#ペゾス引退
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ari0921 · 2 months ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
  令和七年(2025年)2月10日(月曜日)
    通巻第8644号 <前日発行>
トランプの世界観は日本の興隆に刺激され、関税への執着となった
  『関税、関税、関税』。そして『投資、投資、投資』だ。
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 トランプには「ものつくり」で劣勢のアメリカ産業の立て直しを基本的に考え直すという基本的ヴィジョンは希薄である。
AIに投資し、半導体で中国を封じ込めるというバイデン政策の枠を越えていない。自国の産業をまもるために関税を武器とする。
 『関税、関税、関税』である。そして『投資、投資、投資』だ。
 メキシコとカナダへ25%の高関税をかけると脅し、BRICSには米ドル体制から離れるなら100%関税を課すとブラフをかける。じっさいに中国には10%の追加関税をかけた。頭の中にあるのは不動産取引の延長のごとし。
 問題はなぜトランプが関税にこだわるのか、である。
 なぜボーイングの技術劣化、GM、フォードの不振、クライスラーの再編が起こったか、なぜUSスチールが日本製鉄と経営した方が、アメリカ経済にとってプラスになるのかを考えないのか。アメリカの製造業は安い中国品を輸入するばかりで、なぜ自ら製造しようとはしないのか。
 1970年代後半から、80年代にかけて、日本経済の興隆は凄まじいものがあった。日本資本はNYの不動産を買いあさった。ロスの目抜き通りウィルシャーブルーバードの著名なビルも日本の秀和などが次々と購入し、アメリカ人からみれば『日本の侵略』と移った。日本への嫉妬、怨念を抱いたアメリカ人が夥しく、トランプもその一人だった。
「東京がロックフェラーセンターを含む米国の象徴的なブランドや不動産を大量に購入していく様子をトランプ派は前列で見ていた。そのとき、米国の同盟国との関係についてのトランプの世界観が形成され、輸入品に対する関税への執着が始まった」
 
トランプが1987年に出した著書『取引の達人』(「The Art of the Deal」)のなかでときの政権の貿易政策を激しく非難している。
「同盟国に「公平な負担」を課すことで外交政策を扱う」と明言し、日本が米国市場に「ダンピング製品」を輸出して膨大な貿易黒字を形成したのだと総括する。雌伏30年、かれは大統領に立候補し、奇跡の当選を果たした。
レーガン政権は親日的と言われたが、貿易に関しては保護主義的なスーパー301条などが議会で目白押しとなった。
 トランプが『台湾の半導体の勃興は米国から技術を盗んだからだ。台湾は(ずる)賢い』などという暴言も、同じ発想である。
アメリカの製造業の衰退がなぜおきたかを直視せず、他国の競争を最初から不正とみるのだ。
 トランプは80年代の日本の猛威について、「日本と他の国々が何十年も米国を利用し続けてきたからだ。日本は防衛に適切な費用を回避し、(米国が無償で防衛してくれる限り)、前例のない黒字を生み出して、強力で活気のある経済を築いてきた」と主張した。それゆえ「明白な解決策」とは「課税」することだと短絡的になる。
クライド・プレストウィッツはレーガン政権下で商務長官顧問として日本との交渉を指揮した。彼のベストセラーは『日米逆転』(『TRADING PLACES』)である。
「関税は早急に結果を得ようとする短絡的発想でしかなく、タフガイのポーズは見せかけのものだ。それが何らかの形で効果的かどうかは、本当に議論の余地がある」と書いた。
結局、半導体もAIもSNSも、ほぼすべての新技術はアメリカが発明され、特許とビジネスモデルを登録し、ロイヤリティー収入で稼ぐ。
頭脳は稼働するが手足は動かないというのがアメリカの優秀な発明家、起業家が考案したビジネスモデルであり、イーロンマスクもビルゲーツモザッカーバーグもペゾスも生産現場の経験が殆ど無い。
アメリカは頭脳で稼ぐが、実際のものづくり、たとえばスマホもパソコンも外国で下請けさせている。
アメリカ産業全体の衰退は、この産業構造の歪(いびつ)さにあるわけで高関税は政治的で、一時な防衛措置でしかない。
(BBC、2月8日)
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ari0921 · 4 years ago
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)5月28日(金曜日)
通巻第6926号
 ネット錬金術でのし上がった坊主頭、ぎょろ目男のぺゾスが引退
   アマゾン、今度はMGMを84・5億ドルで買収する目的は?
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 メトロ・ゴールドウィン・メイヤーズ(MGM)はハリウッド映画の象徴だった。大ヒットは「007シリーズ」、ロッキー、そしてピンク・パンサー。映画は斜陽産業と言われたのに、過去のライブラリーのヴィデオ化、キャラクターの知財のロイヤリティ収入などで延命してきた。
 昨今はハリウッドにチャイナマネーが流れ込み、反中映画が作られなくなったうえ、映画製作のスタジオ、映画館チェーンも中国企業が買収してきた。ダライラマ支援の映画に出たリチャード・ギアらは干されてきた。
 このMGMをアマゾンが84・5億ドルで買収するという。系列のケーブルtvやtvショーも含まれるが、いったい目的は何か?
ネットフリックスへの対抗だけが目的だろうか。
 アマゾンは驚異の急成長で、第一四半期だけでも70億ドルの純利益を上げていると言われ、さきにも高級食材チェーンの「ホールブーズ」社を137億ドルで買収、またピルパック(オンライン薬局)とリング(セキュリティ器具)をそれぞれ10億ドルで買収し、アマゾンの販売ルートに載せ、靴販売のザッポスを12億ドルで、自動運転技術のズークスを13億ドルで買収した。
 通販の主力となるような商品メーカーを資本力で傘下にしれ、ビジネスを短時日裡に拡大した背景は、こうした強引とも言えるM&A(企業買収、合併)戦略があった。
しかもCEOのペゾスが名門ワシントンポストを買収したため、トランプ前大統領が目の敵に批判し続けた。ワシントンポスト紙は民主党支持できわめてリベラル色が強い。
 筆者が最初にペゾスを認識したのは1990年代後半、米週刊誌『ビジネスウィーク』にでた写真で、大きなぬいぐるみを抱えて街を歩く、ぎょろめ、丸坊主の異様な風体の男がアメリカの産業界に旋風を起こしているという記事だった。
筆者には『ビジネスウィークの読み方』(ダイヤモンド社、絶版)を書いていたので、この週刊誌は愛読誌である。
昨今のヴィジュアルメディア業界は、ディズニーがFOXを買収、バイアコムがCBSを合併、AT&Tがタイムワーナーを買収という戦国時代を迎えており、三年前まではチャイナマネーが巨額買収物件を探しているとするニュースにあふれたものだった。
アマゾンは1994年に書籍の三割引き販売で注目され、のし上がってきた新興企業だが、すでにペゾスはイーロン・マスクに次ぐ世界富豪第二位。
アマゾンのプライム会員は世界19ケ国に1億5000万人がいる。
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