#小伝馬町美容室
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Recommended Books 【京都・Kyoto】
&Premium特別編集 まだまだ知らない京都、街歩きガイド。 (MAGAZINE HOUSE MOOK) 雑誌 – 2024/8/6
マガジンハウス (編集)
雑誌「&Premium」発、人気の京都ガイド第5弾! 混雑する観光地から離れて、暮らす人だからこそ薦めたい15のエリアと8つのテーマ、全316軒を紹介します。 ■大和まこの京都さんぽ部 暮らすように歩く、京の街
【紹介エリア・テーマ】 静かに過ごす時間/七条通/四条南/御所南再訪/自分みやげ/叡電/現地系中華/老舗の味/賀茂川/河原町松原/栗の菓子/鹿ヶ谷通/アペロの時間/二条城南/東大路通/冷泉通/吉田&聖護院/壬生/整える/北野天満宮界隈/栗の菓子2/御所西再訪/京丹後
女人京都 ペーパーバック – 2022/9/28
酒井 順子 (著)
京都に通い続けるエッセイスト・酒井順子による、全く新しい視点から切り取った京都エッセイ&ガイド。 女性の生き方、古典、旅、文学など幅広く執筆活動を行う著者が、小野小町、紫式部、清少納言、日野富子、淀君、大田垣蓮月、上村松園など歴史上の女性たち43人の足跡をたどる旅に出た。
「京都の中でも、京都らしさを最も濃厚に抱いている存在は、名所旧跡でも食べ���でもなく、京都の『人』なのではないかと私は思います。(中略)京都の都会人の中には、今も、平安以来続く都会人らしさのしずくが、滴り続けているのです。」(「はじめに」より)
京都に暮らした女性たちの生き様を知ることは、現代の京都の人々、そして京都の街を知ること。 この本を片手に歩いてみると、平安時代の遺構がそのまま残っているところもあれば、貴族の屋敷が今は児童公園になっていたりすることにも気づく。京都の通りを上ル下ルし、西へ東へと歩き回り、時代を行ったり来たりして、新たな旅の提案を教えてくれる。 この本を読むと京都の歴史や文学がぐっと身近になること間違いなし。
京都散策に便利な地図付きです。
お茶の味 京都寺町 一保堂茶舖 (新潮文庫) 文庫 – 2020/5/28
渡辺 都 (著)
ゆったりと流れる時間、その時々で変化する風味、茶葉が持つ本来の美味しさ──お湯を沸かし、急須で淹れてこそ感じられるお茶の味わいがあります。江戸時代半ばから京都に店を構える老舗茶舗「一保堂」に嫁いで知った、代々が受け継ぎ伝えてきた知恵と経験、家族のこと、お店のいまと未来、出会いと発見に満ちた京都生活。お茶とともにある豊かな暮らしを綴った、心あたたまるエッセイ。
京都、パリ ―この美しくもイケズな街 単行本 – 2018/9/27
鹿島 茂 (著), 井上 章一 (著)
◎26万部『京都ぎらい』の井上章一氏、フランス文学界の重鎮である鹿島茂氏が、知られざる京都とパリの「表と裏の顔」を語り尽くす。たとえば、 ・日本には「怨霊」がいるが、フランスにはいない ・日本のお茶屋とパリの娼館は、管理システムが似ている ・パリの娼館は、スパイの温床だった ・日仏では、女性のどこに魅力を感じるか ・洛中の人にとっての「京都」はどこ? ・パリの人にとっての「パリ」はどこ? ・パリと京都の「汚れ」に対する意識の違い など、知っているようで知らなかった「京都とパリ」の秘密がわかる。
京都のおねだん (講談社現代新書 2419) 新書 – 2017/3/15
大野 裕之 (著)
お地蔵さんの貸出料は3000円、発売第一号の抹茶パフェは1080円、では舞妓さんとのお茶屋遊びは? 京都では値段が前もって知らされないことも多く、往々にして不思議な「おねだん」設定に出くわす。京都を京都たらしめているゆえんともいえる、京都の 「おねだん」。それを知ることは、京都人の思考や人生観を知ることにつながるはず。京都歴二十余年、サントリー学芸賞受賞の気鋭の研究者が解読する、京都の秘密。
なぜこれがこんな高いのか、あんな安いのか、なんで無料なのか、そもそもあんなものになんでおねだんがつくのか―― 大学進学以来、京都住まい二十余年。往々にしてそんな局面に出くわした著者が、そんな「京都のおねだん」の秘密に迫る。 そもそも「おねだん」の表示がされていない料理屋さん、おねだん「上限なし」という貸しビデオ屋、お地蔵さんに生ずる「借用料」。 そして究極の謎、花街遊びにはいくらかかる?
京都人が何にどれだけ支払うのかという価値基準は、もしかしたら京都を京都たらしめているゆえんかもしれない。 京都の「おねだん」を知ることは、京都人の思考や人生観を知ることにつながるはず。 2015年サントリー学芸賞芸術・文学部門を受賞、気鋭のチャップリン研究者にして「京都人見習い」を自称する著者による、初エッセイ。
京都 ものがたりの道 単行本 – 2016/10/28
彬子女王 (著)
「京都という街は、タイムカプセルのようだ」と著者は言う。オフィス街の真ん中に聖徳太子創建と伝えられるお寺があったり、京都きっての繁華街に、坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された地の石碑がひっそりと立っていたり。そこには人々の日常があり、みなが変わりない暮らしを続けている。そんな石碑になど目を留めない人もたくさんいるはずだ。 それでも著者は、そんな場所に出会う度に、タイムカプセルを開けたような気持ちになるのだという。幕末の争乱期の京都へ、平安遷都する以前の京都へ、近代化が急速に進んだ明治・大正時代の京都へ……。さまざまな時代の“時"のカケラが、街のそこかしこに埋まっている。この場所で徳川慶喜は何を思ったのだろう。平家全盛のころの六波羅は、どんな景色だったのだろう。安倍晴明はここで何を見たのだろう。その“時"のカケラは、一瞬の時間旅行へと誘ってくれる。 日本美術研究者として活動する著者が、京都の通り界隈にまつわる逸話から、神社仏閣の歴史、地元の人々の季節折々の暮らし、街歩きでの目のつけどころや楽しみどころ、京都人の気質までを生活者の視点から紹介する。さらに、自身のご家族のこと、京都府警と側衛の方たちとのやり取りなどの日常生活の一端を、親しみやすい文��でつづる。6年以上、著者が京都に暮らす中で感じ、経験した京都の魅力が存分に語られており、「京都」という街の奥深さと、「京都」の楽しみ方を知る手がかりとなる。 新聞連載の24作品に、書き下ろし3作品を加えて刊行。京都の街歩きに役立つ「ちょっと寄り道」情報や地図も掲載。
京都はんなり暮し〈新装版〉 (徳間文庫) 文庫 – 2015/9/4
澤田瞳子 (著)
京都の和菓子と一口で言っても、お餅屋・お菓子屋の違い、ご存知ですか? 京都生まれ京都育ち、気鋭の歴史時代作家がこっそり教える京都の姿。『枕草子』『平家物語』などの著名な書や、『鈴鹿家記』『古今名物御前菓子秘伝抄』などの貴重な資料を繙き、過去から現代における京都の奥深さを教えます。誰もが知る名所や祭事の他、地元に馴染む商店に根付く歴史は読んで愉しく、ためになる!
京の花街「輪違屋」物語 (PHP新書 477) 新書 – 2007/8/11
高橋 利樹 (著)
京都・島原といえば、かつて興隆をきわめた、日本でいちばん古い廓(ルビ:くるわ)。幕末の時代、新選組が闊歩したことでも有名である。その地でたった一軒、現在でも営業を続けるお茶屋が、輪違屋(ルビ:わちがいや)である。芸・教養・容姿のすべてにおいて極上の妓女(ルビ:ぎじよ)、太夫(ルビ:たゆう)を抱え、室町の公家文化に始まる三百年の伝統を脈々と受け継いできた。 古色なたたずまいを残す輪違屋の暖簾をくぐれば、古(ルビ:いにしえ)の美しい女たちの息づかいが聞こえてくる。太夫のくりひろげる絢爛な宴は、多くの客人たちを魅了し続けている。 本書では、輪違屋十代目当主が、幼き日々の思い出、太夫の歴史と文化、お座敷の話、跡継ぎとしての日常と想いを、京ことばを交えてつづる。あでやかでみやびな粋と艶の世界----これまでは語られることのなかった古都の姿が、ここにある。
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ネオ幕府アキノリ党による100の政策
��内はアキノリ将軍未満による脚注。
🌾 文化・日本語
1. 『双京構想』京都を陪都に。
※ 上皇后両陛下に仙洞御所にお戻り頂く案などから���奏。
2. 文章の形式を国粋化。縦書き・漢数字を基礎に、時間や単位や数理や音楽も日本文化圏独特の書式を考案し漸次移行。
※ 漢数字に関しては画数が多く判読もしにくいため,西ローマ・アラビア数字くらい判読しやすく書きやすい数字用の文字を作ってフォントに組み込んだりを検討。
3. 日本語の電子媒体を刷新。
※ イーロン・マスク氏に会いに行ってXの東アジアの言語を全部縦書き漢数字(言語ごと)に直してもらう事を条件に,共栄圏での法人を作ってもいいと約束。ただし,その情報資産は共栄圏のものとし,資本の移動は認めない。 ※ 拡張かなを拡充し電子媒体に組み込む・体制化した際に方言の言語化も視野に。
4. 都内の外国籍労働者・親族等への日本語や法制に係る教育サービスの展開。
※ それぞれの民族に寄り添った親善団体と連携 ※ 裏で世界共栄化に関わる宣伝を行い、本国に情報輸出させる足がかりとする。😈
5. 都内の宗教共同体の実態把握・公的包摂・共生都市社会の推進。
※ 体制化までの中長期的に各宗教の日本化を試みる方針。
🌾 税制・社会保障・経済
6. 税制改革や都債発行を財源に,実質賃金の上昇率の安定向上(最低でも年3%水準)まで一律で都民税半額。
7. 都営ブロックチェーンの創設・ネオ幕府トークンの発行とサーバー維持管理。
※ 全国電子通貨を想定・通貨の名前は「球」読み方は本名が「たま」,「きう」が普及版。NAMが出典。 ※ いずれ日本円にとって代わる。😈 ※ 我々が全国化した折には武蔵国の地域トークンというか藩札を創設を想定。
8. 都債発行・時限的な商品券等の給付による地域経済振興。
9. 都民や都内に通学する学生への一律奨学金免除。
10. インボイス廃止を国政に提言・特に中小零細企業の事務処理負担を軽減。
11. 濫用的な投資や無軌道な開発,オーバーツーリズム等に因る地価や宿泊施設の価格高騰を抑制。
12. 外国企業等による国土の売買規制に係るモデル条例の策定。
13. 都内の特に大企業の法人税の納税率を向上・財源構成の平等化。固定資産税の累進化。
14. 社会保障費用の逆進性緩和・累進課税の推進。
🌾 教育・学術
15. 公営学生寮の確保・増大。
※ 国際法を典拠に一定の自治権を認める
16. 大学院まで教育全面無償化+困窮世帯向けに塾代含め支援検討。
17. 専門学校等の整理統合・総合大学との連携強化・学生や職員の有益な流動化を促進。
18. 図書館民営化の見直し。知識アクセス・公共教育インフラの維持。
19. PTAの有償化や情報共有・可視化の促進。
20. 教育委員会の体質改善・責任体制の明確化。
21. 都立高校の入試改革の見直し・効果的な外国語教育に転換/無益な学習負担の軽減化。
※ どうでもいいけどほんとに外語やるならマッチング実践とかだわ
22. カルト校則の全面廃止・学生の学ぶ権利や表現の自由を守る。
23. 入学しない大学への入学金支払義務の免除・ルール撤廃を東京から実践。
24. 部活動の地域化・民営化等による教員の負担軽減を都から実践。
🌾 交通・公共施設
25. 練馬─中野─杉並─世田谷区や足立─台東─江戸川区を縦断する都営線路の開拓。
26. 東京都-近隣の港湾に集中投資・世界一の港湾大都市圏を構築。
27. 満員電車の終局的な解消・時差通勤の促進(主に企業向け)や代替手段の公的導入検討。
28. 離島との往復費用の低廉化・人材や投資交流の活発化。
※ 将来伊豆諸島は伊豆の国に, 小笠原諸島以南は小笠原国にする。
29. 16歳未満(中学生)に対しての交通インフラ料金を子供料金にする・25歳以下に対してユース料金の公共交通機関・各商業施設での導入。
🌾 防災・戦時体制を想定した防衛
30. 全国のあらゆる自然災害に対し���援・復興の為の物資や人員輸送が可能な体制の整備。
31. 都内のあらゆる公共設備の耐震化推進。
※ 災害をある程度前提とする伝統的な都市デザインの可能性も検討。
32. 核戦争を想定した核シェルター建設・地下経済圏の構築促進。
33. 災害リスクを見据えた都民や隣接県民(都内の勤労者)向けに食料等備蓄・予備的分配。
34. 官公庁・民間企業に対するサイバー攻撃の防衛体制整備。
35. 東京都の空を米軍から取り戻す・首都圏の集団安全保障体制を見直し。
36. 近隣諸国の紛争や破局的災害を想定した都民の命と経済を守る有事法制・モデル条例の策定。
37. 安全保障や軍需産業分野の研究開発支援・学界に蔓延る偏見の改善。
🌾 恋愛・婚姻等の共生生活・性的少数者支援
※ 現在はヘテロが社会の主体である事を公共に認め(右翼を安心させ), その余裕の下に性的少数者への配慮を行う政治指針を宣言化。
38. パートナーシップや相続法制等に係る性的少数者の権利保障モデル条例の策定。
※ パートナーシップに日本語の造語を与えることを目的に研究会を行う、反動保守国学者や左派リベラルの論客もネオ幕府体制の責任もとで幅広く招聘したい。
39. 専門家や当事者の意見を参考に高齢者向けの公的恋愛支援事業を実験的に開設。
40. 既存の公営マッチングアプリ・ブライダル支援等政策の見直しと再構築。
41. ユース(18-25歳を想定)以下に対してのマッチングアプリ補助制度。
🌾 医療・福祉・地域協同・家庭問題
42. 視力矯正器具や歯列矯正等への保険適用・車椅子や補聴器の価格低廉化。ゆくゆくは無償化。
※ 歯を生やせるようになればすぐ保険適用を検討
43. ひきこもり老人を訪問し地域を協同化・社会的包摂を目指す・若年層のアルバイトで高齢者を訪問しスマホ教室とネット普及・生活状況の実態調査。
44. 民間に甘んじた無料塾・こども食堂等の公営化。
※ 都から職員を派遣して実態調査し一定の基準で認可を行い、その場で謝礼。 ※ その後恒久的に経済支援, 半官半民でネットワークをくみ人的支援を拡大 ※ 定期的に児童虐待や裏社会の斡旋等の有無を潜入調査。😈
45. 実態調査のうえ, 都心や下町に関わらず包括的な訪問診療・介護サービス等を拡充。
46. 学校や社内研修に基礎的な���急救命の教育カリキュラムを導入・相互扶助の日本を再建。
47. 地域交流や文化活動を活性化すべく公立小中学校等の空きスペース活用促進。
48. 既にある公園に遊具を拡充・児童の自由と安全を保障。遊閑地の利活用推進。
※ クレーム処理等は我々ネオ幕府が請け負う。
49. 生活保護の取得要件緩和と生活再建・出口支援。給付付き税額控除の試験的導入。
50. 公共施設から迅速・全面・包括的にバリアフリーデザインを実装。
51. 乞食(路上生活者・野宿者・炎上するだろうがこの言葉を使う,いささかの差別的感情を含まない)の住宅支援事業における不合理待遇(いわゆる「タコ部屋」等)の撤廃。
52. 「禁煙」でなく「分煙」。公共喫煙所の増設と依存症支援拡充。
53. 「帰宅困難家庭」の児童のシェルター確保・拡充。
54. 親の孤立防止。財政的支援やシッター利用・保育所等インフラの拡充。
55. 麻酔科医の待遇改善・拡充による無痛分娩・不妊治療等の普及・無償化を都から実践。
56. ヤングケアラーの実態調査・迅速な支援拡充。
57. 一定期間の債務等支払義務の凍結や世間からの隔絶を許容する「隠遁」制度の試験的導入による自殺予防。
58. 共同親権制度移行後の離婚親や子の権利保証に向けたモデル条例案の策定。
59. 犯罪被害者や遺族の情報秘匿や生活再建支援事業の拡充を都から実践。
🌾 環境・公共衛生・都市デザイン
60. 『江戸東京オシャレ特区』構想・ドレスコードの厳格なサービス業種の方でも自分らしい服装等の表現を保障。
61. 炭素繊維等による東京湾浄化・老若男女が利用可能な東京湾に。
※ 一〇年単位の長期計画で研究会に予算をつけて水質浄化に関わる各方面の専門家と企業に助成を。
62. タクシーや通勤通学バスや訪問介護車両や都内を往来する長距離トラック等に向けた電気自動車等の導入支援。
63. 道路にゴミ箱を増設し収集作業も増員・雇用創出。
※ 『乞食』の方々向けに最低でも3日に1度は湯船に疲れる水準の支援体制を迅速に構築。
64. 都内の樹林伐採ストップ・地域経済や文化に無益な再開発の見直し。国土を守る。
65. 引越しや住宅確保等に係る費用分担による近隣県への移住サポート。
※ 漸次地方都市にも移住サポートしたい・全国化したときに地域を蘇らせる。
66. 主に大企業の都外への本社機能移転・人口とリスク分��を段階的に進める。
67. 排除アート・「座らせないベンチ」の全面撤去。小憩できる都市デザインの再建。
68. ユース(12-25最程度を想定)以下に対して公営美術館・芸術施設の入場料無料化。
69. 路上表現・アーティスト等に向けた道路使用許可申請等手続きの簡素化・拡充
70. 官民連携で路上ライブ・イベント等を充実させ,『解放区』の乱立。
🌾 動植物
71. 動物殺処分0の次は都から始める愛玩動物の生体販売全面禁止。
※ ペットショップの店員かわいそうだから動物病院とか生物学研究所に転職もさせてあげて。そのために予算つけよう。 ※ 日本固有種の生物種は緩和したさがある,というかその系統を維持するための研究会や国家機関創設を提唱したい。
72. 特定外来種や有毒の微生物等の実態調査・飼育手段の包括的なデータベースを策定し公開。
73. 生物学系の人材活用・医療分野との連携を強化。
74. 孤立対策に動植物との共生を促進・AI利活用で安全・安定的な飼育体制を提供。
🌾 宇宙開発
75. 軌道エレベーターや公共/民間通信衛星等を想定した宇宙産業への公共投資。
※ 東京から日本〜東南アジアをまたぐ測天衛星網(GPS)を提唱
76. 核融合発電技術への積極的公共投資。
※ 戦時を想定した燃料備蓄
🌾 食糧自給・安全保障
77. 家庭菜園や地域農産・地産地消の促進。
78. 種苗法改正の見直し・食文化の保全。
※ 戦時を想定した食料備蓄
79. 酒税法の見直し・どぶろく文化を再興。
80. 生レバーやユッケ等の規制緩和。
81. 依存症対策や飲酒強制の予防規制を条件に, 飲酒解禁を18歳に引き下げ。
🌾 労働市場制度
82. 新卒一括採用の見直し・企業や経済団体等への協力要請。
83. 官公庁や民間企業の採用基準にポスドク枠拡充。
84. 生涯学習・リカレント教育普及に向けた労働市場改革。職業訓練給付や実施企業への支援等の拡充。
85. 様々な産業分野の企業に対して有給や育休利用の促進。
🌾 汚職・職権乱用の防止
86. 地方議会における縁故的な役職(選管等)の選定過程・給与等の見直し・再編と代替的職務の用意。
87. 刑事収容施設や入管施設内での侮辱や虐待や差別的待遇の実態調査・迅速な改善。
88. 市民オンブズマン制度の創設・拡充による第三者目線の地方議会の監査強化。
89. NPO法人設立や生活保護申請・政治団体含む会計監査の厳格化・責任体制の明確化。
🌾 表現・報道の自由
90. 小池都知事が実施していた様な一部のマスコミやジャーナリスト等の排除に反対・報道と表現の自由を守る。
91. 『表現の自由』の前提として,エンタメ・出版・コンテンツ業界に投資拡充・且つアーティストの食い扶持と表現の場を守り,層の厚さを維持。
92. NHKの過剰な集金を規制・困窮世帯の債務免除・公共の利益となる基礎的なコンテンツは保障するが国民の無償・平等な『知る権利』に配慮。
🌾 スポーツ
93. 『マイナースポーツに光を』・Eスポーツ含む多様な体育会系コンテンツにも積極的に投資。
94. 身体に障害を有する方々が主役であるパラスポーツ分野に投資拡充・宣伝を強化。
🌾 その他
95. 小池都知事の財政調整基金の使途・費用対効果について徹底的に監査。
96. 小池都知事や森本首相も関わる東京オリンピックに関する利権構造や裏金・役員の不審死・作業員の過労死等の真実究明。
97. コロナ禍におけるエンタメ産業や一部の飲食業界・性産業等への差別的待遇の見直し・適切で平等な補償体制の確約。
98. コロナ禍における緊急事態宣言の手続的正当性・費用対効果を徹底再調査。
99. お気持ちベースの『自粛要請』では無く必要な法整備・責任体制を明確化。
100. 多様な業種の方々に配慮し投票所を26時まで開放・且つ開票日を平日にスライドし行政コストを軽減。
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小町数人説をめぐって
陽明文庫に中世の小町の絵がある。絹本着色、縦六一・六センチ、横四一・七センチの絵を表装してあるのだが、軸心近くの裏面に「小野小町像 貞治六秊六月廿五日」と、まさしくその頃この筆跡にて記されたものが付加されている。表装そのものもそんなに新しいものでないが、表装するにあたって、この絵に本来ついていた紙をここに付加したものであろうことは、その字がまさしく貞治頃〈一三六二〜一三六七〉この事跡であることが疑いもないからであろう。
ところで、この絵は「小野小町像」となっているが、まさしく「玉造小町子壮衰書」によっている。「容貌ハ憔悴シテ、身体ハ疲痩」、「頭ハ霜フリタル蓬ノ如ク、膚ハ凍リタル梨ニモ似タリ」、「骨ハ辣チテ筋ハ抗クナリ、面ハ黒クシテ歯ハ黄バミタリ」、「裸形ニシテ衣ナク、徒跣ニㇱテ履ナシ」、「左臂ニハ破レタル筐ヲ懸ケ、右手ニハ壊レタル笠ヲ提ツ」、「頸ニハーツノ囊ヲ係ケ、背ニハーツノ袋ヲ負ヘリ」、「肩ノ破レタル衣ハ胸ニ懸カリ、頸ノ壌レタル蓑ハ腰に纏ヘリ」とある「壮衰書」の序文をのものである。ここでもまた小野小町と玉造小町を同人物とする中世の理解が確認されるのである。
先にあげた「無名抄」の文〔五〇頁参照〕の続きに「玉造の小町と小野小町と同人かあらぬ者から、人々おぼつかなきことに申して争ひはべりし時...」とあって別人説もあったことは確かだが、その多くは前述の「玉造小町子壮衰書」の弘法大師著作説を土台にしての疑問であり、中世の大勢は、あくまで両者を同じものと見、「玉造小町子壮衰書」を小野小町の事蹟を語るものと見ていたことは疑いもないのである。
近世に入っても、この傾向は変わらなかった。貞徳の「徒然草慰草」などその顕著な例だが、中期以後の随筆の類を見ても、たとえば天野信景の「塩尻」〈『随筆大成』等〉、志賀忍〈天保十一年、七九歳没〉の「理斉随筆」などは、小野小町と玉造小町を同一人と考えている。
ところが、小町という名は、実は普通名詞であって、〇〇小町と呼ばれる女性はまことに数多くいたのだ、玉造小町と小野小町もとうぜん別人だという、いわば画期的な説が新井白雅の「牛馬問」「〈温知義書〉」に提示され、人々を驚かせたのである。
古代には一国より一人づつ采󠄃女を内裏へ献ぜしこと也。既に仁明帝の前後には、小町とて召されたるもの六十余人ありしとなり。この采󠄃女を后町のうちにをらしめたまふ。故にみなみな小町と呼ばれたるなり。その人々の宮仕へをやめて古郷に帰り身まかりたる墓を、おほか「た小町塚とよびしとなん。さてこそ、国々に小町塚といふもの多し。美濃・尾張の間にさへ二三所あり。
しかるを、なべての小町を一人と思ふよりまぎれたる説多し。たとへば実方朝臣、陸奥へ下向の時、髑髏の目穴より薄の生ひ出て、「秋風の吹くにつけてもあなめ〱」の歌の小町は小野正澄が娘の小野小町なり。文屋康秀が三河掾となりて下りし時、「身をうき草の根をたえて」さそふ水あらば」とよみしは高雄国分が娘の小町なり。「おもひつつぬればや人の見えつらむ」の歌、又業平の「舞の袖」などいひしは出羽郡司小町良実が娘なり。高野大師のあひたまふ、壮なる時憍慢最も甚だし、衰ふる日愁歎猶深しと答へしは常陸の国玉造義景が娘の小町なり。かく一人ならず。故に時代其外異なる事あるのみ。中にも良実が娘の小町は美人にて和歌にもすぐれたれば、独り名高く、すべて一人のやうに伝へ来たるのみ。
まず、小町を采󠄃女をし、采󠄃女のすべてに「町」をつけてよんだといっているが、平安時代の文献にあらわれる采󠄃女は、たとえば「近江の采󠄃女」〈拾遺集〉「明日香の采󠄃女」〈大和物語〉などのごとく、国名を冠して呼ぶのが普通である上に、文献にあらわれる「町」のつく女性は前述のように后町にいる更衣であって采󠄃女ではない。小町采󠄃女説自体が出羽都司良実の娘という伝承をもとにして出来たものであり、出羽国から采󠄃女をさしだすことはなかった〈「続日本紀」「類聚三代格」〉という事実を持ち出すまでもなく、この日雅の説には従えないのである。地方に数多い小町塚の合理的説明としても弱いものである。
ところで、この白雅の説、後半になると、その多数の小町が四人にしぼられて来る。架空の人物である小野正澄とか高雄国分とか玉造義景などの名をどこから持ち出して来たのか不明だが、既に伝説化説話化している小町像のすべてを事実と認定する立場からの合理的整理であって、まったく意味をなさぬものとしか言いようはないのである。
伝承る整理しながら、また新しい伝承を生んでいる感じの「牛馬問」の説であるが、その合理的整理法に人気があったのか。それに賛同して引用している随筆が実ははなはだ多いのである。神沢貞幹の「翁草」〈『随筆大成』第三期所収〉、城戸千楯の「紙魚室雑記」〈『随筆大成』第一期所収〉、石川宣続の「卯花園漫録」〈『新燕石十種』第三所収〉、山本信有の「孝経楼漫筆」〈『随筆大成』第三期所収」、滝沢馬琴・屋代弘賢らの「兎園小説」〈『百家説林』所収〉など、いずれもこれに全面的な賛同を示しているのである。
小町に限らず、伝説的人物は、その伝説化の過程において、事蹟が膨脹し、それを全体的に把握するとなると、そこに新しい矛盾が出てくることが多い。これを予盾なく合理的に統一しようとすると、いわば原生動物の体のように多方面に膨脹したものを分割するほかはなくなる。
たとえば柿本人麿の場合にしても、「万葉集」の記述を信するかぎり人麿は持統朝から文武朝にかけて活躍した歌人であるとするほかはない。だが��方、「万葉集」が引用する「柿本人麿歌集」にはそれよりもかなり後の歌もある。「人麿歌集」に後代の歌が入っているというのは今日の学者の常識だが、人間歌集なのだからすべてが人麿の歌だという立場に立てば、「万葉集」の人麿にして、既に最低二人いたことになる。次に「古今集」の仮名序を見ると、、「おほきみつの位(正三位)柿本人麿」を「ならの御時」の歌人としている。現在では、これを「奈良時代」と解し、しかも人麿が活躍した飛鳥時代は奈良時代に接していたからこのよ��に書いたと説明している。だが、そこに都があった「時代」と解するのはどうか。平安時代において「御時」とは天皇の治世、すなわと御宇のことであり、「ならの御時」は平城の帝の御時の意にほかならないからである。事実、この仮名序に対応する真名序(漢文の序)には「平城天子」とはっきり書かれている。「古今集」より五十年ほど後に出来た「大和物語」にも人麿が平城天皇に仕えていたとある。平城天皇は平安時代第二の天皇だから「万葉集」の人麿とは違う。これ第三の人麿ということになる。ところ、で、「古今集」から百年ほど後の第三の勅撰歌集「拾遺集」を見ると、人麿が渡唐してよんだという歌が二首見える。これ、第四の人麿である。
人麿を一人ではなく四人とすると、その間の矛盾はなくなる。しかし矛盾がなくなったところでどうなるというのだ。私が問題にしたいのはそんなことではない。実在の人麿が、その死後、奈良時代・平安時代にどのように伝説化されていったか、別のことはで言えば、後の人々の心の中に人麿がどのように生き続けて来たか、私はそれを問題にしたいのである。
小町の場合も同じである。江戸時代の学者のように小町を四人にしたり、現代の民俗学系の国文学者のように、小町と称する女が無数にいたとか、小町を名のる遊行婦女・あるき巫女・歌比丘尼のたぐいが諸国をめぐり歩いていたと言い切ることによって事足れりとし、文献に残った小町の文学と伝承について深く考えようともしないのは学問の堕落、ある意味では頽廃という評語が適切でさえある。仮に彼らの言うようなことがあったとしても、せいぜい中世の後期のことであり、「小野小町の歴史」ほ既に平安時代中期以前から始まり、中世、近世と続いていたのである。小町が、その死後も、後代の人々の心の中にどのように生き続け、どのように変容していったか、あるいはまた、時を経て変容しながらその底に変えずに生き続けてゆく、いわゆる小町的なもの、それはいったい何かということの追跡にこそ、私は意味を認めたいのである。世に虚と言い実と言う。しかし、このように見れば、人々の心の中に生き続けていたものはすべてが実だと言うほかはないのである。
以下の章において次第に明らかにしてゆくことであるが、小野小町の説明化は、彼女の死後間もない頃から既に始まっていたのである。そして十世紀の末頃には、我々が知っている小町説話、たとえば(1)雨乞説話(2)好色説話(3)男性を拒否する驕慢説話(4)衰老説話 等、そのおおむねが既に出来るがっていたはずである。だから、そのような流れの中に「玉造小町子壮衰書」を置くならば、「小町老いて後、おとろへさらぼりたりなど云ふめるは、玉造小町の事なるを混じていへるなり」〈本居内遠「小野小町の考」〉というような見方が必ずしもあたらぬことを知るのである。小町衰老落魄の説話が「壮衰書」の影響で出来上がったというよりも、既に世に行なわれていた小町落魄説話の仏教的結実として壮衰書を考えるべきではないか。「玉造」の由来を明らかに出来ぬことは残念であるが、ともかくも「小町」と表題にあるだけで人々が説明を求めないような人物の伝でなければならないこと、しかもそれが「花ノ時ヲ待チテハ玉筆ヲ秉リテ紅桜紫藤ノ和歌ヲ詠ズル」美女の伝でなければならないことなどを併せ考えれば、平安末期から中世にかけての人々の大勢的理解がそうであったように、これをも小野小町のこととするのが、最も素直な、そんなして最も妥当な理解だと思うのだが、いかがであろうか。
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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『龍馬が通る!』
~明治維新と欧米化~
■2012年6月9日 - 高知にて撮影
■坂本龍馬 - Wikipedia 1836年に坂本龍馬は、土佐藩下級武士の次男(末っ子)として生まれた。子供の頃の龍馬は泣き虫で、周りの友達によくからかわれていたそうな。
12歳の頃、龍馬は塾に通い始めたが、上士の同級生と喧嘩をして喧嘩両成敗という名目で父に塾をやめさせられた。その年に母が亡くなり龍馬は継母の伊与(いよ)に教育を受けた。
家族の中で龍馬と最も仲の良かった三歳年上の姉・乙女(とめ)と、よく二人で「ヨーロッパ」というあだ名を持つ“川島猪三郎”(いさぶろう)の家に遊びに行き、欧州の話を聞かされていたのだとか。
龍馬が姉の勧めで剣術を習い始めると、その��賦を早くも発揮し始めた。
1853(嘉永6)年に、龍馬は18歳より剣術を学ぶ為に江戸に留学。その時、偶然にもアメリカ合衆国より艦隊を率いたマシュー・ペリー提督の黒船が来航し、藩の命令で品川の警備を命じられた龍馬もそれを間近に見る機会があったのだ。
黒船のあまりの大きさに龍馬は慄きながら、同時に「日本の剣術では海外とは渡り合えない」と即座に覚り、龍馬は西洋式の技術を学ぶことを決意した。
江戸時代の町人は「江戸が最も文明の発達した国」と考えていた。しかし、この黒船来航により、西洋の文明が予想以上に進んでいると流石に気付くことになった。
ペリー提督が提出した開国の要求書は「漢文」「オランダ語」「英語」の三種類で書かれたもので、貿易で馴染みのある漢文とオランダ語に関しては解読できたが、当時の日本人にとって英語だけは見慣れない文字だったようだ。
ちなみに「オルゴール」はオランダ語(英語ではミュージック・ボックス)だが、これは鎖国時代もオランダから来る商船は受け入れていたため、江戸にオルゴールが持ち込まれた際そのままオランダ語で定着したもの。
また、鎖国の背景にはオランダが日本貿易を独占するため、スペインやポルトガル等の《カトリック教》の国が日本植民地化の意図を持っており、危険であることを徳川幕府に助言していた事情もあるようだ。
▲「キリスト教を信仰しない異教徒は野蛮」として先住民を大量虐殺を決行するスペイン軍
戦国時代の日本は「ヨーロッパ全土に匹敵する数の火縄銃までも保持する戦闘部族」という評判もあり、当時は太陽の沈まない国と呼ばれるほど世界各地を植民地支配していたスペインさえも、日本を警戒して侵攻までには至らなかったとされる。
そうして、今の幕府では日本を護れないと考えた龍馬は「打倒、江戸幕府」を掲げ奔走することになる。
安政元年(1854年)6月23日、龍馬は15か月の江戸修行を終えて土佐へ帰国。在郷中、日根野道場の師範代を務めながらも、絵師“河田小龍”宅を訪れて国際情勢について学び、海運の重要性について説かれて大いに感銘し、後の同志となる“近藤長次郎”や“長岡謙吉”らを紹介されている。
27歳で脱藩した後に幕臣・勝海舟を訪ね、海軍を作ってアジア諸国と連帯するという話を聞いた龍馬は、そのスケールの大きさに感激し、海舟の弟子となって神戸海軍操練所の創設の為に行動を起こした。
その後、1864年以降に何度か長崎を訪れ、慶応元年(1865年)に幕府機関である神戸海軍操練所の解散に伴い、薩摩藩や商人(長崎商人小曽根家など)の援助を得て、長崎の亀山に日本初の会社となる「亀山社中」が結成された。
ちなみに"西郷隆盛"の勧めにより日本で初めて新婚旅行をしたのは坂本龍馬だが、その時の出来事をイラストも交えて手紙に書いて姉の乙女に送り続けたらしく、連絡がマメな龍馬の手紙は実に130通以上も残っているという。いやはや、驚愕である……。
ところで1841年にアメリカ合衆国を目指して航海中だった"ジョン万次郎"は、生まれて初めて世界地図を見た時に、世界における日本の小ささに驚いたという。
このように大きく広い世界の中の「小さな自分」に気付くことは、客観的に自己認識することに直結する。世界地図による世界認識の拡大=地理教育は、人々の視野を広げ、人を積極的な思考に変える力を持つのだろう。
ちなみに坂本龍馬の逸話として、初めて世界地図を見せられた時に「日本はどれだと思う?」と問われ「これが日本じゃろう!��とアメリカ大陸を指さしたという話がある。 黒船来航の前にペリーは琉球王国と交流し、江戸幕府の情報を収集しており、それにより江戸との開国交渉に至った。当時は鎖国していた江戸と異なり、琉球王国は長崎や神戸と同様に欧米・日本・��国・韓国・東南アジア等を相手に貿易を行う東洋経済の中枢だったのだとか。
ある日、坂本龍馬は「土佐の海が世界に通じていると思うと愉快ぜよ」と語ったという。
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欧米化について
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日本の近代化、つまり西洋化は「明治維新」より本格的に始まりました。
西洋化の手始めに、まずはヨーロッパ(特にドイツとイギリス)の言語、及び学問が片っ端から翻訳されましたが、現代の日本において馴染みのある「技術水準(technical level)」「概念(concept)」「哲学(philosophy)」「芸術(art)」「愛(love)」「変態(abnormal)」等の単語は、当時の日本語に該当する語彙がなく、この翻訳過程で新たに作られた語句でありました。
夏目漱石は英語、森鴎外はドイツ語の翻訳に貢献しました。
当初の日本では病院のカルテはドイツ医学に則り、ドイツ語で書かれていたのは有名でしょう。
たとえば「技芸」��「恋」等の単語は江戸時代の日本にもあったようで��が、「芸術(art)」や「愛(love)」は本来の日本語にはなかった語彙なので、上辺だけは理解したふりをできたとしても、これらの概念や価値観が日本男児にとって根深く馴染まない根本的な理由が、遺伝子と文化的な要因にあると解釈できるのではないでしょうか。
明治維新以降、日本政府は先進国(白人の国々)の技術水準に比肩したいがために西洋化を推し進めてきましたが、「アキレスと亀」という詭弁があるように、追い続けるだけではどこまで行っても追い抜くことはできないと慮る次第であります。
medicine (西洋)医学 physics 物理学 philosophy 哲学 geography 地理学 psychology 心理学 economics 経済学 politics 政治学 mathematics 数学 chemistry 化学 biology 生物学 astronomy 天文学 ethics 倫理学 archeology 考古学 linguistics 言語学
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森鴎外
"森鴎外"は、夏目漱石と並び「明治の二大文豪」と称される作家です。ドイツ語の翻訳家としても活躍し、西洋文化を感じられる作品を手掛けました。
当時の日本社会や思想を客観的に描写した物語も多くあり、見識の広い森鷗外ならではといえます。
森鴎外がドイツ留学の実体験をもとに書いた日本人留学生とドイツ人女性の非恋『舞姫』は森鷗外の代表作です。
森鷗外の作品は古文で書かれたものが多く、さらに文中にフランス語やドイツ語が織り交ぜられるなど、格調高い文体が特徴。
西洋文化を取り入れた言葉や文体は、後の多くの作家に影響を与えました。
夏目漱石『吾輩は猫である』
日本の教員・小説家・英文学者"夏目漱石"の著書「吾輩は猫である」読了後、どうしても腑に落ちなかった点があります。
それは主人公の吾輩君が最後は酩酊して水瓶に落ちて溺死することに他なりません。
『吾輩は猫である』は、明治維新以降の急速に西洋化する日本を猫の視点から描いた風刺・滑稽噺ですが、それにしてもこの終わり方は死を美化する日本文化の象徴とも言えなくもありません。
また、私が二十代の頃に読んだドストエフスキーと比較して、日本文学はロシア文学より劣っているのではないかと落胆したこともありました。
しかしながら夏目漱石が三十代の頃に国費で英国留学したものの人種差別に遭い、己の醜さから鬱になり自室に引きこもっていたら、「外に出て自転車にでも乗ったらどうだ」と勧められ��自転車に乗る猛特訓をしたのに、結局は乗れなかったという訳の分からない滑稽なエピソードを読んで、どうしても夏目漱石を嫌いになれず、吾輩君の死も無駄には思えなくなりました。
きっと吾輩君は読者諸君の心の中で生き続けているのである。
それはさておき、推奨されるがままに始めた自転車の猛特訓中に"英国紳士"から「チン・チン・チャイナマン!」と侮辱された夏目漱石も、日本に居た頃は自他共に認めるほど容姿がいい部類だとされながらも英国の街を歩いた際に「背の低くて醜い奴が歩いていると思ったら、硝子窓に映った自分の姿で落胆した」とのこと。
それでも"英国淑女"からは「ハンサム・ジャップ。ご一緒にサイクリングでもいかがかしら?」と誘われたので、「怒るべきか喜ぶべきか悩んだ」と悲痛な葛藤を手記に残していたそうな。
日本の英文学者で初めて英国に渡航した上で、有色人種に対する人種差別を体験した夏目漱石ですが、江戸時代末期に生まれた上役達には、このような人権にかかわる諸問題についての理解は当然ながら及ばなかったのだと慮る次第であります。
ちなみにスマホや腕時計もない明治以前の日本人にとって、例えば「2時集合」とは「大体2時~3時までの間に集合しよう」というウチナーのような寛容なニュアンスでしたが、鉄道の運用が開始されてから新聞などで大々的に「文明社会にとって時間の厳守は重要」と宣伝され、そうして現代の「5分前集合」が浸透したようです。
「おはよう」と「さようなら」の語源
「おはよう」の語源は、「今日もお早うございます」の略なのは有名です。
海外で最も有名な日本語の「さようなら」の語源は、「左様ならば、これにて御免」というお侍さまの別れの挨拶の略です。
今もなお、お侍さまの語感が残されるとは、まさに《武士道》の本場だからだといえるでしょう。
ちなみに"I Love You"を中国語で言うと、英文法と品詞の並びが一致する"我爱你"(ウォー・アイ・ニー)になるようですが、日本語だと“私はあなたを愛してる”と非常に多くの文字数を消耗するので140文字以内に収めるのも困難かと慮る次第です。
いずれにしても、中国の"爱"には心がありませんが、日本の"愛"には友がおりません。
ステレオタイプの欧米のように、"愛と友"に恵まれないものでしょうか……?
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「です」の変遷
◆江戸時代からあった助動詞「-でござる」「-でござります」は次第に「-でございます」に変化し、さらに明治時代に「-であります」から「-である」に縮まり、そうして現代の「-です」に落ち着きました。
一人称の「吾輩」は「私」のへりくだった言い方。 明治時代から活用さ��始めた「-である」は「-であります」の略。
つまり「吾輩は猫である」を現代風に書くと「わたくしめは猫であります」というへりくだった言葉使いということになります。
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芥川龍之介『あばばばば』
大正時代の文豪"芥川龍之介"著『あばばばば』という短編があります。この小説を読んで、情緒を感じて芥川龍之介を見直した思い出があります。
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ある日のこと、学生の保吉は行きつけの煙草屋に足を運びました。ところがいつもの店主の親父の姿はなく、代わりに若い女が店番をしていました。 不慣れなのか彼女は恥ずかし気な初々しい接客で、注文とは違う煙草を取り出して赤面してしまうほどでした。 その後いつ行っても彼女が店番でしたが、応対はつかえ、品物は間違え、時々赤い顔をされました。しかし、保吉はだんだん彼女に好意を感じたようです。といっても恋愛感情ではなく、いかにも人なれないところに気軽いなつかしみを感じたとのこと。 ところがある日から突然、彼女が姿をくらまします。わざわざ不愛想な店主の親父に行方を尋ねるわけにもいかず、その後は何事もなく過ごしました。 それからさらに歳月の流れた後、大学の授業(英語講演会)のあと煙草屋の前を通ると、両手に赤子を抱えた若い母親がいました。 「あばばばばばば、ばあ!」 現代でいうところの「いない、いない、ばあ!」の意です。 女は店の前を歩き、面白そうに赤子をあやしています。そうして保吉と目が合いました。保吉は赤面する彼女を想像しましたが、しかし彼女は澄ましたままでした。のみならず、揺り上げた赤子に目を移すと、人前も恥じずに繰り返し「あばばばば」とあやしたのです。 「女はもう『あの女』ではない。度胸の好い母の一人である。一たび子の為になつたが最後、恐ろしい『母』の一人である」
そういえば、子供の頃に常連だった個人サイトのチャットでよく「あばばばばば!」と書くお調子者がいましたが、元ネタが芥川龍之介だと気付くのに十数年ほどかかりました。
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作家を大きく分けると、毎回異なる性質の登場人物が多種多様な物語を繰り広げるシェイク・スピアタイプと、毎回同じような登場人物が同じような問題に直面して一つの題材を深く掘り下げて行くドストエフスキータイプに大別できるようです。
ドストエフスキー著 『カラマーゾフの兄弟』
『カラマーゾフの兄弟』◆あらすじ ある日の朝、修道院の見習い僧侶"アリョーシャ"(アレクセイのあだ名)のもとに、14歳の"リーズ"(リーザ)という車椅子の少女が訪れました。リーズはここ最近に病を患い車椅子に乗っていますが、修道院の長老から治療を受けて順調に快復に向かっていました。 アリョーシャは子守りとして、二年前にリーズと接したので久しぶりの再会でもありました。 再会 リーズは事実、ずっと悪戯に夢中だった。彼女はアリョーシャと顔を合わせた時から、彼が自分を見るとひどくどぎまぎし、なるべく目を合わせないようにしているのに気付いた。彼女はそれが面白くて、相手の視線をとらえようとじっと身構えていた。 するとアリョーシャは、自分にそそがれる視線に堪えきれなくなり、自分からふいにリーズにちらりと目をやると、彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、彼の方をまっすぐ視線を向けてくるのだった。 アリョーシャは、またどぎまぎして、ついにリーズからすっかり顔をそむけて修道院の長老のうしろに隠れた。しばらくして自分を見ているのか確かめると、彼女は車椅子から身を乗り出すようにして、こちらを振り返るのを一心に待ち受けているのがわかった。そうしてアリョーシャの視線をとらえるとまた大声で笑った。 それを見た長老がリーズを注意すると、彼女は顔を赤らめ、きらりと目を輝かせ、真面目な顔つきになった。そして今度は熱っぽい訴えをこめて、早口で話し始めた。 「どうしてアリョーシャはぜんぶ忘れちゃったの? 前は小さなあたしを抱っこしてくれたり、一緒に遊んでくれたりしたのに。だって、あたしに読み書きを教えてくれたのはアリョーシャよ。二年前にさようならをした時に、アリョーシャは『ぼくたちは永遠の友だちだよ。永遠の友だちだからね。ぜったいに忘れないから』って言ってくれたわ。なのにあの人、今になって急にあたしのこと怖がり出して。あたしがあなたのこと、取って食べちゃうとでも思ってるのかしら? どうしてそばに寄ってくれないの、どうしてお話してくれないの? どうしてうちに来たがらないのかしら」 リーズはこらえきれなくなって顔を手で覆うと、急にはげしく笑い出した。長老が話を聞き終えると優しさをこめて十字を切った。 すると今度は彼女がいきなり泣き崩れたのだった。 リーズの手紙 その日の夜に、アリョーシャが道中でリーズの母の使者から手渡された封筒を開くと、そこには「リーズ」と署名のある手紙が入っていた。 「アレクセイさま。誰にも内緒でこの手紙を書いています。ママにも、わたしの心に生まれたこの気持ちを告げずに、わたしもわかっているつもりです。でも、わたしの心に生まれたこの気持ちを告げずに、わたしはもう生きられないんです。このことはわたしたち二人以外は、その時期が来るまで誰にも知られてはいけません。でもわたしの気持ち、どうやってあなたにお伝えしたらいいでしょう? 便箋は赤くならないって言いますよね。でも本当を言うと、それって嘘なんです。便箋だって、わたしと本当に同じように赤くなるんです。 大好きなアリョーシャ、あなたを愛しています。小さい時から、ずっと好きでした。あなたが今とはまるで違っていたモスクワ時代から、ずっと好きでした。わたし、あなたを心の友って決めたんです。あなたと一緒になって、年を取って、一生を伴に��えると。もちろん、修道院から出ていただくことが条件ですわ。年齢のことを言うと、わたしたち、法律で許される時まで待ちましょう。それまでにわたしも必ずよくなって、ちゃんと歩けるようになるし、ダンスもできるようになります。そんなこと当然ですよね。これでわたしがずっと何を考えていたかおわかりになったでしょう。ただ一つだけ、わからないことがあります。この手紙を読んだら、あなたはわたしのことをどう思うのかしら。わたしはいつも笑ったり、ふざけてばかりいるんですもの。今朝もあなたを怒らせたでしょう。でも本当を言うと、こうしてペンを執る前に、わたし聖母さまの像にお祈りしたんです。そして今もお祈りをしながら、ほとんど泣き出しそうなんです。 わたしの秘密はもうあなたの手に握られてしまいました。明日おいでになった時、どんなふうにあなたにお目にかかったらよいか、わたしにはわかりません。アレクセイさま、わたしまた馬鹿みたいに自分が抑えられなくなって、今朝みたいにあなたを見つめるうちに、吹き出したりしたらどうしよう。だってあなたはわたしのことを、いやらしい冷やかし屋って思うでしょうし、この手紙だってまともには受け取ってくださらないでしょう���ら。ですからお願いがあるんです。もしこのわたしをかわいそうって思ってくださるなら、明日わたしの家にいらっしゃった時、どうかわたしの目をあまり見つめないでください。だってわたし、あなたと目が合ったらぜったいに笑い出してしまうし、おまけにあなたはあんなに長い服を着ているし……今でもそのことを考えると、体が冷たくなってしまうくらいなの。ですから家に入ってくる時は、わたしのことはしばらく見ないでくださいね。ママか窓の方を見てくださいね。 わたしとうとうラブレターを書いてしまいました。ああ、なんてことをしてしまったのかしら! アリョーシャ、どうか軽蔑しないでくださいね。何かひどく馬鹿なことをしてあなたを怒らせても、どうか許してくださいね。こうしてわたしの秘密はあなたに握られてしまったのです。わたしの評判は、もしかしたら永久に地に落ちてしまったのかもしれません。わたし、今日はずっと泣いてしまうでしょう。さようなら、次のおそろしい出会いまで。 P.S. アレクセイ、ぜったいに、ぜったいに、ぜったいに来てくださいね! リーズより」
あとがき
その後、アリョーシャとリーズがどうなったのかは、各自でドストエフスキー著『カラマーゾフの兄弟』を読むか、グーグル検索をしてご確認くださいませ。
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自己実現や己の幸の為もあれば、自己犠牲を冒してまで目的を成す為に時間・労力・生命を捧げる者も居ます。人は生まれた瞬間から死を迎えることが確定しています。どれほどの富や名���を得ても最期を迎えれば遺産相続者が居なければ「財産はすべて銀行の資産」となります。
誰もが"エジソン"並みの発明王である必要はないし、"レオナル���ド・ダヴィンチ"ほどの叡智が必要な訳でもありません。誰か一人が発見して突破口を拓けば後続が可能なのだと思います。
どこかには人々を導く為に生まれた者も居るのでしょう。
■2012年6月9日 - 高知にて撮影
《和》の中に《個》はあるから、どちらか一方を尊重するべきか独断は出来ません。
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2023年下半期に見た展覧会
0701 ガウディとサグラダ・ファミリア展@MoMAT 0702 イギリス風景画と国木田独歩@茅ヶ崎市美術館 0702 生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良@神奈川県立近代美術館 葉山 0706 ブルターニュの光と風@福島県立美術館 0708 谷川俊太郎 絵本☆百貨展@PLAY!MUSEUM 0711 テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ@国立新美術館 ☆0721 甲斐荘楠音の全貌 ― 絵画、演劇、映画を越境する個性(前期)@東京ステーションギャラリー *1 ☆0729 ソール・ライターの原点 ニューヨークの色@ヒカリエホール *2 0729 平間至展 写真のうた@ヒカリエホール 0804 「あ、共感とかじゃなくて。」@MoT ★0804 デイヴィッド・ホックニー展@MoT *3 0805 ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム@アーティゾン美術館 0806 蔡國強 宇宙遊 ―〈原初火球〉から始まる@国立新美術館 0812 特別展「古代メキシコ」@東京国立博物館 0812 スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた@国立西洋美術館 0813 私たちは何者?ボーダレス・ドールズ@渋谷区立松涛美術館 *4 0820 フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン@東京都庭園美術館 0825 甲斐荘楠音の全貌 ― 絵画、演劇、映画を越境する個性(後期)@東京ステーションギャラリー 0826 生誕100年 山下清展―百年目の大回想@SOMPO美術館 0902 挑発関係=中平卓馬×森山大道@神奈川県立近代美術館 葉山 ★0902 吉村弘 風景の音 音の風景@神奈川県立近代美術館 鎌倉別館 *5 0907 三沢厚彦 ANIMALS@千葉市美術館 0917 虫めづる日本の人々@サントリー美術館 0920 版画家たちの世界旅行 -古代エジプトから近未来都市まで@町田市立国際版画美術館 1022 杉本博司 本歌取り 東下り@渋谷区立松濤美術館 1029 デイヴィッド・ホックニー展(2回目)@MoT ☆1029 ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン@アーティゾン美術館 1119 開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?@名古屋市美術館 1121 テオ・ヤンセン展@千葉県立美術館 1122 展覧会のちょっといい話 絵本と近代美術のあれこれ@板橋区立美術館 1125 装飾の庭 朝香宮邸のアール・デコと庭園芸術@東京都庭園美術館 1202 「パルコを広告する」 1969 - 2023@PARCO MUSEUM 1203 「横尾忠則 寒山百得」展@東京国立博物館 表慶館 1203 開館記念展「皇室のみやび」(第1期:三の丸尚蔵館の国宝)@皇居三の丸尚蔵館 1203 生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ@MoMAT 1207 イン・ビトウィーン@埼玉県立近代美術館 1209 永遠の都ローマ展@東京都美術館 1209 大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ@国立新美術館 1209 イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル@国立新美術館 1214 モネ 連作の情景@上野の森美術館 *6 1216 「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容@渋谷区立松涛美術館 ☆1216 「鹿児島睦 まいにち」展@PLAY! MUSEUM *7 1223 吉田ユニ「PLAYING CARDS」@ラフォーレミュージアム
*1 御多分に漏れず「あやしい絵」展でファンになってから待望だった個展、こんなに早く見ることができるなんてありがたい。ただ、やっぱり結構残っている作品は少ないんだなあ、というのが一番の感想で、そして作品のアクが強くて初めのインパクトや中毒性は強い分、慣れてくるとそこまでじっくり見るような感じにはならないなあ、とも思ったり(音楽とかでもそういう曲ってあるよね)。一方で、メインビジュアルにもなっていたメト所蔵の「春」なんかは特有のケレンを上手く折衷させた見ごたえの絵のある絵に仕上がっているんだけれども、結局それより先が無かったという。。展覧会中でも識者の言葉として紹介されていたけれど、ちょっと惜しかったというか、あともう少し絵師として活躍してほしかったなあと。でも、図版でしか知らなかった作品をいっぱい見られて嬉しかった。 *2 ソールライターの「良さ」がようやくわかってきたような気がします。残されていたフィルムをデジタル現像して順番に映し出していく大画面スライドショーのインスタレーションがとても面白くて、美術館ではない空間になった分、こういう演出ができるようになったのは良いなあと思いました。 *3 この夏のナイスワン。自分の中の「とても楽しかった展覧会」の1つの基準が、「一通り見終わった後に展示室で延々ゆらゆらしていられること」なんですが、久しぶりにそのトリップがきました。ホックニー特有のポップで人懐っこい色彩がやはり素晴らしく、いつまでも網膜にうつしていたくなるんですね。特に大型作品の展示空間に入ったときは、その色彩感に包まれるのが嬉しくて、思わずくるくると踊りだしそうになりました(?)。 展覧会は、初期から始まってロンドン、カリフォルニア、イギリスの田舎町、そして最近移り住んだノルマンディーと、活動場所で区切られた作家のキャリアを一通り追う構成。昔メトで大規模回顧展を見たはずなのですが、あまり記憶になく、、今回改めて見て、初期はかなりベーコンの影響を感じるなーとか、やっぱり色彩はマティス、後期のボナールっぽいなーとか、いろんな発見がありました。 この10年来ハマっているというiPad絵画は、長生き作家にありがちの、晩年にどんどんと・・・よく言えばダ��ナミック、悪く言えば大味というか雑になっていくアレなんだけども(ピカソとか)、ただ色彩だけで言うと、やはりホックニーそのものなんですよね。近づいてみると、マジで点とか線は小さい頃にwindows95のペイントソフトで遊んだ、落書きライクな感じなんだけども、遠くから見るとちゃんと「らしい」作品になっているのはさすがだなと思いました。 以下は蛇足なのですが、作品構成は、大型の油絵作品10点余りがテートから、それから複数のパネルを組み合わせた作品が同じくテートとポンピドゥーから1点ずつ、あとは作家蔵の超大型作品がメインで、その間を都現美所蔵の版画コレクション(これ一度まとめて見たかった!)で埋めていく、という感じ。つまり単に金にあかせてガサっと作品を連れてきたのではなく(それでも相当お金かかってると思うけど)、館にあるものが起点になっているのが良かったな。欲を言えば、作家のキャリアハイである西海岸時代の作品(プールとか彼氏とか出てくるやつ)が手薄な感は否めなかったですが、まあ贅沢を言うとキリがない。 *4 古今東西における「人形」の役割を紹介する展覧会で、人形と言えばやっぱりセクシャルな意味合いもあるけどさすがにそれは展示できないよねー、と思いながら見てたら、最後にばっちりあって、ここ(渋谷区)は本当にすごいなと思った。もっとやってください。 *5 環境音楽家・吉村弘の回顧展。展示室に直接音楽が流れているのかと思いきやそうではなく、しかし音楽を喚起させるような愛らしい絵楽譜や、それぞれの映像から聞こえる微かな音楽によって、展示室全体がとても豊かな音楽に包まれていた。そしてそこに、微かな外音や、来場者の衣擦れや足音、小さな話し声が「環境音楽」として響いている、というわけ。写真2枚目のサウンド・チューブという展示があって、観客がめいめいにこの筒を揺らしたり、ひっくり返して、筒の中に入った水音に耳を澄ましている(そして、とても良い音だなと思う)。しかしよく考えれば、聞いている音はありふれた水音であり、つまり世界には、このように耳を澄ますべき音に溢れているんだ、ということがメッセージされている。そうして美術館の外に出るとあら不思議、外を通る車の音や風で葉がさわさわと擦れる音、いつもこの美術館の帰りに寄る鶴岡八幡宮の階段を登る自分の足音、美術館のコインロッカーで使った百円玉をそのまま賽銭箱に投げた時のコツンという音などが、全てビビットに聞こえてくる。つまりこの展示は、美術館の中でだけで完結せずに、観客の日常に対する知覚を変えることで、展示室外にもその世界がずっと続いていく、ようである。言うまでもないけれど、そういう展覧会はとても良いものだと思う。 *6 展示自体はなかなか豪華なモネ展だと思うんだけども、チケット代とか人の捌き方とか借用元とか企画元とかそういう本筋と関係ない部分がやたら気になってしまったい。でも、3,000円払って美術展を見たい、という層がこれだけ(しかも若年層も多かった!)いるというのは、ある種の救いなのかもしれぬ。 *7 PLAY!特有の見せ方のうまさと、展示されている作品群の愛らしさが上手に噛み合った、とても視覚的に幸福感のある展覧会でした。見られて良かった。
<海外編> 1104 Rijksmuseum/Museum Boijmans Van Beuningen At Rijksmuseum 1104 Van Gogh Museum/Van Gogh along the Seine 1105 Stedelijk Museum/Nan Goldin – This Will Not End Well 1107 Musées royaux des beaux-arts de Belgique 1107 Musée Magritte 1108 Musée de l'Orangerie/Amedeo Modigliani. A painter and his dealer 1108 Musée du Louvre ★1109 MARK ROTHKO Retrospective@Fondation Louis Vuitton 1109 Musée Marmottan Monet/Berthe Morisot and the Art of the 18th Century ★1109 Musée d'Art Moderne de Paris/Nicolas de Staël 1109 Musée d'Orsay/Van Gogh in Auvers-sur-Oise,Peter Doig 1110 Musée de Cluny 1110 Bourse de Commerce/MIKE KELLEY Ghost and Spirit, LEE LOZANO "Strike" etc. 1110 Centre Pompidou/Over the Rainbow 1111 Musée d'Orsay
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2023年5月17日
Old Goods 古道具と生活雑貨と美容室(@oldgoods_mitaka) • Instagram写真と動画 https://www.instagram.com/oldgoods_mitaka/
清春と大森靖子が語る、言葉へのこだわり、才能と余韻の話 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン) https://rollingstonejapan.com/articles/detail/39517
斉藤和義スタッフさん「#斉藤和義 デビュー30周年記念ツアー「KAZUYOSHI SAITO 30th Anniversary Live 1993-2023」 2023年8月から9月にかけて開催決定! 30年の間に制作された300曲を超える楽曲の中から新旧問わず選曲されたセットリストでお届けする記念すべきライブです! ぜひご参加ください!」 https://twitter.com/saitokazuyoshi/status/1657944955552399365
最多情報局さん「台湾で撮影されたらしい金環日食、あまりにもカッコいい... https://t.co/Z11M6zaTZ8」 https://twitter.com/tyomateee/status/1657710375205470208
gibkiy gibkiy gibkiy 東名阪ワンマンツアー開催決定!!!!"avantgarde,barbarian.「反吐」" 6月6日(火) 大阪・寺田町 Fireloop 6月8日(木) 愛知・新栄 HeartLand 6月20日(火) 東京・下北沢 SHELTER http://gibkiy.com
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大手電力7社 6月の使用分から電気料金値上げの見通し | NHK | 物価高騰 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230516/k10014068721000.html?s=06 国民、とは?
ONE OK ROCK、6/3に全世界に向け東京ドーム公演ライヴ配信! | 激ロック ニュース https://gekirock.com/news/2023/05/one_ok_rock_livestream.php
rechord | 演奏もできるコード進行共有サービスさん「コード進行を簡単に再生&共有できるWebサービス『rechord』を買収して頂ける会社を募集します。多忙により更新は数年止めてしまっていますが、他に代替サービスも無く、根幹部分はとても良いツールだと自負しています。よろしくお願いします。」 https://twitter.com/rechord_cc/status/1657358997119455233
松本人志さん「トーク番組においてゲストのめちゃくちゃ面白かった部分を後日マネージャーサイドからカットして欲しいと言われることがチョイチョイ有ります。いや。イメージダウンに絶対にならない。いや。イメージアップにしかならない面白トークをカットか。…」 https://twitter.com/matsu_bouzu/status/1657043099632140294
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「おはこんにちは🙋♀️ なんか物足りないな〜と思いギターのアルペジオやらシンセやらピアノやら試してみたけど、結果この曲はいらないなって事になったよねw 雰囲気的にはあってもいんだけどない方が伝わり易い気がします🙋♀️ まぁ歌入れてみて微妙ならまた練り直しますけどね😅 本日も皆さま良き一日を✨ https://t.co/8JiXsnbYng」https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1658313669657362432
YOSHIKI CHANNELさん「Yahooニュース(サンスポ) https://t.co/X2ndgmBTUM #YOSHIKI 10月にソロワールドツアーを世界の権威ある会場で実施「大きな挑戦」 7月28日に #XJAPAN の8年ぶりの新曲「#Angel」もリリース 📌公演詳細 https://t.co/bsgEDRqlXL @YoshikiOfficial」https://twitter.com/YoshikiChannel/status/1658326096776155138
ORICON NEWS(オリコンニュース)さん「YOSHIKI、9年ぶりクラシカルワールドツアー決定❗ X JAPAN、8年ぶり新曲「Angel」7/28発売も発表 LAグラミーミュージアムで会見 https://t.co/oPefrLL1i0 #YOSHIKI #XJAPAN @YoshikiOfficial @xjapanofficial」https://twitter.com/oricon/status/1658299996578676737
Hyakuさん「大阪からだ〜 節酒ツアーを試みようと思ったり、思わなかったり〜 https://t.co/KJ6IUJBawh」https://twitter.com/Hyaku_LR/status/1658452950409428992
KINGRYOさん「皆様お疲れ様です! 超回復に努めているKING RYOです🦁✨ 昨日は本当に楽しかったなぁ〜 依が笑っててテツリが嬉しそうでみんな楽しそうでとっても幸せでした♪ 注:写真は5.5のです! https://t.co/4J3xHOND3N」https://twitter.com/kingryoworld/status/1658411856908935169
X Japanさん「X Japan's first single in eight years, "Angel", will be released on July 28, 2023. #XJapan #Yoshiki @YoshikiOfficial」https://twitter.com/XJapanOfficial/status/1658398328219119618
SEXX GEORGEさん「こんにちは! 準備がギリギリでヤバかった💦 どうにかミーティングをこなし飛行機へ いよいよ明日から札幌2Days ★5/17(水)札幌BAR STINGRAY ★5/18(木)札幌BAR STINGRAY チケット予約 [email protected] オレは半袖1枚から長袖へ(笑) スティングレイで待ってんぞ〜🔥 夜露詩紅ψ(`∇´)ψ https://t.co/9obju3XF4Z」https://twitter.com/abikoshinonkai/status/1658343602161090560
小笠原 健一@2023.05.14(Sun) 寺田町Fireloopさん「セックスマニアック、お疲れさまでした( ◔㉦◔ )✨ また別にゆっくり書きますが、ほんとに楽しい時間でした 出演バンドも来てくれた人も応援してくれた人もはじめて観��くれた人もみんな大好きです https://t.co/aLo7pLhiPe」https://twitter.com/kentan_vijyu/status/1657743609222008832
まっちゃんさん「ちなみにCROW-SISチャンネルの方にフルでアップしましたのでこちらもよろしくお願いいたしますペコリ(o_ _)o)) https://t.co/ed4awDTMut」https://twitter.com/jun_Yakushima/status/1655894091903963136
まっちゃんさん「需要があるのかどうかは甚だ疑問ですが笑、昨日に引き続き屋久島でやってるバンド「URGE」のLIVEをちょっぴりアップしてみました https://t.co/6LTjrw57Gw」https://twitter.com/jun_Yakushima/status/1656256804295421953
藤原ナオヒロ / NO-GATEさん「こんばんは! 肌寒い雨の日が続きますね☔️ 夏の空はどこへやら😵 今日はラジオの収録日でした。 手作りですが、毎週水曜日頑張って放送してます!良かったら聴いてください🌿 『番組URL』 https://t.co/lbcrLt0xa5 https://t.co/f2r9Ze37ai」https://twitter.com/naohiro_fuji/status/1657681361866727426
ベースオントップ高田馬場店さん「🌸馬場店限定Sakuraドラムレッスン🥁 【最新空コマ状況】 6/17(土) 13:00~/14:00~/18:00~ 6/18(日) 18:00~/19:00~ 7/15(土) 18:00/19:00 7/16(日) 残り5枠 各日埋まりが早くなってます!プロ直伝レッスンご予約はお早めに🏃♂️ ご予約はこちらから👀 https://t.co/i9poKhKer2 講師 @sakurazawa https://t.co/FY5VZImuda」https://twitter.com/bot_baba/status/1658065529754755075
ベースオントップ アメ村店さん「【毎月アメ村店で開催!】 現役プロミュージシャンSakura(櫻澤 泰徳) のドラムレッスン🥁Sakuraのメロディアスかつテクニカルなビート、フィルを間近で体験✨ 好評につきまして、5月〜6月はレッスン枠を拡大して設けております枠が埋まります前にお申し込みはリンクよりどうぞお早めに💨💻📱 https://t.co/gPGXcw2oq3」https://twitter.com/botamemura/status/1657687796176535555
ベースオントップ高田馬場店さん「枠を拡大するほどの大人気✨✨ ドラムレッスンのご予約はこちらから👀 https://t.co/i9poKhKer2 #ベースオントップ #Sakura #櫻澤泰徳 #ベーオンババ #ドラムレッスン #ドラム #ドラマー #drums #drummer #生徒募集中 講師 @sakurazawa https://t.co/4eumLfi3jY」https://twitter.com/bot_baba/status/1658065543658881024
シド公式さん「SID 20th Anniversary Premium FANMEETING TOUR 2023 本日12:00~受付開始! ●ID-S BASIC優先予約 https://t.co/o4sZq2emtY 詳細はコチラ https://t.co/YxbUM4zrd9 #SID20th #シド #SID https://t.co/ZLuU3qiSmi」https://twitter.com/sid_staff/status/1658306285048156160
heidi_staffさん「【本日】義彦・桐ゲスト出演 フールズメイト・チャンネル「Jungle Salon」第10回 20:00~21:00 https://t.co/RrW5s6GTDK 番組前半はどなたでも無料でご覧いただけます。 番組後半は『FOOL'S MATE Channel』会員の方のみ視聴可能となります。」https://twitter.com/heidi_staff/status/1658347046452232194
CDTVさん「/ 速報! \ #CDTVライブライブ 5/15(月)放送📢2時間SPを このあと12:00から無料配信開始💫! 見逃した方も、もう一度見たい方も... 配信URLはこちら👇 前編:https://t.co/CWBXVpvGys 後編:https://t.co/FuOSLykXYf 配信は次回の放送前までの期間限定🌟 #CDTV #TBS https://t.co/3u7otrVmdR」https://twitter.com/TBSCDTV/status/1658298725096357888
Hydeさん「[STAFF] 「OGA NAMAHAGE ROCK FESTIVAL vol.12」日割り発表! HYDEは7/29(土)に出演します! タイムテーブルは後日発表となります。 詳しくは↓ https://t.co/JZsi07eBjY #HYDE #ONRF12 #男鹿フェス12 https://t.co/8jIdjZqbf0」https://twitter.com/HydeOfficial_/status/1658306424479563777
millennium paradeさん「明日5月17日発売 millennium parade × 椎名林檎 「W●RK / 2〇45」本日店着日!!! https://t.co/DVuJsjFdZo 5月17日0:00「2〇45」release! https://t.co/pz8IKlrP65 https://t.co/zch5z4M20I」https://twitter.com/mllnnmprd/status/1658306350655610881
高井淳/JUN TAKAIさん「【本日21:00~受付です】 ONE ELEMENT ver.Acoustic 「LIED」 8/6(日)@APIA40 開場 18:30/開演 19:00 https://t.co/AimAzM1VSW 御贔屓に◎ https://t.co/rlcGZSuSaj」https://twitter.com/jun_0110/status/1657670250064920576
The Brow Beat Officialさん「【LIVE】 The Brow Beat Twitter公式マークが付きました。 ご報告になります。 The Brow Beat Live Tour 2023 "The Five Senses” 7大都市14公演 【配信】本日アーカイブ終了 2公演目 5月10日(水) CLUB CITTA' https://t.co/AUlLjCI5SW 5公演目 5月18日(木) 札幌PENNY LANE 24 開場18:00/開演19:00… https://t.co/zOM2dveGwe」https://twitter.com/The_Brow_Beat/status/1658300767655301120
HIROTO ALICE NINE.ヒロト アリス九號.さん「まずい,明日のvs lynch.が楽しみで既に寝れない... #アリス九號. #lynch.」https://twitter.com/hrt_A9/status/1658221035953721345
Nesora|Violinist.さん「バイオリンカバーアルバム 「ROOTS」より 花葬/L'Arc〜en〜Cielの 演奏動画になります。 哀愁漂う本当に美しい曲。 楽曲の妖艶な世界観に入り込んで 演奏させて頂きました。 ▼「ROOTS」各種配信サイト https://t.co/xaEU3DXeI7 #LArcenCiel #花葬 https://t.co/RrCutttKVb」https://twitter.com/Nesora0115/status/1658034735036223490
NO MUSIC, NO LIFE.さん「https://t.co/VMAxQWVlNs . 『ミュージック・マガジン6月号』の特集「追悼・ #坂本龍一」5/19発売 https://t.co/NZ8ZQ3wpjj」https://twitter.com/TOWER_NMNL/status/1657962920222031873
だーいけさん@5/17トキトキ音楽会さん「ラジオに出てきました 直接言えなかったんですが、ゴローちゃんが好きな夏日憂歌(サマータイムブルース)と自分の好きだったゴローちゃん歌唱の曲の作編曲の方が同じで、ウェイってなりました またお邪魔できたらうれしいです あとアイズレーのSummer Breezeリフがめちゃかっこいいです https://t.co/I2nAwVvxB8」https://twitter.com/mirisonfa/status/1658071775526412288
坂本美雨 STAFFさん「[ TV ] 坂本美雨と「#サバ美」が出演します。 NHK「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」 🎙️エッセイ朗読 #有村架純 さん 📺5月22日(月)午後10:50 放送予定 https://t.co/QfikSHDwoZ ------ @miusakamoto #坂本美雨」https://twitter.com/miuskmt_staff/status/1657902345056030720
PABLO モジャからの卒業/成人しましたさん「とりあえず手術無事終わった💯 麻酔から覚めた時音楽かかってて「なんか聞いたことあるかも?スーパービーバーかかってる??」って呟いたら「コレはKing Gnuです」ってちゃんと訂正してくれた😂😂」https://twitter.com/BACK_to_APRIL/status/1657996954968944641
Jumpeiさん「⚡️いきものがかりさんサポートで、カウントダウンTVでした(今回はフル尺)⭐️ ありがとうございました😌🎻 #CDTVライブライブ #いきものがかり https://t.co/kkK2JCTsdU」https://twitter.com/Jumpei0327/status/1658086971171024896
林 幸宏 (Yuki Hayashi)さん「世界的なギタリスト兼作曲家であるスコット・ヘンダーソン氏に、FREE THE TONEのカスタムショップSOV-2-CSが採用されました。スコット氏は「このペダルが本当に気に入った!非常に音楽的なサウンドだと思う。」とコメントをいただきました。 スコットさん、大変光栄です。ありがとうございます! #SOV2 https://t.co/CrrXjDonsR」https://twitter.com/yhayashifrtt/status/1658060672830418944
リジェーヌ officialさん「【お知らせ】 5/18(木)池袋EDGEのライブより、ご来場頂いたお客様にサイン入り新アー写セットをプレゼント致します。 限定数無くなり次第終了となります。 リジェーヌ物販までお越し下さいませ。 また次回のライブからex-マゼランの慈瑠-Zil-(@zil_tube)氏をサポートドラムに迎えてお送り致します。 https://t.co/K44EpmRW7N」https://twitter.com/regene_born/status/1658070341548396547
DEZERT Miyakoさん「👋 https://t.co/o56h2pFRWA」https://twitter.com/DEZERT_Miyako/status/1658082441482076161
Loyal Code Artistsさん「SnapPngにて『下劣』4/26 Zepp Shinjukuのライブ写真がアップされました。 ■販売公演 『下劣』 4/26 Zepp Shinjuku ■販売期間 5/15(月) ~ 5/26(金) 23:59 ■販売サイトURL https://t.co/yyMFKaYsxd」https://twitter.com/kiyoharu_info/status/1658084950669922306
古舘佑太郎さん「父上へ @furutachi_live これが今僕がやっているグループ"THE 2"です。 まだ席に余裕がるので、初めて息子のLIVE観に来ませんか? 愚息より https://t.co/YMFHrLtgwB https://t.co/ifdAmWL3Cm」https://twitter.com/furutachi_2/status/1658004371593129985
いくまろさん「2023年11月25日(土) いくまろ生誕企画 「REAL×REALITY -縁-」 ■会場 Music Bar MELODIA Tokyo Act:いくまろ/mahoroba./鳴瀬しぐ/Mam_i_/ケンティー Adv ¥3000 door ¥3500(+1D) 配信ticket ¥3000 Open 17:30 Start 18:30 ▼チケット予約 https://t.co/pxHyDsC0qa https://t.co/eGjrDRjZ2p」https://twitter.com/vsingingmaster/status/1652537674438443009
いくまろさん「世間の「普通」って一体誰の基準なんだろうな。 って歌。 もし誰もが「普通」で同じなんだったら 人と人が出会う意味なんて無くなってしまうんじゃないかな。 「ゼロの温度」 https://t.co/XYX87T7r60 https://t.co/BPcYTnf4f8」https://twitter.com/vsingingmaster/status/1658019214123212802
B☆G TADAHIROさん「勃起☆銃 告知です。 6.24 名古屋 RED Dragon clock Works skinhed 2023 vol1 VS punks編 郷土 LAST STRUGGLE 勃起☆銃 BURST-BOX open start 18;00 18:20 ADV¥2.500 DOOR¥3.000 ➕1drink よろしくお願いします! https://t.co/1HgnCWAFdd」https://twitter.com/BTadahiro/status/1657711509571792897
AKI_guitaristさん「明後日です‼️まだ間に合う‼️ DMにてチケット問合せ受付中📩@Kauxs_official 2023年5月17日(水) THE SIXTH LIE LIVE2023「Liars」 札幌 Crazy Monkey 開場18:00 / 開演18:30 前売¥2,500 / 当日¥3,000 (別途1D¥600) -出演- THE SIXTH LIE THE PHROCKS つれづれぐさ KAUXS Never Ending Hoper https://t.co/dMPDxW7RnF」https://twitter.com/official_KAUXS/status/1658081237209329670
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2023年3月24日 松井田北中学校 閉校式
校歌に「平和」の願い 安中松井田北中3年・湯本さん調査で判明
作詞者兄ら戦死多数《戦後77年》
本年度末で閉校する安中松井田北中(群馬県安中市、国峯智校長)の生徒が、学び舎を「平和な姿」と表現する校歌が生まれた背景を調べている。お年寄りへの聞き取りや資料から、作詞者の家族を含め地元の多くの若者が太平洋戦争で戦死していたことが判明した。こうした悲しみを背景に平和への願いを込めたとみられ、10月に開く最後の学園祭での発表に向け、さらに調査を進める。
松井田北中校歌
煙る浅間を背にして
緑にはゆる妙義嶺を
望みし丘に朝夕の
我等(われら)の祈りそのままに
平和な姿 映えて立つ
おお我等が北中学校
※1番のみ
同校は終戦2年後の1947年に前身の旧細野中として設立。54年の市町村合併を経て62年に現校名になった。校歌は細野中時代の誕生とみられるが、住民だった��上原桂さんが作詞したことなどを除き、詳しい経緯は分からなくなっていた。
同校は現在、閉校を前に全校生徒25人と教職員が細野中時代から75年間の歴史を調査している。校歌は曽祖母が上原さんのいとこに当たる3年の湯本さくらさん(14)が担当。祖母の京子さん(72)や教諭らと協力し、上原さんの長男で同校卒業生の尚さん(74)ら地元住民に聞き取りをしたり、学校に残る記録などを調べたりしている。
その結果、上原さんが海軍軍人だった兄2人を戦争で亡くしたことや、学区内の20~40代155人が戦争の犠牲になっていたことが判明した。多くが南方戦線で戦死したという。
上原さんは82年に57歳で死去した。穏やかな人柄で区長や民生委員も務め、地元の婦人会や青年団のためにオリジナル曲を作曲していたという。作詞時は20~30代とみられ、京子さんは「母の兄も海外で戦死した。家族や身近な人が亡くなったことが歌詞に反映されたのでは」と話す。
悴田匡一教諭(60)も「開校当初は戦争で家族を亡くした生徒もいただろう。校歌が希望を与えたのではないか」とみる。
湯本さんは「地元にそんなに戦死者がいたことに驚いた。歌詞の深い意味を知り、もっと学びたくなった。校歌がなくなるのは悲しい。どんな形になるか分からないが残したい」と話している。
2022/8/15 上毛新聞 https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/160429
来春閉校の松井田北中校歌 戦争の悲しみ背景に
平和歌う詩の秘話に迫る 誕生経緯を3年調査
2022年度末で閉校する群馬県の安中松井田北中(国峯智校長)の生徒らが学びやを「平和な姿」と表現する校歌の背景に迫る調査を終えた。作詞者の家族や地元の多くの若者を太平洋戦争で失った悲しみが背景にあることを突き止め、作曲の経緯など校歌の誕生秘話を深く掘り下げた。生徒は「閉校後も残していきたい」と話している。
調査を担当したのは、作詞者の故上原桂さんの親類に当たる3年の湯本さくらさん(14)と悴田匡一教諭(60)。前身の旧細野中が開校した直後の1948~55年に教員を務めた土屋登さん(94)らの証言で、これまで不明だった校歌の誕生の経緯などを詳細に明らかにした。
調査結果によると、戦争で兄2人を亡くした上原さんは、親せきで細野中の英語教師であった故上原熙さんから詩作を学び、47年ごろに歌詞のもとになる詩を書いた。学区内は20~40代156人が戦争の犠牲になったとされ、旧満州などの引き揚げ者や空襲で焼け出された人も移住。49年発行の校友会誌に亡き両親をしのぶ詩も掲載されている。
完成した詩はこうした悲しみを背景に、新たな時代への希望を込めたとみられる。詩を読んだ熙さんが「いつか曲をつけて、みんなで歌いたい」と職員室で詩を引き継ぎ、55年に音楽教師の故伊藤貢さんが赴任して校歌制作の機運が高まった。���して、伊藤さん作曲の校歌が58年2月、開校10周年記念式典で発表されたという。
こうした制作の背景や記録は残らず、人々の記憶から薄れたまま歌い継がれてきたが、湯本さんらの調査で再び明らかになった。調査結果は2日に開かれた最後の学園祭「北友祭」で展示発表した。湯本さんは「歌詞に細野の人たちの思いが込められていることが分かり感動した」と話した。
学園祭では閉校後の校舎の利活用の発表やクイズなどの催し、合唱や卒業生らメッセージビデオの発表も行われ、地域住民や卒業生でにぎわった。
2022/10/18 上毛新聞 https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/190039
廃校後の跡地活用で意見交換
中学生が市長にアイデア 安中
今年度で廃校になる安中市の松井田北中学校で生徒と岩井均市長が跡地の活用方法などについて意見交換を行い、生徒たちはそれぞれ独自のアイデアを市長に伝えました。 安中市にある松井田北中学校は、生徒数の減少などのため、今年度で廃校となり、来年度からは隣接する松井田中学校と統合されます。 廃校になることを受け、中学校ではこれまで地域の課題などについて学習を進めてきましたが、生徒たちの意見を市に届けようと27日、岩井市長との意見交換を行いました。 意見交換には全学年、あわせて24人の生徒が参加し、生徒たちはSNSを利用して、地域の魅力を発信してほしいという意見を市長に伝えていました。 続いて、生徒一人一人が廃校になった跡地の活用方法についてそれぞれのアイデアを発表しました。 生徒からは「カフェ」や「ワイナリー」、それに「アウトドア施設」などとして活用してほしいという発表があり、市長はメモを取りながら意見を聞いていました。 参加した2年生の女子生徒は、「祖父母や母も同じ中学校の出身です。廃校はとてもさみしいですが、地域の発展のために跡地が活用されることはとてもうれしいです」と話していました。 岩井市長は、「子どもたちが真剣に地域のことを考えているとわかったので、この意見を大事にしたい。現在、跡地利用は決まっていないので、白紙の状態からしっかり議論していきたい」と話していました。
2022/10/27 NHK WEB
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20221027/1060013207.html
「僕にしかできないことなんて、なにも無いかも」
孤独が生み出すエネルギーもあるけど、そう思わなくていい。
「僕だから、私だから出来ること」がこのまちにはある。
3月24日。閉校記念誌への寄稿者として、閉校式に参加した。
閉校に寄せて、生徒たちのメッセージを記録した映像が上映された。
記念誌に書かれた内容を生徒たちが読み上げるという内容だった。
「松井田に宿泊施設をつくりたい」と語った生徒もいた。
きっとできるはずだ。数年後、一緒に仕事ができたらうれしい。
その生徒たちの想いに仮説を立てて、閉校記念誌に寄稿した。
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ここは松井田北中学校だった場所です。
学舎を「平和な姿」と表現する校歌の背景に迫る調査をした際に、作詞者の家族や地元の多くの若者を太平洋戦争で失った悲しみが背景にあることを突き止め、作曲の経緯など校歌の誕生秘話を深く掘り下げた。
という2022年の新聞記事が残っています。
1947年ごろに完成した詩には、悲しい記憶を背景に、新たな時代への希望を込められていました。
作詞者の「いつか曲をつけて、みんなで歌いたい」という想いが還り、1958年2月の開校記念式典で校歌がお披露目されたようです。
こうした制作の背景や記録は残らず、人々の記憶から薄れたまま、昭和、平成、令和まで歌い継がれました。
2022年に最後の卒業生が調査して、明らかになり、同年10月2日の「北友祭」で調査結果を展示発表したそうです。並行して、生徒たちが廃校後の跡地活用案を考えたそうです。
生徒一人一人が廃校になった跡地の活用方法として、「カフェ」や「ワイナリー」、それに「アウトドア施設」等として活用してほしいという内容だったと新聞記事に記されています。
そのアイデアを10年間の時間をかけて、実現されたのが、
複合型アウトドア施設『へいわなすがた』です。
改めまして、本日はご予約ありがとうございます。
この隣のカフェスペースは全校生徒が集まって、学校給食を食べる場所でした。廃校になった後、小規模ですが、ワイナリーとブルワリーが出来ました。
窓から見える、向こうの建物がワイナリーです。
元々は体育館だった場所になります。
本日、ご予約のグランピングプランはクラフトビールが飲み放題となっております。
醸造所兼タップルームは美術室だった場所になります。
今年、2058年は校歌完成100年目の節目を記念して、校歌の歌詞がデザインされたタオルをお配りしています。ご案内は以上になります。
どうぞ、ごゆっくりお過ごしください。
ルーツを知った生徒たちの想い、これを実現して次世代に還元したい。
平成18年度卒業生 上原将太
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文化祭でやった、めちゃくちゃなGOING STEADYのコピーバンド。
そのせいで、翌年許可が降りなかったおかげで出来たショートフィルム制作。
卒業して1年経って、廃部になってしまった野球部。
高校野球、大学野球が終わったあと。
「野球だけの人」ではなくしてくれたのは、
間違いなく、松井田北中学校での3年間のおかげだ。
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【ナチュラルBob】 ・ その人の1番似合うラインにこだわってcut✂︎ ・ 後ろから見ても、サイドから見てもその人に似合うシルエット、首が細く見えるバランスを目指して、細かく微調整。 ・ オイルでサラッと艶っぽく☺︎ ・ 初めての方も是非ご相談ください! ・ 本日と明日、店内一部工事を行う為休業させていただきます。 ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。 ・ hair 高松秀和 @takamatsu_luce ・ 【Luce hair design】 〒103-0002 中央区日本橋馬喰町2-5-5 TEL 03-3661-0098 ・ ・ #ボブ #ロブ #ショートボブ #イルミナ #アディクシー #ノティオオイル #ひしがたシルエット #馬喰町美容室 #馬喰町ヘアサロン #馬喰町理容室 #馬喰町床屋 #東神田 #東日本橋 #馬喰横山 #浅草橋 #柳橋 #小伝馬町 #撮影 #撮影モデル #サロモ #理容師新卒募集 (日本橋) https://www.instagram.com/p/B3kxRuLHlTE/?igshid=wjkprby4lr7l
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「獅子身中の虫鈴木貞一」より
…皇道派の連中は概して陰性な者が多かった。真崎(甚三郎)、柳川(平助)、小畑(敏四郎)、鈴木(率道)、秦(真次)などは蛇の肌に触るようなつめたい感じがした。荒木(貞夫)は秘書官と酒のみ競争するような茶目気があり、比較的陽気なところがあった。青年将校の信望を集めたのも、一つはそのせいであったと思われる。…
皇道派の変わり種として、いま一人の珍しい人物を紹介しておこう。鈴木貞一である。第二十二期だから鈴木率道と同期だ。支那駐在から任満ちて参謀本部に戻ったが、肝心の支那班で「彼は支那班に置くような者ではない。もっとしかるべきところに」といって収容しない。他の部課でも「ああ、こちらにはいらないよ」とみな敬して遠ざける。頭脳もよし手腕力量ともに凡庸ではないが、どういうものか同期生から好まれない。同期生といえば同胞よりも親しい。血をすすりあった盟友だ。それから排斥されるんだから、よほどの大器に違いない。それを聞いた軍事課長の永田鉄山が「それじゃ、俺のところにもらおう」という。軍事課の者が「ゲテモノ食いもたいがいにしなさい。彼を抱えこんでは課長が食われますよ」と散々忠告したが「まさか」といって採った。
駑馬も騎手が良ければ駛る。いわんや鈴木は千里の馬だ。騎手は古今の名手と来ているから、正に天馬天をいくごとく見えた。「鈴木はいいだろう」と永田は鼻をうごめかしていた。鈴木も永田の知遇に感じたか、御奉公第一と勤めているうち世の中が変わって来た。荒木が陸相としてその一党を率いて乗り込んで来た。永田と意気投合していた小磯(国昭)は軍務局長から次官に棚上げされた。荒木の髭の塵を払わねば立身出世かなわぬ雲行になった。永田は新軍務局長山岡重厚が素人だから、従来より一倍骨を折ってこれを補佐しているが、山岡は事務などはどうでもよい。永田の言動を厳重監視するのが役目である。
永田は人からはゲテモノ食いなど冷やかされるが、どんな者でも一芸一能に秀でている者ならばりっぱに使いこなす。鈴木など好例であるが、その他の軍事課員も一癖も二癖もある。腕に覚えのある侍どもだ。大臣がかわろうが局長が動こうが、俺は俺の道をいくという構えでジタ��タする者はない。それぐらいの面魂は持っているのである。ところで、某日、筆者が山岡を訪れた。その頃はすっかり仲よしになっていた。
「おい、珍しい物を見せようか」
山岡は応接室から自室に引き返して持って来たのは汚い鞘に納められた短刀である。
「拝見します」
と抜いてみるとさびついている。銘はない。むろん筆者にはわからない。「何ですか」ときくと「俺にもよくわからないが、関もので兼房あたりではないかと思う。物は大したものではないが、まあ窓をあけるぐらいの価値はあろう」と卓子の上に載せ、「問題はこれを持って来た者だ。誰と思う」わかりませんと答えると「貞一だよ、鈴木貞一だよ」と言って笑う。「彼が北京とか天津とかの古物屋のガラクタの中にあったのを発見して、掘出物ではなかろうかといって持って来たんだ。彼は平素刀などひねくりまわしているのかい」と愉快そうに笑う。山岡は皮肉屋である。彼には鈴木がどういう意味でこんなものを持参したかを知っているのだ。それを筆者に言わせて拍手しようという魂胆だ。山岡が刀剣以外には何の趣味も道楽もない木強漢であることは部内周知の事実だ。酒を持ちこんでも菓子折を持参しても何の効顕もない。もし、刀剣を持ちこめば相好をくずして喜ぶ。この点はまことに弱い。持ちこむといっても贈物ではない。鑑定だ。贈物となれば少なくとも山岡の所持している以上のものでないと喜ばないだろう。現に長光とか国安とか稀代の国宝級のものを持っている。それに匹敵する物は、まず手に入るものではない。そこで鈴木はこの山岡最大の弱点をついたのである。
山岡が積極的に悪口を言わなくなれば、皇道派の連中は大抵信用する。面と向かっても罵倒するし、陰での批判など痛烈無比だ。皇道派とは因縁のない板垣征四郎を呼ぶに、まともに言ったことはない。「板(パン)」である。「板」がまた支那人にだまされてウンと金をとられた。「彼は板じゃなくて白(パイ)だよ。白痴だよ」という。金をとられたという事件の内容は忘れたが、おおむねこの類だ。彼の口に上らなかったのは武藤、荒木、真崎の三守護神くらいだが、それでも荒木については善意の悪口はのべていた。鈴木はその後も、長いもの短いもの幾口かを持ち込んでいた。山岡は役所でもろくな仕事はしていないんだから、役所に抱えて行って局長室に投げこんでおけばよいのを、わざわざ自宅に持参するところに彼の狙いがあった。かくて、皇道派のメンバーの一人の如く振舞うようになってから、永田に対する態度は次第に冷ややかになった。つめたくなるばかりではすまない。皇道派に永田の悪口を注進する。
鈴木はしばらく新聞班長をしたことがある。上着の内ポケットがいやに硬直している。「機密費でもしこたま入れてるのかい」というと、「ばかを言え、これだ」と取り出したのは短刀だ。見ると月山貞一の作である。「僕と同名だし、なかなかいいできだろう」と得意である。 月山は帝室技芸員か何かになって、晩年は知られたが、日清戦争頃までは鍛刀の依頼者も少なく、やむなく古刀の擬物を打っていたと伝えられる。擬物でもすぐ発見されるようなものでなかったから、その技術は高い水準にあったらしい。それにしても贋物作りをするような人物は感心できない。それはそれとしても、何のために新聞班長が懐ろに短刀を呑んでいなければならないか。それほど彼の身辺は危険だったのか。真に護身用なら赤の他人に誇示するようなことはないはずである。また、手をのばせば届くところに、日本刀を仕込んだ軍刀を置いている。どこから見ても不必要だ。それを見せるキザな態度に筆者は、しばらく胸の悪くなるのを覚えた。
斎藤内閣のとき、何かの要件で鈴木は高橋(是清)蔵相を訪れた。大いに気おって蘊蓄を傾けて老蔵相を説き、ことに陸軍予算のみならず、国家予算全体についても話したらしい。高橋は鈴木の階級も何も知らず、おそらくポストも知らなかったろうが、ともかく数字をならべて説くところがなかなか堂に入っている。感心して鈴木が出て行ったあとで、次官か秘書官かに「今来てしゃべって行った兵隊はあれは主計か」と尋ねたそうだ。この話が陸軍に伝わり鈴木の耳にも入った。「君は主計に間違えられたそうだね」というと怒るかと思いのほか、満悦である。大蔵大臣に主計と間違えられるほど、俺は数字にも明るいんだと誇りたいんだ。渋谷美竹町の彼の自邸は、佐官級としては過ぎたりっぱなものであった。応接室も広く、周囲に飾られている物はみな中国のものだ。新聞記者が行くと、なかなかの御馳走を出す。ウィスキーなんか本場物を幾種類か出し、時には上等の中国の酒を振舞う。酒好きの記者はしばしば鈴木邸を夜襲したらしい。そういうことをするのが弘報宣伝だと心得ていたのだ。
さて、世の中はまた変わった。荒木が引っこみ林(銑十郎)が出て来た。その直後のことである。筆者は毎朝犬の運動のため、渋谷、駒場方面から方角違いの中野、杉並、八王子近くまで自転車で走りまわっていた。その途中に知りあいの家があれば、遠慮なく叩き起こす。仲には「どんなことでもきくから朝起こすのだけは勘弁してくれ」と泣きつく者もいた。家を出るのは薄暗い頃だから、運のわるい者はほんとうに夜半のつもりでいる。渋谷方面では永田も被害者の一人だ。しかし、その頃は旅団長をしていて、夜ふかしは少ないはずだから、帰途に垣根の外から「永田さん」と呼ぶ。美しい夫人が縁側に三つ指つくときは、まだ起きていない証拠だから素通りする。ところで、その朝は筆者の行ったのが少し遅くなってはいたが、珍しく庭に出て楊子をくわえている。そして先方から声をかけた。
「オイ、ニュースがあるぞ、こっちに入れ」
永田がそんなことをいうのは稀有だ。「何ですか」と犬をつれて庭に入って縁に腰かけるとこういうのだ。
「鈴木貞一が来たんだよ。御近所まで参りましたからといってね」
「鈴木は美竹町ですぐ近所じゃありませんか。今まで訪ねなかったんですか」
「来るものか、そして省内の事情や何かをききもしないのにいろいろしゃべって行ったよ」
「閣下が軍務局長にでもなると見たんですね。ほんとうにそんな気配が感ぜられますか」
「いろいろの情報や脈引きに来る者はあるよ、だが御免だよ、毎朝馬に乗って軍隊のことばかり考えていればよい旅団長は、めったにやめるわけにはいかないよ、ことにこんな御時世ではね」
林が就任すると間もなく、永田軍務局長説が出た。筆者は渡辺(錠太郎)から、林はつっかえ棒なしでは乗りきれない。永田は迷惑だろうが軍務局長になってもらわねばなるまい。林もその気でいる。しかし、実現するまでは新聞に書いてくれるなよ、書けば彼らが騒ぎ出すからと堅く差し止めされていた。しかし、部内でも永田出馬説がでるし、他の新聞にも書き立てている。そういう際だったので永田の真意を打診したのだが、やはり永田は出ないと言っている。けれども渡辺が強引に林を説得しているから、所詮出なければならなくなるだろう。渡辺のことは伏せておいたが、結局引っぱり出されるだろうことを話した。永田は「困る、困る」を連発して、憂鬱そうだった。
昭和九年三月の異動で、永田は軍務局長となった。鈴木貞一は永田の下で羽ぶりをきかせたかったらしかったが、こんどは永田もそうはしない。陸大主事に追った。小畑幹事の下だからうまく行くはずだが、林陸相出現以来の鈴木の豹変振りが皇道派を痛く刺戟した。彼は何をするかわからぬという疑惑がある。俊敏な小畑がそれを見損ずることはない。新聞班長時代には千客万来だった鈴木邸にも、雀が門前に巣をかけるようになった。だが、それぐらいのことで尻尾をまくような鈴木ではない。小畑にはつとめて媚態を呈するとともに、新聞班長時代に開拓した政界という新分野に鎌首を突っこんで行った。侯爵井上三郎は砲兵大佐で現役を退き貴族院にいる。現役時代から接近している。西園寺公の秘書原田熊雄は以前から食い込んでいる。原田から近衛、木戸の方につながる。
五・一五事件のあとではあり、政治家はみな陸軍のことを知りたがっている。それには鈴木は最もよい情報屋である。原田日記にも鈴木の名はところどころに出ているが、林が陸相辞任騒ぎをおこしたときでも、鈴木は原田に荒木、真崎らの動向を伝え、こういう風に西園寺公に報告してくれなど注文している。政友会の方では、五・一五事件が政治家のだらしなさに対する警告だったことなど忘れ、また軍部をのさばらせることが、いかなる結果を招来するかも慮らず、いたずらに政権をとりたい野心から、しきりに軍部の機嫌をとる。森恪などその第一人者だった。鈴木は森恪の存在を重視しないはずはなく、ここを窓口として政友会に近づく。かくて政界で流行児になった。現役軍人としているのもよし、退いて政界にいづるも不可なしと、彼の地盤は漸次���固になる。ここらの手腕は実に鮮やかなものであった。
永田軍務局長時代であるが、小磯は第五師団長として広島にいた。筆者は満州からの帰途にはいつも小磯を訪問することにしていた。広島は急行列車が不便で、夜半でなければ通過しない。小磯は起きて待っている。大きな玄関を入ると上り口にりっぱな果物籠が置いてある。小磯は出迎えに出た夫人を顧みて「籠はまだ捨ててないじゃないか」となじっている。夫人は困ったという顔つきで笑っている。どうしたのかときいてみると
「その籠にはふれるな、けがらわしいんだ。名刺かなにかはさんであるだろう、それを見ればわ���る」
という。電灯の光でのぞいてみると鈴木貞一の名刺だ。
「鈴木が広島を通過したが、次官の関係でお伺いできないから、閣下に宜しく伝えてくれといって、多分駅にいた憲兵にでも頼んだんだろう、俺の留守中に届けられているんだ。胸糞が悪いから捨ててしまえと言って置いたのに、まだそこに置いている」
なるほどそれでわかった。その頃は小磯が中央部に出て、航空本部長になるかという噂がたっていた。その先物を買ったのだろうが、小磯としては次官、関東軍参謀長時代の鈴木の仕打ちには我慢ならぬものを感じていたのだ。
「捨てるのはもったいない。名刺さえ捨てておけば中身は上等な果物ばかりです。一つ食いましょう」
と名刺を土間に捨てて、籠を持って応接室に入った。小磯は機嫌がわるい。
「そんなものを食うより、今夜は虎の肉を食おう。山下亀三郎が朝鮮か満州かで仕留めたと言って、虎の肉を送って来ているんだ。この方がさっぱりしとっていいよ」
とさっそくすき焼きにして食ったが、肉が堅くてだめだった。それよりこの方がいいと、メロンや何かを食った。先物を買ってまた一儲けしようと考えたのだろうが、小磯は中央にもどらず、朝鮮軍司令官になった。果物は贈り損をしたわけだが、彼にもたまには目算違いがあった。…
(高宮太平『昭和の将帥』、1973年、190-197頁)
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<祝 こんにち的シンセ生誕六十周年 : Make Noise 0-Coast review> ●早くも長い前置き:こんにち的シンセの開祖とアナログシンセの二大潮流
こんにち的なシンセの開祖として有名なのは、アメリカのロバート・モーグ(Robert Moog)と、ドン・ブックラ(Don Buchla)。しかし歴史上、いちばん最初に電圧制御方式シンセをつくったのは、モーグでもなければブックラでもない。
それはドイツ人のハラルト・ボーデ(Harald Bode)であり、1960 年のことであった。かねてからボーデは、米国のオルガン・メーカーであるエスティ・オルガン(Estey Organ)社のために渡米して電子オルガンを開発していたのだが、そこで彼自身それまでの真空管ではなく新しく勃興してきたトランジスターに関心を持ち、それを利用した新概念の電子楽器を構想しはじめた。彼が考えたのは放送局や映画、レコーディングスタジオなどで活躍できるような、自由に音がつくれるあたらしい楽器である。 1960 年にボーデが創った最初のシンセ「Audio System Synthesizer」はすでにモジュラー構成になっていたものの、当時の電子音楽として流行していたテープの切り貼りによる「ミュージック・コンクレート」の影響を受け、オシレーターが無い代わりになんとオープンリールのテープレコーダーが音源回路として組み込まれていた。そしてそのテープから出る音をローパス・ハイパスどちらもできるフィルターやリング変調機、リバーブなどのモジュールで加工するようになっていた。その点ではアナログ方式のフレーズサンプリング・モジュラーシンセとも言えるであろう。
彼の論文には、当時すでに存在していたリング=ブリッジ・モジュレーター(Ring-bridge Modulator)を使って2つ音の和と差の周波数を出すというどっかで聞いたような話や、リバーブレーション・ジェネレーター(Reverbration Generator)つまり残響生成装置でもって音を響かせる話などが解説されており、それら既存技術��コンポーネント化して組み合わせることで新コンセプトの楽器をつくったのである。
ちなみに彼は史上初の VCO も開発したが、不思議にもモジュラーシンセには組み込んでいなかったふしがある。
ともかく彼は自作のモジュラーシンセを AES ショーに持ち込み、デモを実施。その聴衆のなかに、そう、誰あろう、まだ若き学生にすぎなかったボブ・モーグの姿があった。 トランジスターという最先端テクノロジーがもたらす可能性とコンパクト性にすっかり魅了されたモーグは、このあと小さくも未来的な電子楽器としてテルミンの自作と販売に打ち込むようになる。
やがて '60 年代前半、ボーデなどによる先行モジュールをヒントにモーグもブックラも自分なりに電圧制御型のオシレーター・モジュールを開発し、さまざまな他のモジュールも開発するようになった。そして、’64 年にはモーグがモジュラーシンセのプロトタイプを販売することに成功し、以来モジュラーシンセの開発と販売にいそしむようになった。’66 年にはブックラが自身では初めての商業ベースでのモジュラーシンセ販売を始め、その機種名はブックラ 100 シリーズと銘打たれた。二人はボーデなど数多くの先駆者たちの偉業の上に先駆者たちの双肩の上にならび立って、史上初のこんにち的なアナログシンセをつくりあげたのである。
この二人に 「どちらが先に最初のシンセをつくったのですか?」 と聞こうものなら、お互い相手を指差して 「あんたが先」 「あんたが先」 と言い合うくらい、どっちが最初にシンセをつくったのかもはや当の本人たちでもわからない。だからふたりとも同じころにシンセを開発したというのが結論。そして電圧制御式という画期的な方法論を編み出したのは、あくまでボーデ。
ちなみに冨田勲は moog IIIp とともにモーグ社へライセンス提供されていたボーデのリング変調機とフリケンシーシフターとを入手しており、アルバム「月の光」などからずっと使用している。
ロバート・モーグと、ドナルド・ブックラ。 ボブとドン。 この二人の設計思想には明確な違いがあり、特にそれはコントローラーにて顕著にあらわれることになる。そのまま二人はアナログシンセにおける二大潮流になっていった。 当時の合衆国において ・モーグは、東海岸のニューヨーク州に拠点を置き ・ブックラは、西海岸のサンフランシスコにいた そのためアナログシンセ業界では、たとえて言うなら「東海岸モーグ流派」と「西海岸ブックラ流派」とも言うべき、ふたつの潮流が存在することとなる。
東海岸モーグ流派すなわち一般的に言われる「イーストコースト・シンセシス(East Coast Synthesis)」は、いわゆる減算方式でありオシレーター/フィルター/アンプという音声信号経路をたどり、それへの変調要素として EG や LFO などを配置。豊富な倍音をもつ音源波形から倍音を削って音創りするという減算方式は、論理的でありできる音色の予想もつきやすい利点があった。 なによりもモーグ・シンセはおもに普通の音楽用キーボードによって演奏でき、それはそのほうが分かりやすく音創りもしやすく、ついでに売りやすいだろうと考えてのこと。
つまりモーグは従来的な音楽演奏を念頭においてすべてを設計したのである。このためモーグ・シンセにはじまる減算方式は、デジタル化されソフトウェア化されたこんにちにいたるまで絶大な人気があり、音楽シーンを席巻することになる。 それは合衆国の中でも歴史が古い東海岸ならではの伝統的なビジネスセンスでもあった。
いっぽうそんな伝統なんかどこ吹く風、ネクタイ締めたビジネスなんかくそくらえ、ヒッピーと反戦とドラッグとカウンターカルチャーとラヴアンドピースだいぇーいにあけくれていた西海岸から出てきた西海岸ブックラ流派、一般的に「ウェストコースト・シンセシス(West Coast Synthesis)」と呼ばれる音源方式は、フルアナログなのにフィルターを持たず、アナログによる FM 変調やウェーヴシェイピング、ウェーヴフォールディングなどにより倍音を増やす方向で音創りするように設計されていた。三角波のように倍音が少ない音源波形からさまざまな変調をへて倍音を増やすというこのシンセシスは、減算方式では不可能な音やより複雑な倍音構成の音をつくることができた。
さらにブックラのシンセは '66 年に発売した初号機 100 シリーズからの伝統として、トラッドな白鍵・黒鍵からなるキーボードを持たずまったくなんのコントローラも持たないか、あっても金属タッチパネルによるフルフラットな鍵盤などしかなかった。金属タッチパネル鍵盤はマイクロチューニングすら可能であったという。しかしその一方で、金属タッチパネル鍵盤は演奏者が鍵盤に触れる指などの面積や「触れる指先の汗による湿度などによっても音色が変わる」という都市伝説を生むほどに非常に繊細な表現を可能としつつ、かえってなかなか弾きこなすにもむずかしいものであった。 というか、はなから「弾きこなす」ということを想定していない。弾くという行為すら考えていない。そんな従来の楽器に隷属した発想なんて自由な電子楽器の進化をさまたげるものであり、言うなれば先祖返りだ!とブックラは考えていたのである。
なのでコントローラーも従来とは違うぶっとんだものになり、演奏するにしても音を出しっぱなしにしてドローン音をたれ流し操作子をひねりまくって音色変化させるという手法が、かなりひんぱんにとられた。
ブックラはアナログシーケンサーの発明者でもあるが、それは当時の電子音楽として流行していた「ミュージック・コンクレート」をより容易に実現するフレーズ生成マシンとして開発したものであったというのも興味深い。とにかく楽器然としていない、楽器という既存のしがらみからの自由解放ばかりを考えていたのである。
むろんモーグにも長大なリボンコントローラーがあったり、モジュラー用キーボードコントローラーにピッチのスケールを変える機能が付いていたりもした。しかしそれらは、キース・エマーソンのようなショーアップしたパフォーマンス以外ではあまり使われることなく、さらには minimoog の登場によって皆の記憶から吹っ飛んでしまった。 その minimoog は、あえて仕様を限定することでコンパクト化を実現、その明快さから一躍ヒット商品となり、対抗馬として ARP Odyssey が出るに至った。以来シンセは従来型の楽器的なアイデンティティに目覚め、その帰結として徐々にモジュラーから遠ざかっていくことになる。
いっぽうブックラは、'60 年代の当初からタッチパネル鍵盤やリボンコントローラー的なぶっちぎったものにこだわっていた。
結果ブックラのシンセは先進的すぎ、とんがりすぎて、音響実験室か前衛的でアヴァンギャルドな音楽にしか使われないことが多かった。
ブックラは異端児であった。
彼は「シンセサイザー」という言葉すら好きではなかった。合成器というその意味からは、どこかしら「既存のなにかを模倣するもの」というニュアンスが感じられたからだ。だから彼は、彼のシンセをシンセとひとくくりにしては呼ばず、単におのおのの機種名でのみ呼んだ。 事実、'82 年の米国版キーマガにおけるインタビュー記事にて彼はそう明言している。そればかりか東海岸モーグ流派が君臨しているシンセ業界は従前の楽器に従属しすぎであると、静かにだがはっきりと苦言すら呈している。
けっきょくモーグは豊かな音色を創ることを第一に置き、ブックラは既存のしがらみにとらわれない電子音楽ならではの演奏をすることを第一に置いていたがために、二つの流派が誕生することになったと言っても過言ではない。
ちなみにこの二人は仲が良かったそうである。個人的感情と彼らがつくりだすもの、さらには市場経済や会社経営とはまた別の話ということであろう。それこそインタヴューでお互い相手を指して「あんたが最初」って言い合うくらいなのだから、ともにシンセあけぼのの時代をつくった当事者として、底抜けにリスペクトしあう間柄にちがいない。
そしてブックラは細々とではあるが、とんがった西海岸流派のシンセをつくり、デジタルハードシンセが流行するとこれまた前衛的かつ実験的な感圧パッド方式の MIDI コントローラをつくり、そしてゼロ年代になって eurorack ブームが起きるとそれを機にまた変態なシンセをつくったり、往年の変態シンセを復刻させたりしている。 そのすべてにおいては鍵盤は装備されておらず、たとえそう見えても実はあいかわらず電極式タッチパネルであった。
↑ 1972 年発売、Buchla music easel ↓ 現代復刻版、Buchla music easel
また、西海岸ブックラ流派のシンセメーカーは、ブックラの他にも古くから Serge(サージ)などあり、そろいもそろって特殊なシンセを開発し、その結果いずれも細々とではあるが求道者のように息の長いシンセづくりをつづけてきた。
なお、海外では「西海岸ブックラ流派のシンセは、加算合成方式のシンセシスを採用している」と言われる事が多い。しかし加算合成(additive synthesis)といってもフーリエ級数を使ったサイン波倍音加算合成などとは違い、あくまで「倍音が少ない音源波形に倍音を増やす」という意味に過ぎ��いことに注意。
ところで、先ほど西海岸ブックラ流派のシンセシスでは、アナログによる FM、ウェーヴシェイピング、ウェーヴフォールディングなどによって音創りすると述べた。 アナログによる FM 変調はヤマハ DX で大ブレイクしたデジタル FM ほどには音が澄んでいないものの、原理上エイリアスノイズが出ないという特徴がある。 いっぽう、ウェーヴシェイピングは単調な音源波形ほど音楽的な音色変化をもたらす1対1の数学的な変換である。のちのデジタルシンセ時代においてコルグが 01/W を出したときに採用されたものの、PCM のように複雑かつ不規則な音源波形にかけるとただの汚いノイズにしかならないことが多かった。そのため、むしろ幾何学的な音源波形しか出さない原始的なアナログシンセに有利な手法であった。 さらにウェーヴフォールディングとは、ディストーションシンセシスの一種であり、ある波高から上ないし下の部分を極性が逆の方向へ折り返すことによって波形をひずませるシンセシスである。とはいえ単純なディスト―ションのように鋸歯状波を台形波にするような、ある振幅以上の波をシンプルにぶったぎるようなことはせず、どう波形を折り返すかが各シンセメーカーの腕のみせどころであった。
これら西海岸流派のシンセシスをすべて包括して、非線形シンセシス、ノンリニアシンセシスとも呼び、それはサイン波のような単純な波形から複雑な波形を生み出すものであった。そしてそれはモーグシンセなどによる線形シンセシス、あるいはリニアシンセサイザーをうたったローランド D-50 などとはコンセプトが異なるものであった。
デジタルシンセ時代に入ったあとのノンリニアシンセシスは、ウェーヴシェイパーを搭載したコルグ 01/W をはじめ、時たまマーケティング・タームとして浮上することがある。非常におおきくマクロに俯瞰すれば、ヤマハ DX シリーズは西海岸シンセシスの鬼子と言えなくもない。言わばものすごくバカ売れした、西海岸流派のミュータント。 ただ DX は FM 音源に特化したシンセなので、一般的には FM 変調の文脈で語られるものであり、ヤマハのエンジニアがブックラを手本にしたとは到底思えない。
余談ながら、とかくぶっとんだ発想の機種が多いブックラだが、じつは '70 年前後から活躍していたスザンヌ・チアーニ(Suzanne Ciani)は、なんとブックラ・シンセに触れてシンセ音楽に目覚めブックラを多用し、じつにたおやかな作風の美しいシンセ音楽アルバムも残していたりする。
彼女は日本で最初に評価され、日本からデビューアルバムを出し、そこから世界に躍り出たアーティストであった。その後彼女のブックラ・モジュラーの大半を盗まれてしまい、傷心からしばらくの年月にわたり、アコピのみのリサイタルを繰返していたという。 しかしやはりブックラでないとという思いから、今ふたたびブックラのモジュラーを駆使し、さまざまにアンビエントな作品をつむぎだし続けている。
↑ スザンヌ・チアーニとドン・ブックラ
またブックラは、実はオランダ系アメリカ人であり、その名前はほんとうは「ブークラ」と読むらしい。しかし日本では「ブックラ」で定着し、アメリカでは「ブクラ」とか「バクラ」とか言われたりする。 オランダ系アメリカ人でありなおかつ名前の読み方に諸説あるという点においても、奇しくも彼はモーグと同じである。
●メーカー名
Make Noise
創業者トニー・ロランドー(Tony Rolando)は、自分へのプレゼントとして簡単なリングモジュレーターをつくってみた。彼はモーグで働いていたのだが、基板設計が楽しすぎてスピンナウト。しかしスキルはあってもそれを実証するポートフォリオもなく、誰も「あんた経験ないし」というので自作のモジュールをつくりはじめた。この簡単なリングモジュレーター「D-Mod」もそのひとつ。簡単だがダイオード型で、当時はそんなに見かけない個性的な音がするタイプ。それを 20 個つくり、2個は自分用、残り 18 個はお小遣い用に Matrixsynth サイトで、単価 99 ドルで売り出したところ、秒殺で完売。その音がすばらしいというのでネットで噂になり、Analog Haven の Shawn Cleary が、いきなり 50 個つくってくれと依頼。うれしい悲鳴で一冬ほど忙殺されてしまう始末。ここから彼は、電子楽器のガレージメーカーである Make Noise 社を創業することとなった。
2008 年に創業した同社はユーロラックブームに乗り、今まであまり誰もが手をつけてこなかった西海岸ブックラ流派シンセシスに深く影響を受け、さまざまな個性派モジュールを開発・発売する大手シンセメーカーとなり、ついには Shared System という名の 60 万円以上する巨大でモジュラーなフラッ��シップシンセまでつくりあげた。
また全世界で3万台以上も売れたとも言われる関数ジェネレーター・ユーロラックモジュール Maths など、とにかく異端児な機種を数多く生み出してきた。
今ではユーロラックのモジュラーシンセ・ユーザーの大半が、なんらかの形で同社のモジュールを組み込んでいるくらい、同社は大きなメーカーになった。
前述のフラッグシップ・モジュラーシンセの Shared System だが、これは皆で同じ機種を共有=シェアしそれでさまざまな作品をつくろうという意味があり、特に著名アーティストへ提供しては一発録りの作品をつくってもらい、7インチアナログ盤レコードにして販売する Make Noise Records というレコード・レーベルまで立ち上げているところが、同社の当世風でおもしろいところでもある。
今となってはすっかり西海岸ブックラ流派における大手となった同社だが、その本社は今でも創業者ロランドーがもともと勤務していたモーグと同じ町にある。すなわち東海岸モーグ流派の総本山たる新生モーグ社とおなじく、アメリカは東部のノースカロライナ州アッシュヴィルにある。
また創業者のラストネームはよく日本ではローランドと呼ばれているが、つづり「Rolando」からするとロランドーのほうが正しい。
ところで現代のモジュラーシンセメーカーにおいて、西海岸ブックラ流派のメーカーは Buchla、Serge、この Make Noise の他にフランスの Mutable Instruments などがある。Mutable Instruments にいたっては、デジタル音源によるユーロラック・モジュールを盛んに開発・販売しており、物理モデリング・オシレーターモジュールなどもあったりする。
●機種名
0-Coast 2016年1月発表、同年6月海外発売、7月国内発売。 海外売価 US$499、国内売価6万円前後。
それまでユーロラック・モジュラーシンセをたくさんつくってきた Make Noise 社が、初めて出したテーブルトップ型のセミモジュラー・モノシンセ音源モジュール。 同社のフラッグシップたる Shared System を、ぐっと小さく凝縮したような仕様の機種だが、新開発の機能もいろいろある。薄い軽量コンパクトな金属ボディも場所を取らず、かつ頑丈でうれしい。
機種名の最初の文字は「ゼロ」である。 機種名の読み方には: ・ゼロコースト ・ノーコースト ・オーコースト とあり、どれもが正解とされているものの、創業者社長ロランドー氏が「ノーコースト」と呼んでいるらしく、それがいちばん製品コンセプトに近いとされる。
・東海岸モーグ流派が「イーストコースト・シンセシス」。 ・西海岸ブックラ流派が「ウェストコースト・シンセシス」。 ・で、この機種はそのどちらでもないというので「ノーコースト・シンセシス(No Coast Synthesis)」ということらしい。
すなわちモーグとブックラというアナログシンセ二大パラダイムの、あいの子、とでも言いたいらしい。
●音源方式
ノーコースト・シンセシス。 それは東海岸モーグ流派と西海岸ブックラ流派との特徴が入り乱れた、独自の音源方式。 しかもフルアナログかつディスクリート設計の、セミモジュラーシンセ。
セミモジュラーなので、音声信号系は以下の順番で内部結線されている。
音声信号系: ・VCO1基 ・オーバートーン(Overtone)セクション ・マルチプライ(Multiply)セクション ・バランス(Balance)セクション ・ダイナミクス(Dynamics)セクション
これに加えて以下の変調系コンポーネントが存在。
変調系: ・クロック出力/ランダム出力 ・電圧演算(Voltage Math)セクション ・スロープ(Slope)セクション → オーバートーンとマルチプライへ内部結線 ・コントゥアー(Contour)セクション → ダイナミクスへ内部結線
さらには、随所にパッチングするためのミニジャック端子が開いている。 MIDI IN 端子もあり、これもミニジャックで、5ピン端子との変換ケーブルが付属する。 むろん CV / Gate 駆動もでき、MIDI to CV / Gate コンバーターにもなる。 なお6本のパッチケーブルが付属する。さらに私の個体は日本代理店のキャンペーン品だったので5本のパッチケーブルが追加されて付属してきたが、それらは短くて短距離パッチングにしか使えないというところが、ご愛嬌。
●同時発音数
モノフォニック。 だが外部機器と組み合わせつつパッチングすれば裏ワザで2音ポリに、やりようによってはそれ以上のポリ数にできる。
●内蔵エフェクトの性能と傾向
皆無。
●内蔵波形、プリセットの傾向
装備されて��る VCO が1基のみであり、そこからの音源波形は三角波と矩形波のみ。だが、裏ワザでパッチングすると最大合計4基のオシレーターや1基のノイズジェネレーターなどが創りだせる。裏ワザによって作り出されたオシレーターから出力される波形は、倍音構成をさまざまに連続変化させられる鋸歯状波や三角波、パルス波、さらにはより複雑な幾何学波形など。同じく裏ワザによるノイズジェネレーターは、ホワイトノイズからレッドノイズまで各種のノイズを連続して可変出力できる。 ウェーヴフォールドの演算上、鋸歯状波とパルス波は加工できないという特性があり、そのためかデフォルトでの VCO には搭載されていはいない。
音色メモリーが無いのでプリセットも無い。
●エディットの自由度と可能性
見慣れないシンセシスなので、まずは内部結線されている音声信号経路の順番に各セクションを紹介する。
おおざっぱに概要説明するなら:
・まず VCO1基で三角波と矩形波とを出力 ・次にオーバートーンとマルチプライとによる2つのセクションで倍音増大 ・バランスセクションで基音と倍音とのミックス比を決定 ・ダイナミクスセクションで、それまでに生成した倍音の量を調節して出力
.....となる。
この内部結線されている様子は、フロントパネルにおいて金色の��印で表現されているので分かりやすい。ただ、おおむねフロントパネルの左から右へと信号が流れるようになっているものの、この矢印線をたどるとラセンを描いて進むため、最初はめんくらうがひとたび覚えて慣れてしまえばモーマンタイ。
まず最初に VCO からは三角波と矩形波との二つが同時に発生し、おのおの個別に並列で出力される。つまり音源波形は選択式では無く、両方の波形が同時に個別に出る。音源波形は下流のセクションへ内部結線されているだけでなく、三角波のみを出力する端子と、矩形波のみを出力する端子と、二つのパッチポイント端子が並んで存在するので、二つ同時に出力できる。
この VCO はトライアングルベースの VCO であり、すなわちまず三角波を生成し、それをアナログ回路で変形して矩形波を創りだしている。アナログシンセにはよくある形式であり、三角波に波形が近いサイン波を生み出しやすいことから澄んだ音色などを得意とする。 これに対するものとしてはソーベース(Saw base)すなわち鋸歯状波ベースのオシレーターというものもあるが、本機種では使用されていない。 なお VCO にはリニア FM 変調のキャリアとしても動作できるよう、モジュレーターとなる信号を入力できるパッチポイント端子が装備されている。
VCO からの音源波形は、まずオーバートーンというセクションへ送られる。 オーバートーンとは「倍音」を意味する英単語であり、よく使われるハーモニクスは整数次倍音を意味することが多い。このセクションでは音源波形に高次倍音を付加するため、音源波形はブライトな音に生まれ変わる。しかもノブひとつまわすだけで、波形が形の崩れたサイン波っぽいものから三角波を経て、そこから三角波の頂点にスパイクが伸び、やがてスパイクのみがパルス波として残るという、不思議な聴いたことも無い変化をする。 Dave Smith Instumrnts OB-6 などにある、音源波形が連続可変する VCO のように使うといい。
次に音声信号はマルチプライというセクションへ送られ、倍音が乗算的に増大する。 ノブをひねったときの音色変化はハードシンクに似て非なるもので、今までに聴いたことが無い斬新なもの。波形を見るとどうやらここでウェーヴフォールドを行っているらしい。
なお、このオーバートーンとマルチプライとの二つのセクションは、今までの Make Noise 社からは出てこなかった新開発の機能であり、単独のユーロラック・モジュールとしての発売が期待されている。
そこから音声信号は、バランスと呼ばれるセクションへ。 これは VCO から分流した三角波、それもオーバートーンもマルチプライもバイパスしてきたピュアな三角波と、オーバートーンやマルチプライで増加された倍音群とのミックスバランスを単一のノブで可変できる。ノブをひねれば丸い音から倍音豊かな音色まで変化するさまは、あたかも東海岸モーグ流派シンセにてローパスフィルターのカットオフを操作しているようでもあり、原理はまるで違うながらこのような倍音変化を生み出すあたり、東西どちらのシンセシスでもないところがノーコーストたるゆえんのひとつでもある。 むろんミックス比を変えているだけなのでレゾナンスは無い。それでも、もともとかなり奇抜な倍音群を制御できるので表現力もかなり大きい。
さらに音声信号はダイナミクスと呼ばれる最終セクションへ送り込まれる。 これは広義のローパスゲート(Low Pass Gate)であり、東海岸モーグ流派でいう VCF と VCA とを兼ね備えた働きをする。具体的には、ノブをひねると音量が下がると同時に倍音も減る。オーバートーンとマルチプライによって生成された倍音群を、ここで調節するのである。やはりレゾナンスこそ無いがこれは西海岸ブックラ流派に独特のセクションであり、現にローパスゲートを初めて開発したのはブックラであった。
ここで「広義の」ローパスゲートと書いたのには、わけがある。 すなわち狭義のローパスゲートはバクトロール(vactrol)と呼ばれる光学式アイソレーターを用いているが、0-Coast ではそれが意図的に使われていないからである。 バクトロールとは、LED とアナログ式の光センサーとで構成されたもので、LED で電気信号をいったん光信号に変え、それを光センサーで再び電気信号に戻す仕組みのもの。その構造上、信号のレスポンスに遅れが生じ、結果とんがったピークを持つ波形でも反応速度の遅延によりアタックがなまり、角がとれて丸い波形となる。 この挙動が、いわば倍音を削り取るローパスフィルターに似るのである。
しかも減衰時に周波数特性が刻々と変化することから、それが西海岸ブックラ流派シンセでは独特の味のある音色変化をもたらすものとして重宝された。実際には、まず往年のブックラ 292 ローパスゲートモジュールに使われ、こんにちでもその復刻版や他の西海岸流派シンセに使われている。そしてそのレスポンスの遅れと周波数特性のせいで、マリンバのようなディケイ感とピッチ感あるパーカッション音色や、撥弦楽器の音色などをつくるのを得意とし、特にボンゴを真似た音色は「ブックラ・ボンゴ」などと呼ばれたりもする。
バクトロールにはいろんな種類があり、おのおの持ち味がことなるので、それもまたメーカーの腕のみせどころとなっている。
なおバクトロールはフォトカプラーとも呼ばれ、MIDI 端子を絶縁するのに使われてもいる。多数の MIDI シンセを直列に MIDI 接続したときに、反応に遅れが生じるのはこのフォトカプラーのせいなのだが、これが無いと MIDI 接続時に複数のシンセにまたがって回路がつながってしまい、余分な電流が流れてシンセ内部の電子回路を破壊しかねない。よってこれを防ぐべくフォトカプラーを使うよう MIDI 規格にてさだめ、安全のため不可欠な設計としているのである。すなわち光学式アイソレーターとして MIDI 端子を電気的に絶縁すべく、フォトカプラーが使われているのである。
しかし 0-Coast ではローパスゲートにバクトロールを使わず、あえて東海岸モーグ流派シンセと同じようにトランジスターで構成し、そのためまさに VCF と VCA とを合体させたような回路設計となり、反応速度も速くおかげで今どきのクラブ音楽などで重宝される立ち上がりがするどく終わりもスパッと切れるように歯切れ良い音色が創れるようになった。 バクトロールを排したローパスゲートを組み込んだのは、その西海岸ブックラ流派の伝統を考えると英断とも言える。Make Noise 社のとらわれなさ、発想の柔軟さを物語るところでもある。そしてここに採用されたトランジスターベースのローパスゲートもまた東西流派の合作とも言え、ノーコーストたるところなのであろう。
このローパスゲートによるダイナミクス・セクションを経て、音声信号は外へ出る。 出力端子はライン出力とヘッドフォン出力との両方に対応したミニジャックであり、モノラルだがステレオ・プラグにも対応している。 これに加えてもうひとつラインミキサー用の高レベル出力端子もあり、これは 10V の出力を出すので、ここに間違えてスピーカーやヘッドフォンをつながないように!!
以上が、音声信号系の各セクション。
いっぽう変調系セクションとしては、まず最初にクロック出力とランダム出力とがある。 クロック出力にはテンポ入力端子とタップテンポ機能があり、さまざまなクロックソースになる。裏モードで MIDI 同期するよう設定も可能。 裏ワザとして、テンポ入力端子に可聴域の周波数をもった信号をぶちこむことでクロック出力をデジタル・パルス波オシレーターとして発振させることができる。 ランダム出力は S / H 波を出力し、その速さはクロック出力に同じ。 これも裏ワザとして S / H 波をパッチングで可聴域でぶんまわすと、さまざまなスペクトルを連続可変できるノイズジェネレーターになる。
次に電圧演算セクションがあり、これは特殊な2チャンネルミキサー。 チャンネル1はなにもせず単純にミックスされるが、チャンネル2には信号を増幅するアッテネーターと、その極性を反転させるインバーターとが共存して存在し、和製英語でいうアッテインバーター、英語ではアッテヌバーター(Attenuverter)と呼ばれる機能を有している。なんの入力も無い場合は、この設定がそのまま電圧オフセットとして機能する。 この電圧演算セクションは2つの CV をさまざまなあんばいに加算したり、2チャンネルのオーディオミキサーとして使えたり、いろいろ使いみちがあるセクションである。オーディオをインバーターで逆相にするのも面白いかもしれない。
そしてスロープという画期的なセクションへ。 スロープは簡易 EG にも LFO にも、さらにはパッチング次第で他の存在にもなりうる、自由な CV ソース。 ライズ(Rise)すなわち上昇とフォール(Fall)すなわち下降の二つのノブがあり、これでアタックとディケイのみの EG にしたり、サイクル機能を使ってリピートさせて LFO に、それも可聴域までぶん回せて、なおかつ上昇鋸歯状波から三角波から下降鋸歯状波まで連続可変できる LFO としても使える。さらには指数関数から対数関数カーヴまで連続可変できるノブまであり、上に凸から下に凸までの曲線や直線など、さまざまな CV カーヴを連続可変して出力する。
実はこれ、アナログの関数ジェネレーターであり、さらに言うと測定器の業界で「ファンクション・ジェネレーター」として知られる装置に由来する。ファンクションジェネレーターとは、おもに低周波領域の交流電流信号を出力する測定器用テストオシレーターであり、正弦波、鋸歯状波、矩形波などを出力する電気計測器。それは関数発生器とか、函数発生器とも呼ばれ、その「ファンクション・ジェネレーター」という名のまま、ユーロラック・モジ���ラーの世界に持ち込まれ、モジュール化されて販売されている。 そして Make Noise 社の人気機種にも Maths というユーロラック版ファンクションジェネレーターモジュールがあり、それを簡略化したようにつくったのが 0-Coast の Slope セクション。0-Coast は、この廉価版シンセにして関数ジェネレーターを装備しているところがが画期的であり、しかもわかりやすくパラメーターが構成されている。
裏ワザとして、スロープを VCO からパッチングすることでモロに可聴域で駆動すると第2の VCO となり、三角波や鋸歯状波まで連続可変させながら、しかも同じ波形でもパラメーターを変えることで倍音構成を連続可変させながら出力できる。これを外部からの独立した CV で周期を制御すれば、擬似的に2音ポリシンセにもなる。 あるいはパッチングによりスロープをサブオシとして発振させ、それを VCO のリニア FM 入力へパッチングすれば、アナログ回路による2オペの FM 音源になる。
言うなれば「LFO の音を聴く」というぞくぞくする行為。なかなか使いみちがある。
なおスロープは、倍音を増大させるオーバートーンとマルチプライとに内部結線され、ウェーヴフォールディング的な音色変化を自動的にもたらす。
変調系の最後にあるのがコントゥアーと呼ばれる、いわゆる ADSR 型の EG。名前もミニモーグなどの EG っぽい。しかしパラメーター構成はやや変則で、 ・オンセット(Onset)がアタック・ノブ ・次にサステイン・ノブ ・そしてディケイとリリースとを兼ね備えたディケイ・ノブ ・最後にカーヴをリニアから指数関数カーヴまで連続可変できるノブ となっている。
出力される CV は東海岸モーグ流派の ADSR 型でありながら、パラメーター構成がやや変則的なところが東西どちらでもないノーコーストたるゆえんのひとつ。 なおコントゥアーは、ローパスゲートたるダイナミクスに内部結線されている。
これもまた裏ワザとして、パッチングにより可聴域で周期的にトリガーさせることで、自在に波形が可変するオシレーターとして発振させられる。つまり EG を可聴域で周期的にトリガーさせることでオシレーターにするという、常識破りなことが可能。ただしそのためには全体へのゲート入力へ可聴域の信号を突っ込む必要があり、音の出方がかなりややこしいことになるので、変態なお遊び向けかもしれない。
とはいえこれも言わば「EG の音を聴く」という、なんだか禁断のようで、ぞくぞくするワザ 笑。
ここまでが各ブロックの紹介だが、これに加えさまざまなパッチングが可能なパッチンポイント端子が多数装備されている。 パッチポイント端子のサイズはミニジャック。モジュレーションマトリクス風に言えば、13 ソース・14 デスティネーションだが、各パッチポイントが非常にツボを得たところに設けられており、廉価でありながら普通に考えられる限界を余裕で超える、それどころか東海岸モーグ流派シンセでは想像もつかない、とんでもない裏ワザの宝庫である。 市販されているスタッカブル・ケーブルを使えば、単一のソースから複数のデスティネーションへパラったり、複数うソースから単一デスティネーションへ集約したりも可能。ただスタッカブルものはスタイリッシュだがちょっと高価なので、ミニジャックを分岐させるマルチプライヤーを使えば安価に済ませられる。
パッチポイントには見慣れないものもあり、たとえば EOC(End of Cycle)というパッチポイントはスロープが1サイクル終わるごとに信号を発する。スロープをサイクルモードにすれば、第2のクロックソースとして使える。内蔵クロックが2つもあるシンセなんて、そうそうない。パッチングすればコントゥアーによるエンベロープカーヴでもって、クロック周期を時々刻々と変えることすらできる。だんだんスローダウンする逆ゴム球スーパーボール効果とかも可能。
こういう見慣れない機能や見慣れないパッチポイントが多いこともあって、パッチングを含む音創りは試行錯誤の連続となり、取扱説明書だけでは分からないことも多く、手探りで音をつくりあげていく、まさにモーグモジュラーを手にしたばかりのころの冨田勲さんの苦労をしのび追体験することになるのが、またチャレンジングでいい。歴史は繰り返す。 特に私の個体は初期ロットのせいなのか、はたまたいい加減なアナログ回路のせいなのかわからないが、電圧演算セクションをはじめあちこちにて理解不能な挙動を示すことがたびたびあり、それらをまた理解したり経験則で把握したりしていくのも謎解きで楽しい。
前述の裏ワザシリーズをまとめれば、VCO 以外にもクロック出力、スロープ、コントゥア―、そしてランダム出力とで、合計4基のオシレーターと1基のノイズジェネレーターを創りだすことができるなど、すべてが電圧で制御されているだけに、柔軟なパッチシステムのおかげでシンセの固定観念をぶち破ってくれておもしろいことこの上ない。 そしてこれら4オシレーターをモノフォニックで駆動するも良し、外部 CV / Gate から個別駆動してポリフォニックだかパラフォニックだかにするのもいいだろう。工夫すればパッチング次第で FM のみならず、実はハードシンクもできるから、スペック上は1VCOシンセなのにとてもそうとは思えない幅広い音創りができる。
加えて隠しモードでアルペジエイターや2チャンネル同時受信もできてバイティンブラルになるのかという MIDI 設定、じつは隠れて存在する三角波 LFO と矩形波 LFO の設定などができるのだが、なんせ LCD や有機 EL のような文字表示板を持たないので、取扱説明書をじっくり読まないとまるでアクセスできないにひとしい。こればかりは非常に落差を感じる部分。さすがにメーカーも使いにくいと思ったか、本体の裏側にそのショートカットがびっしり印刷されている。
とはいえ、MIDI からベロシティ情報など特定のメッセージのみを取り出し CV 化できたりするので、抽出や反映の仕方によっては MIDI ネットワークの中で独自解釈とふるまいで音を出す、自由な存在にもなれる。
随所に LED を使用したインジケーターが配置されており、どこがトリガーされているのかなど現状が一目で把握できる工夫がされているのは、たいへん分かりやすい。 しかも電圧の高さなどを LED の輝度で表現してくれるのが、また分かりやすい。スロープ・カーヴなどを LED の明るさによるフェードイン / フェードアウトなどで表してくれるため、視覚情報が多くて助かる。これは明らかにブックラ・シンセにあるのと同じ特徴。まるでシンセが生き物のように、それこそ呼吸したりしているように明滅するさまは見ていて飽きない。なかなか東海岸シンセでは,お目にかかれないアメニティ。
音創りしてみると、まじめな音色も出るが圧倒的にふまじめな音色が出ることが多く、Make Noise という社名にふさわしいだけでなく、なぜ西海岸ブックラ流派がメジャーになれなかったのかが分かる気がして笑える。レゾナンスが無いから王道のシンベやブラスなどは期待しないでね。 だが、じっくり取り組んでみれば、西海岸ブックラ流派ならではの変態音色のみならず音楽的な美しい音色も得られる。特にパーカッションや撥弦楽器のエミュレーションは、アナログシンセとは思えない自然なサウンドがすることがある。 おおざっぱに言えば、レゾナント・フィルターを持たず基本的には変調系で音創りするせいか、乾いた音がすることが多い。 王道のレゾナンススウィープができない代わりに、逆にすんげーぶっとい音による不思議なシンセベースもできる。トランアングルベースのシンセなだけあって、ややもすると基音が強調され音が非常に太くなる傾向にあるのである。
MIDI 駆動もできるが、CV / Gate 駆動するかあるいは音を出しっぱなしにしてドローン音を出し、それを操作子やパッチングでリアルタイムにどんどん音色変化させるのが、よくある使い方。クロック出力などをうまく使えば、外部コントローラ無しでシーケンスフレーズみたいなものも単独で自己完結してつくれる。まるで、ちょっとおだてればシンセが勝手に作曲して自由気ままに歌っているかのようだ。
youtube
ネット上にて、タブラの音色と奏法とを設定とパッチングとだけでシミュレーションしている人がいた。フルアナログとは思えない非常にリアルな作品であった。
またスーパーボールが跳ね飛ぶように、だんだん周期が短くなる連打音をつくる設定とパッチングとが紹介されており、これが普通のシンセにおいてモジュレーションマトリクスを使うと不自然な結果になったりするのだが、0-Coast では非常に自然なリアルな音がつくれるのもおもしろい。これは基本的には、クロック出力のテンポを、コントゥアーによって減衰カーヴにするようパッチングし、それに肉付けして音創りする。クロックテンポそのものを変調できるところが、さすがモジュラー。
●拡張性
MIDI IN 端子装備。隠しモードで MIDI 同期するよう設定も可能。
CV / Gate 駆動可能。
MIDI to CV / Gate コンバーターにもなる。
知人に教えてもらったが、コルグのアナログシーケンサー SQ-1 を介すればステレオミニジャック・シールド1本で MIDI 接続できる。これを応用すると DAW からの同期信号を USB で SQ-1 へ送り、そこからステレオミニジャック・シールドによる MIDI で 0-Coast へ送れる。むろん SQ-1 で CV / Gate 変換して 0-Coast へ送ってもいい。
外部音声入力端子装備、ただし外部音声が通るのはバランスとダイナミクスの2ブロックのみ。パッチングで増やしたオシレーターをここにぶっこめば、単体でマルチオシレーターシンセになる。
なによりも各種パッチポイントで拡張性はほぼ無限にあると言って良い。
●あなたにとっての長所
あまりにも世間に普及しすぎた東海岸モーグ流派のシンセでは想像もつかない独自の音色変化の世界。
薄型軽量コンパクトだが、ずっしりとした堅牢なメタルボディなのも良い。
パッチングで縦横無尽に音が創れる。さらに Dave Smith Instruments の PRO2と組合せれば、PRO2には CV / Gate 入出力が4系統もあるから相性抜群。
比較的に安価で入手しやすい。
AC アダプターが全世界電圧対応なだけでも驚きなのに、またプラグ形状が全世界対応できるようにプラグ変換アダプターがそろっているのも驚き。日本、米国、豪州、欧州大陸、英国とそろっている。
まるで映画「フィフス・エレメント」なんかに出てきそうなルックス、それも古代文字が書いてある石板みたいな感じでいい。
●あなたにとっての短所
フォントが未来的というか古代文字みたいというか、はたまたエスノ文字みたいというか、とにかくパンキッシュなまでに変なフォントすぎて読みづらい、慣れが必要。これは Make Noise 社の全機種に言えることである。
AC アダプター駆動なのがめんどくさい上に断線がこわい。まぁここまで小型化、薄型化するためには、電源トランスを内蔵するわけにはいかなかったのだろうけれども。
隠しモードのアルペジエイターや MIDI 設定は、取扱説明書が無いとほぼアクセスできず、インジケーターも限られているためなかなか使いにくい。
やっぱオーバートーンとマルチプライで外部音声を加工してみたかったなぁ、たぶんただの汚いノイズになるだけなんだろうけど。でも外部音声がバランスとダイナミクスでしか加工できないというのは、とんがった 0-Coast の中にあって、ここだけはちょっと珍しくトラッドな東海岸流ではないかと。 ただし転んでもただでは起きないのが 0-Coast のすげーところで、スロープやランダム出力などでバランスやダイナミクスへ変調するよう変態なパッチングすると、けっこう外部音声も楽しく加工できる。やはりアタマの柔軟性が問われるのが、この機種、まさに冨田勲御大状態。
まるでテロリストの爆弾みたいなルックス、これでは絶対に飛行機の中へ手荷物として入れられない、スーツケースに詰めて預けるしかない。そしてスーツケースごとどっかの空港でロストしてしまい、赤道直下サバンナのまぶしい太陽のもと着替えすらできないままぼーぜんとすることになるのである 笑
●その他特記事項
アナログシンセにおける:
・東海岸モーグ流派こと、イーストコースト・シンセシス ・西海岸ブックラ流派こと、ウェストコースト・シンセシス
それらが誕生して以来、半世紀以上がたった。
ユーロラック規格を生み出したのはドイプファー社。Doepfer というつづりからすると「oe」はウムラウト記号の英語表記のはずなので、ほんとうはデュルプファーというか「Drpfer」みたいな発音のはず。 その Doepfer がユーロラック・モジュラーシンセ A-100 シリーズを作り始めたのが、'95年。YAMAHA DX7が、デジタルであることがクールという主張ですべてをなぎ倒してから、じつに干支が一周してからのこと。でも世間はワークステーションシンセ百花繚乱で、KORG TRINITY、Roland XP-50 などが次々とデビュー。なので「今どきモジュラーかよ」という酔狂なものあつかい。 そんな化石のようなモジュラーシンセにおいて、ゼロ年代あたりから急速に各社参入、おおきなブームとなって欧米で広がった。'10 年代には日本にもその波が押し寄せ、'15 年以降は大きなうねりとなって盛り上がっている。よもや私が生きているうちに再度モジュラーシンセが流行するとは。
日本では YMO やモーグの呪縛が強すぎるあまり、当初モジュラーシンセに走るのはおっさんが多かったのだが、ヨーロッパではアンダーグラウンドながらにアナログシンセ文化が根付いており、早くから若者が個性を出そうとしてモジュラーシンセに走ることが多かったらしい。 それにこたえるように、メーカー側もアナログばかりでなくサンプラーやモデリングといったデジタルモジュールなども出すようになってきた。
そして Doepfer が 2010 年ごろに出した Dark Energy 以来、モジュラーシンセメーカーが入門機として、あるいはプロのサブマシンとして、小型の一体型セミモジュラーシンセを出すようになってきた。特に 2015 年に発表されたモーグの mother-32 は、ユーロラック・フォーマットでありながら卓上型にも使える点もあり、なによりもあこがれのモーグのタンスをミニサイズで誰でも自分の机の上に再現できるかわいらしさもあ��て、そこいらじゅうのシンセヲタの自宅で見かけるようになった。 アプローチは違うが、フルアナログのコルグ MS-20 復刻シリーズやフルデジタルのローランド System-1m 音源モジュールのように、一体型のシンセをつくってきたメーカーが、より大きな拡張性をもとめて現代にセミモジュラーシンセを出してきた例もある。
こうして、コンパクトなセミモジュラーシンセは今やあたらしい種族として着々と増えつつある。 しかも MIDI 対応なだけでなく、ベロシティやホイールといった特定の MIDI メッセージのみをフィルタリングしてから CV ソースへと変換することで、既存のモジュールと違い、CV / Gate のパッチケーブルに埋没するだけでなく、MIDI ネットワークの中を器用に泳いで回る、指示待ちの音源モジュールでもない、MIDI マスターコントローラーでもない、第3のあたらしい自由な存在へと進化してきた。
自己完結した音のパフォーマンスが可能な音源モジュールという、あたらしいフォーマット。ユーロラックなどのモジュラーが近親でありながら、独自の唯我独尊な道を歩む単体シンセ。そして自分で勝手に歌も歌いだすばかりか、MIDI や CV / Gate ネットワークの中で勝手気ままにメッセージを解釈して泳ぎ回る、あたらしいタイプのシンセ。
自由なモジュールという不思議なポジションをしめる、新生セミモジュラー。
これら現代のセミモジュラーハードシンセの中にあって、0-Coast は、あらたな境地を拓いた機種。すなわち非常に独特のシンセシスを搭載することで、個性派な変わり種となって他とは差別化してきた機種。
0-Coast はノーコースト・シンセシスを名乗ってはいるが、その実態はウェストコースト・シンセシスの色彩が濃い。たしかに東西両方のおいしいとこどりした感はあるが、もしほんとうにそうするなら、東海岸シンセシス最大の発明である VCF は必須。それまでの皆がオシレーターやアンプは設計できたのに、フィルターだけはボブ・モーグが着想し発明するまで誰も思いつかなかったからである。
モーグ最大の発明はフィルターにあると言って良い。だからこそモーグはラダーフィルターのみパテントをとった。のちにローランドが SH-3 で真似しようとして怒られて SH-3A に差し替えたという都市伝説が残る、あれである。実際、後発メーカーは VCF の回路を見破るのに苦労したという。
そんな伝家の宝刀たる VCF をあえて排除したところに、Make Noise 社が 0-Coast にどんな想いを込めたかが、透けて見える。 VCF というお約束事を採用していたのでは、凡百のシンセ��埋没する。 いや、さらに彼らは西海岸シンセシスの復権を、もっと言うなら既存の楽器というしがらみからの解放を、しかも「シンセ=本来は自由な新概念の楽器」だったはずが、すっかり長年の歴史の重みと固定観念と様式美と水戸黄門ばりのお約束事にまみれて最後に印籠が出てこないと納得しない心理に埋没してしまっためんどくさい今のシンセを、今一度、自由な観点で、ゼロベースで再構築し設計しなおしたかったのだろう。
長きにわたる歴史の闇に沈んでいたウェストコースト・シンセシスに、スポットライトをあててきた Make Noise 社。その視線がフォーカスを結んだ焦点であるかのような寵児 0-Coast。
これは今までモーグを始祖とするイーストコースト・シンセシスにほぼ世界征服され、ひたすら日影の存在だったウェストコースト・シンセシスの逆襲であり、そしてまるでシーラカンスのよう人知れず細々と生きのびてきたその世界への、あたらしい入口である。すでにユーロラック世界では Make Noise の DPO と呼ばれるウェーヴフォールディングを使用した斬新なツイン・オシレーターモジュールが存在。それらの魅惑的な世界へ通じるあらたなる歓迎へのチケットが、0-Coast であろう。
ウェストコースト・シンセシスへの招待状 0-Coast は、イーストコースト・シンセシスの決定版モーグ mother-32 の対極を行く存在であり、価格的にも好敵手と言っていい。フルアナログシンセでありながら VCF を持たず、非・減算方式で音創りする、しかもセミモジュラーなので配線も自由に変えられ、他のモジュラーシンセなどともつながる CV / Gate - MIDI ネットワークの中で、ひときわ異彩を放つ自由なシンセ。おまけに物理操作子で操作したりパッチングで音創りできるので、FM 変調するにしても、ヤマハ DX やソフトシンセと違って非常に直感的、というか肉感的。
西海岸シンセシスを、世に知らしめた 0-Coast。
そんな 0-Coast は、自由さをもとめてあえてシーケンサーを搭載しなかったのだろうけれども、取扱説明書にまで KORG SQ-1 ステップ・シーケンサーとの相性の良さが例示されていると、案の定その後しばらくして KORG volca modular が登場。そこでは、ものすごく矮小なパッチケーブル・システムとステップ・シーケンサーとを採用することで、超絶ピコサイズのウェストコースト流ワークステーションシンセを実現するという、うまいぐあいなカタチに換骨奪胎されている。 こういうところは、さすがコルグ、抜け目ない 笑 まぁ、そんだけ西海岸シンセシスが広まるということであり、そんだけ西海岸が売れるネタになってきた、そこまで業界が成熟してきた、ということでもあるのでしょう。
モジュラーシンセの逆襲と、あたらしい単体フォーマットへの革新。 ウェストコーストシンセシスの逆襲と、イーストコーストとの、そして現代エレクトロパンクな世界との「であいもん」。 セミモジュラーという分かりやすさ、薄い石版みたいな親しみやすさ。この小さなきっぷを手にして広大な宇宙へゴオだ。
そしてその宇宙は、かつてブックラが既存の楽器や既存のしがらみからの自由解放を宣言した果てしない宇宙であり、彼が見果てぬ夢をみた自由な音の表現。 そこに今、ブックラもモーグもボーデも笑いあって音の未来について語り合っていることであろう。
我々は彼らのチルドレンであり、そのミームを受け継ぐ者たちであり、私たちがつくる音は彼らと我々とのこだまがひびきあう姿であろう。
減算方式による膨大なシンセたちに飽きてきたら、あるいは既存のシンセのカタチに飽きてきたら、これは自分のアタマの柔軟性を試すまたとないチャンス。私もじつにひさびさにセミモジュラーハードシンセを入手したわけだが、もう目からウロコな日々。 そして西寄りとはいえ、東西どちらでもない自由で斬新でスタイルにとらわれないスタイリッシュなスタンスという逆説的な存在、それでいて敷居が低くてわかりやすい、とっつきやすい。それが 0-Coast。
ブックラとモーグとボーデの世界は、まだまだ展開しつづける。
完
このレヴューは、2016 年9月 13 日に、mixi に上梓したものをもとに加筆補正した。 そのオリジナル版をアップした翌日、9月14日、奇しくもそのブックラが 79 歳で逝去。帰天した西海岸シンセシスの開祖に対し、かつてそのライバルであった東海岸シンセシスの開祖たるモーグ社員一同から、追悼メッセージが出た。あたたかい友情、21世紀ならではのあたらしい世界。
すでにその十年以上前にボブ・モーグも帰天しており、これで、こんにち的シンセの創世を知ろうにも、もはや伝聞でしか知ることができなくなった。
それから3年半。ここにボーデが生み出した電圧制御式シンセ還暦を祝って、この取材結果を改訂版レヴューとして捧げる。
youtube
Revision log;
Based on the original edition on mixi, posted on Sep.13th, 2016 First edition posted to Tumblr on Mar 15th 2020.
* 画像は、筆者が撮影・作成したもの以外はすべて引用です。
Copyright (C) 2016-2021 by Nemo-Kuramaguchi, All Rights Reserved.
#Buchla#moog#Bode#HaraldBode#DonBuchla#RobertMoog#BobMoog#synth#vintgesynth#modular#MakeNoise#0Coast#SemiModular#WestCoastSynthesis#EastCoastSynthesis#60yearsOfContemporarySynth
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※サークル内企画「自分の過去作品をリメイクしよう!」で書いた作品です。
高2の時の作品「しとしと降る雨のリズム」のリメイクです。オリジナル版は下にあります。
中途半端なモブキャラF①
今日もくだらないお遊びに付き合わされている。私はモブキャラとしてこのお遊びに参加している。決して直接手を下していなくても、自分も参加者なのだろうとは思っている。私はこのお遊びの構成物の一部なんだ。だって、止めることもなく「それ」が日常の一部として存在し���いるのを受け入れているんだから。
外でしとしとと雨が降っていて教室の中がじっとりとしている。陰湿で陰鬱な空気が。低気圧で頭が重い。
エミの机が廊下で横たわっている。続けて椅子や鞄も運び出されてきている。くすくすという笑い声。チサトは腰巾着みたいな女子どもに指示を出して動かしていた。この時だってそうだった。笑いながらエミの物を廊下に放り出しているのは子分たちで、チサトはそれを眺めて微笑んでいる。余裕ぶった笑顔だ。元々すらっとした美人なので、こんな状況でなかったら素直に見とれていたかもしれない。加虐嗜好なんだろうか。残酷趣味なんだろうか。家のパソコンで調べた昔の猟奇殺人事件たちを思い出す。人の皮で服を作るとか、そういタイプのおかしな人なのかも。そもそも、そうでもなければ、こんなことはしないか。
見て見ぬ振りをするクラスメイト。チサトたちと目を合わせないように、友達と会話したり、読書に集中しているふりをする。モブキャラたちは皆気付いている。エミが何をされているか理解している。でも気付かないふりをしている。私もそのうちの一人だ。じろじろ見れば文句を言われる。ひょっとしたら、自分がエミの立場になるかもしれないとでも思っているんだろう。クラスメイトたちからすれば、チサトがいじめる理由も、エミがいじめられる理由も皆目見当がつかないのだから。理由が分からないほど怖い物はない。いつ巻き込まれるか分からない。関係ありませんよ、と顔に書いて過ごしている。関係ないんだから見過ごすのは仕方ない。
「あっ、ゴミちゃんじゃん! トイレ長かったね! うんこ?」
戻ってきたエミの姿を見つけたチサトの子分Aが言った。今日は次が移動教室だから少し早めに戻ってきたらしい。げらげらとチサトの取り巻きたちが笑う。エミは休み時間、別棟のトイレに避難している。チサトたちにバレないように場所を変えながらそこで本を読んで過ごしているのだ。
「別に……」
エミは身を強ばらせて俯いたままもごもごと言った。その様子に何がおかしいのかチサトの子分たちはどっと笑う。笑いの沸点が低すぎじゃん。幸せそうで何より。良かったね。
窓に丸い水滴がぼつぼつ、ぼつぼつと広がっていく。外は暗い。重い曇天が灰色を押し広げる。
廊下に散らばった教科書にエミが手をかける。蛍光灯が明るい。私はそれを横目で眺める。目の前に開いている本の文字はただの背景と化している。きっと皆そうだ。チサトたちとエミの様子に最大限集中をしているはずなのに、微塵もそんなことがないふりをしている。関係ない。仕方ない。
「ゴミちゃん三組に入らないでね。ほら、ゴミちゃんの席ここにあるから。用もないのに他のクラス勝手に入っちゃダメだよ」
ゴミちゃんというのはチサトたちがエミにつけたあだ名だ。「ゴミとエミって似ててかわいいよね。かわいいもの同士が合わさったらもっとかわいくなっちゃうね」と、チサトがわざとらしく言い出したのがきっかけだったと思う。エミはその発言を受けた子分Dに「もっとかわいくなっちゃったね」とゴミ箱の中身を頭からぶちまけられていた。
エミは無言で教科書やノートを机の中に戻していく。ぼつぼつ、ぼつぼつ、と窓に雨粒が打ち付けられる。空から雨粒が投身自殺。べちゃ。潰れて死ぬ。屍が窓に貼りついている。
中身を戻しきると、少し迷った様子で鞄に手をかけ、エミがおろおろと周囲の様子を伺う。その様子をチサトの子分たちが真似をして、笑い転げている。こんなことで楽しめるなんて本当に幸せそうだ。人生楽しそうで何よりです。羨ましくはない。
鞄を抱えたエミは教室へ入ろうとする。妨害されることを見越して一番軽そうな荷物を選んだのだろう。
「ゴミちゃん。教室間違ってるよ」
チサトが言った。無表情。笑っている取り巻きたちとは異なり浅賀はもう笑うのをやめていた。
エミはぶんぶんと首を横に振った。切りそろえられた髪の毛が制服の肩をこすっている。
「違うよ」
さも当然だという様子でチサトが言う。エミはもう反応するのをやめて教室の中へと一歩を踏み出した。
「違うって言ってるよね」
その言葉と同時にエミは転んだ。チサトがエミの脚を蹴ったのだ。ごん、と鈍い音がした。痛そうだ。抱きしめた鞄が少しクッションになっていれば良いなと思った。
グズグズと雨が降る。教室の蛍光灯が明るい。リノリウムの床を不健康に光らせている。べちゃべちゃと窓が叩かれる。
チサトはいつもエミに直接的な暴力を奮う。物を隠したり、落書きをしたりするのはいつも子分たちだった。チサトの暴力は容赦がない。子分たちがたまにエミを小突いたり蹴ったりするのと違って躊躇いがない。そのうち殺すんじゃないかと怖くなる。そんなことはないだろうけど。多分。
「違うって言ってるよね」
同じ台詞をそっくりそのまま機械のように繰り返しながらチサトがエミの前髪を引っ張って頭を起こした。子分たちも黙った。教室がしんと静まり返る。誰もがチサトとエミに注目しているのは明らかだった。しかしモブキャラたちは誰も止めやしない。あの圧倒的な暴力が怖いからだ。悪に立ち向かうような崇高な思想を持ち合わせたガキは少なくともここにはいない。
教室の窓の外で風景に斜線を入れるように雨が降る。風景が切り刻まれて霞んでいく。まるで外の世界なんてないみたいだ。
エミの顔にも何の表情も浮かんでいなかった。チサトとエミの表情はそっくりだった。恐怖も悲しみも苛立ちもない顔だった。人形のように床をじっと見つめている。何も感じないように心を閉じて防御しているのだろうか。
「間違えたあんたのせいだから。ほら」
前髪を何度もぐいぐいと引っ張られてエミは立ち上がった。調教中の動物みたいだ。そしてそのままリードで引っ張るかのように前髪を引っ張ってエミを廊下の椅子の所へ連れて行って着席させた。教室内に緊張感が走る。誰も逆らうことができない。逆らっても敵わないことが分かっている。誰も勝算のない相手に飛び込んでいけるほどバカにはなれにない。それくらいの分別は付いている。ここで刃向かって何になる。ヒーローになれない。モブキャラしかいない。モブキャラはザコなのでチサトに圧倒的な暴力を奮われて終わるだけ。デメリットしかない。それならただエミだけが傷付いていれば良い。というか、エミは傷付いたとか辛いとか悲しいとかなんて一言も言ってないので、ひょっとしたら傷付いていない可能性もある。価値観を押しつけるのは傲慢だ。世はダイバーシティの時代だって社会の教科書にも書いていたじゃないか。
エミは無表情で傷と落書きだらけの机を見つめながらじっと座っている。ぐずぐずと雨の音が響く。雨粒が音を吸収するせいか、嫌にしんとしている。チサトの頬が少し緩んだ。
そこでようやくチサトの子分たちが再びどっと笑った。教室の��わめきもじわじわと戻っていく。日常が戻る。良かった良かった。チサトたちは廊下の座席で座るエミを笑いながら教室を後にした。子分の何人かはケータイで撮影をしてきゃっきゃとはしゃいでいた。仲間内でメーリスにでも回すんだろう。チサトたちのざわめきが遠のいてから、教室にいたクラスメイトたちもそろそろと出て行く。皆エミを見ないように、俯いたり、あさっての方向を向いたりしている。うっかり見てしまったモブはまるで見ちゃいけないものでも見たかのように慌てて目をそらす。いや、見ちゃいけないものだ。このクラスにおいて、エミはそういう存在だ。
私も遅れて教科書と筆記用具を持って教室を出る。エミは糸が切れた人形みたいに着席してじっとしている。通りすがり様に横目で見ると、エミは微かに震えていた。時折声が漏れる。泣いている。泣いている顔を見ないよう、慌てて私も目をそらした。これで良い。仕方ないのだ。これが一番すばらしい選択肢じゃないことは分かっているけど、ハイリスクなことなんかせずに一番マシな、安全な選択肢を選ぶことに意味がある。私たちは日々選択している。チサトとエミを見過ごすことを選択している。別に関係ない。関係する必要がない。
じっとりとした空気が重い。湿った空気が絡みつく。雨のせいだ。
※
エミは優しい子だ。だからこんなことになってしまった。私は優しくない。ただそれだけの違い。
「やめてください。嫌がってるじゃないですか」
見ず知らずの男の子にエミは刃向かった。まただ、と思った。
幼稚園の頃からエミはそうだ。弱い者いじめをしている子を見れば注意しにいく。町中で困ってそうな人がいれば声をかけるし、ポイ捨てしている大人を見ても注意する。今までいじめられなかったのも、事件に巻き込まれなかったのも奇跡だ。平和すぎた。人助けをしてお礼状が小学校に来たことも一度じゃない。
エミのこの性分が生まれつきなのか、家庭環境のせいなのかは分からない。きっとどちらのせいでもあるのだろう。もう覚えていないけれど、母曰く、タコ公園で私が転んだところに、エミが心配して駆け寄ってきたのが出会いだったらしい。その時エミはまだ三歳だった。三つ子の魂百までと言うがまさにそれ。まぁまだ十四だけど。家庭環境だってエミを形作るには十分すぎるように思う。エミのおじさんは有名な書家で、おばさんは専業主婦だ。遊びに行くと手作りのおいしいお菓子を出してくれる。お人好しの塊のような人だった。正義感の強さはおじさんに似てるような気もする。いかにも両親に愛されて、清く正しく育ってますって感じ。
「何やってるんですか。警察呼びますよ」
エミがさらに大きな声を出し、携帯電話を開いた。
目の前の少年たちは顔を見合わせて去っていった。思いの外ザコだったのでラッキーだった。見たところ、華奢な奴らではあったけど、少なくとも私達よりはデカかった。たぶん力も強い。自分より図体のデカい奴らによくやるな、と思った。関わらない方が良い。関係ない。危ないじゃん。私は彼らに顔を見られないようにさっと木陰に隠れた。エミの視界からも、チサトの視界からも隠れた。こそこそと「私は知りません。関係ありません」という顔をして過ごすのは得意だ。
「いつものことだから。私が悪いの」
制服の襟元がはだけたチサトが力なく言った。頬に涙の跡が残っている。口の端が切れたようで血が滲んでいる。
「チサトは悪くないよ」
エミがチサトのシャツのボタンをしめている。地面に転がっているブレザーをパタパタと振って砂を落とす。
「警察行こう」
「やめて」
血をハンカチで拭うエミの手を振り払って、チサトは絶望した顔をしていた。顔色も悪い。学校ではあんなに強気なのに。クラスの人気者なのに。明るくて元気な模範的な子なのに。見てはいけないものを見てしまった気がして、私はますます縮こまった。ここにはいない方が良い。これはヤバい。私は関係ない。関わらない方が良い。
「なんで」
「友達とお兄ちゃんだから。平気なの。これは遊びなの。何ともないから。いつものことだから」
必死の様子で言い訳がましくチサトが懇願する。本当にヤバい。これはエミが遭遇したことのない悪だ。まだ戦えない。まだ子供の私たちには無理だ。どうせ何もできない。さっさと白旗を揚げて逃げ出した方が良い。エミに伝えたかったがチサトから離れる気がないようで、私は懸命に見ないように、そのくせ会話だけは好奇心剥き出しで耳を傾けていた。モブキャラなので、背景の一部らしく息を潜めた。
「だったら尚更やめさせないと」
「大丈夫って言ってるでしょ」
声から一呼吸空けて、遠のいていく足音が聞こえた。おそるおそる出てきてみると、しりもちをついたエミが一人取り残されていた。どうせチサトに突き飛ばされでもしたんだろう。
「あんなの絶対大丈夫じゃないよ」
拒絶されたのにまだエミはチサトの心配をしていた。私はエミの手を引いて立ち上がらせた。スカートのブリーツに入った砂をぱんぱんと払ってやる。
せっかくのエミとの楽しい時間にとんだ邪魔が入ってしまった。黄色ブドウ球菌の事件で潰れた雪印の工場にわくわくしながら二人で忍び込んだのに。割れた窓から差し込む光が綺麗だった。本当だったら人がたくさんいたはずの場所がガランとしているのはどこか心が躍った。面白い。工場の人たちにとってはそれどころじゃないだろうけど、私達は工場の人たちから見れば多分モブだし関係ないので純粋に楽しめた。ぽっかりと広がる空間で手を広げて走ってみたりした。足音がやたらと響くから無駄に走り回った。コンビニで写ルンですでも買えば良かったなんて二人で後悔したくらいだ。不良かお化けかホームレスには会うかもしれないとは話してたけど、まさかこんな現場に遭遇するなんて。
でも、都合の悪いことは見なければ存在していないのと同じなので大丈夫だ。
私は何も見ていなかった。息を殺して、嵐が過ぎ去るのを待っていた。でもエミはそんな私を一切馬鹿にしない。卑怯な私をエミは責めない。心のどこかでは軽蔑してるんじゃないかと何度思っていても、人懐っこい笑顔で「ユイちゃん」と追いかけてくる彼女を見るとそんな疑いは吹き飛んでしまう。だから、それさえあれば私は満足だった。クソみたいな自分のことも忘れて、へらへらのうのうと生きることができた。
しかし、この次の日からエミの地獄は始まってしまったのだ。
※
エミがゴミ箱を漁っている。
「ホームレスのモノマネ上手すぎ」
チサトがエミの後ろに立ってにっこりと微笑んだ。子分たちはくすくすと笑っている。エミの髪の毛に絡みついた埃は子分たちの仕業だ。ひそひそと何人かが話しているかと思ったら、追加で別のゴミ箱を持ってきて中身をエミにかけた。少しよろけただけで、無言でゴミ箱を漁り続けている。
「やば。めっちゃ熱心じゃん」
追加のゴミ箱をぶちまけた子分Bが言って、群れがまたどっと笑った。嘲笑とゴミを浴びながらも、エミはそっとゴミ箱の中から何かを見つけ、取り出した。
「ご飯でも見つけたのかな。良かったねー。すごいねー 。私にも見せて」
わざとらしい猫撫で声でチサトがエミの手元を覗き込んだ。エミが慌てて手を引っ込めようとしたのを押さえつけ、手の中のものを取り上げた。
「返して」
エミが小さく呟いた。ひねり上げられた手が痛そうだ。私はまた本を読んでいる。私は教室の端で本を読むモブキャラFらへんの立ち位置だ。ダレンシャンの五巻をずっと読んでいる。全然読み終わらない。話どこまで進んだっけ。
「きたねークマ」
チサトが取り上げた物を見て、子分たちが囃したてた。チサトの手の中には見覚えのあるクマのマスコットがあった。エミの誕生石を模したネックレスを付けた小さなテディベア。ちゃんと手足と首も動く。ダイエーの中に入ってる雑貨屋さんでお揃いで買ったあのクマだ。
「クマさん、ゴミちゃんのこと嫌いだからゴミ箱の中に隠れてたのにね。可哀想」
そんなわけあるかよ。アホか。何も知らないくせに。死ね。何も知らないくせにバカにすんなよ。絶対そんなのありえるわけないだろ。
でも、私は読書に集中しているモブキャラFなので、じっと本を見ている。本の角の向こうの教室の光景を見ている。私は読書しているだけだ。そういう役割だ。関係ないし。背景だし。
「お願い。返して」
もう一度エミが頼んだ。懇願するような口調。こんな奴にへりくだる必要なんてないのに。エミの方がずっとずっとすごいのに。エミが可哀想だ。いや、クマごときで何をいったい同情してるんだ。落ち着け。どうせ関係ないんだから。何思ったって仕方ない。ムカつくだけ無駄だ。モブの怒りに意味なんてない。
「ゴミちゃんのところに帰るくらいなら死んだ方がマシだってさ」
チサトはマスコットをぽとり、と床に落とし、すかさず踏みつけた。ぐしゃり、とクマの関節があらぬ方向に曲がる。元々可動式のマスコットだから大丈夫だ。ちゃんと戻る。布だし。平気平気。そんなので壊れたりしない。何の権利があってそんなことするの��知らないけどさ。悲しいことじゃない。だからエミ、そんな悲しい顔をしないで。大丈夫だから。
モブキャラの気持ちは所詮背景なので、伝わらないし伝える必要もない。関係ない奴の関係ない戯言に何の意味があるんだろう。
私はお揃いで付けていたマスコットを私は外して制鞄の内ポケットに隠している。だって関係ないし。モブはモブらしくすべきだ。被害は少ない方が良い。エミが殴られ、虐げられ、ボロボロになっていようが私は関係ない。はいはいそうです。どうせクズですよ。せこいモブですよ。自分が嫌な奴なことくらい自分が一番よく知っている。一番近くでずっと見てるんだから当たり前じゃん。しかもいつもいつも正義感溢れるエミの隣にいたんだから。比較対照が優秀すぎる。私の嫌な奴っぷりがまぶしいほどに輝いてしまう。
チサトの上履きから踏まれたクマの腕がはみ出している。エミはそっとその腕を摘まむ。
「死にたがってるんだから死なせたげなよ。生きてたって良いことないし。可哀想」
自分に言ってるんだろうな。チサトは。あの子本当は死にたいんだろうなぁ。死ねば良いのに、と何となく思った。あの日の絶望したチサトを思い出す。あそこで死んでれば良かったのに。
足を離されて、するりとクマがエミの手に戻ったのも束の間、クマは再び踏みつけられた。エミの細い指が赤い上靴に踏みつけられる。
また教室の空気が凍り付く。モブキャラたちは動揺を隠しきれない。ザコはザコらしくただビビっている。マジでチサトはあの時死んでおくべきだったと思う。犯されて死ね。
エミの口から音が漏れた。
痛い時の悲鳴は、キャーとか、ひーとかではなく、音だ。声じゃない。悲鳴を上げるのは大抵モブの役目だ。モブはモブらしくぴーぴー泣いてビビってるのが丁度良い。モブAからCらへんが明らかに怖がっている。半泣きだ。
「急に手、出したら危ないでしょ」
言いながら、チサトは足に力をますますこめていく。エミの顔が苦痛に歪み、濁った呻きがずるずると漏れてくる。エミはチサトの足を除けようと空いた手を伸ばした。
「ゴミのくせに汚い手で触んなよ。死ね」
チサトも踏みつけていない方の足でエミの顔を蹴った。高身長のチサトの全体重がエミの指にかかる。彼女はスレンダーだが、さすがに指で女子中学生を支えられる人はそうそういないだろう。教室が微かにざわめく。エミの顔が赤くなっている。「やばいでしょ」と囁きが聞こえる。エミが乾いた濁音を出した。なんか最近のチサトは必死だな。無様だ。前はもっとスマートだった。いや、そもそもいじめにスマートとかあんのか。何だろう。これ。現実じゃないかも。私はまだ雪印の廃工場でくるくる回ってるエミを見ている。チサトなんかいなかった。私は何も見てない。エミだって見ていない。会ってない。だから関係ない。何してるんだろう私。いや、本を読んでいるのだ。ダレンシャンの五巻を読んでいる。だから関係ない。エミに何かあったんだろうか。何もない。何も知らない。何も分からない。だから関係ない。
エミの目に涙が浮かぶ。
「また泣いてるんですけどー。きっしょ」
子分が空元気な声をあげた。それを封切りにまた他の子分たちも騒ぎ出す。いつものパターン。ワンパターン。他にバリエーション無いんですか。ガキじゃん。つまんないよそれ。
「泣くとか卑怯じゃん。泣いて許してもらおうと思ってんのきしょすぎ」
「いちいち泣きすぎ。ガイジじゃん」
「泣き顔きんもー。ゴリラかよ」
わざとひょうきんにエミの泣き顔の物真似ををして笑い出した。エミの泣き顔をケータイで撮る子たちもいる。何でもないような、今までもずっとそうだったふりをして、生きている。私だけじゃない。私だけが嫌な奴なんじゃない。モブって大体そういう立ち回りなんだ。狡いのは皆同じだ。明らかな異変に気付いているのに、ただ大人しく受け入れている。関係のないふりをして、どうしようもないふりをして、ただ嵐が過ぎるのを待っている。
エミは私が自分のクマを隠していることに、とっくに気付いているだろう。まるで恥ずかしいものみたいに。あたかも汚いものみたいに。
※
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第42話 『クリス・ウォーリーの奇妙な事件(2) - 異変です』 The Case of Chris Wally chapter 2 - “Strange!”
クリス・ウォーリーがこの町にやってきたのは、数年前の事である。
クリスは生後しばらくは両親と共にあちこちの港を転々としながら、2人の仕事を手伝いながら暮らしていたらしい。
その時期では、生活のほとんどは船上であったとも聞く。
両親を流行り病で��くすに前後して、彼は伝染を避けるためにも、泣く泣くこの町に移り住む事に決めたらしい。
彼の邸宅には元々彼の伯父であるカール氏が住んでいたが、入れ替わる形でカール氏は町を出て、商売の拠点に港に移したとの事らしい。
それからしばらく、クリス氏はデイティの邸宅に身を落ち着けた。
しかし、多くの町民は、彼の姿を見ることは稀であった。
クリス氏は自宅から外に出る事はほとんどなかったらしい。
必要な用事や買い出しも、ほとんどが召使いのバルトが代行していた。
そのバルトも、町の人々とは言葉が通じなかったため、クリス氏から託されたメモを頼りに用を済ませる、という奇妙なものだった。
町民はバルトを気味悪がったが、それでもクリス氏を尊重する態度は見せていた。
というのも、クリス氏は毎年、町に対して多額の寄付をしていた。
この寄付は目録にも記録が残っており、その額は町でも1,2を争うほどであった。
両親から相続した遺産がどれほどの額であったかを知る者はいなかったが、寄付額から、余程の事がない限り食べていくに困る事もないだろうと想像されていた。
直接語る機会は多くは持たなかったが、たまに顔を見せる時、クリスはいつでも袖の長い外套とフードをまとって、蒼白で、不健康そうに見えた。
体が弱く病気がちで、なかなか外出することもままならないと、事あるごとに町の者達に愚痴をこぼしていたらしい。
自分はこんな状態だからろくに町の活動に参加することもままならない事が本当に申し訳ない、寄付はその代わりだ、と語っていた。
殊勝なことだ、と町の老人達は口々に漏らしていた。
そんなクリス氏ではあったが、唯一足繁く通っていた場所があった。
町の西端、斜面を降りる急な坂を降りた先にある、教会である。
多くの町でそうであるように、かつてはこの教会も王国の制定した国教を司る施設として、半ば町の自治組織の集会場のような役割を担っていた。
しかし、度重なる内乱、王国体制の変革、国外からの難民の流入などを経て、国教遵守の義務は事実上形骸化しており、各地で様々な外来あるいは新興の宗教が蔓延していた。
デイティも例外ではなく、ここ数十年で名も聞かぬような新興宗教が新たに勃興し、町内で勢いを伸ばしていた。
そしてその教会も今では、買い取ったその宗教団体が拠点施設として利用していた。
クリス氏はどうやら、その新興宗教に熱を上げていたらしい、という事が、多くの町民への聞き込みから判明した。
その宗教はいわば一種の終末思想を掲げており、まもなく訪れる破滅の時に、信じる者だけが救われる、あるいは運悪く命を落としたり、大切な人がそのような目に遭っても、信じる者達は蘇る事ができるとすら喧伝していたらしい。
一昔前であればそのような胡散臭い団体は煙たがられ避けられたものだが、デイティにおいては事情が違った。
不安定な情勢や教主の異様な弁舌が町の人々を瞬く間に惹きつけて、信者が多数派に回るまでそれほど時間はかからなかったようである。
そうした事情から、クリス氏がその施設に出入りする事にわざわざ意識を払う者もいなかった。
ただ、生活必需品の買い出しさえ召使いに任せる男が、宗教施設には自らの足で通うのを厭わなかった事は、町民にとっても訝しい点ではあったようだが。
クリス氏の熱心さは折り紙付きであったが、彼がそこまで宗教に入れ込むのも、健康上の問題に起因しているのではないかと噂されていた。
つまり、病魔を、あるいは近く訪れうる死を克服したいという、願望というか、執着のようなものが彼にはあるように思われていたわけだ。
さらに数十年前、この宗教の関係者が町に初めて訪れたとき、布教や理解を広めることに腐心したのが、他ならぬ伯父カールであったという事もわかった。
その経緯は当然、クリス氏がこの宗教に強く入れ込んでいる状況を説明する形にもなっていた。
多額の寄付、疎らな交流によって、特別好意を持たれるわけでもないが、同時にトラブルとも無縁だったはずの彼が、唯一トラブルを起こしていたのが、ウォルターと呼ばれる男性である。
ウォルターはデイティの農夫の息子であり、クリス氏とは同じ年頃の青年だ。
彼は定職につかず、気まぐれに父の手伝いをする事もあったが、多くの場合日がな一日酒を片手に町をぶらぶらするような、半分ごろつきのような輩だった。
そのため、当然のことながら彼の評判はすこぶる悪かった。
それでも周囲が彼を邪険に扱えなかったのは、町に献身的で真面目だった父のおかげと見られる。
あるとき、ヴィルマという若い乙女が彼の目に留まった。
彼女は特別美人というわけではなかったが、愛嬌があり、気立てが良く、友人も多かった。
ヴィルマはウォルターに付きまとわれて、ひどく迷惑していたが、ある時、彼女は言った。
「私は、心に決めた方がいるんです」
それは、男を諦めさせるために咄嗟についた、よくある嘘だったのだろう。
だが、ウォルターは、あろうことかその相手がクリス氏ではないかと勘ぐり始めたのだ。
実際、クリス氏にはそういった噂がなかったわけではなかった。
年頃で、痩身ながら長身で、やや不健康そうな点を除けば憂いを伴った端正な顔立ちは一部の少女達にとって憧れを抱いても不思議はない、と思われるようなものだった。
しかし、クリス氏とヴィルマにはそもそも面識がなく、仮に互いの顔を見知った事があったとしても、逢瀬を重ねるような時間が、ヴィルマの方にそもそもなかった。
だが、恋は盲目とでも言おうか、ウォルターはそうした第三者からの助言にも耳を貸さず、クリス氏に憎悪を募らせていった。
ウォルターは、直接クリス氏の自宅を訪ねては無関係の者も不快になるような猥雑な内容の質問を浴びせたり、外出するクリス氏を尾行したり、様々な嫌がらせをするようになった。
クリス氏自身は、辟易してはいるようだったものの、意に介さず普段通りの生活を過ごそうと努めていた。
そこに来て、ヴィルマが荷馬車に轢かれる事故に遭い、亡くなった。
タイミングとしては、まさに最悪であった。
ウォルターは悲嘆し、そして憎悪をさらに強める事となった。
ヴィルマの葬儀の夜、彼はクリス邸を訪ねて、門前払いを受けながらも、玄関先で思いつく限りのあらゆる罵倒語を並べて、帰っていった。
それからと言うものの、ウォルターは方々に「クリスがヴィルマを殺した」を吹聴し始めた。
周囲は当然、彼の言う事を信じるわけはなかった。
だが、さらにウォルターは「クリスは死んだヴィルマの亡骸を掘り起こして、自分のものにしようとしてる」などとまで言い始めた。
さすがに周囲はこのようなウォルターの発言を咎めた。
愛する人を失った悲しみによって、気が触れてしまったのではないか、とまで言われた。
鬼気迫る彼を恐れて、周囲の人間は徐々に彼に近寄らなくなった。
今回のクリス氏失踪で、当然ながら彼は第一に容疑をかけられていたが、クリス氏失踪の夜、彼が一晩中町のバーで酔いつぶれて眠っていた事を店員と他の客が証言した事で、疑いは晴れたらしい。
また、ウォルターの父へのインタビューでも「あいつに他人をどうこうするような度胸はない」と断じられた。
ここまで得られた情報は、全て町に住む多数の住民から得られた証言によって、裏を取る事ができた。
以下が、彼が失踪した日について得られた情報である。
・雲ひとつない、晴れの夜だった。
・クリス氏は夕暮れ時に教会に行った。夜明け前に教会を出ていくところを見た、と証言する者が複数いた。
・クリス邸にクリス氏が戻ってくるところを見た、という者もいた。ひどく疲れ��、憔悴しているように見えたらしい。
・その後、クリス氏を見た者はいなかった。
こうなると当然、最後にクリス氏を見たのはバルトという事になるのだが、質問に応じようとするバルトの話す西方の言葉を理解できる者が町内にいなかった。ただ、カール氏がクリス氏の残した衣類と身振り手振りとでバルトに質問の意図を伝えようとしたところ、寂しそうな顔をして、玄関を指差しただけだったそうだ。
教会でのインタビューは、また要領を得ないものだった。
私を出迎えたのは、教主のアロイスという小柄な男だった。
曰く、彼はこの教会に来てから2代目の教主で、数十年前に町へやってきたとき、先代教主に拾われた孤児だったらしい。
まだ30代後半と若かったが、そうとは思えぬほどに老け込み、老成してすら見える様子は、ある意味では教主らしい風格を携えている、教主に相応しい人物のようにも見えた。
彼は部外者に対して強く警戒心を持っている様子だったが、クリス氏の捜索の旨を伝えたところ、快く調査協力に応じてくれた。
曰く、クリス氏は町だけでなくこの教会に対しても惜しみない寄付を行っていたらしい。
そしてそれは、カール氏もまた、同様であった事も知る事ができた。
失踪した夜に何があったかを尋ねたが、それについては、やはり要領を得ない結果となった。
クリス氏はいつものように教会を訪れ、アロイス教主と少し言葉をかわした後、ずっと礼拝堂に一人でいたとの事だった。
祈っていたのであろう、とアロイス教主は言うが、実際に見たというわけでもないらしい。
アロイス教主自身は、やはり一人で、教会奥の寝室で遅くまで読書し、その後床についたとの事だった。
それは静かな夜でしたよ、とも答えた。
突然いなくなるなんて、そんな予兆は微塵もなかったのに、とアロイスは残念そうに語った。
「…結局、何故いなくなったのかも、その後足取りも全くつかめなかったってわけか」
「相変わらず飲み込みが早いですなぁ、ドミニク殿は」
ドミニクとシュンは、橋のたもとで落ち合っていた。
「それじゃあ、どうすんだ?絶対見つけるなんて啖呵切っちまったんだろ?」
「もう見つけましたよ、クリス氏は」
「なんだと!?」
手すりに腰掛けていたドミニクは立ち上がりながら怒鳴った。
「大きな声を出さないでください…」
「まず説明をしろと言ってるんだ。お前は毎度毎度、一人合点してばっかで何も説明しやがらない。わかってる事があれば、こっちだって動ける事、やりようが色々あるんだ。とにかくちゃんと話せ」
「…すみません、ドミニク殿の言う通りですね。ただですね、私の中でも、確実な事と不確実な事がまだ無い混ぜの状態で、下手に説明すれば混乱させるかもしれない、と思いまして」
「何も説明されないよりマシだ」
シュンは大きなため息をついて、観念したように口を開いた。
「クリス氏はまだ、あの屋敷にいます」
~つづく~
第43話 クリス・ウォーリーの奇妙な事件(3) 発見です
「ショートストーリー」は、Buriedbornesの本編で語られる事のない物語を補完するためのゲーム外コンテンツです。「ショートストーリー」で、よりBuriedbornesの世界を楽しんでいただけましたら幸いです。
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パターソンについての考察ーTuesday
なんとなくの息苦さにバッキーはうっすらと目を開けた。視界に映るのは、カーテンの隙間から僅かに青白い光。んん、とむずがるように身動ぐと、自分を起こした息苦しさの正体に気づく。自分の背後で、バッキーをしっかり抱き込んだままのスティーブが眠っている。その左腕がバッキーの脇腹の上に我物顔で居座っていた。ゆっくりと手を伸ばしてモバイルを見る。そしていつもとそう変わらない時間であることを確認してから、バッキーは自分の後ろに向かって囁いた。 「……スティーブ?」 静かな寝室の空気を僅かに���らしただけの声でも、彼には十分な大きさだったらしい。弛緩しきった筋肉が僅かに震え、そして頸のあたりから掠れた声が聞こえる。 「……バック」 「うん……、おはよう、スティーブ」 そう言って自分の腹に回っていたスティーブの腕をあやすように叩く。スティーブは呻きながらも身体にぐっと力をいれて、バッキーを抱きしめた。筋を伸ばして身体を目覚めさせているのだ。大型の動物に懐かれているようで微笑ましいが、逞しい胸や腕に圧迫されて苦しいものは苦しい。バッキーはこら、と笑ってもう一度腕を叩いた。今度はタップの意味を込めて。
自室で着替えてから、ランニング用に軽くパンを齧る。カーテンを開けてもまだ外は薄暗い。だが雲は少なく、気持ちの良い晴れを予感させる空だ。朝晩は冷え込むようになってきたから、長袖にしたほうが良かっただろうか。バッキーがそんなことを考えていると、同じように支度を終えたスティーブがダイニングにやってくる。バッキーは振り向き、その右手が掴んでいたものに目を止めた。スティーブもそれに気づいたのだろう。笑顔を浮かべながら右手のそれ、朝のランニング用にしては大きめのナップサックを掲げた。 「なあ、今日は『荷物』をもっていかないか」 バッキーも心得たように笑い返す。本日の天気だとか、相手も窓の外を見て同じことを思ったのなら嬉しい。 「いいな、賛成だ」
スティーブとバッキーの日課であるランニングにはいくつかのコースが存在する。ハドソン川方面に向かい、雑木林の横を走ることもあったし、町を周回することもあった。後者の場合は朝食用のパンを買って帰ることも多い。空港の始発便に向かう車ぐらいしか見あたらない起き抜けの町を走るのは、緑を見ながらのランニングとはまた違う良さがあるのだ。 そしてもう一つは湖に向かって走るコースである。天気が良くていつもより少しだけ早起きした日、まさに今日のような朝には家から7マイルも離れた湖を目指すことがあった。もちろん片道7マイルといっても、彼らにとっては「近場だな」で終わらせられる程度のものなのだが。そしてそんな日にはスティーブの言う荷物、つまり小さなガスコンロとコーヒーのセットを持って、穏やかな湖を眺めながら朝日を浴びるのである。それはたとえトニーたちから爺さんじみた生活だと揶揄われようとも、2人にとって言いようもなく贅沢な時間だった。都市部からキャンプに訪れた家族が気合を入れて前日から待ち望むような時間を、彼らは気軽に日々の選択の一つとして享受できるのだった。
白み始めた空を見上げながら2人は走り始めた。森や生き物達が起き出す気配。鼻から息を吸えば澄んだ朝の空気が脳を冷やしてくれる。 目的地についた時、木々達の先から頭を出した太陽が、丁度水面を照らし始めようとしていた。視界のすべてが白い光の膜に包まれ、ナップサックを開いた時の僅かな埃さえキラキラと踊っていた。 顔を上げるとスティーブがこちらを向いていた。その姿を目に映して、バッキーは思わず息を飲んだ。朝日に照らされ白に近づいたブロンド。湖の水をそのまま移したような澄んだ瞳。睫毛にまで陽が当たっている。あまりにも神々しいスティーブに、視線の外し方を忘れてしまう。バッキーがそのまま言葉をなくしていると、ふいにスティーブが目を細めた。そうしてバッキーの目を覗き込み、深く穏やかな声でこう言った。 「……バッキーの目、光が当たると模様がよく見える……吸い込まれそうだ」 きっと昔の自分であればこの思いをすぐに口にできていただろう。お前の方こそ、だとかうまい例えを持ち出して。だが日頃から必要以上に言葉を発しなくなったツケなのか、素直に感情を伝えたい自分と捻くれた自分のバランスが入り乱れ、口を僅かに開閉させるだけで一向に言葉が出てこない。 バッキーにできたことは、捕まったままの視線をそらさずにスティーブの美しい目を見つめ返すことだけだった。ありったけの愛おしさをのせて、穏やかに目を細める。彼らはお互いの瞳を覗き込んでは、その美しさに感嘆の息をこぼした。 人は朝に生まれるのだと、バッキーは唐突にそう思った。
その後和やかに朝食を食べ、家に戻ってきた2人は施設に向かう準備をして昨日と同じように車に乗り込んだ。そしてバッキーについては昨日同じ画面との睨めっこが開始される。読めたと思った文章はまた違う暗号を示していて、その重複具合はまるでマトリョーシカを開けているような気分になる。だがそれだけ厳重にプロテクトされているとなれば、その内容の価値も相当なものだろう。 そのうちの一つの人形を開けたところで、深く息を吐き出す。案の定、新しいマトリョーシカが出てきただけだった。おそらく次に出てきた文章はだいぶ古い形式を用いて書かれているのだろう。なんとなく見覚えはあったがすぐに思い出せそうにはなかった。 バッキーは情報処理のスタッフに声をかけ、データベースを確認してもらうよう頼むことにした。おそらくこの時期に使われていたものだと思う、とあたりをつけて特徴を伝える。一度解読したものはすべてデータとして保存してある。そこから探し出すのは、自分より彼らの方がよっぽど速いのだ。スティーブよりは現代テクノロジーに対応できていると思うが、それでも他のスタッフからしてみればどんぐりの背比べでしかない。それくらいは両者ともきちんと分かっていた。
バッキーは凝り固まった眉間を揉み解しながらラウンジへと向かった。気づけば作業を始めてから随分な時間が経っている。ランチを食べたかどうかも曖昧だった。コーヒーを淹れるためにキッチンに入ると、ふと窓の外の景色が目に入る。マグカップを持って近づくと、それは屋外演習場で訓練をしているスティーブとサムの姿だった。サムのスーツの特性上、彼らの訓練は屋外で行われることが多いのだ。盾を持ったスティーブが、空を飛び回るサムからのペイント弾を避け続けている。バッキーはコーヒーを啜りつつしばらくその様子を眺めていた。心の中で小さくスティーブを応援しながら。 (……ファルコンなんかに負けんなよ) スティーブは盾や障害物に隠れながら、向かってくる弾を躱し続けている。バッキーは彼が負けないことを知っていた。スーツをも凌ぐ身体能力をこの目で何度も見てきたのだ。 だがそれでもスティーブを応援してしまう。それは2人の関係の長さのせいでもあるし、もはや自分にとっては習慣みたいなものなのだろう。スティーブが戦っているのを見て、幼い時は心配もしたし怒りもした。血清を受けてからの無茶苦茶な戦い方を諌めたこともある。しかし同時に、どこか眩しいものを感じていたのも確かだ。ちょうど今、まさにその眩しさが胸を温めているように。それは彼がブルックリン時代から一度も、本当の意味で負けたことがなかったと知っているからかも知れなかった。 「――ミスタ・バーンズ、」 訓練の行方を見守っていると、ふいに後ろから呼び掛けられた。振り返ると先ほど解析を頼んだスタッフが立っている。 「解析が終わったので報告を」 「悪い。今戻るよ」 するとゆっくりで構いませんよ、少しオーバーワーク気味ですと返される。バッキーはそれに苦笑を返しながら、それでもそのまま入り口の方へと向かった。バッキーの後ろでは、サムが丁度窓際に飛来するところだった。
夕食に昨日の残りのポトフとチキンのローストを食べ、それぞれの時間を過ごす。そろそろ寝ようかと声を発したのはスティーブの方だった。 「今日サムに映画の話をしたよ、この前の日曜日に観たやつ」 横になったスティーブが言う。バッキーは彼の方に身体を向けて、ああと応じた。 「あいつが勧めてくれたやつか」 「ああ、面白かったと礼を言ったんだ。そしたらサムが、これであんたらも現代アメリカ人の仲間入りだな、って」 「……なんだそりゃ」 とんでもない物言いにバッキーはくしゃりと笑う。こちとらブランクはあれど100年前からアメリカ人をやっているというのに。 「毎年クリスマスに、テレビであの映画をやるんだって。誰でも一回は家族と一緒に見たことがあって、子供はあれを見て良心を学ぶんだと言っていた」「キャプテンアメリカの映画からじゃなくて?」 「違う」 「まあ今の子供にとっちゃ、キャップは教育ビデオのお兄さんだもんな」 にやついた顔で続けるとシーツの中から伸びてきた手に鼻を摘まれた。この前ネットから探し出し、その後しばらくスティーブの顔を見るだけで思い出し笑いをしていたのをまだ根に持っているらしい。別に批判したり馬鹿にしたりはしていない。だからこれは主にスティーブの羞恥からくるものだ。 スティーブはため息をついて話を続ける。 「あの話、1919年から始まっただろう。僕の生まれた翌年だって言ったら変な顔をしてた」 「……まあ、子供の頃から古い映画だって思いながら見て���のに、その時代に生きてたって言われるとな。いろいろリアルになったんだろ」 「そうかもしれない。でも実際懐かしかったし、優しい映画だった。クリスマスっていうのも良かった」 「ああ」 「……僕は正直、あの映画を信じ切ることはできないし、すべてが報われると無邪気に考えることもできない。でも、僕らと同じ時代にああいう映画が生まれて……皆がこの時代までそれを大事にしていることの意味は、信じたいと思うんだ」 そう言ってスティーブは少し照れたように眉をさげた。バッキーは彼の右手を握ってやる。義手ではない、ちゃんと温度を伝えるための手で。そうして握ったままのスティーブの手の甲に軽くキスをする。今日はなんだか、朝か��ずっとこいつのことが眩しい日だった。 「……世界は、お前の味方だぜ、スティーブ」 そう言うとバッキーは身体を寄せて、相手の額にも柔らかなキスを落とした。唇の離れる甘い音、そこにもこの思いが含まれていればいいと思いながら。顔を離してスティーブの目を見つめると、今度は向こうが唇にキスをしてくる。バッキーがしたのと変わらない軽いキスだ。なんだか儀式みたいで可笑しくなってくる。最後に一つ微笑んで、バッキーはサイドテーブルのライトを消した。
目が慣れる前の暗闇に向かっておやすみと囁き合う。火曜日はこうして眠りについた。
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