#小野沢蛍
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2023年ベストエロゲソング投票 結果
2024/1/20~2/3に旧Twitter (X) で開催されました2023年ベストエロゲソングの結果を発表いたします。投票者数は71名・有効票数373票、得票のあった曲数は80曲でした。ご参加くださいました皆様ありがとうございます。
・順位 票数 加点込み得点 曲名 / 歌手名 / 作品名
1位 39票 81点 雪は何色 / Kotoha / ましろ色シンフォニー SANA EDITION 2位 23票 41点 刻ト詩 / Luna / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む- 3位 23票 33点 非実空想アムネジア / 橋本みゆき / ハピメア REGRET END 4位 21票 28点 ヘタクソな恋 / 小日向千虎 / コイバナ恋愛 5位 16票 30点 Phalaenopsis-reaction / 月乃 / FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~ 6位 13票 20点 春を連れて / Kotoha / ましろ色シンフォニー SANA EDITION 7位 12票 17点 真夏の輝き / 夢乃ゆき / 彼方の人魚姫 8位 11票 18点 Mon Panache! / Luna / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む- 9位 11票 17点 Loving on stage!!! / 逢瀬アキラ / けもの道☆ガーリッシュスクエア2 10位 10票 14点 夢物語 / 木須実怜花 / ハッピーライヴ ショウアップ アンコール!!
11位 10票 12点 イッツトリックタイム! / 夜白魔メア / 放課後シンデレラ2 ミニファンディスク 12位 9票 13点 無限大BRAND NEW START!! / 鈴湯∞山本美禰子 / ハッピーライヴ ショウアップ アンコール!! 13位 8票 12点 天才少女の恋愛定理 / 月乃 / FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~ 14位 8票 11点 あまいろ*TeaParty / uniy / あまいろショコラータ3 14位 8票 11点 にゃんだふるdays / solfa feat.夢乃ゆき / 猫忍えくすはーとSPIN! 16位 8票 10点 花よ散り逝け 人も散るなり / 山崎もえ / クリミナルボーダー 3rd offence 17位 7票 11点 孤独の海 / 霜月はるか / カルタグラ ~ツキ狂イノ病~ <REBIRTH FHD SIZE EDITION> 17位 7票 11点 Secret Sequel / 塩出美彩希 / 白恋サクラ*グラムLF 19位 7票 10点 恋におちる / solfa feat.夢乃ゆき / ギャル×オタ ~織川きららはお世話したい~ 19位 7票 10点 Memoria / Duca / アマカノ2+
21位 6票 10点 カーテンコール / ポカポカ / ハッピーライヴ ショウアップ アンコール!! 22位 6票 8点 隠恋情 / 浅葉リオ / クリミナルボーダー 2nd offence 23位 5票 5点 ハッピートゥルーエンド / ネッタイヤ / dROSEra ~レディ・バッドエンドの初恋~ 24位 4票 11点 S4cRED†SORROW / NEQRE / RE:D Cherish! -Eternity Blood- 25位 4票 6点 days / 奥井雅美 / それは舞い散る桜のように-Re:BIRTH- 26位 4票 4点 LOVE Gotcha! / AiRI / 恋にはあまえが必要です 26位 4票 4点 夢幻凪 / ひうらまさこ / 戦巫<センナギ> ―穢れた契りと神ころも― 28位 3票 6点 Last Love / solfa feat.Rita / 性感エステ 灯 ―AKARI― マキ(28) 29位 3票 5点 Sparkle / Duca / 乙女の剣と秘めごとコンチェルト 29位 3票 5点 櫻ト向日葵 / 狩野七夏 / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
31位 3票 4点 twyndyllyngs ~不具合のアリス~ / 廣杣桔梗(中家志穂)、廣杣深紅(中家菜穂) / Geminism ~げみにずむ~ 32位 3票 3点 “S”pecial Love / solfa feat.夢乃ゆき+小春めう / 夕凪荘のS級の彼女たち2 32位 3票 3点 DIVE / Riryka / 天使☆騒々 RE-BOOT! 32位 3票 3点 シンフォニック・ラブ / 橋本みゆき / ましろ色シンフォニー -Love is pure white- Remake for FHD 32位 3票 3点 X-ray / リュシイ・ステラ・エカルラート(明羽杏子) / 俺の瞳で丸裸! 不可知な未来と視透かす運命 32位 3票 3点 beloved ~桜の彼方へ~ / 奥井雅美 / それは舞い散る桜のように-Re:BIRTH- 37位 2票 6点 超弦理論のシックザイル / 遥 / アキゾラのメモリーズ ─運命の地平線─ 38位 2票 5点 終わりなきDuet / 久野藍 / 白恋サクラ*グラムLF 39位 2票 4点 ナツツバキ / Duca / アマカノ2+ 40位 2票 3点 Happy ever after / Duca / アマカノ2+ 40位 2票 3点 ヒトには恋が必要です / 塩出美彩希 / 恋にはあまえが必要です
42位 2票 2点 不確かで確かなもの / 紫咲ほたる / 彼方の人魚姫 42位 2票 2点 FUN FUN RE-BOOT / QUARTET☆RE-BOOT! / 天使☆騒々 RE-BOOT! 42位 2票 2点 虚無の先で愛を見つける / はな / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む- 42位 2票 2点 放課後キミに / #エロティック大島 / WANNABE→CREATORS 42位 2票 2点 Eternity Blue / Kicco / 遥か碧の花嫁に 42位 2票 2点 ちゅくもがみ♡センセーション / KyoKa / 巨乳オナホ妖怪と田舎ライフもHも満喫生活 48位 1票 3点 Memory Blue / solfa feat.nao / Memory Blue 49位 1票 2点 櫻ノ詩 -2023Mix- / はな / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む- 49位 1票 2点 好き。大好き。 / 椿沢科乃(沢野ぽぷら) / 夏空あすてりずむ 49位 1票 2点 wish / 百里風実花(明羽杏子) / 天使☆騒々 RE-BOOT! 49位 1票 2点 夏の日の告白 / 大島はるな / アマカノ2 + 49位 1票 2点 きゅるんきゅるんってPrecious Love / MOSAIC.WAV / あねつまみ2 ~エッチなお姉さん人妻にたっぷり甘えるめちゃシコLoveLife~ 49位 1票 2点 Administrator's Peek / 薛南 / 管理人の覗き見
以下55位 1票 1点
以心伝心ジャーニー / 霜月はるか / 天使☆騒々 RE-BOOT! L.M.D! / 夏和小 / こあくまちゃんの誘惑っ! HERO / 白河美栗(春野美波) / 恋し彩る正義爛漫 笑顔のプリズム / 彩音 / 天瀬島は色恋ざかり 恋心協奏曲 / 片霧烈火 / 乙女の剣と秘めごとコンチェルト 幸せの魔法 / 月城花梨 / 天使☆騒々 RE-BOOT! 戀愛禁行 / 柔依、Mugi / 與經紀人戀愛是絕對禁止2 blindness / ange / 侵蝕 遠い記憶 燻る欲望 / solfa feat.Rita / Memory Blue Going on / 佐藤アスカ / AMBITIOUS MISSION アフターエピソード1 白無垢鉄火 / 信楽こころ / 淫獄の放課後 Pr∞F of LOV / 冬乃桜 / RE:D Cherish! -Eternity Blood- きゅんきゅんしちゃってABC / MOSAIC.WAV / あねつまみ ~魅惑の幼なじみお姉さん人妻��のめちゃエロ同棲LoveLife~ Sister in the HOUSE / 餅月ひまり / 幸乃下蛍の恋青日和 -お義姉ちゃんとの秘密同棲- リトルプリンセスGO! / 遥そら / リトルプリンセスGO! 等身大lover / 冬乃桜 / コイバナ恋愛 Hello, SkyHigh / RYUNKA / 1/1彼氏彼女 MINI FAN DISC やっと会えたね / 今野千聡 / 忍野路加は癒やしてあげたい sketch / 真理絵 / せをはやみ。 白月の灯火 / 片霧烈火 / 真・恋姫†英雄譚外伝 白月の灯火 無垢の烙印 / 新海雅代 / アメリ・ブランシェットは何度も堕ちる CHANGE 2 LOVER! / 冬乃桜 / 恋とHしかしていない! アイトキ*Cherishing / KyoKa / あまいろショコラータ3 Lyra / 波野夏花 / モラトリアム ~ブルーアワー幸せの時間~ eternal touch you / solfa feat.紫咲ほたる / ははむす外伝 ~水晶の女王フィーナ~ 幾望-既望-希望 / viewtorino / サクラノ刻 -櫻の森の下を歩む-
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Dove into GIG-2023
昨日時間が無くてコピペしただけで終わってたので裏ブログ的な追記を最後に少し。
1/8(SUN) ザアザア 雑音ツアー@浜松窓枠
1/9(MON) ザアザア 雑音ツアー@名古屋 Spade Box
1/11(WED) ザアザア 雑音ツアー@ UMEDA CLUB QUATTRO 春芽BD
1/14(SAT) ザアザア 雑音ツアー@長野CLUB JUNK BOX
1/15(SUN) ザアザア 雑音ツアー@HEAVEN'S ROCK さいたま新都心V-3
1/21(SAT) ザアザア 雑音ツアー@水戸LIGHT HOUSE
1/22(SUN) ザアザア 雑音ツアー@仙台CLUB JUNK BOX
1/28(SAT) ザアザア 雑音ツアー@柏PALOOZA
2/5(SUN) ザアザア 雑音ツアーFINAL@日本橋三井ホール
2/11(SAT) DuelJewel presents「Duel of the live」@新宿BLAZE
3/5(SUN) 見世物小屋は終わらない @池袋EDGE
3/12(SUN) ザアザア主催イベント「みずたま」×零[Hz]@池袋EDGE
3/19(SUN)『MECHA USAGI GENERATION vol.03』@渋谷REX
3/26(SUN) 亞んバースデー声出し解禁ワンマンライブ アノンド〜おまえらの声を聞かせてくれ〜@下北沢シャングリラ
3/28(TUE) マガツノート1周年記念主催イベント 『大祝戦』 @豊洲PIT
4/9(SUN) ザアザア主催イベント「みずたま」/Dueljewel@池袋EDGE
4/16(SUN) ザアザア主催イベント「みずたま」/鐘ト銃���@池袋EDGE
4/30(SUN) ザアザア主催イベント『みずたま』/Houts/Rides In ReVellion@大阪MUSE
5/7(SUN) ザアザア ワンマンライブ 捕食@池袋EDGE
5/14(SUN) ザアザア主催イベント はじめまして、ザアザアです。@渋谷REX
5/27(SAT) NIGAI主催3MAN『三覚障害」@渋谷チェルシーホテル
6/3(SAT) ザアザア主催イベント はじめまして、ザアザアです。×そこに鳴る@高田馬場CLUB PHASE
6/4(SUN) ザアザア主催イベント はじめまして、ザアザアです。×CIVILIAN@高田馬場CLUB PHASE
6/8(THU) ザアザア 零夜BD主催イベント 零夜集会@Veats Shibuya
6/24(SAT) Event Tour 2023 こてんぱん @高松DiME
6/25(SUN) Event Tour 2023 こてんぱん@神戸ハーバースタジオ
7/2(SUN) ザアザア主催イベント「みずたま」/heidi.@渋谷近未来会館
7/8(SAT) Event Tour 2023 こてんぱん@仙台 CLUB JUNK BOX
7/22(SUN) Event Tour 2023 こてんぱん@柏PALOOZA
8/4(FRI) Ashmaze. ONEMAN TOUR 2023 「UNITY」FINAL@恵比寿LIQUIDROOM
8/11(FRI) 漆黒Fes.ダウト夏の風物詩的長編祭典「夏ノ魔物’23」@埼玉会館小ホール
9/13(WED) ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR DARKNESS BLOOD RAIN@HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
9/17(SUN) ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR DARKNESS BLOOD RAIN 〜納涼編〜@上野公園野外ステージ
9/23(SAT) ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR DARKNESS BLOOD RAIN @名古屋ell FITS ALL
9/24(SUN) ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR DARKNESS BLOOD RAIN @大阪MUSE
9/28(THU) ザアザア × VIRGE 2MAN TOUR DARKNESS BLOOD RAIN @新宿BLAZE
9/30(SAT) VIRGE ONE MAN LIVE『空に落ちる蛍』@赤羽 ReNY alpha
10/8(SUN) ANOND ROCK FESTIVAL 2023@長野CLUB JUNK BOX
10/22(SUN) 「ドロー」インストアイベント@新宿マルイ メン 屋上
10/31(TUE) ザアザア ハロウィンワンマンライブ 「アナタの私」@青山RizM
11/4(SAT) ザアザア主催フェスツアー 遣らずの雨音楽祭〜2023〜@新宿BLAZE
11/19(SUN) ザアザア主催イベント「みずたま」 /えんそく@青山RizM
11/23(THU)UCHUSENTAI:NOIZ 20th Anniversary FINAL TOUR 2023 ☆GALAXY CROWN☆ →RE:BOOT↑@江坂MUSE
12/3(SUN) ザアザア9周年ワンマンライブ「毒」@横浜1000CLUB
12/8(FRI) UCHUSENTAI:NOIZ 20th Anniversary FINAL TOUR 2023☆GALAXY CROWNS☆→RE:BOOT↑ SUPER FINAL@川崎CLUB CITTA'
12/29(FRI) Event Live 火炎瓶@川崎CLUB CITTA'
ザアザアに通って2年、通算80本を越えました。こんなに通ったバンドは他にいませんのでwやっぱり何か、バンドとしての魅力を越えた「好き」という気持ちが作用してると思います。
バンドからしたらバンドだけの魅力で着いてくるファンが多い方が良いだろうから、微妙ですけどもね。
ここ数年私の人生こんなに何も問題が無くていいのか��思うような幸せな日々を過ごしていて
ライブが無くても楽しく生きられる自信はある��ど、ザアザアが好きだから通っているという
本当にそれだけなので、他のライブにほぼ行かなくなってしまいました。
もはや洗脳が解けているので客観的な素人目線で語るならば、演奏スキルや楽曲クオリティーでは対バン相手の方が高いことの方が多いと思いますが、不満を感じているわけではないって感じです。
KAMIJOさんを追ってたぐらいなので高い演奏力のバンドや複雑な構成の曲が、本来は好きなんですけど メタラーだし(笑)
バンドに対する好きってそれだけで続くものではないんだよね。
総体的にヴィジュアル系というジャンルが好きだけど、ただの音楽好きでもあるので
技術を観るのであれば他ジャンルの有名どころが見てみたいと思ったりしてます。
今年も私に行かれなくなる理由が生まれない限りほぼザアザアだけを追うつもりでいますので
今しばらく、お付き合いくださいませ。
本年もどうぞ、宜しくお願い致します。
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各地句会報
花鳥誌 令和5年10月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年7月1日 零の会 坊城俊樹選 特選句
あぢさいや錆ゆくときもずぶ濡れて 光子 雨に白く汚されてゐる木下闇 緋路 サイレンも街騒もまだ梅雨の底 久 鉄骨が叩く鉄骨濃紫陽花 緋路 見覚えのビルはもう無くサルビアに いづみ 夏草のつぶやくやうな雨であり 和子 鉄条網梅雨の蝶さへ寄せつけず 同 支へ切れぬ天へ石柱梅雨深し 昌文 飛石をぬらと光らせ五月雨 久 その人は梅雨に沈みながら来る 順子 五月闇不穏な波の来るといふ はるか
岡田順子選 特選句
列車音遠ざかるとき浜万年青 はるか 庭石は梅雨のものとて黄泉のもの 俊樹 サイレンも街騒もまだ梅雨の底 久 鉄骨が叩く鉄骨濃紫陽花 緋路 雨の日の桔のうしろすがたかな 美紀 萱草のそびらに恩賜なりし闇 光子 潮入りのみづは昔や通し鴨 いづみ 支へ切れぬ天へ石柱梅雨深し 昌文 瞬ける雨粒蜘蛛の囲の銀河 緋路 雨に白く汚されてゐる木下闇 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月1日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
鹿の子啼く隠れの島に入日濃く 修二 たはむれの莨にむせし桜桃忌 久美子 寂しさを下から崩すかき氷 朝子 茉莉花の別れ際こそ濃く匂ふ 美穂 不如帰久女の夢と虚子の夢 修二 首の無きマネキン五体暑き日に 愛 蟬生る瓦礫の闇の深きより かおり ひまはりの花と育ちて銃を手に 朝子 バレエ団の窓へブーゲンビリア満つ 愛 蔓薔薇をアーチに育て隠居せる 光子 うつし世のものみな歪み金魚玉 かおり バス停のバスまで覆ふ夏木かな 勝利 梅雨空にジャングルジムがひつそりと 修二 襖絵の孔雀の吐息寺炎暑 勝利 君嫁して香を失へり花蜜柑 たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月6日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
らつぱ隊香り奏でる百合の花 さとみ 風鈴が相づちを打つ独り言 都 香水に縁の無き身や琥珀色 同 身ほとりの置き所無き土用の入り 同 滴りの奥にまします石仏 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
黒塀や蔵してをりし八重葎 宇太郎 ふりかへる砂丘の海の線は夏 同 葛切や玻璃にスプンの当る音 同 夏草の中の林道下りけり 同 ソーダ水斜めに建ちし喫茶店 同 向ひ風麦藁帽を光背に 同 白服を吊りたる明日の再会に 悦子 浜昼顔一船置きし沖を恋ふ 同 白南風旅の鞄をコロコロと 美智子 足跡や巡礼のごと砂灼けて 栄子 紫陽花やうた詠むくらし悔もなく すみ子 玫瑰の咲くや砂丘の果の路 益恵 躊躇なく風紋踏んで白い靴 都
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
早苗饗や手足を伸ばす露天の湯 幸風 はらからや薄れゆく過去心太 百合子 一品を後からたのむ心太 秋尚 青楓雄々しく抱ける年尾句碑 三無 天草の歯ごたへ確と心太 文英 朝顔に護符つけ市の始まりぬ 幸子 朝顔のつぼみ数へて市を待つ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月10日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
西日射す鏡に海女の手櫛かな 昭子 兜山古墳を包む大夕焼 ただし 良き事の有りや無しやの今朝の蜘蛛 信子 信州に梅雨のかけらの雨が降る 三四郎 石も又涼しきものの一つかな 昭子 香水や周囲の心独り占め みす枝 梅雨寒や口を預けて歯科の椅子 信子 うなだれて少年の行く片かげり 昭子 僧逝きて久しき寺の夏椿 英美子 猛暑日や万物すべて眩しめり みす枝 天近き牧牛の背や雲の峰 時江 コップ酒あふる屋台の日焼顔 英美子 サングラス外し母乳を呑ませをり みす枝 かぶと虫好きな力士の名をつけて 昭子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月10日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
芋焼酎醸す香りの満つる街 三無 団扇さし出かける孫の下駄の音 ことこ それぞれが里の焼酎持ち寄りて あき子 老媼の団扇頷きつつ動く 和魚 児に送る団扇の風のやはらかく ます江 店先で配る団扇の風かすか ことこ 泡盛の味覚えたりこの良き日 同 団扇手に風のざわめき聞く夕べ 廸子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
沖縄の鳳梨乾いた喉癒す 裕子 青空や収穫の日の夏野菜 光子 夕暮れは車窓全開青田風 紀子 貝釦一つ無くした夏の暮 登美子 まだ聴けるカセットテープ夏深し 同 雲の峰送電線は遥かなり 令子 夕焼に路面電車が揺れてゐる 裕子 鐘を撞く寺は山上雲の峰 令子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月11日 萩花鳥会
透き通る海は自慢よ海開き 祐子 救助士の臀筋たくまし海開き 健雄 夏草や一対すべて青の海 俊文 生ビール久方ぶりや子とディナー ゆかり 引く波に砂山崩る海開き 恒雄 天の川点滅飛機の渡りゆく 美惠子
………………………………………………………………
令和5年7月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
羅を纏ひしものの身の一つ 世詩明 天国も地獄も自在孟蘭盆会 同 風の盆男踊りの笠深く 幹子 盆の供華華やいでゐる村の墓地 同 ギヤマンの風鈴揺れる蔵の街 嘉和 古団扇思ひ出の新しき 雪 縁側に男冥利の裸かな みす枝 ナツメロを口ずさみつつ草を引く 富子 蓮開く様自力とも他力とも やす香 神主の大きな墓を洗ひけり ただし 在りし日のままに夏帽吊し置く 英美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月16日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
田舎家の土間のだんまり朝曇 要 炎帝の遣はす鴉黒く群れ 千種 会釈する日傘に顔をなほ深く 同 夫恋ひの歌碑を見てより秋近し 炳子 飴色に枯れ空蟬の垂れ下がる 久子 古民家の故郷の匂ひ壁に黴 経彦 三猿の酔ふ草いきれ庚申塔 眞理子 古民家の茅屋根匂ふ炎天下 三無
栗林圭魚選 特選句
蓮花の水面の余白空の青 亜栄子 カラフルな浮輪乗り合ふ市民バス 久 じやぶじやぶと揃ひのティーシャツ水遊び 三無 咲き足せる泰山木の真白かな 秋尚 森少し膨らませをり蟬しぐれ 慶月 水音に誘はれつつ灼くる道 眞理子 惜しげなく涼しさ放つ水車小屋 要 ひとときの静謐滝に対峙して 久子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月19日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
マッカーサーパイプ咥へてアロハシャツ 千加江 遠雷や織部の茶碗非対称 泰俊 二業地に一の糸鳴る夜涼かな 同 悠久の光り湛へて滴れり 同 青田風満目にして夕仕度 清女 脱ぎ様のまことしやかに蛇の衣 雪 退屈をもて余しゐる古団扇 同 洗ひ髪訪ふ人も無く待つ人も 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月21日 さきたま花鳥句会
沢蟹の渡る瀬石に日の名残り 月惑 空蟬や辞書に挟まる紙兜 八草 家眠る厨にひとりバナナ剥く 裕章 山の水集め男滝の帯となる 紀花 どら猫にまさる濁声夏の風邪 孝江 炎天に心字の池面雲動く ふゆ子 打水や土の匂ひの風生まる 康子 行くほどに街路華やぐ百日紅 恵美子 睡蓮の葉を震はせて鯉の道 みのり 八の字を書きて茅の輪を潜りけり 彩香 誘蛾灯今は無人の故郷駅 静子 枇杷熟るる眷属訃報また一人 良江
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令和5年7月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
半夏生何処が嫌ひと云はれても 雪 蛇にまで嫌はれさうな蛇苺 同 何処をどう突いてみても蟇 同 お隣りは今はの際と虎が雨 一涓 師の友は文教場址合歓の花 同 守宮まづ招き入れくれ舎入門 同 忘れじの人今も尚蛍の夜 同 入道雲天下制する勢あり みす枝 藍浴衣片方だけにピアスして 昭子 サングラス外して妻は母となる 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年7月23日 月例会 坊城俊樹選 特選句
空蟬や地中の記憶あるらしく 要 靖国の坂みんみんの急くに急く 昌文 炎天に零戦仰角三十度 佑天 鳥居へとまぬがれがたき炎天を はるか その日近付き靖国の灼けてをり 慶月 みんみんの高鳴く魂の声として はるか
岡田順子選 特選句
熱き骨ぽきぽきたたみ日からかさ 眞理子 真白な祢宜の出て来し木下闇 政江 笛の音の遠くに生まれ夏の��� 光子 零戦を撮る少年の夏休み 慶月 下乗せし老女紅濃く夏詣 同 英霊に七日の魂の蟬時雨 政江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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oc list
bold = i write ab them most frequently
italics = not my oc
LUNAR
masami hanasaki 鼻先雅美
kaede sugiyama 杉山楓
homare minamoto (leader) 源誉
erina tenshouin 天祥院えりな
AMAVI
beverleigh rosalia faulkner (leader) べヴァレイ・フォークナー
aika suzuki 鈴木愛花
elysium
daisuke seishiro (leader) 誠士郎大輔
kensho ono 小野賢章
yuki moritsuki 森月雪
NXX
kichiro fujiwara 藤原吉路
daisuke seishiro 誠士郎大輔
yuki moritsuki 森月雪
jiro tachibana 立花次郎
beverleigh rosalia faulkner べヴァレイ・フォークナー
rêveuse
LYOИ
mayari miyazono / akira seishiro 誠士郎秋来
kaguya ono 小野かぐや
HOR/ZON
kei nezumi (leader) 鼠蛍
ana watanabe 渡辺アナ
kira mirai 未来キラ
luna kagiura 鍵裏るな
KanoMeiYo
KANON / nao watanabe 渡辺ナオ
MEIKYUU めいきゅう / miko kobayashi 小林ミコ
CHIYO 千世 / senna miyazawa 宮沢船内
STAFF
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おはようございます 1月22日(日) #西多賀眼科医院 日曜日と祝日は休診となります #カレーライス の日 1982年のこの日、全国学校栄養士協議会で1月22日の給食のメニューをカレーにすることに決められ、全国の小中学校で一斉にカレー給食が出された。 1947年 誕生日 #星野仙一 (野球(投手・監督)) [2018年1月4日歿] 【医師国家試験】 来月4日から医師国家試験が行われます。 一緒に眼科のお勉強をいたしましょう! 医学生の皆さん、頑張ってください。 2021-D19 58 歳の男性。か月前からの右眼の視力低下を主訴に来院した。視力は右0.1(0.3 ×ー1.0D、左 0.7(1.2 ×ー 1.0D)。眼圧は右12mmHg、左 11mmHg。前眼部、中間透光体に異常を認めない。カラー眼底写真別冊No. 2A、蛍光眼底 写真別冊No.2B、黄斑部の光干渉断層計(OCT)像別冊No.2Cを別に示す。 この患者に対してまず行うべき治療はどれか。 a 強膜内陥術 b 硝子体手術 c 光線力学的療法 d 抗VEGF硝子体内注射 e ���腎皮質ステロイド内服 ↓ ↓ ↓ ↓ 【正解】d 抗VEGF硝子体内注射 【診断】網膜静脈分枝閉塞症 【解説】光を受け取る網膜の表層は網膜中心動脈により養われ、動脈と静脈はいくつもの所で交差しています。 高血圧などで動脈硬化がすすむと動脈が静脈を圧迫し、静脈が破綻して出血します。これが網膜静脈分枝閉塞症です。 高血圧が最大のリスクファクターで、この病気を機に未治療の高血圧が見つかることも多いです。 網膜周辺部に起こる場合には無症状の時もありますが、中心部に近いところではかなり視力が下がります。 また出血するだけなら良いのですが、破綻した血管から様々な成分が漏出して、嚢胞性黄斑浮腫、漿液性網膜剥離を引き起こします。 さらに血が通わない部分が出てくると(無冠流領域)、虚血の状態となり新生血管や増殖膜がはってきます。新生血管から出血し硝子体出血となり、増殖膜が網膜を引っ張り牽引性網膜剥離となり、糖尿病網膜症と同じことが起こってくるのです。 治療としては無冠流領域をレーザーで焼きます。最近レーザーは不要であるとの報告もありますが、やはり重症例では新生血管や増殖膜によって治療が困難になりますので、自分はレーザーは必要と考えています。 また黄斑浮腫に対しては、ステロイドのテノン嚢下注射や抗VEGF抗体の硝子体注射を行います。 ステロイドは安価ではありますが、白内障と緑内障の合併症を引き起こす場合があります。 現在の第一選択はVEGFを阻害する抗体薬(生物学的製剤、分子標的薬)を硝子体内に注射をします。 点眼薬では網膜には届かずに、内服薬では目に届く量が微量であるため、眼球内への注射が必要です。 血管透過が低下し、効く人はすぐに劇的に効果があります。 ただ良いことばかりではありません。 永遠と薬が効き続けることは無いので毎月注射が必要です。落ち着けば数ヶ月に一度に延長することもできます。 また薬価もとても高く、それが毎月となると払えない人も出てきてしまいます。 収入によりますが、あとで医療費が返ってくる高額医療費制度という国の救済制度があります。 諸外国と違って、日本は本当にすばらしいなとつくづく思います。 長文をお読みくださり、ありがとうございます。 一緒に眼科のお勉強をいたしましょう。 #医師国家試験 #医学生 #医学部 西多賀眼科医院ホームページも、どうぞよろしくお願いいたします↓ https://nishitaga-ganka-clinic.com/ #眼科 #仙台 #宮城 #白内障 #結膜炎 #緑内障 #ドライアイ #眼鏡 #メガネ #コンタクトレンズ #眼瞼下垂 #太白区 #鈎取 #西多賀 #長町 #八木山 #富沢 #名取 #秋保 #秋保温泉 #日帰り手術 #長町モール #誕生日 #今日は何の日 (西多賀眼科医院) https://www.instagram.com/p/Cnsif4Mycb6/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#西多賀眼科医院#カレーライス#星野仙一#医師国家試験#医学生#医学部#眼科#仙台#宮城#白内障#結膜炎#緑内障#ドライアイ#眼鏡#メガネ#コンタクトレンズ#眼瞼下垂#太白区#鈎取#西多賀#長町#八木山#富沢#名取#秋保#秋保温泉#日帰り手術#長町モール#誕生日#今日は何の日
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📕合同誌
しましまグラデーション
-ジェンダーとセクシャリティについての、個人的なおしゃべり-
◆松村早希子責任編集
男女のボーダー=しましまに見えてる性別も、よーく目を凝らして見ると実はグラデーションなんじゃない?
私たちが今感じる「ジェンダーとセクシャリティ」をテーマに、友だちとおしゃべりするよう��綴った合同誌。
私がこれまでの人生で出会ってきた、その生き方と作品を敬愛する方々、このテーマについて自由に書いてほしいと思う皆さまにご参加いただき完成しました。
B5判 / 46P / 全カラー
価格 ¥1500 (税込:¥1650)
◆参加
青柳麻美 (HORA AUDIO)
Are you me あゆみ (限界シングルマザー)
出雲にっき (ひだりききクラブ)
池田智 (ライター)
小田富美子 (コラージュアーティスト)
上岡磨奈 (社会学研究者)
黒井ひとみ (ストリッパー)
シマダマユミ (TRASH-UP!!代表)
すずめ園 (ひだりききクラブ)
わかすぎ雨魚 (画家)
(敬称略、五十音順)
◆デザイン
圓羽山圓 (蛍光資料)
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【販売】
📕通販
・松村早希子のショップ
📚お取扱い店舗さま
・新代田 エトセトラブックス BOOKSHOP
・下北沢 古書ビビビ
・東陽町 古本と肴マーブル
・中野 タコシェ
・新宿 IRREGULAR RHYTHM ASYLUM
🌟随時募集中!
#しまグラ #しましまグラデーション #ZINE #ジェンダーとセクシャリティ #松村早希子の絵 #artbook #art #illustration #girlsdrawing #drawing
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あなたはどのIAで育ちましたか? 10周年を迎えるバーチャルアーティスト“IA”と、音声合成ソフト“IA”。 全てのボカロファンへ贈るベストヒットアルバム発売決定。
22年1月、活動10周年を迎えるバーチャルアーティスト“IA”初となるベストアルバム「IA SUPER BEST」が発売決定。
ニコニコ動画などの動画投稿サイトを中心に様々な作家によりたくさんの楽曲が発表され、多くのソーシャルメディアユーザー達が熱狂した所謂「ボカロ文化」最盛期と言われた2012年、VOCALOIDによる音声合成ソフト“IA -ARIA ON THE PLANETES-”が産声を上げた。
それから10年、ニコニコ動画だけではなく、YouTubeや様々なソーシャルメディア上で投稿された“IA”の歌声が使用された楽曲数は10万曲を超える勢いで、ネットミュージックシーンの発展に一翼を担ってきた。
また、IAは音声合成ソフトとは別に、一人の音楽アーティストとして存在し、その活動でも大きな存在感を示してきた。“魂を持つバーチャルアーティスト”として、これまでにシングル9作、アルバム8作をリリース。IAの楽曲��供者にはSUGIZO(LUNA SEA / X Japan)、大沢伸一(MONDO GROSSO)、KOHH、TeddyLoid、MINMIなどメジャーシーンの著名アーティストも名を連ね、幅広いアーティストとの共演や先進的な挑戦を続け、大きな注目を浴びた。
なかでも2015年、バーチャルとリアル(人間)の共演をテーマにしたワンマンライブ「PARTY A GO-GO」は世界を驚かせた。生身のダンサーやゲストアーティストと共演、最新テクノロジーとの融合によるパフォーマンスが世界中で高く評価され、ロスアンジェルス、ニューヨーク、ロンドン、上海、香港、メキシコ、コスタリカ、メルボルン、モントリオール、チリ、マドリードと世界12都市を巡るワールドツアーを行い、延べ30,000人を超える動員数を記録するなど、バーチャルライブの先駆けとなった。
続いて2018年には、バーチャルアーティストとしては世界初の五感で体感するミュージカルライブショー「ARIA」を発表。「生命・愛・平和」をテーマに、フランスで開催されたユネスコ創造都市ネットワークの文化交流イベントのメインショーとして公開された。
そんな様々なシーンと歴史を彩ってきた“IA”の初となるベストアルバムの収録曲には動画サイト総再生数で約2億再生、関連動画になると約10億再生を記録する代表曲が目白押しとなる。
本作の特徴としては、“IA”のアーティスト活動により産まれた「Conqueror」「セツナドライブ」「ワールドコーリング」などの“IA”公式楽曲が収録される「THE ARTIST」盤と、 “Orangestar”の「アスノヨゾラ哨戒班」、“kemu”の「六兆年と一夜物語」、“じん”の「ロスタイムメモリー」など人気ボカロP達の名曲が収録される「THE CREATORS」盤の2つのヒストリー盤を同時リリース、それぞれ24曲という大ボリュームのベスト盤となる。
更にその2枚がセットとなり、“IA”の未発表ライブ映像が楽しめるダウンロードカードや豪華特典が封入された「IA SUPER BEST[初回盤]」が数量限定で発売される。
まさに全てのボカロファンに感謝を贈る記念作品となり、またアーティスト“IA”としての軌跡と未来が垣間見える作品となっている。
[IAこれまでの主な活動実績] ・日本国内最大級レース「SUPER GT」イメージガール(2013、2014年) ・アニメ「メカクシティアクターズ」挿入歌(2014年) ・世界12都市ワールドツアー「PARTY A GO-GO」実施(2015~2018年) ・同ライブの世界300都市上映キャラバン実施。延べ9万人動員(2015~2018年) ・「BILIBILI MACRO LINK 2017」出演。IA出演時の同時視聴者数72万人を記録(2017年) ・最新ミュージカル&ライブショー「ARIA」展開スタート(2018年~) ・世界87ヶ国参加の国際情報オリンピックでバーチャルアーティスト初の実行委員に就任(2018年) ・JR東日本「案内AIみんなで育てようプロジェクト」参加、上野駅でアテンダントに就任(2019年) ・テクノロジーと音楽のクリエイティブフェス「イノフェス2019」に出演。(2019年) ・日テレ/中京テレビ VTuberバラエティ&対バンライブ「VILLS」に出演(2020年) ・VRライブ空間REZONAにて、「ARIA SPECIAL SHOWCAE」「CeVIO PARTY」のバーチャルライブ出演(2021年)
[製品情報] アーティスト名:IA(読み:イア) 発売日(CD+配信):2022年1月19日(水) 発売元:IA PROJECT |1st PLACE株式会社
■IA SUPER BEST [初回盤] -THE ARTIST-と-THE CREATORS-が、セット(全48曲収録)ととなり、エムカード(未発売ライブ映像DLカード)、スタンド付きミニ色紙(2種)、トレーディングシールが封入された、三方背スリーブ仕様のスペシャル限定版。 ◎品番:IPCD-3001 ◎価格:7,500円(税抜) / 8,250円(税込) ◎収録数:48曲(4DISC) ◎仕様・特典:エムカード(未発売ライブ映像DLカード) 封入 / 3方背スリーブケース / 4DISC / IAちびキャラトレーディングシール(17種類ランダム+1種シークレット) / スタンド付きミニ色紙(2種)/ 全曲ライナーノーツ入り特製ブックレット ◎収録曲:下記の-THE ARTIST-盤と、-THE CREATORS-盤をご参照ください。
<TOWER RECORDS> https://tower.jp/item/5258248/
■IA SUPER BEST -THE ARTIST- ◎品番:IPCD-3002 ◎価格:3,500円(税抜) / 3,850円(税込) ◎収録数:24曲(2DISC) ◎仕様・特典:2方背スリーブケース / 2DISC / IAちびキャラトレーディングシール(17種類ランダム+1種シークレット)
[DISC.1 –SIDE ROCK- 収録曲] アメリカ~We are all right!|Song by じん Inner Arts|Song by じん RACER'S HIGH|Song by ナナホシ管弦楽団 LIVEDRIVE|Song by じん セツナドライブ|Song by 滝善充(9mm Parabellum Bullet) 延命治療|Song by Neru 死神のギター|Song by ぽてんしゃる0 恋は渋谷系|Song by ワタナベイビー 慟哭吸血鬼|Song by YASUHIRO 少年は教室がきらいだったのだ|Song by 石風呂 僕らに喜劇を見せてくれ|Song by じん×石風呂 ワールド・コーリング|Song by じん
[DISC.2 –SIDE DANCE- 収録曲] pray for real|Song by MINMI Conqueror|Song by Sendra SEE THE LIGHTS|Song by ASY Shooting Star|Song by TeddyLoid ,KURIS,YUICHI NAKASE Circuit DISCO|Song by小松一也, RUCCA 憧憬~DOUKEI~|Song by BACK-ON クラウドライダー|Song by 田中隼人 Party Party 2020|Song by コモリタミノル 日本橋高架下R計画|Song by じん DIAMANTE|Song by gratia,Sho Fujiwara,Ryosuke Kataoka,Ryo Ito,IA We gotta run|Song by JMC Diamond days|Song by Hayao Konishi
■IA SUPER BEST -THE CREATORS- ◎品番:IPCD-3003 ◎価格:3,500円(税抜) / 3,850円(税込) ◎収録数:24曲(2DISC) ◎仕様・特典:2方背スリーブケース / 2DISC / IAちびキャラトレーディングシール(17種類ランダム+1種シークレット)
[DISC.1 –SIDE ROCK- 収録曲] 六兆年と一夜物語|kemu アスノヨゾラ哨戒班|Orangestar チルドレンレコード|じん ロスタイムメモリー|じん 少女自傷癖|PolyphonicBranch マチガイサガシ|まふまふ オーヴァークロック|Neru 現実的論理主義者|ゴボウメン トウキョウダイバアフェイクショウ|ツミキ 影炎≒Variation|やいり サナトリウム|篠倉 ┗|∵|┓ロクベル|HoneyWorks
[DISC.2 –SIDE POP- 収録曲] DAYBREAK FRONTLINE|Orangestar 傍観の罪科|*Luna アベリアに代わる何かを|msy スーパーヒーロー|Guiano あなたの夜が明けるまで|傘村トータ オツキミリサイタル|じん ワンツーハロー|石風呂 M'AIDER遭難ガール|out of survice キミのことが好きでゴメンナサイ|うたたP キメラ|ATOLS Ib|清水コウ 夜明けと蛍|n-buna
[IAプロフィール] “魂を持つバーチャルアーティスト”として2012年より音楽活動をスタート。 圧倒的なパフォーマンス力、歌唱力を持つ実力派アーティストとして独自の活動を展開。 これまでに世界12箇所に渡るワールドツアー開催や、シングル9作、アルバム8作をリリース。 IAの公式楽曲提供者にはSUGIZO(LUNA SEA / X Japan)、大沢伸一(MONDO GROSSO)、KOHH、TeddyLoid、MINMIなどメジャーシーンの著名アーティストも名を連ねる。 また、IAの関連動画総再生数は10億再生を超え、直近では楽曲「Conqueror」が関連動画合わせ2000万再生を超えている。 高い先進性と唯一無二の個性を放ち、世界が認めるバーチャルアーティストとしてグローバルに活躍中。
IAオフィシャルサイト:https://ia-aria.com
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厚着紳士
夜明けと共に吹き始めた強い風が乱暴に街の中を掻き回していた。猛烈な嵐到来の予感に包まれた私の心は落ち着く場所を失い、未だ薄暗い部屋の中を一人右往左往していた。 昼どきになると空の面は不気味な黒雲に覆われ、強面の風が不気味な金切り声を上げながら羊雲の群れを四方八方に追い散らしていた。今にも荒れた空が真っ二つに裂けて豪雨が降り注ぎ蒼白い雷の閃光とともに耳をつんざく雷鳴が辺りに轟きそうな気配だったが、一向に空は割れずに雨も雷も落ちて来はしなかった。半ば待ち草臥れて半ば裏切られたような心持ちとなって家を飛び出した私はあり合わせの目的地を決めると道端を歩き始めた。
家の中に居た時分、壁の隙間から止め処なく吹き込んで来る冷たい風にやや肌寒さを身に感じていた私は念には念を押して冬の格好をして居た。私は不意に遭遇する寒さと雷鳴と人間というものが大嫌いな人間だった。しかし家の玄関を出てしばらく歩いてみると暑さを感じた。季節は四月の半ばだから当然である。だが暑さよりもなおのこと強く肌身に染みているのは季節外れの格好をして外を歩いている事への羞恥心だった。家に戻って着替えて来ようかとも考えたが、引き返すには惜しいくらいに遠くまで歩いて来てしまったし、つまらない羞恥心に左右される事も馬鹿馬鹿しく思えた。しかしやはり恥ずかしさはしつこく消えなかった。ダウンジャケットの前ボタンを外して身体の表面を涼風に晒す事も考えたが、そんな事をするのは自らの過ちを強調する様なものでなおのこと恥ずかしさが増すばかりだと考え直した。 みるみると赤い悪魔の虜にされていった私の視線は自然と自分の同族を探し始めていた。この羞恥心を少しでも和らげようと躍起になっていたのだった。併せて薄着の蛮族達に心中で盛大な罵詈雑言を浴びせ掛けることも忘れなかった。風に短いスカートの裾を靡かせている女を見れば「けしからん破廉恥だ」と心中で眉をしかめ、ポロシャツの胸襟を開いてがに股で歩いている男を見れば「軟派な山羊男め」と心中で毒づき、ランニングシャツと短パンで道をひた向きに走る男を見れば「全く君は野蛮人なのか」と心中で断罪した。蛮族達は吐いて捨てる程居るようであり、片時も絶える事無く非情の裁きを司る私の目の前に現れた。しかし一方肝心の同志眷属とは中々出逢う事が叶わなかった。私は軽薄な薄着蛮族達と擦れ違うばかりの状況に段々と言い知れぬ寂寥の感を覚え始めた。今日の空が浮かべている雲の表情と同じように目まぐるしく移り変わって行く街色の片隅にぽつ念と取り残されている季節外れの男の顔に吹き付けられる風は全く容赦がなかった。 すると暫くして遠く前方に黒っぽい影が現れた。最初はそれが何であるか判然としなかったが、姿が近付いて来るにつれて紺のロングコートを着た中年の紳士だという事が判明した。厚着紳士の顔にはその服装とは対照的に冷ややかで侮蔑的な瞳と余情を許さない厳粛な皺が幾重も刻まれていて、風に靡く薄く毛の細い頭髪がなおのこと厳しく薄ら寒い印象に氷の華を添えていた。瞬く間に私の身内を冷ややかな緊張が走り抜けていった。強張った背筋は一直線に伸びていた。私の立場は裁く側から裁かれる側へと速やかに移行していた。しかし同時にそんな私の顔にも彼と同じ冷たい眼差しと威厳ある皺がおそらくは刻まれて居たのに違いない。私の面持ちと服装に疾風の如���視線を走らせた厚着紳士の瞳に刹那ではあるが同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情が浮かんでいた。 かくして二人の孤独な紳士はようやく相まみえたのだった。しかし紳士たる者その感情を面に出すことをしてはいけない。笑顔を見せたり握手をする等は全くの論外だった。寂しく風音が響くだけの沈黙の内に二人は互いのぶれない矜持を盛大に讃え合い、今後ともその厚着ダンディズムが街中に蔓延る悪しき蛮習に負けずに成就する事を祈りつつ、何事も無かったかの様に颯然と擦れ違うと、そのまま振り返りもせずに各々の目指すべき場所へと歩いて行った。 名乗りもせずに風と共に去って行った厚着紳士を私は密かな心中でプルースト君と呼ぶ事にした。プルースト君と出逢い、列風に掻き消されそうだった私の矜持は不思議なくらい息を吹き返した。羞恥心の赤い炎は青く清浄な冷や水によって打ち消されたのだった。先程まで脱ぎたくて仕方のなかった恥ずかしいダウンジャケットは紳士の礼服の風格を帯び、私は風荒れる街の道を威風堂々と闊歩し始めた。 しかし道を一歩一歩進む毎に紳士の誇りやプルースト君の面影は嘘のように薄らいでいった。再び羞恥心が生い茂る雑草の如く私の清らかな魂の庭園を脅かし始めるのに大して時間は必要無かった。気が付かないうちに恥ずかしい事だが私はこの不自然な恰好が何とか自然に見える方法を���案し始めていた。 例えば私が熱帯や南国から日本に遣って来て間もない異国人だという設定はどうだろうか?温かい国から訪れた彼らにとっては日本の春の気候ですら寒く感じるはずだろう。当然彼らは冬の格好をして外を出歩き、彼らを見る人々も「ああ彼らは暑い国の人々だからまだ寒く感じるのだな」と自然に思うに違いない。しかし私の風貌はどう見ても平たい顔の日本人であり、彼らの顔に深々と刻まれて居る野蛮な太陽の燃える面影は何処にも見出す事が出来無かった。それよりも風邪を引いて高熱を出して震えている病人を装った方が良いだろう。悪寒に襲われながらも近くはない病院へと歩いて行かねばならぬ、重苦を肩に背負った病の人を演じれば、見る人は冬の格好を嘲笑うどころか同情と憐憫の眼差しで私を見つめる事に違いない。こんな事ならばマスクを持ってくれば良かったが、マスク一つを取りに帰るには果てしなく遠い場所まで歩いて来てしまった。マスクに意識が囚われると、マスクをしている街の人間の多さに気付かされた。しかし彼らは半袖のシャツにマスクをしていたりスカートを履きながらマスクをしている。一体彼らは何の為にマスクをしているのか理解に苦しんだ。 暫くすると、私は重篤な病の暗い影が差した紳士見習いの面持ちをして難渋そうに道を歩いていた。それは紳士である事と羞恥心を軽減する事の折衷策、悪く言うならば私は自分を誤魔化し始めたのだった。しかしその効果は大きいらしく、擦れ違う人々は皆同情と憐憫の眼差しで私の顔を伺っているのが何となく察せられた。しかしかの人々は安易な慰めを拒絶する紳士の矜持をも察したらしく私に声を掛けて来る野暮な人間は誰一人として居なかった。ただ、紐に繋がれて散歩をしている小さな犬がやたらと私に向かって吠えて来たが、所詮は犬や猫、獣の類にこの病の暗い影が差した厚着紳士の美学が理解出来るはずも無かった。私は子犬に吠えられ背中や腋に大量の汗を掻きながらも未だ誇りを失わずに道を歩いていた。 しかし度々通行人達の服装を目にするにつれて、段々と私は自分自身が自分で予想していたよりは少数部族では無いという事に気が付き始めていた。歴然とした厚着紳士は皆無だったが、私のようにダウンを着た厚着紳士見習い程度であったら見つける事もそう難しくはなかった。恥ずかしさが少しずつ消えて無くなると抑え込んでいた暑さが急激に肌を熱し始めた。視線が四方に落ち着かなくなった私は頻りと人の視線を遮る物陰を探し始めた。 泳ぐ視線がようやく道の傍らに置かれた自動販売機を捉えると、駆けるように近付いて行ってその狭い陰に身を隠した。恐る恐る背後を振り返り誰か人が歩いて来ないかを確認すると運悪く背後から腰の曲がった老婆が強風の中難渋そうに手押し車を押して歩いて来るのが見えた。私は老婆の間の悪さに苛立ちを隠せなかったが、幸いな事に老婆の背後には人影が見られなかった。あの老婆さえ遣り過ごしてしまえばここは人々の視線から完全な死角となる事が予測出来たのだった。しかしこのまま微動だにせず自動販売機の陰に長い間身を隠しているのは怪し過ぎるという思いに駆られて、渋々と歩み出て自動販売機の目の前に仁王立ちになると私は腕を組んで眉間に深い皺を作った。買うべきジュースを真剣に吟味選抜している紳士の厳粛な態度を装ったのだった。 しかし風はなお強く老婆の手押し車は遅々として進まなかった。自動販売機と私の間の空間はそこだけ時間が止まっているかのようだった。私は緊張に強いられる沈黙の重さに耐えきれず、渋々ポケットから財布を取り出し、小銭を掴んで自動販売機の硬貨投入口に滑り込ませた。買いたくもない飲み物を選ばさられている不条理や屈辱感に最初は腹立たしかった私もケース内に陳列された色取り取りのジュース缶を目の前にしているうちに段々と本当にジュースを飲みたくなって来てその行き場の無い怒りは早くボタンを押してジュースを手に入れたいというもどかしさへと移り変わっていった。しかし強風に負けじとか細い腕二つで精一杯手押し車を押して何とか歩いている老婆を責める事は器量甚大懐深き紳士が為す所業では無い。そもそも恨むべきはこの強烈な風を吹かせている天だと考えた私は空を見上げると恨めしい視線を天に投げ掛けた。 ようやく老婆の足音とともに手押し車が地面を擦る音が背中に迫った時、私は満を持して自動販売機のボタンを押した。ジュースの落下する音と共に私はペットボトルに入ったメロンソーダを手に入れた。ダウンの中で汗を掻き火照った身体にメロンソーダの冷たさが手の平を通して心地よく伝わった。暫くの間余韻に浸っていると老婆の手押し車が私の横に現れ、みるみると通り過ぎて行った。遂に機は熟したのだった。私は再び自動販売機の物陰に身を隠すと念のため背後を振り返り人の姿が見えない事を確認した。誰も居ないことが解ると急ぐ指先でダウンジャケットのボタンを一つまた一つと外していった。最後に上から下へとファスナーが降ろされると、うっとりとする様な涼しい風が開けた中のシャツを通して素肌へと心地良く伝わって来た。涼しさと開放感に浸りながら手にしたメロンソーダを飲んで喉の渇きを潤した私は何事も無かったかのように再び道を歩き始めた。 坂口安吾はかの著名な堕落論の中で昨日の英雄も今日では闇屋になり貞淑な未亡人も娼婦になるというような意味の事を言っていたが、先程まで厚着紳士見習いだった私は破廉恥な軟派山羊男に成り下がってしまった。こんな格好をプルースト君が見たらさぞかし軽蔑の眼差しで私を見詰める事に違いない。たどり着いた駅のホームの長椅子に腰をかけて、何だか自身がどうしようもなく汚れてしまったような心持ちになった私は暗く深く沈み込んでいた。膝の上に置かれた飲みかけのメロンソーダも言い知れぬ哀愁を帯びているようだった。胸を内を駆け巡り始めた耐えられぬ想いの脱出口を求めるように視線を駅の窓硝子越しに垣間見える空に送ると遠方に高く聳え立つ白い煙突塔が見えた。煙突の先端から濛々と吐き出される排煙が恐ろしい程の速さで荒れた��の彼岸へと流されている。 耐えられぬ思いが胸の内を駆け駅の窓硝子越しに見える空に視線を遣ると遠方に聳える白い煙突塔から濛々と吐き出されている排煙が恐ろしい速度で空の彼岸へと流されている様子が見えた。目には見えない風に流されて行く灰色に汚れた煙に対して、黒い雲に覆われた空の中に浮かぶ白い煙突塔は普段青い空の中で見ている雄姿よりもなおのこと白く純潔に光り輝いて見えた。何とも言えぬ気持の昂ぶりを覚えた私は思わずメロンソーダを傍らに除けた。ダウンジャケットの前ボタンに右手を掛けた。しかしすぐにまた思い直すと右手の位置を元の場所に戻した。そうして幾度となく決意と逡巡の間を行き来している間に段々と駅のホーム内には人間が溢れ始めた。強風の影響なのか電車は暫く駅に来ないようだった。 すると駅の階段を昇って来る黒い影があった。その物々しく重厚な風貌は軽薄に薄着を纏った人間の群れの中でひと際異彩を放っている。プルースト君だった。���然として彼は分厚いロングコートに厳しく身を包み込み、冷ややかな面持ちで堂々と駅のホームを歩いていたが、薄い頭髪と額には薄っすらと汗が浮かび、幅広い額を包むその辛苦の結晶は天井の蛍光灯に照らされて燦燦と四方八方に輝きを放っていた。私にはそれが不撓不屈の王者だけが戴く栄光の冠に見えた。未だ変わらずプルースト君は厚着紳士で在り続けていた。 私は彼の胸中に宿る鋼鉄の信念に感激を覚えると共に、それとは対照的に驚く程簡単に退転してしまった自分自身の脆弱な信念を恥じた。俯いて視線をホームの床に敷き詰められた正方形タイルの繋ぎ目の暗い溝へと落とした。この惨めな敗残の姿が彼の冷たい視線に晒される事を恐れ心臓から足の指の先までが慄き震えていた。しかしそんな事は露とも知らぬプルースト君はゆっくりとこちらへ歩いて来る。迫り来る脅威に戦慄した私は慌ててダウンのファスナーを下から上へと引き上げた。紳士の体裁を整えようと手先を闇雲に動かした。途中ダウンの布地が間に挟まって中々ファスナーが上がらない問題が浮上したものの、結局は何とかファスナーを上まで閉め切った。続けてボタンを嵌め終えると辛うじて私は張りぼてだがあの厚着紳士見習いの姿へと復活する事に成功した。 膝の上に置いてあった哀愁のメロンソーダも何となく恥ずかしく邪魔に思えて、隠してしまおうとダウンのポケットの中へとペットボトルを仕舞い込んでいた時、華麗颯爽とロングコートの紺色の裾端が視界の真横に映り込んだ。思わず私は顔を見上げた。顔を上方に上げ過ぎた私は天井の蛍光灯の光を直接見てしまった。眩んだ目を閉じて直ぐにまた開くとプルースト君が真横に厳然と仁王立ちしていた。汗ばんだ蒼白い顔は白い光に包まれてなおのこと白く、紺のコートに包まれた首から上は先程窓から垣間見えた純潔の白い塔そのものだった。神々しくさえあるその立ち姿に畏敬の念を覚え始めた私の横で微塵も表情を崩さないプルースト君は優雅な動作で座席に腰を降ろすとロダンの考える人の様に拳を作った左手に顎を乗せて対岸のホームに、いやおそらくはその先の彼方にある白い塔にじっと厳しい視線を注ぎ始めた。私は期待を裏切らない彼の態度及び所作に感服感激していたが、一方でいつ自分の棄教退転が彼に見破られるかと気が気ではなくダウンジャケットの中は冷や汗で夥しく濡れ湿っていた。 プルースト君が真実の威厳に輝けば輝く程に、その冷たい眼差しの一撃が私を跡形もなく打ち砕くであろう事は否応無しに予想出来る事だった。一刻も早く電車が来て欲しかったが、依然として電車は暫くこの駅にはやって来そうになかった。緊張と沈黙を強いられる時間が二人の座る長椅子周辺を包み込み、その異様な空気を察してか今ではホーム中に人が溢れ返っているのにも関わらず私とプルースト君の周りには誰一人近寄っては来なかった。群衆の騒めきでホーム内は煩いはずなのに不思議と彼らの出す雑音は聞こえなかった。蟻のように蠢く彼らの姿も全く目に入らず、沈黙の静寂の中で私はただプルースト君の一挙手に全神経を注いでいた。 すると不意にプルースト君が私の座る右斜め前に視線を落とした。突然の動きに驚いて気が動転しつつも私も追ってその視線の先に目を遣った。プルースト君は私のダウンジャケットのポケットからはみ出しているメロンソーダの頭部を見ていた。私は愕然たる思いに駆られた。しかし今やどうする事も出来ない。怜悧な思考力と電光石火の直観力を併せ持つ彼ならばすぐにそれが棄教退転の証拠だという事に気が付くだろう。私は半ば観念して恐る恐るプルースト君の横顔を伺った。悪い予感は良く当たると云う。案の定プルースト君の蒼白い顔の口元には哀れみにも似た冷笑が至極鮮明に浮かんでいた。 私はというとそれからもう身を固く縮めて頑なに瞼を閉じる事しか出来なかった。遂に私が厚着紳士道から転がり落ちて軟派な薄着蛮族の一員と成り下がった事を見破られてしまった。卑怯千万な棄教退転者という消す事の出来ない烙印を隣に座る厳然たる厚着紳士に押されてしまった。 白い煙突塔から吐き出された排煙は永久に恥辱の空を漂い続けるのだ。あの笑みはかつて一心同体であった純白の塔から汚れてしまった灰色の煙へと送られた悲しみを押し隠した訣別の笑みだったのだろう。私は彼の隣でこのまま電車が来るのを待ち続ける事が耐えられなくなって来た。私にはプルースト君と同じ電車に乗る資格はもう既に失われているのだった。今すぐにでも立ち上がってそのまま逃げるように駅を出て、家に帰ってポップコーンでも焼け食いしよう、そうして全てを忘却の風に流してしまおう。そう思っていた矢先、隣のプルースト君が何やら慌ただしく動いている気配が伝わってきた。私は薄目を開いた。プルースト君はロングコートのポケットの中から何かを取り出そうとしていた。メロンソーダだった。驚きを隠せない私を尻目にプルースト君は渇き飢えた飼い豚のようにその薄緑色の炭酸ジュースを勢い良く飲み始めた。みるみるとペットボトルの中のメロンソーダが半分以上が無くなった。するとプルースト君は下品極まりないげっぷを数回したかと思うと「暑い、いや暑いなあ」と一人小さく呟いてコートのボタンをそそくさと外し始めた。瞬く間にコートの前門は解放された。中から汚い染みの沢山付着した白いシャツとその白布に包まれただらしのない太鼓腹が堂々と姿を現した。 私は暫くの間呆気に取られていた。しかしすぐに憤然と立ち上がった。長椅子に座ってメロンソーダを飲むかつてプルースト君と言われた汚物を背にしてホームの反対方向へ歩き始めた。出来る限りあの醜悪な棄教退転者から遠く離れたかった。暫く歩いていると、擦れ違う人々の怪訝そうな視線を感じた。自分の顔に哀れな裏切り者に対する軽侮の冷笑が浮かんでいる事に私は気が付いた。 ホームの端に辿り着くと私は視線をホームの���岸にその先の彼方にある白い塔へと注いた。黒雲に覆われた白い塔の陰には在りし日のプルースト君の面影がぼんやりとちらついた。しかしすぐにまた消えて無くなった。暫くすると白い塔さえも風に流れて来た黒雲に掻き消されてしまった。四角い窓枠からは何も見え無くなり、軽薄な人間達の姿と騒めきが壁に包まれたホーム中に充満していった。 言い知れぬ虚無と寂寥が肌身に沁みて私は静かに両の瞳を閉じた。周囲の雑音と共に色々な想念が目まぐるしく心中を通り過ぎて行った。プルースト君の事、厚着紳士で在り続けるという事、メロンソーダ、白い塔…、プルースト君の事。凡そ全てが雲や煙となって無辺の彼方へと押し流されて行った。真夜中と見紛う暗黒に私の全視界は覆われた。 間もなくすると闇の天頂に薄っすらと白い点が浮かんだ。最初は小さく朧げに白く映るだけだった点は徐々に膨張し始めた。同時に目も眩む程に光り輝き始めた。終いには白銀の光を溢れんばかりに湛えた満月並みの大円となった。実際に光は丸い稜線から溢れ始めて、激しい滝のように闇の下へと流れ落ち始めた。天頂から底辺へと一直線に落下する直瀑の白銀滝は段々と野太くなった。反対に大円は徐々に縮小していって再び小さな点へと戻っていった。更にはその点すらも闇に消えて、視界から見え無くなった直後、不意に全ての動きが止まった。 流れ落ちていた白銀滝の軌跡はそのままの光と形に凝固して、寂滅の真空に荘厳な光の巨塔が顕現した。その美々しく神々しい立ち姿に私は息をする事さえも忘れて見入った。最初は塔全体が一つの光源体の様に見えたが、よく目を凝らすと恐ろしく小さい光の結晶が高速で点滅していて、そうした極小微細の光片が寄り集まって一本の巨塔を形成しているのだという事が解った。その光の源が何なのかは判別出来なかったが、それよりも光に隙間無く埋められている塔の外壁の内で唯一不自然に切り取られている黒い正方形の個所がある事が気になった。塔の頂付近にその不可解な切り取り口はあった。怪しみながら私はその内側にじっと視線を集中させた。 徐々に瞳が慣れて来ると暗闇の中に茫漠とした人影の様なものが見え始めた。どうやら黒い正方形は窓枠である事が解った。しかしそれ以上は如何程目を凝らしても人影の相貌は明確にならなかった。ただ私の方を見ているらしい彼が恐ろしい程までに厚着している事だけは解った。あれは幻の厚着紳士なのか。思わず私は手を振ろうとした。しかし紳士という言葉の響きが振りかけた手を虚しく元の位置へと返した。 すると間も無く塔の根本周辺が波を打って揺らぎ始めた。下方からから少しずつ光の塔は崩れて霧散しだした。朦朧と四方へ流れ出した光群は丸く可愛い尻を光らせて夜の河を渡っていく銀蛍のように闇の彼方此方へと思い思いに飛んで行った。瞬く間に百千幾万の光片が暗闇一面を覆い尽くした。 冬の��空に散りばめられた銀星のように暗闇の満天に煌く光の屑は各々少しずつその輝きと大きさを拡大させていった。間もなく見つめて居られ無い程に白く眩しくなった。耐えられ無くなった私は思わず目を見開いた。するとまた今度は天井の白い蛍光灯の眩しさが瞳を焼いた。いつの間にか自分の顔が斜め上を向いていた事に気が付いた。顔を元の位置に戻すと、焼き付いた白光が徐々に色褪せていった。依然として変わらぬホームの光景と。周囲の雑多なざわめきが目と耳に戻ると、依然として黒雲に覆い隠されている窓枠が目に付いた。すぐにまた私は目を閉じた。暗闇の中をを凝視してつい先程まで輝いていた光の面影を探してみたが、瞼の裏にはただ沈黙が広がるばかりだった。 しかし光り輝く巨塔の幻影は孤高の紳士たる決意を新たに芽生えさせた。私の心中は言い知れない高揚に包まれ始めた。是が非でも守らなければならない厚着矜持信念の実像をこの両の瞳で見た気がした。すると周囲の雑音も不思議と耳に心地よく聞こえ始めた。 『この者達があの神聖な光を見る事は決して無い事だろう。あの光は選ばれた孤高の厚着紳士だけが垣間見る事の出来る祝福の光なのだ。光の巨塔の窓に微かに垣間見えたあの人影はおそらく未来の自分だったのだろう。完全に厚着紳士と化した私が現在の中途半端な私に道を反れることの無いように暗示訓戒していたに違いない。しかしもはや誰に言われなくても私が道を踏み外す事は無い。私の上着のボタンが開かれる事はもう決して無い。あの白い光は私の脳裏に深く焼き付いた』 高揚感は体中の血を上気させて段々と私は喉の渇きを感じ始めた。するとポケットから頭を出したメロンソーダが目に付いた。再び私の心は激しく揺れ動き始めた。 一度は目を逸らし二度目も逸らした。三度目になると私はメロンソーダを凝視していた。しかし迷いを振り払うかの様に視線を逸らすとまたすぐに前を向いた。四度目、私はメロンソーダを手に持っていた。三分の二以上減っていて非常に軽い。しかしまだ三分の一弱は残っている。ペットボトルの底の方で妖しく光る液体の薄緑色は喉の渇き切った私の瞳に避け難く魅惑的に映った。 まあ、喉を潤すぐらいは良いだろう、ダウンの前を開かない限りは。私はそう自分に言い聞かせるとペットボトルの口を開けた。間を置かないで一息にメロンソーダを飲み干した。 飲みかけのメロンソーダは炭酸が抜けきってしつこい程に甘く、更には生ぬるかった。それは紛れも無く堕落の味だった。腐った果実の味だった。私は何とも言えない苦い気持ちと後悔、更には自己嫌悪の念を覚えて早くこの嫌な味を忘れようと盛んに努めた。しかし舌の粘膜に絡み付いた甘さはなかなか消える事が無かった。私はどうしようも無く苛立った。すると突然隣に黒く長い影が映った。プルースト君だった。不意の再再会に思考が停止した私は手に持った空のメロンソーダを隠す事も出来ず、ただ茫然と突っ立っていたが、すぐに自分が手に���るそれがとても恥ずかしい物のように思えて来てメロンソーダを慌ててポケットの中に隠した。しかしプルースト君は私の隠蔽工作を見逃しては居ないようだった。すぐに自分のポケットから飲みかけのメロンソーダを取り出すとプルースト君は旨そうに大きな音を立ててソーダを飲み干した。乾いたゲップの音の響きが消える間もなく、透明になったペットボトルの蓋を華麗優雅な手捌きで閉めるとプルースト君���ゆっくりとこちらに視線を向けた。その瞳に浮かんでいたのは紛れもなく同類を見つけた時に浮かぶあの親愛の情だった。 間もなくしてようやく電車が駅にやって来た。プルースト君と私は仲良く同じ車両に乗った。駅に溢れていた乗客達が逃げ場無く鮨詰めにされて居る狭い車内は冷房もまだ付いておらず蒸し暑かった。夥しい汗で額や脇を濡らしたプルースト君の隣で私はゆっくりとダウンのボタンに手を掛けた。視界の端に白い塔の残映が素早く流れ去っていった。
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「喫茶店にて」についての断片(この文章はいづれ改稿されて紙に印刷される)
「喫茶店にて」という萩原朔太郎の短い文章がある。文字数にして千字にも満たない。非常に好きな文章なのでこれまで事あるごとに読み返してきた。そのたびにこの文章に関する文章や、慎ましい冊子を作りたいと思っていた。けれど作り始めないまま数ヶ月が過ぎた。そのためようやくこうして書き始めることができたことがひとまず、嬉しい。アリストテレスはやり始めた時点で全体の半分は済んだ、という言葉を残したらしいが強く同意できる。ところで、この「喫茶店にて」という文章について大まかに説明しておこう。商人の町・大阪から上京した友人に萩原は東京(都会)らしい場所をみせてやろうと銀座の有名な喫茶店に連れていく。友人はそこで暇そうに寛いでいる人々をみてとても不思議がる。萩原は忙しく働くことは俗悪だとするニーチェの言葉を引用しながら、昔の江戸時代ほどののんびりはなくとも、せめてパリやロンドンくらいのレベルまで有閑を享受できる心の余裕を日本も持ってほしいと願う。それが成熟し伝統を持つ都市、生活だという。この文章をはじめて読んだのは修士論文の発表が終わって間もなくのことだった。自分はすでに博士課程に進学することが決まっていて、毎日映画を見たりレコードを買ったり、本を読んで一日を過ごしていた。つまり呑気に悠々とした生活を送っていた。同じ頃、同い年の友人たちの中には仕事が嫌になってやつれていく人が増えていた。そうした時期とも重なりこの文章は強く自分に影響を与えた。萩原朔太郎の文章はほとんど読んだことはない。高校生のころ国語便覧で萩原はマンドリン奏者でもあったという記述を覚えているくらいでそれ以外の印象はない。それどころかこの「喫茶店にて」の文章を読んだあとでさえ、彼の他の文章は読んでいない。何をしていたかといえば、それも具体的には思い出せない。音楽を聞いたり、本を読んだり、映画を見たりしてのんびりと生活していたことしか、思い出すことができない。
のんびりと過ごしていたい、といえば思い出すことがある。それは子���のころから今に至るまで、出入り口というものに関心を持っていること。部屋に入る人や、部屋から出ていく人、部屋にいる人たちを特定の場所から眺めていると妙に落ち着くのだ。一時期はホテルのドアマンになりたいと真剣に考えていたこともある。そんなとき、テレビのプログラムで家電品の特集をしているのを観た。その番組の出演者が空気洗浄機について以下のようなことを言っていた。空気清浄機は部屋の出入口付近に置くのが最も効果的である、なぜならドアの開閉による風で部屋の空気の循環をよくするから。それを観て自分は笑った。自分は空気洗浄機になりたかったのだと同居人に冗談を言ってやろうかとさえ思った。そして口を開く寸前に、自分は青ざめた。空気洗浄機の足を引っ張っているのではないかという思いが頭をかすめた為である。これには案外、見逃せない問題があった。仮に空気清浄機の代わりに自分がそこに居座るのであれば、空気清浄機に代わる仕事ができれば問題ない。けれど自分には空気中の花粉やホコリを濾過することはおろか、だまって仕事を続けるということ(考えるまでもなくそれは大変な能力である)さえままならない。空気清浄機のみならずすべての機械というものに対して申し訳ない気持ちになった。いっそ、死のうと思った。けれどその頃合いになって先哲の金言が思い起こされた。およそ、人間の本分は生産ではなく消費である。自分は縄に首を掛けるのを止めた。そうかそうか。何もかも消費をしてしまえばいいのだ。脂っこいものを食ってがぶがぶ水を飲み、美しい早春の一日に部屋でごろごろ寛いでやればよいのだ。電気もつけっぱなしで煙草のけむりで部屋を真っ黒にしてやればよいのだ。これで機械という奴らとの差別化ができた、とようやく自分の居場所を見つける事ができた。ほくほく顔で出入り口に居座ってやろうとしたら足の小指に激痛が走った。何かにぶつけてしまった。見ると立派な空気清浄機がそこにはあった。衝撃が思いの外に強かったのかゴロゴロという異音が鳴りはじめ、とうとう黒い煙を吐き出した。どういうわけかコンセントのあたりからはパチパチと火花が散っている。これは火事になる、と慌てて消火器を持ってきて吹きかけた。空気清浄機の周辺が真っ白になり、すべて落ち着いた。まったく……余計な手間を掛けさせる奴だと思ったと同時に、頭の中で何かが壊れた音がした。ラララ。そうである。空気清浄機は電気を消費し、場所を占有し、故障の果てに黒煙を吐いた。自分及び人間としての存在理由であった部屋を汚すという行為さえ機械に奪われ、それどころかその後始末までさせられた。この空気清浄機は自分よりも資源を消費している。しばらく呆然としていた私の左手には、いつの間にだろう、大きなトンカチが握られていた。日本の元号は変わり、世界は度重なる分断を越えようとしてい���時代の中、自分だけがラッダイト運動の時代に取り残されている。時代は繰り返す。けれど皮肉なことにそれは違う姿をしているから気付くことが出来ない。いっそ空気中のホコリのように自分のことも濾過してくれれば、と目の前の故障した空気洗浄機に祈った。その時部屋の扉が開いて肩にぶつかった。激痛。扉を開けた若い女性は慌てて私に謝ったが、その顔は明らかに迷惑そうにしていた。しかし自分にとって、それは却って救いであった。
近所のホームセンターに行ったはなし。十一月になるというのに少し自転車を漕げば汗ばんだ。毎年のように今年は異常気象だ、という年配者の話をいい加減無視できない、と考えていたら目の前を走る自転車が急停車し危うく衝突しそうになった。老婆だった。老婆の自転車のハンドルには鍋つかみのような防寒具が取り付けられており、前後のカゴには相当な量の野菜や惣菜が入っていた。夫婦で食べるとしても多いだろうと思うほどの量。一人であればなおさら。ホームセンターの前に自転車を停め、店に入ったところで何を買いに来たか忘れる。棚を眺めていたら思い出すだろうと歩いていたら程なくして電球のソケットを買いに来たことを思い出す。電球のコーナーは美しい。大小さまざま色彩もさまざまな電球や蛍光灯が輝き、ただでさえ明るい店内でその売り場をより一層明るくしている。ろくに調べていないので自分の求めているものがあるのかは探してみなければわからない。一般的な電球を取り付けることができ、スイッチで電源のオンオフができる(できれば)電池式のソケット。そんなもの何のために必要なのかと言われても困る。なんとなくそんな代物が欲しくなっただけで、使い道は手に入れたあとに思い付くだろうから。二十分ほど念入りに探したところでそれに見合う商品がないことが分かった。最も近いものは天井から吊るすタイプのソケットであったがそれは実物を見ても欲しくならなかった。そうとわかれば急に家に帰りたくなり店を出た。自転車の鍵を開けたとき隣に鍋つかみのついた自転車が止まった。老婆だった。けれど先ほど急停車した老婆とはちがう老婆だった。いや、よくみると極めて老婆のような老いた男だった。この老人も先の老婆と同様に前後のカゴに買い物袋を入れていた。けれど外から見える品物は酒やスナック菓子ばかりだった。老人は買い物袋そのままに、自転車に鍵もかけずホームセンターに入っていった。私は羽織っていたカーディガンを自転車の前カゴに入れ、少し遠回りして帰った。
一見不安定に見える状態が実はもっとも安定した状態である、という現象は比喩でなく実際に起こりうる。物理の世界でも対人交流においても同様である。ヤジロベエの原理のように実は一つの支点を軸に調整をしているだけに過ぎないことは少なくない。二〇一八年の内閣府の調査では所属コミュニティの多い人ほど日々の生活が充実しているという結果だったらしい(内閣府調査 平成二九年版 子供・若者白書「特集 若者にとっての人とのつながり」)。と同様の内容を、喫茶店で年下の友人相手に自慢げに話していたら隣のテーブルの声がやたらと聞こえくることに気付いた。隣のテーブルには大学生だろうか、若い四人の女がああでもないこうでもないと話している。そしてそのうちの一人の声が明らかに必要以上のボリュームなのである。店内の他の客はそれとはなしにそのテーブルに対して迷惑そうにしていることもわかった。聞きたくもない話が明瞭に頭に流れ込んでいる。その話というのは声の大きな女が好意を寄せていた男に女ができた。その女は極めてきれいな顔立ちをしており、スタイルも抜群であるが性格の悪さについては誰もが知るところで、きっとその男もすぐに見放すだろう、ということ。そして気になったのはその会話の中で何度も「美人は三日で飽きる」という言葉が使われていることだった。トイレから帰るときにその女たちの顔を見たが、みな例外なく不健康に太っていて肌が荒れていることに驚いた。声だけを聞いていたときはもっと溌剌とした容姿を想像していたがそれは若さによるものだった。そしてその若さも彼女らは次第に失っていくのか、と他人事のように思っていたら、向かいに座っていた友人にズボンのチャックが開いていることを指摘された。居心地が良くないので違う喫茶店に行こうと友人を誘い、友人もその方がいいといって店を出た。次の店までアーケイドを歩きながら友人が言ってきた。いわく、今やっと「美人は三日で飽きる」という言葉の意味が分かったという。というのも友人はこの言葉についてこれまでずっと疑問を持っていた。なぜなら美人は何日たっても素晴らしいから。毎日違う側面を見せてくれて、この世界に存在する様々なものに彩りを与え続けてくれるという経験をしていたからである。友人は「美人は三日で飽きる」というのは美人でない人間に対する救済なのだと言った。嫉妬や当て付けではなく救済。この言葉が広く敷衍して、もはやクリシェと化しているのはつまり「南無阿弥陀仏」と変わらない普遍性を持っているからなのだ。君��ついに空也上人の領域までたどり着いたんだねと、私は友人に笑い掛けたがその実、その友人の統合力に感心していた。そしてその話を私は今、自慢げにここに書いている。
映画館で眠ることやコンサートの最中に眠ることを贅沢なことだと思い込むようになったのは高校生くらいだった。その頃は不思議なことに誘われる催し中は決まってひどい睡魔に襲われた。理由はわからない。夜更かしをすることもまれだったし、体も健康だった。ただ眠たくなる。始めの頃は演者や誘��てくれた友人たちに申し訳ない気持ちで可能な限り眠らないよう努めていたが、次第に諦めていった。むしろ開演から早めに眠りに落ちてそしてできるだけ早く目を覚ますことを目指し始めた。一度眠ってしまえばあとは意識清明になっていたからである。それから数年経ち、今では眠くなることはほぼなくなった。最近、とあるライブに行った。広島のヲルガン座で行われたフリーダムというイベント。東京からのゲスト、ノラオンナさんを招いたイベントだった。ウクレレの弾き語りと、うた。MCは無し。アルバムと同じ構成で四〇分ほど休みなく続くライブ。そのはじめ、彼女は控えめに、寝てしまうかもしれません、と客に言った。けれど心地よくなって寝るというのはとてもいいことなので、とも言った。ただ、いびきだけはかかないでください、とも。自分はその言葉に、数年前の心地まで軽くなるのを感じた。ライブは物語性に富み、非常に素晴らしかった。私は寝なかったし、一度も眠くならなかった。
月曜日に限って美術館に行きたくなる。そんな時期がある程度続いたことがあった。月曜日、街にある美術館のほぼ全ては休館日であり、その近くにある図書館も当然休みだった。明日は必ず、という気持ちで火曜日を迎えると、きまってもう衝動は消えてしまって、外出さえも億劫になる。水曜から金曜までは美術館のことなど一瞬も頭に浮かぶことなく過ごし、土曜日に少し思い出し、運が良ければ日曜日に美術館まで行く。けれど人が多くてすぐに出てしまう。おそらく、決まった仕事をしていない人間にとって、それも普段は美術に対して強い関心を持っていない人間にとって、月曜日ほど美術館に適した一日はない。仕事をしていないからといって、社会から隔絶されているわけではない。月曜日の朝には社会が何かしらの動きを始めたような気配だけはしっかりと感じることができる。そしてその気配が妙な圧力をこちらにかけてきて、せめてもの罪滅ぼしに何かをしようと考える。できれば文化的な行動が喜ばしいな、と勝手に自分で判断し脳の中で選択肢を絞る。そして弾き出される計算結果は決まって「美術館に行く」というもの。しかし美術館は休み。またか、と思う。そして気が付いたら日が暮れている。けれど最後のあがきとして一、二時間ほど自転車で街をうろつく。そうして何かをした気持ちになって家に帰る。最近は月曜日以外も美術館に行きたいと思うようになった。けれどあまり行ってはいない。本棚にあるつげ義春の「無能の人」の背表紙が妙に目立って見える。
透明の黒電話。
七万円の使いみち。金座街にある古本屋の店先には安部公房全集がある。
タクシードライバー。
ヴラマンクの雪の絵について。
先程、萩原朔太郎の文章はほとんど読んだことがない、と書いたがひとつ思い出した文章がある。頭のなかでなぜか��宰治の文章だと勝手な処理がされていたが、いま確認してみたら萩原朔太郎のものだった。僕の孤独癖について、という文章である。その中の「人間は元来社交動物に出来てるのだ。人は孤独で居れば居るほど、夜毎に宴会の夢を見るようになり、日毎に群衆の中を歩きたくなる。それ故に孤独者は常に最も饒舌の者である」という文章はまるで──。
複雑なものを複雑なまま楽しむことについて。
ノンアルコールビールについて。酒を飲むこと、というよりも酔うことが嫌になった。これまでもそういった時期はあったが、今回も一時的なものかもしれない。けれどこれまでと異なるのはノンアルコールビールというものに関心を持ち始めたことである。
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二つの現実、宇宙飛行、多摩川、梅雨に関するの小さな物語。
*
私はあなたに近づいていると思います。
私は目を閉じていないことを知っています。目を閉じて見る暗闇は今と同じではないからです。 目を閉じて手でまぶたを押すと、フラクタルのようなものが見えます。私の視野は拡大されたオシロスコープの画面のようであるように、視野の片側から反対側に光点が走っていると感じます。同じ場所でちらつくだけですが、確かに連続していると感じることができます。
まるで私の不安と焦りを知っているかのように、光点の軌跡がしばらく一点から一列に伸びていた。外観と色が重複するいくつかの光点があり、黄色とオレンジ色が重なり合っており、ちらつきの頻度はますます高くなっています。5つの光点はグループであり、左からの5つ目はより大きく、形状はより独特であり、そのエッジは外側にフェードする光点よりもシャープでした。たまにその上、ビルボードの影がそこに現れ、すぐ消えました。
私は何を見ているだろう。
自分を覚醒させようとすると、突然他の人に数メートル引き戻されたように見え、私の周りに存在していた物体が残像で突然視界に現れましたが、しばらくして正常に戻りました。さらに先の光っているスポットを見ると、これは単なる窓の反映であることがわかりました。そして今見ると本当に小さすぎた。
夕方9時で、東京郊外に向かっている京王線です。車の人はまばらだったが、私は立っていた。 今日は平日ですか、それとも週末ですか?
イヤフォンにはリズムと規則性のある曲がかけていますが、テクノのようには感じません。なぜこれを聴きたいのかわかりませんが、説明がつかないほど落ち着きます。ヘビーヘビーライトライトライト。この循環。
光の小さなスポットの上に大きな正方形があり、それが蛍光灯の反射だと思ったことがわかりました。私はまだ自分自身を見ることができます。今日は非常に残念ですが、急行列車全くいませんので、各停しか乗れませんでした。現時点では、時間に対する体感は非線形の延長です。駅と駅の間でわずか2分だが、乗れば乗るほど長く感じます。また、車内の一部の人にもっと早く降りようと思ったかもしれません。
だからこそ、今日も多摩川を渡すのは、永遠にかかるように思えます。夜の多摩川を見るよりも、私を吸い込まれる黒い川の水、藍の木、混雑したものではなく、晴れた日で青い空と緑の水の景色をもっと見たかった。
「次は、京王稲田堤。」2つの駅の間をたった1秒しか経っていないようでした。
*
「Monsoon 5、Aキャビンが起動されました。」
頭がめまい、近くに声が聞こえましたが、周りに生き物を感じることはできませんでした。私は天井に向かい、周囲に触れるように手を伸ばしました。サーモスタットから降りようとしましたが、寝るときは快適な服ではなく、個人用の宇宙服を着ていました。
これは巨大なコックピットで、私が横たわった場所はその中央にあり、2台のコンソールで使用されるバックライトは遠くから見ると光るグリッドの組み合わせのように見え、寝ていたところと一つの軸になっています。サーモスタットの前に斜めに窓があり、これが軸の判断の基礎にもなります。どこでも暗い。この3つの場所の外は真っ暗で、霧の暗い海をトレッキングしているかのように足も見えませんでした。軸に沿って、キャビンの一方からもう一方まで、そしてサーモスタットに戻ってみました。それから私はサーモスタットから進み、唯一の窓に向かって歩きました。身体に付いている航空服は肌にぴったりフィットし、そして薄いですが、0に近いかのように知覚をほぼ完全に隔離しています、どんな素材を踏んでいるかは感じられません。
重力と空気循環を維持するデバイスのみがキャビンで鳴っているように見えますが、それらはより隠れた場所に設置されているようです。コックピットの前後の奥行きは長く、機器の向きを大まかにしか特定できません。サンルーフか何かがあれば、少なくとも自分が頭の上の星であることがわかり、自分がどこにいるかを判断できました。
暗闇の中で機械のリズムを聞きます。いいえ、機械はきれいだとは言えません。各コンポーネントは美しい18Kメタルです。少なくとも以前に修理したときは、それを知っていました。
ヘビーヘビーライトライトライト。ヘビーヘビーライトライトライト。
私は窓まで少しずつ移動しました。実際に窓の前を歩いたときだけ窓の大きさを知ることができたので、どれだけ歩いたかさえ知りませんでした。実際はそれほど大きくはなく、おそらく民間旅客機の窓よりも大きくなかったです。そして、私ひざまずいて外を見ないといけない。
外は暗く、窓の端には柔らかい光がありました。暗闇の中には5つの光点がありますが、それらは非常に近いか、遠くにある可能性があり、周囲には何も見えません。私は長い間座って見ていましたが、彼らは何も変えず、元の位置にとどまりました。ちらつきがなく、黄色とオレンジ色の光が重畳されます。私は彼らと一つの軸ではなく、傍観者です。もちろん、私と中央の人が同じ軸上にあり、同じスピードで運転している可能性もあります。私たちは同じ艦隊に所属しています。たぶん。
「Monsoon5、ステータスを報告してください。」
再び目が覚めた音ですが、どこから来たのかは感じられません。人工的な声のようには聞こえず、日本語の音は少し奇妙で、少し急いでいるようでした。
その声は再び英語で繰り返されました。
「私はあなたに近づいていると思います。」
実際、私は何が起こったのかわからないので、さりげなく答えましたが、このメッセージは、私が見ることができる5つの光点の中央から来たと思います。私は彼にもっと近づいているかもしれないし、もっと遠くに近づいているかもしれないと思う。 しかし、話を終えた後、私はすぐに何かが異常であることに気づき、息を止めて音が再び鳴るのを待ちました。
「Monsoon5、ステータスを報告してください。」
彼の話し方はとても馴���みがありますが、私が知っている彼がこのように話さないことを知っているので、彼の日本語はそれよりも優れています。私は窓の中で星や他の光源を探しました。しかし、この窓は小さすぎて他の角度から何も見えませんでした。私の艦隊が非常に明るい星または大きな銀河を通過しない限りで位置を知ることができません。しかし、宇宙の中で素晴らしい風景はよく死と同じ意味しています。
私は窓の開口部にできるだけ近づけて、宇宙服に書かれているもの、予想通り、滑らかで白、私の番号がMonsoon5A見えるようにしました。私はこの船に所属しています。私の体の服はまだ新品で、顔以外の体のあらゆる部分を覆っています。
ただの部屋着じゃん。私が思いました。
「私はあなたに近づいていると思います。」私は再び繰り返しましたが、何の反応もありませんでした。
私は窓を出て正面のコンソールまで歩いたが、コンソールは休眠しているように見え、どこに触れようとしているかのように滑らかな表面に手で触れた。しかし、コンソールは何も反応されていないように見えます。間接照明のみが少し明るくなっただけ。まるで私がこの場所に影響を与えていないかのようです。それから私は慎重に後ろまで歩いた(本当に後ろなのかな)。そこではコンソールは他のものとほとんど同じだった。手で触ると、少し明るくなりました。このスペースが思ったよりも長く、コンソールの後ろにスペースがあるかどうかさえわかりませんでした。
「Monsoon5、繰り返してください。」
「私はあなたに近づいていると思います。」
私はあなたにますます近づいていると思います。私がここにいる理由はわかりませんが、これらのことは私にはとても馴染みがあります。
私の艦隊はかなり明るい星雲の腕を通り過ぎました。艦隊がまたがる距離(推測)は、神の足のように、この光沢のあるものにまたがっており、窓を強く横切っております。星雲自体はかなり大きいかもしれません。元々5つの光点も星雲と融合しました。この星雲の見た目もとても馴染みがあり、どの本の中で、いつ目にしたかを感じますが、口を開けて何であるかわかりませんでした。
やっと少し窓から自分の速度を感じることができるようになりました。 そして、我々はそれを迅速に通過しています。
眠気を感じ、後ろのサーモスタットをちらっと歩いて戻ろうとしましたが、おそらく眠りに飲み込まれたためか、この旅は非常に長くなりました。
「識別、Monsoon5のBキャビンドライバー」
「エラーが検出されました。エラーコード9201。」
「セルフテスト手順を実装します。」
*
もう一つの夢を見ました。ある場所から別の場所に行った後、新しい場所で、こことは非常に異なる非常に長い人生を経験したようでした。
*
それから私は再びコックピットから目を覚まし、目を覚ますのに長い時間がかかりました。 私はすぐにそこから降りませんでした、私は長い間、巨大な立方体であるサーモスタットの上に座っていました。 体の下に巨大な立方体がリズムで呼吸しているのを感じることができます。 ヘビーヘビーライトライトライト。母親が子供と踊ってるような。
私は自分の足でこの場所の距離を測定することにしました。前回と同じルートで、最初に最初のコンソールに行き、次に他のコンソールに行き、サーモスタットに戻り、次窓に行き、サーモスタットに戻ります。 歩数を数えながら歩いた。
サーモスタットから最初のコンソールまで、22歩。 最初のコンソールから他のコンソールへ、80歩。 2番目のコンソールからサーモスタットまで30歩を歩きました。
私は突然、これは良い考えではないかもしれないと思った。 サーモスタットから出発し、17歩で窓に向かって歩き、42歩で窓からサーモスタットに戻りました。 私はこの事実をより確信しています。
このとき、コックピットで同じ音が聞こえました。
「Monsoon5 Bキャビン起動に失敗しました。」
「Monsoon5 Bキャビン起動に失敗しました。」
「Monsoon5 Bキャビン起動に失敗しました。」
「エラーが検出されました。エラーコード9243。」
「メンテナンスチームを転送します。50分間カウントダウンします。」
窓の方を見ると、輝く星雲の腕がゆっくりと窓から消えているのが見えました。
私は再び眠りに落ちました。
*
午前7時、東京郊外に向かっているの京王線です。
私は一番端この席に座り、ベゼルに寄りかかった。驚くほど多くの人が乗っていました。私は今、最も困難な状況を生き延びたと感じています。後ろの多摩川はキラキラと白く、空は淡いサーモン色でした。座席はかび臭いにおいがしましたが、私は気にしませんでした。私は振り返って多摩川を見て、それが私の視野にすぐに消えるのを見ました。これは急行列車で、次の停車駅は京王永山です。
電車のドアの上にあるディスプレイで天気予報をもう一度見ました。
「土曜日の夜、5号モンスーンは関東、東北、東海地域に上陸します。防災の準備をしてください。」
それからどのくらい経ったのかはわかりませんが、ほぼ終わりに近づいているように感じ、次の駅で、一晩中遊んだ人たちと一緒に駅を出ました。
私の終点は駅の外にあります。
ヘッドフォンの音楽はずっと流されています。ヘビーヘビーライトライトライト。ヘビーヘビーライトライトライト。私は軽く歩き、気分がよく。
*
私の周りにはたくさんの人がいます。私は周りにいるもの、それがどれくらい大きいか、それが私からどれだけ離れているかを明確に区別できます。天気は晴れで、これらの日は馴染みがあり同時に、馴染みがありません。梅雨はまだ終わっていません。しばらく着てない短いTシャツを着ていました。そして手首に新しいタトゥーを見つけました。
Monsoon-5Aです。
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星辰選集
花鳥誌 令和5年3月号
令和4年12月号の掲載句より再選
坊城俊樹選
この星辰選集は、私が各月の掲載句の中で、雑詠選・撰集選・さいかち集の成績などに関係なく、改めて俳句としての価値が優れていると判断したものを再度選句したものです。 言わば、その号における珠玉の俳句ということになります。
驟雨去りかまつか終焉の炎 荒木 絹江 燕の巣少し汚して帰りたる 髙木 和子 河口から虹屋へつづく月の道 早川 笑子 もののけに素顔見られぬやう踊る 緒方 愛 穴を出し蚯��一糸も纏はざる 村上 雪 オフィーリアの哀しみ閉ぢぬ秋灯下 大久保 樹 地獄煉獄ダンテの本に知る文月 蒼井 音呼
凝視せるひまはり万の無表情 藤枝 昌文 星飛んで青く浮かみし耶蘇の岬 天野 かおり 朱の鳥居行けば戻れぬゑのこぐさ 栗原 和子 ひまはりを剪り残照に立ち尽くす 尾田 美智子 尻に火の付きたるねずみ花火かな 内田 たけし 狼も獺も絶え星月夜 村山 要 ロック終へ耳鳴りのして今日の月 荒川 静
蟇もうすぐ雨の降り始む 小川 みゆき 缶蹴つて隠れしところ蛍草 村山 弥生 石棺の異教の紋へ秋澄めり 渡辺 光子 星座絵にひと太刀入れて流れ星 鈴木 月惑 学校に行かぬ子と見る後の月 関 とし江 モノクロの記憶に曼珠沙華まつ赤 沢井 真弓 水澄むや雲もいつしか溶けてをり 比嘉 幸子
新豆腐水の重さの掌に 佐藤 ゆう子 帰りには秋灯になり橋渡る 渡辺 幸子 院号の金字悠悠秋彼岸 岡田 順子 小鳥来る恋の足りない西銀座 葛生 みもざ 敗戦忌闇屋パンパン進駐軍 有馬 幸月 ぶらぶらと曲がりくねつた花野道 高山 八草 逆点の悔し涙の大日焼け 富田 みな子
念仏は享保の口伝地蔵盆 吉田 志津子 水澄むや塔たをやかに崩れたる 小林 含香 葛原の中より河の始まりぬ 中里 三句 高き枝にでで虫秋を見てをるか 山川 ます江 亡き母の描く物憂げな秋海棠 柴田 貴薫 ハッブルが内から覗く天の川 野田 勝利
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ざこば・鶴瓶らくごのご お題一覧 1992年 1 過労死・つくし・小錦の脂肪 2 一年生・時短・ニューハーフ 3 レントゲン・混浴・アニマル 4 ゴールデンウイーク・JFK・セクハラ 5 暴走族・かさぶた・バーコード 6 タイガース・母の日・入れ墨 7 目借り時・風呂桶・よだれ 8 しびれ・歯抜け・未婚の娘 9 ヘルニア・目ばちこ・フォークボール 10 造幣局・社員割引・オリンピック 11 父の日・猥褻・丁髷 12 ピエロ・ナメクジ・深爪 13 ミスユニバース・特許・虫さされ 14 魔法使いサリー・祇園祭・円形脱毛症 15 サザエさん・ジャ���ケン・バーゲンセール 16 ト音記号・北方領土・干瓢 17 妊婦体操・蚊帳・ビヤガーデン 18 身代わり・車だん吉・プラネタリウム 19 床づれ・追っかけ・男の涙 20 海月・肩パット・鶏冠 21 放送禁止用語・お年寄り・ピンポンパン 22 おかま・芋掘り・大人げない 23 復活・憧れ・食い逃げ 24 蒲鉾・風は旅人・半尻 25 泉ピン子・ヘルメット・クリーニング 26 美人姉妹・河童・合格 27 スカート捲り・ケツカッチン・秋の虫 28 チンパンジー・フォークダンス・いなりずし 29 稲刈り・小麦粉・フランス人 30 日本シリーズ・鶴瓶・落葉 31 クロスカウンター・学園祭・タクシー 32 付け睫毛・褌ペアー誕生・ツアーコンダクター 33 泣きみそ・ボーナス一括払い・ぎゅうぎゅう詰め 34 静電気・孝行娘・ホノルルマラソン 35 暴れん坊将軍・モスラ・久留米餅 1993年 36 栗きんとん・鶴・朝丸 37 成人式・ヤクルトミルミル・まんまんちゃんあん 38 夫婦善哉・歯磨き粉・夜更かし 39 金の鯱・オーディション・チャリティーオークション 40 ひ孫・いかりや長介・掃除機 41 北京原人・お味噌汁・雪祭り 42 視力検査・フレアースカート・美術館めぐり 43 矢鴨・植毛・うまいもんはうまい 44 卒業式・美人・転た寝 45 らくごのご・浅蜊の酒蒸し・ハットリ君 46 コレラ・さぶいぼ・お花見 47 パンツ泥棒・オキシドール・上岡龍太郎 48 番台・ボランティア・健忘症 49 長嶋監督・割引債・厄年 50 指パッチン・葉桜・ポールマッカートニー 51 同級生・竹輪・ホモ 52 破れた靴下・海上コンテナ・日本庭園 53 シルバーシート・十二単衣・筍 54 ぶんぷく茶釜・結納・横山ノック 55 睡眠不足・紫陽花・厄介者 56 平成教育委員会・有給休暇・馬耳東風 57 生欠伸・枕・短気は損気 58 雨蛙・脱税・右肩脱臼 59 鮪・教育実習・嘘つき 60 天の川・女子短期大学・冷やし中華 61 東京特許許可局・落雷・蚊とり線香 62 真夜中の屁・プロポーズ・水戸黄門諸国漫遊 63 五条坂陶器祭・空中庭園・雷 64 目玉親父・恐竜・熱帯夜 65 深夜徘徊・パンツ・宮参り 66 美少女戦士セーラームーン・盆踊り・素麺つゆ 67 水浴び・丸坊主・早口言葉 68 桃栗三年柿八年・中耳炎・網タイツ 69 釣瓶落とし・サゲ・一卵性双生児 70 台風の目・幸・ラグビー 71 年下の男の子・宝くじ・松茸狩り 72 関西弁・肉まんあんまん・盗塁王 73 新婚初夜・サボテン・高みの見物 74 パナコランで肩こらん・秋鯖・知恵 75 禁煙・お茶どすがな・銀幕 76 ラクロス・姥捨山・就職浪人 77 掛軸・瀬戸大橋・二回目 78 海外留学・逆児・マスターズトーナメント 79 バットマン・戴帽式・フライングスポーツシューター 80 法螺貝・コロッケ・ウルグアイラウンド 81 明治大正昭和平成・武士道・チゲ鍋 1994年 82 アイルトンセナ・正月特番・蟹鋤 83 豚キムチ・過疎対策・安物買いの銭失い 84 合格祈願・パーソナルコンピューター・年女 85 一途・血便・太鼓橋 86 告白・ラーメン定食・鬼は外、福は内 87 カラー軍手・放火・卸売市場 88 パピヨン・所得税減税・幕間 89 二十四・Jリーグ・大雪 90 動物苛め・下市温泉秋津荘・ボンタンアメ 91 雪見酒・アメダス・六十歳 92 座蒲団・蛸焼・引越し 93 米寿の祝・外人さん・コチョコチョ 94 談合・太極拳・花便り 95 猫の盛り・二日酔・タイ米 96 赤切符・キューピー・入社式 97 リストラ・龍神伝説・空巣 98 人間喞筒・版画・単身赴任 99 コッペン・定年退職・ハンドボール 100 百回記念・扇子・唐辛子 101 ビクターの手拭い・カーネーション・鉄腕アトム 102 自転車泥棒・見猿言わ猿聞か猿・トマト 103 紫陽花寺・豚骨スープ・阪神優勝 104 三角定規・黒帯・泥棒根性 105 横浜銀蝿・他人のふり・安産祈願 106 月下美人・フィラデルフィア・大山椒魚 107 鯨・親知らず・ピンクの蝿叩き 108 蛍狩・玉子丼・ウィンブルドン 109 西部劇・トップレス・レバー 110 流し素麺・目高の���尾・向日葵 111 河童の皿・コロンビア・内定通知 112 防災頭巾・電気按摩・双子 113 河内音頭・跡取り息子・蛸焼パーティ 114 骨髄バンク・銀杏並木・芋名月 115 秋桜・ぁ結婚式・電動の車椅子 116 運動会・松茸御飯・石焼芋 117 サンデーズサンのカキフライ・休日出勤・ウーパールーパー 118 浮石・カクテル・彼氏募集中 119 涙の解剖実習・就職難・釣瓶落し 120 ノーベル賞・めちゃ旨・台風1号 121 大草原・食い込みパンツ・歯科技工士 122 助けてドラえもん・米沢牛・寿貧乏 123 祭・借金・パンチ佐藤引退 124 山乃芋・泥鰌掬い・吊し柿 125 不合格通知・九州場所・ピラミッドパワー 126 紅葉渋滞・再チャレンジ・日本の伝統 127 臨時収入・邪魔者・大掃除 128 アラファト議長・正月映画封切り・ピンクのモーツァルト 1995年 129 御節・達磨ストーブ・再就職 130 晴着・新春シャンソンショー・瞼の母 131 家政婦・卒業論文・酔っ払い 132 姦し娘・如月・使い捨て懐炉 133 立春・インドネシア・大正琴全国大会 134 卒業旅行・招待状・引っ手繰り 135 モンブラン・和製英語・和風吸血鬼 136 確定申告・侘助・青春時代 137 点字ブロック・新入社員・玉筋魚の新子 138 祭と女で三十年・櫻咲く・御神酒徳利 139 茶髪・緊張と緩和・来なかったお父さん 140 痔・恋女房・月の法善寺横丁 141 ひばり館・阿亀鸚哥・染み 142 初めてのチュー・豆御飯・鶴瓶の女たらし 143 アデランス・いてまえだへん(いてまえ打線)・クラス替え 144 長男の嫁・足痺れ・銅鑼焼 145 新知事・つるや食堂・南無阿弥陀仏 146 もぐりん・五月病・石楠花の花 147 音痴・赤いちゃんちゃんこ・野崎詣り 148 酒は百薬の長・お地蔵さん・可愛いベイビー 149 山菜取り・絶好調・ポラロイドカメラ 150 お父さんありがとう・舟歌・一日一善 151 出発進行・夢をかたちに・ピンセット 152 ホタテマン・深夜放送・FMラジオ 153 アトピッ子・結婚披露宴の二次会・おさげ 154 初産・紫陽花の花・川藤出さんかい 155 ビーチバレー・轆轤首・上方芸能 156 ワイキキデート・鹿煎餅・一家団欒 157 但空・高所恐怖症・合唱コンクール 158 中村監督・水着��跡・進め落語少年 159 通信教育・遠距離恋愛・ダイエット 160 華麗なる変身・遠赤ブレスレット・夏の火遊び 161 親子二代・垢擦り・筏下り 162 鮪漁船・新築祝・入れ歯 163 泣き虫、笑い虫・甚兵衛鮫・新妻参上 164 オペラ座の怪人・トルネード・ハイオクガソリン 165 小手面胴・裏のお婆ちゃん・ガングリオン 166 栗拾い・天国と地獄・芋雑炊 167 夜汽車・鳩饅頭・スシ食いねぇ! 168 長便所・大ファン・腓返り 169 美人勢揃い・雨戸・大江健三郎 170 親守・巻き舌・結婚おめでとう 171 乳首・ポン酢・ファッションショー 172 仮装パーティー・ぎっくり腰・夜更し 173 ギブス・当選発表・ちゃった祭 174 超氷河期・平等院・猪鹿蝶 175 コーラス・靴泥棒・胃拡張 176 誕生日・闘病生活・心機一転 177 毒蜘蛛・国際結婚・世間体 1996年 178 シナ婆ちゃん・有給休暇・免停 179 三姉妹・バリ・総辞職 180 家庭菜園・ピンクレディーメドレー・国家試験 181 ほっけ・欠陥商品・黒タイツ 182 内股・シャッターチャンス・金剛登山 183 嘘つき娘・再出発・神学部 184 金柑・恋の奴隷・ミッキーマウス 185 露天風呂・部員募集・ぞろ目 186 でんでん太鼓・ちゃんこ鍋・脳腫瘍 187 夢心地・旅の母・ペアウオッチ 188 (不明につき空欄) 189 福寿草・和気藹々・社交ダンス 190 奢り・貧乏・男便所 191 八十四歳・奥さんパワー・初心忘るべからず 192 お花見・無駄毛・プラチナ 193 粒揃い・高野山・十分の一 194 おぃ鬼太郎・シュークリーム・小室哲哉 195 くさい足・オリーブ・いやいや 196 ダイエットテープ・北京故宮展・細雪 197 若い季節・自動両替機・糞ころがし 198 おやじのパソコン・なみはや国体・紙婚式 199 降灰袋・ハンブルグ・乳首マッサージ 200 雪見酒・臭い足・貧乏・タイ米・コチョコチョ・雷・明治大正昭和平成・上岡龍太郎・お茶どすがな・トップレス(総集編、10題リレー落語) 201 夫婦喧嘩・川下り・取越し苦労 202 横綱・占い研究部・日本のへそ 203 マオカラー・海の日・息継ぎ 204 カモメール・モアイ・子供の事情 205 ありがとさん・文武両道・梅雨明け 206 団扇・ボーナス定期・芸の道 207 宅配・入道雲・草叢 208 回転木馬・大文字・献血 209 寝茣蓙・メロンパン・初孫 210 方向音痴・家鴨・非売品 211 年金生活・女子高生・ロングブーツ 212 エキストラ・デカンショ祭・トイレトレーニング 213 行けず後家・オーロラ・瓜二つ 214 金婚式・月光仮面・ロックンローラー 215 孫・有頂天・狸 216 雪女・携帯電話・交代制勤務 217 赤いバスローブ・スイミング・おでこ 218 参勤交代・ケーブルカー・七人兄弟 219 秋雨前線・腹八分・シルバーシート 220 関東煮・年賀葉書・学童保育 221 バンコク・七五三・鼻血 222 ホルモン焼き・男襦袢・学園祭
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%96%E3%81%93%E3%81%B0%E3%83%BB%E9%B6%B4%E7%93%B6%E3%82%89%E3%81%8F%E3%81%94%E3%81%AE%E3%81%94
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1969
Saturday 15 September 2012
上野さんと秦野市の陶芸家宅へ向かったのは、朝7時15分。
アーティ21スペシャルは、すこぶる調子良く高速を走り1時間で着いた。
おはようございますの挨拶の後、先ずはおしゃべりを楽しんでから撮影を開始した。
今日のライトは、蛍光灯4本。いつかこういう撮影があると見込んで準備していたことが功を奏した。上手くいった。ランチは、ボヴェさんの手作りカレー。センスのあるランチだった。そしてまた撮影をして程良いところで休憩。撮影は、7時過ぎに無事終わりその後軽い食事を済ませ、また3人でおしゃべり。団塊の世代と話すのはとっても楽しい。興味深い話がドンドン湧いて来る。
小野田少尉の話を僕が始めると小野田少尉を見付けた青年を知っているとボヴェさんがその青年が書いた本を見せてくれた。その本には、ボヴェさん宛にサインがしてあった。シンクロとまでは言わないがまた"道しるべ"が見付かった様な気がした。
9時過ぎにおいとまして、その後上野さんをJR二宮駅まで送って僕は、東名まで戻って静岡まで。下で行くとまた箱根越えをしなければならなく今日は違うなと判断。
11時過ぎに茶畑庵に到着すると帰りの車の中で考えていた通り玄関を開けるなり即効布団の中に入り寝た。やることは沢山あったが明朝やればなんとかなると思って。
この日記は、その明朝(9/16)に書いた。なんとかなった。
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懐かしの飯能アルプス:西側
前回の東側から1ヶ月空きましたが、9年半前に登山道具を揃えて2度目の靴慣らしで歩いた、懐かしの縦走ルートを歩いて来ました。
その時は伊豆ヶ岳→子ノ権現でしたが、今回は少し大回りして旧正丸峠→伊豆ヶ岳→子ノ権現→栃屋ノ頭→前坂。 前回の東側と合わせて、これで一応、飯能アルプス全制覇。
7:08着の電車ということもあってか、降りたのは私を含めて4名のみ。 夜から雨予報だし、晴れ予報の明日登る人が多いのかな?
正丸駅から伊豆ヶ岳へは4パターンほどのルートがありますが、今回は唯一未踏の旧正丸峠ルート。 他の3ルートは駅の改札を出て右手の急階段から馬頭観音の分岐へ向かいますが、今日は駅前の駐車場から左手へ出て、国道299沿いを暫し進み、分岐で集落の方へと下ります。
集落のどん詰まりの登山口から沢沿いを暫く歩いて、一旦車道へ。
車道を左手へ50mほど歩いたら、カーブミラーの脇にある狭い登山道へ。
九十九折りの杉林を登った先に、旧正丸峠がありました。
正丸峠へは、この長い木段を上らねばなりません…。フゥ〜
階段と尾根を歩いた先に、川越山がありました。 関係ないけど、「虚空蔵峠」って文字を見て、朝ドラ「カムカムエブリバディ」の虚無蔵さんを思い出してしまうのは私だけでしょうか。
この辺りの尾根からは、10月に歩いた武甲山や
9月に歩いた横瀬二子山などが見えました。
正丸山に到着。
次は正丸峠ってことで、峠は鞍部だから下るよね…。
峠の手前には、休憩広場がありました。 一段下がったところにも、同じ造りのテーブルセットが2基。 この辺りにトイレがあると、奥村茶の営業日に関係なく逆周りでも安心なのにな〜
更にこの急階段を下って車道に出れば…
正丸峠に到着!
正丸峠には奥村茶屋があります。本日は営業中。 この茶屋の裏は何度も通っていますが、立ち寄ったことはありません。 で、登山道へはこの建物の右脇(車の右脇)から。
正丸峠からは知った道なので、写真もそこそこにさっさか進みます。 小高山、720m。ちなみにこの先には大高山もありますが、巻き道でスルー。
正丸峠までは貸し切りの登山道でしたが、この辺りからソロの方が何人か。
またもや長〜い木段。 前方にはヘルメット持参のグループが。男坂に行くんでしょうね。
赤土の滑る坂などを上って、お馴染みの五輪山に到着。 木曜に歩いた人の活動記録では火曜の雪がしっかり残っていたので、一応チェスパを持参しましたが、どうやら不要みたいですね。 昨日一日でこんなに綺麗に溶けたとは…ちょっとビックリ。
男坂と女坂の分岐。前方にいた皆さんは、やはり男坂へ。 鎖場大好きな私としては「女は黙って男坂!」と行きたい所だけど、ソロだし、今日はヘルメット無いし、先も長いし…とゴニョゴニョ言いながら回避。
女坂は半年前同様に一部崩落中なので「男坂と女坂の中間にある道」という、そのまんまの名前の道へ。
こちらもお馴染みの伊豆ヶ岳。851m。
山頂にはアセビ(馬酔木)が咲いていました。 ここで、南紅梅のオニギリをパクリ。
前回、武川岳(山伏峠方面)に向かう筈が、うっかり年配ご夫婦の奥様とのお喋りに夢中で見落とした分岐。 今回は、天目指峠(あまめざすとうげ)方面で間違いなし!
急坂を下り、尾根道を暫く歩くと古御岳(こみたけ)のシルエットが…。
なかなかの急坂を登り切り、古御岳に到着!830m。 昔来た時は、あまりの暑さと疲労で連れのMちゃんとここで険悪ムードになって、子ノ権現までの長い道のりを殆ど無言で歩いたなぁ(その先は楽しくお喋りしながら歩きましたよ)。 今となっては懐かしい思い出だけど、ここは初心者が9月に歩く道じゃなかった模様。 今日は遠回して来てるけど、気温が低いからか現時点でも割と元気。 ホント、無知って恐ろしい…。
山頂には、その当時には無かった東屋とベンチがありました。
古御岳からは急坂と平坦な道の繰り返しでしたが、何となく勢いが止まらなくなってかっ飛ばしてしまいました。 高畑山、695m。だいぶ標高が下がりました。 本日も前回の陣馬山→高尾山同様、下り基調のルートです。
高畑山にもベンチが4基ほどあり、伊豆ヶ岳と古御岳がよく見えます。
高畑山を入れ違いで出発された年配グループに追いつきました。 こんな開けた道、あったかしら?変わった形の鉄塔も。
中ノ沢頭にも寄り道。 何も無い狭い山頂なので、巻き道でスルーするのもアリ。
天目指峠の手前にあったベンチで、ランチタイム。 とは言え、さっきのオニギリから2時間しか経っていないのでリゾットだけに。 エビのビスクポタージュにミックスベジタブルと芝エビを足してきました。 今日みたいな寒い日は、スープジャーが大活躍!
ベンチから2分ほどで天目指峠。 峠攻めのスポーツカー、ロードバイク、トレイルランナー、ハイカーと、皆さん思い思いに峠を満喫していました。
ここからも激しいアップダウンの連続。 特にこの辺の小岩と根っこの絡み合った溝状の道が歩きにくかった〜。
途中をだいぶ省略して、愛宕山に到着。岩の上には小さな祠も。 子ノ権現天龍寺の鐘の音が聞こえます。
子ノ権現の手前の梅園。 3月も終わりですが、まだまだ綺麗に咲いていました。
更に寄り道して、話題の白い手のオブジェへ。来迎印の形なんですね。 みんなが掌に座って写真を撮るからか、結構汚れてますね…。
昔来た時は、疲れ過ぎていて素通りしてしまった本堂にもお詣りしました。 この大草鞋も大下駄も見なかったなぁ…。
この仁王像の前で同じポーズで写真を撮ったのは覚えてる! でも、こんなカラーリングじゃなかった気がするけど…。
売店裏の公衆トイレは相変わらず和式の汲み取り式ですが、以前より各段に綺麗になっていて入りやすかったです。 今回は紙も手洗水もありました。山の中のトイレ、ありがたや〜。
時間に余裕があったので、阿字山にも寄り道。 阿字山の中腹には大きめの東屋もあります。
子ノ権現の駐車場で、年配の男性から声を掛けられました。 「私と同年輩の男女混合グループに会わなかった?」 あ、高畑山から追い抜いた人達のことですかね? この方、車でお迎えに来られたそうです。 そう言えば前回、天目指峠でバスに乗り込むツアー客に羨望の眼差しを向けた事を思い出しました。 今回はここからが後半戦のメインイベントなので、そんなことは思わなかったけど。 成長したな〜、自分。
ちなみに、後半の栃屋ノ頭へのバリエーションルートへの入口は、この駐車場の先にある看板の右脇。
坂道のカーブの途中から右下へヘアピンカーブで入るので、見逃しがちです。 (私も1回見落として舗装道路を少しだけ茶屋方面へ下り掛けました)
バリエーションルートとは言え、このように小さいながらも要所要所に標識は出てくるので、それらを見落とさないように歩きます。 ただ、全体的に道の下の方にあるので背の高い人だと見落とすかも…。
ちょっとルートを外れて、小山の上の「山の神」に本日の無事を祈願しに。
六ツ石ノ頭。570m。 小さめの岩が複数、狭い山頂に嵌まっていました。 きちんと数えたら6つあったのかしら?
さてさて、本日最大の寄り道選択肢、堂平山への分岐。 どうする?2度と来ないかも知れないし、どうせなら寄っとく? 貧乏性な私は寄り道を選択。
しかし、鞍部までの急坂を降りて早くも後悔。 結構ガッツリ登り返す感じですよね、コレ…。
しかも堂平山の山頂には何も無し。 標高も520mなのか530mなのか今ひとつハッキリしないし。 そして杉だらけの丸い山頂なので、うっかりすると来た方向を見失いそう…。 (ちなみに、この看板に背を向けて直進すれば、登山道に戻れました) そう言えば山梨の丸ツヅク山もこんな感じでロストしかけたな〜。
遭難しないよう、下山口付近の倒木に腰掛けて残りの鮭オニギリと焼き芋をパクリ。 風が強く、木々がざわめく音と枝が擦れるが少しだけ不気味でした。
先ほどの分岐へ戻り、さらに進むと大高沢山。510m。 左側のスズメバチの巣みたいなのは、大隆瘤というコブだそうです。
この先は、椿が多く自生していました。 流石にそろそろ終わりですね…。
尾根沿いをズンズン進むと、マユ玉の頭。 貝殻茸の一種でしょうか?木の幹にキノコがビッシリ!
そして後半の目的地、栃屋の頭に到着!522m。 このルート、「〜の頭」だらけ。
虎ロープに囲まれた狭くて危険な山頂ですが、見下ろすと採石場と池が見えます。
少し下った先にはダンコウバイ(壇香梅)も。
その先は、ロープ無しでは下れないであろう急坂(下ってから撮影)。 本日1番の難所と言っても過言ではありません。
採石場が近いので「発破実施注意」の看板が。 それにしても、奥武蔵は採石場が多いなぁ。
一旦車道に降りると、雨がポツポツ。 あれ?まだ14:00なのに…。予報では夜からで、この辺は降らないはずでは? とりあえず木の下なら濡れにくいだろうと、急いで山道へ逃げ込みました。
おっと、こんな高い所に吊された案内標識が。
1ヶ月ぶりに、前坂に到着! この先は先月と同じなので省略。吾野駅を目指して小走りで駆け下りました。
登山口のある墓地と駅の間にある吾野湧水。
その左下に、前回は見逃した駅への近道、線路を潜る長い地下道。 「暗いよ狭いよ怖いよ〜!」という面堂終太郎の声が聞こえてきそう。 しかし入口右脇に蛍光灯のスイッチがありますのでご安心を。 (前をゆく3人組は真っ暗な中を歩いて行かれました)
1ヶ月ぶりに、吾野駅にとうちゃこ〜! 16.1km、標高差は上り1,537m下り1,651mでそこそこハードでしたが、 今回は標準コースタイムの2.5時間巻きで膝の痛みも無し。 トレッキングポール無しでも、だいぶ歩けるようになりました。 (膝の御守りとして、今後も背負って歩きますけどね)
#飯能アルプス#川越山#正丸山#小高山#大蔵山#五輪山#伊豆ヶ岳#古御岳#高畑山#中ノ沢の頭#愛宕山#子ノ権現#阿字山#久々戸山#六ツ石ノ頭#大高沢山#堂平山#高反山#栃屋ノ頭#前坂#奥武蔵#縦走#飯能市#埼玉県#3月#単独
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【劇評】【レポート】どこにもない演劇のまち、西和賀:東北の湖畔の町で見た演劇の風景
第26回 銀河ホール地域演劇祭(2018/09/01-09/02) 片山 幹生
〔西和賀町文化創造館銀河ホールの空撮。手前は錦秋湖〕
岩手県と秋田県の県境、奥羽山脈のただ中にある西和賀町は人口5000人ほどの小さな町だ。この町には客席300ほどの公営の劇場、西和賀町文化創造館 銀河ホールがある。この劇場では1993年の開館以来、毎年地域演劇祭が開催されている。第26回銀河ホール地域演劇祭は2018年9月1日(土)と2日(日)に開催され、4団体4作品が上演された。今回上演された4作品はすべて宮沢賢治の作品だった。本稿ではこの4作品の舞台評のほか、銀河ホールというユニークな地方公共劇場の活動と地域演劇祭の様子について紹介していきたい。
劇団あしぶえ『セロ弾きのゴーシュ』
〔劇団あしぶえ『セロ弾きのゴーシュ』〕
銀河ホール地域演劇祭の最初の演目は、島根県松江市の公設民営劇場〈しいの実シアター〉を拠点する劇団あしぶえの『セロ弾きのゴーシュ』だった。あしぶえは2016年に創設50年を迎えた長い活動歴を持つ劇団だ。『セロ弾きのゴーシュ』はあしぶえが28年にわたって上演し続けている劇団の最重要レパートリーであり、アメリカ、カナダの演劇祭でいくつかの賞を受賞している。
『セロ弾きのゴーシュ』の筋立てはごくシンプルなものだ。しかしあしぶえの公演ではそのシンプルな物語が、ミニマルな舞台美術とストイックな演出によって、さらに研ぎ澄まされたものになっていた。徹底的に磨き抜かれた鉱物の結晶のような美しさを持つ舞台だった。張り詰めた緊張感が最初から最後まで維持され、冗長さはまったく感じられない。
自尊心を徹底的に打ち砕かれ、絶望で自暴自棄の状態に陥りそうになりながら、ぎりぎりのところでゴーシュは破滅への転落をまぬがれた。夜中にゴーシュの家にやってきた何匹かの動物の前で演奏することで、ゴーシュのセロは上達し、自尊心を回復する。次の演奏会でゴーシュはそれまで自分を罵倒していた指揮者から賞賛を受ける。彼はそれまで自分がどれほど傷ついていたことさえ気がついていなかった。演奏会が終了し、帰宅して一人になったときになってはじめて、ゴーシュは自分を絶望の淵から救い出してくれた動物たちの無償の優しさに気づく。
劇の最後で彼の口から漏れる感謝の言葉の真実に、私は強く心打たれた。
俳優の表現のあらゆるディテールにまで注意が払われていることが感じとることができた舞台だった。きびしくコントールされた俳優の演技は、ゴーシュの情念の動きを精密に、ダイナミックに描き出している。ゴーシュの絶望ともがき、いらだちが、舞台から豊かなニュアンスとともにまっすぐ観客席に伝わってくる。ゴーシュ役の俳優の演技にひきこまれ、観客の多くはゴーシュの重苦しさを共有していたに違いない。
なぜゴーシュが動物たちの出会いによって停滞から抜け出せすことができたのか、動物たちはなぜゴーシュの家にやってきたのか、そしてゴーシュが最初にやってきた猫に対して謝罪しなかったのはなぜなのか。いくつもの「なぜ?」に対する回答はあしぶえの舞台でも宙ぶらりんのまま提示されない。『セロ弾きのゴーシュ』はハッピーエンドの物語だろうか。ゴーシュに感情移入していた観客は、ゴーシュの演奏の成功にカタルシスは感じた者もいるだろう。終幕のゴーシュは確かに絶望からの解放を味わっていた。しかしその解放感は愚かで未熟な自分へのいくばくかの悔恨を伴っている。彼は喜びよりは、深い虚脱感をあのとき味わっていたのではないだろうか。そんなことを感じさせる演出だった。
物語を舞台化するにあたって、雑多な情報を持つ俳優の身体や舞台空間が、作品を過剰に説明的なものにし、そのノイズによって語りの持っていた本質的な魅力を損なってしまうことがままある。あしぶえの『セロ弾きのゴーシュ』は、これとは逆だ。俳優の存在と舞台空間の抽象性が、物語の純度をさらに高め、作品に内在する象徴性を際立たせることに成功している。ほぼ唯一の具象的美術であるチェロの存在が、この舞台ではなんと雄弁なことか。28年に渡る上演のなかでテクストと真摯に向かい合ってきたからこそ、到達することができた表現の逆説だろう。強くて美しい舞台だった。(9月1日14時開演@銀河ホール)
劇団田中直樹と仲間たち『水仙月の四日』
〔劇団田中直樹と仲間たち『水仙月の四月』〕
地域演劇祭、二本目は西和賀在住の〈田中直樹と仲間たち〉による『水仙月の四日』を見た。この公演は田中ひとりよって語り、演じられる人形芝居だった。
田中直樹はもともとは地元の劇団ぶどう座に所属していたが、考え方の違いからぶどう座を離れ、ソロで公演を行っていると聞いた。会場は銀河ホールに隣接するUホール。Uホールの建物は円錐形のとんがり屋根と赤い壁の可愛らしい建物で一階は図書館になっている。二階のUホールは円形平面で、リハーサル室・会議室として利用されている場所とのこと。観客は床に座って見るが、今回の公演では後ろの壁際に何脚かパイプ椅子が用意されていた。
『水仙月の四日』は吹雪の一夜を雪原でやり過ごす少年の話だ。舞台が始まる前に田中から、タイトルの「水仙月」と作品冒頭で出てくる「カリメラ」という語についての説明がある。これらの語はいずれもは宮沢賢治の造語で、水仙月は2月から3月の雪深く寒い時期、「カリメラ」は「赤砂糖を一つまみ入れて、それからザラメを一つまみ入れる。水をたして、あとはくつくつくつと煮る」とテクストにあるので、おそらく「キャラメル」を指す。
『水仙月の四日』は日本有数の豪雪地帯であるこの付近の人々にとっては、とりわけその情景がはっきりと思い浮かぶ作品に違いない。田中直樹は赤いケット(毛布)をかぶった少年とその少年を見守る雪童子を15センチほどの小さな人形に演じさせた。これに対して吹雪のアレゴリーである雪狼は人間の顔と同じくらいの大きさの仮面、そして大吹雪のアレゴリーの雪婆は人間をすっぽり覆い尽くす大きさの紙製の面で表現していた。雪婆が登場する場面では照明が暗くなり、蛍光ライトで雪婆の巨大な顔が白く照らし出される。小さい子供たちは狭い舞台を走り回る雪狼と雪婆を怖がっていた。
少年と雪童子を小型の人形にしたことで、白くて厳しい大自然に翻弄される人間の様子が強調された。また白い美術のなかでの少年の着た鮮やかな赤のケットの色彩の対比も印象的だった。小品だが配慮のいきとどいた工夫の数々によって、大人の観客も子供の観客も異世界に誘う、優れた演出の公演だった。人形と紙製の大きなオブジェ、紙吹雪といった材料はこの作品の上演を考えると定番的な素材だが、そのスペクタクルが作り出す幻想は、宮沢賢治の物語を冗語的に説明するのではなく、その語りの美しさをより印象的に引き立てるものになっていた。(9月1日15時半開演@Uホール)
栗田桃子(文学座)ソロ朗読劇『銀河鉄道の夜』
〔栗田桃子(文学座)ソロ朗読劇『銀河鉄道の夜』〕
銀河ホール地域演劇祭の二日目(9/2)の最初の演目は、文学座の栗田桃子によるソロ朗読劇『銀河鉄道の夜』だった。
会場は銀河ホール。舞台にはいくつものキャンドルが並べられ、中央に椅子が一脚置かれている。背景には静止画の映像が映し出される。栗田はときおり、椅子を立ったり、座ったり、あるいは歩き回ったりしながら、声色で人物を演じ分けて朗読する。
動きもスマートだし、朗読も達者ではあるが、その動作や声色の変化がことごとく定型的で、テクストに書いてあることをそのまま冗語的、説明的になぞっているに過ぎない。テクストの記述に反射的に反応するような中途半端な工夫は、かえってテクストの世界を矮小化し、観客が世界に入り込むことを妨げてしまう。あれなら座ったまま普通に読んだほうがまだ聞き手の想像力を刺激することができるだろう。広い間口の舞台で栗田の芝居が空回りしていた。栗田桃子という魅力的な女優を使った朗読劇がこんなありさまなのはいかにももったいない。演出家あるいは演者の作品に対する思い入れや独自の解釈などを感じとることができない退屈な朗読劇だった。「朗読劇ってこんなものだろう」という演出家の作品に対する取り組みの甘さを感じてしまう。
演出の単調さと照明の暗さで、五分もすると猛烈な眠気の波が襲いかかってくた。私の周囲の観客にも観客も落ちていた人がかなりいた。公演後のアフタートークで宮沢賢治記念館の学芸員と演出の西本由香の話があったが、このアフタトークでも西本の話ははなはだ曖昧模糊としていて、学芸員の語る興味深いエピソードとの対比で、演出家の作品への関心の薄さが露わになっていた。(9月2日14時開演@銀河ホール)
劇団ぶどう座『植物医師』@ぶどう座稽古場
〔劇団ぶどう座『植物医師』〕
銀河ホール地域演劇祭で最後に見た演目は、この地を拠点に1950年以降活動を続けているぶどう座の『植物医師』だった。これは他の上演作品のような翻案ではなく、宮沢賢治の書いた短編戯曲の上演だ。私はこの戯曲を読んだことがなかったし、上演を見たことがなかった。ぶどう座は、近年は主宰の川村光夫が高齢(現在96歳)のため実質的に引退状態で、かつてと比べると活動力が大幅に衰えているという話を聞いていたのが、この『植物医師』の公演はその衰退ぶりを感じさせない充実した内容の公演だった。
〔ぶどう座稽古場〕
公演会場は1960年代に建てられたというぶどう座の稽古場である。まさに芝居小屋といった風情の公演会場に、芝居が始まる前から心が浮き立つ。稽古場は北上線の踏切のすぐそばに、踏切の番小屋のように建っている。舞台の間口は6メートルくらいか。舞台奥の壁はさまざまな色の大きな布で覆われている。客席は板間平面と三、四段の段状、詰めれば40人ぐらいは座れると思う。
芝居の始まる前に、劇のオープニングで歌われる宮沢賢治作詞の《花巻農学校精神歌》の練習があった。観客もこの歌を一緒に歌うようにうながされる。これは楽しい趣向だった。
『植物医師』は上演時間30分ほどの小篇だ。岩手のとある村に《植物医師》を名乗る人物が引っ越してきて、植物病院を開業する。しかしこの植物医師の専門家としての知識はどうもいい加減なもののようで、いかにもうさんくさい人物だ。開業した植物病院に村人たちが次々とやってきて、枯れてしまった稲の治療法を訪ねる。植物医師はでまかせのいい加減な対処法を村人たちに伝え、お金を取る。いんちき治療法で易々とお金を稼いだ植物医師だが、彼の処方では稲の被害は収まるどころか、ますます拡大していく。村人たちが医院に戻ってきて植物医師を詰問する。植物医師は口舌でなんとかそれらの非難を丸め込もうとするが、最後には言い返す言葉もなくなり、村人たちの怒りの言葉にうなだれてしまう。善良でお人好しの村人たちはうなだれた植物医師を見て、彼に同情しはじめる。そして先ほどまでの怒りを収め、植物医師を許すのだ。その許しの言葉は、植物医師にとっては怒りにまかせた批判の言葉よりもはるかに重く感じられた。植物医師はますます打ちひしがれてしまう。
〔ぶどう座稽古場内部〕
村人たちが入れ替わり立ち替わり植物医師のもとを訪れ、アドバイスを求める場面では、民話によく見られる同種のやりとりの反復とそのエスカレートが、笑いの効果を作り出している。岩手弁のユーモラスな響きがさらに場面の喜劇性を高めていた。不正に対する怒りと非難よりも、不正に行った人間への大らかな優しさと許しこそが力を持つという宮沢賢治らしい倫理が結末で提示されるが、最後の場面の急転が作り出すドラマの力強さと素朴さに心打たれた。村人たちの許しのことばが発せられるたびに、かがんだ体がどんどん下がり、苦悶と戸惑いの表情が深くなっていく演出と演技は見事だった。
芝居小屋の雰囲気もこの作品の上演にいかにもふさわしいものだった。まさに岩手で岩手の人たちによって演じられることによって、この『植物医師』はいっそう味わい深い作品となっていた。この地でのぶどう座の活動の歴史が染みついた稽古場で、この作品を見られて本当によかった。
終演後には稽古場内で打ち上げがあり、私も短い時間ではあったが、出演メンバーとぶどう座の旧メンバーの方々と座を囲んだ。『植物医師』は主宰の川村光夫演出でもかつて公演をおこなったが、それは27年前のことだと言う。今回の公演の演出を担当した菊池啓二さんに「今回の上演は川村さんの演出を蹈襲したものなのですか?」と聞くと「いや、前の上演はもうだいぶ昔の話で、私も見ていないし。まあ川村風にはやりました(笑)」と仰っていた。
今回のキャストには二十歳台の青年も二名参加していた。彼らは昨年から活動を始めた銀河ホール演劇部の部員だと言う。銀河ホール演劇部は、アートコーディネイターの小堀陽平氏の主導で昨年から活動を始めたサークルだ。小堀さんは「ぶどう座の表現は、この地域の人たちの身体と言葉、感覚に根ざしたものなので、銀河ホールで演劇部を作って活動をはじめましたが、外からやってきた僕たちが作る演劇が、ぶどう座を引き継ぐものにはなり得ないように思うのです。やはりぶどう座は土地の人が継承していくものだと考えています」というようなことを言っていたが、実際に公演を見るとそれが実感できる。
地域演劇祭の締めくくりでこの公演を見、そして短い時間ながらぶどう座の人たちと交流の時間を得ることがでいたのは私にとってはとても有意義なことだった。(9月2日17時開演@ぶどう座稽古場)
地域演劇祭と西和賀町文化創造館 銀河ホールの活動
〔銀河ホール(後側)とUホール(手前側)〕
西和賀町文化創造館 銀河ホールのことを私が知ったのは二年ほど前のことだ。この劇場が、年に一度の地域演劇祭のみならず、地域に根ざした様々な演劇活動を積極的に行っていること、この地を本拠とする60年以上の伝統を持つぶどう座という劇団があること、劇場の活動の軸となっているのが東京出身で日芸OBのまだ若い青年であることなどを知ったことで好奇心をかき立てられ、いつか訪ねてみたいと思っていた劇場だった。演劇は都市のものという固定観念があった私にとって、東北の山間にある小さな劇場で多彩な演劇活動が行われていることが驚くべきことのように思えたのだ。
銀河ホールはJR北上線ほっとゆだ駅から歩いて数分のところにある。ほっとゆだ駅は北上駅から50分ほど。東京駅から北上駅までは東北新幹線で2時間半から3時間かかるので、東京からだと4時間ぐらいで銀河ホールに行くことができる。地図からの印象より案外近く感じられる。
〔北上線ほっとゆだ駅。駅舎に公衆温泉が附属している〕
西和賀町文化創造館は、銀河ホールのある本館とUホールの別館からなっている。約三百席の銀河ホールの客席はゆったりとしていて、舞台までの距離も遠くない。暖かみのある落ち着いた木製の内装で、芝居を楽しむには理想的な空間だ。劇場の背景に広がるダム湖、錦秋湖の風景が美しい。錦秋湖の湖畔には、野外ステージもあった。
〔銀河ホールの裏手にある野外湖畔ステージ。後ろは錦秋湖〕
人口5000人程度の自治体でこんな立派な公共劇場を持っているところはそんなにないのではないだろうか。西和賀町で演劇が特権的な文化活動になっているのは、この町で60年以上活動を続ける劇団ぶどう座の存在に負うところが大きい。ぶどう座は川村光夫という優れた演劇人のもと、地域演劇の担い手として充実した活動を行い、戦後日本演劇史に重要な足跡を残した。このぶどう座の活動実績があったからこそ、銀河ホールという公共劇場の建設が可能になったのだ。
西和賀町文化創造館(当時はゆだ文化創造館)は1993年に開催された〈第8回国民文化祭いわて’93 〉の会場として建設された。この国民文化祭を兼ねたかたちで〈第1回銀河ホール地域演劇祭〉が行われ、以後、地域文化祭は毎年秋に開催されている。当時、湯田町(2005年に沢内村と合併して西和賀町となる)の役場の職員で、この劇場運営の中核だった新田満氏に話をうかがったのだが、開館から2000年代半ばまでの銀河ホールの活動は目覚ましいものがある。毎年の地域演劇祭の開催のほか、町民を対象とした演劇学校、小中学校での音楽劇制作、行政的区画を超えた高齢者による演劇公演、そしてロシアとアメリカの演劇人を招聘し三週間にわたって行われた大規模な国際的演劇交流事業など、地方の小さな町の公共劇場としては���異的な活動を展開していく。
しかしこの初期の黄金時代は、こうした活動に熱意をもって取り組んできたキーパーソンの退職とともに終焉を迎える。地域劇団として銀河ホールの活動に大きな影響を持っていたと思われるぶどう座も、主宰の川村光夫の高齢化とともに、活動力が低下していった。おそらく湯田町が沢内村との合併で西和賀町となり、役所内の組織にも大きな改編があった2005年以降、銀河ホールの活動は停滞期に入ったように思われる。
〔銀河ホール内部〕
西和賀が演劇のまちとして再活性化しはじめるのは2011年以降のことだ。きっかけは2012年以降現在まで継続的に行われている《ギンガク》という学生演劇合宿事業だ。この事業の立ち上げで中心的な役割を果たしたのが、当時、日芸の大学院生だった小堀陽平さんだ。今回の滞在では小堀さんからも彼と西和賀町との関わり、銀河ホールの活動について話を聞いた。
彼は2014年以降、地域おこし協力隊の一員として西和賀町に移住し、《ギンガク》の活動のみならず、銀河ホールを核としたさまざまな演劇事業を企画・遂行していく。地域おこし協力隊の3年の任期が終了した2017年度以降、西和賀町は「銀河ホール アートコーディネーター」という職を小堀さんに用意し、彼は西和賀の嘱託職員として採用された。町の彼に対する信頼と期待の大きさがうかがわれる。
アートコーディネイターとして彼が担当する業務は文化事業全般に関わるものだが、演劇に関わる事業としては、地域演劇祭のほか、学生演劇の合宿《ギンガク》、小中学校での公演・ワークショップ、高校演劇アワード、地域中学への演劇指導、銀河ホール「演劇部」の活動、そして貸し館業務など多岐にわたっている。今後やりたい事業としては、シニア演劇、温泉・観光と組み合わせたイベント、アーティスト・イン・レジデンスなどを挙げていた。
ほっとゆだ駅から銀河ホールにかけての道に「どこにもない演劇のまちをつくろう」と書かれたのぼりが立ち並んでいるが、町外からこの町にやってきた地域おこし協力隊の青年たちがもたらす刺激によって、西和賀は演劇のまちとして新たな一歩を踏み出そうとしている。
第26回銀河ホール地域演劇祭
2018年9月1日(土)- 9月2日(日)
会場:西和賀町文化創造館(銀河ホール・Uホール)/劇団ぶどう座稽古場
主催:銀河ホール地域演劇祭実行委員会
後援:西和賀町観光協会・西和賀町芸術文化協会・西和賀町教育委員会
総合舞台監督:内山勉
テクニカルスタッフ:アクト・ディヴァイス
宣伝美術:髙野由茉 小堀陽平
特別協力(記録撮影):森山紗莉
劇団あしぶえ/島根『セロ弾きのゴーシュ』
9月1日(土) 14:00~@銀河ホール
出演:松浦 優海、門脇 礼子、上田 郁子、有田 美由樹、伊達 生、有田 美由樹、門脇 礼子、原田 雅史、上田 郁子、川村 真美、牛尾 光希、岩田 和大
演出:園山 土筆
舞台/照明:稲田 道則、岡本 敦、門脇 礼子、長見 好高、原田 雅史
音響:福井 健吾 前村 晴奈
小道具:上田 郁子
衣装:有田 美由樹 川村 真美
制作:前村 晴奈
劇団田中直樹と仲間たち/西和賀『水仙月の四日』
9月1日(土) 15:30~ 総入替え2回上演@Uホール
出演:田中 直樹、田中 宏樹
演出/美術:田中 直樹
照明:小堀 陽平(銀河ホール)
雪布操作:田中 真理子
協力:湯田ドライブイン
栗田桃子(文学座)ソロ朗読劇/東京『銀河鉄道の夜』
9月2日(日)14:00〜@銀河ホール
出演:栗田 桃子(文学座)
演出:西本 由香(文学座)
照明:賀澤 礼子(文学座)
映像・音響:西本 由香(文学座)
美術:米澤 純(Jun's Light Candles)
劇団ぶどう座/西和賀『植物医師』
出演:真嶋 実、池田 慣作、菊池 啓二、高橋 節子、高橋 守、三浦 勇太
演出:菊池 啓二
舞台美術:内山 勉、新井 真紀
音響/照明:真嶋 陽
小道具:髙野 由茉
●片山 幹生(かたやま・みきお)1967年生まれ。兵庫県神戸市出身、東京都練馬区在住。WLスタッフ。フランス語教員、中世フランス文学、フランス演劇研究者。古典戯曲を読む会@東京の世話人。
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