#二見興玉神社_夕空
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rugbysm3 · 4 days ago
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拡張ラグビーケツマ◯コトレーニング
今日はラグビーユニフォームとケツ割れ履いてリモートワーク。
夕方、仕事がほぼ終わったタイミングで拡張自主トレを開始。ケツを洗い、一番小ぶりな張り型を入れ、椅子に座り仕事机に向かう。張り型の亀頭部分がスクラム練習では鍛えられなかった前立腺を刺激する。チンコの根元の奥あたりから、モヤモヤとした快感がラグビーユニフォームを着た全身に広がる。
慣れてきたところで張り型をサイズアップ。持ってる張り型の中で2番目に太いやつだ。黒光りして亀頭のエラが張った立派な張り型。
ラグビーでも仕事でも、成長するかどうかは、一人の時にどれだけ自分に厳しくなれるかにかかっていると思う。俺は新年の抱負として、ケツ穴の拡張をしフィストの道に進むとここで宣言した。
フィストの道に進むことに迷いがないと言えば嘘になる。でも、俺は自分の気持ちにもうウソをつきたくない。自分に正直に生きたい。そうだ。俺はラガーマンだ。ラガーマンとしての気概を見せるんだ。
俺は持ってる中で2番目に太い���の張り型をケツに突っ込み15分間椅子に座り続け、何があっても耐えケツから張り型を引き抜かない、くわえ続けるというノルマを自分に課した。
タイマーを15分にセットする。これが鳴るまでにもし張り型をケツから引き抜くようなことがあれば俺はラガーマン失格だ。神聖な白ラグパンを履く資格を永久に失う。万が一、15分間張り型を入れ続けられず張り型を引き抜くようなことがあれば、その時は恥ずかしい罰が待っている。
白襟のラガーシャツ、白ラグビーソックス、黒スパイクを履き、フリチンでグランドを100周するのだ。ラグビーの聖地、菅平高原名物、「ラガーマンのフリチンラン」を所属していたラグビーチームの仲間の前でするという、妄想めいた罰を思いついた。
こうして自分を追い込まなければ、怠け者の俺は正月の抱負として立てた「拡張トレーニングを継続しフィストマ◯コになる」という誓いをいつの間にか破るだろう。
ラガーマンは有言実行。黙って張り型にまたがり15分間椅子に座り続けた後は、一番大きい張り型に挑戦するのだ。二番目に太い張り型を手に取りローションを塗りケツに亀頭部分だけ突っ込み椅子に座る。体重をかけるとケツがグワッと広がりズブズブと体の中に入っていく。あぁっ…。
張り型の亀頭が、そして太い竿の部分が、パンパンに張った俺の前立腺を引き摺るように刺激していく。キ、キモチイイ…。全体重を掛け張り型を根元までくわえ込む。8割ほど飲み込めた。不自然に腰を浮かせたまま、残りの仕事に集中する。
しばらくすると直腸が動いたのか、張り型が
勝手に飲み込まれていく感じがした。あぁっ…全部入る。スクラムで押し込まれ後退するときのようにジリジリと押し込まれていく。ラグビーを引退してもバクバク食って増えた自分の体重を呪う。
コリッとした感覚があり、張り型がすべて根元まで入った。スウェットを履いたケツが椅子にしっかりと沈み込む。すると、ケツが少し楽になる。俺のケツが張り型を完全飲み込んだのだ。
ふー…。椅子に座りパソコンに向かっているだけなのに、何なんだこの体力消費は。俺は脂汗をかき、白ラグビーソックスを履いた両足をつま先立ちさせ、ケツの奥が突き上げられ圧迫される少し苦し感じに耐える。
スクラム練習よりキツい!つま先立ちした両足がプルプル震え始める。張り型の根元の太い部分でケツの入口が押し広げられる。少しきつい。張り型を引き抜きたい!…でも…仲間の前でフリチンランなんてできない。そんな学生の罰ゲームみたいなことを社会人ラガーマンの俺がしたら、未来永劫、俺はチームの笑いものだ。
フーフー荒い息をしてケツの圧迫感に耐える。タイマーを見ると、長い長い15分が��もなく経とうとしている。あと15秒…10秒…5秒…終��!!硬直した下半身を椅子から浮かし、スウェットをずり下げる。そして入れていた張り型をケツから引き抜く。
ズロン!!あぁっ!
自分のケツが引き抜く際に一番感じる癖のあるケツであることを忘れていた。俺はケツから背筋を貫き脳天までしびれさせるゾクゾクするような快感に腰が抜け、椅子に座り損ねて床にケツから落ちた。
俺の膣液でヌルヌル光った張り型を床に落とした。勢いよくボヨンと飛び跳ね床に静かに横たわる黒く太く長い張り型。俺も床に転がった張り型のようにグッタリと床に横たわった。
はーはー息をする。張り型を引き抜いたケツは開いたままだ。ケツの穴を閉じたり開いたりすると、俺のケツは物欲しそうなヌチョヌチョという音を立てた。部屋の隅に置いた姿見に自分が映る。俺は急に恥ずかしさに襲われる。
なんてザマだろう。やはりラグビーを引退してタガが外れたのだ。俺は長年、不屈のラグビー精神で自分の中に巣食う淫魔と戦ってきた。週末のラグビー練習で思いっきり走り、ぶつかり、叫ぶことでストレスを発散し、淫魔に打ち勝ってきた。
だから俺がラグビーを引退したらストレスを解消できず、抑え込まれていた淫魔が解き放たれることは覚悟していた。でもまさかここまで淫魔に乗っ取られるとは思いもしなかった。
正直に告白する。俺は、ラグビユニフォームとケツ割れを履いた姿で、ラグビーや空手をするようなゴツい男の手でケツの穴を拡げられ、ローションまみれの膣の奥の奥まで見られたいと思っている。恥ずかしい願望だ。しかも、これは絶対に内緒だが、フィスト貫通したあかつきには、OBぐらいの年代のオヤジ達の前でフィストショーをし、ケツでイク姿を見られたいとまで思っている。
思えば長い長いラグビー生活だった。ラグビーコミュニティで男色は御法度だ。だから男との交わりは絶対の秘密にしバレないようにしていた。でも、ラグビーを引退した今の俺は、こうして男色へのドロドロの欲望を不特定多数の男達にネットでさらけ出すだけでなく、仕事中に禁断のケツマンオナニーにふけり、その姿をネットに投稿している。
俺は、フィスト願望が溢れ出して止められなくなっている…。なんということだろう。俺は、あんなにも愛し夢中になっていたラグビーをこの体で冒涜している。
チームの仲間の顔を思い出す。好きだった監督のラグパンのふくらみや、バカでかく発達したふくらはぎや太い腕の筋肉も思い出される。ラグビーボールをつかむ大きな手も。その手が俺のケツに…
あぁっ…。またとんでもない想像をしてしまっている。最近は気が付くといつもこうだ。白昼夢の中��監督の、太くて硬いチンポをしゃぶる。ツユダクでしょっぱくて美味い。強い男の匂いがする。
俺は罪深い妄想に取り憑かれている。もう監督に顔向けできない。監督もOBの先輩たちも、こんな張り型アナニーにふける俺の姿を見たら驚き軽蔑し嫌悪し離れていくだろう。
「もう吉田とは関係を持つな」というお触れが出るに違いない。俺はラグビーを引退しキッズ達のコーチになるのではなく、チームから距離をおいた。そして一年は我慢できた。
でも、淫欲を抑え込む歯止めとしてのラグビーがなくなった今、俺はラガーマンの象徴であるラグパンを脱ぎ、淫乱マ◯コ野郎の象徴であるケツ割れを履き、ラガーシャツと白ラグビーソックス姿で部屋で一人アナニーに没頭している。
何よりも人に言えないのは、俺は大事なチームの試合動画を流しながら激しく興奮しながケツマン拡張アナニーをしているということだ。これがラガーマンとしてだけでなくスポーツマンとして絶対に許されない行為だということは分かっている。でも俺は、自分が出て活躍したラグビー試合動画を流ながらのアナニーを我慢できない。
監督すみません。俺は、動画から聞こえる「吉田!寝てんじゃねー!立て!走れ!金玉ついてんのか」という監督の怒鳴り声を聞きながら興奮しています。半開きのケツの穴からも、硬く勃起したチンポの先からも我慢汁を垂らしています。
監督が俺に怒鳴り声を上げれば上げるほど、俺のチンポは硬くなります。監督に鍛えてもらったデカいふくらはぎに白ラグビーソックスを履き、ケツ穴をヒクヒクさせ、両手で乳首をつまみ、アヘ顔で我慢汁をとめどなく垂らしています。
監督、俺はもう監督の目を直視できません。もし直視したらその瞬間、監督の目の前で俺はイッてしまうでしょう。
俺は試合動画から聞こえる監督の「吉田!突っ込めーっ!」という怒鳴り声を合図に、俺はふらふらと立ち上がり、持っている中で一番太い張り型を手に取った。監督が怒鳴る。「吉田!モタモタしてるな!突っ込め!」。
俺は張り型にローションを塗りながらラグビー脳がピンク色染まっていくのを感じた。監督の「吉田!行け!」の怒鳴り声を合図に、俺は一番太い張り型をケツに突っ込もうとする。
うぅっ…。亀頭部分だけでもすごい圧迫感だ。スクラムを組む俺に、監督が「耐えろ!吉田!」と声をかける。あの太く低い監督の声で、苦しいスクラム戦を何度も耐えしのいだ。
俺は張り型を椅子の上に置き、ゆっくりと腰を下ろし体重をかけていく。ハーフタイムに円陣になった俺に向かって監督が言う。「吉田、体に力が入り過ぎてる。重心を感じろ。そしてスパイクをグランドに食い込ませろ。スクラムの基本を思い出せ」檄が飛ぶ。
俺は重心を感じ、床にしっかりと足をつき、脂汗をかきながら、ゆっくりと腰を下ろしていく。張り型の竿の一番太いところが括約筋を通過する。「よし!いいぞ、吉田!突っ込めっ!」。監督の怒号と同時に一番きついところを乗り越える。
あぁっ!監督っ!
俺は天を仰ぎ、一気に椅子に腰を下ろした。そしてその瞬間は突然やってきた。チンコをしごいてもいないのに、腹の奥からドロドロの熱いマグマがこみ上げる。
監督!ダメです!俺!俺、イキます!
初めて感じる快感にガクガクと体が震える。
イクッ!イクッ!イクッ!
長い射精だった。一分ぐらい止まらないトコロテン射精の快感に、ラグビー脳が破壊されていく。俺は椅子からずり落ち、ドサリと床に倒れ込んだ。ケツから張り型が勢いよく飛び出す。ブチュ!ケツに激しいムズムズした快感が広がる。
ケツ穴に自分の指を突っ込みむと、俺のケツ穴は軟体生物のようにグニョグニョだった。自分の指をヌチョヌチョと包みこんで喰っていく。ノーサイドの笛が鳴る。俺は白ラグビーソックスを履いた太い足をピーンと伸ばし、ラグビーで鍛えたゴツい上半身を反り返らせる。監督が俺を見下ろして立っている。
監督…すみません…
監督は黙って背を向け去っていく。あぁ…。快感の中、俺は意識を失った。
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久しぶりに長文書きました。感想を教えてくれると嬉しいです。写真は、俺の自主トレ姿です。
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mxargent · 1 year ago
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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
アイウエオカキクケコガギグゲゴサシスセソザジズゼゾタチツテトダ ヂ ヅ デ ドナニヌネノハヒフヘホバ ビ ブ ベ ボパ ピ プ ペ ポマミムメモヤユヨrラリルレロワヰヱヲあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわゐゑを日一国会人年大十二本中長出三同時政事自行社見月分議後前民生連五発間対上部東者党地合市業内相方四定今回新場金員九入選立開手米力学問高代明実円関決子動京全目表戦経通外最言氏現理調体化田当八六約主題下首意法不来作性的要用制治度務強気小七成期公持野協取都和統以機平総加山思家話世受区領多県続進正安設保改数記院女初北午指���心界支第産結百派点教報済書府活原先共得解名交資予川向際査勝面委告軍文反元重近千考判認画海参売利組知案道信策集在件団別物側任引使求所次水半品昨論計死官増係感特情投示変打男基私各始島直両朝革価式確村提運終挙果西勢減台広容必応演電歳住争談能無再位置企真流格有疑口過局少放税検藤町常校料沢裁状工建語球営空職証土与急止送援供可役構木割聞身費付施切由説転食比難防補車優夫研収断井何南石足違消境神番規術護展態導鮮備宅害配副算視条幹独警宮究育席輸訪楽起万着乗店述残想線率病農州武声質念待試族象銀域助労例衛然早張映限親額監環験追審商葉義伝働形景落欧担好退準賞訴辺造英被株頭技低毎医復仕去姿味負閣韓渡失移差衆個門写評課末守若脳極種美岡影命含福蔵量望松非撃佐核観察整段横融型白深字答夜製票況音申様財港識注呼渉達良響阪帰針専推谷古候史天階程満敗管値歌買突兵接請器士光討路悪科攻崎督授催細効図週積丸他及湾録処省旧室憲太橋歩離岸客風紙激否周師摘材登系批郎母易健黒火戸速存花春飛殺央券赤号単盟座青破編捜竹除完降超責並療従右修捕隊危採織森競拡故館振給屋介読弁根色友苦就迎走販園具左異歴辞将秋因献厳馬愛幅休維富浜父遺彼般未塁貿講邦舞林装諸夏素亡劇河遣航抗冷模雄適婦鉄寄益込顔緊類児余禁印逆王返標換久短油妻暴輪占宣背昭廃植熱宿薬伊江清習険頼僚覚吉盛船倍均億途圧芸許皇臨踏駅署抜壊債便伸留罪停興爆陸玉源儀波創障継筋狙帯延羽努固闘精則葬乱避普散司康測豊洋静善逮婚厚喜齢囲卒迫略承浮惑崩順紀聴脱旅絶級幸岩���押軽倒了庁博城患締等救執層版老令角絡損房募曲撤裏払削密庭徒措仏績築貨志混載昇池陣我勤為血遅抑幕居染温雑招奈季困星傷永択秀著徴誌庫弾償刊像功拠香欠更秘拒刑坂刻底賛塚致抱繰服犯尾描布恐寺鈴盤息宇項喪伴遠養懸戻街巨震願絵希越契掲躍棄欲痛触邸依籍汚縮還枚属笑互複慮郵束仲栄札枠似夕恵板列露沖探逃借緩節需骨射傾届曜遊迷夢巻購揮君燃充雨閉緒跡包駐貢鹿弱却端賃折紹獲郡併草徹飲貴埼衝焦奪雇災浦暮替析預焼簡譲称肉納樹挑章臓律誘紛貸至宗促慎控贈智握照宙酒俊銭薄堂渋群銃悲秒操携奥診詰託晴撮誕侵括掛謝双孝刺到駆寝透津壁稲仮暗裂敏鳥純是飯排裕堅訳盗芝綱吸典賀扱顧弘看訟戒祉誉歓勉奏勧騒翌陽閥甲快縄片郷敬揺免既薦隣悩華泉御範隠冬徳皮哲漁杉里釈己荒貯硬妥威豪熊歯滞微隆埋症暫忠倉昼茶彦肝柱喚沿妙唱祭袋阿索誠忘襲雪筆吹訓懇浴俳童宝柄驚麻封胸娘砂李塩浩誤剤瀬趣陥斎貫仙慰賢序弟旬腕兼聖旨即洗柳舎偽較覇兆床畑慣詳毛緑尊抵脅祝礼窓柔茂犠旗距雅飾網竜詩昔繁殿濃翼牛茨潟敵魅嫌魚斉液貧敷擁衣肩圏零酸兄罰怒滅泳礎腐祖幼脚菱荷潮梅泊尽杯僕桜滑孤黄煕炎賠句寿鋼頑甘臣鎖彩摩浅励掃雲掘縦輝蓄軸巡疲稼瞬捨皆砲軟噴沈誇祥牲秩帝宏唆鳴阻泰賄撲凍堀腹菊絞乳煙縁唯膨矢耐恋塾漏紅慶猛芳懲郊剣腰炭踊幌彰棋丁冊恒眠揚冒之勇曽械倫陳憶怖犬菜耳潜珍
“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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huaxieguoji · 1 month ago
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翩翩:讀童小汐《蒼穹之下》的沉思
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⊙翩翩(廣東)
童小汐的散文《蒼穹之下》宛如一面冷峻的鏡子,映照出社會隱匿在繁華背後的「暗疾」,每一處細節、每一段經歷,皆是通往社會深層矛盾的隱秘入口。它不僅是一段旅途見聞的記錄,更是一份沉重且發人深省的社會檔案,亟待我們細細拆解和深入探究。其間牽扯的諸多問題,與民生安穩、社會良性發展息息相關,關乎於萬千民眾的切實福祉。
一,民生維艱:生計與規則的矛盾
皮卡車司機的遭遇,仿若一記重錘,狠狠砸在現實的砧板上,震出底層百姓生計艱難的無奈迴響。他滿心期許,不過是車輛順利通過年檢,借此維持一家人的溫飽,車輪滾動之處,承載的��全家的生計希望。於是,他謹遵車檢要求,東拼西湊、咬牙拿出七八千血汗錢修車,每一分投入都飽含著對生活的敬畏與執著。
可命運弄人,尾氣檢測這道關卡無情地將他攔下,讓此前所有努力付諸東流。一句「老百姓買輛車容易嗎」,道出了無數普通人在嚴苛規則夾縫中艱難求生的心酸。
此事背後,折射出規則制定與民生訴求嚴重脫節的現象。政策擬定者懷揣環保等遠大願景,卻在落地實施時,忽略了基層百姓千差萬別的實際狀況,缺乏緩衝機制與靈活變通。弱勢群體被迫成為規則的「受害者」,長此以往,百姓的獲得感與幸福感,在一次次碰壁中被無情蠶食,淪為泡影。
二,地域困局:發展失衡下的落寞
茫崖地區處於偏遠的小城,孤獨地鑲嵌在荒漠之中。人口稀少、產業單一,是貼在它身上難以撕下的標籤。當地牧民,祖祖輩輩逐水草而居,那是寫在血脈裡的生活方式。
可如今,傳統畜牧岌岌可危,像是燃盡的燭火,隨時可能熄滅。新興文旅產業雖乍現曙光,卻宛如鏡花水月,尚未真正落地生根,原住居民們只能望洋興嘆,難以從中分得一杯羹。
反觀東部城市,資源如潮水般匯聚,機遇遍地叢生。年輕人受此吸引,如候鳥遷徙般奔赴大城市,追尋工作與發展的良機。這般人才單向流動,進一步加劇西部「空心化」窘境。
地域發展不均,絕非簡單的經濟數字落差,更深層次地導致文化傳承斷層、民俗特色凋零,人才流失形成惡性循環,城鄉差距愈發懸殊。西部發展淪為社會整體進步的「短板」,嚴重阻礙了共同富裕的穩健步伐。
三,精神迷途:網絡時代的價值迷航
月琴曾是懷揣空姐夢想的純真少女,滿心憧憬著翱翔天際的未來。然而,高考失利如一場突如其來的���暴,將她的夢想之舟掀翻。慌亂之中,她一頭紮進直播的「泥沼」,自此迷失方向。
鏡頭前,濃妝豔抹掩蓋了她昔日的質樸,嗲聲嗲氣的求賞聲替代了朗朗書聲,在虛擬世界中越陷越深。父母的痛心疾首,鄰里的側目非議,於她而言,仿若隔世之音,全然無法喚醒她沉淪的心。 直播興起之初,本是互聯網賦予個體展現自我、突破階層的難得契機,可當下卻亂象叢生,低俗、拜金之風大行其道,如同隱匿在暗處的「精神毒瘤」,悄悄地侵蝕著青年一代的價值觀。
網絡虛擬世界張開「溫柔陷阱」,部分年輕人被眼前的短期利益矇蔽雙眼,摒棄腳踏實地的奮鬥精神,盲目追逐短平快的名利,長此以往,社會的實幹精神被消磨殆盡,創新活力陷入乾涸,文化土壤遭受到了重度污染。
四,醫療困境:生命與金錢的殘酷拔河
月琴母親身患腫瘤,這本是一個家庭最沉重的噩耗,而十幾萬的手術費,更是橫亙在生命通道上的天塹,讓家人望而卻步。無奈之下,只能眼睜睜看著病魔肆虐,任由病痛將親人的身軀與意志一點點碾碎。醫院走廊裡,熙熙攘攘,看似熱鬧非凡,實則暗藏悲涼。高昂的醫療費,讓「生不起病」的人們雪上加霜。
究其根源,醫療資源分佈不均是癥結所在。大城市的大醫院仿若巨型「虹吸器」,憑藉優質資源將人才、設備源源不斷吸納過去,致使基層醫療疲軟無力,難以為百姓撐起健康「保護傘」。醫保保障雖在持續發力,但面對大病重病,依舊顯得力不從心,家庭經濟不堪重負。
生命健康權是每個人最基本的人權,可醫療困局,卻讓患者在生死邊緣,因金錢束縛躊躇不前,加劇了社會焦慮情緒蔓延,嚴重衝擊著大眾安全感。
五,隱匿筆觸間的情感脈絡
細品全文,作者絕非置身事外的冷眼旁觀者,而是懷揣一腔深沉熾熱、悲天憫人的情感,投身於社會萬象的「寫生」之中。字裡行間,滿是對底層民眾的悲憫與共情。皮卡車司機的絕望、其其格一家的落寞、月琴父母的無奈,皆被作者敏銳捕捉,筆觸細膩勾勒他們的困窘,似無聲吶喊,替弱勢群體訴盡生活艱難,祈願社會投來更多關注目光,給予幫扶溫暖。
無奈與憂慮也貫穿始終。目睹車檢亂象、地域發展鴻溝、網絡不良風氣、醫療沉重負擔,深知這些問題盤根錯節、根深蒂固,絕非朝夕可解。發展失衡讓西部大地失色,價值扭曲侵蝕年輕一代,民生短板刺痛大眾神經,憂慮化作警鐘長鳴,敲打著社會各界。
但在灰暗底色中,仍藏一絲期許。旅途仍在繼續,交流仍未終止,恰似暗示社會尚有修正、蛻變之機。作者相信政策能優化、人心能歸正、醫療會減負,借筆下故事拋磚引玉,呼籲眾人共赴公平、和諧與美好的明天,願這份期許給讀者以慰藉與力量。
面對西部當今重重困局,我們期待著政策制定層面,決策者需俯身傾聽民聲,深入基層調研,讓車檢規則這類政策充滿溫情與彈性,增設幫扶機制,為弱勢群體開闢綠色通道;西部開發要加大精準投入,結合當地獨特地理人文優勢,量身定製產業規劃,激活內生動力,平衡地域資源差距;網絡監管應升級迭代,滌蕩直播亂象,還網絡空間一片清朗;醫療改革要優化資源配置,提升基層醫療水平,完善醫保體系,切實減輕患者負擔。
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wangwill66 · 1 year ago
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讀萬卷書
H:讀萬卷書很無聊,行萬里路很辛苦。看電視的活衣廚,每日看平板找萬卷書,看旅遊節目觀遊世界。廢人世界的新讀書觀,懶人的觀遊世界路。以點引書,以觀代遊。網路世界很遼闊。「欲知天下事,須讀古今書。學了就用處處行,光學不用等於零。不能則學,不知則問;讀書全在自用心,老師不過引路人。」看「他們在島嶼寫作」介紹王文興,以電影文本的形式,紀錄文學大家。其中王文興教授談及「彷彿名人才能寫回憶錄。」因為有人看,普通人寫回憶錄則自我安慰,自娛娛人。有些人隨物換星移而隱去,有些書卻一直流傳。廢宅論不可取,各依所需,天冷在家,觀音唸佛祖,各唸一本家家經。20231217W7
王文興 (作家)
維基百科:
台灣作家 (1939-2023)
王文興(1939年9月24日—2023年9月27日),男,福建福州人,臺灣小說家。 維基百科
電影: 尋找背海的人
配偶: 陳竺筠; (1969年結婚—2023年結束)
王文興從1966年開始寫作《家變》,在1973年出版,發表後造成軒然大波。這是因為《家變》從內容到形式、情節、結構,語言文字,在當時的台灣文壇都是創新的,甚至創新到被某些人認為是「離經叛道」的「異端」,為了這部作品,台灣文學界曾經開過多次座談會,發表過多篇文章來討論。
古人說「人不登高山,不知天之高也;不臨深溪,不知地之厚也。」
蘇軾在《石鐘山記》一文中,記敘了他深入實地考察,揭開了石鐘山得���之謎的故事。
李時珍爲了完成《本草綱目》的著述,不辭辛勞遠出旅行考察,上山採藥和拜訪有實際經驗的人。
陸遊說:「紙上得來終覺淺,絕知此事要躬行。」
杜甫在《奉贈韋左丞丈二十二韻》中這樣的句子:讀書破萬卷,下筆如有神。
明末畫家董其昌的《畫禪室隨筆》卷二○畫訣中:「讀萬卷書,行萬里路,胸中脫去塵濁,自然丘壑內營,立成鄄鄂。」
古人講讀萬卷書,行萬里路,其實就是王陽明老先生講的知行合一。
「讀萬卷書,行萬里路,有耀自他,我得其助」出自清代梁邵王《兩般秋雨庵隨筆》
趙恆《勸學詩》
勸學詩
宋代:趙恆
富家不用買良田,書中自有千鍾粟。
安居不用架高堂,書中自有黃金屋。
出門莫恨無人隨,書中車馬多如簇。
娶妻莫恨無良媒,書中自有顏如玉。
男兒若遂平生志,六經勤向窗前讀。
人生五堂課:讀萬卷書、行萬里路、閱人無數、名師指路、自己開悟
讀萬卷書
書山有路勤爲徑,學海無涯苦作舟;腹有詩書氣自華,讀書破萬卷 下筆如有神黑髮不知勤學早 白首方悔讀書遲與肝膽人共事 無字句處讀書行萬里路千里之行 始於足下不積跬步無以至千里路遙知馬力日久見人心路漫漫其修遠兮 吾將上下而求索紙上得來終覺淺 絕知此事要躬行閱人無數讀人如讀書 閱人宜閱己邪正看鼻眼 功名看氣宇 事業看精神
古今賢文勸學篇
枯木逢春猶再發,人無兩度再少年。不患老而無成,只怕幼兒不學。長江後浪推前浪,世上今人勝古人。若使年華虛度過,到老空留後悔心。有志不在年高,無志空長百歲。少壯不努力,老大徒傷悲。好好學習 ,天天向上。堅持不懈,久煉成鋼。三百六十行,行行出狀元。冰生於水而寒於水,青出於藍而勝於藍。書到用時方恨少,事非經過不知難。
身怕不動,腦怕不用。手越用越巧,腦越用越靈。三天打魚,兩天曬網,三心二意,一事無成。一日練,一日功,一日不練十日空。拳不離手,曲不離口。刀不磨要生銹,人不學要落後。書山有路勤為徑,學海無涯苦作舟。師傅領進門,修行在自身。熟能生巧,業精於勤。
讀書篇
欲知天下事,須讀古今書。
學了就用處處行,光學不用等於零。
不能則學,不知則問;讀書全在自用心,老師不過引路人。
好曲不厭百回唱,好書不厭百回讀。
讀書貴能疑,疑能得教益。
默讀便於思索,朗讀便於記憶。
初讀好書如獲良友;重讀好書如逢故知。
處處留心皆學問,三人同行有我師。
石鐘山記
朝代:宋代
作者:蘇軾
《水經》雲:“彭蠡之口有石鐘山焉。”酈元以爲下臨深潭,微風鼓浪,水石相搏,聲如洪鐘。是說也,人常疑之。今以鐘磬置水中,雖大風浪不能鳴也,而況石乎!至唐李渤始訪其遺蹤,得雙石於潭上,扣而聆之,南聲函胡,北音清越,桴止響騰,餘韻徐歇。自以爲得之矣。然是說也,餘尤疑之。石之鏗然有聲者,所在皆是也,而此獨以鍾名,何哉?
元豐七年六月丁丑,餘自齊安舟行適臨汝,而長子邁將赴饒之德興尉,送之至湖口,因得觀所謂石鍾者。寺僧使小童持斧,於亂石間擇其一二扣之,硿硿焉。餘固笑而不信也。至莫夜月明,獨與邁乘小舟,至絕壁下。大石側立千尺,如猛獸奇鬼,森然欲搏人;而山上棲鶻,聞人聲亦驚起,磔磔雲��間;又有若老人咳且笑于山谷中者,或曰此鸛鶴也。餘方心動欲還,而大聲發於水上,噌吰如鐘鼓不絕。舟人大恐。徐而察之,則山下皆石穴罅,不知其淺深,微波入焉,涵淡澎湃而爲此也。舟回至兩山間,將入港口,有大石當中流,可坐百人,空中而多竅,與風水相吞吐,有窾坎鏜鞳之聲,與向之噌吰者相應,如樂作焉。因笑謂邁曰:“汝識之乎?噌吰者,周景王之無射也;窾坎鏜鞳者,魏莊子之歌鐘也。古之人不餘欺也!”
事不目見耳聞,而臆斷其有無,可乎?酈元之所見聞,殆與餘同,而言之不詳;士大夫終不肯以小舟夜泊絕壁之下,故莫能知;而漁工水師雖知而不能言。此世所以不傳也。而陋者乃以斧斤考擊而求之,自以爲得其實。餘是以記之,蓋嘆酈元之簡,而笑李渤之陋也。
《本草綱目》是一部集中國16世紀以前本草學大成的著作,明代萬曆六年(1578年)定稿,萬曆二十三年(1596年)在南京正式刊行,作者為醫學家、藥學家和博物學家李時珍。此著收錄於《四庫全書》,為子部醫家類。
紙上得來終覺淺,絕知此事要躬行。
出自於陸游的《冬夜读书示子聿》
朝代:宋代
作者:陸游
古人學問無遺力,少壯工夫老始成。
紙上得來終覺淺,絕知此事要躬行。
奉贈韋左丞丈二十二韻
朝代:唐代作者:杜甫
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原文
紈绔不餓死,儒冠多誤身。丈人試靜聽,賤子請具陳。
甫昔少年日,早充觀國賓。讀書破萬卷,下筆如有神。
賦料揚雄敵,詩看子建親。李邕求識面,王翰愿卜鄰。
自謂頗挺出,立登要路津。致君堯舜上,再使風俗淳。
此意竟蕭條,行歌非隱淪。騎驢十三載,旅食京華春。
朝扣富兒門,暮隨肥馬塵。殘杯與冷炙,到處潛悲辛。
主上頃見征,欻然欲求伸。青冥卻垂翅,蹭蹬無縱鱗。
甚愧丈人厚,甚知丈人真。每于百僚上,猥頌佳句新。
竊效貢公喜,難甘原憲貧。焉能心怏怏,只是走踆踆。
今欲東入海,即將西去秦。尚憐終南山,回首清渭濱。
常擬報一飯,況懷辭大臣。白鷗沒浩蕩,萬里誰能馴?
1 
○記事2 
予在廣陵,見司馬端明畫山水,細巧之極,絕似李成。多宋元人題跋,畫譜俱不載,以此知古人之逃名。3 
今年游白下,見褚遂良西升經,結構遒勁,於黃庭像贊外,別有筆思。以顧虎頭洛神圖易之。主人迫欲朱提,力不能有,遂落賈人手。如美人為沙叱利擁去矣。更償之二百金,竟靳固不出。登舟作數日惡,憶念不置。然筆法尚可摹擬,遂書此論,亦十得二三耳。使西升經便落予手,未必追想若此也。4 
書家以豪逸有氣,能自結撰為極則。西昇雖俊媚,恨其束于法,故米漫士不甚賞心。若兒子輩能學之,亦可適俗。因作小楷書記之。5 
送君者自崖而返,君自此遠。宋子京讀莊子至此,遂欲沾巾。予北上,泊寒山為送別諸君子拈之。6 
鬥鵪鶉,江南有此戲,皆在籠中。近有吳門人,始開籠於屋除中,相鬥彌日。復入籠飲啄,亦太平清事。7 
餘與仲醇,以建子之月,發春申之浦,去家百里。泛宅淹旬,隨風東西,與雲朝暮。集不請之友,乘不系之舟。壺觴對飲,翰墨間作。吳苑酹真娘之墓,荊蠻尋懶瓚之蹤,固以胸吞具區,目瞪雲漢矣。夫老至則衰,倘來若寄,既悟炊梁之夢。可虛秉燭之游,居則一丘一壑,唯求羊是群;出則千峰萬壑,與汗漫為侶。茲予兩人,敦此夙好耳。8 
余游閩中,遇異人談攝生奇訣。在讀黃庭內篇,夜觀五藏神,知其虛實,以為補瀉。蓋道藏所不傳,然須斷葷酒與溫柔鄉,則可受持。至今愧其語也。9 
七夕,王太守禹聲,招飲於其家園。園即文恪所投老。唐子畏,郝元敬諸公為之點綴者。是日,出其先世所藏名畫。有趙千里後赤壁賦一軸,趙文敏落花游魚圖,谿山仙館圖。又老米雲山,倪雲林漁莊秋霽,梅道人漁家樂手卷,李成雲林卷,皆希代寶也。餘持節楚藩歸。曾晚泊祭風臺,即周郎赤壁,在嘉魚縣南七十里。雨過,輒有箭���於沙渚間出。里人拾鏃視予,請以試之火,能傷人,是當時毒藥所造耳。子瞻賦赤壁,在黃州,非古赤壁也。壬辰五月10 
元李氏有古紙,長二丈許,光潤細膩,相傳四世。請文敏書,文敏不敢落筆,但題其尾。至文徵仲,止押字一行耳,不知何時乃得書之。11 
餘頃驅車彭城,不勝足音之懷。又有火雲之苦,回馭谷水塔上,養痾三月。而仲醇挾所藏木癭爐,王右軍月半帖真跡、吳道子觀音變相圖、宋板華嚴經尊宿語錄示餘。丈室中惟置一床,相對而坐,了不蓄筆研。既雨窗靜間,吳門孫叔達以畫事屬余紀游,遂為寫迂翁筆意。即長安游子,能有此適否?12 
袁尚書賴無𥚛,孫女以餓縊死。尚書善噉,不能饜。每市蜆為晚飧,可竟一斗。有一門生,饋以十金,輒作三封。以一封置袖中,乘月叩窮交之戶。呼輿偕步,以袖中金贈之而別。其貧都由此,然每攜麗伎泛泊,一日不能廢也。13 
楊尚書成,在吳中負物望。其家不貧,而吳中人稱之,不在哀公下。以其淳謹安靜,故令人無可間然耳。尚書過蔡經舊里,曰:「此宋之大賊,乃居此乎?」以為蔡京也,所謂不讀非聖書者耶。14 
張東海題詩金山:「西飛白日忙於我,南去青山冷笑人。」有一名公,見而物色之曰:「此當為海內名士。」東海在當時,以氣節重。其書學懷素,名動四夷。自吳中書家後出,聲價稍減,然行書尤佳。今見者少耳。15 
餘與程黃門同行江南道上,停驂散步。見陂陁紆復,峰巒孤秀。下瞰平湖,澄碧萬頃,湖之外江光吞天,征帆點點,與鳥俱沒。黃門曰:「此何山也?」餘曰:「齊山也。」黃門曰:「子何以知之?」餘曰:「吾知杜樊川所謂江涵秋影者耳。」詢之舟人,亦不能名。但曰:此上有翠微亭。黃門與餘一笑而出,是日步平堤六七里,皆在南湖中。此堤之勝,西湖僅可北面稱臣耳。俗諺云,九子可望不可登,齊山可登不可望。信然。16 
大林寺,在天池之西,有西竺娑羅樹二株。中宴坐老僧,余訪之,能念阿彌陀佛號而已。白樂天詩云:「人間四月芳菲盡,山寺桃花始盛開。」必此寺也。17 
○記游18 
武彞有大王峰,峰極尊勝。故名武彞。君為魏王子騫,曾會群真於此,奏人間可哀之曲。19 
大田縣有七巖臨水。山下皆平田。秋氣未深,樹彫葉落,衰柳依依。20 
洞天巖,在沙縣之西十裏。其山壁立,多松樟。上有長耳佛像。水旱禱,著靈跡。其巖廣可容三几二榻。高三仞餘,滴水不絕。閩人未之賞也,餘創而深索之。得宋人題字石刻十餘處,皆南渡以後名手。詩歌五章。巖下有流觴曲水,徐令與餘飲竟日,頗盡此山幽致。追寫此景,以當紀游。21 
高郵夜泊,望隔堤大湖月色微晦,以為地也。至詰旦,水也。竺典化城,無乃是耶。22 
子行至滕陽,嶧山在望。火靈煙沙,殆不復有濟勝具。是日宿縣中官舍,乃以意造,為嶧山不必類嶧山也,想當然耳。曾游嶧山者,知餘不欺人。23 
呂梁縣瀑三千仞,石骨出水上。憶予童子時,父老猶道之,今不復爾。東海揚塵,殆非妄語。24 
○評詩25 
大都詩以山川為境,山川亦以詩為境。名山遇賦客,何異士遇知己?一入品題,情貌都盡。後之游者,不待按諸圖經,詢諸樵牧,望而可舉其名矣。嗟嗟,澄江凈如練,齊魯青未了。寥落片言,遂關千古登臨之口,豈獨勿作常語哉?以其取境真也。友人錢象先荊南集,不盡象先才情之變。而餘嘗持節長沙,自洞庭而下,漢陽而上,與象先共之。故其取境之真,特有賞會云。抑餘不能游,然好詩。象先能詩,又好游,是安得象先為東西南北之人?窮夫所謂州有九岳有五者。而皆被以奇音雋響。餘得隱幾而讀之。以吾拙而收象先之巧,以吾目而用象先之足,不大愉快哉?26 
東坡云:「詩人有寫物之工。」桑之未落,其葉沃若。他木不可以當此。林逋梅花詩:「疏影橫斜水清淺,暗香浮動月黃昏」,決非桃李詩。皮日休白蓮詩:「無情有恨何人見,月冷風清欲墮時」,此必非紅蓮詩。裴璘詠白牡丹詩。」長安豪貴惜春殘,爭賞先���紫牡丹��別有玉杯承露冷,無人起就月中看。」27 
餘以丙申秋,奉使長沙。至東林寺,時白蓮盛開。土人云:此晉慧遠所種。自晉至今千餘年,惟存古甃與欄楯,而蓮無復種矣。忽放白毫光三日三夜。此花宰地而出,皆作千葉,不成蓮房。餘徘徊久之。」幸此花開,與餘行會。遠公有記云:「花若開,吾再來。」餘故有詩云「泉歸虎谿靜,雲度雁天輕。苔蘚封碑古,優雲應記生。」記此事也。28 
古人詩語之妙,有不可與冊子參者,惟當境方知之。長沙兩岸皆山,餘以牙檣游行其中。望之,地皆作金色。因憶水碧沙明之語。又自岳州順流而下,絕無高山。至九江,則匡廬兀突,出檣帆外。因憶孟襄陽所謂「掛席幾千里,名山都未逢。泊舟潯陽郭,始見香爐峰。」真人語,千載不可復值也。29 
宋人推黃山谷所得,深於子瞻,曰:「山谷真涅槃堂裏禪也。」30 
頃見岱志詩賦六本。讀之既盡,為區檢討用孺言曰:「總不如一句。」檢討請之,曰:「齊魯青未了。」31 
「燈影照無睡,心清聞妙香。」杜少陵宿招提絕調也。予書此於長安僧舍,自後無復敢題詩者。32 
「萬事不如杯在手,一年幾見月當頭。」文徵仲嘗寫此詩意。又樊川翁「南陵水面漫悠悠,風緊雲繁欲變秋。」趙千里亦圖之。此皆詩中畫,故足畫耳。33 
「風靜夜潮滿,城高寒月昏。」「秋色明海縣,寒煙生里閭。」「春盡草木變,雨餘池館青。」「楚國橙橘暗,吳門煙雨愁。」「郭外秋聲急,城邊月色殘。」「眾山遙對酒,孤嶼共題詩。」「氣蒸雲夢澤,波撼岳陽城。」「林花掃更落,徑草踏還生。」「掛席樵風便,開樽琴月孤。」「落日池上酌,清風松下來。」王江寧、孟襄陽,五言詩句。每一詠之,便習習生風。34 
餘見倪雲林自題畫云:十月江南未隕霜,青楓欲赤碧梧黃。停橈坐對寒山晚,新雁題詩小著行。35 
明月照積雪,大江流日夜。客心悲未央,澄江凈如練。玉繩低建章,池塘生春草。秋菊有佳色,俱千古寄語,不必有所附麗,文章妙境,即此瞭然。齊隋以還,神氣都盡矣。36 
李獻吉詩,如「詠月」有云「光添桂魄十分影,寒落江心幾尺潮。」不見集中,自是佳語。唐子畏詩,有曰:「杜曲梨花杯上雪,灞陵芳草夢中煙。」又曰:「秋榜才名標第一,春風脂粉醉千場。」皆學白香山。子畏之才,何須以解首矜詡。其亦唐人所謂今朝曠蕩春無涯,不免器小之誚。37 
唐人詩律,與書法頗似,皆以濃麗為主,而古法稍遠矣。餘每謂晉書無門,唐書無態,學唐乃能入晉。晉詩如其書,雖陶元亮之古淡,阮嗣宗之俊爽,在法書中未可當虞褚。以其無門也,因為唐人詩及之。38 
翰墨之事,良工苦心,未嘗敢以耗氣應也。其尤精者,或以醉,或以夢,或以病。游戲神通,無所不可。何必神怡氣王?造物乃完哉。世傳張旭號草聖,飲酒數斗,以頭濡墨,縱書墻壁上。淒風急雨,觀者歎愕。王子安為文,每磨墨數升,蒙被而臥,熟睡而起。詞不加點,若有鬼神。此皆得之筆墨蹊逕之外者。今觀察王先生,當人日,病不起。據枕作詩二十章,言言皆樂府鼓吹也,乃與彼二子鼎足立矣。39 
東坡讀金陵懷古詞於壁間,知為介甫所作,嘆曰:「老狐精能許,」以羈怨之士,終不能損價於論文。所謂文章天下至公。當其不合,父不能諛子。其論之定者,雖東坡無如荊公何,太白曰:「崔灝題詩在上頭。」東坡題廬山瀑布曰:「不與徐凝洗惡詩。」太白擱筆於崔灝,東坡操戈於徐凝。豈有恩怨哉?
董其昌《評文》
1 
東坡水月之喻,蓋自肇論得之,所謂不遷義也。文人冥搜內典,往往如鑿空,不知乃沙門輩家常飯耳。大藏教若演之有許大文字。東坡突過昌黎歐陽,以其多助。有此一奇也。2 
蘇子瞻表忠觀碑,惟敘蜀漢抗衡不服,而錢氏順命自見。此以賓形主法也。執管者即已遊於其中,自不明了耳。如能了之,則拍拍成令。雖文采不章,而機鋒自契。3 
文章隨題敷衍,開口即涸。須於言盡語竭之時,別行一路。太史公荊軻傳,方敘荊軻刺秦王,至秦王環柱而走,所謂言盡語竭。忽用三個字轉云「而秦法」自此三字以下,又生出多少煙波。4 
凡作文,原是虛架子。如棚中傀儡,抽牽由人,非一定死煞。真有一篇文字,有代當時作者之口,寫他意中事,乃謂注於不涸之源。且如莊子逍遙篇。鷽鳩笑大鵬,須代他說曰:「我決起而飛槍榆枋,時則不至,而控於地而已矣。奚以之九萬里而南為?」此非代乎?若不代,只說鷽鳩笑,亦足矣。又如太史公稱燕將得魯仲連書云:「欲歸燕,已有隙,恐誅;欲降齊,所殺虜,於齊甚眾。恐已降而后見辱,喟然嘆曰:與人辨,我寧自辨。」此非代乎?5 
文有翻意者,翻公案意也。老吏舞文,出入人罪。雖一成之案,能翻駁之。文章家得之,則光景日新。且如馬嵬驛詩,凡萬首,皆刺明皇寵貴妃。只詞有工拙耳。最後一人,乃云:尚是聖明天子事,景陽宮井又何人。便翻盡從來巢臼。曹孟德疑塚七十二。古人有詩云:直須發盡疑塚七十二。已自翻矣。後人又云:以操之奸,安知不慮及於是。七十二塚,必無真骨。此又翻也。6 
青鳥家,專重脫卸。所謂急脈緩受,緩脈急受。文章亦然。勢緩處,須急做,不令扯長冷淡。勢急處,須緩做,務令紆徐曲折,勿得埋頭,勿得直腳。7 
杜子美云:擒賊先擒王。凡文章,必有真種子,擒得真種子,則所謂口口咬著。又所謂點點滴滴雨,都落在學士眼裡。8 
文字最忌排行,貴在錯綜其勢。散能合之,合能散之。左氏晉語云:賈誼政事疏,太子之善,在於早諭教與選左右。早諭教,選左右,是兩事。他卻云心未濫而先諭教,則化易成也。此是早諭教。下云若其服習講貫,則左右而已。此是選左右,以二事離作兩段,全不排比。自六朝以後,皆畫段為文,少此氣味矣。9 
作文要得解悟。時文不在學,只在悟。平日須體認一番,才有妙悟,妙悟只在題目腔子里思之。思之思之不已,鬼神將通之。到此將通時,才喚做解悟。了得解時,只用信手拈神,動人心來。頭頭是道,自是文中有竅,理義原悅人心。我合著他,自是合著人心。文要得神氣,且試看死人活人,生花剪花,活雞木雞,若何形狀?若何神氣?識得真,勘得破,可與論文。如閱時義,閱時��,吾毛竦色動,便是他神氣逼人處。閱時似然似不然,欲丟欲不丟,欲讀又不喜讀,便是他神索處。故窗稿不如考卷之神,考卷之神薄,不如墨卷之神厚。魁之神露,不如元之神藏。試之,自有解人處。脫套去陳,乃文家之要訣。是以剖洗磨煉,至精光透露。豈率爾而為之哉?必非初學可到。且定一取舍,取人所未用之辭,舍人所已用之辭;取人所未談之理,捨人所已談之理;取人所未布之格,舍人所已布之格;取其新,舍其舊。不廢辭,卻不用陳辭;不越理,卻不用皮膚理;不異格,卻不用卑瑣格。格得此,思過半矣。10 
文家要養精神,人一身只靠這精神幹事。精神不旺,昏沉到老,只是這個。人須要養起精神,戒浩飲,浩飲傷神;戒貪色,貪色滅神;戒厚味,厚味昏神;戒飽食,飽食悶神;戒多動,多動亂神;戒多言,多言損神;戒多憂,多憂鬱神;戒多思,多思撓神;戒久睡,久睡倦神;戒久讀,久讀苦神。人若調養得精神完固,不怕文字無解悟,無神氣,自是矢口動人。此是舉業最上一乘。11 
多少伶俐漢,只被那卑瑣局曲情態,耽擱一生。若要做個出頭人,直須放開此心。令之至虛,若天空,若海闊;又令之極樂,若曾點游春,若茂叔觀蓬,洒洒落落。一切過去相、見在相、未來相,絕不里念,到大有入處,便是擔當宇宙的人,何論雕蟲末技?12 
甚矣,舍法之難也。兩壘相薄,兩雄相持,而俠徒劍客,獨以魚腸匕首,成功於枕席之上,則孫吳不足道矣。此捨法喻也。又喻之於禪,達磨西來,一門超出,而億劫脩持三千相;彈指了之,舌頭坐斷,文家三昧,寧越此哉。然不能盡法,而遽事舍法,則為不及法。何士抑能盡法者也,故其游戲跳躍,無不是法。意象有神,規模絕跡。今而後以此爭長海內,海內益尊士抑矣。13 
吾常謂成弘大家,與王唐諸公輩,假令今日而在,必不為當日之文。第其一種真血脈,如堪輿家所為正龍,有不隨時受變者。其奇取之於機,其正取之於理,其致取之於情,其實取之於事,其藻取之於辭。何謂辭?《文選》是也。何謂事?《左史》是也。何謂情?《詩》《騷》是也。何謂理?《論語》是也。何謂機?《易》是也。《易》闡造化之機,故半明半晦,以無方為神。《論語》著倫常之理,故明白正大,以《易》知為用。如《論語》曰:「無適無莫」,何���本易。《易》則曰:「見群龍無首,下語險絕矣。」此則王唐諸公之材料窟宅也。如能熟讀妙悟,自然出言吐氣,有典有則,而豪少佻舉浮俗之習,淘洗殆盡矣。14 
夫士子以干祿故,不能迂其途,以就先民矩矱是或一說矣。不曰去其太甚乎?小講入題,欲離欲合,一口說盡,難復更端,不可稍加虛融乎。股法所貴,矯健不測。今一股之中,更加復句,轉接之痕盡露。森秀之勢何來?不可稍加裁剪乎?古文只宜暗用,乃得一成語。不問文勢夷險,必委曲納之。或泛而無當,或奇而無偶,不可稍割愛乎。每題目必有提綱,即欲運思於題中。又欲回盼於題外,若復快意直前,為題所縛。圓動之處,了不關心,縱才藻燦然,終成下格,不可另著眼乎?諸如此類,更僕莫數。一隅反之,思過半矣。
徐仙真錄序编辑
  天生英才,用之於當時,則能忠君保民,榮膺顯爵。歿則廟祀一方,而其陰功靈貺,猶能闡揚于後世者,實非偶然。蓋天將有意於斯世斯民,而使其至於是也。不然何獨異於人哉。若徐二仙者,槩可見矣。神,海州胸山人也。出偃王之後。其父溫,五代時為吳名將,能建軍功,累遷官至拜相,卒贈齊王,謐忠武。五子皆受王封,曰知證,曰知誇者,即二仙也。天福中,唐主受禪,封知證為江王,知誇為饒王,同鎮金陵。威德兼濟,民庶ㄨ安。率兵入閩,蠻寇迎降,境土寧靜。閩人歸戴;遂立生祠於鰲峰之北,設像以敬事焉。神念其誠,一日,語閩人曰:我明年別汝輩、當默佑玆土。果符前言,於是閩人敬事益虔。而凡旱潦虫蝗之灾,水火寇盜之危,疾病婚葬之請,隨禱隨應,若響若荅。至若摛詞揮翰,雲漢昭回,耀人耳目。自宋以來,累受封號。逮至我朝永樂之間,以神有翊衛聖躬弗豫之功,聿新祠廟,御製碑刻,褒封有加,以昭神貺。由此而觀,則神生為忠臣,歿為明神,其功德有益於國家生民者。如此,豈非天有意於斯世斯民,而使其至於是歟。其祠官方文照,蓋凡神之世��、行實、靈跡、華翰,與夫前代我朝褒封碑刻,恐歲久湮沒失傳,彙成一編,名曰真錄。閩藩總戎盂城孫公,忠義士也,竊嘗觀之,而有感焉,乃捐俸,命工繡梓,以博其傳,命予序引。予謂神聰明正直,其顯跡著于今昔者,皆不出於隱僻怪,誕而至於惑世誣民之患,莫非忠君孝親,仁民愛物之事,蓋士君子之所當為也。其近而耳聞目見者,固-不待是編而知,使遐方僻壤未及見聞者,幸獲一覽,其於為臣為子之道,脩身慎行之方,亦足為一助云耳。是為序。
  正統八年,歲在癸亥秋七月吉日,福建閩縣儒學訓導王用盛序。
補閑集
作者:崔滋
補閑集序編輯
文者蹈道之門,不涉不經之語。然欲鼓氣肆言,竦動時聽,或涉於險怪。況詩之作,本乎比興諷喩,故必寓託奇詭,然後其氣壯,其意深,其辭顯,足以感悟人心,發揚微旨,終歸於正。若剽竊刻畵誇耀靑紅,儒者固不爲也。雖詩家有琢鍊四格,所取者,琢句鍊意而已。今之後進,尙聲律章句,琢字必欲新,故其語生,鍊對必以類,故其意拙。雄傑老成之風,由是喪矣。我本朝以人文化成,賢儁間出,贊揚風化。光宗顯德五年,始闢春闈,擧賢良文學之士,玄鶴來儀。時則王融、趙翼、徐熙、金策,才之雄者也。越景顯數代間,李夢游、柳邦憲以文顯,鄭倍傑、高凝以詞賦進,崔文憲公沖命世興儒,吾道大行。至於文廟時,聲名文物,粲然大備。當時冢宰崔惟善,以王佐之才,著述精妙。平章事李精恭、崔奭,參政文正、李靈幹、鄭惟産,學士金行瓊、盧坦,濟濟比肩,文王以寧。厥後朴寅亮、崔思齊、思諒、李䫨、金亮鑑、魏繼廷、林元通、黃瑩、鄭文、金緣、金商祐、金富軾、權適、高唐愈、金富轍、富佾、洪瓘、印份、崔允儀、劉羲、鄭知常、蔡寶文、朴浩、朴椿齡、林宗庇、芮樂仝、崔諴、金精、文淑公父子、吳先生兄弟、李學士仁老、兪文安公升旦、金貞肅公仁鏡、李文順���奎報、李承制公老、金翰林克己、金諫議君綏、李史館允甫、陳補闕澕、劉沖基、李百順、兩司成咸淳、林椿、尹於一、孫得之、安淳之,金石間作,星月交輝。漢文唐詩,於斯爲盛。然而古今諸��賢,編成文集者,唯止數十家,自餘名章秀句,皆湮沒無聞。李學士仁老略集成篇,命曰破閑,晉陽公以其書未廣,命予續補。強拾廢忘之餘,得近體若干聯,或至於浮屠兒女輩,有一二事可以資於談笑者,其詩雖不嘉,幷錄之。共一部分爲三卷,而未暇雕板,今侍中上柱國崔公,追述先志,訪採其書,謹繕寫而進。
時甲寅四月日。守太尉崔滋序。
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kkagneta2 · 6 years ago
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長身女性 : 短編集
本当はもっと長々とした小説の一部だったけど、それはやめにしてこうして短編として残しておきます。
基本的にM な方向けですが、長身女性が好きでなくっても、頭の良い女の子に興奮するタイプの人は笑顔になれます
ジーンズ
幼馴染宅。夕食後。あいつの部屋。あいつの匂い。あいつのジーンズ。あいつのジーパン。
俺は今、そのジーンズの前で佇んでいる。遠目から見る限り何の変哲もないそれは、ベッドの上に乱雑に脱ぎ捨てられており、実際にさきほど、
「お風呂行ってくるねー」
と、俺の目の前で脱ぎ捨てられたものである。
――だが、一体なんなんだ、これは。
冗談のようにしか思えなかった。きれいに伸ばして形を整えてみると、その異様さが分かる。
――でかすぎる。……
もう訳が分からなかった。そのくらい、ベッドの上のジーンズは大きかった。
どのくらい、……と問われて長さをそのまま云っても良くわからないかもしれないが、センチにして約130センチ程度。手を軽く広げてようやく、裾からウエスト周りまでをカバーできる、俺の腕とジーンズのヒザ下がだいたい同じ、あいつのベッドは特注品だから今はパッと分からないが、俺のベッドではたぶんいっぱいっぱいになるだろう。とにかく、信じられないくらい長い。
「いったい、股下何センチあるんだよ。……」
正直に云って、わからない。ただ、100センチを超えているのは確か。もしかしたら110センチにも達しているのかもしれない。身長はいくつだったか、ちょっと前に2メートルまでもう5センチも無いと云っていたから、たぶん196とか、197センチくらい。だとすると、……
「いやいや、それだと半分以上が足じゃないか」
しかし、ここ最近のあいつを見ていると、なんだかしっくりくる。さっき、一緒に部屋に居た時には、お互い裸足だったのに、もうこちらの胸のあたりにあいつの腰が来ていたし、俺の頭と云えば、あいつのでっかいおっぱいにすっぽりと収まっていた。それに、今日も一日中連れ回されたけれども、「普通に��歩いては俺を置き去りにし、手を引いて歩いては、ひぃひぃ云いながら走る俺を、
「あははっ、おんぶしてあげようか? ぼく?」
と無邪気に笑う。
冗談ではない。同い年なのにそんな子供扱いなんて、況してやこちらのことを、まるで小学校低学年の男子児童のように「ぼく」と呼んでくるなんて、屈辱的である。しかも赤の他人の目の前で、親の眼の前で、友達の目の前で!
「くそ、……でも、どうして、……」
どうしてこんなに興奮してるのだろう。くそぉ、……。ベッドの上に横たわるあいつのジーンズを見て、さっきから股間が痛くてたまらない。
「ちくしょう。……昔は小さかったのに。昔はお兄ちゃんって呼んできたのに、……」
今では「ぼく」呼ばわりである。子供扱いである。
いや、あいつが小さかったのは本当である。ままごとをやる時はいつでもこちらが年上の役をやっていた。外に出れば可愛い兄妹のように見え、二つの家の者が会せば、
「お兄ちゃん」
とこちらのことを呼んでくるあいつと、その頭を撫でてやるこちらを、可愛い可愛いと云って持て囃す。
それが変わったのは、いつ頃のことだっただろう、確か小学校に上がってからだ。小学校に上がってからあいつの身長はグングンと大きくなって行ったんだ。
今思えば、本当にあっという間のことである。入学時には首元にあったあいつの頭が、一年経つと俺の口元に、一年経つと俺の目元に、一年経つと俺の額に、そして、もう一年経つと俺の頭の天辺、…………よりも高くなっていた。
「あれ? こんなに小さかった?」
と云いながら自身の頭に乗せた手を、こちらにスライドしてくる。
俺はとっさに背伸びをした。たぶん3センチほど背伸びをしたと思う。
――けれども、あいつの手は俺の頭上を掠めていった。――いや、掠めてもなかった。
「やったっ、私の勝ちだ! やーい、お兄ちゃんのチビ~」
背伸びをしても勝てなかった。それも女の子に、それも昔から知っている女の子に、それも今まで妹のように可愛がってきた女の子に。
この時の悔しさは今でも思い出す。俺はその後、何度も何度も手をスライドさせてくるあいつを突き飛ばして、自分の部屋で泣いた。あいつに身長を追い抜かれた。あいつにチビと云われた。あいつに、あいつに、……
それからもこの屈辱は変わることはなかった。俺は4ヶ月に一回、親に身長を測ってもらって柱にその記録をつけてもらっていたのだが、そういう時に限ってあいつは俺の家を訪れるのである。
「あ、身長測ってるの? わたしもわたしも!」
「いいわよ。ほら○○ちゃんも、そこに立って立って」
「はーい!」
と、一度こちらに顔を向けてから、柱に背中をぴったりつけて立つ。もう、この時点で、ついさっきつけた俺の跡は体に隠れて、……
嫌だったけれども、見るしか無い。心なしか俺の青ざめた表情を見て、あいつは勝ち誇った目を向けてきているけれども、そっぽを向いて興味が無い風を装う。
「ずいぶん高いわね~。168センチ、……と。うちのと比べると31センチ差! お父さんよりも高いじゃない! すごいわ!!」
これはお互い小学校を卒業する前のことである。あいつは小学生にしてすでに、160センチも残すところ2センチという長身。……
俺はまた泣きそうになった。けれども、この時はまだ、希望があったから泣くことはなかった。まだ自分の身長は伸びていない。伸びていないだけ。聞けば男性の平均身長は171センチ、……このまま俺も人並みに成長すれば、168センチなんて結局は超えられる。もう一回、あいつを見下ろす時が必ず来る。あいつをチビと罵る日が、……
――だが、儚い夢でしかなかった。
今では俺の身長は158センチ、あいつの身長はあれからも伸び続け、少なく見積もっても195センチ、……もはや比べるまでもない。しかも、もうお互い高校三年生である。あいつはともかくとして、俺の身長はもう伸びないだろう。伸びたところで160センチを少し超える程度にしかならないだろうから、この先ずっと、俺は小学生時代のあいつにさえ勝つことができない。もし、タイムマシンがあって、今の俺が過去に旅立っても、向こうのあいつは、
「チビ~~」
と罵しってくるに違いない。
「細いな。……」
ジーンズを手にとった時、俺はそう呟いた。昔は可愛かったあいつ、「お兄ちゃん」と可愛らしく呼んできたあいつ、今でもその可愛らしさは変わらず、体つきもほっそりしなやかで、たぶんモデルになれば途端に頂点へと上り詰めるだろう。
「で、でか、……」
立った状態で、あいつのジーンズを体に合わせてみる。足ではなく、「体」である。
「う、うわ、……すげ、……」
何せ、股下が俺のよりも2倍近くあるのである。その股の部分がヘソよりも上に位置しているのである。そして、ウエスト周りはちょうど胸に位置しているのである。
全くもって、同い年の女子高生が身につけていたとは思えない。
「すげ、……すげ、……」
と、その時、
――クスクス、………
あっ、と思った時には遅かった。俺の後ろ、……それもずいぶん高いところから、そんな声が聞こえて来た。
「お、お姉ちゃん、……」
恐る恐る振り返ってみると、そこには口元に手を当てて、笑いをこらえる一人の大きな大きな少女が、……
「クスクス、……おチビくん? 何してるの?」
「い、いや、……これは、それは、……」
「何がそんなにすごいの?」
「え、えと、……」
「ん?」
「これが、その、……大きくて、……」
「あははははっ、この変態っ。背比べする時は、あんなに嫌な顔するのに、かわいいやつめ!」
とガバっと抱きしめてくる。お風呂上がりのしっとりとしたあいつに、俺の体が包まれる。柔らかくて気持ちいい。……特に、頭を丸ごと包んでくるおっぱいの感触は、もうどうにかなってしまいそうなほどに気持ちいい。……
「お、おねえ、……」
「んふふふ、お風呂入ってきなさい。続き、……したいでしょ? 」
「ふ、ふぇ、……」
「あっ、背中流してあげよっか? ほら、おいで、おいで」
と、手を取って来たあいつの顔は、本当に同い年とは思えないほど綺麗で、優しくて、天井を見上げるほど高い位置��あって、俺は、
「おねえちゃん。……」
とつい本心から、彼女をそう呼んでしまった。
  高校二年生の妹
ドアをバタン! と勢いよく開けられたのは、宵闇もそろそろ暗くなろうかという頃合いであった。
勉強をしている時は極力邪魔をするなと云っていたはずである。数年前から何度も何度も云っているのに、絶対に守らないのは、もはや力関係が変わってしまったからであろうか。けたたましい音を立てて扉を開けたその者は、今度はズカズカと部屋に上がりこんで来て、ぴらりと一枚の書類を見せて来て、
「お兄ちゃん! 見てみて、A 判定だったよ! しかも今回は上位100人のランキングに載ってた!!」
と嬉しそうに云った。見ると一枚の紙は、何ヶ月か前にあった模試の結果であり、俺の手元にも同じような紙がある。
――が、そこに記されている結果はまさに雲泥の差。雲は妹の方であり、泥は俺の方である。
「そろそろお兄ちゃんの結果も見てみたいな~~~」
と、彼女の結果を���て唖然とする俺を尻目に、机を椅子代わりにして「座ってくる」。
「あ、これ?」
「――おい! やめろ!!」
と、彼女の手につままれて、ひらひらとはためく一枚の「紙」に手を伸ばす。が、しかし、
「ふふん、――」
と、立ち上がられてしまった。
「ほーら、ここまでおいで~?」
と、手を天井へピトッとつける。「紙」を抑えるのはたった一本の人差し指、それも軽く抑えているだけ、……けれども、俺は必死である。こうなってはもう諦めるしか無いが、精一杯背伸びをして、時にはジャンプもして、「紙」を取り戻すべく手を伸ばす。
――それほどまでに、妹には「結果」を見られたくなかった。
「んふっ、んふふふ。……あわれだね~、お兄ちゃん。そんなに見られたくない?」
「か、返せ!!」
「ならここまでおいでよ。チビなお兄ちゃんにはできない?」
「お前がでかいだけだ!! くそ!! 返せって!!!」
ぴょんぴょんぴょん、……それはまるでおもちゃを取られた子供のよう。
「あははははっ! ほら、そーれっ、そーれっ、――」
と、今度は「紙」を人差し指と中指でつまんで、軽く上下させる。――が、俺にはとてもではないが、届かない。
それほどまでに、俺と妹とでは、身長に差があった。
――その差、実に47センチ。
もうこの時点で、手を真上に伸ばしても、妹の頭の天辺には届かない。況してやその上にある「紙」など、届くわけがない。俺からすれば、突然ダンクシュートを決めろと云われているようなものである。
「も、もう頼む! たのむからやめてくれ!!」
と涙声で懇願する。だが悲しいかな、俺をいじめるのが何よりの楽しみである妹は、今度は俺の手がちょうど届かない位置で、「紙」をゆらゆら、ゆらゆらと泳がせ始める。
「ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!」
ぴょんぴょんぴょん、……
「ふんふ~ん、ふふーん」
俺の懸命な叫びなど、妹にとってはなんともない。鼻歌を歌いながら、次は、手の届くところで待機させておいてから、俺が手��当たる直前に、ひゅっと引き上げる。余裕の表情で笑いながら、もはや慈しみさえ含んだ表情で笑いながら、……
いったいいつからこうなったのか。いや、もはや物心ついたときから何をしてもこの妹には勝てなかったから、俺の中では最初からである。特に学力は顕著で、3歳違いだと云うのに、昔から同じテキストで勉強をし、与えられた課題は妹の方が点数がよく、本を読めばあっという間に知識を吸収するものだから、俺の方が後追いで余分に勉強しなければいけない始末。
それに加えてこの身長である。小学生にして、もはや学力では妹に勝てないと悟った俺は、身長だけはと思って、背を伸ばす数々の方法を試してきた。が、結果は非情なものである、20歳も目前にしてたった156センチまでしか伸びなかった。
対して妹の身長はと云うと、156センチの俺と47センチ差、……つまり203センチ。……嘘だと思われるだろうが、本当である。つい数ヶ月前の身体測定の結果を嬉しそうに見せてくれた時、そこには確かに203.6と云う数字が並んでいた。
いったいこの妹をして、どうしてこの兄なのか。また、いったいこの兄をして、どうしてこの妹なのか。身長156センチの馬鹿で、物覚えも要領も悪い兄に対して、身長203センチの頭脳明晰、運動神経抜群、何をしても初めから人並み以上に出来る妹、……力関係が変わるのも当然であろう。俺が今こうして、ぴょんぴょんと飛び跳ねられているのも、妹が好きで遊んでくれているからである。
「そろそろ諦めない? ちょっと見てて痛々しくなっちゃった」
「やめるか!!」
と、哀れな目線に耐えきれなくて掴みかかる。だが、しかし、
「ぐえっ!!」
「ふーん、そういうことするんだ」
「あが、……や、やめ、……はなせ。……」
何をしているか。それは妹が俺の首を手で掴んで来ているのである。そして、俺は手足をばたつかせているのである。――体を空に浮かせながら。
「お兄ちゃん、ちゃんと食べるもの食べなよ~。軽すぎて準備体操にもならないよ~」
ほいっ、と云って、俺の体をぽいっとベッドの上に投げ捨てると、妹は再び、
「ふんふんふんふふーん、……」
と鼻歌を歌いながら、さきほどまで俺が腰掛けていた椅子に座った。
「うわっ、低っ」
それはもはや「椅子に座る」というのでは無かった。俺のよりも二倍以上長い妹の足は、床からほぼ直角に腰から伸び、それでいて足元を見ると、ぺたんと大きな大きな足が床についている。例えるなら、体育座りしているような、そんな感じである。
先程、机を椅子代わりにして「座ってくる」と云ったのは、誇張でも何でも無い。妹にとっては普通の椅子とはミニチュアの椅子でしかないのである。実際、彼女の部屋に行けばそのことがよく分かるであろう。まるで自分が小人になったかのような大きさの椅子と机が、これまた冗談のような大きさのベッドと共にお出迎えしてくれる。
「お前がでかすぎるだけだろ、……」
と、まだ痛む喉をさすりながら云った。
「ちょっと、その云い方やめてくれない? 不愉快」
「ごめん、……」
「ま、いいや。見る��らね。どれどれ、……」
と俺の模試の結果が載っている「紙」を広げる。
「や、やめ、……」
「えっ、……なにこれ」
信じられないものでも見たかのような顔をする。
「D 判定って、お兄ちゃん、……真面目にやった?」
「……やった」
「えっと、同じ、……模試だったよね?」
「……うん」
「うっわ、なにこの数学の点数、今回簡単だったじゃん。一問も完答出来てないって、……えっ、ちょっとお兄ちゃん、真面目に聞くけど、今まで何をしてきたの?」
「うぅ、……」
「何をしてたの? 高校三年間と予備校の半年間、いったいなにをしてたの? 遊んでたの?」
「………」
「だってさ、まだ二年生の私ですら上位100人に入ったんだよ? しかもただの力試しで。お兄ちゃん、これだと本当に今年もダメになっちゃうけど、これでいいの?」
「………」
「はあ、……黙っててもわからないってば。いいの? 私の方が先に大学生になっちゃっても」
「………」
「もう、こっち来て。――」
と、ぬるりと手が伸びてきたかと思いきや、俺は妹の方へ引き込まれてしまった。そして、何が何だかわからないうちに、脇の下に手を突っ込まれると、ストンと妹の膝の上に乗せられ、耳元にしごくこそばゆい息を感じながら、
「えっち。何見てるの?」
とささやかれる。実のことを云うとさっきから、スカートから覗く妹の玉のような肌の太ももをじっと見つめてしまっていた。筋肉質ではあるけれども、それでいて女性らしいしなやかさを保っており、見るだけでも変な気分になってくる。あとついでに云うと、背中に感じる二つの柔らかい、――しかも結構な大きさの膨らみも気になってしょうがない。
「ごめ、――」
「ねっ、お兄ちゃん。勉強、教えてあげよっか」
と妹が云う方が早かった。
「えっ?」
「だってさ、一年かけてもぜーんぜん成績上がってないしさ、もうお兄ちゃんでは無理だったんだって、早く悟りなよ。――お兄ちゃんにはこの大学は無理」
「そ、そんなに云う、――」
「でも、そんなお兄ちゃんでも一人心強すぎる味方がいます。さて、誰でしょう?」
「は?」
「……私だって、もうお兄ちゃんのあんな顔は見たくないんだよ。……って、これ以上云わすなっ。いいからペンを持って、早く体を起こしておっぱいから離れなさい」
「はっ? えっ?」
とうろたえているうちに始まった妹の家庭教師は、誰の説明よりも簡潔明瞭で分かりやすく、たった一時間程度で、俺はこの数年間続けてきた努力以上の実りを手にすることが出来たのである。
    夏祭り
 「あのー、……久しぶりに夏祭りに行きませんか?」
急に浴衣が欲しいと云ったかと思えば、妻がそんなことを云ってきた。いや、実は、毎日食卓に一緒に並べられる夏祭りの広告だったり、話せば必ず夏祭りの話題に行き着くことから、察しはついていたけれども、浴衣まで用意するとは思わなんだ。
「どうしたんです、急にそんなこと云って」
「うーん、……何故でしょう、……?」
と首を傾げて微笑まれる。私に問われても困るが、しかし何歳になっても可愛いなこの仕草。
「いいですけど、せっかくなんで���も浴衣が欲しいですね。何と云っても、私たちの出会いはそこでした���らねぇ、――」
「それ!」
と、手をポン! と叩いて立ち上がる。危うく天井に吊ってある電燈に頭が当たりそうだったけれども、上手く避けたようである。
「びっくりした。――」
「ごめんなさい。でも、それです、それ」
と云いつつ椅子に腰掛ける。
「久しぶりにあの頃に戻りませんか? しょうくん」
「ちょ、ちょっと待ってください。あの頃って、僕が恥ずかしいだけじゃないですか!」
「ふふ、もう自分のこと『僕』って呼んでますよ? ほら、行きましょ? きっと楽しいでしょうから、ね? しょうくん?」
「その呼び方をしないで、――うわ、うわうわうわ、……もう穴があったら入りたくなってきまし、……ああ! そんな顔で見ないでください!」
慈しみに溢れたその顔には、昔私に見せてきたうっとりとした微笑みが顕れていた。
 普通ならば、男など一瞬で虜になってしまうであろうこの笑みが、私にとってはどうしてこんなに恥ずかしいのか、大したことないのでここで語ろうと思う。
私たちの出会いは、上の会話から分かる通り夏祭り。当時、私は高校1年生だっただろうか、何せ入学してすぐに夏祭りに行った覚えがあるので、たぶん16歳の夏のこと。妻の年齢は、……今は控えておくことにする、それも良いスパイスでであるから。
さて、夏祭りは街一つをそのまま会場にしてしまうほど、結構な規模で行われており、路端には途切れること無くで店が立ち並んでいたり、どこもかしこも人で溢れかえって歩くのもままならなかったり、とにかくひどい賑わいであった。と、すると一緒に来た者と逸れるのは当たり前のことであろう、30分もしないうちに、私は一緒に来ていた友達がどこへ行ったのか、すっかり分からなくなってしまった。
だが、このくらいのこと、大した事ではない。はぐれて寂しい感じはするけれども、周りが賑やかすぎて寂しさなどすぐにかき消されてしまったし、その友人と云うのも、
「今日はお前そっちのけで他校の子と仲良くしてるかもな」
と云っていたから、最初から当てになどしていない。
そこで、私は一息つくためにも、椅子を求めて公園に向かった。
――妻と出会ったのは、その公園である。
「ふう、……」
と息をつきながら提灯の赤々とした明かりを眺めていると、ギシッ、……という音と共に、青い浴衣姿の妻が隣の椅子に腰掛けてくる。
「こんばんは」
「こ、こんばんは」
私がちょっと言葉に詰まったのは、妻が何とも大人びて綺麗に見えたからである。
「ふふ、迷子?」
「い、いえ、そういうわけでは、……」
「うそ。迷子じゃなかったら、一人でこんなところに座ってないし、それに迷子の子はすぐそう云う。ほら、お姉さんと一緒に、お母さんを探しましょう?」
どうやら、妻には私のことが迷子になった子供に見え��いたようであった。だが、何故か云い出せなかった。私は妻の差し出した手をそのまま握って、彼女に引かれるがままに立ち上がった。
――妻��背の高さに気がついたのは、その時だった。
今でもこの時の衝撃は忘れられない。同時に立ち上がったのに、私が足を伸ばしきっても、彼女の膝はまだ「く」の字に折れていた。上がり続ける彼女の顔はどこまでも登っていくようであった。そして、すっとお互いの背筋が伸び切った時、私の頭は彼女の首元にしか届いていなかった。二倍にも、三倍にも、妻の体は私の体より大きく見えた。
「で、でか。……」
「ふふ、当然ですよ。お姉さんなんですから、ね? ぼくもいつかは伸びるから心配しないで」
と私の頭を撫でながらうっとりと微笑む。
云っておくが、私はそんなに背が低かったわけではない。妻の身長が高すぎるだけである。当時の私の身長がたしか170センチ弱であったから、おそらく彼女はその時すでに、185から190センチの間であっただろう。確かに子供に見えなくともない身長差だが、なぜ妻が私のことを迷子だと思ったのかは、今でも謎である。
「そうだ、お名前はなんて云いますか?」
「しょ、昭一です。……」
「しょういち、しょういち、……うーん、しょうくん、って呼んでもいいですか?」
「ぼ、僕はお姉さんのことをなんて呼べば、……」
「お姉ちゃんでいいですよ。――ふふ、さ、行きましょう」
私たちはそうして歩き始めた。が、妻は迷子の子を母親の元へ連れて行くと云うよりは、私のような子を引き連れて歩くのが何よりも楽しいと云った風で、で店を覗いたり、神社に行っては参拝したり、
「お姉さん、射的がすごく上手だから見ててくださいな」
と云いつつも、何発も外したり、それでふてくされたかと思いきや、私の歩幅に合うよう歩みを緩めて人混みの中をただ練り歩いたり、――とにかく私にとっては夢のような時間であった。
しかし、周りの人の視線はかなり痛いものがあった。奇しくも高校一年生の男と、年齢不明の麗しい長身女性である。男が
「お姉ちゃん」
と舌っ足らずに呼び、女性が、
「しょうくん」
と子供をあやすように云う様は、それだけで見ものであろう。何よりも妻は繋いだ手を離そうとしてくれないのである。もう熱くて仕方が無いのに、時には手を振って歌ったり、時には立ち止まって私の両手をあの大きな手のひらで優しく包んでくれたり、その度に私は恥ずかしさで死にそうになった。
そんな視線の中で1番痛かったのは、彼女の友人たちと遭遇した時のことである。
「○○ちゃん!」
と呼び止める声がするので、私も妻も振り返って見てみると、そこには彼女と同じように浴衣を着た女性が何人か。だがしかし、その顔からはまだあどけなさが抜けきっていない。呼び止めた声もまた、どこか幼い気がする。
「もう、探したんだからね! 何してるの?」
「ごめんごめん。この子のお母さんを探してて、――」
「この、……子?」
と、近寄ってこちらの目をまじまじと見てくる。その気まずさったら無い。
が、私は別なことに気を取られてそれどころではなかった。彼女たちが近くに来て、またもやびっくりしてしまったのである。なんでこんなにでかいんだ、と。――
みんな長身ぞろいであった。それもただの長身ではない。私の頭は彼女たちの顎の下にあり、こちらを覗いてくる女性は腰を曲げて、膝に手を当て、その上で首を曲げていた。��もが私のことを見下ろし、誰もが通り過ぎる人よりも頭一つ分突き抜けている。……
私は彼女たちの顔を見ようと顔を上げた。まさに天を見上げるような心地であった。星の煌めく夜空を背景に、彼女たちのあどけない顔が見える。下駄を履いているとは云え、誰もが身長180センチ代後半はあるように思えた。中には妻よりももっと大きな女性も居たから、190センチを余裕で超える者も居たと思う。
あれよあれよと云う間に私はそんな長身女性たちにすっかり囲まれてしまった。この時、どんなに可愛らしい女性と云えども、囲まれて見下されれば怖いと感ずるのだと知った。
「へーえ? かわいいじゃん?」
と後ろから私の肩に手を下ろしている女性が云った。ちなみにこの女性はこれを云う直前に、私の脇の下に手を入れて、俗にいう「たかいたかい」をしてきたのである。
「でしょう」
と得意げに妻が。
「うーん、まあ、確かにかわいい、けど、……」
と私を覗き込んでいた女性が云った。
「私たちは、このへんでうろうろしてるから、終わったら来てよね。花火は一緒に見よっ」
「うん。ちょっと連れて行ってくるね。――さ、しょうくん、行きましょうか」
と開放された私たちは再び歩き出した。
「ごめんなさい」
しばらく歩いた後に、妻がこう云ってきた。
「な、何がですか?」
「今日はバレー部の子たちと来てたの。だから、みんな体が大きくて怖かったでしょう?」
「いえ、みんな可愛らしくてそんなことは、……」
「ふふ、ありがとう。しょうくんは優しいです。謙遜でも、そう云ってくれると、みんな喜ぶと思います。――」
「あの、お姉ちゃん」
「ん? 何ですか?」
「バレー部って、ことはお姉ちゃんってまだ高校生なんですか?」
と云った時、妻の動きがふと止まった。と、思いきや、
「――あははははっ、違う違う、あははっ、……」
妻はしばらく笑った。腹を抱えるほどではないけれども、口に手を当てて、体を屈めて、笑いが漏れるのが抑えきれないと云った風であった。
「……ごめんなさい。えとね、私はまだ中学生なんですよ」
「ええっ?!」
「ちゃんと云うと、中学二年生。あの子たちも今中二で、一緒にバレーをしてます。改めてよろしくね」
「えっ、ちゅ、中学生?!」
信じられなかった。妻がこの時まだ中学生であることにも信じられなかったが、それよりもあんな背の高い、――身長185センチ以上、190センチを超えている者も居る女性たちが、まだ中学生だなんて、いったい誰が信じられようか。
――でも、信じるしか無い。あのあどけない顔立ちと、あのちょっと甲高い声は明らかに中学生のそれであった。
「そんなに驚くことないですよ。バレーをしてる人って、みんなああいう感じですし、……まあ、確かに私たちの中学校は少し背が高いような気がしますけど、……」
少しだろうか。身長185センチ以上の女子中学生なんて、学校に一人居ればいいくらいである。それがあんなに、しかも妻の口ぶりではまだまだ居ようかと云う気配。……後でアルバムの写真を見せてもらったら、確かに恐ろしいまでの長身ぞろいの中学生たちであった。あの身長を持つ妻が「紛れて」しまっていたのである。それどころか、監督をしていた男の教師が一番小さかったのである。――もちろん、入学したばかりの一年生も含めて、である。
「す、すごい。……」
「ふふ、……さ、私たちのことはこれくらいにして、早く行きましょ。そろそろ花火が始まっちゃう」
それから私たちは歩きに歩き回って、二人して疲れと云って、再び出会った公園に戻ってきた。ちょっとした奇跡だと思ったのは、花火が一番見える場所と云うのが、その公園だったのである。私たちは二人きりで花火を眺めた。もっとも、私は花火がボン! という音を立てて弾ける度に、妻の顔が鮮やかに照らされるのだと気づいて以来、彼女の方を向きっぱなしであったが。
「おーい、昭一!」
「はーい!」
友人の大きな声が聞こえたので、私も大きな声で返事をした。
「お友達も帰って来たことだし、お姉ちゃんはここでお暇することにしましょうか」
と、妻はゆっくりと席を立った。
「僕のお母さんを探すんじゃ、……?」
「あれ? そうだったっけ?」
と首を傾げて微笑まれる。私はこれまでの人生で妻のこの表情以上に可愛い女性の仕草と云うものを知らない。
「ぼ、ぼく? お母さん? お姉ちゃん? は? お前に姉が居るなんて、……」
「ふふ、お元気でね。また、会いましょう?」
としゃがんで私の頬へキスをしてから、妻は颯爽と公園から去って行った。
その後の友人の詮索については思い出したくもないので、ここには書かない。とにかく、他の学校の子と仲良くする、という友人の目的は私が代わりに達成してやったのである。――全校生徒中の笑い者にされるという代償を払って。
 「しょうくん、あの時は私の顔見すぎでしたよ?」
「えっ、バレてました?」
「バレバレですよ。顔が火照るのを我慢するのにどれだけ苦労したか、分かってます?!」
と口を尖らせて怒る。その様子が何だかおかしくって笑うと、ますます怒ったような口ぶりで、こちらに文句を云ってくる。――ああ、可愛いなぁ。なら、もっと可愛い仕草をさせてやろう。……
「――ところで、なんで僕の事を迷子だと思ったんです? そんなに子供っぽく見えましたっけ?」
「さあ、どうでしょう、――」
と、妻は首を傾げて、顔を赤らめて、微笑みながら云った。―――
      後輩
 今俺が対峙しているのは、一人の女子高校生、なんだかぼんやりとしているのは気のせいではあるまい、お腹が空くと同時に力が出ないと云って、毎日昼前の授業は寝て過ごすのである、今日はその昼前の授業というのが体育だったから、寝ることが出来ず、体操服を着たまま、こうして眠そうな目をこちらに向けて突っ立っているのである。
「勝負ですかぁ? いいですよぉ?」
と先ほど彼女は云った。その間延びした声に俺は勝ちを確信し、彼女の前に立った。
賭けるものは昼食の弁当、――この学校では昼時になると業者が弁当を売りに来て、それが中々安いのに結構なボリュームで、しかも美味しい、……絶好のbet 案件である。
「で、何で勝負するんです、かぁ、……?」
もうフラフラである。こうなれば何であっても俺の勝ちは揺るぎないだろう。
「腕相撲とかする?」
「うで、ずもうですかぁ?……それはダメです先輩、……ダメです、……」
「なんで?」
「だってぇ、そんな勝ち負けが決まっている、……ようなもので勝負したらぁ、……勝負に、あれ? ……とにかく、勝負になら��いじゃないです、かぁ。……」
「ああ、俺の勝ちってこと?」
「いいえぇ、違います。……私のです、……私の。……試しにやってみます?」
場所は体育館であるが、試合結果やら何やらを書くための机が常に配置されているから、俺たちはその一つへ移動した。途中、フラフラと足取りがおぼつかない彼女の背を押してやらなければならなかったが、とにかく、机を挟んで向かい合う形になった。
「俺は全く負ける気はしないんだがな」
「それは私も同じですよぉ。……」
と、右へふらり、左へふらり。もう立っているのもやっとのことであるようである。……
――しかし、こうして目の前に立ってみると、めちゃくちゃでかいな、こいつ。
後輩の女子高生とは云っても、以前聞いた話によると、その身長は195センチあるらしい。嘘だと思いたいが、俺の背がすっぽりと彼女の胸元あたりに収まるから、本当だろう。それで、ヒョロヒョロのモヤシ体型かと思ったら、どうもこうして対峙してみると違う感じがする。ムチムチとした腕に、ムチムチとした太ももに、服の上からでも分かるほど、引き締まった腰回りをしている。一見細そうな手足も、長いからそう見えるだけで、ほとんど俺の腕や足と、――いや、もしかしたら彼女の方があるかもしれない。……
負ける? いやいや、��れでも普通の女の子である。腕相撲では絶対に負ける気がしない。俺は机に肘をついて、カクンとうなだれる彼女の手を取った。
「うわ、なんだこれ」
「んぅ? どうしたんです? もう初めてもいいですよぉ。……」
彼女の手は俺のよりも遥かに大きかった。そして、きめ細やかな肌が途方もなく気持ちがいい。……俺が声を出したのはそれが原因であった。しばらくはニギニギと握って、この心地よさを堪能することにしよう。
「せんぱぁい、……早く、……もう私お腹が空いて、……」
と、しばらくするとさすがに文句を云ってきた。
「あ、ああ、ごめん。俺は準備出来たが、お前は? 相変わらず力が入ってないようだけど」
「これでいいですよぉ、……勝手に始めちゃってください。これで負けたら私の負けでいいです。……」
――さすがにカチンとくる。なんでこんなに余裕なのか。勝負だから俺は本気でやりたい。女子高生相手に本気なんて大人気ないけど、やるからにはある程度は真剣にやりたい。
「いいのか? 始めるぞ?」
「どうぞどうぞぉ。……」
いいだろう、後悔させてやる。――
「………」
「………」
「んん……?」
「………」
「ク、……クソ、……なんで、……!!」
「んーん? せんぱぁい、もしかしてもう始まってますぅ? それで全力なんですかぁ?」
全力だった。上半身も全部使って、腕に力を込めている。
「ぬおおおおおお、……」
――なのに、彼女の腕は、嘘のように動かない。全く微動だにもしない。地面に突き刺さった鉄棒のように動かない。
「んふふ、せんぱぁい、私の云ってたこと、理解しました?」
いつの間にか彼女は眠そうな目を歪ませて、こちらを見つめてきていた。途方もない恐怖が俺を襲ってきて、この手の震えが過負荷からなのか、恐怖からなのかわからない。……
「じゃ、いきますよぉ? 勝負をしかけてきたのはせんぱいなんですからね? 折れても文句は云わないで��ださいね?」
折れるってどういう、……
――突然、ガァン!! と、云う音がした。
「へっ?」
見ると、俺の腕は、彼女の手の下で、押し潰されていた。――
「があああああああ!! 痛い! 痛い! 痛い!」
甲が砕けたかのような激痛が腕に走り、床に倒れ込んで咽び泣く。何が起こったのかもわからない。痛みすら、一瞬遅く伝わってきた。訳が分からなかった。音からして机が割れたのかと思った。
「加減しましたから、大丈夫ですよぉ。そんなに痛がらなくても折れてませんから」
あんな冗談みたいな力を込めたのにも関わらず、彼女は呑気なものだった。
「ん~~~」
とゆっくり伸びをして、
「ふわあ、……目が覚めてきちゃいました。先輩、次はドッジボールしましょう」
と近くにあったバスケットボールを取りながらのんびり云う。
「く、くぅ、……何だったんだ今の、……って、お、おい、まて、それはバスケットボ、――」
――ヒュッと、風切り音がした。
その直後、バァン!! と後ろから破裂音が耳をつんざいた。跳ね返ってきたボールは、それでも物凄い勢いで俺の横を掠めて、彼女の手元へ戻っていく。
「は?……」
全く見えなかった。こんなのは野球をしたときと同じである。バッティングセンターで調子に乗って最高速度を試した時の、あの感覚、……白い筋が見えたかと思いきや、次の瞬間には後ろのネットに叩きつけられたボールが、ぽてんぽてんと目の前に転がる、あの感覚、……
彼女の投げたバスケットボールはそれに近かった。いや、それ以上だった。軌跡すら目に映らなかった。あんなのが体に当たるなんて考えたくもなかった。ドンドンとボールを手元でバウンドさせる彼女は、すっかり目を覚ましたのか、はっきりとこちらを見据えていて、――めちゃくちゃ怖い。……
「せんぱい? 次は当てますからね? ちゃんと取ってくださいよ?」
「待って、待って!! 悪かった! 俺が悪かったから!!」
「えー、……」
「もう俺の負けでいいです、はい。くだらないことに突き合わせて、すみませんでした」
「えー、……もう負けを認めるんですかぁ? それでも男ですかぁ?」
と、云われても俺の腰はすっかり抜けてしまって、立つことすら出来ない。
「うん、もう負けです。お弁当は約束通り買ってあげます。一週間続けてもいいです」
「えー、……つまんなー、……」
と云って、彼女はつまらなさそうに背伸びをして、バスケットボールを軽くリングの中へ入れてから近寄ってきた。いつもはのんびりとした、しごく大人しそうな子なのだが、彼女の2メートル近い長身も相まって、今は鬼のように怖い。
しかも分かってやってるのか、一歩一歩確実に、ゆっくりと近づいてくる。……
と、俺の元にたどり着いた時、そんな恐ろしい彼女が脇下に手を入れてきた。そして抱きしめるようにして俺の体を抱えると、ひょいと、まるで猫でも抱きしめるかのような体勢で持ち上げてくる。俗にいうお姫様抱っこというやつか。傍から見れば軽々と抱えられているように見えるだろうが、俺はあまりの力強さに、喉からひゃっくりのような声を漏らしてしまった。
「んふふ~、せんぱぁい、わたし今、ちょっと機嫌が悪くてですね、普段出せない力を見せたくなってるんですよ~」
「ひっ、……」
「かと云って、せんぱいにこれ以上危害を加えると嫌われてしまいそうですし、どうしましょ」
「こ、このままお昼ご飯に行くというのは、……?」
「ダメです。最後に一回勝負をしないと、気が、――あ、思いつきました。せんぱい、手を出してください」
と、云われるがままに手を差し出すと、するりとあの気持ちのいい手で握られる。
「あ、……これって、もしかして、……」
「んふふ~~、そうですよ~? 指相撲です!」
これなら先輩にも勝てるかもしれません! と元気よく云うのだが、もはや勝敗は決していた。俺の小さな手は、彼女の大きな手に握り「込まれ」、人差し指から小指までは全く見えず、何よりも向かい合った親指が、……巨人に立ち向かう小人のような、そんな感じで、彼女の親指と面しているのである。たぶん長さにして二倍は違うだろう。指相撲は相手の親指を上から抑え込まねばならないが、俺の親指と云えば、彼女の親指の第一関節に触れられたら良いくらいで、勝負が始まった途端に押し込められることであろう。
 案の定、指相撲は彼女の圧勝で終わった。初め! と云った瞬間に、あの長い親指で、しかも恐ろしい力で抑え込まれるのだから、勝ち負け云々を議論するほうがおかしい。
「ふぅ、いつかはせんぱいも強くなって、私の本気を受けてみてくださいね。――あ! あのバスケットボールを投げたのはまぁまぁ本気だったので、他言無用でお願いします。せんぱいだけにお見せしたので、……まぁ、うん、それだけはご考慮を、……」
と顔を赤くして云うのが不思議で、やっぱり女の子とはいつでもか弱いところを見せたいのかなと思った。
それから俺は彼女の着替えを待って、弁当売り場へと向かった。けれども、すでに弁当は売り切れ、業者は撤退した後であった。俺たちは仕方なしに購買へパンを買いに行って、仲良く空き教室で、むしゃむしゃと口を乾かせながらコッペパンやら何やらを食べたのである。
  妹たちの背比べ w/ お兄ちゃん
 「せーのっ」
「せーのっ」
 「――184センチ!」
「――179センチ!」
 「あー! またお姉ちゃんに負けた!!」
「でも6年生だった頃の私より高いじゃん」
「お姉ちゃんに勝ちたいの!!」
「もー、……」
 ……里乃と詩乃、二人の少女が何を比べているのかと云うと、それは互いの身長である。姉の里乃に負けて、妹の詩乃が悔しそうな顔をするのは、もはや毎年、身体測定の行われる季節の定番となっている。
「179.8センチって、もうちょっとで180じゃん!」
「だから悔しいんだってば」
女性で180センチ前後の身長を有する者は珍しいだろう。しかし、彼が驚いたのはそこだけではない。
「中学生になるまでに、お姉ちゃんを追い抜けるかな?」
「この調子だと、あと半年くらいじゃない?」
そう、妹の詩乃はまだ小学生なのである。6年生になったのは、つい半月前ほど。
そして、姉の里乃はまだ中学生なのである。1年生になったのは、つい半月前ほど。――
「んー、もう少しなんだけどなぁ。……」
と、詩乃が頭に手を当てて、里乃の額にコツンとぶつける。二人を見上げる彼からすれば、二人の身長差なんてあまり無いように感じたが、確かに数センチは差があるようである。
「もうこんだけじゃん」
「お姉ちゃん、いつもそう云ってる」
「そうだっけ?」
「あはははは、――」
「ふふ、ふふふ、――」
――と、そんな笑い声が二人の間で木霊する中、
「はあ、……」
と彼はため息をついていた。――なんで妹たちばかりこんなに大きくなっていくんだ、と。
小学6年生の詩乃ですらもう180センチ、……里乃が小学生にして150センチを超え、160センチを超え、170センチを超え、どんどん垢抜けていく一方で、まだ幼い詩乃に希望を抱いていたのだが、そんな詩乃ですら一昨年、――まだ彼女が小学4年生の時に自分をさらりと追い抜いて、今では姉の身長に追いつこうとしている。……
「はあ、……」
と彼は再びため息をついた。こんな信じられない妹たちを持っているものだから、ものすごく肩身が狭い。
出かければ子供扱いされるのは自分なのである。プールに行けば溺れるのを心配されるのは自分なのである。店に行けば「弟さん」と云われるのは自分なのである。親戚の家に行けば年下扱いされるのは自分なのである。食事をすれば「こぼさないように」と云われるのは自分なのである。……
もちろんそんなことを云ってくるのは何も赤の他人だけでも、親戚だけでも、親だけでもない。ため息をつくのを目ざとく見つけた二人の少女、――彼の妹たち、――中学生にして身長184センチの里乃と、小学生にして身長179センチの詩乃、――この二人にも数々の屈辱的な言葉を並べられるのである。――ほら、今も項垂れている彼を見て、クスクスと笑っている。……
「兄さん?」
と里乃が。
「お兄ちゃん? どうしたの、そんなにため息をついて。」
と詩乃が。
「あっ、分かった。混ざりたいんでしょ?」
「えー、お兄ちゃんはいいよぉ。だって、かわいそうだし!」
「もう、そんなこと云ったらダメだよ。兄さんだって、好きでこんな小さい訳じゃないんだから、……」
「なんでお兄ちゃんだけ、こんなに小さいのかなぁ。……」
そんな風に、無意識に彼を傷つける言葉を並べつつ近づいて行く。
一歩一歩、妹たちが近寄ってくる毎に、彼の首は上を向いていった。壁に引っ掛けてあるカレンダー、カーテンレール、エアコン、そして天井、……と云った風に、視界に入るものがどんどん移り変わっていく。
――妹を「見上げる」、なんて体験はそんなに出来る人は居ないだろう。どんな心地であったか。それはとんでもなく屈辱的で、そのあまりの悔しさから心臓は脈打ち、気をつけなければ自然に涙が出来るほどである。
二人の妹たちが目の前に来た時、彼は思わず一歩退いた。彼女らの顔はにこやかだったけれども、なぜか途方もない威圧感を感じた。それは本能が、この二人の妹たちを恐れたからだろうか。きっとそうである。感じる威圧感だけで彼は押しつぶされそうな心地を抱いていた。
しかし、二人ともまだ12歳と13歳だけあって、何とも可愛らしい。顔だけみれば、台にでも登っているような心地を抱いてしまう。とてもではないが、180センチもあるようには思えない。
が、現実は二人ともぺったりと、30センチを余裕で超える大きな素足を床につけているのである。彼は妹たちの笑顔を見るのに耐えられなくて下を向いたとき、そのことを実感した。彼女らの足に比べれば、自分の足は子供のそれである。以前、無理やり里乃の靴を履かされた時の、あの笑い声が聞こえてくるようだった。
「ごめん兄さん、変なこと試しちゃって」
と、里乃は笑いをこらえられたようだったが、詩乃の方はカポカポと音を立てて歩く自分を笑いに笑った。
そう云えば逆もあった。が、入るには入ったけれども、残り三分の一を残してつま先が先端に到達したらしく、
「きゃははっ、お兄ちゃん足もちっちゃ~���」
と何度も何度も詩乃が靴を踏んづけていたのは記憶に新しい。本当に自分の足は、彼女らに比べれば、子供のそれなのである。
それに、その足自体が、めちゃくちゃ長いのである。
――えっ、そんなところに腰があるのかと、もう毎日見ているのに思ってしまうのである。なんで自分はこんなに短足なのに、妹たちは身長の半分以上もある脚を持っているのか、彼には理解できていない。――もはや理解できないのである。それほどまでに、里乃と詩乃の脚は長いのである。
例えば昔、――と云ってもつい1ヶ月前に飛行機に乗った際、ゆとりのない席だったせいで、彼女らはこれほどないまでに膝を折り曲げて座らねばならなかった時があった。
「あ~、これはちょっと、……」
「狭い!」
と何度も何度も文句を云った。
ただ、里乃はまだよかった。
「兄さんごめん。ほんとうにごめん」
と云いながら彼の座席の方へ足を伸ばせられたのだから。しかし、片側が見知らぬ夫人だった詩乃の方はそうもいかず、常時通路側へ飛び出してしまい、道行く人々のじゃまになっていたのであった。もう彼女らにとっては、この世界は小さいのである。
「兄さんどうしたの? そんな俯いて、……」
「ほらほら、怖くない怖くない、……」
と、彼を引き寄せた詩乃が頭を撫でてくる。――もはや子供扱いである。外では終始、彼の方が弟扱いされているものだから、次第に彼女自身もこういった行為が増え始めて、今では誰が見ていようが見ていまいが、頭をなでてきたり、膝の上に座らせたり、後ろから軽く抱きしめるように腕を回してきて、隣に居る里乃と談笑するのである。
「お兄ちゃん?」
と、顔を上げられる。詩乃の溌剌とした可愛い顔が見える。
「兄さん?」
と、クイッとそのまま横に向かされる。里乃のおしとやかな可愛い顔が見える。
――もう、頭一つなんてレベルじゃないのか。……
と彼は思った。どう考えても、自分の頭は詩乃の首元にしかたどり着いて居なかった。里乃に至っては肩にも掠っていない。
「兄さんは何センチだったっけ?」
「もう、お姉ちゃん知ってるのに、……」
「詩乃、静かに」
「はーい」
「………」
彼は黙っていた。妹たちの身長を聞いた今では、自分の身長を思い出すことすら嫌だった。が、
「ん?」
と、里乃がお姉さんっぽく微笑む。――当然、彼女も彼のことを弟扱いしているのである。もうこうなってはお手上げである。口をパクパクと動かしてから、ようやく彼は喋り始めた。
「……ひゃ、ひゃく、ご、……」
「んーん?」
「ひゃくごじゅ、……」
すでに詩乃は笑いをこらえている。
「157センチ、……です。……」
「あははははっ、――」
と詩乃が吹き出す。
「はい、よく云えました。よしよし、――」
と里乃が頭を撫でてくる。――
彼の身長は157センチしかなかった。実は1センチくらいサバを読んでいるのだが、それは去年の里乃に、
「もう20センチも差がついちゃったね~」
と云われないためであった。が、今では、
「あははははっ、もうわたしと比べても、20センチ以上小さいじゃん! あはははははっ、――」
詩乃にすら実に23センチも差を付けられてしまった。
「こら詩乃、そんな笑わない。――兄さん、兄さんは小さくても可愛いから、そんな悩まなくても大丈夫だからね? もう、泣かないの」
目元を拭って、里乃が慰めてくる。……もうそれすらも、彼にはたまらなかった。拭われても拭われても、とりとめのない涙が目から溢れて仕方がなかった。
 だが、彼の地獄はまだ終ってなど居なかった。里乃に涙を拭われ、詩乃に笑われ、それからちょっとして家の外に車の止まる音が聞こえた。
「あ、来たかなぁ」
「たぶんね」
ああ、そうだった。――と、彼は今この家に居ることを後悔した。今日はその日だった。逃げ出したかったけれども、詩乃の膝の上に座らされて、しかも抱きしめられているものだから、動こうという気すら起きなかった。
「一ヶ月ぶりくらい?」
「うん。楽しみだね~。ね、ね、お兄ちゃんもそうでしょ?」
と里乃が彼に問いかけたところで、コンコンとノックの音が聞こえてきた。と、間もなくして扉が開き、久しぶりの来訪者が「腰をかがめて」入ってくる。――
「里乃ちゃーん、詩乃ちゃーん、久しぶり~~~」
「久しぶり~~~」
「小さいお兄ちゃんも久しぶり~~~」
と、まずは部屋の中に居た三人の兄妹に挨拶をした。
顕れた人物は二人。名前は紗絢(さあや)と香音(かのん)と云う。両者とも可愛らしい顔つきをしており、さすが里乃と詩乃の従姉妹だけある。歳は紗絢が15歳、つまり中学3年生、そして香音が里乃と同じ13歳である。
そして、二人とも巨人である。いや、彼が勝手にそう思っているだけで、普通の可愛らしい女子中学生なのだが、紗絢も香音もとてつもなく背が高い。身長179センチの詩乃よりも高ければ、身長184センチの里乃よりもずっと高い。特に、姉の紗絢の背は2メートルにも達しているのかと思われるほどで、天井に頭をぶつけないよう腰を屈めて、三人の兄妹と対峙している。
「紗絢姉さんも、香音も久しぶりだねー」
と、まずは立ち上がった里乃が。
「うひゃー、……」
と、次に詩乃が感嘆の声を漏らす。
「ひ、久しぶり」
と、最後に彼が詩乃の膝の上で怯えながら云った。――と、途端に紗絢の目が変わる。
「もー、お兄さん! そんなところに居ると詩乃ちゃんが動けないでしょ、――」
「相変わらず甘えん坊さんですねぇ」
「いる?」
と詩乃が彼を抱きかかえて、二人の長身姉妹に差し出した。
「えっ、ちょ、ちょっと詩乃、――」
「私がもらいましょう」
香音はそのまま彼をお姫様抱っこすると、赤ちゃんでもあやすかのように、トントンと腕の力だけで揺さぶる。
「ふふふ、お兄さんかわいい。……」
「まって香音、おろ、……下ろして、――」
香音の身長は恐らく190センチを軽く超えているだろう、そんな彼女に抱きかかえられると、身長156センチの彼からしれみれば、いつもより高い位置から部屋を見渡しているようなものなのである。それに何より体勢が不安定なのである。中学1年生の女子とは、――いや、人間とは思えないような力で支えられているけれども、ものすごい恐怖を感じていることだろう。
「紗絢も見てないで助けて!」
「えー、嫌ですよ。この通り、香音のスイッチ入っちゃいましたし」
確かに香音はこの上ない優しい表情を浮かべて、彼をあやしている。たぶん、子供と遊ぶのがかなり好きなのだろう、やめる気配はどこにも無い。
「だから、しばらくはこのままで。――もう、大丈夫ですって、香音のことだから落ちることはありませんってば」
「そんな、……り、里乃!」
「なぁに、兄さん? 嫌だよ、だって香音の邪魔をするとすごく怒られるもん」
「ふふ、そうですよぉ、おにいさん。このままおにいさんは私の赤ちゃんになっちゃうんです。……ふふ、ふふふ、――」
それから紗絢と里乃と詩乃が喋っている間、香音は彼をあやし続けた。途中、
「そうだ、お腹空いてませんか? おっぱい飲みますか?」
と云って、本当に姉譲りの巨乳を曝け出そうとした時はさすがに紗絢に止められたけれども、実に30分間、彼を腕の中に抱きかかえたまま、とろけるような声をかけ続けた。それが終わったのは、「たかいたかい」をして天井に頭をぶつけてしまったたからで、恐らくその「たかいたかい」が無ければ、赤ちゃん扱いはずっと続いたことであろう。この部屋どころか、階下に降りて行って互いの両親に見せびらかしたことであろうし、夕食も一口ずつスプーンに乗せて食べさせられたことであろうし、お風呂だって一緒に入ったかも知れない。もちろん寝る時は、湯たんぽ代わりに抱きかかえられるに違いない。
香音が彼を下ろしてから、残る三人も彼の元に集まって、彼は後ろに詩乃、右に里乃、左に香音、前に紗絢、――という風に、すっかり長身の少女たちに取り囲まれてしまった。もはや天井も見えないし、彼女らに光が遮られて昼過ぎなのに薄暗いし、でもなんだか良い匂いが立ち込めているし、それに前から突き出ている紗絢のおっぱいが顔に当たっているのである。
「ふぁ、……」
「ふふ、幸せそう」
と香音が云った。
「えー、そんなことないよー。だって私たちが近寄っただけで逃げるんだよ? お兄ちゃんは」
「でも幸せそうですよ? ね、お姉ちゃん?」
「うん。さっきから必死で私の谷間の匂いを嗅いでるからね。――」
「え、ほんまに?」
「ほんまに」
「ちょっとお兄ちゃん!」
と詩乃が思いっきり抱き寄せるので、彼の顔は紗絢のおっぱいから引き剥がされてしまった。だが、怒っているのは詩乃だけで、里乃も香音も、それに紗絢もしごく優しげな顔をしている。詩乃もまた、ひとしきり叱った後は、後ろから自分のおっぱいに彼の後頭部を押し付けつつ、頭を撫でる撫でる。……
彼は、一番の年長者が一番小さい上に、余裕もないと云う事実に震えた。妹たちも従妹たちも巨人だった。一番小さい詩乃でも179センチもあることが信じられなかった。二番目に小さい里乃でも184センチもあることは、もっと信じられなかった。ならその妹たちをを見下ろす香音は? そしてそんな香音を見下ろす紗絢は? いったい何センチあるのだろう。二人とも天井に顔がある。自分の頭は香音の胸にしか届いていない。脇の下にも届いていない。紗絢に至っては、下手するとおっぱいの下に顔が入るほどである。
――巨人だ。……
彼は二人の身長を知らない。昔から彼女らの方が大きくて、子供扱いされるのが嫌で、とうとう今の今まで聞かずじまいであった。
と、ふと、従妹たちの身長を知りたくなった。本当は知りたくなどないのだが、もう40センチも差を付けられてしまえば、一度すっきりしてしまうのも手であろう。
「あれ? メジャーが落ちてる。……」
と、ふいに後ろを向いた紗絢が、折良く先日に机を新調したいからと云って使っていたメジャーを見つけた。拾い上げてスルスルスル、……と引き伸ばしていく。
――途端、ピン! ……と、腕が伸び切っていないのにメジャーが張る。
「あー、……身体測定前に身長を測りたかったけど、2メートルしかないかぁ。……」
まだ伸び切っていない腕を見て、紗絢がつぶやいた。
「残念���ったねぇ。うちの家はそれしかメジャーが無いから、紗絢姉さんには短すぎますねぇ」
「あちゃあ、……じゃあ、今はやめとこうか。でも、香音はギリギリ測れると思うから、一応測っときな」
「はい、姉さん」
と香音がメジャーを貰い受ける。
ところで彼は、
「へっ、……えっ、……?」
などと声にならざる声を上げて、目を見開いて妹たちの会話を聞いていた。
――2メートルしかないかぁ。……
――紗絢姉さんには短すぎますねぇ。
この言葉、そして伸び切っていなかった腕から察するに、紗絢の身長はとっくの昔に2メートルを超えているのだろう��
彼は思わず身震いした。妹たちも信じられないが、今までこんな日本中どこを探しても居ない中学生が身近に居たなんて、しかも従妹に。いったい何を食べればこんなに大きく、――それも女性らしい美しさを保ったまま背を伸ばすことができるのだろうか。自分はこれまで身長を伸ばすために何でもやってきた。妹たちに笑われながらも、牛乳は沢山飲んだし、夜は遅くとも10時には寝ていたし、里乃に腕を持ってもらってぐいー、……と背筋を引き伸ばしてもらったこともあった。恥を忍んで紗絢に背の伸ばし方を聞いたことさえあった。だがそれで得たのは156センチという、大概の女性と同じか、低いくらいの身長のみ。……もうみんなに笑われる、みんなにからかわれる、みんなに子供扱いされる、妹たちに弟扱いされる、従妹たちに赤ちゃん扱いされる。
屈辱で心が折れそうだった。今すぐにでも駆け出したかった。
けれども、詩乃が後ろから抱きしめてきていて、全く動けそうにない。……香音の身体測定を見守るしか出来ない。……
「はい、背筋伸ばして―」
と上で待機している紗絢が云った。
「準備出来たよー。いつでもどうぞ」
と云う里乃は下でメジャーを抑えている。
いよいよである。紗絢の身長は結局分からずじまいで終わりそうだが、香音の身長はこれで分かる。分かってしまう。
「おー、結構伸びたねー、……おっ、おっ?」
「おっ?」
「香音すごい! ……うん! ぴったり2メートル!! おめでとう!!」
「えっ、うそ、ほんとうに?」
「ほんまにほんまに」
「――やった! お姉ちゃん、とうとうやったよ!」
と大人しそうな顔に、心底嬉しそうな表情を浮かべて、姉とハイタッチをする。ついでに里乃にも、ついでに詩乃にも、そして、ついでに彼にも。――
「香音おめでとう! さすが!」
「私もあと21センチ頑張らなくちゃ」
と、4人の妹と従妹たちはすっかりお祝いムードである。
ただ彼一人だけは、途方に暮れていた。
――2メートル、2メートル、女で2メートル、中学1年生で2メートル、……
そんな考えだけが頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。胸はドキドキして止まらなかった。屈辱やら悔しさやらで息が上がって苦しかった。立っているのもやっとだった。
そのうち、4人の中の一人がメジャーを片手に近づいてきた。そして、こう云った。
「ほら、お兄さんも測りましょう。今日こそは教えてもらいますよ」
――ああ、そうだった。そういえば今までのらりくらりと躱し続けて続けてきたんだった。……
声の主は、先程2メートルぴったりだと判明した少女であった。見下ろしてくるその顔は確かに中学生の可愛らしさ、幼さがあった。
――だが、2メートル。
もうダメだった。彼はとうとう体中に力が入らなくなって、床に崩れ落ちた拍子に頭を打って気を失ってしまった。その直後の展開は、彼はよく知らない。が、目が覚めると、なんだか途方もなく柔らかくてあたたかいものに、体が丸ごと包まれているし、なんだか楽しげな話し声が聞こえてくるし、それになんだか良い匂いが漂ってくる。
辺りを見渡して、それが食事だとは彼にもなんとなく感づいたようであった。だが、
「あーん」
と、スプーンに乗って差し出された料理が離乳食だとは、全くもって気が付かなかったようであった。妹たちの笑い声は、しかし、再び紗絢の腕の中で眠った彼には聞こえてなどいなかった。
 (おわり)
       出来すぎた妹
 これから話すことは惚気と受け取られてもしょうがない話であるが、生まれて5年後には生涯の伴侶が居たのだから、生い立ちを語れと云われて惚気話になるのは致し方あるまい。
さて、俺の生まれはとある地方の山の中で、周りに店の一つも無ければ家もなく、駅すらも歩いては行けない場所にある、今の華々しい生活からすればひどい環境としか云いようがない田舎だった。恵まれたものは何もなく、強いて云えば川が綺麗としかもう覚えていないのだが、特に恵まれてなかったのは金だった。彼女のことを知っていると云うなら、俺の家にどれほど金が無かったのかはご存知だろうと思う。あいつが生まれて間もなく父親が交通事故で亡くなり、母親一人で家計を支えるのは大変だったろうに思える。いや、思えるなんてものではない。毎晩毎晩、家に帰れば死んだように青ざめた顔で、海苔も巻いていない握り飯を一時間も書けて食う母親を見て、俺たちは二人して抱きしめ合ってシクシクと泣き、絶対にこの哀れな女性を楽にしてあげようと誓ったのである。
ところで生まれたばかりの彼女の姿をご存知だろうか? それはそれはものすごく可愛かった、目に入れても口に入れも耳に入れても痛くないほどに可愛かった、今では考えられないほど小さな手足を一生懸命に動かして、生きようとする健気な姿は何度も何度も俺の心を強く打ってきた。家計が家計であるから、父親が死んで数年もすれば、俺はこの子のために生きようと、この子のために何でもしてあげようと、この子のために我が身を捧げても良いようと思った。
だから働いたのである。小学生の頃から何でも出来ることはした。中学校を卒業した折にはすぐに地元の建設業で働き始めた。全ては妹のためだと思えば、先輩からのパワハラなど気にもならず、無茶苦茶な仕事内容を与えられるのも気にもならなかった。もうその時には彼女は小学5年生か6年生になっていただろうか、スラリと伸びた手足に、まっすぐに伸びた美しい黒髪に、ぷっくりと膨らみ始めた蕾のような胸には、十二分に将来の可能性が顕れていた。それに何より、その頃から急激にあいつの背が伸び始めたのである。俺だって背が低かったわけではない、今立ち上がって見ても分かる通り、男性の平均身長はある。けれども、あんなに可愛かった妹はたった一年や二年で俺の背丈を追い越すと、そのままグングンと背を伸ばして行ったのである。悔しいと云えば悔しいと云えるが、それよりもどんどん大人びて行く妹が綺麗で、美しくて、それでいて可愛くて、兄思いで、母親思いで、あろうことか俺は、次第に実の妹に心を寄せていってしまっていた。――いや、当然と云えば当然だろう。何と云ってもあの誰もが認める美貌である。もう中学二年生の時には、明らかに他の女の子とは一線を画していた。それに度々仕事場に訪れては、汗まみれの俺を気遣い、最後にはちょっとした差し入れと、「頑張ってね」の一言を添えてサラサラと長い髪の毛を、あぜ道の緑と晴れ渡った空の中に揺らめかせながら、地平線へと消えていく。それを見届けつつ、手渡された包を開けるのが俺の楽しみであった。差し入れられたお茶とおにぎりの味は、今食べるどんなご馳走よりも美味しい。今でも時たま具の入っていないおにぎりを所望して思い出したくなるほどに、美味しい。……まあ、そんなこんなで俺は実の妹に恋心を抱いていたのである。
時は妹が中学3年生のときである。この時期ほとんどの中学生は受験のことで頭を悩ませると思う。それは妹も同じではあったが、少し違うのはやはり家を顧みてのことだった。彼女は時おり俺と母親を招いては、
「私も、お兄ちゃんのように、……」
と泣きそうになりながら云うのである。俺にはそんな考えなど無かった。俺はこのまま頑張り続けて、妹を高校へと行かし、大学へと行かし、豊かな生活を歩んで欲しかった。だから母親と一緒に彼女を説得して、進学へと道を決めさせたのである。そもそも思うに、妹ほどの才女が高校へも大学へも行かないというのは、ものすごくもったいないことであろう。それというのも、成績通知表を見る度に、俺は目を瞬いて「本当に同じ腹から生まれた子なんだろうか」と思ったほど、妹は頭が良かったのである。運動はあまり得意では無かったようだけれども、国語数学理科社会音楽、……と云った座学の方は全て、――それも全学年に渡って、最高ランクの「5」がついていた。毎日疲れて帰ってくる俺を、明日が試験日だろうが何だろうが寝るまで労るので、
「俺のことはいいから勉強しなさい」
と云っても、
「いいよ、お勉強は授業聞いてたらだいたい頭に入るし、今はお兄ちゃんが最優先。ほら、マッサージするから寝て」
と優しい手付きで足やら腕やらを揉んでくる。それでも次の日のテストでは、本当にほとんどの科目で満点を取るのである。
話が逸れてしまったが、とにかくあの天才は受験勉強などほとんどせずに、県内で一番の進学校へ歩みを進めた。袖の短くなった制服から、あの長身に合った制服を身に着けた瞬間、俺と母親はついうっかり涙を流した。もう妹はすでに立派な女性だった。180センチを大いに越した身長も、H カップにまで育った豊かな胸も、全てが美しかった。妹は美そのものだった。俺は妹に見下ろされながら、神と対峙した時のような畏れを抱いた。ぷっくりと膨らんだ唇が、ものすごく魅惑的に見えた。シミひとつ無い白い肌は、触るのも恐れ多かった。長いまつげの下にある慈しみの籠もった目には、何もかもを見通されているような心地がした。俺は彼女には勝てないと悟った。
だから、つい唇を奪われるのを許してしまったのである。風呂から上がって自室へ行く途中の出来事だった。彼女が待ち構えているというのにも気が付かずにのこのこと階段を上った俺を、あいつはまず肩を掴んで拘束し、じっと見つめて来た。
「ど、どうした?」
俺が放った言葉はそれだけだった。いや、真剣な眼差しで見つめてくる彼女に威圧されてそれだけしか云えなかった。高校生になってもまだ伸び続けている彼女の身長は、この時188センチもあり、ちょうど首元に目が来る俺からすれば、蛇に睨まれた蛙のような心地がする。
「お兄ちゃん」
「おう」
「お兄ちゃん?」
「だ、だからどうした」
「お兄ちゃんっ」
としばらく妹は俺を呼び続けた。それも一���一言、こちらの反応を楽しむかのようにして、調子を色っぽくしたり、子供っぽくしたりしてくるのである。今、小悪魔的と呼ばれるのは恐らく俺のせいであろう。
「ふふ、……ねぇ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「愛してる。ずーと、ずーと昔から、愛してる」
と最後に云うと、あいつはなんと、目を閉じて唇を近づけてくるのである。もちろん、俺も目を閉じた。そして、顔を近づけた。悲しいことに精一杯背伸びをしなくてはならなかったが、こうして、俺は妹と唇を重ねたのである。初めてのキスの味は如何ほどであったか、それを語るには紙面が足りないから省略するにしても、唇を離した時のあいつのうっとりとした顔は、生きとし生ける物全てが思い浮かべる必要がある。ペロリと口の端に垂れた、どちらのものか分からない涎を舐めて、ふわりとこちらの体を包み込むようなハグをして、ポンポンと頭を叩いてから、意外にもあっさりと、彼女は自室へと戻って行った。今思えば、それもまた、俺を焦らそうという気持ちからやったのであろう。
彼女が高校生の時の思い出はそんなものであろうか。繰り返しになるが、やはりあいつはとんでもなく頭が良く、勉強をしているのかどうか分からないにも関わらず、定期試験だろうが、模試だろうがなんだろうが、ほとんど満点を取ってきていた。だからなのか、高校3年生のときの面談で進められたのは国の最高学府であった。いったい、天は俺の妹に何でもかんでも与え過ぎである。誰もが振り向く美貌に、誰もが驚く長身に、誰もが惑わされる大きな胸元に、誰もがひれ伏し���くなる長い脚に、誰もが惚れざるを得ない優しい性格に、誰もが天才だと認めざるを得ない知能。一つだけ、まだ金だけは与えてくれていなかったが、それももう時間の問題である。まず最初の出来事に、彼女は驚くことに特待生であの大学へ入学し、入学金も授業料も免除されたことがある。これで浮いた金のほとんどを俺は仕送りとして送ろうかと思っていたのであったが、妹に強く、
「それはお兄ちゃんのために、そしてお母さんのために使ってください。特待生に選ばれたのはただのまぐれですから、お気遣いなく」
と云われては引っ込めるしか無い。だからその頃にはすっかり母親も持ち前の朗らかさを取り戻したような気がするのだが、やはり遠くで頑張る娘が気になっていたようだった。
そんなこんなで始まった妹の大学生活であったが、やはり語らねばならないのは、ミスコンのことであろう。そう、彼女の転換期である。ずっと昔から、俺はさんざん妹に面と向かって「可愛い」だの「綺麗」だのを云い続けてきたけれども、本人は本当に自身の容姿に自身が無かったらしく、
「いえ、そんな」
「私なんて」
などと云っていたから、そんなものには出ないと俺は思っていた。が、誰かにそそのかされたのか、彼女の友人の勧めで客席に座っていた俺の前に顕れたのは、確かに妹だった。いつもと変わらないナチュラルメイクに、いつもと変わらない長い黒髪を後ろで束ねて、いつもと変わらないぷるんとした唇を赤くした彼女は、信じられないほど美しかった。一人だけ後光が差しているような気がするほどに、美しかった。結果が発表される前から、もはや決着はついていた。予想通り彼女は1位を獲得し、恥ずかしいような、もどかしいような笑みを浮かべて、周りの者どもそっちのけで俺の元へとやってくる。
「お兄ちゃんごめんなさい」
と彼女は何故か謝った。
「私、お兄ちゃんがあれだけ容姿を褒めてくれたのに、全然信じられずに適当に返事をしてました。ごめんなさい」
理由を聞くと泣きながらそう云った。俺は、
「自信はついたか?」
と聞いた。すると、とびっきりの笑顔を見せて、
「うん! なんだか生まれ変わったような心地がする!」
と云う。全く、今から見ても、あれで容姿に自身が無いなど、他の女性から刺されてもおかしくは無いだろう。
その夜、俺は妹の下宿先へ初めて二人きりで夜を明かした。酒に酔った彼女を見たのも初めてだった。顔を赤くして、
「お兄ちゃん、お兄ちゃん、おにいちゃぁん」
と猫のようにじゃれてくる妹は、もう見ることの無いと思っていた、かつて甘えん坊だった時の彼女そのものだった。実はその時に、彼女の初めてを頂いてしまったのだが、これは語ると俺が刺殺されかねないのでここには書かない。タオルケットにくるまって、自身の大きくて蠱惑的な体を隠そうとする彼女は、女神と云うよりはいじらしい生娘のようで、どれだけ体が大きくなろうとも妹は妹であった。つまりは可愛かったのである。
さて、転換期を迎えた妹の躍進は、ものすごいものがあった。急に、
「私、モデルになっちゃうかも」
と云ったかと思いきや、次の瞬間には海外に飛んでいるのだから、俺たち家族ですらあの頃の彼女にはついていけてなかった。ただ、これはみなさんご存知であろうから、ここでは多くを語るには及びまい。重要なのは、大学在籍中に本格的にモデルやら女優やらの仕事に打ち込み初めて、溺れるほどに金が入ってきたことであるから、それだけは云っておくことにする。
それで、パッと大学を卒業した彼女は、しばらく各地を点々と放浪していたらしいのだが、ある日突然、思ったよりも大人しめな衣装で実家に帰ってくるや、触れるが恐ろしいまでの金を家に振り込んできた。おおよそ一生を遊んで暮らせるほどの額である。そして、こう云った。
「これでお兄ちゃんの人生を買ってもいいですか?」
と。思い出せば物騒な物言いだが、実際には彼女の優しさが詰まった言葉であった。この金を使って私のために人生を捧げてくれたお兄ちゃんに恩返しがしたい。私はお兄ちゃんが高校に行けなくてどんなに惨めな思いをしたのかちゃんと分かっていないかもしれないけれども、でも少なくとも高校入試の時に同じ気持ちを抱いたことはある。だからまずはこれで高校へ行き、青春というものをもう一度味わいませんか? そして、行く行くは大学へと進学し、そして、 ――と、そこで顔を赤らめて云った言葉だけが頭に残って、はっきりとは思い出せないが、そんなことを彼女は云った。――俺はその言葉に乗るしか無かった。何故かと云って、どういう訳かその日づけで職場から俺の名前がなくなっていたのだから、彼女の提案に乗るしかあるまい。
それから、俺は初めて訪れた受験を乗り切るべく、勉強漬けの日々が始まった。朝から晩まで、妹の作ってくれたテキストで妹の授業を受け、妹の作ってくれた問題を解き、妹の回答解説を聞く。分かりやすくはあったけれども、俺と妹とではあまりにも能力に差があって、しばしば歩みを緩めなければとてもではないがついていけなかった。
「えぇ、……お兄ちゃんまだ覚えられてないの。……」
と、暗記物では云われた。いや、これは妹がおかしいのである。英単語を500個、一晩で全部の読み方綴例文まで覚えろと云うのだから、所謂天才で無ければ無理であろう。あの妹の吸収力は心底羨ましい。
そんなスパルタな教え方もあって、俺は妹と同じ高校へ進学した。10年と云う歳月を経て、妹の後を追って同じ高校へ進学するというのは、中々屈辱感があったが、意外にもすぐに私はクラスに受け入れられ、楽しい学校生活を送った。ただ次に始まったのは、妹の大学受験対策で、一ヶ月くらい部屋に引きこもる日が多くなったかと思えば、とんでもない量のテキストを俺に差し出して、
「はい、お兄ちゃんは今日から大学受験までにこれを全部問いて、覚えて、覚えて、覚えて、私の解説を聞いてもらいます。まあ、簡単だし、あんまり量も無いから大丈夫大丈夫」
と明るい口調で云うのであるが、机の上に50センチくらい積まれたテキストの山はどう考えても「量がない」とは云えないし、それに妹の「簡単」は全くもってあてに出来ない。実際、問題を問いていると、10年に一度クラスの難問がどんどん出てくるのである。しかもどうやら妹は過去の問題から引っ張ってくるようなことはせずに、自分で作った問題をテキストに載せているらしく、ズルすることもできない。結局俺は毎日、
「ちょっと、ちょっと、これくらい解けなくてどうするの。これはもっと単純にこうすればいいんだよ。お兄ちゃんって意外と頭が堅いタイプの人?」
と妹の目がさめるような解法を聞いて、驚くばかりであった。だが毎日やっているうちに彼女の考えに染まって来て、次第に正解する問題も出てきた。そういう時は二人で抱きしめ合って喜んだ。模試もまた、妹のテキストに慣れているせいか、どれも簡単に思えて実際に中々良い点数を取ることが出来た。擬似的に体験しただけだけれども、天才の頭の中とはこういうものとは、たぶんああいうものなのだろう。眼の前の問題が、自分の頭の中に追いついていないような感覚である。
俺はその頃、逆に妹に感謝したくなっていた。大金を用意し、あんなハイレベルなテキストを作っただけではなく、毎日毎日、朝早くから俺のために朝食と弁当を用意し、学校帰った俺を迎えてくれ、それからずっと付きっきりで勉強を見てくれ、夕食を用意し、そして一日の締めくくりに体を重ねた後、俺が寝静まったのを確認してから採点をする。まったく、出来すぎた妹を持つのも大変である。俺はもうすでに妹の金で実質暮らしていたが、それまで稼いだ金にはあまり手を付けておらず、それなら、普段の豪遊っぷりからすればささやかなものではあるけれども、妹を食事にでも誘おうと思って、土曜の昼食時に提案してみた。
「んもう、お兄ちゃん。どこまで私を惚れさせれば気が済むんですか。ダメです。――ま、せめて大学に合格した日に誘って下さい。はい、勉強に戻りましょう」
と断られてしまったが、その嬉しさで溢れる顔から、合格発表時に誘えば必ず首を立てに振るであろう確信が取れたので、その時はそれでよかった。
だから、頑張った。日々理不尽なレベルの妹の問題に文句を云いつつ、理不尽なレベルの妹の要求に悲鳴を上げつつも、俺は頑張りに頑張った。だからなのか、努力が実って、俺は妹がかつて通っていた大学に合格した。残念ながら特待生ではなく、平均的な点数でもなく、ドベから数えて5番目くらいではあったけれども、とにかく妹と同じ大学へ通うことになったのである。そして、合格発表の時、俺以上に涙を流している妹と抱き合いながら、再び彼女を食事に誘った。彼女は快く頷いてくれた。ワイングラスを傾けた時、彼女は云った。
「今日は、さ、お互いを名前でみ、みませんか?」
と、たいそう恥ずかしがりながら。
「そうだなぁ。じゃ、まずは俺から。――美希、今日の今日までありがとうな。これからは妻として、――」
「うっ、……」
「美希?」
「――ダメ! ダメ!……やっぱやめ! 無理! 恥ずかしすぎる! やっぱり今まで通りで!」
「えー、美希の提案だったじゃん」
「お兄ちゃん!!」
その時のあたふたとする妹の姿は、恐らく歴史に名を残すであろうモデルとは思えないほど、子供らしく、いじらしく、それでいて艶かしく、――まあ、一言で云えば、めちゃくちゃ可愛かったのである。
 それで今、俺は妹と暮らしながら優雅な大学生をやっている訳だが、年々彼女が可愛く見えてくること意外には特に特筆すべきことがない。結局俺の生い立ちを語るようでいて、彼女の人生を語ったようなものであるが、いかがだっただろうか。たぶん誰も俺の人生には興味が無いだろうから、これはこれで良いのではないかと思う。後は彼女の出したエッセイやら何やらを参考にすれば、大方俺たちの、謂わばちょっとおかしな家族関係というのが明瞭に見えてくるはずであろうから、今はここで筆を休めることにしよう。
  人魚
 人魚は外の世界に憧れを抱くなんてよく云うが、ここに佇んでいる彼女もまた、その一人である。日々海の中に沈んでいる外の世界のガラクタを拾ってきては、格好の隠れ家へしまい込み、それを眺めてはため息をつく。ああ、外に出てみたい。出来れば素敵な恋を、素敵な王子様としてみたい。が、そう思えば思うほど、この自慢の尾びれが自分を縛る足かせのような気がしてならない。
「はあ、……」
とまたため息をついてしまった。もう何度目だろうか。一日に20回や30回はしているはずだから、一年365日で、物覚えついたのが5歳ごろだから、……と、虚しいことを考えているうちに、何者かが近づいてくる物音が聞こえてきた。実際には水流の音なのだが、彼女らにとっては物音である。
「誰、――?」
「おやおや、こんなにたくさんゴミを溜め込んで、……」
と、入ってきた人、……嫌に黒い尾びれをした、老齢の人魚が云う。
「ゴミだなんて! 私には宝物です!」
「ゴミはゴミだね。あいつらは要らなくなったものを海に投げ捨てるのさ。私は地上に降りた時にこの目で何度も何度も見たわよ」
「えっ、――」
今、「地上に降りた」と云わなかったかしら? ――と、彼女は思って目を見開いた。黒い人魚の嫌な笑みなど、その目には入っていなかった。
「地上に降りたいかい?」
「……」
「降りたいならそう云いな。条件は付けるがね」
ヒッヒッ、……と、黒い人魚は悪い魔女のように、眼の前の無垢な人魚に見えるようわざと白い歯をむき出しにして笑った。――
 「わあ、素敵!」
人魚は空を仰いでそう云った。初めて感じる足の感覚、初めて感じる土を踏みしめる感覚、初めて感じる地上の空気、――そのどれもが新鮮で、気持ちよくて、今までの人生が灰色のように見えてくる。
「これが地上、……これが空気、……」
あの人魚は怪しかったけれども、こうして服までちゃんと用意してくれたし、実は良い人魚だったのだろう。
「���いかい? 時間はきっかり12時間。それを超えて地上に居ると死ぬからね。覚えときな」
と、ぶっきらぼうに云った割には時計までよこしてくれた。さすがにここまでされては、あの人を悪者をには出来ない。……
「うふふ、たのしい!」
しばらくは野原を駆け回った。本でしか見たことのない、兎や、鳥や、花や、草花たちがお出迎えしてくるような気がして、いつまでもどこまでも走り回れるような気がする。
「あっ、そうだ、――」
と、云ったのは唐突に人と喋りたくなったからである。――海は広い。広すぎて普段は同じTribe の者としか会うことが出来ない。数年に一度程度の割合で、餌を求めて海流に乗って回遊していると、志を同じくする者と出会うことはあるが、だいたいすぐにはぐれてしまう。
なれば早速行動である。12時間のうち、もう2時間も使っている。急がなくちゃ、恋どころか友達すら出来ない。
「でも、どこに行けばいいんだろう?」
ま、初めての地上である。こういうのは多めに見てもらいたい。
 「ああ、やっと見えてきた」
それから数時間後、迷いに迷って人魚はとある王宮のある街へとやってきた。
「ああ、ああ、――」
と感嘆の声を漏らす。門の中では目まぐるしく人が行き交い、賑やかな声がこちらにまで聞こえてくる。
人魚は思わず走った。もう少し、もう少しで憧れの人々と言葉をかわすことが出来る。――
「やっとだ、やっとだ、……」
ふう、……と息をついて顔を上げた、だがその時、
「えっ?」
と思わず彼女は驚いて、ぽかんと口を開けて固まってしまった。
「――ち、ちっさ、……」
憧れの人々、先程まで目まぐるしく行き交って居た人々、――その誰もが人魚の腰にしか頭が届いて居なかった。
「うおおっ、――」
「な、なんだ、……?」
「でけぇ、――」
彼女の姿を見た者がそんなことを云いながら、わらわらと集まってくる。が、誰一人として、彼女の首元にも、肩にも、脇にも、胸にも辿り着けていない。
「う、嘘でしょ?……えっ? 人間もこんなにちっちゃいの、……?」
間違って小人族の街に入っちゃったかしら? と思ったけれども、先程見かけた看板には、列記とした人間の街の名前が刻まれていた。
――なら、本当に人間って本当にこんなに小さいんだ。
「うふ、なんだか可愛いく見えてみちゃった、……」
半分くらい本心からそう思った。ぴょんぴょんと飛び跳ねる者などは、物語などに居る、高いところについた木の実を取ろうとする子供のよう。いや、遊び場にお姫様が迷い込んできた子どもたちと云った方がいいか。こういう時は、その小さな体でお城まで連れて行ってくれるのが常である。
「こんにちは、小さな人間のみなさま」
と、人魚はスカートの裾を持ち上げながら、少し足を屈めて、本を読んで学んだ通りの挨拶をした。失礼なことに、動いた拍子に悲鳴を上げて逃げた者が居たが、まあいいだろう。後で覚えていらっしゃい。
「――私、ここの国の王子様に用があるのですけど、どなかた案内してくれませんか?」
「で、では私が案内いたしましょう」
と、名乗り出たのは、これまた小さな男、……正直、彼女には子供にしか見えなかったが、顔立ちからして20代そこそこの青年だろう。こちらの手を取ってきて、案内してくれるようである。
が、その手もまた、めちゃくちゃ小さい。きゅっと握り込んでしまえば、潰れてしまいそうである。
「す、すみません。もう少し力を緩めてくださると、嬉しいのですが」
体が小さいせいで、彼らは力も無いようである。こちらとしては、これほどにないまで軽く握っているつもりなのに、さらに力を緩めろと云うのは如何なものか。逆にもう少し力を入れてやろうではないか。
「うっ、……」
と顔を歪ませたが、何も云わないので、まあ、大丈夫だろう。
それにしても、本当にみんな小さい。露店も小さければ、人も小さく、家も小さい。あんなドアでは上半身がつっかえてしまうだろうに。それに、あれは二階というやつかしらん? 私の頭と同じ高さにあるのに、……ああ、そうか、こんなに小さい人たちならぴったりな大きさね。まさか憧れていた地上の人がこんなに小さかったなんて、なんだか幻滅だわ。……王子様はせめて私の胸のあたりに顔があればいいのだけど、……
人魚はそんなことを思いつつ歩いていたのだが、道行く人々の反応は相変わらずであった。
「で、でっかー!」
と叫んだ者すら居る。
と、そのうちに王宮の中に入っていたのか、門番の兵士に(――この人もめちゃくちゃ小さい!)、待つように云われて、案内されるがまま、応接間で王子様を待つことになった。すんなり通してくれたのは、どうもすでに人魚の噂がここにまで届いていたらしく、物珍しいものが好きな王子様が、むしろ自分から会いたいと仰っていたからだと云う。――物珍しいなんて失礼な。これでも私はまだ生まれてから18年しか経っていない、若き人魚だぞ。人間になってもまだ大きいからってそんな風に云うな、……と、文句の一つも云いたかったが、静かに待った。椅子が小さくて座れなかったが、せっかくの憧れの世界である。それも我慢することにしよう。いや、ちょっと我慢ならないかな。扉は腰を曲げないと通れないし、天井に頭はつっかえそうだし、ろうそくのついたシャンデリアには実際につっかえたし、もう少しまともな部屋はないのか。
「おまたせしました」
と、しばらくして声がしたので、ふっと顔を上げた。
「王子様、……?」
「ええ、そうです。お会いできて光栄です。長々とした名はついておりますが、ぜひエドと呼んでください」
深々とお辞儀をする王子様であったが、その姿を見た途端彼女は、
「――嫌です」
と、ついうっかり口にしてしまった。
「えっ? 今、なんと?」
「嫌です。――小さい人は嫌です。さようなら」
人魚は鍵が壊れるほどの力でドアをこじ開けると、呼び止める王子様とさきほどの青年の声を無視して、行き交う人々を蹴り飛ばしながら、ずんずんと街を歩いていった。――ふん、人間を蹴るのは気持ちがいいわ。蹴りやすいところに体があるのがいけないのよ。
街を後にしたとき、数人の兵士が追いかけてきていたような気がするのだが、歩幅が違いすぎて、彼女が走れば誰も追いつけないのは明白であろう。あっという間に海にまで戻ってきてしまった。
「――まさか王子様が一番小さかっただんて、……」
と、灯台の横で夕日を眺めながら人魚はつぶやいた。実際、王子の顔は、彼女��腰どころか、股の下あたりにあった。あれではお互い立った状態でも、跨げるのではないだろうか。人の脚の長さがそっくりそのまま身長だなんて、いくらなんでも小さすぎる。
「あーあ、なんだか幻滅しちゃった」
初めての地上はあまりにも小さかった。まるで怪物のように見られたし、思い出してみればすごく恥ずかしいので、今後来ることはないだろう。
「おっと、いけないいけない。あと5分か。……」
辺りはすっかり暗くなっていた。幻滅したけれども、空に浮かぶ星々はどれもはっきりと輝いていて、まことに美しい。ザバン! と、海に入った彼女は体を表にしてプカプカと浮きつつ、ぼんやりと空を眺めていた。もう人はいいけれど、この星や、兎や、鳥たちを愛でるためにもう一度来よう。そうしよう。――
 「時計を返せ」
と、隠れ家に戻った時、例の人魚に突然そう云われたので、素直に返す。
「どうだったかい? 初めての地上は」
「なんだかもういいやっ、て感じだわ。でもありがとう、貴重な体験だったわ」
ヒッヒッ、……と黒い人魚は笑って、
「これに懲りたら、こんなゴミ捨ててしまうことだね。――ヒヒッ、ではまた会おう」
と穴から去っていった。
残された人魚はしばらくこのガラクタたちの未来を考えていた。そして、再び地上の思い出を振り返るや、こう呟いた。
「はあ、……まさか人間も小さかったなんて、私に合う殿方はもうこの世にはいらっしゃらないのかしら、……」
と。―――
   女尊化社会
 最近、小学生中学生の男子生徒が、あらゆる面で同学年の女子生徒に劣り始めているのだそうだ。勉強をしては順位表をつけられないほどに差をつけられ、運動をしてはかわいそうになるくらいにボコボコにされ、教室では大人と子供が一緒に授業を受けているような印象を受けると云う。これを受けて政府は女子生徒だけ学年を一年か二年繰り上げる、……なんてことも検討しているらしく、つい先日に始まった選挙では、それをマニフェストとして掲げることが当たり前となっている。
普段、そんなに女子小学生や中学生に触れることのない私は、にわかにはそんな現状を信じることが出来なかった。ここ1年で始まった女尊化現象、……その大部分を担う少女たちを一目見たく、私はとある中学校へ取材に申し込み、次の週に実際に訪れることを許可された。これはその時の手記を元に書いた、いわゆる一つの随筆文である。――
 私が訪れたのは都内某所にある名門私立校で、全校生徒は500人ほどのそれなりに大きな中学校ではあったが、とにかく男子女子の比率が一対一、かつ、勉強だけではなくスポーツにも力を入れていることから、様々なことを比較するには打って付けだろうと思い、そこを選んだ。
「それなら、登校も見ものですよ」
と応対してくれた先生の一人に云われていたので、私はちょうど授業の始まる20分前頃に校門をくぐったのであるが、まず驚いたのは少女たちの背の高さであった。
前方にとびっきり大きな制服姿の女の子が居るかと思えば、次の瞬間には楽しげな声で会話する、これまたとんでもなく大きな少女に追い抜かれるのである。私は一瞬動きを止めてさえして、彼女らが校舎に消えていく様子を眺めた。別に、今どきの子供に身長を越されることなど、まだランドセルを背負ったあどけない女の子ですら、身長175センチの私より高いのがざらに居るのだから、全く驚くことではない。だが、身長190センチとも、200センチとも取れる女子中学生が、こうもたくさん登校して行く風景は、私の目を瞬かせるに足ったのである。
「ふわあ、……」
と手を伸ばしながらあくびをする子ですら、私より頭一つ分以上は大きい。と、云うよりは、私より頭一つ分大きくない少女は居なかった。みんながみんな、190センチ以上の長身を持て扱いながら登校していた。
「おはようございます。今日の案内を担当する○○と申します」
「よろしくおねがいします」
親切なことに、学校側は人を一人割り当てまでして、私の取材の手助けをしてくれるようであった。案内をしてくれたのは、まだ教師になりたての若い男性で、ついでに学校の宣伝にもなりますからと、身も蓋もないことを云っていたのは、まだ覚えている。
「さて、女生徒学年繰り上げ問題についての取材だと伺っていましたが、どうしましょう? 延々と書類を見ながら説明するのも、飽きてきますでしょうから、彼女たちの授業風景を見ながら、私が口を挟む、……と云う形でよろしいですか?」
「ええ、構いません。むしろそうしてくれるよう、こちらから頼もうかと思っていた所でした」
こうして私たちはまず、教室で英語の授業を受けている彼女たちを見に行った。
ガラッ、……と扉の開く音に反応した生徒たちに、まじまじと見られたのはそれなりに気まずかったけれども、確かに大人と子供が同じ教室で同じ授業を受けているかのようだった。すらりと伸びた足を艶かしく組んで、つまらなさそうに頬杖を付きながらため息をつく様は、中学生のそれとは到底思えなかった。それに対して男子は、袖の余った制服に身を包み、どこか落ち着き無く授業を聞いている。
だ��、やはり気になるのは、男子と女子で机の高さも大きさも全然違うことである。一回りどころか、二回りも三回りも大きいような気がした。
「すごいな。……」
と私は自然に声を出していた。後で教えてもらったのだが、中学一年生の女子の平均身長が191.6センチ、中学二年生で199.7センチ、中学三年生で206.2センチもあるらしく、私たちが見たのは中学一年生の教室であったから、まだマシと云ったところで、これが中学三年生の教室に行くと、もっと机の高さに差があるらしい。実際に見ることは叶わなかったけれども、空き教室にある女子用の机に座らせてもらったところ、20センチも30センチも足が浮いてしまい、もはや巨人の学校に訪れたような心地がした。
私はこの時、実は女性が巨大化すると同時に、男性の方はどんどん小さくなっているのだ、と思っていた。たぶん女子の体が大きすぎて、相対的に男子の体が小さく見えただけだろうが、同じ学年だと云うのに、ここまでの差を見せつけられては、そう思わざるを得なかった。それを確かめるには、後10年弱時が経たねばならないが、それがもし違っていたとしても、結局女の子の方が圧倒的に体が大きい事実は変わりあるまい。私たち男は、一生を首を上げて過ごさなければいけないのである。
しばらく私は、髪の毛をくるくると弄って暇をつぶしている女の子を眺めつつ、一緒になって授業を聞いていたのだが、
「女の子の方は、みんなすごくつまらなさそうにしてるでしょう。――」
と突然喋りかけられた。
「ええ、やっぱりそうなんですか?」
「ええ、そうなんですよ。ちょっと出ましょうか、――」
私たちはそこで一旦教室の外に出て、廊下で話の続きをし始めた。
「こちらがつい先日に行われたばかりの、このクラスのテストの結果です。すごいと思いませんか? 上位は皆、女の子たちです、それもほとんど者が満点で、一位の次が15位なんてことに。……」
「うわ、……ほんとだ。……」
「他のクラスでもだいたい同じ結果で、――あ、こちら学年の全クラスを通してのランキングですが、見て下さい。――」
と云われたので、差し出された書類の一部に目を通したのだが、最初の7ページ目まで順位が全部一位であったし、その後も次々と女性の名前が連ねられ、最終的に男子の名前を見たのは後半になってからであった。
「男子女子の名簿みたいですね。……」
「そうでしょう。男女混合にしてしまうと、もはやランキングの意味がないので、最近では男子なら男子、女子なら女子、と云うように作ってます」
「でも女子の方はそれでも機能してなさそうですね」
「おっしゃる通りです。女子の最低点が、男子の最高点よりも高いですからね、彼女たちはもう満点かそうでないかで、互いを競っているそうです」
「確かに授業をつまらなさそうに聞くわけですね。それに政府が女子の学年を繰り上げるのも頷けます」
「ですが、一年や二年程度では話が収まらないかも知れません。何せ、彼女たちは高校の内容まで熟知していますから。いっその事男子女子で、学校まではっきりと分ける必要があると思います」
「なるほど確かに。それで小学校の次が大学、――と云うのが彼女たちの能力に一番合っているのかもしれませんね。――」
この会話が契機となって、私たちは窓の中でこれほどになくつまらなさそうに授業を聞く少女たちを眺めながら、彼女たち、――ひいては日本の、――特に私たち男の行末を話し合った。
私の取材は中々円滑に進んだと思う。途中、一人の男子生徒を捕まえて、
「テストの結果どうだった?」
と聞いて顔を青ざめさせてしまったのは反省点だが、案内役の先生の話は大変実りのある話題ばかりであった。
「もうあと数年もすると、ここに居る女の子たちが世界を席巻するでしょうね。いえ、冗談ではなくて、事実、確実にそうなります。学問も、政治も、経済も、スポーツも、……全てあのテストの結果のようになるでしょう」
と、お昼を一緒に食べている時に、彼は寂しそうに語った。それは毎日、あの中学生と触れ合っているからこそ出来る顔だったように思える。
「ところで、午後は体育館の方へ行きませんか? あなたもご存知の通り、私共の学校では特にスポーツに力を入れておりまして、……」
そこで学校の自慢になったので、ここで多くは書き記す必要はあるまい。だが、一つ興味深い事を云った。
「――しかし、私は一つ楽しみにしていることがあるんです」
「と云いますと?」
「男が打ち立てた世界記録が次々破られ���瞬間が、――なんだか変なことを云っているように自分でも思いますが、楽しみなんです。それで、ついでなのでぶっちゃけてしまいますが、ちょっとこれは、――」
アフレコでお願いしますと云って、彼は話を続ける。
「実は、もうすでにいくつか破っているのもあるんです。――」
「なんと」
「例えば、トレーニングルームにあるベンチプレス。彼女たちは涼しい顔で持っていますが、その重量は世界記録を大幅に超える800キロとか、900キロなんです」
「ええっ!」
「それともう一つ例を取ると100メートル走。彼女たちは早かった遅かったで、喜んだり悔しんだりしていますが、その記録はだいたい8秒から10秒なんです。11秒台の子は滅多に居ません。確か一番遅かった2組の子で11.1秒とか、そんなだったと記憶してます」
「そ、そんなに?」
9秒台に乗ったとか、乗らなかったとか、もはや馬鹿らしくも感じる。相手にもならない。しかもまだ中学生で、恐らく体育の授業で遊びで測ったのだろう。本気で練習に励んだらもしかすると7秒台も夢ではないかも知れない。
そうやって、私が驚いているうちに体育館へついたようである。中ではバレーの試合をしているらしく、元気な声とボールを打つ音が響いているのだが、
「あれ? もしかして、相手は男性の方ですか?」
と私は思わず聞いた。白い体操服に赤いゼッケンを着けた少女たちの向かいのコートには、ちゃんとしたユニフォームを来た男性が居たのである。
「ええ、話せば長くなりますが、端折って云うと、今はとある男性プロチームと試合をしています。あ、そうそう、授業なので体操服を着ていますが、部活では私たちもちゃんとユニフォームを着ますよ」
と、云うことは彼女たちは全くの素人がほとんどなのであろう。だが、その体つきはプロチームよりも遥かに大柄であるし、その動きはプロチームよりも遥かに機敏であるし、それに表示されている点数を見て、私は目を見開いて固まってしまった。
「20 - 0、……」
さっきから中学生チームばかりがサーブを打っているから、きっと負けているのはプロの方なのであろう。見ると、ゲームはだいたいサーブで決まっているらしく、男性プロの方は飛んできたボールを唖然として見るだけである。反応したかと思えば、あらぬ方向へ飛ばしてしまい、またサーブが飛んでくる。上手く取れても、うっかり彼女らのコートへ飛ばしてしまって、次の瞬間には耳をつんざかんばかりの音を立てて、ボールは空高く跳ね上がる。
確かにかわいそうに思えてくるような試合運びであった。
「でも大体の競技はこんなものですよ。以前、野球の試合をした時には、男子高校生のチームに初回だけで17点も入れてましたからね。それに、つい先月に、こっそりとプロ野球のチームとも試合したのですが、結果は15対1、……もちろん彼女らの勝ちですよ。あまりにも一方的な試合だったので、3回途中で切り上げられてしまいましたが、あのまま続行しておくと、少なくとも50点は入ったのでは無いのでしょうか。まったく恐ろしいものです」
その後、バスケもテニスも卓球も、何もかも一方的な試合をやりすぎて、もう外からは練習試合を組んでくれないことを彼は語った。
電光掲示板に25 - 0が刻まれ、焦燥しきった様子の男性プロチームの面々がベンチに戻る中、私はそのベンチに座る一人の男に話しかけた。彼は試合中もベンチに座っていたのだが、怪我をしているのか腕に包帯を巻いて、頭を抱えて自分のチームが素人の女子中学生に、ボコボコにされている様子を見守っていたのであった。誰に話しかけてもよかったのだが、悲壮感の漂う監督に話しかけるのも気が引けるし、まだ息の整っていない選手たちに話しかけるのも気が引けるので、しごく真面目な顔で、ちょっとお話をお伺いしたく、……と声をかけると、意外にも朗らかに彼は応対してくれた。
「こんな試合は初めてですよ。3セットやって、一点も取れないなんて」
「い、1点も、……ですか?」
「そう、1点も。と、云うより昨日から初めて、うちが取った点数はたったの3点ですよ、3点。しかもそのうち2点はあの子らのミスで取れたようなものです」
聞けば、練習試合はこの前の日から行われていたらしく、彼らは毎時間、体育の授業として訪れる女子中学生相手にボコボコにされ続けたと云う。最終的に取った点数は合計で10点だったらしいが、その時のことはもうどんなに聞いても教えてくれない。
「それで、その腕はどうしたんですか?」
と、真新しい包帯に包まれた、真新しいギブスに嵌められた腕が気になって仕方が無かったので、私は問うた。
「あ、それ聞いちゃう?」
「ダメでした?」
「まあ、ここまで恥ずかしいところを見られてたら、同じか、……」
彼はギブスの巻かれた腕を上げながらそう呟いて、
「あの子たちにやられたんですよ」
「喧嘩でもしたんですよか?」
「喧嘩なんて、……そんな恐ろしいことする訳ないじゃないですか。折れたんですよ、彼女らのスパイクで、バッキリと真っ二つに」
「お、折れたんですか、……?」
「俺たちがあの子らのスパイクを取らないのは、体がついてこないんじゃありません。折れるんですよ、あんな強烈なスパイクで骨が。だから、絶対に当たらないよう、逃げるんです。悔しいけど、そうしないと体がもたない」
と、歯ぎしりをしながら彼は云った。それはプロの意地というものであろうか、負けると分かっていて、なお体を動かせないもどかしさが存分に顕れていた。――
私は次いで、コートを横断して賑やかな声を出す少女たちの元へ向かった。
「あ、はーい?」
と声をかけると可愛らしい声で反応してくれたが、あまりの身長差から、私には壁に立ちはだかったかのような心地がした。
「何でしょう?」
驚くことに、男性のプロチームをボッコボコにするほどの試合をしたというにも関わらず、彼女らの息はもう整っていた。
「どうでしたか、さきほどの試合は?」
「あ、……えーと、……まあ、いい相手だったです」
と、彼女はかなり言葉を選びながら云うので、
「正直に云っても構いませんよ」
「いいんですか?」
「ええ、何とも思わないので大丈夫です」
「えーと、それじゃあ、……正直に云って弱すぎでした。じゃれ合っているみたいで、途中から私たちも手を抜いたんですが、それでも弱くって、……」
こんな正直すぎるほどの回答が得られたのだが、彼女が話しているうちに周りに居た子らも、わらわらと集まってきて、気がついた時には私は2メートル前後の長身女子中学生に囲まれてしまっていた。
「弱かったねー。プロだって云うからもっと強いのかと思ったのに」
「うんうん、あんなのでプロになれるなら、誰だって出来ちゃうよ」
「体も小さいしね」
「何回パーフェクトゲームした?」
「もう5回? 6回くらい?」
「もっと多いよ―」
「っていうか何回ボールがこっちに入ってきたっけ?」
「私サーブを打つしかしてない!」
……はるか頭上で繰り広げられる会話に入り込む隙なんてなく、私は黙って聞いているしか出来なかった。聞きたかったことは山積みだったけれども、その後も結局、彼女らの圧倒的��体格に、文字通り圧倒されてしまい、少女特有の甘酸っぱい匂いと立ち込める「熱」にやられたこともあって、今の今まで聞けずじまいである。
「どうでしたか、我が校の生徒たちは?」
と、帰り際に案内役の先生に問われた。
「素晴らしかったです、色々な意味で」
「そう思ってもらえたのなら、嬉しい限りです。それで、取材はこれだけでも十分ですか?」
「ええ、ええ、もう十分すぎるほどです」
「それは良かった。ぜひ、またいらしてください。今度は今回見せられなかったトレーニングルームも案内しますよ」
「ありがとうございます。――」
 さて、その後の展開であるが、私の取材した内容は、次の日のどこそこの雑誌に先手を取られたために、結局公表できずじまいでそのままになってしまった。だが、あの学校を訪れた時の衝撃には、未だに忘れられないものがあるので、この日記にしたためて、時おり見返したいと思う。
 (おわり)
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第22屆中日青少年書畫音樂交流大會日本福岡5日4夜文化交流團
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活動背景:中日兩國政府將2019年定為"日中青少年交流促進年"。此次交流大會旨在在構建兩國青少年的友誼,並透過藝術及文化交流讓青少年體驗當地文化以及宣揚和平精神。交流大會中的書畫獎項將由各官方及各中日友好機構代表成員親自頒發,日中兩國各地將派出不同年齡層的表演隊伍相互觀摩交流。是次項目是高規格的官方活動,並獲中國外交部及日本外務省全力支持。國家的官方網頁及日本當地的新聞放送社均會報導此難得的中日友好青少年交流盛事。
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活動日期 : 2019年8月18日至22日 (五日四夜) 活動對象 : 4 – 18歲對藝術及表演有興趣的學生 參加資格:1)港澳區書法、繪畫「佳作賞」入選者及其隨行家庭成員。                   2)港澳區青少年兒童表演隊伍及其隨行家庭成員。 費用:每人港幣$18,500    (費用包括機票、住宿、部份膳食、交通、入場門卷、活動材料)
行程亮點
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代表香港出席在日本舉行的書畫比賽頒獎典禮/交流演出
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正宗日本和服(浴衣)穿著體驗
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親自製作獨一無二的陶瓷
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體驗日本傳統茶道 ‧ 品嚐高級綠茶
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參觀福岡亞洲美術館
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金鱗湖畔戶外寫生
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行程
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Day 1  (18/8) 抵達福岡 
香港->福岡
出發日期 : 8月18日
航班 : 港龍航空 KA 380
香港國際機場出發時間 : 10:50am
飛行時間 : 3小時40分鐘
到達福岡時間 : 03:30pm (日本時間)
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福岡 (Fukuoka) 位於日本群島的西南部的九州地區,氣候溫暖,風景美麗,交通便利。九州地區九包括福岡縣、大分縣、長崎縣、熊本縣、鹿兒島縣、宮崎及佐賀縣等7個縣。福岡市為九州的第一大城市,也是九州經濟、娛樂的重要核心,人口約150萬。它在1997年、1999年、2000年被亞洲週刊連續3次評為“亞洲最佳城市”!在2015年發行的《MONOCLE》雜誌「宜居城市排名」中,福岡位居世界第12名,是亞洲第2。在眾多中國、韓國訪日遊客的調查中滿意度為列日本全國排名第一。
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福岡市是一座非常緊密凝聚而有活力的城市,無論居住與工作地點,以及娛樂等設施都相當鄰近。福岡擁有出發與到達航班數量名列日本前茅的福岡機場,機場距離市中心相當近,從福岡機場到博多車站,搭乘地下鐵僅需5分鐘時間。
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福岡市飲食文化豐富,擁有全日本第一的大排檔,入夜後在路邊過百間的大排檔(屋台)可品嚐全國知名的博多拉麵(豚骨拉麵)、海鮮料理、碳烤雞肉串、牛雜火鍋等等。行程中已預留了兩晚讓大家盡情享受福岡處處不同的地道美食。
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福岡的自然景觀得天獨厚,青蔥的山巒環抱著福岡的市區,從市中心稍微往外走便看到美麗的博多灣。市內更有數個大型公園,如海中道海濱公園、大濠公園及舞鶴公園等,一整年都能欣賞到各季節不同的鮮花,四處皆有青山綠水的美麗景觀相伴,是少數能夠讓都市人接觸大自然景觀的美麗城市。
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抵達福岡後將安排團員到達酒店,首三晚將入住福岡市蒙特埃馬納酒店或同級酒店。酒店位於福岡市中心天神地區,交通十分便捷。鄰近天神區的屋台大排檔,大家可輕鬆步行前往,體驗當地地道美味的飲食文化。
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福岡蒙特埃馬��酒店 Hotel Monte Hermana
地址:福岡市中央區渡邊通3丁目4-24
Day 2 (19/8) 第一站 - 到訪福岡亞洲美術館 Fukuoka Asian Art Museum (FAAM)
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福岡市博多區下川端町3-1 博多河畔城7和8 樓
福岡亞洲美術館位於博多Riverain內的河濱區內的River Rain中心大樓。美術館於1999年開幕,是現時世界唯一有系統地收集和專門展出亞洲當代藝術作品的展覽館,同時也會邀請亞洲的藝術家和研究者進行美術交流。美術館收藏了亞洲23個國家和地區大約2900件美術作品,在世界上是僅此一處!亞洲的近現代美術既不同於西洋美術,也有別於日本的傳統文化,擁有自己獨特的魅力。美術館自開設以來,每三年舉行一次「福岡初・福岡發」的“福岡亞洲藝術三年展”,受到國際上很高的評價。 
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                                                                              (鳴謝Japan Discovery相片)   
亞洲展廳 - 系統地展示及介紹亞洲近現代與當代藝術的發展。館藏品無論在質還是量上都堪稱世界頂級。
藝術咖啡廳 – 是一個可以享受藝術、咖啡與書籍的開放空間,並提供約一萬本與亞洲、藝術相關的書籍和雜誌予到訪者免費閱覽。
兒童角 - 為孩子們設置的專用空間。備有鬆軟的沙發和座墊可供休息。同時還為孩子們準備了各種形狀各異的積木及亞洲國家的兒童繪本等。
精品店 - 陳列許多原創商品或相關出版品,以及亞洲各國風情的小商品及生活雜貨等。
Day 2 (19/8) 第二站 - 出席第22屆日中青少年書畫音樂交流大會
Acros (アクロス) 福岡交響音樂廳 (福岡縣福岡市中央區天神1-1-1)
中日青少年書畫音樂交流大會創始於1997年,由九州日中文化協會創辦,今年是第22屆。日本前首相村山富市、鳩山由紀夫以及著名的中日友好人士白西紳一郎擔任此活動的相關職務,活動久負盛名,影響力大。活動獲中國外交部及日本外務省全力支持,是日本與中國青少年文化藝術交流的重要活動平台之一。
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(アクロス) 福岡交響音樂廳 - 位於福岡都心「天神」地區,是一個國際・文化・情報的交流中心。音樂廳約有 1800 個座��。而館內還有多功能的展示廳,以及常設展示福岡傳統手工藝品的美術展覽廳。
第22屆日中青少年書畫音樂交流大會執行委員及資料
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今年的交流大會將於八月十九日下午1時30分假アクロス福岡交響音樂廳舉行。大會將邀請中國駐福崗領事及各友好縣、市支持機構的代表頒發証書予中日兩地書畫得獎的青少年及兒童,節目中不乏中曰兩地青少年及兒童的精彩表演。
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去年頒獎典禮中石原進委員長頒發獎項
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去年頒獎典禮日本國會議員鬼本誠先生頒發獎項
來自中國各地每年均有超過幾百位青少年及兒童參與這個書畫交流大會盛事,兩國在近年更派出不同的音樂、藝術表演隊伍在交流大會中演出,讓兩地青少年及兒童相互欣賞彼此文化藝術及進行交流。
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去年香港得獎者在典禮中上台領獎的一刻讓人感動,在數百位從中國、日本各地遠道而來的參與者及多位重量級嘉賓面前領獎可謂意義非凡。領獎的青少年及兒童來自各個年齡層面,可見藝術的鍾愛及溝通無年齡的界限。
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香港隊成員大合照,出席的香港代表團團員難掩興奮又自豪的心情。
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大家對陌生的日文獎狀感興趣,懂日文的團員即時為大家充當翻譯。(這張得獎名字給小編去掉了)
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會場中展出過百件兩地青少年兒童的作品。
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大會活動另一亮點就是兩國各地青少年兒童展現出不同的藝術文化的音樂、舞蹈的表演。充分體現兩地孩子的多元及獨特的文化氣質。十幾支隊伍的出色表現讓人留下深刻的印象,也為交流大會帶來活潑的火花。
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去年開幕式有來自中國汕尾義興的龍獅團表演傳統的南獅技術 
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日本學生的歌唱演出
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日本學生的舞蹈演出
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中國學生的舞蹈表演 
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香港學生的舞蹈表演
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全場躍動起來的熊本熊Kumamon現身歡迎大家!
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在表演隊伍的精彩大合照中不難發現「熊本熊」及熊貓“東東”的位置。
Day 3 (20/8) 第一/二站 – 分組進行文化體驗項 一) 日本陶瓷製作
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陶瓷二字,包含了陶土製做較粗獷的陶器,及以瓷土或高嶺土燒製,顏色細白而密度及硬度較高的瓷器。日本 47 個縣中,各出產不同的陶瓷食器。因為陶瓷都是取當地陶土或瓷土燒製,故大多以「產地名+燒」來命名,名稱如「伊萬里燒」、「唐津燒」、「美濃燒」等,都是以這個方式來命名。
要認識日本陶瓷,且由三大名陶開始:佐賀縣的有田燒(亦即伊萬里燒)、岐阜縣的美濃燒及愛知縣的瀨戶燒。
「 九州陶瓷之鄉」佐賀縣,孕育出「伊萬里・有田燒」、「唐津燒」等等陶瓷珍寶,以及一代代的陶瓷藝術巨匠。而「有田燒」是指出產於佐賀縣有田町一帶的瓷器。從前「有田燒」都是經由伊萬里港輸出到歐洲及日本國內各地,因此「有田燒」又被稱為「伊萬里燒」。
有著4百年歷史的有田燒是日本代表瓷器之一,亦是日本歷史上最早的瓷器。由中國(景德鎮)及朝鮮傳入的製瓷技術發展出來的有田燒,以其以青花瓷、猶如透明的漂亮白瓷、色彩絢麗纖細的彩繪等燒製技術,為瓷器界定下新的美學標準,聞名世界。
學員將到訪其中一個位於福岡廣��的陶瓷工作室,親身體驗並親手製作出獨一無二的陶瓷。
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Day 3 (20/8) 第一/二站 – 分組進行文化體驗項 二) 和服(浴衣)體驗
和服是日本的傳統服飾,現今日本人大多在重要場合時穿著,例如:成人式、茶會、婚禮…等,看似簡單的和服其實大有學問。浴衣為夏天時的和服,差別在於浴衣是以棉質布料製成,材質輕便較為清爽涼快,衣袖也改為直線式的衣袖。日本人通常會在花火大會或是盂蘭盆會中穿著浴衣。
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穿著和服地點落在歷史猶久的大濠公園附近。大濠公園對許多福岡市民來說就像是城市裡的綠洲,自開園至今約80年,曾歷經許多歷史的變遷,如今已是大部份福岡縣民的休憩最佳場所。 穿好和服後就是大家手機瘋狂拍照的時候!:D
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這兩年的學生穿起和服多漂亮!
Day 3 (20/8) 第三站 – 閒逛福岡OUTLETS瑪麗諾亞城
 行程中總不忘抽點時間去逛逛Outlet。這間大型商場於2000年開幕至今,屬於九州品牌暢貨購物中心,以開放建築格局分為三大區域,大家想得到的時尚品牌、運動、居家生活、戶外休閒、文具等都能在這裡發掘到。從時裝、運動服飾、家品、室內用品等不同類型的店舖都有,總共約有170間。
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摩天輪這棟(Marinoa Side) 1樓有小遊戲區,2樓還有電動遊戲場。 不喜歡購物的你又可以去這區逛逛 。
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Day 4 (21/8) - 第一站 - 前往八女茶之文化館
位於八女市的茶之文化館的館內寬廣舒適,在這裡能看到玉露茶的介紹、各種日本茶的聞香、體驗茶文化並了解茶的製作過程,二樓也有茶室可以參觀,習得許多茶知識後還可以到喫茶區品嚐茶類餐點、品茶。文化館提供八女茶工房做體驗,姑綠茶的製作(石臼輾抹茶、烘焙茶、綠茶)、品茶會(闘茶会)、沖泡茶方式體驗(お茶の淹れ方)、和菓子的製作(和菓子作り)。
學員此次會體驗當地的茶道及品嚐「八女傳統本玉露」茶葉的綠茶。品嚐最高級綠茶的滋味。愛喫茶的人就不能錯過!
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Day 4 (21/8) - 第二站 – 前往大分縣由布院童話村 - 漫步英國童話小鎮
金鱗湖是位於日本大分縣由布市湯布院町地區由布院溫泉旁的一個水池,面積0.8公頃,週長400公尺。由於在早晨池面常出現晨霧,成為代表由布院溫泉的景觀之一。 由於位於由布岳山麓,因此也有「岳下之池」、「岳下池」的名稱;在1884年儒家學者毛利空桑在此見到夕陽照射反射出像魚鱗的金色光影,便取了「金鱗湖」的名稱。
從湯の坪街道一直走到金鱗湖,沿途都有各色各樣特色的小店,而且都是日本傳統建築,大家在這裡可以發掘到很多日式雜貨、特色小食、精緻紀念品,許多更是由布院限定的。走到金鱗湖之前,會經過這個以英國主Cotswold童話鄉鎮小鎮為建築藍本的Yufuin Floral Villalge。在這個美麗輕鬆的英式小村莊裡,到處都放滿了可愛的佈置,村裡有很多特色小店、博物館、足湯、精品及服飾店及餐廳等等。有些店館還飼養了可愛的貓頭鷹、松鼠及兔子。
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村內到處都散發著英式歐洲小鎮的味道。
金鱗湖畔戶外寫生體驗
景色優美的金鱗湖是來由布院必遊景點之一,聽說湖水很奇特,西邊會湧出溫泉,東邊則是湧入淡水,也因為有這樣的溫差,所以清晨的金鱗湖很容易會霧氣飄渺,是最夢幻的畫面。
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坐在湖畔旁嘗試把所見的美景畫下來,或把美好的回憶描繪在自己的Art Journal與日記裡又是一件樂事。
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Day 4 (21/8) - 黃昏前啟程前往別府 - 入住杜之湯度假村 
Morinoyu Resort 度假村位於別府,距離山地獄(Yama Jigoku)不到 1.2 公里,距離別府地獄(Hells of Beppu)1.3 公里,鄰近地獄蒸氣料理工房鐵輪(Jigokumushikobo Kannawa)等景點,酒店設有全方位 SPA,並提供水療養生中心、免費 WiFi、溫泉浴場和免費接駁車服務。
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Day 5 (22/8) - 第一站 – 參觀太宰府天滿宮
地址: 福岡縣太宰府市宰府4-7-1
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太宰府天滿宮是供奉著被稱爲學問之神的菅原道真公,雖然供奉道真公的神社在全國約有12,000社,但其中「太宰府天滿宮」是被當做天神信仰的聖地。爲祈禱考試合格、學業有成的參拜者整年絡繹不絕。
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前往「太宰府天滿宮」會經過「太宰府天滿宮表參道」這條熱鬧的街道,道路盡頭就是「太宰府天滿宮」。這條表參道雖然不長,但卻有非常多特別的地道小吃!如圖中有梅花圖案的經典糕點小吃「梅枝餅」,它在太宰府隨處可見。相傳在千年前的平安時代,一代文人菅原道真因受讒言迫害而被流放至太宰府。道真公並不適應當地的生活,一名老婦好心地做了插上梅枝的烤餅送給道真公吃,便成為了今日「梅枝餅」的由來。
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前往天滿宮的參道上還能看見許多石造鳥居,以及由國際知名的建築大師隈研吾所打造出的星巴克概念店,木頭交錯的設計,成為大家的朝聖地之一。
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到達太宰府後很多人會摸一下「御神牛」像的頭部,相傅撫摸御神牛像的頭部便能得到智慧。主殿兩旁有各式各樣的御守賣,最多當然是祈求學業順利、考試合格的御守。每年約800萬人到此參拜祈禱學業順利、金榜題名、工作錄取及升遷考試順利。
「太宰府天滿宮」充滿著歷史悠久日本傳統文化特色,宮內四季有不同豐富景色,是一個很值得遊覽的地方。
參觀完天滿宮,我們便啟程回溫暖的家。
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回程日期 : 8月22日
航空公司資料 : 港龍航空 (航班編號:KA 381)
福岡機場出發時間 : 4 :40pm
飛行時間 : 3小時35分鐘
到達香港時間 : 7:15pm
期待與大家一起踏上這個獨一無二的福岡深度文化交流之旅!
查詢:香港藝術交流協會    電話:2370 1078
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gkeisuke · 6 years ago
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190304 山梨1日目
山梨に旅に来ている。タイトルに1日目とつけているが、1月の徳島も2日目の日記が途中のまま下書きに置かれているので、そういうこともあるかもしれない。
動機などについては、既に何度か書いている気がするが「1年くらい後に車を買いたいので、車種を絞るためにレンタカーを借りていろいろな車を運転したいこと」という動機に対して「ゆるキャン△の舞台を巡りたいこと」という理由が掛かったものである。
8時ごろ起床。正直、そんなにカッチリとは行程を決めていなかったのだけど、朝起きた時点で雨と寒さと寝不足から、全く布団から出たくなくなってしまい「あ、今日は温泉に浸かりまくろう……」と、舞台巡りはほどほどに湯治コースがほぼ確定した。
『ぱらのま』という好きな漫画があって、2巻��、ローカル路線を乗り継いで下部温泉と石和温泉に行く話があるのだけど、石和温泉は前日にフォロワーさんから「漫画に書いてあった通りだった」というニュアンスの情報を頂いたので、下部温泉の方に目標を定めた。
一発目から武蔵野線に乗り遅れ、結果的にいつも会社に行くのと同じ便になってしまう。ただ、雨の影響もあってか、中央線もほどほどに遅れており、立川で特急を待ちながら20分くらい時間を潰す。
今回の旅がいつもと違うのは、糖質を気にしなくてはならないことだ。これまで「旅の食事は(内臓に対して)無礼講」というスタンスを取ってきたが、徳島帰り翌週の健康診断で血糖に悪い数値が出た事実を重く受け止めて、今回は炭水化物と糖分を極力摂らないように立ち回らなくてはならない。
しかし、観���の目玉となるようなご当地料理は、どうしても炭水化物か甘味であることが多い。山梨は特に顕著であり『ほうとう』なんかは麺とかぼちゃのダブルパンチなので、この観点からは最もNGな料理となってしまう。ほうとうが好きなのに……。
ということで、立川では量り売りの海藻サラダと新玉ねぎサラダをそれぞれ100gずつ買い、飲み物は特茶とした。いつもなら、確実にコーヒーショップで、甘ぁいなんちゃらフラペチーノとか、なんとかマキアートを買って浮かれているタイミングである。テンション上がんねーな!おい!
せめてもの抵抗という意味も込めて、グリーン車で甲府まで行くことにした。特急料金よりもグリーン車料金の方が高いのを見て、ちょっと何やってんだという気持ちが無いでも無かった。
朝の中央線というのは、基本的には郊外から都心に向けて出社する上りの方が混むことになる。社会の流れと逆らって、ガラガラのグリーン車でゆうゆうと下っていくというのは、平日休みの特権という感じがして好きなのだ。性格が悪い。
中央線の終着駅として「大月」という土地を、よく文字情報では認識していたのだけど、この電車で高尾より先に行ったことは無かったように思う。高尾から先の車窓には、どんな風景が広がっているのだろうと思ったけど、山と鉄橋とコンクリートとトンネルが、かわりばんこにグルグルと巡ってくる感じだった。雨模様の空も相まって、全体的に灰色の風景が広がっており、なんとなく気が滅入ってきたので、相模湖駅を通過したあたりからは『ナナメの夕暮れ』の続きを読んでいた。
ちょうど若林さんが父との想い出を振り返りながら、キューバの街を歩く話を読んでいた時、車窓から高速道路が見えた。なんかこの景色、車の車内からは見たことがあるようにも思えた。そういえば山梨には小学校の頃、よく父に連れてこられていたのだ。
うちは父と母が離婚している。苗字は父方のままなのだけど。別に隠していた訳では無いのだが、学生時代にこれを言うと、とても気まずい空気が流れて面倒だったので、いつしか言わなくなっていた。父のエピソードがあまり出てこないのは、純粋にあまり会っていないからである。
1人だけフォロワーに初対面で言及されたことがあるので、何となく気付かれている可能性は高い。
ただ、今乗っている車を貰ったり、そもそも私は父の方についていこうとしたらやんわり断られたので、別に仲が悪いわけでは無い。大人になった今ならわかるが、父は割と私についてこられるのは面倒だったんだろうなという気がする。何故なら、私以上に父は「一人で楽しい人」だからだ。
ここで感傷に浸るなら、父に貰った車で思い出の山梨を巡り、なあ、お父ちゃん。俺、一人で山梨来れるくらい大人になったよ……となるのだけど、甲府に向かう道中で、そういえば連れていてもらってたな……とようやく思い出したし、軽自動車で高速に乗るのは恐いからやだ。そもそも旅の目的が変わってしまう。父生きてるし。
父のエピソードを話すとすれば、私が生まれる前、関東で名が知れている某暴走族グループの副総長だったという話があり、私はクソオタクなので、なんでこうなってしまったんだというコントラストでよく笑いを取っていた。車やバイクが好きであり、キャンプなどにもよく連れていってもらっていた。
山梨には、さくらんぼ狩りに来ていたのだったな。めちゃくちゃ山奥に、父の知り合いか何かのさくらんぼ農園があって、木からとって無限にさくらんぼを食べていた。私は車の中で、ドラクエモンスターズをしたり、道中のブックオフで買った漫画を読んだり、姉と遊んだりしていた。
国立・府中インターからほど近く行けたので、ほったらかし温泉を始め、いろいろ温泉にも連れていってもらった。キャンプに行ったりもしたな。
最近、父はすげー人だったんだなと改めて思う。色々な場所の色々な景色のことや、美味しいご飯のことを知っていて、アウトドアの知識もあり、キャンプにも連れていってもらった。これは今私がやろうとしていることや、やろうとしているけど出来ないことだと思う。
ちゃんと大学まで出させてくれた恩があるので、たまには親父殿ともご飯でも行こうと思いながら、甲府に到着した。
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今年は甲府開府500年のアニバーサリーイヤーらしい。改札を出た時に「こうふ開府500年 開幕から63日」と書かれた電光掲示板が真っ先に目に止まったが、今年が始まって何日が経過したかを大々的にカウントアップしてるだけではと思い、やや困惑した。
甲府の街は想像以上に「武田信玄公一本勝負」という印象を受けた。歴史を感じる落ち着いた通りに、風林火山、信玄の文字が散りばめられる。程よく都会で、程よく歴史を残しており、心地よい場所なのだけれど、深く掘り下げてもこれ以上の情報は出てこないかな……という印象も同時に覚えた。
いや、仕方ないのだ。そもそも東京と劇的に変わることはなく、多摩西部の出身なので、微妙に山梨寄りのスピリットが交ざっている。埼玉ほどではないけど、旅行という名目における、心理的なグラデーションはそんなにないし、そんな感じでひょいっと行ける小旅行というのも、名目としては大事なことだった。
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いちいちお土産が美味しそうなんだよな!(逆ギレ)
見ての通り、オール糖なので、一つも食べることが出来なかった……。涙を流しそうだった。信玄餅好きなんすよ……自分……。
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レンタカーはクラス別に貸し出される車種が分けられていて、指定が無ければ料金が安くなるシステムだった。
私がお願いしたクラスは、マツダのデミオか、日産のノートの2択だった。安いのもあるけど、色んな車種に乗ってみたいのでランダムでお願いしたのだけど、カタログなどをみて、現時点で一番気になっている車種がマツダのデミオだったので、心の中では「デミオこい……デミオこい……」と思っていた。
日産ノートでした……。ただ、色がめちゃくちゃかわいいし、私が緑大好き人間であることを察してくれた、レンタカー会社側の粋な計らいと受け止めた。
徳島のマーチに続き、2度目の日産車ということもあって、割と操縦性はスムーズに慣れることができた。
何より、マーチの時よりさらに設備が新しく、父からお下がりでもらって乗っている今のミラから数えると、型番に20年近い差がある。
バックミラーがカメラに映し出された映像になってる!駐車のアシスト機能がやべえ!エンジンキーないの!?アイドリングストップ!などなど、一つ一つの事象に感動があった。
あと、ミラだと「ヴォォォォォォォォン!!!!!」ってエンジン吹かすレベルでアクセル踏まないと加速しないのに対して、軽く踏んだだけで制限速度に到達するので、制限速度超過の注意を受けて減速するという事象が多発してしまった……。アクセルがめちゃくちゃ軽いおかげで、長距離を運転しても全然疲れなかった。
特に不満らしい不満が無いので、もうノートでいいんじゃないか……。という気持ちになってきたが、日産車の操作感に慣れ過ぎている感じもあり、比較になっていない感じがあるので、次回借りる時は最低でも別の会社の車を引けるように背ってしようと思います。
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糖を抜くために甲州牛のステーキ(白米抜き)で昼食を済ませると、下部温泉郷へ向かう。約40キロの道のりだったが、ほとんど信号で止まることもなく、下道で1時間くらいで到着した。
全く位置関係を把握していなかったのだけど、看板などを見てると「本栖湖」とか「身延」とか、奇しくもゆるキャン△に所縁がある地名が数多く見られた。この辺だったのか……。
この位置関係���ったら、本栖湖の1000円札の富士山などを見て行きたかったのだけど、あいにく雨が止みそうにない。富士山のような山は間近に見えているが、上空は雲に包まれて下層部の山肌しか見えていない。ひとまず温泉に集中することにした。
平日で雨ということもあって、下部温泉郷にはホボ人がいなかった。温泉街としても近場に競合相手が多く、結構、アクセス的にも奥まった場所にあるので、まあ仕方が無いのかな……という感じはした。
温泉郷自体も非常にひっそりとしている感じで、一番車が止まっていたのは病院というのが、なんとなく物悲しかった。
温泉会館という場所に入ると、本当に地域の寄合所を兼ねたような施設で、ロビーではだるまストーブが炊かれていた。ロッカーの鍵をもらうと「車のキーでいいんですけど、何か代わりのものを預けて頂けますでしょうか?」と言われて車のキーを渡す。
入浴料金は500円、浴槽は1つだけという非常に武骨な経営だった。秩父とか高尾にある人為的に作られたテーマパークのような温泉施設に慣れてしまっていたが、確かに『下部温泉』という源泉から引っぱっているなら、むしろいくつも浴槽があるのはおかしくて、一本勝負でいいはずなのだ。ここは”ホンモノ”だと感じた。
しかし、私はまだまだ温泉音痴なので”温泉がとても気持ちいい”ということしか分からなかった……。ゆっくり長く浸かれるちょうどよい温度ということもあり、長距離運転の疲れがすっかり癒された。
なんとなく、RPGにおける”エルフの里”みたいだなと思った。さっきCMで見たのだけど、中央道のインターが下部温泉付近に開通するらしい。人里離れた場所にひっそりとある温泉郷というのは魅力的ではあるのだけど、心細いレベルで人がいなかったので、もう少し賑わっているとまた来る際にもうれしい。
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キレイな富士山はみれないけど、近くにあったので、犬山あおいさんのバイト先のモデルである、セルバ身延店に伺った。
本日3月4日は、各務原なでしこさんと、犬山あおいさんの誕生日。「これまで、プリントを回してもらった時だけしか話したことがないけど、声をかけられただけで好きになってしまい、犬山あおいさんの誕生日だと知ってバイト先にやってきてしまったモブクラスメイト」という設定で犬山あおいさんのバイト先に伺ったら、完全に変質者のメンタリティとなってしまった。
郊外の大型スーパーという風情に、分厚いゆるキャン△グッズコーナーが設けられている景色が面白い。売り場の端々にゆるキャン△のポップが上がっていたりもして、なおかつ、スーパーとして品揃えが豊富でお安い。非の打ち所がないお店だ……。と思いながら、普通に旅の買い出しをしてしまった。
犬山あおいさんのお誕生日と言うこともあり、ステッカーだけ買わせて頂いた。私は犬山あおいさんに思いを寄せるモブクラスメイトなので、お誕生日おめでとう……犬山さん……と思いながら、犬山あおいの名前が刻まれたレシートの裏に、犬山あおいさんのスタンプを押して、後生大事に持つという恐ろしいムーブで店を去ることになった。
身延町、特にセルバ近辺は、山と川に囲まれて、畑が広がり、車がないと移動が厳しい感じで、お買い物してる人たちも、一定量をまとめ買いして車で運んでたりした。そんな立地に徒歩で行けるところに犬山あおいさんが住んでいるのか……と想いを馳せ、もしかして犬山あおいさんは漠然とした閉塞感を感じているのではないかと勝手に考えて、ちょっと興奮していた。この男から逃げてくれ。犬山あおいさん。
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ホテルのチェックインには微妙に早く、どこか回るには絶妙に遅いという時間だったが、ギリギリ栄昇堂さんの営業時間に間に合いそうだったので、身延駅近辺に向かう。
栄昇堂さんは『ゆるキャン△』目当てで来た人に慣れているようで、私の滲み出るオタクオーラから、一発でゆるキャン△目的だと分かって頂き、手厚くもてなしてもらった。
振り返るが、この旅行における最大の障害となるのが『糖』だ。糖質制限のないチョコやあんこなんて、ここ2週間はホボ一切食べていない。でも、ここまで我慢したから、おまんじゅう一つくらいは食べてもいいじゃないですか……。あとで運動するから……。と思い一つだけ買おうとした。
だが、お店でとてもよくして頂いたので、1個だけでは示しがつかないという気持ちになり、5個購入してしまった。家族へのお土産にします……。
2週間ぶりのダイレクトな糖は、マジで涙が出そうなくらい美味しかった。ウッウッ甘いものを思いっきり食べたいよぉ……。
こうやって、たまに食べられるタイミングを大切にして、これからは一つ一つの糖に感動していきたい。ありがとうみのぶまんじゅう。
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また1時間ほどかけて甲府に戻る。夕飯は糖を封印するために鍋。山梨と言えば、名古屋名物の赤から鍋だ。もうすぐ3時なので何を言っているのか分からない。
旅先に行くと、その土地に根ざしたものを食べなくてはならない。という強迫観念に近い感情に囚われることがある。でも、例えば徳島にも餃子の王将はあるし、ココイチもあるのだ。別に名物を食べなくてはいけないなんて決まりはない。山梨は東京と地続きな場所にあるが故に、その束縛から解放されて、本当に食べたいものを無理なく選択できる気がする。
店に入ってから「※二人前より承ります」という罠に気付いた。客単価を考えれば当然だし、そもそも鍋の店に一人で来ているのは、お前だけだ……。
仕方がないので2人前を頂く。ここ2週は、お米を食べないと胃のキャパシティは空くのだなと実感しているけど、それでも流石にお腹はいっぱいになった。美味しかったです。
ホテルにチェックインする。疲れていたのか、1時間ほど眠ってしまい、そのままベッドでだらだらともう1時間過ごしてしまった。
23時ごろ、あと1時間で終わる大浴場に急いで向かう。今回は安くて楽天トラベルの評価が高いビジネスホテルにしたのだけど、大浴場が結構しっかりと温泉でテンションが上がった。奇しくも温泉ダブルヘッダーとなり、お湯に浸かりまくるという目標は果たされた。
冷凍室というのがあり、サウナ、冷凍室、熱い源泉をローテーションで回って、副交感神経を動かしてきた。水風呂が苦手なので、冷凍室というじわじわ冷やしてくれる場所があるのはありがたい。
日記を書き始めて、この時間になり、本日は終わり。
明日はとりあえずほったらかし温泉に行こうと思う。
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dirty-word · 6 years ago
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催淫操控器
(一)
倩盈明天就要跟鄭董步上紅毯,可是她一點也不愛鄭董。雖然鄭董是名成功的商人,品學兼優,家財萬貫。她有些愛情的理想,只是家中窮困潦倒的時候,鄭董適時伸出援手。所以面對鄭董的提親,倩盈覺得自己賣身報恩的成份居多。 倩盈首先是當鄭董和前妻所生的兒子阿豐的高中家教,被鄭董發掘後出任他的秘書。然而朝夕相處並沒有使倩盈對鄭董日久生情,他們的年紀相差的實在太遠了。鄭董雖然不老,以中壯之年而言,他的體格算是非常結實了。只是倩盈太年輕了,她充其量不過是他兒子阿豐的「大姐姐」罷了。 反觀鄭董則為倩盈如癡如狂的著迷著。倩盈有著美艷的臉蛋,火辣的身材,烏黑亮麗的秀髮,光滑柔嫩的肌膚,和高貴典雅的氣質。唯一鄭董覺得美中不足的,是倩盈不擅打扮。事業心極強的她,排斥一切反映女性嬌弱一面的裝扮。所以平時倩盈不太化妝,更不常穿裙子,就連內衣也多是素色保守的款式。 這樣的穿著品味與鄭董的口味剛好背道而馳。阿鄭喜歡看美女穿著性感蕾絲款式的胸罩、丁字褲和絲襪。而外衣的樣式也最好多選擇洋裝、迷你裙,或是套裝、連身裙等較女性化的服飾。面對鄭董對自己裝扮的要求,倩盈卻毫不在乎,依然我行我素。 鄭董知道倩盈並不愛他,也不會為他改變什麼。所以他有些特別的計劃在倩盈的身上…… 不知情的倩盈,晚飯後還跟他用心地複習了一遍明天婚禮所有的細節。當一切都滿意妥當後,倩盈準備回去休息時,冷不妨被鄭董用一支筆形的針筒刺了一下脖子,倩盈全身震了兩下,便無力地攤軟下來。然後,意識也漸漸地模糊了起來…… 倩盈醒來時,發現自己一絲不掛地被人架在一個她剛好可以置身其中的圓柱形玻璃箱內,而玻璃箱本身是在一間充滿奇怪儀器的房間的中央。只見鄭董正在啟動所有的儀器。當他發現倩盈已經醒了,他便走了過來。 「你……你要做什麼?」倩盈拚命地掙扎反抗,只可惜她的四肢被固定得很好,絲毫動彈不得。 「別緊張,倩盈。我知道你並不愛我,不過既然我們要結婚了,就讓我對你的思想行為做一些小小的「處理改造」,使你成為我心目中完美的新娘……誰說女人不能由性而愛的?呵呵……」鄭董語氣中帶著變態的興奮。 「不論你想要做什麼,求求你不要……」倩盈嚇壞了。這種無計可施,任人擺佈的處境,簡直恐怖到了極點。 「別害怕,倩盈。就當作是睡了一覺好了……」鄭董在關上玻璃罩門時,這樣安慰著。 沒多久,不知從哪裡伸出一個氧氣面罩,罩住了她的口鼻。當然,面罩內釋放出來的不是氧氣,而是一種有水果甜香的濃郁氣體。倩盈吸了幾口後,全身便輕飄飄地有如騰雲駕霧起來。 然而這不只是幻覺。柱形玻璃箱內也開始注入一種透明淡綠色的液體。顯然跟人的比重和此液體不相上下。當透明淡綠液體注滿玻璃箱後,倩盈整個人便漂浮其中。現在,不只是心裡,連身體最真實的感受都是那麼地飄飄然,那麼地像在騰雲駕霧一般。 那麼地放鬆,放鬆,再放鬆…… 忽然,一顆鑽石吊到倩盈的眼前,發出璀璨的綠光。倩盈被這突如其來的閃亮光芒震攝住了。由於光束佔據了她所有的視線,讓她彷彿覺得她就置身在這綠光之中。不覺中,一對耳機悄悄地罩住了她的雙耳,開始放送…… 好柔軟,好放鬆,好漂浮…… 倩盈無法阻擋耳機內傳來的陣陣暗示,隨著閃亮的綠光,浸盈的綠液,和香甜的綠氣,不但封閉住她全身對外界的知覺,也拉著她向廣闊的綠色太空,無盡的放鬆,無盡的漂浮,無盡的沉淪…… 直到倩盈思緒全無,喪失了一切的心智活動後,耳機又傳來新的內容…… 集中性慾對主人,絕對的聽話,完全的服從…… 倩盈並不明白這段話有什麼意義,只是現在已經完全不會思考的她,只能照單全收耳機裡播放的內容。 有兩個玻璃罩杯悄悄地吸住了她的雙乳,不斷地吸吮,並釋放少量電流電擊著乳頭。倩盈在瞬間得到了快感,不斷堆疊攀升的快感。 接著,有一條陽具形狀的金屬棒,在倩盈的陰戶前不斷地觸撫挑逗。和玻璃罩杯蹂躪雙乳一樣的效果。她在瞬間得到了來自私處的快感,不斷堆疊攀升的快感。 當倩盈全身翻滾,沉醉在源源不絕的快感中時,耳機傳來新的指示,要她跟著一起覆誦。 「集中性慾對主人,絕對的聽話,完全的服從……啊!」她才覆誦完,金屬棒便猛力地插進了她���下體,她也在瞬間達到了高潮。 聰明的倩盈學的很快,口中覆誦地越快,金屬棒抽插的頻率也越高。她現在漸漸明白這句話的意思了…… 「啊……啊……啊……」當倩盈被不斷增強的高潮淹沒到無法覆誦,全身扭曲緊繃到極點時,那閃耀強烈綠光似乎成了她唯一的指引…… 「嗯……是的,集中性慾對主人,絕對的聽話,完全的服從……」昏沉之中,這是倩盈腦中所剩唯一的信念。 到此,在玻璃箱外觀察的鄭董認為,第一階段催淫洗腦的部份已經完成。倩盈現在的心靈就像白紙一樣地乾淨,能夠接受任何樣式的催眠暗示,於是他將耳機的內容調了調,針對倩盈做第二階段思想行為改造的部份。 首先,是教導一些化妝和服裝搭配的技巧、社交場合女性應注意的禮儀,接下來是介紹所有可能的性愛姿勢,以及取悅男士和性器愛撫的方法。最後一段的內容,是讓她喪失事業雄心,發自內心地想要有女人味,渴望多穿款式性感的內衣、丁字褲和絲襪。而外衣也會多選擇洋裝、迷你裙,或是套裝、連身裙等較女性化的服飾。 一切結束後,耳機裡傳來悠揚的樂曲,鑽石所發出的綠光也漸漸轉為柔和,倩盈又回到這太舒服的,太放鬆的狀態中,沉沉地睡去…… (二) 倩盈一覺醒來,已經日尺三竿了。她有些懊惱,今天是她大喜的日子,竟然也會睡過頭。 她趕緊下床如廁盥洗時,這才發現自己是睡在鄭董的��中。她慢慢回想起昨晚鄭董所提的行程更改:他們決定省略迎娶的過程,倩盈的家人會直接去禮堂觀禮,而她就留在鄭董家準備打扮,然後跟鄭董一起出發。 她一打開房門,在外等候多時的化妝師和一干人馬便一擁而上,又將她擠回房去。然後七手八腳地為她整發上妝。一番胭脂粉影后,原本就麗質天生的倩盈,更是艷光四射,足以讓人神魂顛倒。在眾人欣賞稱讚完她的美艷亮麗之後,又開始七手八腳地為她穿上新娘婚紗。 倩盈的新娘禮服非常的簡單大方:白色無肩的胸腹束衣,連著絲底薄紗的及地裙,只有一些簡單樣式的浮水花紋點綴著。當她穿著完畢後,眾人鴉雀無聲,沒有人再做七嘴八舌的稱讚,因為大家都看呆了。 此時鄭董也西裝筆挺地走了進來。他見了倩盈的模樣,滿意的不得了。他要倩盈踩上高跟鞋後,就跟他一同坐上禮車。倩盈坐上禮車後,一直感覺怪怪的,原來她沒戴胸罩。好在這緊身的束胸,不但將她的雙峰固定的很好,還有推擠提高的力量,讓她造成有乳溝酥胸的效果。不過沒戴胸罩還好,她發現更怪的是…… 她竟然忘了穿內褲。 在蓬鬆寬大的白紗裙下,有沒有穿內褲根本不會有人知道。只是倩盈從來沒有沒穿內褲出門,好像少了層保護似的,非常地不習慣。於是她不好意思低聲地跟鄭董說明。鄭董說沒問題,他會派人回去拿,並要她不要慌張,保持鎮定。 然而,在倩盈抵達禮堂的新娘休息室很久後,都沒有人送內褲來。她開始懷疑鄭董是否忘了此事,或是說從一開始,他就有意不讓她穿內褲。為什麼穿內褲這麼基本的小事,她都會忘掉。因為久候鄭董不來,她於是打開房門一窺究竟,剛好有一個工人從新娘休息室的對面的一間房間走了出來,她剛巧撇見了那小房間內的擺設…… 小房間內,好像擺著一個比人還高的圓柱形玻璃箱 一個情景忽然閃過倩盈的腦海。昨晚她好像到過這裡…是的,她想起來了。鄭董對她做過催淫洗腦,好讓自己變成他的性愛奴隸。想起一切後的倩盈驚嚇不已,她無論如何不能嫁給這個禽獸,於是她準備奪門而出求救去。 好死不死這時鄭董進來了。他一見倩盈要逃跑,只喊了一聲:「倩盈,坐下。」倩盈便乖乖地依言坐下。她感到全身的知覺觸感仍在,只是失去了自主運動的能力。倩盈在驚魂甫定後才又想起,昨晚鄭董的催眠暗示,要她在婚禮結束前,都完全聽命於他。 「唉,倩盈,我以為能封閉你的記憶到婚禮結束,沒想到你記憶恢復的這麼快。」他從口袋裡掏出一根透明硅膠材質的假陽具,尾端有類似衛生棉條的棉線,裡面埋著一些積體電路和訊號收發器:「這玩意會加速達成催淫洗腦所帶來改造思想行為的效果。」 「這……是什麼?」倩盈發抖地問著。 「這是催淫操控器。它植入你的下體後可以任意在瞬間讓你高潮,進而控制你的思想行為。」鄭董得意忘形地解說著:「平時,它還能保持你下體的乾爽和清潔,有著與衛生棉條一樣的功能……我想在婚禮上第一次使用它,象徵著你從此是我的女人了,呵呵……」 「你無恥……」倩盈從驚恐轉為憤怒地咒罵著,但這根本於事無補。 鄭董吩咐屬下將結婚戒指和催淫操控器拿出去後,命令著倩盈:「起身微笑,讓我們完婚吧。」倩盈立刻起身,堆滿了笑容,被鄭董挽著手,走出了新娘休息室。儘管沒有一個動作是出於自願的。 兩人就這樣緩緩地步入禮堂。前來觀禮的來賓,出了雙方的親友外,還有一些社會名流,及達官顯要,在在顯示了鄭董的身份和地位。倩盈無意攀龍附鳳,她只希望誰能發現她的異常,將她救出去。只可惜鄭董控制的很好,使她發不出一絲求救的訊息。 雙方親友代表及證婚人都致詞後。主婚人開始主持結婚儀式了。他看上去好像也是鄭董的朋友。只見他對外宣佈是一套,低聲導引倩盈做的又是另一套說詞。 當主婚人將結婚戒指呈現在倩盈的眼前時,戒指上的鑽石忽然發出了兩道綠光,不扁不倚地射中了倩盈的雙眸。說也奇怪地,倩盈一被綠光擊中,身體和心靈都在瞬間無止盡地放鬆下來。她放棄了求救的念頭,然後是所有其他的念頭。光束佔據了她所有的視線,彷彿她就置身在這綠光之中。如此一來,她就更舒服,更放鬆了…… 「聽好,倩盈。你的主人是鄭董。」主婚人輕聲地對她說。然後要她站在地上的一個小洞上面,張開雙腿彎膝微蹲。倩盈不明其意,只是失去思考能力的她,馬上依言照做了。 「我的主人是鄭董,我的主人是鄭董……」倩盈將雙腳跨在小洞上,張開雙腿彎膝微蹲後,腦海裡仍然不段反覆著這句話。 這一切的一切,台下的觀眾是無法察覺的。當倩盈戴上戒指時,綠光很快地又縮了回去,鑽戒的光芒又恢復正常。如果真有人注意到,那也會以為是一時的錯覺而已。當然,也就更不可能會有人發覺到,白紗裙下倩盈的動作。 一根細柱從小洞中很快的伸了出來,上面安置著方才鄭董拿的催淫操控器。由於倩盈沒穿內褲,催淫操控器很輕易地就找到並頂住了她的私處穴口。 「嗯……」敏感的倩盈不由得呻吟了一下。催淫操控器調整了下方向,便一股腦地鑽了進去。 在同時,倩盈達到了前所未有的高潮。 「啊……」高潮的感覺在瞬間封閉了她所有其他的知覺,包括她全部的心智活動。在催淫操控器安置妥當後,倩盈腦中只剩下一個唯一單純的信念…… 我的主人是鄭董…集中性慾對主人,絕對的聽話,完全的服從。 等到倩盈在高潮中繃緊的身子又重新鬆軟下來時,主婚人知道催淫操控器的安裝已經完成了,而細柱也縮回地面。等倩盈自己重新站穩後,主婚人要她對鄭董低聲回報狀況。 「性愛奴隸倩盈聽候主人的指令。」她面無表情,目光呆滯地用單一機械式的語調小聲回答:「倩盈已經完全被性慾催眠了,倩盈的一切思想,接受主人的控制。倩盈的所有行為……啊,聽從主人的指揮。」 中間的停頓,是她還不太能適應被催淫操控,偶然閃過一點自由意志的念頭,被催淫操控器發動高潮迅速淹沒的緣故。 「你知道嗎,我最喜歡看美女被催淫操控後的模樣。呆滯的眼神,鬆弛的身軀。沒有任何神情智慧,有的只是為了滿足慾望而會完全聽話、絕對服從的性感尤物傀儡而已。」鄭董望著倩盈兩眼發直,猛吞口水。他不敢欣賞太久,婚禮還要繼續進行。於是他導引著倩盈:「倩盈,放鬆自然,不要讓別人知道你被催淫操控著。」 「是。」倩盈轉了轉雙眸,露出親切的笑容。 「新郎官,你可以親吻新娘了。」當主婚人看到倩盈的神情又恢復正常後,這樣宣佈著,也意味著婚禮的完成。 鄭董於是掀起倩盈的面紗,熱情地親吻起來。 (三) 整個上午的婚禮是圓滿落幕了。鄭董和倩盈在午飯過後,到附近的旅遊景點拍了些婚紗照。只要倩盈完全聽鄭董的話,她體內的催淫操控器就會縮小到和一般衛生棉條同樣大小,使她幾乎忘了它的存在。 回到鄭董的家中,沒有休息多久,倩盈又急忙地脫去新娘禮服,為晚上的酒宴做準備。這回沒有化妝師,一切自己來。令倩盈驚訝的是,她為自己打理上妝後的模樣,嬌艷明媚,亮麗動人的程度比早上的新娘妝有過之而無不及。她覺得這些化妝整發技巧都很高明,只是不記得在哪裡學過了。 然後她開始穿著鄭董指定穿著的一件連身內衣。這件連身內衣很特別,是由有性感蕾絲花紋的胸罩,丁字褲,和一雙超透明絲襪所組成的。所謂的「連身」,是胸罩和丁字褲,由一片較肚兜更窄小而有同樣性感蕾絲雕花的薄紗連成一體。而丁字褲和透明絲襪也是縫在一起的。 倩盈看了看,如果這件連身內衣是一體成形的,那麼唯一的穿戴方式,就是從絲襪穿起,然後順著身體的曲線往上拉,直到肩帶上肩為���。於是倩盈便捲起絲襪從腳開始穿起。 在穿戴的過程中,倩盈覺得這絲襪和內衣的觸感,輕柔舒服得像在愛撫著全身的肌膚。 倩盈穿上內衣後,又調了調胸罩的位置。當胸罩完全托住雙峰而帶來集中提高的奇妙束縛感覺時,她忍不住地嬌喘起來。然後她又調整了一下丁字褲使其完全包緊私處又拑入股溝內。當丁字褲為了她每個動作都會搓揉著她下體的敏感帶所帶來刺激的捆綁觸感時,她更是嬌喘到呻吟起來。最後,她將絲襪服貼拉勻。那尼龍絲絹的細膩觸感,溫柔地吻遍了她腿部的每一吋肌膚。她感到她的下半身就要溶化了。 以前沒穿過丁字褲,更排斥穿絲襪的倩盈從來不知道,穿著性感內衣褲和絲襪,會帶來如此近乎輕微自慰般的樂趣。這使她在不覺中,對穿著性感內衣褲和絲襪著迷起來。倩盈坐在床頭又沉醉了一會兒後,才將全紅的旗袍晚禮服和高跟鞋穿上。 傍晚時分,鄭董和倩盈出雙入對地出現在喜宴會場,立刻引起在坐熱烈的鼓掌。而在酒席期間,幾乎所有的嘉賓都對倩盈嬌艷亮麗,楚楚動人的容貌和身材,以及她優雅的談吐舉止,和應對合宜的禮儀留下深刻的印象。當然,沒有人會知道,這是倩盈被洗腦改造,和鄭董適時催淫操控的結果。 喜宴一直到很晚才結束,鄭董和倩盈回到家時已經快近午夜了。 一進房後,鄭董要倩盈雙腳一前一後的像模特兒走舞台時的站姿。這個姿勢,使衩高快要到大腿根部的旗袍迎空,讓倩盈露出她那在似有若無的絲襪美化線條下,丰姿綽約,風情萬種的迷人玉腿。 倩盈站的很挺,蕾絲胸罩的花紋時而浮印在綢緞質料的旗袍上,加深胸部立體的效果。鄭董盯著雙峰良久後,才順著倩盈婀娜多姿的體態往下看。當他轉到後面欣賞倩盈翹實的臀部時,緊包的旗袍上並沒有三角內褲的痕跡。他為倩盈終於肯穿丁字褲而暗自興奮起來。 「呵呵……倩盈,你真的太美了,能娶到像你這樣才貌雙全的嬌妻,是我三生修來的福氣。」鄭董忍不住稱讚著「謝謝主人的誇獎。」被性慾催眠的倩盈,一聽到主人在讚美自己,立刻心花怒放起來。 「來,讓我們驗收一下催淫洗腦的成果……倩盈,你仍然非常熱衷工作嗎?」 「不,我對事業不再有任何的野心,我只希望永永遠遠稱職地當主人的秘書,當主人身旁最窩心的小女人。」倩盈回答得甚是自然。 「那你的穿著打扮呢?」 「我渴望穿著款式性感的內衣、丁字褲和絲襪。而外衣也會多選擇洋裝、迷你裙,或是套裝、連身裙等較女性化的服飾。」倩盈對答如流,像是在背書一樣。 「呵呵……你大概還不知道什麼叫渴望穿著……其實你現在身上穿的這件連身內衣叫催淫內衣,它會教育你以後每天都渴望穿著款式性感的內衣、丁字褲和絲襪。」鄭董說著說著,轉了轉手上的戒指。 忽然間,倩盈稍早穿著這件「催淫內衣」時所有的舒適愉悅的感覺又通通回來了,而且有集中放大的趨勢。這所有來自內衣褲和絲襪的快感,在全身幻化成千百道到處亂竄的電流,直接刺激著她的性興奮中樞。 倩盈抵擋不住熊熊的慾火,開始上下其手地自慰起來。 這時,鄭董悄悄地為她脫下了旗袍,也上下其手地在胸罩、丁字褲和絲襪間遊走。他觸碰過的地方,快感更是加倍強烈。被慾火焚身的倩盈,終於忍不住地呻吟了起來:「嗯……主人,求求你……佔有我……」 看著倩盈如此淫媚的模樣,鄭董也有點受不了了。可是一整天的婚禮下來,他累到著實有些力不從心。於是他命令著:「倩盈,幫我吹簫,你會得到獎賞的。」 「是的,主人。」只見倩盈溫柔地靠向他,用她的玉手盈握住他的下體,揉捏了幾下。鄭董馬上有感覺了。然後倩盈拉開他的皮帶和拉鏈,緩緩地掏出了他的陽具…接著,倩盈湊到他的身旁,用舌尖及牙齒輕咬著他的面龐,女性嬌柔的氣息,立刻佈滿他所有的感官。接著,倩盈又用手指輕佻他陰莖和睪丸交接的地方,鄭董感到他的小弟弟要開始起來工作了。 倩盈的手法和技巧是如此的熟練,這使鄭董感到有些意外。當然,倩盈本人是更不知情,這是她被催淫洗腦後,強迫灌輸的知識。如今,她卻非常自然流暢的使用出來,這催淫洗腦的威力,可見一斑。 倩盈見鄭董有反應之後,便蹲了下去,開使用舌尖輕舔陰莖根部和睪丸。等到鄭董的小弟弟已經完全站立後,她又移師舌頭進攻龜頭。這樣三番兩次的重複挑逗後,鄭董的陽具已經堅挺腫脹到難以忍受的地步了。 鄭董想看倩盈這身性感的模樣已經很久了。如今被完全操控的倩盈可以隨時依著他的要求,做出這樣的打扮,並在任何場合都能進行這樣的行為,鄭董以為這是他夢寐以求的天堂。 想著想著,倩盈已經把他的陽具完全含在口裡,並來回不斷地吞吐著。她的技巧真的很好,吸允的力道很強,牙齒卻很少咬到,只有唇舌帶來柔軟的觸感。 「嗯……」平時做愛不會出聲的鄭董,已經被刺激的發出一連串的淫叫了。 「喔……」倩盈一開始吞吐陰莖,下體內的催淫操控器也忽然漲大成男性陽具的模樣和大小,並來回無情地抽插著,使倩盈又在瞬間達到了高潮。 「嗯……喔……」操控器抽插得越猛,倩盈也更賣力地吞吐著陰莖,鄭董也爽到了極點。 「啊……」鄭董在最爽的時候,倩盈放開了嘴吧,用手指掐住了他雄偉的陰莖,用更高的頻率搓擠著。 沒多久,鄭董射精了。倩盈快快將口湊了過去,以便吸食噴出的精液。她一邊用舌舔吻著龜頭,一邊說:「感謝主人對奴隸的賞賜。」這時,催淫操控器也縮小了回去。幫忙她脫下「催淫內衣」,並取出了催淫操控器。 鄭董好久好久沒有射的這麼爽過。他跟著也脫光了自己,和倩盈一同上床。 他緊抱著倩盈,試圖在睡著前,繼續依戀著剛才的銷魂。 (四) 倩盈悠悠轉醒時,已快中午時分。昨天的婚禮的確把大家都累壞了。她下床如廁盥洗後的第一件事,就是乖乖地坐到梳妝台前打扮自己。她雖然不必像昨天新娘妝那樣地濃妝艷抹,然而輕粉淡抹下的倩盈,依然是非常地楚楚動人。 接著,她為自己換上一套性感蕾絲款式的胸罩、丁字小褲褲和膚色超透明絲襪,罩上一件絲棉質的水袖貼身涼衫,搭配一條水彩圖案的水擺褶裙後,到穿衣鏡前擺擺姿勢。倩盈為這身清新飄逸的打扮而散發出的濃濃的女人味欣喜不已。 今天是嫁進鄭家的第一天。雖然鄭家人口單純,倩盈也不敢怠慢,盡量把自己最好的一面表現出來。不過她找來找去,都不見鄭董的蹤影,連一個傭人都找不到。 最後,她在客廳碰到了阿豐。阿豐是鄭董與前妻生的兒子,倩盈在做鄭董的秘書前,曾擔任過阿豐的家教。現在她是他的繼母了,而他們的歲數相去又不遠,這樣的關係,令倩盈在面對他時,有些尷尬:「阿豐,你爸和其他人呢?」 「阿爸一大早就去辦事了,傭人都被我支開了。」阿豐一面欣賞著倩盈動人的打扮和迷人的身段,一面冷冷地回答。這使倩盈更不自在了,因為這樣暗示著鄭董這棟偌大的豪華別墅中,只剩下她和阿豐兩人獨處。 「阿豐,學校課業都還跟的上嗎?」倩盈知道阿豐已經高三了,課業壓力只會更重。 「馬馬虎虎……倩盈姐,我該叫你老師好呢?還是媽媽?」阿豐在倩盈擔任家教時,就已經對倩盈美貌傾心不已,不過當時的倩盈還只是T恤和牛仔褲的樸素裝扮而已。現在升等成為繼母又更會打扮的倩盈,在阿豐眼中,只是顯得更火辣,更有女人味了。 「倩盈姐,你還有機會當我的家教嗎?」 「當然會呀,以後我們根本不必約定時間了,我是你二十四小時的免費家教……我看你私底下還是叫我倩盈姐好了,如果你爸不要求的話。」倩盈一方面為阿豐比較親切的對談而稍稍感到寬心,令一方面又為他眼神中那股熊熊男性慾望的火焰而感到不安。其實,她的第六感是對的,阿豐對她早有計劃…… 「倩盈姐,跟我來,有東西要給你看。」阿豐拉起倩盈的手往自己的房裡沖:「很久以來我就希望倩盈姐有朝一日能有這樣的打扮,怎麼樣?讓我滿足一下嘛,好不好?」 倩盈順著阿豐的手勢看到了沙發上一套類似車展女郎的制服:V字領無袖露肚的緊身小胸衣,和一條��短的迷你窄裙。 那小胸衣V字領口開衩極深,幾乎深達乳溝的位置。而迷你裙由於過分緊身的緣故,在已經短到可憐的裙擺的兩側,竟然還有相當高的開衩,以方便行走。只是稍一不注意,就有穿幫走光的可能。 「阿豐……這不太適合吧。」不知怎地,倩盈感到自己對任何性感的造型都會心癢。可是面對血氣方剛的阿豐,生性保守的她還是遲疑了。 「呵呵……這就由不得你了。」忽然間,阿豐繞到她的背後,抓住她的手,好像遵循密碼似的轉動著她的結婚戒指。然後強拉著她的手到眼前。 倩盈被阿豐這突如其來的粗暴舉動嚇呆了,她拚命反抗,又不自主地看了一下手指上的結婚戒指。鑽戒似乎泛動著某種綠光,突然集中成兩道強烈的光束,射進了自己的眼底。 放鬆,再放鬆,完全的放鬆,無止盡的漂浮……倩盈停止了反抗,雙手自然下垂,神情智慧也從臉上消失了。 阿豐看到倩盈的變化也呆了一下,不過他隨即揚起邪惡的笑容:「不好意思,倩盈姐。我不小心看到老爸如何操控你的秘密,所以今天也請你做一下我的奴隸吧……倩盈,去換上這套車展女郎的制服。」 倩盈立刻脫下身上的衣物,改穿沙發上的那套車展女郎制服,然後套上阿豐指定的短靴。很奇怪地,她明明覺得自己的意識都很清楚,然而她就是不想反抗,只想服從。 原來在這個狀態下,雖然倩盈會完全接受控制,聽從指揮,可是仍有自己的自由意志。如果命令去做一些違背自己意志的事,倩盈還是不會好過的。 不過阿豐管不了那麼多,他看到換上車展女郎制服後的倩盈,既性感又可愛的模樣,已經血脈噴張到快崩潰了:「倩盈,你是一名車展女郎,快來展現自己吧。」 阿豐大膽地下令。只見倩盈露出機械式的笑容,起身到他面前轉了兩圈,走模特兒的台步。儘管內心是百般不願意,無從選擇的倩盈仍是以最美好的姿勢展現自己。 終於受不了的阿豐,於是就一把將倩盈推倒在床上。倩盈知道有很不好的事即將要發生在自己的身上了,可是不會反抗的她,根本無力阻止什麼。一顆心不由得撲通撲通地跳了起來。 「真好,以前都只能看摸不著,今天實在是過癮極了。」阿豐率先騎了上來,好奇又貪婪地撫摸著倩盈曼妙的胴體。 V字領下的酥胸乳溝,緊包在迷你裙下若隱若現的丁字褲,還有整雙絲襪美腿的迷人曲線,挑戰著阿豐視覺上刺激的極限。終於獸性大發的阿豐,狂吻猛摸遍了倩盈的全身。 受到昨天「催淫內衣」的影響,只要有人撫摸到倩盈的胸罩、丁字褲或是絲襪,她也立刻有反應地想要發春自慰起來。 「不要啊……」倩盈的內心在掙扎,她的肉體卻早已背判她的心靈而渴望著性的饗宴。只是沒有阿豐的命令,她仍像殭屍般地躺著,任由阿豐擺佈狂野。 「這樣好像在姦屍一樣,太無聊了……倩盈,你可以反抗,但是力量不會大過我的掌控……等一下我進去的時候,你會跟我一起高潮。」話一說完,倩盈就發現自己能動了。可是無論怎麼反抗,她仍然被阿豐壓制的很好。 倩盈一有反抗,馬上引發阿豐更多變態的興奮。沒多久,他就撕爛了那套小胸衣和迷你裙,很快地,她的胸罩、丁字褲和絲襪也都被扯破了。在這激烈的過程中,倩盈也被刺激得流出淫水來。 早就等不及的阿豐,在扯下丁字褲後,便用力掰開倩盈的雙腿,猛力地將自己套上保險套的雄偉的陽具往前推送。 「啊!」倩盈感到一條灼燒的肉棒正沒命地往自己陰道的最深處衝去。她果然在瞬間配合著阿豐也達到了高潮。 「啊……啊……啊……」年輕氣盛的阿豐抽插起來非常地勇猛有力,每抽插一次,倩盈便又越過了一個高潮的峰頂,往更高的高潮頂峰邁進。 「啊……啊……啊……」同樣也是年輕氣盛的緣故,這樣的刺激對阿豐而言是太過頭了。阿豐不肯這樣就結束,趕緊拔了出來。等到他又感到可以勇猛頑強時,便再插了回去。 「啊……」阿豐肉棒始終維持一定的肥硬度。只是現在已經被操習慣的倩盈,灼燒的痛感早已不再,取而帶之的,是源源不斷的快感和高潮。 「啊……啊……啊……」 「啊……」就這樣來來回回不知道衝殺了多少遍…… 就在倩盈覺得自己要被操暈過去前,她忽然又見到那兩道綠色的光束:「倩盈,回房洗澡去,睡個好覺等老爸回來,並且遺忘剛才發生的一切……」 (五) 倩盈被鄭董叫醒時已經是傍晚時分了,無法置信自己竟然睡了一整天,她不好意思地趕緊下床如廁、盥洗。鄭董倒沒有任何責怪的意思,大伙為昨天的婚禮都累壞了,只是輕輕地催促著她裝扮一下,要帶她去「見見世面」。 倩盈不敢怠慢,立刻為自己整發上妝起來。不多時,她便穿著打扮完畢,然而鄭董已經在車上等候了。 「其實昨晚我又多給了你一個催眠暗示的指令,這樣不需要我直接用戒指催眠你,你接到指令後,也可以自己催眠自己。這樣有助於以後遠距離的遙控,最起碼我可以用電話遙控你……現在我們就來試試。倩盈,嬌柔順從。」 倩盈覺得奇怪,丈夫一上車就說一些自己聽不懂的話,不過當她一聽到「倩盈,嬌柔順從。」時,她就不自主地轉了轉結婚戒指,然後抬手到眼前欣賞。忽然,兩道綠光自鑽戒射出,擊中了她的雙眸…… 「是的,我被性慾催眠了。」倩盈在瞬間進入了被催眠的狀態。她不明白自己為何會回答這句話,可是她清楚的意識到自己必須絕對服從的事實。 「太完美了。倩盈,閉上眼睛睡覺,我們要去的地方是不便透露地址的……醒來後,你仍會完全聽命於我。」倩盈覺得自己不可思議地服從著丈夫,一定是丈夫對自己施了什麼妖法。她還想質問,一陣濃濃的睡意猛烈地襲來,緊接著,她就失去了意識…… 倩盈再度恢復意識時,發現自己正在一間非常高雅的套房裡。鄭董正在跟另一對男女有說有笑的,倩盈認識那個男的,就是他們婚禮的主持人周先生。在他旁邊的女人倩盈在酒席上也見過,是他的太太盧姐。三人一見倩盈醒來,便向她圍繞過來。 「天香絕色就是天香絕色,濃妝淡抹都出色……鄭董,新婚嬌妻你就要她來此啦……」周先生倒是憐香惜玉起來。 「哈哈……遲早的問題。小盧,麻煩帶她去裝扮一下吧。」鄭董一聲令下,盧姐便拉起倩盈,走進套房的浴室中。 「這到底是怎麼回事?」倩盈仔細一看,才發現盧姐穿著一套全黑的「法式女僕」的制服。 「這是一個名人間的換妻俱樂部,你先生和我先生是這個月的配對。」倩盈覺得難以置信,盧姐便繼續解釋:「以前你先生與前妻離婚後,就帶一些社交名媛來,大家都歡喜……現在他有老婆了,他的會員身份就更正式了。」盧姐身材高挑,成熟嫵媚,舉止優雅。鄭董會傾心,可想而知。 反觀那周先生似乎對清純可愛的新人垂涎已久,倩盈一想到要服侍他,不由得打了一個寒顫。盧姐在催促,她只好匆忙脫開始更衣。這些天來,倩盈的內衣款式是越穿越性感;這回盧姐要她換上的,是一套全黑薄紗有蕾絲縷空雕花的胸罩、丁字褲和吊帶襪。絲襪也是超透明的黑褐色系。 而這套「法式女僕」是一件白底外黑的連身迷你裙,袖口和裙擺都很蓬鬆,上衣的部分卻異常緊身,將倩盈迷人的身段展現無遺。U字形的領口既大又深,幾乎整個胸口包括乳溝都坦露在外。倩盈再戴上搭配的白色頭飾和圍裙後,穿上一雙足有三吋高的黑色高跟鞋。 「你還在被催淫洗腦的階段,所以對完全當一個男人的性愛奴隸還不太習慣……沒關係,當你跟鄭董蜜月回來,你的態度會改變很多的。」盧姐在為倩盈加深眼影和口紅時,這樣鼓勵著。 不過,倩盈不小心聽到門外套房裡鄭董和周先生的對話,又使她膽顫心驚起來。她隱約聽到老公的話:「哈哈……是的,性慾催眠和催淫操控器的使用都不能省……後催眠暗示的指令會強制她做一些違背意志的事,我們可以享受凌辱她的樂趣……催淫操控則可以摧毀她的意志,享受她奴隸般嬌柔順從的服務……」打扮完畢後,兩人一同走了出來。 兩名男子所要享受的內容,大體和一般酒店公關公主所提供的伺候內容無異:要盧姐和倩盈跪著倒酒,與他們打情罵俏,並不時有彎腰翹臀的動作好讓兩位大爺欣賞或撫摸胸部及臀部。雖說都是自己的妻子,然而酒店的氣氛,女僕的裝扮,和奴隸般的服務,都會使男人有更變態地盡興。 酒過三巡後,周先生有些難耐了:「我們開始吧。」鄭董點點頭,於是命令著:「倩盈,開始意淫加自慰。」此話一出,倩盈在瞬間腦海閃過了千百幅她所喜愛的做愛鏡頭。 她不明究竟,只是鏡頭越來越香艷,越來越火辣,她忍不住地開始上下其手地愛撫著自己的胸部和私處。 「不要啊……」倩盈悲憤莫名。剛才對兩名男子奴隸般的服務已經讓她不恥了,現在連自身的情慾她都無法掌握。然而在愛潮猛烈地侵襲下,熊熊的慾火很快地吞食了她所有的理智。她的眼神漸漸地從哀怨轉為貪婪…… 這時,周先生也命令著盧姐做同樣的事。等到兩名美女都準備就緒,進入狀況了,鄭董就要盧姐跪下愛撫他的性器,周先生則跟倩盈一組。兩名美女的技巧一樣的高超,才用手把玩沒多久,連口都尚未沾到,兩位男生的小弟弟已經翹個半天高了。周先生於是推開倩盈,想要首先發難時,卻被鄭董阻止了。 「周先生,我想倩盈仍在新婚階段……不好意思,由我跟她性交,你來口交如何?」周先生明白鄭董的意思,立刻點頭笑答:「這個自然……小盧,到一旁自慰去。」一聲令下,盧姐便離開鄭董,退到一旁自慰觀賞。 這邊倩盈開使用唇舌舔吻周先生的陰莖,而鄭董也繞到倩盈的身後,調整抬高了一下她的屁股。鄭董輕輕拉了一下倩盈的丁字褲褲腰,然後伸手探進褲襠一抓,小褲褲就翩然落地。原來,這條丁字褲的褲腰兩邊都有彩結,倩盈終於明白穿著吊帶襪的方便了,穿脫這種內褲時不需要扯下絲襪。鄭董掰開她的雙腿,用手指探了探她的蜜穴,早就慾火焚身的倩盈,私處立刻汨汨地溢出淫水。 「倩盈,為周先生吹簫,你會得到獎賞的。」倩盈雖覺羞憤,無奈她一方面因後催眠暗示而無法抗命,另一方面她更無力阻擋早就不可收拾的肉慾。 她緩緩地將周先生的陽具含在口裡,開始來回地吞吐著。鄭董見狀,便將自己的陽具緩緩地送入了倩盈的蜜穴中。 「喔……」倩盈吞吐的是周先生的陰莖,後面在下體內抽送的是鄭董的陰莖。沒多久,倩盈有了高潮。 「嗯……啊……」得到高潮刺激的倩盈,吞吐得更加賣力。背後的鄭董抽插得也很起勁,完全沒有停下來的意思,似乎想一口氣衝到射精。而前面周先生的陽具更是越發的堅挺腫脹起來,似乎隨著吞吐的節奏,在往高潮射精的道路前進著。 「喔……喔……啊……啊……」三人的節奏本來很一致的,可是隨著刺激快感不斷地堆迭增強,鄭董抽插的力道越來越猛,速度也越來越快。倩盈吞吐的頻率漸漸跟不上了,她索性加上自己的手指,在周先生的陰莖上不斷地滑動。 「啊……啊……啊……啊……」在旁看到受不了的盧姐,也用跳蛋自慰著自己達到了高潮。 「啊……啊……啊……」四個人在肉慾橫流的盡情發洩下,同時登上了那高潮歡愉的峰頂…… 倩盈穿著絲質的細肩帶內衣連身裙,和老公最鍾愛的薄紗蕾絲花邊丁字褲,乖乖地躺在床上,靜靜地等待老公的動作。由於昨晚玩的太累了,所以他們選擇早早上床就寢,然後在隔天的一大清早來做愛做的事。 這是鄭董和倩盈蜜月假期的其中一天清晨。 沒多久,只穿一條內褲的鄭董爬上床來,他首先跟倩盈耳鬢廝磨一番,讓倩盈整個臉部的感官都埋進深深的男性氣息裡。這些日子,受性慾催眠和催淫洗腦反覆訓練過的倩盈,很快地就配合地進入狀況了,立刻渴望鄭董對她做更多的佔有,於是鄭董順著倩盈的頸子往下親吻,幾乎吻遍了她的全身。 倩盈舒服極了,任由鄭董擺佈,玩弄她的身體,對現在的她而言,是最快樂的事。可惜鄭董只有一張嘴,除了被親吻的部分外,全身其他的地方都在熱切地盼望著。漸漸地,她感到全身開始火熱起來。這把火,溫溫的,她有些難耐,卻又很舒服。 然後鄭董輕輕地撥開了她絲質內衣的細肩帶,渾圓結實的雪白雙乳立刻裸露了出來。 鄭董用雙手盈握住,並開始搓揉著她的雙峰。 「喔……」鄭董的力道適中,方向正確,一股股的熱氣不斷地竄升上來,倩盈忍不住呻吟了起來。 鄭董於是用舌尖輕舔著她的乳頭,快感霎時便從乳尖爆發出來,「啊……」倩盈不由得淫叫了出來。 當鄭董開始吸吮著她的乳頭時,倩盈已經不行了,她扭動著身軀,不知如何是好。這時,鄭董給她適時的深情一吻,她全身又很快地酥軟了下來。鄭董的手並不閒著,悄悄地滑下去除掉她的內衣,倩盈也柔順地配合著。當內衣一離開她的身軀,鄭董便已迅雷不及掩耳的速度往丁字褲下的私處攻去。 「啊……」還陶醉在深情熱吻中的倩盈,根本沒料到鄭董用快手挑撥私處,那瞬間爆發的快感,比剛才從雙峰中獲得的不知強烈多少倍。鄭董時而拉拉丁字褲襠,時而搓揉蜜穴,時而拍震私處。連帶丁字褲薄紗輕柔的觸感,倩盈登時已經爽到雲霄上去了。 就在倩盈快要爽到頂點,愛液徐徐地流出時,鄭董忽然收手,在床上躺平。倩盈立刻明白,湊了過去,緩緩地拉下了他的內褲,用手愛撫著鄭董的小弟弟。倩盈用指尖在鄭董的睪丸和陰莖根部輕點滑動,不一會兒的功夫,鄭董的小弟弟開始起來工作了。 倩盈見鄭董的陽具有了形狀後便趴下身來,用舌尖從睪丸一直舔吻到龜頭。這樣三番兩次的重複挑逗後,鄭董的陽具已經堅挺腫脹到極限了。倩盈於是把他的陽具完全含在口裡,並來回不斷地吞吐著。她的技巧很好,吸吮的力道很強,牙齒卻很少咬到,只有唇舌帶來柔軟的觸感。 一陣口交後,倩盈溫柔地為鄭董帶上保險套,然後自己又乖乖地躺平。鄭董脫掉了倩盈的丁字褲後,倩盈自動張開雙腿,等待進入。於是鄭董緩緩地送入了自己的陽具。 「啊!」一陣灼燒的疼痛,混合著難以言喻的快感,倩盈有些暈眩了。鄭董往前一頂,倩盈屁股一縮,陽具便往陰道的最深處陷去。倩盈爽到長聲浪叫起來。 鄭董緩緩地趴在倩盈的身上,親吻著她美艷的臉龐。倩盈很想維持著姿勢,可是陰道還是忍不住地收縮了幾下。受到刺激的鄭董,也跟著抽動了幾下。 快感,陣陣襲來的快感,不斷堆迭的快感。讓鄭董和倩盈二人享受著極致的歡愉。 不再年輕的鄭董,深知技巧的重要,於是施展他九淺一深的功夫。倩盈在他快速地淺抽時,快感累積的很快,而在他猛力深插時,快感又刺激地很強烈。漸漸地,她陰道的收縮越來越力不從心了。淫水分泌的越來越多,致使陰道過分滑潤,讓鄭董需要更快更猛的抽插以得刺激。 當然,這也意味著倩盈得到了更強更多的刺激。在不知幾輪的九淺一深後,倩盈已經達到喊不出聲,四肢發軟的地步。她於是求饒著:「老公,快衝吧,我已經不行了……」同時也快不行的鄭董便不再逞強,肆意猛衝起來。 沒有停歇的快感堆砌而成的高潮,僵直了倩盈全身的肌肉,繃緊了她所有的神經。刺激,快感,高潮……倩盈再也分不清楚了,她徹底地銷魂了,全身就這樣溶化在這欲死欲仙、綿延不絕的高潮海中……倩盈悠悠轉醒時,已經是近午時分了。鄭董已經整裝待發。倩盈有些不好意思地下床如廁盥洗後,第一件事就是乖乖地坐到梳妝台前好好地打扮自己。 事實上,她越來越喜歡打扮自己,這會使她擁有一整天的愉悅心情。接著,她為自己穿上一套性感蕾絲款式的胸罩、丁字褲和膚色超透明絲襪,然後換上鄭董指定的外衣。 今天鄭董的指定穿著是套裝,倩盈在看到鄭董西裝筆挺的模樣時已覺奇怪,在渡蜜月的,為何要穿得如此正式?原來今天有個飯局,要跟當地的政商名流會面。倩盈無奈,拿起了套裝,是條淡紫色的連身窄裙洋裝,搭配一件半透明白色中山式的小胸衣。除了套裝應有的高貴與典雅外,並還兼顧到女性溫柔婉約的特質。 倩盈穿上一雙搭配服飾的高跟鞋,準備拿皮包出發時,只見鄭董拿出一條超大型的衛生棉條,在倩盈面前晃呀晃的:「我的美人呀,你是否忘了什麼?」倩盈當然知道那導管下裝的根本不是什麼衛生棉條。 「催淫操控器!」倩盈失聲道:「我以為我已經不需要這個了……」 「是的,你的改變是永久的沒錯。只是這個飯局很重要,我最好還是能對你做適當的催淫操控,以免露出馬腳。」 「喔……好吧。」倩盈從鄭董手中接過催淫操控器後,掀起裙擺,拉下了絲襪和丁字褲,張開雙腿,彎腰微蹲。當她將催淫操控器送到蜜穴洞口時,她猶豫了一下。她知道只要這玩意兒一但插入下體,她便會喪失所有的自由意志。 「乖女孩,趕快完成動作,我們好出發呀。」鄭董見她遲疑,便催促起來。 「嗯。」倩盈點點頭,開始動作。她心想,算了吧,以自己目前對他百依百順的程度,有沒有自由意志其實是無關緊要的。於是她把心一橫,緩緩將後端導管向前推頂,催淫操控器於是順著前端導管的出口,慢慢地鑽進了倩盈的下體內。 只是這樣一個簡單的動作,倩盈卻在瞬間達到了高潮。 「啊……」高潮的感覺在瞬間封閉了她所有其他的知覺,包括她全部的心智活動。在催淫操控器安置妥當後,倩盈腦中只剩下一個唯一單純的信念……集中性慾對主人,絕對的聽話,完全的服從。 性愛奴隸倩盈聽候主人的指令。」喪失意志,不會思考的倩盈用機械式的單一語調回報狀況。 鄭董望著倩盈呆滯的眼神,沒有任何神情智慧但美艷依然的臉蛋,一股變態的滿足成就油然而生:「穿好衣服,我們可以出發了。」 「是的,主人。」倩盈立刻穿好丁字褲,拉上絲襪,放下裙擺,整肅了一下儀容。 「倩盈,保持自然,不要讓人發現你被催淫操控著。」 「是。」倩盈轉了轉雙眸,又恢復了平時自然可愛的模樣,回答的聲調也有了抑揚頓挫。 於是,鄭董挽著倩盈���手,精神奕奕地去赴飯局了。
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groyanderson · 3 years ago
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第七話「復活、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
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(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 ニライカナイから帰還した私達はその後、魔耶さんに呼ばれて食堂へ向かう。食堂内では五寸釘愚連隊と生き残った河童信者が集合していた。更に最奥のテーブルには、全身ボッコボコにされたスーツ姿の男。バリカンか何かで雑に剃り上げられた頭頂部を両手で抑えながら、傍らでふんぞり返る禍耶さんに怯えて震えている。 「えーと……お名前、誰さんでしたっけ」  この人は確か、河童の家をリムジンに案内していたアトム社員だ。特徴的な名前だった気はするんだけど、思い出せない。 「あっ……あっ……」 「名乗れ!」 「はひいぃぃ! アトムツアー営業部の五間擦平雄(ごますり ひらお)と申します!」  禍耶さんに凄まれ、五間擦氏は半泣きで名乗った。少なくともモノホンかチョットの方なんだろう。すると河童信者の中で一番上等そうなバッジを付けた男が席を立ち、机に手をついて私達に深々と頭を下げた。 「紅さん、志多田さん。先程は家のアホ大師が大っっっ変ご迷惑をおかけ致しました! この落とし前は我々河童の家が後日必ず付けさせて頂きます!」 「い、いえそんな……って、その声まさか、昨年のお笑いオリンピックで金メダルを総ナメしたマスク・ド・あんこう鍋さんじゃないですか! お久しぶりですね!?」  さすがお笑い界のトップ組織、河童の家だ。ていうか仕事で何度か会ったことあるのに素顔初めて見た。 「あお久しぶりっす! ただこちらの謝罪の前に、お二人に話さなきゃいけない事があるんです。ほら説明しろボケナスがッ!!」  あんこう鍋さんが五間擦氏の椅子を蹴飛ばす。 「ぎゃひぃ! ごご、ご説明さひぇて頂きますぅぅぅ!!」  五間擦氏は観念して、千里が島とこの除霊コンペに関する驚愕の事実を私達に洗いざらい暴露した。その全貌はこうだ。  千里が島では散減に縁を奪われた人間が死ぬと、『金剛の楽園』と呼ばれる何処かに飛び去ってしまうと言い伝えられている。そうなれば千里が島には人間が生きていくために必要な魂の素が枯渇し、乳幼児の生存率が激減してしまうんだ。そのため島民達は縁切り神社を建て、島外の人々を呼びこみ縁を奪って生き延びてきたのだという。  アトムグループが最初に派遣した建設会社社員も伝説に違わず祟られ、全滅。その後も幾つかの建設会社が犠牲になり、ようやく事態を重く受け止めたアトムが再開発中断を検討し始めた頃。アトムツアー社屋に幽霊が現れるという噂が囁かれ始めた。その霊は『日本で名のある霊能者達の縁を散減に献上すれば千里が島を安全に開発させてやろう』と宣うらしい。そんな奇妙な話に最初は半信半疑だった重役達も、『その霊がグループ重役会議に突如現れアトムツアーの筆頭株主を目の前で肉襦袢に変えた』事で霊の要求を承認。除霊コンペティションを行うと嘘の依頼をして、日本中から霊能者を集めたのだった。  ところが行きの飛行機で、牛久大師は袋の鼠だったにも関わらず中級サイズの散減をあっさり撃墜してしまう。その上業界ではインチキ疑惑すら噂されていた加賀繍へし子の取り巻きに散減をけしかけても、突然謎のレディース暴走族幽霊が現れて返り討ちにされてしまった。度重なる大失態に激怒した幽霊はアトムツアーイケメンライダーズを全員肉襦袢に変えて楽園へ持ち帰ってしまい、メタボ体型のため唯一見逃された五間擦氏はついに牛久大師に命乞いをする。かくして大師は大散減を退治すべく、祠の封印を剥がしたのだった。以上の話が終わると、私は五間擦氏に馬乗りになって彼の残り少ない髪の毛を引っこ抜き始めた。 「それじゃあ、大師は初めから封印を解くつもりじゃなかったんですか?」 「ぎゃあああ! 毛が毛が毛がああぁぁ!!」  あんこう鍋さんは首を横に振る。 「とんでもない。あの人は力がどうとか言うタイプじゃありません。地上波で音波芸やろうとしてNICを追放されたアホですよ? 我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトです」 「ほぎゃああぁぁ! 俺の貴重な縁があぁぁ、抜けるウゥゥーーーッ!!」 「そうだったんですね。だから『ただの関係者』って言ってたんだ……」  そういう事だったのか。全ては千里が島、アトムグループ���ひいては金剛有明団までもがグルになって仕掛けた壮大なドッキリ……いや、大量殺人計画だったんだ! 大師も斉二さんもこいつらの手の上で踊らされた挙句逝去したとわかった以上、大散減は尚更許してはおけない。  魔耶さんと禍耶さんは食堂のカウンターに登り、ハンマーを掲げる。 「あなた達。ここまでコケにされて、大散減を許せるの? 許せないわよねぇ?」 「ここにいる全員で謀反を起こしてやるわ。そこの祝女と影法師使いも協力しなさい」  禍耶さんが私達を見る。玲蘭ちゃんは数珠を持ち上げ、神人に変身した。 「全員で魔物(マジムン)退治とか……マジウケる。てか、絶対行くし」 「その肉襦袢野郎とは個人的な因縁もあるんです。是非一緒に滅ぼさせて下さい!」 「私も! さ、さすがに戦うのは無理だけど……でもでも、出来ることはいっぱい手伝うよ!」  佳奈さんもやる気満々のようだ。 「決まりね! そうしたら……」 「その作戦、私達も参加させて頂けませんか?」  食堂入口から突然割り込む声。そこに立っていたのは…… 「斉一さん!」「狸おじさん!」  死の淵から復活した後女津親子だ! 斉一さんは傷だらけで万狸ちゃんに肩を借りながらも、極彩色の細かい糸を纏い力強く微笑んでいる。入口近くの席に座り、経緯を語りだした。 「遅くなって申し訳ない。魂の三分の一が奪われたので、万狸に体を任せて、斉三と共にこの地に住まう魂を幾つか分けて貰っていました」  すると斉一さんの肩に斉三さんも現れる。 「診療所も結界を張り終え、とりあえず負傷者の安全は確保した。それと、島の魂達から一つ興味深い情報を得ました」 「聞かせて、狸ちゃん」  魔耶さんが促す。 「御戌神に関する、正しい歴史についてです」  時は遡り江戸時代。そもそも江戸幕府征服を目論んだ物の怪とは、他ならぬ金剛有明団の事だった。生まれた直後に悪霊を埋め込まれた徳松は、ゆくゆくは金剛の意のままに動く将軍に成長するよう運命付けられていたんだ。しかし将軍の息子であった彼は神職者に早急に保護され、七五三の儀式が行われる。そこから先の歴史は青木さんが説明してくれた通り。けど、この話には続きがあるらしい。 「大散減の祠などに、星型に似たシンボルを見ませんでしたか? あれは大散減の膨大な力の一部を取り込み霊能力を得るための、給電装置みたいな物です。もちろんその力を得た者は縁が失せて怪物になるのですが、当時の愚か者共はそうとは知らず、大散減を『徳川の埋蔵金』と称し挙って島に移住しました」  私達したたびが探していた徳川埋蔵金とはなんと、金剛の膨大な霊力と衆生の縁の塊、大散減の事だったんだ。ただ勿論、霊能者を志し島に近付いた者達はまんまと金剛に魂を奪われた。そこで彼らの遺族は風前の灯火だった御戌神に星型の霊符を貼り、自分達の代わりに島外の人間から縁を狩る猟犬に仕立て上げたんだ。こうして御戌神社ができ、御戌神は地中で飢え続ける大散減の手足となってせっせと人の縁を奪い続けているのだという。 「千里が島の民は元々霊能者やそれを志した者の子孫です。多少なりとも力を持つ者は多く、彼らは代々『御戌神の器』を選出し、『人工転生』を行ってきました」  斉一さんが若干小声で言う。人工転生。まだ魂が未発達の赤子に、ある特定の幽霊やそれに纏わる因子を宛てがって純度の高い『生まれ変わり』を作る事。つまり金剛が徳松に行おうとしたのと同じ所業だ。 「じゃあ、今もこの島のどこかに御戌様の生まれ変わりがいるんですか?」  佳奈さんは飲み込みが早い。 「ええ。そして御戌神は、私達が大散減に歯向かえば再び襲ってきます。だからこの戦いでは、誰かが対御戌神を引き受け……最悪、殺生しなければなりません」 「殺生……」  生きている人間を、殺す。死者を成仏させるのとは訳が違う話だ。魔耶さんは胸の釘を握りしめた。 「そのワンちゃん、なんて可哀想なの……可哀想すぎる。攻撃なんて、とてもできない」 「魔耶、今更甘えた事言ってんじゃないわよ。いくら生きてるからって、中身は三百年前に死んだバケモノよ! いい加減ラクにしてやるべきだわ」 「でもぉ禍耶、あんまりじゃない! 生まれた時から不幸な運命を課せられて、それでも人々のために戦ったのに。結局愚かな連中の道具にされて、利用され続けているのよ!」 (……!)  道具。その言葉を聞いた途端、私は心臓を握り潰されるような恐怖を覚えた。本来は衆生を救うために手に入れた力を、正反対の悪事に利用されてしまう。そして余所者から邪尊(バケモノ)と呼ばれ、恐れられるようになる……。 ―テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です―  自分の言った言葉が心に反響する。御戌神が戦いの中で見せた悲しそうな目と、ニライカナイで見たドマルの絶望的な目が日蝕のように重なる。瞳に映ったあの目は……私自身が前世で経験した地獄の、合わせ鏡だったんだ。 「……魔耶さん、禍耶さん。御戌神は、私が相手をします」 「え!?」 「正気なの!? 殺生なんて私達死者に任せておけばいいのよ! でないとあんた、殺人罪に問われるかもしれないのに……」  圧。 「ッ!?」  私は無意識に、前世から受け継がれた眼圧で総長姉妹を萎縮させた。 「……悪魔の心臓は御仏を産み、悪人の遺骨は鎮魂歌を奏でる。悪縁に操られた御戌神も、必ず菩提に転じる事が出来るはずです」  私は御戌神が誰なのか、確証を持っている。本当の『彼』は優しくて、これ以上金剛なんかの為に罪を重ねてはいけない人。たとえ孤独な境遇でも人との縁を大切にする、子犬のようにまっすぐな人なんだ。 「……そう。殺さずに解決するつもりなのね、影法師使いさん。いいわ。あなたに任せます」  魔耶さんがスレッジハンマーの先を私に突きつける。 「失敗したら承知しない。私、絶対に承知しないわよ」  私はそこに拳を当て、無言で頷いた。  こうして話し合いの結果、対大散減戦における役割分担が決定した。五寸釘愚連隊と河童の家、玲蘭ちゃんは神社で大散減本体を引きずり出し叩く。私は御戌神を探し、神社に行かれる前に説得か足止めを試みる。そして後女津家は私達が解読した暗号に沿って星型の大結界を巡り、大散減の力を放出して弱体化を図る事になった。 「志多田さん。宜しければ、お手伝いして頂けませんか?」  斉一さんが立ち上がり、佳奈さんを見る。一方佳奈さんは申し訳なさそうに目を伏せた。 「で……でも、私は……」  すると万狸ちゃんが佳奈さんの前に行く。 「……あのね。私のママね、災害で植物状態になったの。大雨で津波の警報が出て、パパが車で一生懸命高台に移動したんだけど、そこで土砂崩れに遭っちゃって」 「え、そんな……!」 「ね、普通は不幸な事故だと思うよね。でもママの両親、私のおじいちゃんとおばあちゃん……パパの事すっごく責めたんだって。『お前のせいで娘は』『お前が代わりに死ねば良かったのに』みたいに。パパの魂がバラバラに引き裂かれるぐらい、いっぱいいっぱい責めたの」  昨晩斉三さんから聞いた事故の話だ。奥さんを守れなかった上にそんな言葉をかけられた斉一さんの気持ちを想うと、自分まで胸が張り裂けそうだ。けど、奥さんのご両親が取り乱す気持ちもまたわかる。だって奥さんのお腹には、万狸ちゃんもいたのだから……。 「三つに裂けたパパ……斉一さんは、生きる屍みたいにママの為に無我夢中で働いた。斉三さんは病院のママに取り憑いたまま、何年も命を留めてた。それから、斉二さんは……一人だけ狸の里(あの世)に行って、水子になっちゃったママの娘を育て続けた」 「!」 「斉二さんはいつも言ってたの。俺は分裂した魂の、『後悔』の側面だ。天災なんて誰も悪くないのに、目を覚まさない妻を恨んでしまった。妻の両親を憎んでしまった。だからこんなダメな狸親父に万狸が似ないよう、お前をこっちで育てる事にしたんだ。って」  万狸ちゃんが背筋をシャンと伸ばし、顔を上げた。それは勇気に満ちた笑顔だった。 「だから私知ってる。佳奈ちゃんは一美ちゃんを助けようとしただけだし、ぜんぜん悪いだなんて思えない。斉二さんの役割は、完璧に成功してたんだよ」 「万狸ちゃん……」 「あっでもでも、今回は天災じゃなくて人災なんだよね? それなら金剛有明団をコッテンパンパンにしないと! 佳奈ちゃん���いっぱい悲しい思いした被害者でしょ?」  万狸ちゃんは右手を佳奈さんに差し出す。佳奈さんも顔を上げ、その手を強く握った。 「うん。金剛ぜったい許せない! 大散減の埋蔵金、一緒にばら撒いちゃお!」  その時、ホテルロビーのからくり時計から音楽が鳴り始めた。曲は民謡『ザトウムシ』。日没と大散減との対決を告げるファンファーレだ。魔耶さんは裁判官が木槌を振り下ろすように、机にハンマーを叩きつけた! 「行ぃぃくぞおおおぉぉお前らああぁぁぁ!!!」 「「「うおおぉぉーーーっ!!」」」  総員出撃! ザトウムシが鳴り響く逢魔が時の千里が島で今、日本最大の除霊戦争が勃発する!
གཉིས་པ་
 大散減討伐軍は御戌神社へ、後女津親子と佳奈さんはホテルから最寄りの結界である石見沼へと向かった。さて、私も御戌神の居場所には当てがある。御戌神は日蝕の目を持つ獣。それに因んだ地名は『食虫洞』。つまり、行先は新千里が島トンネル方面だ。  薄暗いトンネル内を歩いていると、電灯に照らされた私の影が勝手に絵を描き始めた。空で輝く太陽に向かって無数の虫が冒涜的に母乳を吐く。太陽は穢れに覆われ、光を失った日蝕状態になる。闇の緞帳(どんちょう)に包まれた空は奇妙な星を孕み、大きな獣となって大地に災いをもたらす。すると地平線から血のように赤い月が昇り、星や虫を焼き殺しながら太陽に到達。太陽と重なり合うやいなや、天上天下を焼き尽くすほどの輝きを放つのだった……。  幻のような影絵劇が終わると、私はトンネルを抜けていた。目の前のコンビニは既に電気が消えている。その店舗全体に、腐ったミルクのような色のペンキで星型に線を一本足した記号が描かれている。更に接近すると、デッキブラシを持った白髪の偉丈夫が記号を消そうと悪戦苦闘しているのが見えた。 「あ、紅さん」  私に気がつき振り返った青木さんは、足下のバケツを倒して水をこぼしてしまった。彼は慌ててバケツを立て直す。 「見て下さい。誰がこんな酷い事を? こいつはコトだ」  青木さんはデッキブラシで星型の記号を擦る。でもそれは掠れすらしない。 「ブラシで擦っても? ケッタイな落書きを……っ!?」  指で直接記号に触れようとした青木さんは、直後謎の力に弾き飛ばされた。 「……」  青木さんは何かを思い出したようだ。 「紅さん。そういえば僕も、ケッタイな体験をした事が」  夕日が沈んでいき、島中の店や防災無線からはザトウムシが鳴り続ける。 「犬に吠えられ、夜中に目を覚まして。永遠に飢え続ける犬は、僕のおつむの中で、ひどく悲しい声で鳴く。それならこれは幻聴か? 犬でないなら幽霊かもだ……」  青木さんは私に背を向け、沈む夕日に引き寄せられるように歩きだした。 「早くなんとかせにゃ。犬を助けてあげなきゃ、僕までどうにかなっちまうかもだ。するとどこからか、目ん玉が潰れた双頭の毛虫がやって来て、口からミルクを吐き出した。僕はたまらず、それにむしゃぶりつく」  デッキブラシから滴った水が地面に線を引き、一緒に夕日を浴びた青木さんの影も伸びていく。 「嫌だ。もう犬にはなりたくない。きっとおっとろしい事が起きるに違いない。満月が男を狼にするみたいに、毛虫の親玉を解き放つなど……」 「青木さん」  私はその影を呼び止めた。 「この落書きは、デッキブラシじゃ落とせません」 「え?」 「これは散減に穢された縁の母乳、普通の人には見えない液体なんです」  カターン。青木さんの手からデッキブラシが落ちた途端、全てのザトウムシが鳴り止んだ。青木さんはゆっくりとこちらへ振り向く。重たい目隠れ前髪が狛犬のたてがみのように逆立ち、子犬のように輝く目は濁った穢れに覆われていく。 「グルルルル……救、済、ヲ……!」  私も胸のペンダントに取り付けたカンリンを吹いた。パゥーーー……空虚な悲鳴のような音が響く。私の体は神経線維で編まれた深紅の僧衣に包まれ、激痛と共に影が天高く燃え上がった。 「青木さん。いや、御戌神よ。私は紅の守護尊、ワヤン不動。しかし出来れば、お前とは戦いたくない」  夕日を浴びて陰る日蝕の戌神と、そこから伸びた赤い神影(ワヤン)が対峙する。 「救済セニャアアァ!」 「そうか。……ならば神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」  空の月と太陽が見下ろす今この時、地上で激突する光の神と影の明王! 穢れた色に輝く御戌神が突撃! 「グルアアァァ!」  私はティグクでそれをいなし、黒々と地面に伸びた自らの影を滑りながら後退。駐車場の車止めをバネに跳躍、傍らに描かれた邪悪な星目掛けてキョンジャクを振るった。二〇%浄化! 分解霧散した星の一片から大量の散減が噴出! 「マバアアアァァ!!」「ウバアァァァ!」  すると御戌神の首に巻かれた幾つもの頭蓋骨が共鳴。ケタケタと震えるように笑い、それに伴い御戌神も悶絶する。 「グルアァァ……ガルァァーーーッ!!」  咆哮と共に全骨射出! 頭蓋骨は穢れた光の尾を引き宙を旋回、地を這う散減共とドッキングし牙を剥く! 「がッは!」  毛虫の体を得た頭蓋骨が飛び回り、私の血肉を穿つ。しかし反撃に転じる寸前、彼らの正体を閃いた。 「さては歴代の『器』か」  この頭蓋骨らは御戌神転生の為に生贄となった、どこの誰が産んだかもわからない島民達の残滓だ。なら速やかに解放せねばなるまい! 人頭毛虫の猛攻をティグクの柄やキョンジャクで防ぎながら、ティグクに付随する旗に影炎を着火! 「お前達の悔恨を我が炎の糧とする! どおぉりゃああぁーーーーっ!!」   ティグク猛回転、憤怒の地獄大車輪だ! 飛んで火に入る人頭毛虫らはたちどころに分解霧散、私の影体に無数の苦痛と絶望と飢えを施す! 「クハァ……ッ! そうだ……それでいい。私達は仲間だ、この痛みを以て金剛に汚された因果を必ずや断ち切ってやろう! かはあぁーーーっはーーっはっはっはっはァァーーッ!!!」  苦痛が無上の瑜伽へと昇華しワヤン不動は呵呵大笑! ティグクから神経線維の熱線が伸び大車輪の火力を増強、星型記号を更に焼却する! 記号は大文字焼きの如く燃え上がり穢れ母乳と散減を大放出! 「ガウルル、グルルルル!」  押し寄せる母乳と毛虫の洪水に突っ込み喰らおうと飢えた御戌神が足掻く。だがそうはさせるものか、私の使命は彼を穢れの悪循環から救い出す事だ。 「徳川徳松ゥ!」 「!」  人の縁を奪われ、畜生道に堕ちた哀しき少年の名を呼ぶ。そして丁度目の前に飛んできた散減を灼熱の手で掴むと、轟々と燃え上がるそれを遠くへ放り投げた! 「取ってこい!」 「ガルアァァ!!」  犬の本能が刺激された御戌神は我を忘れ散減を追う! 街路樹よりも高く跳躍し口で見事キャッチ、私目掛けて猪突猛進。だがその時! 彼の本体である衆生が、青木光が意識を取り戻した! (戦いはダメだ……穢れなど!)  日蝕の目が僅かに輝きを増す。御戌神は空中で停止、咥えている散減を噛み砕いて破壊した! 「かぁははは、いい子だ徳松よ! ならば次はこれだあぁぁ!!」  私はフリスビーに見立ててキョンジャクを投擲。御戌神が尻尾を振ってハッハとそれを追いかける。キョンジャクは散減共の間をジグザグと縫い進み、その軌跡を乱暴になぞる御戌神が散減大量蹂躙! 薄汚い死屍累々で染まった軌跡はまさに彼が歩んできた畜生道の具現化だ!! 「衆生ぉぉ……済度ぉおおおぉぉぉーーーーっ!!!」  ゴシャアァン!!! ティグクを振りかぶって地面に叩きつける! 視神経色の亀裂が畜生道へと広がり御戌神の背後に到達。その瞬間ガバッと大地が割れ、那由多度に煮え滾る業火を地獄から吹き上げた! ズゴゴゴゴガガ……マグマが滾ったまま連立する巨大灯篭の如く隆起し散減大量焼却! 振り返った御戌神の目に陰る穢れも、紅の影で焼き溶かされていく。 「……クゥン……」  小さく子犬のような声を発する御戌神。私は憤怒相を収め、その隣に立つ。彼の両眼からは止めどなく饐えた涙が零れ、その度に日蝕が晴れていく。気がつけば空は殆ど薄暗い黄昏時になっていた。闇夜を迎える空、赤く燃える月と青く輝く太陽が並ぶ大地。天と地の光彩が逆転したこの瞬間、私達は互いが互いの前世の声を聞いた。 『不思議だ。あの火柱見てると、ぼくの飢えが消えてく。お不動様はどんな法力を?』 ༼ なに、特別な力ではない。あれは慈悲というものだ ༽ 『じひ』  徳松がドマルの手を握った。ドマルの目の奥に、憎しみや悲しみと��異なる熱が込み上がる。 『救済の事で?』 ༼ ……ま、その類いといえばそうか。童よ、あなたは自分を生贄にした衆生が憎いか? ༽  徳松は首を横に振る。 『ううん、これっぽっちも。だってぼく、みんなを救済した神様なんだから』  すると今度はドマルが両手で徳松の手を包み、そのまま深々と合掌した。 ༼ なら、あなたはもう大丈夫だ。衆生との縁に飢える事は、今後二度とあるまい ༽
གསུམ་པ་
 時刻は……わからないけど、日は完全に沈んだ。私も青木さんも地面に大の字で倒れ、炎上するコンビニや隆起した柱状節理まみれの駐車場を呆然と眺めている。 「……アーーー……」  ふと青木さんが、ずっと咥えっ放しだったキョンジャクを口から取り出した。それを泥まみれの白ニットで拭い、私に返そうとして……止めた。 「……洗ってからせにゃ」 「いいですよ。この後まだいっぱい戦うもん」 「大散減とも? おったまげ」  青木さんにキョンジャクを返してもらった。 「実は、まだ学生の時……友達が僕に、『彼女にしたい芸能人は?』って質問を。けど特に思いつかなくて、その時期『非常勤刑事』やってたので紅一美ちゃんと。そしたら今回、本当にしたたびさんが……これが縁ってやつなら、ちぃと申し訳ないかもだ」 「青木さんもですか」 「え?」 「私も実は、この間雑誌で『好きな男性のタイプは何ですか』って聞かれて、なんか適当に答えたんですけど……『高身長でわんこ顔な方言男子』とかそんなの」 「そりゃ……ふふっ。いやけど、僕とは全然違うイメージだったかもでしょ?」 「そうなんですよ。だから青木さんの素顔初めて見た時、キュンときたっていうより『あ、実在するとこんな感じなの!?』って思っちゃったです。……なんかすいません」  その時、遠くでズーンと地鳴りのような音がした。蜃気楼の向こうに耳をそばだてると、怒号や悲鳴のような声。どうやら敵の大将が地上に現れたようだ。 「行くので?」 「大丈夫。必ず戻ってきます」  私は重い体を立ち上げ、ティグクとキョンジャクに再び炎を纏った。そして山頂の御戌神社へ出発…… 「きゃっ!」  しようとした瞬間、何かに服の裾を掴まれたかのような感覚。転びそうになって咄嗟にティグクの柄をつく。足下を見ると、小さなエネルギー眼がピンのように私の影を地面と縫いつけている。 ༼ そうはならんだろ、小心者娘 ༽ 「ちょ、ドマル!?」  一方青木さんの方も、徳松に体を勝手に動かされ始めた。輝く両目から声がする。 『バカ! あそこまで話しといて告白しねえなど!? このボボ知らず!』 「ぼっ、ぼっ、ボボ知らずでねえ! 嘘こくなぁぁ!」  民謡の『お空で見下ろす出しゃばりな月と太陽』って、ひょっとしたら私達じゃなくてこの前世二人の方を予言してたのかも。それにしてもボボってなんだろ、南地語かな。 ༼ これだよ ༽  ドマルのエネルギー眼が炸裂し、私は何故かまた玲蘭ちゃんの童貞を殺す服に身を包んでいた。すると何故か青木さんが悶絶し始めた。 「あややっ……ちょっと、ダメ! 紅さん! そんなオチチがピチピチな……こいつはコトだ!!」  ああ、成程。ボボ知らずってそういう…… 「ってだから、私の体で検証すなーっ! ていうか、こんな事している間にも上で死闘が繰り広げられているんだ!」 ༼ だからぁ……ああもう! 何故わからないのか! ヤブユムして行けと言っているんだ、その方が生存率上がるしスマートだろ! ༽ 「あ、そういう事?」  ヤブユム。確か、固い絆で結ばれた男女の仏が合体して雌雄一体となる事で色々と超越できる、みたいな意味の仏教用語……だったはず。どうすればできるのかまではサッパリわかんないけど。 「え、えと、えと、紅さん……一美ちゃん!」 「はい……う、うん、光君!」  両前世からプレッシャーを受け、私と光君は赤面しながら唇を近付ける。 『あーもー違う! ヤブユムっていうのは……』 ༼ まーまー待て。ここは現世を生きる衆生の好きにさせてみようじゃないか ༽  そんな事言われても困る……それでも、今私と光君の想いは一つ、大散減討伐だ。うん、多分……なんとかなる! はずだ!
བཞི་པ་
 所変わって御戌神社。姿を現した大散減は地中で回復してきたらしく、幾つか継ぎ目が見えるも八本足の完全体だ。十五メートルの巨体で暴れ回り、周囲一帯を蹂躙している。鳥居は倒壊、御戌塚も跡形もなく粉々に。島民達が保身の為に作り上げた生贄の祭壇は、もはや何の意味も為さない平地と化したんだ。  そんな絶望的状況にも関わらず、大散減討伐軍は果敢に戦い続ける。五寸釘愚連隊がバイクで特攻し、河童信者はカルトで培った統率力で彼女達をサポート。玲蘭ちゃんも一枚隔てた異次元から大散減を構成する無数の霊魂を解析し、虱潰しに破壊していく。ところが、 「あグッ!」  バゴォッ!! 大散減から三メガパスカル級の水圧で射出された穢れ母乳が、河童信者の一人に直撃。信者の左半身を粉砕! 禍耶さんがキュウリの改造バイクで駆けつける。 「河童信者!」 「あ、か……禍耶の姐御……。俺の、魂を……吸収……し……」 「何言ってるの、そんな事できるわけないでしょ!?」 「……大散、ぃに、縁……取られ、嫌、……。か、っぱは……キュウリ……好き……っか……ら…………」  河童信者の瞳孔が開いた。禍耶さんの唇がわなわなと痙攣する。 「河童って馬鹿ね……最後まで馬鹿だった……。貴方の命、必ず無駄にはしないわ!」  ガバッ、キュイイィィ! 息絶えて間もない河童信者の霊魂が分解霧散する前に、キュウリバイクの給油口に吸収される。ところが魔耶さんの悲鳴! 「禍耶、上ぇっ!!」 「!」  見上げると空気を読まず飛びかかってきた大散減! 咄嗟にバイクを発進できず為す術もない禍耶さんが絶望に目を瞑った、その時。 「……え?」  ……何も起こらない。禍耶さんはそっと目を開けようとする。が、直後すぐに顔を覆った。 「眩しっ! この光は……あああっ!」  頭上には朝日のように輝く青白い戌神。そしてその光の中、轟々と燃える紅の不動明王。光と影、男と女が一つになったその究極仏は、大散減を遥か彼方に吹き飛ばし悠然と口を開いた。 「月と太陽が同時に出ている、今この時……」 「瞳に映る醜き影を、憤怒の炎で滅却する」 「「救済の時間だ!!!」」  カッ! 眩い光と底知れぬ深い影が炸裂、落下中の大散減を再びスマッシュ! 「遅くなって本当にすみません。合体に手間取っちゃって……」  御戌神が放つ輝きの中で、燃える影体の私は揺らめく。するとキュウリバイクが言葉を発した。 <問題なし! だぶか登場早すぎっすよ、くたばったのはまだ俺だけです。やっちまいましょう、姐さん!> 「そうね。行くわよ河童!」  ドルルン! 輩悪苦満誕(ハイオクまんたん)のキュウリバイクが発進! 私達も共に駆け出す。 「一美ちゃん、火の準備を!」 「もう出来ているぞぉ、カハァーーーッハハハハハハァーーー!!」  ティグクが炎を噴く! 火の輪をくぐり青白い肉弾が繰り出す! 巨大サンドバッグと化した大散減にバイクの大軍が突撃するゥゥゥ!!! 「「「ボァガギャバアアアアァァアアア!!!」」」  八本足にそれぞれ付いた顔が一斉絶叫! 中空で巻き散らかされた大散減の肉片を無数の散減に変えた! 「灰燼に帰すがいい!」  シャゴン、シャゴン、バゴホオォン!! 御戌神から波状に繰り出される光と光の合間に那由多度の影炎を込め雑魚を一掃! やはりヤブユムは強い。光源がないと力を発揮出来ない私と、偽りの闇に遮られてしまっていた光君。二人が一つになる事で、永久機関にも似た法力を得る事が出来る!  大散減は地に叩きつけられるかと思いきや、まるで地盤沈下のように地中へ潜って行ってしまった。後を追えず停車した五寸釘愚連隊が舌打ちする。 「逃げやがったわ、あの毛グモ野郎」  しかし玲蘭ちゃんは不敵な笑みを浮かべた。 「大丈夫です。大散減は結界に分散した力を補充しに行ったはず。なら、今頃……」  ズドガアアァァァアン!!! 遠くで吹き上がる火柱、そして大散減のシルエット! 「イェーイ!」  呆然と見とれていた私達の後方、数分前まで鳥居があった瓦礫の上に後女津親子と佳奈さんが立っている。 「「ドッキリ大成功ー! ぽーんぽっこぽーん!」」  ぽこぽん、シャララン! 佳奈さんと万狸ちゃんが腹鼓を打ち、斉一さんが弦を爪弾く。瞬間、ドゴーーン!! 今度は彼女らの背後でも火柱が上がった! 「あのねあのね! 地図に書いてあった星の地点をよーく探したら、やっぱり御札の貼ってある祠があったの。それで佳奈ちゃんが凄いこと閃いたんだよ!」 「その名も『ショート回路作戦』! 紙に御札とぴったり同じ絵を写して、それを鏡合わせに貼り付ける。その上に私の霊力京友禅で薄く蓋をして、その上から斉一さんが大散減から力を���収しようとする。だけど吸い上げられた大散減のエネルギーは二枚の御札の間で行ったり来たりしながら段々滞る。そうとは知らない大散減が内側から急に突進すれば……」  ドォーーン! 万狸ちゃんと佳奈さんの超常理論を実証する火柱! 「さすがです佳奈さん! ちなみに最終学歴は?」 「だからいちご保育園だってば~、この小心者ぉ!」  こんなやり取りも随分と久しぶりな気がする。さて、この後大散減は立て続けに二度爆発した。計五回爆ぜた事になる。地図上で星のシンボルを描く地点は合計六つ、そのうち一つである食虫洞のシンボルは私がコンビニで焼却したアレだろう。 「シンボルが全滅すると、奴は何処へ行くだろうか」  斉三さんが地図を睨む。すると突如地図上に青白く輝く道順が描かれた。御戌神だ。 「でっかい大散減はなるべく広い場所へ逃走を。となると、海岸沿いかもだ。東の『いねとしサンライズビーチ』はサイクリングロードで狭いから、石見沼の下にある『石見海岸』ので」 「成程……って、君はまさか!?」 「青木君!?」  そうか、みんな知らなかったんだっけ。御戌神は遠慮がちに会釈し、かき上がったたてがみの一部を下ろして目隠れ前髪を作ってみせた。光君の面影を認識して皆は納得の表情を浮かべた。 「と……ともかく! ずっと地中でオネンネしてた大散減と違って、地の利はこちらにある。案内するので先回りを!」  御戌神が駆け出す! 私は彼が放つ輝きの中で水上スキーみたいに引っ張られ、五寸釘愚連隊や他の霊能者達も続く。いざ、石見海岸へ!
ལྔ་པ་
 御戌神の太陽の両眼は、前髪によるランプシェード効果が付与されて更に広範囲を照らせるようになった。石見沼に到着した時点で海岸の様子がはっきり見える。まずいことに、こんな時に限って海岸に島民が集まっている!? 「おいガキ共、ボートを降りろ! 早く避難所へ!」 「黙れ! こんな島のどこに安全が!? 俺達は内地へおさらばだ!」  会話から察するに、中学生位の子達が島を脱出しようと試みるのを大人達が引き止めているようだ。ところが間髪入れず陸側から迫る地響き! 危ない! 「救済せにゃ!」  石見の崖を御戌神が飛んだ! 私は光の中で身構える。着地すると同時に目の前の砂が隆起、ザボオオォォン!! 大散減出現! 「かははは、一足遅いわ!」  ズカアァァン!!! 出会い頭に強烈なティグクの一撃! 吹き飛んだ大散減は沿岸道路を破壊し民家二棟に叩きつけられた。建造物損壊と追い越し禁止線通過でダブル罪業加点! 間一髪巻き込まれずに済んだ島民達がどよめく。 「御戌様?」 「御戌様が子供達を救済したので!?」 「それより御戌様の影に映ってる火ダルマは一体!?」  その問いに、陸側から聞き覚えのある声が答える。 「ご先祖様さ!」  ブオォォン! 高級バイクに似つかわしくない凶悪なエンジン音を吹かして現れたのは加賀繍さんだ! 何故かアサッテの方向に数珠を投げ、私の正体を堂々と宣言する。 「御戌神がいくら縁切りの神だって、家族の縁は簡単に切れやしないんだ。徳川徳松を一番気にかけてたご先祖様が仏様になって、祟りを鎮めるんだよ!」 「徳松様を気にかけてた、ご先祖様……」 「まさか、将軍様など!?」 「「「徳川綱吉将軍!!」」」  私は暴れん坊な将軍様の幽霊という事になってしまった。だぶか吉宗さんじゃないけど。すると加賀繍さんの紙一重隣で大散減が復帰! 「マバゥウゥゥゥゥウウウ!!!」  神社にいた時よりも甲高い大散減の鳴き声。消耗している証拠だろう。脚も既に残り五本、ラストスパートだ! 「畳み掛けるぞ夜露死苦ッ!」  スクラムを組むように愚連隊が全方位から大散減へ突進、総長姉妹のハンマーで右前脚破壊! 「ぽんぽこぉーーー……ドロップ!!」  身動きの取れなくなった大散減に大かむろが垂直落下、左中央二脚粉砕! 「「「大師の敵ーーーっ!」」」  微弱ながら霊力を持つ河童信者達が集団投石、既に千切れかけていた左後脚切断! 「くすけー、マジムン!」  大散減の内側から玲蘭ちゃんの声。するうち黄色い閃光を放って大散減はメルトダウン! 全ての脚が落ち、最後の本体が不格好な蓮根と化した直後……地面に散らばる脚の一本の顔に、ギョロギョロと蠢く目が現れた。光君の話を思い出す。 ―八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で!― 「そうか、あっちが真の本体!」  私と光君が同時に動く! また地中に逃げようと飛び上がった大散減本体に光と影は先回りし、メロン格子状の包囲網を組んだ! 絶縁怪虫大散減、今こそお前をこの世からエンガチョしてくれるわあああああああ!! 「そこだーーーッ!! ワヤン不動ーーー!!」 「やっちゃえーーーッ!」「御戌様ーーーッ!」 「「「ワヤン不動オォーーーーーッ!!!」」」 「どおおぉぉるあぁああぁぁぁーーーーーー!!!!」  シャガンッ! 突如大量のハロゲンランプを一斉に焚いたかのように、世界が白一色の静寂に染まる。存在するものは影である私と、光に拒絶された大散減のみ。ティグクを掲げた私の両腕が夕陽を浴びた影の如く伸び、背中で燃える炎に怒れる恩師の馬頭観音相が浮かんだ時……大散減は断罪される! 「世尊妙相具我今重問彼仏子何因縁名為観世音具足妙相尊偈答無盡意汝聴観音行善応諸方所弘誓深如海歴劫不思議侍多千億仏発大清浄願我為汝略説聞名及見身心念不空過能滅諸有苦!」  仏道とは無縁の怪獣よ、己の業に叩き斬られながら私の観音行を聞け! 燃える馬頭観音と彼の骨であるティグクを仰げ! その苦痛から解放されたくば、海よりも深き意志で清浄を願う聖人の名を私がお前に文字通り刻みつけてやる! 「仮使興害意推落大火坑念彼観音力火坑変成池或漂流巨海龍魚諸鬼難念彼観音力波浪不能没或在須弥峰為人所推堕念彼観音力如日虚空住或被悪人逐堕落金剛山念彼観音力不能損一毛!!」  たとえ金剛の悪意により火口へ落とされようと、心に観音力を念ずれば火もまた涼し。苦難の海でどんな怪物と対峙しても決して沈むものか! 須弥山から突き落とされようが、金剛を邪道に蹴落とされようが、観音力は不屈だ! 「或値怨賊繞各執刀加害念彼観音力咸即起慈心或遭王難苦臨刑欲寿終念彼観音力刀尋段段壊或囚禁枷鎖手足被杻械念彼観音力釈然得解脱呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人或遇悪羅刹毒龍諸鬼等念彼観音力時悉不敢害!!」  お前達に歪められた衆生の理は全て正してくれる! 金剛有明団がどんなに強大でも、和尚様や私の魂は決して滅びぬ。磔にされていた抜苦与楽の化身は解放され、悪鬼羅刹四苦八苦を燃やす憤怒の化身として生まれ変わったんだ! 「若悪獣囲繞利牙爪可怖念彼観音力疾走無辺方蚖蛇及蝮蝎気毒煙火燃念彼観音力尋声自回去雲雷鼓掣電降雹澍大雨念彼観音力応時得消散衆生被困厄無量苦逼身観音妙智力能救世間苦!!!」  獣よ、この力を畏れろ。毒煙を吐く外道よ霧散しろ! 雷や雹が如く降り注ぐお前達の呪いから全ての衆生を救済してみせよう! 「具足神通力廣修智方便十方諸国土無刹不現身種種諸悪趣地獄鬼畜生生老病死苦以漸悉令滅真観清浄観広大智慧観悲観及慈観常願常瞻仰無垢清浄光慧日破諸闇能伏災風火普明照世間ッ!!!」  どこへ逃げても無駄だ、何度生まれ変わってでも憤怒の化身は蘇るだろう! お前達のいかなる鬼畜的所業も潰えるんだ。瞳に映る慈悲深き菩薩、そして汚れなき聖なる光と共に偽りの闇を葬り去る! 「悲体戒雷震慈意妙大雲澍甘露法雨滅除煩悩燄諍訟経官処怖畏軍陣中念彼観音力衆怨悉退散妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音是故須常念念念勿生疑観世音浄聖於苦悩死厄能為作依怙具一切功徳慈眼視衆生福聚海無量是故���頂……」  雷雲の如き慈悲が君臨し、雑音をかき消す潮騒の如き観音力で全てを救うんだ。目の前で粉微塵と化した大散減よ、盲目の哀れな座頭虫よ、私はお前をも苦しみなく逝去させてみせる。 「……礼ィィィーーーーーッ!!!」  ダカアアアアァァアアン!!!! 光が飛散した夜空の下。呪われた気枯地、千里が島を大いなる光と影の化身が無量の炎で叩き割った。その背後で滅んだ醜き怪獣は、業一つない純粋な粒子となって分解霧散。それはこの地に新たな魂が生まれるための糧となり、やがて衆生に縁を育むだろう。  時は亥の刻、石見海岸。ここ千里が島で縁が結ばれた全ての仲間達が勝利に湧き、歓喜と安堵に包まれた。その騒ぎに乗じて私と光君は、今度こそ人目も憚らず唇を重ね合った。
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no1-shochu · 3 years ago
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【 志布志商店街七夕まつり~星に願いを~ 】 ~志布志商店街七夕まつり×山中氏邸×ぽっぽマルシェとのコラボ企画~ 先日、8月1日 (日)に 志布志商店街七夕まつり~星に願いを~ がありました。 皆さん、若潮酒造ブースに遊びに来て頂き有難うございます♪ 皆様のおかげで、お祭りが凄く盛り上がりました。 心よりお礼申し上げます♪ 私の願い。 みんなの願いがとどきますように。 みんなが幸せになりますように。 コロナが終息しますように。 願い事、かなうと良いな~。 志布志商店街七夕まつり~星に願いを~ 様情報 日時 令和3年8月1日(日) 場所 大慈寺、志布志駅、山中氏邸 開催時間 17:00~21:00  お問い合わせ 主催者:株式会社SOLcreators 様 = 099-401-4544 委託者:港湾商工課 商工振興係 様 = 099-474-1111 ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~ ザ・ファブルを読みながら白若潮(しろわかしお)で乾杯♪ (ステイホーム) ※ザ・ファブルは、週刊ヤングマガジン(講談社) に連載され累計発行部数750万部越えの超人気漫画です♪ その超人気漫画 ザ・ファブル に若潮酒造の焼酎が登場致しました\(^^)/ 登場した単行本は、11巻、13巻、19巻、20巻です♪ ※週刊ヤングマガジン(講談社)ザ・ファブル第二部連載開始♪ ※映画も公開中♪ 今一番注目されている漫画です‼️ 凄く面白い漫画です‼️ 南勝久 先生様有難うございます♪ 心より御礼申し上げます♪ これからも若潮酒造を宜しくお願い致します。 皆さん是非本屋さんにて超人気漫画ザ・ファブルを買って究極の日常酒 白若潮 (シロワカシオ)を探して下さいね~♪ ( ザ・ファブルを読みながら白若潮で乾杯♪ ) 映画 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 絶賛公開中🎬‼️ 江口カン映画監督様作品。 主演も超豪華、 岡田准一 様、 木村文乃 様、 平手友梨奈 様、 安藤政信 様、 黒瀬純 様、 好井まさお 様、 橋本マナミ 様、 宮川大輔 様、 山本美月 様、 佐藤二朗 様、 井之脇海 様、 安田顕 様、 佐藤浩市 様、 堤真一 様 監督 = 江口カン 様 ( KOO-KI - 空気株式会社 様 ) 脚本 = 渡辺雄介 様 漫画 = 南勝久 先生様 V6岡田准一 様の超凄いアクションシーンにも注目‼️ ____________________________ ✨若潮酒造受賞歴✨ 鹿児島県本格焼酎鑑評会 23連続受賞‼ ✨ロンドン IWSC2021 受賞✨ 千亀女紫金賞♪ GLOWep04銀賞♪ 千亀女Jo銀賞♪ 黒若潮銅賞♪ ____________________________ ※若潮酒造の焼酎は、プリン体0・糖質0・甘味料0 、体に優しい芋焼酎です(^^♪ ※焼酎は、色々な飲み方が出来て楽しいです♪ 冷やしてストレート、グラスにいっぱいに氷を入れてロック、氷と炭酸水を入れてソーダ割り(焼酎ハイボール)、グラスにお湯を入れてお湯割り、柑橘系���炭酸水を入れて、カクテル、酎ハイ、色々な飲み方が出来ます♪ 皆さん是非、自分好みにアレンジして楽しんでくださいね~♪ ※若潮酒造の焼酎が日本全土 、 全都道府県 に広がるように頑張ります。 ( 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 新潟県 茨城県 群馬県 栃木県 埼玉県 東京都 千葉県 神奈川県 山梨県 長野県 富山県 石川県 福井県 静岡県 愛知県 岐阜県 三重県 大阪府 京都府 滋賀県 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県 ) ★若潮酒造は見学、ツアーも出来ますので皆さん是非若潮酒造に遊びに来て下さいね♪ ( 会社が休みの場合も有りますので、見学に来られる際は事前に御連絡して下さいね。) 若潮酒造株式会社への 商品、見学、ツアー お問い合わせ 若潮酒造電話番号 = 099-472-1185 若潮酒造住所 = 鹿児島県志布志市志布志町安楽215 お気軽にお電話下さい (^^♪ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ #志布志商店街七夕まつり #七夕まつり #志布志市商店街 様 #大慈寺 様 #ぽっぽマルシェ 様 #志布志駅 #山中氏邸 様 #若潮酒造 #焼酎 #志布志市     #株式会社SOL #港湾商工課商工振興係 様 #港湾商工課 様 #志布志駅ぽっぽマルシェ 様 #志布志商店街七夕まつり星に願いを #七夕 #鹿児島県 #志布志 #祭り #まつり     #星に願いを #焼酎好きな人と繋がりたい #飲酒タグラム #sake #酒好きな人と繋がりたい #Shochu #家飲み #ソル #SOL #イベント (大慈寺) https://www.instagram.com/p/CSDraPFL0lU/?utm_medium=tumblr
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geniusbeach · 7 years ago
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香川旅行記
 ゴールデンウィーク後半を使って香川を旅行した。計画したのは出発前日の夜中で、今回のテーマはうどん巡りと温泉だ。私は昨年末に二泊三日で高松、琴平、直島、豊島を巡り、うどん7杯を食べて大満足で帰ったのだが、以来香川のことが忘れられず、また行きたいと思っていたところだった。
 1日目(5月2日)
 午前4時という、朝がひどく苦手な私にとっては信じがたい時刻に友人の車で出発。9時ごろ善通寺に到着し、食べログ一位のうどん屋、長田 in 香の香へ。巨大な駐車場と50mにも及ぶ行列を目の前にして一軒目ながら若干ひるむ。待ち時間を使って宿探しをするも、さすがGWだけあってどこも満室。無計画な私たちも悪いが、10軒ほど電話して空いていたのは一室のみだった。しかし結局宿泊料があまりにも高かったため断念し、並んでいた他のお客さんに健康ランドに泊まれることを教えてもらったので、最悪の場合そこにすることに。一時間弱待った後入店し、釜揚げ大と冷やし大を一杯ずつ注文。各1.5玉で350円だ。つゆはいりことかつおのダシがよく利いており、もちもちの麺からは小麦の香りが強く感じられたいそう美味かった。皆うどんだけ食べてさっさと出るおかげで回転率がかなり良く、11時ごろには食べ終えることができた。
 続いて二軒目のはなや食堂へ。地元に愛されるおばあちゃんのお店といった印象。冷やしとタコ天を注文。うどんは200円、天ぷらは300円と安い。小ぶりなタコを丸々一匹揚げた天ぷらは衣が黄色くふわふわの食感。うどんも無論美味い。食後に宿探しを再開し、栗林公園近くのところに電話するとあっさりOKが出た。電話口の主人の対応が少し気になったが、一人一泊2600円、ガッツポーズだ。せんべい布団でも座布団でも部屋でゆっくり寝られるだけありがたいので、即座に予約した。
 腹ごなしがてら金蔵寺(こんぞうじ)を覗く。お遍路さんが多くおり、皆お堂の前で一心に真言を唱えていた。友人曰く「水曜どうでしょう」に出ていた寺とのことで、ファンである彼の記念写真を撮った。ここに至るまでの道端の電柱には、八十八か所巡りの巡礼者を図案化した標識があった。小さなところにご当地感があってほんわかした。
 次はこんぴらさんにお参りすることに。 暖かくなったのと休暇も重なったことで人がごった返している。登り口にあるアカボシコーヒーで一服してからほぼ休みなしで駆け上がる。中腹では神馬2頭を見た。その隣には大型船のスクリュー(直径6m)とアフリカ象の像があった。前者は94年に今治造船が奉納したそう(今治造船HPより)で、当社が海の神を祀っていることやお座敷遊びのこんぴらふねふねでお馴染みの金比羅船に因むことが予想できたが、後者の意図はわからず、奉納品であれば何でも良いのかと思った。関連するとすれば、この山の名が象頭山であることぐらいか。
 程なくして本宮へ到着し、参拝の列に並ぶ。普段神社で手を合わせる時は何も祈らないようにしているが、今年に入ってからずっと精神が低調なままので、久しぶりに願をかけてみた。神様はこういう時の心のよりどころなのでありがたい。どうか届きますように。今回は、前回その存在を知らなかった奥社まで行こうとしていたが、道が閉鎖されていたためあえなく断念、またまた次回への持ち越しとなった。さて、全785段の石段往復は少々足に応え、途中で石段籠を見かけた時には思わず乗せてくれと言いそうになるくらいだったが、良い運動になったと思えば悪くはない。籠は参拝客の会話によれば片道3000円程だそうだ。乗っていたのはお婆さん、担いでいたのはお爺さんだった。
 麓に下りてから、こんぴらうどん参道店でとり天ぶっかけを食べる。一杯690円だ。二人とも腹が限界で、なぜここまでしてうどんを食べているのかわからなくなっていた。最早それはこの旅のテーマとして設定したうどん巡りの義務感からでしかなかったと言える。満腹中枢が刺激される前に片付けねばならないと、タケル・コバヤシ(※フードファイター)並みの速度でかき込んだ。とり天はジューシーで、麺にはコシがあって美味かったが、胃の圧迫で心臓が止まりそうになり、「うどん死(デス)」という言葉が頭をよぎった。
 疲労が甚だ��かったため、喫茶店でまたも一服。琴平駅周辺には、「カキ三(さん)コーヒー使用」を看板に掲げた店が多くあり、前回の旅行でもそのオタフクソースのパッケージのようなオレンジと黒の色合いに親近感を覚えつつずっと気になっていた。おそらくそのカキ三を使ったであろうアイスコーヒーで意識を保ちながら、風呂にでも入ってリフレッシュしようということに話がまとまり、近くにあったこんぴら温泉湯元八千代へ。屋上に市街が一望できる露天風呂があるのだ。塀が低く、少しでも浴場のへりに近づけば周囲からは丸見えとなる(といっても建物より標高が高い所からだけだが)ため、内心ヒヤヒヤしていたが、やはり最高に気持ち良かった。受付で混浴と聞いて下品な期待もしていたが、二人組の女の子が少し覗いて引き返していったくらいで、終始客は私たちだけであった。なお、内風呂はごく普通の湯船がひとつあるだけだった。
 体力をわずかばかり回復し、瀬戸内の眺望を求めて五色台を目指す。16時半頃、��崎山の展望台に到着し、青空から海へと沈む夕日を眺めた。なんとも雄大なパノラマだ。遠くを見やると、薄水色の瀬戸大橋があやとりの糸のような慎ましさで陸地を繋いでいる。カメラで何枚も写真を撮った。ふと、ここ数日間で覚えた個人的な悲しみに対して、目の前に開けた海は、その豊満な胸で以て私を迎え、倒れ掛かる身体を圧倒的な光景によって生に押し戻してくれているような気がした。そうして下を見れば、山と山に挟まれた湾内の湿地に、草の生い茂る田んぼのようなものが広がっていた。これは木沢塩田跡地といい、秋頃にはアッケシソウという好塩性植物が紅葉することで一帯が赤く染まるそうだ(大崎山園地の説明看板より)。一度そんな不思議な絵を見てみたいと思った。この日は風が非常に強かったため、目だけでなく全身で自然を感じられて嬉しかったが、そのせいで体が冷えたのと日没直前に雲がかかったため、18時半頃に引き上げた。
 高松市内中心部に車で乗り入れ、今宵の宿へ。見るからに怪しげな建物に三友荘という傾いた看板がかかっている。隣の広東料理屋の前に中華系とみられる男が3、4人たむろしており雰囲気が悪い。中に入ると、フロントというよりは雑然と物が置かれた生活スペースが大きく広がっており、その山の中から主人が顔を覗かせて、一言いらっしゃいと言った。それから、かなり雑な態度で駐車場を案内され、やべーところに来てしまった、と思う間もなく会計を済ませて鍵を受け取り3階へ。廊下は廊下で床がはがれていたり、アメニティが散乱していたりとさながらお化け屋敷に入ったような気分になる。部屋に入ると、これまた昭和から時間が止まっていると思われるほど古くカビ臭い和室で、その異様さに一瞬たじろいだ。とにかく寝られれば良いのだと割り切ることにして、外へ風呂に入りに行った。
 車を20分ほど走らせて向かったのは、市内中部にある仏生山温泉だ。前回も訪れて、その泉質と洗練された建築様式が気に入っていた。町の歴史が古いため、ここも昔からあるのかと思いきや、2005年開業と比較的新しい温泉らしい(仏生山温泉FBより)。入浴施設とは思えない白い箱のような建物入り口の外観が特徴だ。中に入ると、ドーンと奥行きのあるシンプルな休憩スペースがお出迎え。端には小洒落た物産品が並んでおり、また壁伝いには文庫本の古本が並べられている。客がひっきりなしに出入りし、脱衣場と浴場はまさに芋の子を洗うような状態であった。なんとか湯船の空いたスペースに身体を沈め、一日で溜まったとは思えないほどの疲れを癒す。とろりとした湯で肌がツルツルになり気持ちが良い。露天風呂のある広い空間は現代的な中庭といった印象で、入浴体験を一段上のものへ引き上げてくれる。インスタレーション的な、「空間そのものに浸かる」といった感じだろうか。内部はそのように隅まで配慮が行き届いており、とても面白く楽しめた。
 さっぱりした後、宿に車を停め、土地の名物である骨付鳥を食べるために歩いて片原町近くの居酒屋蘭丸へ。本当は一鶴という店に行きたかったのだが、長蛇の列を目の前にして断念、ここに並ぶこととした。小一時間ほど待って入店し、とりあえずビールと親鳥・若鳥、それから鰆のタタキ、造り4種盛り、サラダを注文、香川の味覚に舌鼓を打った。特に親鳥は肉がぶりんぶりんの食感で旨味が凝縮されている。スパイシーな和風ローストチキンといった感じで、下戸なのに否が応でもビールが進む。皿にはたっぷりと鶏油が溜まっているが、それにキャベツをつけて食べるとまた美味いのだ。この骨付鳥の他にうどんと言い今日の行程と言い、なかなか歯応えのある旅だと思った。最後に親鳥をもう一皿と焼酎水割り、注いだ先から凍る日本酒を追加し、11時半頃ほろ酔いで宿に戻った。部屋では撮った写真を整理した後、もう一杯酒を飲んでから眠りについた。夜通し風がごうごうと窓を揺らしていた。
2日目(5月3日)
 7時半、なぜか小学校の廊下でスーフィーの集団と象に追われるという夢を見て飛び起きた。昨日神馬の横で象の像を見たせいか。しかしスーフィーは全くわからない。2か月ほど前に蠱惑的なズィクル(※スーフィズムの修行)の動画を見たからなのか。とにかく旅にはふさわしくない目覚め方だ。最近何かに追われる夢をよく見るのだが、おそらく疲れているのだろう。今日もよく眠れなかったようだ。他の理由としては強風もそうだが、宿が高架下にあるため電車が通るたび振動で部屋が揺れるのだ。夜中と朝方に何度か覚醒した気がする。昨日20時間近く活動した身体は、子供騙しのような睡眠では回復しきれなかったようだ。
 さて、今日は9時出発の船に乗り、犬島へ渡る予定だ。重い身体を叩き起こし、さっさと準備を済ませて高松築港へ。船の時間が近づいている。車を停めてから本気ダッシュで駅のそばにあるうどん屋味庄へと向かうも定休日だったため、近くにあったさぬきうどんめりけんやに入る。待ち時間にやきもきしながら冷肉ぶっかけ小を注文。430円だ。しっかり美味い。ここでも前日のごとくモリモリ腹に押し込み約3分で退店。ひょろい男の異常な食いっぷりに他の客は少なからず引いていたことだろうが、そんなことには構っていられない。再度、悪心を催すほどの全力疾走でフェリーの切符売り場へ。出航3分前、なんとか間に合うことができた。やる時はやる男なのだ、私たちは。などという安堵感も束の間、ここで無情にも定員オーバーが告げられる。肩で息をしながら愕然とする私たち。あーやってもうた、としか言えず、無意識に抑え込んでいたであろう胃の中で暴れるうどんに気付き普通に吐きそうになる。ただ次の便でも行けることが判明したことで難を逃れた。そうでなければ危うく待合所の床にBUKKAKEするところであった(読者よごめん)。そんなこんなで泣く泣く次便のチケットを買い、待つ間しばしの休憩タイムとなった。負け惜しみを言わせてもらえば、朝の海を見ながら飲んだコーヒーと吸ったタバコは格別に美味かった。これも良い思い出だ。
 10時過ぎの便に乗り込み、豊島の唐櫃港に到着。レンタルサイクルを借り、次便の出航する家浦港まで急ぐ。豊島美術館に寄ろうとしたが、1時間待ちと聞きパスした。せっかくの機会にもかかわらず無念だ。前回は誰も客がいなかったというのに、やはりGWは恐ろしい。立ち漕ぎで先を急ぐ。山のてっぺんまではギアなしの自転車と寝不足のエンジンにはかなりきつい坂が続いたが、なんとか越えることができた。途中、唐櫃聖水という空海伝説もある井戸に沸く、不思議なほど青々とした水を拝んでから家浦へ。初便に乗ることができていればこのように複雑な乗り継ぎも必要なかったが、私の性格上致し方ない。人生はエクササイズだと考えれば万事ハッピーだ。そうして無事チケットを買い、物産品店を冷かす。豊島の民謡集に熱を感じ、買おうか迷って結局やめた。そしてしばらくして船に乗った。
 13時前に犬島着。昼飯に港すぐの在本商店にて犬島丼なるものを食べた。白飯に甘辛く煮た大根や人参とともに舌平目のミンチを乗せ、甘めの汁をかけた瀬戸内の家庭料理だ。これに舌平目のフライと犬島産テングサを使用したコーヒーゼリーが付いたセットで1000円。どれも田舎風の優しい味わいで満たされた。出てから他の店も覗いてみたが、どこもコーヒーゼリーを出していた。単にさっきの店のデザートというわけではなく、これもご当地グルメのひとつのようだ。
 そしてようやく楽しみにしていた犬島精練所美術館へ。ここはかつて銅の精錬を行っていた跡地で、美術館内部は入り口から出口まで一定方向に自然の風が流れるように設計されているという。詳細は省くが、三島由紀夫の作品がモチーフになっており、意表を突くような仕掛けが多く、かなり強烈な印象を受けた。しかしその中でも悔しかったのが、便器の枯山水と銅製の文字が文章となってぶら下がる部屋があったことだ。この二つは自分の内に展示のアイデアとして全くと言っていいほど同じものを密かに温めていたのに、こんなにも堂々かつ易々と先を越されていた。やはり所詮は人が考えること、どんなにオリジナリティを確信していたとしても結局は似てしまうのだ。しかしちゃんと形にした人はすごいし、その点素直にあっぱれと言いたい。やや興奮した状態のまま外に出て周辺を散策する。レンガ造りの廃墟にノスタルジーを感じ、その歴史を想像した。少し歩いて砂浜へ行き、海を眺める。風が強いので瀬戸内の海といえど波が高く荒れていた。夏に来て本来の穏やかさを取り戻した海を一度泳いでみたい。その後、定紋石や家プロジェクトという名のギャラリー数軒を見て回る。F邸にあった名和晃平「Biota (Fauna/Flora)」が個人的にグッと来た。発生は常に見えない、と私は詩に書いたことがあるが、言いたいことがそのまま形になっていた。2つの小部屋にはそれぞれ植物相と動物相のバイオモーフィックなモニュメントが数点あった。シンプルな発想ながらそこから湧き出す観念とイメージ喚起力の豊かさに驚かされた。創作において見習いたい点だ。
 船の時間が迫っていたため、港まで早歩きで向かった。全体的に時間の流れがゆるやかで静かな島であった。ここからは直島を経由して高松まで戻る。船内では景色も見ずに二人で眠りこけていた。直島に着くぞ、との声で飛び起き、本村港のチケット売り場へ猛然と走る。乗り継ぎ便が10分後に出るためだ。しかしここでも昨日と同じく定員オーバー、30分後に出る次便を待つこととなった。大型フェリーの前にはゆうに200mを超える列ができており、この島の人気の高さが伺える。そうして、ふと並んでいる時に自分のカバンが思ったより軽いことに気が付いた。はてなと思い中を探るとカメラがない。目の前が真っ白になった。置いてきたのは犬島か、船の中か、それとも盗られたか。考える間もなく、カメラ忘れた! と友人に叫びながら乗ってきた高速船乗り場へとダッシュした。出航していたらどうしようかと思ったが、一条の光が見えた。まだ停泊したままだったのだ。息も絶え絶えに駆け寄る私を見た人民服風の上下を着た船員が、カメラの忘れ物ですかあと声を上げる。良かった。あったのだ。すみませんでしたあ! と謝って相棒を受け取る。ほっと胸をなでおろした。どうやら寝ぼけて置き去りにしていたようだ。私は普段���まりものをなくさないので、こういう時必死に探して見つからなければひどく狼狽してしまう。特にカメラのような高価なものだとその後の旅に影響が出るほどだったのではないかと思う。今回は本当にラッキーだった。友人に詫びてから並び直し、島を後に。航行中は展望デッキからモノクロで日を撮った。夜のような昼の写真が撮れた。
 16時頃高松に着いた。後は帰るのみだ。最後にご飯を食べようということで、屋島を過ぎたところにあるうどん本陣山田屋本店へ。大きな屋敷を改築した店構えは壮観だ。本陣と名付くのは屋島の合戦ゆえか。前回の旅で、仏生山で終電を亡くした時に乗ったタクシーの運転手が、うどんならここらが本場だと言っていたため期待度が高まる。ざるぶっかけと上天丼を注文。うどんは570円、丼は720円だ。麺はもちもちとしており、良い塩梅にダシの利いたつゆと絡んですこぶる美味い。天丼にはサクサクの天ぷらがこれでもかと乗っており、ご飯が足りないほどだ。今流行りのロカボの逆を行く、ハイカーボダイエットにより思考が停止するほどの満腹感が得られた。これでコシの強いうどんともお別れかと思うと寂しい。京都の柔いうどんも薄味のダシがしみて美味いのだが、やはり一度讃岐のものを食べると物足りなく感じる。またすぐにでも来よう。次はざっくりと計画を立てて。それでは、さようなら香川。
 高速道路は予想通りところどころで渋滞が起こっていた。運転は最初から最後まで友人に任せっぱなしだったため大変な苦労を掛けた。ここに感謝したい。約5時間かけて京都に到着。0時半頃に岡崎で蛸安のたこ焼きを食べた。京都の味だ。ようやくカーボ地獄から抜け出すことができたと二人して喜んでいたが、よく考えなくともたこ焼きは炭水化物であった。うどんのオーバードーズのせいで腹だけでなく思考能力さえもやられてしまったようだ。喫茶店はなふさでマンデリンを飲み、旅費の精算をして解散となった。
 今回の旅も、弾丸(もはや散弾)にしてはうまくいった方ではないだろうか。休みに行ったのか疲れに行ったのかわからないが、気を紛らわすには最適な強行軍であった。うどんは5杯も食べられたし、その他のグルメも満喫できた。全ては偶然尽くしだったが、無計画だからこそ楽しめたものもある。私の場合は、ある程度見たいところを決めるだけで、そこに行っても行かなくても良いのだ。というよりはその方が楽だから、皆そうすればいいのにと思う。そこには予想もしない出会いがきっと多くあるはずだ。ただ、GWの人出を完全に舐めていたため、宿に関してだけは事前予約の必要性を痛感した。あと、食べ過ぎは単純に苦しいのであまりおすすめない。今回の旅でもうしばらくうどんは結構だ。などと思いつつ、翌日の昼には冷凍うどんを食べていた。どうやら脳までうどんになっていたようだ。しかし季節はそろそろ梅雨(つゆ)に入るので、ある意味おあつらえ向きなのかもしれない。
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spst-haru · 4 years ago
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[ 荒波のなか ] . . . 押し寄せる荒波のなか、 静かに佇む 二見浦の夫婦岩。 . . . ==================== 📸 2019.12 Futami Okitama Jinja, Ise, Mie . Nikon D5300 ⛩🌊⛩🌊⛩🌊⛩🌊⛩ ==================== . . . #japan #mie #ise #futamiura #futamiokitamajinja #futamiura_meotoiwa #futamiokitamajinja_meotoiwa #meotoiwa #futamiura_sea #futamiokitamajinja_sea #futamiura_eveningsky #futamiokitamajinja_eveningsky #三重 #伊勢 #二見浦 #二見興玉神社 #二見浦_夫婦岩 #二見興玉神社_夫婦岩 #夫婦岩 #二見浦_海 #二見興玉神社_海 #二見浦_夕空 #二見興玉神社_夕空 #押し寄せる荒波 #waves_rushing #adobephotshoplightroom #nikond5300 #instagram #photo #photography (二見興玉神社) https://www.instagram.com/p/CMXICbwgs4U/?igshid=5za6t1hqzt4w
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judachigeiju · 7 years ago
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二〇〇八年の断片集
これは二〇〇八年の断片を集めたもの。二十三歳から二十四歳の記録。二〇〇九年の断片集もある。
七月
何も読まない人は幸いだ。
眼鏡をかけないとほとんどの女性は美人に見える。
金持ちも貧乏人も、感じられる幸せの容量は同じだ。
長く話す人は思慮が無く、短く話す人は愚鈍である。
法律が増えれば増えるほど犯罪は増える。
男は学問をしないと莫迦になる。女は学問をすると莫迦になる。
真面目に生きようとすればするほど不真面目に生きざるをえなくなる。不真面目に生きようとすれば人は自然と真面目になる。
八月
同期の女の子たちが下宿に来たとき、大きな蜘蛛を見つけ、「早くやっつけなきゃ」と言った。でも私は殺さなかった。全ての命は尊い。だからこそ、それを奪うには快楽を求める心が必要だ。恨みや嫌悪感や投げやりな心で命を奪ってはならない。それが命への礼である。
駅前に昼飯を食べに行って戻る途中で中学生くらいの見知らぬ少女に「こんにちは」と挨拶をされて、私は「おっーす」と返事をした。よく日焼けしてぽっちゃりとした女の子だった。記憶にない。
女性の先輩職員。良く言えば女性的、悪く言えば女性的。
大いなる誤算。知的障害児に興味はあったし、今でも興味はある。しかしそれは文学的な興味であって療育への興味ではない。
もし私が心から愛する女性がいるとすれば千人の男に抱かれた十四歳。
人生は無為だ。日本全土を巡る放浪の旅をするか、インドネシアに移住するか。
日々の生活に倦怠を感じたら何かを創作して形に残す。物語でも、絵画でも、音楽でも。それが子供である必要はない。
もっと野菜を食べよう
電車内での痴漢がなぜ罰せられるのかというと、痴漢は数百円から数千円で買うべき「服の上からの臀部の愛撫」や「下半身への性器の擦りつけ」などといった行為を無銭で楽しもうとしたからだ。すなわち痴漢は窃盗と同じ種の犯罪である。同じ理由で強姦も強盗と同じ種の犯罪であろう。
もし誰かが他の人に「あなたの好きなタイプは何?」と質問した場合、質問者は、回答者が異性のあるタイプ(イデア)を追求するために異性とつき合うもののだと予め規定してしまっている。実際には様々な異性の違いを楽しむために異性とつき合う人がいるというのに。そういう人間にとって「好きなタイプ」を定めてしまうことは無意味で味気のない行為だ。例えば私が「好きなタイプは?」と聞かれて「双子」と答えるのも双子の微妙な違いが好きだからに他ならない。
聞いた話によれば博多は結婚適齢期の独身女性が同年代の男性より多く、若い女性にとっての激戦区だという。或いは独身志向が強いのか。
男は、彼自身に興味のある女を賢いと思い、彼自身ではなく他の男に興味のある女を愚かだと見なす。だから全ての女を愚かだと断定する男は、どの女にも好かれていない、と思い込んでいるのだ。
私は他人の肉体を物質としか見なせない。例えば美女の肉体は何か貴重な物質であり、臭い男の肉体は何か臭い物質である。舌、唇、鼻、耳朶、乳首、陰唇、いずれの他人の肉片も博物館に保管されてしまう。
もし婚約者が元娼婦であっても結婚を完遂できる原動力が真実の愛だとしたら、私は純潔の処女ですら愛さない。
私は思う。仕事が嫌であればあるほど休暇の浮遊感は大きくなる。これは余暇を楽しむ為だけに労働している私にとって、都合の良いことではないか。まとまった休みが定期的にとれて、しかもその余暇が楽しいとしたらこれほど私に合っている仕事は無いんじゃなかろうか、と。
久しぶりに共感できる主人公トマーシュを見出すことができた。彼のように軽く生きたい、その軽さに耐えられないくらいまでに。
どんな社会体制であろうと、それが大勢の人間が集う社会という形式をとる限り、それに馴染めない人間が必ず存在する。そんな人間がとりうる手段は二つ。浮遊するか、絶望するか。あらゆる革命と変革は彼らとは無関係に為されている。
多くの若手経営者は織田信長を崇拝するが、そのうちほとんどの経営者は信長的人物を社員として採用しない。
職場の上司であるA係長は「結婚相手は妥協で選ぶな」と言うが、彼は自分が妥協で選ばれたかもしれない可能性を全く考慮していない凄い奴だ。
文学は少年期の私をどうしようもなく破滅せしめ、青年期においてどん底より救いたもうた。
女性と一緒の職場で、かなり動く仕事なので、よく乳房を触る。私は謝らない、気付かないふりをする。女性が「すいません」と謝ると惚けた顔をして軽く会釈を返す。
娼婦を尊敬できない男はあらゆる女を尊敬できない。
理想の老後。自営業か自由業で京都近郊に住む。東京近郊に、離婚した最初の妻との間に作った娘が夫と住んでいる。一年に一回だけ、娘を訪れる。私は彼女の子供たちから「京都のおじちゃん」と呼ばれ不思議がられている。というのも彼らにとっては三人目の祖父だから。週に一度、五條楽園に赴く。月に一度、長旅に出る。読書は欠かさない。
子供が欲しい、と私が思うときに浮かぶ光景は、一ヶ月に一度、裁判所が許可した時間だけ、まだ幼い娘か息子とレストランで会食し、帰り際にすぐ飽きられることが分かっている玩具を贈る場面。娘であればベッドに並んで忘れ去られる熊のぬいぐるみ。「何であのおじちゃんは熊さんのぬいぐるみばっかりくれるの?」小学生に上がったら絵本にしようかな。
もし私に、成人して未だに童貞の息子がいれば、かつてボルヘスの父がしたように、売春宿へ息子を送ろう。そんな理想の家庭を思い浮かべる。
恥骨が痛い。
美女や美少女をよく見かける街は美人が多いのではない。女性が街を歩いても安全な街なのだ。
人間が知覚できる事象はこの世界の極僅かなことに過ぎない。感覚が鋭敏であればあるほど、その人の知覚世界はより色彩に溢れ音楽に満ちて起伏に富み揺らぎ歪み傾いでいる。現代人が霊的存在について余り語らないのは、現代生活が感覚を鈍くさせているからだ。しかし火はいつまでも物質の揺らぎ、すなわちこの知覚世界の裏側に干渉し続けている。人よ、火を燃やせ、世界を超越せよ。
既に自分が正気と呼ばれるものを喪い、狂気の領域にあることを、数年前から薄々と気付いている。
職場での私は人生の裏を生き、休暇中での私は人生の表を生きる。
私は女性と議論をしない。いくら言葉を交換しても、お互いの思想と志向の違いを再認識するだけだからだ。そしてその段階に至った場合、私はその違いを知ることに興味が持てない。だから私は言う「女性と交換すべきは言葉ではなく、体液のみ」
今一番やりたいこと、中学生のときからの夢。どこからか女児を捕獲してきて、押し入れの中で飼育、調教し、優れた女性に育て上げること。
人間存在の悲劇を噛み締めた。
九月
福祉業は風俗業と同じで、水のような商売である。仕事の結果は形にならずに流れていき、客の記憶の中にだけ残るのだ。
新入社員の陥り易い思想的誤りは、自分に上司を殺害する権利があると思い込むこと。
法律で私の体を罰することができても、私の魂までは罰することができない。
今の仕事を続けるくらいなら、一九四五年四月初頭に大ベルリン防衛地域司令官に任命された方がましだ。
給料とは、働いたがために心を蝕むようになった苦しみと失った幾らかの正気の代償として労働者が得る金銭のこと、サラリー。
子宮のない女性は男性にとって「性の試験管」である。
中絶禁止も同性愛禁止も獣姦禁止も自慰禁止も旧約聖書創世記第三十八章第九節でのオナンの行為に対する第十節での主の怒りに由来する。しかし、人類はもう子種の浪費を許されるほどに殖えたのではないだろうか?
放浪の旅に出たい。
白地で絵は描かない。すべて黒地の上に描く。
若いときの苦労と快楽は買ってでもせよ。
もし私と結婚して離婚を言い出さない女がいたら、私は彼女の理性を疑う。
「今朝は強姦したかい?」が朝の挨拶代わりになるような都市。その都市でそう挨拶されたのなら私は快活に答えよう「ああ、今朝は女児を二人だけだ」
男根のない男性は女性にとって「お払い箱」だ。
中学生のころはサド侯爵の書く小説の倒錯的な場面を読んでよく興奮したものだが、今読み返してみて、その哲学的記述には感心するが、倒錯性は何も感じなくなってしまった。すなわち、勃たないのだ。
三日に一度は射精しないと健康に悪いそうだ。
女性に懸案事項の説明を請われて私が説明すると、大抵の女性は「私さんは私のせいにした」と非難する。単に私は事実を述べただけなのに女性に内在する被害妄想癖が私を卑怯者に仕立て上げるのだ。ゆえに私は説く「女性と交換すべきは言葉ではなく、体液のみ」
生理痛による発言ならしょうがない。
早稲田大学に通っていたころの記憶が、今は全くない。
私の働くK学園では誕生会と称してその月の誕生者を祝い、誕生カードを送る。先輩職員方はカードに百文字くらいの感動的な文章を綴る。けれど私は、文字は「おたんじょうびおめでとう」と名前くらいで、あとは動物の絵を大きく描く。先輩職員はそれを見て「文字が少なすぎる」と注意する。おかしい。園生は文字が読めないか読めても読み辛い人が殆どなのに、文字を多く書くのは保護者向けに書いているからだ。なんだかんだ偉そうなことを言ったって職員連中は知的障害者のことを考えていないのだ。
産まれるまで気づかなかった。生きることがこんなに大変だったなんて。
少しまともな知能を持っていれば理解できると思うが、この福祉社会は健常者と障害者にとっては生きやすいけれど、その中間に生きる半端者にとってはまことに生きにくい。
放浪に備えて知能指数七十前後の話し方を習得しなければならない。そうすれば同情や施しを得やすくなるだろう。
人の性格はその人の祖先の生業から遺伝を受けると考える。私の祖先は今昔物語にも載せられた鈴鹿峠の山賊であった。すなはち略奪・狩猟・採集・漂泊を生業とする山の民だ。福祉職なんて性分ではない、放浪者こそ最もふさわしい。
職場で大事なことは飲み会や余暇活動などで自分の味方を増やすことであり、それは私が最も苦手とすることだ。むしろ得意とするのは敵を増やすこと。
職場の人間がみな緑色の眼で私を見ている。奴等はまともな人間じゃない。
もしこの学園の職員のまま死んだら、悔やんでも悔やみきれない。
A係長に「やめちまえ!」と罵られたのだから今すぐ辞めても構わないだろう。むしろ辞めた方が有難く思われるはずだ。邪魔な奴がいなくなったと。
「すごい着想力ですね」と言うところを「すごい着床力ですね」と言ってしまった。
失踪を決意した次の日の職場の奴等はなんだか心優しい。
看護婦さんの注射が上手くて、少しも痛くなかった。
心を鬼とせよ。奴等は飢えた猛獣だ。おまえの臀肉を狙っている。
失踪して、日本中の山々を彷徨する。歩兵第三十一聯隊の福島泰蔵大尉が私の師匠だ。
人類は幼形成熟であり全て人類は成形(天使形態)に変態する寸前で死ぬ、という幻想。天使の蝶
地球を覆う現代文明という代物は、依存症ないしは文学的な意味での依存から成立している。
全ての人類が物質的依存から解放され流浪の旅に出た瞬間、現代文明は衰退し、文化とほとんど差の無い放浪文明が萌芽する。
私にとって「衰退」は悪い意味を持たない。なぜなら「進化」と「退化」は「変化」の類義語という認識しか持ちえないからだ。
だって進歩と退歩のどっちがいいかなんて誰にも分からないだろ?
K学園では、遅番勤務上がりの二十二時からミーティングが開かれる。クラスミーティングは三人の担任で開かれ、係長ミーティングは三担任に係長を加えて開かれる。留守録によれば、昨夜ミーティングがあったらしい。でも私はそのことを知らされておらず、その時には疲れ果てて自宅で寝ていた。これが昨今の事態の本質である。同じクラスの先輩職員は新人の私に満足な情報を与えず、それでいて私が「ちゃんとやっていない」と罵るのだ。先輩職員は「分からないことは聞かないとこちらも教えることができません」という態度だが、超能力者でもない私にはいつミーティングが開かれるかなんて知るよしもない。
どいつもこいつも腐りきっている。
九月十五日、新宿駅で下野国住人エーリク氏(「沈黙のソネット」)と出会い、神保町で昼飯を食べて東京駅で別れた。思考する脳と発話する舌の相違の甚だしさが一つの人格を形造る。
たったそのことを理解するだけでこんなにも親しみが湧くというのに。
必ず連絡しよう。
判断を中止してください。理解しようとして下さい。
ひとつの職場やサークルや組織に長くいるということは、陰口を叩かれる人から陰口を叩く人になるということだ。
管理職とは判断しなければならない職務だ。部下の人格さえも、誤解とともに。
仕事をすると人生が色褪せて見える。
曉の空は美しい。夜が怒りと悲しみに溢れていたからこそ
おまえは妊娠したての子宮に夫以外の陰茎を突き立てられて、なんとも思わないのか?
青年は旅の人。道連れは記憶だけ。
映画「Into The Wild」を観た。すなわち「Into The Mind」だった。
新宿を歩く人々は本来の美しさを失っている。
十月
現代文明世界はアリストテレス的人間観の上に立脚している。故に、私��ようにポリス的動物であることを捨てて放浪し無宿、社会常識に則った思考は不可能であるために言語的思考のみを行うことで価値の変造をもくろむ「獣」はやがて排除される。
ただし、ディオゲネス的世界市民主義が台頭するのであれば話は変わってくる。
資本主義の豚どもよ、犬となれ!
犬どもよ、広場で自慰をせよ。
本当にエコを実現したいのであれば、冷蔵庫も車もクーラーもあらゆる文明機器を捨ててディオゲネスのように生きればよい。それ以外のエコは全て偽者のエコだ。
真実のエコは全人類の穏やかなる自殺である。
たぶん、文明機器を捨てた現代人は、亡命先で奴隷マネスに逃げられたディオゲネスのようになるだろう。
「おかしな話だよ、マネスのほうはディオゲネスなしにも生きていけるが、ディオゲネスのほうはマネスなしでは生きていけないだろうとすれば」
文明社会とは人間をひたすらに脆弱な動物にさせる機構だ。もう二度と野生には戻れないほどに。ここでは人間はひたすらにちっぽけになるだけだ。
青年よ、常に己の中の獣を調教しておけ。そしていざという時には牙を剥き、爪を立てて、おまえを侮辱した奴らに目にモノを見せてやれ。
かつて大学時代に海驢という女に言い寄られた季節のことだ。ふと私の中に「あの女に会いたい」という感情が起こった。その感情を確かめるために、私は自慰をした。すると面倒くさくなって余りその女に会いたくなくなった。私は重ねてもう一度自慰をした。すると全く会いたくなくなった。二、三日して袋に種が満ちると再び私の中に「会いたい」という感情が芽生えた。ゆえに私は結論付けた。恋愛とは性欲の文学的表現に過ぎないと。
私と彼女とは違う地平に立つ人間であった。前者は「人間の地平」に立ち、恋愛は蔑ろにしても人間は尊んだ。一方、後者は「恋愛の地平」に立ち、人間は蔑ろにしても恋愛は尊んだ。そのため後者は私にメールで別離を告げた上に自意識過剰な主張を何度も送りつけて来た。彼女流の恋愛観ではそれが至極正しく、真っ当なことのように思えたのだろう。それに対し前者はあくまでも人間としての防衛線を保つことしかできなかった。
彼女は自分の精神的あるいは肉体的欲求を充たすためだけに私を利用したにすぎなかった。そのために「恋愛」という文法を用いた。それに対し、私は人間であるという前提の上に立っていた。ゆえに二つの歯車が歯をあわせることはなかった。
『百年の孤独』のブエンディーア一族は愛なくして繁殖した。一族の最後の者は叔母と甥の近親相姦によって産まれたためにその呪いとして豚のしっぽを持って産まれ、蟻のむさぼるところとなった。しかし百年に及ぶ一族の歴史の中で「豚のしっぽ」は初めて愛によって産まれた子供であった。
『百年の孤独』は単行本を三冊買い、合わせて六回読んだ。私が長編小説をここまで繰り返して読んだのは他に例のないことだ。
琉球美人は琥珀色の肌、引き締まった細い肢体と小顔を特徴とするけれど、秋田美人は朱を散らした色白の肌、ふくよかな肉体と顎先を集約点として突き出た面長を特徴とする。
選びがたく、悩ましい。
一夫一妻婚という制度の発明は多くの人間を罪人とした。つまり、一夫一妻婚という制度を継続する限り、社会は姦淫罪を量産せざるをえないのである。
法律の数だけ、罪がある。
あらゆる家庭の災厄は、一夫一妻婚が生んだ。
一夫一妻婚が形作る「家庭」は、ある種の子供たちにとっての牢獄である。
私にとっても、「家庭」は牢獄だった。
ディオゲネスは人間をよく理解していた。ゆえに彼は結婚を否定した。そして、彼は女性の共有と当然の結論としての子どもの共有を主張した。
女が産んだ赤ん坊の父親が誰か、なんてことはどうでもいいじゃないか。
私は沖縄から奄美に至る航路で、仰向けに寝ながら「死の恐怖」を超越した。超越したとき、肩から背中にかけて熱いモノが走った。目からは涙が溢れ、こめかみを濡らした。
そのとき、私は一度、死んだのである。
「死の恐怖」は小学二年生の私を捕え、十五年に及び、私の心を鷲掴みにして離さなかった。それは常に無感覚への恐怖、偉大なる世界が消滅することへの恐怖であった。
死によって他人が私を忘却するとか、そういったことは恐れなかった。「死への恐怖」はきわめて個人的な問題であった。
死後に感覚があるのならば、人間はその新しい感覚で永遠を生きるだろう。もし、死後に感覚がないのならば、死は何ら思い悩むことではない。マルクス・アウレリウス・アントニヌスの思想の私なりの解釈である。
「死への恐怖」は克服した。しかし、私はまだ完全に「死」んだわけではない。
今までは常に捕われてきた人生だった。これからはこちらが捕える人生である。
蟹田駅で特急に乗り、青函トンネルを通って木古内駅で降りた。すると、もう電車がなかった。しょうがないので駅近くの公民館の前で野宿をした。二十三時に寝て五時に起きた。小雨が降っていて、寒かった。吐く息が白い。
北海道では寝袋の下にアルミシートを敷いて大地に体温を奪われるのを防がないと危険だ。今の寝袋は零下十度まで快眠、零下二十度まで生存できるそうだが、零下二十度でも快眠できるようにしたい。
『闇の左手』の、アイとエストラーベンの氷原越えを復習しよう。
北海道の面積はオーストリーより広く、北海道の人口五六〇万人はデンマークより多く、道内総生産額GDP約二十兆円はマレーシアやチェコよりも大きい。また、道内の陸上兵力は三万七千人でベルギー・ポルトガル・南アフリカ。キューバの陸軍と同規模である。そして道内だけの食料自給率は二百パーセントに届こうとしている。
北海道は数値上では充分に一国として独立できる。独立後の国名はもちろん「アイヌモシリ」、人間の大地。
私は、その大地を歩く。
さすがに放浪する資金に先が見えたので札幌市南区澄川にアパートを借りた。
まだ鍵をもらえない夜に、不動産会社の女性社員が自宅に泊めてくれた。北海道の人はやたらと親切だ。
ちなみに私は女性社員宅で、晩飯を食べてから朝までいびき一つかかずに熟睡していたようだ。
どうやら寝言の癖は治ったらしい。
PHSを買った。
もし宇宙の果てまで行けるという宇宙船があるのならば、地球上で想定しうるあらゆる幸福を諦めてでも、私は宇宙飛行士になる。
そして、私の死体は永遠に宇宙をさまようだろう。
ある人が言っていた「全ての女性は男でふさがっており、あぶれた男は彼女たちの体が空くのを待っている」という感覚を今日、はじめて味わった。
那覇の人と札幌の人は語尾に「さー」をつける。なぜ?
ちなみに私は一日の大半を欲情して過ごし、半日は半勃し、四分の一は勃起している。というのも私の神経はズタズタになっていて、脳が異常なまでに興奮物質を分泌するからだ。
物理的に、私は「狂人」である。ゆえに小学4年生の私を「気が違っている」と評したあの女性教諭は正しかったのだ。
まず買わなくてはいけないのは掃除機、それと便座カバー。
尊大な解釈だが、中学生の私は自分のことを「桁外れの出力で凍結してしまった電算機」に喩えていた。今ならさしずめ「お祓い箱」と喩える。
大した運動もしないのに疲れやすい人というのは、たいてい脳内で体力はおろか生命力さえも過剰消費しているものだ。
ハローワークで調べたところ、私の適職は技能職か芸術家だという��
北海道のスーパーでは玉ねぎとじゃがいもがそれぞれ一個十円で買える。食うのには困らなそうだ。
中古パソコンを買った。ネットを繋げば、さぁさ始まる楽しくも愉快なNEET生活。
野菜を凍らせないために冷蔵庫を買った。
近所の澄川若草公園のベンチに男子高生が腰掛け、女子高生が前から枝垂れかかり、野合していた。北海道はおおらかだ。
夕方になると近所でやたらと陸自将校を見る。昨日は将校さんがスピードくじを買っていた。
今、私の中で福満しげゆきが熱い。
『コレラの時代の愛』を手に取った途端に涙が溢れてきた。さすがガルシア・マルケスである。本を持つ者にも訴えかける。ましてや読む者へは。
宇宙の最果てを超え、宇宙化以前空間の有り様を地球に報告する使命を帯びた超光速航宙船「エスペラント」
推進機関は決まっている。原子力だ。
はてさて、膨張しているという宇宙の辺涯はどのようになっているのだろう?
乗組員は地球に未練のなくなった七人の若者、日本国から二十八歳、タンザニア人男性二十五歳、イスラエル人男性二十三歳、フランス人女性二十七歳、インドネシア人女性二十五歳、ペルー人女性二十二歳、国籍不明少女十九歳。それと修理用ロボット三台。
航宙船の大きさ、全長二四〇メートル、幅三〇メートル。乗組員は訓練により、航宙船を自力で組み立てることが可能である。
船内には恒星熱で駆動する五つの栽培室、三つの畜産室、三つの水槽室があり、その他にも食料加工機が装備されている。船内で半永久的な食料生産が可能である。
凍眠室では肉体を凍結することで老化を遅らせることが出来る。しかし完全に止めることはできない。
この銀河は今、宇宙のどのあたりを漂っているのだろう?
船内の娯楽は様々で、読書・運動・遊戯・音楽・絵画など地球上でできることはほぼ船内でできる。
これは娯楽というより使命に近いが、性交が七日おきに違う相手と行われる。ただし自分の遺伝子を継承した異性とは性交しない。
宇宙化以前空間についての報告書をまとめるのは私の何世代か後の子孫になるだろう。
図書室には地球人類の叡智の集約である五十万冊が書籍と電子文書とで保管されている。
本の記述言語も船内共通語も人工言語である。
乗組員は医療知識を身に付けており、簡単な外科手術なら執刀可能である。また薬剤、輸血用血液も完備されている。
酸素は栽培室や庭園内の植物で生成さ���る。水は使用後に循環、濾過、消毒される。糞尿は堆肥となり栽培室に回される。
トイレ、洗濯、洗浄では水を一切使わない。
航宙船は地球に帰還することはない。可能であれば宇宙化以前世界で居住惑星を見つける。
もし、宇宙膨張説が誤りで、宇宙に果てなどなかったとしたら、彼らの人生の意味とは?
いずれにせよ彼らも他の死者と同じように忘れさられるだけだ。
甜菜の糖度は水に浮かべて量る。
もし私が四十年後、人生について語るとすれば、「人生は語りえないこと」と「人生を語るのは恥さらし以外の何物でもないこと」を語るだろう。
大朋めがね、最高。
よく映画などで「この街に知り合いは誰もいない」なんて主人公が出てくるけれど、今の私がそれだ。
「マシニスト」はけっこう凄い映画。
昼下がりの真駒内公園は心地好いが、日が翳ると寒い。
カレーはインド人にとっての味噌汁である。
私の安アパートの一階には若い女が二人の幼女と住んでいる。1Rに女三人、そして幼女のうちの一人は養護学校に通っている。見たところ知的障害ではない、身体的な障害だと思う。
私は酒を飲まないし、酒が嫌いだけれど、時々飲みたくなる酒がある。一つは黄酒、もう一つはサングリア。そして大抵すぐ飽きる。
ローマ帝国時代は葡萄酒を水割りしないで飲むことは下品なことだった。
葡萄酒一に対し蜜柑果汁を三か四の比率で混ぜ、小さく切ったバナナを入れて冷蔵庫で冷やして飲む。これが我流サングリア。底に残ったバナナが一番おいしい。
日本の宗教、寺院や神社が信仰を失った理由は落ち着いて座れる場を市民に提供しなかったからだ。私もそうだが、現代の若者で休日に仏前や神前の座敷へ行き、無料で何時間も座っていられる者は何人いるだろうか?
ポテトチップスを食べながら歩いていたら四羽の烏が数キロメートルも私の跡をつけてきて、途中で烏同士の縄張り争いが始まった。ブランコに乗った女児が、烏の襲撃から走って逃げる私を見て笑っていた。
まだ仕事が決まらない。やはり職業適性診断システムの通り、「工」のつく職業を目指した方がいいのだろうか?
そうだ。私は稼業に生き甲斐は求めないのだから、工場の歯車になることに悔いはない 。
そういえば、小学生のころの放課後は主に炬燵で横になってテレビを見ていた。学校生活で甚だしく疲労していたのだ。
人と向き合う仕事ではどうしても甚だしく疲労せざるをえない。
近所から藻岩山が見えるけれど、どうやらそこで初雪が観測されたらしい。もう札幌は冬だ。
こんな自堕落な生活がいつまで続くのだろう?
「命の続く限りだ」
日能研札幌が私に試練を与えた。小学五年生のテキストを使って模擬授業をして、出来が良ければ私を雇うというのだ。
真冬日の存在にびびり、紅衛兵が被るような帽子と電気ストーブを買った。
夜間の水抜きは十二月から始めよう。
札幌市中央図書館へ行く。蔵書は充分ではないものの悪くはない。
岩明均は古代ギリシャ世界に主題を置いている。塩野七生は中世イタリアが主題だった。赤羊は十九世紀のヨーロッパに主眼を置いているという。私も時代と地域を特定した主題があるといいなぁと思っているけれど特に思い浮かばない。
まぁ私には「帝国」という物語世界があるし。
敢えて言うなら、二十世紀エスペラント運動に携わった奇特人を取り上げると面白そうだ。
母の私への愛情が、一般の母子愛のようなものではなく、所謂「共依存」の一方通行であるならば、これまでの二十四年弱を説明しやすくなる。
十一月
戦争がなくて女性を共有できて食べる物に困らず各成人に満足な住居が割り当てられ、言論と思想と信教の自由がそこそこあり、働けば働いた分だけ暮らすのに困らない給料を貰えて老後は年金が保証され、学費と医療費が無料の国。それが私の政治的目的だ。
つまり空想的社会主義。
それと人類人主義だか世界市民主義だかよく分けられない個人のあり方が私の基幹思想だ。
よって、ここに「空想的社会主義人類人党」を掲げる!
政権交代は選挙によるもの、そして政体の転換は民主的な投票によるものが好ましい。
思想を根拠とした暴力と殺害は厳しく禁止する。
キリスト教的異性独占行為である結婚制を廃止し、十八歳以上の労働者あるいは学生である男女が抽選で定められた相手と三日毎に共同交配所で生殖行為をする交配制を敷く。妊娠から出産までは人類人政府が完全に支援し、交配に因って誕生した父親不明の子どもたちは人類人政府が「人類の子どもたち」(filoj de homaro)として十八歳まで養育する。ただし母親は六歳まで自分の子どもを育てる権利を有する。もちろん義務ではないので育児放棄も可能だ。
同性愛者は「特殊交配所」を利用できる。
「人類の子どもたち」への教育は「人類人主義」(homaranismo)と「性欲の賛美」に基づいて行われる。
資本主義的異性寡占行為である恋愛の宣伝行為や過剰な恋愛賛美は個人的な趣味と芸術的表現以外ではこれを制限する。
いかなる場所であっても人類人は抽選で定められた相手以外の人類人との性交を禁止される。十三歳以上十八歳未満同士の性交、及び十三歳以上十八歳未満の「人類の子どもたち」と人類人との性交は性欲の解消と自己存在の確立のための行為としてこれを許可する。
すべての人類人は共同食堂を有する共同住宅が付与され、その見返りとして都市部では共同職場、近郊部では共同工場、農村部では共同農場にて労働する義務がある。
労働には対価として報酬と七十歳以降(もしくは退労勧告後)の年金が共通通貨ステーロ(stelo)で、そして交配する権利が与えられる。労働者及び退労者は医療費が無料である。
十八歳で全ての「人類の子どもたち」は人類人となる。人類人になった次の一月から、人類人は希望とそれまでの学校成績、そして試験を考慮した上で各種大学校に入学できる。そこで四年間、学問或いは職業訓練などに励む。学費は無償。もちろん、大学校に通わずそのまま労働者となる選択もある。
共同住宅での居住が困難な各種障害者は共同食堂を有する共同施設に入所でき、施設付属の工場や農場での労働を行うことによって労働者と同じく報酬と年金を得ることができる。もちろん交配する権利も与えられ、その対象は障害の程度により共同施設内の異性と施設外の異性とに分けられる。
刑務所では付属の工場や農場で労働している者に限り報酬と年金、そして刑務所内の異性と交配する権利が与えられる。
共同交配所は感染症の恐れがない限り、病院の患者も利用できる。
全ての「人類の子どもたち」はエスペラントを国際補助語として学ぶ。また全ての「人類の子どもたち」は各人の母語によって教育される権利を有し、母語による教師のいない学科は国際補助語エスペラントで教育される。第一外国語、第二外国語以下の外国語は個人の選択によって決定される。
共同住宅は一棟につき三十~五十戸(三十人から五十人)を収容し、共同住宅が十棟前後集まって一つの島を形成する。そして島が幾つか集まって区が形成され、区が幾つか集まって行政単位として、都市部の市、近郊部の町、農村部の村が形成される。区が設けられない場合もある。共同交配所は島単位で運営される。
人類人政府が統治する領域内で、島から島への移動は自由である。すなわち「空想的社会主義人類人共和国、日本群島」東京市世田谷区第三粕谷島第五棟第二十三号から「空想的社会主義人類人共和国、パリ盆地」パリ市第三区第十八島第一棟第十二号への移住は共同住宅の空きさえあれば誰でも可能である。必要なのは法律的処理と引越し作業だけだ。
移住先での行政サービスは母語で行われる。不可能な場合はエスペラントが用いられる。そのため人類人政府が統治する領域であれば善き人類人はどの共和国のどの島へ行っても行政サービスの内容を理解することができる。またどの人類人政府でも共通通貨ステーロ(stelo)が用いられているので、身元証明書と共通通貨を携帯していれば人類人はどの人類人政府へも簡単に旅行することができる。
死ぬと遺体は共同墓地に葬られる。遺産は全て人類人政府が没収し、家財道具は再利用される。
地球があますことなく全て空想的社会主義人類人共和国によって統治されたとき、(自己主張が激しく自意識過剰な反体制者どもは未だに音楽やテロで抵抗しているのだろうが)現生人類は己の種族の性欲の激しさに驚くことだろう。
複十字健診センターで肺のレントゲン写真を撮った。
私は中一から中三までツベルクリン反応は全て陰性で、そのためにひどく膿の出る注射を六回射った。
体育祭の度に注射されたところが膿んでぐちゅぐちゅになるので、体育祭の練習は嫌いだった。
それほど嫌な思いをしたのに、結核にかかっていたら笑える。
子規も啄木も同じ鳥のことを表す漢字だ。その鳥の口の中は赤い。
まるで結核患者の吐血のように。
札幌の地下鉄には網棚がない。
私は幼稚園に年中組から入った。そして最初の登園日に幼稚園のおもちゃを家に持って帰った。もちろん私に悪気はない。誰も「持って帰っちゃダメ」とは言わなくて、家でもそのおもちゃで遊びたかったから持って帰ったのだ。
私はそういう子どもだったし、今も多分にそういう人間だ。これを我が儘と呼ぶのは勝手だが、私は自身を「暗黙の了解のわからない人種」だと解釈している。
悪いのは「暗くて黙っているのになぜか了解している人種」だ。黙っていないで話せばいいのに。
シャルル・フーリエの『四運動の理論』を読み始めた。愉快だ。
十二月
買ってあったのに神聖なるアスパラガスを食べ忘れていたため、尿が臭い。
北海道の靴底は内地と違うらしい。
鶏の心臓と肝臓が半額だったので臓物カレーを作った。まずかったし、臓物である必要性がなかった。
半月弱だけ働いた九月分の給料が六万円だけ振り込まれていた。時給制の契約社員だから当然だが、奇特なことよ。
それでドミノピザを頼んだら、配達員が茶髪で小柄で猫を連想させる女の子、アキモトさんだった。お釣りを数える指先のたどたどしさがバイト経験の薄さを物語っている。思わず「ゆっくりでいいよ」「ご苦労様」などと優しい声をかけてしまった。
これが逆の立場であれば、私はアキモトさんの食べるであろうピッツァの上に己の白濁精子をバタァの如く振りかけたであろうに。
水商売とは「やったことが形に残らず水のように流れていく商売・仕事」の意である。
「福祉業は水商売なんです」と某知的障害児施設の幹部が言っていた。
かつて医師であった渡辺淳一が小説家になると決めたとき、母に「そんな水商売はやめなさい」と言われたという。
しかしよく考えれば、小説家の仕事は文章という形で残される。もし医師が医学研究を行わなければ、接客業である医師の方こそ水商売である。
水商売と非水商売のと境界は生産物の永続性や仕事の複数性について思考せざるをえず、曖昧である。ゆえに水商売の定義は難しく、渡辺淳一の例のように単なる負の意味を持つ言葉としてしか使われていない。
第三次産業はそもそも水商売である。
映画「レッドクリフ」を観た。「赤壁」に非ず。
九月までハリウッドのアクション映画だろうと私が思っていたのは事実だ。
蜀三将が強すぎて、かつ格好良すぎる。
官渡の戦いと赤壁の戦いは三国志の二大盛り場だけれど、まだ三国鼎立はなっていないんだよね。小学生のころは赤壁の戦い時の情勢がよくわかっていなかった。
中村師童(甘寧)が頑張っていた。
八卦陣には身震いがした。
規制が入って乳房は映せない。
前半は戦闘と外交の連続で、主線の通っていない名場面の羅列映画、すなわち駄作かな?と思ったけれど、お茶の場面で一本の線がすうっと引かれた。
赤壁の戦いは三国志版トロイ戦争だったのだ。
趙薇(尚香)の演技が浮いている。喜劇向きだな。
一番良かった場面は、次回の予告。次の主題は火と風だ。
この映画を観たあとの私なら一騎当千である。
滑舌が余りよくないので「公序良俗」と言おうとすると「公女凌辱」となってしまう。
ネットに繋がっていないパソコンはただのゲーム機だ。
電話窓口「私さまは、テレビの地上デジタル移行への対策はどのようになさっておいででしょうか?」 、私「テレビを買わないようにしています」
夜の狸小路は面白い。
まだ二十代も前半なのに、新しいことを始めるのにさえ「腰が重い」とは。
負けたいと願う心は知りたいと願う心である。
小麦は米より必須アミノ酸の量が格段に少ないので、パンだけで必要な栄養を摂るのは難しく、どうしても肉が必要になるのだ。
逆に言えば米は必須アミノ酸を多く含むので、一日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べただけで栄養は充分なのだ。
日本人女性が段々と痩せ形になったのは食事の洋風化のお蔭なのだ。
中古冷蔵庫のホース接続部から水が漏れるので調べたら、ゴムが弱くなっていた。仕方ないのでヨドバシカメラで四七二円の替えを買って付け直した。
じゃがいもを四つに切ってサランラップでくるみ、七五〇Wで三分チン。それにマヨネーズと青海苔をかけたものを小腹がすいたら食べている。二キログラムを一九八円とかで売るのが悪い。
札幌の良いところ。東急ハンズとハローワークとブックオフとヨドバシカメラとアニメイトととらのあなとメロンブックスと紀伊國屋書店とドンキホーテとダイソーがお互い歩いて行ける距離にあること。(毎日一巡している)なのに人通りが渋谷や秋葉原よりも少ないこと。
そういえば、私が高校二年生のときはアニメイトとメロンブックスは狸小路の雑居ビルの二階にあったような気がする。
時計台はいつ見てもしょぼい。でも旧北海道庁は素晴らしい。
奄美大島もそうだったけれど母娘や母子をよく見掛ける。
朝起きて、今朝は特にしばれるさーと思ったら、粉雪が降ってたさー。
藻岩山の山頂付近に雪が積もっていた。風が吹くと皮膚に刃を当てたように冷たい。
昼になると雪の粒が大きくなって降りしきる。この分だと積もりそう。藻岩山が見えなくなった。
昼過ぎにはまた粉雪に戻った。
ローマ教会は一二八二年に全シチリア島民を破門したことがある。
ガブリエル・ガルシア・マルケスの登場人物は名を替えてあちこちにいる。
ガブリエル・ガルシア・マルケスはノーベル賞受賞講演中に、スペイン語文法の単純化と文法規則の人間化、そして正字法の撤廃を訴えた。
今日、たい焼きを食い逃げした女の子に体当たりされたような感覚を味わった。
国際補助語エスペラントを図書館で借りた入門テキストで復習している。新たな発見もあり奥深い。 ベネズエラの正式名称は「ベネズエラ・ボリバル共和国」である。
将来日本で福祉戦争が起こる。福祉をする側(貧困層)と福祉をされる側(富裕層)の間の闘争だ。
大学二年生のころ、札幌市北区出身の友人が「そのゼミの先輩の彼女は風俗嬢なんだよ」と馬鹿にしたように言っていた。確か業種はヘルスだったと思う。
私はしかし生粋の文学青年であったので、その先輩は「本物の愛とは何かを知る男」だと感心したものだった。
世に云う恋愛には三種ある。一に肉体的征服感、二に精神的連携、三に依存。いずれも正しい。
女性や青年はこれら三種に序列をつけたがるが、本能より出る感情ではない。
もし恋人が風俗嬢の場合、肉体的征服感を主とする者は悶え苦しみ、精神的連携を主とする者は仕事を応援し、依存する者は依存し続けるだろう。
江戸時代、豪商や文人は吉原の高級娼婦を正妻に身請けしたし、仏蘭西にも『椿姫』という高級娼婦との恋愛を描いた小説がある。
何も人生は女性のために生きるのではなく、自分自身のために生きるのだから先進的な近代人たちはあまり妻の過去や職業にこだわらなかったのだ。
ましてや現代人をば。
札幌で諸兄が遊ぶとしたら薄野ではなく、南六条東三丁目の交差点を豊平橋の方へ行って右手にある二つの会館はどうだろう。
少なくともその豊平川沿いの会館群は十九時くらいから薄野の風俗店が閉まる〇時以降も午前三時まで営業している。脱法営業だからだ。今日までなら行くことはないけれど、明日の幕開けとともに始まった空白の三時間でなら行く価値はある。
カネマツ会館と五条東会館とあり、黄色地の看板で飾ってあるのですぐ分かる。共に二階建平屋風となっていて中には小さな飲み屋が軒を連ねている。
坂口安吾は高校生のときに読んで挫折したが、さもありなん。小僧っ子にはわからんさ。
手に職じゃないけれど前の住居からアクリルガッシュを持ってきたのでアクリル画を再開した。
私は全て絵画は部屋の装飾のために描かれると信じ、絵画による自己表現というものを信用していない。
掛軸はそもそも飾るものであるし、ルネッサンス期のアトリエでは壁画を製作していた。
絵画は装飾品であるからこそ芸術であり、美術なのだ。
私の部屋には本棚がなく、また買わない予定であるから、寂しい白壁が広く空いているのだ。
街のあちこちに水色の函がおかれ、滑り止めの砂が満載だ。冬支度である。
これは「常に凡ゆる断片」
私の現在の研修生という立場は気楽だ。職場へ行く義務はない、しかし職場へ行って研修するとただ呆っと座っていただけでも給料が出る。七時間いれば日給は一万を超すが残念なことに交通費は出ない。
結局、履歴書を出して面接したところ、全てに受かっていた。
大学五年間で一度も病院にかからなかったし、四、五年生のときは特に無病息災だった。それは生活が閉塞的であったからだ。しかし小学生どもと触れ合う職場ではいつ伝染されるか怖くて堪らない。
結核ではないことを証明しなければならない。
ミニシアター系の映画は気取った芸術学生や頭の悪い女子大生が「こんな映画を観る自分っておしゃれ!」と観るものと相場が決まっているが、私も観る。今日はシアターキノで「敵こそ、我が友」を観た。
私はフランス人気質でフランス映画がよく合うので、フランス映画を多く上映するシアターキノは選ぶ苦労がない。
政治はえげつない。民主制であろうが、独裁制であろうが国家が人間の集合体である限り、醜い。
クラウス・バルビーは残忍な性格だったろう。しかし悪だったのだろうか? 悪とはきっと温和な性格をしていると思う。
風呂に入らないまでも足だけでもお湯に浸らせるだけで眠り心地が全然違う。
北海道では小学生でも棒を「ぼっこ」、唐揚げを「ざんぎ」と言う。
電車を「汽車」と言うのは分かる。というのは汽車と呼んでいた時代と今とで利便はほぼ同じだし、電車は山手線や京王線こそが呼ばれるに相応しい。
職場を二十一時に出発し歩いて自宅まで帰ると一時間半でつく。もちろん手袋、帽子(フード)、マフラーは必要だが。
「かたわ少女」という障害者の女の子を攻略するゲームが海外で製作中らしい。
しかし知的障害児が登場しないのが残念だ。白痴少女は萌えるのに。
男は女が弱い立場にあるときだけ、女を守ろうとするし、大切にして真剣に愛そうとする。
それは彼女たちが「この人がいないとこの先自分を愛してくれる男が現れないかもしれ��い」と不安に思っていることを男が知っているからだ。
男は女が自分より弱い位置に立っていないと安心できない。
というのは男は、一度男を知った女は男なしではいられないこと、そして女は常に男を乗り換える機会を伺っていることを知っているからだ。
女にとって男は靴と同じである。足裏は一度靴になれると直接地面を踏む痛さには耐えられないし、履き古した靴は履き替えたいと思うだろう。あるいはまだ新しくても見栄のために違う靴を物色したりする。それにサイズが大き過ぎてもダメだし、小さ過ぎてもダメだ。
だから、賢明な男は、いわゆるまともで競争相手のいそうな女は遊び感覚でしかつきあわないのだ。
つまり、障害を持つ少女或いは女性というのは現代社会では稀に見る「愛され女」なのだ。
死は恐れるに足らず。人間は死なない。なぜなら死ねば人間ではなくなるから。
怒るな、褒めよ。大事なことはチンパンジーが教えてくれる。
日本の大衆文化が幼稚なのは、大衆文化を形成するための大衆、つまり充分に余暇のある人々が生徒と学生に限られていて、成熟した大人は仕事に追われて忙しく文化どころじゃないからだ。
すると数の論理で中学生、高校生、専門学校生や女子大生に受けの良い番組、音楽、小説、漫画があたかも日本中の注目を浴びているかのように見える。或いは情報媒体がそう見させている。
いわゆる恋愛主義が社会を支配する主流思想に思えるのはそういった中学生や高校生の未熟さや幼稚さが大衆文化の前線を陣どっているからだ。
少しでも文化に興味のある人であれば仕事に就いて余暇を奪われることを恐れるだろう。そして無職への風当たりの強さに怯むのと同時に大衆文化の幼稚化を憎まなければならない。
まともな大衆文化を形成するには充分な数の大人が充分な量の余暇を持つ必要がある。そうやって数の論理で生徒・学生文化を日本大衆文化の一分野へと押し戻していかなければならない。
恋愛主義を一派閥へと駆逐し、男女の関係を“人間の地平”に立脚するものにしなければならない。
とりあえず私はキノカフェでフランス映画を観て、市立図書館で坂口安吾と旧共産圏とラテンアメリカの文学を読もう。
皇帝、国王、大統領は偉大で、豪華な外見をしていなければならない。たとえ黒革金銀細工の財布の中身が空であっても。
職場を出ると粉雪。
十一月二十日の札幌市内における最高気温、零度以下。
つまり真冬日。
そして、朝起きると人生でかつて経験したことのないような積雪。
水抜きしないと水道管���凍る。
起床時の室温、三度。
湯たんぽを購入。
氷雪上を歩くため、靴にスパイクをつけた。
そんな晩に狸小路で演奏している音楽愛好家がいる。
零下三度の札幌で、私は豊平川沿いを自宅まで歩き、やっと帰宅する。
帰宅時の室温、一度。
私を雇った職場が入っているビルに北海道で一番有名な政治家が所属する個人政党の本部がある。
だから今日は政治の話をしよう。
狸小路で日本共産党のDVDをもらった。
それはまさに志位書記長のファン・ディスクだったが、つらつらと全編を鑑賞してしまった。
あやうく共産党のファンになりそうだった。しんぶん赤旗日曜版を定期購読して、日本共産党に入党しそうになった。
旧共産圏を生きた人の小説を読むと、共産主義もそれほど悪くはないと思えてくる。
悪いのは共産主義じゃなくて独裁的な指導者と我が儘で自己主張の激しい反体制者だけだ。
けれど、そもそも私は人間集団が嫌いなんだ。
だからどこかの政党に入ることはまずしない。
それに大学時代に身近に見てきた「共産党」は醜悪だったし、第一に私はデモとか行進とかの集団行動が嫌いなんだ。団結しようとするのは現実から逃げているからだ。
もっとやり方がスマートなら、話を聞いてくれるかもしれないのに。やり方が顕示的で、目的へと努力する前から諦念が感じられる。まるで知的障害児や駄々っ子のようだ。
つまり私は共産主義には興味があるが、共産党はあまり好ましく思っていない。
しかし一国を動かすためには何かしらの政治学を学ばねばならない。大学の政治学部に入学するか既存政党に入るか、独学で習得するか?
よし、独学しよう。そして政党は私が自ら創ればいい!
大学四年生の夏、就職活動を諦めたときから生きている感覚に乏しくなってきたんだ。だんだんと。
早口でまくしたてる人は苦手だ。いや、人ではなくて早口が苦手で、早口で喋られると泣きたくなる。特に女性に多い。
早口な人と吃っている人のどちらを選べと言われたら間違いなく吃っている人を選ぶ。
早口な女性は別に頭の回転が速いのではない。なぜなら思考によって、ではなく記憶と憶測だけで話すからだ。
つまり早口の女性は言葉を持たない。彼女たちは壊れかけたテープレコーダーに過ぎないのだ。
職を探す度に共産主義を羨望する。
自動的に職は与えられて然るべきだと思う。
働く時間というのは私にとって死の時間である。
なぜ己の死を自分で探さねばならない?
私は常に余暇か副業が生きている時間なのだ。
これは逃げ、なのか? 或いはそういう生き方なのか?
「辞めさせた、或いは辞めた職場は労働者の次の仕事を見つける義務がある」という法律を作って欲しい。
逃げられた職場も。
「よく働こう」とするのではなく「よく生きよう」とする者にとって資本主義は残酷だ。
ニートさんとかフリーターさんを問題視する人は、まず面接で若者を見捨てる人を問題視した方がいいよ。とブックオフとパン屋チェーンのアルバイト面接に落ちた私が言う。やっぱり大学時代のバイトと同じ業種しか雇ってくれないのか? なんだ、この職業カースト制は?
私だって美味しいパンを作って主婦層や職業婦人からモてはやされたいのに。
生きているのかなぁ、本当に? 自分。
佐賀県からこの一週間、このブログへのアクセスがなかった。
その程度の教養レベルか!佐賀県の教育委員長は職務怠慢により死刑!
或いは佐賀県にパソコンは無いのか?
中学生のころ、スナッフビデオは都市伝説だと聞いて、「ならば自分たちで作ればいいんじゃないか」と思った。
抑圧された子供は、一人暮らしをすればできるかもしれないことを妄想するものだが、私の場合、その全てが犯罪がらみだった。
さて、私はこの見知らぬ百五十万都市で市民記者に登録した。
仕事における電話の秘訣は、相手に電話したことを後悔させないことだ。
空想的社会主義者の食卓。【切り餅(磯辺か餡)三個と納豆】【玄米フレーク五十グラムに牛乳かけ】【蒸し馬鈴薯と野菜スープ】【インスタント麺と蒸し馬鈴薯】【御飯と魚介缶詰と味噌汁】【ピザトースト二枚と野菜スープ】【カレーライス】【食パン二枚と目玉焼き】
空想的社会主義者の食事への心得。粗食、同一性保持、昼食は朝食と夕食のつなぎ。
空想的社会主義者の主要飲料は【牛乳】で、【野菜ジュース】や【珈琲】や【茶】は嗜好品として飲む。牛乳を多く飲む日は必ず納豆などの大豆食品を食べるべきである。
空想的社会主義者の栄養補給剤は【エビオス錠】である。
これは決まりではないが、豚肉と鰭や鱗のない魚は食べない。肉製品と乳製品を一緒に食べない。血を食べるのはダメ。
イスラエル国歌「ハティクヴァ」は物哀しい。
ラーメン! フライングスパゲッティモンスター。
実家にいたころは飽食気味で、私はやや肥満だった。
母は愛情を食事でしか表現できない人だったからだ。
学園時代はよく食べた。しかしよく戦ったので痩せた。
今は粗食で痩せた。
今日、昨日、一昨日は図書館(徒歩五分)とスーパーマーケット(徒歩三分)に行く他はずっとパソコンの前で過ごした。
おかげでウンコが硬い。
二ちゃんねる系のサイトに今更ながらはまっている。
もう仕事とかどうでもいいや。面接とかで人間性試されるの嫌いだし。
ほら、お外は怖いし。寒いし。
いつの間にか雪降ってるし。
火星に土地でも買って移り住もうかな?
やれやれ
人間は今でこそ呼吸し、食べ、排泄し、寝て、思考している。
しかし数年後か数十年後には思考は消え去り、記憶もなくなるだろう。
私はもしかしたら今までの人生の四倍の時間を生きるかもしれない。しかし決して五倍は生きないだろう。
思考と記憶の消滅、それを人は「死」と呼ぶ。
症例はいくつもあるにも関わらず「死」の問題は医学によっては解決されていない。ただ宗教だけがこれを信仰により解決させようとしている。
人はこう思うだろう。なぜ必ず「死」ぬ人間に思考が与えられたのか?と。思考さえなければ「死」を思い悩むことはなかったのに、と。
私はこう考える。誰かがこう仕組んだのだ「人間よ、その『死』とやらについて思考せよ」と。
で、私は考えた。人間は「死」ぬ、ゆえに有限だ。しかし人間の集合体である人類は半永久的に存在する。この違いに意味が存在する。
人間が「死」ぬのはなぜか?それは人類全体に更新を与えるためだ。つまり個人の人生というのは人類という種族全体の繁栄のためにある。
恐竜は失敗した。しかしあの時代にはあの形態が最適だった。今の時代は人類の形態が最適である。しか��いつ人類の絶滅が訪れるかわからない。
個人やある人間集団の私欲のために人類が犠牲になるとしたら、死んでいった人類はもとよりその個人やその人間集団の人生も無駄になる。なぜなら彼らは人生を無駄なことに使ったからだ。或いはそれも人類の試行錯誤なのか?
ゆえに私は結論付けた。人間の人生を活かすには常に自身のためではなく人類のために生きよ、と。私の宗教的信条でもある。
私が二〇〇七年二月に生み出した「人類意志こそ神」という真理は今もゆるぎない。
その結論ゆえに私は人類人主義と世界市民主義を支持する。
世界連邦を唱えるバハイ教はある意味では正しい。世界中心都市論と世界政府論を除いては。
ゆえに私は「宗教団体に所属しているか?」に関しては無宗教だが、「信仰を持つか?」については有信仰だ。
人類全体へのゆるぎない信仰。
警察犯処罰令第一条第三号「一定の住居または生業なくして諸方に徘徊する者は、三十日未満の拘留に処せられる」。私、危なかったなぁ。
ちなみに昨日は十五時すぎでマイナス三度だった。気温がプラスになることはなかった。
フードか帽子を被らないと顔が凍る。
キブツの子供は母親と離れて暮らす生活を強いられるので就学前は夜尿や指しゃぶりなどの情緒的未発達が見られる。
しかし子供の家での十八年間に及ぶ集団生活を経て、青年期になると非神経症ともいうべき環境適応能力と高い社会奉仕意欲を示すという。
人口の十%にも満たないキブツの人がイスラエルを率い、パレスチナ人どもから国を守ってきたと言っても過言ではない。
キブツはどこかスパルタと似ている。
母親の愛にくるまれてすくすく育ち、教育を終えて社会に出る際に新しい環境に適応できず引きこもりになったり神経症を患ったりする日本とは正反対である。
また家族という、気の違った両親の作る牢獄に囚われることなく、子供は成長することが出来る。そのことの、なんという幸福。
キブツ制度が全く善くて素晴らしいと賞賛するわけではないが、日本人はキブツなどの社会主義制度を少しは見習うべきだよ。
なぜ働けるし、働く意志のある人間が働けないのだ?労働力の余剰をどうして解決しようとしないのか?
ギリシャ的な暴動を起こしたいさね。ヘルメット、鉄パイプ、ナイフ、クロスボウ、火炎瓶を装備してさ。戦うんだ。
見えない何かと。
そのために私は筋トレを欠かさない。
正しい太り方をしよう。正しく太った人は美しい。
正しく太った人は、間違って痩せた人より美しい。
皆さんも親になれば分かると思うが、愚かな親は「子供は家庭にさえいれば良く育つ」と信じ、施設に預けられた子供を見ると「可哀想に!」なぞと言う。
これは親の傲慢であり、怠慢だ。
ある種の家庭に産まれた子供にとって、家庭とは牢獄に過ぎない。
悪しき家庭は普通の施設にさえ劣る。
もちろん、部下に怒鳴りつける上司がいるような施設は失格である。やたら怒鳴りつける父親がいるような家庭が失敗であるように。
家庭は人生の不条理の始まりである。結婚がそうであるように。
不倫の存在は結婚制度の不完全さと失敗を裏付けている。
なぜ男性は一人のやがては醜く老いる女性と共に生きねばならず、女性は一人の頑固で我が儘な男性に肉体を支配されなければならないのだ?
ならば結婚制度をなくし、複数の男性と複数の女性が乱交する交配を制度化すればいい。
そして交配を道徳とする。
これで家庭は消滅し、家庭起源の不幸も消え去る。
女性と子供を家庭という牢獄から解放しなければならない。
これはおいしいぞ
不満があるなら耐えてはならない。叫ばなければ、心弱き者はいつまでも弱いままだ。
INTER LUPOJ KRIU LUPE!
祖父の最初の記憶は航空機である。私は祖父の住む福岡まで航空機で遊びに行った。
両親の結婚式のときに某Hグループのエレベーター専門子会社の社長に就任したと聞くから、その時は既に退職していたのだろう。
それから祖父は奈良の西大寺に引っ越した。奈良での記憶はあまりにも大きい。
遊園地へ車で行く途中で私が寝てしまい、目覚めたら祖父宅の前だった。
祖父は三重県の山奥の出身で、憲兵として猿田彦神社を守っていたら終戦になったという。
カメラ好きで本好きだった。本好きは私まで遺伝したが、カメラ好きは父までの遺伝で止まってしまった。
最近、腰を痛めて歩行困難になったので東京区内に引っ越した。
父から連絡があり、今から急遽、私はAIRDO二十便で羽田空港へ向かう。
明日を迎えるかどうかは、分からないという。
こんなに揺れた飛行はチュニス・カルタゴ空港からシャルル・ド・ゴール空港への飛行以来だ。
連絡から二時間半で私はすでに機上の人だったため、荷物が近所徒歩五分の図書館へ行く際と同じ量である。
東京は雨が降っていることもあるけれど蒸し暑い。
この三ヶ月で私は巨大大陸辺縁にある弧状群島の知床から那覇までを一往復分移動したことになる。
私は行動する直前にはその行動について考えない。そのために行動に躊躇はない。
そのせいで今まで様々な困難があったけれど、今回は良かったのかもしれない。
考えてみれば祖父は昨日で八十四歳である。私があと四日で二十四歳であるように。
まだまだ十分とは言えないが神々に文句はつけられない年齢だ。
容態は少し落ち着いたようだが、まだ危ないらしい。
十二月六日に、大阪の釜ヶ崎で暴動事件が起こっていたという。引き金をひいたのは暴力的で犯罪的な西成警察署による労働者への暴行事件だった。
「連れて行かれた西成署の三階の個室で、四人の刑事に代わる代わる顔を殴られ、紐で首を締められ、足蹴りされ、挙句の果てに両足持たれて逆さ釣りにされた。気が遠くなると、スプレーをかけられたと言う。生活保護を打ち切ると脅かされて、その店に近づかないという始末書まで書かされている。」(西成署警察官の暴行に抗議する!)
年末における雇用問題の原因は、報道をみるかぎりでは労働者の選択肢の狭さに原因がある。
いや、労働者はそもそも選択なんてしたくはないのだ。だって仕事のために生きているわけではなく、生きるために仕事をしているのだから。
経営者はもちろん「仕事にために生きる人」を求めるだろう。已むをえないことだ。しかし従業員もそれに右に倣え、では自分で自分の首を絞めているようなものだ。面従腹背が必要である。
そういう意味で、日本の労働者は正社員も派遣社員も労働意識が低い。
企業が、「お客様のためにある」時代は終わりを告げた。これからは「従業員のためにある」企業が求められている。
労働力の均衡という面から見れば、学業を終えた健康な成人には自動的に職が与えられてしかるべきなのに。
情況の囚人という心理実験によれば、派遣社員も正社員になれば正社員ばりの働きをするし、正社員も派遣社員になればそれだけの働きをする。あらゆる面接や選別は無意味であって、人事が行うべきはしかるべき職を与え、仕事の結果を見て評価を与えるのではなく、「こういう結果であってほしい」という仮定の評価を実際に与えてしまうことだ。
十二月二十二日には札幌に帰る。
トロヤ点への新たなる月の飛来、止まない月震、超未来人類と新興恐竜との共存などについて有機的に考えようとしているが、果たせない。
六百円で大根サラダ・鴨肉三切・味噌汁・鳥肉たっぷりの丼物・アイスが食べられる地下一階のカフェ・ダイニングバーを見つけた。
十二月二十日に開店したジュンク堂へ行った。池袋級書艦だった。エスペラント関連書籍は十冊以上、なんと『百年の孤独』のスペイン語版も置いてあった。
札幌はジュンク堂、とらのあな、アニメイト、ブックオフの並びが熱い。
JRタワーのヴィレヴァンが狭いなぁ、嫌やなぁと思っていたらロフトの中にもあった。でも、ヴィレヴァン下北沢店の足元にも及ばない。
アリストテレスは貨幣を万物の尺度とする資本主義的世界を想定した。その一方でディオゲネスは貨幣を変造した罪でシノペを追放され、世界市民となった。彼は貨幣(常識、慣習)を変造したのだ。
純連のみそラーメンは美味しかった。
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foyi-buddha · 4 years ago
Text
元朝帝國亡於“雙修” 之二
戴德金剛上師 編撰
三、元朝滅亡的幾大重要因素
(一)元代的暴政和腐化 促使政體衰亡
1.奸臣當道,吏治腐敗
由於連年不斷的戰事,加上宮廷的龐大開支、對封王的大賞,政府的財政緊張。忽必烈先後重用了以“理財助國”邀寵的大臣阿合馬、盧世榮、桑哥等人來主持國政,通過理財,使元政權度過難關。
在明修《元史》中,此三人被列入奸臣一欄,主要是以貪財聚斂,網羅私黨,禍亂朝綱等罪行而著名。元之舊史,往往詳於記善,略於懲惡,是蓋當時史臣有所忌諱,而不敢直書之爾。然奸巧之徒,挾其才術,以取富貴、竊威福,始則毒民誤國而終至於殞身亡家者,其行事之概,亦或散見於實錄編年之中,猶有《春秋》之意存焉。謹撮其尤彰著者,匯次而書之,作《奸臣傳》,以為世鑒。—《元史·列傳·九十二》由於吏治腐敗,專注搜刮,流於橫徵暴斂,致使民不聊生,成為阻礙社會經濟發展的重要原因之一。 
2. 苛刻的等級制度與遍佈的特權階層
元朝是草原遊牧民族建立的王朝,實行嚴格的民族等級制度,即“四等人制”:根據征服順序將人分為蒙古、色目、漢人和南人。元朝雖有法典《元典章》流傳於世,但其中的法只有漢人和南人需要遵守,蒙古人、色目人遵從本身風俗即可。等級制度在元朝滲透了各個領域。如軍隊、職業、戶籍等也進行分級,在這種分級體系下,中國知識份子淪落到連娼妓都不如的地步。以至於有治國之才的儒生無法發揮所長。元朝特權階層和特殊利益集團隨處可見。元朝以藏傳佛教為國教,僧侶不僅享有法律特權,參與政治,甚至干預司法。元朝的寺廟是一種享有特權的經濟實體,佔有大量的土地和勞動力,在許多地方成為麻煩的製造者。喇嘛所過之處,隨從如雲,強住漢人住宅,把男子掠走,留下婦女陪宿。他們在街上很少出錢買東西,都是直接掠奪。如此統治和壓迫,歷代少見。許多不公正的民族待遇、甚至迫害,令百姓積怨。許多人對元朝的統治心生厭惡,各民族、地區之間的矛盾加劇,社會動盪,各種反抗鬥爭不絕於史,最終造成元朝末期各民族的起義不斷發生。
3. 元太宗以前的毀滅性屠城現象留下惡果
翻開歷史記載,元太宗以前,戰間屠城情況嚴重。每當拒降敵軍的城池被攻破,他們總會對城池進行毀滅性的破壞。幾乎殺掉所有的人,不問老幼、貧富、順逆,只留少數婦幼為奴隸,部分工匠為他們製作武器。這種做法對社會生產力的破壞非常嚴重。因為直接破壞了最關鍵、最重要的生產力—人! 
4.常年戰爭,耗費國力
整個元朝歷史,連續沒有發生戰爭的時間最長沒超過三年。僅1280年,有記錄的戰爭達200多場。元朝統一中國後,並沒有象其他朝代在剛建立時施行“休養生息”政策,而是繼續向外擴張。1280-1284年間,對日本、安南、緬甸征戰。擴張的目的只是掠奪財富和滿足征服欲望。另外耗費大量精力對付國內此起彼伏的“抗元複宋”起義,在其後幾十年間,全國各地幾乎每一年都有起義。 
5. 貪圖享樂,不重農耕
整天騎馬射箭、拉弓放羊的遊牧民族,突然之間擁有了幾百萬平方公里的土地,擁有無數的金銀珠寶,同時還有上千萬俯首稱臣的老百姓。這個時候歷史便又重演,這些元朝統治者便開始荒淫腐敗的生活。他們視生命如草芥,根本不管百姓死活,皇宮貴族整天在皇宮裏貪圖享樂。當時佛教寺院遍佈各地,都佔有大量的田產。
如,大德《昌國州圖志》記全州共有田土二千九百餘頃,其中一千餘頃為佛寺道觀所佔有。寺院田土山林,實際上為各級僧官所支配。大寺院的僧官即是披著袈裟、富比王侯的大地主。元代寺院道觀可免除差發賦稅,因而漢人地主將私產托名寺院,規避差稅。
有的富戶使子弟一人出家為僧,便可將全家田產托名某僧所有,不再納稅。有的地主將田地舍入寺院,再向寺院承佃,這樣,便可不再向官府交稅和不再負擔差役。也還有一些地主,名義上佈施家產入寺為僧,但仍與妻妾同處,占田出租,與不出家沒有什麼區別,但因此便可逃脫賦役和官府的一切煩擾。至元二十八年,即西元1291年,宣政院奏報全國僧尼多至二十一萬三千多人。實際上還要超過此數。
仁宗時,浙西土豪沈明仁,創立白雲宗,托名佛教,強佔民田二萬頃,糾集徒眾十萬人,蓄發娶妻,自有田宅,形成一個托名佛教的地主集團。各類特權階層圈占民田現象嚴重,很多佔據田地又不耕種,老百姓們卻又無地可種。忽必烈時,東平人趙天麟上疏說:今王公大人之家,或占民田,近於千頃,不耕不稼,謂之草場,專放孳畜。許多勸農機構形同虛設,水利建設也逐漸減少,農業生產破壞嚴重,出現停滯衰敗。這也是元朝滅亡的一個重要原因。 
6. 朝廷內部,爭權奪利異常慘烈
元朝中期頻繁更換皇帝,僅25年更換了36個皇帝。這些皇帝在位都很短,全部由權臣擺弄下詔或頒佈詔令。皇帝成為了傀儡,不能決策大事。宮廷紛爭連續不斷,爾虞我詐時時出現。再加上經濟落後,廣大人民處於水深火熱之中,中原地區農民尤其悲慘,饑寒交迫,其嚴重程度已達到再也不能忍受的地步。 
7. 嚴重的自然災害成為元朝滅亡的導火索
十四世紀的嚴重災害不單是在中國元朝,而是遍佈世界各地,比如冰島,英格蘭以及日本。整個世界都在承受瘟疫、饑謹,農業減產、人口下降。中國尤其嚴重,長達36年裏都是酷寒,創造了人類史上嚴寒的記錄。黃河地區頻繁發生前所未有的水災和乾旱。1340和1350年,全國發生嚴重的瘟疫。元朝末代皇帝統治期間,幾乎年年饑荒,導致大量人民餓死。連續出現的嚴重自然災害造成經濟崩潰,人們面對的不是因自然災害而死就是被元朝欺壓致死。因此許多人懷著拼死一搏的想法選擇了起義。至元二十年(1283年),江南各族人民起義凡兩百餘起,至元二十六年(1289年)更增至四百餘起。在這前後,爆發了廣州歐南喜、黎德和福建黃華、鐘明亮等人領導的幾次規模較大的起義。西元1350年,政府頒發的變更鈔法,致物價迅速上漲。加上元惠宗派賈魯治黃河,欲歸故道,動用民夫十五萬,士兵二萬。官吏乘機敲詐勒索,致民憤徹底爆發。1351年,劉福通領導農民在穎州暴動。1367年,朱元璋發佈討元文告,以“驅逐韃虜,恢復中華”為號召,派將軍徐達率兵向北進取中原,次年攻佔元大都,惠宗北遁,元朝對中原的統治由此終結。
 (二)元朝暴政中的最特殊現象
元朝暴政中最特殊的一項便是放縱西藏的喇嘛,史書中稱之為“西僧”“番僧”。元代的統治者們沒有吸取赤祖德贊時期的教訓,反而變本加厲,將對喇嘛的尊崇發展到了極致。而這些以慈悲為懷,普渡眾生的所謂“活佛”,卻成為了人民的災難之一。  
1.元代帝師的顯赫地位
元朝時期,西藏密宗和元朝中央政府的關係極為密切。自八思巴於1270年受封帝師起,直至元朝滅亡,元代曆朝皇帝都封有帝師。在藏漢文史藉中提及的帝師就有10餘人。元代帝師地位崇高:百官上朝,排班列隊,而帝師得在皇帝座位的邊隅,設有專座。朝廷對帝師的敬禮和尊信,無所不用其極:“雖帝後妃主,皆因受戒而為之膜拜。” 
2.元朝皇帝給帝師的賞賜,從來數量驚人。
如《元史•英宗本紀一》記載:“至治元年(西元1321年)十二月甲子……命帝師公哥羅古羅思監藏班藏蔔詣西番受具足戒,賜金千三百五十兩、銀四千五十兩、幣帛萬匹、鈔五十萬貫。”  
至於給大喇嘛“活佛”的濫賞,數目之巨,駭人心目。僅忽必烈對八思巴一人的賞賜,就令當時的大臣感慨:“國家財賦,半入西蕃。”朝廷為帝師的其他花費,如受戒奉獻、佛事開支等,數額既大,名目也很繁多。除帝師外,西藏密宗的喇嘛受到元朝皇室的尊崇不計其數。他們或被皇子、宗王奉為上師,或在朝廷為官,或接受各種封贈。“(帝師)弟子之號司空、司徒、國公,佩金玉印章者,前後相望。” 
元朝大德年間,藏地每年平均有千名僧人來內地,其中除一些奉召為帝王宗室做佛事外,不少人是來中原和江南販運貨物求財的。他們往返的巨額費用不僅元政府要“報銷”,連交通工具都是元朝政府全程提供。由於販運貨物數目巨大,每年都累死驛馬無數。為此,元朝的漢臣痛心疾首地講:“佛以清淨為本,而僧徒貪慕貨利,一事所需,金帛無算。生民脂膏,縱其所欲。(此輩)又複畜養妻子,行不修法,適足以褻慢天神。比來佛事愈煩,累朝享國不永。”  
3.對喇嘛的極度尊崇到了令人髮指的程度
元朝權貴對佛事活動需求頻繁,至使藏僧大量湧入內地。嚴重地影響了元朝的法治和朝政。而這個龐大的喇嘛群體,可依靠帝師的權威任意妄為,破壞法度,極大影響社會秩序,損壞朝政。元代藏僧往往可通過做佛事和賄賂而得到釋放,因此,他們無視法律、肆意妄為。如《元史·不忽木傳》載:“西僧為佛事請釋罪人祈福,謂之‘禿魯麻’,豪民犯法者皆賄賂之,己求免。有殺主、殺夫者,西僧請被帝後禦服,乘黃犢出宮門釋之,雲可得福”。又“每歲必因好事奏釋輕重囚徒,以為福利。雖大臣如阿裏,帥如必實呼勒(別沙兒)等,莫不假是以其誅。宣政院參議李良弼,受賒豁官,直以帝師之言縱之。其餘殺人之盜,作奸之徒,黃緣倖免者多”。可見犯重罪之人,只要賄賂藏僧或打著帝師之名即可逃之夭夭,不受法律制裁。元朝對藏密喇嘛的放縱,造成了朝野極大的混亂,一些行為也到了駭人聽聞的地步。    如元成宗完澤篤時,宣政院曾經草擬聖旨:“凡民毆西僧者,截其手;詈之者,斷其舌。”由於皇弟愛育黎拔力八達的極力反對,才使這道聖旨未能發出。但在藏文史籍《紅史》中,卻明白地載有這一規定。
如首任江南釋教總統-八思巴弟子-楊璉真迦,將有五十萬戶農民(約二百五十萬人)編為寺院的農奴。在權相桑哥的庇護和縱容下,楊璉真迦以職務之便,藉口修復寺廟,在江南大肆搜刮民間的錢財、珠寶、美女和良田。受人獻美女寶物無數,且盜遍南宋陵墓,攘奪盜取珍寶。並將帝王們的屍骨混雜埋置,上築鎮南塔壓制。因藏密習俗,“得帝王骷髏,可以厭勝致富”,南宋諸帝的頭蓋骨也都被他挖出鑲金嵌銀當成潔器和酒器。此挖墳掘墓之事,在《南村輟耕錄》和《癸辛雜識》中都有詳細描述。
明代文人張岱曾在《西湖夢尋》中記載“(楊璉真迦)沿溪所刻羅漢,皆貌己像,騎獅騎象,侍女皆裸體獻花,不一而足“,並點明了楊璉真迦”專發古塚,喜與僵屍淫媾”的變態淫行。
4.元代還有一個怪現象就是喇嘛可公開地蓄妓納妾。
自從元代藏傳佛教佔據領導地位之後,藏傳佛教勢力滲透中原各地,僧尼制度之亂,到了無以復加的地步。由於受藏傳佛教薩迦等舊派傳統,即僧人可以娶妻之影響,僧官有妻者比比皆是。《元史》載:“至元三十年,曾罷僧官有妻者,但有貴賤之分,是僧官總統以下有妻者罷之。”
如《元史·星吉傳》載:“有胡僧曰小住持者,服三品命,恃寵橫甚,數以事淩轢官府,星吉命掩捕之,得妻女樂十有八人。”喇嘛所過之處,隨從如雲,強住漢人住宅,把男子逐走,留下婦女陪宿。如“泰定二年,西臺禦史李昌言:‘曾經平涼府、靜、會、定西等州,見西番僧佩金字圓符,絡繹道途,馳騎累百,傳舍至不能容,則假館民舍,因迫逐男子,姦污女婦。’” 這當然是元代統治者崇信藏密,縱容番僧的結果。加上元朝整個社會道德淪喪,貪腐成風,淫樂成災,又極度盲目迷信僧侶,這直接導致了原本龐大的元朝帝國大廈的轟然倒塌。
四、元順帝癡迷男女雙修 淫亂宮廷 終成亡國之君
元順帝,蒙古族人,1320年出生,在位37年,廟號惠宗。元順帝是元朝的最後一位皇帝,也是元朝在位時間最長的一位皇帝,受過良好的漢文化教育。順帝前期重用脫脫勵精圖治,中後期被佞臣所惑,沉迷男女雙修,荒淫墮化,終成亡國之君。
(一)前期 良相脫脫勵精圖治
順帝親政初期,任用的丞相脫脫是能臣良相,是歷史上有名的政治家、軍事家。為挽救元朝的統治危機,脫脫輔助元順帝實施了一系列改革,史稱“脫脫更化”:
1、恢復伯顏廢黜的科舉制度。頒佈舉薦守令法,以加強廉政;下令舉薦逸隱之士,以選拔人才;
2、設置宣文閣,恢復太廟四時祭;
3、頒行法典《至正條格》,以完善法制。又平反昭雪一批冤獄;
4、頒行《農桑輯要》,整飭吏治。開馬禁、為農民減負,放寬了對漢人、南人的政策。
5、主持編寫宋、金、遼三史。
......
一時間,元朝又有了中��之相。歷史學家邱樹森稱:
“妥歡帖睦爾登上皇帝寶座,從他自己掌權開始,近30年政治生涯中,似乎判若兩人:第一個妥歡帖睦爾是與脫脫組合在一起的,給歷史上留下了一度是有生氣的、立志革除弊政的、有作為的年輕皇帝的形象。”
但元朝末年,社會問題積弊已久,又加天災連年和各種農民起義,人們生活困苦,可謂天下大亂。要扭轉局面,絕非朝夕之功。中後期的順帝逐漸怠政,宰相脫脫積勞成疾,因病請辭後,順帝卻為佞臣妖僧蠱惑,沉迷所謂的男女雙修術,致宮廷淫亂,朝政荒廢。到幾年後在請脫脫複相時,留給脫脫的是滿目瘡痍的社會。 
(二)元順帝中後期的荒淫與“演揲兒法”
 自古以來,都說皇帝後宮佳麗三千,元順帝也是如此。
《元史》中對順帝後宮語焉不詳。史載順帝“後宮約千餘人”,又載“順帝宮嬪進禦無紀。佩夫人、貴妃印者,不下百數。”元順帝不僅女人多,且寵倖之人多為懂得荒淫之事的人,那麼元順帝的荒淫到什麼程度了呢?
《庚申外史》說順帝“令諸嬪妃百餘人,皆受大喜樂佛戒。”《元史•哈麻傳》記載了元順帝時期,密法在宮廷傳播,發生的君臣集體淫亂的事情: 
“初,哈麻(元順帝的寵臣)嘗陰進西天僧(喇嘛)以運氣術媚帝,帝習為之,號‘演揲兒法’。演揲兒——華言大喜樂也。哈麻之妹婿集賢學士禿魯帖木兒,故有寵於帝,與老的沙、八郎、答剌馬吉的、波迪哇兒祃等十人,俱號倚納。禿魯帖木兒,性奸狡。帝愛之,言聽計從,亦薦西蕃僧伽璘真於帝。
其僧善秘密法,謂帝曰:‘陛下雖尊居萬乘,富有四海,不過保有見世而已。人生能幾何,當受此秘密大喜樂禪定。’
帝又習之,其法亦名雙修法。曰演揲兒,曰秘密,皆房中術也。帝乃詔以西天僧為司徒,西蕃僧為大元國師。其徒皆取良家女,或四人、或三人奉之,謂之供養。於是帝日從事於其法,廣取女婦,惟淫戲是樂。 又選采女為十六天魔舞。
八郎者,帝諸弟,與其所謂倚納者,皆在帝前相與褻狎,甚至男女裸處,號所處室曰:‘皆即兀該。’(皆即兀該)華言‘事事無礙’也。 君臣宣淫,而群僧出入禁中,無所禁止。醜聲穢行,著聞於外,雖市井之人,亦惡聞之。”元順帝後宮以荒淫著稱的“演揲兒法”及其它醜事等,都與黑帽系第四世活佛乳必多吉的密法傳授有關(王輔仁、陳慶英《蒙藏民族關係史略》)。
 元順帝隨藏密喇嘛學習“演揲兒法”以後,“君臣宣淫”,得以“事事無礙”,加速了元朝的滅亡。為此後人還寫了一首詩諷刺元順帝:
“秀色宮娥足療饑,殿廷行樂少人知。
 番僧運氣多神術,秘戲新傳演揲兒。”
(三)讓皇帝陷入荒淫、無法自拔的亂世奸臣——哈麻
元史作傳的第九十二卷專以元朝的奸臣為傳,共記載六人,除了上文中提到的權臣阿合馬、盧世榮、桑哥,還有鐵木迭兒、哈麻、搠思監。
哈麻,何許人也?
《元史·列傳·九十二》記載:“哈麻,字士廉,康裏人。父禿魯,母為寧宗乳母,禿魯以故封冀國公,加太尉,階金紫光祿大夫。哈麻與其弟雪雪,早備宿衛,順帝深眷寵之。而哈麻有口才,尤為帝所褻幸,累遷官為殿中侍禦史。”
1.從侍禦史到中書右丞
哈麻是先帝寧宗乳母的兒子,與母弟雪雪同受順帝寵倖,很早就在宮禁做了宿衛。哈麻的口才十分出色,升任至殿中侍衛史。每天去宰相脫脫那裏趨炎附勢,脫脫以為他是個好人。當時紅巾軍風煙四起,朝廷派出的征討大將接連潰敗,脫脫準備親自出征,臨行時他入朝奏請哈麻兄弟托掌國事。順帝召哈麻為中書右丞,雪雪為同知樞密院事。
[注: 知樞密院事 官名。宋以樞密院掌管軍政,長官為樞密使。如以他官主持樞密院,稱知樞密院事,簡稱知院。]。
2.哈麻薦喇嘛 獻“演揲兒”法
哈嘛見順帝厭煩國事,便引進了一個西天番僧入宮。這個喇嘛僧人教給順帝房中術,稱為“演揲兒”法。
① 順帝如獲至寶,當即授給喇嘛僧人司徒的官職,讓他在宮裏講授演揲兒法。順帝悉心練習,再加以實踐,果然行房的時候比以前暢快淋漓了許多。
② 後來,他們又推薦西蕃僧 伽璽真 給順帝教授“雙修法”,其實也就是男女交媾的不同方位和姿勢。
順帝樂在其中,下詔以西天僧為司徒,以伽璽真為大元國師。他們的子弟眾多,選取良家女子入宮修習秘術,每個子弟賜給他們宮女三四個作為供養。
後宮的美女久旱逢甘雨,都稱伽璽真是無量歡喜佛。僧人又教順帝選取彩女學習十六天魔舞。順帝每每趁著酒酣的時候,隨手抱起幾個宮女行雲布雨,親自試演揲兒與雙修法。
3.男女裸處、君臣不避
順帝的一個弟弟叫八郎,也受了密戒,禿魯帖木兒也聯結了八九個官僚,勾結在一起,在後宮裏分了一杯羹,自稱為“倚納”。
他們在順帝面前與宮女褻狎,男女裸處、君臣不避,還聚集少壯男子和美麗的女子裸處在一室,不拘同姓異姓,也不分尊卑長幼,互相淫媾。
君臣宣淫的醜聲穢行著聞於外,連市井百姓都知道。 
4.番僧淫亂宮闈 荼毒民間女子
到後來,西天僧與伽璽真在宮闈任意姦淫年少美麗的公主和嬪妃,順帝卻從來不去禁止。全國的女子到了出嫁的年紀,不論美醜必須先弄到僧人的府中強行淫媾,叫做“開紅”,待僧人玩弄夠了,才可以發歸回夫家完婚。民間女子遭此荼毒,衢巷悲哭不絕於時。當時人都說:“不禿不毒,不毒不禿,惟其頭禿,一發淫毒。”
5.良相被逐 奸臣弄權
至正十五年(1355),年僅42歲的脫脫被貶逐而死後,雪雪由知樞密院事拜禦史大夫,哈麻升任了中書左丞相,國家大權盡歸兄弟二人的掌握。
6.哈麻欲助太子篡位
哈麻做了宰相後,竟然想立皇太子為帝,讓順帝當太上皇。哈麻的妹妹知道了哥哥的預謀,回去告訴了她的丈夫禿魯帖木兒。禿魯帖木兒惟恐皇太子為帝,自己被殺,便向順帝告密。順帝將哈麻、雪雪兄弟杖死。
(四)醉生夢死淫樂中,終致元朝氣數盡
1. 玩物喪志  沉溺欲樂
因為元順帝特別喜歡玩樂,哈麻和其弟為了迎合順帝,暗中向他推薦了一人教他學淫術,一群男女赤裸,一塊淫亂,令順帝極為著迷,整日沉溺其中。
另外,在哈麻的建議下,順帝在皇親國戚中選了十個人,稱為“十倚納”,在宮中學練“密宗法”。這“十倚納”與他在皇宮中跟眾多美貌女子都脫光衣服,醜態穢行令人不堪入目,順帝則日夜以此為樂。後來,淫行越演越烈,順帝竟下令在避暑地上都修建穆清閣,設密室數百間,強擄民間美女入住,以供他與“狐朋狗友”們夏季避暑享受之用。
有“魯班天子”之稱的順帝,在建築工藝、機械工程方面是個天才。他親手設計了長120多尺的龍舟,經常乘舟在宮苑湖內往來遊戲。舟行時龍首、眼、爪、尾一齊擺動,他坐在舟裏宛如天神在天宮中巡行。朱元璋曾砸毀元順帝的設計,並評價順帝:“廢萬機之務,而用心於此,所謂作無益害有益也。使移此心專治天下,何至死亡?”—《明太祖寶訓》—元順帝若能把這份心思用在治理天下上,又何須落得個亡國的下場呢?元順帝還選了十六名宮女,稱之為“十六天魔”,身披纓絡,頭戴佛冠,赤腳露臍,表演擺臀扭胯的天魔舞,供他與親信們觀賞。將元太祖時傳入,元世祖時風靡於宮廷內外的“十六天魔舞”發揮到極致。為了與天魔舞女廝混,順帝讓人在宮中秘密挖掘地道,歌舞之後,順帝就與這些天魔舞女在地道裏以盡淫興。順帝對寵愛的舞女,甚至不吝嗇資財,大肆賞賜,甚至傾盡了府庫積粟也在所不惜。而文武百官的俸祿,則僅僅支給茶紙等雜物,弄得朝野上下,一片怨聲。    2. 淫損心智  錯失良相
脫脫複相後,慨然以天下為己任,下決心治理這瘡痍滿目的社會。但元順帝卻每日在荒淫無道中醉生夢死。恰時元末農民起義四起,丞相脫脫於十四年秋領大軍南征討伐在高郵之地稱王的張士誠,利用脫脫不在朝,哈麻乘機挑撥,誣陷脫脫及其弟。順帝早已沉迷於酒色之中,不管奸臣們說什麼都同意。不久,下詔書列舉脫脫長時間勞師費財之罪,當即在軍中奪了他的軍權,將他安置在淮安。接著,脫脫和他的弟弟 也先帖木兒都被貶逐。
脫脫在流放至雲南的途中,奉旨喝下毒酒死去,年僅42歲。而他的長子哈剌章被發配肅州,次子三寶奴被發配蘭州,所有家產都被查抄。這一切,哈麻都是奉了順帝的旨意在行事。自脫脫被逐至死後,順帝徹底墮落,朝政大權盡歸哈麻兄弟。六月,在哈麻的慫恿下,元順帝下詔,將脫脫的老師、集賢大學士吳直方以及參軍黑漠、長史火裏赤等人撤職,這些人都受了脫脫的牽連。
順帝在哈麻的蠱惑下,聲色犬馬、沉溺密宗,修煉所謂的“男女雙修之術”。還在宮中建清寧殿,繞殿一周建百花宮,每五日一移宮,朝政則交給皇太子愛猷識理達臘。
至正十六年(1356年),哈麻又依附於皇太子,企圖讓順帝禪讓於皇太子,被其妹夫禿魯帖木兒捅給順帝,順帝大怒:“我頭髮還沒白,牙齒還沒脫落,就說我老了?”於是貶斥哈麻。
當時朝野之事落到了禦史大夫搠思監、宦官樸不花手中,兩人早都看哈嘛不順眼,不斷地在早朝時向皇上揭發哈麻和雪雪的罪惡,然而昏君順帝說:
“哈麻、雪雪兄弟二人雖有罪,但他們侍奉我的時間長,且與我弟懿瞞質班皇帝實是同奶兄弟,可暫緩其罪,令其出征。”後來,中書右丞相定住、平章政事桑哥失裏,又不停地彈劾哈麻與雪雪等之罪。順帝無奈,便令哈麻兄弟出城受詔,說要安置哈麻於惠州,安置雪雪於肇州。等到要動身時,又都以杖打死。哈麻死後,立馬沒收了他的家財。
雖然哈麻死了,但是脫脫先於奸臣而亡,元朝的氣數已盡,難以翻盤。元順帝在丟下大都,逃往漠北之際,還不忘帶上自己心愛的天魔舞隊,“氈車盡載天魔法,唯有鶯銜御苑花”,繼續“大喜樂”去了。
史載:“是時天下多故日已甚,外則軍旅煩興,疆宇日蹙;
內則帑藏空虛,用度不給;而帝方溺於娛樂,不恤政務。”
 結語:
元朝這樣的一個鐵騎王國,曾經橫征歐亞,擁有中華最大的版圖。
根據民族的特點和軍隊的彪悍,本來存活三四百年不成問題,甚至比任何朝代應該更長久。
但是它由於內部爭權奪利不斷,外部民變迭起,而且把財政大量消耗於戰爭,尊崇喇嘛等費用上,都使國家逐步走向衰亡。
蒙古人當初為了征服吐蕃,採取了以吐蕃治吐蕃、以宗教治吐蕃的有效戰略,並且選擇了實力較強的薩迦派作為合作者。達成了吐蕃歸順蒙古的協議,蒙古人支持薩迦派統一管理全藏事務,吐蕃正式成為中國的一部分。這在歷史上具有積極意義。但吐蕃也並非完全的失敗者,他們利用宗教征服了蒙古政權的上層。
而喇嘛在中原“其興也勃,其亡也忽焉”,以藏傳佛教為代表的西藏文化並未在內地生根開花。隨著元朝的滅亡,喇嘛貴族也退回到青藏高原,國教獨尊,“西蕃僧”獨貴的形勢徹底成為歷史。
真正令元朝帝國迅速滅亡的關鍵,在於男女雙修密法。雙修之法模糊了僧俗戒律,無視了社會道德,致使更多追名逐利之徒混跡於僧人群體中,成為特權階層,破壞著社會秩序,成為拖垮元朝的蛀蟲。
而受毒最深的,無疑是這位末代的元順帝,到最後已經被哈麻介紹的西天僧、西蕃僧伽璽真等亂臣賊子蠱惑,引發了整個宮廷的淫亂。整天沉溺於“演揲兒”的雙修法,不知不覺,消磨心智,大耗財力,妄殺良相,提早令元朝氣數殆盡,他自己也成了元朝的亡國之君。
 參考文獻:
◎ 《蒙元早期(1200-1300年)的重要人物》(In the service of the Khan: Eminent personalities of the EarlyMongol-Yuan period,1200-1300)
◎ 《明史》:“截理宗顱骨為飲器。真迦敗,其資皆籍於官,顱骨亦入宣政院,以賜所謂帝師者。”
◎ 原載香港《文彙報》2010年11月10日:《飛來峰石刻被砸與宋理宗頭骨飲器》。
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