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#聖なる夜に口笛吹いて
yanarchy072 · 2 years
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・ ・ めりくり〜🎄 ・ #CHRISTMASTIMEINBLUE #聖なる夜に口笛吹いて #佐野元春 #MotoharuSano ・ #ChristmasSong #クリスマスソング #Rock #ロック ・ #instamusic #musicstagram #instagood #instapic (Tokyo Japan) https://www.instagram.com/p/CmkpHhsPm8V/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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ryotarox · 3 months
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みんなが好きな「『百年の孤独』みたいな大河小説」ベスト10|秋永真琴
『楡家の人びと』北杜夫
『チボー家の人々』ロジェ・マルタン・デュ・ガール
『ブッデンブローク家の人びと』トーマス・マン
『大地』パール・バック
『千年の愉楽』中上健次
『べっぴんぢごく』岩井志麻子
『笛吹川』深沢七郎
『ルーツ』アレックス・ヘイリー
『アブサロム、アブサロム!』ウィリアム・フォークナー
『永遠の都』加賀乙彦
『警官の血』佐々木譲
『天冥の標』小川一水
『紀ノ川』有吉佐和子
- - - - - - - - - - - - - - - - 「響け!ユーフォニアム」も部活の年代記なのかも。
(順不同)
『ときめきトゥナイト』池野恋
『精霊たちの家』イザベル・アシェンデ
『嵐が丘』エミリー・ブロンテ
『炸裂志』エン・レンカ
『大聖堂』ケン・フォレット
『警察署長』スチュアート・ウッズ
『枯木灘』中上健次
『奇蹟』中上健次
『ワイルド・スワン』ユン・チアン
『邯鄲の島遥かなり』貫井徳郎
『平家物語』古川日出男/訳
『血脈』佐藤愛子
『源氏物語』紫式部
『奏で手のヌフレツン』酉島伝法
『俺の屍を越えてゆけ』桝田省治(ゲームデザイン)
『助左衛門四代記』有吉佐和子
『指輪物語』J・R・R・トールキン
『チグリスとユーフラテス』新井素子
『星へ行く船(他、コバルト文庫のシリーズ)』新井素子
『彼方なる歌に耳を澄ませよ』アリステア・マクラウド
『火星夜想曲』イアン・マクドナルド
『黎明の王 白昼の女王』イアン・マクドナルド
『灯台へ』ヴァージニア・ウルフ
『ジョイ・ラック・クラブ』エィミ・タン
『ウォーリアーズ』エリン・ハンター
『異形の愛』キャサリン・ダン
『王朝四代記』ククリット・プラモート
『ベルリン三部作(1919・1933・1945)』クラウス・コルドン
『六道ヶ辻シリーズ』栗本薫
『鳥の歌いまは絶え』ケイト・ウィルヘルム
���地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド
『征途』佐藤大輔
『あすなろ坂』里中満智子
『ケインとアベル』ジェフリー・アーチャー
『ゲームの達人』シドニィ・シェルダン
『氷と炎の歌』ジョージ・R・R・マーティン
『エデンの東』ジョン・スタインベック
『グリークス』ジョン・バートン/ケネス・カヴァンダー(編)
『リーマン・トリロジー』ステファノ・マッシーニ
『雪の練習生』多和田葉子
『鯨』チョン・ミョングァン
『火の山-山猿記』津島佑子
『レオポルトシュタット』トム・ストッパード
『地の果て至上の時』中上健次
『岬』中上健次
『彼女はマリウポリからやってきた』ナターシャ・ヴォーディン
『九時半の玉突き』ハインリヒ・ベル
『土地』パク・キョンニ
『レ・ミゼラブル』ビクトル・ユゴー
『棺のない埋葬』 ファン・ファン
『楊家将演義』作者不明
『デューン砂の惑星』フランク・ハーバート
『ゴッドファーザー』フランシス・フォード・コッポラ監督
『北京から来た男』ヘニング・マンケル
『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』堀井雄二(ゲームデザイン)
『舟を編む』三浦しをん
『櫂』宮尾登美子
『孟夏の太陽』宮城谷昌光
『血族』山口瞳
『華麗なる一族』山崎豊子
『大奥』よしながふみ
『血脈 西武王国・堤兄弟の真実』レズリー・ダウナー
『シンセミア』阿部和重
『流離譚』安岡章太郎
『雲の都』加賀乙彦
『ロマンシングサ・ガ2』河津秋敏(ゲームデザイン)
『サガフロンティア2』河津秋敏(プロデューサー)
『颶風の王』河﨑秋子
『リア家の人々』橋本治
『アラビアの夜の種族』古川日出男
『聖家族』古川日出男
『白夜を旅する人々』三浦哲郎
『導きの星』小川一水
『地図と拳』小川哲
『機動戦士ガンダムAGE(小説版)』小太刀右京
『われ逝くもののごとく』森敦
『本格小説』水村美苗
『始まりの魔法使い』石之宮カント
『夜明け前』島崎藤村
『カムカム・エヴリバディ』藤本有紀(脚本)
『男樹』本宮ひろ志
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kennak · 5 months
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私の祖父は今年亡くなりましたが、あなたはそれを知らないでしょう。   実際、彼はあなたがそうしないことを望んでいたのです。   レイ・ハレルは 1930 年代にカタルーチー渓谷で 8 人兄弟の末っ子として生まれ、ピューマを追い抜き、牛を山から追い落とし、借りたジープを衝突させました。そして 90 年後の 1 月 20 日、彼は音もなくこの世を去りました。   それが彼が望んでいた方法です。   墓石は見つからないでしょう。   葬儀には誰も集まりませんでした。   彼はここにいて、70年近く連れ添った妻と共有していたポーチに座っていましたが、その後、彼はいませんでした。   塵から塵へ。 一日の授業を終えて車で家に帰る途中、おばあちゃんから電話がありました。  過去 1 年間、ガンのせいで徐々に命を奪われ、その朝彼はベッドに横たわり、残りの人生はそこに留まり続けるのではないかと思われた。 「あなたのパパの死亡記事を書いてくれませんか?」  彼女は、最愛の人を失ったにもかかわらず、常に現実的な質問をした。 伝えたいことはたくさんありました。  彼は10代の頃にスクールバスを盗み、教師の車の上でバックさせたことがあった。  彼は 1950 年に陸軍とともにドイツに派遣され、そこで空家から誤って大砲を発砲したにもかかわらず、階級を上げていった。  彼は人生のほとんどをそこで働いた繊維工場で労働組合を率いていた。  しかし、彼はそのことについては決して多くを語らなかった。  彼がやろうとしたのは、ノースカロライナ州フルーツランドで小さな生活を築き、娘たちを育て、皿洗いをし、壊れたガレージのドアを直すことでした。  彼は静かに暮らすことを目指したが、その後、同じように亡くなった。 座って執筆していると、テンプレートに詳細を落とし込んでいる自分に気づきまし た 。   死亡届は、何が重要で、何が記憶され、称賛されるべきかについて特別なプレッシャーを与えるが、新聞紙に載る名前や新聞での賞には何の興味も持たず、陰で生き続けることを目指した人生について人は何を語るだろうか。マントルピース?   ジムとコーラの息子であるレイ・ハレルは、じっと座って風が葉を散らすのを眺めて満足していたでしょうか?   レイ・ハレル一等軍曹は、財布の中のお札を金額の高い順に並べましたか?   グレースによって生き残ったレイ・ハレルは、小屋の中で正しい釘を探しながら、毎年同じ発明曲を口笛で吹き続けていました。   私は予想通りの詳細を記入して訃報を新聞社に送りましたが、それが正しくないことはわかっていました。   それは彼の生きた人生を何も捉えていませんでした。   彼が亡くなった数日後、教会の女性たちがキャセロールでテーブルを覆い、おばあちゃんが19歳以来初めて一人でベッドで寝たとき、私が戻ってきたのは、静かな生活のまったくの大胆さでした。 洗濯トラックを運転して一日を終えたレイ・ハレル。  彼の花嫁グレースは、最初の家の外で写真を撮りました。 私たちの時代の著名な人物が亡くなると、私たちのスクリーンに彼らの功績を記録した短いクリップが流れ、彼らの影響について議論するトーキングヘッドが登場します。  しかし、静かな生活は背後で音もなく流れていきます。  しかし、それらは私たちの皮膚の中にある命であり、朝食から就寝まで私たちを導いてくれます。  彼らの命が私たちを作り、世界を動かし続けているのです。 彼らは私たちが気づく前にゴミを出したり、郵便物が来ているかどうかを確認するために道路を歩いたりしています。  ビスケット生地を適切な厚さに並べる方法を教えてくれます。  春の午後、彼らは私たちの息子たちをトラクターに乗せました。  彼らは壊れたシンクを隣の人に手伝ってもらいました。  彼らは18か月の赤ちゃんを引きずり出すために川に飛び込みました。  彼らはフォークリフトに挟まれて腰を折った男性を捕まえ、そのまま抱きかかえて死亡した。  彼らは甥が自分の名前に一銭も持っていなかったとき、彼らのポケットにお金を滑り込ませましたが、恥ずかしくてそれを認めませんでした。  彼らは洗濯をしました。  彼らは床を掃除した。  彼らは子供のように庭で遊びました。  彼らは塩味のパックを食べて、夜がなくなるまで毎晩ベッドに潜り込みました。フルーツランド・ロードから離れた土地で小さな生活を営むことは最も神聖なことだから、残されたのは生き続ける人々だけです私たちは考えることができます。 私たちの周りには、派手なアメリカの個人主義、明るい照明、そして表舞台のサイレンの呼びかけを無視して、頭を下げて両手を広げた生活があります。   私は大丈夫、ここに 部屋の端からの反応があり、その満足感はまったく破壊的です。   どうしてそれだけを望むことができますか?   世界が求めています。   持つべきものは常にもっとあります。   ノースカロライナ州フルーツランドにあるグレースが幼少期を過ごした家の外でポーズをとる新婚夫婦。  その家は、レイとグレースが一緒に家を建て、住んでいる場所の道路を挟んだ向かいに建っていました。 レイ・ハレルが持っていたのは、頼もしいトラクターと、燃えるような女性だった。   彼は正午の夕食時にコーンブレッドを一口食べ、毎晩寝る前にRCコーラを飲んでいました。   彼には子供、孫、曾孫がいて、毎年クリスマスになると家がいっぱいになりました。   それで十分でした。   「私たちは良い人生を送れました」と、最後の年に私が訪問するたびに、彼はほぼ毎回私に言いました。たとえ遠くから見ると奇妙に見えたとしても、私はそれが真実であると確信していました。 やもしものことを後悔する長いリストを残したはずだ   理論的には、クリアクリークの上空にあるこの小さな生命は、もしものこと 。   しかし、この人生こそが人生そのものであり 、  1954年に彼と私の祖母グレースが道の先にある小さな教会で結婚したときに目指したものそのものでした。 それらの訪問では、私はコーンブレッドを食べて落ち着いて話を聞きました。  時間が経つにつれて、私はこれまで知らなかった歴史を収集しました。  スクールバスが盗まれ、ジープが墜落し、牛が泥にはまってしまったことを知りました。  私は、朝鮮戦争中にドイツに駐留していたパポーが高額のトランプを獲得し、その収益を持ってヨーロッパ中を旅したことを知りました。  私は彼が繊維工場から何度も何度も解雇されたことを知りました。 "どうして?"  私は尋ねた。 「そうですね、私がイライラしていたからだと思います。」 ほとんどその通りでした。  彼は誰も聞きたくないときはノーと言い、上司たちが聞きたくないときは労働組合を結集させた。  ハーネスなしで10フィート登って自分でローラーを交換するように言われたときのように。  「私は彼らに、そんなつもりはないと言いました。」  彼らは彼を解雇し、労働組合の弁護士が介入し、彼は仕事に戻った。 「頑固なおじいちゃんだよ」とおばあちゃんは言った。 おそらくそれも正しかったのですが、世界を見て不正義と闘う物語をつなぎ合わせてみると、静かな生活は受動的な生活ではないことに気づきました。  ポーチにじっと座っていることは、世間をやり過ごすことを意味するものではありません。  彼とおばあちゃんはキャンピングカーに乗って国中を旅しました。  彼は組合の会長を務めた。  満足しているということは、盲目であるという意味ではありません。  それは、善良な戦いと利己的な戦いの違いを知ることを意味します。 「私は正しいことのために立ち上がることを信じています」と彼はトウモロコシを一口食べながら言った。  「こんなこと言うべきじゃないけど、みんな私のことが好きでした。」 "なぜ?"  おばあちゃんは尋ねました。 「あなたがそんなことを聞かないといけないとは思っていませんでした。  私は良い歳をした少年だよ。」
静かな生活のための訃報 — THE BITTER SOUTHERNER
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nobbykun · 9 months
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Artist - 佐野元春 (Sano, Motoharu) Song - CHRISTMAS TIME IN BLUE ―聖なる夜に口笛吹いて― (Original Version) (Christmas Time In Blue ―Seinaru Yoru Ni Kuchibue Fuite―) [Eng. "Christmas Time In Blue (Whistle On The Holy Night)"] Release Date - November 1985
Listen 🎶
https://rumble.com/v42ahrq-motoharu-sano-christmas-time-in-blue-original-version.html
My blog: Showa Music Library https://nobbykun.tumblr.com/
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年8月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年5月1日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
葉桜に声まで染まるかと思ふ 雪 葉桜の懐深く観世音 同 葉桜を大天蓋に観世音 同 ふと思ふ椿に匂ひ有りとせば 同 葉桜の濃きに始まる暮色かな 泰俊 葉桜の蔭をゆらして風の音 同 老鶯を聞きつつ巡りゐる故山 かづを 四脚門潜ればそこは花浄土 和子 緑陰を句帳手にして一佳人 清女 卯波寄すランプの宿にかもめ飛ぶ 啓子 蝶二つもつれもつれて若葉風 笑 雪解川見え隠れして沈下橋 天
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
五月闇喫茶「乱歩」は準備中 要 だんだんに行こか戻ろか日傘 和子 錻力屋のゆがむ硝子戸白日傘 昌文 空になる途中の空の鯉幟 和子 ラムネ玉胸にこもれる昭和の音 悠紀子 だんだんは夏へ昭和へ下る坂 慶月 だんだん坂麦藁帽子買ひ迷ふ 瑠璃 白シャツのブリキ光らせ道具売る 小鳥 蟻も入れず築地塀の木戸なれば 順子 夕焼はあのアコーディオンで歌ふのか きみよ 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ 同
岡田順���選 特選句
築地塀崩れながらに若葉光 光子 日傘まづは畳んで谷中路地 和子 ざわめく葉夏の赤子の泣き声を 瑠璃 築地塀さざ波のごと夏めきて 風頭 カフェーの窓私の日傘動くかな 和子 二階より声かけらるる薄暑かな 光子 下闇に下男無言の飯を食ふ 和子 覚えある街角閑かなる立夏 秋尚 谷中銀座の夕焼を待ちて老ゆ きみよ 誰がために頰を染めしや蛇苺 昌文 青嵐売らるる鸚鵡叫びたり きみよ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
カルデラに世帯一万春ともし たかし 大いなる大地を画布に聖五月 朝子 渚恋ひ騒ぐ厨の浅蜊かな たかし しやぼん玉母の笑顔を包みけり 朝子 乙姫の使者の亀ならきつと鳴く たかし 風に鳴るふらここ風の嗚咽とも 睦子 桜貝拾ひ乙女となりし人 久美子 風船の子の手離れて父の空 朝子 夕牡丹ゆつくりと息ととのふる 美穂 はつなつへ父の書棚を開きけり かおり 鷹鳩と化して能古行き渡航路 修二 風光るクレーンは未来建設中 睦子 人去りて月が客なる花筏 孝子 束ね髪茅花流しの端につづく 愛 悔恨深し鞦韆を漕ぎ出せず 睦子 ひとすぢの道に薔薇の香あることも 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
戦争は遠くて近しチューリップ 信子 霾や廃屋多き街となり 三四郎 長長と系図ひろげて柏餅 昭子 鞦韆を揺らし母待つ子等の夕 三四郎 代掻くや越の富士山崩しつつ みす枝 氷菓子あれが青春かもしれぬ 昭子 モナリザの如く微妙に山笑ふ 信子 風なくば立ちて眠るや鯉幟 三四郎 観音の瓔珞めいて若葉雨 時江 春といふ名をもつ妻の春日傘 三四郎 もつれては蝶の行く先定まらず 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
金環の眼や神々し鯉幟 実加 テンガロンハットの老夫麦の秋 登美子 筍を運ぶ人夫の太き腕 あけみ 緩やかに青芝を踏み引退馬 登美子 赤き薔薇今咲き誇り絵画展 紀子 自らの影追ひ歩く初夏の昼 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月9日 萩花鳥会
マンションの窓辺で泳ぐ鯉幟 祐子 兜より多産な鯉を子供の日 健雄 山頂に吹き上がるかな春の息 俊文 新緑やバッキンガムの戴冠式 ゆかり 仰向けのベッドに届く風五月 陽子 この日から五類に移行コロナあけ 恒雄 武者人形剣振り回すミニ剣士 美惠子
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令和5年5月10日 立待俳句会 坊城俊樹選 特選句
囀や高鳴く木々の夜明けかな 世詩明 すがりたき女心や花薔薇 同 仏舞面の内側春の闇 ただし 菖蒲湯に老の身沈め合ひにけり 同 うららかや親子三代仏舞 同 花筏寄りつ放れつ沈みけり 輝一 花冷や母手造りのちやんちやんこ 同 機音を聞きつ筍育つなり 洋子 客を呼ぶ鹿みな仏風薫る 同 渓若葉上へ上へと釣師かな 誠 子供の日硬貨握りて駄菓子屋へ 同 白無垢はそよ風薫る境内へ 幸只 春雨は水琴窟に託す朝 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月11日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
里山を大きく見せる若葉かな 喜代子 父母座す永代寺も夏に入る 由季子 三国町祭提灯掛かる頃 同 難解やピカソ、ゲルニカ五月闇 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
ホーエンヤ口上述べて祭舟 史子 暮の春どちの館の椅子机 すみ子 声潜めメーデーの歌通り過ぎ 益恵 手擦れ繰る季寄卯の花腐しかな 美智子 鳥帰る曇天を突き斜張橋 宇太郎 海光も包まん枇杷の袋掛 栄子 葉桜や仏の夫の笑みくれし 悦子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
菖蒲湯の香を纏ひつつ床に就く 多美女 風低く吹きたる社の陰祭 ゆう子 やはらかき色にほぐるる萩若葉 秋尚 すと立てし漢の小指祭笛 三無 深みゆく葉桜の下人憩ふ 和代 朴若葉明るき影を高く積み 秋尚 メモになき穴子丼提げ夫帰る 美枝子 祭笛天を招いて始まれり 幸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月14日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
植物園脇に馴染みの姫女苑 聰 近づきて見失ひたる山法師 秋尚 母の日の記憶を遠く置き去りに 同 崩れかけたる芍薬の雨細き 同 若葉して柔らかくなる樹々の声 三無 葉桜となりし川辺へ風連れて 秋尚 白映えて幼稚園児の更衣 迪子 くれよんを初めて持つた子供の日 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
一人逝き村軽くなる麦の秋 世詩明 水琴窟蔵す町屋の軒菖蒲 千代子 三国沖藍深めつつ卯波来る 笑子 母の日や母の草履の小さくて 同 カーネーション戦火の子らに百万本 同 遠ざかる思ひ出ばかり花は葉に 啓子 麦秋の響き合ふごと揺れてをり 千加江 あの世へもカーネーションを届けたし 同 紫陽花やコンペイトウと言ふ可憐 同 人ひとり見えぬ麦秋熟れにうれ 昭子 永き日の噂に尾鰭背鰭つき 清女 更衣命の先があるものと 希子 春愁や逢ひたくなしと云ふは嘘 雪 風知草風の心を風に聞く 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月17日 さきたま花鳥句会
鯉幟あえかな風も見逃さず 月惑 土間で輪に岩魚の骨酒郷の友 八草 背に茜萌黄の茶摘む白き指 裕章 薫風や鐘楼の梵字踊りたる 紀花 潦消えたるあとや夏の蝶 孝江 初夏の日差しじわじわ背中這ふ ふゆ子 水音のして河骨の沼明り ふじ穂 なづな咲く太古の塚の低きこと 康子 竹の子の十二単衣を脱ぎ始め みのり 薔薇園に入ればたちまち香立つ 彩香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
野阜に薫風そよぐ母の塔 幸風 突つ伏せる蝶昂然と翅を立て 圭魚 夏めきて観音膝をゆるく曲げ 三無 谷戸深き路傍の石の苔の花 久子 捩花の気まま右巻き左巻き 炳子 人の世を鎮めて森を滴れる 幸子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 夏蝶のたはむれ城主墓に罅 慶月 薫風やボールを投げてほしき犬 久
栗林圭魚選 特選句
要害の渓やえご散るばかりなり 千種 恙少し残り見上ぐる桐の花 炳子 十薬の八重に迷へる蟻小さき 秋尚 野いばらの花伸ぶ先に年尾句碑 慶月 忍冬の花の香りの岐れ道 炳子 水音は水を濁さず蜻蛉生る 千種 谷戸闇し帽子にとまる夏の蝶 久子 日曜の子は父を呼び草いきれ 久 ぽとぽとと音立てて落つ柿の花 秋尚 黒南風や甲冑光る団子虫 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年5月28日 月例会 坊城俊樹選 特選句
二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚 夏めきぬ膝に一筋擦過傷 炳子 茶席へと鳥獣戯画の帯涼し 要 万緑を黒靴下の鎮魂す 順子 美しき黴を持ちたる石畳 みもざ 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 薄き汗白き項の思案中 昌文 黒服の女日傘を弄ぶ 緋路
岡田順子選 特選句
夏草や禁裏を抜ける風の色 月惑 白きもの真つ白にして夏来る 緋路 女こぐ音のきしみや貸しボート 眞理子 蛇もまた神慮なる青まとひけり 光子 風見鶏椎の花の香強すぎる 要 霊もまた老ゆるものかな桜の実 光子 白扇を開き茶室を出る女 佑天 緑陰に点るテーブルクロスかな 緋路 黒服の女日傘を弄ぶ 同 二度廻る梓渕さんかも黒揚羽 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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notebookonji · 2 years
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2022年 DVDなどで観た映画
2022年にDVDやウェブなどで観た映画のリスト。全104本。 今年は連続ドラマもよく観たので、それらシリーズも一緒に記す。
作品タイトル(制作年/制作国/監督名) ★は私の超おすすめ (私は、簡単な鑑賞メモを手帳につけていて、その際、個人的な好みを5点満点で採点してます。★は5点を付けた作品です)
ドッグヴィル(2003/デンマーク+ノルウェー+フィンランド+スウェーデン/ラース・フォン・トリアー) マンダレイ(2005/デンマーク+スウェーデン+オランダ+フランス+ドイツ+イギリス+イタリア/ラース・フォン・トリアー) ビューティフル・マインド(2001/アメリカ/ロン・ハワード) 東京裁判(1983/日本/小林正樹) 台風クラブ(1985/日本/相米慎二) 音楽(2020/日本/岩井澤健治) 楢山節考(1983/日本/今村昌平) 楢山節考(1958/日本/木下惠介)★ エール!(2014/フランス/エリック・ラルティゴ) 男はつらいよ(1969/日本/山田洋次) 続・男はつらいよ(1969/日本/山田洋次) 男はつらいよ フーテンの寅(1970/日本/森崎東) 新・男はつらいよ(1970/日本/小林俊一) 男はつらいよ 望郷篇(1970/日本/山田洋次) 男はつらいよ 純情篇(1971/日本/山田洋次) 男はつらいよ 奮闘篇(1971/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎恋歌(1971/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎柴又慕情(1972/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎夢枕(1972/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎忘れな草(1973/日本/山田洋次) 男はつらいよ 私の寅さん(1973/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(1974/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎子守唄(1974/日本/���田洋次) 男はつらいよ 寅次郎相合い傘(1975/日本/山田洋次) 男はつらいよ 葛飾立志篇(1975/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎純情詩集(1976/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎と殿様(1977/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(1977/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく(1978/日本/山田洋次) 男はつらいよ 噂の寅次郎(1978/日本/山田洋次) 男はつらいよ 翔んでる寅次郎(1979/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎春の夢(1979/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(1980/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌(1980/日本/山田洋次) 男はつらいよ なにわの恋の寅次郎(1981/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎紙風船(1981/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋(1982/日本/山田洋次) 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982/日本/山田洋次) 男はつらいよ 旅と女と寅次郎(1983/日本/山田洋次) 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎(1983/日本/山田洋次) 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎(1984/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎真実一路(1984/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(1985/日本/山田洋次) 男はつらいよ 柴又より愛をこめて(1985/日本/山田洋次) 男はつらいよ 幸福の青い鳥(1986/日本/山田洋次) 男はつらいよ 知床慕情(1987/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎物語(1987/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日(1988/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎心の旅路(1989/日本/山田洋次) 男はつらいよ ぼくの伯父さん(1989/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎の休日(1990/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎の告白(1991/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎の青春(1992/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎の縁談(1993/日本/山田洋次) 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(1994/日本/山田洋次) 男はつらいよ 寅次郎紅の花(1995/日本/山田洋次) 男はつらいよ[特別篇]寅次郎ハイビスカスの花(1997/日本/山田洋次) 男はつらいよ お帰り寅さん(2019/日本/山田洋次) 家族ゲーム(1983/日本/森田芳光) 少女ポリーナと7つの迷宮(2019/ウクライナ+ベルギー/オリアス・バルコ) 悪名(1961/日本/田中徳三) 続・悪名(1961/日本/田中徳三) 新・悪名(1962/日本/森一生) 続・新悪名(1962/日本/田中徳三) 第三の悪名(1963/日本/田中徳三) 悪名市場(1963/日本/森一生) 悪名波止場(1963/日本/森一生) 悪名一番(1963/日本/田中徳三) 悪名太鼓(1964/日本/森一生) 悪名幟(1965/日本/田中徳三) 悪名無敵(1965/日本/田中徳三) 悪名桜(1966/日本/田中徳三) 悪名一代(1967/日本/安田公義) 悪名十八番(1968/日本/森一生) 悪名一番勝負(1969/日本/マキノ雅弘) 破門 ふたりのヤクビョーガミ(2017/日本/小林聖太郎) 私は殺される(1948/アメリカ/アナトール・リトヴァク) 蛇の穴(1948/アメリカ/アナトール・リトヴァク) 狐狼の血(2018/日本/白石和彌) 狐狼の血 LEVEL 2(2021/日本/白石和彌) コロンバス(2020/アメリカ/コゴナダ) トップガン(1986/アメリカ/トニー・スコット) ちょっと思い出しただけ(2022/日本/松居大悟) シェルブールの雨傘(1964/フランス+西ドイツ/ジャック・ドゥミ) 原爆の子(1952/日本/新藤兼人) 縮図(1953/日本/新藤兼人) どぶ(1954/日本/新藤兼人) 第五福竜丸(1959/日本/新藤兼人) 人間(1962/日本/新藤兼人) 母(1963/日本/新藤兼人) 鬼婆(1964/日本/新藤兼人) 悪党(1965/日本/新藤兼人) 藪の中の黒猫(1968/日本/新藤兼人) ファーストマン(2018/アメリカ/デミアン・チャゼル) mid 90′s(2018/アメリカ/ジョナ・ヒル) ゲット・アウト(2017/アメリカ/ジョーダン・ピール) アス(2019/アメリカ/ジョーダン・ピール) ザ・マジック・アワー(2008/日本/三谷幸喜) バッド・ジーニアス(2017/タイ/ナタウット・バズ・プーンピリヤ) そしてバトンは渡された(2021/日本/前田哲) シン・ウルトラマン(2022/日本/樋口真嗣) 彼女とTGV(2016/スイス/ティモ・ボン・グンテン) ダゲール街の人々(1976/フランス/アニエス・ヴァルダ)
【連続ドラマ】 破門 -疫病神シリーズ-(全8回/2015/日本)★ 螻蛄 -疫病神シリーズ-(全5回/2016/日本)★ パチンコ (全8回/2022/アメリカ/コゴナダ+ジャスティン・チョン) 平家物語(アニメ全11回/2022/日本/山田尚子) テヘラン(全8回/2020/イスラエル/ダニエル・シルキン) 大豆田とわ子と三人の元夫(全10回/2021/日本) MIU404(全11回/2020/日本) 空白を満たしなさい(全5回/2022/日本) タイガー&ドラゴン(全11回/2005/日本) 俺の家の話(全10回/2022/日本) エルピス(全10回/2022/日本)
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yajifun · 3 years
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武井武雄 刊本作品リスト
※参照: Results – Advanced Search Objects – Museum of Fine Arts, Boston | Artist/Maker: Takei Takeo | DATE OLDER FIRST
※参照: 出品目録:所蔵作品展 「武井武雄 刊本作品の世界」(2021年6月22日-9月12日)PDF
※上記PDF目録を元にMFAの該当ページをリンク
※「技法・素材」の()は「原書に記載が無い」意味で記入
※「001  十二支絵本 1935 (一色凸版)」のみMFAには無い
※参照: Takeo Takei#Books_of_various_materials_(Kanpon) - Wikipedia
※参照:  TAKEI Takeo : Kampon - Boston Book Company (web archive)
※可憐判No.を追記(一部自己解釈) 20220209
※「Keep reading」以下 139 lines
刊本No. タイトル 刊出年 技法・素材
001 十二支絵本 1935 (一色凸版)
002 雛祭絵本 1936 (凸版筆彩)
003 諸国絵馬集 1937 (二色凸版)
004 善悪読本 1938 (二色凸版)
005 童語帳 1939 (自刻木版可憐判1? )
006 畑の豆本 1940 (スクラッチ版)
007 本朝昔噺 1941 (合羽版)
008 十二時之書 1942 (石版)
009 伊曽保の絵本 1943 (アップリケ原色版)
010 風村三代記 1944 (伝承木版)
011 燈 1945 自刻木版
012 KOKESHI 1946 伝承木版
013 僕の哥留多 1946 自刻木版
014 お猫様 1947 (自刻木版 活版)
015 牡丹妖記 1948 木刻拓本摺
016 のえる之書 1949 自版糊染本
017 乞食の本 1950 自刻木版
018 聖AGNES之書 1951 木口木版
019 もりどんの話 1951 自刻木版(可憐判2)
020 あいそぽす・ふあぶら 1952 VARI-TYPE・木版
021 菊妖記 1953 レリーフ 拓本
022 秒間の符 1953 CHORD PRINT 條版
023 天竺の花 1953 陶版
024 ARIA 1954 層版・紙拓
025 折鶴物語 1955 瓦版
026 胡蝶散策 1955 三色凸版 胡蝶型
027 姫の尺牘 1955 友禅
028 霊長異聞 1956 WOVEN LABEL
029 第五の世界 1956 HELIOGRAVURE
030 誕生譜 1957 eau-forte
031 木魂の伝記 1957 寄せ木
032 極秘亭探訪 1958 cello-slide
033 六之助行状 1958 鑢孔版
034 雪の讃頌 1958 TANDEM PRINT
035 近くの世界 1958 原色版
036 太陽と孔雀 1959 蝕彩金工
037 えでんの異変 1959 Collotype
038 Sphère 1959 写真による詩集
039 かなりやABC 1959 グランド孔版
040 お化け退場 1959 Colour gravure
041 ストロ王 1960 STRAW MOSAIC
042 Q子の奇跡 1960 ドライポイント電鋳
043 七重と八重 1960 彫紙 漆摺
044 四十四番館 絵入物語 1960 (木版)
045 林檎と人間 1961 石膏版
046 神々の旗 1961 アルミ詩書
047 運のわるい男 1961 木刻乾拓摺
048 宇宙裁縫師 1961 伝承西洋木版
049 HAREM 1961 Applique
050 独楽が来た 1962 日本伝承木版
051 天国と地獄 1963 自刻木版(可憐判3)
052 卵から卵 1963 木綿型染
053 鬼の郷衛門 1963 Wonder view
054 紫の眼鏡 1963 自刻木版(可憐判4)
055 ラムラム王 童話 1964
056 真珠の池 1964 polystyrene paper edition
057 河童河太郎 1964 自刻木版(可憐判5)
058 新しい地球 1965 TOP-STEREO
059 人魚と嫦娥 1966 高岡螺鈿
060 Leoの魔法 1965 relief print
061 造物主失踪 1965 自刻木版
062 侏儒の饗宴 1966 ろうらっくす詩書
063 祈祷の書 1966 Sベランの本
064 二十世紀の虎 1966 自刻木版可憐判(6)
065 人生切手 1966 彫刻凹版
066 さもいや伝 1966 印伝
067 風・水・火・星 1966 Technamation
068 逆立勘九郎 1967 自刻木版可憐判 (7)
069 六つの窓 1967 Qper本
070 悪魔の旗 1967 EMBOSSOGRAPH MOSAIC
071 湖のひと 1967 Miracle tower
072 KAGEYA 1967 木口木版
073 鳩と奇術師 1967 静電印刷
074 笛を吹く城 1968 Sベランによるゴブラン織
075 けちな神様 1968 自刻木版可憐判 (8)
076 あるくJACK 1968 現代ガラス絵
077 眼球異聞 1969 RAINBOW PRINT
078 モスクワの月夜 1969 自刻木版可憐判 (9)
079 Л子の船出 1969 TRANCEART
080 迅四郎の窓 1969 APR・STAINED GLASS
081 世界は渦巻 1969 (凸版)
082 花園の気流 1970 植毛印刷
083 世界革命 1970 自刻木版可憐判 (10)
084 平和白書 1970 THERMOPRINTEX
085 女人禁制 1971 自刻木版可憐判11
086 天とは何か 1971 凸版可憐判 (12)
087 呂宋お菊 1972 拓摺
088 瓢箪作家 1972 COUPAGE
089 面倒無用党 1972 RELIEF
090 現代の神々 1972 伝承木版可憐判 (13)
091 虹を作る男 1972 自刻木版可憐判14
092 小萩抄 1973 折本上下二冊(凸版)
093 おかしな象の話 1973 (凸版)
094 高杉晋作 1973 (多色オフセット)
095 造物主御帰還 1973 自刻木版可憐判15
096 双青の夢 1974 自刻木版可憐判16
097 RomとRam 1974 皮革印刷
098 金色の森 1974 miniature d’or (金線印刷)
099 どん・きほうて 1974 coupage
100 雄鶏ルコック 1975 エンボス
101 小さな雪女 1975 賦形 SNOW VIEW
102 狗猴考 1975 自刻木版可憐判17
103 洗脳奉行 1975 四色凸版
104 天狗天八郎 1975 孔版
105 珍和名抄 1975 自刻木版可憐判18
106 半介の神様 1976 凸版
107 アイウエ王物語 1976 (オフセット 凸版)
108 ナイルの葦 1980 パピルス造本
109 王様の馬車と乞食の馬車 1976 自刻木版可憐判19
110 京之介と千草 EXLIBRIS 1977 (木版 凸版)
111 提灯の詩 1977 ヴィベール造本
112 鼡小僧下呂吉 1977 (凸版 孔版)
113 雷おさん 1977 自刻木版可憐判20
114 紺次とお丹 1977 SEALING PRINT
115 人生の門 1978 (凸版)
116 靉蘭の鯉 1978 剪紙 倪瑞良 (金箔)
117 ルイとカンナ 1978 puf-bord版
118 袖の下 1979 自刻木版可憐判21
119 エリアナ姫と蝶 1979 アルミナ磁器
120 花竜と狸 1979 (三色凸版)
121 車夫萬五郎 1979 (二色凸版)
122 珍竹林之命 1979 (二色凸版)
123 番傘奇譚 1979 Puf-bord版
124 可平と猫 1979 (二色凸版)
125 シンの魔法 1979 自刻木版可憐判22
126 べら棒物語 1980 賦形熱版
127 加藤清正 1980 (三色凸版)
128 百済の仙人 1981 (一色凸版)
129 裸女ネサイ 1980 自刻木版可憐判24
130 月から来た子 1981 凹式金線版
131 千手観音 1981 笹画仙(墨絵オフセット)
132 陶工栗衛門の妻 1981 自刻木版可憐判
133 風神と雷神 1982 蒲葉抄紙 (凸版)
134 赫夜姫後日譚 1982 (三色凸版)
135 釣鐘異聞 1982 彩雲紙 (凸版)
136 いそなげき 1982 STAMPING
137 ABC夜話 1982 可憐判 (自刻木版と凸版併用)
138 鳥遣いの乙女 1983 LASER光線CUT
139 天竺の鳥 1983 印度更紗 印度手漉紙 (二色凸版)
以上
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bloodthirsty-world · 3 years
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I LOVE PUNK
Angel
僅かに残された女達
フランス系の彼女
悲しい表情をした人
うそつきと云う名の男
パパ
僕から愛した貴女
Mother Mary
無邪気な子供達
国民の顔を持つ利権集団
選ばれた子供達
あてもなく手探りで歩き始める彼女
見守るだけの僕
あの民族
聖なる者
米軍パイロットを気取ったアイツ
ヴィンテージマニアのアイツ
Billy The Kid
素敵な家へ帰るお嬢さん
ポスターの男
大人になりたくなかった僕
腐った大人達
ママ
ロマンチストな彼女
N氏
Thank Youとしか喋れないアメリカ人
宇宙飛行士
三流映画の主人公
しわくちゃな口の政治家
変わり者
友達
大事なママと妹
ボスらしき男
No.69と云う名のヒットマン
“母の愛”で包まれ“父の想い”で満たされ“仲間の声“で安らぐお前
与えた運命を間違えた神様
Sid Vicious
愛した人
パンクス気取ってたあの頃の俺
神様に会った奴
駄目なサラリーマン
JOKER
ブーツを咥えた猫
おじいさん
フライパン片手の女
湖をボートで進む恋人達
誰かの幸せを祈る少女
10年後の自分
黒人の子供
パラノイア
血を流す少年の母親
真っ白な手の平の彼
街ではしゃぐ悪ガキ達
青い瞳をした兵士
金と嘘で作ったようなスーツを着た偉い人
膝をかかえてる浮浪者
遊びを知らない子供達
悲しそうな顔をしてるニュースキャスター
泣き出した子供
チョコレートをくれた女
太陽の光を撃ち落とそうとする親愛なる友達
天国の小鳥
鳩の群れの中の少年
傷だらけの男
雑音に流され始めた奴等
声を殺しすすり泣く父親
終わりを待つ僕
笑い方を知らない飢えた子供
公園のベンチでキスをするカップル
裏組織の犬
醜いネズミ
完璧な奴
白い目で視てる奴等
何度殴られても笑って待ってる女
ソーダ水の海で溺れる少年
ゼリーの上で寝転がる少女
戻らないトカゲ
ロックな奴
青空に近づこうと屋根に登り口笛を吹きながら裸になった僕
皮一枚の肌の色で銃を持つ事になった男
幸福感に犯され戦いを忘れた男
狂ったように踊る女
恐怖に震える大統領
王様暮らしの男
プロの殺し屋
イカサマ野郎
笑顔のおばあさん
生まれたばかりの子供
大嫌いだったおじさん
背の高かった大人達
ヒステリックなシスター
月夜の狼
母を求める赤子
痛みも喜びも悲しみも知らない子供達
物乞いをするストリートチルドレン
気取って歩く身売りの少女
虫も殺せない少年
盗んだ指輪を売り付けようとする少年
待ち合わせに遅れて来た愛しい女
ヨウキナハイエナ
夜を待ち続けた僕等
私のヒーロー
飛べない天使
煙突掃除の老人
お婆さん
部屋の片隅で怯える僕
無邪気で繊細な女
ラクダで旅をする俺
くわえ煙草の野良犬
イエスキリスト
捨て猫の帰り道探す少女
君にしか似合わない僕
世界と共有したいと願う俺
大人じゃない俺
子供じゃない俺
頭を抱えるディレクター
怒鳴るマネージャー
あの子にばかり目をかける社長
本当の自分をトイレに流し、最高の笑顔でプロデューサーに唾を吐き、ブラウン管の中で中指を立てたアイドル
手紙を残した浜辺の二人
都合のいい時だけ女になる女
我がもの顔のおばさん
苛立つタクシードライバー
街中のワル共
偉い人達
高い鼻のあんた
スクラムを組んだ2人
僕の大好きな彼等
心底愛しあった二人
大人の世界を知っている少年
蝶を狙う蜘蛛
無神経な大人達
僕の思い出と暮らしてる知らない人
不良少年
行方不明の恋人
鳥のように自由に空を飛びたいと願う男
ヴェトナムの少年
充血した眼の兵士
自由に唄うことをあきらめた鳥
きれいな心の持ち主
純粋な女
白い服を着た天使
旅人
ニュースキャスター
セーターを編んでくれたおばあさん
泣きだしそうなピエロ
プールの変死体
インディアンの羽根をつけた恋人
アメリカ映画を愛している奴
ノイローゼの友だち
いかれたロマンチスト
破滅型ロックンローラー
FAT BOB
C.B. JIM
BELL BOY
単車乗り
ストリッパーの腕に抱かれていたボス
死神
ヴァニラ
スーパーマーケットのパートタイマー
車泥棒
迷子
精神科の医者
神父
ペリカンの親子
コウモリ
戦闘服を着た男
チキンジョージ
12月生まれの山羊座の男
インタヴュアー
荒んだ心を持ったハニー
かわいい女の子
神様
ヒステリックな女
生クリームだらけの3匹の子猫
アパートの管理人
ケツに火がついてる犬
飛び下り自殺した男
おもちゃの兵隊
ミツバチ
年下のジャンキー
ちいさな子供たち
森を駆け抜ける狼
綺麗な眼をした女の子
海賊
飛行機乗り
悲鳴をあげる女
恵まれない大人たち
裸足の子供たち
親愛なる母
天国へいきたいと願う男
背広を着た男
動物愛護団体
平和のハト
窒息寸前の子供
あわてた母親
肩をすくめている天使
スピードのぬいぐるみを着た男
世界で一番素敵な女の子
礼儀知らずの可愛いスカンク
アラスカ帰りのチェインソウ
PLATINUM BLOND
EDOWARD JACKET
BLACK SUEDE SHOES
50過ぎの売春婦
ちょびヒゲでとっても明るいデブ
ビードロのジャケットを着た浮浪者
15歳で家出した少女
太鼓たたきの恋人
シェパードを連れたパンク
ちいさな猿
傷だらけの天使
嫌われ者
ピンクの若いブタ
ピザ屋の彼女
誰とでも寝るような女
コバルトブルーの心の奴
ハート型のエプロンをした女主人
クスクス笑う奴
爪先で歩く猫
ベビーシッター
アヒル
ミッキーマウスの様な笑顔で愛しつづける女
リトルピンクサマー
スパゲッティ―ヘアーの男
青少年
マッチ売りの少女
おしゃべりキツツキ
夢をなくした友
荒れ果てた原野で生きる小さな虫
ミリンダ
グレッチ
RAVEN
暴走ピノキオ
血まみれのバカ
SUZIE
とても口じゃ言えないぐらいのヤンキー
泥だらけのハイエナ
目を閉じて夢を見ない女
踊子
21回目の誕生日の朝に死んだ女
かわいいジャンキー
SHERRY
スクラッチという街で愛を探している奴
赤いタンバリンを上手に撃つ女
ロメオ
内気なカンガルー
この世界で一番幸せな人
数えきれない星の中でギターを弾いた人
ドブネズミの死骸
ガソリンスタンドに住みたいと願う男
LAS VEGAS PAT TUNE SUMMY
SHERILL
砂漠の商人たち
レインコートに雨の雫が落ちて笑顔を浮かべた女
言葉より未来を信じた二人
進んだ奴
小さな恋のメロディーという映画を12才の時に観て細胞がそのままの奴
希望を捨てない鳥たち
うなだれた白人の浮浪者
街で転んで手のひらを切った男
髪を切って鏡を覗き込んでいる無邪気な人々
頭の中でハツカネズミがダンスしている男
国境線上の蟻
チョッパー乗り
街路樹の猿
珊瑚礁売り
はちきれそうなボディの女
傷だらけのボンティアック
偶然出会った友だち
ドアがとれたCAMARO
笑う振付け師
マドラスチェックハットをかぶった黒人ゲイ
ネオンを浴びて道ゆく人
猛獣使い
白黒のトラガラの猫
T型フォードのホッドロッドでスピンしてよだれを垂らしている女
理屈をつけたがるMONKEY FIRE
不良の森に潜む不良
静かな森の奥でカベにもたれて揺れる草を見ている少女
メキシコの砂漠の果てで独りぼっちの女
枯れたサボテン
不満気にレモン畑を飛ぶ鳥
花びらが揺れるように口づけをした二人
センチメンタルな北京ダック
頬紅つけて笑っている悪魔
冬支度をするリス
分厚い恋の悩みでとりこんでいる女
よくしゃべる女
街路樹の唄うたい
天国に近いハート
孤児のみつばち
青いサングラスをしたピアノ弾き
優しく揺れるコスモス
銀河をさまようビーバー
夢を抱いて青空を見上げる若者たち
ぺピン
MARUUANA BROTHERS
ROBIN
SALINGER
HIPSTAR
MINNEY THE MUTURE ENLIQUE
GREEN JELLY
BLUE JELLY
PURPLE JELLY
METAL KIDS
MERRY LOU
PUNKS
TERRY
RUBY
ELIZABETH
ZONBIE
SAMMY
DERRINGER
D.I.J.
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hananien · 4 years
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【S/D】サムと忘却の呪い(仮)1~4
ツイッターに画像で投稿しているS/D小説です。一万文字超くらい。まだ続きます。
もし魔女のロウィーナが、将来自分を殺す男になると知って攫い、殺してしまうつもりだった幼少のサムに情がわいて、自分の子として育てることにしたら? そしてハンターが”魔女狩り”に特化した集団だったら? という妄想から生まれた小話です。シーズン12の11話「忘却の呪い」をオマージュしています。アリシアやマックスという12から登場する魔女キャラにも出てもらってます(彼らはハンターだけどここでは魔女として)。
連載中の小説を書きたいとは思うんだけど宿便状態なので、ガス抜きに小話を書いてる現状です。なのでお気楽な感じで読んでもらえると。。
 サムの養い親である魔女いわく、日のあるうちの森は獣の領域。だから理性ある魔女や魔法使いは夜に活動し、昼間のうざったい太陽が地上を照らしている間は絹のシーツに包まって体力の回復に努めるのだという。サムにいわせれば怠惰の言い訳にすぎないが、夜更かしな魔女たちの生態がいとおしくもあった。何より夜の彼女らはサムなど足元にも及ばぬほど鋭い英知と魔力の使い手だ。ならば彼女たちと少しばかり生態の異なる自分が、早起きして夜の”活動”の手助けをするのは義務であるし喜びでもある。獣の領域というなら早朝の森は狩りをするのに恵まれた環境だ。彼女たちはウサギのシチューが大好きだけど、そのウサギがどこで泥の毛皮を脱いできて鍋に飛び込んでくれたのかは考えたがらない。
 自分が何者であっても、森を歩くのが好きな男に変わりはなかっただろうかとサムは想像する。下草を踏むたび立ち上る濡れて青い土のにおい。罠にかけた小さな獣をくびくときすら、森はサムと獣のどちらをも憐れんで祝福してくれる。森はサムのびっくり箱だ。彼は自分の生まれた場所を知らない。だけど彼の親がこの森の入口に彼を捨てたとき、赤ん坊と森のあいだに絆が生まれ、その瞬間から森がサムの故郷になったのだ。※
 そうだ。森はいつもサムを驚かせてくれる。かくれんぼで遊んでいた七歳の彼を、その懐の深さで半月のあいだかくまってくれ、養い親をすっかりやつれさせてしまった時のように。
 その日、狩りを終えたサムの目の前を、遅寝のウサギが飛び跳ねていった。茂みの奥に逃げ込んだウサギを彼は追いかけた。腰には今日のぶんの収穫が下げられていたけれど、もう一匹恵まれたって困ることはない。
 茂みの中から黒い毛皮が現われた。サムは手を伸ばそうとしてひっこめた。黒くもなかったし、毛皮でもなかった。朝露で濡れた短いブロンドがゆっくりとサムのほうを向いて、彼はアッと息をのんだ。魔女がウサギを化かして僕をからかおうとしているのか。そうでなければなぜこんな場所に、サムの知らない男がいる?
 ところがブロンドの男の懐からさっきのウサギがぴょんと飛び出して、サムの脇を通ってどこかへ行ってしまった。「バイ、うさちゃん」と男はいった。寝ぼけたように、低くかすれた、それなのに、ぞっとするくらい、やわらかな声だった。
 「僕はサム」と、サムはいった。まぬけ、と森がささやくのが聞こえた。もしくは自分自身の心の声だったかもしれない。
 男は重たげなまぶたを持ち上げて、サムを見上げた。 
 「やあ、サム」
 新緑、深い湖、砂金の流れる小川。男の瞳は輝いていた。
 森はまたもサムに驚きを与えてくれた。彼は恋多き魔女たちに囲まれながら、自分が恋することが出来るとは思っていなかった。
 この時までは。
 昼過ぎから始まるブランチの席で、気もそぞろなサムに、養い親のロウィーナはけげんな視線を送る。
 「今朝のウサギ、ちょっと血抜きが甘いじゃない? 生臭いのは嫌よ、われわれは吸血鬼ではないのだから」
 「そう?」 サムはぼんやりと答える。「そうかな? それ、缶詰の肉だけど」
 「サミュエール」 ロウィーナの視線がますます冷たくなる。
 「今朝の狩りは空振りだった?」 行儀よくパンをちぎってアリシアがたずねる。彼女は見た目だけではなく、実年齢もサムとさほど離れていない若い魔女だ。母親のターシャ、双子のマックスとともに、ここロウィーナの屋敷に下宿している。
 「今朝の狩り……」 思いもかけぬ収穫があったことを姉弟子にどうやって伝えればいいだろう。いや、とサムは意識の中で首を振る。
 魔女のなわばり意識の強さといったら、狼人間が可愛く思えるほどだ。人間が――しかもどうやら”記憶があやふや”な、身元の怪しい――神聖な魔女の森に入り込んだと知れたら、ロウィーナははっきりと戦化粧をして森へ勇み、彼を排除しかかるだろう。双子のアリシアとマックスも、彼らは敵とみなした人間に容赦はしない。つまり、明日のシチューの中身が決まるってことだ。
 サムはぶるっと震えた。靴の底から顎の奥まで震えは伝わってきた。春の始まりに色づく枝先のように初々しく、美しい彼の瞳が、よく炒めてから煮込んだ紫玉ねぎの横に浮かんでいるさまを思い浮かべて。彼の肉つきのよい白い二の腕を調理するときの甘い香りを想像して。彼の肉を食べる――残酷なはずの行為が甘美な誘惑に感じる自分にうろたえて。
 だめだ、だめ。そんなことにはさせない。彼のことは秘密にする。
 「今日は、思ったより暖かくて」 サムは本当のことだけを口にする。「血を抜くのが遅すぎて、ダメにしちゃった。毛皮だけはいで、肉は捨てたよ」
 「また寄り道をしたんでしょう。狩りのあとはすぐに帰ってこなきゃだめよ。獲物を持ったままウロウロしないの」 ロウィーナは血のような葡萄ジュースで唇を湿らせる。
 「でないとあなたが獲物にされるわ」
 サムはこっそりと屋敷を抜け出し、森の男を見つけた場所まで急ぐ。
 彼はそこにいなかった。けれどたどり着いた茂みの変わりようを見て、逃げたわけじゃなさそうだと安堵する。ただの茂みだったそこは、下草が踏みならされて空き地に変わり、中心の地面は掘られていて、男が簡易なかまどを作ろうとしていたことが見て取れた。
 がさがさ音がして、薪になりそうな枝を腕に抱えた男が戻ってきた。サムの顔を見ると一瞬で表情が明るくなる。「サム!」 男は枝を足元に落としてサムに近づいた。その両手がわずかに広げられているので、サムは自分がハグされるんだと気づいた。
 サムが躊躇いながら上げた腕の下に、男の腕が入り込んできた。肩甲骨の下に巻き付いた腕がぎゅっと彼の胴体を締める。”抱きしめられた”んだ。魔女たちはサムによく触れたがるけど、頬にキスしたり腕を組んだりするだけだ。
 こうして誰かに真正面から抱きしめられるなんて、初めての経験だ。他人の体温を腹で感じるのも。
 なんて心地がいいんだ。
 「また来てくれたんだな」 男はそのまま顔だけを上げて、同じくらいの高さにあるサムの目を見てにっこり笑った。
 サムはまぶしくてクラクラした。まるで、ああ、彼は太陽みたいだ――魔女や魔法使いが忌み嫌う太陽――けれど彼らが崇める月を輝かせる光の源。
 「来るっていったじゃないか」 サムはゆっくりと、舌が絡まないようにいった。ハグに動揺したなんて、彼の笑顔にクラクラしたなんて、知られたら、あまり恰好がつかない気がした。恋に長けた魔力使いの男女のスマートな駆け引きを思い返し、取り澄ました顔を作る。「ほら、パンとジュースを持ってきた。昨日から何も食べてないって、ほんとう?」
 「ありがとう!」 男はサムのぺたぺたと頬を叩いて感謝を表した。――状況を考えれば、それは感謝のしぐさで間違いないはずだ。サムにとってはあまりに親密すぎたので、すぐには思い当たらなかった。だけど、男は四六時中、出会った人間の頬をぺちぺちしてますとでもいうように平然として、その場に屈むとリュックの中を探りだす。
 サムは早まる動悸を抑えるため、こっそり深呼吸を繰り返した。
 「どうかな、憶えてないんだ。何も憶えてない」 男は瓶の蓋を捻って開け、すぐに半分を飲み干した。よほど喉が渇いていたんだろう。きれいに反った喉のラインを必要以上に凝視しないようにサムは気をつけた。「ほんとに、参ったよ。腹が減って、おまえの捨てていったウサギを焼こうと思ったんだ。でも火を熾す道具が見つからなくて」
 「何も憶えてないって、どうしたの? どうしてこの森に入ったんだ? 町からそんなに遠くはないけど、ここが魔女の森だってわかってるだろう? それとも、よそから来たの?」
 「それが、わかんねんだ」
 「何も憶えてないの? 自分の名前も?」
 彼は、驚いたように目をしばたかせた。まるで自分に名前あることすら、失念していたように。
 その様子に異様さを感じて、サムはまさか、と思った。記憶喪失の人間が、”自分の名前を思い出せない”と悩むことはあっても、”自分に名前があること”を忘れて明るく振る舞うなんてことがあるだろうか。この異様さは、まじないの気配に通じる。彼の様子は、身体的、精神的な後遺症による記憶喪失であるというよりも、呪いによるダメージを受けている状態だと思ったほうがしっくりくる。
 でも、まさか。だれが彼を呪うっていうんだ? 中世ならともかく、このセンシティブな時代に魔女が人間を呪うなんてありえない。
 「うーん、たぶん、Dがつく気がする」 男が考え込むと眉間にしわができた。「D、D……ダリール、ディビット、違う……。デ……デレック? パッとしねえなあ……」
 「ダンカン? ダドリー?」
 「うーん?」
 「ドミニク? ドウェイン?」
 「ドウェイン? いいかもな。おれをそう呼ぶか?」
 「それがきみの名前なの? 思い出した?」
 「うーん? 多分違う気がする。でもいかしてるよな」
 サムは首を振った。彼の愛嬌に惑わされてはいけない。「もう少し、思い出してみようよ。デイモン、ディーン、ダライアス、デイル……」
 「それだ!」
 「デイル?」
 「いや、もう一つ前の」
 「ダライアス? ディーン?」
 「ディーンだ!」 男はうれしそうに歯をむき出して笑った。「おれの名前はディーンだ。それに、思い出したぞ。おれには弟がいる」
 「いいぞ。どこに住んでいたかは?」
 男はさらにしわを深くして考え込んだが、しばらくしても唸り声しか出てこない。
 サムはちらばった薪を集めて、かまどの枠を組み立てた。気づくとディーンがじっと見つめていた。
 「何も思い出せない」 あっけらかんとしていた少し前と違って、悲しみに満ちた声だった。「どうしちまったんだろう。おれ。ウサギを抱いて、おまえを見つけた。それ以前のことが、何も思い出せないんだ」
 「たぶん……たぶんだけど、きみは呪われたんだ」 サムは慎重に言葉を選んでいった。「魔女のことは、憶えてる……というか、知ってるだろ? 今ではそんな悪さをする魔女は少ないけど、トラブルになる自覚もないまま、彼女ら――彼かもしれないけど――を怒らせて、呪われるってことも、ないわけじゃないんだ」
 「呪われた?」 ディーンは大きな目を限界まで開いた。「おれが? どうして?」
 「わからない。もしかしたら違うかも。でもきみ、どこにも怪我はないようだし、記憶がないっていうのに、やたら気楽だったろ。それにここは魔女の森だよ。人間は入ってこない。基本的にはね。なのにきみがここにいるっていうのが、魔女が関わっているっていう証拠にならない?」
 「おまえはずいぶん賢そうに話すんだな」 ディーンは鼻をすすった。水っぽい音がした。「何が証拠になるっていうんだ。おれはどうすればいい? どこに行けばいい」
 「ここにいればいい」 サムは火種のないかまどを見つめて、それ��ら首を振った。「ここじゃだめだ。ここは屋敷から近すぎるし。僕の家族に見つかったらディーンが危ない」
 「何をいってるんだ? 怖いぞ」
 「大丈夫。もっと奥に、今は使ってないあばら家があるんだ。たぶん僕しか知らない。そこにディーンをかくまってあげる。僕は魔法使いなんだ――まだ一人前じゃないけど。いろんな本を読める。それに、僕の親はすごい魔女なんだ、ディーンにかけられた呪いを解く方法をきっと知ってる」
 「まて、待てよ。おまえが魔法使い? おまえの親が魔女? おれに呪いをかけたのはその魔女じゃないのか? ここはその魔女の森なんだろ?」
 「ロウィーナは人に呪いなんてかけないよ。そんなにヒマじゃないんだ」
 「わかんないだろ」 ディーンの声に水っぽさが増した。と思ったら、彼はぽろりと涙をこぼしている。サムは頬を叩かれた時以上に衝撃を受けた。こんなに静かに泣く人は見たことはなかった。
 「ディーン、ごめん。泣かないで」 折れた薪の上に尻を乗せて、膝を折りたたんで小さくなっているディーンの横にしゃがみ込む。「大丈夫だよ。僕が守ってあげる。記憶を取り戻してあげるから」
 ディーンはサムを見つめて、まばたきもせずまた二粒涙を落した。サムを奇跡を見守っているみたいにじっと彼を待った。やがて彼は赤いまぶたで瞳を覆って、小さくうなずいた。
 「わかった。おまえを信じるよ」
 あずまやに移動して寝床を整えた頃にはもう日が暮れかけていたので、サムは急ぎ屋敷に戻らないといけなかった。夕食にはコックを雇っているとはいえ、実際に食卓を作るのは女主人であるロウィーナの指示をうけたサムだ。
 「また何か食べ物を持ってくるよ。遅くなるかもしれないけど、夜中までには必ず」
 「サム、おれの記憶、戻るよな?」
 小屋の質素な木戸を開けたサムは振り返る。戸の影で彼の不安そうな顔の半分が隠れてしまっている。サムより年上に見えるのに、心内を素直に伝えてくる瞳だけをみるとディーンは幼い子供のようだ。このまま留まりたい思いでいっぱいになる。
 彼が人間ではなかったら。彼が記憶ではなく、過去を持たない精霊だとしたら、それは森がサムに与えた贈り物なのではないか。
 彼を森の精霊だといって屋敷に連れ帰り、ターシャやマックスが連れているような使い魔として側に置く。何も知らず、誰と繋がりもない彼の唯一の主人となる。彼の食べるもの、着るもの、行動の範囲の一切をサムが指図し、彼のすべてを支配する。それがサムに、許されているとしたら?
 あるいは彼をこのままここに留め置いて、二人で秘密の生活を続ける。ディーンには記憶を取り戻す方法がなかなか見つからないといっておけばいい。小屋を出ればいかに危険かを言い聞かせれば、逃げられることはないだろう。
 違う。僕は彼を支配したいんじゃない。ただ彼に――
 「キスしたいな……」
 「えっ」
 「えっ、あっ、いや」 妄想が強すぎて声に出ていたと知ってサムは慌てた。
 「き、君の記憶は戻るよ、僕にまかせて。でも、いったん戻らなきゃ。ロウィーナは僕が家にいると思ってる。彼女は僕の部屋に勝手に入ったりしないけど、ディナーの準備に遅れたら魔法の鏡で覗かれるかも。僕がいないことがばれたら大騒ぎになる、森に捜索隊が出されたら大変だ。僕が行方不明になったのはもうずっと前のことなのに……」
 「サム、おれにキスしたいのか」
 「えっ」 サムは片手で戸にすがりつきながら唇をこすった。「なんで?」
 「なんでって、そういっただろ? おれは、憶えてる」
 そういって、自分の唇の感触を確かめるように、ディーンは舌をそろりと出して下唇を噛む。赤い舌と、暗がりでもきらりと輝く白い歯が、熟れたベリーのような唇から覗いた。サムは狩人の本能で手を伸ば��た。指先が唇に触れ、湿った感覚がした。頬を滑った指が、耳たぶに触れると、そこは唇よりも熱かった。ディーンはため息を吐いた。
 「サムの手、でっかいな」
 ディーンは少し俯いて、サムの手が自分の項を包み込めるようにした。サムは夢心地で一歩近づき、両手でディーンの頭を抱く。後ろで木戸が閉まる音がする。ガラスの嵌っていない窓が一つあるだけの小屋の中は真っ暗になった。
 ディーンは目を閉じたままゆっくりを顔を上げた。親指の付け根に彼の穏やかな脈動を聞く。野性の鹿に接近を許されたときのように誇らしく、謙虚な気持ちになった。サムは初めてキスをした。
 何をいわれるかとひやひやしながら屋敷に戻ったが、ロウィーナは不在だった。かわりにアリシアがキッチンを取り仕切っていた。気が緩んだサムは今度はアリシアににやけ顔が見られないかと心配するはめになった。味見をして、雇いのコックにしょっぱいわね、でもこれでいいわ等と指示を出しながら、アリシアはサムを観察している。魔女というのはみんなそうだ。気安いふりをして他人の心を探るのに余念がない。
 食卓が完成するころにロウィーナとターシャが帰ってきた。二人が揃って出かけていたことにサムは驚いた。何か大きな事件があったのかと思い、それからあずまやのディーンのことがばれたのではないかと怖くなる。
 ロウィーナは冷静を装っていたけどイライラしているのは明らかだったし、ふだん泰然としているターシャもどこか落ち着きがない。
 「二人でどこに行ってたんだ?」
 食事が始まってしばらくして、マックスが尋ねた。サムは二人の魔女の答えを待つ間、ろくに呼吸もできなかった。ロウィーナがグラスを煽ったので、ターシャが話し出した。
 「ロックリン家よ。招待状を出しに行ったの。とんでもないことを聞かされたわ。大事が控えているから心配ね。おかしなことにならなければいいけど。ロウィーナ……」
 「ギデオンが死んだこと?」 ロウィーナはその話題を口にするのも腹立たしいとばかりにターシャをにらんだ。「大したことじゃないわ、あの腐った三つ子が今までそろっていたことが不吉だった。わざわざ私たちに話したのはサムの儀式にケチをつけるためよ。なめられたもんだわ、たかが数十年ばかりアメリカに入植したのが早いからって」
 「ロックリン家? 私もあいつらは嫌い。でもしょうがないわ、あっちは由緒正しいドルイドのスペルを持ってる」 アリシアがみんなの顔を見回す。「私たちにあるのは……実地で身に着けた薬草学に、星占術、たくさんの水晶。あちこちの流派を回って極めた最先端の魔法術。あれ……全然悪くないかも?」
 「さしずめ野草派ってとこだな」 マックスが調子を合わせる。「雑草と自称するのはやめておこう。でも、サムの儀式は予定どおりやるんだろ?」
 「もちろんそのつもりよ」
 「僕の儀式って?」 みんなが当然のようにいうから、サムは何か重要な予定を自分だけ聞き逃していたのかと焦った。ロウィーナとターシャ親子はともに定期的に魔法の儀式を行う。サタンへの忠誠を示し、魔力を高めるためだ。子どもにはまだ早いといって、いつものけ者にされていたから、どうせ自分には関係ないと思ってよく聞いていなかったのかも。
 「僕も儀式に参加できるの?」
 それを熱望していたのは覚えているが、ディーンを匿ってる今は避けたい。
 「いいえ、そうじゃない。サム。”あなたの”儀式よ」 サムが言い訳を探す間もなくロウィーナはいった。
 彼女は背筋をピンと伸ばしてサムを見た。「あなたはもう十六歳。サタンに忠誠を誓って一人前の魔法使いになる時が来たの。小さいころに教えたでしょ、森のストーンサークルで儀式を行う。この土地に住まう全ての魔女と魔法使いの立ち合いのもと、新しい魔法使いの誕生を祝うのよ」
 サムはあっけにとられた。「そんな――大事なことを、なんで――もっと前に、言ってくれなかったんだ」
 「逃げちゃうと困るでしょ」 アリシアがあっさりといってのける。「多感な思春期の子どもに”おまえは十六歳になったら”死の書”にサインしてサタン様の下僕になるんだ、それまで純潔を守れ”なんていったら大変なことになる。私もマックスも、知らされたのはその日の夕方。まあそれまでも、男の子と仲が良くなりすぎないように見張られていたけどね」
 「その反動が今きてる」 マックスが気だるそうに顔を向けて、双子はほほ笑んだ。
 「その日の夕方だって?」 サムは仰天した。「まさか、今夜?」
 「まさか。今日は招待状を出しただけ。儀式は明日の夜」 ロウィーナはため息を吐いて再びカトラリーを持つ手を上げる。「まあ、だから、明日の昼間の勉強はお休み。あなたは寝ていなさい。真夜中に始め、明けの明星が昇るまで行うのが通例なの。初めての儀式だから特に長く感じるものよ。主役が居眠りなんて許されませんからね、しっかり寝ておくことね」
 「私たちもその助言がほしかったわ」 双子が嘆くと、ターシャが「私の若いころなんてもっとひどかった。真夜中に叩き起こされて……」と話を始める。サムはそれを耳の端で聞きながら、味のしない肉を噛み締めた。大変なことになった。
 ストーンサークルはディーンをかくまっているあずまやのすぐ近くにある。ただの天然のアスレチックジムだと思っていた古ぼけた巨石にそんな使い道があったなんて知らなかった。
 ディーンを別の場所へ移す? いや、他に森に彼を隠せるような場所なんて思い当たらない。もしも永久に彼を森に閉じ込めておくっていうなら別だ――大木のうろ、崖下の洞窟、そういった場所を幾つか知っている――そこを拠点に家を作ることができる。何週間、何か月、何年もかけていいなら、サムは彼のために新しい屋敷だって建てられる――だけどそうじゃない。そうはならない。ディーンの記憶を取り戻して、彼の帰る場所を思い出せてあげるんだ。
 「ロウィーナ……聞いていい?」 サムは何でもないふうに装って質問した。「人の……記憶を消す魔法ってあるだろ? 難しいのかな?」
 当然ながら、何でもないふうに答えてくれる魔女はいなかった。みんながサムの顔を見るので、サムは急いで唐突に変な質問をした正当な理由を披露しなければならなかった。
 「思春期に……」 喉にパンが詰まったふりをして咳をする。「その、儀式のことを聞かされたって、ああそう、って受け入れる子もいるかもしれないだろ。まずは話してみないと。隠すのはあんまりだ。それで、すごくその子が嫌がったり、自暴自棄になるようなら、その時は記憶を消す魔法を使えばいいんじゃないかと、そう思ったんだ。ただ思いついたんだよ」
 一瞬、間があいて、マックスが「ひゅー」と口笛を吹くまねをする。「その考え方、俺は好きだな。冷酷で、合理的で。さすが、ロウィーナの一番弟子」
 ロウィーナは口元でだけ微笑み、ゆっくりと首を振った。「そうね、でも少し、短絡的よ。一時的に記憶を奪うことは、ハーブの知識があれば簡単にできる。だけど人の記憶を完全に消し去るのはとても難しい魔法なの。呪いというべきね。そんなものは仲間に使うべきじゃない」
 「一時的なものだったら、ハーブを使えば治る?」
 「ええ。ジュニパーベリー、それとほんの少しのベラドンナ……」 ロウィーナはスープをすすりながらすらすらと必要なハーブの種類を挙げていく。サムは記憶しながら、どれも屋敷の薬草庫や温室から拝借できるものだと思って安心した。「……マンドレークの頭をすり鉢にしてそれらを混ぜ合わせ、魔力を溜めた水に浸す。それを飲むのよ。簡単でしょ」
 「それは記憶を失わせるほうのレシピじゃない?」 薬草学に長けたターシャが口を出す。ロウィーナはそうだったわと頷いた。「記憶を戻すほうなら、ベラドンナを入れちゃだめだった。だけどそういったハーブの魔法は時間とともに解けるから、ふつうはわざわざ作らないのよ」
 「記憶をあれこれする魔法はドルイドが得意だったわね。ロックリン家にも伝わってるはずよ、あの書……」 ターシャは訳ありげな微笑みをロウィーナに向ける。「”黒の魔導書”。��れのせいで多くの魔女が高いプライドを圧し折ることになったわ。まあ、でも、今ではちょっと時代遅れね」
 「あいつらの頭は中世で止まっているのよ」 ロウィーナは憎々し気につぶやいて、ツンと顎を上げた。
 その夜中、各々が部屋に戻ってそれぞれの研究や遊びに没頭している時間、サムが眠っていることを期待されている時間に、彼はこっそりとベッドを抜け出してキッチンに忍び込んだ。用意したリュックサックにパンと果物を詰め込む。早くディーンのところに戻りたかった。空腹で不安な思いをさせたくないし、新しいランプを灯して暗闇を払ってやりたい。それになにより、彼と話がしたかった。記憶がなくてもかまわない。彼の声を聞いていたい。彼にどうして僕とキスをしたのと尋ねたいし、どうして僕がキスをしたのかを話して聞かせたい。もう一度キスをさせてほしいといったら彼は頷いてくれるだろうか。サムは期待でうずく胸を押さえた。断られないだろうという確信がそのうずきを甘いものにした。
 「サム?」 暗がりからロウィーナが現われてサムの心臓は押さえたまま止まりかけた。冷蔵庫のドアを開けてうずくまる養い子をしばし見下ろして、ナイトドレスにローブを羽織った彼女はふと目元をやわらげた。
 「眠れないのね。儀式の話をしたから」
 「う、うん。そうなんだ。喉が渇いて……」 サムは冷蔵庫のドアを閉めて立ち上がり、足元のリュックを蹴って遠ざけた。暗いから見えないはずだ。
 「心配することはないわ。あなたはただそこにいて、”死の書”にサインをすればいいだけ。あとは私たちの長い祝福を聞いていればいいのよ。夜が明けるまでね」
 「勉強はたくさんさせられてるけど、夜更かしの授業はなかったな」
 「何をいってるの。あなたが毎日遅くまで本を読んでいること、呪文や魔法陣の勉強をしてることは知ってるわ」 ロウィーナはそういってサムを驚かせた。彼女は手を伸ばしてサムの伸びた前髪を撫でつけてやった。
 「情熱のある、熱心な生徒を持って光栄だわ。あなたはきっと、偉大な魔法使いになる。私にはわかる。あなたがほんの赤ん坊のころからわかってたわ」
 「森で僕を拾った時から?」
 んー、とロウィーナは目を細めて考えるふりをした。「やっぱり、あなたが自分の足でトイレまで歩いていけるようになった頃かしらね」
 サムは笑って、自分を育てた魔女を見つめた。彼女の背丈を追い越してもうずいぶん経つ。彼女がサムの身体的な成長について何かいったことはなかった。けれど時々、彼女が自分を見上げる目が、誇らしく輝いているように思える瞬間があって、サムはその瞬間をとても愛していた。
 「ロウィーナ」
 「なあに」
 「僕、成人するんだね」
 「魔女のね。法律的にはまだ子ども」
 「ロウィーナのおかげだ。僕、あなたの子どもであることが誇らしいよ」
 ロウィーナの目が輝いた。
 「まだまだ独り立ちはさせないわ。もう少し私のしごきに耐えることね」
 「覚悟しとくよ」
 ロウィーナは冷蔵庫を開けて水のデカンタを取り出した。キッチンを出ていこうとする彼女の柳のような後ろ姿に息を吐いて、踏みつけていたリュックを引き寄せる。何か思い出したようにロウィーナが振り向いて、サムは慌ててまたリュックを後ろ脚で蹴った。
 「いくらでも夜更かししていいけど、明日の朝は狩りに行っちゃだめよ。食事の支度は双子に任せるから」
 「なんで?」
 ロウィーナは肩をすくめた。「ロックリン家のギデオン。彼が死んだのは夕食の時にいったわね。死体が森で見つかったのよ。彼らの領地は森の東側だけど、ハンターはそんなこと気にしないわ」
 サムはギクリとした。「ギデオンはウィッチハンターに殺されたの?」
 「魔女を殺せるのはウィッチハンターだけよ」
 「だけど、そんなのニュースになるだろ」
 「正当な捕り物ならハンターは死体を残さないし、カトリーナの様子じゃ何かトラブルを隠してる。だけど巻き込まれるいわれはないわね。しきたりだから、明日の儀式には彼ら――生き残った二人の嫌味なロックリン家――も呼ぶけれどね。森にはハンターがひそんでいるかもしれない。目撃者がない状況でハンターと遭遇したら、やつらがいうところの違法行為がなくても逮捕されるわよ。だから、サミュエル、明日の儀式にみんなで行くまでは、森に入っちゃだめ」
 「わ、わかった」
 ロウィーナが行ってしまうと、サムは念のために一度部屋に戻って、ベッドサイドのランプを付けた。それから温室に忍び込み、ハンガーに吊るされているマンドレークを一根、それと必要なハーブを掴んでリュックに詰める。温室の裏口からこっそりと抜け出したサムは、二階で休むロウィーナに心の中で詫びながら、パーカーのフードを��くかぶって、まっすぐ森へ向かった。
◇ ◇ ◇
ツイッターにも書いたけど設定だけは壮大。このあと・というかいま書いてるのは三部作のうちの一部でディーンとは別れて終わる。そしてサムは魔女の権利向上のために戦う革命戦士もどきになり、ハンターのディーンとは敵対関係に。。というロミジュリな。でも大ボスはUKの賢人か悪魔かチャックにでもして魔女もハンターも同じ側で戦うんだな。(そのあたりはボヤボヤ)最終的な問題は二人が兄弟だってどうやってばらすか、ばらした時の反応はどうするかだけど、その時にはもうやることやっちゃって覚悟できてるサミさまになってるだろうからきっとなんとかなる。
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sorairono-neko · 5 years
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忘れられない夜になる
「何を見てるんだい?」  携帯電話を操作していた勇利の前に、ヴィクトルが髪をぬぐいながら腰を下ろした。勇利はベッドに座っていた。ちょうど二日前ふたりが真剣に話したときと同じだった。 「みんなクラブに行って遊んでるみたい」  勇利はほほえみながら答えた。 「楽しそうだね」  ヴィクトルはとくに羨ましがる様子もなく簡単に言った。 「若い人は元気でいいね」  勇利が感想を述べると、ヴィクトルは可笑しそうに笑った。 「それから……、オタベックを探してるみたい」 「なぜ?」 「さあ……、よくわからないな。情報を集めて連絡を取り合ってるようだよ。ぼくのところには何も来てないけど」 「俺のところにも来ないだろうな」  勇利はヴィクトルを見た。ヴィクトルはくすっと笑った。 「みんな俺たちに気を遣ってるのさ……」 「…………」  ヴィクトルは勇利の手から携帯電話を取り上げ、脇へ置いて、勇利の指と金色の指輪にキスした。勇利は赤くなった。 「ここへおいで」  ヴィクトルがみずからの隣を示した。勇利はためらってから、思いきってそこへ座り直した。ヴィクトルの腕がすぐに肩を引き寄せる。眼鏡を外された。勇利は彼にもたれかかった。 「ちょうど一年前、勇利は俺にコーチになって欲しいと頼んだ。そして一年後には、もうコーチをやめてくれと言った。勝手だよね」  勇利は目を伏せた。 「……ごめんなさい」 「本当に悪いと思ってるのかな?」 「怒ってるの……?」  勇利はおずおずとヴィクトルを見上げた。ヴィクトルは苦笑を浮かべ、「きみはずるい」とささやいた。 「ずるなんかしてないよ……」 「どうしてあんなことを言ったんだい?」 「どっちのこと?」 「どちらでも」 「……おぼえてないけど、たぶん、ヴィクトルと一緒がよかったんだと思う。ヴィクトルがいれば、ぼくは変われるって……」 「じゃあ、どうしてあんなことを言った?」 「……ヴィクトルのスケートを──競技者としてのヴィクトルを殺したくなかったから」 「その代わりに、競技者の自分を殺すことにしたのかい?」 「ぼくはあれで……、ヴィクトルの存在を証明することで完成すると思ったから……」 「でもそうじゃないよ。勇利のスケートはもっと変わるし、もっといろいろなものを見せられるし、もっとたくさんの魅力と輝きがある。勇利だってまだ気づいていない──きっと俺だって気づいていない何かがあるんだ。わかるかい?」 「うん……わかる」  勇利は素直にこっくりとうなずいた。 「それを引き出せるのは俺しかいない。それもわかる?」 「……うん」 「一緒にやっていくんだ。わきまえてるね?」  勇利はじっとヴィクトルをみつめた。言葉はなかったけれど、彼の黒い瞳がそれ以上に雄弁に語った。 「勇利……、���ぼえておいて」  ヴィクトルが熱っぽくささやいた。 「俺が選手に戻れば俺のスケートは死なない。でも、勇利がいなくなれば俺という人間は死ぬんだ」  勇利は瞬いた。ヴィクトルが目をほそめて笑う。 「もう無理なんだよ……。勇利が俺に欠けていたものを与えた。昔の俺には戻れない。戻りたくもない」  ふたりの顔が近づく。 「……二度と言わないでくれ」  ヴィクトルの澄んだ瞳は鋭いひかりを帯び、圧倒されるほど情熱的だった。勇利はヴィクトルに頬を寄せ、おもてを伏せて身体にしがみついた。 「……言わない」  ヴィクトルのくちびるが勇利の髪にふれた。彼は勇利の頬を撫で、おとがいにそっと指をかけて上向かせた。ふたりの視線がからんだ。ヴィクトルのはかりしれない熱愛の目つきに勇利の身体の芯がふるえる。勇利はそっとまぶたを閉ざした。ヴィクトルのくちびるが勇利のくちびるを覆い、甘くついばむようにした。ふたりの口唇がとけあった。 「……二度目のキスだね」  ふたりはまたみつめあった。ヴィクトルは真剣な表情だった。再びふたりはくちづけを交わし、ヴィクトルはきつく勇利を抱きしめた。勇利も腕を差し伸べ、ヴィクトルの身体にまわしてすがりついた。ふたりは隙間なくぴったりと寄り添い、互いを求めた。 「はあ……」  勇利の瞳がとろりと涙を帯びた。頬が上気し、頭がぼうっとした。ヴィクトルは勇利を抱きかかえ、すぐそばのベッドに横たえた。ふたりは抱きあった。 「……離れたくないよ」  やがてヴィクトルがせつなそうにささやいた。勇利の胸も引き絞られた。 「でも戻らなきゃ」 「ああ……」 「ヴィクトルの試合、楽しみにしてるから」 「つれないな……。すこしは勇利もさびしがってくれ」 「さびしいよ」  勇利はほほえんだ。 「口に出しちゃうと、行かないでって泣いちゃうからさ。泣かれるの苦手でしょ?」  ヴィクトルは息をつき、勇利のまぶたに接吻した。 「年末には帰るよ」 「うん、待ってる。でも無理はしないで」 「勇利のためならいくらでも無理をするさ」 「だめだよ……」 「意地が悪いな……」 「ぼくはヴィクトルのためを想って……」 「勇利が俺のためを想ってすることはいつも俺を苦しめるんだ……」 「ヴィクトルこそ意地悪だ……ぼくの気持ちを知っていて……」 「知るもんか。勝手な勇利のことなんて……」  ふたりはそっとくちづけを交わした。ヴィクトルは情熱のこもった瞳をして低くささやいた。 「シーズンが終わったら、ロシアで一緒に暮らそう」  勇利は目を上げた。ヴィクトルの双眸には、きわだって愛情深い輝きがあった。勇利はそっと手を伸べ、彼のすてきなかたちのおとがいにふれた。ヴィクトルがその手をつかまえた。 「……うん」  勇利はこっくりとうなずいた。ほかに答えはなかった。 「俺の家に来る? それとも新しいところを探そうか?」 「どっちでも……」  勇利はまつげを伏せ、あえかな息をついた。 「ヴィクトルと一緒なら、どこでもいいよ……」  ヴィクトルが勇利にキスした。 「勇利のものをそろえなきゃ」 「あんまり豪華じゃなくて、簡単にね……」 「何が必要かな。一覧表をつくっておくよ。きみも確認して。欲しいものを教えて。あと三ヶ月しかない。忙しくなる」 「急がなくていいからね。春になったらすぐに行けるとは限らないんだから」 「すぐに来てくれないのか?」  ヴィクトルがとがめた。 「いろいろ手続きもあるし、お世話になってるところもあるし、連盟との話もあるから……」 「移住の手続きはともかく、ほかのはロシアからでもできるだろう。必要なら日本に帰ればいいだけだ」 「それはそうだけど……」 「俺は一日も早く勇利に来てもらいたい」  ヴィクトルはきっぱりと言った。 「気が早いね……。ヴィクトルは年末には帰ってくるんでしょ。そのときまた話し合えばいいよ」 「だめだ」  彼はかたくなにかぶりを振った。 「勇利は未来の話をしないと勝手に決断していろいろきめてしまうとわかった。俺だってばかじゃない。同じことはくり返さない」 「もうそんなことはしないよ」 「信用できない」  ヴィクトルは疑わしそうにきめつけた。 「勇利は俺には理解のできない変な理屈で行動してるらしいからね。俺だって考える」 「ひどいなあ……」  勇利はくすくす笑った。ヴィクトルは黙って勇利の手を握った。 「……ヴィクトルの住んでるところは寒い?」 「そうだね。でもうつくしいところだよ。勇利を連れていきたい場所がたくさんある」 「楽しみ……」 「人も優しい。勇利はかわいいからすぐに人気者になってしまうだろうな。心配だ」 「ぼくのどこがかわいいの? ぼくだって鏡くらい持ってる」 「勇利、俺が勇利をかわいいと言うときは、面立ちの問題じゃなく、勇利の目つき、まとう雰囲気、笑い方、怒り方、首を傾けるしぐさ、ものの持ち方、物言い、言葉の選び方、難解な性格、すべてについて言っているんだ。おぼえておくように。ちなみに勇利は顔もとびきりかわいいよ」 「あのね……」 「リンクもいいよ。俺は長谷津のリンクも大好きだけどね。チムピオーンですべる勇利はどんなふうだろうな」 「ヴィクトルのリンクかあ……」  勇利はふふっと笑った。 「何度もテレビで見たよ。あそこへ行けるんだ……」 「わくわくするね」 「言葉も勉強しなきゃ……」 「勇利ならすぐ話せるようになるさ。教えてあげる。……言ってみて」  ヴィクトルが何かロシア語でささやいた。勇利はそれを一生懸命に聞き取り、おずおずとくり返した。たどたどしいロシア語にヴィクトルがまぶたをほそめた。 「……どういう意味?」 「愛してる」 「ばか……」  勇利は笑い、もう一度同じことを言った。ヴィクトルが勇利に接吻した。 「……日本語でも言おうか?」 「知ってるの?」 「知ってるよ……」 「言わなくていい」 「勇利……」 「いいってば」 「勇利……、アイシテル……」 「いいの……」  またくちびるがふれあい、舌先で舐められた。勇利は頬を上気させ、息をついた。 「……カーテンはどんなのがいい?」 「なに? ぼくの部屋?」 「寝室」 「一緒なの?」 「別なの?」  ふたりは目を合わせ、くすくすと笑いあった。 「いまのままでいいよ」 「いや、変える。勇利の好みに」 「ダサくなるよ」 「ベッドはダブルなんだ。クイーンサイズにする? キングのほうがいい?」 「いまのままでいいって……」 「食器もそろえなきゃね。調理器具も……、炊飯器もいるな……。あとは……、冷蔵庫も大きくしよう。ふたりで買い出しに行こうね。壁紙は何色?」 「それも変えるつもりなの?」 「勇利が望むならね」 「いいよ……そんなこと……」 「おむすびとか寿司のぬいぐるみを持っておいで。たくさん」 「どうするの?」 「ソファやベッドに置く」 「本気?」  勇利は可笑しかった。 「ヴィクトルんちのおしゃれなソファにあのぬいぐるみ置くの?」 「かわいいだろう?」 「ヴィクトルがいいならいいけどね……」 「勇利はどうしたい? 勇利も意見を言ってくれ」 「ぼくはなんでもいいって……ヴィクトルと一緒ならなんでも……」 「何か勇利の希望が入っていないといやだ」 「どうして? 変なひと」 「勇利の好みをふくむ環境にしておきたいんだ」 「わかんないなあ……、あ」 「なんだい?」 「部屋のことじゃないんだけど……、欲しいものはあるかも」 「言ってみて」 「あのね……」  勇利は頬をほんのりと赤くした。 「マッカチンのティッシュケース……、ぼくが持ってていい?」 「…………」 「ヴィクトルも試合のとき必要だろうから、もしだめならいいけど……」 「……あれがいるのかい?」 「だって、ないとさびしいよ……」  勇利は目を伏せた。 「いつもヴィクトルがあれ持ってついてきてくれた……」 「…………」 「自分で持つと、もっとさびしいかもしれないけどね。でも……」 「……いいよ」  ヴィクトルは熱心にささやいた。 「勇利が持ってて……」 「…………」 「四大陸選手権では、またあれを持って、スーツを着て、離れずに勇利のそばにいるよ」 「……うん」 「ワールドではふたりで使おうね」 「変なの」  勇利は笑った。ヴィクトルも笑う。 「変じゃないさ」 「そうかな」 「そうさ」 「……うん」  ふたりがくちびるを寄せあう。ぎゅっと手を握りあった。 「明日……」 「ん……」 「一緒にすべろう……」 「……うん」 「ふたりで……俺と勇利で……」  勇利はヴィクトルの手を引き寄せ、みずからの頬に押し当てた。ヴィクトルは額を勇利にくっつけた。彼は勇利のほっぺたをそっと撫でると、くちびるをふれさせて吐息をついた。 「みんなの前でヴィクトルとすべるの、緊張するな……」  勇利は夢見るようにつぶやいた。 「最初のほう、ジャンプを失敗しちゃうかも」 「大丈夫さ。俺の勇利だ」 「ヴィクトルが入ってくるまでどきどきだよ。来てくれたら落ち着くだろうけど」 「俺が行くのを忘れて、いつものプログラムを続けないでくれよ」 「あのプログラム、好きだよ……」 「俺もだ」  ヴィクトルはうなずいた。 「でも俺は、あれを踊っているときは、いつもひとりぼっちだった」  勇利はびっくりした。ヴィクトルはふと笑う。 「べつに、悲劇的に感じていたわけじゃないけどね。俺はいつも最善を尽くしていた。けれどいま思えば、よくひとりきりでいられたなあと驚くよ」  あんなに綺麗なのに、と勇利は思った。しかし、孤独だからこそのうつくしさだったのかもしれない。ヴィクトルは孤高の皇帝だった。毅然として、近寄りがたい何かがあった。ひとりで完璧だったのだ。  勇利は胸が痛んだ。手をヴィクトルの頬にやり、撫でて接吻した。ヴィクトルがほほえんだ。 「……ぼくはいつも、あれをおどっているときは、ヴィクトルがそばにいるような気がしてたよ」 「そうか……」 「でも明日は、本当にヴィクトルがそばに来るんだね……」  勇利はヴィクトルの手を握りしめた。 「ぼくもヴィクトルのそばにいるよ」  ヴィクトルが、どこかがつらいかのように目をほそめ、勇利をぐいと抱き寄せた。ふたりの素足がからみ、身体がくっつき、くちびるがふれあった。 「……もう眠らないと」 「そうだね……」  しかしふたりはいつまでも目をひらいていた。もう、すぐに別れなければならない。この八ヶ月、彼らは常にともに過ごし、寄り添って過ごしてきた。離れたのはロシア大会のほんのわずかなあいだだけだった。その親しい距離がなくなってしまうのだ。もちろん、すぐに会える。ヴィクトルはそう約束しているし、勇利だって数ヶ月もすればロシアに移り住む。しかし、これまでの暮らしが続くわけではない。新しい生活にはすてきなこと、すばらしいことがたくさんあり、毎日が輝くにちがいないが、過去にあった日常までも連れてゆけるわけではないのだ。そうして人は変わってゆく。ひとつの時代が終わるのである。  勇利はさびしくなり、ヴィクトルの胸に顔を押しつけた。ヴィクトルも勇利をかたくかたく抱きしめた。 「終わりたく���いよ、ヴィクトル……」 「わかってる」 「早くヴィクトルと新しい生活がしたい。でもいまも終わらせたくないんだ」 「わかってる、俺もだ」  ヴィクトルは差し迫ったような口ぶりで答え、勇利のおさなげを失わないくちびるに、これまでより乱暴なくちづけをした。今日という日まで、ヴィクトルが「驚かせるため」と言ってしたキス以外経験がなかったというのに、こうして幾度もくちづけを交わしていると、それはふたりにとっては当たり前の、じつに自然な、しかしこのうえなく神聖な儀式であるように思われた。 「ヴィクトル……」 「勇利」  離したくない、とヴィクトルが苦しそうに思いを吐き出した。ふたりの目が合った。互いの瞳の奥にある感情は同じだった。 「勇利……」 「ヴィクトル……」 「きみが……」 「……ぼく……」 「全部欲しい……」 「何も、知らないけど……」  ヴィクトルは、忘れないでくれ、とうめくように言った。何をだろう? 約束だろうか? ふたりの日々だろうか? それとも、今夜のこと? 忘れられるはずがない、と勇利は泣いた。こんな気持ち。こんな経験。ヴィクトルとのことを……。  短く長い情熱の時を過ごした。それは初めてのめくるめく時間だった。特別な愛とくるおしさと熱情を勇利は知った。すばらしかった。  ふたりは上掛けから肩を出し、手をつなぎあい、みつめあってほほえんだ。月光を浴びた勇利の頬は清楚に染まり、肩先はつややかだった。 「勇利、綺麗だ」 「不思議な気持ち……」 「どんな?」 「さびしいし、離れたくないけど、落ち着いてる。ヴィクトルはいつもぼくを助けてくれるね」 「俺もこころは凪いでいる。明日のエキシビションが楽しみだね。いや、もう今日か……」  ヴィクトルは息をつき、「ああ、でも、離れたくないなあ」と言ってくすくす笑った。 「駄々っ子」 「自分の感情には素直になることにしてる」 「うん、そういうヴィクトル、好きだな」 「勇利もそうしてくれ」 「してるよ」 「そうかな。勇利は自分を律しすぎだよ。それが勇利なんだろうけどね。でも、もっと甘えていいんだよ」 「じゅうぶん甘えてるよ」 「足りないなあ」 「これ以上甘えたら、ぼくは堕落するし、ヴィ��トルも困るよ」 「困らされてみたいね……」  勇利をみつめるヴィクトルの視線があまりにも甘い。勇利はどきどきし、うれしくなり、気恥ずかしさをおぼえ、たまらなくなって、そっと顔をそむけた。 「あ」 「なに?」 「窓の外。いま、星が流れた」 「そうかい?」 「見てなかったの?」 「勇利しか目に入らないものでね……」  ふたりは顔を見合わせて笑いあった。 「星なんか見るな。俺だけ見ていろ……」 「……うん」 「勇利……」 「なに……?」 「こんなにやすらいだ気持ちになったのは初めてだ」  ヴィクトルは熱っぽくささやいた。 「こんなにくるおしいのも……初めてだよ」  勇利はなんと答えればよいのかわからず、じっとヴィクトルをみつめた。黒い瞳の表面が静かにうるおってゆくのを見、ヴィクトルは微笑した。 「何の涙?」 「わからない……ただ、どきどきが止まらなくて」 「俺もだ……」  そっとくちびるを寄せあう。 「眠らなきゃ……」 「うれしくて、もったいなくて眠れないよ」 「ぼくもそうだけど……」 「見ててあげるからさきに眠るといい」 「手を握って……」 「ああ……」  勇利はヴィクトルの匂いにつつまれ、ぬくもりに守られ、愛情のこもったまなざしを向けられて、こころよい眠りについた。ヴィクトルの、髪を撫でる優しいてのひらや手を握る慕わしい感触、それにときおりふれてくるくちびるをずっと感じていたように思う。翌朝目ざめたとき、明るくさわやかなひかりの中で、ヴィクトルは笑っていた。 「おはよう」 「眠らなかったの?」 「いや、眠ったよ。早くに目がさめたんだ。寝顔、かわいかった」  ふたりは朝のキスをし、一緒にシャワーを浴びてリンクへ行く支度をした。エキシビションのプログラムはひみつなので、勇利はいつも通り、ひとりですべる「離れずにそばにいて」を練習した。そのあいだ、ヴィクトルはリンクサイドにおり、勇利をずっと見ていた。勇利もヴィクトルしか目に入らなかった。 「どう?」 「いいよ。うつくしい」 「ヴィクトルは稽古しなくて大丈夫?」 「大丈夫さ。勇利と一緒にすべるんだから」 「うん……」  ふたりはリンクの内と外で手を握りあい、情熱的にみつめあって額をくっつけた。誰かが、そばを通るとき口笛を吹いたけれど、ふたりの耳には入らなかった。  時間が近づくと、ヴィクトルは更衣室へやってきて、勇利の着替えを手伝った。彼は勇利にうつくしい衣装をまとわせながら、つややかにひかる白い肩に上品に接吻した。そこが燃えるように熱くなり、勇利は頬を桃色に染めた。  更衣室を出ると日本のスケート連盟の役員がやってきて、勇利に声をかけた。勇利はしばらく彼らと話し、挨拶をしてヴィクトルのところへ戻ろうとした。そのとき、ちょうど廊下を来たピチットに出会った。彼は勇利を見てにっこりした。 「今日ずっと勇利すてきだね」 「え?」 「よかったよ」  勇利は瞬いた。 「愛がみちあふれてるっていう感じ!」  ピチットが手を振って去っていった。勇利は口元に手を当て、彼の後ろ姿を見送った。 「どうしたんだい?」  ヴィクトルがやってきて勇利の肩を抱いた。 「……ぼく、今日ずっとすてきなんだって」  勇利が教えると、ヴィクトルは微笑してうなずいた。 「愛がみちあふれてるんだって」  勇利のばら色の頬を見下ろして、ヴィクトルは心得顔でもう一度うなずいた。  暗いリンクサイドへ行くと、勇利のふたつ前の演者がすべっていた。勇利は暗がりの中でヴィクトルに後ろから抱かれ、すこし彼を振り返った。 「いつ着替えるの?」 「もうすこしあと」 「ヴィクトルさ……、さっきぼくが着替えるとき、肩にキスしたでしょ」 「ああ」 「あれさ……」 「よかっただろ……」  ふたりはしばらくその場にとどまり、ほの暗い中でひとつになっていた。やがてヴィクトルが離れてゆき、勇利はひとりでじっと待った。勇利の番になり、それと同時にヴィクトルが現れた。勇利は人に見られないようにずっとすみのほうにいた。 「勇利」 「ヴィクトル、ぼく行かなきゃ」 「ああ……」  ヴィクトルが勇利を抱きしめて接吻した。勇利は頬を染め、ヴィクトルを見上げた。 「世界じゅうにぼくの愛を見せつけるから……」  ヴィクトルはほほえんだ。キスされた右肩がまだ熱かった。頬も燃えるようにほてっていた。  勇利はその日、久しぶりに、観衆の視線を浴びて氷の上に立つヴィクトルを見た。ヴィクトルはこのうえなくうつくしく、たぐいないほどかっこうよく、毅然として、気品高く、洗練されていた。しかしそのヴィクトルの目は、勇利だけに向いていた。彼は勇利しか見ていなかった。「ぼくだけ見てて」「ぼくから目を離さないで」──そう求め続けた勇利を、ヴィクトルは情熱をこめてみつめていた。勇利はヴィクトルの愛を感じ、すべり終えたとき、ほろりと涙をこぼした。ヴィクトルはその涙にくちびるを当て、しあわせそうに笑った。割れんばかりの拍手と歓声の中、ふたりは手をつなぎ、まるで、「これからふたりでやっていくのでよろしくおねがいします」というように挨拶した。  リンクから出たとき、勇利はみずからの指輪にそっとキスした。ヴィクトルは振り返り、勇利の手を取ると、同じ場所にうやうやしく接吻した。
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nobbykun · 9 months
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Artist - 佐野元春 (Sano, Motoharu) Song - CHRISTMAS TIME IN BLUE ―聖なる夜に口笛吹いて― (Vocal / Extended Dub Mix) (Christmas Time In Blue ―Seinaru Yoru Ni Kuchibue Fuite―) [Eng. "Christmas Time In Blue (Whistle On The Holy Night)"] Release Date - November 1985
Listen 🎶
https://rumble.com/v42ahir-motoharu-sano-christmas-time-in-blue-vocal-extended-dub-mix.html
My blog: Showa Music Library https://nobbykun.tumblr.com/
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年6月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
山焼きの煙り静かに天昇る 喜代子 盛り上がる土ものの芽の兆しあり 由季子 古雛や女三代つゝましく 都 青き踏む館の跡や武者の影 同 日輪の底まで光り水温む 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
桃の日のSt.Luke’s Hospital 光子 パイプオルガン天上の春連れませり 順子 指を向け宙に阿弥陀の春の夢 いづみ 春の川大東京を揺蕩ひぬ 美紀 聖路加の窓ごとにある春愁 眞理子 雛菊もナースキャップも真白くて 順子 聖ルカを標としたる鳥帰る 三郎 印度へと屋根とんがりて鳥雲に 佑天 鳥雲に雛僧の足す小さき灯 千種 学僧は余寒の隅に立つてをり きみよ
岡田順子選 特選句
春陽に沈められたる石の寺 美紀 春空に放られしごと十字架も 同 春潮の嫋やかな水脈聖ルカへ 三郎 鳥雲に雛僧の足す小さき灯 千種 涅槃西風吹きだまりては魚市場 いづみ 聖路加の鐘鳴る東風の天使へと 俊樹 皆春日眩しみ堂を出で来たり 千種 桃の日のSt.Luke’s Hospital 光子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
春愁の揺れてをるなりだらり帯 愛 立子忌や飯とおさいにネモフィラ猪口 勝利 春眠し指に転がす砂時計 かおり ゆらめいて見えぬ心と蜃気楼 孝子 春潮のかをり朱碗の貝ひらく 朝子 ファシズ��の国とも知らず鳥帰る たかし 立子忌の卓に煙草と眼鏡かな 睦子 毛糸玉ころがりゆけば妣の影 同 わが名にもひとつTあり立子忌よ たかし 波の綺羅とほく眺めて立子の忌 かおり 灯を消してふと命惜し雛の闇 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月6日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
この空のどの方向も春日燦 和子 思ひ出はいろいろ雛の女どち 同 うららかや卒寿に恋の話など 清女 鳥帽子の小紐手をやく京雛 希 耳よりの話聞きゐる春の猫 啓子 地虫出づ空の青さに誘はれて 雪 意地を張ることもなくなり涅槃西風 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月10日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
裏路地の古屋に見ゆる雛祭 実加 子等笑ふお国訛りの雛の客 登美子 彼岸会の約束交はし帰る僧 あけみ 筆に乗り春の子が画く富士の山 登美子 うららかな帰り道なり合唱歌 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
春夕焼浜の民宿染めてをり すみ子 青粲粲空と湖面と犬ふぐり 都 水車朽ちながらも春の水音して 和子 朝東風や徒人の笛は海渡る 益恵 枝垂梅御幣の揺れの連鎖して 宇太郎 春の婚オルガン春の風踏んで 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
啓蟄やボール蹴る子は声がはり 恭子 海近き山の椿の傾きて 和代 啓蟄の光を帯びし雲流る ゆう子 鳥鳴いて辛夷の甘き香降る 白陶 一人言増えたる夕べ落椿 恭子 小気味よき剪定の音小半日 多美女 一端の鋏響かせ剪定す 百合子 ふる里の椿巡りや島日和 多美女 剪定や句碑古りて景甦る 文英 剪定や高枝仰ぐ褪せデニム ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
雪吊の縄の解かれて睡り覚む 世詩明 家康公腰掛け松や地虫出づ ただし 捨鉢な女草矢を放ちけり 昭子 屋号の名一字継ぎし子入学す みす枝 花冷や耳のうしろといふ白さ 昭子 坐りゐて炬燵の膝のつつましく 世詩明 対座したき時もあるらん内裏雛 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月13日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
摘草のさそひ届きぬ山の友 ことこ 蒼天に光の礫初燕 三無 陽炎のけんけんぱあの子をつつむ あき子 朝戸風見上げる軒に初つばめ 同 摘み草や孫を忘れるひとしきり 和魚 かぎろへる海原円く足湯かな 聰 陽炎や古里に建つ祖母の家 ことこ 我家選り叉来てくれし初つばめ あき子 陽炎ひて後続ランナー足乱る のりこ 新聞を足してつみ草ひろげたり あき子 つみ草や遠くの鉄橋渡る音 史空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月14日 萩花鳥会
熔岩の島生き長らへし藪椿 祐子 寝静まり雛の酒盛り夢の間に 健雄 田楽や子らの顔にも味噌のあと 恒雄 雑草も私も元気春日向 俊文 猫抱いてぬくぬく温し春炬燵 ゆかり 子自慢の如く語るや苗売よ 明子 雲梯を進む子揺らす春の風 美惠子
………………………………………………………………
令和5年3月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
雪吊りのほどけて古木悠然と 笑子 落椿きのふの雨を零しけり 希子 夜半の軒忍び歩きの猫の恋 同 立雛の袴の折り目正しくて 昭子 桃の花雛たちにそと添はせたく 同 口笛を吹いて北窓開きけり 泰俊 手のひらを少し溢るる雛あられ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
雪吊の縄のゆるみに遊ぶ風 雪 奥津城の踏まねば行けぬ落椿 同 まんさくに一乗川の瀬音かな 同 よき言葉探し続ける蜷の道 すみ枝 春眠の赤児そのまま掌から手へ 同 足裏に土のぬくもり鍬を打つ 真喜栄 強東風の結界石や光照寺 ただし 裸木に降りかかる雨黒かりし 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月17日 さきたま花鳥句会
春雨に黙し古刹の花頭窓 月惑 震災の地に鎮魂の東風よ吹け 一馬 春昼や女房のうつす生あくび 八草 ととのへし畝に足跡朝雲雀 裕章 路地裏の暗きにありて花ミモザ ふゆ子 薄氷や経過観察てふ不安 とし江 拾ひよむ碑文のかすれ桜東風 ふじ穂 水温む雑魚の水輪の目まぐるし 孝江 薄氷の息づき一縷の水流る 康子 二月尽パンダ見送る人の波 恵美子 ほろ苦き野草の多き春の膳 みのり 梅園に苔むし読めぬ虚子の句碑 彩香 強東風老いてペダルの重くなり 静子 鉛筆はBがほどよき春半ば 良江
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令和5年3月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
一族の閼伽桶さげて彼岸寺 芙佐子 隠沼に蝌蚪のかたまり蠢きぬ 幸風 セスナ機の音高くして地虫出づ 月惑 この山の確と菫の一処 炳子 石仏に散華あまねく藪椿 要 年尾とはやはらかき音すみれ草 圭魚 茎立の一隅暗き室の墓 千種 春塵の襞嫋やかに観世音 三無
栗林圭魚選 特選句
ビル影の遠く退く桜東風 秋尚 古巣かけメタセコイアの歪みなし 千種 寄せ墓の天明亨保花あけび 同 色を詰め葉の艶重ね紅椿 秋尚 ひとつづつよぢれ戻して芽吹きけり 同 信号の変り目走る木の芽風 眞理子 助六の弁当買うて花人に 千種
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
元三大師夢のお告げの二日灸 雪 新しき雪夜の恋に雪女 同 恋てふも一夜限りを雪女 同 懐手もつともらしく頷けり 昭子 石庭に音立て椿落ちにけり 同 雛簞笥何を隠すや鍵かけて 同 貸杖の竹の軽さや涅槃西風 ただし 石どれも仏に見えて草陽炎 同 泰澄の霊山楚々と入彼岸 一涓 制服も夢も大なり入学児 すみ枝 露天湯に女三人木の葉髪 世詩明 歩きつつ散る現世の花吹雪 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
門出祝ぐ花の雨とてももいろに はるか 花色の着物纏ひて卒業す 慶月 街の雨花の愁ひの透き通り 千種 蹄の音木霊となりて散る桜 政江 フランス語のやうにうなじへ花の雨 緋路 大屋根をすべりて花の雨となる 要 花屑へまた一片の加はりぬ 緋路 永き日のながき雨垂れ見て眠し 光子 宮裏は桜の老いてゆくところ 要
岡田順子選 特選句
金色の錠花冷えのライオン舎 緋路 漆黒の幹より出づる花白し 俊樹 白々と老桜濡るる車寄せ 要 花揺らし雨のつらぬく九段坂 はるか 漆黒の合羽のなかに桜守 光子 花の夜へ琴並べある神楽殿 はるか 春雨や無色無音の神の池 月惑
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年3月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
今昔の小川にしのぶ蜆かな 成子 薔薇の芽の赤きは女王の予兆 ひとみ 潮こぼしながら蜆の量らるる 朝子 餌もらふ鯉をやつかみ亀の鳴く 勝利 突きあげし拳の中も春の土 かおり 持つ傘をささぬ少年花菜雨 ひとみ 涅槃西風母も真砂女も西方へ 孝子 亀の鳴く湖畔のふたり不貞だと 勝利 口紅は使はれぬまま蝶の昼 喜和 長靴の子はまつすぐに春泥へ ひとみ パグ犬と内緒のはなし菫草 愛 息詰めて桜吹雪を抜けにけり 孝子 ふと涙こぼれてきたる桜かな 光子 健やかな地球の匂ひ春の草 朝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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shakuhachi-kataha · 3 years
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中世の文学と尺八☆ 狂言『楽阿弥』
尺八吹きの亡霊のお話!
狂言(きょうげん)とは、猿楽から発展した日本の伝統芸能で、2人以上の人物による、対話と所作を用いた演劇であります。
『楽阿弥』とは、狂言の曲名。舞狂言。 
猿楽と尺八に関してはこちらも参考にして下さい↓
狂言と同様に猿楽から発展した能が、舞踊的要素が強く、抽象的・象徴的表現が目立ち、悲劇的な内容の音楽劇であるのに対し、狂言は、物まね・道化的な要素を持ち、失敗談を中心としたシナリオおよび、様式をふまえた写実的ときには戯画的な人物表現を通じて、普遍的な人間性の本質や弱さをえぐり出すことで笑いをもたらす。(参照wikipedia)
まさに、演劇の元祖がこの、狂言なんですね。私は舞台裏で仕事をしていた時に、狂言を観る機会がありました。セリフは独特な言い回しで昔言葉なので難解なイメージですが、今回の講座のようにじっくり読み解いていくと、面白いです。なんと言っても尺八吹きの亡霊が出てくるんですからね!面白くないわけがない!
と、いうことでまずは本文ご紹介。
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『狂言記』 野村八良 校(国立国会図書館より)
一人の旅僧と尺八吹きの亡霊のお話です。
日本語の古い形態で表現される縦書きの繰り返し記号の「へ」の字によく似た文字が、パソコンでは出せないので「/\」←このように書きました。
登場人物
シテ(楽阿弥)
ワキ(旅僧)
<ワキ次第> 囉斎(ろさい)に出づる門(かど)わきに、/\、犬の伏せるぞ悲しき、
<詞> これは東国方(がた)の者でござる。某(それがし)未だ大神宮へ参らず候間、此度思ひ立ち、伊勢太神宮へと志し候。旅衣尚萎れゆく往来の、/\、臥すまなきぞ悲しき。足に任せて行く程に、/\、これぞ名に負う伊勢の國、別保に早く著(つ)きにけり。
<詞> 急ぎ候ほどに、これは早(はや)別保于の松原に著いてござる。これなる松を見れば、札を打ち、短尺をつけ、尺八の様なるものを、数多(あまた)にかけられて候。如何様いはれの無いことは、ござあるまい。所の人に尋ねばやと存ずる。所の人の渡り候か。<問> 所の者と御尋ねは、如何様なる御用にて候ぞ。
<ワキ> 是なる松を見申せば、札を打ち短尺をつけ、尺八の様なるものを、数多(あまた)かけられて候。いはれの無いことは候まじ 教へて給わり候へ。
<問> されば、其事にて候。あれは古(いにしへ)此所に、楽阿弥と申す尺八吹の、久しく尺八を吹死(ふきじに)に致され候により、所の者共痛(いたわ)しう存じ、土中につき込め、印に植えたる松にて候。御僧も逆縁ながら、弔うて御通(おんとお)りあれかしと存じ候。やあ、見申せば御僧も、尺八を遊ばすやらん。腰にさされて候よ。
<ワキ> いや/\、犬嚇(おどし)までにて候へども、逆縁ながら弔うて通らうずるにて候。
<問> 又御用あらば、重ねて御申し候へ。
<ワキ> 頼みましよ。
<問> 心得ました。
<ワキ 謡> 「扨(さて)は、是なるは、楽阿弥陀仏の舊跡かや。いざや御跡弔はんと」我も持つたる尺八を、懐より取出(とりいだ)し、この尺八を吹きしむる、/\。
<シテ 一声> 尺八のあら面白の音いろやな。お主を見れば双調切なり。
<ワキ> 不思議やな まどろむ枕の上を見れば、大尺八(二尺五寸)、小尺八(一尺二寸)、四笛(してき・一尺八寸)、半笛(上羽調子と云う)、両笛を差し、われ等の笛を面白がるは、如何なる人にてましますぞ。
<シテ詞> これは古(いにしへ)、尺八を吹死にせし、楽阿弥といへる者なるが、御尺八の面白さに、これまで顕(あらわ)れ出でて候。
<ワキ> これは不思議の御事かな。昔語の楽阿弥陀仏に、言葉を交すは不審なり。
<シテ詞> 何をか不審し給うふらん。あの朗安寺の尺八の書にも、「両頭を切断してより此のかた、尺八寸の内、古今に通ず、吹き起す無常心の一曲、三千里外に知音を絶す」と作られたり。
<ワキ> 実(げに)/\。是は理(ことわり)なり。昔語の楽阿弥陀仏に、言葉を交すも尺八故(ゆえ)。
<ワキ> おう。
<シテ> 面白や。面白けれど尺八の。/\、わが吹くは喧(か��ま)しゝとて、三千里の外知音は隔つまじ。まづわれは差惜(さしお)くなり。御尺八を吹き給へ。
<ワキ>同じくは連れ尺八。
<シテ> いや/\、それは楽阿弥が、御尺八をよごすなりと、云ふ声の下よりも、大尺八を取出し、とらあろら、りい、りい、とらあろ、とあらろ(らあらろ)、ふう
<シテ> あら昔恋しや。暇申して帰るなり。
<ワキ> あら痛しの御事や。最後の語りをおはしませ。
<シテ> いで/\さらば語らん、/\。もとより楽阿弥は、しゆつつうなる面ざしにて、彼所(かしこ)の旅人、此所の茶屋、あそこの茶屋、あそこの門(かど)にさしよせ/\、機嫌も知らず、尺八を吹き鳴らして、楽阿弥に代り一銭、尺八吹には何も呉れねば、腹だちや/\と、あそここゝにて悪口(あくこう)すれば、尺八吹は図なしなり、不詳なり あてよやとて、朸(おうご)撓め(ため)の三つ伏せに、押し伏せられて。
<シテ> 縄だめ柱だめに、焙(あぶ)つつ、踏んづ、捻ぢつ、引かれつ。その古の尺八竹の、冥土の苦患となるを、助け給へや御僧よ。尚も輪廻の妄執は、この年までも、数奇の下がらぬ。姥竹(うばたけ)の恋しさは、われながらうつつらにくやと、かき消す様にぞ失せにける。
語句解説
【次第】能の囃子事(一曲の中で、囃子が主となる部分)のひとつ。
【囉斎(ろさい)】托鉢行脚
【伏すまのなき】「衾・ふすま(夜具)」と「伏す間」を掛ける
【犬おどし】犬をおどして追い払うためのもの。この場所、尺八を持っているのを謙遜して言ったもの。
【吹きしむる】しめやかに尺八を吹く
【双調切】「ぎり」は竹を適当に切って音を調節するところからいう。双調の調子に合わせて作られた尺八。
【無常心(むじょうごころ)】世の中をはかなく思う心。
【しゆつつうなる(しゆつなる)】出なる。すなわちデモノ。さしでがましいこと。でしゃばること。
【図なし】とてつもない者、途方もない者。
【不詳】不浄、不肖、無生、いろいろ当てられる。
【あてよや】打ちつけろ、叩け
【朸】天秤棒
【苦患】くげん 苦しみ
【数奇】すき 不運、波乱にみちているさま。「数奇」と「過ぎ」を掛けている。
【姥竹】老齢を表すとともに、尺八製造に際しての手本を「姥竹」ということに掛ける。
【うつつら】まことに
旅の僧が、伊勢の国、別保(べつぽう)の松原に着くと、1本の松にお札や短尺、尺八のようなものが数多くかけられているのを見る。土地の者にいわれを尋ねると、昔ここに住んでいた楽阿弥陀仏という薦僧が尺八の吹き死にをしたので、亡骸を土の中に埋めて、心ある人は尺八を手向けるのだと語り、僧にも供養を勧める。そこで、僧は〈我も持たる尺八を、懐より取出し、この尺八を吹きしむる〉と言い奏しはじめると、〈尺八のあら面白の音色やな、おぬしを見れば双調切(そうぢょうぎり)なり〉と謡いながら楽阿弥の幽霊が現れる。大尺八(二尺五寸)、小尺八(一尺二寸)、四笛(一尺八寸)、半笛(上羽調子)、両笛を差している。〈これは不思議だ。昔話の楽阿弥陀仏がしゃべった!信じられない!〉と僧が言うと、楽阿弥が〈何も不思議ではないぞ。あの宇治の朗安寺の尺八の書にも「両頭を切断してより此のかた、尺八寸の内、古今に通ず、吹き起す無常心の一曲、三千里外に知音を絶す」とある〉と尺八の功徳を説く。そして一緒に尺八を吹く。〈ああ、昔恋しや〉と楽阿弥が帰ろうとするので僧が一体何があったのか聞いてみたところ、楽阿弥は〈そこかしこで尺八を吹いていたけれども、人々は乞食には一銭くれるが、尺八吹きとしては何もくれない。私は腹が立ったので、あちこちで悪態をついたら、人々にコイツはとんでもない奴だということで、天秤棒で押し伏せられ、縄で柱に縛り付けられ、焙られ、踏みつけられ、捻られ、引かれたのだ。今尚、死に切れず、尺八への妄執は断ち切れない。姥竹への恋しさは我ながらまことに憎らしい〉と言ったまま、跡かたもなく消えてしまった。
〈おわり〉
僧のセリフ、
「我も持たる尺八を、懐より取出し、この尺八を吹きしむる」
こちらはミニ講座27の『閑吟集』の下記の歌とよく似ています。
「我らも持ちたる尺八を 袖の��より取り出だし 暫しは吹いて松の風 花をや夢と誘ふらん いつまでかこの尺八 吹いて心を慰めん」
『閑吟集』より
一節切は1尺1寸1分という短さなので、袖にいれて持ち歩いていたんですね。吹きたいときにすぐ吹けるし!合理的👍
そしてこちらの文章は、宇治吸江庵に住んでいたとされる朗庵が作者とされています。元は漢詩です↓
両頭を切断してより此のかた、尺八寸の内、古今に通ず、吹き起す無常心の一曲、三千里外に知音を絶す
竹の両端を切った尺八寸の一節切の中には、古今に通じる儚い音色が込められて、三千里より遠くでもその音は届く
朗庵と親交のあった一休宗純(1394-1481)も同じような詩を書いているそうです。雅楽家の豊原統秋( 1450-1524)の記した日本三大楽書のひとつである「体源鈔」内にも見られます。
両頭というのは、普化禅師の唱えた四打の偈「明頭来明頭打、暗頭来暗頭打・・・」の事であるとも。
さて、何故、楽阿弥はこのように無残に殺されなければならなかったのか?
ただ尺八を吹いていただけなのに!
それについては保坂裕興氏が著された「十七世紀における虚無僧の生成」の中で説明されています。
戦国大名は当時の芸能者を一定の保護と規制の下に置いた。尺八を吹く職能を持った人々は、連歌師・田楽師・猿楽師・舞人・座頭など数多く存在したが、薦僧は領国支配政策において、保護と規制の下に置かれるような芸能者とは区別され、放下(大道芸の一種)・猿引と同様、不利益をもたらすものとして位置づけられていた。
この狂言は、楽をすることや人々に迷惑をかけることを戒める、教訓ものではない。ここに描かれたように、薦僧楽阿弥と定住社会の人々の間には、大きな軋轢(あつれき)が存在していた。ひたすらに尺八を吹き、乞食に生活をゆだねる薦僧楽阿弥は、尺八吹奏の内に悟りをひらくという独自の世界観を持っていたが「楽阿弥」という呼称が示すように、定住社会の側から見れば、煩悩にしたがって生きる乞食浮浪者であり、その構成員たりえなかった。猿楽芸能者たちは、人々が楽阿弥の怨霊を封じ込めるべく塚に松を植え、また多くの尺八を下げ、札を打ち、短冊を下げて弔わなければならなかったことを設定したように、独自な世界観を持った薦僧と定住社会の人々との相克を舞台にのせ、定住社会の論理に圧倒されていく彼らの怨念を芸術に高めていった。
【相克(そうこく)】対立するものが互いに相手に勝とうと争うこと。
門付け行為に対して「替わり一銭」つまり相対時毎に「仕切銭」をわたす行為が当たり前に行われていた。定住社会の人々と薦僧との軋轢は、通常、この習俗的経済行為によって回避されていたのである。そしてそれが機能しない場合には、領主権的警察権にゆだねるのではなく、自力による共同制裁に移行したのであった。
以上のように、十五、六世紀の薦僧は<領主ー領民>が構成する枠外に存在した。そして習俗的な場では<仕切銭>によって外部に構造的に位置づけられ、戦国大名の政策では法的排除が指向された。これが『三十二番職人歌合』に名を連ねた薦僧の「卑しき身品」の内容であり<中世非人>の一種と見ることが可能である。
「楽阿弥」という名前の由来がわかりました。辻立ちをしている私には何とも痛いほどわかると言いますか…。
乞食坊主の行為にはお金をくれるが、尺八の演奏に対して人々の反応は鈍い。これが中世の頃からだったとは驚きです。昨今は仏教離れで虚無僧にも関心はなく、ましてや尺八の音色にもほとんどの人は反応しません。
要は生活に必要なものではないとの、烙印を押されてしまった職業なんですね。
もう、名前も「楽阿弥子」に改名しようかしらと思うくらいに、この亡霊さんに親近感です(笑)
楽 阿弥子
楽阿 弥子
どっちにするか、迷うところです。
...
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#好きなフリゲ99つ晒すからみんなやってくれお願いだ
//古の時に投稿しようとしてコメントつけ切れずに力尽きてたやつ。
//とりあえず供養ということでこのまま投稿します。
//そのうちコメントが増えてく可能性
99個挙げただけってのもさみしいのでちょっとコメントを付けてみようとした。ごめん語彙力が足りなかった……
1 スミレの花(AM):宇宙船が墜落した星で、ひとりぼっちでごみを拾ったり花を育てたりして生き延びるゲーム。最近バージョンアップしてうれしすぎて死にかけた。 2 君が忘れていった水槽:水槽の中でなにかがわちゃわちゃ生きてるのを見てるゲーム。見るゲ。 3 AIRAM EVA:病院シミュレーションゲーム。難易度が割と高い。 4 アールエス(AM):やりこみ要素の豊富なRPG。百年くらい遊べそう。 5 あの世(AM):ノンフィールドRPG。AM一作目にはお勧めしないかも?でも中の人はなぜかこれからAM入りしたので何も言えません。 6 その炭鉱の名は。:若干オンラインなRPG?たまに潜ってちまちま素材を集めてると癒される。 7 きせきの扉:ノベル作品。好き。 8 ゆめにっき:お散歩ゲー。魅力の方向性的にすごく言語化しにくいものがある。至高の一作だと思ってる。 9 【いまだ醒めやらぬあの明晰夢】 10 .flow:ゆめにっきの派生作品。ゆめにっきの流れを汲みつつも「.flowの世界」をしっかり確立している、という印象。好き。 11 少女奇談:和風ホラー。操作キャラの女の子がかわいい。じわじわ怖さがこみあげてくる。 12 少女偽談:「少女奇談」の続編。強化された演出とストレスフリーなシステム改修で遊びやすい!こわい!あとお姉さんがかわいい。 13 milya:ホラー。割と見るゲ。 ミーリャちゃん おたんじょうび おめでとう 14 Mono world(kanoguti):インタラクティブな、音と映像でちょっと遊ぶソフト。ときどき起動して遊ぶ。癒し。 15 The Underground Explorer:見るゲ…?アングラ感。たまにひたすらうろつくと楽しい。 16 I.R.P(kanoguti)kanogutiさんワールド全開のなにか。ゲームではない気がしなくもない。 17 そうだ宇宙へ行こう~宇宙神話最新情報:宇宙に行きたい!わいわいにぎやかな感じの楽しいRPG。お弁当作って宇宙へ行こう。 18 架空共生層プレノードオブジェクタゼロ:物語を作りながらゆく育成アドベンチャー。今ここにしかない物語を作っていこう。好き。 19 架空共生層アウターハッシュ・ワン:儚い泡沫の水底でふと息が詰まりそうになるRPG。 20 ファルセット・コルセットの隠れおばけマンション:寿命の差し迫ったファルセット・コルセットがおばけがいっぱいのマンションを突き進む結構にぎやかなRPG。 21 冠を持つ神の手:通称かもかて。分岐が多くてちょっとあり得ないほど自由度の高いADV。一周プレイ時間は割と短め(二時間)。 22 デンシャ:謎解き脱出ADV。ホラーではない。映画か舞台っぽいかんじ。演出に見入ってしまう。 23 オシチヤ:すねこすりと女の子のお屋敷脱出ADV 。結構謎解きの自由度が高い。すねこすりがかわいい。 24 マヨヒガ:お家に帰りたい女の子の和風脱出ADV。それなりにホラー。なんというか妖怪が妖怪っぽくて好き。 25 ダンス・マカブル:大聖堂から出られないので頑張るADV。割とホラー。 26 ファニーとしあわせ仲間:絵本のようなゲーム。  27 【病棟を彷徨う少女の物語】 28 骸RPG:骸骨と動く鎧と地縛霊の珍道中。個性的な台詞回しが楽しいRPG。 29 missdeather:たのしい序盤無理ゲーRPG。モノクロの世界を彷徨う少年少女。 30 cellulainds:どこまでも歩いてゆこう。キーボード耐久テスト系ゲーム。 31 殺戮くん:senceとは いったい なんなのか。割とアクションっぽいRPG。殺戮くんすき。 32 losphenes:shirokuroさんらしさ大爆発の計算ゲーム。言語センス好き。 33 sedation death:この作者さんにしてはわりとゲーム性がわかりやすい気がしなくもない探索ゲー。主人公ちゃんのドット絵がかわいい。 34 大海原と大海原: 35 灰色庭園: 36 園庭色灰:クカルブisかわいい 37 Alice_mare 38 LiEat 39 雲を掴むような話 40 ダーキプトの爆弾 41 ムラサキ:たのしい爆発系パズルげーむ。いやジャンルはわからん。六面……?ウッ脳髄が 42 いりす症候群!:楽しい落ちものゲー。小さい三角形一生許さねぇ。 43 いりす症候群!滅:続・楽しい落ちものゲー。やべーやつ増量キャンペーン。 44 魔王物語物語: 45 勇者御一行様殺人事件: 46 窓の中の宇宙戦争: 47 さいはてHOSPITAL: 48 四月馬鹿達の宴: 49 王女様と薔薇の騎士: 50 帽子世界:メル様LOVE勢です。 51 結晶石と錬金銃 52 召喚指揮候補生 53 モノクローム・キャスト 54 ローズマリーダスト 55 流転箱庭 56 流浪星河 57 なれる?NE 58 セントラントレイル 59 雪道 60 たゆみ。 61 neftelia 62 unconscious 63 neftelia2 64 メイジ悲の劇嘆 65 メイジの因果録 66 メイジの転生録 67 スターダスト ディフェンス 68 ウィズメルクリウス 69 forget(イーブル・デザイン) 70 Cafenka. 71 ベンゼン誘導体コレクション 72 戦友(ともだち)100人できるかな? 73 剣と太陽のツインテール 74 SOUP 75 変愚蛮怒 76 片道勇者 77 elona 78 Tactical chronicle 79 遺跡島と7つのまほう 80 星追 81 石の箱庭 82 夜明けの口笛吹き 83 SCE2 84 パレット 85 幻想列車アポトーシス 86 SPIEGEL EI 87 バケモノハイツ 88 END ROLL 89 クトゥルフの弔辞 90 魔女の家 91 クロエのレクイエム 92 Seetate: 93 灰色の町の守護者 94 IF[体験版] 95 人であらずんば 96 影明かし 97 箱庭えくすぷろーらー 98 One week, My room 99 わたしとうどん - テンミリオン
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ヘウレンの森の吸血鬼2 (ダグエリ)
 それでも木々の間から見上げれば、遠い青空が見える。 
(まるで、雨の日に外を歩いているような……。ちょっと寒いですね)
 森の中には、晴れた空が取りこぼしてしまったような、ミステリアスな世界が広がっていた。『ヘウレンの森』は、食材と薬草の採取地だった『メディアの森』の代わりに、ここ数年で知られるようになった採取場所なのだという。 
「不思議な森ですね。吸血鬼出るという噂があったのも、こちらですよね…… 」
「あ……。私も聞いたような気がする。どうなったんだろうね」
 「ええ、教会も気になっているみたいで。エルフィールさんや護衛の方がいるなら、様子を見てきて欲しいと」
 ミルカッセは先頭を歩くダグラスを見た。
 ミルカッセが初めて『ヘウレンの森』に吸血鬼が出たことを聞いたのは、去年の夏のことだった。
エルフィールと同じように森に訪れたザールブルグの街人からの相談だったという。その後は王室騎士隊に退治を依頼して、それきり話題になることもなかった。 
「でも討伐隊に、冒険者の人たちも来たんでしょ?倒した人が秘密にしているのかなあ。まさかクノッヘンマンの見間違えだったりして」
 エルフィールは、冗談めかして鎌を振るう真似をした。いつもなら森を徘徊するという、マントの骸骨のお化けやコウモリは、討伐隊の時期だけに気配すら感じられない。
 「そうかもしれません」
 ミルカッセは黒い森をぐるりと見渡した。暗いばかりに見えた森も、樹木がまばらで少し明るい場所には、まっすぐ背を伸ばし始めた竹が生えている。
 「不思議な森ですね」  
倒木の下をエルフィールが指さした。
「珍しい毒キノコとか色々あるから、森のモノは食べないでね」
ミルカッセには食べるという言葉さえ思いつかなったが、彼女にとっては不気味な森も来慣れた採取場所だ。美味しそうに見えるのかもしれない。
 「エルフィールさんは、この森……怖くないのですか?」 
ミルカッセは、素直に感じた疑問を友人に投げかけてみる。薪にされることなく朽ちていく倒木ひとつとっても、ザールブルグに隣接する『近くの森』とはかけ離れていた。
「怖くないといったら嘘かも。ひとりじゃきたくないし。評判の薬草が取れるって聞いてたのに、騙されて幽霊の森に入るなんて嫌だなあ……って思ったから」 
そう言いながらエルフィールは、細い獣道を歩き始めた。
「隣のクラスの先生に『私の講義を受けてみなさい』って言われて。ヘルミーナ先生っていう人なんだけど、洞窟とか森の暗いところに生きる生物の授業を聞いたんだよね。それが面白くて、ちょっと怖くなくなったかも」 
「私だったら、余計に怖くなりそうです」
そう言いながら、ミルカッセはダグラスを見た。この森に入ってから時々ダグラスと目が合うようになった。まるで、後ろから何か出て来るのではないかという目をしているのだ。
(ダグラスさんは、どうかしたのでしょうか?)
エルフィールは気がつかないのか、話を続けている。
「……友達はね、思い出したくもないって言ってた。でも、錬金術士を目指すなら、不気味とか気持ち悪いとか怖がらなければ、闇の中でしか生きられないモノも見えてくるんだって。たとえばこの森は、木がびっしり生えているからアポステルやウォルフは入ってこられない。だから野生のシャリオ山羊とか、風乗り鳥みたいな小さな生き物の楽園になっているんだよ」
せっかくエリーが楽しそうに話しているが、落ち着かない。まるでダグラスの気分が移ったかのようだった。
「どうかしたのでしょうか、ダグラスさん。色々見られているような気がしますが」
「いつも採取とか、街の外だとこんな感じだから……気にしなくていいよ」
「討伐隊の後なのに、もう少し気楽にされててもいいように思いますが……。護衛も大変ですね 」
ふうとミルカッセはため息をついてからゆっくり顔を上げた。
「あの……エルフィールさん。この奥はどうなっているんですか?」 
地面を見ていたエルフィールが、森の奥を指さした。 
「池があるんだよ。すぐそのあたりに……沢が見えるでしょ?」 
森の奥からは吹く涼しい風に乗って、小鳥がさえずるような声が聞こえる。姿は見えないけれど、よく通る鳴き声だ。ミルカッセは耳をすませて聞きいる。  
 
ーーピィン、ピィーーン  
 
「ねえ、何か聞こえた……?」 
「ええ。今、コウモリの声がしましたね」 
小鳥のさえずりの中に、グラスを弾くような高い音がする。笛を吹いたようにも聞こえるその声は、人を襲う吸血コウモリの声だ。ミルカッセもエルフィン洞窟で聞いている。
 「珍しいね、コウモリはクノッヘンマンと一緒にいるはずなんだけど……」 
ミルカッセはエルフィールとふたり空を見上げた。遠目の声には鳥ともコウモリとも見分けのつかない影が、くるくると上空を飛び回っている。 
「何かいるのでしょうか」 空の上までこちらの声が聞こえるはずもない。しかし、無意識のうちにミルカッセの声は小さくなっていた。あたりを警戒しながらエルフィールがささやく。
 (このまま、ここで様子を見てるから) 
ダグラスは一度だけ振り返ると、最大限にあたりを警戒しながら一歩ずつ歩いていった。
 (ダグラスさんが、あんな顔をするなんて……) 
ミルカッセの手が震えた。白いマントが揺らぐ先を必死に見つめる。ダグラスの眉間には怒ったようなーー深いシワが寄っていた。 
 
(私たちの知らないことを、ダグラスさんは知っている?) 
 
何も言わない。何も説明しない。
それは彼の立場がそうさせるのか、性格のなせるものなのかミルカッセには分からない。
けれど彼にそこまで警戒させる相手が、この森には存在する。
ダグラスが聖騎士の剣に手をかけた。  
小さな沢の向こう側に、黒髪の男が見えた。暗がりでもわかる異常に白い肌。盗賊にしては細身で、背は護衛のダグラスよりも高いくらいだ。 
そして、静かな怒り表情がその顔には浮かんでいる。
 「…ここから出てゆけ……」
 男が発した警告が森の中に響いた。 
「お前たちは下がってろ……!!」 
先頭にいたダグラスが指示を出し、一人その男との間合いをゆっくり詰めていく。 
じっとこちらを睨みつける男の目には、赤というよりも血色に近い、深い赤褐色の光が宿っている。
 (……こんな暗がりで、生きているヒトの目は光ったりしない)
  猫のように光る目。この男は、生と死の境目を超えてしまったーー『夜』の森にしか息付くことを許されない存在。
こうして近付いてくる間でさえ、わずかな木漏れ日を避けるように歩いている。
 間違いない。吸血鬼だ。
  「ダグラスさん、ダメです……逃げてください!その人はーー」
 足に力が入らない。それでも数メートル先の向かってミルカッセは必死に叫んだ。
 静かな怒りが、確かな殺気にじわじわと姿を変えていく。
 「…私の庭から出てゆけえええええーーー!!」
 赤褐色の魔眼に火炎が大きく揺らいだ。 沢にかかる丸木橋に吸血鬼が足を踏み入れたその時を狙って、ダグラスが全力で疾走した。 
吸血鬼を覆う真紅のマントがシュウッと巻きあがり、宙に浮き上がる。 女の声とも似た高笑いの声が空中にこだました。高く上げられた手にレイピアが煌めき、キィンと鳴りひびいた。 
にわかに森の奥が、キィキィとけたたましくざわめく。
 「ダグラス、前から来てる!」
 エルフィールが悲鳴をあげた。前方上空からは矢のようなスピードで吸血コウモリの群れが押し寄せてくる。ダグラスが聖騎士の剣を一気に抜き放ち、吸血鬼に一刀切りかかった。
 「うおおおおぉぉぉぉーーー!!」
 大群の黒い霧がまっすぐに地上へ降りてくる。あっという間に吸血コウモリが3人を取り囲んだ。
 (このコウモリは、吸血鬼の眷属ーー) 
慌てて手で顔を覆った。恐怖のあまり立てなく鳴ったミルカッセの肩に、コウモリの爪が次々とかする。どちらを向こうにも、すぐ近くにいたエルフィールでさえよく見えない。ギャアギャアと途切れることのない轟音が耳からあふれそうなほどなだれ込んでくる。
 (エルフィールさん!) 
オレンジ色の手が、ミルカッセの手の甲をとった。エルフィールだ。
ホッとすると手足の感覚がすぐに戻った。
 
(ーー痛く、ない……!?)
 
『ライツェルト』ーーミルカッセのためにと武器屋の地下で強化された白い皮のよろいは、コウモリの爪の攻撃など知らないと言わんばかりに、傷ひとつない。もはや皮で出来ているのか疑わしいくらいだ。  
ミルカッセは草地のくぼみに膝をつき、天に向かって祈りの言葉を放った。
「アルテナ様、皆をお守り下さいーーザンクトゥアリウム!」  
ミルカッセの祈りは、青白い光の柱となって3人とコウモリの間に何層もの防御壁を築いていく。 光の眩しさにコウモリの群れがひるんだ。 
その隙にエルフィールが、愛用の杖でコウモリ一匹を撃ち落とした時のことだった。 
コウモリ達が、操られたように一度にエルフィールから離れて、上空に散らばりーー動きを止めた。  
 
森、風、人ーーほんの数秒間、すべての動きが止まる。  
 
吸血鬼の白い手がオレンジ色の少女の手を引き、真紅のマントが宙を舞った。力を失ったエルフィールの法衣がゆったりとはためくと、漆黒の夜会服の腕に誘われるように絡めとられた。 
もしここにシャンデリアと大理石の床があったなら、楽団が優雅なスローワルツを奏でただろう。それほどまでに、この長身の男は仕草も顔も繊細で美しかった。けれど、男の口には吸血コウモリと同じ鋭い牙が覗いている。
 (エルフィールさんが吸血鬼の餌食にーー) 
ごとんと音がして『木の杖』が転がった。吸血鬼とエリー、2人の姿が重なり、思わず一瞬ミルカッセは目を閉じた。
 「ーーシュベーート、ストライクーー!!!」
 聖騎士の怒号が森を支配した。
 あまりの威力に、吸血鬼は草むらに落ちるように叩きつけられる。
 「エルフィールさん、大丈夫ですか!」 
地面に広がる淡いプリズムイエローのマントが僅かに動いた。腕を回して肩を支える。
すぐにエルフィールのまぶたが開いた。 
「……ミルカッセ?」
 「よかった、エリーさん。気絶してしまったかと思いました」
 二、三度瞬きをすると、なんなく琥珀の瞳は生気を取り返した。地面に落とした杖を拾いあげる。手のひらに、ぎゅっと握りしめるとエルフィールはすぐに立ちあがった。 
ほっとしたのもつかの間、再び吸血コウモリの羽ばたきと鳴き声が耳に入る。 
空の点が急速に大きくなり、ミルカッセに飛びかかった。
 「2人ともーー伏せて!」
 エルフィールのするどい声に、ミルカッセは慌てて頭を下げる。 
頭のすぐ上でパーンという高い破裂音がして、爆弾が弾け飛んだ。吸血コウモリの悲鳴が鼓膜をぶるぶると震わせる。 『クラフト』という爆弾を、限界まで詰め込んだ上級の爆弾ーー『メガクラフト』だ。
 『メガクラフト』の威力はすさまじく、一匹のコウモリに触れただけで次々と連鎖して、あたり一面に破裂音とコウモリの断末魔がこだましていく。
コウモリのみならず、吸血鬼でさえ避けることは出来ない。ガックリと膝をつく。 
「おい、気をつけろ!……まだ息がある!!」 
真紅のマントに包まれた漆黒の夜会服が、白煙の中でゆっくりと立つ。漆黒の服は土ぼこりで白く濁り、乱れた髪と白い顔は血液で褐色に滲んでいる。 
眷属を失った吸血鬼が、ダグラスに向かって吼えた。
 (エルフィン洞窟で嗅いだことがある匂い……!!)
 熟しすぎて虫がたかっているような、甘ったるくて重い果実の匂いがした。
魔眼に灯る闇の明かりは聖騎士の動きを止めて、あっさりと眠らせてしまう。 
「つっ、……ああああぁぁーー!」
 剣を持つ手を襲われたダグラスが、手の甲を抑えてうずくまった。顔が苦痛で歪んでいる。
真っ赤に染まった深い牙の痕が2つ、はっきりと見えた。 
 
(コウモリの牙の呪い!もしかし���、これは吸血の魔法!!)
 
  魔法への耐性。
それは、いつも守られている側のミルカッセやエルフィールにあって、護衛のダグラスにないものだ。剣に命を預けた者への試練というべきか、時に想像もつかない形で足をひっぱるーー特にダグラスの『魔』に属する魔法への耐性はないに等しい。  
「ダグラス……!ダグラス…!!」 
エルフィールが必死に叫ぶ。 ミルカッセが止める間もなく、採取カゴを引き寄せると、あっという間に何かを掴んでダグラスの前に出た。 
「ダグラス、動かないで!」 
彼を狙うならまず自分が相手になるーーそう言わんばかりに、エルフィールは吸血鬼に立ちはだかり、ダグラスに寄り添う。さらに、なおも立ち上がろうとするダグラスを腕一本で静止した。 
(……エルフィールさん!?) 
傷ついた騎士をかばう美しい姫ーーもし、そんなおとぎ話の恋物語なら、新たな助っ人が出てくるであろうシーンにも思えた。しかし、今騎士をかばっているのは錬金術アカデミーの学生、昨年の武闘大会の準優勝者だ。 丸腰のお姫様と違う、何かの策を持っているとミルカッセは直感的に気がついた。
オレンジ色の手が後ろをチョイチョイと指さす。 
後ろに下がれという合図だ。 ミルカッセは慌てて後方に下がる。
「もっと下がって、もっと!!いいよ……ミルカッセ、受け取って!」 
エルフィールは振り上げた腕を後ろに引くと、肩ごしにポンッと赤い球を投げた。 
「『フラム』と同じようにすれば、大丈夫だからね!」
 慎重に両手で球を受け取る。白くて長い糸に、怪しげなGの文字。 
ミルカッセはごくりと息を飲んだ。
(もしかしなくても、これって…爆弾ですよね)
 
 ーー投げてほしい、ということだろうか。 
 
覚悟を決めると、深い呼吸をひとつ、ふたつと数えて集中する。 
エルフィールが、ベルトポーチから『熱風の布袋』を取り出した。 
布口を閉めていた紐がしゅるりと解かれる。 
恐ろしく乾いた風が四方に舞い上がり、しっとりとしていたはずの空気は夏の炎天下のような灼熱に押し流され、体の水分さえうばっていく。
 「ミルカッセ、大丈夫!今だよ!!」
 気力をふり絞って、手のうちに収まる赤い球体に力を送る。 
精神力が炎に変わった。 
もう、引き下がるわけにはいかない。 
「絶対に当たるから、思いっきり投げて!自分を信じて!!」 
ミルカッセの手から離れた赤い球体が、放物線を描いて飛んだ。 
そして導火線がなくなる瞬間、吸血鬼の胸に落ちた。 
(当たった……!?) 
爆弾が落下したのは、ありえないほどの決定的(クリティカル)な場所。 吸血鬼があっと驚いた顔をしたように見えた。
 雷鳴のような光と音が森の中に広がる。
地面がガタガタと音を立てて揺れ、吸血鬼とともに弾き飛ばされた木々がミシミシと鳴った。 
「エルフィールさん!」 
近付こうにも、あたりは見る間に土ボコリが大量に立ち込めていて、視界がきかない。突然の轟音に驚いて飛び上がった鳥たちの鳴き声が耳を邪魔する。 
「エルフィールさん!!ダグラスさん!」 
隣り合わせに並ぶふたつのマントが、ようやく晴れてきた視界に映った。その先には、もう目を凝らしても吸血鬼に姿を見つけることが出来ない。 
 
ーー終わったのだ。 
 
足がガクガクと震えた。 
「ミルカッセ!」 
緊張の糸が切れそうになるところに、エルフィールの声がミルカッセを迎える。ミルカッセは急いでふたりのもとに駆けよった。 
「エルフィールさん。ダグラスさん、大丈夫ですか?」 
そう言って、ミルカッセはダグラスのグッと押さえている手の甲を見る。傷口からはまだ血が止まりきらずに、細く染み出していた。 
「薬は、ありますか」 
エルフィールにそう尋ねると、ダグラスの左手がミルカッセを小突いた。驚くミルカッセが振りかえる。半ば無理やりに持たされた袋の中にはアルテナの傷薬がひとつ入っていた。 
「ダグラスさん、全部使います。……いいですね?」 
ダグラスの言葉を待たずに、エルフィールがボトルの水で傷口を洗い流す。ミルカッセは膏薬を多めに傷口に塗ると、清潔な布をぎゅうっと巻きつけた。 
(……大丈夫でしょうか) 
今できることは、これくらいしかない。そう思い、顔色をうかがっていると黙ったままダグラスが頷いたような気がした。 その音のない返事を知ってか知らずか、エルフィールも只々黙っていた。口には出さないが、彼のことを心配しているに違いない。 静かに祈るように待っている。
 永遠と流れていく沈黙を先に破ったのはダグラスだった。 
「ーーニンニクでも持ってくればよかったぜ」
 「ニンニク?……そんなに効くかなあ」 
苦い顔のまま座り込むダグラスが軽口を叩く。痛みが引いたとか、もう大丈夫だとか彼女を安心させるような言葉はひとつも言わなかった。
それでも、エルフィールには十分なのだろう。少し困った顔をしながら彼の冗談を受けとった。 
「……私、様子見てくる」 
「あ、あの。ーー私も行きます」 
吸血鬼のことが気になり、ミルカッセも立ちあがる。数メートル先には爆発の犠牲になった木が折り重なって倒れていた。静寂を取り戻した森の中は、吸血鬼どころかモンスター気配さえない。 
(逃げたのか、消えたのか、力尽きたのか。分かるものがあるといいのですが……) 
ミルカッセが目を凝らして、地面の上や木の下を慎重に探し続けていると、不意にエルフィールが木の陰に座りこんだ。 
「あっ、『コウモリの牙』が落ちてる。そうだよね。あれだけコウモリがいたんだし……」 
彼女の言うとおり、コウモリの残がいや爆発の跡なら、森の中にいくつも残っている。しかし、吸血鬼が逃げたような痕跡はひとつも見つからなかった。 
「ねえ、ミルカッセ。これは……」
エルフィールが指をさした方向には、ボロボロになったマントが一枚、まるで土の上に広げられたシーツみたいに広がっていた。
ミルカッセは目を疑った。
マントの周りに大量に散らばっていたのは、シグザールで流通する銀貨。マントの裏に見えていた美しい真紅の色は、朱色を通り越して褐色に色褪せていた。布そのものにも光沢は無くなっていて、繊維はボロボロになり今にも風化してしまいそうな、ただのぼろ切れにしか見えなくなっている。
何気なくエルフィールがマントに触れた。
「あ、金貨だ……」
ころんと一枚転がり出た硬貨は、確かに銀貨ではなく金貨だった。
思わぬところで見つけた幸運にも、エルフィールは金貨を拾おうとしない。ミルカッセは服が汚れないように気を使いながら、金貨を拾ってエルフィールに握らせた。
「はい、どうぞ。こんなところとはいえ、見つかってよかったですね。エルフィールさん……?」
エルフィールはまだマントをじっと見つめていた。
「吸血鬼は、も���出てこないよね……?」
少し不安げにエルフィールがつぶやいたので、ミルカッセは彼女を安心させるために大仰に頷く。
「吸血鬼はもういません。……もう、出てくることはないでしょう」
 
ーーアルテナ様のご加護を……
 
ミルカッセは短い祈りの言葉を唱えながらマントに向かって手を合わせた。
彼はただの怪物ではなく、古い時代に生きていた上流階級の貴人なのだ。それだけは間違いなかった。
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