#ペゾス引退
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)5月28日(金曜日)
通巻第6926号
ネット錬金術でのし上がった坊主頭、ぎょろ目男のぺゾスが引退
アマゾン、今度はMGMを84・5億ドルで買収する目的は?
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メトロ・ゴールドウィン・メイヤーズ(MGM)はハリウッド映画の象徴だった。大ヒットは「007シリーズ」、ロッキー、そしてピンク・パンサー。映画は斜陽産業と言われたのに、過去のライブラリーのヴィデオ化、キャラクターの知財のロイヤリティ収入などで延命してきた。
昨今はハリウッドにチャイナマネーが流れ込み、反中映画が作られなくなったうえ、映画製作のスタジオ、映画館チェーンも中国企業が買収してきた。ダライラマ支援の映画に出たリチャード・ギアらは干されてきた。
このMGMをアマゾンが84・5億ドルで買収するという。系列のケーブルtvやtvショーも含まれるが、いったい目的は何か?
ネットフリックスへの対抗だけが目的だろうか。
アマゾンは驚異の急成長で、第一四半期だけでも70億ドルの純利益を上げていると言われ、さきにも高級食材チェーンの「ホールブーズ」社を137億ドルで買収、またピルパック(オンライン薬局)とリング(セキュリティ器具)をそれぞれ10億ドルで買収し、アマゾンの販売ルートに載せ、靴販売のザッポスを12億ドルで、自動運転技術のズークスを13億ドルで買収した。
通販の主力となるような商品メーカーを資本力で傘下にしれ、ビジネスを短時日裡に拡大した背景は、こうした強引とも言えるM&A(企業買収、合併)戦略があった。
���かもCEOのペゾスが名門ワシントンポストを買収したため、トランプ前大統領が目の敵に批判し続けた。ワシントンポスト紙は民主党支持できわめてリベラル色が強い。
筆者が最初にペゾスを認識したのは1990年代後半、米週刊誌『ビジネスウィーク』にでた写真で、大きなぬいぐるみを抱えて街を歩く、ぎょろめ、丸坊主の異様な風体の男がアメリカの産業界に旋風を起こしているという記事だった。
筆者には『ビジネスウィークの読み方』(ダイヤモンド社、絶版)を書いていたので、この週刊誌は愛読誌である。
昨今のヴィジュアルメディア業界は、ディズニーがFOXを買収、バイアコムがCBSを合併、AT&Tがタイムワーナーを買収という戦国時代を迎えており、三年前まではチャイナマネーが巨額買収物件を探しているとするニュースにあふれたものだった。
アマゾンは1994年に書籍の三割引き販売で注目され、のし上がってきた新興企業だが、すでにペゾスはイーロン・マスクに次ぐ世界富豪第二位。
アマゾンのプライム会員は世界19ケ国に1億5000万人がいる。
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