#竜飛岬灯台
Explore tagged Tumblr posts
Text
【新刊のお知らせ】けものと船乗り
5月21日(日)に東京流通センターにて開催される文学フリマ東京にて刊行予定の新刊『けものと船乗り』の通販の予約受付を開始しました。
けものと船乗り B6サイズ/42ページ BASEにて予約受付中 5月20日頃発送予定
自己紹介的な小さな幻想小説の冊子です。
★こんなお話★ 船を沈めてしまうという「けもの」が棲む島と水道を挟んで向かい合う街、その街の灯台に棲みついているもう一匹の「けもの」の物語。 街の人に灯台の「けもの」と思われているアーシアは、ある日磯で船乗りを拾って…。星の見方も、風や波のことも忘れてしまった船乗りに、海への漕ぎ出し方を思い出させようと、記憶のかけらを求めて街へ通うアーシア。たけど街は、島のけものをおそれて、船や船乗りに関するものを商うのをやめていたのだった…。
★試し読み★
あの島にはけものが棲んでいる。けもの―そんなものはあの島だけじゃなく、どこにだって棲んでいる。陸路でやってくる旅人たちは鼻で笑って相手にしないが、船旅……いや、船乗りたちはそうは言わない。あの島にはけものが棲む、とどこまでも真面目くさった表情で声を低くして、航路を変える。 アーシアはその島に臨んだ港町の、灯台に棲んでいた。 アーシアは灯台守ではない。灯台には大昔の魔法使いがかけた魔法がまだ機能していて、守がいなくとも日が陰れば自動で点灯し、仕事をはじめる。もうこの灯台を必要とする船など絶えて久しいのに。 新しく安全な航路が発見されて、灯台のある岬と、あの島、けものが棲む島のあいだを船は通らなくてよくなったから。 灯台のある岬の坂をくだると、街がある。山裾にはわずかに平らな土地があり、山を切り開いて斜面にひとが棲んでいる。街の人間はだれもが、あの島を一日一度、かならず目にする。島にけものがいることを、思い出さずにはいられない。 アーシアは街へほとんどいかない。必要なものが出たときだけ、磯で拾った貝や海藻を持って街へゆく。街の人間はアーシアを灯台に棲みついた、二匹目のけもののように遇していて、アーシアが貝や海藻いっぱいのバケツを持って商店街を歩く姿を見て、灯台に二匹目のけものが棲んでいることを思い出した。 潮の匂い、海水で真っ赤に焼けたちりぢりの髪、黒光りするほどに焼けた黒い肌……岩のあいだに挟まっている貝や海藻を採るために、真っ黄色になった分厚い爪。かつて港町として栄えていたこの街で、人間と数えられて住んでいたかも知れないすがたをしていた。 アーシアは双眼鏡を持っていた。 これは灯台のなかにあった―魔法使いが魔法をかけるまえに灯台の世話をしていた灯台守のものだろう。フジツボのような錆びが全体を覆っていて、レンズの部分だけがおそろしいほどに透明なその道具。街やあの島を見ることもたまにはあったが、アーシアは主に空を見る。灯台の上空を通る竜を見るためだ。竜のほかに、上空を鳥も通る。鳥も竜も視線には敏感で、双眼鏡を顔に当てて見上げていると、不思議そうにアーシアを見た。 竜も鳥も、灯台にけものが棲んでいることを発見しながら飛んでいた。 その日、アーシアはめずらしく、空ではなく磯を双眼鏡で見下ろしていた。握りこぶし大の磯鳥が灯台のてっぺんの風見鶏から、岬の下の磯へぴょんと飛び移っていったからだ。そしてそこに、倒れている存在を見つけた。 船乗りだ。なんの根拠もなくそう思った。 わくわくした。 磯へおりる急な階段を急ぎ足で降りた。船乗りは真っ白な顔をしていたが死んではおらず、カニやフナムシが体を這うと、不快そうに眉をひそめる。甲虫たちを振り払い、アーシアは船乗りを背負う。体はびしょ濡れで、潮の匂いがした。船乗りの体は大きくて、足をひきずることになった。重い。階段を昇りはじめると、すねや足の甲がこすれて皮膚がめくれて痛んだのだろう、おろせ、とうめいた。 「歩ける?」 「足の骨は折れてない」 船乗りを下ろした。細い階段にふらつきながら立ち、斜面に生えた松をつかんでバランスをとり、アーシアに頼らずに歩きはじめた。 「おまえ、なんなんだ」 「なにって、街のひとには、けものだと思われている」 「へえ。おまえもけものなのか」船乗りは青白い顔を��しゃりとくずして笑った「あの島には、船と交尾したがるけものがいるって聞いたけど、こんなところにも棲んでいるのか。島のけものが親か?」 「しらない。島のけものは、見たことがない」 「そうかい」船乗りはしずかにうなづいて、「―船がほしいなあ」と、足をとめて島を見た。 「船。―船があると、どうなるの」 アーシアは船を見たことがなかった。船が、船乗りを乗せて運ぶものだということは、知っていたけれど。 「船があれば、けものに抱いてもらえるだろ」 船乗りの視線が島からもどってくる。 「泳いでいけると思ったのになあ」 街の港からならば、船を使わなくても、泳いで到達できそうな距離に、島はある。街の人間は、あの島と港に挟まれている海を水道と呼んでいる。大昔、船が多く通ったときの名残だという。水道はもう使われない。船も船乗りも、街にはいなかった。旅人は、陸路で街におとずれる。 灯台に着いた。船乗りは灯台を見上げる。 「ばけものみたいな灯台だな。登れるのか」 「登れる」 「登らせてくれ」 アーシアがいいと答えるまえに、船乗りはさっさとかんぬきを抜いて中に入ってしまう。 まあ、棲みついてはいるけど、灯台は、アーシアのものではない。 くちゃくちゃにまるめた毛布や、汚れた食器は見ずに螺旋階段をのぼっていくので、アーシアはあとをついていく。船乗りは、狭く低い螺旋階段で何度も頭をぶつけてふらついた。 ―倒れていたのだ。どこか具合が悪いのかも。先導してやったほうがいいのかも。だが、船乗りを追い越せない。 踊り場に出た。船乗りは迷わず島を見られる方角をえらんだ。貸してくれと言われなかったのに、アーシアは双眼鏡を差し出していた。 「見えないなあ」 渡された双眼鏡を、船乗りは目にあてがってつぶやく。 「調整しなくちゃ。船乗りなのに、双眼鏡の調整もできないの」 「船乗り? だれが」 指さすと、はっはっは、と大きな声で船乗りは笑った。目は双眼鏡に当てたまま。 「船乗りなもんか。船乗りだったら、―船乗りだったら」 船乗りだったら、を繰りかえす。 船乗りだったら……。 「あの島が好き?」 上空を、双眼鏡を貸しているこんなときにかぎって竜が横切っていく。春の渡りがはじまりつつある。猛禽に混じって、若い竜たちも盛んに水道を越えていく。竜のうしろには、過酷な旅路をすこしでも楽にしようと数羽のハト。竜の羽ばたきの気流を利用しているのだ。 肉眼で竜を見ることに夢中になっていたから、問いに返事があったのかなかったのか、聞き漏らしたのかどうかもアーシアはわからなくなってしまった。双眼鏡がいつまでもかえってこないので、アーシアは螺旋階段を降りた。
日々詩編集室からでる別名義の本も予約を開始しています。 『存在している1 編集室編』 新採の仕事を半日で辞めるほうがわたしです。仕事を半日で辞めたこと、BL短歌をはじめて、自分で本を作るようになったこと……。HIBIUTA AND COMPANYにたどり着くまでを12000字程度のエッセイにまとめました。よかったらどうぞ。
5 notes
·
View notes
Text
溜まったやつは全放出!
これで最後だ&追加ネタだ!! 写真は後ほど���加します!!!!!!!!
・下北半島一周の話 ・バイクのヘルメットの話 ・水筒の話 ・竜飛岬の補足(階段国道とか) ・ようやく複利投資を始めた話 ・弘前城の桜を見た話 ・青森の日本海側をちょびっと行った話 ←これ ・クレカのポイント特典がしょぼくなった話
というわけでようやく溜めてたやつを全部消化。 まぁ書けてないネタはまだあるので、そっちもいずれ……
よし、最後またバイクで青森県内うろうろした話!!
◯青森の日本海側をちょびっと行った話
青森県に来てから半年以上経ちましたが、バイクでちょくちょく観光には回ってるけど、日本海側ってほとんど行ってないんですよね。じゃあ太平洋側行ってるのかっていうとそうでもないんだけど。。。とりあえず、日本海側は全然行ってなかったので、行ってきました。4月と5月にとりあえず1回ずつ。行ったのは、十三湖と千畳敷です。ちなみに十二湖もあります。白神山地の近くまずは4月。十三湖は汽水湖だったかな。しじみが有名なでっかい湖です。昔はもっと湖が大きかったらしいですが。この日はバイクで行ったんですが、ちょうど花粉全盛期に行ったせいで死にかけてました。花粉やばすぎ。道の駅でしじみラーメン食べようとしてたのに、花粉の症状が全く改善しなかったので泣く泣く諦めました。で、そのあとは近くをバイクでぶらぶらしつつそのまま南下。近く、でもないけど比較的近傍にあった高山稲荷神社に行きました。ここは千本鳥居があります。ちなみに京都生まれ京都育ちのくせに伏見稲荷には行ったことがないので、比較はできません。まぁとりあえず、こんな感じかーって体験がてら行きました。ぼちぼち人がいたけど、そこまで沢山じゃなかったので助かりました。やっぱこのくらいよな……。 次に5月。どこらへん行こうかなーって職場で話してると千畳敷の話が出てきたので、せっかくだ��行ってみるかってことで向かいました。全く潮の満ち引きのこと調べてなかったけど、比較的潮が引いてるタイミングだったのでいい感じで見れました。飯もついでに食べたので、2時間近くいたけど、だんだん潮が満ちてきて行こうと思ってたところがいけなくなったりはしたけど、とりあえず楽しみました。ただ、ちょっと見た目のインパクトには欠けるかなーって感じ。今の所、見た目のインパクトは仏ヶ浦が一番です。恐山もいい感じだったけど。この日は千畳敷以外はいってないですね。ちなみに千畳敷へ向かう途中に日本一のイチョウの木がありました。秋はすごいらしいですね。まぁ木は大きかった。またその時期に行こうかな。大人だと何気なくいっても経験として楽しめるけど、子供の頃にここ連れられても記憶に残るかなとちょっと思いつつも、まぁそんなの俺には関係ないや!と思ったくらいです。 終わり!
とするのはアレなので、そのままバイクでいろいろ行った話ね。追加というか日記
◯久々にバイクに乗った話+α
上の千畳敷行ったのち、2ヶ月ぶりにバイクに乗りました。5月に乗ってから、いろいろあって乗ってませんでした。単純に休日に動くのが面倒だっただけなんですけどね。6月はまーまじでなんもしてねえ。7月になってからさすがにそろそろ一回くらい乗らないとなって危機感もって適当に目的決めて走りました。まぁ暑かったけど結果的には正解でしょ!で、目的。とりあえずそこまでしっかり決めてた訳じゃないんだけど、夏泊半島行こうかなと。どこだよって話ですよね! 青森の真ん中で湾に向かってちょこっともっこりしてるところです!まぁ何かがあるって訳じゃないんですけどね。家からちょうどいい距離だったから行ってみた、くらいです。行った結果、まじで特に何かある訳じゃなかった! もう少し調べてからいってもよかったかな! で、次。実は青森県には知られざる有名なB級スポットがあるの知ってますか?知られざる、なのに有名ってなんだよって話ですが。そう、キリストの墓ですね。知ってる人はあぁ……、ってなる、知らない人は、は?ってなる、実にいい具合のB級スポットです。行った結果、うーん、B級感はんぱねぇ〜! 絶妙なこの感じサイコ〜!!って感じです。ただ伝承館という名前の資料館が500円もするのはちょっとあれだったな。半額でしょあれは… で、だいたいやること終わったしいいかなと思って帰路。ほんとはキリストの墓関連でパワースポットにも行こうかなと思ったんだけど、思いのほか暑くて疲れてたから諦めました。スマホに自宅までのルート設定して帰ってる中で途中で気づきました。ここ八甲田のアレのルートじゃね!?とという訳で来ました八甲田旧陸軍の八甲田演習の話は聞いたことある人も多いのかなと思います。ちなみにこっちは300円しなかった。値段設定��でしょ! むしろこっち500円くらいとれよ!! このあと一度通り過ぎて後藤伍長の像まで行きました。ぐるりと周りみて思ったのは、ここ冬で閉ざされた時に歩くの無理っしょ!って感想。ぜったい吹雪いて死ぬ・・・としか思えんかったね その日の分はおわり!で、一度バイク乗るとまた乗りたくなるんですよね。という訳で8月に入っても速攻バイク乗りました。場所はどこへ? 下北半島の端っこです。そう、下北半島で行けてなかった尻屋崎に行ってきました。みちのく有料道路という有料道路も去年の暮れにETC対応したし、バイクに優しい(路面を除く)有料道路になったので、せっかくだしこれに乗って行くか!と。この有料道路自体は去年も乗ってるんだけどね…。小銭出すのに手間取って渋滞を作りだす男!いえーい で、尻屋崎へ。青森市からはそれなりに時間かかります。暑いのも相まって、休憩多めにしないとなぁと思いつつ移動。結局途中休憩一回、コンビニで休憩したくらいだけど、こういう時のファミマのフラッペは最高です。ちなみに尻屋崎って何があるの?って話なんですけど。何があると思いますか?何もないんですけどね。馬がいるくらいしか事前情報取ってなかったので特に何も気にすることなく行きました。尻屋崎に向かってる途中。え、ここって採石場あんの!? って感じのでっかい工場が登場。写真撮りたかったなぁ…… と言ってる側から馬がいるエリアに到着。馬を逃がさないようにするためにゲートで管理しています。ゲートを通って間もないうちに馬エリア到着。ちなみに灯台もありました。灯台あったんだ…初耳……ところでここ、灯台の手前にトイレと駐車場があるんだけど、これ以降に車とか停めるとこがないかと思って停めちゃってたけど、普通に駐車場あります。灯台とちょっとしたお店用のが。 まぁその辺みて終わり。たいして感動はなかったな……。一番驚いたのが採石場あった事実だし……
0 notes
Photo
At Tappi Promontory 竜飛岬にて #tappimisaki #tappipromontory #tsugarupeninsula #aomori #japan #discoverjapan #龍飛岬 #竜飛崎 #津軽海峡 #津軽半島 #お食事処たっぴ #味噌帆立チャーシュー麺 #travelalone #みちのくひとり旅 #一人旅 #津軽海峡冬景色 #竜飛崎灯台 灯台 #竜飛���まで行ってみた #車の旅 #車の旅が好き #cartrip #結構寒い #青森 #大阪から1600km #竜飛崎 #竜飛岬灯台 (竜飛崎) https://www.instagram.com/p/CHH9U2ChhTE/?igshid=3n563977szyh
#tappimisaki#tappipromontory#tsugarupeninsula#aomori#japan#discoverjapan#龍飛岬#竜飛崎#津軽海峡#津軽半島#お食事処たっぴ#味噌帆立チャーシュー麺#travelalone#みちのくひとり旅#一人旅#津軽海峡冬景色#竜飛崎灯台#竜飛岬まで行ってみた#車の旅#車の旅が好き#cartrip#結構寒い#青森#大阪から1600km#竜飛岬灯台
0 notes
Text
iFontMaker - Supported Glyphs
Latin//Alphabet// ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyz0123456789 !"“”#$%&'‘’()*+,-./:;<=>?@[\]^_`{|}~ Latin//Accent// ¡¢£€¤¥¦§¨©ª«¬®¯°±²³´µ¶·¸¹º»¼½¾¿ÀÁÂÃÄÅÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÐÑÒÓÔÕÖ×ØÙÚÛÜÝÞßàáâãäåæçèéêëìíîïðñòóôõö÷øùúûüýþÿ Latin//Extension 1// ĀāĂ㥹ĆćĈĉĊċČčĎďĐđĒēĔĕĖėĘęĚěĜĝĞğĠġĢģĤĥĦħĨĩĪīĬĭĮįİıIJijĴĵĶķĸĹĺĻļĽľĿŀŁłŃńŅņŇňʼnŊŋŌōŎŏŐőŒœŔŕŖŗŘřŚśŜŝŞşŠšŢţŤťŦŧŨũŪūŬŭŮůŰűŲųŴŵŶŷŸŹźŻżŽžſfffiflffifflſtst Latin//Extension 2// ƀƁƂƃƄƅƆƇƈƉƊƋƌƍƎƏƐƑƒƓƔƕƖƗƘƙƚƛƜƝƞƟƠơƢƣƤƥƦƧƨƩƪƫƬƭƮƯưƱƲƳƴƵƶƷƸƹƺƻƼƽƾƿǀǁǂǃDŽDždžLJLjljNJNjnjǍǎǏǐǑǒǓǔǕǖǗǘǙǚǛǜǝǞǟǠǡǢǣǤǥǦǧǨǩǪǫǬǭǮǯǰDZDzdzǴǵǶǷǸǹǺǻǼǽǾǿ Symbols//Web// –—‚„†‡‰‹›•…′″‾⁄℘ℑℜ™ℵ←↑→↓↔↵⇐⇑⇒⇓⇔∀∂∃∅∇∈∉∋∏∑−∗√∝∞∠∧∨∩∪∫∴∼≅≈≠≡≤≥⊂⊃⊄⊆⊇⊕⊗⊥⋅⌈⌉⌊⌋〈〉◊♠♣♥♦ Symbols//Dingbat// ✁✂✃✄✆✇✈✉✌✍✎✏✐✑✒✓✔✕✖✗✘✙✚✛✜✝✞✟✠✡✢✣✤✥✦✧✩✪✫✬✭✮✯✰✱✲✳✴✵✶✷✸✹✺✻✼✽✾✿❀❁❂❃❄❅❆❇❈❉❊❋❍❏❐❑❒❖❘❙❚❛❜❝❞❡❢❣❤❥❦❧❨❩❪❫❬❭❮❯❰❱❲❳❴❵❶❷❸❹❺��❼❽❾❿➀➁➂➃➄➅➆➇➈➉➊➋➌➍➎➏➐➑➒➓➔➘➙➚➛➜➝➞➟➠➡➢➣➤➥➦➧➨➩➪➫➬➭➮➯➱➲➳➴➵➶➷➸➹➺➻➼➽➾ Japanese//かな// あいうえおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゆよらりるれろわゐゑをんぁぃぅぇぉっゃゅょゎゔ゛゜ゝゞアイウエオカガキギクグケゲコゴサザシジスズセゼソゾタダチヂツヅテデトドナニヌネノハバパヒビピフブプヘベペホボポマミムメモヤユヨラリルレロワヰヱヲンァィゥェォッャュョヮヴヵヶヷヸヹヺヽヾ Japanese//小学一年// 一右雨円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名目立力林六 Japanese//小学二年// 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時室社弱首秋週春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話 Japanese//小学三年// 悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷開界階寒感漢館岸起期客究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式実写者主守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注柱���帳調追定庭笛鉄転都度投豆島湯登等動童農波配倍箱畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和 Japanese//小学四年// 愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜最材昨札刷殺察参産散残士氏史司試児治辞失借種周祝順初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令冷例歴連老労録 Japanese//小学五〜六年// 圧移因永営衛易益液演応往桜恩可仮価河過賀快解格確額刊幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務夢迷綿輸余預容略留領異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机貴揮疑吸供胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宣専泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵覧裏律臨朗論 Japanese//中学// 亜哀挨曖扱宛嵐依威為畏尉萎偉椅彙違維慰緯壱逸芋咽姻淫陰隠韻唄鬱畝浦詠影鋭疫悦越謁閲炎怨宴援煙猿鉛縁艶汚凹押旺欧殴翁奥憶臆虞乙俺卸穏佳苛架華菓渦嫁暇禍靴寡箇稼蚊牙瓦雅餓介戒怪拐悔皆塊楷潰壊懐諧劾崖涯慨蓋該概骸垣柿核殻郭較隔獲嚇穫岳顎掛括喝渇葛滑褐轄且釜鎌刈甘汗缶肝冠陥乾勘患貫喚堪換敢棺款閑勧寛歓監緩憾還環韓艦鑑含玩頑企伎忌奇祈軌既飢鬼亀幾棋棄毀畿輝騎宜偽欺儀戯擬犠菊吉喫詰却脚虐及丘朽臼糾嗅窮巨拒拠虚距御凶叫狂享況峡挟狭恐恭脅矯響驚仰暁凝巾斤菌琴僅緊錦謹襟吟駆惧愚偶遇隅串屈掘窟繰勲薫刑茎契恵啓掲渓蛍傾携継詣慶憬稽憩鶏迎鯨隙撃桁傑肩倹兼剣拳軒圏堅嫌献遣賢謙鍵繭顕懸幻玄弦舷股虎孤弧枯雇誇鼓錮顧互呉娯悟碁勾孔巧甲江坑抗攻更拘肯侯恒洪荒郊貢控梗喉慌硬絞項溝綱酵稿衡購乞拷剛傲豪克酷獄駒込頃昆恨婚痕紺魂墾懇沙唆詐鎖挫采砕宰栽彩斎債催塞歳載剤削柵索酢搾錯咲刹拶撮擦桟惨傘斬暫旨伺刺祉肢施恣脂紫嗣雌摯賜諮侍慈餌璽軸叱疾執湿嫉漆芝赦斜煮遮邪蛇酌釈爵寂朱狩殊珠腫趣寿呪需儒囚舟秀臭袖羞愁酬醜蹴襲汁充柔渋銃獣叔淑粛塾俊瞬旬巡盾准殉循潤遵庶緒如叙徐升召匠床抄肖尚昇沼宵症祥称渉紹訟掌晶焦硝粧詔奨詳彰憧衝償礁鐘丈冗浄剰畳壌嬢錠譲醸拭殖飾触嘱辱尻伸芯辛侵津唇娠振浸紳診寝慎審震薪刃尽迅甚陣尋腎須吹炊帥粋衰酔遂睡穂随髄枢崇据杉裾瀬是姓征斉牲凄逝婿誓請醒斥析脊隻惜戚跡籍拙窃摂仙占扇栓旋煎羨腺詮践箋潜遷薦繊鮮禅漸膳繕狙阻���措粗疎訴塑遡礎双壮荘捜挿桑掃曹曽爽喪痩葬僧遭槽踪燥霜騒藻憎贈即促捉俗賊遜汰妥唾堕惰駄耐怠胎泰堆袋逮替滞戴滝択沢卓拓託濯諾濁但脱奪棚誰丹旦胆淡嘆端綻鍛弾壇恥致遅痴稚緻畜逐蓄秩窒嫡抽衷酎鋳駐弔挑彫眺釣貼超跳徴嘲澄聴懲勅捗沈珍朕陳鎮椎墜塚漬坪爪鶴呈廷抵邸亭貞帝訂逓偵堤艇締諦泥摘滴溺迭哲徹撤添塡殿斗吐妬途渡塗賭奴怒到逃倒凍唐桃透悼盗陶塔搭棟痘筒稲踏謄藤闘騰洞胴瞳峠匿督篤凸突屯豚頓貪鈍曇丼那謎鍋軟尼弐匂虹尿妊忍寧捻粘悩濃把覇婆罵杯排廃輩培陪媒賠伯拍泊迫剝舶薄漠縛爆箸肌鉢髪伐抜罰閥氾帆汎伴畔般販斑搬煩頒範繁藩蛮盤妃彼披卑疲被扉碑罷避尾眉微膝肘匹泌姫漂苗描猫浜賓頻敏瓶扶怖附訃赴浮符普腐敷膚賦譜侮舞封伏幅覆払沸紛雰噴墳憤丙併柄塀幣弊蔽餅壁璧癖蔑偏遍哺捕舗募慕簿芳邦奉抱泡胞俸倣峰砲崩蜂飽褒縫乏忙坊妨房肪某冒剖紡傍帽貌膨謀頰朴睦僕墨撲没勃堀奔翻凡盆麻摩磨魔昧埋膜枕又抹慢漫魅岬蜜妙眠矛霧娘冥銘滅免麺茂妄盲耗猛網黙紋冶弥厄躍闇喩愉諭癒唯幽悠湧猶裕雄誘憂融与誉妖庸揚揺溶腰瘍踊窯擁謡抑沃翼拉裸羅雷頼絡酪辣濫藍欄吏痢履璃離慄柳竜粒隆硫侶虜慮了涼猟陵僚寮療瞭糧厘倫隣瑠涙累塁励戻鈴零霊隷齢麗暦劣烈裂恋廉錬呂炉賂露弄郎浪廊楼漏籠麓賄脇惑枠湾腕 Japanese//記号// ・ー~、。〃〄々〆〇〈〉《》「」『』【】〒〓〔〕〖〗〘〙〜〝〞〟〠〡〢〣〤〥〦〧〨〩〰〳〴〵〶 Greek & Coptic//Standard// ʹ͵ͺͻͼͽ;΄΅Ά·ΈΉΊΌΎΏΐΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩΪΫάέήίΰαβγδεζηθικλμνξοπρςστυφχψωϊϋόύώϐϑϒϓϔϕϖϚϜϞϠϢϣϤϥϦϧϨϩϪϫϬϭϮϯϰϱϲϳϴϵ϶ϷϸϹϺϻϼϽϾϿ Cyrillic//Standard// ЀЁЂЃЄЅІЇЈЉЊЋЌЍЎЏАБВГДЕЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯабвгдежзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюяѐёђѓєѕіїјљњћќѝўџѢѣѤѥѦѧѨѩѪѫѬѭѰѱѲѳѴѵѶѷѸѹҌҍҐґҒғҖҗҘҙҚқҜҝҠҡҢңҤҥҪҫҬҭҮүҰұҲҳҴҵҶҷҸҹҺһҼҽҾҿӀӁӂӇӈӏӐӑӒӓӔӕӖӗӘәӚӛӜӝӞӟӠӡӢӣӤӥӦӧӨөӪӫӬӭӮӯӰӱӲӳӴӵӶӷӸӹӾӿ Thai//Standard// กขฃคฅฆงจฉชซฌญฎฏฐฑฒณดตถทธนบปผฝพฟภมยรฤลฦวศษสหฬอฮฯะัาำิีึืฺุู฿เแโใไๅๆ็่้๊๋์ํ๎๏๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙๚๛
see also How to Edit a Glyph that is not listed on iFontMaker
#FAQ#ifontmaker2#Symbols#Dingbat#Cyrillic#Greek#Coptic#thai#character set#character sets#list#language
6 notes
·
View notes
Text
俊樹五百句
虚子の「五百句」と対峙したい。虚子はそれを五十年ほども掛けたが、この作句期間は一週間に過ぎない。出来不出来以前にこの名著なる存在と対峙したかった。俳句の存在意義だけがこの試行錯誤の源である。短い人生である、我が愚行を是非批評して頂きたい。
坊城俊樹 令和4年8月
弔ひの夜に横たはる暑き襤褸 浮浪者の襤褸に星降る夜となりぬ 弔ひの夜の白服なる異形 弔ひの杖に樹海の町暑し 浮浪者の眠る窓とて朧なる 夏の灯のまたたき琴座鳴るといふ 幽霊や露台に支那の戦没者 幽霊の招く小路の風死せり 夏の路地女幽霊絢爛に 星の降る夜へ英雄の霊かぎろふ
国士無双あがる男へ星流れ 夏の夕遺族は骨を探索す 夏夕べ黒き連鎖の遺族たち 遺族らは夜より黒し星流れ 哀しさは真夏の盆へ地震きたる 地震の町に吠える家守の夜でありし 恋人も濡れる家守の夜となりし 母死して星も死すてふ家守の夜 家守らの目の爛々と星見上ぐ 家守らに昭和の記憶ありにけり
金色の家守は母の野望とも 父がつけし渾名の犬へ星流れ 大蛇の我が天井を護りたる 姫蛇の碑へと真夏の夜の夢 蛍火に意思といふものありにけり 山泣くも山笑へるも蛍へと 犬死して総理も死して蛍へと 一億の蛍の一��死してをり ほうたる��火に照らされて万華鏡 ほうたるの乱舞を待てる半旗かな
火蛾ひとつ火焔の中を舞うてをり 蛍来る夜は両親へ星降る夜 死ぬ匂ひして晩年の蛍籠 怪しげな教会へ入る蜥蜴かな 万華鏡の色の蜥蜴や月を追ひ 猊下そは百歳に死し蜥蜴また 猊下死す百一の星流る夜を 猊下逝く蜥蜴は天の星仰ぐ 猊下逝く十の契りを夏の夜に 総理逝きしばらく夜の火蛾として
猊下逝く祇園の夏の夜の契り 星流る方へ杖つき神楽坂 夏の夜の三味の灯しは籠もらざる 懇ろに幽霊を待つ簾上げ いつも見てゐて見てゐない裸かな 貪りて夜の怨霊の裸とも 風通す裸の窓をすべて開け 恩讐もある傷跡の裸体とも カンバスに幾何模様なる裸体 日当たるとやはらかくなる裸体かな
陰翳の裸の体囁ける 因果なる裸体を褒めてゐて死せり 裸体なる女カオスの縮図とも 茅舎忌の我を白��と思ふかな ヌードデッサンせんと孤高の茅舎の忌 茅舎忌といふ忌まはしき忌なりけり 俳壇に生けるも死ぬも茅舎の忌 茅舎忌の猿股を日に干してあり 金剛の露現今の茅舎ゐて 口唇に薬挿し入れる茅舎の忌
河童忌の屋根に墜ちたる龍之介 河童忌といふ祝祭のやうなもの 蚕豆に天使の翼ありにけり 蚕豆の妻の故郷はカタルーナ 蚕豆といふ処女作のやうなもの 蚕豆を剥き深緑やや遺憾 蚕豆の筋のあたりを背骨とも 蚕豆のやうな赤子を授かりし 蚕豆とは一卵性双生児 バンクシーの絵は白黒に夜の秋
我が瞳孔まもなく朽ちて夜の秋 丑三つのマンゴーゆつくり熟すなり 丑三つの蜘蛛透明な糸を吐く 斬られる待つ丑三つの熟柿かな 愚かなる夢の中なる熱帯夜 しづかなる女の舐める熱帯夜 黒蛇が白蛇を呑む熱帯夜 括れざる腰振る真夜の熱帯を 母さんが父さんを呑む熱帯夜 口唇を襞と思へる熱帯夜
熱帯夜朱き口唇とて腐臭 熱帯夜とはずぶ濡れの吾子の夢 峠路に幽霊を待つ月見草 裏切りの美人薄命月見草 月光やちやん付けで呼ぶ影法師 月見草火星より木星が好き 月見草路地の子やがてゐなくなる 星の降る夜はひとつきり月見草 月見草恐らく祖母は浮気した 新婚の路地の匂へる月見草
日覆を立てる穴とて深淵に 日覆のおほひて赤子腐敗せり ビルよりも高き日除けを立てにけり 男一人日除けを出でず老いにけり 裸族らし我が家の下の夫婦かな 裸にて人に逢ひたく皮を脱ぐ しづかなる蛇しづかなる自死をせり 蟻と蟻獄を出でたる如出逢ふ 灯の蟻といふ見当たらず羽蟻とす あの蛇を保育園へと見失ふ
青条揚羽より高き蝶のなき 金輪際黒筋揚羽見失ふ 黒揚羽より正装の男かな 瑠璃揚羽祖父の遺墨を飛び立てり 暑き電線暑き電線と出逢ふ とぐろ巻く蛇地境を管理せり 大いなる物の崩れががんぼの死 青き星流れて白き星流れず 蟷螂と格闘をして日記とす 暁に麦飯を食ふ祖父の髭
亡霊が炊いた麦飯吾れのため 麦飯の茶碗に描くただの柄 麦飯に卵二つの豪華さよ 麦飯を母は嫌がり父も嫌がり おばQを見て麦飯を食ふ至福 箸は茶で洗ふ麦飯たひらげて 麦飯を父は食はずにバタを食ふ 麦飯といふ軍縮のやうなもの 麦飯にのりたまかけて邪気かけて 仏教にあらず神道麦飯を食ふ
麦飯を御霊に捧ぐことならず 麦飯で鉄腕アトム見てをりぬ 昭和三十六年の麦飯豪華なり 麦飯といふ神道のやうなもの 瑠璃鳴くや御霊のやうな声溢れ 神域を歌へる瑠璃のすきとほる 殉職の御霊へ瑠璃の鳴きにけり 銃弾に斃るるときに瑠璃鳴けり 天照大神きて瑠璃鳴かせ 天辺の虹の上より瑠璃鳴けり
虚子とのみ彫られし墓へ瑠璃鳴けり 坊城家六代目へと瑠璃鳴けり 勾玉の青のひとつは瑠璃の声 瑠璃何か喩へてみれば金剛に 夏燕折り返し来る消防署 三次元を四次元に斬る夏燕 生れ替るなら岳麓の夏燕 青空を巻き込んでゆく夏燕 夏燕鏡を斬りてさかしまに 天辺に仏来給ふ朴の花
朴の花白く翳りて懇ろに 朴の花の中に釈迦尊をらざりき 虎尾草に毛並のありて逆立ちて 虎尾草の揺れて待ちたる未通女かな 金輪際虎尾草と縁切ると言ふ 虎尾草の先くねくねと蠅を追ふ 梧桐に影といふもの濃かりけり 樹海めく梧桐たちに迷ひたる 梧桐を仰ぐ超高層仰ぐ 梧桐の葉とは天狗の団扇かな
梧桐やブランコは立ち漕ぎ続け 梧桐の翳に不良の煙草吸ふ 梧桐に青春である疵を彫り 梧桐の伐られ虚空の天となる 山笠の波動花鳥子より届く 山笠の句の勇壮な波動来る 山笠に恋といふものありにけり 博多つ子純情の夏なりしかな 山笠の日と生誕の日と隣る 純情の山笠に夢馳せてをり
山笠に天神颪とは来たり 金亀虫裏返りたる真夜の褥 黄金虫夜を引き摺りて灯へ入りぬ 灯に入手夜の帝国の黄金虫 羽蟻の夜玻璃にべたりと都市の闇 羽蟻翔ちお日様に溶けなくなりぬ 子を捨てし母は戻らぬ羽蟻の夜 羽蟻の夜金輪際の父は帰らぬ 羽蟻の夜弔問はなほつづきをり 茅舎忌の卍となりて日章旗
露の世へ消ゆる人あり茅舎の忌 茅舎忌の夜が流れてしまひたる 隻眼が見えなくなりぬ茅舎の忌 龍子の絵どこか稚拙な茅舎の忌 茅舎忌の流れ流れて星ゐない 吾妹子の胸やはらかき虎が雨 吾妹子の海へ尿する虎が雨 煙草屋もとうに死に絶え虎が雨 土用波恋愛はもう星屑に 岬越え来る土用波白々と
土用波いよよ怒濤となり崩れ 子が一人攫はれてゆく土用濤 土用濤灯台を越え来たりけり 元総理死にて土用の波濤へと 波怒濤土用の夜の人攫ひ 伝説の出水川とはこの小川 子を攫ひ妹を攫ひて出水川 出水川と記憶流れて悪夢とも 出水川恋の破綻も流しゆく 虚子塔に人来ぬ日なる最澄忌
最澄忌千日回峰終るころ 叡山は星の降る夜の最澄忌 叡山をさ迷ふ夜の最澄忌 最澄の忌の極楽の湯舟かな 最澄忌灯す頃の先斗町 祇園にて猊下と酌みし最澄忌 萍の隠沼として河童棲む 萍を髪に見立てて河童立つ 萍の茂り月光留めたる 妖精が腰掛けてゐる蛭蓆
丑三つの月光にある蛭蓆 優曇華へ星やさしくて月やさし 優曇華のいのち揺らぎて月を待つ 儚きは優曇華の茎なりしかな 優曇華にいのちあかりの灯せり 優曇華に神降臨すひとつづつ 母死して優曇華の情なしとせず 優曇華へ言葉少なき真夜の人 ケルン積む星降る夜となりしかな ケルン積む大岩壁と対峙して
ケルン積むひとつひとつに女の名 行李から恐らく祖父の登山帽 恋をして山登りして死に逝けり ロッククライミングの刹那あの夏を しづかなる人しづかな死夜の秋 夜の秋幽霊ももう寝静まり 恋をして失恋をして夜の秋 瞳の奥の闇へと星の流れゆく 星の降る中に月降る夜の秋 蟻ひとつ彷徨うてゐる夜の秋
死顔の威厳なるかな夜の秋 曾祖父���祖父も今宵は夜の秋 星ひとつ艶然とある夜の秋 夜の秋網膜剥離みたいな灯 羅を着て恋などに惑はされず 浴衣着て金魚の柄を泳がせて 羅を着て老いらくの恋をせむ 羅に序破急といふ恋のあり 妙齢は達磨柄なる浴衣着て 浴衣着て恋に窶れてしまひけり
祖父と祖母らし残像の藍浴衣 羅の包んでをりぬ裸体かな 羅の包み適はぬ恋をして 浴衣着て恋の乳房となりしかな 浴衣着て恋人と逢ふ浜の路地 羅を着て蝮酒召し上がる 浴衣の子星とおしやべりしてをりぬ 後ろ手に団扇はさんで恋浴衣 白兎波間に跳ねて卯波くる 人死して星の卯波となりしかな
卯波寄す森田愛子の臥所へと 九頭竜の卯波漣ほどのもの 夏の波真砂女の卯波とぞなりぬ 月光が卯波流してをりにけり 滴りの金銀の粒金剛に 滴りに輪廻転生ありにけり 滴りて岩壁となる日本海 東京スカイツリーの天辺滴りて 滴りて浅草線の三ノ輪駅 ゆつくりとしづかに歩む蛇ひとつ
蛇の夢見てその蛇を見てをらず 蛇酒といふ極楽の中に死す 滴りの岩壁を行く数学教師 滴りの後ろ姿の女体山 蛇女邪心となりて星流れ 蛇ふたつ絡んでをりぬ月光に 蛇絡みつつ愛欲の中にあり 権現の無数の蛇の降る社 炎帝の統べるままなる総理の死 炎帝へ斬首の鴉羽ばたけり
炎帝いま月の裏側焼きにけり 炎帝といふ今生の大宇宙 勲一等正一位なる墓灼けて 勲一等の軍馬の墓は緑蔭に 暗夜行路書きし墓とて茂り中 暑き固き墓石の如き絵画館 イザベラの墓に彫られし薔薇香る 銀杏並木の緑蔭もとんがりて 茂りてはいつも探せぬ乃木の墓 坊城は俊ばかり付く墓涼し
殉教の墓へマリアの南風吹く 寝棺そのものを横たへ夏の墓 緑なる線対称の銀杏かな 八月の面対称の絵画館 サンドレスとは青山のあつぱつぱ 青山の墓みな灼けて無言なる 夏日燦超高層といふ墓標 無機質の超高層を旱とも ソファーめく茂吉の墓へ夏蝶来 茂吉いま夏蝶となり利通へ
墓に挿す供華も明日より秋薔薇 秋の蝶クルスの墓を懇ろに 夏果てて石より重き絵画館 緑蔭のハチ公の墓何処なり ハチ公の供華はおそらく水羊羹 異国なる地下に眠りて薔薇の墓 夏の蝶マリアの指に触れてより 喪主だけが半袖で乗る霊柩車 蟬の音は聞かず真昼の野辺送り 蟬死して蝙蝠ばかり飛んでをり
蝙蝠は帰る逆さになるために 蝙蝠の裏切る音を聴いてゐる 蝙蝠も消え失せグリム童話の夜 めまとひはめまとひとして囁けり めまとひは無責任なる大家族 婆の眼の���にめまとひ親しめり めまとひを払ふ多情の口を閉ぢ めまとひの中を葬列続くなり 朱烏夏の夜の夢覚めし頃 茅舎忌の月光ことに夢を食ふ
茅舎忌の虫の音といふ哀しけれ 茅舎忌のシュミーズは幽霊の自慰 そこはかとなく隠微なる茅舎の忌 キリストと生きる男へ茅舎の忌 茅舎忌に金子みすずを読んでをり 白鼻心白夜の夢を見てをりぬ おぼこ今白夜の夢を見てをりぬ 白夜とは神の数だけありにけり 熊に似る男涙の炉辺話 雪女帰らず解けてしまひたき
金輪際なき眼光の鯖を食ふ 鯖を食ふ恋愛をした夢を見て 銀色に無限のありし鯖を食ふ 恩讐の臭みの鯖を食ふ女 鹿島灘あたり怒濤や鯖を食ふ 鯖を食ふ女臀部を揺らしつつ 鯖を食ふ潮の香りを煮てをりぬ 黒潮を炊いて鯖煮となりしかな 鯖食ひ男鯖食ひ女淫靡なる 鯖食うて惜別の情無しとせず
我が生の金輪際の虹に逢ふ 虹死して首都凡庸の空となる 奈落より虚子の墓へと虹の橋 蚊柱となりて青山墓地を舞ふ 吾妹子の子宮男の子を生みにけり 我が家より大いなる虹架かりけり 苔の花とは妖精の小さき眼 苔の花喋るぺちやくちやぺちやくちやと 苔の花海に流れてしまひさう 我が生も淋しからずや苔の花
大漁の夜の纜に苔の花 苔の花阿呆の黄色楽しくて 苔の花金輪際の生にあり 苔の花哀しくなれば咲いてをり 苔の花苔を大地として咲けり 苔の花の夜は近づく大宇宙 未熟児に産まれる人へ苔の花 そよぐことなき苔の花小さすぎ 流星と同じ色して苔の花 苔の花咲きて天動説となる
苔の花影といふものありにけり 囁きの夜に閉ぢたる苔の花 河童忌を星の吹雪と思ふなり ���童忌の蛇口ひねれば湧いてをり 河童忌に砂糖を舐める女あり 河童忌のしんがりの児は引き込まれ 河童忌にベートーベンを聴いてをり 河童忌を皇后陛下畏くも 河童忌の童は杓子定規かな 怒濤とし童押し寄せ河童の忌
滴りて山又山を濡らしをり 絵画館の壁の隙より滴れり 夏の水汲み元勲の墓域へと 滴りに栄枯盛衰ありにけり 滴りて富嶽をすこし潤せり 滴りに奈落といふは先のこと 滴りてゆつくり濡れてをりにけり 滴りて巌の命を疑はず 幻か滴る先に河童の子 滴りて四国三郎ありしかな
蟻ひとり穴ひとつあり佇みぬ 増上寺国葬にあり蟻ひとつ 群衆の蟻群衆の蟻に逢ふ 山蟻の威厳の黒に死してをり 黒蟻と赤蟻言葉交さざる 蟻ひとつ地下迷宮を出で来たる 蟻塚に蟻の声のみ充満す 蟻塚の掘りたての土匂ふなり 蟻地獄静謐といふ美しき あとづさりして身を隠す臆病に
岳麓へ行者道めく蟻の道 蛾の破片ゆらゆら運ぶ蟻の道 ビール飲む眉間に皺を寄せながら 麦酒飲むますます法螺を吹きながら 白魚のやうな指もて麦酒注ぐ 我が世とぞ思ふ望月の麦酒かな 麦酒のむいつか焼かれし喉仏 女ひとり化粧濃くして黒麦酒 蛇苺姉の我が儘永遠に 蛇苺庭に埋めし金魚へも
侯爵の墓の片隅蛇苺 蛇苺男鰥の庭の恋 山笠の西の便りを句に乗せて 博多つ子純情いまも山笠に 山笠の男だらけの怒濤なる 傀儡の関節錆びて夏の雨 白雨きて蛍光灯の切れかかり 関節はぎしぎし老ゆる夏の雨 飴玉が降る音のして夏の雨 連続の数珠の音して夏の雨
夏の雨身の内の獅子唸るなり 旋律はボブマーリーに似て夏の雨 戦後すぐ膣より産まれ夏の雨 白雨きてボサノバの雨合体す 白雨きてコーラの壜の女体めく おそらくは黄泉の��とて夏出水 夏出水遺品の遺書の何処へと 高貴なる神に押し寄せ夏出水 最果ての鵺の夜へも夏出水 土用波七里ヶ浜で祖父に抱かれ
土用波みたいな嬶の乳房かな 柏翠の療養所へと土用波 土用波森田愛子の身の内へ 土用波虚子と愛子の物語 髪洗ふ乳房の先を湿らせて 髪洗ふ妬み嫉妬を流すとか 女百態懇ろに髪洗ふ 髪洗ふ幼き頃の金盥 あんな女に嫉妬して髪洗ふ 犬洗ふ即ち犬の髪洗ふ
昼寝して夢の合戦破れたり 元首相撃たれし頃の大昼寝 夜よりも昼寝彼の世に近かりし 貪るは蛸か女体か昼寝覚 昼寝して夜には死んでをられたる 昼寝覚女百態消失す 昼寝覚地獄の釜を押し上げて 昼寝覚一年損をした気分 昼寝して虚子と話をして戻る 昼寝覚范文雀と別れ来て
蝙蝠の彼の世此の世と飛翔せり 蚊食鳥煙のやうなる蚊を追へり 蚊食鳥夕焼け小焼けの唄に乗り かはほりの逆さに夢を見る昼間 かはほりに迷子探してもらふ夕 蚊食鳥夜の女は出勤す かはほりは街の電波と交錯す 蚊食鳥幼稚園児はもう家へ 友人の納骨を終へ蚊食鳥 学習院初等科の上蚊食鳥
あぢさゐの萎れし夕べ蚊食鳥 かはほりと月と金星置きどころ 青林檎みたいな乳房持つ少女 青林檎囓る気もなく接吻す 青林檎真夏の夜の夢の中 昭和とはヌード写真と青林檎 麗人の口怖ろしく青林檎 漆黒の夜は青ざめて青林檎 青林檎堅しと思ふ瑪瑙より パテイーデュークショーを観ながら青林檎
青林檎がさつな漢の手に堕ちる 夏の夜の夢とはならず老いゆけり 夏の夜の罪ある墓標御影石 唇は濡れて真夏の夜の夢 夏の夜のネオンサインはジジと���れ 漆黒の真夏の夜の夢となり 入れ墨の夏の女を持て余し 金魚玉夜に入る頃の小宇宙 絢爛の金魚は恋をしてをりぬ 絶縁の夜に浮きたる金魚玉
和服着て振り袖を振る金魚かな 勲一等正二位の飼ふ金魚かな 飛魚の飛んで越え行く隠岐の島 隠れキリシタン飛魚となり戻りけり 飛魚の流刑の島を飛び越えて 炎帝に見つからぬやう昼に寝る 日輪が炎帝をまた拐かす 炎帝に翳といふものありにけり 白日夢とは炎帝が司る 炎帝が紛れ込んだり夢の中
盆栽といふ炎帝の置き土産 炎帝も銀河の裾の一部分 我が霊も炎帝となり銀河へと 観音の笑みて溽暑を遠ざけて 観音の炎暑の唇を赤しとも 陽炎へる陽子の墓や禁色に 墓の苔とて万緑の一部分 観音の胸乳あたりへ夏の蝶 五輪塔とは緑蔭のただの石 乾きたる稲毛氏の墓とて旱
一山の万緑なだれ年尾句碑 薔薇咲かせ流行り遅れの服を売る 昔から麦酒が好きな人の墓 蛍光灯切れかかりゆく夏の果 夏行くや皆んな貧しき灯して 人を待つ心にも似て夜の秋 涼しさの雨の粒とは淋しくて 街の灯の蒼く点りて夏の夜 灯して何読むでなき夜の秋 夜の秋義兄は生れ替りしや
涼しさの夜の灯の鈍色に 堕胎の子いつも走りて汗哀し 夏逝くや雨の音符の翳色に 夜の秋眼の衰への文字歪む 夜の秋炎集めて住む川原 夜の秋己れ空しく酒を飲む 涼しさの夜雨の音の蓄積す 涼しさは恨みに似たり灯を消せば 幽霊坂うすむらさきの夜の秋 幼稚園死んだ子が居る夜の秋
夜の秋やがて孤独の誕生日 蛍光灯切れかかりゆく死者の秋 老いてなほ秋めく恋の行方かな 新涼の飴の色とは濃紫 秋めきて失恋をする七回目 新涼の鏡に映す吾の死顔 頭痛して秋めく我の髑髏 新涼の驚き顔となりし天 新涼の犬に哀しき堕胎過去 八月の女ものものしく太り
0 notes
Text
2014 東北一周・耐久ドライブ、3500kmもくじ まとめ中 2022-06update
初日・徳島から秋田 初日は徳島から、高速道路で、兵庫、福井、金沢、新潟、秋田まで。 新潟から秋田の海岸線の一般道は、夜間走行になりましたが 食べるところが無くて苦労しました(> <) 一位はフレンドさんでした。おしい😝 あと150kmぐらい走っておけば1位とれたのにな〜 2日目・牡鹿半島、竜飛岬 2日目は、牡鹿半島の岬巡りをしつつ北上して竜飛岬(たっぴみさき)まで行きました。 竜飛岬は、冷たい風が強く吹き、日本海の嵐みたいなかんじで寒かった {{(>_<;)}} ・道の駅 てんのう(天王温泉くらら) ・入道崎灯台 ・道の駅おおがた ・道の駅ふかうら ・龍飛崎 3日目・下北半島 3日目は、下北半島をぐるりと走り 本州の最北端、大間岬まで。 気温は相変わらず寒かった{{(>_<;)}} 大間岬への西海岸はガソリンスタンドが無くて困った(>…
View On WordPress
0 notes
Text
各地句会報
花鳥誌 令和4年1月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和3年10月2日 零の会 坊城俊樹選 特選句
秋蝶のひと差し舞うて女坂 順子 筆塚に鏡花名残りの桔梗とも 要 秋草や妓楼のなごり今も濃く 悠紀子 筆塚に秋思の女佇ち替はり 順子 鉄の日時計錆びて天高し 要 蓮の実へ東天紅の影をひく はるか 女坂思ひありしか秋の蝶 三郎 蓮の実を飛ばせぬままに朽ちにけり 和子 実を抱きしままの蓮が水の底 和子
岡田順子選 特選句
実の飛んで慕情の蓮となりしかな 俊樹 蓮の実や弁財天の琵琶に飛び 眞理子 水澄んで鯉肉色の口開く 和子 野分後嘘つぽくなるりんごあめ きみよ 秋高き処に棲みて水のうへ いづみ 秋晴を細く傷つけ昼の月 小鳥 野の秋へからからと鳴る旅鞄 はるか 鶏頭を咲かせて人を葬りけり 和子 竜田姫広小路まで人力車 きみよ オレンヂのカンナの横が台東区 いづみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月6日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
近松像離れぬ秋の蝶一つ ただし 啄木鳥や祈りの道の仏たち 同 切株の匂ふ日照りに秋の蝶 同 彼岸花終りし畦に道祖神 清女 夜の森静かにきのこ生まれけり 誠
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月7日 うづら三日の月 坊城俊樹選 特選句
祝詞声秋風に乗り天に消ゆ 喜代子 蔵の戸を引くや新酒の香り立つ 都 長き夜や身を乗り出して艶話 同 鬼ごつこ影長くして秋うらら 同 山の辺の刈田に映ゆる入日かな 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月7日 花鳥さヾれ会 坊城俊樹選 特選句
九頭竜の水面芒と光り合ふ かづを 九頭竜に秋晴と云ふ寂しさよ 同 月見草サーカス小屋のたちし頃 清女 小鳥来よ玻璃を磨きて待つ我に 同 落葉舞ふ左内の像や江戸を向く 千代子 江戸を向く左内の像や身にぞしむ 同 河口より秋潮つれて虹屋まで 笑 少年の秋蝶追うて一乗谷 同 柏翠忌思ひおもひの星月夜 匠 忌の心持ちて迎ふる十月を 和子 秋潮の白波高し柏翠忌 啓子 柏翠忌墓石と知るや秋の蝶 希
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月8日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
新しき杉玉軒に新走り 益恵 秋の暮澪引く船に集魚灯 宇太郎 一人居の軒賑はひて吊し柿 すみ子 曼荼羅華とは雨跡の草紅葉 悦子 一面のすみずみ揺れて蕎麦の花 都 猪に荒れし跡ある法の庭 すみ子 人知れず烏瓜にもあをき時 美智子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月9日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
中子逝くとしあつの待つ天の川 独舟 秋刀魚船銀波を超えて今寄港 同 大空を全て我が物鰯雲 晶子 母の字をなぞるノートや夜半の秋 のりこ 魔女の住む庭の真つ赤な唐辛子 岬月 拾ひたる木の実に森の物語 同 弾け出て校庭の子ら秋高し 慧子 一位垣途切れるところ野紺菊 同 時刻表より消えし駅秋桜 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月11日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
干されたる地下足袋に来る赤とんぼ 上嶋昭子 小鳥来て神なび鳥語弾みをり 時江 遠堤の紅は静かに曼珠沙華 三四郎 滅亡の火の色をして狐花 上嶋昭子 時空越えお伽の国へ菊人形 中山昭子 野にあれば力むがごとし男郎花 時江 したたかに生き残りたる蚊にさされ 英美子 猪垣に全校生徒十五人 清女 鶏頭の全身燃ゆる赤の庭 三四郎 松手入身を伸ばしつつ縮めつつ みす枝 街角のペンキの匂ひ秋の風 三四郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
採血の血管逃しうそ寒し 貴薫 目覚めれば仄かに香る菊枕 せつこ 木の実落つ音におびえしお留守番 和魚 木の実独楽いつとき影を正しうす 有有 うそ寒や日の傾ける山の翳 ます江 菊枕闘ふ君の息遣ひ 美貴 橡の実も薪も干されて山の宿 あき子 碧色の潜む湖あり木の実落つ 貴薫 傘寿なる姉に縫ひあぐ菊枕 三無 児童館木の実工作靴多彩 聰
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月12日 萩花鳥句会
柿紅葉狭庭はんなり染めにけり 祐子 手を繋ぎ竹灯城下夜夜の月 美恵子 稲田へと鳥たち今は庭へ来ぬ 健雄 彼岸花年ふる毎にいとほしく 陽子 初紅葉抱きしみどりご目も見えて ゆかり 今年また総代のみの在祭 克弘
………………………………………………………………
令和3年10月12日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
秋潮や櫓を漕がずとも進む舟 登美子 秋の野にちらりと見えるかくれんぼ 裕子 黙祷は東の空の秋虹へ 登美子 ベトナムの友と見上ぐる渡り鳥 同 山装ふ街に住む子に電話する あけみ 車窓より刈田黄金に流れゆく 同 鳥覗き我も覗くや水澄めり 紀子 休みつつ鍬打つ母や千代見草 登美子 朝参褒美なるかな終の蓮 みえこ 次男坊白菊かかへ祖父の墓 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
わが裳裾翻しをり萩の風 千代子 わが里と連なる大河鮭のぼる 同 柿すだれ過疎の一戸を守りけり 真喜栄 荒磯みち名残りの句碑や野菊晴れ 同 月明り金星月に相寄りて 玲子 長き夜や肩を丸めて爪を切る 富子 暗闇を一枚にして虫時雨 みす枝 すがりたき女ごころや男郎花 世詩明 隠し田の稲も刈られてゐたりけり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月17日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
末枯を見すゑ子育地蔵尊 慶月 本堂に秋灯暗く濡れてをり 斉 矢印に従ひ行けば秋の声 菟生 昨夜の酔ひ残して雨の酔芙蓉 秋尚 大寺にごつごつ競ふ青花梨 幸風 武士の鬨の声かと鵙鋭声(とごえ) 眞理子 秋雨の空白色に降り続く 貴薫 姦しく森はみ出してゐる小鳥 斉 瓢簞の細きくびれを打てる雨 圭魚 かくれんぼ鬼と芒の残さるる 千種
栗林圭魚選 特選句
秋雨の音聞くばかり年尾句碑 秋尚 濡れそぼつ幼の合羽のうそ寒く 斉 大寺にごつごつ競ふ青花梨 幸風 多重塔おほふ大樹や小鳥来る 芙佐子 白つつじ暗闇坂の返り花 文英 姦しく森はみ出してゐる小鳥 斉 かくれんぼ鬼と芒の残さるる 千種 年尾句碑静寂を好む小鳥来る 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月19日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ひよんの笛吹きつゝ左内偲びをり 千代子 洒落れた街しやれた雲浮く洒落れた秋 和子 夫の忌や空いつぱいの鰯雲 令子 鉄塔の先つちよ点り星月夜 清女 金色の仏の流転秋の風 雪 菊に立ちふと薫陶と云ふ言葉 同 朝倉の世も金風のかく吹かん 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月22日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
戸袋にひそんでゐたる名残りの蚊 上嶋昭子 名画座に清張ものや秋深し 同 母に付き落穂拾ひの遥けき日 一涓 小鳥来る私雨の只中を 同 巫(かんなぎ)のまたあるときは稲刈女 同 秋深む軒に干すもの吊すもの みす枝 鳴らぬまま秋風鈴となりにけり 洋子 耳たぶの大いなる子の帰省かな 世詩明 かぐや姫もしやと思ふ月夜かな 信子 風音も乾いて来たる刈田かな 同 朝は銀夕べ金波の花�� 同 雨よりも雨音淋し冬に入る 中山昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
双つ児の生声高し天高し 孝子 地図に読む夜長の旅の物語 ひとみ いぼむしり意図なく背の枯れはじむ 成子 いつしかに末枯の野に踏み入りぬ 光子 赤鬼も青鬼も棲む唐辛子 喜和 無花果の固き扉の半開き 千代 パンドラの箱の底より秋の声 ひとみ 虚空に日輪枯野には未来図 睦子 金風は檻のものらに吹いてゐる 佐和
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年10月 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
朝寒や鐘の音とよむ磧径 幸風 団栗を五百羅漢に配る子等 同 母の塔真赤に熟るる烏瓜 同 その中の尾花に乱れなかりけり 百合子 ほろほろと零るも雅式部の実 三無 持ち寄りの千草の彩や中子師に 亜栄子 朝寒にペダル踏み出す重さかな 白陶 盛り沢山秋草活けて師を偲ぶ 教子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和3年9月1日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
銀漢の尾に街の灯を繋ぎたし 世詩明 色白が七難隠す砂日傘 同 昼寝してしばし地獄を見に行きし 同 一乗谷無縁仏や茄子の馬 ただし 生き残りかけし秋蚊の刺しつぷり 清女 曼珠沙華蘂が派手や数少な 輝一 漕ぎ出だす柳橋より花火船 誠 遠き日の桑食む夏蚕みしみしと 同 線香の煙漂ふ終戦日 信義
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
Text
いろいろ気付けば時間が経っちゃってるってこと。
やべぇよ気付けば6月だよ…… 5月はいろいろあった・・・訳ではないけど、とりあえず気力が全然ない時期だったね。これが噂の五月病か・・・。まぁ今でも復活しないから、ただのやる気ない状態なんだけど。
溜まってる日記のネタ ・下北半島一周の話 ・バイクのヘルメットの話 ・水筒の話 ・竜飛岬の補足(階段国道とか) ・ようやく複利投資を始めた話 ・弘前城の桜を見た話 ←new!! ・青森の日本海側をちょびっと行った話 ←new!! ・クレカのポイント特典がしょぼくなった話 ←new!!
いろいろ増えたからちょっとずつ消費していくか。
とりあえず竜飛岬の補足のはなし。
◯ 竜飛岬のおまけの話
5年の8月に竜飛岬行った時の話で抜けていましたが、階段国道も行きました。ていうか写真まだ載せてなかったな…今月中には載せておきます。
で。竜飛岬といえば、世にも珍しい階段国道があることでお馴染みです。お馴染みですか? 俺は某ガジェット紹介バイク乗りブロガーの動画で初めて知りました。多分それ以前もテレビでもやってたことはあるんだろうけど、青森とか・・・って記憶にも残ってなかったな。。。言われてみれば見たことあるような…みたいな感じ。
そもそもなんでここに階段国道があるんだってのは知らない! なんか説明書きの看板はあったけど面倒で読んでない。そもそもそういった理由が書いてあったのかすら不明だけど。
で、合計で400段ないくらいのぼちぼちしんどい階段を、①降りて、②登ってっていう一往復決めました。くっそしんどい。
登る方は完全に民家の横を通って行くんだけど、ここ明らかに私有地の範囲じゃね・・・?ってところを通るので不安しかない。
観光する竜飛崎から階段国道を降りてけば、竜飛崎の本当の先っぽの近くにもいけるけど、完全に漁港になってるのと、大して見て回れるようなところでもないので、普通に灯台とかの観光スポット側に行った方がいいかな。
それなりに道は大変だけど、本州から北海道が見える様はなかなか。
階段国道は完全に体験型アトラクションでした。
0 notes
Text
各地句会報
花鳥誌 令和3年9月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
……………………………………………………………… 令和3年6月2日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
大日焼け少女は肩を焦がしけり 世詩明 廃村の家並にしかと花菖蒲 同 夏菊の白を重ねて供へけり ただし お寺より俗に貰はれゆく子猫 清女 永き日を半分横になる暮し 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月3日 うづら三日の月 坊城俊樹選 特選句
庭石の湿り程程梅雨に入り 英子 かびの香と回想満ちる棚の奥 さとみ 草茂る敵の如く鎌を研ぐ 都 旅を待つ衣裄に掛る夏衣 同 緑陰に五百羅漢の喜怒哀楽 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月3日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
潮の香を消して辣韭掘り進む 美智子 灯消し梅雨闇へ影戻しやる 都 たらちねの好みを供へ夏に入る 幸子 麦秋に溺れてしまふ道祖神 悦子 夾竹桃原爆ドームへのすがら 益恵 樟脳の匂ひの満てる更衣 立子 デイケアを戻り五月の海を見る すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月5日 零の会 坊城俊樹選 特選句
縄文の丘を辷りて瑠璃蜥蜴 要 夏蝶が堆積層をまた跨ぐ 荘吉 夏潮の遠くなりては貝塚に いづみ 縄文の貝の白きへ更衣 三郎 貝塚は朽ち捨てられし夏の月 いづみ 幾夏の土器を見つめてゐる博士 三郎 貝殻は貝の白骨南風吹く 千種 縄文へ吸ひこまれゆくサンドレス 三郎 ひんやりと手に縄文の蟻冷ゆる 順子 貝塚に遊ぶおさいは夏の草 和子
岡田順子選 特選句
沙羅散つて今日一日の甃 炳子 紙垂ととのふ祭迎への男たち 慶月 蛍を呼ぶ父の背の丸みかな 美紀 貝塚の地層の底へ実梅落つ 要 縄文へ吸ひこまれゆくサンドレス 三郎 蟻の塚大森貝塚をなせり 千種 貝塚の地層は夏へ湾曲す 俊樹 いつさいのやがては遺跡万緑裡 千種 貝塚を見て縄文の海は見えず 俊樹 夏潮の遠くなりては貝塚に いづみ
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月8日 萩花鳥句会
風車千個舞ふ如山法師 祐子 時鳥今年の声は椿谷 美恵子 そら豆の一粒さまの安居かな 健雄 梅雨の頃畳乾拭く母ありて 陽子 夏大根蔵王風土は辛味濃く ゆかり 梅雨晴や窓といふ窓開け放ち 克弘
………………………���…………………………………… 令和3年6月9日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
花石榴越堂偲ぶ安養寺 令子 岩魚跳ね九頭竜峡は清々し 登美子 薔薇赤しいづれもクイーンエリザベス 紀子 黒猫を追へば石榴の花の家 登美子 石榴咲き娘の嫁ぐ日を迎ふ あけみ 白藤も犬も引越しクレーン来る 令子 金色に福井平野は麦の秋 同 存分に玉葱を干し一日終ふ 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月10日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
晴天のどこかに梅雨入りてふ翳り かづを 風に風ふれては光りゐる若葉 同 そぼふるに夢にたはむれ七変化 数幸 こは死地ぞ地中におはせ大蚯蚓 同 何処に落せし金色の蜥蜴の尾 雪 籐椅子に誰彼となく座して古り 清女 咲き初むる白は神慮か花菖蒲 希 水脈も無くたゞゆるゆると川梅雨入り 天空
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月12日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
海霧深き宗谷岬の霧笛鳴く 独舟 万緑の真ん中に座す母校かな のりこ 人だけが星に名をつけ夏の夜 同 熊鈴の響き藻岩の山開き 同 炎天の呼吸バッハの無伴奏 同 短夜や子の隠し持つ漫画本 同 リラ冷や恋は水色すみれ色 岬月 綿菓子に祭の顔の埋もりたる 同 蜘蛛の囲の瞬く星を織り込めり 同 ライラック百の乳房の香を放つ 雅春 祭り笛振り向けばストーンサークル 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月14日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
毛虫焼く時仏心の失ひし 英美子 逢ひたき人夢のなかまで蛍の夜 みす枝 涼しさや���重まぶたと長き指 上嶋昭子 冷奴時に聞こえぬふりをして 同 払つても払つても目まとひの道 清女 暑き日のパンク修理の盥水 三四郎 ハンモック少年期とはいくつ迄 上嶋昭子 向日葵を描けば顔を描きたし 世詩明 日焼けしてもうハンドルを握らぬ手 清女 菖蒲の湯米寿の四肢を撫で申す みす枝 タンポポの絮が迷つてゐる厨 清女 庭下駄の上に鎮座の蟇 上嶋昭子 灯台は天に伸びたり卯波寄す 同 紫陽花や手毬潤す山雨急 時江
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月12日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
靴箱に主無き靴や梅雨に入る ゆう子 句碑の辺の枝整ひて梅雨に入る 文英 翡翠の影を置かざる速さかな 三無 焔立つ藁の焙りや初鰹 幸風 奥社まで会話の弾む夏木立 美枝子 名刹の鉄扉漆黒梅雨に入る 多美女 翡翠の集めし視線ごと水へ 秋尚 約束の果せぬままに梅雨に逝く 亜栄子 庭下駄を揃へし先に雪の下 多美女 下校の子約束多き柿の花 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
いささかの訳あり顔の残り鴨 雪 白牡丹暮れかねてゐる夕心 同 草抜きて抜きて終生草取女 みす枝 水鉄砲撃たれ喜ぶ爺と婆 同 日除帽目深に色白の女 英美子 席題の筆書き揺らす風薄暑 やす香 老眼鏡掛けたるままの大昼寝 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月16日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
父の日の父と呼ばれし人は我 世詩明 花石榴むかし空襲ありし寺 令子 高倉健見し昂ぶりに火取虫 清女 紫陽花や乾きしままの絵の具皿 啓子 夏服の四肢まだ白き鼓笛隊 泰俊 逃がさうと掌広げ見る蛍 同 梅雨晴や袋小路に広小路 数幸 首級無き武将の墓や落し文 雪 真砂女好き真砂女嫌ひの洗ひ髪 同 麦秋や焦げんばかりに村の墓 同 一向に代り映えせぬ更衣 同 振り向かず尺取虫でゐる間 同 尺蠖の測り切れざる己が影 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月20日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
森閑と森灯すかに黃釣船 貴薫 草螢出でよ遺跡の眠る丘 炳子 鉄柱に逆三角の蜘蛛の糸 幸子 御出現遺跡の森の青大将 久子 堂裏に十薬白を正しくす 斉 万緑に奔る兄弟紛れ込む 亜栄子 餓鬼大将ざりがに釣りに伴揃へ 三無 万緑や遺跡の底に笛の音 久子
栗林圭魚選 特選句
森林を活き活き燥ぐ父の日よ 文英 森閑と森灯すかに黃釣船 貴薫 青々と風を広げて今年竹 斉 ごぼごぼと水音に群れ半夏生 文英 あぢさゐに彩を注ぎて雨上がる 三無 吾子よりも大声出して蝲蛄を 眞理子 下闇の鳥の声まで吸ひ湿める 貴薫 あぢさゐの白を揃へて家並古る 斉 湿りたる山気に垂れる黄釣船 三無 雨上がり万緑爆ぜて闇匂ふ 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 令和3年6月21日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
尺取りの時に尺取り損ねたる 雪 空よりも暮れたる水に蛍かな 同 六月の鏡は蒼き肌うつし 昭女 紫蘇揉めば青虫ぬつと現れぬ 同 黒南風やハンフリーボガード名画座に 同 終りなき蟻の行列続きをり やすえ 植田もう高き鉄塔映らざる みす枝 ここいらが平家平と五月闇 一涓 もう蟻の列を逸れたり龍之介 同 餌を待ちぎぎめく軒端燕の子 同 落人の末裔として見る蛍 同 蛍の源氏平家のもつれ飛ぶ 世詩明 背が曲り腰が曲りて汗をかく 同 蛍籠下げたる方が妹らし 同
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… なかみち句会(六月投句句会) 栗林圭魚選 特選句
床上げを数へる指に梅雨の月 聰 たまゆらに雲間を走る梅雨の月 怜 露天湯にほぐるる身体梅雨の月 三無 玄関に亡夫の夏帽そのままに 怜 つば裏に母の字残る夏帽子 美貴 家人留守蠅取蜘蛛と遊びけり 和魚 けんけんを見ててとねだる夏帽子 美貴 壁を這ふ蜘蛛ちらつきて寝つかれず 怜
(順不同特選句のみ掲載) ……………………………………………………………… 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
早苗饗の一献は田に撒きにけり 愛 形代に指折り記す妹の年 志津子 東京に捨てきし女薔薇真つ赤 成子 神妙な名越の親子赤ふどし 久美子 東に青龍潜む涼しさよ 美穂 棄て畑を大きく背負ひ独活の花 さえこ 受話器持つ店主の片手蝿叩く 久美子 よりどころなき夜たぐりて麻蒲団 愛 その奥に神木聳ゆ御祓かな 伸子 toCoda(トウコーダ)のある三味の譜や夏暖簾 勝利 竹皮を脱ぎ業腹をふりきりし 睦子 藍浴衣横顔ばかり流す川 佐和 父の日の父と偲びぬ母のこと 喜和 長老に御祓を委ねゐし野川 洋子 蛍火のすいと消えたる黄泉の口 ひとみ 羅や下駄の音にも色のあり 喜和 岩に散る貝の化石や夏至正午 勝利 羅の少女さらつて小夜嵐 佐和
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
Text
各地句会報
花鳥誌 令和3年1月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和2年10月1日 うづら三日の月句会 坊城俊樹 選特選句
広々と切株香る刈田道 英子 約束の当てにならぬも温め酒 都 秋深し手に残りたる化粧水 同 草紅葉園児手つなぐ楕円形 同 秋の夜や人に秘す物古りし文 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月3日 零の会 坊城俊樹選 特選句
色鳥来聖観音は石の膚 千種 青き龍彫り込む廟の冷まじく 順子 秋さぶの解脱門てふ朱の翳り 炳子 秋蝶の思ひありしか秀忠に 三郎 護符を買ふ小鳥の空を背にし 順子 霊廟の魂とし木の実落つる日よ はるか 光背に東京タワー秋の寺 梓渕 鵯騒ぐ正室死後も人寄せず 千種 セルロイド褪せて水子の秋日向 光子 土饅頭裏の湿りに蚊の残る 光子
岡田順子選 特選句
ずつしりと鐘つき堂にある秋思 美智子 色鳥来聖観音は石の膚 千種 鰯雲石段やはき襞なせり 千種 解脱門出で松茸を食ひに行く 俊樹 秋蝶のお江の���へすぢ広げ 慶月 鋳造の龍より涙雁渡し 千種 和宮の矜持の墓やとべらの実 眞理子 鱗雲解くやタワーの赤き針 慶月 古墳ともただの丘とも草紅葉 梓渕 色なき風地蔵千躰かいくぐり 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月7日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
曼珠沙華消えずに咲いてくれし事 清女 生あれば何時か行く道彼岸花 同 天高く三途の川を遠くして 同 背に���まる地蔵菩薩に法師蟬 誠 風立ちて思ひの揺るる芒かな 同 オパールの如き目をもち恋の猫 秋子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月9日 芦原花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
あかあかと燃え立つ畦のまんじゆさげ 孝子 落葉掻太白星は山の端に よみ子 白砂ゆく凪の海射す秋日かな けんじ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月9日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
秋霖や孤児ら遊びし鄙の浜 宇太郎 鄙の駅降りて秋霖ありしこと 幸子 秋彼岸墓で出合ひし友久し すみ子 もう誰の碑とも分からぬ露の石 都 鵙去るが合図ものみな暮れにけり 栄子 何かの実爆ぜて赤赤秋日和 都 街の灯を望む谷間や虫すだく 宇太郎 砂丘秋径あるごとく人の散る 悦子 海鳴りを扱き混ぜ靡く芒原 悦子 一村が棚田百景曼珠沙華 益恵 曼珠沙華燃える一叢屋敷跡 和子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月10日 札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句
秋天や峡の水音遠き日に 独舟 秋の風二軒長屋は路地の奥 清 卒塔婆ただそれだけや草紅葉 同 駆け上がる改札口の秋の空 修子 飲み込んだ言葉が梨の重さかな 同 秋の灯や触れし半紙の裏表 のりこ 草叢に残る温みや秋の蝶 岬月 読み返す便箋七枚秋灯下 慧子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月10日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
秋黴雨煉瓦の学舎呆けをり 亜栄子 年尾忌や魂句碑になほ灯る 白陶 散り敷きて雨に際立つ金木犀 秋尚 記念樹の影広がりて年尾の忌 多美女 金木犀雨に濃く散る仏会かな 文英 木犀の香を削ぎ落す雨しとど 秋尚 金木犀煉瓦の門を焦がしをり 亜栄子 年尾忌や錆びることなき黒御影 ゆう子 灯を絶やさぬ想ひ年尾忌に 白陶 雨の色昏く宿せる竹の春 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月12日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
廃屋の屋根まで覆ふ蔦紅葉 さよ子 無月かと誰かが言ひてより寂し 信子 秋深し女人ばかりの喫茶店 久子 榠樝の実三角四角戯けたる みす枝 秋高し蓮如上人像凜と 信子 手枕の犬の鼾をきく夜長 清女 名月や故山ゆつくり離れゆく 信子 秋彼岸お供へもなき軍馬の碑 清女 満月の夜の講座の曙覧聞く 久子 彼岸花あれほどの赤着てみたし 錦子 芋の露こぼして去りぬ農婦かな 昭子 提灯の磴に斑をなす秋祭 時江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月12日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
いろり端焦げて集へるきりたんぽ ます江 吊橋や大きく揺れる初紅葉 有有 八幡平下山の後のきりたんぽ せつこ 古き文やうやく棄てし日の秋思 貴薫 水の音離れぬ径の初紅葉 秋尚 初紅葉ある処日の射す処 三無 雨音の途切れぬ秋思ありにけり ます江 晩歳に集ふ炉端や切たんぽ 怜 出汁染みて箸に崩れるきりたんぽ 三無 遺されし靴磨く黙秋淋し 美貴
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月13日 萩花鳥句会
美術館カラフルブレザー爽やかに 祐子 螇蚸の飛び付くゾウの滑り台 美恵子 観光の飛機の空路に鳥渡る 健雄 名月やラインで届く宴模様 陽子 言の葉も何も浮かばずそぞろ寒 ゆかり 鍬担ぎ家路を急ぐ秋の暮 克弘
………………………………………………………………
令和2年10月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
軽やかに電車の影絵刈田行く みえこ 秋の蝶命日参り二頭舞ひ 同 秋涼し写経の御堂開け放し 令子 秋晴や子と作りたる砂の山 裕子 仕事終へ重き体に秋の風 あけみ 真直ぐに続く並木の月夜かな 紀子 紅の深き深きや鶏頭花 同 道問へば指差す方に柿の秋 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
啄木鳥や故郷に帰る兵の墓 ただし 箱膳の流れ着きたる秋の川 同 自ら燃ゆるべく燃ゆ曼珠沙華 雪 蔦紅葉雁字搦めの出作小屋 みす枝 浜の路地ひとつ魔境へ秋の暮 一仁 コスモスや風と綾取りしてゐたり 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月18日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
時々は石仏掠め木の実降る 亜栄子 秋の雲掴みきれずに母の塔 亜栄子 菩提子を手品のごとくぶら下げて 秋尚 秋風や武士の声はるかなる 炳子 草の実といへぬ実袖につけてゐる 和子 圭魚選 白も黃も矜持のありて供華の菊 三無 吾亦紅蕊に埋み火残しをり 秋尚 木端の香あまく山寺冬仕度 和子 ますかたに集ふ碑のあり年尾の忌 文英 悠然と墓碑の天辺疣毟り 幸風 一本の竜胆正室の墓崩れ 慶月 古寺の庵の廂や郁子秘色 亜栄子 隠沼の水辺明るく末枯るる 斉
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年10月21日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
名月の一と日限りの夜でありし 世詩明 駅の名の謂れ繙く夜の秋 千代子 越前の山々なべて秋高し 和子 十五夜の月の渡れる屋根いくつ 昭子 十五夜やむかし兎も臼も在り 令子 大花野小さき流れ真ん中に 美代 曼珠沙華刈り横たはる阿鼻叫喚 雪 猫じやらし野にあらば野の遊びせん 同 鈴虫は鳴いてますかと古き文 同
………………………………………………………………
令和2年10月22日 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
十六夜の月は雲間に甍波 洋子 無花果や乳首噛みたる子も遥か 成子 無花果ややをら柔肌包む和紙 さえこ 山彦の栖の標烏瓜 ひとみ 射干玉の夜や石榴の熟れすぎぬ 伸子 天を衝く寺の石階鰯雲 成子 渡り鳥来て賑はひの鼓舞たける 睦子 鎖樋から大甕へ秋の水 愛 腕白の風に案山子の揺れてをり さえこ 母の手を振り切り駆けし鰯雲 順子 無花果の窪みのほどの愁ひかな 桂 空つぽになるまで鳴いて蟬骸 豊子 無花果や口約束はすぐ乾く 寿美香 望の月あげて地軸に狂ひなし 豊子 野の風を束ね小菊の香を母へ 朝子 秋の寺絵解き上手の僧のゐて 孝子 福音の風を信じて小鳥来る 朝子 無花果のお八つ昭和の子沢山 豊子 秋刀魚焼く流離の色を裏返し 寿美香 床屋出て見上げてをりぬ秋の雲 勝利 嚔する手の平うすき少女かな 睦子 群集の嘆きか風の蘆の花 勝利 まぼろしの麒麟出で来よ秋の雲 美穂
………………………………………………………………
鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
舟小屋の朽ちたる舟や秋の風 ただし 白を着し悪魔の衣裳菊人形 同 銀木犀銀の雫をこぼしけり 信子 赤とんぼ噂話の輪の中へ 同 パラグライダー花野の空を使ひ切る 昭子 自分のこと俺と言ふ子や七五三 同 露の世の翁の色紙塚に触れ 昭子 菊人形美女も野獣も香り良し みす枝 老僧を追かけ廻る赤蜻蛉 世詩明
(順不同特選句のみ掲載)
………………………………………………………………
0 notes
Text
各地句会報
花鳥誌令和2年5月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
令和2年2月1日 零の会
坊城俊樹選 特選句
街に立つ師は冬帝の黒纏ひ 光子 福豆売る絶対秘仏背に負ひ 千種 黒マスクをんなおそろし御徒町 いづみ 男坂即かず離れず雪女郎 佑天 きさらぎのくづし文字かな恋みくじ 光子 麗人と佳人出くはす梅の下 千種 幾重にも幾重にも絵馬ぬくくあり 季凜 天神下の鮮魚よろづ屋空つ風 梓渕 不忍のボートを漕ぐや落第子 順子 寒雀今日はめでたき貌をして 久
岡田順子選 特選句
永久の灯をもつ瓦斯燈も春を待つ 俊樹 福豆売る絶対秘仏背に負ひ 千種 絵馬に書く文字の細きへ冬の蜂 和子 白梅を背負へば空の青さ知る 久 きさらぎのくづし文字かな恋みくじ 光子 射的屋は夜まで閑で梅の宮 梓渕 飴玉を頰張りしまま春を待つ 久 街に立つ師は冬帝の黒纏ひ 光子 如月のこのひかりごと攫はれむ 美紀 ピアス挿し吾妹の梅に遊びゐる いづみ 古井戸を守り湯島の冬囲ひ はるか
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月5日 立待花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
風折れの水仙畑の先に岬 世詩明 水仙の花盗人を見て逃がす 同 余所者も馳せ参じたるどんど焼 同 寒雷の激しき音よ玻璃を打つ 誠 寒明の祝杯とてや大吟醸 輝一
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月6日 うづら三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
華やぎの面影少し枯菊に 喜代子 春風やひもとく本と束ね髪 さとみ おうおうと神を呼び込みどんど燃ゆ 都 物言はぬ星のまたたき寒の明け 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月6日 さゞれ会
北風すさぶ神の島へと打つ怒濤 かづを 潮騒を春立つ音と聞いてをり 同 水仙の香と荒磯の香競ひをり 同 灯籠にあかり灯され冬の宿 啓子 山頂に横一列に冬の雲 同 鬼やらひ芸妓乗り出す成田山 笑 三句碑へ怒濤となりて春の海 同 丹の橋にくだける怒濤寒の海 清女
令和2年2月6日 さゞれ会
なんとなく聞く待春の鳥語かな かづを 坪庭の苔青々と春を待つ 清女
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月7日 鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
出雲より春の使者とも旅神楽 益恵 走り根の猛り濡らして寒の雨 都 雪降つて少し軽めになりし雲 史子 春愁や泪の乾くまでのこと 幹也 鬼は外木霊となりし遠明り 宇太郎 梅盛り炭屋に宿を取りし頃 悦子 凩や薬缶の笛を織り交ぜて 幸子 鴨引きて瀞長々とがらんどう 益恵 星冴ゆる電飾解かれゐし枝に 都 畦を焼く匂ひは朝の教室へ 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月8日 枡形句会
栗林圭魚選 特選句
句碑裏に昼の日差しや蕗の薹 亜栄子 紅椿大樹に日差し別れ道 文英 瀬の音のとみに弾みて猫柳 三無 水仙の白に翳ありうすみどり ゆう子 摘む指に匂ひ絡めて蕗の薹 三無 迂回して緋寒桜の峠道 教子 一瞬に緑走りし和布かな 三無 感触を確めたくて猫柳 教子 流れ沿ひ会話訥訥猫柳 ゆう子 まんさくの黄が野を覚ます風のいろ 美枝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月10日 武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
冬の夜は石を枕のヤコブかな 利榮 待つ春は道草しつつ来るらしき みす枝 奥越の高嶺颪や頰凍つる 一枝 人住まぬままの離れに初暦 昭女 初茶会金塗り椀に虚子の軸 みす枝 どことなくゆとりのもてて日脚伸ぶ 信子 橋脚を濡らして寒の水ぬるむ 世詩明 天空を星の抜けゆく霜の夜 時江 大嚏して線香の灰飛ばす さよ子 春炬燵潜りて跳んで遊ぶ児ら みす枝 バレンタイン義理チョコにして片思ひ 世詩明 七尾線枯れ一色の中を行く 昭女 すぽつすぽつと鳰潜る音 時江 帰宅して窓にはりつく寒北斗 世詩明 鍛冶音の響くばかりや星冴ゆる 時江 寒の水十指絡ませ水を飲む さよ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月10日 なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
天城嶺の残雪映す山の湖 怜 鶯の静寂誘ふ余韻かな 聰 春菊を入れていよいよ箸動く あき子 眺めゐる山々遥か初音かな 史空 咲きそめし白梅一枝句碑に添ひ 迪子 雪残る医院の花壇主亡く 美貴 山道の疲れ忘るる初音かな 史空 うぐひすや門柱細き尼の寺 和魚 初音せり無名戦士の墓に来て 美貴 竹林に一筋の日や雪残る 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月11日 萩花鳥句会
はからずも吾娘と豆撒くひと夜かな 祐子 梅林園目白と遊ぶケンケンパ 美恵子 まごころの色のごときや梅白し 吉之 裁かれるいのちに甲乙春寒し 健雄 咲き誇る梅見守りし主なく 明子 光琳の紅白梅図のごとき梅 克弘
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月14日 芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
白梅の一枝二枝の朝日受け 寛子 こけし等の夫婦寄り添ふバレンタイン 依子 早春の対岸をゆく押し車 孝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月14日 さくら花鳥会
岡田順子選 特選句
節分の豆煮てゐるや福の神 実加 山眠る垂水の音の澄んでゆく 政隆 坊守や母の手を取り寺の冬 登美子 薄墨の宛名の滲む寒夜かな 同 身籠りて薄味で食ぶはうれん草 実加 朝空や雀の散らす春の雪 光子 荒れゆくも自生水仙越前に 紀子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月15日 鯖江花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
それぞれを生きそれぞれに木の葉髪 雪 退屈なスコップ並び雪降らず 同 大仏に伍して漢の豆を撒く 一涓 寒月やなべて牛舎の静かなり 同 褪せてなほ威儀を崩さず古代雛 みす枝 春の雪重ねて山を新たにす 信子 沈丁に激しく降りて匂ひ立つ 直子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月16日 伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
裸木となりおほせたる静けさよ 雪 注連をもて神となしたる大冬木 同 ひそむるはひそむる蒼さ竜の玉 同 衝立は志功の菩薩春灯 同 春宵の星の愛子を探さばや 省吾 春炬燵問はず語りに聞く出自 清女 谷深くして水仙の浜辺まで 紀之 白山の此の美しき雪地獄 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月16日 風月句会
坊城俊樹選 特選句
鬨の声なき城址の遅日かな 炳子 春めくや菩提樹の抱く石仏 眞理子 観音の肌清らかに春の雨 佑天 遠からず近からず置き落椿 秋尚 み仏の足裏くすぐる春の雨 佑天 まくれなゐ椿時々山鴉 炳子 空蒼を梅紅をゆづらざり 千種 春雨に濡れ肌色の陽子墓碑 圭魚 白梅の枝垂れて傘の色いろいろ 同
栗林圭魚選 特選句
しめやかな雨白梅の白の濃く 貴薫 見上げれば万の輝き紅椿 ます江 ぽつてりと塀の上より白椿 佑天 書きかけの反故増えゆけり獺祭 千種 雨に色連らねつ馬酔木咲きはじむ 秋尚 やはらかく雨にほぐるる牡丹の芽 秋尚 春光へ諸手を挙げて母子像 芙佐子 豊饒に咲かせ大樹の玉椿 淸流
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月19日 福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
天よりの悲鳴の如き初音聞く 世詩明 蜜柑剥く伊予の祖父似の太き指 千代子 何となく聞く待春の鳥語かな 雪子 春泥を駆け来し犬が膝頭 清女 凍ゆるみ老杉雪を落としけり よしのり 臘梅や新羅の鐘を伝ふ宮 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年2月26日 九州花鳥会 寺まち句会
坊城俊樹選 特選句
地獄より戻り来してふ春夕べ 光子 頰つぺたの体温となる春の雪 愛 戸を鎖して春の闇へと僧祈る 光子 春の夕浅き縁の人とゐる 久美子 石庭の波くねくねと春の夕 千代
岡田順子選 特選句
頰つぺたの体温となる春の雪 愛 釈迦の慈悲広ごる社梅の花 睦子 恋猫のかさぶた落つる夕明り 愛 結界の奥草の芽を啄みぬ 光子 啓蟄や髪を刈り上げホームレス 勝利 夕さりの春の博多は好いとうよ 志津子 六道の闇とき放つ春の鐘 かおり 雛飾る段に灯の入る夕べかな 光子
令和2年2月27日 九州花鳥会 定例句会
坊城俊樹選 特選句
潮の香の堂に絵踏の遠き日々 久美子 栄華の日まなうらに秘め古雛 かおり 信仰の別けても冥き絵踏かな 豊子 右足の形に減りしや板踏絵 志津子 塩壺に塩ある白さ春浅し 成子 海あをし絵踏の罪をかい抱いて かおり 霞野に均し朱鳥の病舎跡 順子 少年の浅き溜息雛まつり 成子 一寸の針の重さや針供養 睦子 草萌ゆるサーカス小屋の杭打てば 順子
岡田順子選 特選句
三椏の咲くや櫛田の鬼の数 由紀子 シスターの授業絵踏のこともあり 愛 蝶生まる兜太句碑ある爆心地 寿美香 島人の数ほど絵踏物語 豊子 輪郭の緑青乾ぶ踏絵かな 愛 春愁の目覚めに浅き夢つづき 光子 海あをし絵踏の罪をかい抱いて かおり 淋しらに灯るサーカス春浅し 久美子 遊女踏む赤き椿の踏絵かな 喜和 絵を踏んで転ぶ転ぶと吐く木霊 さえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年1月8日 立待花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
抽斗の寒紅をさす夫の留守 世詩明 初詣巫女は緋袴束ね髪 同 巻き癖の直らぬままに初暦 清女 セメントを詰めし背骨に年新た 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年1月16日 芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
寒鮒漁網引く漁師のしたり顔 けんじ 三ケ日校門かたく閉ざされし 孝子 台所を浄めて除夜の鐘遠く 同 小屋はねて暗き野道の雪女郎 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
Text
各地句会報
花鳥誌 令和元年12月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和元年9月1日 柏翠忌法要句会
坊城俊樹選
生涯を有為転変の白絣 雪 柏翠忌隠しやうなき日焼の手 真弓 秋風や師の句が輪舞してをりぬ 千代子 九頭竜に秋潮満ちて柏翠忌 長治 残暑なほ遊廓名残格子窓 みな子 その母も愛子も知らず柏翠忌 利栄 柏翠忌江戸に三国に日並びに 信子 湊街二百十日を眠らざる 良一 まだそこにきのふの雨の蛍草 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月4日 立待花鳥俳句会
坊城俊樹選
洗ひ髪乳の匂ひの甘さもつ 世詩明 忘れ置く砥石の白き稲光 ただし 送南風北山杉の真直ぐに ただし さう云へばもう蟬の声なき庭に 清女 清貧と云ふ負け惜しみ冷奴 秋子 次の世も女でゐたい日傘さし 秋子 生きるとはすさまじきもの蟻の列 秋子 赤とんぼ好きな帽子に止まりけり すみ子 曼珠沙華遺骨無き墓守るよに すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月5日 うづら三日の月句会
坊城俊樹選
浪漫の世にと引き入る天の川 喜代子 焼けた肌かばんの底に秋日傘 さとみ 浮き雲に吸ひ上げられそ秋の蝶 都 野分吹く雄島に古りし社あり 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月5日 花鳥さゞれ会
坊城俊樹選
蟬一つ落ち深閑と天ヶ下 雪 虹の句碑に虹立ち僧と師と我と 雪 明つ智様と慕ふ村人曼珠沙華 千代子 夜々の月明智ヶ妻の句碑照らす 千代子 数珠の手にうすきマニキュア柏翠忌 和子 忌心に赤とんぼうのついて来し 和子 闇の中しのび住みをり鉦叩 雪子 露草やひときは高き忠魂碑 匠 母似とも見し人ゆけり萩の寺 寿子 柏翠と自筆の墓碑に秋の風 天空
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月6日 鳥取花鳥会
岡田順子選
落日を見るやうに手の実玫瑰 都 神鼓鳴る厄日の夕こともなし 栄子 六地蔵へと道つづく露草野菊 悦子 昃れば芒は銀をいぶしけり 和子 散華する蓮まき散らし廟の池 悦子 石仏を囲む露草青尽くす 栄子 俳聖も籠りし宮や竹の春 益恵 レシートを栞に挿みホ句の秋 幹也 ちゝろ虫子の働くを見し夜の 栄子 秋霖に濡れ来し靴で乗る車 立子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月7日 零の会
坊城俊樹選
銀ブローチ失せにし秋の池光る 慶月 湧水の音に眠るか渡り鳥 光子 弁天のかをりの水へ鳥渡る 同 秋暑しフンボルトペンギンぎゆうと鳴く 佑天 遠くへと誘ふやうに秋の蟬 眞理子 澄める池嬲り色なき風となり 三郎 秋蟬の声降りしきるほど静か 秋尚 パレットに黒き絵の具や秋を描く 和子 何処へと白き流れの秋の蝶 三郎 沖のなきスワンボートを漕ぐ秋思 順子 めぐる秋メリーゴーランドの鏡 梓渕
岡田順子選
湧水の音に眠るか渡り鳥 光子 法師蟬よりも切なくギター弾く 俊樹 森は人数多吸ひ込み法師蟬 梓渕 武蔵野の大木に鳴き秋の蟬 はるか 神田上水汲み上げ硯洗ひけり 佑天 竜淵に潜み香焚く弁財天 光子 街騒に神の棚組む在祭 はるか ゆづり葉の下に住みあり秋灯 和子 めぐる秋メリーゴーランドの鏡 梓渕 モネの池めくや秋蝶触るるより 俊樹 手水舎は冷やか小さき弁天堂 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月9日 なかみち句会
栗林圭魚選
穂芒の日を溜め風を振り払ふ 秋尚 鈴虫の声重なりて透き通る 秋尚 鈴虫のリズム途切れず夜も更けて せつこ 多摩川の芒野抜けて母の家 美貴 穂を解きて風の意のまま芒原 怜 お点前の流れ爽やか背筋伸び せつこ 濡れ色に穂芒ほぐれはじむ朝 秋尚 すべり台ちよんと芒の忘れ物 美貴 芒野に遊ぶ夕日も夕風も 三無 暮れてゆく光を集め糸芒 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月10日 萩花鳥句会
突然の訃報に絶句みみずなく 祐子 木道の続く高原花野行く 美恵子 終りあり始まりもあり水澄みて 吉之 除草剤逃れたいのち蚯蚓鳴く 健雄 豪雨禍に里の蚯蚓も鳴きにけり 克弘
………………………………………………………………
令和元年9月14日 枡形句会
栗林圭魚選
忌心の句碑にむらさき油点草 百合子 弔問の往きも帰りも虫の声 美枝子 白き花蒼き翳ある秋思かな ゆう子 心血を俳句に注ぎ秋に逝く 教子 師の訃報想ひ出たたむ秋扇 多美女 露けしや枡形の碑を愛で偲び 文英 とんぼうの雲に亡き人偲びけり ゆう子 陽子師に千草の花を捧ぐ卓 瑞枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月15日 風月句会
坊城俊樹選
森の水小さく激ち釣舟草 圭魚 武蔵野の草の涯から秋の風 三無 木道に触れんばかりの花野かな 斉 その下に古代遺跡を置く花野 炳子 秋蟬の息ゆつくりと鳴き納む 佑天
栗林圭魚選
鬼灯の日を溜めて色膨らみぬ 秋尚 縦横に木橋のめぐる花野かな 芙佐子 纏ひゆく水の輝き秋の蝶 三無 葛の花在り処見せずに沼に散る 秋尚 声高に大らかに鳴く秋の蟬 淸流 澄む水に蝦蛄釣りの貌映し 斉 かばひあふやうにたふれて藤袴 千種 草むらに露草やつと抜け出でて 秋尚
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月16日 伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選
師の墓に触れて来し手に髪洗ふ 雪 露草の露草色と云ふを供華 雪 糸とんぼ水の如くに飛び交へる 雪 鳳仙花音なき風にこぼれけり 英美子 赤のまま句碑まで続く風岬 千代子 かなかなや鳴き出してより厨事 世詩明 子と別る夜長の列車掌を振りぬ 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月18日 福井花鳥句会
坊城俊樹選
高原の風の仕手とし萩芒 越堂 追憶のページ繙く夜長かな 世詩明 月の夜も虫の夜もある二人かな 和子 鶏頭の花の厚みに在る重さ 昭子 長き夜の不思議な夢に覚めてをり 昭子 長き夜を誰かれのこと祈りをり 昭子 千年の松より秋の滴かな 雪子 強面の閻魔蟋蟀死して尚 数幸 寝待には寝待と云へる月明り 雪 九頭竜の淋しさに吹く水鶏笛 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月22日 鯖江花鳥俳句會
坊城俊樹選
九頭竜に男の吹ける水鶏笛 雪 千枚田裾は白波葉月波 昭子 手を引きて一段ごとの今日の月 一涓 道挟む萩に触れゆく躙り口 みす枝 禅寺の百畳灯し秋彼岸 たゞし 山を見て海見て秋の彼岸寺 たゞし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月25日 武生花鳥俳句会
坊城俊樹選
織り成して揺るるすすきのしなやかさ 靖子 秋桜一輪無人駅の棚 英美子 眠られぬ夜長の夜を持て余し 文子 赤とんぼ止まる頭を探しをり 清女 これといふ紆余曲折もなく端居 昭女 日輪に秋の色あり大地染む 三四郎 土の香は母の香であり零余子飯 ミチ子 直角に稲妻走り弾けたる 三四郎 母の忌や躾取らず���秋袷 英美子 人は皆眠れる葦の夜長かな 世詩明 千木に舞ふ神の木の葉や野分雲 ただし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月25日 九州花鳥会(中洲クルーズ句会)
坊城俊樹選
岸壁に水あと残る秋のこゑ 由紀子 秋の灯の海へ無音を還しけり 哲行 唇に塩味ほのか秋の海 愛 ゴスペルの響く秋思の高架下 かおり 秋声の昭和歌謡を博多川 かおり 街騒と芥遠ざけ葉月潮 由紀子
田丸千種選
秋冷の瓦斯燈残るであひ橋 愛 遮断機の降りし音聞く虫の闇 久美子 岸壁に水あと残る秋のこゑ 由紀子 秋ですねちよつと船出をしませんか 孝子 靴音のあとの靴音星月夜 寿美香
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和元年9月26日 九州花鳥会(定例句会)
坊城俊樹選
醤油屋の屋号掠れし十三夜 愛 秋潮や沈黙の碑に翳りなく 洋子 色即是空写経のひと日秋のこゑ 由紀子 十六夜の浜へ寄せたる虚貝 かおり 酔芙蓉一番星にほろと落つ 由紀子 風なくば風を作らむ鷹柱 孝子 爽やかに明眸ときとして訛る 美穂 波ひとつ越え流灯のちりぢりに 佐和 秋灯ひとつ教会堂の錆びし玻璃 洋子 どの星も神話を宿し十六夜へる 阿佐美 十六夜や賢き額を持て生まる 美穂 十六夜の電柱多き小路かな 愛 南は鷹現はるる明るさに 千種 もうそこに血縁は無し彼岸花 伸子 走り根踏み祈りの岩へ虫の秋 順子 ポンポン菓子弾けて二百二十日かな 寿美香 一点の現れ大いなる鷹の空 千種 渡らざる鴉啼き飛ぶ鷹の空 千種 あかとんぼ覗く明るき懺悔室 志津子
田丸千種選
鬼灯のひと畝残り茜空 勝利 勾玉のかたちに棚田稲熟るる 初子 十六夜の月の明るき厨水 阿佐美 ハライソの在りし岩陰秋の声 志津子 木犀や明星低く出でにけり 愛 崩し去る露の小石の十文字 洋子 十六夜や金の波布く世良の岬 豊子 鳥撃ちし木霊に暮るる露の宿 佐和 虫しぐれ寝まりて覚めて明けにけり 和子 湾岸の倉庫は秋気錆ついて かおり 贋作の壺のつやつや烏瓜 伸子 十六夜や月赫々と出水跡 孝子 最果の潮鳴りじやがたら花の咲く 佐和 会心の紺に漬かりて秋茄子 初子 あかとんぼ覗く明るき懺悔室 志津子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
さくら花鳥会 岡田順子選
秋蝶が命日参り案内せり みえこ 秋障子影絵のごとく鳥遊ぶ 文子 願ひ事すれば弾けて鳳仙花 実加 柏翠忌雨降る余呉湖見て帰福 令子 酔芙蓉夢二の猫の尾のながし 令子 秋空に秘湯の煙ゆるゆると 寿子 間を置いて寒蟬法師鳴きにけり あけみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
Text
9月の各地句会報
平成30年9月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
平成30年9月1日 第十九回柏翠忌法要俳句会 坊城俊樹選 特選句
師の忌来る三国に雁の渡る頃 越堂 美しく古りし虹屋の秋扇 雪 柏翠忌矢羽根芒の白ゆらし 世詩明 ピカソの絵背にある喪服柏翠忌 清女 潮騒も雨も淋しと終の蟬 清女 沖を行く豪華客船柏翠忌 ただし 厄日とて静かな忌日迎へたし ただし 涼しき目迎へてくれし師の遺影 錦子 昨夜の雨天地浄めて柏翠忌 錦子 此の路地に画廊虹屋や柏翠忌 昭子 穏やかな二百十日の忌でありぬ 真弓 卯建ある街並み漫ろ柏翠忌 淳子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月1日 零の会(九月一日) 坊城俊樹選 特選句
眼を開けてゐるも厄日の羅漢かな 光子 群れなして秋の悟りへ尊者たち 三郎 藷太る五百羅漢を眠らせて はるか 二百十日釈迦は親指ひよいと上げ 小鳥 風よ来よ芒の遊ぶ相方に 淸流 秋日影忽とオルガン鳴りにけり 炳子 爽やかに朱の篠笛の流れをり 慶月 風高く渡して欅薄紅葉 秋尚 切れ長の眼で見張りをる案山子かな 同
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月5日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
雲流る影が花野の風となる 越堂 石の傷なめたる如く台風裡 世詩明 柏翠忌終へてお肌の手入れなど 清女 朝顔の青の向かうに父がゐる すみ子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月6日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
九頭竜の中洲へ舟で螢狩 柏葉 義兄さんと永遠の忘れや酔芙蓉 由季子 先師知る俳諧人も露の人 都
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月7日 芦原花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
颱風が脱けて農夫の皺深し 孝子 虫の音や昭和の歌のやうに聞く 由紀子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
霊送星を仰げば父母かとも 俊子 打ちつくる雨や濤とも野分来る 都 嘗て田を厄日の雨に流されて 幸子 シャッター街一夜賑はふ盆踊 佐代子 帰省子のつんつるてんの浴衣かな 幹也 爽やかや老の卓球まだつづき 和子 畑見舞ふ白髪乱し野分だつ 栄子 夜の蛇口黒ぶだう剥き指洗ふ 悦子 災ひを祓ひ給へよ秋の雲 史子 戦中の地震も証され震災忌 益恵 幾度も読みし手紙や銀河濃し 立子 嫁がずに親の看取や鳳仙花 すみ子 五郎助の頻りに啼��る厄日かな 美智子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
衰への眼労りつつ夜学 瑞枝 代弁を小声でつなぐ夜学かな 多美女 ことたるも一品加へ新生姜 亜栄子 虫を聞くゆとり嬉しや昨日今日 和代 葉隠れに色づく柿や子規忌なる 三無 はじかみの薄紅刻む厨かな 清子 秋暑し雲湧きいづる河口かな ゆう子 痩身に余震百回白露の日 亜栄子 耳遠き母にちちろの届かざる 百合子 氷より選りて買ひたる初さんま 清子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月10日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
思ひ切り血の繋がりし秋蚊打つ 三無 閉づでなく煽ぐでもなく秋扇 秋尚 秋の蚊を足で追ひつつ立話 怜 聞き役の閉ぢて開く秋扇 秋尚 むらさきの好きは母似よ秋扇 怜 伸び伸びと秋の蚊生きる閻魔堂 あき子 秋の蚊を乗せて行きたるエレベーター 貴薫 秋の灯や笑はざりし日今日もまた 美貴 秋の蚊の影ごと壁に仕留めけり 秋尚 岨奔る千の車窓や秋灯し 聰
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月11日 萩花鳥句会
見降ろして津和野は霧の底の町 牛子 虫時雨残る虫まで虫は虫 小勇 秋風に頰撫でられて今日の句座 祐子 霧が霧招き長者ヶ森隠す 孝士 阿弥陀笠乙女隠して風の盆 美恵子 爽やかにテニスの女王はたち顔 健雄 柏翠師句碑に山萩こぼれけり 克弘
………………………………………………………………
平成30年9月16日 伊藤柏翠記念館 坊城俊樹選 特選句
飛んでゐるだけかも知れず火取虫 雪 独り居に台風恐し右往左往 直子 敬老の日と思ひつつ紅をひく 清女 妹逝き淋しき灯火親しめり 文子 分骨す菊の花束海へ投げ 文子 秋蝶の一途へ雲の透き通る 八重 産土の浄め水も秋澄める 一仁 里芋の露を集めて手を洗ふ 富子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月19日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
虫啼けど空ふかぶかと村眠る 世詩明 仄暗き芭蕉堂より昼の虫 嘉子 ふる里は灯り乏しく虫繁し 昭子 流れ星おしまれて逝く名女優 千代子 名月や地に下ろされし石の鯱 よしのり 青空に雲も置かざる子規忌かな よしのり 俗名の露を置きたるごと一字 雪
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月20日 花鳥さゞれ会
帝立つ足羽山頂鳥渡る 越堂 過去帳に弟を見る秋彼岸 かづを 山門に出迎へる如秋の蝶 希 御百度の人を眼下に鳥渡る 数幸 実石榴や童子の声の高く澄み 天空
………………………………………………………………
平成30年9月22日 鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
月一つ搦め捕つたり鰯雲 越堂 ちちろ鳴くここもかしこも古墳とや 越堂 古墳群とても花野の一起伏 越堂 十九回修す柏翠忌の喪服 雪 つゆけしや北前船の大錨 雪 子規のごと一葉のごと菊に病む 一涓 さながらに真葛原なる捨田かな 一涓 下り鮎九頭竜川を大曲り たゞし きちきちの堤防横切り見失ふ 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月23日 花鳥月例会 坊城俊樹選 特選句
神木に耳あてて聴く秋の声 政江 市に売る読本の反り秋日影 眞理子 金風は神門の千木傾ける 梓渕 好々爺盗人萩にほくそ笑み 順子 城址の血潮となりし曼珠沙華 斉 江戸城の徒士の血ほどの曼珠沙華 順子 天高し青き鳥居のまつすぐに 小鳥 赤まんま犬と子と泣く乳母車 炳子 香らねば偽物のやう金木犀 小鳥 秋の日の一筋白き憲兵碑 佑天 葉の色になり切つてゐるばつたかな 秋尚 市に売る読本の反り秋日影 眞理子 一亭の秋寂ぶの木戸固く閉づ 政江 蜻蛉の日に貫ぬかる羽根の綺羅 三無 秋草を壺に挿し香具師の昼餉時 光子 秋日濃し市の隅なる金ボタン 眞理子 名月やゆるがぬものに大鳥居 公世 大鳥居より脈々と秋の雲 斉 それはそれはきれいに食ぶる秋刀魚かな 公世 紫の光を返し野菊咲く て津子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
平成30年9月26日・27日 九州花鳥会
平成30年9月26日 観月句会 坊城俊樹選 特選句
よそゆきの顔してたたむ秋日傘 かおり 瓦斯燈の届かぬところ虫の恋 寿美香 十六夜の月一盞に溢れをり 寿美香 残照を湖におとして十六夜 かおり 大鯉のぐらりと秋の日を返す 孝子
村山要選 特選句
よそゆきの顔してたたむ秋日傘 かおり 西下せし人と一献良夜かな 美穂 とんぼうに風の階段あるやうな 阿佐美
平成30年9月27日 定例句会 坊城俊樹選 特選句
竹の春日矢百本の匂ひかな 寿美香 小料理景子仄と灯を夕月夜 勝利 さざめきを尽せし浜に秋の雨 桂 中秋の磨きぬかれし窓硝子 阿佐美 つづれさせ景徳鎮に罅すこし 寿美香 人力車歩み緩めて竹の春 光子 鱗雲天に哀しき渚あり 美穂 神主の月の祝詞の湿りがち 千代 きのこ雲見しはこの山竹の春 ちぐさ 晩婚の姉のしあはせ竹の春 睦子 全景を統べ八角鷹の西方へ 要 曼珠沙華風にぎくしやく揺れ残り さえこ 恋すてふ言葉あそびや吾亦紅 郁子 寂光とはこの白曼珠沙華の明り 孝子 昼の虫神鼓一打に消されをり 久美子 潮鳴りをたたむ浦々竹の春 和子 白杖の重さしんじつ露しぐれ 朝子 見たやうな景色の中を赤とんぼ 美穂 この石に座りし人よ草の花 朝子
村山要選 特選句
この先は五島の岬鷹渡る 光子 きのこ雲見しはこの山竹の春 ちぐさ 晩婚の姉のしあはせ竹の春 睦子 つづれさせ景徳鎮に罅すこし 美香 竹の春在所に足りし暮しかな 伸子
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
幕下す福井シネマや星月夜 登美子 明日勝つと誓ふ若者らの夜食 登美子 控へ目に母を横切る秋の蝶 登美子 鰯雲子のやはらかき笑ひ顔 裕子 夜食なり呼ばずと降りる足音は みえこ 新涼や味噌汁増やす朝の膳 あけみ 重陽やお下り物の餅一つ みえこ
(順不同 特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
0 notes
Text
5月の各地句会報
平成30年5月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成30年5月5日
零の会 坊城俊樹選 特選句 大判の水茎掠れざる重五 光子 延々と長き地下道熱帯魚 梓渕 越後屋を貫き天女夏空へ 眞理子 銭青し武士の汗にて錆びき 光子 ヤップ島の石貨は白し風薫る 和子 一貫の銭を持ち上げ子どもの日 はるか ザッハトルテにめり込む銀の匙涼し 小鳥 三越に売つてゐるのかあつぱつぱ 佑天 殷賑は暖簾にとほく片陰り 耿子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月7日
さくら花鳥句会 栗林眞知子選 特選句 茶会終へひとりとなりし春炉の間 寿子 柏餅しみじみ見入る喉仏 登美子 花冷や写経の文字も滲みがち 令子 往き交す蟻を踏むまじ石の段 寿子 草刈るや農業高校一年生 登美子 まつしぐら山車過ぎ喝采は空へ 登美子 星降れる祭の後のふるさとに 実加 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月7日
鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句 海の風捉へ砂丘の松の蕊 俊子 春の夜学生溜りに月赤く 都 ガラス瓶手折りし十二単挿し 幸子 たんぽぽやぽつぽぽつぽと絮飛ばし 佐代子 野遊や空きし小腹に握り飯 幹也 げんげ田に寝ころびゐるは家族らし 和子 子の来る日待つ朝顔の種蒔いて 栄子 裏山に藤どつさりと養蜂家 悦子 街薄暑肩危ふげな服を着て 史子 徒長枝の一本もなし梨の花 益恵 諦めず俳句を続け五月来る 立子 葉桜や演歌聞こゆる公民館 すみ子 若葉雨信号青しことさらに 美智子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月8日
萩花鳥句会 遺句集を読みつゝ春を惜しむかな 牛子 麦秋の豊前街道南下中 美恵子 春潮の瀬戸内潜り逃避行 健雄 満開の牡丹の花の重さかな 圭三 軽暖の木陰にしばし憩ひけり 克弘
平成30年5月10日
三日の月句会 坊城俊樹選 特選句 水音の流れの先や若葉燃ゆ 都 望郷や色濃く捏ぬる草の餅 都 新茶とて袱紗捌きの変りなく 由季子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月12日
枡形句会 栗林圭魚選 特選句 初鰹たたきの縞の香ばしき 文英 結界の竹青々と安居かな 多美女 車前草の踏まるるほどにたくましく 清子 二滴一滴しづく惜みて新茶汲む 美枝子 新茶の香商店街を抜けるまで 白陶 黒潮のどんと届けし初鰹 ゆう子 樹々の影くぐり高みに安居寺 ゆう子 まろやかな甘味の新茶萩の碗 三無 鐘一打遠くのどかに夏霞 美枝子 池の水わづかに震へ安居かな 白陶 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月14日
武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句 春潮や岩隠したり浮かしたり 世詩明 摘み足してみても勿忘草淋し ミチ子 春の泥除けて跳ぶため手をつなぐ 世詩明 落椿女を踏むと言ふ憾み 雪 蛙田の恋の讃歌の夜もすがら 越堂 母の日に猪垣の中の墓を訪ふ 文子 どんな音かと踏んでみる落椿 雪 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月14日
なかみち句会 栗林圭魚選 特選句 快速の通過待つ駅夕薄暑 三無 遺されし芍薬育て猫と生き あき子 けんけんぱけんけんぱの路地薄暑かな 美貴 大輪の芍薬似合ふ門構へ エイ子 松蟬や森がうたつてをるやうな 和魚 闘病の髪整へて薄暑来る 美貴 夕薄暑洋灯灯るカフェテラス あき子 芍薬のまんまる蕾すつと立つ ことこ 夕薄暑老舗茶房のドア重き あき子 松蟬や淋しき峠賑やかし エイ子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月16日
福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句 粽解く遠き昔を��しつつ 和子 馬子唄は浅間になびき風光る 嘉子 薄衣まとひし像や風光る 昭子 二の腕を光らすをみな街薄暑 よしのり 桐の花遠き甍の波の上 よしのり 淋しさを二人静の花として 雪 蚊喰鳥路地には路地の空の色 雪 春深し笹の匂の笹団子 雪 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月16日
伊藤柏翠俳句記念館句会 坊城俊樹選 特選句 能登の鯖火越の鯖火と燃え連ね 越堂 蛇が出て長き九頭竜橋渡る ただし 麦秋の風が背の嬰眠くせり 信子 足音に牡丹崩れてしまひけり みす枝 風乾き色の焦げゆく麦の秋 みす枝 大植田足入れて水汚しけり 世詩明 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月17日
花鳥月例句会 坊城俊樹選 特選句 万緑や無機質として大鳥居 小鳥 巴里遠し褪せし日除けのカフェミエル 炳子 絶叫の形に伸びて蚯蚓死す 斉 忽として消ゆ夏蝶の水陽炎 炳子 群青の追憶あぢさゐの小径 和子 白人の肌透け灯心蜻蛉飛ぶ 千種 完璧な空や泰山木の花 圭魚 硝子踏む破片は万緑の色に 和子 セルを着て一族郎党引き連れて 炳子 鋲一つとて弛ぶなく朱夏の門 眞知子
栗林圭魚選 特選句
鋲一つとて弛ぶなく朱夏の門 眞知子 はつなつの風や天守の無き城に 梓渕 なめくぢりつひに結界越えゆけり ゆう子 少女腹這ひ神池に蜻蛉生る 千種 絶叫の形に伸びて蚯蚓死す 斉 木洩れ日も影も濃き日や鴨足草 眞知子 蜻蛉生る池に青空閉ぢ込めて 秋尚 裏門に耳を澄ませて立葵 斉 新緑の奥の昏きに水の音 淸流 はるか見て樹下に仰ぎて山法師 芙佐子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月20日
風月句会 坊城俊樹選 特選句 細波の右へ左へ代田風 芙佐子 釣糸のきらと空裂く若葉風 野衣 夏蝶の無数無音の森を舞ふ 圭魚 シーサーの薄暑の目玉鼻の穴 千種 しばらくはしほからとんぼの真昼なり 幸子 (順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句 むじな池青鷺昏き影となり ます江 老鴬や丘の起伏に風溢れ 三無 朴の花錆びて一山寂しめり 斉 花びらを上げ雲にとけ山法師 貴薫 緑陰の入口として朱の鳥居 野衣 磴数へ合ひて登る子夏来たる 野衣 桑の実の思ひ出つまむ甘酸つぱ 斉 代掻きや青空に足踏み入れて 三無 万緑や木霊は黒き翼もち 千種 隠沼の空を乱舞や夏の蝶 芙佐子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月21日
鯖江花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句 野良犬も飼へば愛犬星月夜 ただし 山頂は青天に浮き若葉風 一仁 花馬酔木翳す手水の鉢暗き 一仁 月光に濡れて重たき夜の新樹 越堂 万緑や池へ影曳く石の貌 八重 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月30日〜6月1日 九州花鳥会
平成30年5月30日
第一回句会 坊城俊樹選 特選句 涅槃像谷の万緑欲しいまま 勝利 老鶯や年尾の句碑は英彦山へ向き 眞理子 青蛙英彦山の深さを嘆き合ふ 美穂 奥の院蟻初めての人に会ふ 千種 下闇の祈りの径を久女句碑 かおり 山伏の坊そそけ立つジギタリス 千種 山伏の去りたる跡の九輪草 要 滴りの戻る大地や坊の跡 かおり 蛇苺敷いて祀れる仏かな 千種 万緑の泰然として神祀る 孝子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年5月31日
第二回句会 坊城俊樹選 特選句 白蓮の三行半や庭に蛇 千代 奈落より舞台に凝る五月闇 千種 白蓮の恋を偲べば蛇の来し 乱水 地の底に坑道ありて草茂る 千代 京紅に青き五月を入れ化粧ひ 慶月 愛尽くし贅尽くされし夏館 志津子 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年6月1日
第三回句会 坊城俊樹選 特選句 万緑の錆とし煙突が二本 千種 裏窓の光零るる母の日に かおり 薔薇の窓開かれぬまま解かれをり 久美子 寝返りを打つや春月窓にあり 阿佐美 夏草の窓に届きて主なし 勝利 堂堂と干す母の日の割烹着 寿美香 白蓮の吐息の出窓梅雨曇 久美子 霊山の気に色あらば九輪草 千種 母の日やチラシの裏の母の文字 寿美香
平成30年5月
県民会館花鳥句会 夏草となるべき色を急ぎをり 雪 学校も山も映して植田かな 陽子 紫を墨で描きし花菖蒲 世詩明 夏痩せの兆しの友の集ひ来し ただし この堤小判草もて埋めたる 雪 大川に流る月日と卯波かな 和子 猫の春恋の鞘当てすさまじき 越堂
平成30年4月14日
札幌花鳥会 坊城俊樹選 特選句 坂の街より春泥のお客さん のりこ じやんけんで石段あがる春日かな のりこ 囀や指が覚えしドのシャープ のりこ 春の潮滴る網の北寄貝 秀夫 大いなる海を鰊にあけて待つ 岬月 野に寝れば聞く音すべて春の音 佳峰 (順不同 特選句のみ掲載)
平成30年4月4日
立待花鳥俳句会 日野の嶺の襞を深めて残る雪 越堂 巡錫の道元の道土筆生ふ 越堂 特攻に出願せしも花の頃 越堂 さくらには散る日人には去る日あり 世詩明 うららかや猫寺へ僅かな寄進 清女 尻振つて歩む山鳩遍路道 誠
花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句 白山を逆さに映し水温む 天空 影も又散りし牡丹のありにけり かづを 雨の葉桜男とし濡れ染まる 数幸 大甕に日傘雨傘安養寺 龍聲 夏山の倒れかゝるを支ふ寺 龍聲 春愁や髪形いつも耳隠す 雪 渦を解く時牡丹のかく匂ふ 越堂 残りしか残されゐしか鴨一羽 匠 (順不同 特選句のみ掲載)
0 notes
Text
12月の各地句会報
平成29年12月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年12月2日
札幌花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
銀行の相談役や十二月 岬月
ひと時化に秋ひと時化に深まれり 岬月
島捨てる決断の夜の虎落笛 岬月
縁側は仮のアトリエ日向ぼこ 晶子
笑顔なき人の群れ来る師走かな 晶子
お菓子屋に生れし子にもクリスマス 晶子
鈍行に乗り換へ冬の夜の別れ 慧子
極月の車内に封を切る手紙 慧子
冬ざれの木々に荒野の果て思ふ 佳峰
鴉には鴉の会話冬夕焼 寛子
手袋は失ふものと思へども 清
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月2日
零の会
坊城俊樹選 特選句
プレスリーを大きく貼つてクリスマス 炳子
冬晴や一ミリ回る観覧車 佑天
クリスマスツリー板チョコ風のドア 千種
極月の酒肆の提灯川へ吊り 彰子
冬の太陽油膜に見えて川黒く 和子
灰皿は洗はず膝掛は乱れ 千種
ソープランドのロビーに青き雪だるま 佑天
冬帝やピンクのドアに会員制 ラズリ
蔦紅葉頼りなければ川へ垂れ 彰子
裘に傷ありヴァイオリン抱く 久
冬帝の日がスナックの裏に差す 光子
極月や会員制と煤汚れ 千種
冬灯の運河に映るまで待てず 眞知子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月4日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
山茶花の神妙に散る神の庭 俊子
有り余る小春の日差列車待つ 都
寮生や里の荷を解き餅を焼く 幸子
しぐるゝや暗記の古典子に教へ 幹也
庭寂し満天星紅葉廟を守る 和子
谷奥は線刻古墳山眠る 栄子
手にとりて帰る扉となる冬帽子 悦子
明け方の寒さ頭皮に辷り込む 史子
その上に冬の紅葉や亀趺の墓 立子
海を見る我が足元���冬の蠅 すみ子
空落ちぬやうに冬木の力瘤 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月6日
立待花鳥句会
客泊めて驚かしたる鰤起し 世詩明
着膨れて他人の言ふには耳かさず 清女
梟の我を見入るや首傾げ 誠
冬紅葉少し焦げ目の文殊山 誠
名月や名もなく生きて俳ごころ 秋子
あぶく世の赤札多き歳の市 秋子
忌を修す冬日やはらぐ里訛 秋子
年の瀬や相変らずの鍋焦がし 秋子
寒風にカチャカチャカチャとランドセル 信義
平成29年12月6日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
一両の電車ことこと冬銀河 登美子
和紙も筆も写経する身も底冷に 令子
袖無の恐竜柄に花柄も 裕子
冬の蠅夜には命尽きてをり 紀子
店先に主待つ犬冬夕焼 登美子
庭先にどつかと届く土の葱 寿子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月7日
うづら三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
姿見に惚れ合つてゐる木の葉髪 牧羊
開戦日海軍特幹兵卒寿 牧羊
年忘れ星の銀座に迎へられ 牧羊
百歳に三つ足りない年忘 柏葉
婆達が笑ひ転げて年忘 都
おでん食むネオン映せる水たまり 都
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月9日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
息白したしなめながら子と歩して ゆう子
登校児見送る母の息白し 三無
石州の寒鰤ぎゆつと身の締まり 瑞枝
橋の灯の星より遠く息白し ゆう子
落葉掃き左右に溜めて客迎ふ 三無
残業を終へて夜更けの蕪汁 白陶
小流れを跳ねて小鷺の十二月 文英
畝の角みな崩したる霜柱 美枝子
大檸檬師走句会の賑々し 瑞枝
冬田みち小さき影はみち外れ 白陶
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月11日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
根回しに出歩いてゐるちやんちやんこ 昭女
煮凝りの目玉を二つ取り出しぬ ただし
一枚の暦にひそみゐる師走 雪
夫に無き月日を生きて木の葉髪 文子
巫女の髪奉書に束ね年用意 みす枝
野水仙天へ峙つ千枚田 靖子
冬ぬくし神の座れる石一つ ただし
一挙手が一投足が老師走 清女
水仙の崖降りて来る背負籠 昭子
焼藷の指楽しげに熱さうに みす枝
寒鯉も人も沈めば浮かぶとも 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月11日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
番犬の尾と耳硬く冬の月 美貴
電飾の並木の途切れ冬の月 三無
星落ちてゆく島の夜に湯ざめせり 貴薫
後より足音せまる冬の月 あき子
ふとん屋の錆びたる看板冬の月 美貴
稜線の影くつきりと冬の月 せつこ
冬の月出でし港に汽笛の音 貴薫
杜深く出づるや冬の月煌々 聰
湯冷めとは髪の先より始まりぬ 貴薫
仰ぎ見る鉄塔の先冬の月 せつこ
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月12日
萩花鳥句会
枝折戸を押せばたまりし落葉鳴る 小勇
猫の眼の一の字になる日向ぼこ 祐子
抗すべて鵜が占領す冬の川 孝士
遠方の友も戻りて納句座 美恵子
銀杏の後生茶碗の蒸し地獄 健雄
これまでの私を忘れ日向ぼこ 吉之
そのうちに日向ぼこして読書して 陽子
かいつぶり思ひもよらぬ所より 晴子
楽器みなみがきあげられ冬休 圭三
忘年会いつもの顔の揃ひけり 克弘
平成29年12月15日
芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
時雨れるや喪中のハガキ手に重く 由紀子
冬晴れの光遍く田を渡り よみ子
雪雲とわかる早さで迫りくる 由紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
雨静か故山の眠り深めゆく かづを
築城の哀史と語る虎落笛 かづを
冬帝の意のままとなる越路かな かづを
聖夜劇吾子は鈴振り台詞なし みす枝
背負籠の水仙刈女転げさう みす枝
聞き返し頷き合ひて日向ぼこ みす枝
夕時雨読めぬ扁額色失せて やす香
雲一つなくて始まる障子貼り ただし
幾度も引返し鳴る鰤起し 雪
知りつくす村の隅々木の葉髪 世詩明
田の中の蟬丸塚にどかと雪 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月17日
風月句会
坊城俊樹選 特選句
縄文人よりの馳走と鬼胡桃 眞知子
丸窓に白き日のあり日短 炳子
焼藷をほほばる空の青さかな ます江
炉けむりに噎せ茅葺に畏まる 炳子
火の神へ捧げるやうに狩のもの 眞知子
胡桃割る石器のごときものをもて 眞知子
落葉しきり少女と踊る一輪車 久子
遺跡野の焚火や青き煙立て 圭魚
冬帝を背ナに負ひつつ火を起こす 眞知子
焼藷の湯気縄文の野に放ち 圭魚
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
榾の火を整へ森番語部に 亜栄子
焼藷をほほばる空の青さかな ます江
いきり立つ榾の炎を見詰めをり 秋尚
冬薔薇日差重たく彩揺らす 亜栄子
川の字に並べし榾の良く燃えて 淸流
磨かれし明治のガラス隙間風 亜栄子
端正な鼻に皺寄せ榾火吹く 炳子
人の輪が焚火大きくしてゐたる 千種
少しづつ魂ほどく日向ぼこ 秋尚
湧水も涸れ鎮まれる森の中 貴薫
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月20日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
吉凶を占ふ如く狂ひ花 世詩明
大棉の消え村人の一人消ゆ 世詩明
年忘星の銀座に迎へられ 牧羊
三姉妹身の丈印す古暦 嘉子
埋火を炎となせる女かな 令子
饒舌が嚔一つで止みにけり 千代子
憂き事の無きと云ふ嘘年の暮 清女
枝川に黒影映し枯尾花 啓子
柱時計時をつげをり古暦 よしのり
水仙を挿せば野の香と潮の香と よしのり
鰭酒が待つてゐるてふ古き文 雪
綿虫の飛んで木曾塚芭蕉塚 雪
木枯や海の裏声表声 龍聲
冬帝の下に三川海へ出る 龍聲
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月21日
鯖江花鳥俳句会
��へる如く傾きゐるりんご 雪
棍棒にでもなりさうな山の芋 雪
家毀つ音極月の路地奥に 雪
解脱せし聖者の如し一枯木 越堂
海鳴りが山鳴りを呼ぶ寒さかな 越堂
灯台の白より白し野水仙 信子
雪吊の天辺風の絡まりぬ 信子
これよりは冬帝まかせ北国路 みす枝
本堂の刃の如き隙間風 みす枝
雪嶺に谺す音やたたき漁 みす枝
編みあげて被るあてなし冬帽子 紀代美
夜咄す爺在すかに囲炉裏端 一涓
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月21日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
クリスマスその足音に耳澄まし 朝子
聖夜餐ラストダンスの余韻なほ 美穂
聖堂の火影に揺るる冬薔薇 久美子
一人居に足音もなく聖夜来る 由紀子
竜の玉聖なる青き彩こぼす 阿佐美
聖樹とし大都会へと伐り出さる 光子
胎動のよろこび指にクリスマス 朝子
クリスマス記憶にいつも父の留守 久美子
聖夜劇星が跳んだり歌つたり 豊子
炉話の恋に及びて火の爆ぜる 孝子
花柊まなうらにある聖ガラシヤ 美穂
聖堂の屋根聳え立つ冬銀河 朝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月24日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
軍馬像水を請ふやも冬ざれに ゆう子
雨すらも降るものとして聖夜待つ 小鳥
大前に煤逃の人畏みて 要
冬帝や濠の底なる根の眠り 慶月
十字架を残して雲の凍ててをり 眞知子
軍馬軍犬星凍つる夜を立てり 政江
冬帝に押し潰されて池昏し 梓渕
氷魚めきしものきらきらと冬ざるる 炳子
祈る手に葱の香や降誕祭 眞理子
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
祈る手に葱の香や降誕祭 眞理子
巫女の風ささと過ぎゆく冬ざくら 順子
歳晩の影うすくして能舞台 て津子
日輪を雲に滲ませ枯蓮 斉
十字架を残して雲の凍ててをり 眞知子
大絵馬の白木すがしや春支度 和子
まんさくの冬芽まあるく刻を待つ 眞理子
極月のチャペルへ坂の岐れけり 順子
凍雲や重き扉の櫓門 秋尚
曇天へ紅く尖りて冬木の芽 芙佐子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
漣を褥に鴨の陣浮寝 越堂
赫々と九頭竜河口冬に入る 龍聲
亡き子の背記す柱や十三夜 雪
鴨番屋砲列を敷く遠眼鏡 越堂
菊師来るみちのく訛りなつかしき 雪
白山を序章としたる冬初め 龍聲
思ふ様に動けなくても十二月 清女
還らざる十一月の日を呼べり 龍聲
眉墨の深く刷くなり年用意 数幸
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年12月
花鳥さざれ会
坊城俊樹選 特選句
海は荒れ山は眠りに入りけり 越堂
漱石忌眩しからざる御堂の灯 匠
御製二首諳じてをり寒灯下 清女
女には女の老や近松忌 雪
弥陀様に観音様に年惜しむ 千代子
シベリヤの棒を咥へて雁渡る 天空
炎踏む如くに踏める櫨紅葉 雪
星空に投網せしごと大枯木 越堂
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年11月1日
立待花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
漁舟今宵は月の客を乗せ 越堂
振り返るときに穂先の風光る 越堂
天台の古刹の闇を木菟鳴ける 越堂
石榴皆弾け笑へど村貧し 世詩明
山粧ふ野仏飾る袈裟新た 輝一
(順不同 特選句のみ掲載)
0 notes
Text
9月の各地句会報
平成29年9月の特選句
坊城俊樹選
栗林圭魚選 栗林眞知子選 岡田順子選
平成29年9月1日
第十八回福井柏翠忌
坊城俊樹選 特選句
髪洗ふことで女は忌を修す 和子
野菊濃く淡く柏翠忌は巡る 省吾
露草や藍より深き師弟句碑 清美
忌ごころに秋潮いよよ濃くなりし 中山昭子
蟬時雨やゝ衰へて忌を修す よみ子
朝顔や廓格子と思案橋 直子
影法師尋ねて伊藤柏翠忌 省吾
水軍の裔で江戸つ子柏翠忌 龍聲
秋潮の一句に天下知らしめし 五灰子
九頭竜に呉越同舟柏翠忌 末政千代子
三国へと黄金の稲田ひた走る 啓子
葉月潮凪ぎて三国に一つの忌 信子
地蔵盆名残の鐘や柏翠忌 英子
柏翠忌隠れて紅をひくことも 清女
秋蟬の細くとぎれて師の墓前 ただし
諸共に高野の月を仰ぎし日 五灰子
偲ぶべし露の見返り橋辺り 省吾
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月2日
零の会
坊城俊樹選 特選句
墓石研ぐ谷中男の秋思かな 佑天
路地曲がる芸大生の秋思とも 要
夕やけだんだん秋草をあしらひて 順子
抱きつきしヒマラヤ杉と秋の空 ラズリ
徳川の秋の翳引く築地塀 三郎
木の実踏み谷中の路地を徘徊す 眞知子
幕臣の墓は花野となりしかな 要
つゆ草のあをきを研ぐや寺の雨 和子
築地塀より秋晴へ木魚の音 ラズリ
築地塀からりと晴れて涼新た あおい
築地塀あさがほだけが今のもの 千種
雲合ひのつまくれなひの坂の道 伊豫
金風を入るる引窓錻力店 彰子
あぶれ蚊を集めて路地の古井かな 耿子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月6日
さくら花鳥句会
栗林眞知子選 特選句
ネクタイを緩め夜食をとる夫 あけみ
柏翠忌三国の句碑を訪ね行く みえこ
思ひ出を話し出す母柏翠忌 紀子
柏翠忌明日に空の月優し 寿子
月祀る窓辺に机寄せて座す 寿子
柏翠忌句集を読みてはや日暮 あけみ
月の他すべてを捨てて出郷す 登美子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月7日
三日の月句会
坊城俊樹選 特選句
村を出て大九頭竜の星月夜 牧羊
九頭竜の対岸よりの踊唄 牧羊
星一つ亦飛ぶ越の星月夜 牧羊
踊の輪更けて手振りの揃ひたる 都
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月7日
県民会館花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
男にも艶と云ふもの秋の風 和子
虚子が泣き愛子踊りし宿の月 龍聲
蟻の道急げる蟻の声聞かず 雪
尼寺の屋根より出でて今日の月 天空
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月8日
鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
赤のまま懐かしがりて娘ら摘みぬ 俊子
寝そびれて虫の轟に沈むごと 都
人に寄る夏毛のポニー鼻白で 幸子
野の草の葉擦れの音や秋の声 幹也
神苑の流れに佇てば湧く秋思 和子
宮裾は杉より垂るる葛の花 栄子
白萩のあるとき風に獣めく 悦子
酢橘もぐ棘の太さに気をつけて 立子
水難の子の幾年や地蔵盆 すみ子
秋夕焼サイドミラーに遠ざかる 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月9日
札幌花鳥会
密猟の鮭を獣に覗かるる 岬月
手繰り寄す投網に余る鰯雲 岬月
秋草を戦馬の墓に供へけり 岬月
母許のあかきが嬉し赤のまま 岬月
秋の水一樹の影を底に置き 美江
浪の音聴きたくて来て実玫瑰 美江
コスモスの風の中よりランドセル 美江
蝦夷富士は神の棲む山花野抱く 晶子
火の匂ひ残して終はる秋祭 のりこ
ひとり住む父の晩年カンナの緋 みよ子
平成29年9月9日
枡形句会
栗林圭魚選 特選句
ランタンを吊し月待つ宵となり ゆう子
木製のクルスは古りて赤とんぼ 陽 子
団栗を落す卒寿の寺男 亜栄子
みちのくの旅の終はりの鰯雲 瑞 枝
病む人に耳傾けていわし雲 文 英
月白にバスを一便遅くして 百合子
奥入瀬の苔の厚みや露葎 瑞 枝
鰯雲橋梁の人玩具めく ゆう子
吾亦紅赤く小さく慎ましく 三 無
名月や人の暮しをときめかせ 美枝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月11日
武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
秋霖やポケットに持つ舌下薬 清女
新米先生日焼けはばかることなく 昭子
鬼灯を鳴らし一里の通学路 文子
流れ星一人のしじまありにけり 芳子
逆さまに吊し退屈蠅叩き 雪
威風堂堂香水の人通る 昭女
ピンヒール歩み寄りたる花氷 昭女
焼き上る目刺の瞳なかりけり ただし
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月11日
なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
仕事終へ家路背にして夜学かな せつこ
女郎花黄色き風となつてをり 和魚
秋の蚊の中にそろりと水やりに ことこ
日を溜めて風梳る女郎花 秋尚
夜学なる宇宙談議の父子かな 美貴
秋の蚊に指の間を刺されけり 迪子
咲き揃ふ高さ眩しき女郎花 秋尚
校庭の暗きを眺む夜学の子 貴薫
夜学の子準優勝の垂れ幕が 迪子
秋の蚊を影ごと壁に仕留めけり 秋尚
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月12日
萩花鳥句会
ホテル出て一歩にそこは花野なる 牛子
鉦叩途切れ闇また深まりぬ 小勇
すれ違ふ女に覚えのある花野 孝士
風鈴の短冊風に舞つてをり 七重
鬼灯を鳴らして祖母のしたり顔 美恵子
血一滴石油に等し彼岸花 健雄
来年は三人家族虫の声 吉之
迷ひこむ下着売場の花野かな 圭三
句歴はや二十年余となる九月 克弘
平成29年9月15日
芦原花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
東町西町流し風の盆 よみ子
草の闇続くばかりや虫浄土 由紀子
木洩れ日や仏足石に秋の蝶 よみ子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月16日
伊藤柏翠俳句記念館
坊城俊樹選 特選句
秋霖や通ひなれても遠き道 清女
山の風川の風吹く風の盆 ただし
ほの暗き料亭は露の忌中なる ただし
村を出て消息今だ蚯蚓鳴く 英美子
萩枝垂れ寺に古りたる曼陀羅図 文子
歌碑偲ぶ人の秋又里の秋 スヱ子
旧村に四ヶ寺在りて施餓鬼幡 一仁
蟬の声消えてうつろな風ばかり みす枝
冷やかや銀の眼鏡に銀鎖 世詩明
花笠を脱げは男や風の盆 世詩明
水澄みて空に流るる雲迅し 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月17日
風月句会
坊城俊樹選 特選句
秋霖や瀑布の音を堰の生み 圭魚
秋霖の嵩堰を消し底を消し 圭魚
神の窟へと銀杏を踏み惑ふ 芙佐子
渓谷の秋思凝れる橋の下 野衣
宝前の銀杏生まれたての色 圭魚
明王へ水引草の炎抜け 千種
細き滝石を叩いて秋の声 ます江
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
細き滝石を叩いて秋の声 ます江
秋祭囃し途絶えて電車過ぐ 亜栄子
堰は龍の咆哮となる秋出水 俊樹
稚児像へ竜胆鶏頭野紺菊 慶月
秋雨に濡れ輝きて苔の青 三無
うかうかと素手で拾ひし銀杏の実 亜栄子
残る蚊の雨を逃るる石祠 炳子
龍の口よりとぼとぼと秋出水 俊樹
銀杏を燈明色に照らす雨 千種
秋出水ゴルフ橋てふ行き止まり 炳子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月20日
福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
無人駅一人の下車に小鳥来る 牧羊
八十はまだひよつこと爽やかに 清女
かそけさはかの邯鄲の声ならめ よしのり
敬老日父母それぞれの父母に似し 世詩明
露けしや四つの蔵に四つの戸 雪
とは云へど隅には置けぬ生身魂 雪
平凡な海女の生活や秋刀魚焼く 龍聲
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月21日
鯖江花鳥俳句会長月抄
坊城俊樹選 特選句
蟻に現れ蟻に失せたる蟻の道 雪
潮風の千の稲田を刈り終る ただし
一古城火攻めの如く曼珠沙華 越堂
真白きに始まる一ト日酔芙蓉 越堂
蝶を呼び蝶吐き出すや萩の叢 みす枝
三代を支へし梲豊の秋 一涓
万葉の里の三叉路萩の花 信子
曼珠沙華火の手と迫る古戦場 信子
天の下より雲の上の星涼し 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月24日
花鳥月例会
坊城俊樹選 特選句
まないたばし露の屋台の括られて 要
榧の実の青く落つ一通の遺書 斉
御簾幾重幾重に遠き秋灯 光子
神さまの裏が賑やか金木犀 光子
大鳥居より変幻の秋の雲 斉
元勲の像ぶつぶつと秋の声 梓渕
秋蟬の途切れてはなほ惜しみなく 要
(順不同 特選句のみ掲載)
栗林圭魚選 特選句
松羽目の翳れば桜紅葉散る 和子
描かれし松露に褪せ能舞台 ゆう子
秋茜朝の湿りの残る芝 政江
水澄みて欲しき物など失せにけり 七湖
幔幕に紙燭に白む秋の水 千種
大鳥居微かに秋の雲移る 要
二拍手の袖の爽やか神楽人 みもざ
銀杏を踏まぬ歩幅であるらしく 要
一尺の落差にも音秋の水 淸流
御簾幾重幾重に遠き秋灯 光子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月26日
みどりや花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
恋ふ人に逢ひに行くため髪洗ふ 世詩明
老犬の目つむりて暑に耐へてをり 秋子
子ら囃す鉦や太鼓の地蔵盆 ただし
湯上りにあたりごめんの天瓜粉 秋子
秋簾黒く古りたる西の窓 清女
さまよへる小さき蛙の地蔵盆 ただし
金輪際と言ふ言葉あり敗戦忌 越堂
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月28日
九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
葛かづら金剛力に巻く高さ ふじの
赤子抱くネオンの街に青時雨 勝利
犬吼えてをりし月夜の青瓢 由紀子
瓢簞に来て流線の風となる 豊子
墓洗ふ君青春を生きずして 郁子
つくつくし或る日は遠くなほとほく 佐和
箍青きお汐井桶や放生会 阿佐美
面白きこの世瓢の腰まはり 朝子
青空にひとつまなこの鳥威 孝子
(順不同 特選句のみ掲載)
平成29年9月
花鳥さざれ会
坊城俊樹選 特選句
寝そびれて虫の浄土に浸りをり 越堂
句碑裏と云ふ淋しさに昼の虫 雪
露の世に露もとどめぬ虹屋跡 雪
黄の蝶の舞ひて花なき萩の寺 和子
風に舞ひ風に乱れて萩と蝶 越堂
観世音足下にありて虫を聞く 秋野風
(順不同 特選句のみ掲載)
0 notes