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REMEMBER what I see what I listen
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消費するだけじゃ勿体ない。映画・音楽・読書の記録。 -Author: Amano Jack
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what-i-see-what-i-listen · 8 years ago
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[music] Chaos Is My Name (2006) / Khlyst
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オドロオドロシイ。けれど、ドロドロはしていない。
ドゥーム界隈ではカリスマ的存在の(?)科学者/ミュージシャンRunhild Gammelsaeter嬢。彼女のボーカルは、悪魔に憑かれたアンネリーゼ・ミシェルの肉声を彷彿とさせる。そんな禍々しい叫び声が、霧の中から聴こえてくるようなぞっとするSEと、即興的なギターとドラムのセッションの上でのたうち回る。
それでいて、ブラックメタルやドゥーム系の音楽にありがちなサタニズムなイメージや生々しさといったものは感じられず、荒涼とした大自然の中に一人佇んで、どうにもならない大自然の猛威を眺めているような、あるいは広大なバーチャル・リアリティ空間にたった一人きりで閉じ込められているかのような......つまり、何者かの意思が一切介入していない無機質な世界が広がっているのである。おどろおどろしいが、ドロドロはしていない。なんとも絶妙なバランスのひんやりとした音。
そのアブストラクトな世界観は、絶叫やノイズにそれ以上の意味付けをせず、そのテクスチャのみに目を向けているような、音に対する「偏愛」の姿勢から来るものかもしれない。
スクリームとギターノイズ、ドラムが脈絡なく絡み合い木霊する大方の楽曲も素晴らしいけれど、まさに「サイレント・ヒル」なM-2や、地鳴りの如き重低音と低音グロウルの響くM-6といったアンビエントな楽曲もものすごく良い。 大音量で全編通して聴けば、その緩急が強いカタルシスをもたらしてくれる。静と動、美と醜のコントラストといったキーワードに身体が反応してしまう方は必聴の1枚デス。
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what-i-see-what-i-listen · 8 years ago
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[book] 優しい関係 / サガン (朝吹登水子・訳)
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45歳のシナリオライター、ドロシーとその恋人ポールの乗る車に青年が飛び出してきた。青年の名はルイス。彼女は自宅でルイスを介抱することに決めるが、それから彼女の周囲で謎の怪死事件が次々と起こり始める...…
それなりの社会的地位のある主人公が少々屈折気味な恋愛の中で右往左往するという、もはや様式美のようなサガン作品。しかし今回はサスペンス的な要素も盛り込まれており、今まで自分が読んできたサガン作品とは一線を画す印象を受ける。それでも主軸に置かれているのは謎の美青年ルイスに疑惑を抱きながらも惹かれてしまうドロシーの感情の動き。恋愛における人間の心の在り様をユーモラスに描くサガン節は、殺人事件というドラマチックすぎる小道具を用いても健在であった。
そういえばサガンの作品には自信のない人間ってあんまり出てこないような気がする。社会的地位も手に入れ、歳食ってもそれなりにモテて、けれどなんだか人生に物寂しさを感じているような人物像。僕は自分に自信なんてこれっぽちもないが、それでもサガンの本は楽しく読める。それは彼女が人間の普遍的な孤独感を描いているのからなのか。それとも、自分もこうだったらいいのにという潜在的な願望を主人公に仮託しているのだろうか?
【勝手にサウンドトラック】
Celle qui tue / RoBERT
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