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#釘町みやび
hachikenyakaiwai · 7 months
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【かいわいの時】天保八年(1837)二月十九日:大坂町奉行所元与力大塩平八郎決起(大阪市史編纂所「今日は何の日」)
難波橋を渡った大塩軍は、二手に分かれて今橋筋と高麗橋筋に進みます。森鴎外の『大塩平八郎』には次のように描写されています。
方略の第二段に襲撃を加へることにしてある大阪富豪の家々は、北船場に簇(むら)がつてゐるので、もう悉く指顧の間にある。平八郎は倅格之助、瀬田以下の重立つた人々を呼んで、手筈の通に取り掛かれと命じた。北側の今橋筋には鴻池屋善右衛門、同く庄兵衛、同善五郎、天王寺屋五兵衛、平野屋五兵衛等の大商人がゐる。南側の高麗橋筋には三井、岩城桝屋等の大店がある。誰がどこに向ふと云ふこと、どう脅喝してどう談判すると云ふこと、取り出した金銭米穀はどう取り扱ふと云ふこと抔(など)は、一々方略に取り極きめてあつたので、ここでも為事(しごと)は自然に発展した。只銭穀の取扱だけは全く予定した所と相違して、雑人共は身に着つけられる限の金銀を身に着けて、思ひ/\に立ち退いてしまつた。鴻池本家の外は、大抵金庫を破壊せられたので、今橋筋には二分金が道にばら蒔まいてあつた。(七、船場)
この時の模様は、被害に遭った商人側でも詳細な記録が残されており、たとえば、三井文庫所蔵の史料「天保七年 浪速持丸長者鑑」(写真=コメント欄)には、焼き打ちされた商家に赤線が引かれています。ランク順に並べてみると
鴻池善右衛門(総後見)、三井呉服店(行事)、岩城呉服店(行事)、米屋平右衛門(東小結)、鴻池他治郎(西小結)、鴻池正兵衛(西前頭)、米屋喜兵衛(西前頭)、日野屋久右エ門、炭屋彦五郎、米屋長兵衛、甥屋七右衛門、和泉屋甚治郎、鴻池徳兵衛、長崎屋与兵衛、米屋与兵衛、泉屋新右衛門、紙屋源兵衛、小西佐兵衛、越後屋新十郎、よしの屋久右衛門、大庭屋甚九郎、昆布屋七兵衛、さくらいや八兵衛、平野屋喜兵衛、某
など、25商(店)の名前があがっています。今橋筋、高麗橋筋の商家は軒並み焼き打ちに遇っています。肥後橋の加島屋久右衛門(西大関)はコースから外れていたため難を逃れたようです。
(写真)「天保七年 浪速持丸長者鑑」1837(公益財団法人 三井文庫蔵) 相撲の番付表のように商人をランキングした表で、大塩の乱で被害を受けた商家に赤線が引かれている。三井、鴻池などが被害にあっていることがわかる(三井広報委員会)。
また、諸家の記録から、事件当日の様子や対応策、その後の復旧策を見てみると
(鴻池家)加島屋某筆とされる『天保日記』(大阪市立中央図書館所蔵)では天保八年(一八三七)二月十九日、火見台から望見して「鴻池本宅黒焰大盛二立登、其恐懼シキ事不可云」、幸町別邸めざして落ちのび、そこで加島屋某らが「鴻池於隆君・勝治・和五郎」らと無事出あうところが生々しくえがかれている。和泉町の鴻池新十郎家の記録 『北辺火事一件留』(大阪商業大学商業史資料館所蔵)でも、鴻池本家当主の善右衛門が土佐藩邸、長音は泰済寺、そのほか瓦屋町別荘などへ逃げ、鴻池深野新田農民をガードマンとして急遽上坂させるなど、その被害状況や防衛対策が丹念に記録されている。
(三井呉服店)三井では、同日三郎助高益(小石川家六代)が上町台地の西方寺に避難し、「誠に絶言語、前代未聞之大変にて」と、 ただちにレポを京都に送り、木材・釘・屋根板・縄莚などをすぐ仕入れ、はやくも三月八日に越後屋呉服店大坂店の仮普請完成=開店している様子が詳細に記録されている。(コメント欄参照)
(住友家)住友家史『垂裕明鑑』には、大塩事件のまっただなかで、泉屋住友が鰻谷(銅吹所その他)から大坂城にむけて鉛八千斤(弾丸)を三度にわけて必死で上納運搬したこと、事件による住友の被害として、「豊後町分家、別家久右衛門・喜三郎掛屋敷の内、備後町・錦町・太郎左衛門町三ケ所延焼」に及んだこと、そして住友の親類の豪商としては、「鴻池屋善右衛門、同善之助、平野屋五兵衛、同郁三郎」家などが軒並み“大塩焼け”で大きな被害をこうむったこと等々が、 生々しく記されている。
三井家では、享保の大飢饉の後に起きた江戸における打ち毀し(1733年)に衝撃を受け、以後、食料の価格が暴騰すると近隣に米や金銭を配って援助したり、また飢えた人々に炊き出しをしたりするなど、三都(江戸・京都・大坂)において施行を継続しています。それが、大塩平八郎の乱では標的にされ、襲撃された大坂本店は全焼、銃撃による負傷者まで出るほどであったと伝えています(三井広報委員会)。
儒学者の山田三川が見聞きした飢饉の様子や世間の窮状を日記風に書き留めた『三川雑記』には、乱の前に大塩は鴻池・加島屋・三井の主人らと談じ、富商十二家から五千両ずつ借りれば六万両となり、これで何とか八月半ばまでの「飢渇」をしのげると、「しばらくの処御取替」を依頼していたとあります。同意した加島屋久右衛門は襲われず、三井と鴻池は反対したため焼き打ちに遭ったとも言われています(山内昌之)。
ただし、『浮世の有様』の天保八年雑記(熊見六竹の筆記)には、この話は「或説」として取り上げられており、それによると、「十人両替へ被仰付候処、町人共御断申上候筋有之」とあります。三井はもちろん、鴻池や加島屋にも記録はなく、風評の域を出ないものと思われます。
(参考文献) 中瀬寿一「鷹藁源兵衛による泉屋住友の “家政改革”-大塩事件の衝撃と天保改革期を中心に-」『経営史学/17 巻』1982 三井広報委員会「三井の苦難(中編)」三井グループ・コミュニケーション誌『MITSUI Field』vol.39|2018 Summer 山内昌之「将軍の世紀」「本当の幕末――徳川幕府の終わりの始まり(5)大塩平八郎の乱」文芸春秋2020 山田三川『三川雑記』吉川弘文館1972 矢野太郎編『国史叢書 浮世の有様』1917
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foo3rd · 11 days
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会話
最近頭に浮かんだ面白い会話をメモに残しています きっとリアルで人と話さなすぎるからこんなことになるのでしょう 1 ブロックごとに別シーンで、基本的にシーンの前後で関連性はありません 登場人物は 2 人で、改行は発話者が切り替わったことを意味しています 自分用のメモなので色々と端折ってて分かりづらかったり、そもそも全く面白くないなどの不具合が発生する場合があります 気に入ったものがあれば持って行ってください
イラストなしだとシャクなので年初に試しに描いたやつを貼っておきます AI が出力したものをトレスしたものであることに注意してください
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[ver 1.1]
こちら筆下ろしになっております 描き下ろしな?
これはねぇ、許されませんよ 誰に? 神 引き取った幼女犯したりしたの?
右腕のピーチ・ジョン手術で…… リハビリ要るかそれ
諦めないで! なに 夢、諦めないで! どんな 錦糸町ランチの夢、諦めないで! 主人公の生い立ちから教えて
精神の…… うん 精神のニュートラルギアが…… 壊れてんの? 私マニュアルだから…… え、免許は? オートマ ギアの話飛び越えてんだよ
戦争責任……感じるんでしたよね? 私? うん いつの 大東亜 そう呼んでんのは日帝なんだよ
ところでヒロってさあ ヒロ? ヒロヒト 言わなくて良いよもう
ブルーレット置くだけ はい スカーレットがね、泣いてるの なんかあったの? でも誰も知らないの 泣いてることを? うん なんか不都合あるの 考えてない お前が産んだんだぞ
いい天気ですね そうね ババくさい? なにが? 天気の話するの そんなもんじゃないの ご飯まだ? 最後のほうでしょ 孫まだ? そうなるかは人によるから 煉獄参の発売まだ? あれを待ってんのは少年の心だから
仕事がね うん 終わった 良かったじゃん って思ってやまない 終わったんですよね? 終わった 良かったじゃん って思っててさ 良し悪しだけ覆してる?
ねーんねーんころーりよー 誰か寝かしてんの? おこーろーりーよー 誰? 坊っちゃんは良い子だ〜 坊っちゃん? ねんねしな〜 私じゃないよね?
切り捨てようかなって 何を? 端数 でしょうね
女の子の名前ってわくわくするよね そう? よく名付けサイト見るの へえ ほわーってなる 産むの? いんや 男の子産まれたら? えー、太郎 太郎に謝って?
君よこしまなこころ持ってるね そりゃな ここにこころのノートがあるじゃろ 懐かしいな こうやってボロボロになるまで読み返すわけだ 他にあるだろう これが君のこころだ 詰めてるのかそれは?
悪いことをしたら柱に釘を打つの へえ 良いことしたら抜くの 穴が残るって言うんでしょ? ガンガンに火つけてさ うん? どうだ明るくなったろう なんの話?
遊園地行きたい へぇ、どこの とちのきファミリーランド ファミリー無しで? 池の鯉がさ、ばちゃばちゃって 寄って来たっけね 私が餌あげにいかないと死んじゃうかも 普段はなんか食ってるでしょ あんのかな 藻とか食ってんじゃないの
[注釈]
トミー・ジョン手術 - Wikipedia
Amazon _ 煉獄 The end of the CENTURY(仮称) - PS3 _ ゲームソフト
心のノート 小学校5・6年:文部科学省
テーマ 『くぎの穴の教え』
どうだ明るくなったろう (どうだあかるくなったろう)とは【ピクシブ百科事典】
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orhpee-annex · 1 month
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生命拾いと戯れる~草加健康センターと戦後~
 「人生の楽園」と題されたテレビ番組がある。西田敏行のナレーションで、四半世紀も続いている。都会暮らしの勤め人を脱した家族が田舎に逃れてパン屋や蕎麦屋を営む様を、楽園を得たひとに見立てて紹介するという筋立てだが、子供の頃のわたしは手品に魅入るように番組を眺めていた。近年、この番組に紹介された人々の七割が元の都心に戻っているという風説が囁かれている。それ自体は驚くに足りない、だが自ら築いた楽園をあっさり放逐される寓話は、逆説的にメーテルリンクの戯曲の有名な教訓を証明しているようだ。
 草加健康センターの話をしよう。
 わたしがこの地を踏んだのは8月10日。日本がポツダム宣言を受諾した日からちょうど77年後、北千住駅から東武スカイツリーライン快速に乗ること二駅の草加駅から送迎バスで10分、或いは徒歩で一時間で辿り着くこの場所は既に多数のサウナ愛好家たちにより紹介されており、さらに付言して汚すのはしのびない。
 しかし百聞は一見に如かず。高温ながら高湿度に保たれたサウナ、真夏日でも15度を保つ清涼なハイブラの水風呂、小体な施設内で最大限に設置された外気浴の椅子。そして、サウナ室の入口と水風呂がおなじ露天スペースに設置されている為に一連の動作を円滑にする親切な導線は、灼熱の煉獄から逃れて救いの泉を得、その後微風に扇がれつつ身体に沸々と涌く余韻を味わうまでに些かの遅疑もさせまいとする心遣いを表している。その快楽は、身体に即せば高温からの急激な冷却を経ての血管の急激な収縮、拡張による血流や自律神経への好影響ということになる。だが、暑さ寒さの彼岸を好んで彷徨った挙句、外気浴スペースの椅子に背を預けて空を仰いだとき、晩夏の午後の光が雲をふちどる風景をふと目にして感じる瞑想的な法悦は、ただ身体の機構に帰して済ませてよい類のものだろうか。
 走っている  火の海のなかに炎の一本道が  突堤のようにのめりでて  走っている  その一本道の炎のうえを  赤い釘みたいなわたしが  走っている  走っている  ――宗左近『燃える母』より
 思いつく限りの戦時における空襲の描写を挙げれば、どこかで必ず火の海を逃げ惑う様子であったり、水を求めて煮えたぎる川に飛び込んで落命したひとの姿に行き当たる。『方丈記』以来の生き地獄の描写である。わたしは冗談ではなしに、高温のサウナに炙られている最中、先に挙げた宗左近の詩を連想する。信濃町で、母と二人で炎のなかを逃げ惑い、つい手を離してしまったが為に母は焼け死に、詩人が悔恨から鏤刻した凄まじい詩のことを。
 だが、サウナがひとを殺すことは殆どない。わたしは自由に出口から抜けて出て、水風呂に浸かることが許されている。この水風呂も十秒以上浸かれない程に冷たく、一瞬で身体を覆う火照りを剥がしてしまう。水面に浮かぶ無数の泡が時に光の反射で無数の砕氷のように錯覚することすらある。それでもこれは八甲田山の死の彷徨ではない。
 あくまで戯れに抑えられた灼熱と寒冷の往還とその余韻はどこか生命の危機から九死に一生を得る体験に似ている。次第によっては神仏の実在をひとに確信させるに至る、真の九死に一生の体験も身体の出来事だけに焦点を当てれば急激な緊張からの解放という一連の運動であり、これが浄化の感覚を否応なく引き起こす。草加健康センターがわたしに幾度となく追体験させてくれる快楽、それは極言すれば死の恐怖を抱く手前で精密に抑制された九死に一生ということになる。
 解剖学者の養老孟子は90年代の講演集にて、くり返し「仏教の古い経典に描かれている極楽は『空腹も寒暖もない世』である」として彼の都市批判に繋げている。この極楽は日本において概ね達成されて久しい。コンビニでおにぎりもアイスも買えるし冷暖��が一家に一台備えられている世界は古人の夢見た極楽の姿をしている。日本国憲法の序文に綴文された「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」て今日まで幸運や、反対に薄氷を渡るような危機を躱して、今日楽園を前提と出来る程の世を享受している。そして、わたし達が世に抱く不平不満も煎ずれば極楽を足場に叫ばれている。
 古人の想像力は、しかし果たして灼熱と寒冷の彼岸に戯れる、この草加健康センターのような施設にまで到達しただろうか。これはどんな古賢さえ夢にも見なかった楽園の一形態である。そしてわたしたちは他者により隅々まで保障の行き届いた施設にて生命拾いの快楽と戯れることさえ許されている。過去の悔恨も未来への恐怖も束の間忘れて、他者の承認も不要としながら独り身体的快楽の余韻に身を任せるとき、楽園のうえに更に築かれた楽園の到来に戦慄しないだろうか。
 一方、誰が語ったか人生百年の時代であると言う。地上の至るところで戦禍がやまない世に先人の建立した砂上の極楽浄土が永続すると仮定して平和裡に制度維持の恐怖に震えること自体が既に慢心であると一瞬でも掠めたひとがどれほどいるだろう。遠い未来、わたしたちは抑制された灼熱ではなく、本物の火に生命を奪われるかも知れないのだから。
 故にわたしは草加健康センターへふたたび通う。細心の注意により存続する楽園が、楽園として享受出来る限りにおいて。滅びの予感のなかで穏やかな現在はいっそうかけがえなく在る。そしてセンターの隣の自販機でアイスを贖い、舐めながら草加松原駅に至るまでの鄙びた道のりを歩き、暑さの峠を越えた夜風や虫の音に、これも優しい秋の気配を感じながら。
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sokmil-idol · 1 month
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フリラモ個撮LABO Vol.435 釘町みやび
フリラモ個撮LABO Vol.435 釘町みやびの詳細 発売日 : 0000-00-00 配信開始日 : 2024-08-16 出演者 : 釘町みやび レーベル : ランク10国 メーカー : ランク10国 シリーズ : フリラモ個撮LABO ジャンル : グラビアアイドル/美女/スレンダー/ランジェリー/網タイツ/HD(ハイビジョン) 作品紹介 ランク10国がフリーで活躍するグラビアアイドル、コスプレイヤーなど“ココ”でしか観られない可愛い女の子や綺麗な女性をご紹介!Vol.435のモデルは釘町みやびさんです! / フリラモ個撮LABO Vol.435 釘町みやび 詳細はこちら サンプル画像 もっと見る
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bearbench-3bun4 · 2 months
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「虚無への供物」中井英夫 3331
第三章
33 閉ざされた扉
この節は、<八田皓吉(はったこうきち)の供述>と<伊豆金造の供述>です。 つまり、かなりそれぞれの主観で描かれるということです。
本名は八田広吉(やだこうきち)だそうですが、易者の勧めで商売には八田皓吉という名前を使っているみたいです。 八田皓吉の方が分かりやすいですね。
で、 年は四十二歳ですから、大正2年生まれの丑(うし)となります。 先の対戦が1945年に終わってますから、戦争にいったのでしょうか?
本籍は大阪市阿倍野区松虫通三丁目十三となっています。 番地までわかりませんが、三丁目まではすぐに見つかりますね。 大丈夫なんですかね。
現住所としては、麻布谷町から世田谷区太子堂町四五二に移ったことになっています。 職業は、売り家に住み込んで改築して販売する家屋ブローカーだそうです。 女房の千代に先立たれ天涯孤独です。 状況としてはこんなもんですかね。
千代の両親が殺された経緯が、八田皓吉から語られます。 両親が殺された現場を見て、すぐに元晴の犯行ではと疑います。 そこへ、女の声で 「元晴は本郷動坂上の黒馬荘(くろうまそう)いうアパートに鴻巣玄次という名でいる」 と連絡があります。 この女性は誰なんでしょう?
八田皓吉がアパートの部屋に行ってみますと、ちょうど例の金造がいます。 その金造が逃げ出したあと、両親殺しについて問い詰めると、 コップのウィスキーを飲んで倒れ白目むいて苦しみ出したので、 毒飲みよったあと叫んで、靴だけ持ってドアから飛び出して交番へかけつけたといいます。 風呂敷みは置いていたのでしょうか? いずれわかるのでしょう。 金造の証言とはちょっと違うようですね。 八田皓吉はその人の見間違いだろうといいます。
次は、伊豆金造です。
かなり自己中な証言ですね。 嗅いだこともないのに、ウィスキーから青酸カリの臭いがしたとか、 喧嘩する気になってたら、すっかりひるみやがってタジタジになったとか、 人のことは気にしないし、陰口や噂話が嫌いなので、他人に来た手紙なんか見るわけがないとか、です。
ところで、 八田皓吉は左のコップか右のコップかわからないと言ってましたが、伊豆金造は、左だろうといいます。 そういえば、青酸カリの入ってたのが、左のコップか右のコップかはっきり書かれていなかったような気がします。 いずれわかるのでしょうか? で、肝心の事件の顛末となります。
八田皓吉が来たのと入れ違いに、伊豆金造は部屋を飛び出します。 その後、管理人の婆さんと隣の空き部屋から盗み聞きします。 その後、兄さんって人が毒をって叫んだとき、廊下に顔をだしたから間違いなが、 八田皓吉は部屋から出てないというのである。 まあ、臆病者の伊豆金造の証言なので、警察も信用してないみたいです。 が、 とよ婆さんも、伊豆金造と同じ証言をします。 しかも、部屋のドアがいきなり乱暴にしめられ鴻巣玄次が苦しそうに這って行って、 タンスの引き出しをあける音までしたと証言します。 結局、 八田皓吉が叫んだのは、玄関で靴をつっかけながらだろうということで落ち着いたみたいです。 鴻巣玄次こと川野元晴の自殺だろうということみたいです。
鴻巣玄次がそのアパートにいると電話してきた女は? 八田皓吉が叫んだのが部屋の中だったとしたら、事件はどう変わるのか? 部屋の中からはでられませんしね。 八田皓吉が持ってきた風呂敷包みのことも気になります。 鴻巣玄次こと川野元晴の両親惨殺も状況が語られますが、本編とどれだけ関係があるのか?
2月24日の夜に松次郎が電気コードで絞殺、 コードでぐるぐる巻きにされ押し入れの下段に、 うめの方は後頭部を強打されたのが死因で同じ押し入れの上段のに安置したように上を向いて寝かされていた。 この押し入れが釘でうちつけられていたので、行きずりの強盗などではないと判断し、 家出した不良息子の元晴の仕業と決定づけられた。 ただし、うめの殺害に用いられた凶器が発見されていない。
川野の家では、息子が孝行してくれて一週間ほど九州の親戚へ行くことになっていて、 事件の発覚が遅れることになる。 この息子が、八田皓吉のことなのか、鴻巣玄次こと川野元晴のことなのかとここでわざわざ書いているのは、 意味深ですね。
南千住三丁目が両親殺害のあった場所となっていますが、 そこには、大きなガスタンクの真下に拡がる町だと表現されています。 ガスタンクの正体は、東京ガスの石炭コークスを使ったものみたいです。 現在のイメージでは、球体ですが、当時は円筒形だったみたいで、高さが見る時間によって違ったそうです。 昭和36年に地下鉄の日比谷線の南千住駅が開業してて、 その駅を挟んだ南千住七丁目には昭和37年に開場した東京スタジアムがあります。 だから、ここでいう現代とは、昭和40年頃ということになりますね。
つづく
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morisob0418 · 2 months
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狐の会
「土曜日に僕達の家の窓から見える景色」
 ほんの少しだけ土曜日に僕達の住む家の窓から見える庭で行われるパーティーの話をしよう。僕達は線路のそばに住んでいて、隣の家から聴こえてくる感情的すぎるピアノと叫び声と電車の音で構成されている現代的三重奏の中で生活している。この家には青いカーテンのかかった大きな窓があってそこからよく外を見ているんだ。窓はいつでも人を釘付けにする。
 土曜日の昼過ぎになると窓から見える家の庭に色々な人達が集まってくる。
背が高くて猫背の眼鏡をかけた青年。彼は昔もらったラヴレターをいつも鞄の中に入れていて、一日に何度もそれを読み返す。彼は僕の町でのちょっとした映画の権威なんだ。医療ミスで視力を失ったじいさん。彼は未だにベートーヴェンとマルクスと処女に恋をしている。「God Save The Queen」と書かれたTシャツを着て高そうなエレキギターを持っている少年。単位と責任と時間の中で揺れている。中途半端なパンク精神が絶望的状況を作り出している。髪を金髪に染めてとても短いスカートをはいた女の子。彼女は自分の持ち物に必ず自分の名前を書く。肩からのぞくブラジャーにさえ名前が書かれている。何かを失くすのが怖いんだって僕の友達に言っていた。彼女は何かの象徴に見える。いや、僕が象徴に飢えているのかもしれない。
 他にも色々な人がやってくる。保険証を取り上げられて病院に行けない白髪のおばさん。大学で芸能ニュースと海外旅行の計画とセックスを専攻している女子大生。パソコンの中で結婚を考えているロマンチストな男の子。就職活動に失敗した猫。
 彼等は夕方になると僕たちの家の庭で勝手にパーティーを始める。どこからかテーブルやイス、灯りが運ばれてきて誰かが料理や飲み物、デザートまで持ってくる。そして周りを気にすることなく(僕達の家の庭だっていうのに)大きな声で話をし始める。彼等が何の話をしているかは分からない。僕達は入れてもらえないんだ。でもよく耳をすましていると、少しは聞き取れることもある。政治の話、就職活動にかかる費用の話、戦争の話、90年代でもっとも重要なレコードの話‥。先週の土曜日はあの猫背の青年を筆頭に映画の話で盛り上がっていたみたいだよ。「あのシーンはゴダールを意識していたんじゃないかな?意図的かどうかは分からないけど概念的には。少なくとも僕はそう思うよ。」
 夜になるといつの間にかみんな消えていく。星がひとつ出るごとに一人ずついなくなっていく。そして誰もいなくなった後、そこには寂しさを漂わせたランプの灯だけが残っている。それを消すのが僕の役目なんだ。告白すると、今日もまた僕の肘の横の窓の下には僕に消されるのを待っている灯が見える。きっと僕が灯を消すのを待っている誰かがどこかの窓際で肘をついて座っているんだろう。人にはそれぞれ何かしら使命というものがあるとしたら、今の僕の使命はあの灯を消すことだと思う。さて、そろそろ行かないといけない。彼等のためにも、僕のためにも。僕が灯を消すのを待っている誰かのためにも。
 今夜は星が良く見えるよ、本当に。
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2gsahoko-intermission · 3 months
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『マーヴィンズ ルーム』感想
スコット・マクファーソン作『マーヴィンズ ルーム』の劇団昴による上演を見てきた。1996年にメリル・ストリープやレオナルド・ディカプリオ、ダイアン・キートンといった布陣で映画化されている。映画は未見&舞台上演も未見、今回の上演が初見だった。
卒中で寝たきりとなり認知症が進行中の父マーヴィンと背骨や足に損傷を抱える叔母ルースを20年に渡って介護してきたベッシーは、ある時、白血病を宣告される。骨髄移植に向けた適性検査のため、絶縁状態だった妹リーが息子のハンクとチャーリーを連れてベッシーらの暮らすフロリダを訪ねてくる。ベッシーとリーは再会を喜びあうが、どこかよそよそしい。ベッシーは、息子たちに対するリーの高圧的な態度に驚きを隠せない。ハンクはリーの恋人への反発から結果的に自宅に放火し、現在は精神病院に入院している。リーとハンクは一触即発で、心を閉ざしたハンクは移植にも消極的である。しかし、ほぼ初対面だったことが幸いし、ベッシーはハンクをただの甥として接する。次第にハンクの態度は軟化し、適性検査を決意する。若い頃はベッシーの献身を理解できなかったリーだが、生活を共にする中でベッシーへの理解を深めていく。美容師の資格取得を目指すリーは、姉のウィッグを整えることを約束する。一家は連れ立ってディズニーランドへ遊びに行き、ベッシーはリーにセットしてもらったウィッグを装着している。しかしベッシーは体調を崩し、倒れてしまう。帰宅したベッシーの元に、適性検査の結果が届く。リーたち母子のうち、マッチする者は誰もいなかった。沈むベッシーに追い討ちをかけるように、チャーリーがハンクの書き置きを渡してくる。ベッシー宛に家出の意思が綴られていた。ショックを受けるも、マーヴィンの世話をするためベッシーは部屋に入る。リーが書き置きを見つけ、怒りとともに破り捨てる。その直後、ハンクが戻ってくる。リーはただ「勝手にいなくならないで」と釘を刺し、ハンクは黙ってルースの世話をしに行く。マーヴィンの部屋では、ベッシーが光の反射を天井に映してみせており、二人の楽しげな笑い声が響く。
本作はエイズ・クライシス真っ只中の1990年に初演を迎えた。フロリダ在住の老いた親戚やエイズを発症したパートナーの介護や看護といったマクファーソン自身の経験が踏まえられている。
「家族はツラいよ」はアメリカ台詞劇の大きな流れをなすテーマであり、本作もその系譜に連なっている。ただ、不器用であるがゆえにすれ違ったり勘違いしたり、怒りと苛立ちを募らせて、真正面から衝突しあい傷つけあう家族像はもっぱらリーとハンクに託されている。むしろ本作で重視されているのは、家族の間でのケアの互恵的なあり方だと感じた。
ベッシーとマーヴィン、ルースの家族は、介護や看病が生活の核に据えられているためか、家族のニーズを満たすことが最優先であり、がっぷり四つで衝突し合う姿は前面に押し出されていない。ベッシーを中心に、家族のニーズを把握し、応えようと心を傾ける姿が基本的に描かれている。忘れっぽいルースは、ベッシーが留守の間にマーヴィンに薬を飲ませる役目を託されてもすっぽかしてしまうが、ベッシーは呆れるだけで怒りはしない。怒ったところでマーヴィンが薬を飲んだ状態にはならないからである。食べ物を分け合い、同じテレビ番組を楽しみ、ガラスの反射光を天井にぶつけて笑い合ったり、密着した関係がベッシーとマーヴィン、ルースの間には見出される。
劇の始まりの時点では、未婚の中年の娘が親や叔母の介護に時間と労力を搾取されているのではないかと常に疑いながら観客はこの作品に対峙する。この観客の認識は、リーとベッシーの断絶の背景を形作っているものと同じであり、つまり、観客はベッシーに対してはリーと重なる疑いの視線を投げかけている。
しかし、ベッシーのケア労働はただ自己犠牲的かというと、そのようには描かれていない。まず、ベッシーはマーヴィンの呼び声全てに忠実に応えているわけではない。悪夢にうなされて一瞬目が覚めて不安になって呼ぶマーヴィンの声に、リーは不安になるが、ベッシーは「すぐに眠るから」と判断し、あえて応えない。マーヴィンがどのような状態にあり、何を求め、何を必要としているかを総合的に思いやり、判断できていることが窺える。
また、ベッシーとリーが接近するにつれて、ケア労働にうまく従事することはベッシーにとってのある種の贖罪であり救済であることが明らかになっていく。ベッシーは、リーに初めての恋人との思い出を打ち明ける。夏の間だけ町にやってきていた移動遊園地のスタッフで、大口を開けて声を出さずに笑うという特徴的な笑顔をもつ男がベッシーの初恋の相手である。ある時、ベッシーは移動遊園地の面々と川辺で遊び、その日は寒かったのにベッシーの恋人はおどけて川に飛び込み、潜ったり浮かんだりしていた。大口を開けて笑う恋人は、そのうち、川から姿が見えなくなった。実は、恋人が川から向けていた顔は笑顔ではなく溺れかけて焦る顔だったのである。誰も危機に瀕していると判断できず、恋人は溺死してしまったのである。
この思い出話が挟まることで、ベッシーが介護や看護にひたむきになる理由がくっきりと浮かび上がる。助けを呼ぶ声を聞き取ることができず、歪む顔を笑顔として読み違えてしまったがために死なせてしまった経験から、ベッシーは、マーヴィンやルースの頼る声をしっかり聞き取り、ニーズに応えようとするのである。しかも、愛する人のためにでき��幸せだと力強く言い切るのである。ケアをするという行為自体が、ベッシーの傷ついた経験を慰めていたのである。そしてそのようなベッシーと接するうちに、自暴自棄になっていたハンクは得意の配線作業で一家を助けるようになり、チャーリーはディズニーランドでルースの車椅子を嬉々として押し、リーはベッシーのウィッグの調整を申し出るようになるのである。
このように、『マーヴィンズ ルーム』ではベッシーを巡って「ケア」が肯定的に捉えられており、また、「ケア」を通じた家族の再構築が行われようとする作品としての側面を有している。本作の面白さはさらに、「ケア」を大上段に構えず、ドライな世話のあり方も笑いを交えながら提示していることである。
たとえば、ベッシーを診るウィーリー医師は、患者の名前を再三間違えて全く気にしないし、ベッシーと話が噛み合うようで噛み合わず漫才のようなやり取りに帰結する。また、ハンクが入所している精神病院に勤務するシャーロット医師は、リーには応接室での喫煙を咎める癖に、一人になったら自分もタバコを取り出し、リーのキャラクターを面白がるコメントを口走る。家族関係から外れた立場からケア労働に関わるキャラクターたちは、ケアすることを通じてケアを受けるという循環の中には組み込まれず、また家族関係の再構築に深くコミットメントしておらず、業務として一線を画している。
また、家族の中でもルースは「変わり者」として描かれているためか、自分が受けるケアも人に対するケアもぶっ飛んでいて笑える。ルースは長年背骨や足の激痛に悩まされていたが、ある時脳の信号をコントロールする装置を身につけることで痛みを格段に軽減させる措置を受ける。ただし、装置のスイッチを押すとガレージのドアも連動して開いてしまうという弊害も生じているが、ルース始め家族はそういうものと受け入れている。極め付けは、訪問看護師に対するルースの反応である。ベッシーが入院していることを悟らせないために、ルースは訪問看護師をマーヴィンにだけ見えている存在であるかのように振る舞ってしまったとベッシーに告白するのだが(これにはベッシーも愕然とする)、これも突然の環境の変化がマーヴィンに悪影響を及ぼさないか考えたがゆえの行動であることが語られる。ワイルドカード的な存在であるルースは、摩訶不思議なものとしてケアをなんだか愉快にしてしまうキャラクターとなっている。
介護・看護する存在が介護・看護される側となり、疎遠だった家族と再開し…と、いかにも重々しい家族ドラマが繰り広げられそうな題材で、意外にも笑いに包まれていたのは、ドライな第三者の視点が巧妙に配置されていたからだといえる。
このタイプの作品は、スター的な存在が牽引するというものではなく、俳優全員の化学反応が肝心といつも思っているが、その点今回のプロダクションは安定していた。個人的に好きだったのは、佐藤しのぶのルースである。とにかくチャーミングで、忘れっぽくて困った行動を時々するのに憎めないキャラクターに仕上がっていた。すりガラス越しの部屋からマーヴィンの言葉にならない声だけが聞こえてくるという演出も、岡田吉弘の的確な演技によってマーヴィンの機微が窺えてよかった。
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lunahoshisolar · 6 months
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弦巻マキと私が怪談をする理由
「モカちゃんだよね?帰国子女でイギリス育ちって、マジ?」
転入初日の転校生の私の周りはきっとそういうセリフで溢れかえるのであろう。宮舞モカは、脳内で同じ景色のイメージを繰り返した。「モカ」という、自身の本名で弄られることもあるかもしれないが、その時は、「モカちゃん、モカ好きだったり?」と意地悪く聞かれてもこう答えるつもりだ、「まあ、実は」。
キャラ付けは、唐突な理由であったとしても、やぶさかではないのだ。
宮舞モカはいわゆる「陰キャ」だ。陰気なキャラ、陰の気を纏うキャラ、陰気な雰囲気なキャラ、陰険不粋支離滅裂……自分をそのように定義してきたのはモカ自身であった。
もしモカの守る強い自我が壊れるとするなら、陰を圧する程の陽気を身に纏った「陽キャ」によるものである、とはモカにとっては自明の理であった。陽の気を圧倒する陰の気で武装すればモカの自我は守られる。だから、モカは「陽キャ」に対抗できるだけの陰の気を使い、陰気に陰で人目につかないところで論理を講じれば良いだけだった。
それがモカの考え得る「最適の生存戦略」であった。モカは生き残らねばならなかった。
情報収集のためにモカは引っ越したばかりの土地で一人散策をした。
一人行動が肝で、これは「学校で一人で行動していても猫好きな自分は気質が猫的であるから」と上手く納得してもらうために、考えた設定だった。
母がイギリスで可愛がってた野良の黒猫は、その為に「モカの唯一の親友なのだ」とモカは母にわがままを言い、日本に連れ帰ってきてもらった。モカの唐突な強い自我に驚いて母親はもちろん、快諾した。
しかしもちろん、これは嘘だった。イギリスの話を聞かれたら、猫といたから寂しくなくて、友達が居ないんだとか、居なくても平気とか、自分の話を避けたくて作った設定だったのだ。別に猫が居たから友達を作らなかったんじゃなくて、アニメの話をする友達をネットでだけ作って、引きこもりを家族に心配させないためだけに家にいる趣味を作っていたら、こうなってしまったのである。
音楽を聴くのが好きだったわけじゃあない。黙っている言い訳が欲しかったのだ。ヘッドホンをつけて、下を向いていたい。しかし、そうやって快適に無挙動でいるために世界観を領域的に展開する完璧な選曲のプレイリストは、気付けば独自色が強く、自我を感じずに居られぬ趣味の様相を放ってしまった。ここまで蓄えた知識を、使わない陰キャではない。ネットDJを、始めた。ショート動画を投稿して、猫ミームに乗せた自分のニッチな趣味の、わかる人にはわかる感じがある、そういう音源を加速させたりノイズを入れたりした、ヤバい感じ、普通じゃない感じの音源がコメント欄で、「ヤバい」と賑わうのが、モカは爽快であった。
モカは承認欲求を醸造した。
一挙手一投足がキャラ立てしていなければならなかった。
それでないと全て夢が晴れてモカは現実が見える。嘘は少し真実が入っていて美化されていれば、趣味がいい表現方法になる。もしモカが、ただ単に英語を喋れるアニメオタクとバレてしまってはいけない。それをモカ自身も気づきたくないしモカが気付かなければ突っ込まれることもないだろう、だって陰キャだから。
そうやって、自我の強さを隠せぬまま、モカは新しい町の一角で寂れたカフェに入った。しかし、思ったより中が小綺麗であり、そこに予想外で慄いてから、顔涼しく自我論理を整理して気分を落ち着かせていた。ちなみにもちろん、モカを注文した。
気分が落ち着いてからモカは思い出す。時間差でジワジワ襲ってくる本当の問題はそのカフェモカを持ってきたのが金髪の少女だった事であり、しかも……
「(えっ……同じ制服なんだが……?)」
……モカのこれから通う、学校の制服を着ていた事であったのだ。
宮舞モカは、いわゆるハーフ、ではない。純日本人の「純ジャパ」であるから、「帰国子女」属性だった。
これはこれから通う学校で既に外国情緒枠が埋まっていて、しかもそれを外見で即捕捉出来てしまう「パッシブスキル」としての「外国情緒」枠である。宮舞モカ、彼女のように、「アクティブスキル」として、使う武器として、コマンドを押さないと発射されない「外国情緒」じゃない。ここまで来ると下位互換で呪いに近いのだ。「英語出来るマウント」で、押し通すしかないのだ。
しかしそれにはこのブロンドの少女が、英語ができるのかできないのかを判断しなきゃいけない。この日本で私以外に英語ができる人がそんなにいるわけないから、私が話しかけて判断しなきゃいけない。
ーーハードルが高すぎる……。それじゃあ、外見を。
「パッシブスキル」を盛るしか。それしかないのである。アニメ属性として、「海外育ちはエロくて無意識だ」なんてものがあるのだ。こいつは、使わない手は無いので、日本で「ドM」の象徴のチョーカーとか、日本育ちでは珍しい「谷間の露出」、そういう私が英国でもやってない格好を日本国でやることにした。
幸い髪も切って、インナーカラーを入れて(アニメでも流行ってる)、そうすれば、大人しくて怖く無いけど外国人的でかっこいい「私」が生まれ、金髪の子にも客だったのがバレず済む。今日起こったことは転生モノの小説の、転生前に突然起こるトラックの接触事故だったのだ。金のトラックに私は事故って、今、神の恩寵により理想の自分自身に生まれ変わったのだ。そういう流れで私の事前知識系チート人生が始まる。
……はずだったのだ。その少女は、私のクラスに居た。そして、帰国子女設定を盛り過ぎたせいで、陰キャ隠しのための「大人しいクール系」設定が化学反応を起こして、「日本語が苦手」だと先生に思われてしまった私は、クラスで唯一英語が出来るその少女の隣の席を任命されてしまった。そしてその少女にマシンガントークで英語で話され、私の「一目置かれる黒猫少女」という夢の学園生活は終わりを告げた。
ーー絶対今浮いてんじゃん。
ーー絶対怖がられたな。
もうキャラ変更が容易に出来なくて、脳内の自由が、アイデンティティの可変性が私からは消え去っていったと感じていた。思ってた流れではなく無意識に、「興味のなさそうな生返事をする無気力系無言威圧主人公」に私はなっていたのであった。
「日本語は、どれくらい出来る?今言ってること、わかるかなー?この後の授業とか、先生に相談する?あ、英語で言い直そう!えーっとねー」
「あ、えっと、弦巻、さん……だっけ、私、日本語出来るから……気を遣わないで、ね」
「うっわー!日本語ペラペラじゃーん!やばー!心配したの恥ずかしすぎる!みんな、モカちゃん日本語めっちゃうまい!」
ーー何故……
何故全てが、悪い方向へ行くんだ?「英語めっちゃペラペラ」の想定はしたが、「日本語めっちゃペラペラ」は想定せず、日本語のうまさで弄られるのも想定せずにいた。
「あはは……私、アニメ好きの陰キャですので〜……ははは……」
もうクソ喰らえで私は、自ら白旗を上げ、セルフハンディキャップという完全なる防御技を繰り出すに至った。セルフハンディキャップとは、自分自身の自我を守るために敢えて自分を��最初からできない奴」と定義して、自分や他人からの失望に先制して釘を刺す行為だ。
「マジで!?私、バンドやっててさー!アニソンめっちゃ弾いてるよー!ギュンギュンって、ムスタングでね!エレキギターなんだ!」と弦巻マキは金髪を振り乱して陽キャに語った。早口語りもこいつがやれば可愛く済むようだ。もう脳内にさえ私の居場所は無い。
「そうなんだ……なんか、すごいね、弦巻さん……私なんか、一人でネットでーー」
「あ、弦巻さんじゃなくってマキでいいよマキマキとかマッキーとか」
心が完全にポキリと折れた。三つの選択肢、多すぎる。私には何もわかることができない。
今、自分が猫だったら奇声をあげて飛び上がってそこら中にあるものにぶつかりまくり部屋を出ていた。本当に人間でよかったと思うし、もう黒猫女子なんてクソ喰らえと感じていた。人間万歳だ。
「じゃあ、マキ、さん、は……えと、沢山あるんだねえ、好きなこと……」
嫌味のつもりで言った。早口でうざい、と言うつもりで。弦巻マキは笑顔で頷いて、私は消えたかった。私が昔言われたことは、彼女にとっては褒め言葉に感じるのだ。私はやっぱり普通じゃ無いのだ。やはり私は新しい自我を創り出し、その中で完璧にキャラになり切って生きなきゃいけないのだ。
宮舞モカの肉体とキャラという棺桶に生きるアンデッドだ、私は。スクールカースト外の最下層で、人々に生かしてもらわなきゃいけない、精神的インプレゾンビなんだ。建物の中に生きている血肉の気配と音だけで駆けつけて必死に這い上がる腐乱死体だ。頭の中で一番大きな雑音の「弦巻マキ」に、本能で追い縋るしか私は出来なくなってしまっていた。
そんな風に、私は彼女の父親が営む「喫茶マキ」の常連になっていた。
放課後、隅っこで、店を手伝う弦巻マキの淹れたモカを飲み干し、おかわりを気付いて淹れてくれる弦巻マキとの無言の交流を「特別さ」の演出のために知らぬ顔で用意した。幸い、ノマドにオタク陰キャをさせてくれるだけの物質的優位性を私は確保出来ていて(スマホ、タブレット、ノートパソコン、ファイルのクラウド連携等)、私はずっと殻に篭ることができた。猫が懐く時のように、距離を置きながら空間を共有した。庇護欲に頼りたかったからだ。でも、弦巻マキは私を庇護しなかった。
「モカちゃ〜ん、今日も、閉店まで居てくれたね」
弦巻マキは笑顔で身を乗り出しながら、向かいに座る。これは、毎日の日課になった。彼女は、私が彼女のために閉店間際まで店にいると思っているらしい。そのポジティブな陽キャ思考の恩恵で私はほとんどの文脈を自分で作ること無しに受け身に築かれた、対等なる友情を享受した。
「うん……マキちゃんが居るから……えへへ……迷惑かなぁ……」
迷惑なわけがない。弦巻マキは、思っていたよりも、静かな時間を好むタイプだったからだ。
学校では明るく音楽や友達の話をし、ギターを練習して、時には歌ってから、家に帰る。父親のためと思われた喫茶店での手伝いは、むしろ自分のために行なっているようだった。コーヒーを淹れ、掃除をしながら、完全に「ここにいない」、空想の世界に旅立った虚な目をした弦巻マキを、そのうち地蔵のように意思なく座る宮舞モカに対して頻繁に見せるようになったからである。
そして、毎日毎日閉店後に自分の向かいに座る時、私に対して「何か」確認するような目線を向けることが増えていたのだ。
それが何かわからない。しかし、私にそれに同意する以外やることは無い。私は意思無く、彼女の意味のある目線に同意するように目を合わせ続けた。
……今思えば、猫同士がお互いの存在を確認し合う時にそうするようにだ。
「迷惑なわけないよ、私って……、学校での時が、全部の私じゃないし。それを見てる人がいると、ちょっと救われる、自分は普通じゃなくても居場所がありそうだから……なんちゃって。重いかも!」
どきり、とした、普通じゃない弦巻マキと言われると私もそうだと言われた気がした。
だから、私はそう言い、続けた。先に言って、認めちゃえばいいと思っていた。
「わかるよ。私も普通じゃない部分あるし、シャーロック・ホームズだってさ、普通じゃない……そう言う人が、普通じゃない視点だから普通じゃない事件を任されて」
シャーロック・ホームズが特段好きなわけじゃなかったが、その英国で一番愛された虚構の人物になれば、虚構の中に住む自分が愛せるきっかけになると思った。私は、自分を構成するもの全てが、消費され得る要素に格納されてなければ、安心して生きることは出来なくなった。
そして、シャーロック・ホームズを引用する私を弦巻マキはとても愛していた。引用する度に拡がる瞳孔を私は決して見逃しはしなかったし、それは私を安心させた。
「モカちゃん、詩人だよー!モカちゃんってシャーロック・ホームズ大好きだよね。流石、イギリスの帰国子女って感じ!私と違って、すっごい、頭いい感じする、教養っていうの?かな〜、うんうん」
また私は、安心した。私が持つものが弦巻マキに無い要素ならば、彼女は完全なる存在であるために私を必要とし続けるだろうと考える。
私が彼女を完全にする、ピースでなくてはならない。弦巻マキを構成する欠けたピースは、私が全て推理して突き止めねばならない。そして、それを全て合わせて、答え合わせをするのだ。今この時のように。犯人は、必ず全てを自白しなければならない。弦巻マキの罪は、私が一番知ることになる。
「それでさ、アーサー・コナン・ドイルって、すごいオカルティストだったっていうのもモカちゃん勿論知ってると思うんだけどさあ」
何?
「うん、そうだね、オカルトエンドの話とかあるしね」
心臓が早鐘を打つ。この入り方はなんだ?
「うんうんうん、そうそう!未知を探求して証明する人が、証明出来ない現象に対してこの世界以上の存在を認知して知覚してしまう、その在り方がすっごくいいと思うんだ!私の持論だけど……」
「わかるよ。私も、この世界がなんだよって思うし、さ……この世界の原理なんて、ぶっちゃけ超自然の前ではゴミカスに過ぎないしね、あはは」
「そうだよ!!」
えっ?弦巻マキは興奮している。私はこれが何かわかっていないが、彼女の呼吸、空気感、リズムを体の方が既にわかってしまっていた。
毎日毎日擦り合わされた充満された空気の密室で、私たちは重なり過ぎていた。
だから、口を突いて、彼女の求める事が体全体で勝手に出てきてしまっていた。私は言った。
「なんていうか、目に見えるものなんか全部虚で、全部幻想なんだよね。全部意味なんてないよね」
……弦巻マキの頬が紅潮してゆく。私は弦巻マキの何かのスイッチを押してしまったようだった。
金髪のエメラルドの瞳の、繊細で柔らかいマキ、頬の肉が幼さを感じさせる。
彼女の前で私は、彼女の肺を満たし続ける「空気」で居続けるしかない。彼女は大きく息を吸い言った。
「それって、本当そうだよねー!私も、たまに逃げ出したくなるの、私っていう存在から。でもね、私という存在って本当は儚くて……本当はすぐ消えちゃう、霧に映し出された幻想で、まやかしなんだって思うと救われるの。だから、この社会を生き抜くために私たちは、ぶっちゃけ非日常の真実に向き合い続けねばならない」
弦巻マキの本気の時だけ使うテナーの声が、私の鼓膜を揺らす。平衡感覚がおかしくなりそうであった。もし、私が猫だったなら、よぼよぼと足腰が不確定に揺れたであろう。
「モカちゃんって、猫ちゃんとしか仲良くないじゃん?特に黒猫って、不幸の象徴としてヨーロッパで狩られ続けたけど、私、それってモカちゃんがワトソンくんをすごく可愛がってる理由なんじゃないか?ってずっと思ってたの。自分を重ねるって言うのかな!?そして、それが今わかった、やっぱりそうだったんだ!すごいすごい!モカちゃんやっぱり詩人だ!詩は、オカルティストが暗号を隠す一番愛された手段だから!モカちゃんは、生き方がタロットカードでグノーシス的なのだ!」
金切り声を上げて、マキは大喜びした。マキの唐突なラップバトルに、私は加勢した。
「そうだよ!全ての生きとし生けるものの行為は霊的実現で、生命の樹を上に辿る知恵の道なのだ!」
もう弦巻マキは、ギターさえ必要としていない。ギュエェー!とギター顔負けのリフを喉から搾り出し、弦巻マキはのけぞり膝をついたのだ。ギターのムスタングは、彼女が社会的顔を保つための、彼女の身代わりで、ガワだったのだと思い知った。
もう彼女を止められる人はどこにも居ない。
マキは続けた。止まったらきっと、息が出来なくなって絶命する。
「私静電気すごい起こる体質でさぁ〜!たまに、静電気でビビッて髪の毛逆だっちゃってアンテナみたいになるんだ!妖気、感じてんのかな〜?人間はみんな体に電気が通ってるんだけど、霊もプラズマとか電気的エネルギーだって説があって、実際埃っぽいとこで出やすいらしいんだよね。だからモカちゃんもいつも埃っぽいの?」
「エッ、うんそうだよ当たり前じゃん!やっぱりその方がインスピレーション湧くから!チャンネル合うっていうのかな!すごいよね!」
はあー、と弦巻マキがため息をついた。これは私でも解るが絶対恍惚の吐息である。
「実はさ、モカちゃんといる時の方が静電気酷くなるんだよね」
前情報を元に弦巻マキの頭頂部に目をやると、やはり、毛が二本アンテナのように逆立っている。
嫌な予感がする。私はホラーは大の苦手なのだ。深夜に怖い話やスレを読み漁るのは自傷としてのホラー鑑賞なのに。
「これから毎日、うちで夜まで怖い話しよ!」
私は、完全に諦めた。
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kennak · 1 year
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実際に「平成の大合併」のとき、三条市・燕市と周辺町村が合併して人口20万人規模の「県央市」(仮称)が成立寸前まで行ったのですが、合併の賛否を問う燕市の住民投票で「賛成49%、反対51%」という僅差で否決され、三条市と燕市はそれぞれ周辺町村と合併、別の自治体として歩む道を選んでいます。 ご指摘の通り、三条市と燕市は新幹線駅や北陸道のICを共有していて経済的な一体化は進んでいます。 両都市は金属加工という同じ産業基盤を持ち、深い相互依存関係にあるのは間違いないですが、歴史的役割も得意分野も異なっていて、歴史を通じ決して仲が良くなかったことも事実です。 三条は町を流れる五十嵐川上流の山間地域(旧下田村域)が良質な砂鉄の産地で、室町時代から鋳物など鉄加工業が盛んになり、江戸時代は鍛鉄が始まって和釘の一大産地となったほか、一面の低湿地だった越後平野の新田開発が進んで、鍬や鋤など農具の需要も旺盛になります。三条は農具や刃物など「荒物」の生産が主でした。 一方の燕は、三条と同様に和釘など鉄製品の生産がルーツにありますが、江戸時代中期に弥彦山麓にあった「間瀬銅山」の精錬所が置かれたことをきっかけに銅器生産の町になっていきます。一枚の銅板を薄く叩いて伸ばしヤカンなどに成型する「鎚起銅器」が特産となり、精緻な職人技が燕の金属加工の特長となっていきます。明治期には東京銀座の商店からの依頼で洋食器作りが始まり、20世紀初めに第一次世界大戦でヨーロッパの金属加工業者が軍需品生産一辺倒になって日用品生産に手が回らなくなると、販路を一気に世界に拡大し、その高度な品質から世界に知られる「洋食器の町」となるに至りました。 二つの町で役割が単純に二分されていた訳ではないですが、三条は鍛鉄による農具や刃物などの荒物、燕は銅やステンレスによる職人的な工芸品・精密品作りと得意分野が異なっていたのです。 また信濃川舟運の重要な河港だった三条は、江戸時代は越後国最大規模の商業都市であり、三条商人は越後一帯を商圏として押さえるとともに、自ら北前船を保有して西国や江戸にも金属製品の販路を広げます。 これに対し燕は、徹底して職人気質の町でした。 「職人の燕、商人の三条」と言われ、燕の職人が作った付加価値の高い製品を、三条の商人が全国に売りさばくという相互依存の関係にあったのですが、現代でもそうですが生産者と販売者の思いというのはしばしば相反するものでした。 燕の職人からすれば、自分たちが手間をかけ丹精込めて作った製品を三条商人が不当に安く買い叩き、諸国に高く売って大儲けしているという思いがあります。 一方三条の商人とすれば、京阪や江戸の得意先と末永い取引を維持する上で、さらに他の産地との競争もあるから、燕の職人が望むような高い値段はつけられない。冬の荒れ狂った日本海に遭難覚悟で船を出して西国に、100kg近い重い金属製品を背負って山を越え、関東や会津に商品を売っているのは俺たちだ、という自負があります。 どちらの言い分ももっともですが、こういう場合は大概が買い手優位で、どちらかといえば燕の方がずっと三条の風下に立たされてきたという鬱屈した思いが強くあったようです。 国と県が音頭を取った「平成の大合併」に際し、燕市はその枠組みを、三条市との合併を軸とした大型合併を目指すか、吉田町との合併にとどめる小規模なものにするかで市民の意見が完全に二分されてしまいました。 長年張り合ってきたライバルではあるけれど、新幹線駅や北陸道のICを見るまでもなく一体化している三条市と合併して20万規模の中堅都市を現出させるか(財政基盤も強化できます)、歴史的に仲の良くない三条相手ではなく地場産業の下請けなどを通じ経済的に結び付きの強い吉田と一緒になるかという難しい選択でした。 燕の財界は三条との合併を支持しましたが、多くの一般市民にはもし合併すれば人口規模で勝る三条に市政の主導権を握られてしまうという強い警戒感があったといわれます。 当時の燕市長は熱心な三条との合併推進派でしたが、市議会は反対派が多数を占め、市の方針は一向に定まらず市政は混乱を極めます。2002年4月の燕市議会議員選挙では三条との合併賛成派・反対派が10対10の同数になり市議会の方針も膠着状態に陥ります。 それでも燕市長は三条との合併に突き進み、2003年10月に三条市・田上町・栄町・下田村との合併を問う住民投票に漕ぎつけます。 しかし住民投票の結果は賛成11,783 票(49%)・反対12,504 票(51%)で否決されました。実に僅差で、この数値に燕市民の対立の深刻さがうかがえます。この時あと数百票民意がひっくり返っていれば、今ごろ燕は三条と合併していたはずです。 燕市の迷走に業を煮やしていた三条市は、この燕の住民投票の結果を受けて燕に見切りをつけ、栄町・下田村との合併協議に入りました。 こうして燕市は完全に孤立してしまったのですが、その燕と地場産業の下請けを通じ親密な関係にある吉田町が手を差し伸べます。 前職の死を受け行われた吉田町長選挙で、燕市との合併推進を公約に掲げる候補が当選し、新町長は寺泊・弥彦との合併協議が破談に終わった分水町も誘って1市2町での合併案を提示してきたのです。 ここに至って燕市長も吉田町案での合併に方針転換し、吉田町が主導する形で合併協議が進められ、1市2町での合併が実現します。 合併後の新市役所庁舎は旧吉田町内に建設されました。旧燕市は世界のブランドである「燕」の市名を残してもらう代わりに、合併を主導してくれた吉田に新市役所の所在地を差し出すくらいの譲歩をしないといけなかったということです。 三条と燕は、経済的一体化は進んでいて、第三者的には合併した方が望ましいと多くの人が思うはずですけれど、(特に燕側に)長い歴史的な確執があって、あと一歩のところで合併話が破談になってしまいました。遠い将来のことは判りませんが、当面、両市の合併というのは無いでしょう。
新潟県三条市と燕市は合併しないのですか? - 北陸自動車道のIC名は「三条... - Yahoo!知恵袋
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listdejima · 2 years
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「カシミヤでつくる網代織りのマフラー」 今回のサンプルの中で、みなさん足を止めて釘付けになるのは、この8枚綜絖(そうこう)の機で、4種類の網代織の柄に分けて織り上げているマフラー。 経糸と緯糸で、それぞれ使っているのは2色の糸ですが、コントラストのある色で織るととても華やかです。一枚のマフラーで、色んな柄の組み合わせもできるので、巻き方によって柄の出方が違って、他にはないとても美しい一枚になります。しかも、柄によっては表と裏の出方が違うのでリバーシブルで楽しめます。(一枚目の画像のタグのあたりが表裏柄が違うのがわかりますね) ・ 工房きのね 「カシミヤで織り上げる ショール・マフラー受注会」 3.3(金)- 13(月) 11:00 - 18:00 片山詠子さん在廊日:3/11.12 「工房きのね」は、諫早市森山町にある機織りや染物などの工房兼教室。昔の農機具が並ぶ納屋の上にある片山さんの工房には、機織り機や糸車などの道具が並び、庭や畑で採れた植物や木の実で染色したり、織物だけではなく、羊毛を紡いだりフェルトにしたりと、1年を通じてさまざまな手仕事の布が生まれる場所です。 まるで産毛をまとったように軽くて柔らかく、体温をたっぷり含んで温めてくれるカシミヤの織物は、きっと次の世代へと受け継がれてゆく大切な1枚となります。お届けは11月頃を予定しておりますが、贈り物などのご要望はお気軽にご相談ください。 受注会とは ご用意したサンプルの中から、お好きな色の糸と大きさ、デザインを選んでいただき、1枚ずつ片山さんに織り上げていただきます。首をふんわり包んでくれる小さなネックウォーマー、ミニマフラー、男性の襟元にも軽く巻けるようなマフラーから、コート代わりになるような大きめのショールまで、色んなサイズやデザインの巻物を織っていただきました。 #工房きのね #機織り #手織り #カシミヤ #カシミヤショール #諫早市 #森山町 (List:) https://www.instagram.com/p/CpjZWDbvgmX/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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sokmil-idol · 1 month
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フリラモ個撮LABO Vol.434 釘町みやび
フリラモ個撮LABO Vol.434 釘町みやびの詳細 発売日 : 0000-00-00 配信開始日 : 2024-08-16 出演者 : 釘町みやび レーベル : ランク10国 メーカー : ランク10国 シリーズ : フリラモ個撮LABO ジャンル : グラビアアイドル/美女/スレンダー/ランジェリー/網タイツ/HD(ハイビジョン) 作品紹介 ランク10国がフリーで活躍するグラビアアイドル、コスプレイヤーなど“ココ”でしか観られない可愛い女の子や綺麗な女性をご紹介!Vol.434のモデルは釘町みやびさんです! / フリラモ個撮LABO Vol.434 釘町みやび 詳細はこちら サンプル画像 もっと見る
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jomon-eboshi · 2 years
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2023.02.14
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隣町の小淵沢の古民家解体で入手してくれた欅の木の床板を我が家のカウンターに。
釘も頭が見えないように錆びさせて外し、思いやりの詰まったものに。
墨を塗る作業も続くけど、この一つ一つが、おうちにコンタクトしてるみたい。
在ること、在ったこと、これからのこと。
バリアフリーの話も最大考えてくれて、しかもそれがブレイクスルーになった感じ。
あー、深くて楽しいな。
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ysformen · 2 years
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「ヨイトマケの唄」
美輪さんは、
ある日手違いで炭鉱町で唄うことになります。
顔を真っ黒にした炭鉱労働者は、安い賃金の中からチケットを買って、聴きに来てくれたことに感動すると同時に、
キラキラの衣裳を着た自分自身が 恥ずかしく思い、
「炭鉱で汗を流す労働者を励ます歌を作ろう!」そう考えたそうです。
曲の発想は、
美輪明宏さんの小学生時代の記憶。
小学生の低学年の頃、
父兄会で 着飾った服を着ている 母親の中に、
野良着にモンペ姿、頭に手ぬぐいをかぶって1人遅れてきた母親がいました 。
背が小さくて痩せて顔が黒く足が不自由な女性でした。
その母親は、学校で一番出来の悪い男の子の母親でした。
鼻を垂らしている息子を見た母親は、鼻を自分の口ですすって、窓からペッとはきます。
それを見た他の母子が、
汚いものを見るような目で見ていた中、
感性の豊かな少年時代の美輪明宏さんは、深い母性を感じ、
それ以降、出来が悪く、いじめられていた男の子をかばい、友達になります。
そんなある日、美輪さんと男の子は、一緒に帰っていた時に、
男の子のお母さんが足を引きずりながら、土方(どかた)の仕事をしている現場に遭遇します。
足の不自由だった母親がよろける度に、
「やめちまえ!」
「ろくでなし!」
「みんな迷惑なんだよ!」
等の声が浴びせられるも、
母親は、
「すいません! すいません!」
と謝っていました。
しかし、息子の姿を見かけると
胸を張って、
大丈夫!心配すんじゃないよ!という顔をしていて、
美輪さんは、そんな友達の母親の気遣いに感激。
実は、友達は、学校でいじめられている事を母親に言い付けようと思っていたんです。
しかし、母親のその姿を見て学校に引き返します。
美輪さんは、「お母さんに言わないでいいの? 」と聞くと、
長崎弁で友達は、
「母ちゃんに心配させとうなかけん」
と言って学校に戻っていったそうです。
しかし、いじめられている事はやがて母親が知る事になります。
母親は、こう言ったといいます。
「喧嘩が強いから偉いんじゃなかとよ。
金持ちだから偉いんじゃなかとよ。
勉強が出来なくても、貧乏でも、関係なかと。
一番偉かとはね、
正直で、
お天道様の前に胸を張って、
誰にも指さされないように一生懸命働いて、
正直に生きる。
それが偉かとよ。
だからお前は偉かと。」
この母親の言葉に 美輪さんは感涙 。
この母子のエピソードが脳裏に焼き付いていて、
『ヨイトマケの唄』の着想になりました。
そして、もう1人 、着想のきっかけとなった人がいます。
それが、両親をロシア兵に目の前で殺された少年 。
その少年は、1人で引き揚げ、廃品回収業をやっている祖父に育てられます。
その少年が中学の時に、祖父が亡くなり、
祖父の遺体をリアカーに積んで、1人で焼き場に持っていて、この先 どうしよう… と途方に暮れていた時、
ふと、殺された父親は技術者である事を思い出し、
「自分も父親のようなエンジニアになろう」と思い、
苦労の末大学に行きます。
美輪さんが知り合った時、
彼は大学生で、銀座で進駐軍の物を屋台で売っていましたが、露天の縄張りでいじめられていました。
美輪さんは、いじめていた人を説得し、大学生を救います。
当時美輪さんは、
シャンソン喫茶『銀巴里』で唄っていた頃で、
大学生は、助けてくれたお礼に、オーデコロンを持って銀巴里に来店し、
美輪さんに、ロシア兵に両親を殺された話、祖父の話、エンジニアになりたい夢を語ります。
美輪さんは、それにいたく感激。
2人はしばらく交流しますが、やがて疎遠となります。
長らく会わずにいたある日、
日本橋の三越を歩いている美輪さんに、
「おい丸さん(当時の芸名丸山から)」と、話し掛ける男と出会います。
ふと見ると、その時の大学生で、ここの現場で働いていると言います。
美輪さんは、「エンジニアになるんじゃなかったの?」と聞くと、
彼は、「エンジニアになるには、釘一本でも、ネジ一本でも、知っとかないと立派なエンジニアには なれないんだよ。だから現場監督からやるんだ~。」と言ったそうです。
美輪さんは、彼の言葉に感動します。
美輪さんは、後に、ついにエンジニアになった彼をお祝いをしようと、
彼とその友達を自宅に招き、
赤飯を炊いて「おめでとう!」と 言ってあげると、
彼は急に泣き出しました。
美輪は、「どうしたの? 」と聞くと、
「今まで生まれてこの方、
自分の為に赤飯を炊いて祝ってくれた人なんか1人もいなかった。」
美輪さんも、そんな彼に泣きながら、
「お父さんもお母さんも、
おじいちゃんも、
天国で、どんなにあなたの事を喜んでいるか。」
と言って、慰め励まします。
この時の彼の嬉しそうな顔も美輪さんの脳裏に焼き付いていて、
『ヨイトマケの唄』を作る時、
この小学生の時の友達とその母親。
さらに、
天涯孤独の中エンジニアになった男性。
この3人のエピソードがオーバーラップして生まれたと語りました。
さらに美輪さんは 、
あのお母さんは、「手ぬぐいを持っているのに何故口で鼻をすすったのか?」
後に、その母親に聞いたそうです。
すると母親は、
「手ぬぐいは商売道具。
手ぬぐいを使ったら、他の姉さん方に失礼だ。」
と言ったそうです。
共に土方で働いている、先輩の女性を気遣う気持ちに、感慨無量になったそうです。
このエピソードを元に『ヨイトマケの唄』が誕生しました。
※「ヨイトマケ」とは、かつて建設機械が普及していなかった時代に、地固めをする際に、重量のある岩を縄で滑車に吊るした槌を、数人掛かりで引張り上げて落とす時の掛け声であり、美輪によれば、滑車の綱を引っ張るときの「ヨイっと巻け」のかけ声を語源とする。
YouTube 「ヨイトマケの唄」美輪明宏
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idolmovieerotic · 5 years
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僕の彼女は釘町みやび : ミス湘南2018フォトジェニ
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失败湘南2018 fotojienikku奖以及获得了第一代密斯超级市场现实麻将形象女孩子2018的钉子町Miyabi的粉丝期望的形象作品。在现在,下北FM"好的骑士特快消息"以及AbemaTV"钉子町Miyabi的MIMIMI时间"常规演出中。迷人处在嘴馋guradoru是臀部曲线美。"成为你的女朋友"!! 僕の彼女は釘町みやび の動画等
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chibiutsubo · 3 years
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#おでかけ #白川郷
明治23年に建てられた「長瀬家」にて、合掌造りの中を見学します。長瀬家の建物は白川郷の中でも最大規模だとか。
1階は広い座敷が中心で、基本的な生活空間かなという雰囲気。梯子のような木の階段で上階へ上がっていくと、中2階という隙間のような空間があって、そこは使用人の部屋なんだそうです。天井もかなり低いので、背の高い使用人は大変そうだぞ……。私のようなミニマムサイズ向けの部屋仕様です。
3階、4階は上の画像のように板張りで、壁もない一続きの空間になっています。養蚕をやっていたようなので、その作業場であったり、倉庫のような場所として使われていたんでしょうか。
現在は昔の道具の展示場所として使われています。
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壁面に見えるすだれのようなものが、要するに屋根部分ってことなんですよね。
釘などを使わず、ロープで骨組みと結び付けられて固定されていることがよく分かります。
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最上階(中2階を入れて5階建て)まで上ると、屋根部分がよく見えます。この屋根を何年かに一度葺き替えだもんな。すごい作業だ。
この時は秋だったのでちょうど気候の良い季節だったけれど、真冬とかどれだけ寒いんだろう……と考えてしまいました。意外とかまくらの中があったかいように、ここももしかしたら??と思ったんですがどうなんでしょう。
まあでも冬場は下手したら昼間でも氷点下の気温の世界なので、屋内と言っても冷えるでしょうね。
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窓からぼんやり外を眺める……。長閑。
人の数も少なかったので、窓際の床に座り込んで暫しこの景色を眺めながらぼんやりしてしまいました。この時間に追われない感じ、良いわぁ。
しかしこの建物の見学の中で一番驚いたのは、観光客に建物の大部分を公開しながらも、同時にまだ一部の部屋が住居として使われていることです。私たちがウロウロしている部屋の、襖一枚隔てた向こうの部屋は、所有者の方が普通に生活しておられる空間であるわけで。
古い町並みとかにはよく、伝統的な建造物が内部公開されていますが、こうやって今まさに住居として使われているものはほとんどないはず。
ただの歴史の静態保存ではなく、今なお生きる住居として年月を重ねているさまはとても貴重だなと思うのです。
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hananien · 3 years
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【SPN】土曜日の生徒
警告:最終話のネタバレあり
ペアリング:サム/ディーン(前提)
登場人物:ディーン・ウィンチェスター、少年(オリジナル設定)
文字数:約4100字
あらすじ:小さな町でサバイバル術を教えるディーンの人生は来る死を待つだけのものだったが、ある日現れた少年の才能により情熱を取り戻す。
言い訳:ウィリアム・トレヴァーの短編「ピアノ教室の生徒」をオマージュしました。とても年下×年上だったので思わず…
 『ディーンのサバイバル教室』――ベニヤ板を二枚繋げた看板(それも、端を重ねた所を釘で打っただけだから右半分が左半分より前に出ている)にはシンプルにそれだけ書かれている。ディーン・ウィンチェスター本人がニ年半前にそう書いた。当時は鮮やかなペンキの黄色だったが今はなぜか青っぽくなり、『ディーン』の頭文字が剥げかけている。生徒たちの何人かは彼に書き直したほうがいいというが、ディーンは放っておくつもりだった。もしも看板の文字が全て剥げて読めなくなり、客が誰も寄り付かなくなったらそれはそれで、野垂れ死ぬときが来ただけのことだ。
 『ディーンのサバイバル教室』は町の中心部から外れた小さなショッピングモールの一角にあって、隣は中華のデリバリー、反対の隣には息の長いビデオ店が細々と経営を続けている。昼間でも薄暗いこの貸店舗にディーンが看板を掲げた当初はカラテ道場と勘違いした親子がよく見学に訪れたが、そういった連中が悪評を振りまいてくれたおかげで今は物分かりのいい大人か世間ズレしたガキだけしか来ない。  サバイバル教室というからにはサバイバル教室なのだ。格闘技を教えるつもりはない。ディーンは生徒に本物の武器を扱わせている。  「ナイフなんて誰でも持ってる。だがナイフの正しい使い方を知っているヤツがどれだけいる?」 少年はまだ乾ききっていない涙と鼻水で丸い頬を濡らしている。赤く腫れた目をまっすぐにディーンに向け、彼の一言一句、一挙手一投足に注目している。  ディーンは右手に握っていたナイフの柄をくるりと反転させて刃先を自らのほうへ向けた。「持ってみろ」  少年はナイフの柄とディーンの手、それからディーンの目を順に見たあと、逆の順にまた視線を下ろしていく。そして震える手でナイフを受け取る。  少年の手の震えがナイフを握ったあとに消えたのをディーンは見た。  「ただ持つだけじゃない」 ディーンはいつも生徒に感情のない冷たい声を使う。「正しく持つんだ」  「そんなの知らない」 少年の声はか細いがしっかりと届いた。  「そうか」 ディーンはその声を意識して使っていたわけではなかった。いや、最初は生徒に過剰な親しみを持たせないよう、意図して冷たく扱っていたかもしれない。だが今ではもう装う必要もなかった。「おまえにナイフを突き付けて、パンツを下ろせと言った連中は、どんな持ち方をしてた?」  少年は戸惑ったように柄を握り直した。親指を持ち手の上方から刃の背にかけているのをディーンは指摘する。「必ず全ての指で持ち手を握る。そうしないと怪我をするし、逆にナイフを奪われる」  少年の手に力が宿ったのがディーンにはわかった。  「そうだ」 正しくナイフを握った少年の目を、屈んだディーンはまっすぐに見つめる。「これでおまえは奴らよりも賢くなった」  「僕は強くなりたい」  「賢いヤツだけが強くなれる」  少年の腫れぼったい目に理解が広がったのをディーンは認めた。
 その夏の夕方にいじめっ子たちから逃げてきた駆け込みの生徒は、他の生徒たちよりも格段に熱心でおまけに才能があった。  サバイバル教室に通う生徒たちの中で、武器の扱いに関して天才を感じ取ったことはかつてなかった。こんな田舎の場末のエセカラテ教室に通う者の中で、といってしまえばそれだけのことだった。だがディーンは少年の中に本物の熱意を感じたし、本物であればいいという希望も抱いた。何かについて希望を持つのは久しくないことだった。  最初に始めた時にはこれといってプランがあったわけでもなかった。近接格闘とサバイバル術は集団で教えるのが困難だと知ったのは教室を始めて半年ほど経ってからだ。それからは曜日ごとに生徒を振り分けて個人授業にした。火曜日はニューヨークから引っ越してきたモニカ、水曜日は同じ地区に妹と住んでいるITエンジニアのジョンソン、金曜の午前中は元警察官で今は私立探偵の資格を取得中のマーク、午後は薬物依存症のリリー。土曜日のデリーはしばらく来ないと思ったら窃盗で逮捕されていた。土曜日の午後に突然やってきた少年はそのまま土曜日の生徒になった。少年はいつも同じ服装をして、いつもどこかに新しい痣があった。  少年は寡黙でディーンの指示に従順だった。その従順さを心地よく感じながら、それが彼の本質でなければいいとディーンは思った。  少年は何でも上手くやった。ナイフによる戦闘、拘束から抜け出す術、錠前の破り方、銃を持たせても怯まなかった。彼が何に備えているのか他の生徒たちと同様にディーンは尋ねなかった。報酬もなかった。少年は一度もディーンにレッスン代を払わなかったし、それについて言及するのをディーンは毎回忘れたふりをした。時々、貸店舗のオーナーである出っ腹のニックが金曜日の夜に家賃の催促にやって来た翌日などは、何かいってやらなくてはという気になるのだが、彼の丈の短いジャージからのぞく華奢な足首や、ろくにシャワーも浴びていないような薄汚れたなりなのに、銃器を扱うなら手入れをするべきだとディーンが指示した翌週から整え始めた指爪を見ると、何もいえなくなってしまうのだった。  それでもディーンは土曜日が来るのが待ち遠しかった。時がたち、モニカは婚約者とニュージャージーに引っ越してしまい、体力に自信をつけたジョンソンは陸軍に入隊していった。少年が自分の手からナイフを奪い取り、完璧なダブルステップから強烈なパンチをディーンの下顎にヒットさせた時、彼は今までにない達成感と奇妙な切なさを同時に感じた。  少年の誕生日がわからなかったから自分の誕生日にディーンは新しいシャツを買ってやった。シャツよりも少年に必要なものは山ほどあるのは明らかだったがディーンに与えられるものは限られていた。少年は初めて会った時のように赤い頬をしてそれを受け取ったが、一度も教室に着てくることはなかった。  ディーンは少年を車に乗せて射撃場に連れて行き、実弾の訓練も受けさせた。才能ある撃ち手から放たれる音はそれ自体が美しい。少年が撃ち終わるころ、ディーンの胸は感動で震えていた。  私立探偵の資格を取ったマークも教室を離れ、リリーは本格的な依存症治療のために入院することになった。出所したデリーは土曜日の午前中に来ることになったが、トランクからの脱出方法をやけに真面目に習得したがるからまたすぐに刑務所送りになるだろう。  ディーンの収入源はなくなった。家賃の滞納はディーンにしても良心が痛む領域に到達し、彼の頭を過るのはついにこの時がやってきたのかという思いだった。最後の時をどこで過ごすか、それが問題だった。教室で倒れてもいいが少年に自分の死体を発見させるのはかわいそうだと思った。自宅にしている教室の二階でも同じことだ。バンカーも考えたが、あそこには戻りたくなかったし、そもそもガソリン代がなかった。栄養の足りない頭で考えている間に少年が同じ年ごろの子どもを連れてきた。親が金持ちだからレッスン代を弾んでもらえと、自分は一切払わないくせに堂々と主張した。それから毎週のように一人、また一人と、戸惑い怯えた表情のクラスメイトを連れてくるようになった。おそらくはかつて自分をいじめた連中をカモにしているんだろうとディーンは思った。  それからも何度かディーンが覚悟を決めるたびにどこかから新しいカモを連れてきて、少年は『ディーンのサバイバル教室』の看板を守った。同じ曜日に複数の生徒のレッスンが入るようになった。少年は青年になり、相変わらず寡黙だったがディーンの生活に口を出すようになった。部屋から酒瓶が減った。  ある土曜日――土曜日は今でも彼だけのレッスン日だった――射撃場からの帰り、「奨学金がもらえたから大学に行く」と青年にいわれた。ディーンは「そうか」とだけ返事をした。もう長い間出し方を忘れていた声を取り戻さなくてはならないなと思った。凍っていたディーンの心を青年の熱意と共に過ごした年月がすっかり溶かしてしまった。  わかっていたはずだった。自分はいつも置いて行かれるのだ。そしてそれは必然だった。停滞する自分とは違い、他の人間は成長し前に進んでいくものだからだ。  それでもまだ生きていけるはずだった。もう一度心を閉ざし、感情を凍らせて、ただこの心臓を動かす動力が尽きるのを待つだけだ。青年の――かつての少年の才能と熱意がディーンの唯一の動力だった。だからそれほど待たずに逝けるはずだった。ディーンは力尽きた先にあるはずの顔を思って自分を慰めた。死は解放であり再会だった。けれど諦めたような人生の閉じ方を天国で待つ人は喜ばないだろうと思うと自分が情けなかった。  翌日の日曜日に自宅のベルが鳴って、怪訝そうな青年の顔を目にしたときディーンはよく理解できなかった。なぜ彼はまだここにいるんだろう? 青年はディーンに着替えを押し付けて、階下の教室の事務スペースで待っていた出っ腹のニックと店舗を買い取る話を始めた。ディーンは青年が堪能に喋ることを初めて知った。ニックの表情で話の内容を推測することしか出来なかったが、どうやら青年の思惑通りにことは進んだようだった。ディーンは煙に巻かれたような気持ちで肩を叩く青年の満足そうな顔を見つめた。いつの間��か彼の背は自分よりも高くなっていた。  青年は変わらずに土曜日に通い続けた。時が経つにつれ、背の高さにふさわしい体格を備えるようになり服装や身だしなみも整えられていった。やがて土曜日以外の午後にも顔を出すようになり、ディーンの代わりに生徒を指導するようになった。報酬の話は一度もなかった。彼のレッスン代よりも彼が稼いだレッスン代のほうが高くつくはずだとディーンは確信した。収入はたっぷりあったから報酬を払うことはできた。それも青年が教室をうまく切り盛りしてくれているからだった。彼に話を切り出そうと思うたびに、あの一度も着てくれなかったシャツのことを思い出すのだった――それから彼が自分の下顎に当てたパンチ、射撃場で響かせた美しい銃声。一度も一人でなかった土曜日の午後。
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