#三燈舎
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戦闘服の男たちNo.0
現職自衛官の告白体験手記
「遠くで突撃喇叭が」
原題「遠くでラッパが」
作 島 守

新隊員の便所はノリだらけ
朝五時、起床まであと一時間である。いやあ、変な夢を見たるんだなと思って、ギンギンになっているセガレに手をのばすと、ああ、やっちゃった。まったくしょうのない奴だぜ、昨日センズリかいたばっかりだろうが!
畜生!今起きると、となりのベッドの奴が目をさましてカッコ悪いし、しょうがネーな、起床で戦闘服に着替える時にでも一緒に履きかえるか。
それにしても新隊員は外出が制限されてるせいで、夜なんかとても遊びに行けないし、極度に欲求不満の日々が読いている。
雄臭い野郎を見るだけならここは本当にいい所だけれど、それ以上のことはちと不可能。けっきょく、夜、誰もいないトイレにはいってシコシコ激しくセンズリをカクしかないのだ。風呂で見たガッチリしたオアニイさんや、カワユイ隊員たちがチラチラ浮かんできたりする。
でも終わってみると、やっぱりむなしいな。なんか小便とたいしてかわりないみたいで。それでもけっこうさかんなようすで、この間も班長から、
「新隊員の便所はノリだらけでたまらん!」
なんて怒られてしまった。マア、ノリは冗談としても、エロマンガのちぎれたのや、ビニ本なんかが時々モロ、トイレにおきっぱなしになってたりする。金があれば普通の隊員はトルコにでも行くんだろうけど、そこはまだペイペイの新隊員、月給は少ないし、貯金はしろとうるさいし、とてもとても…
それでも、あけっぴろげな男だけの世界。
「これからセンズリ行くゾー」
と、エロ本片手に走って行く奴もいる。
そんでもって自分もけっきょくその日のタ方、バラしてしまうのだった。
「昨日の夜、爆発しちまったでェー」
「いやー、エッチだなあ。勝見二士がいないからじゃないのォー」
前期の教育隊から一緒に来た北村二士にいうと、思わぬ返事が返ってきた。まいったなあ。
「このヤロォー、勝見と俺はそんなに深い仲でネェゾ!」
「エへへへ、でも勝見二士は、島二士のダッチワイフだったんじゃないのォー」
まったく北村の野郎、口のへらない奴だ。
まっ、べつに勝見二土はダッチワイフだなんてのは冗談だからいいけど、でも俺は、やっぱりドッキン!そう、あいつはいい奴だったもんな。この俺に、男と男が精神的に強く結ばれることがどんなに素晴らしいことか数えてくれたから・・・•・・ネ。
それは3ヶ月前
桜のつぼみがまだ硬い三月の下旬、俺は陸上自衛隊のある駐屯地に入隊した。出身県の関係で他の県の出身者より四日ほど遅い入隊だった。勝見二士とはこの時に初めて出会ったのである。
〈三月某日〉
なかなかできてる奴
今日から俺の自衛隊員としての生活が始まる。まわりの環境は、想像していたのとそれほど変りはない。でも一部屋四十人というのは多すぎるようだ。
それから自衛隊ではバディという仕組があって、二段ベッドの上下でペアを組み、訓練面や私生活でいくそうだ。
俺のバディは勝見次郎。ガタイが良くてイモの煮っ転がしみたいな顔をした奴だが、なかなか性格はよさそうだ。
この時はまだバディの重要さなんか知るよしもなかった。
勝見二士は俺より年下だが、四日も早く入していただけあってちょっと先輩気取りで、ベッドのとり方から戦闘服のネームの縫い物まで俺に協力してやってくれた。早くもリードされっぱなし。それでもけっして悪い顔をしないで黙々と手伝ってくれる彼を見て、
「なかなかできてる奴だワイ」
と内心思ったものである。
<四月某日>
ビニ本でぬいて来い
入隊式も終わり、訓練も徐々に本格的になってきた。銃こそまだ持たされていないが、戦闘服を着て半長靴をはいて走り回るさまは、一人前の兵隊さん・・・・・なんちゃって。
そんな時、体育の時間に勝見の野郎がすっころんでけがをした。運動神経いいくせにまったくそそっかしい奴だ。おかげでその晩、俺がヨーチン片手に手当てしてやる。
両足おさえつけて、ヨーチンをぬるさまはSの気分。ム��フフと不敵に笑って、「グチェッ!」とぬってやる。勝見の奴たまりかねて、「ギャアー!」
苦痛にゆがんだ顔って、ちょっとエロチックやなアー。
四月にはいっても外出は下旬にならないとできない。新隊員とはつらいもんである。ああ、自衛隊には自由なんてない!これでは縛られるのが好きなMじゃなきゃ向かないんじゃないだろうか。そんなわけで貴重な休みも隊舎のベッドでゴロゴロ、これじゃ夜寝られるワケがない。
消燈もとっくに過ぎた十二時半、なんとなく昼間寝すぎたので寝つけない。緑色の毛布の中でごそっと寝返りを打つと、上のベッドでもごそっと寝返りを打ったようだ。安物のベッドがグラッとくる。これじゃセンズリかいてようもんなら、片っぽのベッドの奴は地震かと思って起きちまうだろうななんて思ってると、
「オイ、島さん寝たかい?」
と、勝見が小さな声で話しかけてきた。
「なーんか、こうムラムラして寝られネェんだョオ」
と俺。すると、
「島さん、最近やってないんでしょ、アレを」
「まっ、まあな」
と、二人はムクッとベッドから起き上がて話を始めた。まったく目がさえてしかたいない。すると、その時へやの戸があいて、だれかがはいってきた。なんと班付(つまり上官)の上田士長である。よーく見ると、片手にビニ本を持っている。
「お前ら、まだ起きとるんか」
「エエ、寝られないんですヨ」
と勝見二士。すると上田士長、恥ずかし気もなく片手でもってるビニ本二冊を差し出すと、
「これでちょっとぬいてこい、そうすればバッチリ寝られるゾ。俺も抜いて来た」
思わず俺と見、顔を見合わせてニヤリ、もちろん俺はあんまりビニ本には興味はないが、そこはノンケの顔をしていなければならないのがツライところ。
ともかく、俺と勝見の二人はビニ本片手に仲よくトイレに直行。そこで二人は同じ個室に••••••てなわけにはいかなくって別々の目室に。ハイ、でも、ガマン!
「オッ、スケニ本だぜ、もうビンピンだァ」
「タマンネニナー。でもあんまりおっきな声だすなァ、不寝番がびっくりして飛んでくるゾォー」
なんてことを話しながら、お互いに実況中継をし合う。洋式トイレなのですわってカケるのでらくなのだ。となりの個室からのすっとんきょうな声がとだえた。奴も本気になってきたようだ。こっちがたまんなくなるようなあえぎ声が聞こえてくる。思わず俺の手の動きも早くなる……。
すると、突然奴の声、
「ウッ!ウッーウ」
畜生、俺より早く終わりやがったな。
奴の家は海辺の町で漁師をやっている。中学、高校と、よくアルバイトを兼ねて家の手伝いをしたそうだ。そのためか潮で鍛えられた体は浅黒く、区隊で誰にもまけないくらいの逞しさを持っている。そんな奴から海の話を聞くのが俺も好きで、いろいろと聞いたものだった。サザエの採り方なんか、実に詳しく話をしてくれたもんだった。
<5月某日>
好きになったのかな?
知らないというのは恐ろしい。いつものように勝見二土から海の話を聞いていた俺は、なにげなく聞いてしまった。
「じゃ、なんで家の仕事を継がなかったんだい?」
「親父が許してくれなかったんだよ」
「どーして?」
「・・・・・・兄貴が海で死んだからさ••・・生きてれば二十七歳さ。よく晴れてベタなぎの海にもぐったきり、サザエ採りにネ、兄貴、上がってこなかった」
淡々と話し続ける奴は、やっぱりいつもと違っていた。
「やっぱり親は親なんだな。二人も海で死なせたくはないんだろうな。い��ら俺がねばってもだめだった。今の俺なんて、丘に上がったカッパさ・・・・・・・」
と、彼は言う。いやいや、丘に上がったカッパなんてとんでもない。奴の体力は区隊のトップをいつも争っている。俺だって気力じや負けないつもりだが、やっぱり体力検定だとかではっきり数字に出されると、どうも一歩も二歩もゆずってしまう。
「漁仲間の人から最近よく言われるんだ、兄貴に似てるって」
彼はこう最後に明るく付け加えた。なんか、この話を聞いているうちに、自分が奴に引かれていることに気がついてきた。なんとなく奴のことを、俺は他の班員とは違う目で見ているということに・・・・・・。
俺、奴のこと好きになったのかな?
まだ五月の下旬だというのに、真夏のような暑さが続く。そんな太陽の下での戦闘訓練は、まだ自衛官として一人前の体力を持ち合わせてない俺たちには、とてもキツイ。
たかが4.3kgの小銃が自分の体じゅうの汗を吸いまくる。気がつくと小銃から滴がしたたるほどに汗でぬれている。
地面だってこんな間近に見つめることなんてあったろうか。地にふせた俺の目の前にあるのは、青々とした草が高々と繁っている姿と、小さな虫たちの世界だった。
一瞬、自分が虫けらになったような気がする。ふと隣を見ると、3メートルほど離れて奴がこっちを見てニヤリとした。埃にまみれた顔から白い歯がチラリとのぞく。ほんの数秒の間の静けさが何時間にも感じる。

すると突然、頭上で班長の大声が響く!
「目標、前方の敵!」
「突撃!前へ!」
銃をかまえると全力で走りだす。核の時代にこんなことが役に立つのだろうか、もうバカになるしかないな。班長の号令が頭の中を素通りして直接手足に伝ってゆく。俺も奴も、そして愛すべき仲間たちも、死ぬ時はみんな一緒・・・・・なんだろうな。
<六月某日>
レイプごっこ
3ヶ月の前期教育も大詰めをむかえてきた。今月の末には、俺も奴もバラバラになって全国の部隊のどこかの駐屯地に配属されることになるだろう。なんか、そう思うと、とてもせつない。でも、俺と奴は違う道をたどらなければならない。希望も適性も違うから。だからあと数週間、思いっきり悔いのないようにガンバッテいく。それが今の俺たちには一番なの
だ。
営内近は1班12名前後いる。学校の教室の約2倍ほどの大きさの部屋に、実に40人の隊員が詰め込まれ、2段ベッドで毎日の訓練生活を送っている。もちろん性格もさまざまであるが、そんな隊員たちが40人も一つの部屋にいる姿は、なんとも壮観で異様でもある。しかも全員、スポーツ刈りか坊頭で、体格もこの六月ごろになると個人差こそあれ、すっかり逞しくなってくる。
その中にはやっぱり俺以外にも、男が好きな奴がいるらしい。時々どっかからか、〇〇二土と二士が二人でトイレにはいって行くのを見たなんて話を耳にすることがある。
うまいことやってるなあなんて思うけど、やっぱり毎日寝起きしている仲間の前ではなかなか、そんなことできるワケがない。それでもよく俺たち二人は皆の前で冗談を飛ばし合う。
「オッ、いいケツしてんなあー、たまんねえぜ!」
「バーカ、今夜はもう予約ズミダヨ」
「ベッドあんまりゆらしてこわすなヨ。下で俺が寝られネェからヨ」
「じゃペーパー貸してやっから、センズリでもかいてきな!」
なんてやり合ってると、周りの仲間も悪乗りしてきて、なにがなんだかわからないうちにレイプごっこ(つまり解剖というやつ)が始まったりする。どんなバカ力の持ち主でも二十人ぐらい��せめられたんじゃ手も足もでない。アッというまにスッポンポン。一回やられるとくせになるみたいで、次の獲物をさかす。でも気がつくと、一番必死でやってるのは俺みたい。
<六月中旬某日>
こみ上げてくるような話
今日から前期教育で最初で最後の野営(泊まりがけの野外訓練)が始まった。
午前中に寝泊まりするテントを設営する。
午後からは小銃手用の掩体(一種の個人用の隠れ穴…ここに隠れて首と銃だけ出して、敵を狙う)を掘った。
1グループ6人で3時間ほどで仕上げなければいけない。
もっぱら俺は現場監督のように地面に穴を掘る設計図を引く。そして奴は、パワーショベルのようなバカカで他の仲間四人とともに穴を掘る。もちろんきっかり時間内に仕上がった。
野営で俺たちが使うテントは、二人用の小さなもので、朝起きてみると足が外に出ていた、なんてことがしょっちゅうある。もちろん奴、勝見二士と一緒である。
一日めの夜は夜間訓練もあり、ビールも一本入ったので、二人はろくに話しもしないで寝てしまった。
二日の夜、目が冴えて眠れない。久しぶりに奴と俺はいろんな話しをした。酔うと滑舌になる勝見。入隊する前の事や、これからのこと、もちろん女の話しだって出てくる。俺は当然聞き手に回るわけだが、それでも奴は初体験の話や、彼女にふられてしまったことを、こっちが感心するほど克明に話してくれた。
なんかこみ上げてくるようなものも感じるけれど、それは明日の厳しい訓練にとかして流してしまおう。
三日めは、昼間の行軍が災いして床についたら、またまた、あっという間に寝てしまった。それでも就寝前、点呼に来る班長が、
「お前ら、あんまりいちゃつくなよ!」
「いやーあ、昨日なんて島さんが寝かしてくれないんスよ。まいったなあ」
なーんて冗談も飛ばしてくれて、言葉の中だけど、楽しませてくれた。
<前期教育終了7日前>
愛すべきパワーショベル
今日は最後の体育だ。項目はなんと苦手の障害走。外見に似合わず(?)体力のちと足りない俺には恐怖の時間である。だが、今回はなんと二人でペアになってやれというのである。当然勝見二土と組むことになる。よし、やるぞ!
隊長の合図でスタートし、戦闘服姿で障害物を切りぬけていく。高さニメートルの垂直の壁あり、幅一・五メートルの溝あり、まったくとんでもないコースだ。やっぱり勝見の奴は早い。確実に障害をこなしてゆく。時々日に焼けた顔でこっちをふり向く。そうだ、奴がいるから今俺は、三カ月間ここまできたんだ、汗と埃は今、大きなエネルギーと変わって俺たちに吸い込まれてゆく。奴が好きだ、そう、心の中で叫んでやる、
「好きだ」と。
ふと気がつくと、目の前にロープが下がっていた。最後の難関のロープ登りである。畜生!俺が最も苦手とするやつだ。それでも登らなければならない。一段階一段階と手足を使って登るのだが、なかなか上へ進まない。
畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープのフックに手が届くに・・。すると、そ畜生!もうだめだ、あと五十センチでロープのフックに手が届くのに…。
すると、その時である。足をなにか、すごい力で下からさ押れた。グーッと上に上がる。フ、フックに手が届いた。やったあ!思わず下を見る。そう、俺の足の下には勝見のこぶしがあった。奴は満身の力で、俺を下から押し上げてくれたのである。
この野郎!お前はやっぱりパワーショベルなんだなあ。
<前期教育終了6日前>
自衛隊部隊はラッパの音と共に、毎朝8時に国旗掲揚、夕方5時に国旗降納がある。
俺の前に整列している奴の後ろ姿の敬礼を見るのもあと数回しかない。教育終了後に別の部隊に進む事に決まったからだ。
日に焼けたうなじを目に対み込んでおこうと思う。毎日、一緒に行く食事も別れが近いせいか会話が少なくなったような気がする。
そろそろ身辺の整理を始める。ダンボールに荷物をつめる時、背中に後ろで見ている奴の視線がやけに気になる。
<前期教育終了4日前>
パンツの隙間から半立ちのものが…
教育打ち上げの研修旅行で、ある山奥の温泉に行った。
やはり百名近い短髪の青年集団というのは一般の人々に奇異に見えるようで、必ず「お仕事は何ですか」なんて聞かれる。もちろん醜態をさらす飲み会に制服なんて着ていくワケがないから、わからないのは無理もない。
「皆さんお若いですネ。今年入社したのですか?」
「ハアー、そうです」
「いい体している人ばかりですけど、どんな仕事ですか」
「まあー(モゴモゴモゴ)」
「ガードマンかなんかですか?」
「似たようなもんですネ」
と、けっこうおもしろがって遠回しに話をするんだけど、後ろから当然、
「島二土!」
なんて階級で呼ばれるもんだから���わけ知りの人にはバレちゃう。そしてその夜ー。
バカ騒ぎのうちに飲み会も終わり、各班ごとに���っそりと部屋に集まって二次会が始まる。ビールの本数が増えるに従って、歌が出る。かわるがわる歌う員の歌声をバックにして、俺も奴も仲間たちも、この三カ月間の訓練をいろいろ思い出していた。苦しかったことしか浮かんでこない。
でも、俺たちはその中で同期愛ということを学んだ。
いつのまにかみんな寝てしまっていた。もう外は白みかかっている。
突然、俺の寝ている毛布に奴が割り込んできた。肌がふれ合う。奴の匂いがする。すぐいびきかく。でも、なんとなく手が出せない。チラリと下を見る。パンツのすき間から、奴の半立ちしたものが見える。そういえば、いつか俺も言われたっけなあ。
「島さん、立ったチンポぐらいしまって寝てろよナ。思わずさわりたくなるだろが!」
奴が不寝番をやっていた時見られてしまったようだ。まったく助平な奴だと思った。でも俺のほうが助平だったりして。
「俺、眠ってる時って何されてもわかんねえんだよなあ」
と奴がカマをかけてくる。
「バーカ、もうやっちゃったヨ。でも1万円のダッチワイフのほうが気持ちよかったぜ」
と俺。してやられたというような奴の顔。
そんなこと思い出しながらいいチャンスの中、俺も寝てしまった。
<前期教育終了日>
再会をめざして頑張ろう
とうとう、今日という日が来てしまった。
俺も奴も違う部隊へ行ってしまう。場所も離れているので、顔も見られなくなるかもしれない。両手で握手をして別れた。
遠くでいラッパが鳴っている。戻は出なかったが、心で泣いてしまった。ありがとう、リスの目をしたパワーショベル、勝見次郎よ。日に洗けて埃にまみれながら走り続けた道を、ふり返りながら前を行く。奴だから、今日まで.....。
そして今…
新隊員後期教育が始まって1ヶ月半。前期教育から一緒に教育を受けている北村二士が手紙を見せてくれた。勝見二士と同じ部隊に行った高田二士からだった。
<あ、そうそう、この間の手紙に島さんが夢精したって書いてあったネ。あの文、勝見二士に見せたら、「まいったなあー」って口ではいってたけど、ニヤニヤしてたぜ。島さんに会いたいって伝えといてくれとのこと>
俺も奴に会いたい。こんど会うのはいつのことだろうか。
「士、別れて三日を経たるは刮目して待つべし」
お互い、目をみはる再会をめざして頑張ろうじゃないか。人は出合いと別れを通じて成長するのだから。
そして後日談…2024年
題名「遠くで突撃喇叭が」は第二書房が付けた題名。
原題は「遠くでラッパが」である。今どき戦闘訓練で突撃喇叭なぞ吹かない。この時代の薔薇族には戦記物を書ける文字通り百戦錬磨の先輩がたくさんいたから仕方ないが、俺の指したラッパの音は毎日部隊で���らされる国旗掲揚、国旗降納のラッパである。
勝見二士(仮称)は俺が見込んだとおり自衛隊員募集パンフレットの表紙を飾った。
残念ながら2任期(4年)で退職。
再会は果たせなかかった…親父の後を継いで海に出たそうだ。
新隊員当時の写真。小説に出てくる面々。
その他の隊員と再会したのは地下鉄サリン事件。不幸な事件であったが、それぞれが一線で任務についていた頼もしさを感じた。
もちろん俺も新隊員の教育をする先任陸曹になった。
その後俺も2等陸曹で依願退職。約15年の自衛隊生活を終了。鳶職となり予備自衛官で約10年、1曹まで務めた。
2024年現在、自衛隊に残った同期たちは全て定年退官している。
俺を薔薇族、さぶに引っ張ってくれた木村べん氏も他界された。
読んでもらって分かる通り、肉体関係は無くとも男同士の愛情はある事への感動を自衛隊で得ることができた。
職務上死の覚悟を要求される世界。
その感動をセックス描写のない小説でも構わないからと木村べん氏に書いてみないかと言われて作ったのがこの作品。
べん氏に銃を持つ手ではイラストは描けなくなると言われて、好きなメカ画も共同で作品表紙等で書かせていただいた。もちろん最初で最後。ben &tetsuは勉&(鳶)徹って言うこと。
文中漢数字が多いのは縦書きの影響。

「遠くで突撃喇叭が」掲載誌表紙
もう一つ参考にしてさせていただいた本。
1974年芥川賞受賞作品「草のつるぎ」
実はエロ度こちらの方が数段上。戦闘訓練の打ち上げで全員でセンズリこくシーンがある。実話だからノーカットなんだろう。
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曇り空の下、皇居一周を寄り道しながら歩く5時間の散歩。
乾門の前から反時計回りに出発
旧近衛師団司令部庁舎
千鳥ヶ淵公園
半蔵門
三宅坂小公園、カイヤの背後は最高裁判所
国会前庭の三権分立の時計塔、相棒でよく出て来るトコ。
日本水準原点
国会議事堂前にて。一週間前はさぞ出入りが激しかった事でしょうに。
法務省旧本館
桜田門! じゃなくて警視庁
桜田門
正門石橋
高燈篭(常燈明台)
田安門の石垣
本日の目的地、武道館
何回も応募して、今年ようやく当選した自衛隊音楽まつり。
素晴らしかったです。また応募し続けよう!
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)12月27日(水曜日)参
通巻第8070号
AIは喜怒哀楽を表現できない。人間の霊的な精神の営為を超えることはない
文学の名作は豊かな情感と創造性の霊感がつくりだしたのだ
*************************
わずか五七五の十七文字で、すべてを印象的に表現できる芸術が俳句である。三十一文字に表すのが和歌である。文学の極地といってよい。
どんな新聞や雑誌にも俳句と和歌の欄があり、多くの読者を引きつけている。その魅力の源泉に、私たちはAI時代の創作のあり方を見いだせるのではないか。
「荒海や佐渡によこたう天の川」、「夏草や強者どもが夢の跡」、「無残やな甲の下の蟋蟀」、「旅に病で夢は枯野をかけ巡る」。。。。。
このような芭蕉の俳句を、AIは真似事は出来るだろうが、人の心を打つ名句をひねり出すとは考えにくい。和歌もそうだろう。
『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天香具山』(持統天皇)
皇族から庶民に至るまで日本人は深い味わいが籠もる歌を詠んだ。歌の伝統はすでにスサノオの出雲八重垣にはじまり、ヤマトタケルの「まほろば」へとうたいつがれた。
しかし人工知能(AI)の開発を米国と凌ぎを削る中国で、ついにAIが書いたSF小説が文学賞を受賞した。衝撃に近いニュースである。
生成AIで対話を繰り返し、たったの3時間で作品が完成したと『武漢晩報』(12月26日)が報じた。この作品は『機憶(機械の記憶)の地』と題され、実験の失敗で家族の記憶を失った神経工学の専門家が、AIとともに仮想空間「メタバース」を旅して自らの記憶を取り戻そうとする短編。作者は清華大でAIを研究する沈陽教授である。生成AIと66回の対話を重ね、沈教授はこの作品を「江蘇省青年SF作品大賞」に応募した。AIが生成した作品であることを予め知らされていたのは選考委員6人のうち1人だけで、委員3人がこの作品を推薦し
「2等賞」受賞となったとか。
きっと近年中に芥川賞、直木賞、谷崎賞、川端賞のほかに文学界新人賞、群像賞など新人が応募できる文学賞は中止することになるのでは? 考えようによっては、それは恐るべき時代ではないのか。
文学の名作は最初の一行が作家の精神の凝縮として呻吟から産まれるのである。
紫式部『源氏物語』の有名な書き出しはこうである。
「いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり」
ライバルは清少納言だった。「春は曙、やうやう白く成り行く山際すこし明かりて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる」(清少納言『『枕草子』』
「かくありし時すぎて、世の中にいとものはかなく、とにもかくにもつかで、世に経るひとありけり」(道綱母『蜻蛉日記』)
額田女王の和歌の代表作とされるのは、愛媛の港で白村江へ向かおうとする船団の情景を齊明天王の心情に託して詠ん��。
「熟田津に 船乗りせむと月待てば 潮もかなひぬ今は漕こぎ出いでな」(『万葉集』)。
「昔、男初冠して、平城の京春日の郷に、しるよしして、狩りにいにけり。その里に、いとなまめいたる女はらから住みけり。」(『伊勢物語』)
▼中世の日本人はかくも情緒にみちていた
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ泡沫(うたかた)はかつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」(『方丈記』)
『平家物語』の書き出しは誰もが知っている。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き��り。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。 猛き者も遂にはほろびぬ、 偏(ひとへ)に風の前の塵におなじ」。
『太平記』の書き出しは「蒙(もう)竊(ひそ)かに古今の変化を探つて、安危の所由を察(み)るに、覆つて外(ほか)なきは天の徳なり」(『太平記』兵藤祐己校注、岩波文庫版)
「つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ」(『徒然草』)
古代から平安時代まで日本の文学は無常観を基盤としている。
江戸時代になると、文章が多彩に変わる。
井原西鶴の『好色一代男』の書き出しは「「本朝遊女のはじまり、江州の朝妻、播州の室津より事起こりて、いま国々になりぬ」
上田秋成の『雨月物語』の書き出しはこうだ。
「あふ坂の関守にゆるされてより、秋こし山の黄葉(もみぢ)見過しがたく、浜千鳥の跡ふみつくる鳴海がた、不尽(ふじ)の高嶺の煙、浮島がはら、清見が関、大磯小いその浦々」。
近代文学は文体がかわって合理性を帯びてくる。
「木曽路はすべて山の中である」(島崎藤村『夜明け前』)
「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜ぬかした事がある」(夏目漱石『坊っちゃん』)
「石炭をば早はや積み果てつ。中等室の卓つくゑのほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒らなり。今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌カルタ仲間もホテルに宿りて、舟に残れるは余一人ひとりのみなれば」(森鴎外『舞姫』)。
描写は絵画的になり実生活の情緒が溢れる。
「国境の長いトンネルをぬけると雪国だった」(川端康成『雪国』)
谷崎潤一郎『細雪』の書き出しは写実的になる。
「『こいさん、頼むわ』。鏡の中で、廊下からうしろへ這入はいって来た妙子を見ると、自分で襟えりを塗りかけていた刷毛はけを渡して、其方は見ずに、眼の前に映っている長襦袢姿の、抜き衣紋の顔を他人の顔のように見据みすえながら、『雪子ちゃん下で何してる』と、幸子はき��た」。
「或春の日暮れです。唐の都洛陽の西の門の下に、ばんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました」(芥川龍之介『杜子春』)
▼戦後文学はかなり変質を遂げたが。。。
戦後文学はそれぞれが独自の文体を発揮し始めた。
「朝、食堂でスウプをひとさじ吸って、お母様が『あ』と幽(かす)かな声をお挙げになった」(太宰治『斜陽』)
「その頃も旅をしていた。ある国を出て、別の国に入り、そこの首府の学生町の安い旅館で寝たり起きたりして私はその日その日をすごしていた」(開高健『夏の闇』)
「雪後庵は起伏の多い小石川の高台にあって、幸いに戦災を免れた」(三島由紀夫『宴のあと』)
和歌もかなりの変質を遂げた。
正統派の辞世は
「益荒男が 手挟む太刀の鞘鳴りに 幾とせ耐えて今日の初霜」(三島由紀夫)
「散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 散るこそ花と 吹く小夜嵐」(同)
サラダ記念日などのような前衛は例外としても、たとえば寺山修司の和歌は
「マッチ擦る つかのま海に霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや。」
わずか三十一文字のなかで総てが凝縮されている。そこから想像が拡がっていく。
こうした絶望、空虚、無常を表す人間の微細な感情は、喜怒哀楽のない機械が想像出来るとはとうてい考えられないのである。
AIは人間の霊感、霊的な精神の営みをこえることはない。
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日本の夏じたく2023
2007年にはじまった日本の夏じたくも15回目。 夏じたくの会を立ち上げ、牽引し、育ててくださった アトリエ Kinami 久保紀波さんを中心とした 「日本の夏じたく」はこの2023年で一区切りです。
▶︎▶︎日本の夏じたく2023
2023年5月19日~21日 10:00~17:00(入場は16:30まで)※21日は16:00閉場 受付:三溪記念館 9:30受付開始 会場:三溪園 神奈川県横浜��中区本牧三之谷58-1 アクセスは三溪園ホームページでご確認ください。 https://www.sankeien.or.jp
イベントのお申し込み等詳細は夏じたくHPへ https://n-natsu-s.jimdo.com
COCOON 西川の最新情報は インスタグラムをご覧ください https://www.instagram.com/cocoon_oharu/
▷▷出展者
▶︎三溪記念館 総合受付 和紙 中村功/ #拝宮手漉き和紙工房
▶︎白雲邸 染色 久保紀波/ アトリエKinami
染織 岩崎訓久・悦子/ 染織iwasaki
染織 石川文江/ 楮布織
染織 西川はるえ/ Textile COCOON
木 富沢麻子/ a_wood
古代装身具 片桐光治/ limul
墨画 石塚智之/ アトリエKinami
古典織物 中島洋一
漆 箱瀬淳一/ 箱瀬工房
日本刺繍 飯島桃子
染色 大き令子/ reikokiaburada
▶︎臨春閣玄関 竹 吉田佳道/ 竹の工芸よしだ
▶︎蓮華院 硝子 濱舘寛/ ipada 硝子 村木未緒/ ipada
呈茶 杉本百合子/すすり茶 空間 田中寛子
▶︎林洞庵 錫 今井章仁
金属 石井雄次/ Metal art and Jewelry YUJI ISHII
▶︎旧燈明寺本堂 硝子 荒川尚也/ 晴耕社ガラス工房
花 珠寳 / 青蓮舎
▶︎協力: 小熊廣美 / 書 辛島綾 / しつらい
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OSAKA FILM PHOTO WEEK2024
5つのギャラリーですべて開催となりました
22日より先陣を切ってLimeLightでは額装一展2024がスタートしまして
2024.9.22-9.28
‐フィルムカメラで撮った写真を額装して飾りましょう‐
1階展示室にて開催です
足立健司・インドネシアみっく・浦岡あゆみ・門脇大敬・嶋田裕司 JunKyo・TAIZO・堤俊英・富永亨・bambi・藤田莉江・松浦恵・三浦吉幸 三木邦仁・籔本近己・yasu⊿foto‡・山田晃央・兒嶌秀憲
ソラリスさまでは
フィルムの写真教室 OB・OG 写真展「FILMing」
タイトル通りのフィルム写真教室のOB・OG展
オーナー橋本大和氏が先生(マスター)で元教え子たちのフィルム魂がご覧いただけます
2024/9/24〜9/29
BEATSさま・アビィさま・air壹燈舎さまは25日(水)より
スタートです
駆け足ですが皆様の展示を拝見してきました
フィルム高騰の中
各ギャラリーに参加して頂きました
出展者様の気概に感謝をであります
BEATSさま:フィルムカメラVol.4
兒嶌も参加しております
代表より寄贈頂きましたヤシカスナップで挑みました
高温現像66度66秒現像
大全紙3点展示中です
アビィさま:トイカメセッション2024
ホルガ会大頭目の吹雪大樹氏の大号令があったのかなかったのか
多分あったはず?
そして集った12名の雄姿によりますトイカメ魂がご覧いただけます
air壹燈舎さま
毎年写真回廊で兒嶌のバディをしてくださいます
杉本征克氏がオープンしておりました壹燈舎は
2021年閉廊しましたが
フォトウィーク開催時は集っていた皆様が集まりair壹燈舎として
復活
同窓会のような和気藹々な雰囲気の会場でありました
各ギャラリーの展示をご覧いただければ幸いですよ
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「虚無への供物」中井英夫 1121
第一章
12十字架と毬
“泉”で、亜利夫と久生の会話です。
そこで、衝撃的とでも言うのか、 藤木田老人は、バア“アラビク”に時々出入りしていたことがわかります。 あの鯰坊主の田舎紳士に体つきもよく似ていたと藍ちゃんも思い出したとかで、 変装していたこともわかります。 まあ、驚くほどでもない気もしますが、どうやら、外国の探偵気取りで、 変装していたということをいいたいのでしょうね。 そういえば、 よく変装する探偵がいたような気がしますね。
藤木田は、新潟とは半日で往復できるといいます。 その当時なら、急行「越路」となるのでしょう。6時間で上野と新潟を結んでいますから、 数字の上では可能かもしれませんが、 昔の人は忍耐強いですね。
ただ、このあたりも伏線ぽいです。
藤木田はチェス盤に向かい準備をしますが、 その横で、藍ちゃんが「タマがった」といいます。 状況から言っても、驚いたという意味だと思うのですが、 これ、明らかに方言です。 しかも、九州地方の方言ですね。 藍ちゃんは、北海道の出身だと思うのですが、九州の人と付き合いがあるのでしょうか?
これも伏線でしょうか?
その後、 藍ちゃんはLFで毎週水曜日の夜十時三十五分からやっているという、 蘆原英了の解説する“パリの街角”(スポンサーは大日本製糖)というシャンソン番組を聞きます。 テーマ音楽に「タ・マ・ラ・ブム・ディ・エ(Ta ma ra boum di hé)」- ジェルメエヌ・モンテロ(Germaine Montero)が使用され、 その後、「小さなひなげしのように(Comme un p'tit coquelicot)」- ムルージ(Marcel André Mouloudji)という曲も聞こえてきます。 この歌、ちょうど帰国した石井好子がしきりに歌っていたそうですが、 その当時「あの人に貰った花」や「君去りなば」をレコードとして発売しているみたいです。
結果的にこれが事件の時刻を特定することになります。
ところでLFはニッポン放送「JOLF」の下2文字を表しているのでしょう。 実際にそういう番組があったかどうかはわかりませんが、 蘆原英了が解説するシャンソン番組はあったようですから、 そのあたりを参考にしたのでしょうか。
その後、橙二郎が藍ちゃんと書斎へ入っていって、 亜利夫と藤木田は相変わらず紅司の部屋でチェスをしています。 その間に、浴室の中で紅司が死体に変わったのです。
お使いに出ていた爺やが帰ってきて、 紅司がまだ風呂から出ていないのを心配するのがきっかけで、 結局、密室状態の風呂場に倒れている紅司を発見することになります。
密室状態とした理由の一つは、 紅司のつけさせた「鎌の形になった刃が受金の中に食い込む式」の鎌錠のせいです。 なんとなくイメージは湧くのですが、 その当時の鎌錠がそれほど頑丈で、 密室と言えるほどのものなのでしょうか? 例えば、磁石なんか使えば簡単に外せたりできそうなんですが。
その密室状態の風呂場に皆はなんとか入ろうとします。 藍ちゃんだけが外からのアプローチをしたみたいですね。 結局、皆は脱衣室のガラスを壊して入ります。
風呂場の中では、洗面の水道がだしっぱなし、蛍光燈が点滅していました。 紅司の死体は、右手に愛用の日本剃刀、左手は拳を固めていて、 その背中に奇怪な十字架の文様が浮かび上がっていた。 それは、誰の眼にも鞭痕だとわかります。 つまり、紅司はマゾヒストで、どこかの与太者が相手に違いないと想像します。 亜利夫は、ヘンリー・ハヴロック・エリスを紐解くまでもない。 紅司は、受け身の倒錯者(パバート)だったと決めつけます。
確かに、相手がいないとつかないでしょうから、 与太者の存在が疑われますね。
ちなみ、 ヘンリー・ハヴロック・エリスは、イギリスの医師で性科学者などでもあり、性について調査・執筆した大著『性の心理』を刊行しています。
ここまで、 亜利夫の話を聞いていた久生が、閉口したようすで眉根に嫌皺(いやじわ)を寄せるとありますが、 これは、どんな様子なんでしょうか? 慣用句の「眉根を寄せる」と同じで眉間にしわを寄せる様子を表現しているのだと思いますが、 面白い表現ですね。
さて、発見時に、おろおろした爺やが抱き起こそうとするのを現場に触ってはいけない。 と、藤木田��止めます。 で、医者である橙二郎が脈をとり死んでるのを確認します。 藤木田は、警察には知らせずに蒼司君と嶺田博士に電話をするように言います。
不思議ですね。 まあ、一般の家ではないことはわかりますが、 警察に連絡しないでどうするというのでしょう?
それから、亜利夫が再度確認すると、風呂場の様子が書かれます。
・白いタイルの湯舟には蓋もなく、透き通った湯が僅かな湯けむりを挙げていた。 →つまり、湯船には誰も隠れていない。 ・左手の電気洗濯機は蓋も絞りきも外され、シャボンの泡が細かに崩れかけている。 →さっきまで洗濯してた? ・引き違いの二枚のガラス窓には差し込みのカギが根元まできっちり閉まっている。 →開いてては、密室になりません。 ・空気抜きの狭い高窓も閉ざされている。 →大きさは、はっきりわかりませんが、人は通れないでしょうし、機械的な細工もできないということでしょう。 ・ジェット蛇口から水道が勢いよくほとばしっている洗面台。 →水がでてることが? ・その棚には温室咲きの純白のグラジオラスが一輪挿しに差されておる。 →花に何の意味が?
亜利夫が紅司に電話をかけようとしますが、どういうわけか電話が不通になっていて、 藤木田の隣家を騒がせるなという指示で、 亜利夫と藍ちゃんが、目白駅前の黄色い電話ボックスに飛び込んで電話をかけます。
この黄色い電話ボックス、通称「丹頂形」と言われるそうで、 この年の10月頃から使用開始されたみたいですね。
八田皓吉宅に電話が繋がり、 蒼司と話すと、 なんと蒼司は、 叔父さんである橙二郎と紅司の関係を考え、 本当はまだ死んでない紅司を橙二郎が殺すのではと疑います。
藤木田もいることだし、 まさかそんなことはないだろうと亜利夫は思いますが、 多少不安になったのか、急いで帰ります。
氷沼家に帰ってみると、 家の中には何かしら前にもまして異様な雰囲気がみちています。 藤木田老人は階段の上り口に突っ立って腕組みしながら二階と風呂場の方を等分に見比べ、 橙二郎が書斎に麝香(じゃこう)を取りに上がったからなどと���り言をつぶやいている。 風呂場の紅司はうつぶせのままで爺やがへたりこんでいっしんに手を合わせて拝みながら経文を唱えています。
その爺やの唱えている経文が、 爺やの唱えている通りという感じで挿入されています。
まあ、流石にこれが事件と関係しているとは思えませんから、 爺やの精神状態がおかしいということを表したかったのでしょうね。
亜利夫も普通の精神状態ではなかったのでしょう。 本来なら死体など見ることも触ることも嫌だと思うのですが、 紅司の左首を握ってみました。 すると、今までに経験したことのない重味と冷たさを瞬時に感じで、 手首を離してしまいます。 手首はだらりと下にたれました。
これで、やはり死んでいるということはわかりますね。
つづく。
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2022年の映画鑑賞
コロナ禍で劇場公開の作品は小粒化が進み、おまけに読書に精を出していたので特に下半期はペースダウン気味。配信サービス加入で1940年代の作品を貪るように観た年だった。
ヨーロッパ横断特急
バルカン超特急
間諜最後の日
影なき殺人
三つ数えろ
地球最後の日
ガラスの鍵
青い戦慄
禁じられた遊び
プラットフォーム
青の恐怖
逃走迷路
三十九夜
ロープ
群衆(1941)
天才マックスの世界
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
ビハインド・ザ・カーブ - 地球平面説 -
ザ・ビートルズ Get Back: ルーフトップ・コンサート
ドント・ルックアップ
雨月物語
静かなる叫び
あの夜、マイアミで
パワー・オブ・ザ・ドッグ
戦慄の七日間
見知らぬ乗客
オキシジェン
ロスト・ドーター
叫とささやき
イヴ総て
タミー・フェイの瞳
地球の静止する日
仮面ペルソナ
ガス燈
すべき夫婦の秘密
田舎司祭の日課
SF巨大生物の島
コロンバス
囚われた国家
事件
摩天楼
飾窓の女
東京原発
海外特派員
スパークス・ブラザーズ
キミはだれ?チャーリー・ブラウン
ブルー・ガーディニア
7つの顔
白い恐怖
裕次郎の欧州駆けある記
フレンチアルプスで起きたこと
らせん階段
善人サム
私は殺される
宝島
サボタージュ
底抜けニ挺拳銃
四重奏
白痴
どん底
間諜X27
紳士協定
キューポラのある街
救命艇」
群衆(1928)
民衆の敵
エルヴィス
恐怖の報酬
絶望の彼方に
汚名
エスパイ
自転車泥棒
KCIA 南山の部長たち
NOPE/ノープ
ブライアン・ウィルソン 約束の旅路
最後にして最初の人類
アタック・ザ・ブロック
Coda コーダ あいのうた
シン・ウルトラマン
国家が破産する日
あのこは貴族
ゴーストバスターズ/アフターライフ
リーマン・ブラザーズ 最後の4日間
サウンド・オブ・007
ナイブズ・アウト: グラ��オニオン
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【2571日目】2020-01-31 大使館のタブラレッスンの時刻が繰り上がったので、閉店時間前に行けるようになりました^^ . South Indian Meals & Tiffins SANTOSHAM 三燈舎@小川町 _______________________________________________________ ミールスをちゃんと食べようと言うテーマで来店。グランドオープン日以来、ひさしぶりのサントーシャミールス。 . "SANTOSHAM MEALS" ◎CHICKEN CURRY チキンカレー ◎FISH CURRY 魚カレー ◎THORAN トーレン ◎RASSAM ラッサム ◎SAMBAR サンバル ◎RICE バスマティライス ◎BATURA バトゥーラ ◎PAPAD パパド ◎MASALA WADA マサラワダ . ちゃんとミールス……とか言ってノンベジを選んでしまいました^^; おなかペコペコで、お肉を食べたくて^^; チキンカレーは、初めて食べたときとは異なる料理になっていました(おそらくあの日が特別だったのかな)。ビッグカルダモンのスモーキーな香りが立つ、ガツンとスパイシーなカレー。こういう強い味、大好きです。 . 魚は、ココナッツベースのコクのある上質なフィッシュカレー。マラバール海岸が続くケララ州を象徴するようなカレーでした。 . サンバルは甘みがあって、こちらもケララ州らしいサンバル。甘いサンバルは得意ではないと自覚していたのですが…この微量に加わっている具合の美味しさに…ちょっと開眼しました。そうか、こうやって��しむ味なのか。 舌も脳も、経験を積み重ねることで少しずつ変化するようです。 . ライス、サンバル、ラッサム、お代わりをして盛り盛りいただきました。おいしい…おいしいぞミールス! ミルキーな素敵なチャイで食後を締めて…気持ちの良い金夜でした♪ . ______________________________________________________ 🇮🇳 #south #india #indianfood #asianfood #asia #foodpic #foodstagram #tasty #curry #spice #santosham #インド #小川町 #神田 #神保町 #サントーシャ #三燈舎 #カレー #スパイス #フクドローン #ふくすたぐらむ (South Indian Meals & Tiffins Santosham 三燈舎) https://www.instagram.com/p/B8SiHX_gwD4/?igshid=en4ivobrhbqc
#south#india#indianfood#asianfood#asia#foodpic#foodstagram#tasty#curry#spice#santosham#インド#小川町#神田#神保町#サントーシャ#三燈舎#カレー#スパイス#フクドローン#ふくすたぐらむ
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南インドの定食と軽食三燈舎さんに行ってきました。ランチミールスを食べてきました。 #神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2020 #三燈舎 #ごちそうちよだ (South Indian Meals & Tiffins Santosham 三燈舎) https://www.instagram.com/p/CF06NqwAwct/?igshid=5v1kok0u47ns
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ランチは三燈舎さんでマトンビリヤニ カレーはブラックペッパーチキンキーマです。辛くて美味しかった♪ ごちそうさま #ごちそうちよだ https://www.instagram.com/p/CBPec-agaVw/?igshid=152ep223b4m3w
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午前中に神保町でのお仕事が終わってスキー街でブーツでも見てくかーと プラプラして南インド。 臨席の女子の会話を聞いてると孤独のグルメで出たらしい。 ミールス1850円。 (South Indian Meals & Tiffins Santosham 三燈舎) https://www.instagram.com/p/B9I4jtBl6rL/?igshid=7lew32iyh5hh
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2019年12月14日(土)
22年目となる京都大学社会学教室の「社会調査実習」、今年の補充調査を12/14-15の一泊二日で実施する。集合場所は三重県熊野市の七里御浜、いつ来ても何度観ても飽きない風景。来年が最終となるので、それに向けて規模の縮小に努めてきた。今年はほとんどが院生かつ留学生、8名の参加者が2班に分かれて行動する。良い収穫を期待したい。
ドライバーは午前8時に、京都駅南のニッポンレンタカーに集合。学生用にステップワゴン2台、教員用にカローラ1台。学生たちの集合時間は8時20分、全員揃って8時30分に出発。ルートは、名神高速道路京都南ICから、新名神→東名阪→伊勢自動車道→紀勢自動車道、週末ということで車の数は多いが予定通りに進む。途中、伊勢道安濃SAで名古屋組と合流し、尾鷲で高速を降りてランチに向かう。
いつもお世話になる「和幸寿し」、電話で予約を入れるので、店に入るとすぐにいただくことが出来る。定番の握り(竹)は、大将の一押し、ビールが飲めればなぁ。
集合場所は七里御浜、2班に分かれ、土産を分配してアポに従って行動開始。
教員チームは、今回は特に予定なし。現地世話人のK兄と一緒に南へ向かう。
まずは、和歌山県那智勝浦町・湯川温泉郷の「きよもん湯」へ。ここの湯は、サラッとしていて大変気持ちいい、このあたりでは一番のお気に入り。
さらに南下して太地町・梶取崎へ、鯨の町らしく、燈台の上にあるのは風見鶏ならぬ鯨鶏。
一部は「くじら博物館」へと向かうが、私は別行動で周辺を散歩。
日の落ちるのが早いので、早めに宿舎へ入る。
昨年同様、お世話になるのは三重県熊野市磯崎町の「早苗旅館」。
予定通り全員帰着して、18時30分から夕飯。
旅館の大将は漁師、おりしも伊勢海老漁の真っ最中、贅沢な炊き込みご飯がメイン。
部屋に戻って久しぶりの仲間とワイワイガヤガヤ、布団に入ったのは日付変更線を超えた辺りか。
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OSAKA FILM PHOTO WEEK2024
BEATS & ソラリス & アビィ & air壹燈舎 & LimeLight
5つのギャラリーにて今週はフィルムカメラ縛りの展示が開催されますよ
LimeLightは額装一展2024を開催です
2024.9.22-9.28
‐フィルムカメラで撮った写真を額装して飾りましょう‐
1階展示室にて開催です
足立健司・インドネシアみっく・浦岡あゆみ・門脇大敬・嶋田裕司 JunKyo・TAIZO・堤俊英・富永亨・bambi・藤田莉江・松浦恵・三浦吉幸 三木邦仁・籔本近己・yasu⊿foto‡・山田晃央・兒嶌秀憲
簡単ですが展示動画公開中です
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魂の番宣はこちら
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アップルつながり
「デンマークの至宝」ことマッツ・ミケルセン主演「アダムズ・アップル」を観たので感想を。しつこいですが、今年は本当に北欧映画の当たり年。私が今までチェック不足だったのもありますが、ユーモアセンスが独特だしヨーロッパの中でも異色だなぁと。
仮釈放中のネオナチ野郎アダムと、そんな彼を更生させようとする風変わりな牧師イヴァンの闘いを旧約聖書の「ヨブ記」を絡めながら描いた作品・・・と、すでにあらすじだけでも独特。ヨブ記をざっくりでも知っておくとより理解出来るとは思いますが、知らなくともかなりブラックユーモアが効いていて面白い。ボッコボコに殴られても無抵抗、「すべては神が与えた試練」と受け入れるどこまでも���善的なイヴァンと、根はいい奴なのに悪党ぶろうとするの偽悪的なアダムの対比に笑ってしまいました。同じく教会で更生を目指すパキスタン系のカリドと元テニス選手のグナーもめちゃくちゃなんだけど、どこか憎めなくてナイスキャラ。
次々と起こる神の試練、イヴァンの秘密と受難、そしてアダムは更生して庭のりんごでケーキを焼けるのか?とドキドキしていたら、まさかの奇跡が!え〜!とびっくりしつつも不思議と心温まるラストでした。(アダム変わりすぎだろ)
人は不条理なことが起こると「なぜ私がこんな目に?」と時に神を呪ったりするもの。理由を求めるのではなくそこからどうやって生きるのか考えよという教えなのだろうけど、キリスト教でない日本人には理解がちょっと難しいかもしれません。
アップルつながりで最近食べたリンゴのお菓子のことを。神保町の三燈舎の近くのポルトガル菓子のお店「ドースイスピーガ」で、
焼きリンゴとココナッツのお菓子を買いました。名物エッグタルトは予約しないと買えないらしいので、またの機会に。焼きリンゴはまだシャキシャキ感が残る仕上がりで美味しかったです。
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