかりが浮かんで結局何も考えられなかったが、兎に角、叶と会っていたことが父上にバレた、それだけははっきりと分かった。
「この映像に思い当たる節はないか?」
無いと言っても、そこに写っている少年の顔は俺であるし、後ろ姿も俺であるし、背丈も俺であるし、況や叶をや。言い訳をしたところで、事実は事実である上に、父上に向かってこれ以上見苦しい姿を見せたくなかったし、嘘を言うなんて事は俺には出来ないので、正直に告白することにした。もちろん、彼女に一杯物を食べさせてたなんて言うべきではないから、ただ一言会っていたとだけ伝えることにした。
「ふむ、正直でよいよい。そんなとこだろう。いや、それにしても、いきなり自分の部屋に連れ込むとは」
と、一転して朗らかになったので、急に恥ずかしくなってきて、キュッと縮こまったのであった。
ところで俺がこの監視カメラを甘く見ていたのには、少しばかり理由がある。1つには、庭は木が生い茂っていて見通しが悪いこと、そしてもう1つには、子供部屋として使っている離れには設置していないこと、だから俺はあの日の朝、部屋にさえ連れ込んだらこちらのものと思っていたのであったが、それ以上の理由として、父上がその防犯カメラの映像をあまりチェックし給はないことが挙げられる。父上は抑止力としてカメラを設置していらっしゃるだけで、その映像を見ることは月に一回あるかないか、それもたまに半年間もすっぽ抜かすこともあれば、チェックをするのも適当に何日かを選んで、早送りをして見るだけというずさんさがあった。俺はしばしばその様子を眺める機会があったのだが、いまいち鮮明でない画面であるがゆえに、もはや人が居るかどうかが辛うじて分かる程度であった。だから、俺はあの時、叶を部屋に連れ込んだとしても、見つかるはずは無いと高をくくっていたのである。
で、子供が一人で家の中で何をしているのか気になった父上が、ひょんなことから防犯カメラの映像を、ぼんやり眺めていると、何者かと共に離れにまで入っていく事を確認し、それが何とも見窄らしい格好をした少女であるから、2、3回繰り返して見ているうちに、隣家の貧家の娘であることに気がついたのであろう。
俺はそれから、また真剣な顔つきになった父上に、たんまりと諭されてしまった。この住宅街は、その大半が一般庶民の暮らしている家で埋められているのであるが、とある一画にだけは物騒な人(に売られる)が住んでいる。不幸なことにこの家を建てる時に、上手い土地が無かったために、ある一つの家を挟んで、そこと向かい合わせになってしまった。それならば、せめて家の裏にして、木で生け垣を作って完璧に仲を隔ててしまおうと思って、お前の部屋からも分かる通り、風景は見えるようにだけしたのである。もちろん、それなら別に他の所に住めば良いではないかと思うかもしれないが、しかしこの地は俺が子供時代に何年か過ごしたことがある土地であって、そして、お前のお母さんの生まれ育った土地である。つまりは夫婦の思い出の地であって、(言葉を濁しながら、)つまりは俺もお前と同じ穴の狢であるから、近所に住む女の子を一人や二人呼んだところで何も言いはしない。が、裏にある地区だけはダメだ。別にそういう地区ではないが、何しろ物騒な噂ばかり聞く。で、彼女の家はそんな地区と我々とのちょうど境目に建っていて、一番可哀想な境遇を経ているのであるが、向こうから色々と入れ知恵されていると人はよく言う。もし問題が起これば面倒事になるかもしれないし、お前に怪我でもあったら良くない。実際、昔お前のお母さんの友人が、あの地区にいる人といざこざを起こした時に、上辺だけは丸く済んだけれども、その後に復讐として連れ去られそうになったことがあった。彼らは放っておくとどこまで非情なことをするのか分からない。だからあの言いつけはお前を心配してのことだったのだ。そもそも、俺はお前にはもっとふさわしい女性とお付き合いしてほしい。ほら、一人二人くらい学校で仲良くなった子は居るだろう。いたらぜひ言ってくれと、最終的には学校生活の話をするのであったが、父上は諭している途中ずっと真面目であった。俺はそれをふんふんと頷きながら、その実父上がそういうことを話てくれることが嬉しくて、内容はあまり耳に入ってなかった。ただ叶が可哀想なんだなと思うくらいで、始まった父上の���りに、すっかり考えを逸らされてしまったのであったのだが、
「しかし、可愛い子だな。あんな家に住ませておくのがもったいない。転校して会えなくなる前に、分かれの挨拶くらいは許してやるから、やっておけよ」
と、突然父上が衝撃的な事を言ってのけるので、
「え? 転校?」
と聞き返してしまった。全く、転校するなどとは俺には初耳で、椅子の上でぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
「もう少ししたら、気晴らしに別荘の方で何年か過ごすからな、―――あゝ、そうそう本当に何年間かだぞ、一週間などではなくて。だからそのつもりでな」
俺はぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
それからは急に頭がぼんやりとしてしまって、引っ越しまでどう過ごしたのか憶えて居ない。ただ、最後に叶に会ったことだけは憶えていて、彼女は泣いていたように思う。ようやく自分が満足する量の食事を隔週ではあるけれども、取っている彼女の体つきは、微かに肉付きがよくなっているのだが矢張りガリガリに痩せ細っていた。逆に、胸元だけは一層膨らみ始めていて、その大きさはバレーボールよりも大きかった。俺は木陰に入って、最後にもう一度触らせてもらった。もうこれが最後だと思うと、お腹にも耳を当てた。朝食��直ぐに出てきたというその腹からは、矢張りゴロゴロと中で何かが蠢く音が聞こえてきた。そして泣いて泣いて仕方がない彼女と最後のキスをして、また会う約束を交わして、蕾を付け始めた桜の花を、雲の下にてあわれに見ながら袂を分かった。
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miiniwa3128 · 5 years ago
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CoC『誰かのための玩具箱』感想
20/05/17に参加したセッションの感想です。ネタバレを含みます。
PLとして参加しました。KPはchocomintoさん、PLにラーメンマさんとなんしさんです。
PCは古布院 架未来を使用しました。他の二人は「SF作家高次元研究Vtuber」一ノ瀬さんと「APP18ホスト狂いメンヘラ女」山野さんであり、色が濃い二人を前にして、ただのチビ学芸員である古布院は此処では無色透明であることがセッション前に告げられます。
セッションの感想は一言でいえば、ゆるふわしたシナリオを情緒不安定な探索者が感情ジェットコースターしながら探索するような感じでした。
セッション開始から数刻、最初の探索にて古布院が蝶の標本を〈博物学〉で調べようとするとファンブル。この時点で既にクリティカルを出している二人とは天と地ほどの差があります。ファンブルの効果内容を何故か委ねられた一ノ瀬さんは、古布院に泣き叫ぶ事を要求しました。思えば、これがこのセッションを茶番劇にする火蓋を切ったのでしょう。要求通り「動く虫が怖い」とギャン泣きして一ノ瀬さんに縋る古布院ですが、一ノ瀬さんは26歳、古布院は27歳です。1歳下の一ノ瀬さんに泣きながら事情を説明する様はさながら幼稚園で怪我をした園児とその話を聞く先生。古布院が泣いているのもあり、なんというか一瞬だけバーがラーでBなLの雰囲気を醸しながら、探索が粛々と進むことになります。ちなみにこの先、BなLな雰囲気はもう1度もありませんでした。
喋るキメラ的昆虫、6号(とても可愛い)と知り合った探索者はガイドでもある彼と共に展示室を巡ります。部屋全体に金メッキの装飾が施されたエジプト展示にて、古布院が金の杯だけ唯一純金であることを見抜きます。これをつい口にしたのが最後、担当ホストに貢ぎすぎて家財道具を全て売る程金に困っている山野さんの耳に入ります。餓えた獣のような目をしている山野さんに気が付き、古布院は「これは動かせない」と文化財を守る学芸員としての微かな抵抗を見せ、KPはこれに〈言いくるめ〉か〈隠す〉のロールを求めます。古布院はどちらも初期値でしたが、何故か〈隠す〉に成功。一ノ瀬さんの説得もあって山野さんはしぶしぶ手を引きます。この運を茶番じゃなくて探索に活かしてくれ、というPLの願いは、次の部屋で軽々と打ち砕かれることになります。
先ほど古布院がギャン泣きした昆虫展示室にて、またもや山野さんが事件を起こします。こっそりクリティカルをしている一ノ瀬さんを差し置き、展示品の一つである生きている蛹にファンブル結果として触れてしまいます。それを切欠に大量の喋る蛍が羽化しますが、山野さんは何故かこれが気に喰わないのか敵意を剥き出しにします。悲痛な断末魔も虚しく『少年の日の思い出』の主人公のように蛍を一つ一つ潰していく山野さん。この狂行に対して、自然な流れで蛍を守る会が設立されPvPが発生。DEX対抗でファンブって行動不能になった一ノ瀬さんを飛ばしての古布院のターン、今までの動きから説得しても無理と悟った古布院は、初期値ですが〈組み付き〉を試みます。これに成功。ここで名実ともに古布院は茶番に強いという謎の設定が追加され、観念した山野さんは後ろ手にネクタイで縛られ、身柄が抑えられた容疑者のようになってしまいました。今更ですが、チビがAPP18の女に組み付き、手を縛る光景は色々と大丈夫だったのでしょうか。以降、彼女はメンヘラ特有の謎の落ち着きを見せ、滅茶苦茶な情緒不安定であることを周囲に知らせます。
人間大の猛犬のリードを握っている気分になりながらも、3人は探索を進めていきます。縛り・縛られながら煽り合いするメンヘラとチビを諫める保護者の姿には涙を禁じ得ません。
その後は特に問題なく物語は進行していきます。急にペプシが登場したり、���命がペプシに換算されたりしましたが、些細な物でしょう。最終的に寿命と思しき数字をどう管理するか、わちゃわちゃと相談することになりました。KPは後に「というかこれあとは出たらクリアなんだよなぁ…」と語っています。
余談なのですが、私はシナリオの製作者にはいささか心当たりがありまして、その人が作るシナリオはゆるふわしながらも後味の悪い、とても苦いコーヒーに大量の砂糖を入れ、ミルクを入れ忘れたような、甘くて苦いフレーバーに定評がありました。正直終始警戒していました。いつ隠し味がこちらの身を滅ぼすのかと。なので、この「寿命」は何かリスクがある物だと思いました。何より、CoCは大抵こういう時に驕った者から破滅するのが鉄板です。アーティファクトを気軽に持ち帰ってしまい狂気の世界に身を投じる事になる探索者の話題は尽きません。
学芸員である古布院は、この寿命の源であったルビーの宝石を責任者の断りなしに持ち帰っては学芸員失格だ‥‥と思うだろう、という免罪符を元に6号にルビーを手渡します。後に分かったのですが、このルビーは殆どボーナスであり、古布院は自らボーナスを手放す間抜けになってしまったのです。そういう事もありますよね。ちなみにこの時点でルビーは別に古布院の所持物と決まっていた訳ではないので、勝手にパーティのボーナス総量を減らしたことになります。申し訳なさで涙がちょちょぎれます。
脱出目前で3人で仲良く神話生物を見て、皆がSANチェック成功する中ひとりだけ最大値正気度(12)を減らす事になった古布院は置いといて、寿命を少しペプシに変換しながらも「換金できそう」とルビーを手放さず寿命が倍増した山野さんは、先ほどの私の予想通り、最後に手痛いしっぺ返しを喰らう‥‥と見せかけて6号に救われます。可愛いし頼りになる。
エンディングでは無事に脱出できた一ノ瀬さんと山野さん、ついて来た6号、発狂ロールが決まってないのでどうRPしていいか分からない古布院、そして探索者の頭上からKP権限で振ってきた万札を映しながらハッピーエンドでセッションが終了しまし��。
最後まで一人だけクリティカルできませんでした。全員1回はファンブル相当の判定結果があったので、そこは仲良しですね。
テキセ初心者と謳って参加したラーメンマさんとなんしさん、もうテキセ初心者と言わなくて大丈夫だと思います。言ったら嘘になるので、もう言わないようにしましょう。それぐらいに2人ともRPが面白く、勢いというか、なんというか、色々凄かったです。KPのchocomintoさんも可愛い6号のRPや円滑な進行をなされて、初KPとは思えませんでした。個人的に「情報は此処にはもうないよ」等、定期的にシナリオをぶっちゃけるのはキーパリングの中でも重要な事だと思っています。天の声を響かせるタイミングが上手く、それもあり茶番が多かったですが6時間40分に収まることができたと思います。
今回は本セッションに参加することができ、非常に楽しかったです。アカウント設立時はオンセが出来るか不安でしたが、みなさん優しく対応してくださり助かりました。テキセCoCの雰囲気を掴むことが出来たのは私にとって恐らくかなりのプラスの要素です。今後もオンラインセッションを楽しんでいきたいと思います。
末尾になりますが、同卓して下さったchocomintoさん、ラーメンマさん、なんしさん、本当にありがとうございました。
おまけとして古布院の画像をここにもアップしておきます。
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
あとネタで作ったコフィンダンス古布院です。
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終わりです。
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recordsthing · 5 years ago
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推しカプ(しきはる)に100の質問
何年前のネタだよ(
これって腐寄りの文化だったんですね、なんかやりたくなったからやっただけです。
質問はこちらから(こういうのも懐かしい)→(http://bianca77.easter.ne.jp/)
甘い毒(最近上げたPIXIVに上げたss)とその後日談(まだ上げてない)の設定が微妙に入ってたり。
1 あなたの名前を教えてください
志希「志希ちゃんだよ~、よろしく♪」
晴「オレは結城晴。よろしくな」 2 年齢は?
志希「普通のjkだよ~」
晴「12…なんだよ、成長期なんだよ」 3 性別は?
志希「XX染色体」
晴「女だよ、よく間違われるけどな」 4 貴方の性格は?
志希「好奇心と自由のままにっ!」
晴「んー…真面目な方だとは思ってるけど、どうなんだろうな」 5 相手の性格は?
志希「純粋でまっすぐで可愛いよっ、粗にして野だが卑ではない」
晴「かわいくねーって、えーと…自由気まま?」 6 二人の出会いはいつ?どこで?
志希「あれは路地裏で晴ちゃんが猫を見つけてて…」
晴「捏造するなって、オレが志希のバックダンサーやることになってレッスン場で顔を合わせたのが最初だったな」 7 相手の第一印象は?
志希「いいニオイだったねー」
晴「いきなり出てきたからビックリした、すぐいなくなるし神出鬼没って感じだった」 8 相手のどんなところが好き? 志希「からかい甲斐が���るところかな♪」
晴「…志希の前では絶対言いたくない」
9 相手のどんなところが嫌い?
志希「時折見せる眩しい表情かな」
晴「んだそりゃ…オレを玩具みたいにからかってくること」
10 貴方と相手の相性はいいと思う?
志希「線対称というより点対称、それ故に重なってるのかな」
晴「ライバルとしては申し分ない…けどな」 11 相手のことを何で呼んでる?
志希「晴ちゃん♪」
晴「志希」 12 相手に何て呼ばれたい?
志希「ダーリンとか♪」
晴「絶対嫌だ、晴って呼び捨てで」
13 相手を動物に例えたら何?
志希「ウサギかな?あのコスが好きなだけどねー」
晴「めっちゃ性格の悪い黒猫」 14 相手にプレゼントをあげるとしたら何をあげる? 志希「特性ブレンドの香水とかいいかも?アタシを意識して欲しいな♪」
晴「サッカーチケット、一度でいいからちゃんと試合見て欲しいんだよな」
15 プレゼントをもらうとしたら何がほしい?
志希「晴ちゃんからの愛情がこもってたらなんでも♪」
晴「んー、特に希望はないけどもうあのアメとかは止めて欲しいな」 16 相手に対して不満はある?それはどんなこと?
志希「晴ちゃんはけっこうタラシっぽいところがあってねー、他の女の子を口説いてるとこかな」
晴「そんなつもりねーよ、失踪癖と気まぐれなところと難しい言葉を使うところかな」 17 貴方の癖って何? 志希「匂いを嗅いじゃうことかな?」
晴「リフティングしながら考え事をすること」
18 相手の癖って何?
志希「ガムをよく噛んでたり噛み癖あるかなー?」
晴「スキンシップをしながらこっちの匂いを嗅いでくる」 19 相手のすること(癖など)でされて嫌なことは?
志希「アタシが匂いを嗅ぐ前に制汗剤とか使っちゃうこと」
晴「サッカーの後とか使うと気持ちいいから仕方ないだろ、話してる時に興味なさそうにされるのは嫌かな」 20 貴方のすること(癖など)で相手が怒ることは何? 志希「アタシと晴ちゃんはらぶらぶだからそんなことはないよー♪」
晴「…、梨沙との活動とかウェディングやった時の話とかすると不機嫌になってるかな。よくわかんないけど」
21 二人はどこまでの関係?
志希「そりゃあもうどこまでも♪」
晴「…ノーコメントで」 22 二人の初デートはどこ?
志希「ライブハウス?」
晴「あれはデートじゃねえだろ、梨沙もいたし」 23 その時の二人の雰囲気は?
志希「お互いがお互いを認め合ったね、うんうん」
晴「いいライバルだなと思ったよ、あん時はな…」
24 その時どこまで進んだ?
志希「あれってどう表現すべきなのかな」
晴「…まぁライバル関係になったってことで」 25 よく行くデートスポットは?
志希「あちらこちらに四方八方!」
晴「志希が飽きっぽすぎてここって決めることはないな、商店街とかふらふらしてるぜ」
26 相手の誕生日。どう演出する?
志希「楽しくも忘れられない誕生日にしてあげるよ♪」
晴「…怖っ、飯でも一緒に食べるくらい?」 27 告白はどちらから?
志希「晴ちゃんだよねー♪いやーあのときは驚いたよ」
晴「言わされた感があるけどな…責任を取るために、な」 28 相手のことを、どれくらい好き?
志希「半径6000キロメートル!」
晴「どのくらい…?あんまり意識したことないな…」
29 では、愛してる?
志希「もちろん♪恋愛物質どばどばだよっ」
晴「愛って感覚はよくわかんねーな」 30 言われると弱い相手の一言は?
志希「うーん、真っ正面からくる告白はどきどきさせられちゃうね」
晴「アイドルやってる時の表情からなんか言われると痺れるな…」 31 相手に浮気の疑惑が! どうする?
志希「自白剤を使う?」
晴「まぁ気にしねーかな、なんだかんだ信頼してるし」 32 浮気を許せる?
志希「絶対アタシのもとに帰ってくるからべつにー」
晴「…誠実じゃないだろ」 33 相手がデートに1時間遅れた! どうする?
志希「こっちから向かうかな」
晴「いつものことだから心当たりを探して連絡を待つ」 34 相手の身体の一部で一番好きなのはどこ?
志希「未成熟な四肢♪」
晴「顔…というか表情かな」 35 相手の色っぽい仕種ってどんなの?
志希「ダンスレッスンやってるときかな♪」
晴「真面目な顔で静かに考え事をしてる時」
36 二人でいてドキっとするのはどんな時?
志希「好意を示してくれたとき~!」
晴「こっちの考えを読まれたとき…ドキってそういうことじゃないのか?」 37 相手に嘘をつける? 嘘はうまい?
志希「生まれてこの方バレたことないよー、にゃはは♪」
晴「つかねーよ、相手を騙すなんてよくないだろ」 38 何をしている時が一番幸せ?
志希「アイドルをやってる時は退屈しないね!」
晴「サッカー…だったけど、アイドルも悪くないな、かっこいい衣装さえくれれば、うん」
39 ケンカをしたことがある?
志希「今のところはないよー」
晴「…まぁ、そうだな」 40 どんなケンカをするの?
志希「ちゅうりゃーく」 41 どうやって仲直りするの?
志希「いかどうぶーん」
42 生まれ変わっても恋人になりたい? 志希「恋人じゃなくてもいいかなー、次はアタシがギフテッドじゃないかもしれないし」
晴「生まれ変わってからじゃないとわかんねー」
43 「愛されているなぁ」と感じるのはどんな時?
志希「アタシのことを意識してる時♪」
晴「めっちゃ構ってくる時」 44 「もしかして愛されていないんじゃ・・・」と感じるのはどんな時?
志希「他のアイドルとかプロデューサーのことを話される時かなー?」
晴「約束とか大事にされてない時」 45 貴方の愛の表現方法はどんなの?
志希「惚れ直させちゃう♪」
晴「ストレートに伝えるよ」
46 もし死ぬなら相手より先がいい? 後がいい?
志希「後かな、絶対に蘇らせるから」
晴「オレが先に死んだら悲しむだろうから後で」
47 二人の間に隠し事はある?
志希「そんなものないよー」
晴「わざとらしく触れられたくないんだろうな、ってのを感じることはあるな」
48 貴方のコンプレックスは何?
志希「にゃははー、なんだろうね?」
晴「こういう時だな、えーと…かっこよさが足りないとこ」 49 二人の仲は周りの人に公認? 極秘?
志希「そろそろ公表しちゃう?」
晴「絶対止めろ」 50 二人の愛は永遠だと思う?
志希「 永遠を誓って、幸福を手に入れる。求められるヒトの愛は、複雑なカタチをしてるんだ。簡単な解じゃイケナイんだって!あたしにも解けない問題があるなんて!でも……ま、解く気もないケドね 」
晴「?まぁ愛じゃなくてもいいんじゃね?」
51 貴方は受け? 攻め?
志希「せ…タチって言ってもいいんだっけ?」
晴「…?何の話だ?サッカーならfwだけどよ」 52 どうしてそう決まったの?
志希「アタシがそうなるようにアピールしちゃったから♪」
晴「…?」
53 その状態に満足してる?
志希「んー、化学的に安定はしてるけど不安定な方が変化があって面白いんだよねー、ということで期待してるよ♪」
晴「なぁよくわかんねーんだけど…」 54 初エッチはどこで?
志希「アタシの実験室♪」
晴「ぶっっ!なんつー質問すんだよ!しかも答えるなよっ!」 55 その時の感想を・・・・
志希「いやぁ~かわいかったよ!あんな声上げるなんて普段の晴ちゃんからは予測できなかったしー」
晴「止めろってば!思い出したくねーよあんなの…」 56 その時、相手はどんな様子でした?
志希「とても感じてくれてたようで良かったよー♪」
晴「めちゃくちゃ楽しそうだったよ…くっそ…」 57 初夜の朝、最初の言葉は?
志希「夜通しってのはやったことないねー、やってみる?」
晴「問題がありすぎるだろっ!絶対に嫌だ!」 58 エッチは週に何回くらいする?
志希「一回できたら良い方?お互い忙しいからねー」
晴「忙しくなくてもこれ以上やるのは勘弁だ…」 59 理想は週に何回?
志希「1日おき��したいから、3~4回かな?」
晴「回数の問題じゃねーだろ、いや増やしたいわけじゃないけど」 60 どんなエッチなの?
志希「いかに晴ちゃんを気持ちよくするかの実験エッチ!」
晴「なんかもうよくわかんなくされて、めちゃくちゃにされる」 61 自分が一番感じるのはどこ?
志希「んー、わかんないから晴ちゃんに色々されてみたいな♪」
晴「耳噛まれたりなめられるのは苦手だけど…感じてるっていうのか?」 62 相手が一番感じているのはどこ?
志希「どこでも感じさせちゃうよ!」
晴「…この前手を絡めたら結構ビックリしてたな、それ以外知らねー」 63 エッチの時の相手を一言で言うと?
志希「まだ見せぬ未成熟な色香とフェロモンがムンムンって感じ♪」
晴「なんだっけ…マッドサイエンティスト」 64 エッチははっきり言って好き? 嫌い?
志希「楽しいよー、新たな発見がいっぱいあるから!」
晴「…嫌いじゃない(ぼそっ」 65 普段どんなシチュエーションでエッチするの?
志希「アタシの秘密の実験室で色々とねー」
晴「薬を仕込まれるか強引に襲われるんだよ…はぁ…」 66 やってみたいシチュエーションは?(場所、時間、コスチューム等)
志希「二人でやったライブの後に高級ホテルで四六時中エッチとか?」
晴「オレが志希を攻めてみたいってのはあるかな、受けっぱなしは性に合わねー」 67 シャワーはエッチの前? 後?
志希「浴びさせないっ!」
晴「…後に浴びたいんだけど、場所的にな…」
68 エッチの時の二人の約束ってある?
志希「ないよー♪」
晴「約束しても破りそうだしな」 69 相手以外とエッチしたことはある?
志希「…(汗だらだら」
晴「あるわけねーだろ。…志希?」
70 「心が得られないなら身体だけでも」という考えについて。賛成? 反対? 志希「身体と心は親密な関係にあるから、心を得て身体を得るのと何が違うの?って思ってるかなー」
晴「義理を裏切るのはよくねーだろ、反対で」
71 相手が悪者に強姦されてしまいました! どうする?
志希「記憶を消して、いつもの日常に戻してあげる。あらゆるツテを使って償わせるよ」
晴「…志希ならそんなことならないから大丈夫だろ、立ち直るまでオレが支えるよ」 72 エッチの前と後、より恥ずかしいのはどっち?
志希「なんで恥ずかしいの?」
晴「ずっと恥ずかしいっての!」 73 親友が「今夜だけ、寂しいから・・・」とエッチを求めてきました。どうする?
志希「そんな親友はいないよー♪その瞬間に見知らぬ他人になるだけっ」
晴「気が動転してんだろ、ゆっくり話でもするさ」 74 自分はエッチが巧いと思う?
志希「愛情で満たされてるとエッチが上手くならない、名言だね」
晴「やられっぱなしだか��下手なんじゃね?」 75 相手はエッチが巧い?
志希「うーん…才能を感じる、かな」
晴「いやらしい動きが上手いんだよな…色んな意味で」
76 エッチ中に相手に言ってほしい言葉は?
志希「名前呼ばれるの好きなんだよねー♪」
晴「こっちを気遣う言葉かな」 77 エッチ中に相手が見せる顔で好きな顔はどんなの?
志希「イく瞬間♪」
晴「…そんなのはねぇ」 78 恋人以外ともエッチしてもいいと思う?
志希「んー経験としてはアリ?バレたら許してくれなさそうだけどねー」
晴「バレるとかバレないじゃなくて、人間的にダメだろ」 79 SMとかに興味はある?
志希「この前やろうとしたら怒られちゃった♪」
晴「…勘弁してくれ」 80 突然相手が身体を求めてこなくなったらどうする?
志希「志希ちゃんショック!もう一回細胞に気持ちよさを刻んであげるっ♪」
晴「忙しいのかなーと思うくらいかな、気まぐれだし」 81 強姦をどう思いますか?
志希「……ノーコメントー」
晴「初めてがそれだったもんな…(睨み」 82 エッチでツライのは何?
志希「晴ちゃんにプレイを拒否られること…」
晴「恥ずかしい目にあわされること」 83 今までエッチした場所で一番スリリングだったのはどこ?
志希「事務所のシャワー室?たまたま一緒になったときにムラっときちゃって…」
晴「あの時はマジで焦った」 84 受けの側からエッチに誘ったことはある?
志希「何か言いづらそうに服の袖を掴んでデートに誘ってくれたけど、あれはそうだったの?」
晴「…ノーコメントで」 85 その時の攻めの反応は?
志希「素直に嬉しかったかな?」
晴「…」 86 攻めが強姦したことはある?
志希「アルワケナイヨー」
晴「…ほぼ全部そうだろ」 87 その時の受けの反応は?
志希「結構本気で拒否されちゃう」
晴「無理矢理されるのは嫌にきまってるだろ!」 88 「エッチの相手にするなら・・・」という理想像はある?
志希「ないよー、晴ちゃんで満足してるし♪」
晴「想像つかねー」 89 相手は理想にかなってる?
志希「もちろん♪」
晴「……一応」 90 エッチに小道具を使う?
志希「薬って小道具なのかな?」
晴「なにがあるのか考えたくはないな…」 91 貴方の「はじめて」は何歳の時?
志希「18歳ー、サ○エさん時空だし」
晴「…12」 92 それは今の相手?
志希「……………あ、飛鳥ちゃん」
晴「それ以外にねーよ、ってそうだったのかよ!」 93 どこにキスされるのが一番好き?
志希「首元っ、アイドルの手前よくないんだけどねー」
晴「どこも好きじゃない…」 94 どこにキスするのが一番好き?
志希「晴ちゃんの唇、美味しいよっ」
晴「…嬉しくねーよ」
95 エッチ中に相手が一番喜ぶことは何?
志希「身体を撫でてるときかなー?」
晴「…オレが情けない声を出してるとき」 96 エッチの時、何を考えてる?
志希「いかに気持ちよくしてあげられるかっ!」
晴「何も考えられないくらい恥ずかしい」 97 一晩に何回くらいやる?
志希「基本一回だねー、晴ちゃんがイったらおしまいっ!」
晴「それ以上はもたないっての…」 98 エッチの時、服は自分で脱ぐ? 脱がせてもらう?
志希「あんまり脱がないかな?恥ずかしいしー」
晴「いつの間にか脱がされてるんだよな…」 99 貴方にとってエッチとは?
志希「楽しいこと♪」
晴「…恥ずかしいこと」 100 相手に一言どうぞ
志希「これからもよろしくねー♪」
晴「ったく…ああ、よろしく」
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visualness · 6 years ago
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- 己龍 (Kiryu) new look -
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ayasumi-spark · 6 years ago
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ラーメン二郎を一日で三食くらった時の話
 ジロウと呼ばれる少女から電話がかかってきたのは、水曜日の早朝のことだった。外は小雨が降っていて、絶好のひきこもり日和だった。ぼくはその日、ひさしぶりの休日で、ゆっくり体を休めようと前々から考えていた。昼過ぎに起きて、コーヒーを淹れ、スパゲッティをつくり、メシアンを聞きながらねむりにおちる、退役軍人のように贅沢な休日を過ごすつもりだったのだ。  ぼくは夢の中で昔すきだった女の子と放課後の教室でたわむれていた。ぼくは夢の中で16歳になっていた。当時クラスでも地位の低い層に位置し、ナメクジのように矮小な存在であったぼくには、このような甘美な思い出はない。これは記憶の再現ではなく妄想なのだ。  夕日の中、ふたりの手が重なったとき、突然アイフォーンが屠殺前の鶏のようにけたたましく鳴り響いた。そしてぼくは2019年の東京にひきもどされてしまう。目を開けると見慣れた中央線沿いの安アパートの天井がそこにはあった。休日のあまい眠りを阻害されたことに腹をたてながら、ぼくはアイフォーンの画面を見た。非通知発信からの電話だった。いつもなら無視するところだが、なにか予感めいたものを感じたぼくは、応答を意味する緑色のマークをフリックして、その大人しくなった機械を耳に押し当てた。 「わたしよ。ジロウよ」とジロウと呼ばれる少女は言った。 「きみか」とぼくは簡単に言った。  なぜ彼女がぼくの番号を知っているのか、なぜ平日の早朝に電話をかけてきたのか、疑問は多くあったが、なぜかぼくはこの状況をすぐに受け入れるようとしていた。それは彼女の持つ独特の性質によるものだ。彼女は突拍子もないことを納得させるなにかを持っている。 「やれやれ。こんな朝早くからいったいなんの用だい」ぼくはまどろみの中に片足をつけたまま言った。「ずいぶんひさしぶりじゃないか。それにしてもこんな朝早くに急に電話なんていただけないな」 「ラーメン二郎に行くわよ」とジロウと呼ばれる少女は言った。 「なんだって?」 「ラーメン二郎に行くわよ」  ジロウと呼ばれる少女は壊れた玩具のようにくりかえした。ラーメン二郎だって? 「オーケー。きみがラーメン二郎に行きたいということはわかった。でもなんでまた、こんな朝早くにとつぜん連絡してくるんだ」 「三田本店は8時半からあいているのよ」  会話が通じないのはいつものことだが、さすがに起き抜けにこの会話は堪えるものがあった。 「ラーメン二郎に行きたいことはわかった。ならばきみはひとりで行けばいい」 「7時40分に田町」とジロウと呼ばれる少女は有無を言わせぬ口調で言った。「わかった?」 「7時40分に田町」ぼくはおどろいてくりかえした。部屋にあるディジタル時計の針は6:21をしめしていた。「かんべんしてくれ。そもそも、そっちはぼくの電話番号を知っているのに、自分は非通知でかけてくるなんて非常識じゃないか? きみはいつも――」 「あなたはきっと来るわ。私にはそれがわかる」  ジロウと呼ばれる少女はそう言って唐突に電話を切った。  やれやれ。いつもこうだった。彼女はいつもとつぜんなのだ。とつぜんぼくの目の前にあらわれてぼくの心を乱して去っていく。まるで夏の積乱雲のように。そしてぼくはその雷雨にあらがうことはできず、いつもただ受け止めるばかりなのだ。  ぼくは布団から這い出て、洗濯物や読みかけの本が溜まっていることを思い出しながら、シャワーを浴びて、それからおろしたてのジャケットを着た。いつもこうだ。ジロウと呼ばれる少女のことばに従わざるをえない。ぼくの一連の行動は、まるで高度な洗脳にかかった愚かな信徒のようだった。靴のかかとに穴が空いていることに気づき、すこし憂鬱になりながら家を出た。やれやれ、ぼくはいったいなにをしているのだろう? とにかくこうして、ぼくのラーメン二郎をめぐる冒険がはじまった。
 ジロウと呼ばれる少女がジロウと呼ばれる由縁は簡単で、ラーメン二郎が好きだからだ。  彼女はラーメンを愛した。昔ながらの醤油ラーメンを愛した。濃厚な魚介豚骨を愛した。芳醇な鶏白湯を愛した。 コクのある味噌を愛した。エグみの強い豚骨を愛した。脂っこい家系を愛した。そして、とりわけラーメン二郎にたいしては、なみなみならぬ愛情をもっていた。それゆえ、彼女は女性でありながらジロウという愛称で呼ばれるようになっていた。 「今や全国にラーメン二郎は数多くあれど、こんなに朝早く、八時半からやっているのはこの本店だけね」とジロウと呼ばれる少女は言った。  三田本店の列に並ぶ彼女は注目の的だった。同じく列に並ぶ男たちからの視線を強く感じる。彼女は平日の早朝にラーメン二郎に並ぶ――だれがどう見ても容姿端麗な――女性である。  読者諸兄にはあらためて解説する必要はないかもしれないが、一応ラーメン二郎について簡単な説明をしておく。 ラーメン二郎は1968年、東京都目黒区の都立大学駅近くに最初の店が開かれた。店主の名前は山田拓美。通称「総帥」と呼ばれている。1970年代前半に港区の三田通りに場所を移してからは慶応義塾大学に通う学生にとってのオアシスとなった(給油所と表現したほうが正しいのかもしれないけれど)。1996年に三度目の移転をし、桜田通り沿いに現在の店舗をひらいている。基本的には豚骨でダシをとった醤油ラーメンである。これだけ聞くと巷によくある普通のラーメンを想像するかもしれない。しかし、味もビジュアルも強烈で凶暴なのだ。まず量が多い。 ラーメン二郎における「ラーメン」あるいは「小ラーメン」は  普通のラーメン屋の特盛のサイズである。「大ラーメン」の量については説明しなくても想像がつくであろう(もっとも量は各店舗によって大きく異なるのだけれど)。太麺の上にはたくさんのヤサイ(野菜ではなく「ヤサイ」だ)と巨大な豚肉(その質量から、ラーメン二郎では「チャーシュー」ではなく「ブタ」と表現する)が乗っている。慣れない人にとっては見た目だけで食欲を消失してしまうだろう。希望をすればそのヤサイの上にアブラ(背油)をかけることができる。そしてスープはかなり味が濃い。化学調味料の溶けた醤油豚骨スープは味蕾を強烈に刺激し、脳味噌の味を感じる部分を直接殴打しているのではないかというほどのを衝撃あたえてくる。「ラーメンではなく二郎という食べ物」とまで言われるようなこの特異な麺類を提供するこの店には熱狂的なファンがついていり、東京ラーメン界で不動の地位を確立していた。  そんな凶暴なラーメンを饗する店(しかもお世辞にも店内は綺麗とは言い難い)に――すくなくとも見た目は――可憐な女性が並んでいるのである。「近くの慶應義塾大学に通っている、講義前に食べにきた学生」とするならば納得はできなくはないし、そういった熱心な女学生は一定数いるのだろうけれど、それにしてもジロウと呼ばれる少女が、この行列において異質な存在であることには変わりはなかった。砂漠に迷いこんでしまったホッキョクグマが目立ってしまうのと同じように。  しかしジロウと呼ばれる少女は慶応義塾大学の学生ではない。そもそもぼくは彼女が何歳なのかも知らなかった。身分、出身、現住所、といった基本の情報すら知らなかった。高名な陶芸家の孫だとか、 某国のエージェントだとか、  六か国語に精通しているだとか、仮想通貨を動かして巨万の富を得ただとか、覆面作家として活躍して何回も芥川賞候補になっているだとか、『トゥーランガリラ交響曲』のピアノを全楽章暗譜しているだとか、そういったうわさはいくつも聞いたことがあるけれど、どれも裏づけはない(渋谷で外国人と耳にしたことのない言語で話しているのを見かけたことはある)。ぼくが彼女についてただひとつ知っているのは、無類のラーメン好きでジロリアンということだけだ。 「ごらんなさい」ジロウと呼ばれる少女は店の中に目線をやりながら言った。「各店舗から次世代の店長候補が集まってきているわ」  ラーメン二郎はのれん分けという形で、弟子たちが全国に「ラーメン二郎」を出店している。店長になるための決まりとして、ここ三田本店での修行が必須となっているのだ。未来の店長を志す者が働きに来るのだ。 「そしてジロリアンのメッカでもある」  ジロリアンというのはラーメン二郎が好きな人間の呼称である。 「そう、わたしやあなたのような」  ぼくはあわてて訂正した。「冗談じゃない。ぼくはジロリアンなんかじゃない」 「そうかしら? こんなに朝早くから三田本店に並ぶなんて立派なジロリアンよ」 「きみが呼んだんじゃないか」 「でもあなたはあなたの意志でここに来た。そうでしょう?」  ぼくはこれ以上の話の展開を面倒に思い、そこで打ち切ってしまった。きみに高度な催眠をかけられているんだよ。そんなことを言ったらまた面倒なことになるし、行列にならぶ他の客にこれ以上奇異の目で見られるのは避けたかった。5chに書きこまれてしまうかもしれない。というか、すでに書きこまれていもおかしくはない。ジロウと呼ばれる少女は、この界隈の知る人にとっては有名人なのだから。
 やがて助手(ラーメン二郎では店主以外のスタッフのことを「助手」と呼ぶ)に招かれ、ぼくたちは店内に入店した。店内の雰囲気はきわめて和やかだった。総帥がスタッフや常連客と談笑しており、「イッヒッヒッヒッ」と特徴的な声で笑っている。  休日の朝からなにをしているのだろう、とぼくは思った。とにかくこれを食べたら家に帰って眠ろう。もっとも、朝からこんなに重たいものを食べて快眠を得られるとは思い難いけれど。先日つくったジェノベーゼ・ソースが冷蔵庫に入っていることを思い出していると、助手のひとりに「ニンニク入れますか」と訊ねられた。  ラーメン二郎では提供前にトッピングの有無を訊かれる。「はい」あるいは「ニンニク」と答えるとニンニクが盛られ、「ヤサイ」といえばモヤシの量が多くなり、「アブラ」と答えるとセアブラが乗り、「カラメ」というと醤油の量が増える。ニンニクとヤサイがほしければ「ニンニクヤサイ」と答えればよいし、アブラだけほしければ「アブラ」と答えればよい。この一連のやりとりを「コール」と言う。それにしても「ニンニク入れますか」と訊かれ「ヤサイ」とだけ答えるのは��会話が成立していない気もする。  ぼくは「ニンニクアブラ」と答えた。言ってから、なぜアブラを増してしまったのだろうと後悔した。ちなみに「ニンニクスクナメ」というとニンニクが少量盛られる。「アブラスクナメ」でも同様に少なめの背脂が追加される。だがしかし「ヤサイスクナメ」と言うと「ヤサイが少し追加される」のではなく「デフォルトから減量されて」提供される。非常にややこしい。  ジロウと呼ばれる少女は「全マシ」とコールした。正気の沙汰ではない。なぜなら彼女が頼んでいるのは大豚ラーメンなのである。「豚」のつくラーメンはただでさえ大きいブタがさらに何枚か追加されるメニューのことだ。さらに麺が大盛である。そこにトッピングをすべて追加。麺、ヤサイ、ブタ、スープの濃さからざっと換算すると幸楽苑の醤油ラーメンの十杯分くらいの威力があるラーメンのできあがりだ。彼女は朝からこの量をたいらげようというのだ。  ぼくの小ラーメンはトッピングが少ないこともあり、間もなく着丼した。
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 正直なところまったく食欲がない。 割り箸を握るぼくの手は、まるで難解なエチュードの楽譜を目にしたピアノ初心者のように硬直していた。  ジロウと呼ばれる少女の前に置かれたラーメンは、ラーメンと形容していいのか迷う一品であった。そのビジュアルは醜悪と形容しても差し支えないはない。未開の地の部族が祭事で供する料理のようにも見える。着丼するなり、彼女はものすごい勢いでラーメンのようななにかを食べはじめた。まるで数日ぶりの獲物にありついたライオンのように。その姿に、客はおろか助手たちも唖然としていた。  意を決して、ぼくも目の前のそれの解体作業にとりかかった。まず、麺を引っ張り上げヤサイの上に載せる作業、通称「天地返し」をする。これを行うことによって麺の伸びと味の染みこみを抑えつつ、さらには冷まし、ヤサイを汁に漬けることができる。ぼくは小食なほうではないけれど、起き抜け早朝に食べるものとしてはいささか難儀な代物であった。それでも化学調味料が食欲を無理矢理ブーストさせ、なんとか食べきることができた。その時―― 「ごっつぉさん」  それはまるで中年男性のような台詞だったけれど、その言葉を発したのはジロウと呼ばれる少女だった。目の前の爆弾を処理するのに夢中であったぼくは、彼女のペースには気を配っていなかった。もう食べきったというのか。彼女はどんぶりをカウンターの上に上げ、布巾でテーブルを拭きはじめた(この一連の流れをフィニッシュムーブ)という。それはまるで熟練の工芸職人のような美しい動きだった。  ぼくとジロウと呼ばれる少女が食べ終えたのはほぼ同時ということになる。小ラーメンと大豚ラーメン全マシは高尾山と富士山くらい差があるといっても過言ではない。それをほぼ同じ時間で踏破したのだ。おそらく7分くらいだったと思う。尋常ではない。連れ合いの客がこちらを見ながら耳打ちをしてなにかを話していた。大豚ラーメンを早食いする端正な顔立ちの少女の存在は、このようにしてひろまり、有名になっているのだ。ジロウと呼ばれる少女は、きまって白いワンピースを着ていることから「大豚の君」というあんまりなネーミングで5chやTwitterで話題の人物となっているのだった。  
 ぼくたちは店を出た。食べ終わったらすぐに退転するのがラーメン二郎の、いや行列のある飲食店のマナーだ。ぼくの足取りは非常に重くなっていた。それは胃を圧迫している二郎の存在によるものに他ならない。二郎と呼ばれる少女は、これくらいをたいらげるのは大したことではないという顔でペプシ・コーラ(ゼロカロリーではない)を飲んでいた。 「さあ、帰ろうか」とぼくは言った。「もう帰って眠りたい。おだやかなアリアでも聞きながら眠りたい」 「なに言ってるのよ。次行くわよ?」 「次?」 「ラーメン二郎野猿街道店よ」  ぼくは突然冷水でも浴びてしまったように言葉を失った。ジロウと呼ばれる少女は真顔だった。真剣なのだ。 「なにその顔?」とジロウと呼ばれる少女は言った。「まさか、わたしがホテルに誘うと思う?」  ホテルの部分は無視することにした。「きみは今三田本店で大豚ラーメンを食べたじゃないか。これ以上なにを望むんだ」 「さらなる快楽」 「さらなる快楽」 「そう」  こうなってしまってはだれもジロウと呼ばれる少女を止めることはできない。突き進むだけ突き進んで、我に返るまで止まらない。 春先のイノシシと同じように。 そしてぼくも抗うことはできない。朝方に電話をとってしまったあの瞬間で、ぼくの今日一日の運命は決まってしまったのだ。  かくしてぼくは重い腹をかかえながら、京王堀之内駅という、それこそラーメン二郎を食べに行く用事がなければ生涯訪れることはなかったであろう場所まで行くことになった。
 野猿街道店はラーメン二郎の中でも屈指の量を誇っている。しかしながらあまりの美味さにスルスル食べることが出来た。それは感動的な美味さだった。朝に三田本店を食べて食欲がないにも関わらず、夢中で麺を胃に流しこむことができた。お腹が空いていたらもっと美味かったに違いない。また来よう。
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「最後は歌舞伎町店に行くわよ」 「勘弁してくれ」 「一日で三食二郎食べるのって夢だったわ」 「ひとりでやってくれ」 「端折らずに描写するのよ」 「三田本店編だけですさまじい文量なんだ。勘弁してくれ」 「行くわよ」 「やれやれ」
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 完食。このような無益な殺生はもう二度とやるまいと心に誓った。  それからぼくたちは歌舞伎町のラブホテルに入り、性交をした。最初のキスはニンニクのflavorがした。
 ≪了≫
※この話は事実を基にしたフィクションです。
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baien575 · 2 years ago
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令和5年1月4日(木) まだまだお正月の 賑わいの太宰府です 青空が美しかった 沢山のご来店 ありがとう ございました😊 1990年出版(山と渓谷社) 美味探訪「日本のお菓子」 という本を持って 訪ねて下さったお客様があり 小さな写真のなかには 祖母と母と 向かいの時計屋さんの おじちゃん 計算すると 祖母は75歳(現在は108歳) ほぼ今の母と同じ年齢 まだかくしゃくと していた頃の祖母と 若き日の母に 会えて嬉しかった☺️ お正月🎍 いつものお馴染みさんや 帰省されたお客さま 毎年よってくださる お客さま 家族それぞれの同級生、、 ワイワイと😊 再会をよろこび 消息を確かめ また再会を約束 おばあさまからの 三代にわたる お客さまが 懐かしいなあと 訪ねてくださる Instagramをいつも みています!という お声も多く 嬉しいです🥰 長い間の ご贔屓 誠にありがとうございます🙇‍♀️ まだまだこれから 頑張ります どうぞ 太宰府に来たら よって下さいね😉 ✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨ 国立劇場限定 うその餅 初日より 大盛況にて 完売しております☺️ 次回の入荷は 1/6(金)の予定です お買い上げ頂いた 皆さま ありがとう ございます🥰 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 明日も 花びら餅 ご用意致します✨✨ 梅園菓子処 営業時間 10:00-17:00 🟩令和5年 1/10(火)、1/16(月)、1/23(月)、1/30(月) TEL092-922-4058 FAX092-928-0383 住所:太宰府市宰府2-6-16 西鉄電車「太宰府駅」から徒歩1分 *参道に入って右側5軒目 *大きな看板が目印です ️*全国発送承ります #梅園菓子処 #太宰府梅園 #太宰府天満宮御用達 #うその餅 #ラムレーズン宝満山 #銘菓宝満山#大徳寺納豆宝満山#よろつよ#裏千家#表千家#遠州流#茶席菓子#太宰府みやげ #太宰府和菓子#太宰府天満宮#ミニ梅守#和菓子の贈り物#うそ鳥#鳥好き#鳥のお菓子#太宰府銘菓#宝満山のヒキガエル#博多人形#土うそ#木鷽#土うそ#郷土玩具#花びら餅#国立劇場#十一屋#国立劇場さよなら公演#遠山桜天保日記#木うそ入りうその餅#うさぎのお菓子 (梅園菓子処) https://www.instagram.com/p/Cm_26qdPb7P/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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alexswak · 6 years ago
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Hikawa Ryusuke’s Akira Article(jp)
Hikawa Ryusuke is probably the most famous Japanese anime critic. He wrote an extensive article on the anime industry before and after Akira, articulating what lead to Akira and how Akira influenced the industry thereafter. This article was published in "Akira Animation Archives” which is rather hard to find in good condition, so I thought I might copy the article somewhere. It’s in Japanese nonetheless, as I’m not capable of translating such a sophisticated text, but I hope me publishing this article would lead to someone being interested in translating it. I believe it contains some pretty useful and valuable information. 
‘80時代----「Akira」が”ANIME”にもたらしたもの
本書では、アーカイヴよしてアニメーション映画「AKIRA」の現存する制作資料を句能な限り良好な状態で収録した。完成フィルムとは異なるプロセス上熱気や思いが、そこに見えたことと思う。では、こういった成果物を生んでいった周囲の状況はどうだったのだろうか。あるいは歴史の中で「AKIRA」という作品はどう位置ずけられるのだろうか。あとがきにかえて、ここにその俯瞰図をまとめてみた。
アニメ史から見た’80年代
アニメーションは今や会社にとって、子供のための娯楽映像という存在のみの状態から完全に脱皮し、広く青年、大人へ、あるいは世界へと観客層の拡がりを見せている。
そのきっかけは、1977年、「宇宙戦艦ヤマト(映画版)」の巻き起こした”アニメブーム”である。ところが「AKIRA」の上映された1988年。。。それかれあ約10年が過ぎたころには、原初のアニメブームが持ってータ熱は冷め、明らかに大きな陰りと断層が見えていた。富野由悠季監督作「機動戦士ガンダム」(1979年作品)を産み、アニメブームを牽引した巨人ロボットアニメ作品がTVから一時撤退しているのがそれを象徴しており、オリジナリティや作家性に期待されたビデオアニメもぱっとせず、時代の節目となる兆候がいたるところに見られた時期である。
ブームを陰らせた原因は、大きく以下のつではないかと推定される。
1つ目は学生時代に「ヤマト」や「ガンダム」でアニメに目覚めたいわゆる第1世代(1960年生まれ中心)が、だいたい1982年ごろから「卒業」し始めて会社人になり、’80年代中盤ごろにはほど全員の「卒業」が完了したこと。2つ目は、娯楽性を持った新メディアとして家庭用ゲーム機(ファミコン)が五すぐ急成長したこと。これによって「ドラゴンクエスト」(’86)など高い物語性を有るし、観客が参加する句能なRPGという、アニメよりもおもしろいものを購買層が見つけてしまう。3つ目は、この時期にレンタルビデオが300~500円という価格で全国配備完了したこと。これ以後アニメはハリウッド娯楽大作と同額という、激しいコンペティションに常時さらされていくようになる。
こういった状況下では、アニメ企画も変化さざるを得ない。作品企画をたくさん回して何本か当たるものがあれば良いという風潮よりは、いわゆる”選択と集中”が行われ、セグメンテーションがシフトしていく。ひとつの例がビデオアニメの変化だ。1987年ごろまで、オリジナルビデオアニメ(OVA)の主流は「プチ劇場アニメ」であった。つまり興業規模や尺の観点からすると映画館にかけられるほどではないが、スター性のあるスタッフやキャストを前面に押し出してセールスする方向性だった。これが輝きを失った対抗策として、1988年の「機動警察パトレイバー」が30分6本シリーズの新フォーマットとブロックバスター価格(4,800円)を提示し、逆転ヒットを果たす。結果、OVAは「プチ劇場」から「デラックスなTVアニメ」へとセグメンテーションをシフトさせていった。「AKIRA」が登場した1988年は、日本のアニメーション界自体が、こういった大きなパラダイム・シフトにされされていた時期であった。この周囲状況の変化を念頭におくと、なぜ「AKIRA」がこのような作風となったか考えるとき、理解の一助となるだろう。
’80年代前半、劇場アニメの新時代到来
ビデオアニメという、”TVアニメ以上劇場アニメ以下”というジャンルが新設されたことは、逆に劇場アニメに要求される価値レベルを上げた。それと呼応するように、劇場用アニメーションは’80年代前半に新時代を迎えている。
1983年末に、成人向け以外で初のOVA「ダロス」がバンダイビジュアルから発進する。同年春には角川書店がアニメ制作に進出、マッドハウス制作「幻魔大戦」を公開する。それがキャラクターデザインに大友克洋を起用した初の作品であるのも因縁めいている。1984年には、それを迎撃するような動きがある。講談社が夏に同じマッドハウスで「SF新世紀レンズマン」を制作。だがこれは慘敗に終わる。一方、徳間書店は春にアニメージュ誌に連載されていた「風の谷のナウシカ」を原作者・宮崎駿目身が監督という形で劇場アニメ化、大ヒットとなる。
結果、東映長編漫画映画の血脈を持つ宮崎駿監督と盟友・高畑勲監督の作品をつくる目的で徳間書店の出資によるスタジオジブリが結成され、1986年の「天空の城ラピュタ」を経て1988年には「となりのトトロ」が「火垂るの墓」と2本立て興行で公開、”ジブリ” ”宮崎アニメ” というブランドこの時期に完成した。
玩具や出版に携わる会社は、アニメブームの当初は著作権のニ次使用者であった。ところがその利用側だった会社が発信側に回って一次著作者となるとともに、コンテンツを多彩な展開に使うことを開始、勝者を生み始めていった時期と見ることができる。
「ナウシカ」と同じ1984年春には、押井守監督の名を一躍有名にした「うる星やつら2ビューティフルドリーマー」が公開、その作家性を世に知らしめた。同年春には「超時空要塞マ��ロス 愛・おぼえていますか」が劇場公開。河森正治が弱冠24歳で監督し、それまで版権イラストでしか描かれなかったような細密な描き込みを行ったことで、大きな話題を呼んだ。
こういった”作家性” ”緻密さ” ”リアリティ重視” ”若手” ”新規参入会社” という流れの頂点に立つのが、1987年の「王立宇宙軍 オネアミスの翼」である。この映画はバンダイ制作による劇場アニメの第1作で、のちに「新世紀エヴァンゲリオン」(’95)を制作するガイナックス初の作品でもある。山賀博之監督以下、中核スタッフは大阪でSF大会用映像をつくっていたアマチュア集団ダイコンフィルムの出身で、いわゆるオタク第一世代にあたる若手だ。
彼らの劇場映画「王立宇宙軍」は、そういうパロディ色の強いフィルムになるというおおかたの予想を裏切り、市井の若者が持つ等身大の挫折と野心を当時としては画期的なリアリティをこめて描ききった野心作として公開された。
リアル系作品を貫く人の流れ
このように、’80年代の動きを追っていくと、やがて’90年代になって世界に日本発の”ANIME"の名をとどろかせるべき、ほとんどの役者(アニメクリエイターと会社)が出そろいつつある様が見えてくる。
この流れに、’80年代後半の2つの出来事を追加したい。一つはビデオアニメの覇者「機動警察パトレイバー」が1989年に映画化され、その制作現劇が後に「攻殻機動隊」(’95)をつくるプロダクションI.Gになって、ビデオシリーズから格段にアップグレードした映像を見せたこと。そしてもう一つが本書で取り上げた作品「AKIRA」---そのもたらしたアニメ映像への考え方と、人の流れである。
’90年代につながる流れを見ておこう。「AKIRA」制作末期には、スタジオジブリで「となりのトトロ」を終えたばかりの原画マン(高坂希太郎、 二木真希子、金田伊功)が参加。その”お返し”という意味か、ジブリの次回作「魔女の宅急便」(’89)には森本晃司、井上俊之らが原画で参加している。ここで森本晃司と当時ジブリの制作デスクを担当していた田中栄子が出会い、片渕須直や佐藤好春らとともにスタジオ4Cを結成。大友克洋原作・監督「MEMORIES」(’95)や大友克洋XX成・総監修の「スプリガン」(’98)生む母体となっていく。
また、「AKIRA」における出会いが北久保弘之監督作品「老人Z」(’91)を生み、大友克洋は原作・脚本・メカニックデザインを担当している(キャラクターデザインは江口寿史)。この作品には緻密な絵を描く漫画家として知られていた今敏(こん・さとし)が美術設定でアニメ初参加。今敏は大友克洋のアシスタント経験もあり、実写映画「ワールド・アパートメント・ホラー」(’91)を漫画化した作家だ。「MEMORIES彼女の想いで。。。」の脚本を経て、マッドハウスで「パーフェクトブルー」(’98)、「千年女優」(’02)を監督する今敏は、「老人Z」で北久保弘之、沖浦啓之と机を並べていたという。
インタビューページにもあるように、沖浦啓之は「人狼 JIN-ROH」(’00)、北久保弘之は「BLOOD THE LAST VAMPIRE」(’00)と、90年代未にプロダクションI.Gの成表作を監督することになる。
ここでこういった流れを全部追うことはできないが、「AKIRA」を振り出しにした連鎖反応は多い。人と人に展する技術は流れ、人の進団たる会社を媒介として継承されていくという認識は重要だ。そのように見ていくことで、作品と作品の間に血が通い、ときに遺伝子のように形質を移し替えながら進化をうながす、そういった有機的な結合が見えてくるからだ。この認識を持った上で、アニメーション映画「AKIRA」の位置ずけと、この作品がもたらしたものへの考察をもう少し進めていこう。
アニメーション界に到来した二度の”黒船”
こういう説はどうだろうか。日本のアニメーションは、”黒船”の到来を二度受けているというのは?
非常の失礼な考え方かもしれないが、鎖国をしていた日本が欧米から開国させられ、欧米文化を取り入れて”近代日本”になったように、”アニメーションの国”に”漫画の国”から黒船がやってきて、大変革があったーーーそういうイメージが、どうしても脳裏に浮かぶのである。
一度目の”黒船”とは、手塚治虫のTVアニメ「鉄腕アトム」である。手塚漫画の功績は、乱暴にまとめると、描き割りじみた平面的な日本の戦前漫画に、映画的・映像的なカット割りと構図を連想させるコマ割りを導入し、エポックをもたらしたということになる。
しかし、手塚がアニメ版「アトム」で導入したのは、逆に電気紙芝居と揶揄されたほど非映画的で、止め絵のズームや強引なカットバックでフィルムをつないだものだった。これは、漫画のコマ割りの間にある断層をそのまま持ち入んだような作法である。TVシリーズ予算の問題に対する解決案として、よく槍玉にあげられる3コマ打ち(★1)の導入よりも、このカット割りの方が後世に対する影響は強いのではないか。よく動かそう、アニメ―トしようと見せ場をつくるよい、1枚絵の密度を上げ、少ない枚数、場合によっては止めの積み重ねで見せていくという”アニメ”(呼称も省略形が似合う)の手法は、これは現在でもTV作品の主流になっている。
こう考えて来ると、二度目の”黒船”が大友克洋の本作「AKIRA」という考え方も、何となく成立するように思えてる。”アニメ”は、ここで”ANIME"(★2)への第一歩を踏み出した。。。というと、作り手側は違和感を覚えるかもしれないが、観客サイドからのこういう整理もアリと思って大目に見て欲しい。
1980年前後、大友克洋が漫画界へもたらしたショックは、かつての手塚治虫に匹敵するものがった。日本人の”日本人らしさ”を骨格、骨相とも正確にとらえた人物造形、メカニズムやビル群といったものを緻密に描き込んで厚みを加えられた世界観、映画的な構図とコマ割りなど、漫画に新しい潮流をもたらした。実際、大友克洋以前と以後では、漫画全体に密度感やリアル感という要素は、もし定量化できるとすれば明らかに増大しているであろう。
「AKIRA」以前以後の変化とその要因
問題は、アニメーション「AKIRA」の場合に何が起きたか、「AKIRA」以前以後で何がどう変化したかということに紋られていく。
まず、「AKIRA」の公開時によく言われた「2コマ打ち、リップシンクロ」については、新規技術でも何でもないフルアニメーションの本来的な定義である「画面内にあって動くべきものはすべて自然に滑らかに動かす」という観点からすれば、対費用効果を無視すれば当然の手法である。クイックアクションレコーダー(★3)も制作プロセス上の省力の問題であり、表現には影響しない。黎明期のCG導入(スペシャルパターンの回転)も、光学合成の代用的な使われ方しかしておらず、見せ場となったわけでもない。
こういった宣伝向けに言われてきたことではなく、もっと表現の根幹部分に、むしろ本質的な変革があったように思われる。
キーワードとしては、大友が漫画に与えた影響の劇合と同じく、密度感とリアル感(リアリティ)が中心に来るのでないか。
「AKIRA」で新しい試みのように言われていることは、実はディズニーを代表とするフルアニメーションの作法であった。では、それを導入して「AKIRA」がディズニーのようなアニメーションになったかというと、それとはまた違うところがおもしろい。ここで密度感とリアル感の問題が浮上してくる。ディズニー的なアニメーション作法は、教科書の1ページ目に「スクオッシュ&ストレッチ(漬しと伸び)」と書いてある。つまり、実際の自然現象を省略と誇張することによって、人間の動体に対する感覚をブーストしてある種のトリップ感を引を出すということが、彼らのアニメーション哲学というか、大前提の考え方として存在しているわけである。
ところが、これがわれわれの目からすると、このゴムのような動きはリアリティを損なうものと映る場合が多い。これはディズニー的なものを貶めているわけではなく、文化・作法の差の問題だ。では、「ゴムのようにグニャグニャしないフルアニメーション」があるかというと、それはある。太平洋戦争中のフライシャーによる短編アニメ「スーパーマン」がまさしくそうだ。ここに登場するメカニカル・モンスターは、重心を移動させながら足を出して歩くと、一瞬遅れて手がぶらつくといった、破綻なくもっともらしいアニメートを見せることで確保されたクオリティが、リアリティの震源地である。
だが、それと比較しても「AKIRA」は異なっている。「AKIRA」の場合、ショット全体が抱える重みと、それがフィルムの流れの中で生み出していくリズムが、密度感とリアリティを発生させているように思えるのである。その重みの大半は、作画(原画)段階のモーション部分もあるが、大半はそれ以前の画面の設計図であるレイアウトの段階で盛り込まれている。
ここで大きく要求されるのは、情報量の盛り込み方と取��選択、すなわちコントロールである。
仮想映画的な考え方
アニメーションの構図は、実はアニメート優先で考えられてきた歴史がある。連続的に絵を積み重ね、軌跡を追って描くときに有利なアニメ的画面構成というものが存在する。歪みのないやや広角気味のレンズ、ピントはパンフォーカス、ライティング位置下明(平行光線の屋外)、そして足が地面につかないようややアオリ気味にして背景が楽になる空、室内なら天井が大きく映り、人物の傾きはシチサン(7:3)でという、ひどくスタンダード臭の漂う画面である。
「AKIRA」原作者の大友克洋は、自主映画で監督をつとめるほど実写映画のフィルムメイキングの演出に詳しく、漫画にもそれを仮想映画的なものとして反映してきた作家である。対して当時のアニメの水準では、そのような”仮想映画的に撮る”という考え方は、まだ主流ではなかった。レンズを意織した構図をとり、フレームを決め、ショット内に重みをもたらす飾りつけを行い、観客のエモーションを巻き込む求心力となる役者やメカの芝居といったものを細かく指定し、極力雑多な情報を少しでも多く取り込み。。。という、実写的な姿勢、考え方は、「AKIRA」の絵コンテからレイアウトいたる段階まで通底している。
そして集ったアニメーターは、その考え方に基づくレイアウトが次にアニメーション段階で求めるもの。。。当時としてはまだ夢のようであった”仮想的リアリティ”という要求条件に対して苦闘し、スタジオが解散した後も見果てぬ夢のようにそれを望み続け、各々の作品で各人なりの咀嚼で追求することを始めていったにちがいない。もちろん、そこから離れる場合もあったろうか、しかし何かを意識して離れるということは、実はその何かを求めることと、そんなに遠い行為ではないはずである。
ここで言う要求条件とは、作品に臨場感をもたらすためのものである。なぜ臨場感が必要かとさらに突っ込めば、”絵で描いた世界”に没頭して物語を世界ごと”そこにいる感覚で”楽しむためである。
ごく当たり前のことだ。だが、その一番当たり前のことも、すべて
が作り物のアニメーションのフィルム中では、実は非常にいろんなことを意識的に考え、実行しないと違成できないということなのかもしれない。
15年目の 「AKIRA」
こういった考え方がスタッフにじわじわと浸透しながら完成したフィルムが、「AKIRA」なのだろう。クリエイターたちがそこで夢見ながら違成できなかったことを追求し、続く作品でどんどnアニメーション表現を深化させ、リアリティ追求をエスカレートさせていったのが、その後15年の”ANIME”の歩みと総括できるかもしれない。
もちろん「AKIRA」だけが単独でこういう考え方をとっていたわけではない。恐らくそれは時代の要求だったのだろう。「王立宇宙軍」が代表するように、同時代的にいくつもの作品、何人ものスタッフが挑戦していった果てのことだ。だとしても、世界的知名度やセールスの成功事例として、「AKIRA」がきっかけであり分水嶺であったとは確実に言えるだろう。
結果的に作画や背景の描き込みは年を追うごとに幾何級数的に増え、人間のアクションは細かい関節部まできちんと追われ、レイアウトはパースに狂いがなく、光源は常に意識され、特殊な仕上げや撮影効果は常時ふんだんい。。。と、青天井のようにアニメーション作品の密度は濃くなる一方だ。初公開時にはあれほどリアルに思えた「AKIRA」が、今観ると非常に漫画的にも見えるのが、何よりの証拠だろう。
臨場感のせいで「リアルな作品」呼ばれるようになったがゆえに、レアリティ追求のため、底なし沼のようにアニメ作品は情報量を飲み込むようになっていた。情報量とはアニメの場合は人手そのものであり、金であり時間である。そして、スキルやノウハウは人に溜まるから、「リアル作品」とは非常に属人性の強いものとなる。その状況は、この種の作品リストから原画マンやレイアウトマンの名前を横に並べたりすれば、すぐに理解できることだろう。
15年を経過して、「AKIRA」に匹敵する新たら分水嶺は、はたしてどのような形で来るのだろうか。それには大友自身の新作「スチームボーイ」がある回答を提示してくれるのだろうか。非常に楽しみである。
次の15年を考えるために、15年前のブレイクスルーがヒントになるかもしれない。
そのためにも、本書が役立てば幸いである。
★1「3コマ打ち」---同じ絵を3コマずつ撮影して動きを設計するアニメーション技法。「打つ」というのはアニメーターがタイムシートに番号を書き込む行為を感常的に表したもの。それまでのアニメーションは、2コマ打ちが標準で速い動きのみ1コマ打ちだった(フルアニメーション=1コマ打ちは誤った定義)。3コマ打ちだと滑らかさは喪失するが、当初TVはブラウン管自体に残像があるので良い等とされたという。ところがこれはコスト削減にも直結するため、やがて劇場作品も経営者によって3コマをスタンダートとするようになっていく。
★2「ANIME」---マスコミで使われる”ジャパニメーション”という単語は、X称(ジャップのアニメーション)という説がある。事実、米国の雑誌や店頭ではほとんど目にしないため、ここでは”SAMURAI”のように日本語がそのまま英語化した”ANIME”を用いた。
★3「クイックアクシオンレコーダー」---’80年代から導入きれるようになった機械。アニメーターは何枚かの原画・動画が完成するごとに、指でパラパめくって動きに狂いがないかをチェックする。通称、「指パラ」と呼ばれる作業で、これは動きをチェックする第一段階だ。当然「指パラ」だけでは確認しきれない、複雑な動きも出てくる。米国でのフルアニメーション制作にはライン・テスト(ペンシル・テスト)という工程があり、ペイントする前に動画にブレ等の破綻がないかチェックする。フィルム撮影を使用するため、コストの関係で国内ではほとんど省略されていた(間に合わせのダミーとして線画を撮影することはあるが、目的が違う)。それを擬似的に行う装置がこれで、ビデオによってタイムシート通りに動画をビデオに取り込み、完成フィルムではどう見えるか、ペイント前にチェックする機械である。「AKIRA」のクイックアクションレコーダーによる画像が、「AKIRA DVD SPECIAL EDITION」(バンダイビジュアル)に特典映像として収録されている。
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yamanokujira · 2 years ago
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dvdhappycom · 4 years ago
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doitsunonihonjin · 3 years ago
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「ぼくには本がある」
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4歳になった息子は日に5〜6冊、ママパパと読む本も数えるならば7〜10冊は本を読むようになりました。ひらがな・アルファベットの習得は、まだ。大抵は静かにページを繰っていて、時折一緒に読んで覚えた内容をブツブツ口にしながら読んでいることもあります。
誕生月と新年、彼の本棚の蔵書数はグンと増えました。和書5冊は、日本から送ってもらったもの。独書(とは、造語。ドイツ語の本)は、誕生日プレゼントに友だちからプレゼントしてもらった本、クリスマスに訪れた際いとこから借りた大量の本、実家で発掘したパパが子供の頃の本。子供部屋のオーガナイザーとしてレイアウトしている2列4コマのIKEA KALLAX(カラックス)上段を、全て本用に開放しました。リビングのソファー横に作っている借り置き場にある本は、もう本棚に入らないぜよ。
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先日、息子と言い争いをしました。疲れ切っていた息子は、散らかりきったおもちゃの片付けを拒否。積木、ミニカー数台、赤ちゃん・幼児期からのおもちゃ、店頭・ホテルでもらったミニトイ――そんな見捨てられたおもちゃたちを、子供部屋から没収することにしました。いずれは整理したかったので良い機会ではあったけれど、知育玩具として積木は使って欲しいなというのが、正直なところ(同時に、息子は積木にあまり興味がないことも気付いてはいました)。没収に当たりしぶとく何度も確認してみると、「いらないよ。ぼくには本があるから、大丈夫」。
わぁー、わたしもそれだけ潔くありたかったわ!
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