#外国人風白髪染め
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昨日は会社の半休を使って、自分の音楽史の原体験であるバンプオブチキンのライブを観るために天空橋まで足を運んだ。そんな名前の駅名あんだ。実家にいた頃から変わらず、東京湾側に位置する会場へ出向く時はいつも遠足のような感覚でライブを観る前から気分が高揚する。昨夜インスタグラムに取り急ぎ感想をぽちぽち綴っていて気付いたけど、初めて参加した代々木体育館のGOLD GLIDER TOURから今日までの10年間で7回もライブに行っていたらしい。確かに、どれだけ自分の音楽的嗜好が変わっても直前になって「やっぱり行っとくか…」とチケットを申し込むなり譲ってくれる人を探したりしていた気がする。当然今回も同じ。実家よりも「自分の家に帰る」感覚が強い。それに、もう40代を迎えた彼らのことをいつまでも観られるわけではないということをどこかで理解している部分もある。バンドは永遠じゃない、同じ時代に寄り添って生きるからこそ燦然と輝いて美しいのだ。
これだけライブに足を運んでも毎回極小豆粒サイズかモニター越しでしか観られなくて、ギルドや真っ赤な空〜のMVみたいにヨリで映される前列の客には一生なれないだろう、と思っていたけど、昨日の整理番号はAの33番。事務所で整番を確認してしばらく頭が真っ白になった。「肉眼で実寸大のバンプが見れる」ということを頭で理解するのが結局当日会場入りするまでできなかった。急いでコインロッカーに荷物を預けてまだ余裕のある前列をスイスイ進み、下手側のステージから2列目へ。演奏中、水色のベースをブンブン振り歌いながら度々自分の胸に拳を押し当てる(ライブ映像でしょっちゅう切り抜かれるアレ)直井を目の前で見て、ライブ中でさえ何度も夢か?と疑った。藤原の「みんな大丈夫?」と度々気遣う姿勢は昔から変わらないけど、パープルグレー?に染めていたのとウルフヘアまで伸ばした髪が良い塩梅でおじさんらしさを醸していて、私が過ごした10年間と同じ10年を彼らも歩んできたことを実感した。それは当たり前のことだけど同時に少し寂しくもあった。
物販〜フォトブースの撮影列に並ぶ(整理券制にもかかわらず終始長蛇の列)ために師走の羽田で二時間ほど外で立ちんぼを食らって屋内に入ってもしばらく足がガチガチに震えるほど冷え切ってしまったけど、彼ら4人が見せる2000年代が誇る国内バンドの一つでありながら全くその風格を感じさせない気さくな振る舞いだったり、きっとプライベートと変わらないであろう、それこそポンツカで展開するような茶目っ気溢れるMCでのメンバーイジりだったり、トップバンドのフロントマンでありながら「君」と同じ目線に立って「僕」の気持ちを伝えようとする藤原の歌詞だったり、そのフレンドリーな温度感が終始絶え間なく続くステージにすっかり身も心も温まった。
東京公演のアンコールでは季節に合わせてMerry Christmasとインディーズ時代の1stアルバム(このバンドにもインディーズ時代があった、という事実さえおかしいと思ってしまうけど)からバトルクライを披露。ここが僕のいるべき戦場、覚悟の価値を決める場所。高校生の頃、Twitterのいわゆる「邦ロック垢」でハッシュタグ「BUMPerさんと繋がりたい」からインターネットを介して何人もの友人を作って、今でもSNSだけで関係を保っている人もいるけど中にはトラブルに発展して疎遠になってしまった人や、今一体どこで何をしてるのか分からない人もいる(その人が当時住んでいた街の隣駅に私が住んでいるのは何らかの導きなのでは…と思うけど、8年も経ってしまったし多分もう既に引っ越してるはず)。昨日は当時みたいにユーザーネームで声を掛けられるということが一切なく終えたことが年月を確かに重ねていることの証左だと思う反面、皆年を取って個々の道を歩んでいること���思い、それは彼らに言わせれば「お揃いの記憶を集め」てきたことを意味しているのだろうと思った。自分自身を振り返るにしたって、彼らの音楽を学生の時ほど必要としなくなったし、海を渡ってもっと貪欲に色々な音楽に触れた時の感動を形にしたくてこの仕事を続けている。でも藤原がステージを立ち去る間際、「僕たちは来年も再来年も自分たちの音楽を作っていくから、あなたの人生のほんの3〜4分、もしかしたら今の流行りじゃない6分とか7分の曲も作っちゃうかもしれないけど、少しだけ耳を傾けてくれたら嬉しいです」と伝えてくれた時に私はきっと今後も人生の節目節目で彼らの音楽を必要として再生ボタンを押すんだろうと思った。正直もう新譜が出ても割と後回しにしてしまうけど、そこに宿る安心の類が冒頭で記した「実家よりも帰りたくなる」印象をより強く裏付けているのかもしれない。小2の頃に兄のスピーカーで流れていたJupiterを障子越しに聴いていなければ、もといJupiterじゃなければ、こんなに音楽を好きになることも、こんな風に自分自身に誇りと愛を持って不器用なりに紆余曲折しながら生きることもなかった。25歳を迎えた年に最高のポジションで観た25周年のライブハウスツアー・セミファイナル。言い切れるほどに人生最高の夜だった。皆と比べてどうかなんて、確かめる間もないほど生きるのは最高だ。
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2022/11/19〜
11月19日 スーパーの半額のお豆腐の賞味期限が、11月20日日で「?」だったけれど、もう11月も19日だったとは!
今日は税関スタンプラリーのために横浜へ行った。横浜へ行く道のりや、横浜の街の位置感覚を少しずつ覚えてきている。新しい街の事を少しずつ知ることができている感覚が、久しぶりで新鮮で楽しい。 横浜は人が多かったけれど、海が広いからか、何かゴミゴミした感じがしなくて、ずっと開放的な気分でお散歩ができた。
カスタムくんファ��(?)が思ったよりも多くて、スタンプラリーに参加してせっせとポイントを巡っている人たちを見て焦ってしまい、あまりスタンプポイントの施設をゆっくり見学することができなかった。また海上保安庁の博物館に行きたい。あと、山下公園の近くのシルク博物館が気になったのと、山下公園入り口のインド取水塔ご工事中だったので、次は見られるといいな。 なるべく芝生を歩いて、犬やシャボン玉をする親子やクラリネットの練習をするおじいさんに混ざって歩いた。 横浜はデートスポットのイメージがあって、1人で出かけることにどこか不相応な気後れがあったけれど、午前の時間だったからか、山下公園ではお婆さんたちがお弁当を食べたり体操をしたりしていた。 赤レンガではお祭りが開催されていて、たぶんその運営スタッフさんが、赤レンガ倉庫の際で海を向いて、たぶん崎陽軒のお弁当を食べていて正解な感じがした。
イチョウもとても美しく黄色く映えていた。
ふらっと1〜2時間お散歩だけした横浜。 こんな感じでたまに訪ねて、少しずつ街を知っていきたい気持ち。苦手意識が薄れてきている!
今日が返却期限の本を返しに図書館へ行き、乗り換え駅で切らしていた化粧品を買って、フィルム現像を出して、早めに帰宅できてえらい。
スタンプラリーを巡ったゴールでカスタムくんキーホルダーをもらったよ! ゴールの税関で職員さんにスタンプラリーカードを渡すと「キーホルダーとカスタムくん、どちらが良いですか?」と訊かれ「カスタムくんキーホルダーが良いです!」と答えてしまった。 昨日からちょっとしたディスコミュニケーションが続いているな…
サンタクロース村は、ステージとモニターが設置されていて、もうすぐクリスマスシーズン開幕のイベントがあるみたいです。
11月20日 雨が降りそうないい天気で、雨が降ってからはダメダメだった!予定を済ませて、掃除をして、フィルム現像をとりに行く。お花を買う。 少しずつ増える手荷物と折りたたみ傘で、腕も手も塞がるけれど、帰りにスーパーにも寄ってしまう。 焼魚が食べたい日々で、でも電子レンジ調理が限界のところで、レンジ焼き魚を作れる箱をamazonで見つけたので買ってみた。夏休みの自由研究みたい。今朝届いていた事をスーパーで思い出して、生魚を買ってみようとするけれど、もしかして塩とか酒とかも必要?と不安に色々考え始めているうちに、目を付けていた半額の鯖の切り身たちが、目の前でどんどん他人のカゴの中に入ってなくなってしまう。 もう少し余裕のある時に生魚を買おう、と、コンビニの焼き魚を買いに行くと今日に限って欲しいお魚がない。 もう一度スーパーへ戻り、さっき買ったものを片手にレトルトの鯖を持ってレジへ。 今日はこのスーパーで10%引きクーポンの配布だったので、ものすごく姑息な手段で2枚クーポンをゲットしてしまった感じで落ち込んだ。雨の日はダメだ。
これは私が摂食障害だから、スーパーとコンビニを行ったり来たりして、これしか食べたくないものに取り憑かれてこだわってしまうのかしら。みんな、鯖の塩焼きが食べたいけれど、赤魚の煮付けで妥協しているのかしら。
昨日の税関スタンプラリーを終えて、先の楽しみがすっかり分からなくなってしまった。 インスタグラムをみると、なんと!マンスーンさんも昨日このスタンプラリーに参加して、カスタムくんを手に入れていた!!
お花屋さんで、男性のお客さんが「紫の花で…」と花束のオーダーをしていたので、担当カラーが紫の推しに送るのかな、と思った。
11月21日 気がついたら16時だったし、とても居残りをしてしまい、逆にハイになって疲れがわからない。明日は研修なのに。
でも、その中でも、学生時代に憧れていた友人が目白でオフィスを構えて、そこで不定期でブックカフェを開いている事を知る。 近々目白に行く予定なので、場所を聞いてみようかメッセージをしようと迷い中。 こないだ夢に出てきてから、会いたい訳でもなく、ただいたずらにメッセージを送ったりしたい!と思っていたので、ちょうど良い。
お手洗いで、おしゃれな方から「黒の革のフレアスカート履いたりしない?」と、状態が良ければあげるわ!と言ってもらう。
1期下の方から弘前のお土産をいただく。 貯めたマイルで、ランダムに選ばれた旅行先へ行ってきたとのこと。ちょっと気になるので調べてみよう。
本の電子化の注文をして、配送用の段ボールを注文した!えらい!
11月22日 東京で研修。やっぱり東京は暖かくて、室内は暖房がよく効いていて、ぼーっとしてしまう。頭を頑張って稼働させて、目と脳が痛い。 懐かしい方々に会えて、とっても笑顔になったり、もう2度と会わないんじゃないか、な、全国津々浦々な方々に会って、名前を伝え合ったりして顔が疲れた。
絞り出す会話を、本当に絞り出しています!満載でやってくる人もいれば、スマートにやり過ごす人もいて、私は何も絞り出せずおどおどしていた気がする。
前の職場の方々にご挨拶をした。 みんな覚えていてくださっていて安心して、自分の苗字が珍しくてよかったね、と思った。 手土産に、と近江屋洋菓子店でマドレーヌを購入。平日の朝だからか、たくさんの種類のパンがあって、目玉焼きの乗ったラピュタみたいなパンがあるな〜と思ってみてみると“フレンチトースト”とプレートが立っていた。
研修の帰り道、とにかく疲れていて、1期下の方と上野公園までお散歩して帰った。とにかく疲れていたのに夜の東京さんぽがとても楽しかった。 東京で働きたい!と改めて思ったり、やっぱりこのままでいいのかも、と思ったり、クリスマス何しよう、と思ったり、でもとにかく疲れていて、自撮りをして適当にSNSを更新したりした。
11月23日 雨だ〜と、窓を少し開けて二度寝でうとうとしながら、たぶん現実のお隣さんの会話と、自分の夢の間を行ったり来たりした朝。 お隣さんは2単語しりとりをしていて”◯◯の××”みたいに意味の通じるワードでしりとりを続け“◯◯のやかん”と言ったところで「それはなしでしょ〜!」と笑い合っていた。私は、そもそも“ん”がついてるじゃない!と思っていた夢。
昨日の疲れを引きずって、たくさん薬を併用して外に出る。久しぶりにお友達に会えてとっても嬉しかった!お休みの日に誰かとお茶をするのが、とても久しぶりだった気がする。 嬉しくって、昨日の研修がとっても疲れたことから将来の不安までたくさん話してしまった。 友人は、私のコートとワンピースのボタンを付け直しながら話を聞いてくれた。お茶をしたデパートのクラシカルな喫茶店もとても良くて、注文したシナモンティーのビジュアルが2popだった! ボタンを付け直してもらったお礼に、ナインチェサブレを旦那さんと2人分渡すと、旦那さんはこうゆうキャラクターを模したお菓子を食べることに抵抗がある方だ、と教えてくれた。 それと、彼女たちは昨日が結婚記念日だったことを私が思い出し、よく覚えているな!と言ってくれた。 やっぱり今でも、友人が誰かと結婚して暮らしていることが信じられない時がある。
定期入れに昨日の研修でもらった全国津々浦々の名刺を入れっぱなし。愛知とか新潟とか青森とか。
年末になるとどうしようもなく寂しくなるのは、友人も同じらしく、誰かと暮らしたりすれば解消するのか?と思っていたのは、私のただの他力本願で、結局誰かといても気分が落ち込んでその相手に勝手に絶望するところでした!危ない〜。
11月24日 2回連続で職場の食事会をドタキャンしようとしている。もう気持ちがダメでちゃんと人と接するモードを保てる自信がなく、もちろん食事もできないし、お部屋の掃除をして寝るのが1番!の気持ち。 こんなにもドタキャンをしまくっても、有効的モードで社会でいられるようになれば、今後もやっていける気がするし、何より自分をダメにしてはいけない!誰か無理しないでいいよ、って言って!という気持ち。
髪を切ったら2週間、ネイルをしたら1週間は自分の体にしっかり馴染むまで時間がかかる傾向。
昨日久しぶりにアボカドを、ちゃんと皮を剥いて包丁で輪切りにして食べたら、それだけで美味しかった。
11月25日 上司がブラックフライデーでダイソンの送風機を買った話をしていて羨ましい。
今日の回はお断りしてお家で掃除と電子書籍化する本の配送準備をした。 いけなくなった事を伝えると「わかりました!理由書いてもいいですか?」と、とっても明るく対応してくれて少しつらかった。 理由はないので、ちょっともうダメで…、と本音を伝えた。 午後になって「予定がないのなら、少しだけ、飲み物一派だけでも行きません?車で送りますし!」と言ってくれる。ちゃんと断って、今、おうちで日記を書きながらお香を眺めている。
なんというか、生まれつき元気がない人と生まれつき元気な人がいるよね〜、と思った日だった。
革のスカートをもらってくれないか、と言ってくれた方から黒のスカートをいただく。 切りっぱなしのフレアスカートでかわいい!ただデニムの上から試着しても腰下まで下がってしまうので「あ〜サイズがだめか〜」となった。でも何かしらの工夫で着たい!と思い、いただいて、帰り道でベルトを買ってみた。それと落としてしまったBluetoothイヤホンも買ってブラックフライデーをした。 「タンスの肥やしなので〜、ありがとう。」と、人に服をあげられる豊かさって良いな。 私も次は服を売ったりする準備をしたい。
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--深海人形-- クールに生きる位なら
----Rather be dead than cool
----Kart Donald Cobain
※閲覧&キャラ崩壊注意
※雑多にネタをぶち込み
※後半クロスオーバー注意
各種SNSに実装されているALT機能は、盲目、目の不自由な方々の為に用意されているものです。
悪用、正しくない使い方、邪な使い方している連中は直ちに恥を知りなさい。直ちに。これからは目の不自由な方々の為だけに使いなさい。そう使う気が無いならもう二度と使うな。いいね?
…。
私は道端で力尽きて死ぬ虫ケラが、大好きだ(※ベランダで交尾をする虫ケラもだが)。
私は其うやって、無意味に死んでいく命が大好きだから、シロカスの事も、ガトカスの事も愛してるのかもしれない。
…。
インドから帰ってきた日本人が「インドより日本が良い。」…って牛丼屋に駆け込んで牛丼食べてた投稿見て、日本優越の思想って日本人に支配的よねと(※日本人は割と選民思想が強いが、何故か、選民思想の塊である一神教に馴染まず、嫌う)。
けれども、昔に「日本ももっとインドみたいに出鱈目な国になればいいのに」…って言ってた漫画家さんは三十代前半で自ら命を絶ったから(※案外、其う言う物かもしれない。人は、優越感、差別意識によってでしか、本来、存在感を得られない)。
…。
性癖>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>(※越えられない壁)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ジャンル(※結論:結局、ジャンルと言う縄張り中心より、性癖中心で動いた方がオタクは得をする)。
…。
虫ケラとして生まれたならば、虫ケラとして死んで行くしか無い。ねこぢる作品やtikwの物語にも見られる、其んな無情さが良い。全ては無意義で虚無。思い入れを強くすれば強くする程無駄。
人間は、上位存在からすれば、虫ケラみたいな生き物。其れも相まって。
我々は、哺乳類と言う枠に収まる虫ケラでしか無い。そして、虫ケラが冬を越せずに死んで行くのは仕方無い事。
…。
ジミヘンが長く生きられたら、現在の洋楽も、此処迄衰退する事は無かったと思う。カートも。…ニルヴァーナが解散して無かったら、カート・コベインが自殺して無かったら……(※此処迄、欧米の音楽業界は、J-POPに侵食される事は無かった)。
…。
金掛けたく無かったら、ガソダムチャンネルか陽昇チャンネルの公式無料期間限定配信を見ると良いぞ(※オススメ)。
…。
gndm50周年についての声明、如何にも、『大本営発表』と言う感じで、終わりの始まりを感じ取れましたね。
全体的に、余りやる気を感じられない。良くない兆候ですよ。此れは。
…。
ティターンズvsデラーズ フリートvsブルー コスモス(※選民思想組織総攻撃)。
…。
シロカスもガトカスも、ペットにして飼いたいね(カスのポエム)。
…。
拙作では、
ガトカス=あやなみ
シロカス=そうりゅう=あすか=らんぐれー
野獣大尉=まきは=まり=何��かかんとか
みたいな感じです(※適当)。
…。
…『男の子は虫が好き(※…と言う前提で、ワイは生きて居る)』。
…。
虫は、シロカスも大好き、先ず、木星に居ないから。ガトカスも好き。スペースノイドは、ロクに自然を知らない宇宙人だから、虫が皆可愛く見える。
…宇宙世紀では、虫達の価値も地位も、旧世紀とは比べ物にならない位に、高くなってると良いな(※某モビルミゼット話でも虫の話を沢山書いていくよ)。
…。
私は、異形の存在と虫ケラに、惚れて惚れて仕方無い。
…。
ガトカス儲「…がとーは悪くない!確かに取った手段はテロでしかないかもしれないが、彼等は彼等の正義を生きた!(←※逆に此れくらいしか言えない)。」
ワイ「 名 誉 テ ィ タ ー ン ズ 将 兵 あ な べ る ⭐︎ が と ー(※たった此れだけで尊厳破壊完了!)。」
…。
赤いあれは、多分、政治家よりかは、宇宙海賊の方が向いて居る(※実質赤髪なので)。
…。
ワイは、嫁推しを、何度も使えるエコロジーな人型の道具か奴隷か家畜か虫ケラか玩具だと思ってる(※最低)。
…。
----We have no right to express an opinion until we know all of the answers
----If you die you’re completely happy and your soul somewhere lives on. I’m not afraid of dying. Total peace after death, becoming someone else is the best hope I’ve got
----In Webster’s terms, ‘nirvana’ means freedom from pain, suffering and the external world, and that’s pretty close to my definition of Punk Rock
----Kart Donald Cobain
※…以下、モビルミゼット・昆虫ネタ注意
…結局は『ハクミコ+ピクミ⚪︎(※みたいな話)』です(※モビルミゼット話)。
…。
ドールハウスじゃなくてチンチラの大型ケージだからな、完全に小動物扱い(※シロカス可哀想笑)。
其れでも、シロカスは、シュレッダー済みの新聞紙、ダンボールを素材に巣作りして居た(※創造性は元からあるので?……)。
飼い主(?)「…巣作りしてる……。」
…一方、ガトカスは外の犬小屋で暮らして居た(※流石、忠犬)。
…。
もっと捕食ネタ入れたいよね(※オオムカデとか出そうかな)。…あの星には、沢山大きな虫も居るんですよ、羨ましいでしょ?(※満面の笑み)。
…。
モビルミゼットのシロカスはカメムシとか油虫が出て来ても、アシダカ軍曹とか猫さん達に通信入れるので、大丈夫ですよ(※ガトカスは打撃武器持ち出す)。
…。
※…以下、クロスオーバー注意
※…此処(※ttp://aruzimiya.blog110.fc2.com/blog-entry-65.html)参照(※Chat GPT生成文注意)
野獣大尉「ざぁ〜こ♡」
イプシロン「其の程度で私に勝てると思うのか?!此の雑魚共が!!!!」
フィアナ「…何て弱さなの?…其んな弱さで戦争をやろうなんて。」
ククト軍「(;ω;)」
ミューラァ「…ふっ、様ぁ見ろ!!」
※…野獣大尉は兎も角、アストラギウス銀河が誇る最低の兵器にすら負ける最底辺の軍隊(※然もククト星最大の正規軍)。
…。
※…此処(※ttp://aruzimiya.blog110.fc2.com/blog-entry-57.html)参照(※Chat GPT生成文注意)
>マホロア「ヤァヤァ!、ボクダヨ!異宇宙から来た、ヤサしい魔法使いマホロアダヨ!!!!人畜無害ダヨ!!!!!!ホントダヨ!!!!!!聖人君子ダヨ!!!!!!!!」
…聖 人 君 子(※大爆笑)。
…。
※赤いあれx少女終末旅行コラボSS
※涅槃(Nirvana)に至る迄。「親父、涅槃で待ってるよな?」
※各作品のネタバレ、死にネタ注意
----本には大きく分けて2種類あって……調べたことをまとめたものと空想を書いたものがあるんだよ。だけど、どちらも人間が生きて考えたことの証なんだって…おじいさんが。
……もし人類が今まで記した言葉を、全部集めたら、宇宙の星の数より多くなるんじゃないかとも言ってたよ
----少女終末旅行 図書 より
----「生きるのは最高だったよね……。」
「うん…………。」
----「それで思った……。見て触って感じられることが世界のすべてなんだって。よく分かんないよね、こんなこと言っても。」
「わかるよ。」
----少女終末旅行 最終話 終末より
…。
「我々は最上層以外ほとんどの場所を観測しているが、現在生きている人間は君たち二人しか知らない。」
途中で出会った『ぬこ』と原子力潜水艦を訪れた時に、其の言葉を、あの分解者から聞いたユーリとチト、二人の少女は、何時も通りの旅を続けて居た。そして、「…仲間と出会えて良かったね。私達とは違うんだね。羨ましいね。」…みたいな事を言いながら、其の『ぬこ』とは分かれた。
…。
何も無い廃墟のビル群すらない、只、只管人工的で殺風景で、無機質な場所に、余りにも、世界観違い、場違いで美しい男が居る。金髪碧眼。黄色い宇宙服の様な生身を宇宙空間から覆う為のスーツを着た、美丈夫。……其の男は、見るからに満身創痍だった。其の上、今すぐにでも死に絶えそうだ。
其の事について、彼はよく分かっており、只々、此の救いも無い状況に絶望した。
何処にも人間が居ない所か、僅かながらに生きている人間さえ、何時も以上に絶望と馴れ初めになって、心を閉ざしている様では、最早、ニュータイプ能力は無用の長物である。虚しい。どれだけ、手を伸ばしても救いは無い。……何て悲しい。
「此んな所で果てるのか……。此の、私は……。」
……あれだけ、苛烈で血腥い戦闘を戦い抜いて、生き延びて来た、其の彼ですら、其う呟いてしまう程に、…何処にも、誰も居ない。移動手段も無い。何も無い。何のやるべき事も無い。……其の上、帰るべき所に帰れはしない。
…、
…其れにしても……。
……疲れた。…良い加減、休みたい。
其の時、『本格的な眠り』に入る前に、偶々と言う寄り、奇跡的にも所持して居た、ペンと未だ白紙のページばかりのノートを手に取り、自分の事、このノートを読んでくれる誰かに伝えたい事、私のことを愛してくれた人々、其れ等全てを必死で書き殴る。
…そして、其れ等、書きたい事、全てを書き殴った後、私は安堵し、少しずつ眠りに入る。
其の時、此うとても小さな声で、少し呟く。
「…涅槃……か……。」
……彼等は、涅槃で待って居てくれているのだろうか。
其れにしても、何て寂しい死なのだろう。
何と悲しい最後だろう。然し、ある意味で、此れは、当然の報いなのかもしれない。いや、報いだ。此の人生の全てを否定する為の。
…だが、然し……、…いや………、
……嗚呼、…もう既に、体も思考も動かない。…其れに、…もう、愛してやまなかった、ずっと、大切に思って居た、親しく、愛おしくて堪ら無かった人々の、温もりも、姿を、名前を、声を思い出す事も出来ない。只、私は静かに涅槃に至って行くだけだ。
--おやすみなさい。
…。
チトがケッテンクラートを運転中、何かを黄色く目立つ何かを見つけた。
「見て、あれ。服が落ちてる。」
どうやら服らしい。
「もしかして?!新しい服か?!」
其う言うと、ユーリが、そうキラキラした目で駆け付け、確かめる。其れから、其れに、チトも続く。
「…普通の服じゃ無い。…『古代人』の残した高度な技術で作られた服なんだろうね。きっと。」
何かを察したチトを後目にユーリは、更に其の服を詳しく調べる。
「……どうやら、私達にサイズが合わない。大き過ぎる。…着られないね。しかも一着しか無い。困ったな。奇跡的な出会いなのに。」
「でも、……近くに、何か小さな本がある。」
「文字だ。沢山の文字がびっしり。」
「きっと、この人は、自分の見て来た事、知った事、誰かに伝えたいことを、此のノートにびっしり書き込ん��んだろうね。だけど、何を書いてるか分からないね。」
「残念だったね。又ハズレだ。」
「でも、良いよ。この人が何かを残したいと言うことが、此うして、見れたから。それが楽しみで、おじいさんも本を集めてたと思うんだ。」
「ふーん?中々楽しい趣味だね?」
「確かに、そうだね。」
「今度こそは、私達のサイズに合う新しい服が見つかると良いな。」
そして、二人の少女は、元々の持ち主である人間が分解された後に残された黄色いノーマルスーツを後に、大事なケッテンクラートと共に、去って行く。そして、旅を続けて行く。結局は、何も無かった虚無を目指して。
…。
此の儘行くと、ガソダム ファンタジーストライクフリーダムとか出て来そうだな(※出しません)。
…。
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公共マップ「夢への招待状」での話(無常さんとホセさんを一緒に写した写真を持っていないのでイメージ画像は公式のこの動画で代用とします)。
暗い。この小説の一部を漫画で描いていたので今回は挿絵として使ってみた。
【設定】
白黒無常:来世を迎えても過去のしがらみからは逃れられなかった。
雨と共に死亡した二人を元に作られた。謝必安と范無咎、二人の魂が入っていようがいまいが(本人達であろうとなかろうと)白黒無常には世界五分前仮説のように生前の頃の記憶が植わっている、かつ客観的に見て生前とは別の姿となっているのである意味、来世の姿としてここに「生きて」いる。
しかし新生を始めてもなおすれ違いや雷雨、再会を願う念の影響からは逃れられていないため二人は離れ離れのまま再会は叶わない。
ホセ:身分を捨ててもその血や過去からは逃れられなかった。
海賊の頃は誰かから平穏を奪わなければならなかった。危険な状況での船上では、たとえ仲間であったとしても問答無用で海に投げ捨てねばならないこともある。
海賊業を抜け出し、海上騎士の名と栄光を背負っても、「特殊任務」と「取引任務」はホセ自身の影だと言わんばかりにどこまでもついて回る。直であろうがなかろうが、かつて決別したはずの海賊の自分と成すことに変わりはなかった。
いくら逃れようとしても、血で手を染める運命からは逃げられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――
数多もの星々が空一面に広がっている。天の川の白い光は次第に、千にも万にも広がる細い糸のように見え、それはまるで必安の想いと涙が形を伴ったように思えた。吸い込んだ空気はひどく澄んでいて、無咎の胸の空洞を透き通りぬけていくような感覚を覚える。
一体いつになれば必安にまた会える日が来るのだろうか。「また」はあるのだろうか。
「死後の世界、来世はあると思うか。」
無咎が隣のホセを見やると、彼は物珍しげな顔を無咎に向けていた。しかし早々にホセは視線を橋の下に落とした。その視線の先では星が黄色く仄光り、鏡面のように無咎とホセを映す水面が静かに揺れている。
「君たちを見ていると悩むところだが、あるともいえるしないとも言えるというのが私の答えだな。」
その口から出たのは無咎の予想とはどちらともつかない言葉だった。無咎はホセを曖昧さは嫌う質だと捉えていたが、今日は彼も普段と違う心境らしい。
「……。」
*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+
無咎が哲学的な問いを投げかけるとは珍しい。ホセは少しの驚きをもって彼の言葉を受け取った。水面に映る無咎の顔は感傷に浸ったようで、その後ろでは靄のように空の星の白い光が映っている。何となく無咎が考えていることを理解した。
必安と無咎がここにいる以上、死後の世界はあるように思える。あるいは来世だろうか。だが問題はそこではない。「現状を脱して新しい人生を開始することはできるだろうか」という問いに、ホセは自身の経験からして不可能だと答えざるを得なかった。
確かに死者はその生命を終えたあとも別の場所で生きているという話は何度も耳にした。しかしそういった類の話には必ず「死人は生者のように生き生きと暮らしているわけではない」「命を終えたときの苦しみが永遠に続く」といった但し書きが続く。
死んでこそいないにせよ、ホセにはこのような類の話は他人事のように思えなかった。海賊から手を引こうにも、バーデン家の人間である事実からは逃れられない。
たとえば海に仲間を投げ入れるときの胸騒ぎ。彼らが生を諦めていないとしても、重石と共に帆布で彼らを縛り上げ、その目から光を奪って海に投げ捨てねばならない。「助けてくれ」「やめてくれ」「あぁ神よ……」彼らの呻き声が今でも耳にこびりついて離れない。あの弱弱しくも冷たく鋭い視線は浴びたいものではない。それはホセの胸を鋭く抉り、赫々とした悪魔の血を暴くようだった。そんな中、目の前の仲間が海の底で永遠に抱き続けるであろう痛苦も想像したくなかった。
知りたくもなかった。
*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+
「『死んだら全てのしがらみから逃れられる』、『体を捨ててどこか美しい夢境へと旅立てられる』――そんな都合のいい話はない。私がこの手で海に投げた者たちも……きっとデイヴィー・ジョーンズのロッカーで生きているかのように死んでいるだろう。」
義手で右の前腕を握るように覆いながら語るホセの表情は固く、まっすぐに水面に注がれている。その神妙な面持ちはまるで裁きを目前にした罪人のようだ。しかし何度その罪から逃れようとも、畢竟自らの成すことは変わらない。恐らくそういう星の下に生まれてしまったのだ。
「そして――」
ホセは手にしていた星の欠片を爪弾いた。星は音を立てて水に飛び込んだかと思うと、水の暗闇にその光を奪われながら沈んでいった。水面に残された波紋は星空ごと映った像を揺らしている。
かつて言われたことを思い出す。
「犠牲は必要だ。」
「後戻りできないほどの外傷や後遺症を負った者は海に投げ入れねばならない。」
「試した薬のすべてに効き目がない。」
波紋は次第に薄く広がってついぞ見えなくなり、そこには変わらず二人の姿だけが残った。
新たな生を受けても、身分が変わっても、過去の一切を断つことはできない――これが真理なのだろう。ならば船乗りの運命に則り、いつか自身がそうしたように誰かの手によって海に沈められることになるのだろう。光一つ届かない、深く冷たい海の底。生前同様、死の先でもそこで罪を抱え続けるのだ。
「いずれ私もそうなる。」
「都合のいい話はない」「生きているかのように死んでいる」。現に謝必安に会えないまま、無咎は不変の過去に縛られながら過ごす非日常を思い返した。季節はあれど己に変化は訪れない。
「お前の言う海底や文字通りの死後の世界、来世は此処にあるのかもしれないな。繰り返す日々に変化はない。」
無咎の言葉と共に、どこからか吹いたゆるやかな風がホセの髪を静かに揺らした。
「そうだな。いつかではなく今、一等航海士は死んでいる。」
二人の姿を映す水面は凪いでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――
ホセは不屈の精神を持っている(?)のできっとこんなふうに諦観に染まることはないと思う。でも見たかったので書いた。
たとえ一等航海士としてのホセが死んでしまっていても、異国の地で非業の死を遂げた二人が死んでしまっていたとしても、みんなどうにか抜け道を見出して生きてほしい。お戚みたいに、これまでのすべてを捨ててでもしないと新生は迎えられないということに気付けば、そしてそれを受け入れられれば……過去のしがらみを振り切ることはとても難しいけれど、それができればホセは病の治療は現時点では難しいけれど少なくとも生まれに囚われずにいられるし、無常もイベントの月日と共にと同じように明るい未来に進んでいけると思うんだ。……そうであってほしい。
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まこ
「まこ」という名前の意味は漢字で書いて真っさらな子供です。
それは私が小説が書けなくなった時期に子供の代わりにと妻が授けた名前でした。この物語は、妻と私が寝入る前のわずかな時間に共に紡いでいったものです。書き出しは妻からでした。いささか長いお話しですので要約してお話しします。
「まこ」はこの物語の主人公です。出張中に大きなあんこうに攫われてしまった唯一の肉親である叔父さんを助けるために、彼女は海を冒険します。まこは幼い頃に両親や兄妹を洪水で失っており、頼れる肉親は叔父だけでした。まこは家族を奪った水が恐ろしく、海を見るだけでトラウマで身のすくむ思いでしたが幼馴染の妖精のシーに励まされて奮起し、彼女と手を取り大切な叔父のためあんこうの影を追って出航します。まことシーはあんこうを追い諸島を巡り、臆病な木彫りの牛のホリィや勇敢なおたまじゃくしのジェムといった仲間たちと出会い、冒険を通して友情を育み成長します。最初は恐怖だった海も、様々な出会いや美しい冒険を経験するにつれ、まこにとって愛すべきものへと変わっていきました。
すみません、まこの出自を思い出すとどうしてもいつも涙が止まらなくて…妻ですか?妻は度々癇癪を起こす私に疲れ果て手紙を置き出ていってしまいました。情けない話ですが、「いずれこうなる」と私は結婚をして、いや、婚約を結んだ幸せのピークと呼べる時期においても喜ぶ妻を後目に心の片隅でいつも考えていましたので、あまりショック���はありませんでした。なんてことはない、私という人間は所詮平凡��酷薄な男なのだということを痛感します。せめてアップダイクのウサギのように走ることができたならば実存に張りが出て仕事くらいはうまくいきそうなものなのですが、かなしいことに私のこの脚は老いた酔っ払いの使い物にならない脚へと枯れていくばかりです。物語に戻りましょう。
まことその仲間たちは島を巡るうちにやがて、なぜ自分が冒険に出たのかを忘れてしまいます。それはなぜかと言うと、溌剌として勇猛果敢でかわいいまこに恋心を抱いた海の亡霊が、密かにまことシーとホリィとジェムに取り憑いて叔父に関する記憶を食べてしまっていたからです。亡霊は海の亡霊なので、まこが叔父を見つけて海から離れたまこの故郷に帰ってほしくなかったのです。亡霊は臆病で極度の寂しがり屋でした。そんな亡霊の思惑通りに、まこは叔父をすっかり忘れ、魅力的な海を愛し、やがて冒険の経験を活かして島を巡る航海士として貿易船に乗り、航海で生計を立て暮らし始めました。
まこが航海士として名を馳せるさなかあんこうの下でどれいとしてこき使われているまこの叔父は、ずたぼろになり疲れ果て病気をし、もはやあんこうにとって使い物にならなくなりました。用済みになった叔父はあんこうに生きたまま平らげられたのち、どろどろに消化され、糞として排出され海中の微生物に分解されて、未練の深いその魂は消え去ることができずにこの世に繋がれ、永遠にだれにも見つけられない暗い海底を亡霊として彷徨う定めを負いました。
海の亡霊はまこと一緒にいられて嬉しい反面、みんなの記憶を食べた罪悪感にひどく苦しみました。叔父はすでに死んでいるに違いありません。
亡霊はまこのことを強く愛しているにもかかわらず、ホリィやジェムやシーと同じようにまことお話しすることはできません。海に繋がれた亡霊がまこに取り憑くことができるのも、まこが海にいる時だけです。だからたまに船内の椅子を転かしたり、船で仮眠するまこの夢枕に立って、亡霊はまこの気を引きます。
私は妻と籍を入れてから突如不能となりました。妻とセックスをしようとすると吐き気が込み上げ、どうしても勃起することができませんでした。私は幼少期に、親から性的虐待を受けていたのでそれによるPTSDだと精神科医に診断されました。妻と結婚する前はほどほどにセックスができたのですが、結婚して家族として構成員を増やすための営みとそれを意識した途端、事に及ぶ際に生理的な嫌悪感が身体中を駆け巡るようになり、とても勃起できるような状態ではありませんでした。それに伴いメンタルも崩れ、原稿もボツを連発し、そのうち執筆するのも億劫になりました。
両親は私の前でセックスをすることにより興奮するたちでした。両親はたびたび眠っている私を起こして目の前で情交にふけりました。むせかえる温気立ち込める部屋の暗闇からギロリと私を覗く四つ目のキマイラ、その怪物が放つ悍ましい慟哭。思い出すと悍ましくて吐き気が込み上げてきます。私にはそれが耐えられないのでそのことを忘れようと努めました。本当の私はいなくて、ここにいる私は別の私なのだと思うように努め、私は私を殺しました。その時から私は私の殻の外から私を見る私となりました。私が高校に進学したころ、母は私の弟を身籠りました。しかし高齢で身籠ったこともあり、その子は流産してしまいました。両親はそれから不仲となり離婚してしまいました。それから私は母の実家にひきとられました。その日からだったと思うのですがたびたび同じパターンの夢を見ます。それは弟が生きていて私と話す夢です。私が虐待されていたことの詳細を弟にうちあけ、弟が黙り込んで考え込むという内容です。夢に現れる弟の姿は様々でした。働き盛りの市役所の職員の時も有れば、白髪の老人の時もあり、小学生の姿で現れることもありました。夢の内容はワンパターンで、私と弟はいつも何もない白い部屋で椅子に座り膝を突き合わせ、ただただ黙り込んでいます。
私は精神科やカウンセリングに通うようになり、妻はそんな私を励ましとても気遣ってくれました。
当時のことを思い出すと、今でも感謝と申し訳ない気持ちが溢れ、涙が出そうになります。
そして妻が深く気を使ってくれているのにも関わらず、私の心はどんどん憎悪で満たされていきました。その憎悪は、仕事や生殖が上手くいかない事に対して際限なく湧き上がる行き場のないヘドロのようなもので、それは大層厄介なものでした。惨めさと言うのは一個の人格をたやすく破壊するものなのだと今にして思います。妻が「まこ」を産み出したのはちょうどこの頃でした。子供がいれば少し違ったのかもしれないねと私が話すとじゃあ作りましょうと妻がまこを産んでくれました。そんな妻の愛をも裏切り、私は今まで飲まなかった酒を1日中飲んでは心配する妻を罵倒し、時には手を上げることさえありました。私は妻を憎悪した。惨めな私を受容し優しい言葉をかけ続ける妻は哀れな私を見下しているのだと思い込んでいました。酒浸りの虚な頭で原稿に向かっては数行で投げ出し泣きながら当て所なく外を歩き回り、酒を飲んで帰宅して夜は靄が掛かった頭で妻と「まこ」を冒険させる。そんな日々がしばらく続きました。時間の感覚が麻痺し終わることのない夜のぬかるみの中を歩いているかのような、そんな心地がしました。私と妻は救いのないひんやりとしたまさに地獄と呼ぶべき世界に居ました。歩くたびに苦痛を伴い、何処へも進めない。最早手詰まりといった状態でした。そしてとうとう妻は、手紙と離婚届と指輪を置いて、実家へと帰って行きました。私は当然だと受け入れ離婚届に署名をしました。それから妻とのやり取りはずっと義両親を通して行っています。��れは義両親の発案で妻はそれに合意したということでした。私は妻が出て行ってから一度も話していないので、実のところ彼女が生きているのか死んでいるのかもわからない状態なのです。私は妻が居なくなっても一人地獄の中で「まこ」の物語を書き続けました。
まこは貿易船で勤めたキャリアを活用して王国お抱えの冒険家へと出世しました。そして王の命により資源を求め航海し、続々と新しい島々を発見しました。まこの開いた航路は王国の輝かしい繁栄の礎となり、まこはまさに伝説の冒険家となりました。何もしなくても3回の人生を送れるほどの褒賞を与えられた晩年のまこは家族も作らず人目を避け、灯台守として隠居しながら、愛する海の側でこれまでの交友関係や冒険をまるでお気に入りの本を読み返すように何度も思い出し噛み締め、そして十分に満足しながら穏やかにこの世を去りました。最期まで叔父のことを思い出すことはなく、充実した生をまこは全うしたのです。そしてそれゆえにまこは亡霊になりませんでした。その魂は肉体を離れると忽ち風に散り散りに飛ばされていきました。まこの魂のかけらたちは、追い縋る海の亡霊が伸ばした手をすり抜け夕空の遥か彼方へと消えて行きました。煌めきだけを僅かに空に残して…そしてその煌めきは滲んで亡霊の瞳から溢れ落ちました。
ホリィやジェムやシーもすでに死んでしまっていて、亡霊だけがただ1人取り残されてしまいました。老いることができず、記憶の忘却という機能を持たない不死の呪われた亡霊は、永遠にまこへの恋心を忘れることができません。あのときもし、まこの記憶を食べずかつ叔父を助けることも失敗して、まこに悔いが残ればまこも死後亡霊になり、亡霊どうし触れ合いお話しをして一緒に過ごせる可能性があったのではないか。
そんな想像が、不幸になったまこすら願ってしまう自分の存在が、亡霊をたまらなく苦しませます。しかしそんな亡霊の深くて巨大な苦しみは誰にも届きません。
氷に触れても冷たくなく、火に飛び込んでも熱くない。そんな亡霊のなかに、まこへの恋や後悔や自己嫌悪をはじめとした様々な苦しみが溶けて混ざり合いヘドロのようなどろどろになり、どろどろはさらに新たな苦痛を取り込んで際限なく膨らんでいきます。
ひとりぼっちの海の亡霊の苦しみを誰が知ることができるだろう。理解されることのないその苦しみは発散されることなく、海の上で永遠に膨らみ続けます。それは風が吹くと波が立つくらい当然のことでした。
亡霊の苦しみは消して浄化されません。ところでもう一杯如何ですか。
俺は胡乱な廃人に進められるがままジャックダニエルをグラスに注いでもらう。ボトルを持つ廃人のしわくちゃで乾燥した手はぶるぶる震え、ジャックダニエルがグラスから溢れる。
今日たまたま横の席になり知り合ったばかりなのに、自分語りしすぎているこのよれよれの廃人のことが俺は怖かった。
その気持ちをは��らかすようにぐいとロックを流し込み窓の外を眺めた。まだ日は沈み切っておらず、うつむいて駅に向かって歩くサラリーマンたちは皆、大体がすでに退勤してるであろうになんだかせわしない風だ。
酔いが回ってきたところでちょっと強気になってきた。そして俺はこの店から出るタイミングを測り始めた。逡巡しているうちに手元の空のグラスにジャックダニエルがまた注がれていく。
俺はそれを一気に飲み干してすぐ会計を済まし、席を立って廃人に礼も言わず速足で店を出た。
話されたことを全て忘れたかった。振り返ると窓の磨りガラス越しに、あの廃人が見える。
廃人のぼやけたシルエットはこの世に滲んでこびりついた「しみ」のようで、まさに亡霊だった。
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六日目は、大西洋再び。ヒチャム君が今年から教える工科大学があるエッセウィラという港町へ向かう。マラケシュで両親と一緒に暮らしているヒチャム君。モロッコでは結婚しないとずっと両親と一緒に暮らさなきゃならんのよ。っで、僕はずっと、何かあれば直ぐに日帰りできるけれど、毎日通うには少し大変な場所で勤め先探してたの。それも、僕の大大大嫌いなフランスの影響が極力少ない大学で!と初日に言っていた事を思い出す。
それにしても、ヒチャム君。幼い頃は、観光客といえばフランス人だらけ。フランス人の横柄さや、大した事のないバカほど、白人至上主義を振りかざすことに、子供の頃からウンザリしていたらしい。そんでね、マキ。フランス人ってみんな、ただのお高くとまったバカとアホしかいないじゃん。っでね、その中でもマシな奴を見つけるリトマス試験紙は、英語なんよ。あーそうかも。。。ドイツ人もそう!英語喋れないドイツ人って終わっとる。
でしょー。でもね、フランス人ってドイツ人よりマジでアホじゃん。ゲルマン言語できないじゃん。だから、フランス語が全く分からない振りして、色々とアホがフランス語でのたまわった後にね、静かにこう切り出すのさ。まぁ色々とアドバイスをありがとう。I appreciate all your kind advice. But I think you were speaking in... French?..... そして時間を置いて目を見つめてやるのさ。そしておもむろに、i understand that you were speaking something to me in French but can you kindly say that again in English. って言ってやるのさ。するとね、今の御時世でしょ。あのアホな偉ぶっているフランス人どもも、さすがに恥じ入るんだよ。だってさーHicham、だって、それって遠回しで、お前アホ、明後日来いボーケって上品に言っているんじゃん、とワシ大笑い。ヒチャム君も笑いながら、さすがにね、わかるよね。でもさ、最強な奴は、返って怒るから。ここでフラ語分かるからって、奴らの悪口に対応しちゃいそうになるのをぐーっと堪えて。っで、心の中では、ボーケボーケ、しねアホーとかアラビア語で言うんでしょ、とワシ。いやぁ、まぁこれは僕とマキの間だけだけど、ヒソヒソとしたトーンに変えて、うん当然やん、と笑う。
ウケる。マキもさ、ふざけんなって思う相手のあしらい方を、身に付けないと。モロッコはそのためには最高の場所よ。スークの押し売りをあしらう。アホな外人どもをあしらう。こういうあしらい方を身につけられる場所だよ。とヒチャム君。マキはさ、マジメすぎるから、相手にしなくて良い奴はあしらうんだよ。そうじゃないと、僕とお話ししたい時とかに、疲れちゃってたら勿体無いじゃん。本当に話して意味ある人と話すための余力を蓄えて、ゴミは相手にしない。いい? ワシ。うーむ。刺さる。コイツ、ワシのこと見抜きすぎ。。。ワシ、分かりやすいのカピバラ。
海辺の街は美しい。大西洋だよ、おっかさんである。ヒチャム君との会話を思い出す。そして、ワシは海が好きだ。常に動いている。ドイツは常に淀んでいる。水も黒いので流れが良く分からない��山は死んでいるし。ヨーロッパの光の加減は、油絵と同じでノッペリしている。
細い路地も、マラケシュの路地より綺麗。ホコリっぽくないのは、海風のおかげであろう。マラケシュはホコリっぽく、昔のニューデリーやカトマンズみたい。一日外にいると、洋服は街の臭いが染み付き、鼻の穴は真っ黒、髪も、お帽子被っているのにバサバサ。最悪。でも、エッサウィラは、空気がきれい。久しぶりに安心して深呼吸して、気管支がやられている事に改めて気付く。
クロッシェで帽子を編んでいる男性としばしお喋り。ワシもクロッシェするの、と。編み針が少し扁平で、普通のクロッシェ針と違う。そして編み方もワシの知らない編み方。彼は編みながら、お前、日本人か。という。そうだよ、日本人。すると、そうだろうなぁ、と編みながら言う。なんで、と尋ねると、編み針の形状が違うとかさ、編み方がどうとかさ、針の持ち方や、糸の掛け方がどうとか、お前みたいなマニア��クな話してくる奴、日本人しかいないだろ。。。と。あー。そうかもね。でも、俺、こんなに編物について観光客から質問されたの初めてだけどね、と初めて顔を上げて、笑う。普通の観光客なんて、手仕事バカにしてるだろ。旅行に来れるくらいの金持ち成金は、手仕事をバカにするのさ。機械でできるとか思ってやがるんだ。でも、違うじゃん、機械と手仕事。そ。だからな、俺は、手仕事してない手をみると、ただの成金バカと思いつつ、こうやって手を動かしているのさ。楽しみがわからない人間なんて、買い物して喜びを買うだけなんだよ。貧しい奴らはどっちかって言ったら、あいつら観光客さ。誰かに楽しませて貰わないと、自分で自分を楽しませることすらできない。ハハと笑う。うーむ。おっしゃる通り過ぎです。
ヒチャム君��、三十分置きくらいに、マキ今どこ。写真送れというので、適当に写真を送りながら街歩き。ナチ時代に大量に逃げてくるユダヤ人を受け入れたマラケシュ。トルコでも、ドイツ人もユダヤ人虐殺に対抗して、トルコでもギリシアから大量に逃れてきたユダヤ人を受け入れていた。が、トルコは悲しいことに、それが所以で、ドイツから報復措置を取られる。モロッコは、フランス領だったため、ドイツも手が出せなかった。ヒチャム君にその話を聞いていたので、エッサウィラのユダヤ人墓地まで歩く。中には入れなかったが、海辺の墓地に、彼らは眠りながら何を思うのか。。。バーセン先生のお墓参りに行った事を思い出し、揺るぎない故郷があるという事の有り難さを思った。
エウロッパのバカ観光客と、モロッコ人の差異は、海への対峙の仕方で直ぐに分かる。モロッコ人達は、みんな静かに座って、ひたすら海を眺めて、時折、ボソボソと喋っている。けど、基本的に静かに物思いに耽っている。白色バカどもは、大騒ぎして、フラもアメも、大きな声で下らないことを騒いで、写真をバカスカ撮って去っていく。実に人間観察は面白い。
僕ね、あと5年働いたら、今まで働いた分と合わせて30年の国家サービスだからね、もうすぐ年金対象者になるの。だから、エッセウィラ工科大学でも、定年まで働けるけど、まぁ五年働いてから考えて、早期リタイアして海釣りの毎日も良いかなぁなんて思っているの。えーっ。マジっすか。ワシもね、そろそろ早期リタイアしようかと考えているところなの。というと、へー。。。なんか、人生中年の節目、mid year crisisなんて関係なく自由に生きてきた独身者って、似た者同士なんだねぇって妙に感心しあう。ワシね、心配性だから、マジで子供産まなくてよかったって思っているの、というと、顔を覗きこんで、あー。もう当然だよね。この時代に子供産んで貰って、育てる勇気は僕にも無い。仕上がった大学行ける子供を、最終的に磨くお手伝いだけで十分さ、と。ワシも全く同じなので、笑える。
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夢
最終更新:2024/11/10
橋から人が落ちていくのに誰もそれに気を止めずに各々の時間を過ごしている空間だった。 インターネットの友人と遊園地へ行った帰り、という場面から始まる夢。楽しかったね、って語らいながら分岐点まで歩いていって、橋の上で名残惜しさから他愛もない話で時間も心も埋めていくのだけれど、そんな一場面の遠くで橋の軋む音、その後に鈍い音がする。感覚的には遠いのだけれど実際のところ、すぐ横で人が湧いてきて落ちてを繰り返していた。表情は見えなくて、だからそれが誰か、何なのかも分からなくて、僕らはその横でずっと話していて。橋の下は川が流れていて、すぐ近くに平面的かつ立体的な山があった。その山の前に川岸をつなぐように電線が渡っていて、電柱のような木のようなものに、やけに大きな白い何かが止まっていた。僕はそれを鳥と認識した。概念的な生命体だった。 ある程度時間がすぎて、友人に別れを告げてひとりになったので僕は橋の下に降りてみた。所謂戦隊ものの格好をした5人組が何かをしていた。何をしていたかは思い出せないのだけれど。好奇心にかられた僕は彼らに近寄って何かをした。その間も人が橋から落ちてくる。最後に僕は崖の途中付近にいて、僕もその後同様落ちた。正式には落とされた。戦隊ものの格好をした人はにこにこしていた。僕もにこにこしていた。
起きていても寝ていても臓物を引き出す夢を見る。ずっと前から。きっと何かに影響されたものの派生かなと思うけれども何もない空間にいて、知らない手が胃腸だったり心臓だったりを掴んで体から取り出してしまったり、肺を力強く押してみたりする。 偶に自分の手が自分の意志とは関係なく動いてみせることもある。痛いというよりも塞がっていた水道がとおるような、すっきりとした感覚になるようなので悪い気分はしないけれど、目を覚ましたとき鈍器が体内にあるような気持ちになっていつもよりなんだか重たく感じる。 血が透明な何かに入れ替えられる時もある。
2024/09/13 寝れないなと思いながらただだるい体を少しでも楽にするために良い体制を探していた。最終的に平たい長座布団の上に寝そべっていた僕の上半身前面がやけに涼しくて、少しヒリヒリするような脳の認識を感じて視線を下ろしたらむき出しの臓物とも取り難いそれ、が見えた。臓器に対する知識の上での解像度が低いから臓物もどきに変換されたのだろうなと思うのだけれども。 ただどうすることもできなくて、どうしてか動けなくて薄暗がりで鈍く輝く臓物もどきを眺めることしかできなかった。ずっと見ていたら不規則に動く心臓のようなものや腸がだんだん膨張していっているように見えてきて、飲まれてしまう、と思ったら目が覚めた。04:23だった。短い時間だったのに大変不思議な夢だった。 膿んだ傷口が風に当てられて痛む感覚の延長みたいなものをずっと感じていた。
2024/08/22 気がついたら僕は、知らない家庭の団らんというものに混ざっていて、見知った顔を持ったヒトと世界を旅していた。それらしい彼等の風貌をしていて内面は少し違っていて、戸惑いながらも地球にある国々を巡って、世界の様々な人に出会った。様々な文化に触れた。どうしてか各国が地続きの世界で、さいごに見たのはさっきまでともに旅をしていたヒトたちの笑顔と片手に握った金魚が泳ぐビニール袋だった。 この世界はずっとどこかずれていた。例えば、F国では銀色の箸を使って食事をしていたし、最期に行ったA国では、なぜか室内でJ国のお祭りを行っていた。屋台で出される食事はまるで配給や給食のような出し方だった。知っているようで異質なお祭りの空気をどこか遠くで眺めているような気持ちで屋台を見回ったりして、屋台のヒトと何気ない談笑を交わして。 それなりにお祭りを謳歌したあと、お祭りの熱を冷まそうと散歩をしていると眼の前に両手ではとても覆いきれないくらいに広い青が目の前に広がった。 溶けてしまいそうな曖昧な水平線に心を惹かれ半ば引きずられるように、操られるようにそちらへ歩いていく。急に視界の下の方にあったはずの地面を見失った。さっと緊張で滲む手汗を握り、足元を見ると崖だった。間一髪で落ちることなく地を踏みしめた私は眼の前に広がる初めて見る光景を見つめていた。自分の知っている海ではなく怖いくらいに鮮やかな海だった。 ずっと見ていたら呼ばれてしまうんじゃないかと思ってしまうくらいにそこの見えない海と、曖昧な空のどことなく低いのに確かに届かない雲の流れを目で追っていると、後ろから誰かの声が聞こえた。迫りくる明るい声がする方に目を向けると、旅をともにしていた人たちだった。 『良かったね、見つけられたね。』何かを祝福するふうにそう言いながら笑顔で近づいてくる。まるでこの旅の終着点にたどり着いた、みたいな終わりの空気を手のひらに感じながら戸惑っていると急に全身に空気を感じた。紐で縛られたりしていない金魚の入った袋の口が手から離れる。 最期に見たのは離れていく彼らの笑顔と、空を泳ぐ金魚と落ちてくる空だった。 普通に人生の終点だった。
2024/07/27 真昼。僕は確かにさっきまで友人とピクニックをしていたように思う。あちらの世界では遊歩道ではない場所がこちらの世界では何故か遊歩道になっており、そこになんの違和感も抱かなかったくらいには楽しいピクニックだったのだろう。そんな優雅なひとときなど一瞬だった。 「火災発生 火災発生 外出中の方は直ちにお近くの避難所へ___」 突然目も覚めるくらいけたたましいアラートとともに防災行政無線から“乾燥による火災の大量発生”を知らせる声が聞こえてきた。それを聞いても何故かのんきだった僕らはすぐには動かなかったのだが、ふと香ばしい香りが漂ってきた。そちらの方に目をやると一本の生まれたての煙柱が見えた。小規模の森と言いたくなるほど鬱蒼と生えた川岸の草が例によって火を起こしてしまったらしい。 真横で火災が起きている。 事態に気がついた僕達2人は鞄を抱えてあちらの世界には存在しないエメラルドグリーンと白の可愛らしい建築デザインの避難所へ駆け込んだ。何故か裏口から。 避難所の中は学校のように机が規則正しく並んでおり、床も机も一目でわかるくらいには木製だった。すぐに不安な気持ちでふと窓の外に目をやるとそこそこ離れた小学校の方から大きな煙がたっているのが見えた。そちらの方に住んでいる知人らに思いを馳せながら避難所の中を一周する。幼少の頃の日本国外にいるはずの友人や、既にもうこの世にいないはずの人が普通に生きて不安そうな表情を浮かべながら雑談をしている。そんな彼らに懐かしさを覚えて僕は思わず声をかけたが、一瞥すらくれなかった。僕が幻覚をみているのか、僕が幻覚なのか彼らに気がつい��もらえることはなかった。 出かける際に持ってきたカバンのほか何も持っていなかった僕らはまだ火災の起きていない方に位置するスーパーに向かおうと避難所の外へ出た。 しっかりとした避難所の冷たい扉を開けいざ出発と思い左右に視線をやると、ちょっと先にある小学校の頃の同級生の家が燃えていた。緑色の芝生も雰囲気のある重い扉も面影がないくらい火の塊だった。 遊園地もブランコの周りに生えていた公園の木々も山も赤く染まっていた。 この世界の終わりを突きつけられた気持ちで即座に避難所へ引き返し、窓の外にまた目をやると避難所の真横の空き地が燃えていた。逃げ場などどこにもなかった。
2024/07/XX ⚠微グロ “目が覚めたら”真っ暗な世界にいた。真っ暗で周りには何も見えないのに自分の手足や足元は目視できた。 不思議に思いしばらくぼーっと周りを“眺めて”いたら極僅かな小さな小さな何かが這いずるような音がした。 音のした足元に目をやると白っぽいグレーっぽい、発光したような細長い何かが蠢いていた。(以下ミミズと称する) あまりのおぞましさに暫く嘔吐いていると足元にミミズが落ちてきた。動揺が引き金となって必死にせき止めていた何かが溢れ出すように吐いた、はずだった。でてきたのは想定とは異なる吐瀉物だった。胃液ですらない。ひたすらミミズが溢れてくる。自分でもわかるくらいに青ざめて真っ白になっていく床に膝をつく。潰れるミミズの体液は真っ青だった。この生物が何なのか自分から溢れてくるのは何故なのかぐるぐる考えながら、一度壊れた堤防からあふれるミミズをただひたすらに吐き続ける。長い時間休まることなく吐き出される苦しさに涙が浮かぶはずなのだが体内には彼らしか詰まっていないのかミミズしか流れてこなかった。自分の手足が次第に骨と皮になってもなお体からでてくるのはそれだけだった。 長く感じられた時間の末空っぽになった体は次第に真っ白な海に近づいていく。薄れる意識の中で最後に見たのは何だったのだろう、僕は目を覚ましてしまった。 とても冷たい世界だった。
僕はいつものように窓枠に座って時計アプリを起動させたスマホを見ていた。 ずっと前に開始させたストップウォッチの画面は止まることを知らずにずっと動き続けてくれるので安心するから。 どれくらいの時間が過ぎただろうか、突然固いはずのスマートフォンの画面がゆがむ。あまりの突然さと俊敏さに半ば寝たような脳みそを起こすまもなく液晶に飲まれる。体に纏わりつくスマートフォンの熱を感じながら意識を手放した。 意��を取り戻すと三人称視点になっていた。 僕の先程まで座っていた窓枠付近には持ち主を失ったスマートフォンが落ちていた。そのスマートフォンにおそらく僕らしき人がドロドロした液晶に飲まれていくその光景をどうすることもできずにただ見守っていた。見守ることしかできなかった。 無機質なはずの板が生命を帯びたかのように、確実に僕を飲み込もうとしている意思をもったかのようにさえ見える飲み込まれ方。 何故か無抵抗に飲まれていく僕の体。 黒っぽい液体にじわじわと飲まれ、見えなくなっていく体。 三人称視点にも関わらずリンクする“息苦しい”という感覚。 体に纏わりつくスマートフォンの熱。 普段のような苦しさはないが多少の焦りを感じた。そこにいる僕が飲み込まれきったらそこはどんな世界なのだろう、薄ぼんやりと眺めては三人称視点の僕もどうにか動こうと試してみるが壁になってしまったかの如くびくともしなかった。 暫くして髪の毛1本まで飲まれてしまった僕はその後何時間見つめてもでてくることはなかったし、三人称視点の僕もまた、どれだけ動こうとしても動けなかった。 ただどこまでも底へ引きずり込まれる感覚を最後に僕は目を覚ましてしまった。 先程まで生命を宿していた冷たいスマートフォンの時計は05:22。夢の中で最後に見た時刻だった。 今思えばもしかしたら三人称視点だと思っていた方の僕自身も飲み込まれている最中だったのではないか、などと思うが、一度中断してしまった世界である以上真相はスマートフォンの暗闇の中だった。そんな考察でもしながら僕はいつものように窓枠に座って時計アプリを起動させたスマホを見ていた。 ずっと前に開始させたストップウォッチの画面は止まることを知らずにずっと動き続けてくれるので安心するから。
へんな養護施設に化け物と天災が来て、必死に逃げるも、もう選択肢 はないと思い下水管から逃げ、へんな科学者みたいなおじさんに拾わ れる。電波関連の管理や下水の管理、変な生き物の研究をしているお じさんのもとで助手として生活していたがある日、お使いがてら養護 施設を見に行くことに。そこであった少年を抱えてまたもや起きた化 け物と天災から同じ方法で少年を逃がし、自分は飛行して逃げたが少 年がなかなか見つからない。下水管の入口のようなもの?を転々とし て脱出口を探す少年をやっと見つけ出し局所的な天災と化け物の出現 の原因解明をする話。
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7/12
3回目となると夜行バスにも慣れてきた。岡山から10時間乗って東京に帰る。
いつものようにほぼ寝れずに9時頃新宿につき、そのまま美容院に向かう。最寄りの喫茶店でトーストを食べながら時間をつぶす。『「友情」の現在』を読んでいるのだけど、これほんとにおもしろくてずっと線を引いている。「友情」にあまり関心を深めてなかったのだけど、私が「恋愛」に悩んでることはある意味で「友情」の叶わなさに打ちひしがれていることでもある。もう少し読み進めてから言葉にしたい。
最近お世話になってる美容院は、前の職場で仲が深くなったYさんのパートナーMさんがひとりで営んでいる。Mさんは写真を撮る人でもあってその眼差しが言葉がとても好きで、つくる髪のスタイルは見たことはなくても切ってもらいたいな、話してみたいなと思ってた人だった。
カットでも2時間弱かけてゆっくり対応してくれるし、話もおもしろい。なにより、作るヘアスタイルがすっと馴染んで楽。話してて、気づけば美術やアートの話をしている。人の煩わしさとか、今回の髪型もお気に入り。
次に活版屋さんへ向かう。友人の名刺を土佐和紙に活版で印刷するという提案で進めていたものがついに刷り上がったので受け取りに。工房内も見学させてもらい、活字鋳造機や印刷機、大量の活字を見ながら話を聞かせてもらう。全国で2件しかないという活字屋さん、活版というめんどうくささとはかなさと、でもそのかなわなさ。こういう言い方は怒られるかもだけど、ロマンチックな存在だと思う。だって活版にしかできない��現があるし、それはデジタルには到底及ばない。
Iくんにとって、いいもの、をつくることができたかな。まかせてくれてありがとう。ひとつ大きな経験になった気がしてる。
中華を食べて、内藤礼さんの展示が国立博物館でやっていたので上野へ向かう。豊島美術館以外での作品をはじめて目の当たりにした。意外だったのは、要素(色、マテリアル、点数、情報など)が多かったこと。作品自体もそうだけど、空間が他の展示空間を挟んで分かれているから、鑑賞の中でさまざまな歴史的な作品たちを観ないと内藤さんの作品にたどり着けない。面白いなと思ったし、内藤さんの変容も強く感じる。
もともと、ひとりの空間を作り出し鑑賞体験を提供していたひとが、いまやインバウンドの人たちでごった返す上野の博物館で、他の雑多な展示物の中にそっと混ざりこんでいる。なんなら、写真がOKの空間すらあった。ちょっと、いやけっこう驚いた。なにがこうさせたんだろう、振り返って学芸員の人に聞いてみたらよかったと反省する。
疲れた足を休めるためにカヤバコーヒーへ。これも横尾忠則館の設計をした永山祐子さんの設計だと知って、改めて利用してみた。何回かきてるけど、こんなにしゃんとした空気感だったけ…?喫茶店というよりかcafe、レストランのような整った空気。だからかとてもいい風が通っていて気持ちよかった。
ずっと雨が降っていて、JRの日暮里駅を目指す。そこから神田で乗り換えて中野へ。今回の帰省のきっかけ、バストリオの公演へと向かう。去年の秋頃にこの劇団の公演を見に行ったら衝撃を覚えた。いままで触れたことのない演劇の世界、空間だった。それに友人のLちゃんが出演すると聞き、もうそれは観ないはずがないとはるばる東京まで来てしまったのだ。
Lちゃんは以前から本調子ではないことは知っていたけれど、彼女から丁寧な連絡がきた。もしかしたら公演に立てないかもしれない上で、劇団のみんなと話し合い深く理解されていること。それを聞いてたとえ彼女が舞台に立てなくても、ぜったいにみたいと思った。
彼女は公演に立っていた。わたしの知る彼女がそこにいてうれしかった。そして、彼女を囲むみんなのあたたかい眼差し、やさしさのにじむ行動言葉。なんという愛を目の当たりにしてるんだろうと思った。それは彼女に対してだけでなく、ワークショップ兼オーディションから選ばれてる人が参加しているからかその人がその人のままそこにいる。中野の水彩というかつてクリーニング屋だったところから、商店街に出たり入ったりする。入り混じる、料理の音匂い、水と雨、土、肌。感覚が気持ちいい、好きだ、と思う。
友人と少しお話しして、Tシャツとジンを買い、駅前の多国籍料理のお店でパッタイをビールと食べた。
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--深海人形特別篇-- プロジェクト グランドフィナーレ 準備号 館主様と蒼傑達は噛ませ犬
※クロスオーバー注意
※ショタ・男リョナ注意
※オリ設定注意
※某機動戦士シリーズ、サムスピ、月華並グロテスク、流血残虐表現注意
※館主様と蒼傑の噛ませ犬化注意(※何時もの事)。
※ガソダムEXAって漫画あるじゃろ?それをガソダムの奴等が他漫画(※…但し、ドマイナーで、基本的に、其の存在を誰も気にして無い)に対してやって居るみたいなモンじゃ(※男塾勢は読むな)。
※最後に、某ドクサレイカサマ煮卵の出て来る蛇足おまけがあるけど、読むだけムカつくので閲覧非推奨(※…対戦相手も対して強く無いし……)。
…。
蒼傑vs
今回、蒼傑十八番の『双条檄射』で死合をする。然し、相手は、『Effigy(相手を呪う為の儀式人形)』とも呼ばれ、『特級呪物』とも称される謎の強化人間。もしかすると、下手をしたら『呪われる』かもしれない。…其れでも、蒼傑は怯まなかった。
死合開始直前、蒼傑は改めて、相手を見る。…自分とは違う拵えの弓(※疾風の弓ミュルグレのレプリカだと言う ※元ネタ:FE封印の神将器)を構え、銀髪で長髪で、左目だけが金眼で、服装は和装で……、蒼傑と同じか其れより背の高い男だった。かつては、『ソロモンの悪夢』等と呼ばれて居たらしい。
(…『ソロモンの悪夢』?…相手の経歴等、…俺には、関係無い事だ。…別に、如何でも良い……。)
…其の時の蒼傑は、はっきり言って、『身の程知らず』としか言えない。実際、其の力量の圧倒な差は、最終的な試合結果にも表れて居た。
…そして、死合開始。
梁山泊 闘弓術 三連貫!!
すかさず、RXQ-02は自らも矢を放ち、蒼傑が撃つ飛んで来た矢を、一本ずつ、丁寧に、相殺して、撃ち落とす。
それを見た蒼傑は酷く驚く。
「…なっ?!相手は千日ほう鏡の使い手か何かか?!!」
そうは言うも、次は二本続けて、時間差を交えながら、弓を射る。
だが、全弾さらりと避けられてしまう。
(…俺の速射は、速度精度共に、大陸一だと言われて居る……、…其れでも、…何故、避けられる……??)
「…味な真似を……、」
相手の規格外な性能に、段々と追い詰められて行く蒼傑。
(…後、5本か……)
それから、すぐさま、相手が蒼傑に向けて矢を撃って来た。4本の矢を。瞬時にこの矢は如何足掻いても避け切れないと判断した蒼傑は、自分も矢を4本撃つ事で事無きを得る。…そして、其の間一本の矢を混ぜて、相手の頭をスナイプしようとしたが、余裕で相手に見切られており……、…此れで、蒼傑0本、されど、相手方は2本だ。
…かくして、手持ちの矢を撃ち尽くした蒼傑は、もう対抗手段を持っていなかった。
相手方の勝ち。
…此れで死合は終了となった。
「…仕方無い、…俺の負けだ。」
…蒼傑が己の負けを潔く認めた、…其の時、相手方のRXQ-02が口を聞きはじめる。
「…何だ貴様、生き恥だな。…今、私が、もう貴様が二度と生き恥をかかなくて良い様にしてやる。」
すると、蒼傑の降参も虚しく、上からの命令を無視し、容赦無く、RXQ-02は、矢を蒼傑に撃った。
「?!?!!??!!」
「この矢で最後、さらばだ。」
其うして、放たれた矢は、蒼傑の首と脳天を貫く。
…。
館主様vs
…其の瞬間、嶺厳は対戦相手を、しかと見た。
(…あの男、…日本刀を持って居るな……)
虚な目をした、左目だけが金眼で悪人面で紫髪で白い服を着た背丈180cm程度の男が、嶺厳の前に現れる。
すると、予め、対戦相手の情報を知らされて居る嶺厳が思い出す様にぼやく。
「…此れは正に、『一握りの天才』同士の戦いだな……。」
そうして、嶺厳は体術の構えを『魔人』RXQ-03は日本刀を桃の様に構えて、戦闘体制に入った。
(…あの構え方は、剣桃太郎、…剣の構え方だ……)
「…面白い。俺が相手になってやろう。精々惨めな最期を迎えるなよ?」
いざ尋常に、一本目、勝負!!
…翔穹操弾!
…然し、何と、敵目掛けて撃った筈の何発もの操弾が刺さらない。嶺厳は驚愕した(→驚愕する)。
「…何……だと……?!」
嶺厳が一瞬怯んだ隙に、RXQ-03は一気に間合いを詰める。然し、流石の嶺厳も相手を警戒した後、思い切り相手の腹を何度も蹴る、…が、何のダメージをも与えられない。
(…此れが、『強化人間を超えた強化人間』の実力か……!?)
其処で、短期決戦に持ち込みたい嶺厳は、『回頭閃骨殺』で一撃決着を狙うが、其れは相手にも見切られており、空対空で対策された後、其の対戦相手であるRXQ-03は、一気に刀を勢い良く振るい一閃して、嶺厳を袈裟斬りにした。
「…あ゛あ゛あ゛っ゛っ゛!!!!!」
そして、嶺厳の最期は、丁度、『月華の剣士(第二幕)』と言う対戦剣戟格闘ゲームで、『決!勝負あり!』の後に、対戦相手の、人間の胴体が真っ二つに切れて行く様だった。
そんな中、無表情で立ち尽くす--返り血を浴びて綺麗に染まった白服の--RQX-03。
「…落ちたか、カトンボが。」
そう言うと彼は刀に付いた血を手持ちの布で拭い、血を拭いて綺麗にした後、刀を鞘に収めた。
…。
蛇足試合 マホロアvs
「…キャハッ⭐︎」
ほんとムカつく、ドクサレタマゴの此の笑顔。
「…サァテ、今日のボクの対戦相手ハ、…誰カナ……??…誰カナーーーー?!?!!!!」
やがて、其の相手は、イカタマ野郎の元にのそもそとやって来た。今回の相手、其れは、元々は『幻の撃墜王』とも称された『準魔人』RXQ-05。
「ヤァ、ボクはマホロア!対戦宜シクネ!!」
「…変な生き物?」
「…変な生き物言うナァ!!」
「…嫌な生き物。…何かヤダな。」
其う言いながら、RXQ-05は両手にダガー���イフを装備する。
両者が気が付く前に戦闘は開始されていた。
あのドクサレ煮タマゴは、適度に牽制として魔力球とジェムリンゴボムとキルニードルを撒く。完全に"待ち戦法"狙いである。…然し、其んな当たっても少し痺れるだけの慣性の付いた重い風船の様な物は、可也、魔防の高い相手にはぜーんぜん効かず、キルニードルに至っては当たらず、ジェムリンゴボムに至っても、完全に仕様を見切られており……、
「…ナ、ナンデ!?ナンデダヨ!??ナンデ!???効かねぇンダヨ!当たらねぇンダヨ!」
其のドクサレタマゴは短気なので、早速、キェエエエエエエ!!!(猿叫)状態になって居た。
其うなって居る内に、イカタマ君は、あっと言う前に近付かれ、RXQ-05に此の上無い位強く蹴り飛ばされた。
…まぁ、皆は既に知ってると思うけど、イカサマタマゴの技は、殆ど小回りが効かず、隙がデカい。ストームと異空間バニシュは数少ない例外か(※ストームって言っても、竜巻召喚する技じゃなくて竜巻纏って敵にカミカゼ特攻仕掛ける技だけどね)。
ミリ知ら勢は、シリーズ各ゲームで、此のド腐れ煮タマゴが如何言うモーションしてるかを見れば分かる。
ある程度の反射神経とスピードがあれば、隙を突き放題である。遠くに居ても、無慈悲に飛び道具が飛んで来る。投げ技を持つ個体なら投げ放題。
…ゲーム本編での『彼奴等』は優しかった……。
…さて、其んな此んなで、何度も異空間バニシュ後に着地狩りされ、ソードとブラックホールを出そうとしても、発動を潰され、ストームを出しても、力付くで捩じ伏せられ……、…と、苦戦を強いられるドクサレ煮卵であったが、ある秘策を思い付く。
…彼奴、瓦礫の下敷きにシテ埋めちゃエ。
イカサマタマゴは何とか勝つ為に、其の作戦を全力で実行する。
必死に敵を誘き寄せて、廃墟になったビル群--コンクリートジャングルに来させる。
其処に、RXQ-05が、半ばやる気無く、のそのそ歩いて来ると、
「…ワナに掛かったネ⭐︎御馬鹿サン⭐︎」
「?!!?!」
そう言って、イカタマは繰り出した、あの最強の魔砲、マホロア砲を。
そして、その魔砲は、RXQ-05が近くにいる建物にマホロア砲が勢い良く当たって、瓦礫の雨が出来る。そして、RXQ-05は、其の瓦礫から掻い潜り抜けられず、…瞬く間に埋もれ……、
「瓦礫に埋もれナガラ、昇天でもしナ!!」
瓦礫が完全に、RXQ-05を飲み込んだ後、イカサマタマゴはその上で敵の生死を確認する。
それから、暫くしてから、イカタマは、完全に確認を終えた後に……
…これッテェ…、…ヤッパリボクのッ……!!
「…キャハハハハハッ!!…ボクの大勝利!…魔法使いハ、コウで無くちゃっネ⭐︎」
…等と束の間の勝利を、ダンスを踊りながら、誇って居ると、ドクサレ煮卵を掴みながら、背後から未だ死んでいない『彼奴』が現れた。
「…じゃあ、僕も、魔法使いになろうカナ?」
「…ゲ、ゲェエエエエエエエエ!?!?!!!!!!」
「逃がさない。」
そう言って、イカサマタマゴの頭に、強力な肘打ちを食らわせた上に、乱暴に膝と太腿の中間辺りで締め上げた上に、
「捕まえた。」
両手のダガーナイフでイカタマの首を掻っ切る様に攻撃した後、…勝負あり!!
…。
おまけの資料
RXQシリーズ 魔人・準魔人
生体兵器であり特級呪物。…『Effigy』、『Semi-Effigy』とも呼ばれる。
ティターンズ製の『強化人間を超えた強化人間』。下位存在である生体部品(バイオ・パーツ)達と同様に、阿頼耶識システムめいた接続端子を肉体に内蔵しており、生体部品として機械に接続する事が出来る。
計八体居り、『某桃玉シリーズで未知の魔法とテクノロジーを駆使した古代文明と知られる神の御国で製造された物品』と同じく、科学と魔術で『加工』されて居る。…尚、『素体』となった人間が存在する。
以下、大雑把に特徴
・某水星のエアリアルに、「やめなさい!」されてもトマトみたいに潰れない。頑丈。でも、RX78のおっちゃんに踏み潰されると、トマトみたいに潰れる。
・『準魔人』は、『魔人』に劣るので『準魔人』と言う扱いになって居る。
・どの個体も人間性と精神を破壊されている。だが、最低限の意志と個性は残ってはいるようだ。どれだけやっても完全には消え去らなかったらしい。彼等の詰めが甘いから。技術が未熟だから。
・魔防も異様に高いが、内部破壊と炎と窒息に弱い。イカタマもレボリューションフレイムが溜め技でなければ……、、
…。
今後の計画
RXQ-Vの登場
種、鉄血、水星辺りで同じ様なのを出したい。CEの中で謎公国水泳部してた人とチョコレートの人、出番だ(※本当にロクでも無い)。
…。
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ある画家の手記if.121 告白 夏祭り
新居の近くには綺麗な池のある広々した公園があって、気が向いたら僕はその公園の池の前のベンチで絵を描いてる。
池の水は溜まりっぱなしじゃなくて公園の外堀の浅い川を巡らせてあって、いつも透明度が高くて綺麗。魚もいる。魚を狙う鳥もくる。 いつも隣のベンチにいてスズメにパン屑をあげてるおじいさんとか、池のまわりをランニングしにくる学生とか、公園に日課で訪れる人たちがいて、僕も通ってるうちに友達が増えた。 静物画を描いてた頃は絵を描くために外に出る必要はなかったから知る由もなかったけど、衆目のある外で堂々と絵を描いてるとちょっと目立つし周���の興味をひくものらしい。スズメのおじいさんにそう言われた。 そんな公園の友達から、近々この公園で夏祭りが開かれるっていう情報を得た。毎年の恒例行事なんだそうだ。 「直人くんも来てみたらどう?お家は歩いてこれる距離なんでしょう」 「…そうですね。息子と一緒に来ようかな、あの子も夏のお祭りは初めてかもしれないし」 「そういえば息子さんいらっしゃるんですよね、今何歳なんでしたっけ」 なぜか僕が親しくなった相手に香澄のことを話すといつの間にか相手の中で香澄が幼稚園児くらいになってる。 もう成人してますよって言って証拠の写メを見せるときはだいたい絢と香澄のツーショット写真を見せる。 最初に香澄単体の写真を見せて一目惚れとかされたら困るから、となりに香澄とはまた趣の違う華やかで派手な絢もいたら見せられた相手も何がなんだかよくわからなくならないかなとか。実際まあまあそんな感じの効果は上がってる。絢ごめん。 顔立ちだけなら僕と香澄より僕と絢のほうが似てることになるのかもしれないけど、写真を見せても絢のほうを僕の息子だって思う人は意外と少ない。僕も絢もそれぞれ新しい家や家族に馴染んできたのかな。 僕は夏祭りに行ったことは多分ないけど、香澄と行った旅館の初詣でみんな着物着ててお店がたくさん出てた、あんなかんじかな。
前のマンションは立地は住宅街の中だったけど、マンションの方針としてその地域での町内づきあいは一切絶ってあった。今はそういうのが何もない普通の一軒家だから町内の報せとかもご近所から回ってくる。 かいじゅうくんの形のポストに入ってた夏祭りのチラシを取りだして見ながら、簡単に添えられたお祭りのイラストでなんとなくの雰囲気を知る。描かれてる人、みんな着物…浴衣?だ。僕がポストの頭を撫でながらチラシを見てたらちょうど出かけてた香澄が道の向こうから帰ってきた。 最近香澄はよくイキヤのマンションに通ってる。 最初は部屋を貸した身として僕が通って様子を見るべきかなとも思ったけど、結局僕がいつまでも仕事してて行けないでいたら香澄が行ってくれてた。香澄はときどき車出したりもしてた。 二人はけっこう仲良しみたいだ。それは少し、わからないでもない。 イキヤの人間関係はこれまでほとんど画家やそういうことに携わる現場の人間で埋め尽くされてきてる。家庭内にも今は別の画家がいるだけだし。性格や気性を問わず画家同士で穏やかに優しくしあうだけってことにはならない。…その分、誰かに優しくしたい気持ちがずっと行き場をなくしてたりする。 帰ってきた香澄にお祭りのチラシを見せて笑う。 「これ、すぐ近所だし、一緒に行ってみようか」
そんなわけで当日の夕方、まずは自宅まで知り合いの着付け師の子に来てもらった。 浴衣もそこで前もって僕と香澄のぶんを買っておいた、お正月の旅館で知り合った貸衣装をしてたおばあちゃんの呉服屋さん。 あれから何度か仕事でおばあちゃんのお子さんたちにうちに来て手伝ってもらって、ちょっとだけ顔なじみになった。じゅんちゃんとゆなさん。 肖像画の内容にもよるけど、モデルがよく映える服や小道具が欲しいってときもあるから、そういうときに。うちのクローゼットにある服は僕と香澄のを合わせても、お互いに系統が揃ってる上にサイズが大きくてあんまり使えない。 買った浴衣は香澄が白で僕が濃い紫。旅館のときと違って香澄も今回は男性ものの浴衣で、二人とも柄はそんなに派手じゃない。旅先と違って行くのは近所の夏祭りだから、目立つ格好して歩いて妙な虫がついたら払うのに苦労しそうで。 今日は和服だから呼んで来てくれたのはじゅんちゃんだった。浴衣を綺麗に着付けてもらったお礼を昼間に焼いたクッキーと一緒に渡して、二人でお祭りに出かける。布を買って僕が作った簡単な浴衣を出がけに留守番するノエルに適当に着せたらじゅんちゃんに一度脱がされて着付けしなおされてた。
ちょうど陽が沈んだくらいのタイミング。外は昼間に比べたら少し気温も下がってきてる。 となりを歩く香澄の髪にはかいじゅうくんの簪が刺さってる。クリスマスに僕が慧にもらったものだったけど、僕より香澄が使う方が似合っててかわいいからそうしてる。…この方が慧もきっと喜ぶ。 香澄はバレンタイン…本人曰く「誕生日プレゼント」に、まことくんから髪留めをもらって、仕事の日とかによく使ってる。香澄は自分でそういう物はあんまり買わないし僕があげた覚えもなかったから訊いてみた。香澄が友達同士で物を贈りあったりすることにまで口は挟めないけどね。僕が無言でじーっと髪留めを見てたら視線に気づいた香澄は不思議そうに首傾げてた。
公園に入る前から外の道にも普段よりたくさんの人がいて、すでにかなり賑わってた。浴衣姿の人も多い。 はぐれないように手を繋いでたいけどご近所さんも来てそうだから無理かなぁ。 池のまわりをぐるっと夜店が囲むようにどこまでも連なってる。夜店は簡易テントみたいな作りで、高い鉄パイプみたいな骨組みを通してぼんやり光る提灯が頭上に並んで浮かんでる。 香澄と一緒に風を受けてとりあえず見て歩いてるうちにあっという間に空が暗くなって夕方から夜になった。提灯と夜店とところどころの街灯の灯りだけになる。 「あ」 思わず声が出た。飾りみたいにたくさんズラッと並べてあるのの中に、かいじゅうくんがいた。他にもいろんなキャラクター…?色々並んでる。顔だけ… 周りの人たちが買っていく様子を見てると、あれは顔につけるお面らしい。 迷わず買って香澄の頭に装着する。 「…?これって顔につけるんじゃないの?」かいじゅうくんのお面を香澄の頭の斜め上あたりにつける僕に香澄がほわほわ顔緩ませながら訊いてきた。 「香澄の顔が見えなくなったら僕が寂しいからね」 綺麗に装着し終えて満足してたら香澄がさらにほわほわ笑ってた。にっこりしてかいじゅうくんのいないところの髪の毛を梳いて撫でる。 僕はかいじゅうくんと比べたらやけにリアルな描写の般若面を買った。リアルで怖いからあんまり売れてないらしい。僕は首から下げた。背中側に面がくる。般若って女性じゃなかったっけ、とか思うけど、威嚇になる表情ではある。背後の警戒を般若面にお願いする。 二人でかき氷を買って食べ歩く。香澄がオレンジ、僕がブルーのやつ。二人でスプーンですくってお互いの口に運んで食べ比べてみる。どっちも冷たくておいしい。 射的のお店があったから香澄と二人でやってみる。ゴムを飛ばす鉄砲みたいなライフルみたいなやつを使って景品を撃ち落としたらそれをもらえる。 まずやってみた香澄が何発か撃っ��お菓子箱を一個撃ち落とした。香澄はこういう体験は初めてだって言うから「コツを掴むのが上手だね」ってにこにこ上機嫌で褒めた。 そのあとに、香澄がちょっとだけ欲しそうに見てたウサギのぬいぐるみを僕が狙う。ルールに則って決められたラインから踏み出さないで鉄砲を構える。着物の袖が邪魔で肩までまくし上げる。たすきがけとかできればよかった。 僕は腕が長いから普通に構えただけでちょっとズルしてる感じになってるのかな。ゴムをつけ直してウサギを何度か撃ったら置かれた位置からずれてバランスを崩してウサギが落ちた。 店の人から受け取ったウサギを香澄に渡したら嬉しそうにしてた。垂れた耳。まだ留学から帰ってきてない絢のことを連想したのかな。 絢は今、まことくんとオーストラリアに留学に行ってる。日本国内ではなんの気兼ねもなく自由に好きなように活動するのが難しいのかもしれないからよかったとも思う、同時に、僕も香澄も心配な気持ちもあった。 だから僕が庭の樹から少し削りだして、二人でお守りを作った。木彫りかいじゅうくんのキーホルダー。 半分くらいのところまで香澄に作ってもらって、僕は最後の仕上げと少し整える程度のほうが絢は喜ぶかな、と、思ったんだけど、あまりに面妖な初期段階が香澄から提出されて僕は思わず難しい顔になった。なにかの形象をあらわしているとおぼしき木片の突起部分を落としていったらネット検索で閲覧に年齢制限がかかるような姿になったのでさらに削って削って磨いていったら最後にかろうじて残ったのはころんと丸っこい鈴みたいな形のかいじゅうくんだった。雛かもしれない。 お祭りはまだ見てまわるけど僕が撃ち落としたウサギは手荷物になるから一旦僕が香澄から預かる。 ヨーヨーがたくさん水に浮かべてあるのを二人で発見。香澄がすくってとった。歩きながら楽しそうに手で弾かせて遊んでるから、預からないで香澄に持たせたままにする。 頭にかいじゅうくん、手に水色のヨーヨー。着物を白にしてよかった。香澄の髪の色がよく映えて綺麗。 夜店の焼き鳥とかクレープとかホットドッグの匂いが漂ってくる。僕らは家で早めの夕食を済ませたから匂いだけ。公園のみんな曰く、お祭りの夜店で売ってる食べ物全般は内臓や消化器系によほど自信がないと食べるのは分の悪い賭けなんだそうだ。たとえよく火が通され��ものでも油が怪しかったりするらしい。 みんなに団扇を配ってる人がいたから僕もひとつもらって、首筋をあおいで風を通す。じゅんちゃんに片側に流すみたいな幅の広めの紐を一本絡ませた編み方にされたから、いつもみたいに後ろで縛ってるより暑い。 となりで香澄の歩くスピードが少しだけ落ちた、様子からして下駄で少し足が痛むみたいだった。 僕も下駄は履き慣れないけどいまだに全然痛くならないから油断してたな… 少し人混みから逸れた場所に入って、香澄の前に片膝をつく。 「ここに足乗せてごらん」自分の立てたほうの膝をトントンと示して香澄の片足からそっと下駄を脱がせた。そのまま僕の膝の上に乗った白い足を診てみて、すぐに病院に行く必要があるような怪我はまだないことを確認する。 それでも鼻緒があたる箇所は少し赤くなっちゃってるから今日はこの辺でもう帰ったほうがよさそうだ。片足ずつ僕の膝に乗せさせて、その間に僕は自分のハンカチを歯でいくつかに裂いて破って、香澄の下駄の緒の部分を外して抜いて、そこにひとまずの代替にハンカチを通していく。ハンカチが柔らかいガーゼ生地だからもとの頑丈な緒に比べれば痛くないかもしれない。 一度香澄に履いてもらってから、すぐ脱げないけど締めつけない程度に長さを調節した。 家までならなんとかなりそうだったからそのまま二人で帰ろうとして、帰る途中で二人して見つけてしまった。 すぐそこの、ビニールプールみたいなのの中にたくさん金魚が泳いでる…。 香澄と顔を見合わせる。 「足は痛くない?」 「うん。すごく楽。」 「…じゃあ、あれだけ最後に見て帰ろうか」 足を痛めないように、ゆっくり水槽の前に二人でかがんで元気に泳ぎ回る金魚をじっと見る。 …体が白くて…頭だけ朱いのがいる。小さい… 「あの子香澄に似てる」 指差して香澄に言いながら、お店の人にすすめられるまま金魚をすくう小さな道具をもらった。指先で触って確かめる。薄い紙が貼ってあるのを水につけて金魚をすくうみたいだけど、紙の目がどの向きなのかとか裏表とか、踏まえておいたら少しはたくさんすく��ないかな…。 「…ん 香澄どこ行った?」 「あそこ!」 僕が道具を見てて見失った香澄に似てる金魚を香澄がずっと目で追跡しててくれた。香澄が指差す先に腕を伸ばしてひとまず一匹目を無事にすくう。香澄確保。 そのあとも僕は香澄に「どの子がいい?」って訊いて、香澄が選んだ子をすくって、五匹すくったところでとうとう紙が破れた。 金魚をもらっていくかここに放して帰るか訊かれて、もらって帰ることにした。
荷物が増えたし夜も更けてきたから、今度こそ本当に今日はこのあたりで帰ることにする。 特に金魚の入った袋を持ってからは僕も香澄も少しおたおたした。生き物が入ってるし、一緒に入れてもらった水は少ないし、袋は歩いてたらどうしても揺れるしで、このままじゃ帰り道の間に弱って死んじゃうんじゃないかと思って。 楽になったとは言ってたけどやっぱりいつもの香澄の歩くペースよりは遅いから、公園を出てうちまでの道の真ん中あたりにきてからは、香澄に金魚を持ってもらって僕が香澄をおんぶして帰った。 香澄をおんぶしたり抱っこして運ぶのが好き。僕も昔小さな頃によくそうしてもらってた。どこへ連れてかれるのか分からない状態でも安心していられるその人との関係が大事だった。今僕の背中で疲れたのか少しうとうとしてる香澄に、嬉しくてにこにこする。あんな安心感を、香澄にあげられたら。 お祭りはあと二日、今日みたいな感じで続くらしい。時間があれば、次は普通の動きやすい格好で寄ってみようかな。
お祭りの夜は家に帰ったら浴衣を脱いで、香澄とうさぎと一緒にお風呂に入った。 香澄を洗ったあとでうさぎも洗って清潔にした。さっぱりしてから普段着に着替えて急いで一人で車を出して金魚を飼うために必要なものを買いそろえてきた。あんな少ない水と袋に入れたままだと一晩で死んじゃうかもしれない。 ひとまず金魚たちを無事広い水の中にうつしてから眠った。
次の日、元気に泳ぐ金魚たちを見ながら、香澄と相談して何人かに金魚を譲る相談を持ちかけてみることにした。 香澄がイキヤに連絡してみたらイキヤは今のマンションの部屋で飼う形でもらってくれるらしい。僕が情香ちゃんに連絡してみたら、長期間部屋を留守にすることもままあるから少し難しいって言ってた。 五匹。白い体に赤い髪のかすみはうちで飼いたい。けど、かすみは一番体が小さくて餌を食べる順番争いでも弱いみたいだから、ほかの子と一緒に飼ったら競り負けて弱っちゃうかもしれない。誰かもらってくれる人…
まだ陽の落ちきってない夕方に今度は浴衣じゃなくて動きやすいいつもの服で、香澄とまたお祭りに行ってみる。 一度来てるから二人ともあんまり気構えがなくて、お祭りを満喫するというより散歩の延長みたいな感覚で。僕は今年の夏祭りの見納めのつもりであちこちを見回す。 僕の横で香澄は今日もかき氷を買って食べてる。僕もたまにスプーンでもらって食べる。 特に目新しいお店が増えてるわけでもなかったから、香澄にそろそろ帰ろうか、って 声をかけようとした瞬間だった 場にそぐわないすごい勢いで僕らの脇を走り過ぎていった男にぶつかられた香澄が 跳ね飛ばされるみたいに 池に落ちた 「ーーーー 香澄!!」 大きな水飛沫と人が落ちた音に周囲からいくつか悲鳴があがって周辺が騒然とする ここの池は綺麗なほうだけど深くなってるところは深い 香澄が一人で岸までたどり着くのは難しそうで僕も泳げるわけじゃないけど迷わず飛び込もうとしたとき、 カンカンカンと乾いた音がした 鉄パイプの屋台骨を踏みつけて走る音? 考える暇もなく夜店の屋根の上から細い人影が舞うように池に飛び込んだ ーーーいつもの特徴的な裾の長い上着は着てなかったけど見間違いようのないシルエットに 僕は香澄とは逆方向に走り出す 信用なんてしたくもないし信用したからこうするわけでもないけど、泳げない僕がたどたどしく救命ベストとか持って自分も池に飛び込むよりあれのほうが確実に香澄を助けられる ああもう 言いたくないけどあれは死生観とか倫理観とか常識とかそういうのが一切通用しないわりにどういう理屈だかこういう場面では迷いなく人命や人権を最優先したりする、あれの倫理観がとくに意味不明になるのは七ちゃんやイキヤや少数の大事な人間相手なのか 知るかそんなこと、ただおそらくこの場ではあれは香澄を助ける 学生時代からいがみ合ってきたから逆にソリの合わないフィーリングは嫌ってほど把握してる 僕の方が歩幅が広いし絵を描いててかなり体が鍛えられてたから、走ったらすぐに追いついた 香澄を突き飛ばして池に落として逃走しようとしてた男 腕を後ろからガシっと掴んだ、暴れて抵抗してきたから前方の空間に誰もいないのを確認して男の腕を掴んだまま前に回り込んで男の体を一度僕の肩と背に軽く引っかけるように乗せて空中で相手の体を大きくひっくり返すみたいに投げて前方の地面に叩きつけた 本気でやると全身あちこちに骨折や打撲を負わせる悲惨なことになるから、あくまで逃走防止の範疇を超えない程度に抑えた 倒れた男の両手を背中でねじりあげて背に乗っかるみたいに膝を当てて体重をかけて地面に這いつくばらせる 「あのね。こんなくだらないことしてないで僕は池に落ちた息子についてたかったんだ、心配だし、僕があの子を直接的に助けられなくても君にこんな風に構ってるよりは幾分かマシだよ僕の気分がね、でもこの祭りに来てるってことは君も近隣住人の可能性がある、そんな人間を正体不明のまま逃して野放しにするのも気持ちが悪いからね…」 取りおさえたまま今思ってる恨みつらみを男にずらずらストレス発散みたいに言い募ってたら、全身びしょ濡れになった香澄と行屋が池から無事に上がって僕のところまでやってきた。行屋が連れてきたというより香澄が僕のところまで来てくれたみたいだ。 「香澄!怖かったね…息ができなくて苦しい思いはしなかった?」 香澄をぎゅっと抱きしめたら、濡れてるせいかもしれないけど元々低めの体温がいつもよりさらに低い。真冬だったらショック死してたかもしれない… 僕の体温であっためるように抱きしめたままきゅっと閉じた目尻に薄く涙が浮かぶ …こわかった 「…池の水は清潔じゃないし、もう夜だけど今から一緒に病院に行こうね」 香澄から少し体を離して安心させるように微笑みかける。本当は救急車を呼びたかったけどここに呼んだらたくさんのいい好奇の目の的にされそうで、悩んだ末に呼ばなかった。 香澄は行屋のいつものマントみたいなカーディガンみたいなエスニック調の上着をバスタオルがわりにして頭からかぶってる。こっちを見てくる他人の視線から髪や顔や特徴的な部分をすっぽり隠せてる。そのために飛び込んでったときいつものこれは濡れないように着てなかったのか…? 行屋は僕がおさえてた男の背中を容赦なく踏みつけて、いつもジャラジャラ首から下げてるネックレスだかペンダントだか天然石がたくさん連なった長い首飾りの中から日本���仏教の行事で使う仰々しい数珠みたいなやつを一本首から外すと、僕が背中で束ねてた男の両腕を寝違えそうなほど引っぱってそれで縛り上げた 「…そんな繊細な装飾品、僕なら簡単に引きちぎるぞ。こんなものが手錠がわりの拘束になるのか」 あんまり行屋を見たくないので見ないようにしながら言ったら、行屋はとくに気取ったふうでも得意げなふうでもなくあっさり答えた。 「数珠を通してんのはピアノ線だ」 そう簡単には千切れないって言いたいのか ていうかそんな仕掛けあったのかそれ… 本人は歌うような口調で、数珠はいいぜ、海外でも宗教上の理由とか言や結構やべえときでも没収されずに見逃される、とかなんとか嘘か本当かわからないことを言いながら、さらにきつく縛り上げてる …に、しても、こいつが人命救助に加害者の捕獲… 行動に一貫性がある…とうとう気が狂ったのか? 「お前いつから善行に目覚めたんだ」 行屋は造形的にはそれほど大きくない口元を三日月みたいに大きくにんまりさせながら言う。 「飛び込みと捕り物は祭りの華だろうが」 「…」 やっぱりまともな理由じゃなかった。香澄が池に落ちたのも僕が突き飛ばした男を捕まえたのも、祭りにそえる花というか一等祭りを盛り上げる余興というか…そんな感覚なのか…? いや、理解したくない。ここまで。 行屋もそこでくるっと向きを変えて、薄着一枚でずぶ濡れのまま、まるで寒そうな気配もなく一言の挨拶もなしにまた身軽に夜店の屋根に登って身を翻してテントを飛びこえて、あっという間に姿は見えなくなって、祭りの中から去っていった。
その日はすぐに香澄を病院に連れていって診てもらった。 そんなにたくさん水を飲んでなかったおかげなのか、特に体に異常はなし、外傷もなし。医師は多分大丈夫だろうって言ってたけど、細菌とか諸々の検査をしてもらって、後日検査結果を聞きに来ることになった。 香澄を池に突き飛ばしていった男は僕が警察に引き渡した。お祭りの中で起きた事故だっていうんでお祭りの運営にも事の一部始終の説明を求められた。本人曰く、道を急いでいて不注意で偶然香澄に体がぶつかってしまい、そんなつもりはなかったのに香澄が池に落ちてしまって、深い池だったからそのまま溺死させてしまったらと思って怖くなって逃げた、僕に捕まったとき抵抗して暴れたのもそういうことで、香澄個人を狙った意図的な行動ではない、と。 僕はそれを鵜呑みにはしないし、まるで香澄が落ちたせいみたいな言い草がすごく不快だけど、それ以上個人的に関わるのも嫌だったからあとは警察に任せた。
香澄視点 続き
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出会い
1
太陽が姿を見せるより前の、薄暗い夜明けの時間帯が好きだ。 今の時期は特にそう。こんな寒い明け方に誰かと毛布にくるまって、温もりを分かち合えたなら、それが愛する人だったなら、最高に幸福ってものだろう。 「レオン、そろそろ閉めるぞ」 「……はーい」 声を掛けられ、返事をしながら店内へ視線を戻す。 外の青く光るような夜明けの暗がりとは対照的に、店内はオレンジの暖かい光が満ちている。土地柄、今の季節は夜明けが長い。朝の十時頃まではどこの屋内も陽が入らない。手元がとくに暗いから、こんな酒場は客が帰ってから片付けが終わるまで煌々と灯を点している。 今が一番ぼんやりした時間帯。 「隅の席で寝こけてる奴、あいつを起こしてやってくれ。うちは宿屋じゃねえからな」 「オッケー」 声を掛けてきた彼はここの主人だ。どうやら仕事上がりに酔い潰れた客を回収していけ、ということらしい。 主人に示された隅の席へテーブルをぬって歩み寄る。「寝こけてる」その客は、この地域には珍しい黒い髪と、異国に多い細身の骨格をしてた。 "黒い髪は…影をつくる、顔を隠す、妖しげな魅力があっていい。目元まで伸びた前髪が首を振る度に揺れて、影の形を変えて。黒髪じゃないとこの雰囲気って出せないぜ"……って、こないだ来た客が俺にそう言ってた。 俺と一緒の黒い髪。 一方的な親しみを覚えて、眠っているらしい客の肩を叩く。両腕の上に突っ伏したその顔が、少し揺れた。 「ハーイ、お客さん!もう夜の時間はおしまい。街が目覚めるまでちゃんと家の寝床で休みな?霧の中は歩いたことある?あれってストリートの目蓋みたいだと思わない?」 声を掛けて反応を待ちながら、ここに来るのは初めての客だな、と思う。 黒髪はこの辺りでは珍しい、俺以外は初めて。だから、一度見かけたら忘れない。この人のこと。もう忘れないだろう。 そうでなくても酒場の常連は覚えてるけど、この人はその中の誰とも違った。異質、だった。 色だけじゃなく長さも珍しい肩を流れおちる長髪。前はいつハサミを入れたんだかわからない。ボサボサで、仕事に邪魔になりそう。肌は青白く、日に焼けてない。目元には隈。上下の顎には無精髭が生えている。 この街は夜の方がみんな元気で、仕事の後、その日一日のシメに酒場を訪れる時にこそ身なりを整える。でも、この人は普段から酒場に出入りしてる感じがしない。 それに、彼が着てるだぼだぼの白いパーカーの袖、そこから覗く手首は平らで細かった。これも珍しい、オッサン方はみんな大抵恰幅よくって、俺より身長無い人だって俺の倍近い体重してんのに。痩せてるってのはこの街じゃ、今にも死にそうってふうに見られる。このオッサン大丈夫なのかな。浮浪者かな? 良くない酔い方してなきゃいいけど。 「……体調悪いなら家まで送ろうか?」 口を耳元まで近づけ囁いた時、ようやく彼が身じろいで目を開いた。 ゆっくりとした動作で腕を解き、身を起こす。ぼさぼさになった前髪が掛かった額に片手を当てながら 「……本当に?」 寝起きの掠れた声で呟いてきた。 「送ってくれる?助かるよ」 「……」 思わず、一瞬彼の声と動作に意識を奪われた。 特別なことなんて何もない、少し身を起こして視線を逸らしたまま返事をされただけ。なのに 仕草や雰囲気が妙に静かな人だった。 あまり酔っているようには思えないのにどうにも危うい気がして、俺はそれが当然であるかのように「ああ勿論」、と請け合ってしまった。 「ありがとう」 そう言って立ち上がった彼は座っている時の印象より長身で、俺とほぼ同じくらいの位置に顔がきた。即座に肩を組むようにして俺は彼の身体を支えた。彼が少し顔��を悪くしてふらついたから。 ……抱き寄せた腰に腕がめり込むみたいだ。立ったことで見えた両脚も細くて、黒いジーンズの幅が余っていた。全身痩せていて、埃っぽい。 「家あんの?」 およそ衣食住満ち足りた生活をしているとは思えなくてそう訊いてみたら、意外なことに相手は 「あるよ」 と答えた。 俺の肩に悪びれる風もなくもたれ掛かりながら、吐息混じりの掠れた声で「スラムか公園にでも連れてく羽目になるかと思った?」なんて軽口まで返してくる。彼がふ、っと笑ったような呼気が俺の頬を撫でた。 その返事と一連の遣り取りで、ふと、彼の細い腰を抱きかかえながら、違和感に気付いた。 ……匂いがしない。 これだけ身体の密着した状態で彼が息を吐き出しても身動きしても、酒の匂いが一切しない。酒場からの帰りなど、みな吐く息は酒臭くてかなわないのに、酒の口臭はおろか汗の匂いも体臭らしいものすらも感じなかった。 不潔そうなのに意外、と思ってから、このオッサンはこの場で一体何をしていたんだ?という疑問が湧く。酒場に居たのに食い物の匂い一つしないなんて。 そうしたら店を出たところで、まるでその疑問に答えるみたいに、彼は唐突に肩に掛けた手で俺の背中を叩いて上機嫌に言った。 「君の演奏は素晴らしかった。聴きに行ってよかったよ、レオン」 「……え?」 演奏。 ……演奏だって? この街で演奏って言ったら、俺が酒場で弾く古いピアノしかない。 娯楽の少ない街だ。みんな���いて、食べて寝て、また働いて。遊ばなきゃ気持ちが持たないから酒を飲みにくるけど、それ以上の余裕はない。 俺は体力だけは人よりあるから、踊ったり歌ったり、ピアノを弾くこともある。 ピアノは街の中であの酒場にただ一台だけ。だから確かに「聴きに行く」ならあの酒場に行けばいい。 「オッサン俺のピアノ聴きに来てたの?」 「うん」 あっさりと肯定した彼は顔に笑みこそ浮かべていないものの、願いが叶ったかのような浮ついた、夢みるような声音で続けた。 「君のピアノは夜の街じゃ名物だ。冬の酒場は君に似合うな。にぎやかで、閉ざされた熱が混じり、酔いそうな赤い灯が路地裏に満ちる」 身なりからは想像できない詩的な表現。彼が話す言葉は最初からこの地域の言語だったけれど、今はっきりと耳にしたそれはよどみのない美しい発音をしていた。彼がこの土地に馴染んで長い証拠のように聞こえた。
送り届けることになった住居は、街をずっと上がっていったところにあった。 防音に特化したミュージション。周りは見慣れない、広々とした閑静な街並み。まだ暗い明け方、道にいる人影は俺達二人だけで、他に誰も居ない。 「5階だよ。エレベータがある……もう立てるよ。世話かけたね。ああ、シャワーでも浴びていきなさい、ぼくに触って汚れたろ」 エレベータ前で帰ろうとするとそう言って引き留められた。特に断る理由もなく、興味が勝ってついていくことにする。5階に着くと彼は三部屋並んだ一番右奥の部屋へ歩き、首から提げていた鍵を取り出して差し込むと、ガチャリと回してドアを開けた。 「どうぞ」 と声だけ掛けて彼が先にすたすたと室内へ入っていく。その後ろをついて入った。 室内は広くて雑然としていた。床に直接紙類が積まれ、やけに大きなローテーブルの上にごちゃごちゃと物が大量に出しっぱなしにされている。 右と左に別の部屋へ続くらしいドアがあり、右の壁際に寄せてピアノが置かれていた。 白い、ヴァーチカル。 「楽にしてて」 彼は自分から誘ったわりに構うこと無く、部屋の電気も点けないまま、左のドアの奥へ姿を消してしまった。 「……不用心だなぁ」 これだけごちゃごちゃと物が散らかっていて、何か盗られたら気付けるんだろうか。俺は何も悪さする気は無いけれど。ああ、いや、向こうには俺の顔も職場も知れているから、何をされてもやり返せるのかな。 ならば。 気を楽にして部屋の中を歩き回る。奥の棚に入っているのは大量の本と、CDやレコード盤。隣の棚は開け放されていて、ヴァイオリンのケースとクロスや樹脂などの手入れする道具類が仕舞ってあり、ヴァイオリン本体はどこかと見回すとローテーブルの上で紙の下敷きになっていた。 興味を惹かれるものばかりだ。俺は店の主人が楽器好きで、雑誌類の写真を見て楽器を知ってるけど、本物が手の届くところに置いてあったことはない。それも、こんなにたくさん。 部屋中を散策して、最後に白いピアノの前に立つ。 「……綺麗だ」 白いピアノは、初めて見た。 ピアノは黒くて大きくて、ずっしりと重厚感のある、頼もしい王様だと思ってた。鏡のように赤や金色の照明を吸い込み、夜の酒場をその体に鮮やかに映し出すキング。 けれどこの白いピアノはまるでお姫様のようで、まったく別の音を奏でそう。 「弾きたいかい?」 唐突に耳元で声がした。 びくっと肩が跳ねる 驚いて振り返ると、いつの間に戻ってきたのか、彼が背後に立っていた。黒髪からぽたぽたと雫を垂らしてる。タオルを掴んでいた細い指が一本、すっと前へ差し伸べられて、ピアノを示した。 「触れてもいいよ。君のシャワーの後でね」 細く白い指が俺にタオルを渡して離れていく。 ……なんだか、動けなかった。両眼を瞬かせて、彼を見詰めてしまう。ピアノに向いてた関心が一気に彼の方へ持って行かれたのを感じた。 シャワーを浴びてきたらしい彼は清潔な白いシャツを着ていて、髭も綺麗に剃っていた。思ってたよりも若い。平らな顔立ちから突き出た下向きの鼻、薄い唇、寄せられた眉、針のようなまつ毛に縁取られた目。どれも神経質そうな、アンニュイな雰囲気を漂わせている。 「オッサ……君って本当は何歳くらいなの?」 「今年で二十三」 聞かれたから答えた、それ以上何もない返事をして彼はテーブルの上の瓶を取り、中身を煽った。それからテーブルに腰掛け、ヴァイオリンの上に重なった紙を読み始める。俺への注意は完全に失くしてるみたい。 俺は今年二十���、いま二十歳。それと大差ない。オッサンどころか、友達だ。 「君、ぜったい髭剃ってた方がいいよ。そっちの方が似合う」 「…………」 返事してくれない。あー。彼ってかなりマイペースなんじゃないかな。会ったばかりで勘だけど。 話し掛けても反応がなくなってしまった彼を置いて、大人しくシャワーを浴びにいった。
遠慮なく石鹸やシャンプーを使って身体を洗い、存分に温まってから、シャワールームを出る。ガラス戸を開くと、四角いボックスの内側で溜まっていた蒸気がふわっと解き放たれる。 明かりがどこにあるのかわからず点けないままだったけれど、次第に日の光が差し込んできていた。朝の青みがかった、白い、けぶるような光が、浴室のタイルや水滴に反射する。脱いだ服をもう一度着て、靴と靴下は指に引っ掛けて持った。 ひんやりしたタイルに裸足のまま降りる。 ドアを開けると、音色が聞こえた。 「…………」 震えるように繊細な、高い音色。美しい――――ヴァイオリンの調べ。 そっと指先でドアを押す。音を立てないよう。無意識にそうしていた。 押された分、ゆっくりと静かにドアが開いていく。隙間から覗き込むようにして視線を さしいれて 室内を見る。 正面の壁にピアノ、視界の淵にカーテンのレース。開け放された窓から朝陽がすうっと差し込んで、照らし出された部屋の中央は清らかな薄い光のベールが掛かって、そこだけ別の空間だった。 その中に一人の青年が立ち ヴァイオリンを弾いている。 逆光に透けたシャツが、奏者の動作と、波打つカーテンと共に揺れる。彼は室内の何よりも白く見えた。
彼の音がなかったら、 冬の朝をこんなにも静かだとは思わなかっただろう。
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美しき故国①
古の東亜―――海の時代
大海の波風と天の采配に路を委ねる船旅は、すなわち死とも揶揄された―――
大清康熙暦二十一年、初夏。
「旅役は二度とごめんだ」
魏徳賢高味根里之子親雲上こと朝明は、 戎克船の甲板から身を乗り出し、日差しが照り返す水面を半目で見下ろしながら己に誓っていた。海に映った小麦色の肌と陽の光をうけて少し明るく見える結い上げられた黒髪が、波に揺られては縦や横に面白くかたちを変えている。時折吹いてくる潮風は、心地よさよりも肌にまとわりつくような湿り気を含んでいて、身に着けている薄く織られた着物がすこぶる重たく感じられた。
東海の隅に浮かぶ小国で王府に仕えるこの青年は、このたび大陸の皇帝に謁見する使節の一員として海を渡った。二年に一度、海の向こうを治める皇帝へ貢物を献上する栄えある役を務めることは帰国後の昇進と家の筋目を約束されたも同然で、誰しもとまではいわぬが大方の士族―――とくに下級士族はこぞって手に入れたい契機である。たとえ末端の書記官補佐や通訳官であっても、齢三十手前で使節に同行できた朝明とその幼馴染である紅己煥の将来は順風なものとなるに違いない。
「……朝明は旅役なぞ務めなくとも勤功は貯まっただろう?」
一体なぜ渡唐した、と気怠そうに甲板に背をもたれかけて座り込んでいる己煥は問うた。国で妻と育ちざかりの幼子たちが待っている己煥と比べれば、少し前に正室と離縁しひとり息子が出仕をする年齢になった朝明は身が軽い。しかし、他家に圧され聊か勢いがあるとは言い難い己煥の家に比べ、王族の支流である魏氏であれば、あえて旅役を務めずとも家柄だけでそれなりの役職は担保されているはずだ。
「そりゃあ、今のお前の顔が答えだろう」
隣に腰を下ろしながらあらためて己煥を覗き込めば、もともと雪のように真っ白な顔は今や海の奥底より青く、玻璃のように透き通った御髪は半ば結うことを諦められ、緩く耳にかかりながら薄い肩から腰へ流されている。籠での移動や乗馬でさえ酔うこの麗人が進貢船に乗り込むのは今回で二度目であった。
「勤学のときはお前の兄上が一緒だったが、今回は俺がいなけりゃひとりだったろ」
「へぇ、私のためにわざわざ?」
「いや、ちょうど一昨年の今頃、チルちゃんと遊んでるのがウサちゃんに見つかってだな」
「揉めて町を歩きにくくなった、と」
「ご明察だ」
チルちゃんとウサちゃんは城下の市場で働く物売りの娘たちである。どちらも卵のような小ぶりで色白の顔に墨を一筆引いたような涼やかな目元が上品で、たいへん朝明の好みであった。
「私もさすがにこれで最後にするよ……漢籍も学んだし通事にも就けたから渡唐はもう充分だ」
そう何度も海を渡っていては、勤功や学問を得るよりも先に人としての生が終わってしまう。薄い瞼を気休めに閉じてみるが、耳の奥から頭を揺さぶられるような眩暈と胸の下からせりあがる不快感はいっこうに治まる気配はない。そんな己煥の様子を見るたびに、朝明はかたちの良い両の眉を一本にしてしまわないように気を付けなければならなかった。
「朝明……有難う」
渡来してきた大陸の一族を祖に持ち、通事をはじめとした外との御取り合いを担う三十六家のひとつ紅氏に生まれた己煥は、幼少の時分に官話の才を見い出されて元服前から漢籍を学びながら出仕し、兄とともに進貢の使節に同行して大陸へ学びに出た。ただ、同じ唐栄の生まれのなかには生涯のうち幾度も大陸へ学びに行くものもいるが、丈夫とは言い難い身体に堪える毎日と残していく家族を考えれば、これ以上強いて渡海する必要はないだろう。それに、誰よりも己の体調に気を揉む幼馴染の眉間をこれ以上掘り下げたくはなかった。
「次はないな」
あるとすれば、それは―――死地への旅だ。
不死にでもならないかぎり、もう二度と唐旅をする気にはなれないだろう。
朝明と己煥の安泰であろうこの先とは裏腹に、船を走らせる大海は不確かな自然に翻弄されるものである。行きは冬の北東風の気分を伺い二十日以上も経由地である離れ島に足止めされ、帰りも夏の大風で荒天が続いて出航が先送りにされているうちに、季節はすっかり一巡してしまっていた。 今回五度目の正直でようやく五月の末に福州を発った二艘の船は、今のところ時折雷雨にさらされながらも順調に帰帆の途についているが、これも果たして無事に港に着くか否かは海と風とお天道様のご機嫌次第だ。
やはり、出世と引き換えに船旅で身を削るのはどう考えても悪手であると、朝明と己煥はお互いを見合いながら思うのであった。
つづく
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小説の書き方がわからんです。けどお話をとにかく目に見えるかたちにしたいと思ったので続きも頑張ります。1300字くらいしか書いてないんだねこれェ…
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【今日の5:53AM 20th February 2023】 今日の「日の出」は06:22:43。「日没」は17:27:16。「日長」は11h4m30s。外気温:7℃。湿度:57%。気圧:1,009hPa。晴。眠いですね。「春眠暁を覚えず」と言いたいところだが、ちょっとリアリティに欠ける。ただ昨夜寝る時に、真冬のパジャマが暑く感じられて、脱ぎました。まだ春ではないが、もう真冬ではない…と言ったところか。さて先週末、高校時代の部活の同期二人と飲んで来た。三人で会うのはそのどれかの結婚式以来だから、少なくとも三十年以上前だ。会って驚いたことは、笑ってしまうほどに変わらないことだった。私は基本的に「同窓会」には行かないタイプなので、こう言うこぢんまりしたのが良いですね。そもそもお互いの失恋話が面白過ぎる。爆笑に次ぐ爆笑。そして、当時の恩師たちの「奇行」にも笑った。当時の都立高校には、戦前の旧制中学時代から居続けている教師が数名いて、赴任する「校長」を鼻であしらっていた。彼らは自分の「教官室」を所有し「職員会議」では校長より発言が重用された。この人たちが戦前の軍国主義教育から、終戦直後のリベラル大転換を成し遂げたわけだ。当時の「自由な校風」は彼らが守っていた、と言って過言ではない。校長にとっては「教育委員会」と「古参教師」の間に挟まれて、地獄を見たに違いない。事実、在学していた3年間で一度も「日章旗」「君が代」「蛍の光」を目にも耳にもしなかった。卒業式で「仰げば尊し」を歌いたい旨を「職員会議」に上申したら、アッサリと却下された。「頼むから止めてくれ」との返答だった。我々も「職員会議」を試してみただけだったが、ちゃんと機能していてホッとした。その歴戦の勇士たちは、とっくの昔に天に召され、戦前のアールデコの校舎も建て替えられ,生徒から「制服を着たい」と言う希望が出るような校風になった。尤も、学校側が喜んで制定したら、1ヶ月もしない内に半数は、私服に戻ったそうな。さすがに毎日制服は飽きるらしい。数年前には「髪を染める是非」について「ドキュメンタリー映画」を自主作成し「職員会議」を震撼させたらしい。あの教師たちが守り続けた「自由な校風」は、いまだに脈々と受け継がれているようで、心強く思ったことだった。 (at Chiyoda-ku, Tokyo, Japan) https://www.instagram.com/p/Co3aUdXPwfL/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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CoC「蹂躙するは我が手にて」A国/房芳 ※シナリオに関する重大なネタバレを含みます 追記に詳細設定(テンプレ元)
「やあ、何か本を持っていないかな。私のはもう読み終わってしまって」 「石鹸が欲しい?持ってっていいよ、余ってるから」 「私は自分の仕事をしてただけなんだけどなぁ」 「私は同国民が飢えなければそれで良いのです。軍人などというのは国民を上司にいただく公務員でしかありませんからね。少なくとも我が国ではですが」 「いえ、人間に誇りは必要ですよ。それは同意します」
◆身��調査書
姓名:房 芳(ファンファン) 愛称:元帥 年齢:36歳 血液型:B型 誕生日:3月3日 星座:うお座 身長:178cm 体重:78kg 髪色:黒 瞳の色:黒 なぜか輝いて見える 視力:左右1.0 きき腕:右 声の質:落ち着いた柔らかい声 聞き取りやすい 手術経験や虫歯、病気:なし ストレス性の若白髪(染めてる) 身体の傷、アザ、刺青:なし その他の身体的特徴(鼻や目の形、姿勢、乳房、足、ホクロなど):左の頬にほくろ セックス体験、恋愛、結婚観:20代の若い頃を戦時中の軍所属で潰し、恋愛経験は少ない。将校になったときお見合いをして結婚を考えたが元帥になってしまい相手が引いてしまった。 尊敬する人:当時の少将、部下たち 恨んでる人:特になし 出身:大協共和同国の田舎の農村 将来の夢:大学に入って民俗学の研究をすること 恐怖:飢え、死 癖:左上を見て考える 酒癖:酒好き やや飲みすぎる 機嫌よく酔う
*交流向け 一人称:私、僕、我々 二人称:あなた、あなた方、 呼び方:役職名、下の名前+さん
*概要
大協共和同国の軍務尚書、統帥本部総長、陸軍司令長官を兼任する軍の最高司令官。第三次世界大戦を引き起こした政治的指導者でもあり、同時に演説の天才でもある。
*性格
軍人というよりは文官、政治家というよりは演説家。深い思いやりと心の温かさを持つ理想主義者。用意周到だが楽天的。自分の行動に信念さえ伴えば希望を持ち続けることができる。気弱に見えるほど柔和だが、演説時は別人のように切り替わり威風堂々とした立ち振る舞いをする。分不相応の地位についてしまってからは保身のためのイメージプロデュースを行い続けていたため、特に貧しい国民からは人気があり「強く親しみのある指導者」とされる。 国というよりは民族の集合体のような国にいたことと兄弟の多い家に生まれたことも相待って、人をいなしたり間をとりもったりが上手い。立場に立ってしまった���で国家が倒れないように自分や部下が死なないようにやることをやっているだけのつもりだったので、世界大戦の責任を押し付けられてしまいやや落ち込んだものの、それでも国民の選んだ政治家たちの決定に従うつもりでいた。 真実がないと人の心には響かないと考えているため、演説においては自分でも共感し頷ける内容だけに絞り、必要のないものは省いて一度も嘘はついたことがない。目の前で予想外のことが起こると動揺してしまうためアドリブには弱め。周囲を楽しませたり元気づけたりすることを自然にやる。
*人間関係
とにかく人の本質を見抜くことに長け、仕事を任せたり他人を頼ったりするのが上手い。この性質は人間関係にも大きく貢献しており、周囲に信頼できる人物を置くことが結果的に戦乱の世をうまく生き残ることにつながっている。人からかけてもらった恩に感謝することを忘れないようにしている。
*家族関係、幼少期体験 大協共和同国の田舎出身の軍人。兄弟が多く貧しい家に生まれたため、進学を諦め地方の軍事学校へ入学する。 軍人学校時代に戦闘能力はいまいちだったが作文とスピーチが抜群に上手かったことから当時の少将に気に入られ、いわゆる演説用のゴーストライターとして適当な理由をつけて中央に招集された。以後複数の将校たちの演説内容を作り続け、時には代理で喋り、大した功績も戦歴もなく彼らと共に少しずつ階級を上げていった。 自分より上の階級の人間が戦乱の最中次々に殉職してゆき、繰り上げでますます分不相応な階級に。ある日演説予定だった将校が暗殺され、急遽勲章を下され戦場での演説を任される。結果当時ガタガタで兵力も低かった大協同国としては異例の大勝利をおさめ、快進撃を続けるうちに周辺国を巻き込んで大きな戦いへと身を投じることとなる。生き残るため政治的敵対者を排除し続け、ほぼ演説一本だけで大協同国の政治的指導者へとのし上がった。勢いづいたままに地理的、歴史的に親交のあった倶舎皇国(B国)と同盟を締結する。
*能力
指揮官としての能力、演説家としての能力はそれなりに高いがこれは後天的に努力して習得した部分も大きい。「人々が何を望むのか」「相手は何を考えているのか」「世界の流れはどうなってゆくか」がほぼ予知能力といってよいほどの第六感で分かってしまうタイプ。それを人に伝えられるように変換するために文章能力やコミュニケーション能力を磨いていった。もともと文章を作るのが好きだったので意識して習得したことはないが、それらが合わさって「稀代の弁舌家」と呼ばれるまでに至った。だがそれも本人としては非常の才であって平和な世界ではあまり役に立てそうにないと思っている。 *大協共和同国について 国名:大協共和同国 国としての体制は戦争前後で何度も解体されており内情はガタガタ/絶望的に腐敗した民主主義の皮をかぶった実質的な軍国主義/一神教が9割/昔は「太陽の国」とか名乗ってた 人口:約8400万人 面積:約673000 km² 特産品:大協料理、牛肉、金、半導体 観光名所:豪奢な教会、広大な川、鉱山 独立した民族が多いことから帝国時代、王朝時代など権力者が現れては消えて入れ替わり立ち替わりしながら、信仰する神の一致などを機にひとつの国としてまとまっていた国。民族ごとに歴史を遡るなら非常に古いルーツを持つ者が多い。一時期は周辺国家を全て飲み込む勢いもあったが、現代においてはかなり長い間低迷。大協共和同国から世界大戦が起こることなど誰も予想していなかった。
*好きなもの 食べ物:海の幸、おこげごはん、麺類、つるっとした喉越しの食べ物 飲み物:ジャスミン茶、菊花茶、紹興酒 季節:秋 色:茶色、緑色 香り:あまり香りがしない 書籍:歴史書、旅行記、図鑑 動物:猫、鳥 ファッション:軽くて脱ぎ着が楽な服 あまり叶わない 場所:図書館、大学、宴会の席 愛用:化粧道具 趣味:読書、調べ物、料理、食事
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2:魔法使いの家族たちと東洋的好色男
はるばる自宅が(※バーバラの実家)あるスーからアリアハンへ到着と共に妻のバーバラが体調不良になり、 宿屋で数日休んでいた魔法使いのエルマー達一家。
バーバラが休んでいる間、エルマーと娘のエレアはアリアハン観光を兼ねた下見や勇者オルテガの娘・ロゼアについて城下町で情報収集などしていた。
エルマー「ふむふむ。じゃあ女勇者様のお名前はロゼア様と仰るんですね。 もうすぐ16歳で成人迎えて魔王討伐に旅立たれると聞いて 私たち一家はアリアハンに来たんですけど。」
町のカップルの彼女「は、はい❤もうすぐ王様にお会いするようですよ。」
町のカップルの彼氏は彼女がエルマーに見とれてて面白くなさそうだが、 彼の娘エレアを見て可愛い子だな~🥰と癒されている。
エルマー「そうですか…ありがとうございました、お嬢さん。 彼氏さんもお邪魔してしまって申し訳ありません。では我々は失礼します。」
エレア「おにいさんたち、おじかんいただきましてありがとうございました!」
エルマー父娘は深々と礼をしてその場を去った。
彼女「あの人たちこないだここに来た旅の外国人でしょう? なんだか親子で魔法使いみたいなカッコしてたわね。 青い髪は珍しいけど素敵な方よねえ…❤」
彼氏「そっ、そうだな。お父さんはちょっと女みたいな顔してたけど娘さん、可愛かったなあ。」
彼女「まあ!そういうの男性と女性の間的などっちとも取れるお顔立ちを美形って言うのよ。 ご結婚されてるなんてざんねーん。そうよね、具合悪そうな奥さん抱き抱えて来たものねえ…奥さん羨ましいわぁ。」
彼氏「…君には僕がいるじゃないか…」
エルマー達一家のアリアハンへの来訪は城下町で軽く話題になっていた。 珍しい青銀髪を持つ父娘が母を抱き抱え城下町にやってきた姿は町の住民に強い印象を与えた。
さらに勇者オルテガの娘・ロゼアが間もなく16歳を迎え魔王討伐の支度中というタイミング。 アリアハンは女勇者ロゼアと、この外国からやって来たエルマー達一家の話題で持ち切りだった。
エルマー「なんかパパ達やっぱり目立つみたいだな、エレア… 周りの視線も凄いし、ロゼア様の事探り入れてるものだから私達は怪しまれてるのかな💧」
エレア「パパ、たぶんべつのいみかとおもいます。 パパはきれいなおとこのひとなので、まちの、とくにおんなのひとがみとれているんです。 さっきのこいびとどうしのおんなのひともそうだったでしょ?パパ。」
エルマー「綺麗な男の人って…💧」
愛娘に褒められて嬉しい筈が何とも複雑な父だった。 結婚前も結婚後も、妻にさえも女みたいな顔と散々言われてきて自分ではコンプレックスなのだ。
エレア「わたしはすてきでやさしいパパがだいすきです! けっこんしててもモテモテでママもうれしいんじゃないかしら。」
エルマー「褒め上手だな、エレア。照れくさいからもういいよ…💧」
エルマーの顔が真っ赤になった。
エレア「パパかわいいっ❤わたしはやどやへもどってママのようすをみてきます。 パパはもうすこし、しさつなどしててください。うふふふっ」
エルマー「父親にかわいい言うなよ💦なんだかなあ… ママの事見てあげてな。お願いするよ。」
エレア「はいっ!パパ。では、またあとで。うふふふ❤」
愛娘はニヤニヤしながら宿屋へ向かって行った。
エルマー「まったく…エレアのやつ…あんなベタ褒めするような子だったかなあ💧ふー暑い…」
照れまくったエルマーはローブのフードを下ろし1人で視察や聞き込みを続けた。 青銀髪が目立たないようにフードを被っていたが、娘がもう青銀髪バレバレだし父親の自分も、もうどーでもええわと開き直っていた。
ーーーーー
そんな中、更に新たな旅人がアリアハンにやって来た。 道着を来た体格のいい長い三つ編みをした東洋人の青年だ。
東洋男「ひゃっはー!アリアハンにとうちゃーっく! はるばるジパングから話題の女勇者様に会いに来ちゃったもんね⭐︎むふふふ❤ さーてどんな女の子かな~ふんふーん🎶」
目的を少し履き違えているちょっとチャラい男のようだ。 東洋男は城下町に入るとふと視察中のエルマーの後ろ姿が目に入った。
東洋男「おんや?なんか頭水色な男か女の子かよく分からんのが居るな?カッコが魔法使い風だなあ。 いっちょ声掛けて女の子だったら酒場連れて1杯奢っちゃおっかな~🎶」
東洋男は水色頭はちょっと珍しいけどまあいいか的な軽い気持ちで エルマーが女であることを願いつつ肩を叩き声を掛けた。
東洋男「ねえねえ、そこの水色頭のお姉さん?良かったら酒場で乾杯しなーいー?」
エルマー「!!」
突然後ろから声を掛けられエルマーはビックリして声にならない声で驚いた。
取っていたメモを驚いた弾みで落としてしまった。 驚いて振り向くとガタイのいい東洋人の男がいた。 エルマーは驚き戸惑っていて声が出ない。
エルマー(な、なんだ…?私はこの男に声掛けられたのか?う…こ、声が…)
東洋男「うおわっ❤すっげーオレのタイプの美人さんじゃーん! なーに、お姉さん!そーんな驚かなくてもいいじゃんか~ひゃははは! メモ落ちちゃったね~ごめんな~⭐︎」
東洋男はエルマーの足元に落ちたメモを拾い、ふとチラ見した。
東洋男「うん?なんだ、あんたも女勇者様に会いに来たのか? じゃあ…魔王討伐のメンバー目指してここに来たんだな! すげー!オレと一緒一緒🎶これはぜーひ酒場で語り合いたいなあ!むふふふ❤」
エルマーはこの東洋男に自分が女である体で1人コーフンされてイライラしてきた。 ようやく驚きが落ち着いてきて拾ってくれたメモを奪い取り、いつもより低めの声で東洋男に答えた。
エルマー「…メモ返せよ。あなたは旅の武闘家さんか? 残念だったな、生憎私は男だ。女勇者様に会いに来たのは間違いないけどな。」
東洋男はエルマーの声を聞くとぎょっとしてやべー!😱って思いつつメ���ずに語り続けた。
東洋男「げっ、あんた男だったのか!喋ったらモロに男の声だわな… 残念だなあ💦 まあでも…よくナンパされるだろ? 『あんた女みたいな顔してるもんな~🎶』ほんとに女だったら速攻口説いてたのにぃ❤ オレあんたみたいな美人のガイジンさんめっちゃタイプなんだよね~🎶」
エルマーはさらにイライラしてきた… 東洋男に悪気はないと思いつつ、気にしている事を言われてしまった為、 ゆっくりと彼の明るいヘーゼルアイが赤く染まってきた。 肩を震わせながらさらに低い声で怒りを表した。
エルマー「ガイジンって何だよ…貴様、よくも私にとってのNGワードを言ってくれたな!」
ブチィ!!すっかりブチ切れてしまった! 真紅に染まった両瞳を見開きエルマーはイオナズンを唱えていた!
ドッブワァアアァアァアアアン!!!
城下町に大きな爆発音が鳴り響く!
東洋男「うぉおおおぉおおおおおおぉぉおぉおおおぉおっ!!」
東洋男はエルマーのイオナズンをモロに喰らい丸焦げでぶっ倒れた!!
エルマーの瞳の色がみるみる元のヘーゼルに戻っていった。 周囲がざわつき始めエルマーは我に返った。
エルマー「はっ!わっ私は一体…?なんか焦げ臭いんだけど…ん?」
東洋男は丸焦げの体でどうにか立ち上がろうとしていた。 強大な攻撃呪文を喰らっても動けるのはさすが武闘家である。
東洋男「お、おいおい…私は一体…じゃねえだろあんた…💧何やってくれちゃってんの…」
エルマーは丸焦げで悶えている東洋男に思わずブフ、と吹いてしまった。 幸い広い場所に呪文を放っていた為、城下町の被害は最低限に抑えられていた。
エルマー「…?あの、私、武闘家さんに何かやらかしましたか?」
東洋男「あんたオレのナンパにブチ切れてイオナズンなんて物騒なもん唱えてくれたじゃねえか!!💦」
エルマー「!?え…そうなんですか💧イオナズン放った記憶が全くないんですけど…何かすみません……😱💧 怪我させたお詫びに1杯奢ります。 あなた酒場行きたがってたみたいだし。 私は酒弱すぎて飲めないけど付き合いますよ。」
東洋男は呆気に取られて固まっていた…
東洋男(な、なんかとんでもないヤツに声掛けてしまったな…💧)
エルマーはふと周りを見ると付近の宿屋から妻と娘の姿が見えた。
バーバラ「あっ、あなた!💦今のでっかい爆発音何なの???」
東洋男「???あなた?」
エレア「パパ!なんですか??いまのすごいおとは???」
東洋男「????パパ!?!?!?なっ…あんた妻子持ちなんか!!!」
エルマー「あっ、はい。家族で数日前スーからアリアハンに来ました。 妻が船酔い酷くて休んで貰ってたんです。」
東洋男「ハハハ…そっかあ…オレ妻子持ちの男ナンパしたんだぁ~… ハハ、ははははハハハ…」
東洋男はショックでへなへなと座り込み笑いが止まらなかった。
エルマー(私はそんなに女性に見えるのか…?もうやだ…😭 かと言って髪切るのめんどくさいし…男を証明してしまってはただの変態になってしまうしな…💧)
エルマーは眉間にシワを寄せ複雑な表情だった。 自身の女顔がますますコンプレックスとなってしまった。
バーバラ「ぇぇえええ?あなたその焦げた男の人にナンパされてたの? やっぱ人によっては女性に見えちゃ��のねぇ。あたしもだったけど笑」
エレア「パパ、きれいだから…笑」
エルマー(複雑な表情のまま) 「…バーバラ、お前は体調大丈夫なのか?顔色良くなったみたいだけど…。 彼は東洋から来た武闘家さんらしい。 私達と同じく女勇者様に会いに来たそうだ。 どうも私がキレて怪我させたみたいだから、 これからお詫びにそこの酒場で奢ろうかと思うんだけど…お前たちも来るか?」
バーバラ「えっ?あなたがキレて武闘家さんを怪我させた…? 一体全体何やらかしたの?💧あたしはもう大丈夫だから是非ご一緒したいけど…」
エレア「パパ、そんなキレてしまうほどおこったんですか…?💧」
先程のエルマーマジギレ状態で瞳の色が変化し、一瞬魔族化して上級呪文をぶっ放した姿を妻子は知らないようだ。 妻とも時々ケンカはするが手を挙げるほどではないし、 (エルマーは口が立つがバーバラが口喧嘩に弱く、物理攻撃で無理やり夫婦喧嘩終了となる笑) 妻子から見たエルマーはやはりジェントルマン、基本『やさしいひと』のようだ。
東洋男「奥さん、お嬢ちゃん!お宅の父さんはオレのナンパにブチキレて、イオナズンなんて物騒なもんやってくれちゃったわけよ、へへへへ。」
エルマー「私は全く記憶がないんだけど、どうもそうらしいんだ…」
バーバラ「まあ…あなたったらキレたらおっかないのねえ…なんか信じられないわ💦」
エレア「パパはふだん、とっても『やさしいひと』ですっ! パパにもいがいないちめんがあるということでいいとおもいます!」
東洋男「あらっ、上手く纏めてくれちゃったねお嬢ちゃん! お父さんそっくりでめっちゃ可愛いね〜❤ 奥さんもこれまた金髪緑目のキュートな美人さんじゃ〜ん❤やるねえ、お父さん!」
東洋男はエレアの頭をなでなでした。
エレア「ぶとうかさんっ、こげくさいです💦」
バーバラ「あら!嬉しいわ〜美人さんだなんて✨武闘家さんたらお上手ねえ〜!おほほほほ!」
エルマー(…この男は基本女好きのチャラ男のようだな💧) 「と、とりあえず武闘家さんの怪我をどうにかしてから酒場へ行きましょうか。 私は魔法使いで残念ながら回復魔法が出来ないので薬草をいくつか買います。」 (うーん…回復魔法出来ないと不便だなあ。賢者にでもなろうかなあ…。なれるのか分からんけど…。)
東洋男「おう、お父さん!よろしく頼むわ!ひゃははは!」
エルマーは魔法使いと僧侶の呪文のスペシャリストな『賢者』という究極の職業の存在は知っていた。 エルマーが若かりし頃、魔法使いの修行の旅に出る際に 彼の父親(人間の結構凄い魔法使い)からちらっと聞いていた。 またエルマーの父は、息子が賢者になれるほどの魔力の持ち主と見越し太鼓判を押してくれていた。
ーーーーー
エルマーは城下町の道具屋でごっそり薬草を買った。
エルマー「じゃあ薬草使いますよ。」
東洋男「お父さんがほんまもんの女だったら嬉しかったんだけどなあ笑 奥さんかお嬢ちゃんにお願いしたいかな~🎶ひゃは~」
エルマー「現金な男だな…じゃあ自分でどうぞ。」
エルマーはムッときて呆れて薬草を東洋男の元に投げた。
バーバラ「ちょっとあなた💦怪我させてそれ?武闘家さん、あたしで良ければ手当てしましょうか。」
東洋男「うわあ❤奥さん優しいなあ~美人さんに手当てして貰ったら こげなんかあっちゅー間に取れちゃうよ~🎶」
エルマー(確かにバーバラは美人だけど、スーじゃ男っ気無かったもんだから女扱いされたのが嬉しかったんだろうなあ… 地味に逞しい男と剛力な女性でなんかお似合いだし…) 「…武闘家さん、私の妻にまでナンパやめてくださいね。」
東洋男「さすがに人妻には気が引けるよ〜。またあんたにキレられてもいやだしな笑 でも奥さんもほんとに美人さん~🎶お父さんいなかったらデートしたかったなあ❤」
バーバラ「まあ、嬉しいわ!ありがと!武闘家さん🎶ほほほ!」
東洋男はニヤけながらバーバラの手当てを受けていた。 バーバラはスーでは男達に恐れられていたので、海外で初めて女扱いされて気分が良さげだ。
エルマー「…😑」
エレア「ママがしんぱいですか?でもぶとうかさん、 パパとちがうタイプでカッコよさそうですね。 まだこげてるのでおかおがよくわかりませんが。」
エルマー「焦げる前は見目は確かに逞しい好青年かもしれないけど 軽い男でちょっとな。喋らなかったらいい男かもしれないな💧」
エレア「ぶとうかさんのおこげがとれるのをたのしみにしていますっ。」
エルマー「おこげ…笑」
結局バーバラが武闘家の手当てをしてあげていた。 エルマーはモヤモヤしていたが、エレアの面白発言に和んだ。 彼らは城下町内にある冒険者が集うルイーダの酒場へ向かった。
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THROWCOLOR MERGE マージ : 融合させる / 混合させる 大人女性のこれからをもっと楽しく よりクールにヘアカラー の本質を追求した外国人風白髪染め 「MERGE」は、白髪をしっかり染めるという概念を捨て、「色み」「明るさ」「光」の調和により白髪を“ぼかし”ます。 黒髪に透明感、白髪には淡く色みを発色させることで、コントラストのないやわらかな馴染みを表現します。 ファッションカラーの鮮やかさとコンフォートカラーの深みを併せ持った透明感、彩度、発色にこだわったアッシュを叶えます。 従来のグレイカラーに多く使用されるブラックチャコールを必要最低限の配合量まで減らし、シアーブルー、スモーキーチャコール、カーキチャコールと掛け合わせたベースカラー設計になっています。 透明感のあるやわらかな色みで白髪を馴染ませ、黒髪とのコントラストをなくし赤みや濁りのないクリアな発色を表現します。 #throwカラー #haircolor #throwmerge #merge #beautyexperience #ヘアカラー #白髪染め #外国人風カラー #アッシュブラック #モスグレージュ #カーキベージュ #モーブヴァイオレット #スロウカラー #外国人風白髪染め #ファーストグレイ (salon the rely) https://www.instagram.com/p/CFjhqLMJVqU/?igshid=185n0dg24p6je
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