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uqunon · 2 years ago
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「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)
「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)著 2012年2月7日岩波書店発行(岩波ブックレット829)
心や体の変化の意味を知り
備わっている自己回復力を引き出すために
「心のケア」についての誤った認識を正し、
子どもたちの成長につながる支援活動を考える
教師やカウンセラー、保護者は災害・事故後の子どもの心をどう支えるべきか。これまでに阪神・淡路大震災やインド洋大津波、四川大地震などの現場で活動し、東日本大震災後、岩手県教育委員会のスーパーバイザーとしてケアシステムの構築を行っている著者が、子どもたち��ストレスやトラウマへの対処法をどう教えるか実践的に示す。
著者 冨永 良喜(とみなが よしき)
1952年生まれ。兵庫教育大学大学院教授、臨床心理士。専門は臨床心理学。
九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
著書に、『イメージと動作によるストレスマネジメント教員/基礎編・展開編』(北大路書房、山中寛氏との共著)『日常生活・災害ストレスマネジメント教育──教師とカウンセラーのためのガイドブック』(サンライフ企画、竹中晃二氏との共編)『トラウマとPTSDの心理援助──心の傷に寄り添って』(金剛出版、杉村省吾氏らとの共編)『かばくんのきもち──絵本で学ぶストレスマネジメント①』(遠見書房)など。
「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)著 2012年2月7日岩波書店発行(岩波ブックレット829)
はじめに
 近年、大きな災害が毎年どこかで起きています。地球が地震の活動期に入ったことと、地球温暖化が気象変化をもたらしているためだといわれています。一九九五年一月一七日五時四六分、兵庫県南東部で直下型の地震が起き、六四三七人の命が奪われました。私は神戸から北へ四〇キロメートル離れた現職教員のための大学院大学に在職していました。避難所となった。学校へ、学生たちと心のケアの活動にでかけました。
 一九九七年には神戸児童連続殺傷事件が起き、私はスクールカウンセラーとして支援チームに加わり地域の小学校で活動しました。恐怖におびえる子どもたちと布ボールでキャッチボールをした後、次は「心のキャッチボールをしましょう」と言って、「ほっとすること」を表現してもらいました。また保護者を対象にグループ相談を行いました。災害や事件後の心のケアはチームで対応しなければなりません。被害を受けている人は多数で、その一人ひとりが受けている衝撃があまりに大きいからです。
 阪神・淡路大震災当時に日本臨床心理士会の現地対策本部長を務めていた高橋哲さんや、災害や事件に巻き込まれた海外日本人学校での活動経験を持つ小澤康司さんらとチームを組んで活動をはじめました。それから現在まで、災害・事件が発生した時どう対応すればいいかについて、その他の臨床心理士をサポートする活動を続けてきました。私たちは海外で構築された災害・事件後の心理支援のモデルを参考にしながらも、支援する地域の人的資源や文化や宗教を尊重するプログラムを開���してきました。
 そして、二〇一一年三月一一日一四時四六分にM(マグニチュード)9・0の地震が起き、約三〇分後東日本の太平洋沿岸六〇〇キロメートルにわたり津波が襲い、大きな被害をもたらしました。さらに原発事故により今もなお危機が続いているという、人類が経験したことのない事態が続い起こっています。この災害で被災された方への心のケア活動は、発災から数カ月間のみならず五年・一〇年・二〇年と長期にわたって必要です。
 ショックを体験したとき心と体にどのような変化が起きどう対応すればいい��かを学ぶことを心理教育といいます。この大災害を契機に、日本でも日常のカリキュラムのなかに心の健康のための体験的な授業を制度化するべきではないでしょうか。西欧社会、さらには中国も道徳とは別に心理健康教育を科目として設定しています。そして、余震も含めその後の災害に備える防災教育も心の健康教育と一体にすすめなければなりません。突然の避難訓練はフラッシュバックなどの反応を引き起こすからです。
 災害時のストレスだけでなく日常生活においても、例えばまた、試験や試合といったストレスをどう克服すればいいのか。けんかやいじめのストレスにどう対処すればいいのか。ストレスを自らコントロールする方法を学ぶストレスマネジメントを、どの学校でも行えるよう体制を整えなければなりません。                
 日本は先進国の中でも自殺者が多い国です。また、虐待の相談件数も年々増加しています。自殺や虐待のように、ストレスとうまく付き合えないことが原因となりうる深刻な事態を予防するためには、心理教育やストレスマネジメントを取り入れた学校教育が重要な役割を果たします。
 本書では災害のあと、学校でどのように心のケアに取り組めば良いかを具体的に書いています。学校では、教師とスクールカウンセラーの連携による心理教育が必要です。授業例など、教師に向けた実践的な提案を含みますが、それによって示される考え方は、日常生活の中で心の健康を支えるためのヒントともなるものだと思いますので、教師やカウンセラーの方だけでなく、保護者や子どもと関わる地域の人にも読んでいただけたらと思います。
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uqunon · 6 years ago
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「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)
「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)著 2012年2月7日岩波書店発行(岩波ブックレット829)
心や体の変化の意味を知り
備わっている自己回復力を引き出すために
「心のケア」についての誤った認識を正し、
子どもたちの成長につながる支援活動を考える
教師やカウンセラー、保護者は災害・事故後の子どもの心をどう支えるべきか。これまでに阪神・淡路大震災やインド洋大津波、四川大地震などの現場で活動し、東日本大震災後、岩手県教育委員会のスーパーバイザーとしてケアシステムの構築を行っている著者が、子どもたちにストレスやトラウマへの対処法をどう教えるか実践的に示す。
著者 冨永 良喜(とみなが よしき)
1952年生まれ。兵庫教育大学大学院教授、臨床心理士。専門は臨床心理学。
九州大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。
著書に、『イメージと動作によるストレスマネジメント教員/基礎編・展開編』(北大路書房、山中寛氏との共著)『日常生活・災害ストレスマネジメント教育──教師とカウンセラーのためのガイドブック』(サンライフ企画、竹中晃二氏との共編)『トラウマとPTSDの心理援助──心の傷に寄り添って』(金剛出版、杉村省吾氏らとの共編)『かばくんのきもち──絵本で学ぶストレスマネジメント①』(遠見書房)など。
「大災害と子どもの心──どう向き合い支えるか」冨永 良喜(とみなが よしき)著 2012年2月7日岩波書店発行(岩波ブックレット829)
はじめに
 近年、大きな災害が毎年どこかで起きています。地球が地震の活動期に入ったことと、地球温暖化が気象変化をもたらしているためだといわれています。一九九五年一月一七日五時四六分、兵庫県南東部で直下型の地震が起き、六四三七人の命が奪われました。私は神戸から北へ四〇キロメートル離れた現職教員のための大学院大学に在職していました。避難所となった。学校へ、学生たちと心のケアの活動にでかけました。
 一九九七年には神戸児童連続殺傷事件が起き、私はスクールカウンセラーとして支援チームに加わり地域の小学校で活動しました。恐怖におびえる子どもたちと布ボールでキャッチボールをした後、次は「心のキャッチボールをしましょう」と言って、「ほっとすること」を表現してもらいました。また保護者を対象にグループ相談を行いました。災害や事件後の心のケアはチームで対応しなければなりません。被害を受けている人は多数で、その一人ひとりが受けている衝撃があまりに大きいからです。
 阪神・淡路大震災当時に日本臨床心理士会の現地対策本部長を務めていた高橋哲さんや、災害や事件に巻き込まれた海外日本人学校での活動経験を持つ小澤康司さんらとチームを組んで活動をはじめました。それから現在まで、災害・事件が発生した時どう対応すればいいかについて、その他の臨床心理士をサポートする活動を続けてきました。私たちは海外で構築された災害・事件後の心理支援のモデルを参考にしながらも、支援する地域の人的資源や文化や宗教を尊重するプログラムを開発してきました。
 そして、二〇一一年三月一一日一四時四六分にM(マグニチュード)9・0の地震が起き、約三〇分後東日本の太平洋沿岸六〇〇キロメートルにわたり津波が襲い、大きな被害をもたらしました。さらに原発事故により今もなお危機が続いているという、人類が経験したことのない事態が続い起こっています。この災害で被災された方への心のケア活動は、発災から数カ月間のみならず五年・一〇年・二〇年と長期にわたって必要です。
 ショックを体験したとき心と体にどのような変化が起きどう対応すればいいのかを学ぶことを心理教育といいます。この大災害を契機に、日本でも日常のカリキュラムのなかに心の健康のための体験的な授業を制度化するべきではないでしょうか。西欧社会、さらには中国も道徳とは別に心理健康教育を科目として設定しています。そして、余震も含めその後の災害に備える防災教育も心の健康教育と一体にすすめなければなりません。突然の避難訓練はフラッシュバックなどの反応を引き起こすからです。
 災害時のストレスだけでなく日常生活においても、例えばまた、試験や試合といったストレスをどう克服すればいいのか。けんかやいじめのストレスにどう対処すればいいのか。ストレスを自らコントロールする方法を学ぶストレスマネジメントを、どの学校でも行えるよう体制を整えなければなりません。                
 日本は先進国の中でも自殺者が多い国です。また、虐待の相談件数も年々増加しています。自殺や虐待のように、ストレスとうまく付き合えないことが原因となりうる深刻な事態を予防するためには、心理教育やストレスマネジメントを取り入れた学校教育が重要な役割を果たします。
 本書では災害のあと、学校でどのように心のケアに取り組めば良いかを具体的に書いています。学校では、教師とスクールカウンセラーの連携による心理教育が必要です。授業例など、教師に向けた実践的な提案を含みますが、それによって示される考え方は、日常生活の中で心の健康を支えるためのヒントともなるものだと思いますので、教師やカウンセラーの方だけでなく、保護者や子どもと関わる地域の人にも読んでいただけたらと思います。
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