#パナマ帽子
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各地句会報
花鳥誌 令和6年10月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和6年7月1日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
浜木綿を染めし落暉の日本海 かづを ナースとて香水ほのと香りたり 同 風に波打つまで育ちゐる青田 同 網戸越し松に鴉が羽繕ひ 清女 這ひ出でし苔を褥に夏の蝶 笑子 青梅雨の沖へ沖へと藍深む 同 産土の茅の輪くぐりに星が降り 希子 女達噂話や梅雨しとど 和子 虚子愛子柏翠句碑に大夕立 匠 蛍や自害に果てし一城主 雪
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月4日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
夏の雲飛行機雲に結ばれて 喜代子 狭庭にも大株四葩二本咲き 由季子 天筆に今年も祈る星祭 都 パナマ帽モボモガの世に生きた親 同 青すだれ隣家の灯り遠くなり 同 単衣着て白き衿足なまめける 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月6日 零の会 坊城俊樹選 特選句
梅雨の蝶なれば鼓動のやうな翅 順子 阿羅漢に逢ふには黒き麻を選り 同 蚊遣香きれいどころを紫に 光子 剥落の喜怒哀楽の貌涼し 風頭 金ピカの阿弥陀炎暑を撥ね返す 佑天 遅れ從く行人坂の上に夏 昌文 唇うすき五百羅漢の薄衣 同
岡田順子選 特選句
茄子植うる角を曲りて羅漢寺 和子 阿羅漢の肋へ夜々の早星 光子 女人描くやうに蚊遣の煙かな 和子 朝涼に羅漢千ほど詣でけり 軽象 羅漢へは夏の讃美歌届かざる 俊樹 水鉄砲水に沈めてゆく遊び 和子 汗の我汗無き五百羅漢像 緋路
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月6日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
いそいそと出かける母の洗ひ髪 成子 原罪を忘れしごとく髪洗ふ 朝子 髪洗ひ沛然の夜を深眠り 美穂 身体の壺深くせむ泉湧く 同 蝙蝠となりイザベラの墓を守る かおり 無限とはあの夏雲のあふれやう 朝子 遠ざかる汽笛を胸に髪洗ふ かおり 待つ事に慣らされたかなソーダ水 修二 昼寝覚また見失ふ青い鳥 かおり いいかげんな返事はできぬ滝の前 睦子 地の底に坑道のあり夏薊 朝子 水海月ニュートリノとは身の不才 久美子 青く浮く水の惑星飛ぶ蛍 光子 群るること嫌ふ子の飼ふ目高かな たかし 手の中に捨つる���もりの落し文 美穂
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月8日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
炎帝や新幹線の響動もせり 時江 汗の顔拭いても直ぐに汗の顔 みす枝 蛍の夜君と辿つた田舎道 和子 網戸より青き大空真清けし 時江 雲の峰向けて大きなホームラン みす枝 羅に齢見せたり隠したり 世詩明 万緑の中に抱かる風化仏 時江 弁解はすまじと白扇閉ぢらるる 昭子 老いたれば野盗の如く西瓜喰ぶ 世詩明 魂の抜けて極楽大昼寝 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月8日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
すこやかと母の昼寝のたのもしき 和魚 入道雲更に一段気負ひ立つ 秋尚 昼寝して疲れひと先づ剥がれゆく 貴薫 妣の忌や水やうかんの三姉妹 美貴 入道雲夢語り合ふ部活の子 同 保母泣かせ昼寝の時に元気な児 エイ子 海風に昼寝誘はれ母の膝 史空 束の間の午睡ゆらゆら旅の途中 のりこ 離れ島入道雲に呑み込まれ 史空 よく冷えて角立ちてをる水羊羹 三無 入道雲掴みきつたるクレーン車 同 今少し続きに未練昼寝覚 秋尚 定期船入道雲に溶けてゆく 史空 昼寝さめ穂高の風は空の色 ます江 幼子の昼寝絵本を抱きしまま 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月12日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
断面のやうなビル窓夕焼けて 都 アイスコーヒー別れるために会ふ人の 同 火取虫灯りともせばあらあらし 和子 狛犬の口を漱ぐや男梅雨 美智子 さらばへて汗もかかずに老いてゆく 悦子 目の前の影と思へば蚊喰鳥 宇太郎
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月12日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
非常なる毛虫退治も日常に あけみ きようだいが内緒の話ハンモック 裕子 今日を無事に終へて夜風と衣紋竿 同 山寺や山あぢさゐの道になり 令子 蛍飛ぶ幼き頃を誘ひ出し 光子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
滴りに苔むす岩の息づかひ 多美女 凌霄花掴まり処なき揺れて 亜栄子 早苗饗やのんびり浸る露天風呂 幸風 解体の決まる旧家や釣忍 百合子 葛餅を分厚く切りて客迎へ 美枝子 葛餅のギヤマン盛の重さかな 文英 涼しげに楓日傘の年尾句碑 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月16日 萩花鳥会
七月場所若手の力士続続と 祐子 雷神へ千の手拝��千年の樹 健雄 水田に波紋広げて梅雨に入る 俊文 今咲いた深夜の電話月下美人 恒雄 仙人掌の生きぬく力強きこと ゆかり 夕立の真つ只中の下枝かな 吉之 雷鳴に負けじ響くや母の声 明子 母逝きて幾年たちぬ仙人掌花 美恵子
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令和6年7月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
無雑作に立て掛てあり古葭著 雪 青葉木菟夜は淋しと鳴くならん 同 此のに金色飼はれし師の月日 同 足羽山はみだして来る蟬時雨 かづを 万緑を鎧ふ最古の天守閣 同 風鈴や此の先老をどう生きる 真喜栄 一と日毎老鶯の声啼細る 英美子 半百生鯖より蛸の足を買ふ 賢一 草を引く予定は未定なる気まま やす香 蛍の夜君と語りし田圃径 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月17日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
加賀鳶の夕顔の種翔しけり 世詩明 朝顔の晒したてなる朝の雨 同 梅雨の灯に手相見る癖ケセラセラ 清女 牽牛花の螺旋昇るや夢連れて 千加江 朝顔や父母ゐなく実家もなく 令子 夏のシャツざぶざぶ洗ふ達者に洗ふ 同 いとさびし師の忌が一つ増えた夏 淳子 雲の峰背ナに担ぎて手を振れり 和子 朝顔の咲いて嬉しきことも無く 同 荒梅雨や工事現場にヨイトマケ 数幸 光陰を渦に背負ひし蝸牛 雪 サングラス顔を隠してゐるつもり 同 光りたき所に光りゐる蛍 同 又の世も火蛾と生まれて灯を恋ふか 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月19日 さきたま花鳥句会
山百合や日に三本の村のバス 月惑 しなやかに見沼の青田穂を孕む 八草 翡翠を待つ三脚の影伸びて 裕章 はたと止む平家の里の夜の蟬 ふゆ子 梅雨明けて肌に塗るもの一つ増え としゑ 葉は枯るも生きてゐるよとミニトマト 恵美子 けだるげな猫の往診暑気中り みのり 酔芙蓉午後の日差しに色の濃く 彩香 愛想なき冷たさが好き竹婦人 良江
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令和6年7月21日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
隠沼の何処に存すか牛蛙 文英 炎帝を弾きとばして母の塔 三無 雨上り烈日をあぶ蟬と吾 久子 夏の沼水切りの輪閃閃と 三無 みんみんの遠く近くに読経めく 慶月 琅玕の風をたわわにアッパッパ 幸風 隠沼を揺さぶる響き牛蛙 亜栄子 漢行く灼けし空缶蹴りとばし 三無
栗林圭魚選 特選句
ご褒美はお花畑の大饗宴 白陶 水無月の乾き切つたる空となる 秋尚 炎天の隠れやうなき径白き 同 父母と黴の匂ひや里の閨 経彦 沼いつも古色を湛へ蜻蛉生る 千種 石仏の錆びし錫杖金絲草 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年7月22日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
金漿つけしお羽黒とんぼ登場す 雪 蝙蝠や国府の名残り路地路地に 同 真白なる羽根たたみたる火蛾の果て 同 夕方に雲の集まる男梅雨 たけし 宮涼し巫女の舞ふ袖ふくらめり 同 柿葺閂錆し竹落葉 同 蟬時雨一山丸ごと震へをり みす枝 夫逝きし庭より聞こゆ青葉木菟 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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雨濡れ色のペトル 雨笠煙蓑
期待と諦観の邂逅あるいは金属板の踏み鳴らし
傷みかけた林檎が皮付きのまま、四等分に切られて出てきたとき、ジーナ・チャイカは、ひくりと頬を引き攣らせた。
都会への憧れで、故郷から延々と、かつてあった鉄道の跡を歩いていた中で、ようやく雨に降られていなかった町に出た。そこで、唯一無事らしい飲食店の店主に哀れまれた彼女は、到底年頃の女の子が使うようなものではない、物置のような寝床が提供された。
これまで全く感じなかった疲労と、眠気、そして空腹感を覚えたジーナは、文句も言わずに眠りに落ちる。いつの間にか、黒いブラウスは白に戻っていて、綺麗な青のリボンも褪せた臙脂色になっている。それらの原因は、雨の外だからだ、と漠然と彼女は悟っていた。
そして、目覚めたばかりの彼女に提供された食事が、傷みかけた林檎だったのだ。
タダで提供された、一文なしの彼女は文句など言えない。それでも、少し躊躇うように手が伸ばされた。
一口、喉を通り過ぎれば、それまでほとんど感じていなかった渇きを実感した。先程までの忌避感などなかったかのように、次々と口に含む。が、それは唐突にやってきた乱暴者たちによって止められた。
ジーナよりも少しばかり年上の、二十歳そこそこの青年たちが、凶悪な顔をして店主へと詰め寄る。
曰く、隣町への道のりを教えろ。
曰く、そこでの殺し合いを勝ち抜けばジープが手に入る。
曰く、そうすればすぐに大陸から脱出できる。
曰く、そのためにも食料品を渡せ。
ジーナは彼らの言い分が馬鹿馬鹿しいと思っていた。楽観的で、行き当たりばっかりで、何も考えていないような彼らの態度に、彼女は冷ややかな視線を向ける。
その侮蔑の感情に気づいたのか。青年たちの一人がジーナに近づいてきた。そして、脅しのように彼女の頬を殴りつける。
店主が慌てたように駆け寄ろうとするが、それを男たちが許すわけもなかった。どころか、ジーナを人質のようにして、これ以上の暴力を認めたくなければ食料品を出せと告げる。
歳のわりには痩せたジーナは、綺麗に吹き飛ばされて、店の壁に叩きつけられた。ゆらりと立ち上がった彼女は、どうにか自制心で舌打ちを我慢した。けれど、その反骨芯あふれる視線を隠すことはできなかった。
馬鹿の一つ覚えのように、先程殴ってきた男が、再度ジーナに暴力を振るおうと近づく。
痛みは、雨の中では勝手に薄れる。
怪我は、雨の中では自然に治る。
こんな低俗な連中も、雨の中ではジーナの足元にも及ばない。
それがわかっているだけに、彼女は少しばかり自分の無力さを噛み締める。選別を突破したにも関わらず、こんな事態になるだなんて不甲斐ないと思っていた。
そんな彼女の相手にしていない、見下した態度が、男の琴線に触れたのだろう。何考えてやがると怒鳴りがらも、大ぶりなモーションで彼女の顔を狙った。
が、ビシリと小さな何かが彼の手の甲に当たる。ギャッと汚い悲鳴が店内に響いたと同時に、パチンコ玉が一つ、床に落ちた。
「よぉ、久しぶりだなぁ」
その一声でようやく、全く毛色の違う男がいつの間にかいたことに全員が気づいた。真っ赤な布地のアロハシャツ、クリーム色のズボン、白いパナマ帽、カラコロとなっておかしくない下駄に、感情を読ませないサングラス。見目は派手だし、その言動もまた、まともな大人だとは思えない。そして、静かに開け放たれた店の扉の前に立つ偉丈夫の登場に、青年たちはたじろぐ。
「あ、あんたは……」
先程まで店主を詰めていた男が、青白い顔色をしたまま、偉丈夫を指差す。
��ヤリと笑った突然の闖入者は、次の瞬間ジーナには見えないほどのなめらかさでーーそして男たちが反応できないほどの速度で、力を振るった。
一人は顎を砕かれ、一人は足を踏みつけられて鈍い音をさせ、先程ジーナを殴った人物など手の甲に穴が開けられていた。最後の一人は、襟元を締め上げるようにして持ち上げられている。
ヒッと持ち上げられた男の口から、小さな悲鳴があがった。
「報告だぜぇ。お前たちが引っ掻き回してくれたお陰で、もうあの集団はダメだ。ほぼほぼ壊滅、リーダー以外は全員雨の下だ」
爛々とした目が、横顔のためにわずかに見えた。
その怒気なのか、覇気なのかわからない男のオーラに当てられて、か細い声で「許して」と持ち上げられた青年は零した。が、派手な見目の男は、懇願を聞き遂げる様子は全くなく、さらに持ち上げる。
「俺が怒っていると思ったか? いいや、これは諦観だよ。お前たちの未来を俺は諦めたんだ」
青年が何か弁明をしようとした、ようにジーナは見えた。が、男は躊躇なく手にした人間を壁に叩きつけた。ずりずりと叩きつけられた青年が力なく倒れていけば、壁に血の痕が、適当に筆を滑らせた絵の具のように残る。
青年たち全員が床に崩れ落ちたのを確認して、男は店主に向かって「悪りぃな、汚しちまった」と謝罪した。先程までの恐ろしさが形を潜め、カラリとした笑みを浮かべる彼が、逆に異様に思えるほどだった。現に、店主は青白い顔をして、肩を小刻みに震えさせている。
怯えているのを感じ取った男が、再度謝った。
「見苦しいもんだったな、すまねぇ」
そして、彼はようやくジーナを見た。
男のサングラス越しの目が何色なのか、分からない。今、どのような感情を浮かべているのか、それさえも分からない。
「嬢ちゃんも、怖い思いさせて悪かったな。殴られたところは、難しいかもしれないが、よく冷やしておきな」
他意はないつもりだったのだろうが、男のジーナを子供扱いした言動に苛つきを覚えた。強ばった表情のまま、彼女は「大丈夫よ」と返す。「そうかい」と言った彼は、そのまま青年たちを引きずって店の外に出ていった。
大丈夫か、と店主の心配する言葉に、ジーナは再度安心するように問題ないと告げる。そして丁寧に礼を告げると、彼女は足早に先程の人物の後を追いかけた。
店の外には、もう誰もいない。……が、昨晩はなかった車の轍が続いている。
ジーナは、その轍の上を走る、走る、走る、息切れしながら、走る。徐々に雨雲に近づいていき、町の建物は閑散としている……というよりも崩壊の度合いが激しくなっていった。そして、車が乗り捨てられているのを見つけ、さらに彼女は雨雲へと足を進める。
雨の幕が張る境��の手前に、一人の大人が立ち尽くしている。先程の、派手な見目の男ではない。
ジーナは走るのをやめて、ゆっくりと背後からその人間へと近づいた。何かあれば、雨の中に逃げ込もうと思いつつも、驚かせないように声を掛ける。
緩慢な動作で振り向いたのは、随分と顔色の悪い男だった。これまでジーナが見てきたどんな人間よりも、青白い顔、真っ黒な隈、生気をなくした唇を持ったその人は、彼女の姿を認識すると「どこに行くんだい?」と、掠れがかった声で尋ねてきた。
「ここは、危険だよ。雨が全てを奪っていく、何も残らないんだ。君はまだ若いんだから、すぐにここから逃げるべきだ」
どうやらジーナを自殺志願者だと勘違いしたらしい。その幼児に語りかけるような口調に、彼女は言葉では何も言わず、胸を張って雨の幕へと入っていく。ジーナを止める言葉を吐きながら、けれど彼女の歩みを指一本動かさずに眺めていた彼は、まざまざと彼女の変化を観察できた。
期待の文字が頭の上から滑り落ちる。目を閉じ、意識を遠くへ持っていき、一瞬だけ眠るような夢心地になれば、傷もまた薄れていく。いくつもの期待が、彼女の頭から滑り降り、その跡が黒くなっていった。一筋、一筋と染まっていく彼女の身から、白はなくなり、黒に染め上げられ、そして特徴的な目がきらりと光った。それはロゴスが起きてから、久しく見ることのなかった色だ。真夏の青空、昼の容赦ない陽光を宿した色。
呆然とした男は、やはり何も言わずに立ち尽くしていた。ジーナは一瞥し、さらに先に進む。
何もない場所だ。
ただ、雨が降り続けるだけの場所で、その存在はすぐに分かった。
何かの結晶の山を見下す男の姿は、ジーナと同様に、黒く染め上げられている。黒いパナマ帽、鮮やかなパイナップルが目立つ黒地のアロハシャツ、黒スキニーに下駄の鼻緒さえも黒だった。
ジーナが雨音に交えて、水溜りを踏んだ。規則正しく、一定のリズムの中での水音が崩れる。その音に反応して、男が振り向いた。
やはりジーナからは、サングラス越しのその目は見えない。だが、何か呟いた男は、目を隠し続けたものを取った。
鮮烈な色がそこには収まっていた。キラキラと太陽のように輝く、炎を彷彿とさせる色だ。赤ではない。燃えるように煌めく、その色の名前をジーナは知らない。
「さっきぶりだな、お嬢ちゃん。傷はもうよさそうだ」
男が笑って挨拶をしてきた。それにジーナもまた答える。
「ええ、先程ぶりですね。こんな風なので、心配は無用でしてよ」
同族との邂逅に、ジーナは精一杯の口調で、対等に見せかける。
互いに笑い合って、そうして男から名乗りをあげた。
「諦観、の円城寺吾郎だ。お嬢ちゃんは?」
「期待、のジーナ���チャイカです」
互いになるほどと思ったが、同時に疑問も抱く。
「期待のわりには、物悲しそうな雰囲気だ」
「なら、諦観にしては前向きすぎませんか」
両者ともに答えがないのは、一瞬にして理解できた。自分たちは、そういう者だと既に知っている。そこに、それ以上を求める意味などなかったのだ。
「初めてです、同じ選別をくぐり抜けた人に出会えたのは」
「俺も同じ存在がいるとは思ってたが、会ったのは初めてだな。なんだ、一人でここまで来たのか」
「ええ、そうです。見かける人は、殆どロゴスに耐えられなかった。私以外、誰も」
「そいつは難儀な旅路だ。……失うだけの光景だったのか」
吾郎の同情するような眼差しに、凛とした顔でジーナは言い返す。
「失うだけでしたが、それも選別の結果なのでしょうがないです」
「……さっきから、お嬢ちゃんはロゴスのことを選別って言ってんな。なんだ、その選別って」
「なんでも何も、ロゴスは選別でしょう?」
「ほう、なんでまたそんな風に思ったんだ」
吾郎の纏う雰囲気が変わった。彼の態度の変化に、ジーナは嬉々として得られるものがあり、選ばれるのたる理由を述べていく。
「だって、この世の中にある、大半の下らない物を全て無くしてくれましたから。ロゴスは不要なものは全てなくすのです、私たちの飢えも、傷も何もかも」
ニヤリと彼は笑う。笑うだけで、なんだか本当に、心の底からの喜びのようには、彼女は感じなかった。ただ、顔を歪め��ような印象を抱く。
「じゃあ、お嬢ちゃんは大切な身内を失った連中に、それらが不要だって言うのか?」
ジーナは、吾郎の質問に、なんだそんなことかと思った。
「私も母が選別に通らなかったことが悲しいです。でも、それがあの人の精一杯で、限界だっただけ」
「俺たちみたいなのは選ばれたって思っているのか」
「思っているも何も、それが事実でしょう。だから私はロゴスに、私たちと同じ存在に期待するんです。新しい時代、新しい世界がやってきたのだから、私たちは使徒になれるのです」
起きた出来事は事実として解釈し、そこから先を向いていく。過去は変えようもなく、失われたものは戻らない。失われた理由を、失われても問題のない理由を、誰もが探しているのだ。
ジーナは、だからこそあれが選別なのだと思っている。
彼女の故郷は、誰一人として生き残らなかった。彼女だけが生き延びたその理由は、世界が彼女を必要だった、からだ。だが、彼女と相対する男は、その考えをハッキリと否定する。
「俺はロゴスによる新しい世界だなんて思わねぇ。ロゴスは天災だ。どうしようもねえ部分はあるが、俺たちのような存在は、その天災を鎮めるための手段であり、駒だ。英雄でも使徒でもねぇし、そんな大層な役割ができるはずがない」
ある意味、自らの力を弁えた発言であった。諦観の灯り言に相応しい評価だ。だが、天災を鎮めると願うほどの期待と自信が込められた言葉でもあった。ついでに、彼の思った以上に冷酷な側面も見られる。
「冷めていらしてるのね」
「諦観の通りだ」
「雨が憎いのかしら?」
「憎いとは思わない。天災だから、しょうがねぇって思ってるだけだ」
「けれど、今は雨を利用していますわ」
「……ああ、そうだな」
文字の山が何を意味するのかなど、ジーナはよく知っていた。彼女は、山を生み出したこともあるし、道中でいくつも似たようなものを見ている。吾郎が連れていった四人の姿はなく、文字だけがあるのならば、もう答えは出ていた。
しばしの沈黙。やがて、吾郎が戻ろうと言う。雨の外に、人を待たせているから、と。彼は振り向きもせずに、雨の外へと歩きだす。ジーナは、それ以上何か発言することはなく、男の後を追った。
雨の切れ目。あるいは、世界を隔てる銀幕。選別の違えた道。選ばれた者だけの大地、選ばれなかった者の土地。なんだっていい、なんだって本質は変わらない。ただの切れ目なのだ。
そこにいたのは、先程と同じように立っているだけの男。顔色の悪さも、先刻と何も変わっていない。
吾郎は男の名前を呼んだ。男の視線が吾郎へと向けられて、しかしすぐにジーナへと移る。
「君は」
「同類ってヤツさ」
吾郎の説明で、男は納得したようだった。
「そうか……そうだな。コイツのようなヤツが他にいてもおかしくないのか。だが、こんな子供が」
「子供扱いしないでください」
「……すまない。少し、娘に似ていたものだから、つい」
素直に謝ったので、それ以上ジーナは何も言わなかった。男は首を一度だけ横に振り、何かの雑念を払う。そして、今度は吾郎を真っ直ぐに見て、問うた。
「終わったのか」
「ああ、終わったよ」
その過程や様子を一切省略した、簡潔すぎる返答に、男は一歩、二歩と後退り、そして力を抜いて座り込んだ。
「そうか……そうか、そうか! 終わった、終わったんだな」
顔を手で覆い、同じ言葉ばかりを口にしながらも、やがて音は変化し、嗚咽ばかりとなっていく。大人の、それもたった今まで冷静に話していた人間が、あっという間に幼児のように泣き崩れる様を見たジーナは、少しばかり居心地が悪い。
対し吾郎は、慰めるように男のそばにより、肩を優しく叩いていた。苦楽を共にした仲のように、互いの傷を知り合った彼らの言葉にならない情動は、ますます彼女の疎外感を煽る。
だが、その疎外感は思ったほど長くは続かなかった。
鼻を啜り、掠れ切った声で「もういい」と告げた男は、腫れぼったくなった目を何度も拭いて、立ち上がる。
「すまない、少し感情的になってしまった」
そうして、先程とは真逆に大人の顔を男はする。
「円城寺もここまでありがとう。あんなにも我々の手助けをしてくれたというのに、こんな結末になってしまって、すまない」
「どうってことはねぇよ。旅は道連れ、世は情けって言うだろう。それに、最後は俺も謝るべきだ。すまねぇな、お前以外……助けられなかった」
吾郎の言葉に、男は「しょうがないことだった」と慰める。
「それと���円城寺と同じ存在のお嬢さん。最後の最後で、君を巻き込んでしまったようだ。騒がしくしてしまったようで、申し訳ない」
「いいえ、大丈夫ですわ。あの騒動のおかげで、同じパドルに出会えましたもの」
ジーナの零したパドルの言葉に、男は満足そうに微笑む。
「なるほど、君たちはパドルというのか。円城寺は頑なに教えようとしなかったから」
スッと視線を向けられた吾郎は、そのまま顔を逸らし、弁明した。
「パドルって存在に、変に期待されたくはなかったからな。俺にだって限界はあるし、人間であることは変わらねぇぜ」
「……そういうことにしておくさ」
穏やかなやりとりに、先程までの悲壮感は感じられない。男の、今にも倒れそうなほどの、鬼気迫る雰囲気はなくなり、それほどまでに終わったものの重さは測り知れない。
何があったのだろう、とジーナの好奇心がもたげたが、先刻までのなりふり構わない号泣の様子を見れば、さすがに遠慮した。
「それで」
男が微笑みながらも、話を続ける。
「君たちは、これからどうするんだい」
これからの一語に、ジーナと吾郎は互いに視線を合わせる。それはまだ確認していないことだったが、しかし二人とも同種であるが故に、ほぼ確信していた未来でもあった。
「漠然とだが、行くべきだと思っている場所がある。お嬢ちゃんも、そうだろう?」
「ええ、同じく。でもその前に、お嬢ちゃん、て呼び方辞めてくださらない? 私には、ジーナという名前がありますわ」
「じゃあ、ジーナ嬢ちゃん」
「馬鹿にしているのかしら」
「そのつもりはないさ。俺の歳からすれば、お嬢ちゃん呼びの方がしっくりくるだけだ」
「まるきり、子供扱いなのですね」
「ジーナ嬢ちゃんは正真正銘ガキだろう」
ざわりと嫌なものがジーナの喉を通り過ぎた。圧倒的なまでの余裕の表情を浮かべて、それでいて軽薄な様を見せつける諦観のパドルに、無性に苛つく。
スッと彼女の目が細められるも、吾郎はその様子を無視する。
「で、話を戻そうか。俺も、ジーナ嬢ちゃんも、漠然とだがロゴスの中心へ行くべきだと感じている。感じると言うよりも、呼ばれるってのが正確だがな」
吾郎の説明に、男が無言でジーナを見た。期待に応える様に、ジーナもまた頷く。
「ええ、私も感じています。あちらの方に向かうべきだと」
ジーナが指さした方角は、雨雲が広がっていた。それを見た男は「真逆だな」と呟いた。この言葉に、もしかして着いてくる気だろうか、と一瞬だけジーナは心配した。だが、即座に吾郎が心配の芽を摘み取る。
「お前は、さっさとここから脱出した方がいい。もうなりふり構ってはいられない程度には、雨の侵食は進んでいるようだ」
この町自体どの程度保つか、と三人の背後に広がる何もない場所を見て呟く。
「分かっているさ。私はパドルじゃない、人間だ」
「なら、いいんだが」
大人たちの睨み合いに、ジーナは肩をすくめる。冷静なはずの彼らのやり取りは、時に回りくどく、そして面倒だ。
「パドルの私たちは向かうべき場所があり、人間のあなたはそこへは向かえない。なら、合理的に考えましょうよ」
「……ジーナさんに言わ���たら、もう諦めるさ」
「大変素直でよろしくてよ」
ふふふ、と笑う彼女の様子に、吾郎は何か言おうとして、けれど全く別のことを話し始めた。
「それで、だ。今後の移動手段とやらで、確認したいことがある。俺たちが乗ってきた車は、そのままお前が使え」
「だが、」
「ああ、ああ。気にするな、移動手段はもう目処がついてる。あいつらが言ってただろう? 隣町では、殺し合いで優勝したやつにジープを一台進呈ってな」
その話は、ジーナも覚えていた。あの不快な四人組の男たちが言っていた情報。
「あんな与太話を信じていらっしゃるの? しかも勝ち上がるつもりだなんて、諦観らしくないわ」
雨の中でなら、ジーナとて自信がある。だが、未だ町として体裁が整っているのならば、まず間違いなく雨の外だ。その場合、パドルである彼女たちは、特殊な力を思う存分奮えない。もしかしたら、吾郎は何かしらの自信があるのかもしれないが。
「そうだな、諦観らしくねぇ。とは言っても、こんな指摘をするジーナ嬢ちゃんだって、期待らしくはねぇな」
「余計なお世話だわ」
ふん、と鼻を鳴らしたジーナと、カラカラと笑う吾郎のやり取りを興味深そうに男は眺めていた。
「まぁ、さすがにそんなもんに参加するつもりはねぇよ。ただ、その噂話は結構広まっていたようでな。ちょいと、調べてみたことがあったんだ。そうすると、」
「なにかしら」
わざと区切った彼に焦ったくなって、ジーナが問いただす。その様子を確認した吾郎は……。
「ジーナ嬢ちゃん、今の世界情勢ってヤツは分かるか?」
と、全く違うことを話し始めたように思えた。
「突然なんですか」
「いや、ジーナ嬢ちゃんはロゴスを選別って言ってるからな。選別は選別らしく、現状の勢力図を理解してんのかと思って」
「私は、ほとんど人に出会ってないのですよ。数少ない出会った人々のほとんどは、パドルでもなく、雨に消えていきました。町についたのもここが初めてでしたし」
ジーナの説明に、それまで黙って聞いていた男は口を挟む。
「円城寺。お前が何に警戒しているのかは分からないが、何でもかんでも察してもらえると思うな。話を進めたらどうだ」
その指摘に、吾郎は小さな声で「すまん」と謝ったあと、すぐさま説明した。
「現状から考えてみれば、大国ナルツィアーゾは崩壊したとみていい。となると、序列的にはロヴィエが世界の王者にきて、その次がクリザミアだろう。向こうは、ほとんど被害がないって話だしな。これまで四カ国は、仲良しこよしで成り立っていたし、長いこと戦争なんかねぇ。なら、軍隊ってヤツは必要なかった。でも、国を超えた警察組織はあるし、組織犯罪ってのもなくならねぇ。組織犯罪の中には思想犯てヤツもいて、ここで国に煙たがられるのは、何だと思う?」
再度の問いかけに、ジーナは考えてみた。そして、ロゴスが起きる前に見た映画を思い出す。
「……できあがった国家体制への反抗」
「そうだ、不平���満は誰だってあるし、完璧な国家なんてもんはない」
そこまで説明して、ようやく本題へと戻ってくる。
「何が言いたいかってことなんだがな、こんな大混乱な最中でも、ジーナ嬢ちゃんみたいな考え方ーーロゴスが選別であり、そこに選ばれた連中がいる--は、そう珍しくもないってことだ。終末思想とでも言うのか、大変換への憧れか、或いは強制的な変化への希望かは知らんが、一定数の共感者たちがいる。その中には、表じゃ大成功している人間もな。だからこそ、ここへやってくる連中がいるし、ここでことを始めようとする連中もいる」
吾郎は、そのまま耳にした如何様にでも捉えられる教義と演説を脳裏に思い出した。だが、それを目の前にいる、真っ先に共感しそうな少女には伝えない。
「隣町の件も、おそらくこの手の奴らが裏で動いてる。でなけりゃ、こんな状況で垂涎もののジープをアッサリと手放すかよ」
ついでに、と続く吾郎の言葉で、ようやくジーナは彼の狙いがわかった。
「あいつらが持っているのは、少なくともジープ一台じゃねぇだろうな」
その後の話1
「そういえば君の目は、雨の中だと随分と鮮やかな青になるのだね」
「そうですの? 私、鏡を見ていなかったので気づきませんでしたわ。いったい、どんな色なのかしら」
「真夏の空の色のようだよ。透き通るような海ではないし、ただただ突き抜けるほどの真っ青な色だ。アウィンに似ているな」
「アウィン?」
「美しい石の名前だよ。アピスラズリの主成分でもあるんだ」
「まぁ、素敵」
「君たちパドルの目は、本当に美しい宝石のような目だね。円城寺の雨の中の目も見たことがあるんだが、ファイアオパールのようだと思ったさ。できれば、ずっとその色なら良かったのに、残念だ。���あ、雨の中で奪われたなら、もしかしてずっとその色のままなのだろうか。先程、君の頬にあった傷は治っているが、もしかして雨の中なら治癒するのかい? そうなら、目を貰えないだろうか」
「え、あの……え?」
「ジーナ嬢ちゃん、そうなったら離れときな。この大災害の中で、ネジが外れちまっただけだ。普段はリーダーらしい奴なんだが、どうにも俺たちの目に関してはこうなりがちでなぁ。始めは口説かれてるのかと思ったが、途中でこれは違うって気付いたんだよ……」
「円城寺の目は本当に綺麗だからなぁ。妻と観に行く予定だった宝石展の目玉の一つだったんだ。なぁ、本当にダメなのか? どうにかして美しいままに保てないか努力するから。ああ、ジーナさんの目もダメなのかい? その色は娘の好きな色だったから」
「……無理です」
「ほら、ジーナ嬢ちゃん泣きそうだぞ。やめろや」
「酷いなぁ、私はただ君たちの目の色が本当に美しくて好きなだけだよ」
その後の話2
「本当に予想通り、車があるとは思いませんでしたわ」
「予感的中ってな」
「そういえば、運転は吾郎おじ様がなさるのですよね」
「ジーナ嬢ちゃんは免許持ってんのか?」
「持っていませんわ。でも今この時に、それが重要と思いですの?」
「そりゃそーだ……興味あるなら、道中どこかで運転してみるか」
「良いのですか」
「こんな状況で物損も人身事故もねえだろ」
「ふふふ、車の運転は映画を見てて憧れていました」
「へぇ、どんな映画がジーナ嬢ちゃんのお眼鏡に叶ったんだか」
「崖の間際でのカーチェイス」
「うーん、やっぱり辞めさせようか」
実際問題、普通にジーナは壁にぶつけたし、おそらく何もなくても免許はとれないんじゃないかと吾郎は思った
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styling gallery Muhlbauer STRAW HAT 帽子/ Mu-22005 ( CM236) made in Wien オーストリア🇦🇹ウィーンより アトリエでアルチザンによって全ての帽子が生み出されるオールハンドメイドの帽子 " ミュールバウアー “ さまざまなライフスタイルに、 日常使いにおすすめなハットとなります。 クラシカル、モード、カジュアルな装いに小物スタイリングが楽しめ長くご愛用いただけます。 #mühlbauer 詳細は下記よりオンラインストアをご利用下さいませ。 https://cavane.shop ・ ・ ・ Muhlbauer ミュールバウアー NO : Mu-22005( CM236) ITEM : STRAW HAT 帽子 TYPE : women・men COLOR : BRONZE 素材 : PARASISOL STRAW 植物繊維(天然草)100% ※麻の一種、サイザル麻 天然草で編まれたストローハットの定番モデル、パラシゾール。 高品質による麻の一種、 サイザル麻の素材をハンドメイドで編みあげた帽子。 このハットに使用されている植物繊維は、植物を原料とする天然の染料で染められています。 ブリム・つばの端先にはソフトワイヤーが入っていますので、手によって型を成型することができ、クタっとしたシルエットに雰囲気があります。 ヴィンテージ感やクラシックなたたずまいが魅力の帽子となります。 大変希少価値のあるエクスクルーシブな帽子となります。 クラシカル、モード、カジュアルな装いに小物スタイリングが楽しめ長くご愛用いただけます。 Muhlbauer ミュールバウアー 1903年、Julianna Muhlbauerがフロリツドルフで婦人帽子仕立屋を創業。以後代々引き継がれ、職人と培った歴史を継承しながら2001年より4代目となるクラウス氏がデザイナーとして就任。兄妹であるマーリースと共に選び抜かれた素材でオーストリアの伝統的なチロル帽をベースとしたフレッシュかつモードなコレクションを提案。トラッドなスタイルから、モード、カジュアルまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。すべてひとつずつ製作している為、1点1点、加工やシルエットに個体差があります。 ※レディース・メンズ共にご着用頂けます。 ※ 製品誤差として1cm程度、表記サイズより異なる場合が御座います。おおよその目安とお考え下さい。 ※サイズが大きい場合などは、市販されております帽子の大きさ調節 ・調整テープなどでサイズを調整することができます。 ※スタッフ着用モデル158cm / size 58(cm) made in Austria ・ ・ emic:etic NO : em-2208010 ITEM : Dress salopet pants TYPE : women SIZE : 3 MATERIAL: linen100 COL: N.G stock : 1 ・ ・ emic:etic NO : em-220731B ITEM : Dolman sleeve blouse TYPE : women SIZE : F MATERIAL: cotton100 COL: BK色 stock : 1 All hand made in atelier エミックエティックより 大人の女性だからこそ似合う洗練された 唯一無二のお洋服 こちらよりお問い合わせください。 TEL: 06-6449-8588 or MAIL: [email protected] https://cavane.shop ・ ・ #cavane #Muhlbauer_hats #Muhlbauer #panama #RAFFIA #strawhat #flaresleeve #fashionphoto #vintage #wien🇦🇹 emicetic #エミックエティック #ラフィア #ヴィンテージ #ストローハット #パナマ帽子 #パナマハット #ミュールバウアー #春夏 #22ss (Cavane) https://www.instagram.com/p/CgfnkaVvUL9/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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. CHAMULA|Vicera|Havano パナマ帽子発祥の地であるエクアドルで作られた、正統派を覆す面白い帽子。 キャップのツバとハットのクラウンがミックスされたデザイン。 作りは丁寧で非常に美しく、また軽く被りやすい。 普通の帽子に飽きてしまった方に。夏を楽しみたい方におすすめしたい帽子です。 . . ☑︎#CHAMULA ☑︎#madeinEcuador ☑︎#Panamahat ☑︎#hat ☑︎#cap ☑︎#チャムラ ☑︎#エクアドル製 ☑︎#パナマ帽子 ☑︎#パナマ帽 ☑︎#パナマハット ☑︎#ハット ☑︎#キャップ ☑︎#帽子 . DIARIES 〒305-0031 茨城県つくば市吾妻3-8-17 TEL:029-875-7754 12:00-20:00 (木曜定休・その他) https://diaries-shop.com #diaries #tsukuba #ibaraki #japan #ダイアリーズ #つくば #茨城 #日本 #セレクトショップ (Diaries / ダイアリーズ) https://www.instagram.com/p/ByZouHVld6b/?igshid=u059poh8wcb9
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晴れましたね♪ 何だか久しぶりに太陽を見た感じです(^^) 今日は熊谷ラグビー場でパナソニックワイドナイツのホームゲームがあるので行かれる方は楽しんできてください♪♪ edo hat(エドハット)より夏ハットの王様、本パナマハット入荷しました♪♪ やはりエクアドル本パナマは佇まいに存在感がありますね(^^) ブリムをオールアップにしてもハイバックにしても雰囲気抜群です!! スタイルに合わせお好みな雰囲気で被ってください♪♪ 僕もedo hatの本パナマハットが大好きでこのタイプの物を10年以上愛用しております!! 今シーズンもヘビロテで被ることでしょう(^^) もちろん通販も可能ですので、お店に行けないよって方は是非ご利用下さい! プロフィール下のURLからROCKET SHIP webshopがご覧になれますので是非チェックしてください!! #edohat #エドハット #本パナマハット #本パナマ #パナマ帽 #エクアドル #エクアドル本パナマ #日本製 #夏帽子 #おすすめハット #rocketship #ロケットシップ #水曜定休 #埼玉 #熊谷 #ラグビータウン #ラグビータウン熊谷 #パナソニック #ワイルドナイツ #深谷 #行田 #本庄 #吹上 #鴻巣 #太田 #伊勢崎 #館林 #ファッション好きな人と繋がりたい #ファッション好きと繋がりたい #ファッションコーデ (ロケット シップ) https://www.instagram.com/p/CcZXF1MpJWo/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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Natsu no Machikado (夏の街角)
From the Super Kayou Zenshuu II/Shin Takarajima
Lyrics by Hiroi Ouji, composition by Tanaka Kouhei, arrangement by Iwasaki Yasunori
Performed by Nishihara Kumiko (Iris) and Okamoto Maya (Soletta Orihime)
Lyrics under the cut
Transcription/romanization by me. I’d appreciate credit if you repost them elsewhere. No reposting to lyric sites/wikis/etc., please.
まぶしい夏の青空 わき上がる白い雲 街角の木陰で ちょっとひと息 涼しい 風が吹く 路地裏の下駄の音 風鈴が鳴る
Mabushii natsu no aozora wakiagaru shiroi kumo Machikado no kokage de chotto hito iki Suzushii kaze ga fuku Rojiura no geta no oto fuurin ga naru
夏は (庭で行水しよう) ららら (揃いの浴衣作ろ) ららら (井戸でスイカを冷やそう) 街は (夏の彩り)
Natsu wa (niwa de gyouzui shiyou) Lalala (soroi no yukata tsukuru) Lalala (ido de suika wo hiyasou) Machi wa (natsu no irodori)
夏は (パナマ帽子の紳士) ららら (日傘くるりと淑女) ららら (おしゃれに街を歩こう) 夏は
Natsu wa (PANAMA boushi no shinshi) Lalala (higasa kururito shukujo) Lalala (oshare ni machi wo arukou) Natsu wa
まぶしい夏の日差し 逃げ水を追いかけて 街角で 迷った ちょっとひと息 冷たいアイスジェラート 歩きながら食べれば 気分がいいよ
Mabushii natsu no hizashi nigemizu wo oikakete Machikado de mayotta chotto hito iki Tsumetai AISUJERAATO Aruki nagara tabereba kibun ga ii yo
夏は (冷やそうめんにショウガ) ららら (冷えた麦茶にシュガー) ららら (氷いちごに練乳) 街は (夏の彩り)
Natsu wa (hiya soumen ni shouga) Lalala (hieta mugicha ni SHUGAA) Lalala (koori ichigo ni ren’nyuu) Machi wa (natsu no irodori)
夏は (麦わら帽子かぶろ) ららら (歩き疲れた休もう) ららら (木陰で風を待とう) 夏は
Natsu wa (mugiwaraboushi kaburo) Lalala (arukitsukareta yasumou) Lalala (kokage de kaze wo matou) Natsu wa
暑い だけど (うんと汗をかいて遊ぼう) そして (ちゃんとお昼寝しよう) いつも (夢の時間って早いから) 夏は… まぶしいねえ
Atsui Dakedo (unto ase wo kaite asobou) Soshite (chanto hirone shiyou) Itsumo (yume no jikan tte hayai kara) Natsu wa… Mabushii nee
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analogue セミオーダー受注会 お客様の好みの色や編み方(パナマ)をお選び頂けます。 飾りのリボンや革紐、羽根などもお好きなものを選んで頂けます。 この機会にぜひ、オリジナルのハットをオーダーください。 5月21日(金)〜30(日) 詳細は↓↓ analogue 住所 沖縄県那覇市松尾1-9-50 (県庁前駅より徒歩3分) TEL 098-943-2160 営業時間 12:00〜20:00 #triangleshat #hat #帽子 #ハット #hats #帽子屋 #hatshop #帽子店 #パナマハット #panamahat #オーダーメイド#analogue #沖縄 https://www.instagram.com/p/CPI7pAmh2os/?utm_medium=tumblr
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世界一ラーメンぽい植物だってさ
枯れた後の姿がつけ麺の水切るの失敗して落としたみたいになってる。笑
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( 塩生姜らー麺専門店MANNISH@神田 さんのツイート )
パナマソウ 南米のエクアドル、コロンビア、ペルーなどが原産であるが、パナマソウから作ったエクアドル製の帽子が パナマ運河建造中に技術者や労働者にパナマ帽として愛用され、パナマで多く扱われたため、植物名もパナマソウとなった。 地上茎はなく直接長さ1、2 mの葉柄を何本も出しヤシに似た扇状の葉を付け、2から3 m の高さになる。 葉身は4裂し、おのおのがさらに多裂する。 長く延びた花柄の先に数枚の苞に包まれた太い肉水花序をつける。 苞が根元から折れ脱落すると、花序は、長さ20~30 cmにもなる不稔のオシベが変形した糸状体に包まれ、 スパゲッティのような独特な姿を現す。 この糸状体は直ぐに広がり始め、数時間もすると脱落してしまう。 花序の表面は小さな花でびっしりと覆われているが、雌花は数個の雄花に囲まれ目立たない。 果実は液果で、熟すると花穂から皮が剥けるように真っ赤な実が反り返りはがれる。 ( 山遊野神さんの記事より)
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vol.14【2019 SS】ギンギラギンにさりげなく 01
辻 5時になりましたので、そろそろ始めましょか。
ーーそうですね。
辻 では皆さん、カンパーイ!
全員 カンパーイ!
ーー今回の公開トークは「ギンギラギンにさりげなく」というお題で、アクセサリーとかウォレットの話をしていただこうと思うんですけど、この話がアップされる頃には、もう次のシーズンのアイテムが店頭に並んでるんじゃないですか?
德田 6月中旬だったらそうね。新作のTシャツは、もう並んでる。
ーー次の秋冬のテーマは何ですか?
辻 アメカジ! 「アメカジボイン」です!
ーーどうしてまた、このタイミングでアメカジを?
德田 いままで特にカテゴリーを意識したモノづくりをしてこなかったからなのか、ブルーナボインのアイテムって言葉で説明できない部分があるよねっていう話を辻さんとしてて。で、よくよく考えたら、いまブームになってたりする服も、特に意識しないで皆さんが着てる服とかも、結局はアメカジが始まりじゃない? ってところに行き着いて。
ーー確かにそうですね、デニムとか普通に小さい頃から履いてますし。
德田 でしょ。20年以上ブルーナボインを続けてきたんだけど、このあたりで一回、カテゴリーを意識したモノづくりをしてみるのも面白いんじゃないかな、と思って。
ーー面白いと思います!
德田 で、カテゴリーを意識してモノづくりをするのは初めてに近いから、できるだけアメカジに向かってストライクを投げてやろうと思ったんだけど、それがなかなか(笑)。もうどれがストライクなのかは、皆さんにおまかせしようかと思って。
ーーいわゆる王道というか、リプロダクト的なアメカジではないんですよね?
辻 違いますね。ただ、いまの世の中で、それがストライクなのかボールなのかは、まったくわかりません(笑)。
德田 でも、何がやりたかったのかっていうのは、見たらわかってもらえると…思う。インスピレーションのもとになったアイテムがわかるものも、いろいろあるしね。
辻 店頭にズラーッと並んだら面白いと思うねんけどなぁ、いままでのブルーナボインにはちょっとなかった感じで。
德田 ペインターとかフライトジャケットっぽいアイテムもあるもんね。
辻 あるある。手編みのリブが付いたMA-1とか。まあ、その辺は9月から始まる秋冬の公開トークのときにしましょか。あと、今月は『モンテクリスティ』のイベントもありますねん。世界最高峰のパナマ帽の。
德田 そうなんですよ。いままではモンテクリスティだけだったんですけど、今年は『クエンカ』っていうパナマ帽も一緒に並ぶので、両方見ていただけます。モンテクリスティも作り手がどんどん少なくなってきてるっていう話も聞くしね。
ーー高齢化ですか?
德田 どうなんやろ。なんとか継承してくれたらいいんだけど。あの編みの技術はすごいもんね。
辻 ホンマにすごいよ。編みの細かさでグレードが決まってんねん。今回のイベントで一番のパナマ帽は65万円!
德田 軽トラ買えるよね(笑)。
辻 船乗ってて、飛んでいったら立ち直られへんわ(笑)。いつもいいますけど、別に買わなくてもいいんです。見に来てもらうだけでも値打ちあるから。
德田 そうそう。モンテクリスティが店頭に並んでて、実際にふれられる店ってほとんどないのでね。
ーーイベントはいつからですか?
德田 大阪店が6月22日の土曜日から26日の水曜日まで。東京店が6月29日の土曜日から7月3日の水曜日までです。大阪店の初日(22日)には、モンテクリスティが作られてるエクアドルまで買い付けに行ってるバイヤーさんも来てくださるので。現地の話はなかなか面白い���。
辻 あとその日は、コロンビア産のコーヒー豆を使ったコーヒーのお酒を、ウラなんばの味園ビルにある��NO.B」っていうバーのマスターが作りに来てくれます。ほんまに美味しいからね。それ飲みに来るだけでもいいので、ぜひ寄ってください。じゃあ、そろそろ本題にいきましょか。
ーーそうですね。まずはウォレットなんですけど、せっかくお店でやってるんで、ショーケースの前に行って実演販売形式で話してもらってもいいですか?
辻 オッケー! じゃあ移動しましょ。
ーーいま店頭に並んでる分だけで、ウォレットに使ってる革って何種類ぐらいあるんですか?
辻 クロコでしょ、パイソン(ヘビ)でしょ、ホースでしょ、山羊でしょ、あとは牛スエード。それぐらいかな。革はね、基本的には副産物なので、使ってあげた方がいいんです。
ーーそうですね。じゃあ、まずはパイソンなんですけど。
辻 ブルーの方はインディゴで染めてるんです、パイソンの革を。黒い方は墨染めですね。
ーー墨染めって、どんな風にして染めるんですか?
辻 墨汁をビャーってかけるんです。
ーーえっ!?
辻 それはウソやけど(笑)。
ーービックリするじゃないですか。
辻 どっちの染めも、使ってるうちにどんどん色に深みが出てきますね。あと、同じパイソンの革に百虎とかレオパードのプリントをしたタイプ。
ーー革にプリントって、簡単にできるんですか?
辻 (お客様としてトークを聞きに来ていた革屋さんに向かって)どうなんですか?
革屋さん いまは時代が進んでるので、いい機械を持っているところであればできると思います。
辻 だそうです(笑)。要は細かいノズルからインクをブワーッと吹き付けていくんです。コンピューターで制御して。
ーーそれはウォレットになる前の革にですか?
辻 そうです。4メートルぐらいあるパイソンの革に。
ーーダイヤモンドパイソンも同じ革なんですか?
德田 品種が違うのよ。ダイヤモンドパイソンはもともとの模様が美しいから、柄をそのまま活かして仕上げてる。だからひとつひとつ微妙に柄が違う。ヘビって昔から縁起がいいっていうもんね。お財布にヘビの革を入れてたら、お金が貯まるっていうし。
辻 そうそう。子供の頃、よう道で拾ってきたわ。
ーー道に落ちてますか、ヘビの革?
辻 ボクの地元は奈良の田舎なので。
ーー德田さんは京都でしょ?
德田 昔は落ちてたよ。
ーーそうなんですか。
辻 (スタッフに向かって)ダイヤモンドパイソンの使い込んだサンプルってあったっけ?
スタッフ あります!
辻 革って面白くってね。ウォレットだけに限らず、ジャケ��トでもなんでもそうなんですけど、使っていくうちに味が出てくるでしょ。そしたらどんどん、生きてるときの革の風合いに戻ってくんねん。不思議でしょ。
ーー確かに。でも、どうしてなんでしょうね?
辻 覚えてんのちゃう、細胞が。だからね、夜中にうちの会社行くでしょ。そしたら奥から聞こえてくるもんね「ヒヒ~ン」って。
全員 爆笑
德田 それ、家出るときから考えてきたネタでしょ(笑)。
辻 まさか(笑)。
「ギンギラギンにさりげなく」02に続く
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雨濡れ色のペトル残響 雨請い 諦観
大変換のときの円城寺吾郎について
act.1
それが起きた日は、吾郎はたまたま仕事が休みだった。
彼は普段通りに、気ままに、カラコロと下駄を鳴らして大通りを歩いていた。ド派手なアロハシャツに袖を通し、磨いたようなスキンヘッドにお気に入りのパナマ帽をかぶせ、薄紫のサングラスを掛ければ、彼流のお洒落の完成だ。道ゆく人は、彼にぶつかることなくその通り道を開けていく。それが日常であった。きっと、彼の周囲にいる誰も彼もがこの日常が不変で、この後に起きるものへの、恐怖も怒りも嘆きも持っていなかったのは確かだろう。
それが起きた正確な時間を吾郎は覚えていない。太陽が隠れて、雨雲が広がり、薄暗さとヒヤリとした風が通り過ぎた後に、ポツポツと降り始めたそれ。雨だったのか、何だったのかよくわからない。感触はどう考えも、水のそれのようだった。
誰かが悲鳴を上げたと彼は記憶している。男も女も関係なしに、ただただ嘆きと恐怖で満ち溢れた声が、あちらこちらから聞こえていたと思う。
逃げろと叫んでいた。
屋根のある場所へ急げ、とも。
雨にうたれながらも、円城寺吾郎は交差点のど真ん中で、立ち尽くしていた。
雨か雨でないのか分からぬそれに侵された人々が、いや、人々だけでなくありとあらゆるものが侵され、呑まれ、化けて、崩れ去っていくその様を彼は眺めいていた。
試しに崩れ去ったものーー人だったのか、それとも車だったのか、何か他のものなのかは分からないーーの一部をつまみ上げてみれば、それは文字だった。
はて、何故に文字と吾郎は首を傾げる。彼はこの事象に心当たりはなかった。この事象が、自身に何の関係があるのかもわかっていなかった。ただ一つ確かだったのは、彼自身はこの雨で崩れる存在ではなかったということだ。
彼はいつの間にか変わってしまった服の色を見て、ため息を吐く。
「この服、気に入ってたんだがなぁ」
真っ赤なアロハシャツは真っ黒に変わっており、そこに描かれたパイナップル��それなりに映えた。あくまで、それなりに、だ。パナマ帽だって、下駄だって、淡い色をしていたというのに黒に変わっている。
「まぁ、しょうがない、しょうがない。未知の事象だ、服の色くらい変わっておかしくはねぇな。これはこれで、良いってことよ」
そんじゃあ、行こうかね、と彼はようやくその場から離れた。周囲には、彼以外誰もいなかった。
act.2
崩壊までの時間稼ぎでしかないのは、避難している人々にとっては十分承知のことだろう。だが、とりあえずは状況を整理できるだけの時間が欲しかったのだ。その選択を、吾郎は否定しない。彼だって、考えるための時間と物資と場所が必要だった。
百貨店は大型で、例え周囲があの妙な雨にうたれたとしても、全てが侵食されるまでの時間は十分にある。店内には服も食料もある程度揃っていて、近頃はキャンプ道具やスポーツ用品、生活用品を売っているエリアもある。まさに、一時避難にはうってつけの場所だった。
どうにかあの雨から逃れた人々から、ここで起きている事象を聞いたのか。客も、店員も皆が皆困惑のままに留まり続けている。本当か嘘か、判断がつかないのだ。
入り口付近でうずくまっているのは、大半が外から中へ避難してきている人々で、けれど中には雨に侵食されて「死にたくない」と言って崩れていく者たちもいた。その様子を元々室内にいた人間たちは、黙って見ていることしかできなかった。
「なぁ、この緊急事態だぁ。まずは、水を拭くためのタオルかなんかをくれねぇか」
悲嘆の声を、怨嗟の呟きを零す避難者たちの中で、吾郎は百貨店の警備員に言った。
警備員はその目で茫然としながら、何の対処もできずに外の様子を見ていたからか、吾郎の言葉にハッとなった。そうして、もたもたとしながらも腰につけた無線機で、救助を要請したのである。
ようやく吾郎たちが濡れ鼠を脱した頃には、百貨店内ではいくつもの放送が流れ、何度も繰り返されたはずの災害時下訓練の通りにーーけれど、おそらく想定していた以上に鈍い動きでーーとりあえずの誘導と籠城の体制が整っていた。次いで、外の様子があちらこちらからやってくる。それは、従業員用休憩室のテレビだったり、キャンプ用品売り場にあるラジオだったり、警備室の小型テレビや、個々人が持っている携帯電話だったりから、ひっきりなしに届く。
要領を得ない、けれど街の様子を映し出し報道するそれらからの情報をまとめるのならば、この雨はいくつもの場所で降っており、その範囲は拡大していること。雨にうたれたものは、例外なく文字と化すこと。原因は不明、目下調査中。政府や行政は、未知の事象に対し、混乱しきっていること。それでも、雨が降る中に取り残された人々を救助をしなければ���けないとは、誰もが口にしていた。どうやって、の部分は全く触れられていなかったが。
それだけだった。
何度も何度も、同じ報道が繰り返されることに、吾郎は飽きた。
そうして、一番初めに声を掛けた警備員と世間話をすることに決めたのだった。
「なぁ」
「……ああ、あんたか」
じわじわと崩れ始めた入り口付近で、何の意味があるのか分からない警備をし続ける男は、吾郎を見て、少し緊張を緩めたようだった。お喋りとすることで気を紛らわせたかったのかもしれないし、その相手が来たことで現実逃避ができると踏んだのかもしれない。
「このあたりの地図って持ってねぇか?」
「地図? 何に使うんだ」
「なぁに、雨が今どこまで降ってるのか確認しようとしただけさ」
吾郎の質問に警備員は何かに気付いたのか。ニヤリと笑って、ちょっと待ってくれと返す。
「なら、この地区全体のやつがいいだろう。インフォメーションセンターにあるはずだ」
「話が早いねぇ、助かるわ」
トントンと進む話に互いに笑う。けれど、警備員は今度は憂いた顔をした。
「……時間がないかもしれないからな」
「なんだ、警備員さんも気づいてんのか」
「誰も彼もが気付いてるよ。必死になって、それを否定しようとしてるだけだ」
場合によっては、上の人間も来るが大丈夫か? という問いかけに、その方がより話が早いと吾郎は返した。
警備員は「少しの間警備をよろしくな」と告げて、その場を離れた。
結局、吾郎は呼び出されることとなった。そして、いくつかの職種の人間たちもまた、同様に呼び出されることとなる。
拡大し続ける雨雲、削られ続ける建物、差別なく文字化する事象、混乱する政府、限られた食料とくれば、次にやってくるのは助けがこないと確定した瞬間の、残された人間たちの生存競争だ。その際には、この訳のわからない現象でなく、人間同士の争いで死者が出るだろう。
それは、おそらく一部の人間たちは気付いている。そして、実はそんなにも時間の余裕がないことも。
報道やネットの力を使って判った雨雲の範囲を確認した吾郎や、他の大人たちは渋い顔をした。籠城線か、それとも脱出か。その判断が厳しい場所に、この百貨店はあったためだ。
「差別なく文字化することで、おそらく障害物はゼロだ。……代わりに、屋根の類も全くねぇだろうが」
「そうでしょうね」
百貨店の支配人や、その他の役職を担う大人たちは、吾郎の言葉に頷いた。吾郎以外にも、この辺りの地理に詳しいタクシー運転手や、休暇中の警官や公務員たちに大学教授などが集っている。この場にはいないが、医療従事者たちは落ち着かない人々を宥めていたし、保育士や教師もまた大人たちの不安を感じ取った子供たちをあやしていた。ここまで統率がとれたのは、奇跡に近いだろう、と吾郎は思っている。そして、この奇跡が長く続かないこともよく理解していた。
「目視での観察でしかないんですが、コンクリートの壁が崩壊するまでの時間はこちらです。建物の総面積を資料から算出しまして、そこから計算すると、数日は保���ないかもしれません」
「半分以上文字化しかけた車での実験しかできなかったんですが、乗用車の崩壊まではこれくらいの時間が必要と思われます。天井の崩壊をどうやって止めるかが、鍵かと思います」
「地下駐車場への雨水の侵入は、シェルターで一定時間は稼げますが、シェルターが崩壊したら間違いなく全てやられます」
「去年の台風で使った、土嚢袋の残りはなかったか? あれをうまく使えばもう少し持つかもしれない」
「わかりました。早速警備に連絡しますね」
ぽんぽんと交わされる作戦会議。そして、具体化するタイムリミットと絶望的な状況に刻一刻と近づく現状。
「正直、この場で言うことではないと重々承知していますが、今にも叫びたいほどに最悪な現状ですね」
鉄面皮な支配人の言葉に、誰もが疲れた表情で非難した。そんなことはわかっていると言わんばかりに。だが、吾郎だけは大袈裟な仕草で、それを肯定する。
「おうおう、そんなものさ。こんな大災害にかち合えば、誰だって叫びたくなるだろうよ。この場じゃ、あんただって迷える子羊だ。俺だってそうさ。不安は言っちまいな、そんで���の不安を認めちまいな。諦めちまえば、開き直れる。開き直れば、前を向けるんだよ」
バシンと支配人の肩を吾郎は叩く。支配人は吾郎よりも圧倒的に年上だったが、それでも彼は態度を誰が相手でも変えなかった。
派手なアロハシャツに、サングラス、パナマ帽はこの場では脱いでいるが、それゆえにスキンヘッドは眩しいくらいだ。どうみても、カタギの人間には思えない。それが、妙な具合で彼の説得力を増した。
「そんで。今、どの程度の人間がここに避難してるんだ?」
「把握している限りは、おそらく8千人くらいかと。とはいえ、近隣の小型店舗に避難した人々が続々とここに集っているので、さらに増えている可能性があります。あと全て従業員含めた数ですが、従業員の数の数十倍はお客様がいますので、誘導には注意が必要です」
「なるほどなぁ……脱出は諦めた方がいいかもしれねぇ」
その人数は無理だと誰だって分かる。だが、その人数が篭城するだけの余裕は同じくない。
「さすがに数千人規模ですと、車の数からして足りませんし……食料も同様です」
「分かってらぁ。だから時間がねえって、誰もが気付いてるんだろうよ。脱出組は、単純に言えば斥候だ。脱出ルートの開拓。それさえできれば、外からの救出も可能かもしれねえ。警察に消防あとは自衛隊か、どの程度動いてるんだ」
「警察とはどうにか連絡がつきました。役所も同様です」
「脱出組の確保と、その後の救助に動いてもらえそうか」
「合流できれば……ですが」
「ハッ、助かる���めには諦めるしかねぇだろ。諦めて、どうにか合流するルートを開拓するしかねぇんだ。腹括ろうぜ」
吾郎のその言葉で、誰もが決意したようだった。
act.3
携帯電話の���電を確認し、互いの連絡先を交換する。慣れない通話用アプリに戸惑ったのは、吾郎を含めたそこそこ年配の人間たちだけだった。学生らしき青年たちはその様子に苦笑いを浮かべ、対し吾郎は「しょうがねーだろ」と肩を竦める。
彼は青年たちが選んでくれたインカムを耳につけた。
「あー、あー、テステス。聞こえてるかー?」
聞こえてる、大丈夫だ、こっちダメだ、誰か原因わかるかー?、店員さーんとあちらこちらでやりとりが生まれる。
ここ最近の百貨店は、電子機器の類も充実しており、必要な機材はそこから調達した。ここぞとばかりに自分好みのを物色する青年たちに「逞しいですね」と店員は笑う。その背後では、できる限り雨を防ぐためのレインコートや帽子、マスクなどをもった衣料品売り場の店員が佇んでいた。
「あー、そんじゃあ30分後に地下駐車場に集合な」
互いに互いの健闘を祈りながらも、吾郎は一人先に進む。
待ってくださいよアニキぃ、と調子のいい声が彼の後ろからしたが、吾郎は「うるせーよ、諦めて覚悟決められたら来い」と一喝して進む。「じゃあ、また後で」と告げる彼らの、賑やかで騒がしいくらいの年頃の青年たちの腕や足が、少しばかり震えていたのを誰一人指摘することはなかった。
再三、無理をする必要はないことが説明された。
体力的な問題で、脱出組は年若い面々となる。吾郎や他の体力自慢の中年たちに比べて、彼らには前途がある。その前途をむやみに危険に晒すことに、年配者になればなるほど言い得ぬ苦い思いがあった。
それでも、一部をのぞいて青年たちは覚悟を決めたようだった。そして決めきれなかった者もまた、見送りへは来られたようだった。そんな彼らへの労いを、彼らの人生の先輩たちが担っていることが警備員から知らされる。
「彼らは臆病者と罵られることを危惧したようですが……それが、正しいときもあります」
「命が惜しいのは、誰だって同じだろうよ」
「……正直、息子と同じくらいの年頃の彼らに、こうしたことを背負わせることが苦痛です。どうにかできないかとも思いますが、自分が行っても足手まといでしょう」
「だろうなぁ」
吾郎の正直な感想に、地下駐車場の警備員は笑った。
「あなたのような人がいてくれて助かりました。そうでなくては、きっと篭城戦の末の自滅しか私たちに道はなかった」
「それは全部済んでから、俺以外の誰かに言ってくれぇ。むず痒くてしょうがねぇ」
「結果の分からない今だからこそ、言える謝辞です」
「違いねぇ」
別れの言葉が青年たちの間で交わされる。激励の言葉もまた渡されたし、労いの言葉も同様だ。
「それじゃあ、行くぞ」
吾郎の掛け声に、青年たちは「はい!」と力強く答えた。
脱出経路は3ルート。使用する車は3台。それぞれ限界まで車を使い進行、車がダメになったところから通り��走り抜けることになる。できる限りの最短ルートを算出したが、どのようになっているのかは未知数である。傾斜によっては、この雨が一箇所に止まっていることも想定できた。
だからこその斥候役である。
エンジン音が響く車内、誰も彼もが無言である。
地下駐車場のシャッターがじわじわと開く。車の車高分まで開かれた時に、警備員がGOの合図を出した。踏み込まれるアクセル、動き出す車。一気に明るくなる風景だったが、水滴がフロントに叩きつけられ、雨音が車内に響いた。
道路には何もなかった。何もないので、最大限のスピードで駆け抜ける。雨が降っているためにカーブはできる限り避けた。だが、それでもじわじわとフロントは文字へと変化していく。
「限界がくる、全員伏せてろ! 車が止まったら真っ直ぐに走れ!」
吾郎は自分が文字にならないことを確信していた。だからこそ、助手席には誰も乗せずに、後部座席に青年たちを避難させた。ギリギリまでスピードを出し、フロントから雨が振り込もうがお構いなしに進み、そうしてエンジンすらダメになり止まるまで彼らは耐え続けた。
タイヤが文字と化し、車が進むことができなくなった瞬間に、彼らは走り出す。
ゴーグルで、マスクで、帽子で、手袋で、服で、レインコートで必死に雨から身を守りながらも、彼らは走り続ける。すでに雨の降らない境界は目視できた。
吾郎は行けと叫んだ。青年たちは応と返した。
じりじりと装備は文字と化していく。頭を突き出し、前のめりの姿勢になり、彼らは走る走る走る。
もう少しだ、と声をかけるのは境界の先で待機していた警察や消防の面々だろう。すぐさま雨を拭き取れるように、大判のタオルを広げている。
誰も彼もが限界までスピードを出して走っていた。
後少し、後少しだ、と最後尾を走っている吾郎は思った。既に一人が無事に到達しているのが見える。あと二人、吾郎を入れて三人。後少しだ、と彼が思った時に、一人が転んだ。最悪なことに、そのまま水溜りに倒れ込んでしまった。
まだ走っている青年が、後ろを振り向こうとするのを吾郎が怒鳴って止める。
吾郎は、歯を食いしばって倒れ込んだ青年を火事場の馬鹿力と言わんばかりに抱え上げて、走り続けた。自分のどこに、こんな力があったのかと驚くくらいに軽々と肩に担ぎ、そうして境界をくぐり抜けたのである。
待機していた人々は、すぐさま彼らの濡れた衣服を剥ぎ取り、水を拭いとっていった。
だが、転んでしまった青年を受け持った人々から、くぐもった悲鳴があがる。
一緒に走り抜けた青年たちは、無事か、どうなんだと騒いでいるが、もう動くことはできなくてその場に座り込んでいた。対し吾郎は水を拭うと、転んでしまった青年の元に足を進めた。周囲が止めようとするも、彼が睨めば動きが止まる。
「……頑張ったなぁ」
偉いよ、出れたんだぜ、と吾郎が慰めるように青年の頭を撫でた。彼の顔は文字と化し、その侵食は進み続ける。表情は分からない、目も口も鼻もなくなったそれは、確かに最期を迎えようとしていた。
「……かあさん」
微かに吐き出された青年の最期の言葉を聞き遂げた吾郎は、動かなくなった彼にゆっくりと両手を合わせ、合掌した。その仕草で悟ったのか、二人の青年が声を荒げて泣き喚く。恥も外聞もなく泣く彼らを、誰が咎められようか。彼らを慰めるべく、別室へと案内する周囲の人々は、鎮痛な表情を浮かべながらも、残った吾郎に説明を求めた。
一頻り祈った彼は、その要請に従った。
act.4
辿った道のり、避難している人数、現地にある装備・備品、掛かった時間や、実験とも言い切れない実験の結果を吾郎は告げる。それらを元に、自衛隊や消防隊が救出作戦を立てていった。
ようやく動き出せそうだ、と隊長格と思わしき人が呟く。
「走行は分厚ければ分厚いほど、良さそうだ。あと、その人数の避難となると列車でも通した方がいいかもしれないな。あるいは危険だが下水道あたり……雨水管を避ければ行けるか」
「列車って線路はどうするんでぇ?」
「なんだ、新幹線の移送を知らないのか。あれの要領で、車体を道にすればいいだろう」
「なるほど、スケールのでかい話だ」
「あとは、許可をもらえるかどうかなんだが」
「車両はどっから持ってくるんで?」
「ツテは心当たりがある」
「へぇ、趣味はもしや鉄道?」
そうだと返す男に、吾郎はこんな状況でなければ話をしてみたかったと言う。
趣味を語る人間は面白い。特に吾郎などが知りもしない知識を大量に持っている面々の語りは、聞いていて興味深い。が、現状は諦めるしかなさそうだ。
「じゃあ、あとは任せますぜぇ」
「ああ……あんたのお陰で大分話が進んだ。後日、感謝状が出るレベルだ」
「……そんな紙切れいらん」
「そう言わないでくれよ」
じゃあな、と吾郎は部屋を後にする。部屋の外に待機していた救急隊員が、彼を病院に送ると申し出た。
「一緒に脱出した二人は?」
「彼らも病院へ向かいました。どこの病院へ、は守秘義務のために言えませんが」
「休めりゃ、どこだっていいさ。あいつらは頑張った」
「あなたも、です。お話している限りは問題なさそうですが、流石にこの状況下です。一旦、診察を受けましょう」
どうぞこちらへ、と案内されて、吾郎は大人しく従った。
だが結局のところ病院へ運ばれ、簡単な問診をしている間に、あの雨によるライフラインが壊滅。停電や水道の停止、その他通信網や非常電源の起動などへ向けて病院内が慌ただしくなった隙をついて、彼は一人姿を消したのである。
そこから先は、転げ落ちるように全て悪い方向へ走った、と吾郎は今では思う。
雨は容赦無く全てを飲み込み、文字とした。政府は事実上機能せず、人々も多くがその雨に溶けて消えることとなる。
吾郎は諦観していた。
雨雲が拡大し続け、容赦無く振り続けるなかで、いずれ吾郎のような存在以外がどのような行動をとるか自明の理だ��たのだ。それでも、彼は諦めながらも、諦めたが故に前を向きたかった。あの百貨店にいた人々がどうなったのか、彼は知らない。助けが間に合ったのか、間に合わなかったのか、希望を抱けたのか、絶望に沈んだのか、彼は確かめるのが怖かった。
「諦めようか、何もかも。今は諦めて、これからを考えようか」
そう呟いて彼は歩み続ける。きっと、彼だけではない、この雨の中で活動できる存在を探すことにした。
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生活の記憶
仮住まいの長屋を出ると、隣の玄関先にはごちゃごちゃと物が積まれていた。何が何やら分からないが通路を塞ぐ���れらは、よく見てみるとカンワスや額箱やそういったものらしい。どれかひとつ引き抜いてみようかと悪戯心も湧くものだったが、あまりに美事に山となって積み上がっているものだから、その均衡を崩してしまうと私も一緒に潰されてしまいそうな気がして止めておいた。山を横目にそれを避けて、どうにか路地の方へと向かう。ちらりと見える箱の表面には知らぬ名のサインが、歪んだカンワスの表面には描きかけらしい絵が見える。 隣人が絵描きだということは大家から聞いていた。たまに鉢合わせるその玄関の扉の向こうから、あの独特な解油の匂いがすることも知っている。それだから、とうとう隣人は、梲の上がらない商売を辞めて一思いに商売道具を捨ててしまった物だろうと思ったのだった。 しかし美事に玄関先に山を築いたそれらに、今隣人はどこにいるものだろうと思う。これをこのままにしておいて、既に引っ越してしまったというようなこともあるまい。またこの山を築くためには、ただ不必要となったものを投げていれば良いというものでもない。まず家の内にあるものを選別して全て野外に出し、その後に、この芸術的に均衡の取れた山を築かなければならないのだ。玄関の扉に全重量を凭せたような形になっているのだから、この山の完成後は、隣人は室内にも入れないはずであった。もしくは、ここは一階であるから、家をぐるりと廻って雑草の茫々としている庭のような小さな区画から、窓を開けて入ることはできるだろう。 ともかくもこの状態で果たして何かをしでかしはしまいか……と思いながらも路地へ出ると、夏の日差しが照りつける中、隣に家を構えている大家が麦わら帽子に手拭いを提げて門の所に立っている。 「ヤア、どうも」と言えば、「ヤア、これは」と返る声。 早速のことだから隣人のことでも尋ねてみようかと思ったが、大家は道向こうの何処かを遠く眺めている。同じ方向に目を向けると、道向こう、どこまでも田の広がる中心に、当の隣人の姿があった。黒いジャケツに白いパナマでゆらりと蜃気楼のように歩いている。 「Fさんじゃあないですか」 大家に言うでもなしに口に出す。大家は何を思っているのかうんともすんとも言わないので、つい「引っ越しでもされるんですか」と二の句を次いだ。 大家に顔を戻すと神妙な表情でちらりとこちらに目を向けて、そうしてまた隣人に目を戻す。 「引っ越しでも、するのかもしれない」 なんとも曖昧な言い回しに疑問しか得られない。 「しかしすごい山ですよ」 先程出てきた玄関先に目を向けてそう言ってみると、そればかりは流石に大家も知っているのだろう。うん、とは返事が来た。 隣人は奇妙に遅く、歩くというよりはヌルリとした動きで本物の山を背に田を横切っている。細長い身体を少し猫背に屈めた姿勢はいつものそれで、遠目でよくは分からないが、手には何かを握っているらしい。彼が絵描きとして売れているだか売れていないだかという話は聞いたことはなかったが、このような貧乏長屋にいるものだから、きっと後者なのだろう。それだから、その怪奇じみた姿に、とうとう生活の困窮から気が違ってしまったのだろうかとも思われた。 それを眺める大家もどこか妙な気配で、この夏の暑さに皆狂ってしまったろうかと思った矢先、 「あんなにハッキリしているのにね」 と唐突に大家が声を出した。では失敬、と言いかけた言葉を飲み込んでその続きを待つ。 「あんなにハッキリしているのに、あの人、幽霊なんだよ」 「……ハア」 思いもよらぬ言葉に、やはりこの数日の暑さが悪さをしたものかと思ったが、大家が私に戻した目は存外確かである。 「でも絵を描いているんでしょう」「絵を描いているね」「確かに住んでいる」「もう長く住んでいるし、話しもする」「足が無いのが相場だろう」「しかし半透明でもないさ」「生活をしている」「幽霊も、生活をするんだろう」 「ハア」 もう一度同じ言葉に帰ってきてしまった。改めて隣人に目を向けると、特にフラフラした様子もないが、まるで足に滑車のついた絡繰人形のような動きに見て取れないこともない。 「あれはどうするんです」 幽霊だとかそうでないとか、そのようなことは特に消化できそうな話でもなかったので触れることもできずにそう問えば、「どうもしない」と、また大家も、解決しない返答である。 「とにかくFさんも、きっとまた生活をやるに違いない」 大家がぼんやりとそう言うので端的に「何故」と問えば、「絵筆だけは折っていないから」との答である。 玄関先に山と築かれたあれらの中には、思い返してみると画材道具は入っていない。出力したものをどれだけ捨てようとも、それに必要な道具は手元に残っているということらしい。 「執着とは恐ろしい」 私が言えば 「あれがFさんの生活だ」 あくまで大家は生活を言い張る。 それからしばらく、私は自らの用事を忘れて大家と二人、男の動いているのだか、動いていないのだか分からない様を見ていた。青々とした田の中を未だ彷徨う絵描きの手には、よく見ると数本の絵筆が握られているのであった。
……と、いう夢を見たのサ。
文学フリマ東京35 無料配布
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Muhlbauer PAPER HAT 帽子/ Mu-22007 ( CM175) made in Wien オーストリア🇦🇹ウィーンより アトリエでアルチザンによって全ての帽子が生み出されるオールハンドメイドの帽子 " ミュールバウアー “のご紹介です。 ミュールバウアースタイルの「アートウド」 さまざまなライフスタイルに、 日常使いにおすすめなハットとなります。 クラシカル、モード、カジュアルな装いに小物スタイリングが楽しめ長くご愛用いただけます。 #mühlbauer 詳細は下記よりオンラインストアをご利用下さいませ。 https://cavane.stores ・ ・ ・ Muhlbauer NO : Mu-22007 ( CM175) ITEM : PAPER HAT 帽子 TYPE : women・men COLOR : TOBACCO STOCK:1 size 58 内周 :約58cm クラウン :約10cm ブリム :約8cm リボン幅:2.3cm 素材 : PAPER 100% ミュールバウアースタイルの「アートウド」 旅行やビーチに最適な、日常着用の帽子になっています。 この帽子は、弾力性がありながら丈夫な格子状の紙繊維織りスパガットでできています。 スクランチ効果は単なるスタイルステートメントではなく、帽子を傷つけずに折りたたんでバッグに詰めることもできます。 ヴィンテージ感やクラシックなたたずまいが魅力の帽子となります。 大変希少価値のあるエクスクルーシブな帽子となります。 クラシカル、モード、カジュアルな装いに小物スタイリングが楽しめ長くご愛用いただけます。 Muhlbauer ミュールバウアー 1903年、Julianna Muhlbauerがフロリツドルフで婦人帽子仕立屋を創業。以後代々引き継がれ、職人と培った歴史を継承しながら2001年より4代目となるクラウス氏がデザイナーとして就任。兄妹であるマーリースと共に選び抜かれた素材でオーストリアの伝統的なチロル帽をベースとしたフレッシュかつモードなコレクションを提案。トラッドなスタイルから、モード、カジュアルまで幅広いテイストに溶け込むデザイン。すべてひとつずつ製作している為、1点1点、加工やシルエットに個体差があります。 ※レディース・メンズ共にご着用頂けます。 ※ 製品誤差として1cm程度、表記サイズより異なる場合が御座います。おおよその目安とお考え下さい。 ※サイズが大きい場合などは、市販されております帽子の大きさ調節 ・調整テープなどでサイズを調整することができます。 ※スタッフ着用モデル158cm / size 58(cm) made in Austria ・ New arrival... cavane キャヴァネ NO : ca-22068 ITEM : Balloon sleeve dressⅡワンピース TYPE : women SIZE : F COLOR : V.BLACK(limited) STOCK:1 (一点もの) 素材 : 綿 (Suvin cotton)100% 付属:黒蝶貝ボタン(shell) シルキーな微光沢のスヴィンコットンを採用 糸の撚りをできるだけほぐし、膨らみを持たせ柔らかさを十分に引出した バルーンスリーブドレスⅡ こちらよりお問い合わせください。 TEL: 06-6449-8588 or MAIL: [email protected] ・ ・ ・ #cavane #Muhlbauer_hats #Muhlbauer #panama #RAFFIA #strawhat #flaresleeve #fashionphoto #cottondress #vintage #wien🇦🇹 #ラフィア #ヴィンテージ #ストローハット #パナマ帽子 #パナマハット #ミュールバウアー #バルーンドレス #コットンワンピース #春夏 #22ss (Cavane) https://www.instagram.com/p/CeYC-5MP8gQ/?igshid=NGJjMDIxMWI=
#mühlbauer#cavane#muhlbauer_hats#muhlbauer#panama#raffia#strawhat#flaresleeve#fashionphoto#cottondress#vintage#wien🇦🇹#ラフィア#ヴィンテージ#ストローハット#パナマ帽子#パナマハット#ミュールバウアー#バルーンドレス#コットンワンピース#春夏#22ss
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各地句会報
花鳥誌 令和4年10月号
坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
………………………………………………………………
令和4年7月2日 零の会 坊城俊樹選 特選句
観音の御手炎天にやはらかく 佑天 跡地へと想ひありしか夏の蝶 三郎 白あぢさゐ少し離れて年尾句碑 和子 病院も看護記録も夏草に いづみ 小さく深き緑蔭が抱く年尾句碑 和子 息荒く仏へ寄りし暑さかな 光子 日盛の祠に生れし真の闇 和子 みづからを菩薩に添うて空蟬に いづみ
岡田順子選 特選句
面影は西日晒しの看板に はるか 夏草や記憶の中のナース服 三郎 朝涼の鎌倉よりの風頰に 慶月 息荒く仏へ寄りし暑さかな 光子 五輪塔とは緑蔭のただの石 俊樹 元禄も享保の墓も灼けをれり 佑天 暑き日を年尾の句碑のふところに はるか 観音は水の色して大酷暑 いづみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月7日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
浮き沈み女三代夏のれん 都 空つぽの香水びんの残り香よ 同 長茄子の悩ましきかな曲線美 同 パナマ帽明治の父の伊達姿 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月7日 花鳥さゞれ会 坊城俊樹選 特選句
白と云ふ色たゞならぬ半夏生 雪 前山の雪崩るる如く青嵐 同 やゝに老いやゝに夏痩せして在す 同 炎帝のどかりと座りたる越路 かづを 滝音に鳥語人語も呑まれたり 同 九頭竜と対峙し流る天の川 同 静もりて明智が墓碑に沙羅の花 笑 能登半島掻き消してゐる青嵐 千代子 悠久の光を抱へ滴れる 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月8日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
子等見つつ弁当番や海の家 宇太郎 屠場へと曳かれるやうに炎天へ 都 死者送り窓に吹き込む青田風 すみ子 川に還す一夜を共にせし蛍 美智子 次の子に少し短かき古浴衣 宇太郎 病窓に影の騒ぎて青嵐 悦子 風紋は海へ傾れて雲の峰 宇太郎 先輩の墓碑に献杯原爆忌 益恵
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月9日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
戦なき広き空欲し雲の峰 三無 風ひたと止んで初蟬響きくる 百合子 夏蝶のげに句碑守のごと飛びぬ 同 雲の峰草の匂ひに樹の匂ひ ゆう子 アルプスを小さく見せて雲の峰 白陶 菜園の胡瓜ピカソの絵に似たり 多美女 句碑に影落し戻り来黒揚羽 三無 供へればくらりと揺るる甜瓜 ゆう子 炎天に浄き閼伽水陽子墓所 三無
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月11日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
七夕や竹切る音のとよもせり 時江 夏潮にロシア軍艦越境す 世詩明 うしろから八つ裂きに来る稲光り 信子 鷺草や鎮守の杜を結界に 時江 七変化寡黙な夫のいつもゐて 信子 生きる意義考へてゐる山椒魚 上嶋昭子 花擬宝珠通夜の灯うるみ傾きぬ 中山昭子 青田もう何も映さず靡きをり みす枝 浴衣の娘女工哀史のこと知らず 世詩明 風鈴を気楽な人と聴いてをり 上嶋昭子 黒南風や酒場は白きピアノ置き 同 見馴れたる山を見飽きず端居かな 中山昭子 昼寝人濁世を忘れ仏顔 みす枝 水打つて日本の地震を鎮めをり 信子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
武蔵野の風に目覚めし合歓の花 三無 羅や近より難き気を纏ひ 同 艶やかに羅笑みて同窓会 同 金魚鉢洗ふ役目の誇らしげ 貴薫 金魚掬ひ父の背中の逞しき 有有 旅先で出合ひて嬉し合歓の花 貴薫 慎ましく生きる姿の合歓の花 史空 羅の似合ふ真砂女に恋多き あき子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月13日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
七夕の雨に濡らしてハイヒール 登美子 片恋のラジオ相談星の秋 同 玉葱を貰へば娘吊るしをり 令子 夏座布団友の数だけ広げけり みえこ 天道虫後ろ姿の子らを撮る 裕子 たばこ屋の小窓に覗く扇風機 実加 忠霊場若きの墓は盆静か 令子 老いらくの母の見入れる天の川 登美子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月15日 さきたま花鳥句会
炎天の小江戸の街や車夫の愚痴 月惑 老いてなほ一鞭入れて草を引く 八草 空蟬や何も語れず逝きし友 裕章 夏空へ磴駆け上る柔道部 とし江 厳かにお祓ひ後の心太 ふじ穂 紅芙蓉誉め合ふ笑みの立ち話 恵美子
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令和4年7月16日 伊藤柏翠俳句記念館 坊城俊樹選 特選句
此の先は教へぬつもり道をしへ 雪 野地蔵も息をひそめる炎天下 英美子 日盛り���息をひそめてゐる地蔵 同 母の影盆灯の後見え隠れ 山田和子 羅やさらりとまとひ香の立つ 真喜栄 バス降りて一人一人の夏終る 世詩明 短夜や夢幻の如くなる 同 めまとひを払ひて無人切符買ふ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月17日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
大蟻の車輪のごとく駆け抜けし 久子 炎天の武蔵野の底滑る蝶 三無 変ること厭ふ白紫陽花の白 久 水光り羽黒蜻蛉は神の使者 慶月 古座敷や行くあて知れぬ茄子の馬 軽象 水音を真中に抱きて森涼し 慶月 大蟻も小蟻も参ず地蔵塔 眞理子 夏空を映す水たまりを蹴上げ 久 天牛の角ふりかざす古戦場 眞理子 紫陽花の絞り出したる終の藍 圭魚 甘味屋の蓮を描きし夏暖簾 同 民家古りただ現し身の黒揚羽 千種 森深く闇に添ひゆく黒揚羽 斉
栗林圭魚選 特選句
水音を真中に抱きて森涼し 慶月 ハケの家夏炉の湿る匂ひかな 要 大蟻も小蟻も参ず地蔵塔 眞理子 紅蓮の今日崩れゆく命かな 久子 夏空を忽ち縮め潦 斉 みがかれし床に朝採り茗荷の子 久子 式台に雨跡ありて風涼し 同 茅葺きの土間の暗がり死蛾美しき 炳子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月19日 萩花鳥会
みちのくの吾娘が来たるや月見草 祐子 炎帝や必殺狙撃動天す 健雄 一面の葉に見え隠れはすの花 恒雄 夏山はこれで十分梅むすび 俊文 夏料理語り尽くして持て成さる ゆかり 駄々つ子の泣きやんだらし夏の雨 陽子 痛風の足を投げ出し夏の月 吉之 頭垂れ雨乞ひしたるや庭の花 明子 法螺貝の響く城下や雲の峰 美恵子
………………………………………………………………
令和4年7月20日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
もくもくと九頭竜のぼる雲の峰 千代子 七夕や笹は願ひに撓るほど 千加江 幼きを呼び戻したる天瓜粉 同 かの人の垣根に高く酔芙蓉 昭子 三人の遺影の部屋も梅雨湿り 清女 七夕に女心の糸結ぶ 啓子 小石踏む音の近づく夏館 泰俊 夕立や濡れて礎石の薄明り 同 面も手も己れ矜恃の日焼かな 数幸 穴を出し蚯蚓一糸も纏はざる 雪 裸火に想ひの丈を飛べる火蛾 同 水の如く又火の如く人涼し 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月21日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
風鈴の欲しいと思ふ風が今 洋子 右衛門に隣る左衛門夏構 同 鉈の音山の地肌に万緑に 同 賽銭を打つ音までも黴臭き 同 万緑や山相いよよ文殊山 雪 祭帯器用に結びくれし母 同 その人とカンカン帽に気付く迄 同 盆の月家系図のこと何もしらず 昭中山子 炎天に近道すれば転びけり 同 子が囃す夜空の証や地蔵祭 ただし 鳳仙花姉妹の話途切れ無し みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月24日 月例会 坊城俊樹選 特選句
零戦に少年口を閉ざす夏 和子 靖国へ四方より迫る雲の峰 要 夏蝶は翅で息して歩みたる 和子 空蟬の祈る形に落ちにけり 同 蓮花へと極楽の風触れて過ぐ 政江 静脈の巻きつく手首白日傘 和子 羅を纏ひかの世の話など はるか
岡田順子選 特選句
目の前を突然蟬の木となれり 千種 絵日傘のシスターの行く九段坂 眞理子 大きさの合はざる蟬の殻と穴 千種 礼拝の黙を蓮の解かれゆく 炳子 羅を纏ひかの世の話など はるか 炎帝の子の鉄棒や大鳥居 小鳥 見巧者の折紙付きや泥鰌鍋 幸風
栗林圭魚選 特選句
零戦に少年口を閉ざす夏 和子 熱砂踏む雀らの影ゆらゆらと 順子 横顔の考へてゐる団扇かな 同 病葉となるや社の奥に降り 眞理子 空蟬は拾ひ奉仕の竹箒 順子 最短の空行く鴉街灼くる 千種 大鳥居溽暑の穢土を寄せつけず 月惑 能舞台しづかに進む蝸牛 幸風
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和4年7月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
大鍋のたぷんたぷんと一夜酒 愛 悪童の頃瓜番に追はれしと 同 瓜番の灯りを返す獣の眼 同 この辺り魔法使ひの夜店らし ひとみ 甘酒のとろみも憂さも呑み込みぬ 久恵 蟬時雨遠くに聞けば海凪ぎて 桂 逆転か球は外野へ峰雲へ 由紀子 夕雲はマグマ色して浜万年青 久恵 咲き疲れてゐるかも知れぬ水中花 ひとみ 丁寧にハンカチ畳み恋語り さえこ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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#スカジャン 本日も入荷&発送準備です📦お家でラクラクご注文✨ 🐲🐯🦅 💕通販でご自宅にお届けします🏠パナマ帽も揃いました👒 https://www.rockfieldusa.com #横浜 #伊勢佐木町 #関内 #アメカジ #和柄 #通販 #デリバリー #宅配 #パナマ #帽子 (ジーンズハウス いわ乃) https://www.instagram.com/p/CALEj_5gpOT/?igshid=32djk9umdf8o
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・ 【NEXUSVII.】 Recommended ORRSのパナマハットはすべて、エクアドルはアスアイ県の山岳地帯で一つ一つ丁寧に、熟練の職人たちの手によって編まれています。 『OPTIMO』¥82,500円(税込): ORRSのパナマハットの中でも、このモデルに使われるAzuay Finoと呼ばれる大変細かい編み目は、卓越した技術をもつ編み手にしか編むことができません。 今回NEXUSVII. 別注としてORRSに依頼し、黒とオリーブグリーンの染めを施しましたが、長年製作しているこの工房においても、グレード20のパナマ編み地による初めての試みとなります。 『MUYU』 ¥49,500円(税込): エクアドルの伝統的な『MUYU』型によるもので、かつて山岳地帯の先住民から借りた帽子から型を起こしたと言われています。一般的な中折れ帽の形は数多く存在しますが、この型は今回製作を依頼した工房ならではの独特な形状が特徴で、デザインとしてだけではなく、実際に中折れとしての機能を果たすものでもあります。 いずれもスベリにはウォッシャブルレザーを使用し、内側にエクアドルカラーの紐を通しており、サイズ調節が可能です。このサイズ調節機能を備えたスベリもまた、他に類をみないものです。 NEXUSVII. によるこの黒とオリーブグリーンの染めを施したものは特に、歳月とともに徐々に褪色し自分だけのものとなってゆく、経年変化を味わえることこそが醍醐味ともいえます。 ※こちらの商品は渋谷PARCO店のみでの取り扱いとなります。 ⚪︎NEXUSVII. 渋谷PARCO店 東京都渋谷区宇田川町15-1 3F 11:00〜20:00 TEL 03-5422-3637 ⚪︎NEXUSVII. WEB STORE nexusvii.jp #nexusvii #nexus7 #ネクサスセブン #ORRS #PANAMA — view on Instagram https://ift.tt/F4zXUmj
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