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#走行距離が半端ない
rakuencoffee · 2 years
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【またしてもタイロッド】 車検を前にガタガタのタイロッドエンド交換 去年の車検で替えたばかりなのに💦 今回は一か八かで他車流用 TE27レビンのタイロッドエンドが合いました♪ アウターだけと思ったら右のインナーもダメ・・・ これは中古に交換 サイドスリップ不安だったので岩崎モータースさんでチェック♪ これで安心して車検行ける #kp39 #パブリカピックアップ #パブトラ #タイロッドエンド交換 #1年で2回目 #走行距離が半端ない #楽園珈琲 #rakuencoffee (楽園珈琲 rakuen coffee@蚊口浜) https://www.instagram.com/p/CjXTsVsOL7y/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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moulanblue · 11 months
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B-T TRAINに何度でも
 ボーカルのタニグチです。
 もし、日本の男性ボーカルで最も影響を受けたのは誰かと問われたら、それは間違いなくBUCK-TICKの故・櫻井敦司氏であると答えられます。過去に制作したあの曲にもこの曲にも、櫻井敦司の血が通っているなとしみじみ思うこの頃です。
 とはいえ、BUCK-TICKおよび櫻井氏の熱狂的なファンであったかというとそうでもなく、数年に一度よく聴く時期がある、という距離感の気安いリスナーでした。ちなみに、BUCK-TICKファンと思しき知人・友人もいません。
 わたしがなぜそのように周期的なリスナーであったかというと、BUCK-TICKの音楽性がアルバムによって全く異なるというのが一番の理由だと思います。
 不動のメンバー5人で、35年間コンスタントにアルバムを発表し続ける一方で、その音楽性が安住の地を見つけることはなかったようです。攻撃的なハードロック、おとぎ話のようなダークポップ、耽美なゴシックロック、ほとんどギター弾いてへんやんけドラムンベース等、本当に同じバンドかしらと疑うくらい、BUCK-TICKの世界観は常に変容し続けていました。
 化け物のようだ、と心底思います。
 そんな化け物バンドの中で、やはり化け物であった櫻井氏のボーカルは一切衰えることなく、年々深みと繊細さを増し、常に現在が最盛期であるかのようでした。その素晴らしさや、彼が喪われたことを、わたしのようなリスナーは言葉に尽くすことができません。
 そこで、大変に勝手ながら、「BUCK-TICKってちゃんと聴いたことないな」という方を想定して、YouTube上の公式音源の中から、代表的なシングル曲をいくつか挙げてみようと思います。
 ※BUCK-TICKは頻繁にレコード会社を移籍している都合、2000年~2010年代前半頃の楽曲については、公式音源がYouTube上に存在しないようです(名曲揃いなのに!)。選曲にはやや偏りがあることをご承知おきください。
① 幻想的なギターロック
  『MISS TAKE ~僕はミス・テイク~』(2012年)
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 インダストリアルとゴシックとテクノがギターロックに調和した、最もBUCK-TICKの遺伝子を感じる曲のひとつ。歌詞はギターでメインコンポーザーの今井寿氏によるもので、切れ味鋭い短文が連なっています。
  「悲しい曲を上手く歌うおまえ」
  「永遠さえ追い越してゆく
   本当に自由な天使」
 まるで、櫻井氏のことを描いているようだと勝手に思っていました。一番好きな曲です。
② 異端のドラムンベース
  『ヒロイン』(1997年)
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 不気味さと疾走感を目一杯詰め込んだ、テクノ全盛期を象徴する曲。わたしがBUCK-TICKを聴くようになったきっかけの曲でもあります。
 この曲が収録されているアルバムのタイトル『SEXY STREAM LINER』は、「最新型の流線形」という意味で名付けられたそうです。確かに、ボーカルもギターも曲線的なフレーズを多用しています。ツインギターのロックバンドであるとは信じがたい、混沌とした打ち込みっぷりは未だに新鮮です。
③ ザ・星野英彦ワールド
  『ミウ』(1999年)
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 今井氏と対をなすギタリスト、星野英彦氏の世界観を顕現した、アルバム未収録の人気曲。普遍的で美しいコード進行から一度も外れることなく、淡々としたアコースティックギターのバッキングの上に、櫻井氏の話しかけるような歌が重なります。
 星野氏が作る、どこまでもシンプルで優しい曲もまた、BUCK-TICKの核心であるようです。
④ 重厚なゴシックロック
  『BABEL』(2018年)
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 力強いベースのリードの上で、まるで魔王のような、低く深く響きわたる櫻井氏の美声を堪能できます。
  「頽(ぐずお)れて尚 我はBABEL
   月光よ愛せ」
 という歌詞が衝撃的です。月光に愛を命ずるとは、なんという不遜。ちょっとやそっとでは出せない壮大な重厚感なので、『ミウ』の後に聴くと気圧差でどうにかなりそうです。
 たぶんギターのことをシンセサイザーだと思っている今井氏の弾きっぷり(弾いてない)も面白いです。
⑤ 正気を疑うダンスロック
  『Go-Go B-T TRAIN』(2021年)
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 は? これ(2021年)で合ってる? と誰もが目と耳を疑った、原点回帰的ダンスロックチューン。ピンと来ない方は、レッチリが『Run! Run! RHC』という新曲をリリースしたと想像してみてください。正気の沙汰ではないと思われませんか。
 BUCK-TICKにおいて、正気の沙汰ではない曲は枚挙に暇がありませんが、シングル曲のタイトルはここ20年間正気だったように思います。なのに、まさかのアラ還で『Go-Go B-T TRAIN』。
 ファンを裏切り続けるという点でファンを裏切らず、梯子を外すことを恐れないバンドの意欲に脱帽せざるを得ません。今井氏は絶好調にノイズを鳴らしています。
 タイトルの通り、歌詞はほとんど言葉遊びのようです。
  「片道だけの素敵なTRIP
   サヨナラネ地球 アナタトチューリップ」
 文字だけを見ると、韻を踏んでいるんだかいないんだかよく分かりませんが、「TRIP」の部分は「チューリップ」と発音されています。自由が過ぎる。
 しかし、バンドマンならこれくらい自由でありたいものです。
 今井氏は、櫻井氏の訃報に際して、「ずっと、あっちゃんの横でギターを弾いていたかった」とおっしゃっていました。
 わたしも、B-T TRAINにいつまでも乗っていたかったなと思います。これからも、気まぐれに、何度でも乗ろうと思います。
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rosysnow · 5 months
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水滴がつたって
待って、まだ私に触れないでいて
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『正行さんの奥さんですよね』
 スマホに知らない番号で着信があった。宅配便が来るとか、知らない番号から電話がかかってくる心当たりはない。だから無視したら、同じ番号からSMSが届いた。
『早く彼と別れてください』
 来たのは、その二行だけ。それだけで、私はじゅうぶん理解した。
 もしかして、とは思っていた。息子の勇多が生まれて、今年で四年。夜の生活はとっくになくなっている。男の人が、何もしていないなんてありうる?
 勇多を部屋で寝かしつけて一階に戻ると、正行さんはお風呂を上がって、夕食の鰆の塩焼きをほぐしていた。私は正行さんと食べるために、勇多にひとりで食べさせたのに、この人はひとりでさっさと食べはじめるんだな。そんなことを思いながら、正行さんの正面の席に着く。
「あなた、勇多はもう寝ちゃったから」
「そうか。俺たちも早く寝れるな」
「……あの」
「ん?」
「勇多の兄弟とか……考える?」
 見逃さない。一瞬、眉間に刻まれた不快そうな皺。
「あの子、保育園でもなかなか友達ができないみたいだし、兄弟となら──」
「友達は、そのうちたくさんできるだろう」
「でも」
「心配しなくていい。俺たちのかわいい息子じゃないか」
 私は顔を伏せ、じゃあどうやったら私を見てくれるの、と息苦しくなった。このあいだ、排卵日じゃないからってそれとなく声をかけたら、「恵まれないとき、わさわざしなくていいじゃないか」と言われた。だから、排卵日である今日に言ってみたのに。
 夕食のあと、正行さんはさっさと寝室に行ってしまった。私は家事を済まして、シャワーも浴びて、同じ寝室に踏みこむ。わざとらしく、正行さんはふとんを頭にかぶる。
「起きてるの?」
 返事はないけど、寝息がないから起きている。私はベッドサイドに腰かけ、「今日、しない?」と言ってみた。正行さんは黙っていたけど、不意に唸ると「疲れてるんだ」とぼそっと答えた。
 本当に、よくある台詞。でも、それで納得して、強く求められない���も私。
 正行さんがしっかり寝てから、私はワンピースのルームウェアの裾をめくって、内腿に指を這わせる。焦れったくて、中が切なく動く。ショーツに手をもぐらせ、そこに触れると、もうふっくら充血していて、私は吐息を殺して自分をなぐさめる。
 ねえ、私だってこんなことをしている。あなたが何もしていないなんて悠長なことは、微塵も考えなかった。分かっていた。
 正行さんには、妻の私をさしおいた「彼女」がいる──
「ママ、あのね、僕、保育園で友達ができたの」
 桜がほろほろと風に舞う四月、手をつないで帰宅する息子の勇多が、嬉しそうに言った。
「お友達?」
「うん、みっちゃん!」
「女の子?」
「男だよっ。お話してたらすごく楽しくて、モノレール好きなのも同じなの」
「へえ、そうなのね。それは嬉しいね」
「うんっ。去年みっちゃんが、たいけん……に来たときにも楽しくて。今月から、同じ組にいるんだよー」
「ママも会ってみたいなあ」
「会えるよ。さっきもいたよ」
「そうなの? ご挨拶すればよかった」
「みっちゃん、僕が先に帰っちゃうの嫌みたいだから、見送りはしてくれないの……」
 長時間保育を利用している子なのだろうか。少し気になったので、翌日、保育士さんに「みっちゃん」について訊いてみた。「光斗くんですね」と保育士さんは、教室の隅で壊れた人形みたいに座りこんでいる子をしめした。
「ええと……」
「あ、基本的に元気な子なんですよっ。ただ、勇多くんが先に帰っちゃうと、あんなふうに」
「そうなんですか。親御さん、このあとすぐいらっしゃるんですか?」
「いえ、高校生のおにいさんが、放課後になってから迎えにくる感じですね」
「寂しいでしょうね……」
「光斗くん、勇多くんが一番のお友達みたいですから」
 私は抜け殻みたいになっている光斗くんを見つめ、「よかったら」と光斗くんを私の家で預かり、勇多と過ごさせたらどうかと申し出をしてみた。おにいさんも、来れる距離なら私の家に迎えに来てくれたらいい。「よければというお話で、伝えてみます」と保育士さんは請け合ってくれた。
 光斗くん側からは、最初はもちろん遠慮された。けれど、光斗くんは家では置き去りにされる寂しさをわめき散らしているらしい。それで最悪、保育園に来なくなったら、哀しむのは勇多だ。
 その気持ちを言い添えると、その後、「恐縮ですが、お願いできたらと思います」という光斗くんの親御さんの伝言が届いた。私は十五時に保育園に行くと、勇多と光斗くんを連れて帰宅するようになった。光斗くんはもちろん、勇多も嬉しそうでほっとした。
 そして、夕方になる頃に光斗くんのおにいさんが訪ねてくるようになった。克斗くんと名乗ったその子は、「もし光斗がご迷惑かけたら、遠慮なく保育園に置いていってください」と初対面で断りを入れる礼儀正しい子だった。
「大丈夫ですよ。ふたりでモノレールで遊んでるみたいです」
 私はそう言いながら、すでに半袖になった制服のシャツから出る、克斗くんの腕を見た。顔立ちはまだ幼さもあるけれど、その腕はしっかり筋肉がついている。
「光斗、交友で不安定なところがあって。通わせる保育園も、なかなか決まらなかったんですよ」
「不安定? 勇多と遊んでる感じでは──」
「そう、ゆったんとは仲良くなれたって光斗が初めて宣言したから、うちの家族、即入園希望提出です」
「そうなんですね。ちなみに、家はここから歩いて帰れそう? ごめんなさいね、そこだけは克斗くんの都合を聞けなくて。もし遠いなら、私が車で送るので」
「大丈夫です。駅前近くのマンションに戻るだけなんで」
「そうですか。よかった」
「ありがとうございます、気遣ってもらって」
 そう言ってくれる克斗くんの声は優しい。彼女とか、いるのだろうか。その女の子は大切にしてもらえてるんだろうな、と思う。私とは違って、その子はその腕に力強く抱きしめられている。
「──ねえ、今夜……ダメかな」
 その後も、夜、私が何とか誘ってみても、正行さんはそっけなかった。
 私はスマホに目をすべらせ、あれ以来、追撃は来ていないと自制した。でも、その子は私は触ることも許されない正行さんのスマホに触れて。私の番号をひかえて。そうできるくらいには、正行さんはその子の前では隙だらけということで。
「正行さん」
「何だよ、もう話は明日に──」
「好きな人、いるんでしょう」
 正行さんは、ごそっと顔をあげた。
「何を言ってるんだ」
「若くてかわいい、それだけの子よ」
 正行さんの表情がゆがんだ。ばさっとふとんをかぶり直し、背を向ける。「正行さん」と言いかけると、いらついた声が返ってきた。
「老けていくだけのお前より、ずっといい」
 心臓に氷が刺さる。私は目を開いたものの、言葉は出なかった。やがて、正行さんは眠りについて、寝息を立てはじめた。
 なぜ、私はいまだにこの人を想って自分をなぐさめるのだろう。快感すら機械的になっている感じがする。もっと、溺れるように気持ち良くなりたい。満ちてあふれるような快感が欲しい。
 もし──あの、若い筋肉が私を抱いてくれたら、何か変わるのかしら。
 そんなことを思ってしまい、いけない、とセーブしようとした。でも、止まらない。あの腕に強く奪われて、あの声に耳打ちされて。ダメ、考えちゃダメ。そう思うほど、あの黒い無垢な瞳にたまらなくなる。
 咲うときにこぼれた白い歯が、もし私の肌に咬みついたら、それだけで──
 軆がこらえきれなほどわなないて、私は押し寄せた快感をこらえた。このまま絶頂したら、すごく気持ちいいけど、でも、まだ、長く感じていたい。指先の力を抜いて、でも消え入らないようにかすめて、自分を焦らしてイジメる。
 どうせ正行さんが起きるなんてない。万一起きて気づいても、うんざりと無視するだろう。ため息と声を綯い混ぜて、私は中にも指をさしこんで音を立てた。すごく熱くて、濡れている。
 だらしなく焦らし、その瞬間にはかすれた声で彼の名前を呼んでしまった。じゅわっと軆の端々まで感覚が研がれ、澄み、満たされる。噛んでいた唇がほどかれ、急に息があふれる。
 いけないことをしてしまった。罪悪感はあったけど、でも、もう止まらない気がした。これから私、自分でするときは、こんな夫よりあの男の子を想ってしまいそう。
 彼には、私なんか子持ちのおばさんなのに。本当に、それこそ老けていくだけの女。分かっていても、あの腕に抱かれる夢を見てしまう。
 克斗くんに気持ちをほのめかすなんて、もちろんしなかった。気づかれたら、絶対に気持ち悪いと思われる。それは怖い。だから、絶対に知られてはいけない。
 夕暮れが来るまで、子供たちはまだ遊ばせて、私と克斗くんは玄関先で世間話をする。中でお茶でもしながら、と言うぐらい良かったのかもしれないけど、距離が縮んだら我慢できないかもしれない。オレンジ色の光が窓から射しこみ、それがお別れの合図だ。
 やがて夏が来て、夏休みになった。自由登園になるけれど、勇多は光斗くんと遊ぶと言って行きたがった。光斗くんも同じだったようだ。十五時に迎えにいくと、ふたりは楽しそうにモノレールを組み立てたり走らせたりして遊んでいる。
 迎えにきた保護者の中には、克斗くんがいた。「学校は?」と私はバカみたいに訊いてしまったけど、「俺は夏休みには休む派です」と克斗くんは苦笑した。そうか。だったら、克斗くんはうちにも来なくて、お話もできない。
 夏のあいだ、ぽっかり胸が空いてしまったせいかもしれない。九月になって、また克斗くんが訪れるようになっても、どこか寂しかった。
 こんなのは、ひとときなのだ。勇多も光斗くんも、いつか保育園を卒園する。その前に、克斗くんは受験生になる。私とこうしてお話をしてくれるのは、もしかしたら、彼が高校一年生のあいだ続けば、いいほうなんじゃない?
「今夜、飯が出前なんですよ」
 九月の終わり、克斗くんがそんな話をした。おかあさんがどうしても仕事で遅いのだそうだ。私は口を開きかけ、少し迷った。こんなこと言ったら、怪しいかな。そう思って一考したけど、たぶん大丈夫、と思って私は声を発した。
「それなら、うちで食べていきなよ」
「え、でも」
「今からでも、買い足し行けば間に合うから」
「いや、けど、かあさんに金もらっちゃったし──」
「気になるなら返せばいいし、何なら、克斗くんがもらっちゃってもいいんじゃないかな」
「そ、そうなのかな」
 満更でもなさそうに克斗くんの声が上擦ったので、「もらっちゃえ」と私は魔女のようにささやいた。
「私、ちゃんと秘密にするから」
 克斗くんが私を見る。黒くてかわいい瞳。本当は愛おしく見つめたいけど、こらえて、「じゃあ、急いで買い物行かないと」と私はかがめた体勢を正す。
「俺、せめて荷物持ちますよ」
「ありがとう。でも、子供たちがいるから。家にいてくれると安心かな」
「あ、そっか。そうっすね……」
 克斗くんの声ががっかりしたように聞こえた。私の都合のいい錯覚だろうか。
「じゃあ、みんなで買い物行こうか」
 私が提案を直すと、克斗くんは笑顔を上げてうなずいた。その笑みに笑みを返しながら、期待させないで、とわがままなことを思ってしまう。
 買い物に連れていくというと、勇多も光斗くんもすぐ部屋を出てきた。「お菓子買ってくれるの?」とさっそく期待されて、「好きなものを、ひとりひとつずつね」と私が答えると、勇多と光斗くんは「ふたり��から二個だ!」とはしゃいだ。夕食も一緒だと知ると、ふたりはますます喜んで、「じゃあハンバーグ!」「チーズ入った奴!」と騒ぎ立て、結局予定していた献立でなくチーズハンバーグを作ることになった。
「持ちますよ」
 帰り道、遠慮した私を制して、克斗くんは荷物を持ってくれた。自分で持って、けっこう重いのは分かっていたので、「ごめんね」と言うと、「平気です、このくらい」と克斗くんはわずかにはにかみながら咲う。
 その笑みが赤みがかっていて、空が暮れはじめていることに気づいた。橙々色に景色が染め上げられている。薄くたなびく雲が、暮れゆく色を受けて濃く彩られている。
「ばいばーい」
 そんな声に向けると、道端にいた小学生たちが別れて、それぞれ家に向かっていた。仕上がった夕食の匂いがする。カーテンを閉めて電気がつく。肌を撫でて冷ます風は心地よく、でも今日はまだ少し克斗くんといられる、と心がはずんだ。
 克斗くんをちらっと見ると、彼は慌てて視線を少しうつむけた。でも、私が正面や子供たちを向くと、克斗くんの視線は私の軆に触れている。だから、また彼を見て、私は優しく微笑んだ。
 ……いいの。
 もっと見て。まだ触れずに、私を見ていて。
 触れられない距離感で、甘くて深い蜜が満ちていく。私が熟していく。
 克斗くんは恥ずかしそうに微笑み返してきて、私にたやすく触れようとはしない。
 食事中に正行さんが帰ってきたけれど、勇多や光斗くん、克斗くんにはともかく、相変わらず私には冷たかった。何だか、それがどうでもよくて、そんな自分の気持ちは何だか哀しいことだと思った。
 克斗くんとは、相変わらず毎日、夕暮れまで立ち話をする。淡い夕陽の中、彼の声に心が蕩けていく。
 瑞々しく濃い蜜が、私の中に溜まっていく。夫である正行さんがどうでもよくなって、高校生である克斗くんで頭がいっぱいになる。深奥から指先まで、苦しいくらいに、熟れていく。
「咲花さん」
 私は克斗くんを見た。克斗くんは、いつのまにか私を名前で呼んでくれている。私はそのたび、どきどきしてしまう。
「ゆったんには、咲花さんは自慢のママだと思いますから」
 なぜか励ましてくれる克斗くんに、私は弱々しく微笑む。
 違う。そんなことはない。勇多のことはもちろん大切だけど、私はあなたを求めて蜜を肥やす、良くない母親だ。あの子の父親をもう愛していない。あなたに出逢ってしまった。あなたが私を抱いてくれるなんて、ありえないのに──
 優しくしてくれる克斗くんに恋い焦がれているのに、もう優しいことは言わないでとつらくなって、私はつい顔を伏せてしまう。
 次第に、日暮れが早くなってきた。そのぶん、克斗くんが光斗くんを連れて帰るのも早くなる。勇多は寂しそうに「お部屋片づける」と二階に行こうとして、私が「明日も光斗くんと帰ろうね」と声をかけると、黙ってこくりとして二階に行ってしまった。
 私だって寂しい。もっと克斗くんといたいのに。
 そんなことを思っていると、リビングに置いていたスマホが鳴ってはっとした。電話着信。誰だろうと手に取ると、念のため登録していた番号が出ていた。
『彼女さん』
 私は揺らいだ心を抑え、深呼吸した。コールが切れる前に、通話ボタンをタップする。
「もしもし」
 一瞬、息をのむのが聞こえた。しかし、相手はひるんで切ったりしなかった。
『何で別れないの?』
 私が無言でいると、その女の声は正行さんが愛しているのは自分だとか、離婚するって言ってくれてるとか、何とかかんとか、ヒステリー気味にまくしたてた。途中からは、泣き出していた。
 私はため息をつくと、ゆっくり声を発した。
「待っていたからよ」
『っ……えっ?』
「ありがとう」
 私は一方的に電話を切る。今の通話が、録音できていることを確認した。
 夜、私は正行さんに離婚を切り出した。正行さんはわけが分からないように見えた。バカバカしい演技にいらついて、「老けるだけじゃない女がいるんでしょう?」と言うと、「被害妄想もいい加減にしろっ」と正行さんは怒鳴りはじめた。
「いるんでしょう?」
 私は語気を強めた。「仕事で大変なのに、そんなの」と言いながらも、正行さんは目を合わせない。不倫を認めてお金を出すのが嫌なだけだろう。私たちの言い合いに、勇多が部屋で怯えて泣き出し、「話にならない」とうんざりした様子で正行さんはそれをあやしにいった。
 いっそ録音を聞かせてしまいたい。しかし、こらえた。この録音の存在を知られたら、どんな小細工をされるか分からない。冷静に、証拠として弁護士に渡さないと。
 私も勇多の部屋に行った。勇多はまだ泣いている。「弁護士に相談するね。親権は私だと思うから」と言うと、正行さんはまた何か怒鳴った。私はそれは聞かず、「勇多の前で、大きな声を出すのはやめて」と正行さんの肩を遠慮ない力で突き飛ばした。かがんでいた正行さんは尻餅をついて、解放された勇多は「ママ」と私に飛びついてくる。
「ママ、あのね、パパが今──」
「勇多、言うんじゃないっ!」
 勇多がびくんと私の腕の中で小さくなる。私は勇多をかばって、頭を撫でてやりながら正行さんを見つめた。
「あなた、そんな人だったかしら」
 正行さんも私を見た。久しぶりに瞳が重なった気がする。でも、そのあいだには何も残っていなかった。
 それから、日中に弁護士への離婚の相談に出かけて、十五時には勇多と光斗くんを迎えにいく毎日になった。喧嘩の翌日は、勇多は光斗くんに何か相談したのだろう。ふたりの視線が、何だか恐縮していた。「コンビニでおやつ買って帰ろうか」と私が微笑むと、ふたりはやっと少し緊張をほぐして、うなずいてくれた。
 十月のなかばにさしかかっていた。弁護士から、正行さんの会社宛てに、慰謝料と養育費の請求を送った。もちろん「彼女さん」にもだ。夜、初めて正行さんが蒼ざめて平謝りして、土下座までしようとした。私はそれを見届けもせず、「生活できるお金さえくれたらいいから。今までと同じでしょう」と言い捨てた。
 翌日、克斗くんが変わらずに光斗くんを迎えにきた。あの人と離婚するの。そう言っても、この男の子はびっくりするだけだろう。ましてや、だから私を好きなようにして、なんて言えない。
 けれど、ふと会話が途切れて沈黙になったとき、克斗くんは私を見た。その瞳には、はっとする潤みがあった。まさか、と思いながら私は笑みを作る。
「なあに?」
 克斗くんが、拳を握ったのが見えた。合わせて、腕の筋肉も動く。
「何でも……ないっす」
 少し、かすれた声だった。苦しそうな声音だ。私はなおも克斗くんを見つめる。
 ああ、私、この子の何を見ていたのだろう。
 無垢だった黒い瞳は、切なく傷ついている。腕も肩も、筋肉はもっと力強くなっている。渇いた心が、狂おしく求めているせいだ。
 私の、ことを。
 私のことをさらってしまいたいと。
 たっぷり食べて、貪るように味わって、蜜一滴残さず、飲み干してしまいたいと──
 その思った瞬間、軆の奥がじんと疼いて、熱く灯って、脚のあいだが、つたいおちそうなほど濡れたのが分かった。
「……光斗、遅いっすね」
 小さく息をついて、克斗くんはつぶやいた。
「そう、だね」
「ちょっと、呼んできます」
「うん」
「失礼します」
 克斗くんがスニーカーを脱ぐ。こちらを見ない。見間違い? 私のことなんて、見るわけない? そう思ったけど、私はこらえきれずに克斗くんの名前を呼んだ。
 克斗くんは階段の手前で足を止め、振り返ってくる。
 ああ、やっぱり、その飢えた眼。
「まだ、待って」
「えっ?」
「まだなの」
 克斗くんは、ぽかんと私を見た。私も克斗くんを見た。あふれそうな想いに、瞳が潤んで揺れる。
 克斗くんも、すぐ、私の瞳に気づいた。一瞬覗いた、泣き出しそうな顔。それから、克斗くんは私の元に駆け戻ってくる。
 私も一歩踏み出した。伸びてきた克斗くんの腕が、私の腰にまわる。ぐっと引き寄せると、躊躇いなく口づける。
 上手なキスじゃない。もしかしたら、キスは彼には初めてなのかもしれない。それでも、必死に私をあまさず食べる。
 くらくらした。このままここで、抱かれてもいい気さえした。
 でも、ダメだ。そしたら、あの人との離婚がうまくいかなくなるし、高校生である彼に私はまだ触れてはいけない。
 情熱的すぎるほどのキスから唇をちぎり、軆を離して、「まだよ」と私は言った。私の言葉に、克斗くんの息遣いが痙攣する。
「我慢できない」
 初めて訊く、克斗くんの「男」の声。低いけど、まろやかで、私の細胞すべてをそうっと撫でる。
「まだ見ていて」
 克斗くんの瞳を見つめた。どうして、と言われる前に言葉をかぶせた。
「今は、ダメ」
 克斗くんの泣きそうな目が、私の発熱をかきたてる。今すぐ抱かれたい。あなたのすべてが欲しい。ひと思いに、この男の子と結ばれたい。
 でも、まだ、だめ。
「にーちゃん、帰ろーっ」
 光斗くんの声がした。克斗くんははっとして、いつもの少年の顔に戻った。階段を駆け下りてきた光斗くんに、「お、おう」とぎこちなく答えている。
「え、と……じゃあ、失礼しました」
 私はただ微笑む。追いかけてきた勇多が、「また明日ね」と言うと「うんっ」と光斗くんは元気よくうなずく。
 風通しの窓の向こう、茜色の夕暮れが藍色に暮れていく中に、ふたりは帰っていった。
 お願い、分かって。まだ、そのときではないの。そのあいだに、どうかもっと強く、つらく、痛いぐらいに切なくなって。匂い立つほどに、心臓を私にちぎって。
 ドアを閉めたあと、そのドアをじいっと見つめてから、勇多がぽつりとつぶやいた。
「みっちゃんのおにーちゃんが、パパだったらいいのになあ……」
 私は勇多を向き、「そうね」と笑んだ。
「克斗くん、優しいもんね」
「ママに優しいもん。僕にも」
「……うん。ママもそう思うわ」
 風通しの窓から、ゆったりした秋風が流れ込んでくる。その揺蕩うような風は、彼のため息に似ていると思った。
「今日の夕ごはん、何?」
「さんま焼こうかな。塩焼きと蒲焼き、どっちがいい?」
「甘いの」
「蒲焼きね。じゃあ、お部屋片づけておいで」
 返事をした勇多は、二階に上がっていった。私はキッチンに立つ前にトイレに入った。膣の入り口を指先ですくうと、やっぱり粘液がとろりとこぼれている。
 高校生の男の子に片想いなんて、バカみたい。くだらない。はしたない。そう思ってきたけど、私、あなたへの想いをもっとふくよかになるまで育てていいのね。
 夕暮れのあいだは焦らす。夜が来ても一緒にいられるようになったら、あなたに私を預ける。温かな夕映えの中、たっぷり、しっとり、私たちは焦らしあって。暗くなった部屋のシーツのあいだで、ついにお互いを喉を鳴らして喰らう。
 熟した想いが、まるであふれるように水滴を伝わせる。彼に私の中に来てほしい。その疼きを穏やかに包んであげたい。
 トイレを出て、洗面台で手をしっかり洗ってから、キッチンに立った。冷蔵庫から食材を選んでいると、「ママ」と一階に戻ってきた勇多が言った。
「今日、お月様がきらきらだよ」
 キッチンの窓から月を見た。まろやかに光が満ちて、完熟した果実のような月。私は彼と迎える夜を想い、目の奥がめまいに溶けてしまいそうに感じた。
 FIN
【SPECIAL THANKS】 メロウ/杉野淳子 『成長痛』収録
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shredderwastesnow · 8 months
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長々と「ゴーストワールド」考
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私がテリー・ツワイゴフ監督の映画「ゴーストワールド」と出会ったのは、2000年代中盤のことだった。映画館ではなく、ツタヤでDVDを借りて実家のリビングで観た。コロナ禍によってビデオ・DVDレンタル屋としてのツタヤが街から消えた今になって振り返ると、あの日からずいぶん遠くに来てしまったことを実感する。
映画冒頭、アップテンポなジャズが流れ出し、こぶしの利いた男性シンガーの声が重なる。「シャンフェケシャンフゥ」--何語だか分からないが、気分を高揚させる陽気なグルーヴ。しかし、映像はアメリカ郊外の白いマンションで、音楽の古めかしさと不釣り合いな印象を与える。
カメラはマンションの外から窓の中を捉えつつ、右へ��移動する。それぞれの窓の向こうにいる住人たちが部屋でくつろいだり食事をしたりといった光景がいくつか展開された後、濃いオレンジの壁紙の部屋が映し出される。部屋の中央で、黒縁眼鏡をかけたぽっちゃりめの女の子が、黒髪のボブを振り乱して踊っている。傍らには昔ながらのレコードプレーヤー。そこから大音量で流れる「シャンフェケシャンフウ」--アメリカにおけるサブカル眼鏡女子の強烈な自己主張は、無機質な郊外の光景へのレジスタンスのようだ。
細かい台詞やキャラクターは忘れてしまっても、このシーンだけは鮮烈に頭に残っている。この映画が何を描こうとしているのか、冒頭を観ただけで分かった。自分の世界を持っている人間の素晴らしさと痛々しさ。そんな存在を愛おしむ監督の眼差し。
2時間弱の物語の中では、高校を卒業したものの進路が決まらない主人公イーニドが迷走に迷走を重ねる。そして、彼女が何かを成し遂げるようなラストも用意されていない。
ありがちなティーンエイジャー文化に埋没する無個性なクラスメイトや郊外の退屈な人々を馬鹿にしている割に自分自身もぱっとしないイーニドの姿は痛々しいが、十代の自分にも確かにそんな一面があったことが思い出され、いたたまれない気持ちになる。それでも、映画を見終えた私の心には温かい余韻が残った。監督が最後までイーニドに寄り添い続けていることが伝わってきたから。
2023年下旬、何の気なしに見ていたX(旧twitter)で、ゴーストワールドのリバイバル上映を知った。絶対に行かなければと思った。あの名作と、映画館で出会い直したい。 上映が始まって約1ヶ月後の2024年1月、再開発によって円山町から宮下に移転したBunkamuraル・シネマの座席で、私はイーニドたちと再開することになった。
改めて観てみると、最初に観た時の感動が蘇ったシーンもあれば、初見では気付かなかった要素が見つかったシーンもあり、希有な鑑賞体験になった。 これ以降、個人的に気になった部分を列挙してみる。
自由という試練
物語の序盤で、主人公イーニドと幼馴染みのレベッカは、揃って高校を卒業する。式が終わると、イーニドとレベッカは会場から走り出て、卒業生が被る伝統の角帽を脱ぎ、校舎に中指を突き立てる。二人とも大学には進学せず就職もしないので、これからは受けたくない授業を受ける必要もなく、大人として自分の道を選ぶことができる。スクールカースト上のポジションに惑わされることもない。
しかし、コーヒーのチェーン店で働きながら親元を離れて暮らすためアパートを探し始めるレベッカとは対照的に、イーニドは将来のビジョンを持てないまま高校の補講に通い、髪を派手な色に染めてみたり、映画館のアルバイトを一日でクビになったりしている。ルームシェアをする約束を果たす気があるのかとレベッカに問い詰められれば「自立、自立って馬鹿みたい」と滅茶苦茶な言葉を返して怒らせ、家に帰ってからベッドで泣く。イーニドは自由を満喫するどころか、自由を持て余しているように見えた。
高校生の頃は、学校の教員たちが決めたルールに従い、与えられたタスクをクリアすることが求められていた。経済的に親に頼っている分、親や家族というしがらみもある。大人の介入を避けられない年代にいるうちは、人生の問題を大人のせいにすることもそれなりに妥当だ。
しかし、高校を卒業してしまえば、もう人生の諸問題を安易に大人のせいにできない。複雑な家庭の事情に悩まされていても、「もう働ける年齢なんだから、お金を貯めて家を出ればいいんじゃない?」と言われてしまう。
自分の進路を選び、やるべきことを見極めて着実に実行することは、何をすべきなのか指示してくる人間に「やりたくない!」と反抗することよりもはるかに難しい。与えられた自由を乗りこなすだけの自分を確立できていないイーニドの戸惑いと迷走は、滑稽でありながらも、既視感があってひりひりする。
シスターフッドの曲がり角
この映画には、イーニドとレベッカのシスターフッド物語という側面もある。十代を同じ街で過ごし、お互いの恋愛事情も知り尽くしている二人が、高校卒業という節目を境に少しずつ噛み合わなくなってゆく過程が切ない。二人とも、相手を大切に思う気持ちを失ったわけでは決してない。それでも、環境の変化が二人の違いを鮮明にし、今まで通りではいられなくなる。
イーニドもレベッカも、世界をシニカルに見ている点は共通している。派手に遊んでいたクラスメイトが交通事故で身体障害を負ってから改心し、卒業式のスピーチで命の尊さを語っていたことに対して「人間そんなに簡単に変われるわけない」と陰で批判したり、卒業パーティーでも弾けたりせずぼそぼそ喋っていたりと、どこかひねくれた態度で生きている。世の中が用意する感情のフォーマットに素直に乗っからない低温な二人の間には、確かな仲間意識が見て取れた。
しかし卒業を契機に、二人の関係はぎくしゃくし始める。 イーニドは仮に卒業できたものの、落第した美術の単位を取得するため補講に出なければならない。スムーズに卒業したレベッカはカフェのチェーン店で働き始め、アルバイトではあるが社会に居場所を得る。卒業したばかりの頃はイーニドと一緒にダイナーに行き、新聞の尋ね人欄に出ていた連絡先にいたずら電話をするといった行動にも付き合っていたレベッカだったが、アルバイトも続かずルームシェアの部屋探しにも消極的なイーニドに徐々に愛想を尽かす。イーニドが中年男性シーモアとの関係を隠していたことが、さらに二人の距離を広げてしまう。
イーニドは古いレコードを集めるのが好きで、一癖あるファッションを身に纏い、多少野暮ったい部分はあるにしても自分の世界を持っている。バイト先でも、上司の指示に違和感を覚えれば分かりやすく態度で示す。表面的にはリベラルな国を装いつつ水面下では依然として差別が行われているアメリカ社会に対しても、批判的な眼差しを向けている。
しかし、それを表現した自分のアート作品が炎上した際、イーニドは作品を批判する人々に対して展示の意義を説明せず、展覧会の会場に姿を見せることすらしなかった。どんなに鋭い感性があっても、表現する者としての責任を全うする姿勢のないイーニドは、アーティストにはなれないだろう。黒縁眼鏡の媚びない「おもしれー女」ではあってもカリスマになる素質はなく、かといってマジョリティ的な価値観への転向もできないイーニドの中途半端さは、何とも残念である。
一方レベッカは、シニカルな部分もありつつ、現実と折り合いを付けて生きてゆけるキャラクターだ。店に来たイーニドに客への不満を漏らしながらも、上司に嫌味を言ってクビになったりすることはない。経済的に自立して実家を出るという目標に向かって、地に足の着いた努力ができる。
そして、レベッカは白人で、イーニドより顔が整っている。二人がパーティーに行くと、男性たちはユダヤ系のイーニドに興味を示さず、レベッカにばかり声を掛ける。 どう考えても、社会で上手くやってゆけるのはレベッカの方なのだ。
卒業を契機に、高校という環境の中ではそれほど目立たなかった二人の差が浮き彫りになる。置いて行かれた気持ちになるイーニドと、現実に向き合う意欲が感じられないイーニドに苛立つレベッカ。どちらが悪いわけでもないのに、高校の時と同じ関係ではいられない。絶交するわけではないけれど、何となく離れてゆく。
人生のフェーズに応じて深く関わる人が変わってゆくのはよくあることだし、どうにもならない。それでも、楽しかった長電話が気まずい時間に変わったり、昔だったら隠さなかったことを隠すようになる二人を見ていると、人生のほろ苦い部分を突きつけられるようで、胸が締めつけられる。
シーモア:大人になりきらないという選択肢
冴えない中年男性シーモアは、この映画におけるヒーローでありアンチヒーローだ。平日は会社員だが、休日は音楽・レコード・アンティークオタクとして自分の世界に耽溺し、友達も似たような同性のオタクばかり。せっかくライブハウスで女性が隣に座っても、音楽の蘊蓄を語って引かれる。そのくせ「運命の出会い」への憧れをこじらせている。自分の世界を持っている人間の素晴らしさと痛々しさを、これでもかと体現しているキャラクターだ。
イーニドとシーモアの出会いは、イーニドのいたずら電話がきっかけだった。新聞の尋ね人欄を読んでいたイーニドは、バスで少し会話をした緑のワンピースの女性にまた会いたいと呼びかける男性の投書を発見し、この気持ち悪いメッセージの発信者を見てやろうと、緑のワンピースの女性を装って電話をかける。会う約束を取り付け、待ち合わせの場所に友達と共に向かうと、呼び出されたシーモアがやって来る。
待ちぼうけを食らうシーモアを陰で笑いものにするイーニドだったが、別の日に街で偶然見かけたシーモアを尾行して、彼がレコードオタクであることを知り興味を持つようになる。シーモアのマンションで開かれたガレージセールで、イーニドはシーモアが売りに出した中古のレコードを買い、会話を交わし、徐々に距離を縮めてゆく。
シーモアが自宅でレコードオタクの集まりを開いた日、イーニドはシーモアの部屋に入る機会を得、彼のコレクションと生き様に驚嘆する。
恐らくイーニドは、シーモアという存在から、アーティストやクリエーターにはなれなくても自分らしさを手放さずに生きられると学んだ。たとえ恋愛のときめきが去ったとしても、シーモアの残像はイーニドの中に残り、社会と折り合いを付けられない彼女の行く先をささやかに照らすのではないだろうか。
(そして、シーモアの姿が、一応仕事や勉学などで社会と折り合いを付けながらも、家庭を持たず読書や映画鑑賞や執筆に明け暮れる独身中年の自分と重なる。その生き様が誰かの未来を照らしたりすることはあるのだろうか。もちろん作家として誰かの人生に言葉で貢献するのが一番の目標ではあるものの、映画を観た後、最低限シーモアになれたらいいなという気持ちになった。初見の時と感情移入するキャラクターが変わるというのは、なかなか新鮮な体験。)
矛盾を抱えたアメリカ社会への言及
最初に観た時はイーニドや一癖あるキャラクターたちが織り成す人間模様にしか目が行かなかったが、二度目の鑑賞では、画面の端々に映り込むアメリカ社会への皮肉もいくつか拾うことができた。
ライブハウスのシーンに、ブルースに影響を受けたと思われる白人のボーイズバンドが登場する。ヴォーカルは「朝から晩までcotton(綿花)を摘む毎日さ」みたいな歌を熱唱する。確かにブルースにありがちな歌詞だ。しかし、綿花を摘む労働をさせられていたのは主に黒人であり、白人は黒人をこき使う側だったはず。労働者の心の拠り所として作られたブルースという文化を、ブルジョワである白人が無神経に簒奪しているという皮肉な現実が、この短い場面にそっと描かれている。
また、イーニドとレベッカが一緒にパーティーに行くとレベッカばかりが男性に声を掛けられる件には既に触れたが、声を掛けてくる男性はほぼ白人だ。アジア系の男性や黒人男性などがレベッカをナンパすることはない。たまたま二人の住む街が白人の多い地域という設定なのかもしれないが、このようなキャスティングが決まった背景には、制度上の人種差別がなくなっても人種によるヒエラルキーが社会に残っているという監督の認識があるのではないかと感じた。
そして、個人商店がチェーン店に取って代わられ、住宅地が画一的なマンションで占められ、街が少しずつ個性を失ってゆく描写もある。レベッカが働くカフェ(ロゴがスターバックス風)やイーニドがバイトをクビになるシネコン内の飲食店は、無個性なチェーン店そのものだ。モノやサービスが画一的になり、雇用や労働のスタイルも画一的になり、マニュアル通りに動けない人間が排除される世界へのささやかな批判が、様々なシーンの片隅にそっと隠されている。
この映画は、十代の葛藤を単なる自意識の問題として片付けず、矛盾だらけで個性を受け入れない社会にも責任があると言ってくれていた。改めて、監督や制作者たちのティーンエイジャーに対する温かい眼差しを感じた。
ラストシーンをどう解釈するのか
ネタバレになるので詳細は伏せるが、この映画のラストシーンは比喩的で、どう受け止めるのが正解なのか分からない。イーニドの人生に希望の光が差すことはなく、かといって大きな絶望が訪れることもなく、自分を命がけで守ってくれた人の思い出を胸に強く生きることを誓うみたいな展開にもならない。とにかく、分かりやすいメッセージのある終わり方ではないのだ。
(映画館を出た後にエレベーターで乗り合わせた若いカップルも、やはりラストの解釈が難しいという会話をしていた。)
私自身は、このラストを、イーニドが他力本願な自分から卒業することをようやく決意したという意味に捉えている。
これまでのイーニドは、心細くなれば友人のレベッカやジョシュを呼び出し、映画の中盤以降ではシーモアにも絡んでいた。人生に行き詰まれば、誰かを頼って気を紛らわす。偶発的に何かが起こって道が開けないかな、みたいな感覚で生きているような印象だった。 しかし、物語の終盤で、一時はイーニドにとってヒーローだったシーモアが、突然遠のく。レベッカとも既に疎遠になっているイーニド。そして、不思議なラストシーン。イーニドは、私たちに背中を向けている。
イーニドは、自分を導いてくれるヒーローも、どう生きるべきか教えてくれる天使も、どこにもいないということに気付いたのではないだろうか。 人間は最終的には孤独で、自分の人生は自分で切り拓いてゆくしかない。ラストシーンのイーニドからは、彼女が紆余曲折の果てに辿り着いた人生の真理が滲んでいるように思える。
そして、イーニドの後ろ姿は、スクリーンのこちら側にいる私たちに対しても「自分の人生は自分で切り拓いてゆくしかないよ」と語りかけている気がする。どう生きるべきか、映画に教えて貰おうなんて思うなよ。自分で行動して、傷ついたり恥をかいたりしながら、自力で見つけるんだ。
以上が私なりの解釈だが、違う見方もあるのかもしれない。他の人の批評も検索してみたい。
おわりに
Bunkamuraル・シネマでの「ゴーストワールド」上映は明日で終わる。しかし、各地の名画座での上映はまだ続くようだ。これからも沢山の人がイーニドたちに出会うことを想像すると、自然と笑いがこみ上げる。
イーニドの冴えない青春は、観た人の心に何をもたらすのか。
これを読んで少しでも気になった方は、是非スクリーンで、ラストシーンまで見届けてください。
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kennak · 1 year
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https://anond.hatelabo.jp/20230912211531こんな増田が話題になっていますね!この増田に向けてと言う訳ではありあせんが、日常的に山道を生活道路として走っているので、アドバイスしておきます。結論から言わせていただくと 車間距離短すぎです。一般道路の2倍から3倍はとりましょう。山道の運転で車間距離は正義です。相手が譲らないと言う事に腹を立てても仕方がありません。自分が時間を譲って、どこかで10分ぐらい休んでから、その後行きましょう。趣味のドライブで深夜の山道を走るのは、できたら避けてください。それらの道は、周辺の住民にとって命をつなぐ道です。山道の制限速度は上限速度です。本当に守らないと命に関わります。捕まらないと言う基準ではなく命を守るために守りましょう。以下解説しましょう。 車間距離短すぎだろ下手糞が増田はこのように書いていますね。こういうドライバーは後ろから追いつかれても絶対に譲らない。チンタラ走り続ける。制限速度で走る場合その速度をキープしてくれればまだマシなのだが、上り坂でアクセルを踏まず大減速して渋滞を作るし、下りではローギアに落とさずブレーキをパカパカ踏んで減速するため傍から見ていても危なっかしい。カーブのライン取りも甘く、インから入って外に膨らみ、曲がりきれずカーブ後半で急旋回する。同乗者はたまったもんじゃないだろう。車内はきっとゲロまみれだ。こういった運転の細かい所まで観察でき、その影響をダイレクトに受けるようなレベルでは車間距離が短すぎます。一般の平地に比べて、2倍から3倍くらい、車種がわかるかな?ぐらいの長い車間距離をとりましょう。そうする事によって、上り坂に入った直後の急減速や、下り坂でのカーブごとの減速などに追従出来るため、ストレスなく走る事ができます。山道はカーブやアップダウンが激しいことがありますし、カーブの先が全く見通しがないこともよくあります。そしてそれぞれの車や荷物をの状況などによっても挙動が変わってきます。その差を吸収するのが車間距離です。先に進んでいる車が自分の車と同じ挙動をすることはありません。とにかく車間距離をとりましょう。仮に増田の妄想が正しいとしても、事故に巻き込まれる可能性を減らす事ができます。もっと言うと、ライン取りの評論が出来るくらい近い車間距離は、山道でなくとも近すぎます。場合によってはあおり運転と解釈される場合もありますから、いつも車間距離を長くとりましょう。すぐに追いついてしまう? それは単にスピードの出し過ぎです。流れに乗ってください(笑)他人に譲れという前に貴様がまず時間を譲れ。周りはお前のママじゃねえんだよとにかく時間に余裕を持って行動することが大切です。そして増田は相手が自分に会わせて譲らないことが大切だとおっしゃっていますが、なかなか分かってもらうことは難しいです。ドライバー感の譲り合いの精神、大事ですね。身振り手振りやアイコンタクトなどによる非言語コミュニケーションかなり大事だと言うことが言われており、自動運転で難しいのがこの辺りだという研究結果も存在しています。ですから、その総論には賛成できます。ですが、それを相手に求めたからといって、貴方自身になにかよいことがあるのでしょうか?私は無いと思います。また、相手は、山道に不慣れだけれど、何か特別な用事があってやむを得ず運転している場合があるかもしれません。と言いますか、山道を深夜走るのは、日常的にその時間に通勤などで使う人でなけえば、大抵はそう言う人々です。コミュニケーションとは、相手の事を察することも含まれるわけですから、まずはそこから心がけてみてはいかがでしょうか。それでもどうしてもイライラしてしまう、そんな増田にお勧めなのが「自分の時間を譲る」という方法です。路肩の安全なところに車を止めて、10分ほど時間をおいてから出発する「時間を譲る」考え方です。なあに、10分なんて、Youtubeで大好きなDQN動画でもみればあっという間です。貴方はスピードを出しているつもりかもしれませんが、実際には到着時間にしてみると、5分も差が無いことが殆どです。ですから、それだけズレていれば、貴方が一��的に恨みを募らせている被害者に追いついてしまうことは無いと思います。まずは隗より始めよ!ですね。これは運転に限らずです。どうしてもリズムがあわないと感じたら、相手に向かって呪詛を吐くよりも、自分がうまく譲る事を覚えましょう。次の低速車が来てしまうかも? それは…そんなに低速車に当たるようなら、お祓いなどを検討された方がいいですね! もちろん冗談です。まずは、低速車認定する閾値が低すぎるのではないか?と言う所を考えてみた方がいいかもしれません。常に心と時間と車間距離には余裕を持ちましょう。山道は生活道路。ここはテメエの遊び場じゃねえんだよ。大人しくスマホでポチポチゲーでもやってろや趣味がドライブ!いいですねえ。昼間のドライブで、道の駅などを巡って美味しいものを食べて、温泉入って、地元にお金をとしていただくことは大変うれしいです。助かります。でも、深夜の山道、ですか……?都会の人が地方に来て「こんな立派な道が何故山奥に?」と驚かれることがあるのですが、こういった道は、昔からの街道筋にあることがほとんどです。そして、かつての産業を支えた道でもあるんですね。そして現在は、都市間をつなぐ役割は高速道路に譲ったものの、その街道を支えた集落と集落の間をつなぐ道として存在しているわけですね。そして、地方部の場合は、その道一本しか無い場合もあります。この道が潰れたらもう出勤もできないし、救急車も通れないわけです。ですから、人々の生活を守るための道として存在しています。趣味が車、ドライブであるというのは否定しません。否定はしませんが、深夜の山道を珍走する行為は、そういったライフラインを無闇に危険にさらしている用に思います。またただでさえ過疎化で維持コストが高まっているところで、生産性もなく走るだけと行ったフリーライダー行為は控えてほしいと考えています。少なくとも、そう言った存在に、地元の人たちは迷惑している、と言う事は表明しておきたいです。スピード超過で事故るならテメエひとりで事故れ、他人に強要すんなよカス皆さんは、道路の制限速度はどういった形で決まっているかご存じですか?近年作られた道ですと、設備(歩道が別けられて中央分離帯があるか、など)やカーブの有無などによって、設計速度というものがあり、そこから一定の係数をかけて最高速度が決まっています。例えば、新東名高速道Rは140km/h と言う設計速度で作らていますが、ついこの間まで100km/h でした。そう考えると、速度を超過しても安全である、それよりも流れが大事だ、と言う考え方は一理あるように思います。もしかしたら一部の状況ではそれが正しいと言える事があるかもしれません。しかし、山道など昔からある道はどうでしょうか? 実は、こういった道は「過去の経緯」で、現在の規制基準に比べると、高い制限速度になっているケースが多いのです。現在の基準で当てはめると40km/h や30km/h になるべき所が、50とか60とかになったままになっていることがあります。例えば、トラックなどはその速度でカーブに突入すると、横転まであり得ると言うような急カーブが存在していることがありますが、制限速度はそのままです。これは、高速道路が整備されるまでは、そこを基幹輸送を担うトラックなどが走っていたことのなごりかもしれません。そして、そんな山道でも、突然制限速度が厳しくなっている箇所がありますよね。あれは、そこで以前、重大な事故があった証拠です。山道はあまりお金をかけられません。道路を改良するより、速度規制を厳しくすることで対応しているのです。そういった状況で、15km/h の超過ならつかまらない、といった「捕まらなければその速度で走って良い」と解釈するような動きをするとどうなるでしょうか?もしかしたら、増田はスーパーカーを持っていて、走れるかもしれません。しかしトラックや、軽のハイトワゴンなどはどうでしょうか?制限速度は守りましょう。どうしても自分は超過して良いと考えるようでも、他人にそれを強要するのはやめてください。それぞれ事情があるのです。少なくとも言える事は、早い速度で走って問題ない車を遅く走らせる事はできますが、逆はできないと言う事です。 まとめ:お前運転向いてねえわあおり運転で捕まった人間のうち、ほとんど「煽ったつもりはなかった」というそうです。もちろんしらばっくれている人もいるでしょうが、実際には本当に本人は煽っているつもりはないと思っているかもしれません。また、そういう方ほど、ご自身の運転に自信があり、車間距離などを短くとる傾向があるそうですから、それが端から見るとあおりに見えている、ということがあるでしょう。山道では、特にそう言う事が起きやすい傾向がありますので、皆さんも注意してみてください。さあ本日もご安全に!
山道を日々走る俺が山道走行のコツについて述べる
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elle-p · 1 year
Text
P3 Club Book Mitsuru Kirijo short story scan and transcription.
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桐条美鶴の暴走
桐条美鶴は悩んでいた。
どうやら、自分は普通の同年代の女子とは、少し違っているらしいのだ。
思えば、いままではシャドウとの戦いと、勉学に明け暮れる毎日だった。愛する父親のため役立つことなら、どんな苦労も厭わなかった。そしてそれは、ごく普通のことだと思っていた。ごく最近までは。
きっかけは、やはり修学旅行だろう。日ごろの学校での勉強と違い、たとえ数日のことであっても、学友たちと朝から晩まで寝食をともにすることで、ほんのちょっと、自覚せざるを得なかった。何というか、一般常識的に、自分は少しズレているのではないか、と。そういえば特別課外活動部の仲間も、生徒会のメンバーも、自分から距離を置いているのではと思えることが、しばしばあるような気がする。
つい先日も、真田明彦に「なあ、私は······普通とは違うのだろうか?」と率直に相談してみた。美鶴の質問を聞いた明彦は、いつもの爽やかな笑顔のままピクリとも動かなくなり、たっぷり1分ほど時間を置いた後に、個性というものがいかに大切か、ひとりひとり違う人間とはなんと素晴らしいことかといった内容で熱弁をふるい、歌を歌いながら立ち去った。曲目は『世界にひとつだけの花』。最後まで、美鶴と目を合わせようとしなかったのが、印象的だった。
これはやはり、遠回しに「問題あり」と言っているのだと、さすがに理解できた。
生徒たちの上に立つ生徒会長として、そして特別課外活動部を率いる責任者として、これではいけない!いまさら、一朝一夕で一般常識とやらを身につけることは不可能だろうが、せめて、せめて周囲の人々に慕われるような、そんな人間になろう!そう美鶴が発奮したのも、無理のないことだろう。そして、彼女の性格上、行動は迅速だった。---はた迷惑にも。
「か······会長っ?いま、何と言······」
「ど、どうかしたのか?い、いや······違うな······どうかしたの?ち、千尋ちゃん?」
「か、かいちょおぉぉぉつ!?」
生徒会室に、生徒会会計である伏見千尋の絶叫が響き渡った。美鶴の“慕われる人柄になろう作戦”が発動した翌日の放課後。彼女はさっそく、それを実行し、戦果を上げていた。
やっていることは大したことではない。まずは形からだけでもと、美鶴が知る限りでもっとも人当たりがいい少女---山岸風花の喋りと動きを真似しようと思った。それだけだ。
それが、予想以上の破壊力だったことは、誰にとっても不幸なことだった。美鶴はただ、千尋の「会長、この件はどう処理��ましょう?」との質問に、こう返答しただけだったのだ。
「ち、千尋ちゃんは、どうしたらいいと思う?」
そして、にっこり。
柔らかい笑顔、のつもりだが、日ごろ使っていない表情筋を酷使したため、頬の端がピクピクしていることに本人は気づいていない。おかげで、それは笑顔というよりも、どう見ても何かを企んでいる顔にしか見えない。
それでも、悲鳴を上げて真っ白になった千尋を心から心配して、美鶴が優しく声をかける。
「大丈夫?千尋ちゃんっ?」
これがトドメとなった。
ぴきっ。千尋の中で何かが壊れる音がした。
「いやあああぁぁぁあ!ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!私が悪かったなら謝ります!お願い!許して!言いたいことがあったら死ぬほど責めてくださって構いませんからぁ!丸呑みにして生きたままじわじわ胃の中で溶かしていくみたいな生殺しはしないでぇ!ごーめーんーなーさーいー!!」
ありうべからざる異常な現象を目撃し、千尋の脆弱な精神は、簡単に灼き切れていた。恐怖に翻弄され、被害妄想で心は満たされ、ついには胎児のような丸い姿勢でうずくまって、ごめんなさい会長を差し置いて彼には手を出しません、とか訳のわからぬことを呟いている。
「え······お、おい、伏見?みんな?ど、どうしたんだ?何が起こった?」
千尋の狂態に、ようやく状況に気づいた美鶴が周囲を見回したときには、すでに生徒会室の中には、まともに口がきけるものはいなかった。
「そ、それは······申し訳ありませんでした······って言うのも変ですね。うふふ」
「いや。私が半端に山岸の真似などしたのが悪かったのだ。やはり、本物には敵わない」
生徒会室の惨事が、数台の救急車のサイレンをもって幕を引かれたあと、美鶴は廊下でたまたま出会った風花を連れ高等部校舎の屋上へとやってきていた。作戦失敗に少々へこみつつ、美鶴は無断で手本としたことへの侘びを風花に告げ、自分のミスの原因を率直に訊いてみる。
「やっぱり······口調や立ち居振る舞いって、その人だけのものですから······。無理をしてもどこかでボロが出るのは仕方ないです」
「しかし、それでは······皆に一歩引かれてしまうのだ。私の態度は、どうも硬すぎるらしい」
「だったら、話す内容かなあ······」
「内容?」
「少ししか······一緒にはいられませんでしたけど、荒垣先輩って話してみると面白い人だったんですよ。最初はちょっと怖くて近づきにくかったですけど、けっこう冗談とか言うし」
「冗談か。なるほど······」
美鶴の脳裏に、高等部に上がったばかりの頃の荒垣の面影が浮かぶ。確かにあの事件が起きるまでの荒垣は、どちらかというと陽気なタイプで、いまで言えば順平のようなパーソナリティの持ち主だった。
「そうか······納得いった!山岸、恩にきる!」
「え?あ······桐条先輩?どちらへ?」
「さっそく寮に帰って、草稿を練ってみる!明日は幸い、全校集会がある日だからな!」
そう言って、風花を取り残したまま、猛スピードで美鶴は立ち去った。それは、入浴中に「わかった!」と叫んで裸のまま往来へ飛び出したアルキメデスのような勢い。もちろん、美鶴は何にもわかっちゃいなかった。
翌日の朝、講堂には集会のため全校生徒が集まっていた。恒例の眠気を誘う校長訓示、学年主任教師からの諸注意のあと、「続いて、生徒会からのお知らせがあります。会長、どうぞ」とのアナウンスが、エコーを伴い講堂に響く。そして、いつものように堂々と背筋を伸ばした。桐条美鶴が壇上に姿を現わした。
カツカツと靴音を響かせ舞台中央に立った美鶴は、演台上のマイクの角度を軽く直し、視線を前に向けて講堂を隅々まで脾説する。それは正しく、王者の貫禄。昨日のようなイカレた様子は微塵も感じさせない、常と同じく凛々しい姿に、舞台袖に控える生徒会役員たちが胸をなでおろした、その瞬間。
「······おっはー☆」
······ざわつ。
軽く短いざわめきが広がる。一瞬、その場にいた全員が、自分が幻聴を聞いたと思ったに違いない。ただひとり、山岸風花だけが、昨日の不用意なアドバイスのことを思い出し、顔面蒼白にして固まっている。
ざわざわざわざわ。
徐々に増えるざわめきに、美鶴は焦っていた。おかしい。こんなはずではなかった。最初に軽いツカミで聴衆の緊張をほぐし、その後、小粋なジョークの連打で笑いの渦を我が物とするはずが······。そのために、わざわざ古書店で『アメリカンジョー 100選』やら『大人のフランス小話』やらを買い漁って研究したのに。やはり、美鶴が幼いころに 一世を風靡した朝の子供向け番組の名セリフとはいえ、ネタが古すぎたのだろうか?しかし、最近では滅多にテレビも見ない自分に思いつくネタは······あった!確か伊織が言っていた最近流行りの······。
「······お手上げ侍」
しーん。
今度こそ静寂が周囲を包み込む。生徒ひとりあたり、平均して5本ずつ白髪が増えていた。もはや働く者はいない。そして、しばしの言葉の真空状態を経て、「いやあぁぁぁぁぁ!!」と響き渡る千尋の絶叫。昨日のトラウマが、このタイミングで蘇ったようだ。ここが学校でなく職場だったら、PTSDで労災がおりるに違いない。
その日、月光館学園に緊急出動した救急車は、10台を越えたという······。
放課後、今度こそ真剣に、美鶴は落ち込みまくっていた。ほぼ徹夜で考えたスピーチが目も当てられない失敗に終わったことも原因だが、何より、アドバイスを活かせなかったことを風花に告げに行った際。
「別に構いませんけど、今度からは一般人の目の前でマハブフダイン (氷結ハイブースタにより威力1.5倍) は止めてくださいね、うふふ」
とか、ぐっさり言われたことが、相当に堪えていた。あれで、風花は意外と毒がある。ちなみに風花の目は、微塵も笑っていなかった。
そんなわけで、美鶴は意気消沈して寮への帰路をとぼとぼと歩いていた。と、そこに。
「あれ?やっほー、美鶴センパイ」
と、声がかけられる。それは、美鶴も良く知った、岳羽ゆかりの声であった。いつもならここで、「ああ、ゆかりも今帰りか?」などと、自然と会話が始まるのだが、連日の失敗で美鶴はすっかり調子を狂わせていた。思わず、美鶴の口を突いて出たのは。
「や、やっほぉー、ゆかり······」
言葉が美鶴らしくないなら、態度も美鶴らしくなく、ゆかりの反応を下から窺うような、おどおどした表情になっている。
「······」
「······」
「······きもっ」
ぐっさり。
容赦のないゆかりの言葉が、美鶴の胸に深く突き刺さる。そして---。
「う······ううっ」
「あ、あれ?美鶴センパイ?」
「······うえっ」
「え?ウソ?ちょ、ちょっと泣かないでくださいよ!ご、ごめんなさい、ごめんなさい。ちょっとした冗談ですから。あー、よしよし」
子供のように、美鶴は泣きじゃくっていた。
---夕刻。なかなか涙が止まらない美鶴を、ゆかりは長嶋神社の境内へと連れてきていた。小さジャングルジムや、その向こうの境内が、照り映える夕陽で橙色に染まってゆく。
「すまない······ゆかりにまで、愛想をつかされたかと思って、つい······」
「だーかーら!違いますって!だいたい、仲良くなかったら上級生相手に『きもっ』なんて言えるわけないじゃないですか?」
やや目の端は赤いものの、美鶴は何とか泣き止んで、今は少し落ち着いた様子だった。
「で、いったいどうしたんですか?今日のセンパイ、はっきり言ってヘンでしたよ?」
親しさゆえとはいえ遠慮のないゆかりの物言いに、美鶴はうぐっと言葉を詰まらせるが、それでも淡々と先日からのことを説明した。すべてを聞き終えたゆかりは、大きく溜め息をつくと、ばっさりと切り捨てるように言う。
「バッカじゃないですか?」
「ば、馬鹿とは何だ! これでも真剣に······」
「バカですよっ!」
そう言って美鶴の目を見つめるゆかりの表情は、なぜだか少し怒っているようだった。
「ゆ、ゆかり?」
「センパイ、ぜんぜんわかってない!」
怒っているようで、それでいて、少しだけ寂しさを含んだ顔。
「いいですか、一度しか言いませんよ?少なくとも寮の連中や生徒会の人たちは、誰も美鶴先輩を敬遠なんて、まして嫌ったりなんてしてません!見ててわからないんですか?」
「ゆかり······」
「風花が美鶴先輩に親身にアドバイスしたのはどうしてです?いつもと違う先輩にみんなが驚いたのは、いつもの先輩がいいと思ってるからでしょ?まったく、いつも自分ひとりで納得して突っ走るの、悪い癖ですよ?」
「私は······このままでいいのかな?」
「そのままの先輩で、いいんです!」
「······一般常識がなくても?」
「はなから期待してません!」
「······嫌われて、ないか?」
「みんな、先輩が好きなんです!」
どくん。
ゆかりの言葉に含まれた、ひとつのキーワードが、美鶴の胸を打つ。それは、自分でも気づいていなかった、もっとも欲しかった言葉。
「も、もう一度!」
「へ?」
しょんぼりと気力を失っていたはずの美鶴が、一転してすごい剣幕でゆかりに詰め寄る。
「いまのセリフ······」
「え?みんな······先輩が······好き?」
じ~ん。
そんな描き文字がバックに見えるように、美鶴は全身を震わせて感動していた。そして、 さらに顔を紅潮させつつ、ゆかりを問い詰める。
「ゆ、ゆかり······は······どうなんだ!?」
「わ、私っ!?私は······きですよ」
「聞こえない!」
「あー、もう!そんなことわざわざ口に出して言わなくても······。あ······」
言わなくてもわかるだろう、と言いかけて、ゆかりは美鶴の目を見てしまい、そして悟る。美鶴はもちろん言わずとも理解していた。だが、いま必要なのは、はっきりとしたゆかりの言葉なのだ。それを訴えかける、美鶴の必死な視線を受けて、ゆかりは苦笑しつつ言った。
「私も、美鶴先輩が好きですよ。······ほ、ほかの人と同じようにですけどね」
心からの言葉を美鶴に贈り、それでも妙な感じに誤解されないよう釘を刺すことも忘れない。
「さ、さて!そろそろ暗くなりますから、さっさと寮に帰りましょ��!」
ゆかりが、軽く染まった頬の色を隠すように、ベンチから腰を上げて美鶴に背を向けた。そしてそれを追うように、美鶴も慌てて立ち上がる。
「お、おいゆかり!ちょっと待て、できればもう一度······その······」
ゆかり以上に頬を染めて、美鶴が先ほどの言葉を重ねてねだる。しかし、ゆかりは構わず先をずんずんと歩いてゆく。
「知りません。もう十分でしょ?」
「······ゆかりは、意外とケチなのだな······」
「ケチって何ですか!ケチって!」
「ケチじゃないか。先日だって······」
「あ、それ蒸し返します?先輩こそ······」
ぎゃあぎゃあと喚きつつ、薄明のなかを歩くふたり。その姿は、10年来の親友同士のもののよう。美鶴の小さい悩みは、いつの間にか春の雪のように融け去っていた。
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ari0921 · 2 years
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「対中迷走」のドイツは他山の石 明星大学教授・細川昌彦
細川 昌彦
「日本はアジアのドイツになるな」。長年信頼するワシントンのある外交専門家がつぶやいた忠告だ。ドイツのショルツ首相による訪中が念頭にある。今月4日、習近平国家主席との中独首脳会談が行われた。ドイツの産業界を同行させた訪中で、中国ビジネスを重視する日本の産業界が揺さぶられるのを懸念してのことだ。
ショルツ訪中に内外から批判
今回のショルツ訪中は中国の強い要請によるものだ。中国の狙いは明らかに対中包囲網に風穴を開けることにある。中国の思惑に乗ることに政権内の主要閣僚はこぞって反対したが、ショルツ首相は首相府の取り巻きだけで決断したようだ。ドイツ産業界はエネルギー危機に直面して深刻な事態だ。中国もそうしたドイツの状況を見逃さなかった。
しかし内外からの批判は予想以上であった。欧州連合(EU)は対中依存度を下げる方針を掲げる中でのショルツ訪中を苦々しく見る。米国も「ドイツはエネルギーのロシア依存と同じ轍(てつ)を踏むのか」と手厳しい。
ドイツは批判回避に躍起となった。新疆ウイグル自治区における人権問題や台湾問題にも注文をつけたことをアピールしている。訪中後、ショルツ首相はバイデン米大統領に電話で訪中内容を説明して懸念払拭に必死だ。
ドイツ国内では対中強硬論が勢いを増している。ショルツ訪中だけを見て、「ドイツは対中融和に舵(かじ)を切った」と結論付けるのは短絡的で、実態は迷走している。
例えば、最近、重要インフラであるハンブルク港のターミナルへの中国企業の出資を認めたものの、閣僚の反対で35%の出資比率を25%未満に引き下げて少数株主にとどめた。
さらに今月9日、中国企業による独半導体メーカーの工���買収を安全保障への懸念から拒否する閣議決定を行った。これまでの承認方針を一転して変更したのは、訪中への厳しい批判が背景にあるようだ。
産業界の対中共通認識
産業界の対応も注視すべきだ。中国はドイツ企業を先端技術の入手先として中国市場を武器に取り込みを強める。今回の産業界同行の訪中要請もそうした思惑がある。
しかしドイツ産業界は中国への新規投資に突き進むわけではない。訪中同行の12企業は長年、中国に投資してきた自動車や化学の大企業が中心で、すでに対中依存度が高く、危険水域だ。多くは現状維持をベースに、これまでの経済的利益を確保することに力点を置く。また近年、中国への警戒感から中国市場に新規参入する欧州企業はほとんどない。そこを読み誤ってはならない。
また在中国EU商工会によると、自動車も化学も「技術の線引き」で暗黙の共通認識があって、最先端の技術を出しているわけではないという。最近、対中投資の技術流出リスクについて警鐘を鳴らすリポートも出している。先月、米国が打ち出した新たな対中半導体規制においても「レッドライン(許容できない一線)」が引かれた。製造装置では先端半導体の性能値で線引きして原則不許可にする。半導体以外の戦略分野でもこうしたレッドラインが必要だ。仮に法規制がなくても、業界・企業で共通認識があるかだ。
中国は米国による規制を意識して、今回の会談でも半導体製造装置の投資・輸出を要請したとの情報もある。明らかに中国はドイツ企業を取り込もうとしている。さすがにこれにはショルツ首相は応じなかったようだ。
日本が問われる「距離感」
先般の共産党大会における政治報告でも、習政権の狙いは「国家安全」「自立自強」のための国産化戦略だ。そのために技術入手の標的とする外国企業に秋波を送る。それがドイツと日本だ。もちろん企業にとって中国市場は重要で捨てるわけにはいかない。しかし同時に必要なのは技術のレッドラインを明確にした「中国との距離感」だ。
政府も中国との間合いが問われる。日本も今週以降アジアで開催される国際会議に合わせ、日中首脳会談を行おうとしている。批判を受けたドイツと違って事を慎重に進めるのは当然だ。「岸田内閣は対中融和に流れないか」と、バイデン政権からはドイツと同様に警戒の目で見られているのも事実だ。それが冒頭の忠告にもなる。
中国と対話することだけが目的になってはならない。問題は中身だ。尖閣を巡る安全保障問題、強制的技術移転等の経済問題など、日本が直面している問題はドイツ以上に深刻だ。中国へ厳しく注文をつけるのは当然だ。
ドイツは一方で先進7カ国(G7)の議長国として、覇権主義的な動きを強める中国を議題にして、台湾問題や新疆ウイグル自治区の人権侵害への懸念や中国による経済的威圧に対するG7の協力・連携を主導している。日本は来年のG7議長国として、こうした対中牽制(けんせい)の協調を牽引できるか問われている。(ほそかわ まさひこ)
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yachch · 2 years
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新刊『光や風にさえ』試読
プロローグ アサイラムにて
 おぼえているかしら、ねえさん、裏庭にあったブランコのこと。古びたユーカリの木の枝からぶら下がっていた。嵐の晩にどこかへ飛ばされてしまって、どんなに探してもみつからずに、枯れ葉の下で朽ちて、土に還っていった。  妹の声がよみがえってきたのは、シャワールームにいるときのこと、わたしはバスタブに寄りかかってシャワーの水があたたまるのを待っていた。給湯器の調子が悪くて、適温になるまで何分もかかったから。わたしは両足を開いて床に座り、陰部にできたしこりをいじっている。クリトリスを挟むようにできたしこりは痛みこそないけれど、時間をかけ、ゆっくり成長している。  妹とは夕方に十五分くらいビデオ通話で話した。電話代だってばかにならないのに、水曜日になるとかならずかかってくる、儀式めいたもの。でも、このところの彼女は、どうにも歯切れが悪く、あたりさわりのない話題ばかり選んでいるようだ。衛星がぐるぐる回るように、迂遠な語りばかり重ねている。だからふたりの会話はいつも迷走して、着地点を見失って終わる。頻繁に話しているわりには印象に残りづらい、無意味な語りかけは、けれどもトゲのようにわたしの胸に刺さった。  かつて家族で暮らした一軒家には、たしかにユーカリの木があった。赤土にどっしり根を張り、枝という枝からボロ布のようにウスネオイデスをぶらさげていた。けれども、その枝にブランコをぶらさげたことは一度もなかったと記憶している。妹と一緒に暮らす両親すらおぼえていないと言うのなら、もうたしかめようのないことだ。火の不始末で、わたしたちの生家は祖母ごと燃えてなくなってしまったことだし。  でも、たしかめようがないからこそ、おぼえているかしら、と妹は語りかけてきたのかもしれない。記憶という本来わかちがたいものを共有したいと思い、願ったから。不幸にもその記憶はだれにも受けとめられず、宙に浮いてしまった。蓋然性を失し、空想の、あたかも物語であるかのような語りに変質していった。ただ生きているだけの、とるにたらない人間の記憶の正誤など、いちいち検証してはいられない。記憶を共有する誰かが、たしからしいと証明しないかぎりは。だから、記憶を共有できないというのは、物語と区別がつかなくなることに近しいのではないか、とわたしは思う。  眩暈が波のように押し寄せてくる。貧血からくるそれを床に伏せてじっとやり過ごす。気を取り直して、シャワーが適温になったことを手のひらでたしかめた。  バスタブに入り、半身に湯水を浴びて、肉体の痛みがどこか遠い場所に去ってくれることを期待する。湯気にかすむ天井をぼんやりながめていると、ふと、半年くらい前におなじ体験をしたのだ、ということに思い至った。あのときの彼女も、わたしに対してこのように語りかけた。Tal vez te acuerdes(おぼえているかしら)、と。耳朶に直接吹きつけられたかのように、息づかいや吐息の熱とともに、なまなましくよみがえるその声。  泡沫のように予期せず浮かび上がってきた記憶が、異なる記憶と共鳴し合い、痛みからの逃避を求めるわたしをその渦に飲みこんでいく。  ――きっかけはロドリゴだった。半年ほど前だったか、彼から電話がかかってきて、たまたまそれを受けた。テニュア審査に落ちた彼が市内の別の大学に転籍するのと、わたしが自分の研究室を閉めたのはほぼ同時期で、以来、一年半にわたって彼からの連絡を無視していた。だからわたし電話口に出ると、彼はとてもびっくりした。  彼は興奮ぎみに近況を話し、非常勤講師としてなんとか食いつないでいると言った。わたしはすでに大学を退職していたけれど、自分からは話さなかった。用件はこうだ――調査に同行してくれる日本語通訳者をさがしている。  たしかにわたしは日系三世で、日系移民の帰国事業を見越して親も桂(ケイ)なんていう日本的な名前をつけ、日本語の教育を受けさせた。でも、第一言語は彼とおなじスペイン語で、妹ほど流暢にはしゃべれない。正直にそう話すと、いいから、とロドリゴは言った。実は、日系移民の女性に会いに行くんだ。貴重な一世さ。スペイン語が通じなかったとき、ちょっと手助けしてくれるだけでも――本音をいうと、きみに会えるかもしれない、ってのがうれしくてたまらないんだ。ロドリゴの声は弾んで、涙まじりだった。すこし前だったら、不愉快になっていたかもしれない。あなたが想像したり、ときに期待したりするほど、あっというまに死ぬわけじゃないんだと嫌味を言っていたかもしれない。でも、電話に出る気になったのと同じ理由で、わたしは柄にもなく浮かれていた。病気が寛解し、経過観察になったから。血流に放たれたエクソソームが臓器を耕し、いずれはまた悪いものの芽を生やすとしても、たとえいっときでも心身をどろどろにする化学療法から離れられた。  ロドリゴは以前とかわらず、『トラタミエント』と呼ばれる処置を受けた臓器提供者たちの追跡調査を続けていると話した。くだんの日系移民の女性もそのひとりだった。長く非合法の臓器提供者として生計を立て、その最後の段階として、いまは心臓の提供先を探しているという。わたしの祖母と世代が近く、長く市内のアサイラムで暮らしているとの話で、どこかで祖母とかかわりがあったかも、と考えたことをおぼえている。昔からここに住んでいる日系人はめずらしかったので。  約束をとりつけて、数日後には彼女のもとに足を運んだ。彼女の暮らすアサイラムまでは、最寄りのバス停からけっこう距離があって、何度も階段路地をのぼったりおりたりするはめになった。歩きながら、ロドリゴは飼っているデグーの話をした。わたしは適当に相づちを打ちながら、どうしてこのあたりはこんなに臭いんだろうと考えていた。アサイラムは移民街のなかほどに位置していたが、腐った歯のようにバラックが密集して、有機物の発酵しゆく臭いが充満していた。  さんざ迷った末に目的地に到着し、受付にいたアサイラムのスタッフに彼女の所在をたずねると、あのひとならいつも中庭よ、と言われた。日陰で根を生やして、じっとしているはずよ。案内された中庭は狭く、きたならしかった。年老いた女性が地面を転がりながら煤けた肌をかきむしっていた。なにをそんなに恐れているのか、ずっと声を震わせながら怒鳴っている男性もいた。でも、大抵のひとは、死んだように目を閉じて、その場でじっとしていた。コントロールしやすいように毎日多量の鎮静剤を与えて、市街からかき集めてきた浮浪者や精神異常者を押しこめているから。公的給付金を得るためだけに運営される福祉施設のひとつ。  狭い中庭をロドリゴは歩き、すぐひとりの女性に目をつけた。大柄な彼の影にすっぽり収まってしまうくらい小柄な女性で、膝を抱えて座りながら、じっと地面の一点をみつめていた。  ――なにをみているんですか?  地面に膝をつき、ロドリゴが問いかけるが、女性はひび割れたタイルを凝視するだけで答えない。まばたきをしないので、眼球がすっかり乾いて、充血していた。目許には脂(やに)が溜まって複雑な地層をなしていたことをおぼえている。  ロドリゴがしばらく無意味な呼びかけを続けていると、屋内からスタッフが出てきて、備えつけのホースで水をまきはじめた。ロドリゴがさっと立ち上がる。彼女の隣には排水溝があって、地面の傾斜に従って水がそこに流れていった――でも、彼女はくるぶしまで水に浸かっても平然としていた。みじろぎひとつせず、修行僧のようにじっと座り続けている。  事前に渡された診断書には、彼女が多数の臓器を喪失している事実とともに、認知能力が極端に低下していることが記載されていた。くずれゆく脳では記憶が更新されず、判断力と遂行力も消失する。外界からの刺激に鈍くなっていた。  スタッフがおもむろに歩み寄ってくる。水の通りが悪くなったのか、排水溝に引っかかるものをつかんで放る。  放り投げられたものは、偶然、彼女の目先に落ちた。  すると、はだしの指の先が、ぴくりと動いた。  彼女はまぶしそうに片目をすがめると、ささやくようにこう言った。  ――あれは蘭。アングロアの根。  何年ぶりかに話したかのように、声はかすれている。  ロドリゴはかすかに身じろぎし、前のめりになると自然と傾聴の姿勢をとった。彼女はスペイン語を話しはしたがひどくなまっていたので、正確に聴き取るためには用心深く耳を澄まさねばならなかった。  ――もともとは寒いところの花……だから、低地で育てると夏越えができなかった。毎年そうだった。  それだけ言うと、また押し黙ってしまう。  ――蘭を育てたことがあるのですね。私の実家の裏庭にも、原種の蘭がたくさん咲いていましたよ。  彼女の目線の先にあるものは、たしかに植物の根のようにもみえた。腐ってカビが密集し、もとが何だったのかは判別がつかなかったけれど。  ――私の家の庭には、アロエやベゴニアがあって……それから。  意外にもしっかり会話がつながったことにおどろいていると、彼女はゆっくり顔を上げ、相手と目を合わそうとすることさえ試みた。  でも、視線の先にいたのは話しかけたロドリゴではなく、どうしてかわたしった――彼女は表情らしき表情を浮かべていた。不自然に顔をしかめるだけだったが、���愕ともとれた。  ――おぼえているかしら?  口の端にほほ笑みをにじませ、彼女は語りかけた。分かちがたく、不可侵の記憶の一片を、わたしが受けってくれることを願いながら。  ――わたしの庭に蘭があったこと、おぼえているかしら、アングロアの、赤ん坊の花。  あとになってわたしは思う。もしかしたら、あの瞬間、彼女はみずからをとりまいていた深い暗闇をぬけだして、くずれゆく自己をほんの一片でもつかみとったのかもしれないと。  この不可解なできごとを前に、ひとつ思い出すものがある。  いつかSNSで拡散されていた、ある動画のこと。再生をはじめると、どこかの高級な養老院とおぼしき明るいホールが映る。そこでは老人たちが談笑しており、カメラのレンズはそのなかのひとり、車椅子に座った老女に近づいていく。赤子のように無垢な目で虚空を眺めていた老女は、ホールに音楽が鳴り出すやいなや、不自由な上半身を繰って、何とも生き生きと踊りはじめる。見間違いようもなく、アルゼンチン・タンゴのふりつけで。タンゴは足さばきに目がいきがちだが、軸が置かれるのは上半身だ。上半身の動きがあってこそ、複雑なステップが生まれる。だからこそ老女が上半身をよじり、そらすだけで、タンゴという共通言語をもつ者の目には自然と優雅な足どりが浮かぶ――動画の最後には、老女がかつて一世を風靡したアルゼンチン・タンゴのスターであり、現在は深刻な認知症で自分の名前すら思い出せない旨が記される。奇跡の数分間。でも、そのうつくしい再現はけっして奇跡の賜物ではないことをわたしは知っている。単に彼女が長い時間をかけて軟骨をすり減らしながら、必死にタンゴのリズムを身体に記憶させたという証左でしかない。身体記憶は、自我や認知とは異なる場所に保管されるものだから。ゆえに自分の名前を忘れても、タンゴは忘れないという不可解な状況も成立する。  だから、彼女はあの腐った根をみて、土をいじる感触、花と緑葉の香りを想起したんじゃないだろうかとわたしは想像する。身体記憶をきっかけに、ほどかけかた自己が偶然にも結び直されて、泥河に沈んでいた物語に光が当てられたのではないかと。  そうでなければ、説明��きないとも思う。  ――だいじょうぶ、ちゃんとやるわ、私。あなたのためなら、心臓をあげたってかまわない。約束したものね。  ――約束って?  ロドリゴの質問に、彼女は穏やかに話した。  ――仏さまに近づけるって、あなたが言ったんじゃない、マヤ。  ――マヤって?  ――私の娘。そうでしょう?  わたしはとっさにかぶりを振る。  すると彼女は語りはじめた。  真偽不明で信憑性に欠けた、一編の長い物語について。
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hiiragisan · 29 days
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溜まったやつは全放出!
これで最後だ&追加ネタだ!! 写真は後ほど追加します!!!!!!!!
・下北半島一周の話 ・バイクのヘルメットの話 ・水筒の話 ・竜飛岬の補足(階段国道とか) ・ようやく複利投資を始めた話 ・弘前城の桜を見た話 ・青森の日本海側をちょびっと行った話  ←これ ・クレカのポイント特典がしょぼくなった話
というわけでようやく溜めてたやつを全部消化。 まぁ書けてないネタはまだあるので、そっちもいずれ……
よし、最後またバイクで青森県内うろうろした話!!
◯青森の日本海側をちょびっと行った話
青森県に来てから半年以上経ちましたが、バイクでちょくちょく観光には回ってるけど、日本海側ってほとんど行ってないんですよね。じゃあ太平洋側行ってるのかっていうとそうでもないんだけど。。。とりあえず、日本海側は全然行ってなかったので、行ってきました。4月と5月にとりあえず1回ずつ。行ったのは、十三湖と千畳敷です。ちなみに十二湖もあります。白神山地の近くまずは4月。十三湖は汽水湖だったかな。しじみが有名なでっかい湖です。昔はもっと湖が大きかったらしいですが。この日はバイクで行ったんですが、ちょうど花粉全盛期に行ったせいで死にかけてました。花粉やばすぎ。道の駅でしじみラーメン食べようとしてたのに、花粉の症状が全く改善しなかったので泣く泣く諦めました。で、そのあとは近くをバイクでぶらぶらしつつそのまま南下。近く、でもないけど比較的近傍にあった高山稲荷神社に行きました。ここは千本鳥居があります。ちなみに京都生まれ京都育ちのくせに伏見稲荷には行ったことがないので、比較はできません。まぁとりあえず、こんな感じかーって体験がてら行きました。ぼちぼち人がいたけど、そこまで沢山じゃなかったので助かりました。やっぱこのくらいよな……。 次に5月。どこらへん行こうかなーって職場で話してると千畳敷の話が出てきたので、せっかくだし行ってみるかってことで向かいました。全く潮の満ち引きのこと調べてなかったけど、比較的潮が引いてるタイミングだったのでいい感じで見れました。飯もついでに食べたので、2時間近くいたけど、だんだん潮が満ちてきて行こうと思ってたところがいけなくなったりはしたけど、とりあえず楽しみました。ただ、ちょっと見た目のインパクトには欠けるかなーって感じ。今の所、見た目のインパクトは仏ヶ浦が一番です。恐山もいい感じだったけど。この日は千畳敷以外はいってないですね。ちなみに千畳敷へ向かう途中に日本一のイチョウの木がありました。秋はすごいらしいですね。まぁ木は大きかった。またその時期に行こうかな。大人だと何気なくいっても経験として楽しめるけど、子供の頃にここ連れられても記憶に残るかなとちょっと思いつつも、まぁそんなの俺には関係ないや!と思ったくらいです。 終わり!
とするのはアレなので、そのままバイクでいろいろ行った話ね。追加というか日記
◯久々にバイクに乗った話+α
上の千畳敷行ったのち、2ヶ月ぶりにバイクに乗りました。5月に乗ってから、いろいろあって乗ってませんでした。単純に休日に動くのが面倒だっただけなんですけどね。6月はまーまじでなんもしてねえ。7月になってからさすがにそろそろ一回くらい乗らないとなって危機感もって適当に目的決めて走りました。まぁ暑かったけど結果的には正解でしょ!で、目的。とりあえずそこまでしっかり決めてた訳じゃないんだけど、夏泊半島行こうかなと。どこだよって話ですよね! 青森の真ん中で湾に向かってちょこっともっこりしてるところです!まぁ何かがあるって訳じゃないんですけどね。家からちょうどいい距離だったから行ってみた、くらいです。行った結果、まじで特に何かある訳じゃなかった! もう少し調べてからいってもよかったかな! で、次。実は青森県には知られざる有名なB級スポットがあるの知ってますか?知られざる、なのに有名ってなんだよって話ですが。そう、キリストの墓ですね。知ってる人はあぁ……、ってなる、知らない人は、は?ってなる、実にいい具合のB級スポットです。行った結果、うーん、B級感はんぱねぇ〜! 絶妙なこの感じサイコ〜!!って感じです。ただ伝承館という名前の資料館が500円もするのはちょっとあれだったな。半額でしょあれは… で、だいたいやること終わったしいいかなと思って帰路。ほんとはキリストの墓関連でパワースポットにも行こうかなと思ったんだけど、思いのほか暑くて疲れてたから諦めました。スマホに自宅までのルート設定して帰ってる中で途中で気づきました。ここ八甲田のアレのルートじゃね!?とという訳で来ました八甲田旧陸軍の八甲田演習の話は聞いたことある人も多いのかなと思います。ちなみにこっちは300円しなかった。値段設定逆でしょ! むしろこっち500円くらいとれよ!! このあと一度通り過ぎて後藤伍長の像まで行きました。ぐるりと周りみて思ったのは、ここ冬で閉ざされた時に歩くの無理っしょ!って感想。ぜったい吹雪いて死ぬ・・・としか思えんかったね その日の分はおわり!で、一度バイク乗るとまた乗りたくなるんですよね。という訳で8月に入っても速攻バイク乗りました。場所はどこへ? 下北半島の端っこです。そう、下北半島で行けてなかった尻屋崎に行ってきました。みちのく有料道路という有料道路も去年の暮れにETC対応したし、バイクに優しい(路面を除く)有料道路になったので、せっかくだしこれに乗って行くか!と。この有料道路自体は去年も乗ってるんだけどね…。小銭出すのに手間取って渋滞を作りだす男!いえーい で、尻屋崎へ。青森市からはそれなりに時間かかります。暑いのも相まって、休憩多めにしないとなぁと思いつつ移動。結局途中休憩一回、コンビニで休憩したくらいだけど、こういう時のファミマのフラッペは最高です。ちなみに尻屋崎って何があるの?って話なんですけど。何があると思いますか?何もないんですけどね。馬がいるくらいしか事前情報取ってなかったので特に何も気にすることなく行きました。尻屋崎に向かってる途中。え、ここって採石場あんの!? って感じのでっかい工場が登場。写真撮りたかったなぁ…… と言ってる側から馬がいるエリアに到着。馬を逃がさないようにするためにゲートで管理しています。ゲートを通って間もないうちに馬エリア到着。ちなみに灯台もありました。灯台あったんだ…初耳……ところでここ、灯台の手前にトイレと駐車場があるんだけど、これ以降に車とか停めるとこがないかと思って停めちゃってたけど、普通に駐車場あります。灯台とちょっとしたお店用のが。 まぁその辺みて終わり。たいして感動はなかったな……。一番驚いたのが採石場あった事実だし……
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umaggon627 · 1 month
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杉山厩舎2024年8月17,18日
先週の杉山厩舎!区切りの300勝まであと20勝!! #杉山厩舎 #オフィシャルだよww 8月17日(土) 新潟 10R エランティス 上越ステークス ダ1200m 牝4 丸山 元気 2着4人 8枠から5分のスタートも出して行ってハナへ。 非常に楽にハナを取れたし、競かけられることなく後続を引き離して単騎で直線へ。 直線も最後の最後まで先頭で逃げ込みを図ったがラスト50mで勝ち馬に差されてしまい2着。 昇級戦でここまでやれたのは御の字。 丸山騎手も上手く乗ったし、展開もハマったのは確か。 最後は止まってしまったが、スピードは良いものを持っているし、このクラスでも通用するスピードの持ち主。 次走以降も好走を期待したい。 次走〇 中京 07R ウロボロス 3歳未勝利 芝1600m 牡3 和田 竜二 7着10人 ゲートは5分に出て先行。 好位を進めていたが行きっぷりはイマイチで追っつけ通し。 直線に入るとちょっと狭くなる場面もあったが、そもそも抜け出せる脚がなかったのも確かで、���れ込むような形で7着。 伸びもせずタレもせずといった感じで決め手に欠ける。 それでも初のマイル戦でもまずまず走れていたし、ペースに慣れてくればもう少しやれるようになる。 ただ、次走は芝ダートどちらを使うのか気になるところではある。 次走△ 09R ワンダーフェロー 御在所特別 芝2000m 牡3 高倉 稜 7着3人 ゲートはまずまずも出たなりで好位からの競馬。 左右の馬に挟まれて馬が怒ったかちょっとハミを噛んで力んでしまっていた。 ペースそのものが遅く、好位置をキープしながら直線へ。 坂下から前を追い掛けて、いったんは前を捕らえるかに見えたが、坂を上がってからは切れ負けしてしまい7着。 テンにもう少しスムーズであれば最後の粘りも違ったはずだが、上がり勝負はこの馬には向いていない。 それでも、能力の一端は見せてくれたし、このクラスでも十分通用する。 次走の巻き返しを期待する。 次走◎ 10R キャプテンネキ 四日市特別 ダ1400m 牝3 永島 まなみ 10着3人 ゲートのタイミングはワンテンポ遅れたが二の脚速く先団好位を確保。 ただ、キックバックを気にしていたのか、行きっぷりはイマイチで、直線も内で粘ったもののバテず伸びずといった感じで10着。 初ダートも適性がないわけではなく敗因は明確。 道中の砂の跳ね返りを気にしていただけなので、慣れてさえくれれば勝ち負けは可能だろう。 次走☆ 11R クランフォード 豊明ステークス 芝1400m 牝3 西村 淳也 1着1人 好スタート好ダッシュで先行すると控えて2番手からの競馬。 4角では馬なりで前に並びかけると直線は早めに抜け出して逃げ込みを計ると、最後まで粘り切って見事1着でゴールした。 これで3連勝。 この勢いと力は本物。 これで胸を張って重賞にチャレンジしてもらいたい。 次走◎ 12R ラブディーヴァ 3歳上1勝クラス 芝1200m 牝3 ☆小沢 大仁 14着4人 好スタートから出して行って先行。 好位からスムーズな追走。 ただ、コーナーワークで外に膨らみ加減で、肩ムチを入れられながら直線へ。 直線は坂の途中まで粘っていたが、坂を駆け上がっていっぱいになってしまい14着。 道中は悪くなかったがコーナーで膨らんでいたように本質は右回りのが良いタイプ。 コンタクトが繊細でハミ受けの難しい馬。 右回りでの巻き返しを期待したい。 次走▲ 8月18日(日) 中京 06R グランパリッシュ 3歳未勝利 芝2000m 牝3 ☆泉谷 楓真 5着9人 ゲートは飛び上がるような形になったがまずまずのスタートで中団から。 内々をロスなく乗られていたが、ちょっと力む場面もあってまずまずの折り合い。 4角でもジッと我慢して直線は外に持ち出すと良い脚を使って追い込んだが5着まで精一杯だった。 この馬なりには走れているし、現状の力は出し切れている。 前半もう少しポジションを取れるようになれば更に良くなるだろう。 次走▲ 06R サトノオーブ 3歳未勝利 芝2000m 牝3 川須 栄彦 10着15人 スタートは5分だったが出たなりで先行して好位を確保。 折り合いもついて道中はスムーズな走り。 手応えは悪くなかったが、直線でいざ追い出されるも全く伸びがなく10着という結果。 道中もスムーズだったし、直線はサッパリでむしろ敗因がハッキリしない。 う~ん、わからない。 次走△ 10R トウシンカーリン 中京スポニチ賞 芝1400m 牝4 長岡 禎仁 4着14人 好スタート好ダッシュでハナに立つ勢いも控えて2番手から。 逃げ馬を見ながら非常にスムーズな走り。 逃げ馬が粘る中、この馬も必死に前を追い掛けたがしぶとい走りで粘って4着に好走。 14番人気の低評価を覆す素晴らしい走りだった。 スタート直後にバランスを崩さず走れていたのは長岡騎手の体幹の強さがあってこそ。 久しぶりの芝となったが、次走も好走できれば本物だ。 好レースを期待する。 次走〇 11R アグリ CBC賞 芝1200m 牡5 西村 淳也 17着4人 ゲートは5分も出たなりで好位からの競馬。 馬群の中で上手く折り合いもついてスムーズに走れていた。 直線もさぁここからというところで追い出されたが、反応することなくそのままズルズルと後退して17着。 今回はレース前から陣営のコメントからにもあったようにデキがイマイチ。 暑さにやられてしまったのか追い切りから本来の動きとは程遠いもので、この負けも仕方なかったか。 ちょっとひと息入れての復調が急務になる。 年齢的なものもあるのでなんとか立て直して欲しいところではあるが…。 次走☆ 12R パドマ 3歳上1勝クラス ダ1200m 牝3 加藤 祥太 1着1人 スタートはイマイチだったが加藤騎手が出して出して出してハナへ。 ハナを取り切るまでに時間はかかったが、その後はスムーズな競馬で、直線も後続を寄せ付けずに逃げ切り勝ち。 前走リズムに乗れず力を出し切れなかったが、今回スタートがイマイチだったにもかかわらず積極的に出していった加藤騎手の判断が功を奏した。 力を出せればこれくらいは走れる馬で、クラスが上がっても良い走りを期待する。 次走▲ 札幌 04R アークレアル 3歳未勝利 芝2600m 牝3 古川 吉洋 8着8人 好スタートから楽にハナへ。 前半は楽に単騎の逃げとなったが、向正面でペースアップすると早めに動いてきたベレンカリアとの逃げ比べ。 すると3角過ぎでは脚色が鈍ってしまい、直線はいっぱいになって8着に粘るのがやっとだった。 距離延長で新味を狙ったものの、結果的に距離が長かったか。 先行力はあるだけに上手く活かせればいいのだが…。 次走△
10R オックスリップ 知床特別 芝1200m 牝4 佐々木 大輔 10着10人 好スタートも無理せず好位を追走。 ただ、行きっぷりがイマイチで、4角の勝負所では置かれてしまった。 それでも直線は粘りを見せて10着に流れ込んだ。 小倉からの転戦ではあったがもう少し強めの調整でも良かったのかも。 このクラスでも通用する力はあるだけに巻き返しを期待したいところではあるが…。 次走☆
2024年 芝 (15-14-12-9-13-85)148 ダ (12-11-9-9-8-34)83 障害(2-2-1-0-0-3)8 合計(29-27-22-18-21-122)239 TOTAL 芝 (154-117-102-104-100-687)1264 ダ (117-141-104-113-119-702)1296 障害(9-5-7-4-2-25)52 合計(280-263-213-221-221-1414)2612
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matorametoro · 1 month
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三角形の内角の和が2直角を超えるとき
ベクトルパワーが4次元方向に弾けようとして曲がるなら、三角形の内角の和は2直角を超えるだろう。
人間の三角関係は3次元以上なので、あふれ出した感情は180度を超えていずれ破綻を迎える。かもしれない。
4人組の幼馴染がいた。小学校からの付き合いで、元気でかわいい女の子2人、内気でオタクな男の子2人。女の子の一人が男の子の一人にちょっかいをかける。あるいはそれはかつてすでにあったことかもしれないが、今回はいい。人と人との距離について、コミュニケーションについて、笑顔について、ごめんなさいよりありがとうを言うべき場面について、彼女はレクチャーした。面白半分だったとは思う。ただそのまま自分好みの男が出来上がればいいなという打算も少しは含まれていただろう。男の子は彼女に特別な感情を抱く。それは親を得たヒナのようなもので、人と人との心の機微をまだまだ知らなかった彼にはそれがどんな意味でなんて名前の気持ちなのかはわからなかった。ただ確かに、彼が彼女に大切なことを教わったのだという関係だけが確かな事実として残った。
思春期だった彼はこれが恋なのかと仮定してみることにした。そうしてすぐ不自然に胸元や臀部に吸い込まれてしまう自分の視線に違和感を覚え、恋慕と性欲はいかに分離できるのか、分離すべきなのか、計算の途中で問題が複雑化し計算爆発が起こった。エラーを吐いたので判断は中止され、彼が特別な気持ちを恋だと結論することはなかった。しかし仲のいい奇麗で元気な女の子を好きになる理由はあっても嫌いになる理由はない。好感度だけが上がり続け、お互いに持ち寄ったあいまいな好意の感情は、返報性によって互いに増幅し、それ相応の距離感で接する男女らが生まれる。
物理的距離が近く、回し飲みに寛容で、夜道に自転車を走らせてわざわざ二人の女の子を家まで送り届ける男が誕生した。誘った人たちが時間内に来なかったりで2人きりで遊んだりしたこともあったはずだ。だが恋には発展できなかった。性欲とそれを完全に分離するか混合体として一個と認めるか判断できなかったし、なにより4人の、3人の感情のベクトル成分が一つだけ極端に大きくなったら、力関係は崩れてこの関係は破綻する。仲良し4人の幼馴染ではなく、一組の恋人とその他同期か、片思い男とその他3人になってしまう。後者はもう致命的だろう。関係の均衡というかバランスをぶっ壊した迷惑な恋愛脳が一人混じってるという状態はまずい。
男の性欲というのは見境のないもので、嫌いになる要素がない限り多分、セミのように誰とでも寝ることができるのだと思う。ここには原理的に一人を選ぶ仕組み、が存在しない。アドホックな一人と結ばれるか、誰か一人だけに選ばれるか、あるいはうっすらみんなのことを嫌うかしないといけない。
ただ人間の文化としての恋愛は寝て終わりではない。二人で閨を共にし一個の生き物を大事に育てられるかどうかという判断が含まれてくる。これをクリアできるかどうかの判断は投機的で打算的だ。つまりわからない。絶対的に誰か一人を選ぶ方法は原理的には存在しえないのだろう。
それでも相手が二人いれば自然とどちらか片方を高く評価してしまうもので、相手が一人しかいなければ出し抜きあいが発生してしまうものなのだろう。3度目の正直だ。これは多分当たってる。
うまく立ち回るにはどうすればいいだろう。最善はAと結ばれつつAがアンハッピーにならないこと。つまりBとの関係を可能な限り壊さずAと結ばれる。だがBが必ずしもそれを望むとは思えない。自分がBの立場で本当に好意があるならば、いたたまれなくなってその場から抜け出すだろう。友達のほぼいない彼女から関係を奪ったりするのはいたたまれない(だから友達がいるのかどうかAは訊いたのか?)。たぶん、なんとなくだけど自分の好意は伝わっているしこの3項の関係性も実は案に共有されているのでは。だとしたら📚のリンク共有はなんのため?素直にみるなら合流するまでのどこかでこれを見てから落ちあおうってことだが、そんな残酷なことあるか?
誰にでも傘を分けてやるべきではなかったのだろうか。自分を犠牲にしたやさしさが行動のベースにある人間が、2人だけの場所で優しさを発揮してしまったら。自分は本当に悪いやつかもしれない。
もしこれが破綻したら、また閉じこもってゲームやアニメに脳みそを浸す時間がやってくるのかもしれない。存在しない自分と関係のない人間関係に心を打たれてさみしくなるのは正直あまり好ましくない。
他人の立場まで行って正しく心を推理できたら、人を幸せにできるのだろうか。推理は時に彼ら彼女らが心の奥にしまい込んでいる無意識さえ表層に暴き出して気恥ずかしい思いをさせてしまう。判断が正しいかどうか行動が正しいかどうかは最大限踏み込みつつ相手を思いつつ、そのうえで博打、ということなのかもしれない。
もし彼女が引け目を感じてこちらからの一押しを、決定打を待っているのだとしたら。まごまごすることは逆に相手の背中を押せない理由があることを示唆してしまう。きしくも3回目のデートで動かなければこの関係はゆっくりと熱を失って熱的死を迎えるかもしれない。
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saintdesire · 4 months
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ㅤhttps://open.spotify.com/episode/54Muu2CuwzOuKVozBUtgxb?si=878P4nArRaiDwyMN57jhJA&context=spotify%3Ashow%3A3Iikaq2kmWr8RqygFKIEMN
こんばんは、タジマです。収録している今日は6月5日水曜日です。今日はちょっと皆さんに聞いていただきたいことがあって。
先週、私、学校にさ、ボランティアに行ってきたんです。最近なんかボランティアっていう、そんな立派なもんじゃないけど、手伝いで小学校に行くことがあるんですよね。なんかこう、募集のお手紙が来て、 こう何月何日これに手伝ってくれる人いますか。みたいなん来てさ、それに行くんですよ。で、体力テストの手伝いに行ってさ、めっちゃ小学生の反復横飛び数えて数えまくって、
こんばんは。タジマみほです。収録している今日は6月5日水曜日です。
今日はちょっと皆さんに聞いていただきたいことがあって。先週、私、学校にさ、 ボランティアに行ってきたんですよ。最近。なんかボランティアっていう、そんな立派なもんじゃないけど、手伝いで小学校に行くことがあるんですね。なんかこう、募集のお手紙が来て、この後何日これに手伝ってくれる人いますか。みたいな。来てさ、今度行くんですよ。
体力テストの手伝いに行ってさ、めっちゃ小学生の反復、横飛び、数えて数えまくって。ほんで、終わってから家に帰る時に、 こう、ちょっとショートカットをしたんですよね。その、特定に行っちゃうから詳しいことは言えないんですけど、私有地とかじゃなくて、林の中の道を通る小道が、こう、うちから学校に行く時に、ショートカットの道に若干なってて、 暑いしさ、木陰を求める気持ちもあって、ちょっと林入ってこうってなったんですよ。でも、入る前に、なんかバサバサってカラスが私の前に現れてさ、かーって言ったんですよ。すごいそば、かなりそばまで来て、カーって言うんですよ。
そんで私その時にさ、ついギャル魂を発揮してさ、あんなおって、あんだおって言っちゃったんですよね。なんか動物珍しくさ、声かけてくれたからさ、素に返事して、 でもさ、そんで、あんの。って言った後、歩いて林に入っていったら、そのガラスがすごいすごい勢いで私の頭の後ろ頭にバーンってすごい頭がって、足で掴んできて、いやーってなって。すごい。マジで。アタックされてさそんで、1回、もうクリーンヒットっていうか、もう間違いなくufoキャッチャーみたいにさ、いや、もうあんなufoキャッチャーないよ。その力強いもん、あんなアームのufoキャッチャーだったらすぐ取れるもん。だから、そういうぐらいのその力で私の頭を掴んで、しかも周りでバサバサバサバサって言ってかかって、すごい、1匹じゃないんですよ、 いっピキじゃないか。1羽じゃなくて、まあ、2羽はいるなっていう感じで、頭の周りに飛び回ってさ、また次の攻撃を仕掛けようとしてて、そんで私は、ぎゃーって、 何これ。なんなの。なんでって、こうすごい、本当になんか叫ばなきゃいられないくらいの目だからさ、わあって言って走って、まな、なんかとりあえず距離を取んなきゃいけないから、 走って逃げたんですけど、で、別にある一定のとこまで行ったら、追いかけてこなくなったんだけど、 すごい、そんな遠くでさ、遠くってか、こう、道1本挟んだぐらいのとこで、こう、犬連れの奥さんたちが3人いてさ、あらあらみたいなさ、あ、やばやばあれやばみたいな感じで言ってるけど、全然助けてくんないし、大丈夫とかも言ってくんないし、もう私1人でさ、ボロってなって、ただボロってなって、みたいな感じです。
その後、家に帰ってさ、もうなんなのっていうか、別に調べたらすぐわかることですけど、あれですね、巣があって、 そこに入るなっていう警告で、最初、カーって言ったんですね。そう、無視して、私があんだおって言って入っていったからよじゃなく、攻撃に出たっていう、 ことらしいんですけど、もうめっちゃ痛いし、普通にすごい、なんか、なんかへこんだんですよね。すごいさ。ま、やっちゃいけないことを私がしたのもあるしね、知らんからしちゃったっていうのもあるし。でもこう、ガチでさ、結構、殺意じゃないですけど、カラスの本気みたいなのを向けられて、なんか動物にそんなんされることないじゃないですか。普段。 その後すごいショックでふて寝したけど、やっぱりそのすごい。そんなことの後だからめちゃくちゃ悪夢見て、 もう半端じゃない。私、普段からこう、悪夢メーカーではあるんですけど、そういう普段のやつとダンチの悪夢見て、すごいはあはあいいながら目が覚めてさ。ねえ。だから別にみんなに聞いてほしかったことっていうか、大変な目にあったっていうだけの話なんですけど、本当この時期は気をつけないといけないですね。もうカラス 頭蹴られたとかで検索すると、5月下旬の記事がぶわー出てきて、あ、みんなこの被害に遭ってると思ってあるんですよ。
なんかね、動物って普段さ、攻撃しなきゃ攻撃してこないって思ってるけど、やっぱこういう攻撃と取られることって攻撃されちゃうっていう話ですね。
本当気をつけようと思います。あと、なんかカラスは人の顔覚えるっていう情報があったから、次からは蹴られてもいいように、もちろんそのショートカットしないっていうのは林を思う通らないっていうのは大前提として。あと、外に出てさ、そっち方面に行く時は、小学校方面に行く時は、私は必ず帽子をかぶっていこうって思いましたね。
帽子が大事だし、そのカラスにさ、攻撃されるかもしれないっていう時はね、帽子あれば結局爪で頭からってやられないからさ。帽子は持って帰れるかもしれないけど。
そんな話から今日は始めるテーマなんですけど、そんな目にあったから、あえてね、今回は私は
動物が好きっていう話をしたいと思います。本当、あえてだよ。カラスのこと、正直苦手になりましたか。カーって。今まではさ、すごいカラス可愛いと思ってて、 顔可愛いじゃないですか。そもそもがね、なんか大きさもちょうどいい感じだしさ、すごいはしぼそとかはしぶとかみたいなのもあるしさ、つやつやしてて 人間のそばにいるしさ。まあなんかよ、余計なことしてますけど、ゴミ袋つんつんしたりとかさ、なんか水飲み場をつんつんしてんのとか見たことあって、え。って思ったりしたんだけど、なんかそれでも可愛い
から可愛いと思ってたのにこういう目にあって、すごいへこんでるんですけど。私は動物好きなんですよね。でも生まれた時から好きじゃなかったんですよ。
その動物好きっていうジャンルの人間として生まれたわけじゃなくて、人生の途中で変わってんですけどね。
そういう話って。私、人の他人の話も聞いてみたいなって思うことが多くて。その苦手から好きへの転換みたいな。
そんなに合うことじゃないと思うんで、私もこの動物と服、メイクぐらいかな。でも動物と服がやっぱりでかかったな。
なんかそういう転換点があったことについて今日は話してみたいと思います。じゃあ、今回も始めていきたいと思います。
第52回になります。さよなる欲望ラジオ
皆さんは動物どうですか。好きですかね。 好きな人と嫌いな人っていうのがそんなにたくさんいるとは。そんな、なんていうの普通にいるとは思わないんですけど、苦手とか、 なんかこう、あとニュートラルすごい。なんかどう、どうでもいいって言ったらあれですけど、別に可愛いとかは感じない、別にいいもいいけど。みたいな人たちとで、大体こう、2分されてるかなと思うんですよね。
そんで、昔思ってたのは、動物好きな人は動物好きな人として生まれて、動物好きじゃなく生まれたら、もうずっと動物好きじゃないんじゃないかなって思ってたんですよ。っていうのも、私は動物好きじゃなかったんですよね。子供の時に なんかきっかけがあって嫌いになったとかそういうわけでもなくって、こう、小さい時にまあうっすら怖かったんだと思うんですよね。
でも、初期設定、本当の本当の初期設定って、単なるこう、子供の危機意識の差っていうかさ。見てると、その警戒心が強い子と強くない子がいて、
単純に、多分本当の最初は警戒心が強い子はみんな動物ちょっと引いちゃうと思うんですよね。
その後に慣れとかがあって、大丈夫になることなんない子がいるっていうことかな。なんて子育てしたとは思ったりもするんですけど、とにかく、 うん、そんなに得意じゃなくて、嫌いとかも全然思ってないんですけど、
幼馴染みの子が、その、1番さ、同じ学年で、1番家が近い子のお家で、めっちゃ動物飼ってたんですよね。
今でも思い出しきれないなっていうくらいの生き���を飼ってて、犬はずっと何かしら家にいたんですけど、 なんだあれ。シーズーですね。シーズーだと。ああいう、なんかこう、お座敷犬みたいな。お座敷犬って言い方、あれかな、なんか差別的なのかな。あんま言わない方がいいのかな。なんか昔からのさ、なんかほわほわした家にいがちな犬みたいな、ちっちゃい小型犬でさ、長毛種の犬がいたのと、
あと亀がいて、で、水槽に金魚がいっぱい一緒に入ってて、裏にニワトリとヒヨコがいて、それで、多分他にインコみたいのもいたような気がするな。
とにかく、なんかもう、プチ動物園みたいな感じですよ、そういうお家で。そしたら、私もさ、一緒に好きになればいいのにって今は思うんだけど、 なんか、たくさんいる動物に対して、なんか怖いっていうことしか最初思わなかったみたいなんですよね。
犬が、犬が吠えてくるんですよ。またこう、遊びに行くと、サトミちゃんって行くとさ、犬がババババンって言ってて、なんで、自分もまだ小さいから、3歳ぐらいからそこに遊びに行ってるからさ、 小型犬って言っても結構怖く感じて、それで仲良くなろうみたいな気持ちが全然湧かなかったんですよね。さとみちゃんは動物好きだったのかな。
なんか、そのじいちゃんばあちゃんがすごく動物っていうか、生き物が大好きなんだなっていうことは伝わってきたけど、
さとみちゃんがこう、例えば犬と一緒に遊ぼうよって言ってきたりとかは全然しなかったんですよ。
なんかエッセイに書いたことあるんですけど、覚えて。犬が、犬が怖くて、この居間を横断できないって。今を横断すると、2階に行く階段があって、2階に上がって遊ぶみたいな感じだったんですけど、怖いよ、通れないよって私が言ってると、サトミちゃんが うん、そういう時は目を閉じて耳を塞いで、息止めて通れば吠えないって言ったんですよね。意味。意味わかります。これ
なんか、そりゃ吠えないだろうねっていう。そ。今、今思うと、そりゃ吠えないっていうか、聞こえないでしょうねっていう。なんか存在を感じないようになるべくするっていう子供なりの対処法を教えてくれたんですけど ね。今思えば、なんか犬に申し訳ない。なんか犬ともっと仲良くしたかったなって思うんですけど。したくないかもしれないけどね。犬は私とね、知らん知らん子供来た。ワンワンって言ってたかもしんないけど、 とにかくそういう風にして家の前をたたって真っ暗な状態です。たたって通って階段に登っていくみたいな。
だから犬のね、名前も知らないその幼馴染の家にいる犬の名前を。
次に近い友達ん家でも犬飼ってたんですよ。そこはなんでもなんか他の生き物がいるみたいな感じではなくて、本当にワンちゃんだけで。あと外飼いで小屋に入ってたんですけど。そっちは名前なぜかわかるまるだな。
でもでも、なんかはもうちょっとおっきい犬で、種類はわかんないけど、日本っぽい顔立ちのワンちゃんでさ、
でも、怖かったな、なんか、すいません。なんか別、本当、家族の一員にとってはさ、素敵なワンちゃんなんだと思うけど、やっぱよその、子供から見ると、うん、怖い。犬、何してくるかわからない、怖い。っていう感じで、 そんな機会があったのに、全然こう、自分から触りたいとか、可愛い、近づきたいっていうプラス感情が何にもなかったんですよね。そしてそのまま猫。猫とかはこう、家の周りに昔はノア猫とかちょっといたからさ、
なんかそういうのに餌あげてみたりしたりとかね。昔は何もかも緩いですか。餌あげちゃダメとかもないからさ、なんか、子供なに何食べるかなって考えてさ、チュールとかない時代ですよ。あったのかな。ないよね。キッチンからさ、煮干しを2、3個、こう、親の目を盗んで、シュシュってくすねて、 すすすって持ってって。ほんで、パパってあげて、あげてっていうか、目の前に出して。そして、猫はガン虫みたいなさ、煮干受けないね、煮干受けない。
そんなことあったりとかしたけど。で、猫。猫は犬ほど。
命に責任取れんのきみたいなことをやっぱ普通に親に言われて、 それましみたいな感じでさあめて、うん、そのままずっと、本当ずっとそのままっていう感じだったんですよ。うちはもうとことん 縁がなくって、とにかくなんか毛の生えた生き物、その毛がある生き物はうちでは買わないっていう方針だったんですよね。多分ね、何にも
いつも、なんか飼いたいって言った時は、ばあちゃんが子供がしねえのになしてそんなこと言ってかって。秋田弁で言うと、この 子供、島がシネっていうのは、自分のことも面倒を見れない、島がシェネ、島がシネマでない。そして猫はガムシみたいなさ、 煮干し受けないね、煮干し受けない。しかも、今ので、わかんない。怖いっていう感じで、
こんな機会があったのに、全然こう、自分から、触りたいとか、可愛い、近づきたいっていうクラス感情は何にもなかったんですよね。そして、そのままさ、猫、猫とかはこう、 家の周りに、昔は、ノア猫とか、ちょっと触りたいとか、可愛い、近づきたいっていうプラス感情が何にもなかったんですよね。そして、そのままさ、猫猫とかはこう、家の周りに、昔はノア猫とかちょっといたからさ、 なんかそういうのに餌あげてみたりしたりとかで、昔は何もかも緩いですから、餌あげちゃダメとかもないから、
子供もない。何食べるかなって考えてさ、チュールとかない時代ですよ。あったのかな。ないよね。キッチンかさ、煮干しを2、3個、親の目を見て、 すすすって持ってって、ほんで、パパってあげてあげてっていうか、目の前に出して、そして、猫はガムみたいなさ、 寝干し受けないね、寝干し受けない。まあ、そんなことあったりとかしたけど。
で、猫、猫は犬ほど怖くないから、興味あったのかな。でもね、飼いたいとかって言っても、 ダメって言われて、そんな生き物の命に責任取れんな言うやんみたいなことを普通に親に言われて、 取れませんみたいな感じでさ。あめて、うん、そのままずっと、本当ずっとそのままっていう感じだったんですよ。
うちはもうとことん縁がなくって、とにかくなんか毛の生えた生き物、その毛がある生き物はうちでは 買わないっていう方針だったんですよね。多分ね、何にも、もう いつもそれの、なんか飼いたいって言った時は、ばあちゃんがわのごともしまがしぇねのに、なしてそんなこと言うてんかって。秋田弁で言うと、この
子供もしがシネってのは、自分のことも面倒見れない、しまがせぬ、しがせね。うーん、 しまがってなんだろうね、そういうニュアンス。自分のことを自分で全部やるっていうことができてないのに、こんな犬だの猫だの飼うなんてありえないっていうことですね。
そういう時、こう、自分から見た動物好きの子たちってすごい遠かったんですよ。なんか別に寂しさとか感じるとかじゃなくって、そういう心理的距離っていうよりも、なんか
違う人種だなっていう風にすごく思ってて。本当、動物好きは動物好きとして生まれ、動物好きとして育つ ね。友達はみんなそうみたいだけど、私はそう育たない。育ってないし、なんか今後も多分このままだと生き物に縁なく 死んでいきそうだなっていう、そういう感じだったんですよね。なんか、あと、やっぱ、高校生ぐらいになると、そういう理由の他に、
なんか、犬とか猫とかって、私のこと好きじゃなさそうみたいな気持ちもさ、入ってきて、なんか、 生き物に対して可愛いって言える子って、なんか自分のことも好きそうだなっていう風に、嫌な感じじゃなくって、その、 自己愛みたいな、嫌な感じじゃなくって、なんか普通に、生き物としての自分を受け入れてるっていうかさ、なんか、その、他の生き物をこうやって抱き上げて、今ぬいぐるみを持ってますけど、
あきれて、可愛いってできるっていうのは、ちょっと、ある程度、あれじゃないですか。やっぱ自分の生き物としてさ、 ある程度いい生き物だなって思ってないと、そういうことできないと思うんですよね。ぬいぐるみはまださ、まだ許されるっていうか。
いや、でもわかんない。私、人形の会で人形に嫌われてるみたいな話、
その自尊心が低すぎて、人形に嫌われてる幻想がすごかったっていう話をしたんですけど、でも動物はモットだと思うんですよね。動物が 私のことを好きになるとか、動物と仲良くするっていうビジョンが全く浮かばなかったんですよ。そういう なかなか変わらなかった状態に。
ただ、その東京で、この秋田に1回帰る前に小説の仕事をしてた時に、 編集さんがわかんない。私、人形の会で人形に嫌われてるみたいな話、 そう、自尊心が低すぎて、人形に嫌われてる幻想がすごかったっていう話をしたんですけど、でも、動物はモットだと思うんですよね。動物が
私のことを好きになるとか、動物と仲良くするっていうビジョンが全く浮かばなかった。
そういうなかなか変わらなかった状態に変化が訪れるの、 26歳ぐらいの時かな。25歳ぐらいかもしんない。まだその東京で、その秋田に1回帰る前に
小説の仕事をしてた時に、編集さんがフリーになるっていうことがあったんですね、お一方。
それで、その打ち合わせのために編集さんのお家に行くことになったんですよ。
1人で住んでるわけじゃなくって、パートナーの方と一緒に住んでたから、そこに広い、結構広いお家で、そこにお邪魔することになったんですけど、
実は犬いるんですけどいいですかね。って言われて。いなんか別になんか、別にいてもいいけどみたいな 嫌な感じではないから。別にさ、もう子供じゃないから 制御できない。その飼い主が子供、自分が子供の時は友達も小さいから、なんか犬を制御できないっていうことあるかもしんないから、それ、もしかしてそういう犬と一緒に遊ぼうよって言われても断ったかもしれないけど、
担当さんは大人だから、犬を制御できないっていうことは決してないので、 いいですよって言ったら、今度はなんか人、人に会うの大好きで、ちょっとちょっと人来るとウレションするかもしれないんですけど、いいですか。って言われて、 え。って思ったけど、ちょ、ウレションとかよくわかんないけど、私が言って嬉しいとか別にないっしょと思って、いいですよって言ったんですよ。
でも、そしたら、ピンポンって言ったらさ、犬めっちゃすごいなんか、なんていうの。その、サークルで囲われてて、 ケージに入ってるんじゃなくて、もう、おうちの中をサークルで区切って、かなり広い空間に、ワンちゃんが いたんですけど、そのワンちゃんが、すごい、さも身を乗り出してさ、私に会って、嬉しそうにして、わんって、なんか、わんみょんみたいな感じでさ、すごい
すごいウレションしてさ、マジか。みたいな、なんか、犬が私に会って、本当に嬉しいっていう風にしてくれて、 私もめっちゃ嬉しかったんですよね。その、こんなことあるんだって、そのさ、正直、 こう、人に会ってさ、人に、人間に会って、あなたとあいつ、すごく嬉しいです。みたいな。まして初対面でさ、
もうめっちゃめっちゃ来てくれて嬉しいみたいに言う人いないじゃないですか。生きててなんかそんなウレションするほどの人はいないわけですよ。でも、犬って こんななってくれるんだって思ってさ。あ、もちろんその犬の個性とか、担当さんとの関係性とか、こう、いろんなことがあった上でそうなってるのであって、犬って。っていうわけじゃないんですけど、 でもやっぱ、その動物が自分に対して嬉しそうにするみたいなのを1回も見たことなかったから、その1回がすごい胸に来たんですよね。
1回も見たことなかったら、それただの例外だろっていう風に、今になるとこう冷静に考えると突っ込みたくなるんですけど、でもやっぱすごい。その時キューンってなっちゃって、 こんなことあるんだって、犬、犬、もう好きかもって、私も好きかもってなっちゃったんですよ。
別に打ち合わせ1時間くらいして、ちょっと犬とも、ちょっとちょっと、なんか慣れたりとか、その時しなかったんじゃないかな。��んか近くに寄ったりはしたけど、見せてもらったりはしたけど、
まだいかんせん、その、動物とかさ、そういうのに触り慣れてないっていうか、全然触ったことないから、そんな急にさ、 さあ、なんでなんでさしてくださいとかはしなかったと思うんですけど、すごいほっこりして帰ってきたんですよ。
で、それからすごい犬のことで頭がいっぱいになって。
でも、1人暮らしで犬は飼っちゃいけない。いけないってことないですけど、できれば避けた方がいいですよね。その犬のストレスのために。
でも、私は別にそんなに気にしなくてもよかったかもしれないけど、でも、それに、マンションをね、引っ越さなきゃいけない。その時、1人で 動物を買うっていうのは選択肢には入れなかったんですけど、
結局まもなく実家に帰ることになって、そん時に実家で犬を飼ってもらいたかったっていう。この辺の話はあれですよね、その人形好きの、ぬいぐるみ大好きみたいな会で してるんですよ。第2回で。それ聞いてない方のかためにさらっと喋りますけど、犬を飼ってほしいけど、うちはそういうペット反対みたいな家だったから、 ワンクッション置くために犬のぬいぐるみを用意して、ぬいぐるみとともに帰って、なんかぬいぐるみがいるうちに、こう、
犬がいてもいいっていう風にだんだん錯覚してもらわないとっていう風に働きかけをしつつ、そのぬいぐるみとの関係を築いていったんですけど、でも、やっぱこう、犬を飼うって、 うん、すごい実際には難しい決断だったんですよね。なかなかやっぱり、私が飼いたいって言ったからって、はい、じゃあ飼いましょうっていう風には なんないし。だんだん、だんだん、実際にさ、ぬいぐるみ作戦は聞いたんですよ。ぬいぐるみのハチがさ、ポメラニアンのぬいぐるみのハチをずっと家に置いてたんだけど、
親とかばあちゃんもだんだん見慣れてきて。
で、私が犬、犬ってずっと言ってるから、だんだんこう、犬。犬。こんなに犬好きなんかって、だんだんわかってきて。多分2年くらい経ったとこで、 飼ってもいい方にちょっと振れてたと思うんですよね。私の感触としては。
でもその頃には私のさ、気持ちが変わって、その地震の前ぐらい、311の前ぐらいには、もう どっかで実家は出てくんだろうっていう判断になってて。だからそっからはもう逆に犬飼いたいって言わなくなってたんですよ。それは置いといて、 そうなったのはちょっと後の話で。
実家帰ったすぐ後から、私もうさ、そうやって実家では飼ってくんないけど、早く犬と触れ合いたすぎて、近所の犬のとこに遊びに行ったんですよね。
近所で何軒か隣ぐらいの距離感のお家でワンちゃんを飼って、お外に、割と外の方にいるっていうおうちがあるんですよ。
すごい。他人の家。他人の家に遊びに行くニートっていうことなんですけど、すごい
すごい。今考えると、てか他人から見るとさ、この話多分まじかっていう。
田舎に帰ってきたね。失業した無職の27歳が うちの犬とたわむれに来るって、ちょっと悪夢かって思うかもしんないですけど、ちゃんとその家とうちの関係性があって、
色々あんですよ。親戚じゃないんだけど、それに近いような関わりを結構持ってるお家で、小さい時からもうそこのうちのおじさんおばさんのこと私知ってるし、向こうも挨拶してくれるみたいな、なんかそういう関係ではあったんですよね。
そこの犬、ちょっと仮にちょっと適当に仮名でユキノスケとしますけど、中型犬の 雑種のワンちゃんがいて、その犬とだんだん仲良くなりたいと思って、マメに通うようにしたんですよ。
ユキノスケってな名前は知ってるんですよ。だからその交流があるお家だからね。そんで、犬もすごい有名なんですよ。町の中で ちょっと名前言ったら私住んでる場所ばれるかなっていうぐらい、その散歩する範囲めっちゃ広くて、そして賢い犬ってめっちゃいろんなとこで知られてる犬らしい。そんで遊びに行くと、 最初は結構無視っていうか、なんかチラ見して、昼寝してるとこう、昼寝でもないか、なんかペタっとなってるとチラ見して、またぷいみたいな感じで
若干、若干なんか撫でたりもさ。そん時したんですよ。させていただいたんですよね。でも怒りはしなかったけど無反応みたいな感じ。
でもあれですよ、やっぱりそこはあれです。挨拶しに、ご挨拶しに、その、ちゃんとおうちの人に面会をしに行ったんですよね。別に犬触らしてくださいって言いに行ったわけじゃないですよ。
夏のあれで、お中元とか持って、多分親と一緒に、親だった友達と一緒に挨拶に行って、
その上で、そのご主人様とさ、ユキノスケのご主人様に対して、こう、色々話しているという姿をユキノスケに見ていただいて、その後、やっぱりすごい態度が変わったというか、 なんかね、すごい長時間接してくれるようになって、こう、撫でてもさ、撫でても、そんな超気持ちよさそうとかではなかったけど、 なんか黙って、こう、お腹をこう、伸びってしてくれたりとかさ、すごいまあまあやってあげてるぐらいの感じだったけど、親切になったの。
元から別に全然賢い犬なんですけど、敵意をぐるるってなったりとかしないワンちゃんなんだけど、だんだんこう、だんだん、だんだん仲良くなれてるかなっていう 感じになってきて、うーん、それもすごい嬉しかったんですよね。なんか、だんだん思い出すとほっこりするぐらい、すごい嬉しかったな、 うん。その時にすごい思ってたのは、犬はやっぱり基本みんないいやつなんじゃないかっていうことなんですよね。
自分は人間関係に結構問題があるってやっぱその時は感じてて、やっぱ初対面とか苦手だったんですよね。ものすごく苦手じゃないふりをしてるけど、 仕事上とかは別にそんな、なんていうの。初めて会った人と喋れませんみたいな、そういう感じではないけど、でも、なんか、プライベートの関係を築いていくのが、こう、 大変っていうか、一歩引いちゃうっていうか、全然自信がなかったんですよね。地元に帰った時も、なんか同級生に帰ってきたよとかって
連絡とったら、そういうのは大丈夫なんですよ。その、小さい頃からの友達に連絡取ったりするのは全然大丈夫なんですけど、 なんか、そしたら、彼氏の会社でバーベキューあるけど、今度一緒に行かない。って誘われて、それそれすごいやってなっちゃって、もうもう、頭、頭隠しちゃうような、なんか、そ、 バーベキュー怖いってなってさ、そう、行かないって言って、そう、行かないよって返事して。
なんかそういう人間が、初対面の人間がわらわいて、なんかワイワイするみたいな の、すごい無理って。ごめん、それ。それはごめん。今も無理かも。今バーベキューは無理かもしんない。でも、なんて言うのかな、 そういう、ただシチュエーションが苦手とかだけじゃなくって、もうその、初対面の人って基本私のこと絶対嫌いっていう風に、
やっぱそういう経験をしてるから、その高校での経験を引きずってて、もう誰も初対面で私を好きになることはないって。
でも一方で、犬はさ、好きにね。ユキノスケが私のこと好きになってはいなそうだったけど、 でもなんかちゃんと、だんだん距離が縮まっていくっていうか、なんかこっちがすごい興味を持ってぐいぐい行くと、割と答えてくれ、付き合ってくれる。そうそう、付き合ってくれる
し、そんな嫌な感じじゃないっていう。で、自分も、なんていうのかな、結構犬に対してはぐいぐいいけるっていうか、素直にもうみんな可愛い、みんな素敵ってなる。
もう私、特定の種類が好きになったわけじゃなかったんですよね。担当さんちの犬に会ったと、犬図鑑買ってきて、もう1から読んでた。
どのどの犬種も本当に可愛いなと思って、もうその年ってすごい犬にハマりすぎて、あれだ、ドッグショーとかにも行ったんですよ。
ドクショーっていうのを その研修を管理する協会で多分開催してて、そういうの好きな人と好きじゃない人いるっていうのはわかるんですけど、その犬好きの中でもね、そういうのに賛成の人と反対の人がいるだろうなってことは想像つくけども、 その研修として、その特徴がすごい出てる出てないっていうので、その素敵な犬を表彰したりとか、
あと、なんかこう、こういう競技がありますよとか、そういうのがある大会があんですよねの是非は置いといて、そこに行くと、いろんなワンちゃんをとにかく見れるんですよ。
そんでね、都会でしかやってないかっていうと、そんなこともなくってね、普通の陸上とか野球の大会と同じで、支部会があって、ほんこうだんだん クラスアップしていくみたいな感じ。だから、結構県庁所在地じゃない街でもやってて、
そこに行ったら、なんだろう、もう遠征とかでさ、もう絶対秋田に住んでないみたいな周囲の珍しい犬とかめっちゃ来てて、 スタンダードプードルとかさ、チャウチャウとか、普段絶対お目にかかれないワンちゃんたちがいて、もうみんな可愛いんですよ。みんな可愛いし、みんな賢いし、もう、 あーみたいな、すごい幸せに見学して、
それ、あれなんですよ、その、市会レベルだと、見学無料なんですよね。無料っていうか、別に普通になんか、イオンの横の駐車場みたいなとこやってるみたいな感じで、 もう、だからな、どのワンちゃんが好きっていう気持ちは私はなくて、もうワンちゃんみたいな感じなんですよね。
多少の好みはありますけど、秋田犬好きとかさ、おっきめの犬が、やっぱちょっと大きめの犬好きかな、そういうのあんですけど、でも、全般好きだからさ、
なんかそういう風に、自分が生き物に対して、こう、オープンになれてるっていうことにもびっくりするっていうか。
本当タ犬だと対人間の関係では絶対無理って思ってたことができるようになってて。
なんかそれが自分で、その変化の最中でもこうやってすごいことだなって思ってたんですよ。なんか自分がすごいっていうよりも、その
変化が起きうるのだな、そういうのってすごいなって思ってて。
やっぱりね、まだ先のことかもしれないけど、人間にもこういう風に接せれるようになりたいと思ったんですよね。
でも、犬の前にやっぱこう、犬じゃないや、人間の前に他の生き物の方が先で、
やっぱ犬に対してすごい可愛いっていう気持ちが高まると同時に、なんか勝手にこう、自分の中で他の生き物への好きもガーって上がってったんですよね。こう、平均値がもうバーって上がってって。
やっぱその生き物によって好きドの差はあれど、なんか生きてるもの美しいレベルまで急に来て。あれなんですよ、 未だに覚えてんですけど、母と2人でなんか畑に入って草取りかなんかしてた時に、母がぎゃーヘビってぎゃーって叫んだ。すごい。私条件反射で可愛い。
かわいい。って叫んでて、もう蛇を発見した瞬間可愛い。ってなってたんですよね。もう蛇。畑に出る蛇が可愛いみたいな、 まじちょっと、でもあんまり、あんまりおっきくない方がいいのと、あんまりこう、シャーシャーってなってるとちょっと怖いなっていうのはあるけど、なんかもうそんなさ、畑仕事でちょっと出てきたみたいなさ、チョロチョロのチョロチョロの蛇だったら、全然もう超可愛いみたいな 感じですよね。でも、あれって後になって考えると、
なんでそんなさ、変化が起きたのかっていうのは、結構謎なんですよね。うっすら思うのは、私のケースでは、 その動物苦手っていう気持ちが、その人から自分が好かれるかどうかっていうとこと強くリンクしてたかなと思って。
その人から嫌われてんじゃないかっていう気持ちがなくなり始めたとこで、
その、犬との交流があって、こう、その、お互いによく作用していったっていうか、こう、 なんかいい循環に入っていったなっていう気持ちはするけど、でも、そのループの どっちが先だったのかって言われると、ちょっと微妙なとこもあるなと思って。
あと、かと言って、こう、動物嫌いな人が、こう、自己信頼がないっていうわけでもないしね。うちの夫とかそうなんですけど、動物に何も興味がないって言ってましたね。
この、動物の権利とかに関してはすごく考えてる人なんですよ。そういう意識は高いけど、動物が可愛いかって言うと、全然そんなことはないみたいな。だから 勝って、勝ったとしてもあんま関わんないかなみたいなことを言ってますね。本当かどうかわかんないけど。だから、やっぱ
私が最初思ってたとのと同じで、なんか将来動物好きじゃない、その、生まれた時から別に動物好き遺伝子が入ってないみたいな人も 言っていると思うんですよね。多分。でも私のケースでは、動物好きの遺伝子がどっかに眠ってたけど、 なんかそれが出てこなかったっていうことなのかな。どうなのかなっていう風に思ってます。
その動物好きな気持ちが今どうなってるかっていうと、今色々回って猫まで来たんですよね。猫、 動物好きって言っても、私結構やっぱ犬派で始まったから、猫への道はかなり遠かったんですよ。犬はさ、接しようと思うと若干機会があるけど、 猫ってなかなかね。あと私、猫って懐かないって思ってて、
別にそんなことないよって猫派の声が聞こえてきたけど、猫ってなんか独立して生きてる生き物みたいな感じに言う人もいるじゃないですか。なんかその アンチ犬派ぐらいの猫派の言い分はそういう感じじゃないですか。なんかその、気高い生き物みたいな、その、人間程度に服従しないけだか生き物みたいなこと言うじゃないですか。
それを結構うのうのみっていうか、そうかなと思って、ちょっと猫、猫は
ちょっとなんかよくわかんないなっていう気持ちがあったんですけど、最近問わず保護猫カフェに通ってるんですよ。
最初なんで言ったか覚えてないな。やっぱり動物としてすごく、うー、可愛い。可愛いは可愛いんですよ。もうその、ビジュアル的に。そ、やっぱ猫は、 猫は可愛いとは思う。ただ、仲良くなれるかどうかはちょっとわからないみたいな気持ちで。で、なんか
都内でさ、動物となんか触れ合える場所みたいな、やっぱ探していると、猫カフェっていうとこにたどり着くんですよね。どうしてもね、 子供連れで、最初行ったんですよ、冬休みとかに。多分、子供の娯楽不足によって行ったんでしょうね。そしたらさ、猫可愛くてさ、やっぱ、なんか、 でも、私、結構、猫に全然好かれなかったんですよね。やっぱね、その、なんか結構早い段階で、何回か、同じところに何回も行ってるんですけど、
何回か子供の膝には乗ってきたりしたんですよ。子供と2人で行ってんですけど、いっつも子供は何回目かでこう来てさ、それで、 子供、最初、最初の最初、やっぱちょっとその、不慣れだから、ちょっとビビってたりしたんですけどね。猫は、 ここの猫は安全って気づいてからはそんなにビビんなくなって、膝の上に乗った時もこう、そっとそっと撫でたりしててさね、母は横でそれを動画にめっちゃ撮ったりとかしてさ。
それはいいんだけど、その猫、猫ちゃんがさ、全然私に来てくんなくてさ、
色々私も動画とか見たんですよ。そう、猫に接する時の注意みたいなさ、こういう人は猫が嫌いみたいな、猫は大声出す人が嫌いとか、急に来るものが嫌い、 キャーキャー言う人嫌いみたいな、なんかそういうの全部読んで、注意点を頭に入れ、で、最初は指をかがせるかも全部守ってたのに、全然猫に好かれなくてさ、 この間、この間とうと、なんかあまりにも疲れないから、子供に
なんで母ちゃんはそこに使えないんだと思う。って言ったら、なんか子供はうん、なんとなくわかるけどみたいなこと言ってきて、 え。言ってみ。それ何。教えて。って言ったら傷つくから言わないとか言い出して、傷つくから言わないって。もうすでに悪口確定なんだが。と思いつつ、 全然怒んないから、絶対怒んないから言って、ちょっとここまで言ったらもう言ってよって言ったら、うん、多分足が臭いからって言ってきて、
ひどい。ひどいよ。そんなことなくない。って。私別にそんなさ、なんか足、特殊事情とかないし、臭くないはずなんだけど。
でも、
そう、それ。なんか子供のこにほ、本当は他の理由があるけど、ちょっと面白い風にして足が臭いって言ってくれたのかなって 気持ちもあったんですけど、もうわかんないから、この間、ダメ元で足除菌してから行ったんですよね。その、よく拭いてさ、アルコール除菌ティッシュよく拭いて、靴したまま新しいのにしてさ、 それから行ったんですよ。そしたら、うん、猫乗ってきてくれましたね。
本当に、本当に足臭かったのかな。わかんないです。猫は気まぐれだからさ、ただの気まぐれ、全ては気まぐれっていう可能性もありますね。
でもさ、そうやってもなかなかやっぱ猫カフェの猫といえどもね、すごい。猫カフェってさ、みんな知ってます。猫カフェ行ったことない人も多いと思うんですよ。
その猫カフェってさ、すごい常連がいるわけですよ。まず常連。やたら猫に好かれる常連みたいな人がいて、
なんか多分オーラが違うんですけどね、猫から見るとね。そう、だから日曜日とかに行くと、もう 全部そっちに行くみたいな。猫がどんだけたくさんいても、結局その猫が好きなタイプの人の周りにいるみたいな、 もうあるんですよ。その若いお姉ちゃんとかだけじゃなくてさ、
すごい、この間なんて、そう、おじさんがそこう、独りがけのソファにどんって座って、もうゆうゆうとさ、膝にお猫様をさ、 でふってくついろいでてさ、もうなんか、うん、いいなみたいな感じなのかと。猫カフェ入ってくるのに、もうソファに座って、すま、 お姉さんにな、
猫とか気にしてませんけどっていうていでさ、スマホぷぷぷってやってても、すごい、どんどん、どんどん猫が来てさ、そう、お姉さんの周りでわざわざぶって丸まって寝始めんの、 そういうのがあって、猫って待遇さがすごい激しいんですよね。猫カフェ行っても、別に大抵そんなに猫かってくんないんですよ。
でもなんか初めてさ、膝に乗ってきてさ、すってさ、もうその温もり温もりたヤ。そして
なんか至福この膝に猫を載せてる至福もう名前も覚えてさ、もうなんとかちゃん、なんとかちゃん、ちゃなんでてさ、 もう幸せでしたね。もう帰ってからもずっとエア猫さ、エア猫を抱っこしてる猫。
こ、一緒に暮らしたいな。でもなんで一緒に暮らさないかっていうと、マンションだからですね。賃貸マンションだからですね。
こういう事情でやがて人は家を買うのかなっていう。でも飼いたくないな。でも猫とは住みたいんだよ 私。犬からこの話始まってますけど、今若干正直どっちかって言ったら猫派ですね。裏切ってるけど。裏切ってるけど、 最近は犬じゃなくて猫ちゃん派ですね。
でも私はもう今は環境が許せばってか環境が許す状態にまあやがては持っていってさ、 なんかすきあらば。でも今あれですよ、子供の学区とかが全然そっちが最優先だと思ってるから。っていうか、今の場所を転校しないっていうことが1番優先的なことだと思ってるから、どっかに今引っ越してでも買いたいっていうほどの気持ちはないので、 こう、猫カフェは本当はね、猫を引き取るのが1番のさ、こうやってお膝に乗ってくれた猫ちゃんをさん連れて帰りますっていうのが1番いいことなのはすごいよくわかってるんですけど、なんかね、それはどうしてもできないからそういう風になってるっていうのが現状でございます。
すいません、事情でこの先公演での収録とさせていただきます。ちょっと夜中に収録しているもので。そんな感じで 猫ちゃんの話で終わったんですけど、なんか新しく何かを好きになるのはいいなって、やっぱ自分でこうし思いましたね。
なんか皆さんもそういうことってやっぱりあると思うので、なんかこう、なんだろうな、なんかこういうさ、
人生が直接的に変わるわけじゃないけど、なんかこう、うん、広がったっていうほどでもないけど、なんかこう、新しい扉が開いて、 なんか新しい景色が見えて、それだけでよかったなっていうことあったら、聞かせていただけますと幸いです。
概要欄にお便りフォームがリンクがありますので、ぜひそちらからお寄せください。それではここからはいただいたお便り読んでいきたいと思います。
その、前回の概要欄に書いたんですけど、そうだよね。編集したよね。
なんかお便りフォームがしばらく止まっていたらしくて、私が気づかないうちにちょっとこっちの手違いで申し訳ありませんでした。なんか送ろうとしたのにフォームが非公開になってるよっていう 方がね、結構いたかもしれないですね。そのうちの一方がこう、マシュマロ
から教えてくださって、前使ってたマシュマロっていうサービスを残しといて本当によかったなって思いました。
教えてくださった方、その時匿名でしたけど、どうもありがとうございました。お便り欄復活してますので、皆さんよろしくお願いします。
じゃあ早速読んでいきたいと思います。私はね、くさかんむりさまのさまって言っちゃった。くさかんむりさんからのお便りです。
最近、秋田にはすこもこという方言があると聞きました。ロコモコみたいで可愛く、ずっと気になっているのですが、としまさんの地元では使いますか。
というご質問のお便りでした。 すこもこ。ひらがなですこもこって書いてありましたけど、私の認識ではしこもこですね。しこもこ。しこもこだけじゃなくて、こう、しこもこするっていう動詞で、ひと固まりで使うんですけど。
で、くさかんむり。きっと意味と共に耳に入れたのかなと思うんですけど、 なんかトイレに行きたくてもぞもぞ、もじもじってしてる状態をしこもこすって言いますね。だからすごい限定的な時しか聞かない。
その、子供の時にお前何しこもこしてるのよ。便所さいぎでながっていう、そういう使われ方をするだけで、なかなかね、大人になってからは、
しこもこしてるって聞くことないんですけど。まあそんな感じでございます。バリバリ使う地域ですね。
検索したけどあんまり出なくて使ってない地域も県内で多いのかな。くささんむりさん、どうもご質問ありがとうございました。
じゃあ続いてお読みします。ラジオネームリョウさんからのお便りです。
先ほど無事にプレゼントの本とお手紙受け取りました。聖なる欲望大事をリスナーとしてとても嬉しいです。ありがとうございました。大事に読み、保管します。
こちらはリスナープレゼントでちょっとね。私のミスで届かなかったリョウさんから先週、前々回かな。前回かな。よい呼びかけた結果、お便りをいただき、無事にやり取りが終わったという 報告のお便りでしたね。感想も添えてありました。1番新しい配信のカーネーションの解釈はうなりました。
それから、spotifyでリアルマンを聞くとまた味わい深いです。ということでした。どうもありがとうございました。りょうさん。
そう、こちらこそ色々お手数おかけして申し訳なかったんですけども、すごい。前回このカーネーションのリアルマンの感想を 熱く語った結果ね、歌詞解釈が届いたって言ってもらえてすごい嬉しいです。あとね、このリアルマン繋がりでもう1つさらにお読みします。
茨城県の氷砂糖さんからいただいたお便りです。としさん、こんにちは。毎回楽しく聞いています。ありがとうございます。
第51回でカーネーションにリアルマンについて話していましたが、私も同じタカちゃんナイトに参加していました。これはびっくりしましたね。
かっこ。実はこの方はとしまさんかも。と当時から気になっていたのですが、プライベートでのことなので、思うだけにとどめました。
参加者同士として、ちょこっとお話はさせていただきましたが、てんてんてんかっことぞこれ、ちょっとびっくりしましたね。なんか私、そんな バレるような振る舞いとかさ、言動してたのかなと思って、ぎょぎょっと思ったんですけど、あの当時ね、なんかこう、たかちゃんファンが集う場所がネット上にあって、 そこではこう住んでる場所を書くのが習わしだったので、ちょっとね、その伝統を私も受け継いで、そのぼかした住所アンド年齢を書く欄を作ってるんですけど、
それで東京から秋田になんか引っ越したっていうのがね、その氷砂糖さんが察した原因だったのかなとかって想像したりしました。
続きお読みしますね。 カーネーションは、ミュージックスクエアを通じて聞いていた中高生の声はそんなにはまらなかったのですが、年齢を重ねてからメロディや直江さんの声がしみるようになりました。その場でリアルマンが流れて、とても高揚した気持ちになったことを覚えています。
としまさんにとってイベントが楽しかったこと、リアルマンが大切な曲になったというお話を聞いて、胸がジーンとしましたね。こっちも嬉しいです。
なんか、そうだよねって思いました。これ読んで、 その時覚えてないのって、やっぱこ��カーネーションが染みてくる。年齢があって、あんまり若すぎて、それに気づく人って少ないのかなっていう風に思いましたね。あの場にいたっていう方と、こうやってね、
もう1回繋がれて私も嬉しいです。氷砂糖さん、どうもありがとうございます。あと、ご感想も一緒にいただいています。本編については、 私は今年40歳になるので、今の仕事や生活にモヤモヤしたり変化を求めるのは中年の危機の入り口なのかなと思いながら聞いていました。
言い過ぎないということは心にとどめたいです。そうなんですね。モヤモヤすることもやっぱり40歳だからあるのかな。
それでは、これからも無理のないペースで配信を続けてくださると嬉しいです。ということでした。おい、サトウさん。本当、重ねてどうもありがとうございました。
でも本当、たかちゃんナイトっていうイベントは、あの時な、70人、60人、70人ぐらいの参加者でやったと思うんですよね。
そして、このポッドキャストのリスナー規模も私は把握しているので、そこが、そこがかぶるってすごい奇跡じゃない。って思ってます。多分氷砂糖さんお一方なんだろうな。それはな。
じゃあもう1つここでお読みしますね。こちらは32歳ゴボウさんからのお便りになります。いつもポッドキャストを楽しみにしています。
ありがとうございます。中年の危機のお話、書籍の紹介とともに興味深く拝聴しました。
カリスマコさんのあしたしぬにはについて、主人公が42歳と紹介されていましたが、ということはトシさんは年末放送の特派時点では
主人公とほぼ同い年の41歳だったのですね。そうなんですよ。すごい タイムリー。というか。カリさんってもうちょっと年上の人っていう認識なので、ちょっと調べてちゃんと確かめてなくて申し訳ないんですけど。だからこう、この年を書いてくれたっていうことで、ちょっと意外な感じもしつつ ね。その、最新刊じゃないからさ。最新刊っていうか、その一貫が始まったのはもっとた前だから、自分の年齢ジャストっていうわけじゃなかったのかもしれないけど、
読む時的にはジャストになって、なんかこう、不思議な感じがしましたね。お便りまだ続きます。
主人公の年齢というと、リテイクシックスティーンは孝子の実年齢の27歳という設定が絶妙で、まさに27歳の煮詰まり方やヒリヒリ感が迫真のえぐり方でしたが、執筆中のトシさんは26、7歳だったのでしょうか。
作者さんと主人公が同い年の作品はそれだけで替え難い価値を感じますし、あの名作を27歳で読めた幸福な方がいたら羨ましいです。
こちら、私の書いたリテイクシックスティーンという小説についての研究なんですけども。そうですね、実年齢が26か27だったかな。
刊行される時、同い年ぐらいになるように連載を書いたと思うので、 ちょっと。でも1、2年未来で書いてるから、そうして自分が田舎に戻る前に、田舎で腐って27歳になってるっていう
主人公の設定をつけただけで、なんかこう、なんていうの、賭けもあるっていうか、 ちょっと未来、自分にとっては未来を書いてるので、ちょっと怖かったとこもありましたね、自分では。だから、ここまで書いていただけると正直ありがたかったです。どうもありがとうございます。
そしてこっからがコボウさんのお便りの本題ですね。
自分はこの夏に33になるのですが、最近32歳のうちに32歳が主人公の小説を読みたいという気持ちになっていたことがあり、 お話の主人公とほぼ年齢が同じという点に反応してしまいました。この私が雁さんの 本を読んだ時に主人公と同じだったっていうので、こう自分の年齢に引きつけて考えたってことですよね。
32歳主人公小説で検索すると、当然ですがキリがないくらいたくさんヒットしますが、 もしよろしければとしまさんのオススメの32歳主人公もの小説を。何かググって上がってきたの これは面白かったなというのがあったり、思いつくものがあればご紹介いただけないでしょうか。
今年になってから読んだものでは、アルジャーノンに花束を、やとしさんきっかけで気になった山本文緒さんの自転しながら好転する、 同じくトシさんの紹介で気になりドラマも面白かった南綾子さんの婚活千本ノックのどれもとても面白かったです。
多分これまでも気づかずにたくさん読んできていると思うのですが、これまでは年齢を意識していませんでした。過去に既読のもので検索したら32歳だったもので、は
綿矢りささんの私を食い止めてや角田光代さんの明日はうんと遠くへいこうかっこ最終章で32歳が面白かったです。
調べるのがめんどそうな無知厚顔なリクエストかつはしょったり、かいつまんだりが必要そうな量になってしまい申し訳ありません。スルーしていただいても無問題でございます。
最後に、いつかトシマさんの自転しながら公転するの感想をポットキャストで拝聴できたらなと夢見ています。ということでした。ゴボウさん、ありがとうございます。
しょらずに読んでしまいました。結局これね、このご質問、要するに32歳主人公の小説でおすすめっていうことなんですけど、 結果が。結論から申し上げますと、私、見つけられなかったですね。ちょっと申し訳ないんですけど、本当に。
逆に検索でよくここまでゴボウさんはたどり着いたなって思い、ここまで掘り出したなって思いました。
このアルジャーノンに花束をがやっぱすごい出てきて、次点がこの自転で、その次の点、2位がさ、自転しながら好転するですね。
婚活千本ノックもそう、32歳なんですよ。 でも、この綿矢さんとか角田さんとかは、私が検索したレベルではね、出てこなくて、これを出しただけでも、もう検索能力が私よりごぼうさんの方が上っていう、
そういう感じになっちゃって。 そしたらこう、自分が読んだ中で、あれ、32歳だったなっていうのを思い出そうとしたんですけど、うん、例えばね、吉本ばななさんとか、私はかなり読んだかなと思うので、 うん、32歳かって思ったんですけど、
ぱっと出てこない。
やっぱ若い人が多いのかな。 なんか海のふたっていう小説を私、地元に帰る時に読んで、もう地元に帰る新幹線の中で読んだぐらいさ、 これこれだと思って読んだぐらいだったんですけど、
だからそれが27くらいで、もしかしたら誤差で30行ってたかもなと思って、今読み返してみたら全然違くて、大学出たばっかりみたいなの話で、 あれ。みたいな。32。私、32歳で、こう、自分の中でやっぱり特別な年で、 うん、その夫と出会って結婚するまでが大体32歳ですね。すごいこう人生に動きがある年で、
その時期に、やっぱり、なんか、こ、32歳が主人公の小説を、32歳のうちに読みたいっていう気持ちはわかるんですけども、 自分がその当時に小説読んでたかって言うと、やっぱり、 やっぱりってこともないか、すごい、私の人生においては、この辺、すごい読書量が少なかった時期で、
うん、同年代の小説読むの、私も、小説とか、物語、漫画も含めてね、読むの、やっぱ私も好きだなと思うんですけど、 そん時に、小説はね、ちょっと残念ながらよん、ほとんどね、この年って、読んでなかったなという 気がしますね。だから、こう、該当するものを記憶からも検索からも追い出せず、ちょっと力及ばずで申し訳ありません。という感じです。
うん、なんかあるかね。32歳ね。ちょっとひらめいた方はぜひお寄せください。
検索でもう少しね、もう1、2本っていうの。これ、有名な作家さんのなるほどっていうの出てきたんですけど、 私ちょっと読んでなかったりもして、ちょ、面白いかどうかはここでは言えないみたいな。
だから、読んで面白かったよ。これ32歳だったよっていう方いらしたら、ぜひお寄せください。教えてください。よろしくお願いします。
大気本願でございます。すいません。そうそう、この自転公転のさ、感想回やりたいですね。
山本先生の、ちょ、小説ってさ、その、長編小説って、すごい細かい感想、後で言いたくなりません。なんか、
なんか、あいつのここ本当嫌だったとか、なんかここドキッとしたとか、やっぱここはすごい好きとかさ、なんか特に、あれは恋愛の小説でもあるから、すごいね。
でね、細かい細かい、感想回をやるなら、やりたいなと思いますね。再読ちゃんとしてね、細部まで見て、こう、文庫が出てからもしばらく経つから、 もうネタバレもいいだろうという後輩で、うん、ちょっと検討したいと思います。近々ではないかな。でも、
なんとなく、やっぱり山本先生っていうと秋みたいな空気があるので、もう少々お待ちくださいとまで言っていいのかな。約束していいかわかんないですけど、 本当前向きに検討したいと思います。ゴボウさん、リクエストありがとうございました。そしてね、ちょっと今回は私がちょっとその時の読書量不足で申し訳ないです。
ちょっと一気にお便りたくさんお読みしてしまいましたが、ちょっと駆け足だった。申し訳ありません
うーん前回のご感想というか、そっからの話題でコブシさん、ラジオネームコブシさんからもお便りいただいて、 こう、話題の提案みたいなお便りなんですけど、これちょっと喋ると長くなるなっていうのと、 なんか前々からやりたいけどどういう形にしようかなっていうテーマのお便りで、ちょっとそれを喋るか喋んないかもうちょっと考えさせてください。すいません、よろしくお願いします。じゃ、最後にもう1つだけお便りお読みしたいと思います。
これはラジオネームない匿名さんからのお便りです。スポティファイのミュージックプラストーク7月9日までってメール来ましたね。
spotify、for podcastersのチャットサポートは結構親切なので、相談したらまた使えるように対応してくれる気がするのですが、いかがでしょうか。
お忙しいとは思うのでプレッシャーをかけるつもりではないのですが。最新回そろばんもう飽きてるの受けました。話題サムネのアートワーク可愛くて毎回密かに楽しみにしてます。
今回の水彩絵の具っぽい塗り素敵でした。ハートありがとうございます。そう、7月9日までってメール来たんですよ。spotifyから。
それ私も見たんで、終わってないんですよね。ミュージックプラストーク。それで、ちょっと頑張ってみたんですよ。
ごめんなさい、チャットサポートは頑張らなかった。なんか英語、英語かなと思って、その英語を考える前に、もうちょっと検索を頑張ろうと思って。頑張った結果、ミュージックプラストーク機能をね、 もう1回ほじくり出せました。ここ押せばよかったんやっていうのを自分で見つけましたね。だから7月までミュージックプラストックが使える。
でも、ちょっと今週は残り少ないのに、今週はね、長くなっちゃって、やめとこうかなという気持ちになっております。
動物の曲はね、いっぱいあったんですけど、スピッツとかさ、動物の曲のオンパレードだしさ、もうテーマに生き物の名前が入りすぎみたいな 感じだし、あとなんかいくつかこう、ぱっと浮かぶ曲。
私、YUKIちゃんが結構好きで、一時期のYUKIちゃんがさ、ジュディマリのボーカルだったYUKIちゃんね。そん中で、カップリングシングルのカップリングで首輪っていう
ペットの犬しかの曲があって、それもなんか切なくてすごく好きだったりとか。あと他にも何曲かあったんですけど、 なんかこう、ミュージックプラストーク、残り回数少ないだけに、なんかテーマにこだわらずまとめて1回やろうかなという、 なんかミュージックプラストーク
ラスト祭りみたいなさ。なんかこの機能を生かして、最後にてんこ盛り曲てんこもり回みたいなのやってみたいなと。夢みてたりもして。
ちょっと次回以降考えたいと思ってます。考えることが多い。なんかもう、やってなんだろう。口約束ばっかしてやんない人みたくなりそうで怖いな。
ちょっとね、一気に本当たくさんパパっとお読みしてしまってすいません。これからもお便りお待ちしております。そしてコブシさんはお待たせしてしまうかもしれませんが、お便りどっかで必ずお読みはしますのでお待ちください。
この番組では皆さんのご意見、ご感想お待ちしております。
概要欄にリンクがありますので、そちらからお送りください。フォームの形になってて、特に何も書かなくても送っていただけます。その、個人情報とかさ、登録しなくても送っていただけるようになっております。
そして今回のミュージックプラストークはそんなわけでお休みさせていただくんですが、いつかスペシャルでやりたいな。7月までに。じゃあそろそろ閉めましょうか。
本当長い話を。皆さん、今回も最後までお付き合いくださりありがとうございました。生き物うん、生き物全体的に本当好き。
言及しなかったけど、虫もね、虫もだいぶ色々好きです。なんかもう、てんとう虫とかさ、黄金虫とか好き。でも、 うん、この間ちょっと家にガガンボ入ってきちゃってさ、
か、ガガンボはちょっとあれしちゃった。ちょっとね、なんか、蚊とか蚊の形のものにだけは、私は容赦したくない。前回も蚊に触れてるけど、 他に注意してくださいみたい、なんなのみんなわかってるよっていうアナウンスでお別れしてしまったんですけど、本当か。嫌なんですよね、私は。生き物大好きな話をここでしめるのもあれだけど、 1人すごい刺されるからね。今年も警戒していきたいと思います。
本当ね、またぐっと熱くなっていくと思いますけど、皆さんお水をたくさん飲んで、体調に気をつけてお過ごしください。
今週もお付き合いいただきありがとうございました。皆さん、次までまたお元気でいてください。
私も気を付けて頑張ります。カラスにも攻撃されないように気を付けていきます。じゃあ、ありがとうございました。としまみほでした。
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kotoko326 · 4 months
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紅の深染めの衣色深く
みかつるが主である審神者を探しに黄泉路へ行く話。
「次の作戦が終わったら、三日月宗近をお前の隊の副隊長にしようと思うんだ」
大阪へ出陣前の朝、第一部隊隊長であり近侍でもある鶴丸国永を私室に呼び付けるなり、まだ幼さの残る横顔で審神者が明るい調子で言った。 寒さも残る初春の日だった。袖を通さずに羽織を肩から掛け、折り畳み式の文机の前に審神者が寛いだ様子で腰かけている。そのすぐ傍の火鉢からは、パチパチと小気味よく炭の音が鳴る。 「これまた突然な話だな」 刀としての性か、寒さにはあまり耐性のない鶴丸が、審神者の背後を陣取る形で火鉢に近づき、両腕を摩りながら言った。 主である審神者の生きる時代では「くーらー」なる物があり、これが中々快適なのだが、電気の通らない今居る元禄の時代には、用意できるのは火鉢くらいなものだった。 「突然でもないよ。前々から考えていたんだ。で、その報告が今日になっただけの話」 寒そうにする鶴丸に、審神者が体を半分傾けて灰式懐炉を投げてよこす。 受け取った灰式懐炉から漂う木炭の強い燃臭が、鼻腔にこびりついた。どうもこいつの臭いは好きじゃない。灰式懐炉を両手で包み込むと、ほんのりだが掌にぬくもりが広がる。 浮かない様子の鶴丸をじっと見つめながら、審神者が不思議そうな顔をした。 「何か問題が?三日月は人当たりも良いし、実戦経験はまだ少ないけど第一部隊でも十分通用するくらい強いよ」 「別に問題はないさ。……ただなあ……」 「ただ?」 「いやいや、何でもない」 まだ本丸に来て日が浅い三日月宗近が、鶴丸はどうにも苦手だった。避けている訳ではないが、積極的に関わりたいとも思わなかった。 師弟刀という仲でもあるし、今回が初対面という事でもない。美術品として共に隣同士に並んだ過去もある。人見知りしている訳じゃあない。 本丸では、実直でよく笑う男と評判だったが、鶴丸にはそれが今一つしっくりこなかったからだ。 確かに良く笑うし、人当たりも良い。強いというのも、経験上何となく感覚として知っている。だが、以前内番で手合わせした時は、本気を出さずのらりくらりとかわされてしまった。予測が出来ない男、そう思った。 鶴丸は驚きが好きだ。予測出来ない事が起こるとわくわくするし、それをどう乗り越えてやろうかと熱くなる。 その点では、鶴丸にとって三日月宗近という存在は、何を考えているか分からない、予想出来なくて面白い存在の筈だった。 だが、だからこそ、三日月が苦手なのかもしれないと、鶴丸は思う。 三日月宗近は冷めている。驚きとは、全く無縁の境地に達している様に見えるのだ。一言でいえば、心が死んでしまっているようだった。 なら、いっそ驚かし甲斐があるではないか?そう考える半面、彼と居ると、そちら側へ引き込まれてしまいそうになる気がした。三日月の瞳には、そんな力がある。これは確信だった。 心が死んでしまう事は、鶴丸が一番危惧している事だ。それだけは、あっちゃならない。 「しかし、きみは随分と彼を買っているんだな。いっそのこと三日月宗近を近侍にしてみたらどうだい」 顎に右手を当てて、面白半分で言ってやれば、審神者はむっとした表情になり、鶴丸の正面に向き直るとむすっとした声できっぱりと言い放った。 「それはお前じゃないと駄目だ」 「おやおや、嬉しい事を言ってくれるねぇ。それまたどうしてだい?まさか俺に惚れているなんて言う訳じゃないだろう」 「お前を見ていると、昔貰った千羽鶴を思い出すんだよ」 「そりゃ何だ?」 軽口をするっとかわした主の思いもよらない返答に、鶴丸はきょとんとした。 「折り紙の折り鶴を、文字通り千羽作って糸で綴じて束ねた物だよ。鶴は長寿のシンボルだろ?病気快癒や長寿の俗信があって、床に伏せてる人への贈り物として好まれてるんだ。って折り紙から説明しないとダメか」 そういうと審神者は、懐から四角い手拭いを出すと器用にそれを畳んでいく。すると、みるみる内にそれはただの手拭いから見事な鳥の形になった。ほう、と鶴丸はため息を吐いた。 「こういうの。本当は和紙で作るんだけど」 ピン、と、両翼に当たる部分をひっぱると、鶴丸に良く見えるように掌に乗せて見せた。 「こいつは驚いた!人間ってのは器用なもんだ…成程確かに鶴らしい」 「あはは、まあね」 素直に感心する鶴丸に、審神者が微笑む。それから、真面目な表情になってどこか遠くを見る目で言った。 「昔さ、事故に遭って死にかけた事があるんだ。その時の事は、正直あまり覚えてないんだけど。目が覚めた時、病室に真っ白い千羽鶴が飾られていたんだ。縁起が悪いからって、ご丁寧に首が折られてない奴がね。本当は折るのが正解らしいけど、嬉しかった」 「……きみは慕われてたんだな」 「そうだね。まあ贈り主に再会する前に、面会謝絶のままとんとんと審神者になったんだけど」 軽く肩をすくめて見せた後、昔話だと笑う。 鶴丸も主の立場を深く知っている訳ではないが、時の政府とやらは結構強引らしい事が感じ取れて、権力者というのは何百年経っても変わらないのだなと、心の中で嘆息した。 「それで?その千羽鶴が、中途半端に鶴らしい所が俺を思い出すってのかい?」 「ああ、違う違う。縁起が良いなあって思うんだよ。鶴丸は時々変に卑屈になるね」 別に卑屈になった訳じゃない、言えば向きになっていると返されそうなので、言いかけた言葉を喉元に留める。 「縁起が良いから、お前を近侍にしたいんだよ。僕を死地から連れ出してくれた、真っ白な千羽鶴みたいにね。それに鶴はめでたいだろ?」 「あっははは、験担ぎって訳か」 「そういうこと」 にっと笑う審神者に、鶴丸もつられて笑う。 この人は、相も変わらず何の迷いもなく俺を鶴だと言ってくれる。鶴丸は、灰式懐炉のじんわりとしたぬくもりが心の中にも広がるような心地だった。 「と、そろそろ出陣の時間だね。三日月の話は作戦が終わったらまた話すよ。相変わらず僕は本陣で待機だけど、戦果を期待して待ってるよ」 懐中時計をちらりと見て、審神者は鶴丸に顔を向けて再び悪戯っぽく笑いかける。 「ああ、驚きの結果をきみにもたらそう」
時は元禄から慶長一九年、大阪冬の陣。 歴史修正主義者率いる江戸改変大坂方面家康暗殺隊に対して、鶴丸率いる第一部隊は、形勢不利に陥っていた。 大口を叩いておいてこの様だ。だが、本陣まで追い詰められての隊長同士の一騎打ち、鶴丸は負ける気がしなかった。小傷は負ったがまだまだいける。 ちらりと背後に控える総大将である主を見やれば、険しい面持ちで一騎打ちを見守っている。 主である審神者と一瞬だけ視線を交わすと、鶴丸は「任せておけ」とニッと口元に笑みを作る。 それに一拍子遅れて、審神者の表情が少し和らぐ。意味が通じたらしい。ここで負けたら主の懐刀としても名折れである。 助走をつけながら分身とも言える刀を軽く右手で構え、素早く背後に回り隊長を切り捨てると、鶴丸に届かなかった敵の刃は、空しくその場の地に突き刺さる。 後は敵総大将の首を頂きに行くだけだ。そう思うより先に鶴丸の視界の隙間に入った”それ”に悪寒が走った。 鶴丸の様子に気付いた他の隊員たちが、審神者の元へ駆け寄る。 まずい。どちらも共に距離がある。 「ええい」 軽く舌打ちをし、すぐさま足場近くの地に突き刺さった刀の鍔を蹴りあげる。 回転しながら宙を舞う切っ先がそれの左目に命中すると同時に、甲高い銃声が鳴り響いた。 この時代の物ではない拳銃を握ったまま、にっかりと笑ったそれが、血飛沫を上げながらゆっくりとした動作で倒れる中、鶴丸の背後でどさりと鈍い音がした。 遅かったか!鶴丸が振り返ると、守るべき存在である主が仰向けに倒れ、どくどくと血を流していた。 鶴丸は、さっと血の気が引いて行くのが分かった。 「主ッ!!!」 「きゅうしょは、はずしました……でも……」 鶴丸が駆け寄ると、隊員の一人である今剣が言う。真っ先に審神者の元へ駆けつけ覆いかぶさったらしい彼の衣服は、審神者の血で染まっていた。 「急いで弾を除かないと感染症の恐れがありますね」 傷口に触れながら太郎太刀が静かに言った。 気を失いながらも、呻く審神者の顔色は、平常、色素の薄い鶴丸よりも白かった。それとは対照的に、彼の真っ白な斎服袍は左の肩口から赤に染まっており、これではどちらが鶴か分かったものではない、そう鶴丸は思った。 「……すまん、俺が油断したばかりに」 「いえ、鶴丸。あなたの判断は正しかったですよ。あそこで敵の総大将を討っていなければ弾丸は逸れることなく急所を討ち抜いていたでしょう。これは隊全体の問題です。まさか結界が施された本陣に潜んでいるとは……」 「そこの御仁たち、反省会は後にしてくれないかい。作戦も一応は成功したし、早い所応急処置をして主を本丸へ連れ帰ろう」 今剣の両肩に覆いかぶさる様な姿勢でいた審神者の右肩を担ぎ直し、歌仙兼定が呆れた声で言う。それに続く様に、無言で山姥切国広が、左肩を気遣うように支える。その表情は、何時も以上に暗かった。
(弾は除かれました。今夜が峠でしょう)
本丸の救護班の報を受けた鶴丸は、灯りも持たずに主の部屋の前で立ち尽くしていた。 「峠、か……こりゃまいったね」 障子一枚を隔てた向こう側で、主である審神者は伏せっている。肉体だけが伏せっていた。 確かに息はある、しかし魂とも呼べる気配がなかった。 数は僅かばかりだが、特に霊力の強い刀剣男士たちは、その事に気付いていた。 気付いた者は、皆一様に思う所のある様な顔をして各々の寝所へ戻って行った。だが、鶴丸はその場から離れる事が出来なかった。 今朝方に見た、折り鶴を折って見せた主の顔が脳裏をよぎる。まだ、僅か十数年しか生きた事のない少年の顔。 鶴丸は両の手に握り拳を作り、わなわなと拳を震わせた。 「すまん、主……。俺は器用じゃないから、千羽の鶴は折れそうにない……。だが……」 「鶴丸」 意を決して、その場から立ち去ろうと背を向けたその背後から、たおやかな声に呼び止められる。 振り返ると、灯りを手に佇むように彼は立っていた。 視線の先は、鶴丸ではなく、審神者の部屋だった。彼も事態に気付いたのだろう。 「……遠征から帰っていたのか、三日月宗近」 「ついさっきな」 「そうかい、ご苦労さん。じゃあな」 何処かこの場には不釣り合いな、穏やかな声で話す彼に少し苛立ちを感じながら、さっさと切り上げようと背を向けた。 悪いが、今は三日月の相手をしている暇はない。 が、間髪いれずに三日月に右手首を掴まれる。存外力が込められていて、振り払う事が出来ずにいると、静かな声で尋ねられる。 「その傷で何処へ行く?」 「おいおい、傷を見ればわかるだろう。手入れ部屋に決まっている」 もう一度振り返れば、三日月の瞳とかち合う。 蝋燭の灯りに照らされて鈍く光る、闇夜に浮かぶ青の光にじっと見つめられると、まるで全てを見透かされているような気分に陥る。 「手入れ部屋とは逆方向のように見えるが?」 「……俺は方向音痴でね、ちょいと間違えただけさ」 「とてもそうは見えないが?」 「そりゃお宅の思い込みだろう」 「見た通りを言っただけだ。思い込みなどではないさ」 「それを思い込みって言うんだ。いい加減、この手を放してくれないかい。傷口が痛くて仕方ないんでね。さっさと手入れに行かせてくれ」 「鶴丸」 ばつが悪くなって、鶴丸は、はあ、と溜息を吐きながら空いた手でボリボリと頭を掻いた。 ここで再び言い逃れをしたとして、彼は見逃すだろうか?普段なら、曖昧な笑みを浮かべてはぐらかされてくれよう。だが、今宵はそうはしてくれないであろう力強さが、己の手首に込められていた。 今宵、何故こんなにも三日月が自分に執着してくるのか分からないが、存外この男は強情なのかもしれない。鶴丸は、そんな事をふと思った。 もう一度深い溜息をこぼすと、やれやれと観念したように鶴丸は白状した。 「黄泉の国へ、主を迎えに行ってくる」 「イザナギのように禁忌を犯すのか?」 「ああ」 見つめ合ったまま答えると、鶴丸の右手首に込められた力が、少しだけ緩んだ。だが、まだ解放する気はないらしい。 「……先程太郎太刀は今日が峠と言っていたが?鶴丸よ、それではまるで、審神者が死んだと言っているようではないか。確かに今あの部屋には…」 「おおっと、早とちりは止めてくれ。主はまだ死んじゃあいないさ。だが、主は”あちら側”に居る」 三日月の言葉を遮るように、鶴丸は手首を掴まれたままの手を挙げて言った。 「どういうことだ?」 少し怪訝そうな声で、三日月が問う。 「っと、そうだな……何て言えばいいか……。俺はこうして現世の肉体を得る以前に、主とそこで出会っている。丁度その時、主が黄泉の釜戸で煮炊きしたものを食べようとしていたからな、気まぐれに手を叩いてこちらへ引き戻したんだ」 「それはまた初耳だな」 「誰にも話しちゃいなかったからな。自然の摂理に背いたんだ。石切丸辺りが聞いたら、呆れるか怒るかのどっちかだろうな」 そう言って鶴丸が、少しニヤリと口元を歪めると、 「それはあるな」 三日月が、続く様に袖を口元へ寄せて笑った。 あれほど敬遠してた三日月と笑い合うなどと、鶴丸は少し奇妙な気持ちになり、表情を引き締める。 「まあ、経緯は話すと長くなるから手短に話すが…。兎に角、主は”あちら側”へ引き寄せられやすい体質になってる事は確かだ。だから、一刻も早く迎えに行ってやらないと、手遅れになる可能性がある」 「と、言うと」 「ヨモツヘグイを為す前にって事だ」 黄泉戸契、それは文字通り黄泉の国の食べ物を食べ、黄泉の国の住人になる儀式の事だった。ヨモツヘグイを為した者は、神であろうがあちら側の住人となってしまう。 かつて昔の主と共に葬斂された過去のある鶴丸は、それをよく知っていた。幸か不幸か、鶴丸はヨモツヘグイを為す前に現世へ舞い戻る事になったのだが。 「しかし今から黄泉比良坂へか?」 三日月の知る黄泉への入り口は、本丸からは遠かった。とても人の身では、一昼夜で行ける距離ではない。 すると、再び鶴丸が「誰にも言うなよ?」と、前置きをしてから白い歯を見せる。 「黄泉への抜け道を知っている。行くだけなら時間はかからない。それに俺にとっちゃ遊び場みたいなもんだ、連れ帰るだけなら何の事はないさ」 「……鶴丸、お前、かなり危険な遊びをしているようだな」 「人生には驚きが必要だろ?その一環みたいなもんさ」 実際、黄泉の国の住人を驚かすのは大層楽しかった。これは鶴丸だけの秘密である。 「そういうこった。だからこの手を放してくれ」 白状すべきことは大体白状した、もう良いだろうと、鶴丸がその手を強引に振り解こうとすると、あっさりと解放された。 拍子抜けして三日月の方を見ると、彼は何時もの曖昧な笑みを浮かべながら、口を開いた。 「あいわかった。では、俺も行くとしよう。一人より二人の方が心強いだろう」 思わぬ提案に鶴丸は少しぽかんとしたが、直ぐに眉を顰めた。 「遊びじゃないんだ、ほいほいついて来られちゃ困る」 「遊びで行くつもりはないよ」 「分からないのか?足手まといだ」 明るい調子で言う三日月を睨むようにして、語気を強めて言うが、彼は意に介していない様子で言い返す。 「こう見えても俺は強いぞ?」 「実戦の話をしてるんじゃあない。それに、黄泉への抜け道は俺だけの秘密なんだ。周りに知れ渡ったら、困るだろう」 黄泉の国へ頻繁に出入りしていたことが白日の下に晒されれば、今まで通りともいかなくなる、鶴丸はそう考えていた。それに三日月には、心を許すつもりはなかった。 「戦わぬ戦ならば、俺の方が経験豊富だぞ?それに、俺は口は堅い方だ。秘密は守ろう」 「食い下がるな……理由でもあるのか?」 あまりのしつこさに、そう漏らしてから、鶴丸はしまったと思った。このままでは押し通される。 「……まだ俺は給料分も働かせてもらっていないのでな」 言葉や表情とは裏腹に、彼の瞳は摯実そのものだった。恐らく鶴丸が初めて目の当たりにした真剣な眼差しだ。 無意識に、こくりと喉が鳴る。それから、軽く首を振ってから、三日月の目を見据える。 「どうやら本気みたいだな。分かった…ついて来い」 「あいわかった」 根負けした鶴丸に、三日月は破顔した。
「ついたぜ。ここが入り口だ」 「これはまた珍妙な場所が入り口だな」 「ま、本来は出口みたいなもんだけどな。ここはそのひとつさ」
鶴丸の後を付いて行ったその先は、本丸にある刀装部屋だった。 それから鶴丸が「よっと」と、声を出しながら、本殿の中心に鎮座する鏡を端に退ける。鏡が置かれていた場所は、ただの板張りの床であった。 その後ろ姿を見つめながら、三日月は、鶴丸の傷口から染みた衣服の血が既に黒ずんでいる事を、少し残念に思う。あれが朱色ならば、さぞ映えた身ごしらえであろうと思ったからだ。 三日月宗近は、鶴丸国永に好意を寄せていた。それも、恋の歌を詠う方の好意である。 審神者の気まぐれによる采配で決まる内番で、鶴丸と当たった時も、ついうっかり見とれてしまう程度には、自分は重症らしかった。 刀が恋とはまたおかしな話だが、一目見たその時から、鶴丸のその長く美しい細身の刀身に、自分にはない濃い血の臭いを感じ取り、惹かれた。一目惚れというやつだった。 鶴丸とは、祖を同じくする師弟刀という間柄であり、同じく平安の時代に生まれ、同じくうぶ姿で生き続けたが、片や三日月は、長年見守ってきた主の最期に、ただ一度だけ振われただけの身であった。 血を知らぬ不殺の剣との呼び声は、聞こえが良い。だが、三日月には、そんな己が酷く不格好に思え、鶴丸がいっとう眩しく見えた。あの血の宿る刀身が欲しい。 その点では、審神者は己を刀として振ってくれる。助けに行くには、十分すぎる理由があった。 鶴丸への好意は、現代で言うところの「こんぷれっくす」とやらが由来するのかもしれないが、三日月には、そんな事はどうでもよかった。ただ、戦場で赤に染まる鶴丸をずっと見てみたかった。さぞ、美しい事だろう。 だが、どうにも自分は好かれていないらしい。嫌われてはいないが、距離を置かれている。理由はわからないが、それだけは気付いていた。 故に、今回同行を許可してくれたのは意外であった。我を通してみるものだなと思いつつ、鶴丸は思いの外押しに弱いのかもしれないと、まるで弱点を見つけたようで、少し愉快な気持ちになる。 そう一人ほくそ笑んでいる時だった。 「俺の手を握ってくれ」 鶴丸のほっそりと、だがしっかりとした青白い手が、己に向かって差し出される。 「世話されるのは好きだが、流石の俺もそこまで童ではないのだが…」 少しはにかんで、遠まわしに拒否してみると、鶴丸が面倒くさそうな顔をする。 「……これはあちら側へ向かう時の約束事みたいなもんだ」 「そういうものか」 「ああ。今から俺が言った事は、必ず守ってくれ。俺達は付喪神と言っても、今は人の身だ。下手をすると戻れなくなる可能性が出てくる」 「あいわかった」 何時になく真剣な様子で言う鶴丸に、三日月は、何時もの調子で雅やかに頷いた後、鶴丸の左手を固く握りしめる。その手は、想像以上に薄く張りがなく少々心配になった。 そんな己を胡乱気な目で見ながら、鶴丸は一呼吸置いてから続けた。 「ひとつめは、俺の手を決して離さない事だ」 「この手を離してしまったら、俺の魂ごと引き裂かれてしまいそうな話だな」 ふと、そんなフレーズが頭に過り、口をついて出る。存外この状態は悪いものではない気がしたのだ。 「真面目に聞いてくれ。ふたつめ、何があっても絶対に抜刀するな」 「何があってもか?」 「そうだ。これも人の身である俺たちの約束事だな。黄泉の国の連中は、食い意地の張った奴らが多いが、下手に刺激しない限り手を出しては来ない。勿論手を出して負けるなんて事は思ってないが、今回は主探しが主役だからな」 手を出した事があるのか?と、少し思ったが、敢えて口を噤んだ。これ以上鶴丸を刺激したら、連れて行ってもらえなくなる可能性があるからだ。 「そして、声をかけられても後ろは振り返るな。何があってもだ。破ったらどうなるかは、流石の俺も知らないんでね」 「それで最後か?」 「そうだな、それからこれは後の話になるが……黄泉の国から帰ったら必ず禊を行う」 これについては、神である三日月もピンときた。黄泉の穢れを流すた��の儀式だ。神は穢れを嫌う。刀の付喪神である三日月も例外ではなかった。そう思うと、鶴丸の血に惹かれる己は、もう妖刀なのかもしれないな、と心のどこかで思った。 と、そこまで考えた所で、ある事に気付く。 「……もしや、怪我もしてないお前が時折、手入れ部屋に入ってるのは……」 「何で知ってるのかは知らないが、そういうこった」 悪びれもせずに言ってのける鶴丸に、三日月は思わず嫣然と笑った。 「さて、覚悟は良いな」 「ああ、出来ているぞ」 合図するように鶴丸の左手を握りしめると、鶴丸が何かを思い出したような顔をする。 「おおっと、そうだ。少しだけ目を瞑っててくんな」 「あいわかった」 「それじゃあいっちょ、行くとするかねぇ」 三日月が、鶴丸に応じた瞬間、足場が揺らいだ。 ふわふわと宙を浮いたかの様になったかと思うと、次の瞬間、まるで氷の壁を強引に突き破るような、激痛と冷たさが同時に襲い、思わず目を見開く。真っ暗闇だ。 「さーて、鶴丸御一行の到着だ」 鶴丸が事もなげに告げると、痛みは消え去り、足場も安定していた。しかし、視界は暗いままだった。 「……先に説明して欲しかったものだなあ」 「文句は言いっこなしだぜ。入口の開き方は秘密にしときたかったんでね。それに、最初に言った筈だぜ?”出口みたいなもん”だってな」 ニヤニヤとした声だ。どうやら鶴丸に、からかわれてしまったらしい。 「しかし黄泉の国とは、斯様に暗いのか」 「ここはまだ入り口だ。先はもっと暗くなるぜ?」 鶴丸が一人で行きたがった理由が、分かった気がした。これは一人の方が格段に楽だ。 そこへ己を連れてきた。鶴丸の覚悟を考えると、三日月は心が躍った。 「っと、そうだ。これを持っててくれ。流石に片手じゃ難しいからなあ」 そういうと鶴丸は、何やら四角い小さな小箱を手渡してきた。そのまま動かすなよ、と念を押して。 なにしろ暗くてよく見えないが、ひとしきり物音を立てた後、じゅっという音がしたかと思えば、一瞬だけ場が明るくなる。どうやらマッチ箱だったらしい。それにしても、マッチとは驚いた。審神者にでも貰ったのだろうか。 そして、暫くしてから微かだが蓬の臭いがした。 「煙管か?」 「ご名答。こいつはまあ、魔除けみたいなものだな」 「それなら俺も持ってるぞ。遠征土産にと、貰ってきたものがある」 懐から黄色い手拭いで包んだ物を得意げに見せてみるが、鶴丸の反応はいまいちだった。 決まりが悪くなって、懐にそれを戻すと、三日月は本題に入った。 「して、審神者をどう探す?霊力を辿るのが簡捷と思うが……」 「ああ、それは俺も考えていた。だが、それだけじゃあ頼りない」 この途方もない闇の中、流石に審神者のまだ小さい霊力を辿るのは至難の業だ。かといって三日月にはそれ以外の方法は知らない。 「すると?」 「見当を付けておいた」 「ほう」 成程、これは一度この地で審神者と出会った経験が生きるな。三日月は、素直に感心した。 「黄泉の釜戸へ向かうぜ。道案内は任せておけ」 「ならば俺はその助け舟となろうぞ」 三日月は、頭の房紐を解くと、ふっと己の息を吹きかけた。すると、房紐がするすると音を立てながら、蔦に変化して伸びて行く。 「葡萄葛の蔦だ。これをしおり糸としようではないか」 そう言うと、蔦の先が鶴丸の右手小指に巻きつき、余りの蔦が地面に落ちた。興味本位に引っ張れば、ピンと張る。なるほど見事なしおり糸だ。 「こいつは凄いな、お宅、そんな芸当が出来るのか」 「はっはっは……これくらいは造作もないぞ。では、ゆくとするか」
鶴丸の歩調は淀みなかった。目的地へ迷いなく進んでいる足取りだ。相当こなれている事が分かる。 暫くすると、腐った果実の香りが辺りに満ちた。どこか心惹かれる、危険な甘さを孕んだ香りだと、三日月は思った。 奥へ進むほど、その腐った果実の様な、甘く濃い匂いは強くなっていく。臭覚が麻痺しそうだ、そう思った時、三日月は、ある事に気付いた。この匂いには覚えがある。 「鶴丸よ」 「何だ?」 握った手を強引に引き寄せると、そのまま三日月は、自身の腕の中に鶴丸を収める。その弾みで鶴丸の煙管が、ぽとりと地面に落ちた。 鶴丸の、さらりとした滑らかな髪の毛が頬に触れる。少々こそばゆいが、そのまま鶴丸の頭に鼻を寄せると、いよいよ疑惑は確信へと変わった。 「やはりな」 「いきなり何だ」 片手で軽く押しのけようとする鶴丸の背を空いた手で押さえながら、三日月は呟いた。 「お前からは、良い匂いがするな」 「おいおい、いくら俺が男前だからって、こんな時に口説くかい?するなら後にしてくれ。今はそれどころじゃあ……」 「だが、それは死の臭いだ」 「何だと?」 笑いを含みながらも戸惑った様な鶴丸の声が、一瞬で張り詰めた。 「お前からは、死臭がすると言っているのだ」 静かに、だがはっきりと、三日月は告げる。 「……もう一度言ってみろ。ただじゃあ置かないぜ」 少し怒気の含まれた声音だ。だが、三日月はそれを受け流す。 「何度でも言うぞ。鶴丸よ、これ以上黄泉の国への出入りは止めろ。このままでは、自身で審神者を傷つける事になるぞ」 暗に妖刀になるぞ、と、念を押せば鶴丸の殺気は一層強くなった。 「三日月宗近。てめぇに指図される筋合いはない、俺がどうするかは、俺が決める事だ。少なくともてめぇじゃあない」 初めて聞く、押し殺したような低い声だった。だが、三日月には、それは強がりに思えてならなかった。 「そんなに死ぬのが怖いか」 「何を」 闇の中で、鶴丸が引き攣るのが分かった。 「黄泉へ出入りしているのは、死への恐怖からではないのか?死が満ち足りたここならば、自分が生きている事が実感出来るからなあ」 辺りを軽く見回しながら、歌うような抑揚を帯びた口調で三日月が言う。 すると鶴丸は、何時もの調子を取り戻したように、笑いを含んだ声で返した。 「おいおい、俺たちは刀だ。何時折れるかも分からない刀が死ぬのを怖がってたら、話にならないだろう」 「卵の白身の方だ。心、とも言うな」 鶴丸が反発するより早く、三日月は続ける。 「心が揺れなくなるのが、そんなに怖いか?」 「いい加減に……」 詰問するような三日月に、うんざりした様に鶴丸が口を開くが、やはり彼は意に介さず、口元を綻ばせた。 「驚きなら、俺が与えてやろう。さすれば不安も解消されるであろう」 まるで名案だと言わんばかりの、自信満々な声で言う。 沈黙が辺りを包んだ。 力を抜き、黙って答えを待つ三日月の胸に身を預けると、鶴丸はぼそりと、呟く様に言った。 「…………そりゃ無理な話だな。三日月宗近、心が死んじまってる人間に、ゆで卵のお宅に、そんな芸当出来る筈がない」 「ゆで卵……俺がか?」 きょとんとした声で、三日月が問い返すと、鶴丸は真面目な様子で言った。 「ああ、凝り固まって、何をしても揺れないゆで卵だ」 まるで確信した様な言い回しに、三日月は苦笑した。 「俺だって、揺れる事はあるぞ。今も揺れに揺れておる」 「どうだかな」 ぶっきら棒に、鶴丸は否定する。 「好きだ」 「は?」 「鶴丸よ、お前を好いていると言っているのだ」 突然の告白に、鶴丸がいよいよ当惑した顔になる。が、三日月はそれに気付かない。 「どういう意味だ、そりゃ」 「こういう意味だ」 そう言って、三日月が空いた手で、鶴丸の頬に触れる。辿るように、その手に柔らかなそれを見つけると、そこに己の唇を押し付けた。 鶴丸の痩身が強張るのと同時に、三日月の足を踏みつけ、押しのけようと必死にもがく様が伝わった。 足の痛みに構わず、さらに深く口付ける。暗闇の中で、卑猥な音だけが響いた。 生温かいそれを口内に侵入させると、鶴丸はより一層激しく暴れたが、繋いだ左手を離そうとはしなかった。何とも律儀な奴だな、と、三日月は苦く笑うと、解放してやる。 「ん……ふっ……はっ……は」 「分かってくれたか?」 ぜえぜえと息を吐く鶴丸に、三日月は真剣な声で問うた。 呼吸を整えると、己の腕の中で鶴丸がくつくつと喉を鳴らし、体を震わせる。 「あっはっは、こりゃ愉快だ。刀が恋だって?しかも天下五剣様が、この俺にかい?」 さっきまでの暴れ様とは裏腹に、鶴丸は平常心を保っていた。 「そうだぞ。一目惚れだ」 「ふざけるのも大概にしてくれ」 ひとしきり大笑いした後、鶴丸は呆れた声で告げた。 「どうやっても信じてくれんか」 意気消沈した声で聞けば、鶴丸は少し考えるように答えた。 「そうだな、俺を心の底から驚かしてくれたら信じてやるさ……だが、それは主を」 「では試そうか」 鶴丸が言い終わるのを待たずに、す、と、三日月の手が離された。 「おい、馬鹿!」 鶴丸が離された手を掴み直そうとするが、空しく空気を掴む。空気を掴むと同時に、気配が一瞬で消えた。三日月の霊力を辿ろうにも、ぷつりと糸が途切れてしまっている。これは意図的に消されたものだ。 「くそっ!!!あの野郎!!!」 三日月の房紐だけが、鶴丸の小指に残された。
ざわざわと、しだれ柳が揺れる様な音がする闇の中、審神者は辺りをふらふらと彷徨っていた。 ぼんやりとした意識の中、審神者は思った。ここには覚えがある。以前、真っ暗闇の中で白く光る鶴を見た場所だ。 「今回は居ないなあ……」 きょろきょろとあたりを見回すが、鶴は見当たらなかった。 「……腹、減ったなあ」 あれほど嫌悪していた無味無臭の兵糧丸が、今は恋しかった。 「ん?」 くん、と鼻を鳴らすと、どこからか良い匂いがした。 その匂いを釣られるように辿っていくと、ぐつぐつと音を立てる釜戸のある場所に辿り着く。 辺りは先程までの暗闇と違い、やや明るかった。周りにはうっすらだが人影が沢山見える。 釜戸の前には、何やら列が出来ていた。列があると並びたくなる。そんな習性に従って審神者が最後尾につくと、後ろから枯れた声がした。 「今日はあなたが最後です」 「最後って?」 何となく振り返ってはいけない気がして、振り向かずに尋ねる。 「千人目ということですよ。ささ、お食べなさい」 後ろの声が、脇から手を差し出す。その手には、とりめしに似た握り飯が乗っていた。何の肉かはわからないが、とても食欲のそそる良い匂いがして美味しそうだ。 「ありがとう。凄くお腹が減ってたんだ」 手に取ろうとしたその時だった。背後から瑞々しい音と共に「ぎゃ!」という喉を絞った様な悲鳴が上がり、審神者が手に取るより早く握り飯が地に落ちた。 形を崩した握り飯からは、じゅうじゅうと音を立てながら煙が上がり、中からは大量のウジ虫がうぞうぞと蠢いている。 「ひっ」 思わず飛び退くと、暫くして、むっとした強烈な腐臭が辺りに広がる。噎せていると、その背をやさしく撫でる大きな手の感触があった。 「これ審神者、それを食べてはならないぞ」 「……三日月?三日月じゃないか!」 振り向くと、審神者を覗きこむように伺う三日月の顔があった。 「はっはっは。捕まえたぞ」 そう言って、背後から三日月が審神者を優しく抱きしめてくる。気付けば腐臭は消え去っていた。 「それにしても、三日月はどうしてここにいるの?」 「お前を探しておったのだ」 「探す?探すって……そうだ、ここは何処なんだろう?三日月は知ってる?」 気付いたらここに居た。そうだ、自分はどうしてここに居るのだろう。前後の記憶がぷっつりと途切れてしまっていた。 「さあなあ」 とぼけた様な三日月の声。これは知っている声だ。でも教えてもくれない声だ。審神者はそれをよく知っている。 「ねえ……」 「出しにしてすまんな」 言いかけた声を制止して、くしゃりと審神者の頭を撫でながら、三日月が言う。 その声音は、何時になく柔らかく、そしてすまなそうだった。 「何の事?」 あまりにもすまなそうな声だから、不思議に思い、尋ねたが、やっぱり笑って誤魔化されてしまう。 面白くなくて、頬を膨らませれば、益々すまなそうな顔をされので、ここは大人になろうと審神者は思った。 「さて、ここは危険だ。早々に立ち去ろうぞ。……待ち人も居るからなあ」 腕の中の審神者を解放してやりながら、三日月が微笑んだ。 「待ち人って、もしかして……」 審神者が言いかけた、その時だった。 「見つけたぜ」 聞きなれた声がした。 「その声は……鶴丸!」 振り返れば、血の付着したぼろぼろの衣を纏った鶴丸が立っていた。表情は良く見えないが、少し硬いように思えた。 慌てて駆け寄ってみれば、鶴丸は審神者を認めてニッと笑う。良かった、いつもの鶴丸だ。そう安心して息を吐く。 「俺より先に主を見つけて驚かそうとしたんだろうが……生憎だが、予想通りだぜ」 鶴丸が、淡々とした口調で言った。何の話だろうか。 「ふむ、駄目だったか」 対して三日月も、独り言のように零した。何となくピンとくる。さっきの謝罪はこれだ。 「実直と評判の三日月宗近様だ。主をほっぽって俺を驚かそうなんて考えないだろうからな」 そう言う鶴丸の言葉が、何時になく尖っているものだから、審神者はぎょっとして顔を見る。冷たく醒めた笑い顔だ。 喧嘩でもしたのだろうか?二人とも、ああ見えても大人だったので、審神者にはそれが想像が出来なかった。 「まだ怒っておるのか」 「もう怒っちゃいない。人生は長い。���、ただの戯れだと思っておくさ」 「戯れ、か」 そう呟いて、微笑む三日月の顔が少し曇った様に、審神者は見えた。 「つ……」 審神者が口を開きかけた時だった。審神者でも分かるくらいに周囲が殺気立ち、ぞくりと背筋に冷たいものが走った。 どうやら周囲を何かに囲まれたらしい。ぶつぶつと何か言っている声が聞こえるが、うまく聞きとれない。 「……三日月宗近。俺が居ない時に一体何をしたんだ」 審神者を守るように傍に寄り添い、周囲を見渡しながら、鶴丸が尋ねる。 「審神者に飯を供する輩がいたものでな。桃を投げてやったぞ」 剣は抜いてないぞ、そう言いたげな三日月に、鶴丸は溜息をついた。 「……やれやれだぜ」 已むを得まい、そう鶴丸が刀に手をかけた時だった。 「鶴丸よ。下がっておれ」 鶴丸の前を三日月が立ちはだかった。 「三日月宗近?そこをどけ。尻ぬぐいは俺がやる」 「さっきも言ったであろう。これ以上穢れれば、ただでは済まぬと」 「ただで済まないのはお宅の方だぜ。今回ばかりは、天下五剣様の出る幕じゃあない」 ここは黄泉の国だ。黄泉の国では剣の強さより、穢れへの耐性がものを言う。 その点では、三日月より勝っていると、鶴丸は自負していた。 だが、三日月は退こうとせず、鶴丸の指に結ばれた房紐が垂れる方角を見て、そちらへ身体を向けた。 「はっはっは、審神者は頼んだぞ」 そう一笑すると、鶴丸が剣を抜くより早く、三日月が抜刀した。 「分らず屋!」 鶴丸の叫びを振り切るように、黄泉の者を斬り付けると、腐った肉片が、びちゃりと音を立てて、三日月の衣服に飛び散った。 「押し通る」 そのまま構わずに、黄泉の穢れを浴びながら三日月は道を作り、走り抜ける。 審神者の手を引きながら、その背に続く鶴丸は、案じた。 ある意味、穢れに馴れ切ってしまっている自分とは違う。血の穢れすらもまともに知らぬ三日月に、黄泉の穢れは刺激が強過ぎる。 鶴丸の予感は的中した。 闇が薄まり、出口まで後僅かばかりかという時だった。がくりと、三日月が膝をついた。 「三日月!!」 思わず鶴丸が声を上げる。 「やあ、嬉しいな……三日月と呼んでくれるか」 「どうして抜いた!!」 三日月も馬鹿ではない、こうなる事くらいはわかっていたであろう。だからこそ、鶴丸にはそれが理解できなかった。 「これ以上、鶴丸が穢れたら困るからなあ……審神者も悲しむだろう」 「三日月!三日月!!」 枯れた様な三日月の声に、審神者が縋りつく。 「泣いてくれるな。審神者よ、少し穢れを被っただけだ。死ぬわけじゃないぞ……」 その頬に触れながら、三日月は諭す様に言った。 「……くそ、約束を二つも破りやがって……やっぱり足手まといじゃないか」 苦虫を噛み潰したような顔で鶴丸が言えば、三日月は笑った。 「はっはっは……それでもお前は、俺に来いと言ってくれたではないか」 「それは」 本気の目をしていたから。そうだ、最初から三日月は本気だった。それなのに、鶴丸はどこかでそれを否定していた。分らず屋は、自分だったのだ。 「もう、見守っているだけというのは、嫌だからなあ……」 そう呟く三日月に、鶴丸は思い知らされた。 三日月宗近は達観などしていない、ただ、大らか過ぎるだけだったのだ。どうして、そんな単純なことにも気付かなかったのか、鶴丸は、奥歯を噛み締めた。 彼だって、普通に傷つくし、寂しいと思うこともあるだろう。だが、自分と形は違えど同じように、悠久とも思える時の中で、凪いだ海の様に振舞う事で心を守ってきただけなのだ。鶴丸は、そう思った。 「もういい、喋るな。すまん……ゆで卵なんて言って」 「……鶴丸?」 三日月が不思議そうな顔をする。 「気持ちは分かったって、言っているんだ」 判然とした、確かな声で鶴丸は三日月に告げる。自分への好意は本物なのであろう、と。 「そうか、そうか……俺は幸せ者だなあ」 別に気持ちを受け入れた訳じゃない、そう言う前に三日月は静かに瞼を閉じた。 「鶴丸!どうしよう、どうしよう……」 三日月の手を握り、審神者が鶴丸を見る。蒼白で、今にも泣き出しそうな顔だ。 「……大丈夫だ。三日月の言うとおり、死んだわけじゃない。少し穢れを浴び過ぎただけだ」 だが、このままではまずい。手入れ部屋まで行き禊をするまでには、時間がかかり過ぎる。 考えろ、何か手はある筈だ。鶴丸がそう頭をひねった時だった。三日月の懐から黄色い手拭いがちらりと見えた。 「これは……」
「三日月!良かった!」 三日月が、瞳を開くと、薄闇の中で安心したような審神者の声がした。 「気付いたか、三日月。……遠征先の人に感謝するんだな」 ぶっきら棒に、しかし明るい声音で鶴丸が言う。 鶴丸の手には、三日月の手拭いが握られていた。 桃の木は霊木で、その木から生る桃は穢れを払う。どうやら鶴丸は、自分に桃の汁を飲ませて穢れを払ったらしかった。 どのようにして飲ませたのか、三日月は胸が高鳴ったが、あえそこには触れない事にする。 「礼を言うぞ、鶴丸」 「礼なら遠征先の人に言ってくれ」 微笑めば、鶴丸が少しばつの悪そうな顔で告げる。 「それもそうか」 言いながら、三日月が立ちあがる。それを認めてから、鶴丸が息を吐いた。 「さて主、主とは一先ずここでお別れだ」 不安そうに鶴丸の顔を見上げる審神者の頭に、鶴丸がぽんと手を置く。 「心配するな。ここを抜ければ、きみは元の肉体に戻る。ここでの事も、忘れちまうだろう」 「そういうものなの?」 「ああ。主にとって、ここは夢みたいなもんだからな」 「そう……でも、良かった」 「何がだ」 不思議そうにする鶴丸に、審神者がはにかんだ。 「三日月とのこと、少し心配していたんだ。でも、これなら彼を副隊長に据えても大丈夫そうだね」 「何の話だ?」 三日月がきょとんとしている。 主の危機に、鶴丸はすっかり忘れていたが、そういえば朝そんな話をしていたことを思い出す。 三日月に近寄りたくなくて、嫌がっていた、朝の自分。それが今はおかしくて仕方が無かった。 「……ああ、そうだな。これから右腕として、宜しく頼むぜ」 そう言って鶴丸が三日月の肩に手を置く。 「はっはっは。右腕、か」 「不満かい?三日月の旦那」 笑みを含んだ声で鶴丸に聞き返されれば、三日月は改まった声で言う。 「あいや、よきかなよきかな」
戦場で、朱に染まりながら舞う白い鶴を傍で見れる。 三日月は、それが慶賀に堪えなかった。
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tsuntsun1221ts · 4 months
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2024.03 天城山
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初めての伊豆の山
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伊豆半島の伊東駅から天城山登山口行きのバスが出ている。熱海駅で乗り換えたが観光客非常に多い。伊東駅に到着したときは・・・もう周囲の雰囲気から観光気分。登山しにきたんだよね?天気もかなり良く小春日和と言いたいところだったが、それよりも体感気温高い。
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伊東駅発バスで1時間で天城縦走路入口に到着(1000円強)。駐車場は8割ほど埋まっている。100台は止まれないかも。バスの時間的にしょうがなかったが、登山としては遅い到着。とはいえこれの1本前のバスに乗ろうとすると始発電車レベルだったので。
【コースタイム】天城縦走路入口(10??)→四辻(????)→万二郎岳(????-1215)→天城山(1320-1330)→四辻(1450)→天城縦走路入口(1500) ※前半は計測できず
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登山道に入ると、岩がかなりゴロゴロしている。どちらかというと悪路。
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ところどころ清流が流れ涼しく感じる。何度も渡渉する。
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その後も登山道に水が流れる。
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涸れ沢の道のため、やはり岩がゴロゴロと転がり悪路が続く。
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ずっと樹林帯の中で景色は見えないが、途中少し展望が良くなる場所もあり。しかし、気温と日差しと無風のため暑い。
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万二郎岳付近はさらにゴロゴロ・・・。
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山頂直前で平坦となる。
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約1時間でまずは万二郎岳に到着。視界が開け、ようやく景色を臨むことができた。
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気温も高く霞が強く、まあまあの景色。左端にギリ海が見える。ここで昼食休憩。
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次に向かうのは万三郎岳(天城山)。まずはやや大きい下りから始まる。
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ゴールの天城山が見えた。ここからだとそんなに距離は内容に見える。
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先ほどと同様に基本樹林帯だが、途中途切れて視界が開ける。こんな山の近くにゴルフ場があり・・・百名山だよなここ?
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再び悪路
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そして山頂手前は緩やかになり。
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登山口から約2時間、万二郎岳から1時間で天城山到着。ここからの景色はあまり無いが、
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山頂から少しズレると結構いい感じに。少し残念なことに、黄砂飛んで気温高く霞が濃い。とはいえ、これくらいの景色だったらわざわざ伊豆まで来なくとも山梨の大月あたりで見ることはできる。伊豆半島の形がちゃんとわかれば面白かったかも。
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その後はピストンではなく周回する感じで登り始めてきた登山口へ戻る。しかし、下りはかなり退屈・・・景色なく、距離も長く、ダラダラとなにもない景色をただただ歩くのみ。
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天城山から約2時間で登山道入口に到着。かなり退屈だったからピストンでも良かったかもしれん。
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なんと本日一番興奮したのは帰りの電車(笑)。黒船列車?という観光列車で、海が臨める側の座席配置がすばらしい。最初これ見たときは有料特急かと思ったが、普通電車だった。熱海まではこの景色を堪能できる。
率直に言うと、これが百名山?という景色だったのは間違いない。多分、今回のルートではなく、八丁池へ続く長大な縦走路がこの山を百名山たらしめているのかもしれない。その場合、周辺で前泊などして朝イチのバスに乗車する必要があると見られる。
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kennak · 1 year
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私はそこそこ年かさのパパで、就学前の子供一人と社会人としても家庭人としても優秀な妻の3人で暮らしている。首都圏在住、夫婦ともにフルタイム勤務。なぜ書くのか子供を持つ喜びがネットであまり共有されていないのがもどかしい。子育てについて、よく把握しないまま否定しているような意見まで見るようになり、残念な気分になった。そこで我が子を育てる中で感じている喜びを紹介したいと思う。じゃあ子供を持つ喜びとは何か?この感覚をわかってほしいんだようちの子は、保育園のお迎えや、仕事からの帰宅でパパが来たのを知ると全力の笑顔とダッシュでつっこんでくる。誰かの人生にここまで重要になれるとは…承認欲求と言うとなんだか下品な感じがするけれど、この誇らしい気分は悪くない。結婚も家族が増えるという点では同じだが、また違う良さがある。うまく伝えるのは難しいのだけれど…たとえば照明に例えよう。結婚後、妻を見ると蛍光灯が灯るように、一拍おいて心が明るくなった。こんな体験は今までなかったので、結婚はすごい…家にいるだけで毎日新鮮で、修学旅行みたいだな…と思ったものだ。ところが、子供が生まれたあとの喜びは、もう自分が経験したことのないほどの強烈な喜びを感じる。子供を見ると、瞬時に天井いっぱいのLED照明が点灯され、多幸感が落ちてくるイメージだ。そんなに愛おしい子供が、一人でできることが増えたり、同い年の子が苦手にするような野菜をパクパク食べたりしたら、どれだけ誇らしい、幸せな気分になれるか!生理的な影響もあると思う。子供を腕に抱きながら寝ると、寝覚めのときに、満たされた気持ちで起床することになる。おそらくオキシトシンか何かがドバっと分泌されているのではないか。個人の感想だけど。彼女のママ友は百八人までおるぞさらに近所のコミュニティに繋がれるというのも大きい。子育てをしていると親のネットワークができ、連絡先を交換することになる。私の妻は素晴らしいママ友ネットワークを築いている。彼女には感心させられることが多いのだが、結婚後最もすごいと感じたのは、このママ友ネットワーク構築の実績だ。子供が生まれる前は近所付き合いなんて皆無だったのに!妻の1/10も真似できていないが、コミュ障、陰キャの私でもご近所と多少は知り合えた。子供と、模範をみせてくれた妻のおかげだ。私は妻と子のおかげで、今の街に根を下ろすことができたと思う。学びもあるんだ我が子が知識や道徳を習得していくプロセスに寄り添うことで、人という生き物への理解が深まった気がする。仕事でもプライベートでも、他者に対する感じ方がかなり変わった。それから、フィクションで人が死ぬのを見ると、苦しくなるようになった。人の命の大切さを知ったと言えるかもしれない。何を選ぶのか?人の生き方というのは様々だ。親になるだけが人生ではない。だが、消費する喜びや趣味を生きがいに生きていく、という人には、オタクで趣味に没頭して生きてきた私から言わせると、ちょっと待ってほしい、という感じだ。個人的な感想になってしまうが、買い物ならば、子供のための買い物のほうがより楽しい。おもちゃを手にとって、うれしいな、うれしいなと感激している子を見る満足感。このおもちゃを通して、何か新しいものを学んでいくという期待感。子供が初見のものに感動するたびに、愛おしくて抱きしめたくなる。子供がプラレール沼、レゴ沼、ロボットアニメ沼に落ちるたびに、親である私も一緒になって楽しんでいる。人生の酸いも甘いも噛み分けたはずのジジババが、親が反対しても際限なくオモチャを買い与えようとするのは何故か?それはとても楽しいからだ。子育て支援は足りるのかまず、こんなに楽しい自分の子育てのために、公費でタダ同然の保育所、無償の医療が提供されるのはすごいことだ。そして今の保育の充実ぶりは、質・量共にすばらしい。保育所に入れないという話も聞かなくなった。昔は本当にひどかったようだが・・・近隣の認可保育所は活動も食事も自宅育児では全く実現できないほどクオリティが高い。私は日本での子育てがそこまでハードだとは思わない。成人してからの失業も少なく、子供が犯罪にかかわるリスクも低い。金銭の問題はつきまとうが、行政も遊んでいるわけではないので、基本的になんとかなるように設計されている。調べて、決断すべき子育ての喜びを知らないまま年齢を重ねるのは機会損失につながる。若い人にはライフプランについてよく考え、勇気を持って人生の方向を選んでほしい。補足:良い事ばかりではない親子というのは離れがたい関係なので、障害など、困難な問題が起きてもそこから逃げられないというのはある。行政には、こういった世帯への支援を手厚く行ってほしい。社会福祉は真に困っている世帯への支援を優先してほしい。世の中には子供が居るのに家庭をぶっ壊したり、子供に加害する人も居るのは事実。まったく理解できない世界だが、私が感じるようなバラ色の状態だけではないんだな…それから、時間は本当に足りない。長時間残業、長距離通勤、介護などで時間が無い場合は育児の困難さはかなり上がると思う。キャリアも犠牲になると思う。我が家は夫婦ともにそこは受け入れているが。追記読んでくれた人いろんな立ち位置の人がいると思うけど、みなさんありがとうございます。この界隈で見かけない意見を言語化できて、誰かの役に立てたなら嬉しいな。内容が薄い、つたわらない説明したいと言いつつ、人によっては表現が伝わりづらかったなと思う。ごめんなさい。愛情で繋がっている嬉しさって言葉にしにくいということなのかもしれない。大事なことを書き忘れた。世界で一番かわいいママがいて嬉しい、なんでも知ってるパパ大好き、と…俺の息子…天使みたいに笑って…彼はハッピーボーイなんだよ。そりゃ嬉しい。妻も幸せだと確信できるしね。家事やってるの?いっぱいやってるよ!以上。家事にからめて妻自慢をさせてもらうと、うちの妻の食事を作るスピードは半端ない。省力化しつつ爆速で食事を用意する彼女は、キッチンという戦場を駆け抜ける疾風ウォルフだ。私は高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に余った食材を組み合わせて使い切るタイプ。面倒なことについてとにかく時間・土日に休めない 子供に張り付き、溜まった家事をすると休日さのほうが疲れる気がする。楽しい時間で体力消耗してるから良いような、良くないような。・子供に時間を割けない罪悪感 我が家は語りかけ育児を信奉していて、家で子供を放置してしまうときは焦る。過保護かな。・仕事への関心が薄くなる子供、妻、仕事と3番手に降格だから仕方ないね心を広く持てるようになったような気もするが…これ以外は人によって違うかな。親同士の子育て方針の違いとかね。子供が一人ということもあって、お金の面は気にしていない。パパ友��マ友パパ友ママ友がみんな素晴らしい人なんだ。不思議。こわ有り難い。この先子供は離れていくだろうし、ある意味犬を飼うより賞味期限の短い時間かもね。しらんけど。バイク>コミュ障、陰キャの私でも多少の知り合いができた。これもバイクのおかげだ。ここリアルだな。私は、暖気運転を兼ねて、エンジンの反応を確かめながらゆっくり走り出す瞬間とかしゅき。
【追記あり】子育て、やってみたらとっても楽しかったんだ!この楽しさを知らせた
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astarkt24 · 5 months
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240503某TV局の番組について。
僕のffはメンバーだけではないので本家様宣伝の為にも此処に感想を綴ってみます。とは言いつつ殆どは記録と自己満ですが。語彙力弱いですし。
まずは出場者の皆様本当にお疲れ様でした。アスリートや体操・格闘技のプロ、そしてアーティストやアイドル等が競い合うって本当に凄い事だなと感じていて、どの出場者も自分の得意を活かして戦っていたのが印象的でした。怪我で惜しくも棄権された方、本当に悔しかっただろうな。
僕は当然と言えば当然ですが本家様を1番に応援していました。配信だったりSNSであった通り、並々ならぬトレーニングや減量をして挑んでいて。昨日のブログではそれだけではない細やかな調整や試合中や前後の心境が綴られていて胸が熱くなりました。見ただけでは伝わらない強さの裏付けの努力が本当に素晴らしくて尊敬しています。あのハードスケジュールの中総合優勝に向けてどの競技も首位を取れるようにトレーニングするって半端じゃなくしんどかっただろうし、無理してしまっていた事も放送前のブログで綴られていました。
分かりやすく書くと跳び箱では決勝で体操のプロの方と対戦し悔しくも2位でしたが、前回大会を超えた事が素晴らしくて大拍手物でした。プロの方の安定した跳び方は本当に驚いたな。
ビーチフラッグではあの足場の悪い所を全力で走るという事自体が凄くて、どの出場者の方にも拍手を送りたいです。本家様は決勝で短距離アスリートの方と対戦して見事に勝利した時には最高に興奮したしアスリートと渡り歩ける実力を付けてきた事に感動しました。
パワーウォールでは本家様が注目していた方やダークホースに勝てた時、シンプルに力技には強いんだなと感じてしまいましたが、予選での疲弊で決勝では押し負けてしまい本当に悔しかったですし本家様の項垂れる姿に悔しい思いが伝わってきました。負けてしまった要因はブログに詳しく書かれてましたが残念ながら此処では伏せておきます。有料なので。
ハードジャンパーではどの選手も疲労が溜まっている中だったのでキツかっただろうなと。本家様が予選敗退された時は一瞬何が起きたか分からなかったし本家様もそうだったんじゃないかな。一瞬でも気が緩めば失敗してしまう競技の過酷さや難しさを感じました。暫く待機場所に戻れなかった本家様にコメント求める局の方、そっとしておいてあげてよって感じでしたが。その後個人的に感じた事としては韓国アイドルの方のジャンプが綺麗で脱落してしまって悔しかったのと日本のアーティストの方のジャンプが安定していて、この競技に賭けてきたことが伝わってきてかっこよかったです。本家様が暫定首位だった中の予選敗退で正直総合優勝は逃してしまった気がしてこの時本当に悔しかった。
総合優勝発表の際、僅か10ポイント差で本家様の名前が呼ばれて本当に驚いたし感動しました。3種目で1位2位だった事や、こんな書き方をするのは失礼かもしれませんが、総合暫定2位3位の方も予選敗退してしまった事が総合優勝に繋がったのかなと。
結果としては本当に嬉しいし素晴らしくて有言実行するかっこいい姿を見せて貰えたけどそれよりも、本気で挑戦する姿勢やコメントで見られた謙虚さに感動したし尊敬しています。そして本家様が最終的には楽しめたとの言葉があった事が本当に素敵でした。
あらためて本家様含め出場者の方々、本当にお疲れ様でした。沢山の感動を見せてくれて本当にありがとうございました。
この長文は殆どというよりかは完全に自己満ですね。ごめんなさい。読んでくださった方ありがとうございます。
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