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誕生日がやってきた。
誕生日は私がお迎えするよりもいつの間にかやって来るようなものです。
あれよあれよと眩しい日々を過ごすあいだに、いつのまにか目の前までやってきて、私の周りを星の子のように駆け巡ったと思ったら、ほなまたね。
この日が手の中におさまることなく飛び出していくように、私たちの中にそっと止まってくれる日々は滅多にありません。
(みんな楽しそう)
叶えたいものの中で日々が過ぎ去って行く。
しがみつくのはみっともないと言われてもそれでもこの過ぎ去る日々を大事にするには必死で眼をみはり生きるしかないと思います。
わたしは人がとっても好きです、好きにはもっとたくさんの感情が含まれていていいと思う。わたしの好きの一番広義なものは、幸せでありますようにです。それは私の全く知らないところでもよくて、毎日の生活を全く知らずともよい、けれどどうぞ健やかに生きていてほしい。
もう少し近くなると
その日常に触れていたいにかわります。わがままなので。
困ったことがあれば何かできればと思うし、頼ってもらえる位置にいたい。嬉しいことがあれば聞いてほしいし、こんないい夜は滅多にないと思えば共に過ごしたい。
そう考えると私の好きは大事にちかいです。(綺麗な部分だけをみれば。��際のところはこれに執着と期待が入ります。)
ほかの人には他の人なりの好きがある。自分にとって手の届く範囲だけである人も、届かぬからこそである人も、対象だって濃度も密度も寄せる感情自体も、数えきれない差があって、わたしはいつもこんなに違うのかと驚いてしまう。
本当にもっと色んな好きが認められる世の中になってほしいと切に思います。
(自由に漕ぎ出すアヒルのボート)
誕生日の話に戻りますが、年齢を重ねても何か変わった心もちは何もなくてむしろわたしの気持ちは高校生の頃の、秋真っ盛りで木の葉だらけの渡り廊下やもっと小さな頃の明るい時間に学校から帰った道に取り残されてしまっている気がします。
でも大人にならずとも、生きているうちは何処かに向かって行きてゆきたいと思うので目標をあげていこうと思います。
ひとつ 世界を進めていきたい
これは私の人生目標です。漠然としていてまだ成就の気配はありませんがわたしが生きたことでなにか世界が動いたと思える人生でありたいです。
ふたつ プロポーズ
今年は、といいますか、今月、恋人にプロポーズしようと思います。
上に書いたことに少し繋がりますが、わたしはいわゆる性別でいう女で、異性の恋人がいます。
恋人とはずいぶん前に知り合い、お付き合いをはじめ、こんなやつけちょんけちょんにしてやるというような喧嘩をしたり、ひとつのアイスをふたりで齧ったりしながら過ごしてきました。
(これはほとんど��人で食べた)
この人のすぐ隣で生きてゆこうと思ったとき
(勝手な確信で恋人もそう思っているだろうと仮定した時)
一般的にプロポーズされる側であるわたしはその時を待つのか?という疑問にぶつかりました。
そもそもとして結婚したり籍をいれたりすることはまず必要なのか(選べる自由があることは有難いと思いますが)、するとしたら、それは二人の関係の何を変えて、何を約束するのか?そしてわたしも相手と同じように自分の意思でこの人と過ごしてゆこうと決めたのに、わたしは相手が今だと決めてプロポーズする日を今か今かとしながら待つ側だと誰が一体決めたんだ?
と誰にというわけでもなく何故か怒りの気持ちをかかえながら、数ヶ月考えました。
別にどっちからしたっていいよね。
書類上の関係を結ぶかどうかはひとまず未定にしました。私はいくつかの事情で今すぐそうなるには至らないかもしれないとも思いますが、いくつかの理由で婚姻関係を結ぶことには利点があるとも思います。ここは恋人と相談してから納得いくところにしようと。
なにはともあれ貴方の幸せや喜びや悲しみをこれからの長い間近くで分け合う人でありたいと伝えようと思います。それがわたしのプロポーズで、その思いに男女もなにも決まりはないのだから。
(身を隠すことを知らない猫)
そんな訳でタイミングを見計らい今月、いよいよその時が迫ってきています。プロポーズをする側になって良かったなと思うのは、自分のことに自分で決定権があること、相手のサプライズに驚けるか心配しなくていいこと、恋人がどんな顔をするだろうとわくわくすること。
世の中はぼおっと過ごしていると、すぐにもっと自由にしていいんだということをついつい忘れてしまいますが、割と自由です。それにもっともっと自由になれると思います。諦めない限り。
にょきにょき、ぐんぐん
自由に伸びていきたいです。
そして、みっつ 沢山絵を描こう
絵を描くことを始めました、初めてみて、そういえば昔から絵を描いていたなと思いました。何処かの日や何かの言葉がきっかけでぷつりとやめてしまっていたけれど、もう一度、今までにないくらい大きな気持ちで沢山描いていこうと思います。
絵を描く中でやりたいこと
・ポストカードをつくる
・植物園(秋の動物園でもいい)にいって友人と一緒に絵を描く(ことをしてくれる友人を見つける)
・毎日描く
・絵の具を持って海に行って絵を描く
(幼い頃の落書きからもう一度はじめよう)
ひと一人分の人生が長くなって、内側を表現するものが必要になってくるとわたしは考えています。
最低限の衣食住を得て生きたり、毎日を過ごしたりすることは物理上どんどん容易になってゆきます。
空白、空洞を認知する時間がおのずと長くなり外部からの情報を楽しみに生きるだけではあまりにわたし(達)の寿命は長くて、絵を描くことがまずは自分のバランスをとるように思いました。
もしかするとそれは絵を描くことではなくて、空想することや手を動かすことや、もっと他のことにあるかもしれないけれど
ひとまずはこの道で進んでみます。
絵を描くと、たまに全然楽しくないなと思うときがあります。そういう時は、5秒ぐらい止まって描きたいことだけをやりたいことだけをしていいんだったと思い出してびっくりします。
一体いつの間にやりたくないことをする癖がついてしまったのか、わたしにとって絵が愛おしくて描きたいと思ったものだけがわらわらと集まった場所になればいいなと思います。
これから
大きなカバンをもって好きな人たちと一緒に絵を描いたり、喋ったり、バレーをしたり、夕焼けを見たり、お酒を飲んだり、動物を眺めたり、眠ったり、冷たい空気の中に共に息をはいたり、手を繋いだり、泣いたり、本を読んだり、アイスを食べたり、湖に行きたいねと話したり、そして湖に行ったり、泳いだり、果物を手を濡らしながら食べたり、朝の短さにも夜の短さにも、夏の熱気と心細さにも、沢山のことに胸をはくはくさせて生きてゆきたいです。えんじょい!
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夏至のころの
微かに吹く風が優しい夜には
愛する人達とこの夜を泳いでまわりたい
そういう日は何処かの家の夕食の匂いが必ずする
けれどそういう日はきまって
あまりに穏やかで音も少なくて猫なんかが草むらを分けて歩いていて
これより完全な夜はないだろうと思うので
けれどこのまま一人で知らない街に
行かなければいけないんではなかったかと何故か思う
完璧なまま知らないところに消えて
一人にならなければ
いけないんではなかったかと
きまっておもう
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一番簡単な絵の教科書みたいなものはないだろうかと探したら、海外の9歳前後の子供向けと書かれた本のkindle版が売っていた。
レビューに孫に買いましたが、あげたその日のうちに自分用にもう一つ注文してましたという内容(たぶん)のレビューがあっていいなと思って買ってしまった。
誰でもケーキやアイスクリームが描けるようになるらしい。
丸を描くのは難しいよ。
今までiPadで描くときはGoodnoteのペンとマーカーで書いていたけどそろそろお絵描きアプリで描いてみたいなと、ひとまず無料のアプリを入れてみた。
今のところ充分に楽しい。 ひとまず、いちばん愛用の香水を敬意を込めて。
水彩もやってみたいなと挑戦と挫折。 マーメイドラグーンのような色合いになってしまった。
右上の貝殻と左のガラスビンがお気に入り。
春の海に貝殻を拾いにいくこと以上に海で楽しいことはない、むかし10kmほど先にある海に友人と歩いて行ってお昼ごはんを食べて帰ってきた。ほんとうは今もそんなふうにして毎日過ごしていたい。
貝殻は悔しかったので練習する。
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タリーズで食べたチュロス、既製品のいちご味が食べたくなることある。(メロンもある)影がうまくかけたような気がする。
ホットコーヒーはスタバよりもタリーズの方が美味しいという話をスタバで働いていた友人にしたら、スタバは毎日豆が違うので味が安定しないし好みも分かれると教えてくれた。冬の仕事終わりに飲むタリーズのホットコーヒーは最高だよ。
足特訓中
みんなこんな綺麗な指してるのかと思いながら、絵に上手く描けなくて悶々としていた。
私の手のゆびはわりとしわしわで実はそこを気に入っている、だから描いた指も皺皺なのかもしれない。
ソッカの美術解剖の本を読みながら少しずつ描く。
踊っている人の身体って美しいね、どこか知らない遠い街でバレエを習ってみたい。バレエを習うのは海の近くの街だと何故か決まっている。
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昔の日記
土砂ぶりの雨の中、制服を着た子が自転車を走らせていた
彼、泣いていた
大雨の中でもそれははっきりとわかった
雨に紛れて泣くというのは時代遅れだ
今や私たちはすぐそこの均一商店で百十円を払えば とりあえず家に帰るまでを凌ぐ程度の傘を得る
涙をこぼすほど悲しいことがあるのに さらに家に帰ってからびしょ濡れの靴下や服を脱いだり、洗面所にたどり着くまでに濡れた廊下を拭いたり、カバンの中の大切な手紙や本がびしょ濡れになったり、そういうことに追い込まれるのが必要だとは思えない
泣くのにいいのは 電車やひと気の多いカフェだと私は思う(例えば、ミスタードーナツ)
泣くのにあまりに不釣り合いな場所で涙が溢れはじめると流石にここでボロボロ泣くわけにはいかないとぼやけた視界の中で考える
そうしてどうにかこうにか
上澄みの心を見つめて、隣の席の子供の泣き声がとんでもないななどと考えているうちにさっきまでの悲しみがなんだか遠い世界に移動している
悲しむことと悲しみを見つめることは違う
適正に悲しむことは回復していく過程で必要だけれど、覗き込むべきでないその底を見つめる必要はない(死に思いを馳せたりとかそういうこと)
そして今に戻って
この日記を書いた日のことをよく覚えている。(大きな窓のあるミスタードーナツで書いたんだ。そこには後輩が働いていて私と友人とで勉強していると自分の休憩用のドーナツを食べ飽きているからと分けてくれた、でもレジで対応してくれる時はなんだか気まずそうだった。)
その日泣いていたわけでなかったと思うけど、確かに泣けてしまいそうなときにドーナツ屋さんほどふさわしい場所はないと今も思う。
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コツコツ、てくてく、足を練習 土踏まずが親指側にしかないとあらためて知る そんなこと考えたこともなかった
下段の歩き出しの足がなんだか気に入って一人でにんまり
そうやって歩いていけたらいい
ペンで描く(A.L•グプティル著)という本を読んでいる。スケッチの方法や線の描き方明暗法や道具のこといろんなことが著者のスケッチと共に説明されていてこれだけで美術作品だなと感動してしまう。文章もとっても良い。
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朝雲葬
朝焼けにのっていけば寂しくないようにと
ペンダントをくれた
それは手むけの花束
カラダの真ん中で煌々と僕を守る
それはさいかいの道標
心臓の代わりに漠々と僕を動かす
それはさよならの瞬き
パチパチと爆ける瞳から溢れた涙を
朝焼けが焦がし
(ペンダントは朝焼けに染まる、まだあたたかい)
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夢を見た
遠く高いところから君は落ちていって
僕はそれを麦畑の上から見つめていた
途中で君は足を下にしてみたり
飛び込むような格好をしてみたり
落ちる先はひとつなのに
踊っているようにもみえた
僕は身体の一部がはくはくするのを聴いて
踊る手足を見つめていた
長い時間そうしていたような気がした
金色の麦の中に君が消えて
僕たちは迂回した
倒れた麦穂を見ないように遠く廻って地上へおりる
いくつかの麦穂を収穫してそうして君のことなど忘れてしまった
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ニューヨークスケッチブック/P・ハミル
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド/村上春樹
老人と海/ヘミングウェイ,福田恆存,訳
ワーニャ伯父さん/チェーホフ
ドライブマイカー
ハードボイルドワンダーランドって剥がれかけの壁みたいなパサパサした小説だったなって記憶の中、数年ぶりに読み返した。大好きな小説を何度も繰り返し読むのもいいけど,何年も経って物語のほんの隅だけを覚えている小説を読み返すのは、幼い頃のアルバムを見るときのような安心感と自分が埋めておいた宝物を掘り出すような高揚感があって楽しい
乾いた空気の匂いがする小説が好き。土っぽさと色褪せた風景を想像させる文章、飛行機に乗る人の話が好きなのは其処からきてるのだろうと思う。アリソン、スカイ・クロラ、風の谷のナウシカ、フライトスクール(これは曲名だけど)、世界が乾いているのに、一方で人々はとっても鮮やかで、確かに生きている。戦闘機乗りの人たちはその機体と空へ行くたびに戻らないかもしれないと思うんだろうか、そんなことを考えるのは自分が地上で生きる人だからなんだろうか
もっと身軽なんだろうな
彼女たち彼たちは空を求めていて
そこに生があるんだと知っているから
だから鮮やかなんだろう
か
ところで私はよく夢を見るんですが、夢の中では電車に乗っていることが多いなと思う
車や自転車、バスなんかに乗っていることは滅多になくて、三車両編成の電車か新幹線のような乗り物か(韓国や台湾の電車に少し似た、車両が短い形の電車で夢の中の私はそれを新幹線として認識している)御堂筋線のような長めの電車、それに乗ってガタンゴトン移動している
穏やかな移動で続く夢も心地よい、けど、できれば二人乗りの飛行機に乗って空を自由に駆け回る夢を見たい。揺れる地面と身体、かかる重力と感じる浮遊感、そのまま空を駆け上ってみたい(そんなことを考えていたらこの前飛行機に乗る夢を見た。麦穂の上を大きく旋回する夢)
九月は溜めた本たちを読もう
秋が来るから窓を開けて
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2021年7月
◉読んだ本
春琴抄/谷崎潤一郎 スプトーニクの恋人/村上春樹 NEO HUMAN/Peter Scott-Morgan 52ヘルツのクジラたち/町田そのこ 昨日は彼女も恋してた,明日も彼女は恋をする/入間人間 チーズと塩と豆と 神様の庭/角田光代 理由/井上荒野 ブレノワール/森絵都 アレンレージョ/江國香織 風の谷のナウシカ/宮崎駿 肩胛骨は翼のなごり/デイヴィット・アーモンド ふしぎな図書館/村上春樹,佐々木マキ 推しの子/横槍メンゴ なかなか暮れない夏の夕暮れ/江國香織 ルックバック/藤本タツキ トロッコ,羅生門,杜子春/芥川龍之介 あさがおと加瀬さんシリーズ/高嶋ひろみ
◉観た映画やアニメ
借りぐらしのアリエッティ ゲド戦記 竜とそばかす姫 閃光のハサウェイ 輪るピングドラム 1〜4話
二週間おきぐらいで友人としている電話で毎回決めた本の感想会をするおかげで読む本の幅が広がって楽しい。久々にラノベを読んで,十代の頃に読んだ作品っていうのはその頃に置いてくる作品ももちろん多いけれど、何十の物語の中から一つでも共に育ってきたものがあればなんて幸せなことなんだろうねという話をした。
次に読みたいのはザリガニの鳴くところとゲド戦記
ジブリは小さな頃からなんとなく好きだなと追ってきたけど,始まりを知りたくなって色々本を読むことにした。金ローで(通ぶってみる)借りぐらしのアリエッティを観たとき,アリエッティが葉を登って二階の部屋に向かうシーンがあった。自分の身体よりも大きな葉をアリエッティはむしゃむしゃと登って行くのだけれど,その葉一枚一枚が葉先だけ枯れている葉や,全体的に黄色みがかった葉,大きくて濃い緑の葉,それは家にある植物の葉がそうであるように色とりどりで全く同じではなくて
宮崎駿さんの��像度が高いところがジブリの魅力なんだね,好きなんだ
「人にはそれぞれ,あるとくべつな年代にしか手にすることのできないとくべつなものごとがある。それはささやかな炎のようなものだ。注意深く幸運な人はそれを大事に保ち,大きく育て,松明としてかざして生きていくことができる。…」
これは村上春樹さんのスプトーニクの恋人から 三年前の冬に私は持っていた炎を消してしまった。私の炎は小さなときに灯されてみるみるうちに大きくなっていて,段々と世界はいつでも昼間のように明るいんだと勘違いした。
作中のぼくは,この炎は失われてしまえば永遠に取り戻せないと言う。消えた松明と真っ暗な世界。そうだね,星がどれだけ綺麗にみえることも慰めにはならない
でも小さくなった火は灰の中でささやかに燃え続けてある日,光になる。なんで私はこんなに図太くしたたかなんだろうと嫌になって泣けてくるけれど,生命ってそういうものだとみんなこんなにも強かなんだと誇りにも思う。自分で消した炎を自分で灯してもいいじゃない,優しい隣人に火を分けてもらってもいいじゃない!
泣き続けるのも立ち直るのも同等に必要なんだ
そうね?
そのとおり
推しと信仰の話をしたい。ルーツや原点があることがどうしてこう人を変えるのかがまだふわふわしていて難しい,今夏の課題です。
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夜行性
って 暗闇にぽつんと置いていかれた魚たち(って私や底の私やそれぞれの私達)を夜に生きていることにしてくれる合言葉
昼行性の君も 太陽の下で孤独を憶えるんだろうか
そうだよ、貴方が昼間に昼寝するように 夜になると読みかけの本と少しの仮眠、仮眠 夜行性と昼行性とが夢の中で出会うとき窓外の色は何色だろう、できれば夜明けの白掛かった空の下で逢いたいとおもう
朝がふたつの住む場所をつくるように 私たちのあいだを繋ぐ時間で逢いたいとおもう
静寂にも直射日光にも阿ることなく
ふたつの丸い物体の下で堂々とふたり孤独でいよう
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二〇二一年夏夕暮ごろ
組み文字を刻んだ指輪が届いた。 冷たい砂浜を歩いて海に沈む夕焼けを見たあの街で 賑わっているのに一本道をずれると空気はシンと無言になるあの街で 何十年後に残るものをと思い、探して注文した指輪が黄昏時に届いた。 誕生日前日。 新しいことをキリのいい日を起点にして始めるのが私はあまり好きじゃない。4月の最初の授業で開いたノートに丁寧に文字を書きたくなる気持ちは分かるけど、そういうのは大抵長くは続かなくて。野球部の彼が半袖のシャツになる頃には私のノートもいつの間にかぐちゃぐちゃになっていた。 何かを始めるときには日常の延長線上に 何気なく、ほんとにそろおっと合流していつの間にか横を歩いてるぐらい いつの間にか二人はおんなじ歩幅で歩いて いつの間にか私は一人で歩いている それぐらいがいい 此処まで言っておきながら今日届いたこの指輪、ひとまず箱を眺めてみる。 よし、誕生日の朝につけよう。 明日起きたら顔を洗って歯を磨いて大好きなワンピースを着て髪も結んで、誰も起きていないこの部屋でこそっと、そして堂々と嵌めよう。 冷蔵庫にメロンも入ってるし。 もうすぐ朝がやってくる
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「秘密基地にいこう、パウロ」
「いいけど。死んでいるよ」
「昨日まではね、隣町のijmaaではそうではないらしい」
聞き慣れたはずの街の名前だった、忘れてしまったのか。街の名前は自分にはうまく聞き取れず知らない国の言葉に聞こえた。
「基地は隣町の手前にあるだろう」
「境界は毎日おなじではないよ」
「昨日までキラ達が敵同士だったように」
ようやくパウロは少し笑った
「生き返る?」
「いや、戻ってはこない」
彼はため息をつきたいようだったけれど、今まで何度洩らした願いも拾われることはなかったことを知っていた。
「おくるだけだよ」
「そう。大��夫、救いになるよ」
ようやく彼も少し笑った。
『星葬』
ほしはかのじょをおくる
とうのむかしに放ったことばを とうのむかしに置いてきたきおくを
ほしたちは忘れずにとりにくる
わたしはほしをおくる (かのじょに会いたい)
とおいさきへ祈りをおくるように とおいさきへ駆けていくこころをおさえるように
わたしたちは忘れ物をわたす
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昼間の熱気か消えない夜、玄関を開けてそのままお風呂場へ
湯船に湯をはって、夜から一人でこそこそケーキを食べていたら怪しい水音、びっくり、お湯がダバダバ流れでていた
お金持ちになった気分
うきうきしながら湯船にすくんだら(すくむって方言らしいですね) びっくり、想像の一〇倍ぐらいのお湯が溢れ出して
私ってこんなにあるの???
それなら人って思っているうん十倍は生きてるんだね
何度来ても、夏の夜の匂いが好きだった
恋人がハゲを気にしはじめた
「近いし送るよ」って友人にうまく言えなくてへこんだ
お気に入りのパン屋さんが入店制限をしていた
優柔不断なわたしは後ろのおばさまを待たせていること、もう汗汗 よく分からないままいくつかのパンを木カゴにいれて急いでレジに向かった
こうして大事なもの���道の後ろに落としてくるんだろうかと不安になった
明日になったら祖母に電話をしよう
夏の果物が食べたいとねだろう
いなくなってしまった方の祖母はいつだって蜜柑、林檎、桃、ボンタン、メロン、西瓜
ありとあらゆる果物を剥いてはアタシにくれた
「桃はねぇ、種のところが一番甘いんだよ。」って言って種のまわりにちょびっと残った果肉を齧っていた
アタシはあらゆる栗は甘栗むいちゃいましたとおんなじ状態で売られてるものだと本気で思い込むところだった
そういう果てのない愛を
もらって育ってきた
『愛されて育ったのに、いつも淋しかった』
(吉本ばななさん 「キッチン」より) 愛をうけると強く脆くなる
いつかの喪失に私は身を強張らせている
いつの間にか目測値二倍ぐらいに膨らんだ猫
いつの日かの彼女の眠りに私は怯えている
いつも通りの明日を約束したでしょ
わたしも早くおばあちゃんになりたい 七四歳を悠々と超えて皺々の手と顔を惜しみなくしわくちゃにして
夏の台所でこっそり桃の種を齧りたい
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