#ふんわりパーマ
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iPhone5 優秀優秀ゆうーしゅー!!コンデジ買いたいけど貧民すぎてとりあえずiPhone5で手打ったけど良いです🤤本当はgr3注文しようとしたら注文できなくて泣いてたんだけどね~🥹まあのちのちgrちゃんはゲットしちゃうもんね~(^^)
この日楽しかった!久しぶりなみんなにほぼ全員会えてたくさんお話し聞いて聞いてもらってふざけてもっともっとこんな毎日がずーーーーっと続けば良いのに~!って思っちゃった〜🩵嫌な事もやりたくない事も何一つやらないで好きなだけ好きな人たちと遊んでたらええのに〜って思っちゃうけど、たまにだからこんなにしあわせだし特別感あってうれしー!ってなるのかなあとも思ったり!全部全部いい日だった〜!定期的にこうやって集まれる場所作ってくれてありがとうだよ🤧🩵
なんかみんな偏差値高すぎない??可愛い子達に囲まれてドキドキしちゃった〜🎀🎀全世界の住民に言いたい、可愛いは世界救うのでもっともっと丁重に扱わないといけないんだぞーーー!!
パーマかけたけど伸びすぎて頭真横に広がってるわたるくんニコニコでかわええのとたいせいさんはこれから写真撮��時ダブルピース流行らすらしい(^^)今度むしゃ行ったとき忘れてないかチェックせなあかんね😅
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みそかです。
噛まれる寸前まで犬の肉球をぷにぷにしたり、締め切り5分前にレポートを出したりと、ギリギリでいつも生きているわたしですが、役者紹介もこんな時期に投下させていただきます。
新歓の読み合わせがまだ始まっていないので、間に合ったということにしてください。
わたしは毎回芸名を変えています。理由は特にありません。気分です。次回は変えるかもしれないし変えないかもしれません。
そんなわたしから、新人公演に参加したみなさんに新しい芸名をプレゼントします。でも、あくまで提案なので、採用するなり仏壇に飾るなり塩胡椒かけて炒めるなり好きなようにしてくださいね。
役者編
縦縞コリー
🆕犬系彼氏
パーマ姿に慣れすぎて、もうもとのこりちゃんを思い出せません。似合ってるってことです。
声がいいのはもちろんのこと、表情管理が素敵だなと思います。父だけど子どもっぽさが残っている表現は、こりにしかできないものだったなと思います。キャスパのときにっこにこになるのもいいですね。わたしは作ってないのにどんどん踊らせたくなる(?)コリーちゃんなのでNew芸名は犬で🐾
あろハム権左衛門
🆕大阪公立大学
すでにつよつよな芸名をしてらっしゃるので、新しい芸名を提案するのに少し緊張しました。やはりハムのイメージが強いので、ハム大と呼ばれる大学をつけました。あとは大阪大学のサークルで大阪公立大学を名乗ることができるマイペースさがアローにはあると思います。新たな外国語を習得しようとする姿には震えました。尊敬します…
海泥波波美
🆕桜下木木木
周りのみんなを巻き込んでいつのまにか台風を生成しています。目にいるアサギはケロッとしていたり、していなかったり。アフヌンは結局行けたのかな?紅茶には明るくないけど、わたしも行ってみたいです。New芸名は、わたしが読みたい��あと思っているアサギおすすめの本から取りました。さすがに読みます。この春休みが終わるまでには
苔丸
🆕津谷子
たくさんたくさん練習しましたね。ひとつひとつの動きにも、単語の言い方にも、細かな工夫をしましたね。あれがもう2ヶ月前なんて…時が流れるのは早いです。いちばん一緒に練習して、気になるところを見つけるたびに指摘していたけど、それをすべて受け止めてくれました。丁寧という言葉がすごく似合う人だと思います。もっと磨いて、もっと丸くつやつやにしていってね。あ、New芸名は「つやこ」と読みます
冊まいむ
🆕内緒♡
演劇って、芸術だったんだと、最近気がつきました。だから、わたしもその中に入ることができて嬉しく思うし、同時に不安になります。わかってるのは、ちゃうかは楽しいってことです
衿君
🆕燻
綺麗めな衣装が似合いますね。ていうかなんでも似合いますね。ちゃうか35期着せ替え人形大会を開こうと模索中なのですが、わたしが着せ替え人形にしたいなあと強く思っているひとりです。
New芸名は「いぶし」と読みます。週一で燻製を食べていそうだなという、完全なる偏見からつけました。ちなみにわたしは燻製食べたことがありません
ミル鍋
🆕Curry is a drink.
「カレーは飲み物」です。美味しい食べ物屋さんを知るたびに、「ゆにちゃんと行きたい!!」って思います。全制覇、つきあってくれるかな?最近Vlogに目覚めたゆにちゃん、編集技術をめきめきと上げていてなんかもう立派なユーチューバーになれそうです。普段はにこにこでギャグ線爆発してるけど、舞台に立ったらかっこいい。好き。ギャップ萌えってやつかな
大福小餅
🆕こゆき
わたしは大福の中では雪見だいふくが1番好きです。邪道って言われちゃうかな。優しいこふくは受け入れてくれると信じてます。あとは、こふくには雪景色が合うだろうなと思ったので。雪の中で名前を呼んで、ダッフルコートを着たこふくにとびきりの笑顔で振り返ってほしいですね。こふく感をどうしても残したくて小をつけたら、某女優さんの名前になってしまいました、汗
中森ダリア
🆕大宮セドナ
ひらりは、演劇がなかったら一生仲良くなることがなかったタイプだろうなあと思います。だからこそ会うたびにたくさんお喋りしたくなっちゃうし、ちょっかいかけたくなっちゃう。
セドナは有名なパワースポットです。世界進出しそうだなあと思ってつけました。大宮は勘です。
飾っておきたくなるような美しい容姿も、そんな美しい���から出てくるコテコテの関西弁とパワーワードたちも好きです
帝京魂
🆕平方根
いつかの稽古でやった関西弁翻訳がいまだにツボです。コンの関西弁が好きすぎて、わたしの専属関西弁翻訳機になってほしいくらいです。
作業員の衣装が似合いすぎてびびりました。私服かと思いました。さすがに嘘です。New芸名は金平糖と迷いましたが、コンはルートが似合いそうだなと思ったのでこっちにしました。ぜひかぶってみてね。√
黒井白子
🆕サフラン吉岡
演補お疲れさまです。いろんなことを相談させてもらいました。やっぱり頼りになります。
わたしは沈黙を埋めるように喋るのが苦手なので、誰かとふたりでいるとちょっとだけ不安になるのですが、白子と喋るときは安心できます。話すのが上手だからでしょうね。話の内容の面白さはもちろん、本人の圧倒的コンテンツ力が芸人さんみたいだと思ったので芸人さんぽい芸名をつけました
しょこら
🆕あしたの靴下
今回は役柄上あんまり絡む機会はなかったかな。でもなぜか、人科の友達から名前をよく聞きます。他のサークルでも楽しんでいるようで何より。こらしょから最初にインフルの連絡があって、仕事振りすぎたかな、スケジュールハードだったかな、なんて心配していたのも束の間、翌日わたしも38度5分発熱しました。体調管理って大事だね。New芸名はフィーリングです。あしたという単語を使いたかった
鴨兎春
🆕星型魚拓
今回のらびの役者紹介、心の底から好きだあああ!!!スクショはもちろんしました。それをプリントアウトする一歩手前で、さすがにやめとくか、となりました。俵万智を超えられると思います。スパイダーなわたしのはもちろん、他の人の歌もにやにやしながら読みました。
もしらびが魚拓だったら、がんばって星の形になるだろうなと思ったのでこの芸名をつけました。芸術センス恐るべし
スタオン編
園堂香莉
🆕透明な花
テキパキ動いて指示をする照明チのかっこよさを見て、未熟な音響チは焦ってしまいます。今回は声だけの登場でしたが、綺麗な声で音質の悪さを飛び越えてくれました。
「も」は、ちょっと疲れたそうなので休憩してもらってます。わたしはマ行全体が好きなので、いつか復活するかもしれません。未だ(わたし的に)あなたの色が決められないので、透明とつけました。お花要素は外せないよね
まろん
🆕奈々
音入れと場当たりではご迷惑をおかけしました……。本当に本当に感謝です。これからも頼りにしてるぜ。
まろんのふわふわしてて延々とお喋りしたくなるような声が好きです。��も、外公以来ゆっくりお話できていなくて寂しいです。今度ごはんでもいきましょ!New芸名はななって名前がかわいくて似合うなと思ったのでつけました。々は同じと入力すると出るらしい
テキストを入力
🆕 繝?く繧ケ繝医r蜈・蜉
文字化けさせました。最近はすごいですね、文字化けさせてくれるサイトがあるんだもん。宣美殺しと言われそうですね。頑張ってもらいましょう。
話せば話すほど味が出てくるスルメみたいな人です。特に、ゆにとの会話は聞いているだけでにこにこしちゃいます。最近ちゃうかの演劇外の活動にも顔を出してくれるようになって嬉しいです
紫仏瑠唯
🆕六条和歌
今回はあんまりお話できなかった…悔しい…!!みなさんの役者紹介を見ていると、るいは世界史がお好きなんだとか。いつか世界史トークしたいなあ。この後期にすごく面白い授業をとったので、わたしの世界史熱は絶賛高まっています。特に、宗教が絡む歴史が好きです。New芸名は、るいは着物が似合いそうなので和風にしました。かわいくない!?
近未来ミイラ
🆕キャリーケース渋滞中
ツッコミもボケもセンスが良すぎるの、なんなんでしょう。片方だけでいいのでください。
改めまして、演出お疲れさまでした。人マニアのキャスパへの繋げ方が個人的にめちゃめちゃ好きです。あと、演出で疲れているだろうに、ちゃんと話を聞いてくれるの、本当にありがたかった。雨あられです。
New芸名はフィーリングが7割、3割はみーらに「い」の口をしていてほしいという願望です。その芸名だとどちらかというと「う」の口じゃないかと思った人、しー。わたしはこれがいいんです
唯端楽生
🆕久茶寧
「くっちゃね」と読みます。ただばたらきは可哀想なので、思い切りだらけてほしくて食っちゃ寝にしました。
脚本を読んで、あなたの子ども観、大人観は、わたしの子ども観、大人観と通じるものがあるのではないかと感じています。わたしは、子どもはこの世界のお客様であると思います。そして大人になるということは、自分が今までに受けてきたものの存在に気づき、今度は自分が「与える側」になること、つまり世界の運営者になることだと思います。それでもって、父は一連の経験を通して、受け取る側(というか受け取る姿勢)だった考え方が、少し大人サイドに近づいたんじゃないかな、と思ったり。こんなことを、お話してみたかったりします。いろんな人が言っていますが、全体を見ても細部を見ても、ずっと面白いあなたの脚本にはわたしも惚れ込んでいます。次回作、楽しみにしてます
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彼ら
僕たち全員が、[何かがおかしい]、[世の中狂ってる]、そう感じていた正体が、グローバリストと呼ばれる連中だった。
私にとっては、とても長い旅だった…w
訳わかんない、統一化の規則、髪の毛は眉にかからず、耳にかからず。
パーマ、茶髪禁止。
中学に上がって、す��そんな規則に触れた…
そもそも、何でもかんでも、規則、規則とやりたがるのは誰なんだろう?
その正体が、わかった。
“政治”に巣食うのは、誰だ?
それが、大本教をトップとした下位組織、生長の家、日本スピリチュアル協会、創価学会など。
縁もあったか、彼らの本質がわかった。
やたらと、競いたがる。[俺の腕前を見せてやる!]とかw🤣
上から目線、何もかも知ったような態度。[俺は悟ってる。俺は知っている。]的なスタンス。
表面上は、常識人、善人アピール、だが肝心な所では、全て自分が優先、他人がどうなろうが、(俺はこんなにも大変なんだ!)、それを言い訳に、やたら自分を甘やかす。本当の慈悲は、かけらも持っていない。
頭でっかち、物事は自分らの計画通りにやる。緻密な計算、幼稚な画策、それを細かくスクリプト化する。(そのパラノイアぶりが、アカシックレコードまで発見した。)
性欲が凄い…w🤣そして、他人の伴侶だろうが、平気で手を出す。生長の家に関しては、乱交を、魂の錬成と解釈する。統一教会の合同結婚式は、有名。言い訳もある。色欲界を抜けねば、悟りの境地に至れないとか。ただの乱交なのにw🤣
犬や猫が、人間の真似をする。
人間のように、歌おうとする犬もいるw🤣
しゃべる猫とか動画で実際あるが、[そう聞こうとしたら、そう聞こえる]程度、ワウワウ鳴いてるだけw🤣
私達が今人間でいるのは、大変凄い事。
人間は、神になれる。
キリストは、無受精と言われるが、立派に女股から生まれた。
人間として、生まれた。
歴史上の人物であり、架空の存在ではない。
ナザレという貧しい町に生まれ、30歳まで大工として生計を立てた。
8人兄弟だ。
さて、
私は創価学会の人間、2人と友人だった。
一人目は、富山県で。
同じ村田製作所の仕事をした。
皆は、学会員であるという事で、彼を敬遠した。
私は最初に宣言した。
創価学会に入る気はないが、人として共感出来る部分があれば、付き合いは出来ると。
彼は、喜んだ。
一緒にサウナ行って、フルチンでプールで泳ぎ、ふざけたりしたw🤣
創価学会員とて、人間。
必ずしも創価学会員だけで行動する必要ないし、誰かを絶対に学会員にしなきゃならない訳でもない。
だから、私は普通に学会員と付き合える。
問題なのは、学会員としか付き合わない、コアな連中だ。
こいつらが、集団ストーカーしたり、盗聴、電磁波攻撃したりする…
田舎もんの、いじもられっ子の、妄信者だ。。
もう一人は、ここ大田区。
彼は最初、リュックに大量の創価学会の資料を詰め込み、私を説伏するために来たが、創価学会の知識を遥かに越える私の哲学、知識、彼は諦めたw🤣✨😎
そして、普通にバイク友達、普通に茶飲み友達として、よく遊んだw 🤣
だがしかし、創価学会からの圧力か?、彼は大田区を離れ、神奈川へと引っ越した。。
私を説伏出来なかった訳だが、キリストの魂を持つ人間を、誰が説伏出来るというのだ?w🤣
プラス、ルシファーの魂まで持つ、つまり、善と悪の、ハイブリッドなのよ、こちとらw🤣
で、
新興宗教2世たちが、私に興味を持ってくれる事が、多々あるのは、嬉しいですねw🙂✨👍
俺には、敵愾心などないw
競う気も、無い。
世界を愛で満たしたい、それだけw
彼ら信者は、輪廻しなきゃ、この時代は生き抜けない…
それくらい、修行と経験、知識が足りない。。
私含むスターシードたちは、彼ら信者が、想像すら出来ないくらい、艱難辛苦を乗り越えた。
信者たちは、他人、つまり池田大作なりの追体験をしてるだけ、本質は、経験不足を隠すため震え、「威風堂々」などとぬかし、自分を大きく見せている…
残念ながらスターシードたちとは、蟻🐜と、象𓃰ほど、違うw🤣✨
蟻が数の論理を言い勝ち組叫ぼうが、一瞬で象に踏み潰されるが、我々象は、蟻を踏み潰さぬよう、細心の注意を払い続けているw🤣
まあ、
信者諸君、
そんな事実、
受け入れなきゃ、
自分らでこの世界を滅ぼすでしょう。
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『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空、『ONE PIECE』のルフィなど、世代を超えて愛されてきたコミック界の人気キャラたち。最近でも『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『東京卍リベンジャーズ』『SPY×FAMILY』『【推しの子】』など、ヒット作は数多く生まれているが、かつてのような“圧倒的スター”キャラはいないように思う。その背景には、電子書籍の定着が関係しているようだ。また、支持される“ヒーロー像”にも多様化が見られる。国内最大級の品揃えを誇る総合電子書籍ストア・ブックライブに、令和の人気キャラの傾向を聞いた。 【写真】泉里香の“ナミ”に絶賛の声、爆弾たわわボディを大胆披露で「完成度高すぎ!」
■「令嬢もの」がトレンドなぜ? ハラハラより“安心感”、お決まり展開求める電子読者層
常時1万冊以上の無料漫画を配信し、利用者数は1500万人以上に上るブックライブ。2011年のサービス開始以来、同社が牽引する形で電子書籍が徐々に浸透し、コロナ禍でさらに加速。斜陽と言われ続けた出版業界だったが、急伸した電子書籍の売上により、21年には市場全体でV字回復を遂げている。 いまや幅広い層が電子漫画を読む時代となったが、同社の書店員を務めるすず木さんは、人気作品の多様化を実感しているという。 「昨今は作品自体が多様化しており、分かりやすい王道もありますが、現在流行として外せないジャンルは“令嬢もの”や“異世界転生”。とはいえ、人気作品はバラバラであり、さらには入れ替わりの早さ、消費されるスピードも早いのが特徴と言えます」(ブックライブ書店員・すず木さん/以下同) 紙媒体が主流だった時代は、作品の世界観にどっぷり浸かり、主人公が辿る軌跡や物語の行く末をじっくりと味わう読者が多かった。しかし、電子漫画が主流となり、SNS上でも作品が投稿されるようになった今、スキマ時間や移動中などでもサクッと手軽にいつでも読めることから、Z世代を中心に、分かりやすく、展開の早い作品を好む層が増えてきた。 趣味の分野においてもタイムパフォーマンスが重視される昨今、漫画にもスピード感が求められ、結末がどうなるか分からないハラハラ感よりも、予定調和な安心感が得られる作品が多い。その点、トレンドの“令嬢もの”は、婚約破棄されました、でも今は新たなイケメンに溺愛されています…、という分かりやすいシンデレラストーリーが心地良いのだろう。 また、『巨人の星』のような汗水たらす苦労ばかりでなく、「その人に合った頑張りをすればいい」という意識の変化も見られる。そもそも努力のない、いわゆる「俺TUEEEE」系だと、元々主人公は最強であり、バッタバッタと敵をなぎ倒す爽快感ある作品も増えている。 「友情・努力・勝利のような王道も人気は変わらずありますが、例えば、今春映画化され話題となった『BLUE GIANT EXPLORER』の宮本大は、サックスをめちゃくちゃ練習しているはずですが、暑苦しい修行シーンとしては描かれていない。コミック界全体的に努力の押し付けが消え、どんどんサクセスしていく姿を見たい、結果を早く見たいといった読者のニーズに沿った展開が多くなった印象です」
■圧倒的スターは不在? 従来のヒーロー像とは「真逆」のキャラが新たな人気者に
人気作品の多様化に伴い、支持されるキャラクターも一辺倒ではなくなってきている。同社では、日々の勇気や感動、豊かさを与えてくれるキャラクターたちに対し感謝を贈る賞として、2年前に『マガデミー賞』を設立したが、ノミネートされたキャラクター勢にもその傾向が顕著だという。 これまでに2回開催され、今年で3回目。「第1回主演男優賞」には『ミステリと言う勿れ』の久能整、翌年の同賞には先述の宮本大が選出された。審査で最重要視されるのは、“今”にふさわしいか否か、ということであり、その時代を象徴する人間性を持つキャラクターが浮かび上がってくるアワードだ。 年間2000冊以上の漫画を読むというすず木さんは、初回から審査員を務めており、「読者の方々の強い推薦を元に選ばれる賞ですが、特に2022年の結果で顕著に思ったのが、“圧倒的なカリスマは減ったな”という印象です。絶対的1位はおらず、審査が難航することも多々あります」と明かす。 これは「主演男優賞」を見れば著しい。第2回受賞の宮本大(『BLUE GIANT EXPLORER』)は、世界一のジャズプレイヤーを目指す従来の熱血ヒーロー。一方で、第1回受賞の久能整(『ミステリと言う勿れ』)は“頑張らない”が、多角的な視点で、人が日頃からモヤモヤしていることを言語化して人にぶつけるという、これまでになかった新しい価値観を持ったキャラだ。令和に愛される2人のヒーローに共通点がないのだ。翻って過去を見れば、先述の悟空やルフィ、『北斗の拳』のケンシロウ、『ベルセルク』のガッツ、『ガラスの仮面』北島マヤに姫川亜弓など、わかりやすいカリスマキャラが多かった。 久能整に関しては、天然パーマで見た目は冴えず、インテリで奥底にはコンプレックスを抱え、ちょっと“面倒くさい”性格。従来の主人公の「真逆」とも言えるキャラクターだ。すず木さんは、昭和、平成、令和の価値観が混在し、様々な世代間ギャップがぶつかっている今だからこそ、支持されたキャラクターなのではないかと分析する。 「上の世代の人の言うことを聞く、決められたことに従う、と言う時代ではなく、それぞれがそれぞれの主張を発信し、上の世代も価値観のアップデートが求められる時代です。ハラスメント問題、炎上、LGBTQ問題、さらにはコロナ禍があり、人々がそれによる価値観のずれやストレスを抱える中、そういったモヤモヤを言語化してくれる整くんが時代の代弁者として評価されているのではないかと思います」
■ちいかわ人気の根底に「漫画」あり、辛い現実生きる現代人に突き刺さるニヒリズム
昨年は、審査員特別賞に「ちいかわ」が受賞したことも話題になった。2020年にTwitter上で誕生した漫画「ちいかわ」は、21年に単行本刊行、22年にはアニメ化され、日本キャラクター大賞グランプリ、SNS流行語大賞を受賞。一過性の人気にとどまらず、現在もあらゆる分野で絶えず発売されているコラボグッズの数々は、飛ぶ勢いで売れている。その根底には、「漫画」が起因しているという。 「『ちいかわ』は単なるかわいいだけのキャラでなく、そのシュール感、ニヒリズムが上手く掛け合わさって癖になる面があると感じます。また、従来のキャラクターのようなハッピーな世界ではなく、アンハッピーな世界で生きるという、かわいい系では未だかつてなかったキャラ。その中で、不満を言わずに頑張る姿が応援したくなるのでしょう」 ちいかわは、コロナ禍の時期に誕生し、急激に人気を伸ばしたキャラクターだ。現在も物価高騰、戦争など暗い話題が多く、大勢の人々が苦しい生活を強いられている。そういった辛い現実に向き合う中、ハッピーしかないファンタジーには入り込めず、自分達以上に過酷な状況で頑張るちいかわの姿がリアルな共感を呼んでいる、ということらしい。 かように時代によって求められるキャラは変わっていく。人気アニメや実写の数多くが漫画原作であり、世界に誇る日本のキャラクター文化は漫画から生まれていると言っても過言ではない。今年も5日より、『マガデミー賞2023』の一般推薦がネット上で始まった。今回はどんな顔ぶれが揃い、いかなる世相が浮かび上がってくるのか、期待したい。
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我が国の未来を見通す(75)
『強靭な国家』を造る(12)
「強靭な国家」を目指して何をすべきか(その2)
宗像久男(元陸将)
──────────────────────
□はじめに
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻という本当に
“重大な過失”を犯したものと改めて考えてしまい
ます。本人は強気のように見えますが、内心は相当
悔やんでいることでしょう。
このたびのNATO首脳会議において、さすがに紛
争当事国のウクライナの加盟時期の決定は見送られ
たようですが、スウェーデンが加盟し、4月のフィ
ンランドの加盟と合わせれば、バルト海正面の出口
はすべてNATO諸国にふさがれてしまいました。
NATOへの新規加盟は全加盟国の賛同が必要です
が、スウェーデン加盟の最終決断は、これまでロシ
アと友好関係を保持していたトルコでした。トルコ
も大きく���を切ったとみてよいと考えますが、これ
により、黒海から地中海への出口もふさがれたこと
になります。
そして、ロシアからみた欧州正面は、バッファゾー
ンはベラルーシのみとなり、NATOに今すぐにで
も入りたいとするウクライナを含めると、すべてN
ATO諸国に包囲される形になりました。ウクライ
ナ侵攻に踏み切った理由について、ロシア側の言い
分は確かにあることでしょう。しかし、このような
状態を招いた原因を、プーチン大統領率いるロシア
側の“読み違い”や“過失”は全くなく、NATO
側に全責任があるとすることに無理があるのは明ら
かです。やはりロシアの“身から出た錆”は否めな
く、冷静に考えれば、”他の手段“はあったはずな
のです。
かつてナチスを葬った時のロシアの役割を今さら取
り上げてみても、それぞれの国、特に欧州列国は、
時代時代に“非情にも”相手を変えながら合従連衡
を繰り返し、それぞれが生き残ってきたという歴史
を有しているわけですから、まさに英国宰相パーマ
ストンの名言「永遠の同盟も永遠の敵も存在しない。
あるのは永遠の国益のみ」が、今も生きているもの
と考えます。
この結果に喜んでばかりはおれません。何度も繰り
返してきたように、このような情勢の中で、ロシア
が“乾坤一擲の手段”を使う可能性がより増大した
ことを警戒する必要があるでしょうし、ウクライナ
戦争がどのように決着するかまだまだ見通しが立ち
ませんが、ウクライナ戦争後、「南下政策」として
過去に何度も繰り返したように、ロシアが「再び極
東へ」との動きを加速する可能性もあることです。
中国は、今回のNATOの決定に対して「冷戦思考
だ」と反論したようですが、「明日は我が身」との
懸念が増大したとも言えるでしょ��。NATOの東
京事務所設置については、フランスなどの反対で決
定までには至らなかったようですが、ニュージーラ
ンドやオーストラリアなども中国に対する警戒心か
らNATOと新たな枠組みを造りたいとする動きが
出ているからです。
NATOが東アジア正面に拡大し、それに我が国も
参加するような枠組みについて、現憲法下の現在の
安全保障政策の範囲の中で可能なのでしょうか。当
然ながら、「集団自衛権の行使」のような、これま
での制約を超えた様々な活動が必要になってくるこ
とでしょうから、今のうちに真剣に議論する必要が
あると私は考えます。
最後に、ウクライナの反撃について、あえて感想を
言わせていただければ、「攻撃は防御の3倍の戦力
が必要」というのは軍事作戦の常識中の常識���す。
宇宙やサイバーなど戦争の領域が拡大し、装備が近
代化されても、この常識は変わらないようです。
当然ながら、ウクライナ軍にも優秀な将校たちが存
在し、様々な「見積り」や「分析」をした後に「作
戦計画」を策定し、反撃開始のゴーサインを出した
とは想像しますが、政治的な思惑から急かされたり、
ロシアの防御力を低く見積ったり、ウクライナ兵士
が外国製の兵器に慣熟する期間が短かったなどを含
めて、当初の計画通りに進まないのはそれなりの理
由があるのだと推測します。それこそが古今東西、
変わらぬ“戦場の実相”なのでしょう。現役の自衛
官諸氏もしっかり学んでほしいと願っています。
国際社会はいよいよ「分裂の時代」に突入したこと
を覚悟する必要があるでしょう。それは、“過去の
常識が未来の常識ではなくなる”ことを意味するの
でしょうが、“決定的な対立”を避けるために、
「人類の叡智」が問われる時代になったとも言える
と考えます。
▼数々の「我が国の未来を予言する書」に出会う
前回の最後に、外的・内的要因の克服をめざす“国
家の強靭化に向けた処方箋、いや荒治療”について
考えたいと述べましたが、さてどこから手を付ける
べきか。それ自体が途方もないチャレンジであると
改めて考えてしまいます。ただ、そうはいってもメ
ルマガなので、私自身は、引き続き、気楽にあれこ
れ思いつくままに発信させていただこうと思ってお
ります。
さて、『世界で最初に飢えるのは日本』(鈴木宣弘
著)や『2040年の日本』(野口悠紀雄著)のよ
うに、その一部はすでに本メルマガでも紹介しまし
たが、世の中には、我が国の国防、人口、食料、エ
ネルギー、経済などそれぞれの分野において、将来
を憂い、警鐘を鳴らしている書籍は山ほどあります。
中には、イーロン・マスクのように「日本はいずれ
存在しなくなるだろう」(2022年5月8日)と
断言している人もいます。
私自身は、有識者たちが日本のどのような部分に
“着目”しているかを知りたくて、迷うことなく手
に取った書籍はたくさんあります。古くは、三島由
紀夫氏や石原慎太郎氏などは独特の嗅覚で訴え、か
つ行動しました。最近では、『捨てられる日本』
(ジム・ロジャーズ著)とか『日本が消失する』
(ケント・ギルバード著)のように“危機の時代”
が眼前に迫っており、これまでの“やりかた”では
対処できないと警告している書籍もかなりあります。
『日本の死活問題』(色麻力夫著)は、一言で言え
ば、戦後の怠慢が今日の状態を招いたとして、この
ままの我が国の未来について、特に国防の面から心
配しています。そのような中で、『誰が国家を殺す
のか』(塩野七海著)は、「民主制は、民主主義を
自認する人々によって壊される」と、塩野氏自らが
振り返ってきた、ローマなどの歴史的真実を踏まえ
て「民主主義を自認する人々」の“危うさ”を警告
しています。
前回、小室氏が「平和主義者が戦争を引き起こした」
と解説していることを紹介しましたが、これらはす
べて、日本の“現在の常識”では対処できないこと
を物語っているのであり、これらの指摘はまさに慧
眼であろうと考えます。
ではどうすればよいのでしょうか? 小室氏も“歩
き出す”重要性を強調しただけで、具体的な提案は
なかったことも紹介しましたが、『国の死に方』
(片山杜秀著)も、「日本人は何を間違えたか」と
今日に至る歴史的経緯を縷々解説し、最後は「そん
なに国を死なせたいのか」とまとめていますが、そ
うならないため、つまり生き抜くための“処方箋”
については触れないまま終わっています。
このように、「我が国が国家として未来に生き残る
ために、そして現状の様々な問題を改善するために、
いかに“荒治療”するか」については、有識者とい
えども、「成案」を持っている人は少なく、当然な
がら、簡単ではないということなのだろうと考えま
す。
ところで、読者の皆様は、“これまでの人類の歴史
の中でいくつの国が消えてなくなったか”ご存知で
しょうか? このような事実は、教科書などには載
らないために通常、誰も知りません。それを知る貴
重な書籍が『世界滅亡国家史』(ギデオン・デフォ
ー著)です。消滅の理由は様々ですが、なんと48
カ国もあるようです。
少し紹介しますと、「サラワク王国」「バイエルン
王国」「リフレッシュメント諸島」「コルシカ王国」
「マスコギー国」「ソノラ共和国」など名前さえ知
らない国が多いですが、「満州国」「テキサス共和
国」(アメリカに入りたくてメキシコから独立)
「ドイツ民主共和国(東ドイツ)」「ユーゴスラビ
ア」なども含まれています。
オックスフォード大学で考古学や人類学を学んだギ
デオン氏は、「国家は滅亡する」として、「悲しい
最期を迎えた国々の物語には、命知らず、レイシス
ト(人種差別主義者)、詐欺師、常軌を逸した人、
脱税者、または勘違い、嘘、非常識な計画、その他
『バカげ��失敗』と言っていい数々の愚行が登場す
る」と、滅亡に至る内的要因について解説していま
す。歴史的事実しての国家の滅亡の原因は、内部崩
壊か、外からの侵略に大別されますが、ここにある
ような内的要因が相当の部分を占めることも事実な
のです。
確かに、長い人類の歴史の中では、いくつもの国家
の「興亡」がありましたが、ここに列挙したような
内的要因が原因となった「亡」と、これらとは真逆
の要因が鍵となって「亡」を逃れ、再び「興」に至
った国々も数多くありました。
そのような中で、我が国の未来の“光明”について
多くを語る書籍もかなりあります。代表的なものと
して、『見えない資産の大国・日本』(大塚文雄著)
では日本の強みに「インタンジブルス」を掲げます。
この定義は専門的ですが、「目に見える」「可視の」
「明らかな」などという意味の「ビジブル」の逆で、
「漠然とした」「不可解な」「無形の」「実体のな
い」という意味で使われ、日本人の「よいところ」、
つまり「礼儀正しい」「弱者をいたわる」「他人に
迷惑をかけない」「他人の悪口を言わない」「自分
の功を誇らない」「あまり神がかったことは言わな
い」「何かをあるときに精魂をつくす」など、日本
人の「道徳」とか「心」を指した言葉と定義されて
います。
最近の社会現象などをみるに、このような「道徳心」
が失いかけていると心配する一方で、世界がうらや
む「見えない資産」がまだ残っており、これらを大
事する限り、日本は復活すると提案しています。そ
の意味では、日本はまさに現時点がその「岐路」に
差しかかっているのかも知れません。また、『日本
の真価』(藤原正彦著)では、「この国は再生でき
る」として、「美意識」と「武士道精神の復活」を
強調します。これらの細部については後述すること
にしましょう。
現憲法前文には、「国際社会における『名誉ある地
位』を占めたい」旨のことが書き込まれています。
それは単に、戦前のように「国際社会への『挑戦者』
とならないこと」(私自身はこのような表現自体に
も違和感を持つ一人ではありますが)を誓っただけ
なのでしょうか。いま現在は、すでに「名誉ある地
位」を占めているのでしょうか。仮にそうであった
として、その地位は今後、永遠に続くのでしょうか。
以上のような現状認識と問題意識も持ちながら、次
のステップに進んでいきたいと考えます。
▼「強靭な国家」の基本は「国力」にあり
私は、いろいろ考えた結果として、「強靭な国家」
造りの基本は「国力」という言葉に集約されると考
えるに至りました。「国力」とは、一般には「国際
関係において、ある国家がもつ様々な力の総体」と
定義され、これらの要素は、国民・政治・経済・軍
事・科学・技術・文化・情報などの能力と��響力を
指しています。
そしてこれらの相対的な位置づけによって、一般に
は「超大国」「大国」「地域大国」「中級国家」な
どとランク分けされています。他方で、「国力」自
体の定義と相対的な位置づけを数値で表す方法は多
種多様で、結構複雑です。何を強調するかについて
は、「国力」を論じた人によっても見方が分かれま
す。本メルマガの本旨から少し外れるかもしれませ
んが、長らく論争の対象になっていた「国力」の定
義や構成要素の差異の中にこそ、「国力」の本質と
我が国の未来に対する“ヒント”があるような気が
しますので、代表的なものを紹介しましょう。
その定義で最も有名なのは、「国益は国力によって
支持されなければならない」との明言を残したドイ
ツの国際政治学者ハンス・モーゲンソーだったと考
えます。モーゲンソーは、「国力」の要因を(1)地
理的要因、(2)天然資源、(3)工業力、(4)軍事
力、(5)人口、(6)国民性、(7)国民の士気、
(8)外交の質、(9)政府の質と9つ挙げています。
このうち、(1)から(5)までの地理的要因、天然
資源、工業力、軍事力、人口は、ある程度数量化す
ることができる「ハード・パワー」として換言でき、
(6)から(9)までの国民性、国民の士気、外交の
質、政府の質などは、数量化することが難しい「ソ
フト・パワー」として換言できるとされています。
この「ハード・パワー」と「ソフト・パワー」の関
係を違った形で、「国力」の要素として定義したの
が、米国CIAの情報担当次官として名をはしたレ
イ・クラインでした。クラインは、キューバ危機時
の情報分析の第一人者としての自らの経験をもとに、
当時、様々な書籍を上梓していました。日本語に訳
されたもので有名なものは『世界の「軍事力」「経
済力」の比較』(1981年)で、冷戦さながらの
各国の「国力」などを見事に比較分析していました。
私は当時また1等陸尉の若い幹部でしたが、関心を
持ってこのような書籍に目を通していたことをよく
覚えています。
クラインは、数値による「国力」を次のような方程
式で表しました。
P=(C+E+M)×(S+W)
ここでいうP=国力、C=人口+領土、E=経済力、
M=軍事力、S=国家戦略目標、W=国家意思を示
します。
つまり、「国力」は、人口、領土、経済力、軍事力
のような「ハード・パワー」と国家戦略目標や国家
意思のような「ソフト・パワー」が“掛け算された
総合力”であると定義しました。それでも当時は、
その骨幹となるのは、「ハード・パワー」である経
済力や軍事力であることが国際社会の常識となって
おりましたので、クラインの定義は、「ソフト・パ
ワー」の要素も無視できない“くらい”のニュアン
スだったと記憶しています。
その後、アメリカの元国防次官補ジョセフ・ナイが
2004年に『ソフト・パワー』を上梓し、軍事力
や経済力以外の新しい概念として「ソフト・パワー」
をより強調し、「ハード・パワー」と相互に駆使す
ることによって、国際社会の支持を獲得する有効な
手段であるとして一世を風靡(ふうび)しました。
クラインの定義によるハードとソフトの主従関係が
逆転したとの印象を受けました。
ナイ氏の「ソフト・パワー」を構成する3つの要素
は、“その地域を魅力的に見せるような”「文化」、
“国内外の人々の期待に応える”「政治的価値観」、
“他の人や国から正当かつ道徳的な権威があると見
なされる”「外交政策」を挙げています。これらか
ら、若干のニュアンスの違いはありますが、他を強
制し得る「ハード・パワー」に比して、「弾力性」
とか「しなやかさ」を(つまり「強靭さ」)有する
パワーが「ソフト・パワー」であるとも解釈できる
と考えます。
一方、私自身は最近まで知らないままでしたが、経
済学界でも論争になっていたらしく、アメリカの経
済学者のコックスとジャコブソンも「国力指数」の
再定義に取り組みました。彼らは、「国力指数」を
GDPに基づくものではなく、以下の10の要素か
ら構成される複合指数として定義したのです。つま
り、(1)軍事力、(2)政治力、(3)人的資源、
(4)天然資源、(5)貿易、(6)財政、(7)通貨
安定、(8)技術、(9)市場の大きさ、(10)国際
的な役割です。いかにも経済学者らしい分析ですが、
これにより、「国力指数」は単に経済力を測定する
ものではなく、より包括的な指標となりました。
そして、彼らはこれらをまとめるような形で、「国
力」を次のような式で指標化しました。
「国力」=GNP+1人当たりのGNP+人口+核
戦力+国際的威信
です。「ハード・パワー」に相当する経済力をさら
に細分化し、軍事力も特に核戦力に着目したことは
極めて“現実的”と言えるでしょう。この中の「国
際的威信」は、その定義が難しいとは考えますが、
この部分が「ソフト・パワー」に該当すると考えら
れます。
これらから、「国力」の定義は一様でないことがわ
かりましたが、このような定義を当てはめながら、
我が国の「国力」をどのように分析・評価すればよ
いかについては次号で取り上げましょう。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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3.12(日)
もう、誰も私に「クリスマスなんて」「誕生日なんて」と言わせない人が、この世でただ一人現れて欲しいだけなのに。難しい。
3.13(月)
珍しく早起きし、夕方頃にはゆっくりとした追われない時間が流れ、9-17時の会社員が夜暇な気持ちがわかった。そりゃゆとり、ありますわ。19時前に会社出れて、一人の時間しかなったら、何しよう?ってゆとりだらけですわ。いいねぇ。
3.14(火)
『時短とか、効率とか、「はい、次!」とやっていくことももちろん大事なんだけど、あえて「OFFの時は時短ではなくて、あえて時間を掛けてのんび��訓練をする」とか、そういうことも意識してみてくださいね。バタバタしていると感じてしまうことがあっても、あなたはちゃんとやっていますからね。
シンプルになっていくために、色々な物事を組み立て直している。だから、今のあなたに一番必要のない感覚が「凹む」こと。凹むって、「通常、こうあるべきなのに、自分がそうではない」と嘆いてしまうことだから。』
3.15(水)
24時半に帰り、お風呂に入り、やりたいことをのびのびしていたら眠るのは4時だった。読み始めたら止まらない画集。
読みたい本、難解な本、読まなきゃいけない本。たくさんあって困ってしまう。ただひとつ言えるのは、最近は眠る前にどれか読むと、穏やかな気持ちで眠れるということ。こわい夢も見ない。朝起きたときも、ゼロから始まるような。穏やかな気持ちでいられること。
3.17(木)
いつも仕事も恋愛も、佳境のときじゃなくて、過ぎたあとにドッと来て、頑張れなくなる。心が健康じゃない。体調不良の看板を掲げて、ひとに迷惑かけない程度にズル休み。いつも遅れてやってくるのよね。
3.18(土)
ふと、こんなに辛いのは、頑張ってるからだとふと気付いた。人生で一番、意識的に頑張っている。美容に読書。
本当はまだ行かなくてもいい、まつげパーマを直し。それだけで瞼が軽くてスッキリ。毎日頑張ってるなー。偉い。だから、頑張っているから、凹むのも当たり前なんだね。よしよし。
肩の力入り過ぎなときあるな。もっと抜きたい。なんでも真面目にやりすぎちゃうのもわたし。もっと頑張ってない風に生きたいのにね。
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2022.11.21
9月から休職していたけど、12月末で退職します。
次の職場はどうやらコールセンターになりそうです。
お給料はぐんと下がるし資格も活かせないけど、子育てとの両立はなんとかなりそう。つまり貯金はざくざくできないにしても、子供ふたり食べさせてあげるだけのちからにはなれそうです。
まつ毛パーマをしたり、頬のほくろをとりたい。眉毛サロンもいきたいなー。かわいい色のネイルポリッシュも欲しい。
ほんとはね。
でも現実をみて、まずは内面をととのえることから。
ちゃんと食べること、眠ること、会話すること、身だしなみをととのえること、襟ぐりの伸び切ったスウェットばかりを着ない。
安心するものを身近にちりばめる。
頭の中を訳がわからないことばたちが駆け巡っている、これからは、それらをこの場所に少しずつ放ってあげようと思います。では。
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私の髪は剛毛で量が多く、変な癖がある しかも襟足が異常に長くて、ショートヘアにできない そして伸びてくると外向きに跳ね上がり、癖毛が絡んで大変なのでロングにもできない。 子供の頃、親に連れられて髪切りに行くたびに、美容師さんから 「くせ毛ね~ 髪が硬いね~」としつこく言われ、そのたびに母が 「本当に変な癖で困るわ。可愛い髪型にもできなくてツマラナイ」と頷いてた 結局、「毛先が肩につく程度の長さで、たくさんスキを入れる」というのが私の定番の髪型になり、 一人で美容室に行くようになっても、大人になっても変わらなかった (一度だけパーマをかけたら大失敗で、しばらくあだ名がゲロンパになった) アラフィフになってから引っ越しをし、 よく行く��ーパーの中に美容室があったので、ある日気まぐれにふらっと入った。 いつものように髪型を注文したら、美容師さんが 「え~ もったいないな。レイヤーを入れ過ぎないほうが、癖が生かせますよ」と言う。 試しにお勧めの髪型にしてみてとお任せしたら、良い感じのウェーブが入ったスタイルに仕上げてくれた。 「パーマかけなくてもいいから、得な髪だね!」と褒められて、もう驚いたのなんのって。 その美容師さんに、「シャンプーとリンスだけは、良い物を使った方がいいよ」と言われた。 それまで実家で使っていたのと同じシャンプーを使っていて、高い商品を買うことなんか考えたころもなかったのだけど 自分が働いた金で少し贅沢するのもいいねと、さっそく(自分的には)高価なシャンプー・リンスを買って帰った 思いのほか長くなってしまったので分けますね 大した話じゃないのにすみません 171: 名無しさん@おーぷん 23/02/20(月) 15:28:24 ID:p9.1z.L1 お高いシャンプー・リンスを使い これも美容師さんの勧めでアルガンオイルと言うのを少量塗るようになったら、 髪が落ち着いて、昔みたいに跳ね上がったり絡んだりすることがなくなった その後ずっとその美容室に通うようになり ある時美容師さんに「今まで一度もロングにしたことがない」と話したら 「伸ばしてみたらいいじゃん。時々メンテナンスに来なよ」と。 いやー 落ち着いたとはいえ、すごい勢いで外向きに跳ね上がってんだよ 伸ばしたら大変なことになるんじゃないの? とためらいつつも 一度は挑戦してみようと、髪を伸ばし始めた そうしたら、跳ね上がった髪はそのままカールし 昭和の漫画みたいな、縦ロールになっていった 今はセミロングぐらいになっているけど、えらいゴージャスw 周りから、「どうやってセットしてるの?」と聞かれ、天然と答えると驚かれる。自分でも驚いている なんだよ私の髪が悪いんじゃないじゃん、美容師の技術が無かったのと、髪に合わないシャンプーのせいだったんじゃん もし、癖毛で悩んでるお子さんをお持ちの方が居たら 癖を活かせる美容師さんを探してほしい 癖を貶したり、嘲笑ったりする美容師さんからは遠ざけてほしい 間違っても、一緒になってくせ毛を貶したり茶化したりしないでほしい あれは本当に傷つく
私の髪が悪いんじゃないじゃん、美容師とシャンプーのせいだったんじゃん : ほのぼの絵にっき
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3Dブロウリフトとハリウッドブロウリフトの違い♪
フレイムス アイラッシュ&ネイルでは眉毛パーマは、3Dブロウリフトで施術させて頂いております♪ 3Dブロウリフトをおすすめする方は 1,自眉が細い方、薄い方 2,自眉のクセが強い方 3,眉メイクを時短したい方 3Dブロウリフトは、ハリウッドブロウリフトに比べて空気を含んだような自然なふんわり眉仕上がります。 柔らかさのある、ナチュラルビューティな眉毛に♪ 一緒に美眉目指しましょう! ご来店心よりお待ちしております♪
#3Dブロウリフト#FRAMES#まつ毛エクステ#ジェルネイル#ネイル#ネイルサロン#ハリウッドブロウリフト#フレイムス#ブロウリフト#マツエク#マツエクサロン#松山#松山市#眉サロン#眉パーマ#眉毛#美眉スタイリング
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perm
稲刈りがひと段落された秋にパーマをかけるために
伸ばして ようやく ふんわりくるっと
きーぽんライスワークスさんの愛たっぷりの新米
たのしみだなぁぁ〜
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いつもこの日記の始まりをどうしようか考えることにかなりの時間を費やしてしまう
最近の悩みはしっかり目にパーマをかけた髪のセットに苦戦している(自ら希望の髪型にしてもらったのに)毛量が多いのでそのままだと仕事中ちょっとボリューミーすぎちゃう、長さがロブくらいだから全部結んでテールをふわっとさせることもできずバナナクリップでハーフアップにして残りの毛はスタイリング剤をつけて毛先ピヨンピヨン自由に遊ばせてる
いいスタイリング剤とカールの出し方を見つけたい
今週はしばらく放置していた衣装の制作を再開した
去年の末NCTに興味を持ち出した頃に映画館に観に行った「NCT NATION」、その公演でWayVのテンさんが着ていた衣装が本当に素晴らしくて…素材や丈感シルエットまで、またその衣装を纏って踊るテンさんの美しさにすごい衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えている。
それからトータルで7回ほど映画館に足を運んではテンさんのダンスに心がぐちゃぐちゃになりながら椅子に身体をめり込ませていた
好きなものに出会ったときのその“もの”に対する気持ちをどう昇華させるは人それぞれだと思う、
動画や写真を見てときめいたり絵を描いたり、
その時の私は「これ作りたい!!!」だった
全然作れる自信なかったし自分で言っておいてなんだけどまぁ私のことだから途中でやめちゃいそう〜とか思ってたけどとりあえずやってみようと
その勢いのまま布を買いに行って
中のシャツを完成させた
そして少し満足してしまい半年くらい放置してしまった
でもその間に知り合いの子供たちにいくつかドレスや衣装を作っていく中で少しではあるけど作れるものの幅が広がった気がして今ならいけるかもと再開した
今はズボンと腰に着けているスカートのような布を作っている
自分や誰かが着るわけでもなくただ私の作りたいという願望を満たしているだけだけど
表裏間違えたり全く別の箇所を一緒に縫い合わせて今って1mくらい縫ったところを全て糸を切ってやり直したりかなり発狂しそうになることもあるけど試行錯誤しながら1枚の布を形にいていく工程とうまくいった時の達成感がなんとも癖になっていて
私にとってのストレス発散のひとつが裁縫なんだと気づいた
年内完成を目指して明日もガタガタチクチクしようと思う(今日はもう眠いのでしない)
今週買ったいいもの。
頭をほぐすやつ、これ多分知ってる人多いと思う先端が玉になってるあれ
私もずっと気になっていたけど色が赤とゴールドしかなくて、家でしか使わないから何色でもよかったけどそれにしては少し高い気もしていてずっと渋っていたけどこの前ロフトに行った時に同じもののロフト限定色で黒が置いてあったので最高!!と思って即購入した
お風呂で髪を洗う前にゴシゴシ、洗う時も上がってオイルなんかを頭皮に垂らしてゴシゴシ、普段生活している時も隙あらばゴシゴシ
とにかく気持ちよくて頭がスッキリする気がする
みんな買っちゃえばいいのになーーーと思ってる。
Poloのイベント?に参加していたマークさんが寒い季節がやってきたなとワクワクさせてくれるお姿で一気に私の脳みそは冬だあああになったとさ
そんな時に私が聴きたくなる曲で今日のに日記を締める
風邪に気をつけよう
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marbbが102にやってきた
今月16日で7周年を迎える102ですがかねてから導入したいと考えていた機材を思い切ってこの機会に導入しました
それが『marbb』(マーブ)
こちらのマシンはマイクロナノバブルの気泡を作り出しシャンプー台のシャワーから出すというもの
その気泡の大きさは0.5μm、炭酸の気泡の1/2000のサイズです
そのナノバブルの入ったお湯で頭皮・髪の毛を流すと通常のシャンプーでは落ちにくい皮脂汚れや髪の毛に残留しているシリコン、シャンプー成分などが流れ出てきます
下の画像はナノバブルのお湯のみで頭皮・髪を流した後の画像
溜まったお湯の中に白く見える泡はシャンプーではなく汚れの灰汁のようなものになります
この汚れが流れ落ちると髪の毛は一気に軽くなりふんわりとまとまり、さらにはツヤや手触りまでもが変わってきます
下の画像は実際の使用例
after画像については変化が分かりやすいようノートリートメント/ノーブローで仕上げています
before after
余計な汚れが落ち、髪にも余分な水分を与えない性質があるため薬剤の浸透が均一になりカラーの染まりやパーマのかかりも変わってきます
マーブのお湯は美容室での全ての施術に影響を生み出すといえるのです
こちらのマシンすでに数日前から使用しています
導入後からの変化に私も驚いており、お客様からも好評です
ぜひとも1度マーブを体験しにいらして下さい
ワッてなりますよ
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魔霧の城 第1章
(一)
晩秋の早朝。湖畔には、朝霧が立ち込めていた。
周囲には誰もいない。車も通らず、民家も見えない。静寂しかない。
その中を、追内翔は一人で歩いている。
橙色に染めた髪は傷み切っており、天然パーマな故に、手入れされてない頭髪なのは一目でわかる。日焼けした顔も、百八十近い長身も、服の上からでもわかる体格の良さも全て潰す、陰鬱な雰囲気。
彼は全身が倦怠感に覆われ、目覚めたばかりの朦朧とした意識で、目的地まで歩いていく。
追内が向かった先には、枯れ草と野草に埋もれる切り株があった。その切り株の根元は煤けていて、燃えた跡が残っている。
追内は切り株を一瞥すると、外套のポケットから結婚式の招待状を取り出した。
その留め具にあったのは、色褪せたリボン。元はもう少し濃い紫色だったが、時間経過とともに色が落ち始めて、随分と淡い色になっていた。
リボンを取り、中を見ればとっくに過ぎ去った日付と、綾文れいと金剛司紀の名前が記されていた。
追内は指先が出た手袋を取らず、招待状の名前の部分をなぞる。何度も、何度もなぞる。
なぞっていた指先にピリリとした痛みが走った。手入れもされていない彼の指は荒れに荒れており、血が滲んでいる。
だが、追内は痛みを無視してなぞり続ける。
側から見れば不審な動きしかしていない彼は、しかし脳裏で大切な幼馴染たちの三年前の葬儀を思い出してい��。
葬儀場で啜り泣きながら、金剛と綾文の両親たちが互いを慰め合っていた。
『息子だけでなく、義娘になったばかりのれいちゃんまで』
『あの子、司紀くんとせっかく一緒になれたのに、こんなことに』
突然の訃報に誰もが呆然とした表情で、二つの遺影を眺めている。追内もまた力抜けたまま、椅子に座って写真を眺めていた。
『例の爆発事件で、遺体の損壊が激しすぎたらしいわ』
『それで火葬された状態で返されたの?』
『最後に顔を見ることさえできないなんて』
『警察はなんて?』
『犯行グループを全力突き止めるってテレビでは盛んに報道しているけど』
『もう見るのも辛いわ。何度も何度も、あの現場が流れてくるの。他にも亡くなった人がいるのでしょう』
『地下鉄なんて、あんな人が多い場所で……逃げられなかった人はさぞや辛かったでだろうに』
弔問客の囁き声が、この場に二つの棺がない理由として広がっていく。
どうして、なぜ、二人がこんなことにと続く言葉に、一番同意したいのは追内だ。
楽しみにしていた幼馴染たちの結婚式、それまでとっておけと言われた涙。その幸せな未来は、二人の葬儀と別れの涙で塗り替えられた。
包帯が巻かれた手を顔にあてて、追内は嗚咽を漏らす。嗚咽ではなく、むしろ叫びたいほどだったが、未だ彼の喉は回復していない。
『追内』
学生時代の先輩であり、友人でもあった稲里豊が、追内の肩を慰めるように叩く。
『……悲しいな』
絞り出した稲里の言葉は短く、そこに大きな悲哀だけが込められていた。彼は追内の手を外し、包帯の上からさする。
稲里の横には、能面のように感情を削ぎ落とした後輩の迂音一が立っていた。
『……先輩、僕も悲しいです。先輩よりも付き合いの短かった僕ですら、こんなに悲しいんです。きっと先輩は、もっと悲しいんですよね』
でも、と迂音は追内に告げる。
『だからといって、先輩が自責の念で傷ついていい訳じゃないですよ』
迂音が顔を追内に近づける。能面のようだと表現した彼の目尻は、泣き腫らした痕がくっきりと残っていた。
『先輩、追内先輩……お願いですから、あの二人の後を追わないでください。これ以上、僕たちを悲しませないでください』
懇願する後輩の視線から逃れるように、追内は稲里を見る。だが、稲里もまた追内の治らない手のひらを見つめていた。
『……だって、俺のせいなんだ。俺が前を走っていたから、二人は後にいた。俺が後にいれば、あの二人は助かったんだ』
『追内!』
稲里が声を初めて荒げた。周囲が何事かと追内たちを見る。
『俺だけが助かった! 俺だけが……俺だけ』
堰を切ったように追内は心情を吐露する。鬱屈した思いがぶちまけられる。
『なんでだよ、��うしてだよ、なんであの日だったんだ、どうして俺だけが生き延びて、あの二人が死ぬんだよ。だって、あの日に結婚式の招待状をもらったんだ。俺泣いて喜んで、楽しみにしてた。なのに、どうして? なぁ、どうしてなんだよ! 俺、あの二人を助けようとしたんだ。必死に、何を犠牲にしてもよかった、なのに、なのにッ』
支離滅裂な、起承転結すらもない、追内の掠れた声による叫び。
稲里は何度も『わかる、ああ、お前の気持ちは痛いほど分かる』と返す。迂音は『先輩。追内先輩、落ち着いて。先輩の傷、まだ治ってないんです』と宥める。
痛ましいものを見るように弔問客の視線が三人に向けられていた。
綾文と金剛の両親たちもまた少し近づく仕草をしたが、却って追内の混乱が悪化した過去を思い出し、留まる。
なんで、どうしてと嘆く追内の声は徐々に小さくなっていったが、終ぞ言葉がなくなることはなかった。
葬儀が終わるまでずっと、追内は自分を責め続けていた。
以来、追内は漫然とした人生を送っている。
脳内の時間旅行から帰ってきた追内は、招待状から目を離し。今度は切り株に注目する。
未だ彼から自責の念は消えず、思い出すだけで息切れをする始末。死ぬことは許さないの身内たちの言葉から、自らを傷つけることだけはやめられた。ただ何もかもから逃げたくて、三年ほど誰とも繋がらず、音信不通状態で過ごしている。
「……三年てあっという間だよなぁ。全然、忘れられねえよ」
ぽつりと零した独り言が、追内の意識を縛る。忘れられないと呟く度に、何度も何度も彼の脳内に反芻される悲劇が劣化することはない。
いつの間にか風が強くなっていた。
霧が風で動いていく。湖の表面が波立つ。周囲が見えなくなっていく。
それが爆発事件のあった日を思い起こした。
爆発音が響き、逃げ惑う人々を飲み込むように、地下鉄の駅構内を煙が覆っていく光景を思い出す。
追内は未だ思い出にできない過去に、背筋がそわりとしたのを感じ取った。
吐き出す呼吸がか細くなっていく。
しかし、自分の呼吸だけが聞こえるはずの場でシュー、シューと何かが漏れ出るような音が、近くでし始めた。
ギギギと錆びた金属が擦れ合う音もする。
悲劇に浸ったままのぼんやりとした意識で、追内は音のする方に振り向いた。
「……あ」
思わず声が出る。
そこにいたのは、追内よりも小柄な女性だった。
真っ赤なドレスで人形のように着飾られた金髪の女性が、背後におぞましい異形を従えて立っていた。
追内は一歩、後ずさる。
濃霧で細部は見えないが、異形は人型のようだった。女性と似たような構造の衣服を身に纏っていたようだが、それでも手足は長く、アンバランスで、顔がベールで隠されているとはいえ目があると思われる場所が煌々と光っている。
ヒュー、ヒューと霧を吐き出しながら、���ギギと腕や足を覆う錆びた金属を引っ掻きながら、異形は女性の背後にいた。
だが、女性は追内を見つめ、続けてその背後にあった切り株を見つめる。異形には一切の関心を払っていない。
そして唐突に喋り出した。
「器が燃えたにも関わらず、力はその織紐に移っていたのですね」
通りでここへ来られたわけです、と続く言葉とともに、彼女の指が追内が持っていた招待状のリボンを差す。
追内は「何が」と尋ねるが、それへの答えは返されない。
逆に女性は、さらに意味のわからないお願い事を口にした。
「一つ、あなたに頼みたいのです。彼に魔霧の件はしかたがなかったと伝えてください」
「なに、え? まぎり?」
「魔霧です」
そこで女性は初めて微笑んだ。それは慈愛にも満ちたものでありながらも、諦観の色が色濃く乗っている。
「どれだけ人々が魔霧を崇めたとしても、あれはただの現象にすぎない。彼がどれほど後悔しても、力があろうが、努力を積み重ねようが、結末は変えられなかったのです。だから、しかたなかったとお伝えください」
努力を積み重ねようが結末は変えられなかったの言葉に、追内の脳内に幼馴染を助けようと瓦礫をどけようとした光景が蘇り、怒りを抱く。
あれを無意味だと他人に言われたくはなかった。
「ふざけるな! どうして、どうしてそんな言葉を俺が」
「あなただからこそ、彼に共感できるからです」
互いの背景など欠片も知らないと言うのに、追内は自分勝手な苛立ちを女性にぶつけようとする。だが、女性は追内を遮り、まるで彼の立場をよく知っているかのように語りかけた。
「あの魔霧立ち込める場で、あなただけが彼を理解できたのだから」
再度、彼女は「あなただけ」と強調する。
一歩、追内が問い詰めようと足を前に出した時、霧が動き始める。たった一メートル先さえも分からないほどの濃霧。女性の姿が霧に埋もれ始める。
「どうか、どうか魔霧の城の終焉を責めないで」
追内は何歩か前に出る。だが、先ほどまでいたはずの女性の姿はどこにもなかった。そして、あの奇妙な異形の姿もなく、再度静寂が戻る。
「なんだったんだ」
呆然とした追内は、視界が開けると同時に、思考もまた澄んだような気がした。
(二)
初夏特有の燦々と降り注ぐ太陽光と、未だ湿り気を含んではいない風が、追内の頭を撫でていた。
東京、新宿の東口の広場。人々が集まるこの場所は、昼休憩の時間帯のため弁当を持つ人が多かった。もしくは、これから食事に向かおうとする人々か。
その中でボストンバッグ一つを足元に置いて、彼は電話を掛けている。
「と、いうわけでえ、火事で家が無くなった俺に愛の手を」
電話口の相手、追内の先輩で友人でもある稲里豊は深々とため息を吐く。
『追内……お前、お祓い行った方がいいんじゃないか』
「正直、行きたい。行きたいけど、まずは寝床が欲しいです」
切実なんですよ、と続く追内の心情に、稲里もそれはそうだなと納得する。
『一時避難で俺の家に転がり込むのは、まぁ問題ないが』
そこまで答えて、稲里は歯切れ悪く確認する。
『不仲の元凶である俺が言うのもどうかと思うが……その、ご実家の方は頼らないのか?』
「……それは」
両親、特に父親とは長年連絡を取り合っていない追内にとって、その選択肢はないに等しい。だが、続く稲里の言葉は意外なものであった。
『お前と親父さんの件は知っているが、それでもお袋さんはお前の味方だろ? ご両親とも、あの二人の三回忌のときに心配されてたぞ』
彼が告げるあの二人と言えば、五年前に亡くなった共通の友人である金剛司紀と綾文れいのことだった。
稲里が二人の三回忌に参加するの自体は意外でも何でもなかったのだが、追内の両親と話していたのは驚きである。
「え、豊さん参加してたの? うちの親も? え、何それ知らない、いつの話?」
混乱のあまり、最後には訳のわからない問いかけをしたが、稲里は『あのな』と呆れ混じりで説明する。
『音信不通で連絡先すら知らせないでどこかに行ってたお前に、どうやって知らせろと』
「えーと、豊さん経由とか」
『俺にすら二年前まで、まともに連絡入れずにいたくせに?』
「うっ」
二年前に突然戻った追内。
そんな彼を稲里は、音信不通時代に何をしていたのか問い詰めることはせず、粛々と受け入れた。しかし時間経過と共に、徐々に踏み込んだ話題を出すようになってきている。
『……なあ、追内。お前さ、いい加減に墓参りくらい行けよ』
それは表面上は元に戻りつつある追内が、未だ金剛と綾文の二人に関係するもの全て――墓参りも法事も思い出の場所への話題すらも――から背を向けているのを知っているからだった。
『五年前の爆発事件で、あの二人を目の前で亡くしたお前の悲しみは、理解できる』
でもな、と稲里は慰めの言葉を紡ぐ。
『お前はあの二人の代わりに一人の子供を救ったんだ。お前と金剛と綾文の三人がいたからこそ、子供は救われた』
記憶の中で追内は、自分が二人の前を走っていたからだと責めている。
だがあの日、追内は傷ついた子供を背負い先行し、金剛と綾文の二人はその子を守るために後ろを走ったのだった。
結果、先行していた追内とその背にいた子供だけは、地下鉄通路の崩落に巻き込まれず、無事であった。
『お前はあの二人のご両親に顔向けできないと嘆くが、子供の命を救ったお前が責められる謂われはないんだ。お前のご両親も、まだ自分を許せてないのかと心配されてたんだぞ』
三人で一つの命を救おうとし、結果二人が犠牲となった。これは、単純な足し算でも引き算でもない話である。
「でも……でもさ、子供を助けるだけなら俺じゃなくても」
『追内!』
稲里からの強い呼びかけで、それ以上何かを言おうとした追内は黙った。
それでも追内翔は幼馴染たちの死を受け入れきれない。あの日、爆発事件が起きた後の、もしもの行動を夢想してしまうのだ。
その夢物語に囚われて三年間もの間自責の念に苛まれていたと思われる追内に気づいているからこそ、稲里は彼の言葉を否定する。
『とりあえず、今は俺の家に避難でも構わない。でも、いつかは問題と向き合え、逃げるな』
いいな、と念押しされた追内は、嫌々ながらも了承する。
そのまま電話が切られようとしたが、本題を思い出した稲里によって待ち合わせ時刻と場所が確認された。
「……豊さん、昔よりお節介になってるなぁ」
つい独り言が零れた。
スマホをしまい、五月晴れの空を見つめる。日差しが強く、手で影を作った。
次に追内はジャケットの内ポケットにいれたままの結婚式の招待状に、布の上から触れる。もはや持ち続けることが癖になったそれは、変わりなくあった。
「俺なんかに世話焼いてると、婚期逃しそうなのに」
追内も稲里も互いにいい歳であるから、その辺りの話題くらいは出てきておかしくない。だがお付き合いについて、あるいは結婚の話題の一つも稲里からは出てこない。
再会してから女性の影も見えないので、本当にいないのだろう。しかし、結婚式直前の幼馴染たちを亡くして傷心している追内のことを慮って、わざと教えていない可能性もあった。
「豊さんのパートナーか……ちょっと審査はさせてもらうかもしれないけど、基本俺は祝うからね、うん」
金剛と綾文が結ばれた際は無条件で祝福した追内だが、基本身内贔屓だ。なんだかんだで懐いている先輩の稲里の結婚相手には、少し辛口意見を言ってしまうかもしれない。でも、幸せになってくれるなら嬉しいのも事実だった。
その時、メッセージの着信を知らせるメロディがスマホから流れる。
なんだろうと彼が確認すれば、もう一人いる長い付き合いの後輩である、迂音一からだった。
「豊さん、はじめちゃんまで巻き込まないでよ」
メッセージに記されたのは、稲里の仕事終わりまで迂音の持つ店で時間潰しをしたらどうか、という誘い。
昼休憩真っ最中、しかもこの後は夕方の開店までの仕込みの時間だと思われるが、後々のことを考えると追内にはありがたい提案だ。
肯定と感謝のメッセージを送り、駅へと向かう。
燦々と降り注ぐ太陽光から逃れるように、追内は地下へと潜っていた。
目的のホームへ向かう道中、追内がそのポスターを見つけたのは偶然だった。
何かのキャンペーン中なのか、連続したスマホゲームのポスターが並んでいる。
主要キャラクターたちと思われる絵と、その背後にキャラたちを襲おうとするモンスターたち。キャラの服装や背景からすると、スチームパンクもののようだ。だが、歯車や金メッキ、ドレスや古臭いスーツを彩るアイテムの中に、魔法らしきものが見え隠れしている。
どう言う世界観なのだろう、と人の流れから離れてまじまじとポスターを眺める追内。とりあえずゲームタイトルを確認しよと視線をズラしたところで、気づいた。
「……魔霧の城」
ゲームのタイトルを追内は口にする。
二年前に出会った謎の女性。
その女性が最後に告げたのは「魔霧の城の終焉を責めないで」だった。
追内の中で、彼女の告げた「まぎり」が「魔霧」へと変換される。
鮮明に覚えている、あの不可思議な一時。二年も前の出来事だというのに、未だ色褪せない記憶。
なぜなら女性が告げた「あなただけが共感できる」の言葉に、ほんの少しだけ彼が救われたからだった。
稲里も迂音も、追内���悲しみを理解できると慰めた。確かにそうだろう。彼らもまた、大切な友人を同時に失ったのだから。
だが、追内の仄暗い心の中で、否定が先走る。
あの日、目の前で通路が崩れ、分断され、無情にも二人が目の前でいなくなった恐怖を、虚無を、焦りを早々に理解できるのかと疑念が浮かぶ。
共感など誰もできないだろう。
理解などできないに違いない。
けれど、追内のその孤独を理解できる人間がどこかにいるのだと、彼女の言葉で慰められた。だからこそ追内は、友人たちの前に戻れたのだった。
「なんで、そんな馬鹿な」
その追内の思い出の中にしかないはずの、魔霧というキーワードが目の前にある。
口をぽかんと開けた彼は、目だけで周囲を観察した。
追内以外の通行人はポスターには目もくれずに通り過ぎていく。時折、プレイヤーと思われる人が写真を撮るために足を止めてもいた。が、それも人の多いここでは少数だった。
日常にしか見えない光景。
だが、何かがおかしいと焦燥感を募らせる。
そして、さらに彼を混乱に陥れるポスターを見つけた。
「あの時の……異形」
謎の女性の背後にいた、奇妙な形をした何か。
主人公と思われる少年が振り上げた剣の先に佇むそれは、巨大で、アンバランスな体型の人らしき何かだった。
赤黒いドレスを纏い、煌々と光る目をベールで隠し、金属で覆われた両手は優雅にスカートの裾をつまみ上げている。赤い薔薇を足元に這わせ、同じくアンバランスな騎士を従えた何か。
そのポスターに書かれた煽り文句は他のものに比べてシンプルだった。
――魔霧の女王、魔霧に呑まれた旧都の支配者
早鐘のように追内の心臓が鼓動を細かく刻む。
ポスターに掲示された検索ワードですぐさまアプリをダウンロードし始めた。
屋外であるために遅々としたペースでしか進まないダウンロードバー。
確か迂音の店には無料WiーFiがあったはずだと思い出した追内は、足早にホームへと駆けた。
時刻は午後二時手前。追内は、到着のアナウンスと目的地の案内を確認した。次に来るのが、思ったよりも早い。
一旦アプリのダウンロードを止めて、落ち着くために音楽でも聴こうとワイヤレスイヤホンを耳に着けて、再生ボタンを押した。
徐々に緊張が溶け、心音がゆっくりになっていく。
直後やってきた電車の通過音がホームに響く。
風が轟音となって耳に流れる音楽を打ち消す。
アナウンスが、がちゃがちゃと何かを伝えようとしている。
電車の扉が開いて、追内は人の流れに乗って足を踏み出した……つもりだった。
「は?」
電車内に足を踏み入れた���ころで違和感に気付く。
誰一人乗っていない車両、ホームにいる誰一人その顔を向けない電車、電気一つ点かない薄暗い車内。
ただ、それ以外は普通の電車だった。釣り広告に違和感はなく、座席は誰もいないだけで古びている。ゆらゆらと揺れるつり革は、先程まで誰かが握っていたように、いくつかが大きく揺れている。
「やばっ」
追内が間違えたかと思って慌てて降りようとしたとき、無情にも電車の扉が閉まる。
一人閉じ込められた彼は、誰も視線が合わない外へと顔を向けた。
――ザザッ
イヤホンからノイズが聞こえ始めた。
「待って、待ってくれよ。おい、何が……なんで」
焦る追内は大きな独り言を口にし、扉を何度も叩くが開くことはない。しかも通り過ぎるホームにいる人々の誰一人として、彼を――否、電車を認識できないでいるようだった。
――ザザッ
――ザッ
――ザザザッ
不規則で、神経を逆撫でするようなノイズが続く。
それが余計に追内の不安を加速させた。
「おい、なんだよ。何が起きてんだよ」
電車は進む、進む、進み続ける。
揺れる、傾く、車輪の音が響く。
そのまま地上を走るのかと思われた電車は、なぜか地下へと入っていった。もちろん、追内が乗ったのは地下鉄ではない。ありえない場所から、ゆっくりと地面に沈んだのだった。だが妙な揺れも、異音もなく、地下特有の騒音が車内に轟く。
乗った時に薄暗かった車内は、暗闇に支配された。
窓の外は何も見えない。ただ、次の行き先を告げる車内の画面だけが煌々と光る。
記された文字は、裏東京の三文字。前後にある駅名は文字化けしている。
そこで、ようやく追内はスマホの存在を思い出した。どこに、何を、どう伝えればいいのかわからない。だが、とにかく助けを呼ぼうとホーム画面を開いた。しかし、無情にも圏外の表記が目に入る。
ネットでお馴染みの怪異かよ、と舌打ちをした彼は、しかし奇妙なことに気づいた。
先程ダウンロードしを中断したはずのアプリ「魔霧の城」が、更新し始めているのだ。確かに圏外であるはずなのに、進むはずのない更新バーとその下の数値が確かに動いている。
再び、追内の胸が痛み出した気がした。
『……そ…………では……織……』
直後、追内のイヤホンから低い、掠れた男の声が聞こえた。
音楽ではない。誰かが電話のように喋っているのだ。ぼそぼそと、受話器の向こうで喋っている。
先程までのイヤホンから聴こえる断続的なノイズが少なくなり、声が明瞭になっていく。
『共鳴、共感、なるほど転移先は呼ばれた結果か』
その声の主は、大変歳をとった男であると分かった。感情の昂りを感じるものの掠れがひどく、荒い息遣いと、今にも咳き込みそうな声の出し方。
『では、私は扉の向こうへ渡った全てを集めよう』
聞き取れたのは強い決意だった。今にも笑いだしそうなほどの、激しい喜びがありありとわかるだけの、高らかな宣言だ。
追内は恐怖のあまり、ワイヤレスイヤホンを外した。その直後、彼は微かな息遣いにようやく気づく。
ぎこちなく、ゆっくりと、本当は何も見たくないと言わんばかりに嫌々と追内は首を回す。
真っ暗な車内。
次の停車駅を知らせる車内テレビだけが光源の車両の陰影は僅かだ。
だが、電車はどこかの駅を通り過ぎる。
結果、煌々とホームを照らす照明の光が車内に差し込まれたので、追内はそれの姿をはっきりと見ることになった。
「……あ」
悲鳴とは違う、何の意味もない音が追内の口から出た。
それはおそらく人だ。
金色の糸で複雑な紋様が刺繍された紺色のローブに包まれた誰かが、隣の車両との接続部近くに立っている。
フードを深く被っていることで顔は見えないが、追内よりも少し低い身長と、袖から見える皺だらけの手。
周囲に靄が立ち込める。密室のはずの車内で、謎の人物と追内の足元が靄に沈んでいく。
「そうして魔霧の終わり、つまり魔霧の城に終焉を与えよう」
先程までイヤホンから聞こえてきていた掠れた男の声が、目の前の人物から発せられた。
その瞬間、再び車内は暗闇に包まれる。
駅を通過し切ったらしい。
追内の眼球は暗反応に追いつかず、けれど構うものかと彼は謎の人物がいるのとは真逆の方向へと走り出した。
走る、ぶつかる、扉を開けて、再び走り出す。
誰もいない、荒い呼吸音は一つのみ。
電車が揺れて、体勢が崩れる、咄嗟にどこかに掴もうとして掴み損ね、転ぶ。肩を思い切り打ちつけて、冷たい床の感触が頬に伝わった。
「――ッ」
それでも追内は諦めずに立ち上がり、車内を走ろうとする。
一瞬だけ背後を気にして、けれど何も見つけられずに前を向き直す。
一両、二両、三両と通り抜けたとき、急激に電車のスピードが落ちたことに気づいた。
そして再び、横から煌々とした光が叩き込まれる。
――ここは裏東京、裏東京。魔霧が満ちています、お気をつけて。
流暢なアナウンスが流れ、電車は止まり、扉が開かれる。そしコンサートなどで使われるスモークのような、重い霧が車内に流れ込んできた。
冷気が足元を撫でる。甘い匂いが充満する。
むせかえるほどの匂いと湿気、そして喉を刺激する冷気に、追内は数秒だけ躊躇うも、その足をホームへと向けた。
――ご利用ありがとうございました。またのご利用ができますことをお祈りいたします。
彼が降りたと同時に電車の扉が閉められる。
そして不吉なアナウンスとともに、電車は去っていった。
追内は周囲を見回す。
等間隔で並ぶ柱、遠くに見える階段。
誰もいないが、たびたび追内も訪れた東京駅の地下ホームによく似ている。似ているが違う。その決定的な違いは霧と奇妙な蔦だ。
ホーム全体の床を覆い、膝下まで立ち込める霧。それらに隠れていたが柱や看板に何らかの蔦が絡み、毒々しい紫の葉が生い茂り、禍々しいほどの赤色の花が咲いていた。
「……なんなんだよ、これ。夢にしちゃ」
リアルすぎる、と呟こうとした彼に「逃げて!」と女性の鋭い声が届く。
直後、彼は誰かに抱えられて宙を舞った。
(三)
追内の眼下に見えるのは、蔦が絡まる駅の備品たちと霧に覆われた駅のホーム。
彼の腰を強く抱え込み、高く飛び上がった人物の顔は残念ながら見えない。
霧が追内の視界の中心でうねり、その中から歪んだ剣先が追内に向かって競り上がった。
ゆっくりと動いているように錯覚するが、それは彼が現状を理解できないからだ。
剣先から、剣の刀身、そして柄と姿を表しながらも、その剣を持つ人物が現れてくる。
それは全身を鎧に覆われた騎士だった。ぼろぼろになった臙脂色のマントを翻した騎士。胸元を真紅の薔薇に寄生された、鈍色に光を反射させる鎧を纏った騎士。
その姿は、あの魔霧の女王が率いていた騎士とよく似ていた。まるで絵から出てきたように、そっくりであった。
「……ッ」
声が出る暇などなかった。
剣を向けた騎士は、追内を追いかけて跳躍する。瞬きをする暇もなく、騎士が追内の目の前にくる。霧を蹴散らし、空気を切り裂き、重厚な鎧が一瞬で彼の前に踊り出た。
だが、光の線が追内と騎士の間を通り抜ける。
光の線は紐のように曲がり、剣に巻きついた。その直後、騎士はより上昇し、追内たちは降下していったのだが、離れてようやく何が起きたのか分かる。あの光の紐を巻きつけた剣を起点にして、追内を抱えた誰かが騎士を投げ離したのだ。
騎士は勢いよく天井へとぶつかり、結果衝撃で空間全体が揺れた。
勢いよく地面へと着陸した誰か。そのまま支えられていた腰を手放された追内は、べちゃりと床に落ちる。
無様にも口の中に土煙が入ってしまった追内は、げほげほと吐き出しながら、彼を助けてくれた人物をようやく見た。
そこに立っていたのは、美しく凛々しい異国の女性だった。
真っ白な髪と真っ白な肌。細められた目は天井へと向けられており、口元は革製のマスクで覆われている。
あの騎士ほどではないが胸部や腕、脛には金属製の防具で覆われていた。
そして特徴的であったのは、手に持つ奇妙な模様の装飾がされた棒。片方からは例の光の紐が出ており、もう片方からは周囲の霧を吸い込む穴がある。パッと見る限りは鞭を彷彿とさせた。
「……えっと?」
呆然としたまま、追内は異国の女性を見つめる。だが、女性は追内ではなく、ひたすらに天井を、あの騎士がいるはずの場所を険しい表情で睨みつけていた。
「大丈夫?」
異国の女性ではない、少し甲高い少女の声が追内に掛けられる。
いつの間にか彼の背後に、少女が立っていた。
少女は追内に手を差し出す。疑いもなく彼は少女の手を取った。
追内の身長からするとだいぶ下に見える、染めていないこげ茶の髪と、同じ色合いの目の彼女の顔つきは幼い。彼には少女が高校生くらいに見えた。
その少女は、追内の目を真っ直ぐに見つめて、とんでもないことを喋り始める。
「あなたがヴァポレから派遣された応援ね。あたしは福来鈴花。あの子は、あたしの召喚キャラのフー」
「は?」
「手短に説明するわ。先日のレイド戦で打ち破った星見の賢者の空間で、女王たちの居場所に繋がる手がかりがないか調査してたの。だけど、なぜか女王の薔薇騎士がやってきて……知っての通り、あいつは魔霧の女王の最高戦力よ。今は撤退の隙を作って欲しいの」
つらつらと告げられた内容は、追内には意味がわからない。
「星見の……賢者? 魔霧の女王て、あのポスターにあった」
かろうじて知っている単語を口にすれば、少女――福来は怪訝な表情を浮かべた。
「何当たり前のこと言ってるのよ。時間がないわ。あなたの召喚戦士を早く出してちょうだい」
さらに意味のわからない単語が出てくる。
「何のことだよ、つーか、魔霧の城のゲーム世界が……本当にあるのか?」
追内の言動にようやく、福来は異常だと気づいたようだった。
血の気が引いたように、少女の顔色が悪くなる。そのまま一、二歩後ずさった。
福来の視線が追内から逸らされ、左右へと忙しなく動く。
「待って、どうやってあなたここに来たの? ここはヴァポレの通行証がないと入れない筈なのに」
震える指先で掴んだ少女の手にあったのは、手のひらサイズのガラス玉に霧がこめられたものである。
もちろん、追内に見覚えのあるものではなかった。
「し、知らない」
慌てて追内は首を横に振る。そのまま、言葉がつっかえながらも、今に至る説明をした。
「普通に電車に乗ったら、えっと訳のわからないやつしか乗ってなくて、そいつから逃げるために降りたら、ここだったんだ」
しどろもどろの、整合性もない説明だった。が、福来は一部が気になったようだった。
「訳のわからないやつ?」
「年寄りだった。それで」
説明の途中でぱらりと、上から土塊が落ちてきた。
はっとした福来が、フーと呼んだ異国の女性に顔を向ける。その直後、あの騎士が三人の上から勢いよく落ちてきた。
今度は追内も自力で避けた。つもりだったが、少女と彼の頭上には光の紐で編み込まれたネットが貼られ、騎士の攻撃が阻められている。
「マスター! ご無事ですか」
異国の女性――フーはぎりぎりと手に持つ棒を構え、騎士を睨みつけながらも福来の無事を確認する。
「大丈夫! あとごめん、この人ヴァポレの応援じゃなかったわ」
「では敵ですか?」
女性の問いかけに、福来は一瞬追内を見て、再度フーへ向け直す。
「たぶん違う。巻き込まれただけの一般人よ」
キリッとした眼差しで言い返す少女に、何か言いたいことがあるような顔をフーはした。が、目の前にいる敵のせいで余裕がないのだろう。
ぶちぶちぶちと騎士によって光のネットが切られていく。
「マスター! ご指示を」
フーの呼びかけに福来がスマホを構える。
少女がスマホ画面の何かを押したところ、フーの周囲の霧が蠢き出した。
霧は女性の周囲を取り囲み、狼の形の装甲となった。
より巨大になったフーの鞭が唸る。先程までとは比べ物にならない威力と速さで、騎士の胴体を叩きつけた。
次いでフーはその場から飛び出し、騎士へと追撃を放とうとする。だが、見切ったと言わんばかりに、騎士もまた素早く回避した。
第二撃、第三撃は掠るばかりで、最初の攻撃ほどはダメージが与えられていないようだ。
「スキルを使ったけど、やっぱり決め手にはならない。薔薇騎士相手じゃ、フーの攻撃力だと僅かなダメージしか入らない」
福来のスマホ画面に表示されていたのは、フーのステータスと、敵対する騎士の推測ステータス。
彼女には相当な焦りがあるのだろう。冷や汗が流れ、顔色が悪い。
ブツブツと独り言をこぼし、必死になって考えているのが見てとれた。
「このままじゃ、らちがあかない」
そして福来は覚悟を決めたように、大声を出��た。
「一か八かだけど、通行証を割るわ!」
その宣言の意味は、追内には分からない。だが、フーには通じたようだった。
「しかし、それではマスターの御身が!」
騎士を相手にするには、明らかな隙であった。それだけ動揺したのか、フーは騎士が繰り出す剣を避け損ね、脇腹にあった装甲を破壊される。
「ぎりぎりで耐えられるかもしれないでしょ。魔霧への耐性はある方よ。異形化しないかもしれない」
もう隙を作るにはこれしかないの、と悲壮感まで背負った少女の様子に、追内はようやく口を挟んだ。
「異形化って、もしかして、あんな風になっちまうってことか?」
追内が指さした先にいたのは薔薇騎士。明らかに胸元が薔薇に寄生された異形だった。
「なるかもしれないし、ならないかもしれない。賭けよ」
「待ってくれ、何か。何か他に手はないのか?」
追内の中で五年前の出来事がフラッシュバックする。
あれとは状況が違うが、目の前で人が死ぬかもしれないこの状態が、すでに彼は恐怖でしかなかった。
追内の過去など知らない福来は、簡単に言い返す。
「あなたが助かるなら、それもいいわ。あなたも、ここに来られるからには召喚の資質があるのだろうけど、今戦力を持ってるのはあたしだけなの」
だから、と続く少女の言葉を追内は無理矢理遮った。
「素質があるなら、俺がキャラクターを召喚する。ちょっと時間がかかるかもしれないけど」
「でも、この場を変えられるキャラが出るとは限らないでしょ」
微かな希望を打ち砕くような福来の指摘に、追内はグッと息を詰まらせる。だが、戦闘の合間を縫ってフーが彼を後押しした。
「ですが、一度はやってみる価値があります。僅かとは言え、可能性を試してみるべきです」
「……わかった」
渋々と頷いた福来に、追内はパッと笑みを浮かべる。そして彼はスマホを取りだした。
「じゃあ、召喚方法教えてくれない?」
追内の質問に、福来は呆れた表情を浮かべるも親切に説明する。
「ゲームを起動して、オープニングが終われば最初の召喚画面よ。どうせ、あなたもここに来られたなら自動で召喚できるわ」
追内のスマホにはいつの間にダウンロードとアップデートが完了したのかわからないゲーム「魔霧の城」のアイコンが鎮座している。
タップし、ゲームを起動した。
スマホの画面に文字が浮かび上がる。
そしてマイクが起動したのが分かった。
恐る恐る追内は画面に記された文章を読み上げる。
「集え魔霧に屠られし英雄 集え魔霧を憎みし英雄
理不尽に対抗せよ 女王に叛逆せよ 英雄のなり損ないたち」
その言葉に応じて、ゆっくりと霧が渦巻き、扉の形となっていく。
扉の出現に騎士は動きを止め、剣を構えより警戒を顕にした。あまりにも隙がなさすぎて、フーもまた動きを止めざるを得ない。
徐々に扉は実物となり、やがてゆっくりと開いていく。
扉の向こうに誰かが立っていたが、その奥行きは全く分からない。
暗闇だけが広がる場所で、誰かが一歩その足を動かした。
カツンと床が鳴る。
誰かがその音を聞いた直後に、リズミカルに、楽しそうに駆け出す。
そして足音とは違う、何かを床に叩くような音も同時に���た。
「その名を告げよ」
最後の一文を読み上げた追内は、扉から現れた男をまじまじと見た。
そこに立っていたのは、追内よりも若かった。
日に焼けていない真っ白な肌。薄い唇、整った顔立ち。黒髪は長く後ろに結いでいて、顔に納められた切れ目の紫色はキラキラと輝いている。
複雑な細工がなされた杖と、一目で高級品だとわかる織物で作られた衣服。
立ち振る舞いは、年齢にそぐわないほどに堂々としており、いつだったかプレイしたゲームでみたような、高慢な貴族に見えた。
男は周囲と自分の体を眺め、その次に追内を認識する。
「なるほど、お前が私の主か。なんとも間抜けな顔だ」
男は堂々と追内を貶す。
あまりにも滑らかに侮辱されたために、一瞬追内は何を言われたのか分からなかった。
言い返す間もなく、今度は福来と、フーを男は認識する。特にフーをまじまじと、不躾に見た後に、彼は鼻先で彼女を笑った。
「銀狼の一族か。その装備と見目、王都派遣されたツェツェリの血族だな」
「……なぜ我が血族の装備を知っている」
人を見下す男の態度に不快感と不信感を隠さないフー。だが、その感情すらどうでもよさそうな雰囲気で、男は理由を述べた。
「北の辺境まで詳細な噂は届いていたさ。面倒かつ意味のない政争に巻き込まれたと思ったがね」
その説明に、フーは目を見開く。
「北の辺境……その紫の目となると、まさか貴殿は⁉︎」
男の正体に気づいたフーは、真実を受け入れきれなかったのか。自らを落ち着かせるように、喉元を摩った。
そして、遂に薔薇騎士に気づいた男は、ニンマリと笑う。
うずうずと身体を揺らし、浮き足立ったように一歩一歩と距離を詰めた。
「久しいな、薔薇騎士! ああ、本当に久しぶりだ。こんな、こんな地獄のような魔霧に満ちた場所で出会えるなど、神に感謝してやってもいい!」
傲慢な口調で、興奮を隠さないほどに早口に告げる。
だが、騎士は手に持つ剣を男へ向けた。
それが気に入らなかったのか。男は先程までの笑みをすぐさま消し、今度は無表情で杖を床に何度も叩きつけ��。
「なぜ剣を私に向ける? ああ、私のことを覚えていないのか。そんな鳥頭に誰がした」
スッと彼の紫の目が細められ、騎士の胸元に寄生している薔薇に向けられた。
「なるほど、理性をなくす狂火の文様か。なんとまぁ、無粋な魔術を受けているんだか……女王陛下の薔薇騎士が聞いて呆れる」
これではただの犬ではないか、とうんざりとした口調で男は告げた。その瞬間、侮蔑を感じ取った騎士が攻撃を仕掛ける。
パチンと男は指を鳴らした。
その直後に彼の背後の霧から、いくつもの長銃が列を成して現れる。
「放て!」
男の号令に合わせていくつもの銃弾の雨が降り注いだ。
騎士の立っていた場所の床が細かく砕けていく。
霧だけではない土煙が周囲を覆う。
ばちばちばちと響く振動と衝撃に、フーだけではなく、離れた場所にいたはずの福来や追内ですら耳を塞いだ。
前列が放ち終わり、一糸乱れぬ動きで、次の小銃から弾丸が放たれる。
一度、二度、三度、四度……と繰り返すこと十回の破裂音が響いたところで、男は手を挙げた。
土煙が晴れた後でも、騎士は立っていた。だが、胸元にあった赤薔薇の花弁は砕け散り、その胸部は露出している。
そこには黒と赤の薔薇を模した紋様が記されていた。
「狂火の文様は、女王陛下に賜ったものか。くだらん執着を捨てればよかったものを」
男の変わらない温度に、騎士は怒りを顕にする。
――AAAAAAAAAAAAAAA
雄叫びとともに騎士が剣を構え、振るう。
先程までフーが相手にしていた速さとは桁違いになっている。
それを男は杖を一度ついて地面から鎖を生やし、呆気なく止めた。
「この駄犬め。かつての主に二度も剣を向けるとは、躾がなってないな」
傲慢とも言えそうな言葉遣いではあったが、男は圧倒的な力を持ってしてこの場に立っていた。
先程までの絶体絶命のピンチから大逆転していることに、福来は信じられないようなものを見ている。
対し追内は、自身のスマホ画面に出ている召喚したキャラクターのステータス画面を凝視していた。そこに記されていたのは、補助系スキルの説明。つまり、これだけの攻撃力を持ちながらも、この男の本領発揮は全く別の部分なのだ。
ごくりと追内は唾を飲み込む。
震える指で、スマホ画面に映し出されるスキル使用のボタンをタップした。
パキンと何かが割れた。
いや、違う。追内の背後で、霧からさまざまな金属の板が生み出され、複雑に重なり合い、奇妙な形の鎧となっていったのだ。
「――ヒッ」
追内の側にいた福来が怯えとともに後ずさる。フーが騎士から離れ、追内と少女の間に立った。
「おや、それを使うのか」
騎士を固定したまま、男は追内を見つめる。男の表情に浮かぶ感情は喜色へと変化しており、再び機嫌が直ったようだった。
「なるほど、思っていた以上に魔霧への耐性が高いようだな。これは幸運だ、ありがたい」
パチンと金属の留め具が嵌められた音がした。
スマホを持ったまま、追内が自分の足元を見ると、金属の拘束具が足に取り付けられていた。
それを認識したが故に「あ?」と間抜けな声が追内の口から出る。
「大丈夫だ、主。これは散々、目の前にいるあの薔薇騎士で試したものだから、改良はしっかりしているさ。さぁ次は腕、そして顔だ」
続く台詞に、握られていたスマホを男に取られ、拘束具が足につけられる。
続けて、口元にも何かが取り付けられた。
ガチガチに拘束されて、身動きができないままに視線が上がる。
奇妙な器具が取り付けられた追内の姿は、一見すると蜘蛛と蟷螂が足されたキメラのようなものだった。
腰から下は八本の金属の足が取り付けられており、重心を取るためか本来の彼の足が固定されて腹の位置にある。
上半身は前屈みになっており、両手は巨大な鎌が取り付けられていた。
そして顔につけられたのはペストマスクのような何か。
ガラスのレンズがきらりと光り、その奥で本来の黒からエメラルドグリーンに染まってしまった追内の目が、覗いている。
蜘蛛のような足のうち一本が動いた。
関節部から蒸気のように霧が溢れ出る。
追内が呼吸をするたびに、ペストマスクの嘴のような場所から白い煙が上っていた。
「思うがままに暴れてみるんだ、主。何も考えず、屠ればいい。魔霧の意思のままに、聞こえるままに」
男の行けという言葉に従うかのように――マスターであるはずの追内を下僕のように操り、鎖で固定されていた女王の薔薇騎士へとけし掛ける。
その直後に騎士を拘束していた鎖は解かれ、薔薇騎士の抱いた剣が真横に振られた。
鼓膜を切り裂くような、不快な金属音がギギギと響く。
フーと福来は、耳を塞いだ。
だが、男は不快な表情すら浮かべずに、二体の戦いを眺める。
薔薇騎士の剣が、追内の鎌とぶつかりあった。
だが二本足である薔薇騎士は、八本の金属の足を持つ追内に比べればそのバランスが崩れやすい。
戦闘慣れしているからこそ、力比べには持ち込まなかった。
騎士は早々にその態勢を整えるために後退する。
それを許そうとはせずに、力一杯、追内はつけられた足で地面を踏みしめた。
石畳が砕け、破片が周囲に飛び散る。
その圧は風となって霧を動かした。が、それでも薔薇騎士のマントの一部が地面に縫い留められるだけに終わる。
対し薔薇騎士はこれまでの力任せの動きではなく、明確に一対一の、暴れるだけの戦闘から流れるような美しい剣技へと動きを変える。
結果、あっさりと騎士はマントを切り裂いて脱出した。
まだ余力があるのかと、内心で追内は舌打ちをする。もちろんその動きに素人の彼が追いつけるわけもない。
足と腕を使っての防御一辺倒へと追い込まれる。
騎士の剣は奇妙な鎧を貫くことはできなかったが、それでも手足の痺れを追内にもたらした。
踏み込まれ、鎧の隙間から胸を貫かれそうになる追内。
その動きを待っていたかのように、地面から生えた鎖が両者を固定した。
追内も薔薇騎士も、突然の出来事に驚きが隠せない。
戦闘を眺めることしかできなかった福来とフーもまた、呆然としたまま棒立ちしている。
「ご苦労、主」
その中で、パチパチパチとやる気のない、ゆっくりとした拍手をしながらも、男は追内と騎士の側にやってきた。
「この駄犬の攻守は優れてすぎていた。私でさえ、先程の拘束でも近づけば切られただろう」
カツカツと靴底で鳴らし、両者の間に立つ男。言動からするとどうも、この状況を狙っていたらしい。
離している間に彼の手に握る杖が光り輝く。
「さて、その狂火の文様を失えば、少しは話が分かる犬になるだろう。さっさと目を覚ませ、ニール・ホルスター」
ガンッと力一杯、杖が女王の薔薇騎士――ニール・ホルスターと呼ばれた異形の胸元にぶつけられる。
バチバチと男の持つ杖と、文様の間に火花が散った。
――AAAAAAAAAAAAAAA
騎士が叫ぶ。だが男は手加減することなく、火花を散らし続ける。やがて鎧に描かれていた黒と赤の薔薇の紋様が消え去った。
――AAAAAあああああああああああぁぁ。
徐々に悲鳴の声が化け物じみた、人間とは到底思えないものから、確かに人間の声帯から発せられたものに変化していく。
――ああああぁぁぁぁ……あいつら、あいつらは許さない、許せない。
そして叫びはやがて言葉となり、意味を込められ、最終的に呪詛となる。
「許してやるものか、魔術師ども��」
頭を振った騎士、その鎧の頭部が砕ける。
そこから現れたのは淡い金髪をポニーテールにした、青白い肌の男だった。だが、その顔の至る所に薔薇の根が蔓延り、葉と蕾が這っている。
死人のように白い肌とは対照的にエメラルドグリーンの目だけが、爛々と生気を主張していた。
「なぜだ、なぜ貴様が魔術師どもの味方をする!」
騎士の理性がようやく男の存在を認識した。
すぐ側ににいる追内へは目を向けず、彼らを拘束し続ける謎の男に向かって呪詛を吐く。
「女王陛下への忠義はどうした、魔霧の辺境伯!」
ようやく男の正体が分かった。
しかし魔霧の辺境伯と呼ばれた男は、ニンマリと笑いながら躊躇なくその手に収めた杖でニールの顔を殴る。
あまりの勢いに、目の前で見ていた追内はビクリと震える。
「おやおや、久しぶりに会ったというのに随分な態度だ。偉くなったものだな、ニール」
殴られて呆然とした騎士は、未だ現状が飲み込めていない。
遠くにいる女性二人も同様だ。
だが、近くで全てを見ていた追内だけは、形だけでも口元を歪めていた男の目が、少しも笑っていなかったことに気づいたのだった。
なおも男――魔霧の辺境伯は、薔薇の騎士――ニールの顔を殴り続ける。
「女王陛下を守る近衛騎士ともあろう者が、異形化とは笑えない。お前を推薦した私の立場もない。実に愚かだ」
「わ、私は」
殴られ続けながらも、うわ言のように何かを言おうとしたニール。だが、魔霧の辺境伯は聞こうとはしない。
「言い訳などいらない。そんなものは何の意味もない」
さらに殴り続ける男に、追内は躊躇いながらも「お、おい」と声を掛ける。
「何かね……この駄犬への躾を止めるほどの価値がある内容か?」
「その辺で終われよ。そんなに殴ってたら、死んじまう」
「死ぬ? 構わんだろう。これは女王陛下を守れなかった愚か者だ」
あっさりと言い放った内容に、追内は食ってかかる。
「あんた、人の命をなんだと思ってんだ!」
未だニールと同じく鎖で押さえつけられたままだが、それでも追内は持てる力で動き出そうと試みた。
ギリギリと拘束していた鎖が引っ張られ、歪み始める。
その様子を見た魔霧の辺境伯は、やれやれと肩を竦め、ぱちんと指を鳴らした。途端に、追内が身につけていた奇妙な鎧が霧となって消える。ついでに彼を拘束していた鎖もまた消え失せた。
おわっと叫びながら、再び床に倒れた追内の上に、男はスマホを投げつけた。
「勘違いするな、主。これはもう人ではない。異形になっても理性を保てたのは賞賛するが、それが仇となったのだろう。憐れんだ女王陛下は、苦しまないようにこれに狂火の文様を授けた」
慈悲を掛けるのなら殺すべきだったがな、と続く魔霧の辺境伯の言葉。彼の視線の先には、未だ呆然としていたニールがいる。
「じゃあ、なんで文様を消したんだ! 生かすつもりがないのなら、わざわざ消すことはなかったじゃないか」
起き上がった追内の噛み付きに、男は目を少しだけ泳がした。
しかしガチリと奥歯が鳴らされると、短くはっきりとした言い方で返す。
「自覚だ、罪の自覚」
先程までのどこか飄々とした物言いではない。喜怒どころではない激情を内に秘めながらも、必死にそれを隠した声色。
「王都を守れなかった、女王陛下を守れなかった、馬鹿な男に罪を自覚させるためだ!」
魔霧の辺境伯は、持っていた杖をさらに強く握り込んだ。そして高く腕を持ち上げる。
未だ鎖で拘束されたままのニールは、ゆっくりと辺境伯へとその視線を向け直した。
追内は再び男が手をあげようとしたのを止めようと動き出す。
その直後、美しい歌唱が駅のホームに響いた。
歌が聴こえた瞬間に、魔霧の辺境伯の動きが止まり、ニールの目に光が戻ったのを追内は見ていた。
「……へいか……陛下、女王陛下!」
徐々に力強く言葉を発するニールは、力強く拘束している鎖を引きずり壊す。
魔霧の辺境伯もまた、ニールの変化に気づいたのか。追内を連れて福来たちの元に撤退する。
「な、なに? 何が起きているの?」
混乱する福良に、フーが緊張した面持ちで告げた。
「これは魔霧の女王の歌でしょう。あの方が薔薇騎士を呼んでいるのです」
「ラスボス登場ってこと?」
「……登場だけで終わってくれれば良いのですが」
ちらりとフーは魔霧の辺境伯に視線を向ける。
男はその紫の目をニールに向けたままだ。過度な緊張もしていなければ、呼吸が荒くもなっていない。
彼は先程まで見えた激情を綺麗に隠し、胡乱な雰囲気を纏ったまま、自らが生み出した鎖が薔薇騎士に粉々にされていくのを眺めていた。
「陛下、今戻ります。ああ、悲しまないでください。苦しまないでください。いつだって、あなたの騎士は側におります」
うっとりとしたニールは、自由になった両手両足を広げる。青白い肌が少しだけ色づいたようにも見えた。
「あなたの敵を、あなたの憂いを、あなたの悲しみをきっと無くしてみせます。ですが、ああ、ですが、今だけはあれらを置いて、あなたの側に戻りましょう」
自らを抱きしめる薔薇騎士の姿が変わっていく。
「――ッ」
「――ヒ」
福来と、それまで黙っていた追内は、その変化に息を呑む。
騎士ニールの足から、薔薇の蔦が絡まり蜘蛛の足のように生えた。
それは先程まで追内は身につけた金属の足と似たような形だった。が、追内のが取り付けられたものだったの対し、騎士の足元から寄生した薔薇が生えてくる光景は、グロテスクとしか言いようがない。
そのまま薔薇騎士は四人を振り返ることなく、跳躍する。
まさに蜘蛛と同じ動きだった。軽やかに、けれど簡単に土へ足をめり込ませながら、天井や壁を伝いどこかへ消える。
薔薇騎士の姿が消えると、歌唱が遠のいていく。
細く、美しい旋律を奏でた女性の声も聴こえなくなった頃、ようやく福来は終わったのだと思えた。
「マスター!」
安堵のあまり、足から力が抜けたのか。しゃがみこんだ福来に焦ったフーが、彼女を抱え込んだ。
「大丈夫か? どこか怪我したとかないか?」
追内も心配して、彼女の体をざっとではあるが観察する。見ている限りでは、擦り傷はあっても大きな怪我はなさそうだった。
「……大丈夫。あと、ありがと」
「何が?」
「一発逆転のキャラ召喚。ファインプレーだったわ」
「……ああ」
そのことか、と追内は内心で思った。彼自身は、偶然でしかなく大した活躍とは思っていなかったのだが、福来は違ったらしい。
「単体で薔薇騎士に対抗できるとか、壊れ性能すぎるわよ。しかも召喚主への強化もできるなんて……でも、これで薔薇騎士攻略が楽になるわ」
やったわね、と笑いながら告げる福来。だが、彼女のキャラであるフーは浮かない顔をする。
「マスター、油断しないでください」
「フー」
「確かに彼の戦力は魅力的です。ですが、あの魔霧の辺境伯という人物は魔霧研究の第一人者。翡翠の魔術師と並ぶ、いえ、あの魔術師よりも遥かに危険な研究者です」
「翡翠の魔術師って、鷹崎さんのことよね? あの人確か、王国の中でも魔霧研究の専門家だったって」
つらつらと紡がれる女性二人の会話。
その内容についていけない追内は、自らが召喚したキャラを改めて見た。
魔霧の辺境伯と呼ばれた男は、三人の様子を気にするそぶりもなく、あの騎士が消えていった方向を眺めている。
何か声をかけようと思った追内だが、どう声をかけていいのかも分からない。
いや、そもそも彼の名前さえ知らないことに今更気づいた。召喚のときにも、スキル使用のときですら、スマホの画面に彼の名前は書かれていなかった気がする。
「あー、えっと、その」
適当すぎる呼びかけをしながらも、追内は男の背後に近寄った。すると彼は振り向いて、主と呼ぶ。
「私に何の用だ?」
「その、あんたの名前って」
ああ、と納得したような声が男から発せられた。
男は身なりを軽く整えると、カツンと杖を床につける。改めて、その名前を告げようとしたのだが、ピクリと男の眉が顰められた。
ホーム内で電車到着のメロディが鳴り響く。
線路をガタガタと鳴らし、風で霧を吹き飛ばしながらも、四人の前に電車が到着した。
ドアから複数人が武装して出てくる。だが、その最前線にいたのは、非武装の若い男だった。彼だけは木製の、宝石のような装飾をつけた杖を手にしている。
武装した面々は福来とフーへと歩みを進め、若い男は丸メガネの位置をかちゃりと直しながらも、追内たちの方へ近づく。
だが若い男は追内を通り過ぎ、魔霧の辺境伯と呼ばれた人物と相対する。
髪の根本は白髪で、毛先は黒い。若いと評したが、もしかしたら歳はもっと上なのかもしれない。だが、肌艶の良さは若者のそれだった。
「……召喚されたのは貴公でしたか」
丁寧な言葉使いではあるが、冷え冷えとした雰囲気をもっていた。その���度を当然と受け止めた魔霧の辺境伯は、せせら笑って挨拶をした。
「久しいな、翡翠の魔術師」
辺境伯は片手を顎に置き、わざとらしく若い男を上から下まで眺める。
上下ともにモノトーン調のシャツとズボン。羽織っている春物コートの前は開けられており、全体的にゆったりとした服装なのが見て取れる。
辺境伯は現代服の男へ、嫌味を隠さずに問いかけた。
「ところで、そのふざけた姿はなんだ?」
若い男は手に持つ杖を魔霧の辺境伯に向けて、言い返した。
「これが、この世界の服装なのですよ、デューリュ・ソン・ハルバッハ卿」
辺境伯と魔術師の両者ともに、一触即発の空気を醸し出す。
その様子に、名前が分かったのはいいが、また面倒な事態になったのだと追内は悟った。
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猫は知っていた 7月7日 火曜日
いきなりの急展開です。 雄太郎が、以前見た懸賞小説の事を思い出します。 そこには、左右が逆になっていたり、防空壕がありませんが、箱崎医院そっくりの場所で起こる殺人事件が描かれます。
探偵雑誌「指紋(指紋社)」の七月号に掲載されている笠井(かさい)あきら作の「X線室の恐怖」でした。 内容は、推理物の短篇で、ある開業医のレントゲン室で患者が奇怪な死を遂げます。 犯人は看護婦長の女性です。 悦子は、その犯人像に家永看護婦を当てはめていますね。 それなりに似ているのでしょう? まさかと思いますが、これも伏線でしょうか?
『指紋社』はもちろん架空の出版社でしょうけど、探偵小説や殺人事件となると指紋はつきものですからね。 もしかすると、今後もこの架空の『指紋社』が出てくるかもしれません。 ニヤリとできる要素ですね。
小説のタイトルが「X線室」となっているのに、その内容として「レントゲン室」と表現しているのがちょっと気になります。 そのあたりがこの小説の肝なんでしょうか。 これが、あんがい本編の伏線になっているのでしょうか。 同じものなのに別の表現があるとかです。 また、唐突に家永看護婦がでてくるのも意味が有りそうです。 あとは、笠井あきらの正体ですか?
その後、仁木兄妹は、笠井あきらを尋ねます。 というか、あきらかに出版社が住所を教えたとしか思えない展開です。 セキュリティのゆるさは今では考えられませんね。
笠井あきらは国電の巣鴨駅から五分ほどの広田文具店に部屋を借りています。 25,6の若い男で、肉づきのいい赤味をおびた顔と厚い大きな唇を持っていて、パーマをかけたと黒い髪がひたいに垂れかかり、太い眼鏡が顔の三分の一をかくしています。 『指紋』の作品が興味深かったというだけで、笠井あきらは仁木兄妹に会ってくれるみたいですね。
雄太郎は、箱崎医院の事件について笠井あきらに聞いてみますが、これといった反応が返ってきません。 でも、平阪のことは知っているみたいです。 その平阪が行方不明になったと知ると“死体は発見されたのか?”と問いかけてきます。 雄太郎でなくてもこれは変だとおもいますね。 まだ、平阪がどうなったのか誰も知らないはずなのに、どうして死体が発見されたのかと聞いてきたのでしょう?
笠井あきらはそれには答えずに、夕刊を見て、桑田老夫人が殺されたことを知ります。 もしかすると、今知った芝居ですかね。 そして、探偵小説を書いているものだから、平阪も死んだのかと考えたと答えます。 わざとらしいですね。
それから、雄太郎は遺留品や猫がいなくなったこと、警察の捜査や尋問の模様を話して聞かせます。 笠井あきらは、おもしろいと熱心聞いています。 新しい発展があったら手紙ででも知らせてもらえませんかという笠井あきらに雄太郎は、快く承諾します。
結局この笠井あきらは、本編ではどんな役割なんでしょう? 仁木兄弟の推理に対して何かのヒントでも与えてくれるのでしょうか?
病院に戻ってくると、ちょうど、交通事故で二号室にはいった大野さんが退院するところでした。 仁木兄妹は、大胆な行動に出ます。 もともと二号室には平阪が入っていましたから、何か見つかるかもしれないと思ったのでしょう。 そして、悦子がベッドの上の二つ折りになったクッションの中から、平阪のと思われる「内用薬」と書かれた白い散薬の袋を見つけます。 それを自分のポケットに入れます。 そのとき、その二号室のドアの外に誰かがいるのに気が付きます。 そのドアの外にいた誰かは、結局二号室には入らず、立ち去ります。 雄太郎は、辛うじて気づくほどの化粧料の香りから、そこにいたのは女性だと判断します。
警察がなぜクッションに隠されていた薬の袋を見つけることができなかったのか? 悦子が考察しますが、案外的を得ている感じです。 警察が二号室を調べたとき、その時の入院患者である大野さんが例のクッションをずっと抱えていたのではないか? あとは、その薬袋の意味ですね。 雄太郎は、野田看護婦に平阪の薬の事を聞いてみます。 すると、日曜の午後の検温のときに二回分あったことがわかりました。 それを知っていたのは、看護婦三人と箱崎医院長、そして平阪の奥さんとなります。 知っていたことが重要なんでしょうか?
それから、大野さん以外にも、宮内さん、小山田さん、工藤さんもきょう退院します。 なんか、必要ない人物をさっさと片付けた感じです。
退院した患者を見送った箱崎医院長とそのあと、仁木兄妹、特に雄太郎が事件に関して話します。 ・平阪の行方は依然わからない。 ・あの抜穴を作った清川とは連絡がついた。 ・清川も勝福寺の前の住職も、平阪とは関係ない。 ・箱崎医院長は平阪を疑ってはいるが、桑田老夫人を物置きに閉じ込められたのは別の理由ではないか? ・月曜の明け方坂の下に止まった自動車は大洋ドライヴ・クラブのではないか? ・日曜の夜、八時頃、大洋ドライヴ・クラブの自動車が小柄な男に借り出されている。 ・車種は草色のトヨペットです。 ・その小柄な男は、自分で運転したが、運転はたいしてうまくなかった。 ・大洋ドライヴ・クラブから500mほどの雑木林に乗り捨ててあった。 ・ガソリンが、かなり消費されていた。 ・平阪は自動車の運転ができた。 ・箱崎医院長も自動車の運転ができた。(これなんの意味があるんでしょ) ・英一も自動車の運転ができた。(ますますこれなんの意味があるんでしょ) とこんなところですか。
にしても、貸自動車って今風に言えばレンタカーですよね。 車を借りるときに免許証を提示しないのでしょうか? 運転免許証を所持していることは絶対的な条件であると思うので、やはり提示したとして、小柄な男となっているんでしょうね。 すると、小柄な男なんていましたっけ? この件は本編とは直接関係ない? でもわざとらしく挿入されているのが気になりますね。
雄太郎が話の続きに何気なく、とんでもないことを言います。 巣鴨の文房具店であった笠井あきらが敬二だとです。 雄太郎の慧眼にはびっくりさせられますが、そう言われればなんとなく分かる話でしたね。 ただ、こうなってくるとやっぱり敬二はサブキャラで直接の関係はないのでしょう。 雄太郎が、こんなふうに推理するんだということを現したかったのでしょうか?
その次には、こんな雄太郎を探偵と勘違いした五号室に入院している桐野青年の母親が、五日の夜、十二時頃、手術室で『こっちの一本は、このままにしておきますか?』と聞いたといいます。 その声が、家永看護婦に似ていたともです。 一緒に聞いていた箱崎医院長は、どうして家永看護婦がといいますが、 どうやら、手術室のカギの二つのひとつを家永看護婦が持っているのでそう思ったみたいですね。 家永看護婦は何をしていたのでしょう?
その時、雄太郎が、窓の外に黄色いネコが死んでいるのみつけます。 裏庭の果樹園のナシの木の下に、黄色いしまの子ネコが、横たわっています。 実際には気絶しているだけでした。 タイトルのとおり、猫がでてくるととても気になりますね。 猫は、どうして気絶していたのか? 気絶させたれていたのかもしれません。 まさに、猫はしっていたですね。
その後、仁木兄妹は、自分たちの成果を話し合います。 雄太郎は、ドライヴ・クラブで確認したことを話しますが、さほど新しいことはありません。 その男がミルキー・ハットをかぶっていたことと、 ガソリンの消費量からみて、8kmから10km走ったらしいということくらいです。 薬の分析は、あすの午前に結果が判明するということでした。 悦子は、桐野青年の母親の話を確認するために 人見さんと野田さんに聞いてみますが、日曜の夜はぐっすり眠っていたと想像通りの答えでした。 雄太郎は、何かを考える時のクセとして、手のひらを見つめて手相の研究に没頭し始めます。 この探偵がこの状態になったら、推理が始まったということなんですね。 覚えておきましょう。
平阪は相変わらず、行方不明だし、それ以外の謎もちょこちょこ出てきて、一体どうなるんでしょうね。
つづく
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5月31日(金)初日舞台挨拶レポート in ユナイテッド・シネマ豊洲
台風1号の影響により、あいにくの雨模様となったにもかかわらず、この日の舞台あいさつのチケットは完売。映画上映後、登壇者たちがステージに登壇すると客席からは万雷の拍手が鳴り響いた。そんな満員の観客を感慨深い様子で見渡した高畑は「本日は台風の中、こんなにたくさんの方に来ていただいてうれしい限りです。ご覧の通り、お終活の映画とは思えないほどに華やかな女優陣、そして華やかな男優陣が登壇しております。今日はどうぞお付き合いのほど、よろしくお願いします」とあいさつ。続く剛力も「満席はうれしいですね。本当にしあわせです」と語りつつも、ピンクの髪型に触れながら「グレました、娘。本当にすみません」と冗談めかすと、母親役の高畑も「ビックリしちゃった」と笑顔。さらに剛力が「ただ青春というか、再春というか、熟春というか、いろんなものにふさわしい、華やかな感じになったんじゃないかなと思います」と付け加えた。
さらに水野が「先ほどスタッフが、途中まで皆さんと一緒に映画を観ていたとのことで、たくさん笑っていたよ、という声を聞きました。特に(水野たちが出演する)野球のシーンはたくさん笑っていたと聞きまして。非常にうれしく思います」と続け��と、凰稀が「皆さん楽しんでいただけましたか?」と質問し、会場からは大きな拍手が。その様子に笑顔を見せた凰稀は「楽しんでいただけたならわたしもすごく胸がいっぱいでございます」と晴れやかな顔を見せた。
一方の、香月監督の熱烈なオファーで友情出演を果たすこととなった藤原は「わたしは前作を観て、とても大好きな映画だったので、オファーをいただいた時はめちゃくちゃうれしかったです。皆さんと同じように、この映画のファンのひとりです。今回はバーのママの役をやらせていただいたんですが、本当に貴重な経験をさせていただきました」とあいさつ。さらに長塚が「こういう機会はあまりないので本当にうれしいです。皆さんがご覧になった通り、楽しく撮影��させていただきました。この作品は続編ができるんじゃないかなと思っていますし、そうしたらそちらの方にも参加したいなと思いました」とさらなる続編に期待を寄せるひと幕もあった。
そして香月監督は「この映画は第二弾ですが、第一弾の1年後という設定でつくりました。第一弾の時はコロナの真っ最中で、公開の初日に9都道府県で映画館が閉まりました。われわれとしては、産んだ子どもが世に出なくて終わるんだろうなと思い、ものすごく落ち込んでおりました。その後、1年から1年半がたち、ホールとか、公民会など、いわゆる非劇場で映画を上映していただきまして。そこから7万人ちかくの方に観ていただいて。全国ナンバーワンになったと連絡が来ました。それで、みんなが観たがっているから、ぜひパート2をお願いしますということになり、この作品は生まれました。今日も朝から台風ということで、この映画はなんと七難八苦である��とかと思い、心配していたんですが、これだけのお客さまに集まっていただけて感謝しております」としみじみ。高畑も「うれしいですね。第二作がつくられるということは、(今後は何本も続編がつくられて)寅さんになるんじゃないかと思ったりして。それはうれしいことでした」と笑顔を見せた。
そしてこの日のイベント中には、「私の青春時代こんなにも輝いてました」と題して、登壇者たちの若き日の写真を披露することに。まずは高畑が高校時代の写真を披露。「生徒手帳の写真です。(校則で)パーマをかけちゃいけないのに、わたしは天然ですと言いはって、毎日お母ちゃんのカーラーを借りて、クルクルさせて学校に行ってました。水泳部なので泳ぐと直毛になるんですけどね。」と語り、会場を沸かせると、「当時は大人になりたいというか、ませてましたね。ただその時に陸上部に好きな人がいたんですけど、しゃべれなかった。彼の前に行くと貝みたいになってしまって。だから彼の前でもしゃべれるような開放的な人間になりたいと思って演劇の世界に飛び込んだんです」と女優としてのルーツを明かした。
続く剛力は小学校低学年で、おそらく7歳か8歳ごろと思われる頃の写真を披露。「この時にはじめて子供用の浴衣を着たんですけど、この頃は子供用があまりなくて。旅館に行ったときに子ども用サイズがありますと言われて、着させてもらったらものすごく気に入っちゃって。もともとお洋服は好きだったんですけど、ここからさらにオシャレに目覚めたというか。浴衣にときめいていた瞬間の写真を持ってきました」。
そして水野はサッカーをしている時の写真を披露。「僕は5歳から18歳までサッカーをやっていました。僕が5歳の時から、365日ずっとサッカーをやり続けて。中学校くらいまでは一生懸命やっていたんですけど、高校が『ROOKIES』みたいな学校で。顧問がユニホームを忘れて棄権とか、ファウルで乱闘になって中止とか。入ったのがそういうサッカー部だったので。最後の方は大好きなサッカーをなまけていしまったんです。でも今、僕はそれをちょっと後悔しているんです。13年近く続けたものの最後が、非常に後味が悪いなと思って。だから今の仕事は絶対にそういう風に、なまけないようにしたいと思い、真面目にやっています」と学生時代を振り返った。
さらに凰稀は、宝塚歌劇団宙組トップスター時代の写真を披露。「これは2015年、宝塚大劇場を卒業した日のセレモニーですね。紋付袴を着て、ファンの皆さんの前を練り歩きながら、ありがとうございましたとお辞儀をしたんですけど、わたしは中学生から宝塚に青春をささげたので。本当になつかしいです」としみじみ。
そして藤原は、公には“初出し”となる大学時代の写真を披露。「これは92年で、20歳の時の写真です。わたしはこの世界に入ることを夢見ていて、この頃にデビューしたんですけど、親には(芸能界入りを)反対されていました。わたしは大学の英米文学科に通っていたんですけど、この頃は兵庫県の西宮から東京に通っていて。両親からは一個でも単位を落としたら芸能界入りは許さないと言われて。円形脱毛症になるくらい必死に通っていました。だからこの時代の写真を見ると本当に頑張ったなと思いますし、今でももっと頑張らないとなと思わされます」。
長塚は「俳優になったか、ならないかくらいの写真です」といいながら、およそ50年前のパリ留学時代の若き日の写真を披露。それを補足するように香月監督が客席に向かって「この写真、見たことありますよね?」と尋ねると、「実はこの写真に赤ん坊の写真を合成して、映画でつかわせていただいたんです���その赤ちゃんというのが僕の孫でございます」と意外な裏話を明かして会場を驚かせた。そして最後は香月監督の助監督時代にカチンコを手にした写真を披露。「わたしは京都の撮影所で助監督をしておりまして。頭はリーゼントでヒゲ姿でした。当時、京都の撮影所は、なめられたら終わり、ケンカが強いヤツが一番偉い、という時代でしたから。ツッパってました」と笑いながら明かした。
そして最後にキャストを代表して高畑が観客にメッセージを。「今日こうして皆さまとお会いできまして。『お終活』の船出です。世の中はいろいろありますけど、映画を連れ立って観て、見終わったあとにああでもないこうでもないと。あの人は好きだとか、そうでもないとか話し合うこと。それは罪のないことですから。それも含めて楽しんでいただきたいと思います。おしゃべりはとても大事です。閉じこもって出掛けていない人のことを思い出したら、ぜひその方を誘っていただいて。この映画が多くの皆さまの目に触れますことをせつに願っております」と呼びかけた。
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