#こぉふぃ豆屋
Explore tagged Tumblr posts
124770353 · 8 months ago
Text
20240315
tomorin🍀🐧 @5555tomorin 2024/03/15(金) 23:59:17 Replying to @ojro_men オリーブの日🫒治ちゃんセレクトのオリーブオイル、毎日いただいてます。どれも好みで美味です😋 くう間もん @kasu3iro 2024/03/15 (金) 23:34:57 Replying to @ojro_men 💚はいーおりまました🍃 さとみ @remisato 2024/03/15 (金) 23:34:54 Replying to @ojro_men ユニバ行きたい〜( *˙0˙*)۶ むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2024/03/15 (金) 23:32:51 Replying to @ojro_men マイメロ大好きだけど USJとコラボしてんの知らなかった〜(´Д`) クロミ好きとは…… かわいさあふれてますな〜꜀(  ꜆ᐢ.  ̫.ᐢ)꜆♥🩷 みんな今後クロミちゃんあげ始めそうw とみー @KwshTomisa 2024/03/15 (金) 23:17:56 Replying to @ojro_men ユニバいいなぁ✨ クロミちゃんかわいいー🥰 megmeg🐥🌸🐰 @megmeg_fblc07 2024/03/15 (金) 22:57:01 Replying to @ojro_men クロミちゃん大人気ですょね〜❤︎😈❤︎ megmeg🐥🌸🐰 @megmeg_fblc07 2024/03/15 (金) 22:50:56 Replying to @ojro_men 調べたら… 昭和天皇が小豆島でオリーブ🫒の種をお手播きされた日だそうです😳✨ 知らなかった〜💦 むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2024/03/15 (金) 22:32:21 Replying to @ojro_men サイコー【3.15⠀】ってことですな(о´∀`о) 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2024/03/15 (金) 22:19:36 Replying to @ojro_men ユニバいいなぁ🌍楽しそう😆🎶 オサもクロミ化🖤しちゃう❓🤭 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2024/03/15 (金) 22:15:23 Replying to @ojro_men そうみたいですね🫒 空雲 日晴 @soRaguMO_hisei 2024/03/15 (金) 22:14:12 Replying to @ojro_men Sayuさんを思い出しました🎃🎹💕 hiroちゃん (ひろiro) @iro_one_iro 2024/03/15 (金) 22:08:12 Replying to @ojro_men そうなんですね🌿 きょうは🍆を焼くのにオリーブオイルを使いました。 きしめんRI-nem @rijooki 2024/03/15 (金) 22:03:20 Replying to @ojro_men 息子が置いていった巨大なクロミさんが我が家におります🖤 カスタムでキラーしてるオサさんに似てる。。(´-`).。o() アカネ @akaneteresa 2024/03/15 (金) 21:57:05 Replying to @ojro_men そうなんだ🫒今日は前田屋さんのオリーブオイル使いました🫶 yoshino @yoshino3996 2024/03/15 (金) 21:47:53 Replying to @ojro_men Instagramで見ました🫒 きしめんRI-nem @rijooki 2024/03/15 (金) 21:47:46 Replying to @ojro_men そうなの〜?(  ˙◊˙  )🫒 ああ!!さっき食べたお豆腐にかければよかった!(   ᷄ᾥ ᷅ ) ちはるん♪ @chiharu509 2024/03/15 (金) 21:47:32 Replying to @ojro_men オサくんはオリーブ🫒でどんな料理を食べたのかな?😊🎶簡単で美味しいオススメレシピ教えてください🥹❣️ ありひろちゃん @arihiro_CHAN 2024/03/15 (金) 14:36:02 Replying to @ojro_men 今日めっちゃ暖かいです おはようございます☀ 車の中は初夏🚙 今日やっと確定申告終わったーーーーー megmeg🐥🌸🐰 @megmeg_fblc07 2024/03/15 (金) 14:29:50 Replying to @ringonoDANGO and @ojro_men (๑  ́ᄇ`๑)テヘヘ🌸 gash @a_kie_1123 2024/03/15 (金) 14:28:48 Replying to @ojro_men おはよーございます😊 はい、あったかいです~☀️ むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2024/03/15 (金) 14:24:57 Replying to @megmeg_fblc07 and @ojro_men ずりぃ〜(・ࠏ・ 彡 )з むーちょ(むーちゃむーちょ) @ringonoDANGO 2024/03/15 (金) 14:23:43 Replying to @ojro_men めっちゃあったかいんだからぁ〜🧸 ̖́- おはよぉございます(о´∀`о) hiroちゃん (ひろiro) @iro_one_iro 2024/03/15 (金) 14:20:37 Replying to @ojro_men おはようございます😊☀️ 体調も回復して(ちょっと無理しましたが)通常に生活を送っております。暖かいですね😊 Ayaka Oshikata @AyakaOshikata 2024/03/15 (金) 13:50:26 Replying to @ojro_men そうですね!!おはようございます☀ se-co @seico77 2024/03/15 (金) 13:38:34 Replying to @ojro_men こんにちは✨ megmeg🐥🌸🐰 @megmeg_fblc07 2024/03/15 (金) 12:42:07 Replying to @ojro_men おはよおさん🐥💓✨🌸 風はつよ〜だけど暖かくて気持ちいいです😊✨ 私は期間限定のさくら餡にしてみました〜🐟🌸 momo @momochi039 2024/03/15 (金) 12:19:55 Replying to @ojro_men 今日はすんごい 暖かくなりそうです☀️ あんみつ彦 @anmitsuhico 2024/03/15 (金) 12:04:15 Replying to @ojro_men おささん、おはようございます😃☀️ これぞ春🌸🌸🌸 って感じですねー😆 スマイルりん @FT_lovelysmile 2024/03/15 (金) 11:54:02 Replying to @ojro_men こんにちは!😊 まき @H8_maki19 2024/03/15 (金) 11:45:48 Replying to @ojro_men おはようございます♪😊☀️ くもうさぎ姫 @kumousagihime 2024/03/15 (金) 11:39:06 Replying to @ojro_men おはようございます☀ポカポカ😊 midorichan0522 @midorichan05221 2024/03/15 (金) 11:01:59 Replying to @ojro_men おはようございます😊 朝から良いお天気☀️ですね~🥰 sayaka @saya103 2024/03/15 (金) 10:45:51 Replying to @ojro_men こんにちは☀️ コートに悩む季節です~😅 ちはるん♪ @chiharu509 2024/03/15 (金) 10:45:23 Replying to @ojro_men おはようございます🐹☀ 暖かいですね😊 近所では卒業式のようです🌸 さとみ @remisato 2024/03/15 (金) 10:39:53 Replying to @ojro_men おはようございます(*´∀`*)ノノ☀ remiofan @remiofan 2024/03/15 (金) 10:38:37 Replying to @ojro_men おはようございます☀ おふろの王様にきました🙋 ももくるひめ @momokurumihime 2024/03/15 (金) 10:31:45 Replying to @ojro_men おはようございます ぽかぽかお天気です☀️ くみくみ @kumikotakuro 2024/03/15 (金) 10:29:00 Replying to @ojro_men おはようございます😀☀ yoshino @yoshino3996 2024/03/15 (金) 10:28:26 Replying to @ojro_men おはようございます😊 ぽかぽか🌞は嬉しいですね🍀 でも花粉症 おだいじにです。今日は検診に行きまーす。治さんもお時間に余裕ができたら、健康診断に行ってくださいね くう間もん @kasu3iro 2024/03/15 (金) 10:26:05 Replying to @ojro_men おはようございます✨☀☺️
🥁🎸の🍵🏥へwおのぼり🚃しますーー😁良い!!(金)を!❣!🍀 アカネ @akaneteresa 2024/03/15 (金) 10:25:47 Replying to @ojro_men おはようございます😊暖かいですね☀ きしめんRI-nem @rijooki 2024/03/15 (金) 10:22:23 Replying to @ojro_men おはようございます🌞
お天気とは裏腹に頭痛MAXちゃんです ノリのいい曲聴いて気のせいにしときます๛ก(꒪ͧд꒪ͧก) あられ @0416_haha 2024/03/15 (金) 10:20:52 Replying to @ojro_men おはようございます😊
暖かくなってきて🌸 息子の大学の入学準備に めっちゃお金が必要で 嬉し泣きでございます😂 琥珀🎸✨🔥🎵 @c90fd72c0f0341f 2024/03/15 (金) 10:17:58 Replying to @ojro_men おはようございます😊 ぽかぽかです☀️ akko @akkoro_men 2024/03/15 (金) 10:11:46 Replying to @ojro_men おはようございます🌸
0 notes
tomo2411 · 3 years ago
Photo
Tumblr media
☆珈琲焙煎所☆ ブルーマウンテン本店 さん コチラも気になってて やっと行ってみたお店の1つ まず駐車場が分からず お店の裏のアスファルトの空き地にとめて おそるおそる店内へ 駐車場を確認すると そこで合ってると ほっとしたのもつかの間 ウチはコーヒー飲むところじゃないよ と、言われたよ? コレを藪から棒にと言うのでは? 色んな豆が置いてあったのだけど なんだか居心地の悪くて でも興味深々に見てしまう 豆の説明もしてくれない 聞かなきゃ答えないのか? 焙煎度合いをお聞きすると ウチは���てフルシティロースト との事 じゃあケニアが良さげだなと 思ったけど エチオピアナチュラルにしちゃった 豆と麦さんでも飲んだやつ 聞くのも忘れたけど 焙煎日が分からない 店内は紅茶のハーブも置いてたり コーヒーの器具もいっぱいあって 楽しかったけど つぎはないかな #笠岡 #こぉふぃ豆屋ブルーマウンテン #こぉふぃ豆屋 #ブルーマウンテン本店 #笠岡珈琲 #ぶっちゃけ #感じ悪い · · · テイクアウトのコーヒーは ネルで淹れるって書かれてたけど スルーしちゃった (こぉふぃ豆屋 ブルーマウンテン) https://www.instagram.com/p/CbPYKHgLevZQ1vTvIBDFYLNH2_qq_okbzsxofQ0/?utm_medium=tumblr
0 notes
2ttf · 13 years ago
Text
iFontMaker - Supported Glyphs
Latin//Alphabet// ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZabcdefghijklmnopqrstuvwxyz0123456789 !"“”#$%&'‘’()*+,-./:;<=>?@[\]^_`{|}~ Latin//Accent// ¡¢£€¤¥¦§¨©ª«¬®¯°±²³´µ¶·¸¹º»¼½¾¿ÀÁÂÃÄÅÆÇÈÉÊËÌÍÎÏÐÑÒÓÔÕÖ×ØÙÚÛÜÝÞßàáâãäåæçèéêëìíîïðñòóôõö÷øùúûüýþÿ Latin//Extension 1// ĀāĂ㥹ĆćĈĉĊċČčĎďĐđĒēĔĕĖėĘęĚěĜĝĞğĠġĢģĤĥĦħĨĩĪīĬĭĮįİıIJijĴĵĶķĸĹĺĻļĽľĿŀŁłŃńŅņŇňʼnŊŋŌōŎŏŐőŒœŔŕŖŗŘřŚśŜŝŞşŠšŢţŤťŦŧŨũŪūŬŭŮůŰűŲųŴŵŶŷŸŹźŻżŽžſfffiflffifflſtst Latin//Extension 2// ƀƁƂƃƄƅƆƇƈƉƊƋƌƍƎƏƐƑƒƓƔƕƖƗƘƙƚƛƜƝƞƟƠơƢƣƤƥƦƧƨƩƪƫƬƭƮƯưƱƲƳƴƵƶƷƸƹƺƻƼƽƾƿǀǁǂǃDŽDždžLJLjljNJNjnjǍǎǏǐǑǒǓǔǕǖǗǘǙǚǛǜǝǞǟǠǡǢǣǤǥǦǧǨǩǪǫǬǭǮǯǰDZDzdzǴǵǶǷǸǹǺǻǼǽǾǿ Symbols//Web// –—‚„†‡‰‹›•…′″‾⁄℘ℑℜ™ℵ←↑→↓↔↵⇐⇑⇒⇓⇔∀∂∃∅∇∈∉∋∏∑−∗√∝∞∠∧∨∩∪∫∴∼≅≈≠≡≤≥⊂⊃⊄⊆⊇⊕⊗⊥⋅⌈⌉⌊⌋〈〉◊♠♣♥♦ Symbols//Dingbat// ✁✂✃✄✆✇✈✉✌✍✎✏✐✑✒✓✔✕✖✗✘✙✚✛✜✝✞✟✠✡✢✣✤✥✦✧✩✪✫✬✭✮✯✰✱✲✳✴✵✶✷✸✹✺✻✼✽✾✿❀❁❂❃❄❅❆❇❈❉❊❋❍❏❐❑❒❖❘❙❚❛❜❝❞❡❢❣❤❥❦❧❨❩❪❫❬❭❮❯❰❱❲❳❴❵❶❷❸❹❺❻❼❽❾❿➀➁➂➃➄➅➆➇➈➉➊➋➌➍➎➏➐➑➒➓➔➘➙➚➛➜➝➞➟➠➡➢➣➤➥➦➧➨➩➪➫➬➭➮➯➱➲➳➴➵➶➷➸➹➺➻➼➽➾ Japanese//かな// あいうえおかがきぎくぐけげこごさざしじすずせぜそぞただちぢつづてでとどなにぬねのはばぱひびぴふぶぷへべぺほぼぽまみむめもやゆよらりるれろわゐゑをんぁぃぅぇぉっゃゅょゎゔ゛゜ゝゞアイウエオカガキ��クグケゲコゴサザシ��スズセゼソゾタダチヂツヅテデトドナニヌネノハバパヒビピフブプヘベペホボポマミムメモヤユヨラリルレロワヰヱヲンァィゥェォッャュョヮヴヵヶヷヸヹヺヽヾ Japanese//小学一年// 一右雨円王音下火花貝学気九休玉金空月犬見五口校左三山子四糸字耳七車手十出女小上森人水正生青夕石赤千川先早草足村大男竹中虫町天田土二日入年白八百文木本名目立力林六 Japanese//小学二年// 引羽雲園遠何科夏家歌画回会海絵外角楽活間丸岩顔汽記帰弓牛魚京強教近兄形計元言原戸古午後語工公広交光考行高黄合谷国黒今才細作算止市矢姉思紙寺自時室社弱首秋週春書少場色食心新親図数西声星晴切雪船線前組走多太体台地池知茶昼長鳥朝直通弟店点電刀冬当東答頭同道読内南肉馬売買麦半番父風分聞米歩母方北毎妹万明鳴毛門夜野友用曜来里理話 Japanese//小学三年// 悪安暗医委意育員院飲運泳駅央横屋温化荷開界階寒感漢館岸起期客究急級宮球去橋業曲局銀区苦具君係軽血決研県庫湖向幸港号根祭皿仕死使始指歯詩次事持式実写者主守取酒受州拾終習集住重宿所暑助昭消商章勝乗植申身神真深進世整昔全相送想息速族他打対待代第題炭短談着注柱丁帳調追定庭笛鉄転都度投豆島湯登等動童農波配倍箱畑発反坂板皮悲美鼻筆氷表秒病品負部服福物平返勉放味命面問役薬由油有遊予羊洋葉陽様落流旅両緑礼列練路和 Japanese//小学四年// 愛案以衣位囲胃印英栄塩億加果貨課芽改械害街各覚完官管関観願希季紀喜旗器機議求泣救給挙漁共協鏡競極訓軍郡径型景芸欠結建健験固功好候航康告差菜最材昨札刷殺察参産散残士氏���司試児治辞失借種周祝順初松笑唱焼象照賞臣信成省清静席積折節説浅戦選然争倉巣束側続卒孫帯隊達単置仲貯兆腸低底停的典伝徒努灯堂働特得毒熱念敗梅博飯飛費必票標不夫付府副粉兵別辺変便包法望牧末満未脈民無約勇要養浴利陸良料量輪類令冷例歴連老労録 Japanese//小学五〜六年// 圧移因永営衛易益液演応往桜恩可仮価河過賀快解格確額刊幹慣眼基寄規技義逆久旧居許境均禁句群経潔件券険検限現減故個護効厚耕鉱構興講混査再災妻採際在財罪雑酸賛支志枝師資飼示似識質舎謝授修述術準序招承証条状常情織職制性政勢精製税責績接設舌絶銭祖素総造像増則測属率損退貸態団断築張提程適敵統銅導徳独任燃能破犯判版比肥非備俵評貧布婦富武復複仏編弁保墓報豊防貿暴務夢迷綿輸余預容略留領異遺域宇映延沿我灰拡革閣割株干巻看簡危机貴揮疑吸供胸郷勤筋系敬警劇激穴絹権憲源厳己呼誤后孝皇紅降鋼刻穀骨困砂座済裁策冊蚕至私姿視詞誌磁射捨尺若樹収宗就衆従縦縮熟純処署諸除将傷障城蒸針仁垂推寸盛聖誠宣専泉洗染善奏窓創装層操蔵臓存尊宅担探誕段暖値宙忠著庁頂潮賃痛展討党糖届難乳認納脳派拝背肺俳班晩否批秘腹奮並陛閉片補暮宝訪亡忘棒枚幕密盟模訳郵優幼欲翌乱卵覧裏律臨朗論 Japanese//中学// 亜哀挨曖扱宛嵐依威為畏尉萎偉椅彙違維慰緯壱逸芋咽姻淫陰隠韻唄鬱畝浦詠影鋭疫悦越謁閲炎怨宴援煙猿鉛縁艶汚凹押旺欧殴翁奥憶臆虞乙俺卸穏佳苛架華菓渦嫁暇禍靴寡箇稼蚊牙瓦雅餓介戒怪拐悔皆塊楷潰壊懐諧劾崖涯慨蓋該概骸垣柿核殻郭較隔獲嚇穫岳顎掛括喝渇葛滑褐轄且釜鎌刈甘汗缶肝���陥乾勘患貫喚堪換敢棺款閑勧寛歓監緩憾還環韓艦鑑含玩頑企伎忌奇祈軌既飢鬼亀幾棋棄毀畿輝騎宜偽欺儀戯擬犠菊吉喫詰却脚虐及丘朽臼糾嗅窮巨拒拠虚距御凶叫狂享況峡挟狭恐恭脅矯響驚仰暁凝巾斤菌琴僅緊錦謹襟吟駆惧愚偶遇隅串屈掘窟繰勲薫刑茎契恵啓掲渓蛍傾携継詣慶憬稽憩鶏迎鯨隙撃桁傑肩倹兼剣拳軒圏堅嫌献遣賢謙鍵繭顕懸幻玄弦舷股虎孤弧枯雇誇鼓錮顧互呉娯悟碁勾孔巧甲江坑抗攻更拘肯侯恒洪荒郊貢控梗喉慌硬絞項溝綱酵稿衡購乞拷剛傲豪克酷獄駒込頃昆恨婚痕紺魂墾懇沙唆詐鎖挫采砕宰栽彩斎債催塞歳載剤削柵索酢搾錯咲刹拶撮擦桟惨傘斬暫旨伺刺祉肢施恣脂紫嗣雌摯賜諮侍慈餌璽軸叱疾執湿嫉漆芝赦斜煮遮邪蛇酌釈爵寂朱狩殊珠腫趣寿呪需儒囚舟秀臭袖羞愁酬醜蹴襲汁充柔渋銃獣叔淑粛塾俊瞬旬巡盾准殉循潤遵庶緒如叙徐升召匠床抄肖尚昇沼宵症祥称渉紹訟掌晶焦硝粧詔奨詳彰憧衝償礁鐘丈冗浄剰畳壌嬢錠譲醸拭殖飾触嘱辱尻伸芯辛侵津唇娠振浸紳診寝慎審震薪刃尽迅甚陣尋腎須吹炊帥粋衰酔遂睡穂随髄枢崇据杉裾瀬是姓征斉牲凄逝婿誓請醒斥析脊隻惜戚跡籍拙窃摂仙占扇栓旋煎羨腺詮践箋潜遷薦繊鮮禅漸膳繕狙阻租措粗疎訴塑遡礎双壮荘捜挿桑掃曹曽爽喪痩葬僧遭槽踪燥霜騒藻憎贈即促捉俗賊遜汰妥唾堕惰駄耐怠胎泰堆袋逮替滞戴滝択沢卓拓託濯諾濁但脱奪棚誰丹旦胆淡嘆端綻鍛弾壇恥致遅痴稚緻畜逐蓄秩窒嫡抽衷酎鋳駐弔挑彫眺釣貼超跳徴嘲澄聴懲勅捗沈珍朕陳鎮椎墜塚漬坪爪鶴呈廷抵邸亭貞帝訂逓偵堤艇締諦泥摘滴溺迭哲徹撤添塡殿斗吐妬途渡塗賭奴怒到逃倒凍唐桃透悼盗陶塔搭棟痘筒稲踏謄藤闘騰洞胴瞳峠匿督篤凸突屯豚頓貪鈍曇丼那謎鍋軟尼弐匂虹尿妊忍寧捻粘悩濃把覇婆罵杯排廃輩培陪媒賠伯拍泊迫剝舶薄漠縛爆箸肌鉢髪伐抜罰閥氾帆汎伴畔般販斑搬煩頒範繁藩蛮盤妃彼披卑疲被扉碑罷避尾眉微膝肘匹泌姫漂苗描猫浜賓頻敏瓶扶怖附訃赴浮符普腐敷膚賦譜侮舞封伏幅覆払沸紛雰噴墳憤丙併柄塀幣弊蔽餅壁璧癖蔑偏遍哺捕舗募慕簿芳邦奉抱泡胞俸倣峰砲崩蜂飽褒縫乏忙坊妨房肪某冒剖紡傍帽貌膨謀頰朴睦僕墨撲没勃堀奔翻凡盆麻摩磨魔昧埋膜枕又抹慢漫魅岬蜜妙眠矛霧娘冥銘滅免麺茂妄盲耗猛網黙紋冶弥厄躍闇喩愉諭癒唯幽悠湧猶裕雄誘憂融与誉妖庸揚揺溶腰瘍踊窯擁謡抑沃翼拉裸羅雷頼絡酪辣濫藍欄吏痢履璃離慄柳竜粒隆硫侶虜慮了涼猟陵僚寮療瞭糧厘倫隣瑠涙累塁励戻鈴零霊隷齢麗暦劣烈裂恋廉錬呂炉賂露弄郎浪廊楼漏籠麓賄脇惑枠湾腕 Japanese//記号//  ・ー~、。〃〄々〆〇〈〉《》「」『』【】〒〓〔〕〖〗〘〙〜〝〞〟〠〡〢〣〤〥〦〧〨〩〰〳〴〵〶 Greek & Coptic//Standard// ʹ͵ͺͻͼͽ;΄΅Ά·ΈΉΊΌΎΏΐΑΒΓΔΕΖΗΘΙΚΛΜΝΞΟΠΡΣΤΥΦΧΨΩΪΫάέήίΰαβγδεζηθικλμνξοπρςστυφχψωϊϋόύώϐϑϒϓϔϕϖϚϜϞϠϢϣϤϥϦϧϨϩϪϫϬϭϮϯϰϱϲϳϴϵ϶ϷϸϹϺϻϼϽϾϿ Cyrillic//Standard// ЀЁЂЃЄЅІЇЈЉЊЋЌЍЎЏАБВГДЕЖЗИЙКЛМНОПРСТУФХЦЧШЩЪЫЬЭЮЯабвгдежзийклмнопрстуфхцчшщъыьэюяѐёђѓєѕіїјљњћќѝўџѢѣѤѥѦѧѨѩѪѫѬѭѰѱѲѳѴѵѶѷѸѹҌҍҐґҒғҖҗҘҙҚқҜҝҠҡҢңҤҥҪҫҬҭҮүҰұҲҳҴҵҶҷҸҹҺһҼҽҾҿӀӁӂӇӈӏӐӑӒӓӔӕӖӗӘәӚӛӜӝӞӟӠӡӢӣӤӥӦӧӨөӪӫӬӭӮӯӰӱӲӳӴӵӶӷӸӹӾӿ Thai//Standard// กขฃคฅฆงจฉชซฌญฎฏฐฑฒณดตถทธนบปผฝพฟภมยรฤลฦวศษสหฬอฮฯะัาำิีึืฺุู฿เแโใไๅๆ็่้๊๋์ํ๎๏๐๑๒๓๔๕๖๗๘๙๚๛
see also How to Edit a Glyph that is not listed on iFontMaker
6 notes · View notes
narinarinakanaka · 5 years ago
Photo
Tumblr media
越谷散策。旧日光街道にある蔵を改造したお店。次は越ヶ谷(越谷)にあった徳川家御殿跡。そして久伊豆(ひさいず)神社。最後は散歩後にまったりしてる、らむに〜さん(笑) #猫 #ネコ #cat #neko #スコティッシュフォールド #すこてぃっしゅふぉーるど #scottishfold #catgram #petstagram #lovecats #catlover #ilovecat #pets #catsofinstagram #catstagram #cats_of_world #catsfollowers #animal #animals #ラムネ #らむね #はかり屋 #越谷御殿跡 #御殿 #御殿跡 #越ヶ谷御殿 #久伊豆神社 #散歩 #walk https://www.instagram.com/p/BxpaDzTJ79g/?igshid=1xxk8w8a43v28
0 notes
4554433444 · 5 years ago
Text
妹が女児になった
 ある朝目覚めるとグレゴール・ザムザはなにになったんだっけ。えーと、虫? なんか虫的な? まあ実話ってことはないんだろうけど、そういうことがまったく起こらないわけでもないらしい。 「おーい美友里ー起きろー朝だぞー」  ドアをノックするも反応がない。死んだかもしれない。死んでは困るので、勝手に妹の部屋のドアを開けた。 「美友里ー、みゆみゆー」  こんな呼びかたではあるが、妹はいちおうこうこういちねんせいだ。重要な外見の問題だが、ものすごい美少女でもなければ生んだ親を恨む級の残念さでもない。なんかふつうなんだけど、ふつうよりちょっとかわいい。具体的にはなんかまるっこくて小さい。身長は145せんち。かわいい。靴のサイズは二十一・五せんち。かわいい。笑うとちょっとだ��見える八重歯がチャームポイントだ。  そして聞いて驚いてほしいのだが、俺はシスコンである。去年の文化祭で、シスターコンプレックスコンテスト、略してシスコンコンという子宮でもノックしてんじゃねえかというようなイベントが開催されて大問題になり、大変な怒られが発生したことがあるのだが、なにを隠そうそのコンテストの優勝者は俺だ。以来俺は学校のダークヒーローだが、特に気にしてはいない。なぜなら美友里はかわいい。問題はない。  で、それはそれとして美友里である。  美友里はかわいいのだが、残念である。これは豆知識なのだが、妹はブラコンである。去年文化祭で開催された(中略)ぶっちぎりの優勝、お兄ちゃんすきすきだーいすき、と駅前でもコアラさんだっこでしがみついてきかねないくらいである(昨日のヘッドライン)。美友里の現在の夢はお兄ちゃんのお嫁さんになることであり、俺の現在の夢は美友里をお嫁さんにすることである。  兄妹ものにつきものの親の反対やらなんやらだが、親は現在夫婦そろって海外に赴任中ということもなく、実は美友里のほんとうの両親は幼いころに事故で死んでおり、親友だった俺の両親が引き取ったということもなく、ガチ血縁の兄妹であるのだが、なんかもうここまで来ると親としても諦めの境地らしく「ああうん、あんたたちなら社会的な後ろ暗さとかもないだろうから。もう好きにすればいいよ」と丸投げである。新しい兄妹ものの地平、それは親の諦め。  説明が長くなってしまった。では、これから美友里の布団をフルオープン! 一晩にわたってじっくりと布団にしみこんだ美友里成分を毛穴という毛穴から吸い込むよ! 「オープン・ザ・みゆみゆのふとーーーん♡」  がばっ。タオルケットその他を一気に剥ぎ取る。どうでもいいけど語呂と頭が悪すぎるなこの掛け声。 「おはよう、美友里……」  なんと、そこにいたのは、高校生にしても小柄すぎてすげえかわいい美友里ではなかった。なんか七歳くらいの女児である。美友里は高校に入ってからも家では俺が頼めば「お兄ちゃんはほんとにしょうがないなあ♡」とか言いながらランドセルを背負ってくれるやさしい妹だが、これはガチ小学生、ガチこどもである。 「お、お兄ちゃん……」  うずくまっていた女児が、起き上がって涙目で俺を見つめた。すっごいうるうるしてる。かわいい。 「おまえ、美友里か……?」 「わ、わかるのお兄ちゃん!?」 「あたりまえだろ! 俺をだれだと思ってる。おまえのお兄ちゃんだ! ちょっと待ってろ」  俺はスマホを取り出し、ものすごい勢いでグーグルフォトを検索。このスマホには、俺��物心つくころからずっと蓄積してきた美友里ちゃん成長記録ダイ♡アリーのすべてが含まれている。略して「みゆみゆとおにいちゃん」だ。子供のころはスマホを持っていなかったから、親から譲り受けた古いデジカメで撮影したものである。そのすべてが俺の魂と、このスマホのなかに格納されているのだ。 「……あった。これだ」  俺は美友里にスマホの画面を見せる。  そこに表示されているのは、新品の赤いランドセルを背負ってというか背負われているというか、大きすぎる飛行ユニットを背負わされてふぇ~とかなってる女児型アンドロイドみたいな雰囲気の女の子である。比喩のほうがよけいにわかりづらい。とりあえずかわいい。最後にかわいいつけとけばなんでもかわいい。ちなみに写真のなかの美友里はなにがあったのか半泣きである。かわいい。 「いまの美友里の姿は、この美友里とそっくりだ。鏡を見てみろ」 「……」  おそるおそるベッドから下りて姿見の前に立とうとする美友里だったが、パジャマが元のサイズのままだったため、裾を踏んづけてこてんと転んで床に落ちてしまった。 「美友里!」 「ふ、ふぇ……いたいよぉ……」 「どこをぶつけた? おでこか? ひざか?」 「えっと……ぜんぶ」 「じゃあ全部なでなでしなきゃいけないじゃないか!」  なでなで。  なでなでなで。 「ううう、高1の美友里もかわいいけど、この美友里もかわいい……」  腕のなかにすっぽり収まるサイズ。これはやばい。シスコンのほかにロリコンも併発しそうである。すでにしてる。謹んでお詫び申し上げる。 「ねえお兄ちゃん、さすがに泣くほどのことじゃないと思う……あっ、だめっ、そこはなでちゃだめ!」 「なぜだ!」 「そ、そこは……おっぱい……」 「やー、まったいらでなんもねえからわかんなかったわー」  ごめすっ。  なつかしい擬音とともに、俺の視界に火花が飛んだ。  美友里の7こくらいある必殺技のひとつ、頭突きである。 「う、うう……おでこがいたいよぉ……」  ただし自分も痛くて泣いちゃうという諸刃の剣である。なんてきけんなわざなんだ。かわいいなあ。 「それはまずい! なでなでしなけれは!!」  鏡の前に立つまで10分くらいかかった。 「ほんとだ……」 「だろ。まあ美友里の外見、正直子供のころからあんまり変わらないから、見たときにすぐわかった」 「ひっさつ……」 「すいませんでした」  剣呑な雰囲気をただよわせてすごいかわいくなった美友里に頭を下げて謝罪する。 「それにしても、お兄ちゃんの動じなさもすごいよね……あまりにふだんどおりだったから、自分が驚くタイミングなかったよ」 「バカだなあ美友里。美友里だったら、たとえ3歳でも愛せる自信があるぞ」 「お兄ちゃん……」 「美友里!」  ひしっと抱き合う。正確には美友里がちっちゃいので俺にひしっとしがみついてる感じだ。ああどうしよう、また新しいかたちの美友里への愛が。脊髄からだんだん下のほうにあふれていっ��、いま、俺、完全体。 「ていっ」 「ふんごぉぉぉ」  雄々しく屹立したジャパニーズお兄ちゃんスティックメカニズムが、紅葉のようなみゆみゆのおててによっておしおきされた。 「これもまた、よし……」  股間を押さえて膝から崩れ落ちる俺。 「まったくもう、お兄ちゃんはどこでも節操なくおっきくして……ばかなんだから♡」  両手でほっぺたをおさえてぽっと顔を赤らめて美友里。あ、ちっちゃいこがこのポーズするとめっちゃかわいい……。 「でも……それにしても、どうしてこんなことに?」 「それだよなあ。いかに俺が、美友里のためなら現実のほうを捻じ曲げる手のほどこしようのないシスコンだとしても、現実的に美友里の生活に不自由出るしなあ」 「あ、自覚はあったんだね」 「うん、受験とかあるからね……」  シスコンも受験からは逃れられない。  二人して考え込んでいると、窓のほうからとつぜん、異様な気配が漂ってきた。 「お兄ちゃん! 窓に、女児アニメのプリントのついたTシャツを着て、吸盤で張り付いてる絶望的にきもちわるい人がいる!」 「な、なんだって!?」  俺ががばっと振り向くと、その人間は、死にかけのミミズみたいな気持ち悪い動きでシュバババッと窓を開けると、窓枠にねちょっと着地した。 「L・O・V・E!ラブ幼女! ハイッッ!!」  甲高い掛け声とともに、男は室内に飛び込んできた。  ちょうど手頃なサイズのモルゲンステルンがあったので、殴打してみた。  んぬに。  文字にしがたいすごい手応えあった。 「あーいってー、死ぬかと思ったわー」 「あたま! 刺さってる!! モルゲンステルン自立してる!!」  美友里が指を差す。 「いやあ、いいのいただきました」 「えーと、その飛び散ってる血、あとで掃除してね」 「これは失敬。拙者、ちょっと血の気が多いものでしてな。さきほども陰茎から血が止まらぬので献血車に闖入し、ナースの前で献血希望!とおっとり刀で下半身を開帳いたしたところ」  やべえ。本物の変質者だ。俺なんかまだまだ器が小さい。  ひととおりの説明を終えたあと、真の変質者はおもむろに語りだした。 「拙者、幼女を性的な意味で愛する会の日本支部長を務めさせておりまする。これは名刺です」  血まみれで読めねえ。 「当組織は世界中に35億もの会員を擁しており、その資金力、技術力は絶大、NASAにも秘密裏に技術供与をいたしております」 「ロリコンの集団がいったいなんの技術を提供すると……?」 「火星での幼女探査です」 「……」  やばい。完全にツッコミがまにあわない。いったいどうしたらいいんだ��れは。 「お兄ちゃんお兄ちゃん」  美友里が、こおろぎさとみ以来の日本の伝統芸のひとつ、やや低めのメゾソプラノくらいのロリ声でささやいてくる。コシがあってまろやかでありながら、しつこさと不自然さがない。背筋をぞくぞくさせる微量の毒すら感じさせる甘い声である。 「なんだ美友里」 「これ、使って」  美友里が、ちょっとしたトランクケースくらいの大きさのものを押し出してきた。 「なんだこれ」 「自律型拷問具、鋼鉄の処女1号さとみちゃんだよ。ここのボタンをこうやって押すと……」  がぱっと、フタらしきものが開いた。箱型のそれは複雑にがっしょんがっしょん展開すると、人間らしき姿となる。 「いけ、さとみちゃん!」 「ま゛っ」  体の中心軸から真っ二つに割れて、がばーっと開いた。その内側にはびっしりととがった釘状の突起が埋め込まれている。えぐいなあ……なんだよあれ……。 「ま゛っ♪」  あ、変質者が飲み込まれた。 「んぎゃあああ、みぎゃっ、あっ、あっ、いんぎぃぃぃぃ……」  そして、悲鳴さえ聞こえなくなった。 「血液型はO型、好きな食べ物は人肉。以上、さとみちゃんのプロフィールでした☆」 「あ゛ーー」  さとみちゃんの作動音?とともに、がぱっとさとみちゃんの体が開いて、ごとっと、男だったものがぼろぼろになって床に倒れ落ちた。 「さ、さすがは我らが見込んだお方……」  あ、生きてる。  わかった。これあれだな。突っ込んだら負けっていうそういうルールなんだな。  割り切ろう。  なんなら、さっき流れてた血ももう消えてるしな。 「我々は……ずっと追い求めていたのです。理想の幼女というものを。穢れのない魂、穢れのない肉体、そしてついに見つけた……美友里さん、あなたこそが……しかしなんたることか!」  男は、床に膝をついて、両手で顔を覆って天を仰いだ。まるで殉教者のように。 「すでに美友里さんは高校生になっていた! そこで我々は対策を立てました。そうして完成したのがこの、光当てたらなんでも幼女になっちゃうライトです!」  ぺしっ。美友里がライトを叩き落とした。  ぐしゃ。踏んづけた。  あーあ、壊れちゃった。 「そんなてきとうなライトで人の人生めちゃくちゃにしないでください!」 「ああ! なんということを! 元に戻すにもそのライトが必要だというのに!」 「え」 「え」  美友里と俺の無機質な声が重なる。 「どうしてくれるゴルァ!!!」  俺は男の襟首を掴んでがくがくいわせた。 「ちっちゃいみゆみゆももちろんかわいいが、高1の美友里だって死ぬほどかわいいんだ。俺とともに時を過ごし、やがては結婚、生まれた子供はみんな美友里に似たかわいい女の子、俺はかわいい奥さんとかわいい子供のハーレムの主として死ぬまで幸福に暮らすはずだったのに!!!」 「お兄ちゃん、思ったより鬼畜思考だね……」 「いますぐ! 予備をよこせ! 予備のためなら貴様の命など捨ててやる! いますぐだ!!」 「そうしたいのはやまやまなれど……」  男は気まずげに目を逸らす。 「まさか……」 「そのまさか、です。そのライトは完全な特注品。世界にひとつしかないものです」 「なん……だと……」 「このことを理解してもらうには、そもそも薔薇十字団の結成の由来から説明しなければなりますンゴぉっ」  手近にあった2本目のモルゲンステルンで殴っておいた。いまはそんなこと聞いてる場合じゃない。 「美友里、どうする……」 「うん……でも私は、いいかな。どこにいても、どんな姿でも、お兄ちゃんと一緒なら……」 「美友里……」 「お兄ちゃん……♡」 「そう、あれは13世紀イタリアでの出来事でした。時のローマ法王」  まだ続いてたのか。  そのときだった。  ガシャンと、ガラスが砕ける音がした。 「美友里!」  俺はちっちゃい美友里を抱きしめてかばう。背中に焼けるような痛みを感じる。食らったか。 「貴様は!」  さっきの変質者の声がする。  痛みをこらえつつ振り向くと、そこに女児アニメのプリントがついたTシャツを着た男が仁王立ちしていた。男は、拳を握りしめて、ぼきぼきという音を立てながら 「ふむ、なかなか馴染むな、この体」 「お兄ちゃん……」 「美友里、おまえは隠れてろ」  美友里を背にして、俺は新たに登場した変態に向きあう。まちがいないこいつは、最初の変質者の関係者だ。それ以外にどう逆立ちしても思いつかないくらい関係者だ。肉弾派の魔法少女の顔がかわいそうなくらい伸びている。それはつまり、その男が筋骨隆々であるということを意味する。 「お二人は逃げてください。ここは私が食い止めます!」  いやあの、逃げるのいいんだけど、ちょっとくらい事情の説明がほしいかなあって……。 「ふむ。名乗りくらいはくれてやろう」  男は顔を歪めた。その歪みが、男なりの笑顔だとわかったのは、しばらく間が空いてからのことだった。 「我こそは、幼女に純愛を貫くロリコンの会の日本支部長。我々の理想の女王、ここは女王と書いてクイーンと読むのだが、女王が覚醒したと知り、推参つかまつった次第。悪いようにはせぬ。美友里ちゃん、我と一緒におさんぽしないかな?」 「おい、キャラ統一しろよ」 「初潮はまだかな?」  ロリコンこんなんばっかだな……。ローティーンのキャラ出ると真っ先に初潮がまだかどうか気にするのほんと最悪。どうせ愛読書はやぶうち優だぞこいつ。 「そいつの言うことに耳を貸してはなりません……」  切羽詰まった声は、最初の変質者。会の名称でいえばおまえんとこのほうがよっぽどやばいがそこは。 「その男は化物です。理想の幼女を求めて、他人に肉体を乗っ取り、何百年もの時を生きてきた。幼女のためならどんな非道をも辞さない、幼女以外のすべてにとって危険な男……その名は……ロリコン伯爵!」 「ひでえなおい……」  ���りがなさすぎてずっこけるのはさておき、その名前を名乗って生きていけるメンタルのほうが計り知れなくてむしろ怖い。 「ここに至っては話し合いはもはや無用。美友里ちゃんは我らがもらいうける」 「させるか!」  変質者2号が魔法のステッキらしきものを、1号はオナホらしきものを取り出した。オナホ?  1号が、目を閉じる。すべてのものがぴたりと動きを止める。  1号が目を開いた。そして静かに呟く。 「ロリオナ砲」  その瞬間、七色の光が室内に溢れた。筋骨隆々の2号を巻き込んだ光は、その光の形に壁を切り取る。おー青空が見える。今日もいい天気だ……。 「ってうちの壁!!!」  そして、光が消えたとき、2号は傷ひとつなくその場に立っていた。 「笑止」  男は顔を歪めた。そして、ステッキを頭上に捧げ、重々しく宣言した。 「加齢なる、性徴」 「まずい!」  1号が俺たちを部屋から押し出す。美友里も俺もまとめて廊下に転がる。 「あの技は発動まで時間がかかります。いまのうち逃げてください。ライトはかならず、かならず私たちがあなたに届けます」 「変質者さん……」  美友里が致命的な呼びかたをする。 「ふ、その呼ばれかた、なかなか陰茎に響きますな」  男が美友里の部屋に戻る。  その瞬間、ドアの形が波を打ったように歪む。  なにが起きているのかわからない。わからないが、あれはやばい。本能的にそう感じるくらいには、異常なことが起こっていた。 「美友里!」  俺は美友里を抱きかかえた。転げ落ちるように階段を駆け下りる。 「あんたたちー、朝ごはんはー?」 「今日は食わない!」 「そう」  母親がのんきに答えた。  かまわず俺は靴をはいて玄関から飛び出す。玄関には、置きっぱなしになっている愛用のママチャリがある。 「美友里、しっかり捕まってろ」 「うん!」  ペタルに足をかける。  全力で踏む。  家の敷地を出た。通りまで出て、わずかに家を離れたときだった。 「あ、ああ……」  美友里の悲痛な声がした。  急ブレーキをかけて、家を振り返る。  カッと、なんか色のよくわからない茶色とか灰色とかきったねえ光が家を包んでいた。その光が収束したとき、そこに家はなかった。 「そんな、おうちが……」 「クッ……」  俺は、現実を直視できずに家のあった場所から目をそむける。 「お母さん、お母さんは……?」  美友里が自転車を下りる。  ふらふらと家のほうへ歩き出す。やがてその速度はだんだんと上がっていき、ついには全力で走っていた。 「美友里!」  止める間もない。もとより家のすぐ近くだ。美友里を捕まえるよりも前に、家に着いてしまっていた。  鉄製の門のところで立ち尽くしている美友里。  その頭に手を置きつつ、俺は覚悟を決めて、敷地のなかを見た。  そこに、一人の女児がいた。 「あれ、あんたたちでかけたんじゃなかったの?」 「……だれ」 「そういえば美友里どうしたの、そんなちっちゃくなっちゃって」 「そんな……」  俺は、よろよろとその女児に近��く。がっくりと膝を落として女児の顔を見た。 「母さん、なのか……?」 「あんたは小さくならないのね」 「もし母さんなら、言ってくれ。俺のエロ本の隠し場所を」 「あんたエロ本とか持ってないでしょ。デスクトップから4階層くらい下にあるみゆみゆってフォルダがあんたの唯一のオカズじゃないの?」 「母さん……!」  俺は号泣しつつ、かつて母親だったものを抱きしめた。 「お兄ちゃん……そんなことしなくても、いつだって本物が近くにいるのに……」 「ああうん、それは別腹だから」 「そういうものなんだ……」  こうしてこの日、俺たち家族は、多くのものを失ったのだった。  それから3年の月日が流れた。 「10さいのおたんじょうびおめでとー!」  よく似た二人の女子小学生が、お互いにそう言い合って、ケーキの上のろうそくをふーっと消す。  母さんと美友里は、今日、10歳になった。あの日7歳相当まで年齢が下がったので、3年後の今日が10歳というわけだ。 「いやー、一時はどうなるかと思ったが、なんとかなるものだな」  父親が感慨深げに言う。 「いやあ、ほんとだねえ。でもまあ、二周目の人生もなかなか悪くはないよ」  母さんが言う。  確かに家は失った。しかし家族は残った。あのころとは違い、2DKの小さなアパートではあるが、俺たち親子はそれなりに楽しく暮らしていた。 「なんか、いいのかな……」  美友里が難しい顔をしているが、まあなっちゃったもんはしょうがない。 「10歳の美友里もかわいいなあ……」 「なんの。母さんだって負けてないぞ」  むくつけき男どもが、それぞれのJSを抱きかかえて笑い合う。  そうだ。起きてしまったことはしかたない。明日に向かって歩こう。生きてる限りどうにかなる。あと美友里まじでかわいい。 「お兄ちゃんのメンタルもたいがい鋼鉄だと思うんだよね……」  などと美友里が呆れ顔で言ったときだった。  玄関のインターホンが鳴った。 「はーいどちらさまで……ってうわ」  俺がドアを開けると、そこにはヒゲまみれのぼろぼろの男がいた。 「お約束の品を、届けに参りました……」  あちこち破れた女児アニメプリントのTシャツ。 「あ、あんたは……!」 「覚えてらっしゃいましたか」  いや、忘れようがないだろアレ。  俺に手渡されたのは、一本のライト。 「それで美友里さんと、お母様を照らしてください。そうすれば、元の年齢に……」 「あー、それなんだけどさ、なんかもうこの状況に慣れちゃったし、これはこれでいいかなって……」 「は?」  そこへ母さんが出てきた。 「おやおや、あのときの人じゃない。ちょうどいいわ。筑前煮があるんだけど食べていかない?」 「は、はぁ……」 「こんなに薄汚れて。うちのでよければ着替えはあるから。まずお風呂入ってらっしゃい。ゆっくりお風呂に入って、おいしいもの食べて。そしたらきっと笑えるから。ね?」  男の目に、涙がにじんだ。 「JSママ、いいかもしんない……」 「ああうん、もうなんでもいいや」  というわけで、2周目の女子小学生生活を送っている美友里は、なかなかおねしょが治らない。俺は美友里の布団を干しつつ、���日も幸せである。 「においかいじゃだめー!」  めでたしめでたし。
0 notes
ama-gaeru · 6 years ago
Text
錯視上ブルーエンド13
13話:8月16日(午前10時53分)自分がやられていやなことx人にしてしまうこと 
 「夏休みに入ってから��先輩との付き合いに反対するお前の叔母さんに別荘に軟禁されていたと。そんで隙をみて逃げ出して、ボロッボロになりながら笹巳まで徒歩で帰ってきたはいいけど、先輩の家の周りをお前の父親の車がグルグル監視してたから迂闊に近寄れず、かといって家に戻るわけにもいかず、途方に暮れていたところにうちの団地が目についたから、人が住んでねぇ部屋に勝手に忍び込んだってか。最初は1階、次は2階と短期間で移動して足つかねぇようにして、そんで昨日は最上階と」
 西郷君はキッチンから2人分のグラスと麦茶のボトル、それからアクエリアスを抱えてリビングに戻ってきた。西郷君は軽く手を伸ばすだけで天井にタッチできるくらい背が高いので、椅子に座っている私は彼の顔を見るのにかなり顎を持ち上げなければならなかった。首が痛い。
 西郷君は大きな口を開き、舌の上で「ハッ!」という笑い声を転がした。
「バッカじゃねぇの」
 魚みたいにまん丸い目の中にある、黒い瞳が冷ややかに私を見下ろしている。黒い色は深すぎると青みを帯びる。墨汁やタールはその黒い表面に、本当なら含まれていないはずの青を浮かばせる。西郷君の黒い瞳も、どこにもない青い色を滲ませている。
 あれは彼の中でずっと燃え続けている怒りの炎の色だと感じる。敵意、怒り、嫌悪感──私がシルキーを川に落とした日からずっと、彼はこういう目でしか私を見ない。あんなことを私がしてしまう前は──ほんの少しの短い間だけど──ただの友達みたいに話せていた時期があったことを、西郷君はもう覚えてはないんだろう。それがとても悲しい。悲しめるような立場じゃないけれど。
 彼を前にすると背骨の中に鉄串を通されたみたいな気分になる。ただでさえ、思っている通りに動いてくれない顔の筋肉が、完全に無表情に固定されてしまう。
「普段、スゲェ細けぇどーでもいーことでクラスメイトや部活の連中に説教しまくるくせに、自分はなんなんだよ。不法侵入とか。普通に犯罪じゃん。最低だな」
 西郷君はテーブルにグラスを並べ、モンスターズインクの柄がプリントされているグラスにアクエリアスを注ぎ始める。
「後で管理人室行って、空き部屋で寝泊まりしてたこと詫びろ。お前のせいで団地に住んでるみんなが不安だったんだ。不審者かホームレスが住み着いたって、見回りまでしてたんだぞ。ああ、��れは言わねぇでも知ってるか。おっさんたちに見つかンねぇようにするために、ベランダにぶら下がったんだもんな」
 ハッとまた西郷君は笑う。サメが笑うとしたら、きっとこんな顔だろうと思った。テーブルの下、腿の上で重ね合わせた手が震えないようにする。指先が冷たくなったように感じるのは、このリビングの冷房のせいじゃない。
 私は彼の前だと萎縮してしまう。だって西郷君は、私の最悪な部分を見てしまった人だから。彼は私の罪を知ってる。そしてそれを決して他の人には言わない。神父のように沈黙を守る。彼の中に私の罪を留める。だから、私は公に責められることがなく、そして許されることがない。
「一歩間違ったら死んでただろ。あんなことするくらいなら、普通に���ごめん』って謝って家に帰りゃいいだろ。2、3発ビンタ食らうかもしんねぇけど、そりゃ迷惑料だ。親に心配かけんな。他人にも迷惑かけんな。バカなことする前に話し合えよ。つーか、表向きははいはい別れますっつといて、隠れて付き合い続けりゃいいだろ。そんぐらい考えつかねぇのかよ」
 西郷君はアクエリアスを私に差し出し、それから残ったグラスに麦茶を注いで、私の正面に座った。
 彼は私に非難の目を向ける。胃がキリキリする。こうして面と向かって話をするのは、小学校の時以来だ。部活でもクラスでも西郷君は私に話しかけてこなかったし、私も彼に話しかけられなかった。彼の目、態度、纏う空気。全てが私に棘を向けていた。少しでも近づいてきたら突き刺してやるからなって。
 私は彼にちゃんと謝罪をしないといけないと思う。
 団地に忍び込んだこともそうだし、布団を貸してもらったこともそうだし、熱中症を起こしかけていた私を朝まで付きっ切りで看病してくれていたこともそうだし、何より、シルキーのことを彼に謝らないといけないと思う。
 『西郷君。本当にごめんなさい。他に選択肢がなかったの。謝って済むことじゃないってわかってるし、許してもらえると思ってない。何度も謝ろうとしたの。でも、謝ろうとするとどうしても言葉が別のものにすり替わってしまうの。信じてくれないだろうけど、私、自分が思ってることを、ちゃんと言えないの。そういう風にされちゃってるの』
 頭の中で繰り返し、口を開く。大丈夫。きっとできる。だって私は、あの叔母さんからも逃げることができたんだから。ここまで自力で歩いてくることもできた。野宿もできた。警察からも逃げられた。
 私はなんだってできる。自分で考えて、自分で行動することができる。私は変わることができる。もう、西郷君が知ってる最悪の私じゃない。それを伝えなきゃ。
「西郷君、私」
 ──どうして梨花さんが謝るの? あなたは何も悪いことしてないでしょ? あなたはやるべきことをしただけよ──
 叔母さんの声が頭の中に響く。唇から音が消える。ダメ。ダメ。消えないで。
 ──取り乱しちゃダメ。みっともないでしょう。ちゃんとした子に育ってちょうだい。あなたは完璧な梨花ちゃんにならなきゃいけないでしょう。あなたにはそうしなきゃいけない責任があるの。あなたのために、私が何を失ったと思ってるの。責任を果たしなさい。あなたが生きてることの、責任を──
「私、少ししたら出て行きます。本当にご迷惑をおかけしました。管理人室には帰る時に立ち寄りますので、大体の場所を教えてくれると助かります」
 こんなことを言いたいんじゃないのに、こんなことしか口に出せない。声を上げて泣き出したいのに、表情がガチガチに固まっているのが自分でもわかる。私はきっと、外からみたらものすごく変な奴だ。無表情で、平坦な声で喋るロボ。鉄仮面。変人。麗子像。そう呼ばれてるのを知ってる。好きでこうなったわけじゃないのに。
 西郷君は目を細めて私を睨んだ。
「出て行った後、どーすンの? 家、戻ンの?」
「そうするつもりです。西郷君の言う通り、私はバカなことをしました。父と叔母に謝罪して許してもらうつもりです」
 嘘だ。家には絶対に戻らない。……だからといって、どこに行けばいいのかわからない。先輩に会いたいけど、父さんに見つかる可能性があるから近づけない。警察もそろそろ見回りを始めているかもしれない。私から先輩のところに行くんじゃなくて、先輩が私のところに来てくれたら……。
「……西郷君。先輩に私がここにいるって連絡して貰えませんか?」
 西郷君は不意に水をかけられたような顔で私を見た。
「なんで、俺が?」
「私はスマホを取り上げられてしまったままですし、家に戻ったら次に先輩に会えるのいつになるかわかりません。だから、西郷君から私がここにいるって連絡してくれれば……」
「無理。今、俺ら微妙だから」
 西郷君はそういってなんとも言えない複雑な表情を浮かべた。自分を責めているような、先輩を責めているような顔だ。
「まさか、喧嘩したんですか? 西郷君と先輩が?」
「お前に関係ねぇだろ」
 驚いて聞き返した声は、鋭い声に切り落とされる。
「つか、お前、それ飲んだら帰る前に風呂入れよ。もう風呂入れるくらいには回復してんだろ。沸かしてあるから。ホームレスに間違われんのも無理ねぇよ、お前の格好と臭い。その包帯は洗面台の側のゴミ箱に捨てろ。そんなに汚れてたら包帯の意味がねぇ。替えの包帯と日焼け用の塗り薬、あとで置いといてやるから、風呂からあがったら自分でやれよ」
 西郷君はそう言うと麦茶を一気に飲み干し、「風呂場、あっち。洗濯機と乾燥機は好きに使っていーから、風呂入ってる間に服洗っとけ」と廊下の先を指差して立ち上がった。
「あとその敬語、ウゼェからやめろよ。普通に喋れんの知ってんだからな。小坊(しょうぼう)の時も、2人っきりになると普通に喋ってただろーが。覚えてンだからな」
 石垣が風呂に入ってる間に俺はスマホを操作し、LINEを立ち上げた。
「……クソッ」
 覚悟していたけど、やっぱりブロックされてる。クソッ。そりゃそうだよ。
 俺はきっとダメだろうと思��ながらも、先輩のアドレスにメールを送る。これも多分、ダメだろうな。迷惑メールフォルダに振り分けられるのが眼に浮かぶ。……となると、電話か。
 俺はハァーッと大きなため息を吐いてから、先輩の番号を呼び出す。コール音を聞きながら、シャツの胸元を握る。どーせ出ないだろうと思いながらも、万が一、繋がった時のことを考える。
 一体、どんな声でどんな風に話せばいーんだかわかんねぇ。まさか『よぉ、先輩。俺、西郷。昨日、先輩に告って、キスして、ぶん殴られて、見捨てられて、海に置いてかれた、あの西郷。それは一旦置いといて、お探しの彼女が今、俺ん家にいんだけど、これから来れる?』とでも言うわけにいかねぇし。
 何度かのコール音の後、電話が繋がった。
「先ぱ」
「お客様のご希望により、電話をおつなぎすることはできません」
 ……。マジかよ。電話まで着信拒否か。クソッ。
「これで損してんの、俺じゃなくてテメェと石垣だからな。クソ原」
 俺は呻きながら髪をかき混ぜる。石垣と別れたくねぇって泣いてた先輩の顔が頭ン中にはっきりと浮かぶ。あー。クソ。ひっでぇ告り方して、悲惨に振られたのに、そんでもまだ、先輩に泣いて欲しくねぇって気持ちが優ってる。
 精神的な疲労と肉体的な疲労がダブルパンチだ。マジで死にそう。昨日今日とジェットコースター過ぎんだろうが、俺の人生。
 昨夜。
 俺が「日野原先輩と別れンの?」と聞くやいなや、石垣はばね仕掛けの人形みたいに勢いよく立ち上がって「絶対に別れない!」と鉄仮面のまま叫んだ。そして砂が崩れるようにゆっくりと座り込み、そのまま気絶しやがった。
 俺は鼻血をだらっだら流し続けている石垣を部屋に運び、布団の上に寝かせた。
 室内灯の下で見る石垣の姿はそりゃ酷ぇもんだった。顔から胸までは鼻血で真っ赤に染まっていたし、手足を包む包帯はあちこちから膿が染み出していたし、両手の皮はズルムケ、足の裏や指は血豆だらけ、包帯に覆われてない部分の皮膚は日焼けしすぎでヒビが入って、ヒビの下からピンク色の肉が見えてた。完全にゾンビだった。俺がウォーキング・デッドのキャラだったらその場で頭を叩き割ってたと思う。
 おまけにチビた体には洒落にならない程の熱がこもっていた。熱中症を起こしかけてるってすぐに気がつけたのは、運動部部員が必ず受けることになってる応急処置の特別授業のおかげだ。あと練習中にぶっ倒れた三国の世話をした経験も活かせたんだと思う。
 俺は気絶した石垣を叩き起こし、薄い塩水を飲ませられるだけ飲ませた。それから氷を詰めたビニール袋をタオルで巻いて、それを首の後ろと両脇の下と太ももの付け根に置いて、太い血管を冷やした。濡らしたタオルで腕や額や足を覆って、体から熱が外にでるようにするのも忘れなかった。
 そのまま大人しく寝ててくれりゃ楽だったのに、石垣は体から多少熱が出て行くと「大丈夫です。お世話になりました。帰ります」と言って立ち上がろうとした。
 最初は相手が──石垣とはいえ──怪我人だから、できるだけ静かに「寝てろ」と命じていたが、あまりにもしつこく立ち上がろうとするので、最終的に俺はキレた。
「大丈夫じゃねぇ奴が、大丈夫って判断してんじゃねぇよ! この場で冷静なのはどっちだ!? 俺か、テメェか、どっちだよ!? 俺だろうがっ! 次立ち上がろうとしやがったら、動けねぇように体縛り上げるからな、クソがァ!」と俺が怒鳴って、ようやく石垣は無理に起き上がろうとするのを諦めた。
 その後。俺が濡れたタオルを取り替えたり、深夜営業しているコンビニまで氷を買いに行ったり──クソ遠い。学校の反対側まで行かなきゃいけない──している間に、石垣はウトウトと眠り始め、俺も疲労が込み上げてきて床に尻餅を付いた。
 本当はその場に大の字になって眠りたかったけど、結局、俺は朝までずっと起きて石垣の様子を伺っていた。流石に嫌じゃん。目を覚ましたら冷たくなってましたとか。
 「……クソ。どういう状況だよ。あの石垣が俺ん家にいるとか。冗談だろ。信じらんねぇ」
 俺は欠伸を嚙み殺しながら独り言ちる。
 あいつ、ここから出たら家に帰るとか言ってたけど、絶対ぇ嘘だろ。こんな団地に忍び込むくらい嫌がってる家に、俺に見つかった程度でホイホイ帰るわけねぇもん。大方、団地から出たらまた別の潜伏先探すんだろうな。ホームレス女子高生だ。遅かれ早かれ事件か事故に巻き込まれて酷い目にあうルートじゃん。……まぁ、俺には関係ねぇけど。
 俺は自分の両腕をお姫様抱っこをする時の形にする。あいつメチャクチャ軽かったな。2週間かそこら、家出続けてるっつてたっけ。その間、飯どうしてたんだ? コンビニ飯かなんかか? ハッ! バッカじゃねぇの。
 「これ、もしかして私にですか?」
 風呂から出てリビングに戻ってきた石垣は、テーブルの上の雑炊を指差して俺に尋ねた。冷蔵庫のあまりもんぶち込んで作ったやつだ。ぐずぐずに煮込んだから、胃が弱ってても食えんだろ。
「お前以外に誰がいンだよ。とっとと座って食え。昨日の夜から何も食ってねぇだろ。全部食えねぇなら食えねぇでいーけど、ちょっとは腹になんか入れろ。家帰るまでに倒れられたら寝覚め悪ぃからな」
 石垣は鉄仮面のまま俺の正面の椅子に座り、「ありがとうございます」と言って頭を下げた。シャワーと、シャンプーと、リンスと、ドライヤーの力で、鳥の巣みたいだった石垣のおかっぱ頭がいつも通りの無駄な輝きを取り戻している。あいつが頭を動かすと髪がサラサラーッと流れて揺れた。ふーん。これがサスーンクオリティ。
 痛々しいばかりだった包帯も綺麗に巻き直されていて、だいぶゾンビ感は払拭されていた。今の石垣はゾンビではなく、ただの座敷わらしだ。ちょっとは人間に近づいた。
「お前のスポーツバッグ拾って来たから。後で中身確認しとけよ」
 俺はソファーの上に置いた赤いスポーツバッグを指差す。石垣が昨日、ベランダの柵にぶら下がる前に少しでも体を軽くしようと地面に落としたものだ。団地内の誰かの落し物だと思われていたらしく、植え込みの側のベンチの上に『誰が落としたか知りませんけど、落し物はここですよー』と言わんばかりに置いてあった。
 石垣はスポーツバッグと、雑炊を何度か交互に見てから俺に顔を向け、「どうしてですか?」と聞いた。
「何が」
「西郷君、私のこと嫌いでしょう?」
「わかってんなら一々聞くなよ」
「私のこと嫌いなのに、どうして優しくしてくれるんですか?」
 ……あ?
「誰がいつお前に優しくしたよ?」
 しねーよ!
「だって、寝ないで看病してくれたり、お風呂貸してくれたり、ご飯まで」
 ハッ!
「お前はただそいつが嫌いだって理由で、鼻血流しながらぶっ倒れたボロ雑巾みてぇな人間をそのまま転がしとくのかよ。バッカじゃねぇの。怪我人の面倒みンのと、そいつが好きか嫌いかは別だろーが。そんなの、優しさの問題じゃねぇよ、ボケナス。ズレてるとこ、昔っから変わんねぇよな。あと敬語やめろっつたろ。イライラする」
「……ごめん」
 ケッ!
「その鉄仮面みてぇな面も、えっらそーなチクリ魔ぶりも相変わらずだな。高校生なんだから、ちょっとはマシになると思ってたけどな」
「少しはマシになってたんだよ」
 ほんの少し、石垣の鉄仮面が揺らいで感情らしきものが見えた気がした。反発とか、苛立ちとかだ。生意気じゃん。お前が俺に何をイラつくってんだ。
「どこがだよ? クラスでも部活でもズレまくりの浮きまくりじゃねぇか。ホームルームでクラスメイトのミスをネチネチ晒しあげンのやめろよ。クソウザいから。自分でわかんねぇの? あーゆーことすっからいつまでたっても、どこにいても嫌われンだよ。お前、女子とすら喋れてねぇじゃねぇかよ」
 石垣はスプーンで雑炊の表面を突きながら「わかってるよ」と言った。
「わかってるけど、どうにもできないんだよ。それでも、中学校の時はかなりマシに抑えられてたんだけど、高校に入ってからぶり返しちゃったんだ」
 石垣は何か言いたげに俺を見た。
「んだよ? 人の顔ジロジロみンなよ」
 ごめん、と石垣は俯く。
「でも、私、最近ちょっとずつ変わってきてるんだよ。話しを聞いてくれる人が側にいてくれてるから」
「日野原先輩とか?」
「……うん。先輩の前にいると、普通でいられるんだ。先輩、私のズレてるところを絶対にバカにしないで、褒めてくれるから。梨花ちゃんはそこがいいんじゃないかって笑ってくれるんだ。ちゃんと私の話しを聞いてくれる人、先輩だけなんだ。私、先輩と一緒にいられたら、もっとマシになっていけると思う」
 冷たい感情が湧いてきた。先輩がそうやってお前を受け入れてんのは、お前の本性を知らねぇからだろ。
「お前はマシな人間になんかなれねぇよ」
 石垣は無表情だった顔をわずかに赤くした。
「なれるよ。西郷君は私を知ら��いでしょう。私、本当にちょっとずつ変わってき──」
「ガキの頃、テメェは俺にも言ったよな。『私の話しを聞いてくれるの、西郷くんだけだから』って。そんで打ち解けたみたいな振りして俺を油断させておいて、最後に何したよ? なぁ? それで、今度は先輩か? さぞ打ち解けてんだろうよ。先輩もお前に気を許してんだろうよ。そんで、次はどーすンの? 先輩の可愛がってる猫か犬でも殺すの? 俺とシルキーにしたみたいにさ?」
 鉄仮面のまま、サァーッと石垣の顔が白くなる。
「西郷くん、私、本当に、あの、あの時のことは、本当に」
「別にイーんじゃねぇの。気にせず、忘れて生きていけばぁ? テメェにとってはどーでもいーことなんだろ。害獣1匹、処分しただけだもんな。けど、俺は絶対忘れねぇから。お前がどんなに自分で『マシになった』って思っても、実際、『マシになった』ように見えたとしても、俺は覚えてるからな。テメェがどういう人間なのか」
 俺は石垣を睨みつける。
「テメェが俺の目の前でシルキーを川に捨てた。俺が川に飛び込んで、シルキーの入った袋を拾ったんだ。俺が1人で穴を掘って、俺が1人でシルキーを埋めて、1人で墓を立てたんだ。俺は全部みたんだぞ。お前がシルキーに何をしたのか、あの袋の中を、全部みたんだ」
 石川の顔からは全ての表情が消えていた。少しだけでも罪悪感を持ってるのか? 涙の1つも流しそうにねぇじゃねぇかよ。
「シルキー、お前に懐いてたよな。簡単だったんだろうよ。人間を信用しきってて、傷つけられるなんて考えてすらいない子猫をあんな風にいたぶるのはさ。俺はな、あんなことをする人間は永遠に改心なんかしねぇと思ってるよ。テメェがこの先、どんなに表向きマシになったとしても、どんなに周りの人間が、先輩が、お前自身が、そのマシな姿を信じ込もうと、俺はテメェの本当の姿を見抜いてるからな。テメェはマシな人間になんかなんねぇ。ずっとずっと、あの時のままだ」
前話:次話
1 note · View note
karasuya-hompo · 6 years ago
Text
Conan Outcasts:37:どーどーはうす、UPG(PvE)
 我が輩には夢がある―――。  と、大変偉大な黒人牧師の言葉を真似してみたところで、高の知れた夢であることは言うまでもないドードーです。  それはさておき(いきなりさて置かれる夢)、とりあえず今回は、墜死とまでは行かずとも、うっかりすると墜落ダメージの危険と背中合わせすぎる拠点に、まずは塀を張り巡らせることにしました。  壁で塞ぐって考えは今のところありません。いずれはそうするのかもしれませんが、なんというか、外から素通しで見えるあの状態が気に入ってもいますしね。  そのついでに、ちょっとスキルの振り直しもすることにしました。
Tumblr media
 黄ハスの薬、ドムでは作ったことがないのですが(管理者権限でリセットができるし、そもそも振り直す必要を感じたことがない)、びっくりするのは、完成してから消滅するまでの時間です。たぶん、2分か3分? 短いとは効いていましたがまさかこれほどとは思わず、以前に一度、放り込んでからちょっと出掛けて戻ってきたら、きれいさっぱり消滅してました。  今回は、ちょっと塀つけたりして戻ってきたら1分20秒残。
Tumblr media
 そんな塀つけ作業中、石を取りに行ったり木を切ったりしていて、ふと閃いてしまったドードー。  あのへんに、ゴンドラを設置してはどうだろうか?  粛清時に壁とかが破壊されるのは知っているのですが、ゴンドラも壊れるのかどうか。ただ、壊れたとしてもピンポイントでこれだけなら痛手ではありません。なにせゴンドラは、「隣の足場に支えられて設置」はするものの、なにかを支えることはないので、壊れても上まで崩落するなんてことはありませんし、素材も苦労しません。いやまあ鉄を使うのでそれなりに貴重ではありますが。  ともあれ、ここにゴンドラを設置すれば、ちょっと上の岩の足場と連結できるし……。ふぅむ。
Tumblr media
 それはそれとして、ミトラ祭壇の後ろ、ちょっとあけといたスペースにおうちを作りました。  地上の豆腐は破壊される可能性も高いので、そんな場合に砂嵐を避ける場所は必須。……まあしょせん砂岩の、2×3なのですぐ作り直せるんですが、一応ね、こっちが本物の我が家であるぞと。
Tumblr media
 たまたまもぎとったワニの頭、剥製にしてみたものの、こんな小さな家には巨大すぎた件。これはならぬな。そっとしまっちゃうドードーです。
Tumblr media
 ふぅ。一休みするとしよう。シェールバックの剥製くらいが、今の身の丈ですかね。  ちなみにこのイス、いい感じのポーズで座るのですが、小柄なせいか、足が座にめりこみます(´・ω・`)
Tumblr media
 ちなみにちょっと後で撮影したため時間帯が違って、そのせいで色味も違うけど、逆サイドはこんな感じ。  そしてせっせと塀を取り付け、足場を築き、素材を集め……。
Tumblr media
 ついにドードーハウスにゴンドラがつきました!!  何故ゴンドラか? 理由はあるのです。
Tumblr media
 それはそれとしてパート2、今更ですけど、ドードーんちの近くにある癒やしスポットです。  シェールバックの巣に、黄ハスがまとまって咲いてて、成体のシェールバックがいつも居眠りしてます。こいつから必死こいて皮を獲らねばならぬ生活は終わったので、むやみにころころしたりはせぬのだ。我が輩、悪党ではあるが道理はわきまえておるのでな。  そもそも我が輩は、義賊などという気取ったものでもないが、盗賊、海賊としても仁義というものは心得ておった。しかしそれゆえに、心なき同業者の反感と恨みを買い、あらぬ罪まで着せられて磔に処される運命となったのだ。  とかなんとか、勝手にストーリーでっちあげてみたりする物語脳(๑•̀ㅂ•́)و✧  ちなみにドードーの罪って、海賊行為と極悪非道は覚えているのですが、あと一つは記憶にありません。……いや、それっとドム2号だっけ? まあいいや。  それはそれとしてパート3、ゴンドラの設置に戻るのですが、どうしてゴンドラをつけたかったか? 馬鹿げた高さでもなし、しがみついて登らないといけないのは、初期豆腐から1パネル、その後1パネル分だけなので簡単に登れるし、そこからは階段移動で、困るほど広くもないではないか?  理由は、ただ一つ。
Tumblr media
 これであるな。  奴隷を引きずっている間は、泳ぐ・崖の登り降りといったことができない、やると奴隷を置き去りにしてしまうため、地面ではなくドードーハウス内に苦難の輪を置こうとすると、ゴンドラは必須なのです。  ついに我が輩も、奴隷を手に入れる��もりになったということだ。  って、いちいちドードー調と素と行き来しても鬱陶しいなぉぃ( ತಎತ) まあいいや。
Tumblr media
 というわけで、まずはこう。  グランドフロアの豆腐は仮の我が家。  1階層目は作業場。防具・なめし台だけちょっと高い位置ですが、1.5階くらいの位置。  2階層目の左側にミトラ祭壇(と自宅)。右手側は今あいていますが、ここはいずれ、プランター並べて、堆肥の山や養蜂台でも置こうかなと。……堆肥の山だけ、地面に直接でもいいかなと思ってしまいますが。なにせあれ、近づくと虫の羽音までするんですよね……:( •ᾥ•): 堆肥も大事ですけど、不衛生ではあるし、そんなものを普通屋内には置かないよねぇ。  そして踊り場的な中央部、3階層目を経て、上に登ると拷問部屋&地面への直通ゴンドラ。  実は3階層目、奥に広げていって、そこにある岩の小山につなげようとしたのですが、どうやっても「設置物が置けません」みたいなメッセージが出てきてしまい、断念しました。リスポーン云々でもないし、設置の黄色いオブジェクトが見えないのでもないのです。黄色い透明なのが現れてバシンと設置音まではするのに、メッセージが出て、設置されず。なんなんこれ( ತಎತ)  そして……この、「広げたいのに広げられない」、「隣の岩山(といっても、大きいのの一部で、間に空間が存在するってだけ)に飛び地を作りたいのに作れない」、そんな不満が、ドードーに別の閃きを与えました。  よし……かくなるうえは!! というわけで、鬼みたいに土台の材料集めです。
Tumblr media
 そのついでに、近所の追放者を一人、適当にかっさらってきました。戦士ランク1 なので、いてもいなくてもいいようなものではありますが、逆に言えばいつ死なれても惜しくないのでね(ㅍ_ㅍ)  しかしこれ、足首縛ってぶら下げてるから、なかなかひどい光景ですなw  そうしてやったことはといえば、
Tumblr media
 こ れ だ ッ !!  こうなったら上へ行ってやる!! いずれ、少しずつ階段でもつけて、とか思っていたが、もういい。ゴンドラで一気に昇降できるようにしてやる!!  しかしそのためには、まずゴンドラのない状態で、自分があのてっぺんに登らなければなりません。そしてこの高度、一気に這い登るのは、ドードーにはとても不可能。  じゃあどうするとかいえば、土台を置いて足場を作り、そこで休みつつ上まで登って、位置を合わせた上でゴンドラを設置。そして、要らない足場をすべて破壊しました。  苦労しましたよ……。
Tumblr media
 案の定、墜死したりもしてます:( •ᾥ•):
Tumblr media
 しかし、辿り着いたてっぺんには、コンドルたちが営巣し(羽根拾える(๑•̀ㅂ•́)و✧)、
Tumblr media
 こ、これは……我が輩がいつも見上げておった、いつかあれに届くような足場を作りたいと思っておった、謎の塔ではないか! 思ったよりも早かったが、ついに我が輩はここまで辿り着いたのだな!!
Tumblr media
 ううむ、絶景。  そんなわけで、苦労して足場をつけて登ったこの場所、たまたま通りかかった人がゴンドラだけ利用してさっさとやってきて、こりゃいいやとばかりに建築はじめられるのはさすがにちょっとなんてゆーか( ತಎತ) なので、ゴンドラの到着地点周りはいったん壁にしました。無理すれば外に出て、掴まって来れますけど、失敗すれば80%くらいの確率で墜死(ಠᾥಠ)  もともとあまり人が通らない場所ではあるものの、裏側からも足場とか柱が見えるようになってますし、けっこう目立つようになってきたのでね。  追放の地の土地は誰のものでもないとはいえ、この苦労を勝手に踏み台にされてオイシイとこ取られたのでは腹も立ちます。……まあ、そうなったら足場もなにも全部破壊して、こんなところに作った建物だけあってもどうしようもない、みたいな状態にしてから去りますけ・ど・ね(。•ω<。)-☆ じゃあおまえ、一から自分でここまで登れるようにしろよ、みたいなw  あと、そろそろソロクラン作っておこうかなと思ったりもしてます。  某所のブロガーさんが、「うっかりミスみたいなものでクラン招待を承認してしまったら、家もそこにあった持ち物、設備、全部クランのものにされた挙げ句、脱退しても自分のものには戻らない」とか書いていらして。 う���わ ぁ :( •ᾥ•): だから、ソロプレイのつもりでも、自分のクラン作って所属しておけば、そういう勧誘に連打とかラグでうっかり、ということはなくなります。
 さて、明日からは、この絶景ポイントに、コンドルたちの巣を邪魔しないようにしつつ、本格的な自宅建築開始です。ゆーても砂岩ですが、こっちはもうちょっと凝った形にしたいですねぇ。  で、入り口近辺をそのまま家にして、あの塔の近くに展望小屋だけ立てたら、ゴンドラ周りは解除します。岩山から四角があれだけ飛び出してるのはみっともないしぃ。  そこからもし誰かが「ここいいね」と思って家を建てたとしても、あんま無茶��こと―――コンドルの巣潰してしまうとか、そういうことするのでないなら、それは同居人みたいな感じでいいかなと。もしかしたら、会えるかもしれませんしね(´ω`*)  それに、ジャングル鳥を倒さなくても羽毛が採れる場所なので、封鎖して「おれんちや!!」と言うのはやりたくない! むしろ、羽毛がほしいかたは上へどうぞ、みたいな掲示板立てておこうかな~。
0 notes
kanata-bit-blog · 6 years ago
Text
天ヶ瀬さんちの今日のごはん9
『肉じゃが』with 神速一魂
 9月中旬。世界はようやく秋の存在を思い出し、ゆったりと気温を下げていこうとしていた。稀に手を滑らせたかのような猛暑日の時もあるが、天の気まぐれと言う奴なのだろう。暑くなったり寒くなったり台風が来たり、天気予報を見ていても「忙しい」という感想ばかりを抱く。
 忙しい、その言葉は冬馬自身にも言えた。  秋クールのドラマの主演。冬馬にとっても事務所にとっても世間に名を知らしめる非常に大きな仕事が舞い込んできていた。  幸いなことに恋愛系ではなく漫画を原作としたスポーツ漫画で、ヒロインとの恋愛も仄かなまま終わると事前情報で告げられた。ともすれば、以前冬馬を色んな意味で散々悩ませたキスシーンは皆無。  いつかは出来なければいけないということは分かっていつつも女子を、それも演技とは言え自分の事を好いているような蕩けた顔の少女を眼前にすると脳味噌が沸騰し、全身が固まってしまうのが現状である。今回は無くて良かった。 「天ヶ瀬ー! こっちも頼む!」 「冬馬君! 次はこっちも……」 「あまがせー!!!!」 「あーあー! 全部行くからちょっと待ってろ!!!」  そんな冬馬は今、久しぶりに高校に顔を出している。  前述した通り、有難いことに仕事は大変忙しいのだが、秋を迎えようとしている9月中旬に担任の教師へ電話で「秋クールにドラマ出るんでしばらく学校行けないっス」などと伝えると、電話口の先生が神妙そうな声音で一言、 「天ヶ瀬君あなた、このままだと留年するわよ」と。  一度はトップアイドルに上り詰めたとはいえ、冬馬はまだ高校二年生である。961プロダクションに所属していた時の黒井社長の口添えのおかげでいくらか学業の免除の効力は続いているものの、それでも全く授業に出ずに進級できるほど高校は甘くない。  出席課時数が足りてないと言われればドラマの主演などという輝かしい肩書が待っていようとも有無を言わさず指定の授業に参加しなければならない。プロデューサーと話し合った結果、仕事をしながらの登校という多忙な数週間を迎えることが決まった。  ���校帰りに「学業のことを失念していました」と酷く所在なさげに言ったプロデューサーがアイドル達以上に疲労を溜めている気がして、冬馬は心労を和らげるために「気付かなかった俺も悪いんだ」と差し込む。実際、アイドルの方に熱中しすぎて学業が疎かになっていたのは確かである。  当然、ドラマの撮影は既に始まっているので夕方から撮影だと言う時にも午前中からお昼過ぎにかけて授業に出席、タクシーを飛ばして現地へ向かう。そんな忙しい日々、流石の同級生達も時折気を遣って食堂の自販機のパックジュースを知らぬ間に冬馬の机の上に積み重ねていってくれた。 「ごめんねえ、天ヶ瀬君が家庭科得意なのは十分分かってるんだけど県の決まりだから」  いつも家で使用するエプロンを首に通し、冬馬は女子に借りた髪ゴムで後ろ髪を結ぶ。隣で本校唯一の家庭科教師が久しぶりの冬馬の存在を前にニコニコしている。彼女は家庭科が得意な生徒は好きなのであって、決してその生温かな視線はアイドルの冬馬に対してのものではない。  大きく溜め息を吐く。調理室一帯が生徒達の雑談で敷き詰められていた。  冬馬はアイドルを始めてからというもの、一度もまともに調理実習と言う物に参加したことがない。これは以前High×Jokerの五人が家に来た時にそう言えばと思い至ったのだが、たまのオフに学校へ顔を出すと決まって家庭科の授業は裁縫なり調理実習なりと予備知識または長期的な製作を想定された授業にぶち当たる。その際は決まって『どうせ次も来れるか分からないんだろう』という決めつけの元(正しいのだが)手伝いをしてくれれば諸々を免除しようと言われた。その時ばかりは家庭科が得意で良かったと思ったものだ。  おかげさまで久しぶりの天ヶ瀬冬馬にテンションの上がった友人、及びミーハーな同級生達に引っ張りだこにされているのだが。 「ねえ、天ヶ瀬君、お水ってこれくらいでいいのかな……」 「ん? ああ、火にかけると蒸発して濃くなるからちょっと入れすぎぐらいの方が美味く仕上がると思うぜ」
「あっまがせー! 味見してくれー!」 「そんくらい自分でやれよ!」 「お前が味見した方が安心出来んだよー!」 「ったく………」  仕事現場の張り詰めた緊張感に慣れた冬馬にとっては高校で出会う人達はずっと幼く見えるしうるさく感じる。高校ってこんなところだったかとすら思うことがある。  しかし、315プロダクションやJupiterの三人でいる時の騒がしさ、そして高校での年相応の騒がしさ。そのどれもが冬馬にとってはかけがえのない居場所の一つだった。
「調理実習レポートぉ?」  無音の部屋に冬馬の声が消える。怪訝に顰めた眉毛がぴくりと跳ねたが、真面目を形作った朱雀と玄���の顔は動かない。 「ああ、協力しちゃ貰えねえかと思ってな」  ここ最近の事務所の上がり調子によるイベントやライブ、番組収録、のおかげで現役高校生である神速一魂の二人の成績資料が足りていないのだという。全国模試で優秀な結果を叩きだしている玄武はまだしも、朱雀は勉学の成績もお世辞にも良いとは言えず、その上先日のフランスツアーのおかげで出席日数すら足りていないらしい。
 そこで、仕方なく出されたのが各科目の課題。  うち家庭科は『調理実習レポート』と呼ばれるA4サイズ2~3枚のポートフォリオで、曰く『授業で作った肉じゃがを家で作り、作り方や考察、感想などを纏めてくれば今回の単位は免除してあげる』とのことだった。つまり、冬馬がすべきことは彼らの前で肉じゃがを作り、レポートに書き込める雑学を伝えること。  二人からの依頼を聞いた瞬間、冬馬は真っ先に『お前らもか』と思った。一連の問題は心当たりがありすぎる。むしろ、家で出来るだけまだ冬馬よりもマシというものだ。 「なるほどな、だから肉じゃがなのか」 「俺達がいない間に調理実習で作ったらしい。一応レシピは貰ってきたが同じ作り方じゃなくても良いと言っていたから冬馬に任せる」 「料理ならアスランさんの方がうめえと思うんだけどな……」 「俺達も初めはそう思ってアスランさんのとこ行ったんだけどよ、なんかシモベとか、ケンゾク、とかって全然分かんなかったんだよな」 「ああ、アスランアニさんの料理の腕は確かだが、今回は[[rb:黜陟幽明 > ちゅっちょくゆうめい]]。冬馬に相談することにした、忙しい中引き受けてくれて感謝するぜ」 「こんくらいなら飯作りながら一人事言うのと変わんねえしな。材料は買ってあるから遅くならねえ内に作り始めるぞ。レシピ見せてくれ」  朱雀からぐしゃぐしゃのそれを手渡され、広げながらキッチンに向かっていく。内容はなんてことないスタンダードな肉じゃがの作り方である。材料はじゃがいも、牛肉、玉ねぎ、人参。白滝は無し。 「すき焼きのたれ……は、使わないか」  スタンダードとされる肉じゃがのレシピの中で使用されるのは醤油、みりん、砂糖、場合によっては酒の日本食テンプレートだ。しかし、最近では調味料も随分と進化してきたもので素人が頑張って一から作るよりもずっと美味しく仕上がる魔法の液体が売られている。  その中の一つが『すき焼きのたれ』であった。  本来肉じゃがのつゆは日本食テンプレートの調味料と出汁を混ぜて作られる。出汁を取るのには鍋を沸かして大量の鰹節や昆布を用意してと、面倒を凝縮したような工程が必要なのだが、なんと驚くべきことに『すき焼きのたれ』さえあればその面倒な作業を全てカット出来るのである。  冬馬自身も���間暇かける料理は好きだが、出汁の貯蔵が無い限りはすき焼きのたれの世話になっている。調味料の節約にもなるし、何より時短になるのだ、使わない手はない。  しかし、レシピも手間暇かけていることだし、なにより折角遠路はるばる神速一魂の二人が冬馬の家を訪ねてくれたのだ。どうせならば良い物を食べさせてやりたいと思うのが自分である。 「っし!」  冷凍庫のシリコンボックスには黄金色の氷が半分ほど入っている。これだけあれば十分。 「なんだそれ?」 「ただの氷じゃ無さそうだが」  二人から隠すようにぱたりと冷凍庫を押し込んで不敵な笑みを残す。説明してやりたいのは山々だが、折角解説をするのだからかっこいいところは格好良く決めたいと思うのが男心というやつだ。料理を嗜む天道にすら「すごい」と言わしめた秘密兵器の出番はまだ後である。 「そんじゃ、まずは野菜の皮剥きから手伝ってもらっていいか?」  パックまな板と包丁を置くと、すかさず玄武が資料用に携帯電話で写真を撮る。そうか、レポート用の写真も必要なのか。北斗もごく稀に大学で出されたというレポート作成の為にパソコンを叩いているが、確か彼も参考資料を集めるのに苦労していたと思う。結局いつの間にかどこかから回収してきていたのだが。  そう言う意味では確かに誰かに作ってもらって随時撮影して資料を集めていくのは賢い。 「皮剥きってよ、包丁使わねえといけねえんだよな?」 「使わない手もあるから無理しなくていいぞ。確かピーラーなら……っと」  調理器具を大量にしまい込んでいる棚の中から使い古されたピーラーを一つ取り出す。冬馬が小さい時に使っていたものは昔じゃがいもを剥く時に壊れてしまったから、これは二代目だか三代目だかだった気がする。包丁での皮剥きに慣れてからは使われることもなく棚の肥やしになっていたものだ。  水道水と石鹸で埃や汚れをよく流し、朱雀に渡そうとする。が、耳を刺す玄武の声と共に冬馬はその光景を目にしてしまう。ぎょっとして咄嗟にピーラーを置いた。 「危ねえ!」  高校生にしては大きめの手をぷるぷると震わせ、朱雀はその鋭い刃先をじゃがいもに向けていた。冬馬がたまの休みに砥石で砥ぎ、購入してから数年は鋭利を保ち続けている包丁だ。緊張して強張る朱雀を刺激しないよう、冬馬はゆっくりと言葉を掛ける。 「一旦下ろせ、な?」 「お、おう……やっぱアスランさんと天道さんみてえにスパパパーン! とはいかねえな……」 「ったく、野菜どころか指も簡単に切れちまうから気を付けろよ。ほら、ピーラー。脇の丸い突起使えば芽も取れるぜ」  言われた通りに受け取ったピーラーでじゃがいもの皮を剥いでいくが、動きはどうにもぎこちない。ピーラーで腕の皮まで剥いてしまうことは流石に無いだろうが念の為に玄武に見張っててもらうことにした。  その間、冬馬が朱雀の言う『スパパパーン!』の早さで人参の皮を落としていくと、隣チームが三つ剥き終わる頃には残る全ての皮剥きを終えてしまった。 「冬馬、これは何て品種の芋なんだ?」 「ああ、メークインだよ」  玄武が抜かりなくメモを取っていく。冬馬も横目で確認しつつ野菜に包丁を差し込んでいく。洗ったじゃがいもを四等分、人参は乱切り。 「『男爵いも』とか『メークイン』とか『新じゃがいも』とか色々あるけど、煮物は長い間火にかけるから崩れにくいメークインを使った方が見た目が綺麗になるんだ。つっても、少し崩れた方がとろとろになって美味いって思う奴もいるから人ぞれぞれだな」  温めた鍋にサラダ油を引き、玉ねぎを炒める。この辺りは洋風のスープなどを作る際も共通している作業だ。あまり炒めすぎると玉ねぎの形が無くなってしまうので程良く固さの残っているところで牛肉を投入、軽く炒めて水にさらしておいたじゃがいもと人参を加えた。   すると、あっという間に鍋の中はごろごろと野菜だらけになってしまう。水気が油に跳ねてぱちぱちじゅうじゅう鳴いている。 「そしたらここに出汁を入れる」  ドヤ顔で言うと、朱雀が「出汁ィ?」と目を丸くするが、かまわず件の黄金色の氷を中に放り込む。常温に放置しておいたが、この短時間ではやはり溶けきらなかった。しかし、どうせ火にかければ溶けるだろう。醤油、砂糖、酒、みりんを加えて蓋をした。 「ああ、鰹節でとった出汁を凍らせただけだけどわざわざ出汁取らなくても済むだろ? つっても多分先生は出汁の取り方からやらせたいんだろうから……後でまとめて送っとく」 「助かるぜ」 「んで、落し蓋をしてっと……」  あとはアクを取り除きつつ煮込んでいくだけだ。煮込み料理は野菜と調味料を入れて放置するだけで食える物になるので多忙な人間には有難い。いつもの冬馬ならばこの間に台本のチェックなり出演イベントのタイムテーブルなりのチェックをする。  念のためにカウンターの上に主演ドラマの台本を置いてあるが、神速一魂の二人がいる手前自身のことばかりやるのも気が引ける。  すると、朱雀が台本の存在に気付き、手に取った。 「そういや、冬馬さん今ドラマ出てんだよなァ。しかも主演だろ、すげぇよな!」 「んなことねえよ。今後もまた貰えるか分かんねし、まだまだだ」 「ふっ…俺達もまだまだだが、万里一空。一時も努力を怠るつもりはないぜ」 「おう、Jupiterともまた一緒にライブやりてぇしな!」  狭いキッチンに朱雀の咆哮が響き渡る。隣から苦情が来ないことを祈りつつも冬馬はそうだなと首肯した。  神速一魂とは時折仕事を共にすることがあるが、そう言えばここ最近は一緒になることはなかった。とは言え、15ユニットも存在している315プロダクションの中でもFRAMEやS.E.Mのように未だに同じ現場になったことがない人達もいる。  この仕事は一期一会だからと誰かが言っていた。善澤さんだっただろう��、芸能界に飛び込んでからの膨大な時間と記憶の中で曖昧になってしまったが、その言葉には頷ける。 「にゃー」 「お前もそう思うか! にゃこよ!」 「にゃーにゃー」  朱雀の肩から顔を出した猫と目が合う。二度、三度と瞬きをして小さな生き物の存在を脳みそで認識した。そしてようやく失念していたことに気が付いた。
 ……猫って何食うんだ?  冬馬が住んでいるマンションはペットを飼うこと自体は許されているものの、なかなか家にいることが出来ない冬馬に生き物を買うと言う選択肢すら無かった。業界人が飼っている猫や犬の自慢をしているのを羨ましく思いながら聞いている冬馬はそちら方面の知識は非常に疎い。  猫がネギ類を食してはいけないという程度の情報ならあるが、それ以上の知識はない。犬に夕飯を分け与えるということも家庭によってはあると聞いたことはあるが、冬馬が今作っている肉じゃがには玉ねぎが入っている。  困り困ってどうしたものかと頭を掻いていると、尻ポケットに差し込んでいた携帯電話が着信を告げた。
「まさかキャットフードの為に呼び出されるとは思わなかったよ」 「どうせ仕事終わったばっかだったんだろ、ついでだついで」 「俺の家反対側なんだけどな……」  突然の着信、電話口から聞こえた第一声の『突然ごめん、何かしてた?』で瞬時に要件を察した冬馬は、その後、『冬馬の声が聴きたくて』に続く"仕事に疲れた北斗構文"を適当に流して『飯食わせてやるからキャットフード買って来い』と一方的に叩きつけると、電話口の彼は珍しく困惑の色を見せたのだった。  それもそうだ、確か今日はずっと秋のコレクションイベントの新作の試着だと言っていたから、午後は服を着たり脱いだり着たり脱いだりと着せ替え人形のように扱われていたのだろう。ダンスレッスンやボーカルレッスンよりも"何もせずそこにいるだけ"の時間が一番疲れると言う北斗がその時間を終え、ようやっと癒しを求めて恋人に電話したんだろうに、愛の言葉を適当に流された挙句に前説無しの『キャットフード買って来い』なのだから、困惑して当然である。  かくかくしかじか説明すると彼はすぐに『なるほどね』と膝を打って『電話で言ってた通り、俺の分の肉じゃがもあるのかな?』と図々しくも聞いてきたのだった。 「悪いな北斗アニさん。気ぃ遣わせちまった」 「気にしなくていいよ。こないだドラスタと飲んだ時以来冬馬に会えてなかったから少し心配してたんだ。冬馬の事だから頑張りすぎてないかって」 「余計なお世話だっつーの」  キッチンの隅で眠っていたプラスチック箱の蓋に猫用カリカリを一袋出すと、にゃこが嬉しそうに鳴いた。お腹が空いているのは人間だけではないらしい。  玄武と朱雀に口頭で今までのおさらいを話しつつ、お茶碗に米をよそって北斗に押し付ける。彼は何も言わずにそれらを冬馬の部屋へと運んで行ったのだった。恋人とは言え、その扱いがただの召使いだ。キャットフードのお使い含めてこれが夕飯代だからな、働け働け。なんて思いつつ、冬馬は少しだけ唇を歪ませながらも仕上がった肉じゃがを器によそうのだった。  神速一魂は二人並んでいるからこそ神速一魂なのだと冬馬はしばしば思う。  315プロダクションはユニット数が15という程々の数を保ちつつ、内二人組ユニットはAltessimoとWと神速一魂の3ユニットだけだった。  しかし、Wは双子ユニットであることを売りにしていることからパフォーマンスも一心同体を体現しているかのようだし、Altessimoも並ぶと言うよりも"共に音を奏でる"と言う印象を受ける。  それを踏まえた上でも神速一魂は二人(正しくは二人と一匹なのだろうが)隣同士で何かをするというのは随分と絵になる。  今も完成した肉じゃがを見て興奮する朱雀と、冷静に料理の写真を撮影しながら「見た目も良いな」とレポートのことを気に掛ける玄武の二極化した様子が視界に収まり、微笑ましそうにしている北斗が見切れていた。 「腹減ったろ? 食おうぜ」 「おう! 冬馬さんの肉じゃが……ぜってぇうめえよなァ!」 「にゃぁ…」  肉じゃがの香りに誘われ、にゃこが"自分も食べたい"と言わんばかりに寂し気げに鳴く。  こればっかりは仕方ない、人間用の食品というのは思っている以上に人間向けの手が入っている。冬馬の中にあるほんの少しの「食べさせてやりてえな」という気持ちに素直になればにゃこを傷付けてしまいかねない。 「う、そんな目で見んなよ。ほら、終わったらこれやるから」  冬馬が掲げたそれはスティック状のキャットフードで。見るや否や垂れていた耳が勢い良く立ち上がり、先程の悲しみが嘘のようににゃこは「にゃあ!」と元気に鳴いてみせた。そんなに好きなのか、これ。  自分が出演している番組のCMにあったキャットフードの映像、スティックの先端から出る餌を猫が必死にぺろぺろと舐めとる様子は冬馬にとっては甘美な映像であった。いいなあ、試してみてえなあ、そんな思いを胸に悶々と生きていた。  しかし、そんな日々も今日までだ。北斗に我儘を言って買ってきてもらったスティックフードを前にしたにゃこの歓喜を見ればあの映像はもうすぐ目の前である。  だが、今はまず腹ごしらえだ。 「いただきます!」  時間の関係で大皿によそった肉じゃがとスーパーで買った出来合いの漬物、出汁氷で作った納豆と青ネギの簡単なお味噌汁という質素な食卓になってしまったが、先程から朱雀がうおお、だの、すげえ! だのと興奮しっぱなしなので良しとする。今まで何度も人に食事を振舞ったがここまで喜んでくれたのは朱雀が初めてかもしれない(四季達も興奮はしていたがここまでではなかったと思う) 「納豆の味噌汁か。懐かしいな、昔はよく出されて飲んでたぜ」 「そう言えばお前らって茨城出身か」  冷蔵庫の食材が乏しく、かと言って具無しも味気ない為仕方なく賞味期限が迫っていた納豆を入れたが悪くない。納豆の独特な香りが嫌いでなければ味噌と納豆の大豆コンビが良い味を出す。段々冬に向けて寒くなっている世界のことを思うと、これからは味噌汁が一層美味しい季節になるんだろうなあと温まる胃にほっと一息吐いた。 「茨城か……まだ行ったことねえな」 「ねぇのか!? Jupiterならもうとっくに全国回ってると思ってたぜ!」 「俺はドラマの撮影で行ったことあるけどね。言われてみるとJupiterではロケでも行ったことないな。食べ物も美味しいって言うし、茨城くらいなら行こうと思えば車で行けるから、仕事が落ち着いたら翔太も誘って遊びに行こうか」 「美味そうな飯があればどこにでも行くからな、あいつ。今度誘ってみようぜ」  北斗が朱雀の取り皿に肉じゃがをよそう。その間、自分でよそったじゃがいもを割って欠片を食べてみた。  口に入れたじゃがいもは舌で触れるとほろほろ形を壊していく。男爵いもなどとは違い、溶けると言うよりも崩れると言った方が正しいだろう。とろとろにした肉じゃがも美味いが、これもまた芋らしさを味わえて良い。  つゆの染みた肉をおかずに二口、三口と米を味わい、今度は平らになったお茶碗の上に箸で穴を作る。真ん中にぽっかりと出来た空間につゆをかけてやると、米粒と米粒の間を埋めるようにつゆが米を慣らしていく。肉をいくつか乗せて、真ん中に置いたじゃがいもを箸で崩せばどんぶりの完成だ。  ごくり、出来た食物兵器の味を想像し、早く早くと苦情を送る腹に唾液を送る。  一気に掻き込む。箸が茶碗の端を叩き、カカカッと小気味の良い音が響く。 「~~~~~~ッ」  腹が減っている時のどんぶりはなんて美味いんだろう。求めていた物が一気に満たされた充足感。体の中に染みる温かさとつゆの優しさ。外食ではなかなか味わうことのない肉じゃがは『作ってもらいたいものランキング』なるもので堂々の一位に輝くのも納得する。素朴な味だがじゃがいもの柔らかさから玉ねぎとにんじんの甘み、そしてつゆの香りまですべてが柔らかく、食べている側でありながらも自身が温もりに包まれているような錯覚に陥る。  再び米を掻き込むと、冬馬を真似て米ごと肉じゃがを掻き込んだ朱雀が、「肉じゃがとか久しぶりに食ったぜェ! うんめぇな、冬馬さん!」と、目を輝かせる。 「おう、まだまだあるからどんどん食えよ!」  やっぱり、自分の作った料理を美味いと言って食べてもらえるのは気持ちが良いものだ。  嬉しさに顔を綻ばせながらも冬馬はもう一度それを掻き込んだ。
「見ろよ北斗! 写真撮ってくれ!」 「はいはい」  食事を終え、皿洗いくらいはとキッチンに向かっていった神速一魂の二人を見送った冬馬は楽しみを待ちきれない少年の如き勢いで件のスティックキャットフードに手を伸ばしたのだった。  スティックの存在も考慮して少なめに入れられていたカリカリは腹ペコのにゃこの前には雀の涙で、無くなるのは驚く程一瞬の出来事だった。  スティックフードを必死に舐めとるにゃこをまるで愛し子を見つめるような瞳で見つめる冬馬はだらしない顔を隠そうともせず、ニコニコと北斗が向ける携帯電話のカメラにピースを向ける。 「撮れたよ。送っておくから」 「おう、サンキューな、後で旬と山下さんに送ろう��思ってんだ!」 「ふふ、冬馬が嬉しそうで良かったよ」  以前より"猫"を共通の話題にすることが多かったS.E.Mの山下次郎とHigh×Jokerの冬美旬はこうして事あるごとに猫の写真を送りつけ合っている。道端に突然現れた猫、仕事を共にした猫、取材で指定された喫茶店で飼われていた猫など、見つける度に写真を撮っては『どうだ、可愛かろう!』と叩きつけ、お互い癒されて終わる。  聞いたところによると、THE 虎牙道の円城寺道流が営んでいるラーメン屋の傍にも猫が出没すると聞いた。タケルと漣から聞いた話だが、チャンプと覇王という名前を聞くので二匹いるのかもしれない。機会があれば男道らーめんを食べに行くついでにこのスティックフードを片手に会いに行ってみようか。 「……冬馬、翔太からグループにメッセージが入ってるよ」 「翔太から? なんだって?」 「来月の旅孫サタデーで享介君達のお休みの回ができたからゲストで来ないかって」 「あーそういや天道さん達が今度Wとイベントやるって言ってたな。行けるなら行きてえけど……」  旅孫サタデーとは翔太と蒼井兄弟が持っているレギュラー番組で、全国のおじいさんやおばあさんのいるところを周るロケを中心としている。しかし、レギュラーと言いつつもアイドルを生業としている人達が毎週ロケの為に駆り出されるのは厳しい為、局との話し合いの上で調整次第ではイベントを優先しても良いということになっていた。その場合は315プロダクションの中から代理ゲストを立てるのだが、どうやら今回もその機会がまわってきたらしい。 「冬馬は厳しいかもしれないな。10月はドラマ撮影の真っ只中だろうし」 「だな。一応プロデューサーには頼んでみるけど、無理そうなら北斗だけでも行って来いよ。俺は一回出させてもらったことあるけどお前は初めてだろ?」 「そうだね、そうさせてもらうよ。もしも何か貰ったら冬馬の所に持ってくるから」  フードを食べ終えたにゃこが物欲しげな目で見つめてくるのをぐっと耐える。そんな宝石のような純真無垢の瞳で見られるとうっかりあげてしまいそうになる。 「ったく、少しは持って帰れよ。お前も料理は多少出来んだろ」 「出来るけど、男は恋人が作った料理を食べたいものだよ☆」  そう言ってウィンクを飛ばす北斗に、冬馬は心底面倒くさそうに長く溜め息を吐く。どうしてこの男はこうも気恥ずかしいことを簡単に言えるのか。 「……暇だったらな」  このままだと砂糖を吐きかねない気障な恋人に素っ気ない言葉を返してやると、彼は「食えないなあ」と困ったように笑ったのだった。
 
NEXT→『秋の贅沢七輪焼き』With 彩
0 notes
meguru-joyholic · 6 years ago
Photo
Tumblr media
香川さ高松にある瀬戸内鮮魚料理店さんに行って参りました。 お店のお名前だけで察するにちょっとチェーン店っぽいんですが…いやはや今だから過去回想録になりますが私の第一印象誤解も誤解、、、とんでもない感動が待っておりました。 駅前からタクシーにのりツーメターほど。周りは名店一鶴などがある繁華街から、一本入ったビルの一階。割とわかりやすい場所にお店はあります。 照明こそ薄暗いもののカウンター6席ほどに入って左手にテーブル席二つほど、右手に座敷とまぁよくある居酒屋の出で立ちでございます。 着席しまずはファーストドリンクをオーダー。 すると間髪入れずに突き出しが出て参ります。 七輪のセットとお魚が二尾。七輪でいただくメザシが…突き出し?笑 あぁーいい予感しかしないと想いを巡らせている間に…間髪入れずに続いての突き出し出汁豆腐。エスプレッソを盛るようなオシャレなソーサーに盛られている出汁豆腐。美味です。 私が拝見した所だとレギュラーメニューというのは存在せず?達筆であしらったおススメメニューの中から好きな物を頼んでくれとのこと。店員さんの意見を伺いながら何品か注文しました。 まずは一人前でも用意してくださった豪華絢爛の刺し盛り。 ふわっと火入れしてあるマナガツオの叩き。 鶏肉かと思うくらいの食感…臭みも一切なく。カツオ革命です。 他はお醤油で頂くのですがこれだけ唯一ポン酢。ほんの少しーーー………炙ってあるのかな? 燻製の奥ゆかしさが小指の爪ほどですが感じます。これがめっちゃめちゃアクセントになってて美味い… オシャレですよ、この演出。 続いて…あこう! プリップリでほんと新鮮。濃いめの刺身醤油もいいけど塩でも絶対美味しいくらいの鮮度です。 カンパチ。 身が全くよれていない!食感がまず抜群です! 脂もだらっとしてなくて、味もひきしまった旨味凝縮のカンパチ。たまらーーーーん! シメサバ。 綺麗ーに締めてある印象です。美味しい料理屋さんの昆布締めですね。 昆布の旨みを生かした、そして臭みもさらっと…あ!え!て!残したうまいシメサバ。僕は解き方知りませんが方程式にしてほしい。店主はこの解を絶対知ってるはずです。 サザエ 磯の香りが未だしっかり残ってます…。 歯ごたえも抜群。 たこ。 歯ごたえがシャキシャキ。めっちゃジューシーでたまりません。 せとせん…と訳すそうですが流石の一押しだけありました。うまかった。 そしてこれで終わらないんですね。 ハモ天。 店員さんが今が時期だということでお勧めして頂きオーダー。イ��コレ…アカンヤツヤ… 天ぷらのふわっとサクサクの食感が今叫ばれる多様性。全てのダイバーシティーを包むが如く全包囲網。 一度噛んでその境地に足を踏み入れれば衣の甘みとハモの旨味 、更に塩味が一体となって包み込むまさに天ぷら界のシルクドソレイユ。 トータルバランズがオール5の天ぷらですよ。まじでうまい! 出汁が一緒に出てきて色んな楽しみ方が出来るのですが…その出汁で頂くのを躊躇うくらい塩で頂くのが絶品だった。 あ、因みに出汁でも食べましだが口に入れた瞬間! 瞬時にとろけてなくなりました。やばすぎマフ。 ちょっとお出汁だけ飲んだんですが飲んで一瞬で広がる濃いめのお汁の旨味。めっちゃいーだし出てる。そりゃ出汁なんだからそうなんですがこれも魔法の解の一つだと思います。 タコの焼きしゃぶピリ辛ポン酢 これもあかーん。店員さんが運んでくるや否や…3秒以上炙らないでくださいね?とのこと。焼きとは名ばかりでシャブシャブの新境地のお料理なのです。 鉄板には胡麻油。むしろこいつを迎えに行く感覚ですかね。 3秒炙りのの香ばしさ、タコの旨味、炙ることによる温と冷のコラボ、そしてポン酢とパーフェクトマッチ。非の打ち所がないよぉ…。 そして飲み物シリーズ。 ここは香川の地酒シリーズで一面メニュー用意してくれているので次のものを楽しみたい方にはわかりやすくてありがたいです。 まずをオーダーしたのが米焼酎の少林寺拳法 ロックで頂きましたが旨味もあり、でも喉越しはマイルドですっと入って行く。なんばいも飲めちゃうなぁ。気に入ったコレ。 続いて黒大豆の焼酎、讃州黒 大豆のパンチ、豆大福食べた時くらいの甘みというなのインパクトがくるが、そのあと口に残る甘みと余韻がすごい。癖強いが華やかで上品な一杯です。 全てを堪能して更にお会計での出来事。 お会計が¥◯,◯◯2円…だったので細かいの出しますよー! というと、んー?いぃー!いぃー!いらないから!だした下一桁のお金をなんと店員さんがお財布にリバース。 人生初の逆ドンキホーテ状態です。 総評持ち合わせる言葉がなく申し訳ないのですが…日本人であってよかったと思う店でした。 絶対また訪れたいお店!ご馳走さまでした! #メグルメ #めぐるのぐるめ #megurume #フードアナリスト #瀬戸内鮮魚料理店 #魚が美味しいお店 #高松 #kagawa #takamatsu (瀬戸内鮮魚料理店)
0 notes
hinagikutsushin · 6 years ago
Text
宝石のようにきらきらと。
 森の國奥深くに存在するあちらとこちらの境に、彼女はいる。
 曰く、彼女は人を食らう化物であると。
 曰く、彼女は醜い顔をした婆であると。
 曰く、彼女は狂人であると。
 彼女の姿を見たものがひと握りしかいないせいか、噂ばかりが募って独り歩きする始末である――……。
   かさり、かさりと落ち葉を踏む音。
  黒い編み込みブーツ、真紅のワンピースに植物の絵柄が刺繍されている黒いマント。
 胸元ではマントの留め具である金の飾りが揺れ、その上ではエメナルドのネックレスが光に反射してきらきらと輝いた。
 薄いピンクの唇、高い鼻には瘢が散りばめられ、長い睫毛で伏せられた切れ長なタレ目の中心には、ペリドットを埋めたような柔らかな若葉色の瞳が揺れ、夕焼け色をした艶のある髪の毛は襟足辺りで切りそろえられている。
 そしてもっている籠の中には沢山の薬草と、怪しげな何か。
  かさり、かさり、と彼女は赤い化粧を施した木々の間を縫うように歩き、時折何かを見つけては籠の中に入れ、また足を進める。
 随分と歩き、そして何かを見つけたのか彼女はピタリと足を止めた。
 「あら、人の子」
  彼女の視線の先には薄汚れた、今にも消え��うな白い白い幼子。着物はあちこちが擦り切れ、最早服の意味を成していない。
 彼女は籠を地面に置くと、徐にその幼子を抱き上げた。
「しかもアルビノなんて……珍しい。小汚いし枯れ木みたいだけど十分使えるわ。今日はついてるわね、私」
 そう言ってクスリと笑うと、彼女の声で目が覚めたのか、幼子の目がゆっくりと開かれた。
 そして彼女が彼の瞳を見た瞬間、ほう、と感嘆の溜息が溢れ出た。
「綺麗な薄紅色……」
 白い睫毛に飾られたその瞳は、まるでパパラチアのような優しげな桃色。
「これを研究材料として使うのは勿体ないわねぇ」
 彼の瞳をうっとりと見つめながらそう呟いた彼女に抱かれている彼は、状況ができないのか、それとも言葉を理解できないのか、首を傾げ、ぼやっと彼女を見つめ返すことしか出来なかった。
   アルビノの幼子は、やはり状況が理解できなかったのか、赤髪の女性の腕の中でぽけっと口を開けまま運ばれている。
 そんな彼を家まで連れ帰った彼女は、最早ただの布キレと言ってもいい着物を脱がし、魔法で綺麗に洗い、自身のシャツを着せ――無論彼には大きかったのは言うまでもない――、ソファに座らせてひと仕事を終えたような顔をしていた。
 綺麗に洗われ、ゆったりとした服に包まれている彼の姿はまるで神の使いの様に神秘的で、淡い雪のような体の中で唯一色を持っている薄紅の宝玉が、いい意味で目立っていた。そして元々可愛らしい顔立ちをしているのであろう、今は痩せこけてはいるが、食事を取ればいつしかその頬も子供特有のふっくらとしたものになる。
 当の本人は、少し落ち着かないのか着せられた服を触ったり、匂いを嗅いでみたりと忙しい。
 彼女は彼に視線を合わせるようにしゃがみ、サラリと絹のように流れる髪を撫で、額、瞼、頬へと指でなぞった。そして頬を包むかのように掌で覆うと、突然撫でられ驚き目をぱちくりとさせる幼子を覗き込み、にんまりと笑った。
「ふふ、やっぱり綺麗な瞳……アルビノは他のエルフに研究材料として持ってかれることが多いから本当に得したわ。それにしても貴方はどこから来たのかしら?番号が彫られてないのを見ると造られた訳ではなさそうだし、ならどこから逃げてきたとか?いやでもココから人の住まう國まで幼子が歩いてくるにはとてつもなく距離が空いてるしなぁ……」
 ぽけっとした表情の彼の頬をやわやわと触りながらマシンガンのように言葉を零す彼女は、ふとなにかに気づいたのか口を閉じ、彼の目をのぞき込んだ。
「……焦点が、合わない……?」
 彼の目は彼女を見ているようで見ていない。どこか遠くを見ているような、そんな感じがした。時折ぐっと目に力を入れ焦点を合わせようとする様子を見���と、彼は目が良くないのだろう。
「……ねぇ、貴方。私の顔、見れる?」
 ぴくりと反応した彼は、ふるふると首を振った。
 試しに、遠くにあるものを見えるかと、壁にかけてある時計を指さすが首を振られ、至近距離で自身が先程身につけていたサファイアのネックレスを見せるも首を振られ。
 これは近視でも遠視でもない、彼は恐らく弱視。
 しかも眼球振盪も起こしているのか、少し観察してみれば瞳が左右に細く揺れているのが見えた。
 彼女は心配になったのか、続けて色覚異常があるかどうかの試験をしてみる――結果は色盲、しかも1色覚と来た。つまり、彼は白黒のぼんやりとした世界を生きている。
 この結果に彼女は大きなため息をついた。
「(これはハズレね。いくら見目麗しい幼子だとしても、これじゃあコマ使いにもならないわ……)」
 「拾うんじゃなかった……」
「!!」
  彼女の言葉に反応した彼は、突然彼女にすがりつくように抱きついた。
「すてないで……! なんでも、するから、へんなものも、みないようにするからっ、だから、だからすてないで、おいていかないで、ころさないで、おねがい……!」
 今度は彼女が驚く番だった。初めて聞いた彼の声は小鳥が鳴くような小さく可愛らしいものだが、その口から出てくる言葉は必死の命乞い。
 その中で1つ引っかかった言葉があり、彼女は彼を落ち着かせるように背中を叩くと、そっと尋ねた。
「変なものが見えるって言ったわよね? どういうものが見えるのかしら」
 幼子は少し喉の奥をひくつかせたが、覚悟を決めたかのように喉を鳴らすと、こう言った。
「ひかりのたまだったり、いぎょうのせいぶつだったり……ここはとくに、ぼくがいたところよりも、そういうのがいっぱいいる……あそこにも、ちいさいはねのはえた、にんげんみたいなのがいる」
 それを聞くと、先ほどとは打って変わって彼女はにんまりと口元をあげた。
「ビンゴ」
「へ」
「パピヨン、いらっしゃいよ。この子人間にしては珍しくあなたが見えるらしいわ」
『さっきからその子の話は聞いてるからわかってるわぁ! それと、お生憎様、私達は小さな人間じゃあなくて、妖精よぉ!』
 きらきらと鱗粉を散らしながら赤髪の女性の肩に乗り楽しそうに笑うお隣さん。まさか話しかけられるとは思わず、ぽかんと口を開ける彼を、彼女は楽しそうに見て笑った。
「あなたの目が見えないのはしょうがないわ。コマ使いとして使えないのは残念だけれど、もうひとつ、貴方だからこそ進める道がある」
「あなた、魔法使いに興味はあって?」
  これが森の賢者と呼ばれる大魔女サージュと、彼女から1番寵愛を受けた、唯一の人間の弟子であるローゼとの出会いである。
   ローゼ――薄紅色の君――という安直な名前をつけられた少年が来てから、研究尽くしだったサージュの生活は慌ただしく過ぎていった。
 最近では存在すら珍しい、しかもローゼの口振りからすれば恐らく表の世界から迷い込んできた魔力持ちの少年。彼に教えることは彼女が想像してたよりも山ほどある。
 最も苦労したのは生活の仕方を覚えさせることだろう。
 恐らく彼は生まれ故郷でろくな待遇をされなかったのか、寝床は部屋の隅の隅、食事を出されれば手掴み、シャワーは浴びさせれば突然出てくる生温い水に驚いて逃げ出す始末。出会った頃やけに静かで大人しかったのは矢張り状況を理解できなかったからなのかもしれない。
 それに魔法は何でもできるとは言っても、限度がある。彼は人間にしては珍しく魔法使いの素質を持っているが、魔力の保有量の上限はエルフのそれよりも一段と低いもの。彼女と同じように魔法を使用しては、魔力の枯渇により倒れたり、最悪の場合死に至ることだってある。故にこうして生活の基盤は知っておかねばならない重要な事柄の1つなのだ。
  何ヶ月も経てば、それなりに慣れてきたのか自分で出来ることは自分でするようになった。言葉もたどたどしいそれからはっきりとした物言いになり始め、元来の明るい性格が垣間見得るようになった。
またそれから1年経てば、彼はすっかり怯えをなくし、異形のものも近付いて良いもの、悪いものを覚え、隣人とも良い関係を築き始めた。
 この機会に元々計画していた魔法の基礎をと、サージュは意気揚々とローゼに教えようとしたのだが、彼の障害は様々なところで壁を作った。
  まず本が読めない。目事態に問題がある為かメガネを使用しても視力は上がらず、隣人に本を読んでもらっている。幼いおかげで記憶力はいいのか、スポンジのように知識を吸い込んでいくのは良い点だ。
 そして明るい場所に出れない。目が眩むのか、外に出るのを嫌がる節がある。そしてアルビノということもあり、肌にも気をつけなければすぐに火傷をしたかのように赤くなってしまうのも難点だ。故に外での材料収集は夜以外は危ない。
 何より、色がわからないのは本当に困ったことだった。魔法薬を作るには過程における色の変化が非常に重要なのだが、その色を見れないとなると、魔法薬自体を作れない。嗅覚がいいおかげで、色と共に臭いが変化する魔法薬であればギリギリ作れるが、他はてんでダメ。
 幸い勉学に対して非常に貪欲で、知りたいことやりたい事はしつくさないと気が済まない好奇心で研究体質な一面は、サージュにとって素晴らしい物であると感じさせたようだが、様々な問題も同時に彼女に叩きつけられ、中々前に進めない現状にため息が出るばかり。
 「(本人は楽しんでやってるし、私も一緒にいて楽しいからいいものの、損したか得したかは非常に微妙な所だわ……)」
  サージュは椅子に座り、腕を組んで幻獣や隣人たちと戯れるローゼを横目で見た。
 彼は突然内緒話をするように、使い魔とこしょこしょと囁きあうと、こちらをパッと向いて手を振った。
 「ししょう!!見ててくださいね!!」
  彼はそう言うと、使い魔と躍るように跳ねながら呪文を唱え、持っていた杖で空中を描いた。
 すると現れる無数の水の泡。
 サージュは目を見開いた。彼には確かに魔法の基礎を教えているが、実践はまだだったはず。
 無理な魔法使用は体に障る可能性がある。一言言いたげに口を開いたが、ローゼが満面の笑みで彼女に言った言葉に、より驚く事になる。
「ぼく、ししょうに見てもらいたくてがんばったんですよ!まだこれくらいしかできないけど、ぼく、いつかはししょうみたいなまほう使いになりたいんです!」
「天使か」
「ししょう?」
 ハッとしてサージュは自身の口を手で塞いだ。頭の中で思ってただけな筈なのに口から漏れていたと気付いた時には既に遅し。傍で彼女の使い魔のパピヨンがぷくくっと吹き出し、彼女の肩に寝そべった。
『あの森の賢者と言われるサージュ様がぁ? たった一人の人間の小童に絆されるなんてぇ? めっずらしいじゃないのぉ?」
「お黙んなさいよパピヨン……私だってこんな拾い物が私を変えるだなんて思ってなかった」
 彼女達がなんの話をしているのか気になったらしい幼子は、パタパタとかけてくると美しいパパラチアの瞳でサージュを見上げた。
 彼女は少し慣れない手つきで頭を撫でると、もっと撫でて欲しいと言わんばかりに頭を押し付けてくるローゼ。その様子を見てだらし無く笑うサージュ。
「きっと愛おしいって、こういうことなのかしら」
「なにか言いましたか?」
「いいえ、何でもないわ」
  そう言って彼女はローゼを抱き上げ、瞼に軽く口付けを落とし、膝の上に乗せた。
 ぽんぽんと規則正しく幼子の背を優しく叩けば、安心したのか眠たそうにうとうとし始める彼。まだ体力が少ないからか、魔力の行使には酷い疲れが伴う。先程出した水の泡も、習いたてにしてはよくやった方だ。
「(もしローゼの目が良くなれば、もっと色々なことができるようになる。魔法も、きっと世界だって広がる)」
「(彼の目、どうにかしてあげたいわね)」
 眠りについた、まだミルクの匂いが残る幼子をサージュはぎゅっと抱きしめた。ローゼを育てていく覚悟ができたらしい彼女の目は、爛々と輝いていた。
   幾年、時が過ぎた。ある秋の夜、少年へと育った彼に、サージュは黒いマントを着せた。しっかりと手を繋ぎ移動魔法を唱え着いた先は大きな大木の前。
 久しぶりの外出が楽しみなのか、少し落ち着きのないローゼとはぐれない様に繋いだ手を引っ張るサージュ。ローゼはハッとすると彼女の意図に気づいたのかピタリと横にくっつき歩いた。しかし目は正直なもので、きょろきょろと辺りを見回している。
 妖精の通り道なのか、夜にもかかわらずきらきらと淡く輝く大きな大木の洞穴の先に、木製の小さな扉があった。サージュがコンコンとその戸を叩くと、中から嗄れた老人の声がした。
「こんな夜更けに、どなたかな」
「夜分遅くに失礼するわイレーナ。サージュなのだけれど、この扉を開けてはくれないかしら」
「さ、サージュ様?!」
 酷く驚愕したのか、若干引き攣ったように声を上げた老人と、なにかか倒れガシャーンっと割れる音。たたたたっと足音が近づいてきて、バーンッと勢いよく開けられた扉の先には、
「サージュ様! いらっしゃる時は連絡をくださいとあれほど申し上げましたのに!」
 ローゼ程の背丈の、重たげな三つ編みを右肩に垂らした少女がいた。
「ごめんなさいね、イレーナ。しかし貴方も大概ね、未だに玄関前での応答では老婆の声を使うだなんて」
「これとそれとは話が別ですよ! 全くもう!」
 どうやら老婆の声の正体はイレーナと呼ばれた彼女だったらしい。フリルのついたブラウス、胸元には爽やかな青いサファイアの飾り留めがついた夜色のリボンタイ、深い海色のミニスカート、黒いブーツは作業用なのかちょっと汚い。そして彼女の全身を覆う小豆色をしたマントは、着ているよりかは着させられているようにも見える。藍色の大きくくりっとした目は愛らしく、頬を膨らませたり、ブンブンと腕を振るといった態度は、彼女をより子供っぽく見せていた。
 ローゼもまさかあの声の正体が自分と同じくらいの少女だとは思わなかったのか、唖然としていたが、リスのようなつぶらな瞳を向けられ、驚きのあまりサージュの背に隠れた。
「その子は一体?」
「私の弟子。だから貴女の弟弟子ね」
「弟子?!」
「しかも人間でアルビノよ」
「嘘ォ?! レア物じゃないですか!!」
 突然の報告に口をあんぐりと開けたイレーナは、ブンブンと頭を振って、半分顔を出しているローゼを穴が空くほど見つめた。居心地が悪いのか、ローゼはサージュのマントをぎゅっと握って再び背に隠れてしまう。
「こらローゼ、初対面の人に会ったらどうするんだったかしら」
「……挨拶と、自己紹介」
「そうね。大丈夫よ、イレーナは変人だけど貴方に危害を与えるような子ではないわ。ほら、出て来なさい」
 そう言われ、おどおどと背から出てきたローゼ。そして前を向くと、パァっと目を輝かせたイレーナと目が合った。吃驚するも、一回深呼吸をし、口を開く。
「師匠の弟子の、ローゼです」
「! あっ、えっと私はイレーナ=ヴァン=レイって言うの! 森の國で唯一人間を研究している第1級魔法使いだよ! 宜しくね!」
 パーッと顔を明るくすると、興奮しているのか早口気味に自己紹介をしたイレーナは、ローゼの手を取ってブンブンと振った。握手のつもりなのだろう、しかしその細腕は思ったよりも力強く、振られる度ローゼの体も揺れた。
  自己紹介も程々に、研究所の中へ招き入れたイレーナ。綺麗好きなサージュは、実験後必ず後片付けをする為散らかってもないし、一見するとおばあちゃんの家のような雰囲気なのだが、それと比べるとイレーナの家は正反対とも言える。ローゼは長い廊下の途中で見えた実験室を見て唖然とした。蝋燭で照らされた部屋は、あちらこちらで書物山、実験して失敗したものもそのまま、材料やその残骸は机の上に散乱していた。魔女の家そのものである。
 そんな実験室を抜け、客室に入った。こちらは比較的綺麗に整えてあるらしい。端で分厚い本が積みかさなっているのに目を瞑れば。
 サージュとローゼは部屋の中心にあるソファに座った。続いてイレーナも手前にある一人用の小さなソファに座る。
「それで今回はどんなご用で? もしかしてその人間についてでしょうか?」
「流石ね、そうよ。是非あなたの力を借りたいの」
 そう微笑みながらサージュがイレーナに告げると、嬉しそうに身をくねらせて「森の賢者とも言われるサージュ様に頼られるだなんて感激ですぅ」と言葉を零している。そしてローゼはまさか自分の為にここに来たとは露知らず、サージュを二度見した。
「し、師匠どういうことですか」
 サージュはそう尋ねたローゼの肩を掴み、自分の元へと引き寄せ真剣な表情でイレーナを見つめた。彼女もこれは只事ではないと、だらしのない顔を引き締めて見つめ返す。
「ローゼの目を治したいの。この子は見ての通りアルビノ、目が弱いという事は書物からの情報で知っていたけれど……この子の場合は弱視と一色覚でね」
「弱視に一色覚ですか、これまた厄介な……」
「魔法に関しては本当に目がいいの。魔力の質も洗練されてて良質なものだわ。弱視は眼鏡をかけさせてあげればどうにかなる、でも一色覚、そしてそれによる弱視は……どうにもならない」
「だから私を訪ねたんですか? その子に鮮明な景色と色を見せるために」
「えぇ、そうよ」
 イレーナは額に人差し指を添え、暫く何かを考えている様子。5分経ってもその状態は変わらず。静かな客間に、当人は罪悪感を感じ始めたのか、彼は悩み続ける彼女におずおずと口を開いた。
「あの、イレーナ様……そして師匠も。……僕は別に色なんて見えなくても大丈夫です。目が弱いのも、大丈夫です。今までも大変なことはあったけれど何とかなりましたし、これからも気をつけて行けば、きっと。こんな僕の目のせいで、貴女方を悩ませたくない」
 俯いてそう呟くように告げたローゼを、サージュは容赦なく叩いた。「ぐぇっ」とカエルが潰れるような声がした。サージュは頭を抑えて悶えるローゼの頬を手で包み、無理やり顔を上げさせた。
「ローゼ、自分のことを『こんな』だとか言わないことよ。貴方はこの私が認める最高の弟子、最高の弟子に何かを与えたい、困っていたら助けてあげたいと思うのは師匠として当たり前のことだわ。もう一度『こんな僕』だなんて言って見なさい、実験の材料にしてやる」
 ペリドットの瞳の奥に見え隠れした怒りの炎に体を強ばらせたローゼは、しゅんとして「申し訳ございません」と小さな声で謝ると、手前にいたイレーナが困ったように笑った。
「サージュ様は相変わらずですね」
「私の弟子なのだから、自信を持つべきよ」
「そうですね、何しろこの國で王の次��強いとされていますし、ローゼ君は素晴らしい師匠の元で魔法を学べることを、そして自分を誇るべきですよ。そしてローゼ君」
「はい」
 「魔法使いの世界に限らず、この世界には色が溢れているの。例えば――春には色とりどりの花が咲き、夏には青々と茂る草木が風で揺れ、秋には黄色く赤く化粧をした葉が山を染め、冬は一面銀色の雪景色。空だってそう。朝は優しい薄紅から始まって、昼は爽やかな群青色で元気が溢れ、夕方になれば真っ赤な夕焼けと黄昏て、夜は深い深い紺色で包まれる。そんな素敵な世界を白と黒、しかもぼんやりとしか見えないだなんて、本当に損をしているよ。色は魔法薬を作るにあたってもとっても大事だけれど、私たちの人生にも彩りを与え、そして豊かにしてくれるもだもの。
  私も、サージュも、貴方に是非この世界の美しさを見てもらいたいんだよ」
   暫く話し合い、イレーナは本棚から何冊か分厚い本を取り出すとサージュに渡した。サージュは有り難そうにそれを受け取ると、ローゼも小さな声ではあるが感謝の念を伝え、移動魔法でその場を去った。
 イレーナは誰もいなくなった客間のソファに横たわり、ふーっと溜息をつく。緊張の糸が切れたかのようにダラダラとしていると、奥の扉から背の高い青年が現れた。同じ髪色、同じ目の色、髪型も同じだが、彼女よりも少しツリ目気味な目は涼し気で、エルフにしては高すぎる身長に比べて細い体は少し頼りなさそうにも見える。防水加工がなされているのか、つるつるとした黒いツナギを纏った青年は、ブランケットをイレーナに掛けた。
「イレーナ、おつかれさん」
「ん、ありがとうナハティス」
 にぃっと笑った彼女を指で弾くと、ナハティス――イレーナの双子の弟も悪戯っ子のように笑った。
「しっかしま、今回はよく我慢できたね。人間のアルビノは個体数が少ないが故に実験とか観察といった類の研究結果が少ないんだろう?買おうとは思わなかったのか?」
「私も最初はそうしようと思ったよ。でもサージュ様のあの溺愛っぷり見たでしょう?研究以外に殆ど何も関心を示さなかったあの方が、あんなに自分の弟子を愛して育ててるんだよ? あんなの引き離せるわけないじゃんか……」
「人間狂いとも呼ばれてんのに珍しいこって」
「私だって我慢くらいできるわ失礼な! 」
「ほーへーそー」
「あぁぁーーーーもうナハティスこの野郎からかいやがってーーーー!!」
 ソファから起きあがって、涼しい顔で逃げるナハティスを鬼の形相で追いかけるイレーナ。時折水風船が割れたような音もする。彼らの夜はまだまだ始まったばかりだ。
   サージュはイレーナから渡された書物を元に、研究漬けの毎日を送っていた。色覚異常の症状、メカニズムを調べ、足りない部分用に魔法を作り、弱視用の眼鏡にかける。
 初めはそれで成功すると彼女は確信していたが、結果は否。そもそも一色覚による弱視は網膜に問題があるため、眼鏡をかけても視力は治らない。その上全色盲は全てを補わなければいけない。タダでさえ新しい魔法を作るだけでも月日がかかるというのに、ここまで手間のかかるものであると、その苦労は計り知れないモノだ。
 徹夜で魔力を練る毎日。幾ら魔力量が他の人より多いからと言って、休み無しの実験は体力を奪う。
 ギリギリまで実験を繰り返し、倒れる寸前で眠りにつく。ローゼはサージュの邪魔をしない程度に世話を焼き、家事全般を行った。
 数年経てば、彼の魔法の腕はかなりのものとなった。元々限りなくこちら側であったローゼは、慣れさえすれば息をするように魔法を使いこなせるようになる天才型だ。
 いつものように朝食を作り、サージュの元へ届けると、実験室も机でうつぶせになって眠る彼女を見つけた。
 目の下にクマをつくった彼女は、いつもの様な飄々とした表情ではなく、小さな幼子のように口を開けてよだれを垂らして久しぶりの睡眠を取っているようだった。
「(今日でたしか徹夜7日目だったかな……)」
 彼は、彼女の頬にかかった髪を指でそっと退けた。すると、擽ったそうに彼女は身を捩り、ふにゃりと赤ん坊のように笑った。
 師匠の見たこともない表情に、頬に触れていた指先をピクリとさせると、徐々に顔を赤らめるローゼ。胸に手を当て、ドクドクと勢いよく流れる自身の心臓を感じると、彼は困ったように口元を歪めた。
「(駄目だ、これは駄目なやつだ)」
 それは開けてはならないパンドラの箱。そもそも人間とエルフである彼女の流れる時間は違いすぎる。ふーっと自身を落ち着かせるために深呼吸をし、朝食を空いてるスペースに置いて彼女を抱き上げた。よほど疲れているのか起きる気配はない。
 実験室の奥の彼女の私室を開け、ベットに彼女を下ろすとそっと布団をかけた。
「おやすみなさい、師匠」
 ローゼは額に軽く口付けを落とすと、静かにその部屋から立ち去った。
 「……まったく、こまったこなんだから」
  1人、ベッドの上でぽつりと呟いたサージュは、布団を頭の上まで被り、再び眠りに落ちた。
 カーテン越しの朝日が、ほんのりと部屋を照らした。
  「さぁローゼ、ここに座って頂戴な」
 サージュはローゼの手を取って、木の椅子に座らせた。そして目を閉じるように言い、彼の目蓋が下りたのを確認すると、そっと顔の形を確かめるように皮膚を撫でた。
 サージュよりも小さかった彼も、既に齢50。いつしかサージュの身長を優に超え、シワも増え、初老の男性へと変貌した。
 だけど彼女の愛は依然として変わらない。白銀色のさらさらとした髪、伏せられた長い睫毛、その中で輝くパパラチアの瞳、少しカサつく白い肌、小心者な性格に似合わず大きな体――その全てが愛おしい。
 そしてそっと目蓋に口付けを落とすと、手を離した。
「(貴方の愛に答えられなくてごめんなさいね)」
 サージュはそう心の中で謝罪をすると、懐から銀色の縁をした丸い眼鏡を取り出すと、メガネチェーンを彼の首にかけ、今度はそっと眼鏡を耳にかけた。
「師匠」
「まだよ、焦らないでね」
 そわそわとしだした彼を牽制すると、彼女は少し離れて眼鏡がズレてないかを確認し、うんうんと頷いた。
「よし、いいわ。ゆっくり目を開けて――……」
 ふるふるっと彼の目蓋が震えると、ゆっくりとその目は開かれた。そして、かつて無いほどその目を大きく見開くと、ポタリと雫が目から零れた。
  初めて目にするその景色を、彼は一生忘れないだろう。
  暖かい木の色で作られた部屋、白いレースのカーテンと、窓から入る緑色の木漏れ日、鉢に植え付けた植物には色とりどりの花が咲き、花の蜜を狙って、小鳥たちが遊びに来る。妖精の通り道はキラキラと虹色に光り、ローゼの様子を見に来た隣人たちは、ニコニコと笑って彼の周りを飛んでいる。
 そして、彼の前で慈母のように笑うサージュ。
 「(彼女が見える。優莉のように赤い髪も、森のように深い翠の瞳も、肌にちりばめられた小さな瘢や、薄く紅で色づいている唇も、全部、全部。ぼやけてなんかない、鮮明に、見える)」
  彼は歓喜で震える両手でサージュを抱き締めた。
 そんな彼を優しく抱き締め返し、泣き止まない幼子をあやすかのように背中を撫でる彼女。
    世界は宝石のようにキラキラと輝き、彼を祝福した。
0 notes
jun2020jun · 7 years ago
Text
FILL-IN~娘のバンドに親が出る~
Tumblr media
2017年7月13日(木)~7月23日(日)、新宿紀伊國屋ホールで上演された舞台「FILL-IN~娘のバンドに親が出る~」
吉本新喜劇の言わずと知れたスーパー座長・内場勝則が20年断り続けてきた「泣きの芝居」をついに解禁!
演劇公演での主演舞台は自身初。しかも、これまで一度も触れたことのない「ドラム」演奏への挑戦。その魂の舞台を目の当たりにした。
ここからは、ネタバレあり、私の個人的な感想も含む、観劇記録です。
内場さんの迫力のある芝居、憂いのある表情、切なげな視線、かわいい仕草、そしてドキッとするような色気に、何度も心を掴まれ、観劇後に出口で当日券を追加購入するという、まさかのエンドレスリピート現象…
こんなにリピート観劇した舞台は初めてで、内場さんの今まで見たことのない表情に心を揺さぶられ、気付いたら、初日と千穐楽を含む、全7公演を観劇する運びとなりました。
7回も見ると、次にどんなシーンか、どんなセリフでどんな言い回しか、キャストの一人一人がどこから登場して、どこへ去るか、どんなBGMや効果音が入るかまで大体頭に入りました。 舞台転換などの演出もとても良かったので、そういったキャストの出入りも含めて覚えている限りを書き綴ります。
開場中は、キャストそれぞれが葬式に流したい曲のBGMが流れる。アナウンスはキャストの一人で声優としても活躍されている多田野曜平さん。その流れで…
「続いてお送りします曲は7年間働く気のなかった作家をこの会場に迎えるための一曲です。ただ今から客席より本公演の作・演出家が登場します!拍手と声援でお迎えください。山形の奇跡、大阪の星、香川のうどん、岩手の冷麺、大王こと後藤ひろひとの入場です!」
♪華々しい曲が流れて、客席後方扉から、大王(後藤ひろひと)登場!
客席からの割れんばかりの拍手に手を挙げて応えながら舞台上へ。
Tumblr media
大王「受け取った人の3人に1人が涙する感動のLINEスタンプをご存じですか?(←毎回ネタが違いますw)……それはさておき、私がこの舞台の作家です。さて本来であれば、タキシードで登場したかったんですがご覧の通り喪服です。なぜなら今から皆さん��ご覧頂く作品は一人の人物が死ぬことによってスタートするからです。あまり居心地良いものではありませんが、ここは葬儀場ってわけなんです。」
舞台上手から、カラオケスナック「うたciao」の店長(菊池健一)が泣きながら登場
店長「うぅぅぅ~・・ぶぁ~・・・あぁ~・・・」
店長が大王に何かを話しかけようとするが、涙で言葉にならないまま、舞台下手へ去る
(この店長のキャラの濃いことw)
大王「もとはと言えば、書いた私が殺したことになるのでここに長居はしたくないです。亡くなったのは先日21歳になったばかりの一人の女の子。死んじゃったのでお坊さんがつけた難しい名前になっちゃいましたけど、生きている時の名は、『はな』に『おと』と書いて花音。アルバイトで運転中の運送屋のトラックが3、4回ひっくり返ったそうです。それにしては綺麗な死に顔でした。…いやいや、ちょっと待てよ。彼女、いつもと違いましたね、いつもはあんなメイクじゃなかった。後ろのほうの方には見えないと思いますけど、私のこのクルンと曲がった髭、これ毎日、私がジェルとドライヤーでセットしてるんです。今まで一度も他人にやってもらったことがないんです。だから私が死んだらこれは誰にも出来ないんです。棺桶に入るときには誰かに『こんな感じだったかなぁ~』って言われながら、ドライヤーで適当にやられて、ヨレ~っとした髭になるんでしょう。これは私の人生の大失態でした。もっとたくさんの人に自分の人生を知ってもらえれば良かった。私は死んでからもヨレ~っとした髭でそんなことを思いながら棺桶に入るんでしょう。死んだ花音ちゃんは、今、何を思っているのでしょうか。花音ちゃんの魂はまだその辺をふわふわ彷徨ってます。でも大丈夫。もうじき彼女には天使が現れます」
♪BGM(静かなドラム音)
舞台上手から、スーツ姿で左腕に喪章をつけた真下幸吉(内場勝則)がアイコスを吸いながら登場
大王、舞台下手側のベンチに腰をおろす
幸吉、大王と目が合って軽く会釈
Tumblr media
そこに舞台上手から幸吉の別居中の妻・文音(柿丸美智恵)が喪服姿で登場
幸吉「いいの?お前まで出てきて」
文音「もう落ち着いた」
幸吉「ビールとか足りてる?」
文音「ミカがやってくれてる」
幸吉「ミカちゃんも忙しいのにね」
文音「幸ちゃんも」
幸吉「俺?…俺は親だから」
文音「親が喪章?」
幸吉「あぁ、どうしても職場からまっすぐで」
文音、舞台上手(葬儀場)へ戻ろうとして、
幸吉「文音!」
文音「ん?」
幸吉「・・・」
文音「何?」
幸吉「・・・」
(この内場さんのなんとも言えない表情にまずやられる…)
Tumblr media
幸吉「・・・」
文音「何?なんか言う?言うなら言って!言わないなら帰って!会社に!」
幸吉「…俺、涙がでない。娘が死んだのに涙がでない。俺は壊れてるのか?そうじゃないよな?4年も花音と会ってなかったから実感がないんだよな?」
(まっすぐな瞳で優し気な表情で話していて、表情も声もすごく柔らかい。もうグッとくる…幸吉の戸惑いが伺える)
文音「そう?」
幸吉「そう。『いいよ、お父さん許すから、帰ってこい』って言ったら、あいつすぐにでも帰ってくる気がするんだ」
文音「許すって?」
幸吉「もう十分反省しただろうし。『また戻りたい』って言ったらさ、『もうお父さん怒ってないよ』って言ってやるよ」
Tumblr media
文音「花音が?何を反省するの?」
幸吉「いや、だから音楽やるとか、美大行くとか」
文音「それを謝らなきゃならなかったの?」
幸吉「(優しく)『もう怒ってないよ俺は』」
文音「幸ちゃん…」
Tumblr media
幸吉「いや、これは本当」
文音「幸ちゃん…幸ちゃん壊れてるよ」
幸吉「(優しい表情で文音に面と向かって)壊れてるか?」
文音「涙が出ないのは悲しくないから。悲しくないのはね、幸ちゃんが壊れてるから」
幸吉「どうしたらいいのかな?」
文音「花音はね、もうどれだけ、反省、努力しても、幸ちゃんの理想に近づくことなんかできないんだよ!!だってもう…死んだんだから!…幸ちゃん、一度でいいから花音に近づこうとしてみて」
幸吉「…?」
文音、舞台上手へ去っていく
幸吉、首をかしげながら、振り返るとベンチに座っている大王と目が合い、会話を聞かれていたことに気まずさを感じて…
幸吉「あ、長いこと別居してるかみさんなんです。さっぱり分からないんですよ、女性の言うことは」
大王「真下さん!」
幸吉「はい。…あっ!花音の?…あ、短大の??」
大王「いえいえ、作家です」
幸吉「あっ美大の��?」
大王「美大でもないけど作家です」
幸吉「生前、花音がお世話になりました」
大王「いやいや、むしろこれからです」
幸吉「え?」
大王「真下さん、あなたの会社は、え~…」
Tumblr media
幸吉「白松不動産ホールディングス」
大王「はい。よくわかりましたね?」
幸吉「私の勤務先ですから」
大王「あぁ、そうか。その会社、あなた今日から1週間お休みです」
幸吉「え?」
大王「あなたの代わりに吉田君が働いてくれます」
幸吉「吉田君?…誰?…あ!ジャイアントロボ?」
大王「はい」
幸吉「いや、あればラグビーさせる為に入れたんです。国体の強化選手だったんです」
大王「大丈夫」
幸吉「あなた何言ってるんですか?」
大王「『ある時ロボは不動産業に目覚めて驚くべき能力を発揮したのであった!!』これでいいでしょう」
幸吉「はい?」
大王「真下さん、あなたには行っていただきたいところがあるんです」
大王、胸ポケットから一枚の紙きれを幸吉に渡す
幸吉「どこです?ここ」
大王「生前、花音ちゃんがあなたに勘当されて、家を飛び出して、最初に行った場所です」
幸吉「ここに?花音が?」
大王「はい。馬を用意しました」
♪ヒヒ~ンと馬の鳴き声
幸吉「え!?私、馬、乗れません」
大王「いや、乗れるはずです!(パチンと指を鳴らす)」
幸吉「あ、乗れますね」
(笑)
幸吉「ん?乗れるか?いや乗れる!乗れるなぁ」
幸吉、舞台下手へ去っていく
Tumblr media
大王「少々強引でしたが、こうでもしないとこの物語は始まらないんです」
♪ドラム音でテーマ曲の前奏部分が流れ、暗転。舞台の一段高くなった2階部分の壁に「FILL-IN」と映し出される
♪工場の機械音。明転。そこは山田鉄工所
鉄工所社長(多田野曜平)が舞台上手から登場
鉄工所社長「おい、たきちゃ~ん」
たきちゃん(たくませいこ)が舞台下手から登場
たき「な~に?」
鉄工所社長「(舞台上手袖を指して)ほら、あれ見ろよ?」
♪馬の蹄の音
たき「なに~!!うま!馬!!!」
鉄工所社長「(舞台下手袖に向かって)ちょっと、機械とめて~!!」
♪機械音ストップ
幸吉、舞台上手から登場
幸吉「(大王にもらった紙切れを見せながら)この住所はここでしょうか?」
たき「…ここやね」
幸吉「ここ、何ですか?鉄工所ですか?」
たき「(社長に)これ、関わったらあかんやつや」
Tumblr media
幸吉「(思わず関西弁で)いやそんなことない」
たき「ほら!急に関西弁!!」
幸吉「生まれが大阪なんです」
鉄工所社長「なんか発注ですか?」
たき「あかんて!馬やで!この人、馬乗ってきたんやで!」
(笑)
鉄工所社長「いいなぁ~馬」
幸吉「よかったら差し上げます」
鉄工所社長「いいの?」
幸吉「私いりませんし、そもそも私のじゃないですし」
鉄工所社長「やったよぉ~!」
幸吉「私、真下と申します。真下花音の父親です」
たき「うぅ…花音ちゃんの(泣)」
幸吉「生前、花音がお世話になりました」
鉄工所社長「お世話になったのはこっちのほうだよ。毎日一生懸命働いてくれて」
幸吉「え?花音が鉄工所で働いてたんですか?」
鉄工所社長「お父さん、知らないの?」
たき「外の看板見てくれました?亡くなった社長の奥さんが蘭が好きでね。奥さん亡くなって、この工場に『なんか足らん、なんか足らん』と思ったら蘭や!でも蘭は難しくて誰も育てられへん。それを花音ちゃんが看板の回りを余った鉄で…(泣)」
幸吉「あぁ、あれは蘭か」
たき「社長、嬉しくてトイレで泣いてたなぁ!」
鉄工所社長「泣いてないよ!」
たき「いぃ~や!泣いてた!せやから花音ちゃん、トイレ我慢できずに少し出してしもたんや!ほんましょうもない!」
(笑)
鉄工所社長「そりゃ悪いことしたな~」
幸吉「そうですか!もらしましたか。あいつ。まだまだ子供でね、いつになったら大人になるのやら。今度ガツンと言ってやらなきゃ!ハハハハハ………あっそうか…」
そこへガールズバンド「スキッドマークス」のギタリスト&ボーカル 葉月(相楽樹)が作業着姿で舞台下手から登場
Tumblr media
葉月「社長!これ頼まれてたの終わりました」
鉄工所社長「葉月ちゃん、この人!この人!」
葉月、幸吉に気付き会釈
たき「葉月ちゃん、この人な、花音ちゃんのお父さんやて」
幸吉「どうも、花音がお世話になりました」
葉月、幸吉が花音の父親だと分かり、背を向ける
Tumblr media
鉄工所社長「葉月ちゃん、あ、あれだよな、花音ちゃんと一緒にな…」
葉月「言わないでいいんじゃないすか!?」
幸吉「?」
葉月「…休憩いただきます」
葉月、幸吉とは目を合わさず、舞台下手へ去る
たき「ま、まあ、色々あるんちゃうやろか、若い子やし」
幸吉「あの、花音はここからどこへ行きましたか?」
たき「さっきの葉月ちゃんはね、花音ちゃんの紹介やねんけど、うちで二人は雇われへんから、そしたら花音ちゃん『私には次の仕事があるから大丈夫です』言うて」
幸吉「次の仕事?」
たき「社長、会員証見せたり」
鉄工所社長、幸吉にカラオケスナック「うたciao」の会員証を渡す
幸吉「うたちゃお?」
鉄工所社長「うたっチャオ~!っていうフランス語」
幸吉「それはどうかと」
(笑)
幸吉「カラオケボックスですか?」
たき「スナックやな、ボックスちゃう」
鉄工所社長「花音ちゃんに会いたくて通ったけど、もう行かないよ。14ポイント貯まってる。あと6ポイントで二階堂のボトル」
幸吉「あぁ、ありがとうございます」
幸吉、舞台上手へ去る
鉄工所社長「俺もとうとう馬持ちかぁ~(嬉しそうに舞台上手へ去る)」
たき「葉月ちゃ~ん…!(舞台下手へ去る)」
♪BGM(ドラム音)&暗転
舞台2階部分をカラオケスナック「うたciao」店長が泣きながら横切る
明転すると、1階舞台上にはソファーが一つ。そこは「うたciao」店内。エプロン姿でモップを持って床掃除をしている ガールズバンド「スキッドマークス」ベース くりこ(松村沙友理)登場
Tumblr media
♪ドアの開く音
店長「(舞台上手袖から声のみ)くりこちゃ~ん、くりこちゃ~ん!」
くりこ「は~い(舞台上手袖へ去る)」
店長「(声のみ)これパラパラ~ってお願い!…あっ!ちょっとぉ~!!」
店長、舞台上手から喪服姿で登場
店長「これ、肩とかにパラパラ~ってするんだよぉ」
くりこ「(舞台上手から再登場し)これ、何のためにやるんですか?」
店長「お清めの塩だよぉ。お葬式行った後に塩をパラパラ~ってするの」
くりこ「そうなんですね。私、ゆでたまごとかにかけて食べてました」
Tumblr media
店長「ダメェ~!そんなの���対ダメェ~!」
くりこ「でもちょっと余ってるし、ピーナッツにでもかけておきます?」
店長「ダメェ~!なんでそんな恐ろしいこと思い付くの!?ダメェ~!(持ってる紙袋をくりこに渡そうとして)はい、これくりこちゃんの。何て言うんだっけ?」
くりこ「引出物?」
店長「ダメェ~!引出物はお祝いの時のだから」
くりこ「ほな、何て言うんですか?」
店長「ん~、参加賞?」 (←毎回ネタが違いますw)
店長、ソファーに紙袋を置いて座る
店長「今日は泣いた~。くりこちゃんも行くべきだったよ、花音ちゃんの葬儀」
くりこ「店長は泣くだけで済むかもしれないけど、私は泣いたぐらいじゃすまへんと思う。花音の死んだ顔見たら、私もその場で死ぬんちゃうかな」
店長「うわぁ~~~(泣)ダメェ~もう今日休みにしよう」
くりこ「あかんよ」
店長「なんで?」
くりこ「今日は花音のファンやったお客さんがいっぱい来て騒いでくれるんやから」
店長「そうだね♪そうだね♪騒ごう!歌おう!飲もう!」
♪ドアの開く音
店長「(舞台上手袖に向かって)らっしゃいっやせ~!」
くりこ「寿司屋か!(舞台上手袖に向かって)…あのすみません。まだやってないんです」
舞台上手から幸吉がやってくる
幸吉「あの、客じゃないんです(店長の顔を見て)あれ?」
店長「あれ!?お父さん??」
くりこ「えっ?親子?」
幸吉&店長「(二人とも手を振りながら)いやいやいや」
(笑)
幸吉「今日葬儀に」
店長「くりこちゃん、この人、花音ちゃんのお父さん」
幸吉「花音がこちらのお店でお世話になっていたと伺いましたので」
Tumblr media
店長「どうぞ、座ってください」
幸吉「いえいえ」
店長「そういわずに!(ソファーに置いてある、香典返しの紙袋をみて)誰?こんなところにこんなつまんないもの置いたの?」
幸吉「…(店長をじっと見ている)」
(笑)
店長「いや、つまんなくない、つまんなくないですぅ~。すみません。(紙袋を持って舞台中央奥へ去る)」
くりこ「どうぞ」
幸吉、ソファーに座る
くりこ「花音のバイト先、まわってはるんですか?」
幸吉「はい。あ、関西の方ですか?」
くりこ「はい。花音と話すときはいっつも大阪弁でした」
幸吉「え?花音、大阪弁なんか喋られへんでしょ?」
くりこ「いいえ、喋ってましたよ!」
幸吉「えっ…?」
くりこ「鉄工所も行かれました?」
幸吉「はい」
くりこ「あそこの社長、また来てくれはったらいいのに」
幸吉「(ポケットから「うたciao」の会員証を取り出して)これ、そこの社長が」
くりこ「あぁ、預かっときますね」
店長、舞台中央奥から焼酎ボトルとグラスを持って登場
店長「すみませ~ん、お待たせしました。(幸吉の横に並んで座りながら)こちらこの間の焼酎フェアで手に入れた幻のお酒。鹿児島のお酒でなかなか手に入らないやつですよ。その名も『娘失い』!!」
(笑)
幸吉「…(店長をじっと見ている)」
店長「(幸吉の視線に気付き)…こんなものを持ってきた私は今すぐ死にたいです(お盆で自分の頭を叩く)すみません!替えてきます」
店長、舞台中央奥へ去る
くりこ「なかなかアホでしょ」
幸吉「えぇ。…あ、いやいや。あの花音はこちらでどんな感じやったんですか?」
くりこ「むっちゃ人気者でしたよ。といってもここら辺のおっさんばかりやけどね。商店街のおっさんやら、町工場のおっさんやら、ここに来て花音に泣き言を言うたりして」
Tumblr media
幸吉「え?花音、おっさんらの泣き言聞くんですか?」
くりこ「はい、めっちゃ聞き上手でした。みんな『うちの息子と結婚せぇへんか?」って言うてました」
幸吉「へぇ~…」
くりこ「花音、『親には頼られへんから』言うて、朝から晩までどころか朝から朝まで、晩から晩まで働いてました。せやから、トラック運転中にボォ~っとしとったんちゃうかな?…かっこいい子でした。私の憧れでした!」
幸吉「あなたは?」
くりこ「くりこです」
幸吉「くりこさん、花音がお世話になりました」
くりこ「次はどこに行かれます?」
幸吉「…なんかまだ頭がいっぱいで、いま聞いた話もほんとに花音のことなのかなぁ思って…私の中の花音と皆さんから聞く花音が一つになれへんのですよ」
くりこ「ほなら、明日スタジオに来ませんか?」
幸吉「スタジオ?ラジオか何かですか?」
くりこ「いえ、音楽スタジオです。そこに来てくれたら、もっと花音のこと分かると思います」
くりこ、幸吉に音楽スタジオの会員証を渡す
くりこ「これ、会員証。明日絶対持ってきてください」
幸吉「はい」
くりこ「絶対ですよ!」
幸吉「はい!必ず!」
くりこ「じゃあまた明日」
幸吉「じゃあ」
幸吉、舞台上手へ去る
入れ違いに、店長がフルーツの盛り合わせを持って舞台中央奥から登場
店長「すみませ~ん。お待たせしました。(幸吉が帰ったことに気付かずに)これスーパーアルティメットフルーツ盛り!サービスしますからこれで元気になってください(とソファーの方に振り返ると幸吉が居ないことに気付き)あれ?お父さん帰っちゃった?」
くりこ「帰りはったよ!」
店長「僕、お父さんを怒らせた??」
くりこ「『二度と来るか!』言うてた。」
Tumblr media
店長「マジョリティ?」
くりこ「(フルーツ盛りを指さしながら)『そんなもん、くりこに食わせ!』言うてました」
店長「そういった?」
くりこ「はい」
店長、肩を落として帰ろうとするが…
店長「そんなもんって変じゃない?ねぇ、お父さんこれ見た?このフルーツ盛り見た?」
くりこ「(モップで店長を押しながら)ごちそうさまで~す!」
店長「ちょっと、くりこちゃん、おかしくない?くりこちゃ~ん」
店長、くりこ、舞台中央奥へ去る。
♪BGM&暗転
明転すると、舞台上にはベンチが一つ。そこは公園。幸吉の妻・文音が自分のカバンと幸吉のカバンを持って登場し、ベンチに座る
♪「ニャァ~」と猫の声が聞こえて、文音、舞台下手袖に視線を送る
文音「ん~?どこかなぁ?(舞台下手袖に向かって猫に話しかけている)」
♪「ニャァ~」
文音「お腹すいたのかな?」
♪「ニャァ~、ニャァ~」
文音「そっかぁ、なんか買ってきてあげようかなぁ~」
すると、舞台下手から、謎の男カラヤン(池乃めだか)登場
カラヤン「ほんまですか?」
(笑)
Tumblr media
カラヤン「ではサンドイッチとカフェオレをお願いします。それと今月分の日経サイエンスも」
(登場から爆笑を誘うさすがのめだかさん)
文音「いや…」
カラヤン「なんでや?今『なんか買うたろか?』って言うたやろ」
文音「猫かと思ったので」
カラヤン「猫やったら良くて、人やったらあかんのか?ほな、あんた、なにか?無人島で最初に出会うたのが人やったら嬉しくないんか?」
文音「それは…嬉しいと思います」
カラヤン「ほな、それと何が違うんや」
文音「ここが無人島じゃないってとこじゃないですか!?」
カラヤン「あんたカシコやなぁ~」
カラヤン、文音の前から去ろうとする
文音「あ、あの、さっきのは私が悪かったと思います(お財布から千円札を取り出して)これで!」
カラヤン「お嬢さん、何か勘違いをなさっておられる。別に私は人から施しを受けようなんて、そんなことは考えてない」
文音「でも、さっき…」
カラヤン「あれはあなたが『何か買ってやろうか』って言うたからついでや」
文音「はい…(お札を財布にしまおうとする)」
Tumblr media
カラヤン「手を離しなさい」
文音「はい?」
カラヤン「そのお札から、その手を離しなさい」
(笑)
文音、戸惑いながら、お札から手を放して地面に置く
カラヤン「そして、それを私に説明しなさい」
文音「えっと…千円札が、落ちてます」
カラヤン「おぉ!私のだ!(と、千円札を拾いポケットにしまう)」
(笑)
カラヤン「こんな時間に女性の一人歩きは危険だ。ほら、向こうから怪しい男が走ってきた。さぁ、私が護衛しましょう」
文音「あ、あの、あなたは?」
カラヤン「どうも、保安官のロバートです」
(笑)
幸吉が舞台上手から走ってやってくる
幸吉「おい!お前なにやってるんだ」
カラヤン「出たな!妖怪小豆洗い!(文音に向かって)キャサリン!私の事はいい!先にテキサスに帰っていろ!」
文音「あの、この人、私の旦那なんです」
カラヤン「なんてこった!」
(笑)
幸吉「分かった分かった。(財布から千円札を取り出して)これあげるから向こうに行きなさい」
カラヤン「どうして君たちは、何でもお金で解決しようとするんだ」
幸吉「お金が欲しいんやろ?ほら!」
カラヤン「そんなことはない」
幸吉「大体分かんねん、そういうのはな」
カラヤン「私の何がわかるんだ」
幸吉「言わんでも分かんねん。欲しいんやろお金が」
カラヤン「そんなことは言ってない。私の話を聞きなさい」
幸吉「こっちはこっちで(文音と)話があるから」
カラヤン「とにかく…」
幸吉「いいから、持ってったらいいやろ」
カラヤン「だから、欲しくないものはもらえない!」
幸吉「欲しくないことないやろ!」
カラヤン「だから!」
幸吉「あんたが持ってたらそれでしまいや!」
カラヤン「だから、きみは…」
幸吉「早く持ってったらええやろ!」
カラヤン「もういい!!!」
(笑)
カラヤン「もういい!(幸吉の目の前で手を振りながら)もういい!…もうたくさんだ!」
(ここ相当引っ張って爆笑起きてましたねw)
カラヤン「もう結論は出ん!もういい!いつからだ!?いつからこんなくだらん考えの人間になっちまったんだ。昔を思い出せ!お前がまだこんな小さかった頃、近所の嫌われ者だった。盗み、万引き、なんでもやった。そんなお前を引き取って育てたのは誰だ?この私だ。それを忘れてはいけない!我々は仲間だ、ファミリーだ、組織だ。組織の掟を破ったらどうなるか?そう、即刻あの世行きだよ」
Tumblr media
カラヤン「死にたくなかったら、私に逆らうな。1分でも1秒でも美味しい空気を吸っていたいなら、私に逆らうな!!分かったな?ボラギノール」
幸吉「誰がボラギノールやねん」
(笑)
幸吉「痔の薬やないか!」
カラヤン「(お尻を幸吉に突き出しながら)いいから入ってこい!」
幸吉「何言うとんねん」
(笑)
幸吉「さっきからずっと何言うとんねん!」
(この被せのツッコミで会場大爆笑。さすがの内場さん&めだかさん)
文音「幸ちゃん、その千円札落として」
幸吉「え?」
文音「で、それを説明して『落ちてます』って」
幸吉「(戸惑いながらも千円札を地面に落として)…千円が落ちてます」
カラヤン「あ、私のです(千円札を拾ってポケットにしまう)…じゃあ二人とも末永くお幸せに。(舞台下手へ去ろうとして足を止め)そうそう!アメリカのインディアナにこんな言い伝えがある。『満月の夜は三日月が……』(舞台下手へ去る)」(←ここも毎回ネタ違いますw)
幸吉「なんやねん!」
(笑)
幸吉「それで、そんな日はない!『満月の夜の三日月』なんてない!」
(またも被せツッコミで一段と大きくなる会場の笑い声)
幸吉「誰?いまの」
文音「保安官のロバートさん」
幸吉「いや違うやろ!」
(笑)
幸吉「…あ、カバン有難う。それと葬儀と出棺まで…」
文音「うん、大丈夫。火葬場が辛かった。ミカが大泣きしちゃって私が慰めることになっちゃって。誰かと話したかったから、��ょうど良かった」
幸吉「…」
文音「変だね、私たちの子どもなのに幸ちゃんと話すとちょっとだけ忘れられる」
幸吉「…そうか…」
文音「そうだ! (ケータイを取り出し画像を見ながら) 幸ちゃん大丈夫なの?」
幸吉「何が?」
文音「ネットに…(幸吉にケータイ画面を見せる)」
幸吉「うわぁ~!!」
文音「何?幸ちゃん馬乗れるの?」
(笑)
Tumblr media
幸吉「なんか、乗れたなぁ、うん、乗れた」
文音「馬なんか乗って、どこに行ったの?」
幸吉「花音のアルバイト先」
文音「運送屋?」
幸吉「いや、そこは行ってない。鉄工所と飲み屋」
文音「何しに?」
幸吉「何しに?…ん~、なんだろうな、何か行ってみたくなって」
文音「ありがとう」
幸吉「(照れながら)なんで文音が『ありがとう』」
文音「なんかありがとう。じゃあね」
文音、去ろうとする
幸吉「一人で…眠れる?」
(ここの内場さんの声、すっごい甘い声で優しい聞き方するから、毎回キュンとする♪)
文音「ミカが家に泊まってる」
幸吉「そっか」
文音「じゃあ」
幸吉「あぁ。ミカちゃんによろしく」
文音「うん。おやすみ」
幸吉「おやすみ」
文音、舞台下手へ去っていく
夜の公園のベンチで一人物思いにふける幸吉。自分のカバンを枕代わりにして眠りにつく
♪BGM
舞台下手から毛布を持った大王登場。毛布を広げてベンチで寝ている幸吉にかける。客席に向かい「シ~ッ」というポーズを取り、幸吉が寝ているベンチごと押して舞台下手へ去る
舞台奥からドラムセット、キーボードセットなどが舞台中央へせり出してくる。そこは音楽スタジオ。 キーボードを弾きながら悦に入っているガールズバンド「スキッドマークス」キーボード レイ(千菅春香)登場 
そこへ舞台下手からくりこがやってくる。
レイ「やっちゃったかも!」
くりこ「何を?」
レイ「これは傑作っすよ」
くりこ「今の?どうやろか?」
レイ「やつらが全身に酸素を送ってるのを感じなかった?」
くりこ「やつらって?」
レイ「グロビン」
くりこ「グロビン?」
レイ「ヘモグロビン!!おい、足りてねぇのかO2が」
Tumblr media
レイ「よし、分かった!任しときな!(キーボードを弾きながら)酸素だよ~ふわふわ~ふわふわ~最高だろ!ベースはどう弾いてもらおうかな~」
くりこ「え?これ絡まなあかんの?(ケースからベースを取り出そうとして)あっストラップないわ」
くりこ、ストラップを取��に舞台下手へ去る
レイ「(くりこが居なくなったことに気付かずに目を瞑りながらキーボードを弾いている)よし!!」
そこへ音楽スタジオの会員証を持った幸吉が舞台下手からやってくる。
レイ「(幸吉には気付かずに)ヘモグロビ~ン!」
幸吉「…?」
レイ「イエス!!(目を瞑って集中しながら)私が『ヘモ』って言うから、そしたら『グロビン』ね」
幸吉「…?(きょとん顔)」
レイ「(キーボードを弾きながら)ヘモグロビ~ン!ヘモグロビ~ン!セイ!ヘモ!」
幸吉「…」
レイ「セイ、ヘモ!!」
幸吉「…(あたりをキョロキョロ自分しかいないのを確認)」
レイ「ヘモ!!」
幸吉「(恐る恐る)グロビン」
レイ「そう、ヘモ!」
幸吉「グロビン」
レイ「(だんだん声を大きくしながら)いいよ、ヘモ!」
幸吉「グロビン!」
レイ「(大声で)ヘモ!!!」
幸吉「(大声で)グロビ~ン!!!」
レイ「ヘモ!!!」
幸吉「グロビ~ン!!!」
レイ「そう!ヘモ!!!」
幸吉「グロビ~~ン!!!!」
レイ「(幸吉に気付き)誰?」
幸吉「グロビ~~~~ン!!!!!」
レイ「あんた、誰?」
幸吉「僕、誰~~~~!!!!!!」
(ここ毎回爆笑なんだけど、このシーンで内場さん喉痛めたんじゃないかと…自分の喉より笑いを優先してるし(笑)1日2公演の日は声が枯れて辛そうだった…)
レイ、幸吉に近付いてきて
レイ「あんた誰?」
幸吉「私、あの…」
Tumblr media
レイ「まぁ、誰でもいいか、私の音の理解者なんだから」
幸吉「理解はしてません」
(笑)
レイ「私はレイ」
幸吉「レイさん」
Tumblr media
レイ「そう。みんなそう呼ぶ。あんたもレイでいいよ!でも『さん』付けはやめて!人はみんな平等だからね。さぁ呼んでみな!」
幸吉「レイ」
レイ「よくできました」
幸吉「有難うございます」
そこへ、くりこが戻ってくる
くりこ「(幸吉を見て)あ!」
幸吉「(くりこに気付いて)あぁ!」
くりこ「来てくれたんですね」
レイ「知り合い?」
Tumblr media
くりこ「お父さん」
レイ「あぁ、似てるわ!」
幸吉&くりこ「(二人とも手を振りながら)いやいやいや」
(笑)
くりこ「この人、花音のお父さん」
レイ「サワディーカップ」
幸吉「��」
くりこ「昨日、うちの店に来てくれたから、私が誘ったんよ。花音のこと知りたいんやて」
レイ「あぁ…」
くりこ「えぇやろ、どうせもう解散やし」
幸吉「解散?」
レイ「花音の代わりはいないからね~。花音はあの子、天才だったよ」
幸吉「そうだったんですか」
くりこ「あの話してあげ」
レイ「あぁそうだね(幸吉の肩に腕を回しながら)私がさ、コウモリを落とす音を探してたでしょ!」
幸吉「いや、知らないです」
(笑)
レイ「1日中コウモリを落とす音を探してたわけ。そしたら花音、一発で見つけちゃったんだよ!花音すごいよ~!!!」
レイ、言いながら幸吉の肩をガンガン揺するもんだから、幸吉、首がグラングランで(笑)
くりこ「その話、今初めて聞いたわ。全然いい話ちゃうし」
レイ「いい話だろうに!」
くりこ「とにかく!『たてばやし』は花音のことめっちゃ信頼してたんやね」
幸吉「(レイが『たてばやし』と呼ばれていることに疑問を感じながらも)…あぁ」
そこに、舞台下手から葉月がやってくる
葉月「『たてばやし~!』」
幸吉、思わずレイを見る
(笑)
葉月「会員証持ってる?」
レイ「いいや」
幸吉「(ポケットから会員証を出して)あぁ、会員証はこれです」
葉月「(幸吉に気付いて)なんで居るんだよ」
くりこ「知りたいんやて、花音のこと」
葉月「なに?何知りたいの?捨てた娘だろ」
幸吉「別に捨てたわけじゃないんですけど、あの子の幸せを思って」
葉月「幸せ?あんたの娘は幸せでしたか?どうなった?幸せになりましたか?死んだだろ!死んだんだろ!あんたに家追い出されて、生活していくためにバイト掛け持ちして、過労でフラフラになって、運送屋の車でひっくり返って死にました!!」
くりこ「葉月、やめとき!」
幸吉「…」
葉月「幸せですか?あんたの娘は幸せでしたか?」
幸吉「…それを知りたくて…」
葉月「死んで幸せなわけねぇだろバ~カ~!!!」
くりこ「葉月!」
幸吉「…」
葉月「もうちょっとでバンドのメジャー契約が決まるって。でも契約してすぐはお金になんないから、いまのうちにバイトしとくって。毎日働いて、働いて、スタジオきたらドラム叩きまくって、で、家でも働いて、それで、あんたの娘は死にました。花音の人生は以上!帰ってください!」
幸吉「…」
葉月「帰ってください!!で、もう二度と花音のことは思い出さないでください。それが一番の供養になるんじゃないっすか?」
幸吉、怒りながらも何も言い返せず、去ろうとするが、立ち止まり、財布から小切手を出しサインをして、差し出す。
葉月「…」
幸吉、くりこに小切手を渡す
Tumblr media
幸吉「申し訳ありませんでした。娘がご迷惑をお掛けしました。どうぞお受け取りください」
葉月「花音は何の迷惑もかけてねぇよ!」
くりこ「(渡された小切手をたたんで幸吉の胸ポケットに入れ)こういうことやないと思います」
レイ「なかなか残念なやつだね~」
幸吉「どうすればいいでしょうか?私には全くわかりません。私はあなた方に何をすればいいでしょうか?」
くりこ「何もいりません!何もしてもらう必要なんかありません!」
葉月「してもらおうよ」
くりこ「え?」
葉月「花音のために何かしたいんだろ?わたしらのために何かしたいんだろう?」
幸吉「はい!出来ることなら何でもさせて頂きます!」
葉月「だったらさ、ドラム叩けよ!あたしら花音いなくなって困ってんだよ~」
Tumblr media
幸吉「でも私は音楽は…」
葉月「なんでもするんだろ!!」
幸吉「…」
葉月「自分の娘がどう生きたか知りたいんだろ?だったら叩けよ!そしたらちょっとは分かるよ、花音のこと!」
葉月、舞台下手へ去る。くりこ、葉月を追って去っていく。
レイ、幸吉へ歩み寄ってきて
レイ「スキッドマークス」
幸吉「え?」
レイ「タイヤがスリップして付いた跡」
幸吉「スキッドマークス」
レイ「花音があんな死に方すると思ってなかったからさ、そんな名前、私たちのバンド。花音のタイヤが付けた跡、追っかけてみたらいいよ!あんた下の名前は?」
幸吉「幸吉」
レイ「幸吉!私はレイ!」
幸吉「レイさん。あっ…レイ。みんな君のことを『たてばやし』って呼んでたけど」
(笑)
レイ「黙ってドラム叩きな~幸吉!」
レイ、舞台下手へ去っていく。
♪BGM
幸吉、胸ポケットに入れられた小切手を取り出してそれをクシャッと握りつぶす。決意の表情。ドラムセットの前へ。そこは練習スタジオ。幸吉、恐る恐るドラムを叩いてみる。幸吉の元部下・薮内(汐崎アイル)が舞台上手から登場し、そんな幸吉を見ている
薮内「真下さん、あんた俺の事バカにしてるんすか?」
幸吉「バカになんかしてないよ、ドラム教えてほしくてさぁ」
幸吉、ドラムをぎこちなく叩く
薮内「やめてください!無理っすよ!」
幸吉「そうかな、先生がいいと出来るんじゃないかな?教えてよ!ちゃんと授業料も払うしさ!」
薮内「真下さん」
幸吉「あ、これ、太鼓によって音が違うんだね」
薮内「真下さん!」
幸吉「え、何?…あ…はい、何ですか、先生!」
薮内「俺、実家なくなったんですよね、借金のせいで実家なくなったんです」
Tumblr media
幸吉「それは、大変だったね」
薮内「大変でした。いまはお袋と月3万の公団住宅に住んでます。廃墟みたいなところです。あのときお金欲しかったんすよね。そしたら親父もまだ生きてたかもしれない。会社、首になった理由が音楽やってたからっておかしくないすか?」
幸吉「いやいや、薮内君、それは違うよ。あの頃会社も不景気でね」
薮内「あんた言いましたよね。『音楽なんかやってるやつに仕事出来るわけない』って。それが今になって『ドラムを教えてくれ』ってふざけてますよね!?」
幸吉「(頭をさげて)悪かった!本気でそう思ってる!」
薮内「…」
幸吉「頼む!これが叩けるようになりたいんだ!どうしても叩きたいんだ!これが叩けるようになって!!…………なってみたいんだ…」
薮内「どいてください」
幸吉「薮内君…」
薮内「ちょっとどいてください」
薮内、ドラムセットに腰を下ろして、ゆっくりとドラムを叩き始める。ドラム音が終わり、幸吉が薮内に近づこうとする…が、また、今度は激しくドラムを叩く。圧倒される幸吉。
幸吉「…」
薮内「どこまでやりたいんすか?ここまでやりたいんすか?」
幸吉「ここまではちょっと」
薮内「『我が社には限界はない』って朝礼で話してましたよね?自分は限界決めてるんですか?」
幸吉「いや、まあ、実は娘が事故にあってね」
薮内「やめてください!俺、事情とか聞かないんで。座ってください。(スティックを幸吉に渡して)これ持って座ってください」
幸吉、ドラムセットに座る
薮内「ペダル、踏んでください」
幸吉「ペダル?」
薮内「踏むのがあるでしょ」
幸吉、ペダルを踏む。バスドラの音が鳴る
薮内「それが、バスドラ。目の前にあるのはスネア」
幸吉「バスドラ…スネア…バスドラ…スネア…(ポケットから手帳とペンを取り出して書こうとする)」
薮内「いつ見るんすか?それ」
幸吉「家帰って練習するときに」
薮内「やめてください。今日、今、ここで覚えてください」
幸吉「でも……はい(手帳とペンをしまい)…バスドラ、目の前にあるのは…」
薮内「スネア!」
幸吉「スネア」
薮内「(一つ一つの太鼓を指さしながら)タム、フロアタム、ハイハット!」
幸吉「早いから、ちょっ…早いから!え~…バスドラ…スネア…」
薮内「タム、フロアタム、ハイハット、ライド、クラッシュ!」
幸吉「ちょっ、ちょっと、ちょっと、薮内君!」
薮内「これ覚えられなきゃドラムなんて叩けませんよ。ハーモニカとかの方がいいんじゃないんすか?ドラム教室なんてどこにでもあるっすよ。素人親父相手のかくし芸教室でも、爺さん連中のボケ防止でもどこにでもあるっすよ。わざわざあんたを嫌ってる俺にドラム習う必要ないじゃないっすか」
幸吉「そんなんじゃない!…そんなんじゃない!!かくし芸でもボケ防止でもない!!!」
Tumblr media
幸吉「俺は…バンドに入るんだ!!」
薮内「ハハハハハ!冗談でしょ?あんたがバンドで叩くんすか?」
幸吉「ああ!」
薮内「マジでいってるんですか?」
幸吉「ああ!マジだ!」
薮内「それって狼が羊と結婚したいって言ってるようなもんすよ」
幸吉「ああ、そうだ」
薮内「結論言います!無理っすね!!」
幸吉「やってみなけりゃ分からないだろ!」
薮内「分かります。俺プロっすから」
幸吉「プロなら教えてくれ!!!」
幸吉、太鼓の名前を確認しながら一つ一つ叩いていく
幸吉「バストラ!スネア!タム!フロアタム!ハイ…ハイハット!…クラッシュ!」
薮内「ライド!」
幸吉「あっ、ライド!クラッシュ!」
薮内、手拍子を打ち始める。
幸吉「ありがとう」
薮内「真下さん、これ拍手じゃないっすよ」
幸吉「あぁ、どれを叩けばいいのかな」
薮内「どれでもいいっすよ」
幸吉、薮内の手拍子に合わせてドラムを叩き始めるが、
薮内「はい、ずれてま~す、真下さん、ずれてま~す、はい、ずれてま~す、真下さん、ずれてま~す」
次第にその声にエコーがかかっていき、薮内、舞台上手へ去る
舞台上の明かりが消え、幸吉だけにスポットライト。薮内の声だけがずっとエコーで鳴り響いている。
幸吉、何かに憑りつかれたかのように舞台上を歩きながら『タン、タン、タン』と口ずさんでいる。明転。そこは幸吉の会社・白松不動産ホールディングス社内。舞台下手から社員・木村(菊池健一)と村木(たくませいこ)登場
木村「あれ常務じゃない?」
村木「ほんとだ!」
幸吉「タン、タン、タン、タン・・・」
木村「常務!」
幸吉「タン、タン・・・」
木村「真下常務!」
村木「お休みじゃなかったんですか?」
幸吉「えっ!?ここ会社?」
村木「この度はご愁傷様です。1週間お休みと聞いてたので奥様とご自宅にいらっしゃるとばっかり思ってました」
幸吉「なんか、心配になってね」
木村「こんなときでも会社のこと心配なさってるんですね」
幸吉「…まあ、常務ともなればね」
村木「すごいです!」
村木、木村、拍手をする
幸吉「(思わず拍手にあわせて)タン、タン、タン、タン」
村木、木村、困惑しながらもなんとか幸吉のリズムに合わせて拍手しようとしている
幸吉「タン、タン、タン、タン、ずれてま~す」
(笑)
幸吉「タン、タン、タン、タ~~ン、タン!どう?」
木村「何がです?」
幸吉「順調?会社」
村木「はい、順調です」
幸吉「ならいいや」
幸吉、舞台下手へ去っていく
村木、木村、様子のおかしい幸吉を見送り
村木「何?何?タン!タン!タン!って」
木村「わかんない。常務、娘さんなくして…(指を頭上でくるくるさせる)」
村木「そうかも~」
木村「娘さん死んだのはかわいそうだけどさ、あの人休んでくれた方が会社の空気は良くなる」
村木「ストレス半減!」
そこへ、舞台上手から村木村(多田野曜平)がやってくる
村木村「おっ!村木さんか、髪切って分らなかった」
村木「切ってないです」
木村「村木村さん、事件です」
村木村「ああ。木村さんも村木さんも見た?」
村木&木村「はい」
村木村「マッシーさ、あれどうしたの?もう帰った?」
村木「たぶん」
村木村「いて欲しいことはいて欲しいんだけどな~」
木村「なんでですか?」
Tumblr media
村木村「ジャイアントロボがさ、組閣始めたらしいの。このままじゃみんな飛ばされるよ!なんでラグビーで入ったやつがあそこまで力持っちゃうんだよ」
木村「でも俺、ラッキーかも。高校の時、ラグビーやってました」
村木「私、ラグビー部のマネージャーやってました!」
村木村「出世コース!君たち出世コース!!」
木村「村木村さん、僕たち」
村木「私たち」
村木&木村「出世します!」
村木村「決まったよ!割り台詞!」
木村「群馬水産高校ラグビー部~ファイ!」
村木「オ~!」
木村「ファイ!」
村木「オ~」
村木、木村、舞台下手へ去っていく
村木村「若松高校ハンドボール部~」
村木村、クルッと振り向くと、そこに社長・ジャイアントロボ吉田(大西ユースケ)と社長秘書(道さわこ)が立っている
村木村「…の村木村です」
社長「?」
秘書「社長、お急ぎください」
社長「ああ」
社長、秘書、舞台下手へ去る
村木村、社長と秘書を見送ってから舞台上手へ去る
暗転&♪BGM
明転すると、舞台上にはベンチが一つ。そこは公園。幸吉がベンチに座り、『タン!タン!タン!』と口ずさみながら、ドラムを叩く練習をしている。幸吉の腕には白いサポーター
幸吉「タン!タン!タン!(腕が痛んで)…っつ!…あぁ」
そこへ舞台下手から、小汚い台車を押したカラヤン登場。台車の上には鍋やゴザやレジャーシートなどが雑然と積んである
カラヤン「そこ座ってええか」
幸吉「いや、向こう空いてるから、向こう座って!」
カラヤン、気にせず幸吉の隣りに座る
Tumblr media
幸吉「もうあげへんからな!」
カラヤン「何が?」
幸吉「この間、千円あげたやろ。もうあげへんからな!」
カラヤン「おっ!」
幸吉「そう、千円あげたやろ、だから向こう行って」
カラヤン「自分、大阪かいな」
幸吉「そうや」
カラヤン「大阪のどこや?」
幸吉「天王寺や」
カラヤン「おぉ~!天王寺!天王寺!(俺は)高槻や!」
幸吉「全然ちゃうやん!ものすごい離れてる」
(笑)
カラヤン「あんたどうしてこの町にやってきたんや」
幸吉「それな(自分を指して)こういう人が、(カラヤンを指して)こういう人に聞くねん!」
(笑)
幸吉「…就職や」
カラヤン「…(じっと幸吉を見る)」
幸吉「なんやねん!」
カラヤン「わしには聞かへんのか?」
幸吉「聞かへんよ、興味ないし。うるさいなごちゃごちゃと~!もう向こう行ってぇや!」
カラヤン「ここ住んでまんねん!どこも行かへん!」
幸吉「ほんならもう喋りかけんといて」
幸吉、カラヤンを無視してドラム練習を続ける
Tumblr media
幸吉「タン、タン、タン、タン…(腕が痛み)っつ!!」
幸吉、ドラムの太鼓の名前を一つ一つ復習しはじめる
幸吉「バスドラ、スネア、タム、フロアタム、えぇ~、ハイ…ハイ…ハイ…」
カラヤン「ハイハット!」
幸吉「ああ。ハイハット!…(カラヤンを見て)えっ?」
カラヤン「ライド」
幸吉「…ライド」
カラヤン「クラッシュ」
幸吉「…クラッシュ」
カラヤン「ドラムの基本や」
幸吉「あんた誰や?」
カラヤン「この辺りではカラヤンて呼ばれてる」
幸吉「ドラム叩けんの?」
カラヤン、おもむろに立ち上がり、台車から1本の木の棒を取り出し、それを折ってスティックがわりにして、ベンチをリズミカルに叩き始める
Tumblr media
幸吉「えっ?えっ?ほんまに?」
カラヤン、ベンチから台車の上の鍋や缶なども使い、軽快にリズムを刻み続ける。タカタカタン♪タカタカタン♪タカタカタン♪
カラヤン「(幸吉に向って)はい」
幸吉「え?」
カラヤン「(リズムを刻みながら、タカタカタン♪タカタカタン♪タカタカタン♪)はい!」
幸吉「いやいや分かんないです」
カラヤン、なおもカッコ良くリズムを刻み、最後は台車の上の鍋蓋をクラッシュがわりにしてフィニッシュを決める
Tumblr media
幸吉「え?なんで?なんで?」
カラヤン「いやいや、まあまあ」
幸吉、カラヤン、ベンチに座る
幸吉「なんで?」
カラヤン「まぁ、10年くらい前かな、そのころ人生について悩んどったんや。公園のベンチに座って『命ってなんだろう』と考えとったら、気が付いたらとっぷり日も暮れたんや。そしたらどこからともなく『ヒュルルルル~』と音がした。わしは驚いて空を見上げた。なんだ?未確認飛行物体か?オレンジ色の光でも見えるのか?しかし、目を凝らしても何も見えなかった。見えんわけだよ、鳴ってたのはわしの腹の虫だったんだから」
(笑)
カラヤン「わしはすぐ近くのお好み焼き屋さんに入って焼きそばを頼んだ。ところが頼んで5分もしないうちに『お待ちどうさまです』と出来上がった焼きそばを持ってきた。わしはねぇ、自分の手で焼いて、自分の味加減で美味しいものが食べたいんや。大阪の人間やからね。それを5分もしないうちに持ってきた。これは前のお客さんが注文して食べずに帰って余ってたのをそのまま出したに違いない。これはまずいに違いない。一口食べて文句を言ってやろうと思って食べた。そしたらこいつが妙に旨かった!あれは間違いなくUFOだよ」
幸吉「なんの話や!」
(笑)
幸吉「焼きそばUFOやないか!空飛ぶUFOやと思って聞いとったら」
カラヤン「店を出たとたんに一平ちゃんに会ったよ」
幸吉「ええねん!焼きそばシリーズいらん」
(笑)
カラヤン「思わず声をだした『ラ王~』」
幸吉「好きやな~インスタントシリーズ」
(笑)
幸吉「違うねん、笑いごとちゃうねん。なんでドラムが叩けるのかっていうのを聞いてんねや!」
カラヤン「なんでドラムが叩けるのか。それを知りたかったら、なんでドラムが叩かれへんのか。それを考えたほうが早い」
幸吉「なんでドラムが叩かれへんのか?…分かれへん」
カラヤン「考えるからや。感じろ!」
幸吉「感じろ?」
カラヤン「テレンス・リーも言うとった」
幸吉「ブルース・リーや!」
(笑)
カラヤン「口で言うてみ」
幸吉「はい?」
カラヤン「口でドラムを言うてみ?」
幸吉「口でドラムを言う?」
カラヤン「これだけは絶対や!口でドラムを言えんやつには叩けへん」
幸吉「口で言えんやつには叩けへん?具体的にどうすればいいんですか?」
カラヤン「バドバドバドドバ~ン!」
幸吉「バドバドバドドバ~ン!」
カラヤン「バ~ン言うんはライドや」
幸吉「あぁ、そういうことか」
カラヤン「次、クラッシュ行くで」
幸吉「はい」
カラヤン「バドバドバドドチィ~ン!(変顔で)」
幸吉「(カラヤンの顔真似をしながら)バドバドバドドチィ~ン!」
カラヤン「ちょっとちゃうな。バドバドバドドキィィィ~~~ン!!」
(笑)
幸吉「キィ~~ンいいます?ちょっと変わってませんか(笑)?」
(思わず笑っちゃう内場さんw)
幸吉「バドバドバドドキィィィ~~~ン!!これ合うてるの?」
カラヤン「合うてるもなにもない。気持ちや!」
幸吉「気持ち」
カラヤン「(さらに変顔をしながら)バドバドバドドキィィィ~~~ン!!」
幸吉「(負けじと) バドバドバドドキィィィ~~~ン!!!!これほんと合うてる?」
(笑)
カラヤン「考えるな、感じんねん」
幸吉「感じる」
カラヤン、立ち上がって、口でリズムを刻み始める。幸吉も立ち上がりそれにコール&レスポンスのように応えて口でリズムを刻む
(ここの内場さんとめだかさんのやりとりは本当に毎回爆笑で、笑いが絶えなかった。初日に観に行った時より、どんどん長くなっていったし(笑)。徐々にめだかさんが猫に変身して『ズンズンタッタッ!ニャァ~!』と内場さんを引っ搔くような仕草をすれば、内場さんもそれに応えて『タカタカタンタン!シャ~!』と猫の仕草♪本当に内場さんが心から楽しんでた。初日から回を重ねるとだんだん長くなりすぎて、めだかさん、息が切れてたし(笑)。やっぱりめだかさんは気の抜け方がすごい。やすえさんもラジオで言ってたけども、登場するだけで会場の空気がすっと和らぐ)
カラヤン「フィニッシュ!!」
カラヤン&幸吉「ダダダダダダダダダダダダダダダダダン!ダン!!」
Tumblr media
カラヤン「えぇ顔しとったがな」
幸吉「そうですか」
カラヤン「でもな、自分テンポずれとったぞ。おれは息がずれとるけど」
幸吉「(笑)…テンポずれてましたか」
カラヤン「それはちゃんとやらなあかん。楽しみながら、テンポや」
幸吉「はい」
(そしてここから先は、初日、二日目あたりはなかった気がするので少しずつ追加されてった部分かな)
カラヤン「あぁ、無駄な時間を過ごしてしまった。どっかに千円でも落ちてへんかな」
(笑)
幸吉、財布から千円札を取り出して地面へ置く
幸吉「カラヤン、これカラヤンのちゃう?」
カラヤン「おぉ、わしのや(ポケットに千円札をしまう)。まあ楽しくな!感じろ!」
幸吉「はい。バドバドバドドバ~ン!」
カラヤン「そうや。(台車を押して下手に去りながら)ズンズンタッタッ!!ズンズンタッタッ!!ズンズンタッ…はぁはぁ(息が切れて立ち止まる)」
幸吉「大丈夫?」
(笑)
幸吉、カラヤンを見送る
幸吉「へぇ~、そっか。バドバドバドドバ~ン!」
♪効果音(ドラム音で)バドバドバドドバ~ン!
幸吉、リズムを口で刻みながら、舞台上手へ去る。暗転&♪BGM
明転。舞台2階部分に妻・文音が立っている。♪エレベーター音。そこは白松不動産ホールディングス、エレベーターホール
村木村、舞台2階部分にやってくる
村木村「文ちゃん?」
文音「村木村~~」
村木村「ごめんね」
文音「どうした?」
村木村「本当ならさ、俺が言うことでもないんだけど、文ちゃんとも同期だし、俺が言わなきゃいけなくなって」
文音「なに?どうした?あの人いまいるの?」
村木村「いないのよ。会社に来てはいるんだけど毎日昼になったら帰っちゃうの。こんなこと別居してる文ちゃんに言ってもしょうがないんだけど…」
文音「言って、何?」
村木村「なんか、マッシー変なのよ、会社に来てもずっとパンパカパンパカ言ってんのよ。社食でも両手に箸持って、こんなこと(ドラム叩く仕草)してんのよ」
舞台1階。中央部分からドラム、キーボードセットなどがせり出してくる。幸吉がジャケットを脱ぎ、腕には黒いサポーターを付けて、スティックを動かしながら、口でリズムを刻み、音は出さずにドラム練習をしている。舞台1階は暗くドラムを叩いている幸吉だけにスポットライトが当たっている
文音「ドラム?」
そう言った文音の視線の先、舞台1階中央にはちょうど幸吉がいる。
村木村「そう。そう簡単に立ち直れることじゃないし、しょうがないけど、こっちも困ってるのよ。このままだとマッシー、首になっちゃうかもしれないよ。もしもさ、もしも連絡することがあったらさ、文ちゃんからも言ってもらえないかな?」
文音「(なんとなく舞台1階の幸吉に視線を向けながら、幸吉がドラムを叩いている姿を想像した感じで)ふふふ(笑)」
村木村「なに?笑ってんの?」
文音「笑ってる」
村木村「なんでかな~(言いながら自分の薄くなった頭を触る)」
(笑)
文音「村木村、ごめん。私連絡しない。」
村木村「え?首になっちゃうかもしれないって話だよ?」
文音「なってもいいじゃん」
村木村「え~?そんな感じ?」
文音「うん、そんな感じ。じゃあね」
文音、舞台2階部分の上手へ去る。
村木村「(文音を追いかけて)ちょっと、ふみちゃ~ん!」
舞台2階が暗転。舞台1階が明転。そこは練習スタジオ。
幸吉「バドバドバドドバ~ン」
そこへ舞台下手から薮内が現れる
薮内「真下さん、叩かないと音は出ないっすよ」
Tumblr media
幸吉「はい。バドバドバドドバ~ン!」
幸吉、口でドラムを言ってから、それと全く同じようにドラムを叩く
♪ドラム(バドバドバドドバ~ン!)
幸吉「タカトントン、タカトントン、タカタカタカトン」
♪ドラム( タカトントン、タカトントン、タカタカタカトン)
幸吉「ツッタカタッター、ツッタカタッター、ツッタカッタッタッタッタッタッタッバーン」
♪ドラム( ツッタカタッター、ツッタカタッター、ツッタカッタッタッタッタッタッタッバーン)
薮内、手拍子をはじめる。
Tumblr media
幸吉それに合わせてドラムを叩く。なかなか様になってきている
薮内、テンポアップの指示。幸吉それに合わせてテンポアップし段々と力強くなるドラム音
そしてフィニッシュまで決める
Tumblr media
薮内「ドラム初めて何日目っすか?」
幸吉「14~5日かな。毎日24時間ドラムのことばっか考えてた。寝てる時も薮内君の手拍子の音が聞こえてきたよ」
薮内「悪夢でしたか?」
幸吉「はい」
薮内「良かった」
(笑)
幸吉「今日は朝から会社にも行かずにずっと公園にいた」
薮内「真下さんが?」
幸吉「うん。ここで君に叱られて、家に帰っても手と足が動いて、寝ているときもリズム刻んで、会社でも気づいたら両手にペンを握ってた。公園では別の方法で練習して」
薮内「別の?」
幸吉「そう別の。薮内君あれかね~?ドラムやる人はみんなこんな感じなのかね~?」
Tumblr media
薮内「重症ですね」
幸吉「だよね~。薮内君には悪いけどさ、音楽なんて人生にとって無駄な事だって思ってた」
薮内「思ってた?」
幸吉「あぁ、思ってた。でも今はそうでもないと思う。ある人にね、毎日公園で会う人なんだけど、同じ話をしたらさ、『おかずなしでご飯は食べられないだろ』って言われたよ。『米さえ食べてりゃ死にはしないけど、無駄だと思うおかずなしでは、ご飯は食べられないだろ。まぁ人生もそんなもんだ』って」
薮内「どいてください」
幸吉「え?なんか気に障るようなこと言ったかな?」
薮内「いいから、どいてください」
薮内、ドラムセットに座り、ドラムを叩く。
薮内「これをノーマルだと思ってください」
幸吉「あぁ」
薮内「もういっぺんいくっすよ。良く聞いて」
薮内、先ほどのノーマルのリズムにアレンジを加え���叩く
幸吉「全然ちがうね~」
薮内「これね、おかずって言うんすよ」
幸吉「ほんとに?」
薮内「『おかずがなきゃご飯が食えない』その人、面白い事いいますね。あぁダメだ、腹減ってきた。おかずって言い方やめましょう」
幸吉「他に言い方あるの?」
薮内「はい、これね・・・『FILL-IN』ってい言います」
♪BGM(ドラム音!!)
幸吉「…フィル、イン!…」
薮内「そう、FILL-IN」
幸吉「薮内君、ちょっとやってみてもいいかな」
幸吉、薮内の方に近付こうとするが、薮内、立ち上がって幸吉の方へ歩いてくる。幸吉、思わず後ずさりして舞台隅に追い詰められる
薮内「真下さん!」
幸吉「…?」
薮内「何か食わしてもらってもいいすか?」
幸吉「(ホッとして)あぁ!いいよ。なんでも」
薮内、舞台下手へ去る。幸吉、ドラムセットの後ろに掛けてあった自分のジャケットをとり、薮内を追いかけて舞台下手へ去る
暗転&♪BGM
明転すると、舞台1階中央に2人組の兄弟バンド「阪急オアシス」(兄:多田野曜平、弟:菊池健一)が立っている。そこは音楽スタジオ
Tumblr media
兄「みんなセントラルパークへようこそ!」
弟「ここセントラルパークは数々のロックの名盤を生んだ場所なので、僕たちミュージシャンにとっては聖地です。今日は天気がいいから、姫路城が見えてます」
(笑)
弟「俺たち、兄弟でバンド初めて、早いもので、じゅう・・・ご?」
兄「16、16」
弟「あぁ、16日」
(笑)
弟「イギリスのオアシスってバンドに憧れて『阪急オアシス』ってバンド名にしたんだけど値段が高いせいか、とっつきにくいみたい」
兄「成城石井より入りやすいぜ!」
弟「夕方になるとパンとかおにぎりが80円ぐらいになってるぜ」
兄「レトルトのカレーが本棚みたいに縦に並んでるぜ」
弟「それでは、聞いてください。『阪急オアシス』解散シングル」
(笑)
弟「No More Friend」
Tumblr media
弟「♪どうしてどうして僕のハードディスクに毎日世界の車窓からが勝手に録画されてるの~」
兄「毎日」
弟「♪どうしてどうして僕の郵便受けに毎月ベネッセから分厚い冊子が届くの~」
兄「毎月」
弟「♪君が僕の家に来たその日から、何かが変わった~。君が僕の家を去るそのたびに」
兄弟「♪ウォシュレットが最強になる~」
(笑)
弟「♪No More Friend,No More Friend~!一緒に!♪No More Friend,No More Friend~!」
兄弟「ありがとう!サンキュー!」
(阪急オアシスは毎回拍手喝采w)
そこへ舞台下手から音楽スタジオの店長(後藤ひろひと)が登場
弟「あ、店長」
(ここからは、初日と千秋楽を除く各回で日替わりゲストが登場)
スタジオ店長「あのさ、君らの前にこのスタジオ使った人が忘れ物取りにきたんだ」
弟「忘れ物?」
スタジオ店長「じゃ入ってもらおうか。俺の古い付き合いのある人なんだけどさ(舞台下手袖に向かって)お~い!」
やすえさん「は~い(と舞台下手から登場)」
(観客拍手&歓声)
弟「あ!未知やすえさんですよね!!」
やすえ「分かりますか?」
弟「何忘れたんですか?」
やすえ「この前の時間にちょっとここでお稽古してて、忘れ物してしまって、(探して、袋を見つけて)あ、ありました!」
スタジオ店長「良かった」
やすえ「私の大好きなお菓子がいっぱい入ってるんです」
(袋の中身は大量のお菓子w)
スタジオ店長「あのさ、最近キレイになったとか言われてるけどさ、 新幹線の中でもたくさん食べて! こういうの油断してたらすぐ戻るよ。体質的にすぐ戻るんだよ!この白ブタ~!」
(観客拍手)
やすえ「誰が白ブタやねん!お菓子空うたらあかんのか?その分ご飯も我慢しとるやろ!おい、お前も人のこと言えないんちゃうんか!カップヌードルのビッグ食べて、焼きそばの大盛食べて!それにな、最近白髪目立ちすぎや!染めるかなんかせいや!この晴れの舞台で白髪ちょろちょろ情けないのぉ~!コンビニ行ったらマウントレーニア1本だけ買うて!コンビニで1つだけ買うってどないやねん! 何が大王や! 猫も全然なついてへんし、気持ち悪いんじゃ!それからサッカーのユニフォーム買いすぎや!サッカーいっこも出来へんくせに、年間60万て無駄遣いやろ!!いっぺん頭スコーンと割って脳みそストローでチューチューしたろか?…怖かった♡」
スタジオ店長、「阪急オアシス」兄弟、コケる
(観客大拍手♪)
スタジオ店長「あの、もう帰ってもらえますか」
(笑)
やすえ「失礼やな~やってられへんわ!(『阪急オアシス』の二人に向かって)おい!お前らついてこい!」
兄弟「へい!」
やすえさん、「阪急オアシス」の二人を引き連れて、颯爽と舞台下手へ去っていく
スタジオ店長「なんであの人、あんなに俺のこと知ってんだよ」
(笑)
(さすがのやすえさん!終始大爆笑をかっさらって、かわいく、そ��てかっこ良く去っていきました。今回の公演で吉本新喜劇の十八番・コケ芸が見れたのはこの回だけ♪やすえさん面白かった~。すっちーの回は飴ちゃん撒いてくれて、それも大盛り上がりだったな)
そこへ舞台下手からレイがやってくる
レイ「店長」
スタジオ店長「おう、『たてばやし』」
(笑)
レイ「グーテンモルゲン」
スタジオ店長「なんでグーテンモルゲン?」
レイ「さっきそこのファミレスで変な男に絡まれちゃってさ」
スタジオ店長「大丈夫だった?」
レイ「決めてやったよ!ジャーマンスープレックス。だからグーテンモルゲン」
スタジオ店長「よし!」
レイ「ダンケ!」
スタジオ店長「そっかこの部屋、次はスキッドマークスか。どうするの?お前ら続けるの?」
レイ「私は流れに身を任せる」
スタジオ店長「もしさ、花音ちゃんの代わりが見つかったらさ、これ、出てみないか?」
スタジオ店長、レイに1枚のチラシを渡す
Tumblr media
レイ「ビートファーム?メジャーデビューの夢をかけて」
スタジオ店長「そう。これ当日は俺が司会するんだけどさ、レーベルのお偉いさんとか見に来るのよ。どう?」
レイ「どうかな、これもらっていい?」
スタジオ店長「お前らここで辞めるのもったいないよ!出てみなよ!」
レイ「じゃあ相談してみる」
スタジオ店長「もし出るなら俺に言って」
スタジオ店長、舞台下手へ去っていく
レイ「(チラシを見ながら)ビートファームかぁ…」
そこへ舞台下手から葉月がやってくる
レイ「おう、葉月」
葉月「おはよう『たてばやし』」
レイ、葉月に「ビートファーム」のチラシを渡す
レイ「解散するとかいいながら、まだ私たちこうやってスタジオに集まってるし、やってみる価値あるんじゃないかな?」
そこへ舞台下手からくりこがやってくる
くりこ「おはよう!なんか大変やで!そこのファミレスの前に救急車。通り魔やて。男の人が運ばれてった」
(笑)
葉月「通り魔が男を襲うのか?」
くりこ「恐いなあ。ねぇ『たてばやし』、何かあったら守ってな」
レイ「無理っすよ、恐いっすよ」
(笑)
葉月、おもむろに楽譜を取り出して、くりことレイに渡す
レイ「なにこれ?新曲?」
くりこ「解散撤回?」
葉月「そういうわけでもないけどさ、何にもしないのにスタジオとってるのもったいないし、なんか書けたから持ってきた」
レイ「実はさ、私もヘモグロビンの働きをテーマに曲書いてみたんだ!やっぱりヘモグロビンがなきゃ生きていけないわけじゃん。私も、あんたたちも、前田吟もみんな!」
葉月「最後、誰?」
レイ「今回は曲をグラフにしてみたんだ。コピー取ってくるね!」
レイ、コピーを取りに舞台下手へ去る
葉月「グラフで曲渡されるのめんどいな。前は影絵だったし」
(笑)
くりこ「葉月、この曲のタイトル、この歌詞」
葉月「うん」
レイ、舞台下手から戻ってくる
くりこ「ヘイヘイヘ~イ!みんなという名のエブリワ~ン!」
幸吉、ドラムスティックを持って舞台下手からやってくる
幸吉「あれからずっと練習してました。まだまだ至らない点はありますが一生懸命やりますので宜しくお願いします」
幸吉、ジャケットを脱いで、ドラムセットに座る
葉月「おい!冗談だよ」
幸吉「はい?」
葉月「冗談に決まってんだろ!」
幸吉「冗談だったんですか?」
葉月「バカじゃねぇの!(レイとくりこに)やるよ」
Tumblr media
レイ「タイトル『月夜のカノン』?道の流れ逆らって走ってたミッドナイト、誰か止めて空に延びた月夜のハイウェイ…葉月ちゃん、こんなのって歌にする必要あるのかな?」
くりこ「私もへんやと思う。こんな歌、誰の心にも届かへんし、届ける必要ないと思う。なにより花音が…」
葉月、二人を無視してギターを鳴らし、そして歌い始める
Tumblr media
♪月夜のカノン(バラードver.)
あいつは 大人になれない 明日を進めない 夢ならいいけど
あいつは 泣き虫だったり 強がりだったり 不思議な黒猫
くりこ、レイ、途中から葉月に合わせて演奏をはじめる
道の流れ逆らって 走ってたミッドナイト 
誰か止めて 空に延びた月夜のハイウェイ
幸吉、バラードには似つかわしくない力強さでドラムを叩きはじめる。思わずギターをかき鳴らして演奏を止める葉月。幸吉に詰め寄る
葉月「ふざけんな!ふざけんなよ!」
幸吉「どうすればいいか言ってくれたら、その通りにやります」
葉月「じゃあ入ってくんなよ!この曲はドラムいらねぇんだよ」
くりこ「どうやろか。静かめに叩いたら合うんちゃう?」
葉月「いらねぇんだよ」
レイ「いや、いるねぇ。叩き方ダメだったけど入りは合ってた。あそこからドラム入れたら曲にパワーでるし、ちょっとはマシな曲になる」
葉月「私が書いた曲なんだよ。その私がいらねぇって言ってんだよ!」
くりこ「なんやこんなバンドやったかなぁ」
くりこ、楽譜を3人に配る
幸吉「あ、あの、僕、楽譜は」
くりこ「読まれへんでもええよ。好きなように叩いても怒らへんよ。私が書いた曲やから」
くりこ、静かにベースを弾き始める。途中から葉月がそれに合わせてギターを弾く。幸吉はレイを見てドラムの入りのタイミングを伺っている。そしてくりこ、歌い始める
Tumblr media
♪The Branch Road
同じ服 同じメイク して して して
同じ人 好きになったり して して して
レイ、幸吉にドラム入りの合図。幸吉、先ほどより丁寧に繊細に叩きはじめる
Tumblr media
気取って 着飾って みんな綺麗だった あの頃は
You and Me 次第に 同じじゃ嫌になり すれ違ったね My Friend
You and Me 自然に 思い出す景色はね 同じ夕暮れ Can You See?
もどりたいな Tonight Toniget Toniget
~間奏~ ♪くりこのベース
くりこ「葉月」
葉月、くりこに促されて、2番を歌い始める。くりこのベース、葉月のギター、レイのキーボードが重なり綺麗な音色を奏でている。幸吉のドラムがそれを包み込むように優しくリズムを刻んでいる
Tumblr media
いつからか 喧嘩ばかり して して して
まもれない 約束ばかり して して して
歪んで 散らばって はなればなれだね どこいくの
Why and When どうして いつから私たち 変わったんだろう My Friend
Why and When どうして いつかの私たち 強がったんだろう Can You See?
Tumblr media
同じうた くちずさんで
同じゆめ また見たいよ Tonight Tonight Tonight
Rock and Roll 爆音の中では 私たち 素直になれたね My Friend
Rock and Roll 爆音の中では 私たち わかりあえたね Can You See?
Rock and Roll 爆音の中では 私たち 自由になれたね My Friend
泣きたいなら 泣けるだけ泣けばいいよ
その寝顔に GoodNight
演奏が終わる
ー沈黙ー
葉月、無言でギターをスタンドへ置く。それを感じる幸吉
Tumblr media
葉月、幸吉を睨みつけてスタジオを飛び出す。葉月、舞台下手へ去る。幸吉、急いで葉月を追いかける
レイ「幸吉!」
幸吉、振り返る
レイ「クールだったぜ」
幸吉、一礼して舞台下手へ去る
レイ「くりこ!やろうぜ!」
くりこ「うん」
レイ「ヘモグロビン!」
くりこ、その言葉に首をふり、走って舞台下手へ去る
レイ「おい、くりこ!・・・△✕✕✕△~!!!」
レイ、言葉にならない声をあげらながらくりこを追いかけて走って舞台下手へ去る
舞台2階部分に葉月が飛び出してくる。そのすぐ後に幸吉。
幸吉「葉月さん!!」
その言葉に足を止める葉月
幸吉「言ってください!私が何か間違ったことをしているなら言ってください」
葉月「全部だよ。全部間違ってんだよ」
幸吉「それなら全部変えて見せます」
葉月「もう遅いだろ!」
幸吉「何も知らなかったんです。自分の娘のこと。ランドセル背負ってスクールバスから降りてきて『パパ~!』って手を振ってる。そこで時間は止まってるんです」
葉月「自分で止めたんだろ」
幸吉「はい」
葉月「自分の言いなりにならないから、自分で娘の時間止めたんだろ」
幸吉「はい」
葉月「それで今になってその時計を進めたくなりましたってか?進めろよ!進めて進めて、それで、最後には死ぬぞ!花音」
幸吉「はい」
葉月「はい?」
幸吉「はい。そこまであいつを追っかけてみたいと思ってるんです」
♪BGM
幸吉「どんどん大人になってくあいつがその道の先で私に手を振ってるんです。『パパ~!』って。だからあいつがいるところまで走っていこうと思うんです」
葉月「殺したいよ!!あんたのこと、本気で死んでほしいと思ってるよ!メジャーデビューがポシャッたからとかじゃない!バンドが解散するからとかじゃない!私のこと分かってくれるのは花音だけだったんだ。親が嫌いで家を飛び出してバンドをはじめて、悩んだときはいっつも花音が教えてくれた。何だよあいつ。あいつ、あれじゃ、天使だよ。あんたは私から天使を奪ったんだ!『メジャーデビューなんかしないでいい』って言ったんだ、私。やりたい音楽もできなくなるからこのままでいいって。そしたらさ…」
幸吉「そしたら?」
葉月「そしたらあいつ『葉月、メジャーデビューしたら、いつかテレ��やラジオでお父さんもお母さんもあんたの歌を聞いてくれるよ。『おかえり』って言ってくれるよ』って」
幸吉、こぼれそうな涙を我慢して…
葉月「おい、なんで我慢するんだよ!我慢しないで泣いてやれよ!あいつのために泣いてやれよ!あいつはあんたに『おかえり』って言ってほしかったんだよ!それが出来ないなら、花音のために泣いてやれよ!!」
幸吉「いえ」
葉月「なんで!」
幸吉「まだ、泣きません」
葉月「なんでだよ!」
Tumblr media
幸吉「あいつが手を振ってくれるところに辿り着くまで、私は泣きません!」
葉月「(泣きながら空を見上げて)会いたいよ~!花音!!花音に会いたいよ~!」
幸吉、優しく葉月の肩に手を掛ける。そこへ、レイとくりこもやってくる。3人抱きしめあって泣いている
♪しだいに大きくなるBGM
Tumblr media
暗転
(バンド演奏からのここまでのシーンは毎回号泣で…『 ♪The Branch Road』でドラムを叩く内場さんの表情が今まで見たこともない表情をされていて、穏やかに3人を見ながら丁寧に1音1音に気持ちを込めながらドラムを叩いていて、少し儚げな表情で、それを見ているだけで胸が痛くなって。その流れからの葉月ちゃんとのシーン、幸吉の独白…。涙をこらえる内場さんの表情が本当にヤバくてグッときて…。こんな切ないシーンのすぐ後に4人のワチャワチャとかわいいシーンを入れるもんだから大王の演出にやられる!)
明転&♪テンポの良いBGMが流れる。舞台1階部分。そこは音楽スタジオ。葉月とくりこが楽器のセッティングをしている。幸吉とレイは準備体操をしている。ここからはBGMに合わせてセリフなしで動きだけでの芝居。4人が音楽練習しながらも次第に仲良くなっていく様子を描いている
もも上げやストレッチなどで息が切れる幸吉。幸吉の背中に蹴りを入れる葉月。豪快に転ぶ幸吉。立ち上がってドラムセットへ『1、2、3、4』とスティックを叩く幸吉、全員で演奏をしようとすると、幸吉のケータイが鳴り、幸吉は電話に出る。葉月が怒って幸吉の耳元でギターをかき鳴らす。幸吉、謝りながらも電話を続ける。その間にレイがカバンからフニャフニャの柔らかいスティックを取り出す。葉月、レイ、くりこ、3人のしめしめ顔。幸吉が電話を終えて、演奏を再開しようと『1、2、3、4』とスティックを叩こうとするが、フニャフニャのスティックに差し替えられてることに気付き、3人に詰め寄りながら、ブルースリーのようなポーズで葉月やレイを威嚇している。そこに音楽スタジオの店長登場。みんなを注意する店長。4人は演奏を再開するが、店長が居なくなってから大笑い。4人で集まって『このあとどうする?』といった相談。幸吉が『一杯行く?』というような仕草でみんなを誘い、4人で楽しそうに肩を組みながら舞台下手へ去る
舞台1階部分暗転&舞台2階部分明転。そこは開発中の工事現場が見渡せる空き地。白松不動産ホールディングスの社長、秘書、村木村が立っている
社長「ざっと見渡して何台クレーンが見えますか?」
村木村「あ、え~、5つですか?」
社長「残念。私は6つ見つけました」
秘書「… (遠くの方を指さして) 8つです」
社長「あれはどこです?」
秘書「海浜地区です。さくらグループが大型ショッピング施設とタワーマンションに着工しました」
社長「やるなぁ、さくらさんも。こんなときに真下さんは何をしてるんですか?私は親から会社を引き継いだだけの何も出来ない社長です。ですから真下さんのような有能な方を大切にしてきたつもりなんですが、しかし、真下さんは今日も会社を休んでいる」
村木村「それはですね、娘さんを亡くした悲しみで。でももうすぐ立ち直ると思います」
社長「もうすぐじゃダメなんです!」
秘書「熊本のプロジェクトがストップしています。我が社にとっても重要なプロジェクトです」
社長「私のところに先方からもクレームが入りましてね、下っ端ばかりよこすなと怒鳴られました。明日中に熊本で交渉してきてください。真下さんに全てをまとめて頂きたい。社員の皆さんに給料を支払うための重要案件ですからね。明日すべてをまとめるように。真下さんにお伝えください」
村木村「わかりました。やってみます」
社長&秘書、舞台2階から去っていく。一人になった村木村、ケータイを取り出して電話を掛ける。舞台1階下手から文音が現れる。♪雑踏の音。そこは街中。♪ケータイ音。文音、自分のケータイが鳴っているのに気付く
文音「もしもし」
村木村「文ちゃん、ごめん。またマッシーのことなんだけどさ?」
文音「どうした?」
村木村「会社に全然来ないんだよ。俺、いま、社長に呼び出されちゃってさ」
文音「なんか大事になってるね」
村木村「明日、マッシーに熊本に行ってもらって、明日中にプロジェクトまとめてもらわないとみんなの給料出ないって言われたのよ。だからマッシーに伝えてもらいたいのよ」
文音「ん~、分かった」
村木村「よろしくね!ほんとにほんとによろしくね!」
文音「分かった分かった。村木村ごめん、今から人に会う約束してるから電話切るね」
村木村「そっか、じゃあよろしくね!」
村木村、電話を切って舞台2階部分から去る。文音電話を切ると、そこへ、舞台上手からくりこがやってくる
文音「久しぶり」
くりこ「お久しぶりです」
文音「元気そうね」
くりこ「…」
文音「どうした?」
くりこ「お葬式行けなくてごめんなさい」
文音「いいのいいの。来ないだろうなって思ってたし。気にしないで。それよりどこ行く?近くにフレンチトーストの美味しいお店があるけど?」
くりこ「行きたい!…けど練習あるんです(と背中に背負ってるベースのケースを見せる)」
Tumblr media
文音「花音がいなくなっても続いてるんだ」
くりこ「はい!」
文音「良かった」
くりこ「すごいドラマーが見つかったんです!」
文音「へぇ~。花音、妬きもちやいてるかもね」
くりこ「花音はあのドラマーに妬きもちなんかやきません」
文音「へぇ~」
くりこ「みんなで芸名も付けたんです」
文音「新しいドラマーに?どんな?」
くりこ「マッシー幸吉」
文音「へぇ~・・え?マッシー幸吉!?」
くりこ「はい、なんかいいでしょ?」
文音「うそでしょ?マッシー幸吉(笑)…マッシー幸吉が?」
くりこ「はい」
文音「くりこちゃんたちの中にいるの?マッシー幸吉が?」
くりこ「はい!」
(笑)
文音「そっか~、そういうことか。マッシー幸吉ねぇ」
くりこ、ビートファームのチラシを文音に渡す
くりこ「今日はこれを渡そうと思って」
文音「ビートファーム?これ出るの?」
くりこ「はい。公開オーディションです。マッシー幸吉は自分からは絶対連絡なんかせぇへんやろから私が伝えておこうと思って」
文音「絶対言わないだろうね、マッシー幸吉は」
(笑)
くりこ「来てくれます?」
文音「行きたいな~いつ?」
くりこ「明日です」
文音「明日!?……明日かぁ…」
くりこ「はい!無理やったらいいです。でも来てくれたらめっちゃ嬉しい!ほならこれで」
文音「うん、また」
くりこ、舞台下手へ去っていく。文音、ケータイを取り出し電話をかける。その相手は幸吉
文音「あ、もしもし私」
幸吉、舞台2階部分上手から現れる
幸吉「(元気な声で電話に出て)あぁ!!はい��もしもし!どうした?」
文音「うわぁ~」
幸吉「え?何?うわぁ~って何?」
文音「すぐ出た」
幸吉「そりゃ、かみさんからの電話やしすぐ出るよ」
文音「それに明るい」
幸吉「(声のトーンを落として)あぁ、そっかまだ喪中か」
文音「いや、いい、明るくいて!」
幸吉「(元気に)あ、そう?何、どうした?」
文音「伝えるよ、伝えるだけだからね、どうするかは幸ちゃんが決めてね」
幸吉「(元気に)はい!分かりました。伝えてください!」
(ここの元気な内場さんかわいい♪)
文音「会社からなんだけどさ」
幸吉「あぁ…」
文音「明日、熊本に行ってプロジェクトをまとめてほしいって」
幸吉「明日!?」
文音「そう、明日」
幸吉「…そうか」
幸吉、持っているドラムスティックの入ったケースを見つめている
Tumblr media
文音「幸ちゃん!(ビートファームのチラシを見ながら)どうするかは幸ちゃんが決めればいいんだからね。何が一番大切なのかは幸ちゃんが決めればいいんだからね」
幸吉「何の話?」
文音「あ、いや、もし何か大事なことが他にあるならって思って」
幸吉「あぁ」
文音「…じゃあね」
幸吉「…じゃあ」
幸吉、電話を切って、舞台2階部分から去る。文音、電話を切って、舞台1階下手へ去る
♪様々な楽器の練習音。そこはビートファームの楽屋。赤髪で和装のミュージシャン(たくませいこ)が大声で発声練習をしながら、舞台上手からやってくる
ミュージシャン「マッマッ!マッマッ!あめんぼ赤いなあいうえお!マッマッ!ハッハッ!」
葉月、くりこ、レイ、舞台下手からやってくる
ミュージシャン「はとぽっぽハラハラヒレハレ!はとぽっぽハラハラヒレハレホレ!」
葉月「何?」
レイ「呪文じゃね?」
ミュージシャン「ひれ酒でへべれけ!ほぼホルマリン漬け!風呂いっぱいのヒル!風呂いっぱいのヒル!!」
(たくまさん演じる赤髪のミュージシャンのキャラ大好き♪)
ミュージシャン「(3人に気付き)あら!おはよう!何だっけ、前に一緒のイベント出たよね?」
葉月「スキッドマークスです」
ミュージシャン「あぁ!そうだった!私の事は覚えてないか。あの頃、私、二人組でジャージ姿だったからさ」
レイ「あぁ~!赤い方!」
ミュージシャン「そう!」
レイ「カッコ良かったっすよね~。あれ?ギターの青い方は?解散したんすか?」
ミュージシャン「いや、実はさ、あのスタイル自体が盗作だって訴えられちゃってさ」
(笑) 
ミュージシャン「あんたらも今日出るの?たしか~…あれじゃない?ドラムの子が…ごめん!こんな聞き方して」
レイ「代わり見つかったっすよ」
ミュージシャン「良かった。じゃあそろそろ私、ストリートファイトで体あっためてくるわ!体あっためないと声帯が広がらないからさ」
レイ「はい」
ミュージシャン「マッマッ!ハッハッハッ!荒ぶる荒波!アラスカ産新巻鮭!あろうことかアロンアルファ!マッマッ!ハッハッハッ!(言いながら舞台下手へ去る)」
(笑)
Tumblr media
レイ「うわぁ~かっこいいぜ!」
くりこ「どのへんが?」
葉月「全然わかんねぇ」
くりこ「あの人誰?」
レイ「知らない」
くりこ「知らんのかい!」
レイ「知~らない!」
葉月「さ~て、どうしたマッシー幸吉は」
くりこ「電話繋がらない」
レイ「あんだけ張り切ってたんだし、来ないってことないでしょう」
そこへ舞台下手から音楽スタジオの店長(後藤ひろひと)が抽選BOXをかかえてキラキラのジャケット姿で現れる。
スタジオ店長「よう!お前ら出てくれて嬉しいよ。あれ、一人足りなくねぇか?」
くりこ「ちょっと遅れてるんです」
スタジオ店長「そう。じゃあ、くじ引いて」
レイ「なんすか?切手シートでもあたるんすか?」(←『毛ガニでもあたるんすか?』ってパターンもありました)
スタジオ店長「いやいや、今日の順番。『たてばやし』、お前どうせ当てるならもっと上狙えよ」
(笑)
レイ「私、引く」
くりこ「いや、葉月で」
葉月、くじを引く
レイ「やった~私のラッキーナンバー」
くりこ「13ってむっちゃ不吉やん!」
スタジオ店長「13、お前ら最後か」
葉月「最後ですか?」
スタジオ店長「うん、お前らイベントの最後だから思いっきり盛り上げてな!」
スタジオ店長、舞台下手へ去る
葉月「じゃあ、リハまでまだ時間あるし、私たちも行こうかストリートファイト」
レイ「お~!」
くりこ「嘘やろ!?」
葉月「嘘だよ!お茶でもしに行こ~」
レイ「なんだよ~。マッマッマッマッハッハッ!」
くりこ「それやめとき!」
葉月、くりこ、レイ、舞台下手へ去る
舞台2階部分。そこは熊本の取引先オフィスの廊下。幸吉、一人でうろうろしている。そこへ有動課長(菊池健一)がやってくる
有動「真下さんやったかな?地域開発課の有動です」
幸吉「このたびはご多忙の中、時間を頂き有難うございます。早速ですがどちらの方で?」
有動「ここでよか。私まだ会議中なんで廊下で話そう」
幸吉「しかしここは…」
有動「よかよ~。実は別のところが丁寧に相談に乗ってくれとる。だからあんたんところはもうよか」
幸吉「さくらグループですか?」
有動「そげんこと、言えるわけなか」
幸吉「有動課長!今後、我が社は全力で対応させて頂きますからどうか!」
有動「なんね、なんで今後なの?なんで今までは後回しだったの?あんたらね!復興支援だ、オリンピックだなんだ言って、金をもぎ取ろうと思っとるんでしょうが!」
幸吉「いや、そんなことは思っておりません!」
有動「思っておりますよ!大体なんで下っ端ばっかり送り込んで、やる気なかでしょうが、田舎者だと思ってバカにしとるんでしょうが!」
幸吉「有動課長~」
有動「誠意ば見せんね!!!誠意ば!!!」
幸吉、その場に土下座をする
幸吉「申し訳ございませんでした。お許しください!」
有動「いやぁ~、土下座ばされてもねぇ~。真下さん、頭上げてください。さくらさんのとこもね、まぁそげん良か条件じゃなかったですよ。あぁあ言うてしもた。ここからは真下さん次第ですたい。ここからはあんたがどげん誠意ば見せてくれるかです」
♪BGM
幸吉、頭を上げてまっすぐと前を見つめる。顔付きは凛々しい
有動「真下さん?何考えてるんです?」
幸吉「娘のことです」
有動「あぁ、うちにも1人おりましてな~」
幸吉「うちにはいません」
有動「はい?」
幸吉、立ち上がってジャケットのボタンを外しながら
幸吉「ここからの応対言われてもね!僕にはな~んも出来ませんわ!」
有動「真下さん?」
幸吉「アホらし、アホや、こんなん。こんなこと娘にさそう思ってたんか。こんな仕事に就かそうと思って俺は娘を放り出したんか。ハハハハ」
有動「真下さん?」
幸吉「ちゃうな、ちゃうちゃう。ちゃうな花音?」
有動「誰ね」
幸吉「(有動課長に詰め寄り)有動課長!好きにせぇ!!!」
幸吉、舞台2階部分から去る
有動「真下さん?真下さ~ん!」
有動課長、幸吉を追って舞台2階部分から去る
 ♪様々な楽器の練習音。 舞台1階。そこはビートファームの楽屋。
赤髪で和装のミュージシャンが舞台上手から大声で発生練習をしながら、足を引きずってやってくる。腕は包帯が巻かれ三角巾で吊っている。頭にも包帯をまいて、眼帯からは血が滲んでいる
(笑)
ミュージシャン「マッマッ!ハッハッハッ!」
ハワイアンミュージシャン・モアナ斉藤(道さわこ)が舞台上手からやってくる
モアナ「おぇ~、おぇ~、緊張する~」
葉月、くりこ、レイ、舞台下手からステージ用の華やかな衣装でやってくる
葉月「なんで来ないんだよ、あいつは!」
くりこ「絶対来るって」
レイ「来るよ」
葉月「来なかったらドラムなしでくりこのあの曲できないだろ」
レイ「てことは、てことはだよ!やっちゃう?ヘモグロビン!」
葉月&くりこ「NO~!」
レイ「でもドラムなしで出来る曲なんかほかにないよ」
葉月「私が書いたやつあるだろ」
くりこ「それって、『月夜のカノン』?」
レイ「葉月ちゃ~ん、あれやっちゃだめっすよ」
くりこ「あの曲は絶対あかんで」
葉月「分かったよ」
♪「ビートファーム」の会場アナウンスが流れる。「(スタジオ店長の声で)ごきげんなナンバーを聞かせてくれたのはジョニーボーイでした!さあ続いては今日優勝出来なきゃ解散!という二人組『阪急オアシス』! ♪(歌)どうしてどうして僕の~…」
(笑)
舞台上手からジョニーボーイ(大西ユースケ)がやってくる
ジョニー「ふぅ~!最高だぜ!阪急オアシス!ジョニーボーイのバックバンド��やとってやるぜ!」
モアナ「舞台どうでした?」
ジョニー「もう俺のもんって感じだったぜ!お前たちにも聞かせてやるぜ!俺の名曲『エーデルワイス』ふぅ~!!♪エ~デルふぅ~!!(歌いながら舞台下手へ去る)」(←毎回少しずつネタが違いました)
モアナ「あ~緊張する~」
ミュージシャン「緊張するとか言わないで!うつる!!」
モアナ「すみません。おぇ~」
葉月、舞台下手へ去ろうとして
くりこ「葉月?」
葉月「じっと待ってらんねぇよ!」
葉月、舞台下手へ去る。くりこ、レイも葉月を追って去る。
♪(スタッフの声)「モアナ斉藤さ~ん、お願いしま~す」
モアナ「はい、あぁ~だめ、もう~緊張する~、おぇ~」
モアナ、舞台上手へ去る
ミュージシャン「わがままな若乃花!ワコールが分からない若林豪!若大将のわき毛に分けいる和久井映見!!マッマッ!ハッハッハッ!」
赤髪で和装のミュージシャン 、発声練習をしながら舞台下手へ去る
暗転&♪BGM
明転すると「BEAT FARM」の看板。そこはビートファームステージ上。中央マイクスタンドには葉月。下手側マイクスタンドにはくりこ。キーボードにはレイが立っている。ドラムセットに幸吉の姿はない
音楽スタジオの店長、舞台上手からマイクを持ってやってくる
スタジオ店長「ありがとう!ありがとう!今夜のビートファーム、最高に盛り上がってるね~!ありがとう!それでは今夜最後のバンドをご紹介しましょう。ある不幸な事故から復活した奇跡のガールズバンド、スキッドマークス!!」
スタジオ店長、舞台上手に去る
葉月、「月夜のカノン」の前奏を弾きはじめる
くりこ「(葉月のギターのネック部分を掴んで演奏を止め)あかん、この歌はあかん」
Tumblr media
レイ「私、弾かないよ」
葉月「…」
スタジオ店長、なかなか始まらない演奏に困惑しながら舞台上手からやってくる
スタジオ店長「葉月どうした?え~どうしちゃったのかな?」
葉月「…」
スタジオ店長「とりあえずさ、何でもいいからやってよ!分かってんの?お前らトリだぞ?(マイクで)それでは改めてご紹介いたしましょう!スキッド~マ~クス~~~(演奏を始めない3人を見て)~~ぅ、ぅ、ぅ?」
(笑)
スタジオ店長「頼むよ!お前ら失格になるぞ?分かってんだろ?」
葉月&くりこ&レイ「…」
スタジオ店長「いいんだな?(マイクで)これはちょっと予想外ですが失格とさせていただきます!はい、失格です!!」
葉月&くりこ&レイ「…」
スタジオ店長「いいんだな?ほんとにこれでいいんだな?」
葉月&くりこ&レイ「…」
スタジオ店長(マイクで)それではこれにてすべてのバンド演奏が終わりました。これより審査に入ります。メジャーデビューが決まるのは一体どのバンドなのか?そして最後の表彰式にはシークレット審査委員長も登場しますのでお楽しみに…」
幸吉、客席後方扉から息を切らして入ってくる
幸吉「すみません!遅くなりました!!」
レイ「幸吉!!」
くりこ「来た!!」
幸吉「やらせて下さい!お願いします」
葉月「何やってたんだよ、バカヤロー」
幸吉「ごめんな」
葉月「ごめんなじゃねぇ~よ!」
幸吉「ほんまにごめんな!」
葉月「ふざけんなよ!」
幸吉「でもな、あとちょっとやねん!あとちょっとで花音のおる所やねん!花音が手を振ってるところに行ってやることが出来んねん!!それが分かってん!!!」
Tumblr media
葉月「もう終わったんだよ!もう演奏できねぇんだよ」
幸吉「…(呆然と立ち尽くす)」
薮内、舞台上手からやってくる
Tumblr media
薮内「いいんじゃないすか?やらせてみても」
幸吉「薮内君!!」
スタジオ店長「あ、薮内さん、あなたはシークレット審査委員長なので、今、出てきたら…」
(笑)
薮内「俺、このバンドの曲、聞きたいっすよ。審査委員長なんだからちょっとは無理聞いてもらってもいいんじゃないっすか?(客席に向かって)どうですか?みなさん、こいつらの演奏聞いてみたくないですか?」
幸吉「お願いします!お願いします!(客席に向かって頭を下げる)」
(観客拍手!!)
スタジオ店長「分かりました。時間の都合で5分間だけ差し上げます。それではご紹介します!スキッド~マ~クス~~!」
スタジオ店長、舞台上手へ去る
レイ「幸吉~」
幸吉、客席後方から、舞台へ歩み寄る。途中で立ち止まり、ステージ上の3人を見つめる
レイ「早くしろよ~」
幸吉、走ってステージに駆け上がる!くりこが幸吉のステージ衣装を持って待っている。幸吉、自分のジャケットを脱いで、ステージ衣装を羽織る。レイ、幸吉のジャケットとカバンを薮内に勢いよく渡す
レイ「お前持ってろ!」
薮内「きゃぁ!」
(笑)
薮内、舞台上手へ去る
葉月「それじゃあ聞いてください。大切な仲間のために書いた曲です。『月夜のカノン』」
幸吉「えっ?」
くりこ「葉月!?」
葉月「エイトビートで」
幸吉「エイトで?」
くりこ「これをエイトで?」
葉月「いいから、思いっきりロックで!」
レイ「おもしろい!」
葉月「幸吉のフィルから行くよ!いい?」
幸吉「よし!分かった!!」
幸吉、呼吸を整える。何度も何度も練習を重ねた、フィルイン!あのフレーズ!幸吉、口でドラムを言いながら、同時にドラムを叩く!
♪バドバドバドドバ~~~ン!!!
幸吉が力強く8ビートを刻む。4人のバンド演奏が始まる。思いっきりロックに!幸吉、葉月、くりこ、レイ、それぞれに最高の笑顔が浮かぶ
♪月夜のカノン(Rock ver.)
Tumblr media
みんな おとなになれない 優しくなれない
あんたもそうだよ
みんな うそつきばっかり 強がりばっかり
あたしもそうだよ
時の流れ逆らって ただ立ち止まって
このままじゃもう おいてけぼり そんなのヤだから
Tumblr media
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Fly into the starry night
ゆめが飛んで 逃げていくなら
それより早く 走ればいいのさ
舞台2階部分に鉄工所社長、たきさん、カラオケスナック「うたciao」店長がやってくる。上から『SKIDMARKS』とライトアップされた看板が現れる。「山田鉄工所 うたciao 寄贈」と書かれている。鉄工所社長、たきさん、店長がステージ上の4人を応援している
カラヤンが手拍子をしながらステージ上に登場し、音楽スタジオの店長と店員(大西ユースケ)に連れて帰られる
Tumblr media
なんで 素直になれない 可愛くなれない
みんなもそうでしょ
時を巻き戻したって 誰もいないって
振り向いてちゃ おいてけぼり そんなのヤだから
Tumblr media
客席後方扉から文音が入ってくる
文音「マッシ~幸吉~!!」
くりこが気付いて手を挙げる。
幸吉もドラムを叩きながら気付いて微笑む
Tumblr media
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Fly into the starry night
ゆめが飛んで 逃げていくなら
それより早く 走ればいいのさ
Tumblr media
~間奏~ ♪レイのキーボードソロ
レイ「ヘモグロビ~ン!ヘモグロビ~ン!セイ!ヘモ!ヘモ!」
幸吉&葉月&くりこ「グロビ~ン!」
レイ「セイ!ヘモ!」
幸吉&葉月&くりこ 「グロビ~ン!」
レイ「セイ!ヘモ!」
幸吉&葉月&くりこ 「グロビ~ン!」
レイ「カモン!ヘモ!」
幸吉&葉月&くりこ 「グロビ~ン!」
Tumblr media
時の流れ飛び乗って 髪で風切って
自由になろう あんたもそう 思ってたんでしょ
Tumblr media
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Fly into the starry night
ゆめが飛んで 逃げていくなら
それより早く 走ればいいの
夜明けは近い 今日がはじまりさ
Tumblr media
♪幸吉のドラム音
♪ダッダッダッダッダッダッダッダッ! ダッダッダッダッダッダッダッダッ!
急に演奏が止まり立ち上がる幸吉。スポットライトが幸吉だけに当たっている。幸吉の目には涙が光っている
幸吉「花音~~!!お前めっちゃ幸せやってんな~!!!」
幸吉、渾身の力でドラムを叩く
♪ギター、ベース、キーボード、ドラムで煽りを入れる
♪ジャ~~~~~ン!!!ダカダン!!!
幸吉のドラム音で演奏が終わる
(観客拍手!!!)
♪BGM
幸吉、立ち上がり、舞台上から客席にいる文音を探す
幸吉「文音~!文音~!」
幸吉、文音が見つからず舞台上から叫び続ける。そんな幸吉に、くりこ、葉月、レイがそれぞれ優しく手をかける
幸吉「文音~!文音~!」
文音「(客席から)幸ちゃ~ん」
幸吉「文音~!文音~~!!文音~~!!!」
幸吉、ようやく客席にいる文音を見つけて立ち止まる。客席を挟んで、幸吉と文音が向かい合っている
幸吉「あかん、あかんわ!涙が止まれへんよぉ~!」
Tumblr media
幸吉「花音のことで…涙が止まれへんよぉ!!」
文音「いいんだよ、それでいいんだよ、幸ちゃん」
幸吉「あか~ん!!俺らの娘が~…花音が死んだぁ~!あぁぁ~…涙が…涙が止まれへんよぉ~…花音が死んだぁ~…あぁ~」
文音、客席から幸吉のもとへ駆け寄っていき、きつくきつく抱きしめる
Tumblr media
幸吉「涙が止まれへんよ~、花音が死んだぁ~、あぁぁ~~~、あぁ~~~~あぁぁぁぁ~~~~!!!」
暗転
(観客拍手!!!)
明転。舞台上には幸吉、葉月、くりこ、レイがいる。くりこの手にはトロフィーが輝いている。拍手と歓声の中、4人でお辞儀
(観客拍手!!!)
暗転。
(鳴り止まない拍手!!!)
突然BGMが止まって明転。舞台上には「阪急オアシス」の二人
(笑)
弟「え~今日はこんな素敵なイベントに出させてもらって、俺たちもスキッドマークスに元気もらいました!俺たち『阪急オアシス』解散やめます!」
兄「解散撤回だぜ~!」
弟「それでは聞いて下さい。『阪急オアシス』再結成シングル『キャビア・フォアグラ・ドリフ』」
兄「勉強しろよ」
弟「1、2、1、2、3、4(ギターを弾き始めようとして)イッテ!!指切っちゃった!」
(笑)
暗転&♪BGM 
明転&大王による場内アナウンス
「本日はFILL-IN~娘のバンドに親が出る~最後までご覧いただきまして本当に有難うございました。それではキャストご紹介させて頂きます!
道さわこ、大西ユースケ、たくませいこ、菊池健一、多田野曜平、汐崎アイル、柿丸美智恵、池乃めだか、千菅春香、 松村沙友理、相楽樹、そしてマッシー幸吉こと内場勝則!」
大王の場内アナウンスでの呼び込みで、一人ずつ舞台上に登場する
相楽「そして『FILL-IN』作・演出、後藤ひろひと!」
大王も登場する
内場「1、2、3、4」ドラム音!フィルイン!
相楽「いくぞ~」
♪月夜のカノン(Rock ver.)サビ部分をみんなで演奏
Tumblr media
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Dry up your rainy eyes
なみだのわけ 数えてちゃだめさ
Try not to cry tonite
今日もすぐに 昨日になるから
Fly into the starry night
ゆめが飛んで 逃げていくなら
それより早く 走ればいいの
夜明けは近い 今日がはじまりさ
It’s time to wake up
Tumblr media
(観客拍手!!!)
キャスト全員でお辞儀
(鳴り止まない拍手!!!)
カーテンコール
そしてキャスト全員が舞台を去っていく
♪「阪急オアシス」による退場アナウンス
FIN
本当に素晴らしい舞台でした。このレポを書いていても最後泣けるっ!最後の演奏が終わった後の内場さんの言葉、本当にグッと来ました。毎回毎回、内場さんは大粒の涙をこぼしていたし、全力でステージに立ってたし、内場さんの色々な表情を見れて、熱量のある芝居を間近で感じて、震えるような空気を体感して、夢のような日々でした。
Tumblr media
千穐楽の1日前、最後のドラム叩くところで、スティックを片方落としてしまうハプニングもあったけど動じない内場さん! もう片方の手と足で、止まることなくずっとリズムを刻み続けて一瞬足りともバンド演奏が乱れることがありませんでした! 半年間、練習を重ねていても、とっさの ことで普通はリズムがずれたり少し止まっちゃったりすると思うけど片手でずっと8ビート刻んで足ではずっとバスドラで裏打ちしてて、ほんとに凄い! スーパー座長♪どんだけカッコいいんだ!! そしてすぐにスティックを拾って笑顔! 場数の多さ、貫禄を垣間見ました! 
Tumblr media
なによりキャスト一人一人の魅力が存分に出ていてみんなが個性的で輝いていて素敵でした。誰一人欠けても成立しなかったと思います。緩急のある展開でそれぞれに見せ場を作る後藤さんの演出、好きです!中村中さん作曲の劇中の曲もすごく良くて、あの曲に何度も泣かされました!内場さんをはじめ、キャストの皆さん、スタッフの皆さん、本当に本当にお疲れさまでした!素敵な舞台を有難うございました!!
Tumblr media
0 notes
karasuya-hompo · 6 years ago
Text
Conan Outcasts:30:ついつい……(PvE)
 鎧台・炉・なめし台を揃え、なんとか「防具」と呼べそうなものも身につけたドードー。まだ手袋とターバンは作れてないけれど、少しはタフに生きていくアテができました。  さて、次なる目標は ・鉄鉱石をもっと集める ・鍛冶台を作る ・鉄の採取道具を作る ・大釜を作る ・それらのついでに獣皮も集めて残りのパーツも作る  なのですが―――設備を地面に置かないで、すべて岩壁に貼り付いた空中に設置しようと思っているので、 ・砂岩の足場面積を増やす  が、「鍛冶台」の前と、「大釜」の前あたりに挟まれます。  石の武具を使っている間は、まだまだチュートリアル。鉄の道具を作ってからが本番とはいえ、鍛冶台を置くスペースは作らないといけない!!  というわけで本日のドードーは、ともかくまず、近場を回ってコツコツと、岩と���をガツガツメリメリするdayです。  ある意味、「今日はこれだけ!!」とできるのも、PvEのいいところかも。どんどん先に進めたいと思ったらそうでもないのですが、こっちはあくまでサイドプレイ。粛清とや放棄なんかにうっかり出くわさないよう、毎日少しでもアクセスしておこう、なので、「今日は1時間ほどいて、砂岩しか作らない」なんて日があったほうが心置きないのですw
Tumblr media
 そんなわけで、猛々しくピッケルを振り回すドードーです。  冷静に考えて、石vs石なので壊れるのが早いのも道理か( ತಎತ) 早いところ鉄の道具を手に入れたいものだ。  実のところドードーのおうち、マップでは分かりやすいのですが、高台にあるためちょっと前後の坂道とかからの位置関係を把握しづらく、近辺でも未だに、「景色を見て現在地が分かる」というところまで理解していません。  なので、黙々と採取しつつ、このアーチが目印……このへんからだとこう見えて……とかもやってます。  そうしてコツコツと砂岩の土台を作り、土台では接続できない距離に来たら天井=床で拡張子……。  よし、鍛冶設備を置いて、かつもう少し歩くスペースも確保したぞ(๑•̀ㅂ•́)و✧  というわけで、今日はここまで―――。
 に、なるわけねぇですね?(ㅍ_ㅍ)  こうなったら、鉄鉱石もあと100個、できればこのまま道具の一つでも作れるよう、持てる限り=150個程度を採りに行こうと思い立ちました。  今回は、ドムの採掘場方面です。処刑人の洞窟のほうが近いけれど、蜘蛛はちょっと戦いにくいし、そうやってザコがわらわらいるわりには、鉄鉱石はそれほどありません。ここは、硫黄も一緒に手に入る、というのが魅力なわけです。  というわけで川辺に出、水をしっかり補充して、川沿いを進みます。
Tumblr media
 うむ、誰かがここで最低限の暮らしを始めようとはしたのだなw 焚き火があれば食い物は焼ける。ベッドはまあ、死亡したときにスタート地点の砂漠まで戻されるかどうかなので、死ぬ気遣いがないならそれほど必須ではないのだが……壁もなく、こんな場所では砂嵐には耐えられまいて。
Tumblr media
 おお、馬鹿な追放者どもがワニと無謀な戦いをしておる。勝てるわけがないのは分かりきっておるのだが。  さりとて、我が輩もまだ戦いたい相手ではないゆえ、ワニが奴等にかまっている間に、とっとと先を急ぐとしようぞ。  ……って、これどういうキャラだよ(´・ω・`)  ネタ的に、ドムはデルケト狂の「わたくし」「ですぞ」とかのノリなので、ドードーは「我が輩」「であろう」とかにしますかね。キャラ設定ってほどでもないのですが、まあ、プレイメモのノリと勢いと彩り的に(謎
Tumblr media
 おお、なかなか面白い家を作ろうとしてる人がいる! とはいえ、数日してみないと、最早無人で遺棄されているのかどうかは分からないのですが。
Tumblr media
 むっ( ✧Д✧) あれは枯れ木!! 樹皮だ!! 樹皮を集めねば!!  普通の木をつるはしでガシガシやったって、木材もろくに採れない上に、樹皮も一本から1枚出るくらいではちっとも効率が良くありませんのでね。
Tumblr media
 おっ、この家はなかなか良いですな(´ω`*)  小さな家も。一部が凹んでいて、その周囲に木の塀を置いて敷地として囲い、設備が置かれています。土台を多用しないで済むうえに、見た目もいい感じ。しかもドアは木の扉なので、ここの家主さんはしっかり建築のノウハウ持って、あえてこういう素朴なおうちを作ってるって感じがします。  ただしこれ、簡単に他人に破壊され強奪されるPvPでは、決して見られないものですね。  場所は、ドムんちから鉄鉱石場への坂道へ向かうあたりなので、また今度見に行ってみよっと(´ω`*) 誰かいたらご挨拶したいなぁ。
Tumblr media
 こちらはがっつり門構え、壁を作っている最中のようです。これだけの砂岩建材、作るのも大変だろうに。
Tumblr media
 とかやってきた先で、よしよし、まずは石炭を発見。これでちゃんとしたたいまつが作れる! しかし目下、コールタールを量産するつもりもないとなると、石炭はたいまつ作成にしか使わないので、50個もあればいい感じ。  そしてここで知った、バカチンの存在……。  人が特定できかねない形でdisるつもりはないのでスクショは上げませんが、鉄鉱石が産出するその場所に、バカでかい建物作ってたバカチンがおりました(ಠᾥಠ)  ア ホ か (ಠᾥಠ) それって「こうすれば独占できるぜ」じゃなく、建材がある一定周囲は自然物がリスポーンしなくなるから、鉄鉱石自体が出てこなくなる、すなわちおまえもその建物あるかぎり鉄鉱石採れねぇんだよ(ಠᾥಠ)  PvPの場合、採取場を独占しようとするとしても、それも「ゲームとして、やっても許されること」だと思います。それは「建物を破壊できる」から。他のプレイヤーの反感を買えば、大勢が敵にまわります。結局、せっかく作ったところで破壊されるのが目に見えている。だから、そういうことはやるだけ無駄。  しかしPvEでは他人の建物を破壊することはできないため、こうなったら、もうそこは諦めるしかありません。  まあ良かろう。追放されてくる連中が皆、我が輩のようにものの分かった犯罪者や、冤罪を被っただけの善良な者とは限らぬのも、この追放の地の面白さだ。どっかこのへんで、他に鉄鉱石でも探してみるとしよう。
Tumblr media
 よし、本命の鉄鉱石じゃ―――ッ!!( ✧Д✧) ロックノーズは、こっちが後ろにいるかぎりあんまり反応しないのもありがたいですね。  ただし、見つかるとめちゃくちゃ追跡されます。ハイエナもそう。ワニの追跡距離は長いものの、奴等は足が遅いため、距離が開けば諦めてくれるのですが、ハイエナ、ワニはこっちが歩くよりはやや速いくらいかな。そのため、スタミナが少ない間は振りきれません。  ―――追い回され……軽く迷子になるも、立ち止まって地図を開く時間もなかなか与えてもらえず……逃げた先でまた別の敵に遭遇し……。  ううむ、なんとか振り切ったは良いが、日が暮れて……い、いや違う。これは……!! 砂嵐かッ!? まずい! 早くどこか身を隠せる場所を探さねば!!  ここかっ? いやダメだ。ではここなら!? ううむ、ここも身を守るほどには風を遮ってくれぬのか。ならばこの崖の……
Tumblr media
 ぐっ……も、最早これまでか……っ……0(:3 )~ =͟͟͞͞(’、3)_ヽ)_チーン
Tumblr media
 そして 裸 一 貫 (๑•̀ㅂ•́)و✧  手持ちのアイテムどころか、装備もなくします。というか、その場に残る自分の死体が身につけてるのでね(´ω`*) ……え、顔文字間違ってないかって? やだなぁ、これもノーマル難易度の楽しみじゃないですか。
Tumblr media
 ちなみに死亡した場所は、名もなき街の近く、なんとかいう物騒な名前の滝の傍でした。我が家は右下。……と、遠いな……:( •ᾥ•):  まあでも川沿いなのは間違いないので、迷わなくてよさげなのは幸いです。
Tumblr media
 というわけで、回収に走るドードーです。服なんぞいらんわい( ತಎತ)  あっ、そうか。PvE最初の日、マッパで走ってった人もこういうシチュだったのかもなぁw
Tumblr media
 うおぉぉぉただのワニでも厄介なのに大ワニなぞ超お呼びでなあぁぁぁい!!(ʘ皿ʘ ;)
Tumblr media
 と、回収に向かう間に見つけた巨大な豆腐。これだけの数建材作るのに、もし一人ならどれだけ時間かかったんだろうと圧倒はされますが、まあ、デカくても豆腐は豆腐であるな……。
Tumblr media
 そして見つけた、自分の死体。ううむ、魔法の腕輪の力というのはともかくとして、どういう理屈なのだ( ತಎತ)  ともあれ、アイテムを全部回収し、装備も身につけ直し、……まあ、肉に困っているわけでもないので、自分から剥ぎ取るのは……いや獣皮が手に入るかもしれんなら( ✧Д✧)  って、足2本と肉だけかよ( ゚д゚)、ペッ
Tumblr media
 帰り道で見つけた、岩の上の小さな豆腐。隣の岩に階段がかかってたりするので、ここからどうなるのか楽しみなですが、家主さんは今もアクセスしているのだろうか。  てな感じで家に戻って、手に入れた鉄鉱石を炉に放り込んだから、今日はここまでにみ……。  ……え? 鍛冶場作るのに、鉄があと1個だけ足りない……?  処刑人の洞窟に行くか……!
Tumblr media
 こちらは、誰かが作っている川を渡る橋。これだけなら他の人も使えるからありがたいんだけど、川全体を覆うように建物建てて、しかも登れないようにし、中にも入れなくする、とかいうようになると、通報対象ですな( ತಎತ) そういうのがしたいならPvPへ行け。  逆に、「泳ぐのもスタミナ使うし大変でしょ。ここ通ってね」とかならありがたい(´ω`*)  そうだなぁ。もしドードーでしばらく続けることができたら、近くの川に、見た目にも少しこだわった、誰でも通れる橋をかけて、近くの動物追い払うため戦闘奴隷置いたりするのも面白いかなぁ。  とは思うものの、そういう大規模なものは、他の人がそこになにか作りたいと思った場合、邪魔をすることにもなるので、独りよがりになりかねなくはありますな(´・ω・`)
Tumblr media
 とはいえ、使えるものはとりあえず使わせてもらうドードー。ゴンドラは、人様が設置したものでも乗ることができました(๑•̀ㅂ•́)و✧  そんなつもりで置いてるのかどうかは知りませんが、使われるのが嫌なら、所有者しか入れない屋内とかから通じるようにすればいいんだしね。
Tumblr media
 ともあれ、使わせてもらったからには一礼してゆこう。助かったぞ、家主殿。なにせスタミナ不足で、泳ぐのも自在とはいかぬのでな。  ちなみに、洞窟内の鉄鉱石や硫黄はほとんどありませんでした。  多くの人がこの近くに拠点作っていますけど、こういった資源は共同のものなので、誰かが採取したら、そこから一定時間はリスポーンしません。結局、人が集まりすぎれば、ほしいのにいつ行っても存在しない、てことにもなるのでしょう。  まあ今回はあと1個分+あわよくばつるはし作るくらいの分あればいいなぁ、くらいだったので、残ってた硫黄もちょっと掘れたし、そんでいいや(´・ω・`)
Tumblr media
 ……うむ、よく分かった。がんばるがよいぞ。
Tumblr media
 シェールバックの群れvsワニの群れ。  成体シェールバック×2とチビに、ワニ三匹。親は早々に一匹、2頭のワニに噛み殺され、赤甲羅もワニには勝てまい……。漁夫の利を狙うには、残りが満身創痍の一匹とかであるべきで、ピンピンしてるワニ3匹とか冗談じゃねぇ:( •ᾥ•):  だいぶ日も傾いてきたし、防砂マスク作るまでは、砂嵐に遭遇したら隠れ場所探すか諦めるかの二択ですのでね。その危険が身にしみた今、無策にふらふらするのは愚者というもの。  とっとと家に帰って、鍛冶場を作らねば!!
Tumblr media
 というわけで、ついに鍛冶場を設置できました!!٩(ˊᗜˋ*)و  鉄の道具、とりあえずまずはつるはしだと思うのですが、それを作るのには鉄が足りません。つるはし、斧、包丁、皮剥ナイフを揃えようとすると、やっぱり鉄100個、鉄鉱石なら200個です。  これに鉄の武器も、なんらかの片手武器と槍の2種類は加えるとすると、装備が揃うのはまだまだ先。  これからは定期的に鉄が必要になるので、鉄鉱石が採れる場所へと、日々せっせと通うことになりそうです。  ……拠点そのへんにしたほうがラクなのは分かるんだけど、なんか―――ああしてみんながそれやってるの見ると、自分はいいやという気分に。  人と同じことしたくない、という”トクベツな自分気取り”ではなく、これは互いに戦わないってだけで、資源や土地の争奪戦に参加するようなもんだなぁという、世知辛さがいらないというか。  私の場合、シングルで好き勝手もやってるので、PvEは「先に進めなくてもいい」という大前提があります。だから、日々、あるいは一日置きにでもちょっと(?)アクセスして、ちょっとシビアな生活して、ほんのちょっとだけ前進できればいいし、そのためにわざわざ遠くまで資源採取に出かけるのも、急ぎでないなら苦にならない。  であればこそ、シングルがメインの私には、ああいう場所の土地を占拠する=他の誰かと争う必要ってないよなと。  今回も、ドムの採掘場が塞がれてて、「おぉい!!」と思いながらも「まあいいや(´ω`*)」ととっとと立ち去ったりしてるのも、だからだろうなと思います。もしガチでこっちで進めていくつもりでいたら、鉄鉱石あるはずの場がまったく使えなくなってて無駄足、しかも帰りに砂嵐で死んだとかなったら、楽しいより腹立たしかったんじゃないかなと。我が輩、心の広さは立って半畳寝て一畳ですのでね?
 そんなわけでドードーは、好き勝手できるドムの知識・経験も活かしつつ、気楽にまったりサバイバルしていきます。「他のこの近くに鉄鉱石出るとこないのかな」とか、あえて東のジャングルのほうに拠点移してみるとか?w  まあそれも強くなってからの話なので、まずはあの岩の傍に、ちまちまと砂岩の空中豆腐を作りつつ、鉄装備を目指してがんばるのでぃす!!(๑•̀ㅂ•́)و✧
0 notes