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ケイト・ザンブレノ「ヒロインズ」-3
どこの国にも女の子はいるのだから、ガールズカルチャーというものがあるはずです。しかしそれらはケイト・ザンブレノからするとあくまで正統ではないという扱いを受けているらしい。
女の子の作り出すものは、個人的で過剰で一時の気の迷いに左右されがちであるということ。特にザンブレノが身を置く文学界においては。しかし私はやはりここにも異を唱えたくなります。少なくとも日本では、少々うんざりするほどに「女の子文化」が讃えられてきたように見えるからです。もちろん讃えているのはほとんどがあくまで自分達は選ぶ立場にあると思い込んでいる男性たちですが、作り手の女の子たちが「女の子である」ということを武器にしていないとは思えません。
たとえば文化と呼べるレベルに達しているものではない、ネットの炎上の一つに過ぎない「古塔つみ」の件に関しても、彼は明らかに「こんな女の子がいたらいいな」という男性によって作られたキャラクターです。女の子だからここまで注目された。そして本当は女の子じゃなかったから。(とドラマチックに書いてみる)彼が他人の写真を加工する様なことはせず真っ当な画家であったとしても、花卉農家の中年のおっさんではあのポジションは得られなかったでしょう。「2020年代に暮らす女の子が80年代への憧憬と再構築を込めた作品を異常なスピードで生み出す」という、いかにも髭やメガネで不細工をごまかしてるタイプのおじさんが好みそうな設定で作られた存在だったからこそ、騙された人が多かった。でも本当には彼の絵は描いたとは言えない代物だったし、技術もセンスもない「それらしさ」だけが詰め込まれたものだった。だからひとたび炎上してしまえば、こんな作品は好きじゃないし良くないと思った人たちによってあっという間に解体されてしまったのです。(まだ諦めてないみたいだけど)
日本のカルチャー界にはしぶとく「奔放で美しく若い女の子の表現」に甘いおじさんたちがたくさんいて、それを半分自覚している女の子たちもたくさんいます。しかしもちろん、こうして祭り上げられた女の子たちはほとんどが破滅とまではいかないまでもひっそりと消えていってしまいます。村上隆のお気に入りだったエビチリの女の子は今も細々作家活動をしてるみたいですが、見つけたのが本当にたまたまだったのとその活動規模には少々驚きました。(しかも名前ど忘れしてしまった)
若い一時の小銭稼ぎであろうと一生の仕事であろうと、女の子たちが自分で選んだ生き方を「消費された」「正統なものに見られない」と嘆くのはなんか違う気がする。しかし女性は一方では正統な評価がされないと感じ、また一方では若い女性という下駄をはかされる。改めてどうやって生きていったら良いのやらと思います。
一部の女性の世界では、ずっと「女の子はソフィア・コッポラの作品のようであるべき」という価値観が持たれ続けています。女の子が好むのはかつては「ベティ・ブルー」やその後は「アメリ」など、そして「ヴァージン・スーサイズ」であるべき、という価値観。これらは決しておじさんから押し付けられたものではなく、少なくともファッション雑誌の中では分析好きの女性ライターたちが「これはあたし達の物、あたし達の感性!」と宣言したことだったのです。
その後、私より下の世代の女の子たちはタヴィ・ジェヴィンソンに衝撃を受けペトラ・コリンズに夢中になったことでしょう。(その世代であるシェイナ・クリーのYouTubeはとても興味深く私も見ています。彼女は好ましい人物ですがちょっとスピリチュアルな発言が気になります。それから、私も含めておそらくはほとんどの人が彼女の作品よりも彼女自身の魅力の方に興味があるのだということも)この2人は確かにかつてはクリエイティヴであり刺激的でした。ざっくり分ければザンブレノもこのジャンルにいる作家だと思います。きわめて個人的な、あくまで自分達のためだけのセクシーさを表現するというような。彼女たちのインスピレーション源はたいていはソフィア・コッポラに代表されるちょっと生臭いガールズカルチャーです。最近はようやく落ち着いてきたように見えますが、いっときは「ガーリー=ソフィア・コッポラを好きであるべき」という押しつけ、オシャレ同調圧力が酷かった。
やはり私には、この洋の東西を問わない女の子カルチャーの持つあまりに類型的なイメージが受け付けない部分もあります。女の子は若くはちゃめちゃで、制���か突飛なファッションを身にまとい自分の体や心の傷を大っぴらにすることも厭わない。恋に溺れてボロボロになることもあり、自分を大事にしないこともある。そして女の子は怖いものでもあるというイメージ。全てにおいて過剰で感情的で作品よりも本人が注目される。私はこういうカルチャー界における女の子かくあるべしという風潮にはついていけないところがあります。私は、自分がいろいろな意味で自分を傷つけずにここまで生きてこられたことはラッキーだったのだと思ってはいますが。
だけど女の子が自分に正直に表現をした場合、大抵はこう言う感じのブツが出来上がる。あまりこういうことは書きたくないのですが、経血のついたナプキンを見せびらかしているような作品。そういうものが普遍的な芸術として評価される日は来ないと思います。だってナプキンはこの世の半分の人間にとって作品ではなく現象なのだから。そしてもう半分の人間にとっては、頭の中で理解はできても本当にはわからない。それを他人に見せることに意味がある、隠されているのがおかしい、というような意見はまだ多いですが、それはもう手垢のついた表現です。そしてこういった表現では、結局性的な関心やタブーであるがゆえの覗き見的な興味しか持たれない。
私は経験的に、そして性格的になにがしかの作品についての受け取り手の感性というものをあまり信用していないのです。ぶっちゃけると「わかってる」人間なんて世の中にはほとんどいません。バカが喜ぶようにエモくエモくしないと見向きもされない。(それでもプライドを持ってアイディアを実践していくことが大事だとは思っています)
私は最近たまたま飯野矢住代という人のことを知りましたが、こういう女性のストーリーがいつの時代も求められがちです。同世代の鈴木いずみしかり、ロリータ順子しかり、岡崎京子の漫画しかり。それらを純粋すぎたなどともてはやしながら平穏無事に年をとり落ち着いていくというのが、大抵のつまらない女の「あの頃バカやってました」という生き方です。
私は女の子はもっと、クレバーでクールでいることも可能だと思います。あふれてくる感情の表現が過剰で赤裸々なものばかりなのは納得いかない。タバコ、夜遊び、恋愛にドラッグに自傷行為と奇抜なパフォーマンス。こういったものが普通の女の子にとって手軽にできることではなかったという時代は、少なくとも日本やアメリカではとっくに終わっています。
だから「ヒロインズ」の後半に出てくるザンブレノの経歴や行動には少しがっかりさせられました。またしてもこれか、と。混乱した10代、20代の身の処し方はほとんどみんな同じ。自ら進んでビッチになること。(たとえしぐさであっても)いつまでそれをやってるの?と思います。これをやってる限りは、女の子というものの扱いやイメージはなんにも変わらない。これで女性の文学は下に見られていると言われてもそりゃそうだ、結局は自分の感性が死んでないと証明したいしたり顔の人たちの道具になるだけなんだから。
もちろん私はゼルダやジェインの味方でいたい気持ちのほうが強いです。ゼルダやシルヴィア・プラスへ批判的だったエリザベス・ハードウィックとメアリー・マッカーシーの印象については、概ね著者と同意見です。(私は女も捨てないし、文句ばっかり言わずに男を立てて上手くやっていくのよという態度)だけどザンブレノが思い入れを込めすぎるあまりに、ノートやメモ書きだけを残した小悪魔的なミューズから老いさらばえた狂女という扱いになってしまいがちであった「モダニストの妻たち」みんなを、家父長的な夫に邪魔されなければ作家になれたのにと繰り返し主張するのには賛成できません。ゼルダの本は私も読みました。つまらなくはなかったけど、何回も読みたいとは思いませんでした。あのゼルダが書いた、というのでなければ、あんな美しい立派な装丁で出されるような本ではなかったと思います。
自分も作家であり芸術家だと思いながら、厄介な病気や人格障害のレッテルを貼られていった女性たちにはシンパシーを感じはしますが、彼女たちに本当に才能があったのかどうか。そしてザンブレノは「本当の才能とか、本物の作家とか、それって誰が決めるの?」といったような意見も繰り返し書いています。まずは書かれ、表現することに意味がある。そしてそれを女性の一時の気の迷いや単なるメランコリックな日記と決めつけてはいけない、という感じのこと。
しかし、彼女たちに自分をダブらせ共感し支持していくことだけが女性を救うことになるのでしょうか。感情的な女の子や女性の発言には一様に価値があるのでしょうか。作品の体をなしておらずあるいは面白くないのなら、それはどんなに自分に正直でいようとし、抑圧された環境で作られたものであっても、優れていることにはならないと思います。
作品だけを見るならば、たとえば夫のスコットが思う存分酒を飲み愚痴を吐きながら書いたものと、抑圧され検閲された妻のゼルダが書いたものに、バックグラウンドを足さなければいけないのでしょうか?スコットはゼルダを元ネタ扱いしやりたいように書いて、ゼルダは1日1時間しか書かせてもらえなかったんだよ、なんてことを。それはムシが良すぎるというものです。これは今だから言えることなのかもしれませんが、こういうタイプのフェミニストにありがちな意見である「文学の世界では男性の作品(フィクション、大作、手記)だけが認められ、女性の個人的な日記に端を発したものや感情的な作品は下に見られ、あくまで「男性作家のミューズ」であったことによるゴシップ的な興味以外で読まれることはない、それはおかしい」みたいなこと言われても、そんなんしょうがないじゃ���と思ってしまいます。何かを表現したい��渇望する女性たちを病的と決め付けた世間は確かにひどいですが、日記やノートだって文学だし作品だと認めろ、という著者の主張は全面的に賛成できるものではありません。発表する権利があるなら、支離滅裂な女性性のほとばしりなんてものは金を取って人に見せるもんじゃないと言う権利だってあります。(エスパー魔美みたいになってきた)もちろん男性であっても同じです。私は無料漫画サイトの片隅に転がっている、70年代のアングラエログロ漫画やマイナー漫画を覗き見しに行くことが半年に一回ぐらいありますが、やっぱりこういう作品は「こう描くことしかできない」というのは伝わってくるけど、絵は下手だしつまんないしここにエンタメやヒットはおろか芸術性を見出すのもムリです、という気持ちになってサイトを後にします。もちろん、そういった作品からは時代性と漫画産業のあれやこれやが浮かび上がってくるので、無碍にできないとは思います。でもとにかく面白くないし売れるものじゃない。誰かが資料としてぶっこんどくしかない。これが好きって人も少しはいるかもしれないし。
メジャーだろうとマイナーだろうと、バックグラウンドを一切見ずに作品だけで評価される作家がこの世にいるのでしょうか?ザンブレノは、男性の作家はルックスなど気にされず女性はどんなに偉大な人物でもルックスを取り沙汰されることを憤っていますが、スコットはかつてはイケメン作家扱いだったはず。カポーティのデビュー作にはあの写真が大々的に載りました。(そして後年みっともないデブになったと言われた)村上春樹を小馬鹿にする人は、ほとんど全員彼があの顔であんな小説を書いていると嗤っているではないですか。(海外ではそう言われてないかもしれないけど)
女性の作家やアーティストのルックスについて感想を持つのは本当に男性だけ、それも彼女の夫のようではない最低な男性たちだけなのか?といったら、そんなわけがない。その辺の人たちは男だろうと女だろうと評価の一部にどうしたって美醜を含めます。だから素顔はおろか性別すら発表しないような漫画家がいたりするのです。
もちろん、男性には不細工を補う小技がいくつかあります。だけどルックスとライフスタイルを取り沙汰されるのは女性だけではありません。フィクションがフィクションとして読まれ、自分をモデルに書いた作品が資料として読まれる。それは当たり前のことです。それが嫌なら、女の作家はいちいち自分の生活の変化に照らし合わせた作品なんか書かなきゃいいじゃんか、どうせそれしか書けないくせに。
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「ヒロイン属性限定ハーレム・ヒロインズ」系作品特集
好きな属性ヒロインさえいれば良い ヒロインが複数登場する様な作品の場合、ヒロイン差別化の為、あらゆる層に刺さるヒロインをラインナップする為、ヒロインの属性は多種多様になる。 作品を横断して見て行く内に、多くの人は「自分は、この属性のヒロインが好きだな」と属性推しヒロインが定まったりする物だ。 もし、ヒロイン全員が推し属性ヒロインだったら、どうなるだろうか? この記事では、そんな事が体験出来るかもしれない「ヒロイン属性限定」の「ハーレム」や「ヒロインズ」が登場する作品を紹介していく。 関連記事 「同居型ハーレム」作品特集 「伝統的原住民系ヒロイン」登場作品特集 生身より魅力的?「サイボーグ、ロボット女子」登場作品特集 【異種族】「人外キャラクター」登場作品特集【ケモノ】 Continue reading 「ヒロイン属性限定ハーレム・ヒロインズ」系作品特集
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🕹🎮👑🔥⭐️💫✨🎙️🎤🎼 🎶🎵🎧📿
<𝗦𝗡𝗞 𝗛𝗲𝗿𝗼𝗶𝗻𝗲𝘀: 𝗧𝗮𝗴 𝗧𝗲𝗮𝗺 𝗙𝗿𝗲𝗻𝘇𝘆> - 𝗔𝘁𝗵𝗲𝗻𝗮 𝗔𝘀𝗮𝗺𝗶𝘆𝗮 𝟭/𝟮 𝗦𝗰𝗮𝗹𝗲 𝗦𝘁𝗮𝘁𝘂𝗲
| 𝐍𝐄𝐖 𝐏𝐑𝐎𝐃𝐔𝐂𝐓 | by Infinity Studio 开天工作室
. Athena Asamiya features as a character in "SNK Heroines: Tag Team Frenzy." She is portrayed as a Japanese high school student and a popular idol singer. Athena is distinguished by her unique combination of psychic powers and proficiency in Chinese martial arts. As an infant, she was taken in by Zhen Yuansai, a hermit martial arts master residing on Mount Lu. Athena's upbringing in martial arts, coupled with her exceptional psychic talents, positioned her as an ideal protégé for her master. Guided diligently by Zhen Yuansai, Athena blossomed into a joyful and radiant young woman with a passion for singing. . 𝗛𝗲𝗮𝗱 𝗦𝗰𝘂𝗹𝗽𝘁 Athena Asamiya's head sculpt features a skin-like PU texture, with glass eyes and individually glued eyelashes, offering rich details. Her exquisite makeup and sweet smile perfectly capture the idol's charm, instantly uplifting anyone's mood! . 𝗖𝗼𝘀𝘁𝘂𝗺𝗲 Her costume includes a transparent bead on the collar, metallic buttons on the waistband, and black stockings made from real silk fabric, meticulously replicating the real texture of her outfit. . 𝗠𝗮𝘁𝗲𝗿𝗶𝗮𝗹𝘀 Besides the head, gloves, accessories, clothes, and shoes, the silicone version is made of platinum silicone material. ---------------------- 𝑃𝑟𝑜𝑑𝑢𝑐𝑡 𝐼𝑛𝑓𝑜 Dimensions: H: 95L: 65D: 55 (CM) Materials: Polystone, PU, Glass Eyes, Fabric, Platinum Silicone (only in the P2 version) P1 Version (Resin) P2 Version (Silicone) Limited Edition: 199 units (P1) / 99 units (P2) Estimated Shipping Date: Q4, 2024
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2/9、3/9『ヒロインズ』読書会
1003店主がフェミニズムを身近に感じるきっかけになったと折に触れて紹介してきた、ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』(西山敦子訳 C.I.P.Books)の読書会を開催します。
配偶者の転職に伴い新天地に引っ越してきたもののなかなか新たな街に馴染めない著者が、ジーン・リースやゼルダ・フィッツジェラルドなど、モダニズム時代の女性作家と自らの人生を重ね綴ったブログを書籍化した本書。400ページ超と大部な本のため、2回に分けてみんなで読み進められたらと思っています。どちらか1回のみのご参加も大歓迎!感想や記憶に残ったフレーズなどを共有しましょう。
数多くの作品が引用されており、新たな読書への道しるべにもなる『ヒロインズ』、この機会に一緒に読んでみませんか。
現在、版元品切れのため新刊での入手が難しいのですが、店頭にて古書で数冊販売しています。
※今回の読書会は、毎年3月の女性の生き方を考えるブックフェア”WOMEN’S READING MARCH”を共催するNINE STORIESさんとの合同企画です ==========
第1回
日時:2024年2月9日(金) 19:00-21:00
場所:1003
参加費:1,000円
定員:8名
持ち物:『ヒロインズ』(ケイト・ザンブレノ著 西山敦子訳 C.I.P.Books)
対象範囲:『ヒロインズ』第1部(6~211ページ)
※最初の数ページしか読めていない!という方も遠慮なくご参加ください
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第2回
日時:2024年3月9日(土) 10:00-12:00
場所:1003
参加費:1,000円
定員:8名
持ち物:『ヒロインズ』(ケイト・ザンブレノ著 西山敦子訳 C.I.P.Books)
対象範囲:『ヒロインズ』第2部(214ページ~ラスト)
※最初の数ページしか読めていない!という方も遠慮なくご参加ください
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企画:NINE STORIES / 1003
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《申込方法》
下記リンク先(Peatix)ページよりお申し込みください。
第1回、第2回、それぞれ申し込みが必要です。
第1回申込→ http://ptix.at/whrWaH
第2回申込→ http://ptix.at/Spr9OY
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《問い合わせ先》
1003(センサン) 担当:奥村
TEL 050-3692-1329
MAIL [email protected]
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2023年12月8日発売 株式会社キルタイムコミュニケーション様/『くっ殺ヒロインズVol.33』より「ペット堕ち~孤高のエルフ~」
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『文学は予言する』 鴻巣友季子
著者は英語の翻訳家で、書評や時評なども書いている。この人の翻訳本はアトウッドのもので2作読んだ事がある。この本はツイッターで話題になっていて、読んでみることにした。
アトウッドの『侍女の物語』が出版はフェミニスト運動が当たり前になりつつあった1985年で、当時はこの本の内容が受け入れられなかったそうだが、先見の明なのか、人々が実は変化していなかったのか、世の中は女性の生殖をコントロールしようとし、この本の題名���通りになりつつある。
過去、女性は「聖と魔」に分けられていて、卓越した女性を「ミューズ」に仕立て上げて「女性のもつ創造的・知的リソース」を男性が利用していたという。ファム・フェタールは、「自分が道を踏み外したのは女性の過大な魅力のせいで、不可抗力だったと」と著者は容赦ない。(p117)
ザンブレノが『ヒロインズ』と言う本に、ボヴァリー夫人は「別の誰かが書いた筋書きのなかに、登場人物として、閉じ込められてしま」ったことからあんな人生を歩んだんだろうと書いているそうだ(p121)。これまでの女性は誰かの人生の脇役だったんだな。この本、読んでみる。
翻訳者が社会的に立場が上の層にいて、原作者が下の層にいる人であるときに、上の層の人「にとって理解しやすく好ましい解釈によって、”物語”が変形してしまう」事が大いにあると言う。そうだろうな、と思ったし、そんなんあかんやんとも思った。これを翻訳用語では「馴化」と言うそうだ(p172)。そしてこう言う事が起こらないように、原作者が翻訳者を選ぶと言うことも起こっているらしい。バイデン大統領の就任式で詩を朗読した若いアフリカン・アメリカンの女性の詩の翻訳者からマジョリティの男性が排除されてるそうだ。マジョリティの男性には、たとえどんなに言語能力が高くても、この詩人の頭の中も心の中も覗けないだろうもんなと納得した。でも、何かがもしかしたら間違っているかも知らんと思ったりもしてる。
最近の若者は「読書を他者や道との出会いの場ではなく、自らの知識や体験の追認として行う」傾向にあるように見えると著者は言う。アメリカでもこう言う傾向があるそうで、「『親近感がわく』『あるある』『私の物語だ』」と言う意味でrelatableと言う言葉が濫用されてるそうだ。ニューヨーカー誌のコラムニスト、レベッカ・ミードが「近年の”親近型読書”は本の中に自分の似姿を見つけて記録する『自撮り』のようなものになってしまっている」と言ったそうだ(pp277−278)。最近の若者は、そんなに自分が不確かなのかしらん、と思ったり。ネットやゲームで仮想現実を楽しめるから、読書で自分以外の誰かに共感する必要がないのかも知らん。面白いね。
いい本でした。
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わたしの人生を取り戻す作業
いつか、こんな生き方では立ち行かなくなることは明白だった(本人はいまになるまで気づいていなかったけれど)
それがたまたま30歳になるまで、少女のまま生きてしまっただけの話である
わたしの抱える問題はいくつかあって、それに向き合っていくためには、いつからかやめてしまっていた書くことの必要性を思い出した
「自分を理解するために、自分になるために、自分で自分を書くことの絶対的な必要性を感じてほしい。自分を消してしまいたいという欲望とどうか闘って。」(『ヒロインズ』著ケイト・ザンブレノ)
いまはうまく文字にできなくても、言葉にできなくても、声にならなくても、誰かの心で生きるのではなく、自分の心で生きることができるように、ただ続けることでいつか足りないわたしのままでもいいんだと、本当の意味で安心したいのです
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※2019年2月22日再入荷しました。
2018年9月6日
【新入荷・新本】
ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』(C.I.P. Books、2018年)
価格:2,484円(税込み)
「別居生活が始まると、ほんの短いあいだヴィヴは自由を謳歌した。赤い口紅を塗り、ナイトクラブに踊りに出かける。「踊ることは忘れること。滅ぼすこと。意味というものを」シビュラの物語のひとつに、彼女はそう書いている」
彼女たちもこの道を、めちゃくちゃになりながら進んでいった —- すべてのトキシック・ガールのための反逆のマニフェスト
2009年、ケイト・ザンブレノは数年来取り憑かれてきたモダニズム作家の「妻や愛人たち」についてのブログを始めた。ときに偉大なる男性文学者のミューズになり協力者になるいっぽうで、自らの言葉を奪われ、名前を消されてしまった彼女たち。精神の病と診断されて苦悩の中で生涯を終え、あるいは自分も書きたいと思いながら叶わなかった女性たち。大学で働く夫の「妻」としてオハイオ州のアクロンという小さな町に暮らす無名な作家である自分。孤独や無力感、怒りを重ねつつ、ザンブレノはそんな文学史上の書き手とヒロインたちを〈私の見えないコミュニティ〉として描き出す。そうするうち、やがて新たに生成していくもうひとつのコミュニティが、そこに連なる。
文学とは何か、狂気とは? それを決めるのは誰か?
家父長の言葉が支配する枠組みの中で声を抑えられた女性たちに寄り添い、彼女たちの物語を響かせようとする試み。あらゆる引用とパーソナルな記録の断片を無限に重ね、織り合わせることで現れる〈私たち〉の姿とは。
本書で主に取り上げられるヒロインと作品たち
ゼルダ・フィッツジェラルド/ヴィヴィアン・エリオット/ジェイン・ボウルズ/ヴァージニア・ウルフ/エンマ・ボヴァリー(『ボヴァリー夫人』)/アナイス・ニン/ジューン・ミラー/「私」(『黄色い壁紙』シャーロット・パーキンス・ギルマン)エドナ・ポンテリエ(『目覚め』ケイト・ショパン)/ジーン・リース/デューナ・バーンズ/ルイーズ・コレ/コレット・ペニョ(ロール)/ルチア・ジョイス/フランシス・ファーマー/ウニカ・チュルン/アンナ・カヴァン/エリザベス・ハードウィック/メアリー・マッカーシー/シルヴィア・プラスなど
著者:ケイト・ザンブレノ
2009年に作家リディア・ユクナヴィッチの出版社キアスムス・プレスが主催した「Undoing the Novel」コンテストで見出され、_0Fallen Angel _で小説家デビュー。ほかの主な著作にGreen Girl (2011)、_Book of Mutter _(2017)など。新作小説や、エッセイと講演を��録した作品集など近刊の予定多数。2018年現在コロンビア大学などで教鞭をとる。ニューヨーク在住。
訳:西山敦子
表紙イラストレーション:カナイフユキ
http://cipbooks.com/
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おととい、三島のCRY IN PUBLICで、「ヒロインズ」という本の読書会を開催させてもらった。
今日になっても余韻冷めやらず、あの濃くて幸せだった空間を思い出しては幸せな気分になっている。
はっきり言ってあの中での私は、理解不足、知識不足なのはわかっていたので、ファシリテーターに徹することを使命としていた。
だけれども、CIPという和やかな雰囲気の場所が生んだ流れがあるとでも言うような、気持ちの良い間(ま)での、それぞれの参加者からの発言。
あの場、その空間、空気が、ファシリテーターになってくれたと思う。
そして、一緒に主催をしてくれた友人にもとても感謝している。
私は、恥ずかしながら、ちょっとした才能がちょこちょこあるひとだという自負はあるが、その中でも秀でていることは、素晴らしいひとに囲まれるということだと思う。
あー、まだ知恵熱高いわ 笑。
熱にぼんやりしながら今日も眠ろう。
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2023年6月9日発売 株式会社キルタイムコミュニケーション様/『 くっ殺ヒロインズVol.29 』より「魔王討伐後の勇者、異世界侵略者に敗北」
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I love this fanart so much!
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