#目指せハーポ
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2021/6/19
朝、間歇的に強まったり弱まったりする雨音を耳にしながらお昼近くまで微睡む。あまりにもしぶとくて、もはや常態化しつつある左目の奥の凝りがほんの少しだけ和らいでいる。いくつかの本を乱読する。
午後、支度をして外に出る。雨が少し降っている、傘はささない。柵に無数の円らな雨粒がぶら下がっている。やや冷たい空気が半袖から剥き出しの肌に触れる、歩きはじめると、からだからも熱を帯びてきて、冷たさと熱さとがたがいに触れ合うようになる。顔の表面が小雨の数々を受ける。公園に入って愕然とする。見慣れているはずの光景がまったくの別世界として瞳に殺到してくる。樹々のひとつびとつを目にとめながら、雨にぬれ湿って木肌の発色がいつもと大きくちがうのが原因かもしれないと思う。いや、全然それだけではなくて、それら樹々の強度な形質を明らかにはじめて目にしている。遥かな時の流れのなかで独自の踊りを展開する樹々たちが惑星の自転するように半回転しながら過ぎてゆく、無数に落下してくる小雨の雨粒が葉々の数々を小刻みに震わせている。かばんの中で鈴の音がカランコロンと転がっている。広場の真ん中の公園を象徴する大樹木ですら初見のものとして瞳に差し迫ってくる、幾重にも伸びひろがる触手のような枝の数々が思い思いに微かな雨風に四肢を揺れ動かしていて、その後方に白と灰色の複雑に入り混じってどこまでも流動的な紋様をいままさに描いていている曇天の空模様が広がっている。
墓場道を経由して、住宅街の細長い一本道に出る。ずっと先の車道と交わる辻で信号がオレンジから赤へ瞬間的に変わる。辻を行き交う自動車に人通り、それから自転車が辻のさなかですれ違う。一本道のなかごろを豆粒のようなスズメが跳ねている。いつのまにかスズメのところまで来ていたらしく、すこし大きくなったスズメが傍らをちゅんちゅんしている、もう一羽いる、水たまりに雨粒の織りなす波紋が幾重にも拡がり、その水たまりの歪んだ表面に反射して映っている赤信号のぼやけた光が瞬間的に青に変わる。青信号に目にを移す、青信号の発する光は雨に濡れる白い家の壁にも線を伸ばしている。
ルナさんのバジ・ボルタ。今日はシュキボルタではなく、珍しくニンニクのボルタ、それからインゲンのバジ、ほうれん草のバジ。ルナさん、ニンニクのボルタだけを指差して、ニンニクのボルタと一言添えてくれる。まえにFさんから、ニンニクのボルタはニンニクのひとつびとつをぜんぶ素手で潰して作るから、すんごい大変でルナさんもあまり作りたがらないと聞いたことがある。今日は作ってくれたんだぁ。一周まわってこころのほうは最強というか最凶な感じになってきたけれど、からだのほうはまだ疲れを引きずっているような感じがあるから、とってもありがたく思う。ルナさんありがとう。食べながら、からだの内側から大地のパワーをメラメラ感じる。食べ終わってラッシーを飲んでいると、厨房から唐突に馬鹿でかい機械音が響いて、ビクッとなる。音は一瞬で鳴り止んで、厨房のほうを見てみると、日本語ぜんぜん喋れないほうの店員さんが驚かせてごめんねって感じのちょっと悪い笑みでこっちを見ている。満面の笑みでどうぞ、どうぞ続けてくださいってジェスチャーを返す、店員さんにニコッとしてミキサーを回しはじめる。ごちそうさまでした。
清原、清原、清原……と清原の名前を呪文のように唱えながら、街の発散する克明な強度のひとつびとつに視線を差し向ける。どこまでも青々とした草木がいっせいに風に踊り震える清い原っぱのことを想像する。矢継ぎ早に瞳に飛び込んでくる克明な強度の数々を捉えながら、それはいまここのことだなぁと感じる。清原の呟きがたまにトム・クルーズになったり、ハーポ・マルクスになったりする。
鬱蒼と繁り過ぎるあまりにひと一人が通るのも困難な暗渠通りの緑の横溢を肩でばさばさ揺らしながら、葉っぱに付着した雨の滴の跳ね返りを浴びながら、帰路のついでにお寺に寄ることにする。線香の匂いを感じてからお堂の裏手の杜にまわる。ここでも年輪を増やしながら踊り震える樹々の強度が瞬間ごとに瞳を震わせる。とくに菩提樹の幹の複数の根のひとつに寄り集まって、そこから枝々の数々が無方向的に伸びひろがって、無数の葉々の一枚一枚が無作為的に垂れ下がり、微かな雨風に踊り震えているのに立ち止まらずにはいられない。そのイマージュに感化されたに違いない遥かむかしの先人のことを思い浮かべる。まえにNとお参りをした目の神様の祠にも立ち寄る。五円玉を賽銭箱に投げ入れ、こんなにも素晴らしい世界の強度が見えています、ありがとうございます、あわよ��ば左目の凝りを和らげてくださいとお願いをする。
お寺を後にして、自動車の瞬間ごとに過ぎてゆく大通りを歩いていると、唐突におばあちゃんに声をかけられる。「陸橋前」のバス停を探しているという。孫から送られてきたというラインを見せられ、その案内の文句にすぐあそこのことだってなる。行く先が同じだからいっしょに行きましょうと案内することになる。おばあちゃんはありがとうねぇ、とか、優しいひとだねぇ、とか、孫とちょうど同じ年頃よ、とか、このあいだワクチンの一度目を摂取してきたのよ、とか、色んなことをべらべら話す。大通りの自動車の行き交いで声が聞き取りにくくて屈みながら話しを聞く。ちょうど背丈がKさんと同じくらいで、Kさんと散歩したときもこうして身を屈めたなぁと思い出す。歩みの速度のこと(早過ぎたらどうしよう)を考えながらゆっくり歩くんだけれど、おばあちゃんの歩みはけっこう闊達で、話しを屈み聞きながら逆に追いかけるような感じになる。信号待ち、横断歩道をひとつ渡って「陸橋前」のバス停にたどり着く。手を小さく振って立ち去ろうとすると、おばあちゃん、ありがとうね、何かジュースでも買ってあげるって。いやいやいや、そんな、ほんとうに通り道で行く先が同じだっただけですよって、胸の前で両手を振って遠慮の姿勢の咄嗟にしているじぶんがいる、それと同時に素直におばあちゃんの気持ちに応じてもよかったんじゃないかと思うじぶんもいる。そんな相克する想いの狭間にいるうちにも、おばあちゃんに腕をガシッと力強く掴まれて自動販売機のまえに強制連行されている。どれがいいと優しく言うから、爽健美茶のペットボトルを指し示す。お財布の小銭入れをガサゴソして130えんを手渡される。10えん多いですって10えんを小銭入れにもどす。小銭を入れてボタンを押す。ガッシャーンっとペットボトルが落ちてくる。手にしたペットボトルの表面に微かな水滴が付着している。おばあちゃん、振り返り、振り返りしながらバス停のほうにもどる、振り返るそのたびに小さく手を振る、もう行きな、行きなって感じの手の振り返しを感じながら、お辞儀をする代わりに爽健美茶をグッと仰向けに飲んでその場を立ち去る。子どもの頃、よくお父さんに海に連れていってもらったことをその味から思い出す。お父さんはいつも釣りに行くとき爽健美茶を買っていた。ハト麦、玄米、月見草、、爽健美茶。ドクダミ、ハブ茶、プーアール、、爽健美茶。
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【Happy Harpist!】 先週火曜日は昨年のオーケストラとのお仕事でご一緒したハープ奏者の操美穂子さんのハープを見に遊びに行きました。ま、ハープ弾く気満載でしたが……したら、ちゃんと基礎知識から教えて頂きました。弾き方や弦の仕組みなど全くわかりませんでしたから目からウロコをま���りでした。ハープが色々知れて良かったです。ハープ奏者のよくある宣材写真ポーズをしてみたり。図々しくも2曲も弾きました。ここに記します。素敵なプレゼントでした!ありがとう操ちゃん! #marikoiwasa #harpdebut !!?? #harp #ハープ #ハーピスト なかなか体験出来ないと思う。 まさかの#ハープ演奏 #harpbeginner #目指せハーポ #harpomarx #firststeptobeharpo #ハーポへの道 #マルクス兄弟ハーポ #岩佐麻里子 #clown #physicalcomedian #physicalcomedy #practice #firsttimeever #experience #ハープの色々を知る #howtoplayharp #ハープ奏者のありがちなポーズ #harpplayer (?) #headshot #宣材写真風 #きらきら星 #amazinggrace #twinkletwinklelittlestar #操美穂子
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3月〜5月の映画
3月〜5月の映活(映画活動)は店舗のコロナ自粛で仕入れがあまりできず、結果としてコスミック出版の10枚組ソフトを掘り下げる好機になった。特に印象に残ったもののみを挙げてゆく。なかにはフィルマークスで一人目の観たチェックを踏んだ映画なんかもあり、一桁、二桁なんかはザラで、でも、だからといって、つまらないわけではなく、全部とっても面白かったからこそ紹介しておきたい。コスミック出版は宝の山ですぞ。
※○は素晴らしかった映画。☆はとくに素晴らしかった映画。cマークはコスミック出版の10枚組ソフト。
☆cサム・ウッド『マルクス兄弟 オペラの夜』マルクス兄弟は主役ではなく、あくまでも脇役に徹していて、いわば日本列島を縦断する台風(その名はキューピット)のように男女を結びつけてしまう。チコ・マルクスの一本指ピアノに、ハーポ・マルクスのハープ演奏、ほんとうに愛おしい。とくに狭い船室に��十人ものひとが収まってしまうショットが大好き。笑って、笑って、愛おしい。
○cジョ��ジ・マーシャル『砂塵』今回の大手柄のひとつにジョージ・マーシャルという映画監督の発見がある。同じJの付く同時代の監督としてジョン・フォードやジャック・ターナーにも迫るものがある。本作は銃を持たない保安官(ジェームズ・スチュアート)が主役のコメディチックな西部劇で、でも、主役が銃を持たないんじゃあ、誰が暴れたらいいんだってわけで、町の女たちが酒場で殴り合い、掴み合い、髪の毛の引っ張り合い、メチャクチャに乱闘しまくります。
○cウィリアム・A・サイター『西部を駆ける恋』ウィリアム・A・サイターの発見も大手柄ですね。アステアと組んでミュージカルなんかも撮っています。なんだかよくわからないけど、都会のお嬢さんが観光バスに乗って西部を目指します。そこでロデオをみていたらジョン・ウェインが膝の上に降ってくる。はい、もちろんそれがきっかけで恋に落ちます。
☆モンテ・ヘルマン『コックファイター』闘鶏おじさんが闘鶏に勝つまでいっさい口をきかないという凄まじい映画。まずはとにかくパッケージの裏面をみてほしい。
☆増村保造『青空娘』青空のように明るく生きるわ! すべて映画というものを根底で支えているある種の健気さがこの映画の画面には澄み渡るまでに冴え切っている。
○小津安二郎『一人息子』まだ観ていない小津の映画があるというだけで人生には明らかに生きる意味がある。
○cジャック・ベッケル『赤い手のグッピー』異様なまでの肉感、手触り感、なんかめちゃくちゃ変な映画、気持ち悪い映画、でも、頗るおもしろい。画面も素晴らしいです。
○cジョージ・マーシャル『殴り込み一家』もうタイトルだけで面白そうな西部劇。やっぱりちょっとコメディチック。ダルトン一家の一味になんとなく加わってしまった脇役の近所の太った友達がスットコドッコイな活躍を繰り返す。あと、一家のおばあちゃんもいい味出してます。ジョージ・マーシャル、やっぱり気合い入っています!
☆cジョン・フォード『駅馬車』脂肪のかたまりを読んだから再観。たぶん、もう10回以上はみてるんじゃないか? 何回みても最高過ぎる!
○フォン・ハクオン『狼の墓場』ある意味今回でいちばん衝撃を受けた香港ノワール。北野武が映画の練習のためにお忍びで香港に渡って撮ったとしか思えない。
○プレストン・スタージェス『サリヴァンの旅』この映画をきっかけにジュエル・マクリーという素晴らしき喜劇俳優を発見。見ためは普通なんだけど本物の喜劇俳優。そんな彼が扮するのは悲劇を撮りたい映画監督、そんな彼が......。なんだけど、一本の映画に『紅の豚』と『天空の城ラピュタ』をみてしまうという至福。宮崎駿はこの映画が大好きだったんだなあ。
○cマックス・オフュルス『輪舞』メリーゴーランドに乗っていくつもの恋路を見守る謎のおじさんが影の主役であって、常に脇役。いかにもフランス人らしいペシミズムのなかに、でもマックス・オフュルスは毎度のこと気合いが入っている!
○ウディ・アレン『人生万歳! 』ウッディは嫌いじゃないんだけど、いっつも無常観みたいな諦念に落ち着いてしまいがちなのが気に入らなくて、でも今回はそんな無常観がいい方向に振れている。バカバカしくて最高でした。
○cジョージ・スティーブンス『愛の弾丸』バーバラ・スタンウィックという素晴らしきアクション女優を発見。ライフルや拳銃は彼女にこそ持たせておけ! 元祖はキャサリン・ヘップバーン〜ジンジャー・ロジャース、最近ではキャメロン・ディアス〜スカーレット・ヨハンソンの系譜に名を連ねるであろう動ける女優。ジョージ・スティーブンスも信用に足る映画監督として発見、さいごの族長のアクションは本当に素晴らしくて泣いた。
○ジョージ・スティーブンス『偽装の女』十年ぶりに再会した恋人にキャサリン・ヘップバーンが大激怒! 私の顔を忘れるなんて許せない! 30歳はまだまだオバサンじゃないわ! というわけで彼女の姪に扮して恋人を翻弄しちゃいます。キャサリン・ヘップバーンらしい気合いの入った一本。ジョージ・スティーブンス、やっぱり信用に足ります。
○cルネ・クレール『自由を我等に』とっても仲のよい凸凹囚人のふたりが脱獄を図る。ひとりは逃げ切って、しかも商売で成功して億万長者に、ひとりは捕まってしまい刑期を続ける。はい、もちろんそんなふたりが再開して凸凹コンビの再結成! ルネ・クレールはおフランス人らしからぬスットコドッコイぶりを本作でも発揮、しかも、画面はあたかもドイツ表現主義のような技巧を凝らした陰翳に収まっている。完璧!
○清水宏『按摩と女』盲目の按摩さんと、東京からやってきた謎の女性が山間の温泉宿で出会います。目はみえないけれど、山間の温泉宿を渡り歩くので足腰はめちゃくちゃ強い按摩さんたち。目のみえないということが、かえってアクションを生み、なんならチャンバラまでやってのけてしまう。いかにも清水宏らしい気合いとユーモアのある一本。
○キン・フー『大酔俠』元祖女性剣士とのこと。めちゃくちゃ強い女性の短剣使いが大暴れ。かと思ったら、変な酔いどれおじさんと大勢の子供たちが出てきてミュージカルみたいになる。で、しかも、その歌に秘密が隠されていて、なんか最後はビームみたいのの打ち合いになる。最高!
○スティーブン・スピルバーグ『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』インディ・ジョーンズ史上、いちばんの見所の多さなんじゃないでしょうか。名アクションのオンパレード。特にジュニアのノーチケットと、ダディの傘で海鳥を飛ばすショットがお気に入り。
☆ルネ・クレール『奥様は魔女』最高! 最高! 最高すぎる! こんな最高な映画をみられるなんて、生きていて本当によかった! 昔々、魔女狩りで火あぶりになった魔女とそのパパが何百年の時を経て現代に復活、もちろん火あぶってくれた一族の子孫に復讐しにいくことに。とはいっても差し当たって肉体がないからビール瓶とワインボトルのなかに入る。こ、これは小津なのか!? さて、どんな復讐がよいか、どんな苦しみを子孫に与えてやろうか、そうだ! この世でいちばんの苦痛、それは愛する女に愛されないことだ! というわけで魔女さんは惚れ薬を作りまーす。なんだけど、間違えて自分が惚れ薬を飲んじゃいまーす。そんなすれちがって恋路の交錯がにわかに真実の演出をつくりだしてゆく!
○cロバート・Z・レオナード『ダンシング・レディ』駆け出しのアステアが端役ででてくるミュージカル。ミュージカルには、はしたないミュージカルと、はしたなくないミュージカルがあると思っていて、たとえば大好きなマーク・サンドリッチのミュージカルははしたなくない。で、本作は冒頭のショットをみて、はしたないほうのミュージカルだなあと思っていたら、幕に向かって、はしたなさをはしたないまま肯定して解放するような具合に仕上がっていて素晴らしいと思った。
○cジョン・フォード『若き日のリンカン』ジョン・フォード得意ジャンルのひとつである法廷映画。川のショットがとにかく素晴らしい。綱引きのショットもめちゃくちゃ素晴らしい。
○cアラン・ドワン『私刑される女』まがまがしいタイトルの西部劇だけれど、酒場の女主人と酒場の人気歌手が、殴り合い、椅子の投げ合い、髪の引っ張り合い、挙句の果てには拳銃での勝負する楽しい映画です。しかも、なんだかんだ女同士の友情?が芽生えちゃったりね。
☆cジャン・ルノワール『素晴らしき放浪者』たぶん、5回目くらい。最高のひと言に尽きる。大好きです!
○cジャン・ピエール・メルヴィル『海の沈黙』占領下のフランスにフランス文化好きのドイツ兵が来るというお話。接収したフランス人宅の二階に泊まることになるのだけど、家のひとはひたすら沈黙を守る。それでも、彼は、向こうがいっさい口をきいてくれなくて無視され続けても、毎夜のようにフランス愛を独白する。徐々に家のひとたちも心動かされはじめ......。
○ルネ・クレール『幽霊西へ行く』魔女のお次は幽霊です。幽霊屋敷が屋敷ごとフランスからアメリカにお引っ越しするというスットコドッコイなお話。でも、アメリカに行くっていうのがいいですよね。ルネ・クレールはおフランス人であ��ながらハリウッド映画的な映画に憧れていたひとだと思うので。
○cジョージ・スティーブンス『有頂天時代』フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのミュージカル。もうこれだけで文句なしの最高に決まっている! ��回はいつものダンス・ラブコメディにギャンブルが加わる。自分が指揮する楽隊を賭けるなんて大バカ者の猛者までが出てきて楽しく仕上がっております。
○スティーブン・スピルバーグ『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』シリーズ第一弾のヒロインだったカレン・アレンが、ハリソン・フォードとともに老けて(ハリウッドお得意の老けメイクではなしに!)再登場! 歳をとっても相変わらずのスットコドッコイぶりに胸が踊りました。
○cフランク・ロイド『新天地』ジョエル・マクリー主演。90分の映画ながら、西部開拓時代を網羅する壮大な尺をもった映画でもあり、ここではまさに老けメイクが深い感動を呼び起こします。
○cウィリアム・A・ウェルマン『英勇を支えた女』百歳越えのお婆ちゃんが街の生みの親を語る。さすがに老けメイクではない。ジョエル・マクリーとバーバラ・スタンウィックが主演という素晴らしき配役。『新天地』が西部に線路を引く物語ならこちらは線路を待つ物語。マクリーがバーバラのまえで四つん這いになって歩いているショットが忘れられない!
○cエイブラハム・ポランスキー『悪の力』賭博場の利益をめぐって、ギャングと弱小胴元が小競り合いをする面白い映画なんだけど、たったひとつのショットにすべてを持っていかれます。さあ、みんなも女のひとを高い所に上げよう!
○cロイ・ローランド『ムーンライター』バーバラ・スタンウィックがヒロイン役で出てくるということは、そりゃあ、もちろん馬にまたがり拳銃をぶっ放します。牛泥棒の罪で捕まった主役が私刑に合うんですけど、私刑の群衆はまちがえて別人を殺しちゃう。だけど、まあ、世間的には自分が殺されたということになっていて、自分の葬式に自分で出て最高の挨拶をかますというね。
○cジョージ・スティーブンス『陽気なルームメイト』ジョエル・マクリーとキャサリン・ヘップバーンが共演という素晴らしき配役。キャサリン・ヘップバーンがアパルトマンの半分を変なおじさんに貸し、変なおじさんがその半分をさらにジョエル・マクリーに又貸しするという陽気な展開に。キャサリン・ヘップバーンは相変わらず気合いが入っているし、ジョエル・マクリーは天然で面白いことをしてしまうし、変なおじさんもめちゃくちゃいい味を出している。
☆cアンリ=ジョルジュ・クルーゾー『情婦マノン』占領下のフランスでドイツ兵に媚びを売ったとか何とかで坊主にされそうになるマノンを助けた男は.....。とにかく観てくれとしか言いようがない。最期は灼熱の砂漠でジ・エンド。ずいぶんと遠いところまで来た.....。
○cジャック・ターナー『過去を逃れて』ジャック・ターナーは、ルノワールやフォードといっしょに語られなければならないし、小津の代わりに中川信夫をそこに組み入れるのはどうか。ただ画面が美しいというだけでなく、風景と風景とをモンタージュで繋ぐ、語りにはとくに意味のないどこかへ漂い出てゆく宙吊りのショットを共通項として。
○cウィリアム・A・サイター『アレゲニーの反乱』ミュージカルやラブコメディを得意とするっぽいサイターは西部劇もバッチリ撮っている。しかもジョン・ウェインが顔を黒と白に塗ってインディアンの変装をする。
☆cエドワード・バゼル『マルクスの二挺拳銃』今回もマルクス兄弟はあくまでも脇役。でも、マルクス兄弟は脇役の時こそ最高の活躍をする! 映画としては1935年の『周遊する蒸気船』と1939年の『駅馬車』(ともにジョン・フォード)をパロディにしている。まずもうこれだけで最高。さらにマルクス兄弟のパフォーマンスが光る、もうこれだけで至福。さらにさらに主役の恋人同士の演出が......。二人ともお互いのことを憎んでるわ、とか、永遠に憎むことを誓いますとか言っている。百万両の壺を思い出さずにはいられません!
○ストローブ=ユイレ『アンナ・マクダレーナ・バッハの日記』神に召された。
☆宮崎駿『ルパン三世 カリオストロの城』何度みても泣いてしまう。とくに最後の銭形んとこの警官が楽しそうに手を振るところがたまらないんだ。
☆ニコラス・レイ『大砂塵』緑と赤の使い方が小津のカラー期を彷彿とさせる。冒頭はコメディチックで笑いながらみていたら、段々と壮絶なことになってくる。いや、マジでヤバイ。うんこ漏れそうになる。最後には絶句。観ているこちら側の眉間にも拳銃が突き付けられている。これをみて絶句しているようじゃあ、我々は平等を愛し夢みている者なんかじゃない。我々はただの都合のよい差別主義者だ。この映画だけが真に平等足り得ている。
○マックG『チャーリーズ・エンジェル』冒頭のキャメロン・ディアスの起床即尻ふりからずっとバカ笑いだった。ショット=活劇(物語として機能)するのがスピルバーグなら、ショット=技(物語性とはあんまり関係ないが「」付きの固有名詞として機能)としている本作はいかにもタランティーノ的だと思う。
☆cウィリアム・A・サイター『ロバータ』アステア&ロジャースが主演のミュージカル。主役をもうひと組のカップルと分け合うことにより、アステアとロジャースはもうひと組の恋愛の歯車を回す立場になる。それがとてもよい。二人はマルクス兄弟のように画面に映えもするけれど、アクションで映画を動かすことをよく心得ている。とくにロジャース! 今回の彼女の登場の仕方はほんとうに素晴らしかった! まず画面に現れるのではなく、画面の外でめちゃくちゃブチキレている声が聞こえてくるという! で、ブチキレながら画面に出てきてからも素晴らしかった、そして、あの椅子への倒れ方! サイターの演出もひかっていて、子守唄からのおばあさんの死への流れは鮮やかとしか言いようがない! 最後にアステア&ロジャースのタップダンスは至福としか言いようがない!
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