#迷彩柄シャツ
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" 埼玉乱舞 -SAITAMADANCE- Vol.01 "@越谷EASY GOINGS
開場から開演まで爆寸みたいな感じでV系mixが流れている
覚えてるのだけ書くと
入った時かかってたのは手の鳴る方へ/アルルカン
埋葬/RAZOR
神歌/Phantasmagoria
V.I.P/NOCTURNAL BLOODLAST
迷彩/Sadie
鯖に乗って(RADICAL HYSTERIA)/BORN
朔/DIR EN GREY
君の子宮を触る/DEZERT
0/キズ
ザアザア前のDJ枠は知らない曲1曲もなかったからここ20年くらいバンギャし続けてる人なら1人でも体が勝手に振りをしてしまうくらいテンション上がる開演待ち
ステージはスクリーンで覆うスタイル
ザアザア
ステージに誰もいないままキズの0から暗転 感電のベース音が流れ始めたので手拍子をするフロア なかなか満員のお客さんに混じって亞んちゃんの金髪が
メンバーフロアから入場
(一葵さんだけステージ袖から現れてたと思う)
マイクにあり着くや否や今日一番かっこいいバンドザアザアです
ぬるいぬるい言われながら上下前後走らされ
全員左に寄ってください
ぬるいことしてんじゃねぇよ
誰の声かと思うくらい攻撃的な声色に軽率にときめいたけど一葵さんだったのかな 左に寄らない他バンギャさんをw強引に寄せて蜘蛛の糸
手扇子しながらようやくステージを見たら 黒いスーツに黒シャツなんだけどネクタイの柄がアメリカドル$…?もしかして4人で
お揃いのお土産買ってきたの??????
朗読は 冷熱 ジャケットの袖を肘下で捲ってベースを低くして弾く零夜さん(ゴクリ…
夕焼けは春さんのギター前振りで入るバージョン(良かった)
���だいまー おかえりー!
僕達あの アメリカ帰りなんで
まだ時差ボケしてるんだけど
帰りに お土産屋さんでこれ(ネクタイ)買ってきました
か わ い い(ネクタイがというよりその柄とお揃いにしちゃうこととそれを衣装にするということがかわいい)かわいいじゃねぇよ
アメリカで一体何がと思うほど いつになく強気で攻撃的で全員が見るからに自信に満ちていた
推しが良すぎたから今日はもうこれで帰りたいまであった
色々な十字架
転換中に下手ギターの人がエフェクターボード高く掲げて見せてくれた(笑)
メンバーのヴィジュアルは思っていたほどピンクハレルヤではなく 普通のV系に見えないこともない 笑
上手ギターの人は技術面含めて見せ方が熟れてたように思うけど前盤普通のV系じゃないのかな
上手側の後ろの方に 白い布でちゃんとV系ぽく装飾されたスクリーンが設置されそこに歌詞(MVある曲はMV)が流れる
最初の曲は「近所の犬に勝手に名前を付けて呼んでそれを浸透させた���とかいう歌詞だった
小学校5年生くらいの男の子が言う下ネタがふんだんに盛り込まれた歌詞を 90年代V系に多い独特の歌い癖に乗せてw 声量なくはないし結構な高音が地声で出てたので真面目に練習したら普通に上手くなりそう
NoGoDのアトリアをちょっと歌ってたけどそっちのが上手いw
ドラムのdagakiさんとボーカルのtinkさん 埼玉の人らしく 越谷ではなく松伏町?の出身だとか
ベースのmisujiさんはどこの人かわからんけどdagakiさんが埼玉でのバイト経歴を発表し続けているのに突っ込みを入れ2人が張り合う流れに(無理やりw)
リズム隊がバトミントンのラケットを持って前へ出てきて同期に乗って演奏される曲があったけどこれといって決着はついていない模様
tink:終わりですって言って曲が終わった(笑)
テニプリのやつでした
( 'ᵕ' )
どんどんどんどん 応募して
何を?誰に?
( ◜-◝ )
今日のためにいっぱい曲作ってきたから
前からある 前からある 前からある
前からある曲やりますこれはちょっと
何を言ってるのかわからない系ボーカルさんのMCを幾度となく拾ってきた 経験値がまったく活かせないレベルの圧倒的何を言ってるのかわからない系ボーカル(笑) MCというかスタジオセッションの雑談みたいなノリで喋るんだけど先輩や女の子に可愛がられそうなタイプです 上ギとベースいなかったらまとまらんw
弦楽器隊は思ったより全然ちゃんと演奏してて(失礼w)ステージ慣れしている様子なんだけど ボーカルさんだけステージに立たない仕事を生業にしてる感ありました(ベーシストさんらしい ?)
白ミサっていうくらいだしもっとなんか祈りとかさせられるのかと思っていたので想像より普通のV系に近いという第一印象
NoGoD前の転換はZOMBIEとかギルガメとかlynch.とか流れてた
NoGoD
楽器隊板付き 袖から赤いスーツに身を包んだ赤髪団長(かっこいい♡)
とはいえ1~2曲目知らなかったw これだけ行ってなかったら知らない曲やらなかったら逆に心配なので良かった
さっき ザアザアが… 越谷そんなもんかって言ってたけど…
いつもこんなんじゃないよな?今日いつも以上だよな?(そっちw)ここは埼玉じゃない
タイトル思い出せないけど体が振りを覚えていていやー懐かしいーと思ったのは愚蓮だった 少し前にBLAZEで見た時にもやってたな
タイトル思い出せないけど体が振りを覚えていて(コピペ)これなんだっけなって思ったのは球根だった
ギターソロ見応えやばい 前任も涼し顔して難解な曲を弾く人だったけど今の上手ギターも笑顔でとんでもねぇことやってる凄腕
越谷 俺の地元です 正確にいうと隣町の岩槻市なんだけど 最寄り駅はせんげん台
地名は漢字だけど電車の駅は平仮名のあのせんげん台です!
いつも浦和あたりで地元です!って言うのちょっとなんか 申し訳ない気持ちがあったんだけど 今日はいいよな 自信持って 越谷 地元です!
こんなに地元アピっといて
でも…実を言うと…今の住所は 東京都ですって言ってブーイング浴びてたw
言いたいこと全部短い時間に収めるようになっただけで喋る量は変わってないからMC半分以上端折りますけど若い頃渋谷の居酒屋でバイトしててせんげん台までの終電がないから店の締め作業に参加したことが無いって話も面白かった(笑)
団長ダンスって言うから乱知気でもやるのかと思って焦った 大サァカス 体が覚えてた(笑)(笑)
神風もカクセイも通ってた頃に出た曲で団長大好きすぎた時代の自分に戻ってしまうw凄まじい演奏力だし良い曲だな かっこいい
確実に笑わせるMCを挟みながらも後半に向けて盛り上がっていくムードを創るのはどこ���りもプロ
Never fade awayのコーラス (合唱になったのこれだっけ?)感動しちゃったよ
ザアザアは 勢いがあって なんか 凄かった…対バンするのは久しぶりなんだけど ああゆうのいいなって思いましたって言ってた
色々な十字架についてはアトリアの話してたかなぁ 忘れちゃった
NoGoDはアンコールがノーゴッド!なんだよね 懐かしい
さっき ザアザアが 前後左右にすごい動かしてて 俺達もああゆうのやりたいなぁ?って思っちゃったから
NoGoDにもそういう曲があります(^ω^)
両手をくるんてして折り返す時にハートにする振りがあるけど 桃源郷へようこそのその部分は♡を逆さにした桃なんだよねw
曲終わってから 4/20にもここで埼玉乱舞?あるらしくて団長がDJとMCで出るとかって言ってた
バンド演奏終わってすぐDJブースからROCKET DIVE流れて来たの熱かったな
4/20のイベントはザアザアもまた出るのかなと思うようなこと言ってたけど(?)その日チッタのバンギャルフェス行こうと思ってるんだけど?w
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初雪の頃【4】
いなくならないで
水商売をするにあたって、私は世間知らずすぎた。
数年間に渡って、自分の部屋を出なかったのだ。精神が小学生で止まっている。
初日からいきなり下ネタ連発のお客さんにあたって、茫然としてしまった。その話に笑いながら乗れるお姐さんたちにも、茫然としてしまった。立派な処女で、普通に話の内容が分からなかったりもした。
水商売は、基本的に仕事を教えてもらえない。みんながやることを、見て、覚えるしかない。でも、おねえさんの手つきばかり追っていたら、「もっとしゃべれ」と注意が入る。
服装も、やはりスーツばかりじゃ問題みたいだった。「もっと肌を出しなさい」とママに言われる。けれど、火事にでもあったようなケロイドの腕なんて、露出できない。
とにかく、向いていなかった。競争はない、ノルマもない、罰金もない。きっと楽なほうだし、何より、何となくとはいえ憧れた仕事だ。でも、憧れだけじゃやっていけなかった。
やっぱママ本人に言わなきゃ辞められないのかなあ、と泥沼から足を引っ張り出せないみたいな気分になりながら、翌日、早めに家を出た。
通勤には電車で一時間かかるので、六時と言われたら、五時に出発しなくてはならない。しかも、噴水広場なんて知らないから、迷子になったときを考えて、もっと早く出なくてはならない。それでも、遅刻するかもしれない。
ショウさんのメアド訊いておけばよかった、と後悔しながら、帰宅ラッシュになる前に、どうにか六時前に大阪駅に到着した。
めまぐるしく人がざわめく中、案内の矢印をたどって、噴水広場らしきところに着いたときには、六時を少しまわっていた。
噴水と言うから外かと思っていたら、駅の構内に噴水があった。待ち合わせのいい目印なのか、残暑を癒やす潤う音のそばでは、いろんな人が時間をつぶしている。腕時計を気にする人、ケータイをいじる人、イヤホンに耳をかたむける人──
人混みに慣れない私は、置き去りでも食らったようにきょときょとする。けれど、ショウさんのすがたは見当たらない。
六時過ぎてるんですけど、と腕時計に顰め面をしながら、かたわらの柱によりかかる。
ケータイを取り出したものの、ショウさんも私の番号なんか知らないか。そう考えていると、突然知らない番号の着信がついて、びくりとケータイを取り落としそうになった。
何? 誰?
私の番号を知る人はまだ少ない。出ないほうがいいかな。でも──。
鳴り続けているから、ワン切りではない。変なのだったらすぐ切ればいいか。生唾を飲みこんだ私は、ケータイを開いて通話ボタンを押して、そっと耳にあてた。
『あ、もしもし。さつきちゃん?』
しばし黙ったあと、「ショウさんですか?」と低い声で念のため訊いてみる。
『そう、俺』
面接を申しこむときもそうだったけど、電話越しに聞くと、ショウさんの声は大人っぽい。
『ごめん、ちょっと遅れるわ。今、まだ友達の家やねん』
「はあ」
『噴水広場、分かった?』
「今いますけど」
『えっ、もう着いてるん。やばいな。ごめん、急いで行くから。二十分くらい待ってて』
「二十分……」
絶望的につぶやく私を無視して、『じゃ、またあとで』と電話は確かに急いではいる様子で切られた。
私は取り残された気分で、スヌーピーの待受画面を右クリックする。画面が灯り、着信履歴が表示された。たった今のショウさんの着信がある。これショウさんの番号かな、と思っても、そのままケータイを��じてしまった。
憂鬱をはらんだため息がもれる。ショウさんのバカ。
二十分も、どうしていろと言うのだろう。このへんに詳しいのなら、うろうろして時間をつぶせる。けれど私は、地元の地理も把握していない小娘なのだ。市内なんて分かるわけがない。「もおっ」とひとり怒ってしゃがみこんで、膝に頬杖をつく。
意外と時間にルーズなんだな、とちょっとあきれて、水のそばで少し涼しい周囲を眺める。みんなせわしなく、行き交ったり、ケータイを見たり、談笑したり。
五年間引きこもっていた私が、こんな光景に混ざっているなんて不思議だ。自分だけモノクロ写真であるかのような、虚ろな疎外感があった。
ショウさん、早く来ないかな。何か、こういうのって、まだダメだ。
仕事も辞めたくなっている。やっぱり、私は外に出られないのかな。部屋に閉じこもっていないと、おかしくなるのかな。社会に順応することができないのかな──。
考えていると、青空が闇夜に食べられていくように滅入りそうになった。振りはらおうと手の中のケータイを開き、最近通うようになったサイトを開く。
コミュニティサイトで、自分のプロフページを持って、メールや掲示板、サークルで交流できるサイトだ。これまで引きこもりでケータイなんかとは縁がなかったのだけど、最近のケータイってすごい。
小さなパソコンだ。パソコンなんてあつかったことないから放言だけど、パソコンがなくても、ケータイで事足りる気がする。
ぴこぴこと中央のボタンを連打して、プロフページのアクセス数と受信箱をチェックする。参加しているサークルもめぐって、新しい書きこみを追いかけて、自分も書きこみをする。
そろそろトップページ書き換えなきゃなあ、と編集ページに移り、ひとりごとに近い文章を練っていると、ぽんと不意に頭をたたかれた。
意外と熱中していたので、はっと顔を上げた。そこにはキャップをかぶり、原色的な緑のTシャツに迷彩柄のハーフパンツを合わせたショウさんがいた。
あんまり、センスよくないな──そう思いながら、書きかけの文章は下書き保存して、ケータイを閉じる。「ごめんなー」と言いつつ、あんまり悪いとは思っていない様子で、ショウさんはくしゃっと咲う。
「待った? 待ったよな」
「……まあ」
「五時に起こせっつっといた連れが寝坊してなー。ほんまごめん。ここでずっと待ってたん?」
「はい」
「そこ、ミスドあるやん。入っとけばよかったのに」
あやふやに咲いながら、立ち上がった。ひとりでそういう店に入るなんて、どれだけ勇気がいるか。
「お金ないんで」
「俺が奢るって。どっか店入ろうや。腹減ってへん?」
「食べてきたんで」
「そうなん。俺、何も食ってないねん。ちょっと食事できるようなとこでいい?」
��私がこくんとすると、「どっかあるかなあ」とかつぶやきながらショウさんは歩き出した。その隣を追いかけて、男の人と並んで歩くなんて初めてだな、と妙にどきどきして、心がぎこちなくなる。
ショウさんはこちらの歩幅なんて気にせず行ってしまうから、私はやや小走りになる。ショウさんの背はそんなに高くない。それでも、私と同じくらいということはないけれど。
ここはメニューがよくないとか、ここは客層が暗いとか、いろいろ気に入らないところを見つけては次を探していたショウさんが最後に決めたのは、ベーカリーハウスだった。
自動ドアがクーラーの効いた空気を届ける。入口から見たら、席はけっこうざわついているけど、奥に喫煙席があるようだから、混み具合ははっきり分からない。
自分で好きなパンをトレイに取って、ドリンクはレジで注文するかたちみたいだ。オレンジの照明が、おいしそうな匂いを立てるパンたちを引き立てている。
でも、私はアイスミルクティーしか頼まなかった。ショウさんはあまり悩まず、適当にサンドイッチとアイスコーヒーを注文した。
「あんま時間ないな」
腕時計を見てショウさんは言った。
それは寝坊して、入る店も渋ったショウさんが悪いのでは、と思ったけど口にはしなかった。「はあ」といつもの困ったときの返事が出る。
ちなみに、ここは喫煙席でけっこう空いている。
「俺、七時過ぎには店に行っとかなあかんねん」
「そんな早く来てるんですか」
「雑用やしな」
ミルクティーをストローでかきまぜながら、大変だな、と内心つぶやく。
『綾子』で男の人は底辺だ。まずお客様がいて、女の子がいて、さらに下にショウさんやジュンさんがいる。お客さんの許可なしには椅子に座ることもできず、床にひざまずいて用件を聞いているのをよく目にする。
「そういえば、さっきの電話ってショウさんのケータイからですか」
「いや、友達の。あ、そうや。俺のツレやから消しといて」
『ツレ』って何だろ、と思いながらも、ショウさんのものでないならその場で番号は消す。
「私の番号、教えてましたっけ」
「いや、店の女の子たちの番号書いてる紙からメモっといた」
「ああ……」
なるほど、という言葉は胸に留めておく。そういえば、そんな紙に番号とメアドを書かされた記憶がある。
「このサンドイッチでかいな。半分いらん?」
「食べてきたんですけど」
「あ、そうか。まあええやん。半分はさつきちゃんのな」
ショウさんは私の前にナプキンを広げ、ちぎってレタスがはみでた半分をそこに置いた。本当にいらないのだけど。
「そんな食べへんの?」
「いや、だから食べてきたんで」
何度言ったかな、と秘かに息をつく。
「ふうん。俺が十八のときなんてがばがば食ってたけどな。そういやさつきちゃん、俺の歳知ってる?」
「え、いえ」
「ひとまわりちゃうねんで」
「はっ?」
「俺、今、三十やねん」
私は���ょっと目を見開いてしまう。
「さつきちゃん、丑年やろ」
「あ、はい」
「俺も丑年やねん。確かママも丑年やで。さつきちゃんとふたまわり違うってことやな」
「はあ……」
三十歳。見えない。二十台なかばか、せいぜい、後半といったところだ。すごい童顔。ひとまわりじゃ、見込みないじゃん。
見込み?
「びっくりしてるな」
サンドイッチを飲みこむと、ショウさんはおかしそうに笑う。
「え、あ──三十歳って、ほんとですか」
「見えへん?」
「ぜんぜん……。ジュンさんと同じくらいと思ってました」
「はは。ジュンは二十四、五やなかったかな」
ならば、ジュンさんは歳相応だ。ショウさんは、氷が重なったコーヒーをストローですすっている。
この人が三十。何というか、三十って、もっと大人っぽくなっていそうな気がするけれど。
「さつきちゃんって、趣味とかないの」
「趣味、ですか」
「好きなこととか」
首をかたむける。好きなこと……。躊躇ったものの、それしかなくて「小説を書くとか」と小さな声で答える。
「え、小説書くん?」
「まあ、はい」
未熟な、書き殴ったような代物だから、口にするのは恥ずかしいけどしょうがない。引きこもっていたあいだ、私には小説を書く以外何もなかった。
「自分で?」
「……はい」
もうやめて、と目をつぶりたくなりながら答える。
「へえ、すごいやん。読んでみたいなー」
「え、いや、そんな大したことないんで」
「そんなことないって。俺、作文とかあかんかったもん。漫画しか読まんわ。ほら、こういうの」
ショウさんは連れていたリュックをあさると、『ドラえもん』のコンビニコミックを取り出した。受け取った私は、ぱらぱらとめくる。
『ドラえもん』の漫画って初めて見た。子供の頃、アニメは観ていたけど。
「『ドラえもん』好きなんですか」
「うん。めっちゃ好き。さつきちゃんはそういうのない?」
「私はスヌーピーです」
「スヌーピー? あはは、かわいいやん。女の子やなあ」
そうなのかな、と冷たいミルクティーを飲む。ポーションが足りなかったのか、ちょっと苦い。
「映画とかは? 観る?」
「映画……ですか」
というか、辞める話をしたいのだけど。時間もないって言ってたし。のんきに雑談している場合ではなくても、ショウさんの話をさえぎれない。
「ヒカないですか」
「うん」
「ホラー好きです」
「マジで」とショウさんは嬉しそうに身を乗りだす。
「俺もめっちゃ好きやで。『十三日の金曜日』とか」
「あー、いいですよね。一作目しか観たことないですけど」
「そうなん? 今度新しい奴あるやろ。『ジェイソンVSフレディ』」
思わず噴き出した。何だそれは。でもおもしろそう。
私が咲ったことで、ショウさんも微笑んだ。その笑みにちょっとどきっとして、慌ててミルクティーを飲む。
「ちゃんと咲えるやん」
「え」
「さつきちゃん。店でもそのままでいればいいのに」
「お店……ではむずかしいです」
「何で。俺とは話せてるやん」
「ショウさんは……何か、話しやすいから」
「まあ、話しにくい奴もおるけどなあ。ほんと、どうでもいいこと話しとけばええねんで。何言っても、相手は酒入ってんねんから、次の日には憶えてへんし」
困って首をかたむける。そう言われても、分かっていても、いざ席につくと真っ白になってしまう。だいたい、話の内容についていけない。
「きつい仕事やけどな。俺ももうじき辞めるし」
「えっ」
思いがけない情報に目を開く。辞める? ショウさんが?
「だから、さつきちゃんのこと、えらそうに引きとめられへんねん。つうか、ほんまはもう辞めてるはずやねんな。後釜がおらんから、ママに引きとめられてて」
「……ジュンさんは」
「ジュンは俳優の仕事優先で、レギュラーでは入られへんやろ。それでも、俺は十月の周年終わったら辞めるけど」
「シュウネンって」
「店が開いて、何周年かってこと。『綾子』は今年、九周年やなかったかな。派手やで。着物とか着せられるんちゃうかな」
「着物……」
「めっちゃいそがしいし。それまでは、まあ、おろうかなと」
「終わったら、辞めちゃうんですか」
「うん」
あっさりと返答され、言葉につまってうつむく。視線が行き着いた、ほのかに香ばしい水面を見つめる。
ショウさんがいなくなる。『綾子』を辞めてしまう。
嫌だ。絶対無理だ。ショウさんの励ましがなくなったら、あんなところやっていけない──
顔を上げて、ショウさんを見る。サンドイッチにぱくついていたショウさんは、目が合うと首をかしげる。
よく分からない感情が湧いて、そっぽをした私は「やっぱ辞めようかなあ」なんて不貞腐れたようにつぶやく。ショウさんはサンドイッチを口から離すと、「何で」と噴き出すように笑う。
「俺が辞めるのと、さつきちゃんが辞めるのは関係ないやん」
「……あるもん」
ぼそっというと、聞こえなかったのか「え」とショウさんはまた首をかしげる。その仕草は、何だか子犬みたいだ。
「………、いえ。何でも」
ふうっと息をつくと、ミルクティーに口をつける。
ショウさんが辞める。不安になったとき、カウンターを見てもショウさんがいなくなる。
「俺が辞めても、美希ちゃんとかおるやん」
「ん、……まあ」
「大丈夫やって。さつきちゃんは、もっと自信持たなあかんねん」
そう簡単に言われても、私は年齢くらいしか武器を持っていない。いつまで経ってもぎこちなくて、それでも店にいられているのは、十八という若さを持っているからだ。二十八歳だったら、とっくに切られている。
「もうちょっと考えてみたら。それでも嫌やったら、そのとき辞めればええし。まだ始めたばっかりやん」
「ん……」
「やっぱ、つらい?」
「………、もう、そろそろ新人だからっていって、許されるわけでもなくなってくるし。同伴もできそうにないし」
同伴とは、ケータイの番号やメアドを交換し、待ちあわせをして食事なんかをしてから、お客さんと共に出勤することだ。店以外で客に会って気を遣うなんて、私にはとんでもなかった。そもそも、ケータイの番号やメアドなんて教えたくない。
「同伴なんて、こんなふうに飯食ってしゃべるだけやで」
「……むずかしいですよ」
「さつきちゃんは、何でもまじめに考えすぎやねん。もっと楽に考えてみや」
楽って言われても。緊張なんて勝手にやってくるもので、堅くなってしまうものはなってしまう。内心ため息をついていると、サンドイッチを食べ終えたショウさんは腕時計を見て、「そろそろ行かなあ���んわ」とパンくずを払った。
「あ、お店ですか」
「うん。今からでも遅刻かも」
「あ、すみません。何か」
「いや、遅れたの俺やし。どう? 話して、ちょっとは気い楽になった?」
「え。あ──まあ、はい」
「よかった。それで楽になれるんやったら、仕事前に茶とか、いくらでもしたるし。また茶しようや」
「いいんですか」
「うん。ただ、店では内緒な。ほんまは店以外で女の子と会うのはご法度やから」
ショウさんは立ち上がり、リュックを肩にかけた。そのまま行ってしまうかと思ったら、リュックをあさり、「これでも読んで」とさっきの『ドラえもん』をさしだしてきた。
「時間つぶしてて。ある程度経ったら、早めでも店来てもええから」
「分かりました」
「じゃあ、また店でな」
そう残すと、ショウさんはリュックを背負いなおし、小走りにテーブルを縫って店を出ていった。
『ドラえもん』を手にした私は、またぱらぱらとめくった。もうあんまり趣味じゃないなー、と思っても、ケータイの充電は帰りまで残しておきたいし、読むことにした。
でも、チャイムが頭にがんがん響くように、ショウさんが『綾子』を辞めてしまうことが心をぐらつかせていた。
◆
今日もじりじりと十一時半を待ち、やっと店を解放された。
飲まされたまずいお酒や、ただでさえつたない会話を邪魔する大音量のカラオケにうんざりした気分で、家の最寄駅から自宅まで、コンビニで買ったおやつを食べながら心細い夜道を歩いていく。
途中、ケータイで母に連絡し、父が寝てしまったかどうかを確認して、到着した家に入る。母はいつも、私が帰宅したのを確認してから寝る。私のほうは、海外アニメを観ながら遅すぎる夕食を取り、シャワーを浴びて、たいてい午前三時頃に自分の部屋に戻る。
ワープロが置かれたつくえにつき、小説書かなくなったなあと思った。外界に当たるようになって、ぬくぬくと妄想を広げられなくなった。以前は、流れるように浮かんできた情景の言葉たちが、穢れた大人には見えない妖精のように消えてしまった。
でも、と引き出しを引き、ノートを取り出す。これに手書きで日記を残していくことはやめていない。シャーペンを持つと、今日も一日あったことを脈絡ない文章で綴っていく。
毎日、その日その日、いろんなことがある。お姐さんたちの会話。メル友からのメール。帰り道でのナンパ。終電に乗るといつもいる人。ママの嫌味。サイトでの交流。ショウさんの笑顔──
これがいつか小説になりそうだな、とか思いながら、書き終えると吐息混じりにノートを閉じる。けれど、もしこの日記が小説になるとしたら、ラストは?
思いつかなくてつくえを立つと、わざわざパジャマにも着替えず、そのままベッドにもぐる。スヌーピーの毛布とふとんを、今夜も抱きしめる。疲れが染まるように滲み出て、眠気を呼ぶ。
微睡みの中で、先の見えない今を想った。ショウさんがそばにいればそれでいいのに──でもそれを叶えるにはどうしたらいいのか分からず、ただぎゅっと目をつぶった。
【前話へ/次話へ】
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DOWN VEST
僕が10代の頃、初めて着たダウンベストは残念ながらL.L.BeanでもなければEDDIE BAUERでもなく、もちろんNORTH FACEでもありませんでした。日本製のSceneというブランド。60/40クロスのフォレストグリーン。VAN JACKET社が70年代後期にスタートさせたアウトドアライフスタイルのブランドだと記憶しています。地元の高校に通う僕の唯一のファッション愛読書がメンズクラブ。70年代後半になるとトラディショナル趣向の雑誌が、ヘビーデューティーアイビーなる造語を作り出した小林泰彦さんのイラストとともに、日本全国の若者のライフスタイルに影響を与えていく。勿論、僕も影響を受けた一人。今回のNICENESS のコレクションにも影響を与えているWhole Earth Catalogの影響が、回り回って何も知らない地方都市に住む高校生にも及んでいたとは。でも日本製のダウンベスト。。。浜松では、まだSIERRA DESIGNSやL.L.Bean、Eddie Bauerなどのインポートブランドを扱う店ができる前。高校時代からお世話になっていた地元のお店(VANの取り扱いが多かったと思っている)に行き、「今は何がお薦めですか?」などと聞いたと思う。すると徐にネイビーのコーデュロイブッシュパンツにオレンジ×ネイビーのブロックプレイドのウエスタンシャツ風、足元にウエスタンブーツ(ワークブーツじゃないの?)そして最後にダウンベストをコーディネイトして置きました。この出来事も今となってはかなり断片的な記憶ですが、その時の僕にしてみれば初めて見る服ばかりで、かなりインパクトのある出来事でした。「コレ着るの」という気持ちもありましたが、新鮮さと店長さんの信頼度で一式買わせて頂きました。結果として、こ��スタイルがのちの僕に大きな影響を与えたことは間違いありません。その後もダウンベストは大学生の必需品となり、春先にはシャツに合わせ、冬にはスエットパーカーの上に着てフルシーズン楽しんでいました。そして一番の思い出は、夏休みにヒッチハイクで旅をした北海道。襟裳岬に宿泊した朝、日の出を見に行くときのTシャツ一枚でのダウンベスト!寒さの中で暖かく身を包んでくれたダウンベストは何物にも代えがたいアイテムとなりました。
ダウンベストは防寒着としての実用度が様々なシーンでかなり高いポテンシャルを持つ服。そして世界でムーブメントとなる自然回帰の時の様に自由の象徴でもあると思っています。だから着こなしも自由。デニムJKTの上にはもちろん、テーラードJKT、バルカラーコートの上にも着るのが好きでした。
さて、今シーズン3度目のNICENESSの入荷はダウンベストです!しかし、僕の知っているダウンベストではなく、とてもアーティスティックな一着。絵画に着想を得たシルクスクリーンプリントは、一色一版づつ刷り上げるとてもアナログな手法、味わい深い仕上がりと絵画ファンも喜ぶモチーフが両面プリントにより、結果として、まるで迷彩柄の様な幾重にも重なる色と柄が浮き出ています。永遠のダウンベストになる一着を予感させる存在感。そしてリバーシブルのボディーにフードもリバーシブル。更にフードを収納するとネック部分が米海軍の救命胴衣の様。(このディティールが個人的にツボです)
それでは、いつものようにお店でお待ちしています。
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【西松屋】迷彩柄スパッツ(95cm)
こんにちはuyaです。 今回は『迷彩柄スパッツ(95cm)』についてご紹介していきます。 こちらは西松屋さんで購入した���パッツです。 スリムパンツよりも生地が薄くて、まさにスパッツという感じ。 いろんな柄やカラーバリエーションがあったけど、秋になるとどうしても買いたくなるのが迷彩柄(。-`ω-) 自分でお着替えをするにはスパッツみたいなぴったりしたものは向いてないんですが、まだお着替えの練習はしていなかったので買っちゃいました。 税込みでも400円ちょっとという安さ♪ 広げるとこんな感じで、迷彩の総柄です。 ズボンだけでめっちゃ派手になるのでTシャツはシンプルなもの、もしくはワンポイントくらいでおさえておくのがおすすめですね。 黒一色のタートルネックになったTシャツとかめちゃくちゃ相性よかったです。 もう3歳になるものの走るの大好きで、転ぶ回数も多いので長ズボンはありがたいですね。…
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NO FEAR & VEXEL.BROSシャツなど追加
ご来店お買い物ありがとうございます^ ^
本日も13時〜20時までの営業
体調が優れない方はご来店をお控えください
本日はNO FEAR & VEXEL.BROS他シャツなど
追加しておりますので、ご紹介☆
NO FEAR
バングラデシュ製、1990年に米カリフォルニアで設立されたエクストリームスポーツブランド
爽やかな青×白のシンプルで格好良いチェック柄にさらっとした生地感が嬉しいシャツ
ブラックジーンズなど合わせても良い感じ
メンズLサイズ
是非♪♪
VEXEL.BROS
マカオ製、90年代に米サンディエゴにて設立したスケーターブランド
前背面にメッシュデザインが施され通気性もあるクールな黒のコットンシャツ
比翼仕立てなのも洒落てます
メンズXLサイズ
是非♪♪
FLIP THE SCRIPT
1995年に設立された日本のストリートブランド
黒にグレーのオリジナル感ある迷彩グラフィックがイカしたミリタリー調のしっかりしたシャツ
アメカジなボトムに合わせて間違いないかと
メンズXL〜サイズくらい
是非♪♪
それでは本日も元気に営業致します
よろにくです^ ^
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雑記20240727
ユニクロでセットアップのジャケットといつも買っているポロシャツを追加で買い、ZOZOタウンでニットTシャツの白と紺を買う。夏はまだまだこれからだよ。
外に出なくても服が買えるって最高。すべての労働に感謝します。
っていうか、ユニクロ、今日の朝の4時くらいに頼んだら今日の夕方の18時に届いたんだけど。どんだけ早いんだよ。ユニクロとクロネコヤマトやばすぎるだろ。そんなに急がなくていいのに。でもこれが最高効率なんだろうな。
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この夏、キラキラのカシオを身に着けてみんなに見せつけてやりたい。かわいいやん。オーデマ・ピゲとかこれみよがしにはめている小金持ちよりおしゃれだと思うわ。ただ、中途半端なBluetooth機能はいらないよね。だったらもっと安くすべき。せめてApple Watchくらいの多機能さがないと。
JR西日本・東海道本線通勤民としては、列車運行情報アプリの通知をリアルタイムで受け取れるApple Watchが手放せない。琵琶湖線、JR京都線、湖西線の遅延情報が生死を分ける。だからもう、最低でもサラリーマンを辞めるまで普通の腕時計はすることができない。結構マジで。通勤途中で歩いているときとか地下鉄に乗っているときとかに通知が来ると、急遽京阪ルートに変更するとかあるんだよね。
こういう派手な雰囲気って、ある程度歳を取ってからのほうが似合うんだよね。おじいちゃんとかになったらいいのかも。
おじいちゃんとかおばあちゃんは、アースカラーとか身に着けちゃだめなのよ。もっと明度と彩度が高い服を着ないと、ほんと貧相に見えるから。地味な色、地味な雰囲気っていうのは、若いイケメンと美人にだけゆるされるファッション。
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世界的にリスクオフが進んで株式市場がへこんでいますが、
マジでAMDがやばい。一方見てくれよ、タバコ業界を。どっちにしろ配当狙いで値上がり益は考慮していないのにこのざまですよ。
もうAMDは年末を待たずに売っちゃうかもしれません。半導体バブルは終焉を迎えるのか? NVIDIAと違って、AMDのこの価格水準って去年の年末のレベルなんですよね。持ち続ければ回復はするとは思いますけど、持ち続けるつもりがない僕からすれば完全に危険水域に到達しています。年末まで待つつもりではありますけど、結局損切りか、やれやれ売りみたいになっちゃうんでしょうね。
売り時をきちんと見てないといけない銘柄は、日本株だけで手一杯だよ。アメリカ株はどこで売ればいいのかとか、まだ経験値が低すぎて全然わからない。難しい。
とりあえず、アメリカ株に関しては手探りで勉強している状態ではあるものの、基本的には日本株と同じやり方で試行錯誤しています。ただ日本と違って情報の温度感が低いので、今はどこのセクターが低迷しているのかとか、大事な情報や感覚がわからないのがしんどい。そうなると結局、手堅いところに流れるしかないんですよね。
もうNISA枠は通信とタバコでガチガチに固めてやろうかな。AMDを外してAT&Tを入れる。
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ある画家の手記if.86 告白
愛してくれて ありがとう
クリスマス当日。
記憶がひどく欠けることがなくなってから、僕は慧の家に居候するのをやめて、ホテルの一室で生活してる。 安いビジネスホテルとかにすると部屋も狭そうだし、最悪サイズの問題でベッドで体が伸ばせないかもしれないと思っ��、ちゃんとしたホテルを選んだ。 昔は絵にサインを入れ忘れたとかで他県まで行ったりはしてたけど、そういうときも日帰りばかりでどこかに泊まったりはしないようにしてた、個展も海外や遠方からの誘いで僕も行かなきゃいけないようなのは断ってたし、なるべくアトリエ付近でいつも生活圏が落ち着くように…してたかも。絵を描くのに旅が必須な絵描きもいるけど、僕は同じ一つのアトリエで一生描き続けていられる静物ばっかりだったし。 ホテルは一応僕が選んだ場所なだけあって調���品も内装も僕好みの落ち着いた暖色の木造で、たくさんの人を迎えてきた証が木肌の美しい艶に鮮明だった。 洗濯してても毎日同じ服はさすがにだめかなと思って、仕事前に毎日服を一揃い買って着替えて出勤してたけど、今年の僕の仕事は一昨日で終わった。 それからは香澄にあげるクリスマスプレゼントを探し歩いてた。 なにもなくても僕はいつも香澄にいろんなものプレゼントしてるから、香澄の身の回りのちょっとしたものはどれも長く使える良い品に変わってきてたりする。慧に話したら「マイフェアレディか」ってつっこまれた。 だから今日あげるのは実用品とか高くて良い品とかじゃ全然ない、香澄 喜んでくれるかな
それで、今日の僕の服装はどうしようかなと思って、あれこれ迷って、まだ特に香澄とはどこに行くとも何をするとも決めてなかったから、普段の香澄の服装に合わせることにした。 僕の仕事着がいつも少しフォーマル寄りのスーツだから、カジュアルな感じに。もしロケーションや一緒に過ごす香澄の服とちぐはぐだったらデート中に合う服買って急いで着替えればいい。 下はチェック柄の細身のスラックス、シャツを着た上から木製のボタンがかわいいスーツベストを着て、首にゆるゆるしたざっくり編みのニットのスヌード、上からダッフルコート。靴はクロケット&ジョーンズとかいうとこのセミブロ……? お店の人が説明してくれたけど全然覚えきれなかった… あんまり買ったことも着たこともない系統の服で、ファッションとしてこれでいいのか不安だから冷泉に写メ送ったら「粗を探せと言われれば妙なところが多い気がするけど色の合わせ方は良いから目を細めてものすごく遠目に見れば違和感はない。時間あるならベストかコートかスヌードのどれかを変えろ」って返ってきて、そのあともどこをどう変えればいいか続けて何回かやりとりしてたら最終的に「もう何もするな。動くな。そこでじっとしてろ」って言われて、ブランド店で買ったアイテムいくつも抱えてわざわざホテルの部屋に来てくれた。 慧は買ってきたものを僕の体にあてながら、全身少しずついじったり裾を折ってみたりあれこれ試しながら、最終的には自前の裁縫道具まで取り出して「応急処置だからな」って言いながら余った腰まわりの布とかを縫い縮めて僕の体型に綺麗に合わせてくれた。 慧はプロのスタイリストさながらの手際で僕を着付けて一仕事終えたらグラスの水をぐいっと飲んで一度も椅子に座りもしないままその足で職人みたいにすぐ帰っちゃった。慧らしくはある。 帰り際に振り返って見送る僕の顔をじっと見たかと思ったら、「全身かなりカジュアルに遊んでるからまぁアリか…」ってひとりごと言いながら僕をくるっと後ろ向きにして、髪のゴムを引き抜かれた。 かわりに髪を捻るみたいにしてそこに何か刺された。後ろだからよく見えない…「香澄は喜ぶかもな」って言ってたけど、髪になにがついてるんだろ。
香澄との待ち合わせに遅れないように時計(今日の服に合わせてかわいいのを新調した)を見ながら、大きなプレゼントを片腕に抱えてコートのポケットに手をつっこんで、ホテルを出る。 ホテルのロビーには本物の大きなモミの木を使ったクリスマスツリーが飾られてた。
待ち合わせ場所は去年のクリスマスに一緒にツリーを見た場所。 同じ場所に今年も大きなツリーがあった。 早く着いちゃったから二人分のコーヒーを買ってきて、香澄の分は手に持ってもう片手で飲みながら待つ。 すごく久しぶりにやっと香澄と会える…。って感慨に浸ろうとした瞬間、遠くを一人でうろうろしてる香澄が視界に入ってきてコーヒーが喉から変なとこに入ってめちゃくちゃ噎せた。 コーヒーを近くのお店の塀の上に一旦置かさせてもらって手で口元押さえながら咳がとまるのを待つ。その間も視線だけじーっと香澄を逃さないように追う。僕けっこう目が悪いほうだし今日は眼鏡かけてないんだけど、香澄がいるのは遠くからでもすぐ分かる。 真っ白だ…かわいい…髪の毛の色がよく映えてる…僕があげたマフラーしてくれてる…かわいい 呼吸が落ち着いたらすぐにうろうろしてる香澄のほうへ走り出す、手に持ってるコーヒーは走ると零しそうで邪魔だから道の脇のゴミ箱に二つとも投げ入れるように捨てた、まわり見てなくて途中で何人かぶつかっちゃった人に短く謝りながら走る 「香澄!」 少し離れた場所から声を張って呼んだら振り返って、ニット帽の先についたふわふわが跳ねた、僕を見つけて香澄がぱっと明るい笑顔になる、目の前まで走り寄って香澄の両脇に手を差し込んでそのまま腕を空に伸ばして香澄の体を高く抱えあげた「香澄、天使みたい!」 香澄は持ち上げられたまま、笑ってる僕の肩に手をついてバランスをとりながらわたわたしてる。「ちょっ…なおと、こ、ここデパート、の、往来、」なんか言ってるけど往来とか知らない、香澄がかわいい、白��、もこもこしてる… 持ち上げてた腕を離して僕の体の上に落として滑らせるみたいにして地面におろしてからぎゅーっと抱きしめる、僕の顔の横で帽子の白いふわふわが揺れてる… 「香澄かわいい~~」 声に出したらさらに愛おしくなってもっと強くぎゅうぎゅう抱き締める。香澄は諦めたのか僕をなだめるみたいに背中を撫でてくれた。 ひとしきりそうしてから香澄から体を離すと、香澄を抱えあげるときに地面に落としちゃった大きな包みを拾う。綺麗な道だったから見まわしても濡れたり汚れたりはしてない、包装もしっかりしてるから中身は綺麗なはず。 「それなに?」 「香澄にクリスマスプレゼント。でも今日は歩き回るしまだ僕が預かっておくよ。家に帰ってから、一人のときに開けてごらん」 そう言って包みを脇に抱えた。香澄の頭をわしわし撫でたら帽子がずれたから綺麗にかぶせ直す。香澄は中身が気になるのか大きな目をさらに大きくして包みをチラチラ見てる。喜んでくれるといいな。 「歩き回る? 直人行きたいとこ決まった?」 塞がってないほうの手で香澄の手をとった。手袋してる、親指しか指がわかれてないやつ、かわいい…。繋ごうとした香澄の手に、手袋に、頬ずりしながら笑って言う。 「うん、遊園地にいこう」 僕の一言で行き先が決まった。 二人で横に立ってるクリスマスツリーを見る。 「去年も見たね」 「去年より地面に置いてあるプレゼントのレプリカが増えてる」 「イルミネーションの色も変わった」 「よく覚えてるね」 「うん …覚えてたね」 香澄の体を後ろから抱きしめながら香澄のマフラーに顔を埋める。香澄が僕の体に体重かけてきた。そこは去年といっしょ。 二人ともこの流れを覚えてたのか、そのあと香澄にまたマフラー巻きつけられそうと思って先に香澄の両手を後ろから握って先制防衛したら香澄が笑った。
遊園地までの道すがら、香澄が僕の髪を見ながら言った。 「それ直人が買ったの?」目がキラキラしてる… 「出がけに慧が服装直しにきてくれたんだけど、帰り際に髪に何か刺されたんだ。なにが着いてるの?」 「簪みたいなのの先に小さい金色のかいじゅうくんのチャームが着いてる…」 僕は思わず笑った。 「慧はこれ刺しながら香澄が喜ぶかもって言ってたよ」 クリスマスプレゼントだったのかも、僕にっていうより香澄にって感じだった、慧も香澄に喜んでほしいんだ、香澄は慧から好かれてるね。って香澄の頭撫でながら言ったら香澄はへにゃっと顔を緩めて笑った。 「いま直人は先生の家にいるんじゃないの?」 「最初だけ少しいたけど、今は一人でホテルに移ってるよ」 ホテルの内観や雰囲気や調度品が好きだったから香澄に話したら「俺も行きたい」って香澄が隣ではしゃぐ。 遊園地の入り口に着いて香澄がチケット買ってる間に、ホテルに電話を入れて僕の部屋をスイートルームに変更して荷物の移動までお願いしておいた。散らかしてないからそんなに大変じゃないはず。
こういう賑やかな遊園地に来たのって、僕はもしかして初めてかな? 人混みとかは焦点に迷って人に酔うから昔から苦手だったけど、香澄だけ見てるから今はそんなに酔いそうな感じはしない。 手を繋いで歩く香澄の後頭部でふわふわが揺れる… 香澄が最初のお店で買ったカラフルなソフトクリームを僕の口に向けてくれる、首を伸ばしててっぺんを舌先で舐めた、甘くてひんやりしてて気持ちいい。 ソフトクリームも、他のパステルカラーのメリーゴーランドやお城やアトラクションも、白い香澄がさらに引き立てられてるし、よく馴染んでる、やっぱり遊園地に連れてきてよかった。スマホでたくさん香澄の写メ撮った、どう撮っても彩りも構図も美しい。 香澄に教えてもらってたら僕もスマホの扱いに慣れてきて、だいぶ使いこなせるようになってきた、文字を打つのもはやくなった。
観覧車の前まで来たから二人で乗る。 僕らの身長と体重だと向かい合って左右に座らないとゴンドラが傾きそうだからそうする。 正面に座ってる香澄の帽子が傾いてたから綺麗に直しながら、長く伸びた前髪を顔の横に流す。 「香澄が今日着てる服…」自分で買ったの?って訊きかけてピンときた。「絢が選んだ?」 「うん、ぜんぶ絢が今日のために選んでくれた」 香澄は嬉しそうににこにこする。絢が選んでくれたことが嬉しいみたい。二人が仲良しで僕もにこにこする。 「絢のセンスは間違いないと思うし、まこともいいって言ってくれたけど、直人こういうの嫌じゃない?」 「かわいい」間髪いれずに答えた。 真っ白ですごくよく似合ってる、その帽子すごくすき、ふわふわが揺れるのずっと見てたい、髪の色がよく映えてる、天使みたい、クリスマスツリーの前にいるのすごくかわいかった、羽が生えて飛んでいきそう、飛んでいかれたら僕が寂しいから困るけど、この場所ともよく合ってる、遊園地がぜんぶ香澄の背景のためにあるみたい、 って思ったことずらずら際限なく言ってたら香澄が目を丸くしながら顔を赤くした。かわいい… キスしたかったけど久しぶりすぎてそのまま抑えが効かなくなるのが怖いから、香澄の手をとって一度手袋をとって、素手の白い手のひらを僕の口元に押し当てるようにして口付けた。
「香澄、ちょっとここでこれ持って待っててね」 観覧車から降りたらファンタジックでかわいい作りのベンチに香澄を座らせて、香澄に僕が抱えてた包みを抱えさせた。一瞬だけど僕が離れる間、香澄の番犬になってね。 近くにいたクラウンがたくさんの風船を手にして来場者に配ってる、後ろに引いてる揺りかごにも在庫なのか数え切れないほどたくさん風船が結んである。 大人が一度にたくさん欲しがったらだめかなと思いながらお金を差し出したら、クラウンは喋らずに笑顔で首を横に振ってお札を持った僕の手を押し返した。 僕に一つ、風船をタダで差し出してくれる。 受け取った僕は首を横に振る。 クラウンはもう一つ僕に風船をくれた。それでも僕は首を横に振る。 クラウンは困ったように腰に手をあてて大げさに首を傾げた。笑って少し離れたベンチに座ってる香澄を指差して言った。「あの子が宙に浮くくらいたくさんください」 クラウンは自分が両手に持っている風船を交互に見��ってから、大きく頷いて僕に持っていた風船をぜんぶくれた。
片手にたくさんの風船を引いて歩きながらベンチにいる香澄のもとに駆け寄って、大事そうに抱えてる香澄の腕から包みをとりあげる。見張り番ありがとう。 香澄の手をとってベンチから立ち上がらせる。そのまま香澄の手を引いて広場の真ん中に導きながら香澄の両手に風船を、片手に5個ずつ、僕が持ってるのを全部持たせた。 風の弱い日、風船はみんな綺麗に空に向かって伸びる、数歩下がって、色とりどりの風船を持って真ん中で笑う香澄の写真を撮った。 スマホをコートのポケットにしまいながら香澄に歩み寄って頰をそっと撫でる。 「すごくかわいい、よく似合ってる」笑って帽子から出た香澄の髪の毛の先を指で梳いて、香澄をぎゅっと抱きしめた。
夕飯はホテルでちゃんと食べることにして、僕らはオモチャみたいなかわいいお菓子とか全然お腹が膨れないようなものばっかりたくさん買って二人で交互に食べながらあちこち歩きまわった。 大きなぐるぐるキャンディが舐めても全然溶けなくて減らないって香澄が言うから、香澄の持ってるキャンディに僕が噛みついた。硬い。歯に力を入れて思いっきり噛み砕いたらバキッてすごい音がして粉々に割れた。噛み砕いたカケラをそのまま口に咥えてたら香澄にそこを激写された。 香澄がたくさん風船もってて白くてかわいいから目立ってたみたいで、たまに遊園地のキャストと勘違いされたのか、来場者に写真を撮っていいかって聞かれた。 恥ずかしいのか、もごもご言ってる香澄の隣で「いいですよ、ただしSNSやネットには流さないで」って僕が答える。 写真を撮られるときに香澄の体を引き寄せて目元にキスしてわざと僕も一緒に映り込んだ。 写真を撮っていく人たちの記念写真も僕が必ず撮って、お互いにスマホで撮った写真をその場で交換していった。さよならしたあともずっと僕らに���を振ってくれる小さな男の子に、香澄は笑顔で小さく手を振り返してた。 カメラロールに僕が撮った香澄一人だけの写真じゃなくて、僕と香澄が一緒に写った写真が増えて、さらに全然知らないたくさんの笑顔の人たちの写真も増えた。 今日になるまで香澄を守ってくれた情香ちゃん、絢、まことくん、僕を守ってくれた慧、香澄を守ろうとする絢を助けてくれた人たち、大学の生徒たち、…兄さん、 それだけじゃなかった、僕らの周りに居たのは、 スマホに残った写真の中の名前も知らない、もう一生会わないような人たち、今日この日に数分だけ会って一緒に笑っただけで幸せな気持ちをくれた 「香澄の…僕たちのまわりに居るのは、香澄を害するような人たちだけじゃないよ」 メリーゴーランドの前で立ち止まって、香澄と向かい合って立つ。香澄の頰を両手で包んで、香澄の額に僕の額を合わせて微笑んだ。 「優しい、世界中のみんな、香澄を傷つけていくだけじゃない。僕は��う感じられるときが嬉しい」 それだけじゃないのは分かってる、無害で善意の人ばかりじゃない、今は服で隠れて見えない部分にたくさん重なった香澄の体の傷��が、背中の刺青が訴える、忘れられない、でも世界はそれだけじゃないよ こうしてじっと見つめ合ってる僕らをほっといて素通りしていくたくさんの人に囲まれてる 傷つけてこないし関係しない、たくさんの人に、僕が香澄を守ろうとするのとはまったく違う形で香澄は守られてる 僕も たくさんの僕らにとって名も無い人に囲まれて、僕らは在る 「僕は香澄が生まれてきてくれたこの世界が好き」 香澄が風船を持ったまま僕の首にぎゅっと腕を回してきた 視界にたくさんの風船が揺れる 「俺も 直人 誕生日おめでとう」 少し震えるような声が耳元で囁いた 僕は香澄の背中に腕を回して抱きしめ返した。帽子の上から香澄の頭に顔を寄せて、頰をすり寄せる。 香澄が好き、香澄が生まれてきてくれたことが、香澄がいてくれる世界が、僕を愛してくれることが 香澄に愛してもらえることが 嬉しい 僕は…香澄に愛してもらえたことが 僕が愛してるだけじゃなくて 香澄と愛し合いたい 僕は 生まれてきて よかったんだ 「ありがとう。 愛してる 香澄… 」
僕を 愛してくれてありがとう
僕の滞在してるホテルは遊園地から歩いて帰れるくらいの距離にあったから、手を繋いでホテルに一緒に帰った。 途中の道で、ビル風に煽られて風船は香澄の手から離れてどこかに飛んでいってしまった。 香澄が追いすがるように素早くその場でジャンプして一個だけなんとか掴めた風船を、僕にくれた。僕は香澄がくれた最後の一個の風船を大事に手にして帰った。
香澄視点 続き
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モンクレール ガム・ブルー 2016年秋冬コレクション -フランス国旗の迷彩の意味
モンクレール ガム・ブルー(Moncler Gamme Bleu)は2016-17年秋冬コレクションを、イタリア・ミラノで発表した。ランウェイの中央には中が透けて見える部屋が設置されていて、ガラスは赤、青、白、グレーの迷彩柄に薄く塗られている。スポーツをテーマにエンターテインメント性の高いショーを披露してきた同ブランドだが、https://www.forkopi.com/ ブランド コピー その什器を見る限りではどうにも何の競技か想像できない。
結論から言えば、スポーツとの絡みはなかった。色柄は最初から最後まで赤、青、白、グレーの4色の迷彩のみ。単一の色柄を様々な素材、加工で表現した非常にストイックなコレクションであり、さながら洋服をキャンバスにした技術見本市のようであった。
ファーストルックは、短かめの着丈の段返り3つボタンジャケットに、レギンスとショートパンツの重ね着。シャツ、タイ、グローブ、ウイングチップブーツ、目出し帽にいたるまで、すべて4色の迷彩になっている。2ルック目のジャケットはビーズ刺繍で迷彩を表現。その後も、ストライプのウールの上から4色の生地を張り付けたスーツ、4色に染め分けたファーのベストやロングコート、編みでカモフラージュを表現したニットカーディガン、グレーの部分に上からスタッズを打ったジャケットなど、迷彩の行進に終始する。
ランウェイを歩き終えたモデルたちは、https://www.forkopi.com/b-moncler.html モンクレール コピー N級品 透明の箱の中に吸い込まれていく。そして最後の1人が入ると、箱の天井から雪のようなものが吹き出してきた。その様は巨大なスノードームのようであり、何かを閉じ込めようとしているような意図も感じる。モデルは全員、目の部分のみを露出したものか、目と鼻と口に穴が開いた目出し帽を被っていた。見る側の想像力を試されているようなコレクションだった。
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【尊い人々】1人目:大きな手の中に、小さな兎のぬいぐるみ
2022年、8月31日のことだった。 曜日は忘れたが、平日だった。
私は会社を早退し、総武線に乗っていた。定時に退社したのでは高円寺にある本屋のイベントに間に合わないので早く上がることにしたのだが、職場からの移動時間は思ったほどかからず、このまま現地に直行すればイベント開始まで��持ち無沙汰になる予感しかなかった。 どう時間を潰すか……ドアの上に貼られた路線図を眺めていたら、昼休みにツイッターで見かけたイラスト展の告知が頭をよぎった――会場は、中野のギャラリーだった。出展者は確か現役の美大生2人で、キャリアの長い人たちではないので、全部見るのに30分もかからないだろう。
数分後、私はずいぶん久しぶりに、年季の入った中野駅のホームに降りた。
この展覧会を主催したのは、入間生さんとこざとユウさん。私が情報を得たのは、入間さんのツイッターからだ。 入間さんは昔、講談社が開催するコンテスト「ミスiD」に「詩乃」という名前でエントリーし、ミスiD2018の1人に選ばれた。(私はほぼオンラインで見ていただけだったが、エントリーした人たちの多彩なプロフィールや選考委員たちの真摯な姿勢に衝撃を受け、翌年はセミファイナリスト発表からずっと見続けるほどハマってしまった。)
「詩乃」は奈良県に住む高校生で、大学に進学して一般企業に就職するのではなくミュージカルやイラストレーションの道に進むという夢を叶えるべく、その第一歩として講談社に書類を送った。 エントリーしている人たちの多くが、服もメイクも完璧に整えて撮影したのちアプリで加工を施した「盛れてる」自撮り写真をSNSにアップしてアピールするのに対し、「詩乃」はいつも飾らない姿のポートレートや、家族と囲む食卓や、丸い目の女の子と兎が織りなす不思議な日常を描いたイラストをアップした。「現役JK」であることを強調して自ら男性に消費されにゆくような発信はなかった。あざとさとは無縁の、素朴な可愛さに溢れた彼女のSNSは穏やかだった。(もちろんコンテストに出ている以上、彼女の心中は必ずしも穏やかではなかったかもしれないが。) 彼女の投稿には、ミスコンで結果を出そうとする女性の多くが努力の過程で失ってしまう、愛すべき野暮ったさがあった。選考委員の1人が、選評に水森亜土と重なるところがあると書いていて、なるほどと思った。イラストと本人の佇まいは決して洗練されているわけではないが、そこにこそ誰にも真似できない魅力がある、ということなのだろう。
多分「詩乃」は、いつもクラスの中心にいてみんなに憧れられるような、華やかな女子高生ではない。でも、心の中に兎と人間が共に暮らす空想の世界を大切に持ち続けている女の子が同じ高校にいたら、私は仲良くなりたい。彼女がノートの端に描いた落書きを見せてもらって、物語に耳を傾けたい。彼女をミスiDに選んだ選考委員たちも、そんな気持ちになったのかなと想像する。
駅前の大きなアーケードを抜け、喧噪から少し隔たったところにある細い商店街を、スマホを頼りに歩いた。やがて道の左側に、小さなギャラリーが現れた。ガラス張りの壁に、展覧会タイトル「モラトリアムメイトの及第点」がポップな書体であしらわれていたので、迷わずガラスのドアを押した。
受付には入間さんとは別の女性が一人座っており、軽く挨拶して中に入った。恐らく、こざとユウさんだろう。 手前の壁面に飾ってあるのはこざとさんの水彩タッチのイラストで、どれも瑞々しい雰囲気だった。その先に、見覚えのある、丸い目をした女の子と兎のユーモラスなイラスト群。 連れ立って自転車に乗り、ボートに乗り、ファミレスで長居し、海へ行き……何枚もの葉書サイズの紙の中で、一人と一匹は夏の鮮やかな色彩を纏い、生き生きと躍動していた。 その隣には、「シャイナシティ旅行記」という連作があった。「シャイナシティ」はシャイな住民が暮らす街で、上空は雲に覆われて飛行機などから目隠しされている。住民は顔や身体を晒さずに済むよう宇宙服のようなものを着て暮らし、コミュニケーションへの圧も少ない……想像の斜め上を行く世界が、軽やかなタッチの絵と言葉でこれまた生き生きと描かれている。 ミスiD2018から4年が過ぎたが、彼女の空想世界は変わらずにあり、さらなる広がりを見せていた。
作品を見ている間に、ギャラリーに一人、二人と客が入ってきた。一人は女の子でもう一人は男の子、どちらも10代前半から20代半ばぐらいに見えた。 もう作品を見終わるかというタイミングで、金髪ショートカットの小柄な女性が入口に現れた。黒髪だった時しか顔を見たことはなくても、「詩乃」=入間生さんだと分かった。白いシャツと短パンという、夏の終わりに相応しい格好だった。
絵を見ていた女の子が入間さんに気付き、声を抑えつつも興奮した様子で話しかける。「あの、ツイッターずっとフォローしてて……」「え、どのアカウント?」おたくと推しの記念すべき初対面が、ギャラリーの片隅でひそひそと始まった。 恐らく受験などの事情なのだろう、入間さんのSNSアカウントは更新がストップした時期もあった。しかしそれでも、この女の子のおたくはずっと「詩乃」を忘れず、追い続けていたようだった。
あまりじろじろ眺めるのも悪いし、残りの絵を見よう……と壁に視線を戻しかけた時、少し離れた場所にいた男の子が視界に入った。さっきまでの私と同様、彼も入間さんと女の子を見つめていた。 背の高い男の子の手に、何かが握られている――透明の袋に入った、10センチほどの兎のぬいぐるみだった。
ああ、きっと彼も古参のおたくだ。 「詩乃」が兎のモチーフを描き続けているから、兎のぬいぐるみをプレゼントしようと思い立ったのだろう。 喋っている二人の間に割って入ったりせず、話が途切れたら渡すつもりで、じっと待っているのだ。
私は絵を見終わり、ドアの方に向かった。入間さんが小走りで向かってきて、「ありがとうございました!」と名刺をくれた。
強い日差しの中を中野駅まで歩きながら、さっきの男の子を思った。
ぬいぐるみは、無事に渡せただろうか。 そうであってほしい。 しかし渡せなかったとしても、それはそれで美しい物語ではある。 夏の終わりの、果たせなかった思い。
大きな手に、柄にもなく小さな兎のぬいぐるみを握ってじっと待っている彼の後ろ姿は、少し可笑しく、尊かった。その情景を切り抜いて、額に入れて飾りたいほどに。
「推しが尊い」というフレーズは、おたくの口癖として広く知られている。 しかし、スポットライトの当たらない場所に視線を移せば、やがて気付く――おたくの中にも、尊い光を放つ人々がいるのだと。
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◆SEMICOUTURE(セミクチュール) 2020年春夏受注会◆ 日時:11/14(木)から11/24(日)まで 場所:Gallery なんばCITY本館1F店 SEMICOUTURE(セミクチュール)(イタリアのレディスブランド、エリカ ヴァリーニのセカンドライン)の2020年春夏受注会を開催致します。 公式正規取扱い。 【ジャケット】価格:63,800円(税込) カラー:グリーン系 サイズ:フリーサイズ 迷彩柄のジャケットにレースのブラウスを組み合わせたデザイン。 程よくハリがありますが、分厚過ぎず扱いやすい素材です。 是非、店頭でお手にとってご覧下さい。 ※入荷予定数には限りがございます。 予約完売次第、受付を終了させて頂きます。 予め御了承下さい。 商品の御渡しは3月~5月の予定です。 Gallery なんばCITY本館1F店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1F 【営業時間】10:00~21:00 【休館日】年内無休 【PHONE】06-6644-2526 【なんばCITY店Facebook】https://goo.gl/qYXf6I 【ゴルチェ派Facebook】https://goo.gl/EVY9fs 【instagram】http://instagram.com/gallery_jpg 【Twitter】https://twitter.com/gallery_jpg 【tumblr.】https://gallerynamba.tumblr.com/ 【ブログ】http://ameblo.jp/gallery-jpg/ 【オンラインショップ】http://gallery-jpg.com/ #SEMICOUTURE #セミクチュール #エリカカヴァリーニ #ERIKACAVALLINI #ミリタリーデザイン #ミリタリーシャツ #ミリタリーファッション #迷彩柄 #迷彩柄ジャケット #迷彩柄シャツ #カモフラージュ柄 #カモフラージュ柄ジャケット #カモフラージュ柄シャツ #リメイク風デザイン #リメイク風ジャケット #リメイク風シャツ #リメイク風服 #レースシャツ #レースブラウス #レースデザイン #黒レース #黒レースブラウス #黒レースシャツ #長袖ジャケット #長袖シャツ #長袖ブラウス #なんばシティ #なんばスカイオ #NAMBACITY #NAMBASKYO https://www.instagram.com/p/B48sVEuJeEF/?igshid=zlsifhaz212r
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テッドマン に続いて… #パンディエスタ #Tシャツ #588207 #熊猫大作戦 の #刺繍 が、良いですよね\(^o^)/ #デニムパンツ #595652 #パンダ に #肉球 の刺繍 さらに ボタンやスナップも #熊猫 #迷彩柄 の 裏地も #🐼 #パンディエスタジャパン #PANDIESTA https://www.instagram.com/p/Bv7vmrFACnz/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=1i79y34vmv4cf
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イギリス軍 DPMシャツ入荷しました!! [INS1160] 90年代 イギリス軍 DPMシャツ 90年代頃のイギリス軍コンバットジャケット入荷致しました。 湾岸戦争の開戦とほぼ同時期にイギリス軍に正式採用されたDPMデザートカモフラージュ。 DPMとは、Disruptive Pattern Materialの略で分裂迷彩柄の意味です。 砂漠エリアで着用するためのDPMデザートカモパターン。 砂漠地帯で使用されていたくらいですから、やや薄手のシャツジャケットといった感じでしょうか。 イギリス軍特有のカモフラに、フロントには使い勝手の良さそうなマチ付きの大型ポケット。内部にはペンポケットも配しております。 袖口もストラップで二段階調整できます。左腕にはユニオンジャックのワンポイントも施されています。 ボディに使われているボタンは全て留め外しに優れたパラシュートボタン。 ラフにさらっと羽織れるDPMデザートカモのシャツジャケット。おすすめです。 オンラインストアUP完了です。 商品の詳細、お問い合わせはプロフィールのWEBストアからのメール、もしくはDMまで ⇒@audience_jp #オーディエンス #audience #東京 #高円寺 #新高円寺 #阿佐ヶ谷 #中野 #中央線 #高円寺セレクトショップ #デッドストック #deadstock #イギリス軍 #カモ柄 #カモフラ #デザートカモフラージュ #迷彩 #コンバットジャケット #シャツジャケット #シャツ #DPM #DPMデザートカモ #メンズスタイル #お洒落さんと繋がりたい #instafashion #instagood (Audience) https://www.instagram.com/p/CVZ9vVcvn0R/?utm_medium=tumblr
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【BEBE】迷彩柄シャツブルー(90cm)
こんにちはuyaです。 今回は『迷彩柄シャツブルー(90cm)』についてご紹介していきます。 こちらはBEBEで購入したシャツです。 迷彩柄だけどブルーなので兵隊っぽさがないというか、ヤンキー感がないというか。どぎつい雰囲気がなくて一目惚れでした。 近所にあるBEBEは女の子のお洋服が8割で、男の子の服が全然なく。角にあったこれを見つけた時は感動しました。 アウトレットまでいけば男の子の服もいっぱいあるんですがアウトレットが遠い(-_-;) このシャツは前開きにしていてもおしゃれだし、ボタンを全部しめるとかっちりした感じになってそれはそれで可愛いです。 90センチを着るくらいの男の子だと前開きにしていると脱ごうとするので、ボタン2つくらいしめてることが多かったかなあ。 ちょっと肌寒くなってきたらトレーナーを中に入れて重ね着とかしました。 あえて大きめを購入したのでフード付きパーカー…
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春分の日ニット&デニムベストなど追加、明日は木曜定休日
ご来店お買い物ありがとうございます^ ^
本日も13時〜20時までの営業
体調の優れない方はご来店をお控えください
本日はニット&デニムベストなど
追加しておりますので、ご紹介☆
REXTAR
ブリヂストン、日本製
これからの季節に良く合う薄緑色地に緑系と白の迷彩ぽい柄がユニークなコットンニットベスト
前開きボタン付き仕様
LL表記、メンズLサイズくらい
是非♪♪
BROOKS SPORT
ホンコン製、ブルックスブラザーズのカジュアルライン
間違いなく使える黒無地のストライプ編みが感じの良い、大人なVネックコットンニットベスト
シャツはもちろんTシャツなどに合わせても良い感じ
メンズMサイズ
是非♪♪
ANNEX
日本製
小ぶりなポケットやバックベルトなどディテールも格好良いデニムベスト
シャツやラフなカットソーなどに合わせても素敵
S〜Mサイズくらい
是非♪♪
それでは春分の日の本日も元気に営業致します
明日は木曜定休日でお休み
よろにくです^ ^
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@podoron(Podoro)
これ凄い!新時代の「デジタル迷彩」
一見普通の特殊なイラストを重ねるだけで、監視カメラの自動検知システムが人を認識できなくなる研究。カメラで撮られても記録に「映らなく」なる。(笑い男…!)
めちゃめちゃサイバーパンクだ。 この柄のシャツ作らなきゃ。
論文:https://arxiv.org/abs/1904.08653 https://twitter.com/podoron/status/1120581241172967425/video/1
Twitter Web Clientから
https://twitter.com/podoron/status/1120581241172967425
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