#ながたんと青と -いちかの料理帖-
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NAGATAN TO AOTO: ICHIKA NO RYOURIJOU ながたんと青と -いちかの料理帖- 2023, dir. Matsumoto Soushi.
#nagatan to aoto: ichika no ryourijou#nagatan to aoto#ながたんと青と -いちかの料理帖-#nagatan to aoto: ichiko's cookbook#jdrama#kadowaki mugi#sakuma ryuto#jdramaedit#*#nta: 1.07#jflowgifs
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Nagatan to Aoto - Ichika no Ryourijou`[ながたんと青と-いちかの料理帖-]: Nagatan & Aoto - Ichika's Cookbook
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(主人公・桑乃木いち日 役に門脇麦が決定!『ながたんと青と -いちかの料理帖-』超特報映像も解禁 - Tokyo Nowから)
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2022年やったこと
逢断24話目、生活がいろいろあれで年内完成は無理だなと踏んだので2022年の振り返りをします!
◆今年描いた漫画
・せんせいとぼくと世界の涯
完結させた! 色々反省点もあるけどとにかく終わらせられたのが良かった。多くの方に読んでもらえてよかったです。
あとがきもあります↓。
・逢断第23話
去年は「せんせいとぼくと世界の涯」に時間かけていたのと仕事が普通に忙しかったため逢断を全く描けず「今年こそ」と思っていたんですが、1話のみの進捗でした。いやもう進められただけ偉いと思おう。
2020年の「私の身体を探して」2021-2022年の「せんせいとぼくと世界の涯」を描き切ったのが私の中では人生の転機レベルの出来事でしたまじで。ここ5年ぐらいの創作活動における心理的な重荷全部下したと思う。身軽になったので、逢断もお話を終わらせるためにがんばろうと思います。漫画描くのって時間かかるね……時間かかるよ。
・逢断登場人物案内を作った
https://twitter.com/i/events/1565702862147301377
逢断はまだ23話目だというのに登場人物が基本主従セットで出てくるので人数が多くて「お前誰?」が発生しやすいため、必要だよなあと思ってはいました。ということで簡易的な登場人物案内落書きを今秋ちょっとずつ描いていたので、Twitterのモーメントにまとめています。
Twitterの挙動があまりにも不安定なため来年自サイトに別途格納したいし絵もちゃんと清書したいところです。人数の多さに「これ全部自分で描くのか……と思いつつ。
今年の漫画生産枚数は「せんせいとぼくと世界の涯」の年内分で60ページ、逢断23話目が24ページなので84ページです。24話目が仕上がっていれば100ページ超えていたんだな……いうてもまあまあ描いてるな。がんばったわ。
来年は「せんせいとぼくと世界の涯」の紙版発行、できれば電子書籍化もしたい。逢断1,2巻のオンデマンド本化、電子書籍化も検討してはいますが「できたらやる」ぐらいの感じなので薄目で見ておいてください。Kindleで読みたいというご意見を以前からいただいていたのでなんとかしたいな。
逢断24話目は1月にアップします。
◆今年描いたイラストについて
・シェイクスピアデーのイラスト
毎年恒例、4月23日シェイクスピアデーに何かやる、今年はマクベス夫人を描きました。今年前半はまだデジタルでペン画表現についてどうするか考えていたんだな……こちらもまだ試行錯誤が必要なスタイルなのでもうちょっといろいろやっていきたい���
・水彩的な何か
今年後半でいえばデジタルで水彩表現をすることに注力しました。
Twitterでご協力いただいて色々な方のオリジナルキャラクターを描かせてもらったのがめちゃめちゃ身になりました。改めまして感謝申し上げます。
主にClipstudioでどうにかする方法の確立が目的でした。試行錯誤やメモは下記に記録しています。
集中的にやると技術は身につくんだなあと思いました。
デジタルでアナログ表現をすることについての技術的な試みはずっとやっていることなのですが、デジタルでやろうとすると逆にアナログへの解像度が高くなって面白かったです。アナログ画材の挙動を演算処理するペイントソフトのRebelleを購入したのもいい経験でした。
それとは別に、海外の作家さんで、グレーから青の発色がすごく魅力的なインクの絵を描かれるかたが何人かいらっしゃってずっと気になっていたんですが、その画材がなんなのか、なんで独特な発色をしているのかがわかったのが今年の画材研究の中でも結構上位に来る感動でした。
アナログではあっても発色がスマホのアプリ経由の色味であって、アナログであろうがデジタルであろうが自分が求めるヴィジョンを再現できる画材であることが重要というのを再確認しました。世の中には面白いことをする人がほんとうにたくさんいる。
描くのが楽しい、はほぼイコールで「道具を使う」というフィジカル体験なんですよね。ペンタブで描くにしてもアナログの道具で描くにしても道具を使うことの面白さをじっくり味わった年になったと思います。
あと地味にやっているペン画練習インスタの今年更新分はこんなかんじ。もうちょっと描きたかったな。
https://www.instagram.com/hidasudati/
◆参加したイベント
・NEOKET2
・文具のみの市
・ペーパーウェル08
・ペーパーウェル09
・三富中立売書店
ほぼオンラインイベント、三富さんだけリアル書店の委託イベントでした。ペーパーウェルはコンビニのコピー機他の方法で作品出力することを主眼に置いた創作イベントです。私の水彩画の作風の何割かはペーパーウェルに参加することで養われている部分が確実にあるので、今年も作品が作れてよかったです。
アカウントこそ消していないもののpixivサービスの利用をやめてしまったので、BOOTHは閉店、FANBOXも停止してしまいましたが、お買い物したりご支援下さったり見守って下さった皆様ありがとうございました。
発行物の通販については先日架空ストアさんに委託したので、ご利用いただけましたら幸いです。
今年は活動や作品発表の形態をどうしていこうか考えた年でもありました。漫画については地道に描いていくしかないので地道に描いていくだけなんですが、「読まれる状態とは何か?」を考えないといけないのがなんとも面倒なところですよね。pixivとTwitterにはもう漫画本編を投稿しないほうがいいだろうとそれなりに前から決めていたので、今年の色々もあって本当にそのようにしました。アカウントを削除する予定はありませんが、Twitter自体の利用も来年からは情報告知程度に絞っていく予定です。
現状作品発表の場を自分のサイトだけにしているので、ほんとうに、「作品が読まれるインフラ」って一体何なんなんだって結構真面目に考えてしまいますね。即売会のようなリアルイベントに参加する気持ちがなくなって久しく(参加するとしたら委託です)、SNSにしろリアルイベントにしろ人のいるところに行かなければ読まれない、ということはわかっているのですが、どうにも様々な仕組みと自分との相性がよろしくないなと感じることが多いのが悩みどころです。イベントに直接参加すると元気がもらえる! という方は多いと思うのですが私は逆で、消耗して死、みたいな感じになりがちなので。やってみないとわからないので過去のイベント直接参加自体は楽しんではいたのですが、それはそうとしてしんどくなるものはしんどくなるのよね。
将来どこかの投稿サイトに漫画アップしはじめたら「あーちょっと気持ちかわったんかな」ぐらいに思っておいて下さい。
作品制作自体は相変わらずのペースで引き続きやっていきますので、来年もお付き合いいただけましたら嬉しいです。
今年のやり残しはあと素材サイトの再開だったなあ。来年ちゃんとやります。
2023年は何かめちゃめちゃハッピーなかんじのことがばかすか起こる年になってほしいですね。自分の具体的な願望としてはいいかんじの仕事がたくさんとれるといいな~と思っています(作業環境構築の設備投資をしたいため)。
皆様に健康と幸福が訪れますように。よいお年を。
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22.12.10 - 12.11 松本・浅間温泉
マッキー家と家族旅行に行ってきた。
土曜日
7時半に家を出発。車内は娘と僕の二人だけ。妻は仕事が入ったため遅れて来ることに。僕らはマッキー達と合流する前に松本市美術館に行き、草間彌生を楽しもうということになった。
松本市美術館で草間彌生を見るのはこれで二回目。かなり良かった。雪原は向かいに座って眺めているとまるで本当に雪原を、その上空から眺めているような気分になる。娘も大喜びで「彌生ちゃん最高!」と言っていた。
13時。マッキー達と合流。リトはだいぶ髪が伸びた。ヘアドネーションまでもあと僅か!ブックマークしていた蕎麦屋に向かったが、売り切れ御免。近くにあった薬膳カレーの店に向かう。これが当たりでとても美味しかった。
さて、本日のメインイベント。松本十帖に到着。1686年創業の老舗旅館とその周辺をリノベーション(エリア・リノベーションと言うそうだ)し、温泉街を盛り上げようという。松本本箱と小柳という二つのホテルを中心に、カフェや商店が周辺に点在している。まだまだこれからと思うが、面白い取り組みだと思った。
おやきとコーヒーでウェルカム。席のすぐそばにある本棚から「信州おやき大百科」という本を手に取り読んでみた。信州エリアのおやき人気店を紹介する本でなかなか興味深い内容。店ごとに変わる具材や皮の厚み、製法について紹介されている。自分は「さかた菓子舗」という店のおやきが気になったのでスマホで調べてブックマークした。ちなみに松本十帖のおやきは本の著者である小出さんが作っているらしい。
僕らは松本本箱というホテルに宿泊する。露天風呂付きデザイナーズツインという部屋でコンクリートが剥き出しの壁にラタン地の床、檜の露天風呂とモダンな雰囲気。押し入れのような空間のエクストラベッドルームもあり、娘は迷わずそこを選んでいた。
荷物を置いて一息ついたところに子供達がやってきてブックストアに行こうという。行こう行こうといってついて行くと、楽しげな空間に到着。本好きの楽園、、、とまでは行かないが、興味深い本が沢山あって、あっという間に2時間以上経ってしまった。
自分はオトナ本箱という建築やアート関係の写真集がズラッと並んだエリアに鎮座。Wolfgang Tillmansの写真集や、Martin Margielaのコレクション写真集、David Hockneyの画集もあり最高でした。ふと、ケータイを見ると16時半。やべえ、妻がそろそろ松本に上陸するんじゃないかとLINEを開くと、案の定「アリーが既読にならない」と語られていて慌てて松本駅に向かった。松本駅で拾った妻は既に仕上がっていた。昼前に仕事を終えた後、上司と寿司を食べに行ったらしい。もう、酒もいらないと言う。
妻を連れてホテルに戻るとタイミング良くマッキー夫婦が中から出てきて、飲みに行こうと。おやきを食べたカフェに向かう。ウイスキーをストレートでオーダー。みんなの近況報告をし合っていたら夕飯の時間。宿に戻る。
夕飯会場はブックストアと隣接した三六七という場所。席に着きメニューリストを見ると料理の名前は書かれてなく、食材のみ書かれてある。みんなでリストを見ながら、きっと一品目はこんなだろう、二品目はあんなだろうと料理を妄想した。で、一品目。ペースト状のカブの上に半透明のトマトのジュレ、そして青い葉が上からパラリと散らしてある。さてさてどんな味がするのかしらとスプーンですくって口に運ぶと、、、?となった。
「これは、、、美味いのか、、?」
自分の知る「美味い飯」の定義から随分と離れているようだ。素材の味が弱いし、食感も、、ルックスは非常に良い。無下に「口に合わない」と言ってはいけないような緊張感があって何度も何度も探るように味わった。リトは「飲み込めない」と言って葡萄ジュースで流し込んでいた。
二品目は、モミの木の、、何だこれ。。樹齢300年以上のモミの木を、ナイフとフォークで食べる。ぶっちゃけ全然、、いや、止そう。僕にはこの店の料理を批評するような知識と経験を持ち合わせていないのだから。結論だけいうと自分はここの食事が口に合わなかった。とはいえ出された飯は全部食べ、腹一杯。部屋に戻って風呂に入ると眠気に襲われ就寝。
日曜日
6時起床。シャワーに入って着替えた後、一人で散歩に出かけた。小雨の中、ホテルの周辺を散策。公共浴場が多くある。風情はあまりない。老人が老犬を散歩する姿を眺めながらタバコを一服。
部屋に戻って、朝食までまだ少し時間があったから、またブックストアに行ってもう一度Wolfgang Tillmansの写真集を眺めた。欲しいけど、表紙がボロボロなんだよなぁ。
朝食。サラダに南瓜のスープ、パン、ぶっといソーセージと朝食らしい安心感のあるメニューで良かった。朝食後、帰り支度をしてチェックアウト。安定のツルヤで食材買ってマッキー家とバイバイ。とても楽しい会でした。
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(五等分の花嫁(無料本 2巻まで) - kinlog -kindleマンガのおすすめ-から)
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「次室士官心得」 (練習艦隊作成、昭和14年5月) 第1 艦内生活一般心得 1、次室士官は、一艦の軍規・風紀の根源たることを自覚し、青年の特徴元気と熱、純 真さを忘れずに大いにやれ。 2、士官としての品位を常に保ち、高潔なる自己の修養はもちろん、厳正なる態度・動 作に心掛け、功利打算を脱却して清廉潔白なる気品を養うことは、武人のもっとも 大切なる修業なり。 3 宏量大度、精神爽快なるべし。狭量は軍隊の一致を破り、陰欝は士気を沮喪せし む。忙しい艦務の中に伸び伸びした気分を忘れるな。細心なるはもちろん必要なる も、「コセコセ」することは禁物なり。 4 礼儀正しく、敬礼は厳格にせよ。次室士官は「自分は海軍士官の最下位で、何に も知らぬのである」と心得、譲る心がけが必要だ。親しき仲にも礼儀を守り、上の 人の顔を立てよ。よからあしかれ、とにかく「ケプガン(次室士官室の長)を立てよ。 5 旺盛なる責任観念の中に常に生きよ。これは士官としての最大要素の一つだ。命令を下し、もしくはこれを伝達す る場合はは、必ずその��行を見届け、ここに初めてその責任を果したるものと心得べし。 5 犠牲的精神を発揮せよ、大いに縁の下の力持ちとなれ。 6 次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前になり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。 7、次室士官時代はこれからが本当の勉強時代、一人前にをり、わがことなれりと思うは大の間違いなり。公私を誤 りたるくそ勉強は、われらの欲せざるところなれども、学術方面に技術方面に、修練しなければならぬところ多し。 いそがしく艦務に追われてこれをないがしろにするときは、悔いを釆すときあり。忙しいあいだにこそ、緊張裡に修 業はできるものなり。寸暇の利用につとむべし。 つねに研究問題を持て。平素において、つねに一個の研究問題を自分にて定め、これにたいし成果の捕捉につと め、一纏めとなりたるところにてこれを記しおき、ひとつひとつ種々の問題にたいしてかくのごとくしおき、後となり てふたたびこれにつきて研究し、気づきたることを追加訂正し、保存しおく習慣をつくれば、物事にたいする思考力 の養成となるのみならず、思わざる参考資料をつくり得るものなり。 8、少し艦務に習熟し、己が力量に自信を持つころとなると、先輩の思慮円熟をるが、かえって愚と見ゆるとき来るこ とあるべし、これすなわち、慢心の危機にのぞみたるなり。この慢心を断絶せず、増長に任じ人を侮り、自ら軽ん ずるときは、技術・学芸ともに退歩し、ついには陋劣の小人たるに終わるべし。 9、おずおずしていては、何もできない。図々しいのも不可なるも、さりとて、おずおずするのはなお見苦しい。信ずる ところをはきはき行なって行くのは、われわれにとり、もっとも必要である。 10、何事にも骨惜L誤をしてはならない。乗艦当時はさほどでもないが、少し馴れて来ると、とかく骨惜しみをするよう になる。当直にも、分隊事務にも、骨惜しみをしてはならない。いかなるときでも、進んでやる心がけか必要だ。身 体を汚すのを忌避するようでは、もうおしまいである。 11、青年士官は、バネ仕掛けのように、働かなくてはならない。上官に呼ばれたときには、すぐ駆け足で近づき、敬 礼、命を受け終わらば一礼し、ただちにその実行に着手するごとくあるべし。 12、上官の命は、気持よく笑顔をもって受け、即刻実行せよ。いかなる困難があろうと、せっかくの上陸ができなか ろうと、命を果たし、「や、御苦労」と言われたときの愉快きはなんと言えぬ。 13、不関旗(他船と行動をともにせず、または、行動をともにできないことを意味する信号旗。転じてそっぽを向くこと ��いう)を揚げるな。一生懸命にやったことについて、きびしく叱られたり、平常からわだかまりがあったりして、不 関旗を揚げるというようなことが間々ありがちだが、これれは慎むべきことだ。自惚があまり強過ぎるからである。 不平を言う前に已れをかえりみよ。わが慢心増長の鼻を挫け、叱られるうちが花だ。叱って下さる人もなくなった ら、もう見放されたのだ。叱られたなら、無条件に有難いと思って間違いはない。どうでも良いと思うなら、だれが 余計な憎まれ口を叩かんやである。意見があったら、陰で「ぷつぷつ」いわずに、順序をへて意見具申をなせ。こ れが用いらるるといなとは別問題。用いられなくとも、不平をいわず、命令には絶対服従すべきことはいうまでもな し。 14、昼間は諸作業の監督巡視、事務は夜間に行なうくらいにすべし。事務のいそがしいときでも、午前午後かならず 1回は、受け特ちの部を巡視すべし。 15、「事件即決」の「モツトー」をもって、物事の処理に心がくべし。「明日やろう」と思うていると、結局、何もやらずに 沢山の仕事を残し、仕事に追われるようになる。要するに、仕事を「リード」せよ。 16、なすべき仕事をたくさん背負いながら、いそがしい、いそがしいといわず片づければ、案外、容易にできるもので ある。 17、物事は入念にやれ。委任されたる仕事を「ラフ」(ぞんぎい〕にやるのは、その人を侮辱するものである。ついに は信用を失い、人が仕事をまかせぬようになる。また、青年士官の仕事は、むずかしくて出来ないというようなも のはない。努力してやれば、たいていのことはできる。 18、「シーマンライク」(船乗りらしい)の修養を必要とす。動作は「スマート」なれ。1分1秒の差が、結果に大影響を あたえること多し。 19、海軍は、頭の鋭敏な人を要するとともに、忠実にして努力精励の人を望む。一般海軍常識に通ずることが肝要、 かかることは一朝一夕にはできぬ。常々から心がけおけ。 20 要領がよいという言葉もよく聞くが、あまりよい言葉ではない。人前で働き、陰でずべる類いの人に対する尊称 である。吾人はまして裏表があってはならぬ。つねに正々堂々とやらねばならぬ。 21、毎日各室に回覧する書類(板挟み)は、かならず目を通し捺印せよ。行動作業や当直や人事に関するもので、 直接必要なる事項が沢山ある。必要なことは手帖に抜き書きしておけ。これをよく見ておらぬために、当直勤務 を間違っていたり、大切な書類の提出期目を誤ったりすることがある。 22、手帖、「パイプ」は、つねに持っておれ。これを自分にもっとも便利よきごとく工夫するとよい。 23、上官に提出する書類は、かならず自分で直接差し出すようにせよ。上官の机の上に放置し、はなはだしいのは 従兵をして持参させるような不心得のものが間々ある。これは上官に対し失礼であるばかりでなく、場合により ては質問されるかも知れず、訂正きれるかも知れぬ。この点、疎にしてはならない。 24、提出書類は早目に完成して提出せよ。提出期口ぎりぎり一ぱい、あるいは催促さるごときは恥であり、また間違 いを生ずるもとである。艦長・副長・分隊長らの捺印を乞うとき、無断で捺印してはいけない。また、捺印を乞う 事項について質問されても、まごつかぬよう準備調査して行くことが必要。捺印を乞うべき場所を開いておくか、 または紙を挾むかして分かりやすく準備し、「艦長、何に御印をいただきます」と申し出て、もし艦長から、「捺して 行け」と言われたときは、自分で捺して、「御印をいただきました」ととどけて引き下がる。印箱の蓋を開け放しに して出ることのないように、小さいことだが注意しなければならぬ。 25、軍艦旗の揚げ降ろしには、かならず上甲板に出て拝せよ。 26、何につけても、分相応ということを忘れるな。次室士官は次室士官として、候補生は候補生として。少尉、中尉、 各分あり。 27、煙草盆の折り椅子には腰をおろすな。次室士官は腰かけである。 28、煙草盆のところで腰かけているとき、上官が来られたならば立って敬礼せよ。 29、機動艇はもちろん、汽車、電車の中、講話場において、上級者が来られたならば、ただちに立って席を譲れ。知 らぬ顔しているのはもっとも不可。 30、出入港の際は、かならず受け持ちの場所におるようにせよ。出港用意の号音に驚いて飛び出すようでは心がけ が悪い。 31、諸整列があらかじめ分かっているとき、次室士官は、下士官兵より先にその場所にあるごとくせ。 32、何か変わったことが起こったとき、あるいは何となく変わったことが起こったらしいと思われるときは、昼夜を問わ ず第1番に飛び出してみよ。 33、艦内で種々の競技が行なわれたり、または演芸会など催される際、士官はなるべく出て見ること。下士官兵が 一生懸命にやっているときに、士官は勝手に遊んでおるというようなことでは面白くない。 34、短艇に乗るときは、上の人より遅れぬように、早くから乗っておること。もし遅れて乗るような場合には、「失礼い たしました」と上の人に断わらねばならぬ。自分の用意が遅れて定期(軍艦と陸上の間を往復し、定時にそれら を発着する汽艇のこと)を待たすごときは、もってのほである。かかるときは断然やめて次ぎを待つべし。 短艇より上がる場合には、上長を先にするこというまでもなし。同じ次室士官内でも、先任者を先にせよ。 35、舷門は一艦の玄開口なり。その出入りに際しては、服装をととのえ、番兵の職権を尊重せよ。雨天でないとき、 雨衣や引回しを着たまま出入りしたり、答礼を欠くもの往々あり、注意せよ。 第2 次室の生活について 1、我をはるな。自分の主張が間遠っていると気づけば、片意地をはらす、あっさりとあらためよ。 我をはる人が1人でもおると、次室の空気は破壊される。 2、朝起きたならば、ただちに挨拶せよ。これが室内に明るき空気を漂わす第一誘因だ。3、次室 にはそれぞれ特有の気風かある。よきも悪きもある。悪い点のみ見て、憤慨してのみいては な���ない。神様の集まりではないから、悪い点もあるであろう。かかるときは、確固たる信念と決心をもって自己を修め、自然に同僚を善化せよ。 4、上下の区別を、はっきりとせよ、親しき仲にも礼儀をまもれ。自分のことばかり考え、他人のことをかえりみないよ うな精神は、団体生活には禁物。自分の仕事をよくやると同時に、他人の仕事にも理解を持ち便宜をあたえよ。 5、同じ「クラス」のものが、3人も4人も同じ艦に乗り組んだならば、その中の先任者を立てよ。「クラス」のものが、次 室内で党をつくるのはよろしくない。全員の和衷協力はもっとも肝要なり。利己主義は唾棄すべし。 6、健康にはとくに留意し、若気にまかせての不摂生は禁物。健全なる身体なくては、充分をる御奉公で出来ず。忠 孝の道にそむく。 7、当直割りのことで文句をいうな。定められた通り、どしどしやれ。病気等で困っている人のためには、進んで当直を 代わってやるぺきだ。 8、食事に関して、人に不愉快な感じを抱かしむるごとき言語を慎め。たとえば、人が黙って食事をしておるとき、調理 がまずいといって割烹を呼びつけ、責めるがごときは遠慮せよ。また、会話などには、精練きれた話題を選べ。 9、次室内に、1人しかめ面をして、ふてくされているものがあると、次室全体に暗い影ができる。1人愉快で朗らかな 人がいると、次室内が明るくなる。 10、病気に羅ったときは、すぐ先任者に知らせておけ。休業になったら(病気という程度ではないが(身体の具合い が悪いので、その作業を休むこと)先任者にとどけるとともに、分隊長にとどけ、副長にお願いして、職務に関する ことは、他の次室士官に頼んでおけ。 11、次室内のごとく多数の人がいるところでは、どうしても乱雑になりがちである。重要な書類が見えなくなったとか 帽子がないとかいってわめきたてることのないように、つねに心がけなければならぬ。自分がやり放しにして、従 兵を怒鳴ったり、他人に不愉快の思いをきせることは慎むべきである。 12、暑いとき、公室内で仕事をするのに、上衣をと��くらいは差し支えないが、シャツまで脱いで裸になるごときは、 はをはだしき不作法である。 13、食事のときは、かならず軍装を着すべし。事業服のまま食卓についてはならぬ。いそがしいときには、上衣だけ でも軍装に着換えて食卓につくことになっている。 14、次室士官はいそがしいので一律にはいかないが、原則としては、一同が食卓について次室長(ケプガソ)がはじ めて箸をとるべきものである。食卓について、従兵が自分のところへ先に給仕しても、先任の人から給仕せしむる ごとく命すべきだ。古参の人が待っているのに、自分からはじめるのは礼儀でない。 15、入浴も先任順をまもること。水泳とか武技など行をったときは別だが、その他の場合は遠慮すべきものだ。 16 古参の人が、「ソファー」に寝転んでいるのを見て、それを真似してはいけない。休むときても、腰をかけたまま、 居眠りをするぐらいの程度にするがよい。 17、次室内における言語においても気品を失うな。他の人に不快な念を生ぜしむべき行為、風態をなさず、また下士 官兵考課表等に関することを軽々しく口にするな。ふしだらなことも、人秘に関することも、従兵を介して兵員室に 伝わりがちのものである。士官の威信もなにも、あったものでない。 18、趣味として碁や将棋は悪くないが、これに熱中すると、とかく、尻が重くなりやすい。趣味と公務は、はっきり区別 をつけて、けっして公務を疎にするようなことがあってはならぬ。 19、お互いに、他の立場を考えてやれ。自分のいそがしい最中に、仕事のない人が寝ているのを見ると、非難した いような感情が起こるものだが、度量を宏く持って、それぞれの人の立場に理解と同情を持つことが肝要。 20、従兵は従僕にあらず。当直、その他の教練作業にも出て、士官の食事の給仕や、身辺の世話までするのであ るからということを、よく承知しておらねばならぬ。あまり無理な用事は、言いつけないようにせよ。自分の身辺の ことは、なるべく自分で処理せよ、従兵が手助けしてくれたら、その分だけ公務に精励すべきである。釣床を釣っ てくれ、食事の給仕をしてくれるのを有難いと思うのは束の間、生徒・候補生時代のことを忘れてしまって、傲然と 従兵を呼んで、ちょっと新聞をとるにも、自分のものを探すにもこれを使うごときは、わがみずからの品位を下げゆ く所以である。また、従兵を「ボーイ」と呼ぶな。21、夜遅くまで、酒を飲んで騒いだり、大声で従兵を怒鳴ったりす ることは慎め。 21、課業時のほかに、かならず出て行くべきものに、銃器手入れ、武器手入れに、受け持ち短艇の揚げ卸しがある 第3 転勤より着任まで 1、転勤命令に接したならば、なるべく早く赴任せよ。1日も早く新勤務につくことが肝 要。退艦したならば、ただちに最短距離をもって赴任せよ、道草を食うな。 2、「立つ鳥は後を濁さず」仕事は全部片づけておき、申し継ぎ��万遺漏なくやれ。申し 継ぐべき後任者の来ないときは、明細に中し継ぎを記註しおき、これを確実に託し おけ。 3、退艦の際は、適宜のとき、司令官に伺候し、艦長・副長以下各室をまわり挨拶せよ4、新たに着任すべき艦の役務、所在、主要職員の名は、前もって心得おけ。 5、退艦・着任は、普通の場合、通常礼装なり。 6、荷物は早目に発送し、着任してもなお荷物が到着せぬ、というようなことのないようにせよ。手荷物として送れば、早目に着く。 7、着任せば、ただちに荷物の整理をなせ。 8、着任すべき艦の名を記入したる名刺を、あらかじめ数枚用意しおき、着任予定日時を艦長に打電しおくがよい。 9、着任すべき艦の所在に赴任したるとき、その艦がおらぬとき、たとえば急に出動した後に赴任したようなと時は、 所在鎮守府、要港部等に出頭して、その指示を受けよ。さらにまた、その地より他に旅行するを要するときは、証 明書をもらって行け。 10、着任したならば、当直将校に名刺を差し出し、「ただいま着任いたしました」ととどけること。当(副)将校は副長に 副長は艦長のところに案内して下さるのが普通である。副長から艦長のところへつれて行かれ、それから次室 長が案内して各室に挨拶に行く。艦の都合のよいとき、乗員一同に対して、副長から紹介される。艦内配置は、 副長、あるいは艦長から申し渡される。 11、各室を一巡したならば、着物を着換えて、ひとわたり艦内を巡って艦内の大体を大体を見よ。 12、配置の申し継ぎは、実地にあたって、納得の行くごとく確実綿密に行なえ。いったん、引き継いだ以上、全責任 は自己に移るのだ。とくに人事の取り扱いは、引き継いだ当時が一番危険、ひと通り当たってみることが肝要だ。 なかんずく叙勲の計算は、なるべく早くやっておけ。 13、着任した日はもちろんのこと、1週間は、毎夜巡検に随行するごとく心得よ。乗艦早々から、「上陸をお願い致し ます」などは、もってのほかである。 14、転勤せば、なるべく早く、前艦の艦長、副長、機関長、分隊長およびそれぞれ各室に、乗艦中の御厚意を謝す る礼状を出すことを忘れてはならぬ。 第4 乗艦後ただちになすべき事項 1、ただちに部署・内規を借り受け、熟読して速やかに艦内一般に通暁せよ。 2、総員起床前より上甲板に出で、他の副直将校の艦務遂行ぶりを見学せよ。2、3日、当直ぶりを注意して見てお れば、その艦の当直勤務の大要は分かる。しかして、練習艦隊にて修得せるところを基礎とし、その艦にもっとも 適合せる当直をなすことができる。 3、艦内旅行は、なるぺく速やかに、寸暇を利用して乗艦後すぐになせ。 4、乗艦して1ヵ月が経過したならば、隅々まで知悉し、分離員はもちろん、他分隊といえども、主たる下士官の氏名 は、承知するごとく心がけよ。 第5上陸について 1、上陸は控え目にせよ。吾人が艦内にあるということが、職責を尽くすということの大部である。職務を捨ておいて 上陸することは、もってのほかである。状況により、一律にはいえぬが、分隊長がおられぬときは、分隊士が残る ようにせよ。 2、上陸するのがあたかも権利であるかのように、「副長、上陸します」というべきでない。「副長、上陸をお願いしま す」といえ。 3、若いときには、上陸するよりも艦内の方が面白い、というようにならなけれぱならない。また、上陸するときは、自 分の仕事を終わって、さっぱりした気分で、のびのびと大いに浩然の気を養え。 4、上陸は、別科後よりお願いし、最終定期にて帰艦するようにせよ。出港前夜は、かならず艦内にて寝るようにせよ。上陸する場合には、副長と己れの従属する士官の許可をえ、同室者に願い、当直将校にお願いして行くのが慣例 である。この場合、「上陸をお願い致します」というのが普通、同僚に対しては単に、「願います」という。この「願い ます」という言葉は、簡にして意味深長、なかなか重宝なものである。すなわち、この場合には、上陸を願うのと、 上陸後の留守中のことをよろしく頼む、という両様の意味をふくんでいる。用意のよい人は、さらに関係ある准士 官、あるいは分隊先任下士官に知らせて出て行く。帰艦したならば、出る時と同様にとどければよい。たたし、夜 遅く帰艦して、上官の寝てしまった後は、この限りでない。士宮室にある札を裏返すようになっている艦では、か ならず自分でこれを返すことを忘れぬごとく注意せよ。 6、病気等で休んでいたとき、癒ったからとてすぐ上陸するごときは、分別がたらぬ。休んだ後なら、仕事もたまってお ろう、遠慮ということが大切だ。 7、休暇から帰ったとき、帰艦の旨をとどけたら、第1に留守中の自分の仕事および艦内の状況にひと通り目を通せ。 着物を着換え、受け持ちの場所を回って見て、不左中の書類をひと通り目を通す心がけが必要である。 8、休暇をいただくとき、その前後に日曜、または公暇日をつけて、規定時日以上に休暇するというがごときは、もっと も青年士官らしくない。 9、職務の前には、上陸も休暇もない、というのが士官たる態度である。転勤した場合、前所轄から休暇の移牒があ ることがあるけれども、新所轄の職務の関係ではいただけないことが多い。副長から、移牒休暇で帰れといわる れば、いただいてもよいけれども、自分から申し出るごときことは、けっしてあってはならぬ。 第6部下指導について 1、つねに至誠を基礎とし、熱と意気をもって国家保護の大任を担当する干城の築造者たることを心がけよ。「功は部下に譲り、部下の過ちは 自から負うは、西郷南洲翁が教えしところなり。「先憂後楽」とは味わうべき言であって、部下統御の機微なる心理も、かかるところにある統御者たるわれわれ士官は、つねにこの心がけが必要である。石炭 積みなど苦しい作業のときには、士官は最後に帰るようつとめ、寒い ときに海��を浴びながら作業したる者には、風呂や衛生酒を世話してやれ。部下につとめて接近して下情に通せよ。しかし、部下を狎れしむるは、もっとも不可、注意すべきである。 2、何事も「ショート・サーキット」(短絡という英語から転じて、経由すべきところを省略して、命令を下し、または報告する海軍用語)を慎め。い ちじは便利の上うたが、非常なる悪結果を齋らす。たとえば、分隊士を抜きにして分隊長が、直接先任下士官に命じたとしたら、分隊士たる者いかなる感を生ずるか。これは一例だか、かならず順序をへて命 を受け、または下すということが必要なり。 3、「率先躬行」部下を率い、次室士官は部下の模範たることが必要だ。物事をなすにもつねに衆に先じ、難事と見ば、 真っ先にこれに当たり、けっして人後におくれざる覚悟あるべし。また、自分ができないからといって、部下に強制 しないのはよくない。部下の機嫌をとるがごときは絶対禁物である。 4、兵員の悪きところあらば、その場で遠慮なく叱咤せよ。温情主義は絶対禁物。しかし、叱責するときは、場所と相 手とを見でなせ。正直小心の若い兵員を厳酷な言葉で叱りつけるとか、また、下士官を兵員の前で叱責するなど は、百害あって一利なしと知れ。 5、世の中は、なんでも「ワソグランス」(一目見)で評価してはならぬ。だれにも長所あり、短所あり。長所さえ見てい れば、どんな人でも悪く見えない。また、これだけの雅量が必要である。 6、部下を持っても、そうである。まずその箆所を探すに先だち、長所を見出すにつとめることが肝要。賞を先にし罰を 後にするは、古来の名訓なり。分隊事務は、部下統御の根底である。叙勲、善行章(海軍の兵籍に人ってから3 年間、品行方正・勤務精励な兵にたいし善行章一線があたえられ、その後、3年ごとに同様一線あてをくわえる。 勇敢な行為などがあった場合、特別善行章が付与される)等はとくに慎重にやれ。また、一身上のことまで、立ち 入って面倒を見てやるように心がけよ。分隊員の入院患者は、ときどき見舞��てやるという親切が必要だ。 第7 その他一般 1、服装は端正なれ。汚れ作業を行なう場合のほかは、とくに清潔端正なるものを用いよ。帽子がまがっていたり、「 カラー」が不揃いのまま飛び出していたり、靴下がだらりと下がっていたり、いちじるしく雛の寄った服を着けている と、いかにもだらしなく見える。その人の人格を疑いたくなる。 2、靴下をつけずに靴を穿いたり、「ズボン」の後の「ビジヨウ」がつけてなかったり、あるいはだらりとしていたり、下着 をつけず素肌に夏服・事業服をつけたりするな。 3 平服をつくるもの一概に非難すべきではいが、必要なる���服が充分に整っておらぬのに平服などつくるのは本末 顛倒である。制服その他、御奉公に必要をる服装属具等なにひとつ欠くるところなく揃えてなお余裕あらば、平服 をつくるという程度にせよ。平服をつくるならば、落ちついて上品な上等のものを選べ。無闇に派手な、流行の尖 端でもいきそうな服を着ている青年士官を見ると、歯の浮くような気がする。「ネクタイ」や帽子、靴、「ワイシャツ」 「カラー」「カフス」の釦まで、各人の好みによることではあろうが、まず上品で調和を得るをもって第1とすべきであ る。 4、靴下もあまりケパケパしいのは下品である。服と靴とに調和する色合いのものを用いよ。縞の靴下等は、なるべく はかぬこと、事業服に縞の靴下等はもってのほかだ。 5、いちばん目立って見えるのは、「カラー」と「カフス」の汚れである、注意せよ。また、「カフス」の下から、シャツの 出ているのもおかしいものである。 6、羅針艦橋の右舷階梯は、副長以上の使用さるべきものなり。艦橋に上がったら、敬礼を忘れるな。 7 陸上において飲食するときは、かならず一流のところに入れ。どこの軍港においても、士官の出入りするところと、 下士官兵の出入りするところは確然たる区別がある。もし、2流以下のところに出入りして飲食、または酒の上で 上官たるの態度を失し、体面を汚すようなことがあったら、一般士官の体面に関する重大をることだ。 8、クラスのためには、全力を尽くし一致団結せよ。 9、汽車は2等(戦前には1、2、3等の区分があった)に乗れ。金銭に対しては恬淡なれ。節約はもちろんだが、吝薔 に陥らぬよう注意肝心。 10、常に慎独を「モットー」として、進みたきものである。是非弁別の判断に迷い、自分を忘却せるかのごとき振舞い は、吾人の組せざるところである。
hiramayoihi.com/Yh_ronbun_dainiji_seinenshikankyouikugen.htm
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Nagatan to Ao to: Ichika no Ryourichou (ながたんと青と ―いちかの料理帖―) by Isoya Yuki, vol. 1-4
#nagatan to aoto#nagatan to aoto ichika no ryourijou#yuki isoya#isoya yuki#yamaguchi amane#kuwanoki ichika#josei#filli's collection of beautiful covers#filli's#praying for translations
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付記「日本悪趣味文化の歴史的変遷」
虫塚虫蔵&宇川直宏&竹熊健太郎EDIT*21
【前史】
(明治)野村文夫「團團珍聞」→宮武外骨「滑稽新聞」
【第一次:エログロナンセンス期】
(大正)宮武外骨「変態知識」→上森健一郎「変態資料」→(昭和)江戸川乱歩→夢野久作→梅原北明「グロテスク」→阿部定事件<終焉>
【第二次:カストリブーム期以降】
(昭和)「りべらる」→「猟奇」→「奇譚クラブ」/「家畜人ヤプー」(康芳夫)→「裏窓」→「風俗奇譚」→澁澤龍彥「血と薔薇」→大澤正道「黒の手帖」
【第三次:悪趣味/鬼畜ブーム期】
吉行淳之介/野坂昭如/井上ひさし/遠藤周作/筒井康隆他「面白半分」→今野裕一「夜想」→高杉弾/山崎春美/近藤十四郎/隅田川乱一他「X-magazine / Jam」「HEAVEN」→蛭子能収「地獄に堕ちた教師ども」「私はバカになりたい」→青山正明「突然変異」「Hey!Buddy」「Billy」「サバト」→データハウス「悪の手引書」「悪のマニュアル」→根本敬「花ひらく家族天国」「生きるー村田藤吉寡黙日記」→丸尾末広「少女椿」→山野一「夢の島で逢いましょう」「四丁目の夕日」「貧困魔境伝ヒヤパカ」→秋田昌美「倒錯のアナグラム」→(平成)→バクシーシ山下「女犯」→ねこぢる「ねこぢるうどん」→根本敬「怪人無礼講ララバイ」「亀ノ頭スープ」「豚小屋発犬小屋行き」→青山正明「危ない薬」→バクシーシ山下「ボディコン労働者階級」→根本敬「因果鉄道の旅」→鶴見済「完全自殺マニュアル」→氏賀Y太「毒どく」→山野一「混沌大陸パンゲア」「どぶさらい劇場」→小林小太郎編「TOO NEGATIVE」→井口昇/卯月妙子「ウンゲロミミズ エログロドキュメント」→秋田昌美「スカムカルチャー」→田野辺尚人他「悪趣味洋画劇場」→宝���社「別冊宝島」「宝島30」→根本敬「人生解毒波止場」→赤田祐一編「Quick Japan」→ユリイカ「悪趣味大全」→映画秘宝編集部「悪趣味邦画劇場」→青山正明/吉永嘉明/村崎百郎他/東京公司編「危ない1号」「鬼畜ナイト」→木村重樹/椹木野衣編「ジ・オウムーサブカルチャーとオウム真理教」→コアマガジン「BURST」(のち「BURST HIGH」「TATTOO BURST」「DVD BURST」に派生)→別冊宝島編集部「トンデモ悪趣味の本」→世紀末倶楽部編集部「世紀末倶楽部」→山田花子「自殺直前日記」→村崎百郎「鬼畜のススメ」→村崎百郎×根本敬「電波系」→「マンガ地獄変」→根本敬「さむくないかい」→「GON!」「BUBKA」以下便乗系→酒鬼薔薇事件<終焉>(この年「ガロ」休刊)
【鬼畜ブーム以降】
根本敬「神様の愛い奴」→ドクタークラレ編「危ない28号」「コンピュータ悪のマニュアル」→「青山正明全仕事」→「データハウス1号」→「いやらしい2号」→光彩書房編『激しくて変』→早見純『ラブレターフロム彼方』→村田らむ「こじき大百科」「ホームレス大図鑑」→比嘉健二編「実話GON!ナックルズ」→唐沢俊一×村崎百郎「社会派くんがゆく!」→薬理凶室「図解アリエナイ理科ノ教室」→吉永嘉明「自殺されちゃった僕」→アスペクト編「村崎百郎の本」
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I'm going to be honest with you. On the night of your birthday, when I said I had no romantic feelings for you, I was lying. So please don't push me away.
NAGATAN TO AOTO: ICHIKA NO RYOURIJOU ながたんと青と -いちかの料理帖- 2023, dir. Matsumoto Soushi.
#nagatan to aoto: ichika no ryourijou#nagatan to aoto#ながたんと青と -いちかの料理帖-#nagatan to aoto: ichiko's cookbook#jdrama#kadowaki mugi#sakuma ryuto#jdramaedit#*#subs: ECOTVSubs#jflowgifs
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ざこ八 1/2
「へえ、ごめん、こんにちは。桝屋《ますや》新兵衛さんのお宅は、こちらでございますか?」 「はい、どなたじゃな? 桝屋新兵衛はてまえじゃ。あけてはいりなはれ」 「へえ、ごめん……おお、おじさんで……ごきげんよろしゅうございます」 「はいはい、どなたじゃな? 年をとると、目がわるうてどもならん」 「へえ、おみわすれはごもっともで……町内におりましためがね屋の弟の鶴吉で……」 「なに? 鶴さんやて? そら、めずらしい人じゃ。さあ、まあ、かけなされ……これ、お茶を持っといで」 「どうぞおかまいなく……」 「いや、お茶は、わたしが飲みますのじゃ」 「ああ、さようで……」 「これ、めがねを持ってきとくれ。いや、もう、年をとるとあかんで、めがねがないと、どもならん……おお、こら、ほんまに鶴さんじゃ。ごきげんさん」 「おひさしゅうございます。長らくごぶさたをいたしまして、いつもお達者で結構でございます」 「はいはい、いや、あなたもお達者で結構。長らくどこへいてなさった?」 「はい、東京へいっておりまして……」 「ああ、そうか、道理で、ことばがすっかりちごうてきたとおもいました。しかし、もう何年になるかえ?」 「へえ、町内をでましてから、ざっと十年になります」 「早いもんやなあ。十年にもなるか……そうして、東京は、どこにいてやったんや?」 「魚河岸におりまして……」 「ふーん、いさましいところやな。わたしもだいぶ前に東京へいったことがあるが、東京もずいぶんとかわりましたやろ?」 「へえ、ずいぶんとかわっております」 「そうやろな。わたしも、もう一ぺんいきたいとおもうてんねが、この年になったら、とてもあかん」 「この坊《ぼ》んは、おじさんの坊んで?」 「なにをいうのじゃ。これは、おまえさんの友だちの、せがれ新之助の子じゃ。いまな、三人孫ができて、これがいちばん兄じゃ。これ、おじさん、おいでやすといいなされ……はい、もう七つになります」 「そんなことは存じませいで、知っておりましたら、坊《ぼ》んになんぞ買うてまいりますに、これは、まずいものですが、手みやげのかわりで……」 「こりゃ気の毒な……さよか、いただきます。大きにありがとうさん……これ、おじさんに、いつも歌う唄を聞かしてあげ。あの、��れ……なに? おじちゃん、大きな目をあいてるさかい、いややて? なにをいいくさる。鶴さん、孫が、あんたに唄を聞かすちゅうてます。目をつぶってやってください」 「へえ、坊んは唄がおじょうずで? そんなら、おじちゃん、目をつぶってますで、聞かしとくなされ」 「さあ、おじちゃんが、目をつぶってくださった。早よ歌い。なんやったいなあ。野毛のかいな、野毛の山からノーエかいな? …… 野毛の山からノーエ、鉄砲サイサイ、かついで小隊すすめ……」 「えらい坊んは、老《お》いくろしいお声で……」 「いまのはわたしじゃ、ははははは」 「ときに、あのお町内の糸屋さんは、ただいま通ってまいりましたら、お宅がころっとかわっておりましたが……」 「糸屋さんか。あのお宅はえらいご出世じゃ。いまは、横町《よこまち》へ地所を買うて、りっぱなご普請をなさって、ご家族も、上下《かみしも》かけて二十七、八人はござるそうじゃ。なんでも生糸相場で、ぎょうさんもうけなしたのじゃ」 「へえ、あの播磨《はりま》屋さんは?」 「播磨屋さんは、いま、心斎橋すじに店をだして、なかなか繁昌してござると聞いてます。それにひきかえ、あいかわらずつまらんのは、わたしとこじゃ」 「あほらしい。これだけの店を張ってござるのに……」 「あははは、わたしは、もう隠居して、店は新之助にすっかりゆずりましたが、あれは、あいかわらず、沈香も焚かず、屁もこかずで、ただ店を守ってるというだけじゃ、あははは」 「それに、あの角に、ざこ八という米屋さんがございましたが、あのお宅は?」 「ざこ八さんのお宅か? 気の毒につぶれました」 「えっ! あの四丁|界隈《かいわい》切っての金持といわれたざこ八さんがつぶれましたか……しかし、ざこ八さんは、あのようにかたいおかた、おばあさんは女のこと、ほかに娘さんひとり……まあ、ほかにつぶす者はないはず……いったい、ざこ八をつぶしたのはだれです?」 「ああ、めがね屋の弟むすこの鶴吉という人がつぶしたんや」 「おじさん、じょうだんを……なぶらないで……」 「いや、じょうだんでも、なぶりもしやせん。おまえさんがつぶしてやったんや」 「そら、真剣におっしゃるのですか?」 「そうじゃ」 「カア、プウ!」 「これ、畳の上へ土足であがってどうするんねん? これ、つばをはいたりして……」 「つばじゃねえや。痰《たん》だい。おう、もう一ぺんいってみろ。この唐変木《とうへんぼく》め。なにをぬかしやがるんだい。ふんふんと聞いてりゃ、いい気になって、おう、よくかんがえてみろ……十年前に東京へいって、いま帰ったばかりのこちとらが、どうしてざこ八のうちをつぶせるんでえ? おかし���ことをぬかしやがると、上あごと下あごと持って、ぴいっとふたつに裂《さ》いて、はなかんじまうぞ」 「ちりがみみたいやな、まるで……あははは」 「なにがおかしいんだ?」 「これ、表へ立つな。喧嘩やない。すこし声の大きいはなしをしてるのじゃ。入り口の障子をしめときなされ。戸口へ人が立つ。これ、鶴さん、大きな声をだしなさんな。ご近所へみっともない」 「大きな声は地声だい」 「みんな、逃げいでもよろしい。鶴さん、もう、いうことは、それでしまいか? これ、ほかの者なら、いまのおまえさんの権幕《けんまく》で逃げるか知らんが、この桝屋新兵衛だけは、おどろかんのじゃ……おまえさんが、ざこ八をつぶしたというその因縁を説き聞かしてあげようか。おまえさんは、むかしからこの町内でのほめ者やった。若い者に似合わん、放蕩《ほうとう》もせず、よくはたらく、感心な者やと、だれひとり、おまえのことをわるういう者はなかった」 「おだてるない、この禿《はげ》ちゃびん」 「いや、おだてやせん。ほんまのはなしをしてますのじゃ。町内に極道《ごくどう》むすこがあると、おまえさんを手本として意見をするくらいじゃ。そのうちに、おまえさん、浄瑠璃の稽古屋入り。ああ、わるいとこへはいったなあ。あれが機会《どうき》で、わるい友だちでもできて、極道せなよいがなあとおもうたが、なかなか身をくずさず、あいかわらず商売をいっしょうけんめいにやりなさる。浮いたはなしも聞いたことがない。ところで、いまでもおまえはんはええ男や。まして、十年前はなかなかの美男子、町内の娘が、お前さんに、やいやいという。ざこ八の娘のおきぬさんも、一目おまえさんをみるなり惚れこんだのじゃ。ところが、ある日、町内に宴会があった。ほかの人とわかれて、この町内へ帰るのは、わたしとざこ八とふたりづれ、道でのはなしに、『ときに桝屋さん、うちの娘のおきぬに、だれぞええ養子がありましたらお世話ねがいます』とのはなし。わたしが、『めがね屋の鶴さんは?』と、おまえさんのことをいうたんじゃ。すると、『鶴さんなら町内でのほめ者《もん》、本人もかたい人やで結構、しかし、娘がなんというか、一度娘にはなしをしてみます』と、その晩はわかれて帰った。あくる日、ざこ八が、娘にはなしをしたら、自分が惚れた男、なんの不服があるものかいな、ふたつ返事で承知したので、さっそくわたしのうちへきて、はなしをすすめてくれとのたのみ。そこで、おまえとこの兄さんにはなしをした。ところが、おまえの兄さんはかたい人やで、『ざこ八さんとことは、身代《しんだい》がちがいます。つりあわぬは不縁のもと』といいなさるが、いや、そうやないと、いろいろはなしをすると、本人さえ承知したらということやで、わたしが、おまえさんにはなしをした。そのとき、おまえさんは、なんというた? 『おじさん、なにぶんよろしゅうおたのみします』と、いうたことをおぼえているやろな? よもやわすれはせんやろな? そこで、はなしがまとまって、結納《ゆいのう》までとりかわして、わたしが媒酌人《ばいしやくにん》で、吉日をえらんで、さて婚礼となった。当日、おまえさんのすがたがみえんが、風呂へでも行たのかいなあ、と、おもうてたが、九時、十時になっても帰ってきやせん。十二時、一時となってもすがたをみせん。とうとう夜のあけるまで、ざこ八とおまえさんとこのうちのあいだを、わたしは、なんべんいったり、きたりしたかわからん。あのときばかりは、足が棒のようになったで。ざこ八は怒る。『うちの養子は、桝屋さん、どうなったんだす?』と、きめつけられる。娘は娘で、『はじめての殿御にきらわれたのやで、死んでしまう』というし、わたしは、あのときほどこまったことはない。侍やったら、腹を切って申しわけをせんならん。『まあまあ、わたしがゆきとどかなかったんやさかいに』と、あやまって、あとで、なんとかはなしをつけると、一時はおさめた。そのはなしは、町内やとなり町までひろがったが、なんせい相手は、今|小町《こまち》といわれる娘だけあって、養子になりたいという人はなんぼでもある。しかし、どれもこれ���いややという。ところが、ある日、天王寺さんへ参詣して、一心寺のとこまでくると、そこに桶をかたげて通った小便汲みが、おまえさんに瓜ふたつというほどよう似た男や。それをみると、おきぬさんが、鶴さんによう似てるというので、あとをつけていくと、猪飼野《いかいの》の百姓で、相当なうちの次男じゃ。人をもってはなしをすると、先方もさっそく承知をして養子にきた。はじめのあいだは、おとなしかったが、そのうちに、わるい友だちができて、茶屋酒の味をおぼえた。おもしろうなった。きょうは難波新地、明日は北の新地、堀江、新町、松島と、金を湯水のようにつかうのじゃ。それがために、ざこ八は、それを苦にして、ころりと死ぬ。つづいて、かみさんもあとを追うというしまつ。養子は、両親が死んだので、あとはこわい者なし、日夜の放蕩三昧《ほうとうざんまい》。とうどううちから、なにからなにまで人手にわたってしまう。金がなくなった。ぼちぼち安ものを買う。病気がうつって梅毒がでる。できものは、からだ一面にできる。うみがでるというありさま。しかたがないで、町内へ奉加帳をまわして金をあつめて、四国へ巡礼にやった。途中で死んでくれたらええものを、また、のこのこと帰ってきた。夫婦の情で、一晩寝たが、その病気をおきぬさんにうつしておいて、そのまま養子は死んだ。そのとき、葬式の費用《いりよう》をわたしがだした。まあ、死んでいた者はそれでいいが、かわいそうに、今小町といわれた評判娘のおきぬさんも、病気のためにあたまの毛がぬけて、ちゃぼのような、じつにみるかげもないありさま。いまは、磯家うらの奥の端で、二帖じきの納屋同然のところで、たたみというたらええけども、たたというたら、みのない、しんがでてる。着物《きもの》は、四季の着物を一ぺんに着てる。肩があわせで、背なかがひとえで、腰のとこがやぶれて、かたびらのつぎがあたって、すそが綿いれになってある。あのときに、おまえさえ養子にいてくれたら、ざこ八のうちはつぶれはせぬのじゃ。いわば、おまえさんがつぶしたも同然じゃ。これでも、つぶしたというのが無理か?」 「へえ……」 「わたしのいうのが無理か? えらそうに江戸っ子をつこうて、たんかを切って……江戸っ子をつかわずに、ちょっと、小づかいでもつかいなされ。どうや? ぐうとでもいうてみい」 「ぐう」 「そら、だれでもいえるわ」 「いや、ごもっともで……あのとき、わたしは、養子にやってもらうつもりでおりましたが、友だちの申しますには、『小糠《こぬか》三合あったら養子にいくなとのたとえの通り、身代《しんだい》をふやしたところで、先方はもとからあんねというし、また、なくしたら、養子がつこうたといわれるし、養子ほどつまらんものはない。おまえも男やないか、りっぱにかかをもろうたらどうや?』と、いわれましたので、急にいやになりまして、東京へとっ走りました。おじさん、どうですやろ? ものは相談ですが、わたしを、ざこ八さんの娘がいる磯家うらへ、養子にお世話ねがえますまいか?」 「おまえさんも、もの好きな人やなあ。以前とちごうて、美しいことはないぜ。さきもいうた通り、病気やで。毛もぬけとるし、ずいぶんとみにくいで」 「いや、そら承知です。病気はなおします。毛のぬけとるとこは、青菜と米を食わして、日あたりのええとこへかこいます」 「まるで、にわとりじゃがな」 「あなたに、さきほどからいわれてみますと、わたしに責任があるようにおもいますで、わたしが養子になって、以前のざこ八のようにいかいでも、せめて半分ぐらいにでもしてみたいとおもいますで」 「うん、よい心がけじゃ。鶴さん、そんなら、おきぬさんにはなしてくる」 と、はなしをいたしますと、なにしろ惚れた男やもの、いやもおうもない。 「こんなきたないとこでもよろしかったら……」 と、はなしができました。 「おじさん、ここに三百円ございますで、わたしが、店のひとつもだせるまで、おあずかりねがいます」 「はい、よろしい。たしかにおあずかりしました。あんたは、感心な人じゃ。生き馬の目をぬくという東京で、三百円の金をのこしてくるとはえらい人じゃ。それでは、鶴さん、ざこ八のうちをおこしてやっとくれ。たのみます」 これから、鶴さん、養子になって、はたらくの、はたらかんのて、夜の目も寝ずにはたらきます。朝はくらいうちからおきて、市中を歩いて、紙くずや縄ひろい。紙くずは、くず問屋へ売る。縄は、こまかく切って、左官へ壁のスサに売る。朝のうちは、とうふを売る。正午《ひる》に帰るなり、つけものとこぶまきを売りにいく。夕方には、「刺身」と、ひとまわりしてくる。帰ると、「うどんや、そばうーい」と、夜泣きうどんにでる。そのあいだには、「焼き栗、焼き栗、丹波の栗で、くりくりくり」と、季節のものを売る。夜の十二時ごろには帰ってきて寝るかとおもいますと、なかなか、めしをかきこむなり、町内の夜番にいく。真夜なかになりますと、出刃庖丁を持って強盗……は、おだやかじゃございませんが……いっしょうけんめいにはたらいて小金をのこしたので、桝屋さんをたのみまして、小さな米屋の店をひらきました。 商売は、なかなかうまいもので、勉強をいたしますのでよう売れます。そのうち、堂島の相場へ手をだしました。運がよい、三百円張ると、六百円になりました。六百円、もうひとつ張ると、千二百円になった。なにくそと張ると、二千四百円になった。買うと、どどっとあがる。あがったとこで売ると、さがる。さがったとこで、ぐっと買うと、あがる。売ると、さがる。買うと、あがるで、しばらくのあいだにうんと身代ができまして、前のざこ八よりは大きゅうなりました。そうなると、前の養子が売った地所を買いもどし、借家が建って住んでる人にも、わけをいうて、立ちのき料をだしてでてもらいました。そのあとへりっぱなうちを建て、以前は、蔵が三戸前のところを、五戸前にして、若い衆もたくさん置いて、自分といいますと、なかなか、大店のあるじというような顔もせず、若い者とおなじようにはたらいてます。 「横町の山田さんへすぐに五斗持っていき」 「竹内だす。一石持ってきとくなはれ。お昼に炊《た》くお米がおまへんね」 「へえ、まいどありがとさんで、すぐに持たしてやります。おい、竹内さんへ一石持っていき」
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仁科百華(Momoka Nishina) 流出番号:KTSN-003 揉ませて。 仁科百華
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流出番号: ZSD-075 尻伝説 仁科百華 2
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石原佑里子(Ishihara Yuriko) 流出番号:直播流出
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滝川かのん(Kanon Takigawa) 流出番号:FC2PPV-872815
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桃宮もも(Momo Ogura) 流出番号:FC2PPV-933169
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土屋あさみ(Asami Tsuchiya) 流出番号:LOVE-134 POOL SIDE 土屋あさみ 18才
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篠田ゆう (Yuu Shinoda) 流出番号:FC2PPV-937161
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流出番号:FC2PPV-941222
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星野美優(Akari Hoshino) 流出番号:KKSP-010 Baby Doll[ベビードール] ほしのみゆ
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桜羽のどか (Sakuraba Nodoka) 流出番号:FC2PPV-1035070
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有村千佳(Chika Arimura ) 流出番号:FMES-037 街角の美少女が実は痴女だった。 VOL.2 有村千佳
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月野りさ(Risa Tsukino) 流出番号:FC2PPV-852924
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流出番号:FC2PPV-859142
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早乙女ルイ(Rui Saotome) 流出番号:ZMIN-005 淫尻授業 早乙女ルイ
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椎名ゆな(shiina yuna) 流出番号:FC2PPV-963912
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三上悠亜(Yua Mikami) 流出番号:自拍流出
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葵玲奈(あおいれな,Rena Aoi) 流出番号:未知
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ながたんと青と -いちかの料理帖- KITCHEN KNIFE AND GREEN CHILI PEPPER (2023)
You don’t need me. But I need you.
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【販売中】 当店で現在扱っているもの各種。 食べて飲んで,調味料や各種文化に触れていただけたら嬉しいです。 定番瓶詰め2つ。 @emotokumiko さんがラベルデザインしてくれてます。 どんな食卓にあっても違和感ないはずです。 納豆オイルはなんにかけても美味しいのですが,この時期は冷奴,冷しゃぶおすすめです。 無花果マスカルポーネは,ぼくが作ったもので一番幅広い人に届く食品だと思います。老若男女。 自宅ではワインとも楽しめます。 他,日替わりの瓶詰めでレバーペーストや生牡蠣の塩辛,カレーなども。 NATTO TOMATO CHILI OIL,この夏新しくできたもので @atelier_perch とL.K.Fの考案した納豆オイルにハリッサを足した調味料です。 和え麺も良いし,BBQ的な料理にも。 @garaaji の麺なら言うことなし。 その,トマトハリッサ単体も販売中。 純胡椒は @senninspice の商品で,これは肉やチーズが特に合います。 そのままでも酒のアテに。 大分県院内の柚子胡椒は手作りそのものの味で,塩分も強すぎなくて使いやすいです。 片上醤油の淡口醤油,出汁に少し垂らすだけで味が決まります。 そうめんつゆは煮物もできるし,漬けだれにしても良いですね。 @cedric_casanova_japan のオリーブオイル,うちのは少し青い香りのもの。ケイパーはごはんに乗せてオリーブオイルをかけると,とても美味しいですよ。漬物と出汁,そんなイメージです。 @aalto.coffee の珈琲豆も浅煎り,深煎り用意してます。 @unlirice.ooo 以下,公式より。 2021年夏、アジア各国から生み出されるクリエイティブにフォーカスしたプロジェクト「UNLIRICE(アンリライス)」が立ち上がります。音楽、ファッション、写真、映像、文学、アート―いまこの瞬間にも明滅する種種雑多の光を拾い集め、重ね合わせ、そこから生まれうる新たな文脈とつながり、そして広がりを企む。この『UNLIRICE』はそんな開かれてゆくべきアジアの可能性を希求した、永遠に完成することのない地図制作のドキュメンテーションのようなものなのです。 OMK新聞001。 今回2016年からのKANBAN FRANCE TOURの記録を寄稿させてもらいました。他にも俚謡山脈による日本酒記事などもかなり楽しめます! 以下,公式より。 保存と開発!伝達と変遷!アジアのリアルをディグするOMKが新聞を発刊! アジアの地下ヒップホップ・シーンからクラブ、ローカルなディスコまで潜入調査し、インターネットの世界ではわからない音楽、危険な現場、ゴシップ、レコード、カルチャーをディグするプロジェクトOMKが初の機関紙を発刊!タイ、台湾、韓国、音楽、ファッション、映画、ルークトゥン、ADM、レゲエ、ヒップホップ、レコード、食、日本酒、ゲーム、TikTok、恋愛、暴走族、民謡、労作唄、そして日本・・・OMKの"興味"、"好き"を凝縮! 津軽伝承料理。柴田書店初の郷土料理本。料理人の方で買って帰る方も多いです。 一年の半分を深い雪に覆われた時代の智慧! 小さな名店の看板つまみ。 酒坊主 @sakebozu のレシピも掲載。カバーを外すとぼくのインタビューが載ってますので,そちらも是非! 御酒燗帖。 @kantonics が総本山。 日本全国100店舗以上の熱燗がうまい店を巡って,オリジナルの御酒印を押してもらう。一緒にその土地を味わう機会を是非。 にほん酒やオリジナルTシャツ,一年を通してよく売れてくれてます。 サイズが無くなったものや,終売したデザインもありますが是非店頭で見てみてください。 こちらも曾本久美子さんデザイン。 もうすぐ13周年で新作も! 新しくONDOTシャツも加わってます。 REP武蔵野市。 ステッカー各種も販売中〜! (吉祥寺にほん酒や) https://www.instagram.com/p/CgyjSp3P4eA/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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散策研究会 Cadavre K 「徘徊する観察者 Vacant Lot」
散策研究会 Cadavre Kによる展覧会
「徘徊する観察者 Vacant Lot」
をTABULAEで開催いたします。
※散策研究会 Cadavre Kとは、2011年から開始された、美術家北川裕二によるプロジェクトの名称です
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|会場|
TABULAE (墨田区向島 5-48-4)
|会期|
2018/11/24 (土) - 12/16 (日)の金土日
- 金 15:00 - 20:00
- 土、日 14:00 - 20:00
※曜日によって開場時間が異なりますのでご注意ください
オープニングレセプション
11/24(土)18:00 - 20:00
|イベント|
第5回 漂流教室 「まわり道してTABULAEに向かう」
12/8(土)14:00 - 17:00(終了時刻は前後する場合があります)
集合場所 東武スカイツリーライン/東武亀戸線 曳舟駅改札口付近
定員 5名
参加費 無料(要予約 参加申込み締切12月6日)
東武曳舟駅に集合し、3時間ほどかけて墨田区京島、向島エリアを散策しながらTABULAEに向かいます(台風・雷雨・地震・大雪など災害級の天候以外は、雨天でも決行します)。
>漂流教室について
※こちらのイベントは定員に達したためご予約の受付を終了いたしました
アーティストトーク
12/15(土)18:00 - 19:00
ゲスト 沢山遼(美術批評)
定員 15名
参加費 1000円(要予約 参加申込み締切12月14日)
美術批評家の沢山遼氏をゲストに迎え、アーティストトークを行います。ゴードン・マッタ=クラーク展図録に掲載された沢山氏の論考「都市の否定的なものたち ニューヨーク、東京、1972年」を参照しながら、都市、写真、散策と介入といったトピックについて議論します。
沢山遼 1982年生まれ。美術批評。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程修了。2010年「レイバー・ワーク──カール・アンドレにおける制作の概念」で『美術手帖』第14回芸術評論募集、第一席。主な論文に「ニューマンのパラドクス」田中正之編『ニューヨーク 錯乱する都市の夢と現実(西洋近代の都市と芸術7)』竹林舎、2017年。「ウォーホルと時間」『NACT Review 国立新美術館研究紀要』第4号、2018年。「都市の否定的なものたち ニューヨーク、東京、1972年」『ゴードン・マッタ=クラーク展』(東京国立近代美術館、2018年)など。
※両イベントは予約制となっております。参加をご希望される方は、件名を「漂流教室予約」または「トーク予約」とし、①お名前②ご連絡先③希望日時④人数 をご記入の上、[email protected]までメールをお送りください。
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『徘徊する観察者 Vacant Lot』開催にあたって|散策研究会 Cadavre K
散策研究会 Cadavre Kとは、2011年3月11日の東日本大震災に強烈な衝撃を受けたアーティスト北川裕二によって、同じ2011年から開始されたプロジェクトの名称です。今回のTABULAEでの新作展が、散策研究会 Cadavre Kとしては初の個展になります。あれから8年が経ったとはいえ、むろん福島第一原子力発電所は「収束」などまったくしておらず、同じように大地も揺れ続けています。したがって今回展示される作品は、そのどれもが3.11以後に制作されたものであるとしても、 むしろ“3.11下”のそれであるといってよいでしょう。
散策研究会 Cadavre Kは、以来、痙攣するこの世界を継続的に観察・記録しつづけてきました。しかし、その観察対象は福島県や岩手・宮城県などではなく、意外にもいま私たちが立っているこの場所でありました。観察対象への姿勢は当初、何よりもまず、直立二足歩行する私たちの、この足元の地面への関心から始ったのです。そのうえに築かれたあらゆるものは幻想なのではないか。であるとするならば、幻想はいかにして自然との関係を取り結んでいるのか。対立関係にあるものどもの、相反する構造(システム)と構造(システム)が、否が応でも接せざるをえない境界線、エッジが、あるいは「構造(システム)」の回収し得ない外部的なものが、観察対象として注目されました。
ほとんどの散策は、日中のほぼ一日をかけて台地や低地をひたすら歩いて横断していくというものでした。“下町”と呼ばれる沖積低地、“山の手”と呼ばれる洪積台地、あるいは武蔵野平野、奥多摩山間地など。地形学の地形区分に従っていえば、 多摩面(T面)、下末吉面(S面)、武蔵野面(M面)、立川面(Tc面)の特徴と、それらが接する際に発生する崖線等の境界線や河川についての知識が事前に取り入れられもしました。定点観測ならぬ、歩行による動線観察が何度もくりかえされ、各地域・エリアにそれぞれ漂う特有のアトモスフィア、ムードは、散策者の心理状態の変化に影響を及ぼすことが確認されました。そうして、しだいに「東京の自然史」(貝塚爽平)が把握されていったのです。散策研究会としての散策は、これまでに123回を数えます。
また、同時に、踏み固められた地面の上に存在するあらゆるもの、すなわち植生・気象・家屋との関連全般が観察対象となり、写真に記録されていきました。散策またその写真記録は、当初、アートとしてはまったく考えられてはいなかった。むしろ、3.11の衝撃は、自然災害においてのみならず、政治的・文化的にもアートの「創造」的な「表現」による「生産」を不可能にしたように思えたからです。したがって、今回の展示においても、それへの疑いが根底にはあることを記しておきます。
地形・植生・気象・家屋の全般を観察対象にするということは、いかなる些細な事象も見落とすことなく全体を知覚・認識するということ。世界のすべてを対象にするということです。生態学的に言えば、個体のみならず、個体群、群集といった階層を異にするもの全般を、そしてまた、位階秩序の異なるそれらの影響関係をも観察・記録対象にするということでもあります。身の回りの環境や社会、つまりは生活を成り立たせているアレコレは、そのようにアレやコレやソレとして一括りにされて、記憶・記録から排除されてもきました。散策研究会が関心をもったのは、まさにそのような無数のアレやコレでありました。衝撃とは、近代化の名の下に隠蔽・排除されたものどもが、「原発震災」(石橋克彦)によって再び私たちの世界に回帰してきた、そのことにあったというわけです。
写真というメディアは、このような研究にはうってつけの道具でした。なぜなら、カメラの眼は原理的にいって、ヒトの眼と違い、“すべてのものを等価なもの”として扱うことができたからです。眼で見ていたときには見えなかったものが写真には写りこんでいたというのは、カメラのこの等価性、すなわちあらゆるものを平等なものとして、なんでも選ばず記録してしまう、このアナーキーな機能によるところのものではないでしょうか。
本展は、こうしたカメラ・写真の可能性を再び抽出しようとする試みでもあります。そこには、“すべてのものが等価なもの”として記録されている。しかし、そうであるがゆえに、その可能性は、他方で、ブレもピンボケもなく構図もしっかり撮れているにもかかわらず、“誰が、いかなる目的をもって、誰のために撮影したのか、皆目見当のつかない、まったく不明なる写真”という、実に奇妙に倒錯した(不)可能性の窓をも同時に開いてしまうのではないでしょうか。この点に、写真の機能が孕む矛盾が見てとれます。そこに提示されているのは、いわば世界の「無名性」のことにほかなりません。実現しているかどうかはさておき、このような写真の(不)可能性を本展では模索しています。
セレクトされた写真と映像は、昨年から今年にかけて撮影されたものに限られています。撮影箇所は主に武蔵野面(M面)の東端であり、区としては、中野区にあたります。中野区の同じエリア、環境をくりかえし何度も徘徊する。そのようなことはこれまでに一度も試みたことがありませんでした。
そしてこのことは、先程「武蔵野面(M面)の東端」と書きましたが、本展においては、地形的特徴への関心が次第に後方へと退き(薄らいだわけではありません)、かわって植生(主にヒト)と家屋、そして何よりも気象への関心が全体に配されてくるものへと推移してきたことと関連しています。くりかえし同じエリアをおとずれる散策スタイルは、写真の機能をより自覚的に操作しようということに、何らかの影響を与えていると感じています。
本展のコアとなる作品群は四部構成となる予定です。 ①独立した1点ものの「写真作品」 数点 ②数点の写真が組み合わされた「写真作品」 数点 ③液晶ディスプレイもしくはプロジェクターで鑑賞する「スライド作品」 ④液晶ディスプレイもしくはプロジェクターで鑑賞する「映像作品」 ①~④の作品にはシリーズとしてのメインタイトルと、各作品としてのサブタイトルが付されています。各メインタイトルは、①Survey Point (測量点) ②Photogrammetry(写真測量法) ③Voronoi Diagram(ボロノイ図) ④Skid Movie(横滑りの映画)となっています。また、参考資料として、本展の作品に関係する散策ルートを図解したパネルも展示する予定です。
また、本展覧会としてのメインタイトルとなった“Vacant Lot”ですが、これは日本語では空閑地のことです。一時的に未使用になった空き地。英語名にしたのは、“Vacant Lot”という言葉に興味をもったからです。この“Lot”には、くじ、運、運命という意味があるようで、それが一時的に空き地となった区画を指す言葉にも使用されているというのがおもしろかった。“偶々割り当てられたもの”としての空閑地。文字通りに訳せば、“空っぽの運命”です。
これは、今年国立近代美術館で回顧展が開かれたゴードン・マッタ=クラークの仕事を想起させます。カタログに掲載された美術批評家沢山遼氏の論文にマッタ=クラークの発言が引用されていて、瞠目しました。以下、孫引きですが引用させていただきます。
「グリーン通り112番地でやったアナーキテクチャーの展覧会は[…���略…]なんらかの強い形式性によって固定されることのない、固定化した建築的ヴォキャブラリーの外部にあるものについてのものだった。[…中略…]ぼくたちが考えていたのは、隠喩的なヴォイド、空隙、残余的空間、未発展的な場についてだった。[…中略…]たとえばそれは、立ち止まって靴紐を結び直すような、日常的な動作がふと遮られるような場だ。そのような場は、知覚的な重要性を帯びていると思う。なぜならそこで人は動的な空間に触れているんだ。」 (「ゴードン・マッタ=クラーク展」カタログ p.265)
つまり、“Vacant Lot”とは、この解けた靴紐のことなのかもしれません。紐が解けて固定された意味が一時的に宙吊りとなる時。場所。その瞬間はおそらく、九鬼周造のいう偶然性のごとく「現実性へスルリと滑ってくる推移のスピード」を持っているに違いない。“無”が偶然性によってもたらされるということ。環境、生活、世界への認識を深め、未来を洞察するにも、このような人と自然の接するエッジに現象するささやかな出来事に対する認識をさらに深めていく必要がありそうです。今回の展覧会がそのような世界への見方、感じ方、考え方に寄与できれば幸いです。
最後に、Cadavre KのCadavreはフランス語で、日本語では死骸のことです。したがって、Cadavre Kは、死骸キとなります。“キ”とはキタガワの“キ”のことです。3.11以後のプロジェクトにそう名付けたのは、このプロジェクトがそれまでの作品とはまったく異なることもありましたが、同時に、3.11以後、偶々生き残った=生き延びているという感覚を今も持ち続けているからにほかなりません。それは、どこか幽霊的に仮構された作者名といえるでしょう。
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散策研究会 Cadavre K
2011年から開始された、美術家北川裕二によるプロジェクト
漂流教室
第一回 霊岸島から埋立地へ (2015/milkyeast) http://ur2.link/N8ZH 第二回 河岸と下町低地(2015/milkyeast) http://urx.red/N901 第三回 山の手の<むらぎも>を巡る(2016/路地と人) https://rojitohito.exblog.jp/22767074/ 第四回 崖線上のカフカ──中野区を歩く(2017/路地と人) https://rojitohito.exblog.jp/23871177/
散策研究会 これまでの主な散策エリア
001 2011_06_11 新宿御苑 002 2011_06_18 等々力渓谷 003 2011_06_25 赤坂見附 004 2011_06_29 丸の内線・四ッ谷駅 005 2011_07_02 下末吉台 006 2011_07_06 迎賓館・明治公園 007 2011_07_09 市ヶ谷・飯田橋 008 2011_07_16 お茶の水・神田川・隅田川 009 2011_07_22 野川 010 2011_08_06 新木場 011 2011_08_11 高尾山 012 2011_08_20 隅田川・スカイツリー 013 2011_08_25 菊名・獅子ケ谷・下末吉台 014 2011_09_02 渋谷川 015 2011_09_08 皇居・日本青年館 016 2011_09_11 新宿・原発やめろデモ 017 2011_09_17 渋谷川・古川 018 2011_09_19 さようなら原発・渋谷川 019 2011_09_24 赤坂 020 2011_10_01 善福寺川 021 2011_10_07 港の見える丘公園 022 2011_10_13 山手 023 2011_10_22 宇田川跡 024 2011_11_03 御岳山・ロックガーデン 025 2011_11_09 巣鴨・田町・谷中 026 2011_11_12 神田川・小日向台 027 2011_11_17 都電荒川線・王子・荒川 028 2011_12_03 愛宕山 029 2011_12_14 上野・根津・谷中 030 2011_12_15 弘明寺 031 2011_12_21 荏原台 032 2011_12_30 立川段丘 033 2012_01_01 狭山丘陵 034 2012_01_05 三殿台遺跡 035 2012_01_12 目黒自然教育園 036 2012_01_19 明治神宮 037 2012_01_26 清瀬 038 2012_02_04 深大寺・府中 039 2012_02_08 江戸前島 040 2012_02_15 江戸前島 041 2012_02_24 浜離宮 042 2012_03_03 吉見百穴 043 2012_03_15 江東区・運河 044 2012_03_17 江東区・運河 045 2012_04_07 神楽坂 046 2012_04_14 渋谷川・明治神宮 047 2012_04_20 町田・自由民権資料館 048 2012_04_28 市ヶ谷・早稲田 049 2012_05_17 町田・自由民権資料館 050 2012_05_26 江東区・戦災センター 051 2012_06_07 全生園・滝山団地 052 2012_06_14 清瀬 053 2012_06_16 京島 054 2012_06_23 玉川上水・首相官邸前 055 2012_06_29 首相官邸前 056 2012_07_12 神田 057 2012_07_13 首相官邸前 058 2012_07_16 代々木・さよなら原発 059 2012_07_02 新富町 060 2012_08_08 六郷土手 061 2012_08_12 日野 062 2012_09_08 本郷台地 063 2012_09_15 東京湾・葛西臨海公園 064 2012_10_06 生田緑地 065 2012_11_10 青梅・横田基地 066 2012_12_01 大山 067 2013_01_12 渋谷・元麻布・六本木 068 2013_01_14 獅子ケ谷 069 2013_04_13 日本橋川 070 2013_04_27 小平・玉川上水 071 2013_05_25 赤坂・六本木 072 2013_06_06 代官山 073 2013_07_07 東京駅地下通路 074 2013_07_13 王子・吉原・スカイツリー 075 2013_07_27 多摩丘陵・百草団地他 076 2013_08_17 中央防波堤埋立地 077 2013_08_24 仙川 078 2013_08_26 谷中墓地 079 2013_10_26 渋谷・地下道 080 2013_11_09 京島 081 2013_12_28 山手 082 2014_04_24 池袋 083 2014_05_17 高田馬場・神田川・淀橋 084 2014_06_27 駒込・田端 085 2014_07_13 平林寺 086 2014_09_06 秩父 087 2015_05_16 湾岸埋立地 088 2015_07_20 白山 089 2015_11_22 深川 090 2015_12_11 武蔵五日市 091 2015_12_12 武蔵五日市・城山 092 2015_12_18 戸山公園 093 2015_12_26 板橋・赤塚 094 2016_01_06 深川・森下 095 2016_02_02 国分寺崖線 096 2016_02_26 立川段丘 097 2016_04_03 日立研究所 098 2016_05_31 水道橋・小石川・白山 099 2016_10_18 神楽坂・近美・湯島 100 2016_12_06 佐伯祐三・熊谷守一美術館 101 2016_12_13 南青山 102 2016_12_20 原宿・渋谷 103 2016_12_23 戸山公園 104 2017_04_04 野方 105 2017_04_07 江古田 106 2017_05_12 上高田 107 2017_06_09 上高田・野方 108 2017_08_15 池尻大橋 109 2017_08_17 池の上・高円寺 110 2017_08_29 桃園川 111 2017_09_15 中野区南台 112 2017_09_20 新宿住吉町 113 2017_09_22 所沢 114 2017_10_10 中野区中野台地 115 2017_10_20 野方 116 2017_10_27 新宿末吉町 117 2017_12_15 沼袋 118 2018_04_24 鷺宮 119 2018_05_29 中野区中心エリア 120 2018_06_12 野方・沼袋 121 2018_06_15 杉並・堀の内 122 2018_07_06 野方・中野区中心エリア 123 2018_09_11 野方
北川裕二
1963 東京に生まれる
主な個展
1990『形のローカリズム』 ギャラリー現(東京) 1991『A PALASITE/READY-MADE SUIT MIX』 ルナミ画廊(東京) 1992『短絡的接合体』 モリス・ギャラリー(東京) 1992『分裂機械としての身体』 ルナミ画廊(東京) 1992『暮らしの変換』 モリス・ギャラリー(東京) 1993『格子/闘争』 MARS GALLERY(東京) 1993『歴史改造パズル』 GALLERY・GEN(埼玉) 1996『What is a hole?/Make a revision of…』 SHIKI FUJIMORI GALLERY(東京) 2005『Random Open Textured』 MARU GALLERY(東京) 2006『Dust passes through the window』 GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVE (東京)
主なグループ展
1990『Bゼミ展』 横浜市民ギャラリー(神奈川) 1992『Project for O.T』 ギャラリー・サージ(東京) 1993『In Between』 FLOATING GALLERY(東京) 1993『CONSTRUCTION IN PROCESS』 ARTIST'S MUSIUM(ウッジ、ポーランド) 1994『身体美術感』 ハラ・ミュージアム・アーク(群馬) 1995『The Age of Anxiety』 The Power Plant(トロント、カナダ) 1996『ATOPIC SITE(On Camp/Off Base)』 東京ビッグサイト(東京) 1996~98『Maniacs of Disappearance』 国立美術館(ブエノスアイレス、アルゼンチン)、Austrian Musium of Applied Arts (ウィーン、オーストリア)、その他オランダ、イタリアなど巡回 1999『第34回今日の作家展 APPROACHING REALITY』 横浜市民ギャラリー(神奈川) 2010『City Beats + Live explosions』 BankART1929(神奈川) 2015『無条件修復—UNCONDITIONAL RESTORATION』 milkyeast(東京)
散策研究会──地殻を近くで知覚する
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