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見届けることは引き受けること〜今更刀ステ无伝感想〜
お母さん、お元気ですか。(BGM:「北の国から」)
夏ももうすぐ終わり今年も残りあと三ヶ月になってきた今日この頃、僕は暑さで朦朧としながら2021年上半期に通い詰めた狂った劇場のことを思い返しています……とかウンウン感想をまとめようとしていたらもう无伝から一年がたち、顔のいいバームクーヘンが届いたかと思ったらBDケースだったり、刀ステは六周年を迎え映画館で无伝が上映されることになっていました。これをみて化け物劇場を思い出してねということでしょうか。嫌でも忘れらんねぇよ。
時の流れは速いですね。まるで蜃気楼のようだった気すらします。ですが本当に僕は観たんです。
お母さんは知らないかもしれませんが、その狂った劇場はなんと客席が回転し、暗転なしに場転が可能という化け物劇場なのです。その化け物劇場でバケモノコンテンツが上演されることになったのです。刀剣乱舞という刀を擬人化したゲームが元になっているいわゆる2.5次元舞台と呼ばれるものなのですが、2.5次元舞台の始祖とも言える「ベルサイユのばら」をどうしても観たいがために宝塚へ連れて行ってくれと懇願し、オスカル様が死んでしまった翌日はクラス全体がお通夜状態だった経験をしたお母さんなら僕の気持ちもわかってくれることかと思います。
東宝版エリザベートの初演に連れて行ってくれたのも夏でしたね。初演を観たあと、頭をぶん殴られたような衝撃は忘れられません。あれから二十年ほどが経ちましたが、なんとあの初演でエリザベートを演じた一路真希さんが舞台刀剣乱舞で高台院を演じるというのです。もう勝ちは決まったも同然ではありませんか。(何に対しての勝ちかは僕にもわかりません)
僕は、化け物劇場とバケモノコンテンツが火花を散らす様をどうしてもこの目で見届けたかったのです。演劇に頭をぶん殴られる衝撃をまた味わいたかったのです。え? 何度観たのかって? ふふ、それはポストカードの数以上……とだけ記すことにします。何度ぐるぐるできるのかななんて可愛こぶっていた僕ですが、チケットの値段だけは可愛いなどとは言えなかったので思い出したくはありません……。
ただ目の前で繰り広げられた光景があまりにも現実離れしすぎていて、荘厳な大河絵巻を見せつけられた気持ちです。そう、呑む大河絵巻。そう言うにふさわしい化けものっぷりでした。
特に僕は二幕が大好きです。殺陣大回転で二回転目があるなんて、三日月宗近がよろめきながらも敵を前にしてしゃん背を伸ばす姿とともに僕のテンションも爆上がりです。もう回る客席からステージに向かって小銭を投げたい。刀派を叫びたい。(歌舞伎ではないのですから迷惑千万ですね)そんな気持ちを抑えながら毎回マスクを涙で濡らしたものです。
幕が開いてから十日たらずでしたが、天海さんと同じく、一路真希高台院ももうステアラを抱いていました。お袋様の愛は大変深いものでした。
人ではなくなってしまった元の主を斬らなければならない。
歴史に生きる人々の物語を見届け、引き受けることで「悲伝」は「陽伝」に変わり、物語の未来を拓くことが出来るのではないかと僕は思います。
巻物に記された文字が悲伝から陽伝に変わった瞬間をなんと形容したらいいのでしょうか……。カーテンコールで高台院様の元へ三日月がたどり着くのですが、朱い空から鳥が飛び立つのです。「悲伝」初日を観劇後、「聞いてない……聞いてない」とうわごとのようにつぶやきながら改札に入ったことを忘れて同じ改札を���ようとした僕にとっては、オスカル様が死んだのと同じくらいの衝撃だったのです。僕だって次の日休みたい……。
悲伝が覆るかもしれない。
不如帰が帰るかもしれない。
三日月が背負った見届けることの重さを本丸の皆で分かち合うことの出来る未来が来るのではないだろうか。その先に「陽伝」があってくれることを僕は願ってやみません。
化け物劇場で化け物コンテンツが火花を散らすのを見届けられた上にこんなラストが待っていてくれるとは。僕は歓喜の涙を流しました。
まあ誰も「陽伝」がハッピーエンド大団円なんて言ったわけじゃあないんですけどね! 何が待ってるのか怖さと楽しみで吐きそう! でもまんばちゃんモンペとしては彼が極になって帰ってくるまで婆になっても見届ける覚悟ですけどねっ! オェっ!(嬉ゲロ)
すみません取り乱しました……共に行けなかったことが残念ですが、ステアラという狂った劇場に間に合った僕たちは何を引き受けたのかまだまだ確かめなくてはならないと僕は思うのです。
(BGM:「北の国から」で徐々にフェードアウト)
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時間と金を喰らう演劇という化け物を体現したステアラ&刀ステ~最強のトキ消費~
刀ステの朝は早い……マチネ11時スタートって休日のヅカやんけ……。そして終演後には14時をすぎ約4時間をもぎとられた事実を突きつけられるという、まさに時間と金を喰らう演劇という化け物を体現した劇場&演目。でもステアラはただ回ってるだけじゃないんだぜ……経済を回してるんだ。(真顔)(チケ代¥16,000)
三月に入ってから二回ぐるぐるした。一回目の教訓(酔った)を生かして、筋トレをこなし万全の体調で挑む二回目のはずが、電車の遅延により市場前到着と同時に走り出さなければならないトライアスロンと化した。(完全に時間に余裕を持たなかった自分のせい)誰だよ、ぐるぐるまえに何かおなかに入れとかなくちゃね☆とか余裕ぶっこいてたやつ……(水すら飲む余裕がなかった)席に着いてから数十秒後に開始はさすがに反省した。あやうくステージに登場してしまうところだった。(その前に係員さんに止められるであろう)そんな与太話はさておき、二回目はトライアスロンをこなしたおかげもあってかめちゃくちゃすんなり頭に入ってきた。
が、同時にそれはまんばちゃんのモンペ(モンスターペアレント)審神者である私にとって地獄の始まりだった……。
ステアラで刀ステが上演されることについては今も夢なのではなかろうかと思うくらい思いが強くて、感想をまとめるのに苦労する。何せこちとら初期刀は山姥切国広、チュートリアル途中で緊急メンテが入り、まんばちゃんを中傷にしたまま次の日を待つしかなかったまんばちゃんのモンペ審神者なのだ。(ちゃんと次の日ログインしたら続きから始まった。心底ほっとした)
そんなまんばちゃんのモンペ審神者が、舞台版にまんばちゃんが出ると聞いて黙っているわけがない。「ハーン、まんばちゃんいうても二次元を超えるまんばちゃんがおるわけなかろうがっ!コスプレ本丸か?!?三日月と背中合わせェ?!ェ尊……い……??まぁ観るけど!観るけどな!?!(何様)」と思いつつ当日券ロ��ピー整理番号チャレンジに挑み、初めて刀ステを観たとき「これはワシの本丸の話じゃ……(電光石火の手のひら返し)」(不動行光はこれまたまんばちゃんが中傷になりながら連れてきてくれたのだ)と次元が溶ける感覚を味わってしまったのが最後だった。とある本丸という設定は色々な人に寄り添う親切設計だと思う。
そこから全ての刀ステ公演を観てきたが、自分自身のプライベートで起きたことと重なる部分があったりしてますます思い入れの強い舞台になっていった。刀剣乱舞というゲーム自体がいつ戻ってきても大丈夫な作りになっているように、自本丸がなんとも言えない実家のように感じられた。だからこそ悲伝より前の時間軸であるこの冬の陣、まんばちゃん自身のセリフが全部ブーメランでまんばちゃんのモンペ審神者のHPはもうゼロだ……。しんどい……。「未来の本丸にまんばっちはいない」ってどういうことだよ太閤左文字っ!!!こっちはもうどんぐりが転がっただけで涙が出る体になってるんだぞ!?!?(刀ステ考察についてはまた別に書きたい。モンペなので長くなる)
1月から1月空いて、二回目以降は三月に観たのだが、変化の多さに驚いた。戦う座組であるのはもちろんのこと、役者陣が豊洲の化け物を掌握し始めたなと感じた。回る客席の速度に合わせて殺陣をし、芝居をするという狂気の沙汰が祭りになり始めていた。
演劇を観ていて時々不思議な感覚に陥ることがある。セリフを言っている役者が観客席を見やっている時、その「登場人物が見ている光景」が観客側にも伝わるときだ。太閤左文字が「青空だった」と言った時、彼の見ている青空が見えたような気がしたし、一護一振がラストシーンで振り返った時もそうだ。そして山姥国広が弥助と対峙する背中に、弥助が代償を払うとき、家康が生き残る覚悟をした時、真田信繁が歴史に抗おうと笑うところに物語を観た。
千秋楽の殺陣大回転を観ていたらなんだか泣けてきてしまった。ステアラで見たかった舞台が現実になっている事と、このコロナ禍の中舞台が「ある」ということに胸がいっぱいになってしまった。
同じ舞台を何度も観ていると、客席と舞台上が一体となっていつもとは違う熱気が立ち昇る瞬間に立ち会うことがある。私が観た中では、ステアラでは特にそれが顕著に現れていたように思う。ステアラという化け物劇場はそこに挑む者の底力を時に限界まで引き出してくれるような気がするのだ。「私たちは舞台の上なら何処までもいける」という『幕が上がる』のセリフのように。
舞台には魔物が���むとよく言うが、それと同時に神だっているのではないだろうか。この最中、千秋楽まで駆け抜けたカンパニーの姿にそんなことを思った。
何度も同じことを言ってしまうがワシも「わしゃ間に合ったんじゃぁぁぁ!」と叫びたい。そして
「その昔、ステージアラウンドTOKYOという客席が回転する狂った劇場があってのう……そこでワシャコロナ禍に舞台刀剣乱舞、大阪冬の陣と夏の陣という二つの戦を目撃したんじゃァ……」
「もーおばあちゃんまたその話してる〜」と年老いてなお語り継ぎたい。
いい語り草になればいいんだがな……。(なるか)
夏の陣も元気にぐるぐるしてくれることを祈っている。ついでに修行に出たまんばちゃんが三日月を連れて修行から戻ってくるようまんばちゃんのモンペ審神者は祈っているんじゃ……ステアラで極になって帰ってくるまんばちゃんを観るまでは死ねないんじゃ……(妄言)
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回転する売店と去来する今昔につられて観客の夢も引きずり出されるメリーゴーランド〜夢ぞろぞろ〜
ステアラは客席が回転するが、こちらは駅の売店が回転する。ステアラはステージの端から端まで50メートルだが、こちらのステージは真ん中に売店が置かれるとほぼそれでいっぱいだ。ステージに立つのはたった二人。駅の売店を舞台に繰り広げられる二人芝居、「夢ぞろぞろ」を観た。
ふとしたことから電車に乗れなくなってしまった会社員の夏目くんと駅の売店を営む夢子さんの二人を中心に現在と過去を行ったり来たりする。
一見すると駅ナカにあるなんてことない売店は、くるくる回転するたび学校の教室になったり、さらには電車になったりもする。それを実現させるのは夢子さん演じる小沢道成さんと、夏目君を演じる田中穂先さん二人の演技力に他ならない。いつの間にか夢子さんはセーラー服を着た中学生に戻っているし、(とても初々しい)売店のドアが開くと夢子さんの初恋の人、磯村くんが現れる。
売店の回転とともに素早く、時には切なく切り替わる今と昔に、いつのまにか観客は売店というメリーゴーランドに乗せられ翻弄されていた。
夢子さんによって語られる過去は、途中から「今」の夢子さんと「昔」の磯村くんとの対話になっていたように思う。磯村君が将来の夢を語るシーンで、夢子さんは「やりたいこともないし、何かを作るなんてできないと思う」と自身を卑下するように語る。それでも磯村くんはどんな些細なことでも「それが夢だよ」と言う。このシーンにとてつもなく抉られた。
磯村くんの「夢ちゃんが話してくれたあれは間違いなく夢だよ」というせりふを聞いた瞬間、ぞろりと引きずり出されたのは亡くなった母が出てきた夢だった。
母がガンで亡くなった一ヶ月くらいあと、私は半年遅れのハネムーンへ行った。どうしてそんな時期にと思われるだろうが母がいつどうなるかもわからなかったし、夫も当時ブラック企業に勤めていて旅行に行く時間がなかった。ようやく夫の転職が決まり、空いたタイミングがここしかなかったのだ。旅先のスリランカに着いた一日目の夜、母が夢に出てきた。私は母が亡くなったことも忘れていて「ここは冷えるからそこの喫茶店に入ろう」と母に言った。喫茶店で私は漫画の「秘密」が終わらなかったことを話したり、次に観たい舞台の話をしたように思う。目が覚めて、なんでこんな夢を見たのだろうと思った。夢から覚めたばかりのときは全然悲しいという気持ちもなく、暑い国に来たのに夢の中は寒かったなとか「秘密」が終わると思ってたのに終わる1号前の『メロディ』を棺桶に入れちゃってごめん、やっぱ気になったのかなとかそんなことばかりを考えた。
「あ、母さん海外に来たの心配して出てきてくれたのか」
異国で朝の支度をしながらふとそんな答えが思い浮かんで、急に泣きたくなった。ただ単に失った母のことを考えている時間が長かったから、私が見たい夢を見ただけにすぎないのだろう。それでも私は母と対話ができたことが悲しくも嬉しかった。
夢子さんは思い出って綺麗にしちゃうからというが、それを今を生きる為の糧にしているのだと思う。そうでないと生きられないから。綺麗な思い出と同じくらい大きな十字架を背負って生きている夢子さんはそれでもいいのだと言ってくれる。なんてことない日常に溶け込みながら潜んでいるドラマは誰にでもあって、誰でも夏目くんになる可能性はある。それでもいいのだ。
母は私がやる事なす事、全肯定してくれた。文章を書くことが得意だと言ったらその時にしか書けないものがあるのだからどんどんやりなさいと言ってくれた。ちょっとした賞をもらった時も、自分のことのように喜んでくれた。
舞台を観るのが好きだった母と一緒に観た最後の舞台は何だったか、思いだそうとしても思い出せない。でもそれでもいいか、たぶん一緒に今も観てるんだしとまた私は思い出を綺麗にして生きている。
緊急事態宣言が出されるかもしれないという一月下旬にチケットをとった夢ぞろぞろ。きっと観る時代や、観る人の年齢によって引き出されるものは違うのだろう。次観た時、どんなものがぞろぞろ引き出されるのか体験してみたい。ぜひまた再演して欲しいと思う
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ステアラという豊洲の怪物と刀ステという狂ったSASUKE
ステージアラウンド東京という豊洲の化け物劇場をご存じだろうか。客席が回転するので、円形のステージを暗転なしに場面転換が可能、ぐるっと幕代わりに張られたスクリーンに映像も投影可能というやる方も観る方もぐるぐるパーになってしまう恐ろしい劇場だ。髑髏城の七人鳥、下弦の月とぐるぐるしたのだが、50メートルあるというクソデカステージを初めて目にしたときは「これを……二ヶ月飼い慣らすのか……?」と演じる方でもないのに休演日が月曜しかない鬼スケジュールを心配した。(下弦の月は休憩含んで上演時間約四時間)(あと、豊洲駅から離れていてコンビニもカフェも何にもない荒野だったので自分の食料、水分、トイレ確保を案じた。ソワレ終演後は豊洲のマックですら閉店時間が近かった)
そんな中、突如舞い込んだ報せに私は白目を剥いた。「舞台刀剣乱舞、冬の陣 in ステージアラウンド東京」
・化け物には化け物をぶつけんだよ(by貞子vs伽倻子)
刀ステVSステアラ。いや別に戦っているわけでは無かろう。でもそれくらいステアラで刀ステをやると知ったときのインパクトはすごかった。スケジュールを見て白目が一回りして黒目になった。月曜のみの休演日、三ヶ月、だと??(上演時間は休憩含む三時間四十分)しかもその後には夏の陣が控えている。つまり半年、刀ステVSステアラの対決が繰り広げられるということだ。正気か?? だがこの戦に参加しないわけにはいかない。髑髏城の七人を観てから、刀剣男士がびっしゃびしゃになりながら真剣必殺をする姿を妄想し、アンケートに「ステアラで刀ステ」をしつこいほど書いてきたワシにとってはこの戦、負けるわけにはいかんのじゃ……!(おまえは何と戦ってるの)
・約三時間動き続ける狂ったSASUKE
とにかくギミック���用の仕方が全力。髑髏で観ていたものとはまた違ったステアラの一面をのぞかせてくれる。髑髏城の七人は円ではなく面での使い方を全面に出していたと思うのだが、とにかく刀ステは動きまくる。ローラースケートやスケボーや一輪車は使わない。アトラクションと言わんばかりの大暴れだ。狂ったSASUKEが目の前で繰り広げられているのを目で追うので手一杯だ。なに、そのハイパーアクション?逆上がりの練習台みたいなのぽんぽん飛んでるけど大丈夫?? しかし心配をしている客席の一体感もハンパない。皆、真剣必殺でぼろぼろになった刀剣男士が出てくると一斉に双眼鏡を構える。狂ったSASUKEを攻略する刀剣男士を双眼鏡で必死に追う審神者たち……やはり客席もぐるぐるしすぎてハイになってくるのだ。
・強者どもが豊洲のあと……観劇も体力勝負
ずっとこの二つの怪物対決を楽しみにしていたはずなのに結論、ぐるぐるの遠心力に振り落とされてしまった……! 本当に情けない話なのだが、年明け一発目のパタリロ観劇から間をあけずの刀ステだったので、観劇体力が落ちていたのかステアラという豊洲の怪物に振り回されてオェっとなってしまったのだ……。髑髏城で喜んでぐるぐるしていたじゃねぇか……嘘だろ……まだ三年前の話だぞ?? ステアラに座り続けるには強靱な尻と体力が必要だって忘れてた……!激闘の爆風に巻き込まれて途中退場になっちまった気分だぜ……そうだった、ディズニー○ーのストーム○イダーが苦手な自分にはとにかく途中退席にならないようにするので精一杯。盲点だった……自分の体力不足でステアラVS刀ステに集中できんとは……! これじゃ蒼空の兵になれん……!
ただこれだけは言わせて欲しい。ワシゃ間に合った、間に合ったんじゃ〜!!!(ステアラ無くなる前に刀ステやってくれて本当に嬉しい)
三月にもチケをとったので今度は内容についてもう少しちゃんと書きたい。
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「舞台パタリロ~霧のロンドンエアポート~」 昭和トンチキ秘宝館を抜けるとそこは戻れない蟻地獄の夢だった
新年一発目の観劇。正直こんなに情緒を持って行かれるとは思っていなかった。結論から言うと「昭和トンチキ秘宝館に入ってキャッキャしていたらいつの間にか地獄の夢に引きずり込まれていた(しんどすぎ)」だった。以下感想とも言えぬ怪文書が続きます。(ネタバレあり)
・曲がめちゃくちゃキャッチーでもはやイメソン
とにかくOPが良い。ここからもう霧ロン蟻地獄の罠が仕掛けられている。曲に合わせて出演者と原作の一コマ一コマが流れるのだが曲といい詞といい歌声といいもはやイメソン。華美な言葉を使っているわけではないのにすっと情景が浮かぶ歌詞と中村さんの生歌でもうチケット代のもとは取れたも同然だ。というかヲタクからすると、イメソンがOPで神MAD&神生歌で聞けるってどういうこと?? という混乱とカオスに突如としてぶち込まれるので危険でしかない。だってもうもう一回観たいもん。小林さんはとんだ演劇モンスターである事を実感する冒頭である。他の曲も秒でなじめる曲ばかりで中毒性が高い。プレイボタンを聞くと脳内再生が余裕になるのでオススメ。
・回るベッドシーン(人力)
冒頭から昭和が香ってはいたものの、特筆すべきはデミアンとバンコランの回るベッドシーン(人力)だろう。何を言っているのかわからねぇと思うがわしゃ本当に観たんじゃ……回るベッドシーン(人力)を。
以下、回るベッドシーン(人力)を説明しようとした私と友人の会話
私「パタリロ、すごくいい舞台だったんですよ…」
友「へーそうだったんですか」
私「オープニングを中村中さんが生歌で歌ってくれて」
友「ほうほう」
私「あと、回るベッドシーンがあります」
友「??!回る??」
私「えーとなんて言ったらいいんですかね、ベッドが縦になってて、あーあれ、あれですドリフ」
友「私ドリフ通ってないんですよ…」
私「おおん……こう観客から見ると、ベッドを上から眺めるっていうか」
友「あ、それはなんかわかりました!磔にされてる感じですね!」
私「そう、それ!(何が「それ」なんだ?)で、それが回ります」
友「それがよくわからないんですよ、自転するんですか??公転するんですか??」
私「ふぁ?!ええと、自転する…人力で」
友「自転?!?!人力?!?!」
私「そう、で回転するたびに体位が変わります!(大声)」
友「(爆笑)」
ベッドシーンを説明するのにこんなに苦労することがあるだろうか、いや、ない。(反語)さらに中さんがその最中も生歌歌ってくれて最後ベッドに乗っかってはけてくとか言ったらどんな反応が返ってきたんだろうな……。(というか、いい舞台の話をしていたんじゃなかったのか??)そんなん秘宝館でも見たことないぞ。
だが俺は、俺は確かに観たんだ……。それでもベッドは回っている!(人力で)
・バンコランの目から本当にビームが出ている
一回目は前々からパタリロを観たがっていた旦那を連れて行ったのだが、美少年はおろか、美中年でもないただのおっさんなのにバンコランにオチていた。「バンコラン、こっちみた……目があったもん………」「バンコランの歌もう一回聞きたい……カッコいい……」完全に劇中の美少年達と同じ顔、同じ言動である。おっさんなのに。お前はジェフリーやトムやミネヲじゃないんだぞ。だがバンコランはただ生きてるだけでキスをせがまれる男、オーラが半端なァい!(歌詞ママ)から仕方ないのだ。目から本当にビームが出ていたのだ。バンコラン、恐ろしい子……!(結果、初日と千秋楽の配信を買った)(やいのやいのした)
・美少年達による換気タイムという歓喜タイム
このご時世なので、一時間強が経過したあたりで美少年達が換気をしてくれる。何を言っているのかって? だから換気タイムだよ。おそらく一生のうちでもう二度と口に出して言わない日本語、「美少年達による換気タイム」。お祭り仕立て、ロウリュウ方式、そよ風といった方法で劇場換気をしてくれる。手を上げればおかわりも可能。美少年が風を送ってくれる。ああ恥ずかしがらずに思い切り手を上げておけば良かった……。(マジで後悔している)毎回ピックアップ美少年が自己紹介をしつつ特技を披露してくれるのも楽しい。このご時世でなければ体験できない��喜タイムであった。(誤字ではありません)
・デミアンパイセンという存在
のっけから回るベッドシーンでトバしてくれるバンコランとデミアンパイセンなのだが、この舞台の真骨頂は昭和トンチキ秘宝館だけではない。昔の想い人の手によって死ぬというヲタクにブッ刺さる傷を遺してくるデミアンパイセンだ。勘弁してくれ、そういうの大好きなんだよ……。
劇場で二回、配信で一回観たのだが、回を重ねるごとにデミアンパイセンのエグさが増していくのだ。初日付近は原作やアニメよりで、割とバンコランに対しては愛情が過ぎるあまり憎しみに近い印象があったはずなのに、(個人的な印象です)いつの間にか愛情が過ぎて戻れない地獄の悲哀を背負っていくデミアンパイセン……。えっ、なにそれしんどい……。
バンコラン、マライヒ、デミアンでボロボロになるまで殴り合うシーンは、どんどんデミアンが先輩でも想い人でもなく、バンコランに執着するただのデミアンになっていってしまうというエグみの深さ……。えっ、なにそれしんどい……(テストに出る大事なことなので二回言いました)
バンコランと再会時の「私は変わっていないよ、何も」の行間を深読みしてしまうじゃないか……。そういえばなんか二回目観たときはなんとも言えぬタメがあった気がする……バンコランに撃たれて息絶えるときも何でそんな昔に戻ったみたいに「バンコラン……」て呼んだ?? 最初は憎しみが強かったじゃん?? えっ、欲しいもの全て闇の中……? 約束したあの日思い出だけが飛び立つそこは地獄の夢??(歌詞ママ)(ここの中村 中さんのアカペラがすんごい)観てるこっちも地獄の夢ぞ??
しかしその後、パタリロ殿下に地獄の夢から呼び戻されたデミアンパイセンは酸素を吸って「正味しんどいですわ」としんどがっていたり、エリマキトカゲ走りで袖から走ってきたりするのだ。こっちは泣きながら蟻地獄からあと少しで這い上がれそうだったのに、急に振り幅デカいのやめてくれないかデミアンパイセン……。(そしてキレキレのダンスを踊る)(そしてヲタクは振り出しに戻る)
一人ではどうにもこのしんどすぎ問題を抑えきれなかったので、観た感想をひたすら友人にぶつけた結果、「一時間四十五分(休憩なし)でそれはおかしくなりますよ……」と哀れまれた上に正気を疑われてしまった……。わしゃ至って正気じゃよ……?回るベッドをこの目で観たんじゃ……(二回目)
思い返してみれば、「あなたの銀髪フェチ、どこから?」と聞かれたなら「妖狐、玉藻」と即答できるくらいの私がデミアン・ナイトに沼らないわけがなかった。こんなにメンタルを揺さぶられたのは舞台に限って言えばエリザベートのトート閣下(銀髪ウェーブ)��来じゃないか?(あのときも観た後半月ぐらいずっとトート閣下のことを考えていた)デミアンの幸せについて本気出して考え続けている……(どうあがいても蟻地獄でしかない)くそ、こんなご時世で無けりゃ当日券買って地獄の夢を見続けていたってのによォ……(血の涙)
・楽しくもありときに悲しいけど愛おしい舞台という祭り
舞台はその時間のためだけにたくさんの人が集まって準備をし、お客さんも決まった時間に来てその時間を共有する一種の祭りのようなものだと思う。今の時代、もうそれはほぼ奇跡に近いことになってしまった。それでも舞台パタリロはそんな一時の祭りをぶち上げてくれた。終わってしまってこんなに祭りの後の寂しさを味わう舞台は久しぶりだ。またハチャメチャな祭りの日が来ることを願ってやまない。
はやく……、はやく円盤をください……(末期)
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------------【2021/02/17追記】 2016年に初めて刀ステを観劇したときの感想とも言えぬただゲロっただけの記録。(あんまりにもあんまりな部分は直した) 新感線やらストプレやらミュージカルやヅカはそこそこ観ていたけど、 読み返してみると2.5次元舞台に初めて触れた衝撃の勢いが生々しい。当券で観劇した後にライビュキメるあたり体力があったな……今はもうステアラに座るだけで一仕事だよ。「ブロマイドに手を出したら終わりだ」とか思ってたのに、ここから「トレブロ」「ランブロ」という単語を普通に口にするまでそんなに時間はかからなかったな……(遠い目)安心しろ、お前は五年後も沼にハマッたまま抜けられてないよ……むしろ深みにハマっていく一方だよ……。
ステアラで刀ステが回っている今、個人的にはとても感慨深い。
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・刀ステを観劇してきた。先行に外れ、ライビュはチケット取っていたがゲネの写真を見たら居てもたってもいられなくなり、気がついたら当日券争奪戦に飛び込んでいた……だってまんばちゃんと三日月が背中あわせとか楽屋裏でまんばちゃんの布に入れ替わり立ち替わり入る男士たちの写真を見ちゃったらねぇ…ねぇ?(誰に聞いてるの)
※ここよりネタバレを含むかなり偏ったブツぎれ感想(というかほぼメモ)
・運よく当日券をゲットし、1F13列目の真ん中よりちょい右あたりで観劇。ありがたや…。
・OP、殺陣で敵をバッタバッタとなぎ倒しながら歌いだす刀剣男士たち。
「歌うなんて聞いてねえぞ?!?」(心の声)
いい意味で裏切られた。曲調も雰囲気ピッタリで、た、楽しい……。(もともと劇団新感線が好きなのでこの手の演出すごく好き)もうこの時点で 若く芝居のできるイケメンたちがキレのある殺陣をバンバンやってくれることに「はぁありがてぇありがてぇ……」と拝むしかない。
・いち兄がピンチの時に「いち兄!」と飛び込んでくる鯰尾…、「にいさま!」と走りこんでくる小夜ちゃん…。紅白戦…とか長谷部をぶんなぐる宗三とかまんば渾身の「クソジジイ!」とかぶるぶる震えるシーンを挙げだしたらキリがない。キリがないって言うか身が持たない。
「こういうの観たかったんでしょほらほらぁぁ!」とばかりに拳を北斗の拳ばりに叩き込まれるこの怒涛の流れ…ええそうですよ、薄くて高い本で百万回見て頭の中で五百万回妄想してきましたよおおお!ありがとうございますうううう!と笑顔で殴れられ続ける感じ…。(すべて個人的な心象風景)
・まんば推しなのでまんばちゃんの殺陣をガン見。布が奇麗にひらひらするたびに何かが「ギュン!」となる。後々あの「ギュン!」は何であったのかを考えると「ま、まんばちゃんが動いてる…!布、生きてる…!(違う)」という気持ちの表れであったのではないかと推測される。布さばきお見事。客席を走ってくる時、ひらひらしないようにしっかり押さえてるところがかわいかった。あと、本丸案内のシーンで客席に降りてきたときかなり近くで不動君とまんばちゃんを見ることができた。最初暗闇にぼうっと浮かぶ白い影が見えて「こんなところにシーツ…??いやちがう、まんばちゃんや…!」と認識した時の動悸は初めてセーラームーンショーを観たときのそれと似ていた。(何が言いたいんだ)
・カーテンコールの演出がすげぇ好き。番傘持って歌うなんてかわいすぎか。桜の花弁が舞い落ちるとか誉か。僕らの本丸は今日も花丸だよ……(錯乱)
・たぶん、全体的にショー的な感覚で観ると満足度が高い舞台だったように思う。殺陣ごん盛り、真剣必殺サービスもありのお客さんが観たい要素がぎゅっと詰まっている感じ。ただしストーリー重視で観ようとすると少し間延びした感じがあって物足りない面も。二幕構成で三時間半とかできたらもっと違っていたのかも。(でもそれは役者の拘束時間やらいろいろあって難しそうだけど)
・2.5次元舞台というものに初めて行ったのがおそらく「赤ずきんチャチャミュージカル」まで(もしくはセーラームンミュージカル)遡る私にとって、この「あっマジこれ三次元にキャラが存在してる感」に凄まじく打ちのめされた感がある。というのも子供ながらにやっぱり漫画と舞台は違うんだなぁという思いをどうしても持っていて拭えなかったので、なおさら「ガチで存在してる感」に震えてしまうんだろうなぁ。ハイステやペダステの映像も観てみると、斬新な演出方法やプロジェクションマッピングを使って新しいことをやってやろうという制作側の気合も感じられて、いちばん新しくて面白そうなことってもしかしたら2.5次元舞台でこれからたくさん体感できるのかもしれないと思うとオラワクワクすっぞ!(おせぇんだよと言われそうですが)
次回あるなら源氏兄弟とか歌仙ちゃんを出してほしいところ。あと二幕構成にしてほしいなぁ。
・そしてこのあと、あらかじめ取っていた18:00からのハイステライブビューイングに向かいました。さいこうに次元がとろけるGWでした……いやまだ2.5次元沼にハマッたわけじゃありませんほんとうです。(沼から半身をかろうじて出しつつ)(ハイステ、泣きました)
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