#貸衣装店
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utteru-kaeru · 3 months ago
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ゲストドレス、どこで借りる?おすすめの貸衣装店をご紹介
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kennak · 11 months ago
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「50歳を過ぎるまで自分を貸衣装店の店主だと思っていた女性が、世界的着物デザイナーだったことに気づくまでのストーリーだ」映画を観ているような成功譚だ。
[B! 北九州] 「成人式には不適切な衣装」をなぜ作り続けたのか…「北九州の恥」と呼ばれたド派手衣装を生んだ店主のプロ意識 「衣装代未払い事件」を乗り越えられた理由
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chabatayuka · 2 months ago
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これ以上服をつくることはやめよう、と地元・宮城県にUターンしmege(めげ)というお店を営む内田麻衣(うちだ・まい)さん。
megeではすでにあるものを活かすことをしようと貸衣装を中心に営業することを決めます。「かわいい服には旅をさせよ」のコンセプトに共感した方から預かった衣装のみを扱い、レンタル代は持ち主と折半するというユニークな貸衣装屋さんです。
そんな彼女が立ち上げ当初から熱意をもって取り組んでいる「セーターを、はくセーターに」ワークショップを12月15日(日)に茅スタジオでやらせていただくことになりました。
今回は宮城・松島からはるばる、知恵のつまったリメイクを伝えに来てくれるmegeさんとの対談をお送りします。服が好き故にあたらしい服をつくることに疑問を覚えるというmegeさんの取り組みの一端に触れていただけれたら嬉しいです。
(以下、麻:内田麻衣さん���mege、茶:茶畑ゆか/茅スタジオ)
ーー
茶: megeさんはアパレル会社に勤められてたこともあるんですよね。
麻: アパレル会社のお店の方で販売員を3年間やって、岡山のもの作り部門の縫製業の方に2年いました。
茶: あの、めちゃくちゃ凝ってるブランドさんですよね。手作業が多いというか、いろんな技法を使われていて。フォークロアというか、民衣っていうのかな?
麻: 今はもしかしたらちょっとデザインとか方向性変わってるかもしれないんですけど、当時は民族調も強かったりしました。
茶: そうでしたね。各国の、日本もだし、いろんな国の民族的な技法をたくさん取り入れながら、刺繍もいっぱいしながら。縫製工場って生地に機械刺繍が入ってる感じだったんですか?手作業がめちゃくちゃ多い服たちをどうやって量産で仕上げているんだろうなって思っていました。
麻: そうですね、もう生地の段階で仕込んでいるものもありました。
茶: それは機械刺繍ってことですか。
麻: そうですね。あと手刺繍とかになってくると生地の加工をボロにしたりとか、加工する部門があって、そこで主にやっていた感じです
茶: それは、そのアパレル会社さんの専門工場ですか?
麻: 会社内にそういう部署がありまして、自社工場もありました。染め加工とかと、刺繍とかそういうのをする部門ができてきてた頃なんですよね。私が居たのは本当にミシンがダーッて並んでるようなとか場所で。もう上の階にデザインチームがいて下に縫製工場があって、その下にまたさらに裁断とか、細かい加工をする人とかっていう感じで
茶: へえ。じゃ外注じゃなくて自社の工場なんですね、きっと。
麻: ほぼほぼそうですね。できないことは外注もあったんですけど、自分たちでやってることが多かったですかね。
茶: お店の中にもアトリエみたいなとこがありますもんね。
麻: あーそうですね。当時は上の階で生地も売ってたりして。
茶: すごい面白いブランドさんだなと思ってました。いくつも持ってます。
麻: 私が言うのもおかしいかもしれないけど、ありがとうございます。(笑)
茶: そのあと宮城に帰られたんですよね。
麻: そうです。3年東京で縫製をやって、2年岡山で縫製やったあとですね。半年ぐらいかけながら、岡山から車で旅をしつつ、宮城に帰りました。
茶: え!そうなんですか、各地の繊維産地とかを見てこられたんですか?
麻:そうですね、当時、麻(あさ)っていう繊維と、あと藍染がすごく好きで、それにまつわる場所は全部巡っていこうって思って。
茶: おおー!
麻: 当時は震災後で、日本全国に散った友人たちがいたので、その人たちを訪ね歩くっていう目的もあり。
茶: 良いですね。麻は大麻(たいま)とかもですか。
麻: そう、主に大麻を調べて。じつは専門学校の卒業���究でも大麻を調べていて、卒業後に福島の昭和村っていうところに、苧麻(からむし・ちょま)を育てて、糸づくりからする織り手を養成しているようなところに行こうかとかも思ってたくらいだったんですけど。
茶: それはなんでやめたんですか?
麻: その昭和村には学生時代から何年も通っていて、現地に友達もできる中で、織り手を「織姫(おりひめ)」っていうんですけど、織姫になられた人から「これでは食べていけないよ」っていうのをリアルに聞いていたのと、自分が織姫になったとて、その後、私はやっていけるのかとか考えたときにちょっと違うかなっていうのを感じて。その後はアパレル会社で働きはじめて、昭和村にお休みの日使って通ったりっていう感じで。
茶: 昭和村では何を作ってらっしゃるんですか、大麻関係?
麻: 麻の中の苧麻(からむし・ちょま)っていう品種をずっと育てられていて、栽培から糸を紡いで織りまでできる人を育てていこうっていうので。年間4名ずつぐらい受け入れてるのかな?
茶: へえーなるほど。面白いな。なんで大麻が好きなんですか。
麻: なんか調べれば調べるほど、この植物が世界に広まったらすごくいいことしかもたらされないんじゃないかって思って。なんで禁じられているのかとか調べて、おかしいぞっていうふうに思って。
茶: うんうん。GHQ的なやつですよね(笑)。大麻すごい面白いなと思います。
でもなんか機械織にすごく適してないって聞きました。紡ぎにしても織りにしてもすごい機械に適してなくって、それもあって機械化の波に乗れなかったのも、多分GHQ以外にも要素としてあるのかなっておっしゃってる方がいて。
手紡ぎとか手の作業にすごく適してる繊維なんだろうなっていう。だからすごい細々とした生産の仕方が、「自分たちで作る」っていう分にはすごく合ってるんだろうなって思いながら大麻のことは見てます。
麻: ああ、そうですね。いまでも国に納める…
茶: そうですよね、神事とかで納めている大麻がありますよね、伊勢神宮とかに。
麻: 徳島の特定の家系だけで今も作り続けられているみたいですけどね。
茶: 神事用にですか。そうなんだ。へえ面白い。
麻: 謎ですよね(笑)
茶: 謎ですね、本当に。大麻って、なんか掘れば掘るほど出てくる感じが。
麻: そうなんです。
茶: じゃあ、一番好きな繊維は大麻なんですか。
麻: そうですね。
茶: 生地は持ってたりしますか。
麻: 大麻100%のものは…そうですね、生地でも好んで買ったり、そこから自分で作ったりとかしています。
茶: へえ!どこで買うんですか。
麻: 箪笥主様*の1人で大麻に関わられてる方がいて、ヘンプ系のブランドを持たれていて。布地の生産は中国なんですけど。
*「かわいい服には旅をさせよ」のコンセプトに共鳴した方が箪笥主となり、貸衣装の貸主となる取り組み。
茶: 生産が中国なんですか?
麻: そうですね。
茶: なるほど。いいですよね、私もちょこちょこ買って作っては、なんか、生地がねっとりしてんなと(笑)
麻: ああ、その感じがいいですよね。
茶: なんかねっとりしてますよね。結構針が、なんていうか抵抗が強いっていうか、強い繊維だなっていう感じを私は受けます。ただ、私の使っている生地は日本の古来の生産方法じゃなくて、それも中国産のものなので繊維が細かく切られた状態で機械紡績をされているみたいで、昔の手紡ぎで織られた大麻布と性質が同じかかどうかは分からないですけど。繊維の性質としてねっとり系なんだな、と。笑
megeさんはその旅を経て「これ以上服を作ることはやめよう」って思われたんですか。
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松島にあるお店「mege」
麻: いや、縫製業やってる時点からそれは思い始めてましたかね。
茶: どうしてそう思ったんだろう。
麻: いいものを作ってる自負みたいなものはあったんですけど、もともとセールをしない会社だったんですけど、どんどん会社が大きくなるにつれてセール前提で作るようになってきたのも悲しくて。生地も大量に注文したり取り寄せたりするんですが、その生地の回収業者さんが毎月来て捨てられていくのを目の当たりにしてたので、個人的に縫製する人たちで分けたりもしてたんですけど、それでも全然追いつかないぐらいの量が出ていたんで。
茶: いや、膨大でしょうね。
麻: そうですね、それも悲しいなって。まあ作る人に向いてないんだろうなって、私が(笑)。つくること自体は好きなんですけども、生み出し続けるっていうのは多分向いてないのかなって。誰に届くかわからないものをたくさん作り続けるっていうのはちょっと違うのかな、と。
茶: ああ。わかります。
麻: 個人でこれ作ってほしいとかで作るのは、たまにしてるんですけど。
茶: それはつらくないんですね。
麻: そうですね。なんかまだ意味を見いだせるというか、顔も見えますしね。
茶: そうなんだ、なるほど。
麻: どちらかというと「あるものを生かす」っていう方が喜びを感じるかなって。
茶: アパレル会社を辞められたときは貸衣装っていうのは頭にあったんです��。
麻: それもちょっと私の記憶があっちにこっちに行ってて記憶が定かじゃないんですけど、当時出会ってた方曰く、「貸衣装」っていうワードはそのときから言ってたとのことでした。
茶: あ、そうなんですね。すごい。
麻: もしかしたらぽわんとは思ってたのかも知れない…
茶: 貸衣装っていうのは、普通のイメージだと「あるものを生かす」方向の貸衣装さんってすごく少ないので、効率重視で新しいものをつくって貸して廃棄するやり方が普通かなって思うんですけど、貸衣装=「あるものを生かす」っていう方向性に気づいたこと、そこに着目したのがすごいなって思います。
麻: いや全然すごくなくて、20代って結婚式呼ばれることが増える年代じゃないですか。だけどお金がなさすぎて、着たいものを着れないし、もうご祝儀包むだけでいっぱいいっぱい、みたいな。借り物競争じゃないですけど、知り合い当たって結婚式に着ていく衣装を借りまくってたんですね。
茶: そうなんだ、へー!すごくいいですね。笑
麻: なんかほんと、それぞれが持ってて、眠ってるものを生かし合えたらすごくいいのになみたいなことを思ってて。
茶: はー、私は全然借りるって発想がなかったですね。そうなんだ、面白いですね。
麻: 買えないのでそうせざるを得なかったっていうだけです。なんならその結婚されるご新婦から借りたりして(笑)
茶: そうなんだ!
麻: 着ていけるものが無いんだけどっていう相談したら、私のこれ貸してあげるからって。
茶: そういう経験があったから、貸し合えたりするのがいいなっていうのがイメージとしてあったんですかね。
麻: そうですね。でも、お洋服持ちの方っていっぱいいらっしゃいますけど、あの人の服、1回だけちょっと袖通してみたいな、とか、一度だけ着てみたい服ってありませんか。
茶: ありますね! megeさんがやられてることって今あるものを最大限に生かすことをなんだなっていうのがいろんな企画を拝見してても、ベースにすごくそれが強くあるんだなって思います。
一方で、新しい服を作るのは向いてないなって感じられたっておっしゃっていたんですけど、新しいものを作ること自体はどう思われますか。
麻: 作ることをやめてしまうと、技術的なものとかも途絶えてしまうので、新しいものをつくるのはやっぱり大事なことだと思うんですけど、生み出し方ですね。一生懸命作ってる方は応援したいなって思うし。
茶: うん。なるほど。私もたまに茅スタジオで「あたらしくない展」とか「スーパーリユース展」*っていうのをやってたりしてて。それはもう、あたらしくないものから作られたものだけで構成されている展示で。megeさんがおっしゃられているのと似たような感覚を私もアパレルで感じていたんです。私は商社やOEM会社にいたので、やっぱり大量生産で大量廃棄がものすごくされる中で、どうしてこんなにっていう思いがすごく強くなっていって。
*「あたらしくない展」2022年5月 「スーパーリユース展」2023年3月 「あたらしくないものへのエセー展」2023年5��
麻: もういらないって思いますよね(笑)
茶: 莫大な、そんな量が人類にとって必要なのかなって思うぐらいの量をぼんぼん作ってぼんぼん捨てるみたいなのを見てきて。megeさんがおられたK社さんは良心的な感覚を持ってますけど、私のいたところでは単にお金に向かうっていう感覚を私はすごく受けて。あーなんかすごくむなしいなって。
麻: 辛いですよね。
茶: すごい辛いですね。なんかやっぱ心が削られてく感じを受けるし、全く地球によくないなっていうのもすごく明確にあるし。服にも良くなくて。誰にいいんだろうって思うと、お金にとってはいいんだろうな、という感じ。経済にとってはいいんだろうなって思うし、でもそれは幻想だろうなと思うし。なんかもう作らなくて��いよって思います。古布回収で捨てられたところの倉庫に行くと、大量に、毎日こんだけの倉庫が満杯になるよって。毎日こんな来るし、年末とかこれの◯倍ぐらいになるみたいな。
そういうのを見ると、えー!?って思う。OEMの頃の同僚はファストファッションで安い服買ってワンシーズンで捨てますよーとか言うし、なんで!?って。なんでワンシーズンで服を捨てる必要があるのだろう。服に至るための、植物を育てて、収穫して、よりわけて、紡いで、染めて、織って、洗って、縫ってとか、その工程全部がワンシーズンで捨てられるべきものじゃないと感じてて。
なのにそれが今のファッション界の価格の安さだったり縫製方法だと、ありえる感覚の話になっちゃってるんだなーって思うとなんだかすごく辛いので、なんか、あたらしくない、もうあたらしくないものだけでやろうかなと思って「あたらしくない展」とかをやって。
それは古布回収で排出された古着をもとに作った服たちとか、そこに共鳴するものを作ってらっしゃる方をお呼びしたり、染め替えしたりとか、あたらしくないものだけでいいんじゃないかっていう展示を私もやっているので、なんだかmegeさんのおっしゃられていることには共鳴する部分があります。でも同時に「自分で作る」っていうのはなんかいいなっていう感覚も徐々に持つようになってきてて。
麻: そうですね。
茶: ソーイング部もやってるんですけど、全然服作ったことない人たちが、その場で好きな服を作ってくんですけど。だんだん目がキラキラし出して、ものすごいハマる方はハマっていって。まったく作ったことなかった方なのに、半年以内で10着以上作ってたりする方もいて、ほんとすごいなと思って。
私は全然そんな作れないんですけど(笑)。 もう闇にまみれちゃったので。なんかもう呪いみたいな(笑)。アパレルの呪いみたいなのがいっぱいあって、すごい嫌になっちゃって、全然作れない状態だったんですけど、ソーイング部のみんなの100%楽しい!に向かう、趣味としての「つくる」を見てると、すっごくいいなと思って。見ててポジティブな感じに癒されています。
そして、あたらしいものを作ると言っても残布が集まってくるので、部員はその布を使って作ったりしてることが多くて。ソーイング部やってるよっていうことが伝わっていくと、これ使えなかったから、って布をくださる方がいっぱいいらっしゃって、それを使わせてもらっていろんなものを作ってくという流れになって��りします。だからあんまりみんなあたらしい布を買ってはいなくて、あたらしくない布であたらしい服を作っています。
麻: いい流れですね(笑)
茶: 必要な生地があるときは買うんですけど。なんかあるものでなんとかなっちゃうことも多くて、いろんなものが生み出されてて、はーすごいなと思って。なんかそれを見てると「自分で作る」っていうのもすごく大事なことなんだなって感じていて。
「つくる」っていうのが生活からなくなりすぎちゃってるのかなって感じるので、ゼロイチというか、生み出すことが、現代は単に「買って消費する」だけになっちゃってる部分が非常に大きいから、そうすると自分の頭で考えなくなっちゃうだろうなって思うし。「つくる」っていうのをやるとすごい考えるんじゃないですか、作るために。めちゃくちゃ考えなきゃいけないので、「考える」にすごい繋がりやすいんだなって思うと、「自分で作る」はすごくいいのかもなって見ながら思ってます。
だから両方やってる感じなんですけど、「あたらくないものだけで十分じゃん」っていう思いもあるし、でも、「自分で作る」を個々人がやるのはすごくいいなって思ってます。
麻: 私も同じ気持ちで。石徹白洋品店(いとしろようひんてん)さんをフューチャーしたときは、最初は普通に販売会って形でやったんですけど、なんだかそれもちょっと違う、違和感あって、ただ売るだけじゃなくて、なんだろう、石徹白さんせっかく作り方を公開されてるので、ちょっとそこにフューチャーして、作る人口を増やすとこにいけないかなっていう形で、そっちの「作り方の販売会」をしました。
茶: すごい良いですね。ソーイング部でも石徹白洋品店さんのはめちゃくちゃ作ってて。megeさんで買わせていただいた「越前シャツの作り方」で作った方が 多分4~5人いて、たつけもその人たちは全員たつけを作ってから越前シャツに行ってるので、なんかすごい作ってます。笑
でも石徹白洋品店さんの作り方は独特なので、あれをやるともう技術力がいきなり上がって、もう大体何でも作れるみたいな、普通のパターンで作るやつなんか全然簡単だねみたいな感じになってくるので、なんか1個ハードルとしてたつけや越前シャツが成り立ってます。笑
麻: 石徹白さんのものを作って普通の洋装パターンとかでも作ると、その端切れの出方とかも比較的に見えてくるので、そこに考える部分が出そうですよね。なんかどっちもやるって大事だな。
茶: うん、あの無駄の出なさはすごいですよね。
麻: すごいですよね。
茶: すごい、ほんとすごいなって思います。ああいうのが各地にそれぞれが考えた感じであったんだろうなって。
麻: うんうん。
茶: なるほど。お話を伺っていると、難しいチャレンジをされてるんだなと感じます。でも、前回の石徹白さんの展示、すごく良いなと私は感じてます。
麻: あ、本当ですか。
茶: やっぱり、彼らの活動の中心がそっちじゃないかなって思うので。
麻: そうですね。
茶: だから作り手を増やすの大事だと思う。そして、その作り方の方にフォーカスする人って、できる人が限られると思うので。普通のセレクトショップさんとかだとそう��う展示の仕方ができないんじゃないかな。なんかmegeさんだからこそできる、できるというかやってしまうというか(笑) すごい��とだなと思いますそれは。
麻: ありがたいことに、あれをやったあとに、そのとき展示には来れなかった他県の方が、思い切って石徹白さんに行って、旅行してきましたって方がいたり。これまで2人くらい聞いたことあります。
茶: えー!すごいですね。
麻: 見えないところでそうやって石徹白さんに繋がってるんであればいいかなって思います。
茶: すごいふところの大きな話ですけど、そうですね。
そして、今度やっていただくワークショップのニットセーターを作り変えたものは「ももひき」って言っていいんでしょうか?「はくセーター」って言った方がいいのかな?
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1枚のセーターがももひきや靴下に生まれ変わります。
麻: そうですね、ズボンの方は「ももひき」って考えた方が呼んでいたのでそのまま引き継いで「ももひき」って呼んでいて。「ももひき」と、あと「くつした」と、二つを総称して「はくセーター」って私は呼ばせもらっています。
茶: なるほど。茅スタジオでは、今回は「ももひき」にフォーカスを当てさせてもらいたいなと思ってるんですけど、ちなみに「くつした」だとどのぐらい必要なんですか?
麻: 人にもよるんですけど、1着から2足とれる場合もあります。
茶: 靴下でもセーター1枚必要なんですね。
麻: そうですね、前後ろ前後ろと、底と、で。
茶: ということは、無駄にならないのはももひきの方ってことですかね。
麻: あ、無駄にならないのはももひきの方ですね。
茶: なるほどね。靴下の方は割とこう、余り分が出ますよねきっと。
麻: そうですねカーブも多いので、本当にもうこれ着ないかなっていう最終到着地みたいな。
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セーターをももひきにすることに見事成功した方々。いろんな柄や色がかわいい!
茶: セーターを、はくセーター(ももひき)にする ワークショップがいいなって思ったのは、どういうきっかけだったんですか? 
麻: それは私の販売員時代にさかのぼるんですけど、お客様がご自身で作られてきた「はくセーター」を履いてこられていて、それがめちゃくちゃ...かわいくて。
お声がけをして、お手紙を書いたりしながら彼女の活動を追っていました。その後、私がお店を立ち上げ「あるものを活かす」という活動をやり始めたとき、すごく通じる部分を感じ���ので megeでも教えさせてくださいってお声がけして。
「はくセーター」を元々考案された方は高知に住んでいらっしゃるyumahareさんっていう方なんですけど、彼女をお呼びして、東北を巡りながら一緒にワークショップをやったりしました。
茶: 東北を巡ったんですか! 
麻: そう、それと私も彼女の住んでいるところを感じたかったので、最終目的地を高知にして。そのとき、それが自分が「はくセーター」を教える最後だ、とおっしゃられていて。 あとは私に引き継ぐと。
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「教えまくっていた」という、日本各地で行われたワークショップ
その後は私が教えまくって、私の周りではほぼ全員知っている、みたいな状況になってしまって笑 「はくセーター」で生きてたんじゃないかっていう位、教えまくっていました。本当に、もう、これ着ないなっていうセーターの最終到着地だなと思っています。着古したセーターだったり、おじいちゃんが着てた古いセーターだったり、デザインが合わないなっていうセーターが 「はくセーター」、つまり、ももひきに生まれ変わることで、また着て。そうして使い切っていくような、ひとつの��恵を伝えていきたいです。
茶: きっと初めての西東京での開催ですよね。楽しみです。
最後に、衣や服についてもうひとつお聞きしたいです。「もう服をつくるのはやめよう」って思うほどの境地にいたりながら、なんで嫌いにならなかったのでしょう。
麻: 何ですかね、うまく言葉にできるのかな。そうですね、まず名前にもう衣(い)って入っちゃってるので、なんか…運命共同体じゃないですけど、 勝手に衣(ころも)についてやっていくべきなんじゃないかっていう使命感を持っていて。他にやりたいこともないですし。
茶: そうなんだ。
麻: はい。多分今、 そこへの執着をなくしてしまったら向かうところが何もなくなって、ちゃらんぽらんになっちゃうような気がして(笑)
茶: その執着の源泉はどこだと思いますか。
麻: 服…単に昔からいろいろ着るのが好きでっていう延長にいますね。切っては切り離せないものですよね、衣食住の衣っていう一番上にくる部分として。
茶: うん。でもそれはまあみんなにとってそうで、みんなの中には、なんか別に服とか選ばない人もいっぱいいると思うんですよね。で、そこまで執着して衣服をずっとテーマにし続けるって、やらない、やらないというかやれない人もいると思います。
麻: うん。そうですね。なんででしょうね(笑) ちょっと自分でもそこまで考えずにやってきたので。嫌じゃないから。
茶: 嫌いにならなかったんですか。
麻: そうですね、嫌いにはなってないです。服を作るのをやめようって思ったのは服が嫌いになったからではなく、私は職業としてこれは違うなっていう選択をしただけであって、服との気持ちの良い関わり方は何かないのかなっていうのをこうあれこれ探っているうちに今の形にちょっと落ち着いたのかな。
茶: 例えば新しいものを作ることは否定しないっておっしゃっていましたが、でもなんで自分にはそれを許さない、許容しないというのを決めたんでしょうか。
麻: うーん、そうですね。新しいものを完全に作らないということはないんですけど、そこを軸にはしたくない、自分はそこじゃなくていいっていう感じですかね。
新しいものを作るのも苦ではないんですけど、作る方って、もう湧いてきちゃってしょうがないって感じだと思うんですけど、私はあるものを、決まったものを作ることは向いてると思うんですけど、ゼロから作り出すっていうのは向いてないと思ってて。
茶: 職人タイプっていう感じなのかな。
麻: あ、そうですね。
茶: なるほど。いつぐらいに衣服、繊維関係に入っていきたいなって思われたんですか?
麻: ざっくりと思い始めたのは、中高生くらいですかね。 当時古着が流行っていて、ファッション雑誌が好きで読み漁ってたのもあるんですけど、私の世代ぐらいからゆとり教育が始まって「総合学習の時間」っていうなんでも好きなことを学びの題材にして勉強していい、みたいな時間に、民族衣装テーマにしてアオザイを作ったんですね。型紙買って、ちょっと縫える用務員さんをつかまえて縫っちゃったという位の簡単なものだったんですけど、なんかそれが面白くて。そこらへんからファッションの世界にずっと憧���ていて、多分、中高生くらいからはもうずっとファッションの専門学校しか見てなかったです。でも当時は単なる憧れの要素が強かったですけどね。
茶: その中でずっとやられていく中で、衣服じゃないかもって感じたことはない?
麻: 一回、青年海外協力隊とかも興味出たことはありましたが、でもそれも繊維系のことを教える部門っていうのがあったから興味が出たので、衣服から外れたことがないのかもしれないですね。
茶: なるほど、ずっと衣服なんですね。なんで好きなんでしょうね。
麻: 人と繋がっていられる手段が私には服しかないのかもしれないです。
心地よく人とつながっていられるのはやっぱり衣服を通じてな感じがします。友人関係とか、いい人間関係を続けてこられるのも、だいたいK社の先輩後輩・同僚だったり、お店で知り合った人だったり。服は合うのかなと感じていて。
茶: いちばん上手にコミュニケートできる分野だという感じがあるんですね。
麻: うん、そういう気がします。
茶: なるほど。megeでは場づくりをしているっていう意識はありますか?
麻: そこはちょっと意識はしてるかもしれないですね。
茶: 場作りしてる上で大事にしてることってどんなことでしょう。
麻: 例えば展示会だったり販売会ってなったときには、ただ売るっていうことはできるだけしないようにしていますね。例えば、うちに服を預けてくださっている箪笥主様が生業としているものを扱わせていただくとか、まず人があってその方のやっていることを紹介しています。物からはじまるのではなく、「まず人があっての物」っていうのは意識していますね。
石徹白さんのときも、石徹白さんの主軸にしている、大事にされているところを伝わるようにやっていました。そういうふうに繰り返すことで、それを良いって思ってくださる方が集ってきてくれている実感があるので、このやり方を続けていこうかなと思っています。
ーーー
内田麻衣(うちだ・まい)/ mege(めげ) 宮城県石巻市北上町出身。服飾の専門学校で学び、アパレル会社に就職。東京で3年間販売員として勤めたのち、同社のものづくりを行う岡山工場へ。 2年間の縫製業を経て宮城へUターンし「mege(めげ)」を立ち上げる。服の貸し出しを中心に、服を長く、大切に着る生活を提案しつづけている。
==
「セーターを、はくセーターに」ワークショップ 12月15日 (日)13時〜16時ごろ。 着なくなったセーターをももひきにリメイクしませんか。 参加費 3,000円+ 資材費 500円(資材必要な方のみ)。 こども連れも歓迎。冬におすすめです。
つかう資材: ・ニットを縫い付ける毛糸(できればセーターと同色の細番手のもの)*縫い目がちらちら見えてもかわいかったりするので、色は絶対ではないです。 ・ゴム(ウエスト用のもの。締め付けが嫌な方は紐でも可)
もちもの: ・裁縫セット(裁ちばさみ、小ばさみ、針、糸)
申し込み: [email protected] まで。
写真提供:mege
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4komasusume · 1 year ago
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かわいさとは性差を超越するものなのだ――田中ぬぬ『こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない』
 劇作家ウィリアム・シェークスピアは男の娘についてこう語っています。
 『美しさは罪だ。だが可愛さは正義なのだ』
 男の娘の存在を的確に表現しています。……言ってませんね。言ってるわけがないですね。いきなりこんな与太を飛ばしたのは、今回取り上げる作品が男の娘を主人公にしているからです。
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こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない 1巻 (まんがタイムコミックス)
posted with AmaQuick at 2023.09.23
田中ぬぬ(著) 芳文社 (2023-09-07)
Amazon.co.jpで詳細を見る
 田中ぬぬさんの『こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない』です。現在まんがホームで連載中です。
 男の娘 (おとこのこ)とは【ピクシブ百科事典】 (pixiv.net)
 男の娘とは ”外見が、「かわいい又は美しい娘」に見える男子”ということです。2000年代以降に女装男子の一ジャンルとして確立しました。私自身の感覚では、美しさよりも可愛にさに比重を置いている女装ジャンルだと思っています。
 作者の田中ぬぬさんは電撃コミックで『女装しないのは俺だけなのか!?』作品を手がけていて男の娘への造詣の深い方です。『こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない』でも男の娘の可愛さと深い世界を描いています。
 新連載1話目のインパクトは大事です。田中ぬぬさんは4コマ誌での実績がなく、扱う作品も男の娘というニッチなテーマ。なかなかのハードルの高さですが、1話6ページの中で主人公の音瀬くんが女装男子の男の娘である作品の肝を最大限に生かす演出をしています。
 1ページから2ページ目でノリノリで撮影会に参加する主人公・音瀬未来を描いています。かわいいものが好きで自身をカワイクし撮影会に参加していることと、ナルシスト的性格であることがわかります。
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 3ページ目4ページ目で可愛い自分に悦に入っている音瀬くんを描いていますが、その様子に軽い違和感を感じます。どこか非日常的なことをしている雰囲気を身にまとっているのです。
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 そして5ページ目。変形4コマ形式で音瀬くんが女装していることを本人以外から指摘されて判明します。これにより音瀬くんが絶体絶命のピンチになりストーリーに大きな盛り上がりを出すことができています。
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 6ページ目で捉えどころのない橘のキャラクターの明示と音瀬くんの秘めた趣味を黙っていることに対する条件を提示することによる次回への引きを描き、読者の期待感を高めているのです。
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 1話6ページ41コマ。この中でキャラクターのカワイさを際立たせ、ストーリーの山場で女装であることを描き、さらに次回に期待を持たせる。考え抜かれた演出で感嘆します。これから何が始まるのかという期待感を読者が持ったら勝ったも同然です。
 この1話は芳文社のサイトから試し読みできますのでぜひその目で確かめてください。
 芳文社 こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない 1巻
 
 主人公の音瀬未来くんは
 この青年が
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 こうなります。
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 もう一度作品タイトルを確認してみましょう。『こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない』です。「男の子のはずがない」ではないのか?いいえ、これでいいのです。どんなかわいい女の子より、男の娘である音瀬くんのかわいさが至上であるという情熱あふれるタイトルなのです。
 音瀬くんは1話目で女装していることがバレたら、身の破滅と考えているのがわかります。しかし自分のかわいさについては非常にポジティブな思考を持ち合わせてるのです。
 1話目ラストで橘が音瀬くんに出した交換条件とは、男の娘になっている音瀬くんの写真を撮らせること。その際に橘が言った
 「女装男子なんてなかなか撮れないし面白そうじゃん」という言葉に対しての音瀬くんの反応がこれです。
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 女装趣味がバレて絶体絶命なのに、自分のかわいさを評価されないとこの反応です。さらに翌日改めて撮影する段取りになった時も不安だと心の中で思っているのにその態度は楽しみで仕方ないのが見て取れます。
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 音瀬くんは自分がかわいくなること、かわいいと評価されることが絡むと常識のタガが外れるのです。橘から女装趣味をネタに色々やらされても、その行為がかわいいことに繋がると満更でもない気持ちになる。これが音瀬くんのキャラクターの面白さです。
 ではやらせる方の橘はどんなキャラクターかというと、トリックスター要素を多分に持ち合わせています。表情豊かな音瀬くんとは逆にほぼ変化のない表情。感情の起伏がないかというとそうではなく、音瀬くんに愛好するアニメキャラクターのポーズをリクエストして、間違ったキャラのポーズをとった際にもクドクドと説教をしたり、アニメのエンディングダンスをするよう指示をして、その出来に事細かく注文をつけたりとめんどくさいオタクな側面があります。
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 策にはめて音瀬くんの女装姿を撮影する割には撮影技術が拙かったり、情報商材サギに引っかかりそうになったりとポンコツな側面もあり、総じて捉えどころのないキャラクター性を持っています。
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 橘は女装ネタで音瀬くんを無理やり従わせているので、ポンコツ面で中和しているのかもしれません。そして何より重要なのは橘は音瀬くんの女装を面白いからと興味本位な発言をしていますが、ことあるごとに男の娘になった音瀬くんを全面肯定して、彼をかわいくするための行動力が天井知らずなのです。
 ホワイトデーのお返しにバカ高いオーダーメイドのコスプレ衣装を作ることなど朝飯前。届いた衣装で撮影するために喫茶店を貸し切る。言葉だけでなくその行動力で音瀬くんのかわいさを評価しています。
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 音瀬くんにとって橘は女装をしている弱みを握られているのと同時に一番の理解者であるのです。作中でこの理解者である面が音瀬くんの中で大きくなっていき、二人の関係に変化が出てきます。
 この作品��は音瀬くんが男のアイデンティティを持ちながら、女装して男の娘を肯定的に捉えていることが面白いです。女の子のような男子を登場させた4コマはありますが、ここまで切り込んだ描き方はしていなかったと思います。コメディ作品ですが、男の娘のかわいさ、素晴らしさを推している本気度が感じられる作品となっています。
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画像出典 芳文社 『こんなにカワイイ音瀬くんが女の子のはずがない 1巻」 P3,P6,P7,P8,P19,P20,P10,P11,P14,P14,P90 掲載順
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mxargent · 1 year ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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fizeno · 24 days ago
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bearbench-tokaido · 4 months ago
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七篇 上 その二
京見物をしている弥次郎兵衛と北八。 着の身着のままの北八。 やっとのことで見つけた古着屋でのできことです。
北八はちらっと、弥次郎兵衛の方をみてから、 「それだから質におく時の算用からして、その値段では買われねえ。 この布子ではどう考えても、銀二十より外は貸すめえから銀十五も���損することになる。」 今度は亭主が、顔の前で手を振りながら、 「何を、おっしゃる。 後家の質屋へ持っていっても、ものも言わずに銀五十はすぐに貸すわいな。」 「とんだことを言うもんだ。 この布子でどうして、五十も貸しましょう。」 と北八は意地悪そうに、亭主を見ると、 「なに、銀五十の価値は十分ありましょがな。」 「それじゃお前さん。この布子で、うけなさるか。」 「うけるわいな。」 これは仮に質に入れたら銀五十の金をかすかと聞かれているのだが、亭主は慌てているのか即答する。
「そうは言っても当てにはならねえ。ならねえ。」 と北八は、すましたものである。 「それよりか、この間の股引きのごたごたはどうするんだ。 ほかにも、袴の一時貸しもあるし。 それもお前、子供たちが腹痛でかみさんがはやり病で死んじまって、葬式を出す金も工面が出来ぬとたっての頼みだから貸してあげたものを、義理のわるい。 いっそのこと、この布子はその袴の、担保にとっておきましょう。」 と北八は、あることないこと並べ立てる。 「ああ、何をいいなさる。 何だか、さっぱりわからん。 やっかいなことをいわっしゃる。 わしのかかあが、いつ疫病で死んだぞいな。 まったくけったいなこといわんすわいな。」 と亭主は、腹を立てている。
弥次郎兵衛おかしくなって 「どうも、この男は口が悪くてなりやせん。 まあ、勘弁してください。 それにしても何かと面倒じゃ。その布子、銀十枚にまけなえ。」 亭主も面倒になったのか係わり合いにならないほうがいいと思ったのか、 「よござります。朝商いじゃ。まけてあぎよわいな。しゃんしゃん。」 と手をうってしまう。 「これで、とりあえず、布こにありついた。」 北八はほっとして布をきた。
弥次郎兵衛はそれを見ながら、金を払ってやる。 北八は今まで着ていた木綿の合羽を、弥次郎兵衛に返すとさっさとこの店をでた。
それより北八は、にわかに元気を取り戻して、 「なんと弥次さん、たいしたもんだろう。 古着屋めを口からのでまかせで、はぐらかして銀三十五を十に見下すのは簡単だ。」 と手に入れた布を弥次郎兵衛に見せびらかすように、歩いている。 「ほれ見なせえ。まだ衿にあかもついていねえものを、いとも簡単に手に入れた。」 弥次郎兵衛はその様子に、 「そうだな。紺の布子だからお武家様の家来ってところで、俺のお供にぴったりだな。ちょうどいい。」 と笑っている。北八は、それには答えず、 「ところで、ここら辺は、何ていうところだろう。」 とあたりを見回している。
「えらく、いろっぽい女がうろちょろしている。」 弥次郎兵衛もそれにつられて、あたりをみまわし、 「ははあ、歌舞伎の役者がかぶるような紫ぼうしの野郎どもが見えるから、おおかた、宮川町あたりだろう。」 と答える。北八は、 「くるぞ、くるぞ、美しい妓どもがくる。 いい時に俺は、着物を買ってよかった。」 と汚れても居ない、自分の布をパタパタ叩くと、 「さっきみたいに裸の上にその木綿合羽じゃあ、あいつらとすれちがったときに格好悪くていけねえ。」 ととっさに襟をかきあわせる。
北八は見栄を張りながら、むこうより来る女形や芸妓とすれ違い通ると、一人の女形がふりかえって北八をみた。 「はつねさん。あの人の着物におっきな紋がついてじゃわいな。おお、可笑し。おほほほ。」 と指差して笑っている。 はつねと、呼ばれた芸子も、 「ほんに、あほらしい人さんじゃ。すかんやの、おほほほ。」 とこれも笑いながら、行き過ぎていく。 その様子に弥次郎兵衛が気がついて、 「おやおや、北八。お前の着物を見てみろ。 背中のよこっちょに大きな紋所がくっついていらあ。」 と北八の背中を叩く。 「どこにどこに。」 と脱いで背中のところを見てみると、ちょっと見ただけではわからないのだが、日のあたる所へ出ると大きな紋所がありありとすいて見える。 「しまった。こりゃ、大変、大変。」 と日に透かして、見える大きな紋所に、北八は苦い顔おをしている。
弥次郎兵衛は構わず、 「ははは、裾の方には、鯉の滝のぼりが見へるから、こいつはきっとどこかの店ののぼりを染めなおしたもんだな。」 北八は慌てて、弥次郎兵衛の指差すところを見ると、確かに鯉の絵が見える。 「ええ、古着屋めが。とんだ目にあわしやあがった。 どうりで安いとおもった。ぶんのめして来よう。」 「なに、ほっとけほっとけ。 だいたい、皆お前のせいじゃねえか。 古着屋も商売なんだし、こうなっちゃしかたがねえ。」 「畜生、いまいましい。」 と北八はつぶやきながら、不承不承また、その着物を着ると歩き出した。
さて二人は、四条通りに出てきた。 ここは名に聞こえた、賀茂川の東、祇園町である。 北側と南側の芝居小屋からはやぐらだいこを打ちながら、てんからてんからの音が客の足を止めている。 狂言名代の看板も華やかで、それぞれの木戸番も派手な衣装にみをつつんで、嗄れ声をあげている。 「さあさあ、評判じゃ、評判じゃ、今が三五郎の腹切じゃ。 このあとがあら吉と友吉が所作ごと。評判、ひょうばん。」 江戸で言うところの呼び込みは、ここ京大阪ではみな女で、その女が北八と弥次郎兵衛の袖をひいて、 「もしな、おまいさん方。ひとまく見てお出んかいな。」 とさそう。
「おおそうか。弥次さんちょっくら、京の芝居を見ようじゃあねえか。」 と北八が、弥次郎兵衛にいうと、 「おもしろかろう。女中いくらで見せる。」 「よござりますわいな。わたしがどうなとするさかい。 まあ、お出なされ。」 と女は二人を両方の手でひっぱり、引つれて芝居小屋に入ると、そのまま二階のほうへあげてしま��。 そこに桟敷をしきるさじき番がやってきて、二人を向こうさじきの前の方に入れる。
ちょうど幕の内にて芝居小屋の中では、売り子の声があちらこちらに響いている。 「みづから、うぢやま。(いずれもお菓子の名前) みづから、うぢやま。饅頭よいかいな。」 「茶、あがらんかいな。茶やどうじゃいな。」 「番付絵本、ほん。(パンフレットのようなもの)」 などと言っている。
「それにしても、こりゃ大入りだ。 しかし小屋の大きさが、江戸の半分しかねえ。」 と弥次郎兵衛が、あたりを見回していうと、 「ああ、退屈だ。一杯飲みたくなった。」 と北八は芝居が始まっていないので、手持ち無沙汰でいう。 「俺は、腹がへりまの大根(練馬の大根)だ。菓子でも買ってくおう。」 と弥次郎兵衛も、北八につられていう。 「みづから、うぢやま。饅頭よいかいな。」 「これ、まんじゅうを三つ四つ、くんなせえ。」 と、北八が、売り子に声をかけた。 「はいはい、三文づつでござります。」 と隣のさじきの見物人が、売り子に言った。 「これ、まんじゅうやさん。どしたもんじゃぞい。 こちの弁当、踏み潰したじゃ。」 「はいはい、おゆるしなされ。」 と隣の見物人の方に頭を下げた。 「あいたたた。お前は、俺の足をふんでる。」 売り子ははずみで、弥次郎兵衛の足を踏んでしまう。
「はい、これは、もし、ちとおゆるしなされ。」 と売り子は、体をずらそうとする。 「こりゃ、どうしやがる。 人の頭の上を、金玉をひきずってとおりやあがる。ええ、きたねえ。」 込み合った桟敷から売り子が去っていくと、隣の桟敷の見物人の会話が聞こえてきた。 「おい、権兵衛さん。何買うてお出たぞいな。」 権兵衛と呼ばれた男が、 「太郎兵衛さんや。待てじゃある。わしゃ今、あこの桟敷でな恐ろしく美味い物くうてじゃさかい。」 と何やら食べている。 「それ見ていて遅なったわいな。さあさあ、こないなもんじゃ。」 と権兵衛が、太郎兵衛に竹の皮づつみを出す。 「なんや、鯖のすしかいな。こりゃ、ウマそうじゃ。」 「それより、その飯は弁当のかわりにして、魚ははがして酒の肴にさんせ。それがよいわいな。」 といわれて、権兵衛は、 「さよじゃ、竹の皮はもていんで、草履の鼻緒たてるわいな。 いや、さっそく一盃やろかいな。」 と小さなお猪口を取り出し、ふろしきにつつみしとっくりよりついで飲みだした。
北八これを見ていて、小声で、 「弥次さん見てみろ。美味そうに飲んでやがる。まったくうらやましい。」 弥次郎兵衛は、買ったばかりの饅頭をほおばりながら、 「ええ、せこいことを言うもんだ。」 北八は何やら、考えていたが、 「これぼうず。この饅頭をひとつあげやしょう。」 とさっき買った饅頭の食い残しをひとつ隣のさじきの子供にやる。 北八はこれで、関係をつけて、隣の見物人の酒にありつこうとしたのだ。
つづく。
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blue-item · 5 months ago
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ゲスト◇彌永 耕一(Kouichi Yanaga)ガルバホール オーナー
国立音楽大学声楽科卒業。1993年1994年イタリアへ短期留学、G.ライモンディ氏に師事1998年舞台衣装ウエディングドレスアトリエ「GARBA」を目黒にて起業する。 2008年防音室のある賃貸住宅の建築や仲介のwebサイト「防音賃貸.com」を起業し、防音工事施工やレコーディングスタジオ、バレエスタジオを都内12ヶ所で運営している。2016年に西新宿にアール・ヌーヴォーの幻想的音楽サロン「ガルバホール」をオープンする。 2019年の二期会主催公演サントリーホールブルーローズでのNIKIKAIDAYS「愛の妙薬」でナレーターを務める。 また2018年よりライトリンク・ミュージック主催夏目漱石「こころ」朗読リレー会に出演し純文学の朗読表現の世界にも挑戦している。2019年「愛の妙薬」のナレーターをきっかけに 2020年、2021年、2022年と「愛の妙薬」「ドン・パスクアーレ」のオペラナレーターとして東京、新潟、山形での公演に出演する。2023年にはテニスン作、R.シュトラスス作曲の朗読「イノック・アーデン」2024年には宮沢賢治「注文の多い料理店」の朗読コンサートにも出演する。 ・ガルバホール 公式サイト ・ガルバホール Facebook ・ガルバホール X ・彌永耕一 Facebook
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interestwatch · 6 months ago
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pitosolid · 10 months ago
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「成人式には不適切な衣装」をなぜ作り続けたのか…「北九州の恥」と呼ばれたド派手衣装を生んだ店主のプロ意識 「衣装代未払い事件」を乗り越えられた理由 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
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muchakucha01 · 1 year ago
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 【十一月のご挨拶】
 立冬を迎えてまだ暑さ残る今年。  夏が好きな私ですが、気温が高いのに  日照時間が短くなっている感じには慣れません。  でも街中でも木々の葉は  少しずつグラデーションしていました。  季のうつりはひそやかですが確実に目に見えて。
 先月は台湾ツアーを行ない、  久しぶりの大人数の企画旅行を終わらせました。  自ら組み立て下見を重ねて作り上げていく茶旅は、  飛機、ホテルを決めて目的地に向かうのみ、の  通常の旅のスタイルと違い、  迎えてくださるサイドとの密な連携が必要となります。  いわば、旅の内容としてはじめにうたっている事は  全て成し遂げなければいけません。  テーマを遂行するのに関わってくださる方々。
 少しだけ裏方をご紹介します��
 例を挙げると、お見送り出迎えの方。  関空の見送りスタッフ、台北の出迎えスタッフ。  ツアーバスの運転手、ガイドさん。  ツアー中お世話になりますから、  その数日は旅の命運を乗せているのと同様。  本当に頼りとします。
 今回は、音楽会、茶畑見学、お茶会を  3本柱としていました。  音楽会では古琴、琵琶、二胡の演奏をじっくりと。  四名の奏者、司会者、運営の責任者達。  撮影担当者。総勢八名。  はじめて迎える大人数という事で、  椅子なども方々からたくさん用意していただいたようです。
 素晴らしい演奏を間近に聴いた終演後、  とても美味しい小菓子と台湾茶が出ました。  お茶は六亀の野放白茶。まだ暑さ残る日にぴったり。  家鴨の塩卵を棗餡で包み、サクサクのパイ生地のお菓子。  台北市内のお菓子屋さんの品かと思っていましたが、  台北から車で一時間かかる坪林にある  小さな食堂のオーナーに依頼し手製で焼かれたもの。  焼きたてを私達に食べさせるため  前日に取りに行かれたというのです。
 二日目は、包種茶の源流地、南港へ。  茶農家の余さん一族が五名。  解説をしてくださった台北に住む茶人、頼さんも  雨の中車を駆って駆けつけてくださいました。
 秋の新茶をはじめ数種類の  試飲をさせていただき、お茶を買い、  雨と霧に煙る茶畑を見学しました。
 三日目は、お茶会。  台北小慢さん、生徒さん方十一名と  ギャラリーオーナーAnnieの  尽力で作られた美しい茶席が六つ。  台湾、日本の交流茶會となり、  和やかで愛に満ちた空間となりました。
 食事に伺ったレストランでは  貸し切りで対応してくださったお店もあり、  わたし達のために特別の食材を手配して、  食べきれないほどのお料理を用意してくださった事も。  最後はみんなで記念写真を撮り、  LINE交換して別れました。
 最後に、本お茶会の衣装を担当した  伊藤尚美さん、鍛治田友起子さん、  旅行事務局二名。旅行アシスタントさん。  三十名の参加者の旅を作るのに、  ざっと三十五名以上の方々で支えてくださいました。
 茶旅ははじまりからフィナーレまでが  盛大なお茶会とも言えます。  ご参加いただいた方々はまた、  素晴らしい演者となってくださいました。
 楽しい思い出をまた次に  繋げますように。  二〇二三年 立冬  中国茶会 無茶空茶  黄 安希 拝
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ishiduca · 1 year ago
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銭湯の避難訓練に参加してきた。 事前に申し込みした銭湯好きあるいは避難好きが集結して、定休日の銭湯に入浴していると、突然電気が消えて、地震です!いまから避難してください!って誘導されながら店の外に脱出する、という訓練。 避難用のTシャツや浴衣、スリッパが装備されていて、とっさのときには貸してもらえるようだった。 こういう訓練がおこなわれている銭湯なら、緊急時にも、訓練のとおりにてきぱきやってもらえそうだけど、昔ながらの、お年を召した方が番台に座ってるスタイルだと、こうはならないような気がして、万が一の場合に安全な銭湯はどこ?を考えて通うようになるかもしれない。 前回来たときには、避難訓練があるじゃん、って予約してみたのだけど、今日は、週末はかぼちゃ湯があるし、来月には朝風呂がある、といったように、1回行くと、次のイベントはこれ、という情報が入ってきて、次はこの日に行かなきゃ、となっている。歯医者の予約みたいになってきている良い銭湯だと思う。
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shukiiflog · 1 year ago
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ある画家の手記if.121  告白 夏祭り
新居の近くには綺麗な池のある広々した公園があって、気が向いたら僕はその公園の池の前のベンチで絵を描いてる。
池の水は溜まりっぱなしじゃなくて公園の外堀の浅い川を巡らせてあって、いつも透明度が高くて綺麗。魚もいる。魚を狙う鳥もくる。 いつも隣のベンチにいてスズメにパン屑をあげてるおじいさんとか、池のまわりをランニングしにくる学生とか、公園に日課で訪れる人たちがいて、僕も通ってるうちに友達が増えた。 静物画を描いてた頃は絵を描くために外に出る必要はなかったから知る由もなかったけど、衆目のある外で堂々と絵を描いてるとちょっと目立つし周囲の興味をひくものらしい。スズメのおじいさんにそう言われた。 そんな公園の友達から、近々この公園で夏祭りが開かれるっていう情報を得た。毎年の恒例行事なんだそうだ。 「直人くんも来てみたらどう?お家は歩いてこれる距離なんでしょう」 「…そうですね。息子と一緒に来ようかな、あの子も夏のお祭りは初めてかもしれないし」 「そういえば息子さんいらっしゃるんですよね、今何歳なんでしたっけ」 なぜか僕が親しくなった相手に香澄のことを話すといつの間にか相手の中で香澄が幼稚園児くらいになってる。 もう成人してますよって言って証拠の写メを見せるときはだいたい絢と香澄のツーショット写真を見せる。 最初に香澄単体の写真を見せて一目惚れとかされたら困るから、となりに香澄とはまた趣の違う華やかで派手な絢もいたら見せられた相手も何がなんだかよくわからなくならないかなとか。実際まあまあそんな感じの効果は上がってる。絢ごめん。 顔立ちだけなら僕と香澄より僕と絢のほうが似てることになるのかもしれないけど、写真を見せても絢のほうを僕の息子だって思う人は意外と少ない。僕も絢もそれぞれ新しい家や家族に馴染んできたのかな。 僕は夏祭りに行ったことは多分ないけど、香澄と行った旅館の初詣でみんな着物着ててお店がたくさん出てた、あんなかんじかな。
前のマンションは立地は住宅街の中だったけど、マンションの方針としてその地域での町内づきあいは一切絶ってあった。今はそういうのが何もない普通の一軒家だから町内の報せとかもご近所から回ってくる。 かいじゅうくんの形のポストに入ってた夏祭りのチラシを取りだして見ながら、簡単に添えられたお祭りのイラストでなんとなくの雰囲気を知る。描かれてる人、みんな着物…浴衣?だ。僕がポストの頭を撫でながらチラシを見てたらちょうど出かけてた香澄が道の向こうから帰ってきた。 最近香澄はよくイキヤのマンションに通ってる。 最初は部屋を貸した身として僕が通って様子を見るべきかなとも思ったけど、結局僕がいつまでも仕事してて行けないでいたら香澄が行ってくれてた。香澄はときどき車出したりもしてた。 二人はけっこう仲良しみたいだ。それは少し、わからないでもない。 イキヤの人間関係はこれまでほとんど画家やそういうことに携わる現場の人間で埋め尽くされてきてる。家庭内にも今は別の画家がいるだけだし。性格や気性を問わず画家同士で穏やかに優しくしあうだけってことにはならない。…その分、誰かに優しくしたい気持ちがずっと行き場をなくしてたりする。 帰ってきた香澄にお祭りのチラシを見せて笑う��� 「これ、すぐ近所だし、一緒に行ってみようか」
そんなわけで当日の夕方、まずは自宅まで知り合いの着付け師の子に来てもらった。 浴衣もそこで前もって僕と香澄のぶんを買っておいた、お正月の旅館で知り合った貸衣装をしてたおばあちゃんの呉服屋さん。 あれから何度か仕事でおばあちゃんのお子さんたちにうちに来て手伝ってもらって、ちょっとだけ顔なじみになった。じゅんちゃんとゆなさん。 肖像画の内容にもよるけど、モデルがよく映える服や小道具が欲しいってときもあるから、そういうときに。うちのクローゼットにある服は僕と香澄のを合わせても、お互いに系統が揃ってる上にサイズが大きくてあんまり使えない。 買った浴衣は香澄が白で僕が濃い紫。旅館のときと違って香澄も今回は男性ものの浴衣で、二人とも柄はそんなに派手じゃない。旅先と違って行くのは近所の夏祭りだから、目立つ格好して歩いて妙な虫がついたら払うのに苦労しそうで。 今日は和服だから呼んで来てくれたのはじゅんちゃんだった。浴衣を綺麗に着付けてもらったお礼を昼間に焼いたクッキーと一緒に渡して、二人でお祭りに出かける。布を買って僕が作った簡単な浴衣を出がけに留守番するノエルに適当に着せたらじゅんちゃんに一度脱がされて着付けしなおされてた。
ちょうど陽が沈んだくらいのタイミング。外は昼間に比べたら少し気温も下がってきてる。 となりを歩く香澄の髪にはかいじゅうくんの簪が刺さってる。クリスマスに僕が慧にもらったものだったけど、僕より香澄が使う方が似合っててかわいいからそうしてる。…この方が慧もきっと喜ぶ。 香澄はバレンタイン…本人曰く「誕生日プレゼント」に、まことくんから髪留めをもらって、仕事の日とかによく使ってる。香澄は自分でそういう物はあんまり買わないし僕があげた覚えもなかったから訊いてみた。香澄が友達同士で物を贈りあったりすることにまで口は挟めないけどね。僕が無言でじーっと髪留めを見てたら視線に気づいた香澄は不思議そうに首傾げてた。
公園に入る前から外の道にも普段よりたくさんの人がいて、すでにかなり賑わってた。浴衣姿の人も多い。 はぐれないように手を繋いでたいけどご近所さんも来てそうだから無理かなぁ。 池のまわりをぐるっと夜店が囲むようにどこまでも連なってる。夜店は簡易テントみたいな作りで、高い鉄パイプみたいな骨組みを通してぼんやり光る提灯が頭上に並んで浮かんでる。 香澄と一緒に風を受けてとりあえず見て歩いてるうちにあっという間に空が暗くなって夕方から夜になった。提灯と夜店とところどころの街灯の灯りだけになる。 「あ」 思わず声が出た。飾りみたいにたくさんズラッと並べてあるのの中に、かいじゅうくんがいた。他にもいろんなキャラクター…?色々並んでる。顔だけ… 周りの人たちが買っていく様子を見てると、あれは顔につけるお面らしい。 迷わず買って香澄の頭に装着する。 「…?これって顔につけるんじゃないの?」かいじゅうくんのお面を香澄の頭の斜め上あたりにつける僕に香澄がほわほわ顔緩ませながら訊いてきた。 「香澄の顔が見えなくなったら僕が寂しいからね」 綺麗に装着し終えて満足してたら香澄がさらにほわほわ笑ってた。にっこりしてかいじゅうくんのいないところの髪の毛を梳いて撫でる。 僕はかいじゅうくんと比べたらやけにリアルな描写の般若面を買った。リアルで怖いからあんまり売れてないらしい。僕は首から下げた。背中側に面がくる。般若って女性じゃなかったっけ、とか思うけど、威嚇になる表情ではある。背後の警戒を般若面にお願いする。 二人でかき氷を買って食べ歩く。香澄がオレンジ、僕がブルーのやつ。二人でスプーンですくってお互いの口に運んで食べ比べてみる。どっちも冷たくておいしい。 射的のお店があったから香澄と二人でやってみる。ゴムを飛ばす鉄砲みたいなライフルみたいなやつを使って景品を撃ち落としたらそれをもらえる。 まずやってみた香澄が何発か撃ってお菓子箱を一個撃ち落とした。香澄はこういう体験は初めてだって言うから「コツを掴むのが上手だね」ってにこにこ上機嫌で褒めた。 そのあとに、香澄がちょっとだけ欲しそうに見てたウサギのぬいぐるみを僕が狙う。ルールに則って決められたラインから踏み出さないで鉄砲を構える。着物の袖が邪魔で肩までまくし上げる。たすきがけとかできればよかった。 僕は腕が長いから普通に構えただけでちょっとズルしてる感じになってるのかな。ゴムをつけ直してウサギを何度か撃ったら置かれた位置からずれてバランスを崩してウサギが落ちた。 店の人から受け取ったウサギを香澄に渡したら嬉しそうにしてた。垂れた耳。まだ留学から帰ってきてない絢のことを連想したのかな。 絢は今、まことくんとオーストラリアに留学に行ってる。日本国内ではなんの気兼ねもなく自由に好きなように活動するのが難しいのかもしれないからよかったとも思う、同時に、僕も香澄も心配な気持ちもあった。 だから僕が庭の樹から少し削りだして、二人でお守りを作った。木彫りかいじゅうくんのキーホルダー。 半分くらいのところまで香澄に作ってもらって、僕は最後の仕上げと少し整える程度のほうが絢は喜ぶかな、と、思ったんだけど、あまりに面妖な初期段階が香澄から提出されて僕は思わず難しい顔になった。なにかの形象をあらわしているとおぼしき木片の突起部分を落としていったらネット検索で閲覧に年齢制限がかかるような姿になったのでさらに削って削って磨いていったら最後にかろうじて残ったのはころんと丸っこい鈴みたいな形のかいじゅうくんだった。雛かもしれない。 お祭りはまだ見てまわるけど僕が撃ち落としたウサギは手荷物になるから一旦僕が香澄から預かる。 ヨーヨーがたくさん水に浮かべてあるのを二人で発見。香澄がすくってとった。歩きながら楽しそうに手で弾かせて遊んでるから、預からないで香澄に持たせたままにする。 頭にかいじゅうくん、手に水色のヨーヨー。着物を白にしてよかった。香澄の髪の色がよく映えて綺麗。 夜店の焼き鳥とかクレープとかホットドッグの匂いが漂ってくる。僕らは家で早めの夕食を済ませたから匂いだけ。公園のみんな曰く、お祭りの夜店で売ってる食べ物全般は内臓や消化器系によほど自信がないと食べるのは分の悪い賭けなんだそうだ。たとえよく火が通されたものでも油が怪しかったりするらしい。 みんなに団扇を配ってる人がいたから僕もひとつもらって、首筋をあおいで風を通す。じゅんちゃんに片側に流すみたいな幅の広めの紐を一本絡ませた編み方にされたから、いつもみたいに後ろで縛ってるより暑い。 となりで香澄の歩くスピードが少しだけ落ちた、様子からして下駄で少し足が痛むみたいだった。 僕も下駄は履き慣れないけどいまだに全然痛くならないから油断してたな… 少し人混みから逸れた場所に入って、香澄の前に片膝をつく。 「ここに足乗せてごらん」自分の立てたほうの膝をトントンと示して香澄の片足からそっと下駄を脱がせた。そのまま僕の膝の上に乗った白い足を診てみて、すぐに病院に行く必要があるような怪我はまだないことを確認する。 それでも鼻緒があたる箇所は少し赤くなっちゃってるから今日はこの辺でもう帰ったほうがよさそうだ。片足ずつ僕の膝に乗せさせて、その間に僕は自分のハンカチを歯でいくつかに裂いて破って、香澄の下駄の緒の部分を外して抜いて、そこにひとまずの代替にハンカチを通していく。ハンカチが柔らかいガーゼ生地だからもとの頑丈な緒に比べれば痛くないかもしれない。 一度香澄に履いてもらってから、すぐ脱げないけど締めつけない程度に長さを調節した。 家までならなんとかなりそうだったからそのまま二人で帰ろうとして、帰る途中で二人して見つけてしまった。 すぐそこの、ビニールプールみたいなのの中にたくさん金魚が泳いでる…。 香澄と顔を見合わせる。 「足は痛くない?」 「うん。すごく楽。」 「…じゃあ、あれだけ最後に見て帰ろうか」 足を痛めないように、ゆっくり水槽の前に二人でかがんで元気に泳ぎ回る金魚をじっと見る。 …体が白くて…頭だけ朱いのがいる。小さい… 「あの子香澄に似てる」 指差して香澄に言いながら、お店の人にすすめられるまま金魚をすくう小さな道具をもらった。指先で触って確かめる。薄い紙が貼ってあるのを水につけて金魚をすくうみたいだけど、紙の目がどの向きなのかとか裏表とか、踏まえておいたら少しはたくさんすくえないかな…。 「…ん  香澄どこ行った?」 「あそこ!」 僕が道具を見てて見失った香澄に似てる金魚を香澄がずっと目で追跡しててくれた。香澄が指差す先に腕を伸ばしてひとまず一匹目を無事にすくう。香澄確保。 そのあとも僕は香澄に「どの子がいい?」って訊いて、香澄が選んだ子をすくって、五匹すくったところでとうとう紙が破れた。 金魚をもらっていくかここに放して帰るか訊かれて、もらって帰ることにした。
荷物が増えたし夜も更けてきたから、今度こそ本当に今日はこのあたりで帰ることにする。 特に金魚の入った袋を持ってからは僕も香澄も少しおたおたした。生き物が入ってるし、一緒に入れてもらった水は少ないし、袋は歩いてたらどうしても揺れるしで、このままじゃ帰り道の間に弱って死んじゃうんじゃないかと思って。 楽になったとは言ってたけどやっぱりいつもの香澄の歩くペースよりは遅いから、公園を出てうちまでの道の真ん中あたりにきてからは、香澄に金魚を持ってもらって僕が香澄をおんぶして帰った。 香澄をおんぶしたり抱っこして運ぶのが好き。僕も昔小さな頃によくそうしてもらってた。どこへ連れてかれるのか分からない状態でも安心していられるその人との関係が大事だった。今僕の背中で疲れたのか少しうとうとしてる香澄に、嬉しくてにこにこする。あんな安心感を、香澄にあげられたら。 お祭りはあと二日、今日みたいな感じで続くらしい。時間があれば、次は普通の動きやすい格好で寄ってみようかな。
お祭りの夜は家に帰ったら浴衣を脱いで、香澄とうさぎと一緒にお風呂に入った。 香澄を洗ったあとでうさぎも洗って清潔にした。さっぱりしてから普段着に着替えて急いで一人で車を出して金魚を飼うために必要なものを買いそろえてきた。あんな少ない水と袋に入れたままだと一晩で死んじゃうかもしれない。 ひとまず金魚たちを無事広い水の中にうつしてから眠った。
次の日、元気に泳ぐ金魚たちを見ながら、香澄と相談して何人かに金魚を譲る相談を持ちかけてみることにした。 香澄がイキヤに連絡してみたらイキヤは今のマンションの部屋で飼う形でもらってくれるらしい。僕が情香ちゃんに連絡してみたら、長期間部屋を留守にすることもままあるから少し難しいって言ってた。 五匹。白い体に赤い髪のかすみはうちで飼いたい。けど、かすみは一番体が小さくて餌を食べる順番争いでも弱いみたいだから、ほかの子と一緒に飼ったら競り負けて弱っちゃうかもしれない。誰かもらってくれる人…
まだ陽の落ちきってない夕方に今度は浴衣じゃなくて動きやすいいつもの服で、香澄とまたお祭りに行ってみる。 一度来てるから二人ともあんまり気構えがなくて、お祭りを満喫するというより散歩の延長みたいな感覚で。僕は今年の夏祭りの見納めのつもりであちこちを見回す。 僕の横で香澄は今日もかき氷を買って食べてる。僕もたまにスプーンでもらって食べる。 特に目新しいお店が増えてるわけでもなかったから、香澄にそろそろ帰ろうか、って 声をかけようとした瞬間だった 場にそぐわないすごい勢いで僕らの脇を走り過ぎていった男にぶつかられた香澄が 跳ね飛ばされるみたいに 池に落ちた 「ーーーー 香澄!!」 大きな水飛沫と人が落ちた音に周囲からいくつか悲鳴があがって周辺が騒然とする ここの池は綺麗なほうだけど深くなってるところは深い 香澄が一人で岸までたどり着くのは難しそうで僕も泳げるわけじゃないけど迷わず飛び込もうとしたとき、 カンカンカンと乾いた音がした 鉄パイプの屋台骨を踏みつけて走る音? 考える暇もなく夜店の屋根の上から細い人影が舞うように池に飛び込んだ ーーーいつもの特徴的な裾の長い上着は着てなかったけど見間違いようのないシルエットに 僕は香澄とは逆方向に走り出す 信用なんてしたくもないし信用したからこうするわけでもないけど、泳げない僕がたどたどしく救命ベストとか持って自分も池に飛び込むよりあれのほうが確実に香澄を助けられる ああもう 言いたくないけどあれは死生観とか倫理観とか常識とかそういうのが一切通用しないわりにどういう理屈だかこういう場面では迷いなく人命や人権を最優先したりする、あれの倫理観がとくに意味不明になるのは七ちゃんやイキヤや少数の大事な人間相手なのか 知るかそんなこと、ただおそらくこの場ではあれは香澄を助ける 学生時代からいがみ合ってきたから逆にソリの合わないフィーリングは嫌ってほど把握してる 僕の方が歩幅が広いし絵を描いててかなり体が鍛えられてたから、走ったらすぐに追いついた 香澄を突き飛ばして池に落として逃走しようとしてた男  腕を後ろからガシっと掴んだ、暴れて抵抗してきたから前方の空間に誰もいないのを確認して男の腕を掴んだまま前に回り込んで男の体を一度僕の肩と背に軽く引っかけるように乗せて空中で相手の体を大きくひっくり返すみたいに投げて前方の地面に叩きつけた 本気でやると全身あちこちに骨折や打撲を負わせる悲惨なことになるから、あくまで逃走防止の範疇を超えない程度に抑えた 倒れた男の両手を背中でねじりあげて背に乗っかるみたいに膝を当てて体重をかけて地面に這いつくばらせる 「あのね。こんなくだらないことしてないで僕は池に落ちた息子についてたかったんだ、心配だし、僕があの子を直接的に助けられなくても君にこんな風に構ってるよりは幾分かマシだよ僕の気分がね、でもこの祭りに来てるってことは君も近隣住人の可能性がある、そんな人間を正体不明のまま逃して野放しにするのも気持ちが悪いからね…」 取りおさえたまま今思ってる恨みつらみを男にずらずらストレス発散みたいに言い募ってたら、全身びしょ濡れになった香澄と行屋が池から無事に上がって僕のところまでやってきた。行屋が連れてきたというより香澄が僕のところまで来てくれたみたいだ。 「香澄!怖かったね…息ができなくて苦しい思いはしなかった?」 香澄をぎゅっと抱きしめたら、濡れてるせいかもしれないけど元々低めの体温がいつもよりさらに低い。真冬だったらショック死してたかもしれない… 僕の体温であっためるように抱きしめたままきゅっと閉じた目尻に薄く涙が浮かぶ …こわかった 「…池の水は清潔じゃないし、もう夜だけど今から一緒に病院に行こうね」 香澄から少し体を離して安心させるように微笑みかける。本当は救急車を呼びたかったけどここに呼んだらたくさんのいい好奇の目の的にされそうで、悩んだ末に呼ばなかった。 香澄は行屋のいつものマントみたいなカーディガンみたいなエスニック調の上着をバスタオルがわりにして頭からかぶってる。こっちを見てくる他人の視線から髪や顔や特徴的な部分をすっぽり隠せてる。そのために飛び込んでったときいつものこれは濡れないように着てなかったのか…? 行屋は僕がおさえてた男の背中を容赦なく踏みつけて、いつもジャラジャラ首から下げてるネックレスだかペンダントだか天然石がたくさん連なった長い首飾りの中から日本の仏教の行事で使う仰々しい数珠みたいなやつを一本首から外すと、僕が背中で束ねてた男の両腕を寝違えそうなほど引っぱってそれで縛り上げた 「…そんな繊細な装飾品、僕なら簡単に引きちぎるぞ。こんなものが手錠がわりの拘束になるのか」 あんまり行屋を見たくないので見ないようにしながら言ったら、行屋はとくに気取ったふうでも得意げなふうでもなくあっさり答えた。 「数珠を通してんのはピアノ線だ」 そう簡単には千切れないって言いたいのか ていうかそんな仕掛けあったのかそれ… 本人は歌うような口調で、数珠はいいぜ、海外でも宗教上の理由とか言や結構やべえときでも没収されずに見逃される、とかなんとか嘘か本当かわからないことを言いながら、さらにきつく縛り上げてる …に、しても、こいつが人命救助に加害者の捕獲… 行動に一貫性がある…とうとう気が狂ったのか? 「お前いつから善行に目覚めたんだ」 行屋は造形的にはそれほど大きくない口元を三日月みたいに大きくにんまりさせながら言う。 「飛び込みと捕り物は祭りの華だろうが」 「…」 やっぱりまともな理由じゃなかった。香澄が池に落ちたのも僕が突き飛ばした男を捕まえたのも、祭りにそえる花というか一等祭りを盛り上げる余興というか…そんな感覚なのか…?   いや、理解したくない。ここまで。 行屋もそこでくるっと向きを変えて、薄着一枚でずぶ濡れのまま、まるで寒そうな気配もなく一言の挨拶もなしにまた身軽に夜店の屋根に登って身を翻してテントを飛びこえて、あっという間に姿は見えなくなって、祭りの中から去っていった。
その日はすぐに香澄を病院に連れていって診てもらった。 そんなにたくさん水を飲んでなかったおかげなのか、特に体に異常はなし、外傷もなし。医師は多分大丈夫だろうって言ってたけど、細菌とか諸々の検査をしてもらって、後日検査結果を聞きに来ることになった。 香澄を池に突き飛ばしていった男は僕が警察に引き渡した。お祭りの中で起きた事故だっていうんでお祭りの運営にも事の一部始終の説明を求められた。本人曰く、道を急いでいて不注意で偶然香澄に体がぶつかってしまい、そんなつもりはなかったのに香澄が池に落ちてしまって、深い池だったからそのまま溺死させてしまったらと思って怖くなって逃げた、僕に捕まったとき抵抗して暴れたのもそういうことで、香澄個人を狙った意図的な行動ではない、と。 僕はそれを鵜呑みにはしないし、まるで香澄が落ちたせいみたいな言い草がすごく不快だけど、それ以上個人的に関わるのも嫌だったからあとは警察に任せた。
香澄視点 続き
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galleryshinsaibashi · 1 year ago
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◆『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇(Jean Paul Gaultier: Freak and Chic)』鑑賞レポート◆ 『ジャンポール・ゴルチェのファッション狂騒劇(Jean Paul Gaultier: Freak and Chic)』はファッションデザイナー、ジャンポール・ゴルチェが彼の幼少期からデザイナーとして成功するまでの半生をミュージカル化した「ファッション・フリーク・ショー(Fashion Freak Show)」を完成させる約2年間を追ったドキュメンタリー映画です。 ゴルチェが自ら演出と200着以上の豪華な衣装を手がけた「ファッション・フリーク・ショー」はオリジナルの音楽、ハイスタイルな振り付けで観客たちを魅了しました。 それは2018年のパリ公演で25万人、22年のロンドン公演では30万人を動員する大ヒットを記録し、23年5月には日本でも公演が行われました。 制作過程を記録したドキュメンタリーはその結果である「ファッション・フリーク・ショー」を観たか観てないかによって、かなり評価が分かれそうです。 しかしながら、映画『ジャンポール・ゴルチェのファッション狂騒劇』はミュージカル「ファッション・フリーク・ショー」の完成された舞台映像を使用していて、それを観ていないものも楽しめる様になっています。 また、舞台を観た方も楽屋シーンでダンサー達が身に着ける衣装に至近距離で迫った細かく施されたスパンコール刺繍や、貴重な羽毛の重ね合わせられたグラデーションに新たな発見をするでしょう。 何よりもシャイなゴルチェ本人による各シーンの解説は、リアリティーと強いメッセージ性とエスプリに満ちていてそれだけで、この映画の価値を決定づけています。 冒頭、口で説明するのが苦手というジャンポール・ゴルチェはあのシャープでドラマティックなタッチの大量の絵コンテを携えて音楽を担当するナイル・ロジャース(Nile Rodgers)の自宅を訪ねます。 ナイル・ロジャースはファンク、ディスコバンド、シック(Chic)で1977年にデビューし、1980年代にデビッド・ボウイ(David Bowie)、マドンナ(Madonna)、デュラン・デュラン(Duran Duran)等のプロデュースを務め、当時の音楽シーンを創ったミュージシャンです。 世界最高の音楽プロデューサーとファッションデザイナーは、思わぬところで意気投合します。 ナイル・ロジャースの自宅には彼の功績を称えるディスクや愛用の楽器に混じって、アメリカの黒人の初期のエンターテイナーたちのアールデコ調のポスターが飾られていました。 その中にゴルチェは、ジョセフィン・ベイカー(Josephine Baker)を見つけ、子供のように喜びます。 10代にブラックパンサー党に入党していたナイル・ロジャースにとって1960年代末まで、社会奉仕と黒人の地位向上の活動に勤しんだ彼女はスーパースターの一人に違いありません。 一方、ゴルチェは「ファッション・フリーク・ショー」で「フランスで最も成功したアメリカ人」にしてアーティスト達のミューズであった、彼女へのオマージュを捧げています。 ジョセフィン・ベイカーと同じく裸のダンサーはバナナの房を腰回りにスカート状に巻き付け、セクシーでワイルドに踊ります。 一本一本のバナナにはストーンがびっしりと貼り付けてあり、女性だけではなく、男性も同じスタイルにしているのはゴルチェならではの演出です。 半裸の黒人女性が未開のジャングルの象徴であるバナナだけを身に着けて、コミカルなダンスをすることは差別的と捉えられがちです。 でもゴルチェはそのような見方そのものが偏見であり差別的だと訴えてるかのように、純粋に裸体と衣装、躍動感の美を眼前に示し、観客を挑発します。 映画にはゴルチェファミリーとも言える、カトリーヌ・ドヌーヴ(Catherine Deneuve)、ロッシ・デ・パルマ(Rossy de Palma)ら多くの個性的な著名人が登場します。 そして、ポスターの撮影に向かったゴルチェを迎える写真家、ピエール・エ・ジル(Pierre et Gilles)のキッチュでビザールなスタジオはタトゥーだらけの二人からは想像出来ないあのスイートなムードを醸し出しています。 また、劇中映像の為に呼ばれたゴルチェの祖母役のミシュリーヌ・プレール(Micheline Presle)は舞台の共同演出を行うトニー・マーシャル(Tonie Marshall)の母です。 ミシュリーヌ・プレールはレーモン・ラディゲ(Raymond Radiguet)原作のベストセラー『肉体の悪魔(Le Diable au corps)』で高名なジェラール・フィリップ(Gérard Philipe)相手に映画で演じた俳優です。 久しぶりにカメラの前に立った往年の俳優はみるみるうちに、即興で威厳と妖艶さを表現し、ゴルチェと娘を喜ばせます。 トニー・マーシャルは2020年に亡くなったので、これは親子にとって特別なシーンになっています。 映画の中のゴルチェは専制君主のようなデザイナーではなく、コラボレーションするアーティスト達に敬意を払い、スタッフの提言に耳を貸し、時には無理をさせたダンサーに潔く謝罪します。 彼のその姿勢が作品をより良く発展させ、完成されていく様が描かれています。 彼は自嘲気味にこう言います、「みんなは僕を好きな訳ではなく、僕の作品が好きなのだ。でも、それが楽しい」。 そして幾度なく繰り返されるあのメッセージ、「違いとは特別であることだ。誰もがフリーク。美は至るところにある。」と。 弊店は縁あって、ジャンポール・ゴルチェブランドの初期から国内のあらゆる展開に関わってきました。 彼自身の名前を冠したブランドだけでなく、多岐に渡る彼の作品を世界で最も取り扱ったブティックです。 ゴルチェのオンリーショップからセレクトショップへと展開した現在でも、セレクトのベースとなる価値観はジャンポール・ゴルチェによって培われています。 ���た、依然として世界的に貴重なジャンポール・ゴルチェのアーカイヴスも多く保有しています。 余すことなく作品を御覧頂き、そのテーマ、由来、特徴、影響力を御説明させて頂く事が出来ます。 ジャンポール・ゴルチェと共に歩んできた弊店ならではの成せる業です。 『ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇(Jean Paul Gaultier: Freak and Chic)』を観た方もそうでない方も、一度弊店に足を運んで頂ければ、幸いです。 スタッフ一同、御待ち申し上げております。 Gallery なんばCITY本館1F店 〒542-0076 大阪府大阪市中央区難波5-1-60 なんばCITY本館1階 【営業時間】11:00~21:00 【休館日】年内無休 【PHONE】06-6644-2526 【e-mail】[email protected] 【なんばCITY店Facebook】https://goo.gl/qYXf6I 【ゴルチェ派Facebook】https://goo.gl/EVY9fs 【instagram】http://instagram.com/gallery_jpg 【Twitter】https://twitter.com/gallery_jpg_vw 【tumblr.】https://gallerynamba.tumblr.com/ 【ブログ】http://ameblo.jp/gallery-jpg/ 【オンラインショップ】http://gallery-jpg.com/
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you-myendgame · 1 year ago
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[ハロウィンの夕暮れ、ヒナイチは幼い頃に迷い込んだ森に再び足を踏み入れた。森を抜けて、薄紫色の夕暮れに咲くひまわり畑の遊園地でヒナイチは男の子に出会う。でもなんだか初対面とは思えなくて、彼女はつい遅い時間まで一緒に遊んでしまった]
という264死の数年後設定
「わあ、どうしたんだ急に?」
彼のひらひらの白い胸元のフリル、紅いベストの上で紫に煌めくアメジストのブローチ、くるぶしまで届く長い黒いマント。そのマントの裾が土埃で汚れるのも厭わずに跪く姿は、吸血鬼というよりもまるで王子様みたいだ。
「…………また会える?」
そっとヒナイチの目を覗き込んで薄く笑む黒の王子様の口元に、小さな牙が白く見え隠れする。
「ああ、良いぞ?」
この子はどうしてそんな簡単な事を、難しい宿題を解けない時みたいな顔して聞くのだろう。
彼が浮かべている笑みは、『やれやれ、これは到底叶わない』と初めから諦めてかかっている気がする。そんな事あるものか、明日の夕方にでも、学校帰りに会う約束をすれば良いだけじゃないか。待ち合わせ場所はどこがいいだろう。
(うん?この男の子は、この辺りの小学校に通っているのだろうか?)
おじいさんがこの子を喜ばす為だけにこんな、びっくり箱をひっくり返したみたいな大掛かりなハロウィンパーティーを開くくらいだから、きっと凄いお金持ちのおうちの子には違いない。そしてお金持ちの子ばかり通う、遠い学校に電車で通っているのかも知れない。そういう難しい学校に通う子はさらに塾なんかにも通って、物凄く難しい宿題が毎日たくさん出るのかも知れない。
もしほんとにそんな生活なら、すぐに遊ぶ約束をするのは難しいだろう。新しい友達とまた会えるか、不安になるのも仕方ないだろうけど。
「……ほんとうに?」
ヒナイチの答えを聞いた男の子は口の端の笑みをぎゅううっと大きく吊り上げて、それでもまだヒナイチの前から立ち上がりはしなかった。そして、今までより低めの静かな声で、ゆっくりと話し出した。
「…………ヒナイチくん、君にお願いがあります。」
それはもう真剣な、夏休み最後の日に友達に宿題を写させて欲しいと頼むような声だったので、ヒナイチも思わずお菓子の袋の上で居住まいを正した。
「……うん。」
男の子はかしずくように煉瓦の道に片膝をついて、黒いお城のシルエットを背に、真摯な眼差しで自分を見上げている。
(なんだろう、こういうのを、どこかで見たことがあるな)
ヒナイチはふわふわ広がる自分のチュールスカートに目を落とした。
「どうか私の……」
(あっそうだ、これはこの間テレビで見たディズニーの映画の、結婚の申し込みの場面に似ている)
映画の中では青空の下、お城を背景にした白いフロックコートの王子様が、金髪のお姫様にプロポーズをしていた。
それならハロウィンの今夜、オレンジ色のランプに浮かぶ黒いお城の城下町。私はお菓子の玉座に座る赤毛の魔女で、彼は青い顔の吸血鬼の王子様だ。
「城で……」
(……あっしまった、今、何と言っていた??)
空想に浸っていた所為で、ヒナイチは彼の台詞を聞き逃した。男の子は言葉を続けた。
「来月の、私の誕生パーティに出席して欲しいのだけど、いかがでしょうか?」
「誕生パーティ?……それは、ええっと。うーん、どうなんだろう?」
ヒナイチはぐるりと周りを見渡して、夜を煌々と照らす遊園地の景色を眺めてみた。
初対面の男の子のうちに、いきなり遊びに行ってしまっても良いのだろうか?礼儀正しくしないといけないと道場で言われているし、まずはお母さんに相談してみないといけない。
あっ!
遊ぶのに夢中ですっかり忘れていたが、ここは一体どこなのだろう!?
森を抜けて、薄紫色の夕暮れに咲くひまわり畑の遊園地で初めて会った男の子。でもなんだか初対面とは思えなくて、ついこんな遅い時間まで一緒に遊んでしまったけど。今何時なんだろう、兄さんはきっと心配している。
「…………もう帰らないと。」
「えっ!?」
ぽそりとこぼしたヒナイチの呟きに、男の子が素っ頓狂な声をあげた。ヒナイチがどきっとしてまた彼に目を戻すと、男の子はしょんぼりと耳を萎れさせて俯いていた。
「帰っちゃうんだね……招待客はみんな、暫くうちに滞在すると聞いていたんだけど、君は違うんだね……」
眉までもへの字型に項垂れた男の子に、ヒナイチはとても気の毒な気分になった。
「うわっ!な、泣かないでくれ!」
「……あっそうだ!お父様にお願いして、君の家まで送ってあげよう!」
パッと顔を上げた男の子の表情は早替わり、今度は泣き出しそうだった目を輝かせて、とびきり悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「お父様に乗せて貰えれば、おうちまでひとっ飛びで帰れるからね!」
「えっ!?乗せてとは車の事だろうか?それはご迷惑だろう、ありがたいが遠慮させて……」
お菓子袋から立ち上がりかけたヒナイチの肩を男の子は両手で押し戻して、小さな牙をちらっと光らせて笑った。
「ここで待ってて、お父様を呼んでくるから!」
言った瞬間、背を向けた小さな身体は思いがけず俊敏な動きで走り出した。そしてヒナイチが呼び止める間も無く、彼はきらきら廻るメリーゴーランドとティーカップの間をマントをたなびかせて走り抜け、夜の中にすっかり見えなくなってしまった。
……ううむ、出来れば家に電話をかけさせて欲しかったんだが、頼み損ねてしまった。しかし、あの男の子がお父さんに頼んでみてくれたところで、初対面の女の子を家に送ってくれだなんて聞いてもらえるはずがない。すぐ戻って来るだろうから、頼んで兄さんに電話をさせてもらおう。遊園地の所在地をはっきり教えてもらえれば、多分兄さんの方が車で迎えに来てくれる。
ヒナイチは袋の上に大人しく座って、男の子の帰りを待つことにした。
「ヘロー、楽しんでる?」
しばらく待っていると、遥か頭上から太い声が落ちてきて、ヒナイチは肩越しに振り向いた。菓子袋の後ろにはいつの間にか、それはそれは高い背の、吸血鬼マントの外国人のおじいさんが立ってヒナイチを見下ろしていた。
「あっおじいさん!」
ヒナイチは腰掛けていたお菓子袋から降りて、おじいさんの前できちんと頭を下げて挨拶した。うんと見上げた男の人の後ろには既に夜の帳が下りて、ちらちら星が瞬いていた。
「もちろん楽しんでいる!こんな楽しい遊園地は初めてだ。自分のうちの、こんな近くに遊園地があったなんて、どうして知らなかったんだろう。」
お母さんもお父さんも兄さんも、誰もここを知らないんだろうか?今まで、学校の友達も道場でも、この遊園地の噂を誰かが話すのを聞いた事がない。
「ここ、今日出来上がったばっかり。」
このおじいさんの返答は、ヒナイチの想定外だった。
「え?そうなのか!?そうか、それなら誰も行ったことが無いのは当たり前だな!……だけど、こんな大きな遊園地なら、出来上がる前にちょっとくらい噂になっていてもおかしく無いのだが……?今日みたいな1番初めの日なんか、もっと沢山の人がいっぱい集まるのではないだろうか?どうしてこんなに遊びに来る人が少ないんだろう?どの乗り物も凄く面白いのに、並ばなくても何回もすぐに乗れるから不思議だ!」
ぐるりと遊園地を見渡して、ヒナイチは改めて広さと明るさ、その見た目も奇想天外なアトラクションに感嘆した。前にお母さんに連れられて行った新装開店のスーパーは広くて、あまりの人だかりに呑まれてうっかりお母さんの手を離してしまった。はぐれて店内をウロウロするうちに、店員から渡された開店記念の風船がペンギン顔のプリントだったのを、ヒナイチは決して忘れはしない。(その後気をうしなって倒れるまで叫んで走り続け、お店の人に迷惑をかけたから、お母さんに物凄く怒られたのだ)
「ここは、私の一族のハロウィンパーティー会場。今日の招待客は、一族の者だけ。」
片言気味の日本語でおじいさんが話す内容を、ヒナイチはゆっくり頭の中で噛み砕いた。
「うん?んん??それは、おじいさんの家族でこの遊園地を貸し切っているという事なのか?ハロウィンパーティーの為に!?」
な、なんて凄いお金持ちなんだ。園内ですれ違う大人が全員吸血鬼マントだったのは、親戚みんなでお揃いの衣装を着ていたからなんだな。
おじいさんは近くの観覧車から遠くジェットコースターと、順に指差していきながら話した。
「あれ全部、皆を喜ばせようと思って、急いで一日がかりで作った。」
おじいさんの示す遊具には“HAPPY HALLOWEEN”や
“TRICK OR TREAT” とか緑や紫に光る絵の具で描かれたノボリが垂れていたり、園内の至る所にカボチャのランタンやガイコツが吊り下がっていたから、その飾りつけに一日中かかったという意味なのだろう。
規模こそこじんまりした遊園地だが、たった一日でこれだけ華やかなパーティーの用意が出来るのは凄いと思う。
「作るのは面白かったろうな!」
「オブコース。みんな喜んで遊んでいた。あの子が大喜びではしゃぐのを見たお父さんなんか、お母さんが泣いて喜ぶと言って、写真を撮りながらえんえん泣いていた!」
ここ一番の真剣な声色のおじいさんの問いかけに、ヒナイチが屈託ない笑顔で応じると、おじいさんは目を瞑って静かにこくりこくり頷いた。
「グレイト。ところで、一人?」
「うん、あの子はお父さんを探すと言って、走って行った。そうだ、おじいさん……あの子に、今度開く誕生日パーティーに来ないかと誘われたんだが、私は行っても構わないのだろうか?」
おじいさんは、じっと私を見てから首を横に振った。
「ウーン、城に呼ぶには、まだチョット早い。」
「あっ、うん……!そ、それはそうだろう、初対面の子をおうちに呼ぶのは、流石に早すぎるな!」
ヒナイチは視線をずらして、どもりながら答えた。こんな質問をして、礼儀知らずと思われただろう。恥ずかしくて顔が火照る。でも男の子の家をちょっと見てみたかったのはヒミツにしておく。
「ええと、おじいさん。あの子はお父さんに、私をうちまで送ってくれるよう頼みに行ってくれたんだ。でも初対面の私を送ってくれるはずはないし、家族に迎えを頼みたいから電話をかけさせて貰えないだろうか。それから……。」
景品で当たった、とてつもなく馬鹿でかいお菓子袋をヒナイチは未練たっぷりに眺めた。
「残念だけど、うちの車にはこれだけの量のお菓子は載せられないから、少しだけ貰って残りは置いて帰らなければならない。申し訳ないのだがおじいさん、この袋はここに残していく……」
あまり洋菓子は得意でないヒナイチも、おせんべい派のうちではまず出てこない珍しいお菓子の味が気になった。ハロウィンカラーの派手な包紙の下には、どんなお菓子が隠されているのだろう。何よりあの子が作るのを手伝ったお菓子って、どれの事だろう。
ヒナイチはぱんぱんにはち切れたお菓子袋の口元にしゃがんで、緩んでいた紐を全部解いた。袋からお菓子がぽろぽろとこぼれるのを拾い、被っている魔女のとんがり帽子を脱いで、袋がわりに詰め始めた。しかし、楽しげな色のキャンディーや可愛いラッピングのマドレーヌなど、帽子に全部詰めるにはあまりに種類が豊富で、ヒナイチは大変な誘惑と戦うことになった。
「ううむ、どうしよう、どれも美味しそうで気になってしまう……うわっ何だこの変な形のクッキーは?ネコなのか?シマウマ?」
吸血鬼マントのおじいさんは暫くの間、帽子に入れたお菓子を袋に戻したりまた選り出したり悩み続けるヒナイチを見下ろしていた。やがて、彼はぽそりとたずねた。
「全部ほしくない?」
一つ一つお菓子を手にとって吟味を繰り返すヒナイチは、おじいさんが自分のぴったり真後ろに回ってきたのに気が付いていなかった。
「実を言えば欲しいけれど、うちの車には載せ切らないし、そうだ、考えたら他所の人にこんなにお菓子を貰ったらお母さんに怒られてしまう!��れっ?」
「ぜんぶ持って帰りなさい。私が送る。」
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bridalcoreanada · 6 months ago
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フォト婚(衣裳+撮影)
ブライダルコアANADAを貸切り、お二人でも、ご家族様ご一緒でも撮影可能な店内
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