#赤レース足袋
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yu-en · 2 months ago
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2024.10.01
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何度か来たことのある部屋で目を覚まし、そのまま仕事へ向かう家主と別れ、適当なバスに乗った。終点で降車して地図を開き、現在地点の少し先に“植物園”の字を見つけて、そこまで歩くことにする。
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赤塚植物園��散歩に向いた園で、行ったことのある中では目黒の自然教育園の雰囲気に近かった。石に支えられたベンチやテーブルが好きだった。
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彼岸花や睡蓮も咲いていたのだけれど、見返すと看板ばかり撮っている。先日、「かわいい看板を見かけると__さんを思い出します」と言って、自分では生涯辿り着かないかも知れない街の看板を、Uさんが写真に撮って送ってくれた。それが嬉しかった。好きなものを好きだと口にしていると、私の優しい友人たちは、折にふれてそれらを見せてくれる。街灯やソフトクリームライト��看板や室外機の群れ。
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植物園を出ると、ちょうど雨が降り始める。傘を差していても、風にあおられた雨粒が少しずつ服を重たくする。このあと誰かに会う予定があるわけでもないから、構わずに散歩を続けた。
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途中、公園を見つける。“ゆうぐのなまえ”と太文字で書かれた看板に、“ふくごうゆうぐ:あそぼ〜”や“ノリノリ:ポニー”などと図示されている。その看板には子馬とパンダと虎とがいたのだけれど、実際にはラッコとイルカの遊具もあった。君たちは新入りなのかな、と思う。
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高島平団地に着くころ、今日が祖母の誕生日であることを思い出して連絡する。祖父の喉に穴が空いてから、彼女は時折死への欲求を滲ませるようになった。もう年は取りたくないと溜息を吐いていた。いつもならば真っ先に「__は元気かい?」と訊くのに、今回はそれがなかったので、おや、と思う。公園で誰かの落とした青いトラックを見ながら数分話し、電話を終えた。
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高島平駅からさらに北へ歩くと、見知った煙突に似たものが見えてくる。そういえば、数日前に投稿した池袋の塔が「高島平にもある」と引用されていた。その頃には雨が上がっていて、青い空に煙突が映えていた。
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板橋区立熱帯環境植物館に着く。チケット販売機の前に立っている時点で既に子供のはしゃいだ声が聞こえる。どこかの小学校が遠足中のようだった。Eに「黄色い帽子を被った子供と私としかいない」と報告すると「植物のふりしな」とアドバイスをもらう。
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温室の外側には、劇場の貴賓席のような、大きな窓とソファのある空間があり、そこから中を見られるようになっていた。居心地よく、また黄色い子供たちのいなくなってからは人も少なかったので、そこにしばらく座っていた。
これまでは翌日の仕事のために眠れるまで薬を飲んでいたけれど、休職している今は、たとえ寝付けなくても規定通りの量に戻すことを優先している。それで、ここ数日はあまり眠れていない。その場所にいるあいだ、自分が休まっているのを感じられて快かった。
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自室に戻ろうと植物館を出て、ガスタンクの3つ並んでいるのを見つける。それが何のために必要で、どう動いているのかを知らないからか、自分にはまったく理解の及ばない宇宙船か何かのように見える。光の反射が綺麗だった。
ガスタンクのそばで母親と電話をする。もともと連休の間だけ地元へ行く予定だったのだけれど、普段滅多に帰省しないことや、今回の休職で随分心配をかけたことを機に、滞在期間を延ばしたのだった。祖母との通話について話すと、「余計なこと言われなかった?」と心配そうに言われる。どうやら、祖母から「__は子供作んねのか」と何度も訊かれており、私の体調がずっと悪いことや、自分を生かすのに精一杯で子供を作る気はないことを説明してくれたらしい。母の理解の深さが嬉しかった。帰省中に何をしようかなと言うと「あんたは私にレザークラフトを教えなんないよ」と返される。私がもう使う予定のない道具を実家に送ると、母は「勿体ないから」と言って、それを使って新しくものを作り始める。彼女が手芸を教えてくれたおかげで、私は一人遊びの上手な子供だった。今でも手慰みでレースを編む。
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浮間舟渡駅へ移動すると、駅のすぐそばに広い公園があったので、その池の周りを歩いた。陽光に晒されたくなって日傘を閉じた数分後、右目から涙が止まらなくなる。感情由来の涙は両目から、それ以外の涙は右目から出る。普段あんな眩しさの中にいることがないから、光をうまく調節できずに疲れたのだろうか。ぼろぼろと出てくる涙に困ってしまう。
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17時ごろ部屋に戻る。今日から10月が始まっていた。
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caramelcubechocolat · 1 year ago
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☆**CARAMEL MUSEUM情報  CMお品書きご紹介PT.1♡**☆
こんにちは♡キャラメルキューブです😃
遂に開催まで
後,,,,,,,
✨✨✨✨✨5日✨✨✨✨✨
となりました❣️
7月21日~8月15日の26日間、池袋P’PARCOさん 1Fにて開催する
🎪ハンドメイドの博物館🎪
🌈💍🐠CARAMEL MUSEUM 🐠💍🌈
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開催発表BLOGはこちら✨
ご参加作家様一覧はこちら🎶
春のCMお迎えフォトBLOGはこちら📸(CC.CH)
配置図ご紹介BLOGはこちら♡
イベントウェブ販売サービスについてはこちら🎁
☆**CARAMEL MUSEUM**☆イベントハッシュタグ
#CARAMEL_MUSEUM
この度のご投稿では、
キャラメルキューブイベント前の恒例BLOG♪♪♪
ご参加作家様・サークル様からお届け頂いた
・**。+お品書き。**・
を一挙にご紹介させて頂きます(´▽���*)
☆**CARAMEL MUSEUM**☆ ご出品作品を
一足早く!
一挙に!!
ご紹介しておりますので、
是非お気に召す作品を事前にチェックして頂ければ嬉しく思っております❤
スペース番号も合わせてご紹介しておりますので、配置図と合せてご覧くださいね♡
そしてこのお品書きにない作品は、
イベントハッシュタグ
[#CARAMEL_MUSEUM]
の方でご紹介頂いております(^^)v
是非こちらも合わせてご覧くださいませ!! ☆(ゝω・)v
※本投稿は写真掲載数が多いため、 ゆっくりご覧頂けるPCからご覧頂く事をお勧めいたします*
携帯からですとご覧頂きにくい場合がございます、予めご了承ください<(_ _)>
☆**CARAMEL MUSEUMお品書き♡**☆
スペースC
全期(7/21~8/15)ご参加
前期 (7/21~7/29)ご参加
中期 (7/30~8/6)ご参加
後期 (8/7~8/15)ご参加
スペースM
1部 (7/21~7/26)ご参加
2部 (7/27~8/2) ご参加
3部 (8/3~8/9) ご参加
4部 (8/10~8/15) ご参加
*LED-Light Peer様*
CMスペース番号 :M1部・M-9
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*一言コメント*
LED-Light Peer
光と影を演出するアクセサリ-
夏に向けて、ナイトパレード/花火大会/盆踊り/コンサートなど
暗闇で幻想的に輝き、貴女の魅力を引き出します。
和服、浴衣にも映えます。
LED:赤/緑/青に点滅発光
ボタン電池式(電池交換可能���
特許証取得
*花纏様*
CMスペース番号 :C中期・C-7
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*一言コメント*
種から育てあげたネモフィラの花をドライフラワーに加工して、アクセサリーに仕立てています。
本物のお花ならではの繊細な美しさをお届けします。
雄しべの先端まで拘って作り上げた作品達は形もそれぞれ、全てが一点物です。是非、貴方だけのお気に入りを見つけて下さい。
自分で染めたかすみ草や苗から育てた勿忘草などの青いお花作品と、ネモフィラ新作も用意しています!
花纏 Twitter:@chappyf2
*MLcraft様*
CMスペース番号 :C前期・C-9
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*一言コメント*
『小さな物語を身にまとう楽しさを』 小さな魔法の物語が詰まった日常を非日常に変える不思議なアイテムはいかがでしょうか。 あなたに必要な魔法が見つかるかもしれません。 レジンやガラス、金属パーツ、天然石などを使用してファンタジーなアイテムを制作しています。 ワクワクの魔法で日常を彩るお手伝いが出来れば幸いです♡
*14にゃんこ様*
CMスペース番号 :M3部・M-1
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*一言コメント*
今回初めて参加させて頂きます。
夏ということもあり「夏を楽しむ猫」をテーマに制作しました。
作品を通して夏を満喫してる猫達の様子が伝わればいいなと思ってます。
夏限定の作品ばかりなので是非見て頂けたら嬉しいです。
14にゃんこ
**maple warehouse*様*
CMスペース番号 :M2部・M-12
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*一言コメント*
プロのリボン作家として活動しております、kaedeと申します。
シンプルからカジュアルまで���様なデザインを取り揃えました。
また、推し活に便利なペンライト専用の「ペンライトリボン」も全9色展開でご用意しております!
こちらはご連絡いただければ、推し様カラーでオーダーも受け付けております。
TwitterかInstagramよりご連絡くださいませ。(@maple_warehouse)
*かがち庵様*
CMスペース番号 :M2部・M-13
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*一言コメント*
ワイヤーに液���樹脂で膜を張るディップアートという技法で、鬼灯を筆頭に季節の花や葉をアクセサリーにしておりますかがち庵と申します。
硝子のような透明感とディップアートならではの軽さを皆様にお届けできたらと思います。
ご縁が頂けますように、、、
*MAISON DE BAMBI様*
CMスペース番号 :C中期・C-11
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*一言コメント*
【あの頃に集めた、キラキラの宝物 私だけの大切で特別な宝石箱】 初参加のMAISON DE BAMBIと申します。 スワロ×リボン×お花を題材にした作品を作っています。 金属アレルギーの方にもお楽しみいただけるよう、 イヤリング、ピアス共にニッケルフリー、サージカルステンレスを使用してます。 夏ということもあり、初めてのマリンモチーフや涼し気なカラーの作品を集めてみました。 ぜひ【私だけの宝物】を見つけてください。
*Glassぶどうの実様*
CMスペース番号 :C中期・C-13
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*一言コメント*
いつもキャラメルキューブショコラ様でお世話になっております。(B-19)自然をテーマにしたガラスのアクセサリーを制作しています。
今回のCARAMEL MUSEUM は夏限定のシーグラスのピアスや夏に似合うガラスたちを集めました!
暑い夏もキラキラガラスで元気にお出かけ出来ますように…♡
*たいぇーるdeきゃび様*
CMスペース番号 :C後期・C-3
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*一言コメント*
真鍮と銀で彫金アクセサリーを作ってる たいぇーるdeきゃび と申します。
彫金技法、和彫りで一つ一つ手作業で彫った模様の作品や七宝(ガラス)で彩色したアクセサリーをお出しします。
楽しくお気に入りを見つけていただけたら嬉しいです。
*grat jewelry様*
CMスペース番号 :C前期・C-12
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*一言コメント*
夏のキャラメルミュージアムでは、定番のお誕生石アクセサリーに加え、夏のお誕生石や夏モチーフの新作アクセサリーなど、夏のキラキラをたくさんお届けします。 一点ものが多いのでその日の出会いをお楽しみいただけると嬉しいです。 最新情報はTwitter(@grat_jewelry)よりご確認ください。
*glisten様*
CMスペース番号 :M3部・M-5
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*一言コメント*
「まいにちにきらめきを」をテーマに、主にレジンを使ったアクセサリーを制作しています。
今回はglisten定番のはちみつモチーフのアクセサリーと、ソーダ水を乗せたスプーンの首飾りをご用意する予定です。
*haumygarden様*
CMスペース番号 :C中期・C-4
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*一言コメント*
レース糸を編んで染色し、季節のお花のアクセサリーを作っています。今回初参加のhaumygarden (ハウミーガーデン)です。
向日葵、ラベンダー、プルメリア、白百合など季節のお花の他、ガラスビーズに合わせた淡い小花のアクセサリーや小さな蝶々もご用意しました。
ピアスはサージカルステンレス、イヤリングはニッケルフリーでお作りしています。
作品はTwitter やInstagramでもご確認いただけます。
*こなみこや様*
CMスペース番号 :M4部・M-15
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*一言コメント*
こんにちは!!今回のキャラメルミュージアムでは夏にピッタリなカラフルで透明感たっぷりのフラワーアクセサリーをお届けします!色とりどりのアクセサリーからお気に入りのカラーリングとの出会いがございますように!
よろしくお願いします!
*trust one's feeling様*
CMスペース番号 :M1部・M-2
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*一言コメント*
「ちょっとした非日常の煌めき」がコンセプト。
定番の揺らめき蝶シリーズや
前回のCMでも人気のあったランタンシリーズを、
暑い夏、気分だけでもさわやかに涼しげに。
と夏限定仕様でお出しします☆
他にも、カッコよく決まる
マスカレードマスクのピアス等。
お気に入りを見つけていただけたら嬉しいです。
是非会場でご覧下さい☆
Twitter @trust_feeling
*oldbasket様*
CMスペース番号 :C中期・C-24
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*一言コメント*
キャラメルミュージアム初参加のoldbasketです! ヘアピン・ヘアクリップ各150種以上、ヘアゴム20種以上と、色柄豊富なヘアアクセサリーの中から、人気の作品を厳選してご用意しました。 バリエーションの多さだけではなく、伸びても交換できるヘアゴム、修理のアフターサービスなど、長くお楽しみ頂ける事にもこだわっております。 市販のヘアアクセサリーでは出会えない、あなただけのお気に入りが見つかりますよう!
*Cats,Wind & Fire様*
CMスペース番号 :M2部・M-8
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*一言コメント*
猫×花×宇宙テーマのCats,Wind & Fire(@cats_wind_fire)です 夏のキャラメルミュージアムはディップアートの「夕暮れのプルメリアとカクテル」、レジンの「海と猫と宇宙」がテーマです 花好きの方、猫好きの方に楽しんで頂けると嬉しいです よろしくお願いします
*Spellcaster様*
CMスペース番号 :C前期・C-20
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*一言コメント*
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。 Spellcasterと申します。 3回目にして今回は初のCスペースでの参加です! 世の中はすっかり夏ということで、イヤーアクセサリーや人魚姫モチーフの作品をご用意しました。 暑い日が続きますが、Spellcasterの青い世界で少しでも涼しげな気分になっていただけたら幸いです!
*TsFactory&BLACKMASS様*
CMスペース番号 :M3部・M-12
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*一言コメント*
トンボ玉や唐草ビーズメインのTsFactoryと、薔薇と十字架メインのBLACKMASSです。
天然石、ホタル石、花モチーフや蝶、王冠を使い、イヤーカフス&イヤリングやイヤーカフス、イヤリング、ピアス、ネックレス、ロザリオなどのアクセサリーを制作しています。
写真以外にも納品予定です。ぜひ、お気に入りを探しに来てください。
*CRYSTAL GARDEN様*
CMスペース番号 :C前期・C-12
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*一言コメント*
CRYSTAL GARDENでは天然石とアーティスティックワイヤーを使用した1点もののワイヤーペンダントや天然石、ガラスビーズ、レジン等を使用した簪やネックレス、イヤーカフ等を製作しています。
イベントに合わせた新作、新色等も製作しております。
色とりどりの作品を是非お手にとってご覧ください。
*our holiday様*
CMスペース番号 :C中期・C-6
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*一言コメント*
「何気ない日常を、素敵な祝日に_」
アクセサリーを身につけることでその1日が特別な日に感じられたら...
そんな想いを込めてアクセサリーを制作しております
主に深みのある穏やかなデザインの大人アクセサリー、
特別な日にこそ身につけたい華やかなアクセサリーを展開しております
今回は夏らしい鮮やかでカラフルなお花アクセサリー、
人気の大人色アクセサリーをご用意しておりますのでご覧ください*
*金の庭様*
CMスペース番号 :M4部・M-18
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*一言コメント*
今回も参加させていただきます金の庭です。
新作は、ボリュームのあるネックレス、金銀の金具のイヤーフック、リング&ブレスレット、等
楽しんでお着けいただけるアクセサリーを目指しました。
出展までに、更に追加制作しつつ
Twitterのアカウントで装着例や作品紹介画像なども、掲載して参ります。
お気に召していただければ嬉しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
*sakura日和様*
CMスペース番号 :M1部・M-12
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*一言コメント*
小さな中に世界と面白さを詰め込んだレジンアクセサリーを作っています。sakura日和です!
今回は涼しげなイメージの作品多めで出展します♪相変わらずどれも1点ものです。
そして変わらず中身は小さいので、是非お手に取ってご覧ください♪
皆様と良きご縁が有りますように
*LuLuChronicle様*
CMスペース番号 :C後期・C-7
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*一言コメント*
今年も夏のキャラメルミュージアムに参加させて頂きます。
LuLuChronicleは夏らしい新作や浴衣や着物にぴったりのアクセサリーを色々ご用意しています。
夏のお出かけを彩るお手伝いが出来たら嬉しく思います。
*ハンドメイド雑貨 弥栄~iyasaka~様*
CMスペース番号 :C前期・C-15
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*一言コメント*
ご覧いただき ありがとうございます♡ iyasakaの代表作 波打ち際シリーズsince2020を中心に 各シリーズ、そして 「天然石カラー」を販売します! 作品の詳細は各SNSに掲載予定ですので ぜひフォローを♪ Instagram➡︎ @kyoko68_iyasaka Twitter➡︎ @potsunen68 常設キャラメルキューブショコラ様(店舗)【 A-59 】
*MOLTO MUPICO様*
CMスペース番号 :C後期・C-2
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*一言コメント*
『日常に心躍る煌めきを』をコンセプトに彩り豊かな煌めきが詰まった華やかな天然石アクセサリーを制作しています、MOLTO MUPICO(モルト ムピコ)と申します。8/7~8/15の期間に参加いたします。
今回は夏にぴったりな涼やかなアイテムを多めにご用意する予定です。耳飾り、指輪、ブレスレット等、眺めているだけでも気分が高揚するような天然石のアクセサリーを多数ご用意してお待ちしております。
*Nyomin ~Fake*Sweets~様*
CMスペース番号 :M2部・M-4
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*一言コメント*
樹脂粘土でフェイクスイーツを制作している「Nyomin ~Fake*Sweets~」と申します。
M2部7/27~8/2まで参加させて頂きます。
ホットケーキやベリー系のパンケーキなどをモチーフにしたバッグチャームとブローチがメインになります。新作初お披露目もあります。
キャラメルキューブ様AA-47で委託させて頂いています。
世代を超えて、身近にフェイクスイーツを楽しんでいただけたら嬉しいデス。
*Lapis Moon様*
CMスペース番号 :C前期・C-22
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*一言コメント*
7/21から29日までの期間でC-22にて参加のLapis Moonです。 普段はちょっと不思議なアクセサリーを製作しています。 今回はアレキサンドライト他の天然石をシルバー952でアレンジしたものや、色が変わるビーズや蓄光素材を使用したアクセサリーが多めになります。 よろしくお願いします!
*ロンド様*
CMスペース番号 :M1部・M-17
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*一言コメント*
ロンド
CMスペース番号:
M前期(1 部・7/21~7/26(土日) 6 日間)M-17
魔法使いや貴族等、異世界をイメージしたアクセサリーを作っているブランドです🎵
今回は天体や人魚を中心に
オールアイテム¥1800+税(¥1980)で販売いたします✨
*ゆりすけあにまる様*
CMスペース番号 C中期・C-16
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*一言コメント*
動物をまんまるころころにしたぬいぐるみを一つ一つ手作りしております!
今回は新作のおおかみちゃん、人気のめじろちゃんなどたくさん納品いたします♡
是非あなただけのお気に入りの子を見つけてください♡
*SugarShark様*
CMスペース番号 :C後期・C-22
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*一言コメント*
今回2日目の参加をさせていただきますSugarSharkです!
今回は後期8/7-8/15の参加です!素敵な作家様と共に出させていただいて幸せです!
夏らしい海モチーフの商品をメインに普段使いしやすいネックレスやバレッタ、キーホルダーやボールペンを用意しています!
ぜひ見に来ていただけたら嬉しいです♡
*カンパネラ様*
CMスペース番号 :C前期・C-7
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*一言コメント*
大人になっても可愛いを楽しみたい
貴方の為のアクセサリー
〜カンパネラ〜
裏から見ても、表から見ても
美味しそうで可愛い♡
豊富なカラーバリエーションは
好きな色や、推し色でお選び頂けます。
夏らしくクリームソーダやビールなど
涼しげなドリンク類を中心にご用意しました!
キラキラときめく彩り豊かなフェイクスイーツをお手元に…♡
Twitter→@ma_co53
Instagram→@ma_co_campanella
*ピスタチオ様*
CMスペース番号 :M2部・M-16
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*一言コメント*
キャラメルキューブショコラさんでお世話になっているピスタチオです。 初めましてに近いほど久しぶりのキャラメルミュージアムへの参加です。 大好きなネコとお花をテーマに作品を作りました!一点物もいくつかありますので、気になる方はお早めに!
作品紹介はtwitter:@hmaid_pistachioをご確認ください(^^)
*hana*festival様*
CMスペース番号 :C前期・C-11
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*一言コメント*
見えてる空の色は十人十色 “ 可能性は無限大 ” 無限の可能性を秘めた「空」をイメージしたレジンアクセサリーをひとつひとつ心を込めて制作しています。 光と色の重なりによって不思議な印象が生まれ、他ではあまり見られない様々なデザインをご用意しております。 移り変わる空の色をお楽しみいただければ幸いです。
ここからお品書きPART.2につづきますのでぜひ引き続きご覧くださいませ♬
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catdoll007 · 1 year ago
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赤い総絞りの和服👘で帯結びはカキツバタ結び💐
半幅帯をフロントで形作って後ろへクルリと回したら背中心ごと歪んでしまった😅💦
足袋は白とマスタードしか持ってないからレースの手袋の指先を裏へ隠して履きました👣🤫㊙️
髪はシニヨンにバングはふんわりと後ろへ流したオールバック🙂💭
ヘアセット撮影してる余裕無かったから
次回またユックリ撮ろうっと🤳💕
👘
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apartment315 · 3 years ago
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31 notes · View notes
toko1922 · 4 years ago
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この着物、赤黒のインパクトが強すぎてすれ違う度に視線を感じる。
今日は対丈に下駄。レース足袋にしたけれどこの柄は白足袋入れないとダメだな。
少し早いけれど燕の帯留を出しました。
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wata-8 · 6 years ago
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Fantasy on Ice 2019 in MAKUHARI
2019.5.24.Fri-5.26.Sun
今年もFaOIの季節がやってきました。もう夏の風物詩というか、夏の季語というか、FaOIと共におれの夏が始まるみたいなところあるよね。実は今日はもう仙台の初日で、次が始まる前に幕張公演の備忘録をばということで仙台行きのバスの中でこれを書いています。
今年は前日のニュースで、羽生さんのコラボプロはToshIさんの「マスカレイド」という曲で、オペラ座の続編であることがご本人のインタで明かされました。今まで初披露前にプログラムが明かされることなんてなかったので驚いて、オペラ座?!?!しかも続編?!?!?!ということで更にひっくり返る程驚いたよね。しかも流れた練習映像がなかなか激しめな振付で…!!!発覚時のTLのお祭り騒ぎと言ったらもう…まあ勿論例に漏れずおれも大興奮だったんですけど…全く前情報なしで現地でオペラ座続編を浴びたかった気持ちと、いやネタバレなしでいきなりオペラ座続編なんて来たら衝撃が強すぎて記憶も何もかも消し飛ぶに違いないからワンクッション挟んでよかったという気持ちのせめぎ合い。そしてドキドキソワソワしながら迎えた幕張初日。
OPのダッ ダッ ダダン!を聴くとFaOIが始まる…!と条件反射でドキドキワクワクソワソワしちゃうよね。錚々たるメンバーの中で今年も最後に紹介される羽生さん、なんといきなり4T足上げ…!!!羽生さんが今年もFaOIで滑る姿を見ただけでも泣きそうなのに、もう4Tが跳べる状態まで回復してるのか…!と開始5分で既に号泣しそう。3日間ともやや堪え気味ではあるものの4T足上げキメてました…!歓声足りねーぞ!!!とばかりに耳に手を当ててオラオラ煽ってみたと思えば、余裕の笑みを浮かべて手をクイクイしてみたり、もう行く先々で会場中が大絶叫。そしてお衣装、白地に薔薇柄のトップスに黒の編み編みスケスケの羽織という、古き良きV系のような厨二感漂う感じで…† 透けっていいよね…
ここでゲストアーティストのToshlさんが登場。コラボOPはユーミンの「真夏の夜の夢」のカバー。男性が女性目線の曲を歌うのって色っぽいよね…そして羽生さん、ToshIさんの歌に合わせて兎に角クネックネしていらっしゃって…!キャッツアイを彷彿とさせるクネクネ具合、しかし今回はとても男性的で…!しかも回数重ねるごとにどんどんねっとり妖艶に…!興奮で思考回路がショート寸前…最終日は「さよなら ずっと忘れないわ」で指差しを正面で食らってしまい、脳天をライフルで撃ち抜かれた気分でした…それはもうワッッッルイ顔してたんですよ…「最後はもっと私を見て」で自分の胸をトントンしてるらしいんですが逆側だったので拝めませんでした、仙台で拝めるといいな…!そしてね、女子との絡みもあってね、羽生さん×アンナちゃんというおれ得すぎるコンビでお2人を組ませた方に五体投地したい気分でした…!しかも羽生さんがめちゃくちゃオラオラグイグイで…!多分初日が1番オラオラしてたと思うんですけど、アンナちゃんにちゅーする勢いで迫っていて…!もうおれはアンナちゃんにもなりたいし羽生さんにもなりたくてンア〜〜〜!ってなった結果お2人の下の氷になりたいという結論に落ち着きました。2日目3日目は照れているのかやや控えめになってたのも可愛かった…暗転した後お手手繋いでアンナちゃんにペコペコする羽生さんが羽生さんすぎてとても可愛い…そして最終日はフィニッシュでアンナちゃんを支え切れずグラついてしまい、あああ〜って恥ずかしそうに笑ってアンナちゃんとハグする羽生さんが可愛すぎたね…まだOPなのに既に1500字というヤバさ
そして「マスカレイド」ですが、あれは本当に「無理〜〜〜(号泣)」以外何も言えなくなります。羽生さんのプロの中で、未だかつてここまでゴリゴリに男性的なプロがあっただろうか。照明がついた瞬間阿鼻叫喚。黒×臙脂のアシメ衣装、右手赤・左手白(袖口と小指は黒切替)の左右色の違う手袋、燕尾服のようなお尻尾、左右長さの違う袖、ハイネック…まずお衣装が最高すぎる。オールバックまでは行かないもののカッチリめにセットされた髪も最高。そして兎に角激しい…!!!まるで激情が迸ってオペラ座を燃やし尽くしてしまう業火。ひとつひとつの動きのキレが物凄い、そして今年も生演奏なのに音ハメがエグい。ToshIさんの伸びのある張った高音も気持ちが良い。サビの♩マスカレ〜に合わせたハイドロとイナがキマりすぎててヤバい。そして、そして、手袋ビターンフィニッシュですよ…!!初日の、乱暴に脱いだ手袋を冷酷無慈悲に氷に叩きつける様を見せつけられたおれは、余りの興奮に過呼吸一歩手前で危うく意識が遠退くところでした。終演後語彙と情緒の死を迎えたおれは、フォロワさんと「無理」「ヤバイ」「しんだ」しか言うことが出来ず、その他はただただ呻いておりました。
そして2日目、この日はめちゃくちゃおいしいアリーナショートサイドだったのでマスカレイドさんに焼き尽くされる覚悟で臨んだ訳ですが、暗転している中リンク中央に向かってくる羽生さんのお衣装が、違う…?!アナウンスされたのは「CRYSTAL MEMORIES」ま さ か の 日 替 わ り …!!!しかも照明がついた瞬間目にしたのは、真っ白できらきらひらひらのお衣装に身を包んだ羽生さん…!!!マスカレイドの次の日に、こんな対極にあるようなゴリッゴリの中性プロを持ってくるとは…!!振り幅…!!温度差…!!しかもクリスタルがたっぷり付いてて、煌めき方が尋常ではない…眩しすぎる…手袋まで純白で…でも長めの袖口にかけてほんのり水色グラデになってて…ウエストは少し黒が差して…斜め後ろに春ちゃんみたいなひらひらのお尻尾もあって…これはクリスタルプリンセス…Y字バランスからのスパイラルが美しすぎて恍惚…ひとつひとつの動作がマスカレイドとは別人のような柔らかさ…そして所謂大サビでショートサイドで止まるところがあるんですけど、その時の羽生さんの笑顔が天使みたいできらきら眩しくて…しかも歌ってたの…そして振り返って滑り出す羽生さんの背中を見て、バージンロードを歩いていく花嫁さんかと錯覚したよね…心からお幸せにと願ってしまった…レイバックスピンでフィニッシュなのも最高です…完全に浄化されて召されました…後々羽生さん談では「これは戦いの歌、最後は勝利の剣をマスターであるToshIさんに捧げている」という情報を見て、ファッ?!あの花嫁さんは、戦うお姫様だった…ッ?!と驚嘆したよね…確かに現地で見た時は余りにも清廉な花嫁衣装と賛美歌みのある曲想と天使のような表情にかなり印象が引っ張られてしまったけれど、録画を見たら所作や振付はシャープに研ぎ澄まされている部分も多くて、なるほどこれは気高きクリスタルの騎士…!と納得しました。ToshIさんの澄んだ高音も、クリスタルのような透明感と硬質だけど優しい冷たさを含んでいてとてもよい…
そして3日目は再び「マスカレイド」、いやだから温度差…!振り幅…!羽生さんは一体我々をどうしたいのか…!!2回目だったので初日よりも若干(本当に若干)落ち着いてディティールを見ることが出来ました。個人的にグッと来たポイントは、レイバックスピンを解いた後に両掌で顔を覆って撫で上げるところ…覆った掌の間から見えた表情が官能的すぎて…そしてこの日の手袋ビターンは身体ごと振り被って思い切り叩きつけてましたね…因みにおれは初日の直立状態から無慈悲にスパーン!と叩きつけるフィニッシュの方が好みですね…この日も無事焦土と化しました。
そしてフィナーレ、♩な〜ぜ〜に〜という歌い出しを聴いて真っ先に思い浮かんだのはダイナマイトボートレース。渡辺直美さんの顔がチラつく。お衣装は黒ベースで、白レースたっぷりの襟とお袖が付いているのが素晴らしい。イナの時にはためく裾から可愛いおへそとバキバキの腹筋を拝ませてもらいました、ありがとうございました。2日目3日目はその後ズサーも追加、3日目は手を氷に着けず上体を反らせててとても上品なズサーでした。
そして一芸大会で4Lzにトライ…!抜けと転倒がほとんどだったけど、2日目はオーバーターンが入るもきちんと着氷して、もう全おれが泣いた。2017年のN杯以来謂わばタブーのようになっていた4Lz、もうガンガントライ出来る段階まで来たんだなあと号泣。うっうっ…羽生さん、ステイヘルシーでがんばってね…応援してる…!!因みジャンプ跳びに行く前に、2日目はFaOITシャツのAタイプ、3日目はBタイプにお召し替えしていたのだけど、3日目は幕に捌け切る前にお衣装のファスナーを下ろしていて美しいお背中がチラ見えしていたのをおれは見逃さなかったぞ。今年も羽生さんのお声で「ありがとうございました」が聞けて、羽生さんに「ありがとうございました」が言えて、おれはなんて幸せ者なんだろうなあとしみじみ思う。そして最後は仮面を着けてから幕の中へと消えて行きました。
まだ幕張なのに、羽生さんに関してしか書いていないのに、兎に角記録を残そうと徒然なるままに書いていたら4000字に迫っていてビックリしています。気持ち悪い程長くてすみません。仙台、神戸、富山も行く予定なので出来るだけタイムリーに上げていけたらと思います。多分毎回めちゃくちゃ長いと思うので、暇潰しにでも読んで頂けたら嬉しいです。
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uwabakix · 2 years ago
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9月3〜4日ふりかえり 拙宅花壇のヒマワリ🌻先月下旬から開花始まりほぼ満開となりました。 一昨年伊達の道の駅で種子購入し、それ以来世代を繋いできました。色変わり(花弁に赤みが入る)品種ですが世代変わるとフツーの黄色い花弁の個体も出ます。丈も様々で私の身長より高いのもいれば小さいまま開花する個体もいます。今年は4月中に種まきしましたが結局開花は9月前後だったので北海道ってやはり開花遅いのかな? 本州(西日本)出身の人間にはアジサイ・ヒマワリ・コスモスが同時期に開花してるのは奇異に感じますね😲 3日は今シーズン最後の札幌競馬場🏇ライブ観戦❗️ 札幌2歳S and日曜の重賞獲れなかったけど、新潟8レース”白毛一族”愛してやまないユキチャンの娘ハイアムズビーチ圧勝で馬連的中🎯とりあえず今週もオケラ回避で連続予想的中🎯継続中😊今週のセントウルSはユキチャンの孫娘メイケイエール全力応援します📣 札幌競馬場のターフィショップで販売してたユキチャンの姪っ子ソダシのぬいぐるみ購入👍白毛が汚れないようビニール袋でガードして飾っておきます。 ウチの”ユキチャン”も日曜日に洗犬してキラキラのピュアホワイトになりました✨展覧会本番まであと20日足らず、しっかり仕上げて直前にもう一度洗犬します。当日見学可能な方ぜひぜひ応援にお越しください📣 #ふりかえり #自宅花壇 #ヒマワリ #色変わりヒマワリ #北海道は #世代交代 #札幌競馬場 #競馬ライブ #札幌2歳ステークス #ドゥーラ #ハイアムズビーチ #ユキチャン #ユキチャン産駒 #白毛一族 #ソダシ #メイケイエール #競馬好きな人と繋がりたい #ソダシぬいぐるみ #白毛はキレイ #雪ちゃん #洗犬 #秋田犬保存会 #展覧会 #本番まであと少し #しっかり仕上げます #応援よろしくお願いします📣 (Sapporo-shi, Hokkaido, Japan) https://www.instagram.com/p/CiKxw-4vHsCT-uLA-KhHtoU9j_8YwPJ2U4rPbk0/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ebxs2 · 3 years ago
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ゆるパバ&冬翔プチありがとう
先日はゆるパバステお疲れさまでした~!冬翔プチも企画されて超超超うれしかったので久しぶりに参加しました!参加するならやっぱり新しいものを…と思い、プチ合わせで未来捏造10年後Jupiter&冬翔を書きました。 私やっぱり冬翔が好き~!という気持ちで1日満たされていて本当に本当にいい日でした…! 以下、書いたもののあとがきです。妄想だけはいっちょまえなのでちょっと長いです。
『第5惑星行き夜汽車に乗って』というシリーズタイトルは、そんなものはない(関羽顔)ツッコミがしたくてつけました。 第5惑星=木星ですもちろん。木星に行ける夜汽車なんてない=こんな未来はないんだよ、幻覚なんだよ的な。妄想が妄想なのでね…普段の3倍くらい妄想濃いパラレルだと思ってね…私得です。 三人とも煙草とか絶対吸わないんだろうな~ってわかってるんですよそんなことは!!!けど吸ってるところが見たい!!!ので!!強い意志で吸わせました!!!
『午前3時のランデヴー』 深夜に酔った翔太の迎えに車出す彼氏ヶ瀬見たくない???と思って書いた話。1月の話です。 運転する冬馬に翔太はメロメロだしこの二人絶対信号が赤になるたびちゅっちゅしてる。冬馬はたぶん寝ずにそのまま5時過ぎて走りに出て行ったと思う。 冬馬はこれが翔太じゃなくて北斗でも迎えに行ってるので、冒頭の「惚れた弱みだと言えたなら、まだ救いようはあったのに」となります。
『ガリレオにも解けない』 でっちあげの熱愛を記事にされて、冬馬くんとのほうがすごいことしてるのになんで~!ってうじうじする翔太の話が書きたかった。2月の話です。 オチが想定からずれちゃいました。本当は翔太のほうが冬馬に縛られたくて、そんな翔太の気持ちを汲んだ冬馬が仕方ねえな…って、ご機嫌取るつもりでピアスを用意した――みたいな感じだったのに冬馬のほうが翔太を縛りつけたいマンになってしまいました。 翔太がつけてるピアスが冬馬の好きなブランドのものだとファンに気づかれてSNSでざわつかれてほしい。週刊誌で記事にならない代わりに翔太はファンの反応を見てにこにこします。 冬馬の煙草を唇で受け取る翔太と、翔太の肩抱いて耳にキスをした冬馬がお気に入りです。 冬馬と翔太なら翔太のほうがスパダリ気質な気がする。
ランデヴーもガリレオも宇宙用語としての意味があるのでダブルミーニングでタイトルつけました。
話は変わるんですけど、北斗の冬馬と翔太への愛情がガチだと思われてて「最近Jupiterにはまった北斗のリアコです。エンジェルじゃないです。北斗のメンバー2人への接し方が嫌です。正直引いてます。あれは昔からなんですか?」みたいなお気持ちが知●袋に投稿される話が読みたいです。 あとあとJupiterのライブ円盤についてくるバクステ映像で冬馬と北斗のダンスを鬼コーチになってしごいてる御手洗翔太くんも見たいです。めちゃくちゃ見たいです。二人にだけ踊ってもらって翔太は動画撮ってチェックしてるみたいな…冬馬君早いし北斗君は遅いよみたいなことをさ…厳しい顔と声でビシッと指摘してほしい…。
以下、10年後Jupiterの妄想捏造メモ。 本文には反映できたりできてなかったり。北斗と翔太の話も頭の中にはあるんですがゆるパには間に合わなかったね…。
天ヶ瀬冬馬(27) Jupiterの精神的支柱。アイドルとしては何事も平均・特出した才能がないと本人は思ってる。 日本に残ってソロ活動をしつつ、身の振り方をどうすればいいのか考えてた。そのままでいいと言われたのは世間一般で言う理想のアイドル像を十分体現できているため。 10代の頃から翔太と付き合っていて今は別れてる。でも別れたあともお互いが本命。恋人同士ならではの甘ったるさはないけど、いわゆる"ヤッてる奴らの距離感"が隠れてない。 北斗にはあまり翔太とのことを話さない。そういうの、なんか生々しくて北斗も嫌だろ…と思ってる。 車はメルセデスAMG C43 4MATICステーションワゴンの白。悩みに悩んでようやく買ったというイメージ。おそらくこれが今のところ人生で一番高い買い物。 煙草はラーク。お酒は北斗よりちょっと強いくらい。髪型も髪色もあまり変えない。
伊集院北斗(30) Jupiterの広告塔。メディアへの露出が一番多くて個人の仕事をいっぱい持ってる。稼ぎ頭。 モデルのため1年パリに行ってた。モデルの契約解消して帰国したあともブランドのアンバサダーをやってる。 愛している人は冬馬と翔太。結婚願望が皆無なので最近ちょっとだけエンジェルちゃんとのデートが億劫。 冬馬と翔太の関係が破綻してしまったのは特定の恋人を作らない自分の影響なんじゃないかと思っていて、冬馬も翔太も自覚はないけどその通り。できるだけ傍観者でいようと努めているけど、翔太が教えてくれるので主要なエピソードは大体把握してる。 車はロータスエヴォーラとマクラーレ���570S。どっちも真っ赤なスポーツカー! ※アニメで北斗が乗ってる車、私はエヴォーラ派なので同じ英国車のマクラーレンにも乗って欲しい!!!と思って…画像貼るんですがこのドア絶対冬馬好みだろうなと北斗は思うと思うんですよ…。
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煙草はJPS。お酒は三人の中で一番弱い。下戸とかではない。髪型も髪色もころころ変える。
御手洗翔太(24) Jupiterの末っ子。冬馬や北斗と比べるとあまり個人の仕事がなく、それを案外気にしている。 留学先はみんな大好きダンスキングのところ。来るのが10年遅いって怒られてる。彼に着いて各国を回ったりアマの大会を荒らしたりしてた。 冬馬が好きで付き合っていたけど喧嘩するとすぐに「もう別れる!」とか思ってもないこと言って冬馬を困らせたり傷ついたりしてた。ので今の距離感で満足してる。恋の相談相手は北斗。 冬馬との付き合いに慣れすぎて女の子が無理な身体になっている。 車やレースに興味がなくて冬馬と北斗が二人で盛り上がってるのを横でふーんと思ってる。車はねんねするための道具だし助手席に座って冬馬や北斗の運転姿を眺めてるほうが好き。 煙草はボヘーム。お酒は三人の中でぶっちぎって強い。髪型は変えず髪色をちょこちょこ変える。ピアスは両耳開けてる。
11月半ばに翌年2月からの休止を発表 12月末に翔太が渡米 2月半ばに北斗が渡仏 5月に休暇取ってモナコ旅行 帰国するまでに三人が直接顔を合わせたのは5月の休暇のときだけで、あとはリモート。でも時差もあってほとんどしてない。
翔太が冬馬の部屋に転がり込んでたのは冬馬くんずっとひとりで寂しかったでしょ?な気持ちから。もうすぐ北斗くん帰ってくるしもう寂しくないよねってあっさり出て行ってるけど、冬馬の喪失感は結構でかいと思う。 冬馬、翔太が帰ってきた次の日の朝とか部屋に独りじゃないの、すごく心に沁みちゃって、「俺、こいつのこと恋しかったんだな……」ってそのとき初めて気づいてほしい。
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kurihara-yumeko · 4 years ago
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【小説】The day I say good-bye(4/4) 【再録】
 (3/4)はこちらから→(https://kurihara-yumeko.tumblr.com/post/648720756262502400/)
 今思えば、ひーちゃんが僕のついた嘘の数々を、本気で信じていたとは思えない。
 何度も何度も嘘を重ねた僕を、見抜いていたに違いない。
「きゃああああああああああああーっ!」
 絶叫、された。
 耳がぶっ飛ぶかと思った。
 長い髪はくるくると幾重にもカーブしていた。レースと玩具の宝石であしらわれたカチューシャがまるでティアラのように僕の頭の上に鎮座している。桃色の膨らんだスカートの下には白いフリルが四段。半袖から剥き出しの腕が少し寒い。スカートの中もすーすーしてなんだか落ち着かない。初めて穿いた黒いタイツの感触も気持ちが悪い。よく見れば靴にまでリボンが付いている。
 鏡に映った僕は、どう見てもただの女の子だった。
「やっだー、やだやだやだやだ、どうしよー。――くんめっちゃ女装似合うね!」
 クラス委員長の長篠めいこさん(彼女がそういう名前であることはついさっき知った)は、女装させられた僕を明らかに尋常じゃない目で見つめている。彼女が僕にウィッグを被らせ、お手製のメイド服を着せた本人だというのに、僕の女装姿に瞳を爛々と輝かせている。
「準備の時に一度も来てくれないから、衣装合わせができなくてどうなるかと思っていたけど、サイズぴったりだね、良かった。――くんは華奢だし細いし顔小さいしむさくるしくないし、女装したところでノープロブレムだと思っていたけれど、これは予想以上だったよっ」
 準備の際に僕が一度も教室を訪れなかったのは、連日、保健室で帆高の課題を手伝わされていたからだ。だけれどそれは口実で、本当はクラスの準備に参加したくなかったというのが本音。こんなふざけた企画、携わりたくもない。
 僕が何を考えているかを知る由もない長篠さんは、両手を胸の前で合わせ、真ん丸な眼鏡のレンズ越しに僕を見つめている。レーザー光線のような視線だ。見つめられ続けていると焼け焦げてしまいそうになる。助けを求めて周囲をすばやく見渡したが、クラスメイトのほぼ全員がコスチュームに着替え終わっている僕の教室には、むさくるしい男のメイドか、ただのスーツといっても過言ではない燕尾服を着た女の執事しか見当たらない。
「すね毛を剃ってもらう時間はなかったので、急遽、脚を隠すために黒タイツを用意したのも正解だったね。���のほっそい脚がさらに際立つというか。うんうん、いい感じだねっ!」
 長篠さん自身、黒いスーツを身に纏っている。彼女こそが、今年の文化祭でのうちのクラスの出し物、「男女逆転メイド・執事喫茶」の発案者であり、責任者だ。こんなふざけた企画をよくも通してくれたな、と怨念を込めてにらみつけてみたけれど、彼女は僕の表情に気付いていないのかにこにこと笑顔だ。
「ねぇねぇ、――くん、せっかくだし、お化粧もしちゃう? ネイルもする? 髪の毛もっと巻いてあげようか? あたし、――くんだったらもっと可愛くなれるんじゃないかなって思うんだけど」
 僕の全身を舐め回すように見つめる長篠さんはもはや正気とは思えない。だんだんこの人が恐ろしくなってきた。
「めいこ、その辺にしておきな」
 僕が何も言わないでいると、思わぬ方向から声がかかった。
 振り向くと僕の後ろには、長身の女子が立っていた。男子に負けないほど背の高い彼女は、教室の中でもよく目立つ。クラスメイトの顔と名前をろくに記憶していない僕でも、彼女の姿は覚えていた。それは背が高いという理由だけではなく、言葉では上手く説明できない、長短がはっきりしている複雑で奇抜な彼女の髪型のせいでもある。
 背が決して高いとは言えない僕よりも十五センチほど長身の彼女は、紫色を基調としたスーツを身に纏っている。すらっとしていて恰好いい。
「――くん、嫌がってるだろう」
「えー、あたしがせっかく可愛くして��げようとしてるのにー」
「だったら向こうの野球部の連中を可愛くしてやってくれ。あんなの、気味悪がられて客を逃がすだけだよ」
「えー」
「えー、とか言わない。ほらさっさと行きな。クラス委員長」
 彼女に言われたので仕方なく、という表情で長篠さんが僕の側から離れた。と、思い出したかのように振り向いて僕に言う。
「あ、そうだ、――くん、その腕時計、外してねっ。メイド服には合わないからっ」
 この腕時計の下には、傷跡がある。
 誰にも見せたことがない、傷が。
 それを晒す訳にはいかなかった。僕がそれを無視して長篠さんに背を向けようとした時、側にいた長身の彼女が僕に向かって口を開いた。
「これを使うといいよ」
 そう言って彼女が差し出したのは、布製のリストバンドだった。僕のメイド服の素材と同じ、ピンク色の布で作られ、白いレースと赤いリボンがあしらわれている。
「気を悪くしないでくれ。めいこは悪気がある訳じゃないんだけど……」
 僕の頭の中は真っ白になっていた。突然手渡されたリストバンドに反応ができない。どうして彼女は、僕の手首の傷を隠すための物を用意してくれているんだ? 視界の隅では長篠さんがこちらに背を向けて去って行く。周りにいる珍妙な恰好のクラスメイトたちも、誰もこちらに注意を向けている様子はない。
「一体、どういう……」
 そう言う僕はきっと間抜けな顔をしていたんだろう、彼女はどこか困ったような表情で頭を掻いた。
「なんて言えばいいのかな、その、きみはその傷を負った日のことを、覚えてる?」
 この傷を負った日。
 雨の日の屋上。あーちゃんが死んだ場所。灰色の空。緑色のフェンス。あと一歩踏み出せばあーちゃんと同じところに行ける。その一歩の距離。僕はこの傷を負って、その場所に立ち尽くしていた。
 同じところに傷を負った、ミナモと初めて出会った日だ。
「その日、きみ、保健室に来たでしょ」
 そうだ。僕はその後、保健室へ向かった。ミナモは保健室を抜け出して屋上へ来ていた。そのミナモを探しに来た教師に僕とミナモは発見され、ふたり揃って保健室で傷の手当を受けた。
「その時私は、保健室で熱を測っていたんだ」
 あの時に保健室に他に誰かいたかなんて覚えていない。僕はただ精いっぱいだった。死のうとして死ねなかった。それだけで精いっぱいだったのだ。
 長身の彼女はそう言って、ほんの少しだけ笑った。それは馬鹿にしている訳でもなく、面白がっている訳でもなく、微笑みかけてくれていた。
「だから、きみの手首に傷があることは知ってる。深い傷だったから、痕も残ってるんだろうと思って、用意しておいたんだ」
 私は裁縫があまり得意ではないから、めいこの作ったものに比べるとあまり良い出来ではないけどね。彼女はそう付け足すように言う。
「使うか使わないかは、きみの自由だけど。そのまま腕時計していてもいいと思うしね。めいこは少し、完璧主義すぎるよ。こんな中学生の女装やら男装やらに、完璧さなんて求めてる人なんかいないのにね」
 僕はいつも、自分のことばかりだ。今だって、僕の傷のことを考慮してくれている人間がいるなんて、思わなかった。
 それじゃあ、とこちらに背を向けて去って行こうとする彼女の後ろ姿を、僕は呼び止める。
「うん?」
 彼女は不思議そうな顔をして振り向いた。
「きみの、名前は?」
 僕がそう尋ねると、彼女はまた笑った。
「峠茶屋桜子」
 僕は生まれて初めて、クラスメイトの顔と名前を全員覚えておかなかった自分を恥じた。
    峠茶屋さんが作ってくれたリストバンドは、せっかくなので使わせてもらうことにした。
 それを両手首に装着して保健室へ向かってみると、そこには河野ミナモと河野帆高の姿が既にあった。
「おー、やっと来たか……って、え、ええええええええええええ!?」
 椅子に腰掛け、行儀の悪いことに両足をテーブルに乗せていた帆高は、僕の来訪を視認して片手を挙げかけたところで絶叫しながら椅子から落下した。頭と床がぶつかり合う鈍い音が響く。ベッドのカーテンの隙間から様子を窺うようにこちらを見ていたミナモは、僕の姿を見てから興味なさそうに目線を逸らす。相変わらず無愛想なやつだ。
「な、何、お前のその恰好……」
 床に転がったまま帆高が言う。
「何って……メイド服だけど」
 帆高には、僕のクラスが男女逆転メイド・執事喫茶を文化祭の出し物でやると言っておいたはずだ。僕のメイド服姿が見物だなんだと馬鹿にされたような記憶もある。
「めっちゃ似合ってるじゃん、お前!」
「……」
 不本意だけれど否定できない僕がいる。
「びびる! まじでびびる! お前って実は女の子だった訳!?」
「そんな訳ないだろ」
「ちょっと、スカートの中身、見せ……」
 床に座ったまま僕のメイド服に手を伸ばす帆高の頭に鉄拳をひとつお見舞いした。
 そんな帆高も頭に耳、顔に鼻、尻に尻尾を付けており、どうやら狼男に変装しているようだ。テーブルの上には両手両足に嵌めるのであろう、爪の生えた肉球付きの手袋が置いてある。これぐらいのコスプレだったらどれだけ心穏やかでいられるだろうか。僕は女装するのは人生これで最後にしようと固く誓った。
「そんな恰好で恥ずかしくないの? 親とか友達とか、今日の文化祭に来ない訳?」
「さぁ……来ないと思うけど」
 僕の両親は今日も朝から仕事に行った。そもそも、今日が文化祭だという事実も知っているとは思えない。
 別の中学校に通っている小学校の頃の友人たちとはもう連絡も取り合っていないし、顔も合わせていないので、来るのか来ないのかは知らない。僕以外の誰かと親交があれば来るのかもしれないが、僕には関係のない話だ。
 そう、そのはずだった。だが僕の予想は覆されることになる。
 午前十時に文化祭は開始された。クラス委員長である長篠めいこさんが僕に命じた役割は、クラスの出し物である男女逆転メイド・執事喫茶の宣伝をすることだった。段ボール製のプラカードを掲げて校舎内を循環し、客を呼び込もうという魂胆だ。
 結局、ミナモとは一言も言葉を交わさずに出て来てしまった、と思う。うちの学校の文化祭は一般公開もしている。今日の校内にはいつも以上に人が溢れている。保健室登校のミナモにとっては、つらい一日になるかもしれない。
 お化け屋敷を出し物にしているクラスばかりが並んでいる、我が校の文化祭名物「お化け屋敷ロード」をすれ違う人々に異様な目で見られていることをひしひしと感じながら、プラカードを掲げ、チラシを配りながら歩いていくと、途中で厄介な人物に遭遇した。
「おー、少年じゃん」
 日褄先生だ。
 目の周りを黒く塗った化粧や黒尽くめのその服装はいつも通りだったが、しばらく会わなかった間に、曇り空より白かった頭髪は、あろうことか緑色になっていた。これでスクールカウンセラーの仕事が務まるのだろうか。あまりにも奇抜すぎる。だが咄嗟のことすぎて、驚きのあまり声が出ない。
「ふーん、めいこのやつ、裁縫上手いんじゃん。よくできてる」
 先生は僕の着用しているメイド服のスカートをめくろうとするので、僕はすばやく身をかわして後退した。「変態か!」と叫びたかったが、やはり声にならない。
 助けを求めて周囲に視線を巡らせて、僕は人混みからずば抜けて背の高い男性がこちらに近付いてくるのがわかった。
 前回、図書館の前で出会った時はオールバックであったその髪は、今日はまとめられていない。モスグリーンのワイシャツは第一ボタンが開いていて、おまけにネクタイもしていない。ズボンは腰の位置で派手なベルトで留められている。銀縁眼鏡ではなく、色の薄いサングラスをかけていた。シャツの袖をまくれば恐らくそこには、葵の御紋の刺青があるはずだ。左手の中指に日褄先生とお揃いの指輪をしている彼は、日褄先生の婚約者だ。
「葵さん……」
 僕が名前を呼ぶと、彼は僕のこと���睨みつけた。しばらくして、やっと僕のことが誰なのかわかったらしい。少し驚いたように片眉を上げて、口を半分開いたところで、
「…………」
 だが、葵さんは何も言わなかった。
 僕の脇を通り抜けて、日褄先生のところに歩いて行った。すれ違いざまに、葵さんが何か妙なものを小脇に抱えているなぁと思って振り返ってみると、それは大きなピンク色のウサギのぬいぐるみだった。
「お、葵、お帰りー」
 日褄先生がそう声をかけると、葵さんは無言のままぬいぐるみを差し出した。
「なにこのうさちゃん、どうしたの?」
 先生はそれを受け取り、ウサギの頭に顎を置きながらそう訊くと、葵さんは黙って歩いてきた方向を指差した。
「ああ、お化け屋敷の景品?」
 葵さんはそれには答えなかった。そもそも僕は、彼が口を利いたところを見たことがない。それだけ寡黙な人なのだ。彼は再び僕を見ると、それから日褄先生へ目線を送った。ウサギの耳で遊ぶのに夢中になっていた先生はそれに気付いているのかいないのか、
「男女逆転メイド・執事喫茶、やってるんだって」
 と僕の服装の理由を説明した。だが葵さんは眉間の皺を深めただけだった。そしてそのまま、彼は歩き出してしまう。日褄先生はぬいぐるみの耳をぱたぱた手で動かしていて、それを追おうともしない。
「……いいんですか? 葵さん、行っちゃいましたけど……」
「あいつ、文化祭ってものを見たことがないんだよ。ろくに学校行ってなかったから。だ��ら連れて来てみたんだけど、なんだか予想以上にはしゃいじゃってさー」
 葵さんの態度のどこがはしゃいでいるように見えるのか、僕にはわからないが、先生にはわかるのかもしれない。
「あ、そうだ、忘れるところだった、少年のこと、探しててさ」
「何か用ですか?」
「はい、チーズ」
 突然、眩しい光が瞬いた。一体いつ、どこから取り出したのか、先生の手にはインスタントカメラが握られていた。写真を撮られてしまったようだ。メイド服を着て、付け毛を付けている、僕の、女装している写真が……。
「な、ななななななな……」
 何をしているんですか! と声を荒げるつもりが、何も言えなかった。日褄先生は颯爽と踵を返し、「あっはっはっはっはー!」と笑いながら階段を駆け下りて行った。その勢いに、追いかける気も起きない。
 僕はがっくりと肩を落とし、それでもプラカードを掲げながら校内の循環を再開することにした。僕の予想に反して、賑やかな文化祭になりそうな予感がした。
 お化け屋敷ロードの一番端は、河野帆高のクラスだったが、廊下に帆高の姿はなかった。あいつはお化け役だから、教室の中にいるのだろう。
 あれから、帆高はあーちゃんが僕に残したノートについて一言も口にしていない。僕の方から語ることを待っているのだろうか。協力してもらったのだから、いずれきちんと話をするべきなんじゃないかと考えてはいるけれど、今はまだ上手く、僕も言葉にできる自信がない。
 廊下の端の階段を降りると、そこは射的ゲームをやっているクラスの前だった。何やら歓声が上がっているので中の様子を窺うと、葵さんが次々と景品を落としているところだった。大人の本気ってこわい。
 中央階段の前の教室では、自主製作映画の上映が行われているようだった。「戦え!パイナップルマン」というタイトルの、なんとも言えないシュールな映画ポスターが廊下には貼られている。地球侵略にやってきたタコ星人ヲクトパスから地球を救うために、八百屋の片隅で売れ残っていた廃棄寸前のパイナップルが立ち上がる……ポスターに記されていた映画のあらすじをそこまで読んでやめた。
 ちょうど映画の上映が終わったところらしい、教室からはわらわらと人が出てくる。僕は歩き出そうとして、そこに見知った顔を見つけてしまった。
 色素の薄い髪。切れ長の瞳と、ひょろりとした体躯。物静かな印象を与える彼は、
「あっくん……」
「うー兄じゃないですか」
 妙に大人びた声音。口元の端だけを僅かに上げた、作り笑いに限りなく似た笑顔。
 鈴木篤人くんは、僕よりひとつ年下の、あーちゃんの弟だ。
「一瞬、誰だかわかりませんでしたよ。まるで女の子だ」
「……来てたんだ、うちの文化祭」
 私立の中学校に通うあっくんが、うちの中学の文化祭に来たという話は聞いたことがない。それもそのはずだ。この学校で、彼の兄は飛び降り自殺したのだから。
「たまたま今日は部活がなかったので。ちょっと遊びに来ただけですよ」
 柔和な笑みを浮かべてそう言う。だけれどその笑みは、どこか嘘っぽく見えてしまう。
「うー兄は、どうして女装を?」
「えっと、男女逆転メイド・執事喫茶っていうの、クラスでやってて……」
 僕は掲げていたプラカードを指してそう説明すると、ふうん、とあっくんは頷いた。
「それじゃあ、最後にうー兄のクラスを見てから帰ろうかな」
「あ、もう帰るの?」
「本当は、もう少しゆっくり見て行くつもりだったんですが……」
 彼はどこか困ったような表情をして、頭を掻いた。
「どうも、そういう訳にはいかないんです」
「何か、急用?」
「まぁ、そんなもんですかね。会いたくない人が――」
 あっくんはそう言った時、その双眸を僅かに細めたのだった。
「――会いたくない人が、ここに来ているみたいなので」
「そう……なんだ」
「だからすみません、今日はそろそろ失礼します」
「ああ、うん」
「うー兄、頑張って下さい」
「ありがとう」
 浅くもなく深くもない角度で頭を下げてから、あっくんは人混みの中に消えるように歩き出して行った。
 友人も知人も少ない僕は、誰にも会わないだろうと思っていたけれど、やっぱり文化祭となるとそうは言っていられないみたいだ。こうもいろんな人に自分の女装姿を見られると、恥ずかしくて死にたくなる。穴があったら入りたいとはまさにこのことなんじゃないだろうか。
 教室で来客の応対をしたりお菓子やお茶の用意をすることに比べたらずっと楽だが、こうやって校舎を循環しているのもなかなかに飽きてきた。保健室でずる休みでもしようか。あそこには恐らく、ミナモもいるはずだから。
 そうやって僕も歩き出し、保健室へ続く廊下を歩いていると、僕は突然、頭をかち割われたような衝撃に襲われた。そう、それは突然だった。彼女は唐突に、僕の前に現れたのだ。
 嘘だろ。
 目が、耳が、口が、心臓が、身体が、脳が、精神が、凍りつく。
 耳鳴り、頭痛、動悸、震え。
 揺らぐ。視界も、思考も。
 僕はやっと気付いた。あっくんが言う、「会いたくない人」の意味を。
 あっくんは彼女がここに来ていることを知っていた。だから会いたくなかったのだ。
 でもそんなはずはない。世界が僕を置いて行ったように、きみもそこに置いて行かれたはずだ。僕のついた不器用な嘘のせいで、あの春の日に閉じ込められたはずだ。きみの時間は、止まったはずだ。
 言ったじゃないか、待つって。ずっと待つんだって。
 もう二度と帰って来ない人を。
 僕らの最愛の、あーちゃんを。
「あれー、うーくんだー」
 へらへらと、彼女は笑った。
「なにその恰好、女の子みたいだよ」
 楽しそうに、愉快そうに、面白そうに。
 あーちゃんが生きていた頃は、一度だってそんな風に笑わなかったくせに。
 色白の肌。華奢で小柄な体躯。相手を拒絶するかのように吊り上がった猫目。伸びた髪。身に着けている服は、制服ではなかった。
 でもそうだ。
 僕はわかっていたはずだ。日褄先生は僕に告げた。ひーちゃんが、学校に来るようになると。いつかこんな日が来ると。彼女が、世界に追いつく日がやって来ると。
 僕だけが、置いて行かれる日が来ることを。
「久しぶりだね、うーくん」
「……久しぶり、ひーちゃん」
 僕は、ちっとも笑えなかった。あーちゃんが生きていた頃は、ちゃんと笑えていたのに。
 市野谷比比子はそんな僕を見て、満面の笑みをその顔に浮かべた。
   「……だんじょぎゃくてん、めいど……しつじきっさ…………?」
 たどたどしい口調で、ひーちゃんは僕が持っていたプラカードの文字を読み上げる。
「えっとー、男女が逆だから、うーくんが女の子の恰好で、女の子が男の子の恰好をしてるんだね」
 そう言いながら、ひーちゃんはプラスチック製のフォークで福神漬けをぶすぶすと刺すと、はい、と僕に向かって差し出してくる。
「これ嫌い、うーくんにあげる」
「どうも」
 僕はいつから彼女の嫌いな物処理係になったのだろう、と思いながら渡されたフォークを受け取り、素直に福神漬けを咀嚼する。
「でもうーくん、女装似合うね」
「それ、あんまり嬉しくないから」
 僕とひーちゃんは向き合って座っていた。ひーちゃんに会ったのは、僕が彼女の家を訪ねた夏休み以来だ。彼女はあれから特に変わっていないように見える。着ている服は今日も黒一色だ。彼女は、最愛の弟、ろーくんが死んだあの日から、ずっと黒い服を着ている。
 僕らがいるのは新校舎二階の一年二組の教室だ。PTAの皆さまが営んでいるカレー屋である。この文化祭で調理が認められているのは、大人か、調理部の連中だけだ。午後になり、生徒も父兄も体育館で行われている軽音部やら合唱部やらのコンサートを観に行ってしまっているので、校舎に残る人は少ない。店じまいしかけているカレー屋コーナーで、僕たちは遅めの昼食を摂っていた。僕は未だに、メイド服を着たままだ。
 ひーちゃんとカレーライスを食べている。なんだか不思議な感覚だ。ひーちゃんがこの学校にいるということ自体が、不思議なのかもしれない。彼女は入学してからただの一度も、この学校の門をくぐったことがなかったのだ。
 どうしてひーちゃんは、ここにいるんだろう。ひーちゃんにとって、ここは、もう終わってしまった場所のはずなのに。ここだけじゃない。世界じゅうが、彼女の世界ではなくなってしまったはずなのに。あーちゃんのいない世界なんて、無に等しいはずなのに。なのにひーちゃんは、僕の目の前にいて、美味しそうにカレーを食べている。
 ときどき、僕の方を見て、話す。笑う。おかしい。だってひーちゃんの両目は、いつもどこか遠くを見ていたはずなのに。ここじゃないどこかを夢見ていたのに。
 いつかこうなることは、わかっていた。永遠なんて存在しない。不変なんてありえない。世界が僕を置いて行ったように、いずれはひーちゃんも動き出す。僕はずっとそうわかっていたはずだ。僕が今までについた嘘を全部否定して、ひーちゃんが再び、この世界で生きようとする日が来ることを。
 思い知らされる。
 あの日から僕がひーちゃんにつき続けた嘘は、あーちゃんは本当は生きていて、今はどこか遠くにいるだけだと言ったあの嘘は、何ひとつ価値なんてなかったということを。僕という存在がひーちゃんにとって、何ひとつ価値がなかったということを。わかっていたはずだ。ひーちゃんにとっては僕ではなくて、あーちゃんが必要なんだということを。あーちゃんとひーちゃんと僕で、三角形だったなんて大嘘だ。僕は最初から、そんな立ち位置に立てていなかった。全てはそう思いたかった僕のエゴだ。三角形であってほしいと願っていただけだ。
 そうだ。
 本当はずっと、僕はあーちゃんが妬ましかったのだ。
「カレー食べ終わったら、どうする? 少し、校内を見て行く?」
 僕がそう尋ねると、ひーちゃんは首を左右に振った。
「今日は先生たちには内緒で来ちゃったから、面倒なことになる前に帰るよ」
「あ、そうなんだ……」
「来年は『僕』も、そっち側で参加できるかなぁ」
「そっち側?」
「文化祭、やれるかなぁっていうこと」
 ひーちゃんは、楽しそうな笑顔だ。
 楽しそうな未来を、思い描いている表情。
「……そのうち、学校に来るようになるんだって?」
「なんだー、あいつ、ばらしちゃったの? せっかく驚かせようと思ったのに」
 あいつ、とは日褄先生のことだろう。ひーちゃんは日褄先生のことを語る時、いつも少し不機嫌になる。
「……大丈夫なの?」
「うん? 何が?」
 僕の問いに、ひーちゃんはきょとんとした表情をした。僕はなんでもない、と言って、カレーを食べ続ける。
 ねぇ、ひーちゃん。
 ひーちゃんは、あーちゃんがいなくても、もう大丈夫なの?
 訊けなかった言葉は、ジャガイモと一緒に飲み込んだ。
「ねぇ、うーくん、」
 ひーちゃんは僕のことを呼んだ。
 うーくん。
 それは、あーちゃんとひーちゃんだけが呼ぶ、僕のあだ名。
 黒い瞳が僕を見上げている。
 彼女の唇から、いとも簡単に嘘のような言葉が零れ落ちた。
「あーちゃんは、もういないんだよ」
「…………え?」
 僕は耳を疑って、訊き返した。
「今、ひーちゃん、なんて……」
「だから早く、帰ってきてくれるといいね、あーちゃん」
 そう言ってひーちゃんは、にっこり笑った。まるで何事もなかったみたいに。
 あーちゃんの死なんて、あーちゃんの存在なんて、最初から何もなかったみたいに。
 僕はそんなひーちゃんが怖くて、何も言わずにカレーを食べた。
「あーちゃん」こと鈴木直正が死んだ後、「ひーちゃん���こと市野谷比比子は生きる気力を失くしていた。だから「うーくん」こと僕、――――は、ひーちゃんにひとつ嘘をついた。
 あーちゃんは生きている。今はどこか遠くにいるけれど、必ず彼は帰ってくる、と。
 カレーを食べ終えたひーちゃんは、帰ると言うので僕は彼女を昇降口まで見送ることにした。
 二人で廊下を歩いていると、ふと、ひーちゃんの目線は窓の外へと向けられる。目線の先を追えば、そこには旧校舎の屋上が見える。そう、あーちゃんが飛び降りた、屋上が見える。
「ねぇ、どうしてあーちゃんは、空を飛んだの?」
 ひーちゃんは虚ろな瞳で窓から空を見上げてそう言った。
「なんであーちゃんはいなくなったの? ずっと待ってたのに、どうして帰って来ないの? ずっと待ってるって約束したのに、どうして? 違うね、約束したんじゃない、『僕』が勝手に決めたんだ。あーちゃんがいなくなってから、そう決めた。あーちゃんが帰って来るのを、ずっと待つって。待っていたら、必ず帰って来てくれるって。あーちゃんは昔からそうだったもんね。『僕』がひとりで泣いていたら、必ずどこからかやって来て、『僕』のこと慰めてくれた。だから今度も待つって決めた。だってあーちゃんが、帰って来ない訳ないもん。『僕』のことひとりぼっちにするはずないもん。そんなの、許せないよ」
 僕には答える術がない。
 幼稚な嘘はもう使えない。手持ちのカードは全て使い切られた。
 ひーちゃんは、もうずっと前から気付いていたはずだ。あーちゃんはもう、この世界にいないなんだって。僕のついた嘘が、とても稚拙で下らないものだったんだって。
「嘘つきだよ、皆、嘘つきだよ。ろーくんも、あーちゃんも、嘘つき。嘘つき嘘つき嘘つき。うーくんだって、嘘つき」
 ひーちゃんの言葉が、僕の心を突き刺していく。
 でも僕は逃げられない。だってこれは、僕が招いた結果なのだから。
「皆大嫌い」
 ひーちゃんが正面から僕に向かい合った。それがまるで決別の印であるとでも言うかのように。
 ちきちきちきちきちきちきちきちき。
 耳慣れた音が聞こえる。
 僕の左手首の内側、その傷を作った原因の音がする。
 ひーちゃんの右手はポケットの中。物騒なものを持ち歩いているんだな、ひーちゃん。
「嘘つき」
 ひーちゃんの瞳。ひーちゃんの唇。ひーちゃんの眉間に刻まれた皺。
 僕は思い出す。小学校の裏にあった畑。夏休みの水やり当番。あの時話しかけてきた担任にひーちゃんが向けた、殺意に満ちたあの顔。今目の前にいる彼女の表情は、その時によく似ている。
「うーくんの嘘つき」
 殺意。
「帰って来るって言ったくせに」
 殺意。
「あーちゃんは、帰って来るって言ったくせに!」
 嘘つきなのは、どっちだよ。
「ひーちゃんだって、気付いていたくせに」
 僕の嘘に気付いていたくせに。
 あーちゃんは死んだってわかっていたくせに。
 僕の嘘を信じたようなふりをして、部屋に引きこもって、それなのにこうやって、学校へ来ようとしているくせに。世界に馴染もうとしているくせに。あーちゃんが死んだ世界がもう終わってしまった代物だとわかっているのに、それでも生きようとしているくせに。
 ひーちゃんは、もう僕の言葉にたじろいだりしなかった。
「あんたなんか、死んじゃえ」
 彼女はポケットからカッターナイフを取り出すと、それを、
      鈍い衝撃が身体じゅうに走った。
 右肩と頭に痛みが走って、無意識に呻いた。僕は昇降口の床に叩きつけられていた。思い切り横から突き飛ばされたのだ。揺れる視界のまま僕は上半身を起こし、そして事態はもう間に合わないのだと知る。
 僕はよかった。
 怪我を負ってもよかった。刺されてもよかった。切りつけられてもよかった。殺されたって構わない。
 だってそれが、僕がひーちゃんにできる最後の救いだと、本気で思っていたからだ。
 僕はひーちゃんに嘘をついた。あーちゃんは生きていると嘘をついた。ついてはいけない嘘だった。その嘘を、彼女がどれくらい本気で信じていたのか、もしくはどれくらい本気で信じたふりを演じていてくれていたのかはわからない。でも僕は、彼女を傷つけた。だからその報いを受けたってよかった。どうなってもよかったんだ。だってもう、どうなったところで、あーちゃんは生き返ったりしないのだから。
 だけど、きみはだめだ。
 どうして僕を救おうとする。どうして、僕に構おうとする。放っておいてくれとあれだけ示したのに、どうして。僕はきみをあんなに傷つけたのに。どうしてきみはここにいるんだ。どうして僕を、かばったんだ。
 ひーちゃんの握るカッターナイフの切っ先が、ためらうことなく彼女を切り裂いた。
 ピンク色の髪留めが、宙に放られるその軌跡を僕の目は追っていた。
「佐渡さん!」
 僕の叫びが、まるで僕のものじゃないみたいに響く。周りには不気味なくらい誰もいない。
 市野谷比比子に切りつけられた佐渡梓は、床に倒れ込んでいく。それがスローモーションのように僕の目にはまざまざと映る。飛び散る赤い飛沫が床に舞う。
 僕は起き上がり走った。ひーちゃんの虚ろな目。再度振り上げられた右手。それが再び佐渡梓を傷つける前に、僕は両手を広げ彼女をかばった。
「    」
 一瞬の空白。ひーちゃんの唇が僅かに動いたのを僕は見た。その小さな声が僕の耳に届くよりも速く、刃は僕の右肩に突き刺さる。
 痛み。
 背後で佐渡梓の悲鳴。けれどひーちゃんは止まらない。僕の肩に突き刺さったカッターを抜くと彼女はそれをまた振り上げて、
  そうだよな。
 痛かったよな。
 あーちゃんは、ひーちゃんの全部だったのに。
 あーちゃんが生きているなんて嘘ついて、ごめん。
 そして振り下ろされた。
  だん、と。
 地面が割れるような音がした。
  一瞬、地震が起こったのかと思った。
 不意に目の前が真っ暗になり、何かが宙を舞った。少し離れたところで、からんと金属のものが床に落ちたような高い音が聞こえる。
 僕とひーちゃんの間に割り込んできたのは、黒衣の人物だった。ひーちゃんと同じ、全身真っ黒で整えられた服装。ただしその頭髪だけが、毒々しいまでの緑色に揺れている。
「…………日褄先生」
 僕がやっとの思いで絞り出すようにそれだけ言うと、彼女は僕に背中を向けてひーちゃんと向き合ったまま、
「せんせーって呼ぶなっつってんだろ」
 といつも通りの返事をした。
「ひとりで学校に来れたなんて、たいしたもんじゃねぇか」
 日褄先生はひーちゃんに向けてそう言ったが、彼女は相変わらず無表情だった。
 がらんどうの瞳。がらんどうの表情。がらんどうの心。がらんどうのひーちゃんは、いつもは嫌がる大嫌いな日褄先生を目の前にしても微動だにしない。
「なんで人を傷つけるようなことをしたんだよ」
 先生の声は、いつになく静かだった。僕は先生が今どんな表情をしているのかはわからないけれど、それは淡々とした声音だ。
「もう誰かを失いたくないはずだろ」
 廊下の向こうから誰かがやって来る。背の高いその男性は、葵さんだった。彼はひーちゃんの少し後ろに落ちているカッターナイフを無言で拾い上げている。それはさっきまで、ひーちゃんの手の中にあったはずのものだ。どうしてそんなところに落ちているのだろう。
 少し前の記憶を巻き戻してみて、僕はようやく、日褄先生が僕とひーちゃんの間に割り込んだ時、それを鮮やかに蹴り上げてひーちゃんの手から吹っ飛ばしたことに気が付いた。日褄先生、一体何者なんだ。
 葵さんはカッターナイフの刃を仕舞うと、それをズボンのポケットの中へと仕舞い、それからひーちゃんに後ろから歩み寄ると、その両肩を掴んで、もう彼女が暴れることができないようにした。そうされてもひーちゃんは、もう何も言葉を発さず、表情も変えなかった。先程見せたあの強い殺意も、今は嘘みたいに消えている。
 それから日褄先生は僕を振り返り、その表情が僕の思っていた以上に怒りに満ちたものであることを僕の目が視認したその瞬間、頬に鉄拳が飛んできた。
 ごっ、という音が自分の顔から聞こえた。骨でも折れたんじゃないかと思った。今まで受けたどんな痛みより、それが一番痛かった。
「てめーは何ぼんやり突っ立ってんだよ」
 日褄先生は僕のメイド服の胸倉を乱暴に掴むと怒鳴るように言った。
「お前は何をしてんだよ、市野谷に殺されたがってんじゃねーよ。やべぇと思ったらさっさと逃げろ、なんでそれぐらいのこともできねーんだよ」
 先生は僕をまっすぐに見ていた。それは恐ろしいくらい、まっすぐな瞳だった。
「なんでどいつもこいつも、自分の命が大事にできねーんだよ。お前わかってんのかよ、お前が死んだら市野谷はどうなる? 自分の弟を目の前で亡くして、大事な直正が自殺して、それでお前が市野谷に殺されたら、こいつはどうなるんだよ」
「……ひーちゃんには、僕じゃ駄目なんですよ。あーちゃんじゃないと、駄目なんです」
 僕がやっとの思いでそれだけ言うと、今度は平手が反対の頬に飛んできた。
 熱い。痛いというよりも、熱い。
「直正が死んでも世界は変わらなかった。世界にとっちゃ人ひとりの死なんてたいしたことねぇ、だから自分なんて世界にとってちっぽけで取るに足らない、お前はそう思ってるのかもしれないが、でもな、それでもお前が世界の一部であることには変わりないんだよ」
 怒鳴る、怒鳴る、怒鳴る。
 先生は僕のことを怒鳴った。
 こんな風に叱られるのは初めてだ。
 こんな風に、叱ってくれる人は初めてだった。
「なんでお前は市野谷に、直正は生きてるって嘘をついた? 市野谷がわかりきっているはずの嘘をどうしてつき続けた? それはなんのためだよ? どうして最後まで、市野谷がちゃんと笑えるようになるまで、側で支えてやろうって思わないんだよ」
 そうだ。
 そうだった。日褄先生は最初からそうだった。
 優しくて、恐ろしいくらい乱暴なのだ。
「市野谷に殺されてもいい、自分なんて死んでもいいなんて思ってるんじゃねぇよ。『お前だから駄目』なんじゃねぇよ、『直正の代わりをしようとしているお前だから』駄目なんだろ?」
 日褄先生は最後に怒鳴った。
「もういい加減、鈴木直正の代わりになろうとするのはやめろよ。お前は―――だろ」
  お前は、潤崎颯だろ。
  やっと。
 やっと僕は、自分の名前が、聞き取れた。
 あーちゃんが死んで、ひーちゃんに嘘をついた。
 それ以来僕はずっと、自分の名前を認めることができなかった。
 自分の名前を口にするのも、耳にするのも嫌だった。
 僕は代わりになりたかったから。あーちゃんの代わりになりたかったから。
 あーちゃんが死んだら、ひーちゃんは僕を見てくれると、そう思っていたから。
 でも駄目だった。僕じゃ駄目だった。ひーちゃんはあーちゃんが死んでも、あーちゃんのことばかり見ていた。僕はあーちゃんになれなかった。だから僕なんかいらなかった。死んだってよかった。どうだってよかったんだ。
 嘘まみれでずたずたで、もうどうしようもないけれど、それでもそれが、「僕」だった。
 あーちゃんになれなくても、ひーちゃんを上手に救えなくても、それでも僕は、それでもそれが、潤崎颯、僕だった。
 日褄先生の手が、僕の服から離れていく。床に倒れている佐渡梓は、どこか呆然と僕たちを見つめている。ひーちゃんの表情はうつろなままで、彼女の肩を後ろから掴んでいる葵さんは、まるでひーちゃんのことを支えているように見えた。
 先生はひーちゃんの元へ行き、葵さんはひーちゃんからゆっくりと手を離す。そうして、先生はひーちゃんのことを抱き締めた。先生は何も言わなかった。ひーちゃんも、何も言わなかった。葵さんは無言で昇降口から出て行って、しばらくしてから帰ってきた。その時も、先生はひーちゃんを抱き締めたままで、僕はそこに突っ立っていたままだった。
 やがて日褄先生はひーちゃんの肩を抱くようにして、昇降口の方へと歩き出す。葵さんは昇降口前まで車を回していたようだ。いつか見た、黒い車が停まっていた。
 待って下さい、と僕は言った。
 日褄先生は立ち止まった。ひーちゃんも、立ち止まる。
 僕はひーちゃんに駆け寄った。
 ひーちゃんは無表情だった。
 僕は、ひーちゃんに謝るつもりだった。だけど言葉は出て来なかった。喉元まで込み上げた言葉は声にならず、口から嗚咽となって溢れた。僕の目からは涙がいくつも零れて、そしてその時、ひーちゃんが小さく、ごめんね、とつぶやくように言った。僕は声にならない声をいくつもあげながら、ただただ、泣いた。
 ひーちゃんの空っぽな瞳からも、一粒の滴が転がり落ちて、あーちゃんの死から一年以上経ってやっと、僕とひーちゃんは一緒に泣くことができたのだった。
    ひーちゃんに刺された傷は、軽傷で済んだ。
 けれど僕は、二週間ほど学校を休んだ。
「災難でしたね」
 あっくん、あーちゃんの弟である鈴木篤人くんは、僕の部屋を見舞いに訪れて、そう言った。
「聞きましたよ、文化祭で、ひー姉に切りつけられたんでしょう?」
 あーちゃんそっくりの表情で、あっくんはそう言った。
「とうとうばれたんですか、うー兄のついていた嘘は」
「……最初から、ばれていたようなものだよ」
 あーちゃんとよく似ている彼は、その日、制服姿だった。部活の帰りなのだろう、大きなエナメルバッグを肩から提げていて、手にはコンビニの袋を握っている。
「それで良かったんですよ。うー兄にとっても、ひー姉にとっても」
 あっくんは僕の部屋、椅子に腰かけている。その両足をぷらぷらと揺らしていた。
「兄貴のことなんか、もう忘れていいんです。あんなやつのことなんて」
 あっくんの両目が、すっと細められる。端正な顔立ちが、僅かに歪む。
 思い出すのは、あーちゃんの葬式の時のこと。
 式の最中、あっくんは外へ斎場の外へ出て行った。外のベンチにひとりで座っていた。どこかいらいらした様子で、追いかけて行った僕のことを見た。
「あいつ、不器用なんだ」
 あっくんは不満そうな声音でそう言った。あいつとは誰だろうかと一瞬思ったけれど、すぐにそれが死んだあーちゃんのことだと思い至った。
「自殺の原因も、昔のいじめなんだって。ココロノキズがいけないんだって。せーしんかのセンセー、そう言ってた。あいつもイショに、そう書いてた」
 あーちゃんが死んだ時、あっくんは小学五年生だった。今のような話し方ではなかった。彼はごく普通の男の子だった。あっくんが変わったのは、あっくんがあーちゃんのように振る舞い始めたのは、あーちゃんが死んでからだ。
「あいつ、全然悪くないのに、傷つくから駄目なんだ。だから弱くて、いじめられるんだ。おれはあいつより強くなるよ。あいつの分まで生きる。人のこといじめたりとか、絶対にしない」
 あっくんは、一度も僕と目を合わさずにそう言った。僕はあーちゃんの弱さと、あっくんの強さを思った。不機嫌そうに、「あーちゃんの分まで生きる」と言った、彼の強さを思った。あっくんのような強さがあればいいのに、と思った。ひーちゃんにも、強く生きてほしかった。僕も、そう生きるべきだった。
 あーちゃんが死んだ後、あーちゃんの家族はいつも騒がしそうだった。たくさんの人が入れ替わり立ち替わりやって来ては帰って行った。ときどき見かけるあっくんは、いつも機嫌が悪そうだった。あっくんはいつも怒っていた。あっくんただひとりが、あーちゃんの死を、怒っていた。
「――あんなやつのことを覚えているのは、僕だけで十分です」
 あっくんはそう言って、どうしようもなさそうに、笑った。
 あっくんも、僕と同じだった。
 あーちゃんの代わりになろうとしていた。
 ただそれは、ひーちゃんのためではなく、彼の両親のためだった。
 あーちゃんが死んだ中学校には通わせられないという両親の期待に応えるために、あっくんは猛勉強をして私立の中学に合格した。
 けれど悲しいことに両親は、それを心から喜びはしなかった。今のあっくんを見ていると、死んだあーちゃんを思い出すからだ。
 あっくんはあーちゃんの分まで生きようとして、そしてそれが、不可能であると知った。自分は自分としてしか、生きていけないのだ。
「僕は忘れないよ、あーちゃんのこと」
 僕がそうぽつりと言うと、あっくんの顔はこちらへと向いた。あっくんのかけている眼鏡のレンズが蛍光灯の光を反射して、彼の表情を隠している。そうしていると、本当に、そこにあーちゃんがいるみたいだった。
「……僕は忘れない。あーちゃんのことを、ずっと」
 自分に言い聞かせるように、僕はそう続けて言った。
「僕も、あーちゃんの分まで生きるよ」
 あーちゃんが欠けた、この世界で。
「…………」
 あっくんは黙ったまま、少し顔の向きを変えた。レンズは光を反射しなくなり、眼鏡の下の彼の顔が見えた。それは、あーちゃんに似ているようで、だけど確かに、あっくんの表情だった。
「そうですか」
 それだけつぶやくように言うと、彼は少しだけ笑った。
「兄貴もきっと、その方が喜ぶでしょう」
 あっくんはそう言って、持っていたコンビニの袋に入っていたプリンを「見舞いの品です」と言って僕の机の上に置くと、帰って行った。
 その後ろ姿はもう、あーちゃんのようには見えなかった。
 その二日後、僕は部屋でひとり寝ていると玄関のチャイムが鳴ったので出てみると、そこには河野帆高が立っていた。
「よー、潤崎くん。元気?」
「……なんで、僕の家を知ってるの?」
「とりあえずお邪魔しまーす」
「…………なんで?」
 呆然としている僕の横を、帆高はすり抜けるようにして靴を脱いで上がって行く。こいつが僕の家の住所を知っているはずがない。訊かれたところで担任が教えるとも思えない。となると、住所を教えたのは、やはり、日褄先生だろうか。僕は溜め息をついた。どうしてあのカウンセラーは、生徒の個人情報を守る気がないのだろう。困ったものだ。
 勝手に僕の部屋のベッドに寝転んでくつろいでいる帆高に缶ジュースを持って行くと、やつは笑いながら、
「なんか、美少女に切りつけられたり、美女に殴られたりしたんだって?」
 と言った。
「間違っているような、いないような…………」
「すげー修羅場だなー」
 けらけらと軽薄に、帆高が笑う。あっくんが見舞いに訪れた時と同様に、帆高も制服姿だった。学校帰りに寄ってくれたのだろう。ごくごくと喉を鳴らしてジュースを飲んでいる。
「はい、これ」
 帆高は鞄の中から、紙の束を取り出して僕に差し出した。受け取って確認するまでもなかった。それは、僕が休んでいる間に学級で配布されたのであろう、プリントや手紙だった。ただ、それを他クラスに所属している帆高から受け取るというのが、いささか奇妙な気はしたけれど。
「どうも……」
「授業のノートは、学校へ行くようになってから本人にもらって。俺のノートをコピーしてもいいんだけど、やっぱクラス違うと微妙に授業の進度とか感じも違うだろうし」
「…………本人?」
 僕が首をかしげると、帆高は、ああ、と思い出したように言った。
「これ、ミナモからの預かり物なんだよ。自分で届けに行けばって言ったんだけど、やっぱりそれは恥ずかしかったのかねー」
 ミナモが、僕のプリントを届けることを帆高に依頼した……?
 一体、どういうことだろう。だってミナモは、一日じゅう保健室にいて、教室内のことには関与していないはずだ。なんだか、嫌な予感がした。
「帆高、まさか、なんだけど…………」
「そのまさかだよ、潤崎くん」
 帆高は飄々とした顔で言った。
「ミナモは、文化祭の振り替え休日が明けてからのこの二週間、ちゃんと教室に登校して、休んでるあんたの代わりに授業のノートを取ってる」
「…………は?」
「でもさー、ミナモ、ノート取る・取らない以前に、黒板に書いてある文字の内容を理解できてるのかねー? まぁノート取らないよりはマシだと思うけどさー」
「ちょ、ちょっと待って……」
 ミナモが、教室で授業を受けている?
 僕の代わりに、ノートを取っている?
 一体、何があったんだ……?
 僕は呆然とした。
「ほんと、潤崎くんはミナモに愛されてるよねー」
「…………」
 ミナモが聞いたらそうしそうな気がしたから、代わりに僕が帆高の頭に鉄拳を制裁した。それでも帆高はにやにやと笑いながら、言った。
「だからさ、怪我してんのも知ってるし、学校休みたくなる気持ちもわからなくはないけど、なるべく早く、学校出て来てくれねーかな」
 表情と不���り合いに、その声音は真剣だったので、僕は面食らう。ミナモのことを気遣っていることが窺える声だった。入学して以来、一度も足を向けたことのない教室で、授業に出てノートを取っているのだから、無理をしていないはずがない。いきなりそんなことをするなんて、ミナモも無茶をするものだ。いや、無茶をさせているのは、僕なのだろうか。
 あ、そうだ、と帆高は何かを思い出したかのようにつぶやき、鞄の中から丸められた画用紙を取り出した。
「……それは?」
「ミナモから、預かってきた。お見舞いの品」
 ミナモから、お見舞いの品?
 首を傾げかけた僕は、画用紙を広げ、そこに描かれたものを見て、納得した。
 河野ミナモと、僕。
 死にたがり屋と死に損ない。
 自らの死を願って雨の降る屋上へ向かい、そこで出会った僕と彼女は、ずるずると、死んでいくように生き延びたのだ。
「……これから、授業に出るつもり、なのかな」
「ん? ああ、ミナモのことか? どうだろうなぁ」
 僕は思い出していた。文化祭の朝、リストバンドをくれた、峠茶屋桜子さんのこと。僕とミナモが出会った日に、保健室で僕たちに偶然出会ったことを彼女は覚えていてくれていた。彼女のような人もクラスにはいる。僕だってミナモだって、クラスの人たちと全く関わり合いがない訳ではないのだ。僕たちもまだ、世界と繋がっている。
「河野も、変わろうとしてるのかな……」
 死んだ方がいい人間だっている。
 初めて出会ったあの日、河野ミナモはそう言った。
 僕もそう思っていた。死んだ方がいい人間だっている。僕だって、きっとそうだと。
 だけど僕たちは生きている。
 ミナモが贈ってくれた絵は、やっぱり、あの屋上から見た景色だった。夏休みの宿題を頼んだ時に描いてもらった絵の構図とほと��ど同じだった。屋上は無人で、僕の姿もミナモの姿もそこには描かれていない。だけど空は、澄んだ青色で塗られていた。
 僕は帆高に、なるべく早く学校へ行くよ、と約束して、それから、どうかミナモの変化が明るい未来へ繋がるように祈った。
 河野帆高が言っていた通り、僕が学校を休んでいた約二週間の間、ミナモは朝教室に登校してきて、授業を受け、ノートを取ってくれていた。けれど、僕が学校へ行くようになると、保健室登校に逆戻りだった。
 昼休みの保健室で、僕はミナモからルーズリーフの束を受け取った。筆圧の薄い字がびっしりと書いてある。
 僕は彼女が贈ってくれた絵のことを思い出した。かつてあーちゃんが飛び降りて、死のうとしていた僕と、死にたがりのミナモが出会ったあの屋上。そこから見た景色を、ミナモはのびのびとした筆使いで描いていた。綺麗な青い色の絵具を使って。
 授業ノートの字は、その絵とは正反対な、神経質そうに尖っているものだった。中学入学以来、一度も登校していなかった教室に足を運び、授業を受けたのだ。ルーズリーフのところどころは皺寄っている。緊張したのだろう。
「せっかく来るようになったのに、もう教室に行かなくていいの?」
「……潤崎くんが来るなら、もう行かない」
 ミナモは長い前髪の下から睨みつけるように僕を一瞥して、そう言った。
 それもそうだ。ミナモは人間がこわいのだ。彼女にとっては、教室の中で他人の視線に晒されるだけでも恐ろしかったに違いないのに。
 ルーズリーフを何枚かめくり、ノートの文字をよく見れば、ときどき震えていた。恐怖を抑えようとしていたのか、ルーズリーフの余白には小さな絵が描いてあることもあった。
「ありがとう、河野」
「別に」
 ミナモは保健室のベッドの上、膝に乗せたスケッチブックを開き、目線をそこへと向けていた。
「行くところがあるんじゃないの?」
 もう僕に興味がなくなってしまったかのような声で彼女はそう言って、ただ鉛筆を動かすだけの音が保健室には響き始めた。
 僕はもう一度ミナモに礼を言ってから、保健室を後にした。
    ずっと謝らなくてはいけないと思っている人がいた。
 彼女はなんだか気まずそうに僕の前でうつむいている。
 昼休みの廊下の片隅。僕と彼女の他には誰もいない。呼び出したのは僕の方だった。文化祭でのあの事件から、初めて登校した僕は、その日のうちに彼女の教室へ行き、彼女のクラスメイトに呼び出してもらった。
「あの…………」
「なに?」
「その、怪我の、具合は……?」
「僕はたいしたことないよ。もう治ったし。きみは?」
「私も、その、大丈夫です」
「そう……」
 よかった、と言おうとした言葉を、僕は言わずに飲み込んだ。これでよいはずがない。彼女は無関係だったのだ。彼女は、僕やひーちゃん、あーちゃんたちとは、なんの関係もなかったはずなのに。
「ごめん、巻き込んでしまって」
「いえ、そんな……勝手に先輩のことをかばったのは、私ですから……」
 文化祭の日。僕がひーちゃんに襲われた時、たまたま廊下を通りかかった彼女、佐渡梓は僕のことをかばい、そして傷を負った。
 怪我は幸いにも、僕と同様に軽傷で済んだようだが、でもそれだけで済む話ではない。彼女は今、カウンセリングに通い、「心の傷」を癒している。それもそうだ。同じ中学校に在籍している先輩女子生徒に、カッターナイフで切りつけられたのだから。
「きみが傷を負う、必要はなかったのに……」
 どうして僕のことを、かばったりしたのだろう。
 僕は佐渡梓の好意を、いつも踏みつけてきた。ひどい言葉もたくさんぶつけた。渡された手紙は読まずに捨てたし、彼女にとって、僕の態度は冷徹そのものだったはずだ。なのにどうして、彼女は僕を助けようとしたのだろう。
「……潤崎先輩に、一体何があって、あんなことになったのか、私にはわかりません」
 佐渡梓はそう言った。
「思えば、私、先輩のこと何も知らないんだなって、思ったんです。何が好きなのか、とか、どんな経験をしてきたのか、とか……。先輩のクラスに、不登校の人が二人いるってことは知っていました。ひとりは河野先輩で、潤崎先輩と親しいみたいだってことも。でも、もうひとりの、市野谷先輩のことは知らなくて……潤崎先輩と、幼馴染みだってことも……」
 僕とひーちゃんのことを知っているのは、同じ小学校からこの中学に進学してきた連中くらいだ。と言っても、僕もひーちゃんも小学校時代の同級生とそこまで交流がある訳じゃなかったから、そこまでは知られていないのではないだろうか。僕とひーちゃん、そして、あーちゃんのことも知っているという人間は、この学校にどれくらいいるのだろう。
 さらに言えば、僕とひーちゃんとあーちゃん、そして、ひーちゃんの最愛の弟ろーくんの事故のことまで知っている人間は、果たしているのだろうか。日褄先生くらいじゃないだろうか。
 僕たちは、あの事故から始まった。
 ひーちゃんはろーくんを目の前で失い、そして僕とあーちゃんに出会った。ひーちゃんは心にぽっかり空いた穴を、まるであーちゃんで埋めるようにして、あーちゃんを世界の全てだとでも言うようにして、生きるようになった。そんなあーちゃんは、ある日屋上から飛んで、この世界からいなくなってしまった。そうして役立たずの僕と、再び空っぽになったひーちゃんだけが残された。
 そうして僕は嘘をつき、ひーちゃんは僕を裏切った。
 僕を切りつけた刃の痛みは、きっとひーちゃんが今まで苦しんできた痛みだ。
 あーちゃんがもういないという事実を、きっとひーちゃんは知っていた。ひーちゃんは僕の嘘に騙されたふりをした。そうすればあーちゃんの死から逃れられるとでも思っていたのかもしれない。壊れたふりをしているうちに、ひーちゃんは本当に壊れていった。僕はどうしても、彼女を正しく導くことができなかった。嘘をつき続けることもできなかった。だからひーちゃんは、騙されることをやめたのだ。自分を騙すことを、やめた。
 僕はそのことを、佐渡梓に話そうとは思わなかった。彼女が理解してくれる訳がないと決めつけていた訳ではないが、わかってもらわなくてもいいと思っていた。でも僕が彼女を巻き込んでしまったことは、もはや��えようのない事実だった。
「今回のことの原因は、僕にあるんだ。詳しくは言えないけれど。だから、ひーちゃん……市野谷さんのことを責めないであげてほしい。本当は、いちばん苦しいのは市野谷さんなんだ」
 僕の言葉に、佐渡梓は決して納得したような表情をしなかった。それでも僕は、黙っていた。しばらくして、彼女は口を開いた。
「私は、市野谷先輩のことを責めようとか、訴えようとか、そんな風には思いません。どうしてこんなことになったのか、理由を知りたいとは思うけれど、潤崎先輩に無理に語ってもらおうとも思いません……でも、」
 彼女はそこまで言うと、うつむいていた顔を上げ、僕のことを見た。
 ただ真正面から、僕を見据えていた。
「私は、潤崎先輩も、苦しかったんじゃないかって思うんです。もしかしたら、今だって、先輩は苦しいんじゃないか、って……」
 僕は。
 佐渡梓にそう言われて、笑って誤魔化そうとして、泣いた。
 僕は苦しかったんだろうか。
 僕は今も、苦しんでいるのだろうか。
 ひーちゃんは、あの文化祭での事件の後、日褄先生に連れられて精神科へ行ったまま、学校には来ていない。家にも帰っていない。面会謝絶の状態で、会いに行くこともできないのだという。
 僕はどうかひーちゃんが、苦しんでいないことを願った。
 もう彼女は、十分はくらい苦しんできたと思ったから。
    ひーちゃんから電話がかかってきたのは、三月十三日のことだった。
 僕の中学校生活は何事もなかったかのように再開された。
 二週間の欠席を経て登校を始めた当初は、変なうわさと奇妙な視線が僕に向けられていたけれど、もともとクラスメイトと関わり合いのなかった僕からしてみれば、どうってことはなかった。
 文化祭で僕が着用したメイド服を作ってくれたクラス委員の長篠めいこさんと、リストバンドをくれた峠茶屋桜子さんとは、教室の中でときどき言葉を交わすようになった。それが一番大きな変化かもしれない。
 ミナモの席もひーちゃんの席も空席のままで、それもいつも通りだ。
 ミナモのはとこである帆高の方はというと、やつの方も相変わらずで、宿題の提出率は最悪みたいだ。しょっちゅう廊下で先生たちと鬼ごっこをしている。昼休みの保健室で僕とミナモがくつろいでいると、ときどき顔を出しにくる。いつもへらへら笑っていて、楽しそうだ。なんだかんだ、僕はこいつに心を開いているんだろうと思う。
 佐渡梓とは、あれからあまり会わなくなってしまった。彼女は一年後輩で、校舎の中ではもともと出会わない。委員会や部活動での共通点もない。彼女が僕のことを好きになったこと自体が、ある意味奇跡のようなものだ。僕をかばって怪我をした彼女には、感謝しなくてはいけないし謝罪しなくてはいけないと思ってはいるけれど、どうしたらいいのかわからない。最近になって少しだけ、彼女に言ったたくさんの言葉を後悔するようになった。
 日褄先生は、そう、日褄先生は、あれからスクールカウンセラーの仕事を辞めてしまった。婚約者の葵さんと結婚することになったらしい。僕の頬���殴ってまで叱咤してくれた彼女は、あっさりと僕の前からいなくなってしまった。そんなこと、許されるのだろうか。僕はまだ先生に、なんのお礼もしていないのに。
 僕のところには携帯電話の電話番号が記されたはがきが一枚届いて、僕は一度だけそこに電話をかけた。彼女はいつもと変わらない明るい声で、とんでもないことを平気でしゃべっていた。ひーちゃんのことも、僕のことも、彼女はたった一言、「もう大丈夫だよ」とだけ言った。
 そうこうしているうちに年が明け、冬休みが終わり、そうして三学期も終わった。
 三月十三日、電話が鳴った。
 あーちゃんが死んだ日だった。
 二年前のこの日、あーちゃんは死んだのだ。
「あーちゃんに会いたい」
 電話越しだけれども、久しぶりに聞くひーちゃんの声は、やけに乾いて聞こえた。
 あーちゃんにはもう会えないんだよ、そう言おうとした僕の声を遮って、彼女は言う。
「知ってる」
 乾燥しきったような、淡々とした声。鼓膜の奥にこびりついて取れない、そんな声。
「あーちゃん、死んだんでしょ。二年前の今日に」
 思えば。
 それが僕がひーちゃんの口から初めて聞いた、あーちゃんの死だった。
「『僕』ね、ごめんね、ずっとずっと知ってた、ずっとわかってた。あーちゃんは、もういないって。だけど、ずっと認めたくなくて。そんなのずるいじゃん。そんなの、卑怯で、許せなくて、許したくなくて、ずっと信じたくなくて、ごめん、でも……」
 うん、とだけ僕は答えた。
 きっとそれは、僕のせいだ。
 ひーちゃんを許した、僕のせいだ。
 あーちゃんの死から、ずっと目を背け続けたひーちゃんを許した、僕のせいだ。
 ひーちゃんにそうさせた、僕のせい。
 僕の罪。
 一度でもいい、僕が、あーちゃんの死を見ないようにするひーちゃんに、無理矢理にでも現実を打ち明けていたら、ひーちゃんはきっと、こんなに苦しまなくてよかったのだろう。ひーちゃんの強さを信じてあげられなかった、僕のせい。
 あーちゃんが死んで、自分も死のうとしていたひーちゃんを、支えてあげられるだけの力が僕にはなかった。ひーちゃんと一緒に生きるだけの強さが僕にはなかった。だから僕は黙っていた。ひーちゃんがこれ以上壊れてしまわぬように。ひーちゃんがもっと、壊れてしまうように。
 僕とひーちゃんは、二年前の今日に置き去りになった。
 僕の弱さがひーちゃんの心を殺した。壊した。狂わせた。痛めつけた。苦しめた。
「でも……もう、『僕』、あーちゃんの声、何度も何度も何度も、何度考えても、もう、思い出せないんだよ……」
 電話越しの声に、初めて感情というものを感じた。ひーちゃんの今にも泣き出しそうな声に、僕は心が潰れていくのを感じた。
「お願い、うーくん。『僕』を、あーちゃんのお墓に、連れてって」
 本当は、二年前にこうするべきだった。
「……わかった」
 僕はただ、そう言った。
 僕は弱いままだったから。
 彼女の言葉に、ただ頷いた。
『僕が死んだことで、きっとひーちゃんは傷ついただろうね』
 そう書いてあったのは、あーちゃんが僕に残したもうひとつの遺書だ。
『僕は裏切ってしまったから。あの子との約束を、破ってしまったから』
 あーちゃんとひーちゃんの間に交わされていたその約束がなんなのか、僕にはわからないけれど、ひーちゃんにはきっと、それがわかっているのだろう。
  ひーちゃんがあーちゃんのことを語る度、僕はひーちゃんがどこかへ行ってしまうような気がした。
 だってあんまりにも嬉しそうに、「あーちゃん、あーちゃん」って言うから。ひーちゃんの大好きなあーちゃんは、もういないのに。
 ひーちゃんの両目はいつも誰かを探していて、隣にいる僕なんか見てくれないから。
  ひーちゃんはバス停で待っていた。交わす言葉はなかった。すぐにバスは来て、僕たちは一番後ろの席に並んで座った。バスに乗客の姿は少なく、窓の外は雨が降っている。ひーちゃんは無表情のまま、僕の隣でただ黙って、濡れた靴の先を見つめていた。
  ひーちゃんにとって、世界とはなんだろう。
 ひーちゃんには昨日も今日も明日もない。
 楽しいことがあっても、悲しいことがあっても、彼女は笑っていた。
 あーちゃんが死んだ時、あーちゃんはひーちゃんの心を道連れにした。僕はずっと心の奥底であーちゃんのことを恨んでいた。どうして死んだんだって。ひーちゃんに心を返してくれって。僕らに世界を、返してって。
  二十分もバスに揺られていると、「船頭町三丁目」のバス停に着いた。
 ひーちゃんを促してバスを降りる。
 雨は霧雨になっていた。持っていた傘を差すかどうか、一瞬悩んでから、やめた。
 こっちだよ、とひーちゃんに声をかけて歩き始める。ひーちゃんは黙ってついてくる。
 樫岸川の大きな橋の上を歩き始める。柳の並木道、古本屋のある四つ角、細い足場の悪い道、長い坂、苔の生えた石段、郵便ポストの角を左。
 僕はもう何度、この道を通ったのだろう。でもきっと、ひーちゃんは初めてだ。
 生け垣のある家の前を左。寺の大きな屋根が、突然目の前に現れる。
 僕は、あそこだよ、と言う。ひーちゃんは少し目線を上の方に動かして、うん、と小さな声で言う。その瞳も、口元も、吐息も、横顔も、手も、足も。ひーちゃんは小さく震えていた。僕はそれに気付かないふりをして、歩き続ける。ひーちゃんもちゃんとついてくる。
  ひーちゃんはきっと、ずっとずっと気付いていたのだろう。本当のことを。あーちゃんがこの世にいないことを。あーちゃんが自ら命を絶ったことも。誰もあーちゃんの苦しみに、寂しさに、気付いてあげられなかったことを。ひーちゃんでさえも。
 ひーちゃんは、あーちゃんが死んでからよく笑うようになった。今までは、能面のように無表情な少女だったのに。ひーちゃんは笑っていたのだ。あーちゃんがもういない世界を。そんな世界でのうのうと生きていく自分を。ばればれの嘘をつく、僕を。
  あーちゃんの墓前に立ったひーちゃんの横顔は、どこにも焦点があっていないかのように、瞳が虚ろで、だが泣いてはいなかった。そっと手を伸ばし、あーちゃんの墓石に恐る恐る触れると、霧雨に濡れて冷たくなっているその石を何度も何度も指先で撫でていた。
 墓前には真っ白な百合と、やきそばパンが供えてあった。あーちゃんの両親が毎年お供えしているものだ。
 線香のにおいに混じって、妙に甘ったるい、ココナッツに似たにおいがするのを僕は感じた。それが一体なんのにおいなのか、僕にはわかった。日褄先生がここに来て、煙草を吸ったのだ。彼女がいつも吸っていた、あの黒い煙草。そのにおいだった。ついさっきまで、ここに彼女も来ていたのだろうか。
「つめたい……」
 ひーちゃんがぽつりと、指先の感触の感想を述べる。そりゃ石だもんな、と僕は思ったが、言葉にはしなかった。
「あーちゃんは、本当に死んでいるんだね」
 墓石に触れたことで、あーちゃんの死を実感したかのように、ひーちゃんは手を引っ込めて、恐れているように一歩後ろへと下がった。
「あーちゃんは、どうして死んだの?」
「……ひとりぼっちみたいな、感覚になるんだって」
 あーちゃんが僕に宛てて書いた、彼のもうひとつの遺書の内容を思い出す。
「ひとりぼっち? どうして? ……私がいたのに」
 ひーちゃんはもう、自分のことを「僕」とは呼ばなかった。
「私じゃだめだった?」
「……そんなことはないと思う」
「じゃあ、どうして……」
 ひーちゃんはそう言いかけて、口をつぐんだ。ゆっくりと首を横に振って、ひーちゃんは、そうか、とだけつぶやいた。
「もう考えてもしょうがないことなんだ……。あーちゃんは、もういない。私が今さら何かを思ったって、あーちゃんは帰ってこないんだ……」
 ひーちゃんはまっすぐに僕を見上げて、続けるように言った。
「これが、死ぬってことなんだね」
 彼女の表情は凍りついているように見えた。
「そうか……ずっと忘れていた、ろーくんも死んだんだ……」
 ひーちゃんの最愛の弟、ろーくんこと市野谷品太くんは、僕たちが小学二年生の時に交通事故で亡くなった。ひーちゃんの目の前で、ろーくんの細くて小さい身体は、巨大なダンプに軽々と轢き飛ばされた。
 ひーちゃんは当時、過剰なくらいろーくんを溺愛していて、そうして彼を失って以来、他人との間に頑丈な壁を築くようになった。そんな彼女の前に現れたのが、僕であり、そして、あーちゃんだった。
「すっかり忘れてた。ろーくん……そうか、ずっと、あーちゃんが……」
 まるで独り言のように、ひーちゃんは言葉をぽつぽつと口にする。瞳が落ち着きなく動いている。
「そうか、そうなんだ、あーちゃんが……あーちゃんが…………」
 ひーちゃんの両手が、ひーちゃんの両耳を覆う。
 息を殺したような声で、彼女は言った。
「あーちゃんは、ずっと、ろーくんの代わりを……」
 それからひーちゃんは、僕を見上げた。
「うーくんも、そうだったの?」
「え?」
「うーくんも、代わりになろうとしてくれていたの?」
 ひーちゃんにとって、ろーくんの代わりがあーちゃんであったように。
 あーちゃんが、ろーくんの代用品になろうとしていたように。
 あっくんが、あーちゃんの分まで生きようとしていたように。
 僕は。
 僕は、あーちゃんの代わりに、なろうとしていた。
 あーちゃんの代わりに、なりたかった。
 けれどそれは叶わなかった。
 ひーちゃんが求めていたものは、僕ではなく、代用品ではなく、正真正銘、ほんものの、あーちゃんただひとりだったから。
 僕は稚拙な嘘を重ねて、ひーちゃんを現実から背けさせることしかできなかった。
 ひーちゃんの手を引いて歩くことも、ひーちゃんが泣いている間待つことも、あーちゃんにはできても、僕にはできなかった。
 あーちゃんという存在がいなくなって、ひーちゃんの隣に空いた空白に僕が座ることは許されなかった。代用品であることすら、認められなかった。ひーちゃんは、代用品を必要としなかった。
 ひーちゃんの世界には、僕は存在していなかった。
 初めから、ずっと。
 ずっとずっとずっと。
 ずーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと、僕はここにいたのに。
 僕はずっと寂しかった。
 ひーちゃんの世界に僕がいないということが。
 だからあーちゃんを、心の奥底では恨んでいた。妬ましく思っていた。
 全部、あーちゃんが死んだせいにした。僕が嘘をついたのも、ひーちゃんが壊れたのも、あーちゃんが悪いと思うことにした。いっそのこと、死んだのが僕の方であれば、誰もこんな思いをしなかったのにと、自分が生きていることを呪った。
 自分の命を呪った。
 自分の存在を呪った。
 あーちゃんのいない世界を、あーちゃんが死んだ世界を、あーちゃんが欠けたまま、それでもぐるぐると廻り続けるこの不条理で不可思議で不甲斐ない世界を、全部、ひーちゃんもあーちゃんもあっくんもろーくんも全部全部全部全部、まるっときちっとぐるっと全部、呪った。
「ごめんね、うーくん」
 ひーちゃんの細い腕が、僕の服の袖を掴んでいた。握りしめているその小さな手を、僕は見下ろす。
「うーくんは、ずっと私の側にいてくれていたのにね。気付かなくて、ごめんね。うーくんは、ずっとあーちゃんの代わりをしてくれていたんだね……」
 ひーちゃんはそう言って、ぽろぽろと涙を零した。綺麗な涙だった。綺麗だと、僕は思った。
 僕は、ひーちゃんの手を握った。
 ひーちゃんは何も言わなかった。僕も、何も言わなかった。
 結局、僕らは。
 誰も、誰かの代わりになんてなれなかった。あーちゃんもろーくんになることはできず、あっくんもあーちゃんになることはできず、僕も、あーちゃんにはなれなかった。あーちゃんがいなくなった後も、世界は変わらず、人々は生き続け、笑い続けたというのに。僕の身長も、ひーちゃん��髪の毛も伸びていったというのに。日褄先生やミナモや帆高や佐渡梓に、出会うことができたというのに。それでも僕らは、誰の代わりにもなれなかった。
 ただ、それだけ。
 それだけの、当たり前の事実が僕らには常にまとわりついてきて、その事実を否定し続けることだけが、僕らの唯一の絆だった。
 僕はひーちゃんに、謝罪の言葉を口にした。いくつもいくつも、「ごめん」と謝った。今までついてきた嘘の数を同じだけ、そう言葉にした。
 ひーちゃんは僕を抱き締めて、「もういいよ」と言った。もう苦しむのはいいよ、と言った。
 帰り道のバスの中で、四月からちゃんと中学校に通うと、ひーちゃんが口にした。
「受験、あるし……。今から学校へ行って、間に合うかはわからないけれど……」
 四月から、僕たちは中学三年生で高校受験が控えている。教室の中は、迫りくる受験という現実に少しずつ息苦しくなってきているような気がしていた。
 僕は、「大丈夫」なんて言わなかった。口にすることはいくらでもできる。その方が、もしかしたらひーちゃんの心を慰めることができるかもしれない。でももう僕は、ひーちゃんに嘘をつきたくなかった。だから代わりに、「一緒に頑張ろう」と言った。
「頭のいいやつが僕の友達にいるから、一緒に勉強を教えてもらおう」
 僕がそう言うと、ひーちゃんは小さく頷いた。
 きっと帆高なら、ひーちゃんとも仲良くしてくれるだろう。ミナモはどうかな。時間はかかるか��しれないけれど、打ち解けてくれるような気がする。ひーちゃんはクラスに馴染めるだろうか。でも、峠茶屋さんが僕のことを気にかけてくれたように、きっと誰かが気にかけてくれるはずだ。他人なんてくそくらえだって、ずっと思っていたけれど、案外そうでもないみたいだ。僕はそのことを、あーちゃんを失ってから気付いた。
 僕は必要とされたかっただけなのかもしれない。
 ひーちゃんに必要とされたかったのかもしれないし、もしかしたら誰か他人だってよかったのかもしれない。誰か他人に、求めてほしかったのかもしれない。そうしたら僕が生きる理由も、見つけられるような気がして。ただそれだけだ。それは、あーちゃんも、ひーちゃんも同じだった。だから僕らは不器用に、お互いを傷つけ合う方法しか知らなかった。自分を必要としてほしかったから。
 いつだったか、日褄先生に尋ねたことがあったっけ。
「嘘って、何回つけばホントになるんですか」って。先生は、「嘘は何回ついたって、嘘だろ」と答えたんだった。僕のついた嘘はいくら重ねても嘘でしかなかった。あーちゃんは、帰って来なかった。やっぱり今日は雨で、墓石は冷たく濡れていた。
 けれど僕たちは、やっと、現実を生きていくことができる。
「もう大丈夫だよ」
 日褄先生が僕に言ったその声が、耳元で蘇った。
 もう大丈夫だ。
 僕は生きていく。
 あーちゃんがいないこの世界で、今度こそ、ひーちゃんの手を引いて。
 
 ふたりで初めて手を繋いで帰った日。
 僕らはやっと、あーちゃんにサヨナラができた。
  あーちゃん。
 世界は透明なんかじゃない。
 君も透明なんかじゃない。
 僕は覚えている。あーちゃんのことも、一緒に見た景色も、過ごした日々のことも。
 今でも鮮明に、その色を思い出すことができる。
 たとえ記憶が薄れる日がきたって、また何度でも思い出せばいい。
 だからサヨナラは、言わないんだ。
 了
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adamu3 · 4 years ago
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メリークリスマス🎄イヴ
……の前に!
昨夜出会った子の話。
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バンドマン!
あなたバンドマンじゃない?と思ったら虫愛好家の方だった。私は偏見で物を言うのをいい加減やめよう。もう令和だぞ。考えをアップデートしろ。
彼に話しかけると、第一声は必ず自分の世界に飛んでいる。シンパシーを感じる。好感が持てる。何かに熱中する生き物は好きだ。
虫を高めに買い取ってくれる。何にどれくらい価値をつけるかというのは人それぞれで、だから面白いと『金男』でも高橋一生が言っていた。私も心から同意する。
レックスくん、かなりお金持ちじゃない?趣味を極めるにはお金がいると思うし、彼のしていることは尚更……。口に出す事ではない。不躾なので黙っておく。
同じ虫を三匹連れてくれば、模型を作ってくれるとのこと。絶対にタランチュラがイイ!と思ったけども、まだ三匹も捕まえていない。この日は夜遅くのスタートだったので、血眼になって島内を探し回る気にもならず。
代わりに、模型が欲しくて集められそうな虫……と悩んでヤドカリかハチに絞り込む。
動くホラガイを求めて波打ち際をダッシュ百本勝負をするよりかは、島中の木を順番に揺すって確実に母数を減らしていく方が分かりやすくて精神衛生上良いのではないかと、真夜中に木を揺らしに回る島民代表。
ありがたいことに、早々のお出ましにより、彼にはハチを託しました。お願いね。
彼が次来るまでには、タランチュラを三匹捕まえておきたいなぁ。売った方が得なのかしらと思いつつ!金は回るし、他に稼げる方法はたくさんあるけど模型は一生物……(オタクの考え方)
ドードーエアラインで良い出会いをしたので見てほしい✈️
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なんなんだろう……。失礼を承知で言うけども、特に見た目がものすごく好みのタイプというわけでもないのに……何故だか島に来てほしいと思った……。
謎の安心感がある……気がする……。この冬の服装がまた合っている。
私は基本、動物たちは年下か同年代くらいの目で見ていてよしよししている気持ちがあるのだけども、彼はむしろ同年代〜年上くらいの印象がある。
直感のままに勧誘をした。いや〜〜……何だろうなあ、この気持ちは。感情の言語化に日々頭を悩ませているのだけども、これもまた解明できないところに突き当たった。
長くなったけども、クリスマスイヴの話をします。
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あつ森のクリスマスはどんな感じなのかな!わくわく!と思って検索してみたら、攻略サイトも予想しか載っていない。そうか発売時期からみて発売日からすぐ買った人でも3月?4月?から先のことしかまだ経験していないのかと新鮮な気持ちになる。攻略本を買っていたら別だろうけど、どんな形式なのかは触れるまで分からないのだなあ。
ツイッターでは既に終えた人がイベントの内容を呟いていたので参考にすることに。サンタのコスチューム一式が必要になるとのこと。
仕立て屋さん開店させておいて良かった〜〜!!!
これ、日数ズレていたら参加できていなかった?怖いね……慌てて仕立て屋に走った。当日駆け込み!おひげ、おひげ。慌てん坊のサンタクロース(遅刻)
クリスマスの音楽、e+から変わっていないんじゃない!?!と大はしゃぎ。タイトル画面で、ジングルが役場前にいる事は分かっていたので続けて走って向かう。
ジングルから袋を託された時には興奮してしまった。どこからどう見てもサンタじゃよ。
そして、戴いた壁掛け靴下を部屋に飾っておくと良いことがあるらしい。楽しみだね。
住民一人ひとりに手渡ししていく。みんな、存外正体にはすぐ気づく。というか騙されない。でもサンタからのプレゼントだと知ると大喜びするのが可愛い。うむうむ。
袋の中を覗く?というコマンドがあったけども、プレゼントを開封してしまうんじゃないかと腰が引けて中を見ることは叶わなかった。もしかして、みんなが何を頼んだのか分かったのかな。プライバシーは守られたということにしておこう。
一通り配り終えると、袋は回収されてしまった。レシピをもらった気がする。アレッそれは初めに貰ったのだったかな。数日後に書いているのであやふやです(三日坊主滝に打たれろ)
なんだかあっさり終わった印象。クリスマスシリーズの家具を全種類手に入れるためにかけずり回った記憶があるからかしら?具体的に何をしたかは覚えていないけども。
何はともあれ、住民のみんなとプレゼント交換の約束をしていたので足りない分のラッピング袋を商店で買い、急ぎでプレゼントも用意する。
島民代表、みんなの好みを知らない。
住民一人ひとりに服を初めとして好みがある事は把握しているものの……とはいえ、その雰囲気に当てはまる家具を用意できるかも分からない。
島民代表はDIYが得意であった。手作りの家具!これは現実世界では賛否両論ある贈り物だけども、まったりスローライフを生きる動物たちはそのあたり……汲み取ってくれる気がする。労力とか、気持ちとか。
一応、お家に飾ってくれた場合のことも考えつつ……それぞれに合いそうな物を用意。
🐘エックスエル:タイヤのゆうぐ(ぞうはタイヤが好きなので)
🐵デリー:タンバリン(お気に入りだけどこの子にならあげてもいい!気に入って無邪気にパンパン叩いてくれそう。けしてお猿のおもちゃを想像したわけではない)
🐿ララミー:つみきのおもちゃ(本当はオレンジのテーブルをあげようと思って家の中に入ったら全然合いそうな雰囲気ではなくて、急遽つみきのおもちゃにする。素朴な素材の良さを分かってくれそう)
🐨キャンベラ:ロッキングチェア(一番迷った。カラフルシリーズを集めているので、木のロッキングチェアは見栄えも良かろう)
🐴マキバスター:かべかけのはっぱ(ギャルにはっぱとかどうなの?と思うも、馬は葉っぱが好きだろうと。お部屋に何らかの植物もあった気がするし)
🐶ボブ:ボーンプレート(すぐ決まった。骨の形のかべかけプレート。安直な気しなくもないけれど、いぬはこれ堪らないでしょ。部屋ともマッチする)
🐙タコリーナ:めすのフラミンゴ(前にサカナを欲しがっていて、生き物が好きなのかなと思ったので。同じピンク色であるし。お部屋に飾ったらきっとカワイイ。しかしトリを買うタコて)
とくべつ高価な家具というわけでも、種類が好みに合うのかきちんと下調べをしたわけでもない。けれど一応親和性など……考えて選んだわけです。
怖いな〜〜!開けて、どストレートにがっかりされたら、わりとショックだ。みんな前々から、事あるごとに話題に挙げるほどこの日を楽しみにしていたようだったし……ドキドキ……。
ちなみに、今日この日に引っ越してきていたうずまきちゃんは当然といえば当然、対象外でした。可哀想に。部屋のお掃除にいっぱいいっぱいで、まさか外でそんな事が行われているとは知る由もないだろうけど。
結果は、拍子抜けするほどみんなに喜んでもらえました!!!!!!ワーイ!!
みんないい子だな〜。「どうして欲しいものが分かったの!?」とまで言ってくれる子もいたりして。
お返しは、きちんとラッピングされていて中が見えない!「◯◯のプレゼント」と表示されているのが可愛いなあと記念に写真を撮っておいた。
その場で開けずに、家に大事に持ち帰って開封会をはじめる。みんな何をくれたんだろう。
家具?服?と考えていた私、順に開けていって大興奮。一つひとつ写真を撮るしまつ。付き合ってください。
🐘エックスエル
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キッズテント
可愛い〜!海外のドラマや映画でよく見かける!お手軽さとは裏腹に、手堅い秘密基地感!喜ばない子供はいない。カーペットとの親和性もヨシ!
🐵デリー
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きょうりゅうのおもちゃ
私が……サメとか恐竜が好きなことを知っている……?押すと口を開け、足が動く!すごいギミック!こいつは今日からうちの家族です。この大きさも良いな〜。
🐿ララミー
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ラジコンヘリ
画が引き目だけども、上部真ん中あたりを見てほしい。ちゃんと飛ぶのだ!ワ〜〜イ!高価よ〜これ、トイザらスで買ったら。これでテンションの上がらない子いないわよ。
🐨キャンベラ
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ドールハウス
シルバニアファミリー〜赤い屋根のお家〜
懐かしい〜こういうドールハウス!素敵!今もお菓子コーナーに置いてある、ちょっとしたミニチュアに惹かれてしまうのだ。おまけが本体で申し訳程度にラムネが付いているやつね。
🐴マキバスター
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ミニサーキット
ブンブーン🏎トミカ、プラレール……いつだって子供心をくすぐる車!押すとレースが始まって、またその音のリアルなこと!これをマキバスターが贈ってくれるというのがまた良いな。足が速いお馬さんがね。
🐶ボブ
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しかけえほん
知っているのかな?私が花と縁深くて、本が大好きだってこと。チョイスがボブらしい〜。女の子に贈ることを意識している。気のせい?自意識過剰?
🐙タコリーナ
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いぬのおもちゃ
これ欲しかったやつ!!!!どなたかの写真で拝見していいなあと思っていた。嬉しい〜!押すとわんわん言って尻尾を振る可愛いやつ。よしよし。家で飼います!また生き物が増えちゃったな。メローネにそろそろ「うちはペットショップか?」と言われる頃合い。
なんか……あれね。みんなまさにおもちゃ!という最高のプレゼントをくれたので……お返しになったかな!?同じくらいの価値あるかしら!?と今になって申し訳なくなってきた。
ともあれ、はじめてのクリスマスイブ!楽しみました。年々あっという間に感じるというか、流れてゆくようなので、こうしてスローライフの中で季節を感じられるのはいいな。
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mayukas114 · 4 years ago
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2021年1月2日(土)
大晦日から実家を訪ね年を越し、三が日もそのまま過ごす……というのを勝手に義務のように感じていたんだけど、初めてそれを放棄した今年の正月、驚くほどこころが軽い。元旦の夕方頃に訪ねて一泊こそしたけど、自宅で過ごしていたら食べなかっただろうおせちや雑煮などを出して貰って、ほどほどに会話をし、早々に寝て、翌日の昼にはさようなら。ちょうど良いな。ちょうど良かったです。
きょうは友だちと銀座へ買い物に出掛けた。電車はひとが少なくて快適。ことしはみんな自宅で過ごしているのかしらとか思ったけど、東京の正月はそもそも街の人出が少なかったような気もする。
合流して早々、目当てのアパレルショップへ直行。年末に友人に会った際、最近買った可愛いダウンコートを自慢したんだけど、私と同じような派手でぎらぎらしたものが好きな友人にブランドを教えて勧めたところ「ここのバッグが欲しい」と乗り気になってくれたので、初売りへご一緒することになっていた。
きょうは付き添いだけというつもりだったのに、結局あれこれと試着した末、年末に最後まで悩んで結局買わずにいた赤いコートをあらためて購入。レース柄の、目に鮮やかなどぎつい赤がとんでもなく可愛い素敵なコートだ。50%オフだったので散財の罪悪感も少なく、ニューイヤーセール様々だった。
そのあとはサボンへ。テスターがぜんぶ引っ込められていて、気軽に色々嗅げずにしょんぼり。半年前くらいには、確かにどこもかしこもテスターを引っ込めていたけど、最近はどこも普通に置いているなと思い出す。1000人も突破したし、また引っ込められているのが当たり前になるのかな。
友人に貰ったサボンのムスクのハンドクリームの匂いにめちゃくちゃハマッてしまったので、身の回りのなにもかもをこれで揃えたい気持ちでぐつぐつしているんだけど、4種類あるボディクリームの違いを試すのに店員さんにぜんぶをお願いして出して貰うのがどうにも気が引けて、断念。変なところで気が弱くなった。
友人と一緒に試したフェイスポリッシャーが、肌がふわふわになって気持ち良かった。ミントとラベンダーの2種展開らしい。他の香りも出たら、欲しいな。さいきん分かったことだけど、私は甘い匂いが好き。焼きたてのお菓子みたいな匂いとか、もぎたての果物みたいな匂いとか。
サボンを出たあとは、星野珈琲へ。がらがらでびっくりした。入って、スフレパンケーキを注文して、食べている途中で「有楽町まで歩いてシクスバイオリエンタルまで行けば良かった……」とハッとして、落ち込む。調べなかったけど、““きょうは休業だった””ということにしようと、友人と示しあわせて自分を納得させる。
休憩のあとは、目的を一通りこなしていたので、当てもなくふらつく。木村屋に立ち寄ってあんぱんを買ったり、ロフトを上から下まで眺めたり。新年の目標のひとつに「お弁当を持参して会社にいく♡」があるので、気分のアガるお弁当箱でも買うぞと思っていたんだけど、運命の出会いがなかった。
閉店の19時ギリギリまでロフトを冷やかして、そそくさ退散。丸ノ内線のホームで友人とばいばい。
あした友人たちが同棲を始めた新居へ遊びにいくので、なにか差し入れでもと思って池袋のデパ地下をぐるぐる回っていたんだけど、目ぼしいものを見つけられないまま閉店時間にて追い出される。このままだとネタとして言ったら受け入れられてしまった「パーティクラッカー🎉」をまじで持参することになる。もうそれで良い気がしている。
歩き足りなくて、なんの目的もなく、池袋の南から北に出て、東口の公園へ抜けた。ナンパに3回遭う。アークロイヤルをふかしながら女を口説くお兄ちゃん、癖が強い。
21時少し前くらいに帰宅し、アイスクリームを食べながら、同居人とこたつに入ってテレビを見て、気付けばもう夜も深い。洗濯物を干して、少し本を読んだら、寝ようと思う。
2021年の読書初めは、こちらになります。
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apartment315 · 3 years ago
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groyanderson · 4 years ago
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ひとみに映る影シーズン2 第二話「高身長でわんこ顔な方言男子」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
☆キャラソン企画第二弾 青木光「ザトウムシ」はこちら!☆
དང་པོ་
 時刻は十四時三十分。MAL五八便が千里が島に到着してから既に五分以上経過した。しかし乗客はなかなか立ち上がれない。体調を崩して客室乗務員に介抱される人や、座席備え付けのエチケット袋に顔を突っ込んでいる人も見受けられる。機内に酸っぱい臭いが充満してきたあたりでようやく、私達したたびチームを含め数人がフラフラと出口に向かった。  機体と空港を繋ぐ仮設通路は『ボーディングブリッジ』というらしい、という雑学を思い出しながらボーディングブリッジを渡る。ある先輩俳優がクイズ番組でこれを『ふいごのトンネル』と珍回答して笑いを取っていたけど、なるほど確かにこれはふいごのトンネルだ。実際に歩きながら、言い得て妙だと感じた。  空港に入って最初に目についたベンチに佳奈さんが横たわった。ドッキリ企画の時から着っぱなしだったゴシックタキシードのボタンを外し、首元のヒラヒラしたスカーフで青い顔を拭う。 「うぅ、吐きそう……もらいゲロかも……」 「おいおい、大丈夫ですかぁ? トイレまで歩けます?」  一方ケロッとしているタナカD。口先では心配しているような言い草だけど、ちゃっかりカメラを回し始めた。 「やめろー撮るなぁー! ここで吐くぞー……うぅるぇっ……」 「ちょっと、冗談じゃなく本当に吐きそうじゃないですか! 大惨事になる前にトイレ連れてってきます」  私は佳奈さんに肩を貸してトイレへ向かう。タナカDの下品な笑い声が遠のいていった。洋式の個室で彼女を降ろし、自分も二つ隣の空いている洋式個室に入る。チャンスだ。まず壁にかかったスイッチを押し、滝音と鳥のさえずりが合わさったエチケット音声を流す。次にトートバッグから小さなクナイ型の物を取り出す。これは『プルパ龍王剣(りゅうおうけん)』という密教宝具だ。私が過去に浄化した悪霊を封じこめてあり、そいつから何時でも力を吸い出す事ができる。 「オム・アムリトドバヴァ・フム・パット」  口を閉じたまま、他人に聞こえるか聞こえないかギリギリの声で真言を唱える。すると、ヴァンッ! プルパは私から黒々とした影を吸い上げ、龍を刺し貫いた刃渡り四十センチ程のグルカナイフ型に変形した。 「う……うぅ……」  プルパに封印された悪霊、金剛倶利伽羅龍王(こんごうくりからりゅうおう)が呻き声を漏らす。昔こいつは人を呪ったり、神様の振りをして神社を乗っ取ったり、死んだ人の魂を監禁して怨霊に育てたりと悪行の限りを尽くしていた。ご立派な名前に似合わず、とんでもない奴だ。 <機内での騒動を聞いていたな。あの毛虫みたいな化け物は何だ?>  影を介したテレパシーで、私は威圧的に倶利伽羅に囁く。ついでに壁のボタンを押し直し、エチケット音を延長。 「ア……? 俺様が知るわけがぼがぼぼごがぼごがガガガ!?」  しらばっくれようとした倶利伽羅の顔を便器に沈めて水を流した。 <どこからどう見てもお前と同類だったろうが! その縮れた灰毛、歯茎じみて汚い皮膚、潰れた目! もう一度問う。あれは何だ?> 「げ、っほ、うぉ゙ほッ……! あ、あれは散減(ちるべり)……『母乳を散り減らせし虫』……」 <母乳?> 「母乳とは……親から子へ引き継がれる、『血縁』のメタファーだ。母乳を奪えば子は親の因果を失い……他人の母乳を飲ませれば、子とその相手は縁で結ばれる」  縁。そういえば千里が島の旧地名は散減島で、縁切りパワースポットだったか。あの怪物、散減は、どうやらその伝承と関係があるようだ。それにしても、 <ならその散減とお前には如何なる縁がある? またお前を生み出した金剛有明団(こんごうありあけだん)とかいう邪教の仕業か> 「知らん! だいたい貴様、そうやって何でもかんでも金剛のせいにがぼろごぼげぼがぼげぼろこゴゴポ!!?」  流水。 <資源の無駄だ。節水に協力しろ> 「ゲッ、ゲエェーーッ! ゲホガホッ! 本当に知らな」 <それとも次は和式の水を飲みたいか> 「知らないっつってんだろぉ!! 確かに散減も母乳信仰も金剛の叡智だ。だがそれをこの田舎島に伝来したのは誰か知らん! 少なくとも俺様は無関係だ!!」  残念だけど、こいつ��ら聞き出せる情報はこの程度のようだ。私は影の炎で倶利伽羅を熱消毒して、洗面台でプルパと自分の手を洗った。 「ぎゃああああ熱い熱い!! ぎゃああああああ石鹸が染みるウゥゥ!!」  霊的な炎にスプリンクラーが反応しなくて良かった。  ベンチに戻ると、佳奈さんは既に身軽なサマードレスに着替えていた。脱水防止に自販機でスポーツドリンクを買い、大荷物を待っていると、空港スタッフの方が私達のスーツケースを運んできてくれる。 「ようこそおいでなすって、したたびの皆さん。快適な空の旅を?」 「いやあ、それがとんでもない乱気流に入っちゃいましてね。だぶか墜落せずにここまで運んでくれた機長さんは凄いですなぁ」 「乱気流が! ははぁ、そいつぁコトだ。どうか島ではごゆっくり」  尻切れトンボな口調でスタッフの方がタナカDと会話する。これは『南地語(なんちご)』と呼ばれる、江戸の都から南方にあるこの島特有の方言だ。『~をしましたか?』が『~を?』、『~なのです』が『~ので』、といった調子で、千里が島の人は語尾を省略して喋るんだ。 「佳奈さん、私南地語を生で聞くの初めてです。なんだか新鮮ですね」 「千里が島スタイルでは南地語(なっちご)って読むんだよ」 「へえ、沖縄弁がうちなーぐちみたいな物なので?」 「そうなので!」 「「アハハハハ!」」  二人でそれらしく喋ってみたけど、なんかちょっと違う気がする。案外難しい。それより、佳奈さんがちょっと元気になったみたいで良かった。今日この後はホテルで企画説明や島の情報を聞くだけだから、今夜はゆっくり休んで、気持ちを切り替えていこう。
གཉིས་པ་
 空港出入口の自動ドアを開いた途端、島のいやに生ぬるい潮風が私達を出迎えた。佳奈さんがまた気分を悪くしそうになり、深呼吸する。私も機内の騒動で平衡感覚がおかしくなっているからか、耳鳴りがする。 「ともかくお宿に行きたいな……」  そう独りごちた矢先、丁度数台の送迎車がバスターミナルに列をなして入ってきた。特に目立つのは、先頭を走るリムジンだ。白く輝く車体はまるでパノラマ写真のように長い。 「わぁすっごい! 東京からテレビが来たってだけあって、私達超VIP待遇されてる!」 「いえ、佳奈さん、あれは……」  ところがリムジンは大はしゃぎする佳奈さんを素通り。入口最奥で待機していた河童の家一団の前に停車する。すかさず助手席からスーツの男性がクネクネしながら現れ、乗降ドア前に赤いカーペットを敷き始めた。 「どうもどうもぉ、河童の家の皆様! 私めはアトムツアー営業部の五間擦(ごますり)と申します。さあさ、どうぞこちらへ……」  アトムツアー社員は乗車する河童信者達の列に跪いて靴を磨いていく。全員が乗りこむと、リムジンはあっという間に去っていった。 「……あーあ。やっぱ東京のキー局番組じゃないってバレてたかぁ~。リムジン乗りたかったなぁ」 「ただの神奈川ローカルですからね、私達」 「こう言っちゃなんですけど、さすがカルト宗教はお金持ってますなあ」 「タナカさん、今の台詞はカットしなきゃダメですよ」 「あっ一美ちゃん! 私達の、あっちじゃない?」  リムジン後方から車間距離を空け、一糸乱れぬ隊列を組んだバイク軍団が走ってくる。機体はどれも洗練されたフォルムの高級車で、それに乗るライダー達も全員眩しくなるほど美少年だ。 「「「千里が島へようこそ、お嬢様方! アトムツアー営業部ライダーズです!」」」  彼らは私達の目の前で停車すると、上品なダマスク柄の相乗り用ヘルメットを取り出し白い歯を見せて微笑んだ。 「えーっ、お兄さん達と二ケツして行くって事!? やーんどうしよ……」  佳奈さんがデレデレと伊達眼鏡を外した瞬間、 「きゃー!」「ライダー王子~!」「いつもありがとぉねぇー!」  加賀繍さんのおばさま軍団が黄色い悲鳴を轟かせ、佳奈さんを突き飛ばしてイケメンに突進! 一方イケメンライダーズは暴れ牛をいなす闘牛士の如く、キャーキャー飛び跳ねるおばさま達にテキパキとヘルメットを装着し、バイクに乗せていく。ところがおばさま軍団の殿を堂々たる態度で歩く加賀繍さんは、彼らを見るや一言。 「ヘン。どれもこれも、モヤシみたいのばかりじゃないか。コールもろくに出来なさそうだねぇ」  イケメンライダーズには目も合わそうとせず、一番大きなバイクにどかっと着席。バイク軍団は颯爽とリムジンを追いかけていくのだった。 「……あーあぁぁ。やっぱ小心者モデルじゃイケメンバイクはダメかぁ~」 「腹黒極��ロリータアイドルじゃダメって事ですねぇ」 「加賀繍さんも稼いでるもんなあ。コールですって、きっとホスト狂いですよぉあの人」 「タナカD、その発言OA(オンエア)で流したら番組打ち切りになるよ」  三人で管巻いていると、少し間を置いて次の送迎車が現れた。トココココ……と安っぽいエンジン音をたてて走る小型シャトルバスだ。私としては別に河童の家や加賀繍さん方みたいな高級感はいいから、さっさとホテルで休ませて欲しい。ランウェイを歩いていた午前中から色んな事が起こりすぎて、もうヘトヘトなんだ。「あ、あの……」しかしバスは残酷にも、私達の待つ地点とは反対側のロータリーに停車。玲蘭ちゃんと後女津一家を乗せて去っていった。「あの、もし……」小さくなっていく『アトムツアー』のロゴに、佳奈さんが中指を立てた。私もそれに倣って、親指を 「あの! お声かけても!?」 「ふぇ!? あ、は、はい!」  声をかけられた事に気がつき振り返ると、背の高い男性……を通り越して、日本人離れした偉丈夫がいつの間にか私達の背後に立っていた。しかも恐縮そうに腰を屈めているから、まっすぐ立ったら少なくとも身長二メートル以上はありそうだ。 「遅くなっちまって失礼を。僕は千里が村役場観光事業部の、青木光(あおきひかる)です。ええと、したたびさんで?」 「ええ。しかし、君が青木君かい!? 大きいなあ、あっはっは!」  タナカDが青木さんの胸のあたりをバシバシと叩いた。青木さんはオドオドと会釈しながら後込む。身体が大きいから最初は気がつかなかったけど、声や仕草から、彼は私と同い年か少し年下のようだとわかる。 「あ、あのォこれ、紅さんがいつも髪にチョークされてるので、僕も髪色を。ど、どうです……派手すぎで?」 「あ、ヘアチョークご自分でされたんですか? すごくお似合いですよ!」 「い、いえ、床屋のおばちゃんが! でも……お気に召したなら、良かったかもだ」  青木さんは全体をホワイトブリーチした目隠れセミロングボブを、毛先だけブルーにしている。今日は私も下半分ブルーだからおそろいだ。ただ、このヘアメイクに対して彼の服装はイマイチ……素肌に白ニットセーター直着、丈が中途半端なベージュカーゴパンツ、ボロボロに履き古された中学生っぽいスニーカー。確かに、『都会からテレビが来るから村の床屋さんが髪だけ気合い入れすぎちゃった』みたいな情景がありありと目に浮かんでしまう。もうロケそっちのけで青木さんを全身コーデしたくなってきた。 「それより青木君、私達の車は?」  佳奈さんが荷物を持ち上げる。 「え。いえその、言いにくいんですけど……」  青木君は返答の代わりに、腕を左右にスイングしてみせた。まさか…… 「徒歩なんですか!?」 「すす、すみません、荷物は僕が! 役場もコンペに予算とか人員を削がれちまって、したたびさんのお世話は僕一人などと。けど僕、まだ仮免だから……」 「「コンペ?」」  首を傾げる佳奈さんとタナカD。私は飛行機内で聞いた除霊コンペティションの話をかいつまんで説明した。 「困るよぉそれ! 除霊されたらこっちの撮れ高がなくなるじゃんかよ!」 「ゲ、やっぱり! 聞いて下さい青木さん。この人達、宝探し企画とか言っておきながら、本当は私を心霊スポットに連れて行く気だったんですよ!?」 「ええっ肝試しを!? 島のお化けはおっとろしいんだから、それはちょっとまずいかもけど!」  目隠れ前髪越しでもわかるほど冷や汗を流しながら、青木君は赤べこみたいにお辞儀を繰り返す。 「そら見なさい、触らぬ神に祟りなしですよ。私達だけ徒歩になったのだって、きっと罰が当たったんだ」 「そーだそーだ! 青木君に謝れタナカD!」 「なんだと? あなただって紅さんを地上波で失禁させるって息巻いてたじゃないか!」 「佳奈さん!!」 「そこまでは言ってないし!」 「ややや、喧嘩は!」 「あ、気にしないで下さい。私達これで平常運転ですから」  この罵り合いはホテルに到着するまで続く。したたびロケではいつもの事だ。私達は良く言えば��憚なく話し合える仲だし、悪く言えば顔を合わせる度に言葉の殴り合いをしている気がする。それでも総括的には……仲良しなのかな、どうなんだろう。  空港からホテルへは、石見サンセットロードという遊歩道を行く。海岸沿いの爽やかな道とはいえ、心霊スポットという前情報のせいか海が陰気に見える。船幽霊が見えるとかそういう事はないけど、島の人も霊も全く外を出歩いていなくてだぶか不気味だ。  到着した『ホテル千里アイランドリゾート』はそこそこ広くて立派な建物だった。それもそのはず。青木さんによると、ここは島で唯一の宿泊施設だという。但し数ヶ月後には、アトム社がもっと大規模なリゾートホテルを乱造するんだろう。玄関に到着すると、スタッフの方々が私達の荷物を運びに…… 「って、玲蘭ちゃんに斉一さん!?」 「あっ狸おじさんだ! ……と、誰?」  そうか、普段メディア露出をしない玲蘭ちゃんを佳奈さんは知らないんだった。 「この方は金城玲蘭さん、沖縄の祝女……シャーマンですね。私の幼馴染なんです」 「初めまして志多田さん、タナカさん。金城です。こちらの彼は……」  玲蘭ちゃんが話を振る直前、斉一さんの中にさりげなく、ドレッド狸の斉二さんが乗り移るのが見えた。代わりに斉一さんらしき化け狸が彼の体から飛び出し、 「どうも、ぽんぽこぽーん! 幸せを呼ぶ地相鑑定士、毎度おなじみ後女津斉一です!」  彼はすっかりテレビでお馴染みの風水タレントの顔になっていた。芸能界で活躍していたのはやはり斉二さんだったみたいだ。 「あの、どうしてお二人が?」  客室へ向かいながら私が問いかけると、二人共苦笑する。 「一美、実は……私達、相部屋だったんだ」 「え!?」  すごすごと玲蘭ちゃんが襖を開けると、そこはまさかの宴会場。河童の家や加賀繍さん達で客室が埋まったとかで、したたびチームと玲蘭ちゃん、後女津家が全員大部屋に押しやられてしまったのだという。 「はぁ!? じゃあ私達、川の字で雑魚寝しなきゃいけないワケ!? 男女分けは……まさか、えっこれだけ!?」 「すみません、すみません!!」  佳奈さんが宴会場中央の薄っぺらい仕切り襖を開閉するリズムに合わせ、青木さんはベコベコと頭を下げる。 「やめましょうよ佳奈さん、この島じゃ誰もアトムには逆らえないんですから」 「ぶっちゃけ俺や金城さんも、半ばアトムに脅迫される形でここに連れてこられたんだよねぇ……あ、これオフレコで」 「いやいや狸おじさん、もう全部ぶっちゃけたっていいんですよ。うちのタナカが全責任を負って放送しますから」 「勝手に約束するんじゃないよぉ! スーパー日本最大手の大企業に、テレ湘なんかが勝てるわけないんだから!」 「「「はあぁぁ……」」」  全員から重たい溜め息が漏れた。
གསུམ་པ་
 簡単な荷物整理を終え、したたびチームはロビーに移動。改めて番組の企画説明が始まった。タナカDが三脚でカメラを固定し、語りだす。 「今回は『千里が島宝探し編』。狙うはもちろん、徳川埋蔵金ですからね。お二人には明後日の朝までに、埋蔵金を探し出して頂きます」 「見つからなかったらどうなるんですか?」 「いつも通り、キツい罰ゲームが待っていますよぉ」 「でしょうねぇ」  埋蔵金なんか見つかりっこないのは分かりきっている癖に。完全に出来レースじゃないか。 「もちろん手掛かりはあるよ」 佳奈さんが机に情報フリップを立てかけた。書かれているのは簡略化された千里が島地図だ。 「山の上にあるのが噂の縁切り神社、『御戌神社(おいぬじんじゃ)』。そこから真下に降りたところ、千里が島国立公園のところに書いてあるこのマークが『ザトウムシ記念碑』。一美ちゃんは、民謡の『ザトウムシ』は知ってるよね?」 「もちろん知ってますよ。お店で閉店前によく流れる曲ですよね? あれって千里が島の民謡なんですか」 「そうなの。そしてザトウムシの歌詞は、一説によると徳川埋蔵金のありかを示す暗号だと言われてるんだ!」 「へえ、そうなんですね。じゃあ暗号は解けてるんですか?」 「それはこれから考えるんだよ」 「はぁ……」  なんだか胡散臭い手掛かりだ。 「だいたい、埋蔵金なんて本当にあるんですか? そもそも、千里が島と徳川幕府に関係性が見えないんですが」 「じゃあまずは千里が島の歴史を知るところからだね。青木君ー!」 「はい、ただいまー」  佳奈さんが呼びかけると、大きなホワイトボードを引きずりながら青木さんが画角内に入る。実はさっきから、彼は私達の真横でずっとスタンバイしてくれていたんだ。青木さんはホワイトボードにゴシック体みたいな整った字で『千里が島と徳川家の歴史』と書き、解説を始めた。  千里が島、旧地名散減島。ここは元々江戸時代に都を脅かした怨霊を鎮めるためだけに開拓された地で、その伝説が縁切りや埋蔵金の噂に繋がる起源なのだそうだ。  事の発端は一六七九年。徳川幕府五代将軍、徳川綱吉が男の子を授かった。名を徳松という。しかし徳松は一歳を過ぎても母乳以外なにも飲み食いできず、見るからに虚弱だった。これを訝しんだ綱吉が時の神職者に相談してみると、徳松は江戸幕府征服を目論む物の怪によって、呪われた悪霊の魂を植え付けられていたと判明する。 「物の怪は徳松の体のミルクから、縁を奪ってたんですだ」 「ミルクから……縁?」  既に倶利伽羅から軽く説明を受けていたけど、番組撮影のためにも改めて青木さんから話を聞く。 「昔の伝承じゃ、おっかさんのミルクにゃ親子の縁が宿るなど。ミルクをとられた子は親と縁が切れて、バケモノになっちまうとか。だから徳松は、本能的にいつまでもミルクを」 「へえ、そういう信仰があったんですね」  神職者が提示した儀式は、三歳、五歳、七歳……と二年毎に分けて行われる。魂が完全形成される前の三歳の時に悪霊を摘出し、代わりに神社の聖なる狛犬の魂を素材として魂を作り直す。五歳になったら身を守るための霊能力を与えて修行を積ませ、七歳で悪霊退散の旅に向かわせる。それが幕府と神職者が本来描いていた運びだった。 「ちなみにこれが七五三参りの起源なんだよ……だがしかしィーっ!」  佳奈さんがフリップに貼ってある付箋を勢いよく剥がす! 「デデン! なんと徳松は五歳で死んでしまうのです!」 「えぇ? 七五三参りの起源になった子なのに、七歳まで生きられなかったんですか!?」 「まあ現在の七五三参りは、男の子は五歳しかお参りしませんけどね」  タナカDが画面外から補足した。徳松は修行の途中物の怪に襲われ、命を落としてしまったんだ。それでも彼は物の怪を体内に封印し、二年間耐え抜いた。しかし物の怪は激しく縁に飢え、徳松の精神をじわじわと狂わせる。そして一六八五年、人の縁を完全に失った徳松の魂は大きな狛犬のような怨霊となって江戸中の縁を貪った。徳松に縁を食われた人々は不幸にみまわれ、家族や仕事を失ったり、人間性を欠きケダモノめいて発狂したりと大パニックだ!  ついに諦めた幕府と神職者は、徳松を江戸から追い出してしまう。彼らは江戸中の女性から母乳を酒樽一斗分集め、それを船に乗せて江戸から遥か南の無人島に運んだ。徳松も船を追って海を渡ると、そのまま神職者は島に神社を建て、徳松の魂を神として奉った。以降徳松は悪縁を食べてくれる縁切り神として有名になり、千里が島は今日も縁切りパワースポットとして名を馳せているんだそうだ。 「では一美ちゃん、ここでクイズです! 怨霊事件から更に二年後、一六八七年。怨霊がいなくなった後も徳松の祟りを思い出してノイローゼになっていた綱吉は、ある法律を制定しました。それはなーんだ?」 「え、法律!?」  急に佳奈さんがクイズを振ってきた。歴史は得意でも苦手でもない方だけど…… 「ええぇ、徳川綱吉で法律といえば、生類憐れみの令ぐらいしか……」 「ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん!!」 「え、生類憐れみの令でいいんですか!?」 「その通り! 綱吉は犬畜生を見る度に徳松を思い出してしまう! そして祟りを恐れて動物を殺さないように法律を作った。それが生類憐れみの令の真実なのだあ!!」  ババババーン! と、オンエアではここで安っぽい効果音が入るのが想像に難くない。しかし七五三参りだけでなく、あまつさえ生類憐みの令まで徳川徳松が由来だったなんてさすがに眉唾な気がする。 「徳松さんってそんなに歴史的に重要な人だった割には、あまり学校じゃ習わないですね」 「今青木君と佳奈さんが説明した伝承は、あくまで千里が島に伝わる話ですからな。七五三も生類憐れみの令も、由来は諸説あるみたいですよ」  タナカDが蚊に食われた腕を掻きながら再び補足した。すると佳奈さんが反論する。 「でもだよ! もし千里が島の伝説が本当なら、法律にしちゃうほど当時の江戸の人達が徳松を恐れてたって事だよね! だったら幕府は、だぶか大事な物は千里が島に隠すと思うんだ。まさに埋蔵金とか!」 「うーん、百歩譲ってそうだったとしても、それで私達が埋蔵金を見つけて持って行っちゃったら、徳松さんに祟られませんか?」 「もー、一美ちゃんは相変わらずビビりだなあ。お化けが怖くて埋蔵金がゲット出来るか��!」 「佳奈さん。そんな事言ってると、いつか本当にとんでもない呪いを背負わされますよ」 「その子の言う通りさね」 「え?」  突然、誰かがトークに割り入ってきた。私達が顔を上げると、そこにいたのは加賀繍さんと取り巻きのおばさま軍団。なんてことだ。恐れていた展開、ついにアサッテの霊能者に絡まれてしまった。
བཞི་པ་
 ホテルロビーの椅子と机はフロントより一段低い窓際に位置する。フロント側に立つ加賀繍さんとおばさま方に見下ろされる私達は、さながら熊の群れに追い詰められた小動物のようだ。 「あんた、志多田佳奈だっけか? いい歳して幼稚園児みたいな格好して、みっとみないね。ご先祖様が泣いてるよ」 「ですよねぇ先生、大人なのに二っつ結びで」「嫌ーねー」  初対面で早々佳奈さんを罵る加賀繍さんと、それに同調するおばさま軍団。 「これはゴスロリっていうんですーっ」  佳奈さんがわざとらしく頬を膨らませた。こんな時でもアイドルは愛想を振りまくものだ。 「ゴスロリだかネンネンコロリだか知らないけどね。あんた、ちゃんとご先祖様の墓参りしているのかい? この島は特別な場所なんだから、守護霊に守って貰わなきゃあんた死ぬよ。それこそネンネンコロリだ」  出た、守護霊。日頃お墓参りを怠っていると、ご先祖様が守護霊として仕事をしなくなり不幸になる。正月の占い番組でよく聞く加賀繍さんの常套句だ。更に加賀繍さん直営の占い館では、忙しくてお墓参りに行けない人に高価なスピリチュアルグッズを売りつけているという噂だ。現に今も、おばさま方が怪しい壺やペットボトルを持って、私達をじっとりと見つめている。 「それから、そっちの黄色いの。あんたはちゃんとしてるのかい?」  黄色いの? ……ああ、アイラブ会津パーカーが黄色だから私の事か。佳奈さんは芸名で呼ばれたのに、ちょっと悔しい。 「定期的に帰ってますよ。家のお仏壇にも毎日お線香をあげてますし」  実家では、だけど。ここは彼女を刺激しないようにしたい。 「ふぅんそう。けどそれだけじゃあ、この島じゃ生きて帰れないだろうさ。仕方ないね、今回はあたしが特別にエネルギーを分けてやるよ」  そう言い加賀繍さんは指を鳴らす。するとおばさま方が私達のテーブルからフリップや資料を勝手にどかし、怪しい壺とペットボトル、銀のボウルをどかどかと並べ始めた! 慌ててタナカDが止めにかかる。 「ちょっと、加賀繍さん! 困りますよぉ、撮影中です!」 「はあ? 困るですって!?」 「あなた! 加賀繍先生が直々に御力添えして下さるのを、まさか断るってんじゃないでしょうね?」 「あ、いえ、とんでもございません」 「もー、タナカD~っ!」  しかしおばさま方に気圧されてあっさりと机を譲ってしまった。佳奈さんがタナカDの頭をペチッとはたいた。おばさまの一人がペットボトルを開け、ボウルに中身を注ぎ始める。ボトルには『悪鬼除滅水』という何やら物騒な文字が書かれている。横で加賀繍さんも壺の蓋を開ける。何か酸っぱいにおいが立ちのぼり、佳奈さんが私にしがみついた。 「エッヤダ怖い。あの壺、何が入ってるの!?」  小声で佳奈さんが囁く。加賀繍さんはその壺に……手を突っ込んでかき混ぜ始めた! グシュ、ピチャ、ヌチチチチ。まるで生肉か何かを攪拌しているような不気味な音がロビーに響く。 「やだやだやだ! 絶対生モノ入ってる! まさか、ご、ご、ご先祖様の……ご、ご、」 「ご遺体を!? タナカさん、カメラ止めにゃ!」  気がつくと青木さんまで私にしがみついて震えていた。かく言う私はというと、意外と冷静だ。あの壺や水からは、なんら霊的なものは感じない。強いて言うなら加賀繍さんご本人の中に誰かが宿っている気がするけど、眠っているのか気配は薄い。それより気になるのは、ひょっとしてこの酸っぱいにおいの正体は…… 「ぬか漬け、ですか?」 「そうさ」  やっぱり! 加賀繍さんは壺から人参のぬか漬けを取り出し、ボウルの悪鬼除滅水でぬかを洗い落とした。 「あたしん家でご先祖様から代々受け継がれてきたぬか床さ。これを食えばあんたらも家族と見なされて、いざという時あたしの強力なご先祖様方に守って貰える。ほら、食え」  加賀繍さんが人参を佳奈さんに向ける。でも佳奈さんは受け取るのを躊躇った。 「うわぁ、せ、先祖代々って……なんか、それ大丈夫なんですか?」 「なんだって!?」 「ひい!」 「し、しかしですねぇ加賀繍さん、お気持ちは有難いんで大変申し訳ないんですが、演者に生ものはちょっと……」 「カメラマン、あんたも食うんだよ」 「僕もですか!? いえ、僕はこないだ親戚の十三回忌行ったばっかだから……」 「美味しい!」 「一美ちゃん!?」「紅さん!?」  誰も手をつけないから私が頂いてしまった。これは普通に良い漬物だ。塩気や浸かり具合が丁度よくて、野菜がビチャッとしていない。ぬか床が大切に育てられている事がよくわかる。 「美味しいです加賀繍さん! 福島のおばあちゃんの漬物を思い出しました。佳奈さんも食べてみればいいじゃないですか」 「一美ちゃん案外勇気あるなあ……。じゃ、じゃあ、いただきます……エッ美味しい!」 「でしょ?」 「はははははっ!」  私は初めて、ずっと仏頂面だった加賀繍さんがちゃんと笑う所を見た。 「あんたは本当にちゃんとしているんだね、黄色いの。よく墓参りをする人は、親や祖父母の実家によく帰るだろ。だから家庭の味ってやつをちゃんと知っている。人にはそれぞれ家族やご先祖様がいて、それが良縁であれ悪縁であれ、その人の人生を作るのさ。だから墓参りはしなくちゃいけないんだよ。この島の神様は縁を切るのが仕事のようだけど、あたしゃ自分に都合の悪い縁を切るなんて愚かだと思っているのさ」 「そうなんですね。ちなみに私、紅一美です。覚えて下さい」 「あ? 紅? じゃあ何でそんなに黄色いんだい。今日から黄色ちゃんに改名しな! ハハハハ!」  どうやら私は加賀繍さんに気に入られたようだ。地元を引き合いに出したのが良かったみたいだ。それにしても、彼女の話はなかなか説得力がある。どうする事もできない悪縁を切るために神様を頼るのが間違っているとまでは思わないけど、そうする前に自分のご先祖様や恩人との縁を大切にする方が大事なのは明白だ。彼女がアサッテだからって偏見の目で見ていた、さっきまでの自分が恥ずかしくなった。ところが…… 「じゃあ、これ御力添え代ですわ。ほい」 おばさま方の一人がタナカDに請求書を渡す。するうちタナカDは「フォッ」と声にならない音を発し、冷や汗を流し始めた。あの五百ミリリットルサイズの悪鬼除滅水ボトルに『¥三,〇〇〇』と書かれたシールが貼ってあった気がするけど、人参のぬか漬け一本は果たしていくらなんだろう。それ以外にも色々な手数料が加算されているんだろうな……。 「加賀繍さんにパワーを貰えてラッキー! 果たして埋蔵金は見つかるのか!? CMの後、急展開でーす! はいオッケーだね、じゃ私トイレ!」  佳奈さんは息継ぎもせず早口でまくし立て、脱兎のごとくホテル内へ去っていった。 「あっコラ極悪ロリータ! 勝手に締めて逃げるなぁ!!」 「青木さん、私ぬか漬け食べたらお茶が飲みたくなっちゃったなー!」 「でしたらコンビニなど! ちぃと遠いかもけど、ご案内を!」 「おい青木と黄色! この裏切り者ーーーっ!!」  私と青木さんもさっさと退散する。まあタナカさんには、演者への保険料だと思って何とかして欲しいものだ。でも私は内心、これで番組の予算が減れば今後大掛かりなドッキリ演出が控えられるだろうと少しほくそ笑んでいた。
ལྔ་པ་
 新千里が島トンネルという薄暗いトンネルを抜けた所に、島唯一のコンビニ『クランマート』があった。アトム系列の『プチアトム』ではなくて良かった。私はカフェインが苦手だから紙パックのそば茶を選び、ついでに佳奈さんへペットボトルのピーチサイダーを、タナカDへは『コーヒーゼリー味』と書かれた甘そうな缶コーヒーを購入した。青木さんも私と同じそば茶、『おおきなおおきなエビカツパン』、梅おにぎりを買ったようだ。青木さんが持つエビカツパンは、なんだかすごく小さく見えた。  外は既に夕日も沈みかけて、夕焼け空が夜に切り替わる直前になっていた。黄昏時……そういえば、童謡『ザトウムシ』の歌い出しも『たそがれの空を』だったな。私はコンビニ入口の鉄手すりに腰掛け、先程タナカDから渡されたペラペラのロケ台本をめくる。巻末の方に歌詞が書いてあったはずだ。するとタイミング良く、クランマートからも閉店ミュージックとしてザトウムシが流れ始めた……。
【童謡 ザトウムシ】  たそがれの空を  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく  ふらついた足取りで  ザトウムシ歩いてく
 水墨画の世界の中で  一本絵筆を手繰りつつ  生ぬるい風に急かされて  お前は歩いてゆくんだね
 あの月と太陽が同時に出ている今この時  ザトウムシ歩いてく  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
 おうまが時の門を  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく  長い杖をたよって  ザトウムシ歩いてく
 何でもある世界の中へ  誰かが絵筆を落としたら  何もない灰色を裂いて  お空で見下ろす二つの目
 ああ月と太陽はこんなに出しゃばりだったのか  ザトウムシ歩いてく  ザトウムシ ザトウムシ歩いてく
「改めて読むと、確かに意味深な歌詞だな……」  私が独りごつと、隣の鉄手すりに座ってエビカツパンを咀嚼していた青木さんが口を拭った。 「埋蔵金探しは、したたびさんより前にも何度���。大体皆さんザトウムシ記念碑からスタートされて、『ザトウムシ』という歌詞の数だけ歩くとか、夕焼けの時間にどっちの方角を向くなどと……。けど、それらしい物が見つかったのは一度もだ」 「そうなんですね」 「そもそもどうしてザトウムシを……徳松さんに縁があるのって、どちらかと言えば犬では? けど何故か、島ではザトウムシを特別な虫だなどと」 「言われてみれば、生類憐みの令といえばお犬様! ってイメージがありますね。……ていうか、なんか、すいません。余所者のテレビ局が島のお宝を荒らすような真似して、島民の青木さんはいい気持ちしないですよね」 「そ、そ、そんな事! だぶか!」  青木さんは慌てた様子で私の方を向き座り直した。 「僕は嬉しいんだから! だって今まで、おっとさんらは島のこと僕に何も教えてくれないし、何もさせてくれなくて。けど今回は、社会人として初めて仕事を任されたので……ので……」  緊張したような様子で青木さんの姿勢が丸まる。コンビニから流れるザトウムシのメロディに一瞬振り返った後、彼はパンの袋を両手で抱えて更に縮こまった。 「……僕だって縁切りやお化けなんか、ただの迷信と。だけどこの島の人は実際、内地に比べてよそよそしいかもだ。何も言わず友達が引っ越してたり、親戚がいつの間にかおっ死んじまってたりなど……。それで内地の人と関われる役場の観光課に入ったのに、アトムさんがリゾート開発おっ始めて公務員は御役御免。僕は島に縁を切られたので?」 「青木さん……」  私も会津の田舎町で育ったから、彼の気持ちはわかる。狭いコミュニティに住む人々は、距離が近いようで時にとても排他的になるものだ。それは多かれ少なかれ互いを監視し、情報共有し合っているから当たり前の事だけど、縁切りで有名なこの島は特にそういう土地柄なのかもしれない。 「したたびさんのおかげで、やっと僕にバトンが回ってきたんだから。僕達で絶対埋蔵金を見つけにゃ。それで島のおっとさん方もアトムも、お化けも霊能者の先生方も……」  青木さんは腰を上げ、猫背をやめて私の前にまっすぐに立った。 「僕達の縁で、みんなを見返してやるんですだ!」  その瞬間、風が彼の重たい前髪をたくし上げた。彼の子犬みたいな笑顔を見た私は初めて、以前雑誌のインタビューで適当に答えた『好きな男性のタイプ』と青木さんが完全に一致している事に気がついたのだった。
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sewology-blog · 7 years ago
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Japanese Sewing Pattern Translations
Measurements: 作り始める前に - つくりはじめるまえに(tsukurihajimerumaeni) - before you begin making バスト basuto - bust ワイスト uesuto - waist ヒップ hippu - hip 背丈 - せじょう(sejyou) - back measurement 腰丈 - こしじょう(koshijyou) -measurement from navel to hipline 身幅 mihaba - width at main section 着丈 kitake - length 袖丈 sodetake - sleeve length 肩幅 katahaba - shoulder width General clothing : ボネット bonetto - bonnet   ヘッドドレス heddo-doresu - headdress/headpiece    リボン ribon - ribbon ネクタイ nekutai - necktie    ブラウス burausu - blouse    衿/カラー eri /karaa - collar    袖 sode - sleeve    ボタン botan - buttons    スカート sukaato - skirt    ジャンパースカート janpaa-sukaato - jumper (also seen JSK)  ワンピース wanpiisu (means "one-piece") - dress    ドロワーズ dorowaazu (means "drawers") - bloomers    パニエ panie - petticoat/pannier   靴下/ソックス kutsu-shita/sokkusu - socks    タイツ taitsu - tights        タンクトップ tanku-toppu - tank top    ベルト beruto - belt    靴 kutsu - shoes オーバーニーソックス oobaaniisokkusu - over the knee socks ブラウス burausu - blouse スカート sukaato - skirt ブーツ buutsu - boots キャミソール kyamisouru - camisole バッグ baggu - bag 靴下止め kutsushitatome - socks stoppers 小物 komono - accessories クラウン kuraun - crown コーム koumu - comb リング ringu - ring ボレロ borero - bolero タートルネック taatorunekku - turtleneck プルオーバー puruoobaa - pullover カーディガン kaadigan - cardigan ベレー beree - beret ブローチ burouchi - brooch ケープ keepu - cape プリンル parisoru - parisol 日傘ひがさ higasa - sun umbrella/parisol アンブレラ anburera - umbrella エプロン epuron - apron コルセット korusetto - corset   チョーカ chyouka - choker ブレスレット buresuretto - bracelet カチューシャ kachuusha - cloth covered headband (often Alice Bows) Tシャツ/カットソー Tshatsu, katto-sou - tshirt/cutsew  ベスト besuto - vest ジャケト  jaketo - jacket  Sewing terms: 作り方 tsukurikata - how to make (裁縫用)ミシン (saihou-you)mishin - sewing machine   ロックミシン rokku mishin - serger(lock machine) シャーリング shaaringu - shirring    ジグザグミシン jigujagu mishin - zigzag stitch 裾 suso - hem 見返し mi-kaeshi - facing 後 ato - back 前 mae - front  下 shita - bottom/under/beneath 上 ue - top/upper part 表/おもて omote - top side/front/ right side up/face up 裏/うら ura - reverse side/the back/wrong side 脇 waki - side/side seam 肩 kata - shoulder ラペル raperu - lapel ボタン穴 botan-ana - buttonhole ギャザー gyazaa - gather/gathering 切り込み kirikomi - make a cut/cut into    刺繍 shishuu - embroidery    ダーツ daatsu - dart     タック takku - pintucks(lit."tuck") はと目 hatome - grommets    バイアス/バイアステープ baiasu/baiasu teepu - bias(cutting on the bias, bias binding/tape)  - 縫い代 nui-shiro - seam allowance    段 dan - tier 糸巻き/ボビン ito-maki/bobin - bobbin       芯 shin - interfacing スナプ sunapu - snap    裏地/うらじ uraji - lining  前部 zenbu - the front (part) 背部 haibu - the back (part) 糸 ito - thread アイロン airon - iron コンシルファスナー konshirufasunaa - invisible zipper ゴムテープ gomuteepu - elastic 生地 kiji - fabric ヘム hemu - hem ひだ hida - a pleat, fold, crease, gather, tuck, frill, etc. カギホック kagihokku - eye and hook 綴じ toji - basting プリツ puritsu - pleats マジックテープ majikkuteepu - velcro フリル furiru - ruffle Fabrics   ツイル tsuiru - twill シフォン shifon - chiffon 絹/シルク kinu/shiruku - silk  毛(糸) ke - wool (in relation to fabric) レーヨン reeyon - rayon     レース reesu - lace 綿/コットン wata - kotton - cotton    ポリエステル poriesuteru - polyester ナイロン nairon - nylon ポリウレタン poriuretan - polyurethane   ベルベット berubetto  - velvet  別珍 becchin - velveteen オーガンジー ooganjii - organdy ジャカード jakaado - jacquard フェイクファー feikufaa - fake fur ポプリン popurin - poplin    ギンガム gingamu - gingham     タータンチェック taatan-chekku - plaid/tartan  デニム denimu - denim サテン saten - satin ブロード buroudo - broad チュール chyuuru - tulle ストライプ/ボーダ- sutoraipu/boudaa - stripes (sutoraipu is for fine stripes, wide stripes are "boudaa" for "border".) バックル bakkuru - buckles     ストラップ sutorappu - straps     接着芯のインターフェイス secchakushinintaafesu - fusible interfacing インターフェイス縫 intaafesuai - sew in interfacing 布 nuno - cloth 麻布 asanuno - linen 表布 uranuno - "surface/outside/outer" cloth 裏布 hyoununo - "inside" cloth (lining) Colors: 白  shiro - white 黒 kuro - black 赤 aka - red 生成り kinari - unbleached 桃色/ピンク momoiro/pinku - pink サックス sakkusu - light Blue オフ白 ofushiro - off-white 灰色 haiiro - grey クリム kurimu - cream Motifs/Designs/Etc. モチーフ mochiifu - motif 柄 gara - design/motif スタイル sutairu - style 窓 mado - window シャンデリア shandaria - chandalier プードル puudoru - poodle プリント purinto - print アップリケ appurike - applique フルーツタルト furuutsutaruto - fruit tart さくらんぼ/チェリー sakuranbo/cherii - cherry 苺/いちご/ストロベリー ichigo/sutoroberii - strawberry 甘い/あまい amai - sweet トランプ turanpu - trump (as in cards) うさぎ usagi - rabbit うさみみ usamimi - bunny ears プリンセス(姫) purinsesu(hime) - princess 天使 tenshi - angel 天使のはね tenshinohane - angel wings ハロウィン harouin - halloween ゴースト gousuto - ghost ピュア pyua - pure ブーケ buuke - bouquet シュガー shugaa - sugar クロス kurosu - cross 花 hana - flower ロース roosu - rose Misc. 福袋 Fukubukuro - Lucky pack ファッション fasshyon - Fashion さりげない/さり気ない/カジュアル sarigenai/kajyuaru - casual コーディネート koodineeto - coordinate 部分 bubun - portion 足首 ashikubi - ankle 洋服 youfuku - Western-style clothing オーバースカート oobaasukaato - overskirt オリジナル orijinaru - original 取り外し torihazushi - removable ポシェット poshetto - pochette
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uradouri-log · 5 years ago
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好きなシナリオ_過去ログ
2013~2016年頃にサイト移転前にメモしてたのを格納。 年代はうろ覚えです。 プライベッターに格納してしまってもいいかもしれない。
■ 好きなシナリオ シナリオ感想というより、好きなシナリオをただただ上げているだけのページ。 ユーティリティシナリオと店シナリオ以外は、ネタバレを避けるためコメントは少なめに。 通常、VIP、兄貴わりとごちゃまぜですのでご注意ください。(狂い、地雷はたぶんあまりあげてない、はず) ※各サイト管理人様へ。勝手にご紹介してすみません。ご迷惑でしたらご連絡ください。削除等の対応をいたします。随時更新。
◆好みな傾向(特に一番上。それ以外はあったら嬉しいな程度) ・PCメインで進行 ・口調設定有、口調対応有り ・PC同士の会話が多い ・PC同士の関係反映
◆少し苦手… ・NPCとの恋愛 ・PT内が非常に険悪になる
【はじめての方向け 】 ■チュートリアル ※一通りの遊び方を確認できます。 ■カードの世界 ※カードの使い方を実際に遊びながら確認できます。 ■ASKシナリオ ※公式サイト様のシナリオ。様々なシナリオでクロスオーバーされています。 ■さくっと寝る前カードワース ※良作の短編シナリオ詰め合わせ。
■制作者向け ※ありがたくも便利なテンプレートシナリオ(遊ぶのではなく、)WirthBuilderでこれをもとにシナリオを作ったりするのを目的に配布してくださっています。NEXT用と明記がないものは、当方はver1.50で動作確認しています。
■一人称・二人称自動設定リソース 一人称と二人称、そして口調自動設定処理まで実装されている寺雨さんのテンプレートシナリオです。口調設定の処理を組むときにすごく参考にさせていただいてます。 ■二人用テンプレートシナリ(NEXT用) 二人用シナリオを制作する上で、キャラクターの役割分担、口調分け設定、3人以上で入っても問題なく開始可能な処理まで実装されているサンガツさんのテンプレートシナリオです。
【ユーティリティ】 ※口調、性格、種族、嗜好とか自分のキャラに細かい設定ができます。 シナリオによって対応してたりしてなかったりしますが、自己満足できていいかも。 これ以外にも沢山公開されてます。 ただ、個人サイトに控えめにあげられてるのが多い。
■VC2 ※年齢、性別、特徴、口調、種族、職業、役割、恋愛関係設定可能。 これ以前に上げられているユーティリティシナリオのクーポン配布がまとめて出来るので、 このユーティリティシナリオである程度クーポンをPCに配布しておけば、にやっとできるかも。 (口調、種族、職業、役割、恋愛関係は特に。) ■初期クーポン編集 ※年齢、性別、特徴設定可能。 ■称号登録�� ※口調・職業・役割などに加え、酒豪・方向音痴といったフレーバー的なクーポンを配布するシナリオ。 ■VIP Wirthクーポン配布 ※口調、性格、嗜好とか。現在入手不可ですが↓のシナリオで一部のクーポンは入手可能。 ■宿の自室 ※一人称、二人称、口調、性格(例:知識人、ツンデレ/素直、大人/子供など) それとこの方の「一人称二人称自動設定リソース」がとても参考になるしありがたいです。 ■風聞の暗躍者 ※口調、性格、味覚、生い立ち、性癖、職業、役割等色々設定可能。かなり他種類のクーポンが配布できます。 ■夢クーポン配布所 ※冒険者達が抱く夢をクーポンで配布。PCの個性付けに。 ■アスカロン教会跡 ※冒険者の心の闇を付与するクーポン。PCの個性付けに。 ■冒険者の心得 ※これで配布されている「料理上手、料理下手、デスコック」 は他のシナリオで見かけたりします。デスコックいいよね!! ■非公式種族登録所 ※いろんな種族クーポンを設定できます。鑑定を使うと・・・?作者様のシナリオはこれら種族に対応してることが多いので、より楽しめますよ! ■Adventurer’s Spice ※特徴付けクーポン配布シナリオ。食事傾向と関係設定が色々あって素敵! ■英知の書 ※異言語クーポン。 このPCはこの言語に精通している・・・とかとてもいいなっておもいます。 ■クーポンマガジン CW号 ※ユーティリティシナリオの称号はかなりの数網羅されている。もう手に入らないシナリオのものもあるので有り難いですね! ■星の距離を超えて ※人外PCの人間に対する思想や態度を決定するクーポンを配布されています。種族に寄って複数パターンにわかれているので突入するだけでも楽しいです。 ■その鏡に写るのは ※髪色、瞳色クーポンを配布されています。さりげに吸血鬼クーポン反応して嬉しかった…。
【 街・店 】  ※街中でイベントをこなしていったり、スキルを購入がメインのシナリオ。 好みが分かれるので色々探してみるといいかも。
■交易都市リューン #C2 ※画像差し替え、口調設定可能なリューン ■轗軻の人 ※美麗で心くすぐられる魔術 ■碧海の都アレトゥーザ ※港町で買い物とクエスト。舞踏家スキルときめく ■メレンダ街 ※買い物と数え歌を巡る謎。多種多様お洒落なお店とスキル達 ■隠者の庵 ※他のシナリオで対応されているスキルが沢山 ■水は流れず ※吸血技能販売シナリオ。PT内で吸血契約可能。 ■思い出は緑 ※植物系スキル。グラフィックが綺麗。温室とかいいなあ ■死霊術師の館 ※死霊術師、吸血鬼技能の販売+α。職業、種族クーポン配布有り ■4色の魔方陣 ※幽閉された魔術師からスキルを教わる。格好いい系魔術 ■城館の街セレネフィア ※多種多様スキル。銃スキル好きだなあ ■明けの森の花屋 ※精神適正、花スキル ■魔女のビブリオテカ ※セイレーンやエルフ専用スキル。種族クーポン配布有り。綺麗! ■きつねのパン屋さん ※妖狐技能とアイテム(パン���販売。妖孤クーポン配布有り。可愛い! ■WELCOME TO ADROAD! ※種族クーポン配布有り。グラスホッパーとライカンスロープいいぞ・・・いいぞ・・・ ■万魔の街シュカー ※人外向けクーポン盛りだくさん!!人外好きさんにおすすめです。 ■闘者の杯 ※アイテムとスキル。アンティーク調で高性能。リューンスキルのアレンジがすごいかっこいいです���渋いぞ!! ■時計塔と霧の街 ※吸血鬼や歌劇、機甲技師、医療系、童話モチーフ。見て回るだけでも楽しい作りこまれたスキルカードがたくさん。 ■夜渡る鬼 ※短剣技能に加えて、吸血鬼PCがいると…。【器用】適正の吸血鬼技能が嬉しい!局外者経由PCでぜひ! ■忘れ水の都 ※時空魔法(隠し)とか舟歌技能が好きです!斧とオカリナ技能も好きだ。 ■魔光都市ルーンディア ※血液パックが売ってるのがすごい。吸血鬼PCもにっこり! ■リューン互換+α ※リューン互換の美麗スキルカードにうっとりします。宝石モチーフになってたり、エジプト風になってたりとても素敵。 ■湖水都市カスケード ※ここの教会区の技能が好きで…。神官戦士達の槌、斧、槍、鎌、剣が特に好きです! ■万色の魔術師、その遺産 ※火・土・光・風・水・氷・雷・闇・無・星の全部で10種類の属性の美麗な技能が。魔術師PCの得意属性を考えながら買い物したらとても楽しいと思います! ■うさぎ小屋 ※器用適性の超能力・双銃・香水・家政婦・舞踏スキル。双銃かっこいいー!!
【クエスト】
■新月の塔 ※塔に囚われた五人の仲間を助け出せ!仲間を助けていく課程がたまらない。 ■アゼリナを翔る者達 ※船旅と港町、観光したり、謎を解いたり。壮大。キャラの人格設定が合致するととても燃える。 ■深き淵から ※PTに関係設定してプレイをおすすめ。PT会話豊富。最初の選択肢は是非大事な相手がいるキャラで。 ■桃源郷の恋人 ※PTに関係設定してプレイおすすめ。PT会話豊富。所持クーポン分岐、イベント分岐が作り込まれていて何周やっても楽しいです。
■廃墟のひとり子 ※姿を消した仲間を残りの5人が捜す。姿を消した側の仲間の場面もみれてときめく。 ■悪夢の地※PC達のかっこよさ。壮大で燃える展開。マルチエンド。一番長い展開のエンドは本当に熱くなります。 ■見知らぬ仲間 ※リーダーを気遣う参謀と盗賊が一癖あってたまらない。 ■帰らずの遺跡 ※参謀かっこいい。自キャラの参謀がリアリストというか冷血タイプなら是非。 ■碧眼の瞳 ※幾度も試行錯誤しながら頑張るPC。シリアス。徐々に広がる展開。 ■冒険者の宿で ※ある程度散策進めていくと、釣り、散策、ダンジョンなんか色々出来る。時々墓地の教会で…? ■砂を駆る風となれ ※PCの魔術師役メイン。カンタペルメのネタで雑談可愛かった。砂漠はロマン。 ■敵意の雨※シリアス。数々の強敵を倒してきたPTで是非。 ■協奏曲<FATE> ※6話完結。作り込みが凄い。リーダーメイン。2話目は是非リーダと仲の良いPCで。吟遊詩人反応有り。 ■キカイジカケ ※口調対応はそれなり。演出が凄く好き。リーダーと相棒がとても仲良しなので、そういう二人を選択するといいかと。 ■紫紺に染まる真紅都市 ※ファッションショー開催までに事件解決するシナリオ。多数のクーポン対応によるPCとNPCの反応の多さに脱帽と感動。調査楽しいいい ■凍える湖城 ※冒険者たちがわいわいしながら街を助けるのがとても好きです!サブイベントあったりする!かわいい!! ■幻牢の王国 ※見知らぬ土地で散り散りになった仲間を探しにいく…冒頭からときめきますね。仲の良いPTの軽いやりとりがすごく楽しいです! ■ 銀の小袋亭※暗殺者タイプの盗賊キャラで是非 ■ジェーンシリーズ ※コミカル。PCとNPCのやりとりが楽しい ■相棒捜しの依頼 ※親友、片思い、恋人設定で楽しめる ■ 汝は王様なりや?※さくっと笑いたい方。テンション高いパーティが好きなら。パイルドライバー!!!! ■屍の恋人※お互い大事に思っている相手がいる2人をパーティに入れて是非 ■よいこの雑貨※保護者とマスコットのある日。可愛い。ほんとかわいい!! ■幸福な関係 ※大事な相手を看病する話。親友、片思い、恋人で楽しめる ■盗賊物語 ※盗賊、盗賊スキル大活躍。潜入捜査とか好きな方向け ■B.U.Gallery ※ちょっと背筋が寒くなる話。PT内の会話多くて楽しい ■記憶は洞窟の中に…… ※仲間の1人がうっかり記憶喪失に。コミカル ■紅し夜に踊りて※紅い夜に戦う冒険者達。最後の敵は…! 人外PCいたら本当滾りますよ。 ■劇団カンタペルメ※演劇しようぜ!! 大好き!!! ■にわか雨の英雄 ※コミカルな立ち位置のPCがいれば是非。娘さんとの攻防! ■局外者 ※じんわりと雰囲気が大好きなんです……。PC1人が吸血鬼になってしまうのでご注意ください ■木の葉通りの醜聞 ※知識人、参謀系PCがとても格好いい。ちょっとした推理。 ■虹色の魚 ※海に潜って魚探し…だったんだけれども! ■がたごと。 ※おだやかにべた甘ですね…。お互い素直で甘い関係のPCがいるなら ■喧嘩にかぶる笠はなし ※ツンデレ口調が、なんかもう…好きです(真顔)くだらないことで喧嘩するけど仲良し冒険者達で是非 ■交易都市の一夜※追っ手をまいて書類を届けろなシナリオ。PCが帰らぬ人にならないようルート選択は慎重に… ■寸劇剣戟バレンタイン※しゃべりまくるPC達が楽しい!寸劇しながらチョコを依頼人にあげるシナ。クールなPCだとイメージに注意かもしれない。 ■月下美人 ※仲良しな二人組で。親友、恋人設定と口調設定可能。ツンデレも付与できます。ときめきます。 ■相棒捜しの依頼※2人用。恋人、片思い、親友関係設定+喧嘩仲間、普通、主従、暴走選択可能。口調設定もできるので、PCに関係設定考えてれば是非。可愛い。 ■ゴブリンの洞窟coolREMIX ※お前等…クールすぎるぜ ■アンタレス ※この世界観、雰囲気が凄く好きです…。静かな夜の街を一人で歩く。 ■盲目の道筋 ※すごい緊張感。低レベル向けとのことですが、高レベルでも楽しめるんじゃないかな。背筋が寒くなる演出が凄い。 ■美酒は魅惑の味わい ※兄貴系シナリオです。しかし、お酒の材料集め楽しい。 ■ザベリヤ村の攻防戦 ※緊張感ある村探索とギミックや建物を利用した篭城戦にときめきました…。 ■施錠された小屋 ※みんなで小屋掃除。丁寧な作りです。どうしようもなくなったばあいもちゃんと脱出できますが、色々とアイテム利用していく課程楽しい。 ■雨宿りの夜 ※この静かにぞくりとする雰囲気が大好きです…。探索ほんのりホラー好きにお勧めしたい…! ■ガラス瓶の向こう ※深い絆で結ばれた二人の冒険者でどうぞ。たのしみすぎてDLからしばらくプレイできなかった。ときめきますね。 ■賢者の果実 ※受難の主人公(戦士タイプ、あまり頭良くないの推奨)と仲間の掛け合いが凄く楽しいです。 ■My Own World ※恋人、仲が良すぎな親友とかの二人でプレイを是非。片方が依存気味なのがすごくたまらんです ■祝日のネットワヤージュ ※パーティがわいわいしながら、年末大掃除。保護者とマスコットの間柄設定できるノ嬉しいな。クロスオーバーの会話もいい。 ■ネムリヒメ ※仲の良い2人でぜひ。 ■わっしょい! ※わっしょい!!わっしょい!!そいや!!そいや!!(かなりルート分岐があるので狂い系大丈夫ならぜひ) ■アッチャラペッサー ※アッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサーアッチャラペッサー ■聖北屋敷(仮) ※吸血鬼が主人公ですよ!!吸血鬼PCをコミカルに大変な目に会わせたい人あつまれー!! ■魔導書解読の依頼 ※次第に様子がおかしくなるPCの1人。PT同士の会話がいろいろ考えられていて楽しいです! ■赤い花は三度咲く ※戦士がかっこいいーー!!戦士と参謀の互いを考えてこその喧嘩から始まり、救出、その後の展開が素敵。 ■毒を食らわば ※2人シナリオ。皮肉屋参謀とちょっとお人好しの戦士がかなり危険な目に。シリアスでややグロ。なんだかんだ信頼しあってる感じがすごく良いです。あと全体の雰囲気が好き。 ■In the mirror ※とあるNPCはわかるひとにはわかるあの方。巻き込まれたPCを助けるために仲間ががんばる展開大好きです。 ■Through the hole ※↑の続き。切り替えながらダンジョンの謎を解いていくのが楽しいです。バッドエンドはなかなかぐろいので注意。 ■アケロンの渡し ※最後の台詞がかっこいいです。幽霊船探索は楽しいぞ! ■老婦人と絵画 ※老婦人と1人のPCの短いふれあい。長命種でやるとまた感慨深いかもしれない。私はひねくれ系のやつ突っ込ませました。 ■ウニ退治 ※狂い系なのかな・・・?な、なんかすきです・・・。 ■まどろみは竜の夢 ※依頼先で病に倒れた主人公を救うべく、仲間たちが探索へ。PTの会話が主体。雰囲気が素敵です。 ■船出の歌を歌うという事 ※1人用。目が冷めたら見知らぬ船にいた。魂を救ってあげる話。静かで切ないですが、美しい雰囲気です。 ■碧落飛翔 ※竜と共にレースに挑む話。主人公だけじゃなく他の仲間との連携や支え合いが描写されていてたまらない。後半の流れは鳥肌ものです・・・! ■Mimic ※参謀かっこいいーー!!後半の台詞ははまるかたにはがっつりはまるとおもいます。あと全体のつくりがとても丁寧だなあと感じます。 ■ごく普通のゴブ洞 ※これだけ大量のフレーバークーポンに対応しているシナリオを今まで見たことがない。すべてのPCでいきましょう!!ぜひ!! ■ハロウィンカーニバル!!(仮)企画サイト ※限られた素材を生かして各々がシナリオを作り、一箇所のアップローダーにまとめあげる企画。楽しいハロウィンシナリオいっぱい。 ■Wolf’s Night ※狼男の足取りを追うシティアドベンチャー。PTのキャラ付けがしっかりされているので合致すればかなり盛り上がるかと! ■ワナ罠 ※カードワースならではの楽しさ。まずはぜひやってみてほしいです。楽しい! ■まどろみは竜の夢 ※主人公と相棒の掛け合いを中心としたシナリオ。とある竜との邂逅。展開によっては…? うおお好きだ。 ■ねことぼうけんしゃと ※猫に触りたい冒険者とそれを見守る冒険者かわいい!!保護者とマスコットみたいな間柄で遊ぶと暖かい気持ちになります ■日記 ※同じ組み合わせで周回プレイでなるほどとなる感じ。PC同士のやりとりが、お互い信頼しあってるんだなあと感じて嬉しいです。 ■夜と私と吸血鬼と ※メンタル弱い吸血鬼ってかわいいとおもいます…。いつもは不遜な子がよわるとこうなるでも、もともとちょっと打たれ弱いタイプでも私は美味しいなと!! ■パーティ名会議(新) ※素養クーポンたくさんあればあるほど会話の幅が広がってすごくたのしい!!です!! ■夜闇を駆ける ※親友な間柄でやりました。視点切り替えと時間制限の緊迫感がすごい。頭脳担当の方のリドルは右の部屋に苦戦しつつなんとかなったのでよかった! ■金の鍵の部屋の恋人 ※内側にこもらせる系PCが好きだとときめきます。表面は落ち着いた水面みたいというか、感情を爆発させず、淡々とした態度をとってる相方が愛しい ■黄昏の恋人 ※仲間の逢引(?)現場に遭遇した主人公の胸中がみていてにやにやしてしました。相方が主人公を少し子供扱いしてるのが好きです。あとさりげに素養とか吸血鬼クーポン反応してるっぽくてウワアア! ■隣りにいるのは ※無音と効果音で構成された場面と、要所要所でかわされる会話で、じわじわと這いよってくるような恐怖とか狂気とか執着が垣間見えて、心臓を鷲掴みにされます。 ■より道 ※子供PC2人をつっこんだら大変かわいいリリカル空気になってこっちがにやにやしました…。好意をオープンにしてるほうのPCの可愛さ。と内省的な方のむずむずした感じがすごくいいです。 ■鋏 ※戦闘狂と飼い主の組み合わせがまず大好きです!!まさにそういうPCが自PTにいたので嬉しい…。戦闘狂の方を表現する文章一つ一つが、目を通す度に染みこんでくるような感覚になりました。 ■たなごころ ※長命種と短命種の組み合わせがまず大好きだし、この短命種の包容力と長命種の普段はそうでもないかもしれないけれど、ふと未来に不安を感じている臆病さが大好きだなあと思いました。 ■木漏れ日の雫 ※さりげない会話に気心知れた2人という印象を受けて穏やかな気持ちになりました。無礼講!という事でで酒癖暴露されてると楽しいです…ww ■6月末の簡易ブライド ※かーーーわーいかっっっったーーー!!冒頭のやり取りが大好きです。ドア「(解せぬ)」 ■なんかヤバイ洞窟 ※なんかヤバイので、いかないとまずい的な(たとえ脳筋戦士でも落ち着いたリーダーでもクールな参謀でも語彙って大事なのがわかる)
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yo4zu3 · 5 years ago
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すべてきみの思いどおりに(文庫再録版)
 これは一体……どういう罰ゲームなのだろう。思わずそう錯覚するほどに、今この空間のすべてが拷問のように感じられた。
 事の発端は数か月前、とある休日にまで遡る。
 秋の陽が落ち切った頃に練習が終わり、いつものように身支度を済ませ、最寄り駅までの短い道のりを大柴と共に歩いていた。
 俺たちが付き合い始めて既に三か月が過ぎていたが、互いに学業とサッカー中心の生活をしているため、デートらしいデートはあの夏祭り以来していない。学校でも部活でも、毎日嫌というほど顔を合わせているが、やはり好きな相手とは一日中一緒にいたいと思うものだ。こうして毎日駅まで送ってくれることが当たり前になっても、駅がすぐ近くに見えてくるとどうしても足取りが重くなってしまう。話すことといえば部活やサッカーに関することばかりで少しも変わり映えがしないのに、それでも離れがたく思ってしまうのはこの幼馴染の男がどうしようもなく愛おしいからだ。ゆっくりとした歩調で歩いていても、このささやかな時間に終わりはやって来るのだ。
「じゃあな」
 改札の前で向かい合い、一度だけ大柴の手を握る。人前では恥ずかしくてキスなんてできないけれど、離れる前の少しの間だけ、こうして大きな手に指を絡ませて、ぎゅっと握りしめるのが二人の別れの挨拶だった。冷えた指先から大柴の体温がじんわりと伝わってくるようで、それだけで満たされた気持ちになる。
 横目で電光掲示板を確認すると、そろそろ電車がやってくる頃だ。
「また明日」
 そう言って握った手を放そうとしたその時、繋がったままの手を大柴に強引に引き寄せられた。前方にバランスを崩すと、大柴の逞しい胸板に顔をぶつけ、思わず「ぶッ」と不細工な声が出る。そのままぎゅっと抱きしめられ、今しがた離れようとした決意がいとも簡単に揺らいでいく。
「おい喜一、電車が……」
「今日泊ってけよ」
 低く潜められた声が鼓膜を揺らすと、もう抵抗できる気がしなかった。どきどきとうるさい心音は、どうやら俺だけのものではないらしい。
「な、ちょうど姉貴も居ねえんだ……いいだろ?」
 抱きしめる腕に一段と力が籠められる。こんな誰が見ているかもわからない場所で……と思う反面、しかし今夜はどうしても帰りたくなかった。大柴も同じ気持ちなのだろうか。そう思うと素直にうれしくて、腕の中で俯いたまま「うん」と短く頷く。ガタンガタン、と高架を通り過ぎる電車の音がやけに遠く聞こえていた。
 自宅とは逆方向の電車に乗りながら、後輩マネージャーである生方の家に泊まるという旨のLINEを親父に送った。するとすぐに〈了解〉という短い返信と共に、可愛らしいスタンプが送られてきて、このときばかりは親父の放任主義に救われたような気がした。急な誘いで着替えも持ち合わせていなかったが、一晩ぐらいならまあ大丈夫だろう。明日も学校は休みだが、部活は通常通りの予定なので大柴の家から直接向かうつもりだ。
 そもそも大柴の家に訪れるのも夏祭り以来だった。あの日は浴衣を返すだけで泊っていかなかったので、つまり今日は付き合って以来、二度目のお泊りということになる。そこまで考えが至ると急に恥ずかしさがこみ上げてきた。恋人の家に泊まるということは、当然その先があるということなのだ。それを期待してついてきたはずなのに、今更何を緊張しているのだろう。電車を降り、そわそわと落ち着かない様子で大柴の手を握りながら、見慣れない夜道を歩いてゆく。
「あ、そうだ。晩飯のこと連絡すんの忘れてた」
 大柴が急にそんなことを言うので、「まあ、何かあるだろ」と適当に相槌を打った。忘れてたということは、恐らく大柴邸には一人分の夕食のみが用意されているのであろう。確かに練習後なので腹は空いているが、あの大きな冷蔵庫を漁れば何かしら作れそうだ。最悪、米さえあればそれでいい。
 そう思っていると、コホン、とわざとらしい咳ばらいが聞こえ、思わず大柴を見上げる。また少しだけ背が伸びたと思うのは気のせいだろうか。
「……ゴム買いたいから、コンビニ寄ってもいいか」
 ぼそぼそと喋る大柴の耳の端が赤くなっている。なるほど、夕飯の件はただの口実だったのか。それに気づくと思わず吹き出しそうになったが、笑いを堪えながら「ああ、行くぞ」と言うと、一刻もはやく大柴の家に帰りたかった。
 炊飯器にあたたかい米がまだ残っていて、それをよそうと大柴のおかずを半分もらって夕食を済ませた。軽いノリで一緒に入るかと言われた風呂は丁重に断り、大柴の後にシャワーを浴び、借りた上下揃いのスウェットを着てリビングへと戻る。先に戻っていた大柴は濡れた髪をそのままに、ミネラルウォーターの入ったグラスを片手にソファに深く座り込んで衛生放送を見ていた。その隣に腰かけると、二人分の重さを受けた革のソファがぐ、と沈み込む。
「寒くねぇか?」
「いや、大丈夫だ。つーか髪乾かさないのか?」
「あー、めんどいからいい」
 首にかけたタオルにぽたり、ぽたりと雫が垂れていた。いつもは派手な赤色が濡れていると少しだけ暗く見えるから面白い。まるで知らない人のようだった。
 その綺麗な横顔を見つめていると、俺の視線に気づいた大柴が振り向き、何も言わずにこちらに向かって両腕を大きく広げる。そこに凭れるように身体を預けると強く抱き返された。薄手の布越しに感じるしっとりとした肌や体温が、いつもと違うシチュエーションだと訴えている。自分の髪から大柴と同じシャンプーの匂いがすることにひどく興奮を覚えていた。
「んっ」
 見上げると大柴の濡れた口唇が降って来る。軽く触れただけの口唇がちゅ、と音を立てて離れ、ゆっくりと目を開けると、こちらを見つめるはしばみにとろりとした熱が宿っている。ずくり、と子宮が期待に疼くと、もう止められなかった。
「ん、んぅ……」
 時折はあ、と短い息を零しながら、互いの唇を貪った。大柴の首に両腕を回すと、二の腕にぬれた冷たい感触がしてそれさえも興奮材料になった。大柴が片腕で俺の身体を抱き、もう片方の手が服を弄り素肌に触れる。腰を撫でた手がそのまま上へとゆっくりと上り、膨らみに触れたところで「んあ?」と大柴が驚いたような声を出した。
「おま……下着どうした?」
「へ? あ、ああ……どうせ脱ぐだろうし、そもそも替え持ってきてねぇし、つけなかった」
「ってことは下もか?!」
「そうだけど」
「つーか、俺が渡したタオルと一緒に新しいの置いてなかったか?」
「え……?」
 何のことだかわからず呆然とする俺に、大柴は明らかに落胆した様子で「マジかよ……」と盛大に溜息をついた。だが言われてみれば確かに、預かった籠の底には下着らしいものがあったような気がする。まるで大柴の髪色を思わせる真っ赤なレース地は、ほとんど下着らしい面積はなく、とてもじゃないが履けそうな形状をしていなかった。元々下着をつけないつもりでいたものだから、それが大柴が俺のために用意した下着なのだということに気づかなかったのだ。
「いや……あれ、てっきりお前の姉ちゃんのかと」
「んなわけねぇだろ! 姉さんがあんなの履いてたらフツーに引くぞ」
「なっ……そんなモンをテメェの彼女に着せようってか?」
「だあああ! それとこれとは話が別だろ!」
 よりにもよってあんなセクシーなものを着させようとしていたことに対して、俺は少なからずショックを受けていた。
 確かに彼氏に見せれるような可愛らしい下着は持ち合わせてはいないが、それでもこれはないだろう。大事な部分を何一つ隠せなさそうな、いかにも「私を食べて下さい♡」と言わんばかりの下着をこっそりと用意していただなんて、隠す気のない下心にいっそ呆れさえもしていた。
 それに何よりも、これではまるで俺たちの関係がマンネリ化しているのだと、間接的に言われているような気がした。それが一番ショックだった。
「そ、そんなに俺に魅力がないのかよ……」
「あ? んなわけないだろ」
「じゃあなんで……っん、」
 文字通り口唇を塞がれるように口づけられると、ぬるり、とあたたかな舌が滑り込んできて、俺の言葉を飲み込んだ。舌を絡めとるように吸われ、一度は冷めかけた熱は容易くすぐにぶり返す。粘度のある唾液を分け与えるような深い口づけに、胸の奥がぎゅっと締め付けられて堪らなくなる。
「はぁッ、……きい、ち」
「お、俺が着てほしいから、ってのはダメかよ」
 お前、いつもサイズの合わねぇのしてるだろ? だから俺様が新しいのを買ってやったんだ。偉そうな口調で言った大柴は、そのふてぶてしい態度に似合わず僅かに耳が赤くなっている。自分で言いながら照れているらしいこの男も、案外かわいいところがあるものだ。
「気持ちはうれしいけど、あれはちょっと派手すぎる」
 それに洗濯に出すには恥ずかしすぎるだろ。そう付け足すと大柴は「確かに」と、素直に納得したのが少しだけ可笑しかった。
「じゃあもっと無難なやつなら良かったか?」
「んー、程度にもよる」
「お前基準だとまた星柄とかガキっぽいのになるだろ」
「あ? あれ気に入ってるんだけど」
「マジかよ」
 時折ちゅ、ちゅっと啄むようなキスをしながら、なんでもない冗談のような軽さで「今度一緒に買いに行くか」と言うものだから、思わず「ああ、いいぜ」とその場のノリで答えると、それに気を良くした大柴の手が俺の身体を弄りはじめる。明らかに流されていることはわかっていても、それよりもその時はただ、目の前の男がどうしようもなく欲しかった。深くなる口づけと愛撫に理性がぐずぐずに溶かされてゆき、あっ……、と明らかな色気を含んだ声が漏れた。
「つーか、下着付けてねぇほうがエロいんだけど……」
 ほら、と大柴の長い指が、スウェット越しに俺の割れ目の上をなぞる。濃厚なキスを繰り返すうちに疼いた子宮から愛液が滲み出て、ライトグレーの生地をうっすらと汚していた。
「あ、ごめ、っんあ……ッ!」
 せめてソファを汚すまいと慌てて腰を浮かせ膝立ちになると、割れ目に触れていた大柴の指が陰核を強く弾き、びくっと小さく背が震えた。ぎぃ、と大きく軋む革の音と、大柴の喉仏がこくりと鳴るのはほぼ同時だった。
 それからソファでくたくたになるまで抱き合い、日付が変わる頃に二階にある寝室のベッドに運ばれて、もう一度身体を繋げたところで俺の意識は途切れてしまった。気が付い��ときには素っ裸のまま大柴の腕の中にいて、中途半端に閉められた遮光カーテンの隙間からぼんやりと白んだ朝日が差し込んでいる。
 まだ起きるのには随分早い。毛布の中で触れる素肌は心地よく、目を閉じるとすぐに微睡みが迎えに来る。しあわせな温かさに包まれて、俺はこのときの口約束をすっかり忘れてしまい、後に痛い目を見ることになるとは思いもしなかった。
  
 二月。
 長いようであっという間だった冬の選手権大会も終わり、いよいよ三年生が引退するとようやく緊張の糸がほぐれる時期だった。今は無理して詰める時期ではない、という監督の意見で、以前よりはコンスタントに休みが取れるようになり、時期が時期なだけに浮かれていたのは恐らく俺だけではないだろう。
 冬は何かとイベントごとが多い。選手権と時期が重なることもあり、世間一般で言う一大イベントであるクリスマスや正月は、俺たちにとって手放しに祝えるものではなかった。だから余計に選手権後であるバレンタインが近づくと、部員たちがそわそわしていることをマネージャーである女子二人はなんとなく察している。それに便乗して、日頃の感謝と労いの意味も込めて、今年も監督を含めた部員全員にはマネージャーから義理チョコを用意するつもりだった(勿論その資金は、俺が秘かに別けておいた部費からやり繰りしている。)。
〈明日買い物付き合えよ〉
 久しぶりの休みを翌日に控えた夜、大柴からそんなLINEが入って丁度良いタイミングだと思った。翌週の平日がバレンタインデーなので、今週末は部員たちに渡すチョコを買いに行こうと思っていた矢先のことだった。これはいい荷物持ちができたと内心でほくそ笑みながら、手早く返事を入力する。
〈いいぜ。どこ行く?〉
〈××のショッピングモール。新しいスパイク見に行く〉
〈おい〉
〈スパイクならうちの店で買えよ〉
〈今日発売の限定モデル置いてんのかよ〉
〈……〉
〈ないから取り寄せる〉
〈ふざけんな。俺は明日買うぞ〉
〈そういうのは先に言えよタワケ!〉
〈まあ、とにかく見に行こうぜ〉
〈明日十時に駅前に迎えに行く〉
〈おう〉
〈おやすみ〉
〈なあ〉
〈あ?〉
〈俺にもチョコくれんの?〉
〈いつも通り、全員に義理やるけど〉
〈本命は〉
〈さあな〉
〈おい〉
〈おーい君下〉
〈無視すんなバカ〉
〈……〉
〈おーーーーーーーーい〉
 翌日、自分で指定した待ち合わせ時間に十五分遅れて大柴がやって来た。悪びれた様子の一切ない男の膝裏に蹴りをお見舞いし、電車に乗った。
 最近できたらしい駅直結の大型ショッピングモールは休日だということもあり、多くの家族連れやカップルで賑わっていた。ピンクや茶色のハートで彩られたポップがくどいほど飾りつけられ、嫌でもバレンタインを意識させるような企業戦略に早くもうんざりしそうだった。
「さっさと買い物してどっかで飯食おうぜ」
 何食いたい? と片手で器用にフロアガイドを開く大柴が、もう片方の手でさりげなく俺の手を拾った。指を絡ませ、そのまま大柴のダウンコートのポケットに招かれる。ポケットの底には丸まった紙くずや得体のしれないものがあったが、悪い気はしなかった。むしろ普通のカップルみたいだなと今更なことを思ってしまうと、急に頬が熱を帯びてゆくような気がした。
 目当てのスパイクの品番とサイズをしっかりと控えると、今買うと言って聞かない大柴を半ば無理やり引きずりながらスポーツ用品店を出た。その後も目移りの激しい大柴にあれこれと連れ回されて、まるで大型犬の散歩でもしているかのような気分にさせられる(この場合、引きずられているのは飼い主のほうだ)。
 その点、俺が入念に下調べをしておいた義理チョコレートについては、激混みの催事場でも難なく目的の商品を手に入れることができた。一応は名のあるブランドものを買ったことが意外だったらしく、大柴は少し感心したように「で、俺のは?」と聞いてきたが、それを華麗に無視して催事場から抜け出した。
 そうこうしているうちにいつの間にか昼時になり、混み合う前に館内にある適当な洋食屋へと入ると、ランチハンバーグプレートと大盛りのオムライス〜赤ワインソースがけ〜を平らげて、デザートのスフレチーズケーキまできっちり完食した。
 あたたかなカフェモカを啜りながら、向かいでブラックコーヒーを飲む大柴を見つめる俺はいつになく上機嫌だった。予定通り予算内でチョコレートが買えた上に、おまけでいくつか試食まで貰えたのだ。自分では絶対に買おうと思わない高級チョコレート店のサービスの良さに、自然と緩む口元をもはや隠す気などなかった。
「あ、そうだ。あと一軒だけ付き合えよ」
 頬杖をつき、窓の外を眺めていた大柴が、たった今思い出したかのように勢いよく顔を上げる。
「? いいけど」
 元はと言えば今日買い物に行こうと言い、散々いろんな店に引っ張り回した挙句、大柴は今まで何も買わなかったのだ。大量のチョコレートの入った紙袋を三つぶら下げ、当たり前のようにランチを奢り、これではまるで本当にただの荷物持ちとして来たようだった。連れ回されて既にくたくただったが、あと一軒ぐらいなら付き合ってやろう。そう思えるほど、この時の俺はすこぶる機嫌が良かったのだ。
「え、待てよ、喜一」
「あ? なんだよ」
 なんだよ、って何だよ。そう聞き返したくなるほどうまく呑み込めない状況に、俺は呆然とその場に立ち竦んでしまった。
 白、ピンク、ベージュに黄色、淡いブルーやヴァイオレットなど、思いつく限りの様々な色が、うるさく視界を埋め尽くしている。俺たちがこのパステルカラーで彩られたふわふわとした空間に迷い込み、かれこれ三十分が経過しようとしていた。
「お、これなんかどうだ?」
「お似合いだと思いますよ」
 新たに目の前に差し出されたのは、似たような装飾のついた明るいオレンジ色だった。シンメトリーの真ん中にはレースでできた大ぶりのリボンが施されている。今までの選択肢に比べると少し派手ではあるが、これはこれで可愛いかもしれない。ぼんやりとした頭でそう思っていると、これは、こっちは、と大柴の手が伸びてきて、目の前に新たな色が次々と現れる。
「やっぱり選べねぇから、全部買うか」
 にこにこと愛想のいい店員の勧めるまま、俺の手元で増え続ける色とりどりの下着の山。それをいつになく真剣な顔つきで選びながら、しまいにはとんでもないことを言い出す彼氏。
 地獄のようなこのシチュエーションは一体何なんだ? 回らない頭で何度考えてみても、脳裏にちらつくのは���つか大柴の家に泊まった際に渡された、真っ赤なレースの下着だった。
「いやいやいや、待て! 待ってくれ!」
「あ?」
 尻ポケットから財布を取り出そうとする大柴に、ストップの意を込めて抱えていた下着の山を押し付ける。こんなにいらねぇ、つーか、こんなに買ってもらっても悪いし、そもそもここに彼氏と居ること自体が恥ずかしいし、しかもサイズも分からねぇのに……など、言いたいことがぐちゃぐちゃになって、何から突っ込めばいいのかわからない。助けを求めるように店員を見るが、「よかったらご試着されますか?」と、サービスとしては的を得ているが微妙な見当違いの答えをされる始末だ。
「いや、そうじゃなくて……」
「うむ、そうか。先にサイズを合わせるべきだったな」
 勝手に納得した大柴に「とりあえず、これ合わせてみろよ」と手渡されたのは、控えめなフリルのついた淡いピンク色の下着。この店に入って最初に大柴が選んだものだった。
 店の奥にあるフィッティングルームに案内され、始終ニコニコ顔の販売員に「採寸されますか?」と聞かれ、そこでようやく我に返った。こんな店に来ること自体が初めてである。何もわからないことを正直に伝えると、彼女はかしこまりましたと少しだけ微笑んで、肩にかけていたメジャーを握り手際よく採寸を始める。大柴に渡された下着ではカップのサイズが小さすぎることがわかり、新しいものを用意してもらい、それを身に着けてまずそのフィット感に驚いた。
 苦しくもなく、寄せすぎず、かといって動いても容易にずれることがない。小ぶり(だと本人は思っている)の乳房がきれいな形を保ち、かわいらしいピンクの中にすっぽりと納まっている。今まで着ていた三枚980円の下着なんかとは比べ物にならない安定感に、これならサッカーで激しく動いても大丈夫だなと思うと満足した。
 結局その後も悩みに悩み、最終的に大柴がチョイスした下着を二組買った。そんなにたくさん要らねぇと言ったが、どうせ買うなら一も十も同じだという無茶苦茶な理論を投げられ、「どうせまたすぐに入らなくなるんだから、」の一言が意外にも効いたようだった。少しだけ大柴の頬が赤い気がしたが、追及するのも面倒なので気のせいだということにしておこう。存外長居してしまったようで、帰りの電車に乗り込むころには既に陽がだいぶ傾いていた。
「少し寄って行けよ」
 陽が落ちるのはあっという間だが、夕食時にはまだ早い。家の前で紙袋を四つ受け取ると、くい、と顎で家の中を指した。表の店はとっくにシャッターが下りていて、店主である親父はどこかへ出かけたようだった。いつも通りならば飲みに出ているのであろう。とにかくあと数時間は、滅多なことがない限り帰ってこないという確信があった。
 靴を脱ぎ、すぐに二階にある自室へと上がると、大柴はいつも通りベッドへと腰かけた。君下の部屋にはソファという洒落たものはなく、小学生のころから使い続けている木組みのシングルベッドと学習机のみという、女子高生の部屋にしてはシンプルすぎる内装だった。
「変わってねぇな」
「ん、ああ。そういやお前が来たのって、いつぶりだろうな」
 このベッドに後ろ手をついて寛ぐ大柴の姿を見るのはものすごく久しぶりなような気もしたし、そうでないような気もする。思い返せば高校に入ってからは、ほとんど毎日のように顔を合わせているのだ。それでも飽きずに一緒に居て、しかもこうして恋人同士になる日が来るだなんて、出会ったばかりの頃には考えられなかったことだろう。犬猿の仲であったはずの俺たちが、恋人という枠に収まっていること自体がほとんど奇跡のようだった。むしろ目の前の男を想う気持ちは日に日に強くなってゆくばかりで、抑えきれない気持ちをどうすることもできず、時折堪らなくなることがある。
「君下?」
 大柴の長い脚の間に立ち、とん、と軽い力で肩を押すと、その大きな身体が呆気なくベッドへと沈む。膝をついてベッドへと乗り上げ、大柴の顔の横で両手をつくと、驚きでまるく見開かれたヘーゼルナッツの瞳を覗き込んだ。
「喜一、プレゼントやるよ」
 バレンタインの、ちょっと早いけどな。そう言って、大柴が何かを言いかけた口唇に、ちゅっと触れるだけのキスを落とす。下唇を吸い付くように啄み、だらしなく開いたままの口唇を舌でなぞると、俺の腰に添えていた大柴の手がぴくり、と反応した。そのまま舌を差し込むと、誘われるように大柴の舌が伸びてきて、ちゅ、じゅっと音を立てながら絡みつく。ぱらり、と落ちた髪の束が邪魔だったが、キスを止める理由にはならない。俺の腰を掴んだ手が下り、スカートの布越しに尻を強く掴まれると、んっ、と声が漏れて、交わりが一層深いものに変わる。
「はっ……なんだ、やけに乗り気だな」
 大柴が両の手で尻を揉みしだきながら、下から突き上げるようにジーンズの膨らみを押し付けてくる。腰を跨ぐように馬乗りになった秘部に前立てが当たり、じわり、と下腹部が濡れる感覚がして、自ら腰を擦りつけた。
「! んっ、も、脱ぎたい……っ」
「じゃあ自分で脱げよ」
「あっ……!」
 いつもであれば何も言わずとも衣服をひったくられるところだった���、今日の大柴はどうやら違うらしい。にやにやと意地の悪い笑みを浮かべ、服の上からやわやわと尻を揉んだり、腰を掴んで前後に揺するだけでこれ以上手を出そうとしなかった。ジーンズの金具がショーツ越しの陰核に擦れ、あっやだぁっ! と漏れる自分の声が一層羞恥を煽った。何より俺からプレゼントだと言っておいて、自ら包みを開けさせられるだなんて恥ずかしいにも程がある。
「いじわる、」
「ふん、俺にマウント取ろうなんて百年早いんだよ」
 そんなもの、最初から取ろうだなんて思っていない。これはちょっとしたサプライズのつもりだった。だから俺は今日、大柴に下着売り場に連れて行かれたとき、正直に言うと内心で焦ってしまった。俺のこの企みがばれてしまったのではないかと、まさか気づいてここへ連れてきたのではないかと思ったが、どうやらそれは単なる思い過ごしだったようだ。
 大柴の腰に跨ったまま、俺はまるでストリップでもするかのように、ゆっくりとポップな色合いのニットに手をかける。じりじりと焦らすように裾をまくり上げながら、口元がにやけそうになるのをぐっと堪えた。クロスさせた腕の向こう側で、大柴が静かに息を飲むのがわかる。
 シャツを脱ぎ捨て現れたのは、数か月前のあの日大柴に渡された、真っ赤なレースの下着だった。
「! おま……それ、」
 完全に予想外だったらしい大柴は、ひどく驚いた様子で肘で上体を起こした。その鼻先にキスを落とし、へへ、と照れ隠しに笑うと、スカートのホックに指をかける。片足を開けてスカートを引き抜き、それも床に放り投げた。
 いつかあの下着を履いてやろうと思いついたのは、選手権が終わったあたりだった。
 たまたま大柴の家に遊びに行くと、散らかった部屋の隅にあの真っ赤が無造作に置かれていることに気づいてこっそりと持ち帰ったのだ。飽き性である大柴のことだから、この下着のことも今まで忘れていたのだろう。ほとんどがレース素材でできたそれは色素の薄い肌が透け、中央でぷくりと主張する乳首の色までもが丸見えなそれを、大柴が穴が開きそうなほど見つめている。
「プレゼントだ、今日だけだからな」
 大柴の首に両腕を回し、むき出しになった形のいい額へと口唇を押し付ける。ベッドの上で膝立ちになり、ちょうど大柴の顔に胸を押し当てるような体制になると、大柴が布の少ない尻を撫でながら、「やべ……すげぇえろい」と熱の籠った声で呟いた。
「んあっ、き、いち……っ!」
 ぢゅ、ぢゅぷ、と下品な音を立てて、勃起した乳首を下着越しに執拗に舐られた。普段の布越しよりも感覚が鋭く、それでいて直よりももどかしい刺激が絶妙だった。何よりもこんな破廉恥な下着を着た俺自身と、それに興奮しているらしい大柴の息遣いを間近に感じて、興奮しないほうがおかしな話だ。舌は乳首を愛撫し、右手は既に濡れそぼったショーツに伸び、左手で自分の前立てを取り出し、扱いている。俺はただその愛撫に感じ入って、あっ、ん、と声を上げそうになる口を手で押さえることで気を保とうとしていた。
「声、出せよ」
「ん、やだっ……聞こえる、からぁッ!」
 何も考えられずひたすらに手の甲に歯を立てていると、大柴がペニスを扱いていた手を止め、俺の手を絡めとった。唾液でぬるりと光る噛み痕に、労るようにキスを落とす。
「こっち……触ってくれ」
 俺の手を握ったまま、がちがちに勃起したペニスへと導かれると、二つの手で挟み込むようにして握らされる。手の中で脈打つ暖かなペニスはまるでいきもののようだ、といつも思う。太い雁首をぐりぐりと重点的に扱くと、大柴がう、と堪らず声を漏らして、バツが悪そうににやりと笑った。その顔が好きだった。決して温かくもない部屋で、ほんのりと額に汗を浮かべている、大柴のその快楽にゆがんだ顔がたまらなく好きだった。割れ目から先走りの雫がぷくりと溢れ、それを絡めとるように亀頭をつつんだ手を動かした。
「は、ぁ、んっ、んぅ……」
 手の動きが激しさを増し、たまらずに舌を伸ばして口唇を求める。低くセクシーな声を出す、少し厚い下唇をやわらかく挟んで吸いつくと、秘部に触れた大柴の指が入り口をぐちぐち、と掻きまわす。真っ赤なレース地のショーツはつけたまま、ずらすように脇に寄せると、そのままつぷりと太い指を沈めた。
「��あ……っ!」
 期待に濡れた膣は狭く、押し広げるように大柴の指が進んでゆく。ふ、あ、と途切れ途切れに息を吐きだすと、その息を食らうように深く口づけられる。中指がナカを擦りながら、器用に親指で陰核を引っ掻くように押されるともうダメだった。
「あっ、やだッ! きいち、き、あッ! んあ……っ!」
 頭の中が真っ白になる。ペニスを握っている手もまともに動かせず、ただひたすらに喘いでいると、わざとらしく耳元で「手、止まってるぞ」と意地悪く吹き込まれる。ぞくぞくと快楽が背を走り、じわり、とまた膣が潤いを増してゆく。あまりの快感にうっすらと生理的な涙が浮かび、喘ぎ声に嗚咽が混じっていた。
「うッあぁ……! も、ッ!」
「イきたい? おい、勝手にイくなよ?」
 膝立ちのままの脚ががくがくと震え、絶頂が近いのは明らかだった。大柴もそれを分かっている。分かっていて手を緩めようとはせずに、あえて快楽を得るポイントを外して焦らすようなことをする。これを焦らしプレイだとは思わずにやっているのだから、相当にたちの悪い男だった。
「も、やだ……ひぅ、うぅ……っ」
 追い詰めるように尖った乳首に歯を立てられ、大柴の肩を握る指先が、俺の意思を無視してただ快楽に耐えようと力を籠める。も、イきたいっ……弱弱しい声でそう絞り出すと、口唇をぺろりと舐めた大柴の指がイイところをトントンと弾き出した。
「ひッ…………あアァっ! イっ……んああッ!」
 陰核を擦り上げられ、きゅう、と腹の奥が熱くな��。もっと欲しい。もっと。そう訴えるように両脚が、膣が震え、びくびくと背をしならせて俺は達した。
「うお、すげぇ……吸い付いてる」
「んあッ! やめろ、ばかぁ」
 入れたままの指をぐりぐりと回しはじめるが、それでも物足りないと腹の奥が疼いている。ようやく指が抜け、肩で息をしながら達した余韻に浸っていると、いつのまにか服を脱いだ大柴に「これも脱げ」と雑な手つきで唾液まみれになったレース地のブラをひったくられた。
「んっ」
 先走りの垂れたペニスをゆるゆると扱きながら、そこへそっと口唇を寄せる。舌先で雫を掬うとじわりと苦い味がした。ぺろぺろとアイスクリームでも舐めるように亀頭に舌を這わせていると、「も、いいから早く入れたい」とぎらついた目で訴えられて、ごくりと喉を鳴らした。
 コンドームを手早く被せると、喜一は俺のシングルベッドに仰向けで横たわった。小さなベッドから足が少しはみ出ているが、そんなことはどうでもいいと言うように、こちらを見る雄の顔が「はやく来いよ」と俺の手を引いている。
 セックスの経験なんて数えるほどしかないが、大柴はいつも正常位で挿れたがった。上に乗ったことはない。恐る恐る大柴の腰を跨ぎ、反り立つペニスの上に膝立ちになる。上から見下ろす大柴の姿は新鮮で、期待に濡れた顔をしているのはお互い様だった。コンドームの張り付いたペニスを握り、下着をずらして自ら入り口に宛がうと、改めてその大きさを感じて怖気づきそうになってしまう。思わずこくり、と息をのむと、ふいに大柴が俺の腰を両手でつかみ、下から突き上げるように大きく腰を動かした。
「!! んあああッ!」
 ずんっと太い杭のようなそれが身体に打ち込まれたような衝撃があった。びりびりと甘い快楽が全身を走り、それだけで達してしまいそうになる。
「まッ……まて、きーちっ……ぁんっ」
 上に乗っていることでいつもよりも深く繋がっている気がする。腰を掴んだまま腹の奥をえぐるように揺さぶられ、あっ、うっ、とひっきりなしに声が出てしまう。あの大きな亀頭でごりごりと子宮の入り口を刺激されると、もう何も考えられなくなる。いつの間にか両脚が喜一の腰に巻き付くようにしがみつき、はしたない声を上げて腰を擦り付けながら、俺は呆気なくイった。
「ぅあッ……! イく! また、ぁあッ……!」
「くっ……締まりすぎだ、バカっ」
 達している最中にがつがつと突き上げられ、快楽の波が止まらない。いっそ恐ろしくなるほどの快感にぞっと鳥肌が立っていた。ぎちぎちに締め付ける膣が大柴の精を搾り取ろうとうねり、「はァ……も、出そ……っ」と眉根を寄せた大柴が絶頂が近いと訴えていた。
「ん、ぁあっ、また、ダメッ、イっ……!」
「あ、イく、っ……ああっ!」
 何度目かの絶頂を迎えるなか、奥へと突き上げた大柴が果てた。コンドーム越しでもはっきりとわかる、どく、どくと精を吐きだす鼓動を感じながら、大柴の身体に身を委ねると大きな腕が抱きとめてくれる。耳元で聞こえる力強い心音に、お前はおれのものだと言われたような気がした。
「あれ、その下着かわいいですね」
 新しいの買ったんですか? 急に声を掛けられ、思わずびくり、と肩を揺らした。練習着の袖に腕を通したままの格好で振り向く。同じく隣で着替えている生方が、この手の話題を振ってくるのは珍しいことだった。
「あ、うん。可愛いだろ……」
「もしかして大柴先輩に貰ったとか?」
「へっ?!」
 図星を突かれ、今度こそ素っ頓狂な声が出てしまう。二人しかいないロッカールームに声が響き、しまったと思ったがもう後の祭りだった。
 頭のいい後輩は恐ろしく察しも良い。まさかこんなところでそれが裏目に出るとは思わず、これ以上誤魔化しても無駄だと悟ると素直に頷いた。
「へぇ……なんかそういうのいいですね。愛されてるっていうか」
 意外だなぁ、と笑う生方は、なぜか当事者である俺よりもずっと幸せそうに頬を染めている。あまりこの手の話題を部内でしないようにしていたこともあり、同じ女子とはいえ生方にこんな話をすることに何とも言えない気恥ずかしさを感じていた。
 着替えを終えた生方がパタン、とロッカーを占めると、「あ」と思い出したかのようにこちらを振り向く。
「先輩、知ってます? 男性が女性に下着を送るのって、自分の色に染めたいっていうアピールらしいですよ」
「っ……!」
 いたずらっぽく笑う生方に、なんとなくそんな意味だとは予感していた。
 腕の下に隠れている自分の下着に視線を落とす。熱を孕んだ瞳でこちらを見つめる大柴を思い出し、すべてがあいつの思惑通りなのだということに気づくと、じわり、と下着が濡れたような気がした。
 
                   (すべてきみの思いどおりに)
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