#プロレス黄金期
Explore tagged Tumblr posts
Text
北別府学さん死去 妻が闘病の様子 ブログで更新し続ける - nhk.or.jp #最新ニュース
北別府学さん死去 妻が闘病の様子 ブログで更新し続ける – nhk.or.jp 北別府学さん死去 妻が闘病の様子 ブログで更新し続ける nhk.or.jp 元���島カープ 北別府学さん死去 – Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース 通算213勝のカープOB北別府学さん死去 【公式】HOME広島ニュース プロレス界随一の広島ファン・内藤哲也 北別府学さん追悼「優しい笑顔は決して忘れません」 | 東スポWEB 東スポWEB 【訃報】通算213勝の北別府学氏が死去 カープ黄金期を支えた名投手、沢村賞を2度獲得(TBS NEWS DIG Powered by JNN) – Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース Google ニュースですべての記事を見る ソフトバンク王会長 元中日・杉下茂さん追悼「対戦できなかったことは本当に残念です」(東スポWEB) –…
View On WordPress
0 notes
Quote
若い頃(39歳)から重度の糖尿病でインスリンを上手に使いこなせば「健康」に長生きできる事を身を以て証明したスゴい人だと思う…ご冥福をお祈りします
[B! 訃報] アントニオ猪木さん 自宅で死去 79歳 燃える闘魂 プロレス黄金期けん引(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
4 notes
·
View notes
Text
TEAM2000に総帥蝶野正洋登場武藤敬司のBATTと対戦。長州力引退カウントダウン前田日明も登場
プロレスリングマスターにTEAM2000蝶野正洋登場
プロレス界に歴史を刻んだ往年のレスラーたちが出場するレスリングマスター
武藤敬司がプロデュースするレスリングマスター
90年代プロレス黄金時代の試合が復活する。
チケットぴあ → https://t.co/Uu4sIspmir#pw_masters #プロレス #達人集結 #武藤敬司 #njpw #noah_ghc #bjw #蝶野正洋 pic.twitter.com/HVvOfm7kmT
— プロレスリングマスターズ公式 (@pw_masters) 2019年2月3日
TEAM2000蝶野正洋登場
WCWでハルク・ホーガン、スコット・ノートンらが結成したnWo
に蝶野正洋が加入
日本でスコット・ノートンと合体天山広吉ら武藤敬司らを吸収し大きく勢力拡大をはかりムーブメントを起こした。
武藤敬司とのNO1争いで追放された蝶野…
View On WordPress
#90年代プロレス#BATT#nWOジャパン#TEAM2000#プロレス黄金時代#プロレス黄金期#レスリングマスター#武藤敬司プロデュース#蝶野正洋TEAM2000#長州力と前田日明#長州力&藤波辰爾
0 notes
Text
『アントニオ猪木』79歳、自宅にて逝去「燃える闘魂」プロレス黄金期けん引
『アントニオ猪木』79歳、自宅にて逝去「燃える闘魂」プロレス黄金期けん引 Source: まとめクロラ
View On WordPress
0 notes
Text
【Him】 Lex Eskobar (Collector of vintage books/magazines, host of "Downtonwn BOOK CLUB”, Frisco, California, US)
【Memorabilia】The Japanese oversized movie pamphlet of "Buffalo '66" 【彼】レックス・エスコバー(古書・雑誌コレクター、『Downtown BOOK CLUB』主宰、フリスコ、カリフォルニア州、アメリカ)
【あの●●】「Buffalo '66」(映画)の日本劇場公開特大パンフレット、日本-サンフランシスコ
・
・
・
“April 2017 I had finally made it to Japan.
「2017年の春についに日本に行くことができてね。 On my second day I came to Jinbocho. I often read about this legendary bookstore heaven, it wasn't what I expected... it was 10× more amazing. The first bookstore I stepped in dealt in books and magazines about movies/music. I walked out with 3 bags filled with books and magazines.
着いた翌日に��神保町を訪れてた。もはや伝説的なこの本屋天国の街については、前からからいろんなとこで目にしてはいたんだけど、実際行ってみたら予想してたのと違った。もう何十倍も素晴らしかったんだよ。一軒目に足を踏み入れた本屋は映画や音楽に関する書籍や雑誌を取り扱ってて、店から出て来た頃には、本・雑誌でいっぱいになった買い物バッグ3をつも携えてたよ。 The rest of my trip in Japan was amazing and memorable, every time I look at this book I'm reminded about that trip and how much I love Japan and my friends there.
その後の日本滞在も全部素晴らしくて思い出深いな。特に滞在期間中に買ったこの冊子に目を通すと、あの時の初日本旅行の思い出、特に自分がどれだけ日本って国と日本の友人に対して愛着を抱いているのかってことに気付かされるんだ。
The reason I've long wanted to visit Japan was primarily because I've always been a nerd. I mean I love movies, anime, pro wrestling, books, so Japan was always on my bucket list. I knew I would visit but just never knew when. I wish I had done with much younger in my life.
なんでそんなにずっと日本に行ってみたかったかって、それは僕のナード(おたく)な性格によるところがおっきいね。映画とかアニメ、プロレスとか本、そういう類いが小さい時からずっと好きだったからさ。だ��ら、日本に行くってのは常に叶えたいことリストにはあったんだよ。いつかきっと行くだろうなってのは漠然とあったけど、じゃあ具体的に「いつ」ってのは決めてなかった。もっと若い頃に行っときゃよかったなって、今は思うよ。 The reason I picked the movie was because I could relate to the main character, the dude, I guess. Well, when I was younger I did, at least.
この映画を選んだのは、僕自身この主人公に共感できるからじゃないかな。少なくとも若いときは共感してたな。
I was anti-social and didn't like being around girls. Don't get me wrong, the dude's anti-social nature was largely due to his disfunctional parents unlike me (I had very very loving parents). I was shy and didn't have confidence when I was younger. I think I didn't really get confident till I was like 25 or so. This would also explain why I've been and still am into taking pictures of my friends and people around me.
若いときは反社会的で、女の子とつるむのも好きじゃなかった。あ、でも誤解しないでね。この映画の主人公は、両親として全く機能していないあの母親、父親のせいで反社会的な性格になっちゃってるけど、僕の両親はそんなことなかったからね。単に若い頃の僕はシャイで、自分に自信がなかったんだ。25歳くらいまでずっと自信なかったんじゃないかな。僕、写真を撮ることも好きなんだけど、これも僕がそういう気質の持ち主だからだと思うんだ。
Then I moved to San Francisco, where I met new friends and became a little popular. I came from a small town and had never fit in there. When I came to San Francisco, I just saw more people who had similar interest with me.
その後サンフランシスコに引っ越してから新しい友だちができたりして、ちょっ��した人気者になれたんだ。故郷の小さな街には全く馴染めなかったんだけど、サンフランシスコではもっと興味の対象が似通った人に出会うことができたんだよね。
Moving to SF at a young age was the best decision I ever made. At that time, weekly art gallery shows, music shows were going on. Rent was cheap so you had so many creative people living here. I’m glad I got to experience that. I’m still here but the city isn't the same anymore. That golden era is long gone, with the increase of tech people and the decline of artist the city has changed. But SF will always hold a special part in me."
若いときにサンフランシスコに越してきたってのは、これまでで一番いい選択だったよ。当時は、ギャラリーでは週ごとに展示が開かれてたり、たくさん音楽ライブもやってたりして。家賃も安かったからクリエイティブな人たちが多く住んでてね。そういうのを経験できてよかった。僕自身はまだここに住んでるけど、でも当時に比べて街はすっかり変わっちゃったな。僕が経験した黄金時代は、もう随分前に無くなってしまって。特にIT系の人材流入と、その代わりにアーティストが出ていっちゃうっていう状況を経て、ほんとに街が様変わりしちゃったんだよ。とはいえ、僕の中ではサンフランシスコってのは常に特別な存在なんだけどね。」
・
・
・
【More about Lex】:
https://instagram.com/lexeskobar?utm_medium=copy_link
【More about Downtown BOOK CLUB】:
https://instagram.com/downtownbookclub?utm_medium=copy_link
【More about "Buffalo '66"】:
https://www.youtube.com/watch?v=Efkjmn5e-14
0 notes
Link
橋本拓海vs並木翔冴生中継テレビ放送インターネット放送 日本テレビでのボクシング中継は1954年12月21日(京橋公会堂)に開始され、この時より「報知ダイナミックグローブ」として放送。当初は不定期放送だったが、1959年10月より毎週月曜日のプライムタイムに放送。その後テレビボクシング黄金時代となると日本テレビでは火曜にも「ファイティングパンチ」を放送、1964年4月からは金曜日に移動し、『日本プロレス中継』(『三菱ダイヤモンドアワー』と並行放送)と隔週で1965年2月まで放送された(因みにこの次番組が、『笑点』の前身『金曜夜席』)。1962年4月の後楽園ホール(当時は後楽園ジムナジアム)こけら落としも放送した。1969年9月29日に全695回に及ぶ毎週レギュラー放送は終了。その後日曜21:30-22:26枠の...【速報】李健太vs石脇麻生生放送テレビ放送インターネット放送
0 notes
Text
ひとみに映る影シーズン2 第一話「呪われた小心者」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 最低限の確認作業しかしていないため、 誤字脱字誤植誤用等々あしからずご了承下さい。 尚、正式書籍版はシーズン2終了時にリリース予定です。
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。) ☆キャラソン企画第一弾 志多田佳奈「童貞を殺す服を着た女を殺す服」はこちら!☆
དང་པོ་
『ジャパン・ファッショニスタ・コレクション二〇一三』。年に一度開かれる、日本最大級のファッションの祭典だ。ゴールデンウィーク初日、五月三日。今年も女の子達が全国から日比谷(ひびや)ヴォヤージュアリーナに集った。 セレモニーが始まると、アリーナは堰を切ったように歓声に包まれる! EDMミュージックが地面を揺るがすほど重低音を響かせ、レーザーライトはそれに合わせて明滅。やがて中央モニターに有名ブランドロゴが表示され、今最も旬のモデル達がランウェイへ繰り出していく……去年まで私は、この光景を観客席から見ていた。だけど、今年は違う。 二〇一三年。ついに私の、モデル兼女優・紅一美(くれないひとみ)の時代が来たんだ! 昨年公開された歴史映画『邪馬台国伝説』がアジア映画賞にノミネートされ、女王卑弥呼役を演じた私は一躍国際女優に。更に私が主人公のサイドキックを演じている連続ドラマ『非常勤刑事(ひじょうきんデカ)』も既にシーズン三に突入し今年映画化が決定、そしてお昼の情報番組『まちかどランチ』で夏から始まる新コーナーのメインパーソナリティにも抜擢されている。こうして枚挙してみると、本業であるモデルらしい仕事は殆どしていないように見えるけど、それでもよし。現にこうして、JFC二〇一三でオーガニックファッション&コスメブランド『リトルマインド』の看板を背負わせて頂ける事になったんだ。もう、うらぶれたローカル局の旅番組でドッキリに騙されるだけが取り柄の三流リアクション芸人とは、誰にも言わせない。 前ブランドのファッションモデルがランウェイから踵を返すと、ダブステップBGMが爽やかなペールギュント組曲『朝』にクロスフェードした。中央モニターに『リトルマインド』の華奢なブランドロゴが表示され、いよいよ私の出番が来る。緊張で心臓が飛び出そうになりつつも、私は直前まで舞台袖で観音菩薩印相を組みながら軽く瞑想し、意を決して晴れ舞台へ飛びこんだ! ワアァァー! 歓声が上がる! ニヤつきそうになるのを必死に堪えながら光の道を歩き、先端でポーズを取る。ワアァァーーッ! 更に歓声! 長かった。芸能界デビューから四年、紅一美、二十二歳。お母さん、お父さん、それに人生最大の恩師、石筵観音寺(いしむしろかんのんじ)の和尚様。私もついに一人前のファッショニスタになれました! 聞こえていますか、この歓声! 「「「ワアァァー! ヒトミチャーン! ウシロー!」」」……ん? ウシロ? 「「「一美ちゃん、後ろーーっ!!」」」 歓声に混じった謎の警告。振り向くと……さっきまで頭上のモニターに���げられていたリトマイのロゴは消滅し、代わりにこう書かれていた。 『予告状 JFC二〇一三にて、最近女優ぶって調子に乗っている小心者モデル、紅一美を頂戴致します。 したたび怪盗・カナちゃん三世』 『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ ヌーンヌーン、デデデデデン!』 テレビ湘南(しょうなん)制作『ドッキリ旅バラエティしたたび』主題歌、『童貞を殺す服を着た女を殺す服』の低俗なイントロがペールギュントを蹂躙した途端、私はランウェイを飛び出して一般客の海に潜りこんだ。したたびとは、極悪ロリータアイドルこと志多田佳奈(しただかな)さんの冠番組だ。私はこれまで幾度となく、事務所とグルのこの番組にドッキリと称して乱暴に拉致され、割に合わない過酷なロケを強要されてきた。冗談じゃない。私はもう国際女優で、JFCのランウェイを歩く国際モデルなんだ! 今日という今日は空気を読まずに逃げ切ってやる! たとえドローンで無数のアラザンを集中砲火されたり、スクランブル交差点のど真ん中で逆バンジージャンプさせられても逃げ切ってやるんだ!! しかし、その時だった。 『うわあぁーーーん! 助けてぇ、一美ちゃーん!』 ステージ方向から金切り声で呼び止められ振り向くと、モニターに縄でがんじがらめに拘束された着ぐるみマスコットが! あ、あれは、昨年の全日本ご当地ゆるキャラコンテストで金賞に輝いた、ゆめみ台代表のゆめ美ちゃん!? すると首にIDカードを提げたスタッフの方が人混みをかき分けて現れ、私にワイヤレスマイクを押しつけた。ほどなくして、あの極悪アイドルが……佳奈さんが、ステージ上に白いゴシックタキシード姿で登場する。 「JFC二〇一三にお越しの皆様あああぁぁ!!!」 ワアァァーーー!! ウオォォーー!! 私の時よりも一際大きな歓声。悪夢だ。 「ドッキリ大成功ーーー! 志多田佳奈のドッキリ旅バラエティィーーーッ……」 佳奈さんはあざとくマイクを客席に向ける。お客さん達が『したたびでーーーす!!』と返した。こうなれば私も売られた喧嘩を買わざるを得まい。 「なにが怪盗ですか、私のペールギュント『朝』を返せ! この泥棒ロリ!!」 ワアァァー! 私が言い返すと、また観客席から歓声が上がる。プロレスのマイクパフォーマンスじゃないんだから。 「朝ぁ? もう昼前なのに何を言ってるのかなー、リトルマインドの小心者さん」 「あっなるほど、リトルマインドだから小心者……って、そんな事より! 私の晴れ舞台を邪魔して、あまつさえゆめ美ちゃんを人質に取るなんて今回は酷すぎます! 卑怯者!」 「ゆめ美ちゃん?」 佳奈さんはキョトンとしている。 「とぼけないで下さい。ほら、モニターに……」 私がモニターを指さし��瞬間。ヴァボォォオオ!!! 突然画面内のゆめみちゃんが青白い炎に包まれた! 「きゃーっゆめ美ちゃーん!?」「うわああああ!」 客席から悲鳴が上がる。ゆめ美ちゃんが大好きな、小さなお子さん達の悲鳴が。一方炎上し続けている当のゆめ美ちゃんは平然とした仕草で、焼け落ちた縄を払い除け、画面いっぱいに顔を近付けた。 『……ゥゥウ、紅ひト美イィィ……呪っテヤるゥ……小心もノノ貴様ヲのロってやルウぅゥ……! もウろくナ仕事が来ナクなるよウに祟っテやるゥゥウ……!』 何らかのホラーじみたボイスエフェクターを通した声で、ゆめ美ちゃんが私に恐ろしい呪詛を吐く。佳奈さんはあからさまにリハーサル済だとわかる計算ずくのタイミングで身じろぎし、客席を仰いだ。 「大変! 小心者の誰かさんが最近調子こいてるせいで、ゆめ美ちゃんが悪霊に乗っ取られちゃった! これは千里が島(ちりがしま)に住む怨念達が怒ってるからに違いない! 千里が島は昔散減島(ちるべりじま)って地名で、絶家の祟りがあったって言い伝えが残ってるからね!」 「は?」 地名? 祟り?? まさか……。 「こうなったら千里が島で噂の徳川埋蔵金を掘り当てなきゃ。観光地アピールをすれば、怨霊達も喜んで鎮まってくれるよね。ゆめ美ちゃんと出会ったゆめみ台の時みたいに!」 ダァーン! パッパラペー! 安っぽい効果音が鳴り、画面いっぱいにデカデカと『綺麗な地名の闇シリーズ第六弾 千里が島宝探し編』という文言が現れた。私はその場にヘナヘナと崩れ落ちた。 「……うそでしょおおおぉぉぉーーーーっ!!!??」
གཉིས་པ་
したたび・綺麗な地名の闇シリーズとは、一見綺麗な地名だけど実は災害に弱い、昔は恐ろしい地名だったなど、ちょっと曰くつきな地域を紹介していく企画だ。デメリットだけでなく、地理的な危険性に対する自治体の取り組みやお出かけスポットなども紹介して地域を振興する。例えば、今回の演出で犠牲になったゆめ美ちゃんの出身地、ゆめみ台。あそこは土砂崩れが起きやすく、旧地名は蛇流台(じゃりゅうだい)と呼ばれていた。そこで番組では現在のゆめみ台が安全に暮らせる場所だと証明するために、ゆめみ台国立公園の断崖絶壁でロッククライミングを行った。地盤の安全とロッククライミングに何の関係があるのかと思われるだろう。私も未だに訳が分からない。またある時は『元氾濫常習地で河川の安全を証明するためにキャニオニング』だったり、『元流刑地で治安の良さを証明するために現役警察官と剣道対��』だったりと、何故か毎回異常に過酷なアクティビティが用意されている。今回もそうに違いない。 あの後あれよあれよと運び出された私は、人混みで揉まれてシワクチャになったリトマイをテレ湘の衣装さんに剥がされ、佳奈さんがコーデしたロケ衣装に着替えた。爽やかなストライプTに水着生地のハーフパンツ、歩きやすそうなサンダル、つばが広いストローハット。よく見たらその服一式も、今日から発売されるリトマイの夏の新作だった。SNSを確認すると既にリトマイ公式アカウントが広告を出していて、その文末に『一美ちゃんごめんなさい(ウインクして舌を出す絵文字)したたびさんのドッキリ(驚く顔の絵文字)とコラボさせていただきました(お辞儀をする人の絵文字)』と書かれていた。もう二度とリトマイの仕事は受けまいと心に誓った。 アリーナ業者搬入口には見慣れた水色のロケ車が待ち構えていた。普通ロケ車って白が多いけど、テレ湘は湘南の海色モチーフだからすぐわかる。後部座席に乗りこみワイヤレスマイクを装着していると、運転席に座るディレクター兼カメラマンのタナカDが私に紙袋を差し出す。 「忘れ物ですよ」 中身は黄色いパーカー。私の地元、会津地方で販売している物で、胸元に『I♡AIZU(アイラブ会津)』と書かれている。飾り気はないけど着心地がいいから、よく冷房が寒いバックヤードなどで着ているやつだ。そういえば、この騒動のせいでアリーナ控え室に置きっぱなしだったっけ。まだショートTでは肌寒い季節だから、私はそのままアイラブ会津パーカーを羽織っていく事にした。 「しかし紅さんも災難ですなあ。地名闇シリーズでいつか千里が島に行くとは決まっていたけど、まさかJFCの直後とはね!」 「一美ちゃん、その服にチビらないでね。それもリトマイさんの宣伝なんだから」 タナカDと佳奈さんに釘を刺された。恐らく理由は、ひょんな事から彼らが私を『お化けが苦手な子』と思いこんでいるせいだ。本当は怖いどころか、昔お寺に住んだ事があるから幽霊なんてしょっちゅう見慣れてる、なんなら除霊だってできるんだけど……それはそれでカミングアウトしたら面倒な事になりそうだから内緒にしている。 千里が島は徳川埋蔵金が隠されていると噂の候補地でありながら、日本一の縁切りパワースポットであり、有名な心霊スポット。この番組の事だ。きっとわざわざ夜中に祟られた場所に行くとか、私をビビらせるために余計なロケを用意しているんだろう。 「そうだ。お母様から紅さんの荷物と差し入れの福島銘菓『うまどおる』預りましたよ。ちゃんと後でお礼言い���さいよ」 「やったー! ごほうびんぐターイム!」 タナカDが後方を指さすと、佳奈さんが後部座席裏からうまどおるの箱と『予後の紅茶』ペットボトルミルクティーを取り出した。私も個包装を雑に剥がし、半ば現実から逃避するようにヤケ食いする。食べながらふと思い立って、舞台に立つ前財布にしまっていたペンダントを取り出し首にかけた。 「そのペンダント、ここ数年いつも着けてるよね。韓国の友達から貰ったんだっけ?」 佳奈さんが興味深そうにペンダントに触れる。 「ハングルが書いてある。なんて読むの?」 「『キョンジャク』って読むそうです。悪いお化けを捕まえてお清めするお守りなんですって」 「やっぱ一美ちゃん、卑弥呼のクセにだぶかお化け怖いんだぁ!」 「うるさいなあ、邪馬台国民の霊ならだぶか大歓迎ですよ。女王権限で佳奈さん達を呪ってもらえますからね!」 だぶか、とは、したたび出演者やファンがよく使うスラングだ。確か本来は『逆に』とか『寧ろ』みたいな意味のヘブライ語で、元々誰が言い出したのかは忘れたけど、今じゃネットや街中でもちらちら使われ始めている。 お菓子をだらだら食べながら下らないやり取りをしていると、ロケ車はいつの間にか調布(ちょうふ)飛行場に到着していた。離島などに行く小型便専門の、小さな空港みたいな所だ。本当に行くのか、千里が島……全くもう、今から気が滅入る。
གསུམ་པ་
ポーン。 『皆様、本日は美盾(みたて)航空をご利用頂き、誠にありがとうございます。当機はMAL五八便、千里が島(ちりがしま)行きでございます。飛行時間は約……』 こじんまりとした小型旅客機に、こじんまりとした低音質機内アナウンスが流れる。佳奈さんとタナカDは機内で大した撮れ高が期待できないと見るや、さっさと眠ってしまった。それはともかく…… 私から見て右後方部。男も女も、フランシスコ・ザビエルを彷彿とさせる奇妙な髪型の一団。その中心で悠然とワイングラスを揺らしている男性は、宗教法人『河童の家』教祖、牛久舎登大師(うしくしゃとうだいし)。 左後方部。卓上に小さな信楽焼の狸や風水コンパスを並べて忙しなく地図に何かを書きこんでいる、狸耳フード付きブランケットを被った男性。地相鑑定家タレントの狸おじさんこと、後女津斉一(ごめづせいいち)だ。隣にはブレザー制服の女子中学生風化け狸と、二匹の狸妖怪。彼とはどういう関係だろうか。 私達の背後、中央三列シート後部。PTA的な気迫���醸し出す、上品かつ気骨稜稜なおばさま軍団。その殿では、年始によく芸能人をタロット占いしている占い師、加賀繍へし子(かがぬいへしこ)がニタニタと薄ら笑いを浮かべる。更に私の斜め右前方にいる若い女性は、現代沖縄に残る由緒正しき祝女(ノロ)、すなわちシャーマン。金城玲蘭(きんじょうれいら)。 ……どうして!? 何故にこの便、旬の霊能者だらけ!!? 偶然か? それとも、ひょっとしてこれも新手のドッキリか? でも、中堅人気番組になったとはいえローカル局制作のしたたびに、こんなに霊能者を呼ぶ予算はないはずだ。ただでさえ私へのドッキリに、予算を殆ど割いているというのに……こちとら大迷惑だけど。ただ同じ中学出身の幼馴染、祝女の玲蘭ちゃんがいたのは不幸中の幸いだ! 私はしたたびの二人が熟睡している事を確認した後、自分も寝た振りをしつつ、足元に念力を集中させた。実は私の家系は代々、『影法師』という霊能力を持っている。お寺に住んだ事があるのも、霊感があるのもこのためだ。そうは言ってもこれは地味な力で、エロプティックエネルギーと呼ばれる念力で自分や周りの影を操ったりできるだけ。だから正確には霊能力じゃなくて、サイコキネシスやテレパシーみたいに脳が発達して覚醒する『特殊脳力(とくしゅのうりょく)』というカテゴリに該当するらしい。 爪先から影を糸状に伸ばし、右前方のシートへ這わせていく。玲蘭ちゃんはそれに気がつき背後を振り返った。私は船を漕いだまま、佳奈さん達に悟られないようそっとサムズアップする。影が玲蘭ちゃんの前席から突出する簡易テーブルに乗り上げると、彼女は影の先端にそっと触れた。 <一美!? どうしてここにいるの!?> 影を通して、テレパシーが私に伝わる。これなら離れていても話ができるし、幽体離脱と違ってリスクが少なく、霊感がある人にも会話が漏れない。影法師の技法、『影電話』が役に立った。 <どうしてここに……はこっちの台詞だよ! 何なの、この霊能者軍団!?> <は? あんた何も知らないで千里が島に行くワケ!?> <行きたくて行くんじゃないもん! 見てよ、私の隣でグースカ寝てる人達!> 玲蘭ちゃんが再び振り返る。 <……アー……したたび。そう……じゃあ、また騙されたんだ> 玲蘭ちゃんいわく、千里が島の縁切りパワースポットには実際凄まじい怨霊がいるらしい。そこで島を改革中の再開発事業者、『アトムツアー』が日本全国から名のある霊能者達を集めて、この度除霊コンペティションを行うという。それがどれほど強い怨霊だか知らないけど、除霊成功者には報酬三億円、更に全国のアトム系列スーパー���使える永年ポイント十倍VIPカードが進呈されるとかなんとか。 <三億円って……ドリームがでっかい話だね……> <それだけとんでもない魔境なんじゃないの? 私はこんなヤバそうな依頼受けたくなかった。でも、引き受けないと地元の伊江村(いえそん)に下品なメガアトムモールを建てるっていうから……> <うっわ、最悪じゃんそれ! もうアトムで買い物するのやめようかな……> 「あの、すいません!」 突然、私達は声をかけられて振り返った(私は影体にファティマの眼という霊的レンズを作ってその人を見た)。そこにいたのは、さっき狸おじさん……後女津斉一氏の隣にいた女子中学生狸ちゃん。うっすら体毛が生えていて、耳や尻尾は狸のもの。だけど顔はどことなく狸おじさんに似ている。 「そ……それ、影法師だよね? じゃあ少なくともモノホンって事だよね!? 私の事、見えてる? お願い、見えるって言って!」 「……普通に見えてますけど。あ、『できればあなたも影電話で話して下さい』だって……影の主が」 玲蘭ちゃんが私の言葉を伝達してくれた。狸ちゃんも影糸に触れる。 <あぁ~良かった! 孤独だったんだよ、まともな霊能者はカッパ頭の大師さんしかいないんだもん。でもあの人に関わると、変な宗教に入れられちゃいそうで……はぁ……> 狸ちゃんは心底安心したように、その場でへたり込んだ。 <ええと、失礼ですけど……あなたは?> 私は少し警戒して尋ねる。 <私、後女津万狸(まり)。後女津斉一の娘だよ。あっちにいる狸妖怪は、斉二(せいじ)さんと斉三(せいぞう)さん……パパのドッペルゲンガー狸なんだ> <娘!? ドッペルゲンガー!? あの、ドッペルゲンガーって、世界には自分と同じ顔の魂がいて、出会っちゃうと殺されて乗っ取られるってやつ?> <それそれ! パパの場合はちょっと特殊だけど。昔事故に遭った衝撃で魂が三つに割れちゃって、里の大狸様に助けてもらって……そういうわけだから、別に乗っ取りとかなくてみんな仲良しなんだよ!> 交通事故に遭って、魂を狸に助けてもらった……いまいち的を得ない話だけど、もしかして万狸ちゃんが化け狸なのもそれが原因だろうか。そっと首を上げて狸おじさん達を見ると、彼らは驚きながらも小さく手を振り返してくれた。 <えっこの影、紅一美ちゃんだったの!? どーしよ、私したたび毎週見てんですけど! だぶか後でサイン下さい!> <は、はぁ……もちろんいいですけど……。ええと、あなた方もコンペですか?> <そうなの、行きたくないよー! でも行かなきゃ、木更津(きさらづ)の證誠寺(しょうじょうじ)を壊してアトムモール建てるって言うんだよ。そんな事になったら大狸様カンカンに怒っちゃう!> うわあ、この子達もそういう事情か。アトムグループ最悪だ! こうなったら、少なくとも玲蘭ちゃんや後女津さん達とは助け合って、せめて全員無事に帰らなきゃいけない。私達��ひとまず協力関係を結び、今後の作戦をざっと話し合う事にした。 <他の乗客の霊感は?> 玲蘭ちゃんが私達に問う。 <したたびチームは私以外カラキシ。万狸ちゃん、他の人達の事はわかる?> <うん! 河童の家の信者さんはほぼみんなヒヤシ、良くてチョットだと思う。でも大師さんは確実にモノホン。加賀繍さんの取り巻き軍団もヒヤシかチョットっぽいけど……けどヤバいの! 加賀繍さんご本人ね、業界では超有名なアサッテおばさんなの!> <ゲ、最っ悪!> カラキシ、ヒヤシ、チョット、モノホン、アサッテ。霊能者が使う業界用語だ。カラキシは文字通り、全く霊感がない人を指す。ヒヤシも同じく霊は見えないけど、コールドリーディングみたいな心理学技術でスピリチュアルカウンセリングができる人。チョットは気配やオーラをなんとなく感じられる程度。モノホンは完全なる霊能者。そして一番厄介な人種が、アサッテ。霊がいない明後日の方向を見る方々……すなわち霊が見えるフリをしている詐欺師か、精神的なご病気による見えてはいけない幻覚を霊だと思いこんでいるタイプだ……。 <私は祝女だから自分の身ぐらいは守れるけど、万狸ちゃんと一美はどう?> <私は妖怪だからへーき! パパ達も一緒だもんね、ぽんぽこぽーん!> <私もお守りぐらいは持ち歩いてるし、観音寺で色々教わってたから大丈夫。ただ、ごめん……私、テレビ関係に霊感ある事を言いたくなくて……> <ああ……だ、だよね……特に一美は……> 申し訳ないが、本当にそれだけは秘密にしたいんだ。ただでさえ騙され芸人みたいな扱いを受けているのになまじ霊感があるなんてバレたら、何もいない心霊スポットでリアクション芸を強要されたり、それこそアサッテな霊能者と対談させられて超気まずい思いをするに違いないもん! <そうなんだ……オッケー! じゃあどうしても一美ちゃんが除霊する事になったら、パパとか金城さんが近くで何かしたって事にしよう!> <最善だね。私もできるだけしたたびロケを見張ってるから。場合によってはあんたの手柄を横取りしちゃう事になるけど、それでいい?> <も、勿論です! お二人共ありがとうございますっ!> ああ、渡りに船だ! 仏様和尚様にも大感謝! 私はその後トイレに立ち、行き際にこっそり玲蘭ちゃんと握手を交わした。そして用を足し、反対側の通路で後女津さん達の席に向かう。 「あの、ありがとうございます。宜しくお願いしますね」 小声で挨拶し、会釈した。 「すみません、先程は娘が失礼を。ともかく、皆無事にこの旅を終えましょう」 いつもテレビで見る斉一さんは『狸おじさん』の名の通りお調子者なキャラクターだけど、実際に会うと礼儀正しい方だった。すると万狸ちゃんや『ドッペルゲンガー狸』のお二人も挨拶を返してくれる。 「頑張ろーね、一美ちゃん! ぽんぽこぽーん!」 「オイオイ、したたびさんも『持ってる』なぁ。こーんな怪しい���中とバッティングしちまうなんてさ! ハハハ」 「僕の事はあまり撮らないで下さい……うう、木更津に帰りたいな……」 彼らは顔つきや仕草から家族だと納得できるけど、性格は三者三様のようだ。万狸ちゃんは元気いっぱいな女の子。ドレッドヘアで髭が垂れ下がった化け狸の斉二さんは、笑顔が朗らかで、テレビで見る狸おじさんに一番近い印象だ。一方前髪をサイドにきっちりと撫でつけ、シンプルな白シャツを着た化け狸、斉三さんは人見知りそうに見える。 「あっ、見て見て!」 万狸ちゃんに促されて窓を覗きこむと、眼下の海には既に目的地、千里が島が浮かんでいた。
བཞི་པ་
ポーン。 『皆様、当機は間もなく着陸体制に入ります。お立ちのお客様は席にお戻りになり、シートベルトをご着用下さい……』 示し合わせたようなタイミングでアナウンスが流れ、私は自席に戻る。ところが、シートベルトに手をかけた次の瞬間。 ズガガガガガ!!! 突如機体が激しく揺れ、左手側にめいっぱい傾いた! 「うわあああ! え、何!?」 「うおぉ、揺れてますなあ!」 突然の衝撃に佳奈さんとタナカDも起きだす。危なかった、咄嗟にシートベルトを影で繋ぎとめたから転倒せずに済んだ。しかし二人が起きてしまったから、ベルト金具を締めて影は引っ込める。 ポーン。 『皆様、機長です。当機は現在乱気流に突入したため、機体が大きく揺れております。シートベルトをご着用の上、焦らず乗務員の指示に従って下さい。ご迷惑をおかけ致しますが、千里が島着陸までもう少々お待ち下さい』 ズガガガガガガ! 悠長な機長さんのアナウンスとは裏腹に、機体は明らかに異常な揺れを起こしている! 何度も海外ロケに行っている私達したたびチームでさえ、全員表情に恐怖を禁じ得ない。 「一美ちゃん玲蘭ちゃん、あれ見て!」 万狸ちゃんが叫び指さした方向には…… 「ああ! 窓に! 窓に!」 しまった、思わず声に出しちゃった。玲蘭ちゃんから牛久大師の席あたりまで連なる窓の外に、巨大な毛虫じみた不気味な怪物がへばりついている! 「えっ何!? 一美ちゃんなんか言ったー!?」 佳奈さんが聞き返す。良かった、幸い機体揺れが大きすぎて私の声が掻き消えたみたいだ。 「別に! 死にたくなーい! って言っただけですよ!」 慌てて取り繕うが、 「ぎゃあああああ!!!」「何だこいつうわああ!?」 河童信者さんのうち一部、恐らくモノホンやチョットの方々がパニックに陥った! 玲蘭ちゃんは既に数珠を握りしめ、神人(かみんちゅ)の力を機外に放出しようと四苦八苦。一方後女津さんの狸妖怪達は機内に風水結界を張ろうと忙しなく走り回り、加賀繍さん方はアサッテの方向に念仏を唱えだした。ここで佳奈さんやタナカDも、ようやくこ��便の異常な雰囲気を察する。 「な、なにこの声、お経!? ひょっとしてもう祟り始まってるの!?」 「あれ河童の家か!? 無断で写したら絶対ヤバいカルトじゃないか……ゲッ、あっちは狸おじさん!? これどこも撮れないぞ! くそ、ヘルメットカメラは預け荷物だし……」 タナカDはカメラマイクだけ生かした状態で、ファインダーを下に向ける。 「音声オンリーだ! 二人とも、実況して!」 「今それどころじゃないでしょ!? 墜落したら化けて出て、あなた方を祟ってやる!」 「そしたら私達全員死ぬから無理じゃん!」 「確かに!」 「「いやああぁ~~~っ!」」 おおよそプロ根性に物を言わせてトークを繋ぐが、こんな危険すぎる状況を実況したところでオンエアできるんだろうか。毛虫は拳を叩きつけるように身をガラスに打ちつけ、飛行機を破壊しようと試みる。いくら今最旬の霊能者集団が搭乗しているとは言えど、空中を高速移動中のこの状況では手も足も出ない! このまま千里が島に到着する事なく、MAL五八便は私達の棺桶になってしまうのか!? この場にいる大部分の人間が絶望しかけた、その時だった。 「かっぱさんチャント詠唱!」 突然牛久大師がシートベルトを外し、スクッと立ち上がった! 「かっぱさんチャント……」「そうだ! チャントを唱えよう!」 「「チャントをちゃんと唱えるぞ!!」」 教祖の鶴の一声で、狼狽していた他の河童信者達が次々に統率を取り戻していく。ていうか今、ダジャレ言ったような……? 「せーのッ! かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー! ホオォイ!!」 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー!」」 河童の家一同は全員一糸乱れぬ動きで、ピカピカに剃りあげた頭頂部を両手で撫でながらチャントを詠唱する。ヤバい。カルトヤバい。この状況でふざけているとしか思えない事を大真面目にやってしまうカルトってヤバい! 私が今まで見てきたどんな悪霊や怪物よりも怖すぎる!! しかもこの恐れは直後、更なる絶望へと変わった。 「……ぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、ぱー」 玲蘭ちゃんがチャントに参加した! 何で!? 「かっぱっぱーの……一美もやって!」 「はぁ!?」 「そうとも!」 激震する機内で、転倒することなく仁王立ちの牛久大師が叫ぶ。 「君達だけじゃあないぞ。加賀繍さん、後女津さん! 死にたくなければ皆ちゃんとチャントするんだァ!」 「あぁ?」 「はい!?」 突然話に加えられた加賀繍さんと斉一さんが牛久大師を見る。ていうかやっぱりダジャレ言ってるよね!? 「じょっじょ、冗談じゃないわよーッ!」 「どーしてこんな時にそんなオゲヒンな事しなきゃいけないの!?」 肘掛けや前席のハンドルにしがみついたまま、加賀繍さんを囲うおばさま軍団が吠えた。 「そ、そうだそうだ! てーか俺河童じゃなくて狸だし……」 斉二さんも風水結界を押さえながら反論! 「うっちゃあしい、しみじみやらんか! 狸もだ!!」 うるさい、真剣にやれ! といったような方言だろうか。地元の会津弁に似ているからなんとなく意味はわかる。そして大師は斉二さんにも返事したからやはりモノホンのようだ……ええい、こうなったらままよ! 「かっぱっぱーの! かっぱっぱーの! かっぱっぱーのーパァー!」 国際女優紅一美、花の二十二歳。チャント参加! 生き残るためなら何だってやってやる! 「一美ちゃん!? マジなの!?」 「嫌々に決まってるじゃないですか、こんな狼藉あっていいわけない! でもやらなきゃみんな死んじゃうんでしょ!?」 「じゃ……じゃあ河童教が怨霊やっつけてくれるの!?」 「そんなの知りませんよ、私霊能者じゃないもん!」 「も……もぉーっ、わかったよ! 私達もやろう! タナカD! ほらかっぱっぱーの、かっぱっぱーの!」 「ええぇ!? か、かっぱっぱーの、パァー!」 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー! かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、かっぱっぱーの、パァー!!」」 もはや藁にもすがる思いで、客室にいる全員がかっぱさんチャントを唱える。揺れ続ける機内、加賀繍さんも万狸ちゃんも客室乗務員さんも、喉が痛くなるほど叫ぶ! すると増幅チャントが段々クヮンクヮンとハウリングを起こし、機内に奇妙な一体感が充満し始めた。 「「かっぱっぱーの、かっぱっぱーの……」」 ここで河童信者の一人が立ち上がる! 「総員、耳を塞げーーーーッ!」 「「かっぱっぱーの、【【【ハウヮアーーーーッ!!!!】】】 クワアアアーーーーァァン!!! 一斉に耳に手を当てた河童信者達に倣い私達も耳を塞ぐと、直後牛久大師の口から人間とは思えないほどの爆音が発せられた! 両手で側頭部を押し潰すほど耳を塞いでいるにも関わらず、頭が割れる程の大声だ。判断が遅れていたら失聴は免れなかっただろう! ただそれでも、分厚いガラスが二重にはまっている飛行機の窓から機外へチャントが届くのか……? と疑ったその時。怪物芋虫に覆われて薄暗くなっていた機体右側が、フッと急に明るくなった! あまりに一瞬の出来事で何が起きたかわからなかったけど、不思議な事に……芋虫がいなくなっている!? 「河童の家の勝利だ!」 「うおおぉー!」「かっぱっぱーの、勝ったったー!!」「大師! 大師!」 勝利を讃え合う河童の家とは裏腹に一同呆然としていると、いつの間にか機体の揺れも嘘のように治まっていた。 ポーン。 『皆様、当機は只今乱気流を抜けたため、これより着陸態勢に入ります。現在着陸予定時刻より三十分遅れとなっております、お忙しい中ご迷惑を……』 何事もなかったかのように、また悠長でこじんまりとしたアナウンスが流れ始めた。どの霊能者もしたたびチームもそれぞれ、安堵と疲労で背もたれにしなだれ掛かる。 それにしても冷静になって思い返せば、あの芋虫のような怪物には心当たりがある。あれは以前戦った物と似ていた。千里が島にどのような怨霊が棲んでいるのか、私はなんとなく目星がついた。寧ろ気になるのは河童の家だ。あのふざけたチャントと牛久大師の力は、一体どういう仕組みだったのか…… 【共鳴透過という言葉をご存知か��? ワヤン不動(ふどう)君】 ……え? 【狭い中空層を隔てて並ぶ二枚のガラスは、音が共鳴して反対側に届くのだ。飛行機の窓ガラスも然もあらん】 離れた席から大師の声が鮮明に聞こえる。頭に直接響くテレパシーとはまた違った感覚で、まるでイヤホンをしているように耳に音が入ってくる。振り返ると、大師は口をぽかんと開けたまま私を見つめていた。 【不思議に思っているかね? なに、簡単なことさ。この力の源はエロプティックエネルギー。すなわち君の影法師と同じ、霊力ではなく念力由来の物だ。俺は念力であらゆる周波数の音波を生み出し、口から発する事が出来る。霊が嫌がる周波数もだ。それを増幅するのがかっぱさんチャントだったという訳さ】 エロプティックエネルギー!? まさか、じゃあこの人も、霊能者じゃなくて特殊脳力者なの!? それに、『ワヤン不動』って……。私は牛久大師の言葉の真偽を確かめるべく、脳力について研究している極秘医師団、『国際超脳力研究機関(NIC)』のシンボルマーク影絵を見せてみた。すると彼はニタリと口元を綻ばせ、たった一言、確信的な返答を私の耳に届けた。 【なぁに、俺はただの『関係者』だよ】
0 notes
Text
西成ガギグゲゴ【七人の侍 伍】
だいたい日曜日の昼ぐらいに 彼は、訪れる 四等身程のビジュアルで、まったく歯が無い ニカ―と笑うと、何とも言えない表情になる 「今日も持ってきましたよ」だいたいがこの入りである ドン・キホーテで買った、格安の卵をその場で料理しだす 特製のたまご焼きを作ってくれる ダブルソフトのパンも買ってきて、サンドにして その場に居合わせた人達に振る舞う 「はるきさん、いかがですか?」 美味しい 本当に美味しい まったく歯が無い彼の名は、伍 毎回、たまご焼きをつくりに来る たまに、ポテトサラダを大量に仕込み持って来てくれる 材料費に手間賃を上乗せして、伍に手渡す 「いいんですか ありがとうございます」と言って去っていく 30分後、前回の倍の材料を買ってきて、もう一度、たまご焼きを焼きだす そして、また振る舞いだす 「気持ちですから」と言い残し去っていく わたしは、���れてしまった電化製品や鉄くずを溜めておいて伍に持って行ってもらう 「これで、またポイントが貯まります」 そう言って、自転車に括りつけて持って帰る 5年位前、人夫出しだった伍は、ピカスペースにふらりと飲みに来た かなり薄汚れた作業着だったのを覚えている ビジュアル的に100点だったので、わたしは伍を気にいってしまった それから、ぽつぽつ自分のお気に入りの何かを持ちこんで、わたしに見せてくれた 当時、伍は週末にフリーマーケットに2人で出店していた 解体業で出てきた玩具や珍しい物を商品にして、転売していた ピカスペースには色々な玩具が当時あった為、伍に手渡してフリーマーケットで売ってもらっていた 売上はあげると言っているのに、 何か商品が売れると、伍は店に来て売上の倍以上を飲んで行くのであった 別にいいよと言っても 「気持ですから」と言い残し去って行った 伍に出会ってまもなく、「近場に現場がありますから、はるきさんいかがですか?」 と誘われたので面白そうだから行く事にした 後日、指定された場所に到着、倒壊しそうなビルだった 私の人夫グループは、私を含めず5人 それ以外に大工、K点屋、配管屋などがいた 軽く挨拶程度はあるが、ちゃんとした自己紹介など無い 5人がそれぞれ大胆な顔立ちをしていた 客商売をしていると、��いたいの人相でおおまかなイメージにはめる癖が出来てしまった 意外と信用していて、イメージから外れる可能性の方が低い これは、わたしの特技である ただその時の面子の人相はあまりにもでたらめで、まったくイメージ出来なかった ただ唯一の共通点は、5人がガ行に見えた ア行カ行サ行とあるが、それらに決してあてはまらない バラエティに飛んだ存在 濁点がついたガ行に5人が重なった だから5人に勝手にガ行を割り振った ガ→ 十代であろうサイズ感の合わない作業着と鋭い眼を持つ少年 ギ→ ひたすら地面を這いずりまわりながら、転売できる物を探すおっさん グ→ プッシャーみたいな人間、覗き込むようないやらしい目をしており「かまへんかまへん」が口癖のおっさん ゲ→ 常にぼんやり遠くを眺めている 大男 ゴ→ 今回の主役の伍 本当に酷い現場だった ちりとりとバケツをあてがわれ、延々と雨水をバケツに入れ、運んでは捨てを4日間繰り返した 雨は降��続けていた 雨水は常にビルの至る所に留まり、そのテリトリーを広げていた 監督が飛んだような現場であるから 当然 進捗具合も杜撰だった 何度も何度も業者も入れ替わり、私の目から現場を見ても、終わりの見えない末期癌ビルであった 指示をする人はいない、大工や配管屋は自分達の仕事で精一杯、我ら人夫出しグループは、何の指示も無く掃除か、 ちりとりバケツを繰り返して17時を目指した ちりとりバケツ作業は、何の意味も見いだせない行為だった かなり苦痛だった ただ何の意味も無い行為でも、ガギグゲゴ連中は黙々とちりとりバケツをしていた その時の強烈な4日間の、出来事や人間模様 圧倒的な個性、それを何かにしたいと思っていた 西成ガギグゲゴというワードは、伍と出会ってから生まれた その時に出会ったグが伍をフリーマーケットに誘い 週末にフリーマーケットに2人で出店していた グは本当に話し上手だった いつのまにか家を借りだして、伍と折半で支払う段取りをした 住居兼商品の置き場所として、稼働させて一室を伍にあてがった しばらく2人で共同で使っていたが、ある時、家に商品を取りに行ったら家の鍵が合わなくなっていた これは、おかしいと思い中を覗いた所 全ての商品は無くなっていた 裏切られる話は、この辺りではよくある話だ 伍のように素直で優しい人物は、西成では稀な方だった 恨んでるわけでもなく、笑いながら伍はその事について話してくれた 伍は、根が素直で優しいので元請けの土木会社からも優遇されて、手配師のような立ち位置になっている 手配師とは、元請けからそれなりに信用されていて、その日の必要な人材を集める人を指す そこからだいたいの手配師は、一人当たり1000円をピンハネするのがこの辺ではあたりまえだが、伍はピンハネをしない 手配師はそれなりの人材を抱えていて、その人材達から信用されている ただ、伍は自らそうなったのではなく ならざるをえなかったようにわたしからは、見えた 伍は土木の現場に行き、真鍮や屑線などの買取可能な素材を収集している 屑線などはそのままスクラップ屋に持って行くのが基本だが、被覆が着いてるため単価が3割位安くなる 被覆を剥がしてしまえば、相場で引取ってくれる しかしそんな手間なことなどしないのが普通である 伍がすごいのは、その手間を惜しまないところだ 5時間ぐらいかかりましたと言い 銅の塊を1kg持ってくる 相場は売る場所によって違うが、1kgの銅は640円くらい 1時間当たりの時給は、128円 それをするのが、伍のすごいとこである 「全てお金に変わります」 「お金に変わる物は、ポイントと言います」 「Tポイントカードと一緒ですよ」 「ただ、Tポイントカードは、使える所がかぎられるでしょう」 「はるきさん!!このポイントはどこでも使えます!!」 このワードの時の語尾は強い 電化製品の中は、ポイントの宝庫である 中にあ��コイル状の銅などをばらして行く 銅は、銅 アルミは、アルミ 鉄は、鉄と分けていく ポイントにならない部分のみを廃棄する その行為を面白いと思っているわたしに、伍は何をバラせば、そこにどのような形状のポイントがあるか 実際に持って来て説明してくれる 「金属は、磁石にくっつかないものがお金になります」 「ポケットには、ニッパーを持っていた方がいいです」 「削って黄色がでたら真鍮です」 色々教えてくれる わたしは、もう必要無くなった電化製品や鉄屑などをとって置いて 伍が来た時に、引取ってもらうようにしている 「はるきさん、何でもポイントになりますからね」そう言い残し帰って行く デカいアンプを引取ってもらった時、どこでバラすのか尋ねたら「三角公園」と言っていた 三角公園とは西成の中にある公園で、西成の中心みたいな所だ 西成のイベント事やお祭りには三角公園が会場になり、LIVEや盆踊り、プロレスなどが開催される それ以外の時は解放されていて、日雇い労働者の情報共有兼憩いの場所になっている TVが一台高い位置に設置されており、それを労働者が立って眺めている光景も当たり前のような場所である 度々、炊き出しもされており、おびただしい人の列が連なったりしている 三角公園の一角に伍は、基地を持っている その基地でバラシていくのである 基地には、カセットコンロやフライパンもあり 腹が減ったらそこで、炊事もするみたいだ お得意のたまご焼きを作り、食べていた 日雇労働者の人が来て「1つくれ」となった そこで、たまご焼きを焼いてあげたところ、美味いとなり そこから注文が入るようになった クチコミで広がり客が増えだした為、伍はそれを弁当にして300円で販売しだした 一日に20食以上出るのが当たり前になっていた ただ伍は、人が良すぎる為、20食以上売れても採算があわなかった 評判だったが赤字のため、弁当屋はすぐに廃業した そのままバラシ作業に夢中になり、三角公園で寝る時も今だにあるみたいだ 「青空の癖が抜けないんですよ」そう言って笑った 伍は鹿児島出身だ 8歳の時に、岡山に引っ越した 子供の頃から、ダンボールを集める人やアルミ缶を集める人、 ガラクタをリヤカーに積んで運んで行く人を見ては、不思議と興味が湧いていた 小学3年生の時に、我慢できず目星を付けていた1人のおっさんのゴミ屋敷に通うようになる 最初、そこのおっさんは伍を疎ましいと感じ、まったく相手をしなかった 毎日毎日、学校帰りに通う伍に、おっさんは根負けした そこからおっさんは、伍に対して路上生活の術すべてを叩き込んでいくのである 伍は、家庭環境が変だったみたいだ あまり話そうとしないので、そこには触れていない 母親から何度も何度も言われたのは、「食べ物は、手足についている」 「手足を動かしてお金を稼ぎなさい」何かある度にそう諭されてた 子供ながらにどうやっ��らお金を稼げるか考えていた そこで、路上生活者の何か怪しげな、毎日見る光景にもしかしたらと思い、飛び込んでみた 小学3年生からアルミ缶集めやダンボールを収集して現金に換え、自分自身の給食代5000円を毎月支払っていた 小学生の友人達も伍に協力して、現金に換わるポイントを集めては 伍に手渡し、そこから小額の報酬を受け取った 友人達にも還元されていた 中学生に上がり、ようやく公認アルバイトの新聞配達が出来るようになった 現金収入が圧倒的に上がろうとも、その合間のポイント収集は怠らなかった 岡山でネクタイセールス会社に就職したが、3ヶ月間給料が支払われなかった 社長が合間に飯でも行くかとなると、デパ地下に連れて行き 主食コーナーを指さし 「さぁ 食べ放題だ」と言った これは流石におかしいとなり、給料は3ヶ月未払いだったが辞めることにした 辞めたことを親に言えず そのまま弁当を持って毎朝出勤した 月末に実家に生活費を入れられなくなり、かといって親に本当のことも言えず そのまま、とぼとぼ東へ歩きだした 「食べ物は、手足についている」 「手足を動かしてお金を稼ぎなさい」 母の言葉を胸に、ひたすら東に歩きながらポイントを収集していった 道中のスクラップ屋で現金に換えてもらい、路上生活をしながら進んだ アルミ缶、段ボール、わたしたちがゴミにしているものが売れるのである いわゆる路上生活者の生きて行くすべを極めつつ、歩んでいくのである 東へ東へと歩き続けて伍は、大阪の新今宮に辿り着いていた 当時、新今宮が日雇い労働者のメッカであるとは、本人は知らなかった 岡山から新今宮に来るまで2年の歳月が流れていた 2年間の路上生活で、路上生活者のメッカを探り当てた そこからすぐに、どこに行けばお金が手に入るかを嗅ぎ取るわけである 最初に伍はドヤに入る ドヤとは、日雇労働者を対象とした簡易宿所のこと指す 非常に安いのが特徴で、寝るだけなら問題無いと思うが、一般的な価値観の人が泊まるとしたら 越えなきゃいけないハードルがいくつかある それなりに安定しだしてから、広い場所を求めて住まいを廃墟に移した そこは、誰もいない壊れかけの廃墟だった そこで日中は日雇労働に行き 夜は、収集したポイントを種類別にわけて貯めておき、スクラップ屋に種類別に買い上げてもらった 西成は、日本中からワケありの連中が集まるので、ある意味で人種の宝庫になっている 不思議なことに伍が仲良くなるのは、路上生活者ではあるが、収集して現金に換えてもらう同じ道中で、 ゴミから別の形を生み出す連中だった 北海道ののぢさんは、ステンレスの固い針金1本で要望通りの物を作り上げた ステンレスの針金が象になり、車になった ロボットならマルヤマさん、細かいビスなどを繋ぎ合わせて、ロボットを作り上げていった 彼らは、それらを泥棒市で売り出し、生活の糧にしていた そこで伍は、彼らの材料になりうるものも選別しておいて、彼らにそれをあげていた そんな伍であったからか、彼らは伍に対して、放置されてあるトレーラーを���介した 伍はそこに拠点を移して、2年間トレーラー生活をした カセットコンロとフライパンでおかずを 近くの自動販売機の電源を拝借して炊飯器で米を炊いた 米だけはこだわっているらしく、高くても魚沼産のコシヒカリじゃなきゃダメみたいだ 理由は、単純においしいいから 冷めてもうまい おかずがいらないと笑顔を向けた 2ヶ月の長期出張があり、伍はトレーラーに帰ってきた トレーラーは無くなっていた 真新しい道路がそこにあった 家が無くなっても損害はカセットコンロとフライパン それに炊飯器ぐらいと伍は笑った 2年間トレーラー生活している最中に、トレーラーの側だけ残し、あとはすべてバラしてポイントに交換していたのだ たくましい 元々、路上生活者としては早熟していたため、あれよあれよと時は過ぎ去り 西成で34年目を迎えている 伍は、その道中で一つだけ悔いている事がある 27才の時、不法投棄で警察にお世話になった その時、岡山から捜索願が出ていたことを警察官に通達された 警察官は身元確認で実家に電話したところ、奇しくも同日に 伍のおやじさんがたった今亡くなったことを知らされる 「たぶん、おやじは見ていたんだと思います」 そう言って伍は青空を見上げた 伍は、道に捨ててあるアルミ缶や電化製品を見つけると 「しょうがないな お前もか」と心の中で思うと言っていた 「本当にしょうがないんですよ 彼らが不憫でね」そう言って笑った あるべき形に戻してもらって再利用される彼らは、ラッキーなのかもしれない わたしは西成の中に入り込めば入り込むほど、異臭と共に芳醇な人間臭さを感じる 油と埃にまみれる日々でも、素朴で素直な人がいる それがわたしにとっては励みになる 最近、伍のたまご焼きは少しずつ、この近辺で認知されてきている 非常に美味しいので、リピーターも多い 日曜日のみ、店の軒先にたまご焼きのブースを作り、一皿300円で販売している 小さめの移動型屋台も作ったので、2人で流しのたまご焼き屋をやろうと考えている 真っ黒な武骨な手で作られる、素朴なたまご焼きを是非食べてみてほしい まったく歯が無い伍の笑顔は、付け合わせとしては完璧だから御一緒にどうぞ
written by Haruki Kumagai
0 notes
Text
「北朝鮮幹部にも歯に衣着せぬ言動」 猪木さん死去、政治家も悼む - Au Webポータル #最新ニュース
「北朝鮮幹部にも歯に衣着せぬ言動」 猪木さん死去、政治家も悼む – Au Webポータル #最新ニュース
「北朝鮮幹部にも歯に衣着せぬ言動」 猪木さん死去、政治家も悼む – Au Webポータル 「北朝鮮幹部にも歯に衣着せぬ言動」 猪木さん死去、政治家も悼む Au Webポータル アントニオ猪木さん 自宅で死去 79歳 燃える闘魂 プロレス黄金期けん引(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース 松本人志、円楽さん・猪木さんの相次ぐ訃報に「ありがとうございました」 ORICON NEWS アントニオ猪木氏、北朝鮮を訪問し続けた理由 ぼやく姿に張成沢氏「歴史が証明する」:朝日新聞GLOBE+ GLOBE+ 猪木さん〝最後の仕事〟を公開へ「世間が期待してくれるなら、素直に応えるほかにない」(東スポWeb) – Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース Google ニュースですべての記事を見る プーチン氏、アメリカは日本への原爆投下で「前例」作ったと…
View On WordPress
0 notes
Quote
「もう我々は、闘魂に癒されながら 時代の砂漠をさまよってはいられない。我々は今日をもって猪木から自立しなければいけない。闘魂のかけらを携えて、今度は我々が旅に出る番だ。闘魂は連鎖する」(引退試合実況)
[B! 訃報] アントニオ猪木さん 自宅で死去 79歳 燃える闘魂 プロレス黄金期けん引(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
4 notes
·
View notes
Text
北斗晶、長与千種、ダンプ松本集結、共闘組織「Assemble(アッセンブル)」結成
女子プロレス集結「Assemble(アッセンブル)」結成
新型コロナウィルスで苦戦を強いられている、女子プロレス
その女子プロレスを救うために、北斗晶、長与千種らが立ち上がり
Assembleを結成する。
会見は、北斗晶を中心に行われまず、北斗晶が登場
女子プロレスのカリスで、マーベラスの長与千種
極悪同盟の、ダンプ松本、フリーの堀田由美子ら懐かし��、全日本女子プロレス黄金期のメンバーが登場
さらに北斗晶と縁の深い、OZアカデミーの尾崎魔弓、仙台ガールズの女子プロレスの横綱と言われる
長与千種の弟子里村芽衣子も登場
SEAdLINNNGの世志琥それぞれの団体を背負った代表が集まった。
集結は、YouTubeで配信され注目を集めた。 北斗晶は、会見を行い、まず医療従事者に感謝をのべ
集まったのは、共闘組織と説明した。「Assemble(アッセンブル)」結成を発表した。
半数以上の…
View On WordPress
#Assemble、共闘組織#SEAdLINNNGの世志琥#「Assemble(アッセンブル)」結成#ダンプ松本#北斗晶#北斗晶Assembleを結成#女子プロレスAssemble#女子プロレス共闘組織#尾崎魔弓#里村芽衣子#長与千種#長与千種Assemble
0 notes
Text
【プロレス】実は、猪木の名セリフには勝手に「使ってはいけない」フレーズがあった [砂漠のマスカレード★]
��スレ
1 :砂漠のマスカレード ★:2020/05/17(日) 13:11:31 ID:1BcrZWAp9.net いくぞぉー!…
今から30年前、’90年2月の新日本プロレス東京ドーム大会。前年に参議院議員となったアントニオ猪木は坂口征二と往年の「黄金コンビ」を組み、新世代の橋本真也&蝶野正洋の挑戦を受ける久しぶりのビッグマッチを迎えていた。
ファンも大きな期待を寄せていたが、蓋を開けて見ると、猪木の体調不良もあって、試合の盛り上がりはイマイチ。
このとき、白け気味の6万の大観衆をなんとか盛り上げようと、猪木が叫んだのが「1・2・3・ダァーッ」のかけ声だ。
以来、プロレスや格闘技のイベントの「締め」として、猪木の「いくぞぉー!」のかけ声に応じ、会場一体で叫ぶのが定番となった。
プロレスファンにはお馴染みの「1・2・3・ダァーッ」だが、実はこのフレーズは商標登録さ…
View On WordPress
0 notes
Quote
―― 一番印象深い試合というのは? ライガー やっぱり、佐野さんですね。あの人がいなかったら、いまの獣神サンダー・ライガーはないと言っても過言ではないぐらい存在感の大きな人でした。対戦相手で言えば、やはり佐野直喜さんですね。で、ボクが新日本プロレスに入った頃、もうホントに新日本プロレス黄金時代と言われてて、藤原さんにコーチしていただいて、猪木さんにいろんな精神論を教えていただいて、山本小鉄さんに社会人としてのルールを教えていただいて、前田さんや高田さんにプロレスラーとはどうやって遊べばいいかとか教えていただいたりして。 で、同期の佐野さんがいて、ホントに凄い時代だったなと思います。その中でそうやってお世話になった方々がたくさんいらっしゃいますけども、こと試合で言わせていただければ、やっぱり佐野直喜さん一人ですね。まぁ、対戦相手には恵まれたと思いますけどね。当時の外国人含め、凄い選手ばっかりでしたからね、いまもそうですけど。
ラストマッチは来年1月の東京ドーム!「こんな幸せなプロ人生はない」獣神サンダー・ライガーが笑顔の引退発表!【3.7会見】 | 新日本プロレスリング
0 notes
Link
橋本拓海vs並木翔冴生中継テレビ放送インターネット放送 日本テレビでのボクシング中継は1954年12月21日(京橋公会堂)に開始され、この時より「報知ダイナミックグローブ」として放送。当初は不定期放送だったが、1959年10月より毎週月曜日のプライムタイムに放送。その後テレビボクシング黄金時代となると日本テレビでは火曜にも「ファイティングパンチ」を放送、1964年4月からは金曜日に移動し、『日本プロレス中継』(『三菱ダイヤモンドアワー』と並行放送)と隔週で1965年2月まで放送された(因みにこの次番組が、『笑点』の前身『金曜夜席』)。1962年4月の後楽園ホール(当時は後楽園ジムナジアム)こけら落としも放送した。1969年9月29日に全695回に及ぶ毎週レギュラー放送は終了。その後日曜21:30-22:26枠の...LIVE放送!李健太vs石脇麻生生放送
0 notes
Photo
8/4箸&橋の日 誕生日/檀れい オバマ ルイヴィトン 加藤清史郎 布川敏和 吉田松陰 高岡健二 福田麻由子 谷本歩実 誕生日 1821年 ルイ・ヴィトン (仏:鞄職人)Louis Vuitton[1892年2月28日歿] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%88%E3%83%B3 1830年 吉田松陰 (思想家,兵学家,松下村塾を開塾)[1859年10月27日歿] 1859年 クヌート・ハムスン(作家) 1901年 ルイ・アームストロング(サッチモ) (米:ジャズトランペット奏者)Louis Daniel Armstrong(Satchmo)1900/07/04説あり[1971年7月6日歿] Louis Armstrong & Danny Kaye 聖者の行進 https://www.youtube.com/embed/jm6ktYq0Yxk 1917年 多々良純(俳優) 1922年 石井好子(歌手) 1929年 ヤーセル・アラファト (PLO最高委員会議長,パレスチナ自治政府大統領(初代))Yasir 'Arafat08/24とも1994年ノーベル平和賞[2004年11月11日歿 1949年 高岡健二(俳優) 1958年 江川紹子 (ジャーナリスト) 1961年 バラク・オバマ (米:大統領(44代),上院議員[元])Barack HusseinObama,Jr.2009年ノーベル平和賞 1961年 美保純(女優) 1963年 沢田知可子(歌手) 1965年 布川敏和(タレント) 1966年 佐々木健介(プロレス) 1971年 檀れい (女優(宝塚歌劇[元](78期))) 1971年 伊藤葉子(女優) 1972年 チェ・チューヤン(謝昭仁・タレント) 1972年 ナラミカ(歌手) 1974年 山本美憂(レスリング) 1975年 鈴木蘭々(タレント) 1977年 せんちゃん (お笑い芸人(クールポコ)) 1977年 大和悠河 (女優(宝塚歌劇[元](81期))) 1976年 松原朋子(歌手) 1981年 谷本歩実 (柔道) 1994年 福田麻由子 (女優) 2001年 加藤清史郎(タレント) 誕生花は シスタス(別名 バイブルプラント)、花言葉は“人気” 誕生石は ダイヤモンド(diamond)、宝石言葉は“清浄無垢” 箸の日 「箸を正しく使おう」という民俗学者の提唱で、わりばし組合が1975年に制定。 「は(8)し(4)」(箸)の語呂合せ。 東京・千代田区の日枝神社では、神前に長さ1mの大きな箸を供え、古い箸を焼いて供養する箸供養祭が行われる。 橋の日 宮崎県の「橋の日実行委員会」が1986年に制定。 「は(8)し(4)」(橋)の語呂合せ。 吊り橋の日 日本最長の鉄線の吊り橋「谷瀬の吊り橋」など、村内に約60か所の吊り橋のある奈良県十津川村が制定。 「は(8)し(4)」(橋)の語呂合せ。 ビヤホールの日 ビアホールチェーンの銀座ライオンが制定。 日本では1897年(明治30年)7月20日、大阪市北区中之島の大江橋南詰に大阪麦酒株式会社(現在のアサヒビール)によって、「氷室生ビール」と洋食をメニューにした本格的なビヤホール「アサヒ軒」が開かれたのが最初。その2年後の1899年(明治32年)8月4日、東京府京橋区南金六町5番地(現在の東京都中央区銀座8丁目)に、日本麦酒醸造株式会社(現在のサッポロビール)が「恵比寿ビヤホール」を開きれ、初めて「ビヤホール」の名称が使われた。これを記念して8月4日は「ビヤホールの日」とされた。同店では、ビール500mlが10銭で飲めたという記録がある。 栄養の日 8エイト&4ヨウ 塩釜みなとまつり(宮城県) 竿灯まつり(秋田県) 桑名石採祭 箸の日・箸供養(箸の感謝祭) 歴史・出来事 1899年 日本初のビヤホールが銀座に開業 1936年 ベルリン五輪のサッカー競技で、初出場の日本が強豪のスウェーデンを破る(ベルリンの奇跡) 1944年 アンネ・フランクの一家がナチスの秘密警察ゲシュタポに逮捕される 1947年 最高裁判所発足 1969年 TBSテレビで『水戸黄門』の放映開始 #今日は何の日 #パーソナルカラー #カラードレープ #カラーパレット #こんにちは #色見本 #PCCS #ドレープ120色 #パーソナルカラー用品 #テストドレープ #C³ #色のみかた #シーキューブ (パーソナルカラー用品ドレープ、見本帳,PCCSのご用命はc3(シーキューブ)) https://www.instagram.com/p/CDch9f_A9y0/?igshid=gyyrrcfx6qxx
0 notes
Text
ひとみに映る影 第五話「金剛を斬れ!」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←← (※全部内容は一緒です。) pixiv版
◆◆◆
ポーポーポポポーポポポー…
「こちらは、熱海町広報です。五時になりました。 よい子の皆さん、気をつけてお家に帰りましょう…」
冬は日が沈むのが早い。すっかり暗くなった石筵霊山では、 防災無線から地元の小学生の声と、童謡『ザトウムシ』の電子リコーダー音だけが空しく響いている。 一方、霊山中腹に建つ廃工場ガレージで、私は…
「ピキィェェェーーーーッ!!!」 「紅さん、落ち着いて下さい!」 「うっちゃあしぃゃあぁあーーー!!こいつがあ!鼻クソッ!殺人鬼のクソ!私の口、口にッ! お前も間接クソ舐めろゲスメド野郎おぉぉ!!こねぁごんばやろがあぁぁあああああああ!! キエェェーーーーッ!!」
その時私は言葉にならない奇声を上げながら、皮を剥かれた即身仏ミイラに向かって、半狂乱で錆びついたグルカナイフを振り回していた。 そこそこ大柄な譲司さんや、ガタイの良いアメリカ半魚人男性の霊を憑依したイナちゃんに取り押さえられていたにも関わらず、 どこから出ているかわからない力で、ミイラをジャーキーになるまで切り刻もうと試みていた。
そのまま体感二分ほど暴れ、多少ヒスが冷却してきた頃か。 突然ガレージ外からオリベちゃんがツカツカと近寄ってきて、
「!」
私の顎を強引に掴み上げた。 ラメ入りグロスを厚く塗られた彼女の唇が、私の唇に男らしく押し当てられる。
「んっむ…オ…オリベちゃん…!?」 <同じライスクッカーからゴハンを食べる、それが日本流の友情の証だそうね> 同じ釜の飯を食う?まさか、彼女も見てたのか。あの衝撃的なサイコメトリー回想を。 それでいてなお…私の汚い口に、キスを…? <それが何?子育てしてたら鼻吸いぐらいよくやる事よ。 だぶか(『逆に』を意味するヘブライ語のスラング)、これであなたも私のベイビー達の鼻水と間接キスしちゃったわね!> 嘘つき。今時医療機器エンジニアが、だぶか鼻吸い器も使わずに育児するわけがない! 私の思っている事を読み取った彼女が、テレパシーで優しい嘘をつきながら私を抱きしめてくれたんだ。 「お…お母さぁん…!」 これが人妻の魅力か。さりげなくナイフは没収されていた。
<ほらジャック、あんたもよ!> 「は!?」 次にオリベちゃんは、イナちゃんの肉体からジャックさんを引っ剥がして私に宛がった。 互いの唇が触れ合っている間、ジャックさんのコワモテ顔がみるみる紅潮していく。 「ぶはッ!」 唇が離れると、ジャックさんは実体を持たない霊魂にも関わらず、息を吸う音を立てた。 そして赤面したままそっぽを向いてしまった。 「や…やべえ、俺芸能人とキスしちまった…!」 たぶん彼は例のサイコメトリーを見ていないんだろう。ちょっと悪い事をした気分だ。
しかしオリベちゃんは既に譲司さんまでも羽交い絞めにしていた。 <コラ怖気づくんじゃないわよ!> 譲司さんは必死に抵抗している。 「そうやなくて!さすがに俺がやるとスキャンダルとかがあかんし…」 <男でしょおおおおおおぉぉぉ!!?> 「ハイイィィィィ!!!」 次の瞬間、譲司さんはとても申し訳なさそうに私と接吻を交わした。 そのまま何故か勢いでリナやポメちゃんともチューしちゃった。
全員が茫然としていると、いつの間にか意識を取り戻していたイナちゃんが私を背後から押し倒した。 「きゃっ!イナちゃん!?」 「みんなだけズルい!私もチューするヨ!」 そ、それはまずい!私はプロレスの手四つみたいな姿勢でイナちゃんを押し返そうとする。 「違うのイナちゃん!これにはわけが…うわーっ!!」 しかしなす術なく床��ンされ、グラデーションリップを精巧に塗られた彼女の唇が、私の唇に男らしく押し当てられる。
互いの唇が離れるのを感じて私は薄目を開けると、 目の前ではイナちゃんが『E』『十』の手相を持つ両手の平を広げていた。 「これ。ロックサビヒリュのシンボル」 肋楔の緋龍。さっきサイコメトリー内で、肉襦袢の不気味な如来が言っていた言葉だ。 どうして彼女がそれを? 「…見てたの?」 「意識飛んで、暗いトンネルでヒトミちゃんとヘラガモ先生追いかけた。 そしたらアイワズが、赤ちゃんのヒトミちゃんに悪さしてた」 アイワズ?もしかして、あの肉襦袢の事?イナちゃんは何か知っているのか…。
すると突然ポメラー子ちゃんが「わぅ!」と小さく鳴き、動物的霊感で床に散らばった半紙の一枚を選んで口に咥えた。 そのまま彼女はそれを私達の足元に置く。半紙には『愛輪珠』と書かれていた。 「これ、小さい頃私が書いたやつ…!」 「愛輪珠如来(あいわずにょらい)…」 譲司さんが呟いた。その語感は、忘れ去っていた私の記憶の断片とカチリと噛みあった気がした。
イナちゃんも、別の半紙を一枚拾い上げる。あの『E』『十』が書かれた半紙を。 「私、悪いものヒキヨセするから、 子供の頃から、韓国で色んな人見てもらってた。 お寺、シャーマン、だめ。気功行った、教会で洗礼もした。だめだった。 でも幾つかの霊能者先生、みんな同じ事言うの…コンゴウの呪いは誰にも治せないて」 私と譲司さんが同時にはっとする。 金剛…愛輪珠如来に続いて、またイナちゃんの口からサイコメトリーと合致するキーワードが飛び出した。
「まえ、気功の先生こっそり教えてくれた。地面の下はコンゴウの楽園あって、強い霊能者死ぬとそこ連れて行く。 アジアでは偉い仏様なアイワズが仕事してて、才能ある人間見つけると、 その人死ぬまでにいっぱい強くなるように、呪いかけていっぱい霊能力使わせる。 私のロックサビヒリュもそれで付けられた。 それ以上は私あまり知らない。たぶん誰もよく知らないこと思う」 地底に金剛の楽園?まるで都市伝説みたいだ。 でも、その説明を当てはめれば、愛輪珠如来と赤僧衣がしていた会話の意味が、なんとなく理解できる。
「なんだそりゃ。じゃあお前の引き寄せ体質は、呪いとやらのせいだったのか?」 ジャックさんの眉間に微かな怒りのこもった皺が寄った。 「うん。私、本当は悪い気をよける力使いヨ。でも心が弱ると、ヒリュが悪さするんだ!」 イナちゃんは悪霊を引き寄せた時と同じように、両手をぎゅっと固く握り合った。 今の私達はもう、この動作の意味を理解できる。 これはキリスト教的なお祈りのポーズじゃなくて、両掌に刻まれた呪いを霊力で抑えこんでいたんだ。
「…ねえアナタ」 突然リナがイナちゃんに問いかける。 「高校生ぐらいよね?年はいくつ?」 「オモ?十六歳だヨ」 「1994年生まれ?」 「そだヨ」
リナは暫く神妙な顔つきで何か考え、やがて口を開いた。 「どうやら、アナタにも…いいえ。 もうこの際、この場に集まった全員に知る権利があるわね」 そして顔を上げ、私達全員に対して表明した。 「紅一美と即身仏、そして倶利伽羅龍王について。アタシが知ってる事洗いざらい話すから、よく聞きなさい」
◆◆◆
1994年、時期は今と同じく十一月頃。アタシは紅一美という少女によって生み出された。 いや、正確には、アタシは石筵霊山に漂う動物霊の残骸をアップサイクルした人工妖精だ。 当時はまだ、リナという名前も人間じみた知性も持っていなかった。
アタシは与えられた本能に従って、自分を本物の鳥だと信じて過ごしていた。 そんなある日、金色の炎を纏った大きな赤い蛇に襲われて、食べられそうになった。 アタシはソイツを天敵だと見なして、無我夢中で抵抗した。
結論を言うと、ソイツはこっちが情けなくなるぐらい弱っちかった。 というより、戦う前から手負いだったみたい。 返り討ちされたソイツは、アタシを説得するために知能を与えて、こう語りだした。
「俺様は金剛の魂を金剛の楽園へ導く緋龍、その名も金剛倶利伽羅龍王だ。 本来ならお前如き軽くヒネってやれるが、今の俺様は裏切り者に大事な法具を盗まれ、満身創痍なのだ。 お前を生み出した者の家から金剛の赤子の肋骨を持ってきてくれるなら、お前の望みを一つ叶えてやるぞ」 そこでアタシは、そのクリカラナントカと名乗ってきたソイツに、人間になりたいと祈った。 知能を授かって、自分が人工の魂だと知ったとき、自分も霊魂を創って生み出してみたいと思ったからだ。 でもクリカラは、「今の俺にそこまでする力はない」と言って、アタシの顔だけを人間に変えた。
アタシは肋骨を取り返しに行く前に、まず人里に降りる事にした。 一刻も早く人間の世界を知りたかったから。それに、人間の顔をみんなに自慢したかったからだ。 ところが霊感のある人間達は、みんなアタシを見ると笑った。クリカラはアタシに適当な顔を着けたのだと、その時初めて知った。 だからアタシは腹いせに、クリカラの目論見を全て『裏切り者』にチクってやろうと考えた。
改めて自分が生み出されたガレージに戻ると、アタシは初めて内部に仕組まれたトリックアートに気付いた。 そのガレージ内は、なまじ霊感の強い人間が見ると、まるでチベットの立派な寺院みたいに見える幻影結界が張られていたの。 緑のトタン壁や積み上がった段ボールは、極楽絵図で彩られた赤壁とマニ車に。 黄ばんだ新聞紙の上に砂だらけの毛布が敷かれただけの床は、虎と麒麟があしらわれた絨毯に。 中央に置かれた不気味なミイラは、木彫りの立派な観音菩薩像に。 人間の霊能者並の知性と霊感を得たアタシにも、それは見えるようになっていた。
すると、漆塗りのローテーブル、もとい、ベニヤ板を乗せたビールケースの上で物書きをしていた小さい子が、元気よく立ち上がった。頭は丸坊主だけど女の子だ。 その子に…一美によって生み出されたアタシには、女の子だとわかった。 「書けた!和尚様、書けましたぁ!」 幼い一美は墨がついた手で半紙を掲げる。そこに書かれているのは少なくとも日本語じゃない、未知の模様だ。 すると観音像から白い気体が浮かび上がり、とたんに人間形の霊魂になった。
「あぁ…!」 思わず感嘆の息が漏れた。その霊魂は、結界内の何よりも美しかったのだ。 赤い僧衣に包まれた、陶器のような滑らかで白い肌。 まるで生まれつき毛根すらなかったかのような、凹凸や皺一つない卵型の頭部。 どの角度から見ても左右対称の整った顔。 細くしなやかで、かつ力強さをも感じ取れる四肢…。 これこそ真の『美しい人』だと、アタシはその時思い知った。 和尚、と呼ばれたその美しい人は、天女が奏でる二胡のような優雅な声で一美と会話したのち、アタシに気付いて会釈をした。
一美が昼寝を始めた後、その美しい人はアタシに色々な事を語った。 その人の名前は金剛観世音菩薩(こんごうかんぜおんぼさつ)、生前は違う名を持つチベット人の僧侶だったらしい。 金剛観世音…(ああ、面倒ったらしいわ!次から観音和尚でいいわね!)は生前、 瞑想中に金剛愛輪珠如来と名乗る高次霊体と邂逅した。 その時、如来に自分の没後全身の皮膚を献上するという契約を交わし、悟りを開いて菩薩になった。 皮膚を献上するのは、死体に残留した霊力を外道者に奪われなくするためだと聞かされて。 だけど、実際はその如来や、如来を送りこんできた金剛の楽園こそ、とんでもない外道だったの。
イナちゃんが話していた通り、愛輪珠如来はアジア各地の霊能者に、苦行という名の呪いや霊能力、特殊脳力を植えつけていた。 しかも金剛の者達は、素質のある人間は善人か悪人かなんてお構い無しに楽園へ迎え入れる方針だった。 それこそ、あの殺人鬼サミュエル・ミラーだって対象者だった。 そして、サミュエル・ミラーが水家曽良となって日本に送られてくると、 金剛の楽園で水家の担当者は愛輪珠如来になった。
だけど、愛輪珠如来と幽体離脱した観音和尚が水家の様子を検めた時、水家はNICの医師達によって、既に脳力や霊能力を物理的に剥奪されていた。 そこで如来は、水家と同じ病院で生まれた一美に、水家の霊能力を無理やり引き継がせたの。 それだけじゃ飽き足らず、一美の肋骨を一本奪って、それを媒介に、呪いの管理者である肋楔の緋龍を生み出すよう観音和尚に指示した。 観音和尚はここで遂に、偽りの仏や楽園に反逆する決意をしたのよ。
彼は如来の指示に従い、石英を彫って、緋龍の器となる倶利伽羅龍王像を作った。 但し、一美の代わりに自分の肋骨を自ら抜き取って、それを媒介に埋め込んだ。 この工作が死後金剛の者達に気付かれないように、彼はわざわざ脇腹の低い所を切って、そこから自分の体内に腕を潜らせて肋骨を折ったの。 そして一美の肋骨は、入れ替わりに自分の体内に隠した。
観音和尚は脇腹から血を流したまま七日七晩観音経を唱え続けた後、事切れて即身仏となった。 すると即座に生死者入り混じった金剛の者達が現れ、契約通り彼の遺体から生皮を剥いでいった。 霊力を失い、金剛の楽園にとって価値がなくなった遺体は、心霊スポットとして名高い怪人屋敷のガレージに遺棄されたわ。
一方何も知らないクリカラは、一美のもとへ向かっていた。 そして一美に重篤な呪いをかけようとしたその瞬間…突然力を失った! クリカラが自分の肋骨は一美のものではないと気付いた時にはもう遅かったわ。 仕方なくクリカラは、一美を呪う事を一時断念して、金剛の楽園へ退散した。
観音和尚はアタシに以上の事を打ち明けると、穏やかな顔で眠る一美の頬をそっと撫でて、続きを語った。
没後、裏切り者として金剛の楽園から見放された観音和尚は、怪人屋敷に集う霊魂や人工精霊達に仏の教えを説いて過ごしていた。 そして四年の歳月が流れた1994年、彼のもとに、不動明王に導かれし影法師の女神、萩姫が現れた。
「どういうわけか、金剛倶利伽羅龍王が復活しました。 龍王は県内各地のパワースポットを占拠して力を得ています。 一美は私達影法師にとって大切な継承者ですが、磐梯熱海温泉を守る立場の私は龍王に逆らえません。 どうか彼女を救うのを手伝って下さい」
これはアタシの想像だけど…クリカラは同時期韓国で、新たな金剛のターゲット、イナちゃんから力を奪ったんじゃないかしら。 萩姫に導かれ、観音和尚が猪苗代の紅家に向かうと、一美の胸元には確かに緋龍のシンボルが浮かび上がっていた。
観音和尚と一美の家族は協力してクリカラを退けたが、少ない霊力を酷使し続けた彼の魂はもう風前の灯火だった。 クリカラが完全に滅びていない以上、一美がいつまた危険に晒されるかわからない。 だからアナタの両親は、アナタを一人前の霊能者にするために、観音和尚に預けたのよ…。
◆◆◆
「以上、これがアタシの知っている事全て」 リナは事の顛末を語り終えると、改めて全員と一人ずつ目を合わせた。 私をさっきまで苦しめていた色んな感情…不安や悲しみ、怒りは、潮が引くように治まってきていた。 「この話、本当なら、アナタが二十歳になった時にご両親が話す予定だったの。…ていうか、明後日じゃないの。アナタの誕生日。 はっきり言って、観音和尚はアナタの友達が猪苗代湖で騒ぎを起こした頃には既に限界だったわ。 だから彼は最後に、アタシを猪苗代へ遣わせたの。 それっきりよ。以来、二度と彼を見ていないわ…」
数秒の沈黙があった後、私は口を開いた。 「リナにとって…観音寺や和尚様は、美しかったんだよね?」 物理脳を持つ人間と違い、霊魂は殆ど記憶を保てない。 だから彼らは自分にちなんだ場所や友人、お墓、依代といった物の残留思念を常に読み取り、 そこから自分の自我目線の思念だけを抽出して、記憶として認識する。 リナがこの観音寺を美しいと表現したのは、単に私の記憶を鏡のように反射しただけなのか、それとも…。 「少なくとも、この場から思い出せる景色を見て、今アタシは美しいと感じたわよ」 「…そうなんだね」
お蕎麦屋さんの予約時間はもうとっくに過ぎているだろう。 けど、私は皆に一つお願いをした。 「すいません。十分…ううん、五分でいいんです。 ちゃんと心を落ち着かせたいので、少しだけ瞑想をしてもいいですか?」 皆は黙ったまま、視線で許してくれた。 「わぅ」 構へんよ。と、ポメラー子ちゃんが代表して答えた。
影法師使いの瞑想は、一般的な仏教や密教のやり方とは少し異なる。 まず姿勢よく座禅を組み、頭にシンギングボウルという真鍮の器を���せる。 次に両手の親指と人差し指の間に、ティンシャという、紐の両端に小さなシンバルのような楽器がついた法具をぶら下げる。 その両手を向かい合わせて親指と小指だけを重ね、観音様の印相、つまりハンドサインを作れば準備完了だ。
瞑想を始める。目を瞑り、心に自分を取り囲む十三仏を思い描く。 仏様を一名ずつ数えるように精神世界でゆっくりと自転しながら、じっくり十三拍かけて息を吸う。 「スーーーーーー…………ッフーーーー…………」 吐く時も十三拍で、反対回りに仏様と対面していく。 ちなみに一拍は約一.五秒。久しぶりにやったけど、相当きつい。肺活量の衰えを感じる。 でも暫くすると…。
…ウヮンゥンゥンゥン…ヮンゥンゥンゥン…
<何?何の音!?> 「この1/f揺らぎは…ああっ!紅さんや!」 私の頭上のシンギングボウルが一人でに揺らぎ音を奏ではじめ、皆がどよめいた。 実はこれは、影法師を操るエロプティックエネルギーという特殊な念力によるものだ。
…ワンゥンゥンゥン…ヮンゥンゥンゥン… テャァーーーーーン…!
息苦しさと過度の集中力が私の体に痙攣を引き起こし、時折自然とティンシャが鳴る。 波のように揺らぎ、重なり合った響きが、辺り一帯を荘厳な雰囲気で包み込む。 その揺らぎを感じて、私も精神世界で変化自在な影になり、万華鏡のように休みなく各仏様の姿に変形し続けている。 私は影、私は影法師そのものだ。完全黒体になれ。 そして心まで無我の境地に達した時、この身に当たる全ての光を吸収し…放出する!
テャァーーーーーン…!
「オモナ…すごい!」 そっと目を開ける。眼前に広がる光景は、もはやガレージ内ではない。 「そうか。ここが…あんたが信じ続けた故郷なんだな」 今ならイナちゃんやジャックさんにも見えるようだ。 懐かしい赤と真鍮のお御堂。窓辺から吹き抜ける爽やかな風。 そのお御堂の中心で、とりわけ澄んだ空気を纏って立つのは、仙姿玉質な金剛観世音菩薩像…和尚様。 そして、頭と両手に法具を置き、和尚様とお揃いの赤い僧衣を纏った私。 ここは、石筵観音寺。私が小さい頃住んでいたお寺だ。
『よく帰ってきましたね』 和尚様の意思が聞こえた。声でもテレパシーでもない、もっと純粋な波動で。 彼はまだ滅びていなかったんだ。 「あの…私達、申し訳ありません。和尚様の記憶、見ちゃって…それで…」 『一美』
和尚様は私の両手を取り、彼の胸の中に沈めた。ティンシャが「チリリリ」とくぐもった音をたてた。 心なしか暖かい胸の中で、私の手に棒のようなものがそっと落ちてきた。 両手を引き出してみると、それは細長い小さな骨…赤ん坊の頃に失われた、私の肋骨だった。 顔を上げると、和尚様の優しくも決意に満ちた微笑みが私の網膜に焼きつき、瞑想による幻影はそこで分解霧散した。
『行くのです』 彼は成仏したんだ。
次の瞬間、私達を取り巻く光景は薄暗いガレージに戻っていた。 でも、今のはただの幻影じゃない。和尚様のお胸には穿ったような跡が残っている。 私が握っていた肋骨はいつの間にか、何らかの念力によって形を変えていた。 「これは…プルパ」 <プルパ?> オリベちゃんが興味津々に顔を寄せる。 「私知てるヨ。チベットの法具ね。 煩悩、悪い気、甘え、貫く剣だヨ」 イナちゃんが私の代わりに答えてくれた。
そう、プルパは別名金剛杭とも呼ばれる、観世音菩薩様の怒りの力がこもった密教法具だ。 忍者のクナイに似た形で、柄に馬頭明王(ばとうみょうおう)という怒った容相の観音様が彫刻されている。
「オム・アムリトドバヴァ・フム・パット…ぐっ!!」 馬頭明王の真言を唱えてみると、プルパは電気を帯びたように私の影を吸いこみ…
ヴァンッ!…短いレーザービームみたいな音を立てて、刃渡り四十センチ程の漆黒のグルカナイフに変形した。 「フゥ!あんた、最強武器を手に入れたな」 影を引っ張られてプルパを持つ手さえ覚束無い私を、ジャックさんが茶化す。 「武器って、私にこれで何と戦えって言うんですか!?…うわあぁ!」 途端、プルパは一人でに動き、床に落ちていた『金剛愛輪珠』の半紙にドスッと突き立った。 「ウップス…」 ジャックさんも思わず神妙な顔になる。 どうやら、和尚様は…本気で怒っているらしい。 憤怒の観音力で、私に偽りの金剛を叩き斬れと言っているんだ!
◆◆◆
私達はガレージのシャッターをそっと閉じ、改めて公安警察内のNIC直属部署に通報した。 自分達はひとまず怪人屋敷内で待機。 譲司さんがお蕎麦屋さんにキャンセルの連絡を入れようとした、その時だった。
カァーン!…カァーン! スピーカーを通した鐘の音。電話だ。譲司さんはスマホをフリックする。 案の定、画面に再びハイセポスさんがあらわれた。 『やあ、ミス・クレナイ。さっきはすまなかったね。 石筵にあんな素晴らしい観音寺があるなんて、僕は知らなかったのさ』 「いえ、こちらこそ取り乱してすみませんでした。 …あの光景、ハイセポスさんも見られてたんですね」 『おっと、幻影への不正アクセスも謝罪しなければいけないかね』 彼はいたずらっぽく笑った。
『また電話を繋いだのは他でもない。ミス・リナの一連の話を聞き、一つ合点がいった事があってだな… ああ、その前に、アンリウェッサ。蕎麦屋の予約は僕が勝手にキャンセルしちゃったけど、構わないね?』 「え?あ、どーもスイマセン!」 譲司さんはスマホを長財布に立てかけようと四苦八苦しながら、画面に向かってビジネスライクな会釈をした。
『実は僕には兄がいて、中東支部で彼も殺されたんだ。 だが彼はある時突然、「俺はこいつの脳内で神になってやる」とかなんとか言って、水家の精神世界で失踪してしまった。 それ��ら暫く経ち、僕達NIC職員のタルパが兄を捕獲すると、彼はこう言ったのさ…「俺は龍王の手下に選ばれた、神として生きていく資格があるんだ」とね』 「龍王!?」 「どうして水家の脳内に!?」 私達全員が驚きにどよめいた。
『そう、お察しの通り。君達の宿敵、金剛倶利伽羅龍王の事だろうさ。 龍王はなんでも、水家の脳内に蠢く『穢れ』を喰らっていたらしい。 そして僕の兄は、穢れを成長させるには沢山の感情が必要だから、あまりタルパを奪い尽くさないでくれとのたまったんだ』 「穢れ?」 『ジョージとオリベは知っているだろう』 「穢れ」譲司さんの額から汗が流れ落ちた。「…自我浸食性悪性脳腫瘍(じがしんしょくせいあくせいのうしゅよう)」 彼の口から恐ろしい言葉が飛び出した。
自我浸食性悪性脳腫瘍。私も知っている病名だ。 通称タピオカ病とも呼ばれるそれは、脳に黒い粒々の腫瘍ができて、精神がおかしくなってしまう病気だ。 発病者は狂暴になって、自分が一番大切な人を殺したり、物を壊したりするという。 ただでさえ殺人鬼の水家がそれに感染していたとなると…恐ろしいの一言に尽きる。 『その通り、穢れとはタピオカ腫瘍だ。 本来は生きた人間を狂わす脳腫瘍だが、霊魂にそれを感染させれば、そいつは強力な悪霊と化す。 だから龍王は、水家の脳内に閉じ込められたタルパ達を、穢れた腫瘍粒に当てがっていたんだ。 悪霊をたらふく喰って強くなるためにね。兄はその計画にまんまと利用されていたのさ』
ジャックさんが画面を覗きこむ。 「水家は、安徳森に俺達が救出された時には失踪していたんだよな? まさか、奴は今もどこかで、龍王のエサ牧場としてこっそり生かされ続けてやがるのか!?」 『そこまではわからない。だがこうは考えられないだろうか? 観音和尚の計らいで一たび力を失った龍王は、ミス・パクから霊力を吸収し、更に福島中のパワースポットを乗っ取って復活した。 すると金剛の楽園にとって因縁深い男、水家曽良を見つけ、更に水家の精神世界でタピオカ病という副産物を発見する。 彼は、水家の精神を乗っ取ってタルパを生ませ続ければ、ほぼ無限に悪霊を生み出し喰らえる半永久機関に気づいた。 そして自分が楽園で高い地位を獲得できるほど強大化するその日まで、フリードリンクのタピオカミルクティーを浴びるように飲み続けているのさ!』 「は、半永久にタピオカミルクティーを…アイゴー!」 イナちゃんが身震いする。いや、さ、さすがにそれは飛躍しすぎでは…。 とはいえ、この仮説が正しければえらい事だ。
「けど…」 譲司さんがおずおずと手を挙げる。 「もし水家の脳内でそんな強い悪霊が育っとったら、霊感を持つ誰かが既に発見しとるのでは? 水家はNICの強力な脳力者捜査官がおる公安部だけやなくて、マル暴にも指名手配されとります。 俺の友人にも、マル暴で殉職した霊がいますが…そんな話聞いたことありません」 <そうね。悪霊説は無理があるわ。 それでもあの殺人鬼は一刻も早く見つけ出さないとだけど> オリベちゃんが同調した。
私はその時、ふと閃いた。オリベちゃんといえば… 「そういえばオリベちゃん、ここに来た時、怪人屋敷の二階に気配がするって言ってましたよね?」 <え?…ええ。でも、一瞬だけよ。 ファティマンドラのアンダーソンさんを見つけた時には消えていたから、てっきりアンダーソンさんの霊だったんだとばかり…> 『二階?…ああ、でかしたぞオリベ!これは灯台もと暗しだ!』 突然、ハイセポスさんがはっとした顔を画面いっぱいに近寄らせた。 『誰か、そこの階段を上ってごらん。そうすれば大変な事実に気がつくだろう! ああ、僕達は今までどうしてこれを見落としていたんだ!!』
画面内で心底嬉しそうにくるくる踊るハイセポスさんとは裏腹に、私達の頭上にはハテナマークが浮かんでいる。 とりあえず、私とオリベちゃん、ジャックさんで階段へ向かった。
◆◆◆
階段脇には館内図ボードがあった。影燈籠で照らしてみると、この工場は三階建てのようだ。 ジャックさんがボードを指さしながら、水家と共通の記憶を辿る。 「そういや、水家が潜伏していたのも二階だったな。 二階はほぼ一階の作業所と吹き抜け構造で、あまり大きな部屋はないんだ。 ええと、更衣室、事務所、細菌検査室…ああ、そうだそうだ!あいつが占拠していたのは応接室だ。」 「じゃあ、二階の応接室に向かいましょう! 影燈籠は光源がない場所では使えないから…」 私とオリベちゃんはそれぞれスマホを懐中電灯モードにした。
一つ上のフロアに出て、真っ暗な廊下を進む。 幾つかのドアをドアプレートを読みながら素通りしていくと、確かに『応接室』と書かれた部屋があった。 鍵は開いていたから、私達は速やかに入室する。
室内を見渡すと、端に畳まれたパイプ椅子と長机、それに昔小学校などによく置いてあった、オーバーヘッドプロジェクターが一台見える。 <応接室というより、まるで工場見学に来た子供達向けの教室みたいね> 「水家の私物はもう警察が回収したんでしょうか?それより…」 それより気になる事がある。オリベちゃん、ジャックさんも同じ事を考えていたように頷いた。 「…この部屋、あいつの残留思念や霊がいた気配を全く感じねえ。 あいつが潜伏していたのはここじゃねえみてえだな」 「本当にここが応接室なんでしょうか?ドアプレートは誰でも簡単に付け替えられますよね」 <ええ。それに、さっきの廊下、広かったわよね? 左右どちらにも沢山ドアがあって。どこが吹き抜けだっていうの?>
私達は改めて階段へ戻った。ここは…三階だ。 「二階が、ない!?」 私はまた階段を下ってみる。一階。上る。三階。 だからといって、一つ分フロアを隔てるほど長い階段じゃない。明らかに次元が歪んでいる!
イナちゃんや譲司さんも含めて、一階の階段前に全員集合する。 私は外灯が当たる場所に移動し、影の中のリナに呼びかけた。 「あんたはどうだった?私絶対二階がなくなってたと思うんだけど…」 「そうね。アタシ、途中で外に出て壁から入ろうとしたけど、それもダメだった」 <でも、次元が歪むなんて事、本当にあるの? NICは心霊やエスパーの研究でも最先端だけど、人間がテレポーテーションする現象は見た事ないわ> オリベちゃんは欧米的にわざとらしく肩をすくめた。 「現代解明されとる量子テレポーテーションは、SFみたいな瞬間移動とは別物やしな。 だったら、逆の発想や…イナ」 「オモ?」 譲司さんはイナちゃんに、スマホで音楽をかけながら一緒に階段を上るよう指示する。
『背後からっ絞ーめー殺す、鋼鉄入りのーリーボン♪』 ビクッ!…音楽が鳴り始めるやいなや、私は思わず身構えて、キョロキョロと周囲を伺った。 イナちゃん、よりにもよって、どうしてその曲を選んだんだ。 「あははは!ヒトミあんた、ビビりすぎよ!」 「う…うるさい、リナ!」 休みの日には聴きたくなかった声。 この曲は、私を度々ドッキリで連れ回す極悪アイドル、志多田佳奈さんのヒットソング『童貞を殺す服を着た女を殺す服』だ。タイトル長すぎ!
『返り血をっさーえーぎーる、黒髪ロングのカーテン♪』 「歌うで、イナ…仕込みカミッソーリー入りの♪」 「「フリフリフリルブラーウス♪」」 二人は階段を上がりながら、暗い廃工場の階段というホラー感満載の場に似つかわしくないアイドルポップを歌う。 しかし、 「「あーあー♪なんて恐るべき、チェ…」」 『…リー!キラー!アサシンだ!』 二人は突然、示し合わせたようなタイミングで歌うのを止めた。 イナちゃんのスマホから、佳奈さんの間抜けな声だけが階下に響く。 「なんだあいつら。歌詞を忘れたのか?」 肩でリズムを取りながら、ジャックさんが見上げた。 <…待って。あの二人、意識がないわ!> オリベちゃんが異変を感知。慌てて彼らを追いかけようとすると、その時!
「「…リー!キラー!アサシ…ん?」」 『わ・た・し・童貞を殺す服を着た女を…』 「オモナ?もうサビなの?」 彼らはまるで時を止められていたかのように、また突然歌いだした。 スマホから流れる音楽との音ズレに、イナちゃんが困惑する。 「やっぱりそうか。オリベ! 今から…ええと、ひーふーみー…八秒後きっかりに、俺に強めのサイコキネシスをうってくれ!」 何かに気付いている譲司さんは、そう言うと階段を下りはじめた。
五、六、七…八! <アクシャーヴ!>ビヤーーーッバババババ!!! 「わぎゃぁばばばばばば!!!死ぬ!死ぬーっ!!」 オリベちゃんの頭が紫色に光るのが傍目から見えるほど強烈なサイコキネシスを受け、譲司さんは時間きっかりに叫び声を上げた。 「げほっ、げほ…あーっ!ほら!行けたで、二階!皆来てみ!!」 少し焼けた声で譲司さんが叫ぶ。 「わ、わきゃんわきゃん!?」 飼い主の危機を察してポメちゃんが階段を駆け上がる。 私達もそれに続くと、途中で全員譲司さんに器用に抱き��められ、我に返った。 「わきゅ?」 「あれ?」 「俺達、今…」
「どうやらこの階段には、二階周辺を無意識に飛ばしてまう、催眠結界が張られとるみたいやな。 それならテレポートより幾分か現実的や。 ただ、問題は…これ作ったん誰で、どうやったら開けられるかって事やな…」 譲司さんが目線で、二階入口の鉄扉を指し示した。 そこには、白墨で複雑極まりないシンボルが幾つも丁重にレイアウトされて書かれた、黒い護符が貼ってあった。
0 notes