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仕事を辞めてからのひと月とすこし、一度もバイクに跨ろうと思わなかった。
それは興味が失せたわけでも、刺激を感じなくなったわけでもなく。
使える時間は際限なくあれど、バイクに乗るという選択肢は自ずと浮かんでくることはなかったからだ。
過去を振り返る時間だけは嫌というほどあった。特にこれまで出会った人との出来事を、一人づつ掘り起こしては埋め直すのに必要十分な時間だ。その中にはバイクに乗って出会った奴、今もなお走り続けている奴に降りた奴、乗れなくなった奴もいた。
そしてその十分すぎる時間は、この土地に来てからというもの常に付き纏っていた疑心から逃れることも許さなかった。自分はまだバイク乗りと言えるのだろうか。
外面こそ一端のバイク乗りに違いないが、どれほど言い訳を探しても、胸を張ってそうだと言い切れる自信は、ついに湧いてくる事はなかった。
一体何が自分の中で燻っているのか、言い訳や逃げ道を探すような癖がついてしまった原因はどこにあるのか。
思い悩んだらとにかく疾れ、と誰が言ったか知らないが、ふと脳裏に浮かんだ言葉を思い返して友人に声をかけた、付き合いは長く、おまけに無職だ。突貫の旅程でもいける。
急の出発にぶら下がった無計画な旅程ほど胸が昂るものはない。きっといくつになっても旅の始まりは輝いていて、終わりに近づくほど切ないに違いないと思う。
淡路、瀬戸、しまなみ。経路は違えど本四連絡橋を��ぐ瞬間はいつだって身体の奥に熱を帯びる。
ゆっくりと近づく非日常を、吹き付ける潮風と小気味いい橋の継ぎ板で全身に感じる。
(いいね、これだ��これ。)
陸続きの本州をどれほど駆けようが味わえない演出が、眠った童心を呼び起こすのを手伝う。
完全に同じ文化文明を分かち合っているはずだが、この島はいつどこにいても心が躍る。
山、川、海。
緑と青が目まぐるしく視界をジャックして、潮風と草木の匂いが1日のうちに何度も交互に鼻腔から脳天へと飛び込む。
知っているようで初めて目にする眩い風景ばかりがいつまでもコーナーの先に広がり、フロントフォークをダイブさせてはリアタイヤを蹴飛ばして、気持ちより先に右手を絞らせる。
積荷がどうなろうが関係ない。
登っては降り、降りては登り。
腹が膨れるほど車体をバンクさせては、気付かぬうちにスッカラカンになったタンクを満たす。そのサイクルが等身大で心地いい。
この小さな四つの県などすぐに走りこなしてやろうという野心が、千メートル級の山々とそれを巻く何百という大小のコーナーによって、いつまで追いかけても追いつけはしない程よい距離感でバランスしている。
山に登れば星が瞬き、
沢を降りれば川に出逢い、
川と歩めば海へ開ける。
永遠に変わらないその法則���肌で感じ、鈍っていた旅人の嗅覚を蘇らせていく。
立ち寄る場所は極力少なくしたものの、
お遍路の時代から流れの旅人に慣れたこの土地の人は、こんな時勢においても人を迎えるゆとりを決して肌身離さず持ち続けていることを実感してはどこか恥ずかしくなる。
人の優しさというものは、物理的な距離を取らされようが変わりなく暖かいということを知り、己の思慮の浅さに辟易するほどだ。
忘れ去っていた心のゆとりさえも、この場所は思い出させてくれる。
故郷へ向かう友人と別れ、二気筒の爆発とタイヤグリップだけに五感の全てを注ぐ。
「これだよこれ。」
ターコイズが透ける那珂川を右へ左へ追い越し、スロットルを絞りながらヘルメットが切る風の音に���う一度問い直す。
一体何が自分の中で燻っているのか、いつからだろう、言い訳や逃げ道を探すような癖がついたのは。
誰かよりスピードを出すことや、あいつより深く傾けてリスクを背負う事。違う。
安っぽい苦労話を人に聞かせること。違う。
きらきらと光る見た目にこだわること。これも違う。
バイク乗りというライフスタイルと向き合う中で、とっくに過ぎ去ったはずのカタチを必死に呼び起こそうと足掻いていたことが妙に痛々しく感じてくる。
幼くて無茶をした過去に堅苦しく囚われる必要はない。
縛られず、引き止められない、川の流れのように揺らぐバイク乗りとしての生き方が、再び熱を持ってくる。
あいつより速くなくたっていい、知らない誰かよりダサくていい、丸腰で目をキラキラさせたっていいんだ。
尖ったスタイルに気を取られ、本質を見過ごしてしまう前にそれに気付けた。
あぁようやく分かった。
きっとこの燻りは、自分の中でカッコの付け方が少し変わっただけなんだ。
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8月18日-❻
そういえばこちらにもWikipediaのQRがありました。商工会のガイドラインあたりで推して居るのでしょうか。
ー
勝山を発ち、久米まで来ました。
道の駅久米の里で小休止です。
冷凍庫でシャリシャリに冷やされ、完全に分離したワッフルと蒜山カフェオレで身体を冷やします。
ところで道の駅久米の里にはガンダムが居ます。
何を言っているのかと思うかもしれませんが、
本当に、ガンダムが、居ます。
こちらのガンダム、もといモビルスーツは、地元の方が趣味(の範疇を越えているのでは...?)で作成したものを自治体へ寄贈し、地域のシンボルとして佇んでいます。
しかも人が搭乗ができる設計で、油圧ダンパーにより脚部等は可動だそうです。
人間国宝を贈呈します(私設)。
ー
連日37度近い気温と刺すような日差しの中、
足元から熱風しか出ない車に乗り込んで移動している訳ですから、少なからず体力の消耗を感じます。涼しいところで休みたい...。
「アメ車といえばモーテルでしょう!」ということで、本日は大盤振る舞いで院庄のロッジ旅籠屋に宿泊つもりでしたが、なんと満室御礼。
「なんと」、などではなく、予約もしていないのですから当たり前です。粛々と受け入れましょう。
そうなれば涼を求めて、
再度山の中へと分け入ります。
ー
道の駅奥津温泉まで来ました。
やはり整然と植えられた杉林が作り出す独特の稜線は壮観ですね。
涼しげな風鈴(プラコップ)の展示に唆され、
久しぶりにアイス自販機に��金を入れました。
チョコミントの清涼感に心躍ります。
さらに背後を見渡せば、
奥津温泉の湯の香が山々に立ち込めて、
夏の夕暮れに相応わしい景色が拡がります。
と、見せかけて野焼きです。
....もはや山火事では?
ー
充電中の日産リーフと相棒。
実際の値は分かりませんが、リーフが1年で使う化石燃料を数日で使い切る自信があります。
まぁ、法で許されているは以上自由に使わせて頂きます。
1万年後によく燃える燃料となるために、
今からメラメラ気合を入れておくのでおあいこでしょう。
ー
モーテルがダメならここで良いや、
と道の駅奥津温泉を宿とするつもりでしたが、
色々考慮した結果、鳥取市内の自宅へ帰る判断を下しました。
善は急げ、沈みゆく太陽を横目に人形峠を駆け降ります。
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8月18日-❺
神庭の滝から降りてきて、
軽く勝山の街歩きをします。
川沿いに景観保護の下、長細く立ち並んだ街並みは相当に見応えがあります。
御前酒(ごぜんしゅ)という酒を作っている辻本店へ。
酒蔵をお洒落な雰囲気に改装された販売用の店舗は、とても居心地が良いですね。
お酒はもちろんのこと、周辺の特産品や工芸を取り入れた小物も���せて扱っていて魅力的です。
ー
僕は以前、蔵人の仕事をさせて頂いたことがあります。
その酒蔵はお酒造りの工程を極めて少ない人員で賄う作り方をしており、
恐らく全国的に見ても特殊な環境だったため、僕自身少々辛い思いをしたこともありますが、経験としては大変貴重だったに違いありません。
具体的には水を汲みに山へ出向くところから始まり、米を運ぶ、研ぐ、蒸す、冷やす、工作機械の組み付けや麹室での作業、下準備から後片付けの極意まで。
発酵に関わる重要な作業を除いて、恐らくほぼ全ての工程を任せて頂きました。
訪れた辻本店で店番をされていた方にその思い出話を話したところかなり驚愕されたので、
しばらく酒造り談義をして....。
やはりあそこは普通じゃなかったんだという実感と共に、何点か手にして店を出ます。
左のクラフトビールはなんと山椒入り!
これがまたビールの渋さや爽快感と合うので、今後是非ともブームになってほしい!
美作檜で作られたお箸もすごく気に入りました。
このほかに贈り物の酒粕石鹸などを購入しました。
ー
勝山の街並みで他にない面白さを感じたのは、
”のれん“の文化を前面に押し出している所ですね。
今回は時勢的に、かつ夕方ということもあり、閉められているお店も多かったですが、街歩きだけで1日楽しめそうなほど、見所が充実している印象を受けました。
次はゆっくりとリベンジしたいです。
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8月18日-❹
向かっているのは、真庭市の神庭の滝。
なかなか珍しい道路を跨ぐ水路です。
まるで滝に近付くほどに、水の偉大さを感じさせられる演出のようですね。
ー
神庭の滝は遊歩道の奥行きが狭く、
着の身着のまま、気軽に立ち寄れる場所です。お年寄りでもそこまで苦にならないと思います。
また駐車場付近には、在りし日の甘味処を改装したお洒落なカフェもあり、子連れからカップルまで幅広い層の方が訪れていました。
ヒトとケモノの狭間を感じる表現...。
ー
とにかく、滝自体は序盤から見えていますが、まるで1枚の奥行きのある絵画を、自分が右へ左へと立ち位置を変えて鑑賞しながらより深く見入っていくような感覚でとても面白いです。
滝へは思いの外近寄れます。
なぜか終盤から急に遊歩道が職務を放棄して、滝へどれだけ接近するか接近は完全な自己責任になります...。
WikipediaのQRリンクは初めて見ました、
滝側から公式な内容として認められているのでしょうか。
ー
下りで気が付いた、とにかく鮮やかな��ロハモミジ。
目に美しい紅葉を取り沙汰すのも分かりますが、彼らが必死に葉を生い茂らせ、生き生きとしている夏場の姿ももっと注目されて良いのではと思います。
ー
自然と共生している電線と変圧器たち。
遊歩道を往く人達は誰一人として見上げることはありませんが、僕はこういった風景こそある意味自然と人間の作りあげた月日の流れを感じ、趣深いと思います。
また沿道のこういった崩落防止のワイヤーワークも、注目すると大変興味深いです。
取り回しからアンカーを打つ場所までとてつもない労力と精度で成り立っている、名も無き仕事師の業を見ることが出来ます。
この場所を通る人々のほとんどは視界にすら入れないのでしょうが、こういった技術面がもっと注目される世の中になって欲しいと切に願います。
僕たちの暮らしは、自分の見えている数千倍の人々の使命感とその技術によって支えられている訳ですね。
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8月18日-❸
東城、神代、新見から大佐、真庭。
中国山地を縫うよう町から町へと進めば、
いつも傍に、鉄路を感じられます。
渓谷の限られたスペースを共有するため、国道と何度となく出会っては分かれて、また交差してを繰り返す区間も存在します。
橋梁を往く姫新線単行列車
旅情を感じずにはいられません。
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8月18日-❷
新見市の鯉が窪湿原へやって参りました。
国指定天然記念物でありながら、”保護寄附料“として一人200円を支払い入場する形になります。
もう少し行政の財源からなんとか維持保全費用を捻出できないのでしょうか。
管理のお父さん一人を除いて人影は無く、季節柄遊歩道にも草が生い茂っています。
ー
うーん、まだ死にたくはないですね。
実際、熊が突然現れても全くおかしくないほどの青々とした環境なので、遊歩道を歩きながら何度も後ろを振り向きました。
とにかく自然の中になんとか人が通る道を踏み敷いただけといった印象で、ここでは人間に対して圧倒的な自然の優位性を感じます。
人間は、木や虫や蛇や熊達の邪魔にならないようにこっそりと美味しい空気を吸わせてもらう程度のものです。
ー
訪れた人が自由に餌やりができる環境で過ごす鯉たちは、小粒の餌を投げ込まれると同時に我先にと餌を求めて水しぶきを上げるのが常です��、鯉が窪と名付けられた場所ではどこか誇らしげに悠々と振る舞っています。
ー
泳いでいませんでした。
ー
もちろん美しい湿原の花も見所です。
ただやはり来訪者の少な��からか、自然のありのままの姿を、こちらがお邪魔して見に行く形になるので、軽い散歩程度の服装だと虫さされ、草木かぶれ、マムシなどに痛い目を見ることになりそうです。
夏場に訪れるには対策が必要ですね。
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8月19日-❶
目が覚めて、そのまま道の駅で朝食を取ります。
ホテルのバイキングのような選り取り見取りとは行きませんが、
早い安い美味いが揃ったインスタントな食事は逆に待ち時間がゼロな分、とても有意義な時間の使い方だと僕は思います。
これはその時求めるTPOに依るので、単純に良いとか悪いと言うものではありません。
まぁとにかく、起き抜けの惣菜パンとキンキンに冷えた自販機のコーヒーはとても美味しいです。
ー
庄原方面へと進みます。
この辺りは中国地方きっての米どころで、西日本の食卓と共に、広島西条の酒造りを支えまています。
進めども進めども延々と稲穂がなびいて心地よいですね。
ー
中国山地を目的地へ向かって真っ直ぐに突き進むのは困難です。
どこへ行くにも、山々が複雑に絡んだ県境とそれを超える峠を避けては通れません。
これは瀬戸内海と日本海の分水嶺のあたり。
“この地で水を分かつ”と言われるとなぜか格別な雰囲気に包まれますが、この辺りでは別に当たり前の事です。
「日本ピラミッド」なる看板を見つけ、すわ立ち寄るべしとハンドルを切りましたが、ただの台形じみた低山ということが分かり引き返しました。
若干オカルトじみたものに期待を抱いた自分にしらけ、何食わぬ顔で煙草をふかします。
ー
道中のお店。
電柱で隠れていますが左の看板には、
手打ちうどん風/お食事処と書いてありました。
一体何が手打ちうどん風なのか...?
手打ちと見せかけて市販のうどんなのか...?
それを看板で公表してしまっているのか...?
謎は深まる一方です。
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-三瓶山の話-
サヒメルに三瓶山周辺を3D出力した模型がありました。
数千年前の噴火で出来たカルデラ(広い凹状の地点)が見て取れます。
下の画像は箱根山のイメージデータです。
地形だけでもなんとなく似た雰囲気が漂っていますね。
三瓶山の場合は、箱根の芦ノ湖のような火山湖を見ることはありませんが、両者とも教科書の様な火山地形で標高も近いところにあるようです。
実際に風景でも、一般人の僕からすればとても似た独特の様相をしており面白さを感じます。
噴火様式も要因のひとつでしょうか。
ー
三瓶山の周辺エリアです。
登山も含めてしっかり満喫しようと思えば、
2,3日ではとても足りないほどに見所が詰まっています。
キャンプサイトやロッジも綺麗に整備されており、簡単にキャンプを楽しむだけでも魅力的な場所だと思います。
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8月18日-❺
今日の宿はこちら....、
....の駐車場です。
ここ「道の駅ふぉレスト君田」(原文まま)は温泉施設や美術館と併設されており、すぐ裏手にはロッジまである総合休息施設(?)です。
設営している段階では暑かったものの、渓流沿いで風通しも良く、日が落ちるとすぐに過ごしやすくなってきました。
早速日帰り入浴の券を購入し、湯船へ急ぎます。
丸一日、(もう勘弁して...)と思うほど熱気に照らされたのに、温泉を前にすると肩まで浸からずに居られないのは、やはり日本人の遺伝子に刻み込まれた性分なのでしょうか。
泉質は三瓶温泉とまるで違う��まろやかな美肌湯といった感じです。
カルシウム含有率が凄いようで、露天風呂の流れがない場所などは真っ白に石像と化していました。骨によさそう。
ー
風呂上りと言えばこれでしょう!
食後に誰もいないお食事処で一杯頂きます。
ー
駐車場に立派なカブトムシがいました。
カブトムシなんて、触れるのはいつ以来でしょうか。
昆虫全般は得意ではないですが、カブトムシやクワガタはまるで大型犬のような愛らしさと力強さを兼ね備えていて好きです。(あと素早くないから...)
駐車場の周囲に樹液が出ていそうな木は見当たりません。
きっと道向かいの森の中で、目当ての木に決死のジャンプをしたは良いものの、気がついたら「ここはどこ..?」といった雰囲気。
少し面倒ですが彼を住むべき場所へ戻しに行って、僕も寝る事とします。
それでは、おやすみなさい。
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8月18日-❹
三瓶山から下りつつ、「山の家さんべ」へ。
更に美郷町へおりて「カヌー博物館/かぬーの里おおち」。
残念ながらどちらも休業されていました。
盆明け平日ですものね、しょうがないです。
ー
行き当たりばったりの旅も、暑さには一層判断を惑わされます。
迷った道すがらで浜原ダムが現れました。
一級河川、江の川の水系を治める屋台骨です。
ー
ようやく国道に出たと思えば、今度は中国山地越えの名所、赤名峠が目前に控えます。
右へ左へと揺さぶられながら、
広島方面の道中で小休止。
ところで僕はこのような、法面を兼ねたシェルター状のトンネルに大変な風情を感じます。
トンネルに飛び込んだときの中とも外とも言い切れぬ谷川の不思議な車窓と、戸惑うほど広い頭上の空間に独特の世界観を見出だしてしまいます。
ー
先日の出雲横田とは打って変わって、この辺りは県境を超えた往来が日常的なのか、営業車に乗ったサービスマンが頻繁に行き来していました。
先を急ぐ速い車に何度か道を譲り、
のんびりと降り立ったのは道の駅赤来高原。
こちらはかつての城下町の様相で、鳥取市民にはお馴染みのハゲ山も拝むことができます。
街歩きにはやはり暑さが祟る....
ベーコンエピとクリームチーズあんパンをいただきます。エピの方はバジルやハーブではなくシソが閉じてあり、独特な風味でとても美味しかったです。これは参考になる....。
ー
この道の駅では、ユニット型の授乳室や、自販機での紙おむつ販売など、他には見られない家族連れ向けの設備があって興味深く感じました。(子育て課的なところの発言力が強いのかな?)
またクリーンエネルギーの採用にも積極的で、垂直軸型の風力発電機により施設の照明の一部を補っている旨の説明がなされていました。
垂直軸型の発電機は、よく見る風車と違って風の吹く方向に依存することがないため、日本の風土に見合っているだとかメリットばかり書き連ねてありましたが、見るからに出力の大きな発電機は回せないだろうという印象です。
持続可能エネルギーも良し悪しですね。
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-閑話休題-
GoToトラベルキャンペーンに際していくらか話題に上った「旅行の形態」ですが、
僕はもっぱら一人で気まま旅派です。
派、というか、
誰かと旅に出た事なんてカエルでも片手で数えられるくらいしか記憶にございません。
二十歳前後の頃合いは怖いものなんてなく、自分のバイクとこの身一つでどこまでも行ける気がして(時間もあったので)、
テントもシュラフもカッパさえ持たず、ほとんど浮浪者のような装いで(今も変わらない?)、
人気のない場所で、コンクリートの上に寝ながら日本を走り回るという無茶をしていました。
ー
20代も半分以上が過ぎ、「アラサー」という言葉が舌舐めずりして自分を見つめる時分になると、流石に「無茶」や、「バカ」はやり辛くなってきます。
(会社が、体裁が....。)
(月曜は朝早いし、道中何かあったらアレだし...。)
そう、かつてのように、
気を抜けばすぐに靴の紐を結んで、
その日常を飛び出そうとばかりしていた頃とは違い、“冒険をしない楽さ”に浸っている自分が居ます。
僕のこの旅は、
そういう自分自身へのアンチテーゼという意味で、「無茶」で「バカ」というのをやってみたくなったからというのが、大きな理由の一つとなっています。
ー
今度は旅に対するスタンスの話です。
何夜も連続して県や地方跨いだ移動をするというのは、農耕民族の血を分かつ以上無意識に心身の負担になるものだと思います。
それに加えてトラブルや予定通りに行かないことも多く発生し、結果として「旅は疲れるもの」として記憶に残ることも多いですよね。
しかしながら、そもそも「完璧な旅」なるものは存在しません。
その均衡を崩す為に自分が旅をしたくなっている、というのを自覚しなければいけません(僕の場合です)。
鉄分が不足している時にチョコレートが食べたくなるのと似ています。
実際そんな取り越し苦労を尻目に飛び出してしまえば、
例えば出発までに用意したようなものは全国各地、どこへ行けど(コンビニ一軒あれば)入手するのに苦労することはありませんし、別に命を繋ぐために必要になるかと言えば直結はしません。
要は普段の生活を基準に物事を考えると、旅するということは絶対に疲れるし不足があるはずです。
そのことを念頭に置いて、
むしろその不自由さ楽しめたら、とても素敵なことだと思いませんか?
ほら、
どんどん旅に出たくなってくる。
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8月18日-❷
三瓶山自然館/サヒメルに着きました。
余談ですが、「さひめ」というのは佐比売と書いて、
三瓶山(さんべさん)の旧名にあたる佐比売山(さひめやま)から来ています。
現在では三瓶ダムの建設とともに生まれたダム湖を「さひめ湖」と名付けたり、「ホテルさひめ野」、「三瓶天然水さひめの泉」など、この地にゆかりのある地名や店名で使われているようです。
語感からなんとなく察する方もおられると思いますが、やはり神話に出てくるものが源流となっているようで、もともとは出雲風土記に出てくる狭姫(さひめ)のあたりから来ているとか....奥が深そうな地名ですね。
ちなみに三瓶山は火山です。
最後に噴火をしたのは4000年ほど前ですが、活火山として指定されているそうです。
昨日の日記で、「なんとなく箱根と似ている」と書きましたが、この辺りも関係しています。
詳しくは後ほど....。
ー
サヒメルは、仕事の関係で目前まで来たことがあったものの入ることは叶わず、悲願の来館となります。
常設の展示は、火山に起因する三瓶山や近隣島根県内の地理地質、古代から現代までの生態系、鉱物等多岐にわたり、
先ほど訪れた埋没林の展示もあります。
高地ともあり、観測所を併設した宇宙関連の展示もあるようですが、なぜか順路通りに進んでいたら辿り着けませんでした.....。
数ある中でも素晴らしいなと思ったのが
こちら、
連絡通路が通る山肌に、ありのままの自然展示として昆虫やモグラの生態、地質層などが見られるアクリル窓があり、“生の“展示を見ることができます。
説明は読み飛ばしながらでも1時間以上かかるほど見所があり、子供連れの方から大人まで間違いなく満足できる施設です。
...長くいたら展示にされてしまいそうですね。
学芸員さんの応対や説明なども恐縮するほど素晴らしかったです。
連絡先シートや来館者のマスク着用徹底を始め、1時間に一回、全館消毒のアナウンスと同時に人が触れるであろう全ての場所、展示ケースを手作業で丁寧に消毒しておられました。(見学者はおそらく10人ほど....)
県立の研究展示施設であり、不特定多数の人が訪れる保養地に位置しているとはいえ、感染症対策という面でここまで徹底的に丁寧な対応をされている施設は初めて見ました。
安心して楽しむことができますね。
「勝って兜の緒を締める」ではなく、
「人見てマスクの位置正す」的にこちらも気が引き締まります。
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8月18日-❶
案の定、
焼けるような暑さで目を覚ましました。
急かされるように行動開始です。
ー
三瓶山に再び登り、ちゃんとした観光をしたいと思います。
田んぼの脇にいきなり現れる異様な建築物。
小豆原埋没林公園(縄文の森ミュージアム)です。
埋没林とは、
このように何らかの形で地中に埋まっている、
想像もできないくらい太古の木々の事です。
化石と同様に様々な条件が整って腐敗を免れ、何千年と言う時をコールドスリープしていたような感じですね。
もともと田んぼだった土地で発掘されたまま、上屋を立てて保存されているので、このように異質な景観を持った地下施設がこの場所にある訳です。
淡路島の断層遺構に行かれた方は、あのような展示の仕方といえば分かりやすいかと思います。
地下20mのきめ細かに管理された空調設備の中で鎮座する、おそらく日本一贅沢をしている切り株です。
素敵な表紙の解説書を購入、
次の目的地へ向かいます。
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8月17日-❺
西の腹まで来ました、
高原が夕陽に染まります。
三瓶山のこの辺りは温泉街やつづら折り、
写真にあるような高原の高低まで、箱根の雰囲気になかなか似ている気がします。
一度広場で設営を試みましたが、凄まじい湿度に平地と変わらぬ気温、付き纏う虫たちに加えて何やら怪しい雲が上空を覆い始めましたので急いで降ります。
他にも数台車中泊と思われる方が居ましたがどうやって対策しているのか機会があれば伺いたいところ。
車上生活も甘くはないことを思い知ります。
ー
結局登った道をまた降りるを繰り返し、
大田市は久手海水浴場を今日の宿としました。
風が穏やかで波音や潮風が激しくないので、窓を開けた車内でも快適に過ごせそうです。
今日は炎天下の中山道ばかり160マイルは走ったので、天の川を見ながらゆっくり休むこととします。
それでは、おやすみなさい。
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8月17日-❹
出雲横田からしばらく走り、
渓流を渡す吊り橋で名の知れた、
鬼の舌震いへ来ました。
涼しげな森の小路を抜けると、
高所恐怖症の僕にはあまり快適とはいえない景観が広がっていました。
ましてや、”涼しげ“なだけで気温は34度はあろうかと言う中、軽装で歩くには少々酷な(危険な?)行程が待ち構えていたので、少し散策して早々に退散しました。
ー
今日の宿を探す前に一風呂���びて汗を流そうと、三瓶山の方へ再び林道を分け入って行きます。
ー
国民宿舎さんべ荘で三瓶山温泉に入ります。
鉄釜に浸かる五右衛門風呂や、外回りの排水などを見ても激しく酸化しておりナトリウムの含有を(視覚的に?)感じます。
三瓶山温泉は硬さがなく、夏に入っても心地よく芯だけ温まる感じがして個人的にはかなり好きな泉質でした。
ー
温泉を上がった時点でも、
今日の宿泊地は決めかねていました。
海沿いなら久手海岸、山間ならそのまま三瓶山か、少し西側へ下って飯南の赤木高原あたりまで行こうか...。
ー
思いを巡らす内にも日は落ち続けます。
憎たらしいほどの熱線で丸一日僕を燻った太陽も、沈む瞬間にはいつも切なさを感じさせます。
君はずるいね。
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8月17日-❸
中国山地を縫うように走る。
単調な道を運転するのが苦手という人は気分転換に窓を開けましょう、寒くても暑くてもその土地の匂いが何かしら飛び込んで来るはずです。
街中なら排ガス、アスファルトの匂い。夕飯の献立の匂い。
海沿いなら潮の香り、干物の香り。港街なら船の重油の匂い。
山間なら土の匂い、木の匂い、肥やしの匂い、花の匂い。伐採された後の檜の匂い。
普段は気に留めないだけで、本当にいろんな匂いが漂っています。
いい匂いか嫌な匂いか、というより、どうしてその匂いがしてくるのかを意識すると、まさにその土地での営みが産んだものだと言うことに気付きます。(花粉症の人にはすこし辛いかもしれません)
ー
なんとなく出雲そばが食べたくなったので舵を奥出雲町へとり、ちょうどいいタイミングでショートカットできる林道が現れたので踏み入りました。
そしてお家芸.....
麓にあった看板を読み違えて、冷や汗をかきながら狭い林道をバックする羽目になりました。
アメ車は左右のミラーで曲率が違います。
簡単に言うと、左ハンドルで運転していて、左側のミラーがより遠くを拡大して見えるようになっています。
これは何車線もある向こうのフリーウェイを走るアメリカでの事情があるんでしょうか。
とはいえ日本の狭い林道でそんな見え方の違うミラーを使って何百mもバックするのは、出来れば2度とやりたくありません....。
同じところに4t以上通行止めの看板があったので、普通車はいけると判断してしまったわけです。
ー
回り道も旅の醍醐味です。
沿道に鳥取県園芸試験場がありビニールハウスで各種農作物の成育が行われています。
近くにハーブ農園もあり立ち寄りたかったのですが、残念ながら今年度は休業中とのことでした。
この辺りの地名は日南町阿毘縁。
あびれと読むそうです、相当難読です。
ー
ようやく奥出雲は横田まで降りてきました。
出雲横田駅はロータリーも備えて立派な風体ですが、
鳥取市民も驚く閑散区間です。
JR木次線は松江と広島方面、備後落合までを結んでいますが、鉄道で移動する需要は皆無と言っていいほどのようです。
しかしこの周辺では、観光列車の草分け的な存在、「奥出雲おろち号」がループ橋やスイッチバックを目玉に、地区全体の観光資源として役割をしっかりと果たしています。
駅前も景観保護に則った街並みで、散策も見応えがありそう。
おろち号は今月21日から運行再開するようで、涼しくなった暁には列車旅にも夢が膨らみますね。
(町歩きは殺人的な暑さと空腹より断念しました)
ー
念願の出雲そばです、
鬼おろし蕎麦と豆腐の漬物を頼みました。
荒削りの辛大根に濃い目のつゆをかけて、蕎麦がぶつぶつと切れようがむせようが、豪快に啜るのがマナーです。
そしてこちらが豆腐の漬物。
例えるならクリームチーズの麹味噌味!(これはかなり的確だと思います...)
アテにもご飯のお供にも持ってこいといったなかなか頼もしい美味しさですが、僕なら焼いた川魚に乗せて頬張れば最高だろうなと思いました。
お値段も少々張っており、やはりこの辺りでも珍味ではあるかと思います。
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8月17日-❷
大山を背に山を登っていきます、
まだこの辺りは高原という印象が強く、広い空を感じることができます。
ー
野土路トンネルを抜けると一転して下りに転じ、杉林がいかにも日本の里山という印象に変わります。
集落の様相も、昔ながらの水稲農村という雰囲気です。
沿道に「日本で最も美しい村連盟」の看板が出てきて、やはり原風景と感じたのは日本人的感覚で間違い無かったと思いました。
鳥取県だと智頭町が加盟しています。近県では兵庫の小代や島根県の海士、京都の伊根なんかは多少馴染みがありますね。
ー
トンネルを抜けて10kmほど走ると陰陽連絡の幹線道、国道181号線に突き当たるところ、出雲街道の宿場町新庄村に着きました。
1時間ほど街並みを散歩して非常に質の高い昭和レトロを観測し、満足です。
ところで新庄村のメインストリートには小川が引き込まれているのですが、何軒かの軒先にはいけす(?)のような水溜めが設けられており、大きな鯉が涼しそうに泳いでいました。
宿場町というのはいくらか歩いた経験がありますが、ちょっとこういった設備を見たのは記憶にないので興味深かったです。
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夏へと誘う潜道路を通って、
素敵なパッケージのお米(おむすび専用!)を購入して村を後にします。
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