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"Kill them with kindness" Wrong. CURSE OF MINATOMO NO YORITOMO
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“kill them with kindness” Wrong. CURSE OF RA 𓀀 𓀁 𓀂 𓀃 𓀄 𓀅 𓀆 𓀇 𓀈 𓀉 𓀊 𓀋 𓀌 𓀍 𓀎 𓀏 𓀐 𓀑 𓀒 𓀓 𓀔 𓀕 𓀖 𓀗 𓀘 𓀙 𓀚 𓀛 𓀜 𓀝 𓀞 𓀟 𓀠 𓀡 𓀢 𓀣 𓀤 𓀥 𓀦 𓀧 𓀨 𓀩 𓀪 𓀫 𓀬 𓀭 𓀮 𓀯 𓀰 𓀱 𓀲 𓀳 𓀴 𓀵 𓀶 𓀷 𓀸 𓀹 𓀺 𓀻 𓀼 𓀽 𓀾 𓀿 𓁀 𓁁 𓁂 𓁃 𓁄 𓁅 𓁆 𓁇 𓁈 𓁉 𓁊 𓁋 𓁌 𓁍 𓁎 𓁏 𓁐 𓁑 𓀄 𓀅 𓀆
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絞りすぎちゃってごめんなさい
爆乳、超乳、母乳、女子高生、人妻(未亡人)。女子高生の母乳が飲みたくて書いた
「うちの子が絞りすぎちゃったので、よかったらもらってく��さいな」
ピンポーン、と呼び鈴が鳴ったので、何事かと思って出てみると、隣に住んでいるとある夫人が、一本の牛乳瓶を差し出して来ていた。
「牛乳、……ですか? ありがとうございます、ぜひもらっておきましょう。搾乳体験にでも行かれたんで?」
「ふふ、……まあ、そんなところ。あの子ったら張り切ってたくさん絞るものですから、もう飲みきれなくって、――はい、どうぞ」
と、貰い受けた牛乳瓶は、まだほんのりとあたたかい。
「おお、搾りたて」
「もちろん、さっき絞ったばかりですもの。あたたかいうちに召し上がれ」
「いやあ、美味しそうです。すみません、お返しもなくて、大切に味わいながらいただきます」
「お返しだなんて、……やっぱりいい子ね、あなた。ふふっ、ではごきげんよう」
と、夫人は堪えきれない笑みを浮かべながら手を振ると、
「ぜひ感想をちょうだいね」
と一言云ってから隣の玄関へ入って行った。
さて、僕の腕の中にはおよそ1リットルの牛乳瓶に、なみなみと注がれた牛乳があるわけだが、とてつもなく卑猥なことを考えてしまうのは何故だろうか。
決まっている。あの夫人から「絞りすぎちゃったので」と云われて手渡されたものだ、卑猥なことを考え無いほうがおかしい。
順を追って説明しよう。まず、先程僕が出会った夫人と云う女性は、ものすごく美人なのである。それはもう、立っているだけでも目がくらみ、歩くだけでも見とれてしまうほどに美人なのである。おっとりとした目元に、日本人らしい長い黒髪に、ぷるんとした弾力のある唇。……あゝ、思い出すだけでも鼻の下が伸びてしまう。
次に、現在の境遇。これは何ともかわいそうな話なのであるが、すでに夫を失っているらしく、今は実家の援助を受けながら、高校二年生になる娘と二人きりで暮らしていると云う。要は未亡人である。未だに再婚をしないのは、一途な夫への思いからだろうか、それとも別な理由からなのだろうか。何にせよ、美人な未亡人というものには、何か惹かれるものがある。
そして3つ目、彼女の体つきがものすごいのである。最初見た時には我が目を疑ってしまった。ほっそりとした腕に、いかにも健康そうな足元に、女性らしいしなやかな腰回りを持つ彼女の胸元には、冗談のような大きさのおっぱい、おっぱい、おっぱい。……顔よりも遥かに大きなそれは、30センチは胸から飛び出しているだろうか、彼女が歩く度にゆさゆさ、ゆさゆさと揺れ、背中側からでもその膨らみが確認できる。綺麗な丸みは首の下からいきなり始まったかと思いきや、彼女のおヘソの辺りでいきなりキュッと引き締まって終わる。階段を上り下りする時には、たぷんたぷんと波打ち、エレベーターで一緒になった時などには、どこまでも続いて行きそうな谷間の入り口が姿を覗かせる。
一体何カップだろう? U カップ? V カップ? いやいや、Z カップだと云われても不思議ではない。昔、スイカをおすそ分けされた時、かなりの大玉であったのにも関わらず、おっぱいの方がずっと大きかったのだから、カップ数にすると普通でなはないことは確かである。
なればその血を受け継いだ娘がどうなっているのか、――それが最後の理由である。
夫人のおっぱいは冗談のような大きさだと云った。が、娘のおっぱいはそんな言葉では形容し得ない。非現実である。現実ではありえないのである。高校二年生にして母親を遥かに超えてしまったそのおっぱいは、直径にして約50センチ、方房だけでも米俵のように大きく、立てば腰よりもさらに下、太ももの辺りまでを膨らまし、振り返ろうものならブウン! と風切り音を発生させ、廊下などで行き違おうものなら、もはや相手を包むようにして通り過ぎなければならない。
まさに超乳。世の中の女性はおろか、母親のおっぱいですら、あの子のおっぱいからすれば小さく感じてしまう。しかも、未だに成長を続けているのである。一ヶ月前にはゆとりのあった特注の制服が、今ではおっぱいに耐えきれず、巨大で��ツゴツとしたブラジャーの模様が、薄っすらと浮かび上がっているのである。以前、親子二人と一緒にエレベーターに乗った時、
「こら、擦るとまた制服が破れるから気をつけなさい。高いんだから、……」
と母親に云われていたので、もうその瞬間が訪れるのも時間の問題かと思われる。
ここまで述べれば、僕がただの牛乳瓶を持つだけで、とてつもなく卑猥なことを考えてしまう理由がお分かりになろう。
――うちの子が絞りすぎちゃったので、……
――ふふ、まあ、そんなところ、……
――さっき絞ったばかりですもの、……
夫人のこの言葉には、あのおっぱいのように、とてつもない膨らみが隠れているような気がしてならない。特に、「搾乳体験に行かれたんで?」と聞いてぼやかされたこと、そしてこの、未だに人肌程度のあたたかさを保つ、牛乳のやうな白い液体。……
云っておくが、この近くには牧場なんて無い。こんな瓶に入れて持って帰れば必ず冷えてしまう。
――いったいどちらのなんだ。
僕の疑問はもはやそちらにあった。子供が高校生にもなって未だに出続けることも、その子供が妊娠もしていないのに出ることも、常識では考えられないが、あの親子のことである。母親の巨大なおっぱいから未だに母乳が出てもおかしくないし、娘の非現実的なおっぱいから母乳が大量に溢れ出しても、もはや不思議ではない。
僕は早速牛乳瓶の蓋を取った。二人の顔を思い浮かべながらコップに注ぎ、「いただきます」と呟いてから口に運ぶ。飲んだ感想としては、ものすごく美味しかった。芳醇な匂いも、濃厚な味も、喉を伝うコクも、どれも市販の牛乳を遥かに凌駕していた。明らかに、牛から出てくるようなものでは無かった。まあ、あの親子のことを牛のような、と、形容しようと思えば出来るのだが。……
明くる日、ゴミ捨て場から帰る際に呼び止められたので、振り返ってみると、夫人がにこやかな笑みを浮かべながら、小さく手を振っていた。彼女もまたゴミを捨てに来ていたのであろう、カットソー一枚に、ひらひらとした長めのスカートを合わせたラフな出で立ちで、腕やら腰回りやらはひどくゆとりがあるが、胸元はもうパンパンでパンパンである。なんだかいつもよりもゆったりとした服のせいか、巨大なおっぱいが、さらに巨大に見える。……
「美味しかったかしら?」
「ええ、とっても美味しかったです。一気に飲んじゃいました。いったいどこの牛乳だったんですか? ぜひ僕もこの手で絞ってみたいんですが。……」
と、少々意地悪く聞くと、夫人は少女のような可愛らしい顔を浮かべて、人差し指を口元へ持っていく。
「――ふふ、内緒。美味しかったのなら、それでいいわ」
「ええー」
「そんな顔しないの。今日も絞りすぎちゃって、まだたくさんあるから、……ね?」
「やった!」
「ふふふ、また後でいらっしゃい。搾りたてを用意しておきましょう」
それから世間話をしつつ、僕たちはアパートのエントランスに戻り、エレベーターに乗り、少しばかり陽に照らされた町並みを眺めてから、お互いの玄関の中へ入って行った。
まだ日も高くなっていないような早朝である。「もう一時間か、二時間くらいお待ちいただける? ベストなのはお昼前ね」と云われた僕は、非常にソワソワと、いや、正確には悶々とした時間を過ごしている。もう楽しみで仕方がない。「搾りたてを用意しておく」――この一言だけでご飯が何杯でもいただけそうである。
昨日の牛乳瓶を眺めては、底の方に残る白い液体に思いを馳せ、11時を少し回ったところで耐えきれなくなった僕は、とうとう隣室へ向かうことにした。呼び鈴を押すと、すぐさま、
「いらっしゃい。用意できてるわよ」
と、夫人が出迎えてくれ、そのまま中へと入ることになった。
「おー、……」
「うん? どうかしたの?」
「いやあ、初めてだったからつい。……ところで、娘さんは?」
もちろん、僕と彼女の娘は顔見知りである。僕がこのアパートへと越してきた時にはすでに、隣の部屋に住んでいたのだが、僕が独身であることも手伝って、かなり良くしてくれている。母親と同様に、器量よしのいい子で、会えば必ず挨拶してくれたり、こちらの詰まらない話に付き合ってくれたり、たまにプリンとかケーキを作っては僕の部屋まで持ってきてくれたりする。これがまた非常に美味しくて、殊にケーキに乗っているクリームなぞは、どんな店のものよりも絶品である。
「さっき塾に行っちゃったわ。――ふふ、会いたかった?」
「それはもう、この間のケーキも美味しかったですから」
「あら、それは直接伝えないとね。あの子、すっごく喜ぶと思うわ。――あゝ、それで約束の品はあの子の部屋にあるから、こっちにいらっしゃい」
「ほら、どうぞ。お好きなだけお取りなさいな。ベストなのは箱ごとね」
と、案内された可愛らしい女の子の部屋の中には、牛乳瓶で満たされたケースが一箱あった。どの瓶も娘さんの母乳と思われる液体がなみなみと注がれている。数えてみると12本あり、彼女は僕が自室で待っていた間に、おおよそ12リットルの母乳を搾って、塾へ向かったと云うのか。一本だけ手に持ってみると、まだあたたかく、なんとなく優しい匂いが僕の鼻に漂ってきた。と、同時に頭がぼんやりとしてきて、僕は牛乳瓶を見つめたまま、つい固まってしまっていた。
「うん? どうかした? もしもし? ○○くん?」
と夫人が顔を覗き込んでくる。が、動けない。ここにはあの子の母乳が、まだ高校二年生なのに非現実的なおっぱいを持つ娘さんの母乳が、そして目の前には、そのお母さんの巨大なおっぱいが、……おっぱいが、……
「おーい」
と今度は顔の前で手を振られる。が、それでも僕は動けなかった。ようやく口を開いたのは、
「うーん、……どうしましょう。……」
と夫人がすっかり考え込んだときだった。
「あ、あの、……」
「おっ、やっと動いた」
「あ、いえ、やっぱり何でもないです。すみません。……」
「んー? 言ってご覧なさい。怒らないから」
部屋に漂う優しい香りと、手の中でまだあたたかさを伝えてくる母乳と、そして何にも増して、目の前でカットソーを破ってしまいそうな途方もないおっぱいに、僕は魔が差してしまっていた。要は、夫人のおっぱいに触りたくて触りたくて、仕方がなかったのである。
「触っても、……いいですか?」
と云った時、僕はこの親子との関係が終わったと思った。けれども、夫人は吹き出したようにくすりと笑って、
「なんだ、そんなことだったの。いいわよ、ほら、――」
と、胸を突き出してくるのみ。僕の動きはまたもや止まってしまった。
「早くしないと、怒るわよ?」
あまりの光景に圧倒されていると、そう云ってきたので、僕は牛乳瓶を床に置くと、そっと両手を突き出して、彼女のおっぱいに触れた。ふにふにと柔らかく、力を入れればどこまでも沈み込む。……一度谷間に手を入れるとあっという間に飲み込まれ、左右から押し込んでやると、山のように盛り上がる。……
「す、すごい。おっ���い、……それに重たい。……」
「気持ちいい?」
「とっても、――うわあ、すごい、柔らかい。……」
「ふふ、聞くまでもないようね。でも、もっと力を入れてもらってもよろしいかしら? こそばゆくって仕方がないわ」
「いえ、僕はこれでも、……おお、……うあ、……」
もはや言葉すら頭の中に浮かばないほどの気持ちよさ。感嘆の声を漏らしていると、彼女もまた、気持ちよさそうな声を手の間から漏らす。
「んっ、ふっ、……あなた意外とお上手ね。……あぁん、もう、二人共揃ってえっちなんだから。……」
しばらく揉みに揉んだ。手が疲れても、貪るように揉みしだいた。最高の体験だった。何と云っても、彼女のぬくもりがたまらなかった。
すると、とうとう耐えられなくなったのか、夫人は誤魔化すように、自身の胸について語り始めていた。
「昔はもっともっと小さかったのよ? こら、お聞きなさい。――お聞きなさいってば。……よろしい、いい子ね。頭を撫でて差し上げましょう」
と、優しく頭を撫でてくる。
「それでね、小さかったと云っても、普通の人からすればだいぶ大きくてね、高校生の時にはT カップはあったわ」
「てぃ、てぃカップ。……」
「んふ、すごいでしょ? でも、あの子を生んでからまたズドンと大きくなっちゃって、……」
「今は何カップなんですか?」
「うーん、……分からないわ。だって、もうずっと昔にZ カップを超えちゃったし、今は10箇所くらい細かくサイズを測ってからブラジャーを作ってるから、アルファベットでは表しようがないの」
「ぜ、Z カップを超えてるんですか?!」
「もう、驚きすぎよ。Z カップってあなたが思ってる以上に、意外と小さいのよ? それにね、――」
と手を取って、無理やり引き込む。ずぶずぶ、ずぶずぶと埋まる手は、どこまでも、どこまでも。
「あの子はもっとすごいわ。はい、もうおしまい。続きはいつか、……準備が出来たら、かしら?」
「え、ええ?」
「あんまり私がちょっかいを出すと、怒られちゃうからね。ほらほら、私はこれから出かけなきゃいけないから、この子たちが冷めないうちにケースごと持ってお行き」
「えええ? ど、ど、どういう、――」
「ふふ、それは次までの宿題にしておきましょうか。私の恥ずかしいところを見たんだから、このくらいの意地悪は許してちょうだい。――」
と、追い出されるようにして隣室を後にした僕の手元には、12本の牛乳瓶と、おまけでくれた一塊のチーズがあり、体に染み付いたほのかな匂いに、その日はとうとう風呂に入るまで、悶々とした時を過ごしてしまった。
次の日から僕には一つの日課が増えていた。それは朝、モーニングコールのついでに夫人が持ってきてくれる、母乳の入った牛乳瓶をもらうというもの。最初の方は何十本と用意して来てくれたが、さすがに飲みきれずに捨ててしまうので、最近では二本だけもらうことにしている。
毎回、
「絞りすぎちゃった」
と云って手渡される母乳は、日によって味のバラツキがあるようだ。夫人自身も、
「今日は少しサラサラしてるかもしれないわ」
だとか、
「今日はとびっきり濃いから、暇があればチーズを作るといいわ。作り方はね、……」
だとか、
「今日は味が薄かったわ。昨日の夜は、お腹が空いてたみたいね。ふふ、ダイエットでもしてるのかしら」
だとか���う。しかし、どんなに味が悪い日であっても、これまで飲んだどの牛乳よりも美味しく、香りも豊かで、1リットルや2リットル程度は飲みきるまでに10分とかからない。飲んだ後はふわふわと酔ったような気分になって、ふらふらと寝床に向かうことになるが、目が覚めた時の心地よさは、飲むのと飲まないのとでは全く違う。心なしか肌もきれいになり、日中の集中力も増したような気がする。
休日の今日も、何時も通り持ってきてくれた母乳を、朝食と共にいただいた僕は今、日中にあった野暮用から帰っている途中なのだが、ふと立ち寄った公園で見知った人影が、ベンチに座って本を読んでいるのが見えた。
「――沙羅ちゃん?」
と、声をかけても集中しているのか、本に釘付けである。塾の帰りなのだろうか、彼女は制服に身を包み、大きな大きな胸の膨らみを膝の上、ベンチの上に柔らかく乗せている。
「沙羅ちゃん、こんばんは」
と、もう少し近寄って、声をかけてみる。すると、
「ん、……?あっ、こんばんは、○○さん。一週間ぶり、……でしょうか」
「そうだね。あの時はケーキありがとう。相変わらずめちゃくちゃ美味しかったです」
「いえいえ、自信作だったので、そう言って頂けると嬉しいです」
と、心底嬉しそうな笑顔を見せる沙羅ちゃん、――とはあの夫人の娘であり、恐らく僕が毎日飲んでいる母乳の主。……こうやって時たま会うことはあるけれども、そのふるまいはごく自然で、とてもではないが、あれだけの量の母乳を出している女の子とは思えない。もしかして、夫人の母乳だったのだろうか。いや、別に残念という訳ではなく、あの夫人の母乳を飲んでいるのなら、それはそれで本望である。
「今日は塾の帰り?」
「そうです。来年受験なので、今のうちから頑張っておこうかと、……」
「おお、賢い。僕なんて怠けに怠けてから受験期に入ったから、それはもう���変だったよ」
「ふふっ、○○さんらしい」
「らしい、ってどういうことやねん」
クスクスと、口に手を当てて上品に笑う沙羅ちゃんは、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。さすがあの夫人の娘である。だからといっていいのか良くわからないが、鼻の下が伸びて来た僕は、彼女に何か甘いものをご馳走したくなってきて、近くにある喫茶店へと向かうことにした。
その時の揺れるおっぱいのものすごさ! 一体何十キロあるのか分からない塊は、一歩一歩足を踏み出す毎に、たゆんたゆん、たぽんたぽん、ゆっさゆっさ、だゆんだゆん、……と揺れ、彼女の細い体では支えきれていないのか、歩き始める時や停まる時に危なっかしくバランスを崩していた。それに、横にも縦にも奥にも何十センチと広がっているために、道路上の何もかも、――標識だったり、ポストだったり、ガードレールだったりが、障害物となり得ていた。道行く人は云わずもがなである。段差がありそうな場所では、下を大きく覗いてから歩みを進める。曲がり角などでは、ちゃんと後ろまで確認してから体を傾ける。
「その、……当たっちゃうので、……」
と恥ずかしそうに云ってゐたけれども、合わせて成人男性の体重ほどもあるおっぱいにビンタされるなんて、笑い話では済まないだろう。そう云えば夫人も、振り返る時は周りのものに当たらないように気をつけていると、云っていた。
「暑くなってきたねー」
喫茶店に入ると、僕はそんなことを云いながら一息ついた。時間が時間だけに中は店主以外誰もおらず、ガランとしている。沙羅ちゃんは椅子に座るのも一苦労なようで、テーブルの上にあの非現実的なおっぱいを乗り上げさせながら、ゆっくりと、目一杯引いた椅子に腰掛けていた。今もテーブルの上におっぱいが乗っているのは変わらず、眼の前に居る僕からすれば、大変に魅惑的な光景が広がっている。
「ええ、ほんとですよ。蒸れちゃ、――」
「ん?」
「い、いえ、なんでもないです」
「そう? じゃ、何か注文しよう」
と、僕たちは同じパフェを注文して、夫人のことだったり、学校のことだったり、しばらくありきたりなことを話しながら舌鼓を打った。
パフェは美味しかった。でもやっぱり、クリームだけは彼女の作ってくれるやつの方が遥かに美味しい。絶妙な甘さと、コクと香りと、それに舌触り、……どの点を取っても沙羅ちゃんのクリームの方が上である。云うなれば、素材の元となった生乳が生きていると云うか、……あ、そういうこと。……
「いやあ、それにしてもお母さんには感謝しかないよ。ほんとに」
と、再び夫人の話に戻ってきた時、僕は毎朝もらっている母乳の事をふと思い出して云った。
「へっ? どうしてですか?」
「毎朝、牛乳を持ってきてくれてるんだよ。その牛乳がめちゃくちゃ美味しくて、――」
と、その時、沙羅ちゃんの顔色が急に変わる。
「ちょ、ちょっと待ってください。それって、もしかして、……えっ、もしかして、このくらいの大きさの瓶に入ったやつですか?」
ちょうどいつもの同じ形をジェスチャーしてくれたので頷く。
「えっ、うそ���……」
「沙羅ちゃん?」
「うわ、うわうわうわ、……もしかしてもしかしてもしかして、そんな、……まさか、最近寝起きにやれって云われるのって、……うわああああああああ、………」
と、頭を抱えて俯く。
「ど、どうしたの沙羅ちゃん」
「嘘でしょ? 嘘だと、――あっ、えっ、や、やだ、……なんでこんな時に、……」
と、何やら自分の胸元に手を当てると、今度はガバっと立ち上がる。
「すみません、ちょっとトイレに行ってきます!」
沙羅ちゃんはそう云うと、バックごと店内の奥にあるトイレへ駆け込んで行ってしまった。突き刺さる店主の目線がかなり痛い、……
正直に云うと、悪いことしたような感じがして心も痛かった。母乳の件を云った時、意地悪な気持ちが無かったことは無かったけれども、まさかここまで取り乱すとは思っていなかった。完全に自分の落ち度である。彼女が傷つけていなければいいのだけど、……
それから10分か、15分ほどして沙羅ちゃんは、思いの外明るい顔をしてトイレから出てきた。心なしか毎日嗅いでいるあの匂いが、ほのかに漂ってくる。
「ふぅ、……すみません、ちょっと取り乱してしまいました。お母さんには後で私からきつく云っておきます」
「いったい、どうしちゃったの?」
「ふふ、……ふふふ、なんでもありません。それよりも、そろそろ帰りましょう、暗くなるまでに帰らないと、お母さんうるさいですから」
「う、うん。沙羅ちゃんがいいなら、いいんだけど、……」
と、僕たちは立ち上がって、一見何事も無かったかのように帰路についた。
「沙羅に言っちゃったみたいね」
明くる日の朝、いつものようにやってきた夫人にそんな事を言われた。
「すみません、つい出来心で。……怒っていましたか? というか、怒られましたか?」
「ん? いえ、全然だったわ。そのかわりね、……」
一瞬、夫人の顔つきが真剣なものになったので、ゴクリと喉を鳴らした。
「ふふ、……ここから先は自分で確かめなさい。あと、今日はすごいことが起こりそうだから、いつものアレは無しね」
絞ってくれなかったし、……と夫人は呟いて、僕を部屋にまで招き入れた。
何が何だか分からない。沙羅ちゃんは「きつく云っておきますから」と云ったのに、夫人はそんなことは無かったと云う。あと、「今日はすごいことが起こりそう」とは何だろう。しかも「すごいことが起こりそう」だから、いつも欠かせない母乳を手渡してくれなかった。いったい、どういうことなんだろう。あの後、家に帰ってから親子に何が起こっていたのだろう。これから何が起きるのだろう。僕はドキドキから足がすくんで、沙羅ちゃんの部屋の前まで来ると、思わず日和ってしまった。
「ふふ、そんなに身構えなくても大丈夫よ。ほら、おいで」
と、夫人が腕を開いて待ち構えるので、僕は吸い込まれるようにし彼女の抱擁へ向かっていった。夫人の巨大なおっぱいが体に当たり、背に回ってきた腕に抱きしめられ、ギュウっと力を込められる。胸元で潰れたおっぱいは、背中の方にまで広がって、僕の体を丸ごと包んできそうだった。柔らかい、あたたかい、……
「気持ちいい?」
「と、とっても」
「でもね、――」
と、夫人は僕の体を引き剥がす。
「あの子のハグはもっと気持ちいいわよ? ――ふふふふふ、お楽しみに」
「沙羅? ○○来たよー。入れるねー」
と、僕を扉の前に立たせた時に、夫人は云った。
「へっ? ちょ、ちょ、ちょっとまって!!」
「待たない! じゃ、○○くん、またあとでね」
ドン! と背中を押されて部屋に入ると、沙羅ちゃんは今の今まで寝ていたのか、ベッドの上で上半身を起こしたばかりだった。着ているものは真っ白なワンピース、……だろうか、意外にも大胆に露出された素肌は、カーテンの隙間から漏れる陽の光に、まばゆく照らされている。そしてその胸元、――と、云うよりは体の前には、一見して何なのか分からないほど大きなおっぱいがあり、ワンピースの中で柔らかく膝の上に乗っているのが見える。が、すぐに毛布をかけられて、見えなくなってしまった。まだ開きそうにない目をグシグシと擦って、あくびを一回すると、沙羅ちゃんはこちらを向いて、
「もー、……」
と拗ねた声を出した。
「おはよう、意外とねぼすけなんだね」
「休みの日はいつもこんなですよ。おはようございます」
と、ふわあ、……ともう一回あくびをして、くー、……と伸びをする。その一つ一つの仕草がなんともお上品で、僕は天使が眼の前に居るのかとさえ思った。いや、実際に天使なんだろう。そう思わなければ、非現実的なおっぱいと同じくらい非現実的に可愛い沙羅ちゃんの姿に、頭が追いつかない。
「見過ぎですよ、もー、……」
「ごめんごめん」
「もー、○○さんって、えっちなんだから」
もー、……と云うのが、素の彼女の口癖なのだろう。はにかんで云うものだから、それもまた、可愛くって仕方がない。
「沙羅ちゃん、僕はね、ここには無理やり連れて来られただけだから、……」
「何言い訳してるんです、分かってるくせに、……お母さんも、○○さんもいじわるです、……」
と、拗ねたように云って、おっぱいを隠す毛布を取り去った後、するするとワンピースをめくり始める。飾り気のないナイトブラに覆われたおっぱいが、徐々に露わになる。
「うぅ、……恥ずかしい、……」
とは云うけれども、その手は止まらない。どんどんめくって行き、ついには谷間が現れる。ブラのカップから溢れそうになっているおっぱいは、痛いくらいにハリがあるようで、パンパンに張り詰めていた。
「ちょっと、沙羅ちゃん?!」
「なんですか、私はここ何ヶ月か続けてきた日課をしようとしてるだけですよ? ええ、そうです。これが日課だったんですよ」
「まさか、本当に、……」
拗ねに拗ねた沙羅ちゃんは、次に、
「ん~~、……」
と渾身の力を込めて、ブラジャーを下からぐいっと持ち上げた。するとある程度のところで、――ドタン! ドタン! と、二つのおっぱいが重々しく膝の上に落ち、柔らかくベッドの上に広がっていく。
――呆気にとられるしかなかった。眼の前では非現実的な本物のおっぱいが、持ち主の足を潰しながら、ふるふると揺れている。これが彼女のおっぱい、沙羅ちゃんのおっぱい、高校二年生にして他のどんな女性よりも、――自身の母親よりも大きくなってしまったおっぱい。……
紛れもなく、本物だった。本物のおっぱいだった。舐め回すようにじっくりと見てみると、先っぽについている乳首は意外と可愛らしく、大きさは親指の第一関節から上くらい、色はおしとやかな赤色をしているのが分かった。また、ところどころ血管が浮き出ているのも分かった。
生きている、血の通ったおっぱい、……僕はいつしか乳首の前に跪いていた。
「吸ってください。……たぶん、たくさん出てくると思います。……」
拗ねた声色は、いつの間にか泣きそうな声になっていた。そして、その言葉通り、つー、……と、白い液体が乳輪を伝って行く。
僕はまず、その漏れ出た彼女のおっぱいをぺろりと舐めた。――あゝ、これだ。いつも夫人が持ってきてくれる牛乳瓶に入った母乳の味。今日はこってりとコクがあり、それに砂糖を入れたように甘い。「絞りすぎちゃった」とは、本当に沙羅ちゃんが自分の母乳を絞りすぎたことだったのか。
「美味しい、……」
僕は自然にそんな声を出していた。
「ふふ、そうでしょうとも。昨日も○○さんに会いましたから、……ね。――」
と云いながら、沙羅ちゃんは自分のおっぱいを揉むようにして、マッサージをする。その様子を黙って見ているのもなんだか、と思い、僕も動きを真似してマッサージをしてみる。――これがまた、最高だった。
「んっ、ふっ、……なんでそんなにお上手なんですか。……あんっ、……」
そんな色っぽい声を出す沙羅ちゃんのおっぱいの感触、……それはもはやこの世で体験していいものではない。あまりの気持ちよさに、僕は手の感覚を無くしてしまっていた。一体指が何本あるのか、どこにあるのか、何を触っているのか、もう何も分からなくなってしまった。
このおっぱいは、ただ大きいだけじゃない。母乳が出てくるだけじゃない。人間ならば誰しもが心を奪われてしまう、そんな天使のような、――いや、悪魔のようなおっぱいだ。一度触れば終わり、後はゆっくりと溶かされて、ついには跡形も無くなってしまう。
僕は我慢できなくなって、顔をおっぱいに押し付けながら、乳首を口に含んだ。――途端、びゅーびゅーと母乳が染み出し、あっという間に口の中は満杯になる。
吸う必要なんてなかった。吸わずともどんどん出てくる。僕は必死で飲んだ。必死で飲まなければ、口の中から溢れ出してしまうほどに、出てくるのだ。
コロコロと乳首を下で転がしてみると、どんどん母乳が出てきているのが分かる。それはまるで、口に蛇口を突っ込まれたような気分である。だが、出てくるのは水ではない、母乳である。天使のように可愛い顔からは想像も出来ないほど、濃くて美味しい母乳である。
「あんっ、んっ、ちょっと○○さん! 落ち着いて! おねがい!!」
ぼんやりとした僕の頭にそんな声が響いてきた。――が、止まらない。止められない。いつしか声の主の口を塞ごうと、乳首から口を離して、キスをしていた。と、同時にこっそりと含ませていた母乳を流し込んでやる。
「んん!! んんん~~~!!!」
ぷはっと口を離すと、天使はとろんとした目で、不満そうにこちらを睨んでいた。――だが、それすらも可愛い。
僕は再び乳首を口に含み、母乳を飲むのを再開した。が、そろそろ腹が一杯になり始めていたので、今度はおっぱいを揉む手を激しくしてみる。もはやマッサージをしてあげるなどということは頭にはない。揉む。とにかく、天使のおっぱいを全力で揉む。揉みしだく。
「や、やめて! いっちゃう! いっちゃうから!!」
だが、やめてあげない。乳首を舌でいじくりつつ、男の全力でもっておっぱいを揉む。
するとその時は意外と早く訪れた。
「いやっ、あんっ! んん~~~~!!!」
と、一層甲高い声を出しながら、天使の体がビクリと跳ねる。そして、止まる。それは、あまりにも蠱惑的で、あまりにも美しいオーガズムであ���た。
同時にお腹の中も限界を迎えてしまっていたので、僕は一旦口を離した。眼の前では天使が、浅い息を吐きながら、顔を赤くしてくったりと横たわっていた。
「もー、ばか、……○○さんのばか、えっち、へんたい、ろりこん、じゅくじょずき」
「そ、そんなに云わなくても、……」
「もー、うるさいへんたい。私の初めてをうばってきておいて、文句いうな。もっともっと吸え。まだかたっぽしか吸ってない」
「ごめんって」
「早く」
もうお腹はいっぱいだったけれども、沙羅ちゃんにこう命令されては仕方がなかった。まだ手のつけていない房の乳首を口に含んで、母乳を飲み始める。先程のオーガズムを体験している最中に、かなりの量が出ていたような気がするが、それでもびゅーびゅーと大量に吹き出してきた。
それから僕は口から母乳を溢れさせながらひたすら飲んだ。だが、飲んでも飲んでも一向に終わる気配がない。まさにミルクタンク。一体どれだけの母乳が、この巨大なおっぱいに貯められているのか。赤ちゃんどころか、人を一人や二人は軽く養える気がする。
「沙羅ちゃん」
「んー?」
彼女はいつしか僕の頭を撫でながら、慈しみに溢れた目でこちらを見てきていた。
「全然無くならないんだけど、……」
「うるさい。乙女の恥ずかしいところを見たんだから、もっともっと飲め」
と、言葉はきついけれども、声音は舌っ足らずでとろけるように優しい。だからなのか、僕は彼女の命令に抗えず、再び乳首を口に含む。
「ふふっ、赤ちゃんみたい。よしよし、いい子いい子。美味しいでしゅかー?」
こくこくと頷く。実際、味の方は落ちるどころか、出れば出るほど、どんどん美味しくなっていっていた。
「そうそう、これはねぇ、あなたが昔からケーキやらなんやらで、毎日口にしてきたおっぱいなの。味はそのへんの牛乳なんかよりもずっと美味しいし、チーズだって簡単に作れちゃう。ライバルはお母さんだけ。――もー、こら、ちゃんと飲みなさい」
だが結局、腹の痛みに耐えられなかった僕は、乳首から口を離して、後は沙羅ちゃんの文句を聞きながら、おっぱいの感触を楽しむだけになってしまった。
「うぅ、……もうお腹いっぱい、……」
「あら、もう終わったの?」
一旦トイレに向かった僕をそう呼び止めた夫人は、エプロンを着て、昼食の準備をしているようだった。
「お楽しみになった?」
「え、……あ、はい。それは、……」
「あの子、すっごく不機嫌だったでしょう。――ふふ、こっちにいらっしゃい、顔を拭いてあげる」
と、母乳でドロドロになった僕の顔を、首を、手を、丁寧に拭いてくれる。その姿は夫人と云うよりは、まさに妻。――あゝ、こういう女性と結婚したいな。……
「後でお風呂に入りなさいね。私たちの母乳って、すっごくベトベトして気持ち悪いから」
「ありがとうございます。やっぱり、お母さんもおっぱいが出ちゃうんですか?」
「――もちろん。あとお母さんはやめて。雪って呼んでくださいな」
「ゆ、ゆ、……」
「ん?」
「雪さん。……」
「ふふ、よろしい。――ところで、沙羅にはしてもら、……ってないようね」
と、雪さんはしゅるりとエプロンを取り外して、椅子にかけた。
「おいで。まだあの子にしてもらってないのなら、私がやってあげる。さあ、こちらにおかけなさい」
と云われるがままに、椅子に座ると、雪さんは満足そうな目を見せた後、するすると、上に着ていたものを脱いでいく。徐々に見えてきたのは、くびれた腰に、腹筋のうっすらと見えるお腹に、娘と同じ真っ白なブラジャーに包まれた巨大なおっぱいに、光沢の出来るほど瑞々しい肌をしたおっぱい。その体つきは、高校生の娘が居るとは思えないほど若々しく、まだ二十歳だと云われても、何も疑問には思わない。むしろもう少し若いと云われても不思議ではない。雪さんは手を後ろに回して、ぷち、ぷち、……とホックを外してブラジャーを取り去った。
――ものすごく均整の取れた、美しい肢体だった。
見惚れて惚けた顔をする僕に、雪さんは取り外したブラジャーを突きつける。
「どう? 顔よりもおっきいブラジャーは初めて?」
と、云いながらパサリと頭から被せてくる。僕の目は真っ白なブラジャーに覆い隠され、見ると、口も、顎も、いやいや、首の下にある恥骨までもが全てブラジャーに包まれている。もはや帽子をかぶるどころではない。体積としては片方だけで、僕の頭二つ分はあるだろう。
そして何よりとてつもなく良い匂いがするのが、もうたまらない。��くて、優しくて、とろけるような匂い。……それは先程まで嗅いでいた甘い匂いに近いような気がするが、このブラジャーに染み付いたそれはもっと蠱惑的である。
と、ブラジャーの匂いを嗅いでいる間に、僕の男性器はすっかり空気に曝されていた。
「あら、顔に似合わず立派なのをお持ちなのね。――いいわぁ、これ。久しぶりだから張り切っちゃうかしら」
ぴゅー、……と何かが僕のモノにかかる。それは雪さんの母乳、……見なくとも分かる。沙羅ちゃんのもそうなのだが、二人の母乳はとろとろとあたたかく、どこか優しい匂いでこちらを包んでくるのである。
「自分のおちんちんが食べられちゃうところは、ちゃんと見なきゃね」
と、ブラジャーを取っ払ってくる。
「準備はいいかしら?」
「ゆ、ゆ、雪さん。……」
「んーん?」
「あ、えと、お願いします。……」
「ふふ、――りょうかい」
――瞬間、僕の下半身は砕け散った。いや、現実には砕けてなどいないけれども、あまりの気持ちよさに一瞬、腰から下の感覚が全て無くなったのである。
「うあああ、……す、すげ、……」
「どーお? 気持ちいい?」
「うっ、くっ、……き、きもち、うぐぁ、……」
「んー?」
「おああああああ、……ひっ、そんな、……ゆきさ、――」
雪さんの問いかけに答えようにも、息が詰まって声が出ない。足がガクガクと震え、腰は浮き、口からはガチガチと歯の当たる音がする。
その快楽はもはや命の危機すら感じるほどだった。僕はもう死ぬのだと思った。今この瞬間、このなんでもないアパートの一室は、地獄と化していた。――天国ではない。地獄である。
「そんなに気持ちいいのかしら。体験できないから、よくわからないわ」
「ひっ、……や、やめ、おぐぉ!――」
「んふ、いい顔、……あなたほんとうに可愛いわぁ、――」
ぐっちょ、ぐっちょ、ぐっちょ、……と下品な音を立てながら、僕を殺す気で責め立てる雪さんの大きすぎるおっぱいが食べたものは、僕のおちんちんだけではなかった。薄目を開けて見ると、僕の腰回りをすべて飲み込んでいる。もう何にも見えない。僕の男性器も、おヘソも、足も、腰も、全部おっぱいに食べられてしまった。
「ほらほら、これはどう?」
と、雪さんがおっぱい��交互に動かす。
「そ、それは! それは、………!!!」
「んふ、それともこっちのほうがいいかしら?」
と、今度はギュウゥゥゥゥっ、………と締め付けを強くしてくる。―――また下半身が消えた。
「ひっ、―――ちょ、ちょっとこれ以上は、……ちょっと雪さん! 雪さん! 雪さん!!! し、死ぬっ!!!」
「まだ喋れるなら大丈夫よ。ほら、どんどんいくわよ。――」
それからありとあらゆるパイズリテクニックをかけられた気がする。が、肝心なところでずるりと引き抜かれるので、まだイかされてはいない。
「ひひ、……ふへへ、……もう死ぬ、……いや、死んだ? 僕は死んじゃった?」
「生きてる生きてる。でも、ほんとうに死んじゃいそうだから、そろそろ仕上げといきましょうか」
と云って、だっぽんだっぽんだっぽん、……と雪さんがおっぱいを動かすペースを早くする。――もうだめだった。一瞬で快感が頭にまで駆け上り、
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
と、僕は雄たけびをあげながら、オーガズムを迎えた。ギュウっと搾り取るように締め付けてくるおっぱいが、あまりにも気持ちよくて、僕は全ての精子を雪さんの谷間の中に出したように思う。
しばらく目を見開いて放心してしまっていたようだった。
「気持ちよかったかしら?」
我に返った時、雪さんはうっとりとした表情で僕の顔を覗き込みながら、そう問うてきた。
「は、はい。……死んじゃうかと思いました」
「ふふ、それはよかった。私がこれをすると、昔から男の人はみんなこうなっちゃうのよ。悪くは思わないでちょうだい」
「ふぇ、……」
「あ、そうだ、――」
と、僕のモノと、自分のおっぱいを綺麗に拭った雪さんは、意地悪っぽく微笑んで、人差し指をくちびるに当てた。
「あの子には内緒、……ね?」
「も、もうバレてるんじゃ、……?」
「ふふ、かもしれないわね。はい、じゃあ、ご飯にしましょう。立てる?」
――立てなかった。雪さんの殺人パイズリですっかり腰を抜かしてしまったらしく、立とうとした僕は逆に椅子から転げ落ちてしまい、そのまま気を失ってしまった。本当に恐ろしいパイズリであった。―――
目が覚めた時にはすっかり夜になっていた。どうやらあの後ベッドに寝かしつけてくれたらしく、僕はふかふかとしたベッドの感触を背中に感じながら、そして、ふわふわとした途方もない柔らかさを、両方の腕と、腹と胸と腰とに感じながら、天井を仰ぎ見ていた。
「ふぅ、……」
とにかく疲れた。沙羅ちゃんのおっぱいをこれでもかと云うほど揉みしだき、腹が裂けるほど母乳を飲み、そして雪さんの地獄のようなパイズリを受ける。たった2時間にも及ばなかったが、それでもここ数年間で一番疲れた日だった。
「あれ?」
と僕は声を漏らした。
「ここは?」
ぼんやりと見ていた天井は、自分の部屋の天井ではなかった。そもそもベッドの置き場所が違う。
ハッとなって、右を見てみると、思わずため息が出てくるほどの美女が、左を見てみると、思わず天使かと思うほどの美少女が、それぞれ僕の方を向きながら、すやすやと気持ちよさそうに眠っている。
あ、と気がついてみると、途端に、体の上に乗っているとてつもなく柔らかいそれが重みを帯びて、僕の体にのしかかってきた。ものすごく重い。
「し、死ぬ。……」
僕は手を伸ばして、上からのしかかってきている何かをひとしきり揉むと、もう一眠りしようと目を瞑った。が、その時、良い匂いが辺りに漂っていることにも気がついてしまい、結局、左右に居る美女と美少女の目が覚めるまで、悶々とした時間を過ごすしか無かった。
(おわり)
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今日も白馬は絶好調!
連日いいコンディションが継続していますね!そして遂にやって参りました快晴無風!更に週末ときたもんだ!えんでかしはどこ行っただ〜?
えんでかしとしては大所帯だったので、今シーズンはフリーランスのカトケンにテールガイドとして来てもらいました。
本日のお客様。全員慣れてる人達なんで楽しい事になりそうです!
シュンP、龍、ニッシー登場。撮影か?いいの残せよ〜。
すんばらしい景色であります。
毎日、心の洗濯しております。
お!まちゃ君!今日は愚羅肉酢の初心者ツアーだそうです。
最高の天気。歩いてるだけでハッピー!ほんじゃサクッと一本行ってみよー!
沈降の進んだ熟成パウダー!気持ちがいーーーーーーー!
お!カトちゃん、珍しくいいの見せてくれるじゃねーか。
サクッと一本、結構なお手前でしたーーーー!!
小野塾塾長並みに行動食に拘りをもっているゲスト。しかし塾長みたく栄養バランスを考えてる訳ではない、彼がこだわっているのは炭酸に合う行動食。早速取り出して来たのは餃子!朝一でこれはかっ飛ばしてますねー!
バーコードの林をテクテク。
お次に出して来たのはアメリカンドッグ!美味そう〜!
今日やたらやってるそのポーズなんすか?え?クレイジー四角形?へ〜よくわかんないけどチェックしてみます。
本当に目に入る風景全てが美しい!
しばらく歩いて本日の目的地に到着!
いいほうていが出迎えてくれました!
よ!三上博史!万座へ急げ!
いい雪であります!
イェ〜〜〜〜〜〜〜ゐ!!
でかい景色を貸切パーティーシュレッド!
むちゃくちゃいい雪でした!!もう全員クレイジー四角形してますやん。
スリリングな沢を通過し、
やっとホッと一息〜。ま〜茶でも飲みましょ。
蜜のたっぷり入ったりんごもどーぞ!
お次はフランクフルトかいな!
そんなこんなで無事下山!!いい雪でした!本日もお疲れ山&おしっよっ様でしたー!
ツアー後に居酒屋で一杯やって来ました〜。ウェ〜イ酔っ払ったぞ〜!ごっあんでした!それでは再見!!
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ちやうど読んでゐる本と ちやうど出逢つたやさしいひとが すきな五月で一緒になつたら 僕はみんなに知らせたい こんなにすてきなことが せかいにあるんだよ かおる西風にのせて 僕がそらに向けておくるそれは たれも いらない クロウヴァいろのはこに 白詰草の花冠と うつくしいきせつの 手につつまれて あるのだろうか たれもしらない かつてあそんだ野の花たちのはてに #双蕣庵 #花士 #双蕣庵花塾 #花業請負 #花教室 #出張教室 #flowerstagram #花のある生活 #花のある暮らし #茶花 #アレンジメントフラワー #flowerphotography #ソネット#sonnet https://www.instagram.com/p/CN0cIQhFkJw/?igshid=g3t08ba6k2gb
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児相問題(児童相談所問題)とは何か。
これを一言で言ふことは難しいが、鳥瞰的な視座から児相といふ制度の法体系を捉へたとき、家庭内の問題はできる限り法が関与せず原則的に自治的解決がなされることを保障すべきであるとする「法は家庭に入らず」といふ古代ローマ法以来の普遍法を根底から否定し、極度の監視社会へと変容させる虞のある事象の問題として位置づけられる。 ----------------
現在、このブログの副題は「戦後日本といふ禁治産者」としてゐるが、これは即ち「戦後日本人といふ禁治産者」であるともいへる。
児童相談所の強権は、超巨大官庁へと肥大した厚労省を背景をしてゐる。 國際社会で軍事による独裁はよく見られる事だが、戦後日本といふ歪な社会に於いては「人権・福祉といふ美名の下の独裁」が行はれてゐる。
・『児相利権』
・串田誠一議員による児相問題を含む衆議院での質問
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2月の各地句会報
平成31年2月の特選句
坊城坊城選
栗林圭魚選 岡田順子選
平成31年2月2日 零の会 坊城俊樹選 特選句
使はれぬ火鉢が廊を冷たくす 千種 文豪の寝台底冷えの容に 要 秋水書院入る隙間風も猫も 野衣 硝子戸の影やはらかく春を待つ 美紀 突き上ぐる霜にも乱れざる茅舎 光子 待春の旧家にありし神隠し 久 蘆花邸は迷路あうらの冷たさに はるか 木漏れ日としての冬日や愛子の間 淸流 妻に買ひし桐の小簞笥日脚伸ぶ 眞理子 茅屋の廊寒きオルガンの黙 要 躙り口ほどの鳥居や午祭 千種 針止めて懐中時計春を待つ 秋尚 オルガンはぷかぷか春を待つ一日 久 オルガンや文士の愛は儘冱てず 順子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月6日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
分校の下校のチャイム日脚伸ぶ 越堂 春禽として南縁の雀たち 越堂 女正月女の愚痴は目で答ふ 世詩明 十指まで悴む夜の静寂かな ただし 日野の土手足投げ座せば寒雀 輝一 雪���に獣の道の交差点 誠 春を呼ぶ水の音淡く渓流へ 幸只 春一番扉が軋む地蔵堂 信義
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月7日 うづら三日の月句会 坊城俊樹選 特選句
人会へば豪雪無きを挨拶に 喜代子 躪り口開ければ床に寒椿 由季子 盆梅の一輪遠く昼の月 都 寒明けし着けてみようか耳飾り 都 春めく灯隣家の厨遠く見ゆ 都 如月や女野に出ですぐ戻る 都
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月8日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
ちらほらと梅咲く丘の風匂ふ 俊子 冬草や薄日抱きゐる書店跡 都 初鏡病衣の前を整へて 幸子 バス停に鳩迷ひ込む霙かな 佐代子 たまにある春の停電母校訪ふ 幹也 春立つ日閼伽桶さげて父の墓 和子 椿落つ城の古井の被せ蓋へ 栄子 朝戸引く梅一輪の日向へと 悦子 足取りの弾んできしよ犬ふぐり 史子 一瓶に桜三景の秘伝活け 益恵 藤の実や子等姿なき遊園地 立子 二階より海見る暮し春を待つ すみ子 魚は氷に老漁夫は舟繕へる 美智子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月9日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
春の雪行きも帰りも女坂 亜栄子 寺領ひつそり枝垂れ紅梅ひつそりと 文英 撞く銅鑼の音裏返る春の雪 三無 一塩のさより銀光残しをり ゆう子 猪口ぐいと鱵の握り海の青 三無 風吠ゆる振りむく背ナに椿落つ 美枝子 落椿寺苑の黙のゆるみたる 亜栄子 庭苔にのりてしばらく春の雪 三無 母逝きて空き家を照らす寒の月 多美女 回廊に合図の様に紅椿 教子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月11日 なかみち句会 栗林圭魚選 特選句
盆梅のあらはなる根の逞しく あき子 茅葺きの影積み重ね春寒し 秋尚 早春の園に水音鳥の声 怜 病むやうな薄ら日の径春寒し 三無 野のいろに水音に春来てをりぬ 三無 盆梅や小さき宇宙を大胆に あき子 黒土の畑を蓋って繁縷かな エイ子 せせらぎの音を抱へて猫柳 三無 臘梅の香りふんだん土手包み せつこ 寄り添ひて語り合ふかに福寿草 秋尚
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月12日 萩花鳥句会
雪消しの雨ひたすらに葉を叩く 小勇 つまづきて朝茶で火傷春浅し 祐子 新しき藁の敷かれて牡丹の芽 孝士 鬼遣らひ鬼はパパだと泣き笑ひ 美恵子 あれ怪人銀輪駆って白マスク 健雄 床の間へ置くランドセル春を待つ 圭三 草青む畑に弥生土器の片 克弘
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平成31年2月17日 伊藤柏翠俳句記念館如月抄 坊城俊樹選 特選句
風花に手を差し伸べてゐる女 雪 見てゐか見られてゐるか寒鴉 雪 凍星に我が吐く息の短かさよ 雪 風花や祈りの道の仏達 ただし 恋猫の爪研ぐ音に目覚めけり ただし 白梅のふふむに応へゐる鳥語 かづを 寒牡丹上野に古りし塔一つ 越堂 月の夜を幻の如風花す 越堂
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月17日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
生臭き風の幽かに春炉燃ゆ 炳子 百年の音を潜めて雛の家 佑天 尖塔より魔女の誘ひ春きざす 眞理子 鶴首へ白椿紅椿かな 慶月 春寒や幹の顰める公孫樹 圭魚 藁葺の火色冷たき猟名残 炳子
栗林圭魚選 特選句
西向けば羅針盤めく春の鯉 俊樹 生臭き風の幽かに春炉燃ゆ 炳子 二ン月や細き亀裂の薬医門 炳子 百年の音を潜めて雛の家 佑天 火を囲む煙の背ナにある余寒 斉 まだ固き日を金縷梅の眩しめり 斉 梅が香をたしかむやうに風の止み 悠紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月20日 福井花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
川風に唇重き余寒かな 越堂 春寒や自販機押せば迷ふ音 世詩明 立春の耳朶やはらかにイヤリング 世詩明 またも逢ふ最終バスの冬帽子 令子 百年の友より今し冬牡丹 淳子 下萌にかくれてをりし小石かな 千代子 羅針盤狂ほしく揺れ春立ちぬ 数幸 寺壁の詞と吾の間に淡き雪 数幸 梅冷の雨の鎮めてゐる城址 松陰 海鼠てふ得体の知れざるものを箸 雪 寒鴉我を一瞥したつもり 雪 刀折れ矢尽きし如く冬籠 雪
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月21日 鯖江花鳥俳句會 坊城俊樹選 特選句
カーテンの裾ちとはだけ庭は春 一涓 偕老に大雪晴といふ四恩 一涓 斃れたる父語るかの火吹き竹 一涓 福助と居並ぶ猫や春隣 一涓 草萌の色重ね行く大地かな 信子 春泥や飛び越えるには大きすぎ 信子 世を敵に廻せる如く懐手 雪 一瞥と云ふ表情も寒鴉 雪 俳諧の鬼の館とて豆撒かず 越堂 雛飾る柱時計の音たしか 世詩明
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月24日 花鳥月例会 坊城俊樹選 特選句
落つるべきところに落ちぬ藪椿 公世 春光や狛は巻毛を巻きなほす 野衣 ひと息に絞め殺したき春ショール 公世 早熟な紅は昏みし藪椿 順子 飛行機の薄く剥ぎゆく春の空 野衣 あたたかな大鳥居かな指の跡 和子 紅梅の献饌として香るかな 政江 西へ曵く飛行機雲や卒業す 光子 啓蟄の地を打ち止め大鳥居 野衣 親指を握るかたちの余寒かな 和子
栗林圭魚選 特選句
春禽の過る一瞬荒野たり 炳子 芽吹くものありて御霊の鎮もれり 佑天 観梅の根付の鈴の鳴りにけり 光子 初蝶来白きビルより白き風 梓渕 土の橋渡れば潜む初音かな 炳子 池の泥塗し微睡む春の鯉 久子 引鴨の水音高く戯れり 悠紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月27日 九州花鳥会 しろうお句会 坊城俊樹選 特選句
潮調子見極め白魚漁師かな 光子 神おはすかに梢先の春動く 阿佐美 人の世に大罪いくつ白魚汲む 寿美香
岡田順子選 特選句
漁小屋のひとつ余寒の室見川 由紀子 犬ふぐりかたへ特急列車過ぐ 美穂 春浅き川に日がなの番屋守 由紀子 飯店の灯に跳ねしろうをまじまじと 久美子 白魚簗吾が編みたると漁師かな 光子
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年2月28日 九州花鳥会 定例句会
坊城俊樹選 特選句
水仙や火除地蔵の首傾ぐ 山脇順子 語れども噛み合はぬまま目刺焼く 桂 一条の囀に神さぶる枝 岡田順子 薄氷を清瀬へ流す日矢の音 かおり 水飴の水脈引く瀬戸の冬夕焼 勝利 郵便ポストの赤くなる春の宵 朝子 金縷梅の咲くや散るやと縮れをり 志津子 魚籠叩き身悶ゆるしろうを透きて 睦子 揚雲雀青天井を突き抜けて さえこ 落椿蕊に温みを宿しまま かおり 鳥語にも錆びの滲みし白椿 佐和 白魚へ百代の水脈迸る 岡田順子 金縷梅や蒼穹の空黄ばむほど 阿佐美
岡田順子選 特選句
まんさくや昼森閑と裏宰府 美穂 金縷梅の咲くや散るやと縮れをり 志津子 豊壌の御鷹屋敷へ春の雨 かおり 海苔粗朶に潮さす音や終列車 千代 まんさくや渓を渡れば村の塾 朝子 神鶏の春呼ぶ声や絵馬の鳴る ひとみ 夜明くれば忽然と出づ春の山 桂 西陲の館に愁ふ踏絵板 ちぐさ オルガンの重たきペダル紀元節 寿美香 折枝戸の色は飴色蝶生まる 寿美香
(順不同 特選句のみ掲載)
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平成31年1月10日 立待花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
美しく目覚め初夢おぼろなる 越堂 鴇色に雪の白山昏れ残る 越堂 雪椿哀しきまでに赤きかな 越堂 炬燵守りなんでもや守り婆達者 越堂 朝露を硯に落とし筆始め ただし 鬼の宮仏の宮も初詣 ただし 改めて父似母似の初鏡 清女
(順不同 特選句のみ掲載)
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さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
左義長の炎を一歩退きて浴び 紀子 白山の稜は白日雪蔵し 登美子 婆二人笑み手をつなぎ伊勢参 みえこ 撒く豆の波を造りて弾け落つ あけみ 色のなき北陸の地も日脚伸ぶ 紀子 入院の鞄重たし春一番 実加 半生は刹那と思ふ春隣 実加 寒波襲来黒光りして日本海 令子
(順不同 特選句のみ掲載)
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芦原花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
ビロードの艶ふめく花穂猫柳 孝子 雛段に飾りし桃を地に育て よみ子 もの忘れゑのころやなぎなつかしき 寛子 冬着積み介護の部屋となりにけり 由紀子 街灯の光の渦の雪しまく 由紀子
(順不同 特選句のみ掲載)
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檻2
考へてみれば始めか���おかしな店だった。昔にも似たような記憶がある。といふのも今から二十分ほど前に、突然の耐へ難い尿意に襲はれた私は、視界に入った旅館風(旅館に似た他の建物などあるのかな?)の面構へをした店に入り、受付嬢に「失礼ですけど、便所を貸してくれませんか」と頼んだのだった。受付嬢は形式的に返事をして、カウンタアの下から三枚ほどの受付紙を出した。当然、そんなものを書いてゐる暇はなかった。 「なんです…これは?」 「いえ…一応決まりですので…あの……別に書かなくても結構です」 まるで意味が分からなかった。さっさと便所の場所を教へてほしかった。 「住民票は…お持ちですかね」 「は?」 「いえ…これも別に必要はないのですが…一応聞くように言はれてをりますから」 「簡便してください。こっちはね…恥ずかしい話だけど…もう小便が漏れそうなんだ! 早いとこ便所の場所を教へてもらふわけにはいかないのかな? ここで漏らしでもしたらそれこそ手間がかかるのはそっちでせう? こっちにはあなたらの求める不必要な手続きのせいだって言ひ訳ができる。いいですか、あなたらがすぐに便所の場所を教へてくれたらそれで終はる話なんだ。とても簡単な話なんだ!」 受付嬢の顔が曇り始める。 「あの……でしたら……」 まさか…泣いてゐるらしい。どうやら本当のはずれくじを引いてしまったらしかった。 「いえ、泣かれても困るんです。もう膀胱がはちきれさうだ! なに…便所の場所を教へてくれさへすればいいんです。あなたも場所くらゐは知ってゐるでせう? それを教へてくれればいいんです。いや、むしろここの便所を使ってもいいか…それだけでもいい。何か便所に関係することを話してくれないか!」 「…ですので……上の者とつなぎます」 「だから! いいんだ! そんなことは! こんなことをしてゐるあいだにも限界が来るかもしれないんだ!」 「………あの…はい…部長ゐらっしゃいますか…もしもし……」 「ああ………」 まさか、五十路を過ぎて失禁をするなんて、しかも別に酒をあおったわけでもないんだ。それは本当に不意な尿意で、けれど本質はそこぢゃあない。突然の尿意がきたとしても、他人に便所の利用を尋ねることくらゐ、社会人であれば造作ないことなのだ。だのに、私はかうして失禁をしてゐる。なんといふか……ばかげてゐる。どうしてこの受付嬢は私に便所の場所を教へなかったのだらう。いや、そうぢゃあない。どうしてこの女は、緊急な状態に対して形式的なふるまひしかできなかったのだらうか。本当の問題といふのはどうやらそこなのかもしれない。社会で生きるといふことはさういふことなのだ。その場に応じたふるまひさへできれば、それ以外の能力といふのは案外にそれほど重要でもないのだ。第一、だれもが高等教育を受けることができる時代なのだから、どこに行っても大抵のことはできるはづなのだ。本当にわづかな連中だけが、それをできないのだ。そして私の失禁は、さういったわづかなはずれくじを引いたところにあったのだ。これは確率の話なのか、それとも因果応報なのだらうか。私はすこしの間、自分の最近のふるまひを省みた。確かに…家内に強く言ひすぎたこともあったのかもしれない。娘の門限を強く咎めすぎたこともあった。ああ…したことは返ってくるのだ。なんと私はおろかだったのだらう。これからでも間に合ふだらうか。いや、これまでのことは仕方ない。これからさういふ失敗をしなければいいのだ。ただそれだけでいいのだ。 「お待たせしました。部長のカムパネラと申します。どうされました?」 「いえ…いや…どこから言へばいいんだらう……便所……はもう行っても仕方がないし…あなたがた受付の対応……だけが原因ともいへないかもしれない……弱ったな」 「一体どうされ……あなた!……すみませんがお引き取りねがひます。あなた失禁されてゐるぢゃあありませんか! ここはね……観光客も多く来るんです。人気商売なんですよ。店先でこんな……しかもあなた…いい歳をして……酒の飲み方くらゐ学ばれたらどうです! もう…一体いつまで学生みたいな飲み方をすれば気が済むんだ。どうせ家庭が上手くいってないんだらう。これだから中年の肩身といふのは狭くなるんだ。馬鹿なやつがそのまま歳を食ってかうして見た目も悪くなるんだよ。頑張ってる中年が報はれないぢゃないか。本当に…見てられやしない。さあ! はやくお引き取り願ひますよ!」 「はぁ……失礼ゐたしました」 歩いた時の記憶がない。気が付くと見たこともない名の駅前にゐた。濡れた股間が夜風にあたり、妙に心地がわるい。けれど若干の猥雑な感じもあって、塾帰りだらうか、中学生くらゐの生徒らが駅に吸い込まれてゐるのを見てゐるのは、なかなかに楽しかった。 「さて…」 駅の便所に入り、再度催してきた尿意を解消した。正常な排尿といふのは本当に何度しても飽きが来ない。よくできたものだ。毎日だってつづけられる。 便所を出ると交番があった。私は当然、入った。 「こなばんは…」 「こんばんは、どうされました?」 若い警官が、にこやかに、けれど確かな警戒の目で私を見た。 「いえ…恥ずかしい話なんですけどね……」 「ええ、何か困ったことでもあったんですか?」 「…し…失禁…」 「え?」 「いや…失禁をね……してしまったんですよ」 「は?」 「いや…大丈夫です…便所にはもういきましたから…それにしても排尿ってのは…いつもはそんなに気にならないものですけど…上手くやると本当に素晴らしいものですよね…ダムの放流のやうに…爽快で…本当に快い……」 「あのね…お父さんね…とくに用事がないんなら帰ってもらへませんかね」 「あぁ…すみませんね…ただ…どうしても誰かに言ひたかったものですから」 交番を出、再び駅前の雑踏。よくみればなかなかに立派な駅だった。活気もある。さういへば今日は金曜日ぢゃないか。街は解放感に満ちてゐる。 「ははは…何だ…簡単なことぢゃあないか」 私は生きてゐる。失禁した後もかうして生命の息吹を感じてゐる。生きるっていふのは簡単なことなんだ。難しく考へることなぞ、始めから重要でもないのだ。限りない解放感が身体の隅々から爆発する。すべての細胞が嬉しそうに活性化してくる。多幸感! 私は難しさうな顔を歩く女子中学生のもとに走りよった。 「もっと気楽に生きなさいよ! 可能性といふのはいくらでもあるんだから!」 私はその無垢な少女を力いっぱい抱擁した。先の警官に取り押さえられてゐる最中に、一つの言葉が強烈に脳に現れた。因果応報。その言葉の意味を私は今も、檻の中で考へてゐる。
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【悲報】めちゃイケの三中さん、芸人を辞めフリーターになっていたwwwwwwwwwwwwwwww 1:風吹けば名無し:2017/10/23(月) 03:45:35.99 ID:jTpR/xeL0.net よゐこ・濱口優が『芸能義塾大学』に出演。5人の生徒(華村あすか、山地まり、宮沢セイラ、Niki、今井華)を相手に「過酷なロケを乗り切れば仕事が倍増も夢じゃない!」講座を行なった。 濱口は「無人島0円生活」など「サバイバル芸人」のイメージがつくが、何度もいった無人島ロケの結果、 「頑張ればそこを評価してもらえる」ということを実感したという。そして、生徒にこう語りかけた。 ここで、濱口は自身がレギュラー出演する『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の「新メンバー」だった三中元克について言及。 プロレスの企画があったが、それを嫌がり、お笑いをやりたいと言った。 道場を脱走するなどし、最終的に三中が番組に必要かどうかを視聴者投票で行った結果、不要と判断され 「彼は消えた。今誰も触れない」(濱口)という状況に。 現在三中は、放送作家・鈴木おさむ氏の口利きで中目黒のちゃんこ屋でバイトしている。 「鈴木おさむさんが助けてくれただけ。『黄金伝説』でも、アイドルの子が逃げた。 途中でギブアップしてね。こういうの、危険なんですよ……。受けたら最後までやり通すことが大事です」 3:風吹けば名無し:2017/10/23(月) 03:47:14.98 ID:tF+KCPaHM.net…
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●大御心【オオミココロ】●勅語●勅命●皇室典範●ドグマ
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●大御心【オオミココロ】●勅語●勅命●皇室典範●ドグマ 「女性宮家創設問題」が浮上している。 ・女系天皇反対-藤原正彦 https://www.dailymotion.com/video/x17qaz ●藤原正彦の男系天皇論【書きおこし】 | 歴史と文化 巡礼の旅日記 https://ameblo.jp/mejirotabi/entry-12464807343.html 2019/05/31 これは昔(小泉内閣の時に「女系天皇」が政治課題となった時代)、フジの「新報道2001」という番組に、数学者の藤原正彦先生が出演した時の書きおこしです。 男性司会者 藤原さんは「女系天皇」には反対だということですが、どうしてですか? ●藤原正彦、女系天皇を切る - 日本の傳統(伝統)を守らう! https://blog.goo.ne.jp/fuji2630/e/f1ab798f8c4ec8302bdcec16ba0d4405 2006/03/14 「國家の品格」の藤原正彦先生が 2006/03/12 のフジテレビの報道2001で 女系天皇をばっさりと切ってゐて、痛快でした。 司會: 藤原さんは女系天皇には反對(反対)ださうですが、どうしてですか? 藤原: 餘り(余り)にも明らか過ぎて、 1+1はどうして2かと言はれるやうなもので、 答へやうが無い。 譬(たと)へば2000年間男女男女で續(続)いて來たら、 今後永遠に男女男女と決まってるわけで、 或(あるい)は男男女、男男女と桂馬のやうに飛んで來たら、 此れからも永遠に桂馬のやうにする。 或(あるい)はですね、天皇家が毎朝1時間鰯の頭にお祈りしてきたとする、 そしたら今後永遠に鰯の頭にお祈りしないといけない。 傳統(伝統)とは其のやうな物で、ただただただ跪(ひざまづ)く物です。 論理も意義も何も考へる必要が無い。 其の傳統を守ること自身が最も價値(価値)があることだと、 此れを国民がみんな忘れてますね。
(この後、ケンブリッジ大學でのディナーの話。 12世紀からイギリスの白鳥は女王陛下の物で、 食べるのに許可が必要なことに、胸を張る教授の話) 皇室は二千年続く系統である。 憲法はその時の流行の主張である。 皇室典範は延々と続いてきた伝統である。 万世一系は延々と続いている伝統である。 憲法の下において世論の意見を聞いて変えるとはトンデモないこと。 不変なのが皇室で有り簡単に有識者などと如何わしいものの意見で 左右されるものではない。
今の利益主義と何ら変わりなくなってしまう。 老舗商法を悪く言う人がいるけれども決して悪いものではない。 楽だからこっちにアッチに変更ばかりしていては守れるものも守れなく成る。 私たちの血の中に脈々と流れているものは不変なものだ。 震災でそれは証明されている。 米国のような昨日今日出来た国とは違う。 ましてや長い年月 歴代の権力者に翻弄されてきた支那とも違う。 動画の中で英国の話で白鳥は総て女王陛下のもの。 こんなちやちな物事と一緒には出来無い。 個人のものなんてコレほど変な意見はない。 天皇家は自然をも含めた大切な心。 一時の世論と伝統を一緒のラインに置くのはおかしい。 おかしいのではなくて同列に扱う問題ではないということ。 自然の原理に近いものではないかと理解した。 思いやる心もココから出ているのでは無かろうか。 ●数学者が語る日本の国柄ー藤原正彦氏 - 草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-254.html?sp 2006/01/30 万世一系の美しい形に手を加えるなど、数学者としての美感が耐えられない。 お茶の水女子大学教授 藤原正彦 ふじわら まさひこ ■プロフィール 昭和十八年満州生まれ。数学者、エッセイスト。父は作家の新田次郎氏、母は戦後の大ベストセラー『流れる星は生きている』の著者、藤原てい氏。東京大学理学部数学科卒業。コロラド大学助教授などを経て現職。数学者でありながら、国語教育の重要性を訴えている。著書に『数学者の言葉では』『若き数学者のアメリカ』『遥かなるケンブリッジ』『祖国とは国語』など。近刊の『国家の品格』がベストセラーに。 前編 世にも恐ろしいことを ― はじめに、「皇室典範を考える有識者会議」(以下、有識者会議)の報告書についてのご感想は。 藤原◆私は、最近の「改革」についてはほとんど全てに腹を立てております。日本の昔からあった国柄を片端から壊してしまう愚行がまかり通るようになってしまったと。ただ政治上経済上外交上の失敗は腹を立てても蒼ざめることなどあり得ません。しかし、女性女系の天皇を認めるという有識者会議の報告書には、驚愕して蒼ざめました、「世にも恐ろしいことを」と。 ● 日本の伝統中の伝統、皇統に手を入れ、国体を揺るがそうというのです。数学者は一匹狼です。私一人で世界中を相手に戦うという気持ちでいつも生きていますから、徒党を組むのは屈辱と思うくらいです。ただ、今回ばかりは生まれて初めて発起人というものに名を連ね(皇室典範を考える会)、あちこちで書いたり話したりしています。万世一系を毀損するとは、あまりにも恐ろしいことです。 ●万世一系 - Wikipedia http://bit.ly/yMsBiw 万世一系(ばんせいいっけい)は、永久に一つの系統が続くこと。多くは皇室・皇統についていう。 伊藤博文は、皇位継承における万世不変の原則として、万世一系を以下のように定義している。 第一 皇祚を践むは皇胤に限る 第二 皇祚を践むは男系に限る 第三 皇祚は一系にして分裂すべからず 『古事記』と『日本書紀』を編集した人物は、神武天皇から仲哀天皇までの治世を記述した。これは、当代の天皇の正統性を確保するためである。 6世紀までの日本で王朝が次々と交代したか、複数の王朝が異なる地方を同時期に並列して支配していたことを示唆する手がかりが公式の編年誌にあるとする諸説が存在する。 だが、日本の現王朝は6世紀以降には王朝交代した証拠はなく、少なくとも1500年もの間存続している。1500年以前に存在した他の君主家��今日なお在位しているものは、世界のどこにもな。 皇室に名字がない事実も、天皇の王朝の古代史に遡る古さを示している。日本人が歴��が始まって以来知っている唯一の王朝だからである。 天皇が日本を統治する根拠とされたのは、天照大神が「天壌無窮」に葦原中国を治めよという神勅をニニギ(瓊瓊杵尊)とその子孫に下し、ニニギの曾孫である磐余彦が初代の天皇・「神武天皇」として即位したことによる。 『古事記』には天照大神が孫のニニギに「この豊葦原水穂国は、汝の知らさむ国なり」とある。『日本書紀』には「葦原千五百秋瑞穂の国は、是、吾が子孫の王たるべき地なり。爾皇孫、就でまして治らせ。行矣。宝祚の隆えまさむこと、当に天壌と窮り無けむ」とある。 この記述が、皇室が日本を永遠に統治する歴史的・法的な根拠であるとされた。大日本帝国憲法第1条はこの記述を明文化したものである。日本神話に登場する初代の天皇・神武天皇から現在まで、天皇の王朝が断絶せずに皇室が日本を一貫して統治してきたとする史観を形成し、万世一系は国体において不可欠なものとされていた。 「日本は、王朝交代したことがない点で他国と基本的に異なる」という信念は、日本の王朝と同じくらい古くからあった。 ●成熟した論理を身にまとった二人の女系天皇論 - THINKSELLの裏側 http://blog.thinksell.net/2005/12/18/165900/ 2005/12/18 『国家の自縛』の佐藤優氏と『国家の品格』の藤原正彦先生が、女系天皇について言及している。成熟した論理を身にまとったご高説は、ともに「女系天皇反対」で一致している点が興味深い。ただ、佐藤優氏の方はインタビューアーの表現が"女帝”となっているので、「女性天皇と女系天皇」を峻別しているかわかりません。 ●万世一系と国家の品格 - ne.jp https://00m.in/ujUlG 2006/02/01 「日本の息吹」平成十八年二月号 万世一系と国家の品格 お茶の水女子大学教授 藤原正彦. 万世一系の美しい形に手を加えるなど、数学者としての美感が耐えられない。 インタビュ─〈前編〉 ◎世にも恐ろしいことを ─ はじめに、「皇室典範に関する有識者会議」(以下、有識者会議)の報告書についてのご感想は。 ●藤原正彦「公と私」 2015/07/30 https://youtu.be/gpJ3N0rhL4c ●藤原正彦 国語教育の重要性 1/2 2009/10/09 https://youtu.be/Xhi2bE1o2r0 「国家の品格」を出版する前の藤原正彦先生が語る! 小学校での英語教育に反対!(塾や家庭での英語を否定しているわけではない) ●藤原正彦 国語教育の重要性 2/2 2009/10/09 https://youtu.be/BOA3oAVDiPw ●女系天皇容認論の賛否 第30回 2007.11.10 丸 淳一 file:///C:/Users/asahi/AppData/Local/Temp/30_maru.pdf 1.女性天皇と女系天皇の違い・・・ (1)国民は本当のことを知らない (2)「愛子様が可愛いから」とか「雅子様がお世継ぎの問題でプレッシャーがありか わいそうとか、それから解放されるとか」 そんなレベルの問題ではない 2,過去の女性天皇は8方 10 代 (1)48 代称徳天皇の時、危機が訪れる (2)称徳天皇の寵愛をいいことに弓削の道鏡が皇位をうかがう (3)和気の清麻呂が出てこれを防ぐ (4)もし弓削の道鏡の子を産みその子が天皇になれば、弓削の道鏡の天皇ということ (5)藤原正彦教授も同じことを言っている藤原王朝ですよと ●勅語 - Wikipedia http://bit.ly/AmGYCJ 勅語(ちょくご) 原則として天皇が口頭により発する公務上の意思表示であり、詔勅 の一種である。 主に明治時代から日本国憲法が施行される前に出され続けた。 現在では「おことば」と呼ぶことが普通である。 ●勅命 とは - コトバンクデジタル大辞泉 1 天皇の命令。勅諚(ちょくじょう)。みことのり。 2 明治憲法下で、法律・勅令の形式によらず、天皇が国家機関に直接下した命令。 ●勅 - Wikipedia http://bit.ly/xKp5qL 勅(ちょく)は、皇帝、天皇の命令。 また、命令が書いてある文書。勅が書いてあるものを勅書(ちょくしょ)と言う。 主に特定の人物・組織などを対象に天皇の意思を伝えるために用いられた。 なお、口頭によるものを勅語(ちょくご)と言う。 『日本書紀』などに由来が求められるが、金石文としては天武天皇の時代に 改葬された船王後の墓誌に、船王後が舒明天皇より勅によって位を 与えられたことが記載されている。 大宝律令の制定後は公式令に基づいて出された勅旨などの勅書のことを主に指した。 また、奈良時代の天平宝字8年(764年)には勅及び勅書の遂行と天皇及び 宮中の用度を担当する勅旨省(ちょくししょう/てしのつかさ)が 設置されていたことがあるが、延暦元年(782年)の行政整理の際に 造宮省とともに廃止されている。 ●皇室典範 http://bit.ly/xvw6dz 皇室典範(こうしつてんぱん、昭和22年1月16日法律第3号)とは、日本国憲法第2条及び第5条に基づき、皇位継承及び摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律である。 「皇室典範」は1889年(明治22年)2月11日に、大日本帝国憲法と同時に裁定(勅定)され、1947年(昭和22年)に、日本国憲法第100条及び第2条、第5条に基づき、日本国憲法施行前に、憲法に附属する法律の制定手続によって、枢密院の諮詢及び帝国議会の協賛を経て、現在の「皇室典範」(昭和22年1月16日法律第3号)が制定された。 ●明治神宮-ご参拝・ご祈願される方へ-明治神宮のおみくじ「大御心」について http://bit.ly/yqWPAc 「大御心(おおみごころ)」 「大御心(おおみごころ)」は、明治神宮独自のおみくじです。 他の神社で見られる吉凶を占うおみくじではなく、御祭神である明治天皇さまの御製(ぎょせい=天皇の作られた詩文・和歌)93、032首、昭憲皇太后さまの御歌(みうた=皇后・皇太后・皇太子などのよまれた和歌)27、825首より、特に人倫道徳の指針となる教訓的なものを15首ずつ、合計30首選び、それに解説文を付したものとなっています。 ●「大御心(おおみごころ)」三省堂 大辞林 天皇の心を敬っていう語。天皇のお考え。叡慮(えいりよ)。 ●大御心【オオミココロ】デジタル大辞泉 天皇の心。叡慮(えいりょ)。 ●九頭竜伝承 https://ja.wikipedia.org/wiki/九頭竜伝承 九頭龍(大神)伝承(くずりゅう{おおかみ}でんしょう)、九頭龍(大神)伝説(くずりゅう{おおかみ}でんせつ)は、日本各地に残る九頭龍(大神)に関する伝承・伝説の事である。 寛平元年(889年)6月、平泉寺の白山権現が衆徒の前に姿を現して、尊像を川に浮かべた。 すると九つの頭を持った竜が現れ、尊像を頂くようにして川を流れ下り、黒竜大明神の対岸に泳ぎ着きたという。 以来、この川を「九頭竜川」と呼ぶようになった。 (『越前国名蹟考』福井県郷土誌懇談会 著 1958年発行より) 大慈大悲の大御心で衆生に利益を与えんとする実体なり。 ●大御心は大切です。しかし、もし・・・。 「道鏡事件」に学ぶ「女性宮家」問題 umayado17 2011年12月30日 雑誌に「(女性宮家創設は)天皇陛下のご意志」 でもあると語った輩がいるらしいですね。 そう言う事はありえませんが、仮にそんな時は、道鏡事件の再来ということになりますから、嫌われても諫言するのが忠義の道、ということになるのかもしれません。 天皇陛下の「大御心」は大切です。「詔を承りては、必ずつつしめ」(17条憲法・三に曰く)です。 http://togetter.com/li/234520 ●女系天皇(じょけいてんのう)http://bit.ly/Ac2EEG 日本において母のみが皇統に属する天皇を指す呼称である。母系天皇と称されることもある。 語句の類似から、単に女子の天皇を指す女性天皇と混同されることも多いが、皇統についての「女系天皇」と、天皇個人の性別についての「女性天皇」とは異なる概念である。 その天皇自身が男か女かという性別とは関係がなく、概念上は女系男性天皇と女系女性天皇の両方が存在しうる。また逆に、男系についても、男系男性天皇と男系女性天皇が存在しうる。 『古事記』、『日本書紀』やその他歴史書の記載によれば、日本の皇統は初代神武天皇から現在の第125代今上天皇まで男系の血筋のみで続いてきたとされる(いわゆる「万世一系」。 その信憑性については諸説あるが、少なくとも「高群逸枝(民俗学者)が古代は母系制であったと主張している」というのは誤認である。 高群が提示した概念は「父系母族制」という名称の通り、母権的であってもあくまで父系(=男系)であった)。 神武天皇以来、男系で続いてきたことを万世一系とする立場からは、女系天皇は即位しても神武天皇以来の皇統に属さず、その結果として日本史上初の王朝交代が生じる、という意見も出されている。 ●女性天皇(じょせいてんのう)http://bit.ly/zjzhkh 女性の天皇のこと。古くから女帝(漢音じょてい、呉音にょたい)と呼ばれていたが、皇位継承問題の議論が盛んとなった2004年以降、日本の公文書や報道では「女性天皇」の表現が用いられることが多くなった。 ●家督相続(かとくそうぞく) [ 日本大百科全書(小学館) ] 戸主(家の長)の身分と財産とを1人の人が受け継ぐ形(単独相続)の相続をいう。 主として封建時代の武士階級の相続法に範をとって、1898年(明治31)に制定された民法(旧民法)で採用されたもので、第二次世界大戦後、現行民法(1947)が制定されるまでの、家の制度の中心をなすものであった。 戦後、家の制度が新憲法の理念に反するものとして廃止されたのに伴い、家督相続も廃止された。 家督相続は、戸主が死亡した場合のほか、戸主の隠居・国籍喪失、入夫婚姻(女の戸主との婚姻)など、被相続人の生存中に相続が開始されることがあった。 家督相続人となる者は1人で、まず直系卑属のうち、親等の近い者、男と女では男、年長者と年少者では前者が選ばれ、したがって普通は長男が相続した。 直系卑属がない場合には、被相続人の指定した者、一定の家族のなかから一定の選定権者が選定した者などが相続することになっていた。 家督相続は、戸主の財産を承継するだけでなく、戸主の身分をも受け継ぐ(身分相続)とされていた点も現在の相続とは大きく異なる。また、法定推定家督相続人(被相続人の直系卑属である相続人)は相続を放棄することは許されなかった。なお、当時においても、戸主以外の家族が死亡した場合には、現在の相続法と同じような共同相続法(家督相続に対して遺産相続とよばれ、現行民法では相続という)が行われていた。 ●家制度(いえせいど)http://bit.ly/wV0KLO 1898年(明治31年)に制定された民法において規定された日本の家族制度であり、親族関係を有する者のうち更に狭い範囲の者を、戸主(こしゅ)と家族として一つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度である。 江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にしている。 女性参政権の施行と日本国憲法の制定に合わせて、1947年(昭和22年)には民法が大規模に改正され、親族編・相続編が根本的に変更された為に、家制度は廃止された。 ●ドグマ (dogma) ・宗教・宗派における教義のこと。 ・広義としては、上項から派生して「独断・偏見的な説や意見」、「教条主義」を指すようになった。 ・ドグマ (アダルトビデオ) - 日本のアダルトビデオメーカー。1961年設立。 ・特撮テレビドラマ『仮面ライダースーパー1』に登場する架空の王国。(→ドグマ王国) ・ドグマ95 - 1995年にデンマークで提唱された、映画製作の作法。 ・ドグマ (映画) - 1999年に公開されたアメリカの映画作品。 ・コンピューターゲーム『ドラゴンクエストVI 幻の大地』に登場する架空のキャラクター。 ■女性宮家(じょせいみやけ) https://ja.wikipedia.org/wiki/女性宮家 皇統に属する女性皇族が成人もしくは結婚後に皇族のままで独立した生計を営む宮家のこと。 これまで皇室の歴史上、女性皇族が当主となり子を儲け又その子が継承した宮家はなく、歴代の女性天皇も未亡人か未婚のまま生涯を終えている。 結果として、「女系皇族」は一例の例外も存在していない。 大日本帝国憲法下の旧皇室典範及び日本国憲法施行に伴い制定された現皇室典範においては、女性皇族は皇族以外の男子と結婚した場合は、皇族ではなくなることとなっている。結果として将来においても「女系皇族」が誕生することは禁止されている。 皇室典範を改正して女性皇族を当主とする宮家を創設して皇族以外の男性と結婚し、その配偶者およびその女性宮家から生まれた子供を皇族としようとするのが「女性宮家創設問題」である。 歴史始って以来、配偶者として民間人男性が皇族となるのに加え、女性宮家から「女系皇族」を誕生させることになり、皇室制度の根本的な転換になる。
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偽善者の涙[七]
[七]
「ぢやあ沙霧、元気でな。近々佳奈枝と一緒に来るかも知れへんけど、そのときは必ず伝へてから来るから、会ひたくなければ云うんやで。大丈夫、そのくらゐであいつはお前のことを嫌つたりせえへんから、今日は気分ぢやないとか適当云へば、あらさうなの、ならいゝわ、くらゐで済むから、な。あゝ、さう〳〵、さう云へばまたこのあひだ中古のCD ショップを漁つてたら、――」
「あ、あの、兄さん」
と沙霧は珍しく里也の話を遮つた。
「どうした?」
「えと、……今日のお話したことについてなんですけど、……えつと、あの、……口に出したら急に楽になつたので、あまり真剣にお考えになさらないでくださると有り難く、あ、とにかくそんな昔のことですし、そ、それに、大したことないです、……」
「落ち着け〳〵、何が云ひたいんかはだいたい分かつてるから。んで、沙霧はどつちだ? 佳奈枝に伝へてもいゝと思つてるんか、思つてへんか。それだけははつきりと教へてくれ」
「えと、お姉さんには出来るだけ伝へずに、……でも無理ですよね。……一応その覚悟は、出来てるつもりです。……」
「分かつた。俺が真剣に考へるか云うんは、全然はつきりと約束できへんのやけど、佳奈枝に伝へるかどうかつて云うんは、云つてもぼんやりとしか伝へないと約束しようぢやないか。事を荒げたくないんは一緒やらうし、なんかゝう上手いこと行くやうな方法を考へてから、事を運ぶことにしよか。そのあひだ不安かもしれんけど、とにかく気楽にな」
「ありがたうございます、兄さん、ほんたうにありがたうございます。……」
「いや、ほんまによく勇気を出して云つてくれたもんやで。あゝ、それでな、さうやつて勇気を出してくれた沙霧にご褒美としてな、」
と里也は一つのCD を取り出して、
「これを差し上げよう。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第二番なんて、なか〳〵見んからつい〳〵買つてしもて、俺はもう自分のパソコンに取り込んだから、後は沙霧の自由にしてやつてくれ」
「ふゝ、……」
と沙霧は可笑しさうに笑つた。
「あん?」
「兄さん、これ二枚目ですよ」
「あれま、……」
「でも、ありがたうございます。大切にします。またこの目の覚める素晴らしい作品を聞く機会が出来たゞけでも、私にとつては宝物のやうなものです」
中古の掠れのあるCD ではあつたが、沙霧はそれを大事さうに胸にしまひ込んでから、丁寧な手付きで本棚に収めた。
「そろ〳〵新しい本棚を買つてあげんとな」
と里也はどの段も端から端まで隙間の無くなつてしまつた本棚を見ながら云つた。
沙霧とはコンサートが終わつてから真つ直ぐ家に帰つたので、妻の待つマンションの一室へ戻るのには申し分のない時刻ではあつたが、里也は今すぐ佳奈枝の顔を見てはきつと沙霧との約束を破つてしまふから、一旦喫茶店に立ち寄つて、一杯のコーヒーを三十分もかけて味はつた。外に出た頃には日も暮れかゝつて、影といふ影を長く寂しく作つてはゐるけれども、今年は特に雨も風もなかつたおかげで桜の木は未(いま)だ白い小さな花びらをひら〳〵と揺らめかせてゐる。その散らうにも散れないゝぢらしい有様を見ながら、里也は電車に乗り込んで、ぼんやりと今日のコンサートで受け取つたチラシを眺めた。さう云へば沙霧と行くと毎回、私がお持ちしますよと云はれて結局取られつぱなしになるのだけど、今日は例の話の前に返してもらつたので、かうして持つて帰る羽目になつてしまつた。中はだいたい似たやうなものばかり、――千住真理子のヴァイオリンリサイタルには惹かれるものがあるが、おゝよそ誰でも知つてゐさうな曲だつたり、去年も一昨年も一昨々年も演奏されたものばかりである。里也はたうとう佳奈枝と行くことになつてしまつた六月のコンサートのチラシを見つけると、それ以外は袋の中へしまひ込み、後はうと〳〵と変はり映えのしない窓の景色を見ながら、十三で乗り過ごさないよう意識だけははつきりとさせつゝ電車に揺さぶられてゐた。
日はずいぶん長くなつたとは云へ、半日ぶりにマンションへ戻つて来たときには外はだいぶ暗くなつてをり、ぼつ〳〵と明かりが灯つて行く中、玄関を開けてみると、耳慣れた声と耳慣れぬ声がリビングの方から両方聞こえて来た。
「多佳子姉さんぢやないですか。何しに来たん」
「かはいゝ〳〵妹と弟の顔を見に来たのよ。さつきまで弟の方は居なかつたけど」
「里也さん、おかへりなさい。どうだつた、コンサートの方は?」
一瞬、沙霧の話が思ひ浮かんだが、
「思つたよりも良かつた。日本のオケもやつぱりやるもんやな。たゞ、死の島はちやつと急ぎ足なところがあつて、響かし切れてないところがあつたから、そこだけは減点かな。でも全体的にはすごく良かつた」
と何気ない体で云つた。
「うわあ、……また音楽の話してる」
と多佳子が云ふ。
「大の音楽狂が何云つてるんです。多佳子姉さんも久しぶりに行つてみたらどうです? ほら、今日はチラシを持つて帰れたんで、よければ差し上げませうか?」
「それ佳奈枝ちやんにも似たやうなことを云はれましたー」
「似たやうなことを云つちやいましたー」
と佳奈枝はひどく楽しげである。
「それで、沙霧ちやんはあの後どうだつた? 一応綺麗にしてあげたけど、どこか変だつた? やたら静かだつたからお姉さん心配で〳〵」
「緊張してたみたいだな。ホールに入ると結構喋りだしたよ」
「なんであんな綺麗な子が自信無いのかなあ、……」
「さうだ、沙霧ちやんと云へば里也くん、写真見せて」
「えゝよ。ほら、――」
里也が写真を見せると多佳子は確かに綺麗な子だねと云つて、里也と似てゐるところを挙げて行くので収拾がつかなくなりさうであつたが、その後すぐにクッキーの残骸を目ざとく見つけた里也が俺も食べたかつたのにと云ひ出すと、話題はなぜか遠く離れた伯父伯母の話となり、多佳子の友達の友達の話となり、今度は自分の家で飼つてゐる犬の自慢になつてゐた。里也は嵐のやうな二人の姉妹を前にしてすつかりへと〳〵になつてしまつて、けれども沙霧の話題がこれ以上出てこないところを見ると、ほつと息をついて話の止まらない二人を眺めるだけになつてしまつた。結局多佳子が帰つたのは、里也がこのマンションの一室に戻つてきてから三十分が過ぎた頃合ひではあつたが、あまりにも目まぐるしく話題が変はるので面白くなつて数えてみると、合計で十個もある。なるほどこれでは疲れるのも無理は無い、よくもまあこれだけ話題を切り替へて話を続けられるものだ、いや、そも〳〵よくそんなに話の種がポンポンと思ひ浮かぶものだ、聞けば多佳子はちやうどコンサートが始まつた頃に家にやつて来たと云ふ、それでこんなに話せると云ふのは一つの才能なのかしらん、それとも女性とは皆さう云ふものなのかしらん。佳奈枝が夕食を準備してゐる最中に、彼はそんな適当なことを思つてゐたのであるが、やはりそこで浮かんで来たのは沙霧の顔であつた。いつも彼女と話すのはたつた一つの話題、――基本的には音楽と、たまにそこから作曲家への思ひを馳せるためにその生まれ育つた国について、ほんたうに他の話題に飛んだりせず、じつくりと静かに話し合ふのである。尤も彼と沙霧とでは以心伝心のやうなところがあつて、何も云はなくてもお互ひのこと、したいことなぞ分かつてゐるやうなものであるのだが、同じ血を分けた者同士で、あそこまで云ひたい放題云つてゐる様を見て羨ましい気持ちが沸かなかったと云へば嘘になる。自分は兎も角として、沙霧は未だにどこか腰の引けた話し方をする。今日のラフマニノフ談義だつて、話の初めに云つた、実は最近ではさうでもないみたいです。の一言を云ふのにどれだけの勇気が必要だつたのであらう。それによく考へれば自分だつて、彼女の意見を尊重しすぎて、つい云ひたいことを押し殺してしまふ時があるのである。たゞ彼は、この日一番疲れたのが佳奈枝姉妹の相手をしてゐる時であつたことを思ふや、隣の芝生は青く見えるだけだと納得すると、今日は面倒くさいと云ふ割にはかなり手の混んだ佳奈枝の料理に素直に舌鼓を打つた。
さうかうしてゐるうちにすつかり夜も更けて来たので、夫婦は同じ寝床に入つて一言二言話した後ぼんやりしてゐたのであるが、里也が再び沙霧の話を真剣に考へ出したのはこの時が初めてゞあつた。実のことを云ふと、彼は喫茶店でコーヒーを飲んでゐるうちにすつかり落ち着いてしまつたので、以降は例の恨めしい感情と折り合ひをつけながらそれつきりになつてゐたのである。さらに実のことを云ふと、里也には未だ信じ切れないところがあるのであつた。決して沙霧を疑つてゐる訳ではないのであるが、佳奈枝が彼女をいぢめてゐたと云ふ事実を受け入れるのは、例へそれが嘘であつたとしても、今の彼には到底できさうも無かつた。それと云ふのが、彼は今の今までいぢめ加害者を許してゐないのである。ほんたうならば今直ぐにでも加害者の元へ行き、一人〳〵に証拠を突きつけた上で謝罪の言葉を沙霧に云つて聞かせたいのである。が、そんなことをして一体何になる。それはまるで、かつて学校へ殴り込みに行つた両親のやうではないか。そんなことをして誰が幸せになれると云ふのか。自分が出ていつたところで被害者の沙霧も、加害者の名も知らぬ者たちも不幸になるだけではないか。昔さうやつて両親が学校へ行つた結果、いぢめは収まらず、事を大きくしたゞけで、たゞ沙霧だけが精神的な苦痛を味はつたではないか。そんなことを思ひながらも里也は、一人でもいゝから謝罪の言葉を聞かせれば、彼女もいくらか楽になれるのではないかと云ふ気持ちがあるのであつた。佳奈枝からいぢめは小規模だと聞いてゐるから、どうせいぢめを行つた者など見つかる訳がない。どうせ可能性が無いのなら、もし運良くその一人を捕まえられゝば必ずやかつての行いを懺悔させる、さう思つて何が悪い(で、夫婦の話し合いで謝ってよとやんわり云う)。己はまだ彼女の腕に残つてゐる数々の傷跡を忘れた訳ではないだらう。――里也はそれが自分のエゴだと���りながら、決意だけはもう何年も前から持つてゐたのである。が、なぜよりによってその一人が自分の妻なのか、………
考へが堂々巡りしてゐるあひだに寝て���まつてゐたらしく、いつも通り佳奈枝に叩き起こされた里也は、いつも通り会社へと赴いて、何時も通りの日々を過ごさうとしてゐたのであるが、やはり先日の沙霧の話が時間を追ふ事に気になり初めてしまふと、いよ〳〵仕事も身を入れて取り組めなくなつてしまつた。だが仕事をするときは我を忘れられるからいゝにしても、何にも増して困つたのは家に帰つた時で、笑顔で自分を迎え入れてくれる佳奈枝を見てゐると、怒りと云つていゝのか、憤りと云つてゝのか、それとも憎しみと云つていゝのか、良くわからない気持ち悪い感情が自信の胸の内に芽生えて来るのである。いつものどかな風景を見て感じる恨みに似てゐると云へば似てはゐる。彼はまだ佳奈枝には沙霧の話を伝へる気は無かつた。彼女らが京都へ行くの��一ヶ月しかないが、しかし一ヶ月もあるのだからゆつくりと自分の気持ちを整理して、佳奈枝が沙霧をいぢめてゐたことを受け入れて、今後どうするか佳奈枝とじつくりと話し合つて、京都に向けて出来る限り波の立つてゐない航路を進みたい。恐らく結果としては沙霧との約束、――佳奈枝には極力彼女の話を伝へない、伝へたとしてもぼやかして伝へる。を破つてしまふことになるだらうけれども、それは事を大きくしないためであつて、決して彼女のことを裏切つた訳ではない。理由を話すときつと彼女は了承してくれるはずである。今は兎に角、佳奈枝に向かつてあらぬことを云はないよう時間をかけて、沙霧の言葉を噛みしめるのみであらう。
それにしてもなぜ沙霧は今になつて急にそんなことを云ひだしたのか、かつて佳奈枝と初めて顔を合はせた時にはそんな雰囲気すらおくびにも出さなかつたのに、いや、そも〳〵佳奈枝の名前を出した時にさへ、何も云はなかつたのである。いぢめられた日付まで正確に憶えてゐる彼女が、佳奈枝と云ふ名前に心当たりがなかつたとは云ひ難く、これまで黙つてきたのは単に勇気が無いからだと解してゐたが、かなり不自然に思へる。なぜかと云つて彼女はあの時、かなり砕けた調子で佳奈枝との交際そのものに恨みを募らせたのである。あれほどまでに恐怖を感じたと云ふのならば、いつもの沙霧を思ふと名前を出すだけでも怯えて話にならないはずで、況してやそんな冗談めかしく佳奈枝との交際について突つ込めはしないであらう。しかし彼女の話が嘘であるならば、あんなに情のこもつた話し方をするなぞ、それこそいつもの沙霧を見てゐる自分からすれば考へられない。結局また考へが堂々巡りして何も分からなかつたので、里也はその日は、もう難しいことは無しにして沙霧の話を受け入れるだけにしよう、と思ふだけに留めて寝てしまつた。
翌日も、翌々日も、彼は何時も通りの日々を過ごした。なんだかそは〳〵してゐる様子が佳奈枝には分かるのか、しば〳〵病気を疑はれたり、また人間関係がこじれたのではないのかと思はたりして心配されたが、努めて明るく接することにしてゐると、次第に妻からの突つ込みは無くなつて行つた。そして一週間もすれば、沙霧の話は一時の衝撃であつたのか、ずいぶん彼も落ち着いてきて、やうやく事を前進させようと云ふ気になつてきた。で、週末にいよ〳〵佳奈枝に打ち明けようとして準備ゐたのであるが、ちやうど折悪しく妻が雑貨を見に行きたい〳〵と云ひだしたので、面倒くさいことは極力先延ばしにしたい彼は、ゴールデンウィークまでにはまだ二週間ほどあることを思ふと、なんだかほつとしたやうな心地で佳奈枝について行つてしまつた。
「や、実は雑貨ぢやなくて、こゝのホットヾッグが食べたかつたゞけなんだけどね」
とマスタードをふんだんにかけたホットヾッグを頬張つて、しきりに頷いてをられる。
「それ気持ち悪くならへんの?」
「や、実はこんなにかけるつもりぢやなくて、間違うてしまうて、めつちや辛(から)くて辛(つら)くて、……でも里也さんもそれケチャップかけすぎでしょ、また血圧高すぎつて怒られるわよ」
「このくらゐのケチャップがえゝねん」
彼らの側にはこの日買つた余計な小物たちが袋の中でガチャ〳〵と音を立てゝゐた。里也はその日、実は帰つてから話し合はうかと云ふ気が無いでもなかつたが、久しぶりに外食もしたいと云ふ妻の機嫌を損ねるのも後々面倒だと思つて先延ばしにし、次の日は次の日で、昨日買つた物たちを飾るついでに部屋の模様替えもしたいと意気込む妻の勢ひに一日中飲み込まれてしまつた。
「このぬいぐるみはどうするの」
「それは沙霧にあげようと思つて」
「メルヘン度がさらに増すわね。……」
でも可愛いから沙霧ちやんに持つて行くまで飾つておきましよ、と佳奈枝がクマのぬいぐるみを寝室の片隅に飾つて、その日は終はつた。
明くる日、少々帰りが遅くなつた里也は駅で意外な人物に呼びかけられて、その場ですつかり話し込んでゐた。その人物とは多佳子であつたけれども、今日は何とか云ふ派手な集まりの帰りであるらしく、四つも五つも若く見える装ひをしてゐるものだから、里也は最初、佳奈枝が前から歩いて来てゐるやうな面持ちを抱いて(japanese? )妙にあたふたしてしまつた。
「お子さんは変はりなく元気ですか」
「もう元気すぎて大変なくらゐね。あ、でも今日は塾の日だから、たぶん嫌な顔してる」
「はゝゝゝ、子供つてさう云ふところありますよね」
「まつたく、いつたいどうやつたら佳奈枝ちやんとか里也くんみたいに頭良くなれるのやら」
「云うて僕そんなに頭良くありませんよ」
「たぶんさう云ふところね。もう少し謙虚と云ふものを知つて欲しいわ(最後、子供を登場させた時に忘れない)。――さうだ、」
と多佳子は一転嬉しさうな声で、
「謙虚と云へば、今度佳奈枝と沙霧ちやんが京都に行くんですつて?」
「えゝ、さうなんですよ。佳奈枝が云ふ事を聞かなくて、……」
「あの子も相変はらずね。それにしても私も楽しみで仕方ないわ、何だつてあの沙霧ちやんを見られるんだもの」
「え? どういふことです?」
と里也はついひようきんな声を出してしまつた。
「あれ? 聞いてないの? 私、佳奈枝ちやんから京都に行くのに誘われたんだけど、やつぱダメだつた?」
「あ、いや、姉さんが来たいと云ふなら、ぜひさうして欲しいんですが、……」
「なんか歯切れ悪いわね。どこか引つかゝるところがあつたりする?」
「大丈夫です、大丈夫です。本人も昔多佳子姉さんに会つてみたいつて云つてましたから、たぶん大丈夫です」
「それ絶対大丈夫ぢやないでせう。佳奈枝にも云つたけど、私は別にどつちでもいゝからね? 本人が無理つて云うんだつたら、会へなくてもいゝからね?」
「いゝんです。ぜひ来てください」
その後も来ても良い、行かなくても良いの応酬が続いたが、むしろ佳奈枝の暴走を止める役になつてもらへると嬉しいと里也が云ふと、多佳子もそれに納得した形で袂を分かつことになつた。
その帰り、里也は少々急ぎ足で自宅なつてゐるマンションまでの道を歩きながら、多佳子が京都への旅に来てくれることに対して内心喜びを抱いてゐた。先程の、多佳子に佳奈枝の暴走を止める役になつてもらひたいと云ふのは、本心から出た言葉であつた。佳奈枝が沙霧を引きずり回してゐるあひだ、彼はどこかへ追ひやられてしまふ。彼がついて行けないと云ふのなら、クッションとして誰か妻が許可してくれさうな人、――それも沙霧と相性が良くて、佳奈枝に強いことを云へて、なほかつ後で様子を聞けるよう里也もよく知つてゐる、そんな人に代はりに行つてもらひたい。だが二人に接点のある人物と云へば、大学時代一緒だつたサークル仲間くらゐしかゐないし、彼らも就職だとか何だかで大阪から出て行つてしまつたから、わざ〳〵呼び寄せるのも悪いし、そも〳〵そんな微妙な距離感の連中と沙霧を引き合はせる訳にはいかない。誰か良さゝうな人は居ないかしらん。と、彼は今の今まで多佳子と云ふ上記の条件にぴつたり合ふ人物をうつかり忘れてゐたのであるが、よく考へれば自分と同じくらゐ多佳子は沙霧に良い影響を与へさうな気がするのである。同性だからと云ふ点もあり、なんだか長男長女同士で同じ匂ひがすることもあり、それに佳奈枝とは姿形こそ似てゐるものゝどこか自分たち兄妹が好きさうな雰囲気を身にまとつてもゐる(多佳子の性格を少しだけ沙霧寄りにする)。だから安心して沙霧を預けられる、とまでは行かないものゝ、沙霧の新たな刺激としてはまず〳〵と云つたところであらう。彼女なら上手くやつてくれると信じたい。
もちろん里也は、この時さう云ふ楽観的な考へのみを抱いてゐた訳ではなかつた。喜びは彼が感じた感情のうちの一欠片でしかなく、胸の内を埋めいたのは勝手なことをした佳奈枝に対する怒りと、沙霧に対しての申し訳無い気持ちであつた。特に後者の感情は強すぎるほどで、彼の頭の中には恰も映画に出てくる幽霊のやうな憎悪に満ちた沙霧の顔が浮かんでをり、ぬるい風がゆらりと通りすぎる度に彼は身を震わせてゐた。沙霧のことだからそんな顔は決して見せないとは思ふけれども、しかし、多佳子が京都に行く時について行くと伝へると、必ずや嫌な顔は見せてくるはずである。何せさつきの会話で多佳子の件についてお墨付きを与へてしまつたのだから、その感情は彼女の心の内側へは行かず、自分に向けてくるであらう。
里也は一刻も早く佳奈枝に件のいぢめの話を云つて、沙霧に件の京都の話を云はなければならない気持ちに駆られた。が、駆られたゞけでどう切り出さうかと思つてゐるうちに日が変はつてしまつてゐた。いつもぐだ〳〵と簡単なことを先延ばしにして、結果、ハードルを高くしてしまふのは彼自信もよく理解してゐることではあるが、思つたよりも沙霧を���つけたといふ事実が彼を臆病にさせてゐるらしく、どうしても最初の一言が云へないのである。と云つてもまだ妻に確認を取つてゐないから、件の件が事実だと分かつてゐる訳ではない。もし事実であつたとしても、佳奈枝には大して感じるものがないとは分かつてゐる。が、それでも云ひ出せないのだ。結局里也はその週の平日を、丸ごと悶々としながら過ごすしかなかつた。
佳奈枝は夫の行動のおかしさにはとつくの昔に気がついてゐたが、以前、かう云ふ時は自分から云ひ出すまでそつとしておいてほしいと云はれてゐたので、ちよく〳〵心配した声はかけてゐたものゝ、夫が普段どおりの生活を送れるよう、何事も無いやうな態度を取つてゐた。たゞこの一週間くらゐはその落ち着きの無さに磨きがかゝつて、何を云つても上の空だし、滑稽なまでにこちらをチラ〳〵見てはさつと目を逸らされてしまふし、黙つて待つてゐるのもさすがに限界と云ふものがある。���の様子が変はり初めたのは多佳子が来た時、つまり彼が沙霧とコンサートに行つた時だから、彼女絡みで何か悩んでゐるのであらう。あの男は自分の妹のことになると、異様に過保護になつて隠し事の「か」の字も無くなるほどに動揺してしまふのである。当然これまでにもかう云ふのは幾度となく起きてきたのだから、むしろ沙霧以外に何が原因となつてゐると云ふのか。明日は趣味で所属してゐるアマチュアオケの練習があるから今日はその練習をしておきたい佳奈枝は、さつきまで防音室で気持ちよくトランペットを吹き回してゐたのであるが、休憩ついでにソファに寝転がつてゐた夫に話しかけると、彼はのそりと起きて、差し出された緑茶を一口飲んで、それから何をするわけでもなくずり〳〵とソファからずり落ちて行つてしまつた。背中側でシャツが引つ張られて露わになつたお腹をポン! と叩くと、彼は何するねんと云つて、お返しにこちらのお腹を突いて来たのだが、それが妙な力加減で脇腹に触れてくるものだから、実にくすぐつたい。彼女はそのやらしい手を取つて、せつかく楽器も取り出してゐるとこだしたまには悪くないだらうと思つて、この暇さうに休日をを過ごしてゐる夫に、
「ねえ、久しぶりにトロンボーン吹いてみない?」
と声をかけてみた。
「はあ、……つまりは練習に付き合えと?」
と里也は言葉こそ冷たいが、ニヤリと笑つて云つた。
「うん。さすが里也さん、分かつてるぢやない。ニールセンのよく分かんない序曲にファーストヽロンボーンとユニゾンするところがあるのよ。ほら、昔を思ひ出して、あの湖岸で一緒に好き放題楽器を吹き鳴らした思ひ出に浸らうよ、ねえ、ほら、ほら」
「嫌や、あそこのことはもう思ひだしたくない」
とは云ひながら、佳奈枝の予想に反して里也は、仕方ない、たまには触つてあげないと楽器も痛むしな、と云つて立ち上がると、寝室でインテリアと化してゐたトロンボーンを持つて来て、丁寧にグリスを塗り直し初めた。彼の楽器の手入れは意外と細かく、ほんたうに薄く均一にグリスを塗つていくから、佳奈枝もたまに頼むことがあるのであるが、がさつな時はとことんがさつで、昔は半年に一回程度、突然マウスピースからペットボトル一本分の水を入れたと思つたら、今度は思ひつきり空気を吹き込むので、一体何をしてゐるのかと聞けば、楽器の手入れだよ、昔からやつてきたんだ、楽しいから佳奈枝さんもやつてみたらどう、と云ふのである。確かに金管楽器は水に強く、楽器をお湯につけて汚れを浮かしたりすることはあるけれども、さすがに中に入れた水を思ひつきり追ひ出すのは負担が大きすぎる。金管楽器と云へどもそれはさすがに痛むからやめなさいと、よく叱つたものであつたが、彼は、いや、クリスチャン・リンドベルイは楽器を海に沈めて泳いでゐたから、このくらゐでは壊れないと云つて聞かないのである。だが彼は同時に、楽器にとつて最高の楽器の手入れとは毎日使つてあげることだ、と云つて、ほんたうにどんなに忙しい日でも練習場へ赴いて音出しをしてゐたから、限度を超えて楽器を粗末に扱はないとは知つてゐる。今の彼はその最高の手入れとやらをやつてゐないけれども、かうしてそのぷに〳〵とした指の肉を使つて、馬鹿丁寧にグリスを塗る様子を見るに、彼の楽器を大切に思ふ気持ちは今でも変はつてゐないのであらう。
彼らの所属してゐたサークルでは、毎年春と秋の二回、琵琶湖の沿岸にある非常に安価な(点々)宿泊施設で合宿が行はれてをり、ゴキブリの這ふやうな嫌な思ひ出しか持ち合はせてゐない里也は、ゴールデンウィークとシルバーウィークが近づくに従つて、その思ひ出をこれ見よがしに語る佳奈枝に渋い顔を向けるのであつたが、かうして二人で楽器を持ちながら肩を寄せ合ふのはほとんどその時以来で、なんだか妙に懐かしい気味合ひである。里也はスライドの滑り具合を確かめながら、まだポジションの感覚が残つてゐることにほつとするや、すぐさま姿勢を正して、昔のやうにそつと息を吹き込む。この時だけは誰の邪魔も入れてはならない。ロングトーンだつて一つの曲なのだから出来るだけ伸びやかに、特にトロンボーンは神の楽器なのだから、自分は今プロテスタントのおごそかな教会に居て、賛美歌の伴奏をしてゐる心地でなくてはならない。――気持ちだけは当時と変はらなかつたが、出てくる音は及第点にも及ばない、汚く、芯の通つてゐない、薄つぺらで軽い音であつた。だが今はそれよりも、すぐ隣に居る佳奈枝の視線が気になつて仕方がなかつた。
「やつぱ二人だと狭いな。と、いふかトロンボーンがでかいだけだわ。俺もトランペット初めようかな、それともバストランペットとか、テナーチューバでも買はうかな」
「B 管のトランペットなら貸すよ?」
「あ、なんか今めつちゃバストランペットやりたくなつてきた。Schagerl のつて、いくらぐらゐなんだらうか。……」
「バストランペットは知らないなあ。百万くらゐ? か、もう少しするかも。……私のでそのくらゐしたから、たぶんもつとかゝると思ふ」
「なるほど〳〵、無理〳〵。諦めた。いや、いけなくはないとは思ふけど、そこまで金を出す情熱はもう無い。……で、楽譜ある? スコアでもいゝけど」
「さつき印刷してきた。譜面台、一つだけしか無いから、我慢してね」
音出しのあひだ、静かにその様子を眺めてゐた佳奈枝が足元に置いてゐた楽譜を譜面台にかけると、
「なんでこんなマニアックな曲を選んだんやねん」
と里也はこれから練習する曲の方に文句を云つた。
それから一時間程度、彼らはカール・ニールセンのフェロー諸島への幻想旅行と云ふ曲を、昔のやうにあゝだかうだ云ひながら練習した。この曲は題名とは裏腹に、幻想的な旅の様子と云ふよりも式典で演奏される様相を呈してゐるのであるが、それでもところ〴〵神秘的な響きがあつて、里也はかなり気に入つてよく聞いた。フェロー諸島と云ふのはアイスランドとノルウェーのあひだにあるまことに美しいデンマークの自治領で、とある雑誌では世界で一番訪れたい島に選ばれたと云ふ。同じく時の作曲家に音楽の題材にされたヘブリディーズ諸島は、写真を見る限りでは緑が少なく殺風景な印象を受けるのであるが、こちらはまさにお伽噺、それも指輪物語のやうな風景が広がつてをり、もしホビットがこの世に居るのならばかう云ふところに住むであらう。ニールセンの曲はさう云ふことを思ひ浮かべながら演奏するとたいへんに気持ちがいゝ。名曲とは云へないかもしれないけれども、演奏会の始まりを意図するのならこれほどまでにぴつたりな曲は無い。
「あゝ、やつぱりダメだなもう。全然上手く吹けないわ」
と、里也は楽器を地につけてすつかり項垂れてしまつた。それは久しぶりに楽器を持つたことによる疲労もあつたが、一番には自分の実力が不足してゐることに落胆したからであつた。
「そんなことないわよ。ちやんと音程も合つてたし、抑揚もついてたし、私は満足よ?」
「いやもう、佳奈枝さんの音についていけてない。と、云ふより圧倒されて、ホールでやつたら俺の音なんて聞こえてこないやろな。もうダメやわ。……」
「ちやつと、……そんなこと云はないでよ。数年間のブランクがあるにしては、かなり上手かつたから、ほら、今度のゴールデンウィークにもまたしましよ? ね?」
と優しく声をかけられて、里也はふと沙霧のことが思ひ浮かんだ。たぶん沙霧はいつもこんな気持なのだらう、そして、例の話を云ひ出す直前には、今の自分のやうに悶々と気持ちを燻らせてゐたのであらう。さう思ふと里也は、一体それで彼女の保護者が務まるのかと自分を激して、口を開いた。
「佳奈枝、一つ話があるんだが、今いゝか?」
「えゝ、いゝわよ。でもゝう少しだけ練習に付き合つてくださる? まだ吹き足りないのよ」
と、云ふ彼女の声を聞いてから、里也は少しだけだからなと云つて、楽器に再び息を吹き込み初めた。
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「なんで私が東大に!?」にツッコんだらまさかの事態に発展
先日、もにゃゐずみさんが投稿したこんなツイートが話題になりました。
お前が頑張ったからだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/v5G1rY5ilE
— もにゃゐずみ 書家 (@Monyaizumi) May 5, 2019
こちらは駅などでよく見かける学習塾・四谷学院の広告。「なんで私が東大に!?」という印象的なキャッチフレーズは、みなさん見覚えがあるのではないでしょうか?
その広告に対し「お前が頑張ったからだよ!!」と、1周回って鋭いツッコミ(笑)。どうしてこんな当たり前のツッコミをこれまで誰もしてこなかったのでしょうか…。
こちらのツイートはものすごい勢いで拡散され、ついにある人物の元に届きます。その人物とは…
お前に言われなくてもわかってるよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! https://t.…
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片岡貢司「太平洋のムー大陸」(『公論』昭和17年5月号所収)によれば、 この象形文字について傾日私は幸田露伴博士から興味深い御教示を得た。漢字の『無』の字は、未だに定説がない。どういふわけでかうした形が出来たかはつきりしないが、この埃及象形文字[チャーチワードによれば、ムー大陸の滅亡を物語るとされる埃及の複合的象形文字のこと]とよく似てゐるやうに思はれぬでもない。然もムーが『存在しない』といふ意味から云つても、またその字音から云つても『些か面白いな』と云はれた。むろん座談的にこの話に肩を持たれたものと思ふけれども、私には甚だ興味が深かつた。序でながら、ムー国を表はす記号が正方形であるのは、正方形によつて一定地域を表はし、地域には東西南北の四方位の概念を必然的に伴つたからで、これは漢字の国の字が、元来囗であつたと同断であつたことも、露伴博士から御教示を受けた。 露伴って、確か、荒俣宏の『帝都物語』にも登場していたから、多少トンデモない人かなとは、思っていたが、ムー大陸と関係していたとは、驚き。大塚英志先生もこれにはビックリ!? この15ページにもわたり、チャーチワードのムー大陸説を紹介した片岡なる人物の正体は不明。同じ昭和17年5月には、やはりムー大陸説を詳細に論じた仲小路彰の『上代太平洋圏』(世界興廃大戦史 東洋戦史第24巻。昭和17年5月30日、戦争文化研究所発行・世界創造社発売)が刊行されているが、クラブシュメールやスメラ学塾のグループの中には片岡の名前は見出せない。
「鴎外のトンデモ、露伴の非科学(その5)」(「神保町系オタオタ日記」2006-06-15)
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20171130
私家版坂口恭平考
「みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ」宮沢賢治「雲の信号」
一年は早い。去年の11月に八ヶ岳のtraxで坂口恭平氏の個展を見ていつかその時の事を書こうと思いながらもあれよという間に一年が経ってしまった。
この個展には震災の一年前ぐらいから個人的に私淑してきた坂口恭平という作家が、私の脳内で開いている私塾の「卒業式」なのだと勝手に見立てて臨んだ。六年もの間一度も会う事の無かった師匠が自分の中で何らかの準備ができたときにたまたま自宅から目と鼻の先の街まで熊本から個展をしに現れるというのだからタイミングを司どる神様は恐らく存在する。
八ヶ岳の冷たい空気、夕日、初めて食べた柿のレモン煮。畑道で振り返って見た窓から洩れる光、腹が背中に張り付きそうなくらいの孤独を感じた帰り道を今でも鮮明に思い出す。その日は風が強くて坂口恭平は「今日は風の又三郎が来ている」と真顔で言っていたが不思議とそんな氣がする青い月夜だった。
帰り際に私の買った氏の著作「現実宿り」の表紙にペンでサインとグニャグニャのドローイングを描きながら「文法が正しいとか『てにをは』とか関係ない。あーっとかうぅーっとか、ぐわーっとか振る舞いがあればいいの。伝わりゃいい。そんなもんなんだよ。」と独り言のように仰った後、「音楽なの。わかるでしょ?」と顔を上げ私の目を見ながら問いかけられたときには、身体がクリスタルボーイみたいに透明になりケツの穴から魂まで全て見透かされている氣がして恐ろしかった。
氏は私が見る限りにおいて完全に躁転されておられたが、セントエルモの火状態で体中から発光するかのように放出される強烈なエネルギーとは裏腹に絶望を湛えたその目の奥は虚空のように暗かった。この現実には、少なくともこの空間には誰も彼の理想とするような明治期の怪物のような人間は私を含めて誰一人として存在しておらず、南方熊楠も孫文も宮武外骨も空海も最澄もデュシャンもピカビアもヘンリーデイヴィッドソローも存在しない現実に対して、飽き飽きしているというよりもどこか寂しそうに私には見えた。弾き語りも最終的には四次元を描写するような一人演劇状態へと突入し彼の言うところのエクスタシス(外に立つことの意、エクスタシーの語源)状態となり、最後自分の演じた幾人もの死者や見えない存在の出演者紹介をしていた。
彼の立つ側に見るものは誰一人として立つことは無く、その孤立無援の唄に聴き入るか大袈裟に笑うか苦笑いを浮かべるか面食らうだけだった。異常や狂氣とは何か、一体どちら側のことを言っているのか。この正常性バイアスでできた移動式独居房の中の囚人の私だろうか?
いつかのニュースで見たテレビ画面の向こうからこちらを指差す原発作業員のように「おいそこのお前。適当に笑って誤摩化してるお前、お前のことだよ」と言われ続けているような氣がして始終背中に冷たいものが走っていた。10年ぐらい前に銀杏BOYSのライブで峯田和伸がMCの最中に何度もマイクで思いっきり自分の頭を叩き付ける度に「ゴッ、ゴッ、ゴッ」というエコーとハウリングノイズの混じった音が沈黙するライブ会場に鳴り響く様を呆然と突っ立って眺めていた時の無力感を思い出していた。
坂口恭平はその日の夜、光のトンネルの中に消え行くかのような写真をツイッターにアップした後アカウントを消してしまった(後に再開した)が始めから私に取っては決別の日だと思っていたので「好雪片々として、別所に落ちず」何も不思議とは思わなかった。
「何か」とこの「手」とをつなぐ創造性のパイプか水路のようなものがあるとすれば、エゴが自己と同一化ししがみつくために寄せ集めたありとあらゆるものがヘドロのように堆積しもう何年もその創造性のパイプを詰まらせて腐臭を放っていた。これを一度通すためのキックになるような体験だったと今は解釈している。このまどろっこしい文章もまたパイプから出てきたヘドロなのだろう。ふと思ったがテレ東の『池の水全部抜く』という番組が当たっているというのもこの心の浄化の働きと何か関係がある氣がしている。
絵の周りを何年もウロウロし続けてきたにも関わらず人の絵を買った事が無いということはラーメンを食べたことのない人間がラーメン屋をやるぐらいおかしなことかもしれないと思いその時初めて人のドローイングを買った。私にとって決して安くはなかったがそんなことどうでもよかったのだ(と言いつつ値切って少し安くしてもらった)。ヘルシンキのホテルの備え付けの紙にコンテや水彩で描かれたA6サイズのモノクロのドローイングのシリーズで私が買ったのは顔の絵だったが、その絵だけは淡い青色が入っていた。
その顔の絵は今も机の前方の壁から私を見下ろして、あの時の坂口恭平そのままの眼差しで私に問いかける。訪れるも���のいない部屋で石油ファンヒーターの排気と蜜柑の匂いと一緒に「月のうた」を聴いている。窓の外には1983年や2008年とおんなじ冬がやってきて、あったかも知れないいくつもの子供時代が立ち上がりそれを思い出している。坂口恭平は湧き水そのものであるが、私は未だ渇きを抱え、空のタンクを持ってどこかの水を汲みに行く者でしかない。
合氣道の本を読んでいたら「氣」という旧字体の「��」部分はエネルギーが八方に広がる様を表しているが、逆に新字体の「気」の「メ」の部分がエネルギーを閉じることを表していて全く意味が逆なのだみたいなことが書かれており、阿呆くさと思っていたのだが段々氣になり始めてしまいこの有り様でございます。私にとって文字を文字たらしめているのはその呪術性にあるのかもしれない。それかただの強迫観念。
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