#蝶の羽の髪飾り
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siim-tv · 4 months ago
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【コスチューム】蝶の羽の髪飾り
目次 ▼【グラクロ】【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの基本情報 ▼【グラクロ】【コスチューム】蝶の羽の髪飾りのステータス ▼【グラクロ】【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの着用可能キャラ ▼【グラクロ】【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの評価 【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの基本情報 部位 ビューティー レアリティ UR 入手方法 神器ショップ 価格 セット¥1600 【コスチューム】蝶の羽の髪飾りのステータス HP+1410 回復率+3% 再生率+4% 【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの着用可能キャラ 【鮮血の戦乙女】シャルティア・ブラッド・フォールン 【コスチューム】蝶の羽の髪飾りの評価 HP面を強化できる ビューティーコスチュームが強化できるのは主にHP関連。HP、回復率、再生率の3つのステータスを強化できるので、耐久面を上げたい時はビューティーを強化しよう。 お得…
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kachoushi · 11 months ago
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各地句会報
花鳥誌 令和6年2月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年11月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
星の出るいつも見る山鳥渡る 世詩明 人の世や女に生まれて木の葉髪 同 九頭竜の風のひらめき秋桜 ただし 太陽をのせて冬木の眠りけり 同 生死また十一月の風の音 同 朝湯して菊の香に上ぐ正信偈 清女 懸崖の赤き菊花の流れ落つ 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
秋空の深き水色限りなし 喜代子 故里は豊作とやら草紅葉 由季子 菊花展我等夫婦は無口なり 同 しぐれ来る老舗ののれん擦り切れて 都 狛犬の阿吽語らず冬に入る 同 謎々のすつきり解けた小春の日 同 杣山の織火となりぬ紅葉山 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路 逝く秋をくづれゝば積み古書店主 順子 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 太き棘許してをりぬ秋薔薇 和子 弥陀仏の慈顔半眼草の花 昌文 綿虫のうすむらさきや九品仏 小鳥 参道で拾ふ木の実を投げ捨てる 久 綿虫は仏の日溜りにいつも 順子 香煙はとほく菩提樹の実は土に 小鳥
岡田順子選 特選句
腰かける丸太と秋を惜しみけり 光子 九品の印契結ぶや冬近し 眞理子 古に大根洗ひし九品仏 風頭 綿虫や浄土の風が抜けるとき はるか 奪衣婆の知る猿酒の在り処 光子 神無月ならば阿弥陀も金ぴかに 俊樹 蚤の市に売る秋風と鳥籠と 和子 下品仏とて金秋の色溢れ 俊樹 綿虫と彼女が指せばそれらしく 瑠璃 梵鐘のはらわたに闇暮の秋 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ありきたりの秋思の襞を畳みをり かおり 秋日入む落剝しるき四郎像 たかし 返り花ままよと棄つる文の束 美穂 凩や客のまばらな湖西線 久美子 凩のやうな漢とすれ違ふ 睦子 小鳥来る小さなことには目をつむり 光子 流れ星キトラの星は朽ちてゆき 修二 凩に雲や斜めにほどかれて かおり 人肌を知らぬ男のぬくめ酒 たかし 老人が老人負うて秋の暮 朝子 冬の日や吾が影長く汝に触れて 同 身に入むや妣の財布の一セント 久美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋思消ゆ「亀山蠟燭」点せば 悦子 この町へ一途に滾り冬夕焼 都 新蕎麦を打つ店主にも代替はり 佐代子 添ふ風に方位はあらず狂ひ花 悦子 HCU記号音満つ夜の長し 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
トランペット響く多摩川冬に入る 美枝子 竹林の風音乾き神の留守 秋尚 公園の隣りに棲みて落葉掃く 亜栄子 句碑の辺の風弄ぶ式部の実 同 新のりの茶漬に香る酒の締め 同 歩を伸ばす小春日和や夫の癒え 百合子 朔風や見下ろす街の鈍色に 秋尚 ぽつぽつと咲き茶の花の垣低き 同 リハビリの靴新調し落葉ふむ 多美女 濡れそぼつ桜落葉の華やぎぬ 文英 露凝りて句碑に雫の朝かな 幸風 大寺の庭きりもなや木の葉散る 美枝子 山寺の風の落葉を坐して聞き 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
風除の日だまりちよっと立ち話 和魚 風除の分厚き樹林影高き 秋尚 揚げと煮し切り干やさし里の味 あき子 薄日さす暗闇坂に帰り花 史空 渦状の切干甘き桜島 貴薫 切干や日の甘さ溜め縮みたる 三無 風除けをせねばと今日も一日過ぎ 怜 切干や少し甘めに味継がれ 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
確かむる一点一画秋灯下 昭子 幽玄な美女の小面紅葉映ゆ 時江 釣り糸の浮きは沈みし日向ぼこ 三四郎 六地蔵一体づつにある秋思 英美子 赤い靴なかに団栗二つ三つ 三四郎 着飾りて姉妹三人千歳飴 ただし 正装で背中に眠る七五三 みす枝 雪吊の神の恐れぬ高さまで 世詩明 七五三五人姉妹の薄化粧 ただし トランペット音を休めば息白し 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月14日 萩花鳥会
夜鴨鳴く門川住居六十年 祐子 捨てられて案山子初めて天を知る 健雄 ゴルフ玉直ぐも曲るも秋日向 俊文 山茶花や現役もまた楽しかり ゆかり 舟一艘ただぼんやりと霧の中 恒雄 献茶式津和野城下や朝時雨 美惠子
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令和5年11月14日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋の暮百均で買ふ髪飾 令子 虫食ひの跡そのままに紅葉かな 紀子 背の丸き鏡の我やうそ寒し 同 小春日や杖つく母を見んとする 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
小春日や日々好日と思ひたり 世詩明 禅林を通り来る風秋深し 啓子 何事も無き一日や神の旅 同 炉開きの一花一輪定位置に 泰俊 一本の池に煌めく櫨紅葉 同 三猿を掲ぐ日光冬日濃し 同 立冬こそ自己を晒せと橋の上 数幸 小六月笏谷石は饒舌に 同 如何にせん蟷螂は枯れ僧恙 雪 猫じやらしもて驚���してみたき人 同 一匹の枯蟷螂に法の庭 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
小鳥来る赤き実に又白き実に 雪 幽霊の出るトンネルを抜け花野 同 おばあちやん子で育ちしと生身魂 同 見に入みぬ八卦見くれし一瞥に やす香 時雨るるやのつぺらぼうの石仏 同 近松忌逝きし句友の幾人ぞ 同 季は移り美しき言葉白秋忌 一涓 菅公の一首の如く山紅葉 同 落葉踏み歩幅小さくなる二人 同 冬ざれや真紅の句帳持ちて立つ 昭子 今日の朝寒む寒む小僧来たりけり やすえ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月17日 さきたま花鳥句会
からつぽの空に熟柿は朱を灯し 月惑 白壁の色変へてゆく初時雨 八草 六切の白菜余すひとり鍋 裕章 一切の雲を掃き出し冬立ちぬ 紀花 小春日や草履寄せある躙口 孝江 柿を剥く母似の叔母のうしろ影 ふゆ子 いわし雲よせ来る波の鹿島灘 ふじ穂 鵙たける庵に細き煙たつ 康子 雲切れて稜線きりり冬日和 恵美子 水鳥の羽音に湖の明けにけり 良江
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令和5年11月18日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
紫のさしも衰へ実紫 雪 蟷螂の静かに枯るる法の庭 同 二人居て又一人言時雨の夜 清女 母と子の唄の聞こゆる柚子湯かな みす枝 還りゆく地をねんごろに冬耕す 真栄 帰省子を見送る兄は窓叩く 世詩明 人に無く芒にありし帰り花 同 香水の口よりとどめさす言葉 かづを 時雨をり故山の景を暗めつつ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
浮寝鳥日陰に夢の深からむ 久子 呪術にも使へさうなる冬木かな 久 無敵なる尻振り進む鴨の陣 軽象 冬日和弥生も今も児ら走る 同 冬蝶の古��植物へと消えぬ 慶月 谿の日を薄く集める花八手 斉 冬天へ白樫動かざる晴れ間 慶月 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 旋回す鳶の瞳に冬の海 久 冬の蜂おのが影這ふばかりなり 千種 水かげろうふ木陰に遊ぶ小春かな 斉
栗林圭魚選 特選句
竹藪の一画伐られ烏瓜 千種 遠富士をくっきり嵌めて冬の晴 秋尚 白樫の落葉急かせる風のこゑ 幸風 切り株に鋸の香遺る冬日和 久子 四阿にそそぐ光りや枯れ芙蓉 幸風 白樫の木洩れ日吸ひて石蕗咲けり 三無 小春の日熊鈴つけしリュック負ひ 同 青空へ枝先細き大枯木 秋尚 寒禽の忙しく鳴ける雑木林 貴薫 草の葉を休み休みの冬の蝶 秋尚 逞しく子等のサッカー石蕗咲けり 亜栄子 甘やかな香放ち桂紅葉散る 貴薫 あづまやの天井揺らぐ池の秋 れい
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年11月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
薄き日を余さず纏ふ花八手 昌文 耳たぶに冬の真珠のあたたかく 和子 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 雪吊をおくるみとして老松は 緋路 冬空を縫ふジェットコースターの弧 月惑 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 上手に嘘つかれてしまふ裘 政江 嘘つつむやうに小さく手に咳を 和子 手袋に言葉のかたち作りけり 順子
岡田順子選 特選句
池一枚裁ち切つてゆく鴨の水尾 緋路 黒松の肌の亀甲冬ざるる 要 自惚の冬の紅葉は水境へ 光子 玄冬の塒を巻きぬジェットコースター 同 光圀の松は過保護に菰巻きぬ 同 ペチカ燃ゆフランス人形ほほそめる て津子 雪吊を一の松より仕上げをり 佑天 不老水涸れをり茶屋に売る団子 要 遊園地もの食ふ匂ひある時雨 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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cosmicc-blues · 4 years ago
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MY映画ベスト100
カラー映画に対するモノクロ映画の圧倒的な優位性を鑑みて、まずモノクロから50作を選び、そのあとにカラーから50作を選んだ。基本的には順不同の立場をとりながら、想い入れの深いタイトルは何だかんだで上の方にきている。同監督作が並び過ぎてしまう都合上、同監督作からはモノクロ・カラーそれぞれ3作までとしている。
モノクロ
米『マルクス兄弟デパート騒動』 チャールズ・F・ライスナー
日『鴛鴦歌合戦』 マキノ雅弘
米『星を持つ男』 ジャック・ターナー
仏『奥様は魔女』 ルネ・クレール
米『周遊する蒸気船』 ジョン・フォード
日『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』 山中貞雄
日『晩春』 小津安二郎
仏『素晴らしき放浪者』 ジャン・ルノワール
米『踊らん哉』 マーク・サンドリッチ
独『街角 桃色の店』 エルンスト・ルビッチ
メ『皆殺しの天使』 ルイス・ブニュエル
日『簪』 清水宏
米『マルクス兄弟オペラは踊る』 サム・ウッド
米『気儘時代』 マーク・サンドリッチ
日『長野紳士録』 小津安二郎
仏『ル・ミリオン』 ルネ・クレール
米『タバコ・ロード』 ジョン・フォード
独『サンライズ』 F・W・ムルナウ
米『空中レヴュー時代』 ソーントン・フリーランド
日『弥次喜多道中』 斎藤寅次郎
仏『犯人は21番街に住む』 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
日『有りがたうさん』 清水宏
日『けんかえれじい』 鈴木清順
米『有名になる方法教えます』 ジョージ・キューカー
独『ニノチカ』 エルンスト・ルビッチ
米『マルクスの二挺拳銃』 エドワード・バゼル
日『麦秋』 小津安二郎
米『幌馬車』 ジョン・フォード
米『ロバータ』 ウィリアム・A・サイター
米『マルクス兄弟珍サーカス』 エドワード・バゼル
独『生活の設計』 エルンスト・ルビッチ
ス『ゲスト』 ホセ・ルイス・ゲリン
米『フィラデルフィア物語』 ジョージ・キューカー
米『春の珍事』 ロイド・ベーコン
米『危険な場所で』 ニコラス・レイ
露『戦争のない20日間』 アクセレイ・ゲルマン
仏『情婦マノン』 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
仏『どん底』 ジャン・ルノワール
オ『緋色の街』 フリッツ・ラング
米『結婚五年目』 プレストン・スタージェス
デ『ゲアトルーズ』 カール・テオドア・ドライヤー
米『ロイド・ベーコン』 泣き笑いアンパイア
米『街の灯』 チャールズ・チャップリン
米『赤ちゃん教育』 ハワード・ホークス
米『ラスティ・メン / 死のロデオ』 ニコラス・レイ
米『オクラホマ・キッド』 ロイド・ベーコン
米『テキサス』 ジョージ・マーシャル
伊『神の道化師 フランチェスコ』 ロベルト・ロッセリーニ
米『レッドボール作戦』 バッド・ベティカー
仏『幸福の設計』 ジャック・ベッケル
独・仏『忘れじの面影』 マックス・オフュルス
米『有頂天時代』 ジョージ・スティーブンス
オ『窓飾の女』 フリッツ・ラング
仏『巴里祭』 ルネ・クレール
仏『ランジュ氏の犯罪』 ジャン・ルノワール
米『キャット・ピープル』 ジャック・ターナー
日『風の中の子供』 清水宏
米『カブスのエースは言い訳好き』 レイ・エンラント
米『レディ・イブ』 プレストン・スタージェス
グ『歌うつぐみがおりました』 オタール・イオセリアーニ
米『西部を駆ける恋』 ウィリアム・A・サイター
米『牧場の花嫁』 ジョージ・マーシャル
米『愛の弾丸』 ジョージ・スティーブンス
米『アリゾナのバロン』 サミ��エル・フラー
米『狩人の夜』 チャールズ・ロートン
独『らせん階段』 ロバート・シオドマク
日『河内山宗俊』 山中貞雄
仏『アタラント号』 ジャン・ヴィゴ
米『モンキー・ビジネス』 ハワード・ホークス
フィ『カラマリ・ユニオン』 アキ・カウリスマキ
仏・独『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』 ストローブ=ユイレ
米『タイムリミット25時』 ハロルド・クルアーマン
米『サリヴァンの旅』 プレストン・スタージェス
伊『ベリッシマ』 ルキノ・ヴィスコンティ
米『孤独な場所で』 ニコラス・レイ
 国別ではアメリカがぶっちぎり。フランス・日本・ドイツがその後を追う。
アメリカ 37
フランス 12
日本 11
ドイツ 7
イタリア 2
メキシコ 1
ロシア 1
スペイン 1
フィンランド 1
 明確に間引いた監督は以下6名、三作に収めるのは辛かった。その他、J・ターナーやJ・マーシャルやJ・スティーブンスやJ・キューカーにもまだ挙げたい作品があったように思う。
小津安二郎
マーク・サンドリッチ
ルネ・クレール
ジョン・フォード
エルンスト・ルビッチ
ジャン・ルノワール
ロイド・ベーコン
 役者別では、アステア&ロジャースと笠智衆が競り、コンビ作以外にも主演のあったロジャースが競り勝った。複数の監督作にまたがって出演している人のみをカウントしたため、杉村春子・三宅邦子の2出演とエドワード・G・ロビンソンの2出演は除いている。
ジンジャー・ロジャース 6
フレッド・アステア 5
笠智衆 5
マルクス兄弟 4
原節子 3
ジョエル・マクリー 3
バーバラ・スタンウィック 2
キャサリン・ヘップバーン 2
ミシェル・シモン 2
   カラー
台『クーリンチェ少年殺人事件』 エドワード・ヤン
ス『シルヴィアのいる街で』 ホセ・ルイス・ゲリン
無『コッポラの胡蝶の夢』 フランシス・フォード・コッポラ
日『東京上空いらっしゃいませ』 相米慎二
中『ヒーロー・ネバー・ダイ』 ジョニー・トー
仏『恋の秋』 エリック・ロメール
中『俠女』 キン・フー
日『紅の豚』 宮崎駿
米『ドノバン珊瑚礁』 ジョン・フォード
日『秋刀魚の味』 小津安二郎
米『グラン・トリノ』 クリント・イーストウッド
伊『夕陽のギャングたち』 セルジオ・レオーネ
リ『ライフ・オブ・ウォーホル』 ジョナス・メカス
ス『マルメロの陽光』 ヴィクトル・エリセ
日『ツィゴイネルワイゼン』 鈴木清順
日『あの夏、いちばん静かな海。』 北野武
米『ビッグフィッシュ』 ティム・バートン
米『トップガン』 トニー・スコット
米『天使にラブソングを2』 ビル・デューク
日『鉄塔 武蔵野線』 ���尾直樹
米『フィールド・オブ・ドリームス』 フィル・アルデン・ロビンソン
日『勝手にしやがれ!!黄金計画』 黒沢清
米『ナイト&デイ』 ジェームズ・マンゴールド
米『ゴースト・オブ・マーズ』 ジョン・カーペンター
イ『友だちのうちはどこ?』 アッバス・キアロスタミ
仏『フレンチカンカン』 ジャン・ルノワール
日『浮草』 小津安二郎
伊『ニュー・シネマ・パラダイス』 ジュゼッペ・トルナトーレ
米『ピーウィーの大冒険』 ティム・バートン
米『ダージリン急行』 ウェス・アンダーソン
日『ソナチネ』 北野武
ベ『夏至』 トライ・アン・ユン
伊『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 セルジオ・レオーネ
米『運び屋』 クリント・イーストウッド
日『アカルイミライ』 黒沢清
中『ターンレフト ターンライト』 ジョニー・トー
日『ルパン三世 カリオストロの城』 宮崎駿
日『青空娘』 増村保造
ポ『溶岩の家』 ペドロ・コスタ
台『ヤンヤン 夏の思い出』 エドワード・ヤン
日『夏の庭』 相米慎二
日『菊次郎の夏』 北野武
米『フェイク』 オーソン・ウェルズ
仏『緑の光線』 エリック・ロメール
韓『美術館の隣の動物園』 イ・ジョンヒャン
米『大砂塵』 ニコラス・レイ
米『断絶』 モンテ・ヘルマン
日『接吻』 万田邦敏
米『不滅の物語』 オーソン・ウェルズ
日『魚影の群れ』 相米慎二
仏『レネットとミラベル / 四つの冒険』 エリック・ロメール
日『さゞなみ』 長尾直樹
日『大地の子守歌』 増村保造
中『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』 ジョニー・トー
日『イヌミチ』 万田邦敏
米『エスケープ・フロム・LA』 ジョン・カーペンター
米『ザ・マミー / 呪われた砂漠の女王』 アレックス・カーツマン
米『コンタクト』 ロバート・ゼメキス
米『プリティ・リーグ』 ペニー・マーシャル
日『三鳥羽三代記』 番匠義彰
日『夢ニ』 鈴木清順
日『コックファイター』 モンテ・ヘルマン
日『地獄の警備員』 黒沢清
日『怪異談 生きてゐる小平次』 中川信夫
日『危険旅行』 中村登
中『長江哀歌』 ジャ・ジャンクー
露『不思議惑星キン・ザ・ザ』 オルギー・ダネリア
ポ『コロンブス 永遠の海』 マノエル・ド・オリヴェイラ
ス『影の列車』 ホセ・ルイス・ゲリン
台『冬冬の夏休み』 ホウ・シャオシェン
中『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』 チン・シウトン
米『パーフェクト・ワールド』 クリント・イーストウッド
米『コラテラル』 マイケル・マン
米『アンストッパブル』 トニー・スコット
米『サミュエル・フラー』 最前線物語
米『戦火の馬』 スティーブン・スピルバーグ
ギ『蜂の旅人』 テオ・アンゲロプロス
韓『グエムル 漢江の怪物』 ボン・ジュノ
米『アンブレイカブル』 M・ナイト・シャ���ラン 
米『ターミナル』 スティーブン・スピルバーグ
米『タロットカード殺人事件』 ウディ・アレン
米『スーパーエイト』 J・J・エイブラムス
米『オブリビオン』 ジョセフ・コシンスキー
南ア『チャッピー』 ニール・ブロムカンプ
米『クラウド・アトラス』 ウォシャウスキー姉妹
仏『ラルジャン』 ロベール・ブレッソン
米『ロン・ハワード』 ウィロー
米『キャリー』 ブライアン・デ・パルマ
米『アニー』 ジョン・ヒューストン
米『フック』 スティーブン・スピルバーグ
日『あん』 河瀬直美
日『犬猫』 井口奈己
日『鏡の女たち』 吉田喜重
台『珈琲時光』 ホウ・シャオシェン
米『緑色の髪の少年』 ジョセフ・ロージー
ス『ミツバチのささやき』 ヴィクトル・エリセ
米『デジャヴ』 トニー・スコット
  アメリカの独走は相変わらずだが、第三勢力の台頭により、占めるパーセンテージが下がっている。第二勢力だったフランス・日本・ドイツのうち、フランスとドイツの本数が激減。ドイツについてはダグラス・サークを温めている。機会がきたら観たい。フランスの半減は、いわゆるヌーベルヴァーグの作品がことごとく外れてしまったからだと思われる。エリック・ロメールが孤軍奮闘。第三勢力では、とくにアジアの台頭が目覚ましい。
アメリカ 38
日本 28
フランス 5
中国 6
台湾 4
イタリア 3
スペイン 4
韓国 2
ロシア 1
ギリシャ 1
ポルトガル 2
イラン 1
ベトナム 1
リトアニア 1
南アフリカ共和国 1
無国籍 1
 明確に間引いた監督は以下8名。小津安二郎、ジョン・フォード、ジャン・ルノワール、ニコラス・レイ、ホセ・ルイス・ゲリン、ルキノ・ヴィスコンティ、サミュエル・フラーの7名がモノクロ・カラーの両者でランクイン。
クリント・イーストウッド
北野武
黒沢清
エリック・ロメール
相米慎二
ジョニー・トー
トニー・スコット
スティーブン・スピルバーグ
 国が分散したせいか、役者はあまり揃わず。ダブル・トムが奮闘。
トム・クルーズ 5
トム・ハンクス 3
 まだまだ全然観られていないなあ、と思い知らされる。とくに50年代半ば~70年代くらいの日本映画がこぞって欠落しているような気がする。それから女性監督作のあまりの少なさに面食らった。ウォシャウスキー姉妹・河瀬直美・井口奈己はそのことに思い至ってあとから付け加えた。
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caramelcubechocolat · 3 years ago
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☆11月25日 新規出店B-32[muni 猫柳]様のご紹介☆
こんにちは!キャラメルキューブショコラです(´▽`*)
オリジナルの魔法のアイテムのような雑貨やアクセサリーを創作されております、
B-32[muni 猫柳]様 が新たにご出店致しました!
ケース内はコチラ↓
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twitter:@muniNekoyanagi
Instagram:@muni_nekoyanagi
入れて頂きました作品のご紹介です☆彡
夜光蝶の髪飾り
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フェアリーダストのペンダント
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妖精羽のピアス
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妖精羽のブローチ
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ファンタジー世界に出てくるような、素敵なピアスやブローチの作品を入れて頂きました(´▽`*)是非、ご覧下さいませ☆彡
以上、休みに大掃除中のスタッフOがお送りしました(ΦωΦ)
☆姉妹店割引チケットサービス☆
キャラメルキューブで3点以上のお買い上げでショコラの ショコラで3点以上お買い上げでキャラメルキューブの
8%OFFチケットを毎回プレゼント!
両店舗を回るのがますます楽しくなっちゃう大変お得なサービスですっ(σωσ)☆
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cospya · 4 years ago
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大好評‼『五等分の花嫁』制服追加制作中!
【再制作情報】 大好評『五等分の花嫁』制服追加制作中! 中野二乃はぱっつんの前髪とロングヘアーの髪型で、五つ子の中で一番の長髪だったが、途中で髪を切る。 黒い蝶の髪飾りを左右に着けたツーサイドアップが特徴。 制服を着ているときは黒い上着(アニメでは紫に近い配色になっている)を羽織っており、私服はおしゃれに気を使っていて女子力が高い。 どんな時でも胸を強調する服を着ている。 視力が悪くコンタクトレンズを使用している。 靴下はニーハイソックスを履いている。 
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是非ゲットしちゃってください。 詳細はこちら→http://www.cospya.com/jp-cosplay-24784
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alpaca1 · 4 years ago
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鬼滅の刃がiCTACとコラボ! 人気キャラモチーフの7種の腕時計
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鬼滅の刃 TiCTAC コラボレーションデザインウォッチ
 鬼滅の刃 TiCTAC コラボレーションデザインウォッチは、鬼滅の刃に登場する竈門炭治郎、竈門禰豆子、我妻善逸、嘴平伊之助、冨岡義勇、煉獄杏寿郎、胡蝶しのぶをモチーフにした、全7モデルを用意しており、それぞれのキャラクターのカラーやモチーフをデザインに落とし込み、鬼滅の刃の世界観を表現した。
 「竈門炭治郎モデル」は、緑と黒の市松模様が特徴的な羽織や、耳飾り、日輪刀の鍔を随所に反��したデザインで、センター針は日輪刀を模している。
 「竈門禰豆子モデル」は、着物の麻の葉模様を彫り加工で盤面に施し、帯の市松模様を中央に取り入れたデザインで、竹をイメージした黄緑色をアクセントにした。
 「我妻善逸モデル」は、センター針が日輪刀を模しており、羽織と髪色の黄と橙のグラデーションを施し、三角模様を散りばめている。
 「嘴平伊之助モデル」…
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nemurumade · 7 years ago
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永い夜の瀬でぼくらは、
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 熱い湯が素肌を叩いて、眠気を醒ましていく。ハンドルを回してシャワーを止め、濡れた髪を無造作に掻き上げた。  浴室を出て、バスタオルで肌についた水滴を拭い、ドライヤーで髪を乾かし、質のいいワックスを使ってセットする。下着を重ね、クリーニングに出したばかりの白いニットに袖を通し、��のジーンズを合わせた。  動くたび、鈍い痛みが微かに腰に走る。しばらく会えないからと言っても、これから長旅に出るというのに、あの男は容赦ない。  二年ほど暮らした、都心にそびえ立つマンションの高層階の一室も今日で見納めだ。泉の荷物はすでに向こうのホテルに送ったため、この部屋には手荷物以外、何も残っていない。カーテンから外を覗くと、十二月の空は分厚い雲で覆われ、昼頃になっても気温はさほど上がらないだろうと思われた。ジャケットを羽織る方がいいか、と考えながら、短針が八を指す腕時計を左手首につけた。 「……泉、」 不意に名前を呼ばれて、振り返る。目をこすりながら起き上がった男は、眠たげな声で尋ねる。 「もう出るの?」 「うん、」 「来て」 泉がベッドの側へ行くと、手を引かれ、キスをされた。 「たった二ヶ月離れるだけなのに、恋人の関係を終わらせるの?」 悲しみを宿した瞳を向けられ、泉は罪悪感を噛み締めながら、彼の寝癖を手櫛で直してやる。 「俺の気持ちは変わらないよ」 「……僕も、離れても泉を愛する気持ちは変わらない」 泉は彼の手を離した。彼は繋ぎ止めようとはしなかった。 「そういう優しいこと言ってくれる人ほど、離れていくんだよねぇ」  だから、ごめん。今までありがとう。そう続ければ、彼は諦めたように笑った。  手荷物だけを持って、泉は寝室を出る。その直前、彼が声を掛けた。 「泉、向こうでも元気で」  泉は微笑みを浮かべただけで何も言わずに、静かにドアを閉めた。  ロビーを出れば、真冬の朝の冷たい空気が頬を撫でる。  呼んでいたタクシーは路肩に停まって乗客を待っていた。後部座席に乗り込み、運転手に行き先を告げた。 「成田空港まで」
 正午頃のフライトまでに時間があったため、泉はラウンジでカクテルを頼んだ。長いフライト中に睡眠を取るためだ。適度に酔っておけば眠れなくなる心配はない。  ちまちまとそれを飲んでいると、スマートフォンに着信があった。  朔間凜月、の名前に驚きながらその��話に出る。 「もしもし、」 「これからロンドン行きって言うのに、辛気臭い声だなぁ」 クスクスと笑う声に、泉は溜息を吐いた。 「くまくんが早起きなんてするから、こんなに天気悪いんじゃない?」 「嫌味は健在で安心安心」 「ぶっ飛ばすよぉ?」  そう言いながらも、昨日、気をつけてね、なんて言いながら泉愛用のパックを一ダースもくれたので可愛くないことはない。凜月はそういう男だ。 「で、なんでわざわざ電話なんて掛けてきたわけぇ?」 「昨日はナッちゃんもス〜ちゃんもいたから訊き損ねたから。ちゃんと振ったの?」 あいつのこと、と問われて、 「振ったよ」 とキッパリと返事をした。少しの沈黙の後、嘘じゃなさそうだねぇ、と間延びした声が返ってきた。 「俺にとってはやっとか、って感じだけどね。別れて正解だよ、あんな男」  凜月は、交際当初から泉の恋人————つい先ほど別れたが————二つ年上のカメラマンの男を嫌っていた。一度ふたりがエンカウントしたとき、凜月は目も合わせなかった。普段、自分とはそれほど関わりのない人物を嫌わない凜月にとって珍しいことだった。  泉はグラスを揺らした。オレンジテイストのカクテルが小さな波を立てる。 「……それを確かめるためにわざわざ?」 「そうだったら悪い?」 「なんでそこまで……」 「前に言ったでしょ、『王さま』が可哀想だからだよ」 その言葉に、カクテルを一口飲む。仄かな苦味が喉を焼く。 「……その呼び方よしなよ」 「じゃあ、『れおくん』」 押し黙った泉に、凜月が溜息を吐くのが聞こえた。 「ほら、こっちでも嫌がるじゃん」 「うるさいなぁ」 不機嫌を露わにしながら、泉は足を組み直す。 「……あいつの話ももうよしてよ、何年前のことだと思ってんの」 「二年前」 と正確な数字を出してくる男に舌打ちをすれば、 「怒んないでよセッちゃん」 悪気のなさそうな声がして、少し間が空いた。 「……それだけだから。じゃ、気をつけてねぇ」 泉は、うん、と小さな声で返事をした。 「お土産よろしく〜」 そう言葉を残して、凜月は電話を切った。スマートフォンを耳元から離し、ポケットに入れ、カクテルを一気に飲み干す。苦味が喉を通り、真っ逆さまに、胃に落ちていく感覚がした。  搭乗案内のアナウンスが響く。泉は席を立ち、搭乗口へ向かった。
 瀬名泉は、夢ノ咲学院を卒業後、進学をせずにモデルの道を選んだ。ありがたいことに、卒業前から大手芸能事務所から声が掛かり、所属先には困らなかった。キッズモデル時代、学生時代の知名度もあり、期待の新人モデルとして優遇されることが多���った。  現に、世界的に有名なイギリスのブランドの広告塔に選ばれた。日本人初の快挙に、日本のファッション界隈はその話題で持ちきりだ。泉は、これから約二ヶ月間、撮影やショーへの出演のためにイギリスのロンドンで生活し始める。  それをきっかけに、約二年間付き合った男に別れを告げた。  カメラマンの彼は、紳士的で、穏やかで、素の泉を理解してくれる数少ない人物のひとりだった。その上、カメラマンとしての腕も良く、国内の賞を総ナメにしていた。だから、付き合ってほしい、と言われても嫌な気はしなかった。いいよ、という一つ返事でふたりは後藤が元々住んでいたマンションの一室で生活を始めた。  彼のなにが嫌で別れたのではない。ただ、自分はこの男を愛しているのだろうか、と自問しても、答えは出てこなかった。  ————泉、愛してる。 彼の腕に抱かれながら、そう囁かれても、泉はいつもなにも言えなかった。  ありがとう、とか、俺もだよ、とでも言えばいいのに、その言葉たちはいつも浮かんでは消え、声ではなく吐息となった。  優しくて、穏やかで、料理もキスもセックスも上手いのに、泉は、最後まで、彼を愛せなかったのだ。
2
 着陸を知らせるアナウンスの声で、浅い眠りから目が覚めた。分厚い窓の外を見れば、夕方の空とコンクリートの地面を、滑走路の端が隔てていた。  飛行機はゆっくりと着陸し、人々は荷物を持って立ち上がる。彼らに続いて、泉も飛行機を降りた。  広いロビーには多くの人がいた。出発を待つ人、誰かを迎えに来た人、荷物を取りに行く人。みな足早にロビーを歩いていく。  泉は入国審査を待っている間に、すでに数日前に入国していたマネージャーに連絡をしておいたため、すぐに落ち合えた。 「泉、お疲れさま」 泉のマネージャーは、四十歳手前の女性だ。テキパキと仕事を捌き、ハキハキとした物言いで泉との相性は良い。 「お疲れさまです」 「タクシーでホテルに向かうけど、何か食べる?」 「いや、まだ大丈夫」 そう、と彼女は返事をして、タクシー呼んであるから、と泉のスーツケースを引いて歩き始める。彼女は結婚して十年の、テレビ局のプロデューサーの夫がいるが、子供はいない。だからなのか、彼女は泉を自分の息子のように接するし、泉はそれが嫌だというわけではなく、むしろ心地良かった。  タクシーの後部座席に乗り込むと、マネージャーは流暢な英語で目的地を告げた。
 ホテルには一泊し、その次の朝には、これから暮らすスタジオフラット、いわゆるワンルームマンションに移動した。中心地近くに建つ赤茶色の壁のフラットに、泉とマネージャーは一部屋ずつそれぞれ借りた。撮影からコレクションを二ヶ月かけて全てロンドンで行われるため、ホテルに長期宿泊するよ��も賃貸の方が安上がりだという理由からだ。 「ブランド側との顔合わせは明後日だから、それまでに時差にも慣れてね。八時頃、一緒に夕食でもどう? 近くに美味しい店を見つけたのよ」 「うん、行く」 マネージャーに言われて、高校時代の頃と食生活は少し変化した。サプリメントに頼ることもほとんどなく、バランスの良い食事を三食しっかり摂ることを徹底している。  彼女は、泉より一つ上の階に上っていった。その後ろ姿を見送って、泉は受け取った鍵で自室の玄関扉を開けた。  小ぢんまりとした部屋だったが、家具は全て揃っている。ベッドの側のドアの先は、床が青いタイル張りになっているトイレとシャワールームだった。  悪くない、と思いながら窓を開けた。夜の冷たい空気が部屋に入り込む。  それから絨毯の上でスーツケースを開け広げる。その他の生活用品はこっちで買えばいいと考えていたため、中身は洋服ばかりだ。それらを備え付けのクローゼットに移し、同じく備え付けの電化製品たちがちゃんと動くか確認した。テレビでは夕方のニュースが流れていた。  近所を散歩でもしようとまた外に出る。聞いていた通り、ロンドンの気温は低い。日本の十二月は、これほど寒くないはずだ。  若いカップルが寒さに肩を寄せ合いながら、泉の横を通り過ぎた、そのときだった。  泉より少し先を歩く、その背中。  車のタイヤがコンクリートの地面と擦れ合う音も、ざわめきとなった人々の話し声も足音も、膜をかけたかのようにくぐもって聞こえた。  ハーフアップにまとめられたあの長い赤毛、立てたコートの襟、軽快な歩き方とその歩幅と足音、すべてが、懐かしく感じた。  気づいたときには走り出してその背中を追いかけていた。 「待って!」 ぐい、と腕を引いて、振り向かせる。ゆらり、とエメラルドの中の光が揺らいだ。  目の色形も、手の大きさも、高く小さな鼻も、間違いなかった。この目の前にいる男は———……。 「……れおく、」 「Who are you?(おまえ、誰だ?)」 その声もレオのものにそっくりで唖然とした。だから、その喉から発されたのが流暢な英語だと気づくのに数秒かかった。  ————れおくんじゃ、ない。  そう理解して、慌ててその手を離して謝った。 「Oh,I’m sorry. I thought you were someone else.(ごめんなさい、人違いをしました)」  彼は驚いたように目を見開いてから、ゆっくりと微笑みを浮かべた。 「……英語も話せるのか。さすが日本が生み出したモデル界の新星、イズミ・セナ、だな」 日本語でそう、はっきりと自分の名前を発音され、泉は目を丸くして彼を見つめた。 「……俺を知ってるの、」 「知ってるよ、ファッション業界は君の話題で持ちきりさ。こっち��ブランドの広告塔をするって噂には聞いてたからなぁ。まさか本物に会えるなんて嬉しいよ」 レオの声なのに、話し方は似ても似つかない。大きな違和感を咀嚼しながら、差し出された手を握り返した。 「おれはレナード。日系のイギリス人だよ。これも何かの縁だ、どうぞよろしく」 「よろしく……」 彼は屈託のない笑顔を泉に向けた。 「そんなに似てたの?」 黙って頷けば、彼は緑色の瞳を細めた。  途端、息苦しくなって目の前が真っ暗になった。  ぐらり、と傾いた身体を彼が支える。  セナ、と呼ばれた気さえして、泉は参ったなぁ、と思いながら、瞼を閉じた。
 次に目が覚めた時には、泉は見知らぬ部屋の天井を見つめていた。身体は痛まない、背中越しに感じる柔らかな感触に、自分がベッドの上に横たわっているのだと理解する。 「……気がついた?」 そう声がして、泉は上半身を起こした。そこにはマグカップを二つ持ったレナードがいた。そのうちの一つを泉に差し出す。 「ホットミルクだ、飲めるか?」 「ありがとう……」 微かな甘みが乾いた口の中に広がり、泉の意識を鮮明にさせる。レナードは、ベッドサイドの小さなテーブルに自分のマグカップを置き、ベッドの端に腰掛けた。 「急に倒れたから驚いたよ」 「ここは……?」 「俺のバイト先の休憩所。仮眠を取るためにベッドが備え付けられてるんだ」 「あんたが運んでくれたの、」 「うん」  泉も、彼に倣ってマグカップを置いた。  「ごめん、なさい。迷惑かけて、」 「謝ることない。寝不足か、貧血だろ。飛行機で眠れなかったのか?」 「まぁ、うん……」 いつもなら熟睡できるのに、今日は違った。意識はいつまでも泉のそばにいて、機内のざわめきや外から聞こえる微かなエンジンの音に鼓膜と神経が震えて眠りに身を委ねることが上手くできなかった。  ふと、窓の外に目を向けて、夕食の約束を思い出した。 「ねぇ、今、何時か分かる?」 「今? 六時半過ぎだけど」 その答えに、ほっと息を吐く。一度自分の家に戻ることはできそうだ。が、しかし、 「まさか、俺、一時間もここにいたってこと……?」 「まぁ、そうだな」 さらっと答えた彼に、泉はさらに罪悪感を覚えた。 「本当にごめん。いろいろとありがとう。またお礼をさせて」 と言いながら、泉は立ち上がる。 「もう行くのか?」 「うん」 と頷くと、彼は一度部屋を出て、泉の着ていたジャケットを手渡してくれた。それに袖を通す泉の横で、彼も上着を羽織り、鍵を尻ポケットに入れていた。 「ちなみにどこまで? 案内するよ」 「そこまでしなくても……!」 「おまえ、道分かんないだろ」 気絶してる間に運ばれてきたのだ。ここがどこだか、泉はもちろん知らない。 「……ごめん、ありがとう」 そう言えば、彼は、「いーえ」と無邪気にはにかんだ。それは、少しばかり彼を幼く見せた。  出会ったばかりの素性も知らない男に助けられ、その男��ふたりきりの部屋で一時間も死んだよ��に眠り、そのうえ道案内までしてもらうなど、我ながらどうかと思った。  しかし、彼があまりにも昔の恋人に似ていたから、悪い人じゃない、と思ってしまったのだ。  泉は彼の半歩後ろをついて歩いた。狭い階段を降りると勝手口があり、人気の多くない路地に出た。そのドアの鍵を掛ける彼の背中に話しかける。 「レナードさんは、」 と言いかければ、 「レナードでいいよ」 と口を挟まれ、レナードは、と言い直す。 「仕事はなにしてるの、」 「アルバイトだよ、今はこのバーで働いてる」 「なら、どうして俺を知ってるの。自分で言うのもなんだけど、俺はファッション業界では話題に上がるだろうけど、ロンドンにいる一般人で俺を知ってる人はまだ少ないでしょ」  仕事を終えた鍵を再びポケットにしまい、今度は胸ポケットから煙草とライターを取り出した。吸っても?と尋ねるように片眉を上げた彼に、どうぞ、とだけ返事をする。彼は煙草の先に火を点けながら、にやりと笑った。 「いいね、『まだ少ない』ってところにおまえの自信が見える」  答えを急かすように泉が肩を竦めれば、レナードは細い路地を出た。夜の街はどこの国も賑やかだ。ほろ酔い気味の男女が楽しそうに笑いながら、ふたりの横を通り過ぎていった。 「この町はブティックが多いから、おれが働いてるバーも、デザイナーやモデルたちの御用達なんだ。プライベートな話はもちろん、仕事の話も嫌でも聞こえてくるってわけ」 「へぇ……」 「また飲みに来いよ。安くしてやるから」 「ありがと」 「あ、でも気をつけた方がいい」  急に声色を変えた彼の目線を辿ると、体格のいい男ふたりが、手を繋いで、またちがうバーに入るところだった。 「おれの働いてるところも、いわゆるゲイバーってやつだから。まぁ、ストレートも大歓迎なんだけど」 レナードは泉の方を見て悪戯っぽく笑った。 「おまえは綺麗だからさ。狙われやすいよ」 「……レナードもその気があるの?」 率直に尋ねれば、レナードは、 「俺はバイだよ」 とウインクした。  夕方、泉が倒れた場所で別れた。レナードは、自分の働くバーのカードを手渡した。泉がそれを受け取ると、 「Good night,sweet dream!(おやすみ、いい夢を!)」 と手を振って、電飾が輝く繁華街の方へ歩いていった。長い赤毛が靡くのを見て、泉は彼と逆方向へ歩き出す。  カードには店の名前と住所が記されていた。その下には「Homosexuals and heterosexuals are also welcome!(同性愛者も異性愛者も大歓迎!)」と綴られており、レナードの言葉は本当だったのだと知る。  このカードを見たら、マネージャーはまた呆れるに違いない。彼女には一度、男とキスしているところを目撃されたことがあるのだ。
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 夢を見た。  雪に包まれた、白銀の世界だった。  広いグラウンドに積もった雪の上で、彼は笑っていた。  セナ、と呼ぶその男に、泉は手編みのマフラーを巻いてやる。赤い毛糸で編んだそれに、彼は嬉しそうに顔を埋めた。  ————おれはね、セナがだぁ〜いすき!  ————おまえが一緒にいるなら、おれは幸せだから。  ————あいしてるよ、セナ!  無邪気な笑顔と、まっすぐな言葉が遠のいていく。  いつのまにか、粉雪は、身体を叩きつける吹雪になっていた。  ————もう、終わりにしよう。  赤いマフラーが風に吹かれて、彼の首から離れていく。  音にならない声で、彼の名前を呼んだ。  マフラーが、彼の姿が、雪にまみれて、消えていった。
 「Nice to meet to you,Mr.Sena.(はじめまして、瀬名くん)」 打ち合わせの場所であるロンドン市内のスタジオで待っていたのは、ブランドのプロデューサーとスタッフたちだった。 「Nice to meet to you,too.(はじめまして)」 握手をしながら、プロデューサーの男性は泉の顔をじっと見つめた。 「You’ve got beautiful eyes.(とっても綺麗な瞳をしているね)」 「Thank you.(ありがとうございます)」 彼は人好きの良い笑みを浮かべ、泉とマネージャーに席に座るように促した。  テーブルの上に広がった書類、椅子の後ろに並べられた真新しい服たち、誰かの香水の匂い。  通訳を交えながら、泉とブランドスタッフは話し合いを進めた。撮影のこと、コレクションのこと。すべてが新鮮で、泉の胸は高鳴った。  打ち合わせの最後に、プロデューサーは嫌味のないウインクをしてみせた。 「I’m counting on you,Izumi.(期待してるよ、泉)」 その言葉に、泉は頷いた。 「I’ll do my best.(頑張ります)」
 打ち合わせが終わった後、スマートフォンを確認すると、レナードからのメッセージが入っていた。 『一緒にディナーでもどう?』 その誘いに嫌な気はしなかった。先日のお礼もしたいし、と思いながら、 『七時以降なら』 と返信した。するとすぐに既読の文字がついて、 『終わったらおれの店に来て』 と新しいメッセージがその下に浮かんだ。  ねぇ、という泉の声に振り返ったマネージャーに尋ねる。 「この後は仕事入ってないよね」 「ええ」 彼女は泉の手の中のスマートフォンを見て、驚いたように瞬きした。 「もう知り合いができたの?」 「まあね」 「スキャンダルはやめてちょうだいよ」 念を押されてしまった泉は苦笑いしながら、 『分かった』 とだけ打ち込み、送信した。
 街はクリスマスソングに溢れ、電飾が輝いていた。  ソーホー地区では、同性カップルたちが楽しげに腕を組みながら、店に入っていく。  その後ろ姿を見送って、泉はマフラーに顔を埋めながら、足早に歩いた。  スマートフォンのマップに頼りながら、レナードが働く店に辿り着く。店の灯りは点いていない。そのうえ、店のドアには『CLOSED』のプレートが掛かっていた。  レナードはまだ来ていないのだろうか、と思いながらドアと睨めっこする。泉の後ろを、カップルたちが笑いながら通り過ぎていった。  それと同時に、バーとその隣の店の間の路地からの入り口から、レナードがひょっこりと顔を出した。 「Good evening,Izumi.」 彼の笑顔に、泉は肩の力を抜いた。 「店長が風邪ひいて臨時休���なんだ。裏から入って」  レナードについて、裏口から店の中に入る。  スタイリッシュな店内は、他のバーとはなんら変わらなかった。レナードに促されて、泉はカウンター席に腰掛ける。 「なにが食べたい?」 そう問いながら、レナードはエプロンの紐を腰の位置で蝶々結びにし、髪をポニーテールに結った。 「お任せする」 そう言えば、彼は少し困ったように眉を下げて笑った。 「お任せか〜」  彼は奥の厨房に入っていった。  店の中は見た目の割に広く感じた。テーブル席もあり、その奥には小さなステージがあった。ここで酔った客たちが歌うのだろう、と思った。 「今日は仕事だったのか?」 と厨房からレナードが尋ねた。 「そう」 と少し大きめの声で返事をする。ジュー、となにかを焼いているような香ばしい音がした。 「ロンドンコレクションに出るのか?」 「まあね」 「さすがだなぁ」 彼の感心したような声に、泉は少し誇らしく思った。  世界四大コレクションの一つであるロンドンコレクションは、一ヶ月後に行われる。それに泉は出演する予定になっているのだ。泉にとって、今までで一番の大仕事だ。ここで結果を残せば、瀬名泉という名は世界に知られることになる。  しばらくして、レナードが完成した料理とともに厨房から出てきた。  ミートパイとチップス、トマトサラダのセットだった。 「ワイン飲む?」 と訊きながら、レナードはセラーからボトルを取り出す。 「明日も仕事だから一杯だけね」 グラスに注がれた白ワインが煌めいた。ふたりでグラスの縁を合わせれば、チン、と軽やかな音が響いた。 「ふたりの出会いに」 「クサいセリフ、」 「ロンドナーだからさ」 ふたりは笑いながら食事を楽しんだ。  レナードが作ったディナーはどれも美味しかった。頬張る泉を見て、レナードは嬉しそうに笑った。  食事を終えると、レナードは煙草に火をつけた。彼が換気扇のスイッチを切り替えると鈍い音を立てて、どこにあるか分からない換気扇が回りだす。 「イズミ、」 少し酔いが回ったらしいレナードが、蕩けたような瞳で泉を見つめる。  その甘い表情に、泉は息を呑んだ。 「歌ってよ」 「……そんなとこまで知ってるわけ」 「おれの情報網をナメてもらっちゃいけないなぁ」  腕を引かれ、ステージの目の前に立つ。小さな円形のステージの中央には、スタンドマイクが待っていた。  聞き慣れた音楽が天井についたスピーカーから流れ出す。ピアノをメインにしたバラード。学生時代に所属していたユニット————Knightsの曲だった。  泉はレナードの方を振り向いて、静かに言った。 「……俺に、歌う資格なんてない。俺はアイドルじゃない。今歌ったら、あいつら……昔の仲間に、失礼だから」  "アイドルの瀬名泉"は、もうどこにもいなかった。瀬名泉を"アイドル"としてたらしめているのは、レオと凜月と嵐と司と、レオが作った曲だった。それらを失った今、泉は"モデルの瀬名泉"として生きるしかないのだ。  レナードは驚いたように見開いた目を二度瞬き、申し訳なさそうに眉を寄せた。その表情には、先ほどまであった酔いはなかった。 「……そうだよな。無理言ってごめん」 泉は慌てて首を横に振った。泉のわがままを、レナードが知る由もないのだ。自分の言葉に後悔した。 「……でも、」 そう言葉を続けたレナードに、泉は顔を上げた。 「おれは、悲しそうな顔をしてるおまえを、楽しませることはできるよ」 まっすぐな瞳に、泉は息を吐いた。懐かしいピアノのメロディーが、よけいに切ない。 レオにそっくりで、そしてレオではないこの男にだけは、言ってもいい、甘えてしまいたい、と思った。どうせお互い酔っているのだ。明日には忘れているかもしれない。  溢れそうになる涙を乱暴に拭って、喉に絡む言葉を吐き出した。 「……本当に、大事な人がいた。でも俺は、二度もそいつを守れなかった……ううん、二度も、傷つけてしまった」 滲む視界の中で、レナードはじっと泉を見つめ、泉の声に耳を澄ましていた。 「……俺は、強くなるために、ここに来ることを選んだ。自分を変えるために。もう二度とあいつに、あんな思いをさせないために。あいつに、見つけてもらうために」 レナードはゆっくりと泉に近づいた。 「触れていい?」 と問われ、その指が濡れた頰を拭う。 「……おまえなら大丈夫だよ、」  その言葉も、その眼差しも、目がくらむほど眩しくて、あぁ、レナードも強いのだ、そう、思った。
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 なぁ、セナ、そう呼びかけられて、なぁに、と振り返る。楽譜が散らばった床の上に寝転び、その右手を動かし続けていた。  夕焼けの色に染まった窓の向こう側で、カラスが鳴いた。 「……おれがいなくなったら、どうする」 その問いに、泉は答えを見つけることなどできなかった。そんなことを想像したくなかった。  レオは仰向けになって、楽譜を片手に立ちすくむ泉に、力なく微笑んだ。もとも細い身体がさらに細くなっているのが嫌でもわかる。 「こっち来て」 レオの頭の方にしゃがむと、レオの左腕が首の後ろに回される。そしてそのまま引き寄せられて、唇を重ね合わせた。顎の先にレオの柔らかな前髪が触れた。 「……セナ、愛してるよ」 ————そんな悲しそうな表情で、そんな優しい言葉、言わないでよ 掠れた声は喉の奥に張り付いて音にはならなかった。ただそこから微動だにせず、泉の喉を絞めるのだった。  その後、レオは本当にいなくなってしまった。取り残された泉は、夢の残骸を拾い集めて足掻き続けることしかできなかった。  戻ってきたレオと日々を重ねても、レオに対する罪悪感と後悔が、時間の経過によって消えるはずがない。今でもそれらに苛まれる夜もある。だからといって、償いとして献身しているわけではない。  ただ、ただ純粋にレオのことを愛しているから、彼のそばにいた。泉の気持ちにも、ふたりの関係性にも、名前などつけられないのだった。
 卒業後すぐに上京し、泉とレオは、さほど広くない郊外のマンションの一室で暮らし始めた。  レオから手渡された部屋の鍵は冷たかった。握りしめているうちに温まって、金属独特の匂いが右の掌に染み付いてしまったけれど、それさえも気にならなかった。 「一緒に、暮らそう」 泉に拒否権など最初からなかった。いつもそうだ。声色も言葉も優しいのに、その瞳に宿された光に、泉はいつも逆ら���なかった。  一緒に食事をし、風呂に入り、ダブルサイズのベッドに潜った。  たまにセックスもした、次の日がオフでも、オフじゃなくても。レオが泉の背筋や頸に指を這わせるのは、しよ、という言葉の代わりだったし、たまに泉から誘うこともあった。  レオは、泉をほぐすように優しく抱いたり、肉食獣のように激しく抱いたりもした。彼はキスもセックスも上手だったが、途中で曲を書き出すのはさすがに勘弁してほしかった。  その頃が、一番幸せだったのだと、今になって気���く。  二年前のある寒い冬の日の朝、レオは忽然と、泉の前から姿を消したのだった。  同じベッドで寝ていたはずのレオの姿はなく、彼の服も、靴も、食器も楽譜も消えていた。窓の外で降る雪がコンクリートの地面に触れる音が聞こえそうなほど静まり返った部屋に、心臓がドクドクと脈打っている。  スマートフォンを手に取ると、その液晶画面に『留守番電話に一件のメッセージがあります』という通知が浮かんだ。発信元は非通知だった。恐る恐るそれをタップし、音量を上げる。  機械的な音声案内の後に、ピー、と甲高い音がなる。少しの沈黙、そして、微かな雑踏と、聞き慣れた声がスピーカーから溢れてきた。 「……セナ、急に出ていってごめん。でもいつか、この関係も終わりにしようと思ってた。セナも、その方がいいだろ?ごっこ遊びはもうおしまいだ。おまえとはもう会わない。じゃあな、元気で」  メッセージの終了を告げる機械音が鼓膜を震わす。  冷たいスマートフォンを握ったまま、泉は身動きできなかった。  そのメッセージは、つまり、ふたりの間にあった関係に終止符を打つもので、レオはあっさりと泉の傍を離れてしまった。昨晩だってあんなに優しく泉を抱いたのに、所詮それは演技にすぎなかったのだ。そんなことを信じたくないし、信じてもいないけれど、ただ、レオがふたたび泉のそばからいなくなってしまった、ということだけが事実として残った。  いつから、どうして、という疑問が浮かんでは消える。そんなの直接言いなよ、という怒りを覚えて、どこが悪かったの、と問い詰めたくなる。  ————ちゃんと愛してるってれおくんみたいに言葉で伝えれば良かったのかな。きっと、俺の愛は、れおくんに、伝わってなかったんだ。  悲しみも怒りも虚しさも悔恨も、すべてをぐちゃぐちゃに掻き混ぜてできた感情が喉の奥から迫り上がり、泉はベッドに飛び乗って枕に顔を埋めた。涙と嗚咽がひとりの部屋に響いたのが、滑稽で、無様で、哀しくて、泉は声を押し殺して泣いた。  レオのいない部屋はひどく寒くて広く感じた。  ふたりぶんのうち、ひとりぶんが消えた。  レオがいなくなってしまった。  実感が湧かないまま、食事も取らずに仕事に没頭していた。あっという間に減っていった体重にも、なんとも思わなかった。  そして、とうとう撮影現場のスタジオで倒れた。その頃のことはよく覚えていない。ただ、目を覚ますと楽屋のソファーに横になっていて、そばにはカメラマンの男がいた。 「気がついた?」 その優しい声色に、勝手にレオを重ねていた。  だからその出来事の数日後、一緒に洒落たバーに行ったとき、告白されて嫌な気はしなかった。いいよ、とだけ返事をした。  彼の住むマンションは都心にあり、主に泉の撮影現場となるスタジオにも近かったため、ほとんど同棲状態になった。  彼は写真の腕ももちろん、優しく紳士的で、料理もキスもセックスも上手かった。  それでも、レオを失った虚しさはいつもどこかにあった。泉はたびたび留守番電話に残された彼の声を聞いた。  いなくなったあの日から、レオのスマートフォンに何度も電話を入れた。しかし、聞こえるのは無機質な自動音声だけだった。  カメラマンの男といても、考えるのはレオのことばかりだった。  れおくんだったらもっと乱暴にしてくれるのに、優しくしてくれるのに、笑い飛ばしてくれるのに。  触れ合う肌がレオのものより冷たいことに、泉は泣きたくなった。  泉が求めているのは、レオだけなのだ。
 カメラマンの男と付き合い始めて二ヶ月。運の悪いことに、彼と一緒にいるところを同じスタジオにいた凜月に目撃され、強引に個室のあるレストランに連れて行かれた。  赤ワインとトマトサラダを頼み終え、店員が個室から出て行くと、凜月は泉に向き直った。 「……あのカメラマンと付き合ってんの?」 凜月は心底嫌そうな顔をしながらそう訊いた。そうだよ、と答えるとますます嫌悪感を露わにした。 「『王さま』はどうしたのさ。最近急に見てないし連絡も来てないけど」 先ほどとは違い、泉を咎めるような声ではない。 「……その呼び方よしなよ」 「あぁ、ごめん。もう大人だもんね、じゃあ、れおくん」 本当に意地の悪いガキだと思いながら、目の前の男を睨む。ほら、と凜月が促したところで店員がやってきてグラスと赤ワインのボトルを一本置いていった。  凜月は黙って二つのグラスにワインを注いだ。その色は、凜月の瞳と同じだった。 「……れおくんが、」  この先の言葉を、続けたら。そう考えると唇が震え、喉が締め付けられ、声が出なかった。  言って、と凜月が柔らかな声で宥めた。泉はグラスを傾けて、アルコールを胃に流し込んだ。それを終えたと同時に、 小さな声で絞り出すように呟いた、 「……れおくんが、いなくなった、」  大きく息を吐くと、アルコールの匂いが嫌でも分かった。  凜月は、真紅の瞳を泉に向けた。 「探さないの、」 そう言いながら、泉のグラスに赤ワインを注ぐ。それをまた飲み干す。だめな飲み方だと分かっていても、身体がアルコールに頼ってしまう。 「……探してる、けど、」 泉の言葉の続きを凜月は求めなかった。代わりに、泉を見つめて目を細めた。 「またおんなじこと繰り返すの? もういい大人なのに?」 「大人だから、しょうがないこともあるでしょ」 「『王さま』に会いたくないの、」  ふたたびグラスを手に取ろうとしたとき、一気に酔いが回った気がして、胃の奥から何かがせり上がってくる感覚がした。口元を押さえた泉に、凜月は、げ、と顔を引きつらせ、慌てて泉を立たせてトイレへ向かう。  個室に駆け込み、泉は空の胃から吐き出した。 「ほんっと、今日のセッちゃん、チョ〜うざい」 トイレのドア越しに凜月の声が聞こえた。
 スマートフォンのアラームで起こされる。目を開ければ、下瞼の縁に沿って、一滴の雫が流れた。それに気づいて、慌ててそれを手の甲で拭う。  さ��ほどまで見ていた朧げな幻を思い出そうとする。五人で籠城していた学院内のスタジオ、その窓から射し込む淡い夕焼け色の光が彼の頰を照らしていた。その首に手編みのマフラーを巻いてやれば、彼は嬉しそうに笑って、なにか口にした。その声を思い出そうとしても、懐かしい夢は淀んで消えていく。  寒さに身を縮めながら、ベッドから身を起こす。窓の外では粉雪がちらちらと舞っていた。  レオは、渡り鳥のように、どこか暖かい場所に向かっただろうか。ひとりで冬の寒さに凍えていないだろうか。  温かいココアでも作ろうとお湯を沸かす。やかんが鳴るまで、寒さに鼻を赤く染めた夢の中の彼のことを考えていた。
5
 ゲイバーらしからぬ外観には、電飾が増えていた。開け放たれたドアからは大音量のクラブミュージックが流れてくる。  ヘアアイロンをかけてまっすぐになった髪を流し、薄く色づいた縁なしサングラスを掛けていれば、スキャンダルに発展することもないだろう。黒いシャツの上にはファーコートを羽織り、ボルドーのベロア素材のパンツを合わせた普段しないような格好だから、なおさら。  腕を組んだレナードは、長髪をひとつにまとめたためか、幾分大人っぽく見えた。服装はTシャツに薄手のパーカーと革製のジャケットを重ね、ダメージジーンズに厚底のブーツ。泉の見立ては間違っていなかったらしく、よく似合っている。 「恋人らしく、って言っても、おまえは普通にしてていいから」 と言いながら、彼が泉の腰に腕を回す。普通でなんかいられるものか、と思いながら、緊張が伝わらないように頷いた。
 なぜ泉がゲイバーのパーティーに来ているのか、もちろんレナードの誘いだった。  出会ってから、ふたりは友人として距離を縮めていた。一緒に食事をすることはもちろん、買い物をしたり、レナードが好きなジャズの店に行ったりもした。  数日前、衣装合わせの終わりにスマートフォンを確認すると、レナードからメールが入っていた。  『二十時に俺の店に来れる?』 そのメッセージに泉は躊躇うことなく、 『分かった』 とだけ返事をした。  泉の方が先に席に着いていると、レナードは申し訳なさそうな顔をしながら、エプロン姿でやってきた。 「ごめん、ちょっと打ち合わせが長引いて」 「打ち合わせ?」 泉がそう聞き返すと、レナードはジャケットを脱ぎながら頷いた。 「来週の週末に、あのバーでパーティーを開くんだ」 「パーティー?」 「そう。開店五周年祝い。歌って踊って一晩中飲み明かす、ってわけ」 「へぇ……」 「だから頼みたいんだけど、おれの恋人役してくれない?」 だから、が意味をなさない脈絡のない頼みに、泉は眉間にしわを寄せた。 「……なんで?」 「実はさぁ、ひとりの客からすごいアタックされてて。おれはバイだけど、誰でもいいってわけじゃないからさ、恋人がいるって嘘吐いてはぐらかしてるんだよ。でも今回のパーティーは恋人がいる奴は、その恋人を連れてくるっていう暗黙のルールがあってさぁ、困ってるんだよね」 「嘘吐くあんたが悪いでしょ、それは」 「分かってる、分かってるけど……! このままだと俺の貞操が危ないんだよ!」 だったらゲイバーのアルバイ���なんて始めなきゃ良かったのに、と思いながらも、彼に恩を感じていないわけではない。だから、 「しょうがないなぁ」 と肩を竦めて承諾してしまうのだった。  レナードは、 「ありがとう、イズミ」 と嬉しそうに言いながら、メニューに手を伸ばした。
 店に入ると早速レナードは声を掛けられた。女装した男たちだった。 「Wow! Is he your boyfriend?(そちらがレナードの恋人?)」 「So cute!(やだ、可愛いじゃない)」 その言葉にレナードは笑って、そうだろ、と流していた。  彼女ら(と言うべきなのだろう)の横を通り過ぎて、レナードが誰かを見つけたらしく、足を止めた。 「俺、オーナーに挨拶してくるから、そこのカウンターに座って待っててよ」 と言われ、レナードは出入り口のドアの横へ向かって戻っていく。泉は彼の指示通り空いている席に座ってカウンター越しに、バーテンダーにアルコール度数の低いサワーを頼んだ。  差し出されたそれをちびちびと飲みながら、辺りを見渡す。ゲイじゃなくても入れるこの店は、多くの男女で溢れていた。ダンスフロアではDJを囲み、アルコールに酔った人々が曲に合わせて踊っていた。壁に背中を凭れて酒を飲みながら楽しそうに談笑している人々も多い。隅では、ゲイのカップルがキスを交わし、周りの友人たちから冷やかされて恥ずかしそうに、しかし幸せそうに、はにかんでいた。  自由に踊り、笑い、キスをする彼らが羨ましかった。大事な人とこんなふうに一緒に時間を過ごせることほど幸せなことはないと、泉はもう知ってしまっているから、余計にひとりで心細くなった。  ハァイ、と声を掛けられて振り返った。背の高い細身の男が、グラスを片手に人好きのする微笑を浮かべていた。 「Is the seat free? (ここ、いいかな?)」 と問いながら、泉の返事を待たずに隣の椅子に腰掛ける。 「Did you come alone today? (ひとりで来たの?)」 「No.(いえ)」 首を横に振りながら答えると、彼はグラスの中のワインを一口飲み、それからまじまじと泉を見た。 「Are you Japanese? You’re very beautiful.(君は日本人? とっても綺麗だ)」 それが分かりやすい口説き文句だとすぐに理解できた。サンキュー、と愛想笑いをしながら、目だけでレナードを探す。彼の貞操を守るどころか、これでは自分の貞操が危うくなりそうだ。  実際、彼は既に相当アルコールを摂取しているらしい。香水に混じって酒の匂いがするし、目尻は赤く染まっている。彼が何か言ったが、泉は聞き取ることができなかった。気づけば、彼の手が泉の耳に伸びる。こういうとき、何と言ったらいいか分からない。  彼の腕を掴もうとしたところで、後ろから声がした。 「Keep your hands away from my sir.(おれのツレに手ぇ出すなよ)」  振り返れば、煙草を唇から離して白煙を吐くレナードがいた。目の前のイギリス人は驚いたように目を見開いて、優しい声色で言った。 「Such a beautiful sir is yours?(レナードのツレ? こんな綺麗な子が?)」  どうやらこの店の常連客らしい。レナードは呆れ��ように、悪いかよ、と答えていた。  彼は不機嫌な顔で近くにあったカウンターの上の灰皿を引寄せて無造作に火を消して、泉を見た。その目がこちらに来い、と言っていた。泉が立ち上がって近づくと、腰に腕が回され、耳元で囁かれる。 「ごめん、キスさせて、」 驚いて彼から離れようとしたが、さらに身体を引かれて泉は顔をしかめた。 「どうしてそこまで、」 「こうでもしないと、あいつ、おまえを犯しかねないんだよ、」  その言葉は間違ってはいない。溜息をひとつ、いいよ、と言い終わらないうちに唇を塞がれた。  レナードは泉の腰にあった腕をほどき、今度は首の後ろに回した。  泉が柔らかな感触に驚いて唇を閉じ切らなかったのをいいことに、彼は乱暴に舌を入れてきた。熱と重たい煙草の味が、泉の理性を溶かしていく。泉が苦しげに鼻から息を吐けば、彼は時折唇を離し、また重ねてきた。そのたびに、透明な糸が切なげにふたりの唇の間で光る。 「ん、」 思わず声が漏れ、体温が上がっていくのがわかった。いつの間にか周りの人々が観衆となっていた。彼らの冷やかす歓声と大音量のクラブミュージックで満ちているから、周りの人々には聞こえなかっただろう。  しかし、目の前にいる男は違う。  さらに泉を攻め立てる。首に回った右手は頸をなぞり、そして耳裏に触れた。左手はシャツの裾から入り込み、背中を這う。硬い指の腹は、まっすぐな背筋を辿っていく。  薄目を開ければ、彼は緑色の瞳を満足気に細めていた。その表情に悔しくなって、泉も反撃の一手に出る。  彼の細い腰に回していた手を離し、シャツの隙間から露わになった鎖骨に触れる。間の窪みを押せば、彼は興奮し切った瞳で泉を見た。  熱を持ったその肌に、舌に、眼差しに、泥酔した気分になって、腰が砕けそうだ。下腹部が限界を訴えて痛む。  泉は彼の胸元を軽く叩いた。  彼は、薄い唇の端から垂れた、もはやどちらのものか分からない唾液を拭った。その指先が、あまりにも扇情的で。 「……イズミ、来い」  手首を掴まれ、泉の返答を待たずに歩き出す。周りの男たちは楽しそうに笑い、手を叩き、そしてグラスを空けた。 「It’s getting hot here!(お熱いねぇ!)」 観衆のうちの誰かの冷やかす声を背中に受けて、ふたりは賑やかな狭い店を足早に出た。  レナードが連れてきたのは、裏口を入ってすぐ横にある、従業員用のトイレだった。タイルの壁や床には汚れが残っていれば、使用期限の切れた芳香剤が汚い便器の横に転がっている。それでいて窓はなく、低い天井の小さな換気扇が音を立てて回っていた。  レナードは後ろ手で鍵を閉め、変わらず熱っぽい瞳で泉を見つめた。 「……野次馬の中に、例のやつもいた」 「あんたのことを好いてる人?」 「あいつ、諦めはいいから、もう大丈夫」 我慢できない、というふうに彼が泉を引き寄せる。それを制止しながら、泉は彼を見つめる。 「俺の貞操の方が危うくなるところだった」 「うん、ごめん、ひとりにして、」  レナードの指が泉の唇の輪郭をなぞる。 「……キスしてるときも綺麗だ、」 「当たり前でしょ」 ���っと、自分も同じくらい熱のある眼差しを彼に向けてしまっているのだろう。興奮し切った身体は、自分自身で制御できない。  彼は、今度は優しく啄ばむようにキスをしてきた。いじらしくなって、思わずその腕を引いた。  まるで、レオとキスしているかのようなのだ。容姿も、キスの仕方も、そっくりで嫌になる。ただ、こんな苦い味はしない。彼は煙草を吸わなかった。 「……泉、」 彼の手が泉の腰を撫でた。 「したい、」 まっすぐ向けられた視線に侵食される。目の前にいる男が、月永レオにしか見えなくなって、縋るように彼を抱き締めた。 「……俺も、」
 ゆっくりと意識が浮上し、泉は瞼を持ち上げた。冬の朝に相応しい寒さに、泉は布団を引き寄せた。  昨晩隣で寝ていたはずのレナードの姿はない。腕を伸ばしてスマートフォンを引き寄せれば、その液晶画面には午前九時を示す数字が浮かんでいた。  上半身を起こしてから後悔する。ずきずきと腰が痛み、目を伏せた。  昨晩、レナードは泉を慰めた。トイレでキスをしただけなのに、泉の足腰には力が入らなかった。レナードは呆れたように、けれど欲情に満ちた目を、黙って細めた。泉を軽々とおぶり、バーからさほど離れていない彼の部屋に向かった。  暗がりの中、レナードは服を脱がなかった。最初はそれをずるい、と思った。隣室から壁を叩かれもした。しかし、すぐにそんなことはどうでも良くなって、泉は快感によがった。お互いを擦り合わせるだけでも、死んでしまうのではないかと思うほど、気持ち良くて、ふたりは大きく息を吐いて同時に果てた。あのときの、彼の濡れた瞳が脳裏に浮かんで、腰とはまた違う場所が微かに痛んだ。  バスルームからは水が弾ける音がする。昨晩、行為の後に泉がシャワーを借りて脱衣所から出ると、彼はそのままベッドで寝ていた。泉より早く起きて、身体の汚れを落としているのだろう。  獣を連想させた瞳は伏せられ、寝顔は少し幼くて、あまりにも、彼に似ていた。  それを思い出して、泉は柔らかな毛布に顔を埋めた。  レナードは、レオじゃないのに。 「……ごめん、」 小さく呟いた言葉は、冷たい空気に吸い込まれて消えていった。
6
 泉とレナードが身体を重ねたのは、あのパーティーの夜だけだった。その後、レナードも泉もお互いを求めはしなかったし、泉の方は求めてはいけないような気がしていた。  レオは他の誰でもないのに、他人のどこかにレオを重ねようと必死に足掻いて、寂しさを埋めようだなんて、レオに、重ねられる彼らに対して、あまりにも不誠実だと気付いているから。  月永レオはただひとりであって、その代わりなどいないのだ。
 パーティーの三日後の夜のことだった。その日は日暮れから雨が降り出し、夜が更けるにつれて雨脚は強まっていった。  十一時を回った頃、チャイムが鳴った。マネージャーだろうか、と思いながらドアスコープを覗くと、濡れ鼠になったレナードがいた。  慌ててドアを開けると、 「Good evening.」 彼はへらっと笑った。 「なんで傘差してないの」 「途中で折れたんだ。その上飛行機は欠航だよ。もちろん部屋も引き払っちゃったし、空港に寝泊まりするのは嫌だし……だから、な、泊めてくれよ」 彼の右手には大きなスーツケースがあった。どうやら本当に飛行機に乗ってロンドンを発つつもりだったらしい。髪の毛先やコートの裾からぽたぽたと水滴を垂らすレナードを訝しげに見ながら、他の住人が外廊下を歩いていった。 「……分かった、いいよ」 そう答えれば、ありがと、と彼は笑い、シャワールームへと直行した。  新品のバスタオルと自分のパジャマを脱衣所に置いといてやり、彼の濡れた服を洗濯機に突っ込んだ。  熱い湯を浴びた彼は、髪を乾かしながら泉に話し出した。 「母さんの具合が悪くなったから、実家へ帰るよ」 「……ロンドンには、もう帰らないの」 「うん。元々こっちに来ること、反対されてたから」 長い髪はドライヤーの熱風に晒され、乾いて靡いた。 「だから、おまえと会えるのも今日で最後だ」 「別に、スマホがあるから連絡なんかいつでも取れるでしょ」 「……うん」 ドライヤーの電源を切って、彼は寂しそうに笑った顔を泉に向けた。  ベッド使っていいよ、と言ってソファーで眠ろうとすると、腕を引かれてベッドに連れていかれる。彼は壁際に寄って、 「いいじゃん、一緒に寝れば」 ほら、と空いたスペースを手で叩いた。 「あんたのベッドじゃないけどねぇ」 という文句を言いながらも、泉はおとなしくベッドに潜った。 「人肌が恋しいんだよ」 「よく言うよ」 「本当だよ。おまえと離れるのが寂しい」 レナードは泉を見つめた。その眼差しに、泉は目を逸らす。 「それ以外はしないから、抱きしめてもいい?」 静かな声に、泉は黙って頷いた。彼は泉の背中にそっと腕を回した。その温もりと重さに、泉は唇を噛んだ。 「おれと、おまえの大事なひとが似てるって、言ったじゃん」 「そうだねぇ」 出会ったあの日、そんなに似てる? と言った彼の表情が脳裏に浮かぶ。 「……イズミは、そいつのことが好きだったのか?」 レナードはそう訊いた。泉は寝返りを打ち、彼に背中を向けて答えた。 「愛してる」  レナードは、エメラルドの双眸を瞠り、そうか、とだけ返事をした。泉は、うん、とだけ言った。そのあとは、ふたりとも、もうなにも言わなかった。  窓の外、雨が地面を打つ。その音を包み込むように夜は深まっていく。目を閉じれば、背中越しに彼の鼓動が聞こえた。
 目を覚ますと、レナードの姿はなかった。ベッドには彼の分の温もりが残っている。  今頃、空港に向かっているのだろう。何時のフライトか聞き忘れたことを後悔しながら、泉はベッドから出て、キッチンへ向かった。  ペットボトルのミネラルウォーターを飲みながら、ふと、ダイニングテーブルに目をやった。  その上に、マフラーがあった。赤い毛糸で編まれたそれに、泉は、まさか、と思いながら手を伸ばす。  編み方から、手作りだと分かる。端の方に、小さな王冠のワッペン、金色の糸で、"L.T"のイニシャルが刺繍が施されていた。  間違いなかった。そのマフラーに顔を埋めた。懐かしい匂いに泉は目を閉じた。  ————ありがとな、セナ!  思い出すのは、さきほどまで隣で眠っていた男ではない。  ぱっと顔を上げて、泉は素早く着替えてコートを羽織った。スマートフォンを引っ掴んでマネージャーに、 『体調が悪いから打ち合わせは俺抜きでやっておいて』 とメールを送っておく。マフラーを手に部屋を出て、タクシーに飛び乗った。
 空港は、相変わらず多くの人で溢れていた。クリスマス���暇を使ってロンドンへ来る人、ロンドンから他国へ出る人が多いのだろう。  そんな��混みを縫うように泉は走った。  搭乗を知らせるアナウンスと雑踏、売店から流れるBGMのクリスマスソングが入り混じっている。  もう飛行機に乗り込んでしまったかもしれない。どこの国へ行くのかも聞かなかったから時間も分からない。  出るとは思わなかったが、彼の番号に電話を掛けた。自分のスマートフォンから呼び出し音が虚しく聞こえる。  留守番電話にメッセージを残そうと思った————その時だった。  近くで誰かの携帯電話が鳴っているのが聞こえた。  その着信音は、彼のスマートフォンのものと、同じだった。  ぐるりと周りを見渡した。  人々が身に纏う服の色がやけにくすんで見え、動きもゆっくりに見えた。今まではっきり聞こえていた音も遠ざかる。  泉の視線の先、揺れる赤毛が見えた。  人混みの中、異様な存在感に泉は息を呑む。  泉は無意識のうちにふたたび駆け出した。 「待って!」 そう叫べば、周りの人々が驚いたように泉の方を見て、また素知らぬふりして、スーツケースを引っ張りながら歩いていく。  彼は振り返らずにすたすたと歩く。聞こえてるくせに、そう思うと泣きたくなって、大きく息を吐いた。
「待ってよ、ねぇ、……れおくん!」
 震えた声に、赤毛の男が立ち止まった。  彼に追いついた泉は、その腕をぐい、と強く引いた。  振り向いた彼が、は、と小さく息を漏らした。  ゆらり、とエメラルドの中の光が揺らぐ。  それは、泉の姿だけを映していた。  空気に晒された細い首に、そっと、赤いマフラーを巻いてやる。 「……こんなの、まだ持ってたの、」 震えた声でそう問えば、張り詰めていた緊張が解けたように、彼は、優しく笑った。  泉の大好きだったそれが変わっていないことに、堪えていた涙が零れて頬を伝う。
「……大事な、おまえとの思い出だから」
 ずっと、この日が来るのを願っていた。  セナ、と呼ぶその声を、ずっと、ずっと聞きたかった。  間違いなくそれは、レオのもので。  強く腕を引かれ、抱き竦められる。背中に回された腕も、顔を埋めた肩も、泉の頰に触れる赤毛も、ぬくい体温も、ぜんぶ、ぜんぶレオのものでしかなかった。 「……二年間、おまえのことしか、考えてなかった、考えられなかった」 「うん」 耳元で囁かれる言葉に、上手く返事ができない。涙がレオのコートの肩を濡らす。 「ひとりにしてごめん、勝手にいなくなってごめんな」 「……ほんとだよ、バカ」 「愛してる、愛してるよ、セナ。もう、いなくならないから、離れないから、おれと、一緒にいて、おれの、傍にいて……」 レオの声も、肩も、震えていた。彼の背中に両腕を回し、力を込めた。彼がもうどこかへ消えてしまわないように。 「うん、ずっと一緒にいる、もう二度と、離れないから」  涙で濡れた声を絞り出す。 「……ずっと、れおくんを、探してたよ」
7
 二年前の、クリスマスも近い夜だった。街は煌びやかなイルミネーションで飾り立てられ、浮かれたクリスマスソングと人々のざわめきで満ちていた。  レオと泉は久々にオフが重なり、レストランで食事を取ることにした。  ふたりは向かい合って、美味しいディナーとワインを嗜みながら、他愛の無い話をした。  泉は、以前テレビ局の廊下で偶然会ったらKnightsで集まりたいと駄々を捏ねられたこと、クラスメイトだった千秋が特���の主演に選ばれたこと、今度UNDEADのライブに凜月と行くことになったこと、自分がブランドの広告塔に抜擢されたこと、などを楽しそうに話した。レオは、適度にお酒が入ると饒舌になる泉を愛おしく思いながらそれを聞いた。  店を出る頃、夜は静かに深まっていた。紺色の艶やかな空には、白い星々が人工の光に負けないようにと明るく光っている。南にはオリオン座が一際輝きながら浮かんでいた。  泉は、お気に入りのコートのポケットに両手を入れながら、寒そうにレオの半歩前を歩いていた。 「セナぁ、」 と呼べば、 「なぁに、」 と少しだけ火照った顔をレオに向けた。ワイン数杯で十分酔った泉はあまりにも無防備で、今すぐに食べてしまいたい、と思った。だから、その首の後ろに腕を回してキスをした。サングラスの下、彼が驚いたように目を見開いたのがわかった。 「……外だよ、」 「誰もいねえじゃん」 「そういう問題じゃ、」 ないでしょお、と文句を言おうとしたその口を再び塞ぐ。下唇を噛んでやれば、期待を含んだ濡れた眼でレオを見つめた。たぶん、ここからホテル街が近いのを、泉も知っている。 「……セナ、行くぞ」 泉はなにも言わない代わりに、繋いだ右手に少しだけ、力を込めた。  あの時の温かい手を、今でもレオは忘れていない。
 その数日後のことだった。  打ち合わせが終わり、スタジオを出たレオは、ロビーのソファーに座っていた男に呼び止められた。 「……月永レオくん、だよね?」 「そうだけど、」 と立ち止まって答えれば、レオの前に立った彼は名刺を差し出した。そこには、名前と職業が印字してあった。それを見て、あ、と思った。  泉が仕事で世話になっているらしいカメラマンだ。泉と一緒にいるのを見かけたことがあるし、泉からも度々話題が出るので、レオもなんとなく覚えていた。  どうも、と名刺を受け取りながら、背の高い彼を見上げる。彼はにこり、と微笑んで言った。 「折り入った話があるんだ。あまり人に聞かれたくないから、会議室を借りた。そこで話せるかい?」  レオは、嫌な胸騒ぎを抑え込むように黙って頷いた。  小会議室に入ると、彼は丁寧に内鍵を掛けた。  そして、カバンから取り出したのは一枚のプリントだった。怪訝そうな顔をするレオをよそに、彼は見開きページを開けて、レオの前に差し出した。  画質のいい写真数枚と、大きな見出し、そして記者が書いた文章が並んでいた。  それに、レオは思わず息を呑んだ。 「こ、れ……」 その写真には泉とレオが路上でキスをしたり、手をつないだりしているところがはっきりと写っていた。 「週刊誌の原稿だ。まだ印刷も発売もされる前のものだよ」  服装や場所からして、先日、ふたりで夕食を食べた後のものだ。 「その反応は、間違いないってことだよね?」 男は真剣な瞳でレオを見つめた。沈黙を肯定と受け取った男は、写真を一瞥する。 「僕は、この写真を撮った男の弱みを握っている。僕の力でこれを揉み消すことができる」 は、と顔を上げたレオに、男は優しく微笑んだ。 「……君が条件を飲むなら、ね」 その低い声に、レオは、全身の筋肉が強張るのが分かった。 「……条件って、なんだよ」 「なに、そんな身構えなくていい、簡単なことさ」 男は優雅な手つきで煙草を咥え、その先にライターで火をつけた。 「瀬名泉と別れろ」  突きつけられた言葉を瞬時に理解できなかった。ただ、言葉がひとりでに溢れる。 「どうして、」 「どうして、だって? 分かるだろう、この記事はそのまま来週の週刊誌に載るよ。メディアに取り上げられ、未だ同性愛に厳しい世間は大騒ぎだ。フリーで活動する君とはちがって、唯一無二の宝石のようなイメージを持たれている瀬名泉にとって、このゴシップは大ダメージだろう」 口を開きかけたレオの言葉を遮るように、彼はまくし立てる。 「加えて、君の母校にとっても。同じユニットメンバーだった後輩が、まだ在籍中だろう?きっと彼も被害を被るさ。君らのせいでね」  その言葉に、真新しい衣装をまとった司の姿が脳裏に浮かんだ。  泉は、司のことをよく気にかけていた。どこまでも面倒見が良い男は、弟が心配なのだろう。レオにもその気持ちがわかる。  まだ長い煙草が、灰皿に押し付けられた。彼は追い討ちをかけるように、にこりと微笑を浮かべる。  その表情には、冷徹さしか感じない。 「君のせいで、瀬名泉は穢れるのさ、月永レオ」  どくどくと心臓が脈打っている。喉を絞められているかのように苦しい。  れおくん、と呼ぶ彼の姿が瞼の裏に浮かぶ。  有名なブランドの広告塔に選ばれたんだよねぇ、と言いながら見せた、昨晩の嬉しそうな表情。  店頭に並ぶ、彼が表紙を飾った多くの雑誌。  群青のブレザーを纏い、かつての仲間を睨む瞳。  ————あのとき、彼は泣いていた。  おれが、セナを汚してしまった。  あの赦されない罪を、また、ふたたび、おれは繰り返してしまうのか。  レオは、記事から目を離し、目の前の男をまっすぐ見据えた。 「……分かった」  別れるよ。  そう告げると、男は満足そうに目を細めた。
 泉の部屋に帰ってきて、レオはベッドに腰掛けて、二年前のことを話した。そしてその後、泉のスマートフォンに留守番電話を残して、日本を出たのだ、と。  泉は、呆然と、レオを見つめた。 「あのとき、酷いこと言って、ごめん。おれ、けっきょく昔と変わってなかったんだ。おまえのことが大事だからって、セナを傷つけるような道を、選んで、おまえを、傍で守り続けられなかった、離れることしか、できなかった……なぁ、セナ、ごめん、ごめん……」 ぽろぽろと溢れる涙は、宝石のように美しく、哀しい光を放った。その煌めきを一粒一粒、零さないように泉は指で拭う。 「……泣かないでよ、れおくんは悪くないでしょ。あんたは俺を守ってくれたよ。寂しかったけど、でも、でもこうして、またちゃんと会えたから、ねえ、れおくん、もういいよ、だいじょうぶ、だいじょうぶだから、」 言葉を紡げば紡ぐほど、涙が溢れ出してきた。いずみ、と呼ばれて、涙で濡れた頰をレオが撫でる。  彼の瞳に映った自分は、見たことのない、みっともない顔をしていた。でも、今なら言える気がした。 「……もう、二度と離れないで、」 ずっと、言えなかった。言葉にしたら叶わない気がしていた。けれど今なら。  レオの小指が、泉のそれを絡め取る。 「約束する」  本当に? と訊けば、キスをされた。熱い唇が離れていき、は、と吐いた息が混じり合う。 「……今の、誓いのキスな」 レオが紡ぐありきたりな言葉に、泉は笑った。
 レオが慣れた手つきで泉のシャツのボタンを外していく。 「……いつからこっちにいたの」 「おまえと別れてすぐ」 細くくびれた腰をレオの指がなぞり、思わず声が漏れた。 「で、学生時代知り合ったやつがあのバーで働いてて、そのツテでバイトさせてもらえることになったわけ。ゲイバーって思ったより危険でさぁ、おれは何度ケツを狙われたかわかんない」 「……したの、」 「してないって」 「うそ」 「セナこそ、あの変態カメラマンと何回もしたんだろ」 言葉に詰まった泉を、レオは冷たい目で見下ろした。自分の被虐心を許しそうになってしまうその目線に、泉は息を吐いた。  レオは、泉が一番触ってもらいたいところには触れず、胸元に唇を寄せる。 「おれ、あの後スランプにも不能にもなってさ。おまえとバーのトイレでしたときに治ったんだよ、両方」 「ば、バッカじゃないのぉ!?」 と絶叫すれば、レオは舌を這わした。 「や、ァ、それ、やだ……っ」 泉は羞恥に自分の顔を覆った。レオの長い指が、泉が履いたパンツのジッパーを下げ、下着を脱がす。  おれさ、という声がいつもより低く聞こえて、心臓が痛いくらいに脈打った。そっと目を開けば、劣情と興奮を混ぜた色の捕食者の瞳が泉だけを見つめていた。 「おまえにしか興奮できないんだよ、セナ」  反らした首筋に優しく噛みつかれ、泉ははしたなく嬌声を上げた。レオは満足げに目を細め、今度は歯型が残るほど、強めに噛まれる。  レオの汗が泉の鎖骨に落ち、泉のものと混ざっていく。  あちこちに紅い痕が浮かぶ身体を捩れば、強い力で押さえられ、身動きが取れなくなった。  肩で息をしながら、泉はレオを睨んだ。 「明日、撮影なんだから、さぁ……!」 「二年越しのおれとのセックスと、毎日してる撮影、どっちが大事なんだよ!?」 と凄まれて、 「……れおくん、」 と答えてしまった泉の自業自得だ。明日、現場でなんと言われるか分からない。  しかし、あっという間にそんなこともどうでもよくなる。  触れる汗ばんだ肌はレオのものでしかない。その汗の匂いも、獣じみた深緑の瞳の光も、二年前となんら変わっていなかった。舌は煙草の味がするし、苦しそうに眉を寄せるその表情は、少し大人びたかもしれないけれど。 「あの後、おまえが、あんな男とセックスしてたとか本当にムカつく!」 あんな男、とは、あのカメラマンしかいない。 「俺だって、自分に、腹が立って、る!」 「ねぇ、あいつと何回した? どういうふうに抱かれた?」 「思い出させないでよ、萎える、」 「おまえの口から萎える、とか聞きたくなかった、な!」 「あっ、ちょ、ばか……っ」  意地の悪い目に、背筋が震えた。 「おれとのが、気持ちいいだろ、セナ」 彼の首の後ろに両腕を回して引き寄せ、キスを求めれば、レオはそれに応えた。 「……れおくんがいいに、決まってるでしょ」  それからは、泉にも、レオにも、余裕などなかった。  泉は抵抗さえできず、ただよがって喘いだ。  レオは満足そうに舌舐めずりをし、薄い唇で泉の肌に口付け、強く吸った。そのとき、わざとらしく立てられる、ぢゅ、という音と、レオの熱い吐息を、敏感になった耳が捉え、その毒が全身に回っていく。  長い赤髪を、形の良い耳にかけてやった。彼は、まだ涙の跡が残ったままの、上気した顔を綻ばせた。 「いずみ、好き、愛してるよ」 「俺も、」  愛してる、と答えたと同時に、ふたりで果てた。
 目を覚ましてから、二年越しではなく、三日ぶりじゃないか、と冷静な頭が気づいた。  あぁ、でも、彼はレナードとして泉を抱いていたから、れおくんとのセックスは二年ぶりで正しいのかなぁ、なんて思いながら、隣で眠る彼の頬を撫でた。薄い瞼が震えて、ゆっくりと彼が眠りから覚醒する。微かに揺れたエメラルドが泉を映す。 「……セナ、」  そう呼ばれて、泉は、は、と短く息を吐いた。  何もかもを投げ出してしまいたい。ここから何処にも行きたくない。このままこの瞬間が続けばいい。そう、願った。  気づかぬうちに、涙が頬を伝っていた。レオの指先がそっとそれを拭い取る。  その優しさに、泉は目を閉じて、彼の胸元に頭を押し付けた。レオは黙って、その首の後ろに腕を回す。 「もう、おれ、どこにも逃げない。何があっても、誰が邪魔しても、セナのそばで、セナを愛し続けるよ」  顔を上げた泉の唇に、レオは優しくキスを落とした。 「もう泣くなよ、今日、撮影なんだろ?」 「うん、」 「何時から?」 「夜の六時」 「分かった。朝メシ、食べれる?」 泉が頷くと、彼は裸体を起こした。しなやかな筋肉のついた背中に、いくつもの自分の爪の痕を見つけて体温が上がった。  ふと自分の身体を見下ろせば、至るところに唇の跡が紅く残っていた。腹や背中、脚は百歩譲っていいとしても、腕や手首など人の目線に晒されるところにもお構いなしだ。 「れおくんのばか」 と言えば、ベッドから降りたレオが、え〜?と悪戯っぽく笑う。反省の色など微塵もない。 「だって気持ちよかったじゃん?」 そう言い放った彼に、泉は枕を投げつけた。  レオは慣れた手つきで朝食を作ってくれた。トーストに焼いた目玉焼きを乗せ、軽く塩胡椒を振った。その横に付け合わせのポテトサラダが添えられる。香りのいいコーヒーはマグカップに並々と注がれた。  レオは自分のコーヒーに砂糖を2杯、ミルクを少々入れながら、口を開いた。 「セナが来るって聞いたのは本当だ。あの日、おまえを見かけて、相変わらず綺麗だな、って思った。もしこれで話しかけてもらえなかったら諦めよう、そのまま違う国へ移ろうと思ってた。でも、おまえが泣きそうな顔しておれの名前を呼んだとき、おれはなんてばかだったんだろうって思った」  その言葉に、マグカップを取ろうとした手を引っ込める。 「……じゃあ、なんで、偽名で名乗ったの。れおくん本人だって、言ってくれれば良かったのに」 「……勇気がなかった」  レオは泉の手を離して、目を伏せた。 「おまえに嫌われてたら生きていけないと思った。勝手におまえから離れたおれを許してくれなかったら、って思ったら怖かった。だから咄嗟に別人として振る舞ったんだ」  でも結局、と彼は申し訳なさそうに微笑んだ。 「おまえを苦しめてることには変わりないよな、ごめんな」 れおくん、と呼べば、なぁにセナ、と彼は答える。 「……俺がどんだけれおくんのことを愛してるか、ちゃんと、解ってよ」
8
 「I must apologize to you.(プロデューサー��謝らなければいけないことがあります)」 現場に入った泉の第一声に、プロデューサーをはじめ、スタッフたちは驚いたように目を瞬いた。  泉は視線の中、コートとセーターと、シャツを脱ぎ捨て、上半身を露わにした。  それを見たスタッフたちの何人かは驚き、何人かは苦笑いをした。そんな中で、 「It was a hot night,wasn’t it?(熱い夜だったんだねえ)」 とプロデューサーは楽しそうに笑った。 「I want take your skin if you don’t mind.(君が嫌でないなら、その肌を撮りたい)」 その提案に、泉は、安堵の息を吐き、 「Yes, my pleasure.」 と短く答えた。
 「れおくん、頼みがあるんだけど」 真剣な顔で泉にそう言われて、レオは緊張で肩を強張らせ、なに、とだけ返事をした。  ロンドンコレクションの当日。レオはファッション界の重要人物たちに囲まれながらコレクションの始まりを待っていた。泉が見立てたスーツをまとい、短く切った赤毛も美容院でセットしてもらったため、見劣りはしないだろうが落ち着けなかった。そんな中、胸ポケットの中のスマートフォンが震え、泉に呼び出されて、レオは今、関係者以外立ち入り禁止の楽屋にいるのだった。  目の前に立つ泉は、来冬の新作のファーコートを裸の上半身に羽織り、レザーパンツで脚のラインを強調している。化粧もすでに施しており、その美しさは何倍にも際立っていた。  泉はこのコレクションのファーストルック、つまり、最初にランウェイを歩く、という大役を務める。そこから業界からの泉に対する期待が窺えて、レオは泉を誇らしく思ったし、泉の他に適役はいないだろう、と思った。  その姿に見惚れていると、 「聞いてる?」 と足を踏まれた。 「痛い! ……ごめんって、セナがあんまり綺麗だから」  彼の横髪に伸ばそうとした手を掴まれ、そのまま楽屋を出てトイレへ向かった。個室に入って後ろ手で鍵をかけた泉を、レオは見つめることしかできない。 「あの〜、セナさん、もう、あの、出番まで三十分くらいしかないのでは……?」 三十分じゃ終われないけど、というレオの言葉は泉に塞がれた。 「キスマークつけて、」 「……は?」 早く、と彼はコートの前を開けて胸元を晒した。  レオは泉に問いただすことをやめ、彼の言う通り、胸元に口付けた。  泉の細い腰を掴んで引き寄せると、コートの下の肩がびくりと小さく跳ねた。  ぢゅ、という音を立てて皮膚を吸えば、紅い痕が残った。胸から鎖骨、それから首筋、耳朶を食んで、最後に唇にキスをした。下唇に歯を立てれば、泉の長い睫毛が震えた。  顔を離すと、お互いの濡れた息が絡み合って消えた。涙が滲んだ瞳でレオを見つめながら、泉はコートを着直した。 「……セナ、どうしよ、」 「なに、」 「勃った」 泉は照れたように、バカ、と呆れ笑いしながらドアを開ける。その笑った顔は、初めて出会った頃からちっとも変わっていなかった。 「……俺の出番に間に合うようにしなよね」  そう言い残して、さっさと出て行ってしまった。あまりにも横暴だ。でも、これが二年間の罰だとしたら、あまりにも甘すぎる。  あと二十分か、と腕時計を確認して、もう一度個室の鍵を閉めた。鼻腔には、泉の香水の匂いがいつまでも残っていた。
 観客席の照明は落とされ、中央に通る広いランウェイだけが照らされる。スタイリッシュな音楽が流れ出し、観客たちは皆スマートフォンを取り出し、その内蔵カメラを、世界中から集まったカメラマンたちは大きな一眼カメラをランウェイへ向けた。  ひとりのモデルが舞台に上がる。一斉にシャッターが切られ、フラッシュの光が彼を照らす。  決して高いとは言えない背でも、その身体には一切無駄がない。セットされた銀色の髪、ルージュを引かれた形の良い唇、まっすぐ前だけを見つめる薄青色の宝石のような瞳、ファーコートの前立てから覗く肌に点々と残された紅。  ランウェイの突き当たりで、彼はファーコートをはだけさせてみせた。蠱惑的で挑発的な笑みを、その美しい顔に浮かべて。  踵を返し、舞台へ戻る彼が一瞬だけ、レオの方を見た。その流し目に、レオは思わず息を呑んだ。 「Who is he?(彼は誰?)」 隣に座っていた女性が、連れの男性に問い掛ける。その男性は泉から目を離して彼女に答えた。 「He will be next top model. He is Izumi Sena,Japanese model!(次のトップモデルだ。イズミ・セナだよ、日本のモデルさ!)」  そうしてショーの直後に、あるブランドが公開した写真は、各界から絶賛された。  モノクロ加工が施され、色づいているのは澄み渡ったブルートパーズの瞳と、肌に刻まれた微かに見える官能的な赤いキスマークだけ。デザイナーの手書きでブランドのロゴとテーマが綴られた黒色の背景に、白い肌と身体を模る線がよく映えている。素肌にファーコートを羽織り、カメラから視線を外しているのは、日本人モデルだ。その美しさと危うさに、誰もが息を呑んだ。  期待の新星、瀬名泉に世界中が心を奪われたのだ。
 改札に向かう人々が足早に歩く。その足音と電車の出発を知らせるアナウンスが壁や天井にぶつかり、はねかえり、またぶつかって、絶えることなく駅を満たしていた。  その人混みの中に紛れて、ふたりは歩く。横に並んで歩いていたレオが急に立ち止まったことに気づくのに二秒かかって、その分遅れて泉は振り返った。  レオの目線は、壁の広告だけに注がれていた。少しだけ踵を返し、相変わらず細い手首を掴みながら、ちらりとその広告を見る。 「セナだ!」 まるで隠された宝物を発見した子供のように、レオは無邪気に笑った。 「うん、そうね。分かったから早く歩いて!」  足早に歩くサラリーマンや学生のうちの数人が、広告の前で立ち止まるふたりを煩わしそうに見ては、その横を通り過ぎていく。  泉はレオの手首を掴んだまま、出口に向かって歩き出す。 「ただでさえ電車が遅れて、あいつら待たせてるんだから急がないと」 「確かにあいつらには早く会いたいなぁ!」 「だったらさっさと歩く!」 しかし、レオが名残惜しそうに、泉が映った広告を振り返って見ているのが分かる。  一度強く手を引けば、レオは驚いたように泉を見た。 「……本物が隣にいるのに、満足できないわけぇ?」 嫌味ったらしく言ってやれば、レオは楽しげに笑った。 「どっちのセナも見てたいんだよ」 なんて言うのだから、やはり、レオの方が一枚上手だ、と思ってしまった。
 ふたりが着いた頃には、他の三人はすでに席についていて談笑していた。 「も〜、遅いわよ、『王さま』、泉ちゃん!」 子どもみたいにわざとらしく両頬を膨らませた嵐を、泉は呆れた目で一瞥する。 「電車が遅れてるって連絡したでしょぉ」 「俺たちは待ちくたびれちゃったんだけど〜」 凜月は頬杖をつきながら、司からメニューを受け取った。 「ともあれ! 久々に先輩方とこうして集まることができて嬉しいです!」 と、司はまだあどけなさが抜けない顔でレオと泉に笑いかけた。  泉とレオの帰国の報せを聞いて、五人で集まろうと言い出したのはもちろん司だ。自ら寿司屋の個室を予約し、五人のスケジュールを考慮しつつ日程を決めたのも司だった。 「leader、今までどこでなにをしていらっしゃったのか、ちゃんと説明していただきます」 レオの腕を掴んで自分の隣に座らせる司の背丈は伸び、精悍な顔つきになっていた。高校を卒業して二年が経つ。大学に行きつつ芸能界の仕事もこなすことが、彼をここまで成長させたのだろう。  レオは、そんな司に呆れたように溜息を吐きながら、さっそく日本酒を注文していた。 「聞いているのですか、Leader!」 「まぁまぁ、司ちゃんもなにか飲むでしょう?」 興奮気味の司の隣に嵐が腰を下ろしてそう宥める。  そんな彼らを見ていると、 「セッちゃんはこっち〜」 と、凜月に横から腕を引かれた。 「なぁに、くまくん」 「『王さま』とは向こうで散々イチャついたんでしょ」 「ちょっと、そういう言い方やめてくれない?」 横目で睨めば、凜月は楽しそうに笑った。  注文していたアルコール類が来て、機嫌を直した司が音頭をとる。 「それでは、Leaderと瀬名先輩の帰国と、Knightsの再結集に、乾杯!」 「かんぱ〜い」 グラスやお猪口を合わせ、冷たいそれらを飲む。泉の頼んだウーロンハイは飲みやすく、この一杯だけにしておこう、と思った。  凜月は慣れた手つきで自分のグラスに二杯目の日本酒を注ぐ。  泉と凜月の向かいに座る三人は、さっそく寿司に箸を伸ばしている。数貫を確保すると、凜月は、 「じゃあ本題ね」 と声を潜めた。 「いいもの見せたげる」  凜月はにやりと意地の悪い笑みを浮かべながら、嵐のカバンから新聞を取り出した。どうせ、コンビニで買ってからこれを入れるカバンを持っていないことに気づき、嵐に持っていてもらうように頼んだのだろう。  でもなんで新聞なんか、と疑問を口に出そうとした泉の前に、一面が広げられた。 「これ、読んだ方がいいよ」  凜月が指差したそこに大きく書かれたのは、”有名カメラマン、モデルらへの性的暴行で逮捕”の文字。その下には見覚えのある男の顔写真があった。 「別れて良かったねぇ、セッちゃん」 にやりと笑う凜月に、泉は眉間にしわを寄せながら、新聞を手にとってその記事を読む。  一緒に撮影していた男性モデルの複数人を襲ったらしい。被害者は皆新人モデルだというから、きっと、逆らったら仕事がなくなる、とでも脅されたのだろう。被害者の何人かが被害届を出したことで明らかになったそうだ。 「怖いのはさ、セッちゃんと別れてから、急にだからね」 ��そうだねぇ」  素直に頷けば、凜月は物言いたげに目を細めた。その虹彩の色は昔とまったく変わっていない。それだけじゃない、その風貌も18歳の頃とあまり違わない。  なにを言うでもなく、黙ってお互いを見つめていると、向かいから低い声がした。 「リッツ、」 は、と振り返れば、猪口に日本酒を注ぎながらレオが言葉を続ける。 「近すぎ」 凜月は悪戯を咎められた子どものようにぺろっと舌を出して、ごめんね、と謝った。  レオが顔を上げて、泉を見た。長い前髪の間から緑色の瞳が覗いた。その光に、泉はすぐに目を逸らす。ドク、ドク、と心臓がうるさく脈打った。  特別なステージの上や、幾度も重ねてきた夜に、泉だけに向けるそれだったから。  なんで、今、と鼓動が速まっていく。レオに向けられた熱がじわり、と泉を侵食していく。  それに気づかないふりを装って、泉は凜月からお酌してもらった日本酒を喉に流し込んだ。
9
 五人揃った飲み会は午前十二時ちかくにお開きとなった。司は家の使用人の、凜月は兄の、嵐はマネージャーの車で帰っていった。  なんとなく、レオと泉は迎えを呼ばなかった。どちらからともなく、ふたりは歩き出した。  夜の東京は明るかった。ロンドンのものとは違う人工の光が、今は止んだ雨で濡らされたコンクリートを照らす。 「三人とも相変わらずだったなぁ」 「れおくんは会うの二年ぶりだもんね」  頷いたレオは楽しげに笑う。その笑顔が相変わらず眩しくて、泉は目を伏せて微笑んだ。 「スオ~もすっかりでかくなって……」 「あいつ、れおくんが卒業式に来なかったこと、相当怒ってたよぉ」 「うん、説教された。最後らへんはほとんど呂律が回ってなかったけどな」 下戸の司は、レオに負けまいと意地を張っていつも以上に飲んでいた。崩れた敬語には、彼本来の子供らしさが露わになっていて、レオは微笑ましそうに司の説教を聞いていた。  スクランブル交差点の信号は赤だった。大勢の人々に紛れるようにして、泉とレオも立ち止まる。  通り過ぎていく車の窓に、ビルの光が反射した。タイヤの擦れる音に紛れて、繁華街のざわめきが聞こえてくる。  信号待ちをする若い女性たちの何人かが、スマートフォンの内蔵カメラを目線の先の大型モニターに向けていた。  それに、映像が映し出される。  数年前に日本進出を果たし、若者たちから人気を集めているイギリスの有名ブランドの広告だった。  ひとりの男がカメラを睨む。その細められた薄青色の瞳に、彼女らは溜息を吐いた。 「瀬名泉、ほんとかっこいいよね」 「それね〜、なんであんなに美人なんだろ……」  車が停まり、歩行者用の信号が青に変わる。仕事終わりのサラリーマンや、飲みに来ていた大学生たちが重い足取りで交差点を渡る。  レオと泉も、その人の波に押されるように歩き出した。 「美人だって」 レオが陽気に笑いながら、泉の顔を覗き込む。 「言われなくても分かってるでしょ」 そう言い返せば、うん、と彼は泉の手を取る。そんなふたりを、誰も見咎めはしない。 「おれがいちばん分かってる」 素面で言うのだからずるい、と思う。レオは酒に強いうえ、今日はそれほど飲んでいなかった。その顔にアルコールのせいの赤らみなどはない。  どこまで歩く、とは尋ねなかった。レオが満足するまで着いていこう、と思った。  ただひとつ分かるのは、二年前まで一緒に暮らしていたあのマンションの方向に向かっていることだけだ。 「セナ、あの家、売ってなかったんだな」 「俺の家なんだから売るわけないでしょ」 「でも、二年間の間、ほとんどあのカメラマンの家にいたんだろ」 「まだあいつの話する?」  するよ、と彼は言う。 「まだおれは怒ってるもん」 「俺だって、置いていかれたこと、まだ根に持つからねえ、レナード」 そう呼べば、彼は困ったように眉を下げて笑った。 「じゃあお互い様だ」  繋いだ手は熱い。彼が寒そうに吐いた息は白く、闇に溶けるようにして消えた。  人気のない跨線橋の上で、レオが立ち止まった。彼の目線の先、細い線路が延びていた。そびえ立つビル群、その屋上では赤いランプがゆっくりと点滅していた。  真冬の透明な空気のおかげで、ふたりを取り囲む世界は美しく、鮮明だった。  唐突に腕を引かれ、唇が重なる。  彼らの下を、電車が通過した。 「……また、撮られるよ」  冗談めかしにそう言えば、レオは細めた瞳で泉を見上げた。 「そうしたら、ふたりで駆け落ちしよう」 その表情がひどく真剣で、泉は目を逸らしながら、ばか、としか言えなかった。 「おれだけのセナだったのになぁ」 なんて言いながら、レオは泉の顎をなぞる。 「……俺は、昔も今も、あんたのものでしかないよ」 そう言い返せば、彼は驚いたように瞬きした。まっすぐに伸びたまつげが震えるように揺れた。  レオの右手が首の後ろの方に回って、もう一度、そっと顔を近づけられる。  泉は黙って、優しい口づけを受け入れた。  唇を離したレオは、愛おしそうに泉を見つめた。 「……セナに出会えて良かった」  絡めた指先から伝わる熱も、昔から変わらないその眼差しも、泉は心の底から愛している、と思った。 「愛してるよ、セナ」 「……俺も、」  恥ずかしさにその胸元に頭を埋めれば、どく、どく、とレオの鼓動が静かに聞こえた。レオが笑えば、その肌が震えた。  彼の心臓が作り出すリズムに身を委ねるように瞼を閉じる。  最終電車が金属音を立てながら、轍を残していく。その音と窓から漏れる光が遠のいていった。  瞼の裏に思い浮かぶのは、この電車が行き着く先————夢の残骸が散らばった砂浜と、その先に広がる大きく青い海だ。  きっと、あの水平線の向こうから、永い夜の終わりがやってくる。  終わらないでほしい、と願った幸せな夜も、哀しみと息苦しさに首を絞められた夜も、レオと熱い肌を触れ合わせ抱き合った夜も、ひとりで冷たい布団にくるまり目を閉じた夜も、いつだって永遠を感じさせた。  けれど、それとは裏腹に、夜は明ける。泉の幸せにも、涙にも、素知らぬ顔をして。音さえ立てず、ただ新しい光を引き連れて。  そんな夜明けが来るのを、寂しい、とも、待ち遠しい、とも思う。  赦されるとか、赦されないとか、世間の目とか世論だとか、そんなことはどうでもよかった。  この男が好きだ。  月永レオを愛している。  今はただ、それだけでいい気がした。 「セナ、」  絡められた指先が、切ないほど愛おしい。  手を引かれて立ち上がる。夜風に彼の赤毛が靡いた。  星の見えない夜に、レオの瞳だけが優しい輝きを放ちながら、揺れた。 「帰ろう」  れおくんがそばにいる、ただ、それだけでいい。  そう思いながら、温かい手を握り返した。  永い夜が、ゆっくりと、静かに、深まっていく。
◇ 20171210
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wings-of-l · 8 years ago
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毒女 (Dokuonna)
甘いネオンに飛び込む蝶の群れ 羽根の代わりにその髪を靡かせて
君は僕の毒女 月が太陽になれなんかしないんだよ この街 染められた 君の様に
ドレスを着飾り 誘惑 バラ撒いて 僕には見せない汚れた毒女
鏡の中 手放さない 君を隠す 口紅 悪い(いけない)趣味のアクセサリーとパフューム
今日は何色?明日には何色なの? 誰かが好きだってもてはやした
鼻を刺す香り 憎らしい香り 僕の好みじゃない 捻れた毒女
雪のように白い肌に 絵の具で描く 口紅 嘘でできたディクショナリーとヘドロの鞭
愛してる 逢いたい そのナイフ 明日には ねえ 誰に向けるの?
鏡の中 手放さない 君を隠す 口紅 悪い(いけない)趣味のアクセサリーとパフューム
君はまた髪を染めたね 僕の好みな色じゃない 誰のために染めたなんて聞かないけど
愛してるよ
本当に君は染まってしまったの? 僕と君の未来は何色?
A kaleidoscope of butterflies plunges into an enticing neon light Instead of wings, you can flutter* away with that hair
You’re my spinster The moon isn’t going to, say, change into the sun or anything This town Was tainted Like you
Getting pretty in a dress Seduction Scatter rose petals You won’t show me that corrupted spinster
I won’t part with What’s inside the mirror Lipstick That hides you Your bad tastes in accessories and perfume
What color is today? Tomorrow, what color will it be? “Someone likes it” is overreacting
The smell that pierces my nose That hated smell It’s not the smell I like You twisted things, spinster
You paint your skin, white like the snow, with lipstick colors A dictionary made of lies, and a whip of slime
I love you Want to meet you That knife Tomorrow, hmm Who are you meeting?
I won’t part with What’s inside the mirror Lipstick That hides you Your bad tastes in accessories and perfume
You dyed your hair again Not the color I like Though I won’t ask who you dyed it for or anything
I love you
You were really tainted, weren’t you? What color is our future?
*i wrote this as flutter because of the wings and butterflies, but the word Yuuki uses also can mean ‘to win over’
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apparelweb-collection · 8 years ago
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【2017年秋冬AFWT ハイライト5】レビュー後編/広がるスーパーミックスと再解釈
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(写真 ハイク)
2017-18年秋冬・東京コレクションでは英国趣味や柄ミックスが着姿に品格と華やぎをもたらした。服の前後を逆にするような、思い切った解体も登場。様々なアプローチで従来のおしゃれを再解釈する試みが相次いだ。欧米で広がるファッションショー見直しの動きを受けてか、会場選びが発表形式でも新たなトライアルが目に付いた。
◆ハイク(HYKE)
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もともとミリタリーやアウトドアにシンパシー(共感)を示している「ハイク(HYKE)」は「Amazon Fashion Week TOKYO」に初参加した。インスタレーション形式で発表したコレクションでインスピレーションソースとしたのは、ライダースジャケット、フライトジャケット、アウトドアクロージングの3つ。ただし、そのまま持ち込むのではなく、「ハイク」らしい解体や読み換えを施して、エスプリを利かせている。
ぶれないテイストがシーズンを追うごとにファンを増やしている。ウィメンズでこれほどミリタリー濃度が高いブランドは異色と言える一貫したテイストで、腰が据わっている。オリーブグリーンの見慣れたフライトジャケットには大胆なリモデルを試み、フロントファスナーを消してプルオーバー風にしたり、両袖をカットオフしたり。ヘルメットバッグをすっきり変形させたバッグも登場させた。
革のライダースジャケットも襟と袖をなくし、背中にファスナーを配した。アウトドアからはポンチョ風アウターを持ち込んだ。胸元にはアフガン巻きスカーフにも似た、首に巻いたナプキンのようなネックウエアをオン。クールなレイヤードを組み立てた。パンツスーツ風のセットアップも披露。ボトムスではレギンスライクな細身パンツの上からスカートを重ね、深いスリットからパンツを露出させている。
着丈の長いアイテムを重ねて、縦落ちイメージを強めている。セットアップのジャケットも着丈が長い。ロンググローブや付けハイネックなどの小物も使って、チラッと素肌をのぞかせる仕掛けは、フェミニンとギミックを響き合わせる演出だった。
◆ハナエ モリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)
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「ハナエ モリ マニュスクリ(Hanae Mori manuscrit)」の天津憂デザイナーは「不ぞろいの美」を押し出した。左右が均等な服はほとんど登場させず、徹底的にアシンメトリー(非対称)のシルエット美をうたい上げた。単に左右をずらすのではなく、異なる素材やディテールを1着の服に同居させ、着姿に静かなドラマを注ぎ込んでいる。
ワンピースの左右どちらかだけにプリーツやラッフルを配して、女性の多面性を示すかのように深い表情を引き出している。ドレスの肩は片側だけ素肌を露出。布を���めに走らせ、優美なドレープを生んだ。巧みにバランスをずらし、視線を誘い込む。斜めの落ち感がしなやかなボディーラインを印象づける。
ピンクベージュのつやめいた生地で仕立てたワンピースは流麗な着映え。クロップト丈のパンツスーツも提案した。特別なシーンだけでなく、デイリーにも使いやすそうなすっきりとしたシルエットのワンピースも用意し、バリエーションを広げていた。
量感を操って、ノーブルなたたずまいに仕上げている。袖先が広がったベルスリーブ、左右で極端に丈の異なるスカートを見せた。小物にウィットを利かせ、ブランドアイコンの蝶々はヘッドピースとしてあしらった。バッグに取り入れたのは、箱根名物の寄せ木細工。この木目モチーフはドレスにも迎え入れて、布と木のマリアージュを試していて、日本的な美を新しいかたちで表現していた。
◆ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)
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ケイタマルヤマ(KEITA MARUYAMA)」の丸山敬太デザイナーは、取り壊しが迫るソニービル(東京・銀座)の1階にある、日本初のロンドンパブ「PUB CARDINAL(パブ・カーディナル)」を舞台にプレゼンテーション形式でコレクションを発表した。真っ赤な内装は重厚感と華やぎがあり、「大人の社交場」のムード。妖艶な世界に浸り込める空間となっていた。
酒とおしゃべりを楽しむ「パブ」というシチュエーションにふさわしく、モデルたちはソファでくつろいでいたり、トランプを手にしていたりと、リラックスした様子で来場者を迎えた。デザイナーが主催したナイトパーティーに招かれたかのような形で、来場者は間近に新作を感じることができる。今回のテーマは「SWINGING」。その言葉が象徴する通り、遊び慣れた大人がナイトライフを楽しむような装いが披露された。
モデルがまとっていたのは、洋の東西を自然に融け合わせた装い。英国と中国のクロスオーバーが丸山流のつやめいたボーダーレスルックに導いている。ラメのニットやベルベットのワンピースがミステリアスな気分を立ちこめさせていた。
とりわけ目を惹くのは、鳥や花を刺繍したオリエンタルなモチーフ。お得意のチャイナドレスの新バージョンも見せた。一方、英国趣味もふんだんに盛り込まれていた。千鳥格子のトップスにボーダー柄スカート、レジメンタルストライプのアウターという英国柄のトリプルミックスも用意。名探偵シャーロック・ホームズを思わせる帽子も取り入れている。全体に漂うのは、ヴィンテージライクな風情。あでやかさとノスタルジーが重なり合って、時代を超えた大人の女性イメージを醸し出していた。
◆ミントデザインズ(mintdesigns)
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ランウェイショーではない、目新しい発表形式を選んだのは「ミントデザインズ(mintdesigns)」。2016年8月にオープンした、東京・青山にある路面旗艦店を舞台にした。ショーウィンドウに登場したモデルたちを来場者がショップの外からウィンドウ越しに眺めるという、インスタレーション形式で新作を披露した。
「She is so British...」というテーマ通り、英国テイストをふんだんに盛り込んだ。かわいらしくもおてんばな女性をイメージしているという。「じゃじゃ馬娘」の雰囲気はオーバーサイズのシルエットに写し込まれた。大半のアウターがダボッと羽織る仕立てで、伸びやかな気分のレイヤードに導いている。
英国調のバラ花柄や、ハウンドトゥース(千鳥格子)、グレンチェックなど、たくさんのブリティッシュモチーフをあしらった。生地の面でも英国志向を打ち出し、ヘリンボーン柄のツイードといった大人っぽい素材を取り入れている。ただ、単純に伝統的モチーフを迎え入れるのではなく、オリジナル柄を得意とするこのブランドらしく、配色や柄ミックスに工夫を凝らした。ライトグレーやローズレッド、サックスブルーがアクセントになって、ポジティブで若々しいムードが生まれている。
透ける生地やウール、ベロアなど、風合いや質感の異なる様々な素材を組み合わせて、レイヤードの表情を深くした。ストライプ柄の長いシャツ、布をたっぷり使ったロングスカートのような「長め丈」のアイテムを重ねて、縦落ち感を強めている。
コートの袖をまくり上げたり、ワイドパンツの裾を深く折り返したりといった小技が気負わないムードを寄り添わせた。メタリックゴールドのウイングチップは足元にグリッターを呼び込む。英国趣味を随所に生かしながらも、やんちゃなストリート感を交えて、自分らしさを主張したがるガーリー気分を宿らせていた。
◆ミューラル(MURRAL)
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昔のロンドンガールを思わせる懐かしげなルックを披露したのは、松村祐輔氏と関口愛弓氏が手がける「ミューラル(MURRAL)」。髪の毛をくるくるとカールさせたツインテールのモデルたちは、「NOSTALGIA」というテーマにふさわしく、古着っぽいムードを帯びた装いをまとった。ボーダー、チェック柄、レオパードを重ねるような、入り組んだ「柄on柄」が着姿をファニーに彩った。
ガーリー感とレトロ風味を巧みにねじり合わせている。小物や靴がキュートで元気なイメージを注ぎ込んだ。かつてのロンドンブーツを思い起こさせる、花柄刺繍入りのチャンキーヒール・ブーツが足元を飾る。履き口がのぞくソックスがガーリー感を高めた。パフィにふくらんだキャスケットも愛くるしい。
赤がキーカラーのチェック柄をあちこちに取り入れた。深く折り返したジーンズの裾にもチェック柄の別生地をあしらっている。ブーツを飾った花柄刺繍はフーディーやアウターにも登場。シャイニーなベルベットも着姿をつやめかせている。幸福の象徴であるハートが真ん中で割れたりずれたりしているモチーフも繰り返し用いられていた。
ミニワンピースをはじめ、初々しいムードのアイテムをそろえた。カットソーの上からキャミソールを重ねたり、首周りに細いリボンを巻いたりといったスタイリングにも愛らしさやコケット感が漂う。過去を振り返るだけの懐古趣味ではなく、ノスタルジーとモダンガーリーを交差させるアレンジがエイジレスな「大人少女」の雰囲気を醸し出していた。
新たなトレンドを打ち出すというよりは、既存のファッション表現にひねりやずらしを加えて、ムードをモダナイズする動きが広がった今回の東京コレクション。外国勢の参加が増えて、グローバル感が強まる中、各クリエイターは「東京で発表する意味」をあらためて問い直し、西洋の「モード文法」から自由な立ち位置を生かした「新・東京モード」を探り当てようとしていたように見えた。
Text by Rie Miyata
Photo by Ko Tsuchiya
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jollyjolly-hige · 4 years ago
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かきかけ。
以前上げた「本と蝶」のリライトです。
本を通じてソフィさんとティアちゃんが交流せんかなというアレ。
支部くらいしか置く場所なさそうな話を書いてしまうと非常に悩ましい。
が、まあこっちはちゃんと書き切りたいな…うん。(つまりぶつ切りで終わっている) 
 ひんやりとして潤いながらもどこか乾いている空気と甘いインク臭の中で、ソフィは目立たぬように深呼吸をした。
 王立クルブルク図書館。この国の知識は全てこの場所にあると言っても過言ではない。
 ここのところ討伐活動の続いている神の使いのために錬金術師たちは揃って回復薬を作り続けていて、この数日ビレッジから一歩も出ていなかった。ようやくその仕事がひと段落ついたので、一旦解散することとした。尤もビレッジとは言っても人も職人も揃っているから、それこそ工房で籠って実験に勤しんでいても日常生活にさほど困ることはない。ソフィにとって唯一難題があるとすれば、蔵書の数が少ないということくらいだ。手持ちの蔵書をビレッジの工房に持ち込もうかとも思ったが、闇の勢力と相対する神の使いの集落ともなれば、いつ何時敵襲が訪れるか分からない。大切なものだったら別のところに保管しておいた方がいいかもしれない。神の使いの少年は申し訳なさそうにそう言って、最後にごめん、と頭を下げた。あれは確か、ビレッジに移り住むことになって初日のことだったと思う。謝ることなどなにもないと答えたけれど、彼が自分の言葉をどう受け取ったかは今一つ実感が湧かなかった。
確かに、錬金術や魔法学の本は大抵が貴重な初版本であったり現在入手不可能な禁書であったりするので、失われれば全体の損失に繋がってしまう。だからと言って、神の使いが謝罪する必要はない。彼は彼の与えられた使命とライフを駆使してファンタジールのために働いている。召喚者たちもそれぞれに思いはあるだろうが、神の使いとなにも変わりはしない。各々自分のできる事で神の使いを助けている。――それを、あまり重く考えていないといいのだが。
 首に手をやって軽く回し、気を取り直して書架の間を静かに踏みしめていく。
重厚ながら本の取り出しやすさや保存状態に拘って作られた本棚は、かつての名工と呼ばれた大工によるものだろう。
歴史、古語、魔法、料理のノウハウ、物の書かれた読み物――最近は少しマンガも入れるようになったらしい――旅行ガイド、家具のデザイン、服飾の歴史、それから錬金術、医術。一つ一つの棚を丁寧に、確かめるように眺めるのがソフィは好きだった。一見自分に無関係そうに思える本でも、気になれば手に取って眺めてみる。思いもかけないところに錬金術のヒントが隠されていたりするものだ。それに錬金術の本というものは、入門書以外は暗号で書かれているものが圧倒的に多い。暗号と解くのに疲れてしまった時に読むための本、というものが必要だったりするのだ。
ここのところの忙しさも考えて、今日はものの本でも借りてみるかと踵を返す。
そう言えば、ここに来る前にせっつかれるようにディミエルにお勧め本だとリストを渡された。軽めの小説だと言っていたし、ちょうどいい。コートのポケットにしまったままのメモを取り出してタイトルを見た。
君に出会うまで。秋冬のソナタ。世界のすみっこで愛を叫ぼうと思ったら美少女が降ってきたのでそのままおつきあいすることになりました。他。
「……あいつ……」
出会ったばかりの頃ならまだしも、今これを渡されればこの書籍がどんな内容かは容易に想像がつく。見なかったことにしよう。丁寧にメモを折り畳みポケットに戻した。なんだか借りる気が失せてしまった。小さくため息をついて、ビレッジに戻ったら文句を言おうと決意する。確かに、軽めの読み物としては最適なのだろう。特に最後のタイトル――気負わずに読める本として、彼女なりに気を遣ったチョイスではあるのだろう。近頃の軽い読み物の傾向としてタイトルが長いものが流行っていると聞かされたばかりだ。それがディミエルにとっては易しい本でも、ソフィにとって愛だ恋だで世界を変革する物語は難解な錬金術の本よりもよっぽど難しかった。頭を使う使わない以前の問題だ。知らないし、分からない。関心を持つためにはどうしたらいいのかと問えば、自分を投影してみろと言われる。恋が全ての価値を凌駕してしまう世界のどこに自分の居場所があるのか。一度だけそういう本を読んでみたが、ソフィには一向に盛り上がりが分からずじまいだった。自分の背中に全てが乗っかっている状態で誰かを恋しく思えるというのは、これ以上はないほどの強靭な資質だと思う。
浮き足立って、プレッシャーに圧し負けて、一度目の昇格試験に落ちた苦い思い出は以前ほどではないにせよ、今でもソフィの一部を蝕んでいる。自己投影してみろと言われても、「私がその立場なら世界を滅ぼしかねないな」という感想しか出てこなかった。
 かと言って、せっかく進めてくれた相手に対してそうはっきり言うのもなんだと思って、「よく分からなかった」と答えてしまったのだ。分からないのなら何度でもトライアンドエラーを繰り返せばいいのよ、と彼女なら思うだろう。ソフィの本音を知っていたら、このリストは違うタイトルを並べたかもしれない。そのくらいの気遣いはしてくれるやつだ。
 ちゃんと説明しておくべきだったな……リストにある本を1冊も借りてこないのでは感じが悪いだろう。今日はもうこのまま帰ろうか。結局図書館には寄らなかったことにして、リストもどこかへ失くしてしまったと言ってしまおうか――ここに来ただけで何度目になるか分からないため息をついたソフィの目の前を、黒い羽がひらりと舞った。驚いて顔を上げるが蝶どころか虫の羽音も聞こえないほど図書館はしんと静まり返っている。考えすぎて幻覚を見たか? ……やはりビレッジに戻って休息を取るべきか? 忙しなくいろんなことを考えてしまうのも疲れているからだろうし。無意識にコートのポケットに手を入れると、しまったばかりのメモがかさりと音を立てた。
 ため息をつきそうになったソフィの背中から、「ちょっと」と声がして振り返る。
 黒い蝶――ではなく、銀糸の髪を二つ結びにした少女がわずかばかり目に怒りを籠めてソフィを見上げていた。
「そこ」
「え?」
「どいてちょうだい。いつまで立ってるの。そこの本が見たいのよ」
「っああ、済まない……考え事をしていた」
 そこの、と言われて、書架を見る。驚いたことに錬金術に関する書物が並んでいる。錬金術師ライフを希望しているのだろうか。後退して本棚の前を開けると、ありがとう、と言われる。そのことにも少し驚いた。
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shibaracu · 5 years ago
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●忌み言葉
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●忌み言葉 ◆いみ ことば【忌み詞・忌(み)言葉】 ① 信仰上の理由や,特定の職業・場面で使用を避ける言葉。不吉な意味の語を連想させる言葉が多い。例えば婚礼の際の「去る」「切る」「帰る」「戻る」「別れる」,お悔みの際の「重ねる」「重ね重ね」「返す返す」「再び」など。 ② ① の代わりに使う言葉。昔,斎宮(さいぐう)で「僧」を「髪長(かみなが)」といい,また,商家で「すり鉢」を「あたり鉢」,結婚式で「終わる」を「お開きにする」という類。 → 斎宮の忌み詞   ◆忌み言葉(いみことば) http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/nihongo/imikotoba.htm 縁起が悪いとかわっていくという話です。  植物の葦(あし)ですが、これは「悪し」(あし)と発音が同じですね。  ということでこの植物は「良し」と同じ発音の「葭」(よし)に  かえられてしまいました。葦と葭は同じ植物なんですね。  梨も「ありの実」と言いますよね。  スルメも「スル」と言うのが良くない、たちまち貧乏になりそうな名前だと  いうので、なんと「アタリ」メという言葉がでてきました。  飲み屋に行くとアタリメっていいますよね。  コチカメ(こちら葛飾区亀有公園前派出所)で有名になった「亀有」ですが、  これはなんと「亀梨」(かめなし)という地名だったんですね。  縁起が悪いとかえられていくという話でした。   ◆いみ 【忌み・斎】 〔動詞「いむ(忌)」の連用形から〕 ① 神に仕えるために汚(けが)れを避けて謹慎すること。 ② 死・産・血などの汚れに触れた人が一定期間,神の祀(まつ)りや他人から遠ざかること。 「 -が明ける」 ③ 避けるべきこと。方角・日取りその他,一般によくないとされていること。差し支え。はばかり。 「事の-あるはこたみはたてまつらじ/源氏 絵合」 ④ 他の語の上に付いて複合語を作り,汚れを清めた,神聖な,などの意を表す。 「 -斧」 「 -垣」 「 -鎌」 「 -竈(かまど)」 「 -場」 「 -柱」 「 -殿(どの)」 「 -服殿(はたどの)」 「忌み」に似た言葉» 類語の一覧を見る禁忌 タブー 禁物 禁欲 禁酒   ◆忌み・斎み(いみ)忌みの意味。・名詞 ①身を清め、言動を慎むこと。 ②穢(けが)れを避けて慎むこと。 (ア)服喪の期間。 (イ)出産の穢れを慎む期間。 ③はばかるべきこと。縁起が悪いこと。 基本的に生活圏に悪影響を及ぼす穢れを嫌い排除する事である。 台風や大雨、日照り、地震等自然災害も不浄、穢れとされ、地鎮祭など 祓えの儀式で清められ治まるとされた。   ◆神事における忌み 神宮等では、神事の際、忌火(いみび)と呼ばれる火を起こす。これは火がそもそも持つ性質、すなわち「他を焼き無くしてしまう」という性質が、一般的なケガレの概念、つまり「不浄」「不潔」同様、神や人間の結界、生活圏を脅かす「ケガレ」であるため、これを用いる際にそう呼ばれる。また火がケガレを伝染媒介すると考えられていた為、かまどを別にするなどの措置がとられた。古事記によるとイザナミは火の神(ホノカグツチノカミ)を産んだため陰所を焼かれ、それが元で死に、黄泉の国に下る事になる。 「近き火、また恐ろし<枕草子・せめておそろしきもの>」や、現在でも「マッチ一本火事の元」という言葉にあるように、危険物として火は認識されてきた。忌み火をオリンピックの聖火と同一視される事があるが、拝火文化は神道にない。本来神道における「火」はケガレである。よってそれを押さえる火伏せの神様、火坊尊(ひぶせのみこと)などの神様が信仰の対象になって来た。鎮火(火を鎮める)という表現もある。 例外もあるが、一般的に神道における死は穢れ(黒不浄)としての「忌み」であり、神はそれを嫌うとされる。よって神社内及び敷地内に遺体を持ち込んで葬儀をする事はないし、家庭の神棚は半紙を被せ神の目に触れないようにする。死(黒不浄)、経血(赤不浄)、出産(白不浄)は神様が嫌う不浄として避けられてきたが、この価値観は明治政府の近代化及び富国強兵政策によって大きく変わる事になる。 戦死をケガレから名誉に、個人の問題であった出産を「産めよ増やせよ」の国家事業に、そしてそれを遂行する女性を褒めるという事に対応するため、これまでの穢れ観と正反対の価値観が神道において成立した。これが「国家神道」である。明治以前の神道における穢れの基準は「延喜式」に詳しい。   ◆用例 忌み嫌う - 穢れを払う+嫌う。穢れを払う様に嫌う。忌避。 忌み名 - 清楚+名。清楚な名・神仏となった本当の名。(臣下、目下のものが口外するのを忌むべき)本名(諱)。 忌中 - ケガレの最中。 奈良時代の忌部氏(いんべし。後の斎部氏)は宮中の神事を行っていた。忌(いん)は清楚という意味でもあるが、平安時代以降はほとんどの場合否定的な意味に使用される。   ◆禁忌(きんき)  https://ja.wikipedia.org/wiki/禁忌 「してはいけないこと」の意。 ・タブーとしての禁忌には道徳的な含みがあるのに対して、他の用例では、技術的、科学的な根拠によって禁じられている。 ・宗教学、人類学用語としての禁忌→項目「タブー」参照 ・医療上の禁忌。不適当で患者の予後を大きく悪化させる術式、検査、投薬、調剤等を指す。絶対的禁忌と相対的禁忌の二つに分けられる。→en:Contraindication  ・併用禁忌データベース 併用すると危険をもたらす医薬品のデータベース  ・温泉の効能で特定の症例に対して逆効果があると考えられている場合、一般的禁忌症と表現される。→項目「一般的適応症」参照 ・禁忌品 - 古紙回収に出されると再生処理がうまくできなくなる物のこと。(禁忌品(きんきひん)) ・禁忌肢 - 医師国家試験などの試験の設問で、所定数以上誤って選択すると、他が全て正答であっても自動的に不合格・落第の判定となる選択肢 タブーとしての禁忌には道徳的な含みがあるのに対して、他の用例では、技術的、科学的な根拠によって禁じている。   ◆忌避(きひ) 広い意味ではあるものや事柄について嫌って避けることである。日本の法律においては、除斥事由には該当しないが、手続の公正さを失わせる恐れのある者を、申立てに基づいてその手続に関する職務執行から排除すること。 典型的な例は裁判における裁判官の忌避であるが、裁判官以外にも、裁判所書記官、鑑定人、通訳人、仲裁人、審判官などについても忌避の規定がある。 なお、手続の適正を図るために、一定の者を職務執行から排除する類似の制度として、除斥や回避がある。   ◆忌寸(いみき) https://ja.wikipedia.org/wiki/忌寸 684年(天武天皇13年)に制定された八色の姓で新たに作られた姓(かばね)で、上から4番目。 国造系氏族である大倭氏・凡川内氏や、渡来人系の氏族である東漢氏・秦氏など、元直(あたえ)姓などの11の「連」姓氏族が選ばれて、賜姓されている。   ◆八色の姓(やくさのかばね)  https://ja.wikipedia.org/wiki/八色の姓 天武天皇が684年(天武13)に新たに制定した「真人(まひと)、朝臣(あそみ・あそん)、宿禰(すくね)、忌寸(いみき)、道師(みちのし)、臣(おみ)、連(むらじ)、稲置(いなぎ)」の八つの姓の制度のこと。 『日本書紀』の天武天皇十三年冬十月の条に、「詔して曰はく、更諸氏の族姓を改めて、八色の姓を作りて、天下の万姓を混(まろか)す。一つに曰く、真人。二つに曰く、朝臣。三つに曰く、宿禰。四つに曰く、忌寸。五つに曰く、道師。六つに曰く、臣。七つに曰く、連。八つに曰く、稲置」とある。 天武天皇の国風諡号(和風諡号、わふうしごう)は、天渟中原瀛真人天皇(あまのぬなはらおきのまひとのすめらみこと)という。「真人」が使われており、八色の姓の筆頭にあげられている。   ◆小忌衣(おみごろも)   古代から伝わる、神事などに使用される上衣。『古事記』などに見える青摺衣の系統を引く。平安時代には新嘗祭および天皇の代始めの新嘗祭である大嘗祭と、六月十二月の神今食(これらはいずれも天皇が自ら祭祀を行う「親祭」)に供奉する貴族以下の官人が使用した。なお神今食のときは冠に心葉や日陰鬘をつけない。(『西宮記』ほか)これらの親祭では、占食といって亀占により選ばれた者が「小忌(小斎)」と呼ばれて神祭に奉仕した(これに選ばれない者は「大忌」-「大」は「凡」と同じで「一般の」の意味-と呼ばれ、祭の枢要に携わることはできなかった)。小忌衣とは主に小忌の者が用いることからきたことばである。 『忌』は神聖なことを表現しているとされる。 男女共に装束の上に羽織り、右肩から赤紐(赤黒紐の場合もある)を垂らす。神楽などの舞人は、邪魔になる為か、紐を左肩から垂らす。模様としては、白絹及び白麻地に青摺(あおずり)と呼ばれる山藍の葉の汁で、花鳥風月等の素朴な文様を書くのが一般的。袖が付いていないものと、袖付きのものがある。 各種の小忌衣について、院政期以降の規定に基づき説明する。 1・諸司小忌 身が二幅、袖が左右各一幅、計四幅のおくみのない垂領である。右肩に赤紐をつける。親祭当日に小忌の官人が下賜されて着用することからこの名称がある。参内後に下賜されると束帯の上に着て、裾まわりは石帯にはさみこむ。生地は、近世では麻を粉張(こばり。胡粉という白い絵の具を厚く引く)にして、「竜胆と尾長鳥」「梅と柳」などの摺文を施している。なお近世では赤紐で身分を表示した。大臣以上は本法組にして金泥で蝶鳥を描き、公卿は本法組で胡粉の蝶鳥を描き、殿上人は略本法組で胡粉の蝶鳥を描いた。いずれも板引である。「冷泉家の至宝展」図録に写真がある。 2・私小忌 身が一幅の盤領で、袖は左右各二幅。狩衣の裾の長いような形であるが、袖括はない。右肩に赤紐をつける。束帯の袍を着ずに、下襲・半臂の上に袍のかわりに着用する。神祇官人や大嘗祭の悠紀・主基国司などの、早くから神事に奉仕することが確定している者は親祭当日にも着用する。親祭で諸司小忌を下賜された者は、新嘗祭や大嘗祭の直会(祭後の宴会)にあたる節会に使用する。下賜品である諸司小忌に対して私弁であるために私小忌の名称を持つ。生地は、近世では麻を粉張にして、様々な文様を青摺にする。平安末期の記録によれば、大嘗祭の悠紀・主基国はそれぞれのそろいの文様を新たに定める決まりであり、南北朝時代の記録によれば吉田家では菊に水などの紋を用いるなど、さまざまな慣習が存在したようである。「冷泉家の至宝展」図録に写真がある。 尚、小忌衣の青摺は石清水八幡宮境内に自生する「ヤマアイ」が用いられる習わしとなっていた。 以下は、中世の記録には明確でないが、近世には制度的に確立していたものである。 3・如形小忌 諸司小忌の袖を略した形式。裃のようなもの。 身が二幅の垂領で、右肩に赤紐をつける。主に祭祀にたずさわる地下官人が使用。束帯では裾を石帯にはさみ、その他では裾をはさまずただうちかけた。生地は麻に粉張とし、青摺で主に梅と柳の文様をあらわした。赤紐は平紐で胡粉の蝶鳥を描いた。株式会社井筒所蔵品が「年中行事と宮廷文化のかたち」展図録に掲載される。 4・別勅小忌 天皇の神事服(御斎服)着装に奉仕する衣紋者の公家や、側近で世話をする議奏の公卿が使用した。重要な任務ゆえに占食と無関係に着用したのでこの名がある。衣冠の上に着ることが多く、その場合前は懐の「かいこみ」にはさみこみ、後ろはうちかけて着た。生地は麻の粉張とし、青摺で主に流水とわらびをあらわした。衣冠の上に着るものは普通赤紐をつけない。名称と衣紋者等の使用は『延慶大嘗会記』(後伏見上皇が弟花園天皇の大嘗祭を記録した日記)に基づくが、詳細な仕様は貞享四年の大嘗祭復興に際して新たに決められた。奈良女子大学に近世の遺品がある。 ※なお『代始和抄』(一条兼良)などに「出納小忌」の名称があるが、実態は不明で、近世では別勅小忌の(一説では如形小忌の)別名とされていた。 なお、采女のちはやは如形小忌であるが、近代では生絹に蝶を青摺し、赤紐はない。(近世の遺品が奈良女子大学にあるが、赤紐はないものの普通の小忌同様麻の粉張に青摺である) 東遊などの日本古来の古代歌謡を伴う舞楽に用いるものは私小忌と同型で、ただ赤紐が左肩につく。これは占食で選ばれるものではないので普通は小忌衣とはいわず、「青摺」と呼ばれた。五節舞姫も羅の青摺の唐衣を用いたが(ただし宝暦再興後の舞姫装束は古式を伝えていない)、これも普通は小忌衣とはよばれない。ただし青摺の神事服である点では小忌衣と同じ性格を持つといえるものである。   ◆命日(めいにち)(忌日から転送) https://ja.wikipedia.org/wiki/命日 ある人が死亡した日をいう。忌日(きにち)ともいう。死亡した年月日を歿(没)年月日(ぼつねんがっぴ)という。対義語は誕生日。 通常は、死亡した月を指す祥月と組み合わせて、一周忌以後の当月の命日である祥月命日(しょうつきめいにち)指すことが多い。祥月にかかわらない月ごとの命日を月命日(つきめいにち)という。 日本の仏教では、年12回の月命日に故人の供養を行い、一定の年数の命日には年忌法要(法事)が営まれる(年忌法要一覧を参照)。仏教に深く帰依したとされる光明皇后は、月命日ごとに法要が行われている。 50回忌以降は、50年毎に行っていたが、近年では、31回忌、33回忌、50回忌のいずれかをもって「弔い上げ」(戒名を過去帳に移し、お骨を土に返す)とするのが一般的になってきた。   ◆年回表・法事早見表・年忌法要 - 法事・法要・四十九日がよくわかる https://www.e-butsuji.jp/butsuji1-2.html 年回表(法事早見表). 仏教では法要を行う年が決まっています。 年の初めには、年忌法要を営む人がいるか家族で確認しておきます。 最近は法事を週末に営む人が多いので、お寺でも週末に法事が集中します。 早めに菩提寺の住職に希望日と時間を連絡しておくとよいでしょう。 週末に営む場合は、必ず命日より早めの日に行うのが慣わしです。 同じ年に法要が重なった場合、まとめて行ってもよいとされています。 法要を行う日は、早い法要月に合わせます。   ◆生没同日(せいぼつどうじつ) https://ja.wikipedia.org/wiki/生没同日 誕生日と命日が同じ日であること。   ◆忌宮神社(いみのみやじんじゃ)https://ja.wikipedia.org/wiki/忌宮神社 山口県下関市にある神社。長府(城下町エリア)のほぼ中心に位置し、仲哀天皇が熊襲平定の際に滞在した行宮である豊浦宮の跡とされる。 式内社で、旧社格は国幣小社。長門国二宮とされ、現在は神社本庁の別表神社である。飛地境内として国の天然記念物満珠島干珠島を有している。 また、魁傑將晃が現役時代、荒熊稲荷神社で九州場所の必勝祈願を行い優勝したことが縁となり、毎年11月3日の三日相撲に合わせて参拝する。荒熊稲荷神社脇には相撲資料館が併設され魁傑や大乃国康(現:芝田山)の化粧まわしや優勝杯、大銀杏などが展示されている。
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kachoushi · 2 years ago
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各地句会報
花鳥誌 令和5年4月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年1月4日 立待俳句会 坊城俊樹選 特選句
年賀状投函ポスト音を吐く 世詩明 大冬木小枝の先まで空を突く 同 猫寺の低き山門虎落笛 ただし 福の神扱ひされし嫁が君 同 石清水恙の胸を濡らしつつ 輝一 阿弥陀様お顔に笑みや秋思かな 同 去年今年有縁ばかりの世なりけり 洋子 潮騒の聞こゆる壺に水仙花 同 羽根をつく確かなる音耳に老ゆ 同 時々は絵も横文字も初日記 清女 初電話友の恙を知ることに 同 暁に湯気立ち上がる冬の海 誠 大寒のポインセチアに紅のあり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月5日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
初暦いかなる日々が待ち受けん 喜代子 おさんどん合間に仰ぐ初御空 由季子 病院の灯消えぬや去年今年 同 雪掻に追はれつつ待つ帰り人 さとみ 海鳴りや岬の水仙なだれ咲く 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月7日 零の会 坊城俊樹選 特選句
あをき空うつし蓮の枯れつくす 和子 蓮枯れて底の地獄を明るめる 軽象 枯はちす揺り起こすなり鐘一打 三郎 破れ蓮の黄金の茎の高さかな 炳子 枯蓮の無言の群と相対し 秋尚 弁天の膝あたたかき初雀 慶月 面差しの傾城名残青木の実 順子 男坂淑気を少し漂はせ 三郎 恵方道四方より坂の集まり来 千種 葬儀屋の注連縄なんとなく細い いづみ いかやきのにほひに梅の固くあり 要 枯蓮のやり尽くしたる眠りかな 佑天
岡田順子選 特選句
枯はちす揺り起こすなり鐘一打 三郎 鷗来よ枯蓮の幾何模様へと 俊樹 そのあとは鳶が清めて松納 いづみ 毛帽子にまつ毛の影のよく動く 和子 北吹けりもう息をせぬ蓮たちへ 俊樹 蓮枯れて水面一切の蒼穹 和子 人日の上野で売られゆくピエロ 三郎 石段に散り敷く夜半の寒椿 悠紀子 恵方道四方より坂の集まり来 千種 よろづやに味噌づけ買うて寒に入る 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月7日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
双六やころころ変る恋心 朝子 下の子が泣いて双六終りけり 孝子 短日は数が減るかもニュートリノ 勝利 歌留多とり式部小町も宙に舞ひ 孝子 小春日や生ぬるき血の全身に 睦子 骨と皮だけの手で振る賭双六 愛 京の町足踏み続く絵双六 散太郎 粛々と巨人に挑む年始 美穂 来世から賽子を振る絵双六 愛
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月9日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
双六の終着駅や江戸上り 時江 たかいたかいせがまれて解く懐手 昭子 てのひらの白きムースの初鏡 三四郎 火消壺母のま白き割烹着 昭子 木の葉髪何を聴くにも左耳 世詩明 街筋の青きネオンや月冱てる 一枝 姿見に餅花入れて呉服店 昭子 はじき出す男の子女子のよろけ独楽 時江 一盞の屠蘇に機嫌の下戸男 みす枝 初詣寺も神社も磴ばかり 信子 御降や傘を傾げてご挨拶 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月9日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
初明かり故山の闇を払ひゆく かづを 万蕾にある待春の息吹かな 々 小寒や薄く飛び出る鉋屑 泰俊 勝独楽になると信じて紐を巻く 々 仏の前燭火ゆらすは隙間風 匠 筆箱にニトロとんぷく老の春 清女 二千五百歩小さな散歩寒に入る 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
鋳鉄製スチームの音古館 宇太郎 始業の蒸気雪雲を押しあげて 美智子 溶けてなほ我にだけ見ゆる時雨虹 佐代子 失ふはその身ひとつや冬の蜂 都 寒灯下遺影に深く法華経 悦子 大木を伐られ梟去つたらし 史子 枯木立通り抜けたる昼の月 益恵
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月10日 萩花鳥会
人生の余白少なし冬の薔薇 祐子 裸木が絵になる空を展げゆく 健雄 山茶花や気は寒々と花紅く 俊文 守らねばならぬ家族や去年今年 ゆかり 一椀に一年の幸雑煮膳 陽子 故郷で一つ歳とる雑煮かな 恒雄 昼食後一枚脱いで四温かな 吉之 亡き人に届きし賀状壇供へ 明子 逆上がり笑顔満面四温晴 美惠子
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令和5年1月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
初生けを祝成人と命名す みえこ 薪焚の初風呂済ませ閉店す 令子 御降りに濡れても訪ひぬ夫の墓 同 初詣光􄽄現れて良き日かな あけみ 注連飾父の車の隅に揺れ 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月14日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
閼伽桶の家紋色濃し寒に入る 多美女 養生の大樹潤す寒の雨 百合子 勤行の稚の真似事初笑ひ 幸風 いつもならスルーすること初笑 秋尚 臘梅に鼻近づけてとしあつ師 三無 寒椿堂裏の闇明るうす 多美女 多摩堤地蔵三体春立ちぬ 教子 均しある土の膨らみ春隣 百合子 掃初の黒御影拭き年尾句碑 文英 悴んで顔を小さく洗ひけり 美枝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月15日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
飛石を跳ね蝋梅の香に酔うて 炳子 木道の先の四阿雪女郎 幸風 その奥に紅梅の蕊凜として ます江 黒き羽根なほ黒々と寒鴉 貴薫 不器用に解けてゆきぬ寒椿 千種 入れとこそ深き落葉へ開く鉄扉 同 谷あひに弥生の名残り水仙花 炳子 椿落つ樹下に余白のまだありて 三無 木道まで香り乱れて野水仙 芙佐子 寒禽の群を拒まぬ一樹かな 久子
栗林圭魚選 特選句
山間の埋れ火のごと福寿草 斉 空昏く寒林よぎる鳥の影 芙佐子 厚き雲突き上ぐ白き冬木の芽 秋尚 福寿草労り合ひて睦み合ひ 三無 そのかみの住居跡とや蝶凍つる 炳子 水仙の香を乱しつつ通り抜け 白陶 入れとこそ深き落葉へ開く鉄扉 千種 竹林の潤み初めたる小正月 要 椿落つ樹下に余白のまだありて 三無 せせらぎのどこか寂しげ寒の水 白陶
(順不同特選句のみ掲載) ���……………………………………………………………
令和5年1月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
若きより板に付きたる懐手 雪 北窓を塞ぎさながら蟄居の間 同 昨夜の酔ひ少し残るや初鏡 かづを ���頭竜や寒晴の綺羅流しゆく 同 除夜の鐘八つ目を確と拝し撞く 玲子 初明り心の闇を照らされし 同 一点の客観写生冬の句座 さよ子 翳す手に歴史を語る古火鉢 同 笑つても泣いても卒寿初鏡 清女 餅花の一枝華やぐ奥座敷 千代子 年賀状手描の墨の匂ひたつ 真喜栄 若水を汲むほどに増す顔のしわ 同 裸木村は大きな家ばかり 世詩明 春炬燵むかし昔しの恋敵 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月18日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
水仙や悲恋の話知りしより 啓子 堂裏の菰に守られ寒牡丹 泰俊 餅花やなにやらうれしその揺れも 令子 左義長の遥けし炎眼裏に 淳子 寅さんを追つて蛾次郎逝きし冬 清女 飾り焚く顔てらてらの氏子衆 希子 御慶のぶ一人一人に畏みて 和子 眉を一寸引きたるのみの初鏡 雪 初髪をぶつきら棒に結ぶ女 同 束の間の雪夜の恋に雪女 同 マスクして睫毛に化粧する女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月20日 さきたま花鳥句会
凍星や夜行列車の窓あかり 月惑 葉牡丹や鋳物の町の鉄の鉢 一馬 どら猫のメタボ笑ふか嫁が君 八草 小米雪運河の小船音もなく 裕章 老木に力瘤あり春隣 紀花 竜神の供物三個の寒卵 ふゆ子 医学書で探す病名寒燈下 とし江 おごそかに雅楽流るる初詣 ふじ穂 人のなき峡の華やぐ柿すだれ 康子 小正月気の向くままの古本屋 恵美子 寒梅や万葉がなのやうに散り 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
福引の種考へてゐるところ 雪 枯れ行くは枯れ行く庭の景として 同 懐手して身も蓋も無き話 同 思ひ遣り言葉に出さぬ懐手 昭上嶋子 言ひかねてただ白息を吐くばかり 同 きさらぎや花屋はどこも濡れてをり 同 父の碑を七十余抱き山眠る 一涓 藪入りを明日に富山の薬売り 同 人日や名酒の瓶を詫びて捨つ 同 一陣の風に風花逃げ廻る 世詩明 安座して児の母となる毛糸編む 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月22日 月例会 坊城俊樹選 特選句
舞ひ上がる金子銀子や落葉掻 千種 春近し湯気立つやうな土竜塚 昌文 寒林や父子のだるまさんころんだ 慶月 紅梅のどこより早く憲兵碑 同 冬帝に囲まれてゐる小さき者 いづみ 出征を見送る母子像の冷え 昌文 青銅となりて偉人は寒天に 千種 火の雨を知る大寒の展示館 いづみ
岡田順子選 特選句
狛犬の阿形の息を白しとも 俊樹 勾玉のほどけ巴に冬の鯉 千種 ただ黒し桜ばかりの寒林は 同 ボサノバを流し半熟寒卵 慶月 石に苔泥に苔あり日脚伸ぶ 和子 息白く母子像見てひとりきり 俊樹 寒林の一木たるを旨とせり 晶文
栗林圭魚選 特選句
冬の雲弛びそめたり大鳥居 要 朽木より梅百蕾の薄明り 昌文 ボサノバを流し半熟寒卵 慶月 能舞台脇座に現るる三十三才 幸風 日向ぼこして魂は五間先 俊樹 霜柱崩れ鳥居の崩れざる 同 青銅となりて偉人は寒天に 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年1月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
大枯野太古は大海だつたかも ひとみ 初景色常の神木よそよそし 美穂 椰子の実のほろほろ落ちて神の留守 孝子 緋あけ色の空へ音ひき初電車 美穂 嫁が君大黒様の手紙持ち ひとみ おんちよろちよろと声明や嫁が君 睦古賀子 歌留多取対戦するは恋敵 睦吉田子 水仙はシルクロードの香を含み ひとみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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cosmicc-blues · 5 years ago
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1月と2月をふりかえる
☆年明け早々にみた鈴木清順の『けんかえれじい』は、新年を祝うに相応しい祝祭的な映画だった。年越しそばを食べ損ねたことなどすっかり忘れてしまい、生まれつきの笑顔になった。
☆お正月にみたい一本としてオーソン・ウェルズの『フェイク』も会心の出来だった。ミシェル・ルグランの音楽も素晴らしかった。
☆イーストウッドの『ブロンコビリー』も最高だった。国旗をパッチワークして作られたテントには泣いてしまった。エンディングのショーは、やってることはオープニングと全然変わらないのに、なんだろう、この感じは。
○ティム・バートンの『バットマン』は退屈だったけれど、『リターンズ』にはぶっ飛ばされたね。まさに狂人たちの宴。こんなに気持ち悪い映画が世間に受け入れられてるうちは人類はまだ大丈夫だと思う。
☆増村保造の『大地の子守歌』はとにかく気合いの入った映画。好きな映画は気合いの入った映画です。
○サム・ライミの『スペル』も気合いの入った映画だった。サム・ライミの気合いは始終意味に先立つフィジカル的な気合いに集約されていて、映画のザラザラした質感というやつを体感させてもらった。信用に足る監督だと思ったので、スパイダーマンとかも買ってみた。
☆ルイス・ブニュエルの『皆殺しの天使』は、まだまだ正月の祝祭は続くよ。これぐらいの気合いを入れて日々の生活もやっていきたいものだ。この映画は皮肉でもシュルレアリスムでもありはしません。このバカげた部屋からいちぬけっぴってできるのは死んだひとだけですよ。祝音! 懸命に生きて、懸命に祈ろうではありませんか。
吉田喜重の『樹氷のよろめき』というより、吉田の映画全般は、たぶん退屈なのに、あの白い画面に魅せられて、ふしぎとまたみようと思ってしまう。
○根岸吉太郎の『サイドカーに犬』は、もともと長島有の小説が大好きで、そしたら映画もとてもよかった。キャッチボールのショットも、自転車の練習のショットもよかった。なによりも、これはきっと監督の意地だろうけど、原作にはいない樹木希林の立ち振舞がヤバかったです。
ジュリアン・デュヴィヴィエの『パニック』はミシェル・シモンの持ち腐れ。
○ロバート・レッドフォードの『夕陽に向かって走れ』はとても素晴らしかった。男も女も死んでしまって、つまりは悲劇なのにもかかわらず、まったく負けていないという類稀な気合いの入りよう。マックス・オフュルスの『忘れじの面影』やラオール・ウォルシュの『死の谷』のような映画の系譜に連なる。
ロバート・アルトマン��ザ・プレイヤー』は面白くなくはなかったけれど、なんだか不満が残った。
○マーク・グリフィスの『マックスの冒険~インカ帝国の謎』は、ほんとうに素晴らしかった。映画の呼吸というやつを肌で感じた。マチュ・ピチュに連なるジグザグの山道を観光バスはうねうねと迂回しながら走ってゆき、その毎回の遠回りのたびに、現地の少年が山間の抜け道を駆けてバスに追いつくパフォーマンスは、まるでキアロスタミのジグザグ道三部作をみているようだった。
○M.ナイト・シャマランの『レディ・イン・ザ・ウォーター』は薄板一枚のノーランドの城のような映画だったけれど、すこぶる面白かった。シャマラン監督自身のすっとこどっこいな演技もよかった。監督主演でもいけそう。
○アルノー・デプレシャンの『あの頃エッフェル塔の下で』は、スパイ・サスペンスがいつのまにか熱いラブ・ストーリーなっている「なんだったんだろう」感がよかった。
○アクセレイ・ゲルマンの『フルスタリョフ、車を!』は、スコセッシの言うように「何が何だかわからないが、すごいパワー」だった。この映画を評するこの言葉がスコセッシの近年のベストだと思った。
○黒沢清の『勝手にしやがれ~脱出計画~』は、すでに紛うことなき黒沢清だった。波乱がありながら船で脱出するシークエンスは後の『回路』に通ずるのか。
○加藤泰の『緋牡丹博徒〜お竜参上〜』は、飛びぬけて光るものはないながら、各ショット、各ショットで高水準の演出がなされていて大いに満足だった。
ジャ・ジャンクーの『四川のうた』は一瞬も気の抜けない張り詰めた画面に釘付けになっていたけれど、途中で寝た。結果、翌朝もういちどみる羽目になった。『長江哀歌』の連続うどんのような、えー?! まだ、まだやるのー?! 的な演出がないのは残念だった。
☆ジョニー・トーの『冷たい雨に打て、約束の銃弾を』は、最高・オブ・ザ・最高の映画&仲間たちだった。友達(広義の)にはこんなふうに接したいと切に思った。
フランシス・フォード・コッポラの『ワン・フロム・ザ・ハート』はコッポラでもこんな退屈な映画を撮るのかと思うと安心した。というか『コッポラの胡蝶の夢』をまえにすれば古今東西すべての映画が退屈ということになってしまう。
☆清水宏の『有りがたうさん』は、いや、そんなことはなかった『コッポラの胡蝶の夢』と同じぐらい素晴らしい映画もある、ほんとうに素晴らしい映画とは『有りがたうさん』のことだ!
ジョージ・マーシャルの『ゴースト・ブレーカーズ』は、たまには映画の敷居を下げてやろうと思ってみた、いわゆるB級ホラーだけれど、ふつうにしっかりと素晴らしい映画だったので、当時のハリウッドは凄かったんだなあと頭を下げた。
○スタンリー・ドーネンの『星の王子さま』は色々と不満だらけだったけど、こんな映画を肯定したいと思った。
☆ベニー・マ��シャルの『プリティリーグ』は最高という言葉ではとても言い切れないぐらい最高だった。野球と映画の素晴らしさのすべてを物語っていた。
○キム・ギドクの『受取人不明』は、センセーショナルで湿っぽいだけの映画だったらイヤだなあと構えてみはじめたら、思いのほか気合いが入っていて安心した。サティのジムノペディもいい味をだしていた。
『アンディー・ウォーホルのBAD』は寝た。
ジョン・カーペンターの『マウス・オブ・マッドネス』は、カーペンターは面白くない映画を撮れない病いにかかっているのでは? と思わずにはいられなかった。マジで全カーペンターフィルムがサイコー! あとトニースコットも!
オットー・プレミンジャーの『帰らざる河』は、それなりに楽しんでみたけど、おなじ河下りならジョン・ヒューストンの『アフリカの女王』のほうがよっぽどいい。
☆チン・シウタンの『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』にはたまげた。最高だった。ふざけているのか、律儀なのか、とにかく最高だった。はじめは光量過多で、ちゃんと光線処理ぐらいしろやと思っていた画面が、最後には光線を防ぐ展開に。そもそも死者のために命を張るというすっとこどっこいでありながら胸を打たれずにはいられない愛と真実の物語。サイコーでした。
○チャールズ・ロートンの『狩人の夜』は、カルト映画というふれこみだけれど、どこまでも地に足のついたアメリカ映画の底力を示すような映画だと思った。それすなわち最高の映画。そもそも専門の映画監督ではないチャールズ・ロートンがぽっと出であんなに素晴らしい画面を撮れるのはハリウッドで培われた撮影班の技術の高さ窺わせずにはいられない。それはそうとして、シネスコープ時代にあえてスタンダードを選択する美意識や、見事なまでのケツアゴのロバート・ミッチャムを狂った神父役に抜擢するあたり、チャールズ・ロートンの映画監督的な才気を感じさせる。
☆小津安二郎の『生まれてはみたけれど』、動くな、死ね、甦れ!
エルンスト ・ルビッチ の『生きるべきか死ぬべきか』は超絶面白かったけれど、ルビッチのなかでは面白くないほうだった。
アクセレイ・ゲルマンの『我が友イワン・ラプシン』は、わけがまったくわからないまま寝た。
☆マノエル・ド・オリヴェイラ の『コロンブス〜永遠の海〜』は素晴らしすぎて二回みた。いきなり老人になったショットの背景で噴水の水が乱れ発射していたのには爆笑した。
大島渚の『悦楽』はひたすら退屈だった。
ジョセフ・フォン・スタンバーグの『上海特急』はけっこう楽しんでみた。線路上に居座る動物たちの姿が忘れがたい。
○塩田明彦の『カナリア』もセンセーショナルで湿っぽそうな物語だからと警戒していたけれど、冒頭の車が田んぼに脱線するショットでもう信用に足ると心を許した。西島秀俊の佇まいをはじめ、立教チームの気合いのほとばしる映画だった。
北野武の『座頭市』は、やってることは明け透けもなくわかりやすいのに、なんでこうも納得させられてしまうんだろう。北野の映画はどれもとても好きで抵抗ができない。とくに、あの夏、も、菊次郎も、キッズリターンも、言葉を封ずるファシズムのような映画だ。唯一まとも、というか退屈だったのは『その男、凶暴につき』だけだ。
サム・ライミの『死霊のはらわた』は、スプラッターなんて造語に支配されて過小評価されている映画だと思った。
☆オーソン・ウェルズの『不滅の物語』は、嘘かほんとうか知らんが60分足らずで不滅の映画を撮ってしまったウェルズに映画はどう向き合えばいいのやら。『市民ケーン』が新たに生み出した数々の映画的文法も、『黒い罠』の冒頭の類い稀な長回しも、カフカの魔術的な映画化も、ウェルズにとってみればただのお遊びにすぎないのではないか。これだけは確かなのは、ウェルズを心の友と思っている。『フェイク』のミシェル・ルグランに続いて、こんどは音楽がサティの数々、ウェルズはやっぱり心の友だ。
ルイス・ブニュエルの遺作、『欲望の曖昧な対象』は列車のなかでの回想の物語。初対面のたまたま居合わせた乗客に身のうちばなしを話し聞かせる。ブンブン飛びまわって目障りながら誰の手にも叩き落とされない自由でしぶとい映画。
ロー・ウェイの『ドラゴン危機一髪』は、とても素晴らしく楽しい映画だと思ってみていたけれど、終盤にかけて大いに不満が残った。とはいえ、ロー・ウェイの画面はけっこうよくて、ブルース・リーの型もすんごいので、ほかのもみてみたい。
○ウディ・アレンの『タロットカード殺人事件』は最&高! 見直した! ウッディ・アレンといえば、いっつも演算的でそこそこ面白いけれど、だいたい70点的な映画を量産している監督としてバカにしていたのが今回みたので見直した! 300億万点! いきなり死神の大ガマが三途の川を渡っているのだけでなんか違うぞと思った。さらにはスカーレット・ヨハンソンのすっとこどっこいな立ち振る舞いに胸熱! 稀代の名女優、キャサリン・ヘップバーンに迫る勢いの気合いの入った名演技だった。最後の最後に犬神家の沼から蘇ったかのような濡れ姿にはサイコー! と絶叫した。ウッディ本人も死んで三途の川を渡ってもなおマジックを披露する気合いの入りよう。楽しかったあ。
☆長尾直樹の『さゞなみ』には顎が外れた。なんと、あの『鉄塔武蔵野線』の監督。というばかりではなく、この映画はまちがいなく小津安二郎〜エドワード・ヤン〜ホセ・ルイス・ゲリンらの系譜に位置している!
鈴木清順の『野獣の青春』は、とても面白かったけれど、清順映画のなかでは普通と言わざるを得ない。
○ニール・ブロムカンプの『チャッピー』はマジでサイコー! 気合いが入っている! 気合いが入っているよ! こういう気合いの入った映画が好きなんです! さらにそれだけではなくて、贅沢! とても贅沢な映画! これからさらに話が大きくなるようなところで「ここから先は俺たちの未来だぜ」みたいな感じで幕が閉じる。贅沢だねえ〜。
ロレンツォ・ドゥマーニの『ストーリーブック〜屋根裏の魔法使い〜』は、すごいいいかげんなんだけど、随所で映画の息吹きを感じて大いに満足だった。
○ディエゴ・レルマンの『ある日、突然』は、宣伝文��ジム・ジャームッシュとかヴィム・ヴェンダースとか書かれていて(二人とも好きな監督だけど、さほど面白くもない)大丈夫かな〜? と思いながらみはじめたら、すごい素晴らしくて感激した。いい映画には必ず踊りがあるって持論があるんだけど、この映画でもシワシワのばあちゃんがいきなりイカしたダンスを踊る。
☆イ・ジョンヒャンの『美術館の隣の動物園』は、最高すぎて抱きしめたくなる映画だった。全ショットがチャーミングなんだけど、毎回のこと車が揺れて、ワー! オー! となるのが大好き。
ゴダールの『ウィークエンド』は、頑張ったけど最後のほう寝た。
ジャッキー・チェンの『笑拳〜クレイジーモンキー』は、ジャッキーのアクションはアクションというよりアステアのタップダンスのようだった。
サミュエル・フラーの『東京暗黒街 竹の家』はすこぶる面白かったけれど、サミュエル・フラーらしい不屈の気合いはなかったような気がした。
クリスチャン・ナイビーの『遊星から物体X』は、飛行機に人間と犬がいっしょになって押し込められているのに癒された。
ソウル・バスの『フェイズⅣ 戦慄!昆虫パニック』は、退屈に振れそうなんだけど、ギリギリで面白く、尚且つ忘れがたい映画として今後も思い出されるような気がしている。
○ダグラス・サークの『世界の涯てに』は、必ずしも好みの話ではなかったけれど、映画としての強度にぶちのめされた。1937年の映画で、しかも、サークとしては初期の作品なのにもかかわらず、この凄まじいまでの強度はいったい何なのか。さしあたってサークの未見の映画は手元にないので、そのほかの1950年代以前の映画をもっとみたいと改めて思った。
○フリッツ・ラングの『飾窓の女』は最高だった。愛おしい映画。ティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』やイーストウッドの『ジャージー・ボーイズ』以降にみられる伝記映画に感じるような映画への優しい眼差しがそこにはあった。
○ラオール・ウォルシュの『夜までドライブ』も驚異的な面白さだった。ただひとりだけ、救われないひとがでてくるのには胸を痛めたけれど、そのひとはもっとも鮮烈な演技で画面に収まっていた。
○ルネ・クレールの『沈黙は金』は宝物のような映画だった。同じ傘映画としては本邦の『鴛鴦歌合戦』に軍配が上がるけれど、これもほんとうに素晴らしい。
○ハワード・ホークスの『脱出』も会心の出来だった。ホテルのラウンジでひとりずつひとりずつ楽器を鳴らしてゆくあのアンサンブルには痺れた。
○ベルナルド・ベルトルッチの『魅せられて』は、ヨーロッパらしい静かな映画なのかと思いきや、いきなり手ぶれカメラにアメリカのロックナンバーが流れてはじめて笑ってしまった。そうかと思うと、こんどは印象通りのヨーロッパらしい静かな画面へ展開してゆく。ときどき、そんな画面を不意打ちするかのようにアメリカらしい楽天的な演出が紛れ込む。そして恋する二人はアメリカへ行くことを決心する。同じイタリアの監督はセルジオ・レオーネの『夕陽のギャングたち』を思い出さずにはいられなかった。あの映画では友情を結んだ男二人がメキシコからアメリカを目指す。二人がアメリカ行きを決めたとき、もう少しヨーロッパ的な画面に留まっていたいと思ったのは内緒のはなしだ!
☆はとにかくよかった映画、○はとてもよかったけれど☆とは若干の差を設けておきたい映画としている。
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mamamaison2009 · 6 years ago
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大好評 葉ちっくつまみ細工8月は『羽織紐』です。 アレンジ次第でネックレスにもなる優れものです。 (写真参照) ※画像で使っているビーズが廃盤になったため別のビーズに変更になります。当日選んでもらいます。(写真参照) ※布の色は白基調(写真参照) ※色のついた布は選べるように持って行きます。 裏表につまみを貼るため、つまむ数が多い作品です。 2時間~2時間半を目安とし、出来なかった部分についてはおうちで仕上げとさせていただきます。 参加費:5400円(講習費+材料費+ドリンクつき) ドリンクは美味しい煎茶(水沢茶)をアイスで飲み放題! お弁当をオーダーしますので希望の方は 12:00にお越しください。(お弁当代は別途料金確認中) //////////////////////////////////////// 日時:8月18日(土)13:00~ 場所:交野市私市4-18-5 京阪河内森下車5分 講師:葉ちっく(藤田葉子) 定員:8名 当日は葉ちっく 葉子先生の本の販売もあります。 もちろんサイン付きですよ。 お申込みはこちらのイベントページの参加申請ボタンをポチっとお願いします。 //////////////////////////////////////// 『つまみ細工とは…』 つまみ細工は江戸時代から伝わる日本の伝統工芸です。 小さな四角い布を折りたたみ、お花や蝶、鳥など、 様々なものを模りました。 日本髪が結われなくなった現代でもその意匠は残っており 七五三や成人式といったハレの日に 髪飾りとしてつまみ細工を使ったことのある方も多いと思います。 また舞妓さんの花簪もとても有名ですね。 現在では作り方も素材も様々になり ハンドクラフトのひとつとして人気急上昇中です♪ そして縫う作業がないので、お裁縫が苦手な方にもおすすめの手芸なのです。 葉ちっくでは、伝統的な手法をオリジナルアレンジし はじめての方でもなるべく簡単に綺麗につまめるよう 工夫しています。 不器用さんにもぜひ挑戦して頂きたいです! 普段は絹(着物のハギレ)を使っていますが 今回は「まま・めぞん」さんの手ぬぐいハギレを使って 世界にひとつのオリジナルつまみ細工を作って頂きます!! まさに、まま・めぞん×葉ちっくコラボスペシャルです!! 基本のつまみ方で、お花と蝶々と1つずつ制作。 布はハギレから好きなものをチョイス! 全て色を変えてもいいし、選び方はあなた次第です♪ 皆でわいわい楽しくつまみましょう(^O^)/ 【葉ちっく 藤田葉子さんプロフィール】 岡山県出身。動物が大好きで、今はフェレット2匹と一緒に暮らしている。 成安女子短期大学 造形芸術科イラストレーション専攻 卒業 2005年より独自の手法でつまみ細工を始める。 きっかけは、友達が持っていた穂積和代先生(伝統工芸士)の著書。 自分用にと作り始め、次第に手作り市に出店するようになる。 現在ではは関西を中心に各地で教室を開催。 着物はもちろんお洋服にも使いたくなる可愛くて楽しい作品作りを目指してます。 《教室》 きもの六花 くるり大阪 JEUGIAカルチャー よみうり文化センター カルチャーハウス香里ケ丘 大阪サンセイ 他、多くのカルチャー様や着物店にて開講中♪ 百貨店、雑貨店などでのワークショップも開催しています。 《BOOK ・ ITEM》 クロバー(株)「つまみ細工プレート」製作協力及び作品提供 「優しく作れる ちりめんの飾り物と吊るし飾り」 日本ヴォーグ社 2012年(作品提供) 「つまみ細工でできるオシャレな小物」 誠文堂新光社 2012年(共著) 「つまみ細工でつくる季節のお花」 PHP研究所 2016年(著書) HP http://yo-chick.ocnk.net/ FB https://www.facebook.com/tsumatsumayochick ブログ http://yochick.exblog.jp/ ツイッター https://twitter.com/infoyoko インスタ yochick_yokochan #ままめぞん #葉ちっく #つまみ細工 (大阪交野古民家のてぬぐい屋カフェ まま・めぞん)
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caramelcubechocolat · 8 years ago
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☆**CARAMEL MUSEUM情報  CMお品書きご紹介♡**☆
こんにちは!キャラメルキューブです(*‘ω‘ *)
遂に……...
開催まで,,,,,,,,
残すところ
☆後6日☆
となりました♡❤︎♡❤︎♡❤︎♡❤︎♡❤︎
3月17日~4月3日の18日間、池袋P’PARCOさん 1Fにて開催する
♦ハンドメイドの博物館♦
☆**CARAMEL MUSEUM**☆
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開催発表・前回のご様子はこちら☆
☆**CARAMEL MUSEUM 作家様配置図**☆情報はこちら♬
☆**CARAMEL MUSEUM ご参加作家様リスト**☆情報はこちら♥
お迎え品フォトコーナー&前回のお迎えフォト情報はこちら^^
会場内.ピアス⇄イヤリング交換サービス情報はこちら。**
☆**CARAMEL MUSEUM**☆イベントハッシュタグ
#CARAMEL_MUSEUM
この度のご投稿では、
キャラメルキューブイベント前の恒例BLOG♪♪♪
ご参加作家様・サークル様からお届け頂いた
・**。+お品書き。**・
を一挙にご紹介させて頂きます(´▽`*)
☆**CARAMEL MUSEUM**☆ ご出品作品を
一足早く!
一挙に!!
ご紹介しておりますので、
是非お気に召す作品を事前にチェックして頂ければ嬉しく思っております❤
スペース番号も合わせてご紹介しておりますので、配置図と合せてご覧くださいね♡
そしてこのお品書きにない作品は、
イベントハッシュタグ
[#CARAMEL_MUSEUM]
の方でご紹介頂いております(^^)v
是非こちらも合わせてご覧くださいませ!! ☆(ゝω・)v
※本投稿は写真掲載数が多いため、 ゆっくりご覧頂けるPCからご覧頂く事をお勧めいたします*
携帯からですとご覧いただくにくい場合がございます、
予めご了承ください<(_ _)>
 
☆**CARAMEL MUSEUMお品書き♡**☆
スペースC
全日(3/17~4/3)ご参加
前半 (3/17~3/25) ご参加
後半 (3/26~4/3) ご参加
スペースM
全日 (3/17~4/3) ご参加
1.2部 (3/17~3/28) ご参加
2.3部 (3/23~4/3) ご参加
1部 (3/17~3/22) ご参加 
2部 (3/23~3/28) ご参加
3部 (3/29~4/3) ご参加
* 瑠璃様 *
CMスペース番号:M2部・M-8
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*一言コメント*
”儚くて美しい” そんな思いを胸に 一つ一つ手づくりで作られたアクセサリー 繊細なガラスや雪の結晶のように 溶けてしまいそうな、 壊れてしまいそうな、 そんな結晶や欠片などを 使用した作品たち Instagram ruri21gn Twitter ruri_21gn
* moon rabbit*様  *
CMスペース番号:M1部・M-16
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*一言コメント*
moon rabbit*かぢりと申します。 宇宙モチーフやグラデーション作品、ツートンピアスなどを展開させていただきます* キャラメルミュージアムへの参加は初めてなので凄く緊張しています! 【素敵】を貴方にお届けできますように(*´∇`*) 3/17~22の期間中、M-16に是非遊びに来てください!
* shampoo-and様 *
CMスペース番号:M2部・M-7
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*一言コメント*
[シャンプーの香りのような、、] 日常にさりげなくプラスできるアクセサリーを。。 そんな想いで1つ1つ心を込めて作っております。 [shampoo-and]と申します。 レジンの中にシェルパウダーを閉じこめ、透明感、爽快感を意識したアクセサリーを作っております。 詳細は、Twitter(@shampoo_and)をご覧ください。 皆様のお越しをお待ちしております!
* achamonmoon様 *
CMスペース番号:M2部・M-13
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*一言コメント*
このたび初参加をさせていただきます、achamonmoon(あちゃもんムーン)です☆ 普段はイベント出展をメインとしていますので、今回このようなご縁をいただけてとても嬉しいです! カラーバリエーション豊富にキラキラ透明感のあるアイテムを作成しております。 全て違うデザインですので、是非お気に入りの子を見つけてください♪
* 星空~Lotus~様 *
CMスペース番号:C前半・C-19
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*一言コメント*
宇宙をモチーフにしたレジンアクセサリーを制作しています。
画像以外にも、いろいろなモチーフの作品をご用意しました!
猫・ユニコーン・天球儀・月・星・蝶・土星などなど☆
広大な宇宙を小さな作品にして皆様にお届けします。
ぜひご覧くださいませ
* WALNUT FOREST様 *
CMスペース番号:M3部・M-16
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*一言コメント*
CARAMEL MUSEUM初参加させていただきます、WALNUT FORESTの小田切 愁野(おだぎり しゅうや)と申します。 羊毛フェルトを中心にうさぎモチーフとしたアクセサリーや雑貨を製作しております。 よろしくお願いします。
*macoron様*
CMスペース番号:M2部・M-6
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*一言コメント*
初めまして、まころんと申します。 「甘くて、可愛くて、美味しそう」をテーマに、お菓子なビーズアクセサリーを製作しております。 カラフルでキラキラとした、女性らしい、いつでもどこでも着けていただける、ブレスレットやピアス、イヤリングを販売致します。 Twitter@Macoron45
* PROMINENCE様 *
CMスペース番号:M1部・M-15
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*一言コメント*
これからの季節に活躍間違いなしの桜モチーフの簪、桜や薔薇などのフラワーモチーフのイヤリング・ピアスをご用意しております。 暖かくなり始め、髪をまとめることも増えるこの季節、簪デビューをしてみませんか? 卒業式等々で和装を予定されている方には特に、また和のテイストはお洋服に取り入れても楽しめますので、 どうぞ和風好きな方も、普段和テイストにご縁のない方も、この機会にぜひお試しくださいませ。
*Stantic + Loveholic MAGICIAN様*
CMスペース番号:C後半・C-10
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*一言コメント*
Stantic + Loveholic MAGICIAN
Loveholic MAGICIANは「恋するあなたに贈る謎」をテーマに、南京錠や鍵、パズルなどをモチーフにしたアクセサリーを制作しています。隠された恋のメッセージをみつけてください。 Stanticは春爛漫、花びら1枚ずつから作った花のアクセサリーを作っています。透明感のある、羽根のように軽い花で春のコーディネートを彩ってください。
*caprice様*
CMスペース番号:M全日:M-11
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*一言コメント*
caprice(@caprice0502)は、日常をお花と共に…をテーマに、マニキュアフラワーアクセサリーを制作しております。
一輪のお花の物から、今回は春物をということで、桜や蝶等をモチーフにしたアイテム等を数多くご用意しております。
花びらや蝶の羽の透け感を是非、お手に取って見てくださいましたら幸いです。
そして素敵な出会いが御座いますように…。
*kiritsuaiko様*
CMスペース番号:M1部:M-5
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*一言コメント*
オリジナルパーツで作っています。
新作のテーマは『素朴な春、大事な春』。
桜、メダカ、雑草、田んぼモチーフのピアス・イヤリング・ネックレス・ブローチ・バレッタ・バックチャームなどがあります。
恐竜やスケートモチーフの新作もあります。
【アクセサリーまとめURL= http://kiritsuaiko.tumblr.com 】【twitter=@aiko4k】【Instagram=@kiritsuaiko】
*0228様*
CMスペース番号:M全日・M-10
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*一言コメント*
ハンドメイドサークル【0228】です
2人組で活動しております。 レジンや粘土でオリジナルから二次創作まで製作しております☆
今回のキャラメルミュージアムさん用の作品は 「夜空」をテーマに製作いたしました!
キャラメルキューブショコラさんのケース(BB-6.BB-10)にはファンタジー系、かわいい系、などいろいろ作品がありますのでよかったらケースも見に来てください☆
*niwatoco様*
CMスペース番号:C前半・C-4
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*一言コメント*
前回のCARAMEL MUSEUMに引き続き今回も参加させて頂きます、niwatocoです。
これからの季節に合わせたいろいろな物、様々な場所で合わせられるものを
ご用意してお待ちしております。
画像のもの以外もたくさんございますので、お気に召す一点がございましたら
幸いです。宜しくお願い致します。
(niwatocoは3/17~25までの前半C4にて出展になります^^)
*月ノ雫様*
CMスペース番号:C後半・C-17
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*一言コメント*
CCC BB-31の月ノ雫です(*^ω^*) 
今回のMUSEUMでは桜のモチーフや花びらを使った作品を7色で展開しております! 
春らしく華やかでキュートな作品に仕上がったと思いますので店頭にてご覧いただけますと嬉しいです(つ∀`*) 
まだ製作中の作品に関してはTwitter@moontears_yにてお知らせしていますので合わせてよろしくお願いします♪
*Lily of the valley様*
CMスペース番号:M1部・M-8
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*一言コメント*
キャラメルキューブ[AA-31]に出店させていただいております、Lily of the valley のまろと申します。
今回は花や植物などの春ものをたくさんご用意いたしました!写真に載せたもの以外にも新作を制作しておりますので、ぜひブース内を覗いていただけたら嬉しいです。
素敵な春の出会いがありますように!
*クリム��様*
CMスペース番号:M1部・M-13
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*一言コメント*
――「クリム堂」は3人の店主が営む、異次元に存在する魔道具店。
《妖精/魔法/宇宙/魔物etc…》ファンタジックなモチーフを用いた様々なアイテムを販売しています。
ネックレス、ブレスレットやバックチャーム等のアクセサリーを展示していますので、お立寄の際��是非ご覧ください!
※今回は【3月17日(金)〜22日(水)】まで展示します。
最終日までは展示していないのでご注意下さい!
スペース:M−13
Twitter:@crim_doh
*飴缶様*
CMスペース番号:C前半・C-15
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*一言コメント*
色とりどりカラフルな空や蝶、かわいい猫のアクセ御座います
*Rocco様*
CMスペース番号:C後半・C-9
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*一言コメント*
アクセサリーに物語を」をテーマに様々な素材を使って【ステキ】なものを製作。普段使いやお出かけに、シンプルからキラキラまで。
美味しそうな春色のピアスやイヤリング、【時間の雫】をイメージしたネックレスはこのイベント初出の新作です。
さまざまな天然石を使用したアクセサリーは新年度を歩み始めるお守りにもおすすめ。
ぜひご覧下さい。
*HC様*
CMスペース番号:C前半・C-9
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*一言コメント*
こんにちは。
ショコラさんA-14でお世話になっておりますHCです。
星モチーフ多めに色々と製作しています。
今回は季節も春ということで、お花のアクセサリーをたくさん作りましたので、お手に取っていただけると嬉しいです。 
*AS様*
CMスペース番号:M3部・M-17
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*一言コメント*
春の花に舞う蝶と小鳥をテーマにしたパステルカラーの小さなアクセサリーたち。
ピンク・ブルー・グリーンの3色をメインに、華やかで可愛らしいアイテムを揃えました。どんなシーンでも使いやすい小さな可愛いを形にしたデザインです。
華やぎ桜のスマホケースもご用意しています。
*三日月ノ木様*
CMスペース番号: C前半・C-5
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*一言コメント*
どこか物語が感じられるもの”をめざして雑貨アクセサリーを作成しています。 定番のバタフライイヤーカフも桜でおめかししました。
また本物桜の花を閉じ込めたガラスドームなど春めいたものを中心に持っていきます。
*ゆまる様*
CMスペース番号: M1部・M-14
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*一言コメント*
‪ゆまると申します。
主に創作水彩イラストを使用し、グッズなどを作っています。
今回は‬
‪・缶バッチセット‬ ‪・イラスト集+ポストカードセット
‬(1冊、2冊セット、3冊セットにそれぞれポストカード2枚が付きます) ‪をご用意しました。
ぜひ会場で、お手にとってご覧ください。
どうぞよろしくお願い致します! ‬
*AliceCode様*
CMスペース番号:M3部・M-18
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*一言コメント*
AliceCodeという創作の世界観を元に、いろいろなチャレンジをしながら作品を作っています! かわいいものからかっこいいもの、神秘的な作品を目指してひとつひとつを丁寧に心を込めて作っているので、ぜひご覧いただけましたら嬉しいです!
*gi-beads様*
CMスペース番号: C前半・C-14
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*一言コメント*
gi-beadsではファッションのポイントとなるカラフルでカワイイをテーマに制作しています。
ふだんはキャラメルキューブさんでお出しできていないアイテムも多くご用意いたします☆
*LittleSpica様*
CMスペース番号:M2部・M-15
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*一言コメント*
LittleSpicaは主に宇宙・空をイメージしたアクセサリーをレジン・天然石・ビーズを使用して作成し販売しております。
最新情報は【Twitter:@_LittleSpica】より報告しております。
よろしくお願いいたします。
*Humming Bird 様*
CMスペース番号:M1部・M-6
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*一言コメント*
女性でもかわいく使えるループタイを中心に納品させていただく予 定です。 ほかにもネックレスや、ブレスレットを予定しております。 どうぞよろしくお願いします。
*ノラ猫日和様*
CMスペース番号:M3部・M-14
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*一言コメント*
こんにちは、工藤@ノラ猫日和です。 今回はアニマルモチーフのアクセサリー中心の予定です。 新たに星空・桜模様のネコなど追加予定ですので お気に入りのコが見つかれば幸いです。 よろしくお願い致します! [Twitter@akira_noraneko]
*Romantica様*
CMスペース番号:C前半・C-20
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*一言コメント*
『日常にほんの少しのロマンチックを。』 前回のCARAMEL MUSEUMに引き続き、2回目の参加となりますRomanticaです。 キラキラ光る星屑を小瓶に詰めた『甘い星屑ピアス』は、CARAMEL MUSEUM初出しの新作です(*^^*) ひと粒の星が零れ落ちる『夜空のピアス』や、大ぶりピアスも各種ご用意してます! (イヤリングへの金具交換も可能です。) 素敵な出逢いがありますように(。-_-。)
*noconoco様*
CMスペース番号:C後半・C-15
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*一言コメント*
アクセサリーサークルのnoconocoは、「キラキラな宝箱」がコンセプト。
スワロフスキーやドライフラワーなど、自分達が好きなもの、可愛いと思うものを詰め込んだ作品達です。
ピアス・イヤリング・ネックレス・ブレスレットなど、一つ一つ丁寧に作っております。
私達の作品が皆様の宝箱の中に入れてもらえますように。
*MoNo+moon様*
CMスペース番号:M1部・M-7
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*一言コメント*
青と歯車と月と羽とのアクセサリーを作っておりますMoNo+moonの月と申します。 初めての参加ではありますが17日から22日までの間よろしくお願いいたします。 新作は12星座の指輪と桜のヘアクリップ、ほか桜アクセサリーといつもより小ぶりなイヤーカフスになりますのでぜひお手にとってご覧になってくださいませ。 皆様と良い出会いがありましたら嬉しいです。
*シエスタその他諸々部様*
CMスペース番号:M1部・M-3
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*一言コメント*
‪こんにちは、【シエスタその他諸々部】です。‬ ‪今回はティーポットのフェーブ(フランスの幸運のお守り)に紅茶を添えたティーセットのピアスをメインに春らしいアクセサリーを作りました。 お品書きは一部ですが、ティーポットは全部で30種。 是非お手に取ってご覧くださいね!‬ ‪普段はC.C.ショコラさんB-6に、またイベントにも定期的に出没しています。詳細は(@siesta_snt_mrmr)にて。
*金の庭様*
CMスペース番号:C後半・C-8
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*一言コメント*
イヤーフック  新作  星座パーツを使った  占星術師  をはじめ数種類 ご用意いたしました春でもありシルバーの金具の桜モチーフを今回も出品させていただきます
ロングネックレスはストールのように巻きつけたり結んだりして装着いただくタイプのラリエットです
その他のアイテムも製作中です  
後半の参加となります
よろしくお願いいたします
*てとら工房様*
CMスペース番号: M3部・M-4
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*一言コメント*
後期日程M-4で参加します。通常はつまみ細工・かがりこてまりで創作カラー・二次創作カラーのアクセサリーを作っています。
今回は創作カラーのみ。
新作画像はお品書きには間に合いませんでしたので、ツイッターを見ていただけたら幸いです。 キャラメルキューブショコラ様でもA-26で常時委託させていただいています。
*macaron☆macoron様*
CMスペース番号: M3部・M-6
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*一言コメント*
macaron☆macoronです。 パステルカラー&キラキラは正義!!をテーマにスワロフスキーでビジューアクセサリーを製作しています。
その中でも特に、イヤークリップに力を注いでおります。
この春も、耳元にキラッとワンポイントで、おしゃれを楽しんでみませんか?
*MADE IN ALICE様*
CMスペース番号:C後半・C-4
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*一言コメント*
*ブランド名 MADE IN ALICE蘭あげはです☆ キャラメルキューブAA_25でお世話になっております。
CARAMELMUSEUMでは、アミュレットネックレス、スノードームライト、魔法の杖、桜作品などの持込みとなります♡
スペースc-4是非、見て下さい!
*たぬきけーきや様*
CMスペース番号:M全日・M-1
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*一言コメント*
たぬきけーきやです。
シンプルで可愛いフェイクスイーツ&フードのアクセサリーを作っています。イベント新作はパンケーキや、春らしい桜や抹茶、イチゴのお菓子いつもの定番作品の春バージョンも。
イベント期間中はどんどん作品を追加しますのでTwitterやInstagramをチェックしてくださいね。
@tanuki_cake_ya
*plastic様*
CMスペース番号:C全日・C-13
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*Chocolate Brownie / 明加 様*
CMスペース番号:M全日・M-2
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*一言コメント*
「おフダをめくって楽しめるキョンシーたちのイラストグッズ」 「ジオラマ風アクセサリートレー、動物モチーフのピアス・イヤリング」 など、一点一点手作りしております♪
*sugar*holic*様*
CMスペース番号:C後半・C-18
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*一言コメント*
初めまして。
sugar*holic*(@chocolatexrio ・@sugarsugarholic)の佐藤 莉緒です。
甘い甘いお菓子をモチーフにしたほわほわ可愛いfake sweetsを中心に製作しています♡
委託 : キャラメルキューブショコラ GG-19 BB-34(東京 池袋)不定期ですがイベント(オリジナル*二次創作)にも出没中。
詳しくは…随時更新のTwitterまたはC.C.ショコラさん店頭掲示にて。 今回は後半から参加になりますがいちご、さくらモチーフの春らしくて可愛い新作フェイクスイーツを中心にご用意しております。
お気軽にお手に取ってみてくださいね。
皆様との素敵な出会いがあります様に♡
*MaRin様*
CMスペース番号:C後半・C-23
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*一言コメント*
星を沢山使ったアクセサリー中心に制作しています"MaRin"です!
CARAMEL MUSEUM では桜や花のモチーフを使った春を感じる新作を沢山用意していますのでどうぞよろしくお願い致します。
*引鉄幸福堂様*
CMスペース番号:C後半・C-20
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*一言コメント*
引鉄幸福堂は、ゴツくて強そうでかわいいアクセサリーを制作しています。
春の装いに似合うアイテムをご用意してお待ちしております。
*Browny * Cafe様*
CMスペース番号:C後半・C-19
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*一言コメント*
【Browny * Cafe】秋山ちなみ
《フェイクスイーツ☆チャーム》
☆猫耳リング
☆角砂糖
☆かじりかけビスケット
☆苺のパスケース
☆ボンボンショコラ☆マグネット
★Twitter★ https://twitter.com/brownycafe
★Facebook★ http://www.facebook.com/brownycafe
★Blog★ http://brownycafe.blog52.fc2.com/
*めとおる様*
CMスペース番号:M3部・Mー8
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*一言コメント*
ほんのり光るちょっと不思議な装飾品店めとおる
非日常をお手元に。
*Sol*Papilio様*
CMスペース番号:M1部・M-9
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*一言コメント*
こんにちは!Sol*Papilioのぐろりあです。 今回は17日から22日まで参加させていただきます! 春の訪れをイメージした淡いカラーをモチーフにした新作アクセサリー。そして大人気のはさみシリーズの新カラーをたくさん揃えてお待ちしております❤
*WhiteOwl様*
CMスペース番号:C前半・C-21
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*一言コメント*
こんにちは。WhiteOwlと申します。 シンプルな作品を中心にいろいろなモチーフを作成しています。 今回は雲レジンやテラリウムの新作とホワイトミュージアムでご好評いただいたスノードームを春バージョンにアレンジしてお届けします。 是非お手にとってご覧くださいませ。
今を感じる作品を一足早く♡
☆**CARAMEL MUSEUM**☆
ご来場、心よりお待ちしております+。**
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r216129 · 8 years ago
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