#貸切展望風呂
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展望露天風呂のはしご
さすがにのぼせてきた
そろそろ部屋に戻ろう
@小浜温泉 福徳屋旅館
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11/12/22
フラットにもだいぶ慣れてきた。家に備わっているもの、キッチン、お風呂、トイレ、ソファとテレビ、洗濯機、掃除用具などを一通り使い終えると、使い方と責任範囲がわからない不安感は払拭された。もう、わたしのものでもあるんだ。キッチンダイニングとは別に、ソファと壁掛けテレビがあるリビングルームがあって、そこへ夕飯を持ち込み、Netflixでフレンズを観たりしている。(よくわからないんだけど、以前の住人の契約がそのままになっているだかで、Netflix見放題なのだ。)リビングルームとフラットメイト1の部屋は隣接しており、その部屋の裏側の壁にテレビがかかっている形なので、「うるさくても眠れるタイプだから、いつでも観ていいよ」と言われてはいるものの、音量はちっちゃくしている。ソファで伸び切ったりできるほど慣れてはいないので、30分で終わる1話分だけ観終えると、そそくさと立ち上がって、洗い物をして自室へ引き上げる。イギリス式のキッチンは広くて気に入っている。コンロは4口、トントンスペース(三軒茶屋の不動産屋の受け売りワード)はまな板10枚分くらいあるし、レンジ、2段のオーブン、ポップアップトースターもある。ケトルはライムスケール(硬水の石灰成分が固まった白い汚れ)がひどくて、クリーナーを使ってみたけど、注ぎ口だけ綺麗にできなかったので使うのは控えている。自室も、狭いけど気に入っている。多分4畳くらいだけど、ちょうどよい大きさの机と、バルコニーへ通づる大きい窓、から差し込む光が特に良い。以前勤めていた会社の同期が3畳+キッチンの賃貸に住んでいると知って、むっちゃ馬鹿にして大笑いしたことがあったけど、狭いのもけっこういいね。
学校へ向かう朝、アパートの外階段が濡れていて滑ったので用心しながら降り、バス停へ向かった。バスに乗ったらバスの床も濡れていて、走り出した時に歩いていたので、滑って思い切り転んでしまった。わたしは笑っていたけど、落とした財布とオイスターカードを広い、手を差し伸べてくれた女性は真剣に心配してくれ、運転手に向かって、なぜバスの床が濡れているのかと怒鳴りつけていた。運転手は怒ったような口調で何かを返し、わたしは I'm fine. と言いながらへらへらしていた。わたしだけが笑っていた。別におもしろくはなくて、痛くて恥ずかしくて、こういう時に怒るんだと思った。転んだことは恥ずかしかったけど、怒ることはもっと恥ずかしいことだと思った。濡れた床のバスで転んだくらいでは怒らなくてもいいけど、なんというか、怒ることも、自分に正直でいるためには大事なんじゃないかと思った。
また別日、バスを待つ間、Airpodsを耳にはめるとなぜか米津玄師のYANKEEが流れたので、そのまま聴いたら高揚して楽しかった。体が動いてしまうようなJ-popが好きだったことを思い出した。身体が楽しいことが楽しい。英語を喋る楽しさって、MAD HEAD LOVEみたいなリズムが詰め込まれた音楽でノってしまうような感じに似ているような気が(その時は)した。
精神的な苦���を身体的なアプローチから癒すことについて。フラットへ越してきてからしばらく抑うつな気分が続いていた。落ち込みやすいのは昔からだけど、単純に身体的な刺激が足りていないだけなんじゃないかと思った。抑うつ状態であらゆる物事をネガティブに捉えてしまうのは脳のバグだとわたしは思っているのだけど、脳、というか感じ方、というか気分は、自分でも驚くほど突然、反対方向に切り替わる。死にそうになっていた5分後にはものすごい安寧に包まれていたりする。騙されやすい(?)脳にスイッチングが起こる時はいつも、身体的な刺激が伴っている気がしている。(寝転んで悩み続けている最中に晴れやかになったりはしない。)身体へはたらきかければすぐ元気になるみたいな話では全くないのだが、身体が楽しいことをなるべくたくさん散りばめることであまり悩みすぎないようにし、落ち込みの大波には飲まれないようにすることができるんじゃないかと思った。
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仕事何する?で悩み続けており、これは歌ったり踊ったり走ったりして解決されるタイプの悩みではないので、悩まないといけない。人の生活やキャリアを見て流されまくっている。いろんなものが、それぞれ良く見える。何をしている時が幸せを感じるのか、自分でちゃんとわかっておくことがこんなに大事なことだとは知らなかった。わたしは儲けるためのビジネスに全く興味が持てないのに、フラットメイト2が毎日忙しそうに働きながらビジネスの勉強のために大学へ通ってもいて、有望そうだなと妬んだりするのがめっちゃいやだ。人を羨むことは無意味だと知ってはいるけど、やめることはまだできない。でも羨望の感情って何かを始めるきっかけであることが多いから、素直に羨んで、自分もやってみて確かめるのが大切なのかもな。何をしている時に幸せかは、実際に確かめたり、時には何度も繰り返し確かめたりしないと、わからない。わかる、というより、わかりつづける、みたいな感じなのかもしれない。自分の幸せを絶対的に感じ続けることの何と難しいことよ。
なんとなく、場所を選ばず、複数種を掛け持つのが理想的な感じがしている。3つくらいをジャグリングしたり、時にはしなかったり、したい。2年間で掲げるにはあまりに大きく曖昧な理想像だから、2年後に何か一つでも手に入ったらいいよね。
いくつか求人にも応募している。時給£30(!)のマッサージ屋の求人を見つけて、未経験でもトレーニングあるよ、英語ちゃんと喋れなくてもいいよ、みたいな感じだったからapplyしてみた。二日後にメールが返ってきて、電話でヒアリングしたいというので応えたら、完全未経験者へのトレーニングはない、マッサージはそんなに難しくないし、誰かに教わってからまた連絡ちょうだい、とのことだった。どうやら英語力よりも経験のほうがよっぽど重要視されるらしい。あと、電話は意外といけるから怖がらなくていいこともわかった。
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突然、村上春樹を読みたい時の感情になって、学校帰りにFoylesという丸善みたいなでか本屋へ行って、ノルウェイの森の英訳版を買った。おもしろく読めている。ただ、日本語特有の言い回しや表現で構成された元の文章が、愚直に平坦に説明されているような感覚を覚え、少し味気ない。何度も読んでいるノルウェイの森を選んだからこそ、細かい言い回しや話の展開と照らし合わせて読むことができ、村上春樹感を味わえているが、未読のスプートニクの恋人を選んでいたらどうだったろう。海外文学を日本語で読む時のつっかかりや違和感は、異なる言語へ翻訳する過程で何かがこぼれ落ちるために生じているのだとわかった。
人と集まって食事を共にするやつをやりたい。食の傾向っていうのは、どんな料理が好きかの他に、どんな風にお酒を飲むのが好きか、そして忘れられがちなのが、どれくらいの量を食べるか、の3点に依存すると思う。わたしは結構食べる方っぽくて、アラカルトスタイルで人と食事をすると、もうおしまいなの?てなることが度々ある。定食屋とかで、女性のお客さんご飯の量減らしますか?とか聞かれるのもちょっとかなしい。たくさん品数作ったお料理を並べて、きりっと冷えた白ワインもたっぷり用意して、いい音楽かけたり話聞いたりしながら食べたり飲んだりしたいよう。来週末からスペインへ旅行するから、おいしいものいっぱい食べる。
おぎのやの釜めしの空き釜を使って、Tescoの激安long grain rice(細くてパラっとしたお米)を炊いてみた。釜で炊くのは意外と簡単。洗い物をしていると、器の裏側に彫られた「益子焼」の文字、おぎのやの釜めしの釜は益子焼の土釜だった。急に愛着が沸いた。次は日本米を炊いてみたい。
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07/24 柴寮偶寄 (183) 澳洲駐美大使陸克文一層一層地剝開習近平的心 中國的全球戰略就是?! 如何與中國打交道?【國際360】20240621@全球大視野Global_Vision - YouTube
中國的經濟成也西方,敗也西方;如果連自己崛起的原因都無法理清它的來龍去脈,其昏庸其實與追求船堅炮利的清末相差不遠。不了解的是,為什麼底下的留言,有不少不認同��克文的說法,尤其提到這個崛起 “早熟” 了,這一點是沒錯的;雖然最終還是會失敗,因為不但體制無法轉型,甚至起碼如同西方一般的 “文藝復興” 都無法發生,而依舊的搬弄文字,情勝於理。
現代化的國家只有一種,就是 自由、民主、人權;人民,只有人民才是 “政治” 的唯一關心,人民才是主權,主權在民。加油吧!
(184) 新加坡前外交部長演講訊息量大 美國早承認南海諸島屬中國?! 香格里拉酒店習馬會秘辛【國際360】20240531@全球大視野Global_Vision - YouTube
中國人繼續保持這樣的思維,是台灣與西方世界的幸福。
新加坡前外交部長楊榮文盛讚中國崛起!錯誤百出生搬硬套的話有人信? (youtube.com)
嘴巴說得很好聽,身體倒是很誠實。
(195) 楊憲宏從”萬曆15年” 預言習近平氣數已盡?/楊憲宏從文藝復興時代 驚見與當前時事不謀而合/楊憲宏透露賴副訪美秘辛 蕭美琴居中穿針引線/眾人皆睡 安倍最早覺醒 識破習近平詭計|20240702| - YouTube 最偉大的應該是習包子,沒有習包子,台灣或許已經��失了。台灣偏遠,不要把民主自由送過去,這是自殘的行為。
首見兩任防部長落馬..後續恐還有更高官…中國內亂正開始! 「打給中國看」美率28國展開最大規模太平洋軍演!@democraticTaiwanChannel (youtube.com) 參考中國古典:官場現形記。
中國頂級投行出事了,中金上熱搜!上海金融女降薪欠債爆雷引悲劇,買房一年賠掉20年工資?中国经济大潮正在褪去 - YouTube 傷及國家穩定的重大金融事件,以前日本、台灣都發生過,美國也曾經有過二次房貸的波濤;台灣當年是由總統決裁,所有必需垮臺的銀行債務,通通由政府,也就是國家,也就是人民買單。中國應該也可以相同處理。只是現在中國國庫已經空虛;或者除了主權之外,可以販賣菸酒公賣權等等等,以限定相應期限,給外國商業集團,慢慢解決。
(11) 要和平?要戰爭?北京發宣言 重申「和平共處五原則」 ! 習近平再提「和平共處」藏玄機! 內外政局時勢都不穩…習家班也造反?@democraticTaiwanChannel - YouTube印尼排華恐怕最主要的原因還是在華人全面掌控了在地的經濟;當年一般東南亞的民族屬於初民社會,並不懂得做生意 “發財”。
華人其實也瞧不起這些土人;李光耀就很具有華人的代表性。周恩來的五原則比較是在這種狀態下,對在地政府的 “安撫”。記得當年的蘇卡諾也是傾共。
(30) 自以爲是國民英雄,實則丟盡了臉!真敢説! #观复嘟嘟#马未都#圆桌派#窦文涛#中国#历史 - YouTube 記得台北故宮有幾個。
(31) 台灣脫口秀演員槓上小粉紅 觀眾笑翻了!直呼太精彩! - YouTube 潤 away from China;台灣人無論先來後到,通通是賭命通過黑水溝,自中國出逃。
(31) 《流浪到淡水》《追追追》 台灣民謠大師陳明章|《戀戀風塵》一戰成名 陳明章:「當乞丐也要做音樂」|北投音樂的故事 跟著陳明章「尋找台灣調」|陳雅琳獨家專訪|華視新聞 20230820 - YouTube Nagashi 就是 日本一般只帶著一把吉他到小酒館、小餐廳唱歌,以打賞的微薄收入過活的 流浪的樂師;日本音樂學院畢業的文夏作了一首很好聽: 流浪的樂師 https://www.youtube.com/watch?v=_fTju292Bbs
LTN經濟通》兩國百年仇恨 加入台灣更複雜
在台灣,不論是先來後到,通通是逃離中國。
【王德峰】為什麽人到四十不信命,就是悟性太差? (youtube.com) 還是比較喜歡看一枝在手七竅生煙。
ROCKWOOL - 5X Better Corrosion Mitigation (youtube.com) 老師說出了台灣人不恨的理由,至於為什麼喜歡,這一點不是很清楚;這不是舉出反對的人大有人在就可以推翻的事實。私以為從戰後嬰兒潮的長輩來看,感念是很清楚的。“做之親 做之師”,這麼說相當肉麻,不過手中一冊由當年台灣學生集文預祝老師早日康復的書: “暮春風” 可以很清楚瞭解台灣學生對日本老師的感謝。你也可以說這是教育的結果。只是這樣的情感卻是來自日本教師嚴格的教導之下,其整體內涵表現與日本學生並無不同;這有日本戰後電影 “吾愛吾師” 可以對照。也可以說台灣經過50多年的統治已經馴化,似乎可以和現在本質相差不多的 “哈日” 相比擬。家母說:我們一直認為我們是日本人,戰後一下子又成了中國人了。這些都是歷史,或許應該說台灣人的本性善良吧!?起碼現在的來台外國人都是如此形容感受的:親切。老師的剖析有學術性,不過,溫暖,還是很不錯的。
(58) 台街訪kol:為什麼我支持務實統一!?ft.柳傑克【野禮會客室】 - YouTube 主要還是看族群出身;中華民國來台灣只有70年。想法封閉不符現狀,只有死路一條。
(67) 評論區要爆炸!他曾效力台灣政府核心部門,失望離開才敢談這些話題┃洛奇訪談錄 - YouTube • 應該是台灣所稱的五月難民潮。• 說法很平實,卻是由於半套的情感,的確是到了盡頭;如此人才實在可惜。
🇯🇵🇹🇼日本人歌手寫作的台語歌曲《玉蘭花》真氣(MAKI) (youtube.com) 雅緻的曲調,美好的歌聲,玉蘭花的香氣浮泛於四周;真希望美麗的 真氣桑 是位台灣媳婦。
🇯🇵🇹🇼日本人唱的台語歌曲《花若離枝》江蕙 covered by 真氣(MAKI) (youtube.com) 竟然唱了這麼多首台語歌曲,相信 真氣桑 已經相當熟悉台灣的感情與情調,個人是個日本演歌迷,或許那一天借助著 真氣桑 的歌聲,
在日本也能夠出現許多台語歌曲的愛好者,那就真的喜出望外了。不少來台灣的外國人都覺得台灣親切,我猜,與台語歌曲應該很有關係;或許真應該感謝的是這些一代代的作曲、作詞者。
🇯🇵🇹🇼日本人唱的台語歌曲《無情人請你離開》江蕙 covered by 真氣(MAKI) (youtube.com) 介紹 真氣桑 一首更加纏綿、糾結的早期台語歌曲,作曲 許石、作詞 周添旺:https://www.youtube.com/watch?v=WD0-TRkZ3QQ
詭譎!假身分參選 菲律賓女市長是中國間諜?共諜滲透無孔不入 菲律賓女市長冒名事件非個案…@democraticTaiwanChannel (youtube.com) 聽長輩說早年拐賣孩子很多。
(75) 這位本土台灣人真敢說:日本和國民黨哪個統治更好?外省人把台灣當什麼?┃洛奇訪談錄 - YouTube • 作為第三者台灣人的感覺就是,中國與日本的文化程度相差太大。• 70年代才開始建設是因為回不去了。 • 終究台灣並不是他們的家,有辦法的當然是移民美國,這已經是 60年前的事了。• 戰後來台灣的中國人有兩掛:一掛是經過香港來台,環境比較好的江浙人士,比如馬英九;一掛是隨部隊來台���軍士官。
美國女部長預示 對中共還有大招?台灣大選是焦點!中共出台《外國豁免法》嚇唬誰?台商從中國出走 成就新形式日不落國!習默認執政失敗 只能全面維穩?|吳嘉隆|宋承恩|新聞大破解 【2023年9月6日】 (youtube.com) 思維落伍、心理殘障之外,美國的直來直往,與中國的的性格並不相同。
(101) 豈有此呂 EP234|矢板明夫辭職也要留在台灣 親解父變間諜身世之謎 分析美中日台微妙四角關係|呂捷 @LuJayRelax - YouTube 在 1949 國民黨來台灣之前,台灣人並不會說中文,屬於「男無情女無義」, 康熙曾表示的:「彈丸之地,得之無所加,不得無所損」 的化外之地,也因此在甲午戰後割讓給了日本。因為無某無猴的羅漢腳 逃至台灣,都討原住民為妻,因此之後成了「有唐山公 無唐山媽」 的漢人,渡過黑水溝來台是 逃荒,就是逃離景況荒蕪的中國的意思。跑到台灣來的國民黨也一樣是逃離中國。如此狀態,準用全世界的 華僑、海外民運人士。
(118) 台灣人的快樂「刺痛」了我,原來不是說中文的都是同一種人,沒想到世界上有另一種活法 - YouTube 我不是基督徒,我沒有宗教,建議可以去教會看看不同的世界。
(122) 🇯🇵🇹🇼日本人唱的台語歌曲《伴阮過一生》孫淑媚 covered by 真氣(MAKI) - YouTube 一聽再聽。
拉麵RUN|山形必吃的拉麵!好吃到每天都想來一碗!山ラー [詹姆士/姆士流] (youtube.com) 應該試試 うどん、 そば 新世界。
星期專論》中國的蟒蛇戰略:心理和法律戰 - 政治 - 自由時報電子報 (ltn.com.tw) 對中國的對台作為,台灣絲毫無回應的必要。中國的焦躁只會提早中國的支解以至滅亡。這除了台灣本身武力俱足之外,在作為上就是台灣的 “以色列化”,軍事行動以中國本土為目標。以台灣的能力,也將形成世界為之被綁架。只要願意,台灣會採取情勢主動,以杯葛為���段,以利己為執政方針,驅逐美國在台軍事設施。一挺機槍火箭,監鎖台日、台菲海域,有狀況,發炮傷害警示,不做無謂干擾。台灣的戰場在中國,不在台灣。露大腿,交結中國,亞洲地緣轉移,美國勢力衰頹,地緣政治重組。肌肉結棍,熱情滿滿,意氣昂揚,手起刀落,話不多說,行動主導,製造衝突節點,世界為之震動。
大陸來到台灣後 哪些生活習慣改變了 分享給大家知道 #新住民 #陸配 #陸配在台灣 #大陸人在台灣 #北京 #陸妻 #大陸人 #洗澡 #台灣生活 #萊爾富 #洗澡 #雨傘 (youtube.com) 還有,衣服更漂亮了。
經典小吃"肉圓"大不同! 北"油炸".南"清蒸"│【消費報你知】20240715│三立新聞台 (youtube.com) 先是炸,再 “油浸”,保持溫度。
日本民族性 l如果你要去日本發展 建議不要看|美麗又殘暴、矛盾曖昧的日本人|不專業知日 (youtube.com) 民族各有特點,多談點自己才會長進。有恥感,表示知道一些廉恥;日本士官學校畢業的蔣公的禮義廉恥,其根源就得自日本。 早年中國留學日本的名人太多太多了,因為日本的文明高過中國,就不用說台灣了。 日治之前的台灣,康熙說:得之無所加,失之無所損。是個男無情,女無義的番邦地帶。來談點江山樓、寶斗里,還是豬舖、番薯市可惜都禁掉了,好在還是可以召妓,只要有錢, 從北一路南下至高雄、屏東,春城無處不飛花。
蒙古烤肉捲土重來! 大戈壁開新店、唐宮重裝潢@newsebc (youtube.com)
台灣第一家、其實就是世界第一家的蒙古烤肉,創始者是相聲演員 吳兆南(搭檔是 魏龍豪),開設於敦化北路尾的 台灣土地改革館 頂樓。 據吳兆南說,蒙古並沒有這種烤肉,純屬自創,已經不存在的 中泰賓館 也有。
陸生到陸妻,台灣人讓我留在台灣,從此在台灣生活工作#陸配#陸生#陸妻在台灣##大陸人在台灣#大陸人#台灣人 (youtube.com) 輕輕的發音,聽起來很好聽、很舒服。
(168) 習近平有點倒霉…中國面臨的兩大限制和四項錯誤!三中全會亮底牌…習近平打左轉燈向右轉 帶領中國危險失速飆車。 @democraticTaiwanChannel - YouTube 中國傳統主要都就是 升官發財。目前的狀態不脫清末,追求船堅炮利之外,不同的是現在很有錢,也已經揮霍光了。 習近平住在軍隊大院,深浸馬列、毛思想,所以造成目前的習逆流。感恩、感謝 習大大,否則台灣終究會青壯出走, 財富流失,回到130年前的荒野狀態。報告明教授:一���完全民主、現代化的中國,教授您會回去嗎?也許不會,不過 “台商潮” 將再度湧現,歐美日資本將全力進駐,而中國必定偉大復興,因為後中共時代,商業民族的中國人,將很快的 發展事業,成就經濟。台灣 - 這個沒有靈魂的邊緣島嶼,將只是剩下老幼的僑鄉而已。
美國woke文化覺醒文化是什麼?從起源變化 搞大家人仰馬翻? 為什麼新迪士尼公主被粉絲討厭? (youtube.com) 隨著資訊等種種自由、大小族群百花齊放,尤其經濟有上下顛簸,一個戰後和諧富有的美國狀態不可能存在。文化原本就是會變動,那個國家都一樣,尤其政黨競爭,顯得社會分裂,這在集權國家不會出現,人民反而覺得舒適,這就是選擇。如同骰子放入骰子茼,一陣搖晃,是 12點還是 3點,結果就會分曉。
#32:🇻🇳越南女生14天的🇹🇼台灣之游結束。最後一天去家樂福購物,吃姜母鴨。在桃園機場捨不得離開台灣,爆哭了!#越南蔥蔥#台灣旅遊#台灣美食#桃園機場 (youtube.com) 台灣男生廣受歡迎,有世界市場。
【3-1】翁達瑞:我最受不了翁曉玲的傲慢/丟臉萬年副教授 學術成就幾乎是零/詭?師生.學長.同事 翁曉玲夫妻資歷重疊不尋常/翁達瑞謹記母親教誨:路邊小草也會把你絆倒|20240315| (youtube.com) 翁教授說得對極了:乞丐過溪行李多。
(186) 等習近平垮台?李酉潭:國際助中國自決民主化 港台永久和平唯一之路/李酉潭:中俄破壞人權公約 根本沒資格在聯合國/李酉潭:民主化過程易引戰 但自由民主國家從未戰爭|20240725| - YouTube 圍困令其弱化即可,不可能戰爭,否則台灣將自殘成僑鄉;如非偉大的習近平,國際也沒有人會與台灣交朋友。台灣心靈一直太弱,台灣就是亞洲的以色列。危險的是,中共一旦下台,台商潮將重現,歐美日資本進駐,經濟恢復會很快。
(194) 強億歌友會暨研習班 14 賴豔紅 20240727 - YouTube • 唱得很好,依然年青美貌的女人,很喜歡!• 歌詞很感動人。
賀錦麗故鄉村民嗨翻 盼見到首位印度裔美國總統 金正恩改造革命聖地"三池淵"成社會主義烏托邦 賀錦麗外交戰略模糊?反中態度曖昧?專家揭密...|陳斐娟主持|【世界面對面】20240728|三立iNEWS (youtube.com) 乾淨清爽,不流行
【直播精華】男友每天看片到凌晨,是精神出軌嗎? (youtube.com) 問題是 “低級”。
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見た夢
ツインの彼と妻と私の夢
ツインの彼の妻が、変な色のコンタクトをしていた。シグルドの体を借りたスルトを召還した魔眼のオフェリアみたい。瞳を大きくするコンタクトをしてた。ワガママそうな人。
ブライダルにいた意地悪で客に偉そうなあの子に似てたな。いつも足を組むんだけど、足が太くてちゃんと組めてない、おっさんの足の膝乗せになっちゃっている子。その子も瞳の色を変えるコンタクトをしてた。
ツインの妻らしき人物を見かけて、仲よさそうにはしてなかったけど、すぐに分かった。声かけたらやっぱりそうだ。
お風呂に入浴中、妻に私の裸を確認された。
私は来る途中で長野で財布を落とした。お金がない。
ツインの彼にお金を借りないと。なんかお金をそっけなく少し渡されたような気がする。私の前からすぐに消えた。
なんか横に並んだ時、背が私より低かった気がする。次に横に来たときは、背が私より高かった。
レストランで中国人のウェイトレスに、財布を落としたことを言うと、親切に警察に電話して、すべてストップしないとダメだと、最初たどたどしい日本語だったけど、後に中国語ですごい力説された。
今すぐ電話しないとダメだわ。カードもストップさせないとヤバい。
ツインの彼に携帯を借りないと。ツインの妻に、ツインの彼の居場所を聞くと、指示された方に行ったら、薄暗くてツインの彼が見分けられない。別の人に声かけたみたい。ツインの彼の顔もよくわからない。携帯を貸してと言うと、携帯を貸したら、あなたの携帯番号が分からないじゃんとナンパされて携帯の番号を聞かれた。ツインの彼は私が携帯を持ってないことを知っているはず。コイツ、ツインの彼じゃない。
妻があっちにいたとビルの屋上を指さした。私はロープでビルの屋上へ登ってい��途中で落ちた。
ツインの彼は、私を飛び越え、かっこよく妻をガードして抱きしめる。
私はほったらかし。やっぱりツインの彼は私を守らない。ツインの彼は、妻に言われれて、倒れている私の所に来た。
ツインの彼がたまたま持っていたバラが、長野の産地だった。これを使えば、長野に行ける。ツインの彼と一緒に長野へ魔法を使ってワープするところで目が覚めた。
本格的に落ちたのは私。誰が見ても、人として私を助けないといけない場面で、ツインの彼は、私を助けずに、妻をガードしたのはやっぱりつらいな。
泣きたい。
だって、落ちていく私を飛び越えて、妻をガードしたんだから。
私はただの危険物扱いじゃん。
私は何も悪いことをしてないのに、ツインの彼に愛を与え、守って来たのに、なんなのこの仕打ち。こんな扱い、ひどいよ。
そんなひどい扱いばかりされるから、人として間違っていると文句を言っているのに、それを攻撃されたと勘違い。先に攻撃しているのは、お前なんだよ。ひどいよ。
妻の目にも人としてダメだと映ったから、私の所に行くように言ったんだよ。
私ももう無理なんだから、諦めて引き下がればいい。今までの男みたいに、無理やりレイプされたわけでもないし、仕返しは要らない。
無理だけど、ダメージを受けてて、ダメージを受ける行動を未来永劫止めて、奪われたエネルギーを返してもらわないと、引き下がれない。だって、私はこのままじゃ、ダメージを受けて、エネルギー切れのままじゃ生きていけないもん。
夢が覚めてから、ずっと泣いてた。あまりに私がかわいそう過ぎて。
好きな人に冷たくされる夢
好きな人と仲良くなれるという、嬉しい逆夢の可能性が強いようです。近い将来、相手との距離を縮めるきっかけが訪れるでしょう。ぜひ積極的になってください。
ただし相手に冷たくあしらわれたらどうしよう、という不安感が、こんな夢を見させることもあります。不安が非常に強い場合に見る夢ということができます。
好きな人に無視される夢
2つ解釈が成り立ちます。一つは、逆夢の場合。相手もあなたに好意を持っていることの暗示かもしれません。勇気を出して告白するチャンス到来といえそうです。
もう一つは相手から嫌われているのではないかという不安が心の中に渦巻いている場合。相手によい印象を与えているかどうかで気をもんでいる状態です。
恋のライバルが出てくる夢というのは、一見するとあまりいい夢のように感じませんが夢占い的には「逆夢」である事も多く現実では、上手くいく事を暗示している事も多いものです。恋のライバルと争う夢というのは、好きな人に対する信頼感が薄らいでいる事も関係しています。しかし、実際には心配ない事も多いです。
「負ける��というのは、一見すると不吉な夢のように感じますが、実際には吉夢である事も多いです。
恋のライバルに負ける夢というのは、恋愛運の上昇を意味します。あなた自身、悲しい恋を終えたばかりであるのであれば、悪い縁を断ち切り、良い出会いを引き付ける事ができる事を暗示しています。また、今まで縛られていた事から開放され、自由を手に入れる事ができる事を示しています。
財布をなくす夢は、夢占いではあなたにとって不要なものを取り払ってくれるという意味があります。そして、あなたには新しいものがやってくるという意味があります。
財布をなくす夢は基本的には吉夢です。
財布をなくして見つからない夢は、あなたの金運が上昇していることを暗示しています。臨時収入に恵まれたりするでしょう。金運は上昇していますが、恋愛運はいいとは言えません。
金運には恵まれていますが、恋愛運はイマイチなので少し恋愛はお休みにした方がよさそうです。自分磨きに励む時間にするといいでしょう。
財布を置き忘れる夢を見たあなたは、注意力が散漫していて注意力や集中力に欠けていることを象徴しています。あなたは今の自分のキャパシティを考えずに行動をしてしまっています。
仕事も今の状態で手一杯なはずなのに仕事を次から次へと引き受けてしまい、どれも中途半端な状態になっていることでしょう。
財布を落としてなくす夢を見たあなたは、恋愛面で心配事や不安なこと、今交際している恋人に対して不満があることを夢は暗示しています。
今交際している恋人に不満があったり、
浮気をしているのではないか
自分のことを好きではないのではないか
などと心配事が多くあるようです。恋人のことを信じられずに疑っているようでは、恋人もあなたの態度に不満を持ち、喧嘩や破局に発展してしまう可能性があります。
恋人と別れたくないのであれば、あなたが不満や不安に思っていることを正直に打ち明けてみてはいかがでしょうか。ですが、思っていることをストレートに言えばいいというわけではありません。
相手の気持ちを考えて言葉選びは慎重になって下さいね。
財布と携帯をなくす夢を見��あなたは、仕事の疲れからストレスが溜まっていることを象徴しています。あなたは仕事を頑張り過ぎてストレスが溜まっています。
ですが仕事を頑張ったことが成果となり、金運は上昇しています。お金も大事ですが、まずはあなたの体が一番大切です。
取返しのつかないことになる前に、一刻も早くゆっくり休める時間を取った方がいいです。
自分が落ちる夢やどこからか落下する夢は、あなたが自信を喪失している状態をあらわす凶夢です。不安や失敗への恐怖を抱えていたり、自分の持っている能力に対して自信が持てなくなってしまっているのでしょう。
落ちていく時の感覚が絶望的であったり、落ちていく先が真っ暗闇である程その根は深いと考えられます。このような時には既にマイナスな状態であることを自分でも認識できているはずです。マイナスと今感じているのであれば、あとはプラスに上がるだけだという考え方をすることで、気持ちが少し楽になりますよ。
高い所から落ちる夢には、あなたがこれまで積み上げてきた努力や成果が台無しになってしまうという意味があります。一時成功を手に入れたかのように感じて気が緩んでしまっているのでしょうか。今のままでは足元をすくわれるような出来事が起こる可能性がとても高い状態です。
油断や怠慢は禁物ですので、気を引き締めてください。味方だと思っていた相手にスキを突かれる可能性もあるので、充分注意していてくださいね。
夢占いにおいて一輪のバラの夢の夢診断は、愛を得られる暗示です。赤い一輪のバラの時は情熱的な愛、ピンクの一輪のバラの時は優しい愛になります。ただし黄色の一輪のバラは嫉妬の色になるので、注意が必要です。
一輪のバラの夢を見た時は、バラの色やバラの状態も確認しておきましょう。黄色のバラ以外は運気が上昇する暗示です。黄色のときは嫉妬にやられないよう気を付けてください。
(渋い色の薔薇だった)
夢占いにおいてバラ・薔薇の色が黄色やオレンジの夢の夢診断は、嫉妬を受けるという暗示です。黄色の色合いが強いほど、花の数が多いほど、多くの嫉妬を受けている暗示になります。
バラ・薔薇の色が黄色やオレンジの夢を見たら、嫉妬につぶされないよう嫉妬を受け流すようにしてください。黄色いバラを贈る側の場合は、嫉妬しすぎないよう他のことにも目を向けましょう。
「ワープに関する夢」の中で、場所を移動する場合は、この時期に、居場所を大きく変えることになるのではないでしょうか。
例えば、急に転勤が決まり、何百キロも離れた場所で働き始める人がいるかもしれません。
振り返り、まるでワープしたようだと感じることになるのではないでしょうか。
なんか最近、長野の夢をよく見るな。なんでだろう?
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突然春は跳ねる #05
二日後の放課後、学校を出た私と長山さんは銭湯に向かって歩いていた。 「この間は迷っちゃったけど今日は大丈夫!」 長山さんがずんずん進むから後に続く。学校の周辺には大小様々なビルがたくさんある。ご飯屋さんも結構あるのに寄り道が禁止されてるから堂々と入れないのは残念だ。こんなオフィス街を少し歩いた先にどーんと広大な学校があるなんて変だと改めて思った。 二十分くらい歩くと暑くなってきた。街並みも変わってビルより家が増えてくる。古そうな一軒家が並んでてマンションもぽつぽつ建っている。学校の誰かが住んでいる可能性もあるけど、のどかな住宅街で人も多くないから学校関係者に見つかる不安はなかった。 「あ!見て!」 「ん?」 長山さんと見上げた青い空に灰色の煙がもくもく伸びているのが見えた。煙突だ。 「すぐそこだね」 「うん!良かった!迷わなかった~!」
銭湯に来るのは初めてだけどイメージ通りだった。湯と書いてある暖簾が入り口にかかっていてそこから男湯と女湯に分かれる。番号の書いてある木札が刺さってる下駄箱に靴を入れた。長山さんは数字とひらがなにこだわりがあるようでどこに入れるか考えていた。 受付のおばあちゃんにお金を払う。大人料金は四五〇円だったけど割引券で四〇〇円になった。使い切りのシャンプーとリンスのセットも買った。 体を洗ったり拭く用のタオルは持ってきた。ボディーソープは長山さんの物を使う。とびっきりのものがあるから嫌じゃなかったら貸してくれるとのことだったので借りる。 脱衣所にはすでに入浴済みのおばさん二人がいるだけだった。世間話していたみたいだけど私たちに気づいてこんにちはと言ってくれたので挨拶を返した。 ロッカーに荷物を入れて長山さんが制服のベストを脱いだ。それだけで胸の大きさが変わって見えた。特別とても大きいわけではないと思うけど小柄で言動も子供っぽい印象のある人だからチグハグで少し驚いた。着痩せって錯覚なのかな。どんな仕組みなんだろう。 今まで合宿とかで同級生と風呂に入ることは何度もあったのにそわそわしておかしかった。でも長山さんは恥ずかしがる素振りなんて見せない。彼女が髪を下ろして裸になっても私はまだ靴下とタイくらいしか外していなかった。 「先に行ってるね~」 そう言って置いて行かれてしまったので急いだ。
浴室に入ると長山さんはもうシャワーを浴びていた。私は隣の椅子に座る。 シャンプーの袋を切って頭を洗う。よくある匂いだと思うけど家で使ってるのとは違うから新鮮だ。リンスも。 「じゃーん!見て!これ知ってる?昔からあるんだって」 髪の水分を切ってお団子にまとめると長山さんは私に白い腕を伸ばした。思い切り開いても小さな手のひらには赤くて四角い宝石みたいな石鹸が乗っている。 「きれい…」 「ね!美味しそうだよね!初めて来た時に一個だけ売ってて一目惚れしちゃった!どうぞ使って!」 長山さんの言ってたとびっきりってこれのことか。美味しそうかはさておき、一目惚れはわかる。透き通って明るい場所にかざすとキ��キラする。 あまり嗅いだことないおしゃれな香りがする。お屋敷の花瓶に飾られている花にほんのちょっと貴重な胡椒を振りかけたような匂い。この間の長山さんの匂いはこれだったのかな。泡立ちも良かった。普段は石鹸なんて使わないのにちょっと欲しくなった。
湯舟には二人で熱い熱いと連呼しながら入った。他にお客さんいないからって騒ぎすぎたかもしれない。 そのうち、お湯の熱さに慣れて落ち着いた。外の暑さと大違い。気持ちがいい。 「長山さんはどうしてここ知ったの?」 「あのねー、美術科の一年生には共同作業ってのがあって、クラスの子たちと文化祭に向けて作品作りしてるの。あたしたちの班は富士山を描くことに決めて──」 長山さんは話しながら湯船で伸びる。白い肌は赤くなっていた。 「それはもうでっかいのを描いてやろうぜってことで何か参考にならないかと探してたらここを見つけたわけです」 「…一緒に来た男子が同じ班の子?」 「うん。男子二人とあたしの三人グループ」 「そうなんだ…どれくらいの大きさで描くの?この富士山くらい?」私は振り返って壁の富士山を見上げた。「あれ?」 富士山はなかった。空と海と岩と木だけ。それだけでもきれいな絵だけど富士山があるもんだと思って見たら殺風景だ。 「富士山は男湯側に描かれているのである」 「え!?」 「ふふ…ここからなら男湯の富士山を盗み見ることができるのだ…」 長山さんが湯舟の端に移動した。私も場所を変える。一枚の横長の壁画は中心で男湯と女湯に仕切られていてその壁の向こうに富士山の頭だけが見えた。 「不公平だね」 「ね!近くで見たいよね!これより大きい富士山描きたいなぁ。計画書の段階で教室に展示できるくらいにって先生に言われちゃった。本当は体育館にだって収まらないくらいのが良かったんだけど」 「野望がでっかいね」 「へへっ。照れる」 こんなことで照れるんだ。変なの。 私たちの体はもう茹でダコみたいになって一度水風呂で冷やした。ここでも一緒に冷たい冷たいって言い合ってまた湯船に戻ってのんびり浸かった。
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美味しい温泉
2023・5・29
ホテルのHPで浴場の種類と豪華さに珍しくワクワクした私。何処にも寄らずにホテルへ直行し、部屋で落ち着く間もなく1階の和風大浴場で身体を洗いそのまま7階の展望風呂へ。思った通り貸切状態
太平洋を独り占めのジャグジーは最高。展望サ���ナもあるので時間がいくらあっても足りない。夕食の時間ギリギリまで此処で過ごす
刺身の盛り合わせが言わば前菜で、この後次から次と趣向を凝らした懐石料理が出て来る。スタッフの対応もさりげなく、私は緊張せずに全ての料理を頂く。エビスの生は私、サッポロのノンアルは夫
夕食の後は1階庭園風呂のサウナと水風呂を出たり入ったりして過ごし、再び暗くなった海を眺めながら展望風呂に入り、部屋に帰ると夫は既にイビキをかいている。多分疲れていたんだね
そして翌朝は男女入れ替えの展望風呂で朝日が眩しい。写真だけ撮って1階の洋風庭園風呂にさっと入って朝食の会場へ
全室に露天風呂が付いているせいか、サウナには興味のない人ばかりだったのか不思議な事にどの浴場でも誰にも会わず、傷をかかえる夫もゆっくりと温泉を楽しんだ模様。ここならもう一���来てもいいかな?と思うホテルでした
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果てしない妄想物語
図書館の中をぶらぶらしていたら、誰でも使えるインターネット用のパソコンの前に、小学校低学年くらいの男の子が画面を食い入るように見ていた。何みてるんだろ、とおもむろに画面を覗くと、豊満な胸の水着姿のお姉さんが縄跳びをしているGIFアニメーションだった。しばらくその景色を眺めたあと、近くにある蔵書検索機で本を探す。また本棚を眺めて、なんとなくビビッときた背表紙の本を手に取る。これらの本を借り、図書館を後にする。
図書館にはいろんな人がいる。日向の中でまどろむ猫よろしく、一番日の当たる気持ちの良いソファエリアでイビキをかきながら寝ている人(時々スーツ姿の人もいる)、ページを捲る前に指を舐める人、借りたい本がないと司書の人にクレームをつける人、そして、先の少年。またこんなこともあった。借りたい本を探すために同じ本棚をウロウロしていると背後に視線を感じフッ、と振り返ると司書のおじさんがいた。びっくりした。いつからそこにいたんですか?心の中で問いながら目を合わせると「本をお探しですか?」とすかさず聞いてくださり、オロオロしながらも相談し、見つけてもらった。
図書館にあるはてしない量の本について、その中に出てくる人間にもそれぞれ人生や動物生がある。それに加えて、図書館に存在する人たちにも、それぞれ、人生があるのだ。信じられない。
図書館で寝ているスーツの彼は、家に帰ると奥さんが夕飯を作って待っていて、狭いダイニングで蛍光灯の光のもとで彼は夕飯を食べる。20時くらい?今日どうだった?ときく妻��んー、となんの意思もない返事をする。目は、あわさない。奥さんは呆れて(ただしその感情は表には出さない)今日パート先であった出来事を話す。ただし、パート先でちょっといい感じになっている、店長との視線のやり取りや独特の緊張感のある会話についてはもちろん、話さない。そんなこともあるのよわたし、と心中で留めておきつつ、夫の咀嚼する姿をぼうっと眺める。この人はわたしといて楽しいのだろうか。
ページをくる度に指を舐める老人は、調べもののため、図書館通いをしている。新聞に出てきたとある企業について、調べようとしたことがきっかけだった。今はその企業の何が気になったのか、もはや覚えていない。定年を迎えると、はてしない時間が目の前に広がった。妻は、変わらず淡々と家事をしている。さっき朝ご飯を用意したと思ったらもうお昼の時間よ、あっという間ね、という。何がそんなに忙しいんだろうか。俺はこの家の大黒柱だから、矜持を失ってはならない。俺も「やるべき事を果たす」ために、ラジオ体操と散歩と図書館での調べ物をする。正直なところ、自分のやるべき行動と意義を探しているのかもしれない。
借りたい本がなかった女は、図書館で、すごくイライラしている。そもそもは今朝。布団の中で微睡みながら起きようか、もう一度寝ようかぐずぐずするなか、でもあんま眠くないし、でも起きるのめんどいし、ととりあえずスマフォを開いて、インスタグラムを見るとストーリーズで、同世代の女性から根強い支持を得ていて、人生訓たるものを、充実している生活の片鱗を匂わせる写真と共に日々投稿している意識の高い女性が「朝活」と称して「今朝読んだ本、��んでもまだ8時とか信じられない。生産性って大切だよね。毎日忙しく感じるのは、単に時間の使い方が下手だったのかも。そんなことを気づかせてくれた本ですー」と投稿しているのを見る。自慢かよ、と思いながらも意に反してその投稿に反応する自分もいる。とりあえず本のスクショをとって、意を決して起きる。本買うのお金かかるし、でもなんとなくあの本読みたいし。読書自体が充実している人しかできない行為じゃんクソ、と頭の中で捨てるようにつぶやいたが図書館ならお金がかからないことに気がつく。世紀の発見のごとく、図書館で借りたい本をかり、読む、という、全体的に社会において充実して見えそうな予定を見つけ出し、急に行動的になる。洗濯をし軽く掃除もし、ウキウキしながら身支度を整え、最寄りの図書館に向かう。が、しかし借りたかった本がない。ないというのは嘘で、司書カウンターで問い合わせたところなんということだろう、貸出中だったのだ。司書は無責任な言い方で「貸出中ですねー」と言い放つ。せっかく今日は充実した日になる予定だったのに、出鼻を挫かれた気分だ最悪だ。なんなんだ。全ての原因が目の前の呑気な女のせいな気がしてきて全てに苛立ちを覚えてくる。これは注意でもしておかないと、この図書館の発展としてよくない、そうだちょっと「コメント」しておくか。一言のつもりが口をついてでた言葉は止まることがない。
そして、ちょっとエッチな動画を見ていた、少年。ドキドキとは別の、表現し難いムズムズを感じながら、ハッとして図書館を後にする。なんとなく、この感情は親には話さない方が良さそうだな、と思いながらチャリを漕ぎ出すと、道すがらの公園で同級生に声をかけられる。野球しよーぜ。おう、やるやるー、とさっき感じたムズムズのことなどすっかり忘れてチャリを止めて友達のもとへ駆け出す。そのまま時は流れ、17時の鐘が鳴り、帰る時間になったので、また明日なー!と叫びながらチャリを飛ばして帰る。今日の夕飯なんだろうな、ミートボールだといいな、と思いドアを開けると焼き魚の匂いがした。匂いを嗅いだ途端、めちゃくちゃお腹が減ったので手洗いをして母親に夕飯を催促する。手を洗いながら、やべ、なんかかーちゃんに書いてもらわなきゃいけないプリントがあった、と思い出すが2階の自分の部屋まで行ってランドセルからそれを取り出すのが面倒くさいので、夕飯の後でいいや、と後に回す。夕飯までは、ぼーっと夕方のニュース番組を見る。見るというか、眺める。夕飯を終えて、バラエティ番組を見入っていたら母親に風呂をしつこく促され(野球して服が汚れまくってるし汗もたくさんかいているんだから、早く入ってくれない?汚くない?モテないよ?と本当にしつこかった。風呂くらい1日入んなくても良さそうなのに。かーちゃんは俺が嫌がること見つけ出す天才)渋々入ったら、浴槽が入浴剤でカルピスみたいな色になっていてテンションが上がった。風呂から上がったら急に眠気に襲われたので、リビングの床に突っ伏していたら、早く髪の毛を乾かして寝なさい!と、またかーちゃん。かーちゃんは本当にうるさい。俺は落ち着くことができない!イライラしながら起きて、髪を乾かして、2階の自室に逃げ込む。ベットに潜り込んで、寝ようと思ったら急に、昼間、図書館で見た、あのお姉ちゃんの動画が脳裏に浮かんだ。ら、体のどこかわからないんだけどくすぐったいような、うずうずするような表現し難い気持ちがむくむくとたってきた。悪くない。でもどうやって抑えるのかわからない。ああいう動画って、もっと見たいけど、どうやったらもっと見れるのかな、と考えていたら眠くなってきた。眠りに就く直前、あ、プリント、と思い出したけど、もう眠いから明日の朝だすことにする。なお、数年後、少年(もはや青年)の同じベットの下にエロ本が隠されることとなる。
と、言うのは全てわたしの妄想だけど、でも、それぞれに流れる時間の長さと物語を考えて、果てしないな、と思う。これだけ人がいて、話があるのか。考えると果てしなさに驚き、呆れるが、同時にさっきまで抱いていた絶望感がどうでも良くなる。どうせ私の人生に誰も興味なんてないんだ、と思ったらしたいことだけしようと思った。
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『癒し系彼女の束縛レシピ』 ------------------------------------------------------
「みさきちゃん……」
近づくふたりの距離。
触れ合う唇。
熱い吐息。
舌を伸ばせば、素直に応えて絡めてくる。
ごく普通の大学生の、ごく普通のカップルの、ごく普通の夜の甘やかなひととき。
――ガチャン。
手首に違和感。
サラサラと鎖の音。
「みさきちゃん、コレ……今日も?」
「もちろんだよ」
目の前の彼女は、ふんわりと和やかな天使の微笑みを浮かべて言った。
「私、大事なものはちゃんと繋ぎ止めておきたいタイプなの」
(タイプというか、性癖じゃないかな……?)
内心で突っ込みつつも、みさきちゃんに嫌われたくない俺は、両手首にかけられたおもちゃの手錠を受け入れた。
講義が終わって昼休み。
恋人と待ち合わせて、大学構内のカフェで昼食を摂る。
「千歳くん、ご飯粒付いてるよ」
「え、どこ?」
「ふふっ、ほっぺたに。取ってあげるね」
みさきちゃんは自然な仕草で俺に近づき、取ったご飯粒を自分の口元へと持って行く。
「……えへへ、もらっちゃった」
にっこり微笑む顔が可愛い。
みさきちゃんと付き合い始めて3か月。
優しくて可愛くて、完璧な女の子。
日増しに彼女を好きになるばかりだ。
(だからこそ……)
彼女の性癖だけが引っかかる。
初めてみさきちゃんとセックスをしたのは、付き合って2週間目のデートの日だった。
大学がある駅から数駅離れた町の、駅から徒歩10分の場所にあるアパートの205号室。そこがみさきちゃんの部屋だ。
男子校出身の俺にとって、みさきちゃんは人生で初めてできた恋人。
そんな彼女の部屋に招かれ、手料理をごちそうになって、順番に風呂に入って……。
まるで漫画か何かのように完璧な流れ。
何度もシミュレーションしてきた初体験の段取り。
清潔な身体で、ベッドに並んで座って、それから――。
「千歳くん……手、貸して?」
無防備なパジャマ姿で、みさきちゃんが言った。
全身から石けんの良い匂いがする。
鼓動がうるさくて耳が痛い。
興奮と緊張で頭が上手く回らない。
みさきちゃんの言う通りに手を差し出すと、「両手だよ?」と可愛らしく言われる。
両手を差し出すと、みさきちゃんの小さくて可愛らしい手が握ってくる。
「ふふっ、手、熱いね」
ふにゃりと微笑むみさきちゃんが可愛い。
みさきちゃんが可愛いということしか、も���考えられない。
「千歳くん、目、つむって?」
「う、うん……」
声が掠れたのが恥ずかしくて、大げさなくらいぎゅっと目を瞑る。
視界が真っ暗になると、鼓動の大きさが余計気になる。
ドクドクと全身が心臓になったかのように鳴っている。
ドクドク、ドクドク、ドクドク、ドクドク――ガチャッ――ドクドク、ドクドク、ドクドク
(……ん?)
何か変な音が混ざった気がする。
興奮しすぎて心臓が壊れたのかもしれない。
薄目を開けようとした瞬間、不意に押されて背中側へと倒れた。
「えっ!?」
思わず目を開けたその時、また『ガチャッ』と音が聞こえた。
「ふふっ、まだ目、開けていいって言ってないのに。わるいこ」
みさきちゃんは、目を閉じる前と同じように可愛らしく笑っていた。
「ご……ごめん?」
よく分からないまま謝った。
「いいよ。次からは、私との約束ちゃんと守ってね」
みさきちゃんがにっこり笑う。
可愛い。
可愛いんだけど……さっきまでとはちょっと違う、ような……。
「あのさ、みさきちゃん」
「なあに?」
「なんで俺の手に手錠がかかってるの?」
目を開けてみれば『ガチャッ』の原因は一目瞭然だった。
俺の手に手錠がかけられていた。しかも鎖はベッドのヘッドボード側のパイプに通されている。
簡単に言えば、バンザイするように両腕を上にあげた状態で寝かされ、手錠はベッドにくくられている――拘束状態にされている。
誰に?
他の可能性は一切考えられないにも関わらず、信じられなかった。
「私、こうしておかないと安心できないの」
みさきちゃんは、どこか切なそうな、儚げな表情でそう言った。
「お……俺、優しくするよ。初めてだけど、みさきちゃんを傷つけるようなことはしないから、安心して」
「うん、それは大丈夫���千歳くんは優しい人だって、知ってるから」
「それなら……」
「うーん、どう言ったらいいのかな」
みさきちゃんは、小さな手を顎に当てて小首を傾げた。
仕草がいちいち可愛い。可愛いからこそ、拘束状態の異常さが際立つ。
「あっ、そうだ」
可愛らしい悩み顔が、可愛らしい笑顔へと変わる。
くるくる変わる表情もみさきちゃんの魅力のひとつだ。
そんな愛らしいみさきちゃんは、愛らしい声でこう言った。
「あなたが大切だから、ちゃんと閉じ込めておきたいの」
それが自然の理だとでもいうように言い切った。
「今夜は帰さないから……楽しい夜にしようね、千歳くん」
そしてそのままされるがまま、騎乗位で童貞を卒業した。
みさきちゃんもたぶん処女だったと思う。少し痛がっていたし、血も出ていた。
両手を拘束されたままだったから、抱きしめて慰めることすらできなかったけど……。
「千歳くん? ぼんやりして、どうしたの?」
気付けば、みさきちゃんが不安そうな顔でこちらを見ていた。
「最近ぼんやりしてることが多いけど……もしかして、悩み事?」
「ごめん、違うよ……みさきちゃんは可愛いなって思って見惚れてた」
「ふぇ……っ!?」
色白の顔が真っ赤に染まる。困りつつもまんざらでもない感じの表情で、みさきちゃんが身もだえる。
「もうっ、すぐそうやってからかうんだから」
「からかってないよ、本気だって」
みさきちゃんは可愛い。
大事にしたい。
初めての彼女だし。
初めての彼女だから、俺の認識が間違っているのかもしれないし。
拘束プレイなんて、みんな普通にやってる当たり前の行為なのかもしれないし。
「千歳くん、またぼーっとしてる」
「ああ、ごめん。バイト忙しいからかな」
「そうなの……?」
みさきちゃんが距離を詰めてくる。俺の腕をぎゅっと抱いて、うるうるした瞳で見上げてくる。
「なんでも相談してね。だって私、あなたの彼女なんだから」
周囲からの羨望の眼差しを感じる。
誰が見たってみさきちゃんは可愛い。そのうえ健気だ。彼氏冥利に尽きる。
「ありがとう、みさきちゃん」
だからこそ、俺も彼女にふさわしい彼氏にならないと。
……とはいえ、俺が抱えている悩みをみさきちゃんに打ち明けるわけにはいかないのが現状だ。
夜、自室でパソコンの画面を食い入るように見つめつつ、心の中でみさきちゃんに謝った。
ぼんやりしている原因は寝不足だし、寝不足の原因は調べものをしているからだし、調べものの内容はみさきちゃんにまつわることだからだ。
つまり俺は近ごろ熱心に『SMプレイ』について勉強しているのである。
みさきちゃんは拘束プレイが好き。ということは、おそらくSMプレイが好きだということだ。しかもみさきちゃんがS側。女王様側。女性上位プレイ派。
しょっぱなから手錠拘束で来たのだから、本当はきっと相当濃いプレイをお望みなんだろう。調べれば調べるほど自信がなくなってくる。
(ロウソク……は本当は熱くないらしいし、テープ拘束も静電気で接着するテープだから見た目よりエグくないらしい……でもスパンキングは普通に痛そうだ。磔とかも怖いし……ボディピアスとか字面だけで震える……)
殴り合���のケンカとは無縁に生きて来たし、今までで一番痛かったのは親知らずを抜いた時の痛みくらいなものだ。ネットで少し検索しただけであれよあれよと出てくるSMプレイの上澄みにすら恐怖を覚えてしまうほど、俺には痛みの耐性が無い。
今後、拘束からさらにプレイが発展していった時、俺はみさきちゃんについていけるだろうか?
平凡なプレイを望む俺を見限り、別れを告げられたらどうしよう。
「せめて、求められた時にただ恐怖に震えるだけじゃなくて……代替案を提案できるくらいには知識を付けておかないとな」
それが俺にできる精一杯だ。それ以上のことはいざ求められてみないことには分からない。
決意を新たにネットサーフィンを続けていると、インターフォンが鳴った。
「なんか通販頼んでたっけ?」
首を傾げる。
最近SMプレイ用の本やグッズをいくつか取り寄せてはいるが、今日配達予定の荷物は無いはずだ。すると勧誘か何かだろうか。こんな夜に? 時計を見ると21時を少し過ぎたところだった。
無視を決め込もうと思っていると、続けざまにインターフォンが鳴らされた。
「なんだ……?」
首を傾げつつ玄関へ向かう。のぞき窓から外を見ると、みさきちゃんが立っていた。
「みさきちゃん、こんな時間にどうしたの!?」
驚きのあまり扉を開けると同時に尋ねていた。
「ごめんね、突然……あがってもいいかな?」
「あ、ああ……うん」
何気なさを装って返事をしつつ、室内をザッと見渡した。近ごろ通販で買い集めていたSMプレイの資料はクローゼットの中だ。洗ったまま畳んでいない服はちらほらあるが、汚れ物は散らかしていない。あとは――SMプレイについて検索したままのパソコンが点いたままだった!
「あれ、千歳くん何か作業してたの?」
みさきちゃんがパソコンに近づく。
「いや、大したことじゃないから!」
大急ぎでパソコンのコンセントを引き抜いた。
「……そういう電源の切り方して大丈夫?」
「普通はだめだけど大丈夫……」
心配そうなみさきちゃんに対して、ただ怪しいだけの返答をしてしまう。
しょっぱなから大失敗だ。
「と……とりあえず、何か飲む? たしか冷蔵庫にペットボトルが何本か入ってたはず……」
なんとか気持ちを切り替えようと、一旦キッチンへ避難する。水のペットボトルしかない。仕方なく、それを持って部屋に戻った。
「ごめん、何も無いから近くのコンビニでなんか買ってくるよ。お腹は空いて……」
言いかけて固まった。
みさきちゃんは、SM資料の数々を前にして肩を震わせていた。
「ちょっ!? なんでそれを!? 隠しておいたのに……!」
「ごめんね、勝手に見て……でも、ベッドの近くに怪しい伝票の段ボールがあったから、気になっちゃって……」
「怪しい伝票?」
みさきちゃんの傍らにある段ボール箱へと目を向ける。送り主は「大人の」……。たしかに、こんな伝票をみたら怪しむのも無理はない。
「やっぱり……千歳くん、他に気になる子ができた���だ」
「え!?」
「最近、私と一緒にいてもぼんやりしてることが多かったでしょう? だから、他に好きな子ができたんじゃないかなって、うすうす思ってたんだ……」
みさきちゃんは、大きな瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「千歳くんは、その……こういうエッチをさせてくれる女の子がいいんだね」
うつむいた視線の先に、SM系の雑誌があった。ボンテージ姿の女性が表紙を飾り、過激な煽り文が躍っている。
「誤解だよ! 寝不足なのは、たしかにこういうのを見てたからだけど……みさきちゃんの他に気になる子なんていないから! 俺、本当にみさきちゃんが好きなんだ!」
うつむいたみさきちゃんの肩を掴み、なんとか目を合わせた。
「千歳くん……」
みさきちゃんは目を瞬かせて、表情を少し明るくした。浮気なんてしていないのは分かってくれたようだった。けれど、すぐにまた表情が曇る。
「で、でも、少なくとも私とのエッチに満足してないんだよね……? だって、こういうおもちゃとか本とか買ってるわけだし……」
「違うちがう、逆だよ」
「え……?」
「みさきちゃんが、俺とのエッチに満足できなくなる日が来るんじゃないかって不安で……SMプレイについて予習してたんだ」
「えぇ……!?」
みるみるうちに、みさきちゃんの顔が赤くなっていく。
「ど、どういうこと? 私、そんなに……あの、エッチな子に見えてた……!?」
「いや、エッチというか……その、性癖が」
「せ、性癖!?」
これ以上ないくらい真っ赤になっている。ここまでいっぱいいっぱいになっているみさきちゃんを見るのは初めてだった。こんな場合にどうかと思うけれど、みさきちゃんは混乱している最中でもめちゃくちゃ可愛い。
とはいえ見惚れっぱなしでいるわけにもいかないので、俺はこれまでの経緯を説明した。
「つ……つまり、私が手錠で千歳くんを拘束してからエッチしてたから、SMプレイ好きだと思って……私の趣味に合わせようとしてくれたってことなんだね」
「理解が早くて助かるよ」
みさきちゃんは、少し赤みの引いた顔をぱたぱたと手で扇いでいる。
先ほどまでよりは、だいぶ落ち着いてきたようだった。
「えっと……千歳くんが事情を話してくれたから、私もちゃんと説明しないとだめだよね」
決意するようにひとりごちて、みさきちゃんは俺に向き直った。つられて俺も居住まいを正す。
「心配させちゃってごめんね、千歳くん。でも大丈夫だよ」
向い合せの俺の手��、みさきちゃんがギュッと握りしめて来る。
「私はただ、拘束したいだけだから」
「……うん?」
「その……サドとかマゾとか、プレイとか、関係無いんだ。私はただ、千歳くんを縛りたいだけなの」
一点の曇りもない瞳でそう言い切るみさきちゃん。
対する俺は曇りまくりの顔をしていることだろう。彼女の言っていることがよく理解できていない。
「えっと……つまりみさきちゃんは、緊縛は芸術派の人ってこと……?」
「あはは、違うよぉ! そういう高尚な話でもなくって」
緊縛趣味が高尚かどうかは分からないけれど、みさきちゃんは謙遜するような照れ笑いを浮かべた。
「私、昔犬を飼ってたの。柴犬でね、ポチっていう名前を��けて、すごくすごく可愛がってたんだ」
みさきちゃんが柴犬を可愛がっている姿を想像した。ほのぼのとした幸せな光景は容易に想像することができた。心優しいみさきちゃん��ことだ、きっと言葉で言い表せないほど可愛がっていたに違いない。
「でもね、ある日脱走しちゃったの。お散歩中に首輪が外れて、パニックになって……色々手を尽くしたけど見つからなかったんだ」
その時の悲しみを思い出したのか、みさきちゃんは涙声になっていた。
「私……ポチの事があってから、大切なものは自分の側に縛り付けておかないと安心できなくなっちゃったの」
悲しい思いでの延長線に、唐突に性癖の話が現れて度肝を抜かれた。
「な、なるほど?」
なんとか相槌を絞り出す。
「手錠とか、首輪とか……とにかく私のそばに縛り付けて、拘束しておかないと安心できなくて……安心って信頼と同じでしょ? 安心して信頼できないと、本当の意味で好きにはなれないよね?」
「そうだね。たしかに」
恋人になるということは、より深い信頼関係を築いていくということ。
そういう話なら、俺にも理解できる。
嫉妬したり、浮気を禁じたり、そういうのも拘束の一種と考えれば一般的な感覚とそう変わらない気もしてくる――が、物理的に縛り付けるという発想に結び付けるのはさすがに厳しい気もする。
「今まで、告白してくれた人もいたんだけど……付き合うなら縛らせてほしい、とか、手錠を付けたいって言うと怖がられちゃって……」
「そう、だったんだ」
自分が告白した時のことを思い返した。そんな話はされなかったはずだ。されていたら、初エッチの時にあそこまで衝撃を受けなかったはずだし。
俺が疑問を抱いているのに気付いて、みさきちゃんはもじもじと視線をさまよわせた。
「千歳くんはポチに似てるから、絶対に絶対に手放したくなくて……黙ってお付き合いを始めちゃったの。だまし討ちみたいな形でエッチまでして、ごめんね」
「いや、それは全然いいんだけど」
「えっ、いいの……?」
なぜかみさきちゃんの方が驚いている様子だった。
「さっきも言ったけど、俺はみさきちゃんが好きだし、みさきちゃん以外の恋人なんて考えられない。だから付き合えて嬉しいし……手錠の理由も分かったから、十分だよ。みさきちゃんが誤る必要なんてない」
「千歳くん……ありがとう」
みさきちゃんが抱きついてくる。
ふわりと甘い香りがする。
華奢な身体だ。こちらから抱きしめ返したら折れてしまいそうなほど。
あどけなくて庇護欲を誘うみさきちゃんが、まさか縛り付けたい側の人間だとは思ってもみなかったけれど……俺の中のイメージなんて、現実のみさきちゃんの可憐さに比べれば些末なことだった。
「みさきちゃんは、ポチのことがトラウマになっていて、忘れられないんだよね」
「うん……」
「分かった。それなら俺……ポチの代わりになるよ!」
恋人であると同時に、ペットになってもいい。それくらいの覚悟はできていた。
「あ、そういうのは大丈夫」
「そ、そっかぁ……」
俺の覚悟はあっさりと流された。
「ポチはポチ、千歳くんは千歳くんだもん。それはちゃんと分かってるよ」
みさきちゃんは、俺の胸板に頭を擦り付けた。サラサラの髪が、細い肩からこぼれる。
「あなたは私の大切な彼氏さんだもん。誰の代わりでもないんだよ」
「みさきちゃん……」
今度は俺の方が感激する番だった。
気持ちが通じ合っている。
好きな人が自分のことを好きでいてくれる奇跡。
幸せだ。
多幸感に浸っている俺の顔を、みさきちゃんの可愛らしい笑顔が覗き込んでくる。
「ただね、私は大切なものを二度と失いたくないの。だから……」
――カシャン。
首元で金属音。
冷たい革の感触。
次いで圧迫感。
「え、これ……」
「首輪だよ。あ、もちろん人間用のね? いつか千歳くんに付けたいと思って、持ち歩いてたの」
「そ、そうなんだ……」
みさきちゃんの可愛らしいカバンにそんな重たい秘密が隠されていたなんて全然知らなかった。
新事実に戸惑う俺の頭を、みさきちゃんが優しく撫でた。
「私だけの彼氏くんっていう証、受け取ってくれるかな?」
俺にとってみさきちゃんは初めての彼女だ。
普通なんて分からない。
他の愛の形なんて知らない。
だから、迷う余地も無かった。
首輪以外の服を脱ぎ、みさきちゃんの裸身と向き合う。
首輪をしたということは、今日はとうとう手錠をせずにエッチできるかもしれない。少しワクワクしてしまう。
「せっかく千歳くんが色々買いそろえてくれてるし、一緒に使ってみる?」
いざ抱きしめ合おうという瞬間、みさきちゃんがにっこり笑って言った。
「別に、活用しようとしなくてもいいんだよ。みさきちゃん、SMには興味なかったんだって分かったし」
「でも、せっかく買ってくれたものだから……」
そう言って、迷わず『緊縛入門第1巻』と赤い縄を手にした。
「この本に緊縛のやり方載ってるみたいだし、今日はこれを試してみよう?」
みさきちゃんはちょっとうきうきしている。いや、わりとあからさまに興奮している。明らかに興味津々の様子だ。
「緊縛って高尚そうで私にはできないって思ってたけど……千歳くんが協力してくれるなら、頑張れそう」
緊縛か高尚かどうかはおいておいて、彼女がこんなにキラキラした目をしていたら反対なんてできるわけがなかった。
「千歳くん、ベッドの上に座って?」
首輪に指を差し込んで、軽く引っ張られる。
意思とは関係なく、まず息苦しさで反射的に身体が動いてしまう。
「…………」
俺を見るみさきちゃんの目は、ゾッとするほど澄んでいる。
それがどうしようもな綺麗で、見惚れてしまう。
「分かった」
不思議な強制力に導かれるまま、頷いていた。
首輪を軽く引く、その些細な動作で、俺たちの関係がはっきり変化したのが分かった。
「ふふ……いい子だね、千歳くん」
みさきちゃんは蕩けるように甘い声で言って、俺の頭を撫でる。
「この本みたいに、両脚を伸ばして座ってね」
みさきちゃんに言われるまま本と同じ体勢を取ると、みさきちゃんが俺の脚をまたいできた。尻をついて座っている俺を、膝立ちのみさきちゃんが見下ろしている。彼女の手には真っ赤なロープがある。
「これから、この縄で千歳くんを縛るんだよ」
みさきちゃんは縄肌を優しく撫でた。
「初めてだからドキドキするね。でも、絶対上手に縛ってあげる。千歳くんが私のものなんだって、ちゃんと分かるように……」
天使のような微笑みに、血のように赤い縄は不釣り合いに見えた。けれどなぜか、その不均衡が強烈なまでに美しく見える。
まるで彼女の前にかしずくのが、人生最大の喜びであるかのように――無意識のうちに、身体が歓喜に震え���しまう。
「両手を後ろに回して組んでくれる?」
「うん」
手を後ろに回し、右手で左肘を、左手で右肘を持つように組む。
みさきちゃんは俺の後ろに回って組み合わせを微調整して、「上手だね」と褒めてくれた。
「縄を通すね」
脇から、少し冷たい感触が入ってきた。とうとう縄が腕に通されたのだと分かった瞬間、背中がゾクゾクと震えた。
シュル、シュル……と縄が擦れる音がする。肌を縄が撫でていく。
「ぁ……っ!」
腕に巻かれた縄が、キュッと絞められた。
「痛い?」
「い、いや、痛くはないよ」
「そう、良かった」
少し腕をもぞつかせてみると、両手首のあたりに結び目が来ていた。後ろ手にしっかりと結び付けられているということだ。
「ふふ……動けないよね」
みさきちゃんがうっとりと言う。耳元で囁きながら、結び目を指で弄んでいる。
彼女が喜んでいる。その事実だけで、どうしようもなく身体が昂った。
「もう少しだけ、我慢していてね」
縄が二の腕の上に通され、正面へと回って来た。二周して、再び後ろでキュッと締められる。
「これね、『後手胸縄縛り』っていうみたい」
みさきちゃんは俺の後ろから身体を密着させ、正面に回った縄を指でなぞった。
乳首の少し上と少し下に縄が通っている。なんだか少し間抜けな光景で、みさきちゃんに見られるのが恥ずかしい。
「でも、女性用の縛り方とかなんじゃないかな? 胸があったら映える気がするけど……」
乳房を上下の縄で搾って強調する状態だったら、見た目にも美しい気がする。男の胸板を上下に絞ったところで、ただ乳首がぽつねんとあるだけで貧相だ。
「そんなことないよ。千歳くん、とっても素敵だよ」
耳元でみさきちゃんが囁く。
「それに……ココを弄ると、男の子でも女の子みたいになっちゃうんだって」
縄をなぞっていた指が、乳首に触れた。
「ッ……!?」
指の腹で、乳輪をくるくると撫でまわしてくる。
「気持ちいい……?」
「わ、分からないな……くすぐったいけど……」
「そっかぁ……じゃあ、もうちょっと弄ってみようね」
上下に通した縄で区切られた範囲を、さわさわと撫でる。乳輪よりも外側部分を優しく撫でていたかと思えば、乳首のあたりをぎゅっと指で押し込んでくる。
華奢な指で乳首をぐりぐりと押し込まれると、その反動か乳首がむくっと勃ちあがった。
「ぁは……乳首、おっきしちゃったねぇ……?」
耳元を熱っぽい吐息がくすぐった。
ピンと勃った乳首をわざと避けるように、その周囲ばかりを撫で、擦ってくる。
「身体、汗ばんできたみたい……肌が少し赤らんできて……縄に映えて、すっごくエッチ……自分でも、分かるよね……?」
ひそひそと、耳元で囁き続けられる。耳朶が敏感になってきて、みさきちゃんの呼吸ひとつでも身体が震えてしまう。
「乳首、触ってほしそうに一生懸命膨らんでるね……? なんだか可愛い……ふふっ」
「み……みさきちゃん……そこも……」
「そこ? なぁに? もしかして……おねだり、かな?」
どこか期待するような声。
優しく導くような囁き。
身じろぎすると、首輪がカチャリと音を立てた。
その音を聞いたとたん、頭の中で何かのスイッチが切り替わる感覚がした。
「乳首も……乳首も、触ってほしいんだ、みさきちゃんに……っ」
くすぐったいだけだと抑えこんでいた性感が、一気に膨れ上がったように感じた。
みさきちゃんの手も、吐息も、気持ちいい。
だからもっとしてほしい。
そんな感情が、堰を切ったように湧き上がってくる。
「くすっ……いいよ。上手におねだりできたからぁ……いっぱい触ってあげるね」
不意に、みさきちゃんの指が俺の乳首を摘まんだ。
ためらいなく、強く、ぐりぐりと指の腹で押しつぶしてくる。
「ぉあっ……!? あ……待って、みさきちゃん……っ!」
「グリグリ……ぎゅーって……乳首弄ってあげる……これ、気持ちいいでしょ……?」
指先でピンと払われる。ピン、ピン、ピン……とリズミカルに弾かれ、乳輪ごと押し込むようにぎゅっと押さえつけられる。
「ぅ、あ……っ」
無意識のうちに声が出ている。
強めに弄られた乳首は真っ赤に腫れ、乳輪ごとぷっくりと隆起していた。
「乳首いじめられるの、気持ちいいよねぇ……?」
みさきちゃんは、唇を耳朶に押し付けるようにしながら囁いてくる。
「だって私、ちゃんと気付いてるよ? おちんちん、さっきから先走りでドロッドロになってるの……」
「……っ!!」
彼女の言う通りだった。
まだ少しも触れていないペニスはパンパンに勃起して、鈴口からダラダラとカウパーを垂らしている。
亀頭は物欲しげにぱくぱくと喘ぎ、腫れたように赤く膨らんでいた。
「乳首でいっぱい気持ちよくなっちゃってるね……? ふふっ……千歳くんのおっぱい、女の子になっちゃったね……?」
両手で乳首を摘まみ、くにくにと揉みしだいてくる。強めに引っ張られると、それだけでペニスがピクンと反応した。
みさきちゃんはペニスの露骨な反応を見て、嬉しそうな息を漏らす。
「ふふ……そろそろ、おちんちんもいい子いい子してあげないとね」
みさきちゃんは立ち上がり、俺の前へと回った。縄で縛る前のように、俺の脚をまたいで膝立ちになる。
「いっぱい頑張ったご褒美だよ……」
みさきちゃんは、細い指を肉丘に添えた。軽く広げると、クチュリという音と共に濡れそぼった粘膜が露わになる。
濃いピンク色に充血した秘部は、すでに過剰なほど愛液を滴らせていた。
「一緒に気持ちよくなろうね」
みさきちゃんは、俺の上半身を抱きしめた。そしてゆっくりと腰を下ろしていく。
「はぁ……ぁ……おちんちん、入ってくるよぉ……」
焦れるほど時間をかけて、肉茎が膣内に埋まっていく。
愛液が竿を伝い落ちていく、そのひと筋ひと筋の感覚さえ冴え冴えと分かるほどだ。
「ふふ……とってもエッチな顔してる……早くおまんこで気持ちよくなりたいんだね……?」
心底嬉しそうに、みさきちゃんが言う。
「乳首でいっぱい感じられるようになったご褒美だけど…………私を不安にさせたお仕置きもしないといけないから……千歳くんは腰動かしちゃダメだよ」
「え……!?」
「くす……っ、そんなに切なそうな顔しないで。私が、ちゃぁんと気持ち良くしてあげるから……」
とうとう肉棒全てがみさきちゃんの膣内に埋まりこんだ。
「はぁ……はぁっ……��ふ……おちんちん、熱くて気持ちいい……」
膣肉がペニスに絡みつき、優しく締め付けてくる。
ヒダがうねり、愛液を滲ませながら肉竿を撫で回している。
腰から下が溶けてしまいそうなほど気持ちいい。
「約束だよ……自分から腰動かしちゃダメって、ちゃんと覚えててね」
首輪をクンッと引っ張って、みさきちゃんが微笑む。
「分かった……」
「くすっ……いい子」
慈愛に満ちた微笑を浮かべたまま、みさきちゃんが腰を動かし始める。
「うぁ……っ!?」
「んっ……ん……っ……! はぁ……ナカでどんどん大きくなってる……」
リズミカルに腰を上下させるたびに、結合部から水音が鳴った。
先走りと愛液が掻き混ぜられ、泡立ち、飛び散っていく。
「ぁん……んっ……いつもより、おちんちんガチガチだよぉ……ふふっ……縄でぎゅぅって縛られて、嬉しいんだぁ……?」
大きな動きで抽送されると、全身が跳ねてベッドがギシギシと軋む。
身体のどこかが弾むたび、動くたびに縄が食い込んで、否応なしに存在を主張してくる。
縄の擦れる部分が熱い。その熱がなぜか、深い安心感を与えてくる。
みさきちゃんとどこまでもひとつに溶け合っていくような――そんな多幸感がある。
「お顔が蕩けてるよ……? ふふっ、喜んでくれて、嬉しい……」
「みさきちゃん……」
「でも……今なら、もっと気持ちよくなれるよね?」
「えっ?」
唐突に、みさきちゃんは両手で俺の乳首を引っ張り上げた。
「ふふっ、千歳くんのおっぱい、女の子になっちゃってるんだもんね……だから、こっちも弄ってあげないとね?」
ぎゅう、ぎゅう……っと乳輪ごと乳首をねじられる。胸板全体が引っ張られ、肌が縄に擦れる。
胸全体が敏感になっていて、ちょっとの刺激でも強烈な快感が生まれた。
「あは……とっても気持ちよさそう……おちんちん、私のナカでビクンビクンしてるよぉ……っ」
膣内でペニスが痛いほど勃起している。
肉壁を押し広げるように膨張し、亀頭が熱く張っていく感覚がする。
「このままだと、おっぱい弄りながらじゃないとイけなくなっちゃうかな……?」
きゅっ、きゅっ、と乳首をつねり、指ではじきながら、みさきちゃんが舌なめずりをする。
「私でしかイけない身体にするのも『縛る』ってことだよね……? それって、すっごく……興奮しちゃうなぁ……ふふふっ……」
腰使いはいよいよ激しくなっている。
亀頭に子宮口を押し付けるように腰をくねらせ、膣壁全体で肉竿を擦りたててくる。
根元から先端まで、貪るような動きで膣肉が収縮を繰り返している。
「みさきちゃん、俺、もう……っ」
「いいよ……私も、もうイっちゃいそう……っ」
愛液まみれの膣内が熱を孕み、膣穴から最奥までが痙攣し始めている。
絶頂が近い膣内で、容赦なくペニスを扱きたててくる。
「はぁっ、はぁっ……精液昇ってきてるぅ……んんっ、おちんちん、熱くなって……んん……っ!」
みさきちゃんは、射精寸前のペニス全体を絞るように結合部をしっかり密着させてきた。
「ふふっ……私とのエッチでしかイけない身体になっちゃえ……っ♪」
子宮口が亀頭に吸い付き、射精を煽る。
「あ、あっ、みさきちゃん……!」
快感が極限まで高まった瞬間、背中が大きく仰け反った。
「ふぁぁぁぁぁぁっ、んくぅぅぅぅ……っ!!」
みさきちゃんと同時に果てる。
射精を始めたペニスを、みさきちゃんの膣肉がわななきながら搾り上げてくる。
絶頂の証のように噴き出した愛液が下腹部を濡らす熱さを感じながら、二度、三度とみさきちゃんの膣内に精を吐き出した。
「あぁぁ……っ、すごいよぉ……おちんちん、ずぅっとビクビク暴れて……私のナカ、かき混ぜてる……」
みさきちゃん自身も身体を痙攣させながら、絶頂の余韻に浸っていた。
「そろそろ、縄を解いてあげないとね」
少し残念そうに言う。「長時間縛るのはよくないって書いてあったから」
自分を納得させるように呟きつつ、縄を名残惜しそうに撫でる。
白く華奢な手。細くて簡単に折れてしまいそうな手。
そんな手が、俺を縛り上げたんだ。
その事実が今さらながらに甘美に思えて、夢心地になってしまう。
「……どうしたの、千歳くん?」
みさきちゃんが、俺の視線に気付いて小首を傾げる。
全身が汗だくで、サラサラの髪の毛も頬に貼りついている。
白い肌は朱色に染まって、汗の香りを漂わせている。
快感で乱れ切った卑猥な姿でさえ、みさきちゃんはきれいで――可愛かった。
「みさきちゃんに見惚れてたんだ」
「ふぇっ……!? も、もう……またからかって……」
みさきちゃんは照れ隠しのようにぎゅっと抱きついてきた。
「わっ……」
「きゃっ!?」
そのまま後ろに倒れてしまう。
驚き顔を見合わせて、すぐにくすくすと笑い合った。
「ありがとう。私……今、すごく幸せ」
首輪を優しく撫でて、みさきちゃんが言った。
「俺の方こそ……大事にするよ、この首輪」
「うん。私の大切な存在って言う証だから……一生、ちゃんと付けててね」
「と……とりあえず、エッチの時だけでいいかな……」
さすがに常時首輪生活は、日常生活に支障が出そうだ。
「うん、それでもいいよ。今は、ね」
含みはるけれど、みさきちゃんは頷いてくれた。
「あのね……」
首輪を撫でていた手を止めて、みさきちゃんが俺の目を見つめてくる。
「どうしたの?」
瞳がキラキラと輝いていることに気付いて、下腹部が勝手にゾクリと震えた。
「私、今までSMプレイに興味なかったけど……千歳くんとなら、楽しそうかも」
みさきちゃんは、今までで一番可愛い笑顔を浮かべていた。
//
>写真をお借りしています
UnsplashのÖnder Örtelが撮影した写真
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2022.12 韓国岳
韓国岳(からくにだけ)火口の断崖絶壁と、奥には新燃岳・高千穂峰
鹿児島中央駅から列車で国分駅、国分駅から霧島方面へのバスに乗る。平日の月曜日だがバスは10人ぐらい並んだ。大浪池登山口へ向かうのにバスの乗換えが1回あるが、途中の丸尾で乗り換えても、終点の霧島いわさきホテルで乗り換えても、どちらも同じバスに乗り換えることになるので到着時刻は変わらない。
大浪池登山口バス停で下車、近くにトイレあり。また十数台ほど停められる駐車スペースもあった。
【コースタイム】大浪池登山口(0855)→大浪池(0925)→避難小屋(1000-1005)→韓国岳(1045-1125)→韓国岳登山口(1225)
最初は舗装された道で登りやすい。
30分ほど登ると大浪池に到着。昔の火山活動でできた大きな火口湖である。西回りか東回りかで分かれるが特に理由なく西回りで向かうことに。奥に見えるのがこれから向かう韓国岳。山体は浅間山と非常に似ており、冠雪したら浅間山と同じくガトーショコラとでも呼ばれるのだろうか?
西廻りで池の淵を進むが、樹林帯なので常に池が見えるわけではない。ハイキングのようなほぼ平坦な道。
途中で展望の良い場所あり。奥に噴煙を上げる桜島が見えるし、この日は天気すごくいいな。昨日の祖母山とは打って変わって期待大。
30分ほどで池の周りをぐるっと回り、反対側にある東廻りと合流した。近くに避難小屋あり、ここでちょっとだけ休憩。
あとは山頂までひたすら昇るのだが・・・。
ここから山頂まで木の階段が設置されておりとても親切なのだが・・・段差が大きい部分もあったりしてまぁまぁ体力は使い、決して登りやすいとは限らない。
しばらく登ると景色が良くなり、下の方には先ほどを回ってきた大浪池が見える。こうして見ると、今回通ってきた西廻り(右側)よりも東廻りのほうがピークが高いんだな。対して変わらないと思うけど西廻りの方が体力の消費を抑えられそう。
山頂近くになると急な階段が終わり、今度は岩がゴロゴロした急な道となる。浮き石が非常に多く、特に下りで使用する場合は結構注意しながら降るべし。
またこの辺りから東の方向を見ると、数年前に大きな噴火を起こし今も蒸気をあげている新燃岳と、その先には高千穂峰が頭をのぞかせている。新燃岳の山頂ってあんな平になっているんだ。あの火口全体や山腹の一部から今も噴煙が上がっている。
登山口から約2時間で山頂に到着。今まで遮られていた冷たい風が強く吹きかけて結構寒い。またゴツゴツした岩が多く火山ならではの荒々しさだが。
とにかく圧巻なのが、とても巨大な火口。深さ300mもあるらしく、火口の淵に立つと断崖絶壁で足がすくむ。また直径は900mもあるとのことで、お鉢一周するのに単純計算で約3km、歩くと1時間以上するのか。スケールが大きすぎて遠近感がおかしくなる。なお一周できるルートがあるの���は不明。
南の方角には大波池と桜島。よく見たら桜島の先にとても薄く開聞岳(2日後に登る)のシルエットが見える。鹿児島空港も多分写ってる。
東の方角には新燃岳・高千穂峰。獅子戸岳(新燃岳手前のコブの部分)まで足を伸ばせば新燃岳火口を最も近くで見ることができる。韓国岳山頂から自分の足でも往復2時間以上かかるとみられ、今回は韓国岳単体でどれだけ体力を消費するかわからなかったので見送ったけど、次回来たときは韓国岳とセットで是非寄ってみよう。今も噴煙を上げるあの火口をもっと間近で見てみたい。
天気も景色も良く30分ほど休憩し、下山。
下山はえびの高原方面へ。こちらのルートは大浪池ルートのように階段は一切設置されておらず、ずっと岩や礫が転がったゴツゴツとした自然の道で、むしろ登りやすいのはこっちだったか。
そのうち見えてくるのが硫黄岳の蒸気。遠くからでもゴーっと音を出しているのが聞こえてくる。
途中できれいな休憩所。あくまで休憩所であり避難小屋ではないので、噴火時の非常用の道具などは置かれていない。
4合目には硫黄岳が見やすい展望台が設置されている。おそらくここが最も近くで見えるところ。それでも上から覗き込むような感じではなく、10m近くに成長しているという火口丘を見ることはできなかった。
山頂から約1時間でえびの高原の登山口に到着。なお左へは硫黄岳へ通じる道であるが、現在活発に活動しているので侵入禁止となっている。
えびの高原に到着したら、とりあえずお茶屋さんで昼食の「宮崎牛そば」を頼んだ。
バスの時間までまだ3時間くらいある。本当は昼食後すぐにバス乗れたんだけど、かなり遠回りのルートを通るバスで乗車時間や運賃が高くなってしまうので見送った。えびの高原は足湯、日帰り温泉、池巡りコースなど様々あるので、3時間ぐらいは全然時間をつぶすことはできる。まぁこんなことなら獅子戸岳へ寄っていればよかったなと思ったが。
とりあえず池を巡って2時間ほど潰す。
標高差はそんなにないのですぐ終わるが、池巡りと言っても一応は登山である。白鳥山に登ったあと、池を2つ巡ってえびの高原に戻った。これらの池も全て火口湖で、霧島にはいくつも火山活動の名残を見ることができる。
帰りのバスまでの残り1時間は足湯でゆっくりすることに。近くにコンビニもあるし、お酒やおつまみ買ってのんびりくつろごうと思った。ところが足湯の温度がとてもぬるくてあまり体が温まらなかった。地殻変動の影響だろうか?12月だしさすがに気温も低いので返って寒くなるという。
そこで観光客の方が、昔来たとき自然の川の中に足湯があったということで、その場所を教えてもらい行ってみた。ところが天候や硫黄岳の活動によるものなのか、川はどこにも流れていなかった。残念だったが収穫もあり、道路を破壊して蒸気が噴いているのを見れた(なお立ち入り禁止の場所なのでバレたら怒られる)。近づくと鼻がピリピリしてくるがおそらく有害ガスの二酸化硫黄など。見えて���る煙は水蒸気が冷えて凝縮した水で、気体の有毒ガスは目に見えないし比重も空気と異なるので、目に見えている煙だけに気を取られていると危険である。
翌日はすぐ近くの高千穂峰に登る予定なので、本日の宿もこの霧島温泉街の中にある霧島国際ホテル。一泊2万円以上というかなりの奮発。今回の九州の旅はずっとビジネスホテルみたいなところだったので、一泊ぐらいは贅沢しようと思い。本館の温泉がとても素晴らしいのだが、離れたところにある別館の露天風呂もとてもいい。人がほとんど来ず貸切状態で穴場だった。
夕食はビュッフェスタイルなのだが、どれも美味しすぎて普段の2倍ぐらい食べてるんじゃないだろうか。翌日は朝風呂にも行って朝食食べて遅めのスタートと、こんなにいいホテルに泊まったので全て堪能する。
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女子高生と山月記
「虎になる」というフレーズが流行った。
高校時代の話だ。かつて鬼才と呼ばれた男が、己の心に潜む獣に振り回されて虎になる話を習った。重い題材なのにどうにも心にひっかかる上、人間が虎になるという衝撃的展開に驚いた。加えて「尊大な羞恥心」だとか「臆病な自尊心」とかいう妙に語呂の良いワードが登場することから、わたしたちは授業が終わってもこの話を忘れられず、結果「虎になる」というフレーズを局地的に流行らせた。
わたしたちは虎になった。主に葛藤してどうしようもない時や人間関係が煩わしい時、そして自分が嫌いになった時に。具体的に言うならテスト前や恋愛にまつわる他者とのいざこざ、理想と現実の狭間でもがいた時に、現状の気怠さを「ほんと虎になるわあ」と溜息交じりに吐き出したのだ。
仲のいいグループだけで使う暗号のような、気怠さの共有コードのような使い方をしていたのに、いつしか他のグループにも「虎になる」子が現れた。使い方を教えたわけじゃない。なのに彼女たちはわたしたちが使うように「このままじゃ虎になる」と自然に言ってみせた。
言葉は感染する。きっとわたしたちが使うのを聞いて、自分たちのグループにも採用したんだろう。だけど説明してもいないのに完璧な用法で虎になってみせた彼女に驚くとともに、「山月記」という物語がわたしたちに与えた影響に驚いた。グループとか関係なく、わたしたちは同じものを受け取っていた。
あの頃、わたしたちは言葉に出来ずとも、仄暗いものを心の中に感じていた。山月記を教わる前は各々が好き勝手に感じていたものだ。だけど中島敦が、山月記という物語を通じてわたしたちに教えてくれた。あれは間違いなく「虎」だった。
怪物と親交を深める
友人たちと虎になっていたのは、もう昔の話だ。
今は内なる虎どころか目に見える怪物と相対する年頃になった。つまり就職してお局様と出会う羽目になった。歩く脅威とはまさにこのこと。生きているだけでケチをつけられ、重箱の隅という隅をほじくり回される。
仕事面では優秀だけど気に食わないことがあれば謎のコネで上に訴え、悪評を広め、最終的には泣き叫び壁を殴り颯爽と帰っていくお局様。人生で初めて出会う怪物がここにいた。
上司ガチャ爆死というワードが脳裏をよぎる中図太く仕事を続け、数年経った今はお局様に個人的なドライブに誘われるなど驚くほどに良好な関係を築いた。怪物の懐にちゃっかり収まった形になる。
努力をお局様との敵対や転職活動ではなく和解(と言ってもこちらに非は無いので向こうの軟化を待つだけ)に費やしたのは、お局様に好かれたかったからではなく、単純に可哀想だと思ったからだった。
もちろん腹は立った。この人さえいなければ職場は良い人ばかりだし、天国だろうと考えた。だけど度が過ぎる不条理を与えられると怒りよりも疑問が湧く。何故この人はこんなにも怒っているのだろう、と。一度そう思ってしまうと止められない。わたしはお局様が人目もはばからない怪物になってしまった理由を求めてサバンナの奥地へと旅立ったのだった。
この場合サバンナの奥地というのは比喩で、しかしお局様の私生活や歴史といった個人情報を知るには誰かの心の奥地、それこそサバンナのように深い場所へ踏み入らなければならないと考えていた。怪物のような同僚とはいえ、他人のことをべらべらと喋るわけがないと思っていたのだ。だけどわたしがお局様の詳細を尋ねると、先輩方はみな知ることが当然だと言わんばかりに必要以上を教えてくれた。
悲しくてありきたりな話だった。偏見と既存利益に潰されていた若い女性が、ひょんなことから道を外れて二度と戻れなくなった話。詳細は書かないけれど同情の余地がある。お局様はひどい仕打ちを受けた上、助けてくれる人もいなかった。だからといって女という女をいびり倒す理由にはならないけど、性格が歪む原因としては大いに納得できる。
そして過去から現在までひとりの人間を歪め続けた不幸をネタのように話せる人間に囲まれてしまったことも、お局様にとっては不幸だろうなと感じた。「昔は可愛かったのに、あの時は大変だったんだよ」と笑って言うくらいなら、あの時と言わず今助けてあげればいいのに。
お局様の世界観にも一応の倫理はあるらしいけど、誰も興味が無いから触れない。あれだけ噂話を教えてくれた先輩も、昔は可愛かったと謎目線の上司も、お局様がお怒りになる基準を知らず天災のように諦めるだけ。お局様マニュアルというか対応心得が無いのかと尋ねれば、ぜひあなたが作ってくれと笑��れた。台風の発生機序を研究し始めた頃の人間ってこんな感じなのかな、とか思ったりした。
お局様と普通に話すようになってから、こんなことを言われた。
「これまではひとりで全部決めてきた。誰も決めてくれないから。だけどひとりで決めるのは大変だから手伝ってほしい」
誰も決めてくれないったって、あなたが全部聞く耳持たなかったんでしょう。そう言いかけて思い出した。
お局様が感情に任せた強い口調で話した後は、誰もが「あの人はああ言ってるんだよね」と腫れ物に触るような扱いをする。少し経って冷静になったお局様が前言撤回して別の意見を言うと「気分で言うことがコロコロ変わる」と冷ややかな態度を取るだけ。そして最終的に「誰からも意見が来なかったから私が決める」とお局様が決定を下す。
この間、お局様に意見できる人は影で溜息をつくだけで何もしない。怯える人は陰口だけで何も言わない。お局様の目線からすると、確かに孤独な一本道だ。
「喧嘩がしたいわけじゃない。違う意見も聞きたい」
そう言われた瞬間に眩暈がしたのは、自分の認識が揺らいだからだ。
何でこの人は急に普通の人っぽいことを言うんだ。目が合った奴らを全員ボコボコにするような生き方をしているじゃないか。もしこの人がこんな、いかにも普通のことを言うと、わたしはこの人を怪物じゃなくて普通の人だと思ってしまう。普通だから理不尽な仕打ちに歪んで、歪んだから手を差し伸べてもらえなくて、手を差し伸べてもらえないから怪物になった、ただの可哀想な人に見えてしまうじゃないか。
わたしがお局様に対して行ったのは、普通のことだけ。
何をしたか? 無視されるとわかって挨拶をして、注意をされれば非礼を詫びて、フォローされればお礼を言った。わからないことがあれば聞き、無知を咎められれば反省する。お前はわたしを特別にいじめるが、こっちはお前をなんてことのない日常の一部としか思っていないぞという反抗心からの行動だけど、特別なことは何もしなかった。
特別なことなんて何もないのに、お局様はわたしを��に入れた。先輩たちからは猛獣使いと呼ばれた。上役からはお前がお局様のハンドルを握るんだと謎の激励を受けた。だけど何も響かない。きっと褒められて、認められているんだろうけど何一つ嬉しくない。頭の中にこびりついて離れないのは、わたしが自分の意見を真っ向から言った時の、嬉しそうなお局様の顔。
この人は普通の人なのに、こんな怪物になってしまったのか。
一度でもそう考えてしまうと、信じて立っていた足元がぐらぐらと揺れるような、どうしようもない不安に襲われた。
おはよう自我
性格は25歳を過ぎると変わらない、というのは友人の言葉だ。
25という数字の根拠はわからない。だけど友人の体感としては大体それくらいの年頃から融通がきかなくなっていくらしい。友人はわたしが受けた理不尽(主にお局様)の話を聞くたび「凝り固まった奴らはどうしようもないよ」と諦め顔で笑う。
友人の言葉には納得できたりできなかったりするけれど、個人的には「大人になったら性格は濃縮される」という持論を推したい。気の利く人がいつしか神経質になったり、雑な人はおおらかになったり。自我が確立した人間の性格は、とんでもない理不尽や幸運が無ければ、培った自我から派生していくものだと思っている。
と、したり顔で喋ったものの、わたしの体感として自我の芽生えはつい最近で、偶然にも25歳の時だ。友人がどうしようもないよと匙を投げる年頃にやっと芽生えた。遅すぎる自我よ、おはよう。
自我がない25年間は何をしていたんだと言われそうだけど、それなりに頑張って生きていた。もちろん記憶はあるし、自由意志もあるし、ちゃんと人間として過ごしていた。それでも不思議なことに、25歳の時不意に「自分はこういう人間なんだ」と納得する瞬間があったのだ。
出来ること出来ないこと、やりたいことやれないこと。理解と諦めと希望がごちゃ混ぜになった不思議な気分だった。ふわふわと漂っていた自分の表面に薄皮が張られたような、世界の解像度が上がったような、言い知れない感覚をどう表せばいいのかよくわからない。
だけどひとつ確かにわかるのは、自分と他人は違う人間だ、とこれまで以上に感じるようになったこと。自分の基本的なかたちがわかったから、生きるのが少し楽になった。
大辞林によると、自我とは「意識や行為を主体としてつかさどる主体としての私」らしい。細かい定義を個人がどれだけ認識しているかはさておき、インターネット上では「最近自我が芽生えた」と呟くアカウントがいくつか存在する。自分を赤ちゃんだと思う人RT、みたいな感じではなく「主体としての私」が芽生えたのがつい最近、という雰囲気のアカウントだ。
自我が芽生える前後のツイートを遡って見てみても、特に差異は感じない。普通に人生の断片が記載されているだけで自我の有る無しなんてわからない。それでも本人の体感として「最近自我が芽生えた」という意識があるのは、わたしと境遇が似ているようで親近感が持てた。
そんな顔もしらないアカウント達が「自分は20代後半に芽生えた。周囲もそれくらいで芽生える人が多い」「自分は双子だから物ごころついた時から他人との違いや自我を感じて生きていた」「自我が芽生える前の生き方をよく覚えていない」などと呟く様子を眺めるのが好きだった。
他人に求められる役割や、着せられがちな生き方がある。だけどそれよりも自分の行きたい道があって、思考しながら日々進む。思い悩むこともあるけど他人のことはあまり、気にしなくなった。
友人たちも似たような感じだ。個人主義になったと言えばいいのだろうか。みんな自分の世界があって、他人の世界も大切にする。学生時代と違って気の合わない人たちとは距離も置けるし、大人になってからの方が楽しい人間関係を築けると確信した。
確信した。そう、それは間違いじゃない。だけど気になることがあるのだ。
自分というかたちを知るほど、興味のないものを全く取り込まなくなってきた。行動の自由度が高まった分、思い通りにならない時に苛立ちを感じてしまう。わたしはどんどん我儘になっている気がした。
友人の言葉を借りれば、人間は25歳を過ぎると性格を変えることができない。
これはもしかして「だいたい25歳あたりから自分の歩き方がわかるから進む道を譲らなくなる。結果として柔軟性が無くなり、自分を形作る価値観の再編ができない」のではないか。そしてわたしの理論では性格というのは濃縮される。価値観の再編ができないままどんどん濃くなっていく。
ここで一文、山月記から引用をする。
「人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。」
濃縮されゆく人間の気質は、いずれ猛獣に至る。
このまま気のおけない友人に囲まれて、自分のやりたいことをやって、見たいものだけを見ていったらわたしの性格はどんな風に濃縮されるのだろう。今現在、気の合わない人たちを排除した人間関係を築いているくらいだ、この先解放的な性格になるとは思えない。
自分の世界を深めることは、他人が持つ世界との差異を浮き彫りにすることだ。自分の信条に合わない世界も必ずあるだろう。わたしはそれを尊重できるだろうか。
耳に優しい言葉を聞いて、見たいものだけを見て、自分の世界を深めていく。それは風の吹かない部屋で延々と穴を掘ることと何が違うのだろう。わたしがいつか狭い穴の中で暮らすようになったら、「外は晴れてるから出ておいで」と言ってくれる人はいるだろうか。もし誰もいなかったら、わたしは永遠に穴の中で暮らす羽目になる。
そして「穴の中より広い家の方が荷物も置けるし便利だよ」という他人の忠告を、忠告として受け取ることができるだろうか。視野が狭くなってしまえば、自分の世界以外のものは全て亜流に見えるかもしれない。「この穴の良さがわからないなんて」とか言ってしまうかもしれない。
自分が世間一般から大きく外れた生き物になってしまう可能性を、初めて考えた。
そして、冷やかな目で見られ持て余されたお局様に自分の姿が重なる。
わたしもお局様のようになる可能性がある。
そんな考えに至った時、心の中で虎が吠えたような気がした。
内側からの足音
ここで改めて、山月記を復習する。
山月記 (中島 敦) 隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は博学才穎(さいえい)、天宝の末年、若くして名を虎榜(こぼう)に連ね、ついで江南尉(こwww.aozora.gr.jp
ものすごく簡単にあらすじを書く。
能力はあるのに生活が苦しい李徴という男がいる。地方の役人を辞めて詩で生きようとするものの全然売れない。家族養うには詩じゃ無理だな、と再び役人になるも、昔見下していた奴らが出世して指示出ししてくるからプライドがぼろぼろ。発狂して虎になってしまった。
そして虎として生きていた李徴は、かつての友人である袁傪と再会する。
李徴は袁傪と会話をする。「何かが呼んでるから外に出たら自然と走り出しちゃって、すごい夢中で走るうちに力がみなぎって、気づいたら虎になってたんだよね」「人の心と虎の心が混じってるから、うさぎ食べる時もあれば自己嫌悪がやばい時もある」「このまま虎になる予感がするけど、詩で有名になれなかったのが心底辛いからちょっとこの詩メモって」とか。
そして「でも虎になった理由、心当たり無いわけじゃない」と、以下のように語る。
人間であった時、己は努めて人との交りを避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。
実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云わない。しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。共に、我が臆病な自尊心と���尊大な羞恥心との所為である。
(中略)
人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。
そして李徴は「妻と子供にはもう死んだよって伝えて」「妻子よりも詩のことを先に話しちゃうあたりほんと虎」と自嘲しつつも「もうこの道通らないでね」「ちょっと歩いたら振り返ってみて。今の姿見せる。もう二度と君が会いたいなんて思わないように」と話して、宣言通りに虎となった姿を見せて、友人の前から姿を消す。
以上、ざっくりとした説明だけど、引用部分には思い当たる節しか無くひたすらに心が痛い。中島敦の破壊力に怯えるとともに、これがデビュー作という事実に驚く。
そして大事なところだから何度も引用をする。
「人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。虎だったのだ。」
わたしの中に芽吹いた自我は、よりよい人生への切符であると同時に猛獣の幼生でもあった。自分と世界の間に線を引く術を知ってしまったから、世界を自分のことのように感じ入ることが無くなって呼吸が楽になった反面、濃縮されゆく自分自身を希釈することが難しくなった。
自分の見える範囲、好きな範囲だけを掘り進めるのが本当に楽しいからこそ、強く思う。自我は、猛獣だ。虎だ。そして心地よい世界への入り口だ。李徴が虎になった時「身体中に力が充ち満ちた感じ」と表現された理由がよくわかる。
自分に自信を持つことは、素晴らしくもあり恐ろしい。
有名な動画だけど、自分を信じることの恐ろしさはこれを見るとわかりやすい。この動画ではバスケットボールが延々とパスされていく。そこで、動画の中で「白服の人が何回パスに参加したか」を答えてほしい。
おわかりいただけただろうか。
この動画の目的に気づいてもらえただろうか。
動画には事実が映されている。そのうち、わたし達はどれだけの情報を受け取っただろうか。見たいものは見えたとしても、見なかったものは、無かったことにされただろうか。自分でも気づかないうちにかけていた色眼鏡は、いつ外せるのだろうか。
どうしてこんなにも、わたしは自分の中にいる猛獣を恐れているのか。
それは「素敵な自分でいたい」とか「よりアップデートされた自分でいたい」なんていうお綺麗なものじゃなくて、ただ単に身近な怪物たちが哀れで醜いからだ。
愚痴ついでに説明するとお局様の他にもう一人、職場に怪物がいる。
わたしと同時期に入ってきた男の子だった。素直で明るい体育会系で、愚痴をこぼすのが下手くそ。溜め込んでしまうタイプだなあと気にかけていたけど、ちょっと会わない間に怪物に変貌していた。
彼は愚痴を言うのも、話し相手を選ぶのも下手だった。どんな悪態にも同調し、否定せず、建設的な意見よりも感情的な意見を述べ、煽ることが得意な奴とつるんでしまった結果、自分の抱く負の感情を全て「尊重されるべき真っ当なもの」と思うようになった。友人は選んだ方がいい。悪い奴じゃなくても癖のある奴は用法容量を守るべき。ちなみに癖だらけの煽りマンは、わたしがプレイしているゲームに出てくる「キャスターリンボ」という奴が本当によく似てる。
彼は職場の人間のうち大半を嫌いになった。もちろん顔には出さないけれど、壁に耳あり障子に目あり、キャスターリンボと話している内容は筒抜けだから彼の罵詈雑言レパートリーは皆よく知るところである。
��が人を嫌う基準は、最初こそ真っ当だった。仕事が適当だとか、やり方が強引だとか。その点、性別や見た目、歩き方やで人を嫌うお局様とは違う。しかし次第に腹を立てるハードルがどんどん下がって、人によって許す許さないの基準を大きく変えた。
そして一度嫌いになった人間を徹底的にマークして、どんな同情的背景があろうと、その背景含めて人間性や犯したミスを延々と馬鹿にするのだ。「あいつの事情なんて俺知らない」と子どものように頬を膨らませながら。
そして後輩たちを集めて、愚痴を肴に飲み会を開く。下には強く上には媚び、ながら唾を吐く。なお建設的な意見を表立って言いはしない。影でこそこそと、キャスターリンボや後輩たちに愚痴るだけだ。
愚痴のレベルがえげつない彼は、今でこそ腫れ物に触るように扱われるけれど、仕事に対する誠実さや巧みな話術は目を見張るものがあって、キャスターリンボとつるみさえしなければ将来の幹部候補だったと上司が嘆いていた。でも今の彼が幹部になったらパワハラセクハラモラハラが権力と服を着て歩いているような感じになってしまう。とんだ化け物だ。そうなればすみやかに辞職しなければならない。
人間の相性は化学反応のようで、理想通りには進まない。向けられた感情を鏡のように反射するコミュニケーション術を持ったキャスターリンボと、負の感情のコントロールが下手くそな彼は、壊滅的に相性が良すぎたのだろう。
かつて同期として肩を並べていたはずの彼は、随分遠くに行ってしまった。入ってきた頃は、溜息交じりに扱い方を囁かれるような人間ではなかった。こうなる前に何か出来ることがあったのかもしれない。そんなことを考えては、現状を思い気分が沈んだ。今のわたしは彼に嫌われているから何を言っても届かない。
お局様も彼も、良いところはあるものの人間として尊敬できない。好きか嫌いかで言えば嫌いだ。興味はあるし同情もするけど、こんな人間にはなりたくない。だけどわたしは最近、自分の都合で他人に苛立つことが増えた。あえて見たいものだけを見ているように思う。見たくない自分を見つめていると、二人とも、わたしの生きる延長線上に立っている気がした。
周囲を巻き込みながらも気持ちよく生きている二人がどうにも他人事には思えない。わたしが彼に対して何かしたかったと思うのは、自分がもし怪物になった時、誰かに止めてほしいと思うからなのかもしれない。
臆病者の旅路
「自分が行動を起こせば変わった、なんて思うのは傲慢だよ」
怪物になった彼のことを引きずるわたしに、屈強なミスチルファンがそう言った。このミスチルファン(以下ファンと呼ぶ)は彼のことを友人の友人程度に知っており、彼の変貌過程も知っている。
「あいつは成るべくしてそう成ったんだよ。あんなになっても誰も止めてくれない程度の人間関係しか築けなかったあいつ自身に問題があるから、周りがどうこうって問題じゃない。そこまで気にするのは筋違いだし踏み込み過ぎ」とファンは言う。ドライな意見に聞こえるけど自信満々に言われると一理あるような気がしてくる。
ファンはわたしよりも早い段階で「自我」を確立していた。中学高校の時には既に今と同じ自分の世界を、自分の理論を持っていたらしい。そして「調子乗ってたらボコボコにされたけど、叱ってくれる人がいなかったら自意識モンスターになってたから良かった」と話してくれたことがある。
もしかしたら、自意識モンスターという概念を持っているファンには自分が怪物になる恐怖を理解してもらえるかもしれない。そんな思いで打ち明けた。これまで書き連ねてきたことを、一から十まで長々と。
ファンは時々頷きながら、黙って聞いてくれた。そして話が終わり、沈黙が続く。どんな反応をするかと待っていたら、ファンは突然歌い出した。
「滞らないように揺れて流れて、透き通ってく水のような心であれたら「アー↑」
名曲HANABIである。
「HANABIだ、まじHANABIだわ」と、ファンはひとりで納得しながら桜井さんすごいと呪文のように唱えた。そして「今度ミスチルの詩集貸すよ……曲もいいけど文字で見たら全然雰囲気違うし染み込み方が違うから」と力強く約束してくれた。ミスチルが詩集を出していたことを、わたしはその時初めて知った。
ファンが言うには、HANABIという曲は「ボーカルの桜井さんが冬場金魚の水槽を掃除するときにね、水が冷たいからちょっと貯めて放置しつつ……あれ塩素抜きを兼ねてたんだっけ? まあいいけど水貯めた翌日水の中に金魚を入れたらバタバタ死んでね、金魚が死んだのは水の中に空気が無かったからなんだけど、ああ水も死ぬんだな、人間も同じだなあという思いからHANABIという曲が生まれたんだよ」ということらしい。
ファンは歌い出し以降、わたしの怪物化への懸念に言及することなく、いかに桜井さんが素晴らしいかという話を延々と続けた。詩の作り込みが凄まじく、自分が生きる中で曲の印象が変わっていくのが面白いのだと。そして「HANABIの解釈がまたひとつ深まってしまった」「桜井さんはアップテンポな曲に容易く地獄を放り込む」と満足そうに去っていった。
わたしはミスチルファン歴が浅く、桜井さんのことはまだよくわからない。だけどファンの感性や屈強さは心から信頼している。だから、わたしが怪物の話をした直後に突如歌われたフレーズをファンの回答として勝手に受け取ることとした。
空気も水も溜まれば淀む。人だって立ち止まれば淀むのだ。透き通った心でいたいなら常に心を動かさなくてはならない……そういうことなんだろう。と思った矢先にファンからLINEが届いた。
「今みたいに揺れるのが大事なんだと思う」「自分はこれでいいのかって悩み続けること自体に意味があって」「どんどん新しいものを取り入れていけば」「自浄作用も働くし」「周りの人からも大事にしてもらえる」
細切れに届く言葉は胸に響くものの、お前それ面と向かって言ってほしかったし何なら歌う前に言ってくれやという気持ちが前に出る。
だけどこういう想定外の行動によって、自分の思い浮かべるやりとりよりも斜め上のやりとりが生まれた時、世界はわからんことだらけだなあと驚きを感じる。面白い時も苛立つ時もあるけど、こうやって人から驚きを貰える限り、わたしの世界はおそらく滞らないのだと思う。
問題はわたし自身が、自分の心を「揺れて流れる」ような不安定すぎる場所に置き続けられるか、ということで。驚きを与えてくれる友人がいても、結局は自分次第だ。
心に住まう猛獣はわたし自身であり、手綱も握っている。だけど、不安がどうにも拭えない。他の人たちはわたしのように猛獣を恐れたりしないのだろうか。ただ真っ直ぐに生きているのか、それとも自分を恐れることなく律することが出来るのか。
本来これは感じなくても生きていける恐怖なのかもしれない。だとしたら、そんなものに怯えているわたしは貧乏くじを引いてしまったのか、あるいは精神が未熟なのか。
そんなことを考えている時、インターネットで出会った友人の言葉を思い出した。ぼんやりと覚えていたものを、もう一度あれ教えてと頼みこんだらログを発掘してくれたので引用させていただく。
「文明の広がりと生命維持とか考えると色々面白いよね。例えば日本人はとても鬱になりやすいけど、統計とってみるとアフリカ(人類の起源)から離れるほどセロトニントランスポーター(心の安定に寄与する物質を運ぶもの)の働きが弱いんだってさ。つまりとても不安になりやすい」
「でも私たちがアフリカから極東に辿り着くには、それは重要なことだったんだよね。不安で周りを確認しておっかなびっくり足を踏み出す人間じゃないと、遠くの目的地には到達できない。人間どうしたってネガティブになりがちだけど、私たちはネガティブだからこそ今まで生存できてたってわけです」
「古代文明が栄えた場所も、全部あったかいところなんだよね。シュメール、アッカド、バビロニア。ほかの四大文明も。でも、時代を追うにつれて主役は北へ北へと移っていってるんだよね。やっぱりアフリカから遠く離れれば離れるほど不安だから、色々立ち止まって考えることが多くて、その結果なのかもしれないなあなんて思ったりします」
「じゃあ、移動手段と情報伝達が過度に発達した現代や未来はどうなるんだろうって思うと、途端に法則が当てはまらなくなるから困る。文明の北上は臨界点だし、等しく技術が飽和したなら、今度は環境の恵まれた南の辺りから自由な発想が生まれてくるのかもしれないし、もしかしたら、さらなる北を求めて人間は宇宙にさまよい出すのかもしれないなって思いました」
この話を聞いた当時は、人間すげえや、とか何でこの人こんなこと知ってるのすごっ面白っとしか思わなかった。だけど今はこの話に励まされている。
臆病者じゃないと到達できない場所がある。精神論じゃない。今わたしがここで生きているのは、過去の臆病者たちが一歩を踏み出した結果。わたしの未熟さ、抱える恐怖は、もしかしたら遥か遠くに辿り着くために必要な要素なのかもしれない。
行き着く先できっとわたしは色んなものに触れて、考えて、自分を確かめては組み替える。心の中の猛獣に押しつぶされて他を顧みない怪物となれば、完結した世界に満足して旅に出る気にもならないだろう。だけど恐怖に震える間は、怪物にならず歩いて行ける。長い旅路に意味はある。現に足を伸ばしてオンラインの世界に辿り着いたからこそ友人に出会い、知識に触れ、こうして励まされたのだから。
いつか怪物になるわたしへ
それでもやっぱり、わたしはいつか怪物になると思う。
いずれ自分が塗り替えられるという恐怖と戦いながら、怪物化に抗いながら、最終的には成ってしまうと思うのだ。様々なものを見聞きして、考え込んで、いつか考えることを止めて。そうして引き籠る内側の世界はきっと居心地が良い。自分を疑い続けるような旅を続けるより、好きなものだけを追及する方が幸せだと思う。
自分の世界の外に向けた想像力が、わたしを人間たらしめている。目の前に立っている人が見えないところで泣いている可能性を考えるし、自分の理屈が他人に通用しないことを知っている。
だけどこの想像力を全て自分のためだけに使うのなら、誰が泣こうが喚こうが知ったこっちゃないし、理屈は押し通すものとして狡猾に立ち回るだろう。自分のためだけに生きれば毎日がもっと楽になる。
怪物になりたくないと思うたび、怪物の良さを突き付けられる。いつの日かこんな風に悩むことすら面倒になって、全てを放り投げて大の字に寝転ぶ時が必ずやって来る。わたしは臆病な奴だから、自分を傷つけて揺るがすものから必ず逃げたくなるだろう。そして考えることを止めて、周りにイエスマンだけを置いて、自分だけの素敵な世界を作りたくなるはずだ。
怪物になったら、怪物じゃない時の理想なんて理解できないかもしれない。だから正気があるうちに「わたしが変なことを言ったらボコボコにしてほしい」と介錯願いを数人に出している。勇者を育てる魔王がいたならこんな気分なのかもしれない。どうか綺麗に殺しておくれ、わが愛しの勇者たちよ。もし君達が先に怪物化したら喜び勇んで殴りに行くね。
いつか怪物になるわたしは、世間で触れ合う怪物どもに中指を立てて生きている。いずれ自分も辿る道、自覚も無しに通る道。哀れで醜い、と言われる側に立った時、わたしは何を見ているだろう。自分が怪物になったと気づかず、他の奴らを見下しているのだろうか。実はもうとっくに怪物なのかもしれないけど、勇者たちからの正論パンチが飛んできていないからまだセーフだと思いたい。
ふざけて「虎になる」なんて言っていた頃から、随分遠くに来てしまった。見える景色も歩き方も随分変わったけど、わたしという人間の連続性はゆるやかに保たれながら過去から未来へ伸びていく。願わくばこの悩ましい旅路が、葛藤ばかりではなく瑞々しい驚きと喜びに満ちたものになりますように。
この文章はいつか怪物になるわたしへ向けた弔辞であり、激励であり、備忘録だ。
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きみにふれてみたい、だからきみの愛を待ってる
「全部、スケートで返すから」 勇利のそのひと��とで、ヴィクトルと彼はつながりあった。これまでの、どこか線を引いたものとはちがう、それよりも一段色を濃くした関係を持ったのである。少なくとも勇利はヴィクトルに一歩近づき、見えない壁のようなものをひとつ取り払ったのだ。 だがヴィクトルは、それで安心はしていなかった。まだこれは入り口なのだ。思っていたよりも勇利は、難解でつかめない性質をしているようである。バンケットの夜、ヴィクトルに近づいてきたり、笑いかけてきたり、抱きついてきたりした彼とはちがう。もっと奥が深く、謎を抱えている。いちばん不思議なのは、こんなにへだたりをとることにこだわるのに、時にはあの夜のように大胆にヴィクトルを求めるということだ。 できればあれくらい勇利と近づきたい。普段からずっと。無邪気な笑顔を向けられ、寄り添われ、ヴィクトル、と甘ったるい声で呼ばれたい。貴方が好きで貴方が必要だという視線をそそがれたい。貴方だけを見ている、という情熱を示してもらいたい。 もちろん、いまの勇利にそれがないとは言わない。確かにあの勇利といま目の前にいる子は同じ人物だと信じることができるほどには、勇利はヴィクトルに好意をあらわしている。ただ、それを覆い隠すふるまいがそれ以上に目立つのである。 あの夜くらい勇利と仲よくなりたい。あの夜以上に。信頼しあって、師弟として濃密に愛しあって、ひとつの目標のために互いに手をたずさえて難局にあたる。そういう間柄になりたい。勇利がこころをひらいてくれたことは、そのための兆しとも言える。 しかしヴィクトルにはもう理解していた。勇利はそんな簡単な若者ではない。「全部スケートで返す」という言葉ですべてが解決するほどわかりやすくはない。たとえばいま、ヴィクトルが当たり前のように勇利の肩を抱き寄せたら、彼は驚いてなにごとかという顔をするだろう。一緒に寝ようと言ったって、やはり戸惑った態度になるにきまっている。そういう意味では、ふたりの関係はまだまだ熟しておらず、初々しいままだった。 勇利は、普段にいきなりさわったらびっくりする子だ。ヴィクトルはまずはそのことをしっかりとこころに刻みつけた。これで仲よくなれたと思って親密に行動したら、きっとまた問題が起こる。もしかしたら眉をひそめるかもしれない。警戒されてしまうかもしれない。勇利は「ヴィクトルはヴィクトルでいて欲しい」と言ったが、それは「ぼくに対して好き放題にふるまってもいい」という意味ではないだろう。そのことは忘れないようにしなければ。 こちらから近づくのは、たぶん、よくない。ヴィクトルはそのことを頭においておくことにした。バンケットのおり、当たり前のようにくっついてきたからと、そのつもりでしばらくいろいろしていたけれど、勇利の反応はかんばしくなかった。ああいうことはいまはやめておいたほうがよさそうだ。勇利はたぶん、酒が入ったときだけは陽気になるが、普段はおかたい、馴れ馴れしい態度を敬遠するようなたちなのだ。いつもそうしてまじめにしているからこそ、おさえつけられたものが酔ったときはおもてに出るのかもしれない。 とにかく、いまは良好な関係を築き、それを深めていく時期だ。せっかく勇利が信頼を見せてくれたのだから、それを大切にはぐくんでいきたい。ヴィクトルのほうから強引なことをするのはよしたほうがいい。勇利は踏みこまれるのが嫌いなのだから。きっとこころだけの話ではない。あまりに近づきすぎたら、勇利が話した「ぐいぐい来る女の子」のように、いやがられて突き飛ばされるかもしれない。 まあ、あの無視された日々は、ある意味突き飛ばされたようなものだけど……。ヴィクトルは思い出して溜息をついた。すこし笑ってしまう。無視なんて初めてされた。あからさまに目をそらされた経験なんてない。 あんなにきらきらした純粋な目で見られたのも初めて、ダンスバトルをしたのも初めて、コーチになってと言われたのも初めて、無視されたのも初めて……。勇利はヴィクトルにいろいろな「初めて」をもたらす。 「こんなに仲よくなりたいと思ったのも、慎重に行動するのも初めて」 つぶやいてヴィクトルは笑ってしまった。 「なんですか?」 勇利が振り返る。ロシア語だったので伝わらなかったらしい。 「なんでもなーいよ」 ヴィクトルは笑顔でかぶりを振った。 「そうですか」 勇利がうなずく。彼は岩のふちにもたれ、ぼんやりした。ふたりはいま一緒に温泉に入っているのだ。 こうして裸の付き合いはできるんだけどな……。ヴィクトルはちらと横目で勇利を見た。ヴィクトルにとって、それほど親しくない相手の前で服をすべて脱ぎ、同じ湯につかる、というのは初めての体験だった。だが、そういうことをすれば、なんとなく親近感がわいた。勝生家の温泉に来る常連客たちと湯をともにしたら、あっという間に仲よくなれた。なるほど、日本人というのはこうして親しくなるものなんだな、と感心したものである。 しかしそれが勇利にはいっさい通用しないのだった。勇利はヴィクトルと温泉に入っても、さほど親しみを感じていないようだ。温泉を経営している家の息子だからだろうか。人と一緒に湯に入る、というのは彼にとって当たり前のことで、いちいち仲よくなるとかならないとか考えるようなことではないのかもしれない。そういえば、昔から友人が少ないと聞いた。この温泉にやってくる同級生もいただろうに、それでも友達ができないということは、つまり勇利は温泉でのつながりに特別なものを見出していないということだろう。もっとも、彼の場合、練習が忙しくて、同級生が来るときもずっと家を空けていた可能性もあるが。 とにかく温泉で仲よくなるのはだめみたいだ。ヴィクトルはふうっと息をついた。いまだって、「なんでもないよ」と言われて、あっさり勇利は引き下がった。「何か言ったでしょう?」「いまのロシア語ですか?」と話を続ける気はないようである。俺、興味持たれてないのかな、と可笑しくなる。会話を発展させるということをしない勇利なのだ。いつも自分の世界だけで生きているようなところがある。芸術家には大切な部分ではあるのだけれど、いまはもうすこしうちとけて欲しい。 勇利は、ヴィクトルが自分の体験を話したら、同じように彼自身のことも話してくれた。そんなふうにすこしずつ近づくしかないようだ。 「俺ね、温泉って入ったことなかったんだ」 ヴィクトルは笑顔で語りかけた。 「こんなにひろいお風呂初めてさ。最初入ったときは感動したな。こんな場所をひとりじめ! って浮かれちゃったよ。勇利は自分の家のお風呂だから慣れてる?」 「そうですね」 勇利はこっくりうなずいた。 「もちろん温泉は好きだけど、日常だから……。あの、すみません」 「何が?」 「ひろいお風呂がいいんですよね。ぼく、もしかして邪魔だったかな。あっちのお風呂に行くので、ヴィクトルはひとりでここを……」 「ちょっと待った!」 ヴィクトルはとっさに勇利の手をつかもうとし、いけないいけない、と思い直して腕をひっこめた。不用意にさわるのはよくない。 「そういうことじゃない。そういうことじゃないんだ」 どうやらこの話題は失敗だったらしい。 「ここにいてくれ、勇利」 「でも、ヴィクトル貸し切りが好きなんでしょ?」 「いや、好きとかそういうことじゃない。ひろくていいなというだけだ。勇利の家のお風呂ってすてきだねという話だ」 「はあ……そうなんですか……」 勇利はきょとんとしている。いけない。俺はどうも勇利に「よくわからないことを言うやつ」と思われたようだぞ。べつによいのだが、いろいろ考えたうえでの行動を不可解そうに眺められるとなんとなくさびしい。 「えーっと」 ヴィクトルは無意識のうちに勇利の肩を抱き寄せようとし、おっと、と自分をいましめた。しかし、ここで勇利の手をつかんだり、バレエのまねごとをしたりしたことはある。そのときは勇利はとくにいやがったりはしなかった。ならばいまも構わないのではないだろうか。……いや、だが、あのころより魔法がとけてきている感じがある。この前は「あぁん!?」などと言われてしまったし。すこし遠慮がなくなってきている。それは歓迎なのだが、まだ親密になったというほどでもないから、接触に関しては以前より後退しているかもしれない。 勇利って難しいな。 「そういえば、勇利のパーパに、この温泉は効く、って言われたんだけど、何に効くんだい?」 ヴィクトルは結局、さして悪くはないが特別よくもない、ごく普通の話をすることにした。 「ああ……、まあ、疲労回復とか、打ち身とか、そういうのです。女性は肌にもいいと言ってますね」 「肌か……」 ヴィクトルは勇利の身体をちらと見た。 「勇利、綺麗だよね」 「え? 何がですか?」 「だから肌だよ」 「そうかな」 勇利は自分の身体を見下ろした。 「長いあいだデトロイトにいたから、そんなに効いてないと思うけど……。でも、もう一ヶ月くらい経つからあらわれてきたのかもしれません」 「ちいさなころからつちかわれた肌質というものなんじゃないかな」 「さあ……ぼくにはわかりませんけど……」 勇利は首をかしげた。ヴィクトルは、「綺麗だよ。ほら、このあたりとか」などと言いつつ勇利の素肌にふれようとし、おっと、とまた手をひっこめた。あぶないあぶない。どうも不用意にさわろうとしてしまう。誰にでもというわけではない。勇利だけだ。なぜだろう? バンケットのとき、愛情いっぱいに抱きつかれたから、それが感染してしまっているのだろうか。 「そうかなあ……」 勇利は納得しかねる様子だ。自分の腕を眺めたり、胸にふれたりしている。ヴィクトルはそんな彼をじっと見ていた。 「ヴィクトルのほうが綺麗ですよ」 唐突に顔を上げて勇利は言った。ヴィクトルはびっくりした。 「温泉に入ってるとか関係なく、ヴィクトルは綺麗」 勇利は率直に言い、かすかにほほえんだ。 「ヴィクトルがいちばん綺麗なんです」 確かなことだというような勇利の口ぶりだった。 「言われ慣れてると思うけど」 そうだ。確かに言われ慣れている。称賛の言葉なんて珍しくもない。しかし……。 勇利が言うと、なぜか特別に聞こえた。彼の褒め言葉は、いままでヴィクトルが聞いてきたものとはちがう響きを持っていた。 「ヴィクトルは綺麗で、かっこいい」 勇利は続けた。 「ヴィクトルくらいかっこよかったら、どんな感じがするものなんだろう……」 彼は口元に手を当て、考え深そうにつぶやいた。それからまたヴィクトルを見てちょっと笑った。 「どんな感じがしますか?」 「どんなって……」 「鏡見るたび、俺ってかっこいいな、とか思うの?」 「いや、べつに……」 「そっか……、いつものことだもんね。いちいち毎回感動することでもないか。ヴィクトルにとってはそのかっこよさが当たり前だから……」 勇利は言葉を切り、それからいつもより明るい声で言った。 「かっこいいのが当たり前って、かっこいい」 彼は笑った。 「なに言ってるのかわからなくなってきた」 ヴィクトルも何を言われているのかよくわからなかった。ただ、勇利のいまの話し方は、親しい感じでよいなと思った。海で勇利と語らったときも、彼はあまり丁寧な言いまわしをしなかった。そっちのほうがいい、とヴィクトルは考えた。たとえば礼を述べられるなら、サンキューよりサンクスと言われるような。親密な表現をして欲しかった。勇利は教科書通りの英語を話すのかと思っていたが、海外スケーターの友人と電話しているのをちらっと聞いた限りでは、ちゃんと砕けた話し方も理解しているようである。それならヴィクトルにもそうしてもらいたい。 いや、しかし、待とう。何かをしてくれ、と勇利に対し要求するのはよそう。勇利はヴィクトルに、ヴィクトルはヴィクトルでいてほしい、と言った。ヴィクトルも勇利にはありのままでいてもらいたいのだ。ふたりの間柄について、ああしろこうしろと口にしたくない。 「ヴィクトルは寝起きでもかっこいいんですか?」 勇利が尋ねた。ヴィクトルは笑って「どうかな」と答えた。 「会ったことあるだろう?」 「あるけど、ぼくの言う寝起きって、本当に起きた瞬間のこと。ベッドで起き上がったときのことです」 一緒に寝ればその瞬間がわかるよ。ヴィクトルはそう言おうとして思いとどまった。代わりにもう一度「どうかな」とほほえんだ。 「ぼくの予想では、ヴィクトルは起きた瞬間からかっこいいです」 「勇利、どこ行く?」 勇利が玄関のほうへ向かっていたので、ヴィクトルは不思議に思って尋ねてみた。 「おつかいです」 「おつかい」 「ちょっとそこのコンビニまで」 「ふうん……」 ヴィクトルは勇利を見ていた。勇利もきょとんとしてヴィクトルを見ていた。勇利はゆっくりと言った。 「……一緒に行く?」 「行く行くー!」 すでに日は暮れ落ちている。雨が続いたあとの晴れた晩で、緑の匂いが風に濃かった。甘いような、むせ返るこの匂い。生々しいほどの自然を感じる。ふたりは、街路灯がほのかに照らす道を連れ立って歩いた。 「なに買う?」 「えっと、買い忘れたらしい卵……、それから牛乳……、真利姉ちゃんの要望でスナック菓子……、あとは好きなの買っていいって」 「好きなの」 「おやつですね。ヴィクトルなに食べたい?」 「アイスかな!」 「アイスね」 勇利はにこっと笑った。このところ気がついたことがある。勇利は、普段はなんとなくぼんやりして表情があまりないが、ヴィクトルのことになると笑ったりする。ヴィクトルはそのことがくすぐったくて仕方ない。たぶん当人は気がついていないだろう。 「このあたりは夜になると静かだね」 「そうですね。ロシアはもっと賑やか?」 「俺の住んでるあたりは、賑やかというほどでもないけど、でもこんなに人通りがなくなったりはしないかな。夏は白夜で、いろんな催しがあるよ」 「ああ、白夜」 勇利は星空に目を向けた。 「きっと綺麗でしょうね……」 彼の夢見るような視線に、ヴィクトルはなんとはなし見蕩れてしまった。きみも綺麗だよ。そう言おうとして、とりあえず口をつぐんだ。なんだ、この口説き文句みたいな言葉は? そういえば前にも言ってしまった。温泉で。でもあのときといまとでは、ちょっと意味合いがちがう。 「白夜かぁ……」 勇利がつぶやいた。こうしておとなしやかな様子で歩いている物静かな彼は、あのバンケットのとき踊り狂っていた彼と同じ人物とは思えない。とても穏やかで神秘的だ。こういうところがよくわからないし、魅力的だなと思う。 「勇利もいつかサンクトペテルブルクにおいでよ」 ヴィクトルは誘った。 「案内するよ。いろんなところへ連れていってあげる」 「ヴィクトルの生まれた街ですね」 勇利はほほえんだ。 「行きたいなあ……」 しかし、行きたい、と言いながら、彼は生涯かなうことのないねがいを口にしているようなふぜいだった。月明かりを頬に受け、瞳に星を映し、どこかさびしそうに笑っている。胸が痛くなるような横顔だ。 「おいでよ。必ずおいでよ」 勇利にそんな顔をさせたくなくて、ヴィクトルはつい力をこめ、熱心に誘ってしまった。 「俺の家に泊めてあげるよ。俺が勇利のところにお世話になってるみたいに」 勇利はきょとんとしてヴィクトルを見た。そして彼はくすっと笑った。 「いいね、それ」 いいね、それ。いいね、それ、だって。 ヴィクトルは、本当にいつか勇利が自分の街に来るような気がした。 「温泉はないけどね」 ヴィクトルはうれしくなって、そんなはしゃいだ話し方をした。 「知ってる」 勇利がまたくすっと笑った。 「知ってる? なんで?」 「え? だって……」 彼は一瞬だけ、からかうようにヴィクトルを見た。 「貴方、温泉に入ったのはうちが初めてだって言ってましたから……」 そこで勇利は歩道から明るい駐車場へと入り、コンビニエンスストアの扉を押し開けた。ヴィクトルはちょっと立ち止まり、それから急いであとを追った。勇利はもうカゴに卵と牛乳を入れており、真利のスナック菓子を選んでいるところだった。 「ヴィクトル、欲しいもの持ってきて」 「…………」 「ヴィクトル?」 「え? なに?」 「アイス、欲しいんでしょ?」 「欲しい」 「ぼくのも取ってきてください」 勇利は袋を見くらべながら言った。 「かき氷」 「カキゴーリ」 「シャーベットアイスですよ。それならカロリーが低いから」 「そうだね」 ヴィクトルはアイスクリームのたくさん入った冷凍庫の前へ行った。自分が欲しいものと、それから勇利の欲しがった「かき氷」を取ろうとした。 「……勇利」 「何ですか」 「赤いのと青いのとある。どっち食べる?」 「ああ……、うーん、どっちでも。ヴィクトル選んでください」 「赤いのはなに?」 「いちごかな」 「青いのは?」 「ソーダ」 ヴィクトルは、青いかき氷を食べている勇利を想像してみた。みずみずしくていいなと思った。次に、赤いかき氷を食べている彼を思い浮かべた。かわいらしくていいなと思った。 ヴィクトルは目当てのものを手にし、勇利のもとへ戻ろうとした。雑誌の並んでいる棚の前を通った。その表紙はかなり過激だ。 「ねえ、勇利」 「はい」 勇利がカゴにスナック菓子を入れながらこちらへ歩いてきた。 「勇利はこういうの、見たりするのかい?」 「こういうのって?」 勇利は顔を上げた。ヴィクトルが成人向け雑誌をまっすぐ指さしていることに気がつくと、彼はぎょっとして急いで寄ってきた。 「勇利のそういう話を聞かないなと思って」 「そんな話はいいですから!」 勇利はまっかになった。声をひそめているが、かなり怒っている様子である。 「なんで? 大事なことじゃないか。男の子なんだし。日本人ってまじめそうなわりに、こういうところでは大胆だよね。勇利もそう?」 「もう帰りましょう」 「いっさい興味がないということはないだろ? 勇利っておとなしそうだけど、そのあたり、どうなんだい?」 「ノーコメントです!」 「また?」 ヴィクトルは陽気に笑った。 「そうやってすぐごまかす」 「こういうところでする話じゃないでしょ!」 「じゃあ、家に帰ったらゆっくり聞かせてくれる?」 「ヴィクトル!」 勇利はレジにカゴを置き、振り返った。 「いい加減にして!」 ヴィクトルはきょとんとした。それから楽しくなって彼のところへ行った。カゴの中にアイスクリームとかき氷を入れる。 「もう、ほんと、怒るよ!」 ヴィクトルはほほえんだ。勇利は会計のあいだも帰り道でも、つんと澄ましてヴィクトルのほうを見もしなかった。 「勇利、悪かったよ」 「ほんとに悪かったと思ってるの?」 「思ってるとも」 「どうだか……」 勇利が横目でじろりとヴィクトルをにらんだ。その突き放すような目つきがかわいかった。 「で、どうなんだい?」 「何が?」 「ああいうの、勇利、見てるのかい?」 「ヴィクトル!」 「勇利」 「なに!」 「カキゴーリとニシゴーリって、似てるね」 勇利が目をまるくした。彼はぱちりと瞬き、それからくすくすと笑い出した。 「ね?」 「そうだね」 勇利は愉快そうにうなずいた。 「似てるね」 それから、彼は思い出したように何度も笑いながら、夜道をゆっくりと歩いた。ヴィクトルは勇利の隣にいた。風に乗って勇利の匂いが漂った。ヴィクトルの手が、勇利の手にふれそうだった。 手をつないだら勇利はどんな顔をするだろう。ヴィクトルはふとそんな好奇心をおぼえた。怒るだろうか? 平然としているだろうか? 照れるだろうか? しかしヴィクトルはそうはしなかった。あとすこしで勇利にふれられる、というところをのんびりと歩いていた。だめだ。いまはまだ……。 「ああ、風が湿ってる。梅雨ももうすぐ明けるかな。明けたら夏ですね。ものすごく暑い……」 「勇利」 「ん?」 「もしまたおつかいを頼まれたら、俺を誘ってね」 勇利はヴィクトルのほうへ首をまわし、大きな目でヴィクトルを見た。黒い瞳の中に月明かりが瞬いて、綺麗だった。 「うん」 ヴィクトルは、リンクにいるとき以外も、なるべく勇利と一緒に過ごすことにした。勇利がどこかへ行こうとすれば行き先を尋ね、ついていってよいかと訊いた。家に飾ってある賞状やトロフィーをひとつひとつ見て、これは何のときのものか、いくつで取ったのか、と興味を示した。勇利がたまに洗濯を手伝っていたら、「俺も」と言ってふたりで物干し竿をいっぱいにした。そうしていると、勇利とのあいだにすこしずつ会話が増えてきた。 「ヴィクトルって」 勇利は白いシャツをひろげながら尋ねた。 「自分の家では、洗濯とかしてたの?」 「いや」 ヴィクトルはかぶりを振った。 「クラブに持っていくとどうにでもなるんだ」 「へえ……」 勇利は意外そうに眉を上げた。 「そうなんだ。手伝いの人とかがいるのかと思った」 「考えたこともあるけど、自分の家に人が入るのがいやでね。信頼できる会社もあるんだが、なんとなく気持ちが向かなかった」 「じゃあ、ごはんは?」 「クラブに栄養士がいるからね」 なるほど、と勇利は感心した。彼は新しいシャツを取り、皺を伸ばした。その無邪気な仕事ぶりにヴィクトルはほほえんだ。 「勇利は? デトロイトではどうしてた?」 「ごはん? ピチットくんと当番制かな。あ、���チットくんっていうのは友達のスケーターなんだけど。タイの。ヴィクトル知ってるかなあ……。当番制っていっても、結局一緒につくることが多かったけどね��どっちも得意じゃないから、協力しあうしかないというか……」 「勇利と一緒につくるのは楽しそうだ」 「何が?」 「いろいろ」 「ヴィクトル、それ、陰に干さないとだめなやつ。こないだ真利姉ちゃんに怒られた」 「失礼」 勇利はヴィクトルを眺めて笑った。 「ヴィクトルが日本らしいこんな庭で洗濯物干してるなんて、ちょっと衝撃だね」 「そうかい?」 相変わらず勇利は、自分のことではたいていぼんやりしているけれど、ヴィクトルのことでは笑うのだった。 「じゃあ写真撮って」 「え?」 「SNSにアップしよう。洗濯物を干すヴィクトル・ニキフォロフ」 「いいの? こんなのヴィクトルじゃない、とか言われるんじゃない? ヴィクトルはなんていうか……、革張りのソファに座ってワイングラスをまわしてるような……」 ヴィクトルは噴き出した。 「いまさら何を言ってるんだ。俺はこれまで、いろんな写真を出してるよ」 「そうだけど、こんな家庭的なのはまだないでしょ」 「勇利はどう?」 ヴィクトルは勇利の顔をのぞきこんだ。 「何が?」 「家のことなんかしてる俺、ヴィクトル・ニキフォロフじゃないって思う?」 「…………」 勇利はヴィクトルを見てにっこり笑った。 「ヴィクトルはいつでもヴィクトルだよ」 そのとき、真利が縁側へやってきて、「おーい、これも」と声をかけた。 「はーい」 勇利が振り返って駆けていく。ひらひらと彼のシャツの裾がひるがえる。髪がさらさらしていて、ヴィクトルは、その艶やかな黒髪を撫でてみたいと思った。でもだめだ。自分からふれるのはよくない。ずいぶん親密になったつもりだけれど……まだ。 「ねえ勇利」 「んー?」 勇利は大きなカゴに入った洗濯物をこちらへ運んでくる。ヴィクトルの使っている敷布だ。 「もし俺が、きみに──」 きみにふれたら、きみは近づきすぎだと驚くのだろうか? いやな気持ちになるんだろうか? ただ仲がよいしるしだということを示したとしても……。なにしろきみは、人に踏みこまれるのを極端にいやがるから──。 「あ、ヴィクトル」 勇利がふと気がついたというように顔を上げた。 「ぼくちょっと行ってくる」 「え?」 「そろそろ表にビールが届いてる時間なんだ。中に入れ��くちゃ。手伝ってくるよ」 「…………」 「これ、よろしく!」 勇利がカゴをヴィクトルに持たせた。彼はちょっと走ると、ふいに振り返って楽しそうに言った。 「洗濯物抱えてるヴィクトル、おもしろい!」 長谷津は夏を迎えた。ヴィクトルにとっては初めての日本の夏だ。もう、信じられないくらい暑い。連日、彼はへたばっていた。せめて昼間はリンクへ行きたいけれど、一般開放の時間だ。遊びに行こうか、と勇利に提案したら、「ヴィクトルが行ったら騒ぎになっちゃうんじゃない?」と笑われた。 「みんなもう俺のことなんて慣れてるだろ」 「それはそうかもしれないけど、やっぱりすべってるとなると話がちがうと思うな。ぼくだって、ヴィクトルがリンクに遊びに来てるなら見たいもん」 「勇利は俺のすべってるところなんて毎日見てるだろう」 「それとこれとはちがうんだよ。慣れてても話がちがうっていうのはそういうこと」 わかってないな、と勇利は笑った。勇利はやはり、ヴィクトルのことになるとよく笑う。好かれている──とは思う。だが、いまだに勇利は、彼のほうから積極的に近づいてきて何かをしようと言うことはない。なんでもヴィクトルが誘うのだ。言えば素直に応じはするが、勇利から親しみを示して欲しいなとヴィクトルはぼんやり考えている。 「ゆうりー」 炎天下では外での体力作りもできないので、昼間は勇利はのんびりくつろぐか昼寝をするかという時間にあてている。勇利の部屋をのぞいてみたが、彼はいなかった。 「勇利?」 ヴィクトルは一階へ下り、縁側へ行ってみた。勇利が畳の上に寝転がり、扇風機をまわして眠っていた。寝てるのか。起こしては悪いと思い、ヴィクトルは黙って腰を下ろした。ちゃぶ台の上に、すこしだけ麦茶の残ったグラスと、空になったアイスクリームの容器がある。いや、アイスクリームではない。たぶんシャーベット──かき氷だ。 ヴィクトルはぼんやりと頬杖をつき、勇利の寝姿を眺めた。暑いとはいえ、何か身体にかけたほうがよいのではないだろうか。しかし、そうしたらかえって汗をかいてよくないだろうか。 ヴィクトルは勇利のそばへ寄っていった。前髪が流れてあどけない額がのぞいている。試合のときの勇利はおでこが見えているが、あの凛々しさはいまはかけらもない。子どもみたいにすやすや眠っている。口元がもごもご動くのは、夢の中で何か食べているのだろうか。 いまだにヴィクトルは、勇利に自分からふれていなかった。踏みこまない、ときめたままにふるまっている。気持ちはずいぶん通じあってきたと思う。勇利がゆるせる境界線というものもわきまえられた。もっとも、それは日によって変化するので、絶対とは言えないけれど。 いまヴィクトルが親しげにさわったら、勇利はどんな顔をするだろう。まだそこまではされたくないだろうか。接触されるのはいやだろうか。ヴィクトルとしては、親愛の情を勇利に示すなら、彼をかるく抱擁したり、手を握ったりは当たり前になりたいのだが、勇利はどうだろう。 「…………」 ヴィクトルはそっと手を上げた。勇利の頬にふれようと伸べる。さわりたい……。氷の上では凛としているのに、そこから降りると、どうしてこうおさなげな様子になるのだろうか。頬も、ふっくらしているというほどではないのに、確かにヴィクトルとは何かがちがう。研ぎ澄まされている、とはとても言えない。大人の男のようではない。だから余計にふれてみたくなる。 ヴィクトルは勇利のほっぺたを撫でようとした。髪にふれ、耳たぶをつまみたかった。こめかみに浮いている汗を指先ですくいたかった。やわらかそうなくちびるを押してみたかった。 だが、手を止めた。 勇利が寝返りを打ち、「ん……?」とつぶやいて目をさました。 「ヴィクトル……?」 「やあ、おはよう」 ヴィクトルは手を握りこみ、身体の後ろへ引いてほほえみかけた。 「何してるの……?」 「勇利の寝顔を見てた」 「変な顔してた……?」 「いや、ぜんぜん」 「わかった。ほっぺたに畳の跡がついてるからおもしろかったんでしょ。もう……」 勇利は目をこすりながら起き上がり、きょろきょろとあたりを見まわした。 「なに?」 「眼鏡……」 「きみの後ろにある」 「ん」 勇利は両手で眼鏡をかけた。ヴィクトルはなんとなくちゃぶ台の上を見、「ひとりでかき氷食べたの?」と尋ねた。 「ヴィクトルも欲しかった?」 勇利が笑った。 「でもそれ、ぼくのだよ」 「かき氷へのこだわりがすごい」 「そうじゃなくて。だってそれ、ヴィクトルがぼくに選んでくれたやつだもん」 「え?」 「先月……? かな? 一緒に夜コンビニ行ったでしょ。そのとき、ヴィクトルにぼくのかき氷も取ってって頼んだんだよ」 「……ああ、あれか」 ヴィクトルは驚いた。 「そう。だからあれはぼくの。ヴィクトルがぼくに取ってくれたソーダ」 「まだ食べてなかったのか」 「うん」 勇利はそばに落ちていたタオルで汗をぬぐった。 「なんかもったいなくて」 「もったいない?」 「だって、ヴィクトルがぼくのために選んでくれたから」 勇利は白い歯を見せた。 「食べちゃうのが惜しくなったんだよね」 「…………」 「だから名前書いて、奥のほうに隠してたんだけど、真利姉ちゃんに発見されて、霜だらけになってるし、食べないなら食べるって言われて、仕方なく」 ヴィクトルは言葉もなかった。勇利は、ヴィクトルが取って渡した、という、たったそれだけのものを、こんなにも大切にしていたのだ。 「……美味しかった?」 ヴィクトルは尋ねた。 「うん。つめたくて」 勇利はあくびをひとつした。 「はあ、よく寝たなあ……。汗だくだ。温泉入ろうかな……」 勇利はタオルとグラス、それにかき氷の容器を取り上げ、部屋から出ていった。ヴィクトルはひとり取り残された。 おそらく勇利は、ヴィクトルからふれても、きっと怒ったりいやがったりはしないだろう。もう、それくらいには信頼してくれているし、好意も寄せてくれている。しかしヴィクトルは、やはり、彼のほうから近づいてきてくれるのを待つことにした。こころはこんなにひらいてくれるのだ。いつか──いつか、身体のほうでも、彼から自然に接されたい。当たり前みたいにくっつかれたり、すり寄られたり、もたれかかられたりしたい。 中四国九州大会が近づいていた。この予選に出なければならないのは、勇利が昨季の全日本選手権で失敗したからだが、ヴィクトルは、ある意味ではこれはよかったと思っていた。いきなりグランプリシリーズに出るよりは、もうすこし前に目標があったほうがよい。 勇利も試合が近いからか、近頃はいつも以上に練習に熱が入っている。あまりに熱中しすぎて、ヴィクトルが注意しなければならないほどだ。もともと稽古の好きな勇利だが、このところは、もっと、もっと、ととにかくリンクにいることを求めるのである。あからさまに禁止すれば精神的に悪い影響が出そうだし、だからといって好きなだけやらせるわけにもいかないし、操縦が難しいところだった。 もっとも、本気になってこころも身体も試合用になってゆくのはよいことだ。ヴィクトルはそういう意味では安心していた。 ある日、ヴィクトルは夜半にふっと目がさめた。どうして起きてしまったのかわからない。喉が渇いたわけでも、手洗いへ行きたいわけでもなかった。ヴィクトルは考えこんだ。 起き上がって館内着を身につけ、廊下へ出る。家の中はしんと静まり返っている。ヴィクトルはゆっくりと歩いた。階段を下りてとっつきの部屋が居間だ。そこからちいさな音が漏れていた。ヴィクトルは思いきって襖を開けた。 勇利がいて、彼は真剣にテレビをみつめていた。映っているのは勇利自身である。試合の映像だ。見覚えのある衣装を着ている。昨季のフリースケーティングだった。 勇利はヴィクトルが入ってきたことに気づいたはずだが、顔を上げもしなかったし、何も言わなかった。ヴィクトルは襖を閉めて勇利の隣に腰を下ろした。ヴィクトルも画面を見た。国際大会ではない。どうやら、全日本選手権のようだ。 全日本選手権……。 この試合で、勇利はすべてにおいて失敗をした。ヴィクトルもこの映像は何度か見た。技術は悪くないのに、何かにとらわれたような、なんとももどかしいすべりだった。おまえはもっとできるだろう、と言いたくなる。ここをこうして、こっちをああして、こういうところに気をつけて、と片っ端から注意したい。実際、勇利にそれを伝えたこともあった。しかし何よりいちばんしてやりたいのは、ぎゅっと抱きしめて、「大丈夫だ。きみはちゃんとできる」と声をかけることだった。 ヴィクトルは横目で勇利の様子をうかがった。勇利は真剣な表情をしているが、とくに悲観的には見えない。だが、極上の心理状態とは言えない気がした。きっと彼は、試合が近づくことでやる気にみち、それ��同時に不安が生じ、昨季の最後の試合がどんなふうだったか確かめたくなったのだろう。どうも自分をいじめすぎるな、とヴィクトルは思った。どうせなら、絶好調だった時期の試合を見ればよいものを。たとえば、グランプリファイナル出場をきめたときの演技だとか、パーソナルベストを更新したときの競技だとか。なのに勇利は、苦しい、つらいときのものを選ぶのである。まあ、グランプリファイナルを見てないだけましなのかな……。ヴィクトルはそう考えた。 「どうしてこれを見てるんだい?」 ヴィクトルは静かに尋ねた。 「とくに意味はないよ」 勇利は淡々と答えた。 「ただ、急に見たくなって」 「こんな夜中に?」 「うん」 「眠った?」 「寝たよ」 うそだろうな、となんとはなしヴィクトルは見当をつけた。 「どうして悪い試合を見るんだ」 「だから、見たくなったからだよ」 「グランプリファイナルじゃないだけいいけどね」 あのときはすべてを失敗したわけではなかったけれど、国際大会で惨敗した、初めてのグランプリファイナルで、という思いは、相当に彼を苦しめただろう。 「それはさっき見た」 「見たのか!」 ヴィクトルはあきれかえった。勇利が前を向いたまま口元にひとさし指を当てる。 「しっ、静かに。みんな寝てるんだよ」 「勇利、きみね……」 こんなもの見るな。憂鬱になるばかりだぞ。ヴィクトルはそう言って消してやろうかと思ったが、でもこれがいま勇利のいちばんやりたいことなのだろう、と結局は理解を示した。勇利はよくわからない精神構造を持っている。だめだ、と頭ごなしにきめつけていたのでは、彼とともには歩けない。ヴィクトルは、勇利について、よくわからないなあ、と首をかしげるたび、こういう選手なのだ、受け容れよう、と思ってきた。だから今夜もそうするしかない。 「……いまならこんな失敗しないって思うのに」 勇利は、テレビから発されるひかりだけをおもてに受けてつぶやいた。 「でも、本番になったとき、本当に失敗しないかどうかはわからないんだ……」 ぽつんと落ちた言葉に、ヴィクトルはどう答えればよいのかと迷った。 「失敗しないさ」 結局、ありきたりだけれど、いちばん大切なことを口にした。 「しないよ」 「どうしてそう思うの?」 「どうして? 当たり前だろ? 俺は毎日勇利と一緒に練習してる。勇利がどれだけできるか、勇利と同じくらい──いや、勇利よりよくわきまえている。自分の知識に照らしあわせれば、勇利はちゃんとできるという答えが出るよ」 「それ、ぼくの精神的な部分も考えあわせた結果?」 「そうだよ」 「…………」 勇利はしばらく黙りこんでいたが、そのうち、口元にかすかな笑みを浮かべた。 「……ありがとう」 彼は物穏やかに礼を述べた。 「たぶん、実際本番になったらかなり緊張すると思うんだけど、そう言ってもらえるとうれしいよ」 「緊張してもできるさ」 「……うん」 勇利はこくんとちいさくうなずいた。彼はずっと自分の演技を見ていた。何度も転び、悔しそうに立ち上がる数ヶ月前の自分を見ていた。 ヴィクトルはふいに、勇利を抱き寄せたい気がした。こんなことをして自分を追いこむな。俺ができると言っているんだから俺を信じろ。そうささやいて髪を撫でてやりたかった。しかし、それを勇利が望んでいるか、よくわからなかった。彼は傷つきやすく繊細だが、たとえかなしんでいたとしても、どうかほうっておいてくれ、と言っているようなところがある。なぐさめなんかいらない、ぼくはひとりでいたいんだ、という気配を感じるのである。ヴィクトルが抱き寄せ、優しくすることで、かえって彼の精神をみだしてしまうかもしれなかった。 ヴィクトルは悩んだ末、そっと手を上げ、勇利の肩を引き寄せようとした。勇利はまだ熱心に画面を見ている。勇利。ひとりで見るな。次からは俺を呼ぶんだ。きみの何もかもに俺は付き合うよ。だからひとりぼっちでがんばるな。俺はおまえのコーチだろ。抱きしめてそう言いたかった。 しかし、耐えた。勇利の肩にふれる直前、ヴィクトルは手をひっこめた。さわりたいな、と思った。勇利のぬくもりを感じて、ヴィクトルのことも親しく理解してもらって、もっと近々と彼に話しかけたかった。だが、できなかった。自分がそうしたいと思っているだけで、勇利はちがうかもしれないのだ。利己的な考えで勇利をなぐさめたつもりになるのは愚かというものだ。 勇利のほうから甘えて、寄りかかってきてくれたらいいのに……。ヴィクトルは手を握りしめて膝に置いた。 やがて勇利は満足したのか、ふうと息をつき、映像を止めてヴィクトルを振り返った。 「もう寝るよ」 「……ああ」 ふたりは連れ立って二階へ上がり、ヴィクトルの部屋の前で向かいあった。 「一緒に見てくれてありがとう」 「いや……」 「ヴィクトルってすごいね」 勇利はほほえんだ。窓ガラスを通してあわい色の月光を浴びる彼は不思議に神秘的で、笑い方もひどく優しかった。 「どうして一緒に見てもらいたいと思ってたこと、わかったの?」 「え?」 「おやすみなさい」 勇利はヴィクトルに背を向けた。ヴィクトルは閉まった扉をじっと見ていた。勇利は、甘えたいのか甘えたくないのか、よくわからない子だ。 すこし汗をかいたので、ヴィクトルはその夜二度目の温泉に入っていた。ひとりで露天風呂につかりながら、彼はついさっきのことを思い出していた。 そのとき、ヴィクトルは店の食事処で夕食をしたためていた。そこに勇利が通りかかったため、常連客たちが彼を呼び止め、一緒に食事するよう勧めた。勇利は遠慮していたが、結局押し切られて、台所から自分の夕飯を持ってきた。そのとき彼は、空いている席がほかにあるのに、わざわざヴィクトルの隣まで来て、窮屈なところへ座った。ヴィクトルはすこし驚いた。思わず勇利をみつめてしまった。しかし勇利は気にしていないようで、常連客たちの話に控えめに応じていた。ヴィクトルがいつまでも見ているので、彼は不思議そうに顔を上げた。 「なに?」 「いや……」 食事が終わっても、勇利はなかなか席を立たなかった。それは客たちにいろいろと話しかけられているからなのだが、ヴィクトルはなんとなく妙な気持ちになった。これまでちっともなつかなかった猫が、そっとそばに寄ってきたような気分だった。撫でたら警戒してどこかへ行ってしまうだろうか? それとも、撫でてよいからこんなに近くへ来たのだろうか? ヴィクトルはひどく悩んだ。結局ヴィクトルは何もしなかった。あれは何だったのだろう。 「まあ、意味なんてないんだろうけど」 ヴィクトルは風呂から上がり、二階へ行った。自室にあかりがついている。妙だ。消さなかっただろうか、と思いながら中へ入った彼は、その場に立ちすくんだ。 ヴィクトルのベッドで、勇利が寝ていた。 そばにはノート型のパーソナルコンピュータがある。動画がひらいたままになっていた。きっと、何か意見を聞きたいと思ってやってきたのだろう。待っているあいだに眠りこんでしまったのだ。彼の姿勢は、ベッドに座ったまま、眠気に耐えきれずころんと寝てしまった、という感じだった。ヴィクトルは驚きからさめるとほほえんだ。 「気持ちよさそうに寝るね」 起こさないよう、そっとベッドに腰を下ろした。勇利のあどけない顔。呼吸で身体がすこしずつ上下している。深く眠っているようだ。赤ちゃんみたいだな、とヴィクトルは可笑しかった。 いつの間に、こんなに安心した顔を見せるようになったのだろう。以前はもっと緊張していた。自分がみっともないことをするのではないかと、ひどく用心していたのである。なのにいまは、ヴィクトルの部屋で、ヴィクトルのベッドで、こんなふうに無防備に眠りこんでしまっている。ヴィクトルと一緒にいれば安心、とでもいうように……。 「かわいい」 ヴィクトルは声に出してつぶやき、ほほえんだ。 「そんなにかわいいことをされると、撫でたくなるぞ」 勇利……、もう俺のこと、こころの底から信頼してるだろう? ヴィクトルはうれしくなった。ああ、こんなに無垢なところをさらけ出す彼の髪をかき上げ、そのまま梳き、よしよしとかわいがることができたらどんなにいいだろう。俺はおまえをかわいく思っているよとそぶりで伝えられたらどんなにか楽しいだろう。ヴィクトルのことが好きで、そっけなくて、用心深くて、警戒心が強く、困難な性質をした、かわいい勇利。 あとひと息なのだ。きっとあとすこしで勇利のほうから歩み寄ってくれる。我慢に我慢を重ね、無理に近づかず、さわることも耐えたヴィクトルに勇利のほうから寄り添ってくれる。利己的にならず、勇利が勇利の好きなときに近づいてくれるよう忍耐しきったヴィクトルを信じ、こころを完全にひらいてくれるのだ。 あとひと息……。 「勇利……」 ヴィクトルは勇利の寝顔をみつめた。しかし、そんな日が本当に来るのだろうか、という気持ちもあった。勇利が他人に自分から寄っていくなんて、そんなことがあるだろうか。この、踏みこまれることが嫌いな、人との接し方がへたな勇利が。勝生勇利が誰かに自分からぴったりとくっつき、ぬくもりをわかちあうなんて、どうもありそうにない話ではないか。 今日はじゅうぶんにがんばったので、すこし早めに練習を終え、ヴィクトルは私室でくつろいでいた。夕食後、勇利は部屋に閉じこもり、何かひとりで楽しんでいた。おそらくヴィクトルの動画でも見ているのだろう。勇利はいつもそうだ。 夜も十時を過ぎたころ、勇利の部屋の扉がひらいた。お風呂かな、だったら俺も入ろうかな、と思っていたら、勇利が障子の向こうから声をかけてきた。 「ヴィクトル、ぼくコンビニ行くんだけど、ヴィクトルも行く?」 ヴィクトルはぱっと立ち上がった。 「行く行くー!」 誘ってくれた。勇利が。初めて。ヴィクトルは浮かれながら勇利と家を出た。 雨上がりのしっとりとした大気の中、ふたりは連れ立って夜道を歩いた。 「雲が晴れてきたね」 勇利はおぼろな月を見上げて言った。 「明日はまた暑いかな」 「そうだね。日本の夏、びっくりだよ」 「ぼくも久しぶり。デトロイトも暑かったけどね。日本は独特だよね。湿度が高いから」 「勇利、初めて俺を誘ってくれたね」 「え?」 「コンビニ行こうって」 「そうだっけ?」 勇利は不思議そうな顔をした。 「そうかな……、そうかも。前にヴィクトルが言ってたから」 「え?」 「またおつかい頼まれたら誘って、って」 「…………」 「今日は��つかいじゃなくて、ただぼくが行きたいだけなんだけど、ヴィクトルも行くかなーと思って」 ヴィクトルはがっかりした。勇利が自分で誘いたくて誘ってくれたわけではないのだ。近づいてくれたのかと思ったのだが、ただヴィクトルの要望に応えただけのことらしい。つまらない。 「ヴィクトル、どうしたの?」 「なんでもない。勇利は何を買いたいんだい」 「かき氷」 「また?」 「うん、また」 勇利はくすっと笑った。 「ヴィクトルが選んでくれる?」 「…………」 「今度はすぐ食べるよ。同じことしてたら真利姉ちゃんに怒られるからね……」 好かれていると思うんだ。好かれていると思うんだ……。ヴィクトルは呪文のようにそう考えた。しかし、最後のところで近づいてきてくれない。そもそも、勇利にそれを求めることがまちがっているのだろうか。彼はそういう発想などない、誰にもふれない性質なのだろうか。きっとそうだ。考えにないことなら、いくら待っていたって起こるはずがない。勇利��ら接触してくれるなんて。 「今日は赤いのにしたら?」 「ヴィクトルがそう言うなら」 ヴィクトルは、勇利って罪な子だなあと思った。貴方がそう言うなら、なんて口説き文句ではないか。なのにちっとも接近してこない。かけひきでもしているかのようだ。俺をためしてるのか、という気がしないでもない。魔性のカツ丼ってこういう意味なのか? 店に入ると、勇利はすぐに大きな冷凍庫の前に行った。 「ヴィクトルもアイス食べるでしょ? どれ?」 「うーん……」 「あ、新しい味出てる」 「じゃあそれ」 ふたりは支払いを済ませて店を出た。勇利はのんびり歩きながら言った。 「帰ったら一緒に食べる?」 「そうだね……」 ヴィクトルは上の空だ。勇利は気づかないようである。 「ヴィクトル、ほんとにアイス、あれでよかったの?」 「いいよ」 「ヴィクトルって日本のお菓子好きだよね」 「ああ」 「ぼく赤いかき氷食べたら、べろが赤くなっちゃうかもなあ……」 「勇利」 「なに?」 「勇利って……」 自分から人にさわったことあるのかい? そう尋ねようとしてヴィクトルは口をつぐんだ。おかしな質問だ。 「どうしたの?」 「いや……」 「あ、ヴィクトル、見て」 ふいに勇利がヴィクトルに身体を寄せてきた。ヴィクトルは驚いた。それと同時に勇利はヴィクトルの腕を取り、そっと静かに手を添えた。 「あそこに川あるでしょ」 勇利が右手を示した。ヴィクトルは返事ができなかった。 「あの川ね、ぼくが学生のころ……」 勇利は何か話している。しかしヴィクトルの耳には入らなかった。勇利がヴィクトルの腕に手をからませた。当たり前みたいに……。 「……でね、ぼくはそのときヴィクトルのことを考えてたんだけど、もう突然大きな水音がしたからなにごとかと思ったんだよね」 勇利が笑った。笑いながら、すり、とヴィクトルにすり寄った。無意識にしか思えない、自然な行動だった。 「ヴィクトルと歩いてて、いま急に思い出した。おもしろいでしょ?」 「…………」 話が終わっても、勇利はヴィクトルから離れなかった。相変わらずヴィクトルの腕に手をかけ、くっついている。自転車のベルが鳴ったので、彼はヴィクトルのほうへ身体を寄せた。自転車が通り過ぎてもそのままだった。 「どうしたの?」 勇利が不思議そうにヴィクトルを見上げた。眼鏡のレンズの向こうで大きな目が瞬き、あたたかそうな色の瞳がきらきらと輝いている。勇利にふれられているところが熱かった。 「……いや、ぼうっとしてた」 「ヴィクトルでもぼうっとするんだ」 勇利は笑うとヴィクトルの肩に頬を寄せ、かるく身をぶつけた。 「……うん、するよ」 「へー」 勇利がかるくうなずいた。 「ぼくはわりとひんぱんにするけどね」 「そう……」 ふたりは家まで腕を組んで歩いた。その夜、ヴィクトルはどうしてだかなかなか寝つけなかった。 翌日、日が落ちてから、勇利がはしゃいだ様子でヴィクトルのもとへやってきた。 「ヴィクトル! 近所の人が花火くれたよ。一緒にする?」 「するするー!」 ヴィクトルは思わず勇利に思いきり抱きついた。勇利は「わっ」と声を上げたけれど、笑って、「暑いよー」と優しくとがめただけだった。浜辺で花火をした。ちいさなふくろにすこし入っていただけだったので、すぐに終わってしまったけれど、たいへん楽しかった。 「最後は線香花火だね」 ぱちぱちとはじけるほのかなかよわい火花を、ふたりで静かにみつめた。ヴィクトルは勇利にくっついた。 「なんでそうくっついてくるの。暑いってば」 勇利が笑った。 「そうかな」 「そうだよ」 「勇利の髪、黒くて綺麗だね」 ヴィクトルは勇利の髪に目を閉じてキスした。勇利はまた笑って、「花火見てよー」と言った。 「勇利って綺麗だよ」 ソファの肘置きにクッションを置き、それをまくらにして、ヴィクトルはくつろいでいた。しばらく何か家のことをして立ち働いていた勇利が居間へやってきた。勇利、座るかな、場所を空けたほうがいいかな、と思ったところで、勇利は身をかがめ、ヴィクトルの腹の上にのってきて、胸元におとがいをのせた。 「なに見てるの」 「企画資料。俺を呼んでこういうことをしたいっていう説明だよ」 「催し物?」 「そうだね」 「おもしろい?」 「まあまあ」 「そう……」 勇利はしばらく静かにしていたが、そのうちヴィクトルが持っている資料に手を伸ばし、それを揺らしたりつついたりするようになった。ヴィクトルはほほえんだ。 「いたずらしない」 「うん」 ヴィクトルは勇利の背中に資料を立てるようにし、それを手で支えて続きを見た。勇利はじっとヴィクトルをみつめていたが、身体を伸ばし、ヴィクトルのおとがいにそっと接吻した。 「勇利」 「ん?」 「いたずらは……」 「これいたずらなの?」 「…………」 ヴィクトルはそれでもしばらくは我慢して、文字を目で追っていた。勇利はそのあいだもヴィクトルの首やおとがいにくちびるをふれさせ、ヴィクトルの匂いを吸いこみ、「ああ、あったかい」とご満悦だった。ヴィクトルはちっとも文章が頭に入ってこないことに気がついた。 「勇利」 「満足」 勇利がもぞもぞと動いてヴィクトルの上から退こうとした。ヴィクトルは資料を投げやり、彼を抱きしめて頬ずりした。 「ちょっと、ヴィクトル、離してよ」 「そっちから来ておいてなんだ」 「もういいの」 「俺はよくない」 「勝手なんだから」 「どっちが?」 ヴィクトルは身体を入れ替え、勇利をソファにあおのかせると、のしかかっていって熱心に接吻した。勇利が、ん、ん、とかわいい声を上げる。 まったくもう。最初はぜんぜん俺に近づいてこなかったくせに。初めて俺の腕を取ったときの胸のときめき、忘れてないぞ。いまもこうされると同じだけ喜んでるんだからね、俺は。わかってるのかな? 勇利はあの夏の夜から、ヴィクトルに自分からさわってくるようになった。しかしたびたびというわけではない。思い出したように、ふい��、すっとふれてくるのである。本当にさりげなく。当たり前のように。一緒に歩いていて急にすり寄ってきた勇利が、ヴィクトルの手の中に彼の手をすべりこませると、ヴィクトルは気持ちが転倒し、ひどく感覚が甘くなって、もう勇利にさわったり抱きついたり髪を撫でたりと、いろいろなことをしてしまうのだ。それで勇利は「ヴィクトルは接触過多」と言うのだから……。 「ヴィクトルがこんなに仲よくしてくれるようになるなんて、思ってなかったなあ……」 勇利がぼんやりつぶやいたのでヴィクトルは驚いた。 「俺は最初から勇利に友好的だっただろ?」 こちらのせりふなのだが、と思いながら抗議すると、勇利はかすかにほほえんだ。 「だってヴィクトル、家に人が入るのはいやって言ってたでしょ」 「え?」 なんのことかよくわからなかった。そんな話をしただろうか? 「ほら、家のことを手伝ってくれる人はいないのかって訊いたとき……」 「……ああ」 「だからぼくをここに住まわせてくれるってヴィクトルが言ったの、すごくびっくりしたし、うれしかった」 勇利は部屋を見まわした。ふたりがいるのは、もう、長谷津ではなかった。 「そもそも、サンクトペテルブルクの街をヴィクトルとふたりで歩けるなんて、そんなのも夢物語だと思ってたし」 勇利はうっとりと言ってまぶたを閉じた。 「ヴィクトル、いつかおいでって言ってくれたけど……、本当になるなんて思ってなかった」 「…………」 「ぼく……」 勇利はささやいた。 「いま、とてもしあわせだよ……」 ヴィクトルは無言で勇利を抱きしめた。勇利が「苦しいよー」と笑う。彼はいまでも、ヴィクトルのことだと特別によく笑う。 「ヴィクトルって親しみやすいし優しいけど、ぼくにはとても近づけない、特別なひとだと思ってたなあ……」 「そうか……」 勇利がぱちりと目をひらいた。彼は可笑しそうに言った。 「でも、長谷津のときも時間が経てばそうだったけど、こうしてふたりで過ごすと、もっといろいろなことがわかって、ヴィクトルってぼくにとてもちかしいひとなんじゃないかって思ったよ」 「本当かい?」 「うん」 「たとえば俺のどんなことがわかった?」 「うーん、わりと適当に返事して、あとで『聞いてない』って言うところとか」 ヴィクトルはくすっと笑った。 「やすみのときは寝坊が大好きで、髪もとかさずにぼーっとしてるのが楽しいとか」 「あはは」 「ごはんは自分でつくったことないって言いながら、ぼくがこれやってって言ったらまじめに取り組むこととか」 「勇利を怒らせたら大変だからね」 「ぼくがやっといてって言ったことはやらないくせに、ほかのめんどうなことをさっさとやっちゃってることとか」 「そんなことしてる?」 「そんな、いろいろだよ……」 勇利はヴィクトルの肩に頬をこすりつけ、「そういうの、知らなかったんだから」と目をほそめた。 勇利、俺も知らなかったよ。きみがこんなにあまえっこなところがあるなんてね……。 「それから、意外とあまえんぼう!」 勇利ははしゃいだ声を上げた。 「それはきみだろ?」 「なに言ってんの?」 「きみだ」 「ぼくは普通です」 勇利は拗ねたように言って、キスをねだるみたいにすり寄った。ヴィクトルは、それだよそれ、と思いながらかるくくちづけした。さっきまで「満足した」とか言っていたのにこれだ。かわいい。どうせすぐにまた「くっつきすぎ」などと抗議するのだろう。何が理由で気持ちが切り替わるのかよくわからない。 「ああ、あと」 勇利は首をもたげてうれしそうに笑った。 「貴方は、起きたらやたらとくっついてきて、べたべたするのが好き。ヴィクトルは起きた瞬間からかっこいいんだろうと思ってたぼくは何なんだろうね? こんなのだからあのとき答えを教えてくれなかったの? ヴィクトルは、ぼくのことで何か新しくわかったことある?」 「それはたくさんあるけど、それでもやっぱりおまえは永遠の謎だよ。たとえば、あまえんぼうスイッチはどこにある?」 「そんなものはありません」
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愛犬との想い出をオリジナルフォトブックにしてプレゼント<プロカメラマンの撮影会>と<1泊2食付宿泊券 ...
【TEL】0570-015-333【客室数】 本館38室/別館20室 【館内設備】:IRORIロビー、Bar、囲炉裏ダイニング、大浴場、露天風呂、展望風呂、 貸切露天風呂 ...
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葛温泉
平日の昼間はいつも貸切状態。秘湯気分を満喫
雰囲気のある内風呂
広々とした露天風呂は景観も最高
道中からは安曇野を展望
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2/6〜2/8 熱海
8時に目が覚めて10時に恋人の家に行って、11時に熱海に旅立った。
念願叶って喫茶店「パインツリー」に行った。ウィンドウのパフェと���リンア・ラ・モードとサンデーの種類の数が段違いに多く、おもちゃ屋さんが隣接している。異常な甘味の種類とスペースインベーダーゲームのテーブルとヨーロッパを再現した安っぽい店内に惹かれてずっと行ってみたかった純喫茶である。私はこのような時にいつもは頼まないメニューを頼むようにしているがパフェであることは外せなかったのでメロンはやめてストロベリーがなかったのでピーチと迷ってパインにした。隣の父親と同じくらいの年齢に見える男二人もパフェを頼み、嬉しくて笑顔を交わした。タバコがあと1cmになる頃に液体窒素の煙を神神しく纏い眩いパフェが運ばれ、私は高ぶって騒いだ。恋人は悩みに悩んだ末頼んだバタートーストをすぐに食べ始めていたのに、私はパインパフェの見目麗しさを記憶することに時間がかかった。 缶詰のシロップ漬けパイナップルと、生クリームと、バニラアイスのみのそれはあまりに甘く、強欲な私は隣の男二人の頼んだチョコバナナパフェとフルーツパフェを羨ましく思った。私たちは注文に時間をかけ過ぎていて、熱海秘宝館にいく計画のために気がすむまでゆっくりすることを諦めた。
秘宝館があるということを知った時からずっと行きたかったから、私はいつもよりかなり饒舌になり、ロープウェイの時点で装飾の造花の胡散臭さや座席の変なサイズ感などの思ったことを全て口に出していた。熱海秘宝館はお色気40%ネタ30%古き良さ20%胡散臭さ10%の異常館内で、展示の作為が読めず、意味が不明で不思議な空間である。特に気になったのは映像のボーダーラインと出演女優の顔の昭和感だ。局部まで見せないのだが生々しく過激な演出なので、それが面白さのためなのか想像力でエロを強調しているのか規範があるからなのかわからず、ヒリヒリするような感覚だった。ゲームセンターがあり秘宝館ライターのufoキャッチャーを見つけて喉から手が出るほど欲しかった。
宿は海鮮の食事処が経営する漁港の前の素泊まり旅館で、四、五人泊まれるであろう部屋が朝食なしで六千円だった。8時にチェックインし階段で迷って藤の間で一息ついた。旅行では早寝早起きが基本なのだが布団を敷いたりゴロゴロしたりテレビを見たりしていたら温泉に入ってないのに10時前になっていて、それでも私たちは貸切風呂にするか男湯女湯にするか決められず答えが出ないやり取りをしていた。一日中二人で行動してきて、毎日を孤独に過ごす私たちはお互い一人になりたいだろうと言葉にはせず気を使い、結局別々に風呂に入ることにした。見たいテレビ番組がある私が早く出ることを見越して預かり、また迷って女湯に行くと誰もおらず、自分はやはり長く湯に浸かりたいことを実感しながら急いで風呂に入った。湯船はのぼせるまで入るに限ると思いながら大したことない罪悪感を持ちつつチープだが落ち着く温泉を堪能した。なんだかんだ寝たのは日にちが変わる頃だった。
朝6時に目が覚めてなんだかんだオージャンビューだった部屋から太陽は見えなかったが白みがかった空と海を眺めて、風呂に入ろうかぼんやりしてた。窓一面の景色を見ていたら日が昇って、8時になっていた。私はどうせ浴場に誰もいないと思って剥がれ掛けたマニキュアを落としてしまおうと思って温泉に向かった。部屋を出ると同世代の男女が共有の洗面所で歯を磨いていて、目があった。女湯の引き戸を開くと正面に脱衣所が見えてしまうつくりだったため、私が勢い良く入ったせいで、先客の女性が小さく悲鳴をあげた。肌が白く背が高い痩せ型のメガネをかけた人で、浴衣一枚しか着てなかったの私は先に浴場に入った。その女性は浴場に来た後も私の目を気にしていて、私は堂々と前を流したすぐに湯船に浸かりながらお湯を入れた洗面器に手を浸しマニキュアを剥がしていたので、威圧しないように小さくなった。するとすぐに先ほど洗面所であったカップルの女の子が入ってきて、私は安心し海を眺めた。
前の日の夜から二人で分けた駅弁��か食べてなかったので、チェックアウトした後に歩く力が湧かなくて、どうしてそうなるまで何も食べなかったのか、坂を昇って駅に向かった。熱海から次の次の駅だったので飲食店も電車の数も少ない。私は基本的にイライラしたりすることはないのだが、お腹が空いた時は怒りっぽくなるので、電車が45分後まで来ないということはきつかった。待っている間にウノの緑の5が風に飛ばされ線路に刺さった。私は二日酔いの頭痛がし、生理前だったので子宮も痛み、履きなれない厚底で坂を歩き回ったので足もうっ血しそうになっていた。風は体力を奪い、どこでご飯を食べるべきかとか交通手段についての思考能力が無く、無事にそばを食べて怪しい少年少女博物館についたころにはヘトヘトだった。
怪しい少年少女博物館は全く人がおらず展示品のクオリティも最低だった。しかし空間の異常性が私を興奮させ、沢山笑った。出口を出て帰りの交通手段から逃避しタバコを吸っている間、展示品への感想ではなくこの施設が出来上がるまでの創設者のモチベーションについて精神分析をした。結局私たちは熱海に戻り買い食いをしてお土産を買って、早く帰ってしまおうという話になった。熱海温泉街では温泉饅頭を友達用と家族用に購入し、饅頭と練り物を揚げたおやきと呼ばれるものを食べ歩き、お土産屋を冷やかした。魚を食べれていない私たちは干物を買って帰る計画を立てていたが、どれが安くてうまいかが難しく悩んだ。私は沢山試食を食べた。帰路の記憶はほぼない。立川からバスに乗った。ディズニーランドに友達と行った帰りとか一人で遠出した帰りとかの、旅が終わり家まで歩く道で、疲労と安堵と終わってしまった悲しさで目頭が熱くなることがある。傷ついてるわけではなく、計画してきた希望が終わりこれ以降一人で生きていく事実を、意識しないところで感じて涙が出るのだ。いつも最初はなんで喉が痛くなって涙が湧いてくるのかわからないから、身体的疲労の影響で泣いてしまうなんて人間は弱いなと考える。それまで無言で歩いてたのに恋人が、厚底はなんだかんだ身長がちょうどよくなるから良いって言って、今回の旅行の全てが肯定的でしかなかったことに気づいて、バレないように涙ぐんでいるのがバカらしくなった。
恋人の家には何人か友達がゲームをしていて、疲れ切った私たちは無言を決め切ろうとしたけども私はどうしてもお土産の温泉饅頭をあげたくなって、あげた。
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