#向かい席の女子高生からチラチラ見られてた
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shisui2021 · 1 year ago
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2023.08.03
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足利市立美術館に「顕神の夢ー霊性の表現者ー超越的なもののおとずれ」を見に行った。 元々JRの,のんびりホリデーパスを使い倒したいという願望があり,丁度端っこにある足利で展覧会をやっていることに気づき,数日前から通い始めた都立図書館の休館日に合わせて,急遽予定を組み立てた次第である。 何度かTwitterで見て興味はあったものの,足利ってどこだ,というくらいの認識で,なかなか行けそうには思っていなかった。けれども,私の住まう町から���時間半もあれば,到着してしまうことが判明し,東京ー広島間の4時間半に耐えた身としては,臍で茶を沸かすようなものだった。結局,修論も,見えないけれどある世界,と,どう対峙していくか,ということになりそうだし,逃れられないところに来ている。
降り立った町足利は,沼津に��似た地方都市で,基本的に駅の目の前は栄えていないことがわかった。街を歩いていると,古いものと新しいものが共存する姿は鳥取にも似ていて,面白さを感じる。街が造られた時代もあるのかもしれない。 事前情報では知っていたものの,足利市立美術館は,美術館の上にマンションタイプの住宅がある。いざ,目の前にしてみると,なかなかに奇妙な光景である。「足利市立美術館」と掲げられた文字の下に,団地のような佇まいの家々があり,その下にはガラス張りの美術館がある。それらは,平坦な足利市街からは,飛び出していて,より一層奇怪さを醸し出している。 平日の,開館から30分位しか経っていない時間なのに,会場にはそこそこの人がいて,面食らうとともに安心した。生物群さんのtweet(https://twitter.com/kmngr/status/1685286401242447872?s=20)にもあったが,”場の歪み”を感じた。あ,やばいところにきた,という感じで,鳥肌が立った。ここに一人で取り残されたらいてもたってもいられなくなるだろうな,という感じがした。
展示は出口なおの自動書記から始まり,次々と続いていく。最初に出口なおを持ってくるあたり,やってんな,と思う。字も書けない農家の一般女性が,神がかりにあった途端,神の言葉が書けるようになるなんて,なかなかどうして信じ難い。でも,彼女の筆跡は「かみさま」の「ま」だけ,どの字も大きく張り出していて,その緻密さが,歪で異常だった。 見えないものが見えるとは,こういうことか,と感心させられる。私が見えていないだけで,世界は存外広く豊かなものだと痛感させられる。宮川隆の絵が好きだった。人間の顔がみな仏の顔をしていて,あぁ見えちゃったんだな,と笑ってしまった。京都の三十三間堂を思い出した。どこかに自分の知ってる顔の仏様がいる。線がとても良い。今川宇宙ちゃんが���よく描いていた,イラストの線によく似ている。どこかで同じなのかもしれない。 花沢忍も良かった。図録に書かれていた,おばさんが夢に出てくる話はよく知っていることだった。私もそういう夢を見たから。だからこそ,そのことを,向こう側との垣根のなさに捉えているのが嬉しかった。おんなじように世界を捉えようとしている人がいることを知れて嬉しくなった。 あとは,全般的に解説が,「無いとされているもの」に対して寛容で,けれどもあちら側には行かず,その存在を認めた上で,こちら側に立って話をしてくれているのが良かった。彼らのことをフラットに手渡してくれる書きぶりに好感が持てた。 眺めていると,視線が気になった。作品に描かれている人,自画像であっても,どの人も眼差しが強い。見られている,という感覚に陥る。看取られている。見透かされている。その眼差しの異様さに怯えてしまう。 道中に読んでいたデイヴィッド・アーモンドの『肩甲骨は翼のなごり』を思い出す。ウィリアム・ブレイクをこよなく愛する母子の眼はとても強く,あらゆることを見通すような眼差しだった。そういうことか。見えている人特有の眼があるのだ。彼らはみな無意識かどうかその眼を知っているのだ。その眼は日常とは異なっているから,ズレが生まれるのだ。不思議なところでつながりが生まれるから,どうしたって世界に触れることは面白い。今まで話したことを全て覚えている彼女に「強い眼をしている」と言われた私はどうだろう。何が見えているんだろう。 エネルギーが吸い取られるのを感じながら,図録を買おうか迷いミュージアムショップへ向かう。宮川隆の作品集『みやこ』を発見したため,即購入する。出会うべき時に出会った本は,ただちに買う。
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ぶらりと入った喫茶店でカレーを食べ,チャイを飲みながら机に齧り付くようにして宮川隆の作品集を読む。隣の席には上品な車椅子のおばあさんと息子夫婦と思しきグループがいて,チラチラと様子を伺ってしまった。 その後,炎天下の中足利学校と鑁阿寺(ばんなじ)に行き,フラフラになりながら渡瀬川を見にいく。暑さのせいであまり記憶がないが,一人でものびのび行動できる自分に戻ってきた。そこから佐野に移動し,フラフラと佐野厄除け大師に向かう。一応寺院なのに,間違えて拍手をして参拝してしまった。方位厄であることが発覚し,お守りを買おうかどうか閉場ギリギリまで迷っているとアリに足を噛まれたので,買えと言うことか,と思い,諦めて900円の方位よけを買う。高かった。水子供養の大きな塔があり,水子にお供えを!などというお菓子の自販���もあり,少し背筋が寒くなった。自分が妙齢の女性であることに気付かされる。何もなければ良い。 せっかく佐野に来たのだから佐野ラーメンでも食べるか,と思い,近くでGoogleマップの評価が良さそうな店に行く。店先で長髪の男性が佇んでおり,すわタバコを吸いに出た客かと思うが,あにはからんや店主であった。「お食事ですか?」「あ,いいですか?」「中へどうぞ」と言われ店内に入る。休憩中だったのであれば申し訳ないことをしたな,と思い,気まずさを隠しきれないまま,店の隅で小さく座る。とっとと食べて出て行こうと思った。佐野ラーメンはあっさりしていて美味しかった。いよいよ食べ終わる段になって,「ここ,地元の人ですか?」と聞かれ,店主と話をする。意外と話好きなようで,今日の美術館のこと,足利市が山姥切りを買ったこと,佐野市の美術館のこと,自分の息子のことなどを話してくれた。久々に人とこういう形で会話をしたので,その新鮮さに感動していた。帰り際にさのまるの話をすると,マンホールカードをくれた。お前はこういうところがあるから気をつけなくてはいけない。
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ゆらゆらと列車を乗り継いで帰る。小山ー大宮間で見た夕焼けがひどく綺麗だった。紺と橙のあわいが空に溶けていて,いい旅をしたと思った。車窓の左端はもう夜になっていて,右側だけがまだ微かに昼の明るさを残していた。まさに越境だった。いい絵だと思った。
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yoo45s · 2 years ago
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11月22日・いい夫婦の日🚉 いい夫婦の日は軽いハイキングしてきました。 ⏳3:41 🚶‍♀️11.2km 登↗︎ 441km 下↘︎ 403km 高麗川駅 →高麗神社 →日和田山 →高指山 →物味山 →武蔵横手駅 高麗川駅から歩くのは初めて。 前の日は携帯📱乗り換え手続きで ワチャワチャして、またまたぜんぜん寝てないからか、朝から顔が疲れてるよ、と言われて、えマジで、なスタート #夜型人間 でも軽いハイキングだから、がんばるどーとか気合いがいらなくてるんるん楽しみにしているスタートです。 片足だけズボンくるくる上げたままでスタートです。 #朝に自転車乗った時にくるくるしたまま #このまま電車で爆睡していた模様 #向かい席の女子高生からチラチラ見られてた #これのせいだったのかな #今朝はモテ期かと思ったのに #高麗川 #高麗神社 #日和田山 #高指山 #物見山 #山歩き #ハイキング #mountain #hinking #trail #nature #私の山フォト #山ノート #山スタグラム #山が好き #みんなの登山記 #山女子 #夫婦登山 #私の山写真 #山ポトレ #やまポトレ #登山コーデ #登山ファッション #ファインダー越しの私の世界 https://www.instagram.com/p/ClTqqL9L8Wb/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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haruhara-san · 3 years ago
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7/25(日)マルセイユ国際映画祭最終日
私が25日の日記を書き始めようとしてる隣で槻舘さんがどういう流れの日だったかを語り始めて脳内で二重音声みたいになってる。
朝9時にホテル前に集合して川村さん、荒木さんと3人でマルセイユで最後のPCR検査へ。荒木さんも私も上映初日に着たのと同じ服装。前日の3回目の舞台挨拶だけ落ち着いた色味の服にしたり、洗濯も考えての服のローテーションの組み方が一緒。
PCR検査の判定によっては閉会式に出席できなくなるのでやっぱり緊張する。無事に全員陰性でほっとする。荒木さんは3回とも同じ人から検査を受けた。私は毎回ちがう人。長い何かの鼻への挿し入れ方にそれぞれ特徴があって、最後の人は痛みを感じなかった。川村さんは毎回一番ダメージを受けてて心配になる。終えてそのまま今回の会場の中で一番遠いところにある劇場へ。上りの坂道がハードで川村さんが少しずつ遅れていく。振り返って様子を確認しながら進む。前夜に『春原さんのうた』を見てくれた地元フランスのパスカルさんが監督したフレンチ・コンペティション部門の作品を鑑賞。自分の作品を見にきてくれた人の作品はお返しに見にいくという当たり前の礼儀を持つことを槻舘さんは徹底していて、どの人の作品がいつどこでやるかを把握して必ずスケジュールに組み込んでくれる。ありがたい。私はマルセイユ国際映画祭への出品が決まった時点で槻舘さんに現地コーディネーターとしての仕事を依頼してる。カンヌ国際映画祭から直接現地入りしてホテルのチェックインから一緒にいてくれてる。本当に色々助けてくれるので思わずその都度お礼を伝えるけれど、その度に、いえ仕えてますから、雇用されてますからと淡々と返される。その淡々とした返事がかっこいい。パスカルさんの作品は今回の映画祭ではめずらしくカット割りを細かく積み重ねて芝居を見せていく映画だった。フランス語による上映後のQ&Aは聞いてもわからないので退出。川村さんは槻舘さんが紹介する人と会うために一旦別れる。荒木さんと私は劇場前のカフェでそれぞれレモネードとエスプレッソ。フランス語ではレモネードをレモナードと発音する。日曜日は多くのカフェやレストランが休みかドリンクオーダーだけになるとのことで、昼食を食べる場所を探すために海の方に移動する。メリーゴーランドのそばにあるレストランが食事も出してるみたいだったのでテラス席に座る。店主らしき年配の女性がやさしく話しかけてくれる。ワクチン接種はもう済んだのかと聞かれてまだだと答えたら、まじか? 大丈夫か? みたいな顔をした。食事の時はマスクを外すのでレストランやカフェでは必ずテラス席に座ってる。このレストランではめずらしくメニューに英語表記もあったので助かった。荒木さんはステーキ、私はサーモンのクリームパスタを注文。槻舘さんがいつもお店をちゃんと考えてくれてるのが改めてわかる味だった。お互いに塩を自分で振りながら食べた。
ホテルに戻って次の映画の鑑賞の時間までそれぞれ休むことにする。1時間後にホテル前に4人で待ち合わせて先ほどと同じ遠い場所にある劇場へ。フランスで人気のある若手の監督の作品を鑑賞する。マルセイユ国際映画祭に出品��れてる映画にはフィルム作品が多い。どうしてフィルムで撮らないのかと聞かれることもある。こういうことがわかるだけでも外に出るのはいいなと思う。今回の映画鑑賞の予定をすべて終える。あとは閉会式だけ。それまでしばらく時間がある。夕飯は何がいいですかと槻舘さんが荒木さんに尋ねる。悩みながら荒木さんが海鮮を希望する。海沿いのブイヤベースで有名なお店まで行くことになる。出てきたブイヤベースはスープだけで十分なくらいにおいしい。パンにバターを塗ってスープに浸して食べるのを薦められてやったらもう本当においしい。大量の生牡蠣や名前のわからない貝や魚やカニやにんじんとじゃがいもの塊がどどんと前に置かれて圧倒される。これは値段がとんでもないことになるのではと思いつつ、最後だからいいと思う。荒木さんのおいしーは正確に発音すると「おい」と「しー」の間に聞こえないくらいの「っ」が入る。「し」もどちらかと言うと「すぃー」。文字表記だけでは再現できないおいしー。閉会式が始まる時間を確認しながら食べつづける。食べきれない。私は胃腸が強くないのでこれまで機会があっても生牡蠣は食べないようにしてたけれど、この日ばかりは食べてみた。閉会式直前のタイミングだけれど覚悟した。こんなにおいしいのか、だからみんな食べるのかとわかった。ビールもワインも飲んですでに酔っ払ってる。マルセイユにいる間は酔っ払ってばかり。閉会式の会場までは歩いて10分だったので、15分前くらいに会計をお願いした。値段はやっぱりすごかった。川村さんがご馳走してくれることになった。これはさすがにすごいのでまた改めてお返しをしないとと思う。お店の人が川村さんのクレジットカードを読み取りの機械に入れて色々といじってるけれど不具合が起きる。カードではなく機械の不具合だと謝りながら別の機械を持ってきて試すけれどうまく処理されない。ちょっとしたトラブルだと思ったら、これはもしかしたらしばらく解決しないかもとわかる。その時点で閉会式開始の7分前。遅刻確定。グロリアさんから槻舘さんに様子を確認するメッセージが届く。会計のことは川村さんと槻舘さんにお任せすることにして荒木さんと私だけ先に向かうことにする。荒木さんがカバンに入れておいた閉会式用の靴にナイキのサンダルから履き替える。小走りと早歩きを組み合わせて向かう。途中、足が痛くなっ���しまったようで、荒木さんが靴の履き替えのタイミングを間違えたと言ってる。心配になる。汗をかきつつ会場のオデオン座に到着。スタッフの皆さんがこっちだよと案内してくれる。遅刻してごめんなさいと思う。
閉会式の場内に入るとたくさんの人。換気を優先してるためエアコンの効きが弱くとても暑い。入口からすぐの席にグロリアさんが座っててアイコンタクトを交わす。汗もかいてるし息も切れてるので迷惑をかけないようにと思い一番後ろ��方へ。ナタンさんがいたのでその後ろに座る。閉会式がスタート。槻舘さんが一緒にいないからフランス語のスピーチがわからずに場内をただ見渡してる。その後、槻舘さんと川村さんが無事に到着した様子が遠目に見えてほっとする。二人が前方の端の方の席に座るのを確認した。記憶が曖昧だけれど、多分そのタイミングくらいでスクリーンに『春原さんのうた』のスチールとタイトルが大きく映し出される。拍手が起きる。これはどういうこと? と思う。ナタンさんもこちらを振り返って拍手してる。これは? 前に? 出る? ということ? と聞くとそうだとナタンさんが教えてくれる。立ち上がって階段を降りる。ナタンさんも一緒に来てくれる。みんな拍手してくれてる。途中でそれがエールフランス賞(観客賞)だということを何となく把握する。マイクの前に立って私は何を話しただろうか。覚えてるのはまず総合ディレクターのジャン=ピエール・レムさんへのお礼と映画祭スタッフの皆さんへのお礼、あと通訳が本業じゃないのに通訳してくれてるナタンさんへのお礼、そのあと『春原さんのうた』メンバーの皆さんへのお礼と、いますぐにこのことを知らせたいけれど日本は深夜の時間で起きちゃうから電話するのは控えるということ、荒木さんの座る方を指し示しながら荒木さんのこと。たぶんちゃんと挨拶できたと思う。賞状を受け取る。受け取ったあとどうすればいいかわからず、様子を見ながら壇上から降りる。席に戻ると槻舘さんと川村さんも後方の席に移動してくれてる。荒木さんに賞状を持ってもらって写真を撮ってすぐに春原さんのグループLINEに送る。そのとき日本では深夜の3時半。プロデューサーの髭野純さん、宣伝の平井万里子さん、キノコヤ店主の黒川由美子さん、スチールの鈴木理絵さんがかろうじて起きてたようで喜んでくれてる。このあとその皆さんも睡眠に入ったと思う。後になって、どうして荒木さんも連れて壇上に行かなかったのかと後悔した。いきなりすぎて焦ってしまった。もし次があったら一緒に行こうと思う。ここからが長かった。高校生が選んだ賞、マルセイユ市民の人たちが選んだ賞、受刑者の人たちが選んだ賞、短編部門の賞、フレンチ・コンペティションの賞の発表がつづく。すごく丁寧に皆さん挨拶するからインターナショナル・コンペティションの賞の発表まで2時間かかった。国際映画祭でもあるけれど、ちゃんと街の映画祭でもある。市民の人たちがうれしそうに壇上で挨拶をする姿を見て気持ちも和んだ。その待っている間のことを少し。
と書いたところで日記の執筆を中断。実はマルセイユ国際映画祭で受賞をしてから、いろんな国の映画関係の人から連絡が届いていて、その返事や状況の整理などに時間がかかってる。『春原さんのうた』に関しては、国内のことはプロデューサーの髭野さん、国外のことは私が担当という役割分担でやってきてる。マルセイユのような映画祭で受賞するとこんなに状況が変わるのかということを実感してる。今はメキシコの人への返事とブラジルの人への相談のメールを送ったところ。この数日で世界中の人たちとメールのやりとりをしてる。事���処理能力を上げたい。
日記再開。待っている間のこと。ホール内が暑いことと、観客賞を受賞したことのうれしさと、これからまだ賞が発表されていくことへの緊張などもあって椅子にただ座ってるのが少し大変になる。槻舘さんが外に行って水を持ってきてくれた。感謝。荒木さんは隣で受け取ったペットボトルの水を一気に飲んでいる。ゆっくり息を吸いたくてホールを出ていくと、後から槻舘さんが追いかけてくる。聞けば、ディレクターのジャン=ピエールさんが、あいつはどこに行ったんだと焦ってたから呼びにきたとのこと。思えばジャン=ピエールさんは場内にいる間も後方の席に座ってこちらをチラチラと見ている。槻舘さんは観客賞を受賞したタイミングで、まずは観客賞を受賞とツイートしている。まずは? と思う。ジャン=ピエールさんはそのあと席を移動するときになぜか川村さんや槻舘さんの肩をグッと抑えたりしたみたい。俳優賞の発表が近づいたタイミングで、水を飲みすぎた荒木さんがどうしてもトイレに行きたくなったとのことで、槻舘さんと一緒に会場を出て行くと、やっぱりジャン=ピエールさんがガタッと席から立ち上がるのが遠くに見えた。これは何か獲るなと感じない方がおかしいくらいの雰囲気があった。でもなるべく考えないようにする。
俳優賞の発表が始まる。私たちも好きだった『JOJO』の主演の男の子が呼ばれて壇上で挨拶。続けて荒木さんの名前が呼ばれた。うれしい。私も後からついていって写真を撮った。槻舘さんも写真を撮ってくれてる。川村さんは動画担当。川村さんは『ドライブ・マイ・カー』のプロデューサーなのに、この期間ですっかり『春原さんのうた』のプロデューサーでもあるんじゃないかと思えるくらいに一緒にいてくれてる。荒木さんは舞台挨拶の時もそうだったけれど、笑顔が溢れてて、荒木さんが話すと場内の空気があたたかくなる。賞状を受け取った荒木さんと一緒にまた席に戻る。続けてインターナショナル・コンペティションのスペシャル・メンションと準グランプリの発表。どちらもこれは好きだなーと思った作品だった。最後にグランプリの発表。審査員長のラヴ・ディアス監督が映画のタイトルを言う前に作品へのコメントを話し始める。その中にジャパニーズ何とかという言葉が聞こえる。それはもう『春原さんのうた』のことでしょう。ああ、本当に獲ったんだと思う。名前を呼ばれて荒木さんと二人で壇上に向かった。ラヴ・ディアス監督がとてもつよくハグしてくれた。他の審査員の方ともハグした。スクリーンに大きく出ているスチールは写真家で私の妻でもある鈴木理絵さんが撮ってくれたものだったので、まずは理絵さんの紹介とお礼への言葉から挨拶を始めた。2時間を超える閉会式で皆さんも疲れてると思ったので、なるべく短く話そうと思った。改めて映画祭スタッフと作品のメンバーの皆さん、これまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを伝えた。あと恩師の如月小春さんの話もした。
閉会式が終了した。長丁場だったこともあってみんなあっという間に会場を後にした。いくつかある賞のうちの3つも私たちがもらってしまって申し訳ない気持ちもあり、やっぱりうれしい気持ちもあり、今日ばかりは許してと思う。だって、こんなこと初めてだもの。受け取った賞状3枚を荒木さんと二人で持って記念写真を撮ってもらった。槻舘さんは笑顔でこれくらい獲る��思ってましたよと言う。川村さんはこれまで見たことないくらいの笑顔でうれしい、うれしいですね、いやー本当にうれしいと何度も言ってくれてる。ナタンさんとグロリアさんも笑顔。劇場の外に出るといろんな人たちがお祝いの言葉を伝えてくれる。同じ部門のベン・ラッセル監督も肩を叩いてコングラッチレーションと伝えてくれた。
いつものDJブースのあるパー��ィー会場へ。やっぱりいろんな人がお祝いの言葉を伝えてくれる。同じ部門のSantiago Mohar Volkow監督が、また別の映画祭で一緒になろうね、そこでもう一度競いましょうと伝えてくれた。かっこいい。ジャン=ピエールさんを探して、このさき映画を作るたびにあなたのことを思い出します、ありがとうございましたと伝えた。ラヴ・ディアス監督を探して話しかけた。独特の英語で全部はちゃんと聞き取れなかったけれど、あなたの映画は本当にアメイジングだと伝えてくれた。ヒューマニティに溢れてるとも。このさき何があっても、誰にどんなことを言われても、あなたが思うシネマを作って作って作りつづけるんだと繰り返し伝えてくれた。ここまで人から励まされることがあるだろうかと思った。
途中、端っこにいって一息ついたりもした。髭野さんと平井さんから連絡があって、リリースを出すので受賞のコメントを送ってほしいとのこと。30分後が締め切り。こんなときに鬼ですみませんと書いてある。なんとかiPhoneで書こうとするけれど、その間もいろんな人が話しかけてくる。急いで書いて、客観視点をもらうために槻舘さんと荒木さんに読んでもらって、ゴーサインを受けてから送信した。荒木さんはまたダンスの輪の中に入っていった。楽しそうに踊ってる。帰り際にまた一人一人を探して挨拶。フランスの俳優でありプロデューサーでもあるオリヴィエさん。荒木さんがよく一緒に踊ってたおじさん。スピーチをするときに度々一時停止する私の物真似がとても上手。そのオリヴィエさんがプロデュースした作品の監督のギョームさん。讃えあった。ナタンさんとグロリアさんに最後の挨拶。また会いましょうと伝え合う。
荒木さん、槻舘さん、川村さんと私の4人でホテルに戻る。槻舘さんと川村さんは4階、私は6階、荒木さんは8階。エレベーターの扉が開くたびに今日の終わりの挨拶をして別れた。一人になった。たぶん歯磨きだけしてそのまま眠った。
このマルセイユ滞在の間にたくさんの写真を撮った。一番好きな一枚をこの日の日記の最後に。
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ichinichi-okure · 3 years ago
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2021.07.28wed_kanagawa
 最近朝はなるべく納豆ご飯を食べるようにしていたけど(めざせ血液サラサラ !)、昨日は寝る前にご飯を炊かずに寝てしまったので、今朝はパンと決めていた。  私は食いしん坊なので、ほぼ毎晩、寝る前に冷蔵庫の中身を確認して翌日の朝食の献立を大体決めてから寝る。というのは「翌日効率よく準備するため(キリッ!)」、、、とかいう格好いい理由ではもちろんなくて、単に、夜寝る頃にはいつもお腹が空いているものだから、「明日になったら、あれを食べるんだ〜!!」と考えることによって、なんとか空腹を紛らわせて眠るためだ。  というわけで主食はパンだけど、でも、やっぱり納豆は食べるか、、、と思って、前日のサバとナスの煮込みと納豆を合わせて炒めて、それにレタスと、パンでいただくことにしていた。一般的にはかなーり邪道な朝ご飯な気がするけど(笑)、いいとする!  食べることがとにかく好きだし、だから料理することもそれ自体は好きなんだけど、こんな感じで大体何を食べても美味しいと思ってしまって、及第点が著しく甘いものだから、まわりの友人たちのように、しゃれている上にとても美味しそうな料理をササッと作れる、なんて日は永遠にこない気がする、、、。
 朝食を食べて、ササッとメールチェック。 某ビッグイベントは、見ていない。というか、見ないようにしてる。本当を言えば、うっすらと情報が見えたりすると、心の底ではつい時々、すごーく見たくなっちゃうのだけど(運動音痴なくせに、本来、スポーツを観るのはわりかし好きだもんで。でも、ルールは何回見てもよくわからないタイプ。スポーツ観戦の適正はない)。でも、もちろん、参加者とすべての関係者の皆様の積み重ねてこれられた努力はものすごく尊敬しているし、すべての皆様に幸あれ、とは心から願っている。「こんなの、やせ我慢だよねえ。別に、それで誰が喜ぶわけでもないのにね。」とか、自分でもなんかもう、ちょっと苦笑しちゃうけど。でもそれは単に自分が好きでそうしているだけで、そんなのは本当に、好きずきだ。見ながらも複雑な思いをかかえている、という方もいっぱいいるし、見てもいいし、見なくてもいいし、そしてその間にも人の数だけ無数のグラデーションがあって、「正解」はなくて。それぞれに色々な事情があり、それぞれに、思うところがある。  でも、いずれにせよ、今回の祭典は、そうした人ごとの色合いや幅の違いはあれ、色々なことを皆が思うきっかけにはならざるを得なかったと思うし、��ず何よりも大事なのはそのことなんだよナ、きっと、うん、、とか、なんとかぽやぽやと思いつつ、電車に乗って、午前中は病院に行く。  車内で、「この広告の数字部分のフォント、昔のPARCOのロゴに似てないだろうか?」とか思いながら電車に揺られていた。    病院の待合室で、持って来た内田樹さんの『ローカリズム宣言』を読む。  うおお、この本、面白すぎる、、、、!最近私が漠然と思っていたことがズバリと、しかもすごくわかりやすく論理的に表現されていて、もう、目から鱗がぼろぼろと、、、!おかげで待ち時間が苦にならなくてとっても助かってしまった。  むしろ、面白すぎる本の場合は呼ばれて気づかないことを注意しなければいけないので、自分の番が近づいてきたとおぼしく感じられたあたりから、敢えて読むペースをスローダウンして備えなければいけなかったほどだ。  先日ちょっとした検査をしたので、今日はその結果を伺いに来たのだけれど、結果は、問題なしでした!よかったー。
 終わるとお昼をかなり過ぎていたから、大好きな串揚げ屋さんで、お昼をいただくことに。  ここの串揚げ屋さんのご主人の揚げ具合は、本当に職人技。  以前、カウンター席でいただいた時、揚げている様子をチラチラ見ていたのだけれど、本当に絶妙のタイミングで無駄のない動きでサッサとたくさんの串を揚げていかれて、見惚れてしまった。  今日も、お、美味しいよ、、、!しかも、久しぶりだったのだけど、ランチの串揚げのバリエーションがまたちょっと変わっている!おまけに、新しい組み合わせもまた最高、、!既にものすごいクオリティでありながら、なお新しい研究努力を怠らないご主人、尊敬すぎます、、、!!  こちらのご主人の腕前とか、こういうのこそ、「まさに無形文化財!!」と、心の中で叫びながら、ちょっとずつ、噛み締めながらランチをいただく。この熱い思いを、そのままご主人に伝えたい!!とか思うけど、絶対言えない私。いい年して、いまだにそういうところは、まったくシャイ。いや、つい「シャイ」とか気取って言っちゃったけど、本当はそうじゃない。単に「自意識過剰」なだけなのだ。思ったことを大声で口に出しちゃって、結果、もし寒い感じになっちゃったらどうしよう、、、とか思ってモヤモヤしていつも実行にはうつせずに終わる。  でも、私みたいな人って、案外多いんじゃないかしら?口には出せないから、代わりにそっとお手紙に書いて置いて帰りたいくらいだけど、それこそ大げさだし、引かれるよな、、、と、結局、いつもより少しだけ勇気を出して、帰り際お会計に立つ途中で、カウンター向こうのご主人に、一応ギリギリ聞こえそうなくらいの声で(声が小さいのもあるけど、こういうご時世なので、あまり大きな声もこれはこれでよくないよねという気持ちもあり)「美味しかったです!ごちそうさまでした!」と声をかけ、かつ、お会計をしてくださった店員さんにも自分的最大限の「おいしかったですー!最高でしたー!!」的念をこめた笑顔をむけつつ、ご両名に伝わりますように、、と思いながらお店を去る。  私の小さい頃に思い描いていたイメージだと、大人になったら、こういう時、「いつもながら最高に美味しかったよ〜、じゃあ、お愛想」とか、サラっと言って颯爽と立ち去る、、、という感じだったはずなのに、現実は全然違って、毎回せいぜいこんな感じだ。要するに、子供時代に思っていたところの「めちゃめちゃいい大人」な年齢になっても、結局、全然コドモのままの私だ。自意識過剰なのも、コドモだからだ。とほほ。    帰りに本屋さんに立ち寄って、晩御飯の買い物をして、うちに帰る。 そういえば、と、出がけの電車内で見かけた広告の「パルコのロゴに似て見えたフォント(私内イメージ)」のことを思い出してパルコのロゴを改めてネットで検索してみた。ちょっと似ているといえば似ているけど、思っていたほどの「激似」ではない。己の記憶の当てにならなさに苦笑。
 帰ったらもうお腹が空いていたから、昨日作って残りをしまっていた「よもぎ団子」を食べることにする。  「お団子は冷蔵庫に入れると固くなってしまうから常温保存」とあったけど、この暑さなのでつい心配になって冷蔵庫で保管していた。  でも、レンジで温めて蒸す感じになれば、きっと、復活するはず、、、!と信じて、あんこをのせ、ラップをかぶせてチンする。  取り出してみてさわった感じ、モチモチしていて良さそうだけど。きな粉もたっぷり、ふりかけて〜、と。  本当は、日記に載せるためにお団子を食べる前にその写真を撮ろうと思っていたのに、空腹に駆られすっかり忘れて、とても美しいとは言い難い姿になってしまっていた、、、チーン(レンジでチンとかけて。笑)。あんこを均一にまぶして、全体がもれなく美味しくなるように、、、という私の食い意地が透けまくりの写真になってしまいました。きな粉、こぼれてるし、、、。  というわけで、見た目こそアレになってしまいましたが、お味は美味しかった!、、、でも、やっぱり、中身の芯の部分が、少しだけ、固くなっておりました。やはり、お団子の冷蔵庫保管はおすすめできないようだ、、、。
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それでも、芯が固くても全然美味しいよっ!と満足してしまう私は、やっぱり、及第点が低すぎなのでしょう。  草だんごの材料は、元はといえば、春に、お花見の時期にお花見団子を作ってみたくて用意していたのだけれど、結局そのときに作ることはできずに、今になってこうして活用することとなった(ズボラ、、、)。でも、自分で作ると、好きなだけよもぎを入れて、好きなだけお団子も食べられて、贅沢だなー。買ったのだと、いつも物足りなくなってしまうんだ、、、モグモグ。
 仕事をして、晩御飯を食べる前にちらっとネットのニュースを見たら、コロナの状況はますます大変なことになっている。もちろん、予想されたことだとはいえ、その結果どおりになっていることに改めて震撼するし、医療関係者や福祉関係者、、、たくさんの皆様のあまりに過酷な状況と、苦しむ人のことを思うと本当に、、、。考え続けること、その大切さを、再び、思う。  晩御飯を食べて、お風呂に入る。 最近、お誕生月とかいうのを口実に、ちょっと贅沢していい香りのする石鹸とシャンプーを買ってみたら(それまで、自分で使う石鹸とかシャンプーは本当に適当だった)、これが本当にいい香りで、お風呂タイムのたびにちょっと気分が上がるので、これはQOL、クオリティ・オブ・ライフの向上じゃ、、、!と感動している。  石鹸は、パッケージが可愛くて香りもいいポルトガルの石鹸。小さいから、大事に使っている。  シャンプーは、初めて、シャンプーバーというのを買ってみたのです。というのも、容器のプラスチックゴミが出ない、というエコにこだわったコンセプトが気になっていたら、まわりでも使っている方をお見かけして、それで今回思い切って、ついに試しに買ってみたのだ。  香りがとってもいいし、今のところ、使い心地もいい感じ。それなりのお値段がしちゃうからそこは辛いところだけど、プラスチックゴミが出ない、というのは本当にありがたい。どんどん、シャンプーバーが増えていったら嬉しいなぁ。  全部をなかなかすぐに完全にエコロジーにはできないけども、自分ができる範囲からでも、無理のない範囲で、ちょっとずつ、、、ということで、無理のない範囲で、なるべくベターを選んでいく、っていうのが最近の、個人的なテーマなのです。でも、無理があると続かないから、とにかく、無理のない範囲で。でもよりベターに、をとにかく続ける。的な。
 寝る前に、インスタグラムを少しのぞく。最近見つけた、「mondaigamondai」は、本当にわかりやすくてすごい。相変わらず、タイムリー!美味しそうな食べ物の写真がいっぱい目に入って来て、お腹が空いてしまいそうなので、寝ることにする。  『ローカリズム宣言』の続きを読み終わる。面白すぎた、、、!!そして、続いて、つい、今日書店さんで買って来た楽しみにしていた笛美さんの新刊『ぜんぶ運命だったんかい』という単行本も、ちょっとだけ読んで、、、のつもりが、これまた、あまりに���白すぎて、今日は早く寝るつもりが、どうにも読む手が止まらず、最後まで読んでしまった。  うわわわわ、これまたすごい本だー!女性は必読だと思うし、男性にも読んでほしいし、感想が聞いてみたいなぁ。と興奮しながら、ようやく寝ることにする。
 今夜はとっても暑かった、、、!!さすがに今晩は、送風機を付けて眠ることにした。
-プロフィール-  まみ(fragola) 神奈川県 デザイナー、食べ物ラヴァー @fragolove fragola-tokyo.com    
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htkmch · 3 years ago
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2021.7.24
今日は、はじめてちゃんと解説書を読んだので(あることを知らなかった)、Tree of Lifeのかたちで手順にのっとって引いてみた。カードの上下が必要だった気がするが間違えちゃった……… とりあえず結果から。
4. Hot Seat [HEAD] (Intellect)
54. Asylum [THROAT] (Dream)
30. Castles in the Clouds [HEART] (Emotions)
female side: 18. Soma & 3. Scarlet Woman
male side: 10. Wheel of Great Time & 45. Like a Bubble
58. Chameleon [NAVEL] (Vitality)
24. Solar Return [SPLEEN] (Health)
15. Ally [BASE] (Sexual)
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まずはBASEから。
15. Ally
ここのbase centerにぴったりすぎてびっくり&笑ってしまった。色も赤だし。raw power of unconscious、まさに!base centerのパワー自体がrawのこういうパワーなんよね。そしてbase centerもそうだし、このAllyもsexual, eroticなsenseです。わたしは前々から思っていて最近確信したのだが、性のエネルギーとの関わりが深い。太陽牡牛座で月が蠍座、どちらもかなりセクシーな星座のエネルギーだし、興味のある道教や密教もかなり性を重要視している。だからこそ地に足がついていない(赤が足りない)とすぐふらつくのでは…… やっぱTao practiceやってみたくなったな。
ふつふつするマグマの湖の岸にいるAllyは、ギザギザの歯の間から炎を出している。これはAllyの、「破壊」と「むさぼり食う」の象徴。両手に二股の鎌を持っていて、それはAllyが「魂の捕獲者であり支配者」である(彼がcontrolする)ことを示す。彼の身体は、下位の存在の姿をした鎧で覆われている。彼の頭には、6つのグロテスクな獣の頭が飾られており、肩の飾りは動物の頭、そして下半身にはもう一つ悪魔のような顔がある。彼のここでの機能は「敵の撲滅者」である。敵とは、隠し事がある者や恐れを持つ者を捕らえるものである。 下位である顕在意識を乗り越えるための助けを与えられている。Allyは、根源的な生のクンダリーニの炎のかたちであり、Tree of Lifeにおける根本となる蛇(クンダリーニ)のエネルギー。状況が好ましくないとき、それを打ち破るために、身体を通じて使われるエネルギーだと理解すると良い。自己の退行や破壊の側面が強く出てきているときには、もうすぐで助けがやってくることを暗示する。Allyを恐れる必要は決してない。彼は守護者である。このカードがbase centerにあるときには、無意識を示す。
次、SPLEENは。
24. Solar Return
大宇宙と小宇宙の関係をあらわす数字。時間の参照点。バランスをとって両極を統合する。 日食。黒い太陽と、中心に寄せては返すコロナの光。これは、星・惑星・月のサイクル(公転)による運命の満ち引きという、天空、宇宙のちからを象徴する。永遠の循環、長い時をかけて伝わる光。黒い太陽���またはブラックホールを連想させる。これはGreat Timeの抽象的表現であり、すべての経験の根本原理を滅ぼしかつ創造するというMahakaliのもう一つの面である。 個性や性格の根本への回帰。現在の状況の中でいちばん楽な方法へ至る道を見つけるために、生まれたときの星たち(占星術的な)の影響を考えてみなさい。未来を予言するためには、過去を解読しようと試みなさい。未来を現在に連れてきなさい。個人と集合的無意識との関係を考える必要がある。障害は、self-natureの認識によって出現する。それは、ある人間の進化の方向(ある人がどうやって成長していくのが望ましいか)を計算するような、外側の影響力による打算である。夢や前兆といった、吉兆のサインに注意深く気づく能力を身につけ、洗練しなさい。ポジティブなカードで、戦士としての路をだいぶ進んできている。対立や対決によって何かを得るチャンス。カルマを燃やし、根源に帰る。永遠への道。
これがわたしを構成する、あるいはわたしの気質である。そうかも……… Tree of Lifeを維持するための活力が、このエネルギー。根源への回帰とか、永遠への道を、自然と求めてしまうのかも。自然な生命のリズムのcenterなので、それが宇宙と共鳴する(大宇宙と小宇宙)ことを身体が、そして霊的身体が求めている。太陽、そして宇宙って根源的なエネルギーだから、それが身体と密接に関わってるのは素敵かも。
次はNAVEL。
58. Chameleon
ここは、自己変容のcenter。わお、それでカメレオンが出るの?シンクロしすぎでは。カメレオンって、状況や環境に自分を適応させていくエネルギーかな?「質問者の周りの状況」をあらわす。このcenterは、すべてのエネルギーが精錬される場所である。質問者が何を消費してどのように活力を凝集させるか、変容と作用にどのくらい気づいているか。質問者の態度。
今の状況でいちばん楽なのは、周りに適応することだよ、したほうがいいよってことなのか?というか自己変容なのだとしたら確かに、周りに適応したことないからしてみなよ、なのかも。
カメレオンは、「適応」への道をあらわすカード。カメレオンの顔が、蝶の翅の上にある。これは、置かれた環境に身体の色を合わせることによって、精神が発展する可能性を示す。カメレオンはどんな色にもなることができる。蝶の翅は、美と無常をあらわし、かんたんにひらひら飛び回りながら生命から出たり入ったりする(現世と夢を行き来する)。カメレオンが一時的に決定した色は、決して長い期間価値を持つものではない。諸行無常、盛者必衰。カメレオンは、制限された知能(動物?)のなかで最も完成しており、常に脅威に注意を払い、捕食者から身を守るためにその適応性を使うのである。 すべての周囲の状況���見ることはできるが、リスクを取りたくない人物のことを伝えているカード。質問者が簡単に周囲に影響されることは、世界の圧力から身を守るためである。これがNAVELにあれば、「心理的に適応できる姿勢」を伝える。精神状況(感情の状態)にどうやって適応するかを理解するために、気まぐれで移り気な自然のような心と、心に生起する影響の流れを併合させる必要がある、ということ。
最近感情揺れてたしなあ。本当に。周囲の状況によって。どうしたらいいかわかんなかった。心は移り変わって当たり前なんだから、その流れに身を任せるというか素直になるというか、それをやってみよってことかも。抑えようとしちゃうから。
お次はHEART、5枚。
30. Castles in the Clouds
HEARTは、感情。感情の部分で何を解決すべきか。また、質問者の将来の人生に何が影響してくるかを示す。それでこのカードなの、アツいね!空想、理想よ。それが心の真ん中にあるんよ。
意思のちからによる、より高い達成、発展。心の空に浮かぶ雲の中、高いところに、おとぎ話の城が浮かんでいる。雲は、こうありたいという自分を映し出すスクリーン、城は質問者の望みと吉兆のしるしそのもの。この城は、空想からパワーを引き出して得るという性質を持つ、空を渡る人の家である。このカードは、平凡な俗世に代わる新しい現実をあらわし、城は想像、イマジネーション、精神からできている。 あなたのいちばん深い望みに、意思のちからをもって従いなさい。現実になりつつある内なる欲望を妨げる身体的な怠惰に、決して屈してはならない。あざやかな想像力を示す。heart centerにあるときは、質問の結果として引っ越しがあることが暗示される。空想や想像のちからとともに、行為がなければ達成はないということも覚えておきなさい。今すでにある一つの目標に向かってひたむきに進みなさい。
周���の4枚は、心や感情への影響と捉えることもできるし、3の場所(今回は3. Scarlet Woman)が「意識的な考え」、4の場所(45. Like a Bubble)が「無意識の思考」、9の場所(18. Soma)が「望み」、7の場所(10. Wheel of Great Time)が「自己」をあらわすとしてもよい。
一つ目のペアは、徐々に自我を無くしていく過程において、永遠の、時代を超越するような美を守る、ということに対するバランスの取れた態度。
3. Scarlet Woman 「意識的な考え」
トリニティを司る。活動・不動・柔軟、過去・現在・未来、運命の三つのサイクル。 小さな赤い花たちの向こうから、真紅の女神の大きな黒い目が二つこちらを見ている。地球の豊かさ、肥沃さ、豊穣と、彼女が大きな赤い芥子の花によって結びつけられている。彼女はその姿を通して、女神の性的な側面をあらわす。もうためらう必要はない、実用的な行為によって準備が整い、結果を操縦することができる、ということを強調する。 赤は、自己実現のプロセスにおける、女性的な生のエネルギー(熱と湿気)を象徴する。芥子の花は、女神の子宮が神秘的な招待へと開かれていること。眉間のルビーは、彼女の炎のような超自然的な性質、そして彼女が権威を持っていることを示す。 わたしにとってのシャクティもしくは女性エネルギーの重要性をあらわす。そして、彼女は、世界の神秘的な片割れであるとともに、自己へ帰属しているという、両方を示すしるしである。隠れているにせよ表現されているにせよ、わたしの心にある、感覚からスピリチュアルの領域へと立ちのぼる、強い情熱という性質。これは多分にHeartのカードである。精神的なものと物質的なものの間の不和の解決を象徴し、素晴らしい創造的な成果が、彼女の原型と折り合うことによって得られる。創造的な女性原理。
マジでハートのカード!
これとペアになるのは、斜め上、お向かいの「自己」。
10. Wheel of Great Time 「自己」
ペアとして考えると、「過去・現在・未来」というところが共通しているな。
剣を持つ手は、過去・現在・未来を立ち切り、分けるちからを象徴する。そのほかの二本の手は、血で満たされた頭蓋骨を持っており、同情・自制の統合をあらわしている。炎は、行為の完遂によって過去のカルマが燃え、運命そのものがその姿を変容させることを示す。時計の周りの目や頭骸骨は、死を超えた生の輪廻をあらわす。真ん中の目は全てを見通す目であり、「全て移り変わる」という常に変わらぬ中心があることを思い出させる。火の玉のような二つの目は、宿命と運の世界の流動性と無常を示している。
すべては常に移り変わる。周辺ではなく、中心に集中しなさい。正しい行動によって過去のカルマを燃やし、現在と未来の支配者となりなさい。運命を自分の手の中に取り戻す。
そして次のペア。神秘的な啓蒙に対する魂の傾向と、欲望と対になる知恵を示す。
45. Like a Bubble 「無意識の思考」
自己が世界のものと結びついているという認識への道。女性の頭と胸は、色のついた水から現れ出て見えている。水は世界の物事のさまざまな側面をあらわし、女性は、純粋な意識が上がってくる(あらわれる)ためにはリラックスした態度でいることが必要であることを伝える。蜻蛉の透明な翅は、全ての経験の薄弱な性質、生と死をあらわす。紗のベールは、プールの表面を色づいたように(右の赤)、あるいは泡の表面をチラチラと揺らめかせる(左)幻想である。泡は、壊れやすいが、確かに存在し、そのあとは無に帰す。「泡のように、夢のように、それが現実だ」。 予断や偏見を手放そう。その自然でオリジナルな性質に、みずからの心を開こう。どんな形にも固着させずに、浮かび流れる喜びと絶頂の瞬間瞬間を大事にしよう。世界に、あるいは色とりどりの現象に執着しないように。これがHeartにある場合、感情を我慢しようと思ってしまう傾向と、ロマンティックな性質が一緒になっているから、信念が必要だ。
18. Soma 「望み」
心の隠された��域からのパワーの認識、それらのパワーを達成のために融合すること。聖なるきのこは、宇宙の明かりの家として描かれており、蒸留した個性のエッセンスの容器である。きのこは、鏡像もしくは影として描かれており、白い氷河のなかで明滅している。この魔法のきのこは、地球圏外のちから、スピリチュアルな悟り、そして隠された知識の領域への通路を開くが、それらは決してその中にはない。このきのこは、ただ通路となるだけ。きのこは触れることのできない、実体がないものの象徴であり、この氷河は、底知れないほど大きな氷山のような集合的無意識、普遍的な心性の、ほんの一角であるように見える。きのこは月の直喩であり、光の反射と知恵の蒸留という性質を示す。きのこは万能薬であり、悟りの味がし、月の知恵の雫。Head centerに位置付けられ、三日月の下の先端から滲み出てぽつりと頭に落ちる雫である。 直観、想像力。知恵は、全ての経験の蒸留物を通して獲得できるということを伝える。夢の世界、幻影や夢のような経験の領域に説得力を持たせる。女性的な直観の知恵(月)を象徴する。チャクラを通るエネルギーの上昇の完了である(上昇したエネルギーが月で冷やされ、それが知恵の雫として頭に落ちてくる、という仕組みなので、もう身体にエネルギーは十分通ってますよの意味なのかも)。
わたしはまさにこういう状態を望んでいるな。ぴんとくる、みたいなのに憧れがある、いいなと思う。チャクラをいい感じに全部通したいからいまどうなってるか知りたいし。
ペアで考えると、感じられないような深いところから、何かが浮かび上がってくる、または落ちてくる、みたいな共通項が感じられる。
次は、THROATです。
54. Asylum
これぱっと見て笑っちゃった。休息のカード。休んでたいのかしら。というかわたしの夢はまさにこういう、のんびりした生活を送ることだからなあ。魔女になって、本を読んだり手紙を書いたり、花を摘んで活けたり庭でお茶会をしたり、草原でピクニックをしたり…… それをやっていきたい。ということで見てみよう解説!
speechのパワーのセンター。創造的な想像力、夢と空想の世界をあらわす。(わお!上で書いたことまんま。いまはまだ空想で夢だもん。)すべての物質が持つ振動というちからと関連している(喉、声も振動でつくられるもんね)。このcenterに置かれたカードは、質問者が好んで居る(精神もしくは身体的な)環境をあらわす。シンボルカラーの明るい青は、すべてに充満する、想像という性質の象徴。そして、このcenterは、知恵と方法の統合という側面を教えてくれる先生あるいはガイドの、平和的なしるし。経験から引き出される知恵と行動を象徴し、特に、「理想」の例、先生、あるいはガイドに関する神秘的な感覚の理解を示す。
イニシエーションの特徴としてのバランス。ユニコーンが木の上に休んで、美しい草原を見渡している。そこは牧歌的かつ神秘的な場所、想像のおとぎ話の地(それはユニコーンが象徴している)。休息し、世界のいたわり、ケアを受け取る。ユニコーンは真実と洞察をあらわし、母なる自然の庭でくつろぎ、完全な平和を感じている。 療養できる安全な場所���見つけ、あまねく心配や懸念から自由になる。想像のパワーを信じて、どんな問題や疑問に関しても、熟考するという立場を取りなさい。直観の純粋なパワーを信頼すれば、迷うことはない。あまねく問題から遠く離れて、ひとりでいるときのウェルビーイングな感じを示している。ポジティヴな状態の神秘的な前兆である。これがThroatにある場合、強い想像の傾向、空想の世界に生きることができる能力、神秘的な経験への導きを示す。
わーーー!うれしい!!!!!ファンシーで生きます。
長かった、最後はHEAD!
4. Hot Seat
かっこいいカード。自分の人生の主人公は自分。自分の椅子に堂々と座りなさいのカード。これが知恵として出ているの、なんだかすごいなあ。
質問に対する最終的な結果、生起したエネルギーの解答、それまでのカードを通して明らかになったことをあらわすcenter。抽出されたエッセンスであり、霊的な達成の錬金薬、神の美酒である冷たい「月の雫」。捜す者、求める者の最も高い望み、結果として生じる成就、実現。二元性の領域を超越した知恵と方法の双方をともに用いることによってもたらされる、精神的、霊的な変容。月、知恵の雫のcenter。
しっかりした基盤と信念に根ざしたより深い自己をあらわす。 この玉座は宇宙にあり、太陽の炎と火の玉に取り囲まれている。玉座の脚にはライオンの顔が彫られており、この位の高い高貴な場所に座る人の、莫大なパワーあるいは大きな権力を象徴する。重大な責任のある立場。玉座から出ている炎は、そこに内在する、とてつもない男性的な変容のパワー。このパワーは、霊的・俗的な権威と関連している。この席は、宇宙の支配者のものである。この地位につく準備ができている者は、十分に仕事を達成していること、そして責任を負う覚悟ができていることが確かでなければならない。 権威ある立場にいること、もしくは、質問者に押し付けられた責任があることをあらわす。緊急に決定がなされなければいけない立場にあり、リーダーシップを取るパワーと内なる信念を要求する。大志の実現の活路、とりわけ権威と権力を示す。より高次の意思のエネルギーで、精神を変容させなさい。
それがあなた自身であり、あなたの道だよ、と言われているみたい。
うわーん長かった。とりあえず終わりました。うおー。後で見返したりしちゃお!
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dosuhiro · 6 years ago
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会社帰りにメンズストリップショーに行ってきた話
わたしは誘われれば大概のところには行く女です ちょっと前にツイッターでレポ漫画がバズってた記憶があるんですが同じ店に月曜の夜に行ってきたところハチャメチャに楽しかったので日記を書こうとおもいます。月曜だよ月曜。仕事の帰りに走ってでも見たい男の裸 今回一緒に行ったのは平日夜にグッドルッキングガイ鑑賞に表参道まで来る女を自分の他に5人も集めた企画力のあるオタクとそのお友達のオタク、前夜スタンディングライブで暴れて股関節をヤられた(別に自分がステージに立ってたわけではない)オタク、イカした男のエキスを吸って治りかけの風邪を完治させようと目論んできたマスクのオタク、なんの武装かわからんけど今まで見たこともないほどやたら服の黒いオタク、そして3億光年ぶりにこんなド都会で夜遊びするため正しいテンションがわからないオタクのわたしです。いや~ドキドキしたわ~ 行ってきたのは表参道のド駅近にあるカフェレストラン(?)で毎週催されている予約制のメンズストリップショー。日によっては当日券あったりすんのかな? 人気そうだし予約もすぐ埋まってしまうのかもわからん 各々仕事をむりやり終わらせたり蹴っ倒したりしつつどうにか定刻に全員集合し、店の前で中のようすをチラチラ感じながら「なんかスペースマウンテンに並ぶとこに似とるわ」「まあある意味では宇宙よ」とかなんとか言ってるうちに開始のお時間に。開けてもらったドアから店内に入っていく道行きにもうキャストが縦に並んでおりコンバンワ~! いらっしゃいませ~! とタッチを求めてくる。ウエ~イと精一杯の陽気で応えながら、そのときオタクは全員(テニミュ…)と強く感じました。テニミュ偏差値ほぼ無いに等しいわたしですらおもった これは表参道で服を脱ぐタイプのミュージカルテニスの王子様であると 店の中はイメージより狭くて、入るとすぐメインとおぼしきステージがあり奥のほうにもポールがそびえた小さめのステージやDJスペースがありました。左手に入ったその先には厨房や控室やトイレがあり、階段をのぼった2階はたぶんVIP席。メインステージを囲むようにしてかぶりつきのカウンター席がぐるっと並んでいて、今回われわれはその後ろのこれまたフロアの壁際に沿うよう配置された席の角っこに座ることに。個人的にはDJスペースが近いのうれしかったな~ 開始から終了までの数時間のうちにステージを用いたパフォーマンスの時間、ブレイクタイム(キャストが各席を回ってしゃべりに来てくれる)、チップタイムなどを繰り返す形式で、時間として一番長いのはブレイクタイムなんですけどマア~しゃべるし触らせてくれるし抱き締めてくれるし座ってくる(膝に) もちろん向こうはフレンドリーを全身で発してくるしほぼタメ口なのでこっちも「顔ちっちゃい~身長いくつ? ていうかどこ出身?」みたいな大学の新歓でももうちょい前座あるわというテンションになってしまう 特に印象に残ってるのは ・今日これはどういう集まりなの? と当然の疑問を投げかけられて数秒固まるオタクたち、その都度「このショーに行ってみたい者同士とその友達でSNSで集まった」という設定で場を乗り切る 嘘は言ってないので時として本��も正確な年齢も仕事も知らん人間と遊ぶことままあるオタクにはオススメです ・ふわふわマシュマロ胸筋をお持ちの外国人キャスト(191センチ)に友達とふたりして抱き締めてもらい感極まって思わず「あ…あったか~い」「お母さ~~~ん!!!」と叫んでしまう ・趣味:カレーの食べ歩きのオタク、キャストにインスタ教えて~と言われて教えたはいいもののしばらくしてから「どのアカがきみだか全然わからない」と戻ってこられる(投稿がカレーの写真しかないため) ・地元の話になりさっきポールダンスしてたあのヒールの彼は奈良出身なんだよ~と別のキャストに言われて「な…奈良?! まじ? マイアミとかじゃないの?」と素で口走ってしまう(セクシーの星に生まれたとしかおもえないほどの抜群のプロポーションと筋肉とキュートな笑顔だったため) そうポールダンス…いやポールダンスに限らずなんだけど、キャストのみなさんお顔立ちもイケてるんだけど何よりやっぱり肉体がスゴイ 他人に見られることを仕事にしてそのために誂えてる身体ってなんであれ全然いやらしい感じがしなくて、エッチだな~とおもいはしてもそれはカッコイイ・キレイとほぼ同義なんですよね。オク形式でキャストを競り落としたお客さんとのラップダンスで一般女子と絡んでようやくちょっとエロを全面に感じる。このガチガチに鍛えられた腹筋背筋胸筋大臀筋と素人のおんなのことのパフォーマンスがプロのキャスト同士とはまた違って良くて、かなり過激なことまでするんだけどそれを煽るのも楽しい。メンズストリップは初めてでもライブハウスには慣れているオタク、めちゃくちゃ拳上げたし跳んだり跳ねたりしました。流れてるMIXが普通によかったのでセトリ知りたかった~ ボカロが一曲あった気がする(たぶん宵宵古今) キャストのお着替えも複数回あり一身上の都合で警察官礼装と白詰襟に大興奮しつつ個人的にいちばんテンション上がったのは超絶セクシーチップガール・メグちゃんの突発プレお誕生日パフォーマンス。正式なお誕生日イベは後日予定されてたみたいなんだけどその日はどうやら本人にもナイショで企画されたようで、ステージからDJにホントに? ホントにやるの? って確認してたメグちゃんが鬼カワイかったです。網タイツポリスでわれわれにチップを売ってくれていたメグちゃんが上衣を脱いで披露してくれたラップダンス、もとい一般のおんなのことの絡みがあまりに最高すぎて、今までがカワイ~かっこい~♡ ぐらいのテンションだったのがギャ~~~!!! ガワイ~~~!!!  にブチ上がりわたしの二の腕は翌日無事に筋肉痛になった 東にライブで股関節を痛める女あれば西にストリップで二の腕をヤられる女ありけり(別に自分がステージに立ってたわけではない) ちなみにチップは事前予約を確認したあとの入場とともに2枚だか4枚だかもらえて、あとの追加は1000円で4枚買えるシステム。やっす。デフレか? と言いながら各々3000円出したり10000円出してレイ型チップ(自分の首から掛けておいてチップタイムになったらキャストに掛けてあげる)プラチナバージョンを買ったり、わたしはたまたま中身見ずに掴んだ札が5000円だったので「もう5000円でいいや~」とヘラヘラしながら買うなどしたあげく最後の会計時友達に金を借りました(懺悔録) ホントに申し訳ございません もういい歳なのに でも買えるだけ買ったほうが絶対楽しいとはおもう チップタイムはステージ上や通路でセクシー爆発させながら踊ってくれるキャストの服やらパンツやら何やらに挟みたいだけチップを挟んでいく方式です。こっちが口でチップをくわえて示した場合にはキャストも口で受け取るとのことで、てっきり手で渡す分にはその限りではないのかとおもったら衣装にチップを挟んだあとお礼としてほっぺにも口にもあまりに普通にチューされるのでバカウケしてしまった  1枚250円しか払ってないってのになんだこれは オタク、二次元だろうが三次元だろうがテレビのあっち側だろうがこっち側だろうが美しいヒューマンに対して金を払いたがりすぎる なんとなく年齢層高めで女子しかいないみたいな客層の雰囲気なのかな~と始めはおもってたんですけど大学生ぐらいに見える子もいたし、男女のカップルもいれば特定の推しとしゃべりに来てるとわかる常連ぽいおひとりさまもいてなかなか多彩でした。2階含めてもフロアがそんなに広くないので一回のショーにそんなに大人数は入らなそうだったし、キャストもお客さんを覚えやすいし客も推しと近づきやすいのかもしれないなとおもった トークがじょうずでお顔立ちのいいイカしたプロポーションの男(たまにおんなのこ)の肉体を拳上げて応援する夜遊び、想像よりかなり楽しくてよかったです。友達とも「すごい楽しいモンを覚えてしまった」「次はもっと払おうね」と約束して終電で帰り、風呂に入って4時間ほど寝て次の日普通に出社した。ちゃんひろ初めてのメンズストリップショー 完
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17memorial · 4 years ago
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進歩 2021.5.29
辛いことほど記したくなる性分なのかもしれない。最後に日記を記してから、随分と時間が経ってしまった。あれから私は高校を卒業し、大学一年になった。一人暮らしの部屋はようやっと兄弟の重荷、多数と生活をしないことによるタスクの減少から、かなり時間の余裕が生まれる。そんな気がしていた。というかその点は事実そうだった。一人暮らしがそうそう楽ではない覚悟はあったが、それなりにも自身の気が楽になる生活ではあった。メンタル面は以前よりも改善され自身がいかに恵まれた環境にいるかを十分に理解できている。料理は自分の分だけで良いし、家事掃除も急かされず、誰かの分まで余計にやる必要もない。食器は以前よりも少ない量を片せばシンクは綺麗だし、掃除機もかける面積は少ない。大学の授業がご時世のせいで遠隔ばかりで手応えがないのは些か問題だが、この環境なら満足に学習ができる。だが美術大学という場に入ってはやくも2ヶ月ほどは経つ。しかしここで自身が「自分が何をしたいのか分からなくなっていく」感覚が、今日、脳天を突き破って洗面所を滑り落ちた。
そもそも、私が一人暮らしになったのは「実家と大学の距離」と「環境」であった。家庭環境に金銭的な不備はない。金銭的な不備がなければ人生に余裕くらいあるだろうと思われるかもしれないが、何しろ私の金ではないから、当然一人になれば金銭的な危機は当たり前にある。それは良いとしよう。私は金銭で解決できない。所謂「めんどくさい精神」が不貞腐れている状態にあるのだ。
いつかみた文面では「鬱の時に書く日記ほど最悪なものはない」と知ったのが、おおよそ中学一年位だろうか。私は愚かにも中学二年~高校一年まで酷い鬱になり、不登校と不良行為の最悪陰キャであった。好きなものは絵を描くことと文を書くこと読むことで、これが私の人生の最悪の癌であり私の薬であった。そう言う時期に、欠かさずしっかり日記をつけていたのだから、馬鹿。
絵は好きだ。自分の見たいものを見えるようにするために趣味で描いてきた。これで生きようとは思った事がなかった。そう思うようになったのは、中学二年生くらい。ある絵描きに心の底から憧れた。その人を真似てハンドルネームを作り、それをもう5年弱は使い続けている。その人を見て思った。私もこうして、いつか誰かの手を引く様な絵描きになりたい。その思いは持ち前の執着か一途かよく分からない意思で、私をその人と同じ大学に入れるほど「絵描き」と言う職に身体を焼き付けていった。今でもその煤がしつこくまとわりつくのを、よしとしている。
字書きは私の「軸」であった。言うよりは、支柱かもしれない。絵描きより先に志した夢がそうだった。しかし小学校低学年の時の作文は見るに堪えない。☆とか余裕で使ってた。携帯小説やインターネットを愛する品性最悪のクソマセガキだった。その私が初めて真剣に、ようやっとまともな文を綴り始めたのは、星のカービィの二次創作小説だった。人生で初めて書き切った長編小説だった。400字詰め百枚の原稿用紙のセットに、一生懸命鉛筆で書き込んだのを覚えている。わかっていた。二次創作を書くばかりでは、しょうみ何の解決にもならない。その長編を書き切った頃、私は字書きとしてのオリジナリティを求めるために、一次創作へと身を乗り出した。そんな矢先、自分���しては良いアイデアだと、これを早急に書き留めなければと自前の原稿用紙を学校で取り出そうとしたところ、迂闊にも私はそれを切らしていた。恥ずかしながらと担任に「原稿用紙を一枚でも良いので、くれませんか」とお願いしたところ、「お前は無駄にするからダメだ」と半笑いで返され��しまった。私は悪い冗談だと思って「ええ、良いじゃないですか」と言ったが、どうやら本気で「無駄にされる」と言う心持ちだった教師は、結局私に原稿用紙を一枚もくれないままだった。ろくに作品を読まれていたわけではない。読ませたこともない相手に「原稿用紙を無駄にされる」と判断された私は、小学生の幼さと、その言葉が嫌に胸に刺さって「もう小説家なんて無理だ」とそこで完全に諦めてしまった。それ以外になりたいものなんて当時はなかったし、結局は私は小学校卒業の際、全校生徒保護者の前で発表する「将来の夢」のスピーチを、虚勢の乗った「小説家」という文で乗り切った。ひどく後味が悪かった。当時、これ以上にもなく惚れていた男の背中も、無言で見送った。
その夢を諦めたのが、およそ小学4年だったか。それから中学2年生まで、具体的な夢は一つとして浮かばなかった。中学一年の終わりから学校にも行かず、小学生の時から仲の良かった友人とは険悪になり、クラスの端っこにいる様な人間からは訳の分からないレッテルを貼られ、表向きはやれ友情だの仲間意識だのと声高に言う割には、根っこにギトギトと、中学生にしてはませた人間関係のゴシップを咀嚼する気持ちの悪い陰湿な人間の煮凝りの様なクラスと、気色の悪いステレオタイプの教師に苦しめられ、あるいは信仰宗教に首根っこを掴まれてるとは知らずに、自身を聖人と勘違いしている様な兄貴にバカにされながら渋々生きてきた。強いて言えば、当時の部活は放送部であったが、そこがとても居心地の良い場所であった事くらいだ。何よりも人間関係の全てが嫌になった。言語が通じる人間が気持ち悪くて仕方なくなった。全ておしまいだ。そう割り切って寝込み、それでも細々と日記を書いて生活した。中学二年生も終わりに近づくある日、細々と日記を続けて行くうちに私はふと思い立った。これが続くなら学校だって続く。まぁ無理だったが、出席も成績も足りない私は、そもそも人間関係に失望し切っていたのもあり高校に行く気はなかった。英語を独学で学び、母の実家であるフィリピンで場所を借りて細々と絵を描こう。そう言う風に思っていた。当時英語と国語だけは良い点を取れていたので、母も了解していたし、そのつもりだった。それでもお節介に教師は私に進学を勧めた。元はと言えばお前の授業が嫌なのもあるのに、何様だと思ったが、高校の全ては今となっては何もかもが最高だったから、その点においてはただ一つ唯一評価できる。素直に。
そうして女子校に入学した。初めは誰とも話したくなかったし、話さなかった。自己紹介とか嫌いだ。今でもそう。自己を紹介というのが好きではない。初対面の掴みのために自分を差し出したくないからだ。だから今も、自己紹介の時は「特別何というものはありませんが、強いて言えば家事掃除を好んでやります」と言う。「偉いですね」から特に発展しないからだし、大体の人は「私は苦手です」と自己に挿げ替えたところを「ですよね」と言えば全て終わる。実際「好んでやる」よりは「やるのが苦しくないだけで別に好きでもない」し。自分を最大限曝け出さずに済む。家事掃除をやらないのはヒモか金持ちか怠け者か俺の兄貴くらいだと思っている。
高校は最高の場所だった。色々なものの刺激を受けた。自分より絵の上手い人間を妬む心もなく、いつも純真に感心していた。やりたい表現を誰もが楽しんで表現したり、理想のためにみんなで苦悶した。私は美術系統における提出物はいっとう早い人間だったので、いつも納期に余裕を持って提出したをしては、追い詰められた友人を煽り応援し、また身内ノリで許されることのギリギリ全てを責めた。どこへいってもクソガキだった。軽音だってやった。軽音は私のやりたい表現の一つだったが、この道の地が固まるのは少し時間がかかった。初めは自分の入ったバンドが4回くらい解散した。こいつはずっと一緒にやってくれると信じた人も、惜しく舞台を降りたこともあった。本当にダメなのかもしれない。私は音楽に歓迎されていないかもしれない。それでもようやく、かき集められる様にして一欠片のバンドができたのは、高校一年終わりのギリギリくらいだっただろうか。ひどく時間がかかった。そうして果てにできたバンドを私は離したくなかったし、自分と軽音をやってくれる数少ない人間を愛してやまなかった。高校の生活は、時間を追うごとに艶を増して、その思い出の一つも落として行きたくないほど全てが愛おしく輝いていた。私の知らない表現を一緒に楽しむ人がいて、私の表現を心から楽しむ人と、応援する人がいた。こんなに幸せで良いのかとむしろ苦しんでしまう時があったほど。私は確信があった。「絵で生きていく」と言う強い意志が、覚悟が高校で養われた。夢でも良い。これが大学で打ち壊されることがあるかもしれない。それでもこの思い出は一片も無駄がない。その高校から卒業してしまう瞬間なんてのは、もうたまらなかった。惜しすぎて実感がなかった。正直、今もない。目が覚めて制服に腕を通して、いつもの駅へ向かう事になっても、きっと一切の迷いもなく、私は自分の教室へ行くと思う。
こうして思い返すと、なぜ今こうして自分が五里霧中に陥っているのか逆に分からないくらいだ。今こうして美大に入り、自分の学びたいことを学んでいる。その先駆けの時期というのに、ありとあらゆるビジョンが浮かばずにいる。自身の表現を固める必要はないのかもしれない。しかし打つべき文字を打つことに何故だか気が重くなり、重ねるべき線を重ねるのに迷いがある。日々余裕がある生活のはずが、何が余裕かと無性に困惑している。与えられた自由に怯えているのか、あるいは一つ明確に、切れかけの蛍光灯の様に浮かんでは消える思想が、チラチラと脳裏をよぎる。私は絵も文も中途半端過ぎるのではないか?もちろん、それは今与えられた環境に出来る力を持って全力で臨めばいい。わかっているが、私は本当に「絵を上手くしたい」のだろうか。私は本当に「文を書くことが好き」なのか?何故好きだったのか、仄暗い洗面所の鏡に映る自分を見るうちに、「自身が何を望んでいるのか」何も分からなくなってしまった。焦る必要はない。そう思っても良いかもしれないが、ここでじっとしている場合でも、怠けている暇もない。そんな気がする。
自分のことは自分がよくわかると言うが、自分の何が分からないのかをわかるのも自分なわけだ。私は何を渇望すれば良いのか。私は何になりたいのか。尽きず精神の揚げ足を取り続けている。この不安を誰かに取り除いてほしいわけではない。助けてと声を上げたいわけではない。他人の声ではどうにもならない苦悶なら、この世にごまんとある。おおよその人間は、解決を決めてから不備の確認の様に人に相談をする。私はそんな人間になりたくない。自己純度の高いまま、全てを決めていたい。だから、この不安はただの独白であり、助けではない。私がただ痛みを露見させ、誰の声も求めない。後味最悪の、言うならゲロの見せ物なのだから。そこで不快になれば良い。ただ、もし。これが一つの文として「成っている」ならば、その声だけは嬉々として受け入れようと思う。ご都合は万能薬だから。
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tinndaisou · 4 years ago
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#9 ビョン・ドユン
職業 アパレル販売員 1996年韓国光州生まれ。
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"元々イラストレーターになりたかった。元々留学なんか考えてもなかった"
幼い頃からアニメを見るのが大好きだったという彼女。そんな彼女が興味をもったのは、アニメーションの方ではなく、"イラスト"の方だった。地元光州(クァンジュ)の高校卒業後、イラストレーターを志し、江南(カンナム)の芸術大学へ進んだ。
芸大生としての日々を過ごしていたのだが、ある日突然日本にいる叔母から『日本に来てやれば?』と連絡がきた。
「親にも『いい機会だから行きなよ』ってすごい勧められたんですけど、最初はまったくいきたいと思わなかった。慣れるの難しいし、適応なんかできるわけない、皆行ってもぜったい帰ってくるし、お金の無駄って、留学に対してネガティブな考えしかなかったです。
イラストを学ぶ中で、結局は書いたイラストを服にやりたいって思いはどこかにあって。でも服のことなんてなんにも知らない。昔から古着が好きで、韓国で買ったほとんどの古着のタグに日本語が書いてあったんです。自分のファッションは基本古着で、韓国では理解してもらえてなくて、もっと自由に服を着たいのもあったし、他人にチラチラみられるよりこれが普通になりたかった。
韓国がいっているおしゃれは、普通っていう枠が一個あって、そのカテゴリーの中でそれを綺麗に着ること。スタイルがただただ良く���みたいなスタイルまかせがあんまり好きじゃなかったですね。周りから変わってるって言われる意味もわからなかったです。それでイラストを学びにいくためなら嫌だけど、ファッション勉強だったら日本アリかもって。でも親にはアニメ学びに行くって言って日本にきました(笑)。」
こうしてイラストの道からファッションへ大きく舵を切ることとなったのが19歳の冬。
"あの子は頑張って親に買ってもらう 自分は頑張ってゴミを拾う"
そんな彼女が古着を好きになったきっかけは小学校の時だ。同じクラスで同じアパートだった友達から感化されたという。
「その時まだ小学2年とかそのくらいなんだけど、当時からその子はすごいおしゃれで。それを隣でずっと見てて"自分もおしゃれしたい"って思うようになりました。だけど、うちの親がとにかくケチで。小5とかになると周りはナイキとか、普通のバックになってきだすんですけど、自分は小1で買ってもらったピンクのキャラクターのバックのまま、それがほんとに嫌で(笑)。それで安いものならってことで古着。古着っていっても処分するゴミみたいなタダでもらえるやつ。その中から自分の着たい物を探して、選んでました。その子の隣にいたから自分もおしゃれになりたくて服が好きになったけど、入る道は違ったみたい(笑)」
周囲のように買ってもらえない不便の中から知恵をしぼりだし、行き着いた先が古着。冷蔵庫のあるものだけで、旦那の胃袋を満足させる世の主婦のように、"ゴミを組み合わせ次第でいかにおしゃれにコーデするか"、現在の彼女の"ダル着"ファッションはまさしくここで確立された。と同時に、そのスタイルこそ周囲のファッションから離れる元となったそうだ。
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いきなり決定した日本行き。叔母の家のあった川崎の日本語学校へ通い、1年3ヶ月過ごした後文化装飾学院に入学。
「日本にきた時、本屋で『装苑』ていう雑誌をチラッと見てて、この雑誌いいなって思ってたんです。その後たまたまいった文化のオープンキャンパスで、配布された資料の中にその『装苑』が入ってって、"これ文化のなんだ!学校がこんなおしゃれな雑誌だすんだ"って。それで行きたくなりました。日本にきた時は、とりあえず日本語!しか考えてなかったから、目当ての学校があったわけでもないし、文化が有名だとかもまったく知らなかったです。」
かくして、念願のファッションの道のスタートラインに立った彼女。念願だけあって1、2年は服の製作に没頭、学校は無遅刻無欠席とストイック。
そのストイックさは、サボる友達にも説教するほどのものだった。しかし、2年の途中からそんな生活が一変してガラリと変わっていった。
「当時の彼氏と出会ってから、もう休みまくりで(笑)1週間の内3回は休むか遅刻してましたね。自分が叱った友達の中でも、彼氏出来て学校に来なくなった子も居て、その子に『彼氏が全てじゃないから、休む言い訳にならない』て言ってたくらいなのに、自分がまったくいっしょの事をやってました(笑)いままで学業が軸だったのに、恋愛が軸になってました。」
1つ上の当時の彼氏が一足先に卒業。彼氏との時間はもちろん減っていったが、"学校に行かない"のは治らないまま。さらに、彼氏と別れたあともそんな状態はずっと続いた。しかし、この時期こそ彼女のターニングポイントなのだ。
「毎日遊んでました。クラブいったり、飲んだりって要は荒れてました(笑)。ただ、この時期にこれまでの行動範囲が広がって、色んな場に行くようになって。色んなモノを見たり、他分野の人と知り合ったり。夜遊びして家事を手伝わないのが続き、叔母が怒って"出て行け"って言われて、それに反抗して勢いで一人暮らしを始めたのもこの時で、とにかく新しい経験だらけでした。」
就活もせずに遊び呆ける生活に終止符を打ったのは、焦り。さすがにやばいってことで学校の求人表を見に。そこで見たひとつの求人"宇宙人募集"に惹かれた。
「先生に聞いたら、アートもインテリアもある会社くらいしか言われなかったんですけど、なによりその宇宙人募集がおもしろくて。それを一人の友達に話したら、『そこ今うちが1番行きたいところだよ』って言われて、別のアート好きの友達にも話し、ノリみたいな感じで3人で最初話を聞きにいきました。」
その会社とは、海外のファッションを中心に雑貨、インテリア、アートを幅広く手掛けるアシュペーフランス。この春そこにデザイナーとしてではなく、接客他総合職として就職した。服を作ることを夢見て日本にきた彼女がなぜ接客を選んだのだろうか。
「3年生になった時点で服を作ることに興味を失いました。製作前に先生とデザイン相談で話すんだけど、これはこうで、ここはこんな感じの服なんですよって、作る前からすごい楽しかったんですけど…。
それがいつからか"自分が作りたい物を作るため"じゃなくて"課題をやるため"、"早く終わらせないと卒業できないから"ていう風になってきて。そんな気持ちで作っちゃったから、3年生の時作っ��作品全部嫌いだし、そっからもう楽しくなくなっちゃいました。そんな時ちょうど始めてたバイト���ラグタグ」で接客向いてるかもって思ったんです。今はまったく向いてないと思ってるんですけど(笑)ラグタグで接客する内に、販売員って簡単なことじゃないんだ、ブランドや服の知識をちゃんと伝えることはすごいんだって思いました。自分が勧めた服をお客さんが買ってくれた時はもう幸せで、その瞬間を見れるのはすごい素敵だなって。だから今は服作りは一旦置いといて、次は服の魅力を伝えれるようになりたいですね。」
日本にきて今年で5年目になる。韓国に戻る気はないという彼女が今後日本でしたいことはなんなのだろうか。
「昔から変わらずあるのが、やっぱり古着が好きだから、古着屋。プラスリメイク屋みたいな、カスタムやオーダーもできるよう工房もあるような店をやりたいです。ただ、今は楽しめる場所。ベースはもちろん古着屋なんだけど、夜はバーやったり、DJとか音楽とか色々できるそんな人が集まる空間をつくりたいです。」
ターニングポイントと話したあの時期に自身が身をおいていた空間。それを今度は、自らが他の誰かに与えようとしていた。
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余談
彼女の、高いの基準は2500円
ブックオフで3~4時間ずっと服を見ては試着を繰り返していたほどの堅実古着オタクだ。
photo: Tatsuya Kirita   text: Yuta Watanabe
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15800 · 5 years ago
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恋愛相談 50代男性編 【実践編】 すっかりファッションリーダーと化した50代男性の恋愛相談ですが、外見ばかり磨いても結局は何の進歩もありませんでした。 いや外見を変化させる事で、自分に自信がつき、少しは良い方向へ進むのではないかという私の考えが甘かったのかもわかりません。 もっと本質の部分を強化しなければならない、そんな思いから、今回は実践トレーニングを交えての体験型恋愛相談というスタイルをとってみました。 私 「最近どないですの」 彼 「なーんもええことないわ、だーれも声かけてくれへんし」 私 「まだ逆ナン待ちしてますん」 彼 「せやけど僕が声かけたかて「なんやこのオッサン」ゆわれるだけやで」 私 「どんな事言おうおもてますん、まずは挨拶だけでもええやんか」 彼 「挨拶しても次が続かんがな次が」 私 「とりあえずは相手を褒めたらええんやんか、髪型でも服でも」 彼 「僕人を褒めたりようせんわ」 私 「なんやて?見たまま言うだけやん」 彼 「人を褒めるようなキャラちゃうもん」 私 「なんのキャラですの、そーゆーたら俺の事も褒めたことないよな実際問題」 彼 「僕それだけは苦手やねん」 50年以上生きてきて、まともに人を褒めた事がないというから驚きです。 そもそも彼は企業のオーナーですから、沢山の社員をかかえています。 社員をさえ褒めた事がないなんて、社長として失格ではないでしょうか。 とりあえず人を褒める練習が必要であると判断し、2人の行きつけのカフェーにて、20代女子スタッフに練習台になってもらう事にしました。 5人いる女子スタッフを順番に我々のテーブル席に呼びつけ、私の見守る中、彼女たちを褒めてもらうという方法です。 彼女たちには、理由は告げていません。 1人目の24歳の女子がやってきました。 彼女はモデルのようにスラッと背が高く、誰もが振り返るほどの美人です。 ここでは名前をEちゃんとしましょう。 E 「どーしたんですか?」 私 (彼のほうを注目) 彼 「、、、、(彼女と俺をチラチラ)」 E 「????」 私 「はよ言いーな」 彼 「せやかて何をゆーたらええんよ」 私 「何ていっぱいあるがな」 彼 「、、、、(彼女と俺をチラチラ)」 私 「何をしとんねや」 E 「なんですかぁ?」 私 「ええわええわ、ごめ。ごめ。ありがとうな」 彼女は不思議そうに帰っていきました。 私 「何をやってるんすか」 彼 「せやかてそなもん急に褒められるわけないやんか」 私 「ほならいつやったら褒めれんねん」 2人目の21歳の女子がやってきました。 彼女はボーイッシュな感じのショートヘアの似合う美人です。 ここでは名前をYちゃんとしましょう。 Y 「こんにちわお久しぶりです」 私 (彼のほうをガン見) 彼 「、、、、(彼女と俺をチラチラ)」 E 「何かありました?」 彼 「、、、、(彼女と俺をチラチラ)」 私 「はよ言いーな」 彼 「せやかて何をゆーたらええんよ」 私 「何ていっぱいあるがな」 彼 「、、、、(彼女と俺をチラチラ)」 私 「何をしとんねや」 E 「なんですか?」 私 「ええわええわ、ごめ。ごめ。ありがとうな」 結局その後の3人にも、彼は全く同じ対応をし、このトレーニングは終了しました。 彼女たちには後で事情を説明し謝罪いたしました。 事情を理解した彼女たちはその後、いかに褒めてもらう事が嬉しいか、またどんな些細な事でも気付いて、さりげなく褒めてくれる人の事は、やはり印象に残るものであるという話を直接してくれました。 しかし彼は「なかなか簡単にはできないと」言うばかりでした。 最後レジでも同様の課題を与え、後方から見守っていましたが、結果は同じ。 結局この日彼は、誰一人褒める事ができなかったのです。 それから一週間後、彼と会った時の事です。 彼 「そのネクタイええやんか」 私 「おっ!!褒めとるし」 彼 「えへへへ」 私 「ええがなええがな、それでええがな」 彼 「せやけどちょっと色がアカンわ」 私 「ほっとい��くれ!」 彼 「そのスーツにその色のネクタイは合わへん」 私 「ただのファッションにうるさいオッサンやん」 しかし、あれから彼は「常に人を褒める」という意識を持って過ごしているようです。 まだまだ恥ずかしそうではありますが、女子に対しても褒め言葉が言えるようになったと言います。 一歩ずつですが、確実に彼は進化しつつあります。 今後も彼の変化に目が離せません。 ■前回までの恋愛相談 ・恋愛相談 50代男性編 【続編】 ・恋愛相談 50代男性編 ・恋愛相談 20代女子編 #殿のコラム #恋愛相談50代男性編実践編 #恋愛相談50代男性編 #恋愛相談 https://www.instagram.com/p/B-dW3rtJuub/?igshid=wwvsegehtq2t
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ama-gaeru · 8 years ago
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ののみちゃん・フライ・ハイ
 春なんですよ。
 ののみちゃん・フライ・ハイ。
 そういう時期なんですから。
 ののみちゃんは衣装箪笥の上に立っているんです。
 足を肩幅に開き、腰を軽く落として、後ろに尻を突き出し、目に見えない対戦相手に向かって「どこからでもかかって来い」というように両手を広げているのです。
 その体は左右に規則正しく揺れているのです。
 ダウンタウンDXを観ている人ならば、その揺れのリズムが遠藤斉唱の「サンバのリズムを知ってるかい?」のリズムと完全に一致していると気がついたでしょう。ホホホーイホホホーイまではいきません。「サンバのリズムを知ってるかい?」をリピートです。
 イトーヨーカドーで買った3足500円の靴下がミルクパンみたいに丸くなって衣装箪笥の側に落ちています。脱いでから時間が経ちましたのでののみちゃんの体温は失われていますが、臭さは健在です。
 ののみちゃんはウェスト部分にゴムの入ったスカートを履き、ブランケット素材でできたトレーナーを着ています。
 全体的に冷えた筑前煮みたいな色味です。
 そんなののみちゃんの顔はミル・マスカラスモデルのマスクですっぽりと覆われています。
 この静かな部屋でマスクだけが色鮮やかです。
 ののみちゃんは今年で57歳になりました。還暦まであと3年です。
 世間一般の57歳は眠っているお母さんの部屋にこっそりと忍び込んで、ミル・マスカラス風のマスクをつけて、衣装箪笥の上で体を遠藤斉唱のリズムで揺らしたりはしません。
 少なくとも大多数の57歳はそんなことはしません。これが60代半ばを過ぎるとまた話は変わってきますけれども。
 ミル・マスカラス風マスクからのぞく、ののみちゃんの目は介護ベッドで寝ているお母さんに釘付けです。
 お母さんの体は薄手の布団に覆われています。
 その体はゆっくり、ゆっくり、動いています。
 お母さんが自分で動いているのではありません。
 介護ベッドのマットが右に傾いたり、左に傾いたりしているのです。
 お母さんの体に床ずれができないように。
 それはとても素晴らしい介護ベッドです。
 ベッドの高さも、マットの角度も調整できますし、付属のリストバンドは常にお母さんの血圧、脈拍、体温などを計測していて、異常があればすぐに近隣の病院ないし、登録済みのメールアドレスに連絡が行くようになっています。
 10年前にくも膜下出血がお母さんの脳みそを殴りつけて以来、この介護ベッドはお母さんの生活を支えつつ、ののみちゃんのお財布から月々3,468円を吸い取ってゆくのです。
 年間総額416,160円。プラス電気代。
 けれどもののみちゃんにミル・マスカラスのマスクをかぶらせるに至ったのは、そんなチンケなお金が原因ではないのです。
   ののみちゃんのお姉ちゃんはとても困ったお姉ちゃんでした。
 ののみちゃんより6歳年上で、ののみちゃんが物心つく頃には反抗期の真っ只中でした。
 定番の「お父さんの服と一緒に私の服を洗わないで」「私のヘアブラシを使わないで」「私のシャンプーを使わないで」から始まり、「自分の部屋が欲しい」「友達の家に泊まってるから土日は帰らない」「朝ごはんいらない」「お母さんのお弁当はダサいからいらない」「お母さんと買い物に行くのいやだからお金だけ頂戴」になり、最終的には「こんな家、とっとと出てってやるから! バーカ!」で締めくくります。
 ののみちゃんのお姉ちゃんが部屋に閉じこ���ってしまったり、あるいは化粧をして夜中に出かけてしまうたびに、ののみちゃんのお母さんはののみちゃんにこう言いました。
 「ののみちゃんは本当に良い子ね。お姉ちゃんみたいになっちゃダメよ。ああいう子は大人になったら酷い目にあうんだからね」
 「ののみちゃんは手がかからないけど、お姉ちゃんは本当にどうしょうもない」
 「ののみちゃんがいてくれてよかった」
 ののみちゃんはそう言われて悪い気はしませんでした。
 だってののみちゃんのお姉ちゃんは人気者でした。
 学校の先生達はののみちゃんに「お姉ちゃんには手を焼かされたよ」と嬉しそうに言いました。
 そしてののみちゃんがお姉ちゃんとは苗字以外には共通点がないことを悟ると途端に石ころを見る目でののみちゃんを見るようになるのです。
 全然知らない学校の、全然知らない子供達に「渡部先輩の妹さんでしょ? これ、先輩に渡しといてくれる?」とチョコレートやぬいぐるみやラブレターを渡されることもありました。
 全然知らない学校の、全然知らない子供達がののみちゃんをチラチラ見ながら「本当にアレなの?」「苗字が同じだけじゃないの?」「お前、聞いてこいよ」「じゃんけんで決めれば良いだろ」とブツブツ言うのも度々ありました。  ののみちゃんのお姉ちゃんを知っている人は、ののみちゃんにがっかりするのが常でした。
 ののみちゃんはATARIで、ののみちゃんのお姉ちゃんはX-Boxでした。シーローグリーンの歌みたいに。ナウベイベーベイベーベイベーワイワドユワナワナハトミビソバーッ(ソーバッソーバッソーバッ)。
 ののみちゃんの事をののみちゃんのお姉ちゃんよりも上に扱ってくれるのはお母さんとお父さんだけだったのです。    ですからののみちゃんは良い子であり続けました。
 お母さんのお弁当を美味しく食べ、家事を手伝い、夕食までには家に帰り、お父さんが商店街で買ってくる変な服も喜んで着ました。
 お父さんの下着と一緒に自分の下着が選択されても平気でしたし、ヘアブラシも自分の物を持ちませんでしたし、シャンプーも家族共有の(お姉ちゃんは除きます)物を使いましたし、お友達の家にお泊りにもいきませんでした。
 ののみちゃんは安全な子でした。
 手のかからない子です。良い子です。
   それもののみちゃんが大学生になる頃には終わってしまいました。
 今思えば短い春でした。
 でも春はいつだって短いものなのです。
 お姉ちゃんは高校を卒業��ると同時に家を出て、ちょっと良い感じのアンティーク家具屋で働き始めました。
 家を出るとお姉ちゃんが決めた時、お父さんもお母さんもいい顔をしませんでした。
 「家賃がバカにならない」
 「実家の近くで働けばいいじゃないか」
 「ののみちゃんと違って本当にあんたは計画性がない」
 お父さんとお母さんはやいのやいの言いましたが、お姉ちゃんはもう住む場所を決めていましたし、当分の生活費用も貯めていたのです。
 こうしてお姉ちゃんは家を出て行きました。
 お父さんとお母さんはお姉ちゃんがいなくなってからしばらくの間はいつも通りお姉ちゃんを「ワガママでどうしょうもないバカ娘」だと言っていましたが、お姉ちゃんがどうやら本当に家に帰ってくる気がないとわかってくると、段ボール箱に野���やらお米やら親戚からもらった詰め合わせのお菓子やらを入れて送るようになりました。
 時々は電話をかけて楽しげにお喋りするようにもなりました。
 お姉ちゃんが家にいた頃よりも、お父さんもお母さんもお姉ちゃんが好きになったようでした。
 ののみちゃんの大学生活には関心がなくなってしまったようでした。
 そしてある朝、お母さんはののみちゃんの姿をしげしげと眺めました。
 その目つきときたら。
 押入れの奥に隠れていた古い服を見る目つきでした。
 「こんな服、いつ買ったのかしら? これまだ着れるかしら? 無理かしら。でももったいないから何か使い道探さなきゃね」
 そんな目でした。
「ののみちゃんももう大学生なんだから、ちょっとお洒落してみたらどうなの? お姉ちゃんみたいに」
 お父さんが続けました。
「お前もバイトとかしてみたらどうだ? ずっとこの家にいるわけでもないんだし。そんなんじゃいつまでたっても彼氏ができないぞ」
 その後、2人の関心は朝ドラに移ってしまいました。
 2人とも、自分達がののみちゃんに何をしたのかまるでわかっていませんでした。
 ののみちゃんは呆然と立ち尽くしていました。
 それはサッカーの試合中に突然、キックボクシングが始まったようなものでしたし、国語のテストに因数分解の問題が出たようなものでした。
 「オシャレすんなって言ったの、あんた達じゃん。彼氏作るなって言ったの、あんた達じゃん」
 ののみちゃんのお姉ちゃんだったらそう言ったでしょうが、ののみちゃんにはそれができませんでした。
 だってののみちゃんのお姉ちゃんみたいな行動は「悪いこと」ですから。
 ずっと、そう言いつけられてきたのですから。
 ののみちゃんにできたのは何も聞かなかったふりをして、トーストにバターを塗ることだけでした。
 時間だけは過ぎて行きました。
 みんなが前に進んで行きます。
 高校時代はののみちゃんと同じような冴えないぼんやりした子だったルミッチやマヤボンや星ちゃんは綺麗なお姉さんになって、そしてお嫁に行きました。
 お姉ちゃんは年に何回か帰ってきて、やがて爽やかな男の人を連れてきて、そして結婚して、子供ができて、やがて爽やか君の仕事の都合で九州に行きました。
 ののみちゃんはずっとののみちゃんでした。
 家の側の会社に行き、家の側のショッピングモールで買い物をし、東京にはあまり出かけません。
 電話の着信履歴は親のみです。
 友達とは繋がってはいますが、ののみちゃんが「大事な友達」だと思っていた相手にとって、自分が「大勢いる友達の1人」でしかないというのを思い知るのはののみちゃんにとっては酷なことでした。
 「このままではいけない」
 ののみちゃんはそう考えるようになりました。
 ののみちゃんはその時32歳。
 「まだなんとかなる」
 ののみちゃんはそう感じました。
 全てを変えなくてはいけないという思いつきは、ののみちゃんを突き動かしました。
 ののみちゃんは今まで行ったことのないオシャレな美容室に行き、思い切って髪を切りました。
 ののみちゃんは初めてサロンに行って、まつげカールを試してみました。
 銀座に行きました。可愛い服を買いましたし、可愛い靴も買いました。
 ののみちゃんは思いました。
 「なんとかなるかもしれない」
 ののみちゃんの言う「なんとか」というのは彼氏が欲しいとか、友達が欲しいとかではありません。
 もっと切実なものです。
 今日とは違う明日を歩くことができるのではないかという希望です。
 ののみちゃんは生まれてはじめて、自分で自分の人生のハンドルを握ろうとしたのです。
 と言うか、ハンドルがあることに気がついたのです。
 その時、ののみちゃんの人生はキラキラハイパーシャイニングスーパーウルトラアルティメットライトニングダイアモンドアンストッパブルアメージングでした。
 しかし初めてのドライブでは事故は起きるものなのです。
 ののみちゃん、クラッシュ。
 ののみちゃんはいつもの時間に家に帰りました。
 お父さんはお仕事でしたし、お母さんは買い物でしたので、お家はお墓みたいに静かでした。
 ののみちゃんは5種類のおしっこが染み込んだワンピースを誰にも見られずに捨てることができました。
 ののみちゃんはお風呂に入り、体を洗い、お風呂から出て、歯と舌を歯磨きで擦り、イソジンでウガイをし、もう一度お風呂に入り、体を洗い、そのままパジャマに着替えてベッドに倒れました。
 以降、ののみちゃんは筑前煮として生きることになります。
 妊娠はしていませんでした。
 ののみちゃんがお母さんに事故について打ち明けたのは事故から3ヶ月後のことでした。
 はいはーい。
 その時のののみちゃんのお母さんのモノマネをしまーす。
 「どうしてすぐに警察に行かなかったの! あんた、あんた、なんてバカなの! おとーさん! おとーさん! ちょっと来てちょうだい!」
 はいはーい。
 警察に行ってからのののみちゃんのお母さんのモノマネをしまーす。
 「もう本当にこの子ったらバカで、本当にすいません、今更ご迷惑ですよね。だってね、3ヶ月も、3ヶ月も前ですから。どうしてすぐ来なかったんだか! この子が言ってくれればよかったんですけど、この子ったらずっと黙ってたもんで。3ヶ月も。すぐ来てたらねぇ! すぐに来てたらなんとかなったかもしれないけど、本当にこの子は。夜中にね、女の子がね、1人で出かけたりするからこんなことになるんですよ。犯人は5人組で、場所はほら、あの道ですよ。ほら、うちからずっと喫茶店の方に歩いていくと市役所があるでしょう。地図、地図ないの? 地図。ほら、ののみちゃん。どこでされたのかちゃんと刑事さんにお話しなさい。あんたがしっかりしないと犯人捕まらないでしょ。ほら、しっかりしなさい。自分のことでしょ。どこなの。場所くらい覚えてるでしょ。ここなの? ここ? それともここ? 黙ってたらわからないでしょ! 3ヶ月も黙ってるから! だからわかんなくなるのよ! 本当にあんたは昔からぼーっとしてるんだから! お姉ちゃんはあんなにしっかりしてるのに! 真夜中ならわかるけど、ほとんど昼間じゃない! どんだけぼーっとしてたらあんな場所で襲われるのよ! どうせまたぼーっとしてたんでしょ! 犯人捕まえたいんでしょ! 辛くてもはっきりしなきゃダメでしょ! ねぇ、刑事さん、犯人捕まえるにはしっかりしなきゃダメですよね? ねぇ? だって3ヶ月も前の話なんだから! ほらほら、泣かないの。ののみちゃん。お母さんだってののみちゃんをそんな目に合わせた連中は許せないよ! ののみちゃんは悪くない。ほーら、全然悪くないの。だから泣かないで。他の人の迷惑でしょう。ほら、どんな相手だったかを刑事さんにお話しして。刑事さんがなんとかしてくれるから。だってねぇ、刑事さん、ののみちゃんは処女だったんですよ。処女だったんです。それなのにこんな目に合うなんて。ねぇ、大事なことですからきちんと書いてくださいね。娘はバージンだったんです。これって犯人が捕まって、裁判になった時に有利ですよね? ね? 終身刑とかにできるんじゃないですか? だって娘はこれから辛い人生を送らなきゃいけないし、もう元には戻れないんですから。もちろん親としてはあんなことがあっても大事な娘ですが、世間がね。世間がそうは思わないでしょう。トラウマとかもあるんでしょ? これから? 私も主人ももう年なんですよ。幸せな老後が台無しになったんです。娘の人生も台無しです。取り返しがつかないんです。だって、処女だったのに。もうまともな女じゃなくなっちゃったじゃないですか! ちょっと! ののみちゃん! 吐くなら吐くって先に言いなさい! 刑事さんに迷惑でしょう!」
 それから2週間後に犯人は捕まったんです。
 ののみちゃんの証言が役に立ったわけではありません。
 犯人達の1人が犯行の写真などが丸ごと残った8mmハンディカムを落とし、たまたまそれを拾った小学生のヒロが「拾った! 中身見ちゃおうぜ!」と教室に持ち込み、そして……と言うわけでした。
 はいはーい。
 犯人達の情報を知ったののみちゃんのお���さんのモノマネをしまーす。
 「中学生相手に……お前の方が大きいじゃないか……」
 あーあ!
 ののみちゃんが東方不敗マスター・アジアだったらなぁ!
 ののみちゃんのお父さんもお母さんも丸めてポイですよ!
 あーあ!
 ののみちゃんが東方不敗マスター・アジアだったらなぁ!
 ののみちゃんが東方不敗マスター・アジアだったらなぁ!
 そうだったらどんなに良かったことでしょう!
 ののみちゃんのお父さんもお母さんも丸めてポイですよ!
 でも思い出して欲しいんです。
 ののみちゃんはお父さんとお母さんに頭をなでなでされながら「いい子いい子」されて育ったんです。
 ののみちゃんは「いい子いい子」されるためにはお父さんとお母さんの言う通りにすればいいんだっていう世界でずっと生きてきたんです。
 魂に染み付いているのです。
 「お父さんとお母さんの言う通りにしていればいい子いい子してもらえる」
 ののみちゃんは一度、そこから飛び出そうとしてクラッシュしてしまいましたので、より熱心にお父さんとお母さんの言うことを聞くようになりました。
 お父さんとお母さんの言うことは絶対。
 お父さんとお母さんの言うことは真理。
 お父さんとお母さんの言うことは事実。
 お父さんとお母さんだけがののみちゃんをいい子いい子してくれる存在。
 ののみちゃんの宇宙は、そういった法則の元で膨張を始めたのです。
 今更、彼女に何ができます?
 もちろん。
 何もできませんとも。
 いい子のののみちゃんとして生きる以外に。
 ののみちゃんはそうして歳をとりました。
 35、40、45、50、55と。
 歳だけをとりました。
 35、40、45、50、55と。
 いい子の、いい子の、ののみちゃん。
 35、40、45、50、55と。
 ののみちゃんは時々、お風呂の中に体育座りして、顔を膝の間に入れるようにお湯に沈めて、そして叫ぶんです。
 ボゴボゴボゴボゴって空気がお湯を泡立たせます。
 肺が空っぽになったら顔を上げて、息を吸い込んで、また顔をお湯に沈めて、叫ぶんです。
 何を?
 思い通りにならない人生が続くことを?
 いいえ! まさか!
 人生が続くことそのものをです!
 そして遂に、ののみちゃんは聞いてしまったのです。
 バタートーストの美味しい地元の喫茶店ルーブルで。
 遂に、聞いてしまったのです。
 お父さんとお姉ちゃんと義理のお兄ちゃんが同居の話をしているのを。
 打ち解けた様子から、3人はもう何度も何度もののみちゃんに隠れて会っていたようでした。
 3人は喫茶店ルーブルの窓際の「コ」の字型の席に座っていて、ののみちゃんはそこからすこーしだけ離れたカウンター席にいました。
 ののみちゃんの姿はちょうどテーブル席からは観葉植物に阻まれてよく見えないのです。
 3人はののみちゃんには気がついていませんでした。
 そんなにお客さんがいない時間でしたから3人の声はよく響きました。
 はいはーい。
 3人のモノマネをしまーす。
 「もしお母さんに万が一のことがあったら、いつでも引っ越してきて平気だからね」
「お前達だって子供達がやっと巣立って、これから夫婦仲良くゆっくりしたいだろうっていうのに、こんな年寄りを背負わせってしまって本当にすまない」
「頭をあげてくださいよ、お義父さん。子供達が全員独立して、僕も花乃も寂しいなって思っていたんですから。豪邸とまで��いきませんけど、部屋数だけはたくさんあるので、気にしないでいらっしゃってください」
「そうだよ。お父さん。それに乃々美ももういい年なんだからさ。お父さんの介護まで任せるわけにいかないでしょ。そろそろあの子も自由にさせてあげなくちゃ」
「そうですよ。乃々美さんまだ50代でしょう? 今の50代なんて40代と変わんないんですから。全然1人でもやっていけますよ。乃々美さん、お義母さんの介護で退職するまではヘルパーさんでしょう? 人気職業なんだからすぐに復職できますよ。乃々美さんならあと10年は社会で活躍できますって」
「乃々美とお父さんが家を出たらあの家はあのまま賃貸にしてもいいし、駐車場にしてもいいじゃない? そりゃ、お父さんにしてみたら大事な家だからそう簡単には決められないだろけど、ほら、今後ね、お父さんの方もお母さんみたいに何かあるかもしれないじゃない。そうなった時のために色々前もって決めておかないと……ちょっと、お父さん、大丈夫? 泣いてるの?」
「お義父さん、大丈夫ですか? おい、誰か。水を持ってきてくれ」
「花乃、お前は最初の子どもだったから私も母さんも随分お前には厳しくしてしまった。今思えば本当に子どもの時のお前には悪いことをした。馬鹿な話だが、お前が家を出て行ってからようやくお前が私たちに取ってどれだけ大事な存在だったのかに気がついたんだよ。お前は本当に、本当に立派だよ。花乃。お前はいい娘だ」
「お父さん……色々あったけどお父さんとお母さんには感謝してる。私も馬鹿だったの。いつもお父さんとお母さんに心配かけてばかり居たんだから。今からでもこうやって、恩返しできる機会ができてよかったって思ってる」
「そうですよ。お義父さん」
「涙が出そうだ。ありがとう……お前はまともに育ってくれて本当に嬉しいよ。たった一人の自慢の娘だ」
 ののみちゃんは3人がいなくなってから喫茶店を出ました。
 家に帰り、お母さんの世話をし、それからとても体調が悪いと言って部屋に閉じこもりました。
 お父さんが「じゃぁ夕飯は?」と聞いてきましたが、ののみちゃんは答えませんでした。
 お父さんは大げさにため息をついて、部屋のドア越しにも聞こえる声で「お前は何にもやらないんだな! お母さんが可哀想だと思わないのか。あんなに大事に育てたのに、結婚もしないで親に頼って。誰の家に住まわせてもらっていると思っているんだ。俺を餓死させる気か」
 ののみちゃんがお母さんの介護のために仕事を辞めたことも、お母さんが元気だった頃から家事を全部ののみちゃんがやっていたことも、生活費の大多数がののみちゃんの貯金から出されていることも、お父さんは忘れてしまっているようでした。
 ののみちゃんは全身鏡を見つめます。
 疲れた老婆がそこにいます。
 ほとんど57年間全て。
 他の誰でもない、ののみちゃん自身にほったらかしにされてきた「ののみちゃん自身」が、暗く濁った目でののみちゃんを見つめていたのでした。
 ほとんど57年間。
 ののみちゃん、何やってたの。
 ほとんど57年も。
 「ポクエレヌンチャ!?」
 突然聞こえた男の声にののみちゃんは振り返りました。
 するとどうでしょう。
 ののみちゃんの机の上にプロレスラーが立っていたのです。
 顔には覆面。
 下半身はぴったりした銀色のスパッツ。
 編み上げブーツ。
 鍛え上げられた肉体。
 そう。
 間違いなく、それはミル・マスカラスだったのです。
「ポクエレヌンチャ!?」
 もう一度、ミル・マスカラスは言いました。少し怒っていました。
 彼は両腕を胸の前で組み、鼻を摘んと上に向け、ののみちゃんを見下ろしています。
 ものすごく偉そうですし、物理的にも上から目線でしたが相手はミル・マスカラスですから仕方がありません。
 その体はつい数秒前まで試合をしていたかのように汗ばみ、湯気が出ています。
「ポクエレヌンチャ!?」
 その声の強さにののみちゃんは身をすくめ、飛び上がります。
「どうしてプロレスラーが部屋に!?」
 当然の疑問でしたが、ミル・マスカラスは「バカなことを聞くな」というように鼻を鳴らしました。
 それから、彼はうっかり見落としていた何かに気がついたような顔をしました。
「エルアジャステエスデッファレンテ!」
 彼は窓に顔を向け、外に浮かぶ月に向かって叫びました。
 するとどうでしょう。
 月が開いたのです。まるで丸窓が内側から外に向かって開け放たれるように。
「うっせぇな、馬鹿野郎が! 怒鳴らなくったって聞こえてるよ、馬鹿野郎が! 落ち着いて一服もできねぇじゃねぇかよ、馬鹿野朗が!」
 頭にタオルを巻きつけた男が月の窓から顔を出しました。まだ火をつけたばかりのタバコを口にくわえています。
 窓から見えるのは所々ペンキのついた白いシャツと、日焼けした首と二の腕まででしたが、ののみちゃんは「絶対に裾の膨らんだ紫色のズボン履いてる」と思いました。
「エルアジャステエスデッファレンテ!」
「あぁ? 馬鹿野郎、間違ってねぇよ!」
「エルアジャステエスデッファレンテ!」
「どなんじゃねぇねぇよ、馬鹿野郎! うっせぇぞ、馬鹿野郎!」
 男は窓から離れ、姿を消しました。
 月の窓の奥にベニヤ板の壁が見えました。
 舞台のセットの裏側のようです。
 男が戻ってきました。折れ曲がった大学ノートを手にしています。
「おい、婆さん!」
 男はののみちゃんに向かって叫びます。
 ミル・マスカラスの出現、開いた月、そこから顔を出したテキ屋風の男。
 次々と訪れる意味のわからないものを前に、ののみちゃんは床にへたり込んでいました。
「婆さん! おい、ババア! ボケてんじゃねぇぞ、テメェだよ!」
 とうとう頭がおかしくなったんだ、とののみちゃんは思いました。
「ババァ! オバァーチャーン! もしもしー? 聞こえますかぁー?」
 男はくわえていたタバコをののみちゃんの方へと投げました。
 タバコは月の下の町へ落ちて消えましたが、数秒後にタバコの落ちたであろう場所の空が赤くなり、煙が上り始めました。
 「あれは図書館の方だな」とののみちゃんは思いました。
 男は窓から身を乗り出して自分の捨てタバコが原因で起こった火事を見下ろし、ゔわっはっはっはっと笑いました。
 傾いていた機嫌はなおったらしく、彼は笑い涙を指で拭いながら先ほどより穏やかに言いました。
「お婆ちゃん、あんたの右手の手のひらにボタンがついてるだろ」
 ののみちゃんは自分の手のひらに目を向けました。
 テレビのリモコンについているようなゴム製のボタンが10個程、規則正しく並んでいました。
 手のひらにボタンが貼り付いているのではなく、埋め込まれているのです。まるで生まれつきののみちゃんの手はこうだったのだと錯覚してしまうような、自然さでした。
「一番右下の青いボタンが字幕ボタンだから。それ押してみ」
 言われるがままののみちゃんは青いボタンを押しました。押した感触までテレビのリモコンと同じでした。しかし特に変わったことはありません。
「アステド・エンテンデール・ミス・パラボラル?」
 ミル・マスカラスの声に顔を上げると、ちょうどミル・マスカラスの胸の前あたりに何かが浮かんでいるのが見えました。しかしそれが何かわかる前に、それらは消えてしまいました。
「アステド・エンテンデール・ミス・パラボラル?」
 今一��ミル・マスカラスが言うと、またそれが現れました。
 それは字幕でした。
『私の言葉がわかるか?』
 ゴシックとも明朝とも違う不思議なフォントが、ミル・マスカラスの胸のあたりに浮いています。
「アステド・エンテンデール・ミス・パラボ」
「字幕じゃ分かり辛いか。お婆ちゃん、隣の黄色いボタン押してみ」
 ののみちゃんは言われるがままに黄色いボタンを押しました。
「ご婦人。私の言葉はわかるかね?」
 ミル・マスカラスは洋画劇場に出てくるアーノルド・シュワルツネッガーの声で喋りました。唇の開閉のタイミングと吹き替えの声のタイミングはぴったりでしたが、よーくみると唇の形と声の音がちょっとずれていました。
「喋った」
「喋るに決まってんだろ。吹き替えボタン押したんだから。おばぁちゃん、脳みそお留守ですかー?」
 ののみちゃんはテキ屋風の男をちょっと不愉快に感じ始めていました。だって、随分と無礼でしたから。
「かーっ! ぺっ!」
 それに下品です。燃えてる図書館に向かってツバを吐いています。
「私はミル・マスカラス。優雅に舞い、苛烈に戦う、右に出る者なしのエアマスター。切れ味は淡麗辛口。メキシコの勇者。真の英雄。そう。あのミル・マスカラスだ」
「よっ! みっちゃん、格好いい!」
 テキ屋が合いの手を挟みます。
 ミル・マスカラスは両手を腰にあてて、胸を反らします。
 両方の胸筋がぴくんぴくんと動きました。どうやらご機嫌なようです。
「どうして、プロレスラーが、部屋に?」
 ののみちゃんはもう一度言いました。
「それに、どうして、月の中から、人が?」
「それはあなたの脳みそが壊れてしまったからだ。ご婦人」
 ミル・マスカラスはなんてことないような口調で、ののみちゃんの立場にしてみれば結構深刻なことを言いました。
「私はあなたの頭の中に��る感情が、ミル・マスカラスの姿をして現れたものだ。つまりはこの私は、あなた自身が気がついていないあなたの姿と言える」
 胸筋がまたしてもぴくんぴくん。
「どうしてそんな、私が、そんな」
 覆面レスラーなんかに、とののみちゃんは言いかけました。
「高校生の時、あなたは私が舞うのを観た。深夜のテレビ番組『偉大なプロレスの歴史スペシャル海外編』で。たった一度だけ。ほんの1分だけ。あなたは私が空中で回転するのを観た。重力から解放された私の舞いを観た。あなたの人生の中で、この私こそが、自由に飛ぶ鷹であった。あなたにとって私はヘレン・ケラーにとってのWater。たった一つ、暗闇から抜け出す光への道しるべとなる単語だ。私は戦い方を知っている。だから今、こうして現れたのだ。あなたの心がようやく、戦おうとしているからだ」
「戦う、戦うって?」
 ののみちゃんはうろたえます。
「一体、誰と戦えっていうの? 私、こんなおばあちゃんよ?」
「決まってんだろ、お婆ちゃん。あんたの親とだ」
 月の男が言いました。
「それからあんた自身とだ。こんなの、本当は遅くても大学卒業する頃までに済ませとくもんだぜ」
「親? 親と戦えるわけないでしょう。お母さんは寝たきりだし、お父さんは自分じゃカップ麺だって作れないんだから。私が二人を守ってあげなきゃ」
 月の男がぎ��ははははははっと大笑いしました。
 男は新しいタバコに火をつけ、深く吸い込み、それからまた笑いました。
 まだ一口吸っただけのタバコをまた外に投げます。
 今度はスーパーマーケットが燃え始めました。
 男は自分が引き起こした火事を見下ろし、うーひひひひひと笑います。
 この人は悪魔なんじゃないかしら? とののみちゃんは思いました。
「今があなたのラストチャンス。今、戦わなければ、あなたは一度として自分のために立ち上がらなかった者となるのだ。ののみ。戦うのだ。両親と。そして自分と。簡単なことだ。ほんの少し勇気を出して踏み出せばいい。重力から解き放たれるのだ。ののみ」
 ミル・マスカラスはマスクを脱ぎ、それをののみちゃんに手渡しました。
 ミル・マスカラスの素顔は見えません。
 だってミル・マスカラスはマスクの下にさらにマスクをつけていたからです。
 さすがはミル・マスカラス。
 真の戦士は全てにおいて万全です。
「戦うのだ。自由になれ。重力を引き剥がし、華麗に飛ぶのだ」
 ミル・マスカラスはそう言うと、高くジャンプし、空中で膝を抱えてくるっと回転しました。
 そして、最初からそこには何もいなかったように、跡形もなく消えてしまったのです。
 マスクだけがののみちゃんの手の中に残されていました。
「お婆ちゃん、ちょっと高いところから飛んで、エルボーだよ、エルボー」
 月の男はまだそこにいました。
「な? エルボーだよ」
 男は肘で何かを殴るようなそぶりをしてから、月を閉じました。
 あとに残ったのは、大きくて綺麗な満月と、大火事になりつつある街の風景、そして例のマスクです。
 それで。
 ののみちゃんは「どうしようかしら」とおろおろしていました。
 腕や目の下をつねったりして、これが夢ではないことを確かめました。
 マスクを引っ張ったり、裏返したり、戻したり、折ったり、丸めたり、たたんだりしてみました。
 マスクは完全に手の中にありましたし、嗅いでみると少し、いいえ、かなり汗臭かったのです。
 ののみちゃんはまだ迷っていました。
 だってそんな、ねぇ?
 ののみちゃん、一度も自分のために生きたことがないんですから。
 あまりにも自分のために生きたことがないから、逆に自分のためにしか生きてこなかったって言えるくらいなんですから。
 つまりね、自分の人生の責任を全部自分以外に投げていたわけですよ。
 そういうののみちゃんだったわけなんですよ。
 極端から極端へ走っちゃうんですよね。ののみちゃんみたいなタイプは。
 だって中間ってものがわからないから。
 だからやるとなるととことんまでいくわけなんですよ。
 迷っちゃうんですよ。
 中間ってものが、わからないんですから。
 隣の部屋からお父さんの嫌味ったらしいため息と「どうしてこんな子に育ったんだか」という独り言の振りをした声が聞こえてきました。
 独り言ではないんですよね。
 だって、壁はとても薄くて、あれくらいの声で話せば筒抜けなの、この家に住んでいれば誰でもわかるんですから。
 それで、ののみちゃんは決めたんです。
 これは「とことん」の方のルートだなって。
 コールアンドレスポンスは「やっちまうかい?」からの「デストロイ!」。
 そういうことなんです。
 だから今。
 ののみちゃんは衣装箪笥の上に立っているんです。
 足を肩幅に開き、腰を軽く落として、後ろに尻を突き出し、目に見えない対戦相手に向かって「どこからでもかかって来い」というように両手を広げているのです。
 ののみちゃんの体が刻むビートはやはり「サンバのリズムを知ってるかい?」でしたが、ののみちゃんの心が刻むビートはミル・マスカラスのテーマなんです。これが以外とシンクロしているのです。
 虫の知らせというのがあるのでしょうね。
 ののみちゃんのお母さんは目を醒ましました。
 知ったことではありません。
 その驚愕の顔。
 その怯えた目。
 知ったことではありません。
 ののみちゃんの、知ったことではないんです。
 お母さんは割とすぐに、そこにいるのがミル・マスカラスではなく、ののみちゃんなのだと気がつきました。
 そりゃそうですよね。
 ののみちゃんの体がミル・マスカラスになったわけじゃないんですから。
 それに毎日顔をあわせてるんですから。
「あんた、なにバカなことやってんの」
 もうそこには驚愕はありません。
 怯えもありません。
 ののみちゃんを脱ぎ捨てた臭い靴下そのものだと思わせるような、そんな目です。
 敬意のかけらも、親しみのかけらも、全くない目です。
「あんたが変なことやってるから目が覚めちゃったじゃないの。一度起きちゃうと中々寝られないのに、本当に、あんたは」
「戦うのだ。自由になれ。重力を引き剥がし、華麗に飛ぶのだ」
「いいからさっさと出てって、あんた」
「重力から解き放たれるのだ。ののみ」
「鬱陶しいのよ」
「ののみ、解き放つのだ」
 ののみちゃん、フライ・ハイ。
 飛び上がって、フライ・ハイ。
 伸び上がって、フライ・ハイ。
 曲げた右肘を、フライ・ハイ。
 叩きつける、フライ・ハイ。
 こうして。
 ののみちゃんは。
 ののみちゃんは、今。
 歓声と熱気で蒸し風呂みたいになった後楽園ホールにいるんです。
 この世に食べ物は三種類。ラーメンか焼肉かチャーハンだけだ--そういう宗教に入っていそうな、実にほどほどにいい感じの男達が後楽園ホールに満ちているんです。
 そして全員が、ホール中央でキラキラと眩しく輝いている四角いリングに顔を向けているんです。
 ののみちゃんはそんな男達の中にいるんです。
 黒字にショッキングピンクでミル・マスカラスの勇姿が印刷されたTシャツを着ているんです。スニーカーにジーンズです。
「お姉さん、見えますか?」
 前に立っているムキムキがマッチョマッチョした男が振り返ってののみちゃんに聞きます。
 どうみてもおばあちゃんなののみちゃんをお姉さんと呼ぶのですから、ムキムキがマッチョマッチョした彼は、大変きちんと育てられた立派な青年のようです。
 ののみちゃんは「大丈夫ですよ」と答えます。
「時々、悪い顔した選手がこっちまできますけど、怖い顔してても殴られたりしませんから」
「そうそう、びっくりしますけど」
 左右のムキムキがマッチョマッチョした男達が言います。
 みんなとても親切です。
 ののみちゃんが初めてプロレスを観にきたと知るや、色々なことを教えてくれるのです。
「あ、ほら! 始まりますよ!」
 あの曲が流れ始めました。
 そう。
 ミル・マスカラスのあの曲です。
 ののみちゃんはポケットからあの日、幻想のミル・マスカラスから貰ったあのマスクを取り出し、それを被りました。
「すごい! 気合バッチリじゃないですか!」
 隣のムキムキがマッチョマッチョした男が手を叩きながら言います。
 あの日。
 ののみちゃんの放ったエルボーは、ののみちゃんのお母さんの顔の横、ふかふかの枕に沈みました。
 ののみちゃんは吃驚しているお母さんを置いて、スタスタと部屋を出ました。
 月にいるみたいでした。
 こんなにも体が軽いなんて、ののみちゃんは知りませんでした。
 ののみちゃんはスタスタと廊下を歩き、スタスタと自分の部屋に戻りました。
 お母さんの金切り声と、その金切り声のせいで目を醒ましたお父さんの怒鳴り声がデュエットしています。
 ののみちゃんの知ったことではありません。
 ののみちゃんはショルダーバックに必要なものを詰め込みます。
 通帳、現金、カード、ハンコなどなど。
 持って行こうと思うような個人的なものはありませんでした。
 お気に入りの本も、服も、お人形も、なにも。
 ミル・マスカラスのマスク以外は。
「おいおい、ばあーさん。マジかよ、おい」
 窓の外で月が開いて、あのガラの悪い男が顔を見せました。
「バカなのか? なぁ? やっちゃえばよかったろ? びびったの? かぁーっ! 意気地なしだなぁ! ここまできて」
「びびってなんかいませんよ」
 ののみちゃんはぴしゃりと言いました。
 これが私の声かしら? とちょっと不思議に思うくらいしゃんとした声でした。
「私は飛んだんです。飛べたんです。だからもう、他のことなんかどうだっていいの。エルボーが当たろうが、当たるまいが、もう、あの人たちは、私にはなんの関係もないの。あの人たち、あの重力は、もう、私には何にもできないんだから。私がそうさせないんだから」
 ののみちゃんはいつのまにか部屋の中に両腕を組んで立っていたミル・マスカラスにも言いました。
「私、完全に自由よ。だって、戦えるってわかったから。飛べるってわかったから。そういうことなんでしょう? あなたが伝えたかったのは」
 ミル・マスカラスは満足げに頷いて何かをいいましたが、吹き替えボタンも字幕ボタンも押し忘れていたので、彼がなにを言ったのか、ののみちゃんにはわかりませんでした。
 月の男はまた月を閉じてしまいましたし、ミル・マスカラスも消えてしまいました。
 ののみちゃんはキビキビした足取りで家を出ました。もう戻りませんでした。
 ののみちゃんの家族はののみちゃんがいなくなってすごく困っているかもしれませんし、全然困っていないかもしれません。
 どちらでもいいのです。ののみちゃんの知ったことではありません。
 行くあてはありませんでしたが、なんとかなりました。
 今、ののみちゃんは群馬で介護の仕事をしていて、そこで友達を4人作って時々ドトールでお茶を飲んだりして、ささやかなお庭のある部屋を借りていて、時々遊びに来るご近所の小学生のよくわからないスマホゲームの話に付きあってあげたりしています。
 上々の生活です。
 ののみちゃんは思います。
 これからはなにも失うことはないし、仮に失ったとしても、それで倒れてしまうことはないだろうと。
 だって、ねぇ。
 ののみちゃんは、戦えるんですからね。
 自分のために。
 本物のミル・マスカラスがリングの中で舞います。
 ののみちゃんは四方をムキムキがマッチョマッチョした男達に囲まれながら、本当のミル・マスカラスを応援します。
 たった一度、テレビで観ただけの、ののみちゃんのWater。
 
 どこまでも、華麗にフライ・ハイ!
※tumblrでのリブログ以外の転載・転用はお控えください 
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carguytimes · 7 years ago
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キャンピングカーの防寒/防暑対策:キャンピングカー生活の日常・その9【車中泊女子の全国縦断記】
そもそも筆者がキャンピングカー生活をしたいと思いはじめたきっかけは、「夏は北海道、冬は九州・沖縄で過ごしたい」という妄想からでした。インターネットを通して仕事ができれば可能ではないかと考えたのです。 実際のところ先立つものがなければ実現は困難、特に沖縄はフェリー代が高すぎてキャンピングカーで渡ったことはないのですが、おおむね「暑ければ避暑地、寒ければ暖かい地域」へと移動しながら過ごすことはできています。 ただ、それでも寒さ・暑さを避けられない日もあります。標高が高い場所で停泊したとき、朝起きたら銀世界だったこともありました。九州出身の筆者にとって5月はもう「初夏」。東北・北陸ならまだしも、西日本でもまだ雪が残っているところが多いことに驚いたものです。 逆に北海道ならどこでも涼しい訳ではないことも学習しました。近年では北海道でも都市部は35度をマークしたり、ゲリラ豪雨に見舞われたり、台風も直撃します。蒸し暑い中、雨で窓も開けられないのは最悪です。 筆者は愛犬と旅をしていたので、自分��け空調の利いた施設に逃げ込む訳にもいきません。そこで、ないアタマを絞って考えた、できるだけ安価で手軽にできる防寒/防暑対策の小技をご紹介します。 【防寒対策】 キャンピングカーの暖房には、FFヒーターを装備しているものが多いです。クルマのガソリン/軽油を燃料としており、エンジンを切っていても作動できます。 対して我が家Rocky21はガス暖房です。キッチンや冷蔵庫でも使用するため、Rocky21にはLPガスボンベを積んでいます。そのガスを使うのですが、さすがアメ車というべきか「ゴ———」と凄い音がします。温まるのは早いですが、ガスの減り方も早いです。ふだんは5kgボンベ1本で10日くらい保つのですが、ガス暖房を多用すると4〜5日くらいで終了してしまいます。それでは不経済だし、何よりうるさいのが難点。特に就寝時、不意に「ゴ———ッ!」と作動音が響くので安眠できません。 まずはオーソドックスに、エントランスドアからの隙間風や窓からの冷気をシャットアウト。エントランスドアには標準装備として厚手のカーテンが付いていますが、パチっとホックで留めるだけなので、その金具の間にマジックテープを付けて更に隙間風を防いでいます。シャワールームのドア下にも5mmほどの隙間が空いているので、床に隙間テープを貼っています。 Rocky21はカナダ製、寒冷地仕様なのでフロント以外の窓はすべてペアガラスなのですが、それでも冷気を感じるので保温シート(銀マット、アルミシートなど商品名は様々)を当てています。窓用断熱シートを貼ろうかとも思ったのですが、見た目があまりよくないのでやめました。車窓の眺めも楽しみたいですし。 クルマはタイヤの分、地面から浮いているので底冷えします。そこで床にも銀マットを敷いたところ、スリッパなしでも冷たく感じなくなりました。筆者は銀色の面を下(床側)にして敷いています。 ダイニングテーブルの足元にちょうどダクトが空いているのでヒーターを作動させているうちは熱いくらいなのですが、切ってしまうとダクトから冷気が流れ込んでくることで冷えてしまいます。銀マットをカットして足元を床も壁も覆い、ダクト部分は扉状になるよう工作したところ、ずいぶんと冷気を防ぐことができました。 就寝時には暖房を切っています。湯たんぽは欠かせません! それでも寒い夜には、掛け布団の上に保温シートを安全ピンで留めてます。100円ショップで販売されているような薄っぺらいシートですが、これだけでかなり温かいです。使わないときは折り畳んで収納できるので場所もとりません。 イワタニのカセットガスストーブも重宝してます。カセットガス1本で3時間半くらいしか保ちませんが、軽くて持ち運びが容易、静かだし、電源も不要です。他社製品も使ってみたところ、気温が低いとガスボンベ自体が冷えて燃焼しなくなるという本末転倒ぶりでしたが、同じカセットガスでもイワタニ製品は問題ありません。ただし車内でご使用の際には、取り扱いに充分ご注意ください。 【暑さ対策】 「寒いのは着込めば何とかなるけど暑いのはどうしようもない」という話はキャンパー同士でよく聞きます。クーラーも装備していますが、大容量の電力を必要としますので発電機を作動させるか外部電源を使用することになります。どちらも「いつでも・どこでも」という訳にはいかない方法ですので、筆者にとっては最終手段です。 まずは当たり前ですが窓を開けます。キャンピングカーの窓およびエントランスドアには網戸がついているのでムシの進入もある程度は防げます。運転席・助手席の窓を開ける場合は、ドアごとすっぽり被せる網戸代わりの虫除けネットが市販されていて、犬連れキャンパーさんにも人気です。風を通すには、天井についている換気扇を回すと効果も倍増します。 車内が丸見えになるのが気になるなら、カーテンではなくブラインドがおススメです。なぜならカーテンだと網戸にした際に風が通りづらいからです。余談ですがRocky21には白いブラインドがついていたのですが、ストライプ柄のように目がチラチラするので木目調のブラインドに付け替えました。 寝苦しい夜には、やっぱりクール寝具。効果あるのかな? と懐疑的だったのですが、確かにヒンヤリ気持ち好いです! 筆者はシーツと枕を使用、大きめの枕カバーは背中に敷いてます。 ベッドを嵩上げした際、床を「すのこ」状にDIYしたのもよかったです。ちなみに冬はマットや毛布を二重に敷くなど補填しますが、銀マットにすると通気性が悪くなるので毎日こまめに布団を乾かさないとカビが生えてしまいます、ご注意ください。 ���場はクルマを南向きに停めて太陽の光をボンネットいっぱいに浴びると車内が暖かくなり、夏はこれを逆にすれば、かなり暑さを凌げます。ただキャンピングカー車内の配置によっては、後ろが二段ベッドになっているなどかえって熱がこもりやすくなるかも知れません。また、我が家は屋根にソーラーが4枚載っているので、必然的に陰ができている状態とも言えます。 冒頭でも述べましたが、蒸し暑い中、雨で窓が開けられない時のためにダイニングの窓側にも小さいオーニングをつけました。これがあれば、風(風向き)さえ考慮すれば窓を開けておくことができます。 夏、もっとも活躍しているのは充電式の扇風機です。これは本当に便利! ソーラーが発電している日中に充電しておけば、夜間はバッテリーで稼働させられます。筆者が持っている扇風機は満充電15時間で、連続8時間使用可能です。 車内で快適に過ごすため、加湿器とプラズマクラスター搭載イオン発生機(どちらも車載用)も持っています。積めるスペースが限られているため、モノを買うならその分ひとつ下ろす、というのも大事です。何でもかんでも詰め込んでクルマが重くなれば燃費も悪くなります。キャンピングカー生活では常に「いるもの/いらないもの」を精査するので、収納・お片づけ能力がアップするかも知れませんね。 ここまで9回にわたって、キャンピングカー生活における日常的、基本的な部分を綴ってきました。次回はそのまとめ、購入を考えている方がキャンピングカーを選ぶ際に参考となれるようなポイントを、筆者なりの観点から書いてみようと思います。 (松本しう周己) 【関連記事】 我が家=キャンピングカーについて:キャンピングカー生活の日常・その1【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/01/29/554687/ キャンピングカーの維持費はどれくらい?:キャンピングカー生活の日常・その2【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/02/555492/ キャンピングカーの光熱費ってどんなもの?:キャンピングカー生活の日常・その3【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/03/555863/ インターネット環境と通信費:キャンピングカー生活の日常・その4【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/04/556355/ 1年分の衣類や寝具の収納・洗濯はどうしてる?:キャンピングカー生活の日常・その5【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/06/556800/ 車中泊旅の入浴場所さがし:キャンピングカー生活の日常・その6【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/08/557164/ 車中泊旅、最大の難関かも知れない停泊場所さがし:キャンピングカー生活の日常・その7【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/11/557423/ キャンピングカーの水まわり:キャンピングカー生活の日常・その8【車中泊女子の全国縦断記】 https://clicccar.com/2018/02/13/558140/ あわせて読みたい * キャンピングカーの水まわり:キャンピングカー生活の日常・その8【車中泊女子の全国縦断記】 * 【JAPANキャンピングカーショー2018】充実装備にゆとりある居住空間。1200万円クラスの国産キャブコンモデル * 【JAPANキャンピングカーショー2018】小さくても大きく使える、大胆にストレッチしたタウンエース・ライトエース(バン)ベースの8ナンバー仕様車 * 車中泊旅で最大の難関かも知れない停泊場所さがし:キャンピングカー生活の日常・その7【車中泊女子の全国縦断記】 * 【JAPANキャンピングカーショー2018】ホワイトハウスが新型N-BOXをベースとした「N BOX Camper Neo」を初公開 http://dlvr.it/QGGg0P
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thyele · 4 years ago
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2020年7月27日
MICHIRU〜未散〜 LOOP ASH 20周年さん「おぱ❤️おぱ❤️ 未散です👀 本日は「ループ開き!」の打ち上げ感覚の気持ちですぅ😀🥂 2016年5月1日 ZEPP TOKYOでのMASKの映像を見ていたら、懐かしくなってお台場まで行ってきましたぁ🙌 台場の女神も微笑んでましたよ🗽 夢と希望を持って2021年に向かいましょうねぇ🌈✨ 頑張って生きます👍」 https://twitter.com/michiru_loopash/status/1287363717424746496
KISAKIさん「発見。懐かしいな〜。 MIRAGE 1999.4.02 川崎CLUB CITTA' SHOCK WAVE CIRCUIT'99「春の嵐」」 https://twitter.com/KISAKI_OFFICIAL/status/1287369517752963072
ヴィジュアル博士のるさん「オムニバス「鹿鳴館伝説」の各曲の出典を調べました。 年は発表年ではなく、収録のバージョンがリリースされた年に合わせてあります。 調べきれなかったものや間違いもあると思うのでご存知の方がいましたら教えてくれるとありがたいです…」 https://twitter.com/vr_noru/status/1287401467549122560
魚住 英里奈さん「My new gear... (赤十字や謎の団体のピンバッチコレクションとお姉ちゃんにもらった編みを添えて...)」 https://twitter.com/erina_chas/status/1287372250836918275
魚住 英里奈さん「明日 6/5発売の 文學界に 「麻酔の抜けた孤独をうたって、 自身の愛を覗くまで」 という題で ある一日を寄稿しました 苦しくもどこか愛らしい コロナ禍の 日常を拙い文で書いてるのでよろしくお願いします。」 https://twitter.com/erina_chas/status/1268546398460534784
魚住英里奈 Official infomationさん「ようこそ都合のいい天国へ/魚住英里奈 @YouTubeより」 https://twitter.com/erina_chas_info/status/1287465721866280963
魚住 英里奈さん「存在しないホームランバーの、点」 https://twitter.com/erina_chas/status/1287486035539066881
魚住英里奈 Official infomationさん「次回ライブは8月9日。予約は主催者様での一括管理となりますので、こちらのツイート掲載のメールアドレスまで宜しくお願いいたします。」 https://twitter.com/erina_chas_info/status/1287365475135967233
魚住英里奈 Official infomationさん「今後のライブ予定 2020.09.22 都内 2020.09.23 都内 2020.09.28 都内単独公演 2020.10.04 都内 2020.12.XX 都内 予約受付は正式な告知が出るまでお待ちください。」 https://twitter.com/erina_chas_info/status/1287366455067996161
Köziさん「2015.1.12大阪」 https://twitter.com/Kzi_official/status/1287377057974870019
Köziさん「2011.7.13東京」 https://twitter.com/Kzi_official/status/1287404339061874691
Köziさん「2012.6.26東京」 https://twitter.com/Kzi_official/status/1287415535206977541
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「ごめん、もしかしたらつくかも・・・。」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287378781741543424
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「屋敷・・・↓↓↓ 信じてもらえないかもしれないけど、昔の方が全然すごかったんだって!!本当に!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287379469175361537
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「カッコイイ・・・!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287379797576839169
ふなもと健祐さん「どやろねー? 今年涼しいからねぇ 去年までが異常やったんやろけどねぇ… #Peing #質問箱」 https://twitter.com/funamoch1/status/1287380221646102528
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「今年の誕生日は何も楽SEAみ無かったけれど、BTの美NEOアルバムを全フォーマットで買うことを楽SEAに生きるZE! アブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラアブラカダブラ!!!!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287381821861187584
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「とりあえずケビンちゃんの音楽はケツとは切っても切り離せない関係なんだね!!!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287384698079997954
西邑卓哲(FOXPILL CULT) Takaaki Ni⚡︎himura❄️��ん「むしろもうこれ以上片付けることが出来ない……能力の限界……」 https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1287388443207561216
西邑卓哲(FOXPILL CULT) Takaaki Ni⚡︎himura❄️さん「ひでえ内容のインタビューだな!!!事実だけど!!!!!!!」 https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1287389272039755776
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「もう4年以上前のインタブ〜だけど、バンド一緒にやっても、まだ僕ら親友で家族だね〜!結構、奇跡だ!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287395100176183299
西邑卓哲(FOXPILL CULT) Takaaki Ni⚡︎himura❄️さん「本当だ!!!!!奇跡!!お互いの担当楽器以外は全然変わってない!!(楽器チェンジが1番想定外🤫)」 https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1287399199634370567
【貴族】Mörishige【KIZO-CLIMAX TOGETHER】さん「あと部屋がヤバいのも全然変わってない!!」 https://twitter.com/KIZOKU_0927/status/1287400860234821638
西邑卓哲(FOXPILL CULT) Takaaki Ni⚡︎himura❄️さん「おはよう!!!ベルトを忘れた……ギリギリ全然大丈夫そうで肝心の場面でスポーン!!と脱げそうな、思春期の少年の様な繊細な揺らぎを腰が醸し出している。ヒモで縛るか。」 https://twitter.com/takaaki_FOXPILL/status/1287492028222193664
こもだまり/昭和精吾事務所さん「袋小路林檎さん稽古。 彼女の明るいパワーを活かし、本家映像版とはかなり違う雰囲気に仕上がりそう。私の演出作5本の中では最も賑やかで、最も汗をかくシーンになりそうです。小道具も最多かな。 ビジュアルも最もカラフル! #ステホtheatre #stayhome一人芝居」 https://twitter.com/mari_air/status/1287460967601774592
こもだまり/昭和精吾事務所さん「せんさんに褒められたから全力でリツイートしちゃう!!!! わーんがんばってきます!」 https://twitter.com/mari_air/status/1287465865261195264
stayhome一人芝居 at Theatre 公式@8/1-10 高円寺K'sスタジオさん「【出演者コメント 岩坪成美さん】 この公演では1人の俳優にあて書きし上演された脚本を、別の俳優が演じます。だから今、いろんな人の大切なモノたちと共演している気持ちです。 わたしは「真実」をテーマに、ひとりの女の選んだ生き方をお届けします。観たいときにそこに演劇がある幸せを噛み締めて。」 https://twitter.com/AtStayhome/status/1287361272569159682
stayhome一人芝居 at Theatre 公式@8/1-10 高円寺K'sスタジオさん「【出演者コメント 後関貴大さん】 僕にとって、二度目の一人芝居。 一度目は、色々あって僕自身が演劇を渇望していた時期でした。 時を経て、今、僕以外にも、演劇を渇望している方は必ずいると思っています。 「一人芝居」ですが、僕と、観てくださる皆さん全員で作り上げていきたいです。」 https://twitter.com/AtStayhome/status/1287275745656442880
stayhome一人芝居 at Theatre 公式@8/1-10 高円寺K'sスタジオさん「【出演者コメント 岡田静さん】 2020年春。私はほぼ自室とその周辺で生きていた。なぜココに生きているのか?なぜココに居るのか?を考えていた。「その檻」の主人公は16年間それをずっと考えながら生き続けています。今だからこそ観て頂きたい芝居!私の全てを捧げたい!と心底想っている作品です。」 https://twitter.com/AtStayhome/status/1287218520892178432
こもだまり/昭和精吾事務所さん「松本稽古さん立ち稽古。 前回からしばらく空いての2回めでしたが、しっかり落とし込んだいい出来で演出家ホクホク✨ キュートで繊細な人物像をさらに強化すべく細かいオーダーするも即反応。新しい稽古さんが見せられると自負してます。 入浴シーン、お楽しみに🛁 #ステホtheatre #stayhome一人芝居」 https://twitter.com/mari_air/status/1287441581759279104
岩坪成美さん「あと、にんじんの花(赤ちゃん)と。 #stayhome一人芝居」 https://twitter.com/naruminbu/status/1287133131280064512
こもだまり/昭和精吾事務所さん「(喜びすぎて「せんさん」になってる…)ぜんさんごめんなさい…(>_<)」 https://twitter.com/mari_air/status/1287477536050384897
金髪豚野郎K助(偽殿下)さん「なんかチラチラと何の連絡も無しに身内がポチってくれてて涙出そうです (°_°)」 https://twitter.com/goldenpigdrumer/status/1287387174652977153
藤原章人(ZeeF)@新宿の音屋さんさん「ここまで何とか色んな計画書や申請書や補助金・助成金を頑張ってきたがラスボスが来た。 「文化芸術活動の継続支援事業」 いや、これは本当に自分でやるのキツイぞ。 芸事を生業にしてる人間普通できんぞこれw 頑張ってやるけど!」 https://twitter.com/AkihitoZeeF/status/1287409567819677697
lucy+peter=esolagotoさん「弐重奏リハでした 明日は有観客+配信 色々考えて「盛り上がる曲は避け、会場に居る御客様も御茶の間に居る御客様もしっとりじっくり聴き入れるような、そんなリストにしよう」と相成りました まぁそもそもないんですけどね 盛り上がる曲が。笑 弐重奏初披露の曲や 今や滅多に演らない曲も有…!」 https://twitter.com/lucy_peter/status/1287403858218557442
池袋 手刀さん「◆2020/07/27(mon) *観客有り+有料配信公演 ◆「夏休みの思い出」※プレミアムパイプ椅子シッティング公演。(限定20席) ◆出演(BIG 2); 20:00- [1].蜂鳥あみ太=4号with田村賢太郎(acc) 20:50- [2].luin弐重奏 ◆開19:30/演20:00 ◆前売り\2,900(+1d)/当日有 \3,400(+1d)」 https://twitter.com/ikebukuro_chop/status/1287391067378089986
lucy+peter=esolagotoさん「箕輪さんこそ!!久々に一緒にやらせて頂けて嬉しかったです(^_^)v お疲れ様でした♪」 https://twitter.com/lucy_peter/status/1287455287067074560
UNCLOCK LOVER 頼田陵介さん「おはよーございます! やっと晴れた✨ このまま維持してくれれば明日も快適やけども、さてどーなるかね😅 そいえば昨日今年初の蝉の鳴き声を聞きました。 雨上がりの夕暮れ時に聴くと、夏休みの終わりを思い出しました。 風流もありますが、 ヤバイ。 宿題やってない。。。的な。笑 良い一日を👍」 https://twitter.com/yorita_ryosuke/status/1287524593473736704
高橋 浩一郎(Kaiki)さん「きれいだな。海の色が違う。」 https://twitter.com/STakahashi0823/status/1287519549382770688
杉本善徳さん「ここ数日、家から出てないな。。 コンビニの店員、元気してるかな……」 https://twitter.com/ys1126/status/1287534506044354560
NHKニュースさん「長崎 壱岐 1万1199人に避難勧告 #nhk_news」 https://twitter.com/nhk_news/status/1287399514286878721
tenki.jpさん「【福岡県で50年に一度の記録的な大雨】26日、福岡県福岡市小呂島(オロノシマ)では、50年に一度の記録的な大雨となって..」 https://twitter.com/tenkijp/status/1287403401496551424
読売新聞オンラインさん「「避難勧告」廃止、「指示」に一本化…レベル4の並存解消へ #社会」 https://twitter.com/Yomiuri_Online/status/1287406081774366722
kutsunasatoshiさん「「ぼくのかんがえた、さいきょうのコロナりろん」への医療現場からの回答になります。ご査収ください。」 https://twitter.com/kutsunasatoshi/status/1287229790706049031
Dr.F@格闘技医学/Takki@プリンスの言葉さん「顧問から乱取りを受けていた。全国大会で優勝経験のある顧問によって7分間ぶっ続けで投げ技をかけられ続けた。回転技が原因で脳の静脈が切断し、二度の締め技で気を失った。緊急手術を施したのち奇跡的に一命を取り留めたものの、脳に重い障害が残った。 (本文より)」 https://twitter.com/takuyafutaesaku/status/1287301656045002752
入江 杏さん「「患者が『死にたい』という時、本当に死にたいというより、『死にたいとしか表現できない自分の気持ちをわかってほしい』ということが大きいように思います」安藤泰至・鳥取大医学部准教授(生命倫理)のコメント。 わかりやすさ、明快さを苦しむ人に求め、自己決定を迫ることがそもそも間違っている。」 https://twitter.com/ann_irie/status/1287363171271897088
ジェニーハイさん「東京は雨。」 https://twitter.com/genie_high/status/1287239122579382272
BARKS編集部さん「森高千里、無観客オンラインライブで“森高ソングベスト10”発表「楽しんで歌わせていただきました!」#森高千里」 https://twitter.com/barks_news/status/1287462695130804226
うさぎのみみちゃん😇『自己肯定感の低いワタシちゃん』発売中さん「【うさぎ】効果はてきめんだ」 https://twitter.com/usagitoseino/status/1287180834336776192
アントニオ猪木が難病を告白 喜寿を迎え「心アミロイドーシス」との闘い | デイリー新潮 https://www.dailyshincho.jp/article/2020/07260557/?all=1
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kntndlog · 5 years ago
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20191206(金)お笑いライブ
K-PRO主催のお笑いネタライブを観た。ライブ自体は19時開演だったのだが、万全の状態で観たかったので当日は有給休暇を取得したのだった。
最近、休みの日は仕事がある日と同じように起きられない。起きても具体的にやることは無いし、お腹も減らないから外出することもないから。自分の中では14時までに起きられたら御の字かな、という感じで。その日も14時くらいまでグダグダとベッドの中で起きてはスマホを眺め、飽きたら眠りにつくということを繰り返していた。左向きでスマホを見るせいか、ベッドから出たときには首が凝りに凝っていた。これではどうも万全な状態ではない。そんな自分を苦笑いする気力もなく気怠い。
会場までの道のりをGoogleMapで検索する。高円寺の近くであることは分かっていたが、電車ではなくバスで行くのが一番楽だと知り、少しテンションが上がる。これまで生きてきて、普段使いする交通手段にバスがなかったので、バスに乗るのは少し緊張もするが楽しいものなのである。環七を一直線に進むだけで会場に着くらしかった。Siriに今日の天気を聞く。何とも寒いらしい。少し厚着をしてもいいかもしれないが、会場内は暑いかもしれないからコートの下は2枚でもいいかもしれんな、と思案つつ準備を進める。
ライブのチケットはスマホで取得し、QRコードでいいらしい。以前、京都であったライブに新幹線で向かい、チェックインしたホテルで一息ついた後、ライブの紙チケットを東京の自宅に忘れてきたことが発覚し、文字通りベッドに沈んだ���ともあった僕にとっては、このQRコードというものは非常に助かる。
GoogleMapのレコメンド通りに行くと1時間くらい早く着いてしまいそうだったが、初めて行く場所ということもあり写真でも撮りつつ周りを散策してみようと思った。ついでに夕飯でも食べられたらいいな。そんな気持ちで家を出た。バスが来るまでの間、初めて使うバス停に自分一人待つ時間が意外と苦痛で、本当にこのバス停で合っているのか?と時刻表を何度も見返した。案の定外は寒かったので、自販機で温かいお茶を買うことにした。 お茶を選んでSuicaをかざす。ピコーンと音が鳴り、スマホには120円が決済された情報が表示されたが、取り出し口からは何の音もしなかった。これはどちらが悪いのか?自販機か?僕か?Suicaとの相性が悪い自販機なのか?そんな自販機があっていいの?おいおいこちとら寒いんじゃほうじ茶くれや!と心の中で悪態をつきながらも寒さには勝てず、泣く泣くバッグから財布を取り出しかじかむ指で冷たい120円を自販機に流し込む。まったく情けないな。ガコン、と取り出し口からお茶が落ちてきた音が聞こえ、安堵した。
バスはここが始点だったみたいで、僕が最初の乗客だった。あたりはすでに暗くなっていて、夜に乗るバスはなんだか寂しいなと思いつつ、ヘッドホンでCreepyNutsのよふかしの歌を聴く。今日のネタライブには大好きなオードリーが出るのだ。気分上げていかないと。たったの120円で気分が落ちる人間であってはならない。スマホからは仕事のメールなどもチラチラ垣間見えた。今日お笑いを観に行くので休みますとは同僚の誰にも言ってない。オードリーのラジオリスナーである上司にも言わなかった。仕事を休んで笑いに行くことに後ろめたさを感じるからだろうか。あまり深くは考えないようにした。
目的のバス停に着いた。人の気配がない通りに降り立ち、本当にここでいいのか?と不安になる。GoogleMapを見ると確かにここで合っているし、何なら会場まで1分くらいの場所に着いたらしい。会場には開演1時間前だというのにちらほら開演を待っているのだろう人たちがスマホ片手に突っ立っていた。それを横目に周りの散策を開始した。特に写真を撮るような場所があるわけでもなかったし、暗くて写真が写らないだろうから結局ただ歩いただけだった。遠くにすき家が見えたので夕飯をいただくことにした。近所にすき家が全くないのでここ数年は縁がなかった。久しぶりのすき家でネギ玉牛丼を食べた。学生時代は大盛でよく食べていたが並盛にした。並盛でもけっこうボリュームがあって、食べ終わるころには腹九分目くらいになっていた。
開演30分前に開場するため、会場に戻り、喫煙所でたばこでも吸おうかしらなどとのんきに思っていた。そう、のんきに思っていたのだ。会場周辺に散り散りになっていた人たちが突然整列し始めた。ヘッドホンを外すと、スタッフが「QRコードのご準備をお願いします」と声を張り上げていたのだった。はいはい、まぁ指定席だし、余裕をもって入場しようかね、と思いながらたばこをふかそうとしていたとき耳に入ってきた言葉にぞっとした。「顔写真つきの証明書も同時にご準備をお願いします」……なるほど。顔写真つきの証明書も同時にご準備しなきゃならんのね。なるほどなるほど。って聞いてないよ!!!と上島竜兵ばりに心の中でツッコミを入れる。焦り始めた僕は財布の中を確認した。最近財布をよりスマート(薄い)なものに変えたため、免許証や保険証などを入れていないのだ。普段から善良な市民として生きることをモットーにしている僕にとって身分を証明することなんて滅多にないし、突発的に病院へ行くことがないような生活を心がけているから…。
絶望感とそれに対する言い訳が頭の中で鎬を削る中、とりあえずスタッフに説明してみようと思った。スタッフの中で一番暇そうで気弱そうな男に声をかけた。「すみません、あの、顔写真つきの証明書が必要とのことですが、今日忘れちゃって…」「それですと入場は難しいですね」…下っ端風情が判断してんじゃねえぞ!と心の中で毒づきつつ「ですよねぇ」とへらへらしながら一旦会場を後にしようとした。すると男が「顔写真つきでなくても住民票の写しとか云々…コンビニでも発行できるみたいですよ」「あ、そうなんですか。ちょっとコンビニ行ってきます」希望の光が見えてきた気がしたような気がした。
速足でコンビニへ向かう。さっき周辺を散策していたのでコンビニまでの道のりも分かっている。いや、暢気に散策してる暇あったら免許証を家に取りに帰ることもできたじゃん。半泣きになりながらファミリーマートに入店。道すがら調べたところ、プリンタから発行できるみたいだった。プリンタの前には先客がいて、音大生だろうか、楽譜を印刷していた。10回ほどコピーするページを替えていた。どんだけ印刷すんねん、お前ごときが長い曲弾くな!と心の中で悪態をつく。そもそも彼が誰で、楽譜10ページで長い曲かも分からないのだが。自分の番になり、住民票などを印刷できそうな、それらしきボタンを押す。すると「住基カードをセットしてください」と���示された。住基カードってあの住基カード?東京に引っ越してきてから役所でもらってから一度も見たことがないあの住基カードですか?免許証も保険証も持ってきていない人間がそんなスーパーウルトラレアカードを持ってるはずがないだろうが!!!!!
陽気なファミリーマートの入店音に見送られながら店を後にする。どうしたもんかいのう状態とはまさにこのことなのだな。京都でのチケット忘れちゃった事件がフラッシュバックする。ああ、環七を、目の前に伸びる環七を光の速度で走って自宅に戻りたい。今から自宅に戻るのも一つの手段だったが、開演時間には間に合わないのは確実だ。今ここでできることはないかを考える。とりあえず自分の顔と名前を証明できるものがあればいいんだよな、と少し冷静になってみる。僕は承認欲求の塊でできた人間なので、多分免許証をスマホで撮っているはずなんだ!と普段は恥ずべき自分の承認欲求を信じてスマホのカメラロールをさかのぼってみる。今年のはじめに多分免許更新に行っているはずだ。どこだどこだどこだ…。
さて、承認欲求は毒にも薬にもなるということを実感する(?)お笑いライブでした。オードリー観れて良かったし、他の芸人の皆さんもとても面白かったです。隣がきれいな女の子だったので、夕飯で食べたネギ玉牛丼の臭いで困ってないかな?やだ~臭くない~?と終始心配したりしたけど、本当観れて良かった。良かった~。これからはチケットの注意事項はちゃんと確認しようと思います。
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tanroboot · 6 years ago
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両想いの確信がほしい!想い合うふたりの特徴・雰囲気からわかる両想い診断 https://ift.tt/2EbQgz9
1:職場で両想いかも……と思う瞬間は?
たとえ毎日顔を合わせるような仕事仲間のような、間柄であっても、恋が芽生える瞬間は突然やってくるものです。
大変なプロジェクトを一緒にやり遂げたときに気づいたり、つらいときや苦しいときに励ましてくれたり。良いときも悪いときも、そばにいてくれる人って大切ですよね。
職場恋愛の場合、自然と一緒に過ごす時間が長いので、こうした毎日のコンディションに対して、好きな人がケアしてくれたり、助けてくれたりすると、「あれ、もしかして両想いなのかも」と気付いたりします。
2:両想いならではの雰囲気は?両想いの特徴5つ
(1)会話が長い
両想いであれば、会話が弾みます。相手のことをもっと知りたいし、自分のことももっといっぱい話したくなる傾向に。
何をするにしても、相手のことで頭はいっぱい。そうすると気づいたら、いつもふたりで話してるとか、会話を止めようと思ってもなかなか途切れないなんていうこともあるでしょう。
(2)お互いの行動を気にしている
好きな人の行動はついつい気になってしまいます。
職場恋愛であれば、気になる人が席を立てば、自然と目線は彼を追ってしまうでしょう。単なるトイレ休憩でも、上司と何やら話しこん��いても、気になってしまいます。
また離れていても、ついつい相手が何をしているか知りたくなって、探るようなLINEのスタンプを送ってしまったり。送ろうと思ったら、向こうからLINEがきたり……。
相手も同じだとわかるとき、それは両想いフラグだと言えます。いつだって、お互いの様子を知っていたいと思い合っているなら両想いの可能性が高いでしょう。
(3)いつも楽しそうにしている
好きな人がいる空間は、ドキドキもありますが、同時に楽しくて仕方がありません。心も自然とわくわくしますし、好きな人のことが見られる、声が聞こえる、というのは、それだけでテンションが上がってしまうもの。
お互い惹かれ合っての両想いの場合、そのふたりはキラキラした笑顔を周囲に振りまくでしょう。案外、そのことが周りの友達にバレちゃったりするくらい、わかりやすいものです。
(4)よく目線を合わせている
両想いのふたりは、同じ空間にいるとき何かと目が���います。気にしないようにしていても、つい目で追ってしまうのが恋愛をしているときですよね。そして目線が合うというのは、それがお互いに同じ状態であるという証拠なのです。
たとえ目が合っていると認識していなくても、その人の方向をいつも見てしまうのですから。
(5)距離が近い
人間には、心地よい他人との距離というものがあります。ここまでは安心するけど、これ以上近いと警戒する、といったものです。これは当然人によって変わります。家族であれば平気でも、他人であれば、あまり近づかれると嫌ですよね。
しかし、それが好きな人ならどうでしょう。あまり近いとドキドキしてしまう……という人もいると思いますが、やはり好きな気持ちがあれば、近い距離でも嬉しいもの。
そして距離というのは、ふたりに対して平等ですから、自分にとって近い距離というのは、相手にとっても近い距離なのです。もちろん、人によっても感じ方は違いますが、両想いかを図るひとつの特徴と言えるのではないでしょうか。
3:両想いのとき男性が出しているサイン5つ
気になる彼は私のこと、どう思っているの? もし彼も同じ気持ちなら、こんなサインを出しているかもしれません。
(1)やたらと目が合う
目が合うのは、相手の男性もこちらを気にしてチラチラ見ている証拠です。好きな人の表情や仕草、服装など、細かい部分まで知りたいし、好きな人のことを知れることほど、幸せなことはありませんからね。
あなたも彼を気にしてふと目をやった瞬間目が合う……。これが両想いの印かもしれません。ちょっとニコッと笑ってあげるのもアリかもしれませんね。
(2)よく隣に座る
気づいたらいつも隣に彼がいるというのは、だいたいは彼の意図的な行為です。
職場であれば、打ち合わせのときや休憩中、さらには会社の飲み会などで、好きな子の隣に座りたいと思うのは当然のこと。気になる彼がいつも隣に座ってくるのであれば、それは両想いの可能性大と言えるでしょう。
(3)自分だけにおみやげや差し入れをくれる
元気がないときにエナジードリンクやお菓子をくれたり、休憩中にコーヒーやランチをおごってくれたり。はたまた、ちょっとした遠出のときに、自分だけにお土産を買ってきてくれたり……。
そんなことが続けば、彼はあなたに好意があると言えるでしょう。しかし、周りの人みんなに同じようなことをしているのであれば、それはただの八方美人かもしれません。
自分だけにしてくれているなら、両想いを期待してもいいでしょう。
(4)体調を気にかけてくれる
風邪気味でだるそうにしていたら、「大丈夫?」と率先して声をかけてくれたり、会社を休んだときにこまめに連絡をくれたりするなど、体調面を気づかってくれる男性は、好意を持っていることが多くあります。
純粋に好きな子の元気がないと心配ですから。それほど、普段の元気な姿をしっかりと見守ってくれていると捉えていいでしょう。
(5)言ったことを覚えている
細かい会話の端々まで記憶をしていて、ちょっとしたLINEのやりとりなどで、「そういえば○○って言っていたよね」と言ってくれる。これは、両想いのサインかもしれません。
男性は、女性に比べて記憶を司る海馬が小さいと言われていて、関心がないことに関してはあまり覚えたりしない生き物です。しかし、気になることはとことん調べたり、やたらと詳しくなったりすることも。
つまりそんな男性にとって、好きな女性の話ひとつひとつは、現在の最大の関心事。覚えようとしていなくても、情報がどんどん増えていくのです。だから、好きな相手のことは、細かいことでも覚えていることでしょう。
4:両想いかと思ったら勘違いだった…職場での思わせぶりなエピソード5つ
意外と多いのが、両想い判定を間違えて「彼、私のこと好きかも」と勘違いしてしまうパターン。ここからは、職場でついつい勘違いしちゃったというエピソードを聞いて参考にしましょう。
(1)みんなに優しい上司
「いつも私にだけ入念にケアをしてくれる上司。あるとき、私が仕事のミスをして落ち込んでいると、温かいココアを買ってきてくれました。仕事終わりにふたりで食事に行くこともあり、私にとっては単なる上司以上の存在に……。
しかしあるとき、会社の下で同期の女の子と待ち合わせをしているのを目撃してしまいました。とても仲が良さそうだったので、みんなに同じように接しているのだと気づきました」(27歳女性/不動産営業)
(2)好意ではなくチャラいだけだった…
「会社の飲み会になると、頻繁に絡んでくる同期の男子がいました。その男子はルックスも良くて仕事もできるし、場を盛り上げるのも上手です。なので、私は特に本気で捉えるつもりはなかったのですが、気づいたら少し気になってしまっていました。
しかし、よくよくその人のことを周囲に聞いてみると、予想通りのチャラ男で、合コン三昧であることを聞かされました」(24歳女性/航空関係)
(3)進展していると思ったら……
「私たちの代の同期は仲がとてもいいので、男女関係なく週末になるとつるんでいますし、休みが合えばみんなで旅行に行くこともあります。
その中でも特別仲が良く、何でも話せる男の子がいました。同期で集まらなくても、休みの日にふたりでカフェに行ったり、買い物に付き合ってもらったりもしてました。会話の仲で、“私たち、付き合うのは同じ職場だから難しいね”なんて話したこともあります。
でも、その男友達から、いきなり彼女ができたと宣言をされたんです……。私は知らなかったけど、どうやらほかの部署の子らしいです。ショックでした」(24歳女性/輸入家具販売)
(4)婚約者がいた
「取引先の会社の男性との話です。すごく会話も弾んで、何回かデートに誘われて、雰囲気はとてもいい感じでした。
歳も2歳しか変わらなかったので、共感できる部分がたくさんあって、心から彼のことが好きになっていきました。
でもあるとき、同じ会社の人から、彼には婚約者がいると聞かされました。思わず絶句してしまいましたね」(28歳女性/金融関係)
(5)思い込み恋愛
「仕事が終わると、必ずと言っていいほど一緒に飲みに行く同期の男子がいました。周囲からもお似合いだと言われ、私は完全に彼の彼女になるんだろうなと思っていました。
両想いだけどタイミングが今でないと思って、焦らず進展させていこうと思っていましたが、そう思っていたのはこっちだけだったようで……。あるとき、“彼女ができたからもうこれ以上ふたりでは会えない”と言われてしまって、1週間会社を休みました」(26歳女性/人材派遣)
5:両想いか診断するチェック項目5つ
『Menjoy!』過去記事「両片思いって何?両想いになれる方法と『これってもしや?』両片思い診断」に両想いかどうかわかる簡単な診断テストがありましたので、最後にご紹介します。
「今ちょっと仲が良いけど、実際に両想いなのかわからない……」という悩みを抱えているなら、照らし合わせてみてはどうでしょう。
(1)おはようの連絡がくる
LINEなどで、朝のはじまりの挨拶を個人的に送ってくるのは、好意がある証拠。会社の社内チャットツールなどではなおさらです。特に同じ空間にいるのにこっそり連絡してくるようであれば、それはときめきのはじまり!
(2)困っているときに助けてくれる
仕事が終わらなかったり、締め切りに間に合わないときは、いつも彼からの助け舟が。そんな彼は、仕事の要領もいいし、てきぱきしていて相手のこともしっかり見ることができる出世タイプ! これは逃すわけにはいきません!
(3)差し入れやお土産をくれる
お菓子など、何かとちょこちょこギフトをくれる人。または、どこかに行くたびに、簡単なお土産を買ってきてくれる人。それは、あなたの気を引きたい証拠です。たまには、日頃のお返しも兼ねてデートに誘ってみるのも良さそうですね!
(4)集団での飲みの場で常に近くにいる
気づけば、また近く?なんてことがあればそれは、もしかすると彼の好意からかもしれません。ただ、これだけでは不十分なので、もう少し彼をリサーチする必要があるかも……。
(5)彼氏の有無を聞かれる
これはとってもチャンス。ずっと気になっていたのでしょうね。気にならない子に対して、彼氏の有無は問いません。少なからず少しは気になっているようなので、現状キープで少しずつ接近してみるのもアリです!
6:まとめ
恋は素晴らしいもの。だって、何もない平凡な毎日に色を加えてくれるのですから!
しかし必ずしも幸せな結末が待っているわけではないのも、また恋愛。こればかりは、事前にその先を知ることができないので、しっかり“彼の気持ち”を自分で判断することも必要そうです。
彼と両想いかわからない……と悩んでいるときは、周囲や彼自身を見て、冷静に対処していくことも大切だと言えそうです。
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kumama282828 · 6 years ago
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海辺の町で
高2の秋、彼は私たちの学校に着任した。前任の英語の先生が体調を崩して、急に着任することになったと聞いた。
けっこう規則の厳しい女子校に若い男の先生とは、この学校も随分とチャレンジャーなことをするものだ。
こころなしか、クラスのみんな、英語の時間、少し真剣に聞くようになった。もちろん、わたしもそのひとり。
ある日、ビートルズの歌詞をモチーフに授業をした日があった。
先生は「実は、ビートルズ好きなんですよ」と前置きをして、大きなラジカセを教卓に置いた。先生の私物だ。
「この曲はみなさん知ってるでしょう、音楽の教科書にも載っているし」と『Yesterday』を流した。
そして『The Long and Winding Road』の歌詞を板書し、音楽を流し、「先生はこう思うのだけど」と���詞について議論していたところで、タイムアップ。
授業が終わり、ラジカセと教材を片付ける先生に、何人かの賑やかしいクラスメイトが楽しそうに話しかけていた。
わたしの趣味はレ���ード漁り。
四つ年上の音楽好きの兄の影響で、主に洋楽のR&B系をメインに、繁華街から一本入った裏手にあるレコードショップが主戦場。学校帰りとか、休みの日とか、ほぼ毎日のように通っていた。
10月のある日、いつも通りに店を訪れると、馴染みの店長と、若い男性が親しそうに話をしている。店長は男性と話をしながらわたしに気づき、まいど!と笑顔をくれた。
たまにはR&B以外のものも探してみようかな。何枚か獲物を持ったまま、いつもと違うコーナーを見ていたら、さっき店長と話していた男性と隣り合った。ふっとその人を見ると、
げ!英語のこないだ来た、あの先生やん!!!!
こういうお店に、すこし年上に見えるような恰好で居るのがバレたら拙いなあ、と思ってさりげなく場所を変えようとしたところ、かれがわたしに気づいた。
「あれ、2年A組の」
「はい」観念した。繁華街で先生と出くわすのは始末が悪い。
「よく来るの?」
「…ときどき…」ほとんど毎日来てる常連だなんてとても言えない。
とりあえずお会計を済ませて、この店から出なくちゃ。そう思ってレジに向かおうとしたら、
「待って」かれが引き留めた。小声で、「大丈夫、学校には内緒だから、誰にも言わないから安心して」。
会計を済ませて、かれと一緒にお店を出て、車で海沿いをドライブしてお茶することになった。こうなったら、普通のナンパと変わらない。車内ではかれがセレクトしたビートルズの曲が流れていた。
かれは時々煙草を吸いながら、趣味の音楽の話や、京都での大学時代の話、 子供の頃を過ごした和歌山の海辺の町のことを、はにかみながら話してくれた。
幼いわたしの背伸びした話や、しょーもない話にも笑顔で突っ込んでくれた。
何回かそんな週末が続いて、少しずつ、将来の夢も話してくれるようになった。わたしも、そんなかれを追いかけたい。ずっと一緒にいたいと幼いながらも思い始めた。
休みの日にレコード屋で会ってそのままお茶して。大好きな人と過ごす日々がしあわせな日常になっていった。
学校では、お互いそんな素振りも見せずに、普通の先生と生徒だった。そんな甘ったるい時間を半年ほど過ごして、わたしは3年生に進級した。
そんな折、かれの車を修理に出すことになり、しばらく車でのデートはお預けになった。
「ちょっと遠いけど、こんどの日曜、和歌山、行きたいな。」わがままを言ってみた。
「行こうか、あのへんは電車じゃなくて汽車だけど、大丈夫?」
「うん」
はじめて、かれと少し長い旅。隣の座席に腰かけて。そういえば、レコード屋で偶然会って、お茶して会うようになってから、もう半年になる。
普通、半年もこんなふうに会ってたら、もうすこしなにかあっていいよね。
かれが小さい頃を過ごした海辺の町の駅に降りた。
このあたりはなにもないところで、「実家も引っ越したから今はなにもないんだよね」というかれ。自販機で缶コーヒーをふたつ買って、ベンチでお茶にした。
気が付くと、ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。少し肌寒い。思わず少しかれとの距離を縮めた。すぐ隣にいるのに。
「あまり遅くならないように帰さないとね」かれはそう言いながら、電車の時間を気にしながら時計をチラチラ見ている。
ああ、時計なんか見ないで。ずうっと、ずうっと一緒にいたい。時計を止めてしまいたい。かれと一緒なら遠くまで来ても怖くない。
海辺の町の線路沿いに、赤いつぼみ混じりの花が咲いていた。
「あの赤い花、なんだろうね」「スイートピー、かな、少し時期外れの」
海辺の町から街中へ戻る汽車が、海沿いを走っていく。煙草のにおいがついたシャツのかれにもたれかかりたいけど、わたしからは、できない。
それからわたしは少し一生懸命勉強した。かれの母校にはかなわなかったけど、東京の大学へ行くことにした。
東京の大学へ進学するわたしを、かれは止めなかった。かれも別の学校へ転任して、しばらく年賀状のやりとりしかないまま、6年の月日が過ぎた。
年賀状で、彼の結婚を知った。優しくおとなしそうな素敵な奥様と、幸せそうに映るかれ。
おめでとうございます、それしか言えない。
あのとき、もうすこし強引に、わたしから手を握っても、良かったのかもしれない。
すこしおとなになった今、そう思う。
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moyo000-blog · 6 years ago
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1DKから始めましょう。その2
結局次の日遅刻寸前で起きた2人は、慌ただしく支度をするとそれぞれの職場へと出勤して行った。 休んでも構わないのではないだろうか、と天司長の時には考えられなかった体たらくな発言をするルシフェルの背中を押して外に出すと、夜にまたあのコンビニで会う約束を取り付けて無理矢理向かわせた。 チラチラこちらを振り返る彼に後ろ髪を引かれる思いで背を向けると、大急ぎで職場へと遅刻する趣旨の電話をする。 当然サンダルフォンは自宅に帰る時間も無かった為、前日と同じ服装で行かなければならず、気分の良いものではなかったが我慢するしかなかった。 息切れを起こしそうなくらいの全力疾走で駆け、ビル街の隙間にある小さなカフェに到着するとバクバクと煩い心臓を押さえて呼吸を整える。深呼吸を一つ。 少し前に別れたばかりなのにルシフェルに会いたい気持ちを切り替えてドアを開ければ上部にあるベルがカランコロンと音を立てた。 おはようございます、と形式的な挨拶と遅刻の謝罪を店長に言うと、バックルームに入って走って汗だくになったTシャツを脱いでハンガーに掛ける。本当は洗いたいが、夜にまたルシフェル宅に行くだろうしその時に洗えばいいだろう。 「サンダルフォンさん、寝癖ついてます!」 出勤早々、着替えていると白縹色の髪の少女がバックルームに入るなり叫んだ。 「...ルリア、君な...着替えてる所に入るなんてナンセンスだと思わないか?」 ズボンを先に穿いていて良かったと思う。白いシャツに腕を通したばかりで前面の肌が思いっきり見えている。ルリアと呼ばれた少女は手で顔を隠して「はわわ」と言っているが、指の隙間から見ているのが丸分かりだ。 空の世界に同じ名前の少女がいたが、生憎こちらの世界での蒼の少女は別人らしく、記憶が無い。 「入ってきた時に髪が跳ねてるから気になっちゃいまして...」 ボタンを閉めながら鏡で自分の姿を確認すれば、確かに左の横髪が外に跳ねている。 そういえば、と思い出す。 ルシフェルの家は凡そ広いとは言い難かった。1DKのこじんまりとしたアパートに住んでいて、中は片付けが苦手なのか物が乱雑��置かれていた。 彼の名誉の為に言うが汚部屋では無く、ただただ物の集まりにまとまりがないだけだ。 天司を統べていた時とは異なり、あまりにも人間らしすぎる部屋に思わず笑みが漏れる。 「少し散らかっているが」と案内されて、テーブルを挟んで対面で座っていたら、隣に来るようにとルシフェルに誘われた。距離の近さに緊張しつつも肩を並べて座り、買った物を食べながら今まで生きてきた人生の話をお互いに話し合った。 この世界に来る前の、空の世界での事も。 遺産を全て破壊した事を伝えれば、彼は湖の水面が漂うが如く瞳を揺らめかせ、憂いを帯びた表情で「そうか」と返事した。 褒め言葉を貰えなかった事に多少の落胆はあったものの、過ぎた出来事だからだろうと納得する。 会話を始めた時間が時間なだけにたった数時間しか話していなかったが、いつの間にか寝落ちていたらしく、起きた時にはルシフェルの肩に頭を乗せて眠りこけていた。 恐らくその時についたであろうそれに寝癖直しのスプレーを鞄から取り出してサッとつけていく。 「これでどうかな」 「完璧ですっ!」 サムズアップをするルリアにフッと口角を上げ「それでは行こうか」と促すと、白縹色の少女は元気よく返事をする。 ...が、ホールに出た瞬間、今まで見た事がないくらいの人数で席が埋まっていた。ビル街にある小さなカフェなので平日は疎らだし、休日だからといって満席など一度だってない。 なのに、今は席待ちしている人すらいる始末だ。 唖然とするサンダルフォンにルリアは内緒話のように小声で「近くに新しいレストランが来たみたいです」と告げる。 「...レストラン?」 「えっと、paradisoっていうイタリアンレストランです!」 「成程」 トレーとメニューを小脇に抱えると興味無さげに店内を見渡す。 確かに来ているのは女性客ばかりだ。しかも口々にあれが美味しかったこれが美味しかったと料理の感想や店員の男の外見の話ばかりが聞こえる。 種類豊富に置いている訳では無いが、ここだって充分に料理は美味しい。珈琲だって好みの味だ。 キリマンジャロ系からマンデリン、ブラジルサントスにコピ・ルアクまである。 ここに面接に来たのだって珈琲が美味しかったからだ。それなのに。 取り敢えず頼んだであろう珈琲が、テーブルの上に置かれたまま冷めていく様子にサンダルフォンは腹立たしく思う。 「サ、サンダルフォンさん、皺!皺が寄ってます!」 「...わかってる」 無意識に険しい顔になっていたらしく、ルリアに小声で注意されて大きく溜め息をついた。 早くルシフェル様に会いたい。 珈琲の良さが分かるあの人だったらこんな事にはならないだろうと生まれて初めて一分一秒でも時間が過ぎて欲しいと願った。 その後も止まらない客足に目が回る忙しさだった。 勤め始めてから初の出来事なので喜ばしいが、如何せん雑談するのに立ち寄った感が否めず、中途半端に残された珈琲と洋菓子に心がモヤモヤとしてしまう。 ナンセンスだ。これでは金の無駄になるだろう、と漸く人気が引いた店内を見渡してから食器を洗っていると、ルリアもトレーに食器を乗せてカウンター内に入ってくる。 「今日は常連さん入れなかったですね...」 「そうだな。だからといって毎日入れないわけじゃない」 「そう...そうですよねっ」 へにゃりと眉を下げて自分に言い聞かせる様に納得しているルリアがキュッと口を横に引き結ぶ。 いつも来店する常連が入れないのが分かると今日はやめておく、と去っていったのが僅かながらにも堪えたらしい。 相変わらず誰にでも優しいものだと感心する。 だが、かつてのサンダルフォンも幾度となく彼女の言葉に救われたし、彼女の笑顔を見て嫌な気分になる人間などいない。 「明日はみんなが珈琲飲めますように」と歌いながらテーブルを拭いている姿が微笑ましく、自然と口角が弛んだ。 不意にカランコロンとドアが開いた音が鳴ったので、其方を向いたがいらっしゃいませという言葉は��なかった。 「な...っ、」 煌めく銀髪に透き通った空の目。 敬愛しているルシフェルに似ているのにどこか違う。 もしかして違うかもしれない。だけどそうかもしれない。拭い切れぬ違和感のまま、生唾を飲み込んでトレーとメニューを脇に抱えると「席にご案内します」と伝えてその男に近寄る。 「...そうか、ここにいたのか」 その一言と同時に掴まれる腕。 見下ろす蒼い瞳はどこまでも冷たく、まるで極寒の地の氷のようだ。 心臓がバクバクと鳴り響き、背筋が凍るようなこの感覚は間違いなくあの男だ。 何故ここに。何故。 どうして俺を覚えているのか。 「...るし、ふぁー...」 隠しきれない怯えと、カラカラになった喉から辛うじて出せた声にルシファーは鼻で笑うと「さっさと案内しろ」と腕を離した。 震える足を叱咤して奥の角の席まで案内すると、少し思案する仕草をしてから椅子に座る。 「...今、水とおしぼりをお持ちいたします」 努めて平静な声を出して去ろうとすると、背中に声を投げられた。 頭が痛い。一刻も早く離れたいのに。イライラする気持ちを抑えて振り向けば、ルシファーはメッセンジャーバックから白い封筒を取り出してサンダルフォンに差し出してきた。 「アレからお前と出会った事を聞いた。俺はどうでもいいが、アイツの機嫌を損ねて仕事に支障が出ると敵わん。受け取れ」 有無を言わせぬ強い眼光に封筒を受け取ると開けるよう促される。 封を切り、恐る恐る中身を見てみると何枚かの細長い紙が入っていた。何だこれは。 初めて見るそれに、どう反応していいか分からず固まったサンダルフォンにルシファーは一言「ビール券だ」と言ってきた。 「...ビール...券」 「そうだ。家の近くにコンビニがあるのだろう?そこでなら使用出来る。だが、忘れるな。券を使うには酒を1つ購入しないと全額現金になるからな」 「なんでこれを俺に」 「ただの気まぐれとでも言っておいてやろう。...さぁ、さっさと珈琲を持ってこい」 グズグズするなと付け足されて追い払われたサンダルフォンは、ビール券が入った封筒を片手にカウンターに戻り混乱した頭のまま湯沸かし始めた。 その後もルシファーは特に邪魔も嫌味も吐き出す事無く珈琲を静かに堪能し、帰り際も「釣りはいらん。そこの募金箱にでも入れておけ」とレジ横の黄色の透明なボックスを指差して店を出て行った。 ボックスに貼られたシールには『〇〇地区ワンちゃんネコちゃんわくわく運動会募金箱』と記されていて、動物が好きなのかと疑問を浮かべつつお釣りを入れていく。 ルシファーをまるで静かに進路を逸れる嵐だと思った。 人々を恐怖に陥れようかと出没したが、周りの心配を余所に素知らぬ顔をして明後日の方向に行く。 元々研究所にいた時から思考の読めない人間だったが、まさかこの世界でもそれをいかんなく発揮しているとは。ルリアに知り合いかどうか聞かれた際、上手く誤魔化せたかは分からないが、彼女は「どこかで見た事があります」とうーんうーんと唸りながら片付けをしていた。 夕方5時、夕勤シフトのメンバーと交代になったサンダルフォンは、手早く着替えて店を出てまだ日の高い空を見上げた。 珍しく早上がりだったのを今日程喜んだ事は無い。 ユニクロでTシャツを購入する時間があるからだ。 流石にルシフェルと会うのに汗をかいた前日と同じ服では行けない。 極度の潔癖症という訳ではないが、あの人の横にこの状態で並ぶのは余程の横着者だろうし、そんなのは自分で自分を殴り飛ばしたくなる。 「サンダルフォンさーん!」 歩き出したサンダルフォンの背に元気な声がかかる。 振り向けば店の入口にルリアとお迎えに来たらしいグランがいた。 手を大きく振る少女に同じく手を上げて返すと2人は笑顔になった。 「またお休み明けに会いましょうね!」 「あ、そうだ、今度3人で遊び行こうよ」 「気が向いたらな」 「またそういう事言うんだから」 苦笑するグランと朗らかに笑うルリアに別れを告げて店へと向かう。 動きやすさを求めてるせいか、普段から飾り気の無いシンプルな服ばかり所持している。給料日前だしそこまで多くは買えない。 青い七分袖の薄手のTシャツを手に取り着替える分だけでもいいかと思索に耽るが、つい新商品のコーナーにぶら下がった黒の単色に左胸の部分に白い羽のマークがついたTシャツを見て思わず自分にぴったりだと感じ、それも合わせて合計2枚購入してしまった。 着替えたい趣旨を伝えればタグを切って余分に1枚袋を渡してくれた店員に感謝をしつつ、トイレの個室で前日のTシャツを脱ぐ。 壁側の棚に置かれた財布が視界に入ると余計な出費をしたと苦虫を噛み潰したように顔を歪めた。1枚でよかったのに。何だって2枚も買ったんだ。 給料日まであと2週間近く。中に残った3000円でやりくりせねばならない事に溜め息���か出なかった。 余った時間で街を歩いて観光し、迎えた8時前。 約束したコンビニの近くに着くと店の外で携帯を片手に立っているルシフェルの姿が見えて一気に駆け出す。 「ルシフェル様!」 なんて事だ。 彼の人を待たせてしまったのか、もっと早くに来るべきだったと無意識に舌打ちが零れる。 サンダルフォンの声に気付いたルシフェルがこちらを向き、そしてふわりと微笑む。 緩く弧を描く唇、細められた目は愛おしい者を見るそれで、春の朝日の様な眩しい笑みに心臓を鷲掴みにされそうになる。 「変わりないかな?」 「え?は、はい、バイトも順調です。...ああそうじゃなくて遅くなって申し訳ありません...」 ぜえはあと呼吸を整えつつ答えれば、ルシフェルはかぶりを振って柔らかな頭を撫でた。 「私もここに着いたのは先程だ。気に病む必要はない」 「でも、」 「昔は君が私を待っていてくれたからね、今は私が待ちたいんだ」 「...ッ!」 カァッと顔が熱くなった。 甘すぎる言葉は煩いくらいに心臓を鳴り響かせ、喉はひくついて思ったように話せなくなる。 あの、その、と吃るサンダルフォンの頬を指の背でそっと撫でると「後は家で話そうか」と囁く。 甘く優しいルシフェルに死んでしまいそうだと思いつつも、辛うじてぶんぶんと首を振って頷けたのは頑張った方だとサンダルフォンは自分を褒めた。 財布の中身も寒いので、コンビニで買い物はせずに家路に向かう最中、「そういえば、」と口を開く。 「今日、バイト先にルシファーが来たんです」 「ああ。友に君と再開出来た事を伝えたからね」 ルシファーがアレから聞いた、と言っていたのはルシフェルの事だったのか、と納得した。 そうなると2人は同じ職場なのか?と疑問も残るが、会って2日目で根掘り葉掘り聞くのもはばかられたので心に留めておくだけにしようと頷く。 「でもアイツ、嫌味も何も言わなくてなんか、こう」 「研究所の時と違う?」 「そうなんですよ。なんか不気味で...おまけにビール券だ、なんて言って封筒寄越してくるし」 ルシファーの物真似なのか、腕を組んで見下ろす仕草をするサンダルフォンに苦笑するルシフェル。 「君に会うなら手土産くらい必要だろうと引き出しをひっくり返していたからな。その時に以前贈答用だとかで貰ったビール券が出てきたからそれを渡したのだろうと思う」 サンダルフォンは言葉を失う。 あの人を人だと思わない冷血ド鬼畜研究者がそんな事をするとは思わなかったからだ。 どちらかと言えば「俺と話すだと?ならそれ相応の菓子折りを持ってこい」くらい言いそうなものなのに。顔に出ていたのかサンダルフォンの頬をするりと撫でると、ルシフェルは至極優しい表情で「あれで友もこの世界に馴染もうとしているのだ」と話すと目を伏せた。 過去の事を全て水に流したり、割り切るのはまだ勇気がいると思う。 だが、こうやってルシフェルやルシファーが前の世界と真逆の、穏やかで平和な世界に馴染もうとしている姿にサンダルフォンは誰も傷付かないのならいいんだと嬉しくなった。それでなのか、ついつい喫茶店に来たルシファーの態度をああだったこうだったと話していると、繋いでいた手の力が不意に強くなる。 「ルシフェル様...?」 「...あまり私の前で友の話ばかりしないでくれ。妬いてしまうよ」 「はへっ?!」 へにゃりと眉を下げて微笑むルシフェルにボンッと顔から火が出たサンダルフォンは、ああもうずるいですルシフェル様!と胸中で叫びながら、唇を戦慄かせて「それは大変申し訳ござんした…」とおかしい日本語を発した。
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