moon--of
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「海に行こう」
キミがそう言ったら、曖昧な相槌をひとつ。
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いつかの煌きは夕日が落ちるように果てに融けた。
ラムネの瓶底に潜む淡いゆらめきは、いつまで経っても燻ったまま消えやしない。
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あれからもう何年もすぎたね。瞬く間にわたしも老いた。
キミはどう?どこかで生きづいているかな?わたしのことは、もうどうでもいいかな。
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いつか逢ったら話をしたいよ。
なんてことない、今の話を。
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夏が好きだと言ったあの子が両手いっぱいに抱えるのは、ひまわり色の色鉛筆。「本日は猛暑になるでしょう。」無機質にそう言ったアナウンサーはピンクのシャツから肌をのぞかせて、テレビの前のボクは焼けた畳の上から太陽を仰ぎ見る。
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静まりかけた陽の光が、花咲く季節を照らしている。
白い外壁も黒い道路も、全てが柔らかく溶けていって。
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仰ぐ先に照らされた金色の雲が茜から紺へと
ゆっくりと流れていて、輝いていたんだ。
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聴こえて来る都会の喧騒も掻き消えた不思議な空間でも、はらりと落とす涙さえ、愛しく思えた光のある日々。
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潮騒が聞こえる。新しさを呼び寄せる彼方からの叫び。
砂に染みるは塩辛い水。微睡みを起こすまでの儚い時。
縦に伸びる青い境界線を指で時折なぞりながら、かかる飛沫に身を浸して、優しく揺れる波に触れ。一体になれるよう目を閉じて、瞼裏に攫われる絵を見る。
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そこには辿り着けなくても、深い色に包まれるのなら。かかる飛沫に身を浸して、やがて離れる波に触れ、乾く砂と心を揺らす。
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揺らして吹いた風。深い森、数えてた夜。
カサカサ鳴る枯葉の響きが足音かもしれないと。
離れた手の平は二度と触れない。そんな��分かっているのに。綺麗な青に手を伸ばす��はらはら落ちる紅葉は錦。
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また君が訪れた時に優しく肩に振りかかれるよう、黄色の貴女に触れてみる。くるくる舞う言の葉のように。
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高く見えた空。暑い雲、凍えてた朝。ポツポツ当たる冷たい滴が涙にすら見えなくて。
引き合う事で奪われた穴ぼこが胸に並ぶから、心が溢れて行かぬよう、今日に沈めて眠りたい。
触れたその先も二度と分からない。そんな事分かっていたのに。汚れた傘をなぞってる、しとしと降る雨粒の軌跡。
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”こんな雨の中、傘もささずに歩く“
そんな不恰好なことでも、意味はあるものなのです。
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ほら、傘を投げ捨ててごらんなさい。
“濡れるのが嫌だから“なんて理由で閉ざされていた空があなたの眼前に広がるでしょう。
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『でも、雨が降っているのだから空は曇ってしまっているよ?それにこんな都会じゃ、元より空は狭いんだ』
「いいえ、人は遥か上を眺めて青い所を空だと言う。けれど、雨の落ちてくる様をごらんなさい。彼等は地に落ちるまで、どこかの境界線を空だと認識しながら落ちてくるかしら?それがビルに阻まれていようと、雲がかかっていようと、私たちが顔を上げればそこは空には違いないでしょう」
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「ほら、皆一様にして私たちのところへ落ちてくる。彼らと都会の光が相まって、こんなにも綺麗に乱反射している」
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『これを空と呼ばず、何と呼ぶのかしら』
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